第21回 医薬品等行政評価・監視委員会 議事録

日時

令和7年9月10日(水) 10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第21会議室(WEB会議併用)

出席者

出席委員(五十音順)

(会議室)
(テレビ会議)

※◎委員長 ○委員長代理

行政関係出席者

厚生労働省
大臣官房厚生科学課           
  • 佐々木 昌弘(危機管理・医務技術総括審議官)
  • 土岐 祥蔵(医薬品等行政評価・監視委員会室長)
  • 池上 貴啓(医薬品等行政評価・監視委員会室長補佐
医薬局
  • 蓮見 由佳(総務課 室長補佐)
  • 小川 雄大(医薬品審査管理課 課長補佐)
  • 南 亮介(医薬安全対策課 課長補佐)
  • 岩瀬 怜 (監視指導・麻薬対策課 課長補佐)
医政局
  • 九十九 悠太(総務課 保健医療技術調整官)
  • 松下 俊介(医薬産業振興・医療情報企画課 専門官)
 

議題

  1. 1.委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について 
  2. 2..医薬局からの定期報告
  3. 3その他

議事

○土岐室長 お待たせしました。ただいまより、第21回「医薬品等行政評価・監視委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、ウェブ形式と併用して実施をしておりまして、会場にお越しいただいている委員の皆様と厚生労働省外からウェブにて御参加いただいている委員がおられます。オンラインで参加の先生方におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。ミュートになっていない場合は事務局側でミュートとさせていただく場合もありますので御了承ください。また、御発言がある際には挙手機能でお知らせいただく、もしくはチャット機能で発言を求める旨、お知らせ願います。会場での参加の先生は、手を挙げるなどしてお知らせください。
 また、傍聴に関しましてはYouTube LIVEで配信を行っておりますので、事務局や担当部局からの説明、回答はできるだけゆっくり、はっきり御発言いただきますようお願いいたします。
 なお、資料は随時投影させていただきますが、通信環境が悪くなった場合は、通信負荷軽減の観点から資料の投影を中断し、音声配信を優先する等の対応を取ることがございますので御了承願います。
 それでは、以後の議事進行は磯部委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○磯部委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局から委員の出席状況の報告をお願いします。
 また、「利益相反の取扱い規程」に基づいて、各委員の申告内容の報告をお願いします。
○土岐室長 まず、委員の出席状況についてお知らせをいたします。本日は9名の委員全員の方に御出席いただいておりまして、委員会開催の定足数に達していることを御報告いたします。
 続きまして、利益相反について御報告いたします。まずは、利益相反の取扱規程に基づく個別の医薬品を取り扱う際の議論参加基準に関する申告ですが、本日は議事次第にありますとおり、制度や施策の概要をはじめとした全般的な議論が中心となり、特定の医薬品について議論を行うことは予定していないことから、個別医薬品に関する利益相反の申告はいただいておりませんので、御報告をいたします。
 加えまして、委員会の議題によらない全般的な利益相反の定期的な開示です。これは議題とは関係なく薬事に関する企業や厚生労働省、PMDA、AMEDとの関係性を広く毎年1度申告していただき、利益相反の状況として公開するものです。項目としましては、審議会への参画状況や研究費の受け取り状況などがあり、それぞれの該当の有無は参考資料12に取りまとめておりますので、御報告いたします。また、各委員の申告書は本日の委員会終了後以降に本委員会のウェブサイトに公開いたしますことを申し添えます。
 事務局からは以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題としては、議題1「委員の求めに応じた薬事制度・施策の実施状況について」として2点です。「一般用医薬品の濫用に対する取組について」と「糖尿病治療薬等の適応外使用に関する注意喚起の状況について」、そして、議題2「医薬局からの定期報告」を扱うということにしております。
 ですが、まず議題に先立ちまして、前回第20回の委員会の資料1に関する説明について若干訂正があるということですので、こちらは医薬局医薬品審査管理課から御説明をお願いいたします。
○医薬品審査管理課 医薬品審査管理課でございます。
