第6回社会保障審議会生活保護基準部会最高裁判決への対応に関する専門委員会 議事録
日時
令和7年10月23日(木) 15:00~17:00
場所
東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎第5号館
厚生労働省 3階 共用第6会議室
厚生労働省 3階 共用第6会議室
出席者(五十音順)
・岩村 正彦 東京大学名誉教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
・太田 匡彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
・興津 征雄 神戸大学大学院法学研究科教授
・新保 美香 明治学院大学社会学部教授
・嵩 さやか 東北大学大学院法学研究科教授
・永田 祐 同志社大学社会学部教授
・別所 俊一郎 早稲田大学政治経済学術院教授
・村田 啓子 立正大学大学院経済学研究科教授
・若林 緑 東北大学大学院経済学研究科教授
議題
平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決を踏まえた検討について
議事録
- (議事録)
- ○岩村委員長 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第6回「社会保障審議会生活保護基準部会 最高裁判決への対応に関する専門委員会」を始めさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、事務局から、本日の委員の出欠状況と資料の確認をお願いしたいと思います。また、オンラインで御出席の委員の方もいらっしゃいますので、改めてではありますけれども、会議での発言方法などについて説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部社会・援護局保護課総括調整官 事務局でございます。
本日も、対面及びオンラインを組み合わせての実施とさせていただきます。また、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。アーカイブ配信はいたしませんので、あらかじめ御了承ください。
続けて、本日の委員の出席状況について申し上げます。
本日は、村田委員より御欠席の御連絡をいただいてございます。
以上でございます。
会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと存じます。恐縮でございますけれども、カメラの皆様は御退席をお願い申し上げます。
(カメラ退室)
○阿部社会・援護局保護課総括調整官 それでは、事務局よりお手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。
本日の資料でございますけれども、議事に関して、資料1「平成25年改定当時における生活扶助基準について」、資料2「今後の論点(案)について」を御用意しております。
会場にお越しの委員におかれては、机上に用意してございます。過不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。オンラインにて出席の委員の皆様におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、発言方法について、オンラインで御参加の委員の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は、基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言される際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただき、委員長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきたいと思います。お手元の議事次第を御覧いただきたいと思います。
「平成25年生活扶助基準改定に関する最高裁判決を踏まえた検討について」が本日の議事ということになります。
これにつきまして、前回の委員会では、主に生活扶助相当支出額の補正方法について先生方から御意見を頂戴したところでございます。そこでいただいた御意見を踏まえて、事務局で資料を準備していただいております。
そこで、まず、事務局から資料1についての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 社会・援護局保護課の榎でございます。
それでは、お手元の資料1「平成25年改定当時における生活扶助基準について」の御説明をさせていただきます。
まず、1ページを御覧いただければと思います。
第5回専門委員会における委員からの主な御意見の概要を記載してございます。
経済指標の評価に関しての御意見になりますが、1つ目の○でございます。平成21年の全国消費実態調査の第1・十分位の支出額は、前後数年間の支出額を見るには低過ぎると見るべき。リーマンショックが大きく影響していると考えられ、低所得世帯のほうがより大きく消費が減少していたことは考慮すべき。このような御意見がございました。
それから、補正方法の検討に関してでございます。下から4つ目の○になりますが、リーマンショックの影響といった特殊要因を考慮して、生活扶助基準の水準を評価する必要があるといった御意見。
それから、具体的な特殊要因の補正方法としまして、下から2つ目の○になりますが、評価時点を考慮する方法、それから、他の所得階層の消費動向を反映する方法の両方があり得るといった御意見もございました。
また、一番下の○でございます。生活扶助相当支出全体だけでなく、ある程度その支出項目ごとにどう動いたかというのも併せて見て、標本の持つ誤差を考慮したらよいのではないか。特定の支出項目の影響をすごく受けているというのは避けたほうがよい。また、2人以上勤労者世帯だけでなく、夫婦子1人世帯でも確認をしてほしい。このような御意見もございました。
続く2ページについても、前回の御意見の概要でございます。
上から5つ目の○でございますが、平成21年のリーマンショックという特殊要因に関して、物価ではなく、消費のデータを活用する2つの補正方法を検討していくということでよいのではないか。このような御意見をいただいたところでございます。
続きまして、3ページを御覧いただければと思います。
生活扶助相当支出額の補正方法について、前回の専門委員会においてお示しした方法を改めて御紹介してございます。
図の部分を御覧いただければと思いますけれども、全国消費実態調査に基づきますと、平成21年時点の生活扶助相当支出額は平成16年時点に比べまして大きく減少してございました。
これに対して、方法のマル1という部分でございますが、家計調査の変動率に基づいて評価時点を調整するということで、リーマンショック前後の水準に補正する。このような方法でございます。
それから、方法のマル2につきましては、平成21年の消費の減少幅を他の所得階層と同程度に抑制するということで格差の拡大を抑制する。このような方法でございます。
こうした生活扶助相当支出の補正方法に関して、今回はさらに御議論を深めていただくべく、前回の御意見を踏まえて追加的なデータを御用意してございます。
4ページ以降では、評価時点を考慮する方法に関するデータをおまとめしてございます。
5ページを御覧いただければと思います。
家計調査に基づき、2人以上勤労者世帯における生活扶助相当支出について、平成21年と比較した変動率をお示ししてございます。前回の専門委員会資料の中でも同様のデータを御紹介してございましたが、今回は家計調査の個票データを用いまして、生活扶助相当支出の集計を品目単位でより精緻化してございます。この結果、前回の数値から若干の動きがございます。
第1・十分位の部分の推移を御覧いただきますと、平成23年を除いて水準の回復が確認されてございます。特に平成24年の変動率が大きくなってございます。
また、下のグラフを御覧いただきますと、第1・十分位の平成24年の水準については、リーマンショック前の平成20年とおおむね同程度まで回復しているということが見てとれるかと思います。
続いて、6ページを御覧いただければと思います。
第1・十分位の生活扶助相当支出について、平成21年からの変動率に対する費目別の寄与度をお示ししてございます。平成24年については変動率がほかより大きくなってございましたが、内訳を見ますと、その他の消費支出の部分が大きく寄与していることが分かります。
また、7ページ、8ページは御参考までに第1・五分位、第3・五分位について同様の寄与度分解をお示ししたものでございます。適宜御参照いただければと思います。
9ページを御覧ください。
第1・十分位につきまして、平成21年からの変動率に対する寄与度のうち、その他の支出のさらに内訳をお示ししたものでございます。平成24年については、色をつけている部分でございますが、贈与金、国内遊学仕送り金の2品目が特に大きく寄与してございます。
10ページを御覧ください。
家計調査に基づきまして、夫婦子1人の勤労者世帯について同様のデータをお示ししたものでございます。第1・十分位で見ますと、平成21年の集計世帯数が64世帯のみになるということで、夫婦子1人世帯を見る上ではサンプル数が少なくなる点に留意が必要でございます。
続いて、11ページを御覧いただければと思います。
2人以上勤労者世帯における生活扶助相当支出について、外れ値を処理した場合の変動率をお示ししてございます。ここでの外れ値処理は、平均値を中心に標準偏差の3倍の範囲を許容範囲としまして、その閾値を超えたサンプルの値を閾値そのものに置き換えるトップコーディングと呼ばれる方法に基づいたものでございます。
表の部分を御覧いただきますと、第1・十分位における平成24年の変動率については、原数値に比べて1%ポイント弱程度縮小するなどの動きが見られてございます。一方で、全体的な傾向として見ますと、特段原数値から大きな変化はございませんでした。
12ページを御覧いただければと思います。
外れ値処理の方法としまして、閾値を超えたサンプルを除外するというトリム平均と呼ばれる方法に基づいて集計した結果をお示ししてございます。支出額が大きいサンプルが除外されるということになりますので、トップコーディングに比べて消費水準はさらに低下するという結果になってございます。他方で、全体的な結果はこちらも大きく変わっていないということが確認できます。
13ページを御覧いただければと思います。
