社会保障審議会障害者部会(第150回)議事録

日時

令和7年10月1日(水)17:00~19:00

場所

新宿住友ホール
東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビルB2F

出席者

委員(五十音順)
  • 阿部委員
  • 安藤委員
  • 伊豫委員
  • 江澤委員
  • 岡田委員(代理:小幡参考人)
  • 叶委員
  • 菊池委員
  • 小﨑委員
  • 小林委員
  • 酒井委員
  • 櫻木委員
  • 佐々木委員
  • 清水委員
  • 白江委員
  • 冨岡委員
  • 永松委員(代理:渡辺参考人)
  • 中村委員(代理:一政参考人)
  • 丹羽委員
  • 樋口委員
  • 藤井委員
  • 山本委員
  • 吉泉委員
  • 吉野委員

議題

  1. (1)障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直しについて

議事

○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第150回「社会保障審議会障害者部会」を開催いたします。
 皆様、こんにちは。本日も、大変お忙しい中、御出席賜りましてありがとうございます。
 会場に御参加の皆様には、いつもとは違う会場で、ひょっとして迷われたかもしれません。私も迷ってしまいましたけれども、本日もご参加どうもありがとうございます。
 まず最初に、いつものように進め方についての確認でございます。
 本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつ、オンラインも併用して開催いたします。
 事務局においては、資料説明はできる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
 委員の皆様からの御発言について、お願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いします。その後、オンラインの方に御意見を募りますので、Zoomの「手を挙げる」機能を使用してください。私の指名により、発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言いただきたいと思います。
 御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、分かりやすくお話しください。
 実は、この「可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください」と私から毎回お願いしているにもかかわらず、前回、私の不手際がありましたことを最初に一言おわび申し上げたいと存じます。
 前回、重要な論点を扱いましたために、多くの御発言があるであろうということが予測されまして、その時間進行の面を少し気にしておりましたために、オンライン参加の皆様に御発言をお願いする際に「スピーディーにいきたいと思います」という発言をしてしまいました。申し上げた後で、失敗した、まずかったと内心思っていたのですが、恐らく御発言の皆様の中には、私の発言を意識されて時間内に収めようと努めていただいた方もおられたかもしれません。
 しかし、そのことで進行に支障を来すということがございました。改めてこの場をお借りして、私の進行の至らなさにつきましておわび申し上げたいと思います。大変申し訳ございませんでした。
 そういうことですので、ゆっくりと分かりやすくお話しくださいということを改めてお願い申し上げる次第です。
 それから、資料の記載内容について御発言をされる場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示ください。
 また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いします。
 円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
 それでは、事務局より、本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いします。
○乗越企画課長 事務局でございます。
 それでは、委員の出席状況について御報告申し上げます。
 本日の出席状況ですが、沖倉委員、川手委員、小阪委員、新保委員、野澤委員より、御欠席の連絡をいただいております。
 続いて、委員の代理について、岡田委員の代理として公益社団法人全国精神保健福祉会連合会事務局長の小幡参考人を、永松委員の代理として杵築市福祉事務所長の渡辺参考人を、中村委員の代理として愛媛県保健福祉部生きがい推進局障がい福祉課主幹の木原参考人を出席させたいとの申出がありましたが、皆様よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○乗越企画課長 ありがとうございます。
 本日の資料につきましては、議事次第、資料1、参考資料1から4となります。
 会場にお越しの方で、これらの資料の不足などがございましたら、事務局にお申しつけください。
 カメラ撮りはここまでとなります。御協力をお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
 今回は、資料1について事務局から御説明いただき、その後、質疑応答の時間を取らせていただきます。
 それでは、資料につきまして事務局から御説明をお願いします。
○乗越企画課長 事務局、企画課長でございます。
 資料1についてでございます。
 まず1ページは、計画と基本指針の関係になっております。
 2ページ目は、前回御説明申し上げました今後のスケジュールのイメージとなります。御確認をいただければと思います。
 3ページ目でございますが、赤枠で囲んでおります地域差の是正、それから適切な給付決定のための取組について、こちらが本日御議論をお願いする事項ということになっております。
 5ページを御覧ください。
 まず、地域差の是正についてでございます。こちらは7月に開催をいたしました第148回の部会において、地域差の現状として6つの障害福祉サービスについて、都道府県別の利用者割合、利用者の伸び率などのデータをお示しして、地域差の是正に当たり、どのような対応が必要となるかなど、4つの論点について主に御意見をいただきました。
 なお、7月の部会の資料については参考資料3につけております。
 6ページを御覧ください。
 その際、様々な御意見をいただいたところですが、こちらのまとめにありますように、市町村ごとのデータを示してほしい。よりばらつきがあるのかどうか確認をしたい。中山間過疎地、地方都市、大都市といったモデルをつくることが重要ではないか。また、前年度比だけではなく、複数の年度の平均での変化を見るべきなど、さらなるデータに関する御意見もいただきました。
 これらの御意見を踏まえまして、今回事務局で用意できたものをお示しさせていただきます。これらを基に御意見を頂戴いたしまして、さらに今後の議論につなげていければと考えております。
 7ページ以降になりますけれども、今回お示しする資料ですが、次の8ページから48ページにかけて6つの障害福祉サービス及び障害児支援サービス、具体的には生活介護、共同生活援助、就労継続支援A型、B型、児童発達支援、放課後等デイサービスについて都道府県別、市町村別の利用者数の割合、対前年度比の利用者数の伸び率、複数年度で見た利用者数の伸び率を示しております。
 説明時間の都合上、恐縮ですが、14ページの共同生活援助のデータを例に御説明させていただければと思います。
 14ページを御覧ください。
 共同生活援助について、都道府県別と市町村別の2024年度の18歳以上の人口に占める利用者数割合を比較した資料となります。7月の部会では都道府県の資料をお示ししておりましたけれども、この都道府県のデータについても左から右に利用者数割合が低い自治体から高い自治体の順に並べる形にしております。
 右側の都道府県別のグラフは、最大値と最小値の差が0.25%ポイントであるのに対して、右側の市町村別で見ますと利用者数割合が全国平均を大きく上回る市町村も多く見られまして、最大値と最小値の差は4.58%ポイントと、非常に大きくなっておりまして、都道府県との差については約18倍となっております。
 続きまして、15ページを御覧ください。
 15ページは、同じく共同生活援助の利用者数割合について、先ほどの市町村別のグラフをさらに分解をいたしまして、政令市、中核市、大都市ということでございますけれども、この82市のみを取り出したグラフと、政令市、中核市を除いたその他の1,659市町村を見たグラフとなっております。
 こちらも同様に、最大値と最小値の差で見ますと、その他の市町村につきましては政令市・中核市の約18倍の差があるということになっております。大きな差があるということでございます。
 それから、16ページを御覧ください。
 こちらは、共同生活援助につきまして利用者数の伸び率について2024年度の対前年度比で見たものを都道府県別、市町村別で示したものになります。先ほどの利用者数と同じく、市町村別の最大値と最小値の差は非常に大きくなっておりまして、都道府県別との差は約26倍となっております。
 また、市町村の伸び率の状況を見ますと、伸び率がプラスの市町村につきましては1,741市町村のうち1,364市町村と、約78%を占めており、またそのうち全国平均を大きく超えている市町村も多いという状況が挙げられるところでございます。
 17ページを御覧ください。
 17ページは、共同生活援助の利用者数の伸び率を2024年度の対前年度比で見たものにつきまして、政令市・中核市を取り出してその他の市町村と比較したものを示しております。都道府県別と比較をいたしますと、政令市・中核市別の地域差はやや大きくなっておりますけれども、その他の市町村と比較しますと、その他の市町村は政令市・中核市の約15倍の差となっております。
