第198回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和7年9月26日(金)13:59~16:12

場所

航空会館7階 大ホール

議題


1.医療保険制度改革について
2.令和8年度診療報酬改定の基本方針について
3.高額療養費制度について

議事

議事内容
○姫野課長 それでは、定刻前ではございますが、皆様おそろいのようでございますので、ただいまより、第198回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、村上委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、伊奈川委員より途中からの御出席との連絡をいただいております。
 本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。
 会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退出をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに御出席なさる方についてお諮り申し上げます。内堀委員の代理といたしまして、佐藤みゆき参考人。村上委員の代理といたしまして、佐保昌一参考人。以上2名の出席につき、御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
 それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。本日は、「医療保険制度改革について」、それから「令和8年度診療報酬改定の基本方針について」、それから「高額療養費制度について」、以上の3つを議題といたします。
 では、まず「医療保険制度改革について」を議題といたします。
 それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○姫野課長 ありがとうございます。総務課長でございます。
 資料1について御説明をいたします。まず、ページを開いていただきまして1番のセクションですけれども、前回9月18日に同じテーマで御意見をいただきましたけれども、主な御意見を整理させていただいてございます。
 2ページからでございますが、幾つか内容ごとにグルーピングをしております。1つ目のグループは、世代間・世代内のより公平性を確保した全世代での支え合う仕組みの整備という観点での御意見でございます。人口構造の変化等を踏まえて給付と負担のバランス、世代間のバランスを見直していく必要がある。また、負担構造の見直しについても自己負担、保険料、公費のバランスをどう取るかが課題であるという御意見。また、高額な医療について、資産、被扶養者数なども勘案する必要があるのではないか。国民の理解を得る上では現役世代の負担の軽減、能力に応じた全世代の支え合い、相互共助が重要という御意見もいただきました。また、最後の丸のところですけれども、全世代支援型の社会保障への再構築が急務であるという御意見、また、現役世代、被保険者の納得性を確保していく。また、現行制度の抜本的な見直しと、そんな御意見もいただいてございます。
 次のページですけれども、医療保険の持続可能性の確保という観点からの御意見でございます。まず1つ目、短期保険の医療保険でありますけれども、かつて政管健保の中期財政運営が議論されていたように、中長期に捉えていく必要があるのではないかという御意見をいただきました。また、高齢化、高額薬剤などの医療の高度化が見込まれる中で、費用対効果、経済性を考慮した医薬品の使用促進、OTC類似薬の保険適用除外、低価値・無価値医療の利用抑制といった保険給付範囲の見直しについても検討すべきという御意見もいただきましたし、また、少額な医療については患者の自己負担の割合を多くし、高額な医療では必ずしも大きくしないといった考え方も提示をいただきました。
 その次の塊のところには、OTC類似薬の議論もありましたけれども、そういった場合には必要な受診の確保、患者負担の議論、薬の過剰摂取といったことも慎重に検討すべきという御意見をいただきましたし、また、次の丸ですけれども、必要な医療の受診抑制につながることがないよう、また、特に低所得者に配慮といったことも御意見をいただきました。さらに、セーフティーネットという役割を決して損なってはならないという留意ですとか、あるいは増加する社会保障給付の重点化・効率化を含め、持続可能性を高めるための制度見直しに取り組むことが不可欠であるといった御意見もいただいております。また、医療の進化に伴う財源の確保という視点もいただきました。
 次に、4ページですけれども、現役世代からの予防・健康づくり、また、ヘルスリテラシーという観点からの御意見も多数いただきました。学生、現役世代のうちからの健康・医療についての意識醸成、予防、ヘルスリテラシー、セルフメディケーション、適切な受診といったキーワードですとか、次に上手な医療のかかり方ですとか、生活習慣病の重症化予防の取組といった観点もいただきました。他方で、予防医療について、これに注力すれば医療費の問題を解決するという楽観的なものでもないという御意見もいただきました。また、世代間の助け合いや世代内の助け合いといったことについて、若い世代から教育制度の中で教えていく必要があるという御意見も多数いただきました。
 次に、5ページですけれども、医療現場を取り巻く環境の変化という観点での御意見も多数いただきました。中長期的な観点から医療提供体制、持続可能性を確保していくということの必要性、また、保険医療機関は診療報酬という中で運営されておりますので、物価や人件費を価格転嫁できないという特性についての御指摘もいただきました。また、経済成長と賃上げという観点からは、経済成長と社会保障の好循環を目指していくという御意見もいただきましたし、また、医療人材の確保という観点、それから、医療DX、また、地域偏在の是正といった観点もいただきました。他方で、保険料でどこまで医療提供体制に投じていくのかという観点もいただいたところでございます。
 以上が主な意見の整理ということでありますが、次のページに、前回多数御意見をいただいた中で追加で少し参考になる資料を集めてみたものでございます。7ページですけれども、社会保障教育についての御意見を多数いただきましたが、厚生労働省におきましても平成26年にこういった検討会を開き、その後、文部科学省とも連携をしながら、左側の赤いところにありますけれども、令和4年からは高等学校の学習指導要領にも社会保障の記述を充実させたり、また、高校生向けの教材を作成して全国の高校に配布をしたり、また、一番右側にありますように高校の教員向けの研修会を実施するということも行っております。
 次の8ページにその具体的なマニュアルの一例を記載しておりますけれども、左側に少し挿し絵もありますけれども、クイズ形式の教材ですとか、考えを深めるためのワークシート、あるいは双方向で対話型に授業をできるようなロールプレイの教材といったものも配布をしているところであります。
 続いて、9ページですけれども、予防の取組などについては委員からもいろいろと御意見をいただきましたけれども、一つの例として、健康保険組合などを中心にデータヘルスの計画を作成して取り組んでいるということを御紹介しております。データヘルスのポータルサイトというものを設けまして、その中で各種データを比較することができるような形にしています。右側のところにありますように、健康保険組合ですと単一か、総合か、あるいは業種別に自らの組合の立ち位置を把握できるような形を設けまして、データに基づく取組を進めていただいております。
 また、10ページにつきましては、健康保険組合の中で事業主とも協力をし、経営者のトップダウンの取組なども活用したコラボヘルスといったものも取り組んでいただいておりますし、11ページにありますように、先進的な取組をしていただいている保険者の皆様を表彰するといった取組も行っているということの御紹介でございます。
 資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願いいたします。また、オンラインで御参加の委員におかれましては挙手ボタンでお知らせいただければ幸いです。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 前回も申し上げた部分がありまして、若干繰り返しになる部分もあります。そこは御容赦いただければと思います。まずはこの制度改革については、人口構造の変化等を踏まえて支える側と支えられる側の考え方を変えていくこと、給付と負担のバランス、世代間のバランスを見直していくことも含めて負担構造の見直しが至上命題であると考えております。
 また、保険給付の適正化・重点化についてはしっかりと検討いただきたいと思います。今後、高齢化、また、高額薬剤などの医療の高度化によって医療費が増大していくことが見込まれる中においては、保険給付範囲の見直しは避けて通れないと思います。その際には費用対効果や経済性を考慮していくことが重要で、例えば長期収載品の選定療養のさらなる見直しやバイオ後続品の使用促進等々の検討も重要なものだと考えております。
 さらに、前回あまり触れなかったのですけれども、制度改革を進める上で重要なキーワードになるのが医療DXの推進だと思います。オンライン資格確認システムを基盤として電子カルテ、電子処方箋の導入等を進めていくことで、サービスの効率化、質の向上を図っていくことは、患者、利用者のメリットにつながることはもちろんですが、医療現場が抱えている課題の解消にも寄与し、持続可能な医療保険制度の構築にもつながっていくと思っております。
 また、私ども医療保険者においてもいわゆるマイナ保険証の対応、また、来年度から始まる子ども・子育て支援金の徴収等々、業務負担が大変増えております。そういった中で業務全般の効率化を図って、さらに先ほど御説明がございましたが、まさにデータヘルスを含めた加入者サービスの強化のためには医療DXの推進が極めて重要だと考えております。
 したがって、医療DXの推進は患者、利用者、医療関係者、保険者等々全ての当事者にとって極めてメリットが大きいと考えておりますので、ぜひ強力に推進をすべきだと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、原委員、よろしくお願いします。
○原委員 ありがとうございます。
 前回欠席をしたものですから、4点ほど御意見を述べさせていただければと思います。
 1番目の「世代間・世代内のより公平性を確保した支え合いの仕組みの整備」につきましては、私も他の委員の皆様の御意見のとおりだと思っております。少子化と人口減少が一層進み、経済はかつてのような高度経済成長が期待できない我が国において今後も国民皆保険体制を維持していくためには、無駄をなくして効率的な事業運営を実現することも大変大事でございますけれども、それ以上に制度の公平性・公正性をできる限り確保するということが極めて重要ではないかと考えております。マイナンバー制度やICT技術等も活用して、公平で効率的な制度の構築に一層取り組んでいくべきではないかと思います。
 2点目は、今回の制度改革の議論のスコープがどの程度先まで見ているのかにもよりますけれども、高齢化のピークである2040年頃を視野に入れて議論をするのであれば、在宅で医療と介護の両方のサービスを必要とする85歳以上高齢者が急増していくという問題からも分かるように、医療保険制度だけではなくて介護保険制度と合わせた制度改革の議論が重要になるのではないかと思います。
 また、働き方改革の観点から議論となっております配偶者控除の問題でありますとか、自民党総裁選をめぐって今、話題となっておりますけれども、給付付き税額控除制度の創設など、税制改革との関連、あるいは一人暮らし高齢者の住宅問題など、医療保険制度以外の関連する制度も含めた総合的な検討ということも必要であり、そろそろ本腰を入れて議論する時期に来ているのではないかと思います。
 3点目は、今の話とやや矛盾するような話になりますけれども、制度の公平性の追及や他の制度も含めた総合的な検討ということを進めていくと、結果としてどうしても医療保険制度の給付と負担の仕組みが複雑になってしまいがちでございまして、このことはこれまでの制度改革の歴史が証明をしております。しかしながら、国民皆保険体制は患者さんや医療機関の従事者も含めた全ての国民が制度について理解をし、負担をすることについて納得してもらうことが鍵であると思いますので、できるだけ分かりやすい制度にしていくということも意識をしていく必要があるのではないかと思います。また、このことは高額となっている事務処理システムの開発・運用費をはじめ保険事業の運営コストの削減にもつながると思います。
