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- 2025年9月26日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第72回議事録
2025年9月26日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第72回議事録
日時
令和7年9月26日(金)10:00~
場所
全国都市会館大ホール 2階
出席者
- 構成員等
-
- 飯塚敏晃部会長
- 城山英明委員
- 小塩隆士委員
- 笠木映里委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 伊藤徳宇委員
- 江澤和彦委員
- 黒瀬巌委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 藤原尚也専門委員
- 越後園子専門委員
- 守田恭彦専門委員
- 前田桂専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 制度見直しに関する検討(その1)について
議事
○飯塚部会長
ただいまより第72回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、高町委員が御欠席となります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○飯塚部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「制度見直しに関する検討(その1)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。医療技術評価推進室長です。
中医協費-1に従いまして「費用対効果評価制度の見直しに関する検討(その1)」の資料の説明をいたします。
まず、2ページと3ページに項目をまとめております。
今回の制度見直しに関しましては、これまでの専門部会における御意見、業界からの意見陳述、また専門組織からの意見書等を踏まえまして、事務局により整理したものとなっております。本日は、その1としまして、3-2まで御説明させていただければと考えておりまして、3-3以降については次回以降での御議論ということを考えております。
4ページを御覧ください。本年度の費用対効果評価専門部会の検討スケジュールをお示ししております。
6ページに移ります。中医協におきまして、2012年5月に費用対効果評価専門部会を設置してから、2016年4月以降試行的導入を踏まえまして、2019年4月から本制度は開始されております。これまで2回の制度見直しを行ってきたところでございます。
7ページでございますけれども、現行のこの制度の概要をまとめているものになります。上の箱の2つ目の○と3つ目の○にございますとおり、本制度は薬価・材料制度の補完としまして、保険償還の可否には用いず、保険収載後に価格調整を行う運用をしてまいったところでございます。
飛びまして9ページでございますけれども、この補完としている薬価制度における補正加算の一覧をおつけしております。
10ページには、一定の要件において薬価収載後の薬価が最大15年間維持されるいわゆる新薬創出等加算についての資料をおつけしているところです。
11ページにまいります。材料制度における補正加算の一覧をお示ししております。薬価制度とほぼ同様でございますが、医療機器の独自の経済性加算といった特徴もございます。
12ページに移ります。薬価・材料制度は、イノベーションの促進、安定供給の確保、国民負担の軽減といった基本的な考え方を踏まえながら運用しているところでございまして、費用対効果評価制度は主に市場規模が大きい医薬品や医療機器等を対象とし、既存技術と比較して費用対効果を評価する制度ということで、薬価・材料制度と一体となりまして我が国の医薬品・医療機器等の適切な評価を目的に運用しているところでございます。
続きまして、13ページ以降ですが、政府決定等の経緯についてまとめてございます。この費用対効果評価制度が始まる前までが14ページで、15ページが始まった直後における本制度に係る決定事項をおまとめしているものになります。
16ページには、直近の政府の本制度に係る方針をお示ししているところでございます。昨年の大臣折衝におきましては、我が国の費用対効果評価のさらなる活用といったところや、本年度の骨太においては、客観的な検証を踏まえつつ、さらなる活用に向け適切な評価手法、対象範囲や実施体制の検討と併せ、薬価制度上の活用や診療所の活用などの方策を検討するとの方針が示されているところでございます。
17ページに移りまして、本制度の予算は11.5億円で運用しているところでございます。
18ページ以降につきましては、個別の検討事項に移ることになります。
19ページ以降でございますけれども、費用対効果評価専門組織の意見書でありますとか、先月の本部会で各業界団体の代表の方々からいただきました御意見をまとめまして、項目ごとに整理したものをおつけしているところでございます。
20ページでございますけれども、骨太2025年で示されていました客観的な検証につきまして、業界側からいただきました御意見をまとめたものになっております。
21ページは、品目指定の手続という項目での整理。