 前回7月4日の本委員会におきまして、泉委員からの御質問、フィブリノゲン製剤の産科危機的出血の使用施設を日本産科婦人学会が限定しているが、実際に限定されているのか、限定先は公表されているのかといった御質問がございまして、そのうち限定先の公表につきまして、当方から本日の参考資料11でお示ししている資料を、こちらは前回の資料に含まれていたものでございますけれども、こちらを提示した上で、日本産科婦人科学会の文献におきまして427施設、国立病院機構の病院などの内訳を回答させていただいたところでございますが、これにつきましては、当該文献におきまして幾つか調査がなされておりまして、そのうちの別のフィブリノゲン製剤の使用施設に関する情報ではなく、周産期データのウェブ周期登録状況に関する施設の数として載っていたもので、そこにつきまして私のほうで誤解をしてしまい、御報告をさせていただいたところでございます。
 訂正させていただきまして、実際には症例報告数ベースで公表されているものでございまして、こちらの図の資料にありますとおり症例報告がされているものでございますけれども、そちらが627件となっている状況でございまして、個別の施設については公表はされていないという状況でございます。
 その上で、この点も含め、他の件も前回様々な御指摘をいただいているところでございますので、そちらにつきましては引き続き厚生労働省としても意見を受け止めまして対応について検討を進めているところでございます。
 私からは以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 今の御説明について何かございますでしょうか。
 ありがとうございました。
 正確を期して訂正いただくということにおいては歓迎しますので、丁寧にありがとうございました。いずれにしましてもフィブリノゲン製剤に関しては関心を一貫して持ち続けているところでありますので、また折に触れて話題にはなると思います。議論があれば、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、今の点についてはここまでとしまして、議題に入りたいと思います。資料1「一般用医薬品の濫用に対する取組について」、今日は比較的議事はゆっくりめで大丈夫ですので、御説明もさほど急がなくてもいいですし、議論もゆっくりしていただければと思います。
 それでは、資料1について医薬局からの御説明をお願いいたします。
○医薬局総務課 医薬局総務課でございます。
 資料1「一般用医薬品の濫用に対する取組について」、医薬安全対策課と共に御説明をさせていただきます。
 2ページ目におめくりいただければと思います。こちらは薬機法の改正につきまして、さきの通常国会における審議を経て改正法が可決・成立をしてございます。そして、令和7年法律第37号として5月21日に公布をされております。
 改正の概要につきましては4つの柱で整理をしておりますところで、1つ目の柱が医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、2つ目の柱が医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、3つ目の柱がより活発な創薬が行われる環境の整備、そして、4つ目の柱に国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等とございますけれども、ここの4ポツのマル2に本日御説明をさせていただきます濫用のおそれのある医薬品の販売方法の見直しと掲げられているところでございます。そして、一番下のところに施行期日を書いてございますけれども、濫用のおそれのある医薬品の関係につきましては、速やかに施行が必要な内容といたしまして改正法の公布後1年以内の施行、具体的には令和8年5月1日の施行となってございます。
 おめくりいただきまして、3ページ目を御覧いただければと思います。法改正された濫用のおそれのある医薬品の販売方法の見直しについて、その内容を説明させていただくスライドとなってございます。「改正概要」にありますとおり、若年者を中心として一般用医薬品の濫用が社会問題化してございまして、これまでも濫用防止に関して周知啓発などの取組も含めて対策を行ってきているところでございます。販売制度につきましても省令等による規制が現状ございますけれども、不十分な状況というところでもありまして、実効性を高める必要があるために、今回の法改正で指定する成分を含んだ一般用医薬品等を指定濫用防止医薬品として法令上に位置づけまして、販売時の確認や情報提供などといった販売方法に関する事項を法定化することといたしました。