一部の品目を除外した場合の集計結果をお示ししてございます。具体的には、第1・十分位において平成24年の増加に大きく寄与しておりました贈与金、国内遊学仕送り金の2品目を除いて集計をしたものでございます。結果としましては、外れ値を処理した場合と同じような結果が得られてございます。
続いて、14ページを御覧いただければと思います。
世帯構成の変化の影響を除去した場合の変動率をお示ししたものでございます。家計調査の変動率を用いた補正については、平成21年の全国消費実態調査に基づく夫婦子1人の勤労者世帯、第1・十分位の生活扶助相当支出額に対して行うものでございます。
一方で、変動率として2人以上勤労者世帯における1世帯当たりの平均支出額を用いる場合は、その変動率には世帯の年齢構成や人員構成の変化による影響が含まれてまいります。
このため、夫婦子1人世帯の支出額を補正する上では、このような世帯構成の変化の影響を除去するといったことも考えられるのではないかと思います。
実際に世帯主年齢と世帯員数の分布を平成21年時点で固定しました世帯分布調整値について変動率の推移を見ますと、表の部分になりますけれども、原数値に比べまして最大で1%ポイント程度変化が見られるという結果になってございます。
15ページを御覧いただければと思います。
家計調査の変動率に基づく補正方法について、幾つかのパターンで試算した結果をお示ししてございます。いずれのパターンにつきましても、平成21年全国消費実態調査に基づく夫婦子1人の勤労者世帯、第1・十分位の生活扶助相当支出の金額に対して、家計調査に基づく2人以上勤労者世帯、第1・十分位の生活扶助相当支出額の変動率を乗じることで補正をしたというものでございます。表が2つございますけれども、上段の表については、21年を始点として、終点の時点を平成22年から平成25年までの4パターンで分けて計算をしたものでございます。
それから、下段の表につきましては、平成22年を終点とする場合について、トップコーディングにより外れ値を処理した場合、それから、世帯分布を調整した場合、それぞれの結果をお示ししてございます。終点をほかの時点とした場合も同様に計算することが可能でございますけれども、ここでは一例としまして平成22年の場合のみお示ししてございます。
補正した結果の部分を御覧いただきますと、終点を平成23年とする場合を除きまして、補正後の生活扶助相当支出額はいずれも水準が上昇するとともに、平成25年改定前の生活扶助基準額との乖離率もいずれも縮小するという結果が見られてございます。
その一方で、生活扶助相当支出の水準につきましては、平成16年の144,305円の水準には満たない水準でございます。
また、生活扶助基準額につきまして、平成25年改定前は149,633円でございました。また、ゆがみ調整のみ反映した後の生活扶助基準額は144,433円でございました。このいずれも、引き続きどのパターンで見ても、補正後の生活扶助相当支出額を上回っているといった結果が確認されたところでございます。
また、第3・五分位の生活扶助相当支出について、同様に家計調査の変動率を用いて補正をした上で、第1・十分位の中位所得対比の比率についても計算してございます。表の中央部に入れている数字でございますけれども、こちらを御覧いただきますと、いずれのパターンについても、平成21年で64.6%でございましたが、これに比べて上昇が確認されてございます。
17ページを御覧いただければと思います。
他の所得階層の消費動向を反映する方法について試算をした結果をお示ししてございます。上段の表にございますとおり、平成21年全国消費実態調査に基づく夫婦子1人の勤労者世帯第1・十分位の生活扶助相当支出は平成16年から8.75%減少しておりまして、第3・五分位や全年収階級よりも大きな減少幅となっておりました。また、中位所得層対比の比率についても、平成16年時点から4.2%ポイント低下する結果になってございました。
下段の表については補正をした結果でございますけれども、平成16年からの変動が全年収階級の▲3.99%と同程度となるように補正をした場合、それから、中位所得層対比の比率が平成16年の68.8%と同程度となるように補正をした場合、それぞれの試算結果をお示ししてございます。このうち、2つ目、後者の補正方法については、平成16年からの変動を第3・五分位と同程度に抑制するというやり方と意味合いとしては同じものになるものでございます。
補正した結果を御覧いただきますと、いずれの方法につきましても、家計調査の変動率を用いて補正をした場合と同様に、生活扶助相当支出の水準が上昇する一方で、生活扶助基準額は引き続き生活扶助相当支出額を上回るという状況が確認されてございます。
19ページを御覧いただければと思います。
生活扶助相当支出額の補正方法について、特徴と課題を整理してございます。
家計調査の変動率に基づく補正につきましては、一般低所得世帯の消費水準との比較を基本とする定期検証との連続性・整合性が確保される。この点が特長として挙げられます。
その一方で、課題としましては、世帯構成の変化の影響を受けるという点。それから、終点の選び方の整理が必要となる点。こういった点が挙げられます。
平成16年からの変動が全年収階級と同程度となる補正につきましては、格差拡大の抑制が可能であるという点に加えて、水準均衡方式の下で過去に民間最終消費支出に基づいて改定した経緯と整合する点、これらが特長として挙げられます。
また、平成16年からの変動が第3・五分位と同程度となる補正につきまして、こちらも同様に格差拡大の抑制が可能であるという点のほか、中位所得層対比の比率が平成16年から維持されるという点。また、過去の定期検証において中位所得層対比の動向を確認してきた経緯と整合する点。これらが特長として挙げられます。
この一方で、他の所得階層の消費動向を反映する補正方法の課題としましては、全年収階級と第3・五分位のどちらを基準とするのが適切か、この点の整理が必要になるという点が挙げられようかと思います。
20ページを御覧いただければと思います。
一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準の乖離の評価に関して、これまでに確認された点を整理させていただいております。
まず、2人以上勤労者世帯の生活扶助相当支出の水準につきましては、平成20年から23年にかけてリーマンショックの影響等により全体的に低下し、とりわけ一般低所得世帯の落ち込みが大きくなっておりました。
このような背景の下で、平成21年全国消費実態調査に基づく夫婦子1人の勤労者世帯(第1・十分位)の生活扶助相当支出額は、平成16年調査時点に比べて大きく低下し、第1・十分位と第3・五分位の消費水準の格差が拡大した可能性がうかがえます。このため、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準の乖離の評価に当たっては、リーマンショックに起因する特殊要因の影響を緩和するという観点から、消費水準を適切に補正した上で、補正後の消費水準に基づく必要があると言えるかと思います。
今般考えられ得る複数の補正方法について試算を行ったところでございますが、いずれの方法においても一般低所得世帯の消費水準を上昇させる効果が確認されました。その一方で、依然としまして平成16年調査時点の水準には満たない状況でございます。なおかつ、生活扶助基準額、こちらは平成25年改定前の基準額であったり、ゆがみ調整のみ反映した後の基準額になりますけれども、これらについては引き続き一般低所得世帯の消費水準を上回っている。このような状況が確認されたところでございます。
以上の整理を踏まえまして、ページの一番下のところにございますとおり、今回の論点でございます。今回は、消費水準の補正方法として複数の選択肢が考えられるところでございますが、いずれの方法がより適切と考えられるか、この点について御議論をお願いできればと思います。
資料1につきまして、事務局からの御説明は以上でございます。御審議のほど、何卒よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございました。
ただいま、資料1の御説明をいただいたところでございます。
資料1では、生活扶助相当支出額を補正する方法としまして、一つは4ページからでございますけれども、評価時点を考慮する方法、そして、もう一つは16ページからとなりますが、他の所得階層の消費動向を反映する方法という2つの方法に基づいて、事務局から試算した結果をお示しいただいたところであります。
その上で、18ページからそれぞれの補正方法の特長と課題を整理いただいております。
最後、20ページで論点ということで、いずれの方法がより適切と考えられるかというものが示されているとなっております。
これからこうした試算や考察につきまして、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
では、別所先生、お願いいたします。
○別所委員 資料の準備をありがとうございました。様々なパターンが検証されていて、大変参考になると思います。
それで、いずれの方法がより適切と考えられるかという点ですが、まず、方法としては、令和4年検証との整合性を考えると、家計調査を使って評価時点を考慮するという方法がいいだろうと思います。
評価時点も幾つかあるわけですが、この検証を行ったはずの時点での利用可能性を考えると、平成24年平均までを考慮するのが妥当ではないかなと思います。
ですので、もし1個だけ数字を挙げるとすると、15枚目の3番目がいいのではないかと思います。
外れ値処理というのをいろいろやっていただいていますが、いずれをとってもそれほど大きな差はないのかなと思いますので、基本のケースが外れ値の影響を受けているということも全く受けていないことはないですけれども、あまりないと言えるのかなと思います。
それで、19ページにまとめられているように、ほかの所得階層との相対的な大きさというのももちろん考えないといけないのですが、15ページにあるように、今、私が基本的なケースとして取ったらいいのではないかと言ったケースでは、中位所得に対して70.6%で、17枚目を見ると、平成16年時点ではその数字が68.8%だったということなので、中位所得と、つまり、ほかの世帯と比べてもそんなに下げているわけではないということなので、この点からもそんなに問題がないのではないかと思います。
もちろん1個だけではなくて、幾つかのやり方でやったものの平均値を取るという方法も考えられるとは思いますが、今いろいろ挙げていただいた中で1個だけ選ぶとすると、先ほど申し上げた15枚目のがいいのではないかというのが私の意見です。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでございましょうか。