22ページは、分析方法に関しての事項が続きますけれども、比較対照技術、介護費用の取扱いといった御意見をまとめたところになります。
23ページは、追加的有用性、ICERの不確実性についての御意見のまとめ。
24ページは、リアルワールドデータの活用、医療機器の特性を踏まえた取扱い、分析方法全般についてまとめたものになってございます。
25ページ、価格調整範囲の在り方。
26ページ、価格調整における要件及び配慮といったところでの項目を整理したものになっております。
27ページは、制度の運用について。
28ページは、診療ガイドラインでの活用、分析体制に関わる事項といったことで項目ごとにまとめたものになります。
29ページは、本議論の進め方についてと、全般的な御意見もここで併せてお示ししております。
30ページ以降でございますけれども、「3-2 検証」という各論の項目で、先ほどおまとめしたような検証部分についての御議論をお願いしたいと思いまして、資料をまとめたものになります。
31ページを御覧ください。費用対効果評価におきましては、「現状・課題」の1つ目の○にありますとおり、企業が実施した分析結果を公的分析が科学的妥当性を検証し、その結果を踏まえて費用対効果評価専門組織で中立的な立場から専門的な検討が行われ、策定された総合的評価案が中医協総会で承認されるという運びになります。
2つ目の骨太2025における客観的な検証につきまして、業界からは、3つ目の○に示してありますとおり、第三者の専門家によって実施されるべきといった御意見をいただき、現状と課題をまとめております。
下の「論点」を御覧ください。大きく2つ示しております。客観的な検証として、本部会において、業界意見陳述の内容も踏まえつつ、これまでの費用対効果評価の運用状況の整理を示すことについてどう考えるか。2つ目の○としましては、検証結果を費用対効果評価制度改革の骨子において示すことについてどう考えるかとお出しをしているところでございます。
32ページ以降は、この運用状況の整理としまして、検証に資するような情報をまとめたいということで準備をした資料になっておりまして、この①~⑩までの項目をそれぞれまとめたいということでデータをお出ししているものになってございます。制度導入前後における保険収載の状況であるとか運用状況、過去の評価結果をおまとめしたものになります。
33ページに移ります。医薬品の新規収載数の推移となります。費用対効果評価制度導入後、収載数に大きな変化はありませんでした。
34ページに移ります。C1又はC2として中医協総会で報告され、新規収載となった医療機器の新規収載数の推移となります。こちらも2020年に大きな山がありますけれども、医薬品同様、費用対効果評価制度の導入後に大きな変化はありません。
35ページに移ります。この指定された品目の市場規模でございます。保険収載された際の市場規模予測の分布でありますが、指定された67品目においてまとめたものになります。全体の中央値は年間156億円になります。
36ページに移ります。この評価の実態となりますが、費用対効果の指定された67品目中、評価を終了したものが49品目となります。うち実際に費用対効果分析が行われたものが39品目となりまして、右側に移りますけれども、公的分析による再分析がなかった、つまり企業分析を受け入れた品目が2つ、公的分析による追加分析が実施されたものが4品目となります。また、分析中に効能の追加、あるいは用法・用量の変更があったものがそれぞれ3品目、1品目あります。また、その下に移りますけれども、この評価におきまして、専門組織は1品目当たり3回の開催がされるところ、企業から不服があったものが28回、20品目となります。
もう少し細かい検証という意味では、37ページ以降となります。品目におきまして、この費用対効果においては、適用となる患者が異なるといった場合にはそれぞれ分析対象集団を分類して対応を考えていく、それぞれ対応していくことになります。39品目でございますが、これは、90の分析対象集団で分けられることになりました。1品目当たりの分析対象集団数は平均2.3集団、中央値は2集団となります。
左下の図でございますが、それぞれの分析対象集団ごとの患者割合の分布を示した図となっています。1集団当たりの患者割合は平均45.2%、中央値で35.4%となります。
38ページに移ります。先ほどの90の集団でございますが、それぞれどのICERの区分となったのかをお示ししております。追加的有用性が示されなかったものが、右の上にいきますが、27の集団となります。その下のほうにいきますと、追加的有用性が示されたという形になりますけれども、左側の、配慮が必要な集団には該当しない、いわゆる一般的な集団として38集団、右側には、小児、指定難病、悪性腫瘍など配慮が必要な集団で20集団となります。効果が高く、費用が削減されたという分類のDominant、それからICERが200万円/QALY未満となった集団は合計で10集団となりました。
39ページを御覧ください。費用対効果評価が終了した49の品目の中で価格調整が行われたものが38品目、割合としては78%となります。左側の箱ひげ図でございますが、青が価格調整をしなかった品目を含めた全体、赤が価格調整で引き下げたとなった品目のみをまとめたものになりまして、それぞれの価格調整率の中央値はマイナス3.07%とマイナス4.29%となりました。
飛ばしまして、41ページは価格調整率の分布となります。
