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- 2025年9月26日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第131回議事録
2025年9月26日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第131回議事録
日時
令和7年9月26日(金) 費用対効果評価専門部会終了後~
場所
全国都市会館大ホール 2階
出席者
- 構成員等
-
- 笠木映里部会長
- 永瀬伸子委員
- 城山英明委員
- 飯塚敏晃委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 奥田好秀委員
- 伊藤徳宇委員
- 茂松茂人委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 守田恭彦専門委員
- 前田桂専門委員
- 青木幸生専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 保険医療材料制度の見直しに関する検討(その1)について
議事
- 議事内容
- ○笠木部会長
それでは、ただいまより、第131回「中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、全委員が御出席です。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○笠木部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「保険医療材料制度の見直しに関する検討(その1)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、御説明をお願いいたします。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局、医療技術評価推進室長でございます。
お手元の中医協材-1「保険医療材料制度の見直しに関する検討(その1)」を用いてご説明いたします。
2ページになります。今後の主な検討事項を6つの項目をお出ししております。今回は上の2つになります。
参考までに、3ページには今年度の検討スケジュールをお出ししておりまして、今回、赤枠で囲った9月のその1という位置づけになります。
4ページに移りまして、本日の検討事項「1.イノベーションの評価」、「2.プログラム医療機器の評価」となります。
5ページでございます。「1.イノベーション評価」の「使用実績を踏まえた再評価に係る申請(チャレンジ申請)」のデータ収集及び提出方法、それから手続についての議論をしていただきたいと考えております。
6ページに移ります。このチャレンジ申請につきましては、令和6年度改定の資料をお示ししております。保険医療材料には、長期に体内に埋植するものや、革新性の高い技術を伴うもの等があり、保険収載までの間に最終的な評価項目を検証することが困難な場合があります。このような使用実績を踏まえた評価が必要な製品のうち、特定保険医療材料として評価される医療機器等を対象に、製品導入時には評価できなかった部分について、使用実績を踏まえて保険収載後に新規機能区分の該当性について再度評価を行うことができる仕組み(チャレンジ申請)が平成30年度改定において新設され、これまでの改定において対象品目の拡大等が行われてきております。令和6年度改定においては、保険適用後1年間は申請可能にするとともに、体外診断用医薬品についてもチャレンジ申請の対象とするという改定を行ったところでございます。
7ページに移ります。「チャレンジ申請に係る申請等の流れ(用語の整理)」ということになりますが、右側に大きな3つの区分をお示ししております。チャレンジ申請を行う権利(チャレンジ権)の取得に係る部分、チャレンジ権が付与された部分、チャレンジ権の行使を行う部分であります。
参考までに、8ページには、これまでの累次の改定での対応を一覧としてお示ししております。
9ページに移りますが、このチャレンジ申請の現状をまとめたものになります。平成30年4月~令和7年9月の間でこのチャレンジ権が付与されたものは34品目となります。各年度の品目数をお示ししているところでございます。
続きまして、10ページです。この付与された品目の転帰をまとめたものになります。Aとしましては、申請によりまして再評価されたものが9品目、再評価が認められなかったものが5品目、再評価の希望が取り下げられたものが5品目、現在データを収集中のものが5品目ということで、それぞれの割合でこの円グラフとなっております。
11ページに移ります。各年度の品目のステータスをまとめたものになります。令和2年度以降につきましては、チャレンジ権の付与の際には、データの客観性を担保するという観点から、チャレンジ申請に用いるデータは査読つき論文として公表されたものを提出するということを求めております。そういった中で、令和4年度はC(再評価の希望を取り下げたもの)、令和5年度はB(再評価が認められなかったもの)が多かったという現状になります。