 4点目ですが、分かりやすい制度にしていくこと以上に、本日の資料にもありますように社会保障教育の充実を図り、国民の制度理解のリテラシーを向上させていくことが不可欠でございます。高校生までの義務教育期間だけでなく、高齢者をはじめとした地域での生涯学習や職場での社員教育等にも拡充していってもらいたいと思います。また、社会保障教育については努力はしていただいていると思いますが、国民や社会の意識としてはまだまだ薄いように思われ、厚生労働省や文部科学省を中心に政府は本腰を入れてこの課題に取り組んでいただきたい。これは要望でございます。
 最後に、これは意見ではございませんが、本日の資料の参考資料の中に被用者保険におけるデータヘルス等の取組が紹介されておりましたが、国保及び後期高齢者医療の地域保健におきましても、データヘルス計画に必要なデータを国保総合データベースシステム、KDBシステムから抽出できるツールを保険者に提供しております。また、こうしたデータを提供するだけでなくて、47都道府県の国保連合会にヘルスサポート事業支援評価委員会を設置いたしまして、大学等の有識者による助言、支援をもらえる体制を整備しており、保険者がそれを活用してデータヘルス計画の円滑な策定や事業の実施に取り組んでいただいているということを御報告させていただきます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 横本でございます。2ページの全世代で支え合う仕組みの整備は大変重要だと思っておりまして、整理されている内容にはおおむね異論ございません。具体的な制度改革に当たりまして、当面は改革工程で示された事項の中でも国民的合意が得られる項目について優先的に改革を進めていくことが重要と考えております。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 前回の部会でも申し上げましたが、医療保険制度の持続可能性を確保するためには、現役世代の保険料負担を抑制することが必須であると考えます。給付と負担のバランスを見直すことはもちろんのこと、国民、患者の皆様一人一人の意識改革とそれを促すような仕組みづくりも必要でございます。
 先週の議論では、複数の委員から健康づくりの重要性について御指摘があり、その中では健康を維持していく必要性、また、その必要性をもっと発信していかなければならないと御発言がございました。私もそのとおりだと考えております。
 健康増進法には国民の責務として健康増進が記載されております。医療保険において健康増進は被保険者の言わば努力義務であると思います。私ども商工会議所としては健康経営を推進しております。また、全国には中小企業70万社が加盟している法人会という組織があり、納税奨励とともに地元の小学校向けに租税教育セミナーを実施し、その中で医療の大切さ、重要性というのもしっかり訴えております。また、この法人会の中にこのたび健康経営委員会というのが新設をされ、私は東京の委員長を拝命しました。全国440の単位会、70万社の中小企業全社を挙げて健康増進を強力に進めていく方針ですので、政府におかれましても国民が自分事として健康増進に努めるよう積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、患者サイドだけでなく医療提供側の改革も不可欠でございます。昨今、多くの病院や診療所の厳しい経営状況が問題となっておりますが、その解決には経営情報の見える化が第一歩になるかと思います。社会保障制度改革に関する議論は今後も継続しますので、議論を深めていくために、事務局には病床数の地域差や無価値・低価値医療の実態など、問題提起のあった点について分かりやすく客観的なデータ、資料を御用意いただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、佐保参考人、よろしくお願いします。
○佐保参考人 参考人の佐保でございます。ありがとうございます。
 高齢化の進行により医療費が増大する中、保険者が主体的に加入者の健康増進や医療費の抑制、保険者財政の健全化などの取組を進めることが重要となっております。一方で、加入者へのサービスの提供とは直接関係のない高齢者医療への拠出金負担が重くのしかかっており、保険者による積極的な役割の発揮を困難にしている状況です。現行の高齢者医療制度の下では拠出金負担の割合はさらに高まることが考えられますので、他律的な支出の割合が半分を占める状況は改める必要があると考えます。だからこそ、これまでも委員から述べてきたことでございますが、高齢者医療制度の抜本改革を進めるべきということを改めて申し上げます。
 また、今回、データヘルス計画やコラボヘルスに関する資料も御提示いただきました。予防・健康づくりに向けては、保険者が事業主から提供を受けた健診情報などを効果的に利活用し、保険者と事業主によるコラボヘルスの推進を図ることが重要でありますので、国として保険者機能のさらなる発揮につながるよう、国民への意識啓発や健康教育をさらに進めていただければと考えます。
 加えて、社会保障教育の推進に向けた取組として学校教育における取組を御紹介いただきましたが、それだけではなく、今働いている世代の皆さん方にも理解していただき、納得してもらうことが必要ですので、給付と負担の在り方に関する議論の中にも若い世代がどのように参加していくのかといった仕掛けについても御検討いただければと考えております。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
 前回、どうしても自分の中で高額療養費や患者の負担の在り方の話で割と頭がいっぱいになってしまって、一番大事なことをもっときちんと言わなければいけなかったなと思っているところなのですけれども、ほかの委員の皆様も何人かおっしゃっているように、無価値医療、すなわち効果があるというエビデンスが十分ない医療や、低価値医療、これは仮に効果があるというエビデンスがあったとしても、その効果が小さく、つまり十分な効果があるというエビデンスがない医療といったものを保険対象から外すという見直しも図っていくべきだろうと思います。
 社会保障費の削減、社会保障支出の削減や医療の効率化、医療費削減といったときにまず第一に患者負担の増加というのが日本だと割とすぐ案として出てきてしまうのですが、これは本来であれば供給側の非効率性をなくした上で第2の手段として行うべきものではないかと思います。ただ、もし患者負担増という形でも医療支出を抑えなければいけないということであったら、その場合は優先順位をつけて、患者による過剰利用が生じやすい部分であるとか、患者にとって医療費の負担による金銭的リスクが少ない部分、つまり軽症であったり医学的必要性があまり大きくなかったりする部分を中心に患者負担の見直しというのを行うべきではないかと思います。その際には、年齢で負担を変えるというのはやめるべきであって、所得で負担能力を決めるというのも実はあまり良い方法ではないと思っています。例えば高齢者で所得は少ないけれども非常に資産が多い方もいて、そういう方は本当は負担能力があるわけですね。そういう方には本当は負担を求めなければいけないと思うので、例えば高齢者に関しては現役時代の所得ということも負担能力の根拠として考えなければいけないだろうと思います。
 それから、早期発見・早期治療というのは一般には良いことであると考えられていますが、これがどんな場合においても全て医療の効率化や医療費削減につながるというわけではないのですね。それから、予防医療というものも全てが効率的なものではなく、全てが医療費の削減につながるとは限らないわけです。非常にケース・バイ・ケースなので、どういった予防医療が望ましいのか、どういう早期発見・早期治療が特に重要なのかということをエビデンスを精査して有効なものに絞って取り組んでいくべきではないかと思います。
 それから、早期発見・早期治療や予防医療については今までいろいろな取組があったわけですけれども、この中にはうまくいっている部分もあれば、必ずしも思ったほどの効果は上がっていないものもあるかと思うのですね。そうすると、やり方を変えることでもっとうまくいくかもしれませんけれども、あまり費用に見合った効果がないものについては見直しも検討しなくてはいけないのではないかと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、菊池部会長代理、よろしくお願いします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
 前回の部会で多くの皆様から社会保障教育について発言がございまして、先ほど原委員からも御発言がございましたが、その点について私からも発言させていただきたいと思います。厚生労働省の年金教育の取組は2つの軸があると思っていまして、一つは年金局で行っている年金教育です。年金広報企画室があると思います。私はこれに対しては損得論に偏りがちではないかとやや批判的にこれまでも見解を述べてきたことがありますが、つまり、払った分はちゃんと戻ってくるのですよという、ちょっとそうした説明に傾きがちではないかという問題があるとは思っていますが、ともかく年金教育をやっていると。
 一方で、政策統括官室で社会保障教育をやっておられます。資料も出していただきましたけれども、こちらのほうは地域共生社会の理念、支え合いの理念というものをベースに置いて、例えば生活困窮者支援や障害福祉など、直接的な負担と給付の枠組みにとらわれない広い射程で社会保障教育を進めておられると認識しています。
 年金というのは超長期の財政の仕組みなので、年金教育という形で単独で取り上げるということには一定の合理性があると思いますが、一方では年金財政は一応当面は安定している状況にある。マクロ経済スライドによって長期的な基礎年金の給付水準低下という課題はありますけれども、財政的には一応一定の安定を得ている。それに対して医療、そして介護は財政的に非常に大きな課題を今抱えている。短期保険といいますけれども、財政的には中長期的な視野から捉えていく必要があるという御発言はここでもされていると思います。
 そうした中で、医療保険だけでは私は縦割りの発想になってしまってやや狭いのではないかと思います。年金教育もあっていいとは思いますけれども、年金と先に挙げた広い意味での社会保障全体の社会保障教育の中間に、例えば年金、医療、介護という直接的な給付と負担の仕組みである社会保険の枠組みで支え合いの理念を説いていくといった教育の視点も入れてはどうかと考えています。中間的な視点といいますか、そのために保険局と年金局、老健局あたりが連携するということがあってもいいのではないかと考えている次第です。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 今回、我が国の医療保険制度、また、医療機関の今後、そして医療の改善などにどうつながるかという意味で診療報酬の改定の議論というのは大変重要だと思っています。それが本格化したということで報道にも出ましたけれども、これからが重要なときだと思っています。前回の議論についてもうまく整理をしていただいて、4項目に大きく分けて整理をしていただきました。また、コンセプトもつけていただいています。特にそれらについて異論があるというわけではございません。おおむねその方向でいいのではないかなと思っています。
 いろいろ考えていくに、ここからはビジョンと政策責任を持っている政府と、心と志のある一般の国民の皆さんの共同作業でやっていかなくてはいけないなという思いがします。言い方を変えれば全世代型医療保険制度や社会保障制度にもつながるところなので、それらを踏まえて幾つか意見を言います。
 一つはやはりほかの委員の方からも出ましたし、今日も幾つか出ていますけれども、「健康は自分で守る」ということの意義づけの重要性が極めて大きくなってきていると思っています。このことを理解して意識して実践することができる人が増えていけば、より良い健康も保持できるし、医療財政も改善が図られ、適正化ということも進むのではないかなと思っています。その上で重要なのが、ほかの委員もおっしゃいましたけれども、医療と健康のDXは極めて大切だと思っています。例えばマイナポータルで自分の健康に関する医療の足跡に関する情報を確認してちゃんとできるようになるということが仕組み上できていますので、このことが利活用できれば、よりカードの利用なども増えていくだろうと思っています。