42ページは、費用対効果評価によりまして価格調整を行った後の価格で、改めてICERを算出したものになります。その結果、価格調整によってICERの区分が変化したものは1品目となります。
43ページに移ります。追加的有用性についての御説明となります。費用対効果を検討するに当たっては、まず、追加的有用性の有無を評価していくことになります。そこで追加的有用性が示されていれば費用効果分析でございますし、追加的有用性が示されなければ費用最小化分析を行うことになります。今回の検証の中では、先ほど御提示したとおり、27の集団、18品目で追加的有用性が示されておりませんで、この中で6品目では全ての分析対象集団で追加的有用性が示されないという結果でございました。
44ページ、45ページは、これまで提示をいたしました10の項目について文書でまとめたものになります。
46ページでございますけれども、全体のこの部分で対応できなかった個別の事項についてのコメントをお示ししておりまして、ここに示されていない御意見につきましては、別途個別論点において適宜議論ができればと考えております。
事務局からの説明は以上となります。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して御質問などがありましたら、お願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。31ページの論点について意見を述べさせていただきます。
まず、1つ目の○につきまして、費用対効果評価制度は2019年に本格運用が開始され、これまで67品目が指定を受け、39品目の分析が終了したと報告をいただいたところでございます。現状、十分な品目数であるとはまだまだ言えませんので、今後さらに経験値を積み上げていく必要があると考えております。
32ページ以降に検証の概要も示されているところですが、一定の経験は積み重ねられたと考えておりますので、現在の課題を把握し、制度を改善していくためにも、本部会においてこれまでの運用状況を客観的に整理、提示することは必要であると考えております。
今後の在り方について検討するに当たりましては、2年前の当部会で長島委員が指摘したことでもありますが、人材育成の視点も含め、より実用的なものとなるよう、費用対効果評価自体の費用対効果も検討していくべきであると考えております。
そこで事務局への質問となりますが、現在の人材育成状況や費用対効果の費用対効果、例えば対象品目に指定されて価格調整が行われるまでの平均的な期間や平均的な価格調整額などについて把握していることがありましたら、教えていただければと思っております。
次に、2つ目の○についてでございます。制度運用の透明性を高め、改革の方向性を示す上で検証結果を骨子に含めることに異論はございません。今後もイノベーションの推進と医療保険制度の維持を両立するという観点から、バランスの取れた運用をしていくことが何より重要であると考えております。
以上でございます。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ただいま事務局に御質問がございましたけれども、事務局、いかがでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。江澤委員からの御質問につきましてお答えをいたします。
まず、人材の関係でございます。現在、費用対効果評価の制度の運用の中で、国立保健医療科学院が調査・研究・分析・人材育成機関という形でされておりまして、まず、このセンターの中の人員でございますが、今年度の4月1日現在、8名の体制で運用をしております。
また、人材育成の観点でありますけれども、令和2年4月から慶應義塾大学公衆衛生大学院におきまして医療経済評価人材育成プログラムというのが開始されております。この中で、昨年度までに97名の方が修了されておりまして、12名の方がこの公的分析の中に加わっているという現状にございます。
さらなる人材育成を図るという観点からは、昨年度、令和6年度から立命館大学での博士課程のプログラムも新設しておりまして、そういったところでの人材育成が図られているということになります。
また、本制度そのものにつきましての費用対効果でございます。予算全体は令和7年度は11.5億円ということでお示ししたところでございますが、こういった運用の中で、年間当たりおおむね10品目の分析を実施してございまして、お示しした押しなべた成績から申し上げますと、精緻な分析ではございませんが、今回、この品目の市場規模の予測としては中央値が156億円/年ある中で、価格調整の割合が中央値としては約3.1%となりますので、1品目の1年間当たりの価格調整というのは、こういったもので計算しますと約4.8億円となります。
こういった中で価格調整がされてきておりますけれども、さらなる運用の改善というところも、引き続き我々としては在り方全体の中で具体的には検討を進めていきたいと考えております。
以上となります。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
江澤委員、よろしいでしょうか。
○江澤委員
はい。詳細な御報告をありがとうございます。また、客観的な検証へ向けて引き続き取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
