第5回電子処方箋推進会議 議事録

日時

令和7年9月29日(月)17時00分~18時30分

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール15A
(東京都 千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング15階)

議事

議事内容

○長嶋補佐  定刻になりましたので、ただ今より、「第5回電子処方箋推進会議」を開催いたします。皆様におかれましては、御多用のところ御出席賜りありがとうございます。
 本日は、すべての構成員の皆様にオンラインにて御出席いただいております。
 また、参考人としまして、一般社団法人日本災害医学会災害薬事委員会委員長 渡邉様及び一般社団法人日本循環器学会情報広報部会長 岸様にオンラインにてご参加いただいており、電子処方箋等の臨床上の活用について御説明いただきます。
 では、資料の確認をさせていただきます。皆様方におかれまして、議事次第、資料1、資料2、資料3を事前にメールにて送付させていただいております。
 次に、進行について御説明いたします。事務局と参考人からの説明の後、質疑応答を行います。御意見、御質問の際は、Zoomの挙手機能にてお知らせいただき、事務局より指名された後、御所属と氏名から御発言ください。御発言の後は、マイクをミュートにしていただくようよろしくお願いいたします。
 事務局の方の紹介は、割愛させていただきます。
 まず会議の開催に当たりまして、医薬局長の宮本から挨拶の方を申し上げます。
○宮本局長 医薬局長の宮本でございます。本日はお忙しい中御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 開催に当たりまして、最近の電子処方箋の状況を簡単に御紹介いたします。今月21日の時点で、約86%の薬局に運用を開始していただいておりまして、電子処方箋のメリットである薬の相互作用リスクの防止、災害などの有事における活用が可能となっております。
 医科医療機関の運用開始率も2割を超え、歯科診療所も年初と比べると約3倍の導入率となっております。改めて皆様の御協力に感謝申し上げます。
 また、昨年12月に発生いたしました、医薬品の誤表示問題につきましては、原因となったダミーコードをシステム上で受け付けないよう、本年8月に改修を行い、安全に運用できる環境整備を進めております。
 さらに、医療現場や患者全体でメリットを享受できるよう、更なる電子処方箋の普及と活用について、本年7月に新たな目標を提示したところでございます。本日は、この新目標を踏まえた今後の対応と取組状況を事務局から御説明させていただく予定としております。
 本日は皆様から忌憚のない御意見をいただき、電子処方箋の着実な普及と活用につなげてまいりたいと考えております。導入の推進に向け、引き続き御協力いただけますよう、改めてお願い申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○長嶋補佐 それでは、これより議事に入りますので、会場のカメラのみの方は御退席いただきますよう、よろしくお願いいたします。それはまず議題1について、事務局より御説明させていただきます。
〇徳弘室長 事務局の、医薬局総務課電子処方箋サービス推進室長の徳弘でございます。本日の資料について、早速ですが御説明いたします。
 2ページ目を御覧ください。こちらが目次となります。まず電子処方箋の現状について触れた後、本年7月1日に「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームでお示しした、「電子処方箋の新目標」と「今後の対応方針」の取組状況について御説明いたします。
 4ページ目を御覧ください。まず、「電子処方箋の普及と活用状況」について御説明いたします。こちらは電子処方箋の導入状況を示しているものとなっております。皆様の御協力もありまして、9月21日時点で薬局への運用開始割合はおよそ86%、利用申請割合は9割を超えております。
 また、医科医療機関の普及率は年初1割程度というものだったのが2割を超えまして、また歯科診療所につきましても、導入率は5%程度とまだ低い状況にはありますが、年初に比べれば3倍以上となっておりまして、皆様の御協力に改めて感謝申し上げるとともに、引き続きの御協力をお願いしたい次第でございます。
 5ページ目を御覧ください。処方・調剤結果登録に伴い、医療機関・薬局の重複投薬アラート発生件数、そして併用禁忌アラート発生件数ともに増加の傾向にございます。電子処方箋の活用により、複数医療機関を受診する患者の薬の相互作用リスクの防止など、医療安全の確保につながっているものと考えております。
 次に7ページ目を御覧ください。こちらが7月1日に開催いたしました「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームでお示しした資料の内容となります。本日はその一部を御報告いたします。
 電子処方箋に関する新目標についてですが、「更なる医療安全を確保するため、電子処方箋については、保険制度下における処方箋について、速やかに概ねすべての調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録されることを目指すとともに、患者の医療情報を共有するための電子カルテを整備するすべての医療機関への導入を目指す」ことといたしました。
 8ページ目を御覧ください。新しい目標を踏まえた今後の対応方針になります。昨年12月に発生いたしました、コードに由来する医薬品の誤表示問題を踏まえ、安全に運用できる仕組み・環境を整備していくとともに、新たな導入・利用促進策、そして周知広報の強化、効果検証など各種施策を実施していきます。対応方針に対する取組状況については、第3章にて詳しく御説明いたします。
 9ページ目を御覧ください。医薬品コードの関係性が整理されていないことがトラブルの発生につながり得るため、主要な医薬品コードの関係性を整理し、国が責任を持って維持管理を行ってまいります。こちらも対応状況の詳細については後ほど御説明いたします。
 次に11ページ目を御覧ください。電子処方箋を安全に運用できる仕組み・環境の整備に関する、現在と今後の取組について御説明いたします。医薬品の誤表示問題を踏まえ、令和7年8月28日に、電子処方箋管理サービスにダミーコードを受け付けない改修を実施し、ダミーコードに起因する医薬品誤表示を防止いたしました。一方、医療機関・薬局におけるハウスコードの設定不備に起因する事象は、電子処方箋管理サービス側のシステム改修では防止できないため、引き続き医療機関・薬局の個別点検が必要となります。こうした状況を受け、点検を終了していない医療機関・薬局に対し、なぜ点検報告を行っていただけていないのかという要因調査を行いまして、この調査結果を踏まえ、点検報告を未完了の医療機関・薬局に対し、点検をお願いするチェックリストや解説資料などを含む資料を郵送することといたしました。加えて、医療機関や薬局の皆様あてに確認の架電や、医療機関・薬局の皆様が実施いただける処方・調剤情報の閲覧テスト実施手順書の用意も含め、点検に御協力いただけるよう、取組を行う予定です。
 他方で、やはりこうした取組には期限が必要であろうという認識の下、状況を見ながらになりますけれども、原則年末を目途に、点検未報告の医療機関・薬局については電子処方箋管理サービスへの接続を一時停止するという措置を講じる予定としております。もちろんこうした事態にならないよう、関係の皆様にも御協力をいただきながら最大限我々の方では努力するとともに、仮に期限を過ぎたとしても、点検報告いただいた場合には、速やかに再度電子処方箋管理サービスを御利用いただけるように手配する予定でございます。
 12ページ目を御覧ください。こちらはハウスコードと設定不備のイメージを示した図になりますので、御参考にしていただければと思います。
 13ページ目を御覧ください。こちらは既に実施してきた対応になりますけれども、先ほど申し上げました電子処方箋管理サービスにおける医薬品のダミーコードに関する改修のほか、令和7年4月からは医療DX推進体制整備加算の算定に当たり、医薬品のマスタの設定等について点検を完了し報告を行う必要がある旨の疑義解釈通知を発出いたしました。また、一般名コードやYJコード、レセプト電算コードの廃止に関するシステム上の措置も進めております。
 14ページ目を御覧ください。先ほど御紹介いたしましたけれども、医薬品コードの関係性が整理されていない課題を解決するため、国が責任を持ってマスタ情報の維持管理を行うことを7月1日に公表いたしました。具体的には、電子処方箋管理サービスで利用している医薬品コードの対応表を公開する方向で調整しております。また、加算対象外の医薬品についても、一般名コードで登録できるよう一般名コードの整備を行いまして、医療機関や薬局で早期に利用できるよう、コードの早期付番を進めていく予定でございます。
 15ページ目を御覧ください。更に電子処方箋を安全に運用していただくため、電子処方箋の運用開始前に活用できるテスト環境を御用意しております。このテスト環境では、処方情報や調剤結果の登録、閲覧などが可能で、意図した情報が適切に登録されているかの確認が可能となっております。これまではシステムベンダーの利用が主となっておりましたが、利用数が少ない医療機関・薬局にも活用いただくため、「医療機関・薬局向け処方・調剤情報の閲覧テスト実施手順書」を作成し、公表・周知したところでございます。