それでは、申し訳ありませんが、先に若林先生からお願いしたいと思います。
○若林委員 ありがとうございます。若林です。
様々な計算をしていただいき、本当に骨の折れる作業をありがとうございました。その上で、私の考えは基本的に別所先生とほぼ同じですが、いくつか補足やお願いをさせていただきたいと思います。
まず、基本的には私も令和4年検証に従って、家計調査の変動率を用いるのがよいと考えています。そのうえで、15ページについてお話しさせてください。15ページでは、年ごとのパターンを示していただいています。別所先生もおっしゃったように、平成24年や25年あたりを取るかによっても値が変わってくると思います。したがって、どの年を取るかという問題を含め、できれば「継続性」という観点を重視したほうがよいのではないかと考えます。
次に、5ページと6ページで示されているトップコーディングや世帯分布調整値についてです。トップコーディングについては、先ほどご説明にもありましたし、別所先生からのご指摘にもあったとおり、値への影響はそれほど大きくないと思います。もし適用するのであれば、今後も一貫して適用する、あるいは適用しないといった方針を明確にして進めるのが望ましいと思います。これまであまり実施してこなかったのであれば、今回無理に行う必要はないのではないかというのが私の意見です。また、現在3番目や4番目のケースも議論に上っていると思いますが、現状では、1番をもとに計算したものが5番、トップコーディングと世帯分布調整値を加えたものが5番と6番という形になっています。3番および4番について計算して示していただけると、全体の比較がより分かりやすくなるのではないかと思います。以上です。ありがとうございました。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、永田委員、お手が挙がっていますので、よろしくお願いいたします。
○永田委員 ありがとうございます。
法律の問題を一旦脇に置いた上でという前提になりますけれども、統計、経済の専門家ではありませんが、委員として意見を申し上げたいと思います。
まず、平成21年の全国消費実態調査の第1・十分位の支出額をリーマンショックの影響を考慮して平成25年改定当時の生活扶助相当支出を評価する場合には、私も御説明のあった方法2は、あくまでほかの所得階層であり、かつ対象をどこにするかということも恣意的にならざるを得ないような気がしましたので、方法1の家計調査の変動率で調査時点を調整することが、若林先生も御指摘されていましたけれども、令和4年の方法に倣って行うということになりますので、妥当なように感じました。
その上で、評価時点については、これは別所先生が御指摘になっていましたけれども、平成25年平均は25年改定時で利用が可能ではないことを考慮して、また、23年は東日本大震災の影響も考えられると思いますので、最も改定時に近い平成24年平均を用いることが妥当なのではないかなと感じました。
また、補正については、トップコーディングのように機械的に一律の数値を処理する方法というのはかえって恣意的に見える危険性があるのではないかなと感じました。そのため、もし行うとすれば、世帯分布調整値などのように合理的な理由で説明ができる方法を考えるのがよいのではないかと感じました。
このような形で、当時生じていた不均衡について、基準の高さという観点から、これまでとは連続性のある方法でどうだったのかということを明らかにするということは、繰り返しになりますが、法律論は脇に置いた上で、それ自体は意義のあることだなと感じました。
私の理解は以上のとおりですけれども、御専門の先生からまた補足をいただければと思います。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでございましょうか。
今日、経済系の先生お二人からは、15ページの表の3番目、始点は平成21年平均で終点は平成24年平均というところをベースにしながら考えるというのがよいのではないかというご意見をいただきました。ただ、もう少しデータの補足もしていただきたいという御要望があり、また、他の指標を使った場合との平均とかそういったものを取ってみるというようなことも考えられるという御指摘もあったところでございます。
ですので、もしよろしければ、今日のところはこの辺りということにさせていただいて、御要望、御指摘のあった点について、なお事務局のほうで資料を精査していただいて、また次回お出しいただき、一定の方向性というものを固められればと思いますけれども、いかがでございましょうか。
太田委員、どうぞ。
○太田委員 太田です。
資料と御説明、ありがとうございました。
岩村委員長のおっしゃった方針は、それはそれで結構なのですが、私、初歩的なところがまた覚え切れていなくて、一点お伺いしたく存じます。今までトップコーディングとか世帯分布調整値を使った補正はやったことがないという理解でよろしいのですか。
○岩村委員長 事務局、いかがでしょうか。
○榎社会・援護局保護課生活保護統括数理調整官 まず、世帯分布調整については、これまでの検証において採用したことはございませんでした。トップコーディング、いわゆる外れ値の処理に関しましては、こちらは平成29年の検証の中では体系の検証、水準の検証、いずれも一定の閾値を設けた上で外れ値の処理をするトップコーディングなり、除外をするトリム平均と呼ばれる方法なり、いずれも採用していたという実績があるということでございます。
それから、令和4年検証については、結果的には外れ値の処理は一切行ってございませんでしたけれども、その背景としましては、消費の本来の実態が一部反映されなくなってしまうのではないかという懸念があったということと、作業上、外れ値が実際にあるのかどうかという確認をした上で、該当する部分がなかったり、あるいは一部あったけれども外れ値を処理したとしてもあまり大きな影響は確認されなかったといった点を確認した上で、結果として外れ値の処理はしないという判断をしてございました。
○太田委員 分かりました。ありがとうございます。
○岩村委員長 太田先生、よろしいでしょうか。
○太田委員 はい。結構でございます。
○岩村委員長 ありがとうございます。
それでは、資料1についての意見交換はここまでとさせていただきたいと思います。
引き続き事務局は御苦労さまでございますけれども、先ほどの点についてまたデータを揃えていただいて、次回にお示しいただきたいと思います。
それでは、続きまして資料2のほうに移りたいと思います。
まず、事務局から資料について説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局の社会・援護局保護課の千田でございます。
資料2、今後の論点(案)を御説明いたします。
まず、1ページ及び2ページにつきましては、前回の資料の再掲となってございます。
その上で、2ページを御覧いただければと思いますが、前回の委員会におきまして、本日の第6回目以降の委員会で議論すべき論点案をお示ししたところでございますけれども、本日はこのうち1の(1)に掲げる事項につきまして、第5回までの議論及び本日前段の議題における議論も踏まえつつ、改めて御議論を頂戴したいと思います。
3ページを御覧ください。
3ページにつきましては、前回の委員会で論点に関していただいた御指摘の概要でございます。2つございまして、1点目は仮に追加給付を行うとした場合の支給事務については、しっかりと自治体のほうと協議をした上で進めてほしいという御意見。それから、2点目については、これは仮定の話として、過去に設定した基準額よりもさらに下の額に設定するというのは不利益変更の禁止に抵触する側面があるといった御指摘を頂戴してございました。
4ページ以降でございます。4ページ以降に沿いまして、判決の趣旨・内容を踏まえた今後の在り方につきまして、議論の前提やこれまでの議論の経緯、そして、今後の検討の方向性を説明してまいります。
5ページでございます。5ページにつきましては、今回の裁判の訴訟物あるいは違法認定の対象に関して、改めて最高裁の判決文の抜粋の資料でございます。
5ページに書いてありますとおり、今回の裁判の対象でございますけれども、上のリード文に記載のありますとおり、今般の一連の訴訟につきましては、平成25年から実施した生活扶助基準改定、判決ではこれは本件改定と略称を置いていますけれども、この改定による保護変更決定の取消し及び国家賠償請求を求めるものであると。その上で、最高裁が原告の主張のうち、保護変更決定の取消しを認めるその理由として、本件改定のうち、デフレ調整に係る厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱、またはその濫用を指摘したというものでございました。
6ページを御覧ください。
デフレ調整に係る最高裁の判断内容の抜粋でございます。
こちらもリード文にありますとおり、デフレ調整に係る当時の厚生労働大臣の判断について、最高裁は、平成25年の改定当時、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間に不均衡が生じていると判断したことについては、統計等の客観的な数値との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとは言い難いと判示した上で、基準の改定の際にどういう指標を用いるかについても厚生労働大臣の裁量判断に委ねられると指摘した後で、生活保護法8条2項にいう「最低限度の生活の需要を満たす」というものは、生活扶助については最低限度の消費水準を保障することを意味するものとして理解されてきたというような判示がされてございます。
7ページを御覧ください。
他方で、最高裁は、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間の不均衡を是正するために物価変動率のみを直接の指標として用いることが合理的であることについて、物価と最低限度の消費水準との関係、あるいは従来の水準均衡方式による改定との連続性・整合性の観点も含めて、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできないとして、デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があったと。このような判示でございました。
こうした判決を踏まえまして、8ページ以降でございますけれども、今回の最高裁判決の趣旨・内容、その法的な効果、そして、それ以外の法的な要請の観点から、本専門委員会においてこれまでにいただいた御意見、御指摘でございます。3ページにまたがっておりまして、これらの説明は大変恐縮ながら割愛させていただきたいと思いますので、まず11ページからを御覧いただきたいと思います。
