2025年10月6日 第10回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室

日時

令和7年10月6日(月)17:00~19:00

場所

Web開催
事務局:厚生労働省専用第12会議室

議題

1.危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討
2.危機対応医薬品等(MCM)の確保に関する検討について

議事

○小谷室長 定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会感染症部会第10回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
 私、本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、委員長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、何とぞ御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
 通信の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
 五十音順に失礼いたします。岩本委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いします。
 大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○小谷室長 よろしくお願いします。
 齋藤委員。
○齋藤委員長 齋藤です。よろしくお願いします。
○小谷室長 鹿野委員。
○鹿野委員 鹿野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 中野委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○小谷室長 長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。よろしくお願いします。
○小谷室長 早川委員は少し遅れて参加とお聞きしております。
 濵口委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○小谷室長 宮川委員。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○小谷室長 もう一人失礼いたします。加藤委員。
○加藤委員 遅くなりました。加藤です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
 なお、早川委員からは遅れて参加及び途中退席の旨の御連絡をいただいております。
 また、福島委員、横野委員、四柳委員より御欠席の連絡を受けております。
 宮川委員につきましては、当事務局からの現地参加とさせていただきます。
 本日は、委員13名のうち9名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 また、本日は、参考人として三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺先生にお越しいただいております。
○田辺参考人 田辺と申します。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 どうぞよろしくお願いいたします。
 冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。
 資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料2になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 早速、議事に入りたいと思います。
 まずは、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 資料1について事務局より御説明させていただきます。
 資料1はMCMの利用可能性確保についての検討と銘打っております。
 1枚おめくりください。
 これまで第7回、8回、9回と非常にショートスパンながら、皆様方にしっかりとした御議論をいただき、誠にありがとうございます。
 こちらのページにおきましては、過去の小委員会における意見の論点を取りまとめたものとなっております。特に青文字の部分が第9回でいただいたものについて記載しております。研究開発の方向性に対して重点的・戦略的な研究支援の必要性であるとか、モニタリング・評価として市販後の安全性評価等について御意見をいただいたところでございます。
 次のページをおめくりください。
 こちらは何度か提示させていただいている資料になりますが、MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方についておまとめしたものです。公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理を行い、その上で戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性の総合評価を行い、研究開発の優先度あるいは確保に関する検討を行っていくということについて、皆様方に御提示させていただいておるところでございます。
 続いてでございます。こちらについて、より詳細な形で公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理と戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性についておまとめさせていただいており、最終的に総合評価を行っているということになっております。
 続いて、もう一枚おめくりください。
 公衆衛生的市場の分析についてというところにつきまして、第9回に関する小委員会で黄色ハイライト部分を修正しております。3の点につきまして、発生頻度・可能性/蓋然性の中に過去のテロ事例の有無というものを入れさせていただいております。ここでいう過去のテロ事例とは幾つかの要素があり、未遂は含まない及び国内外のテロ事例かつ2000年以降として評価する形とさせていただいております。
