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第72回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録
職業安定局雇用開発企画課建設・港湾対策室
日時
場所
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)
出席者
公益代表
勇上座長、蟹澤委員、中村委員、小野委員
労働者代表
西委員、髙橋委員、松葉委員、横澤委員
使用者代表
岩田委員、堀川委員、吉田委員、若鶴委員
参考人
一般社団法人全国建設業協会 山崎専務理事
オブザーバー
石井国土交通省不動産・建設経済局建設振興課課長補佐
事務局
藤川高齢・障害者雇用開発審議官
和田山建設・港湾対策室長、大原建設・港湾対策室長補佐、熊谷建設・港湾対策室長補佐
議題
(1)建設業の現状と課題について
(2)その他
議事
○大原補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第72回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。私は事務局を務める厚生労働省建設・港湾対策室の大原と申します。よろしくお願いいたします。まずは、マスコミの方へ留意事項を申し上げます。カメラ等の撮影をされる場合は、議事が始まる前までといたしますので、御協力をお願いいたします。
さて、本日は公益代表の蟹澤委員、小野委員、使用者代表の岩田委員がオンラインでの参加となっております。よろしくお願いいたします。恐れ入りますが、質疑の際はカメラをオンのままにしていただけると幸いです。
次に配布資料の確認をいたします。会場にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレットで資料を閲覧いただきますようお願いいたします。保存されている資料のファイルは、議事次第、配布資料が資料1から3まで、参考資料が1から4までです。参考資料4は、前回、前々回の建設労働専門委員会で各委員から頂戴した主な御意見をまとめたものです。本日、説明はいたしませんが、御参考としていただければと思います。
次に、前回の専門委員会以降、初野委員が退任され、新たに選任された委員を御紹介いたします。なお、参考資料1が最新の委員名簿となっております。労働者代表委員として、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の髙橋直柔委員が、新たに就任されていますので、よろしければ一言御挨拶をお願いいたします。
○髙橋委員 初野の後任となります、基幹労連の髙橋と申します。至らない点も多くあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○大原補佐 ありがとうございます。それでは、これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。御協力をよろしくお願いいたします。本日の委員の出欠状況ですが、委員全員に御出席いただいております。ありがとうございます。以後の進行は、勇上座長からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○勇上座長 おはようございます。本日もお忙しい中、本委員会に御出席賜わり誠にありがとうございます。それでは早速、議事に入りたいと思います。本日は、議事次第にありますとおり議題は2つあります。1つ目は「建設業の現状と課題について」、2つ目は「その他」となっております。前回は、第11次建設雇用改善計画の策定に向けて、国土交通省及び労働者団体、使用者団体からヒアリングを受けたところですが、今回も「建設業の現状と課題」と題して、団体へのヒアリングを行います。
本日は、労働者2団体と使用者1団体より、ヒアリングを予定しております。初めに、労働者団体として、電力関連産業労働組合総連合の横澤委員。それから、日本基幹産業労働組合連合会の髙橋委員よりヒアリングを行い、その後、使用者団体として、一般社団法人全国建設業協会専務理事山崎様より、ヒアリングを行いたいと思います。各団体の御説明を10分ずつで行っていただいた後、3団体まとめて質疑応答の流れで進めさせていただきます。
それでは、電力関連産業労働組合総連合のヒアリングから始めます。御説明の際は自席から御説明をお願いいたします。では、横澤委員、よろしくお願いいたします。
○横澤委員 皆様、こんにちは。電力総連の横澤と申します。よろしくお願いいたします。資料1を御覧ください。「第11次建設雇用改善計画の策定に向けて」というところで、始めさせていただきます。まず、スライド1ページ目を御覧ください。私たちの組織の概要について、少し御紹介をさせていただきます。
私たち電力総連は、10の地域別組織と2つの職域組織で構成されております。電力総連で働く仲間は、発電から送配電、設備や部材の製造、建設から保守メンテナンス、保安など電力関係の工事だけでなく、ビルや工場などの一般電気設備工事にも多く携わっており、電力の安定供給や電気設備の建設保守など、日夜懸命に取り組んでおります。また、災害発生時には早期復旧に向け、いち早く現場に駆け付けるなど、日本のインフラを支える誇りと使命感を強く持ち、その責務を全うしております。
2スライド目を御覧ください。こちらは外部組織・機関との関係を表しております。私たちの組織は連合に加盟している、電力関連産業に関わる産業別労働組合の組織です。電力総連には約240の労働組合が加盟しておりますが、半数の組合が建設業へ加盟しており、本日は私たちの職場の実態や、課題などについて御報告をさせていただきます。
私たちの職場においても、社会的にも課題となっております働き手の高齢化や、若者等の入職者数の減少により、人手不足が深刻化しております。このような状況を改善していくために、労働時間が長く、休みも少ないなどの労働環境を改善し、新4K、給料が良い、休暇が取れる、希望が持てる、かっこいいのイメージを浸透させ、建設産業の魅力向上を図り、選ばれる業界、選んでもらえる業界となり、雇用の改善、拡大につながるよう、建設業界全体で取り組まなければならないと考えております。
次の3スライド目を御覧ください。こちらは、本日の目次になります。記載の4項目について現状や課題などを説明させていただきます。スライド4ページを御覧ください。1点目は、「適正な工期の確保について」です。こちらは参考として付けさせていただきました。国土交通省の管轄にはなりますが、長時間労働の是正や、週休2日を確保することを目的に、工期に関する基準が見直され、昨年4月から運用が開始されています。
次のページを御覧ください。スライド5です。日建連では「週休二日実現行動計画」の取組が進められており、2024年の調査結果では4週8閉所の割合は約6割となっておりますが、電力総連電工部会の2025年の調査結果では約4割にとどまり、同じ建設業を担う中においても、工程によって休日確保状況にはかい離があることが分かっております。
次のページを御覧ください。スライド6ページです。私たちの職場では、時間外労働の上限規制の適用前に比べて、無理のない工期が設定されている現場が若干多くなっておりますが、職種別で見ると認識の差があることが分かりました。これは、受注時点では一定の改善が見られるものの、前工程での遅れが後工程を担う現業系などの工期を圧迫し、工期のしわ寄せが生じていることが表われていると考えられます。
次に、スライド7ページを御覧ください。電工部会の各職場においては、「時間外労働の上限規制」を受けて取組が進んだことで、年間総実労働時間が減少しているものの、一部職場においては、要員不足などによる長時間労働が継続しております。建設業が今後も経済・社会に重要な役割を果たし続けるためには、中長期的な担い手の確保が不可欠であり、そのためには、長時間労働の削減と、確実な休暇の確保に向けた「働き方改革」の推進、並びに全工程で週休2日を確保できる「適正な工期」の実現に向けて、官民が一体となって取組を進めていくことが重要と考えます。
スライド8を御覧ください。「熱中症対策について」です。近年、猛暑日の急増により、現場で働く職人の熱中症リスクが高まっており、熱中症による死傷災害の発生件数も増加傾向にあります。職人の健康と安全を守ることは、建設業界の持続的な発展に直結する重要な課題です。このような実態を踏まえ、スライド9に移りますが、国が主体となって、一刻も早い対策の検討と実施が不可欠であると考えます。
スライド10を御覧ください。現場ではこまめな水分補給や適度な休憩など、熱中症対策への努力が続けられておりますが、各企業の受注者の判断、個人の努力による対策は限界に来ております。発注者が主体的に作業の中断や中止、注文者と連携した工期の延長などを判断できる仕組みの環境整備が必要ではないかと考えております。
スライド11を御覧ください。ここからは、「作業環境の改善について」です。以前の委員会で、外国人労働者の受入制度について御意見がありましたが、労働組合の立場から、外国人労働者の受入れに関する課題について触れさせていただきます。現行の技能実習制度では、資料のとおり建設業における法令違反率が高い水準にあります。こうした状況を踏まえ、全ての外国人労働者の権利保障と、安全に就労できる職場環境の整備が必要であり、受入企業などによる関連法令の理解促進や、監督省庁などの体制強化が重要と考えております。
スライド12を御覧ください。建設業から旧3K、きつい、きたない、危険を払拭するためには、AIやDXはもとより、先進技術の導入を進めることが効果的ではないかと考えます。先進技術の導入を進めることは、作業の効率化・省電力化による人手不足の解消、安全性の向上につながるだけでなく、高齢者や女性を含め、誰もが安心して働ける、魅力的で持続可能な建設業界を築くことにつながるものと考えます。誰もが働ける持続可能な環境整備のためにも、国が主体となって、先進技術の導入拡大に向けた助成金交付などの支援策を検討していただきたいと考えます。
スライド13を御覧ください。厚生労働省にて設立した「SAFEコンソーシアム」では、優良な取組を進める職場を表彰し、「アワード」として「見える化」を図る取組を展開していると承知しております。本取組は、優良企業を求める求職者の職場選びにも有意義であり、優秀な人材確保にもつながるものと考えます。さらには、職場の良い取組が適切に評価されることは、働く者のモチベーション向上にもつながるものと考えます。是非とも、これまで以上に推進・周知を図っていただき、働く者のモチベーション向上や人材確保、持続可能な企業の発展に向け、引き続き積極的な展開をお願いいたします。
最後になりますが、スライド14を御覧ください。建設業を支えているのは現場で働く「人」であり、本日提起させていただいた事項は、働く者の労働環境整備はもとより、働く者のモチベーション向上や業界としての魅力向上にも資するものであり、深刻な課題となっている人材確保にとっても重要な観点であると考えております。建設業の持続的な発展に向けては、現場で働く者の視点を十分に踏まえながら、魅力的な産業となるよう、国が主体的になって環境整備を進めていただきたいと思います。以上でございます。
○勇上座長 横澤委員、ありがとうございます。それでは、次に日本基幹産業労働組合連合会、髙橋委員より御説明をお願いいたします。
○髙橋委員 資料2をお開きください。御安全に。基幹労連の髙橋です。基幹労連の建設部会として、我々建設業を取り巻く現状と課題について御説明をさせていただきます。
37分の2ページ、まず、事前に頂いた6項目に加え、熱中症を含めた全てのテーマについて基幹労連としての現状と課題を出させていただきました。その中で、特に注力したいテーマが「1.若年者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」「2.女性労働者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」「7.熱中症対策」についての御説明をさせていただきます。そのほかの内容については、時間の関係もありますので、お時間のあるときにお読み取りいただければと思います。
37分の3ページです。「(1)若年者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」について、御承知のとおり、建設業の労働環境は依然として厳しい状況にあります。技能労働者を含め、建設業従事者の賃金上昇は限定的で、退職金制度もまだ十分とはいえません。そのため、若い世代から建設業は選ばれにくい職業となってきています。加えて、アルムナイやカムバック採用を考えた場合、一度建設業を離れた人が今の水準では戻って来にくいという現状です。
長期技能蓄積型産業とも言われる建設業で、離職率が高く、キャリアを積む前に人材が流出してしまい、戻りにくいという悪循環が危惧されます。では、どうすれば担い手を確保し育てていけるのでしょうか。私は次の5つの課題に正面から取り組む必要があると考えています。
次のページです。5つの課題の要望と提案について説明させていただきます。まずは労働条件の向上です。具体的な提案としては記載のとおりです。まず、1つ目は労働条件の抜本的な向上です。休日の確保や長時間労働の是正、安全・安心して働ける職場環境の整備など、現場の働き方そのものを変えて、若年者がこの業界で働きたい、働き続けたいと思える環境づくりのために、①原則週休2日制の実現、②柔軟な働き方の導入に向けた検討、③現場環境の改善支援の拡充を挙げさせていただきます。
次のページです。2つ目は賃金や退職金の改善です。働く人の生活や将来を見据えた待遇の向上が欠かせません。賃金・退職金の改善については4つの項目をお読みください。提案の補足として④、現在、建設業においては産別最賃の取組がないので、建設業産業別最低賃金、産別最賃を設定してはいかがかと御提案します。設計労務単価は、公共工事における設計基準であり、2次、3次請負業者の技能労働者へ行き渡る賃金額ではありません。後述するCCUSの普及により、幅広い公衆職種、技能レベルごとにレベル別年収と併せて最低賃金を設定することで、技能労働者の賃金改善が図られるのではないかと考えます。建設産業別最賃を各地域ごと又は全国平均で設定し、制度として有益なCCUSのレベル別年収と連携することで物価本へ掲載し、物価本に併せて市場動向を反映した持続的な賃金上昇が図られ、魅力度アップにつながるのではないかと感じています。
37分の6ページの3つ目と4つ目は、オフサイト建設やプレファブ化の促進と危険作業の削減です。新たな生産向上策として、工場での加工やプレファブ化を進めることで、効率化と作業環境の整備、安全性の向上が期待できます。また、DXや機械化の進化に伴い、ロボットなどの革新技術の開発によって、複雑な作業、高負荷作業が改善され、また体力面の負担軽減が期待されます。次のページは先ほどの4つ目に当たる項目となりますので、お読み取りください。
37分の8ページ、5つ目は定着率を上げる施策です。離職率・定着率が他産業と比較して芳しくはない建設業における働き続けやすい仕組みを整えることが求められます。以上の5つの課題に取り組むことで、若者がこの業界で働きたいと思える環境を作り、担い手の確保と育成につなげていくことができると考えています。
37分の9ページ、次に、女性の入職・定着を進めていく上で、現状として見過ごすことのできない事象があります。それは育休や産休を取得した女性技術者が、現場復帰に当たって少なからず不利な扱いを受ける実態があります。多くの発注者は、技術者に対して「直近○年以内の現場経験」といった条件を求める傾向があります。この要件があることで、出産・育児などのライフイベントによって、一時的に現場を離れた女性技術者が必要な実務経験を満たせないという理由で、再び施工管理技術者、現場代理人として現場に戻れない事例があります。これは、個々の努力や能力の問題ではなく、制度設計や評価基準がライフステージの変化に対応できていないという構造的な問題です。こうした現状が、女性が長く建設業で活躍しつ続けること、担い手の確保という観点から障害となっています。この現状を踏まえると、私たちが取り組むべき課題は明確です。
次のページです。まず、産休・育休を取得した女性技術者の経歴を正当に保持、評価する制度の整備です。発注者が求める直近の実務経験という要件を出産・育児による休業中は除外し、キャリアの妨げとならないように適切な支援を提供する仕組みが求められます。