ほかには御質問等ございますでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
論点や検証について整理いただきましてありがとうございました。今回整理した内容に沿って個別の論点について今後具体的な議論を進めていければと思いますので、事務局におかれましては、具体的な論点出しとともに、検証結果などを踏まえた方向性案の検討をお願いできればと思います。
また、31ページに示されている検証の進め方の論点についてですが、いずれも示していく方向で異論はありません。
今、江澤委員からもありましたけれども、費用対効果評価制度は試行的導入開始から9年、本格運用開始から6年が経過、45品目の評価が修了し、一定程度の事例が集積されたと思います。そうした中、評価実施時点のデータが限られることや、それにより不確実性を伴う評価となること、データ提出する企業負担の問題、比較対照技術の選定、選定された技術による追加的有用性の有無の変動、価格引上げとなった医薬品がないこと、介護費用の取扱いなど議論が必要な課題があります。第1ステージが終了し、制度の成熟度を上げるために第2ステージに向けて専門の医師や薬剤師などの関係職種や医療経済に関する専門家など、第三者の意見なども踏まえ客観的な検証を進めていくべきと考えます。
私からは以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかにはございますでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
費用対効果評価の仕組みにつきましては、今、江澤委員、森委員からもありましたけれども、6ページにありますとおり、2016年度からの3年間の試行的導入を経て、2019年度から本格運用となり、その後も、業界の意見もお聞きしながら、運用の見直しや分析体制の整備を行って現在に至っていると理解しております。当然、不備があれば改善することはやぶさかではございませんけれども、既に公平性や中立性はかなりのレベルで担保されているものと認識しております。したがって、これまでの実績を踏まえまして、今後より積極的に活用する時期に来たということを指摘させていただきます。
また、31ページの論点に示されております客観的な検証につきましては、16ページにございます骨太の方針2025にも記載のとおり、業界の理解を得るためにも否定するものでは全くございません。ただ、今回、33ページ以降に示されておりますデータにつきましては、業界の要望も踏まえました十分に客観的な検証であり、46ページにあるとおり、まだ整理ができていない部分につきましては個別の論点において取り上げるということですので、次回以降、令和8年度の制度改革に向けた議論は前に進めるべきだと考えております。
私からは以上でございます。
○飯塚部会長
御意見ありがとうございます。
引き続きまして、鳥潟委員、お願いできますでしょうか。
○鳥潟委員
検証をまとめていただき、ありがとうございます。また、論点の整理について異論はございません。
総論的な話になりますが、費用対効果評価については、イノベーションへの配慮とともに、国民皆保険の持続可能性確保に加え、保険料を負担している被保険者と事業主にとって納得感のある薬価となるよう、費用対効果評価のさらなる活用に向けて議論を進めていくべきだと考えております。加えて、有用性系加算がない品目の扱いやレケンビの取扱いを踏まえた価格調整範囲の在り方なども、今後検討していく必要があると考えております。
私からは以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかには御意見、御質問等ございますでしょうか。
もしないようでしたら、専門委員から御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。
藤原専門委員、お願いいたします。
○藤原専門委員
発言の機会を賜りましてありがとうございます。
まずは、現行制度の運用状況について迅速に分析をいただきましたこと、それから、スライド46の一番下の四角に記載がありますとおり、業界が提案いたしました検証事項のうち、その他の意見についても個別の論点において議論いただけることにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。
その上で、8月6日の業界意見陳述で業界代表より申し上げましたように、制度導入時の目的でもございました単にコストを減らすことが目的ではなく、イノベーションも評価するといった本来の趣旨にかなった状況になっているのかという視点で、現行制度そのものにおける丁寧な検証が必要であると考えております。その際には、スライド31「検証の進め方について」の「現状・課題」の3つ目の○に記載のとおり、業界からは、客観的な検証は、医療経済学者、対象品目の疾患を専門とする臨床医、患者さん、統計学者を含む第三者の専門家によって実施されるべきである等の意見があったとも記載いただいておりますけれども、本日、森委員からも御発言がありましたとおり、客観的な検証の機会を設けていただくことが必要と考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかには御質問等ございますでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに質問などもないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしまして、今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえて御対応いただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては追って事務局より連絡をいたします。
それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
ただいまより第72回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開については、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は、高町委員が御欠席となります。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○飯塚部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は「制度見直しに関する検討(その1)について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。医療技術評価推進室長です。
中医協費-1に従いまして「費用対効果評価制度の見直しに関する検討(その1)」の資料の説明をいたします。
まず、2ページと3ページに項目をまとめております。
今回の制度見直しに関しましては、これまでの専門部会における御意見、業界からの意見陳述、また専門組織からの意見書等を踏まえまして、事務局により整理したものとなっております。本日は、その1としまして、3-2まで御説明させていただければと考えておりまして、3-3以降については次回以降での御議論ということを考えております。
4ページを御覧ください。本年度の費用対効果評価専門部会の検討スケジュールをお示ししております。
6ページに移ります。中医協におきまして、2012年5月に費用対効果評価専門部会を設置してから、2016年4月以降試行的導入を踏まえまして、2019年4月から本制度は開始されております。これまで2回の制度見直しを行ってきたところでございます。
7ページでございますけれども、現行のこの制度の概要をまとめているものになります。上の箱の2つ目の○と3つ目の○にございますとおり、本制度は薬価・材料制度の補完としまして、保険償還の可否には用いず、保険収載後に価格調整を行う運用をしてまいったところでございます。
飛びまして9ページでございますけれども、この補完としている薬価制度における補正加算の一覧をおつけしております。
10ページには、一定の要件において薬価収載後の薬価が最大15年間維持されるいわゆる新薬創出等加算についての資料をおつけしているところです。
11ページにまいります。材料制度における補正加算の一覧をお示ししております。薬価制度とほぼ同様でございますが、医療機器の独自の経済性加算といった特徴もございます。
12ページに移ります。薬価・材料制度は、イノベーションの促進、安定供給の確保、国民負担の軽減といった基本的な考え方を踏まえながら運用しているところでございまして、費用対効果評価制度は主に市場規模が大きい医薬品や医療機器等を対象とし、既存技術と比較して費用対効果を評価する制度ということで、薬価・材料制度と一体となりまして我が国の医薬品・医療機器等の適切な評価を目的に運用しているところでございます。
続きまして、13ページ以降ですが、政府決定等の経緯についてまとめてございます。この費用対効果評価制度が始まる前までが14ページで、15ページが始まった直後における本制度に係る決定事項をおまとめしているものになります。
16ページには、直近の政府の本制度に係る方針をお示ししているところでございます。昨年の大臣折衝におきましては、我が国の費用対効果評価のさらなる活用といったところや、本年度の骨太においては、客観的な検証を踏まえつつ、さらなる活用に向け適切な評価手法、対象範囲や実施体制の検討と併せ、薬価制度上の活用や診療所の活用などの方策を検討するとの方針が示されているところでございます。
17ページに移りまして、本制度の予算は11.5億円で運用しているところでございます。
18ページ以降につきましては、個別の検討事項に移ることになります。
19ページ以降でございますけれども、費用対効果評価専門組織の意見書でありますとか、先月の本部会で各業界団体の代表の方々からいただきました御意見をまとめまして、項目ごとに整理したものをおつけしているところでございます。
20ページでございますけれども、骨太2025年で示されていました客観的な検証につきまして、業界側からいただきました御意見をまとめたものになっております。
21ページは、品目指定の手続という項目での整理。
22ページは、分析方法に関しての事項が続きますけれども、比較対照技術、介護費用の取扱いといった御意見をまとめたところになります。
23ページは、追加的有用性、ICERの不確実性についての御意見のまとめ。
24ページは、リアルワールドデータの活用、医療機器の特性を踏まえた取扱い、分析方法全般についてまとめたものになってございます。
25ページ、価格調整範囲の在り方。
26ページ、価格調整における要件及び配慮といったところでの項目を整理したものになっております。
27ページは、制度の運用について。