ここからでございますけれども、論点の1個目であります、再度ゆがみ調整及び高さ調整を実施することについて、判決の法的効果や紛争の一回的解決との要請との関係性、あるいは生活保護法上の根拠規定との関係をどう整理するかというものでございます。
この論点マル1につきまして、既存の資料が幾つか続きますけれども、12ページにございますとおり、取消判決の既判力によって、同一の事項が後に訴訟で問題になっても、当事者はこれに反する主張をできないといった効果が生ずるということで、既判力については判決の主文に含まれるものに効力が生ずるというものでございます。
13ページであります。
13ページにありますとおり、取消判決については形成力が働くとともに、拘束力も生じるということで、この両方をどういうふうに考慮するのかといった点について様々な御議論、御指摘をいただいてまいりました。
14ページを御覧ください。
14ページにつきましては、判決の拘束力及び反復禁止効に関して、追加の参考文献ということで資料を掲げさせていただきました。2つ文献を記載してございます。
上段は興津先生の文献でございますけれども、資料中、17頁と書いてありますとおり、反復禁止効の及ぶ範囲については、裁判例によってその解釈や判断が異なること。あるいは66頁から67頁ということで書いておりますけれども、4段落目に記載がございますけれども、職権不利益処分について、手続の違背を理由とする取消判決は、一事不再理や二重の危険禁止に抵触しない限りにおいて、判決の趣旨を尊重して正しい手続を踏むべき拘束が生じることなど。
それから、下段の村上先生の文献におきましては、いわゆる判断過程審査の特色ということで述べられてありますけれども、判断過程に過誤があるとして行為が取り消されたとしても、当該行為の違法性が指摘されたわけではないから、合理的な判断過程を経て、あるいは適切な考慮要素を考慮して同じ内容の行為をするということは原則として妨げられないといった点が示されてございます。
15ページを御覧ください。
最高裁判例の拘束力とありますけれども、一般的な取消判決の拘束力については、その事件について及ぶとされてございますけれども、そのことと行政の司法に対する一般的な敬譲または判例の拘束力は区別されるという点が学説でも示されております。この点については、本専門委員会においても、原告に対する処分の取消しによる拘束力と今回の判決で違法性が指摘された基準改定に関する是正措置というのは区別して議論すべきではないかといった趣旨の御指摘がございました。
16ページを御覧ください。
16ページでございますけれども、これまでの経済指標に関する議論の前提となっておりました平成21年の全国消費実態調査に関するこれまでの訴訟における審理の内容、経過でございますけれども、名古屋高裁における厚労省職員への証人尋問後の各種準備書面、あるいは最高裁に対する上告受理申立書等においてどのような主張をしてきたかということを記載してございますけれども、平成21年全国消費実態調査によって比較をした場合の結果としては12.6%を下回るといったことが想定されていたといったことをこれまで主張してきたというものでございます。
なお、一番下の○にありますとおり、令和7年6月27日の最高裁判決までの間、訴訟における主張に用いることを目的とした平成21年全国消費実態調査の二次利用申請については行っておりませんでした。
17ページを御覧ください。
今般の最高裁の判決の法廷意見においては、申し上げた平成21年の全国消費実態調査のデータによる水準の評価については、原審で確定した事実関係として摘示されていない一方で、記載にありますとおり、名古屋高裁の判決においては、厚生労働大臣が基準部会またはその他の専門家に諮ることなく独自の判断で物価変動を直接考慮するという過去に取られたことのない改定方式で生活扶助基準を引き下げるために求められる検討にはほど遠いといった判示がされてございました。
18ページを御覧ください。
18ページでございますけれども、今申し上げている1つ目の論点に関して、まず原告に対する判決の法的効果と当時の基準改定に対する再検討との関係性につきまして、今後の検討の方向性でございます。
以下、主要な部分を中心に読み上げ、説明をさせていただきます。
まず、1つ目の○でございますけれども、今回の最高裁判決の主文につきましては、対象となった大阪訴訟及び名古屋訴訟の当事者の原告に対する当時の保護変更決定処分を取り消すものである。このため、既判力や形成力、拘束力、反復禁止効といった判決の法的効果は、当該原告に対する処分に対して及ぶものであるということで、判決の法的効果の観点からは、まず当該原告に対して判決効を踏まえどのように対応すべきかを検討することが求められるというものでございます。
それから、○の2つ目ですけれども、「他方で」とありますとおり、他方で、今回の判決の理由中の判断におきまして、当時の生活扶助基準改定の違法性を指摘しているということから、司法判断に対する尊重・敬譲の観点から、判決の趣旨・内容を踏まえ、当該基準改定について行政としてどのような対応を行うべきかの検討も同時に求められる。
ここで3点目でございますけれども、判決の形成力の観点から見ると、処分が取り消された原告については、当時の処分を行う前の状態に戻っているということになる一方で、今回の判決の理由中の判断においては、ゆがみ調整については、2分の1処理を含む厚生労働大臣の判断に、統計等の客観的な数値との合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとはできないと判示していることや、冒頭申し上げたとおり、デフレ調整についても、本件改定当時に一般国民の生活水準との間の不均衡が生じているとの判断については、合理的関連性や専門的知見との整合性に欠けるところがあるとは言い難いとしていることからすると、判決主文に基づく原告への対応と、他方で理由中の判断に基づく当時の基準改定に関する検討をどのように両立するかということが課題になってくるということが3つ目でございます。
この点につきまして、最後の○でございますけれども、仮に当時の基準改定を新たな検証結果に基づいて改めて実施することとした場合には、原告以外の被保護者のみならず、原告にも適用することになるということから、今回の判決の名宛人である原告との関係において、上記の判決の法的効果や紛争の一回的解決の要請との抵触が生じないかどうかの観点から、この論点マル1については検討を進めることが適当と整理させていただいております。
その上で、19ページ以降でございます。
19ページを御覧いただけますと幸いでございますけれども、ゆがみ調整及び2分の1処理を行う場合についての今後の検討の方向性でございます。
1点目は形成力に関する記載でございますが、2点目、「他方で」とございますとおり、ゆがみ調整については、今回の最高裁判決において、処分の違法性を直接基礎づけるものとされていないため、拘束力は及ばず、この2分の1処理を含むゆがみ調整に係る判断についての違法性が指摘されていないということを踏まえると、原告に対して同一のゆがみ調整に関する内容を実施するというのは、判決の拘束力及び反復禁止効に抵触しないと言えるのではないかというものでございます。
その上で、1つ飛ばして4点目の○ですけれども、ゆがみ調整を再度実施するということについては、生活保護法8条2項の規定である、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものであるというこの記述に沿うと言えるのではないかというものでございます。
次の20ページを御覧ください。
20ページから3ページぐらい同じ観点の記載が続きますけれども、消費の実態に基づいて水準調整を行う場合についての今後の検討の方向性でございます。
文字が多くて大変恐縮ですけれども、まず、1点目の○に記載がありますのは、いわゆる反復禁止効につきまして、仮に一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準との乖離率を基礎として新たな基準により、原告に対して再処分を行う場合、原処分と同一理由には当たらず、判決効との関係では直ちに問題となるものではないと言えるのではないかということで、1つ目の○は法的観点からの原則論ということで整理をさせていただいたものでございますが、2つ目の○以降で「他方で」とありますとおり、これまで議論がございましたとおり、仮に理由が異なる処分に対し判決効が及ばないということが原則論であるとしても、前訴の口頭答弁の終結時までに主張し得たにもかかわらず主張しなかった場合には、一般条項との関係で新たな処分理由とすることができないのではないかといった考え方もあるということで、その点に関してどのように整理するかということを○の3点目以降で記載してございます。
○の3つ目、「この点について」とありますけれども、申し上げたとおり、前の訴訟においても、デフレ調整の正当性に関する主張を基礎づける根拠の一つとして平成21年全国消費実態調査結果についての主張はしてきたところ、そうした経緯も踏まえつつ、今回の最高裁判決の多数意見につきましては、改定の際の指標については裁量判断に委ねられると指摘した上で、生活保護法8条2項の、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものであるというのは消費水準を保障することを意味するものといった指摘がされた。その上で、デフレ調整については、物価変動率のみを直接の指標として用いることの合理性について十分説明がされていないということで、判断過程の過誤、欠落というような判示がございました。
21ページがこのページの続きになってございますけれども、1つ目の○、「そこで」とありますとおり、消費の実態に基づいて水準調整を行う場合のこれまで議論されてきたような調整方法といった手法が、これまで前訴の口頭弁論終結時までに主張し得た内容であるかどうかが問題になるということで、その点についての整理でございます。
1つ目の○に続きの記載がありますけれども、一連の訴訟においては、物価変動率を直接の指標として改定を行うことの適法性について争われていたというものであり、消費の実態に基づいて水準調整を行うことを前提とした具体的な指標や水準について、平成21年の全国消費実態調査の調査票情報を廃棄していた状況において、改めて調査所管課に二次利用を申請する特別の事情がなく、訴訟の途中で行政側が主張しなかった。このような経緯でございました。
