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第35回アルコール健康障害対策関係者会議 議事録
社会・援護局障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室
日時
令和7年9月22日(月) 15:00~17:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム(501+502会議室)
(東京都港区新橋1-18-1)
(東京都港区新橋1-18-1)
議題
- 1.第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について
- 2.その他
議事内容
○小野室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第35回「アルコール健康障害対策関係者会議」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日の会議は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけていただいた上で、お名前を名乗ってできるだけはっきりと発言いただきますようお願いいたします。また、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御連絡している「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所については、後日、議事録を公開させていただきますので、そちらで御確認をお願いいたします。
事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。7月8日付で障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室長に乗越課長、アルコール健康障害対策統括推進官に海老名課長、アルコール健康障害対策推進官に米田室長、平田室長が就任しております。
本日、社会・援護局障害保健福祉部の野村部長は、ほかの公務の関係で欠席となります。
本日の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、勝嶋委員、渋木委員、塚本委員、長嶺委員、林委員、稗田委員、松下会長、米山委員となっております。オンラインでの御出席が、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、志田委員、白石委員、平川委員、山口委員となっております。現在、19名中19人御出席されておりますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
さらに、本日は関係省庁より、警察庁、法務省、国税庁、文部科学省、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(Ⅲ アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題)
資料2-1 ビール酒造組合提出資料
「アルコール健康障害対策関係者会議 ビール酒造組合説明資料」
資料2-2 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(2.不適切な飲酒の誘引の防止)
資料3 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(3.健康診断及び保健指導、4.アルコール健康障害に係る医療の充実等)
資料4 今後のアルコール健康障害関係者会議の進め方について(案)
そのほか、参考資料1から6までを用意しております。
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 それでは、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。本日は、アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題、不適切な飲酒の誘引の防止、健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等についての議論を進めていきたいと思います。
まずは、1点目のアルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題について、事務局より御説明をお願いいたします。
○米田推進官 アルコール健康障害対策推進官の米田です。
資料1を御覧ください。改定の方向性ということでございまして、これまでの本会議において出された御意見などを踏まえまして、次期計画における重点課題について、事務局としてこういった方向性が考えられるのではないかという大まかな提案をさせていただくものでございます。
以下、説明いたします。
まず、第3期計画における重点課題につきましては、現在の「(1)アルコール健康障害の発生予防」「(2)アルコール健康障害の進行・重症化予防、再発予防・回復支援」という二本立てでございましたが、これはこれとして継続しつつ、加えて、アルコール健康障害の当事者や、その子ども・配偶者・親・きょうだいなど家族への支援の観点から、「(3)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」を追加で設定してはどうかというものでございます。
具体的には、その次のポツです。「アルコール健康障害の当事者及びその家族がより円滑に適切な支援に結びつくよう、相談支援体制等を構築する」としてはどうか。
また、重点課題に取り組むべき施策というものが上げられますが、それについては以下のような事項を記載してはどうか。5つチェックが並んでおります。
まず、アルコール健康障害の当事者及びその家族がアクセスしやすい相談支援の環境整備を図る。
2つ目、地域の関係機関や多職種連携の下で、アルコール健康障害の当事者及びその家族を支援する。
3つ目、アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援に資するよう、必要な人材の養成や調査研究を推進する。
4つ目、アルコール健康障害当事者の家族への支援にかかる好事例等を収集する、及び、それらを活用して相談支援のガイドラインを作成する。
5つ目としまして、特に、こども基本法に基づき、こども施策の強化が図られていることを踏まえまして、以下の取組を推進するとして、相談支援における児童福祉部門等との連携の強化。また、各地域におけるアルコール健康障害対策に関する関係者連携会議の開催等を通じた、地方公共団体の児童福祉部門等との連携体制の構築。また、地域生活支援の従事者や児童福祉部門関係者等に対する研修の推進。アルコール関連問題を抱える当事者の家族の実態(健康状態や子どもへの影響等)に関する調査の推進ということでございます。
また、重点目標につきましては、以下のような事項を記載し、これらの達成状況について定期的な点検を行うなどにより、目標達成に向けた取組を推進することとしてはどうかということで、2つあります。関係者連携会議における児童福祉部門等との連携状況。また、アルコール関連問題を抱える当事者の家族への影響などに関する実態把握ということでございまして、委員の皆様の御意見を賜れればと思います。
説明は以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からの説明について、御意見や御質問をお願いしたいと思います。発言時は、会場参加の委員は挙手の上、オンラインで御参加いただいている委員は挙手機能を御使用いただいて、私が指名させていただきますので、その後、発言いただくよう御協力のほどお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。
では、まず、会場から長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 お世話になります。長嶺です。
今回の重点課題の中で、(3)の「アルコール健康障害当事者及びその家族への支援」ということで、やっと「家族の」というワードが出てきたこと、家族の立場としてうれしく思います。この取組のほうに、子どもやパートナーや配偶者以外にも視点を向けようという案が入っているのはとてもうれしいのですけれども、太字の中で「(3)のアルコール健康障害の当事者及びその家族への」の後に、ぜひ「子ども」などの文言を括弧でもよろしいので入れていただけると、より現場の方への注目度が高まる、視点として定まると思いますので、その辺、入れていただければなと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、米山委員、お願いします。
○米山委員 この取り組むべき重点課題に、家族、それから、子どもの視点が含まれるということは、大変ありがたいなと思って聞いておりました。私は、子ども以前に、困難な問題を抱える女性支援部門等との連携強化もぜひ加えていただきたいと思います。子どもさんがいない配偶者の方とか、配偶者ではない恋人とか、そういう方たちも、アルコールの問題及びDV等で大変困難な問題を抱えていらっしゃる方が結構いらっしゃるのですが、女性支援部門の方たちの理解とか、こういった問題に対する取組姿勢というものが、まだまだ十分ではないということがありますので、そこをぜひ含めて強化していただきたいなと思います。もちろん、そういった方々への研修の推進といったこともぜひ含めていただけたらと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで小松委員より挙手をいただいておりますので、小松委員、お願いします。
○小松委員 沖縄の小松です。
まず、重点課題の一番下のところからです。重点目標にこれこれを記載して、達成状況について定期的な点検を行うなどにより、取組を推進すると、「定期的な点検」という文言を入れていただいたのが大変うれしいです。よかったなと思いました。
それから、先ほど長嶺委員、米山委員もおっしゃっていましたけれども、重点課題の別立てで、大きな柱の一つとして、「(3)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」という文言がきちんと入ったということも、大変すばらしい、第3期計画の目玉になるのではないかと思いました。
それから、前後しますけれども、上から3つ目のポツの取り組むべき施策のところに、チェックマークが5つついている一番上です。「アクセスしやすい相談支援」というふうに入ったというのも非常に大きいと思います。相談支援だけではなく、医療もですけれども、相談につながってくれないことにはあれなので、そこが入ったのも大変いいのではないかなというふうに思いました。
ただ、重点目標については、このチェックで2つの児童福祉部門との連携状況と、当事者の家族への影響などに関する実態把握というものを新たに付け加えるということになっているのですけれども、それ以外の御本人の治療とか回復支援がつながっていくかどうかの数値目標をぜひ入れていただきたいと思います。それについては、また後で発言いたしますけれども、ここでもちょっと申し述べておきたいと思います。
まず、以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかにはいかがでしょうか。
では、会場から稗田委員、お願いします。
○稗田委員 稗田です。
私も皆様と同じように、今回、家族、特に子ども・配偶者・親・きょうだいということを網羅していただいて、本当に前進したなと思います。私も長嶺委員と同じなのですけれども、家族というのは、今まで対策、基本計画の中にも載っておりましたけれども、家族の中の子どもが今までなかなか見えにくかったということがありますし、この前の調査報告もさせていただきましたけれども、情緒的なケアというのは、アルコールの中でとても突出しているし、それは将来、子どもの人生にもとても関わるということが示唆されています。
ですので、この計画の目次のところに家族、そして子どもという言葉が見えてこないと、意識化を図りたいというふうに私は思っていますので、家族、子どもなど、配偶者・親・きょうだいも大事、とても重要だと思いますけれども、特に子どもということについては、下の児童福祉部門との連携のところで意識できるようにお願いしたいと思います。
また、丸ポチ3つ目の(3)の取り組むべき施策のところですけれども、上から2番目のチェックに地域の関係機関や多職種連携とありますが、苦しんでいる方、御本人もそうですし、御本人を通しての子ども、その奥にいる子どもたちへ思いがちゃんと行くように、医療機関はぜひ入れていただきたい。医療機関も専門医療機関だけではなくて、精神や一般医療も含めて、一般医療の中では、特に救急で運ばれてきた方の子どもさんとか、そういうところでアルコールの問題で苦しむ子どもさんがいらっしゃるということも見えてきていますので、ぜひそれも入れていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかに御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。
もしないようでしたら議題を進めていきたいと思います。
上村敬一委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 ぎりぎりで申し訳ございません。
先ほど小松委員や今の方もお話になられていたのですけれども、医療の立場から、先ほど出ていたアクセスしやすい相談支援が入っただけでも、まだいいと小松委員はおっしゃいましたけれども、実はそこに医療側からの支援もどうしても入れてほしいなと思います。というのは、医療というのは、どうしても当事者の方の治療ということになって、御家族の方の面談とか支援というのはとても重要なのですけれども、今、とても多忙な状況で、そこまで手が回らないというじくじたる思いがあります。
今、いろいろな医療機関では、そういった役割を担う者として、例えばソーシャルワーカーの配置とか、そういったものを進めてはいるのですけれども、大きな病院だったら可能性としてまだあるのですけれども、精神科の診療所の立場では、なかなかそういう専門職の雇用・配置まではなかなかできないわけですね。なので、せっかく相談支援が重要だと言われても、現場の私たちがそれに対応できる体制を取れない状況がありますので、ぜひともアクセスしやすい医療、あるいは多職種連携をする上での医療との連携をするという専門職の配置について、具体的にここに書くことはできないかもしれませんけれども、それを意識してほしい。何らかの医療との連携が必要だという文言を入れてほしいなと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、平川委員、お願いいたします。
○平川委員 遅くてすみません。
今のお話、確かにそのとおりだと思うのですけれども、医療の介入というのは、我々、アルコール依存症を治療している者とすると、介入の仕方は非常に難しくて、あまりに介入し過ぎると、我々がその病態の一部になって共依存関係を形成してしまうというようなこともあるので、あまりアルコールに慣れないPSW等が介入した場合には、ちょっと巻き込まれてしまうおそれもあるということで、その辺についてはきちんと体制を整えて、数だけ増やすのではなくて、教育も含めていろいろな体制を考えていただきたいというふうに思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。
いろいろ御意見いただき、ありがとうございました。
それでは、次に進めたいと思います。続きまして、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の2点目、「不適切な飲酒の誘引の防止」について議論をさせていただきたいと思います。まずは、資料2-1について、小野里委員より御説明をよろしくお願いいたします。
○小野里委員 ビール酒造組合の小野里でございます。
本日は、酒類容器に純アルコール量を表示することについての酒類業界の検討状況について説明させていただく機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。持ち時間は10分程度と伺っております。ポイントを絞って説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次のページ、お願いします。本日、お話しをさせていただきます内容は2点でございます。1点目は本日の主題であります、酒類業界の純アルコール量表示について、現在の検討状況について説明させていただきます。2点目は、これに関連いたしまして、我々ビール酒造組合が取り組んでいる、不適切な飲酒防止のための取組について説明させていただきたいと思います。
次のページをお願いします。こちらは、皆様、もう御承知の内容かと思いますけれども、改めて確認させていただきますと、今回の酒類業界の純アルコール量表示につきましては、アルコール健康障害対策推進基本計画の第2期に明示された内容でありまして、こちらのスライドの右側に記載のとおり、酒類業界は、酒類の容器にアルコール量を表示することについて速やかに検討を行うという内容でございました。これに従いまして、我々酒類業界は検討を行ってきたところでございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは我々酒類業界の構成団体の一覧でございます。それぞれの組合・協会の名前の下に数字がございまして、これが各加盟団体の加盟社数でございます。我々ビール酒造組合、こちらを見ていただきますと、加盟社は5社となりますけれども、例えば左横の日本酒造組合中央会であれば、その数は多くて1626社という形になります。また、こちらの数を全て足し上げますと、全てで3万3341社。また、メーカー各社だけ抜き出しても2326社ということになりますので、それら数多くの酒類業者の皆様の理解・合意を得るための表示案を考えていく必要がございます。
具体的には、我々大手のビールメーカーと中小の酒蔵では規模も違いますし、扱っているお酒の種類も違いますので、合意形成には熟議が必要でありまして、酒類業中央団体連絡協議会の会議、それから酒中連のアルコール問題ワーキンググループにおいて、全20回の議論を重ねてまいりました。また、各団体においては、これとは別に各加盟社との議論も行ってきたところでございます。
議論の内容は割愛させていただきまして、次のページでございます。こちらが今、合意形成された内容になります。まず、純アルコール量を表示する商品につきましては、1番に記載してありますけれども、原則として、「消費者に販売される形態」となっている酒類商品といたしまして、対象容器については継続議論中でございます。分かりやすく言いますと、消費者の目に直接触れて、直接手に取っていただけるような家庭用の商品に純アルコール量を表示していくという形になります。
また、その表示方法のルールでございますが、2番目のところに記載してありますとおり、①100ml当たり、②1本当たり、③1杯当たり、このいずれかで表示することになります。なお、1杯当たりの場合は、1杯当たりの容量も表示して、消費者が今、自分が飲んでいるお酒にどのぐらいの純アルコール量が含まれているのかを分かりやすくすることとしております。
スケジュールにつきましては、3番目のところに記載のとおり、既に表示を始めている企業もございますけれども、中小企業等々、ラベル在庫を抱えているなどして、すぐには対応できないというところもございますので、ラベル切替えタイミングなどを考慮した上で速やかに開始するというふうにしております。
この合意形成された内容に従いまして、純アルコール量の表示を進めてまいりたいというふうに考えております。
続きまして、次のページでございます。こちらは酒類業界のアルコール問題への取組の事例として、我々ビール酒造組合の事例を紹介させていただきます。我々は健康日本21の第三次ですとかアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期の重点目標に対応する形で啓発活動に取り組んでおりまして、20歳未満の飲酒防止や産婦飲酒防止の活動を実施。また、我々が作成している適正飲酒を勧めている冊子では、厚労省のアルコールウォッチの紹介などもさせていただいておりますけれども、本日御紹介させていただきますのは、この真ん中の赤枠にありますとおり、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量の男性40g、女性20g以上の認知拡大を図って、さらには行動変容を促していく取組、飲み方プロジェクトについてということでございます。
次のページをお願いいたします。昨年の4月から立ち上げた、こちらの飲み方カエルプロジェクトでは、動画とか、こちらにありますような2こま漫画、また飲みかえルール6か条などを作成して、分かりやすく生活習慣病等のリスクを高める純アルコール量を知ってもらい、飲酒者の行動変容を促すようなことをしております。
こちらのスライドの右側に調査コンテンツという枠がありますけれども、こちらを見ていただきますと、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量40g、女性20gの説明がございます。
なお、こちらの動画ですとか2こま漫画に関しましては、ビール酒造組合のホームページですとかYouTube、またTVerといったものを活用して発信しているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらが啓発動画のこま割りで、実際は動画になっております。本日は詳しい説明は割愛させていただきますけれども、カエルのキャラクターを使いまして、分かりやすく、とっつきやすい内容で、これを活用しているところでございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは飲みかえルール6か条の御紹介となっております。ちょっと文字が小さくて恐縮なのですけれども、左下から第1条、第2条、第3条となっておりまして、左端の第1条はノンアルに置きカエル。また、1個飛ばして第3条は飲んだ量は振りカエル。これは生活習慣病にリスクのある飲酒量を認識する上でも大事なことかなと考えております。それから、一次会でカエルとか、今日はヒカエル。今日はもうアルコールを飲まないということになります。消費に関わる話になりますので、我々酒類業界としては、ある意味かなり突っ込んだ内容のコンテンツになっております。