 また、政令市・中核市で見ますと、伸び率は全ての市がプラスになっているという状況が見て取れるところでございます。
 続きまして、18ページでございます。
 共同生活援助の利用者の伸び率を今度は複数年で見る観点から、こちらについては第6期障害福祉計画の計画期間を念頭に置いて、2021年度と2023年度で比較したものを都道府県別・市町村別で示したものになります。
 先ほど見ました利用者数の割合、または単年度比較と同様、市町村別の最大値と最小値の差が都道府県別の17倍ということで大きくなっておるということでございます。
 また、市町村の伸び率の状況を見ますと、プラスの市町村が約83%を占めておりまして、全国平均を大きく超えている市町村も多くなっているということが見て取れます。
 19ページでございます。
 19ページは、共同生活援助の2021年度から2023年度にかけての利用者数の伸び率につきまして、先ほどと同様に政令市・中核市を取り出してその他の市町村と比較したものになります。こちらにつきましても、都道府県別と比較して、政令市・中核市別の中の差というものはやや大きくなっているところでございますけれども、その他の市町村との比較では約10倍ということになっておりまして、また政令市・中核市で見ますと1自治体を除きまして伸び率がプラスという状況が見て取れるところでございます。
 以降、48ページまで同様の整理のグラフをその他のサービスにつきましてお示しをしているところでございます。全体的な傾向としては、いずれも都道府県別と比較をして、市町村別では最大、最小値の差が大きくなっているということが見えますけれども、こうしたことに加えまして、63ページ以降のまとめのところでデータから読み取れる傾向について御説明をいたします。
 少しページを進めていただきまして、44ページ以降になります。
 44ページ以降につきましては、障害福祉圏域別に同じく生活介護、共同生活援助、就労支援A型、B型、児童発達支援、放課後等デイサービスの各サービスの利用者数の割合や利用者数の伸び率を比較したグラフでございます。
 それぞれのデータについての御説明は恐縮ですが割愛させていただきますけれども、全体的な傾向といたしましては圏域内に複数の市町村がございますので、やや差というものについては小さくなっておりますけれども、全体的な傾向としては市町村別と同様に、やはり地域差というものが見られるものになってございます。こちらも御確認をいただければと思います。
 続きまして、63ページを御覧ください。
 こちらは、これまでのグラフから読み取れる傾向につきましてまとめたものになります。
 まず1つ目でございますが、(人口に占めるサービス利用者数割合)についてでございます。
 今、御説明をいたしました6サービス、いずれにおきましても全国平均と比べまして大きく乖離している自治体が存在をしていたということが見て取れるということでございます。
 次に、対前年度比、単年度の利用者数の伸び率についてでございますが、伸び率が高い傾向にある共同生活援助、就労継続支援のB型、児童発達支援、放課後等デイサービスの4サービスでは、全ての都道府県で伸び率がプラスとなっており、また伸び率がプラスの市町村は全体の70%以上を占めているという状況でございます。また、30%から40%の市町村においては全国平均よりも高い伸び率を示しておりました。
 なお、共同生活援助、就労継続支援のB型、放課後等デイサービスについては、全ての政令・中核市で伸び率がプラスになっており、約60%の政令・中核市においてその伸び率については全国平均よりも高くなっておりました。
 また、障害福祉圏域別に見ましても、これらの3サービスについては伸び率が多くの圏域でプラスになっているということが見て取れたところでございます。
 それから、64ページを御覧ください。
 こちらは複数年度の伸び率ということになりますけれども、まず伸び率が高い傾向にあります共同生活援助、就労継続支援B型、放課後等デイサービスについては、全ての都道府県で伸び率がプラスとなっており、また、市町村レベルで見ましても80%以上の自治体でプラスと、全体的に伸びているという状況が見られます。また、30%から40%の市町村では、その伸び率が全国平均よりも高くなっていたということでございます。
 また、B型、共同生活援助、放課後等デイサービスにおきましては、ほとんどの政令・中核市でも伸び率がプラスとなっておりました。また、そのうち約60%の市におきまして全国平均を超えていたということが見て取れます。
 続きまして、65ページを御覧ください。
 今回、御意見をいただきたい論点ということでお示しているものでございます。
 7月の部会の議論も踏まえまして、今回の資料をお示しさせていただきましたけれども、これらも踏まえまして障害福祉サービスの利用に係る地域差についてどのように考えるか。また、7月の部会におきましてはその指標に関する御意見もございましたけれども、地域差についてどのように捉えるのかという点、または改めまして地域差の是正に向けてどのように対応するのか。
 それから、2つ目の○になりますけれども、地域差の是正の観点も踏まえて計画におけるサービスの見込み量をどのように設定するべきかについても御意見を賜れればと考えております。
 なお、ここで少し参考資料について補足をさせていただきます。
 参考資料の2でございますけれども、こちらは7月の部会におきまして委員から各サービスの利用者数の推移を障害種別で示したグラフにつきまして、さらに細かく種別を示すことができないのかという御意見をいただいておりました。御意見を踏まえまして、身体障害の区分につきまして、さらに視覚障害、聴覚障害、盲ろうを有する方について、少しデータに制約はあるのですけれども、集計をいたしまして、それぞれの推移についてまとめたものになりますので御確認をいただければと思います。
 また、参考資料の4につきましては、例年この時期にお示しをしております障害保健福祉部関係の予算の概算要求の概要となります。厚生労働省の全体の概算要求の状況ですとか、また、これまでの障害福祉サービスの予算額の推移も併せて御確認をいただければと思います。
 私からは以上でございます。
○大竹障害福祉課長 続いて、資料1の66ページ以降を障害福祉課長から御説明をさせていただきます。
 資料1の67ページ目になります。
 「支給決定について」でございますけれども、まず1つ目、「支給決定プロセスについて」というものが67ページ目になります。
 「これまでの対応」につきましては1つ目の○になりますけれども、個々のケースに応じて個別の状況を丁寧に勘案することを大前提とした上で、あらかじめ支給の要否や支給量の決定についての支給決定基準を定めておくことが適当であるということを各市町村にお示ししているところでございます。
 2つ目の○になりますが、この点について令和6年度に調査研究を実施したところ、担当者の判断で支給決定を行っている自治体において、支給決定者数の標準偏差のばらつきが大きくなっているということであったり、このプロセスにおいて市町村審査会や自立支援協議会に設定した検討の場などを活用した場合には、支給決定者数の標準偏差が小さくなっているという結果が得られたということでございます。
 こういった点を踏まえて、「今後の方向性」ということでございます。
 1つ目の○の2行目以降になりますが、引き続き個々のケースに応じて個別の状況を丁寧に勘案することを前提とすることとした上で、支給決定基準の策定を促していくべきではないかということ。また、制度の変更や地域のサービス提供体制の状況等を踏まえて、この支給決定基準を定めっ放しというよりは必要に応じて基準を見直していくことも促していくべきではないかということでございます。
 また、2つ目の○になりますけれども、支給決定における市町村審査会などの活用であったり、自立支援協議会に設定した検討の場の活用など、そういったものを活用するとばらつきが抑えられているという結果を踏まえて、事務処理要領などにこういった点を記載して、こうした取組を自治体に対して周知していくことが考えられるのではないかということでございます。
 続いて、68ページ目で「のぞまないセルフプランの解消について」ということでございます。
 「これまでの対応」につきましては、1つ目の○になりますけれども、相談支援事業者以外の者が作成するセルフプランにつきましては、身近な地域に指定特定相談支援事業所がない場合、または障害者や障害児の保護者が希望する場合に利用が認められているものということでございます。
 この点につきまして、セルフプランの割合というものを見ますと、地域ごとにばらつきが大きいということでございまして、そういったわけで令和7年3月から市町村ごとのセルフプラン率を国が公表して見える化を図っているということでございます。
 また、相談支援人材の確保対策としては、令和6年度の報酬改定において、基本報酬であったり加算の見直しで経営状況の改善を図るということであったり、「相談支援員」の創設による人員体制の確保、また令和6年度の補正予算において国の研修の拡充であったり、都道府県研修に対する10分の10補助などの法定研修の強化を行っているということでございます。
 また、4つ目の○でございますけれども、基幹相談支援センターの強化というものを踏まえておりますが、市町村における設置率がいまだ約6割の設置状況ということを踏まえて、6年度から8年度に向けて、マル1、マル2でございますけれども、都道府県とのブロック会議であったり、市町村向けオンライン研修の開催、またはモデル事業の実施などを行っているということでございます。
 この点を踏まえて、「今後の方向性」としては、引き続き各自治体の状況の見える化を行うということをしながら、各自治体における地域の状況を自ら分析する取組を促しながら、次期障害福祉計画に改善に向けた取組を記載していくべきではないかということと、併せて相談支援体制の充実強化等も進めながら、各自治体における望まないセルフプランの解消の取組を促していくべきではないかということとさせていただいております。
 69ページ以降は「支給決定プロセスについて」の概要であったり、70ページ目は支給決定基準の自治体にお示ししている資料、71ページ目以降に調査研究事業の結果をお示ししております。