 5ページ目を御覧ください。
 続きまして、MCMの研究開発の基本的考え方について、それぞれ診断技術及び治療薬・ワクチンの視点で議論してきたものを提示させていただいております。
 MCMの研究開発の基本的考え方、診断技術に関して、診断技術は感染症対策の初動において最も早期に整備・開発されるべき基盤技術であり、迅速かつ的確な感染症対策の実現に不可欠であるという形でいただいております。
 以前、第8回MCM小委にて了承された内容に、第9回のMCM小委にて示した例示を赤字で追記した形にしておりますが、診断技術については、以下を優先的に研究開発を支援するという形で案を提示させていただいております。
 詳細については一部割愛いたしますが、飛沫感染などのヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有するものに対するものであったり、地方衛生研究所等の迅速かつ正確に検査の実施可能数を増加可能なものという形で書いております。例としては、迅速・正確・簡便性等を兼ね備えた新しい診断技術、病原体の培養を必要とせず血液・体液等を用いて直接検査可能な診断技術、その他革新的な診断技術等を進めていくものを研究開発の支援対象という形で書かせていただいています。
 続いてのページをおめくりください。
 こちらは治療薬・ワクチンについてです。こちらにつきましては、前回第8回、9回でいただいたところでございますけれども、治療薬・ワクチンいずれにおいても、平時における治療薬・ワクチンについては特に救命・重症化予防、感染予防、感染拡大予防のために必要なものについて、以下の条件を踏まえ、優先的に研究開発を支援することとしています。
 項目としては、国内に臨床試験に進む準備段階にある前臨床試験以降のパイプラインが存在している。新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティー/作用機序等である。国内あるいは国際共同治験等が実施可能である。こういった医薬品等について優先的に研究開発を支援するものという案を提示させていただいております。
 次のページをお願いします。
 これを踏まえまして、第9回のMCM小委員会の中において、総合評価の実施に当たり、公衆衛生的指標と戦略的指標の既存のMCMの有無等をMCMの利用可能性確保の必要性とし、戦略的指標の一部である研究開発戦略の一部(国内パイプラインの有無等)を研究開発の実現可能性として評価するという形で前回御提示させていただき、皆様方から議論いただきましたが、こういった形の総合評価でよいのではないかという意見をいただいたところでございます。
 具体的には、総合評価の評価方法として、公衆衛生的指標及び戦略的指標の一部をMCMの利用可能性確保の必要性とし、総合点を算出し、評価する。
 研究開発の実現可能性については、診断技術は基本的にPCRにて対応可能であることや簡易診断法等は技術転用等が可能であり、以下の要件を踏まえてワクチン・治療薬とは整理を区別しています。
 治療薬・ワクチンについては、国内パイプラインの有無・国内臨床試験・国内共同治験等を踏まえて評価する形としており、これらをもって総合評価、高、中、低という形でそれぞれの優先度について整理をさせていただいたものになっています。
 今回の第10回のMCM小委員会では、この考え方に基づいて実施させていただいた総合評価案について皆様方の御議論をいただきたいと思っております。
 8ページ目以降はそのような評価になっております。
 こちらについてはGroup A、Bについて、それぞれ天然痘、COVID-19、SARS、MERS等についての研究開発の優先度を診断技術、治療薬、ワクチンそれぞれの観点で高、中、低の評価をさせていただいているところでございます。
 これが8ページで、9ページ目はGroup Bの残りのもの、SFTS、エボラ出血熱等について同様に評価させていただいております。
 10ページ目はGroup C、主に多剤耐性菌等に対して同様に診断技術、治療薬、ワクチンを提示させていただいております。Group Cについては、ワクチンはもともとの性質上いずれも評価していないという形になっております。
 続いてGroup Dになります。こちらについても、狂犬病、マラリア、炭疽等について、それぞれ診断技術、治療薬、ワクチンについて評価をさせていただき、今回皆様方の議論の俎上に乗せさせていただければと思っております。
 続いて12ページになります。こちらにつきましては、MCMの研究開発環境等の整備・検討についての一旦の我々としての整理をお示しさせていただいております。基本的にはMCMエコシステムの一貫した取組・支援を行うための事前準備が重要であるという観点から、プッシュ型支援・プル型支援それぞれについて一旦支援の枠組みについて検討させていただいております。
 13ページについては、前回も提示させていただいた資料にはなっておりますけれども、プッシュ型支援・プル型支援について、MCMの研究開発目標を設定し、重点的・戦略的にプッシュ型研究開発支援を行うこと。平時におけるプル型研究開発支援については、既存の抗菌薬確保支援事業や備蓄の活用、規制の合理化等を検討していくということ。感染症危機発生時には、研究開発から生産体制整備・調達・流通に係る一連の支援を行うことを基本として、以下の3項目について引き続き検討を行うという形で提示させていただいております。
 その上で、我々のほうで一旦例としてまとめさせていただいたものが14ページになっております。こちらが国内におけるプル型・プッシュ型研究開発支援の例という形で、それぞれプッシュ型については研究開発支援、研究基盤整備、製造基盤整備を提示させていただき、プル型については財政支援型、優遇措置型をそれぞれ出させていただいております。
 その他として関係国際機関等への拠出や国際ネットワークの活用なども提示させていただいておりますが、こういったプル型・プッシュ型の研究開発支援を行いながら、研究開発の優先度に対して我々としてしっかりとしたMCMの確保に努めていければという形で今回整理させていただいております。
 長くなりましたから、事務局からの説明は以上になります。
○齋藤委員長 御説明いただき、ありがとうございました。
