2025年10月1日 中央社会保険医療協議会 総会 第618回議事録

日時

令和7年10月1日(水)10:00~

場所

全国都市会館大ホール 2階

出席者

構成員等
  • 小塩隆士会長
  • 飯塚敏晃委員
  • 笠木映里委員
  • 永瀬伸子委員
  • 本田文子委員
  • 城山英明委員
  • 鳥潟美夏子委員
  • 松本真人委員
  • 髙町晃司委員
  • 奥田好秀委員
  • 鈴木順三委員
  • 伊藤徳宇委員
  • 茂松茂人委員
  • 江澤和彦委員
  • 黒瀬巌委員
  • 池端幸彦委員
  • 太田圭洋委員
  • 大杉和司委員
  • 森昌平委員
  • 木澤晃代専門委員
  • 上田克彦専門委員
  • 小松和子専門委員
事務局
  • 間保険局長
  • 林医療課長
  • 梅木医療技術評価推進室長
  • 吉田保険医療企画調査室長
  • 和田歯科医療管理官
  • 清原薬剤管理官 他

議題

  • 入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について
  • 在宅について(その2)

議事

○小塩会長
おはようございます。
ただいまより、第618回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、佐保委員、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、最初に「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、当分科会の尾形分科会長にお越しいただいております。尾形分科会長より御報告をお願いいたします。
○尾形分科会長
おはようございます。尾形でございます。
本日は、中医協総-1、それから、総-1の参考1から7までの資料を用いまして、入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について、御説明をさせていただきます。
まず、総-1の参考資料1を御覧ください。
令和7年度入院・外来医療等における実態調査についてでございます。
令和7年度の実態調査につきましては、令和7年4月23日に開催されました中医協総会で御了承いただいた調査項目、調査方法等に基づき、調査票の配付、集計を行いました。
この資料の8ページ目をお開きください。
令和7年度調査の回収状況でございますが、入院用の調査票の回収率は58.8%、外来用の調査票の回収率は43.9%となっており、いずれも2年前の前回改定時の際の調査よりも回収率が向上しております。
それから、9ページ目以降に調査結果の概要がございますが、この調査結果を活用して、分科会としての取りまとめを行っておりますので、調査結果の御説明は取りまとめに関する御説明をもって代えさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして、総-1に基づきまして「入院・外来医療等の調査・評価分科会における検討結果(とりまとめ)」につきまして御説明いたします。
まず、1ページ目をお開きください。
「Ⅰ.概要」についてです。
診療報酬調査専門組織の1つであります、入院・外来医療等の調査・評価分科会は、令和6年度診療報酬改定に係る答申附帯意見等に関する事項等について、技術的な課題に関する専門的な調査及び検討を行うこととされております。
分科会では、こうした事項等について、次期診療報酬改定の検討に資するよう、令和6年度及び7年度に実態調査を実施するとともに、これらの調査結果等も踏まえ、入院・外来医療等に関する技術的な課題について、様々な分析評価を行い、取りまとめを行ったところでございます。
本日は、分科会としての分析評価の結果につきまして、御報告をさせていただきます。
まず、1ページ目の目次にございますとおり、分科会の検討結果は18項目にわたって整理をしておりますが、大部となっておりますので、それぞれの項目につきまして、簡潔に御説明をいたします。
なお、本年8月6日の中医協総会で、中間取りまとめを御報告させていただきましたので、中間取りまとめ以降に追加的な検討を行った内容を中心に御説明をさせていただきます。
また、各項目の見出し部分に関連する参考資料のページ番号が示されておりますので、併せて御参照いただければと思います。
それでは、2ページ目をお開きください。
「1.急性期入院医療について」であります。
急性期入院医療につきましては、令和6年度改定による急性期一般入院料、急性期充実体制加算等の算定状況の変化、また、新たな地域医療構想において創設される医療機関機能報告の考え方等を踏まえつつ議論を行いました。
2ページ目の「1-1.一般的な急性期機能について」でございます。
急性期入院機能を適切に評価する指標について、緊急搬送、全身麻酔手術、総合性に着目し、急性期一般入院料1算定病院における救急搬送受入件数と、医業収益、医業費用の関係性、また、救急搬送受入件数と、1日当たり包括範囲出来高点数の関係性等のデータを基に、追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、急性期一般入院料1でも、救急搬送受入れが1,000件未満の病院が相当数あり、医療資源投入量にも差があったことを踏まえれば、医療機関の機能の観点から、急性期一般入院料1を算定する病院を、今までどおり1つのグループとして扱うべきではない。あるいは、救急搬送件数が増加するほど、医業利益や経常利益が悪化するため、こうした施設を維持するための評価が必要である等の意見がございました。
続きまして、4ページ目「1-2.拠点的な急性期機能について」でございます。
拠点的な急性機能を適切に評価する指標について、救急搬送、全身麻酔手術、総合性に着目し、急性期充実体制加算、総合入院体制加算の算定病院における心臓血管外科手術の実施状況、へき地医療拠点病院の主要3事業の実施状況、精神病床届出施設数の経年推移等のデータを基に追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、これらの加算の実績要件を満たす項目が多いほど、病床数、常勤医師数、救急搬送、全身麻酔手術が多く、より拠点的な急性期の病院という見方ができるのではないか。あるいは、これらの加算の経緯は異なるが、地域医療における役割を分かりやすく示すためにも、精神医療等の必要な要件を組み入れつつ、各評価の趣旨を生かして、統合して見直すことも考えられるのではないか。
さらには、人口20万人の医療圏でも1病院は算定し、地域医療を支えることができるように、例えばシェアを踏まえた評価や、人口の少ない地域用の評価体系等について、整理してはどうか等の意見がございました。
5ページ目「1-3.その他」につきましては、説明を省略させていただきます。
続きまして、6ページ目をお開きください。「2.高度急性期入院医療について」であります。
6ページ目の「2-1.特定集中治療室等を有する病院について」でございます。
特定集中治療室やハイケアユニット等の高度急性期入院医療を適切に評価する指標について、これらの入院料を算定する医療機関の救急搬送件数や、全身麻酔手術件数と、1日当たり医療資源投入量の関係性のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、救急搬送件数が多い病院では、これらの病床の医療資源投入量が多くなる傾向がある。あるいは特定集中治療室、ハイケアユニットを有する病院の在り方については、年間救急搬送件数、年間全身麻酔実施件数の実績を指標として整理できるのではないか等の意見がございました。
続きまして、7ページ目でございます。「2-2.特定集中治療室管理料の医師配置要件」についてです。
令和7年度調査結果において示されました、特定集中治療室管理料の区分別に、特定集中治療室に配置された医師の専門性や、当該治療室の患者受入方針等のデータを基に、追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、医師の働き方改革の趣旨を踏まえると、宿日直ではない体制の維持は必要である一方、医師の確保が困難である状況なども踏まえた上で、集中治療室のあるべき姿について検討する必要がある。あるいは特定集中治療室管理料5、6と、それ以外の区分で処置・モニタリングに関連する項目や、患者状態に関する項目に関する患者受入方針に大きな差を認めなかったことを踏まえると、特定集中治療室の区分によって、機能的な点では大きな差異はないのではないか等の意見がございました。
続きまして、9ページ目でございます。「2-3.特定集中治療室遠隔支援加算について」及び「2-4.重症患者対応体制強化加算について」でございますが、この点については説明を省略させていただきます。
続きまして、10ページ目をお開きください。「3.DPC/PDPSについて」でございます。
10ページ目の「3-1.機能評価係数Ⅱについて」複雑性係数について及び11ページ目「3-2.再入院・再転棟ルールについて」につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
続きまして、11ページ目「3-3.持参薬ルールについて」でございます。
DPC制度において、入院中の患者に対して使用する薬剤は、入院する病院において、入院中に処方することが原則とされておりますが、この持参薬ルールの現状や課題等について、医療機関ごとの全症例数に占める持参薬を使用した症例数の割合の分布や、自院の外来で処方した医薬品を入院の契機となった傷病に対して使用した割合等のデータを基に議論を行いました。
DPC/PDPS等作業グループにおきましては「入院の契機となる傷病」に対する持参薬の使用に係る現行のルールのさらなる周知徹底を図るべきではないか。あるいは「入院の契機となった傷病」以外の傷病に対する持参薬の使用の可否については、引き続き議論する必要があるものの、検討に当たっては、まずは持参薬を使用する理由や、使用される頻度が高い持参薬及び診断群分類等について調査を行う必要があるのではないか等の意見がございました。
続きまして、12ページ目「3-4.点数設定方式について」でございます。
DPC/PDPS等作業グループにおける追加の意見として、1日当たり入院数の最大値に対する日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関が一定数存在していることを踏まえ、病床稼働率を過度に重視した病院経営を行うと、病床の活用が硬直的になり、柔軟な対応ができなくなることから、必ずしも高い病床稼働率を維持しなくてもよい設計とすべきではないか。
あるいは、点数設定方式における入院期間Ⅱについては、在院日数の標準化が進んでいる診断群分類を中心として、原則として平均在院日数から、在院日数の中央値に移行すべきではないか等の意見がございました。
続きまして、13ページ目「3-5.特別調査の結果」につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
続きまして、13ページ目の「4.包括的な機能を担う入院医療」についてでございます。
包括的な機能を担う入院医療については、令和6年度改定により新設された地域包括医療病棟の算定状況、新たな地域医療構想の取りまとめにおける医療機関機能報告の考え方、さらには、介護保険制度において、高齢者施設等で協力医療機関を定めることとされたこと等も踏まえつつ議論を行いました。