 また、78ページ目以降で相談支援の現状であったり、セルフプランについて資料をつけておるということでございます。
 資料1の説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、皆様から御意見、御質問をお願いいたします。本日、前半部分の地域差に関する論点、後半部分で支給決定に関する論点がございますが、まとめて御発言をお願いいたします。
 なお、地域差に関しまして、前回専門家をお招きするというお話を申し上げ、御了解いただきましたが、次回お招きするということで、本日のところは皆様から率直な御意見を伺えればと思ってございます。御発言については、できるだけ簡潔にお願いできれば幸いです。
 それでは、まず会場の皆様から挙手をお願いできればと思います。
 丹羽委員以外の皆様からお手が挙がったと思います。
 それでは、小幡参考人からお願いしてよろしいでしょうか。
○小幡参考人(岡田委員代理) 全国精神保健福祉会連合会事務局長の小幡です。本日は、岡田に替わりまして参考人として参加させていただきましてありがとうございます。
 私どもからは、まず論点1の地域差の是正に関わる論点については、障害福祉サービスの利用状況を見ると、今、部会事務局からも説明があったとおり、地域ごとに利用者数や伸び率にばらつきが生じていることがよく分かります。これは、サービス提供体制の地域差や、市町村ごとの施策の違いが影響していると考えられます。地域差の是正は喫緊の課題でもありますが、サービス見込み量を地域特性やニーズに応じて設定するということが至極当たり前ですけれども、重要です。
 地域差の縮小に向けては、2点意見したいと思います。次が有効ではないでしょうか。
 1つ目に、サービス提供体制や人材配置の整備、情報共有の強化を進めること。
 2つ目に、自治体間での成功事例を共有することにより、均衡性のあるサービス提供を促進すること。
 そして、今回の資料で分からないところがありますけれども、次回専門家の御意見も聞きたいと思いますが、一律に伸び率や利用率が低いから不適切というような評価にもならないかと思いますので、その見方について次回お聞きできればと思います。
 また、相談支援体制の充実強化についても重要です。これは2番目の支給決定にも関わるところだと思いますが、特に相談支援専門員の不足により、1人の相談員が多くのケースを担当して対応が追いつかない現状があります。セルフプランの望まない内容の解消にも影響していますし、ここで言う体制の充実強化というのは専門員の増員や配置の適正化、また必要な研修、支援体制の整備を含む総合的な対応を意味するという整理をしていただきたいと思っています。
 2つ目の論点、支給決定についてです。支給決定においては、個々のケースを丁寧に勘案することが前提です。調査研究によれば、明文化された支給決定基準がなく、担当者の判断に委ねている自治体があるとされていました。支給決定者数のばらつきが大きくなる傾向が確認もされています。
 この点に関して、次の3つの対応が必要かと思います。
 1つ目に、支給決定基準の策定は必須課題である一方、基準にとらわれ過ぎずに個別状況の柔軟な配慮を最重要視してほしいということです。
 2つ目に、支給決定プロセスでは市町村審査会や自立支援協議会など、第三者機関を活用することが有効であり、周知が必要と考えます。その際、審査会や協議会に当時者や家族が参加することの促進も併せて進めるべきと考えています。
 3点目に、制度改正や地域のサービス体制の変化を踏まえ、支給決定基準を必要に応じて見直すことも併せて進めるべきです。
 これらにより、支給決定の公平性、適正化を確保すると同時に、地域差の是正に供することができると期待されると思います。国が示すことが、なかなか自治体の強制力を持って指導するという形にならないことは存じておりますが、ぜひとも全国の平準化をしていくためには国の指導力を発揮していただきたいと思っているところです。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 今も、次回専門家にはこの点をぜひお聞きしたいといったお求めもございましたが、事務局のほうで今日の皆様の発言をまとめて、あらかじめお伝えいただけるとよろしいかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。
 今、表明された意見とかなり重なるところもございますが、申し上げさせていただきます。
 まず論点1に関してですが、地域によってベースになる人口に占める対象者の割合が本当にゼロの地域というのが市町村別だけではなく、障害福祉圏別でもゼロになっているようなところがあるということがありますが、これは対象児者がいないとは限らない可能性があるということが考えられました。
 需要の判断については、福祉サービスの利用は原則申請主義に基づくと言っても、やはりその点について行政側からも住民に対してサービス利用の可能性について積極的に働きかけていく必要があるのではないかと感じました。
 それから、65ページで論じられている地域差が生じる原因というのが、その地域差を是正すべきものなのかどうかというところは、先ほども御意見がありましたようにやはり専門家の御意見を聞きたいところかと思っておりまして、地域として需給のバランスが取れているのかというところは逆に地域の事情を個別に確認する必要があるのではないかと考えます。
 また、支給決定過程については担当者ごとに反応が違うというのは現場でも聞くところではありますし、一定の基準というのは必要かとは思いますが、他方で障害状況というのは非常に多様になっているということを踏まえますと、原則的にはこのラインだとはしても、それを踏まえた上で個別の事情を勘案して調整をしていくというプロセスはやはり必要だと考えております。
 そのときに、協議会への参加ということで今、御意見がありましたが、その参加のスタイルが特に肢体不自由とかで移動自体に制限がある方については当然オンラインでの参加とか、そういった参加形態についても柔軟に考えていくということを求めたいと思います。
 以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 酒井委員、お願いします。
○酒井委員 ありがとうございます。全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。
 まずは1件目の地域格差に伴う課題についてということで、2点ほど意見させていただきます。私からは、前回もありました総量規制についての観点から発言をさせていただければと思います。
 自治体が総量規制に踏み出せない要因は幾つか考えられて、前回のこのテーマの議論の中では自治体の予算の制約もあって、調査不足ということも要因の一つではないかということで意見を挙げさせていただきました。今回は、そのほかにも都市部の地域では例えば当該市以外の利用者がサービスの利用で流入しているということが考えられるのですけれども、その実態が自治体ではなかなかつかみにくい状況があって、その課題もあってなかなか総量規制ということに踏み込めない。
 それも一つの要因ではないかと考えるわけですけれども、これは1点質問ですが、これから進められるデータベース化では、それらの他市から流入しているサービスの受け入れている状況について、当該自治体が実際に把握できるような仕組みになっているのかどうかということを1点確認させてもらいたいことと、それに加えてそのような仕組みを講じるべきだというふうに意見として申し上げさせていただきます。
 もう一つが、今日就労系のサービスについてはA型、B型の地域格差についてお示しいただいたところです。2021年度と比較しても著しい伸びを示している状況もあるわけですけれども、こちらも総量規制の話になりますが、都市部の例えば政令市、中核市等々ではその一定の市の中でも1つの区域、エリアに集中して事業者が乱立していたりとか、そういった状況もあると聞きますので、市町村単位にとどまらず、一定のエリアに総量規制をかけるということもできるような、そんな柔軟な設定ができるような仕組みを講じて、それらを自治体に発信していくことが大事なのではないかと思います。
 最後にもう一点、セルフプランについてですけれども、望まないセルフプランというのは速やかに相談体制を充実して解消すべきだと思うわけですが、一方でサービスの対象がこれだけ増えてくるとフェーズはちょっと変わっているのではないかとも思っていて、望まない方はあれですけれども、セルフサービスの質や精度をどう上げていくかという議論も一方で必要なのではないかと思います。
 81ページには、現行で通知の中で、自治体にはそういう専門的な見地を踏まえて助言するような通知を入れてもらっていますけれども、具体的に御本人さんが現状を整理できて納得感のあるプランに仕立てていくための支援の具体的な中身といいますか、そういったプロセス、それからサービスのサポートの中身、これらも考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協議会の櫻木です。
 今、問題にしている地域差の是正ということに関して言えば、日本の国内であればどの地域に住んでおられても必要とする障害福祉サービスが提供されるというところを目指すということで、この地域差の問題を取り上げられているんだと理解しています。
 そうすると、要素というのは2つあると思うんです。1つはサービスを利用する側の要素、それからもう一つはそのサービスを供給する、提供する側の要素ということになると思います。今日、本当に膨大な資料をお示しいただいて御苦労があったと思うのですけれども、ここで示されているのは人口に占める利用者数の割合、あるいは利用者数の伸び率というところに着目をして資料をつくっておられるということで言えば、サービスを利用する側の要素というのは非常にここで検討されていると考えるのですけれども、ではサービスを提供する側の要素というのはどこに出てくるのかと思います。
