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第31回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和7年9月25日(木) 13:00~15:00
場所
オンラインと対面のハイブリット開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)高用量インフルエンザワクチンについて
- (2)インフルエンザワクチンの接種不適当者について
- (3)HPVワクチンの男性への接種について
- (4)その他
議事
- 議事内容
- ○佐野予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、第31回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催します。
本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開・頭撮り可です。また、前回と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
続きまして、新規委員の就任がございましたので、御報告を申し上げます。本年7月17日付で宮崎義継委員が本委員会の委員に御就任されましたので、御報告いたします。
次に、本日の出欠状況について御報告いたします。現在、委員9名のうち、9名全員に出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、本日は参考人として、岡田賢司福岡看護大学客員教授に御出席いただいております。
○岡田参考人 よろしくお願いします。
○佐野予防接種課課長補佐 本委員会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元の配布資料で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から、番号09の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点等がございましたら事務局までお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(頭撮り終了)
○佐野予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行は鈴木委員長にお願いいたします。
○鈴木委員長 鈴木です。よろしくお願いいたします。本日は久しぶりに霞が関から出席させていただいております。
それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をよろしくお願いいたします。
○佐野予防接種課課長補佐 事務局でございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員・参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、薬事承認等の申請書類への関与、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号09、利益相反関係書類を御覧いただければと思います。
なお、本日は議事内容に関して、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はおりませんので、御報告申し上げます。
また、毎回のお願いで恐縮ですが、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
事務局からは以上になります。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入らせていただきます。本日の議題は3つございます。「高用量インフルエンザワクチンについて」「インフルエンザワクチンの接種不適当者について」「HPVワクチンの男性への接種について」となっています。
まずは、議題1「高用量インフルエンザワクチンについて」、こちらについて事務局から資料1が提出されておりますので、説明のほうをよろしくお願いいたします。
○幕内予防接種課課長補佐 お願いいたします。
まず、資料1-1「高用量インフルエンザワクチンについて」という資料に関しまして御説明いたします。
まず、3ページ目、高用量インフルエンザワクチンにつきまして、これまでの経緯について御説明いたします。
4ページ目を御確認ください。インフルエンザワクチンにつきましては、平成13年の予防接種法改正におきまして、現在のB類疾病相当の二類疾患という形で位置づけられ、高齢者を対象として定期接種化されました。それ以降、標準量不活化ワクチンが用いられてきておりましたが、令和6年12月に高用量インフルエンザワクチンが60歳以上の方を対象として薬事承認されたところでございます。
令和7年2月の第29回ワクチン小委におきまして、評価に必要な知見が一定程度集積しているとおまとめいただいたことを受けまして、「高齢者のインフルエンザワクチン」に係るファクトシートの作成を、国立感染症研究所、現在の国立健康危機管理研究機構に依頼させていただきました。
次のスライドでございます。5ページ目からは高用量インフルエンザワクチンの費用対効果分析に係る知見についてお示しいたします。
6ページ目でございます。まずは、インフルエンザにつきまして一般的な事項についてお示ししております。インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる気道感染でございますが、特に季節性インフルエンザには流行性があり、主に冬場において短期間に感染が拡大し、急速に収束することが知られている疾患でございます。
予防としましては、手洗い、マスク着用等の感染対策や不活化ワクチン等が有効とされております。
7ページ目からは諸外国におけるインフルエンザワクチンの費用対効果について、第29回ワクチン小委でもお示しした資料を改めてお示ししております。御確認ください。
まず、7ページ目のスライドでございますが、本邦では費用対効果分析の判断基準といたしまして、増分費用効果比でございますICERが500万円/QALY、というものを用いておりますが、米国においては3万ドル/QALY未満は費用対効果良好、30万ドル/QALY以上は良好とは言えないといったような基準を設けているところでございます。
この上で、米国CDCにおきましては、65歳以上に対するインフルエンザワクチンのエビデンスに基づく推奨のフレームワークといたしまして、高用量不活化ワクチンの使用を推奨することは、標準量不活化ワクチンと比較して合理的で効果的な資源配分であるという報告をしてございます。
次のスライドを御確認ください。8枚目のスライドでは、カナダにおける報告をお示ししております。65歳以上の方に対するインフルエンザワクチン接種に関するガイダンスにおきまして、標準量のワクチンに対する強化されたワクチン、高用量ワクチンやアジュバント付加ワクチンに限らず、免疫原性が強化されたワクチンでございますが、この費用対効果につきましては、慢性疾患を有する75歳以上において最も費用対効果が良好であるという報告がございます。このように費用対効果分析につきましては、国によって差異を認めているところでございます。
9ページ目を御確認ください。本邦における高用量インフルエンザワクチンの費用対効果分析として、まず、定期接種の対象となってございます65歳以上の集団における費用対効果分析の粗解析を池田委員に依頼いたしました。ワクチン接種なし、標準量ワクチン、高用量ワクチンのそれぞれの方針を実施することによる費用対効果分析を行っていただきました。
表を御覧ください。高用量インフルエンザワクチンにつきましては、非接種との比較においてはICER344.1万円/QALYと、いわゆるICER500万円/QALYを下回ってございました。
また、現在使われております標準量ワクチンと非接種を比べたICERは217.3万円/QALYであるということを鑑みますと、これよりは少しICERの値が高い結果でございました。
また、高用量ワクチンと標準量ワクチンを比較したICERは755.2万円/QALYと、ICER500万円/QALYよりは悪い結果でございました。
解析の詳細に関しましては、この後、池田委員から御説明いただきます。特に、今回の解析におけるワクチン価格は、高用量インフルエンザワクチンであるエフルエルダを製造販売しておりますサノフィ社が、費用対効果分析として公開しております論文で用いております6600円というものを準用してございます。
次、10ページ目でございます。高用量インフルエンザワクチンにつきまして、価格とICERの関係についてグラフでまとめてございます。紺色の線が高用量ワクチンを標準量ワクチンと比較したときのICERの値と高用量ワクチンの価格の関係を示したグラフでございます。先ほどお示ししたとおり、高用量ワクチンを標準量ワクチンと比較したときのICERが755万円/QALYのときの高用量ワクチンの価格は6600円でございました。このICERが500万円/QALYとなるときの高用量ワクチンの価格は約5100円でございました。
また、オレンジ色のグラフは高用量ワクチンを非接種と比較したときのICERの値と高用量ワクチンの価格のグラフでございます。先ほどお示ししましたとおり、高用量ワクチンを非接種と比較したときのICERでございます344万円/QALYのときの高用量ワクチンの価格は6600円でしたが、このICERが標準量ワクチンと非接種を比較したときのICERでございます217万円/QALYとなるときの高用量ワクチンの価格は約3600円でございました。
このグラフから、高用量ワクチンの価格が仮に3600円であれば、現行用いられております標準量ワクチンと非接種と比べたときと同じ程度の費用対効果が期待できると解釈できるところでございます。
次から、池田委員より費用対効果分析の詳細について御説明いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
それでは、資料1-2を御覧ください。こちらの分析でございますが、令和7年度厚生労働科学研究において、今、実施しております研究成果の一部ということになります。
2枚目を御覧ください。今回分析いたしましたモデルの概形でございます。
主な仮定といたしましては、65歳以上の者を対象。ワクチンの効果持続期間は1シーズン、死亡損失は生涯。後遺症は考慮しない。死亡と罹患中のQOLの低下を考慮しております。ワクチンの効果につきましては、基本分析におきましては、インフルエンザを直接的な原因とする罹患及び入院の減少に作用するということでございます。シナリオ分析におきまして、類縁疾患の罹患減少効果というものについても考慮しております。
分析の視点は、保険料費支払者の立場といたしまして、ワクチンの接種費用及び医療費を組み込んでございます。
3ページ目を御覧ください。モデルにおいて使用した罹患率・QOL値のパラメータと、そのデータソースをお示ししております。