次のページです。加えて、女性の休職後の復職へ向けた制度やキャリアステップのロールモデルの育成です。女性技術者が安心してキャリアを継続できる環境整備こそが建設業の担い手確保と多様性の推進の鍵となります。育休・産休・介護休暇の取得がキャリアの障害とならないよう、制度、評価、支援、意識改革を一体的に進めることが必要です。
次のページです。女性技術者の公平な評価と女性活躍推進の取組と併せて、就業環境配慮の仕様条件化の浸透も必要かと思います。
37分の13ページ、改正育児・介護休業法に基づくテレワークの活用も、現場ではまだ十分に定着していません。努力義務として明度化されていますが、管理職の理解不足や従来の働き方の固定概念から、実際の活用は限定的です。女性が社会から離れることなく更に活躍できるステージを確保するためには、テレワークの積極的な推進が不可欠です。
37分の33ページ、「熱中症対策」について、現状として2025年6月より、事業者に対して対策の実施が義務化されており、違反した場合は労働安全衛生法違反として罰則の対象となります。そのため、多くの事業者は熱中症の防止ガイドラインに従い対応している状況です。しかし、現状の義務化では、外気温による作業制限はなく、WBGT指数を基準に対策を行う形となっています。WBGTは、地面からの照り返しなども考慮した指標ですが、必ずしも、現場での危険を十分に反映しているとはいえません。課題として、気象庁が熱中症警報を発令しても、現場では必ずしも作業中止にはなりません。危険な状況でも作業が続けられる場合があり、労働者の健康と安全を守るには、この点を改善することが急務です。
次のページです。熱中症は重篤な場合、命に関わる災害です。気象庁の熱中症警報に連動して作業中止命令を速やかに発令できる制度の整備、発注者、事業者による中止判断、命令を適正、迅速に行う情報共有体制の確立を御提案します。
次です。オフサイト建設の導入など、現場作業を減らす取組も、熱中症対策の一環として重要です。気象条件によらない労働条件とオフサイト建設推進のために、記載の3つの取組を御提案します。
次です。事業者への支援と周知強化では、熱中症対策は現場責任者だけではなく、発注者にも責任を持たせる制度整備への理解と、契約段階での熱中症リスクを含む安全配慮義務の明文化を促進、発注時期の調整、夏季作業の削減など、国土交通省では、地方整備局発注の全国の土木工事について夏休みを可能にし、受注者と国が協議できるように発注使用書に明記すると報道がありました。炎天下作業が多い道路や架線工事に加え、民間工事へも波及効果を期待します。熱中症に関する継続的な啓発活動をお願いします。以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、最後に、一般社団法人全国建設業協会専務理事の山崎様より御説明をお願いいたします。
○一般社団法人全国建設業協会山崎専務理事 資料3を御覧ください。一般社団法人全国建設業協会ですが、私どもは全国約1万9,000社の主に元請、先ほど使用者と御紹介されましたが、使用者の中でも元請が中心で、上はスーパーゼネコンから下は中小建設業まで、主に地域の中小建設業者を中心にした中小元請企業を会員とする法人です。そういった立場を踏まえて、今回ヒアリングに臨ませていただいております。
2ページ目を御覧ください。まず「建設就業者の現状」です。これは皆さん御案内かと思いますが、3ページにありますように、通称ワニの口と言われるように高齢者が非常に増えて、若年者がなかなか入ってくれないと。将来推計についても、これは建設経済研究所ですが、将来100万人近く減少してしまうのではないかという予想をされております。4ページです。こういった減少の要因として、建設業は全産業に比べて年収が相当低いこと。それから、右側にありますように、問題は全産業に比べて年収のピークが早いということです。年収のピークが早いことが、生涯年収が低いということにつながっております。5ページは、もう一つ、労働時間です。全産業に比べて労働時間が非常に長いです。最近は縮まってきてはいるのですが、まだ長くて、また、平均的な休日も4週6休程度が最多の状況です。
これに対して、全建として取り組んでいる状況が、6ページ以下です。まず7ページが2+360(ツープラスサンロクマル)運動と申しまして、2(ツー)は週休2日、360(サンロクマル)は時間外労働の条件である原則上限の360時間までに抑えましょうという運動を、ずっと続けております。さらに8ページですが、適正工期見積り運動です。これは、国交省に工期に関する基準を作っていただきましたので、基本的に工期見積りをするときにはこれに従ってやろうと。特に、週休2日で見積りをしようというようなことを、運動としてやっております。
9ページは、全建だけではなく、日建連さんや全中建さんなどと一緒にやっていることですが、土日一斉閉所を目指しましょうということで、休みをなかなかとれないのですが、土日はみんなで休もうということでやらせていただいております。
次に処遇改善です。賃金の引き上げについては、設計労務単価が6%上がったことを受け、今年の賃上げ目標を6%ということで引上げ目標をつくって呼び掛けをしているところです。右にありますように、今年段階ですが、引き上げているというのは相当になっているのですが、なかなか6%まで引き上げているのはない状況ではありますが、引上げに向けて運動は進めていきたいと思っております。
11ページは、キャリアアップシステムです。全建では、それぞれの地域ごとの都道府県建設業協会が中心になって進めておりますので、地域ぐるみでCCUS普及促進プロジェクトを推進しようということで、地域ごとにその中でのCCUSの支援窓口をつくったり、モデル工事を推進したりといったことをやっております。その結果、登録状況としては7割を超える所が登録している状況です。
12ページは、人材確保の取組です。若年者の人材確保については、特に中小建設業がターゲットにしている高卒の採用について、できるだけやりやすくするようにルールやスケジュールの情報提供を行っているところです。もう1つ、先ほどありました女性活躍については、全建としてのロードマップをつくって、実行計画に基づいたロードマップを推進しております。
13ページです。外国人については、国交省の委員会に参加したりして、技能者関係のところはその辺りでやっているのですが、もう1つの技術者関係の採用もかなり進んでおり、その辺りの採用をしやすくするということで、技術者の採用ガイドを作ったりしております。
「今後に向けての課題・要望」ですが、ここでは厚労省さんへの要望に絞って要望させていただきたいと思います。15ページは、柔軟な働き方の必要性です。先ほど来ありますように、非常に酷暑が続いており、更に厳しくなっているということで、熱中症への課題が非常に大きなテーマになっております。WBGTについては、基本的には31℃になったら作業中止になるわけですが、それ以上になる時間が非常に増えております。この楕円の中にありますように、これは去年のデータですが、ひと月の半分は稼働できないと。今年は、多分もっと稼働できない日が多くなっていると思うのですが、そうすると屋外作業の多い建設業では労働基準法の時間外労働規制への適用が非常に難しいと。さらに、うちは北海道や北陸などがありますので、積雪寒冷地は工事がストップすると。365日仕事ができる状態なら、時間外労働規制も適用できるのですが、実際にはできない時間、あるいは日が非常に多い中で労働時間規制を適用するのは、非常に難しい状況です。
16ページです。変形労働時間制について、厚労省さんのほうでの提案でしょうか。6月に事務連絡があり、変形労働時間制の活用についての通達がありました。これは要望として書いてありますように、非常に抵抗が強いわけです。1つは、変形労働時間制は少なくとも30日前に決めろとなっているわけです。ところが、実際に雪が降る日や酷暑になる日というのは、30日前にこの日は酷暑になるとか、実際には想定できないわけです。特に、今年などは9月末になっても猛暑日が続くというような、あり得ないようなこともあるので、このような柔軟な働き方のためには変形労働時間制を事後適用とか、せめて前日での適用で対応できるように見直しをしていただきたいということです。
17ページは、給与の関係です。賃上げは、もちろん設計労務単価が一番のテーマですが、ここでは生涯給与のための退職金の増額についてお願いしたいと思います。今の建退共の現行制度では、掛け金320円で37年間納付しても、388万円にしかならない。これを改善するには、320円を最低レベルとして、CCUSのレベル別に合わせて退職金の掛け金を上げていくといったことで、最終的に退職金額を1,000万円を超える額にしたい。せめてそれぐらいが最低必要なのではないかと思っております。ただ、このためには中小企業退職金共済法の改正が必要です。
18ページは、建退共制度における複数掛金制度の導入です。赤色で書いておりますが、今年の9月に検討会議報告書が出て、複数掛金制度を導入することが適当であると出ています。これは、是非実現していただきたいと思っております。要望に書いてありますように、複数掛金の導入があります。それから、この法律の中で上限日額が800円になっているのです。これは、最近の物価高でどんどん変えていかなければいけないのですが、法律で決まっていたらなかなか柔軟にできないので、せめて政令で改正するというような法改正を是非お願いしたいと思っております。それから、複数掛金をやるためには電子ポイントを使わないといけないのですが、現状6%ぐらいしかやっていないということで、これを強力に進めていく必要があると思っています。
19ページは、キャリアアップの未活用です。先ほど言いましたように、キャリアアップは地域ぐるみで進めているのですが、その結果7割以上が登録しているのですが、実際にそれを活用しているのかというと、そのうちの8割近くが実は何も活用していなくて、ただひたすらタッチして10円を払っていると。毎日毎日10円×人数分を払っているわけで、何をやっているのだというような状況になっています。某建設業に詳しい国会の先生が言うには、キャリアアップで自分が賛成しているのは、組合の人から、こういう2つのメリットがあるからと聞いたのだと言っているのです。1つは、タッチしたら退職金がそのまま自動的に付いてくると。建退共とのリンクができると、それは先ほど言いました電子申請とセットで是非やっていただきたいということです。
もう1つは、キャリアアップのカード1つで、厚労省の安全関係の資格が全部見られるようになるのだと、そう言われたから私は賛成したのだと言っているのです。しかし20ページを見ていただきますと、今のところ利用できる資格が3つしかないのです。何でこの3つかというと、法律上携行しなければいけないと、法律に書面を携行しなければいけないと書いてあるのです。ところが厚労省さんは、これは書面ではないから駄目だと言っているらしいのです。キャリアアップのカードは書面と一緒でしょと。だから、そういうキャリアアップのカードで技能講習修了書などを全部見られるようになれば、キャリアアップの利用が非常に進むのではないかと思っております。
21ページです。余り取り上げられていないのですが、依然として多い日給制が大きな支障になっています。日給月給だから、結局休みを増やそうと思っても、休みたくないと嫌がるのです。給料が減るのが嫌だと。幾ら我々が週休2日、土日閉所と言っても、そんなことはやめてくれという人が実はすごく多いのです。そのためには、やはり月給にしなければいけないのですが、ところが建設業というのは受注ができなかったら仕事がないのです。それなのに月給にしろと言ったら、私らは干上がってしまうじゃないかと言われるわけですね。それで、どうしたらいいのかということなのですが、22ページですが、これは厚労省さんには厚労省さんの考えがあるかもしれませんが、やはり仕事がないときには仕事がある所に労働者を派遣できるようにしたいのですが、それが今はできないというようになっているので、そこを何とかしてほしいということなのです。今は合法的に活用できるのが、労働者就業機会確保事業なのですが、今は全建の中では沖縄県の協会だけなのです。なかなかこれができないのは、非常に難しい許可申請書や受入管理台帳の作成などの事務負担が多大であるということも言われています。要望の所を見ていただきますと、本当は全面解禁が一番有り難いのですが、そうでないとしても就業機会確保事業の許可手続や書類の簡素化、あるいは構成事業主だけではなくて構成事業主の下請企業同士であったらいいとか、そのように緩和できないかと思っています。もう1つは、キャリアアップ助成金がありますが、日給制が月給制に移行した場合の支援措置もやっていただければと思っております。以上です。
○勇上座長 御説明、ありがとうございました。ただいま御説明のあった報告内容について、御質問、御意見等がありましたら発言をお願いいたします。吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 沼田土建の吉田です。中小建設業の立場から先ほどの全建さんの説明は、本当に日頃肌感覚で感じていることを御説明いただいたかと思います。まずキャリアアップですけれども、例えば事業者登録までして、「うちはキャリアアップをやっている、やっている」と言っている企業がまだまだ多いのです。若しくは技能者登録といえども、余り現場に出ないような会社の代表者や身内の人が技能者登録をして、実際に現場に出る人はしていないというケースも、本当にまだまだ多く見られます。そういった状況で本来の目的につなげるような活用は、まだまだ遠いかなと感じているところです。
そのような中でも、先ほど御説明いただいた「建キャリ」の活用や、レベル別で退職金に反映できるようなことがあると、もっともっと登録が拡大するのではないかと思いますので、考えていただきたいと思います。元請の立場からしますと、施工体制台帳の自動作成というものがあります。これは下請業者の活用が進んでこそ得られる元請のメリットなので、元請会社としても余り他人事でなく進めていただきたいと感じています。
あと、地方の専門工事業というのは、従業員が10人にも満たないような所が非常に多いのです。多くが先ほど御説明いただいたように、日給制で働いています。要するに、仕事をしなければお金にならないという形です。かつ、従業員が少ないので、企業として何かカバーできるような体制もありません。これがやはり猛暑日を考慮した長期休暇を設けたいとか、4週8休を徹底したいといったことの足かせになっている現状があります。元請としては、より稼げる現場や稼がせてもらえる元請に移動されてしまいますと、一旦離れていった職人さんたちをまた呼び戻すのは非常に大変なのです。ですから協力会社にあわせて元請も休日出勤などをしているような状況もあります。月給制で安心して休める・働ける環境づくりというのは、大変大切ではないかと感じた次第です。以上です。
○勇上座長 御意見、ありがとうございます。特にCCUSの利活用について、御意見が続いたように思います。国土交通省からいかがですか。
○国土交通省石井補佐 御指摘いただきましてありがとうございました。状況は、重々よく承知しております。技能者の登録数というところで、カウントとしては300万人のうちの170万人ぐらいということになっていますが、実態として能力評価を受けておられる方というのは、10万人前後になっていると思います。正にそこを進めていかなければいけないと思っております。
施策側としてインセンティブを提供し、その取組を今、建退共のほうで検討していただいている内容もその1つだと思います。これは髙橋委員からも御提案があったと理解しておりますが、我々としても今、レベル別年収の改定あるいは賃金が支払えるような建設業者として、労務費を確保できる仕組みをやっております。そうしたところでCCUSを連携させながらやっていくということだと思いますが、これも仕組みとして提供するだけで、なかなか定着しないというところもあると思います。どのようなインセンティブがあるかというところを、業界の皆様にも御協力いただきながら、浸透させていただくことが重要かと思っております。
また、厚労省の助成金のほうで今年から、レベルアップをして賃上げしたときに、中小事業主に助成金を払う仕組みという、非常に画期的なものを整備していただいたと理解しております。こうしたところの周知も、皆さんと一緒になってやっていければと思っております。