12ページでございますけれども、これまでにチャレンジ申請により再評価が認められたもの9品目を一覧としてお示ししております。それぞれ再評価によりまして改良加算や有用性加算による再評価が行われたという結果になってございます。
13ページになりますけれども、この制度に関する保険医療材料等専門組織と業界からの御意見をおまとめしているものになります。専門組織からの御意見でございますが、1の(2)、1つ目の○、中段の辺り「今後」というところでございますが、「今後、申請件数の増加が想定されることから、適切かつ迅速に審議を進める必要がある。チャレンジ権の付与に係る審議について、保険医療材料等専門組織への報告をもって決定案とすることができること等を含め、手続きの明確化を検討してはどうか」。2つ目の○でございますが、「審議の効率化の観点から、申請に当たっての具体的なデータ収集方法及び評価方法について、更なる明確化を検討してはどうか」といった記載がございます。
また、業界側からは、①から④に該当する臨床研究をチャレンジ申請で活用できるようにしていただきたいといったことで、①国内導入時点で既に開始されている海外の臨床研究、②後ろ向き観察研究、③過去に撮影された画像等を用いて正解データを作った上で検証する場合等に実施される後ろ向き研究、④医師主導研究といったものが列挙されています。
次、14ページに移りまして、参考となるようなものとしまして、本年度の海外実態状況調査の中でお示しができるものをここでおまとめしているものになります。米国における医療機器の保険適用に係る制度の御紹介となります。米国の公的医療保険を運営するCMSは、新規技術へのアクセスの向上というところで、新医療機器に対する保険適用の仕組みとして、TCET pathwayというものを2023年6月22日に公表されています。その際に要求されるエビデンスにつきましては、CEDガイダンスが2024年8月7日に発出されているということで、このガイダンスにおける臨床研究に関する要求水準は下のほうにまとめて記載がございます。
1つ目の黒いポツのところでございますが、比較試験を前提とし、適切な試験デザインであること、それから、3つ目の黒いところにございますが、「臨床研究の結果については、査読付き論文として発表することが望ましい」、その下「ランダム化比較試験(RCT)では、二重盲検化により、治療効果の推定値が偏る可能性を提言することができる」、一番下でございますが、「全ての研究が盲検化できるわけではないことから、盲検化が不可能な場合は、バイアスのリスクを軽減し得る研究デザインと解析要素を厳密に検討する」といった記載がございます。
次の15ページでございます。同じく、フランスの情報もここでおまとめしております。イノベーション・ファンディングという、通常の償還制度の対象となる前に公的医療保険制度から資金提供を受けることができる制度がございます。それに関連しまして、HASというところが発出するイノベーション・ファンディングに関するガイダンスの中で、実施される臨床研究は比較試験であることが最低限求められ、標準治療との比較が望ましいというところがございます。また、その下の○にございますが、ランダム化比較試験(RCT)が最高レベルのエビデンスを提供する試験ということで推奨されていることと、RCTが困難な場合は、製造販売業者よりその理由及び正当性を示すことが求められることになってございます。
まとめになりますが、16ページに移ります。この申請におけるデータ収集及び提出方法についての現状でございます。まず、1つ目の○でございますが、データの収集につきましては、1つ目の黒いポツとしまして、製造販売業者がチャレンジ権の付与を希望する場合には、再評価する内容を明確にするため、保険適用後のデータ収集及び評価法に係る計画を具体的に提示することを求めています。また、令和6年度の診療報酬改定におきまして、この再評価は、製造販売業者が関与の上で前向きに収集したデータに基づくものに限られるとされているところでございます。
2つ目の○に移りますが、データの提出方法に関しましては、客観性を担保するという観点から、査読つき論文として公表されたものを提出することになっています。
また、その下に移りますけれども、実際の臨床上の有用性を示すことに当たりまして、過去には単群試験のみの査読つき論文の提出であって、他製品との比較につきましては、製造販売業者による独自の解析のみ提出された事例もございました。
また、実情としまして、先ほど御説明したとおり、令和4年度、5年度においては、チャレンジ申請の希望を取り下げたもの、あるいはチャレンジ申請を行ったものの再評価が認められなかったものが多く見られたということになります。
業界からは、先ほど来の御意見を御紹介したところでありますし、米国、フランスにおいては、医療機器の保険償還の手続において臨床上の有用性を示すに当たっては、比較試験を行うことを求めておりまして、RCTが最も望ましいとされております。また、RCTが困難な場合は、バイアスのリスクを軽減する方法等を厳密に検討することがされているという現状でございます。