 それでは、今の説明を踏まえまして、委員の皆さんからの御意見をお伺いしていきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 ここ3回ほどかけていろいろと議論してまいりました。そして、この研究開発の優先度、それから、確保に関する検討ということでこれまで議論を進めてきたところです。
 皆さんにいただいたコメントを基に基本的考え方の修正を図り、また、優先度の総合評価のところですね。こちらも高、中、低の評価の精査を行ってきたところになります。
 この辺り、皆様、意見等はいかがでしょうか。
 では、濵口委員よりお願いいたします。
○濵口委員 今の時点で申し訳ない感じもするのですけれども、Group Cの薬剤耐性結核はこれから問題になるかもしれないものの一つなのです。ワクチン、BCGの効果が15年ぐらいしかもたないということで、子供のときに免疫させますけれども、高齢者になって、感染が起きて、薬が効かなくて、というのがぽつぽつ出始めているような感じがしています。実はBCGとは違うワクチンの開発を研究している大学のグループがありまして、可能性として一番右側のワクチンのところの開発を認めていただけるような条件にできないかなと。今頃になってこんなことを申し上げるのは非常に申し訳ないのですけれども、意見として発言させていただきました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 この点は事務局からコメントをいただけますか。
 もともとGroup Cというのは薬剤耐性に対してというカテゴリーですので、結核に対するという点では、もともといわゆる一般にはやっている感染症対策の一環として開発されているという基本的な考え方かと思うのですが、事務局から何かコメントはありますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 AMRの部分に関して言うのであれば、ワクチンということに関して言うと、多剤耐性結核についてのBCGの検討というのは、MCMの中での議論というよりは、結核対策としてのそもそもの施策の中で考えていくべきものではないかなと考えておりますので、今回の議論の俎上ではなく、別の論点として考えていかせていただくのが適切ではないかなと事務局としては考えております。
○齋藤委員長 いかがでしょうか。
○小谷室長 申し訳ありません。事務局側で音声トラブルが発生しておりまして、少々お待ちいただけますでしょうか。
○齋藤委員長 今、事務局のほうで音声トラブルということで、少々お待ちいただければと思います。もし御意見、御質問等があれば、その間に整理していただければと思います。
○小谷室長 ありがとうございます。一旦これで改めまして進めさせていただければと思います。申し訳ありませんでした。
○濵口委員 本当はこの枠は耐性菌のお話ですので、私の論点は少しずれているように思います。ただ、高齢者の結核の発症はこれから結構問題になってくるだろうというリスクがありますし、薬剤耐性に対応するのはワクチンが一つの道かなという思いもありまして、実際に開発している大学のグループがございまして、感触はそれほど悪くないので、何らかの道筋があればいいなと思いました。決して強く要望するものではなくて、道筋をつくっていただければ、長期的にでもですね。今、そんなにまだ緊急性はないようにも思いますので、ただ、研究を続けて、いざ必要なときに出せるような体制をつくりたいなとSCARDAのほうでは思っているところです。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 濵口先生、御意見ありがとうございました。
 我々としてもしっかりキャッチアップであったり情報収集に努めていきたいと思っております。ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 続いて、ほかの先生から御意見はいかがでしょうか。
 まず、4ページの公衆衛生的指標の分析についてということで、再修正ということで黄色のマーカーが入っていますが、こちらについては特に御意見はよろしいでしょうか。
 それから、5ページ、6ページと研究開発の基本的考え方について、診断技術、治療薬・ワクチン、こちらで基本的な考え方を示しております。赤字で訂正した部分がございますが、こちらも特に追加の御意見はないということでよろしいでしょうか。
 そして、7ページのところで研究開発の優先度の総合評価、高、中、低のつけ方について、前回も御意見をいただきましたが、ここの点もよろしいでしょうか。
 そして、研究開発の優先度を高、中、低それぞれナラティブに表現しておりまして、ここのところは迅速な実用化を目指して前臨床以降の研究開発を重点的に示すとか、低の場合は基礎~応用研究を中心に取り組み、感染状況や研究開発の進捗等により適切に研究開発支援に進めていくということで、低、中というのは全く研究開発を切り捨てているわけではなく、フェーズの違いを特に示して、高というのは迅速な実用化というところで重点的に支援するものという形で、中、低というところはその前のフェーズのところで支援していくものという形で分けられて、そういう考え方が明確になったのではないかなと思います。よろしいでしょうか。
 それから、8、9、10、11とそれぞれ総合評価がございます。こちらは低、中というところは大分御意見をいただきながら整理をしてきましたか、こちらも特に御異論はないでしょうか。
 そして、最後に12、13、14ページというところで研究開発環境等の整理・検討とございます。こちらでプッシュ型・プル型研究開発支援というものについて大きな流れと分類というのを示していただいています。
 それでは、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 12ページのところのプル型研究開発支援、これは第8回のときにもお願いした件なのですけれども、改めまして、承認薬の備蓄は収益性が低いMCMの開発促進という観点でも極めて重要であることから、企業が本格的な開発に踏み込むかどうかを判断する段階から、つまり、ここはもう少し前の段階から、できれば企業にとって先行きが見通せるものになるように御配慮いただければ大変助かると思います。開発研究が終わってからというよりももう少し前ですね。企業が決断しやすい環境をつくっていただきたいなというのが私どものお願いでございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それは開発研究の中で達成目標をつくって、それを達成した際にインセンティブが得られるという意味で、もう少しこの下のバーを開発研究のほうに寄せてはどうかと。