ここまで簡単に、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量の男性40g、女性20g以上の認知拡大を図って行動変容を促していく取組、飲み方カエルプロジェクトの説明をさせていただきました。我々、これに関しましてアンケート調査というのを取らせていただいておりまして、この飲み方カエルプロジェクトを知っている人、認知している方は、生活習慣病のリスクを高める飲酒量についての認知率も、通常の方と比べて1.5倍高いといったような結果が出ております。
また、プロジェクトの認知者が生活習慣病のリスクを高める飲酒量を知ったことによって、それを超えるような飲酒を控えるように意識を変化させた方は60%いらっしゃるということで、こちらのプロジェクトの認知が生活習慣病のリスクを高める飲酒の低減につながっていくのかなというふうに考えているところでございます。
ということで、我々といたしましては、もちろん先ほど説明させていただきましたとおり、酒類業界全体で酒類容器にアルコール量を表示するといった検討を進めており、そちらも重要なのですけれども、その一方で、容器に記載されている純アルコール量というのがどういう意味を持つのかというのを、消費者にプロジェクトを通じて伝えていくことが重要でありまして、厚生労働省の政策にも沿うものというふうに考えて取組を進めているところでございます。
以上、酒類業界の取組について説明させていただきました。御清聴ありがとうございました。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、資料2-2について、事務局よりまとめて御説明をお願いいたします。
○米田推進官 厚生労働省でございます。
資料2-2を御覧ください。「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性」という資料でして、これまでの本会議において出された御意見とか、先ほど小野里委員からも御説明があった内容を踏まえまして、次期計画における不適切な飲酒の誘引の防止については、以下の方向性としてはどうかという資料でございます。また、基本的施策本文の記載を書いておりますが、新たに記載する内容をここに挙げているということでありまして、既に計画に記載されている内容については、特にここには掲げていないということでございます。具体的には下のとおりです。
酒類業界についてはということでありますけれども、まず1つ目、広告・宣伝に関する自主基準について、業界内での周知徹底を図り、必要に応じ自主基準の見直しを行うことについて記載してはどうか。また、酒類の交通広告については、特段の配慮を行うことについて記載してはどうか。
また、2つ目でございます。先ほどの御説明の中にもありましたとおり、業界内での合意事項も踏まえ、酒類の容器へのアルコール量の表示の取組を推進することについて記載してはどうか。
また、3つ目でございます。赤字の部分ですが、20歳未満の飲酒防止、飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブルの防止や、泥酔者等への酒類販売防止等の社会的要請への配慮を行うことが望まれることについて記載してはどうか。
そして、4つ目でございます。20歳未満の者の飲酒その他の不適切な飲酒の防止を訴求する動画や学習用ツールなどのコンテンツを作成し、啓発活動に努めること。また、啓発活動の実施に際しては、業界団体間や企業内での連携を一層推進することについて記載してはどうかといった内容を、私どもとして考えております。
委員の皆様から御意見を賜れればと思います。以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員からの御説明、及び事務局からの説明につきまして、御意見や御質問をお願いしたいと思います。先ほどもお話ししましたが、発言時は会場参加の委員は挙手をいただいて、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、指名させていただきますので、御発言いただくよう御協力のほどお願いいたします。
それでは、オンラインで大分挙手いただいております。石井委員、小松委員、上村真也委員、金城委員、志田委員に挙手いただいておりますので、まず、この順番で石井委員からお願いいたします。
○石井委員 当事者として参加させていただいている石井です。
今、ビール会社の方からお話ししていただいた資料の2番目、不適切な飲酒防止のための取組というところで、先ほどの資料2-2にありましたガイドラインのこととアルコール表示を推進していくためのこと、両方併せてですけれども、基本的施策本文の2つ目、酒類業界は、いわゆるストロング系どうのこうのという文章のところで、「飲酒ガイドライン」の内容、活用・周知の状況や業界内での合意事項も踏まえ、酒類の容器へのアルコール量の表示の取組を推進することについて記載してはどうかということになるかなと思うのですけれども、資料2-1の2.不適切な飲酒防止のための取組というところで、お酒にグラム数を書いていただくことを今、進めていただいているのは非常にいいなと思うのですね。
先ほど、そういったグラム数を書くことが消費者の方にどういう意味を持つのかということをこれから検討されていく、そういった情報がより広まるような努力をされていくお話があったのですけれども、グラム数を書いていただいたところに、この1日当たり平均純アルコール摂取量、男性40g以上、女性20g以上が生活習慣病リスクを高める飲酒量となりますという言葉を、一緒に表示のところに入れることを前向きに検討していただけたらありがたいなと思います。
非常にハードルが高いかと思うのですけれども、そこで自分が飲んだグラム数が飲酒ガイドラインの量に該当するのかどうか、量がどうなのかということを即座にここで一緒に理解することができるので、健康被害を少しでも抑えていくことが目的であるならば、業界としては非常に大変なことかと思うのですが、両方一緒の情報をラベルに書いていただけるのが非常にありがたいなと思います。また当事者として、自助グループの活動の中でストロング系の高濃度のアルコールがあるお酒をたくさん飲んでいる、ふだん常用されている話はとても頻繁に聞くので、そういったこともこれから考えていただけたらありがたいと思います。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 まず、酒類のアルコール量の表示に関して、家庭用の商品に3つの方法で表示するとあったのですけれども、できれば1本に純アルコール何g含まれているに統一していただいたほうがいいかなと思います。レディ・トゥ・ドリンクについては、もうそういうふうにされているというのはよく存じておりますけれども、依存症レベルの方たちの減酒の指導をしているときには、彼らは1本といってもいろいろな1本なんです。
それは2期の計画をつくるときに、私、いっぱい写真をプレゼンしましたけれども、そういうふうなことがあるので、とにかく1本当たり、例えばこれには120g含まれているとか、そういうふうにしていただかないと、それこそ減酒するにしても何をするにしても難しいというふうに思うので、そこは表示方法、どれか3つでは、しかも1杯当たりとか100ml当たりは、減らすほうにあまりならないのではないかなと思いました。それが1点。
それから、ビール酒造組合の資料に基づいたお話で、方向性の4つ目のポツです。不適切な飲酒の防止を訴求する動画や学習用ツールなどのコンテンツを作成し、啓発活動に云々とあるのですけれども、そもそも酒類業界、お酒を造ったり、売ったりする業界は、やるべきことはもっと先に別にあるのではないでしょうか。WHOのSAFERという、エビデンスに基づく効果の高い戦略と介入、Best buysをもっと進化させたものですけれども、これによると、Eがアルコールの広告、スポンサーシップ、プロモーションの禁止または包括的制限の実施。これこそ酒類メーカーの責任ではないでしょうかと思うので、啓発とか、そういうのは行政とか医療機関とかにお任せしていただいてもよろしいのではないかと思うのです。ということが1点。
もう一つ、そもそもこの資料に基づいた追記と、資料に出てきた内容について重大な疑義がありますので、私はぜひ修正してほしいと思っています。
第1に、飲酒ガイドラインは酒量ゼロが望ましいが大前提で、20g、10gが消えて、40g、20gが残ったということです。
それから、第2に、少しでも飲めば重大な疾患のリスクが上がると、日本人でのエビデンスが既にあるのに、40、20を周知というのは、害を減らすことに本当になるのかなと。
それから、第3に、そもそもガイドライン本文には、男性40g、女性20gという、この量は、個々人の許容量を示したものではありませんとまではっきり記載されているのです。ですから、このようなプロモーション、申し訳ない、プロモーションと思わず言ってしまいましたけれども、このような啓発活動というのは、完全にガイドラインの趣旨を誤解しているというふうに、臨床の現場にいる人間としては思わざるを得ないので、それは本当に考えていただきたい。日本人の研究で、少しでも飲酒するとリスクが上がる疾患は、男女とも高血圧、男性は胃がん、食道がん、女性は出血性脳卒中。これは既に日本人のエビデンスとして厚労省のガイドラインに出ております。いずれも健康寿命に大きく影響する重大な疾患です。つまり、ゼロなのです。40、20どころの騒ぎじゃない。この辺をきちんと考えていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、上村真也委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村です。
先ほどの小松委員のお話ともちょっと重なる部分があるのですけれども、ビール酒造組合の小野里さんの発表に関連してなのですけれども、まず、前提として、日本におけるお酒の広告規制は少しずつ前進していると思うのですけれども、諸外国に比べるとまだ緩い状況にあると思うのですね。そんな中で、酒造メーカーの皆さんが営利活動と社会活動という2つのバランスを取ったPR活動として、ほどほどに飲みましょうというアプローチを取るということは、これはこれで私としては理解するのです。実際にそれによって行動変容につながる。先ほど60%という数字も上げられていましたけれども、ある意味ちょっと物分かりのいいお酒好きの人というのも多分少なからずいるのだろう。そこは、その意義を全く否定するものではないのです。
ただ一方で、女性20g、男性40gというガイドラインで示された数字というのは、あくまで生活習慣病のリスクを高める参考の値、目安の数字という形で打ち出された数字で、例えば依存症が疑われる人であるとか、その予備軍、あるいは職場や家庭で暴力とか暴言を伴うような有害な飲酒をしている人であるとか、仕事中の飲酒とか飲酒運転といったリスクを射程に入れた数字じゃなかったと思うのです。だから、20g、40gまで飲んでオーケーというお墨つきを国として与えたものでは決してないということに留意が必要だと思うのです。
これまで国とか自治体とか医療現場、福祉の現場、メーカーも含めて、節度ある適度な飲酒を約20gということで広く用いてきたと思うのですけれども、酒造業界主導で、国が20、40まではオーケーというふうなメッセージを全面的に打ち出してしまうと、これまで積み上げてきたものと、ある意味逆行してしまうのではないか。これまでの基準より2倍飲んでいいのではないかというふうになってしまうという懸念を僕は持っています。その上で基本計画に仮に盛り込むのだとすれば、飲酒ガイドラインの正しい理解の下というふうな一文を入れられないかなというふうに思いました。
ごめんなさい、長くなって、もう1点。資料2-2の計画の改定の方向性の部分なのですけれども、4つ目のポツ、先ほど小松委員から指摘があった部分なのですけれども、僕も同感で、動画や学習用ツールなどのコンテンツの作成、啓発活動というのは、もちろん無意味だと私は思わないのですけれども、一方で、酒類業界というのは営利企業ですので、その宿命としてお酒をたくさん売らないといけない。これは飲酒量の抑制という目標と利益相反というか、コンフリクトというか、そういったものが生じるという難しさがどうしてもあると思うのです。だから、どうしても私としては、啓発とか飲酒教育の場を酒類業界が主導で行うことへの怖さとか危うさというのを感じてしまうのです。
だから、全ての人がウィン・ウィンの関係で最大多数の最大幸福じゃないですけれども、そういうものを追求できればそれが一番いいのですけれども、そこには酒類業界だけじゃなくて、多様な意見の集約というのは欠かせないと思うのです。なので、最後のところで、業界団体間や企業間の連携というふうな言葉があるのですけれども、もちろんそこで連携していただくのは重要なのですけれども、医療とか福祉とか当事者団体であるとか、いろいろな専門機関との連携というのを、むしろ基本計画に盛り込む必要があるのではないかなというのが僕の意見です。
すみません、長くなりました。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、金城委員、お願いいたします。
○金城委員 よろしくお願いします。鳥取大学の金城です。
私も小松委員、上村委員と同じく、4つ目のポツについてです。こちらの主語が「酒類業界は」となっているのですけれども、このような不適切な飲酒の防止のためのコンテンツの作成や啓発活動というのは、基本的には利益と関係しない団体、例えば国とか県といったところが作成するべきだというふうに考えています。世界的な流れでも、こういった利益相反を有するような機関の情報というのは、活用しづらいので、また健康教育に関わる専門職や専門機関のほうから、信頼できて、そして利益相反のない機関の資料を使いたいというふうな声もお聞きします。
ですので、酒類業界がこのようなコンテンツを作成、働きかけるという4つ目の柱自体を、本計画に含めないほうが望ましいのではないかと、この資料を見せていただいて思いました。
また、不適切な飲酒の誘引の防止について、今、ここには上がっていないのですけれども、販売場所とか時間、商品の陳列、飲み放題、製品のパッケージのデザインといった、先ほど小松委員もおっしゃられていたWHOのSAFERの中で上げられている推奨する施策で抜けている部分があって、我が国ではまだ十分でない部分について盛り込むことが望ましいのではないかなというふうに思いました。
以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、志田委員、お願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
私も今まで石井委員、小松委員等がおっしゃっていたことの繰り返しになってしまうかもしれないのですけれども、業界の合意形成が大変だということを発表者の方もおっしゃっていましたので、そういった中で、本文の主語が全て「酒類業界は」になっているところが果たしていいのだろうか。そこを海外等も含めて、一度チェックしていただくことはどうなのかなと思っています。
1つ前の資料では、一番最後に実態把握をするということが入っておりましたので、世界的に、先ほどからいろいろな委員の方がおっしゃっていますが、業界にお任せしていることで果たしていいのかどうなのか。国が責任を持ってやるべき部分があるのではないかというところを一度調査していただくと、業界の中でも、こういった国々は国がやっているところなので、国の主導でやるしかないみたいな合意形成にもつながっていくのかなと思いますので、ぜひ一度、こういった部分を、業界の自主規制なのか、それとも国とか自治体レベルできちんとそういった規制をかけているのかどうなのかということを調査していただいてから、この主語は本当にこのままでいいのかということも含めて御検討いただければなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、石井委員、挙手いただいているのですが、追加でしょうか。
○石井委員 小松先生をはじめ、皆さんの御意見を聞きながら、私の発言を撤回したくて手を挙げていました。すみません、撤回というか、議事録に残ってもいいです。お酒の害を、自分自身もそうですし、周りの人たち、あと身体に対しての害も、家族に対しての害もものすごく痛いほど感じている私なのに、先ほどの発言は、お酒のほうの業界の方に対してとても遠慮した発言になりました。健康被害のことについて、皆さんの御意見を聞きながら撤回したいなと思ったのですけれども、議事録、そのままでいいです。すみません。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から塚本委員、お願いします。
○塚本委員 塚本です。
4つあります。基本的には、この基本的施策本文、資料2-2についてです。
まず、1つ目の自主基準、酒類の交通広告について特段の配慮を行うということについてです。この自主基準の最終改定は令和元年の2019年です。その間に、私たちASKから交通広告について何度も申入れをしているのですけれども、結局、改定されませんでした。今回、特段の配慮と記載されてあるのですけれども、それはいいとして、例えば1期の計画のときには、喉元をアップしないとか、ごくごく、お酒を飲むときの音響をやめるとか、登場人物は25歳以上にと踏み込んでいたのですけれども、今回はその踏み込みが見られないです。なので、例えば交通広告の包括的な自主規制を入れるとか、そういった記載を入れてほしいなと思いました。あと、この自主基準をどのように入れるつもりなのかというのが1つ気になるところです。
ポチの2つ目のアルコール量の表示についてです。これはいろいろな委員から出ていたように、文字が小さくて見えないというのは困ることであるので、パーセンテージは結構大きく表示されているので、そこに同じぐらいの大きさでグラムも表示するというのが望ましいのではないかなと思います。
3つ目、結構これは大事だと思うのですけれども、酒類業者、事故とか20歳未満の飲酒防止について書いてあるところがありますけれども、20歳未満だけじゃなくて、飲酒に起因する各種の事件とか事故とか、こういったことを記載してくれたのはとてもいいのですけれども、この記述で無人店舗での販売みたいなものを目指しているのであれば、それは防げるのかなというふうに思いました。対人販売を旨とするなどの記載が必要なのではないかなと思いました。さっきWHOのSAFERの話が出ていましたけれども、このSAFERの中でも書いてあるように、アルコール入手の制限の強化というのが効果が高いということが言われているのに、これについても考えているのかなというのが1つです。
最後、たくさんの委員の人からもう出ていましたけれども、4つ目です。青少年への啓発というのは、酒類業界ではなくて、私もニュートラルな機関が行うべきではないかなというふうに感じました。酒類業界の役割として、というふうに記載するべきではないと思います。それこそ、既にアルコールが飲める年齢、それに近い大学生とか企業といったところでの啓発を行うというのは致し方ないというか、構わないと思うのですけれども、それを基本計画に書く必要はないと思いますし、それこそ、さっき小松委員が言っていましたけれども、生活習慣病のリスクを高めるまで飲んでいいという誤解を広めるのではないかなというふうに、私なんかはこれを見て感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問にお答えすることも含めての発言でよろしいでしょうか。貴重な御意見、ありがとうございました。
まず、グラム数表示に関しまして、40g、20gの意味をパッケージに入れてほしい。要は、生活習慣病のリスクを高める量が、この40g、20gということを入れてほしいという御意見だと思います。これに関しましては、その意味を消費者の方に伝えるというのはそのとおりかなと思っておりまして、我々、今、そのための啓発活動を行っているところでございます。
一方で、パッケージの大きさというものも限りがございますので、この中で20歳未満飲酒の禁止ですとか、妊産婦飲酒の防止といったいろいろな注意表示というのが入っておりますので、そういったところもバランスを見ながら考えて、消費者の方が分かりやすくお酒をお楽しみいただけるようなことを意識しながら、表示のほうは考えていくべきかなと思いました。
それから表示は、100ml当たり1杯当たりとか、いろいろあったのですけれども、ではなく、1本当たりのほうがいいというお話がございまして、これは我々も酒類団体で議論している中で、そのお話もあったのですけれども、ビールメーカーが造っているような、例えばビールのレギュラー缶みたいなものであると、1本当たりのほうが分かりやすいというのがある一方で、例えばウイスキーとかスピリッツといったものに関しましては、1回で飲み切るわけではございません。
ですので、お客様が楽しまれる一般的な飲み方に合わせて表示したほうがお客様には分かりやすいのだろうな、親切なのだろうなという意見がございまして、商品によって、それを変えるというような話になっております。ですから、ビールのほうは1杯当たりにきっとなっていくのだと思います。
それから、4つ目のポツのところは、皆様からたくさん御意見をいただいたところではございますけれども、我々としましては、ぜひアルコールメーカーの社会的な責任として、この啓発活動をやらせていただきたいなというふうに考えているところでございます。これは皆様御承知のとおりかと思いますけれども、世界でもこれに関しましてはいろいろなお話が出ていると聞いております。
まさに今週、9月25日に、WHOの意見も踏まえた上で、国連NCDsハイレベルミーティングが行われるというふうに聞いていますけれども、このハイレベルミーティングの中では、今、我々が聞いているお話では、経済事業者にこういった啓発活動を任せないではなくて、逆に社会全体のアプローチが大事なので、民間団体も、それから我々のようなお酒を造っている者たちも、国も交えて、社会全体でこの啓発活動をやっていくことが重要というふうな話になるのではないかというふうに聞いております。こちらに関しましては、日本も国連の加盟国でありますので、ぜひ国連NCDsハイレベルミーティングの政治宣言をベースにお考えいただけるといいなというふうに思っている次第でございます。
それから、お酒に関しましては、1滴でも飲んだらリスクがありますというお話がございました。これも飲酒ガイドラインの中にもありますけれども、疾病によってはリスクがあるものもあれば、疾病によってはリスクがないというものもあるやに聞いております。網羅的に考えると、1滴でも飲んだら危ない、リスクがあるというのは、まだ一般的なお話にはなっていないのかなというふうに考えております。これも国際的にもそのようになっているかと思いますので、ぜひそこもお考えの上で御検討いただきたいなというところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、渋木委員、お願いいたします。