17ページに移りまして、課題と論点になります。課題としましては、データ収集等については研究計画の内容を含めた明確化が必要ではないか、データ提出方法についてはこれまでの運用を踏まえた明確化が必要ではないかということをお出しした上で、論点に移りますが、1つ目の○としましては、チャレンジ申請におけるデータ収集等について、製造販売業者が提出する研究計画については比較試験を求めることとしてはどうか。具体的には、ランダム化比較試験(RCT)が望ましいが、RCTが困難な場合はバイアスのリスクを軽減する方法等を十分に検討した研究計画を示すことを求めることとしてはどうか。また、チャレンジ権取得を希望する時点で既に開始されている臨床研究等についても、研究計画等の妥当性が示されればチャレンジ申請における評価対象となり得ることを明確化してはどうかとお出ししているところです。
2つ目の論点に移りますが、申請におけるデータ提出方法につきましては、データの客観性を担保する観点から、査読つき論文として公表されたものの提出を求めること、及び、製造販売業者等による独自の解析等については評価対象としないことを明確化してはどうかとお出ししているところです。
続きまして、18ページです。こちらは手続に関する現状、課題、論点をまとめたものになります。
現状でございますが、令和2年度改定におきまして、チャレンジ権の付与を希望する場合は、保険収載後のデータ収集及び評価方法に係る計画を具体的に提示することを求めることとしております。令和4年度改定では、チャレンジ権の付与を希望する場合に希望書に記載すべき具体的な項目について明確化がされたところです。
課題でございますけれども、この手続につきましては、企業負担等にも配慮しながら適切かつ迅速に進める必要があります。近年、チャレンジ権を獲得したものの希望を取り下げた事例であるとか、申請を行ったものの再評価が認められなかった事例が増加しておりまして、この手続におきまして研究計画の妥当性や実現可能性等に関する十分な検討が必要と考えられます。
論点に移りまして、既存治療との比較等により新たな知見が得られることが十分に期待でき、実現可能性も高いと考えられる研究計画(RCTであり実現可能性も高いもの等)については、事務局による事前確認を経て保険医療材料等専門組織委員長が認めた場合に限り、保険医療材料等専門組織への報告をもってチャレンジ権を付与できることとしてはどうか。そうでない場合は、研究計画について保険医療材利用等専門組織で検討し、既存治療との比較が困難と判断されるもの(対照が明確でないもの、バイアスが排除されていないもの等)や実現可能性が認められないもの等についてはチャレンジ権を付与しないこととし、製造販売業者にその理由を伝達することとしてはどうかとまとめてございます。
こういったもののイメージとしまして、次のページに図示をしているものがあります。①事務局より事前確認というところで、研究計画等の事前確認を事務局で行いまして、②としまして、保材専委員長への確認ということで、この付与について審議の必要について確認をする。左側の黒い直線のほうで入りますと、この研究の妥当性であるとか実現可能性が明らかだと判断された場合は、報告をもってチャレンジ権の付与という手続に入る。一方で、明らかでないと判断された場合は、点線の直線の矢印のほうに入りまして、保材専における審議ということで、付与についての審議をしていただく。こういった流れを考えているところでございます。
ここまでがイノベーション評価に関する議論になります。
20ページ以降がプログラム医療機器の評価になりまして、4点項目出しをしてございます。
まず、その4点に関しての御紹介ですが、21ページには、専門組織からの意見ということで、プログラム医療機器に関する意見の部分を切り取ったものを載せてございます。3つございまして、1つ目の○が、令和6年度の診療報酬改定においてプログラム医療機器の評価基準の明確化を図ったところで、さらなる明確化について検討してはどうか。2点目の○でございますが、特定保険医療材料として原価計算方式で評価する場合においては、これまでの事例等を分析しつつ評価してはどうか。3つ目としましては、主として患者が操作等を行うプログラム医療機器でありまして、保険適用期間の終了後において選定療養を活用するに当たっての医療現場におけるより活用しやすい運用方法を検討してはどうか。という3点が意見として出されているところです。こういった部分を踏まえながらの4点ということになります。
22ページからは評価基準の明確化に関する資料を準備しております。
23ページを御覧ください。こちらは令和6年度の資料をお持ちしましたが、有用性の評価に関する基準であります。①、②、③、④という形で評価基準の明確化が図られたところでございます。例えば、①の既存の検査等の実施、治療計画の策定、手術等の治療行為自体に対する支援を行うプログラム医療機器につきまして、1つ目の➢でございますけれども、既存技術の臨床上の有効性が明らかに向上する場合は加算としての評価、2つ目の➢ですが、医療従事者の員数又は医師の配置等というところで、より少ない員数で実施可能である場合には施設基準の緩和があり得るといったことがございます。一番下の➢でございますが、医療従事者の労働時間が短縮するものにつきましては、原則としてそれのみでは加算としての評価を行わないということが明確化されているところでございます。
こういった基準に該当するものとしましては、参考として実例をお持ちしております。①として評価されている例として、24ページにはEndoBRAIN-EYE、25ページには汎用画像診断装置用プログラムJoinをお示ししております。評価基準②としては、26ページにNodoca(ノドカ)、評価基準④に該当するものとして、27ページにはCureApp AUD 飲酒量低減治療補助アプリをお示ししております。28ページには令和6年度改定後に保険収載されたプログラム医療機器の一覧をお載せしております。