インフルエンザの罹患率は年率2.9%としております。インフルエンザ罹患時の外来・救急受診、入院及び入院時の死亡確率につきましては、表1のようなデータを使用しております。インフルエンザの罹患時のQOL値は0.737と置いております。これは死亡がゼロ、完全な健康が1というスケールで0.737という値を使っております。
4ページ目を御覧ください。ワクチンの有効性のパラメータにつきましては、こちらのデータソースにありますデータから引用ということでございます。インフルエンザの罹患、入院、こちらは基本分析で使用しております。インフルエンザ以外の類縁疾患の入院の減少効果につきましては、シナリオ分析で検討しております。
5ページ目を御覧ください。その他のパラメータといたしまして、インフルエンザの治療費、入院治療費は、商用レセプトデータベースの分析の先行研究を使っております。ワクチンの接種費用は、事務局からも御説明ありましたように、高用量ワクチンにつきましては、企業で実施した分析で用いられていたワクチンの価格6600円を使用しております。
それでは、分析の結果ということで、6ページ、基本分析の結果でございます。
ワクチン接種なしという方針と比較いたしまして、現行行われております標準量ワクチン接種では、費用が1人当たり3961円多くかかる。QALYのほうは0.00182、1人当たり改善するということで、ICER、増分費用効果比を計算いたしますと、これは増分の費用を増分の効果で割ったものということになります。217.3万円/QALYという値でございます。
これに対しまして、高用量ワクチン接種のほうに変えますと、費用が余計にかかりますが、QALYのほうは少し増えるということで、現行の標準量ワクチン接種に対しての高用量ワクチン接種をした場合の増分費用効果比というのは、右下に書いてあります755.2万円/QALYということになります。一方、非接種、ワクチン接種なしの場合に比べた高用量ワクチン接種をした場合の増分費用効果比は344.1万円という値となります。
したがいまして、下のほうに書いてございます。現行の標準量ワクチンを接種する現在の定期接種プログラムは、非接種と比べまして費用対効果の点で優れるというふうに、この数字から判断できるところです。
一方、高用量ワクチンを接種するという方針は、非接種と比較しますと344.1万円という値ですので、費用対効果が一般的に良好と考えられる水準でございますが、現行の標準量ワクチンとの比較で見ますと、ICERの値は755.2万円/QALYとなりますので、費用対効果の点からは検討を要するというような結果となっております。
次、7ページ目を御覧ください。今、御説明しました3つの方針につきまして、縦軸に費用、横軸にQALY(質調整生存年)を取りましてプロットしたものでございます。標準量ワクチンに比べて、高用量ワクチンのところは矢印が右上のほうに少し傾斜がついております。これがいわゆるICERの値、500万円の基準をちょっと上回っていると、費用対効果の点で課題があるというような結果を示しております。
次に8ページ目でございますが、こちらは事務局のほうから御説明あったとおりでございまして、高用量ワクチンの価格を一定の範囲で動かしたときに結果に与える影響を見たものでございまして、高用量ワクチンの価格が下がれば、費用対効果として、より良好な値、ICERの値としてはより小さい値になるというようなことを示しております。
次に9ページ目でございますが、こちらはシナリオ分析。パラメータや仮定を一部変えたときに、結果にどのような影響を与えるかということを分析したものになります。
類縁疾患として肺炎を組み込んだ場合、それ以外の呼吸器疾患も組み込んだ場合、あるいは循環器疾患も組み込んだ場合ということで実施しております。こちらで数字がdominantと書いてございますのは、QALYは改善するけれども、費用としては下がるということで、あえて計算すればマイナスの値が出てくるような状況でございます。これがdominantという言葉の意味になります。
死亡損失を生涯ではなく1年分のみ考慮するということで計算いたしますと、死亡損失をちょっと小さめに見積もるということをいたしますと、費用対効果の値は悪化する、ICERの値は大きくなるということになります。
罹患時のQOLの値を変化させた場合ですが、結果は少し改善するということになります。
一番最後の行でございますが、インフルエンザの罹患率、これは先行研究を7.2%でやっておりましたので、その7.2%の値を入れますと、先行研究とほぼ同様のICERの値が算出されることになります。
したがいまして、今回の分析において、先行研究と値が異なってくる一番大きな要因というのは、インフルエンザの罹患率を今、我々の分析では2.9%と言っているというところで、結果のほうに影響が一番大きく出ているというふうに、このシナリオ分析からは見てとれるところでございます。
最後に、10枚目でございます。
今回の分析における限界と留意点ですが、1つは有効性の評価におきまして、本邦で用いられている標準量のインフルエンザワクチンは、高用量インフルエンザワクチンの比較における有効性の評価に関するエビデンスが十分でないということでございます。既報告で得られた標準量インフルエンザワクチンに関するエビデンスを外挿しております。
2つ目としては、インフルエンザワクチンの有効性の評価の点でございます。類縁疾患やそれ以外の呼吸器疾患、循環器疾患などの合併症抑制のデータは、データとしては存在しているわけですけれども、今回の基本分析では考慮しておりません。基本分析では、ワクチンによるインフルエンザそのものの罹患減少及び入院減少のみを考慮しております。仮にこうした類縁疾患等の合併症の抑制効果を入れた場合には、9枚目のシナリオ分析にございましたように、高用量インフルエンザワクチンの費用対効果の値、並びに標準量インフルエンザワクチンにつきましても、費用対効果がそれぞれ改善する可能性があるというようなことでございます。
以上となります。
○鈴木委員長 池田委員、ありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局から資料の説明をよろしくお願いいたします。
○幕内予防接種課課長補佐 お願いいたします。
それでは、13ページ目のスライドを御確認ください。今後の方針につきまして、事務局案を提示させていただきます。
論点といたしまして、今回の費用対効果分析の粗解析の結果を踏まえまして、高用量インフルエンザワクチンに関する今後の議論といたしまして、現在、作成を依頼してございます、高齢者に対するインフルエンザワクチンに係るファクトシートの内容に基づきました年齢階層別の分析等を踏まえまして、さらに議論を深めていくことはどうかと示させていただいてございます。
次のスライド以降は、参考資料として、諸外国の導入状況や、高用量インフルエンザワクチンの有効性・安全性等のスライドとして、第29回ワクチン小委で用いました資料を掲示してございます。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明、それから池田委員からの御説明につきまして、委員、参考人の先生方から御質問あるいは御意見いただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ、挙手していただければ結構です。
それでは、大藤委員、よろしくお願いいたします。
○大藤委員 御説明いただき、ありがとうございます。
2点お伺いしたいのですけれども、今回、粗解析ということで、65歳以上の高齢者を対象とした費用対効果分析の結果を見せていただいたのですけれども、定期接種の対象者の中に60~64歳のハイリスク者も含まれていると思うので、今後、そういった60~64歳のハイリスク者に対しての分析についても結果が分かるといいなと思っていたところであります。
2点目としては、最近、60歳以上の方とかでも働いている方もある程度いらっしゃると思うのですけれども、そういうときに生産性損失とか介護費用といったものも費用対効果分析の中に含めたほうがいいのかどうか、池田先生にお伺いしたいです。ありがとうございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
では、まず、続けて宮崎委員、よろしくお願いいたします。
○宮崎委員 ありがとうございます。
私も費用対効果を計算する上での要因等についてお伺いしたいことがあったので、質問させていただきます。
1つは効果という点で、実際の臨床の現場の皆さん、感じられるのは、多分、循環器疾患とか呼吸器疾患を持っている患者さんに対する有効性ということが気になる点の一つではないかと思います。そういった意味で、今回、分析には入っていないとおっしゃったように聞こえたのですけれども、そういった循環器疾患を持っている方への影響も評価いただけると、大分違った結果になるのではないかなと思いましたので、そのような解析が可能なのかということを1点、お伺いいたします。
あと、実際に新型コロナ感染症のときのことを考えますと、先ほどもお話が出ましたけれども、生産性損失などを考えていくというのが今後の方針かなと思いますので、生産性損失なども含めたシミュレーションが今後期待されるところかなと思いましたので、そういうことも可能なのかを教えていただければと思いました。
以上となります。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
それでは、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 御説明ありがとうございました。
池田委員が計算してくださって、よく分かったのですけれども、感度分析のところで、例えば罹患率を現行に近いものにした場合とか、あるいは疾患についてもアウトカムに含めることでICERも改善するということは分かったのですけれども、65歳以上全員について計算してくださっているのかなと思いましたので、予算がたくさんあって、全ての人に接種できれば一番いいのですけれども、その辺りも含めて、少し年齢階層なども含めて検討していく必要があるのかなというのを1つ思いました。
それから、次のHPVのところで解析の立場というのがたくさん出てきますけれども、WHOのガイドライン、鈴木先生に紹介していただいたものをざっと目を通した感じでは、社会的立場についても検討するということが書かれているように思ったので、その辺り、社会的立場についてどのように考えていくかというところも検討しなければいけないのかなと思いました。生産性損失を考えたときに、高齢者の生産性というのはそんなに社会に対して大きくないと思うのですけれども、その介護をする人だったり、家族だったり、そういうものをどうやって評価していくのかというのも課題なのかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
では、一旦、ここで区切らせていただきまして、池田先生に質問が幾つかあったと思いますが、もしお答えいただければよろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。もし不足がありましたら、事務局あるいはまた御専門の先生のほうから追加いただけると思います。