○渋木委員 全国小売酒販組合中央会の渋木でございます。
先ほど塚本委員さんからも言っていただきましたけれども、2-2の資料のポツ3のところで、字句のほうで完全無人店舗とか対面販売という言葉を入れていただけるようにしていただければということを要望させていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 資料2-2の基本的本文の中についてですけれども、酒類業者の皆様が、特にビール酒造組合の方がリーダーシップを取ってといいますか、合意形成に向けた協議を進めていらっしゃるということに関しては、大変敬意を払いたいと思うのですけれども、全ての業界・会社がここに含まれているというわけではないと思うのですね。加盟していない会社、それから合意になかなか賛同していただけない会社というのもあると思いますので、業界の取組は限界があるのではないかと私は考えるのです。ですので、自主基準は自主基準で結構なのですけれども、国なり行政なりがきちんとした基準というものを設置して、それに基づいて、それを遵守していただくというような取組が新たに必要なのではないかと私は考えております。
交通広告について特段の配慮を行うということが書かれていますけれども、これにプラスして、公共空間での広告に関しても含める必要があるのではないか。こういった規制には、何らかの罰則をつける、これがすごく重要なのではないかなと思います。今まで業界の皆様が頑張っていらっしゃったとは思うのですけれども、自主規制では罰則がなくて、なし崩し的に様々な活動が進められてしまうということが過去にたくさんありましたので、そういったことも検討していただけたらなというふうに考えております。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインのほうで平川委員から挙手いただいております。平川委員、お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。
先ほど、1滴も飲んではいけないということについては、社会的にもそういう1滴も飲んではいけないというコンセンサスはないというようなお話がございましたけれども、このアルコール依存症という概念が少し変わってきている今、減酒というような概念を入れて、治療側も減酒というイメージと断酒というイメージが重なったような状態で、ちょっと統一性がないのも事実だと思います。
ただ、先日のJALのパイロットの飲酒にしても、ここに出てくるような、いろいろなトラブルを起こすような人たちについては、従来、過去に言っていたアルコール依存症の人たちのイメージですので、1滴もというのは量の問題じゃなくて、絶対口にしない、飲まないというのが基本的に私は原則だと思います。その辺で、少しぐらいいいだろう、このぐらいならいいだろうという程度云々を議論する、お酒を売っていらっしゃる皆さんの少しでも売りたい気持ちは分かりますが、それによって家庭が崩壊したり、その人の人生が壊れてしまうことがあるので、先ほどのようなお考えは、私は非常に危険だと思っております。
ですので、その辺は業界の方々もお考えを改めていただきたいし、例えばたばこのところに発がん物質ですよと書いてあるように、アルコールも人生がなくなるおそれがありますよというようなことも書いていただきたいと私は思っています。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 ありがとうございます。
今の例えばJALのお話、ああいった場面、場面で飲んではいけないところというのはあるというふうに理解しておりまして、そのときに1滴も飲んではいけないというのは、もうそのとおりかなというふうに考えますが、場面によっては、1滴も飲んではいけないというのが当てはまらない場面も一方ではあるのかなというふうにも思っておりますので、御理解いただきたいかなと思います。
それから、自主基準の話が先ほど出てまいりましたが、先ほど国連NCDsハイレベルミーティングの話もさせていただきましたけれども、我々も海外のアルコール団体の方々とお話しをしていると、日本のアルコールと健康の問題というのは大変うまくいっているなというお話を伺います。例えば、日本でいえば20歳未満、ドイツとかほかの国はアンダーエイジが違いますから年齢は違うのですが、アンダーエイジの飲酒率に関しましても、日本は先進国の中で最低レベルというのがあったり、アルコールに起因する死亡率とか疾患の率といったものも、WHOの掲げている目標の範囲内に収まっているというところがあります。
一方で、海外では、規制によって、それを抑え込もうとしているような国もあるのですけれども、必ずしも規制で抑えられるのではなくて、規制をすればするほど抜け道を探すみたいなところがありますから、日本がやっているような形で、国と民間団体と我々のような経済事業者が、まさに社会全体のアプローチで啓発活動をやっていくことが成果につながっているのだなというような御評価も、海外からはいただいております。ぜひそういったことも御考慮いただいた上で御検討いただければというふうに思います。
○松下会長 ありがとうございました。
随分いろいろと御意見いただいておりますが、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。
2つあるのですけれども、1つは質問なのですけれども、資料2-1の不適切な飲酒防止のための取組のところに、久里浜医療センターさんが監修というふうに書いていますけれども、私、自分の理解がいかないのかもしれないのですが、これをぱっと見たときに、依存症のナショナルセンターとカエルとが結びついてしまって、そういうことというのはいいのかなというのを単純に思いました。そこがちょっと質問と。
もう一つは、提案ではないのですけれども、今、酒類業界さんもいろいろな取組をされて、話し合っていろいろ情報を入れているということは、本当によく伝わってきます。もう一歩踏み込んでいくということは私も賛成です。例えば、「STOP!」、手のマークのものは随分普及されたと思うのですけれども、もう一つ踏み込んで、もし啓発というところに行くのであれば、例えばQRコードみたいなものを缶につけて、相談・心配とか、そういうもので、一方で苦しんでいる人を啓発的にやるということができないかなと思いました。
特に、2番目の基本的施策のところに、ストロング系アルコール飲料の普及が進んでいるということをお認めでありますので、依存症になった方のお話を聞きますと、このストロング系で強いお酒を一気に飲んでいくということも、データ的にも出ているということがありますので、例えばそういう強いお酒のところには、もしかしたら隠れた依存症の方が手を出しているという、商品ですけれども、商品ももし啓発に使うということであれば、手のマークだけじゃなくて、違うマークも、今度は助けるというか、そういうマークもつけるということを、私はもっと推進していってほしいなというふうに思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
様々な御意見をいただきましたが、なかなか難しいところが当然あるだろうと思います。取りあえず、今回はいろいろ御意見を伺うということで、ここで何か結論を得るということではないと思いますので、ほかに御意見がなければ。
では、米山委員、どうぞ。
○米山委員 広告に関して追加の意見なのですけれども、今、ネットでの広告というのが物すごい量で、いろいろな形態で行われているということがあります。つい先日も消費者庁が結構規制に入ったというニュースを聞いたのですが、ステマ広告です。業者の方が消費者の方に謝礼を払って広告を出している。報酬を払って動画とかを流しているのだけれども、表向きは業者の方がノータッチである、タッチしていないように見せているということがあるというのを聞きました。
酒類に関してもそういったことが起こっているのではないかということを推測できるような事例が過去にあったり、それから、若者に一気飲みを強いたり、あおるような動画が掲載されていたりということがあって、非常に問題だなと感じたことがあります。ですから、ネットでの広告というのももっと考えていく、私は規制をしていかないとかなり大変なのではないかと考えています。若者がネットを見ていますので、無制限であると、どんどんそういった映像も啓発以上に入っていってしまうというリスクがあると考えています。
例えばギャンブル問題では海外の違法カジノの広告が日本でも合法であるかのように、入ってきて、違法カジノが広がっている現実があります。ですので、酒類においても日本の業界の皆様の自主規制があっても、それをしのぐ勢いで海外からの広告やユーザーの動画等に見せかけた広告が入ってきているのではと危惧しています。ネットの世界では国境がありません。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
小野里委員、お願いします。
○小野里委員 すみません、手短に。
インターネットに関しましても、自主基準の中で決めておりますというのが1つです。
また、我々の目では抜けてしまうというか、漏れてしまうようなところに関しましては、第三者機関で広告審査委員会というのがございまして、弁護士の先生がトップでやられていますけれども、そこにチェックしていただきまして、不適切な広告、また発信が行われないようにチェックしているということがございますので、コメントさせていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 現場の高校生をいつも日頃から見ていて、このビール酒造組合のほうの20歳未満飲酒防止、先日、本校のほうでも頂いたのですが、20歳まで飲酒はいけないというものについては非常にインパクトがあるかなということで、近々のところで、私学さんも公立さんも、この9月というのは文化祭があって、一昔前であると、文化祭だと打ち上げ等で、高校生も含めて未成年の飲酒が心配されるのですが、最近は、そういった飲酒をさせること自体、お店の店主も罰せられるということで、高校生の飲酒は、私の知る限りは少なくなっている現状はあるかと思います。本校もそのままお伝えすると、生徒はファミレスに集まって、みんなでジュースで打上げをしたということも聞いておりますので、そういった変化もあるかなということと。
あと、皆さんがおっしゃっているように、有害な酒量の提言というところの男性40g、女性20gといった数値を出すと、逆に捉えると、ここまでは飲んでいいのかというふうな捉え方もあるのかなというので、慎重を期したほうがいいかなと感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
では、国税庁からお願いします。
○国税庁 皆様、いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。酒類業界を所管している立場でございますので、皆様からいただいた意見を踏まえて、また何ができるかというのは検討してまいりたいと考えておりますけれども、一言だけ。
法の第1条の目的のところにございますように、お酒そのものが悪ということではなくて、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとした上で、不適切な飲酒について防止していくというのが基本的な理念であると考えております。ここにいらっしゃる皆様、アルコール健康障害の当事者の方も多いかと思いますので、申し上げづらいところもありますけれども、我々としても、この原則に沿った上で何ができるかということは考えていきたいと思っております。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
金城委員、お願いします。
○金城委員 ありがとうございます。
今の御意見について、今日のテーマからずれるかなと思っていたのですけれども、この基本法の一番初めのところに、酒類が国民の生活に豊さと潤いを与えるものでありという文言が入っているのですけれども、以前はそうだったかもしれない、そういうふうに考えられていたのかなというふうに思うのですけれども、今、様々な人がいる。例えば、アルコール分解酵素の遺伝子多型であまりお酒が飲めない体質の人。性差により女性のほうが男性に比べて健康被害を受けやすいとか、どちらかというと社会的に弱い立場のほうが健康被害を受けやすいといった課題がある中で、酒類が豊さと潤いを与えるという、この文章自体が本当に今に適っているのかとも思います。
なので、第3期の新しい推進計画を立てる中で、その辺りも今後、考えていくところに含めていただければというふうに、今の国税庁からの御意見をいただいて思った次第です。
よろしくお願いします。
○松下会長 ありがとうございました。
いかがでしょう。随分いろいろと御意見をいただいております。もしないようでしたら、議題を進めたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の3点目、「健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等」について議論させていただきたいと思います。まず、資料3、4について事務局より御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。
資料3を御覧ください。こちらも「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性」ということでございまして、これまでのアルコール健康障害関係者会議において出された御意見等を踏まえまして、次期計画における「3.健康診断及び保健指導」及び「4.アルコール健康障害に係る事業の充実等」については、以下のような方向性としてはどうかということで、事務局としての大まかな御提案をさせていただくというものでございます。
具体的には、計画の中の基本的施策本文の中身ということで、以下8つ、上げております。
まず、1つ目でございます。かいつまんで説明させていただきます。かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携のための手引きを作成し、より身近な場所で、切れ目なくアルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する、と記載してはどうか。
2点目です。内科、産婦人科などの地域の医療従事者に対し、アルコール依存症、生活習慣病リスクや、女性の飲酒に伴う特有の健康影響等のアルコール健康障害に関する知識、家族への支援や自助グループ等との連携の重要性について周知を図るために、飲酒ガイドラインや、先ほど申し上げた手引きを活用することについて記載してはどうか。
3つ目です。健康診断や保健指導において、「飲酒ガイドライン」等を参考に、アルコール健康障害に関する正しい知識の周知・啓発を推進すること。また、「標準的な健診・保健指導プログラム」により、特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法や、早期に介入するための手法の普及を図ることについて記載してはどうか。
4つ目は職域についてでございまして、職域における対応の促進がより進むよう、アルコール健康問題に関する産業保健スタッフ等への研修や人事労務担当者等を対象とした事業者向けセミナーにおいて飲酒ガイドライン等を周知することについて記載してはどうか。
5つ目です。専門的な治療やリハビリテーションに関わる人材育成を図るための研修において、自助グループやソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士等)とも連携することについて記載するとともに、その研修において、飲酒ガイドラインや手引きを活用することについて記載してはどうか。
6つ目です。地域での連携が広がることにより、依存症患者の早期発見、早期対応が図られるよう、好事例の収集・周知を行うことについて記載してはどうか。
7つ目、当事者の家族の身体的健康・精神的健康・経済的困難と当事者の子どもへの影響などの実態について調査を行うことについて記載してはどうか。
最後でございます。当事者の家族への支援にかかる相談支援のガイドライン等を作成し、専門医療機関等に対して幅広く周知を行うことについて記載はしてどうかというものでございまして、委員の皆様の御意見をいただければと思います。
以上です。
続いて、恐縮です。資料4についても説明させていただければと思います。こちらは前回の6月の会議でも説明させていただきましたけれども、今後の進め方ということでございます。
資料にはありませんが、6月30日に開かれた第34回の本会議では、飲酒運転等をした者に対する指導等、また相談支援について御議論いただきました。
また、本日、第35回の会議では、先ほど議論いただきました重点課題や不適切な飲酒の誘引の防止。そして、これから健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等について御議論いただくという予定でございます。
次回が第36回ということで、11月頃の開催を予定しておりますが、引き続き各論について残る論点を御議論いただくとともに、報告書案ということで、これまでいただいた御意見などを踏まえて、事務局のほうで、骨子に近い形ですが、たたき台をお示ししたいと思いまして、この報告書案についても御議論いただければと思っております。
その後、第37回、12月頃の開催を予定しておりますけれども、報告書案につきまして、第36回でいただいた御意見を基に、より議論を深めていただくということを考えております。
こうした会議の進め方についても、併せて御意見いただければと思います。
失礼いたしました。以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、御意見をいただきたいと思いますが、オンラインのほうから、江澤委員、志田委員、小松委員、石井委員に挙手いただいています。
それでは、この順番で、まず江澤委員からお願いいたします。
○江澤委員 ありがとうございます。
資料3の内容については、賛成でございます。
1つ目の医療提供体制の構築については、地域医療構想や医療計画の中でしっかりと議論していただくことが重要ではないかと思います。
それから、3つ目の特定健診に関することで、こういった健診から保健指導や受診とつながるのは大変重要でありますし、就職の際の雇入れ時健診とか定期健診あるいは人間ドックなど、血液検査や超音波の画像検査を受ける機会はかなり多いわけですので、血液の肝機能異常やアルコール性の脂肪肝などは、しっかりとそういった指導や受診につなげていくべきであるというふうに思っております。
最後に3点目は、今月、保険適用となりました減酒アプリというものがございますけれども、これについては、まだこれから活用するものでございますから、効果の実態をしっかり把握して評価していくことも重要ではないかなと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、志田委員、お願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
まず、この資料3の中に研修、周知、活用という3つのランクというか、言葉が入っているのが、ちょっとどうなのかなというところをまずお伝えしたいかなと思います。
あと、2つ目のポチのところですけれども、私たち精神科でもぜひやっていただきたいなと思うのですが、ここのポチが活用という言葉で終わっているところが、ちょっとどうかなと思っておりまして、久里浜医療センターで速報の報告が出ていると思いますが、一般人の方ですけれども、ガイドラインを知らない方が86.3%という状況がありますので、ガイドラインをお示しするだけで果たしていいのかというところがあるかなと思います。
なので、例えば内科とか精神科とか産婦人科とか、今日はそういった方がいらしていないですが、専門医の更新とかでe-ラーニングみたいなものも入ってきていますので、ぜひそこで研修を義務化していただくとか、そういったことをやっていただくと、きちんとした情報が伝わるのかなと思いますので、医者の部分も活用にとどまらず、下のほうにある研修とか、そういった言葉を使っていただくとよろしいのではないかなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 前に配られた資料の案よりもかなり拡充されていて、そこは随分いろいろやってくださったなと。例えば、ポチの5つ目、自助グループやソーシャルワーカーとも連携するというところが、ソーシャルワーカーとも連携というふうに。そして、研修において云々というふうにも書いてある、かなり踏み込んだ内容になっているのがとてもよろしいかなと思いました。
同じように、先ほど志田委員がおっしゃったように、医者のほうがちょっと弱いのです。その辺については、先ほども研修の義務化というのがありましたけれども、既にアルコール関連問題学会とアルコール・アディクション医学会が合同でつくったe-ラーニングがございますので、それの人数を専門家とか二次医療圏ごとに集計したりすれば、どのぐらい、どういうふうに広まっているのかというのは分かりやすくなると思いますから、そういう指標をぜひ入れていただければいいかなと思いました。ですから、活用というとちょっと弱いのですけれども、研修を義務化とか、ちょっと入れて、毎年やりなさいとは言わなくても、例えば精神保健指定医の更新の研修とか、ああいう感じで、周年巡りでやっていくように、オンジョブでやれるような仕組みづくりが必要なのではないかと思いました。
あと、先ほどちょっと言いかけた数値目標ですけれども、重点目標の数値というのは、いつ案が出てくるのでしょうか。これは事務局のほうに質問です。
○松下会長 よろしいですか。
○米田推進官 事務局でございます。
御質問で数値目標がいつ出てくるかということでしたけれども、私どもとしましては、次回に報告書案という形でたたき台をお示しする予定ですので、その中で数値目標の案についてもお示しできるかと考えております。
○小松委員 ありがとうございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
では、石井委員、それから会場から林委員から挙手いただいていますので、石井委員、林委員の順でお願いします。
まず、石井委員、お願いします。
○石井委員 資料3の上から5つ目の小さなポチですけれども、そこに入っている「自助グループやソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士等)とも連携することについて記載する」という文章を、小さなポチ2つ目のところの内科、婦人科などの地域医療従事者に対しての文章のところの2行目、「重要性について周知を図るために」のところに、同じ文章、「自助グループやソーシャルワーカーとも連携することを記載する」という文章を入れていただきたいなと思います。