29ページに移ります。業界からの御意見を抜粋しております。上の箱でございますが、医療従事者の労働時間短縮に加えて患者メリットを示した場合、また、医療従事者の労働時間短縮が医療上の課題(患者の検査・治療待ち期間の延長等)を改善すると中医協が認めた場合には、改めて加算として評価を行うことを検討いただきたいといった御要望になります。
これに関連しまして、30ページには、先ほどと同様、令和7年度海外実態状況調査から参考となる部分をおまとめしております。ドイツの事例でありまして、ドイツにおけるプログラム医療機器の保険適用に係る制度としまして、ドイツにはDiGAの保険償還を迅速に行うDiGA Fast Trackという制度がございます。このDiGA Fast Trackに関するガイドの中には以下のような記載がございます。1つ目の黒いポツでございますが、証明すべき医療上の効果は直接患者に結びつくものである必要があり、医療従事者の業務負荷や医療の経済指標は評価の対象としないと記載されてございます。
31ページになります。まとめに入りますけれども、現状、課題、論点でございます。
現状としましては、令和6年度改定におきまして基準の明確化が図られまして、その使用によりまして医療従事者の労働時間が短縮するようなものは、原則としてそれのみでは加算としての評価は行わないこととされております。
課題のほうに移りますが、業界からは、こういった医療従事者の労働時間短縮に加えて患者メリットが示された場合には加算としての評価を行ってほしいという御意見がございます。一方で、ドイツにおきましては、この保険適用についてのFast trackを導入しておりますが、直接患者の臨床アウトカムに結びつくもののみを評価指標として用いておりまして、医療従事者の業務負荷や医療の経済指標は評価の対象とはされていないということになります。
論点に移りますが、プログラム医療機器の診療報酬上の評価については、令和6年度改定で示されました考え方や海外調査の結果等を踏まえ、引き続き、患者の臨床アウトカムの向上が示された場合に限り加算による評価を検討してはどうか。2つ目の○でございますが、医療従事者の労働時間短縮や人員削減等を実現するプログラム医療機器については、引き続き、施設基準の緩和等による評価を検討することとしてはどうかとしております。
続きまして、2つ目の項目「特定保険医療材料として評価されるプログラム医療機器の算定」に移ります。
33ページを御覧ください。この部分に関連する資料として、まず令和4年度の診療報酬改定におきまして、プログラム医療機器につきましては、医学管理料等、プログラム医療機器等医学管理加算、特定保険医療材料料を組み合わせて算定するという考え方が示されたところでございます。具体的には、その下のほうにオレンジ枠で囲われているような形のものになります。
続きまして、令和6年度の改定を34ページにお示ししております。プログラム医療機器等医学管理加算が廃止されまして、プログラム医療機器等指導管理料と導入期加算というのが新設されたという状況になっています。
35ページに移ります。特定保険医療材料として評価されるプログラム医療機器の算定であります。課題としましては、令和6年度にこういった新設が行われておりましたが、その他に該当する医学管理料等がないプログラム医療機器を用いる場合の算定の組合せが明らかではございませんでした。令和7年9月1日に保険適用されたCureApp AUD 飲酒量低減治療補助アプリについては、該当するその他の医学管理料等が存在しなかったというところで、右下の図(B)のとおりの組合せで算定できるとされております。
論点に移ります。特定保険医療材料として評価されるプログラム医療機器については、初・再診料、プログラム医療機器指導管理料(導入期加算を含む)、その他の医学管理料等、特定保険医療材料料を以下のとおり組合せて算定できることを明確化してはどうかとお出ししているものになりまして、(A)が該当するその他医学管理料等がある場合、(B)はそれがない場合ということでお出しをしているところです。
続きまして、3つ目の項目「原価計算に含めるべき費用の対象範囲」になります。
37ページでございますが、令和6年度の改革の概要から資料をお持ちしております。プログラム医療機器における原価計算等でございますが、一般管理販売費及び流通経費について一定の係数を現時点では適用せず、各プログラム医療機器の機能の提供に必要な費用について個別に判断を行うとされているところでありまして、左の通常の医療機器の原価計算から、プログラム医療機器の場合、右側へ移りまして、青字で書いてありますような個別に判断して計上するところがございます。
これに関連しまして、38ページのスライドでございます。業界からの御意見としましては、プログラム医療機器に特徴的なコストの扱いに関する要望として、原材料費として、引き渡されないUSBメモリ等とか、研究開発費として、OSやクラウドの更新、サイバーセキュリティー対策等に係る費用、データサイエンティスト等高額な人件費といったものがあるので、この例に留意してほしいといった御要望がございます。