まず、御質問いただいた点でございますが、今回の分析におきまして、類縁疾患等の効果というものは基本分析で入れておらず、シナリオ分析のほうで考慮したという形で分析しているところでございますが、実は、これは2月21日の小委員会のときだったと思います。企業のほうからワクチンの有効性について御提示されたデータにおきましても、高用量ワクチンの様々な類縁疾患等での入院の低減の効果というのは、あくまでも探索的な解析ということでお示しいただいているところでございますし、企業主体で行った先行研究におきましても、そちらの基本分析には含めていないというようなところでございました。
そこで、こうした類縁疾患等に対するワクチンの有効性に関しましては、今回は基本分析では外してございますが、今後、ファクトシート等でこれらの値、効果というものが世界的にも確立している。特に、日本人、アジア人でもそういったことがほぼ確定的ということがあれば、それを含めた分析というものを、また改めて詳細に行いたいと考えております。
60歳以上65歳未満のハイリスク者に対する解析につきましては、今回、対象人口も少なく、疾病期間に係るデータも不十分でございまして、仮に解析を行ったとしても、相当幅を持った推計、不確実性の大きい結果となる可能性があるところでございますが、今後、ファクトシート等の記載内容も踏まえながら、可能であれば解析をぜひ追加したいと考えております。
あと、年齢ごとのサブグループの解析につきましては、今後、取り組んでいきたいと思います。
あと、生産性損失を入れる、つまり、社会の立場での分析というものの必要性についての御意見もありまして、まさにそのとおりだというふうに思っているところでございます。今回の場合は、主に高齢者を対象としたワクチンということでございますので、生産性損失の部分についての影響はそんなに大きいものではないかもしれませんが、必要があれば、もちろんそういったことの解析は可能です。
ただ、後ほどのHPVのところで、そのことについては、またいろいろ意見交換できればと思っておりますけれども、生産性損失を入れるという場合、つまり、病気のために仕事を休んだとか、親や子供の介護のために仕事を休んだというのが非常に短期的な数日のことでありますと、その分はほかの人が代わりに補ったり、別の日に出勤して、その仕事ができて、社会の生産性損失は実際的にはあまり変わらないのではないかという意見が一方であったりいたします。
また、長期的に病気の方が仕事を休んで、あるいは辞めてしまうというような効果については、多分、代わりの人が雇われて、社会としての生産性、全体としての生産性は大きく落ちないのではないかといった意見もありまして、それに対応するための摩擦費用法という方法も開発されております。これは例えば私が明日死んだ場合に、私のような人を代わりに雇う、そして教育するコストの分だけを入れるということで、オランダなどでそういう考え方が提案されているところですが、それも仕事によって違うので、私のような者だったら代わりがすぐに見つかるかもしれないけれども、そうじゃない場合もあるかもしれない。
ですので、そういう摩擦費用法の計算というのも理論的には非常に理想的なのですが、実際上、やるとなると結構大変で、生産性損失を考慮というときには、いろいろなそういった点も勘案しながら、よりよい方法を日本で考えていく必要があるというふうに考えております。
以上です。
○鈴木委員長 池田先生、どうもありがとうございました。
引き続き、先生方から御意見いかがでしょうか。
先ほど菅沼委員からお手が挙がっていたと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○菅沼委員 よろしくお願いいたします。
池田先生、御説明ありがとうございました。
先ほど宮崎委員もお話がありましたけれども、臨床で見ると、どうしても基礎疾患の悪化とか、呼吸器疾患、循環器疾患の悪化といったところが負担というか、そういうものが非常に問題になってくるかなと思います。議論の中においては、この研究とまた別に、資料という形でもいいかもしれませんけれども、研究の結果等があれば議論の参考になるかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
氏家委員。
○氏家委員 ありがとうございます。
2点コメントしたいと思います。
まず、ワクチンの価格に関しての設定ですけれども、もともとの論文を参考にされているということで、高所得国での価格状況に鑑みると、この設定自体は妥当な範囲なのかなというふうに考えています。
また、価格に関して制度化した際の公的な介入としては、3割負担のB類疾病がインフルエンザで適用されていますので、そういった観点では、制度化に関するハードルに関しては、通常のA類疾病のワクチンと比べると、その価格差というところの影響が少なくなる。つまり、よいワクチンを7割自己負担を払って受けるという選択肢になるということですので、今回の評価自体はワクチン価格そのものでの評価設定をしているところと思いますが、そういう観点では、制度化に関する議論に関しては、ある程度影響が和らぐのではないかと思います。
また、費用対効果に大きな影響を与えた要因として、罹患率の設定が大きかったということを池田先生から御説明いただいたと思います。罹患率自体はシーズンによってもかなり異なりますので、例えば昨年度、一昨年度、COVIDが終わってからの流行というものは、通常は1月とかに流行のピークが見られるところですが、COVIDのパンデミック後は年内でのピークが見られるということで、そのピーク値も非常に高いというような特徴がありますし、COVIDパンデミック中は罹患率が非常に低く抑えられたというようなところもありますので、一概に罹患率というのを特定の数字で表すことが難しいだろうというところは指摘しておきたいと思います。
ですので、事務局からの御質問である、詳細な費用対効果の評価をすることについては、全く異論ないところではありますが、あくまで費用対効果というのは、参考としての指標であるということについてコメントさせていただきたいと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
引き続き、いかがでしょうか。
これまでの御意見に絡めて、私から池田委員に質問させていただきたいと思います。
確認ですけれども、今回、先生に御提示いただいた資料の7ページ、その前の6ページですけれども、一般のワクチン接種なしに比べたときの標準用量のICER、ワクチン接種なしに比べたときの高用量ワクチンのICER、あるいは標準量と比べたときの高用量、この3つの数字が出てきているわけですけれども、この費用対効果分析の結果を解釈するときに、基本として接種なしに対するICERを見るべきなのか、現行の標準量に比べてのICERを見るべきなのか、この辺り、医療経済学的な解釈として、どのように解釈すればよいのか、ちょっと解説いただいてもよろしいでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
一般的には、現行の方法に比べて、あるいは標準的なやり方に対して、新しいものがどうなのかというのを増分の費用と増分の効果で見ていくことになりますので、今回の場合には標準量に比べて高用量のICERはどうなのかということで通常は見るわけでございますが、最近、例えば標準的なやり方とかが、費用対効果が悪いと非常に割高だ。現行が割高で、それと比べて費用対効果がいいから入れましょうというのもおかしいのではないかというような考え方がある。
あとは、これはいわゆる効率性フロンティアという考え方なのですが、現行のICERの値、今で言えば217.3万円。これを基準にして新しい技術の費用対効果の閾値も考えたらどうだというような提案もございまして、一概にどの数字を見て機械的にこの判断をするということなく、まさにこれは他のいろいろな方針なども併せて見ながら、総合的に判断していくというようなことになろうかと思います。
以上です。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
ただ、いろいろな見方はあるけれども、基本的には6ページの太線で囲んでもらっている、現行の標準量に比べて高用量を導入した場合にはどうかというところが、まずは見るべきところなのかというふうに理解したところです。
原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 池田委員にちょっと質問させていただきたいのですけれども、現行の標準用量が全部高用量に変わった場合の試算ということかと思うのですけれども、例えば両方使えるといった場合に個人がどういうふうに選ぶか分かりませんけれども、少し手出しのお金が違ったりすると安い標準用量のほうを使いますということが出てきたとすると、こういう両方が混在する場合はどういうふうに見ていけばよろしいのでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
一番単純に見る方法としては、7ページのグラフで標準量ワクチンと書いてあるところと高用量ワクチンというところ、これが例えば半々で行われたとしたら、ちょうどその真ん中のところに費用と効果の期待値というか、点が来ると、この線上を動くというふうに基本的には考えていただければいいと思います。
ただ、実際には、中には打たない方もいたりということで、接種率もありますので、最終的には一定の接種率あるいは接種割合を考えた上で計算するのが現実的かと思います。
以上です。
○原委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 そのほか、いかがでしょうか。
もうちょっと時間もあるので、追加で私から質問です。先ほど氏家委員から、B類の場合は国の負担は3割で、自治体がさらにカバーした上で残りは個人負担になるわけですが、そういったことは費用対効果分析、公的医療の立場では考慮しないという理解でよろしいでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
一般には、接種を受ける方や患者さんの自己負担分も含めて、コストを費用として含めるというやり方となります。例えば、日本でも一般的な保険診療におきましても患者さんごとに自己負担率は違うので、そのたびに計算は現実的には変えられませんし、アメリカのように様々な保険を持ったような方ですと、一律に自己負担の金額も決められませんので、そういった技術的な問題からも、いわゆる公的医療の立場といったような場合には、患者さん、あるいは接種を受ける方の本人負担分も含めて費用として計算に入れるということが一般的な方法というふうに理解しております。
以上です。
○鈴木委員長 分かりました。ということは、あくまで予防接種プログラムとして、費用対効果がある一定の閾値を参照して優れているかどうかということを評価し、その上で、そのコストをどれだけ国が負担し、どれだけ個人が負担するのかというのは、また別の議論であるといった理解でよろしいでしょうか。