○濵口委員 はい。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 事務局、こちらはいかがでしょうか。
○小谷室長 御意見ありがとうございます。
 プル型の研究開発支援につきましては、我々も様々な論点で調べたり検討させていただいていることになりますので、資料上のお話なのか、実務上としてどうなのかということに関して言うのであれば、引き続き我々として検討させていただくことになると思います。
 あくまで資料上であれば、もうちょっと伸ばしてくれという話になれば伸ばせるかもしれませんが、実務上の観点でそういったものができるのかとか、どういったものが適切なのかということは、我々もしっかり調査したり、また、御提示させていただいたりしていければなと思っております。
 その意味で、濵口先生がおっしゃるような企業が進めていくための決心ができるような支援というのが重要であるということに関しては、我々も同様の認識ですので、引き続き検討させていただければと思います。
○濵口委員 ありがとうございます。検討いただければと存じます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
 そのほか、このプッシュ型・プル型研究開発支援につきまして、御質問、御意見、コメント等があればお願いできればと思います。
 この14ページに大分整理をして、現在も既存のメカニズムを大分整理していただいて、いろいろと材料というか既にあるものも幾つかきれいに見えてきて、非常によい整理になっているのではないかと思いますが、何かこういうものがあったらいいとか、こういうものもあるのではないかという御意見があればお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特にないようであれば、こちらの議題(1)につきましてはこれで議論をクローズとしまして、本日報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議事に入りたいと思います。資料2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 引き続きまして、事務局から御説明させていただきます。
 先ほどはMCMの研究開発のほうの優先度等について議論させていただきましたが、次は確保に関する検討のところの議論を進めてまいりたいと考えております。
 1枚おめくりいただきまして、資料1から参ります。こちらは第8回のMCM小委員会で提示させていただいた資料になります。MCM確保の基本的な考え方(案)という形で提示させていただいております。
 MCMについては、平時においては患者の発生が予測できず、需要の見込みが極めて困難である一方で、感染症危機発生時には突発的に需要が急増するため、重点感染症に対するMCMの確保(未承認薬のアクセスの改善であるとか承認薬の備蓄)については、民間主体の市場原理では困難な場合が多いです。そのため、政策的な対応が必要となってくるという点がございます。
 その上で、第8回で提示させていただきました未承認薬のアクセスの改善及び承認薬の備蓄(買上)の論点については、前回こちらの提案で提示させていただいております。
 未承認薬のアクセスの改善については大きく2点、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請等を活用し、薬事承認を取得し、国内供給体制を整備する。市場規模が小さいなど、現時点の薬事承認取得は極めて困難な重点感染症であっても、MCMの有効性・安全性を確保するための特定臨床研究・医師主導治験等の体制を構築するという案を提示させていただいております。
 一方で、承認薬の備蓄(買上)につきましては、重点感染症を対象とし、承認されたMCMの中で公衆衛生対策上特に必要性の高い品目の買上については、MCM小委員会において、以下の意見を聴取し、厚生労働省が備蓄の可否及び備蓄量等を決定することとしております。備蓄(買上)の目的としては、以下の目的として救命、重症化予防、感染予防を満たすMCMにおいて検討するものとしており、評価項目としては適応、有効性、保存条件、投与回数・経路、使用期限、既存薬との比較、必要量、その他検討すべき事項という形で提示させていただいているところで、こちらを第8回のMCM小委員会で了承いただいたものになっています。
 この具体的なところについて、より詳細なところで我々として提示させていただき、皆様方からの御意見をいただければと思っているのが次のページになっております。
 備蓄の目的及び対象とするMCMの選定については、MCMの備蓄は公衆衛生上及び国家安全保障上の観点から実施するもの。このため、感染拡大の速度、致死率の高さなどによる社会的機能への影響や生物テロなど人為的発生の可能性を含めた安全保障の観点を踏まえ、国内外の関係機関等からの情報を集約し、備蓄対象とするMCMを選定するとしてはどうか。
 備蓄対象とするMCMの検討における優先順位については、以下の優先順位に基づき検討を加えることとしてはどうか。1として救命、致死率の高い疾患に対する即応的な治療手段の確保。2つ目、重症化予防として、医療逼迫を防ぐため、早期治療による重症化の回避。3つ目、感染予防として、感染拡大防止を目的とするものではなく、医療提供体制の維持のための曝露前・曝露後予防を目的とするものとしてはどうか。
 MCM評価項目として、長期優先順位に沿って、以下の観点から各MCMの備蓄適性を評価し、備蓄対象とするMCMを選定してはどうかと考えています。項目としては適応、対象疾患に対する適応の有無。有効性、科学的根拠に基づく治療・予防効果。保存条件、温度管理や保存期間等の条件。投与経路・回数、実運用上の投与のしやすさ。使用期限、備蓄期間中の安定性と更新頻度。既存薬との比較として、代替手段の有無や優位性。必要量として想定される使用対象者数。その他検討すべき事項というこれらの項目を備蓄適性と評価し、こういったものを踏まえながらMCMを選定していくという形にしてはどうかという形の3項目になっております。