それと同じく、4つ目、「事業者向けセミナーにおいて飲酒ガイドライン等を周知する」と入っているのですけれども、ここも同じように、「事業者向けセミナーにおいて、自助グループやソーシャルワーカーとも連携することを記載する」。あと、飲酒ガイドラインなども周知するということで、5つ目のところの自助グループやソーシャルワーカーが入っている、記載するという文章を加えていただきたいなと思いました。
なぜかといいますと、前回など、機会あるごとにお話しさせてもらっているのですけれども、アルコール依存症者がやめて、実際に幸せに普通の人のように人生を生きているという当事者の姿を、やめている人の姿を、一般の方はもちろんながら、関係者の方も見たことがない、会ったことがないという方がすごく多いなと思います。関係者の方を通じて、そういった飲まないで生きている当事者と会うような機会をたくさん設けていただきたいと思うので、そういった文章を入れていただきたいと思います。厚生労働省からの文書に自助グループという言葉を入れていただくと、関係者の方は自助グループというのが文書に入ってくるのは非常にインパクトがあるかなと思います。
そのときに自助グループがどうかということを理解できなくても、情報として引っかかっていただくだけでもすごく大きいかなと思っています。私、当事者だから余計に熱が入ってしまいますが、偏見が非常に大きいということで、いろいろな治療のネックになっているということもそうですし。
あと、当事者自身としても、飲んでいる最中に本当はやめたいし、何とかやめたほうがいいと分かっていても、やめた後の人生のイメージが本当にわかないわけです。お酒をやめたら死ぬしかないというか、お酒をやめた自分がどうにもならない。だから、やめたいのに飲み続けなければいけないという苦しさも抱えているような病気なので、当事者の人が実際にやめて、普通に幸せに人生を生きている姿を見てもらうという機会をつくっていただくのは、治療の敷居を下げていくというか、当事者の意識も変えていく。時々話させていただくように、希望を当事者に見ていただく機会になるので、ぜひこの文章をここにも入れていただきたいなと思います。
余談ですけれども、地方でも活動していて、精神保健福祉センターとか保健所とかは、自助グループの活用の回数が結構多い。行政の中で、すみません、素人なのであれですが、厚生労働省からいろいろな文書が来ることで、そういった活動をしようという姿勢がすごく高いのだと思うのです。本当にここ数年というか、前からだと思うのですが、特にそれは感じます。こういった活動が、今回の関係者会議のような、こういうところでいろいろ話し合われていることや、いろいろな文書を出していただくことが、県の精神福祉センターとか保健所とかには非常にいい効果が出ているのだろうなと、当事者個人の目線ですけれども、思っています。なので、幅広くいろいろな関係者の方に自助グループといった言葉が伝わるようなことを望んでおります。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、お願いします。
○林委員 断酒会の林と申します。よろしくお願いします。
先週の金曜日、千葉市のこころの健康センターで障害相談をやっていまして、そこに行っていました。簡潔に述べたいので、スライドを準備しています。
これが断酒会の実態でございます。ブルーが2015年の会員数、オレンジが2024年の会員数です。10年間で64%に減少しています。
次のスライド、お願いします。上段左が年間例会開催数、4万1000回から、10年たって3万2000回、78%に減少。上段右が例会参加者数、63万6000人から30万6000、48%に減少しています。下段左が新入会員数、1003人から581人、58%に減少。下段右が70歳以上の会員数、2059人から、10年たって1600人に減少していますが、高齢化率だけが26.8%から32.6%に増加している。毎年、会員数の減少、新入会員が入会してこない。高齢化現象だけが目立っています。
次のスライド、お願いします。断酒会の現状を踏まえて、施策の強化をお願いいたします。
1.専門病院との連結の強化。専門医療から自助グループにつながるのは2%という残念な数字が出ています。2%です。偏見があったり、社会風土であったり、断酒会の魅力と原因はいろいろあると思いますが。
2.総合病院・一般医・相談機関からの直接紹介を強化してもらいたい。岡山県精神科医療センターの橋本先生が唱えられている、どこからでもドア方式の普及。また、アルコール依存症予備軍が多いと言われる身体科病院。自助グループにとって、一般医療の敷居は非常に高くて、連携しにくい。
3.心の連携指導料制度の簡易化と拡充をお願いしたい。
次のスライド、お願いします。減酒指導については、一定の数値以上の患者は、断酒を前提とした指導・条件をつけることで賛成でございます。
2.治療を先延ばししないこと、症状の悪化・家族の問題への配慮が必要になってくると思われます。
スライド、お願いします。高齢化による断酒会の問題点は、受入態勢が取れていない。地域格差が大きい。
会員減少によりマンパワーが不足している。
高齢化による世代間の断絶の現象が見られます。新入会員の減少が大きく影響していると思われます。
以上の断酒会の現状を踏まえ、断酒会自身の解決・改善の余地は多々ございますが、第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に断酒会の意見を取り入れてもらいたいというふうにお願いいたします。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
少し議事を元へ戻させていただいて、今、上村委員、石井から挙手いただいています。
では、上村敬一委員、お願いします。
○上村(敬)委員 どうもありがとうございます。上村でございます。
私、精神科診療所のほうで依存症を主に見ておるわけですけれども、今も幾つか議論がありまして、この基本的な方向性はおおむね賛成しているのですけれども、ポツの4つ目、職域におけるということで、産業保健医との関連についての文言があります。診療所でアルコールの患者さんを診ていますと、多くは家で奥さんのほうから、飲み方をちょっと考えてみたら、酒の量が多いのではないかということで受診されるきっかけが多いのですけれども、いざ減らしたいと思っても、職場の風土として、アルコールを多量飲酒する習慣、あるいは酒を飲むことが営業であるとか仕事であるというような文化がまだ多いようです。
そういったときに、働いていらっしゃる方々は定期的に健康診断を受けるということが決められています。ポツ3のところに、アルコール健康障害の早期発見・早期介入の取組の推進のために、健康診断や保健指導を行う。これは恐らく、いわゆる保険者などを中心としたものをイメージされていらっしゃるのかなと思っています。実際のところ、産業保健の領域でも健康診断されています。そこで保健指導をもっとやる。それで、お酒の問題、多くの方々は、実は肝機能の問題とか血圧の問題とか内科的な疾患をお持ちです。それで、内科の病院を受診されておられます。内科の先生方からも、専門医療機関を受診したらというふうな話はあるのですけれども、なぜか産業保健のほうからはなかなか来ないのです。
なので、産業医の先生方や産業保健に関わっている方々も、ただ単に周知じゃなくて、そこで飲酒ガイドライン等を参考にして、ここにポツ3に「特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法」などと具体的に書かれているのですけれども、こういったものは単に保健所レベルではなくて、産業保健のレベルでも行われるべきではないかなと。なので、ここで産業保健のところだけ周知するで終わっているので、何とも物足りなく感じます。よければ、周知すると同時に、専門医への紹介等々の連携のこととか、健康指導をするという文言がここではあったほうがいいのではないかなと思います。
先ほど林委員のほうから断酒会の話が出ました。断酒会のほうになかなか行かないという話があるのですけれども、1つは、実は診療所で見ていますと、アルコール依存症の皆さん方が、多くの方がイメージされる進行した重症のアルコール依存症ばかりではなくて、このままの飲み方でいくと健康障害がより大きくなるであろうという、まだ比較的早期の方々がおられます。そういう方々をつなげたいのですけれども、皆さん、働き盛りで、それこそ残業時間がとても多いような方々です。働き方改革とかもされていますけれども、そういう労働環境でもありますので、自助グループにつなげたくても、その時間に行けないなどの問題があります。
ここの議論だけではないのかもしれないですけれども、今、最も支援しなければいけない、まだ働いていらっしゃる元気な、体に少しずつ問題が出始めた、家庭では奥さんからちょっと愚痴を言われ始めた、そういうふうな方々こそ、より進行させないために総合的につなげていく。そういう意味で、先ほど林委員のほうから心の連携指導料について拡充の話が出ましたけれども、そういった産業保健や地域保健から内科、そして内科から精神科の専門医療機関あるいは精神科などにつながっていくときに、医療側としては、医療体制の構築を促進するという文言だけではなくて、それに対しての支援、予算措置等が、文言にはできないかもしれませんけれども、イメージされるような形で文章化していただければと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
オンラインで石井委員が挙手されています。石井委員、お願いします。
○石井委員 何度もすみません。
私は当事者としてここに参加させていただいているだけで、特定の自助グループを代表している者では全くありません。ただ、私自身、自助グループにつながりながらお酒をやめている当事者の感覚としては、ここ5年ぐらい、コロナでオンラインが非常に活発になってきたおかげで、若い人たちがお酒をやめるために、オンラインをきっかけに自助グループにつながっているとすごく感じられます。女性の方も非常に多いです。
そういった方が、地方であればミーティング量は少ないのですけれども、できるだけオンラインだけじゃなくて、実際に会場に足を運ぶことなんかにも、コロナのことが収まってからだんだんとスライドできていたり、都会のほうはもちろん実際の会場に足を運んでという方たちも増えてきているかなという印象があります。
そういったわけなので、20代、30代とか40代、50代でお酒をやめたくて参加されている。お酒をやめて10日目です、3か月目です、6か月ですというような方たちの話を伺っていると、まだ家庭があったり、子育てをしていたりで、社会生活、家族との関わりを持ちながら自助グループのほうも一緒になってお酒を止めていこうという時期の人たちが、御家族や関係者の方の理解がないと、併用して治療を続けていくことが非常に難しいなということは感じています。
産業医の方のお話もあったのですけれども、特に男性は小さな子どもさんがいたりすると、奥さんからも、お酒が止まったのだから家庭のほうをとか、仕事のほうを一生懸命やって、また信頼を取り戻してというところにどうしても意識が行くので、再発が非常に近づいていたり、再発して命を亡くしたりという方たちも、若くして40代、50代で治療につながりながらも、それが続かないということが残念だなという例をたくさん見せていただいていますので、一般の方、関係者の方の理解を進めていただくような、こういった活動の促進を続けていくことは、とても有効なことかなと思っています。先ほどの意見と同じなので、締められませんが。
あと、すみません、もう一つ、私の場合には当事者との関わりなのですけれども、確かに高齢になって退職してからお酒という方もいらっしゃるのはたしかなのですけれども、あと、やめて長い方、自分も年齢が高くなっている1人ですけれども、最初の飲酒のスタートの年齢というのは、高校生とか大学生がすごく多いです。それがここ4~5年だけの話じゃなくて、以前から。そういうことは出てこないのです。高校生も飲んでいますと言わないし、大学生だって、あの人は20歳前に飲んでいるなんていうことをお互いに言わないし、友達付き合いの中で、みんなで楽しく、隠れて飲んでいくのも青春なのだろうと思うのですけれども。ここの話ではないのですが、付け加えさせていただきました。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から長嶺委員に挙手いただいています。また、オンラインで白石委員から挙手いただいていますので、長嶺委員、白石委員の順でお願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。家族の立場とヤングケアラーの立場として参加させていただいています長嶺です。
この基本的施策本文の1つ目の○と5つ目の○辺りに該当するかと思うのですけれども、医学生のうちから精神科と、特に内科の辺りの教科としても、アルコールに関する身体的影響とか、精神科の教科書のほうでも依存症とはというところの教育をもう少し深めていただきたいと、家族のほうとして切に願っております。というのは、専門医療機関というもの、文言も知らずに家族は相談に行きます。そのときに学術上といいますか、教科書上では知っていても、回復した人たちの過程を知らない専門医たちの言葉によって傷つけられる家族も多く見ております。私自身も、自分の不調のときにも似たような言葉をかけられて傷ついた経験もありますし、仲間のほうからもそういった言葉をよく聞きます。
ですので、教育というところでは、現在、医師として御活躍の先生たちの内科や精神科の方たちにも、ぜひ研修として、アルコールのことはより義務づけていただきたいのですけれども、その前段階の教育からもぜひ取り組んでいただきたいなというのを、1番目と5番目に該当するかなと思いまして、発言させていただきます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、白石委員、お願いいたします。
○白石委員 内科医の白石です。
いろいろ意見がございましたけれども、軽いと言ってはおかしいのですけれども、まだここでやめれば依存症にならない、なっても軽く済む、コントロールがつくというような人をかなりたくさん内科で診ております。惜しい人がたくさんいるのです。そういうところで重症化を予防する。それから、議論の中では重症になった人をどうするという問題と、そこまで行かないようにするという、この大きな流れがあると思うのですけれども、私はどちらかというと気づくようにすることと、そういう人たちを見捨てないようにすることと、それからつながなければいけないところをつないでいく。これが一般内科医的な、もしくは普通にいろいろな科の先生が、科を超えたところで周知しなければいけないというところで、ぜひそこを明確にしていくべきかなと思いました。
本当に依存症で、家族の崩壊のこともよく知っておりますので、その辺のケアというのは非常に重労働です。その重労働になる前に予防できるところが、これから大切なところだと思います。上村委員からあったように、産業保健のほうからの話は本当に少ないのかなと。それから、学校保健などあるので。
吉本先生が3つほど連携のガイドラインを出しているのは御存じかと思いますけれども、効果をきっちり明確にしてあげることで、ここまでやればこんなによくなるよ、もしくは自分の体験がだんだんよくなっていくということを明確にさせてあげる。そういうことはデータでも出ているし、自分でも気づく、患者さん自身も気づくようにする。今度は、医者もそれで勉強できるということをしていくというのが一番大切かと思っています。
ただ、今後、減酒でいい人たちと断酒じゃなければいけない人たちは絶対あるわけで、そこを混同しないように明確にしていくということも大切かと思っていますので、その辺の動きをしていきたいなと思います。
産業保健研修会は至るところでやっておりますが、僕も何回か出たのですけれども、たばこはあったのですけれども、飲酒についての講演が1回もなかったので、あれと思っております。その中では間違った情報を流していました。たばこは百害あって一利なしとやっていましたけれども、アルコールは少しだったらいいのです。たばことは違いますと言う人がまだいたというショックを受けて帰ってきたこともあります。ぜひこのことを産業保健の関係の方、内科系。それから、今、栄養の学会もアルコールに着目し始めてきています。そういういろいろな関係の学会の先生方、もしくは関係者の方が目を向けてもらえるようにやっていく必要があると思っております。
自分の関係しているところも、肝臓学会は前向きにやっています。病態栄養学会も、少しずつアルコールのシンポジウムも入ってきています。ぜひそういうようなところからも、草の根運動みたいな感じですが、進めていければと思います。
以上です。ありがとうございました。
○松下会長 ありがとうございました。
そろそろ予定の時刻が近づいてきておりますが、ほかに。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 1つ目は、1番目のポチの部分、基本的施策の本文ですが、切れ目なくアルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する、と記載してはどうかということで、これはもちろん、そのとおりではないかと思うのです。先ほど江澤委員からも意見が出ていましたが、地方自治体、都道府県レベルでの地域医療計画の中でとか、保健所、精神保健福祉センターレベルで促進するといった主語を何か入れたほうがいいのではないかというふうに思いました。もちろん、保健所や精神保健福祉センターや県レベルでの医師会、地方自治体等が推進する役目があるのではないかと思いますので、そういったところもぜひ含めていただけると、責任の所在がより明らかになるのかなと思いました。
それから、2つ目は5つ目のポチの部分ですけれども、「自助グループやソーシャルワーカーとも連携」というところで、今、断酒会さんがSBIRTSの研修などに結構力を入れて、あちこちでやっていらしたと思います。患者さんが医療機関から自助グループにつながる。そして、自助グループから医療機関に具合が悪くなってつながるとか、そういった双方の連携というところでは、例えば医療機関に特定研修を受けたスタッフがいて、プラス、自助グループと定期的に連携があり患者さんをつなぐ仕組みがある医療機関にはインセンティブをつけるとか、何かプラスしたシステムを導入してはいかがかなと考えました。そういったことも検討していただけるとより自助グループと医療機関の連携が強化されるのではないかと、新たな患者さんがつながりやすくなるのではないかなと思いました。医療スタッフがまだまだ自助グループを知らない現状があるのではと思います。
それから、もう一つは、長嶺委員から医学生の教育をもっと深めてほしいという御意見が出ていたのですが、実は私の講座で、今、小さな研究をしていまして、大学生に対象にした調査研究を行ったのですけれども、医療系の学生とそうじゃない学生を比較したところ、医療系の学生のほうがアルコールに対する危険といいますか、認識は、ほかの学部の学生よりは持ってはいたのですけれども、自分が依存症になるかどうかというようなことに関しては否認が強かったというような、有意にそういった違いのある結果が出ていたのですね。
学生のうちに、特に依存症に関する教育を強化していない段階で、既にそういった現実があるということですので、現実をもっと知っていただくような教育の工夫とか教育内容の強化というところは、私も非常に重要なのではないかなと考えています。医学生だけじゃなくて、医療系の学生ということでの結果が出ているので、看護とか社会福祉系、ソーシャルワーカーなどに関しても、もっと教育を深めていく必要があるのではないかと思います。何かそういった部分も盛り込んでいただければと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
会場から稗田委員、オンラインで小松委員が挙手されております。終了時間が大分近づいておりますので、できるだけ簡潔にお願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。
資料3のところにソーシャルワーカーを多用していただいて、本当に感謝しております。これですけれども、早期発見・治療の仕組みということで、今後5年間、第3期で使うということになったときに、この5年間の間にICTの活用というのがもっと急速に広がっていくということが考えられると思います。例えば、電子カルテにAUDITを入れるとか、様々な工夫を考えておられる動きもありますし、研究もありますし、診療報酬の退院支援加算にヤングケアラーのことも入ったりしましたので、そういうところを意識化できるような、電カルとかICTをうまく活用した早期発見・治療の仕組みの検討というのをぜひ入れていただきたいなと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、最後に小松委員、お願いします。
○小松委員 主語の話が出てきたので、確認なのですが、2の不適切な飲酒の誘引の防止は、付け加えられたものは全部「酒類業界は」という主語が入っているのです。4つ目のポツはいろいろ出ましたけれども、こちらのほうは、「国は」、「国及び地方公共団体は」みたいなものが主語になるのかしらと思って読んでいたのですけれども、その辺、誤解を招かないように主語をきちんと入れたほうがいいのかなと思ったのと。
あと、教育の分野については話し合いをしていましたでしょうか。先ほどの長嶺委員の提起とか、その辺は教育の話だと思うのですけれども、最後、質問です。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からお願いします。
○米田推進官 2点御質問いただきました。
まず、主語についてでございますが、確かに資料3では特に主語を書いておりませんで、分かりにくかった点があったかと思います。実際に報告書案の素案を出すときには、主語にも気をつけて記載していきたいと思っています。恐らく御指摘のあったように、国とか都道府県・指定都市、地方公共団体といったものが主語になるものと思っています。
また、2つ目、教育の点でこれまで議論したかという御質問だったかと思いますけれども、それについては、次回の各論の残りの部分で議論していきたいというふうに考えております。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
まだまだいろいろ御意見あるかもしれませんが、大分時間が迫って、ほぼ終了時刻を過ぎてしまいましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