14ページ「4-1.地域包括医療病棟入院料について」、それから、18ページ目の「4-2.地域包括ケア病棟入院料について」につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
続きまして、19ページ目「4-3.包括的な入院医療を担う医療機関の機能について」でございます。
包括期の医療機関機能に関する適切な指標として救急搬送受入れ、下り搬送等受入れ、当該病棟への緊急入院、自宅等からの入院件数、協力対象施設となる介護施設への往診等を念頭に、包括期機能の病棟を有する医療機関の現状のデータを基に議論を行いました。
分科会におきましては、緊急入院等を多く受け入れている地域包括ケア病棟は、一定の評価を検討すべきではないか。あるいは介護施設からの入院を多く受け入れている地域包括医療病棟があり、その役割に照らせば、加算等の評価対象として検討してもよいのではないか。
さらに、後方支援機能は、地域の拠点を担う上で重要と考えるが、指標として検討された加算の現行の施設基準では、200床や400床といった病床規模の制限が設けられている。地域の医療資源を有効に活用できるよう、柔軟に見直しを検討してもよいのではないか等の意見がございました。
続きまして、21ページ「4-4.包括算定病棟における高額薬剤の使用について」でございます。
薬剤料が包括評価となる地域包括ケア病棟等において、入院受入れが困難となる理由として、高額薬剤を使用していることの影響がどの程度あるのか、また、具体的にどのような薬剤がその理由となっているのか等について、令和7年度調査において得られたデータを基に議論を行いました。
分科会におきましては、高額薬剤を使用しているために、包括期の病棟の適用があるにもかかわらず、受入れ困難となる事例は実際にあり、薬価と入院料の関係等の視点を踏まえ、使用や受入れの状況について検討を深めてはどうか等の意見がございました。
続きまして、21ページの「5.回復期リハビリテーション病棟入院料について」でございます。
まず、22ページ目でございますが「5-1.実績指数について」でございます。
回復期リハビリテーション病棟のアウトカム指標であります実績指数について、実績指数の計算から除外可能な患者の割合に関する現状のデータや、FIM下位項目であるトイレ動作と、自宅退院割合等の関係性のデータ等を基に追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、80歳以上や認知機能が低い患者と、患者全体とでFIM利得に大きな差はなく、実績指数の計算対象から除外する必要性は乏しいのではないか。あるいは自宅復帰を目指す上で、FIM下位項目の得点が2点から3点に上がるのと、5点から6点に上がるのでは意味が異なる可能性があり、FIM利得には現れない効果を見落とさないよう、評価を検討すべき等の意見がございました。
続きまして、23ページの「5-2.重症患者割合について」及び「5-3.廃用症候群リハビリテーションについて」、それから、24ページ目の「5-4.質の高いリハビリテーション医療の推進」については、説明を省略させていただきます。
続きまして、25ページ目をお開きください。「6.療養病棟入院基本料等について」でございます。
まず「6-1.医療区分や疾患・状態処置等の該当状況」につきましては、令和6年度改定の検証として、医療区分2・3の疾患、状態、処置等の各項目に該当する患者の割合の改定の前後での変化の状況や、挿入デバイス、認知症の有無と身体的拘束の実施の関係性等について、最新の入院料の算定状況のデータを基に議論を行いました。
分科会におきましては、療養病棟は看護職員20対1配置であり、医療区分2・3の患者に多数対応することは難しいため、医療区分の高い患者を受け入れられるような医療の体制について検討が必要である。
あるいは入院料2の場合でも、医療区分2・3の患者が6割を超える施設がほとんどであることを踏まえ、基準を検討する余地があるのではないか。
さらには、身体的拘束については、デバイスや認知症以外の要素で患者像に違いがあるのか、病棟そのものの手厚い見守り等の取組が異なるのか、夜間を含めた人員配置等まで踏まえて現状を評価し、検討を進めるべき等の意見がございました。
続きまして、26ページの「6-2.経腸栄養管理加算・摂食嚥下機能回復について」、それから、28ページ目の「6-3.在宅復帰に向けた取組について」及び「6-4.障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料について」は、最新の算定状況のデータを基に、追加的な議論あるいは新たに議論を行ったところでございます。詳細な説明は省略させていただきます。
続きまして、29ページ目をお開きください。「7.重症度、医療・看護必要度について」でございます。
まず「7-1.特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度について」は、最新の算定状況のデータを基に、追加的な議論を行いました。詳細の説明は省略させていただきます。
続きまして、30ページ目「7-2.一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について」でございます。
B項目について、入院から退院までの日ごとの値の変化や、A項目、C項目との関係性に関するデータ等を基に、追加的な議論を行いました。
また、内科系症例の適切な評価について、救急搬送に着目した評価方法に関するデータ等を基に、追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、B項目の測定が病院にとってある程度負担になっている。あるいは令和2年度診療報酬改定におけるB項目の記録簡素化について、再度周知すべき。
B項目に変わる指標がないのであれば、引き続きB項目の測定が必要である。
さらには、内科系症例の診療を評価する方法として、緊急入院等を評価することは効果があると考えられるものの、指標が煩雑になり過ぎないよう、病院の負担や予見可能性の観点を踏まえ、技術的な課題について詳細に検討すべき等の意見がございました。
続きまして、33ページでございます。「8.緊急医療について」でございますが、この項目につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
続きまして、35ページ目をお開きください。「9.入退院支援について」でございます。
入退院支援につきましては、令和7年度調査における退院困難な患者のうち、退院調整完了までに時間や人手を要する患者像や、地域医療情報連携ネットワーク等のICTの活用状況、精神科入退院支援加算の算定状況、面会制限の状況等のデータを基に追加的な議論を行いました。
分科会では、医療機関の中では、実際身寄りがない、あるいは同居者が不明というところで非常に苦労が多い。日本の世帯数の将来推計においても、独居の高齢者が増えており、現場で手間や時間がかかっていることを踏まえて検討してはどうか。
あるいは、面会ルールについては、新型コロナウイルス感染症後、各医療機関でまだ対応にばらつきがあるのではないか、何らかの方針を示していくことが必要ではないか。
また、平時からの連携として、現状は月に一度協力医療機関と介護施設とでカンファレンス等によって、入所者の情報を共有することが定められているが、これだけでは介護施設の機能強化にまでつながるような連携はなかなか難しい。協力医療機関の専門性の高い人材が介護施設を訪問して、支援する等の取組が実際に行われていることから、より一層介護施設と医療機関との連携体制を強化する上で、実効的な連携が進むように検討していくべき等の意見がございました。
38ページ目でございます。「10.働き方・タスクシフト/シェアについて」でございます。
まず「10-1.医師について」でございますが、令和7年度調査結果を基に、ICTを活用した医師事務業務の省力化の取組等について、追加的な議論を行いました。
続きまして、39ページ目「10-2.看護職員について」でございます。
この項目につきましては、令和7年度調査結果を基に、夜勤手当、看護職員夜間配置加算、ICTの活用状況、特定行為研修の実施状況等について、追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、子育てや介護を担う職員への配慮が進んでいる一方で、夜勤が可能な職員の確保や負担軽減が課題となっており、夜勤者の確保に向け、夜勤手当の引き上げが必要ではないか。
あるいは、ICT、AI、IoTを導入して取り組みたい一方、機器活用には初期の導入費用、維持・メンテナンス費用投資額も必要となる。
さらに、ICT、AI、IoT等の活用については、病院の看護の状況をよく分かっている看護管理者がキーパーソンとなり、このような取組について、各医療機関で進めていくとよいのではないか等の意見がございました。
続きまして、43ページをお開きください。「11.病棟における多職種でのケアについて」でございます。
43ページ「11-1.リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等について」、それから、44ページの「11-2.病棟におけるリハビリテーションについて」、45ページ「11-3.病棟における栄養管理について」及び「11-4.病棟における薬剤管理について」につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明を省略させていただきます。
続きまして、46ページ「11-5.病棟における看護業務とタスクシェア」につきましては、令和7年度調査結果から得られた病棟の看護業務の多職種へのタスクシフト/シェアの現況及び令和6年度厚生労働科学研究で実施された病棟の看護業務、タイムスタディ調査の結果を基に議論を行いました。
分科会におきましては、今後、病棟では多様な職種の関わりが増えてくることで、各専門職種がそれぞれの視点を生かした支援業務を行っていくことが必要となる。あるいは、特に療法士が病棟で担う役割には期待しており、どのような業務ケアを担当し得るか、詳細に検討してはどうか。
さらには、多職種連携が加算等で評価されることとなると、大病院に雇用が集中し、需給バランスが崩れる懸念があるため、医療機関ごとの需要に応じた柔軟な体制を取れるよう、技術的に検討すべき等の意見がございました。
続きまして、47ページをお開きください。「12.外来医療について」でございます。
47ページ「12-1.地域包括診療料・生活習慣病管理料について」は、令和7年度調査における生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定状況と、その理由や、NDBデータにおける生活習慣病に関連する検査の実施頻度、受診継続率等の現状のデータを基に、追加的な議論を行いました。
分科会では、生活習慣病患者について、6か月間検査が実施されていない患者が一定数おり、適切な医学管理が行われているか疑問がある。あるいは生活習慣病管理料について、病状や生活習慣等に関する総合的な治療管理が療養計画書に基づき行われていることや、健康診断や人間ドックの検査結果を患者が持参するケースもあることから、6か月間の検査実施状況のデータのみをもって、医学管理の妥当性を判断することはできない。
さらに、生活習慣病管理料に関する調査結果からは、検査料等が包括される生活習慣病管理料(Ⅰ)について、生活習慣病の疾患コントロールが良好で、合併症等も認められず、検査頻度が低下した状況において算定していると解釈できるため、実態を分析した上で、医療資源投入量に応じた評価となるように検討する必要がある等の意見がございました。