また、2点目でございますけれども、平成25年改定当時に使うことができた平成21年の全国消費実態調査というものはリーマンショックの影響を大きく受けているといった特殊要因があり、こうした特殊要因を消費実態に具体的にどのような方法で補正して検討すべきかといった専門的知見については、生活保護基準部会等の審議会の検討による前例がなく、行政側から専門的知見を示すことには限界があったというのが2点目でございます。
今回の最高裁判決の趣旨・内容、あるいは今申し上げたような経緯を踏まえまして、これまでの専門委員会におきましては、この補正方法、特殊な経済情勢下における消費の実態に基づく水準調整の在り方について検討が行われてきたところでございました。
4点目は「具体的には」ということで、これまで御議論いただきました補正方法の検討についての記載になってございます。
続きまして22ページ、こちらも前の2ページからの続きでございますけれども、○の1つ目にありますとおり、「以上を踏まえつつ」ということで、最高裁判決の趣旨・内容を踏まえて、物価変動率を直接の根拠とするのではなく、令和4年検証の手法など現在の知見及び専門委員会の議論に基づき、平成21年の全国消費実態調査結果等のデータについて、他の経済指標や所得階層の消費自体により補正するなどの新たな手法を根拠として、消費の実態に基づく水準調整を行うことについて、反復禁止の考え方又は信義則・権利濫用の法理との関係をどのように整理するか、引き続き検討を進めることが適当ではないかと整理をさせていただきました。
1つ飛ばしまして、最後の○につきましては、当時の経済情勢や一般低所得世帯の消費実態等に関する本専門委員会での議論に基づき、消費の実態に基づく水準調整を再度行うことについては、ゆがみ調整と同様に生活保護法8条2項の規定に沿うものと整理できるものではないかとまとめさせていただいております。
続きまして、23ページでございます。
23ページにつきましては、物価変動率に基づいて水準調整を行う場合についての今後の検討の方向性でございます。
まずもって、1つ目の○にありますとおり、平成25年から実施した生活扶助基準改定については、最高裁判決において物価変動率のみを直接の指標としてデフレ調整をすることにした点において違法とされてございます。この点については、判決においてポツで記載のある点が指摘された上で、結論としては、物価変動率のみを直接の指標とするといったことについて、一連の訴訟における国側の主張が十分でないということを指摘したものでございました。
その上で、2点目にありますとおり、当時の全国消費実態調査のデータに基づく乖離を全て是正するとした場合には、影響が過度に大きくなるおそれがあるとして、最低限度の生活保障の観点から、消費を基礎とした指標に代えて生活扶助相当CPIの変動を反映することで調整をするといった方法も考えられるところでございますけれども、最後の○に「しかしながら」とありますとおり、やはり上記のような観点だけではなく、当時の経済情勢において、物価変動率のみを直接の指標として用いることの合理性について十分な議論を行うことができない限り、改めて物価変動率に基づいて水準調整を行うということについては、反復禁止の考え方や紛争の一回的解決の要請との関係上、採用することは困難ではないかと整理をいたしてございます。
ここまでが論点の1点目でございますけれども、24ページ目からが論点の2つ目でございます。平成25年当時の生活扶助基準を再度改定し、それを遡及適用することについてどのように考えるかというものでございます。
25ページ、26ページにつきましては、これまでも提示させていただきましたけれども、生活保護法の関連規定の抜粋でございます。これについては、恐縮ながら説明は割愛させていただきまして、27ページを御覧いただければと思います。
本論点についての今後の検討の方向性でございます。
上のほうにこれまでの専門委員会における御議論ということで、やや対立する意見というか、2つの視点の御指摘を掲げさせていただいておりますが、それも踏まえた形での今後の検討の方向性でございます。
まず、検討の方向性の○の1つ目に記載がございますけれども、太字下線で強調しております。判決の今回の理由中の判断において、平成25年から27年にかけて行われた生活扶助基準改定が生活保護法3条、8条2項に違反して違法とされていることを踏まえて、2つございますけれども、マル1既に改定済みの生活扶助基準を再度改定できるかどうか。それから、マル2仮に再度改定するとした場合に、それを平成25年当時に遡って適用することができるかが問題となる。このように問題設定をさせていただいてございます。
その上で、マル1でございます。既に改定済みの基準を再度改定できるかという点でございますけれども、このマル1の1個目の○に記載がございますとおり、法8条1項に基づいて厚生労働大臣の定める基準(告示)につきましては、8条2項の要件、最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、且つ、これをこえないものという要件を満たすものでなければならないと解されてございます。
その上で、今般の最高裁判決でございますけれども、ポツが2つございますけれども、繰り返しではございますが、1点目において書かれているとおり、当時の不均衡が生じているとの判断については、合理的関連性、専門的知見との整合性に欠けるところがあるとは言い難い。それから、8条2項の解釈について示された上で、2ポツ目にありますとおり、物価変動率のみを直接の指標として用いることについては、専門的知見に基づいた十分な説明がされているということはできないと。これによって、デフレ調整に係る大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があったと判示されているということも踏まえますと、既に改定された当時の生活扶助基準について、このような最高裁判決の趣旨・内容も踏まえつつ、専門的知見に基づき、生活扶助基準の水準と一般国民の生活水準との間の均衡を図る観点から再度改定するということについては、生活保護法8条2項の規定に沿うと言うことができるのではないかと整理をしてございます。
28ページを御覧ください。
前のページの続きでございます。マル2仮に再度改定するとした場合に、25年当時に遡って適用することができるかという点についての整理でございます。
○の1個目にありますとおり、既に適用された当時の告示を再度改定するとした場合に、それを遡って適用することができるかについては、法的安定性の観点や、適用対象となる者の権利に悪影響を与えないかどうかといった観点からの検討が必要であるというのが1点目でございます。
2点目として、一般原則でございますけれども、通常、法令改正は施行されると同時に原則として現実の事象に対して効力を発揮するということで、基本的には将来に向かって適用されるということが原則である。この上で、遡及適用というものについては、法的安定性の面から見るとみだりに行うべきものではないけれども、それが適用対象となる者の権利義務に悪影響を与えず、むしろ利益になるようなケースに当たる場合には許容されると一般的には解されているものでございます。
この点を今回のケース、事案に当てはめますと、平成25年当時の生活扶助基準を遡及的に改定した場合、その効力は当時の改定により保護変更決定処分が行われた被保護者全員に及ぶことになる。しかしながら、それらの者の中には、今回の最高裁判決によって処分が取り消された原告とそれ以外の方が含まれているということで、そういう意味では、それらの点について区別をした上で、権利にどのような影響があるかといった点が問題になると整理してございます。
(i)から(iii)ということで場合分けをしておりますけれども、(i)につきましては、今回の最高裁判決によって処分が取り消された大阪・名古屋訴訟の原告については、判決の形成力により、違法とはされていないゆがみ調整分も含めて処分前の状態に戻っているということを踏まえて、その既得権または期待権の範囲について、権利についてどのように考えるかという点が1つ目でございます。
他方で、(ii)にありますとおり、大阪・名古屋訴訟の原告以外の者については、当時の処分自体は取り消されてはいないといったことを踏まえて、仮に当時の基準告示を再度改定して、当時の処分を遡及的に変更する場合にはどのような影響があるかと。
その上で(iii)でございますけれども、平成25年当時の生活扶助基準を遡及的に過去に適用するということについて、法的安定性の観点や原告・原告以外の被保護者の権利に対する影響、そして、御指摘もありました生活保護法56条の不利益変更禁止の規定を考慮してもなお許容されると言うことができるかという点について整理を進めていくことが適当ではないかとまとめさせていただいております。
29ページからが論点の3つ目でございます。生活保護法の理念や実務との整合性をどのように整理するかというものでございます。
30ページを御覧ください。
まず、真ん中の箱にありますけれども、生活保護法の理念及び実務の考え方ということで記載をしてございます。
生活保護法の1条は目的規定でございますけれども、目的規定においては、憲法25条に規定する理念に基づいて、国が生活に困窮するすべての国民に対して、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長するということを目的とするとされてございます。
その上で、実務における生活扶助費の遡及支給についての運用でございますけれども、平成21年の保護課長事務連絡の記載を抜粋いたしてございます。
1点目のポツでございますけれども、太字でありますとおり、一旦決定された行政処分をいつまでも不確定にしておくことは妥当でないということで、最低生活費の遡及変更は3か月程度と考えるべきと。ただ、帰責性が当事者にないという場合については、発見月から前5年間を限度として追加支給をして差し支えないと。その場合は、自立更生にあてられるように助言指導することと運用においては記載されているというものでございます。
その上で、検討の方向性でございますけれども、1点目の○にありますとおり、今回の事案については、最高裁判決により当時の基準改定の一部について違法性が指摘されたという特別の事情がある。
2つ目の○にありますとおり、「他方で」ということで、その時々の経済社会情勢の下で最低限度の生活を保障するという生活保護法の理念を踏まえると、給付自体は本来は現に生活に困窮する者への即時的支援を目的とするものでございますけれども、そうした観点からは、支給事務の実現可能性とか、あるいは自治体・福祉事務所の負担、それから、受給者への対応の在り方など、現実的なオペレーション設計が不可欠であるというものが2点目でございます。