 65ページの論点というところで言えば、サービスの見込み量をどういうふうにするか。これが唯一、供給側の要素になるかと思いますけれども、これだけではないと思うんです。例えば中山間地、あるいは地方都市、大都市というふうな要素を考えてモデルをつくるべきだという御意見は出てきていますけれども、それによっては例えばサービスを供給するための人材が十分に確保できるか、できないかというところも点検する必要がありますし、先ほど酒井委員からもお話がありましたが、あくまでも提供する側が営利企業だとすると条件がいいところにしか立地しないですよね。人口がいっぱいあって、サービスの供給が物すごく必要とされている。そうすると、中山間地であるとか、あるいは人口が減っているようなところには、なかなか出て行ってサービスを供給するというような判断にならない可能性があります。
 いわゆる資本主義社会ですから、それは駄目だとか、いいとかというわけにはいかないのですけれども、ではその辺の是正というのはあくまでも公的なところでするしかないのではないかと思います。
 それから、マンパワーが不足をしていてサービスの供給ができないというような要素もあるかと思います。これは、先ほど言った3つのモデルを示す中に、やはりマンパワーをどういうふうに確保していくかという視点が必要だと思います。医療に関する、あるいは介護サービスに関するところではそういった視点というものを入れて、ではこれから例えば2040年に向けてどういうふうな体制をつくっていくかというような議論に入っていますけれども、なかなか障害福祉の領域ではそこまでの検討がされていないような感じがします。
 それから、利用者の側の要素に関して言えば、先ほどお示しをいただいた支給決定の在り方ということがあろうかと思います。お示しをいただいた資料によると、支給決定というのが例えば自治体によってはばらばらになっている。そうすると、かなり過少にサービスの提供量を考えるというところも出てきますし、あるいは逆に過大に評価をしてサービスの提供量を決めるというようなこともあり得るのではないかと思います。
 ですから、今日の議論だと利用者側のいろいろな要素というのは検討されていると思いますけれども、もう少し総合的に供給する側のいろいろ要素というのはどういうふうに考えるか、あるいはサービスを利用する側に関係してくる支給決定についてどういうふうに考えるかというような視点がなかなか今日は示されていない。かなりそういった意味では生煮えの議論になってしまわないかなという心配をしています。
 これから供給側のいろいろなことというのはどういうふうにお考えなのか。今日の論点で言うと、サービス見込み量の在り方をどう設定するかという論点は示されていますけれども、それ以外のところは示されていないので、それについて教えていただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 最後に御質問がございましたので、事務局からお願いします。
○乗越企画課長 今の御意見は非常に大きな論点で御意見を賜ったと思います。いただいた御意見を受け止めさせていただきまして、どのような対応ができるのか、考えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 御検討いただくということでよろしくお願いします。
 すみません。先ほど酒井委員の御質問がございまして、失礼してしまいました。事務局からお願いします。
○乗越企画課長 事務局の企画課長でございます。
 先ほど酒井委員から御質問いただいたデータベースの関係でございます。データベースにおきましては、利用者の方が住んでいる自治体と、また事業所の所在地についてはデータベースの中で把握ができるということになっておりまして、今、国のほうではデータベースを活用してそのような分析はできるということになっております。
○菊池部会長 いかがですか。どうぞ。
○酒井委員 御回答ありがとうございます。
 自治体がその実態を直接把握、要は当該市に在籍していない利用者がどれだけいるのかということを把握することができるのでしょうか。
○乗越企画課長 企画課長でございます。
 今、国ではというふうに申し上げたのは、自治体のほうではそういったことは今のシステムではできないということになります。
○酒井委員 今の状況ではできたのですけれども、それぞれの自治体が総量を考える際に、自治体独自がそれを判断するための材料となるようなデータベースになると今後いいなと思いますので、意見として挙げさせてもらいます。
○菊池部会長 ありがとうございます。意見として承らせていただきます。
 それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。
 事前に意見も提出させていただきましたけれども、まず地域差について、やはりデータから見ても都市部と地方部で差異が生じるのは明らかであります。
 ただ、次回は専門家の先生に来ていただけるということでしたので、様々な理由があるんだと思いますけれども、その辺りを教えていただければと思っております。
 やはり現行の制度設計は基本的に都市部前提となっておりますので、国の制度設計自体を都市部、地方部、過疎部の3類型に再編整理することとしてはいかがでしょうか。これはちょっと時間がかかることかと思いますけれども、そういうことも視野に入れて検討していただければと思います。
 つまり、国として都市部、地方部、過疎部の3類型で人口配置基準などに差異を設けた制度を設計し、報酬の地域区分や中山間地加算の算定基準などを基に選択できる類型を定める方式としてはいかがかと思っております。
 次に、サービスの見込み量についてです。先ほど酒井委員からもお話があったかと思いますけれども、サービス見込み量の在り方については都道府県単位であれば地域内の事業所偏在状況を把握できることから、国として都道府県に事業所指定状況が都市部偏在になっていないか。例えば1つのところに集まり過ぎていないかなどをチェックする方法を徹底していただけたらと思います。
 また、グループホームの総量規制につきましては、たとえ空き室があったとしても障害が重度であったり、強度行動障害や医療的ケアを伴う方たちの受け入れが進んでいないことから、現時点では総量規制ということを除外していただけたらと思っております。
 伸び率が高い共同生活援助、就労継続支援B型、児童発達支援、放課後等デイサービスは、いずれも事業者側から見て参入に関するハードルが低いサービスであります。この問題に関しては、事業所の指定基準を明確化、例えば重度障害児者の受け入れを拒否してはならないとか、関係機関との連携で次のステップへ進めるようにといったようなことをして事業参入を防げることを提案したいと思います。
 また、支給決定に関しては、まず支給決定基準の策定を市町村へ義務づけることが先決と思われます。法改正を伴うので難しいということであれば、支給決定基準の作成をしているかどうかを調査し、未作成市町村を公表するなど、実質的に作成が進むような取組をしていただきたいと思います。
 その上で、市町村ごとの支給決定基準について都道府県が主体となって、著しい地域差が生じないような調整を都道府県協議会などで議論する仕組みを導入していただけたらと思います。
 最後に、セルフプランについてです。セルフプラン対策については、これまでも各自治体における望まないセルフプランの解消の取組を促していたと理解しておりますけれども、それでも減っていないのは、端的に相談支援事業の運営面に関する課題が解消していないからと考えております。
 報酬改定により、各種の加算を漏れなく算定できれば運営上の問題は生じないと思いますが、それが地域に根づいていない要因を分析して働きかけてはいかがでしょうか。
 また、意見には出していなかったのですけれども、学齢期の保護者と先日お話しをしたところ、セルフプランのほうが楽だと言われました。ですから、私の地域でもセルフプランが多くて、地域ではなくて隣の自治体にある事業所でも使えることは分かっているのだけれども、あえてセルフプランを選んでいる若い方たちがいるということも聞きました。
 逆に私たち親の会としては、勝手に家族が決めるのではなくて、専門家と相談しながらその子にとってよりよく育つような福祉サービスの利用を考えてほしいと思っているところなので、私たちからもそういうことは利用者の方にお話ししたいと思っておりますけれども、そういった実態があるということも知っておいていただければと思います。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡です。よろしくお願いいたします。
 当協会は、相談支援専門員の職能団体として相談支援専門員の行動指針を定めるなど、障害のある方が自らが希望する自立した地域生活の実現に向けた活動を行っている団体でございます。このような立場から、資料1の支給決定について意見を3点申し上げさせていただきます。
 委員の皆様も御存じのとおり、障害者自立支援法施行後、障害者ケアマネジメントの手法による支援の必要性が高い障害のある方に対して個別給付によるサービス利用計画の作成が制度化された。さらに、平成27年度から、本人の希望や生活状況に基づいた支援を行うためには、サービス等利用計画の作成を通じた障害者ケアマネジメントを基本として相談支援の仕組みが障害福祉サービスを利用する上で必要になったと、そのように理解をしております。
 現在では本日の資料の69ページにありますが、相談支援事業所が作成するサービス等利用計画案は市町村の支給決定の根拠となっていることからも、相談支援の充実強化がとても重要であると考えております。
 厚生労働省がセルフプラン率の市町村別公表等から見て取れるセルフプランへの対応についてですが、資料82ページにあるとおり、令和6年3月に公表されたセルフプラン率等の市町村別データを見ると、本当に自治体ごとの差が極めて大きいように見受けられます。セルフプラン率が高い自治体と、そうでない自治体との差は、人口規模では単純には説明できず、自治体におけるセルフプランの運用方針、相談支援体制の違いが大きく影響しているのではないかと推測しております。