事務局におかれましては、本日の御意見を踏まえて必要な資料修正をお願いします。
また、委員の皆様におかれましては、本日の御発言以外に追加の御意見などございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。なお、次回についても各論の議論も進めていきたいと思いますので、各論に関わる御意見はその際にお願いいたします。
最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○小野室長補佐 本日はありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
○松下会長 それでは、第35回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本検討会はオンライン併用ですので、一部の構成員はオンラインでの参加となっております。
ペーパーレス化の取組として、資料は原則としてタブレットで御覧いただきたく存じますが、操作等で御不明点や紙による資料の御希望等がございましたら、適宜事務局までお申しつけください。
また、本日の会議は、あらかじめ傍聴を希望された方を対象に音声の配信を行っておりますので、御発言の際はマイクを近づけていただいた上で、お名前を名乗ってできるだけはっきりと発言いただきますようお願いいたします。また、発言時はマイクを御使用いただき、発言されない際はマイクを切るよう御協力をお願いいたします。
傍聴される方におかれましては、開催案内の際に御連絡している「傍聴される皆様へのお願い」事項の遵守をお願いいたします。また、会場設備の関係で音声に不具合が生じる可能性がありますので、聞き取れなかった箇所については、後日、議事録を公開させていただきますので、そちらで御確認をお願いいたします。
事務局に人事異動がございましたので、御紹介申し上げます。7月8日付で障害保健福祉部企画課アルコール健康障害対策推進室長に乗越課長、アルコール健康障害対策統括推進官に海老名課長、アルコール健康障害対策推進官に米田室長、平田室長が就任しております。
本日、社会・援護局障害保健福祉部の野村部長は、ほかの公務の関係で欠席となります。
本日の出席状況について御報告いたします。会場での御出席が、小野里委員、勝嶋委員、渋木委員、塚本委員、長嶺委員、林委員、稗田委員、松下会長、米山委員となっております。オンラインでの御出席が、石井委員、上村敬一委員、上村真也委員、江澤委員、金城委員、小松委員、志田委員、白石委員、平川委員、山口委員となっております。現在、19名中19人御出席されておりますので、会議が成立することを御報告申し上げます。
さらに、本日は関係省庁より、警察庁、法務省、国税庁、文部科学省、こども家庭庁、国土交通省よりオブザーバーとして参加いただいております。
以上、よろしくお願いいたします。
撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
この後の進行は、松下会長にお願いしたいと思います。
○松下会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○小野室長補佐 お手元の資料の確認をさせていただきます。
資料1 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(Ⅲ アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題)
資料2-1 ビール酒造組合提出資料
「アルコール健康障害対策関係者会議 ビール酒造組合説明資料」
資料2-2 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(2.不適切な飲酒の誘引の防止)
資料3 アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性
(3.健康診断及び保健指導、4.アルコール健康障害に係る医療の充実等)
資料4 今後のアルコール健康障害関係者会議の進め方について(案)
そのほか、参考資料1から6までを用意しております。
不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
以上となります。
○松下会長 それでは、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」です。本日は、アルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題、不適切な飲酒の誘引の防止、健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等についての議論を進めていきたいと思います。
まずは、1点目のアルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題について、事務局より御説明をお願いいたします。
○米田推進官 アルコール健康障害対策推進官の米田です。
資料1を御覧ください。改定の方向性ということでございまして、これまでの本会議において出された御意見などを踏まえまして、次期計画における重点課題について、事務局としてこういった方向性が考えられるのではないかという大まかな提案をさせていただくものでございます。
以下、説明いたします。
まず、第3期計画における重点課題につきましては、現在の「(1)アルコール健康障害の発生予防」「(2)アルコール健康障害の進行・重症化予防、再発予防・回復支援」という二本立てでございましたが、これはこれとして継続しつつ、加えて、アルコール健康障害の当事者や、その子ども・配偶者・親・きょうだいなど家族への支援の観点から、「(3)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」を追加で設定してはどうかというものでございます。
具体的には、その次のポツです。「アルコール健康障害の当事者及びその家族がより円滑に適切な支援に結びつくよう、相談支援体制等を構築する」としてはどうか。
また、重点課題に取り組むべき施策というものが上げられますが、それについては以下のような事項を記載してはどうか。5つチェックが並んでおります。
まず、アルコール健康障害の当事者及びその家族がアクセスしやすい相談支援の環境整備を図る。
2つ目、地域の関係機関や多職種連携の下で、アルコール健康障害の当事者及びその家族を支援する。
3つ目、アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援に資するよう、必要な人材の養成や調査研究を推進する。
4つ目、アルコール健康障害当事者の家族への支援にかかる好事例等を収集する、及び、それらを活用して相談支援のガイドラインを作成する。
5つ目としまして、特に、こども基本法に基づき、こども施策の強化が図られていることを踏まえまして、以下の取組を推進するとして、相談支援における児童福祉部門等との連携の強化。また、各地域におけるアルコール健康障害対策に関する関係者連携会議の開催等を通じた、地方公共団体の児童福祉部門等との連携体制の構築。また、地域生活支援の従事者や児童福祉部門関係者等に対する研修の推進。アルコール関連問題を抱える当事者の家族の実態(健康状態や子どもへの影響等)に関する調査の推進ということでございます。
また、重点目標につきましては、以下のような事項を記載し、これらの達成状況について定期的な点検を行うなどにより、目標達成に向けた取組を推進することとしてはどうかということで、2つあります。関係者連携会議における児童福祉部門等との連携状況。また、アルコール関連問題を抱える当事者の家族への影響などに関する実態把握ということでございまして、委員の皆様の御意見を賜れればと思います。
説明は以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からの説明について、御意見や御質問をお願いしたいと思います。発言時は、会場参加の委員は挙手の上、オンラインで御参加いただいている委員は挙手機能を御使用いただいて、私が指名させていただきますので、その後、発言いただくよう御協力のほどお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。
では、まず、会場から長嶺委員、お願いします。
○長嶺委員 お世話になります。長嶺です。
今回の重点課題の中で、(3)の「アルコール健康障害当事者及びその家族への支援」ということで、やっと「家族の」というワードが出てきたこと、家族の立場としてうれしく思います。この取組のほうに、子どもやパートナーや配偶者以外にも視点を向けようという案が入っているのはとてもうれしいのですけれども、太字の中で「(3)のアルコール健康障害の当事者及びその家族への」の後に、ぜひ「子ども」などの文言を括弧でもよろしいので入れていただけると、より現場の方への注目度が高まる、視点として定まると思いますので、その辺、入れていただければなと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、米山委員、お願いします。
○米山委員 この取り組むべき重点課題に、家族、それから、子どもの視点が含まれるということは、大変ありがたいなと思って聞いておりました。私は、子ども以前に、困難な問題を抱える女性支援部門等との連携強化もぜひ加えていただきたいと思います。子どもさんがいない配偶者の方とか、配偶者ではない恋人とか、そういう方たちも、アルコールの問題及びDV等で大変困難な問題を抱えていらっしゃる方が結構いらっしゃるのですが、女性支援部門の方たちの理解とか、こういった問題に対する取組姿勢というものが、まだまだ十分ではないということがありますので、そこをぜひ含めて強化していただきたいなと思います。もちろん、そういった方々への研修の推進といったこともぜひ含めていただけたらと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで小松委員より挙手をいただいておりますので、小松委員、お願いします。
○小松委員 沖縄の小松です。
まず、重点課題の一番下のところからです。重点目標にこれこれを記載して、達成状況について定期的な点検を行うなどにより、取組を推進すると、「定期的な点検」という文言を入れていただいたのが大変うれしいです。よかったなと思いました。
それから、先ほど長嶺委員、米山委員もおっしゃっていましたけれども、重点課題の別立てで、大きな柱の一つとして、「(3)アルコール健康障害の当事者及びその家族への支援」という文言がきちんと入ったということも、大変すばらしい、第3期計画の目玉になるのではないかと思いました。
それから、前後しますけれども、上から3つ目のポツの取り組むべき施策のところに、チェックマークが5つついている一番上です。「アクセスしやすい相談支援」というふうに入ったというのも非常に大きいと思います。相談支援だけではなく、医療もですけれども、相談につながってくれないことにはあれなので、そこが入ったのも大変いいのではないかなというふうに思いました。
ただ、重点目標については、このチェックで2つの児童福祉部門との連携状況と、当事者の家族への影響などに関する実態把握というものを新たに付け加えるということになっているのですけれども、それ以外の御本人の治療とか回復支援がつながっていくかどうかの数値目標をぜひ入れていただきたいと思います。それについては、また後で発言いたしますけれども、ここでもちょっと申し述べておきたいと思います。
まず、以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかにはいかがでしょうか。
では、会場から稗田委員、お願いします。
○稗田委員 稗田です。
私も皆様と同じように、今回、家族、特に子ども・配偶者・親・きょうだいということを網羅していただいて、本当に前進したなと思います。私も長嶺委員と同じなのですけれども、家族というのは、今まで対策、基本計画の中にも載っておりましたけれども、家族の中の子どもが今までなかなか見えにくかったということがありますし、この前の調査報告もさせていただきましたけれども、情緒的なケアというのは、アルコールの中でとても突出しているし、それは将来、子どもの人生にもとても関わるということが示唆されています。
ですので、この計画の目次のところに家族、そして子どもという言葉が見えてこないと、意識化を図りたいというふうに私は思っていますので、家族、子どもなど、配偶者・親・きょうだいも大事、とても重要だと思いますけれども、特に子どもということについては、下の児童福祉部門との連携のところで意識できるようにお願いしたいと思います。
また、丸ポチ3つ目の(3)の取り組むべき施策のところですけれども、上から2番目のチェックに地域の関係機関や多職種連携とありますが、苦しんでいる方、御本人もそうですし、御本人を通しての子ども、その奥にいる子どもたちへ思いがちゃんと行くように、医療機関はぜひ入れていただきたい。医療機関も専門医療機関だけではなくて、精神や一般医療も含めて、一般医療の中では、特に救急で運ばれてきた方の子どもさんとか、そういうところでアルコールの問題で苦しむ子どもさんがいらっしゃるということも見えてきていますので、ぜひそれも入れていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかに御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。
もしないようでしたら議題を進めていきたいと思います。
上村敬一委員、お願いいたします。
○上村(敬)委員 ぎりぎりで申し訳ございません。
先ほど小松委員や今の方もお話になられていたのですけれども、医療の立場から、先ほど出ていたアクセスしやすい相談支援が入っただけでも、まだいいと小松委員はおっしゃいましたけれども、実はそこに医療側からの支援もどうしても入れてほしいなと思います。というのは、医療というのは、どうしても当事者の方の治療ということになって、御家族の方の面談とか支援というのはとても重要なのですけれども、今、とても多忙な状況で、そこまで手が回らないというじくじたる思いがあります。
今、いろいろな医療機関では、そういった役割を担う者として、例えばソーシャルワーカーの配置とか、そういったものを進めてはいるのですけれども、大きな病院だったら可能性としてまだあるのですけれども、精神科の診療所の立場では、なかなかそういう専門職の雇用・配置まではなかなかできないわけですね。なので、せっかく相談支援が重要だと言われても、現場の私たちがそれに対応できる体制を取れない状況がありますので、ぜひともアクセスしやすい医療、あるいは多職種連携をする上での医療との連携をするという専門職の配置について、具体的にここに書くことはできないかもしれませんけれども、それを意識してほしい。何らかの医療との連携が必要だという文言を入れてほしいなと思います。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、平川委員、お願いいたします。
○平川委員 遅くてすみません。
今のお話、確かにそのとおりだと思うのですけれども、医療の介入というのは、我々、アルコール依存症を治療している者とすると、介入の仕方は非常に難しくて、あまりに介入し過ぎると、我々がその病態の一部になって共依存関係を形成してしまうというようなこともあるので、あまりアルコールに慣れないPSW等が介入した場合には、ちょっと巻き込まれてしまうおそれもあるということで、その辺についてはきちんと体制を整えて、数だけ増やすのではなくて、教育も含めていろいろな体制を考えていただきたいというふうに思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。
いろいろ御意見いただき、ありがとうございました。
それでは、次に進めたいと思います。続きまして、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の2点目、「不適切な飲酒の誘引の防止」について議論をさせていただきたいと思います。まずは、資料2-1について、小野里委員より御説明をよろしくお願いいたします。
○小野里委員 ビール酒造組合の小野里でございます。
本日は、酒類容器に純アルコール量を表示することについての酒類業界の検討状況について説明させていただく機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。持ち時間は10分程度と伺っております。ポイントを絞って説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次のページ、お願いします。本日、お話しをさせていただきます内容は2点でございます。1点目は本日の主題であります、酒類業界の純アルコール量表示について、現在の検討状況について説明させていただきます。2点目は、これに関連いたしまして、我々ビール酒造組合が取り組んでいる、不適切な飲酒防止のための取組について説明させていただきたいと思います。
次のページをお願いします。こちらは、皆様、もう御承知の内容かと思いますけれども、改めて確認させていただきますと、今回の酒類業界の純アルコール量表示につきましては、アルコール健康障害対策推進基本計画の第2期に明示された内容でありまして、こちらのスライドの右側に記載のとおり、酒類業界は、酒類の容器にアルコール量を表示することについて速やかに検討を行うという内容でございました。これに従いまして、我々酒類業界は検討を行ってきたところでございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは我々酒類業界の構成団体の一覧でございます。それぞれの組合・協会の名前の下に数字がございまして、これが各加盟団体の加盟社数でございます。我々ビール酒造組合、こちらを見ていただきますと、加盟社は5社となりますけれども、例えば左横の日本酒造組合中央会であれば、その数は多くて1626社という形になります。また、こちらの数を全て足し上げますと、全てで3万3341社。また、メーカー各社だけ抜き出しても2326社ということになりますので、それら数多くの酒類業者の皆様の理解・合意を得るための表示案を考えていく必要がございます。
具体的には、我々大手のビールメーカーと中小の酒蔵では規模も違いますし、扱っているお酒の種類も違いますので、合意形成には熟議が必要でありまして、酒類業中央団体連絡協議会の会議、それから酒中連のアルコール問題ワーキンググループにおいて、全20回の議論を重ねてまいりました。また、各団体においては、これとは別に各加盟社との議論も行ってきたところでございます。
議論の内容は割愛させていただきまして、次のページでございます。こちらが今、合意形成された内容になります。まず、純アルコール量を表示する商品につきましては、1番に記載してありますけれども、原則として、「消費者に販売される形態」となっている酒類商品といたしまして、対象容器については継続議論中でございます。分かりやすく言いますと、消費者の目に直接触れて、直接手に取っていただけるような家庭用の商品に純アルコール量を表示していくという形になります。
また、その表示方法のルールでございますが、2番目のところに記載してありますとおり、①100ml当たり、②1本当たり、③1杯当たり、このいずれかで表示することになります。なお、1杯当たりの場合は、1杯当たりの容量も表示して、消費者が今、自分が飲んでいるお酒にどのぐらいの純アルコール量が含まれているのかを分かりやすくすることとしております。
スケジュールにつきましては、3番目のところに記載のとおり、既に表示を始めている企業もございますけれども、中小企業等々、ラベル在庫を抱えているなどして、すぐには対応できないというところもございますので、ラベル切替えタイミングなどを考慮した上で速やかに開始するというふうにしております。
この合意形成された内容に従いまして、純アルコール量の表示を進めてまいりたいというふうに考えております。
続きまして、次のページでございます。こちらは酒類業界のアルコール問題への取組の事例として、我々ビール酒造組合の事例を紹介させていただきます。我々は健康日本21の第三次ですとかアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期の重点目標に対応する形で啓発活動に取り組んでおりまして、20歳未満の飲酒防止や産婦飲酒防止の活動を実施。また、我々が作成している適正飲酒を勧めている冊子では、厚労省のアルコールウォッチの紹介などもさせていただいておりますけれども、本日御紹介させていただきますのは、この真ん中の赤枠にありますとおり、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量の男性40g、女性20g以上の認知拡大を図って、さらには行動変容を促していく取組、飲み方プロジェクトについてということでございます。
次のページをお願いいたします。昨年の4月から立ち上げた、こちらの飲み方カエルプロジェクトでは、動画とか、こちらにありますような2こま漫画、また飲みかえルール6か条などを作成して、分かりやすく生活習慣病等のリスクを高める純アルコール量を知ってもらい、飲酒者の行動変容を促すようなことをしております。
こちらのスライドの右側に調査コンテンツという枠がありますけれども、こちらを見ていただきますと、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量40g、女性20gの説明がございます。
なお、こちらの動画ですとか2こま漫画に関しましては、ビール酒造組合のホームページですとかYouTube、またTVerといったものを活用して発信しているところでございます。
次のページをお願いいたします。こちらが啓発動画のこま割りで、実際は動画になっております。本日は詳しい説明は割愛させていただきますけれども、カエルのキャラクターを使いまして、分かりやすく、とっつきやすい内容で、これを活用しているところでございます。
次のページ、お願いいたします。こちらは飲みかえルール6か条の御紹介となっております。ちょっと文字が小さくて恐縮なのですけれども、左下から第1条、第2条、第3条となっておりまして、左端の第1条はノンアルに置きカエル。また、1個飛ばして第3条は飲んだ量は振りカエル。これは生活習慣病にリスクのある飲酒量を認識する上でも大事なことかなと考えております。それから、一次会でカエルとか、今日はヒカエル。今日はもうアルコールを飲まないということになります。消費に関わる話になりますので、我々酒類業界としては、ある意味かなり突っ込んだ内容のコンテンツになっております。