○池田委員 今、御説明のとおりでございまして、費用対効果が幾らいいものであっても、御本人の負担が多ければ、それはWTP(支払意思額)ということになりますが、それを上回るようであれば接種が進まないということが起きてきますので、費用対効果のよいもの、いわゆる社会としてバリュー、価値のあるものの接種をいかに進めるかということでの負担額というものは考えていく必要があると思います。
○鈴木委員長 分かりました。ありがとうございます。
そのほか御質問あるいは御意見ございますでしょうか。
あるいは、事務局から、これまでのやり取りを踏まえて、何かコメントなどございますでしょうか。
○幕内予防接種課課長補佐 事務局でございます。
活発な御議論ありがとうございます。
承りました議論の中で出てきました御検討意見、例えば類縁疾患に対する分析等に関しましては、また池田委員とも相談させていただきまして、今後、どのような形でご提示できるか考えてまいりたいと思います。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、特によろしいですか。
それでは、高用量インフルエンザワクチンにつきましては、今日いただきました御意見、やり取りを踏まえまして、引き続き費用対効果について、さらなる分析を事務局も交えつつ、池田先生のほうでどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移りたいと思います。議題2「インフルエンザワクチンの接種不適当者について」です。事務局から資料2について説明をよろしくお願いいたします。
○幕内予防接種課課長補佐 よろしくお願いいたします。
資料2「インフルエンザワクチンの接種不適当者について」という資料に関しまして御説明いたします。
では、スライド2枚目でございます。インフルエンザワクチンの接種不適当者に関する規定について、まず、現況をお示ししております。
現在、予防接種におきましては、インフルエンザ以外のワクチンにおいては、接種から2日以内に発熱の見られた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方におきましては、定期接種実施要領に基づきまして、以降の接種においては、予防接種の判断を行うに際して注意を要する方として取り扱われてございます。
特に、インフルエンザワクチンに関しましては、平成13年の定期接種化以降、安全性を慎重に担保するという観点から、接種から2日以内に発熱の見られた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方については、以降の接種については接種不適当者とするという規定が平成17年より定められてございます。
現状におきましても、この規定は定期接種実施要領に記載されてございます。
一方で、インフルエンザワクチンの添付文書におきまして、このような方は接種要注意者とされるにとどまってございまして、その点の違いが生じているところでございます。
今回の議論といたしまして、記載のとおりでございますが、このインフルエンザワクチン接種から2日以内に発熱が見られた方及び全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある方を、以降のインフルエンザワクチン接種における接種不適当者とするとした定期接種実施要領の規定について御議論を行っていただければと存じます。
なお、ワクチン接種後にアナフィラキシーを呈したことがある方は、別途、予防接種法施行規則において接種不適当者と規定されておりますため、今回の中にございますアレルギーというところには含まれないものと御理解いただければと存じます。
次、3ページ目でございます。インフルエンザワクチン接種から2日以内に発熱の見られた方及び全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある方に関する知見をまとめてございます。
大きく3つの評価を行ってございます。
まず、健康状況調査に基づく評価でございます。方法といたしまして、令和2年から5年度の4年間に、健康状況調査として接種後の健康状況の報告を収集いたしました方を評価いたしました。3862例のインフルエンザワクチン接種後の健康状況に関する報告のうち、接種2日以内の発熱またはアレルギーを疑う症状に係る報告を分析したところ、接種から2日以内の発熱は22例で認めておりまして、また、アレルギーを疑う症状は6例で認めてございました。この中、受診につながった方は1例のみ、アレルギーの方でいらっしゃいました。入院につながるような方はいらっしゃいませんでした。
次に、副反応疑い報告に基づく評価を行いました。方法といたしまして、平成27年から令和6年の10年間におきますインフルエンザワクチンに係る副反応疑い報告のうち、接種後2日以内に発熱またはアレルギーを疑う症状に関する報告を抽出いたしました。なお、この期間のインフルエンザワクチンの接種回数に関しましては、一番下に※書きで記載してございますけれども、企業の出荷本数から推計すると、約5.8億回とのことでございました。
結果といたしまして、接種後2日以内の発熱は、企業報告131例、医療機関報告221例ございました。接種後2日以内のアレルギーを疑う症状は、企業報告258例、医療機関報告581例でございました。
これらを踏まえまして、平成27年から令和6年の間にインフルエンザワクチンを接種した後に副反応疑い報告があった事例のうち、過去、インフルエンザワクチン接種後2日以内に発熱または全身性発疹等のアレルギーを疑うような症状を呈したことがある方を、企業が医療機関から収集した情報に基づいて分析いたしました。
結果、過去のインフルエンザワクチン接種から2日以内に発熱を呈し、過去にインフルエンザワクチン接種後に副反応疑い報告があった方は19例いらっしゃいまして、そのうち7例が重篤として報告されたものでございました。また、過去のインフルエンザワクチン接種から2日以内にアレルギーを疑う症状を呈し、以降のインフルエンザワクチン接種後に副反応疑い報告があった方は16例いらっしゃり、そのうち重篤と報告された例が3例ございました。
これらの重篤と報告された合計10例の経過の詳細に関しましては、5ページ目のスライドに参考としてお示ししてございますが、これら10例の重篤とされた報告の9例は、治療等によって軽快してございました。1例は評価が不能というふうに判断してございます。
引き続きまして、4ページ目でございます。定期接種実施要領におけます、インフルエンザワクチン接種後2日以内に発熱の見られた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方を接種不適当者とする規定に関しまして、科学的知見の有無も含めて、これからどのように考えていくかについて御議論いただければと存じます。
また、仮にこの規定については廃止し、インフルエンザワクチンもほかのワクチン同様、接種後2日以内に発熱が見られた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方は、接種に際して注意をする方として、同じような並びを取るのが適当というふうなお考えの場合であれば、副反応の観点から、この規定に関しましては、予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会においても意見を聞くこととしてはどうかというふうに考えてございます。この点に関しても御意見いただければと思います。
以上、何とぞよろしくお願い申し上げます。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御意見あるいは御質問、よろしくお願いいたします。
氏家委員。
○氏家委員 この案件について、過去の審議会で私が事務局のほうにお願いさせていただいた検討について取り上げていただき、感謝申し上げます。
まず、インフルエンザの特別な規定の背景からひもといてみますと、最初の資料1ページにもありましたように、小児での定期接種が1994年に中止されて、これを再度、高齢者に対して、個人の予防の観点から2001年に復活させる際にできた規定であるというふうに理解しています。この際、一度中止した定期接種を、個人の予防の観点で再開するに当たって、非常に慎重な対応が取られたというような背景情報があるのではないかというふうに思います。
インフルエンザのワクチンがほかのワクチンと比べて、発熱した際の再接種の際に重篤な副反応が起こりやすいのかどうかということが1つの論点になるかと思いますが、事務局が提示していただきましたように、インフルエンザだからといって、一度、接種後の発熱、これは免疫原性の副反応ということになると思いますけれども、発熱を認めた方であっても、毎年接種を行う対象になるワクチンですので、その後、ずっと不適当になるというのは非常に厳しい規定であるというふうに考えられます。そういった意味では、副反応部会でも御検討いただいて、ほかのワクチンと同様の規定にしていただくということが現状は望ましいのではないかというふうに考える次第です。
私から以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、どうもありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、まず、原委員からよろしくお願いいたします。
○原委員 御説明ありがとうございました。
インフルエンザのワクチンを他のワクチンと同等の基準にするかということかと思うのですけれども、その中で、3ページ目の企業報告の部分で、5.8億回で副反応疑いが19例(重篤例が7例)という値が、ほかのワクチンでもこの程度だったのかというのは確認できるのでしょうかというのが1点と。
あと、そのもう一個上の副反応疑い報告に基づく評価の部分の死亡例の記載がありますけれども、そちらについては、因果関係なしとか、そういった情報があるのかについて確認したいと思いました。お願いします。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
ほか、よろしいですか。
私から指名して失礼ですが、森野委員が2時から退席されると伺っておりますが、もし御意見あるようでしたら、今のうちによろしくお願いいたします。
○森野委員 ありがとうございます。失礼いたします。
御説明ありがとうございました。私も、今回の接種不適当者として、インフルエンザワクチンの接種後に発熱された方が接種不適当者と設定されている状況下において、これまでその方がその後接種した場合のデータというものの集積がなかなか難しかったものであろうと推察するところであります。ただ、先ほど氏家委員も言及してくださっていましたように、ワクチンの接種後に生じる機序として、接種後2日以内の発熱というのは、比較的一般的に想定される免疫応答の一部ということで、いずれのワクチンでも発生し得る事象ではあり、その他の随伴症状や経過、あるいは発熱の程度などを加味することなく、発熱のみを理由に接種不適当者として予防の機会を一律に失うというのは、厳格な規定という面もあるように感じるところであります。