 なお、MCMの開発目標(重点感染症に対して開発する医薬品が達成すべき科学的・臨床的な目的)を設定するということは、研究開発・承認・備蓄までのプロセスを戦略的に連携させるという点においても重要であり、また、TPPをはじめとする開発目標に関して、他国や国際機関との連携を図る上でもいずれの意味でも重要なものであると我々は考えているところでございます。
 こちらについてより具体的な議論が必要と考えておりますので、皆様方からの忌憚のない御意見をいただければと思っております。
 議論にせんだって、本日御欠席となっておりますが、四柳委員から意見をいただいておりますので、先に事務局のほうから代読させていただきます。
 備蓄の基本的な考え方の中において、MCMの評価項目に生産に要する時間、コストが入るかと思います。こちらについてはその他の項目でもよいかもしれませんが、検討材料としてはいかがでしょうかといただいておりますので、情報としてお伝えさせていただきます。
 御意見のほど、よろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 資料の御説明どうもありがとうございました。
 備蓄の基本的な考え方ということで案を示していただいております。
 委員の先生方から御意見等があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。
 御説明ありがとうございます。
 今出していただいているスライドの備蓄対象とするMCMの対応における優先順位というところです。○の2つ目の1から3までございます。私は3についてコメントさせていただきたいと思います。
 言葉だけの問題かもしれませんが、感染予防という表現が適切なのかどうなのか。ワクチンにしても、薬剤にしても、例を挙げれば、例えば狂犬病ワクチンあるいは抗マラリア薬、感染予防というのが本当に確認できる手法というのは非常に難しいのではないかと思っています。なおかつ、右のほうに書いていただいてある、感染拡大予防が目的ではなく、医療提供体制の維持ということであれば、曝露前でも曝露後でも、これは発症とか発病予防としたほうがより分かりやすく、よりフィージビリティーが高いのではないかというのが私が資料を拝見してその後考えていて思ったことでございます。感染予防ではなく、発症予防・発病予防という観点はないのかと思っております。
 以上でございます。
○齋藤委員長 貴重な御意見をありがとうございます。
 ここは、前のページではワクチンとか抗体医薬というのが書いてあって、ただ、2ページのほうになると、曝露前・曝露後予防という形になっているので、医薬品のことをイメージさせる感じになっておりますが、この辺り、事務局からのコメント等はありますでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 言葉の表現という観点に関して、おっしゃるとおり、発症という観点で切り口を立てていくことも有用かと思っておりますので、修正について検討させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 これでいくと、ワクチンというものが必然的に優先順位として3番目に入ってくることになると思いますが、その点も検討は必要かなと思います。
 では、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 今のこの点なのですけれども、従来の恐らくH5の新型インフルエンザワクチンの備蓄とかは、たしかほぼ全国民に行きわたるぐらいの規模の量を準備されていたと思うのです。そうすると、方針としては、そういうような備蓄をするのではなくて、ワクチン等であれば医療体制の維持を主目的として、備蓄の規模としては縮小するようなイメージなのかというのを確認させてください。それが一点。
 先ほどの四柳委員の御意見とも関連すると思うのですけれども、その場合に、万が一有事が発生したときに、ワクチンを生産する体制とか時間を考えると、かなり時間がかかってしまって、その間に感染の拡大で健康被害が拡大する可能性がある場合とそうでもない場合とでまた違うのではないかと思うのですが、例えば段階的に感染状況に応じてとか、対象の感染症の性質によってまた考え方を少し分けてもいいのかなと思うのですけれども、その辺はいかがなのか教えていただければと思います。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
 まず、ワクチンによる予防という観点が今の優先順位でいくと3番目となると、これまでのワクチン備蓄等は縮小される方向という考えなのかという御質問かと思いますが、事務局からいかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 まず1点目、御指摘いただいたのはプレパンデミックワクチンの件だと思っていますが、こちらは全国民に対象というものではなく、基本的には備蓄量が約1000万人分という形になっていますので、そこの考え方を大きく変えるものではないのではないかと思っておりますし、今回のMCMの備蓄は何をどの程度というのは今後検討すべきものだと思っておりますので、一概にパンデミックに対するものだけの考え方以外でもあるのではないかなと思っております。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 2点目の点はいかがでしょうか。感染症の性質によって基準が変わってくるのもあるのではないかという御指摘かと思いますが、いかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、その性質であるとかワクチンの対象などについて変わってくるものだと思っておりますので、そこは記載ぶり等については改めて検討させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 では、濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 今の2ページの3番目の○のMCMの評価項目の中の上から6番目、既存薬との比較、代替手段の有無や優位性と書いてあるところですけれども、優位性が単一の感染症に対する既存薬との優位性ということだけで見ると、パンデミック対策としては弱点が出てくるなという話を我々は中で今議論しておりまして、つまり、ある程度幅広い異なるウイルスに効果を示す薬剤、実はキャンディデートが見つかってきている可能性がありまして、まだまだこれから検討が必要なのですけれども、全く違うウイルスでもレプリケーションのメカニズムがよく似ているから効きますよというお話が開発者のほうからは聞こえてくるのです。