 次に16ページ目を御覧ください。電子処方箋の導入・利用促進策について御説明いたします。デジタル庁で現在公表されている、通称ダッシュボードというものにつきましては、政策に関する進捗等の情報を可視化し、一元的に表示・閲覧できるツールとなっております。地域別の電子処方箋の普及状況などを可視化することで、普及促進や国民理解を獲得することを目的としております。これの更なる活用を促すため、令和7年9月26日より、重複投薬・併用禁忌アラートや調剤結果状況などの指標を追加いたしました。また、市区町村単位での導入状況も追加し、導入されている地域の好事例を参考にしていただけるよう、そういった取組により地域での普及促進を図ってまいりたいと考えております。
 17ページ目を御覧ください。令和7年10月以降の電子処方箋の導入補助についてでございます。令和7年10月以降も、医療情報化支援基金、通称ICT基金による電子処方箋の導入補助を継続・拡大いたします。導入期限を令和8年9月まで延長いたしまして、従来の院外処方機能に加え、院内処方機能も補助対象に追加いたします。ただし、注釈に記載のとおりですが、院内処方情報につきましては、電子処方箋管理サービスへ登録する際に、電子署名を求めていないため、電子署名に必要となるHPKIカードの保有等は必ずしも必要ではございません。このため補助事業におきましても、電子署名を必要としない施設につきましては、HPKIカードの保有等は求めないこととしております。
 令和8年10月以降の補助の取扱いにつきましては、令和8年夏までにとりまとめられる、電子カルテ/共有サービスの普及計画を踏まえまして、改めて補助の取扱いを検討いたしたいと考えております。ただし、薬局につきましては、現時点においても概ねすべての薬局に導入が見込まれているということから、補助対象とする導入期限といたしましては、令和8年9月までの延長を最後とさせていただきたいと考えております。このため、未導入薬局につきましては、導入期限まで最大限我々の方でも導入を促してまいりたいと考えます。
 18ページ目を御覧ください。薬局の電子処方箋運用開始率はおよそ86%、利用申請済みまで含めると約93%に上ります。他方で、小規模・個人薬局の電子処方箋の運用や調剤結果登録、また、医療機関の運用開始、処方情報登録を進めていくことが重要と考えております。小規模・個人薬局につきましては、状況を考慮いたしまして、メリットや準備作業をまとめたスターターキットを作成し、直接郵送することを考えております。
 また、引き続き医療機関や薬局に対しまして、導入阻害要因等を継続的に分析するため、フォローアップ調査も行うこととしております。
 続いて19ページ目を御覧ください。周知広報について御報告いたします。電子処方箋管理サービスの改修も受けまして、今後はより国民が活用する場を作っていかなくてはならないという思いの下、周知広報を強化しております。国民向けには、厚生労働省のホームページのリニューアル、SNS、デジタル広告、漫画広告、自治体広報誌など、多様なチャネルを活用しまして周知広報を強化しているという状況にございます。皆様方もSNSでのリアクションなど、引き続きの御協力を賜れれば幸いでございます。
 20ページ目を御覧ください。また、保険者を介した国民周知のほか、医療機関・薬局へ設置いただくことのできる高齢患者向けの電子処方箋に関する周知物の作成、そして大学生協等における電子処方箋のポスター掲示、民間サービスのアプリ内にあるバナー等での周知に御協力いただくことも予定しております。医療従事者向けには、これまでも薬による患者のリスクを防いだ好事例の周知等を実施しておりますが、さらに学会にも御協力いただきまして、臨床における電子処方箋の活用事例の周知を行い、医療従事者の電子処方箋の理解の醸成、そして普及・活用拡大に向けて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 本日参考人として御説明いただきます、日本災害医学会、日本循環器学会を始めといたしました各学会にも御協力いただき、今後も臨床における活用事例などを周知していく予定としております。
 次に21ページ目を御覧ください。最後に効果検証について一部御紹介いたします。医療機関・薬局から社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会の問い合わせ窓口に寄せられた、電子処方箋に関する問い合わせ状況になります。令和7年1月から9月6日までに、約1万4千件の問い合わせがございました。そのうち、補助金や利用申請に関するものが全体の6割強を占めるという状況にございます。このほか、重複投薬等チェックに関する問い合わせもいただいているという状況でございます。
 22ページ目を御覧ください。よくある問い合わせとその回答事例をいくつか御紹介いたします。事例1と2ですが、電子処方箋の利用申請手続や導入後の流れ等に関する問い合わせに対し、該当の資料やマニュアルを御案内しているという状況になります。事例3は電話等で薬局が疑義照会を行った場合も、その内容や結果は薬局にて紙の処方箋への記録が必要ですが、同様に電子処方箋管理サービスに登録する調剤結果として記録が必要であることも御案内しております。事例4は、重複投薬等のアラートが多数出た場合に、システムエラーではないことを確認し、参考情報として必要に応じて医療機関での処方の再検討や、薬局での疑義照会をお願いしているという事例になります。
こういったよくある問い合わせ事例や勘違いポイントについて分析しながら、周知資材の作成やFAQに掲載するといった改善を図っているという状況になります。
 23ページ目を御覧ください。先ほどの事例4との関係になりますけれども、重複投薬等チェックに対して、医療機関・薬局から重複投薬アラートが多数発生の患者がいるという問い合わせが複数ございました。社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会で調査をしたところ、いずれもシステムのエラーではございませんでした。これらの事例は、飽くまで調剤情報に関する現在のデータ上で把握できているものに過ぎず、必ずしも調剤されたかまで追跡することはできませんが、患者が必要以上に薬を受け取ってしまった可能性を示唆するものでございます。
 一方で、本事例を含め一部の薬剤について、マクロデータとして処方された薬の量と、実際に調剤された薬の量を比べますと、令和7年の6月で数百から数千の単位での減少が確認できております。したがって重複投薬等チェックによるアラートを活用した重複投薬の適正化というものは、着実に行われているものと我々の方では評価しているところでございます。
 24ページ目以降は、各システムベンダーの電子処方箋への対応状況を示した参考資料となります。医療機関・薬局向けのシステムベンダーから開発状況等を確認し、現時点で概ねの事業者が電子処方箋に対応済みということになっております。今後、先ほど御紹介いたしました新たな予算方針に基づきまして、導入の際の参考としていただければと考える次第です。私からの御説明は以上とさせていただきます。
○長嶋補佐 続いて、議題2について、渡邉参考人より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇渡邉参考人 はい、よろしくお願いします。災害対応における医療提供の継続に向けた電子処方箋の活用と今後の展望ということで、学会としての広報活動の取組を紹介させていただこうと思います。よろしくお願いいたします。
本日は災害時に今まで課題だった点をまず述べさせていただきまして、その後電子処方箋等の基本的な機能が災害時に有用であった事例などを紹介させていただきまして、学会としての今後求める部分に関しましての御報告をさせていただこうと思います。
 次お願いいたします。「災害時の医療提供における課題」ということで、これは災害医療全体でどういった目的でやっているかというところになりますが、防ぎ得た災害死への対策、災害関連死や健康被害の防止ということで、これまで阪神淡路大震災以降、東日本大震災、熊本地震等々ありまして、こういった課題が大きく上がってきている。その中でこれらを防止するために、やはり医療の継続ということは重要であろうということで、医薬品の安定的な供給という意味での電子処方箋ということをお話しさせていただこうと思います。
 次お願いいたします。上の写真は東日本大震災のときの、宮城県の女川町の被災地の様子になりますけれども、このときはお薬すべてが流されてしまったとか、医療情報もなくなってしまったということで、紙媒体であったお薬手帳が非常に効果的であったという事例の報告が多く上がっているというところでありました。これ以降、お薬手帳の普及というところが大きく進んできたかと思います。