50ページ目「12-2.かかりつけ医機能について」は、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
51ページ目「12-3.外来機能分化について」につきましては、令和7年度調査における逆紹介を推進するための患者への周知や、地域のかかりつけ医との連携等の取組状況に関するデータや、NDBデータによる外来診療料の注2・3減算を算定状況、大病院の外来患者の傷病名の状況のデータ等を基に追加的な議論を行いました。
分科会におきましては、特定機能病院等の再診患者について、悪性腫瘍、指定難病、小児慢性特定疾病の患者が一定数存在する。これらの患者は逆紹介が困難な傾向にあるが、傷病名のみで継続的な外来診療の妥当性を判断することは困難であり、例えば、化学療法の実施状況や薬剤使用等の具体的な診療行為について考慮する必要があるのではないか。
また、逆紹介の可能な場合には、積極的に逆紹介を行うことが望ましく、特定機能病院等と地域の診療所等との連携の取組を進めるとともに、いわゆる2人主治医制などの導入も含め、継続的な医学管理の在り方について検討することが重要である等の意見がございました。
続きまして、53ページ目「13.情報通信機器を用いた診療について」及び54ページ目「14.入院から外来への移行について」につきましては、中間取りまとめから大きな変更はございませんので、説明は省略させていただきます。
続きまして、56ページ目をお開きください。「15.賃上げ・処遇改善について」でございます。
看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料の届出状況や、ベースアップ評価料の賃金改善計画書に基づく賃上げ計画の状況等のデータを基に議論を行いました。
分科会におきましては、職責に見合った賃上げが必須であるが、他産業に比べて賃上げ率が少ないため、医療人材確保につながる賃上げが可能な報酬制度とすべき。
看護職員処遇改善評価料、ベースアップ評価料の双方について、様々な影響を勘案して慎重に対応していくことが重要である一方、書類の作成が非常に煩雑であり、両者を統合することについては検討の余地がある。
賃上げの原資は、入院基本料等の増分から賄われるべきであり、ベースアップ評価料や入院基本料等に統合すべきであるが、難しければ、届出書類の簡素化や対象職種の見直し等を講じるべき。
賃金増率について、政府目標の4.5%に届いていないが、他方で、これは賃上げ促進税制も含めた目標であるため、税制の活用状況も含めて分析する必要がある。
入院ベースアップ評価料のみならず、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)についても簡素化を図るべき等の意見がございました。
続きまして、57ページ目をお開きください。「16.人口・医療資源の少ない地域における対応」についてでございます。
医療資源の少ない地域に関するヒアリング調査の結果や、僻地医療拠点病院における主要3事業の実施状況、情報通信機器を用いた診療状況等に関するデータを基に、人口・医療資源の少ない地域における対応について議論を行いました。
分科会におきましては、巡回診療、医師派遣、代診医派遣は、僻地医療拠点病院や僻地医療拠点病院以外の医療機関においても実施されているとのヒアリング調査を踏まえ、このような派遣元の医療機関が果たしている機能に着目した評価の在り方について検討することは、地域医療の継続的な確保に資するではないか。
人口の少ない二次医療圏では、総合入院体制加算や急性期充実体制加算の件数要件の達成が困難な場合があるため、地域の実情を踏まえた基準緩和や代替的な評価の検討が必要ではないか。
人口・医療資源の少ない地域におけるオンライン診療は、外来医療について代替手段が乏しく、医療アクセスが困難である地域への補完という特性を有しており、都市部における利便性向上を目的としたオンライン診療とは性質が異なる。
D to P with Nは、看護師の同席により、オンライン診療では対応困難な検査・処置の実施や、患者の状況把握、生活に即した療養支援が可能となるなどの利点があり、これらの実態を踏まえて今後の評価の在り方を議論すべき等の意見がございました。
58ページ目をお開きください。「17.個別的事項」についてでございます。
17-1から17-10までの10のテーマにつきましては、中間取りまとめで御報告をいたしましたが、令和7年度調査結果等を踏まえ、一部追加的な議論を行いました。詳細な説明は省略させていただきます。
また、70ページ目からの「17-11.透析医療について」、それから、71ページ目「17-12.災害医療について」、72ページ目「17-13.小児・周産期医療について」、73ページ目「17-14.業務の簡素化について」の4テーマにつきましては、令和7年度調査結果等を踏まえ、新たに議論を行いました。こちらも詳細の説明は省略をさせていただきます。
最後に74ページ目をお開きください。「18.中長期的に検討すべき課題について」でございます。
分科会におきまして評価分析を行った課題の中には、データの解析において技術的な限界がある等、中長期的に検討を要する課題があり、こうした課題については、来年度以降に実施される入院・外来医療等における実態調査や、厚生労働科学研究等により、さらに検討が進められることが望ましいと考えられるところでございます。
具体的には、74ページ目にあります「(1)持参薬ルールについて」、75ページ目の「(2)重症度、医療・看護必要度について」、76ページ目の「(3)包括期入院医療における患者別の評価について」の3つの課題が挙げられたところでございます。
それぞれの課題につきまして、分科会としての意見を取りまとめておりますので、御参照いただければと思います。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
詳細な御報告をどうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御報告について御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
取りまとめの詳細な御報告、誠にありがとうございます。
尾形分科会長のもと、今回も取りまとめに向けて、熱心に御議論いただいたことに敬意を表しております。
今回は報告事項ということですので、中身について議論することは控えさせていただきますが、総-1の1ページに記載されておりますとおり、この分科会のミッションは、令和6年度診療報酬改定に関わる答申書附帯意見等に関する事項等について、技術的な課題に関して専門的な調査及び検討を行うことであります。
したがいまして、前回の中間取りまとめでもコメントいたしましたが、今回の取りまとめで示された御意見については、あくまでも前回改定に対する調査分析であって、次回改定に向けた方向性については、今回の取りまとめに示された御意見に拘束されることなく、今後、この総会の場で議論されるものと受け止めております。そのような理解でよろしいか、事務局に伺わせていただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ただいま、江澤委員から御質問がございましたが、事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長です。
結論から申し上げると、そのとおりだと思います。入院・外来医療等の調査・評価分科会におきましては、答申書の附帯意見に沿った調査の実施、分析、また現状の評価、あとは分科会のミッションとしてはDPCの係数など、様々な指標に関する研究などを行っていただいているわけでございまして、こうした取りまとめを今日御報告いただきました。
次回以降、この入院・外来につきましては、こうした取りまとめや調査結果も参考にしながら、事務局として資料を提示させていただいて、まさにこの中医協総会の場で御議論をいただきたいと考えております。
○江澤委員
ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
まず、取りまとめいただいた分科会長に敬意を表したいと思います。
1点だけ質問をさせていただきます。「18.中長期的に検討すべき課題について」ということで、あえて今回3点挙げられました。
74ページの○の3つ目のところにありますように「こうした検討を進めるに当たっては、医療と介護の双方の視点を踏まえた検討をすべきとの意見や、いずれも大変重要な課題であるため、速やかに検討を進めるべきとの意見があった」ということがありますが、確かに、これは中長期的にしっかり議論しなくてはいけない3点ではあるかと思いますけれども、特に(2)の重症度、医療・看護必要度、そして(3)包括期入院医療等々に関しては、これは非常に重要で、なおかつ喫緊の課題でもあり、次の改定に向けてしっかり議論し、結論を出すべきものは出さなくてはいけない、そういった内容でもあるかと思いますけれども、そういうことで、この総会でも進めていくということを前提の上で、残されたものについては、中長期的に考えましょうという考え方でいいのかどうか、事務局のお考えを質問させていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長でございます。
今回の取りまとめの中では、例えば、29ページの7のところに「重症度、医療・看護必要度について」という部分がございまして、調査の結果、現状の評価等については、一旦ここにまとめていただいていると思っております。
分科会のミッションは、先ほど申し上げましたように、様々な指標に関する研究などもミッションとしてございますので、そうした点において、分科会として、さらに研究が必要であるというお考えとして残された部分が、18のところに書かれていると、私どもは受け止めております。
ですので、重症度、医療・看護必要度について、18だけに書いてあるということではなくて、7と18に分かれて書かれているということでございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
本格的な議論は次回からになると思いますけれども、歯科のところで少し要望だけ言わせていただければと思います。
まず、43ページのリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等の部分ですけれども、これまでも何度も発言させていただいておりますけれども、歯科との連携に関する効果についての把握がなかなか難しいと感じております。
本日資料の総-1の43ページと、本参考資料3の216ページに、特別集計データを示していただいておりますけれども、入院中に問題があっても、様々な理由で歯科受診に結びつくケースは少ないという結果が示されておりますが、より歯科診療につながるような対応をお願いしたいと思います。
また、48ページの1つ目の○には、糖尿病患者に対する歯科受診の状況が示されておりますけれども、実際に歯科受診を促した患者さんは、平均で14.1人、中央値はゼロ人と、ほぼない状況が示されております。
また、49ページには、分科会意見のもとから、3つ目の○には、糖尿患者に対しては、オーラルフレイルの予防や口腔機能の低下への早期対応の観点から、歯科診療所への定期受診を促す体制がさらに必要ではないかという意見もいただいておりますので、この部分は、次期改定において実効性のある対応の御検討をお願いしたいと思います。
続いて、56ページからの「15.賃上げ・処遇改善について」です。
2つ目の○にありますように、診療所の届出は約4割にとどまっております。