 そのため、厚生労働省が公表している市町村別セルフプラン率データを活用し、極端に高い、もしくは低い自治体を対象にその要因分析を行い、その結果を踏まえ、極端に高い自治体については助言を行ってはどうかと思います。
 計画相談支援を提供する体制が十分でないためにセルフプランを作成しているものが多い市町村については、相談支援体制整備のための計画を作成することや、基幹相談支援センターの地域の相談支援従事者に対する助言等の支援者支援の充実等を求めていただきたいと思います。
 セルフプランの考え方と相談支援の人員確保について、当協会としてはセルフプランについてはケアマネジメントにおける支援が必要かどうかでセルフプランの対象か否かということを考えております。ですので、セルフプランはエンパワーメントの観点からは望ましいものと考えていますが、相談支援体制の脆弱さ等の事由によって望まないセルフプランは解消していくべきという立場であり、必要な相談支援体制を構築できない自治体については、例えば機能強化型の基本方針を策定する事業所の目標値の設定や、相談支援専門員の確保及び人材育成を推進してもらうことを求めたいと思っています。
 なお、相談支援従事者の人材確保策の一つとして、先日、介護支援専門員協会とともに相談支援専門員の処遇改善を対象化とするように要望したところでございます。相談支援の人材の確保定着には処遇の改善、向上は不可欠と考えております。その点も御検討していただきたいと思います。
 最後になりますが、先月29日に開催されました障害児支援部会において、当協会委員より同趣旨の意見を申し上げたところでございます。当協会としても、引き続き相談支援の量的、質的向上に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
 以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、樋口委員、お願いします。
○樋口委員 日本知的障害者福祉協会の樋口です。
 障害福祉分野における地域差について、都道府県、市町村ごとの利用者数割合や伸び率の詳細等をお示しいただいたことに感謝申し上げます。
 既に委員の皆さんからの御発言や、既にお答えいただいていることとも重なりますが、地域差については都道府県、政令市、中核市よりも、全体として見ればその他の市町村ごとの格差が大きいことが分かりました。自治体ごとの特色もあるかと思いますので、一律に述べることは難しいと思います。
 人口に占めるサービス利用者数の割合が全国平均と比べて特に大きく乖離している自治体については、まずはその要因を確認した上で、地域差の是正に向けた検討を行う必要があるのではないかと私は思います。
 また、サービスの見込み量の設定に際しては、入所施設の在り方に関わる検討会でも発言しておりますが、特に入所待機者数の定義や把握方法を確認して、その統一を図る方策を検討する必要があると思っています。
 支給決定についてです。支給決定については、調査研究においても担当者判断で支給決定を行っている自治体においては、支給決定数者のばらつきも大きくなるという傾向がはっきりと出ているということなので、各市町村に対して支給決定基準の策定を促すことを推進していただきたいと思います。
 セルフプランについては、市町村ごとの利用率も公表されていますが、地域間格差が大きいことから、地域に相談支援事業所がないことにより、やむを得ずセルフプランとせざるを得ないことの解消に向けた取組を推進していただきたいと思います。
 また、御本人がセルフプランを望む場合であっても、伴走的な相談支援体制を確保することが重要であり、可能な限り、御本人の意思を尊重しつつ、公平性や客観性を担保できるように配慮すべきではないかと考えています。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 吉泉委員、お願いします。
○吉泉委員 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。
 私からも、幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。
 1つ目は、先ほど櫻木委員からもありましたように、サービスを利用する側だけではなくて、サービスを提供する側の実態も踏まえないと、サービスの見込み量などの判断ができないのではないかと思います。具体的なデータとして拾えるかどうかは分かりませんけれども、サービス事業に関わる事業所の数、あるいは事業所に所属するヘルパーの数ですとか、サービス提供にかかる実働時間というのでしょうか。そういったものが分かれば、それなりに把握できるのではないかと思います。これがまず1つです。
 2つ目は、18歳以上人口と利用者数の関係についてです。これは、地域の人口規模が大きければ、それに比例して障害者の数も多くなるという前提であれば、人口規模に占める利用者数の割合というのは格差を見る手がかりになると思います。この前提を根拠づけるようなデータがあるのかどうかというのが、ちょっと気になりました。
 関連して意見を申し上げますと、福祉行政報告例に障害者手帳の交付の数というものが載りますけれども、これはつまりは障害者手帳の所持者の数ですね。それに対する利用者の割合というものを見るほうが、格差把握の手がかりとして適しているのではないかという気がします。これは、障害者手帳所持者というのは支援のニーズを見積もる一つの手がかりになるのではないかと思って、そういうふうに考えました。
 3つ目は、利用者数の伸び率についてです。利用者数の伸び率といっても、利用者割合の小さい自治体で伸び率が高ければ格差の縮小につながると思いますけれども、利用者割合が大きい自治体の伸び率のほうが高いというようなことであれば、むしろ格差の拡大になってしまうのではないか。そういう可能性があるのではないかと思います。
 したがって、利用者の割合別の伸び率を見るために、パーセンタイルというのでしょうか、それの把握が必要なのではないかと思います。例えば、利用者割合について最小値から25%水準の集団の伸び率、それから25%から50%水準、50%というのは中央値ですけれども、その集団の伸び率などを見る必要があるのではないかと思います。
 実は私はグラフを見ることができませんので、必ずしも資料の内容を十分把握しているとは限りません。ですので、今、申し上げたようなことは、もしかするとグラフを見れば分かるのかもしれませんけれども、少なくとも文字で書かれたポイントではそういったことが分からなかったので、もし可能でしたら文字化して示していただければありがたいと思います。
 4つ目は、データ操作上の効果の取扱いというのでしょうか、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、割合とか平均というものを用いる場合、集団の規模が大きいほど平準化の効果というのが出てしまいがちだと思うんです。そうだとすれば、最大値と最小値の差が縮小してしまう傾向があるのではないかと思っています。
 そのために、例えば都道府県とその他市町村とを比べた場合に、規模の小さいその他市町村のほうの差が大きく出がちなのではないかと思います。障害福祉圏域別の状況を見ても、最大値と最小値の差が小さくなって出てきているような気がします。これの背景にも、同じようなことが言えるのではないかと思います。
 それで、集団の規模が大きくなると、いわばそういう格差が見えにくくなってしまうのではないか。そういう効果があるのではないかと思っていますので、そもそも今、私が述べたような捉え方が妥当なのかどうか、必ずしも自信がないので事務局の方のお考えを教えていただければと思いますのと、もし今、述べたような捉え方がそれほど的外れでないとすれば、そうしたデータ操作上の効果、規模の効果を取り除いた上で、実際の格差を検証する方法はないのかどうかといったことも知りたいと思います。
 最後に、支給決定のプロセスに関連してなのですけれども、個別の状況を丁寧に勘案することを前提とした上で支給決定基準の策定を促していくこと、それから必要に応じて基準を見直していくことも促すことには賛同いたします。
 ただ、現実にはこの個別の状況を丁寧に勘案することを前提とした上でというところが、ともすればないがしろにされるケースがあるかなと思っています。
 支援のためのプランを適正に作成するということと併せて、この基準の機械的な当てはめということにならないように、個別の状況をちゃんと勘案してというところをぜひお願いしたいと思います。
 事例として適切かどうかは分かりませんけれども、65歳になったときに障害福祉から一律に介護保険サービスのほうに移行させられるという事例も伺っていますし、例えば子供の同行援護の支給決定に当たって、同居家族が援護できるという理由で認められないというような事例も伺っています。こういったところを配慮していただければと思います。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 吉泉委員からかなり深い洞察に基づいた御意見、そして御質問ということですが、かなり深い御洞察に基づくお問合せで、これに正面からお答えできる能力が事務局にあるのであれば、わざわざ専門家をお招きする必要もないのではないかと思ったりもするのですが、今日の時点でいかがですか。
○乗越企画課長 企画課長でございます。
 御意見ありがとうございました。大変恐縮なのですが、私のほうから今、直ちにきちんとしたお答えをするということはちょっと難しくて、人口を分母に取るということについて適切なのかどうかといったようなことも背景にあったように思いますけれども、今、直ちにきちんとしたお答えをするのが難しいこともありますので、また専門家の先生に我々のほうからも相談をしながら、どのようなお答えができるか、検討させていただければと思います。
○菊池部会長 吉泉委員、よろしいでしょうか。
 まさにデータの読み方、扱い方に関わることですので、専門家の御意見も伺いつつ、またそれもお聞きいただいた上で、さらに御質問いただくとか、あるいは事務局としてどう対応するかというのを考えていくということですが、いかがでしょうか。