その下の写真は、西日本豪雨災害のときの、岡山県真備町の一医療機関、浸水してしまった地域のクリニックの先生の診療所を撮影させていただいていますけれども、紙カルテで運用されていまして、こういったものがすべて水没してしまったということで、診療記録等もすべて流れてしまいました。非常に患者さんの過去の医療情報を拾うこともなかなか難しかったということがあります。そういった中で、右の写真などでは、これは熊本地震のときの避難所の様子になりますけれども、やはりこういったところで医療の継続が受けられなかったとか、健康被害などが起こることによって、逆に医療の受診が非常に増えてしまい、こういった場にDMAT等で医療管理が行われているというところになります。
次お願いいたします。先ほども少し申しましたが、災害医療の目的は、防ぎ得た災害死や災害関連死をしっかりとなくしていこうというところになります。平時の医療提供体制であればなくならなかった命や健康被害というものも、併せてなくしていこうということになるかと思います。
 次お願いいたします。これを見ていただきますと、東日本大震災の際の防ぎ得た災害死ということで、やはりそういった中でも薬剤の中断や、慢性疾患の治療の中断というところで、実際患者さんが亡くなられているというデータも出ているというところになります。
 次お願いいたします。東日本大震災では、防ぎ得た災害死だけではなくて、災害関連死などでは、やはり病院機能の低下・停止や、初期対応の遅れというところで、これは医薬品供給も含めての話になりますが、災害関連死として認定されているところが少なからずあったということが報告されているというところになります。
 次お願いいたします。今はこのような形で、これは能登半島地震の写真になりますけれども、避難所生活での健康維持というところにも非常に大きな影響がありまして、やはり医療の継続性や、実際服薬ができないというところが非常に多く課題として上がってきたというところがございます。
 次お願いいたします。ここで、災害時の電子処方箋の活用についての好事例を少し御紹介させていただこうと思います。これは能登半島地震の事例になりますけれども、オンライン診療等が行われたとしても、なかなか処方箋を被災地の薬局等が受け取ることができないということも、被災などによって実際に起こっているということがありますけれども、遠方の薬局などでも電子処方箋であれば受け取ることができて、調剤を行うことができるというところが、通常の災害医療の特別な事例というところよりも、電子処方箋を使うことによって保険診療が継続できたというところが、非常に大きなポイントかと思います。
こちらの事例では、避難所における医療の継続ということで、服薬情報とかそういったものが震災などによって紛失してしまうとか、その先にあるところですけれども、オンライン資格確認等で過去の履歴などを引っ張ってきて、それに基づき調剤などを行うことができて、医療の継続が行われたというような事例もあります。
 次お願いいたします。災害発生時においても、オンライン資格確認等のシステムや、電子処方箋の活用が広がれば、やはり医薬品の供給という部分と医療の継続というところがつながっていくかと思いますので、先ほどから申している災害関連死などの予防につながっているというところになるかと思います。
 次お願いいたします。これは言葉で表したものでありますけれども、薬局の電子処方箋の管理等のサービスが、件数が増えることによって、やはり災害時のオンライン資格確認等では少し入手できるデータのタイムラグが出てくるということがありますけれども、電子処方箋で調剤することによって、よりリアルタイムな処方状況などが入手できるということが分かっておりますので、こういったところをうまく活用していくことによって、患者さんの健康維持につながっているのではないかと考えております。
 次お願いいたします。ここからは医療情報等の閲覧方法ですので割愛させていただきたいと思いますが、このようなことを学会などでは少し広報をさせていただいているところになります。
 次お願いいたします。これも同様になります。こういったところを過去の事例などでは、これは豪雨災害のときの事例になりますが、どうしても我々医療従事者が手の届かないところにできてしまう孤立集落など、そういったところにはやはり自衛隊の方々に行っていただいて、困っている方がいるという情報だけを持って帰ってこられるわけですけれども、このときはまだオンライン資格確認ですとか電子処方箋などが普及していなかったというところで、支払基金のところからレセプト情報を入手して、それに基づいて調剤などを行っていったという事例があります。ですので、やはり紛失してしまった医療情報をいかに正確に早く取るかということは、災害時には非常に大きなポイントになっているというところになります。
 次お願いいたします。能登半島地震のときは、このような調剤をする場所をしっかりと地域の避難所や、保険の福祉調整本部のようなところに設置をすることによって、より早く患者さんの手元に適切な医薬品を届けるということに貢献できているかと思います。
 次お願いいたします。これもモバイルファーマシーと呼ばれるものなども活用して対応していたというところになります。
 次お願いいたします。これは災害時にはいろいろな職種であったりですとか機関が一堂に会して、避難所対応であったり被災地域対応を行っておりますので、やはり統一したシステムや、統一したフォーマットの中で動くことができるというところは、非常に大きなポイントになりますので、今後このような国の方針が動いているようであれば、やはりそういったところを踏襲するような形での対応をしっかり考えていく必要があるというところになります。
次お願いいたします。我々の学会としましては、こちらは災害医学会の方ですけれども、災害時における電子処方箋の活用についてというところで、先ほどの好事例や電子処方箋に関する運用の御紹介などをさせていただき、問い合わせ窓口なども作らせていただいているというところになります。
 次お願いいたします。これは別の学会ですけれども、薬剤師が多く所属するこちらの学会でも同様に、電子処方箋の運用についての広報などをさせていただいているというところになります。
 この紹介だけではなくて、問い合わせやこういった好事例を収集できるというのは、学術団体としてそういった役割もあるかと思っておりますので、こういったものを収集しながら、今後の展開や継続的に調査研究などを行っていく体制を取っていこうと考えているところになります。
 今後は、医療機関が平時からしっかりとこういった電子処方箋などを取り入れていただいたり、オンライン資格確認ができるような環境が整備するというところが、平時からできるというところであれば、災害時にもさほどの大きな混乱がなくスムーズに移行できるというところがございますので、やはり平時からの準備というところも踏まえて、こういった電子処方箋の活用なども進めていただけたらと考えておりますし、我々としましては、災害時にやはり医療救護班と呼ばれる、活動するチームが発行する処方箋に関しては、なかなか記録が患者さんの手元にも残りにくいですとか、記録としてほかのチームの人が知るというところがなかなかできていないという状況でもありますので、やはりこのように電子化をして、統一されたフォーマットの中で動くというところであれば、やはりこれは被災者、患者さんのためにも有益かと考えておりますので、そういった部分も今後進めていくことができたら非常にありがたいと考えているところでございます。
 私の方からは以上となります。ありがとうございました。
○長嶋補佐 御説明いただきありがとうございました。続きまして、議題3について、一般社団法人日本循環器学会、岸参考人より御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
〇岸参考人 皆様よろしくお願いします。日本循環器学会の情報広報部会長をしております岸と申します。我々の循環器学会は、循環器病を対象にしているわけでございますけれども、循環器病といいますのは、日本では悪性腫瘍に次いで死因としては第2位でございます。ただ、75歳以上あるいは女性と限定しますと、悪性腫瘍より多いのが循環器病ですが、2017年より脳卒中・循環器病対策基本法が施行されておりまして、その対象疾患であります脳卒中、心不全、血管病のうち、心不全そして血管病、血管病の中でも急性心筋梗塞や、更なる血管の動脈硬化に関する疾患が含まれております。そのような循環器学会でございますけれども、循環器診療の特徴としては、やはりどうしても高齢の患者さんが多いということと、あとはどうしても血栓、血の塊ができないようにするお薬や、血圧のお薬、コレステロールのお薬、糖尿病のお薬、様々な心臓の負担を取るお薬が、特に心不全の患者さんは非常に薬が多くなります。高齢者になればなるほど多くなります。ということを考えますと、どうしても既存の紙のいわゆるお薬手帳では、かなり危うい診療を我々は普段していると思っておりまして、特に地方の方に行きますと、高齢者が多い。例えば私は福岡県南西部の大川市というところで、高血圧とか心不全のセンター長をしておりますけれども、そこでは外来平均年齢85歳を超えている状況でございますので、正直何のお薬をどう飲んでいるというのは本人も分かっていないし、家族も分かっていないという状況の中で診療しないといけないとなりますと、どうしてもこの電子処方箋のメリットであります、やはり薬の重複のチェック、あるいは相互作用のチェックというのは、非常に有用でございます。これは恐らく都会のいろいろな環境よりも、田舎の方がそのメリットは大きいのではないかと、今日の冒頭の説明を聞きながら改めて感じていました。ただ、これは都会と田舎、大病院とクリニック、そして薬局、それぞれメリット・デメリット、そしてこの電子処方箋システムの導入に対する障壁は、もしかしたら異なるのかと思いましたので、それぞれの環境のところの具体的な事例を、私が知っているところに聞いてみました。それぞれの環境での状況を正しく反映しているわけではありません。あくまでもバイアスのかかった一事例というふうにとらえてください。ただし、実際にそう感じているというリアルな声でございます。ですので、冒頭の御説明を聞きながら、特に田舎のクリニックあるいは中規模の病院、そして薬局では、かなり誤解と言いますか、不要な懸念がもしかしたらまだまだあるのかと思い、今回いただいたお話と、今日冒頭のお話とちょっとずれも感じましたので、そういうところを改めて埋めていくというのが、これはやはり国として必要なものなのかと思います。改めて都市部・田舎部の大病院、そして都市部・田舎部の中規模のクリニック、そして都市部・田舎部の薬局という点でそれぞれ一枚ずつまとめてみましたのでよろしくお願いします。