ここまで簡単に、生活習慣病のリスクを高める飲酒量であります、1日当たり平均純アルコール摂取量の男性40g、女性20g以上の認知拡大を図って行動変容を促していく取組、飲み方カエルプロジェクトの説明をさせていただきました。我々、これに関しましてアンケート調査というのを取らせていただいておりまして、この飲み方カエルプロジェクトを知っている人、認知している方は、生活習慣病のリスクを高める飲酒量についての認知率も、通常の方と比べて1.5倍高いといったような結果が出ております。
また、プロジェクトの認知者が生活習慣病のリスクを高める飲酒量を知ったことによって、それを超えるような飲酒を控えるように意識を変化させた方は60%いらっしゃるということで、こちらのプロジェクトの認知が生活習慣病のリスクを高める飲酒の低減につながっていくのかなというふうに考えているところでございます。
ということで、我々といたしましては、もちろん先ほど説明させていただきましたとおり、酒類業界全体で酒類容器にアルコール量を表示するといった検討を進めており、そちらも重要なのですけれども、その一方で、容器に記載されている純アルコール量というのがどういう意味を持つのかというのを、消費者にプロジェクトを通じて伝えていくことが重要でありまして、厚生労働省の政策にも沿うものというふうに考えて取組を進めているところでございます。
以上、酒類業界の取組について説明させていただきました。御清聴ありがとうございました。
○松下会長 どうもありがとうございました。
続きまして、資料2-2について、事務局よりまとめて御説明をお願いいたします。
○米田推進官 厚生労働省でございます。
資料2-2を御覧ください。「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性」という資料でして、これまでの本会議において出された御意見とか、先ほど小野里委員からも御説明があった内容を踏まえまして、次期計画における不適切な飲酒の誘引の防止については、以下の方向性としてはどうかという資料でございます。また、基本的施策本文の記載を書いておりますが、新たに記載する内容をここに挙げているということでありまして、既に計画に記載されている内容については、特にここには掲げていないということでございます。具体的には下のとおりです。
酒類業界についてはということでありますけれども、まず1つ目、広告・宣伝に関する自主基準について、業界内での周知徹底を図り、必要に応じ自主基準の見直しを行うことについて記載してはどうか。また、酒類の交通広告については、特段の配慮を行うことについて記載してはどうか。
また、2つ目でございます。先ほどの御説明の中にもありましたとおり、業界内での合意事項も踏まえ、酒類の容器へのアルコール量の表示の取組を推進することについて記載してはどうか。
また、3つ目でございます。赤字の部分ですが、20歳未満の飲酒防止、飲酒に起因する各種の事件、事故、トラブルの防止や、泥酔者等への酒類販売防止等の社会的要請への配慮を行うことが望まれることについて記載してはどうか。
そして、4つ目でございます。20歳未満の者の飲酒その他の不適切な飲酒の防止を訴求する動画や学習用ツールなどのコンテンツを作成し、啓発活動に努めること。また、啓発活動の実施に際しては、業界団体間や企業内での連携を一層推進することについて記載してはどうかといった内容を、私どもとして考えております。
委員の皆様から御意見を賜れればと思います。以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員からの御説明、及び事務局からの説明につきまして、御意見や御質問をお願いしたいと思います。先ほどもお話ししましたが、発言時は会場参加の委員は挙手をいただいて、オンライン参加の委員は挙手機能を御使用いただいて、指名させていただきますので、御発言いただくよう御協力のほどお願いいたします。
それでは、オンラインで大分挙手いただいております。石井委員、小松委員、上村真也委員、金城委員、志田委員に挙手いただいておりますので、まず、この順番で石井委員からお願いいたします。
○石井委員 当事者として参加させていただいている石井です。
今、ビール会社の方からお話ししていただいた資料の2番目、不適切な飲酒防止のための取組というところで、先ほどの資料2-2にありましたガイドラインのこととアルコール表示を推進していくためのこと、両方併せてですけれども、基本的施策本文の2つ目、酒類業界は、いわゆるストロング系どうのこうのという文章のところで、「飲酒ガイドライン」の内容、活用・周知の状況や業界内での合意事項も踏まえ、酒類の容器へのアルコール量の表示の取組を推進することについて記載してはどうかということになるかなと思うのですけれども、資料2-1の2.不適切な飲酒防止のための取組というところで、お酒にグラム数を書いていただくことを今、進めていただいているのは非常にいいなと思うのですね。
先ほど、そういったグラム数を書くことが消費者の方にどういう意味を持つのかということをこれから検討されていく、そういった情報がより広まるような努力をされていくお話があったのですけれども、グラム数を書いていただいたところに、この1日当たり平均純アルコール摂取量、男性40g以上、女性20g以上が生活習慣病リスクを高める飲酒量となりますという言葉を、一緒に表示のところに入れることを前向きに検討していただけたらありがたいなと思います。
非常にハードルが高いかと思うのですけれども、そこで自分が飲んだグラム数が飲酒ガイドラインの量に該当するのかどうか、量がどうなのかということを即座にここで一緒に理解することができるので、健康被害を少しでも抑えていくことが目的であるならば、業界としては非常に大変なことかと思うのですが、両方一緒の情報をラベルに書いていただけるのが非常にありがたいなと思います。また当事者として、自助グループの活動の中でストロング系の高濃度のアルコールがあるお酒をたくさん飲んでいる、ふだん常用されている話はとても頻繁に聞くので、そういったこともこれから考えていただけたらありがたいと思います。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 まず、酒類のアルコール量の表示に関して、家庭用の商品に3つの方法で表示するとあったのですけれども、できれば1本に純アルコール何g含まれているに統一していただいたほうがいいかなと思います。レディ・トゥ・ドリンクについては、もうそういうふうにされているというのはよく存じておりますけれども、依存症レベルの方たちの減酒の指導をしているときには、彼らは1本といってもいろいろな1本なんです。
それは2期の計画をつくるときに、私、いっぱい写真をプレゼンしましたけれども、そういうふうなことがあるので、とにかく1本当たり、例えばこれには120g含まれているとか、そういうふうにしていただかないと、それこそ減酒するにしても何をするにしても難しいというふうに思うので、そこは表示方法、どれか3つでは、しかも1杯当たりとか100ml当たりは、減らすほうにあまりならないのではないかなと思いました。それが1点。
それから、ビール酒造組合の資料に基づいたお話で、方向性の4つ目のポツです。不適切な飲酒の防止を訴求する動画や学習用ツールなどのコンテンツを作成し、啓発活動に云々とあるのですけれども、そもそも酒類業界、お酒を造ったり、売ったりする業界は、やるべきことはもっと先に別にあるのではないでしょうか。WHOのSAFERという、エビデンスに基づく効果の高い戦略と介入、Best buysをもっと進化させたものですけれども、これによると、Eがアルコールの広告、スポンサーシップ、プロモーションの禁止または包括的制限の実施。これこそ酒類メーカーの責任ではないでしょうかと思うので、啓発とか、そういうのは行政とか医療機関とかにお任せしていただいてもよろしいのではないかと思うのです。ということが1点。
もう一つ、そもそもこの資料に基づいた追記と、資料に出てきた内容について重大な疑義がありますので、私はぜひ修正してほしいと思っています。
第1に、飲酒ガイドラインは酒量ゼロが望ましいが大前提で、20g、10gが消えて、40g、20gが残ったということです。
それから、第2に、少しでも飲めば重大な疾患のリスクが上がると、日本人でのエビデンスが既にあるのに、40、20を周知というのは、害を減らすことに本当になるのかなと。
それから、第3に、そもそもガイドライン本文には、男性40g、女性20gという、この量は、個々人の許容量を示したものではありませんとまではっきり記載されているのです。ですから、このようなプロモーション、申し訳ない、プロモーションと思わず言ってしまいましたけれども、このような啓発活動というのは、完全にガイドラインの趣旨を誤解しているというふうに、臨床の現場にいる人間としては思わざるを得ないので、それは本当に考えていただきたい。日本人の研究で、少しでも飲酒するとリスクが上がる疾患は、男女とも高血圧、男性は胃がん、食道がん、女性は出血性脳卒中。これは既に日本人のエビデンスとして厚労省のガイドラインに出ております。いずれも健康寿命に大きく影響する重大な疾患です。つまり、ゼロなのです。40、20どころの騒ぎじゃない。この辺をきちんと考えていただきたいと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、上村真也委員、お願いします。
○上村(真)委員 読売新聞の上村です。
先ほどの小松委員のお話ともちょっと重なる部分があるのですけれども、ビール酒造組合の小野里さんの発表に関連してなのですけれども、まず、前提として、日本におけるお酒の広告規制は少しずつ前進していると思うのですけれども、諸外国に比べるとまだ緩い状況にあると思うのですね。そんな中で、酒造メーカーの皆さんが営利活動と社会活動という2つのバランスを取ったPR活動として、ほどほどに飲みましょうというアプローチを取るということは、これはこれで私としては理解するのです。実際にそれによって行動変容につながる。先ほど60%という数字も上げられていましたけれども、ある意味ちょっと物分かりのいいお酒好きの人というのも多分少なからずいるのだろう。そこは、その意義を全く否定するものではないのです。
ただ一方で、女性20g、男性40gというガイドラインで示された数字というのは、あくまで生活習慣病のリスクを高める参考の値、目安の数字という形で打ち出された数字で、例えば依存症が疑われる人であるとか、その予備軍、あるいは職場や家庭で暴力とか暴言を伴うような有害な飲酒をしている人であるとか、仕事中の飲酒とか飲酒運転といったリスクを射程に入れた数字じゃなかったと思うのです。だから、20g、40gまで飲んでオーケーというお墨つきを国として与えたものでは決してないということに留意が必要だと思うのです。
これまで国とか自治体とか医療現場、福祉の現場、メーカーも含めて、節度ある適度な飲酒を約20gということで広く用いてきたと思うのですけれども、酒造業界主導で、国が20、40まではオーケーというふうなメッセージを全面的に打ち出してしまうと、これまで積み上げてきたものと、ある意味逆行してしまうのではないか。これまでの基準より2倍飲んでいいのではないかというふうになってしまうという懸念を僕は持っています。その上で基本計画に仮に盛り込むのだとすれば、飲酒ガイドラインの正しい理解の下というふうな一文を入れられないかなというふうに思いました。
ごめんなさい、長くなって、もう1点。資料2-2の計画の改定の方向性の部分なのですけれども、4つ目のポツ、先ほど小松委員から指摘があった部分なのですけれども、僕も同感で、動画や学習用ツールなどのコンテンツの作成、啓発活動というのは、もちろん無意味だと私は思わないのですけれども、一方で、酒類業界というのは営利企業ですので、その宿命としてお酒をたくさん売らないといけない。これは飲酒量の抑制という目標と利益相反というか、コンフリクトというか、そういったものが生じるという難しさがどうしてもあると思うのです。だから、どうしても私としては、啓発とか飲酒教育の場を酒類業界が主導で行うことへの怖さとか危うさというのを感じてしまうのです。
だから、全ての人がウィン・ウィンの関係で最大多数の最大幸福じゃないですけれども、そういうものを追求できればそれが一番いいのですけれども、そこには酒類業界だけじゃなくて、多様な意見の集約というのは欠かせないと思うのです。なので、最後のところで、業界団体間や企業間の連携というふうな言葉があるのですけれども、もちろんそこで連携していただくのは重要なのですけれども、医療とか福祉とか当事者団体であるとか、いろいろな専門機関との連携というのを、むしろ基本計画に盛り込む必要があるのではないかなというのが僕の意見です。
すみません、長くなりました。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、金城委員、お願いいたします。
○金城委員 よろしくお願いします。鳥取大学の金城です。
私も小松委員、上村委員と同じく、4つ目のポツについてです。こちらの主語が「酒類業界は」となっているのですけれども、このような不適切な飲酒の防止のためのコンテンツの作成や啓発活動というのは、基本的には利益と関係しない団体、例えば国とか県といったところが作成するべきだというふうに考えています。世界的な流れでも、こういった利益相反を有するような機関の情報というのは、活用しづらいので、また健康教育に関わる専門職や専門機関のほうから、信頼できて、そして利益相反のない機関の資料を使いたいというふうな声もお聞きします。
ですので、酒類業界がこのようなコンテンツを作成、働きかけるという4つ目の柱自体を、本計画に含めないほうが望ましいのではないかと、この資料を見せていただいて思いました。
また、不適切な飲酒の誘引の防止について、今、ここには上がっていないのですけれども、販売場所とか時間、商品の陳列、飲み放題、製品のパッケージのデザインといった、先ほど小松委員もおっしゃられていたWHOのSAFERの中で上げられている推奨する施策で抜けている部分があって、我が国ではまだ十分でない部分について盛り込むことが望ましいのではないかなというふうに思いました。
以上です。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、志田委員、お願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
私も今まで石井委員、小松委員等がおっしゃっていたことの繰り返しになってしまうかもしれないのですけれども、業界の合意形成が大変だということを発表者の方もおっしゃっていましたので、そういった中で、本文の主語が全て「酒類業界は」になっているところが果たしていいのだろうか。そこを海外等も含めて、一度チェックしていただくことはどうなのかなと思っています。
1つ前の資料では、一番最後に実態把握をするということが入っておりましたので、世界的に、先ほどからいろいろな委員の方がおっしゃっていますが、業界にお任せしていることで果たしていいのかどうなのか。国が責任を持ってやるべき部分があるのではないかというところを一度調査していただくと、業界の中でも、こういった国々は国がやっているところなので、国の主導でやるしかないみたいな合意形成にもつながっていくのかなと思いますので、ぜひ一度、こういった部分を、業界の自主規制なのか、それとも国とか自治体レベルできちんとそういった規制をかけているのかどうなのかということを調査していただいてから、この主語は本当にこのままでいいのかということも含めて御検討いただければなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、石井委員、挙手いただいているのですが、追加でしょうか。
○石井委員 小松先生をはじめ、皆さんの御意見を聞きながら、私の発言を撤回したくて手を挙げていました。すみません、撤回というか、議事録に残ってもいいです。お酒の害を、自分自身もそうですし、周りの人たち、あと身体に対しての害も、家族に対しての害もものすごく痛いほど感じている私なのに、先ほどの発言は、お酒のほうの業界の方に対してとても遠慮した発言になりました。健康被害のことについて、皆さんの御意見を聞きながら撤回したいなと思ったのですけれども、議事録、そのままでいいです。すみません。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、会場から塚本委員、お願いします。
○塚本委員 塚本です。
4つあります。基本的には、この基本的施策本文、資料2-2についてです。
まず、1つ目の自主基準、酒類の交通広告について特段の配慮を行うということについてです。この自主基準の最終改定は令和元年の2019年です。その間に、私たちASKから交通広告について何度も申入れをしているのですけれども、結局、改定されませんでした。今回、特段の配慮と記載されてあるのですけれども、それはいいとして、例えば1期の計画のときには、喉元をアップしないとか、ごくごく、お酒を飲むときの音響をやめるとか、登場人物は25歳以上にと踏み込んでいたのですけれども、今回はその踏み込みが見られないです。なので、例えば交通広告の包括的な自主規制を入れるとか、そういった記載を入れてほしいなと思いました。あと、この自主基準をどのように入れるつもりなのかというのが1つ気になるところです。
ポチの2つ目のアルコール量の表示についてです。これはいろいろな委員から出ていたように、文字が小さくて見えないというのは困ることであるので、パーセンテージは結構大きく表示されているので、そこに同じぐらいの大きさでグラムも表示するというのが望ましいのではないかなと思います。
3つ目、結構これは大事だと思うのですけれども、酒類業者、事故とか20歳未満の飲酒防止について書いてあるところがありますけれども、20歳未満だけじゃなくて、飲酒に起因する各種の事件とか事故とか、こういったことを記載してくれたのはとてもいいのですけれども、この記述で無人店舗での販売みたいなものを目指しているのであれば、それは防げるのかなというふうに思いました。対人販売を旨とするなどの記載が必要なのではないかなと思いました。さっきWHOのSAFERの話が出ていましたけれども、このSAFERの中でも書いてあるように、アルコール入手の制限の強化というのが効果が高いということが言われているのに、これについても考えているのかなというのが1つです。
最後、たくさんの委員の人からもう出ていましたけれども、4つ目です。青少年への啓発というのは、酒類業界ではなくて、私もニュートラルな機関が行うべきではないかなというふうに感じました。酒類業界の役割として、というふうに記載するべきではないと思います。それこそ、既にアルコールが飲める年齢、それに近い大学生とか企業といったところでの啓発を行うというのは致し方ないというか、構わないと思うのですけれども、それを基本計画に書く必要はないと思いますし、それこそ、さっき小松委員が言っていましたけれども、生活習慣病のリスクを高めるまで飲んでいいという誤解を広めるのではないかなというふうに、私なんかはこれを見て感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 御質問にお答えすることも含めての発言でよろしいでしょうか。貴重な御意見、ありがとうございました。
まず、グラム数表示に関しまして、40g、20gの意味をパッケージに入れてほしい。要は、生活習慣病のリスクを高める量が、この40g、20gということを入れてほしいという御意見だと思います。これに関しましては、その意味を消費者の方に伝えるというのはそのとおりかなと思っておりまして、我々、今、そのための啓発活動を行っているところでございます。
一方で、パッケージの大きさというものも限りがございますので、この中で20歳未満飲酒の禁止ですとか、妊産婦飲酒の防止といったいろいろな注意表示というのが入っておりますので、そういったところもバランスを見ながら考えて、消費者の方が分かりやすくお酒をお楽しみいただけるようなことを意識しながら、表示のほうは考えていくべきかなと思いました。
それから表示は、100ml当たり1杯当たりとか、いろいろあったのですけれども、ではなく、1本当たりのほうがいいというお話がございまして、これは我々も酒類団体で議論している中で、そのお話もあったのですけれども、ビールメーカーが造っているような、例えばビールのレギュラー缶みたいなものであると、1本当たりのほうが分かりやすいというのがある一方で、例えばウイスキーとかスピリッツといったものに関しましては、1回で飲み切るわけではございません。
ですので、お客様が楽しまれる一般的な飲み方に合わせて表示したほうがお客様には分かりやすいのだろうな、親切なのだろうなという意見がございまして、商品によって、それを変えるというような話になっております。ですから、ビールのほうは1杯当たりにきっとなっていくのだと思います。
それから、4つ目のポツのところは、皆様からたくさん御意見をいただいたところではございますけれども、我々としましては、ぜひアルコールメーカーの社会的な責任として、この啓発活動をやらせていただきたいなというふうに考えているところでございます。これは皆様御承知のとおりかと思いますけれども、世界でもこれに関しましてはいろいろなお話が出ていると聞いております。
まさに今週、9月25日に、WHOの意見も踏まえた上で、国連NCDsハイレベルミーティングが行われるというふうに聞いていますけれども、このハイレベルミーティングの中では、今、我々が聞いているお話では、経済事業者にこういった啓発活動を任せないではなくて、逆に社会全体のアプローチが大事なので、民間団体も、それから我々のようなお酒を造っている者たちも、国も交えて、社会全体でこの啓発活動をやっていくことが重要というふうな話になるのではないかというふうに聞いております。こちらに関しましては、日本も国連の加盟国でありますので、ぜひ国連NCDsハイレベルミーティングの政治宣言をベースにお考えいただけるといいなというふうに思っている次第でございます。
それから、お酒に関しましては、1滴でも飲んだらリスクがありますというお話がございました。これも飲酒ガイドラインの中にもありますけれども、疾病によってはリスクがあるものもあれば、疾病によってはリスクがないというものもあるやに聞いております。網羅的に考えると、1滴でも飲んだら危ない、リスクがあるというのは、まだ一般的なお話にはなっていないのかなというふうに考えております。これも国際的にもそのようになっているかと思いますので、ぜひそこもお考えの上で御検討いただきたいなというところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、渋木委員、お願いいたします。
○渋木委員 全国小売酒販組合中央会の渋木でございます。