○吉泉委員 よろしくお願いいたします。
 今のお答えで、取りあえずは十分です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、この点も専門家にはあらかじめお伝えいただければと思います。
 それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野でございます。
 グラフは非常に詳細にわたって表記いただきました。7月の障害者部会のときの、障害者種別というものを細分化してほしいという申出に対して回答していただき、ありがとうございました。
 このグラフ、データで格差、実態が分かりましたので、4つ、意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目ですけれども、地域格差の是正ですが、これは障害福祉サービスのみならず、やはり意思疎通支援事業ということにも深く関連します。また、日常生活用具等、様々な要素から地域生活支援事業というものにフォーカスされております。その中でも地域格差が顕在化しているところでございまして、それを解決する、地域格差の是正のためには国の最低限の基準等、何らかの基準を各自治体、都道府県、市町村に対して示していただきたいのです。基準として、これだけでも最低やってほしいと示していくことが重要ではないでしょうか。
 各市町村においても財源というものがどうしても限られています。その財源の中で様々な難しい課題が出てきますので、最低限の基準を示せば地域加算も少しは是正されるのではないでしょうか。
 ただ、やはり財源の乏しい自治体に対しては、国から交付金や助成金などで解決できる方法もあるのではないかと思います。
 人材に関してですけれども、専門的な人材が非常に乏しいということです。市町村だけではなかなか専門人材は確保できません。ですから、ほかの市町村との広域的な連携というものが非常に重要でそういった連携で、初めて実効性のあるものができるのではないでしょうか。例えば聞こえない当事者にも専門支援ができる人材がたくさんおりますので、市町村を超えた対応で強化することができるのではないかと思っています。
 それから、障害当事者が参加をするということがその自治体の中でも非常に重要だと思います。ほとんどの自治体は、その会議体に障害者の参加がありますと言いますが、障害者団体連合会のような集合体から1人出てくるという形で、障害種別がそれぞれ違う当事者がすべていて発言するという機会はなかなか得られません。つまり、施策に反映できないというようなことが自治体においても起こっております。ですから、あらゆる障害、例えば視覚障害、聴覚障害、様々な障害種別の方が当事者として施策に参加できる、または反映できるという実効性のあるものにしていただきたいのです。
 障害福祉サービスの受け手側が、モニタリングをしサービスが適正だったかどうか、そのモニタリングによって適正化を図るということが必要です。
 また、障害福祉サービス等につきましても、利用しているか、利用していないかということについては、当事者にその情報が入っているかどうかによっても違います。ですから、情報提供はサービスを使うということでは重要な要素となりますので、そういった部分の配慮をしていけば地域格差も是正できるのではないかと考えております。それが1点目です。
 それから、2点目は、支給決定についてです。このプロセスに関して、障害自立支援協議会というものが各自治体にございますけれども、前回も話しましたが、協議の場で当事者の意見を反映するといった仕組みがないわけですね。例えば、聴覚障害者の意見が協議会に反映できないということも起こっております。
 ですから、支給決定のプロセスにおきましてもやはり様々な障害がそれぞれの立場できちんとした議論ができる自立支援協議会を設計することを国から指示をしていただきたいです。
 それからもう一点、セルフプランの解消についてでございますが、データはもちろん分かりました。ただ、お伺いしたいのですけれども、セルフプランということについて障害種別でどのような実態になっているかを調査されているでしょうか。お分かりになれば教えていただきたいのです。もし、今、把握ができない場合、次回会議でも結構ですので、障害種別におけるセルフプランの状況というものもぜひ御教示いただきたいと思います。
 このセルフプラン解消というのはもちろん大事な視点ではございますけれども、相談支援事業所が障害種別によってなかなか対応ができないということもあるわけですね。聞こえない、あるいは聞こえづらい当事者、またろう重複の特性や背景というものをきちんと把握して対応できるような相談支援事業所というのは本当にわずかと言わざるを得ません。ですから、手話施策推進法が6月に施行されましたが、手話言語できちんと対応できる、相談できる体制ということでは専門員を増やすということが重要です。これは聞こえない人たちにとってもそうです。盲ろう者、盲重複、ろう重複等の高度で専門的な支援が必要な人たちに対応できる当事者を増やすということも非常に重要な環境整備の一つであろうかと思っております。そのためには研修が必要です。研修の機会を設けてスキルアップをするということが重要です。
 それから、基幹相談支援センターは当然重要な役割です。
 ただ、聞こえない人が使えないんですね。実際に相談に行っても、基幹相談支援センターには聴覚障害者の知識や支援のスキルを持った人がいないので、実際は使えないということが出てきます。それで、こちら(地域のろうあ者団体)にまた相談を持ち込まれるというようなことがあります。
 基幹相談支援センターにも相談員はおられます。しかし、相談員に手話通訳がついてもスムーズにその当事者を支援するというのはできないですね。解決にはつながりませんので、やはりそれも先ほど申し上げました研修できちんと担保していくことが大事です。手話というものも、その手話の必要性、またろう者の背景等について専門的な研修もして配置していく。あるいは、視聴覚障害者情報提供施設というものが各都道府県にございます。その活用というのが非常に重要です。基幹相談支援センターと情報提供施設が連携強化をするということが、実効性のある施策に反映できるのではないかと思っています。
 基幹相談支援センターの機能の一部を聴覚障害者情報提供施設の中に取り込むという方法等、方策というものはいろいろ考えられるのではないかと思います。
 以上、意見を述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。
 質問に対してお答えいただければ幸いです。
○菊池部会長 1点御質問がございますが、いかがですか。
○米田地域生活・発達障害者支援室長 地域生活・発達障害者支援室長でございます。
 吉野委員から、セルフプランの障害種別の実態を把握しているかという御質問がありましたが、現状、私どもは把握をしていないということであります。
 また、今後その把握が可能なのかということも含めて、持ち帰って検討させていただければと思います。
 以上です。
○吉野委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインの皆様にお願いしたいと思います。
 白江委員、お願いします。
○白江委員 ありがとうございます。全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
 まず地域格差についてなのですけれども、大変な資料を整理いただきました事務局の御苦労に心から敬意を表したいと思います。
 ただ、ここから読み取れるものというのはデータとしては幾つかあるとは思うのですが、なぜこういった格差が起きているのかというのはなかなか読み取れないなと私としては感じております。
 今回いただいた2つのテーマを私なりに整理いたしますと、1つは全国的にどこに行っても必要なサービスがきちんと受けられるということ、それが受けられないということでの地域格差の問題。それから、限られた資源、財源もそうですけれども、そういったものをバランスよく、過不足なく体制を整えていくためにはどうしたらいいのかということで、支給決定基準も絡んでくるんだと、この2つが私なりのテーマだろうと思っておりました。
 それで、前者のほうのテーマを解決というか、理解する上で、どういったデータが必要になるかというのはぜひ専門家の方にも伺いたいと思いますし、または抽出調査のような形でそれぞれの数字には見えてこない。例えば、人が足りないのか、質的な問題なのか、お金なのか、そういったものもやはり見えるような調査というか、データ必要なのかなと思います。
 それから、限られた資源、支給決定基準については、やはり全国どこに行ってもこのくらいの障害、あるいは必要なサービスというものは確実に受けられるというような基準でなければ、これこそまた地域格差になってしまいますので、市町村ごとにさらに上乗せをするという考え方はあるかと思いますが、最低必要なものは全国どこに行っても受けられるというような基準にしておく必要があると思います。
 そのためにも、先ほど申し上げたような、それぞれの個別事情全てを聞くわけにはいかないと思いますので、一定程度の抽出、サンプル調査のようなものも併せて必要ではないかと思っています。
 最後に、セルフプランについて先ほど冨岡委員もおっしゃっておられましたが、やはり悪いところばかりではなくて、エンパワーメントを図るという意味でも、非常に私は有効に機能している部分も見てきましたので、全てが悪いということではなくて、先ほど言ったように本当はしたくないんだけれども、資源的に足りなくてやらざるを得ないとか、そういうようなところが解消されるためには必要だと思うのですが、その辺りはどういうふうな調査、どういうふうなデータを持って分析できるのかというところも今後検討が必要かと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 清水委員、お願いします。
○清水委員 国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。