 まず都市部の大病院でございます。メリットとしてはやはり重複投薬や併用禁忌の自動チェックというのは非常に大きいですし、特に大学病院などで研究データの活用という意味でも非常に発展性を感じるシステムだと思いますし、診療履歴の強化ですね、どうしても大病院、大学病院だとほかの近隣の病院から紹介を受けて受診される方が多いので、そのときに薬の内容のチェックというのはこれまで非常に大変でした。そういう意味では診療連携の強化というのは非常に有用だと思います。デメリットとしては高額な運用コスト、特に大病院になればなるほど、これは確かに無視できないところになりますし、あとシステム統合の複雑さ、既存のシステムとどうやっていくのかということ、あとどうしても様々な経験年数、様々なバックグラウンドの医者がいますし、特に大学病院だと数年だけいて人事で別の病院に行く方も多いですので、医師の学習コストと言いますか、電子処方箋を含めたシステムの使い方のトレーニングというのは常に一定レベルまで上げないといけないというので、その学習コストという問題がありますが、デメリットはメリットを大きく下回るものかと思います。ですから導入障壁としては、まず高額な導入運用コストがかかるが予算確保が困難だというところは確かにあるかと思いますし、先ほど説明がありしましたけれどもベンダーの対応が、確かにもしかしたら少しとも思ったのですが、これは正直今はほとんどないのかという気もいたします。セキュリティ要件としては、当然都市部の大病院になると大きくございます。導入事例として福岡県内の大学病院で、具体的にどことは言いませんが、心不全を中心にたくさん見ている病院で、私が前にいたところですが、ここでやはり現場で本当に声が大きかったのが、他院での、循環器病院ではどうしても肺に水が溜まったりおなかに水が溜まったりということで、利尿薬をたくさん使うんですが、この利尿薬の使い過ぎ、あるいは重複しているというのが非常に問題になることがあります。これがかなりリアルタイムで把握はできて、これによって電解質のバランスが非常に管理しやすくなった。これが不整脈を防いだり、あるいは心不全が悪くなるのを防ぐというメリットが非常に大きいため、大学病院、特に心不全を中心に診ている大学病院ではこのメリットは非常に大きいかと思います。
 また我々のもう一つの対象疾患で、冠動脈疾患、急性心筋梗塞や狭心症の患者さんで、どうしても血栓ができないように、血が固まらないようにする抗血小板薬がありますが、これがほかのお薬との相互作用が非常に多いです。特に腎機能とのチェックなどもいろいろ必要で、これが現場の外来で慌てているときとか、結構バタバタして間違えそうになるときがあるのですが、これもだいぶできるようになりましたので、出血リスクが本当に概ね減ったというのが現場の声でありました。ただどうしてもシステムの導入とか全館運用費の予算確保に2年を要しましたというのが、これは導入してしまえばあとは運用費の問題だけですので、ここはそれほど大きな問題でもないかと思います。
 次のページをお願いします。一方で田舎の大病院でございます。ここはメリットとしてやはり、田舎の大病院というのは地域の中核の機能を強化する、これは周りの医療施設との連携というのは非常に大きいです。あと救急医療の強化、これは特に急患で来た患者さんが何のお薬を飲んでいるのかというのが、今までは正直ほとんどチェックはできないという状況でした。それが非常にやりやすくなってきました。それからどうしても田舎の大病院は今の日本の医療システム上、そこの常勤の医者だけで回しているわけではございません。特に当直あるいは夜間休日は、実は別の病院から、大学病院などから派遣されている医師が中心に支えているわけでございます。そういう派遣医療のときに、こういう電子処方箋があって、いろいろな薬の飲み合わせの問題のチェックができると非常に大きいです。ただデメリットとして、実は田舎の大病院でのデメリットが一番大きいと思いますが、これは電子処方箋だけではありません、いわゆるITシステムの管理ができる人が多くの病院にいません。ですので、例えば何かトラブルが起こったときに、外部に問い合わせるということになってきますと、どうしてもそこで例えば午前中外来を止めないといけなくなったということがないわけではないので、その辺りのIT人材不足というところがやはり問題になるかと思いますし、ネットワーク上の制約、例えば私が今いる福岡県南西部の都市では、非常にネット環境が悪くて、そういうところで電子カルテ自体が非常に日々困っているわけでして、そういうところの問題もございます。
 費用対効果の懸念というのは、これは懸念だと思いますが、患者数の割合と、ある程度お金をかけてシステムを新しくするということに対するコストパフォーマンスがどうなのかという懸念をどうしても院内で持たれる方がいるというのは事実ですが、ここはちょっと懸念かという気もいたします。あと、市立病院、公立病院の方で、導入障壁のところに自治体予算の制約ということが確かにございます。専門スタッフの不足、これは非常に大きいです。それから周りの病院が全然電子処方箋を導入していない、先ほどの冒頭の話を聞きますと、だいぶ少なくなってきているようではございますけれども、まだまだ田舎だとやはりありますので、これは福岡県の南の方にある大牟田市というところにある市立病院ですけれども、電子処方箋を導入することで、周りの山間部の巡回診療などもやっておりますので、そういうときに非常に便利だということがあります。ただ、予算確保に少し時間を要したということもありましたが、心不全患者の重複処方・相互作用のチェックなどメリットの方が大きいかと思います。非常勤医師との情報共有も強化されています。ただ、田舎の病院の場合は専門のスタッフがいないということと、周りの連携している病院が実は電子処方箋が入っていないとか、あるいは患者さんが多く行く薬局でまだ入っていないとか、実は具体的な例を出したここの病院は、正直に言うと周りはまだ電子処方箋が入っていない薬局が事実ありますので、そういうところだと場合によっては、そこの薬局は、電子処方箋を導入している薬局が導入していない薬局のところに患者さんを取られるのではないかという懸念を、これも誤解だと思いますが、言うこともございました。
 次お願いします。次にクリニックのお話をいたします。都市部のクリニックでは、メリットは大体これまでと同じような感じでございます。ただ、結構患者満足度向上というのが大きいという印象もあります。これは待ち時間の問題とか、安全性の向上、こういうことが、いわゆる薬の飲み合わせの問題、重複作用などが防げるということは十分アピールできる点かと思います。デメリットは導入コストの問題と、スタッフの研修負担、特にクリニックでも小さめのところになると、ここはかなり負担になるかと思います。投資の回収期間への懸念も、誤解と言いますか、メリットの方が大きいのでここは誤解かと思いますが、あとどうしても都市部とは言え、高齢者のマイナンバーカードを持っていない方、それからデジタル格差の対応がございますが、ここは時間が解決するような気もいたします。それから周辺にどうしても導入していないところがあると、先ほども申しましたように、電子処方箋を導入していないところに患者さんを取られるのではないかという、これも誤解かと思います。
具体的な例としては、福岡県久留米市の、循環器専門のクリニックですけれども、ここも先ほど言いましたように利尿薬との併用とか、心不全に使いますSGLT-2阻害薬、糖尿病のお薬ではありますが、心不全によく使います。利尿薬との併用が、ときどき高齢者の方とかいろいろ問題になることがあるのですが、それがちゃんとチェックできるということがございます。あとは、ここはマイナンバーカードの取得促進キャンペーンをやってくれていたりとか、スタッフのトレーニングとかマニュアルの整備などもかなりそこの院長先生が一生懸命やられていたり、近隣の薬局との連携とか、障害時にどうしても紙の処方箋に切り替えないといけないということがありますが、その辺の手順を自院だけでなく周りの薬局も含めてやっているということで、この連携というのは非常にいい取組かと思いました。