 また、私は後期高齢者医療広域連合協議会から来ていますけれども、医療費がどうしても後期の方々は増えていくのですね。平均で見ても一人当たり100万という数字が資料の中にも出ていました。現役世代のときに仕事を続けられて、中にはかなり厳しい状況の中で仕事もされ、無理もあってお勤めになったこともあるだろうしということをつらつら経ながら、その際、仮に健康医療の情報や知識がなければ、いわゆる暴飲暴食など体を痛めることもしがちになるわけですね。こういったことが後々影響して出てくるのが健康面でありますけれども、それがピークになるのがひょっとしたら定年の前後とか、退職後とか、あるいはその後の後期高齢になる頃かもしれません。そうなると、発病や状態の悪化も考えられるわけです。特に75歳以上の後期高齢者の方々にとっては状態の困難化ということがあり得ますので、医療費に対しても大きな数字の負担が出てくるということは資料でも幾度も見てとれるところです。
 これらを全て悪と決めつけるわけにもなかなかいかない面もあると思っています。それぞれの人生やそれぞれの働き方や社会での貢献もありますので。しかし、いずれにしろ自分自身は健康でいたいと願っておられる国民の皆さんがほとんどでありますので、その立場に立つならば、必要な医療があってそこにアクセスが必要なときにできて確保されているということは日々の暮らしに最も重要な安心・安全の柱だと思っています。
 今回の整理を踏まえて思うのは、全世代型で支え合う仕組みをきちんと構築すべきだということを書かれていますし、そのとおりだと思います。あと、その前提とも言えますけれども、医療の持続可能性、また、地域医療の核ということはどうしても不可欠で重要なものだと思っています。これがないと定住や暮らしなど、様々なことに大きな支障が出てきてしまうと思うところです。
 そういった意味では、医療提供体制とその負担の在り方という大きなテーマについては、整理された資料の中にもありましたけれども、国民全体の課題として国全体のマネジメントの項目としてしっかりと位置づけをしてやっていかないと、なかなか先が見えないのではないかなと思っています。中期、あるいは長期の財政見通しもしなければなりませんので、国全体としてあるべき姿をどうすべきなのかという探求が喫緊の課題になってきていると思っています。
 一方で、ミクロで考えていくと、自己チェックや検診ということをもっともっと進めていくべきではないかなと思っています。整理された資料の中にも出ていますけれども、早期発見・早期治療ができるならば、より早く治療に進むことができます。例えがそぐわないかもしれませんけれども、車検に例えるならば車検を受けないで走っている車の状態というのはやはり喜ばしくないですね。事故も起こるし、けがもするし、そういうことにならないためにも、より安全に暮らせる健康状態を自ら確認をして、日々健やかで元気になりたいというのが多くの皆さんの希望ですので、このことを支えるようなことをもっともっと啓発したり、実施していくべきだと思っています。
 また、診療報酬に関連しますけれども、地域医療確保ということも一方ではとても大切だと思っています。一部資料にもあったと思いますが、今後5年、10年、15年後に医療を続けていらっしゃいますか、医師でいらっしゃいますかという調査等が一部行われています。それを見ると、年配のドクターの皆さんがひょっとしたら閉院をされるかもしれないとなると地域医療にかなり不安感が出てくるわけですけれども、こういったものを国としてどのように担保していくのか、医療を確保するのかといったことは診療報酬や医療制度の前に大きな前提として極めて重要なので、このことも念頭に置いて、国、特に厚生労働省ではお考えいただく必要があるなと思っています。
 また、後期高齢者の方々ですが、数日前にも、あるいは年度ごとの改定のたびにニュースが出ます。多くの高齢者の皆さん、特に後期高齢の方はニュースに一喜一憂されて御覧になっている可能性があります。特に負担が増えるという話になってくると、今の諸物価高騰等の風潮の中、また増えるのかと、また支出が厳しくなるのということで受け止める方がどうしても多くなります。とはいえ、実は見出しや内容を見るとまだ決定はしていないのですけれども、そのような感じで報じられてしまうと不安ばかり募っていくなと。特に年金収入のみでお暮らしになっている方々にとられては大変大きな心配事の一つになっていくだろうと懸念されます。それだけに、後期高齢者の負担増ばかりの議論や方向性ではなかなか落胆とか失望になってしまいますので、何とかこれらの方々の心情もくみ取る。心情だけで医療費の制度が変えられるわけではないと理解はしていますけれども、戦中・戦後の厳しい時代を生き抜いて今日につなげていただいたわけですから、この国に生まれて良かったなと思っていただけるようなことも一方では配慮が必要なのかなと改めて思っています。
 最後に結びですけれども、参議院選挙を受けての感想がございまして、参議院選挙では実はいろいろな負担をなくします、軽減しますという議論がたくさん出て闘いになっていたわけです。その結果として現在の与党は少数与党となって国会運営にも大変難儀されて、今、総裁選挙中という状況です。一方、野党グループ側は全体でまとまれば一気に首班指名などの主導権を取られるかもしれませんが、そこまではまだ熟していないようにも思っています。そうなると、各党が公約をされた医療費絡み、社会保障費絡みの政策はどうなるのか、あるいはほかで軽減するとしたらその財源をどこから持ってくるのかということはなかなか決まらないままに時間だけ経過しているのです。これらのことがどうなるかは本当に注目すべきことだろうと思っています。医療費が増加傾向にあるわけですけれども、これはちゃんと対応を打開しながらやっていかなくてはいけない。
 また、一部政党で民間企業の企業内内部留保金などの活用ということもおっしゃったのですけれども、ではどうするのかという話は一切今のところ報じられていないので分からないのです。そういったところが見えていかないと、国だけの財源を財務省を中心に検討いただいていますが、やはり厳しい緊縮の財政体質の中で新たな財政出動増というのは難しいので、なかなか全てのことがデッドロックみたいになってしまいかねないとも思えるのです。この辺がどうなるかというのは大いに注目すべきだと思っています。こういった財政を踏まえながら、この社会保障制度をどう構築し直すのかということがとても大切だと感じています。
 あと、基礎資料の中で、若い世代の啓発に関する資料を頂いて説明がございました。方向性を中心にそのように説明していただいたこと、誠にありがとうございました。よく分かりました。可能であるならば、小学校、中学校、義務教育学校においても同様のこともあっていいかなと思います。単発でやると大変堅苦しい話になるので、理科や家庭科などと併せてとか、あるいはその関連のときに医療のこと、健康のこと、社会保障のことをぜひ伝えていただいていく必要があると思っています。そうすると、子供たちはきっとお家に帰ってから家族との話の中で「今日は食べ物と健康について話があったよ、お母さん」とか、「お父さん、医療ってとても大事なのだね、病院があるというのはとてもすばらしいことなのだね」という話題になって、そこで親子の会話、家族の会話で医療や社会保障についての認識も強まっていくと思うのです。そのようないわば理解の促しにつながるような教育のアクセスということもぜひ行ってほしいと思っています。
 そういった意味でも、2つ目に紹介いただいたデータヘルスについてはとても重要と思っています。私自身も自治体の健康行政の中でやりました。データに基づいてやっていくと非常によく分かるし、ターゲットを決めて今年は例えば血圧の増えているものを止めようとか、次は血糖値に関する改善を数年間で図っていこうということをデータに基づいてやっていくわけです。こういったデータヘルスがいかに有用かということをもっともっと厚生労働省から発信していただいてもいいのではないかなと思っています。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
 今回、事務局から前回の各委員の皆様方の御意見を項目ごとに整理していただいたということでございますので、項目に沿って少しコメントさせていただきたいと思います。
 1つ目の全世代での支え合う仕組み、これは負担という面からの整理だろうと思います。これに関してはこれまでも発言をしてございますけれども、現状、あまりにも現役世代が負担する保険料に占める高齢者への支援金等の割合が増え過ぎているということで、いわゆる負担のバランスが悪くなってきているという現状を踏まえますと、世代間のバランスの再調整の見直しというものをしていく必要があろうと思いますし、全世代で支え合う仕組みの議論というものはやはりするべき時期に来ているのかなと思います。
 2つ目の制度の持続可能性に関してですが、これに関しましてはやはり負担に見合っただけの給付という側面からの整理であろうと思います。これに関しては前回も少し御説明しましたが、基本的には人口はこれから減っていきます。高齢者の人口は2040年をピークとして漸減していくという状況でございます。当然高齢者による医療費というファクターというものは一定は効いてきますが、限定的な部分もございます。今後、特に大きな影響を及ぼすのは、恐らく高額薬剤を含めた医療の高度化といいますか、医療技術の高度化というものの要素が大きく影響してくるのであろうと思います。ですので、その辺りに関して、医療の技術の評価というものの在り方を少し見直すということが必要になってきているのではないかなと思います。
 先ほどから無価値医療というお話もございましたが、価値がある・ないという言い方ではなくて、その治療、薬剤にしても技術にしてもそうなのですが、それがそれぞれ臨床上どれぐらい有効なのか、症状をどれだけ改善するのかという側面から評価をしていく制度設計というものがあってもいいのではないかと、考えてございます。
 給付の部分を減らすという意味において、前回においてもOTC類似薬の保険適用外しという御意見等もございましたが、これはもう皆さん方も御案内であろうと思いますけれども、結果、患者さんの自己負担、いわゆる市販薬を買うことによって負担の増加ということもございますし、高額療養費制度においても、OTCというのは適用除外される自己負担として増えるということもございます。また、お薬代が高いから買わない等によって症状が悪化するということもございますので、やはり保険適用の除外議論というものは我々はよろしくないという立場でございます。これに関しては、お薬に関してだけではなくて、先ほどからお話が出ておりますように、3つ目のポイントであります予防・健康づくり等の促進という面においてのヘルスリテラシー、社会保障の教育も含めてですけれども、これと一体的に進めていくべき問題であって、我が国の現状を勘案しますとまだまだこの部分というのは全く進んでいない。そして、これには相当の時間がかかるということも想定されますので、拙速に進めるべきことではなく、しっかりとした教育制度を国としても構築していただきたい。
 そういう意味におきましては、本日、資料に御提示をいただきました高等教育の取組は非常によろしいかなと思いますが、こういう取組を中学校教育や小学校高学年の教育にも取り入れていただきたいと思いますし、それによって国民の意識の基盤となるような変化というものもしっかりと見えてくるかなと思います。
 4つ目の医療現場を取り巻く環境の変化に関しては、言うまでもなく様々な報道等から、倒産件数も非常に増えている現状というのがございます。前回、島委員からも御案内がありましたように、病院においての経営状況というのは危機的な状況になっているという報道はもう皆様も御案内のとおりであると思いますが、日医総研で「令和7年 診療所の緊急経営調査」というものを行いましたところ、診療所においても令和6年度の前回の診療報酬改定の影響であろうと思いますが、非常に大幅な減収減益になっているということで、経常利益が4割ぐらいの診療所で赤字になっているという状況でどちらも大変深刻な状況になってございます。
 これはここ10数年来、医療費に関しての診療報酬上の対応というものを考えますと、本来であれば医療の高度化等に対して適切に手当てがされるべきであろう医療費の部分が適正化をし続けてこられた結果、現状、医療機関の経営状況というのは物価や賃金の上昇が著しい昨今の前に既にかなりぎりぎりの状態になっているという前提がございます。その状態において物賃の急上昇に2年に一度の診療報酬改定というものが対応し切れていないというところもございますので、こういう点に関してはしっかりと地域医療の提供体制が安定的に運営できるような対応ができるような体制の支援をよろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 意見の取りまとめをしていただき大変ありがとうございます。分かりやすく取りまとめられていると思っています。少し記載のない部分についてのみ追加で発言させていただければと思います。