 多くの資料の御説明をいただき、ありがとうございました。非常に地域差があるということは改めてすごく思ったところなのですけれども、先ほど何名かの委員もおっしゃっていましたが、より細かな解析がやはり必要であり、専門家の御意見もぜひぜひお伺いしたいところかと思います。
 例えば、私が気になったのは、利用者の伸び率が高いから結構頑張っているねと評価されても、実際に蓋を開けてみたら障害種別で実は全然そんなことはなく、ある一定の障害では伸びているけれども、ある種の障害ではあまりよくなかったということもあり得るかもしれませんので、その辺りも細かく見ていただけるといいかと思います。
 それから、支給決定に関しましては何人かの委員もおっしゃっていたように、研修が大切というお話もありました。研修と一言で言いましても、ある程度の質の担保みたいなもものあると思うんです。それで、研修を受ける側の方もキャリア、経歴によって全然受け止め方も違ってくると思いますので、特にビギナーのような方に対しては、より細かな研修もぜひ期待したいところだと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 叶委員、お願いします。
○叶委員 ありがとうございます。全国社会就労センター協議会の叶です。
 1つ目の障害者福祉分野における地域差についてですけれども、各事業とも全国的に見て地域ごとにかなりばらつきがあることが示されていると思います。このような状況の中で、必要数と比べて大きく乖離している自治体については、必要な人がきちんと必要なサービスを利用することができるよう、是正していく必要があると考えます。
 また一方、その地域にその事業が非常に増えてきているというところについては、一部総量規制の検討もあるとは思いますけれども、より重要なことは、やはり前回の障害者部会でも示された事業姿勢の在り方とか指導監査を充実させていくことだと考えています。障害者分野において、まさに今、支援の質が問われている状況だと思いますので、要は良質な事業所がそれぞれの地域に必要な数でつくられることが何よりも重要であると思っております。
 そのために必要なこととして幾つかあると思いますし、この前も新規指定や運営状況の把握に関するガイドラインという話が出ていましたけれども、そのガイドラインもきちんと中身を充実させていくことであったり、あるいは地域における必要数を把握して、地元の自治会からきちんと意見を出す体制をつくるということであったり、今後事業所が今、急増してきていますので、きちんと指導監査ができる体制を各都道府県でどうつくるかというのも重要な課題だと思っています。そして、新規指定や監査指導の充実に向けて、その事業に精通する第三者の介入とかも有効であると思います。
 繰り返しになりますけれども、いかに良質な事業所が地域にきちんと必要な数でつくられるかいうことが最も大事かと思っております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井と申します。
 膨大な資料作成をありがとうございました。非常に大変な作業だったかと思います。
 障害福祉サービスの地域差につきましては、今回の資料を拝見しますと、やはりかなり大きな地域差があるということがよく分かったわけですけれども、もちろんこの過度な地域差については是正していくべきだと考えます。
 ただ、その際にどの程度の差があれば過度な過剰な差であるとみなすのか、どのような場合に積極的に是正すべきなのかについては一定のコンセンサスを得ていく必要があるのだろうと思います。
 地域差の是正といっても、地域ごとの実情とか地域特性を踏まえることは多くの委員の皆さんが御指摘のとおり非常に重要ですので、どこまでが許容範囲、どこからは是正が必要というのは一律になかなか決めることは難しいかと思いますけれども、国として一定の基準のようなものは示していく必要があるのではないかとは思います。
 そのためには、地域差を客観的に捉えるための指標を示す必要があるかと思うのですけれども、今回利用者数と伸び率の地域差というものをお示しいただいているのですが、別の角度からも見ていく必要があるのではないかと考えます。
 サービス供給量の指標だけではなくて、これも複数の方が御指摘されていますけれども、マンパワーの観点でありますとか、需要と供給のミスマッチをどう見ていくかということだったりとか、できれば利用者さん側から見た指標をどう取り入れていくべきかといったことについても検討はしていく必要があるのかなと思います。もちろん、まずは今現在利用できるデータから何が指標として使えるかというのを多角的に検討することが望まれるのではないかと考えます。
 あとは、地域差を検討する際には、さっきも申し上げましたけれども、全国一律に考えることは無理があるので、幾つかの類型に分けることが必要ではないかというのも複数の委員の御指摘のとおりかと思いました。特に過疎地などでは、その地域で必要なサービスをその地域のものでカバーできるとは限らないと思いますので、圏域の考え方をどうするのかについても地域の実情に応じてきちんと検討していく必要があるのではないかと思います。
 この地域差についての考え方だったり、是正の方向性ということについては、介護とか医療とかほかの分野での取組も一定程度参考にしていく必要があるかと思うのですが、一方で障害福祉サービスと介護、医療とでは、障害福祉サービスは公費ということで財源も違いますし、障害福祉サービス特有の特徴もあるかと思いますので、これはほかの分野の取組を参考にするに当たってどのようにそれを障害福祉サービスに取り入れていくかについては専門家の方にもお考えを伺いたいと思います。
 あとは、今回の地域差の議論からはちょっとずれるかもしれないのですけれども、地域内であるサービスは過剰で、あるサービスは不足しているというように、地域内のサービス間のアンバランスというのが結構よく生じているかと思います。例えば、就労系とか放課後等のデイサービスが過剰である一方で、生活介護が結構大きく不足しているということも割と起こりがちかと思いますし、障害の軽い方へのサービスはむしろ多いけれども、重い方へのサービスが不足しているといったことが同じ地域内で起こっている状況についてどう考えていくのか、どう対応していくのか、地域差を考える上で地域内のサービスのアンバランスということも併せて考えていく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 山本委員、お願いします。
○山本委員 ありがとうございます。日本看護協会の山本でございます。
 大変なデータの整理をありがとうございます。前回も申し上げましたけれども、地域差の是正の検討をするに当たりましては、まずは当事者を含む関係者の協議を経た上で、あるべきサービス量や数を定義し、それに基づき算出されるサービス必要量と実測値との乖離を各地で分析することで、どのような地域で、供給側の要素など何が原因でこの乖離があり、その地域によるばらつきが生じているのかを検討できると考えます。
 今回、提示されたデータのみでは、障害福祉サービスの地域差の是正の在り方の検討は難しいのではないかと考えております。また、人口規模や年齢構成、既存の地域制限の状況、多様な地域特性がある以上、地域差はある程度あるものとして考えたほうがよいのではないでしょうか。
 ただし、あるべき姿を目指したときのサービス提供量の格差は是正する必要があり、この際には質評価に基づく質保障が併せて重要となると考えます。必要な障害福祉サービスの量と質を数量的に把握し、確たるエビデンスとする仕組みの検討が必要と考えます。
 その上で、当事者や関係者の意見を踏まえながら、地域での議論を深めていくことが必要ではないかと考えます。サービス利用定員の充足率、サービスを利用したいと考えたときのアクセスのしやすさ、待機時間の状況なども、過不足を判断する場合の変数となり得ると考えております。
 また、支給決定基準の策定についても申し述べます。支給決定について、今後の方向性として、引き続き各市町村に対し、支給決定基準の策定を促していくとございますが、適切な支給決定を行うためには策定された支給決定基準の明文化と、自立支援協議会に設定した検討の場の活用が有効であると考えられるため、こうした取組の市町村への周知が必要かと考えます。
 併せて、国のほうでは支給決定基準に活用される項目やその考え方、客観的な評価指標や具体的な手法などを提示してはいかがかと考えます。
 適切性や公平性、公正性を担保するために個別性への配慮をしつつ、都道府県や保健所単位など、一定の広域で共通した基準を設けるということを検討してはどうかと考えております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 ありがとうございます。日本身体障害者団体連合会の阿部です。
 68ページのセルフプラン関係についてお話しさせていただきたいと思います。
 まずは、委員の皆様のお話も伺いながら、セルフプランに関してはそのセルフプランを活用している障害福祉サービスに傾向があるのかということをお聞きしたいと思いました。
 というのは、何人かの方に伺ったときに、やはり訪問系サービスの人が多いと聞いたこともありましたけれども、その辺のところが詳しくというか、ある程度知りたいのでお尋ねするところでありますが、さてそのセルフプランは仕方がなく使う場合もあるということでのお話でした。
 それで、相談支援事業所、つまり利用したい方が相談支援事業所に希望を伝えてもうまくいかない場合というのが多分あるのだろうということですけれども、それは相談支援事業所から断られるということなのかどうか。そして、そのときの要因というのはどういうことなのか。例えば、相談支援に関わっても報酬費の問題ということなどがあるのかどうかというのが率直な疑問でありました。