28ページは、診療ガイドラインでの活用、分析体制に関わる事項といったことで項目ごとにまとめたものになります。
29ページは、本議論の進め方についてと、全般的な御意見もここで併せてお示ししております。
30ページ以降でございますけれども、「3-2 検証」という各論の項目で、先ほどおまとめしたような検証部分についての御議論をお願いしたいと思いまして、資料をまとめたものになります。
31ページを御覧ください。費用対効果評価におきましては、「現状・課題」の1つ目の○にありますとおり、企業が実施した分析結果を公的分析が科学的妥当性を検証し、その結果を踏まえて費用対効果評価専門組織で中立的な立場から専門的な検討が行われ、策定された総合的評価案が中医協総会で承認されるという運びになります。
2つ目の骨太2025における客観的な検証につきまして、業界からは、3つ目の○に示してありますとおり、第三者の専門家によって実施されるべきといった御意見をいただき、現状と課題をまとめております。
下の「論点」を御覧ください。大きく2つ示しております。客観的な検証として、本部会において、業界意見陳述の内容も踏まえつつ、これまでの費用対効果評価の運用状況の整理を示すことについてどう考えるか。2つ目の○としましては、検証結果を費用対効果評価制度改革の骨子において示すことについてどう考えるかとお出しをしているところでございます。
32ページ以降は、この運用状況の整理としまして、検証に資するような情報をまとめたいということで準備をした資料になっておりまして、この①~⑩までの項目をそれぞれまとめたいということでデータをお出ししているものになってございます。制度導入前後における保険収載の状況であるとか運用状況、過去の評価結果をおまとめしたものになります。
33ページに移ります。医薬品の新規収載数の推移となります。費用対効果評価制度導入後、収載数に大きな変化はありませんでした。
34ページに移ります。C1又はC2として中医協総会で報告され、新規収載となった医療機器の新規収載数の推移となります。こちらも2020年に大きな山がありますけれども、医薬品同様、費用対効果評価制度の導入後に大きな変化はありません。
35ページに移ります。この指定された品目の市場規模でございます。保険収載された際の市場規模予測の分布でありますが、指定された67品目においてまとめたものになります。全体の中央値は年間156億円になります。
36ページに移ります。この評価の実態となりますが、費用対効果の指定された67品目中、評価を終了したものが49品目となります。うち実際に費用対効果分析が行われたものが39品目となりまして、右側に移りますけれども、公的分析による再分析がなかった、つまり企業分析を受け入れた品目が2つ、公的分析による追加分析が実施されたものが4品目となります。また、分析中に効能の追加、あるいは用法・用量の変更があったものがそれぞれ3品目、1品目あります。また、その下に移りますけれども、この評価におきまして、専門組織は1品目当たり3回の開催がされるところ、企業から不服があったものが28回、20品目となります。
もう少し細かい検証という意味では、37ページ以降となります。品目におきまして、この費用対効果においては、適用となる患者が異なるといった場合にはそれぞれ分析対象集団を分類して対応を考えていく、それぞれ対応していくことになります。39品目でございますが、これは、90の分析対象集団で分けられることになりました。1品目当たりの分析対象集団数は平均2.3集団、中央値は2集団となります。
左下の図でございますが、それぞれの分析対象集団ごとの患者割合の分布を示した図となっています。1集団当たりの患者割合は平均45.2%、中央値で35.4%となります。
38ページに移ります。先ほどの90の集団でございますが、それぞれどのICERの区分となったのかをお示ししております。追加的有用性が示されなかったものが、右の上にいきますが、27の集団となります。その下のほうにいきますと、追加的有用性が示されたという形になりますけれども、左側の、配慮が必要な集団には該当しない、いわゆる一般的な集団として38集団、右側には、小児、指定難病、悪性腫瘍など配慮が必要な集団で20集団となります。効果が高く、費用が削減されたという分類のDominant、それからICERが200万円/QALY未満となった集団は合計で10集団となりました。
39ページを御覧ください。費用対効果評価が終了した49の品目の中で価格調整が行われたものが38品目、割合としては78%となります。左側の箱ひげ図でございますが、青が価格調整をしなかった品目を含めた全体、赤が価格調整で引き下げたとなった品目のみをまとめたものになりまして、それぞれの価格調整率の中央値はマイナス3.07%とマイナス4.29%となりました。
飛ばしまして、41ページは価格調整率の分布となります。
42ページは、費用対効果評価によりまして価格調整を行った後の価格で、改めてICERを算出したものになります。その結果、価格調整によってICERの区分が変化したものは1品目となります。
43ページに移ります。追加的有用性についての御説明となります。費用対効果を検討するに当たっては、まず、追加的有用性の有無を評価していくことになります。そこで追加的有用性が示されていれば費用効果分析でございますし、追加的有用性が示されなければ費用最小化分析を行うことになります。今回の検証の中では、先ほど御提示したとおり、27の集団、18品目で追加的有用性が示されておりませんで、この中で6品目では全ての分析対象集団で追加的有用性が示されないという結果でございました。