その点に関しては、添付文書の規定の範囲内で、ほかのワクチンと同様に接種要注意者という対応を取るという選択肢は選び得るのではないかというふうに考えるところです。その際には、御本人への接種後の対応についての個別の情報提供、あるいは接種実施を開始した際には、予防接種後健康状況調査等での発熱頻度の把握等々、併せて慎重な評価を行うことで、より安心して情報還元というものにつなげられると、なおよいのではないかというふうに考えるところです。
すみません、長くなりました。以上です。
○鈴木委員長 森野委員、どうもありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
宮崎委員、よろしくお願いいたします。
○宮崎委員 ありがとうございます。
安全性の観点から接種不適当者ということが定められていると思いますけれども、今までほかの委員が議論されたとおりで、恐らく発熱というのは、そのワクチンの有効性の指標にもなるのではないかと思うぐらいの生体反応だと思われます。したがって、アナフィラキシーはまた別途考えるということであれば、接種不適当者ではなくて、ほかのワクチンと同様に接種の機会を与えるといいますか、接種の機会を設けるほうが適当なのだろうと、そのように感じました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
もしよろしければ、事務局から先ほどの原委員からの御質問に何かコメントありますでしょうか。
○幕内予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
御質問いただきました件に関しまして、まず、ほかのワクチンとの比較という観点においては、今、手元に具体的な数字というのを持っているわけではございません。他方、分母が5.8億回というところでございますので、割合としてはかなり少ないと認識しており、また、ほかのワクチンと比べて著しく高いものであるという認識は現時点ではございません。
また、もう一ついただいておりました因果関係に関する御質問でございます。今回の副反応疑い報告に関しましては、全ての症例の報告書というのを我々のほうで拝見させてもらっているところでございます。その報告の中にもございますが、ワクチンとの因果関係に関して、報告者が評価する項目がございますけれども、そこに関して特別集計を取っているわけではございませんが、各報告において我々のほうでも承知しているところでございます。
以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
ただいまの事務局の説明に関して、原委員からいかがでしょうか。
○原委員 ほかのものに比べて著しく高いとか、そういうわけでなさそうであれば、同じように注意に当たる対象者としてよいのかなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
いずれにしましても、定期接種実施要領においては、予防接種後、発熱あるいはアレルギーを疑う症状を呈したことがある者については、注意を要する者ということになるわけで、インフルエンザワクチンだけ接種不適当者とする理由が現状あるのかどうかということだと理解しております。おおおね、ここまでいただいた委員からの御意見では、そういった規定を維持する強い根拠はないのではないかといった御意見のように伺いました。そのような理解で特に強い反論はないでしょうか。大丈夫そうでしょうか。
一応確認させていただきますけれども、それでは、定期接種実施要領における接種不適当者に係る規定につきまして、現時点での科学的知見に基づくと、これを積極的に維持すべきという御意見は委員の間ではなかったというふうに判断いたします。当委員会としては、当該規定は廃止するという方向で、今後さらなる検討を進めていただくという方向でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○鈴木委員長 皆さん、御首肯いただいたかと思います。それでは、ただいまの意見を踏まえて、事務局のほうでは、引き続き予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会等でも御意見をいただいて、検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、議題3に移らせていただきます。資料3が提出されておりますので、まずは事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○竹内予防接種課主査 委員長、ありがとうございます。
事務局より資料3-1「HPVワクチンの男性への接種について」を御説明いたします。資料3-1を御覧ください。
おめくりいただきまして、2ページを御覧ください。今回の議題はHPVワクチンの男性への接種についてであり、これまでの経緯、薬事承認状況についてをお示しした上で、HPVワクチンの男性接種に係る検討課題について、最後にまとめと議論を進めてまいりたいと思います。
続きまして、5ページを御覧ください。5ページ目ではHPVワクチンの男性接種に係る直近の状況についておまとめしております。令和7年7月の本委員会において、HPVワクチンの男性接種の定期接種化の検討を進めるに当たり、接種回数、予防する対象疾病及び安全性については、引き続き最新のエビデンスを広く収集・評価に努めつつ、現時点では薬事承認が得られている範囲を議論の対象とすることについて了承いただいたところでございます。その後、先月、9価HPVワクチンの前駆病変を含む肛門がん、そして尖圭コンジローマの予防に対する適応拡大が薬事承認されたところでございます。
続きまして、6ページを御覧ください。6ページ目ではHPVワクチンの男性接種に係る薬事承認状況として、2価、4価、9価のHPVワクチンについて、それぞれ効能又は効果、用法及び用量、薬事承認の状況等をお示しし、男性への効能又は効果、用法及び用量については下線、特に先ほど御紹介いたしました9価HPVワクチンの状況を赤字でお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
続きまして、7ページ以降のHPVワクチンの男性接種に係る検討課題について御説明してまいります。
8ページを御覧ください。8ページ目ではHPVワクチンの男性接種に係る検討課題について整理してございまして、四角枠囲みの中に表として、有効性、安全性、費用対効果のそれぞれについて、定期接種化の評価及び検討に係るこれまでの対応をお示ししております。
続きまして、9ページを御覧ください。9ページ目には前回の本委員会における御議論のおまとめとしまして、8ページ目でお示しさせていただきました、HPVワクチンの男性接種に係る検討課題のうち、有効性及び安全性について御議論いただいた結果についてお示ししているところでございます。前回の本委員会におきましては、HPVワクチンの男性接種の定期接種化に係る議論の進め方については、接種回数、予防する対象疾病及び安全性について、引き続き最新のエビデンスを広く収集・評価に努めつつ、現時点では薬事承認が得られている範囲を議論の対象とするとし、HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果等については、事務局より最新のエビデンスを提示しつつ、引き続き御議論いただくこととするとおまとめいただいたところです。
これらを踏まえまして、10ページ以降のHPVワクチンの男性接種に係る検討課題について御説明してまいります。まずは、HPVワクチンの男性接種に係る分析の立場について御説明させていただきます。
11ページ目を御覧ください。11ページ目では予防接種の費用対効果の評価に関する研究ガイドラインにおける分析の立場の記載についてとして、2017年3月に作成されました、予防接種の費用対効果の評価に関する研究ガイドラインから、予防接種の費用対効果分析を実施する際の分析の立場についての記載を引用しております。
上の枠囲みに記載されておりますとおり、本ガイドラインにおいては、2.2.におきまして、分析の立場は、費用や比較対照、対象集団などについて、公的医療保険制度の範囲及び、それに準ずる医療技術(検診やワクチン等)を含めた「公的医療の立場」を基本とすると記載されつつも、2.3.において、ワクチンの導入が被接種者本人や家族等の生産性に直接の影響を与える場合には、生産性損失を費用に含めるなど、より広範な費用を考慮するいわゆる「社会の立場」からの分析を併せて行うとされているところでございます。
なお、下の※印に記載させていただいておりますとおり、「公的医療の立場」からの検討であっても、HPVワクチンの男性接種による女性に対する予防効果に伴う、医療費削減効果や女性が得られる質調整生存年(QALY)等についても併せて見込むことが可能でございます。
続きまして、12ページをお願いいたします。12ページ目では、予防接種の費用対効果の評価に関する研究ガイドラインにおける生産性損失の取扱いについてとして、先ほど御紹介させていただきましたガイドラインにおいて、より広範な費用を考慮するいわゆる「社会の立場」からの分析を行う場合における、生産性損失の取扱いについての記載を引用してございますので、適宜御参照いただけますと幸いです。
続きまして、13ページ目を御覧ください。13ページ目では、HPVワクチンに係る予防接種の費用対効果の評価における分析の立場についてとして、これまで実施してきたHPVワクチンに係る予防接種の費用対効果の評価については、全て「公的医療の立場」から分析を行っていることについてお示ししております。
14ページ目以降では、本日のもう一つの検討課題でございます、HPVワクチンの男性接種の費用対効果分析におけるモデリングについて御説明してまいります。
15ページを御覧ください。15ページ目では、HPVワクチンの男性接種の費用対効果分析におけるモデリングについてのこれまでの経緯といたしまして、過去にHPVワクチンの男性接種に係る費用対効果について分析いただいた、ヒトパピローマウイルスワクチンファクトシート追補版におきまして実施いただいた文献レビューにおいて、接種者本人以外の罹患減少効果を考慮できるダイナミックモデルが多く採用されていたとのことでございました。
しかし、ダイナミックモデルを構築するために必要な十分な国内データがなかったため、マルコフモデルと女性接種に関する評価モデルを用いてHPVワクチンの男性接種の費用対効果分析を行っていただいたところでございます。
16ページ目及び17ページ目において、参考といたしまして、HPVワクチンの製造販売業者の職員が実施いたしました、4価HPVワクチンの男性接種を導入した場合、及び9価HPVワクチンの男性接種を導入した場合の費用対効果の報告について御紹介してございます。
また、今回、HPVワクチンの男性接種の費用対効果に係る論点について、池田委員より御発表をお願いしてございますので、池田委員から御説明をいただく形でもよろしいでしょうか。
○鈴木委員長 それでは、池田委員、よろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。
それでは、資料3-2を御覧ください。「HPVワクチンの男性接種の費用対効果に係る論点」ということで、2点、本日御検討いただければと思います。
2ページ目を御覧ください。