○和田山室長 補足します。厚労省の立場から申し上げます。国交省からもお話があったようにCCUS、我々は助成金のほうでバックアップというか、連携して取組を進めているところです。今回の雇用改善計画の中でも、もちろんCCUSの活用というのは書いてあるのですけれども、どちらかと言うと少しばらばらというか、いろいろな所にちりばめて書いているところがあります。今考えているのは、大きな項目としてCCUSの活用促進という項目を立てて、CCUSの取組を進めていくようにしたいと、計画の中にも盛り込んでいきたいと考えております。引き続き皆様の御意見を頂きながら、この計画を作っていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○勇上座長 御回答、ありがとうございます。第10次と11次では、柱に入れられればという御意見だったと思います。蟹澤委員が手を挙げていらっしゃるのでお願いいたします。
○蟹澤委員 皆様、ご発表ありがとうございました。是非、議事録にも載せてほしいので応援演説というか、改めて意見を申し上げたいと思います。産別の最低賃金というお話が出ました。これには私も賛成です。国土交通省が今年度中に施行する改正建設業法の中の標準労務費という観念にも、非常にマッチングする考え方なので、これも今後の課題として非常に大事な課題だと思います。
熱中症対策も皆さんがおっしゃっていることで、建設業のように発注者がいるということと、事業者の責任ということになっていますけれども、やはり多様な事業者がやっている事業場の中で、どう実施するというのは非常に難しい問題です。やはり厚労省も、法律改正は難しいでしょうけれども、省令なり何なりで発注者等に対して、もうちょっと強制力のあるような措置が何かできないかということに関しても、皆さんに大賛成です。
大きな項目としては、CCUSの活用に関してです。これも繰り返しになりますけれども、やはり資格証の原本承認というのは、非常に大きなインセンティブになりますし、政府を挙げてDXを推進しようという中で、なぜ紙でなければいけないのかというのは、何か問題があると思います。今日具体的に御提案があったように、何が書類なのかというところで、ちゃんとCCUSというものを認めますよと。何度か申し上げましたが、これは通達レベルだけでいいと以前に聞いておりますので、この辺は是非、専門委員会の中の皆さんの総意なので、しっかりと書き込んでいただきたいと思います。退職金の複数掛金も、CCUSでレベルをしっかりと取っていただくインセンティブにもなりますし、これもまた標準労務費の考え方にもマッチングすることです。
それから、これもまた以前に申し上げましたけれども、外国人の育成就労制度、育てていくという制度の中にも、いろいろとマッチングすることだと思いますので、レベルが上がっていくと退職金の掛金も上がっていき、受け取れる退職金も増えていくというのは、非常に大事な政策になり得ると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
それから、CCUSの前提は今日、非常にいい表現のされ方をしていただいたと思います。日給月給をなくすためには、繁閑調整が必要になってくるのと、そのためには就労機会の確保事業をもっともっと活用する。これも多分前回からずっとですが、今回は本当にこの専門委員会の総意だと思いますので、そのためにも私が以前から申し上げているように、CCUSを制度の前提として、「加入している者同士であれば」ということを付けて、法律の中で心配されている悪徳派遣業者が出てこられないような措置にしっかりする。これもCCUSがあるとないのとでは、大分違うと思いますので、これについては是非、今回の改善計画の中に重要な検討項目として、書き込んでいただくことを改めてお願いしたいと思います。以上です。
○勇上座長 蟹澤委員、ありがとうございました。多岐にわたる点についておまとめいただいたり、補足いただいたりしたと思います。次に、小野委員、お願いします。
○小野委員 3つの団体からのヒアリングは、非常に参考になると思って聞いておりました。やはり共通して言えることは、賃上げというか、全体的に働く人たちの年収や賃金をどうするかという問題が、かなり大きいものではないかと思っています。ただ「賃上げ」と一言で言うのですけれども、やり方としては3つぐらいに分けられるのではないかと思っています。
まず、時給という形で賃金を上げるというのは、先ほど蟹澤先生もおっしゃっていたように、私も産別賃金をどうにかするというのは、重要な課題ではないかと思っています。最賃をどうにかしててこ入れしていくというのが、端的に時給を上げるという意味においては、非常に重要な政策課題になってくるだろうと思っています。これは時間当たりの賃金の課題です。
年収に影響してくるものには、先ほどもおっしゃっていた日給月給をどうするか問題があります。これは時給とは別の問題で、たとえ時給が上がったとしても、日給月給がどうにもならなかったら、その人の年収は変わってこないということがありえます。時給制の場合は労働時間の問題が影響していきますので、これはもう両輪でやらないと年収は上がっていかないということになりますので、同じ「賃上げ」という表現をされる中でも、別問題だと思って考えていただきたいのです。
3つある中で、もう1つがCCUSです。これは生涯収入を考える上で、非常に重要な問題です。その人の能力が生涯について上がっていったものをちゃんと評価するというシステムを、この業界が取り組んで、その人の生涯収入を上げるということになるのです。ですから、この3つは同じ賃金を上げるという話でも、全く違うフェーズにあって、全く別に議論しなければいけないし、3つがかみ合わないといけないということになります。どれか1つをやったとしても、全体の賃金が上がっていくわけではないということを考えて、取り組んでいただけたらと思っています。
もう1つは外国人の問題です。選ばれる国にならなければいけないという時代に入ってきているわけです。外国人労働者は、この業界にとっては非常に重要な労働力になりますので、より優秀な方に日本に来て技能を付けて働いていただいて、ここに来れば技能が付けられるし、稼げるのだと。CCUSでオープンに技能評価が行われ、稼ぎにつながるというようなことが、実現されれば外国人労働者にとっても選ばれる職場になっていくのではないかと思っております。
最後に1つ、女性についてです。私も女性なので非常に興味のあるところではありますが、今は世の中的というか、世界的な流れとして女性だけを余り粒立てるのではなくて、労働時間を男性と女性で平準化させる。男性が余りにもグリーディーな働き方をして、長く働き続けることに女性は付いていけない。これはもう男性と女性で分ける話ではない。男性もライフステージによってより長く働ける時期と、そうでない時期というのがあると思いますので、性別関係なく労働時間を調整できるようにしていくことが、必要ではないかと思っています。女性を余り粒立てし過ぎると、性別役割分業がより強くなっていくのではないかと懸念しますので、女性の政策を考えるのであれば、男性もちゃんと休むときはちゃんと休む、家庭を大切にする、ライフも尊重した働き方になるようにするというところも、少し考えていただくのがいいのではないかと思います。以上です。
○勇上座長 御意見ありがとうございました。年収の向上、それから外国労働者に魅力ある職場づくりということ、あと、女性労働については、広く働き方改革という観点から御意見を頂いたと思います。
岩田委員から手が挙がっておりますので、岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 ありがとうございます。聞こえてますか。
○勇上座長 聞こえています。
○岩田委員 発表ありがとうございました。ほぼ、我々も同じ方向を向いているのだなというのを再認識したわけですが、たくさんありますので、1つずつ言っていきます。
産業別特定最低賃金です。これについては、我々も勉強して取り組んでいくべきだというように課題として認識しておりますが、まず御検討いただきたいと思います。働き方改革の部分で、これからは夏の猛暑日などいろいろありますが、フレックスにしていき、働き手が求める働き方、環境適応できる産業に人が来ると思えてますので、そこのところを変形労働時間制を、全建さんのほうからありましたが、我々も全く同じで、事後というこの報告が適用できるようにしていただけないかというのがお願いとしてございます。
あと、CCUSについてですが、このメリットが今まではなかなか見えなかったのですが、だんだん明確に見えてきたというのが、建退共もそうですし、複数掛金についても大賛成であります。是非とも御検討いただきたいと思います。働き手が建設業に安心して体を預けれると、頑張ったら収入がもらえるのだなということを見える化するということは非常に大事だと思います。もう1つのメリットとして、いよいよ標準労務費が12月から施行されます。標準労務費というのは、月給がベースです、日給を月給に代えるという議論がありましたが、標準労務費を頂くということは、月給に代えて、他産業と同じだけ休みを取れるという制度設計、計算式になっております。これをやらない我々一次企業はやらないというのは、ピンハネ、ブローカーに値するというぐらいで、我々自身もちゃんと業界の内部をしっかりとコントロールしないといけないと思っております。ここは標準労務費がしっかりと流れてくる、こちらの元請はやってくれるが、こちらはやってくれないということではなく、民間工事においてでも設計の単価なみの賃金が流れてくるというようなことの制度設計ですから、それができるようになれば、これは月給にしないといけませんし、全産業と同じだけの休みを与える必要があるということです。
外国人の話です。今、先生もお話していらっしゃいましたが、目線として、やはり欧米並みの賃金を目指さないと、選ばれる日本になるためにといろいろな議論があると思います。もう既に日本は外国人の賃金でいうと最低ですから、外国人自身が韓国のほうがいいのではないかなど、そういう声がいよいよ出てきてます。蟹澤先生に御同行いただいて、2月にオーストラリアに行って、オーストラリアでは、もう70万、80万払って、それでももっともっと来てほしいと、上げないといけないのではないかという話もございました。ですので、海外に、世界的に目を向けて、これから外国人の獲得競争というところで、日本はどうあるべきかという、その大きな視点で次の構成を検討いただければと思いました。
女性活躍の部分ですが、これ技能者と技術者でちょっと違うのかなと思って聞いていたのです。この間も万博で技能者の方にお会いして話を聞きましたが、子供を産むことに対してどうかと。育休や休みなどとかいうことよりも、産んだ後、預けれないと。シングルマザーで預けるところがないというときが一番悩みです。うちのメンバーでも30人ぐらい集まって、女性の技能工で年に1回やるのですが、そこでは必ず「どうしているの」というような話で、「遅れて預けに行っている」とか。これは、「女性だから仕方がないと思われるのはいやなんだ」と、「子供を安心して預けれる環境を作ってくれませんか」という声が、圧倒的に多いです。産んだときにどうするかというよりも産んだ後どうするかということで、もう職業を諦めるのか、子供を諦めるのかの選択に迫られるのですというような声でした。そこを含めて検討いただければと思います。以上です。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員からも多岐にわたる論点をコメントいただいたと思いますが、どうでしょうか。3人の委員から御意見を頂いている段階ですので、特に御質問というわけではないのですが、共通してお話いただいたのは、建設業界における、時給という視点での最低賃金、あるいはそれに準ずるような賃上げの方策、あるいはフレームを代えて月給というレベルでの賃上げという話があったかと思います。
また、CCUSのメリットの向上については、先ほど来、御意見を頂いているとおりかと思います。
繁閑調整に関しては、なかなか難しいところがあるのかもしれませんが、共通して御意見を頂いていると思います。現行の制度をより簡素化したり、より使いやすくしたりするということ、あるいはCCUSの加入前提として簡素化するという御意見も頂いたと思います。私がまとめる必要はないのかもしれませんが、もし、厚生労働省の方で何かご意見がありましたら、お願いいたします。
○和田山室長 ありがとうございます。様々な御意見を頂きましたので、明確にお答えできない部分があるかもしれませんが。
まず建設業産別賃金のところですが、直接の担当ではないので、この場でこういうことだということは申し上げられないのですが、産別賃金は今、既に出ている業界については、労使合意の下に賃金が示されているのかと思っておりますので、そのような労使合意の下に産別賃金というところをやるのがポイントなのかと思っていますし、そのようなところは御意見として賜りたいと思っております。
それから、働き方の改革のところもについてお話しがあった思いますが、日給月給の話もそれぞれ働き方の中で、日給の方が、自分の本来与えられた仕事以外にも別の仕事のところに求めに行くという状況をよく聞いております。また、この日給制・月給制については、どのようなことが考えられるか、この計画にもどのようなところが盛り込められるかというところは、また御相談しながらと思っております。
もう1つ、私の担当になりますが、繁閑調整の中で就業機会確保事業のところです。これは、これまでもこの委員会において様々な御意見を頂いております。御承知のとおり、この制度は建設業の派遣が禁止されている中で、建設投資が落ち込み、労働力が過剰供給のときにできた制度と理解しており、なかなか、この人手不足の現状においては使いづらい制度かなとは思っております。
一方、人手不足の状況においても建設受注のこの山谷、繁閑調整があるのかなと思っており、人手過剰の場合に制度が有効なのかというのを見つつ、考えていかなければならないと思っております。この制度が使い勝手のいい制度になるというのはおっしゃるとおりですので、次の計画にどこまで書けるかというのはあるかと思いますが、建設現場においては下請業者や一人親方や資材の搬入業者、警備員の方などもおりますので、様々な雇用形態や、その雇用形態に関わらず同一の現場にいろいろな方がおりますので、これらの労働者を適切に保護するという観点からもこの制度がしっかりあると思っております。この事業自体の制度の許可を取るための要件がなかなか厳しいという御意見も頂きましたが、これは実は一般の派遣とほぼ一緒の要件でして、建設業が派遣を禁止されている中、建設業だから厳しくしているという制度の要件ではありませんので、その辺りは御理解いただきたいと思いつつも、御意見いただいている部分の、使いやすい、有効に使えるというところについては全くそのとおりですので、我々としても、これが有効活用に何ができるかというのは、引き続き考えていきたいと思っております。
次の計画においてどこまで書けるかというのは、また御相談しながらになると思うのですが、いきなり踏み込んだことはなかなか難しいのかなと、今、申し上げたとおり、建設業の派遣制度が、そもそも禁止されているという状況を鑑みて、そのようなところも見て考えていかなくてはいけないと思います。いずれにしても、実態やニーズの把握をしていく必要があるのかなと思っております。以上です。
○勇上座長 御回答、ありがとうございます。オンラインで、岩田委員、小野委員が手を挙げられたので、岩田委員、小野委員の順番でお願いします。
○岩田委員 今、繁閑調整ということでの就業機会確保事業は、暇なときにできたという御説明がございました。今の建設の在り方というか、今の現状のマーケットがどのような状況かということです。暇です、日本全国、躯体工事場業者は。何か活況だというイメージ、雰囲気で捉えられるのですが、これ、暇なとき、繁閑差というのは日々変わっていると言いますか、相当変化をしてまして、これら国有でも進めていけということで、これまで雇用か請負か明確にしろということで、曖昧な部分を明確にしてきたと。
そういう中で、今現状、抱えているとその人間をどうするかという問題があり、我々の業界の中でも多能工化していくべきではないかということです。スキルをどんどん上げていくべきということです。そのような視点で、繁閑調整という側面もありながら、例えば繁閑差の時期が違う。例えば躯体工事が忙しければ内装・仕上げ工事が暇ですとか、躯体工事が忙しくなったときに内装が暇と。ここは、やっぱり今までの「おれは鉄筋屋だから、そんな内装はしない」ということがあったわけですが、これからは担い手、若い人たちに来てもらって、そういう業態なんですよということで、鉄筋をベースでやりながら内装工事のほうもレベル1、2ぐらいのところもお手伝いに行く。その教育も業界内でやりましょうと、そこまで我々もやっていこうという努力までも変えていこうと思っておりますので、繁閑だけということではなく、今後、個人のスキルをどのように上げていくかという、そのような視点でも捉えていただきたいと思います。