また、5つ目の○に届出をしていない病院の理由として、届出内容が煩雑なためという理由が記載されております。
歯科診療所においては、事務職員がほとんどおらず、歯科医師が自ら記載することが多く、届出内容が煩雑であり、なかなか取り組めないという意見も聞いております。これまでも数回にわたり、様式の簡素化などを行っていただき改善していただきましたけれども、届出が増えるよう引き続き簡素化を行っていただくとともに、次期改定に向けて分かりやすい評価体系への見直しを含めた検討もよろしくお願いいたします。
また、歯科技工所における状況もお示しいただいておりますけれども、本参考資料5の157のデータに示されていますように、規模の小さな歯科技工所は厳しい経営状態にあることに留意が必要であり、また、そもそも歯科技工士の方の基本給は、ほかの医療職と比較して低いことが大きな課題と考えています。歯科技工所に勤務する方の賃上げはベースアップ評価料の対象ではないため、令和6年度改定と同様、歯冠修復や欠損補綴の評価の引上げによる対応が必要と考えますので、御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上になります。
○小塩会長
御要望をいただきました。ありがとうございます。
ほかは、いかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
尾形分科会長をはじめ、分科会の皆様には、技術的な課題につきまして、丁寧に議論を重ねていただきまして、ありがとうございました。
今後、中医協において、それぞれのテーマごとに議論を進めていく中では、取りまとめをいただきました専門的な調査、検討の結果については、最大限尊重させていただきたいと考えております。事務局には、より詳細なデータの分析など、議論の準備をお願いいたします。
その上で1点だけ、先ほど池端委員からもございましたけれども、74ページ以降に示されています、中長期的に検討すべき課題のうち、2つ目の重症度、医療・看護必要度についてコメントをさせていただきます。
資料の75、76ページに整理されているとおり、特にB項目の取扱いについて、分科会では委員の見解に相違があり、今回は結論に至らなかったものと受け止めております。
ただ、この指標を活用する目的、評価項目、データソースが変化する中で健保連といたしましては、急性期の入院料を判断する指標としてB項目はなじまなくなってきたかなと感じております。
参考1の86ページを見てみますと、簡素化を求める業務の3番目に、重症度、医療・看護必要度の評価・記録が挙げられておりますので、来年度以降の令和10年度改定に向けた議論では、結論を得るべきだと考えます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
大部にわたりまして取りまとめいただきまして、どうもありがとうございました。
2点伺いたいのですけれども、まず、前回の改定において、急性期の一般入院料1の平均在院日数の基準が短縮されて、その影響は、病院がどのような対応をしたのかというのが非常に気になっているのですが、その点に関しては、どのような分析等がございますでしょうか。
○小塩会長
飯塚委員、もう一つ、質問を併せてお願いします。
○飯塚委員
ありがとうございます。
では、すみません。まず、平均在院日数の短縮の話が1つ、もう一点ですけれども、急性期の入院医療等に関して、入院機能や加算点数方式に関していろいろ議論を御紹介いただいたのですが、肝心の医療の質やアウトカムに関しては、御報告がなかったように思いました。
様々な施策が、どのように医療の質やアウトカムに影響したかを、まず、しっかり把握して改善していくことが重要ですけれども、分科会では、こういった点に関して、どのような議論があったのか、なかったのかを御紹介いただければと思いました。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
2点、御質問をいただきました。在院日数につきまして、それから、医療の質、アウトカムについてということですが、事務局、いかがでしょうか。
○林医療課長
医療課長でございます。
まず、1点目の急性期一般入院料の平均在院日数の要件など、様々な要件が変更されたことに伴う、その後の推移ということでございますが、本日、総-1参考の2としてお示ししています資料編①の中で、例えば、16ページ、17ページ辺りでございますけれども、急性期一般入院料の病床単位での、その後の数の変化でありますとか、17ページ、病院数単位での数の変化をお示しさせていただいております。
17ページを御覧いただきますと、急性期一般入院料の1に関しては、改定前の1,478病院から1,223病院に減少し、2のほうが175から351に増えるといった変化があったということでございます。
こうした変化は、ほかにも、例えば地域包括医療病棟の創設など、様々な施策と相まって起きているものでございますけれども、まず、御質問の点につきましては、このように分析をされているということをお答えさせていただきます。
2つ目に御質問いただきましたアウトカムに関する調査分析、どういったところが行われているのかということでございますけれども、様々なところに散りばめられております。例えば、5の回復期リハビリテーション病棟のところにつきましては、実績指数がどういった病院があるとか、どういった患者さんがあるということを詳細に分析をいただいておりますし、そのほか、地域包括医療病棟であったりとか、リハビリテーション、様々なADLの変化などについても分析をいただいたところでございます。
また「17-10.データ提出加算・退院患者調査について」という中におきましては、そうしたアウトカムなどを、これから、さらに的確に把握するための方法などについても、御議論をいただいたということでございます。
あちこちに散りばめられておりまして、今日の分科会長からの御説明の中では割愛させていただいた部分もございますけれども、報告書の中にはいろいろございますということを御報告させていただきます。
○小塩会長
ありがとうございます。
飯塚委員、よろしいでしょうか。
○飯塚委員
ありがとうございました。
急性期の医療についても、当然、医療の質やアウトカムが非常に重要なので、そういったものがしっかり改善しているのかというのを把握して、それらの向上に向けた施策を打っていただけるように、事務局には検討をお願いしたいと思います。ありがとうございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬瀬委員
御報告ありがとうございました。
私、前回の8月の中間報告ときにも少し気になったのですけれども、人生の最終段階の意思決定支援についての調査結果について、質問をさせていただきたいと思います。
資料編⑤の6ページは、患者側の調査ですが、病院に入院した時に、人生最終段階の意思決定を、多分かかりつけ医などとの相談を含めて、何らか意思決定していたかどうかがわかります。急性期一般入院料1をとる病院に入院する患者の回答数は1万5000人と、病院への入院患者の中で一番人数が多いのですけれども、大体2割に満たないぐらいの方が、入院時に何らかの意思表示をしていたと回答されています。入院後に、何らかの意思決定をしたかを見ると、回答数が多い急性期一般入院料1をとる病院で見ますと、4割ぐらいがしたと言って、残りはしていないと。
それで、いただいた資料編②の18ページを見ますと、入院している患者の年齢分布が分かるわけですけれども、急性期入院一般料1の病院でも、大体4割が80代、90代です。同じ頁に図示されている地域包括医療系の入院患者の年齢を見ますと、90代の方が3割近くを占めている。それで、地域包括入院料系の病院のように高齢者が多いところでも、入院前に何らかの意思決定があったかどうかというのを見ると、先ほどの6ページに戻りますけれども、3割ぐらいしかないということが分かります。
私のような年齢になると、親が亡くなるという場面に出会うことも、自分も友人も多くなるわけなのですけれども、そうすると、もう亡くなると分かっていても、例えば1か月、2か月、3か月という感じで辛い様子で病院で何も言わずに寝ている場面に出会う。本人は一体どうなのかなというのを多くの子世代はいろいろと考えると思うのです。それは、できることなら、例えば60代、70代ぐらいのうちに、どのように自分は思っているのかというのを、本人が考えて言っておいてくれれば、それはいつでも変えられるものであっていいのですけれども、急に入院した90代の親について、そのときに、どうするのだと子世代が医療機関で問われて、子供たちが兄弟同士で悩むということがより少なくなると思うのです。
それが、この調査結果を見ると、これほどに親が何も意思表明をしていないということが大変よく分かります。つまり入院時に決定するのでは遅いのではないかなと思います。もう少し早い時期に、例えば、60代とか70代とかしっかりしているうちに、毎年でも、あるいは自分の思うときに変えていいものとして、そういう決定をする機会があるのかどうか。普通の方が超高齢になってから、何かあって搬送されるというときの前の段階として、そうした意思決定をする仕組みが医療にあるのか、そのことについて少し質問をさせていただきたい。現在の入院時の状況と、それから、これほど低い理由について教えていただきたいと思います。
尾形分科会長でも、厚生労働省の方でも、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
事務局から御回答をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長でございます。
まず、事務局からお答えできるのは、診療報酬の仕組み上、どのようになっているかというところでありますので、そこについて説明させていきます。
資料編の⑤の3ページ、4ページ辺りになりますけれども、人生の最終段階における適切な意思決定の推進につきましては、令和6年度診療報酬改定でも、より多くの入院料であるとか、あるいは外来も含めてやっていただけるところを増やしていくという取組をしているところでございます。
入院料に関しましては、それまでは限られた入院料であったものを、原則として全ての入院料に拡大いたしましたし、そして、外来につきましても4ページを見ていただくと分かりやすいかも分かりませんけれども、地域包括診療料・加算、認知症地域包括診療料・加算、そうしたものの届出をされているような医療機関において、この医療機関で適切な意思決定支援に関する指針を定めていることを要件としたということでございます。
今、御指摘の点につきましては、そうしたことを踏まえた上で、さらに、今後についての御示唆も含まれていたと思いますので、そういった部分については、また、必要に応じて総会で御議論いただければと思っております。
○小塩会長
永瀬委員、よろしいですか。
○永瀬委員
これは、もしかしたら入院の前段階、かかりつけ医機能のあるところで行うべきことかもしれません。私、若い頃、2013、2014年頃に、ハーバード大学に滞在していたときに、日本から留学している人たちで、この問題を話し合ったことがあります。当時、エズラ・ヴォーゲル教授のご自宅で行われる日本からの留学生による研究会があったのですね。
そのとき、いろいろな意見が出たときに、エズラ・ヴォーゲル教授が、それは子供に決定をさせるのはかわいそうだと、自分で決定すると、僕はもうとっくに決定しているよと言われたので、どうやってですかと聞いたら、ある特定の年齢になると、かかりつけ医から、そういうことを聞かれて、自分で回答するんだ、とおっしゃったのです。