39ページに移りますが、課題としましては、これまでに特定保険医療材料として原価計算方式で算定されたプログラムというのは1製品となってございます。業界からの御要望があるといったところでございますが、プログラム医療機器に係る費用構造について網羅的な調査が行われていないということになります。
論点に移りますけれども、現時点においてこういった状況の中でプログラム医療機器に係る費用構造についての一般的な考え方を示すことは困難ではないか。2つ目としましては、この原価計算で算定されるプログラム医療機器については、引き続き事例を蓄積しつつ、費用構造について調査することとしてはどうか。また、特定保険医療材料として算定されるもの以外のプログラム医療機器等についても調査の対象とし、プログラム医療機器の費用構造について実態を把握することとしてはどうかとお出しをしております。
4つ目の項目に移ります。「選定療養の活用方法」です。
41ページになります。現在の課題のところに移りますが、主として患者が操作等を行うプログラム医療機器であって、保険適用期間の終了後において選定療養として実施することが可能となっております。その実施に当たりましては、以下の事項等を遵守することになっておりまして、特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的に見て妥当・適切な範囲の額。また、2つ目としては、患者に対してプログラム医療機器の保険適用期間の終了後における使用に関する十分な情報提供がなされ、医療機関との関係において患者の自由な選択と同意があった場合に限られるもの。3つ目の○にございますが、現場でより活用しやすい方法を検討してほしいという要望もございました。
論点に移ります。各医療機関が設定する特別の料金の徴収についての患者への説明は、患者が使用するプログラム医療機器のアプリケーション内で行うことも可能であることを明確化してはどうかということで論点出しをさせていただいております。
資料の説明につきましては以上となります。
○笠木部会長
どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して御質問等ありましたら、お願いいたします。
それでは、茂松委員、お願いいたします。
○茂松委員
ありがとうございます。
「保険医療材料制度見直しに関する検討」の御説明ありがとうございました。
まず、17ページ、18ページにあります1つ目、2つ目の論点につきまして、今回、チャレンジ申請を行う際の要件として研究計画に関する提案がなされておりますが、この提案は医学的な観点や制度の質の担保から重要と考えております。
そこで1つ質問でございますが、現在のプロセスにおいても、研究計画においては保険医療材料等専門組織で検討し、その結果、チャレンジ申請の権利を付与していないことがあるのでしょうか。また、その場合には、それを企業に理由を伝達しているのでしょうか。それをお聞かせください。
続いて、31ページ、3つ目の論点でありますが、プログラム医療機器の診療報酬上の評価基準につきましては、今回示されている内容に賛同いたします。
続きまして、35ページ、4つ目の論点でございます。これにつきましても、論点に示された扱いに異論はございません。
また、39ページ、5つ目の論点でございますが、プログラム医療機器を原価計算方式で算定する場合についても、示された論点に異論はございません。プログラム医療機器を特定保険医療材料として原価計算方式で評価する場合、一般管理販売費や流通経費については一定の係数を現時点では適用せず、各プログラム医療機器の機能の提供に必要な費用について個別に判断を行うことに前回改定でなったわけでございますが、これについて事例がまだ1つということでございますので、引き続き事例を蓄積して費用構造について調査するということでよいのではないかと考えます。
また、選定療養の活用方法の論点でございます。これにつきましては、プログラム医療機器について、特別の料金について患者さんへの説明をアプリケーション内で行うことができることを明確化してはどうかということでございますが、この場合、他の選定療養等の取扱い、例えば後発医薬品ではなく長期収載品を選んだ場合の差額等は院内掲示が求められているところでございます。それらの整合性。現在はこうした内容は院内掲示だけでなく、ウェブサイトを有する医療機関であればウェブサイトにも掲載することになっておりますので、その関係についても整理した上で検討する必要があるのではないかと思っております。
今回、論点にはございませんが、1つ質問がございます。選定療養として実施した結果、その後生じた問題などについて把握・検証がしっかりなされているのかどうか、これについては事務局の方にお聞きしたいと思っております。把握している内容がございましたら、お教えください。よろしくお願いいたします。
以上です。
○笠木部会長
ありがとうございました。
ただいまチャレンジ申請について1点、選定療養について1点御質問がありましたので、事務局からお答えをお願いいたします。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。2点御質問をいただいたところです。