 具体的には、こちらのスライドの表の中で今回の改正によって変わる制度の前後というところをお示ししてございますけれども、まず専門家が適切な関与を適正に実施する観点から、省令で定める若年者に相当する年齢の方への大容量製品または複数個の販売を禁止するとともに、若年者への小容量製品の販売または若年者以外の年齢の方への大容量製品もしくは複数個の販売に際しましては、対面または映像と音声によるリアルタイムでの双方向通信によるオンラインでの販売を義務づけさせていただきます。
 また、指定濫用防止医薬品を販売する際には、薬剤師等に若年者及び必要な場合の氏名、年齢の確認、他店での購入状況の確認、複数購入の場合の理由の確認などとともに購入者の状況の確認や濫用等に係る情報提供を行うことを法令上に位置づけます。
 さらに、法令に基づく販売業務に関する手順書に頻回購入に対して適切な業務手順を整備しまして、当該業務手順に基づいた実施を行うこととし、そして、製品の陳列に関しましては、薬剤師等による情報提供や声がけの実効性という観点からも、購入者の手の届かない場所または購入者の状況を適切に確認できる必要な体制を整備することを前提として、継続的に配置された専門家からの目の届く範囲への陳列により対応することとしてございます。
 その他製品への対応として、医薬品の外箱に注意喚起等の表示などを規定するといった内容となってございます。
 このように、今回の薬機法の改正によりまして販売制度の強化をさせていただくところでございますが、他方で濫用防止に関しまして、啓発も重要でありますところ、その取組状況につきましては医薬安全対策課からの御説明とさせていただければと思います。
 医薬局総務課からは以上です。
○医薬安全対策課 続きまして、医薬安全対策課から御説明させていただきます。
 先ほどもございましたけれども、オーバードーズ対策におきましては販売規制だけではなくて啓発活動や相談支援の充実といった側面も重要だと考えておりまして、4ページでございますけれども、若年者に対する啓発用資材を作成するとともに、濫用の背景にあるつらい気持ちや悩みを抱える若年者等を対象とした相談窓口の周知というのを図っているところでございます。
 5ページに行っていただきまして、こちらの資材につきましては、実際に現場で医薬品の販売を行う薬剤師や登録販売者の方々がそういった悩みや相談を抱えた当事者、購入者や生徒、家族に気づいて適切な支援先につなぐためのマニュアルを作成させていただきまして、セミナーの実施など現場での活用を促す取組を進めているところでございます。
 総務課の説明にありました販売規制と併せて、こういった啓発活動も通じて、オーバードーズ対策については厚生労働省だけではなくていろいろな省庁も関係しますので、関係省庁、関係部局と連携して対応していきたいと考えております。
 資料説明は以上でございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御意見、御質問などがあれば、御発言をお願いいたします。
 では、まず佐藤さん、どうぞ。
○佐藤委員 佐藤でございます。御説明ありがとうございました。
 オーバードーズの対策として啓発に関する資料なども作られて、拝見しましたけれども、小学生向け、中高生向けに分けてそれぞれの年齢に応じた配慮がなされた、よくできた資料を作られたなと思って拝見いたしました。また、学校薬剤師の取組についても非常に重要だと認識しておりまして、こういう取組はとても重要だなと思いながら拝見したところです。
 ただ、これは私が最近認識したことなのですが、そもそもの問題として、乱用につながるような一般用医薬品の中に含まれている成分がそもそも必要なのかといいますか、それを取り除くことはできないのかという質問でございます。濫用等のおそれがある医薬品に指定されているものがあるわけですけれども、その成分を一般用医薬品の成分から除いてしまってもいいのではないかということです。
 具体的には、例えばメチルエフェドリンという成分がありますけれども、これは覚醒剤と似たような働きをするものなのですが、欧米では使用が制限されていて、EUでは全く入手できない状況になっております。それから、コデインも麻薬の一種になるわけですけれども、それから気管支拡張薬、プソイドエフェドリンについてもそもそも一般用医薬品の成分として配合する必要があるのかということです。また、アリルイソプロピルアセチル尿素という成分があるのですけれども、日本では濫用等のおそれがある医薬品には指定されていないのですけれども、ブロモバレリル尿素と同様の問題はないでしょうかということです。
 実は厚生労働科学研究の濫用等のおそれのある医薬品の成分指定に係る研究という研究班がありまして、令和6年度の総括研究報告書というのが出ております。それを拝見しますと、見解案として、アリルイソプロピルアセチル尿素は国際的に医薬品として使われておらず、ブロモバレリル尿素も含めて医薬品として承認の妥当性についても検討していくことが必要と記載されています。つまり、そもそも医薬品としてこれは不要なのではないかという提言と受け止めております。