 次お願いします。問題は田舎のクリニックでございます。田舎のクリニックになりますと、もちろんいい点はたくさんございますが、患者数に対するコストという意味で、コストパフォーマンス的にどうなのかという懸念をされる方がまだ実はいらっしゃいます。ここは丁寧な説明が必要かと思います。あとはデジタル格差ですね、患者さんの中のマイナンバーカードを持っていないとか、そういうことに対して懸念をしてしまう高齢者がいるのは事実です。あとは、長年やっている院長先生やスタッフがちょっと年配の方だったりすると、医療を提供する側の方のデジタル格差ということもございます。それからどうしてもネット環境、通信環境などインフラの制約等がございますので、ここは是非整備をしていっていただければと思います。これは旧炭鉱地区の循環器専門のクリニックですが、ここの院長先生のコメントが非常に印象深かったですので、ここに掲示させていただきました。そこは電子処方箋を導入されていますが、ほかの医療機関で処方された薬との併用リスクを瞬時に把握できるようになったと、これは特に循環器診療をやっている医師の方は感じていらっしゃるようで、特に心不全患者の利尿剤調整が的確にできるようになった、この的確にできるというのは非常に大事でございます。ですので田舎のクリニックでは、確かにいろいろデメリットと言いますか、導入障壁はありますけれども、メリットがこういうところこそ大きいのではないかと、今回直接話を伺っていて思いました。
次お願いします。今度は都市部の院外薬局に関しましては、ここは正直導入障壁はないような気がいたします。特にチェーン店の場合は、いろいろなシステム運用コストの問題であったり、教育の問題であったり、いろいろなところが十分できます。競合薬局対応とデメリットに書いていますけれども、チェーン店の場合はしっかりできると思います。逆にチェーン店ではないところは導入が困っているところがあるかもしれませんが、そこは先ほど冒頭で説明がありましたように、国としてもいろいろ補助していただいているようですので、そういう意味ではメリットの方が大きいかと思います。
 患者説明の負担というところは、確かにクリニック等でも少しそういう意見も伺いました。それも逆に丁寧な説明をすることで、できる患者さんの側の成功体験と言いますか、喜んでいただけるという点にもつながるように思います。
次お願いします。最後になりますが、田舎の方の院外薬局でございますが、ここは病院としてはございますが、IT環境・人材不足、それからどうしても田舎ですので、実は人口自体が減ってきているということで、だんだん薬局自体の経営が厳しくなってきているということが事実ございます。長年やっているところでは人材不足というのもございまして、そういうところでどうやっていくのか、そして周りに高齢者が多いですので、マイナンバーカードを対応していないというところもございます。
ここには資料として載せなかったのですが、私の妻の実家の田舎の中核病院ですが、電子処方箋は来春から導入することにしているのですけれども、隣りの薬局では全く院外処方はまだ対応できていなくて、そこが長年勤めている高齢のスタッフの方が多くて、あまりそういう気がないということで、妻が理事長をしているのですが、薬局ごと変えようかというふうにいろいろ画策をしていたら、田舎の方の新しい薬局の参入が難しいということもあって、いろいろ苦労はしました。でも来春から導入できるようになりましたので、そういう意味ではどんな田舎でもやっていけるという成功体験を、とにかくいろいろなところで共有していくことが大事かと思います。
 次お願いします。これが最後でございます。都会、田舎、それぞれの大病院、クリニック、院外薬局、それぞれに導入・運用コスト、IT人材スキル、インフラ環境、周辺施設の未対応、患者対応説明、それぞれの導入障壁をかなり私見ではございますがまとめてみました。都市部は正直に言いますと、すべての障壁は比較的低めなのかと思います。問題は田舎でございまして、田舎の大病院だと導入・運用コスト、それからIT人材スキルがやはりかなり障壁になっております。インフラ環境の問題、それから周辺施設の未対応の場合も、もちろんありますけれど、ここはなんとなるかと思いますし、患者対応説明は、実は田舎の大病院は患者さんにしっかりやろうとすると患者さんが喜びますので、ここは逆手に取れる、メリットにできるかと思います。問題は田舎のクリニックでございます。導入・運用コスト、IT人材スキル、インフラ環境、周辺施設の未対応、患者対応説明、すべてにおいて、しかも経営が結構厳しいところが多いですので、ここは何らかのサポートが必要かと思います。田舎の院外薬局に関しても同様でございます。
 全体傾向としては、都会と地方でIT人材、インフラのような格差が大きいですし、大病院、クリニック、薬局間での障壁の種類が異なるのかと思いますので、そこは丁寧な対応が今後100%を目指していくには大事かと思いました。導入・運用コストも、都会か田舎、そして施設によってかなり異なるかと、そして地方部では複合的な障壁が、ここに述べたようなすべてが障壁と重なって、導入ハードルがまだまだ高いかと思いますので、ここは助けていただければと思います。
循環器診療における特徴としてはここで述べたとおりでございます。ですので、特に高齢者をたくさん診ている我々循環器内科医にとって、大病院、クリニック、それから院外薬局、都会であろうと田舎であろうと非常にメリットが大きいですので、是非100%を目指していただければ、日本循環器学会としても、会員あるいは教育関連施設に向けて、しっかり広報をしていきたいと思いますので、今後とも御指導を引き続きよろしくお願いいたします。以上です。
○長嶋補佐 御説明いただきありがとうございました。それでは、質疑応答にこれから入らせていただきます。事務局と参考人の説明につきまして、御意見、御質問の方をよろしくお願いいたします。御意見、御質問の際はZoomの挙手機能についてお知らせいただき、事務局より指名された後、カメラをオンにしまして、御所属と御氏名から御発言ください。御発言の後はマイクをミュートにしていただくよう、よろしくお願い申し上げます。それでは質疑応答の方をよろしくお願いします。長島構成員からよろしくお願いいたします。
〇長島構成員 日本医師会の長島でございます。順次意見と質問をさせていただきます。まずは資料1の4ページ、「電子処方箋の普及と活用状況」、グラフと表ですが、日本医師会が会員に対して行った調査によると、利用申請はしているけれども運用開始はしていないというところが非常に多い。また、運用開始はしているが実際にはほとんど処方箋を出していないというところも非常に多いと認識しています。したがって、一施設当たりの処方件数、それも平均値ではなくて是非分布を見せていただくと、実は運用開始と言いながら、ほとんど処方が出ていないところがある、あるいは非常に多く出しているところがあるというので、それを見てまたきめ細かい対応が必要になるかと思いますので、そういうデータがもしあれば、なければ是非そのところを今後お願いします。
 次に5ページ、重複投薬アラート、併用禁忌アラートの発生件数ですけれども、重要なのが、アラートは出たけれどもそのまま処方した、あるいは変更したというものの割合です。そのまま処方する場合は、ちゃんとそのままでも出すというところのOKをクリックしなければいけないはずで、例えば支払基金等で、このアラートは出たけれどもそのまま処方したというものの件数、割合というのがもしかすると把握可能かと思います。それがどうなっているかというのが極めて重要ですので、そこのところも恐らく現時点では出せないとは思いますので、今後是非出していただければと思います。
続いて、7ページ以降の新たな目標設定です。日本医師会も一番最初から、スピード感は重要だが拙速に進めて、医療現場の混乱や患者さんの不審等を招くのが最大のブレーキだと申しておりました。当初、本年3月31日までに概ねすべての医療機関等で導入するというのは絶対に不可能だから、もっと現実的な目標を立てて、現実的な対応をすべきと、最初から繰り返し申し上げておりましたけれども、7ページ・8ページに示されている対応こそ正に、日本医師会がずっと言ってきたことが反映されているもの、内容的にはそう思います。
 続きまして、11ページの対応ですけれども、まずは生命に直結するようなリスクがあるものというのは、できるだけ迅速に対応する必要があるということで、8月28日にこの対応をしたということは当然かと思います。一方、その下のハウスコード問題ですけれども、ここのところで下から2行目、原則年末を目処に、サービスへの接続を一時停止するとありますが、ここのところは丁寧に対応して、混乱が起こらないようにすることは極めて重要です。このところは現実的にはどうなっているのか、どのように対応できているのか、そして準備もできていないのに一時停止されるということはあってはならないので、十分配慮をお願いします。
それから17ページのところで、院内処方機能も補助対象に追加するとあります。残念ながらこの院内処方機能に関しては、医療機関で恐らくほとんど理解されていないです。また、それを導入しようと思っても、25ページ以降にあるように、ベンダーが対応していない、あるいは未定とか今後というところが非常に多いということで、ここはベンダー側がしっかり対応して、医療機関側に丁寧な説明をしていただかないと、医療機関ではどうしようもないということで、院内処方は必須ではなくて任意、希望するところということではありますけれども、極めて大きなハードルがある、困難があるということは十分理解した上で、丁寧な説明をしていただいて、無理やりよく分かっていないのに導入されるということは、絶対あってはなりませんから、そこのところをよろしくお願い申し上げます。