44ページ、45ページは、これまで提示をいたしました10の項目について文書でまとめたものになります。
46ページでございますけれども、全体のこの部分で対応できなかった個別の事項についてのコメントをお示ししておりまして、ここに示されていない御意見につきましては、別途個別論点において適宜議論ができればと考えております。
事務局からの説明は以上となります。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関して御質問などがありましたら、お願いいたします。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。31ページの論点について意見を述べさせていただきます。
まず、1つ目の○につきまして、費用対効果評価制度は2019年に本格運用が開始され、これまで67品目が指定を受け、39品目の分析が終了したと報告をいただいたところでございます。現状、十分な品目数であるとはまだまだ言えませんので、今後さらに経験値を積み上げていく必要があると考えております。
32ページ以降に検証の概要も示されているところですが、一定の経験は積み重ねられたと考えておりますので、現在の課題を把握し、制度を改善していくためにも、本部会においてこれまでの運用状況を客観的に整理、提示することは必要であると考えております。
今後の在り方について検討するに当たりましては、2年前の当部会で長島委員が指摘したことでもありますが、人材育成の視点も含め、より実用的なものとなるよう、費用対効果評価自体の費用対効果も検討していくべきであると考えております。
そこで事務局への質問となりますが、現在の人材育成状況や費用対効果の費用対効果、例えば対象品目に指定されて価格調整が行われるまでの平均的な期間や平均的な価格調整額などについて把握していることがありましたら、教えていただければと思っております。
次に、2つ目の○についてでございます。制度運用の透明性を高め、改革の方向性を示す上で検証結果を骨子に含めることに異論はございません。今後もイノベーションの推進と医療保険制度の維持を両立するという観点から、バランスの取れた運用をしていくことが何より重要であると考えております。
以上でございます。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ただいま事務局に御質問がございましたけれども、事務局、いかがでしょうか。
○梅木医療技術評価推進室長
事務局でございます。江澤委員からの御質問につきましてお答えをいたします。
まず、人材の関係でございます。現在、費用対効果評価の制度の運用の中で、国立保健医療科学院が調査・研究・分析・人材育成機関という形でされておりまして、まず、このセンターの中の人員でございますが、今年度の4月1日現在、8名の体制で運用をしております。
また、人材育成の観点でありますけれども、令和2年4月から慶應義塾大学公衆衛生大学院におきまして医療経済評価人材育成プログラムというのが開始されております。この中で、昨年度までに97名の方が修了されておりまして、12名の方がこの公的分析の中に加わっているという現状にございます。
さらなる人材育成を図るという観点からは、昨年度、令和6年度から立命館大学での博士課程のプログラムも新設しておりまして、そういったところでの人材育成が図られているということになります。
また、本制度そのものにつきましての費用対効果でございます。予算全体は令和7年度は11.5億円ということでお示ししたところでございますが、こういった運用の中で、年間当たりおおむね10品目の分析を実施してございまして、お示しした押しなべた成績から申し上げますと、精緻な分析ではございませんが、今回、この品目の市場規模の予測としては中央値が156億円/年ある中で、価格調整の割合が中央値としては約3.1%となりますので、1品目の1年間当たりの価格調整というのは、こういったもので計算しますと約4.8億円となります。
こういった中で価格調整がされてきておりますけれども、さらなる運用の改善というところも、引き続き我々としては在り方全体の中で具体的には検討を進めていきたいと考えております。
以上となります。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
江澤委員、よろしいでしょうか。
○江澤委員
はい。詳細な御報告をありがとうございます。また、客観的な検証へ向けて引き続き取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございました。
ほかには御質問等ございますでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員
論点や検証について整理いただきましてありがとうございました。今回整理した内容に沿って個別の論点について今後具体的な議論を進めていければと思いますので、事務局におかれましては、具体的な論点出しとともに、検証結果などを踏まえた方向性案の検討をお願いできればと思います。
また、31ページに示されている検証の進め方の論点についてですが、いずれも示していく方向で異論はありません。