 また、政府の規制改革実施計画の令和7年6月13日の閣議決定を見ますと、乱用実態、薬理作用、依存性等を踏まえ、十分な根拠があると認められる場合には、薬事審議会の意見を聴いた上で販売区分の変更等(医療用医薬品への見直しを含む)を行うことが記されております。
 こういうことについて、厚労省としてどのような検討をされているのかお伺いしたいと思います。
○医薬安全対策課 御質問ありがとうございます。
 成分等のお話でございますけれども、まず現状につきましては、医薬品の製造販売につきましては薬機法に基づいて企業から申請される効能・効果、用法・用量等について提出されたデータを基に品質・有効性・安全性を審査して品目ごとに承認しているという現状がございます。
 御指摘の成分を含有する一般用医薬品でございますけれども、用法・用量や使用上の注意を守って適正に使用される限りにおいては、現時点で有効性・安全性の観点から承認取消し事由に該当するものではないと考えておりますし、また、同成分を除くことにつきましても、製造販売業者からの申請がなければ困難と考えております。
 ですので、濫用のおそれがある成分・医薬品につきましては、今般、薬機法改正による指定濫用防止医薬品としての販売規制の強化やオーバードーズの啓発活動を通じて引き続き適正使用に取り組んでまいりたいと考えておりますけれども、一方で、御指摘がございましたとおり、規制改革実施計画でも指摘されておりますように、実態等につきましては定期的に調査を行った上で、必要に応じて販売区分の変更等を行うことについては薬事審議会の意見も聴きながら検討してまいりたいと考えております。
○佐藤委員 ありがとうございます。
 一般用医薬品の濫用のおそれのある成分に関しては、世界の状況と比べると日本は非常にガラパゴス化しているというか、世界的に医薬品として使われていないものがいまだにずっと日本だけ医薬品として使われ続けて残っている。しかも、医療用医薬品としてもほぼほぼ使われていないものが一般用医薬品にだけ残っているという現状があるわけです。
 確かに製造販売企業からの申請がないとという仕組み自体は理解するのですけれども、そういう問題ではなくて、これだけオーバードーズが社会問題化している現状において、要するにこれは薬剤師の世界ではおまけと呼ばれるような、別にあってもなくても有効性という観点から言うとそれほどどうしてもなければならないような成分ではないものが加わることで一般用医薬品としての付加価値をつけるというか、それによって値段も上げるようなものとして配合されているにすぎないものですから、治療という観点から言うとそれほど必要性が高くないものがずっと残っているということですね。
 特にアリルイソプロピルアセチル尿素というのは世界的にも使用が禁止されていて、例えばお隣の国の韓国でも危険ドラッグとしてそもそも使用、あるいは持ち込みが禁止されています。例えば日本から韓国に旅行に行くときに、アリルイソプロピルアセチル尿素を含む一般用医薬品をかばんに入れて持ち込もうとすると、それは持ち込めないという成分なのですね。それぐらいのものが日本だけ一般用医薬品の成分に含まれていていまだに使われているという現状はやはり見直さなければいけないのではないかと思います。
 これは意見ですので、今後、ぜひこの委員会でも引き続き検討すべき課題なのかなと思います。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今の点は何かありますか。話を聞いていると大丈夫かなという気が確かにしましたけれども。
○医薬安全対策課 ありがとうございます。
 繰り返しにはなりますけれども、御紹介もいただきました成分に関する調査の研究班は今年度もやっておりますし、今後も定期的にその実態というのは把握していこうと考えておりますので、そういった中でデータ等も踏まえまして、その根拠となるようなデータが出てくれば、当然必要に応じて販売区分の変更等を行うことについても検討していきたいと考えております。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○磯部委員長 伊豆津先生、手を挙げていらっしゃいますけれども、今の件に引き続いてということで。
○伊豆津委員 今の点についてなのですけれども、先生がおっしゃったとおり非常に重要だと考えています。
 こういった一般薬の乱用は2種類あって、一つが今回主な対策の対象となったオーバードーズの話なのですけれども、もう一つが、習慣的な使用から抜けられないという方がかなりたくさんいるというのはもう知られた話になっていまして、日本でも大きな問題だと考えています。
 ですので、今回、単回のオーバードーズに関してはかなりしっかりした対策を取られてきたと思うのですけれども、いわゆる副作用的なものによって抜けられない方がかなり出ているのではないかという指摘は非常に重要な問題だと思いますので、ぜひこれからの作業としてやっていっていただきたいと思っています。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 現場でも花井さんが手を挙げていらっしゃったので、続けてお願いできますか。