まず、令和6年度の我々の研究班の研究成果を踏まえた、予防接種の費用対効果の評価における分析の立場及び生産性損失の取扱いの課題についてということでございます。この課題につきましては、このHPVワクチンに限ったものでは必ずしもないわけでございますけれども、HPVに係る疾患は、男女ともに就労率の高い世代と発症のピークがちょうど重なっておりますので、いわゆる就労の損失といった点も非常に大きいというふうに考えられるところでございます。そこで、まずはこの点についての御説明をさせていただければと思います。
4ページを御覧ください。我々の研究班では、医薬品及びワクチンの費用対効果評価、これは世界各国で行われているところでございますが、欧米の主要国及びWHOが発行しております経済評価のガイドラインを対象としてレビューを行っております。このガイドラインの中で、分析の立場、費用の範囲や算出方法、公的介護費・生産性損失といった費用の取扱いについて、どのように規定しているかということについて整理を行っております。この中の一部を今回御紹介したいと思います。
5ページを御覧ください。研究結果として、一般的な経済評価のガイドラインが8件、ワクチンに関連するガイドライン9件ということで、計17件の経済評価のガイドライン文書を収集して、内容についての詳細を把握したところでございます。おおむね共通する項目も多かったのですが、今回御説明させていただく分析の立場、費用項目の範囲、あるいは割引率の設定、あるいはワクチン評価における特殊事項というところについては、様々な各国での考え方の違いがございました。
6ページ目、分析の立場。これがどういう立場で分析するか、経済評価をどの立場で行うかによって、誰が支払う費用を含めるのかということが変わってまいります。国によって優先される立場が異なっておりました。
英国のNICEはワクチンの評価にも同じガイドラインが使われていると聞いております。あるいはベルギー。カナダのCADTHは主に医薬品の評価をしている評価機関でございますが、こちらは「公的医療の立場」を基準としております。いわゆる生産性損失といったようなものは、主分析には含めないということになっております。
ドイツのワクチン指針あるいはオランダでは、いわゆる「社会の立場」からの分析を評価することを原則としております。しかしながら、ドイツでは経済評価というのはあまり積極的に活用していないようでございます。また、オランダは先ほどちょっと御説明したような摩擦費用法ということで、生産性損失をあまり過大推計しないようにということを、このガイドラインの中では規定しております。
そして、カナダのワクチンの指針並びに米国(ACIP)のものにつきましては、「公的医療の立場」と「社会の立場」、生産性損失などを含めた、より広い立場の二通り、両方の立場からの分析を提示する。両方を実施するということが推奨されておりました。
7ページ目を御覧ください。分析の立場によって費用項目の範囲が違っております。
イギリスのNICEやベルギーでは、生産性損失はいわゆるベースケースには含めない。
ドイツ・オランダ・カナダにおきましては、「社会の立場」で分析する場合には、患者や介護者の生産性損失、あるいは介護に関わる費用を含めるとしているところです。しかし、ドイツ・カナダ・オランダにおきましても、摩擦費用法という保守的な推計を行うようにということが推奨されております。
8ページ目を御覧ください。一般的な医薬品等を対象にした経済評価と異なりまして、ワクチンにおける特殊事項ということで、例えばドイツやWHOのガイドラインにおきましては、可能な限り、動的モデル、ダイナミックモデルを構築するということが求められております。
一方で、こうした動的モデルの構築や解析には高度な専門性が必要とされるということ。また、この構造そのものが非常に複雑で、いわゆるモデルとしての妥当性の検証というのがなかなか難しいというところも問題となっています。いわゆる構造的不確実性というところでございますが、構造的不確実性への対応として、静的モデル、従来型のモデルとの比較を行うというようなということも推奨されております。
その他、詳細につきましては、こちらの資料のほうを御確認ください。
9ページ目でございます。こうした我々の研究班におけるレビューを踏まえまして、分析の立場あるいは生産性損失の取扱いについての課題というところでございますが、諸外国のガイドラインにおきまして、「分析の立場」をどうするか、あるいは間接費用をどう取り扱うかということについては、見解がそれぞれ異なっているところがございます。
また、「社会の立場」からの分析についても、「社会の立場」といっても、ありとあらゆる費用をその中に含めるということは現実的に困難でございますので、生産性をどのように推計するかということについても、いろいろな論点が生じるところでございますが、諸外国におけるガイドラインの多くでは、生産性損失が過大評価とならないような推計というものを推奨しておりました。
先ほどちょっと御紹介したような摩擦費用法、摩擦コスト法というのがあるのですが、実際にこれをやるのは大変で、日本でこれを行った研究というのは、私の知る限りはございません。
以上が分析の立場と生産性損失の取扱いについての我々のレビュー結果でございます。
続きまして、10ページ目以降ですが、今回議題となっております、HPVワクチンの男性接種の費用対効果分析のモデリングについての御説明をしたいと思います。
11ページ目でございます。こちら、先ほどと同じ、いわゆる動的モデル、ダイナミックモデルというものを推奨している。ただ、一方でのいろいろな構造的な不確実性という課題があるということについて、諸外国のガイドラインでその記述がございました。
ということで、12ページ目でございます。令和6年3月のHPVワクチンのファクトシート追補版の作成時では、ダイナミックモデルではなく、我々としてはマルコフモデルという方法によりまして、男性のHPV関連各種疾患への直接的効果を推計いたしました。女性に対する間接的な予防効果につきましては、簡易的な分析ということで実施しているところでございます。
すなわち、男性女性間の間接的効果については、情報が極めて限られているということで、男性接種に伴う女性の子宮頸がん減少効果を30%から50%という幅を設けた推計を簡易的に行ったところでございます。
また、男性接種の費用対効果というのは女性の接種率に大きく依存しておりまして、女性の接種率が非常に高いという場合には、男性から女性への間接効果のインパクトが小さくなるということで、女性の接種率についても幅を持った推計を行ったところでございます。これらの結果につきましては、参考資料として、この後載せておりますので、後ほどまた必要に応じて御参照いただければと思います。
男性接種に伴う女性の子宮頸がん減少効果として引用し得る最新のエビデンスや、女性のHPVワクチンの接種率、その他の疾病の罹患率等の情報をもし更新することができましたら、また同様のモデルを用いまして、より精緻な分析を実施することが可能と考えているところでございます。
13枚目でございますが、動的モデル、ダイナミックモデルにつきましては、先ほどのファクトシートの作成の際に、国内外における先行研究、男性へのHPVワクチン接種の費用対効果についてのシステマティックレビューを実施したところでございます。そのシステマティックレビューにおきましては、いわゆる動的モデルが多く用いられていたところでございます。動的モデルは集団内の感染の伝播を数理的に記述する手法ということでございまして、感染者数や免疫獲得者数に応じて、時間とともに感染リスクが変化するということで、接種者以外への波及効果・間接効果を考慮できるという利点があるということで、こうした男女間の感染などが考えられる疾患については、多く用いられているものと思います。
しかし、以前の状況におきましては、こうしたモデルを組むための十分な国内データというものが整備されていないということで、その時点では動的モデルの再構築というのは我々としては困難だということで、行ってきておりません。今後、ダイナミックモデル、動的モデルの再構築に必要な国内データの整備が進むことが期待されるところでございます。
以上でございます。
○鈴木委員長 池田委員、ありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局から説明をお願いいたします。
○竹内予防接種課主査 池田委員、御説明ありがとうございました。
引き続き、事務局より資料の御説明をさせていただきます。資料3-1「HPVワクチンの男性への接種について」にお戻りいただきまして、19ページ目以降のまとめについて御説明してまいります。
20ページを御覧ください。20ページ目ではHPVワクチンの男性接種に係る分析の立場についてとして、分析の立場に係る論点について御説明させていただきます。
上の枠囲みにHPVワクチンの男性接種に係る分析の立場についてとして、これまで事務局及び池田委員から御説明いただきました内容についておまとめしてございます。
それらを踏まえ、御議論いただきたい点につきまして、下の枠囲みにおまとめ、お示ししているところでございます。
1丸目として、HPVワクチンの男性接種の定期接種化の検討に当たり、予防接種の費用対効果の評価に関する研究ガイドラインにおける規定や、公的医療の立場からの検討であってもHPVワクチンの男性接種による女性に対する予防効果について推計可能であること、いわゆる「社会の立場」からの分析及び分析結果を評価する際の課題等を踏まえ、HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果については、公的医療の立場からの分析を基本としつつ、引き続き精緻な分析に向けた検討を進めることとしてはどうか。
そして、2丸目として、公的医療の立場からの予防接種の費用対効果の評価に含まれない、HPVワクチンの男性接種による費用や効果等については、現時点で確立された手法がないことを前提に、今後の定期接種化にかかる検討過程において、必要に応じて議論を行うこととしてはどうかとお示ししております。
続いて、21ページを御覧ください。21ページ目では、HPVワクチンの男性接種の費用対効果分析におけるモデリングについてとして、モデリングに係る論点について御説明させていただきます。
上の枠囲みに、これまで事務局または池田委員から御説明いただきました内容についておまとめしてございます。
それらを踏まえ、御議論いただきたい点について、下の枠囲みにお示ししてございます。HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果分析におけるモデリングの検討に当たっては、ヒトパピローマウイルスワクチンファクトシート追補版作成時の検討状況や、池田委員提出資料等を踏まえ、ヒトパピローマウイルスワクチンファクトシート追補版作成時にHPVワクチンの男性接種の費用対効果について検討したモデルをより精緻なものとするために必要な最新のエビデンスや、より精緻なモデルであるダイナミックモデルを構築するために必要な信頼性の高い国内データについて、引き続き情報収集を行うこととしてはどうかとお示ししてございます。