 つまり、優位性の意味の中に幅広い感染症に効果があるとかというところも含めていただけると、パンデミック対策としては、今まで見たことのない、体験したことないウイルスに対して、そのウイルスのタイプから使えるものをファーストチョイスとして使って、一定程度広がりを押さえた上で本格的な開発へ移るという2段階のプロセスを計画として組める可能性が出てくるのです。ですから、幅広い感染症に効果を示すみたいなものが優位性の中に、強く効くだけではなくて幅広さを入れていただけると助かりますので、御検討いただければと思います。
○齋藤委員長 御意見ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘でブロードスペクトラムというとちょっと誤解も生じますが、効果の対象が広いというのも優位性を検討する上でのファクターになるのではないかというところですが、事務局から何かコメント等はございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 先生がおっしゃっていただいているのは、既存薬の観点でもありますし、一方で研究開発の考え方の中で提示させていただいております。資料1にもございましたが、新規プラットフォームの中で複数の感染症に対するMCMを開発いただけるような技術、広範的な効果を持つ医薬品の開発という点が最終的に研究開発、承認、備蓄までプロセスとして連携できるという意味においては重要だと考えておりますので、新規開発及び既存薬の中でより広い対象に対して効果があるというところを優位性として捉えるべきであるという御意見は非常に理にかなっていると思いますので、表現はまた考えさせていただければと思います。
○濵口委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 では、今の御意見について御検討をよろしくお願いします。
 そのほかいかがでしょうか。
 中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。再度ありがとうございます。
 このスライドの○の3番目、MCMの評価項目のその他検討すべき事項にもしかしたら含まれるのかもしれませんが、例えばMCMの剤型とか仕様とかですね。すなわち、2009年のインフルエンザのパンデミックにおいても、今回のコロナにおいても、ワクチンの例で言えば、コロナであれば特例臨時接種のときに行われていた集団接種あるいは職域接種などが行われていた頃と、個別接種でワクチンの仕様によって使い勝手が全く異なったり、これは2009年のインフルエンザのときも現場にいて非常に感じました。
 そうなりますと、MCMを想定するときに、ワクチンであっても薬剤であっても必ずしも広く一斉に投与されるとは限らず、一定のハイリスク集団とかどこかの集団に限られて使用されるということが起こるのであれば、剤型とか仕様というのを考えた上で備蓄しておかないと、いざ備蓄していても十分に役に立たないということがあっては困りますので、そんなことを考えたりしました。
 以上でございます。
○齋藤委員長 貴重な御指摘ありがとうございました。
 確かにここに投与経路、回数とありますが、剤型という観点は含まれていないかと思いますが、ただ、これが単回、同用量にするのか、あるいはバルクのもので用意したほうがいいのかとか、あるいは経口かとか静注かとか、そういった意味での剤型も含めて非常に重要なポイントになるのではないかと思います。
 事務局から何かコメントはありますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 非常に貴重な御意見だと思いますので、その他の検討すべき事項ではなく、投与経路・回数の中に少し表現を追加するような形で御準備させていただければと思います。
○齋藤委員長 よろしくお願いいたします。
 そのほかいかがでしょうか。
 私から1つコメントさせていただくと、薬剤そのもの、薬剤といいますか、MCMそのものの性質もありますけれども、やはり備蓄というものは発生シナリオにおいて実際に必要量と供給可能量のギャップを埋めるために必要な手段として選ばれるpreparadnessの一方法だと思いますので、そういった生産から供給までのリードタイムを埋めるために備蓄という形でストックをして供給する手段だと思っています。そういったシナリオベースの観点というのは、またこの備蓄の基本的な考え方とは違う形で検討されるものでしょうか。それとも評価項目の中に入れて考えるべきものでしょうか。この辺りの考えについて事務局からコメントをいただければと思います。
○小谷室長 御指摘ありがとうございます。
 先生の御意見、御指摘のとおり、備蓄というものについては、先生がおっしゃるようにいわゆるリードタイムをいかに埋められるのかという観点であったり、ここに書いておりますけれども、安全保障上の観点から、それほど多くの数というよりも、MCMとしてもなかなか確保しづらいものに対してどう確保していくのかという2点の論点があるのではないかと思っております。それぞれについてリスク評価をどう行い、実際にどう運用するのかという点に関しては、いわゆる新型インフルエンザにおける行動計画であったり、あとは国民保護に関するいわゆるNBC対処連携モデルだとか、そういった中において議論していくべきものではないかと考えておりますので、これは政府全体の中で検討されるべきものだと思っておりますが、我々の中でこういった必要性であるとか、どういったものが必要かみたいなところについて、国内外の連携というのはどんどん進めていければと思っておりますので、その中でシナリオだとか訓練だとかというところに踏み込んでいければなと考えているところです。ただ、それに当たっては、また本小委員会等の御意見をいただきながら進めていくものだと思っております。