先ほど塚本委員さんからも言っていただきましたけれども、2-2の資料のポツ3のところで、字句のほうで完全無人店舗とか対面販売という言葉を入れていただけるようにしていただければということを要望させていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 資料2-2の基本的本文の中についてですけれども、酒類業者の皆様が、特にビール酒造組合の方がリーダーシップを取ってといいますか、合意形成に向けた協議を進めていらっしゃるということに関しては、大変敬意を払いたいと思うのですけれども、全ての業界・会社がここに含まれているというわけではないと思うのですね。加盟していない会社、それから合意になかなか賛同していただけない会社というのもあると思いますので、業界の取組は限界があるのではないかと私は考えるのです。ですので、自主基準は自主基準で結構なのですけれども、国なり行政なりがきちんとした基準というものを設置して、それに基づいて、それを遵守していただくというような取組が新たに必要なのではないかと私は考えております。
交通広告について特段の配慮を行うということが書かれていますけれども、これにプラスして、公共空間での広告に関しても含める必要があるのではないか。こういった規制には、何らかの罰則をつける、これがすごく重要なのではないかなと思います。今まで業界の皆様が頑張っていらっしゃったとは思うのですけれども、自主規制では罰則がなくて、なし崩し的に様々な活動が進められてしまうということが過去にたくさんありましたので、そういったことも検討していただけたらなというふうに考えております。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインのほうで平川委員から挙手いただいております。平川委員、お願いします。
○平川委員 ありがとうございます。
先ほど、1滴も飲んではいけないということについては、社会的にもそういう1滴も飲んではいけないというコンセンサスはないというようなお話がございましたけれども、このアルコール依存症という概念が少し変わってきている今、減酒というような概念を入れて、治療側も減酒というイメージと断酒というイメージが重なったような状態で、ちょっと統一性がないのも事実だと思います。
ただ、先日のJALのパイロットの飲酒にしても、ここに出てくるような、いろいろなトラブルを起こすような人たちについては、従来、過去に言っていたアルコール依存症の人たちのイメージですので、1滴もというのは量の問題じゃなくて、絶対口にしない、飲まないというのが基本的に私は原則だと思います。その辺で、少しぐらいいいだろう、このぐらいならいいだろうという程度云々を議論する、お酒を売っていらっしゃる皆さんの少しでも売りたい気持ちは分かりますが、それによって家庭が崩壊したり、その人の人生が壊れてしまうことがあるので、先ほどのようなお考えは、私は非常に危険だと思っております。
ですので、その辺は業界の方々もお考えを改めていただきたいし、例えばたばこのところに発がん物質ですよと書いてあるように、アルコールも人生がなくなるおそれがありますよというようなことも書いていただきたいと私は思っています。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、小野里委員、お願いします。
○小野里委員 ありがとうございます。
今の例えばJALのお話、ああいった場面、場面で飲んではいけないところというのはあるというふうに理解しておりまして、そのときに1滴も飲んではいけないというのは、もうそのとおりかなというふうに考えますが、場面によっては、1滴も飲んではいけないというのが当てはまらない場面も一方ではあるのかなというふうにも思っておりますので、御理解いただきたいかなと思います。
それから、自主基準の話が先ほど出てまいりましたが、先ほど国連NCDsハイレベルミーティングの話もさせていただきましたけれども、我々も海外のアルコール団体の方々とお話しをしていると、日本のアルコールと健康の問題というのは大変うまくいっているなというお話を伺います。例えば、日本でいえば20歳未満、ドイツとかほかの国はアンダーエイジが違いますから年齢は違うのですが、アンダーエイジの飲酒率に関しましても、日本は先進国の中で最低レベルというのがあったり、アルコールに起因する死亡率とか疾患の率といったものも、WHOの掲げている目標の範囲内に収まっているというところがあります。
一方で、海外では、規制によって、それを抑え込もうとしているような国もあるのですけれども、必ずしも規制で抑えられるのではなくて、規制をすればするほど抜け道を探すみたいなところがありますから、日本がやっているような形で、国と民間団体と我々のような経済事業者が、まさに社会全体のアプローチで啓発活動をやっていくことが成果につながっているのだなというような御評価も、海外からはいただいております。ぜひそういったことも御考慮いただいた上で御検討いただければというふうに思います。
○松下会長 ありがとうございました。
随分いろいろと御意見いただいておりますが、稗田委員、お願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。
2つあるのですけれども、1つは質問なのですけれども、資料2-1の不適切な飲酒防止のための取組のところに、久里浜医療センターさんが監修というふうに書いていますけれども、私、自分の理解がいかないのかもしれないのですが、これをぱっと見たときに、依存症のナショナルセンターとカエルとが結びついてしまって、そういうことというのはいいのかなというのを単純に思いました。そこがちょっと質問と。
もう一つは、提案ではないのですけれども、今、酒類業界さんもいろいろな取組をされて、話し合っていろいろ情報を入れているということは、本当によく伝わってきます。もう一歩踏み込んでいくということは私も賛成です。例えば、「STOP!」、手のマークのものは随分普及されたと思うのですけれども、もう一つ踏み込んで、もし啓発というところに行くのであれば、例えばQRコードみたいなものを缶につけて、相談・心配とか、そういうもので、一方で苦しんでいる人を啓発的にやるということができないかなと思いました。
特に、2番目の基本的施策のところに、ストロング系アルコール飲料の普及が進んでいるということをお認めでありますので、依存症になった方のお話を聞きますと、このストロング系で強いお酒を一気に飲んでいくということも、データ的にも出ているということがありますので、例えばそういう強いお酒のところには、もしかしたら隠れた依存症の方が手を出しているという、商品ですけれども、商品ももし啓発に使うということであれば、手のマークだけじゃなくて、違うマークも、今度は助けるというか、そういうマークもつけるということを、私はもっと推進していってほしいなというふうに思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
様々な御意見をいただきましたが、なかなか難しいところが当然あるだろうと思います。取りあえず、今回はいろいろ御意見を伺うということで、ここで何か結論を得るということではないと思いますので、ほかに御意見がなければ。
では、米山委員、どうぞ。
○米山委員 広告に関して追加の意見なのですけれども、今、ネットでの広告というのが物すごい量で、いろいろな形態で行われているということがあります。つい先日も消費者庁が結構規制に入ったというニュースを聞いたのですが、ステマ広告です。業者の方が消費者の方に謝礼を払って広告を出している。報酬を払って動画とかを流しているのだけれども、表向きは業者の方がノータッチである、タッチしていないように見せているということがあるというのを聞きました。
酒類に関してもそういったことが起こっているのではないかということを推測できるような事例が過去にあったり、それから、若者に一気飲みを強いたり、あおるような動画が掲載されていたりということがあって、非常に問題だなと感じたことがあります。ですから、ネットでの広告というのももっと考えていく、私は規制をしていかないとかなり大変なのではないかと考えています。若者がネットを見ていますので、無制限であると、どんどんそういった映像も啓発以上に入っていってしまうというリスクがあると考えています。
例えばギャンブル問題では海外の違法カジノの広告が日本でも合法であるかのように、入ってきて、違法カジノが広がっている現実があります。ですので、酒類においても日本の業界の皆様の自主規制があっても、それをしのぐ勢いで海外からの広告やユーザーの動画等に見せかけた広告が入ってきているのではと危惧しています。ネットの世界では国境がありません。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
小野里委員、お願いします。
○小野里委員 すみません、手短に。
インターネットに関しましても、自主基準の中で決めておりますというのが1つです。
また、我々の目では抜けてしまうというか、漏れてしまうようなところに関しましては、第三者機関で広告審査委員会というのがございまして、弁護士の先生がトップでやられていますけれども、そこにチェックしていただきまして、不適切な広告、また発信が行われないようにチェックしているということがございますので、コメントさせていただきます。
○松下会長 ありがとうございました。
では、勝嶋委員、お願いします。
○勝嶋委員 現場の高校生をいつも日頃から見ていて、このビール酒造組合のほうの20歳未満飲酒防止、先日、本校のほうでも頂いたのですが、20歳まで飲酒はいけないというものについては非常にインパクトがあるかなということで、近々のところで、私学さんも公立さんも、この9月というのは文化祭があって、一昔前であると、文化祭だと打ち上げ等で、高校生も含めて未成年の飲酒が心配されるのですが、最近は、そういった飲酒をさせること自体、お店の店主も罰せられるということで、高校生の飲酒は、私の知る限りは少なくなっている現状はあるかと思います。本校もそのままお伝えすると、生徒はファミレスに集まって、みんなでジュースで打上げをしたということも聞いておりますので、そういった変化もあるかなということと。
あと、皆さんがおっしゃっているように、有害な酒量の提言というところの男性40g、女性20gといった数値を出すと、逆に捉えると、ここまでは飲んでいいのかというふうな捉え方もあるのかなというので、慎重を期したほうがいいかなと感じました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
では、国税庁からお願いします。
○国税庁 皆様、いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。酒類業界を所管している立場でございますので、皆様からいただいた意見を踏まえて、また何ができるかというのは検討してまいりたいと考えておりますけれども、一言だけ。
法の第1条の目的のところにございますように、お酒そのものが悪ということではなくて、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとした上で、不適切な飲酒について防止していくというのが基本的な理念であると考えております。ここにいらっしゃる皆様、アルコール健康障害の当事者の方も多いかと思いますので、申し上げづらいところもありますけれども、我々としても、この原則に沿った上で何ができるかということは考えていきたいと思っております。
○松下会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
金城委員、お願いします。
○金城委員 ありがとうございます。
今の御意見について、今日のテーマからずれるかなと思っていたのですけれども、この基本法の一番初めのところに、酒類が国民の生活に豊さと潤いを与えるものでありという文言が入っているのですけれども、以前はそうだったかもしれない、そういうふうに考えられていたのかなというふうに思うのですけれども、今、様々な人がいる。例えば、アルコール分解酵素の遺伝子多型であまりお酒が飲めない体質の人。性差により女性のほうが男性に比べて健康被害を受けやすいとか、どちらかというと社会的に弱い立場のほうが健康被害を受けやすいといった課題がある中で、酒類が豊さと潤いを与えるという、この文章自体が本当に今に適っているのかとも思います。
なので、第3期の新しい推進計画を立てる中で、その辺りも今後、考えていくところに含めていただければというふうに、今の国税庁からの御意見をいただいて思った次第です。
よろしくお願いします。
○松下会長 ありがとうございました。
いかがでしょう。随分いろいろと御意見をいただいております。もしないようでしたら、議題を進めたいと思います。どうもありがとうございました。
続きまして、議事次第1「第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討について」の3点目、「健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等」について議論させていただきたいと思います。まず、資料3、4について事務局より御説明をお願いいたします。
○米田推進官 事務局でございます。
資料3を御覧ください。こちらも「アルコール健康障害対策推進基本計画改定の方向性」ということでございまして、これまでのアルコール健康障害関係者会議において出された御意見等を踏まえまして、次期計画における「3.健康診断及び保健指導」及び「4.アルコール健康障害に係る事業の充実等」については、以下のような方向性としてはどうかということで、事務局としての大まかな御提案をさせていただくというものでございます。
具体的には、計画の中の基本的施策本文の中身ということで、以下8つ、上げております。
まず、1つ目でございます。かいつまんで説明させていただきます。かかりつけ医、地域の内科・精神科、救急等と専門医療機関との連携のための手引きを作成し、より身近な場所で、切れ目なくアルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する、と記載してはどうか。
2点目です。内科、産婦人科などの地域の医療従事者に対し、アルコール依存症、生活習慣病リスクや、女性の飲酒に伴う特有の健康影響等のアルコール健康障害に関する知識、家族への支援や自助グループ等との連携の重要性について周知を図るために、飲酒ガイドラインや、先ほど申し上げた手引きを活用することについて記載してはどうか。
3つ目です。健康診断や保健指導において、「飲酒ガイドライン」等を参考に、アルコール健康障害に関する正しい知識の周知・啓発を推進すること。また、「標準的な健診・保健指導プログラム」により、特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法や、早期に介入するための手法の普及を図ることについて記載してはどうか。
4つ目は職域についてでございまして、職域における対応の促進がより進むよう、アルコール健康問題に関する産業保健スタッフ等への研修や人事労務担当者等を対象とした事業者向けセミナーにおいて飲酒ガイドライン等を周知することについて記載してはどうか。
5つ目です。専門的な治療やリハビリテーションに関わる人材育成を図るための研修において、自助グループやソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士等)とも連携することについて記載するとともに、その研修において、飲酒ガイドラインや手引きを活用することについて記載してはどうか。
6つ目です。地域での連携が広がることにより、依存症患者の早期発見、早期対応が図られるよう、好事例の収集・周知を行うことについて記載してはどうか。
7つ目、当事者の家族の身体的健康・精神的健康・経済的困難と当事者の子どもへの影響などの実態について調査を行うことについて記載してはどうか。
最後でございます。当事者の家族への支援にかかる相談支援のガイドライン等を作成し、専門医療機関等に対して幅広く周知を行うことについて記載はしてどうかというものでございまして、委員の皆様の御意見をいただければと思います。
以上です。
続いて、恐縮です。資料4についても説明させていただければと思います。こちらは前回の6月の会議でも説明させていただきましたけれども、今後の進め方ということでございます。
資料にはありませんが、6月30日に開かれた第34回の本会議では、飲酒運転等をした者に対する指導等、また相談支援について御議論いただきました。
また、本日、第35回の会議では、先ほど議論いただきました重点課題や不適切な飲酒の誘引の防止。そして、これから健康診断及び保健指導、アルコール健康障害に係る医療の充実等について御議論いただくという予定でございます。
次回が第36回ということで、11月頃の開催を予定しておりますが、引き続き各論について残る論点を御議論いただくとともに、報告書案ということで、これまでいただいた御意見などを踏まえて、事務局のほうで、骨子に近い形ですが、たたき台をお示ししたいと思いまして、この報告書案についても御議論いただければと思っております。
その後、第37回、12月頃の開催を予定しておりますけれども、報告書案につきまして、第36回でいただいた御意見を基に、より議論を深めていただくということを考えております。
こうした会議の進め方についても、併せて御意見いただければと思います。
失礼いたしました。以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、御意見をいただきたいと思いますが、オンラインのほうから、江澤委員、志田委員、小松委員、石井委員に挙手いただいています。
それでは、この順番で、まず江澤委員からお願いいたします。
○江澤委員 ありがとうございます。
資料3の内容については、賛成でございます。
1つ目の医療提供体制の構築については、地域医療構想や医療計画の中でしっかりと議論していただくことが重要ではないかと思います。
それから、3つ目の特定健診に関することで、こういった健診から保健指導や受診とつながるのは大変重要でありますし、就職の際の雇入れ時健診とか定期健診あるいは人間ドックなど、血液検査や超音波の画像検査を受ける機会はかなり多いわけですので、血液の肝機能異常やアルコール性の脂肪肝などは、しっかりとそういった指導や受診につなげていくべきであるというふうに思っております。
最後に3点目は、今月、保険適用となりました減酒アプリというものがございますけれども、これについては、まだこれから活用するものでございますから、効果の実態をしっかり把握して評価していくことも重要ではないかなと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、志田委員、お願いいたします。
○志田委員 ありがとうございます。
まず、この資料3の中に研修、周知、活用という3つのランクというか、言葉が入っているのが、ちょっとどうなのかなというところをまずお伝えしたいかなと思います。
あと、2つ目のポチのところですけれども、私たち精神科でもぜひやっていただきたいなと思うのですが、ここのポチが活用という言葉で終わっているところが、ちょっとどうかなと思っておりまして、久里浜医療センターで速報の報告が出ていると思いますが、一般人の方ですけれども、ガイドラインを知らない方が86.3%という状況がありますので、ガイドラインをお示しするだけで果たしていいのかというところがあるかなと思います。
なので、例えば内科とか精神科とか産婦人科とか、今日はそういった方がいらしていないですが、専門医の更新とかでe-ラーニングみたいなものも入ってきていますので、ぜひそこで研修を義務化していただくとか、そういったことをやっていただくと、きちんとした情報が伝わるのかなと思いますので、医者の部分も活用にとどまらず、下のほうにある研修とか、そういった言葉を使っていただくとよろしいのではないかなと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
続きまして、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 前に配られた資料の案よりもかなり拡充されていて、そこは随分いろいろやってくださったなと。例えば、ポチの5つ目、自助グループやソーシャルワーカーとも連携するというところが、ソーシャルワーカーとも連携というふうに。そして、研修において云々というふうにも書いてある、かなり踏み込んだ内容になっているのがとてもよろしいかなと思いました。
同じように、先ほど志田委員がおっしゃったように、医者のほうがちょっと弱いのです。その辺については、先ほども研修の義務化というのがありましたけれども、既にアルコール関連問題学会とアルコール・アディクション医学会が合同でつくったe-ラーニングがございますので、それの人数を専門家とか二次医療圏ごとに集計したりすれば、どのぐらい、どういうふうに広まっているのかというのは分かりやすくなると思いますから、そういう指標をぜひ入れていただければいいかなと思いました。ですから、活用というとちょっと弱いのですけれども、研修を義務化とか、ちょっと入れて、毎年やりなさいとは言わなくても、例えば精神保健指定医の更新の研修とか、ああいう感じで、周年巡りでやっていくように、オンジョブでやれるような仕組みづくりが必要なのではないかと思いました。
あと、先ほどちょっと言いかけた数値目標ですけれども、重点目標の数値というのは、いつ案が出てくるのでしょうか。これは事務局のほうに質問です。
○松下会長 よろしいですか。
○米田推進官 事務局でございます。
御質問で数値目標がいつ出てくるかということでしたけれども、私どもとしましては、次回に報告書案という形でたたき台をお示しする予定ですので、その中で数値目標の案についてもお示しできるかと考えております。
○小松委員 ありがとうございます。
○松下会長 どうもありがとうございました。
では、石井委員、それから会場から林委員から挙手いただいていますので、石井委員、林委員の順でお願いします。
まず、石井委員、お願いします。
○石井委員 資料3の上から5つ目の小さなポチですけれども、そこに入っている「自助グループやソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士等)とも連携することについて記載する」という文章を、小さなポチ2つ目のところの内科、婦人科などの地域医療従事者に対しての文章のところの2行目、「重要性について周知を図るために」のところに、同じ文章、「自助グループやソーシャルワーカーとも連携することを記載する」という文章を入れていただきたいなと思います。