我々の思いとしますと、この建設業労働者の就業確保事業でいくのか、これ2つしか方法はないと思っていまして、在席出向というスキームでいくのか、ここについて、せめて方向だけでも見いだしていければ、それに対してどのようにしていきたいかと、「こういうふうにしていきます。これはこうできないのですか」という次の議論に進んでいけると思います。
この就業機会確保事業につきましては、財産要件の部分が相当ハードルが高いと。これは一次のある程度の会社の体を成しているようなところはできるかも分からないですが、2人、3人、お父ちゃん、お母ちゃんでやっているようなグループもたくさんございます。4人以上、5人以上になってきますと、法人格になれということで、そういう会社に見えてますが、現実はやっぱり設備投資などをするとお金を借りて、借金をしてやっているので、財産要件として引っかかってくるということが往々にしてあり、使い勝手が悪いということになってますので、就業機会確保事業でいくのであれば、その際に行くという方向を決めて「じゃあこういうふうに変えていきましょう」というような、どちらかの理論に進んで行かないと、労働者を守るためにお金がもらえないのではないかという観点でここまでこられたと思うのですが、逆に労働者を守る意味での雇用を進める、事業主からすると倒産をするか、リストラをするかという選択を迫られるようになってきますので、是非ともそこのところは御検討いただければと思います。長くなりました、すみません。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。続きまして、小野委員、よろしくお願いします。
○小野委員 ありがとうございます。私は労働力需給制度部会にも入っていまして、派遣業態、労働者供給事業を、建設業を別にしてきたというのが、いろいろなその歴史的な経緯があって、今、こういう状況になっているわけです。これを変えるには、やはりそれなりのエビデンスであったり、それなりの議論、時間を掛けた議論が必要になってくるのではないかなと思っています。これを変えないぞという話ではなくて、変えるにはそれなりに説得材料が必要になってくる。これも需給制度部会も労使が非常に闘う場でもありまして、ですので、そこのお互いの説得材料を出して建設業はこうだから、ここはこういうふうにしてほしいというような議論を丁寧にやっていく必要があると思います。
その中で、先ほど蟹澤先生がおっしゃったCCUSに加盟して、信用がある所については、緩和という言葉がいいのか分からないですが、認めるという方向性で拡充していくというのはいいのではないかという話がありましたが、そういうふうに新しい何かこの条件であったり、フィールドがこういうふうになっているのだからという、その何と言いますか、状況を説明して条件を付け加えるなどをすることによって、可能になっていくということもあるのではないかなと思ったりします。
ですので、まとめますと、結構難しい。この歴史的経緯から見ると、先ほど厚労省からもありましたが、結構難しいところがあるというのと、ただ、現状これを打解していくというお考えがあるのであれば、それなりのエビデンスであったり、説得材料を持ってきてやる必要があるのではないかなと思いました。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。問題意識は重要だと思いますが、検討のためには、労使の合意、あるいは丁寧な議論が必要であるということで、引き続き御議論いただければと思います。いかがでしょうか。松葉委員、お願いいたします。
○松葉委員 委員の皆様から、就業機会確保事業についての御発言をお聞かせいただきました。要件緩和への御意見や室長がお話された成り立ち経過も、どちらのお考えも十分理解をすることができます。担い手確保、人手不足という中で、繁閑調整が必要なことだというのは全く同意見です。
ただ、室長もおっしゃられたように、この就業確保事業自体が不景気のときに仕事がない労働者をどう助けていくのか、そういったことが目的の事業でありますので、その目的に沿うとやはり条件がどうしても厳しい形になってしまっているのだと思います。岩田委員からも御発言があったとおり、例えば人手不足の解消や多能工の育成など、そのように現在の事業の目的と異なる目的としてやっていく、ということになると、例えば別の新しい何か事業を立ち上げるなど、単純に緩和をするということだけではなく、やはりその目的に沿った形に細かい細則が対応しているのか、制度の再設計といいますか、そこは慎重にやるべきではないかなと思っています。やはり建設業がなぜ今、派遣が禁止をされている現状であるのか、そうした理由を改めて全体で共有をして蟹澤先生がおっしゃったように悪徳な中入り業者が入り込んだりしないような形、CCUSの登録を例えば最低条件にする、標準労務費以上の賃金を条件とするなど、そういった形で拡充、若しくは制度新設ということが検討できればいいのではないかと考えます。
○勇上座長 ありがとうございます。議論の整理と御意見を頂いたものと思います。そのほかに御発言はありませんか。若鶴委員、お願いいたします。
○若鶴委員 今の就業機会確保事業については、これをとにかくもっと広げていかないと、繁閑調整が難しい。今、松葉委員がおっしゃったように、それが難しいのであれば、全く新しい事業を立ち上げるということも考えるべきと思います。流動性を高めることと月給制の拡大は車輪の両輪になっていますので、双方の実現をバランスよく追求していかなければならないと考えています。
あと、山崎委員や全建さんから説明がありました変形労働時間なのですが、日建連で実態を調べてみたところこの制度使っているという会社さんが1社しかありませんでした。利用できない理由を聞きますと、やはりこの1か月前というのが正直に言って無理だと、土木ならまだできるかもしれないけれども、建築は絶対無理だよなという話でした。
もう1つの理由が労使協定です。関係会社が全部結ばなくてはいけないというのが、利用できない大きな理由でした。それほど大きくない規模の会社さんが、本当に一人二人でやっているような会社さんを含めて、この忙しいときにそのような余裕はないというのが現状です。そういった事務手続も含めて、この制度の使い勝手がよくなればと、このように考えています。
先ほど女性の話が出ていましたので、ちょっと別の問題なのですが、女性の坑内労働、トンネルの中の労働が日建連で話題になってきています。坑内労働は昔は女性全員禁止されていたのですが、あるときから女性技術者だけは入れるようになりました。しかしいまだに女性技能者は入れないということです。ただ、海外の例などを見ましても、ほとんど坑内労働は女性もやっておりまして、何で日本では女性ができないのだろうかと。非常に狭いレンジの話題なのですが、困っている女性がいるのは事実ですので、そういったことも少し検討していただければと思っております。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。現行制度の活用を考えるか、あるいは新しい対応を考えるかということ、また他の目的で行われることが対応策になる場合もあるということで、これから柔軟に検討をしてはどうかという御意見だったと思います。
また、最後に坑内労働については、何かそういう法的な規制があるということでしょうか。事務局、あるいは国交省はいかがでしょうか。
○国土交通省石井補佐 私がしゃべることではないかもしれませんが、この件については、昨年、建設業で女性活躍の五か年計画を作る際に話題になっていました。もっと言うとずっと前からある問題だと理解しています。これは女性の技能者の坑内労働に関して、厚労省さんの安全の関係の観点、あるいは女性の母体保護等の観点から、そういったような規制を設けられていたというような話だと認識をしています。そこをどう捉えられるかは厚労省さんで考えていただくのかなと。一応、直接、我々も昨年度に女性計画を作る際にご担当にお話等はさせていただいており、御検討は頂いているというところなのかなと理解しています。すみません、ちょっと横からですが。
○和田山室長 坑内労働については、規定が定められていますので、そういった御意見があったということは担当部署には伝えておきたいと思います。
それから併せまして、就業機会確保事業については改めまして、皆様それぞれ使用者側、労働者側からの立場から御意見を頂いたと思っています。非常に答えにくいところも現時点ではあるところは、大変申し訳ないのですが、いずれにしてもこの制度を有効に活用していくというところは、非常に私も重要な課題だと認識していますが、我々、労働行政は、労働者、使用者側それぞれの合意の下に労働行政が進められていると認識していますので、いずれにしてもエビデンスやニーズ、実態の把握というところは引き続き進めていきたいと思っています。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかに御発言はいかがでしょうか。堀川委員、お願いいたします。
○堀川委員 先ほどからお話がある中で、ちょっと論点がずれる発言となるかもしれません。やはり担い手確保ということで、各団体とも若者、そして女性にどう働いていただくかというところも話題になっていたかと思います。若鶴委員からもありました坑内の作業等もありますが、やはり女性が建設業で働く上で、どういう働きが望ましいのか。先ほど基幹産業労連の髙橋様からもお話がありましたが、現場経験の、産休、育休でどうしても抜けなければいけない、その年数をどうするかという問題。弊社でも技術者にヒアリングをしますと、やはり現場に戻りたいのが、岩田委員もおっしゃっていましたように預け先や子育てをどうするのかが問題となる。また、これは小野委員のお話にも通じるかと思いますが、男性の働き方が変わらなければ、女性が現場に戻って同じように仕事をこなすということが難しいということになりますと、やはり長時間労働も改善しなければいけない。そして、話が戻りますが、髙橋様がおっしゃっていました現場におけるテレワーク、これも現場の働きをどう分解するか。例えば書類仕事、施工管理。現場で育児中の女性でも短時間で、フレックスを活用してどんどん働いていただくために、現場の仕事をどう変えていくか。この現場の働きそのものを改善して、変革していかなければ、更に若手も入ってこないというところで、各課題が循環して関連していっていると思います。やはり全体の関連性を考えて改善に取り組むことが今後とも必要になってくるのではないかなと感じたこと、これを述べさせていただきます。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。女性に限らずという面と、女性に固有の課題もあるという御意見を頂いたものと思います。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。小野委員、お願いいたします。
○小野委員 すみません、手を挙げるのが遅くなりました。女性のことについて、最後にお話くださったのは非常に有り難く嬉しく思っています。先ほど私が申し上げたのは、男女関係なくライフステージによって、改善しなければいけない労働時間の問題などは、それは共通した問題です。ですので、育児期の、という枕詞に女性を使うというのは、もうそういう時代ではなくなってきているという話です。他方、先ほどおっしゃったシングルマザーの話であったり、あと坑内労働の話であったり、あるいは女性のトイレの話、更衣室の話などは、要は今までマイナスだったところをいかにゼロベースまで上げるかという話ですので、そこは引き続き頑張って取り組んでいっていただかないと、女性が働きやすくはならないと思います。ですので、男女共通の問題と女性特有のマイナスになっている部分をどうするかというところは、引き続き取り組んでいただけたらと思っています。以上です。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、1つ目の議題は以上とさせていただきます。
2つ目の議題に移りたいと思います。2つ目の議題は、「その他」ということで参考資料として付けている建設労働をめぐる情勢について、事務局より御説明をお願いいたします。
○熊谷補佐 厚生労働省の熊谷と申します。よろしくお願いいたします。着座にて説明させていただきます。皆様に参考資料3番、「建設労働をめぐる情勢について」という資料をお配りしています。これは各種統計データとなっています。現行の第10次計画においては、この計画の前段部分において、いわゆる建設雇用の動向という形で建設労働者の動向のまとめについて記載させていただいています。次期、11次計画においても、本資料などに基づいて同様にまとめさせていただこうと考えています。
簡単に本資料のポイントを絞って説明させていただきます。まず、1ページから7ページ、こちらについては建設業における投資額や就業者数の推移、また有効求人倍率などをまとめています。5ページを御覧ください。こちらは建設業における就業者数や全産業に占める割合をまとめています。就業者数においては、第10次計画策定時の令和2年度と比較しますと、やはり緩やかではあるものの減少していることが分かります。
7ページを御覧ください。有効求人倍率をまとめていますが、建設業全体では依然として5倍を超える高い有効求人倍率となっていることが分かります。
次に10ページから14ページですが、こちらにおいては建設業における入職・離職者数、また就業者数の年齢構成や新規学卒者の就職状況をまとめています。まず10ページを御覧ください。こちらは入職・離職者数をまとめていますが、ここ3年、入職者数は増加傾向にあり、令和6年においては3年ぶりに離職者を上回っていることが分かります。
ただし、一方で13ページですが、建設業における年齢構成についてまとめていますが、55歳以上の割合が全産業を上回っていまして、また29歳以下の割合は全産業を下回っていることからも、やはり高齢化が進んでいることが分かります。
14ページですが、新規学卒者の就職者数と全産業就職者数に占める割合です。こちらについてもここ3年間で減少していることが分かります。
15ページです。今回の委員会でも女性の関係はいろいろ議論していただきましたが、女性就業者数の推移をまとめています。女性就業者数は、ここ3年で少しずつ増加傾向にありますが、他の産業と比較しますと依然として低い状況です。また、次の16ページですが外国人技能者数の推移をまとめていますが、こちらも外国人労働者についても増加傾向にあることが分かります。
次に17ページを御覧ください。年収額の推移のまとめです。建設業全体では、実は全産業を上回っていますが、建設・採掘従事者、いわゆる技能者関係については全産業を下回っている状況です。
18ページですが、こちらは先ほど全建さんの説明の中にもありましたが、労働時間の推移についてです。労働時間数は年々減少してはいるものの、他産業と比較しますと労働時間が長いこと、また左下の枠ですが、完全週休2日制、こちらについても全産業は5割を上回っていますが、建設業においては5割を下回っている状況であることが分かります。
次に19ページです、入職から3年目までの離職率をまとめています。高卒、大卒ともにここ3年では離職率が増加傾向にありまして、それぞれこちらも全産業を上回っている状況です。
最後に20ページから22ページについては、労働者災害や社会保険等の加入状況をまとめています。特に20ページを御覧いただきたいと思います。労働者災害による死傷者数、また死亡者数はグラフを見るとおり、年々減少傾向にはあるものの、特に下のグラフで死亡者においては全産業の30%を超えるシェア率となっており、高い割合となっています。本資料の説明は以上となりますが、このような建設業界の情勢などを踏まえまして、次期計画の策定を進めていこうと思っていますので、是非ともよろしくお願いいたします。事務局からの説明は以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。ただいま事務局より御説明がありました内容について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。また、前回、御欠席の委員もいらっしゃいますので、前回のヒアリングに関する御質問、御意見もここで賜りたいと思います。よろしいですか、もう議題1でたくさん意見を頂きましたので。そうしましたら事務局におかれましては、この現状分析を踏まえて次期計画の背景などに活用いただくということで、進めていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、ほかに御発言がないようでしたら、本日の議題はこの辺りとさせていただきたいと思います。今後の日程等について、事務局からお願いいたします。