 1つ目に関しましては、佐野委員、横尾委員からもありました、医療DXに関する部分であります。これに関しましては、マイナ保険証の定着という部分に関しましてはまとめていただいている4項目の全ての根底の部分に機能すべき医療DXの基盤と思っています。全項目のために保健医療情報をいかに活用していくかという部分が本質だと考えておりますので、電子証明に関する更新の方法であったり、資格確認書を利用されることの影響等々も十分注視した上で、使用者のデジタル的なリテラシーであったり手間に依存しないような、いかに簡易で安全にこの基盤を整備していくかということについては全項目にわたって基盤として敷かれる部分で考えていくべきところかと思っています。
 それともう一つはバイオシミラーについてなのですけれども、前回の基礎資料の中にも一部バイオシミラーの現状ということで資料が載っていたのですけれども、もちろん進めることの必要性に関しては理解しておりますが、使用促進に取り組むために関しては、医師と薬剤師の連携した丁寧な対応がないと、今までの後発医薬品の使用促進でしてきたような変更の仕方はできない状況にありますので、現在の使用量をバイオシミラーに置き換える場合の試算をするというやり方で目標等を出すとそのような切替えの仕方というのはなかなかできませんので、その辺のことも考慮しながら政策を検討していく必要があると思っています。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 遅れてしまいまして申し訳ありませんでした。今日の資料を拝見しまして2点発言をしたいと思っています。
 一つは社会保障教育の関係であります。厚生労働省のホームページを拝見しても、なかなか良い教材資料が載っているなと思っていました。そういう中で特にこの部会としても重要な点は、やはり社会保険の原理・原則ということをきちんと理解してもらうことが必要なのではないのかなと思います。例えばどういう原理・原則があるのかというと切りがないのかもしれませんけれども、保険料などを見ても応能負担原則であるとか、ただ、税とは違って無制限に徴収されるわけではなくて上限がある一方、低所得の方にも何がしかの負担はしていただくといった一応の原理・原則というのがあるのだろうと思います。そういう原理・原則ということをきちんと知っていただかないと、どうしても医療保険の場合ですと一部負担とか、いろいろな基準が幾らだどうだというのでなかなか複雑になってしまいますので、そうではないレベルのところで知っていただくということと同時に、実は今日遅れましたのは授業の関係がございまして、社会保障論というのと公的扶助論という科目があったのですけれども、公的扶助論を教えていますと原理・原則というのがあって、ある意味では教えやすい部分があるのですけれども、医療保険や社会保険になりますとなかなか複雑でありまして、そういうところをなるべくきちんと原理・原則を打ち立て、そして、できればそういったことを法律のどこかにも明記するといったことが必要になってくるのではないかなと思います。現在も健康保険法のところには健康保険とは何なのかということが理念レベルで書かれておりますので、そういったところを少し充実させていく必要があるのかなと思っています。
 2点目は、いろいろな方からもお話がありましたけれども、ヘルスリテラシーの関係であります。いろいろなことをやらないといけないわけですけれども、OECDなどのいろいろなデータを見ておりましても、使われている医薬品であるとか、あるいは医療機器やベッド数などは国によって違いがあるわけでありまして、そういった中で人間の行動という部分が一定の役割を果たしているのだろうと思いますし、実際今も特定健診や特定保健指導というふうに人の行動変容を促すということが入ってきておりますので、そういったところをどうしていくか。そうはいいましても、例えば民間保険、あるいは労災保険のようなメリット性というのはなかなか難しい部分がありますので、むしろ北風というよりは太陽という形での行動変容を促すみたいなことが必要なのかなと思っております。
 以上であります。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 私は高齢者の立場から見ていると、前にも触れましたけれども、まず今、税や社会保障の基本原則ということが言われましたが、所得の再分配、税と社会保障は基本的にそういう役割を負っているものですので、まずそこをはっきりとさせていただく必要があるだろうということで、私は前回、負担の問題として再分配機能が結局消費税の導入とか、あるいは医療の保険料の逆進的なもの、あるいは高額の保険料についてはもう頭打ちといったことでは社会保障の再分配機能が十分果たせていないのではないかと思います。
 私自身は社会保障についても本来であれば税でやっていくほうが望ましいのかなという思いでいるところです。そんなことで今の制度の持続性の問題を考えていった場合、結局財源の問題に必ずぶつかるわけですので、そこを深掘りしない限り、制度の縮小という方向に行かざるを得ない。やはり必要なことは新しい負担の在り方によって財源の在り方を見直していくことだろうと思います。私自身は今の制度は所得の低い層、これはある意味では年金を主に生活している高齢者であったり、あるいは日本の場合、賃金の在り方が少しずつ変わっているのかもしれませんけれども、若年労働者、若い層のところであったりするわけですが、この賃金の低いといったところについて、もう少し緩やかな形にしていく、累進的な負担というものを導入しない限りここの負担感を解消するというのは難しいのかと思います。非常に単純かもしれませんけれども、この負担感を直していくというのは、全体の負担感ということではなくて所得の低い人、ある意味では国民の半数ぐらいのところの負担感が非常に大きく感じるのは、今も言った負担の在り方のところで十分財源的に機能していないためにそこからの負担感が大きくなっていくのだろうと思います。
 あと、健康は自分で守るということですけれども、そのことは決して否定はしませんけれども、私は早期発見・早期治療ということを前回申し上げましたけれども、その中にもう一つ、医療になぜ早くかかる必要があるのか、要するに必要な医療は継続される、だけれども、心配のないものについてはそこで指導によって例えば薬を継続するとか、そういう必要がない、あるいは通院の必要がないといったことも医療現場できちんとされていくということが基本だと思います。前回もたしか低価値医療や無価値医療という言葉が出ましたけれども、ちょっとこれはどうなのだろうかと。むしろそういったものがあるから云々というよりも、そういったものをなくしていくような医療改革ということをきちんとやっていただかないと、国民の医療に対する信頼というものは私は確保できないのではないのかなと思っております。
 それから、診療報酬の問題ですけれども、私たち高齢者から見ていますと、最近よく口に出されるのは、ちょっと旅行に出かけて、熱があって出かけた先の医療機関に行くと、大抵の場合、かかりつけのお医者さんのところに行きなさいと言われることが非常に目立ってきたと。その場合でもかなり遠隔地の場合であっても割合そのことが言われるということですけれども、そういった医療でいいのかどうか。住民に対して基本的に責任は負わなければなりませんけれども、そこに訪ねてくる人の健康の問題についても対応できるような一定の踏みしろを持った医療体制ということを考えていかなければ厳しいといっても、国民の健康を守っていくということに問題が出てくるのではないか。そういう意味で診療報酬の在り方についても今言った地域で起きている医療機関が減っていく、あるいは病院の診療科が医師がいないために閉じてしまうといったことが見受けられますので、そこを解決していくような方向で診療報酬の在り方についても大きく踏み込んで改定していただく必要があるのかなと。
 素人目からの意見ですけれども、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 今、兼子委員からも税か社会保険かというお話がありましたが、私は現役世代ではもう社会保険料をこれ以上上げることは難しいのではないかと思います。先頃の参議院選でも社会保険料を大幅に減らすということを言った政党がかなり支持されていましたが、現役世代では税金よりも社会保険料のほうが高いという人も珍しくはない。
 なぜこういうことになってしまったかというと、これは日本人の税金アレルギーにかなりよるところが多いと考えております。税を上げる、増税というと、選挙で票が入らなくなってしまう、内閣が潰れてしまうということがあるので、社会保険料のほうが取りやすいということで社会保険料をどんどん上げてきてしまっているという経緯があります。
 税金について見ると、減税というと人気が高まるということで減税減税とやってきておりまして、累進を随分下げてきてしまっていますね。今、所得税の最高税率が50%を切っていると思うのですが、やはりこれをもうちょっと上げて、1970年代か80年代のあたりまで戻す必要があると思います。社会保険料を今の水準よりも引き上げるということはほとんど不可能ではないか。もしそういうことになれば、国民の間から大きな不満が出てくるのではないかと考えております。
 それから、健康との関連で言えば、住環境の問題をもうちょっと考えてもいいのではないかと考えております。ヨーロッパでは住宅保障というのは社会保障の重要な柱になっているのですが、日本ではいわゆる居住福祉や住宅福祉ということは考えられていない。今年の夏、ものすごく暑かったのですが、たくさん特に高齢の方が熱中症で救急搬送されていましたが、その方たちはほとんどが劣悪な住宅に暮らしていらっしゃる。それから、エアコンもほとんど使っていない。これは電気代がもったいないというのもあるのですね。ですから、健康維持というのは医療だけではなくていろいろなファクターが絡んできておりますが、特に住環境の問題について、これは国交省の範囲なのかもしれませんが、もうちょっと考えてもいいのではないかということを感じております。
 それから、教育についてはいろいろなデータを出していただきありがとうございます。ただ、ここの場合、2コマというのはあまり役に立たないのではないか。私も大分前に調べたことがあるのですが、年金の話が多いのですね。それでもうちょっと何とかならないのか、大枠の社会保障制度そのものの仕組みを教えるということができないのかと感じております。
 医療保険について言いますと、前回も申し上げたのですが、ものすごく複雑になっていて分かりにくいのですね。いろいろな後から付け加えたようなものがあって細々していて、医者自身もよく分からないなどと言っている。これをもうちょっとすっきり分かりやすくできないのかということです。
 報酬改定につきましても、基本的な報酬を上げていく方向にできないのか。加算、加算でちょびちょびとやって、しかもものすごく複雑で、例えば緩和ケアの場合、がんはいいけれどもこれは駄目だとか、特定の病気だけしか適用できないとか、非常に複雑になっているので、もうちょっと分かりやすくすっきりして基本報酬で上げていくということができないのかということを感じております。
 最後は質問なのですが、健康教育やヘルスリテラシーについて、健保組合ではかなりいろいろなことをやっていらっしゃるということですが、協会けんぽや国保はどうなのか。労働環境を考えると、中小企業の方のほうが働く状況は良くないと思いますし、また、自営業の方の場合は自分でいろいろコントロールしなければならないというので、必ずしも良好な労働環境にはないかと思いますので、こういう中小企業の人や自営業の人たちに対する健康教育や情報提供というのはどうなっているのかというのを厚労省の方にお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 御質問がございましたので、よろしくお願いいたします。
○姫野課長 御質問ありがとうございます。
今回、健康保険組合の資料だけつけてしまいましたので、協会けんぽ、あるいは国保、それから後期高齢者の中での取組に関する資料が不足しておりまして大変申し訳ありませんでした。