 それから、68ページの真ん中のところ、○の3つ目に相談支援人材の確保対策として令和6年度から相談支援員の創設があったということが示されています。それで、85ページについてその辺のところを読ませていただきますと、これはとても大事なことで、よく若い人たちからは、社会福祉士とか精神保健福祉士の資格を取ったけれども、相談に関わる仕事はなかなかないということを聞いたことがありました。そのようなことから、その資格を取得して相談支援員として実務の経験を重ねていくというのは、本当に若い人たちの人材確保のためにも重要なことではないかと思ったところです。
 そこで、この点についてお聞きしたいのは、いわゆる実務経験です。相談支援専門員になるためには実務経験が必要だと思いますが、相談支援員も相談支援専門員になるためには実務経験を持たなければならないのか、そうであれば、どのくらいの期間の実務経験が必要なのかなということと、それは他の職種と同じなのか、もっと短くて済むのかどうかも教えていただければと思います。
 それで、まずはこの相談支援員についてはできたばかりの制度とはお聞きしますけれども、現在どのくらい相談支援事業所に配置されているのか。昨年度創設されたばかりで、まだしっかりしたデータはあるのか、ないのかも分からないで質問しているのですけれども、その辺のところが分かりましたら簡単に教えていただくとともに、これからの推移ということもどうぞ多くの方々に知っていただくように、特に高校生の人たちなどに福祉領域の魅力ということで発信していただくようにお願いします。
 以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 阿部委員、私が把握したところですと、御質問は2点ということでよろしいでしょうか。
○阿部委員 はい、2点です。
○菊池部会長 セルフプランと、実務経験の点ということでしょうか。
 では、事務局からお願いします。
○米田地域生活・発達障害者支援室長 地域生活・発達障害者支援室長でございます。
 まず1点目の御質問は、セルフプランの中の障害サービスの種別について何か把握しているかといったことと理解しましたけれども、こちらについて私ども現状を把握しておりませんので、またどういった把握ができるかは考えたいと思います。一般的には、いろいろなサービスを使われていて、そうすると一つのセルフプランでも訪問サービス、居宅サービス、いろいろあるかと思いますので、そうしたサービスごとの把握ができるのかどうか検討させていただくということかと思います。
 もう一つ、相談支援員の実務経験についてでありますけれども、これについては現状、実務経験は必要なく、一定の資格をお持ちであれば相談支援員として従事することができるということでございます。
 以上です。
○阿部委員 すみません。私の質問は、障害者相談支援専門員になるために、それまでの実務経験というのはやはり必要になるのかなと思いまして、その辺のところを教えていただきたいと思いました。相談支援専門員になるためにです。相談支援員として勤務しながら、いわゆる相談支援専門員になるためには実務経験というのはやはり必要になるのかなと思いながら質問させていただいたところでした。
○米田地域生活・発達障害者支援室長 大変失礼いたしました。
 おっしゃるとおり、相談支援員になられた後、相談支援専門員になるには、そういった施設で一定の5年ですとか、そういった期間の従事が必要ということでございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○阿部委員 ありがとうございました。
 ただ、若い人たちで相談職に就きたいという方々が多く希望されても、実際に現場ではその道がないということをお聞きしていることがあったもので、この相談支援員の制度ができたということと、これからの推移について今後とも若い人たちにも発信していただきたいと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 先ほどの御意見にもありましたけれども、例えば市町村別の療育手帳所持者数からの知的障害者数の推計値や、身体障害者手帳の所持者数から推計する身体障害者数、あるいは障害区分認定による精神障害者数の推計などと、これらの数値と市町村別のサービス利用者数の対比も一度見てみてもいいのではないかと思いました。
 また、サービス提供体制による影響、すなわち供給体制が需要を生む部分もあろうかと思いますので、市町村別の利用者数や伸び率と供給体制の相関も一度見ておく必要があるのではないかと思っております。
 その上で、供給体制の乏しい地域において、自治体などにヒアリングをしてみるのも方策ではないかと思います。
 障害福祉分野においては、医療や介護よりも提供事業者のばらつきが大きいことから、性、年齢階級別の現状投影モデルは活用しづらいと察しますので、国の研究事業等において継続的にこういった分野の研究に取り組んでいくことも必要ではないかと思っております。
 後段のセルフプランの解消につきましては、86ページに相談支援体制等強化事業のスキームも出ておりますけれども、介護分野では適切なケアマネジメントを行うための研修ツールの作成や、そういったものの普及などを取り組む研究事業を10年間かけて行い、ちょうど今年がその10年目の最終年となっております。そういった中で、全国共通の研修教材を作成したりして、それが今、全国でケアマネジャーの研修の中に既に組み込まれたりしておりますから、そういったことも参考にぜひ国、県などの自治体も含めて一緒に新たな取組も必要ではないかと思っております。
 もう一点は、余力のある介護支援専門員、いわゆる介護分野のケアマネジャーが、最近では障害福祉分野のいろいろな研さんに取り組んでいる団体もありますので、余力のある介護分野のケアマネジャーが障害福祉の相談支援を応援するということも今後検討してもいいのかなと思いました。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかに御発言がおありの方はいらっしゃいますか。特によろしいですか。
 いらっしゃらないようですので、本日はここまでとさせていただきます。
 本日も、様々な御意見をいただきましてありがとうございます。専門家に対する御質問もございましたが、その中でも厳密には事務局に対するデータの提供のお求めですとか、さらなる分析の必要性についての御指摘ですとか、あるいはその分析に当たっての視点の御提示ですとか、その他様々な御意見をいただいたと思いますので、その点は事務局には整理していただいた上で、また次回以降に臨んでいただきたいと思います。
 皆様から様々な御質問をいただいて、専門家に対するハードルというか、専門家の先生にとってのハードルがかなり高くなったなと、事前あまりお伝えすると、ちょっと怖いので行けませんと言われかねないと思ったりしましたが、立派な専門家の方に来ていただけると思いますので、また次回以降、しっかり議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、最後に今後のスケジュール等について事務局からお願いします。
○乗越企画課長 事務局でございます。
 本日は、御議論ありがとうございました。次の日程につきましては、追って事務局から連絡をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。
○丹羽委員 すみません。丹羽です。1点、今後のスケジュールのことで質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。
○菊池部会長 はい。
○丹羽委員 改めまして、全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
 今後のスケジュールについて質問をさせていただきます。
 事前に事務局より幾つか今後のスケジュールについてはいただいておりますけれども、障害児支援部会との合同開催というのは予定されているのでしょうか。この計画も両方に今、分かれて検討をしていますけれども、やはり大きな方針とか、目指すべきところというのはしっかり合わせていく必要があるのかなと考えておりますし、以前から緊密な連絡を取るようにということで各委員も確認をしているところでございますので、合同の会議が1度くらいあるといいなというのが意見ですので、質問と意見というところです。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○乗越企画課長 事務局でございます。
 御質問ありがとうございます。指針につきましては、障害者計画書とか、障害児計画、両方の指針になりますので、具体的ないつというのはこれからの議論の状況によりますけれども、今後両部会の合同による会議というものも検討していきたいと考えております。
○丹羽委員 わかりました。ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 私からも一言申し述べさせていただきますと、やはり一体的な議論の共有の必要性というのは以前から、審議会が分かれたときからそこはちゃんとやっていこうということで了解済みになっていると思いますし、事務局は今日もこども家庭庁からお越しいただいて御参加いただき、質問には対応できるような体制を組んでいただいています。
 ですから、今そういった会も検討するという御趣旨でございましたけれども、他方で、合同部会になるともう我々は経験済みですが、参加人数が2倍になり、40名を超えようかということになります。その中で、2時間でお一人どれだけ御発言いただけるだろうか。ここはやはり考える必要がございまして、一時期、合同部会が続いたことがありましたが、そこで私はちょっと懸念を持ったのは事実でございまして、なかなか皆様の御発言の機会が十分確保できないというデメリットもあるなと感じられたところで、その辺りもあって事務局とも相談させていただいたという経緯がございました。
 ただ、丹羽委員がおっしゃったこともそのとおりだと思いますし、今後も御検討いただくということでありますので、合同部会も検討していただきながら進めるということで、また御意見があればどうぞおっしゃっていただければと思います。どうもありがとうございます。
 それでは、本日はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。