 次に(2)の渡邉先生からの災害時のことですけれども、これも日本医師会は当初から、特に能登半島地震当初から、オンライン資格確認によるレセプト由来の薬剤情報、あるいは電子処方箋の情報共有が災害時には極めて有用であるということを、繰り返し様々な機会に主張してまいりました。そのときの一つの課題として、オンライン資格確認の場合、レセプト由来の薬剤情報ですので、1か月以上のタイムラグが生じるのと、用法などは不明であるということで、実際に石川県の先生からは、非常に役に立ったけれども、やはり電子処方箋の情報の方がタイムラグがないということで、用法などが分かってより有用であるというお話はよく聞いているところです。日本医師会は以前から、このような薬剤の情報の共有というのは、災害時、恐らく最も役に立つのは救急時だと考えています。したがって、今後災害時だけではなく救急時閲覧機能もありますけれども、ここのところでも電子処方箋、つまりリアルタイムで用法が分かるような情報が早く閲覧できるようにする、また、マイナンバーカードを所持していなくても、いわゆる氏名・住所等の4情報から患者さんを検索して閲覧できるようにするところの環境整備は是非、急いでいただきたいと思います。また、避難所等においてもこの医療DXの機能、オンライン資格確認とか情報閲覧ができるということも極めて重要だということを、日本医師会は当初からずっと繰り返し申し上げているところです。その観点から言うと、現在救急隊の方がオンライン資格確認や情報閲覧ができるような仕組み、これを実証で行っていますので、例えばそれを使うということで、災害時においてもDMAT、JMAT等が、あるいは避難所等において活用できるということがあるかと思います。また特に重要なのが、ネットワーク回線の確保、これが非常に難しくなるので、もう一つ電力の確保、これは国としての安全保障としてしっかり進めていただきたいと思います。
 最後に(3)、岸先生からの電子処方箋等の臨床上の活用ですけれども、これも日本医師会はずっと最初から言っていますが、電子処方箋に限らず、電子的な医療情報の共有が有用な場面は概ね二つあります。まずはその医療機関に初めてかかるときです。特に有用なのが、つまり救急とか災害のときになります。もう一つは、それまで住んでいた地域と離れた地域で初めて医療機関にかかるとき、この場合は医療機関間の連携もないので、非常に情報入手が難しい。例えば旅行とか出張、あるいは入学とか就職のとき、こういうときには極めて有用である。もう一つのケースが、一人の患者さんが複数の医療機関で治療を受けている場合、あるいは一つの医療機関の中でも複数の医師から診療を受けている場合、この中の情報共有も極めて重要ですが、この電子処方箋の場合は役に立つためには、地域で面として導入されている必要があります。面として導入されていなければ、他の医療機関の情報を活用できないということになります。
 それからもう一つ、この医療情報の共有ということではもう既に、10年以上前から全国各地で地域医療情報連携ネットワークがあり、ここでは処方情報のみではなくて、電子カルテのほぼすべての情報、病名はもちろん治療内容、各種リポート、画像も見ることができて、これは災害や救急のときに大きく役立っているものです。したがって、この電子処方箋などの全国医療情報プラットフォームだけではなくて、全国各地の地域医療連携ネットワークも上手に併用していくということは、極めて有用であると思っています。電子処方箋では分からない、極めて豊富で人の命を救うのに役立つ情報がすべて入っているのが地域医療連携ネットワークです。
 次に、この導入が困難な理由は、医療現場の業務負担、費用負担がむしろ増大してしまうからです。特に現在診療所、病院を問わずすべての医療機関が極めて危機的な経営状況にある中では、コストを持ち出しでこれを導入するというのは極めて困難であります。できるだけその業務負担、費用負担を減らすために、今回の電子処方箋に関する新たな目標設定というところで、例えば電子カルテの更新するタイミングとか、新たに導入するときにパッケージとして電子処方箋も一体的に導入するということが入っているわけです、それでも十分な補助金がないとこれは導入できないです。
 もう一つ、医療機関にはIT、サイバーセキュリティに欠けている三つのものがあります。知識、人材、財源です。教育は受けていないし、必要な財源は恐らく大学病院以外ほとんどない、財源の手当てもない、したがって導入できません。このように極めて厳しい状況であるので、拙速にならず、丁寧に現場の状況を見ながらしっかり進めていただく、また、有用なとき、例えば救急とか災害、パンデミック、あるいは一人の患者さんを地域で面で支えるときの有用性、メリットを医療機関並びに国民、患者の皆様に丁寧に説明して御理解いただくということ、これが最も重要だと思います。私からは以上です。
○長嶋補佐 御指摘ありがとうございました。いずれも今後、こうしたらよいのではないか、あるいは要望、ご指摘であったかと思いますので、引き続きいただいた点を踏まえて検討していきたいと思います。ありがとうございます。
ハウスコードの点につきましては、資料の方にもありますが、今後確かに年末に停止する方向というところは申し上げました。しかし、改めて郵送での周知の実施や、あるいは郵送した後の架電対応、その上で点検が報告できない理由等も継続して調査をしていきたいと思っております。そういった状況を見ながら、資料の※印のところにも書いておりますが、状況を踏まえながら、最終的な対応の方は決定していきたいと考えております。
続きまして、柄澤構成員の方から御質問の方をよろしくお願いいたします。
〇柄澤構成員 日本保険薬局協会の柄澤です。お世話になっております。私の方からは質問が一件と、もう一つ、報告が一件ございます。まず質問の方ですが、最初の資料の方の「電子処方箋の普及・活用拡大に向けた対応状況」の17ページでございます。薬局の方は令和8年10月以降は、未導入の薬局に対して導入期限までの導入を促すことをして、この延長を最後にするということでございました。質問の方は、新規の開設した薬局も同様な扱い、未導入と同様な扱いであるかということをお聞きしたいというところです。
 もう一つ、報告というか感想というか、「災害対応による医療提供継続に向けた電子処方箋の活用と今後の展望」について、大変勉強になりました、ありがとうございます。私どもも能登震災のときに津波が入って、いわゆる顔認証付きカードリーダーが全く使えない状況になったということと、電気が通らなくて非常に困ったというところでございました。今日お話を聞いていて一つ思ったのは、現在進められている訪問診療における、居宅同意型オンライン確認のシステムが導入をもっと進めていけば、マイナンバーカードの読み取りというのがもっとスムーズにできるというのが、お話を聞いていて思いました。以上です。
〇徳弘室長 ありがとうございます。柄澤構成員の御質問に関してお答えいたしますと、新しく開局した薬局様に関しましても、この1年を最後という形にさせていただきたいと思います。是非御協力いただきまして、今年で最後なので入れてくださいということで、一緒に取り組ませていただければ幸いでございます。以上でございます。
○長嶋補佐 居宅同意型のオンライン資格確認システムを活用していければよいというところですができるところを改めて整備しながら対応できればと思います。続きまして、美原構成員、よろしくお願いいたします。
〇美原構成員 全日病の美原です。臨床上の活用についてというお話を伺いまして、災害時とか救急時、あるいは循環器病の診療の際に、電子処方箋は非常に有用性が高いということはよく分かりました。実はこの電子処方箋の資料が回ってきたときに、 当院の薬剤部のスタッフに話を聞いたのですが、そのときにこんなことを言っていました。これは確かに有用性は高いかもしれないけれども、現状では電子処方箋がなくてもあまり困っていないというのです。電子処方箋学会普及することのメリット、例えば先ほど言った重複投薬だとか併用の問題とかに関しては、今それなりに現場の薬剤師がしっかり対応しているということです。確かに電子処方箋であればより確実に見落としがなくなるからすごくいいということは理解できます。しかしながら、実情、広く普及してはいません。実際我々の病院では電子処方箋が利用できる環境は整っているのですが、実際に私の患者さんで定期的に使っているのは1名のみです。
それから、当院から関係する調剤薬局いくつかに聞いても、それぞれの調剤薬局で3、4名の固定したお客さんというか患者さんがいるだけで、ほとんど使われていない。その理由としては、恐らく電子処方箋を知っている人もそもそもいないし、仮に知っていても患者さんが電子処方箋を利用するということを希望しなければ電子処方箋に変更することはない。だから、これを普及させるためにはある程度の強制的なものがないといけないのではないかというような話もありました。