○花井委員 リスク区分の件ですが、今回の改正においてこのリスク区分についてはちょっと議論が生煮えだったと承知しています。つまり、1類、2類、3類と要指示という点について、その前の改正のときの割と規制改革のもうちょっと緩和したほうがいいという流れの中で、ある種妥協的にスイッチOTCの中階段としての要指導とか、そういう形の制度が政治的な背景があって決まってしまったので、今回、全面的に見直したほうがいいのではないかというのは私も主張したのですが、時間の関係などがいろいろあって結局今のままのリスク区分になっていて、例えば要指導に持ち上げなくてはいけない医薬品があると思うのですね。逆に言えば、規制改革会議というのはどちらかというと緩くしようという話なのですけれども、事実、もうこれはいいのではないかという話もあって、今まではスイッチして中階段で様子を見て一般用医薬品へというちょっと政策的な観点のリスク区分になっていて、今、佐藤委員がおっしゃられたような本当に今現存するOTCについてリスク分類が妥当かという論点は、まだ生煮えのままだと思うのですね。
 だから、恐らく次期改正にはこれをやっていただいて、逆に言えば中階段でもずっとこれは要指導は要指導のままだとか、そういう運用についてどういうクライテリアでやるかということについては今も検討はされていると思いますけれども、もっと言えば医療用に戻すというのもあるでしょうし、承認取消しというのはかなりハードルが高いと思いますが、このリスク区分についてはまだ相当見直しの余地があると思います。現状、恐らく行政側もそれは承知で今回の時間的ないろいろな制限の中で今回の取りまとめになったかと思うので、このリスク区分が妥当かどうかの論点は、今後もこの委員会としてもそうですけれども、行政のほうでも次期改正までにはもうちょっとサイエンティフィックな評価というものをリスク区分に導入した制度化をしてほしいと思いました。
 これは1類、2類、3類もどうかと言ったのですけれども、今回そのままなのですけれども、この辺についてはまた検討の余地があるという理解でいいのですか。
○磯部委員長 いかがでしょう。
○医薬安全対策課 御意見ありがとうございます。
 まず、参考にはなりますけれども、今回の薬機法改正の中で要指導にずっととどめるというところは新たに入っておりますし、また、一般用医薬品から要指導に行くということも今回の薬機法改正によって新たにそういうことが可能にはなっておりますので、その辺りの要指導と一般用の部分の入替えの部分というのは一定程度新たな形で入っているのですけれども、1、2、3類の部分につきましては、制度部会での議論もありましたけれども、今回はその中は変わっていないわけでございますけれども、そこは当然継続的な話だと思いますし、その区分の変更については必要があればできるような制度にはなっておりますので、そこはしっかり運用していきたいと思います。
○花井委員 この1類、2類、3類をつくったときもそうなのですが、今回も若干そういうところがあったのですけれども、ちょっと政策的な綱引き的なところの力学が生じていたので、例えばさっき厚労科研というのもありましたけれども、一応サイエンスにおいて全部評価して議論するみたいな話をしないとなかなかまとまらないような気がしているので、何らかの厚労科研なのか何なのか分かりませんけれども、確かに既存の薬品でも医療用でもちょっと危ないから使っていないよねというものが残っているというのは確かにあるのですよ。あるのですけれども、そういうものを再評価していくという。
 それから、いろいろな面で、特に医療用ではそうなのですけれども、毒にも薬にもならないのに残っているというものは費用対効果などの観点から本当は評価し直しなのですけれども、それも今は手つかずでいますので、医療用も一般用も含めてそういう形の評価し直しというのはどこかで手をつけなければいけない大事業かと思っています。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そうですね、今、御説明いただいている安全対策課の方からのお話の中でも、厚労科研などの検証の結果を踏まえて、の後に「必要に応じて」と必ず付け加えられているのですね。その中にどういうことが入るのかということで、もちろん職業活動をしているメーカーさんの企業活動の自由や利益というのもあるでしょうけれども、私たちは安全ということを言いたいわけですから、安全第一の要件の解釈といったことをしていただきたいなと感じているところです。