 それで、協会けんぽ、それから国保などからも、前回も含めまして御紹介いただいたかと思いますけれども、それぞれの保険制度の中でこういったデータヘルスの取組というものはされておりますし、また、協会けんぽはもちろん、中小企業の事業主さんとのコラボヘルスといったものも取り組んでいらっしゃいますので、また詳しくはそれぞれの制度の中の取組も御紹介できればと思いますけれども、それぞれの保険制度の中で同様の取組を創意工夫を発揮されて進められていると認識してございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございますしょう。というか、補足はございますか。
 では、お願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。協会けんぽの北川でございます。
 まさにここに後でコメントしようかと思ったのですけれども、私どもも例えば健康スコアリングレポートというのは既に15年歴史がございます。特に事業者の方々にこういうデータを還元して職場での健康づくりに取り組んでいただくという活動については大変中心的な活動としてやらせていただいております。また、商工会議所等関係団体の方とも連携いたしまして、コラボヘルスというのは進めているということでございます。
 また、教育に関してもまさに同じようにやっておりますし、今、職場に健康保健委員という方を任命させていただきまして、この方を中心に活動しておるのですが、もうそろそろ40万人、約40万社の方々がカバレッジされてきていると御理解いただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、前回の意見の取りまとめ等をありがとうございます。前回と同様の繰り返しの発言になりますけれども、国民皆保険制度を将来にわたって安定的に持続していく上で医療保険財政は非常に重要な視点であると認識しておりますけれども、一方で、地域における医療提供体制を維持していくことも同時に重要と考えております。生産年齢人口が減少する中で歯科専門職の高齢化も進んでおり、また、そうした方々が地域歯科医療を支えていることを踏まえつつ、医療DXの推進に当たってはバランスの取れた施策をぜひとも検討していただきたいと考えております。
 また、医療保険制度における給付と負担の議論におきましては、世代間・世代内のより公平性を確保した全世代で支え合う仕組みを整備できるよう、また、社会保険制度の仕組みをより理解していただけるような教育等の在り方も含め、できるだけ丁寧な議論をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただければと思います。事務局におかれましては、本日いただいた御意見を踏まえつつ、引き続き議論を深めていくようお願い申し上げます。
 次に、「令和8年度診療報酬改定の基本方針について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料2「令和8年度診療報酬改定の基本方針について」の1ページをお開きください。これまでの診療報酬改定の基本方針におきましては、「改定に当たっての基本認識」に続きまして「改定の基本的視点と具体的な方向性」といった形で示しております。8年度改定におきましてもこれまでの基本方針の構成をベースとしつつ、近年の状況を踏まえたものとしてはどうかと考えております。
 改定に当たっての基本認識を4つにまとめてみました。また、右の欄に「考えうる記載」とございます。これは基本方針の本文の一部を構成する文章となることをイメージして記載しております。左側に基本認識の例を4つ記載しております。1つ目、日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担の抑制努力の必要性とございます。右側の「考えうる記載」でございますが、物価高騰・賃金上昇、人口の減少、支え手が減少する中での人材確保の必要性といった医療機関などを取り巻く環境の変化、現役世代の保険料負担の抑制努力の必要性、地域医療体制を維持、必要なサービスが受けられる、このようなことを記載しております。
 2つ目の基本認識の例でございますが、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築でございます。先ほどの1つ目の日本経済云々の基本認識は、医療に限らず我が国を広く取り巻く状況をイメージして記載をしております。一方、2つ目の基本認識では主として医療を取り巻く状況をイメージして記載させていただいております。2つ目の右側の「考えうる記載」でございますが、2040年頃に向けては生産年齢人口は減少するものの、医療・介護の複合ニーズを有する85歳以上人口は増加、治す医療と治し支える医療を担う医療機関の役割分担などと記載しております。
 3つ目、医療の高度化、医療DX、イノベーションでございます。右の「考えうる記載」でございますが、技術の進歩や高度化を国民に還元する、ドラッグやデバイスのラグやロスへの必要な対応を行う。
 4つ目は、制度の安定性・持続可能性の確保でございます。
 めくっていただきまして2ページをお願いいたします。「基本的視点の例」と「具体的方向性の例」における記述は前回の御議論などを参考に整理させていただいております。先ほどの基本認識と似通った部分も多いのですが、基本認識を診療報酬の世界で捉えた場合にこの4つの視点にまとめてはどうかと考えております。
 1つ目の視点は、物価や賃金、人手不足などの医療機関などを取り巻く環境の変化への対応。右側、具体的方向性でありますが、各種費用の高騰を踏まえた対応、賃上げや業務改善による人材確保。
 基本的視点の2つ目と3つ目であります。2つ目の視点は、2040年頃を見据えた機能の分化・連携、地域包括ケアシステムの推進。3つ目の視点では、安全・安心で質の高い医療の実現でございます。きれいに分類できるものではありませんが、2つ目の視点は主としまして連携・協働するようなもの、3つ目の視点は比較的独立した個別のものをイメージして記載させていただきました。2つ目の基本的視点の右側、具体的方向性でございますが、医療機能に応じた入院医療、治し支える医療の実現、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能。3つ目の基本的視点の右側でございますが、救急医療、小児医療、周産期医療など、重点的な対応が求められる分野、口腔疾患の重症化予防、医薬品供給拠点としての薬局などを記載しております。
 4つ目、効率化・適正化でございます。費用対効果評価制度の活用でしたり、実勢価格を踏まえた評価などと記載させていただいております。
 以降、参考資料でございますので、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願いいたします。
 城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 ありがとうございます。
 改定の基本的な視点と具体的な方向性という診療報酬に直結する基本的な考え方の整理を提示していただきました。先ほど御案内したとおり、医療機関の経営は大変厳しい状況ということで、我々としては本当にこの診療報酬改定においてしっかりとした手当てをいただきたいというのが皆の願いであるわけでございます。基本的にはここの記載はどれも非常に重要な内容でございますし、異論はございません。そのうち特に基本的な視点でございますが、緊急的な対応が必要でございます物価・賃金、人手不足などというところの記載につきましては、特に重点課題として位置づけていただきたいと考えてございます。
 さらに、この具体的な方向性につきましては、特に医療機関等が直結をしているのは食材料費等と書いてございますが、それだけではなくて、御案内のとおり光熱水費、また、最近は委託費が大変大きな負担になってございますので、ここの記載もできますれば、光熱水費、委託費、食材料費等と明記をしていただければなと思います。
 そして、3つ目の安心・安全で質の高い医療の実現についてですが、ここは医療DXの推進に関しての評価ということはそのとおりでございますが、皆さん方も御案内のとおり、医療DXを導入するにも相当のコストがかかります。これに関しましては特に体制整備として補助金等によっての御支援をいただいているわけでございますが、特に現場の医療機関からは保守点検、またはシステムの改修、さらにはシステムの入替え等も含めて非常に運用のコストがかかっているという声が非常に多くなってございますので、今後、電子カルテ情報共有サービス、さらには電子処方箋、そして電子カルテ、これらが導入されてくるということになりますと、その導入費用以外にもこの運用にかかるコストというものは無視できない非常に大きなものになってございますので、ここも何とか評価をしていただきたいところでございます。
 そして、この効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上につきましては、医療機関が事業継承に苦慮している現状において行き過ぎた効率化・適正化、これは先ほどのテーマのときにも御案内しましたが、本来は診療報酬を財源として手当てをしていただくべきところが、適正化という名目の下に過剰に医療費を削減されてきた結果、現在の医療機関の運営の厳しい状況があるということでございますので、ここはあまり過剰な適正化につながらないという形で医療機関の存続、ひいては地域医療の提供体制の崩壊につながらないように、慎重に検討していただければなと思います。
 私からは以上です。ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、引き続き島委員、よろしくお願いいたします。
○島委員 ありがとうございます。
 今回示された令和8年度診療報酬改定の基本方針というところで、内容としては非常に問題になっているような内容が盛り込まれておりますので、非常にこういう方向で論議が進んでいけばいいかなとは思っておりますが、幾つか指摘しておきたいことがございまして、先ほどから城守委員も医療DXの話はされましたし、佐野委員からも先ほどこの重要性というのは非常に話されましたが、少なくとも経営の観点から考えると、医療DXというのは国策的な話ですので、ここはしっかりと城守委員もおっしゃっていたように支援するお金を頂きたい。
 それとは別に、経営に関しては最近、病院DXという言葉を使っております。これは業務効率化に結びつくようないろいろなプログラムの導入です。それをすることによって経営が改善するという方向性が大分示されてきましたので、医療DXではなくて病院DXというのが今後はどんどん推進されていくだろうとは思っておりますので、そういう認識を持っていただきたいなというのが一点。
 それから、労働生産人口が今後どんどん減っていくというのは歴然とした事実でございますので、これに伴って、先ほど城守委員がおっしゃっていた委託費の話もあります。これはどうしても診療報酬の施設基準に人的要件というのが、例えば看護のところであれば一般・急性期7対1といった看護師の配置などといったいろいろなところに人的要件というのがありまして、これを最高のランクのものを取ろうと思うとそういう国家資格を持った方たちを雇用しなければならない。そこがうまくできないので一生懸命派遣会社にお金を払って人を集めるということになっています。
 ただ、今後、そういう資格を取る方たちも当然減ってくるわけですから、この診療報酬の中の人的要件といったところの緩和といったことも一緒にもう考え出さないと、この制度自体が破綻してしまうと思っておりますので、これはぜひ考えていただきたいなと思います。
 それから、6年の改定のときに賃上げのところが非常に内容として含まれております。今回の改定でも恐らくここは入ってくるのだろうと思うのですが、このときに賃上げ促進税制を使うということで賃上げをしやすくするという話でやっていましたが、これは国公立病院や社会医療法人というところは適用外ですし、今みたいに経営が悪いと赤字のところはもちろんこれを使えないのですね。実際これは2割ぐらいしか使われていないという現状ですので、ここも制度を変えるというのは簡単にできませんけれども、そういったことも知っておいていただきたいなと思っております。
 そういったことで、方向性としてはこういう内容で検討していただくというのは非常にありがたいなと思っておりますが、以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 ありがとうございます。