○大原補佐 長時間にわたりお疲れさまでした。次回の委員会については、来週10月23日、木曜日の15時から17時、本日と同じこの会場で73回を開催します。11次計画の策定に向けた論点整理ということで予定しています。また、本日の議事録については後日、委員の皆様に内容を御確認いただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。事務局からの連絡事項は以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、本日の専門委員会はこれで終了します。本日はお忙しいところ、御出席賜りまして誠にありがとうございました。オンラインで御参加の皆様におかれましては適宜、御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
さて、本日は公益代表の蟹澤委員、小野委員、使用者代表の岩田委員がオンラインでの参加となっております。よろしくお願いいたします。恐れ入りますが、質疑の際はカメラをオンのままにしていただけると幸いです。
次に配布資料の確認をいたします。会場にお集まりの委員におかれましては、お手元のタブレットで資料を閲覧いただきますようお願いいたします。保存されている資料のファイルは、議事次第、配布資料が資料1から3まで、参考資料が1から4までです。参考資料4は、前回、前々回の建設労働専門委員会で各委員から頂戴した主な御意見をまとめたものです。本日、説明はいたしませんが、御参考としていただければと思います。
次に、前回の専門委員会以降、初野委員が退任され、新たに選任された委員を御紹介いたします。なお、参考資料1が最新の委員名簿となっております。労働者代表委員として、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の髙橋直柔委員が、新たに就任されていますので、よろしければ一言御挨拶をお願いいたします。
○髙橋委員 初野の後任となります、基幹労連の髙橋と申します。至らない点も多くあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○大原補佐 ありがとうございます。それでは、これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。御協力をよろしくお願いいたします。本日の委員の出欠状況ですが、委員全員に御出席いただいております。ありがとうございます。以後の進行は、勇上座長からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○勇上座長 おはようございます。本日もお忙しい中、本委員会に御出席賜わり誠にありがとうございます。それでは早速、議事に入りたいと思います。本日は、議事次第にありますとおり議題は2つあります。1つ目は「建設業の現状と課題について」、2つ目は「その他」となっております。前回は、第11次建設雇用改善計画の策定に向けて、国土交通省及び労働者団体、使用者団体からヒアリングを受けたところですが、今回も「建設業の現状と課題」と題して、団体へのヒアリングを行います。
本日は、労働者2団体と使用者1団体より、ヒアリングを予定しております。初めに、労働者団体として、電力関連産業労働組合総連合の横澤委員。それから、日本基幹産業労働組合連合会の髙橋委員よりヒアリングを行い、その後、使用者団体として、一般社団法人全国建設業協会専務理事山崎様より、ヒアリングを行いたいと思います。各団体の御説明を10分ずつで行っていただいた後、3団体まとめて質疑応答の流れで進めさせていただきます。
それでは、電力関連産業労働組合総連合のヒアリングから始めます。御説明の際は自席から御説明をお願いいたします。では、横澤委員、よろしくお願いいたします。
○横澤委員 皆様、こんにちは。電力総連の横澤と申します。よろしくお願いいたします。資料1を御覧ください。「第11次建設雇用改善計画の策定に向けて」というところで、始めさせていただきます。まず、スライド1ページ目を御覧ください。私たちの組織の概要について、少し御紹介をさせていただきます。
私たち電力総連は、10の地域別組織と2つの職域組織で構成されております。電力総連で働く仲間は、発電から送配電、設備や部材の製造、建設から保守メンテナンス、保安など電力関係の工事だけでなく、ビルや工場などの一般電気設備工事にも多く携わっており、電力の安定供給や電気設備の建設保守など、日夜懸命に取り組んでおります。また、災害発生時には早期復旧に向け、いち早く現場に駆け付けるなど、日本のインフラを支える誇りと使命感を強く持ち、その責務を全うしております。
2スライド目を御覧ください。こちらは外部組織・機関との関係を表しております。私たちの組織は連合に加盟している、電力関連産業に関わる産業別労働組合の組織です。電力総連には約240の労働組合が加盟しておりますが、半数の組合が建設業へ加盟しており、本日は私たちの職場の実態や、課題などについて御報告をさせていただきます。
私たちの職場においても、社会的にも課題となっております働き手の高齢化や、若者等の入職者数の減少により、人手不足が深刻化しております。このような状況を改善していくために、労働時間が長く、休みも少ないなどの労働環境を改善し、新4K、給料が良い、休暇が取れる、希望が持てる、かっこいいのイメージを浸透させ、建設産業の魅力向上を図り、選ばれる業界、選んでもらえる業界となり、雇用の改善、拡大につながるよう、建設業界全体で取り組まなければならないと考えております。
次の3スライド目を御覧ください。こちらは、本日の目次になります。記載の4項目について現状や課題などを説明させていただきます。スライド4ページを御覧ください。1点目は、「適正な工期の確保について」です。こちらは参考として付けさせていただきました。国土交通省の管轄にはなりますが、長時間労働の是正や、週休2日を確保することを目的に、工期に関する基準が見直され、昨年4月から運用が開始されています。
次のページを御覧ください。スライド5です。日建連では「週休二日実現行動計画」の取組が進められており、2024年の調査結果では4週8閉所の割合は約6割となっておりますが、電力総連電工部会の2025年の調査結果では約4割にとどまり、同じ建設業を担う中においても、工程によって休日確保状況にはかい離があることが分かっております。
次のページを御覧ください。スライド6ページです。私たちの職場では、時間外労働の上限規制の適用前に比べて、無理のない工期が設定されている現場が若干多くなっておりますが、職種別で見ると認識の差があることが分かりました。これは、受注時点では一定の改善が見られるものの、前工程での遅れが後工程を担う現業系などの工期を圧迫し、工期のしわ寄せが生じていることが表われていると考えられます。
次に、スライド7ページを御覧ください。電工部会の各職場においては、「時間外労働の上限規制」を受けて取組が進んだことで、年間総実労働時間が減少しているものの、一部職場においては、要員不足などによる長時間労働が継続しております。建設業が今後も経済・社会に重要な役割を果たし続けるためには、中長期的な担い手の確保が不可欠であり、そのためには、長時間労働の削減と、確実な休暇の確保に向けた「働き方改革」の推進、並びに全工程で週休2日を確保できる「適正な工期」の実現に向けて、官民が一体となって取組を進めていくことが重要と考えます。
スライド8を御覧ください。「熱中症対策について」です。近年、猛暑日の急増により、現場で働く職人の熱中症リスクが高まっており、熱中症による死傷災害の発生件数も増加傾向にあります。職人の健康と安全を守ることは、建設業界の持続的な発展に直結する重要な課題です。このような実態を踏まえ、スライド9に移りますが、国が主体となって、一刻も早い対策の検討と実施が不可欠であると考えます。
スライド10を御覧ください。現場ではこまめな水分補給や適度な休憩など、熱中症対策への努力が続けられておりますが、各企業の受注者の判断、個人の努力による対策は限界に来ております。発注者が主体的に作業の中断や中止、注文者と連携した工期の延長などを判断できる仕組みの環境整備が必要ではないかと考えております。
スライド11を御覧ください。ここからは、「作業環境の改善について」です。以前の委員会で、外国人労働者の受入制度について御意見がありましたが、労働組合の立場から、外国人労働者の受入れに関する課題について触れさせていただきます。現行の技能実習制度では、資料のとおり建設業における法令違反率が高い水準にあります。こうした状況を踏まえ、全ての外国人労働者の権利保障と、安全に就労できる職場環境の整備が必要であり、受入企業などによる関連法令の理解促進や、監督省庁などの体制強化が重要と考えております。
スライド12を御覧ください。建設業から旧3K、きつい、きたない、危険を払拭するためには、AIやDXはもとより、先進技術の導入を進めることが効果的ではないかと考えます。先進技術の導入を進めることは、作業の効率化・省電力化による人手不足の解消、安全性の向上につながるだけでなく、高齢者や女性を含め、誰もが安心して働ける、魅力的で持続可能な建設業界を築くことにつながるものと考えます。誰もが働ける持続可能な環境整備のためにも、国が主体となって、先進技術の導入拡大に向けた助成金交付などの支援策を検討していただきたいと考えます。
スライド13を御覧ください。厚生労働省にて設立した「SAFEコンソーシアム」では、優良な取組を進める職場を表彰し、「アワード」として「見える化」を図る取組を展開していると承知しております。本取組は、優良企業を求める求職者の職場選びにも有意義であり、優秀な人材確保にもつながるものと考えます。さらには、職場の良い取組が適切に評価されることは、働く者のモチベーション向上にもつながるものと考えます。是非とも、これまで以上に推進・周知を図っていただき、働く者のモチベーション向上や人材確保、持続可能な企業の発展に向け、引き続き積極的な展開をお願いいたします。
最後になりますが、スライド14を御覧ください。建設業を支えているのは現場で働く「人」であり、本日提起させていただいた事項は、働く者の労働環境整備はもとより、働く者のモチベーション向上や業界としての魅力向上にも資するものであり、深刻な課題となっている人材確保にとっても重要な観点であると考えております。建設業の持続的な発展に向けては、現場で働く者の視点を十分に踏まえながら、魅力的な産業となるよう、国が主体的になって環境整備を進めていただきたいと思います。以上でございます。
○勇上座長 横澤委員、ありがとうございます。それでは、次に日本基幹産業労働組合連合会、髙橋委員より御説明をお願いいたします。
○髙橋委員 資料2をお開きください。御安全に。基幹労連の髙橋です。基幹労連の建設部会として、我々建設業を取り巻く現状と課題について御説明をさせていただきます。
37分の2ページ、まず、事前に頂いた6項目に加え、熱中症を含めた全てのテーマについて基幹労連としての現状と課題を出させていただきました。その中で、特に注力したいテーマが「1.若年者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」「2.女性労働者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」「7.熱中症対策」についての御説明をさせていただきます。そのほかの内容については、時間の関係もありますので、お時間のあるときにお読み取りいただければと思います。
37分の3ページです。「(1)若年者の建設業への入職・定着促進による担い手の確保・育成」について、御承知のとおり、建設業の労働環境は依然として厳しい状況にあります。技能労働者を含め、建設業従事者の賃金上昇は限定的で、退職金制度もまだ十分とはいえません。そのため、若い世代から建設業は選ばれにくい職業となってきています。加えて、アルムナイやカムバック採用を考えた場合、一度建設業を離れた人が今の水準では戻って来にくいという現状です。
長期技能蓄積型産業とも言われる建設業で、離職率が高く、キャリアを積む前に人材が流出してしまい、戻りにくいという悪循環が危惧されます。では、どうすれば担い手を確保し育てていけるのでしょうか。私は次の5つの課題に正面から取り組む必要があると考えています。
次のページです。5つの課題の要望と提案について説明させていただきます。まずは労働条件の向上です。具体的な提案としては記載のとおりです。まず、1つ目は労働条件の抜本的な向上です。休日の確保や長時間労働の是正、安全・安心して働ける職場環境の整備など、現場の働き方そのものを変えて、若年者がこの業界で働きたい、働き続けたいと思える環境づくりのために、①原則週休2日制の実現、②柔軟な働き方の導入に向けた検討、③現場環境の改善支援の拡充を挙げさせていただきます。
次のページです。2つ目は賃金や退職金の改善です。働く人の生活や将来を見据えた待遇の向上が欠かせません。賃金・退職金の改善については4つの項目をお読みください。提案の補足として④、現在、建設業においては産別最賃の取組がないので、建設業産業別最低賃金、産別最賃を設定してはいかがかと御提案します。設計労務単価は、公共工事における設計基準であり、2次、3次請負業者の技能労働者へ行き渡る賃金額ではありません。後述するCCUSの普及により、幅広い公衆職種、技能レベルごとにレベル別年収と併せて最低賃金を設定することで、技能労働者の賃金改善が図られるのではないかと考えます。建設産業別最賃を各地域ごと又は全国平均で設定し、制度として有益なCCUSのレベル別年収と連携することで物価本へ掲載し、物価本に併せて市場動向を反映した持続的な賃金上昇が図られ、魅力度アップにつながるのではないかと感じています。
37分の6ページの3つ目と4つ目は、オフサイト建設やプレファブ化の促進と危険作業の削減です。新たな生産向上策として、工場での加工やプレファブ化を進めることで、効率化と作業環境の整備、安全性の向上が期待できます。また、DXや機械化の進化に伴い、ロボットなどの革新技術の開発によって、複雑な作業、高負荷作業が改善され、また体力面の負担軽減が期待されます。次のページは先ほどの4つ目に当たる項目となりますので、お読み取りください。
37分の8ページ、5つ目は定着率を上げる施策です。離職率・定着率が他産業と比較して芳しくはない建設業における働き続けやすい仕組みを整えることが求められます。以上の5つの課題に取り組むことで、若者がこの業界で働きたいと思える環境を作り、担い手の確保と育成につなげていくことができると考えています。
37分の9ページ、次に、女性の入職・定着を進めていく上で、現状として見過ごすことのできない事象があります。それは育休や産休を取得した女性技術者が、現場復帰に当たって少なからず不利な扱いを受ける実態があります。多くの発注者は、技術者に対して「直近○年以内の現場経験」といった条件を求める傾向があります。この要件があることで、出産・育児などのライフイベントによって、一時的に現場を離れた女性技術者が必要な実務経験を満たせないという理由で、再び施工管理技術者、現場代理人として現場に戻れない事例があります。これは、個々の努力や能力の問題ではなく、制度設計や評価基準がライフステージの変化に対応できていないという構造的な問題です。こうした現状が、女性が長く建設業で活躍しつ続けること、担い手の確保という観点から障害となっています。この現状を踏まえると、私たちが取り組むべき課題は明確です。
次のページです。まず、産休・育休を取得した女性技術者の経歴を正当に保持、評価する制度の整備です。発注者が求める直近の実務経験という要件を出産・育児による休業中は除外し、キャリアの妨げとならないように適切な支援を提供する仕組みが求められます。
次のページです。加えて、女性の休職後の復職へ向けた制度やキャリアステップのロールモデルの育成です。女性技術者が安心してキャリアを継続できる環境整備こそが建設業の担い手確保と多様性の推進の鍵となります。育休・産休・介護休暇の取得がキャリアの障害とならないよう、制度、評価、支援、意識改革を一体的に進めることが必要です。
次のページです。女性技術者の公平な評価と女性活躍推進の取組と併せて、就業環境配慮の仕様条件化の浸透も必要かと思います。
37分の13ページ、改正育児・介護休業法に基づくテレワークの活用も、現場ではまだ十分に定着していません。努力義務として明度化されていますが、管理職の理解不足や従来の働き方の固定概念から、実際の活用は限定的です。女性が社会から離れることなく更に活躍できるステージを確保するためには、テレワークの積極的な推進が不可欠です。