最後の○で「このため」とありますけれども、結論部分におきましては、自治体との協議の場などにおいて、技術的あるいは事務的な課題を早急に整理するとともに、生活保護法の理念や実務との均衡を図りつつ、今般の最高裁判決を受けた特例的な措置として整理をする方向で検討を進める必要があるのではないかと整理をしてございます。
31ページからが最後の論点であります憲法の財産権保障や法の一般原則との関係をどう整理するかという点でございます。
32ページを御覧ください。
法の一般原則及び生活保護制度の判例法理について、改めて記載させていただいた資料でございます。
まず、法の一般原則に関する判例法理ですけれども、1つ目の○については事後法による財産権の変更内容の合憲性に係る判断枠組みでございます。
それから、2つ目の○については、授益的な処分を事後的に不利益に変更する場合の判断枠組みということで記載させていただいております。
それから、生活保護制度に関する判例法理でございますけれども、これまでの判例の蓄積がございますので、3つの○で整理させていただいておりますけれども、1点目の○としては、憲法25条1項の規定というのは直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではないと。あくまで生活保護法によって初めて与えられていると言うべきというものが1点目。
それから、2点目でございますけれども、これまでも本委員会で議論がありました老齢加算に係る判決の概要でございますけれども、仮に老齢加算の一部または全部についてその支給の根拠となっていた特別な事情が認められないというのであれば、その減額又は廃止をすることは生活保護法8条2項の規定に沿うものであるというものでございます。
3つ目は今般の最高裁判決の一部抜粋でございますけれども、生活保護法の規定にいう最低限度の生活というのは、その時々における経済的・社会的条件や一般的な国民生活の状況との相関関係において判断決定されるべきものである。そうすると、厚生労働大臣は、生活扶助基準を改定するに当たって、それによって基準生活費を減額されることとなる被保護者の期待的利益についての配慮の要否等も含めて、専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権を有しているというものでございます。
33ページを御覧ください。
これらを踏まえた今後の検討の方向性でございます。
まず、1つ目の○でございますけれども、生活保護を受ける権利と憲法上の財産権保障との関係性でございますけれども、この点については、生活扶助の水準がその時々における経済的・社会的条件や一般的な国民生活の状況等の相関関係で決定されるべきとされていることを踏まえて整理をすることが必要ではないかというものでございます。
それから、2つ目の○については、授益的な処分を事後的に変更する場合の判例法理については、適用の射程については慎重な考慮が必要なのではないかというのが2点目でございます。
その上で、3点目でございますけれども、平成25年当時の生活扶助基準の遡及的な改定の適否については、今般の最高裁判決の理由中の判断が行政に求める対応をどのように捉えるかという観点、あるいは一般的な国民生活の状況等と再改定後の生活扶助基準の水準との相関関係、他方で、今回の取消判決を得た原告の個別的利益についての配慮の要否等の観点から検討されるべきものと言えるのではないかということで、最後の○で少しブレイクダウンしておりますけれども、以下のような観点から整理することが適当ではないかということで、3つ観点を掲げてございます。
まず1点目につきましては、今回の最高裁判決については、大阪訴訟・名古屋訴訟の原告に対する当時の処分を取り消すものである。ゆえに、当該原告以外には直接判決効が及ばないと考えられるけれども、今回の判決の理由中の判断を踏まえて、既に改定された当時の生活扶助基準の再度の改定というものがその趣旨に沿うものであるかどうかというのが1点目でございます。
そして、2点目としては、平成25年改定当時の経済的・社会的条件、あるいは一般的な国民生活の状況等と再改定後の生活扶助基準との相関関係を踏まえて、改めて当時の生活扶助基準を改定することが合理的な対応と言えるかどうかと。
3点目については、大阪・名古屋訴訟の原告については、判決の形成力により処分前の状態に戻っている一方で、原告以外の被保護者については当時の処分が引き続き有効であるということから、取消判決を得た原告の方々の個別的な利益と、他方において生活扶助基準の適正さといった公益的な要請の双方を踏まえてどのように対応していくということが行政として適切な対応と言えるかと。これらの観点からさらに整理することが適当ではないかと考えてございます。
以上で資料2に関する事務局からの説明を終わります。
4つの論点について、提示させていただきました検討の方向性というところに記載のあります内容について、御審議のほど、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございました。
今、事務局から説明をいただきました資料2では、最高裁判決の趣旨・内容とこれまでのこの委員会での議論というものを踏まえて、平成25年当時の生活扶助基準改定につきまして、再度ゆがみ調整及び高さ、水準調整を実施するということに関して4つの論点をいただきました。そして、各論点の中でその論点をさらに細分化した論点というのをお示しいただき、それぞれについて検討の方向性というものを示すという方向性になっております。
ただ、他方で各論点がそれぞれ独立しているというわけでもなく、相互に関連するというところもありますので、むしろこの場では総合的な観点から委員の皆様の御意見を頂戴できるとよろしいかなと思います。
それでは、どなたからでも結構ですので、挙手をお願いできればと思います。
興津先生、どうぞ。
○興津委員 興津です。
大変詳細に検討していただき、整理していただいてありがとうございました。
それぞれの説明は分かりやすかったと思うのですけれども、委員長がおっしゃったようにかなり多岐にわたりますので、全体を聞いての私の印象というか、私は次のように整理をしたのだけれどもどうかということをお話しさせていただきたいと思います。
まず一つは、今回、判決の効力という観点からすると、原告と原告でない者を分けるというのは出発点になるのだろうと思います。これは御説明の中でもあったとおりです。
原告に対しては取消判決の形成力によって減額変更処分が取り消されているので、平成25年改定前の受給額を得られる権利があるはずだというのがまず一つの出発点になるのだろうと思います。
そういたしますと、これは弁護団、とりわけ伊藤参考人の意見陳述とか意見書でも強調されていたことですけれども、現時点で原告としては国を相手に給付訴訟を提起して、平成25年改定前の水準で受給権を行使して、それは現金化することができるというのが一つの解決なのだろうと思います。
仮に本件が原告との関係だけであれば、平成25年改定前の水準で追加で支給をして、それでそれ以上は何もしないという解決もあり得るのだとは思うのですけれども、他方で、ここで原告以外の者というのが出てくるわけで、最高裁判決の中で平成25年改定をした告示が違法だと指摘されている。しかしながら、それは判決理由中の判断なので、判決の効力として告示の効力が消滅してなくなるわけではない。なくなっているのはあくまで処分であって、告示はいまだに残っていて、それは違法状態が存続しているという状態だと思うのです。違法状態をそのまま存続させておくのは、やはり判決を受けた行政庁としてはよろしくないので、それを是正する必要がある。どう是正するかというのをこの専門委員会でとりわけ議論しているのだと理解しております。
是正をするときに、一つの単純な解決は、原告以外の者も原告に合わせて、すなわち平成25年改定をした告示を廃止して、それ以前の告示を復活させて、その水準で全受給者に追加支給をするという解決は一つのあり得る解決ではある。判決の趣旨を実現するという観点からすると、一番単純な解決なのだろうと思います。
しかしながら、それをすると、恐らく生活保護法8条2項の最低限度の生活水準を超えないものという上限を課する規範との抵触を考える必要があって、その点からすると、本日前半までに経済の先生を中心に御検討くださっていた分析の結果というのが出てきて、やはり平成25年改定前の水準にただ戻すだけだと、8条2項との関係で超過給付になる可能性がある。したがって、告示の違法性を是正するのであれば、単に廃止するのではなくて、やはり平成25年当時の適切な水準に遡及的に改定する必要が出てくる。そうすると、平成25年改定前の基準を前提にして、満額がもらえるわけではないけれども、しかし、改定に沿った追加支給を受けることができる人はかなり出てくるだろうということになるのだと思います。
そうなると、今度は原告との関係をどうするかという話になり、原告は25年改定前の水準で満額できる権利を現在持っているのだけれども、基準を適切な水準に遡及的に改定すると、多分その権利が減ってしまうということにはなるのだと思うのですよね。それが許されるかというのが論点マル2の遡及改定の可否と論点マル4の財産権とか既得権保護の観点と結びついて、そういったことが許されるかどうかというのを検討する必要があるのだと思います。
解決策としては、原告については25年改定前の水準で満額支給して、それ以外の人は適切な水準で改定された基準に基づいて給付するという原告とそれ以外の人とで分けるということもあり得ないではないような気がするのですけれども、しかし、基準とか告示というのは本来一般的に適用されるべきものであるはずなのに、カテゴリーによって適用される基準が違うというのはやはり正当化できるかどうかというのは検討する必要があり、感覚としては難しいような気がします。基準を改定するということは、つまり、満額支給というのが8条2項に反している状態だという判断をすることになるので、8条2項に反している満額を原告に対してすることも果たして正当化できるかというのは検討する必要があり、しかし、他方でそれが遡及改定とか既得権の侵害になるのではないかという別の観点がありというような幾つかの論点が絡み合っていると理解し、それを事務局がマル1からマル4という形で整理して説明をしてくださったと理解しております。
その上で、私の意見というのは現時点ではっきりしたものはないのですけれども、少し前は原告とそれ以外の者とで満額支給をするという可能性もあるのではないかという趣旨の発言をした記憶があります。現在でもそれはそれなりに支持できる解決だとは思っているのですけれども、他方で、この間、経済の先生方の分析を聞いて、そう単純なものでもないかもしれない、やはり25年改定前の水準に戻すことが8条2項の要請に沿っていないのではないかということを法律の側でも受け止めて検討する必要があるなと思っているということでございます。