事務局からは以上となります。よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局、池田委員からの御説明につきまして、御質問、御確認事項がありましたらよろしくお願いいたします。
なお、先ほど退出された森野委員から御意見を事前に伺っておりますので、事務局から紹介していただいてよろしいでしょうか。
○佐野予防接種課課長補佐 事務局でございます。
それでは、森野委員から事前に意見の御提出がございましたので、御報告させていただきます。
論点、男性接種の費用対効果について検討するモデルをより精緻なものとするために、必要な最新のエビデンスや、より精緻なモデルであるダイナミックモデルを構築するための必要な信頼性の高い国内データについて、引き続き情報収集を行うことについては、総論として賛同いたします。その点の課題として、これまでにも氏家先生が御指摘くださってきたとおり、サロゲートマーカーによる感染予防の効果が示されている報告、医学的蓋然性、発症まで数十年を要するがんの発症をアウトカムとした臨床試験の実施完了まで期待される効果と、恩恵を受ける機会の喪失等の観点で、議論を必要以上にとどめてしまうことのないようにすることが大切と考えます。
具体的に必要とされるデータ項目の棚卸しで、実際、そうしたデータが得られる見込みや外挿可能なデータの有無、妥当性を整理する作業は、次のステップへより明確につながるように思います、と事前に意見の御説明をいただいております。
事務局からは以上になります。
○鈴木委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ここまでの事務局からの説明、それから池田委員からの御報告につきまして御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
氏家委員、お願いいたします。
○氏家委員 ありがとうございます。
まず、今回、9価のHPVワクチンが一部変更されて、男性にも適用が追加された。このことによるさらなる検討を進める方針について議論しているというふうに理解しています。こういった変更があった際に、直ちにそういった検討を進めていくという方針は非常に大事な観点だと思いますので、議題に上げていただき、ありがとうございます。
今回、追加承認されたことによって、接種回数が14歳以下での3回から2回に変更されていますので、その点においては、価格を含めて大きく指標が変わるという観点において、こういった検討を進めていくということは大変重要だと思います。また、海外を見てみますと、接種回数に関して、2回ではなく1回での導入も進んでいたり、米国などでは接種の対象年齢をドイツのように9歳とかまで引き下げて接種するということについて、検討を進めるというような方針が立っていますので、そういったことを含めて、いろいろな追加のエビデンス等を含めた、日本における最適な施策化ということについて検討を進めるということは、非常に重要であると思います。
費用対効果につきまして、先ほど議題のあったようなインフルエンザとか麻疹は、通常感染して、その発症による健康のアウトカムの予防ということで、指標が明確なわけですけれども、HPVに関しては、感染そのものでの健康指標というのは、あまりないわけでして、持続感染に基づく合併症の予防が主な健康の指標になるということで、少し特徴のある感染症であるというふうに思います。そういった合併症の予防をアウトカムにすることによって、その実際のアウトカムが生じるまでの時間が非常に長く、数十年単位でかかる。
さらには、そういったエビデンスが蓄積されにくいといった特徴があるワクチンであることに鑑みれば、そういった感染症が、アウトカムに対する予防のエビデンスができるまでに広がってしまうとか、感染する契機というのは性交渉が多いわけですが、そういった特徴があるということを考えれば、費用対効果のみを議論するのではなくて、そこで生じ得る社会への影響、及びエビデンスまでに至らなくても、関連すると考えられる相応の指標についても検討する。それが最終的なアウトカムでなくても、検討を進めるということ自体は非常に重要な観点だと思いますので、事務局から提案いただいたような社会的影響を踏まえたHPVの費用対効果の検討を進めるという方針について賛同したいと思います。
私から以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、ありがとうございました。
原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 説明ありがとうございました。
今回、議論の中には入ってきていないのですけれども、前回の中で、HPVワクチンの男子接種については、ジェンダーニュートラルの概念から接種しているという国も半分ぐらいあるということだったと思うのですけれども、その場合に恐らく費用対効果というのを参考にするけれども、それで決まるわけではないということだったかと思います。その中で、この費用対効果の立場についてお話が中心だったのですけれども、国によっても社会保障の仕組み自体が違ったり、そういうところもあると思いましたので、幅広く分析していっても、それで決まるわけではないというところであると、どの辺りまで精緻にやっていけばいいのか。
また、立場についても、生産性損失が起こり得る年代ということでもあるので、大きく見積もった場合と、それを小さくした場合、ある程度幅を持たせつつも、あまりにも精緻にし過ぎて議論が長引くのはどうかなというふうにちょっと感じました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
菅沼委員、よろしくお願いいたします。
○菅沼委員 先ほど原委員からお話があったとおりで、このワクチンにつきましては、費用対効果の点もありますし、ジェンダーニュートラルということで、男性の接種機会、感染予防機会、それから男性から女性への感染のリスクを下げるといった意味合いのところがありますので、この辺はどうしても費用対効果が出しにくいところがあるかなと思いますので、そういった点についても勘案した上での議論というのは重要だということは、原先生がおっしゃったとおりで、私も賛同したいと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
では、待っている間に、私からまたすみません、池田委員に質問ですけれども、先生からの御発表で、分析の立場についておまとめ、ありがとうございます。公的医療の立場、さらに介護を加えたり、あるいは社会の立場というふうに整理されていたと思いますが、非常に基本的な質問ですが、それぞれの結果はどのように解釈し分ければよいのでしょうか。先ほど前半の話で、公的医療の立場に関しては、予防接種プログラムそのものが費用対効果に優れているかどうかということを判断するために使うというふうにお話があったと思いますけれども、では、社会の立場を採用した場合にはどのように解釈すればよいのでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
これは就労世代の病気を防ぐようなものについては、社会的な生産性損失の減少効果に対してのインパクトというところも無視できないワクチンの価値ということになりますので、それを数値化して定量的に示すということが1つの意味のあるところというようなことで、例えば子供が病気になったときに親が看病のために休むとか、これも社会にとっての大きなコストとなるわけですので、そういった従来の公的医療の立場では把握し切れないワクチンの価値を、できる限り把握しようということでの計算というふうに私としては理解しているところです。
ただ、その数値そのものも、何をどう入れるかによって答えが変わってまいりますし、過剰推計になるような懸念もございますし、例えば子供の病気であれば、子供が罹患した際に看病で休むことが、ワクチンを打っていれば防げるとしても、一方で子供を接種に連れていくために仕事を休むような、生産性損失と言えるのかとか、いろいろな議論があるところです。世界各国のガイドラインでも、社会の立場についての分析も重要だと言いながらも、それを用いて何らかの重要な意思決定をするというところまで、まだ来ていないのではないかというふうに、あくまでも参考値として見逃されがちな費用や価値というものを定量化して示していく手法というふうに私としては理解しているところでございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
その場合に、公的医療の立場の場合には500~600万円という閾値といいますか、カットオフじゃありませんけれども、参考値がありますが、社会的立場を取った場合に、そこはどのように評価するのでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
論文などでは、そこは区別せず、同じ閾値を使って費用対効果のよしあしというのを判断、評価、解釈しているものが多いというふうに思います。ただ、こうした費用対効果を積極的に意思決定に利用しているイギリスにおきましては、日本と同様にワクチンの費用というのは公費・税金で負担しているわけでございますけれども、イギリスにおいては、はっきり公的医療の立場からの分析のみを意思決定に使っているということでございます。イギリスというのは、今、2万から3万ポンドという閾値を明示している国でございますが、社会の立場でやったときにどうかということについては、私の知る限り、閾値をそれによって変えているというような国は、明示されている国はないというふうに理解しております。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
委員、参考人の先生方。
岡田先生、お願いいたします。
○岡田参考人 参考人の岡田です。
池田先生、御説明どうもありがとうございました。
先生の最後の結論の中で、今回、ワクチンに関して動的モデルを採用して評価していくということがあったのですけれども、最後にある必要な国内データというのは、具体的にはどのようなデータが必要になってくるのでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
今回のHPV、特に男性接種に関しましては、性的接触というところから感染ということになりますので、性行動の頻度とか、同性あるいは異性間の感染の確率といった性的接触行動に関する日本のデータというものが、ダイナミックモデルの構築においては非常重要となっております。企業のほうが主体となって行っている、今日、事務局のほうから御紹介されました先行研究におきましても、実はダイナミックモデルということで、こうした性的接触行動に関するデータを使ってモデルを組んでいるのですが、抄録のところにもモデル入力データや仮定の不正確さの可能性があるということがはっきり記載されておりまして、この辺りの国内データの整備が進むことによって、ダイナミックモデルがより現実的なものになるというふうに考えております。
以上です。
○岡田参考人 性的接触行動の頻度などの調査研究はアカデミアで調査されているのでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