 回答になっておりますでしょうか。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
○小谷室長 すみません。宮川先生のほうから。
○齋藤委員長 では、宮川先生、加藤先生、早川先生の順でお願いします。
 では、宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。
 今の委員長と事務局からのお話にあったように、そういう問題というのはサプライチェーンの問題にも関わってくるところなので、そういう意味では、MCMになるものがどのような性質を持っているのか。一つ一つ、最初から、サプライチェーンというところからも含めて、原薬のところからも含めてしっかりとした立てつけをしていくということが大事で、少し大きな見方をしながら考えていくことが重要かなと考えております。
 以上でございます。
○齋藤委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 確かにサプライチェーンの段階も検討事項に入るかなと。国内で原料があるかないかとかというところも供給の要因に関わってくるので、そういった観点も入ってくるのかなと思いますが、事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 おっしゃるとおりだと思いますので、そういったものも当然備蓄適性評価項目の中に入れながら検討されるべきものだと思っております。どこに書くのが適切かはまた考えさせていただきます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 では、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 私はMCMの評価項目のところで、その他検討すべき事項に入るのかもしれませんが、必要量というのを純粋に積み上げていくようなことは可能かと思うのですけれども、経済的な視点というのはこの評価項目に入らなくていいのかなという感じがしました。もちろん危機管理のためですので、コストがどれぐらいかかるかというのは枠組みのほかで決まるものかもしれないのですけれども、もし限られた予算の中で備蓄をしようとなると、優先すべき対象者とかそういった議論も出てくるのかなと思いまして、もちろんこの中に経済性のような議論は含めないということであれば、それはそれでよろしいかと思うのですが、念のため確認で、経済性のような視点はこの中に入れなくていいかどうかというのをお聞きしたいと思いました。
 以上です。
○齋藤委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
 これは非常に難しい指標になると思うのですが、例えばワクチンとか医薬品とかがある中で、どれが一人を救うのに経済的に一番効果が、コストエフェクティブなのかとか、そういう話になってくるかと思うのですが、この辺りのコンテクストはどうでしょうか。事務局では何かお考えはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 非常に重要な御指摘だと思います。非常に難しいところです。よいものを高くなのか、非常にある程度コスト面も考えながらという点についてだと思います。多角的な評価の結果としての一要素として、限られた財政の中においてどうするのかという点はあると思いますので、経済的視点というのは重要な論点だとは思いますが、逆に言うと、あまりそれに引っ張られ過ぎても本末転倒な部分もあると思いますが、評価するべき項目の要素の一つとして考えていくべきものかなと考えておりますので、それをどう記載するのかはまた考えさせていただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 これを審議会とか小委員会のようなところで話すのか、また、政府のほうで考えていただくというのかというのも難しいところだと思いますが、事務局でまた検討いただければと思います。
 早川委員、先ほど手を挙げられておりましたが、先に御退出で、もし今御意見があれば伺いますが、いかがでしょうか。
○早川委員 3点あったのですが、1点目は宮川委員から御指摘があった入手の可能性は恐らく評価項目に必要であろうという点。
 2点目は、加藤委員から御指摘があったコストの点、財政効率、費用対効果という言葉が正しいのか分からないのですけれども、モノクローナル抗体など物によっては非常に高価なものもあるので、それが気になりました。
 3点目は、優先順位が2ポツ目に書いてあって、3点目に評価項目があるのですけれども、恐らく重点感染症その他、優先順位でスクリーニングをかけていって、評価項目で精査をするというプロセスになるのかなと思いました。かなり大変な作業になると思うのですけれども、プロセスに関する進め方がもしあるのであれば、多少そこが分かるようになっていてもいいのかなと思いました。 ちょっと難しいかもしれませんが、以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 今の3点目の件は非常に難しいところですが、ここをまさにクリアにしていくのがこの委員会の議論だと思いますが、事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 先生がおっしゃるように、そういったプロセスを踏みながら、我々としてもどういったものを選んでいくのかという議論をこの小委員会でしていければと思っておりますので、ぜひ引き続き御指摘をいただければと思っています。
 本日は、基本的な考え方について大きなずれがないかということを先生方に本小委員会の中でいただきたいと考えている次第でございます。
 以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