ということで、個人的にこれがいいという定見にたどり着いているわけではないのですけれども、現在までの私の理解をお話しいたしました。
以上です。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、嵩先生、お願いします。
○嵩委員 ありがとうございます。
御説明など、どうもありがとうございました。
私は今の興津委員ほどきれいにできていないですけれども、主に論点マル2ですかね。あと、マル3にも関わるような遡及的な改定について、生活保護法の目的に照らした意見を述べさせていただきます。
まず前提としましては、原告と原告以外で分けるということはやや難しかろうと思っていますので、差し当たり一律基準を見直すということを前提にお話しいたしますけれども、そうした場合には遡及的に改定できるかということですけれども、原告の方については一旦処分前の権利状態に戻っておりますので、そこから改めて遡及的に基準を改定するという場合には、28ページで指摘されたように既得権とか期待権の問題が生じる可能性はあると思います。ただ、現在元に戻った保護受給権については、生活保護法による制約というのが常に内在されている権利なのではないかと思います。
そして、2分の1処理を含むゆがみ調整については、最高裁にて裁量権の逸脱、濫用が認められなかったということなので、遡及的に生活保護法によって生活保護法上適法な制約を再度具体化するということは、既得権とか期待権の違法な侵害とは見られないのではないかとも考えています。
他方で、デフレ調整については最高裁にて違法と判断されていますので、ゆがみ調整と同じようには判断できなくて、それに相当する新たな何か、今回の前半で丁寧な御議論があったように、そちらの分析を踏まえて新たな高さ調整を遡及的に行うということについては、28ページの冒頭にある法的安定性とか権利への悪影響ということを慎重に検討していく必要があると思います。
この点に付言しますと、例えば第1・十分位という比較対象集団の消費水準と生活扶助基準との間に格差があるとしても、生活保護法1条に規定された目的、これは生活保護法5条によって法律の基本原理であって、法律の解釈、運用が全てこの原理に基づいてされなければならないとされていますので、8条2項を解釈、運用する際にも1条で規定されている最低限の生活保障を基本原理として、これに沿って解釈、運用するという必要があると思っています。
そして、最低限の生活保障という目的を十分に達成するためには、最低生活水準の決定プロセスなどを含めた保護の実施が安定的で、かつ権利救済が実効的であるということが必要と思っています。先ほどあった支給実務の安定性という側面ももちろんありますけれども、保護の実施の安定性といいますと、最低限の生活というのは、一回何か影響が生じるとなかなか取り返しがつかないということも多いと思いますので、本件の基準改定という側面で考えますと、基準設定について慎重な考慮とか慎重な手続を求めているということを意味すると思いまして、最高裁はそうしたことを厚生労働大臣に求めているように思います。
そうしますと、最高裁にて違法と判断されたデフレ調整について、再度新たな視点で調整のやり直しを行政に許容するという選択肢は完全に排除されるまでは思いませんけれども、保護の実施の安定性という要請にそぐわない可能性もありまして、少なくとも慎重な考慮という要請にプラスの効果はないように思います。
また、原告との関係でいうと紛争の蒸し返しということもありまして、生活保護受給権が一身専属権で、死亡してしまうと遺族も含めて救済手段が取れないということに照らしますと、紛争をもう一度蒸し返すような判断というのは、権利救済の実効性にも悪影響を及ぼすように感じております。
マル1の判決の拘束力という緻密な議論とは違ってやや抽象的な意見で申し訳ないですけれども、デフレ調整に相当する調整を遡及的に実施することについては、生活保護法の目的に照らして慎重に検討していく必要があり、個人的には今のところはやや消極的な意見ということになります。他方で、前半にありました補正をして格差がどのくらいあるのかということを確認することは、現状やその当時の状況を正しく理解するために不可欠なことと思いますので、その検証は引き続きこの専門委員会で検討していきたいと思います。
以上になります。
○岩村委員長 ありがとうございます。
1点だけ私からお尋ねしたいのですけれども、原告と原告以外の人というので今おっしゃった御意見の違いというのがあるのか、それともそれは原告と原告でない人どちらにも共通だというお考えなのか、そこだけ伺えればと思います。
○嵩委員 ありがとうございます。
やや混在していたと思うのですけれども、紛争の蒸し返しという問題については、原告について最も生じているところでして、一度訴訟を提起してまた処分をすると、もう一度訴訟を提起するという可能性もあるため、一度救済手段を取った人についてもう一度の可能性が出てくる対応というのはやや問題だと思うので、紛争の蒸し返しの問題は原告に特に生じていることだと思います。他方で、基準の改定の慎重性というのはより一般的なもので原告以外の人に対しても妥当する利益かなとは考えております。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかに。
太田先生、どうぞ。
○太田委員 ご丁寧な御説明ありがとうございました。
これまでもたびたび発言してきていますので、大体私の考えは言った格好になっていると思います。今日整理されたものでいくと、私も結局は興津先生とそんなに違うことは考えていない。私のほうが、従来より、やや遡及改定に積極的ではあったとは思います。
ただ、資料の整理の仕方に関しては、若干そうなるのかと思っているところはございますし、個々の論点についてもそうなるのかと思っているところがあるので、順次意見を申し上げたいと思います。
まず、再度ゆがみ調整及び高さ調整を実施する場合の根拠は何なのかということについては、8条2項以外あり得ないということになります。基準設定・改定権限はそこにしかないので、それしかないということになります。
だから、論点マル1、マル2、マル4は絡むのですが、私、論点3についてはどういう趣旨で論点扱いされているのかがよく分からないところがあります。確かに、生活保護はその時々の状況、その時々の即時的支援を目的とする。だから、非常にはっきりとした言い方をすれば、生活保護というのは、むしろ継続的には出さない。理念型としてはつなぎ給付でしかないはずなのです。ただ、社会的現実としては違うということは一方であります。
最高裁判決を受けた特例措置とか、3か月を程度とする遡及的なものにしているのだけれども、今回は違法性が指摘されたから例外的に扱うという説明については、従来の下級審の立場、第一次藤木訴訟以来、訴えの利益は失われないとしてきたこと、結局、被保護者が死ぬまで失われないとしていることから考えますと、大量である、大量に訂正しないといけなくなったという点においては特例措置が必要だと思いますが、過去に遡った給付をしないといけなくなるという点においては、むしろこれは違法な生活保護行政をやったときの常態、普通に起こることであるとお考えになっていただく必要があるのではないかという気がいたします。それを踏まえた上で、現実的なオペレーション設計をやっていただく必要があるということになるのではないかと思います。まずそれが入り口です。
次に論点マル1についてなのですが、20ページから21ページにかけての消費の実態について改定を行うとき、今、前半などで検討していただいていることですが、同一の理由には当たらず、判決効の関係で直ちに問題になるものではないというのは、違法と言われた拘束力の本体そのものについてはそうかもしれませんが、だから当然にやれるということにもならないのではないかと思います。
お話を聞いていてやはり思うのは、従来から消費水準を念頭に置いてやってきたわけです。したがって、今の検討は、本筋に戻っている。検討の仕方としては従来の生活保護基準改定の本筋に戻した検討をしているということになります。つまり、物価を使ってやってみるというのに対して、いろいろとまずかったのではないかとか、後で検証する必要があるのではないかと思ったときには戻りやすい手法を使っているということになるわけで、前訴においてやはり主張しやすい事情なのではないかと。行きがかり上、自分の間違いを認めるような格好になるからやらなかったという以上の意味を21ページの2番目の○とか1番目の○というのは与えないのではないかという気がします。
その点で、こちらのほうが本筋に戻ってより正しい、より適切なやり方をしているとは思いますが、その分、反復禁止、蒸し返しという非難を受けるリスクを抑えながら後でやり直すということを正当化してくれるのかというのはかなり慎重に考える必要があるのではないかと思います。
他方で、ではもうやめてしまえということになるかというと、そういうことにはならないだろうとは思います。特に、原告以外の人に対して、あえて保護基準を分ける場合、私はあまり賛成ではありませんが、あえて保護基準を分けることを考えた場合には、この作業は欠くことができませんので、それはやる必要があると思っています。
その上で、もう一つは、今日説明はされませんでしたが、22ページの2番目の○です。24年検証ではやらなかったけれども、その後、一応一定のやり方を29年検証、令和4年検証においてやって、これを使っているのでということで、24年検証よりはよりよい行政裁量行使であり、あのときの審議会は少し工夫が足りなかったのだということを我々が言えるということもやはりきちんと確認しておく必要があろうと思います。
あと、言い忘れていましたけれども、令和4年検証で使った手法をモデルにしているということは、まだ一審とか控訴審をやっていた段階なので、実は訴訟中に言えたということになります。だから、その点も、再度ゆがみ調整及び高さ調整を実施する際に、蒸し返しという点においては慎重に考えておく必要があるのではないかと思いました。
その上で、論点マル2のほうでございますが、やはり最低生活水準を上回っている部分を認識した以上は、それを再度改定することは法8条2項の規定に沿うというのは私もそう思います。厳密に考えれば、原告と原告でない人の間にそこは差があるだろうとも思います。原告でない人については、どちらかというとむしろ基本は利益的に、要するにデフレ調整分、単純にデフレ調整をやらないとすると、その分上がるわけだから利益的になるし、その分保護の水準を下回らせていたわけですから、むしろやる任務があるだろうとは思うのです。