まず、企業の分析におきましては、定期的にアンケート調査を行っているようなデータがございまして、そちらからの引用ということで分析されているわけですが、それはデータとして、このモデルを構築するには不確かなところがございます。現状、そうしたデータの把握など、公衆衛生関係の学会などでも、そういったことについての取組については聞いたこともございますので、今後、そうしたダイナミックモデルを構築するための信頼性の高い国内データが整備されるということを期待しているところでございます。
○岡田参考人 ありがとうございました。理解しました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、宮崎委員、お願いいたします。
○宮崎委員 ありがとうございます。
今、お話しいただいた分析の立場やモデルのデータを今後つくっていくということ、検討を重ねていくという事務局の方針に基本的に賛成いたします。
一方で、気になりますのが、このHPVワクチンの目的が究極的にはがんの予防であるということを考えると、がんになってしまった患者さんの重大性というのは、通常の感染症とやや異なる重大なものではないかと想像されます。そういった重大性のようなことをコストの面から見ていくというのはなかなか難しいのではないかなと、実際に感じるのですけれども、そのような観点を、実際にワクチンを定期接種化するという上では考慮されるのかどうかについて、私、新参者ですので、教えていただければなと思います。よろしくお願いします。
○鈴木委員長 宮崎委員、ありがとうございます。
大変に難しい問題を。事務局のほうから何かコメントありますでしょうか。
○佐野予防接種課課長補佐 事務局でございます。
これまでも御議論いただいていたとおり、基本的には、公的医療費の観点から、これまでも定期接種化にあたっては御検討いただいていたところです。それ以外の観点についてということで、20ページ目の2ポツ目の論点のほうに書かせていただいたとおり、公的医療費の観点では含まれない、そういった内容については、現時点では確立された手法がないということを前提に進めていってはどうかということで、今回御議論いただいているところと考えております。
○鈴木委員長 宮崎委員、よろしいですか。
○宮崎委員 ありがとうございます。
○鈴木委員長 大変重要なところで、確かに解析の立場が論点として上がっていますけれども、そこが今回のHPVに関わるところであると理解しています。既に委員の先生方から御意見あったように、要するにアウトカムががんである場合には、医療費だけではなくて、それ以外の生産性損失、さらに御本人の精神的な負荷も含めて、そうしたことも含めて評価すべきではないか、可能であれば費用対効果分析にも含めていくべきではないかといったような趣旨であったのかなと思うのですが、実際に分析を担当される池田先生、そうしたものを組み込むことの難しさがあろうと思いますが、もしよろしければ御意見よろしくお願いいたします。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
まずは、諸外国でこのHPVワクチンを中心に、どのような形で社会の立場の分析ということで、様々な多面的な価値を経済評価の中で入れ込んでいるかということについては、再度、研究班として、また詳しく調査してみたいと思います。
また、費用対効果、費用と狭い意味での健康改善、QOLと生存年を加味した質調整生存年、こうした指標では表せない多面的な価値があると思いますので、それは経済評価の中に全部金銭換算して入れ込むというよりは、別にこういう価値があるということを定性的にでも示していって、最終的なワクチンの評価を総合的な視点から行っていくというのも1つの方法ではないかと考えているところでございます。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
近藤委員、よろしくお願いいたします。
○近藤委員 近藤です。
池田先生のおっしゃるとおりでございますが、がんというものに対して特定の価値を置くということでいうと、中医協のほうでは、がんに関わると、ほかの一般的な医療に関しては500万円/QALYゲインというところに対して、750万円/QALYゲインというような、社会が高く支払ってもいいというような位置づけで議論されるような設定もあるのかなというふうに、寡聞ですが、聞いておるところです。ということは、分析の中身というよりは、解釈においてということが中医協では行われているということは指摘できるかなと思いました。
以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
もうちょっと時間もあるのでというわけじゃありませんけれども、生産性損失のほかに、もう一つジェンダーニュートラルという観点も重要であるという御意見があったかと思います。今日、直接的には費用対効果分析が論点となっているわけですけれども、そういったジェンダーニュートラルの考え方、それからこの費用対効果分析の両者をマージすることができるのか、あるいはそれは根本的に切り分けて考えるべきなのかといったところを我々研究者としても整理していく必要があるのかなと思うのですけれども、毎回申し訳ありませんが、池田先生のほうから何か御意見ありますでしょうか。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
大変重要な点でございます。1つの解決法としては、これはイギリスなどが採用している方法でございますが、男性接種の費用対効果を見るときに、女性のみに接種した方法を比較対照として男女の接種を見るという方法は、これはかつてイギリスが行っていたのですが、現在ではジェンダーニュートラルの観点から、男女とも接種しないというのを比較対照とした上で、男女に接種するという方法の費用対効果を見て評価しているということで、少し考え方を変えているところがございます。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
つまり、前半の高用量インフルエンザワクチンのときに、接種なしと比べた高用量か、標準量と比べた高用量かといった比較をしたのと同じようなやり方を取ることも可能であり、それは1つ、ジェンダーニュートラルの考え方も反映するやり方かもしれないといった理解をいたしました。
近藤先生、お願いします。
○近藤委員 近藤でございます。
池田先生のおっしゃるとおりですが、ちょっと違う観点から言うと、ジェンダーニュートラルという言葉も非常に重要な言葉で、そういう言葉で議論されているわけですけれども、もう少し国際的な言葉遣いとしては、ジェンダーエクイティーという言葉で、それがエクイティー、正義あるいはフェアネスということになるのですけれども、そういう議論がされていて、費用効果分析の経済学の中でのエクイティーというと、資源のディストリビューションに関わる資源配分のルールという観点で捉えられることが多いのです。
ここでジェンダーエクイティーと言われるところはもう少し違った、平たく言うと経済学よりは英米法の法学の言葉で遣われるような、いわゆる衡平法という、社会正義の実現のために法理を解釈して正義を考えるという観点で、今のダイバーシティー、エクイティー、インクルージョンのような言葉遣いで、いわゆる経済学で使っている言葉とは違う意味合いが本来的には理解されるべきところで、費用対効果とは相当評価軸が違う観点ではないかなということについては、少なくとも英語ネイティブの方は御存じではないかと私は想像しているので、そこのところについては御指摘させていただきます。
日本社会では、衡平という言葉とエクイティーという言葉に関しての共通理解がなかなか成熟していないのではないかというところは日々感じているところで、そこのところは少しコメントさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○鈴木委員長 ありがとうございます。非常に重要な御意見、御指摘をありがとうございました。
氏家委員。
○氏家委員 すみません、議論がHPVから外れて、少しスコープが広くなりますけれども、過去の予防接種施策において、対象者を限定したものから広げていった施策に関していえば、例えば風疹では、当時、先天性風疹症候群の予防を目的に中学生の女子に接種を行っていたわけですが、ワクチンの有効性が非常に高く、風疹そのものを予防していくというように対策の目的が変更されて、男女ともに幼少期に接種するというような方針に変更がありました。
また、B型肝炎のワクチンについても、費用対効果の観点から、日本ではセレクティブワクチネーションで、妊婦さんが妊婦健診を受けて、B型肝炎キャリアの妊婦のみを対象にグロブリンも含めた垂直感染予防策を出生児に実施してきたわけですが、全出生児を対象とするユニバーサルワクチネーションに2016年からかじを切ったというところで、この根幹においては、費用対効果自体はB型肝炎も悪かったわけですけれども、予防できる疾病をできるだけ予防していくというような観点での議論も行われていたところです。
ここで申し上げたいのは、予防自体の効率性ということも重要であるわけですけれども、そういった時間の経過とともに、ワクチンの特性とか効果ということを踏まえて、目的そのものが変わってくることもありますし、基本計画にも記載があるように、予防できる疾病を予防するというような、ジェンダーイクイティーを含めた観点での議論というものも、過去の施策においてはされてきたというような経緯があるかと思います。こうしたことを踏まえれば、HPVも同様の幅の広い議論ということが、この小委員会のみならず、親会も含めてかと思いますけれども、今後も進めていくというような形が望ましいのではないかというふうに考える次第です。
以上です。
○鈴木委員長 氏家委員、どうもありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
たくさん御意見をいただき、ありがとうございます。
それでは、事務局のほうから上げていただいた論点、HPVワクチンの男性接種に係る費用対効果分析の検討をさらに進めていくということに関しては、異論はなかったかと思いますので、本日の委員からの御意見を踏まえて、引き続き、さらに事務局のほうで整理を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事は以上となりますが、そのほか、委員、事務局からございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事を事務局のほうにお返ししたいと思います。
○佐野予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
本日も活発な御意見、御議論をいただきまして、ありがとうございました。次回の開催については、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上となります。
○鈴木委員長 それでは、本日の小委員会は以上となります。活発な御議論ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。