まず、チャレンジ申請の部分でございますけれども、現行の制度上では、このチャレンジ権の付与につきましては現在組織において議論をしておりまして、提出された研究計画の妥当性を検討しております。チャレンジ権の付与に関しての審議の中で、最終的には全例でチャレンジ権が付与されていることになりますので、付与しないということで理由を返戻したものもありません。そういった状況になります。
続きまして、選定療養に移った後に生じた問題についての把握というところでございますけれども、これは、先ほど説明を申し上げたとおり、医療機関との関係において十分な選択と同意があった場合において選定療養で使用するといった状況になっています。使用したプログラム医療機器、実施した医療機関、徴収した料金等につきましては、地方厚生局に報告することになっていまして、そういった中で把握するというシステムはでき上がっているという状況になります。
以上であります。
○笠木部会長
ありがとうございました。
○茂松委員
ありがとうございます。選定療養につきましては、それを使うならば基準を統一させていただきたいと医療機関としては考えたいと思います。
あとのことについては少し客観的なデータを集めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○笠木部会長
ありがとうございました。
そのほか御発言はいかがでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
御説明いただき、ありがとうございました。今回示されている各論点については異論ありません。その上で、チャレンジ申請についてですが、13ページ目に示されている業界の意見の中にもありますが、保険医療材料においても使用実績を踏まえた評価が必要な製品に対する対応というチャレンジ申請の趣旨・目的から、リアルワールドデータの活用も重要だと考えております。
次に、プログラム医療機器についてですが、費用構造をどう見ていくのかというのが課題だと考えております。39ページ目の論点にあるように、事例を蓄積し、検討を進めていくべきと考えますが、今後、患者自らが使用し、治療を補助するプログラム医療機器の開発が行われていくことが予想されます。どこまでの範囲を保険適用とするのか、選定療養での使用を進めるのか、保険外のセルフケア、セルフメディケーションで使用するものなのかなど、医療機器の特徴や使用用途、使用場面などに応じた検討が必要だと考えます。
私からは以上です。
○笠木部会長
どうもありがとうございました。
そのほか御質問、御発言等ありますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、チャレンジ申請につきましては、17ページ~19ページに示されております方向性に異論はございません。イノベーションを適切に評価するためになるべく客観性の高いデータを用いて判断することが必要です。
エビデンスレベルに応じてデータ収集の推奨度であるとか、手続の違いを明確化するという事務局の整理に賛同するものでございます。
続きまして、31ページに示されておりますプログラム医療機器の評価基準についてコメントいたします。まず、患者の臨床アウトカムが向上する場合に限って、診療報酬で評価するのは妥当な対応だと考えております。アウトカムをしっかり精査していただき、適切に運用していただきたいと思います。
また、医療従事者の労働時間の短縮や人員を削減できるプログラム医療機器については、より多くの患者を診療できるようになり、医療機関側からすると、収入の増加、あるいは人件費の抑制等のメリットが想定されますが、患者が受ける医療の質や保険財政上のメリットが証明されない限り、業界が要望していらっしゃいます加算による評価にはなじまないものと考えます。
一方で、施設基準の緩和については、安全性と有効性の担保を前提として、検討する余地はあるものと思っております。
次に、39ページの原価計算に含まれます費用の対象範囲についてコメントいたします。これは茂松委員、森委員からもありましたけれども、プログラム医療機器の費用構造について現時点で整理が難しいことは十分理解しておりますけれども、一方で、通常の医療機器とは異なるのも事実だと思いますので、透明性や妥当性を高めるためにも技術料に包括されているものも含めて実態把握をぜひ進めていただきたいと思います。
また、以前も申し上げておりますが、アプリのようなものにつきましては、共通のプラットフォームを使って複数のプログラムを開発・運用することも想定されますので、どの部分を個々の製品の価値として評価するのかについても検討できるように調査をお願いしたいと思います。
最後に、41ページに示されております選定療養の活用方法については、患者の同意をアプリケーション内で行うことに異論はございません。追加料金が発生することが正しく患者に伝わるよう、説明や同意の方法については工夫が必要だと感じております。
私からは以上でございます。
○笠木部会長
どうもありがとうございました。
そのほか、御質問、コメント等。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