今、江澤委員からもありましたけれども、費用対効果評価制度は試行的導入開始から9年、本格運用開始から6年が経過、45品目の評価が修了し、一定程度の事例が集積されたと思います。そうした中、評価実施時点のデータが限られることや、それにより不確実性を伴う評価となること、データ提出する企業負担の問題、比較対照技術の選定、選定された技術による追加的有用性の有無の変動、価格引上げとなった医薬品がないこと、介護費用の取扱いなど議論が必要な課題があります。第1ステージが終了し、制度の成熟度を上げるために第2ステージに向けて専門の医師や薬剤師などの関係職種や医療経済に関する専門家など、第三者の意見なども踏まえ客観的な検証を進めていくべきと考えます。
私からは以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかにはございますでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
どうもありがとうございます。
費用対効果評価の仕組みにつきましては、今、江澤委員、森委員からもありましたけれども、6ページにありますとおり、2016年度からの3年間の試行的導入を経て、2019年度から本格運用となり、その後も、業界の意見もお聞きしながら、運用の見直しや分析体制の整備を行って現在に至っていると理解しております。当然、不備があれば改善することはやぶさかではございませんけれども、既に公平性や中立性はかなりのレベルで担保されているものと認識しております。したがって、これまでの実績を踏まえまして、今後より積極的に活用する時期に来たということを指摘させていただきます。
また、31ページの論点に示されております客観的な検証につきましては、16ページにございます骨太の方針2025にも記載のとおり、業界の理解を得るためにも否定するものでは全くございません。ただ、今回、33ページ以降に示されておりますデータにつきましては、業界の要望も踏まえました十分に客観的な検証であり、46ページにあるとおり、まだ整理ができていない部分につきましては個別の論点において取り上げるということですので、次回以降、令和8年度の制度改革に向けた議論は前に進めるべきだと考えております。
私からは以上でございます。
○飯塚部会長
御意見ありがとうございます。
引き続きまして、鳥潟委員、お願いできますでしょうか。
○鳥潟委員
検証をまとめていただき、ありがとうございます。また、論点の整理について異論はございません。
総論的な話になりますが、費用対効果評価については、イノベーションへの配慮とともに、国民皆保険の持続可能性確保に加え、保険料を負担している被保険者と事業主にとって納得感のある薬価となるよう、費用対効果評価のさらなる活用に向けて議論を進めていくべきだと考えております。加えて、有用性系加算がない品目の扱いやレケンビの取扱いを踏まえた価格調整範囲の在り方なども、今後検討していく必要があると考えております。
私からは以上です。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかには御意見、御質問等ございますでしょうか。
もしないようでしたら、専門委員から御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。
藤原専門委員、お願いいたします。
○藤原専門委員
発言の機会を賜りましてありがとうございます。
まずは、現行制度の運用状況について迅速に分析をいただきましたこと、それから、スライド46の一番下の四角に記載がありますとおり、業界が提案いたしました検証事項のうち、その他の意見についても個別の論点において議論いただけることにつきまして、感謝を申し上げたいと思います。
その上で、8月6日の業界意見陳述で業界代表より申し上げましたように、制度導入時の目的でもございました単にコストを減らすことが目的ではなく、イノベーションも評価するといった本来の趣旨にかなった状況になっているのかという視点で、現行制度そのものにおける丁寧な検証が必要であると考えております。その際には、スライド31「検証の進め方について」の「現状・課題」の3つ目の○に記載のとおり、業界からは、客観的な検証は、医療経済学者、対象品目の疾患を専門とする臨床医、患者さん、統計学者を含む第三者の専門家によって実施されるべきである等の意見があったとも記載いただいておりますけれども、本日、森委員からも御発言がありましたとおり、客観的な検証の機会を設けていただくことが必要と考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○飯塚部会長
ありがとうございます。
ほかには御質問等ございますでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに質問などもないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしまして、今後、事務局において、本日いただいた御意見も踏まえて御対応いただくようにお願いいたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては追って事務局より連絡をいたします。
それでは、本日の「費用対効果評価専門部会」はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。