今の話は医療提供者側の視点からの話でした。次に患者さん側の視点から見るとどうだろうかということです。まず高齢者の方々に関しては、基本的に慣れていないということがあるし、実際にその電子処方箋を使うことのうメリットもあまり感じていないということがあって、なかなか利用率が上がらないのではないかという話がありました。
 一方、若年者にとってはどうでしょうか。先ほど満足度が上がるというような御発表がありましたが、実際若い人たちにとっても電子処方箋よりもお薬手帳アプリ、スマホに入っているお薬手帳アプリの方が全然利便性が高いと言っているんです。というのは、アプリならば紙の処方箋データを調剤薬局にメールで送って、事前調剤してもらえるわけです。調剤薬局に行って紙の処方箋を提出すれば即時に薬の交付が受けられるような仕組みがある。時短になる。一方、電子処方箋の場合には、事前調剤の仕組みがなくて、患者さんが調剤薬局を訪問しないと調剤薬局は処方箋データを入手できない。だから時短になることもない。若い人にとっても電子処方箋を選択するメリットが、患者さん目線で見たらあまりないということを言っていました。
それからもう一つは、電子処方箋にしたところで、結局電子処方データの拾得に必要なカードを知らせるための紙の発行が必要であって、あまりペーパーレスにもなっていないのが現状ではないかというような話がありました。
それから疑義照会の件です。いくつかあるんですが、かえって実際に電子処方箋ではなくても適切に、例えば先ほどあったDOACの体重だとか、そういうような問題ですね、このような疑義照会に対してもそれなりにしっかり今のところできているというような印象です。
 以上をまとめると、まず一つは、患者さんはそもそも電子処方箋を知らないし、そのメリットも実感できていないのが現状であると思われます。ですから、電子処方箋がとてもいいんだということを患者さんにしっかり広報する必要があると思います。そして、メリットが本当にあるということを実感できているか確認しないといけないと思います。今の状況では患者さん目線に立ったときに、必ずしも電子処方箋を利用することが、実際に患者さんのメリットになっていないかもしれません。ドクターサイドとしてはポリファーマシー、ポリドクター、重複投与などが避けられるというような意味はあるかもしれませんが、そのために電子処方箋が必須であるかというと、現時点においてもそれなりにできていますよということのように思います。
以上をまとめますと、先ほどからお話がありますように、拙速でなく、しっかりと患者さんに十分な説明をしながら、この取組が進んでいけばいいと考えております。以上です。
〇徳弘室長 ありがとうございます。様々我々の広報が足りていないところも含めて、御指摘いただきましてありがとうございます。引き続きメリットとかにつきましては、若年層、そして高齢層ともに我々の方で努力して周知をして、少しでも医療安全につながっているということを御理解賜れるようにしていきたいと考えているところでございます。
 一点満足度のところ、お薬手帳アプリの関係で、画像を送ってというところがありましたけれども、今我々の方でもそういったお薬手帳アプリを運営している会社さん等にアプローチしておりまして、電子処方箋ですと画像を撮って文字化けをするということもなく、引換番号を打ち込めばそのまま行くというようなUIに変えてもらえないかということで話をして、一部のお薬手帳アプリさんには御対応を始めていただいているようなところもございます。その方が画像を送るよりも、より安全に安心して送れるというところもございますし、将来的には、電子処方箋に載った情報がそのままお薬手帳アプリの方にAPI連携で引き出せると、そういったところまで目指して、より利便性を上げて便利だと思っていただけるようなところまで目指したいと、そうなってくると紙の処方箋とか、今控えという形で出させていただいていますけれども、それも不要になってくるのではないかと考えているところでございます。
〇美原構成員 ありがとうございます。実はお薬手帳アプリの方が楽だと言っているのは当院のスタッフで、皆そちらを使っています。電子処方箋でそのように調剤薬局に送れるというやり方を知らないんです。ですからそういう意味でも、広報活動がとても重要だろうと思います。ありがとうございました。
○長嶋補佐 ちょっと補足ですが、最大限のメリット享受にはマイナンバーカードの仕組みは必要ですが、マイナンバーカードでの受付でなくとも電子処方箋は発行できます。また、画像だけでは紙の処方箋の場合。調剤できない、紙の原本のそもそもの受け渡しは必要ではあります。
〇美原構成員 もちろんそうです。待つ時間ですよね。
○長嶋補佐 電子処方箋でも、電子版お薬手帳と情報の連携というのはできますので、そういった連携の仕方の工夫の余地、我々の周知の仕方も工夫する必要があると改めて認識しました。周知に関しましては、患者さんの現在ウェブアンケートとかで、どういったところに関心があるかとか、そういったデータを踏まえて何が刺さるか、そういったところも分析しながら対応しているところでございます。御指摘を踏まえまして、引き続き国民の皆様に刺さるような周知をしていきたいと思っております。ありがとうございます。続きまして、関口構成員からよろしくお願いいたします。
〇関口構成員 日本チェーンドラッグストア協会の関口でございます。厚生労働省の皆様、それから参考人の皆様、丁寧な御説明ありがとうございます。私の方から一点だけ申し上げさせていただきたいのですが、厚生労働省資料の18ページ、薬局の規模での分類ということで、電子処方箋の導入状況ということがこの表で出てきております。あまり規模別で見ることはなかったのかと思いますので、このグラフも含めてよく作っていただいたと思います。これを見ても一発で分かりますけれども、未導入の店舗数のうちの約7割が10店舗以内というところにありますので、スターターキットなどを使ってそこに周知徹底していくということ、それから導入補助をしていただけるということで、多分この数値は上がってくるのではないかと思っている次第でございます。
 ただ300店舗以上、これは98%ですからもういいのではないかということではなくて、これはやはり導入の期間を見ていただきたいと思います。これはオンライン資格確認システムのカードリーダーを入れてから今もう5年経つんです。そうすると保守期間が切れるということが始まっております。買い替えの時期になっておりまして、経費がやはり発生するということもありますので、店舗規模だけではなくて、これからは導入期間というものも、単店ごとでやはり見ていただく必要があるのではないかと思います。本当に導入の補助について手厚いことをしていただいているので、それに対して何かあるわけではないのですけれども、非常にありがたいことではありますが、調剤後の登録などを薬剤師が皆頑張っておりますので、是非今以上の手厚い補助をいただけたらと思っている次第です。私の方からは以上です。ありがとうございました。
〇徳弘室長 ありがとうございます。個人薬局につきましては、引き続き我々の方も力を入れて、知らないというところがまだあると伺っておりますので、そういったところに先ほど御紹介いたしましたスターターキット等をお送りしながら、周知をしたいと考えているところでございます。
また、御指摘がありましたとおり、中堅の薬局さんにつきましても、地方とかで御活躍いただいているようなところでも入れていただけていないところがございますので、そういったところを重点的に入れていただけるよう、我々の方でも直接働きかけを強めたいと考えているところでございます。また導入の期間につきましては、残念ながら今回約9割と高い導入率になったというところでありますけれども、中長期的に我々がどういったことができるかということについては、引き続き検討していきたいと思いますが、いったんこちらのICT基金と導入補助という形では、今年1年頑張ってくださいということをなんとか認められているような状況になっております。引き続きよく連携をさせていただければと考えております。
○長嶋補佐 続きまして、田中構成員からよろしくお願いいたします。
〇田中構成員 日本薬剤師会の田中でございます。お世話になります。資料に基づいてと言いますか、4ページ目の部分で、やはり薬局の方は一生懸命この電子処方箋を受け入れ可能にするために頑張ってきて、86%にまでなりました。薬剤師会としては引き続き100%を目指し、力を抜かず進めていくスタンスでいきたいと思っております。
次のページの部分ですけれども、普及が進むにつれて、アラートの件数がやはり増えてきています。医療の瞬間、調剤の瞬間にしっかりとチェックをかける人たちが増えてきたということで、これは非常に皆さんがチェック機能に対する理解を進めてきていることが原因と考えられます。一部かもしれませんが、少なくとも進んでいると思います。薬局のアラート件数について、8月がすっと落ちているんですけれども、これは医療機関でのチェックが進めば進むほど、そこで問題が解消されて、薬局ではアラートが出なくなることが原因と考えられます。今後この数字も見ながら、どういうことが行われているのかというのはしっかりと見させていただきたいと思っております。