 それでは、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 3つ目の○の評価項目のところですけれども、備蓄の適性について、適用と有効性のところに関わるところですけれども、科学的根拠というのは備蓄を決めるときに非常に重要だと思うのですけれども、そこのアセスメントといいますか、評価するときの流れというのは決まっているのかどうかということを教えていただきたいと思います。評価、科学的根拠を担保するものです。例えば同じインフルエンザでも季節性のインフルエンザと新型もしくは動物由来のものというのは全く違う病態を示すので、そういったものにきちんと科学的な根拠を持って備蓄できるのかという点です。お願いします。
○齋藤委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
 MCMの評価項目の有効性のところに「科学的根拠に基づく」とありますが、こういったタイプの薬剤では科学的根拠はどの程度かというところもありますが、新型ウイルス等に対するダイレクトな効果というのはもしかしたらデータとしてはない可能性もあるというものも候補になり得るのだと思うのですが、事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。非常に難しい御指摘だと思います。まだ存在しないものに対する、もしくは非常にレアなケースに対する科学的根拠がどこまであるのかというところについては、正直なことを言うと、国内外の知見の中からある意味取捨選択をして、これだろうといったところで決めていかざるを得ないのではないかなと思っています。全てでパーフェクトな科学的根拠というのはなかなか得られるものではないと思っておりますので、可能な限り、もちろんJIHSの皆様であったり、もしくは我々も必要な情報を集めてその中で判断していく。それを備蓄適性の中の要素として考えていければなと思っております。
 あまり具体的な回答にはなっておりませんが、できる限りの情報を集めて進めていくというのがベターなところなのではないかなと考えているところです。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。まさにベスト・アベイラブル・オプションみたいな感じになるのですかね。そういったものも対象になり得るのかなという感じはいたします。
 ほかはいかがでしょうか。
 私からもう一点質問させていただきたいのですが、優先順位で1、2、3と挙げていただいたのですが、例えばこれはインフルエンザとかで薬がある、ワクチンがあるといった場合にどれを備蓄するかというときに、この1、2、3という優先順位で議論するという意味でしょうか。このときの優先順位というのは、疾患別というよりはもっと広い意味での感染症、この重点感染症全体の中で特に救命というものをピックアップしていくという意味なのか、この辺り、お考えがもしあれば。
○小谷室長 ありがとうございます。
 基本的には全体の中での話だと思っています。ですので、救命、重症化予防、感染予防の順に全体を通して考えていくという方針はどうかなというのをまず提示させていただいたものだと思っています。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
○小谷室長 宮川先生から挙手がありましたので。
○宮川委員 宮川です。
 そういう意味では、全般的に考えていくと、薬事承認のことを考えていただければ分かると思うのですけれども、有効性・安全性が確立していないというものに関しては国内に持ってくることができないわけですよね。その中で、いわゆる備蓄対象とするものは、それだけのものでなければ備蓄に値しないと考えるのかどうかというところで、MCMの評価の項目の中に適応とか有効性という形が出てくるのだろうと思いますので、そういう意味では、科学的根拠に基づくというところは、薬事承認も含めてですけれども、有効性・安全性がある程度確立していて、なおかつ備蓄に値するものという中でしっかりと考えを構築していくことが重要なのではないかと。そういうものに対して、先ほどお話ししたようにサプライチェーンの問題があって、リードタイムのことも含めながら国の中に導入できるのかどうかというような形のものをしっかりと備蓄するという考え方の中で、感染症危機の発生時やテロ等も含めた、そういうのに備えるということで考えていくのではないかなと考えております。
 以上でございます。
○齋藤委員長 貴重な御指摘をありがとうございます。非常に複雑な要素が関わっているというのは御指摘のとおりと思いますし、まずは考える要素を洗い出していくというところからだんだんと具体的な意思決定の流れというものをつくっていくのかなと思います。
 事務局から何か追加でコメントはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、例えば既存薬として存在するものを備蓄していくのであれば、当然薬事承認であるとか、もしくは日本になかったとしてもアクセスを改善しながら確保していくというプロセスを踏んでいくでしょうし、もし研究開発を行って、その上で承認というプロセスになった場合においても、可能な限りの情報を収集しながら医薬品等を備蓄していくというプロセスに当然入っていくので、その意味で言うと、宮川先生がおっしゃるように可能な限りの情報収集、安全性等の観点を確保した上で対応していくものだと考えております。貴重な御指摘をありがとうございます。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
 今日はこちらの議題(2)のほうはたくさん御意見をいただきましたけれども、こちらはまた取り込んで事務局で再度検討いただければと思っておりますが、本日いただいた検討の方向で対応を進めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日の議題はこれで以上となります。
 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○小谷室長 本日は活発な御議論をいただき、誠にありがとうございました。また、時間が遅い中、大変ありがとうございます。
 委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただこうと思います。
 また、次回日程及び詳しい内容につきましては、改めて事務局よりお知らせいたします。
 本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。