資料31ページの論点の2つ目の○にて「医療従事者の労働時間短縮や人員削減等を実現するプログラム医療機器については、引き続き、施設基準の緩和等による評価を検討」とあります。医療従事者の負担軽減の対応は重要でありますが、プログラム医療機器によって労働時間が短縮されたとしても、その時間、医療従事者が他の業務を行ったりすると思いますし、人員削減を結びつけて論じるのは少し違うのではないかと違和感があります。今後の検討に当たっては、例えば、25ページの施設基準の緩和を例として記載されている汎用画像診断装置用プログラムに関して、現場でどのような影響があったのかなど、実態把握、効果検証することも含めて御対応いただければと思います。
私からは以上です。
○笠木部会長
どうもありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
そうしましたら、もし専門委員のほうから御意見がありましたら、伺いたいと思いますが、何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。
事務局から何か補足がありましたら、お願いいたします。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。
先ほどの茂松委員に対しての回答で、私が正確に答え切れなかった点についてもう少し補足させていただきます。
茂松委員からは、生じた問題等についての把握だということで御質問があったところ、私からは、使用したプログラム医療機器、実施した医療機関、徴収した料金等についての把握だということで、そういった部分での把握する体制はあるということでございまして、今後、委員の御指摘というか御意見を踏まえながら、必要に応じて生じた問題等についてどういった情報が収集できるかについては検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○茂松委員
精緻な分析をよろしくお願いいたします。
○笠木部会長
ありがとうございます。
オンラインで永瀬委員の手が挙がっていたかと思います。御発言をお願いいたします。
○永瀬委員
17ページの「チャレンジ申請におけるデータ収集等について」に関する質問です。もちろんランダム化比較試験が望ましいと思うのです。しかしながら、日本でそれがそんなに簡単にできるのかということがちょっと気になりました。
というのは、患者の立場からすれば、少しでもいい機器になる、そういうイノベーションが起きることは非常にうれしいことですけれども、米国のトップ病院では、最初に、こういう治験に協力しますかと全員の患者にアンケートを配る。もともと医療費がとても高いので、協力すると医療費が下がるので、多くの人が最初に「協力する」というふうにチェックするような体制があるのだなということを、私、以前知ったのですけれども、日本において、そういうランダム化試験がどのくらい実施できるのか。確かに有用性のあるようなイノベーションこそが大事で、その実証にはランダム化試験が重要というのはもちろんなのですけれども、それがどのくらいできるのかということについて事務局に質問させていただきたいと思いました。
○笠木部会長
この点、事務局の方からいかがでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。
これまで我々のほうに上がってきましたというか、製造販売業者等から提出されました研究計画等も含めると、RCTであるとか、後ろ向きコホート研究とかいうところは提出されてきておりますので、そういった中で、今回、委員御指摘のとおり、RCTのみというところでは厳しいというところもありますので、業界側が御提案いただいているような①から④のうち、研究計画の妥当性等が示されたものについては認めていくという方針を御提案させいただいていることになります。もちろん、RCTが望ましいというスタンスは変わりませんが、そのバイアスを排除できるような形の研究デザインであれば、それは審議の対象になるということで考えております。
○永瀬委員
後ろ向きの場合だと、ちょうど合致したものだけ取り出すということもあり得るかなとちょっと思うのですけれども、そういうことはないように十分に検討したような設計で考えるということでございますね。
○梅木医療技術評価推進室長
できるだけそういったバイアスを取り除くような形の研究デザインであるかどうかというのは確認していきたいとは考えております。
○永瀬委員
ありがとうございます。前向きでしたら問題なく比較できるわけですけれども、後ろ向きですと、都合の良い結果をピックアップできる可能性もあるのかなとちょっと思ったのです。イノベーションはとても大事なことですので、よろしくお願いしたいと思います。
○笠木部会長
ありがとうございました。
そのほかの点、いかがでしょうか。
ほかに質問などないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りといたしまして、今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえて御対応いただくようお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては追って事務局より御連絡いただきます。
それでは、本日の「保険医療材料専門部会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。