私は、子供が決めるというのは、酷だとおっしゃるのは、確かにそうなのだろうなと思います。これほど90代、80代の患者が増えている中で、そういうことをもう少し本人が若めの高齢期に自分の考えを示す仕組みを導入できたらいいのではないかなと思っていることを、少しお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございます。非常に重要な問題ですので、また改めて検討させていただきたいと思います。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいですか。
では、ほかに御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
尾形分科会長、どうもありがとうございました。
続きまして「在宅について(その2)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
事務局です。
総-2「在宅(その2)」を基に御説明をさせていただきます。
2ページが、今日の資料の目次となってございまして「1.訪問診療・往診等について」「2.訪問看護について」ということで、それぞれの話題の中から、本日御議論いただきたい部分を抜き出して、この後、御説明をさせていただきます。
まず「1.訪問診療・往診等について」でございます。
3ページ~10ページぐらいまでは、これまで御覧いただいたような資料でございますけれども、1つ、5ページにおいて、第8次医療計画においては、在宅医療において積極的役割を担う医療機関というものが位置づけられてございまして、そういったところについて求められる取組についても、医療計画の中でまとめられているということでございます。
さて、11ページから「在宅医療において積極的役割を担う医療機関への評価について」というパートでございます。
12ページ、介護保険施設、老人ホーム、自宅における死亡者数が、この10年、20年の中で大きく増えているということでございます。
13ページ、機能強化型在支診などにおける緊急往診・看取りの実績についてお示ししておりますが、右側にありますように、この看取りの実績についても、かなり多く取り扱っていただいている医療機関があるということでございます。
14ページは、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算、この機能強化型在支診の中でも、特に看取りの件数が多いところを評価するような加算でございますが、こうした加算を届け出られている医療機関が大きく増えているということでございます。
こうした中で、機能強化型在支診などに求める役割についての様々な側面についての資料が、ここから何枚かございます。
まず、15ページでありますけれども、在宅医療を担当する医師数や、それから1人当たりの訪問診療の患者数の分布についてまとめさせていただいております。
16ページにおいては、医療機関ごとの重症患者の割合について、下の箱で囲んでいるような患者さんの医療機関ごとの割合のばらつきをお示しさせていただいております。
また、17ページでは在宅医療に係る教育体制について、学生実習や臨床研修医、専門研修などの受入れ状況をお示しさせていただいております。
18ページからは、少し話題が変わりますが、在宅療養支援診療所・病院における24時間体制に係る要件をまとめてございまして、機能強化型の中に単独型と連携型というのがございますが、こうしたところにおける連絡体制や往診体制は、複数の医療機関で連携して確保すればよいということになってございます。
19ページが、患者さん等との連絡体制の確保の状況でございますけれども、この連絡体制に関しまして、常時確保されているところと、それから、確保されている時間が短く、ほかの医療機関に基本的に委ねていらっしゃるところに、大きく分かれていることが分かります。
20ページも同様でございます。
また、21ページ、緊急往診や看取りに関しまして、ほかの医療機関の分を代行しているような件数がどれぐらいかということについての分布を、お示しさせていただいているものでございます。
22ページは、また別の話題でございますけれども、令和6年度の診療報酬改定で新設された往診時医療情報連携加算につきまして、その要件と、それから算定医療機関数についてまとめたものでございます。
在支診・在支病以外の他の保険医療機関が訪問診療を行っている患者に対して往診を行った場合の評価でございますけれども、算定回数が非常に小さくなっているということでございます。
23ページは、在支診・在支病になるに当たって満たすことが難しい基準ということで、診療所、病院等にお伺いした内容でございます。
24ページは、BCPの策定状況について、「はい」という診療所、病院が、まだ、あまり多くないという内容でございます。
25ページからは「患者の状態等に応じた適切な診療の評価について」ということでございます。
26ページにおきましては、まず、下のところに包括的支援加算という対象患者さんの定義を並べております。要介護3以上に相当する患者さんであるとか、ここに掲げていらっしゃるような患者さんが対象である場合に、150点の加算があるということでございますけれども、そうした内容を踏まえて、上にあるような評価の体系がございます。
27ページは、以前もお示しをいたしました「月当たりの訪問診療回数とその理由について」ということで「医学的に必要であると判断したため」というもののほかに、有料老人ホームの場合は、特に「施設の職員等が付き添って外来受診をすることが困難であるため」が多いという結果でございました。
28ページは、月2回以上の訪問診療患者に占める包括的支援加算の算定患者の割合の分布を見たものでございます。
医療機関ごとに見ると、6割、7割、8割ぐらいの方が、包括的支援加算を算定している医療機関が多くなってございますけれども、一部その割合がゼロから10%ぐらいに相当するという医療機関がある状況でございます。
29ページ、訪問診療から外来診療に移行した経験のある医療機関の移行した人数の分布をお示ししておりますが、ゼロのところが多くなっておりますけれども、ゼロではないところも18.7%あったということでございます。
続いて、30ページから「へき地における在宅医療について」ということで、31ページ、分科会の調査の中でのヒアリング結果で、在宅医療について、24時間対応がへき地では難しいので、時間外の急変に連携する医療機関から対応しているという回答もございました。
そうした中で、32ページでありますけれども、へき地診療所における在宅時医学総合管理料等の届出が、訪問指導を実施している中でもなされていないという医療機関があるというデータでございます。
33ページからは「訪問栄養食事指導について」でございます。
34ページに、診療報酬上の評価の概要をお示ししております。
なお、下のほうに介護保険における評価を書いておりまして、指導の内容としては非常に類似しているものでございますけれども、対象患者が要介護または要支援認定を受けている場合には、介護保険優先ということで、医療保険の給付ではなく介護保険から行われるということになってございます。
35ページは、それぞれの実施の件数や、その伸びについてお示ししております。
36ページでございますけれども、このような御要望、御提案があったという内容でございまして、介護保険による居宅療養管理指導が可能であることは理解しているが、特に退院直後の介護サービスが利用できるまでの間などに患者さんの対応が遅れるという御意見でございます。
37ページは、訪問栄養食事指導を行う体制の整備状況。
38ページは、病院・診療所で従事する管理栄養士数などをまとめております。
39ページ、退院時支援に関する管理栄養士の業務でございますけれども、退院時において在宅における継続指導であるとか、退院後の生活を見据えた食生活支援などが行われているということでございます。
また、40ページ、在宅療養介護者の食に関する困りごとと、実際の支援の内容をまとめてございます。
さて、退院直後にケアプランができるまでの間、訪問栄養食事指導を受けることが制度上難しいという内容でございますけれども、41ページ、こうした類似の課題について、訪問看護につきましては、従前の診療報酬改定で、退院直後の一定期間に関しては医療保険のほうから、訪問看護ではなくて退院後訪問指導として給付が行われるという仕組みが整備されているということでございます。
44ページに論点をまとめさせていただいております。
まず、在宅療養支援診療所及び病院は、在宅医療において積極的役割を担う医療機関としての役割が期待されるところ、地域の在宅医療提供の中核として、十分な在宅医療を提供する医師を配置しながら、在宅看取り等の十分な実績、地域の重症患者への訪問診療の提供、他の在宅医療機関の支援機能及び医育機能について併せ持つ在宅医療機関を評価することについて、どのように考えるか。併せて、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算をこうした評価に統合することについて、どのように考えるか。
続いて、24時間の在宅医療提供体制を地域で面として確保する観点から、連携型の機能強化型在宅療養支援診療所・病院について、地域の24時間往診体制への貢献の度合いに応じて、よりきめ細かく評価することについてどのように考えるか。併せて、往診時医療情報連携加算について、機能強化型在支診・在支病として連携の評価がなされていない他の在支診・在支病が訪問診療を行っている患者に対して在支診・在支病が緊急時に往診を行った場合についても評価を行うことについて、どのように考えるか。
地域の在宅医療提供体制を災害時にも継続して確保することができるよう、在支診・在支病においてBCPの策定を要件とすることについて、どのように考えるか。
次でございますが、患者の医療・介護の状態を踏まえた適切な訪問診療の提供を推進する観点から、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の評価について、在宅医療を提供している患者のうち、要介護度が低いが在宅医療を継続している患者等の割合等を勘案した評価を行うことについて、どのように考えるか。
在宅医療を担当する医師を医師派遣によって確保しているへき地診療所において、かかりつけの在宅患者の時間外対応体制を、当該医師の派遣元の保険医療機関が担うことで確保している場合においては、当該へき地診療所における在医総管・施設総管の算定を可能とすることについて、どのように考えるか。
入院中に栄養法が大きく変わった患者が安心・安全に在宅療養に移行し、在宅療養を継続できるようにするために、退院直後の一定期間に退院支援や居宅療養管理指導との連携のため入院医療機関から行う訪問栄養食事指導を評価することについて、どのように考えるか。
このように論点をまとめさせてだきました。
続いて、45ページから「2.訪問看護について」でございます。
最初のほうは、以前に御覧いただいた資料でございますけれども、48ページ、医療費、介護給付費の推移で、グラフ上は令和5年度までをまとめてございますが、医療費の動向調査につきましては、令和6年度のデータも既にお示しをさせていただいていまして、青いほうについては、令和6年度が約7200億円であったということを既に御報告をさせていただいたところでございます。
50ページは、医療保険と介護保険の訪問看護の対象者をまとめたものでございまして、訪問看護につきましても、要支援、要介護者に関しては、介護保険優先となっておりますが、ここにある別表第7の患者さんなどにつきましては、医療保険で給付をされ、また、週4日以上の訪問看護が可能という体系になってございます。