 2ページの一番下の段の具体的方向性の例として挙げられている事項は、医薬品に関する事項のみとなっております。しかし、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上の観点からは、ほかにも取り組むべき事項は多くございます。例えば医療機能の分化・連携・集約化を通じた効率的な医療提供体制の構築も重要な視点であると考えます。こうした点も具体的方向性に組み込んでいただきたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 前回も2040年をターゲットにすることはちょっと違和感を覚えるということを申し上げたのですが、2040年を到達点とするのであれば、2040年はどういう社会なのか、あるいはどういう医療体制を考えるのかというビジョンを示す必要があるのではないかと思うのですね。人口推計はいつも出てくるのですが、人口推計だけではなくて世帯推計や労働力推計、あるいは医師や医療関係者の将来推計、あるいはいろいろなデータが必要だと思うのです。それから、現在のような傾向が続いた場合に診療所ゼロの自治体が幾つあるかという推計値をそろえていただけないかということ、そして、それに基づいて2040年はどういう社会になったらいいのかというビジョンのようなものを描く必要があるのではないかと思います。
 今、医療や医療保険は非常に危うい状況にあるので、喫緊の課題、短期的な目標というものもやはり考えていかなくてはいけないと考えております。私は素人なのでよく分からないのですが、今、経済成長期の頃に造られたインフラや道路、建物などの耐用年数が来て建て替えや造り直しの時期に来ていますね。病院もそういうことになっているのではないかと思うので、病院の建て替え、医療機関の建て替えなどについてどのような助成、補助金や財政的な支援が考えられているのか、その辺のところもぜひ考える必要があると思います。
 それから、物価高対策ですが、本当に最近の値上がり状況は物すごいですね。1年ぐらい前でしたか、食費を30円くらい上げたのですが、もうあんなものは焼け石に水だと思うのですね。ですから、こういうものに対してどなたかが臨時の報酬改定ができないかみたいな御意見を言っていらっしゃったこともあるかと思うのですが、何かこの緊急対応策ができないのか。本当にお米などは倍になってしまっているので、病院を経営していらっしゃる方は物すごく大変だと思うのですね。この辺りについてどう考えるか。
 介護施設についてはホテルコストといって食料費や部屋代についてかなり経営の側に自由裁量権があったりする場合もあるのですね。医療はどうなのか、医療はそれは無理かという話もあるから、医療における食事というのは医療の一部であるからそう簡単にはという施設もあるようですが、この辺りでもうちょっと物価高に順応できるようなシステムが考えられないかということを申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。2点ございます。
 一つは、今日の資料の3ページを拝見しますと、その時々の状況を的確に反映した基本認識というのが示されているのだろうと思います。その点で、今の状況はどうなのだろうということを改めて考えてみると、一つは今日の発言で、あるいはこれまでのいろいろな方の発言にもありましたように、今置かれた物価高をはじめとする臨時応急的といいましょうか、現在の状況に対応しなければいけないという部分と、2040年、あるいはその先を睨んだ対応という中長期的な部分があるというこの2つを今回は対応していくのだろうと私は思っております。
 そういう点でいくと、これは環境問題でよく使う表現かもしれませんけれども、ミティゲーションというのとアダプテーションという言葉がありますけれども、現在のいろいろな課題は対応するけれども、中長期的なところもしっかり見据えていくというメッセージ性というのが重要かなというのが1点目であります。
 2点目は、パーツでいきますと安心・安全という質の問題のところに入るのかもしれませんけれども、診療報酬というのは非常に複雑になってきておって、それはもう致し方ない部分があるのかもしれませんけれども、国民の理解を得やすい、分かりやすいということをどこかにうたったほうがいいと思いますし、前回の取りまとめ、基本方針の際にはどちらかというと付け足しといったらいけませんけれども、最後のほうに少しそういう記述が出てきたような気がしますので、もう少し理解を得るという意味では分かりやすいとか、理解が得やすいといった視点を強く打ち出したほうがいいかなと思いました。
 以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 まず、基本方針の構成について、従来と同じような立てつけで整理することに異論はございません。また、基本認識、基本的視点で例示されている内容についても特段異論ございませんけれども、保険者としては医療保険制度の安定性・持続可能性の向上が大前提であるということは強く申し上げておきたいと思います。
 そういう意味で、議題1の内容とも関連しますけれども、既に被保険者、事業主の保険料負担が限界に来ている中で、今後も支え手であるところの現役世代の人口が減る一方で高齢者が増加するのも間違いないということ、さらに言いますと、高額薬剤等医療の高度化による医療費の増加にも大変強い危機感を持っているというのが事実でございます。
 そういう中で今後の方向性としては、医療DX、また、ICT連携も活用して効果的・効率的な医療提供体制を構築すること、また、保険給付を重点化すること等はまさに医療の人手不足、医療機関のコスト増に対応しつつ保険料の上昇を抑制することにつながるのではないかと考えております。
 したがって、基本認識、また、基本的視点で示されている4項目はどの項目も密接に関連する重要なテーマであると考えておりますので、今回においてはどれか一つを重点課題にするというのではなくて、全てを総合的に解決することが最大の課題ではないかと考えております。
 また、具体的な方向性の各論についてもバランスというのは大変重要だと思っておりまして、この中にあります例えば医療資源の少ない地域への支援や医師偏在対策の推進については不足だけに着目するのではなくて、全体の医療資源、医師数や財源が限られていることを踏まえて格差を是正するということが不可欠ではないかと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
 示されている例示の部分に関してはおおむね必要な項目が記載されていると思っております。先ほど来出ている国策としてのDXの推進に関してもしっかりと現場の負担の部分に関してはみていただきたいと思います。
 それと私から一点、現場からの切なお願いなのですけれども、今の医薬品の現状に関してです。いまだに供給が不安定なまま続いていることに関しては現場へかなりの負担がかかっています。切替えの利かない薬がなくなっていることについては、医師との連携の中でも切り替える先の薬がないという状態の薬にまで供給不足になってしまっているという現状も発生しており、かなり大きな患者さんへの影響が出るのではないかなと思っています。
 それと、薬価改定等々の影響の中で、医薬品、医療機器もそうなのですけれども、納入において逆ざやになるものが生じているという部分があるのも現状になります。それと、先ほど来出ている高額療養、高額薬剤に関してなのですけれども、これはもちろん患者個々に見合った個別の量になりますので、実は薬局に在庫を抱えることになります。この高額な薬剤の在庫というのはそのまま行くと破棄になる状態になり、大きな損失に当たっていくということにもなっています。これらの医薬品にまつわる部分での負荷に関しては、今後の議論の中でしっかりとその評価という部分と併せてしていただきたいと切にお願いをしておきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 まず、基本認識や基本的視点に記載されている物価高騰や賃金上昇等への対応については、今後どのような対応が必要となるか、これまでの改定の検証や整理を行うとともに、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、あるいは経済財政等の調和が重要であるという点は強調しておきたいと思います。
 経営者の目線から見れば、社会情勢が厳しければ、省力化や省人化でコストを抑えます。あるいは単価を上げる、高付加価値事業へのシフトということを考えますが、医療機関がどういった手法が取れるというのは考えないといけないと思います。DX化についても、ぜひお願いしたいと思いますが、その一方では、サービスの受け手である患者側も適切な受診行動を取る、基幹病院に集中しがちな負荷を軽減するために逆紹介を活用するなど、国民自らの手で医療保険制度を持続させていくことが求められるのではないかと思います。提供側、患者側双方の行動を後押しするような視点が必要だと考えます。
 なお、資料2の2ページの一番下の具体的な方向性の例でありますが、医薬品に偏った記述には違和感を覚えます。先ほども発言がございましたけれども、ある医薬品メーカーでは、ジェネリックでどんな頑張っても赤字になってしまうとのことです。どんなに頑張っても赤字になると事業が続かなくなりますので、残念ながら撤退をするということになります。
 一方で、コストダウンは簡単にできるものではございません。医薬品というのは安全管理が第一でございます。人々の健康を担うわけですから、行政としても以前にも増して安全管理、医薬品の製造環境に関しては非常に厳しくなっており、間違いなくコストは上がっていると考えます。今後の持続性というのを考えた場合、全ての分野でめり張りを利かせるということが必要で、医薬品に限らずより多方面の視点を盛り込んでいただくように強くお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、任委員、よろしくお願いします。
○任委員 今回改定でもこれまでと同様に、基本認識、基本的視点と具体的な方向性という構成で示していくことについては異存ありません。
 その上で、近年の社会情勢、医療を取り巻く状況に関して幾つか申し上げます。前回も述べましたが、最も重要なのは資料2の1ページの例の1つ目に記載されている物価・賃金の上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保です。各地域で各医療機関の機能を明確化した上で、24時間365日対応できる医療提供体制を確保することが重要です。
 そのためにも人材確保が不可欠ですが、とりわけ病院の夜間の人材確保については深刻化しています。本会の調査によれば、いずれの病床規模においても15%程度は短時間勤務または夜勤免除者が病棟に配置されており、令和6年度改定結果検証調査でも同様の状況が示されています。夜勤者確保策として夜勤手当の増額、回数に応じた加算・手当の支給が有効であるものの、この10年以上、夜勤手当はほぼ横ばいです。
医療機関としては夜勤手当の増額や賃上げに取り組みたくても、急激な物価高騰、コスト上昇により深刻な経営難に直面しており、他産業並みの処遇改善は難しい状況です。医療福祉関係職種の賃金増加率は2.5%と他産業の4.1%に比べて低い水準にとどまっており、看護職においては最も就労者の多い年代である40代後半では月額給与額が全産業よりも9.5万円も低く、その差は拡大傾向にあります。このままでは人材確保に一層の支障が生じ、国民への医療提供が難しくなることを強く懸念いたします。
 今回、物価・賃金の上昇や人材確保について基本認識、基本的視点に例として位置づけていただいており、これは極めて重要だと思います。一方で現役世代の負担軽減や社会保障制度の持続可能性確保について、併せて進めることが必要です。
 さらに、限られた人材で質の高い医療を提供するためには、医療機能の分化・強化、多職種連携、タスク・シフト/シェア、医療DXやICT連携等に今まで以上に取り組むことが求められます。多様な職種、施設の関わりが増えていく中でそれぞれの視点や機能を活かし、有機的な連携をもって患者を支えることが必要です。そのためにも、マネジメント機能の強化がますます重要になると考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐保参考人、よろしくお願いいたします。
○佐保参考人 ありがとうございます。
 これまで委員から発言した内容と重複するものもございますが、まず医療保険制度の持続可能性、国民負担の状況、医療現場で働く全ての労働者の処遇改善、物価・賃金の動向などを総合的に考慮した改定率とした上で、充実すべき項目と適正化すべき項目とめり張りのある改定とすることや、医薬品等の安定供給確保の必要性なども踏まえ、物価・賃金の上昇への適切な対応を図ることが必要と考えます。