 しかし、まずもって、先ほど佐藤さんがおっしゃった難しい片仮名の長い何とか何とかは不要ではないかという言い方をされたのですけれども、不要どころか入っていてはいけないのではないかということだと思うのですね。毒にも薬にもならなければいいのですけれども、使い方によっては毒になるというものをどのように医薬品の中から除外するのか、医薬品として販売されていては毒にもなり得るということを見過ごして手に取ってしまいかねないというリスクがあるはずで、それをどう除外するかと、あとはいかに安全に販売してもらうかという2つのステップがあると思います。まず最初のところでもうちょっとやることはないのかというのが今までの話だと思うのですけれども、今回で言うと資料の3ページですかね、現状の制度では遵守状況を含め不十分な状況であって実効性を高める必要があると改正概要の2つ目の丸のところに書いてあるのですけれども、この遵守状況が不十分な状況というのはどういうことを指しているのか、なぜ今回のこの改正でそれが解消できると思えたのかというか、そこの辺りをもう少し説明していただけますか。
○医薬局総務課 医薬局総務課でございます。
 厚生労働省におきましては、毎年、医薬品販売制度実態把握調査というものを行ってございます。いわゆる覆面調査とも言われているものでございまして、一般用医薬品や要指導医薬品というOTCとして購入ができる医薬品について販売の実態を調査させていただくといったものなのですけれども、例えば今回の議題である濫用のおそれのある医薬品の販売につきまして複数個の購入をしようとした際に適切な対応がなされたかということについても当該調査で調べさせていただいているのですけれども、近年、いろいろ皆さんが頑張っていただいているところではあるのですけれども、8割程度で頭打ちの傾向にあったという状況が続いていたということもありまして、こういった状況からも販売制度のほうも見直しというところの契機にはなっているかなと考えております。
 今回の改正の中で購入者の状況確認や情報提供が適切に行えない場合には販売してはならないという規定を設けさせていただいていて、これまでそういった明示的な規定がなくて現場で実際に販売を断りにくいといった、そういった徹底もしにくかったのではないかというところもありますので、こういうところで改正によって状況が改善していければなと思っております。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 8割で頭打ちということは、8割は頑張っているけれども2割ではいま一つ規制が遵守されていないという説明ですね。
○医薬局総務課 そうですね。
 一方で、今年の8月に昨年度の結果を公表してございまして、いろいろと法改正の議論なども相まって、9割近くまで伸びたというところではあって、やはりいろいろと業界の団体の皆様も力を入れて取り組んでいっていらっしゃるというところでもございまして、頭打ちの傾向もやや改善というところになってきてはいるのですが、より実効性を持って対応をしていただけるようにと考えてございます。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 遵守していない1割、2割のところにどう厳しくいくかというのが大事なのかなと思ったのですけれども、全体が変わってしまったので、今まで頑張っていた8割のところがまた制度が変わると大変なのかなとちょっと思ったのですけれども、花井さん、どうぞ。
○花井委員 割とエレガントな説明だったので、エレガントではない説明をしたいのですけれども、要はそもそも専門家の関与はもともとの法律でも求められていたわけで、つまりは2割は違法なわけですよ。関与という言い方が、必ずしもレジを専門家が打たなくてはいけないということではないので、関与というのはちょっと曖昧で、そういったところの中から例えば登録販売者が倉庫で整理していて買っていても、それは一応関与しているという言い訳が通っていて、事実上脱法状態だったわけですね。
 それで何が起こるかというと、さっき調査していると言いますけれども、本来は都道府県がそれを指摘して摘発しなくてはいけないのですよ。ところが、それがリソースの問題などがあって十分できていなくて、脱法状態のところがさっき言ったとおり2割。本当はもっと多いのではないかと思っていますけれども、今回、このように法律改正してかなり規制強化したわけですね。
 今、確かに最近ドラッグストアに行くと大分変わっているというのは分かりますけれども、要はこれはこの議論の中でさらなる規制強化しろという意見が強く出ていた事に対する応答とも言える訳です。例えば展示は空箱にしましょうという意見がその一例です。全てオーバーザカウンターに実物は置くのだと言ったら、それはたまらんと。これ以上強化されたらたまらないという業界がある程度妥協して、今、私たちはちゃんとしていますという状況が生まれたとも言えます。