それと同じく、4つ目、「事業者向けセミナーにおいて飲酒ガイドライン等を周知する」と入っているのですけれども、ここも同じように、「事業者向けセミナーにおいて、自助グループやソーシャルワーカーとも連携することを記載する」。あと、飲酒ガイドラインなども周知するということで、5つ目のところの自助グループやソーシャルワーカーが入っている、記載するという文章を加えていただきたいなと思いました。
なぜかといいますと、前回など、機会あるごとにお話しさせてもらっているのですけれども、アルコール依存症者がやめて、実際に幸せに普通の人のように人生を生きているという当事者の姿を、やめている人の姿を、一般の方はもちろんながら、関係者の方も見たことがない、会ったことがないという方がすごく多いなと思います。関係者の方を通じて、そういった飲まないで生きている当事者と会うような機会をたくさん設けていただきたいと思うので、そういった文章を入れていただきたいと思います。厚生労働省からの文書に自助グループという言葉を入れていただくと、関係者の方は自助グループというのが文書に入ってくるのは非常にインパクトがあるかなと思います。
そのときに自助グループがどうかということを理解できなくても、情報として引っかかっていただくだけでもすごく大きいかなと思っています。私、当事者だから余計に熱が入ってしまいますが、偏見が非常に大きいということで、いろいろな治療のネックになっているということもそうですし。
あと、当事者自身としても、飲んでいる最中に本当はやめたいし、何とかやめたほうがいいと分かっていても、やめた後の人生のイメージが本当にわかないわけです。お酒をやめたら死ぬしかないというか、お酒をやめた自分がどうにもならない。だから、やめたいのに飲み続けなければいけないという苦しさも抱えているような病気なので、当事者の人が実際にやめて、普通に幸せに人生を生きている姿を見てもらうという機会をつくっていただくのは、治療の敷居を下げていくというか、当事者の意識も変えていく。時々話させていただくように、希望を当事者に見ていただく機会になるので、ぜひこの文章をここにも入れていただきたいなと思います。
余談ですけれども、地方でも活動していて、精神保健福祉センターとか保健所とかは、自助グループの活用の回数が結構多い。行政の中で、すみません、素人なのであれですが、厚生労働省からいろいろな文書が来ることで、そういった活動をしようという姿勢がすごく高いのだと思うのです。本当にここ数年というか、前からだと思うのですが、特にそれは感じます。こういった活動が、今回の関係者会議のような、こういうところでいろいろ話し合われていることや、いろいろな文書を出していただくことが、県の精神福祉センターとか保健所とかには非常にいい効果が出ているのだろうなと、当事者個人の目線ですけれども、思っています。なので、幅広くいろいろな関係者の方に自助グループといった言葉が伝わるようなことを望んでおります。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、お願いします。
○林委員 断酒会の林と申します。よろしくお願いします。
先週の金曜日、千葉市のこころの健康センターで障害相談をやっていまして、そこに行っていました。簡潔に述べたいので、スライドを準備しています。
これが断酒会の実態でございます。ブルーが2015年の会員数、オレンジが2024年の会員数です。10年間で64%に減少しています。
次のスライド、お願いします。上段左が年間例会開催数、4万1000回から、10年たって3万2000回、78%に減少。上段右が例会参加者数、63万6000人から30万6000、48%に減少しています。下段左が新入会員数、1003人から581人、58%に減少。下段右が70歳以上の会員数、2059人から、10年たって1600人に減少していますが、高齢化率だけが26.8%から32.6%に増加している。毎年、会員数の減少、新入会員が入会してこない。高齢化現象だけが目立っています。
次のスライド、お願いします。断酒会の現状を踏まえて、施策の強化をお願いいたします。
1.専門病院との連結の強化。専門医療から自助グループにつながるのは2%という残念な数字が出ています。2%です。偏見があったり、社会風土であったり、断酒会の魅力と原因はいろいろあると思いますが。
2.総合病院・一般医・相談機関からの直接紹介を強化してもらいたい。岡山県精神科医療センターの橋本先生が唱えられている、どこからでもドア方式の普及。また、アルコール依存症予備軍が多いと言われる身体科病院。自助グループにとって、一般医療の敷居は非常に高くて、連携しにくい。
3.心の連携指導料制度の簡易化と拡充をお願いしたい。
次のスライド、お願いします。減酒指導については、一定の数値以上の患者は、断酒を前提とした指導・条件をつけることで賛成でございます。
2.治療を先延ばししないこと、症状の悪化・家族の問題への配慮が必要になってくると思われます。
スライド、お願いします。高齢化による断酒会の問題点は、受入態勢が取れていない。地域格差が大きい。
会員減少によりマンパワーが不足している。
高齢化による世代間の断絶の現象が見られます。新入会員の減少が大きく影響していると思われます。
以上の断酒会の現状を踏まえ、断酒会自身の解決・改善の余地は多々ございますが、第3期アルコール健康障害対策推進基本計画に断酒会の意見を取り入れてもらいたいというふうにお願いいたします。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
少し議事を元へ戻させていただいて、今、上村委員、石井から挙手いただいています。
では、上村敬一委員、お願いします。
○上村(敬)委員 どうもありがとうございます。上村でございます。
私、精神科診療所のほうで依存症を主に見ておるわけですけれども、今も幾つか議論がありまして、この基本的な方向性はおおむね賛成しているのですけれども、ポツの4つ目、職域におけるということで、産業保健医との関連についての文言があります。診療所でアルコールの患者さんを診ていますと、多くは家で奥さんのほうから、飲み方をちょっと考えてみたら、酒の量が多いのではないかということで受診されるきっかけが多いのですけれども、いざ減らしたいと思っても、職場の風土として、アルコールを多量飲酒する習慣、あるいは酒を飲むことが営業であるとか仕事であるというような文化がまだ多いようです。
そういったときに、働いていらっしゃる方々は定期的に健康診断を受けるということが決められています。ポツ3のところに、アルコール健康障害の早期発見・早期介入の取組の推進のために、健康診断や保健指導を行う。これは恐らく、いわゆる保険者などを中心としたものをイメージされていらっしゃるのかなと思っています。実際のところ、産業保健の領域でも健康診断されています。そこで保健指導をもっとやる。それで、お酒の問題、多くの方々は、実は肝機能の問題とか血圧の問題とか内科的な疾患をお持ちです。それで、内科の病院を受診されておられます。内科の先生方からも、専門医療機関を受診したらというふうな話はあるのですけれども、なぜか産業保健のほうからはなかなか来ないのです。
なので、産業医の先生方や産業保健に関わっている方々も、ただ単に周知じゃなくて、そこで飲酒ガイドライン等を参考にして、ここにポツ3に「特定健診で肝機能障害を認めた場合の対応方法」などと具体的に書かれているのですけれども、こういったものは単に保健所レベルではなくて、産業保健のレベルでも行われるべきではないかなと。なので、ここで産業保健のところだけ周知するで終わっているので、何とも物足りなく感じます。よければ、周知すると同時に、専門医への紹介等々の連携のこととか、健康指導をするという文言がここではあったほうがいいのではないかなと思います。
先ほど林委員のほうから断酒会の話が出ました。断酒会のほうになかなか行かないという話があるのですけれども、1つは、実は診療所で見ていますと、アルコール依存症の皆さん方が、多くの方がイメージされる進行した重症のアルコール依存症ばかりではなくて、このままの飲み方でいくと健康障害がより大きくなるであろうという、まだ比較的早期の方々がおられます。そういう方々をつなげたいのですけれども、皆さん、働き盛りで、それこそ残業時間がとても多いような方々です。働き方改革とかもされていますけれども、そういう労働環境でもありますので、自助グループにつなげたくても、その時間に行けないなどの問題があります。
ここの議論だけではないのかもしれないですけれども、今、最も支援しなければいけない、まだ働いていらっしゃる元気な、体に少しずつ問題が出始めた、家庭では奥さんからちょっと愚痴を言われ始めた、そういうふうな方々こそ、より進行させないために総合的につなげていく。そういう意味で、先ほど林委員のほうから心の連携指導料について拡充の話が出ましたけれども、そういった産業保健や地域保健から内科、そして内科から精神科の専門医療機関あるいは精神科などにつながっていくときに、医療側としては、医療体制の構築を促進するという文言だけではなくて、それに対しての支援、予算措置等が、文言にはできないかもしれませんけれども、イメージされるような形で文章化していただければと思っております。
以上でございます。
○松下会長 ありがとうございました。
オンラインで石井委員が挙手されています。石井委員、お願いします。
○石井委員 何度もすみません。
私は当事者としてここに参加させていただいているだけで、特定の自助グループを代表している者では全くありません。ただ、私自身、自助グループにつながりながらお酒をやめている当事者の感覚としては、ここ5年ぐらい、コロナでオンラインが非常に活発になってきたおかげで、若い人たちがお酒をやめるために、オンラインをきっかけに自助グループにつながっているとすごく感じられます。女性の方も非常に多いです。
そういった方が、地方であればミーティング量は少ないのですけれども、できるだけオンラインだけじゃなくて、実際に会場に足を運ぶことなんかにも、コロナのことが収まってからだんだんとスライドできていたり、都会のほうはもちろん実際の会場に足を運んでという方たちも増えてきているかなという印象があります。
そういったわけなので、20代、30代とか40代、50代でお酒をやめたくて参加されている。お酒をやめて10日目です、3か月目です、6か月ですというような方たちの話を伺っていると、まだ家庭があったり、子育てをしていたりで、社会生活、家族との関わりを持ちながら自助グループのほうも一緒になってお酒を止めていこうという時期の人たちが、御家族や関係者の方の理解がないと、併用して治療を続けていくことが非常に難しいなということは感じています。
産業医の方のお話もあったのですけれども、特に男性は小さな子どもさんがいたりすると、奥さんからも、お酒が止まったのだから家庭のほうをとか、仕事のほうを一生懸命やって、また信頼を取り戻してというところにどうしても意識が行くので、再発が非常に近づいていたり、再発して命を亡くしたりという方たちも、若くして40代、50代で治療につながりながらも、それが続かないということが残念だなという例をたくさん見せていただいていますので、一般の方、関係者の方の理解を進めていただくような、こういった活動の促進を続けていくことは、とても有効なことかなと思っています。先ほどの意見と同じなので、締められませんが。
あと、すみません、もう一つ、私の場合には当事者との関わりなのですけれども、確かに高齢になって退職してからお酒という方もいらっしゃるのはたしかなのですけれども、あと、やめて長い方、自分も年齢が高くなっている1人ですけれども、最初の飲酒のスタートの年齢というのは、高校生とか大学生がすごく多いです。それがここ4~5年だけの話じゃなくて、以前から。そういうことは出てこないのです。高校生も飲んでいますと言わないし、大学生だって、あの人は20歳前に飲んでいるなんていうことをお互いに言わないし、友達付き合いの中で、みんなで楽しく、隠れて飲んでいくのも青春なのだろうと思うのですけれども。ここの話ではないのですが、付け加えさせていただきました。
終わりです。
○松下会長 ありがとうございました。
では、会場から長嶺委員に挙手いただいています。また、オンラインで白石委員から挙手いただいていますので、長嶺委員、白石委員の順でお願いします。
○長嶺委員 ありがとうございます。家族の立場とヤングケアラーの立場として参加させていただいています長嶺です。
この基本的施策本文の1つ目の○と5つ目の○辺りに該当するかと思うのですけれども、医学生のうちから精神科と、特に内科の辺りの教科としても、アルコールに関する身体的影響とか、精神科の教科書のほうでも依存症とはというところの教育をもう少し深めていただきたいと、家族のほうとして切に願っております。というのは、専門医療機関というもの、文言も知らずに家族は相談に行きます。そのときに学術上といいますか、教科書上では知っていても、回復した人たちの過程を知らない専門医たちの言葉によって傷つけられる家族も多く見ております。私自身も、自分の不調のときにも似たような言葉をかけられて傷ついた経験もありますし、仲間のほうからもそういった言葉をよく聞きます。
ですので、教育というところでは、現在、医師として御活躍の先生たちの内科や精神科の方たちにも、ぜひ研修として、アルコールのことはより義務づけていただきたいのですけれども、その前段階の教育からもぜひ取り組んでいただきたいなというのを、1番目と5番目に該当するかなと思いまして、発言させていただきます。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、白石委員、お願いいたします。
○白石委員 内科医の白石です。
いろいろ意見がございましたけれども、軽いと言ってはおかしいのですけれども、まだここでやめれば依存症にならない、なっても軽く済む、コントロールがつくというような人をかなりたくさん内科で診ております。惜しい人がたくさんいるのです。そういうところで重症化を予防する。それから、議論の中では重症になった人をどうするという問題と、そこまで行かないようにするという、この大きな流れがあると思うのですけれども、私はどちらかというと気づくようにすることと、そういう人たちを見捨てないようにすることと、それからつながなければいけないところをつないでいく。これが一般内科医的な、もしくは普通にいろいろな科の先生が、科を超えたところで周知しなければいけないというところで、ぜひそこを明確にしていくべきかなと思いました。
本当に依存症で、家族の崩壊のこともよく知っておりますので、その辺のケアというのは非常に重労働です。その重労働になる前に予防できるところが、これから大切なところだと思います。上村委員からあったように、産業保健のほうからの話は本当に少ないのかなと。それから、学校保健などあるので。
吉本先生が3つほど連携のガイドラインを出しているのは御存じかと思いますけれども、効果をきっちり明確にしてあげることで、ここまでやればこんなによくなるよ、もしくは自分の体験がだんだんよくなっていくということを明確にさせてあげる。そういうことはデータでも出ているし、自分でも気づく、患者さん自身も気づくようにする。今度は、医者もそれで勉強できるということをしていくというのが一番大切かと思っています。
ただ、今後、減酒でいい人たちと断酒じゃなければいけない人たちは絶対あるわけで、そこを混同しないように明確にしていくということも大切かと思っていますので、その辺の動きをしていきたいなと思います。
産業保健研修会は至るところでやっておりますが、僕も何回か出たのですけれども、たばこはあったのですけれども、飲酒についての講演が1回もなかったので、あれと思っております。その中では間違った情報を流していました。たばこは百害あって一利なしとやっていましたけれども、アルコールは少しだったらいいのです。たばことは違いますと言う人がまだいたというショックを受けて帰ってきたこともあります。ぜひこのことを産業保健の関係の方、内科系。それから、今、栄養の学会もアルコールに着目し始めてきています。そういういろいろな関係の学会の先生方、もしくは関係者の方が目を向けてもらえるようにやっていく必要があると思っております。
自分の関係しているところも、肝臓学会は前向きにやっています。病態栄養学会も、少しずつアルコールのシンポジウムも入ってきています。ぜひそういうようなところからも、草の根運動みたいな感じですが、進めていければと思います。
以上です。ありがとうございました。
○松下会長 ありがとうございました。
そろそろ予定の時刻が近づいてきておりますが、ほかに。
では、米山委員、お願いします。
○米山委員 1つ目は、1番目のポチの部分、基本的施策の本文ですが、切れ目なくアルコール健康障害の適切な治療を受けられる医療提供体制の構築を促進する、と記載してはどうかということで、これはもちろん、そのとおりではないかと思うのです。先ほど江澤委員からも意見が出ていましたが、地方自治体、都道府県レベルでの地域医療計画の中でとか、保健所、精神保健福祉センターレベルで促進するといった主語を何か入れたほうがいいのではないかというふうに思いました。もちろん、保健所や精神保健福祉センターや県レベルでの医師会、地方自治体等が推進する役目があるのではないかと思いますので、そういったところもぜひ含めていただけると、責任の所在がより明らかになるのかなと思いました。
それから、2つ目は5つ目のポチの部分ですけれども、「自助グループやソーシャルワーカーとも連携」というところで、今、断酒会さんがSBIRTSの研修などに結構力を入れて、あちこちでやっていらしたと思います。患者さんが医療機関から自助グループにつながる。そして、自助グループから医療機関に具合が悪くなってつながるとか、そういった双方の連携というところでは、例えば医療機関に特定研修を受けたスタッフがいて、プラス、自助グループと定期的に連携があり患者さんをつなぐ仕組みがある医療機関にはインセンティブをつけるとか、何かプラスしたシステムを導入してはいかがかなと考えました。そういったことも検討していただけるとより自助グループと医療機関の連携が強化されるのではないかと、新たな患者さんがつながりやすくなるのではないかなと思いました。医療スタッフがまだまだ自助グループを知らない現状があるのではと思います。
それから、もう一つは、長嶺委員から医学生の教育をもっと深めてほしいという御意見が出ていたのですが、実は私の講座で、今、小さな研究をしていまして、大学生に対象にした調査研究を行ったのですけれども、医療系の学生とそうじゃない学生を比較したところ、医療系の学生のほうがアルコールに対する危険といいますか、認識は、ほかの学部の学生よりは持ってはいたのですけれども、自分が依存症になるかどうかというようなことに関しては否認が強かったというような、有意にそういった違いのある結果が出ていたのですね。
学生のうちに、特に依存症に関する教育を強化していない段階で、既にそういった現実があるということですので、現実をもっと知っていただくような教育の工夫とか教育内容の強化というところは、私も非常に重要なのではないかなと考えています。医学生だけじゃなくて、医療系の学生ということでの結果が出ているので、看護とか社会福祉系、ソーシャルワーカーなどに関しても、もっと教育を深めていく必要があるのではないかと思います。何かそういった部分も盛り込んでいただければと思いました。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
会場から稗田委員、オンラインで小松委員が挙手されております。終了時間が大分近づいておりますので、できるだけ簡潔にお願いします。
○稗田委員 ありがとうございます。
資料3のところにソーシャルワーカーを多用していただいて、本当に感謝しております。これですけれども、早期発見・治療の仕組みということで、今後5年間、第3期で使うということになったときに、この5年間の間にICTの活用というのがもっと急速に広がっていくということが考えられると思います。例えば、電子カルテにAUDITを入れるとか、様々な工夫を考えておられる動きもありますし、研究もありますし、診療報酬の退院支援加算にヤングケアラーのことも入ったりしましたので、そういうところを意識化できるような、電カルとかICTをうまく活用した早期発見・治療の仕組みの検討というのをぜひ入れていただきたいなと思います。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、最後に小松委員、お願いします。
○小松委員 主語の話が出てきたので、確認なのですが、2の不適切な飲酒の誘引の防止は、付け加えられたものは全部「酒類業界は」という主語が入っているのです。4つ目のポツはいろいろ出ましたけれども、こちらのほうは、「国は」、「国及び地方公共団体は」みたいなものが主語になるのかしらと思って読んでいたのですけれども、その辺、誤解を招かないように主語をきちんと入れたほうがいいのかなと思ったのと。
あと、教育の分野については話し合いをしていましたでしょうか。先ほどの長嶺委員の提起とか、その辺は教育の話だと思うのですけれども、最後、質問です。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からお願いします。
○米田推進官 2点御質問いただきました。
まず、主語についてでございますが、確かに資料3では特に主語を書いておりませんで、分かりにくかった点があったかと思います。実際に報告書案の素案を出すときには、主語にも気をつけて記載していきたいと思っています。恐らく御指摘のあったように、国とか都道府県・指定都市、地方公共団体といったものが主語になるものと思っています。
また、2つ目、教育の点でこれまで議論したかという御質問だったかと思いますけれども、それについては、次回の各論の残りの部分で議論していきたいというふうに考えております。
以上です。
○松下会長 ありがとうございました。
まだまだいろいろ御意見あるかもしれませんが、大分時間が迫って、ほぼ終了時刻を過ぎてしまいましたので、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
事務局におかれましては、本日の御意見を踏まえて必要な資料修正をお願いします。
また、委員の皆様におかれましては、本日の御発言以外に追加の御意見などございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。なお、次回についても各論の議論も進めていきたいと思いますので、各論に関わる御意見はその際にお願いいたします。
最後に、事務局から何かございますでしょうか。
○小野室長補佐 本日はありがとうございました。
次回の開催日程については、決まり次第、御連絡させていただきたいと思います。
○松下会長 それでは、第35回「アルコール健康障害対策関係者会議」を閉会いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。