 具体的方向性としては、例にあるように医療従事者の賃上げや業務負担軽減を含む人材確保に向けた取組は不可欠ですので、医療現場で働く全ての労働者の継続的な処遇改善につなげる仕組みとなるよう、ベースアップ評価料については引上げとともに対象職種を拡大することや看護職員処遇改善評価料と併せて申請・報告における事務負担軽減策を検討すること、また、業務負担の軽減に向けては、医療職一人一人が専門性を十分に発揮できるよう、タスク・シフト/シェアやチーム医療に加えて多職種連携も促進するとともに、ICTの活用を積極的に促していくこと、夜勤負担の改善に向けて個人単位での夜勤回数の制限などを検討することといったことが必要と考えております。
 また、医療提供体制においては高齢者救急を担う機能の項目を評価しつつ、高度急性期から慢性期まで機能分化がさらに進むよう関係項目を適正化することや、かかりつけ医機能に関する項目についても実績評価への転換を図り適正化するなど、医療機能の分化・連携をさらに推し進めていくことが必要だと考えます。
 そして、医療DXを促進し、電子処方箋や電子カルテ情報などの共有・連携を通じて医療の効率化・適正化や薬剤の多剤重複投与の是正を図ることが必要と考えております。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
 基本認識及び基本的視点の例につきましては、物価高騰や人材確保の必要性、医療DXの推進など、近年の社会情勢を踏まえ必要な認識及び視点が盛り込まれているものと考えております。
 具体的方向性に関しましては、各種費用の高騰を踏まえた対応の代表例が食材料費となっておりますが、参考資料1-1のとおり、人件費や医療材料費等の急激な増加が深刻化しておりますことから、課題に応じた検討を深められますよう具体的方向性に明示しますようお願いいたします。
 また、地域包括ケアシステムの推進につきましては、地方においては高齢者が広域に分散し、効率的な訪問診療や訪問看護が困難な状況が生じておりますことから、その点につきましても対応について検討をお願いします。
 加えて、今回の資料に記載は見られませんでしたが、改定後においても物価や賃金が上昇した場合に適時適切に対応できますよう、診療報酬をスライドさせる仕組みの導入についてもお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 基本認識、基本視点、具体的な方向性については大きく異論はないのですけれども、少しより深掘りしてもらったらいいかなと思うのが、まず改定に当たっての基本認識の一番上にあります現下の情勢等についてのところです。2つあると思いまして、一つは地域としての医療の確保、これは先ほどの意見の中でも言いましたけれども、医療機関が減っていく可能性も危惧されていますので、エリアとして医療アクセスができるかどうか、地域医療が確保できるかというポイントが一つです。もう一つは公的医療機関も今回赤字になるという報道が先走っているようなニュースも一部ありますが、実際そういう厳しさがあります。そういった中で個々の医療機関が持続可能な経営をちゃんとやっていけるように評価をするということも一方で必要だろうと思っています。
 もう一つはDXに関係してなのですが、先々どうなるかまだ分かりませんが、ほかの国の例を見ていくと、国が基本となってシステムをつくり、それを共有する形でデータを集めて国としての医療の分析や保健指導などを利活用できるような体制になっていると思うのです。日本の場合、個々の医療機関に任せてしまいますと、主要なベンダーやIT関係の企業があるとは思うのですが、最終的に統計を取ったりデータを活用するビックデータのときにちょっと手法が違うから集められませんではもったいなくなってしまいます。国としてもっと合理的にデータを集めてどう処理してどう生かしていくかという戦略を持っていただいて、その上で国主体でいくのか、民間との連携でやっていくのかなども一方ではぜひ考えていただきたいのですね。このことはすぐ診療報酬改定には影響はないと思いますけれども、先々いろいろな意味で影響が出てくると思うので、ぜひそういったこともリーダーシップを発揮していただきたいと思っています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
 あまりほかの方とダブらない点で1つだけ申し上げたいのは人材確保の問題で、これは医療も福祉も同じなのですけれども、一般の勤労者から比べると4万円ぐらいの格差がある。ここを解決しない限り、やはり現場の人材確保というのは困難だろうと思います。例えば特別養護老人ホームや介護保険施設などで、結局人手が得られないために入所を必要としても入所させてもらえないというところが随所で起き始めていますので、そこは深刻な問題だと思いますので、ぜひこれが解決されるような形でお願いしたいと思います。
 あと、先ほどちょっと地域の問題も申し上げましたけれども、例えば人口密度との関係で、密度が高いところは割合医療機関の方も効率的に動けるのだと思いますけれども、非常に点在しているところの場合はそう簡単には、移動時間という問題もありますので、そういったこともきちんと考慮しながら必要な医療が確保される。
 あとは、我々患者の立場で言いますと、お医者さんたちの働く時間の問題がどうなっているのか。ちょっと前まではたしか医師の働く時間についてはいわゆる過労死ラインぎりぎりのところまでオーケーという形になっているようですけれども、やはりそれであっては我々は非常に不安を覚えますので、その辺も大きく改善していくような形でお願いできればと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
 本日の資料は令和8年度診療報酬改定の基本認識の例及び基本的視点と具体的方向性をお示しいただき、ありがとうございます。異論はございませんけれども、少し追加の意見を述べさせていただきたいと思います。
 昨今の物価高騰、賃金上昇は言うまでもありませんけれども、歯科は個人立歯科診療所が多くマンパワーも限られる中、歯科衛生士、歯科技工士の離職等は喫緊の課題となっており、給与面でも他職種よりも低いこともあり、歯科関連職種の人材確保や賃上げについては引き続き御検討をお願いしたいと思います。
 特に歯科衛生士の確保は最重要課題であり、2ページ目の地域包括ケアシステムの推進を図る上で地域の要介護高齢者等の誤嚥性肺炎予防の観点からも、また、チーム医療の推進からも、その確保は非常に重要と考えております。また、前回の改定はトリプル改定であり、リハ、口腔、栄養の一体的推進が図られたところですけれども、引き続きその視点でお願いしたいと思います。そして、地域の医師薬連携を含めた連携が進むように御配慮をお願いいたします。
 また、安心・安全で質の高い医療の実現では、歯科の治療のデジタル化にも期待をしておりますが、医療DXの推進に関しましては、先ほど城守委員、島委員からも御意見がありましたけれども、十分に御配慮していただきますようよろしくお願い申し上げます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 基本認識について特段異論はございません。私どもからは被保険者や事業主が保険料負担に納得感を持っていただけるような報酬改定としていただきたいと考えております。
 先ほど来お話がありますように、我々が堅持すべき国民皆保険制度も医療保険体制、これはお薬も含めてきちんとなされることが第一歩だと考えておりますので、そうした点も踏まえた議論が進められることを期待しております。
 また、医療DXに関してはぜひ進めるべき話だというのは全く同感だと考えておりますし、これによって様々な情報連携がなされ、患者にとって明らかに質の高い医療が実現するというゴールがありますので、それに向けた体制整備とできる限り早いタイミングで、逆にこのDXを利用されないのであるならばマイナスになりますよという時代が来ていただけることを大変期待しているということでございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 恐れ入ります。ありがとうございます。
 診療報酬改定に向けて物価や賃金の話というのがかなり重要なポイントになってくると思います。いろいろな考えがあるとは思いますが、例えば公共工事などの物価スライド、あるいは地方交付税なども地方費を全体としてどういう形で位置づけるかといういわゆる財政の中の役所で言えば財務省や総務省で議論していることとの言わば整合性とまでは言いませんが、関連というか、そういうことも頭に置いて決めていかないといけない。それは恐らく恒久的な改定と、それから一時的なものというテンポラリーかパーマネントかという2つの論点が入ってくると思いますので、恐らく非常に難しい議論が中医協等でもなされるのだと思いますが、物価高騰ないしは金利が上がってきたという中での診療報酬改定になりますので、その辺りは非常に様々な総合的な他の指標も十分見ながら改定をしていっていただくとよろしいのではないかと思いましたので、一言発言させていただきました。
 ありがとうございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはよろしゅうございますね。
 それでは、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。本日いただいた様々な御意見も踏まえつつ、議論をさらに深めていければと思っております。
 次に、「高額療養費制度について」を議題といたします。まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○佐藤課長 保険課長でございます。
 資料3「高額療養費制度について」というファイルをお開きください。時間も限られておりますので、手短に説明させていただきたいと思います。
 右下1ページ目でございます。「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会について」ということでございまして、この医療保険部会にお諮りをいたしまして、この部会の下に専門委員会を設置し、これまで4回議論をしております。左下に開催日、また、ヒアリング先ということでございまして、2回目と3回目は患者団体等、それから保険者、あるいは医療関係者、学識経験者からヒアリングを行っております。この医療保険部会の委員の先生方にお入りいただいている方もいらっしゃいますけれども、委員の先生方としては1ページ目の右側のとおりでございます。
 続きまして、右下2ページ目をスクロールしていただければと思います。これは先週、第4回の高額療養費費の専門委員会にお出しした資料でございますけれども、1回目から3回目までの議論を踏まえまして、こういう形で議論が進んできた。そして今後、こういう形で議論していってはどうだろうかという形でお示しをしたものでございます。
 丸が大きく3つございますけれども、1つ目の丸、高額療養費制度についてはセーフティーネットとして患者にとってなくてはならない制度である。これからもこの制度を堅持していく必要性については認識の一致が見られている。
 それから、2つ目の丸でございますけれども、今日もいろいろと御意見がありましたけれども、高齢化の進展であったり、あるいは高額医薬品の問題が今後見込まれる中で、また、保険料負担への配慮、こういう中で制度改革の必要性は理解するけれども、その際には高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要ではないかという点についても認識としては共通をしていたということです。
 3番目の丸として、「その上で」ということで、高額療養費制度の在り方については諸点についてさらに議論を深める必要があるのではないかということで、給付と負担の在り方でありますとか、あるいは制度改正時の留意点、あるいは運用面での対応といったことがあるだろうかという点について、前回第4回の専門委員会で議論を深めていただきました。
 右下の3ページ目と4ページ目に前回の専門委員会における主な御意見という形で整理をしてございます。個別については細かくは説明しませんが、右下の3ページ目で申し上げますと、これが高額療養費制度と医療保険制度改革全体との関係についてということでございまして、医療保険制度全体の中でこの高額療養費制度の在り方を考えていく必要があるのではないかということについて前回の専門委員会でも多くの先生方から同様の意見が出されております。
 また、高額療養費制度の専門委員会における議論をこの医療保険部会にも御報告をしていく。また、医療保険部会における議論を高額療養費の専門委員会にも報告をしていくという形でインタラクティブな形で報告をしていくことが必要ではないかといった御意見もございました。