原告の既得権、期待権については、一旦処分が遡って取り消されている。ただ、そこは嵩委員もおっしゃったように、生活保護の権利の制約は常に水準が動いている権利だということであり、基準が最低生活水準を上回っていれば、それを引き下げる。その分権利が削られるということはやはりあり得ると思います。
これは、少なくとも25年当時にゆがみ調整と2分の1処理しかやっていなかったと仮定すれば、こういう既得権とか期待権のようなものは問題にならなかったはずです。問題は、10年間争って遡及的に取り消してもらった今、争っていた期間に何らかのより強い、期待というべきもの、期待なり既得権のようなものが生じているのかということは一度チェックしておくべき論点ではあろうと思います。ただ、私はその部分については、ずっと払ってきたわけではなくて、むしろ払っていない。かつ、その部分は適法だと言われ続けてきたわけですから、10年間争ってきた、ようやく最高裁で勝ったということがゆがみ調整や2分の1処理をできなくするような形で期待、信頼を高めたという事情はないだろうと思っています。だからこそ、ゆがみ調整は2分の1処理を含めて遡及的にやることが法8条2項の趣旨に沿うものと思われると判断してきたということになります。
あまり整理されず、既に出た先生方の意見に対して補充を行うだけの発言ですが、私からは以上になります。
○岩村委員長 ありがとうございます。
また太田さんに同じような質問なのですが、論点マル2について、高さ調整のところで、原告と原告以外で新たに基準改定を行うということの利害関係の違いというのはあるのかないのか。特に原告以外の人たちというのは訴訟では争っていないので、例えば反復禁止効というのは彼らとの関係では問題にならない。そういう意味では、反復禁止効が問題になるのは原告だった人たちだけということになると思うのですが、そこで、例えば今回いろいろ調べていただいて、やはり基準を改定するとすれば下がりますよねということにはなるのですが、基準の再改定というものが原告以外の人たちとの関係で反復禁止効が問題にならないとすると、あまり原告以外の人たちについて基準の再改定を妨げる事情というのはないようにも直感的には思えるのですが、そこはいかがでしょうか。
いずれにしても、原告と原告以外と分けられるのかという大問題が前提としてはあるので、そこはどう考えるかというのもまずあるのですが、一応そこは横に置いておいてということで、太田さんの御意見を伺えればと思います。
○太田委員 判決の反復禁止のことだけ考えるならば、最初に興津委員がおっしゃったように、原告についてだけは25年当時のものをそのまま払う。それ以外については何もしないというのは、判決効との関係ではあり得る解決だと思います。
ただ、問題は、少なくとも物価を基準にしたデフレ調整に係る部分については違法だと言われているわけです。その結果、告示が当然に無効になっているのか、違法だと言われているけれども有効でまだ妥当しているのかというのは、この判決は曖昧にしているように見えます。法規命令が法律の委任の趣旨、範囲を超えている場合、実は委任命令は無効だと最高裁ははっきり言うときがあります。ふるさと納税に係る最高裁判決のような形で。そう言っていない辺りに、今回の最高裁は慎重な言い方というか曖昧な言い方をしているなと改めて思ってはいるのですけれども、しかし、少なくとも違法だと言われた以上は、原告以外の被保護者との関係においてもやはり違法な基準を適用したことになるわけで、少なくとも本来行政としては誠実に振る舞う限りは職権による処分の取消し、変更を考えないといけないはずです。その点において、デフレ調整のことを訂正した新しい保護基準をつくって処分をやり直すというのは、職権取消しの論理からすれば要請されることだろうと思います。
ただ、原告に関して言えば、実はデフレ調整しか違法とされていないのに、処分を全部取り消してもらって、2分の1処理を含めたゆがみ調整の部分まで取り消されてもっと上に行っているわけです。その部分は現在の時点では原告でない人には生じていません。とりわけ原告についてだけ問題になる既得権、期待権というのは、デフレ調整の部分も取り消されましたし、それに加えて2分の1処理を含めたゆがみ調整の部分まで取り消されている部分です。言わば本件改定の中で違法を基礎づけていない要素についてまである種の過剰な救済が与えられているということになります。私は過剰な救済だと評価しますが、ただ、一旦そこまで回復しているのは間違いないわけで、その部分を既得権、期待権としてどう保護する必要があるのかないのかという問題になるのだと理解しています。
反復禁止との関係は先ほど最初のほうに言った説明でよろしいですか。
○岩村委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでございましょうか。
興津先生、失礼しました。
○興津委員 興津です。
太田先生に確認的にというか、あるいは今後の検討のために質問をさせていただきたいのですけれども、基準を改定するときに、高さ調整については判決の論理を詰めていけばできないわけではないけれども、やめたほうがいいだろうという御趣旨の発言をされたと思うのですが、まずその点は間違いないでしょうか。
その場合に、やめたほうがいいという考慮がどこから出てくるのかという点が気になっておりまして、というのは基準改定をする根拠は8条2項だけだろうと、そこは私も賛成いたします。そうなったときに、8条2項によってやめたほうがいいということをどこから根拠づけるのか。例えば仮に経済学的な分析に基づいて、高さ調整についても最低限度の生活水準を超えている状態だったとすると、そこはやはり高さ調整をすべきだという批判が8条2項から出てきてしまうような気がするのですよね。ただ、それをやると、嵩先生もおっしゃったことですけれども、広い意味での紛争の蒸し返しとか法的安定性の観点からやはり懸念があるという点は私もすごく共感するのです。だから、現実問題としては、あるいは個人の心情の問題としては抵抗がある。しかし、法的に8条2項からそこをどう基礎づけられるのだろうという点が気になっているのですけれども、もし今の段階でお考えがあれば教えていただけないでしょうか。
○太田委員 きちんと詰めていなかったかと思いますが、おっしゃることはそのとおりです。私の立場を整理すると、8条2項について高さ調整に当たるものをやるべきだというデータが出てきたときに、なお今回は控えたほうがいいのではないかというのは、第一には原告との関係での紛争・訴訟の蒸し返し防止、既に一度争って負けてしまった。広い意味で、一般的に言えば訴訟法上の信義則的な考え方によって、8条2項の趣旨を貫徹することは控えたほうがいいのではないかという考え方です。結局決めるのは裁判所ですから、やってやれないことはないわけです。改定をやってみて、最後は裁判所が決めてくださいという態度もあり得るとは思うのですけれども、やはり嵩委員がおっしゃったように、再度原告に負担をかけ、あまつさえ生活保護は亡くなってしまった場合には訴訟承継もできませんので、救済が得られない。そういうことをさらにまたやるのかというと、やはりそこは蒸し返しを回避する、一発で決められなかったことのコストは厚生労働省が負担するべきではないか。言わば訴訟法上の帰結のリスク計算をして基準改定を控えるという行政裁量を厚生労働大臣は与えられているのではないかと思います。
ただ、そういう蒸し返しというのは厳格に詰めれば原告との関係での思考ですから、もちろん原告以外の者との関係では、高さ調整も含めてある種のフルスペックの再度の遡及改定を行うということはよりやりやすいはずではあります。ただ、そのときに、そこから先、2種類の基準をつくるということが、そもそも最低生活を全国民に等しく保障する、無差別平等に保障するという生活保護の原理に照らして、やはりそこまではやらなくてもいいのではないかということが大きい。
それから、今回の訴訟は、やはりある種のクラスアクションといいますか、代表訴訟的な性格があると思います。訴訟に要するコストなども考えると、不満のある人全員が訴えられるかどうかも正直分からないものです。違法事由も保護基準の違法ということですから、ある種個性のない訴訟ではあるわけです。そうすると、変な話ですけれども、原告が全員死亡していなくなるという事態がない限りは代表訴訟的にやれるものです。ですので、そこで原告か原告でないかという分け方で、偶然で原告になった人はおこぼれが余分にありますみたいな解決はあまり適切ではないのではないかという思考になります。順をたどればそういう形の説明になろうかと思います。
○岩村委員長 ありがとうございます。
法的な問題なので、法学の委員だけの御発言ということに結果的になってしまっているのですが、ほかの専門の先生でもどうぞ御遠慮なく、何か疑問点等があればと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、今日は資料2についても非常に活発に御議論いただいて、貴重な御指摘、御意見を頂戴したと思います。
事務局におかれましては、資料1、資料2それぞれについて今日御議論いただきましたので、そうした中で出てきた御意見、御指摘などを踏まえて、それぞれの論点について整理をいただいて、次回以降の議論につなげていきたいと考えております。
また、次回は、今日も議論になりましたけれども、平成25年生活扶助基準改定を再度実施すると仮に考えた場合の論点なども踏まえて議論を進めてまいりたいと考えております。ですので、事務局におかれましては、次回に向けまして資料等の準備をお願いしたいと思います。
まだ若干時間はありますけれども、もし特段御発言がなければ、今日の会議はここまでということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の審議はここまでとさせていただきます。
次回の開催につきまして事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○千田社会・援護局保護課長補佐 事務局でございます。
次回の開催につきましては、10月29日水曜日の18時からを予定しておりますけれども、詳細についてはまた追って皆様方に御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。
○岩村委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の専門委員会の審議はここまでとさせていただきたいと思います。
先生方におかれましては、大変お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございました。また、貴重な御意見、御指摘などをいただき、こちらについても厚く御礼を申し上げたいと思います。
では、これで散会いたします。ありがとうございました。