 それから、11ページの部分で、「ハウスコード問題とその対応」の箇条書きの2つ目、こちらの方はやはり皆さんから話したように、特に薬局に関しましては丁寧にやっていかなければいけない時期に入ってきたのかと思っております。いろいろな条件をクリアしながら、薬局の方も86%になってきたわけですけれども、ここまで来ると、最後はいやだからというより、ITやDXについて本当に分からない人たちが固まっている層に入ってきているのではないかと思います。ですので、スターターキット等御用意していただいておりますけれども、本当に丁寧にやっていき、導入をギブアップさせない、全部の薬局が導入をあきらめることなく乗り切れる、そういった仕組み作りの方を一緒に考えていけたらと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
それから、17ページ目になりますけれども、こちらで薬局の方に関しましては、令和8年9月までの延長を最後にということで、一応この補助金というのを打ち切るという形になっていますが、先ほど構成員の方から話したように、新規の方々に対しての考え方というのも一緒に考えていただくとか、補助期間で開局できた薬局は補助金を利用して導入できるが、それ以降に開局した新規の薬局の方はもう補助がないから導入のために全額負担しなければいけなくなるといったようなことは、避けていただきたい。やはりこれはインフラですので、しっかりとその辺りは、既存の方はもちろんですけれども、今後薬局を立ち上げるような新規の方々もやはりある程度は見ていていただきたいと思います。薬局が頑張ったのにその薬局だけが補助金がなくなってしまうと思われるようなことがないようにしていただきたい。また、既に導入済みの薬局でも、ランニングコストがかかっていますので、その辺りのことも多少の手当てと言いますか、補助と言いますか、一緒に考えていただきたいと思っております。
あと周知広報というところですけれども、我々は処方箋を持って来ていただく方の立場ですけれども、電子処方箋のいろいろなチラシ等も薬局に置いてはおりますけれども、やはり薬局、医療機関、それから国と、皆でこれは有用なものであると、安全なものであるということをしっかりと広報していくというのは、いろいろと必要になってくるかと思います。やはり今やっとオンライン資格確認がどんどん進んできて、皆さんがそういった情報を共有することに対して少しずつですけれども、抵抗がなくなってきているというのは現場で感じています。それをちゃんと進めている理由等を、やはり我々から、医療機関からも、医療上必要な情報しか見えないから安全だという話はしていきますけれども、国の方からも必要性等は一緒に発信しながら、皆が喜んでできるようなちゃんとした情報共有の方をしていければと思いますので、その辺も一緒に御検討をお願いします。
 あと災害時のことになりますけれども、やはりオンライン資格確認の「災害時医療情報閲覧機能」はレセプト由来の情報のためタイムラグがあるということがありましたが、診療の報告を上げていただいている医療機関、薬局では、電子処方箋管理サービスにリアルタイムで調剤結果登録を行っております。電子処方箋は進めば進むほどリアルタイムに情報共有ができるというのは間違いないことではあります。ただ、平時から電子処方箋は慣れておかないと、急に災害時だけで行えることではないと思いますので、その辺りも日頃からそういうことも見据えてやっていくというか、我々も平時から考えていくということが必要になってくるかとも思いましたので、いろいろな意味を込めて、この電子処方箋は早く進むことはいいのですが、本当に抜け落ちることがなく安全で丁寧に進めていただきたいと思いますので、いろいろな問題がまた出てくるかもしれませんが、しっかりとその辺りも皆で考えられればと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
〇徳弘室長 各種御意見も含めてありがとうございます。冒頭に長島先生の方からもお話がありましたけれども、ハウスコードのお話につきましては本当に丁寧にやる必要性というのは我々も認識しているところでございます。いろいろそれぞれの皆様方の御協力を賜りながら丁寧に進め、状況をよく把握しながら、本当に止められるのかどうかというところは、丁寧に御相談させていただきながらやりたいと考えているところでございます。
あと補助金の話につきましては、おっしゃるとおり1年間で最後ということになっておりますけれども、だからもうおしまいという話ではないと認識しておりますので、今後どういったことができるのかというのは、改めて御相談等させていただきながら進めていければと考えているところでございます。
 また周知広報につきましても、本当に先ほども御指摘いただきましたとおり、知らないという人であったりとか、紙の処方箋であったとしても電子処方箋対応と書いてあるがゆえに、それが電子処方箋だと思ってしまう勘違いが多いとか、いろいろな御意見を承っているところでございます。そういった誤解がないように、より分かりやすく、より安全に使っていただけるような方策というのは考えていきたいと考えているところです。以上でございます。
○長嶋補佐 時間が押しておりますので、次を最後にさせていただきます。長島構成員、よろしくお願いいたします。
〇長島構成員 まず国民へのメリットや有用性、あるいは使い方の普及周知は、医療DXを国が国策として進めている以上、国が前面に立って全責任を持ってやるべきです。
次に、もし補助金が減額や停止になれば、普及は間違いなく止まります。これは絶対間違いないです。
 最後に14ページのところですけれども、主要な医薬品コードの関係性を医薬品マスタとして整理して、国が責任を持ってマスタ情報の維持管理を行うということは、極めて重要だと思います。このことをしっかり行うことで、より安全性が担保されたり普及が進むと思います。これは非常に重要ですが、このときにまずは将来性をきちんと見据えて、更にほかの部局で行っている、例えば電子カルテ情報共有サービスなど医療DX全般と、しっかりと横串を刺した上で、更に電子カルテやレセコンのベンダー、医療機関の声を丁寧に聞いた上で進めてください。以上です。
〇徳弘室長 ありがとうございます。おっしゃるとおり、将来的にコードのあり方がどういうふうにしたら皆様が使っていただけるのかとか、そういったところをしっかりと見据えるとともに、先ほど連携というお話をいただきましたけれども、正に電子カルテと一体的に運用していくという方針になりましたので、補助金のあり方を含めて医政局とよく相談しながら進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
○長嶋補佐 ありがとうございました。先ほどのところで、質疑応答は終わらせていただきまして、本日の議論はここまでとさせていただければと思います。最後に、審議官の佐藤の方から一言挨拶を申し上げさせていただきます。
〇佐藤審議官 医薬担当審議官の佐藤でございます。本日はお忙しい中、御臨席をいただき、また非常に活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。日本災害医学会様、そして日本循環器学会様からは、それぞれの活用事例を含めて積極的な事例の御報告をいただきまして、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。日本災害医学会様からは、災害関連死等を防止する上で電子処方箋による薬物治療の継続の有用性を御認識いただき、今後の有事に備えた取組の御説明をいただきました。そして日本循環器学会様からは、電子処方箋システムによって利尿剤調整の改善、そして出血リスクの低減、再入院率の低下、業務効率化を始めとした有効活用事例を複数御紹介いただきました。御紹介いただきましたように、医療関係、薬局双方での電子処方箋の普及活用により、更なる医療の質の向上、そして業務負担の軽減などへとつながっていくことが期待されているものと承知をしてございます。
 しかしながら、各構成員、そして参考人の皆様からも御指摘がございましたように、やはりその導入コストの部分ですとか、実際のその電子処方箋を使っていく上でのメリットという部分、ここについては、医療関係者のみならず、一般国民、患者の皆様方もなかなか普及啓発が進んでいないというような実情もございます。そういったところも導入の障害になっている部分で、国としてもしっかりと普及啓発等に努めてまいりたいと思ってございます。
そして補助金の件についても御指摘をいただきましたとおり、我々も、特に電子カルテの導入普及と連携の上で対応をしていきたいと思っておりますので、また皆様方からの御支援も頂戴できればと思っているところでございます。いずれにしても、本日参考人、構成員の皆様から御指摘があった部分、御要望があった部分については踏まえながら、引き続き電子処方箋の普及に対しましても慎重に進めていきたいと、そしてまた丁寧に進めていきたいと思っているところでございます。引き続き皆様方の御指導、御協力のほどお願いをしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
○長嶋補佐 本日皆様からいただいた御意見を踏まえまして、電子処方箋の普及活用に向けて更に検討を進め、次回また御報告させていただければと思っております。次回の開催につきましては、追って事務局より連絡させていただこうと思います。
それでは第5回電子処方箋推進会議を終了いたします。構成員の皆様、参考人の皆様、本日も長時間に渡りありがとうございました。

(了)