37分の33ページ、「熱中症対策」について、現状として2025年6月より、事業者に対して対策の実施が義務化されており、違反した場合は労働安全衛生法違反として罰則の対象となります。そのため、多くの事業者は熱中症の防止ガイドラインに従い対応している状況です。しかし、現状の義務化では、外気温による作業制限はなく、WBGT指数を基準に対策を行う形となっています。WBGTは、地面からの照り返しなども考慮した指標ですが、必ずしも、現場での危険を十分に反映しているとはいえません。課題として、気象庁が熱中症警報を発令しても、現場では必ずしも作業中止にはなりません。危険な状況でも作業が続けられる場合があり、労働者の健康と安全を守るには、この点を改善することが急務です。
次のページです。熱中症は重篤な場合、命に関わる災害です。気象庁の熱中症警報に連動して作業中止命令を速やかに発令できる制度の整備、発注者、事業者による中止判断、命令を適正、迅速に行う情報共有体制の確立を御提案します。
次です。オフサイト建設の導入など、現場作業を減らす取組も、熱中症対策の一環として重要です。気象条件によらない労働条件とオフサイト建設推進のために、記載の3つの取組を御提案します。
次です。事業者への支援と周知強化では、熱中症対策は現場責任者だけではなく、発注者にも責任を持たせる制度整備への理解と、契約段階での熱中症リスクを含む安全配慮義務の明文化を促進、発注時期の調整、夏季作業の削減など、国土交通省では、地方整備局発注の全国の土木工事について夏休みを可能にし、受注者と国が協議できるように発注使用書に明記すると報道がありました。炎天下作業が多い道路や架線工事に加え、民間工事へも波及効果を期待します。熱中症に関する継続的な啓発活動をお願いします。以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、最後に、一般社団法人全国建設業協会専務理事の山崎様より御説明をお願いいたします。
○一般社団法人全国建設業協会山崎専務理事 資料3を御覧ください。一般社団法人全国建設業協会ですが、私どもは全国約1万9,000社の主に元請、先ほど使用者と御紹介されましたが、使用者の中でも元請が中心で、上はスーパーゼネコンから下は中小建設業まで、主に地域の中小建設業者を中心にした中小元請企業を会員とする法人です。そういった立場を踏まえて、今回ヒアリングに臨ませていただいております。
2ページ目を御覧ください。まず「建設就業者の現状」です。これは皆さん御案内かと思いますが、3ページにありますように、通称ワニの口と言われるように高齢者が非常に増えて、若年者がなかなか入ってくれないと。将来推計についても、これは建設経済研究所ですが、将来100万人近く減少してしまうのではないかという予想をされております。4ページです。こういった減少の要因として、建設業は全産業に比べて年収が相当低いこと。それから、右側にありますように、問題は全産業に比べて年収のピークが早いということです。年収のピークが早いことが、生涯年収が低いということにつながっております。5ページは、もう一つ、労働時間です。全産業に比べて労働時間が非常に長いです。最近は縮まってきてはいるのですが、まだ長くて、また、平均的な休日も4週6休程度が最多の状況です。
これに対して、全建として取り組んでいる状況が、6ページ以下です。まず7ページが2+360(ツープラスサンロクマル)運動と申しまして、2(ツー)は週休2日、360(サンロクマル)は時間外労働の条件である原則上限の360時間までに抑えましょうという運動を、ずっと続けております。さらに8ページですが、適正工期見積り運動です。これは、国交省に工期に関する基準を作っていただきましたので、基本的に工期見積りをするときにはこれに従ってやろうと。特に、週休2日で見積りをしようというようなことを、運動としてやっております。
9ページは、全建だけではなく、日建連さんや全中建さんなどと一緒にやっていることですが、土日一斉閉所を目指しましょうということで、休みをなかなかとれないのですが、土日はみんなで休もうということでやらせていただいております。
次に処遇改善です。賃金の引き上げについては、設計労務単価が6%上がったことを受け、今年の賃上げ目標を6%ということで引上げ目標をつくって呼び掛けをしているところです。右にありますように、今年段階ですが、引き上げているというのは相当になっているのですが、なかなか6%まで引き上げているのはない状況ではありますが、引上げに向けて運動は進めていきたいと思っております。
11ページは、キャリアアップシステムです。全建では、それぞれの地域ごとの都道府県建設業協会が中心になって進めておりますので、地域ぐるみでCCUS普及促進プロジェクトを推進しようということで、地域ごとにその中でのCCUSの支援窓口をつくったり、モデル工事を推進したりといったことをやっております。その結果、登録状況としては7割を超える所が登録している状況です。
12ページは、人材確保の取組です。若年者の人材確保については、特に中小建設業がターゲットにしている高卒の採用について、できるだけやりやすくするようにルールやスケジュールの情報提供を行っているところです。もう1つ、先ほどありました女性活躍については、全建としてのロードマップをつくって、実行計画に基づいたロードマップを推進しております。
13ページです。外国人については、国交省の委員会に参加したりして、技能者関係のところはその辺りでやっているのですが、もう1つの技術者関係の採用もかなり進んでおり、その辺りの採用をしやすくするということで、技術者の採用ガイドを作ったりしております。
「今後に向けての課題・要望」ですが、ここでは厚労省さんへの要望に絞って要望させていただきたいと思います。15ページは、柔軟な働き方の必要性です。先ほど来ありますように、非常に酷暑が続いており、更に厳しくなっているということで、熱中症への課題が非常に大きなテーマになっております。WBGTについては、基本的には31℃になったら作業中止になるわけですが、それ以上になる時間が非常に増えております。この楕円の中にありますように、これは去年のデータですが、ひと月の半分は稼働できないと。今年は、多分もっと稼働できない日が多くなっていると思うのですが、そうすると屋外作業の多い建設業では労働基準法の時間外労働規制への適用が非常に難しいと。さらに、うちは北海道や北陸などがありますので、積雪寒冷地は工事がストップすると。365日仕事ができる状態なら、時間外労働規制も適用できるのですが、実際にはできない時間、あるいは日が非常に多い中で労働時間規制を適用するのは、非常に難しい状況です。
16ページです。変形労働時間制について、厚労省さんのほうでの提案でしょうか。6月に事務連絡があり、変形労働時間制の活用についての通達がありました。これは要望として書いてありますように、非常に抵抗が強いわけです。1つは、変形労働時間制は少なくとも30日前に決めろとなっているわけです。ところが、実際に雪が降る日や酷暑になる日というのは、30日前にこの日は酷暑になるとか、実際には想定できないわけです。特に、今年などは9月末になっても猛暑日が続くというような、あり得ないようなこともあるので、このような柔軟な働き方のためには変形労働時間制を事後適用とか、せめて前日での適用で対応できるように見直しをしていただきたいということです。
17ページは、給与の関係です。賃上げは、もちろん設計労務単価が一番のテーマですが、ここでは生涯給与のための退職金の増額についてお願いしたいと思います。今の建退共の現行制度では、掛け金320円で37年間納付しても、388万円にしかならない。これを改善するには、320円を最低レベルとして、CCUSのレベル別に合わせて退職金の掛け金を上げていくといったことで、最終的に退職金額を1,000万円を超える額にしたい。せめてそれぐらいが最低必要なのではないかと思っております。ただ、このためには中小企業退職金共済法の改正が必要です。
18ページは、建退共制度における複数掛金制度の導入です。赤色で書いておりますが、今年の9月に検討会議報告書が出て、複数掛金制度を導入することが適当であると出ています。これは、是非実現していただきたいと思っております。要望に書いてありますように、複数掛金の導入があります。それから、この法律の中で上限日額が800円になっているのです。これは、最近の物価高でどんどん変えていかなければいけないのですが、法律で決まっていたらなかなか柔軟にできないので、せめて政令で改正するというような法改正を是非お願いしたいと思っております。それから、複数掛金をやるためには電子ポイントを使わないといけないのですが、現状6%ぐらいしかやっていないということで、これを強力に進めていく必要があると思っています。
19ページは、キャリアアップの未活用です。先ほど言いましたように、キャリアアップは地域ぐるみで進めているのですが、その結果7割以上が登録しているのですが、実際にそれを活用しているのかというと、そのうちの8割近くが実は何も活用していなくて、ただひたすらタッチして10円を払っていると。毎日毎日10円×人数分を払っているわけで、何をやっているのだというような状況になっています。某建設業に詳しい国会の先生が言うには、キャリアアップで自分が賛成しているのは、組合の人から、こういう2つのメリットがあるからと聞いたのだと言っているのです。1つは、タッチしたら退職金がそのまま自動的に付いてくると。建退共とのリンクができると、それは先ほど言いました電子申請とセットで是非やっていただきたいということです。
もう1つは、キャリアアップのカード1つで、厚労省の安全関係の資格が全部見られるようになるのだと、そう言われたから私は賛成したのだと言っているのです。しかし20ページを見ていただきますと、今のところ利用できる資格が3つしかないのです。何でこの3つかというと、法律上携行しなければいけないと、法律に書面を携行しなければいけないと書いてあるのです。ところが厚労省さんは、これは書面ではないから駄目だと言っているらしいのです。キャリアアップのカードは書面と一緒でしょと。だから、そういうキャリアアップのカードで技能講習修了書などを全部見られるようになれば、キャリアアップの利用が非常に進むのではないかと思っております。
21ページです。余り取り上げられていないのですが、依然として多い日給制が大きな支障になっています。日給月給だから、結局休みを増やそうと思っても、休みたくないと嫌がるのです。給料が減るのが嫌だと。幾ら我々が週休2日、土日閉所と言っても、そんなことはやめてくれという人が実はすごく多いのです。そのためには、やはり月給にしなければいけないのですが、ところが建設業というのは受注ができなかったら仕事がないのです。それなのに月給にしろと言ったら、私らは干上がってしまうじゃないかと言われるわけですね。それで、どうしたらいいのかということなのですが、22ページですが、これは厚労省さんには厚労省さんの考えがあるかもしれませんが、やはり仕事がないときには仕事がある所に労働者を派遣できるようにしたいのですが、それが今はできないというようになっているので、そこを何とかしてほしいということなのです。今は合法的に活用できるのが、労働者就業機会確保事業なのですが、今は全建の中では沖縄県の協会だけなのです。なかなかこれができないのは、非常に難しい許可申請書や受入管理台帳の作成などの事務負担が多大であるということも言われています。要望の所を見ていただきますと、本当は全面解禁が一番有り難いのですが、そうでないとしても就業機会確保事業の許可手続や書類の簡素化、あるいは構成事業主だけではなくて構成事業主の下請企業同士であったらいいとか、そのように緩和できないかと思っています。もう1つは、キャリアアップ助成金がありますが、日給制が月給制に移行した場合の支援措置もやっていただければと思っております。以上です。
○勇上座長 御説明、ありがとうございました。ただいま御説明のあった報告内容について、御質問、御意見等がありましたら発言をお願いいたします。吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 沼田土建の吉田です。中小建設業の立場から先ほどの全建さんの説明は、本当に日頃肌感覚で感じていることを御説明いただいたかと思います。まずキャリアアップですけれども、例えば事業者登録までして、「うちはキャリアアップをやっている、やっている」と言っている企業がまだまだ多いのです。若しくは技能者登録といえども、余り現場に出ないような会社の代表者や身内の人が技能者登録をして、実際に現場に出る人はしていないというケースも、本当にまだまだ多く見られます。そういった状況で本来の目的につなげるような活用は、まだまだ遠いかなと感じているところです。
そのような中でも、先ほど御説明いただいた「建キャリ」の活用や、レベル別で退職金に反映できるようなことがあると、もっともっと登録が拡大するのではないかと思いますので、考えていただきたいと思います。元請の立場からしますと、施工体制台帳の自動作成というものがあります。これは下請業者の活用が進んでこそ得られる元請のメリットなので、元請会社としても余り他人事でなく進めていただきたいと感じています。
あと、地方の専門工事業というのは、従業員が10人にも満たないような所が非常に多いのです。多くが先ほど御説明いただいたように、日給制で働いています。要するに、仕事をしなければお金にならないという形です。かつ、従業員が少ないので、企業として何かカバーできるような体制もありません。これがやはり猛暑日を考慮した長期休暇を設けたいとか、4週8休を徹底したいといったことの足かせになっている現状があります。元請としては、より稼げる現場や稼がせてもらえる元請に移動されてしまいますと、一旦離れていった職人さんたちをまた呼び戻すのは非常に大変なのです。ですから協力会社にあわせて元請も休日出勤などをしているような状況もあります。月給制で安心して休める・働ける環境づくりというのは、大変大切ではないかと感じた次第です。以上です。
○勇上座長 御意見、ありがとうございます。特にCCUSの利活用について、御意見が続いたように思います。国土交通省からいかがですか。
○国土交通省石井補佐 御指摘いただきましてありがとうございました。状況は、重々よく承知しております。技能者の登録数というところで、カウントとしては300万人のうちの170万人ぐらいということになっていますが、実態として能力評価を受けておられる方というのは、10万人前後になっていると思います。正にそこを進めていかなければいけないと思っております。
施策側としてインセンティブを提供し、その取組を今、建退共のほうで検討していただいている内容もその1つだと思います。これは髙橋委員からも御提案があったと理解しておりますが、我々としても今、レベル別年収の改定あるいは賃金が支払えるような建設業者として、労務費を確保できる仕組みをやっております。そうしたところでCCUSを連携させながらやっていくということだと思いますが、これも仕組みとして提供するだけで、なかなか定着しないというところもあると思います。どのようなインセンティブがあるかというところを、業界の皆様にも御協力いただきながら、浸透させていただくことが重要かと思っております。
また、厚労省の助成金のほうで今年から、レベルアップをして賃上げしたときに、中小事業主に助成金を払う仕組みという、非常に画期的なものを整備していただいたと理解しております。こうしたところの周知も、皆さんと一緒になってやっていければと思っております。
○和田山室長 補足します。厚労省の立場から申し上げます。国交省からもお話があったようにCCUS、我々は助成金のほうでバックアップというか、連携して取組を進めているところです。今回の雇用改善計画の中でも、もちろんCCUSの活用というのは書いてあるのですけれども、どちらかと言うと少しばらばらというか、いろいろな所にちりばめて書いているところがあります。今考えているのは、大きな項目としてCCUSの活用促進という項目を立てて、CCUSの取組を進めていくようにしたいと、計画の中にも盛り込んでいきたいと考えております。引き続き皆様の御意見を頂きながら、この計画を作っていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
○勇上座長 御回答、ありがとうございます。第10次と11次では、柱に入れられればという御意見だったと思います。蟹澤委員が手を挙げていらっしゃるのでお願いいたします。
○蟹澤委員 皆様、ご発表ありがとうございました。是非、議事録にも載せてほしいので応援演説というか、改めて意見を申し上げたいと思います。産別の最低賃金というお話が出ました。これには私も賛成です。国土交通省が今年度中に施行する改正建設業法の中の標準労務費という観念にも、非常にマッチングする考え方なので、これも今後の課題として非常に大事な課題だと思います。