続いて、59ページまで飛ばせていただきますけれども、同一建物居住者に対する訪問看護の現在の報酬体系でございまして、同一日に2人ないし3人以上の方を同じ建物のところで訪問されるという場合には、訪問看護基本療養費(Ⅱ)のほうを算定いただくというルールになってございます。
この同一建物のルールというのが、60ページでございますけれども、介護保険と医療保険で、言葉の定義が若干異なってございまして、医療保険につきましては、事業所との隣接といった概念ではなく、同じ建物に住む患者さんに何人訪問したかということを、その定義の内容としております。
61ページ~65ページまでは、様々な点数につきまして、訪問看護基本療養費(Ⅰ)と(Ⅱ)の割合などの分布をお示しさせていただいています。
経年的には、この訪問看護基本療養費(Ⅱ)の算定であるとか、あと、62ページ以降、そういった算定に伴って、複数名訪問看護加算など、様々な加算を算定されている割合が高くなってきているということでございます。
また、62から65ページの右側につきましては、訪問看護管理療養費の種別にお示しをさせていただいております。
この管理療養費の1と2というのは、66ページに定義がございますけれども、訪問看護管理療養費(Ⅱ)というのは、令和6年度診療報酬改定でつくられたものでございまして、同一建物居住者である者が利用者のうち7割以上であることなどを満たすというか、そういった条件に当てはまる場合に、500円低い訪問看護管療養費を算定すると改められたものでございます。
67ページは、同一建物に居住する利用者数の分布でございまして、10人未満の場合から50人以上の場合といったところに、幅広く分布をしているところでございます。
68ページは、同一建物に居住する利用者がいる場合の訪問看護の状況でございます。左上が、基本療養費の(Ⅰ)と(Ⅱ)で分かれておりますけれども、一月当たりの訪問日数をお示ししているものでございまして、赤いほう、基本療養費(Ⅱ)の場合については、26日から30日が多くなっている一方で、青いほう、基本療養費(Ⅱ)以外の場合については5日まで、あるいは6から10日といったところが多くなってございます。
1回当たりの訪問時間を御覧いただきますと、右上でございますが、赤いほう、基本療養費(Ⅱ)のほうですと、20分から30分、30分から45分といったところにピークがあるのに対して、訪問看護基本療養費(Ⅱ)ではない、個々の居宅に訪問される場合には、それより長いところにピークがあるということになります。
69ページ、利用者ごと一月月当たりの平均医療費が高額である訪問看護ステーションの特徴をまとめてございます。
全訪問看護ステーションの平均と、その中で一月当たり平均医療費が上位100のステーション、利用者ごとの1人平均が高いステーションの算定の特徴を抽出したものとなってございます。
一月当たりの医療費、訪問看護ステーションから1人当たりの請求額でいうと、全訪問看護ステーションの平均が11万円余りであるところ、上位100のステーションは62万円余りとなってございまして、1日当たりの医療費が2万2000円、日数が28日、別表第7該当割合が88%などとなってございます。
算定項目としては、基本療養費(Ⅱ)の割合が非常に高くなってございまして、そのほかに難病等複数回訪問加算、複数名訪問看護加算、夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算などの算定割合が非常に高くなっております。
70ページは、その訪問日数別に利用者の病名を見たものでございます。
左側にあるような平均25日以上の訪問をされたようなステーションでは、パーキンソン病などの神経難病、末期がんなど、別表第7に該当するような病名が多くなっているのに対して、全訪問看護ステーションの平均ですと、精神科の病名ですとか、糖尿病といったところが上位に来ております。
71ページは、高齢者住まいに居住する利用者へ短時間頻回に訪問看護を行う場合の例ということで、例をお示しさせていただいております。
対応のスケジュールの例ということで書いてございますが、高齢者住まいに居住する利用者に対しまして、訪問看護ステーションから、ここの黒と赤で書いてある両方の様々な1日にわたるケアをされているような例があると承知しております。
そうした中で、訪問看護の算定というものについては、この1日3回というルールの中で、例えば、この例では、赤い星がついているところの部分について算定をされると。
そういったことを毎日行った場合に、どういった単価になるかということが下にまとめられているということで、これを毎日行うと、88万円までの算定になるということになります。
72ページは、高齢者住まい等における夜間の看護体制でございまして、夜間についてもオンコールや宿直ということで対応されている住宅と訪問看護ステーションが多いということでございます。
73ページは、訪問看護ステーションの利益率の例でございますけれども、医療保険の訪問看護につきましては、経営の調査を行っておりませんので、それについてお示しすることができない状況でございます。
介護保険の訪問看護の収支差につきましては、介護事業経営実態調査で調査が行われておりまして、ここに赤で書いてあるような利益率となってございます。
一方で、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の営業利益ということで、大手の事業者につきましては、上場されていて、IR資料等で把握ができるものがございますので、そうした例をお示しさせていただきました。
74ページが「訪問看護療養費における評価内容と効率性における特徴」ということでございますけれども、訪問看護基本療養費(Ⅱ)や、複数回訪問加算、訪問看護加算、夜間・早朝加算、深夜加算、こういったものにつきましては、居宅と、それから同一建物に居住する利用者との間では、例えば移動時間にかかるコストといったところが異なっておりますので、同一日に訪問看護を同じ建物で行うほうが、より効率的に実施できるのではないかと考えております。
また、訪問看護管理療養費につきましては、1つの建物にたくさんの利用者がいらっしゃる場合には、より効率的に実施できるといったことではないかと考えてございます。
75ページ、訪問看護基本療養費の算定日数と指示料の算定状況でございますけれども、算定日数が長い患者さんほど、訪問看護の指示の回数も多い傾向にあるということが分かります。
76ページ以降は、事業の人員及び運営に関する基準についてまとめてございます。
77ページでございますけれども、現行の訪問看護の人員及び運営に関する基準において、療養担当規則にはあるものの、訪問看護のほうには基準がない、ルールがないようなものが幾つかございます。
訪問看護ステーションには、療養担当規則が適用されておりませんので、訪問看護ステーションにつきましては、運営基準において定める必要がありますけれども、療養担当規則との違いがある部分について、お示ししております。
例えば、適正な手続の確保、健康保険事業の健全な運営の確保、経済上の利益の提供による誘引の禁止、こういったものについて、現状では訪問看護の方法の基準にルールがないということでございます。
また、真ん中の誘引の禁止というのは、ほかの事業者等に手数料なり、いろいろなものをお支払いして、患者さんを誘引してはいけないというルールでございますが、一番下のものについては、特定の保険薬局への誘導の禁止、医療機関がどこか別の事業所に患者さんを誘導してはならないというタイプのルールでございまして、こういったものについても、訪問看護の運営基準のほうには、類似のルールはないということでございます。
こうした中で、78ページから何枚か続いておりますけれども、有料老人ホームの紹介事業における紹介手数料をといったものの調査がまとめられてございます。
訪問看護ステーションと、こうした有料老人ホームが同一法人である場合や、関連する法人である場合もあるということでございますけれども、そうした中において、有料老人ホームに入所者を紹介することに対して、紹介手数料が支払われているという実態があるということでございます。
最後、86ページに論点をお示しさせていただいております。
高齢者住まい等に居住する利用者については、多人数への頻回な訪問看護が行われ、移動時間や提供時間が短いなど効率的に実施されており、訪問看護基本療養費等における、同一建物・単一建物利用者の人数や訪問回数に応じた提供コストを踏まえた評価のあり方についてどう考えるか。
高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションは、居住者に短時間で頻回の訪問看護を効率的に実施することができるが、訪問看護療養費には短時間で頻回の訪問看護を評価する体系がないことから、こうした一連の訪問看護の評価を設けることについてどう考えるか。
また、頻回な訪問看護を必要とする場合には、主治医が交付する訪問看護指示書に明記するよう求めることについてどう考えるか。
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準においても、適正な請求等に関する規定等、療養担当規則と同様の規定を設けることについてどう考えるか。
こうした点を含めまして、御議論をいただければと存じます。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
最初に、在宅医療に関わる論点について、意見を申し上げます。
まず、1つ目の○についてでございます。
ここでは、医療計画に位置づけられた、在宅医療において積極的役割を担う医療機関を診療報酬においても評価することが提案されております。
ただ、医療計画で求められる在宅医療に関わる医学教育に貢献する医育機能については、研修医や医学生を要望しても派遣がないなど、自助努力のみでは対応できない場合もあること。さらには、患者さんへの医療提供とは直接関係しないことですので、患者さんの自己負担額にも影響する点数算定の要件とすることは、慎むべきであると考えております。
また、資料では、機能強化型の在支診・在支病に対する加算である在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の算定要件を大きく上回っている医療機関が多く存在することが指摘されておりますが、機能強化型の在支診・在支病が緊急往診や看取りなどに十分効果を発揮しているあかしであり、この加算要件を引き上げるべきではないと考えております。
前回の在宅(その1)でも指摘しておりますが、今後、在宅医療の需要が大きく伸びることが見込まれ、地域全体が総力を挙げて在宅医療を支える必要があることも踏まえれば、要件を引き上げるのではなく、むしろ、より多くの医療機関が積極的に在宅医療に参入できるようにして、いかにして地域で支える環境を診療報酬において整えていくかを検討することが大変重要であると考えております。
次に、2つ目の○では、連携型の機能強化型在支診・在支病における24時間往診体制への貢献の度合いに応じて、よりきめ細かく評価することが提案されておりますが、他の医療機関に夜間などの対応を依頼している連携型在支診・在支病と、そうした医療機関を支援する在支診・在支病の評価を分けて評価することで、現在、可能な範囲で在宅医療を提供している医療機関が、在宅医療の現場から撤退してしまうようなことが起きるとすれば、本末転倒であり、各医療機関が大なり小なりできる範囲で在宅医療に参画できるような体制を診療報酬が支援していくべきと考えております。