 右下4ページ目でございますけれども、その上で、高額療養費の見直しについてということで、個々の論点、様々な論点がございます。去年のこの部会でもいろいろと御意見がございましたけれども、低所得者への配慮であったり、あるいは長期療養者への配慮、または外来特例の話であったり、様々な御意見がございました。こういう点についてはさらに議論を深めていく必要があるのではないかということでございました。
 以下、参考資料として患者団体の皆様からのヒアリング、また、学識経験者、医療関係者からのヒアリングの主な御意見というものをつけておりますが、時間の関係もございますので説明は割愛をさせていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 私自身もこちらの専門委員会の委員長として議論に参画しているところでございますけれども、本日の事務局からの説明にもありましたとおり、高額療養費制度の在り方については他の改革項目も含めて医療保険制度改革全体の中で議論していくことが必要であり、また、適当であるという点に関しましては、当事者の立場の方々を含めまして専門委員会での共通認識となっていたところでございます。これを前提に、恐らく今後議論を進めていくのだろうと思われますけれども、今までのところの取りまとめに関しましてはこの資料3のところで提示されているものでございます。
 それでは、御意見等がございましたら、お願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 今後の進め方については、事務局並びに部会長がおっしゃったように、まさに制度改革全体の議論をしっかり進めていただきたいと思っております。
 1点御報告になりますが、昨日、健保連として6年度の高額レセプトの上位の概要について公表しました。やはりレセプトの高額化は一段と進んでおります。6年度の1000万円以上のレセプト件数は対前年度で8%増えております。10年前の平成27年度と比較すると6倍超まで増えてきているという現実がございます。高額化の要因を見ると、10年前は主に心臓手術や人工心臓を要する循環器系の疾患、また、血友病が主な疾患でしたが、直近、令和6年度においては先天性の難病、また、悪性腫瘍等、おおむね超高額な3000万円を超えるような医薬品を使用するものに変化してきているという状況でございます。
 こういった中で、高額療養費制度のセーフティーネット機能の重要性は今さら言うまでもありませんが、医療費の中身も変わってきて高額化が進んでいるという状況の中で、専門委員会での御意見もありましたけれども、やはり高額化している医薬品の効果検証等を図る等、保険者のデータも活用しながら今後検討を進めていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横本委員、よろしくお願いします。
○横本委員 ありがとうございます。
 高額療養費制度の見直しを検討する際には、2ページの2つ目の丸の記載のとおり、高額療養費だけではなく他の改革項目も含めて全体感を持って検討を進めていくことが重要だと考えております。
 その結果として、本日の議題1点目にも関連いたしますけれども、現役世代の保険料負担の軽減につながるような医療保険制度改革を実現すべきと考えます。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、横尾委員、お願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 今、座長をなさった立場での御挨拶もありました。この資料で言うと2ページ目から具体的な議論の経過が書かれているのですが、冒頭で「この制度を堅持して」、いろいろな方向性が示されたことはある意味で良かったかもしれないと思っています。多くの方々が大きな手術をした場合に、本当に不安を抱えながら会計窓口に行かれます。そして大きな声では誰も言われませんが、ほっとして帰っておられます。これはこの高額医療費制度によってほっとされているのですね。おじいちゃん、お父さん、家族が大きな手術をして大丈夫だろうかということで、これは大きな安心の一つになっていると思います。
 一方では、今、佐野委員もおっしゃったように最近の新薬は大変高額なものが出てきて、もちろん効果もあるという前提なのですけれども、そのことは恐らくこの制度ができた頃には想定できなかった状況かなと思います。そういった社会変化も踏まえつつ、一方では全体の制度についてしっかり議論していく必要があると、3つ目の丸の各項目のところに網羅的にも書いてあります。次にも全体像のことも書いてありますが、まさにそこをしっかりと押さえてやっていく必要があると改めて思っているところでございます。
 特に報道にも出ましたけれども、がん患者の方々ですとか、がん患者でなくても高齢者の方々で大きな手術をしなければならないとなった方、あるいは若くても例えば膵臓がん等でそういった立場に急遽なった方もおられますが、それぞれにとってはとても大切な医療制度になっていると思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
 制度全体で議論を行うことや、レセプトの内容の精査についてはご発言がありましたので、私も同意見ということで省略させていただきます。
 一点、高額療養費制度を含めまして、我が国の医療保険制度はすばらしい制度であるということはもちろんですが、この制度が濫用されるという事例を報道等で目にするわけであります。制度を持続可能なものとするためには性善説だけでなく性悪説に立った視点も取り入れ、不正や不適切な利用を防ぐとともに、不正に対しては厳正に対応する、規律ある制度運用が必要ではないかと考えます。たとえ不正の件数や金額が少なかったとしても、制度の悪用を放置していては制度を支えている国民の皆様からの信用が損なわれ、社会保障の根幹である支え合いの精神も失われてしまいます。制度の公平性を確保するため、これらの点についても現状把握と問題点の洗い出しを含め対応を検討していただくようお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤参考人、よろしくお願いします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
 高額療養費制度の見直しに当たりましては、国民や事業者の過度な負担や急激な変化が生じないよう十分な配慮を行うとともに、社会全体で納得感を得られるよう丁寧に検討を進めるようお願いいたします。
 また、給付と負担の見直しについて検討を行う場合には、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に十分配慮した制度の在り方を検討していただきますようお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、中村委員、よろしくお願いいたします。
○中村委員 ありがとうございます。
 2点ございまして、1点目は専門委員会の委員の何名かがおっしゃっているように、やはり外来特例の精査というのが必要ではないかと思います。年齢で区切るということの合理性が十分ないのではないかと思いますし、それから、かなり金額が低いところで追加費用がゼロになってしまうというのは非常に大きな問題であって、価格がゼロになると急に十分な価値を生み出さないような医療利用が増えてしまうということが日本のデータでも実証されておりまして、最初から価格がゼロなのと追加費用がゼロになるのは違う点もあるかと思いますが、低い金額で追加費用がゼロになるということで望ましくない医療利用が起きてしまう可能性というのも考えなくてはいけないだろうと思います。
 それから2点目は、今までの議論にございましたとおり、高額薬剤が適切に使用されているかという検証も必要ではないかなと思います。例えば死亡のごく僅か前に非常に高額な薬剤の使用が開始されているという例も少なくないようでして、それは後づけの批判ではないかと言われてしまうかもしれませんが、死亡の直前になって使用が開始されているという場合は、医師もある程度はあまり見込みはないということは分かっていたのではないかということが言えるのではないかと思います。なので、全体としては非常に有効な薬剤なのだけれども、個々のケースでは非常に有効なケースもあればそうでもないケースもあるということで、有効なケースに限定して、ほとんど見込みがないようなケースには使用されないような体制をつくっていくことが必要ではないかと思いました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
 専門委員会での議論を経まして、こちらで制度全体の中での議論ということで今後、丁寧な議論が進められることを期待しております。
 やはり制度全体の中でどういうウエートづけをしていくのか、こうしたことを考えざるを得ないのかなと思っております。ただ、社会保障制度というものの本質はセーフティーネットでありますので、そうした観点でこの高額療養費というのが目に見えるものとしては一番大きなセーフティーネットと感じられるのではないかという点については思いを致す必要があるのかなと思っております。
 他方で、専門委員会のときも申し上げましたが、まさに利用者の方々にとっての見える化、ここは少し観点として引き続き検討していただけるとよろしいのではないかなと。大変すばらしい制度であるにもかかわらずきちんと伝わっていないのではないかと、この辺も問題意識としては持っております。
 よろしくお願いいたします。以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
 私も委員として参画させていただいたわけでございますが、この高額療養費制度の有用性に関しては皆さん方がお話をされているとおりであろうと思います。今後、自己負担の問題、そして所得区分等の問題、さらには先ほどありました外来特例の問題、様々な制度の特徴というものに対して厚生労働省の方から一定の考え方、方向性というものも今後示していただくことになるのだろうと思います。特に外来特例に関してのお話も今ございましたが、この特例ができた理由というのは、明らかに一定の年齢を経るとかかる疾患の数が非常に多くなって様々な医療機関にかかる回数が多くなるという高齢者の特性を踏まえた結果できた仕組みであるということは我々としては認識したいと思います。
 それと、先ほどからお話があります高額薬剤に関してですけれども、何度も申していますが、薬剤に関して全てに当たるかもしれませんが、高額薬剤がどの程度有効であろうかということに関しての評価というものをもう一度しっかりと整理する必要があろうと思います。少しでも有効性が認められると保険収載されるというのが我が国の現保険制度になっていますので、そこも含めて少なくとも有効性に関しての評価をもう少し精緻にしていただく。これは相当時間がかかるだろうと思います。
 それと、先ほどの御意見でもございましたけれども、高額だけれどもその人には適用できない、要するにあまり治療効果に差がないというので保険適用はされているのだけれどもそういう人には適用できないということは、我が国の保険制度上、または倫理上、なかなかそれをこの保険制度の中に取り込んだ形の制度設計にするということは、私は国民の理解を得るのが相当難しいのではないかなと思った次第でございます。
 いずれにしても、事務局においては大変難しい宿題となろうと思いますけれども、頑張ってたたき台をよろしくお願いしたいと思います。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに御意見もないようでしたら、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
 先ほども述べましたけれども、本部会において医療保険制度全体の中で議論を行っていくこととなりますけれども、他方、事務局におかれましては、こちらの医療保険部会の議論の状況というのを高額療養費を扱っている専門委員会のほうにも適宜フィードバックしていただくよう、本部会と専門委員会との間の連携というものを念頭に進めていただければと思います。
 本日はこれまででございます。かなり時間を超過して誠に申し訳ございませんでした。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
 本日は御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございました。
 それでは、これにて閉会いたします。