熱中症対策も皆さんがおっしゃっていることで、建設業のように発注者がいるということと、事業者の責任ということになっていますけれども、やはり多様な事業者がやっている事業場の中で、どう実施するというのは非常に難しい問題です。やはり厚労省も、法律改正は難しいでしょうけれども、省令なり何なりで発注者等に対して、もうちょっと強制力のあるような措置が何かできないかということに関しても、皆さんに大賛成です。
大きな項目としては、CCUSの活用に関してです。これも繰り返しになりますけれども、やはり資格証の原本承認というのは、非常に大きなインセンティブになりますし、政府を挙げてDXを推進しようという中で、なぜ紙でなければいけないのかというのは、何か問題があると思います。今日具体的に御提案があったように、何が書類なのかというところで、ちゃんとCCUSというものを認めますよと。何度か申し上げましたが、これは通達レベルだけでいいと以前に聞いておりますので、この辺は是非、専門委員会の中の皆さんの総意なので、しっかりと書き込んでいただきたいと思います。退職金の複数掛金も、CCUSでレベルをしっかりと取っていただくインセンティブにもなりますし、これもまた標準労務費の考え方にもマッチングすることです。
それから、これもまた以前に申し上げましたけれども、外国人の育成就労制度、育てていくという制度の中にも、いろいろとマッチングすることだと思いますので、レベルが上がっていくと退職金の掛金も上がっていき、受け取れる退職金も増えていくというのは、非常に大事な政策になり得ると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
それから、CCUSの前提は今日、非常にいい表現のされ方をしていただいたと思います。日給月給をなくすためには、繁閑調整が必要になってくるのと、そのためには就労機会の確保事業をもっともっと活用する。これも多分前回からずっとですが、今回は本当にこの専門委員会の総意だと思いますので、そのためにも私が以前から申し上げているように、CCUSを制度の前提として、「加入している者同士であれば」ということを付けて、法律の中で心配されている悪徳派遣業者が出てこられないような措置にしっかりする。これもCCUSがあるとないのとでは、大分違うと思いますので、これについては是非、今回の改善計画の中に重要な検討項目として、書き込んでいただくことを改めてお願いしたいと思います。以上です。
○勇上座長 蟹澤委員、ありがとうございました。多岐にわたる点についておまとめいただいたり、補足いただいたりしたと思います。次に、小野委員、お願いします。
○小野委員 3つの団体からのヒアリングは、非常に参考になると思って聞いておりました。やはり共通して言えることは、賃上げというか、全体的に働く人たちの年収や賃金をどうするかという問題が、かなり大きいものではないかと思っています。ただ「賃上げ」と一言で言うのですけれども、やり方としては3つぐらいに分けられるのではないかと思っています。
まず、時給という形で賃金を上げるというのは、先ほど蟹澤先生もおっしゃっていたように、私も産別賃金をどうにかするというのは、重要な課題ではないかと思っています。最賃をどうにかしててこ入れしていくというのが、端的に時給を上げるという意味においては、非常に重要な政策課題になってくるだろうと思っています。これは時間当たりの賃金の課題です。
年収に影響してくるものには、先ほどもおっしゃっていた日給月給をどうするか問題があります。これは時給とは別の問題で、たとえ時給が上がったとしても、日給月給がどうにもならなかったら、その人の年収は変わってこないということがありえます。時給制の場合は労働時間の問題が影響していきますので、これはもう両輪でやらないと年収は上がっていかないということになりますので、同じ「賃上げ」という表現をされる中でも、別問題だと思って考えていただきたいのです。
3つある中で、もう1つがCCUSです。これは生涯収入を考える上で、非常に重要な問題です。その人の能力が生涯について上がっていったものをちゃんと評価するというシステムを、この業界が取り組んで、その人の生涯収入を上げるということになるのです。ですから、この3つは同じ賃金を上げるという話でも、全く違うフェーズにあって、全く別に議論しなければいけないし、3つがかみ合わないといけないということになります。どれか1つをやったとしても、全体の賃金が上がっていくわけではないということを考えて、取り組んでいただけたらと思っています。
もう1つは外国人の問題です。選ばれる国にならなければいけないという時代に入ってきているわけです。外国人労働者は、この業界にとっては非常に重要な労働力になりますので、より優秀な方に日本に来て技能を付けて働いていただいて、ここに来れば技能が付けられるし、稼げるのだと。CCUSでオープンに技能評価が行われ、稼ぎにつながるというようなことが、実現されれば外国人労働者にとっても選ばれる職場になっていくのではないかと思っております。
最後に1つ、女性についてです。私も女性なので非常に興味のあるところではありますが、今は世の中的というか、世界的な流れとして女性だけを余り粒立てるのではなくて、労働時間を男性と女性で平準化させる。男性が余りにもグリーディーな働き方をして、長く働き続けることに女性は付いていけない。これはもう男性と女性で分ける話ではない。男性もライフステージによってより長く働ける時期と、そうでない時期というのがあると思いますので、性別関係なく労働時間を調整できるようにしていくことが、必要ではないかと思っています。女性を余り粒立てし過ぎると、性別役割分業がより強くなっていくのではないかと懸念しますので、女性の政策を考えるのであれば、男性もちゃんと休むときはちゃんと休む、家庭を大切にする、ライフも尊重した働き方になるようにするというところも、少し考えていただくのがいいのではないかと思います。以上です。
○勇上座長 御意見ありがとうございました。年収の向上、それから外国労働者に魅力ある職場づくりということ、あと、女性労働については、広く働き方改革という観点から御意見を頂いたと思います。
岩田委員から手が挙がっておりますので、岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 ありがとうございます。聞こえてますか。
○勇上座長 聞こえています。
○岩田委員 発表ありがとうございました。ほぼ、我々も同じ方向を向いているのだなというのを再認識したわけですが、たくさんありますので、1つずつ言っていきます。
産業別特定最低賃金です。これについては、我々も勉強して取り組んでいくべきだというように課題として認識しておりますが、まず御検討いただきたいと思います。働き方改革の部分で、これからは夏の猛暑日などいろいろありますが、フレックスにしていき、働き手が求める働き方、環境適応できる産業に人が来ると思えてますので、そこのところを変形労働時間制を、全建さんのほうからありましたが、我々も全く同じで、事後というこの報告が適用できるようにしていただけないかというのがお願いとしてございます。
あと、CCUSについてですが、このメリットが今まではなかなか見えなかったのですが、だんだん明確に見えてきたというのが、建退共もそうですし、複数掛金についても大賛成であります。是非とも御検討いただきたいと思います。働き手が建設業に安心して体を預けれると、頑張ったら収入がもらえるのだなということを見える化するということは非常に大事だと思います。もう1つのメリットとして、いよいよ標準労務費が12月から施行されます。標準労務費というのは、月給がベースです、日給を月給に代えるという議論がありましたが、標準労務費を頂くということは、月給に代えて、他産業と同じだけ休みを取れるという制度設計、計算式になっております。これをやらない我々一次企業はやらないというのは、ピンハネ、ブローカーに値するというぐらいで、我々自身もちゃんと業界の内部をしっかりとコントロールしないといけないと思っております。ここは標準労務費がしっかりと流れてくる、こちらの元請はやってくれるが、こちらはやってくれないということではなく、民間工事においてでも設計の単価なみの賃金が流れてくるというようなことの制度設計ですから、それができるようになれば、これは月給にしないといけませんし、全産業と同じだけの休みを与える必要があるということです。
外国人の話です。今、先生もお話していらっしゃいましたが、目線として、やはり欧米並みの賃金を目指さないと、選ばれる日本になるためにといろいろな議論があると思います。もう既に日本は外国人の賃金でいうと最低ですから、外国人自身が韓国のほうがいいのではないかなど、そういう声がいよいよ出てきてます。蟹澤先生に御同行いただいて、2月にオーストラリアに行って、オーストラリアでは、もう70万、80万払って、それでももっともっと来てほしいと、上げないといけないのではないかという話もございました。ですので、海外に、世界的に目を向けて、これから外国人の獲得競争というところで、日本はどうあるべきかという、その大きな視点で次の構成を検討いただければと思いました。
女性活躍の部分ですが、これ技能者と技術者でちょっと違うのかなと思って聞いていたのです。この間も万博で技能者の方にお会いして話を聞きましたが、子供を産むことに対してどうかと。育休や休みなどとかいうことよりも、産んだ後、預けれないと。シングルマザーで預けるところがないというときが一番悩みです。うちのメンバーでも30人ぐらい集まって、女性の技能工で年に1回やるのですが、そこでは必ず「どうしているの」というような話で、「遅れて預けに行っている」とか。これは、「女性だから仕方がないと思われるのはいやなんだ」と、「子供を安心して預けれる環境を作ってくれませんか」という声が、圧倒的に多いです。産んだときにどうするかというよりも産んだ後どうするかということで、もう職業を諦めるのか、子供を諦めるのかの選択に迫られるのですというような声でした。そこを含めて検討いただければと思います。以上です。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員からも多岐にわたる論点をコメントいただいたと思いますが、どうでしょうか。3人の委員から御意見を頂いている段階ですので、特に御質問というわけではないのですが、共通してお話いただいたのは、建設業界における、時給という視点での最低賃金、あるいはそれに準ずるような賃上げの方策、あるいはフレームを代えて月給というレベルでの賃上げという話があったかと思います。
また、CCUSのメリットの向上については、先ほど来、御意見を頂いているとおりかと思います。
繁閑調整に関しては、なかなか難しいところがあるのかもしれませんが、共通して御意見を頂いていると思います。現行の制度をより簡素化したり、より使いやすくしたりするということ、あるいはCCUSの加入前提として簡素化するという御意見も頂いたと思います。私がまとめる必要はないのかもしれませんが、もし、厚生労働省の方で何かご意見がありましたら、お願いいたします。
○和田山室長 ありがとうございます。様々な御意見を頂きましたので、明確にお答えできない部分があるかもしれませんが。
まず建設業産別賃金のところですが、直接の担当ではないので、この場でこういうことだということは申し上げられないのですが、産別賃金は今、既に出ている業界については、労使合意の下に賃金が示されているのかと思っておりますので、そのような労使合意の下に産別賃金というところをやるのがポイントなのかと思っていますし、そのようなところは御意見として賜りたいと思っております。
それから、働き方の改革のところもについてお話しがあった思いますが、日給月給の話もそれぞれ働き方の中で、日給の方が、自分の本来与えられた仕事以外にも別の仕事のところに求めに行くという状況をよく聞いております。また、この日給制・月給制については、どのようなことが考えられるか、この計画にもどのようなところが盛り込められるかというところは、また御相談しながらと思っております。
もう1つ、私の担当になりますが、繁閑調整の中で就業機会確保事業のところです。これは、これまでもこの委員会において様々な御意見を頂いております。御承知のとおり、この制度は建設業の派遣が禁止されている中で、建設投資が落ち込み、労働力が過剰供給のときにできた制度と理解しており、なかなか、この人手不足の現状においては使いづらい制度かなとは思っております。
一方、人手不足の状況においても建設受注のこの山谷、繁閑調整があるのかなと思っており、人手過剰の場合に制度が有効なのかというのを見つつ、考えていかなければならないと思っております。この制度が使い勝手のいい制度になるというのはおっしゃるとおりですので、次の計画にどこまで書けるかというのはあるかと思いますが、建設現場においては下請業者や一人親方や資材の搬入業者、警備員の方などもおりますので、様々な雇用形態や、その雇用形態に関わらず同一の現場にいろいろな方がおりますので、これらの労働者を適切に保護するという観点からもこの制度がしっかりあると思っております。この事業自体の制度の許可を取るための要件がなかなか厳しいという御意見も頂きましたが、これは実は一般の派遣とほぼ一緒の要件でして、建設業が派遣を禁止されている中、建設業だから厳しくしているという制度の要件ではありませんので、その辺りは御理解いただきたいと思いつつも、御意見いただいている部分の、使いやすい、有効に使えるというところについては全くそのとおりですので、我々としても、これが有効活用に何ができるかというのは、引き続き考えていきたいと思っております。
次の計画においてどこまで書けるかというのは、また御相談しながらになると思うのですが、いきなり踏み込んだことはなかなか難しいのかなと、今、申し上げたとおり、建設業の派遣制度が、そもそも禁止されているという状況を鑑みて、そのようなところも見て考えていかなくてはいけないと思います。いずれにしても、実態やニーズの把握をしていく必要があるのかなと思っております。以上です。
○勇上座長 御回答、ありがとうございます。オンラインで、岩田委員、小野委員が手を挙げられたので、岩田委員、小野委員の順番でお願いします。
○岩田委員 今、繁閑調整ということでの就業機会確保事業は、暇なときにできたという御説明がございました。今の建設の在り方というか、今の現状のマーケットがどのような状況かということです。暇です、日本全国、躯体工事場業者は。何か活況だというイメージ、雰囲気で捉えられるのですが、これ、暇なとき、繁閑差というのは日々変わっていると言いますか、相当変化をしてまして、これら国有でも進めていけということで、これまで雇用か請負か明確にしろということで、曖昧な部分を明確にしてきたと。
そういう中で、今現状、抱えているとその人間をどうするかという問題があり、我々の業界の中でも多能工化していくべきではないかということです。スキルをどんどん上げていくべきということです。そのような視点で、繁閑調整という側面もありながら、例えば繁閑差の時期が違う。例えば躯体工事が忙しければ内装・仕上げ工事が暇ですとか、躯体工事が忙しくなったときに内装が暇と。ここは、やっぱり今までの「おれは鉄筋屋だから、そんな内装はしない」ということがあったわけですが、これからは担い手、若い人たちに来てもらって、そういう業態なんですよということで、鉄筋をベースでやりながら内装工事のほうもレベル1、2ぐらいのところもお手伝いに行く。その教育も業界内でやりましょうと、そこまで我々もやっていこうという努力までも変えていこうと思っておりますので、繁閑だけということではなく、今後、個人のスキルをどのように上げていくかという、そのような視点でも捉えていただきたいと思います。
我々の思いとしますと、この建設業労働者の就業確保事業でいくのか、これ2つしか方法はないと思っていまして、在席出向というスキームでいくのか、ここについて、せめて方向だけでも見いだしていければ、それに対してどのようにしていきたいかと、「こういうふうにしていきます。これはこうできないのですか」という次の議論に進んでいけると思います。