また、3つ目の○であるBCPの策定を在支診・在支病の要件とすることについては、今回、24ページに示されているデータは4年以上も前のものですので、直近のデータも踏まえて議論する必要があると思います。
さらには、人工呼吸器の医療機器を使用している患者さんの搬送先や、電源確保などについては、各医療機関のBCPもさることながら、各地域の実情に応じて、いわゆる地域BCPの視点で検討することが効果的であり、医療計画の策定においてしっかりと議論し、検討されるべきものであります。
続いて、4つ目の○についてでございます。
患者の状態等に応じた適切な診療の評価として、要介護度が低いが在宅医療を継続している患者などの割合などを勘案した評価を行うことが提案されております。
これについても、前回の在宅(その1)でも指摘しておりますが、在宅医療の評価は、訪問回数、居住場所といった観点からの評価に偏ることなく、医学的見地からのサービスの質から検討することが重要であります。
今回の論点では、在医総管あるいは施設総管の評価として、要介護度が低い患者さんに着目されておりますが、要介護度は、どの程度の介護を必要とするかを表す指標、すなわち介護の必要性の程度を表す指標であり、医療の必要性とは全く別の指標であります。
要介護度が低くても、在宅医療の必要性が高い患者さんは大勢いらっしゃいます。
例えば、呼吸器疾患による一定以上の酸素療法の患者さん、進行がんで体力を消耗している患者さん、中核症状の見られる認知症の患者さん、独居の虚弱な高齢者の患者さんなど、通院困難な方も数多くいらっしゃいます。
したがいまして、要介護度のみに着目する評価については反対と考えておりまして、個々の患者さんの医療の必要度や、通院困難な要因なども加味した上で、評価の在り方を丁寧に検討すべきと考えます。
5つ目の○のへき地診療所における在医総管、施設総管の算定については、示された方向に賛同いたします。
6つ目の○の退院直後の訪問栄養食事指導についても、示された方向に賛同いたします。
入院中に栄養法が大きく変わった患者のみならず、低栄養状態や退院後の栄養サポート、食物のテクスチャーなどに支援を要する患者さんも対象とすべきと考えております。
資料にも示されておりますとおり、患者さんを入院から在宅につないでいく上で、食事と栄養は大変重要なファクターでありますが、管理栄養士を在宅に回せる体制を有している医療機関は、ごくごく一部でありますことから、実効性のある方策を検討する視点が大事ではないかと考えております。
さらには、リハビリテーションや口腔管理との連携も見据えた仕組みも必要と考えております。
続いて、訪問看護に係る論点について、意見を申し上げたいと思います。
まず、1つ目の○についてでございます。
同一建物・単一建物利用者の人数や訪問回数に応じた提供コストを踏まえた評価の在り方について提案されておりますが、こちらも単に適正化の観点から、コストに着目した議論をするのではなく、個々の患者さんの医療の必要度や提供サービスの内容も加味した上で、きめの細かい評価の在り方を検討すべきと考えております。
在宅医療(その1)でも申しておりますが、同じサービス提供の対価である患者さんの自己負担額が居住場所によって異なるというのは、好ましいことではないと思っております。
頻回に訪問看護を実施する患者さんの中には、末期の悪性腫瘍の患者さんや、あるいは69ページにも示されておりますが、別表7に該当する利用者が9割ということも踏まえる必要があり、単に同一建物利用者人数や訪問回数のみを評価とすることは慎むべきと考えております。
今回の資料では、そうした観点からの分析が足りないように思われますので、また、データをお示しいただきながら検討を深めてまいりたいと思います。
続いて、2つ目の○についてでございます。
現時点では、高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションが、短時間で頻回の訪問看護を実施した場合の評価方法がないということですが、先ほど来申し上げているとおり、患者さんの病態や症状によってコストも異なりますので、やはりデータに基づいて議論する必要があると思います。
また、本日の資料でも訪問看護ステーションを運営する事業者の高額な算定状況等が示されておりますが、一部の特異的な事例に引きずられて、診療報酬上の評価を変更してしまいますと、全体に影響を及ぼします。
地域の中小規模の事業所の中には、必要なコストに対して報酬が追いついておらず、物価高への対応や人材確保などもままならないところもありますし、また、前回改定で適正化された訪問看護管理療養費(Ⅱ)の影響も、まだ十分に検証できていないと思われますので、過度な適正化によって、そうした事業所に悪影響が生じないように、十分慎重に検討すべきであると考えます。
また、頻回な訪問看護の必要性について、主治医が指示書に明記する記載がありますけれども、患者さんの状態は刻々と変化するものであって、主治医の指示時点で確定するものではないので、現実的ではないと考えております。
次に、3つ目の○で示されておりますが、適正な請求等に関する規定等により、教育的な指導とも組み合わせながら対応を検討すべきかと考えます。
最後に、今回の資料全般につきまして、高齢者住宅への訪問看護が頻回短時間でいかがなものかという論調にも感じております。
69ページに、一月当たり平均医療費上位100ステーションの一月当たり医療費が62万と示されていながら、71ページには、極端な88万円の請求パターンも示されています。若干恣意的な資料という印象も受けております。不適切な請求であれば、厚生局の指導によって対応するべきものであり、今回の論点では、問題点の本質が不明瞭になっているとも感じます。
超高額な請求の訪問看護ステーションには、教育的指導に入ると中医協でも決まっておりますし、現在、スケジュールの都合から、まだ1件も教育的指導に入っていないと伺っておりますが、現実の実態のファクトを把握した上で的確な対応をすべきであり、今回の資料の構成でありますと、現場で頑張っている訪問看護師さんには、失礼なものであるとも感じております。
最後に、訪問看護に限ったことではありませんが、一部の悪質な事業所によって、献身的に頑張っている現場が不利益を被らないことが極めて重要であり、事務局におかれましては、悪貨によって良貨が駆逐されることのないよう、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
長くなりましたが、私からは以上となります。
なお、小塩会長におかれましては、訪問看護の部分につきまして、看護協会の専門委員から意見を述べる機会について御検討いただきますようお願い申し上げます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
86ページ目に示されています、訪問看護に係る論点の3つ目の運営等に関する基準に関連して発言をさせていただきたいと思っております。
53ページ目、それから、54ページ目にあるように、高齢者向けの住まい・施設の件数の伸びとともに利用者数も増加しているところで、それらに伴い、薬局が施設入所者へ対応する機会も増えています。
82ページ目に、有料老人ホームの遵守事項が書かれております。これまで対応してきた、かかりつけの患者さんが施設に入所した途端に、施設の都合により別の薬局が対応することとなり、患者さんとの関係が切れてしまうことがあります。
また、今までその施設の対応をしていた薬局が、ある日突然施設から、次からは違う薬局に任せるということがあります。私の薬局でも、何回かそのような経験をしています。施設の都合等で患者さんの薬局の選択が、妨げられることがあってはならないと考えます。
さらに言えば、施設側が薬局に対して金銭の提供など、対価として経済上の利益を追求し、薬局がその要求を断ったら、別の薬局が対応することになったという事例もあると聞いており、そのようなこと自体は、本来あってはならないことだと思っております。
82ページの遵守事項に、医療機関に関しては、入居者が自由に選択することを妨げないこととなっておりますけれども、ぜひここに関しても、規定を改正するときには、薬局を明確に入れていただきたいと考えます。
また、事務局からも説明がありましたけれども、薬局については、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則に経済上の利益の提供により誘引の禁止が規定されております。
第2条の3の2項なのですけれども、保険薬局は事業者またはその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供すること、その他、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならないと規定されています。
一方、保険医療機関では、特定の保険薬局への誘導に関し、保険薬局から金品その他の財産上の利益を収受してはならないという規定が療養担当規則に設けられています。
しかし、現在、施設側には、これらのような規定はありません。患者さんの選択を尊重した適切な医療・介護提供のため、施設側でも保険薬局からの利益の収受を禁止する規定は必要と考えます。
厚生労働省におかれましては、このような問題に対する状況の把握、整理をしていただくとともに、必要に応じて、関係部局と連携して対応をお願いしたいと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいですか。
それでは、1号側の委員の御意見を伺いたいと思うのですけれども、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたけれども、訪問看護につきまして、専門委員から御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
まず、議論の前提として、居宅であれ高齢者住まい等であれ、訪問看護の利用者が今後も御本人が望む場所で必要な医療・看護を受けられることが何よりも重要だと考えております。
現に多くの訪問看護ステーションでは、在宅での療養や看取りを希望されている方々に対し、その思いに寄り添い、必要な看護を日々提供しております。
その上で、今回のデータを見てみますと、一部の訪問看護ステーションにおいて、同一建物内で、多人数に対して頻回なケアを提供している状況や、高齢者住まい等に併設、隣接する訪問看護ステーションが、居住者に短時間で頻回な訪問看護を提供するなどの状況が見受けられますが、詳細な実態を把握することが先決ではないかと考えております。
高齢者の単身世帯の増加等に伴い、高齢者住まいの重要性は大きくなると思いますので、必要な医療・看護を受けながら安心して地域での暮らしを継続できるよう、十分に詳細を把握した上で検討を進めることが必要です。
あわせて、運営基準において、療養担当規則等にそろえる形で規定を設けることについて異論はございません。より一層、質の高い訪問看護提供体制の確保につながることを期待しております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
2号側の委員は、よろしいですか。
それでは、1号側の委員、お願いします。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
最初に総論といたしまして、前回8月27日のときにも申し上げましたけれども、こうした在宅医療につきましては、医療資源も財源も限られた中で増加するニーズを過不足なく充足するために、患者の状態、提供される医療、ケアの内容や効率性を踏まえ、これまで以上のメリハリを利かせることが重要だと考えております。
そうした観点で見ますと、本日の論点は適正化もしっかり意識されているというのが率直な印象でございます。
それでは、まず、44ページにございます、在宅医療の論点についてコメントをいたします。
1つ目の在宅医療を積極的に担う医療機関の評価についてでございますが、資料の13ページを見てみますと、機能強化型在支診・在支病の中でも、特に積極的な役割を評価する在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の要件、赤いラインに示されておりますけれども、これを上回る緊急往診や看取り実績のある医療機関が多いことが分かります。
自宅や施設で亡くなる患者の増加を踏まえますと、現在の要件は、実績評価の基準として妥当なのか、少し疑問を感じるところでございます。
次に、資料の15ページに目を移しますと、一番下段の2つ目のアスタリスクに表現がありますけれども、データの制約に留意が必要だということでございますけれども、在宅担当医を機能強化型の基準よりも多く配置し、かなり多くの在宅患者に対応している医療機関があることが分かります。
また、16ページに目を移しますと、重症度の高い患者の割合が高い医療機関があること、さらには17ページに行きますと、在宅医療の教育を通じて地域に貢献している医療機関も一定程度存在することが分かります。
したがいまして、在宅緩和ケア充実加算を統合する形で、こうした実績、体制、機能の違いに着目して、よりメリハリの利いた評価体系に見直すことも十分にあり得るものだと考えております。
また、連携型の機能強化型在支診につきましては、19ページ、20ページを見てみますと、連絡や往診の体制を確保している時間が、ある意味、二極化していることが分かります。
これについては、24時間体制に協力する度合いによって、当然評価に格差をつけるべきだと考えます。
続いて、22ページの往診時医療情報連携加算につきましては、単に算定実績だけを見て対象範囲を拡大する妥当性を判断することが、現状は難しいと考えますので、もう少し課題の整理をお願いしたいと思っております。
続いて、24ページのBCPでございますけれども、求められるレベルが努めるであるとか、あるいは望ましいということでございますけれども、少し現状の少なさに驚きを感じたのは素直な印象でございます。災害時の患者の安全の確保の観点からも、速やかに策定はしていただきたいと考えます。
続きまして、患者の状態に応じた適切な診療の評価に移りますけれども、重症な患者にしっかり対応しているのか、効率的に多くの訪問診療を実施しているのかという視点で、より評価にメリハリはつけるべきだと考えます。
ただ、そもそも通院できる患者は、当然ながら外来で対応することが基本だと考えております。
資料の27ページを見てみますと、月2回以上の訪問の理由として、施設の職員が付き添って外来受診することが困難という回答が相当数あることが分かります。
また、28ページに目を移しますと、包括的支援加算を算定する患者、つまり介護、看護、医療の観点で、在宅対応の必要性の高い患者さんが10%以下と、少ない医療機関が1割程度あることも分かります。
包括的支援加算の対象とならない患者が全て通院できるとは、もちろん申しませんけれども、29ページに示されていますように、訪問診療から外来診療に移行した経験のある医療機関が2割程度あることを踏まえますと、患者の状態を見ながら外来の移行を促す方向性は望ましいと考えます。
次に、へき地における在宅医療についてでございますが、へき地の診療所に限った対応ということであれば、派遣医師が派遣元の基幹病院と連携して緊急時に対応できる場合に、在医総管や施設総管の届出を可能とすることに異論はございません。
次に、訪問栄養食事指導についてですが、37ページを見てみますと、必ずしも在支診・在支病の体制整備が十分ではないということですので、介護保険優先の原則を維持した上で、退院直後の一定期間に限り、入院していた医療機関の管理栄養士から訪問指導を受けることは、患者側にもメリットがあるものと考えております。
続いて、訪問看護について、86ページにあります論点に沿ってコメントいたします。
まず、最初の点につきましては、資料の59ページに示されているとおり、同じ集合住宅や老人ホームの利用者2人を同じ日に訪問した場合、ここにあります表の真ん中にありますけれども、移動時間が1人に比べて少ないにもかかわらず、現行では、単一建物と評価が同じとなっております。
また、60ページに示されているとおり、同一建物の考え方が介護保険とは異なっております。
その上で、68ページと70ページを見てみますと、同一建物に居住する利用者数が多くなるほど、1回当たりの訪問時間が短くなる傾向があること。平均医療費の高い訪問看護ステーションは、1日当たり医療費が高額で訪問日数も多く、同一建物利用者に効率的に加算を算定している特徴があること。さらに、別表7に該当する医療保険の患者を集中的に訪問しているステーションがあることなどが分かります。
こうした実態把握は、訪問看護レセプトのオンライン請求による成果であると思っておりますが、効率性や介護保険との整合性を考慮の上、よりコストに応じた評価となるように、適正化する必要があると考えております。
次に、高齢者住宅等に隣接する訪問看護ステーションについてですが、71ページの下の表にもありますけれども、短時間で頻回な訪問看護が高額な医療費になっており、医療機関に入院中の患者への看護と同様に、継続的、断続的にサービスが提供されている状況であるにもかかわらず、加算を積み上げて算定する仕組みには限界があるのではないかと感じております。
効率的に訪問看護を提供できることも踏まえて、一連の訪問看護を評価する仕組みを導入し、適正化の方向で対応すべきと考えます。
また、頻回な訪問看護が必要な場合には、主治医の指示書に明記することにも賛同いたします。
最後に、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準についてですが、療担規則と同じように、適正な請求に関する規定を設けることも、当然必要だと考えます。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
これからも在宅医療のニーズが高まる一方、医療資源には限りがある中で、地域で役割を分担しながら在宅医療を行っていく必要があると考えております。
訪問診療について、論点で示していただいているとおり、地域の在宅医療の中核となっている医療機関を、その役割に応じて適切に評価するとともに、そうではない医療機関とメリハリをつけていくべきだと考えます。
自宅や施設での看取りの件数についても、総数自体が増加していく中、今の要件を見直していく必要があると考えます。
また、患者の居住地や要介護度、外来受診の困難さや訪問診療の手間が異なる中で、患者に応じた評価についても、きめ細やかに設定していく必要があるのではないかと考えます。
次に、訪問看護についてですが、同一建物に居住する利用者への頻回な訪問が行われていることについて、論点で示していただいたとおり、その必要性を担保する必要があると考え、医師の指示を明記する方針に賛成いたします。
加えて、そうした頻回訪問は、高齢者住宅などに居住していない患者に対して、訪問看護を行うステーションとは、看護の提供の仕方が異なることから、別途、一連の訪問看護について包括的な評価の仕方を検討するなど、適正化を検討していくべきと考えております。
その際、同一建物の考え方が介護保険と異なる点は、あまり合理的な理由がないのではないかと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
私も訪問看護に関しての論点のところについて、意見を申し上げたいと思います。
既に松本委員、鳥潟委員もご発言されておりましたけれども、同一建物などの利用者や、訪問看護ステーションが併設、隣接する高齢者住まい等に対する訪問看護について、移動時間や提供時間が短い、あるいは居住者に短時間で頻回の提供が可能であるということについて、看護の必要性に比べて、それが利用者の医療費を高額にしているということであれば、86ページの論点の1つ目、2つ目につきまして、実態を把握した上で、これを適正化する方向で検討すべきと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、よろしいでしょうか。
失礼しました、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
私も訪問看護ステーションについて、少し御意見をさせていただきます。
やはり71ページ目にあるように、非常に手厚い、質の高い医療を受けると、看護を受けるような形としては重要かと思います。
ただ、やはりこういった高額な部分になると、ある意味、全体の規模としては医療財源も限られております。ですから、この中で、今、各1号側の委員の方々がおっしゃったように、効率的な部分だろうかということで、やはり、中身もチェックする必要はあるかもしれませんが、ある意味、財源が限られた中で考えていただいて、また、これが高額であるということが、ある程度悪用されるような、誤解を招くようなことにならないようにするためにも、もう少しこの辺の効率性を考えた議論の中で決めていくべきではないかと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
例えば、2020年から2040年にかけまして、在宅医療の需要が、二次医療圏単位で見ますと、人口の少ない23の二次医療圏では、在宅医療の需要も減少しますが、それ以外の大半の二次医療圏では在宅医療の需要が高まります。
また、66の二次医療圏では、2020年から2040年にかけて5割増し以上に在宅医療の需要が増えると見込まれています。
したがいまして、在宅医療への参画につきまして、各医療機関が、先ほど申しましたが、できる範囲で関わって、そして、在宅医療の提供体制を各地域で総力を挙げて構築していくという視点は欠かせないと思いますから、医療機関によっては、当然、在宅医療の提供の度合いは違うわけですから、そこは、ぜひそういったことも含めながら、総力を挙げて提供体制をつくっていただきたいと思っております。
それから、26ページに、包括的支援加算が出ておりますが、これは、前回の診療報酬改定で要介護2以上からを要介護3以上に見直し、認知症高齢者の日常生活自立度ランクもⅡbからⅢ以上に見直しております。
したがって、かなり限定した限られた範囲に絞られております。認知症自立度Ⅲというと、行動あるいは意思疎通において日常生活に支障が出て、困難さが見られる状態でございます。
したがいまして、包括支援加算を算定対象以外にも、在宅医療を提供すべき患者さんというのは大勢いらっしゃるということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
その上で、やはり回数とか、居住場所のみならず、しっかりと一人一人の患者さんの病態、病状、必要な医療の必要度、あるいは訪問看護の必要度、この辺りは、きめ細かく見て対応していくことが必要だと考えております。
また、不適切な事例については、しっかりと指導で、実態をちゃんと調査した上で、的確な対応をするべきだと考えますし、有料老人ホームの高額な紹介料についても、不適切であれば、しっかりと指導対象とできるように、対応していただきたいと思っております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこの辺りといたします。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。