この就業機会確保事業につきましては、財産要件の部分が相当ハードルが高いと。これは一次のある程度の会社の体を成しているようなところはできるかも分からないですが、2人、3人、お父ちゃん、お母ちゃんでやっているようなグループもたくさんございます。4人以上、5人以上になってきますと、法人格になれということで、そういう会社に見えてますが、現実はやっぱり設備投資などをするとお金を借りて、借金をしてやっているので、財産要件として引っかかってくるということが往々にしてあり、使い勝手が悪いということになってますので、就業機会確保事業でいくのであれば、その際に行くという方向を決めて「じゃあこういうふうに変えていきましょう」というような、どちらかの理論に進んで行かないと、労働者を守るためにお金がもらえないのではないかという観点でここまでこられたと思うのですが、逆に労働者を守る意味での雇用を進める、事業主からすると倒産をするか、リストラをするかという選択を迫られるようになってきますので、是非ともそこのところは御検討いただければと思います。長くなりました、すみません。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。続きまして、小野委員、よろしくお願いします。
○小野委員 ありがとうございます。私は労働力需給制度部会にも入っていまして、派遣業態、労働者供給事業を、建設業を別にしてきたというのが、いろいろなその歴史的な経緯があって、今、こういう状況になっているわけです。これを変えるには、やはりそれなりのエビデンスであったり、それなりの議論、時間を掛けた議論が必要になってくるのではないかなと思っています。これを変えないぞという話ではなくて、変えるにはそれなりに説得材料が必要になってくる。これも需給制度部会も労使が非常に闘う場でもありまして、ですので、そこのお互いの説得材料を出して建設業はこうだから、ここはこういうふうにしてほしいというような議論を丁寧にやっていく必要があると思います。
その中で、先ほど蟹澤先生がおっしゃったCCUSに加盟して、信用がある所については、緩和という言葉がいいのか分からないですが、認めるという方向性で拡充していくというのはいいのではないかという話がありましたが、そういうふうに新しい何かこの条件であったり、フィールドがこういうふうになっているのだからという、その何と言いますか、状況を説明して条件を付け加えるなどをすることによって、可能になっていくということもあるのではないかなと思ったりします。
ですので、まとめますと、結構難しい。この歴史的経緯から見ると、先ほど厚労省からもありましたが、結構難しいところがあるというのと、ただ、現状これを打解していくというお考えがあるのであれば、それなりのエビデンスであったり、説得材料を持ってきてやる必要があるのではないかなと思いました。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。問題意識は重要だと思いますが、検討のためには、労使の合意、あるいは丁寧な議論が必要であるということで、引き続き御議論いただければと思います。いかがでしょうか。松葉委員、お願いいたします。
○松葉委員 委員の皆様から、就業機会確保事業についての御発言をお聞かせいただきました。要件緩和への御意見や室長がお話された成り立ち経過も、どちらのお考えも十分理解をすることができます。担い手確保、人手不足という中で、繁閑調整が必要なことだというのは全く同意見です。
ただ、室長もおっしゃられたように、この就業確保事業自体が不景気のときに仕事がない労働者をどう助けていくのか、そういったことが目的の事業でありますので、その目的に沿うとやはり条件がどうしても厳しい形になってしまっているのだと思います。岩田委員からも御発言があったとおり、例えば人手不足の解消や多能工の育成など、そのように現在の事業の目的と異なる目的としてやっていく、ということになると、例えば別の新しい何か事業を立ち上げるなど、単純に緩和をするということだけではなく、やはりその目的に沿った形に細かい細則が対応しているのか、制度の再設計といいますか、そこは慎重にやるべきではないかなと思っています。やはり建設業がなぜ今、派遣が禁止をされている現状であるのか、そうした理由を改めて全体で共有をして蟹澤先生がおっしゃったように悪徳な中入り業者が入り込んだりしないような形、CCUSの登録を例えば最低条件にする、標準労務費以上の賃金を条件とするなど、そういった形で拡充、若しくは制度新設ということが検討できればいいのではないかと考えます。
○勇上座長 ありがとうございます。議論の整理と御意見を頂いたものと思います。そのほかに御発言はありませんか。若鶴委員、お願いいたします。
○若鶴委員 今の就業機会確保事業については、これをとにかくもっと広げていかないと、繁閑調整が難しい。今、松葉委員がおっしゃったように、それが難しいのであれば、全く新しい事業を立ち上げるということも考えるべきと思います。流動性を高めることと月給制の拡大は車輪の両輪になっていますので、双方の実現をバランスよく追求していかなければならないと考えています。
あと、山崎委員や全建さんから説明がありました変形労働時間なのですが、日建連で実態を調べてみたところこの制度使っているという会社さんが1社しかありませんでした。利用できない理由を聞きますと、やはりこの1か月前というのが正直に言って無理だと、土木ならまだできるかもしれないけれども、建築は絶対無理だよなという話でした。
もう1つの理由が労使協定です。関係会社が全部結ばなくてはいけないというのが、利用できない大きな理由でした。それほど大きくない規模の会社さんが、本当に一人二人でやっているような会社さんを含めて、この忙しいときにそのような余裕はないというのが現状です。そういった事務手続も含めて、この制度の使い勝手がよくなればと、このように考えています。
先ほど女性の話が出ていましたので、ちょっと別の問題なのですが、女性の坑内労働、トンネルの中の労働が日建連で話題になってきています。坑内労働は昔は女性全員禁止されていたのですが、あるときから女性技術者だけは入れるようになりました。しかしいまだに女性技能者は入れないということです。ただ、海外の例などを見ましても、ほとんど坑内労働は女性もやっておりまして、何で日本では女性ができないのだろうかと。非常に狭いレンジの話題なのですが、困っている女性がいるのは事実ですので、そういったことも少し検討していただければと思っております。以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。現行制度の活用を考えるか、あるいは新しい対応を考えるかということ、また他の目的で行われることが対応策になる場合もあるということで、これから柔軟に検討をしてはどうかという御意見だったと思います。
また、最後に坑内労働については、何かそういう法的な規制があるということでしょうか。事務局、あるいは国交省はいかがでしょうか。
○国土交通省石井補佐 私がしゃべることではないかもしれませんが、この件については、昨年、建設業で女性活躍の五か年計画を作る際に話題になっていました。もっと言うとずっと前からある問題だと理解しています。これは女性の技能者の坑内労働に関して、厚労省さんの安全の関係の観点、あるいは女性の母体保護等の観点から、そういったような規制を設けられていたというような話だと認識をしています。そこをどう捉えられるかは厚労省さんで考えていただくのかなと。一応、直接、我々も昨年度に女性計画を作る際にご担当にお話等はさせていただいており、御検討は頂いているというところなのかなと理解しています。すみません、ちょっと横からですが。
○和田山室長 坑内労働については、規定が定められていますので、そういった御意見があったということは担当部署には伝えておきたいと思います。
それから併せまして、就業機会確保事業については改めまして、皆様それぞれ使用者側、労働者側からの立場から御意見を頂いたと思っています。非常に答えにくいところも現時点ではあるところは、大変申し訳ないのですが、いずれにしてもこの制度を有効に活用していくというところは、非常に私も重要な課題だと認識していますが、我々、労働行政は、労働者、使用者側それぞれの合意の下に労働行政が進められていると認識していますので、いずれにしてもエビデンスやニーズ、実態の把握というところは引き続き進めていきたいと思っています。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかに御発言はいかがでしょうか。堀川委員、お願いいたします。
○堀川委員 先ほどからお話がある中で、ちょっと論点がずれる発言となるかもしれません。やはり担い手確保ということで、各団体とも若者、そして女性にどう働いていただくかというところも話題になっていたかと思います。若鶴委員からもありました坑内の作業等もありますが、やはり女性が建設業で働く上で、どういう働きが望ましいのか。先ほど基幹産業労連の髙橋様からもお話がありましたが、現場経験の、産休、育休でどうしても抜けなければいけない、その年数をどうするかという問題。弊社でも技術者にヒアリングをしますと、やはり現場に戻りたいのが、岩田委員もおっしゃっていましたように預け先や子育てをどうするのかが問題となる。また、これは小野委員のお話にも通じるかと思いますが、男性の働き方が変わらなければ、女性が現場に戻って同じように仕事をこなすということが難しいということになりますと、やはり長時間労働も改善しなければいけない。そして、話が戻りますが、髙橋様がおっしゃっていました現場におけるテレワーク、これも現場の働きをどう分解するか。例えば書類仕事、施工管理。現場で育児中の女性でも短時間で、フレックスを活用してどんどん働いていただくために、現場の仕事をどう変えていくか。この現場の働きそのものを改善して、変革していかなければ、更に若手も入ってこないというところで、各課題が循環して関連していっていると思います。やはり全体の関連性を考えて改善に取り組むことが今後とも必要になってくるのではないかなと感じたこと、これを述べさせていただきます。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。女性に限らずという面と、女性に固有の課題もあるという御意見を頂いたものと思います。そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。小野委員、お願いいたします。
○小野委員 すみません、手を挙げるのが遅くなりました。女性のことについて、最後にお話くださったのは非常に有り難く嬉しく思っています。先ほど私が申し上げたのは、男女関係なくライフステージによって、改善しなければいけない労働時間の問題などは、それは共通した問題です。ですので、育児期の、という枕詞に女性を使うというのは、もうそういう時代ではなくなってきているという話です。他方、先ほどおっしゃったシングルマザーの話であったり、あと坑内労働の話であったり、あるいは女性のトイレの話、更衣室の話などは、要は今までマイナスだったところをいかにゼロベースまで上げるかという話ですので、そこは引き続き頑張って取り組んでいっていただかないと、女性が働きやすくはならないと思います。ですので、男女共通の問題と女性特有のマイナスになっている部分をどうするかというところは、引き続き取り組んでいただけたらと思っています。以上です。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、1つ目の議題は以上とさせていただきます。
2つ目の議題に移りたいと思います。2つ目の議題は、「その他」ということで参考資料として付けている建設労働をめぐる情勢について、事務局より御説明をお願いいたします。
○熊谷補佐 厚生労働省の熊谷と申します。よろしくお願いいたします。着座にて説明させていただきます。皆様に参考資料3番、「建設労働をめぐる情勢について」という資料をお配りしています。これは各種統計データとなっています。現行の第10次計画においては、この計画の前段部分において、いわゆる建設雇用の動向という形で建設労働者の動向のまとめについて記載させていただいています。次期、11次計画においても、本資料などに基づいて同様にまとめさせていただこうと考えています。
簡単に本資料のポイントを絞って説明させていただきます。まず、1ページから7ページ、こちらについては建設業における投資額や就業者数の推移、また有効求人倍率などをまとめています。5ページを御覧ください。こちらは建設業における就業者数や全産業に占める割合をまとめています。就業者数においては、第10次計画策定時の令和2年度と比較しますと、やはり緩やかではあるものの減少していることが分かります。
7ページを御覧ください。有効求人倍率をまとめていますが、建設業全体では依然として5倍を超える高い有効求人倍率となっていることが分かります。
次に10ページから14ページですが、こちらにおいては建設業における入職・離職者数、また就業者数の年齢構成や新規学卒者の就職状況をまとめています。まず10ページを御覧ください。こちらは入職・離職者数をまとめていますが、ここ3年、入職者数は増加傾向にあり、令和6年においては3年ぶりに離職者を上回っていることが分かります。
ただし、一方で13ページですが、建設業における年齢構成についてまとめていますが、55歳以上の割合が全産業を上回っていまして、また29歳以下の割合は全産業を下回っていることからも、やはり高齢化が進んでいることが分かります。
14ページですが、新規学卒者の就職者数と全産業就職者数に占める割合です。こちらについてもここ3年間で減少していることが分かります。
15ページです。今回の委員会でも女性の関係はいろいろ議論していただきましたが、女性就業者数の推移をまとめています。女性就業者数は、ここ3年で少しずつ増加傾向にありますが、他の産業と比較しますと依然として低い状況です。また、次の16ページですが外国人技能者数の推移をまとめていますが、こちらも外国人労働者についても増加傾向にあることが分かります。
次に17ページを御覧ください。年収額の推移のまとめです。建設業全体では、実は全産業を上回っていますが、建設・採掘従事者、いわゆる技能者関係については全産業を下回っている状況です。
18ページですが、こちらは先ほど全建さんの説明の中にもありましたが、労働時間の推移についてです。労働時間数は年々減少してはいるものの、他産業と比較しますと労働時間が長いこと、また左下の枠ですが、完全週休2日制、こちらについても全産業は5割を上回っていますが、建設業においては5割を下回っている状況であることが分かります。
次に19ページです、入職から3年目までの離職率をまとめています。高卒、大卒ともにここ3年では離職率が増加傾向にありまして、それぞれこちらも全産業を上回っている状況です。
最後に20ページから22ページについては、労働者災害や社会保険等の加入状況をまとめています。特に20ページを御覧いただきたいと思います。労働者災害による死傷者数、また死亡者数はグラフを見るとおり、年々減少傾向にはあるものの、特に下のグラフで死亡者においては全産業の30%を超えるシェア率となっており、高い割合となっています。本資料の説明は以上となりますが、このような建設業界の情勢などを踏まえまして、次期計画の策定を進めていこうと思っていますので、是非ともよろしくお願いいたします。事務局からの説明は以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。ただいま事務局より御説明がありました内容について、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。また、前回、御欠席の委員もいらっしゃいますので、前回のヒアリングに関する御質問、御意見もここで賜りたいと思います。よろしいですか、もう議題1でたくさん意見を頂きましたので。そうしましたら事務局におかれましては、この現状分析を踏まえて次期計画の背景などに活用いただくということで、進めていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、ほかに御発言がないようでしたら、本日の議題はこの辺りとさせていただきたいと思います。今後の日程等について、事務局からお願いいたします。
○大原補佐 長時間にわたりお疲れさまでした。次回の委員会については、来週10月23日、木曜日の15時から17時、本日と同じこの会場で73回を開催します。11次計画の策定に向けた論点整理ということで予定しています。また、本日の議事録については後日、委員の皆様に内容を御確認いただきたく存じますので、よろしくお願いいたします。事務局からの連絡事項は以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。それでは、本日の専門委員会はこれで終了します。本日はお忙しいところ、御出席賜りまして誠にありがとうございました。オンラインで御参加の皆様におかれましては適宜、御退室をお願いいたします。ありがとうございました。
(了)