 だから、僕が心配しているのは、慣れてきたらまた元の脱法状態になったら身も蓋もないというところで、さっき調査と言っていますけれども、都道府県のいわゆる摘発というのが強化されないと、結局違法状態が見逃されることになるとやったもん損みたいな感じになってきて、別にそこまでやらなくていいという形になってくれば元の木阿弥なので、委員長がおっしゃられたとおり、ちゃんとやっていないところをちゃんと摘発されるということが今回できるかどうかというのは極めて大きい。
 今回の例で言えば、3ページの一番下の専門家の目の届く範囲に置くというこれが一番怪しい。要するに、今はやっている風なのですけれども、これを継続するのはもちろん販売者としても非常に厳しいところだと思うのですね。だから、今は結構やり出しているのですけれども、ここは緩んできやすいところであって、ここがちょっと緩んで見逃してしまうと、また元に戻ると思っているのですね。
 だから、その摘発をする体制については何か強化があるのですか。単なる覆面調査で見て、意外に守られていないかというのではないでしょう。だって違法なのだから。
○磯部委員長 実効性を高めるというものの意味ですよね。
 今のコメントに対してはいかがですか。
○医薬局総務課 ありがとうございます。
 もちろん都道府県における薬事監視も、今回ご説明した濫用関係に限らずいろいろと販売制度につきましては改正を行ってきているところでもございますが、そういった法改正後の法令の遵守状況というところはきちんと監視指導が行き渡るように厚生労働省からもしっかりと言っていかなければならないと存じております。
 また、厚生労働省独自で行っている、先ほど御紹介をさせていただいた覆面調査におきましても、当然ながら法改正の内容に応じてアップデートをしまして、今御指摘をいただいたような内容についても取組がなされているのかどうかということについてしっかりと注視してまいりたいと考えております。
 ありがとうございます。
○磯部委員長 泉さん、お待たせいたしました。
○泉委員 ありがとうございます。
 私は佐藤先生のお話を聞いてびっくりしたのですが、エフェドリンが覚醒剤に類似した薬剤であるということで、これを厚生労働省は濫用等のおそれのある医薬品と位置づけていらっしゃるということなのですけれども、これは今、先生方がお話しになったようにサイエンスの視点からもうちょっと一歩進んだ取組をしないと、行政としてまずいのではないかということが一点。
 それから、9月5日、6日、この委員会の委員の先生の中にも所属されていらっしゃる先生が多々いらっしゃるレギュラトリーサイエンス学会というものが東京で開催されましたが、その中でこのオーバードーズの問題がシンポジウムで取り上げられてもいるのですね。その報告を見ますと、現在、青少年において薬物乱用を引き起こしている原因物質の第1位は正規な医薬品であると。精神科で治療を受けた10代の患者の主たる原因薬物の割合は覚醒剤が4%、大麻が11%であるのに対して市販薬は約65%と極めて高い。しかも、これは2022年の調査報告だそうですから、それからもう3年たっているから、これはどういう数字になっているかということとか、佐藤先生の話を聞くと、これは本当に厚生労働省の行政のほうと、それから一方、小中高校生が被害を自分たちでつくり出してしまっているわけですから、文科省の学習の資料や現場での教育の中にもっともっときちんと取り入れていかれるようにならないといけない。
 ですから、文科省と厚労省とがどういう形でタイアップして、2022年でさえも65%と極めて高い数字というのが今はどういう数字になっているのか、それを下げていくような作業をするためには、子供たち、あるいは青年たちの意識にそれをどうやって教育現場で覚えてもらわなければいけないか。薬は当然として必要とするから飲むものであるのですが、その副反応や副作用がどれだけ体を壊していくかとか、精神を病んでしまっていくかというのは、精神科や心療内科などとも関係するわけですけれども、その両面で捉えていかなければいけないかなと。教育のほうとサイエンスのほう、つまり文科省のほうと厚生労働省のほうと思って意見を言わせていただきました。
 ありがとうございました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 今、大きく2点でしたけれども、リプライをお願いします。
○医薬安全対策課 ありがとうございます。
 まず、エフェドリン等の覚醒剤原料の部分のお話でございますけれども、こちらにつきましても、少し繰り返しの部分もありますけれども、やはり用法・用量、使用上の注意を守って適正に使用される限りにおいては、現時点において有効性・安全性の観点から何か問題があるとは考えておりませんけれども、その辺りで先ほどのそのほかの成分も含めまして、実態というのは定期的に把握させていただいて、当然サイエンスベースでデータも踏まえて必要な対応を検討していきたいと考えております。
 大きな2点目として、文科省や教育関係との連携でございますけれども、まず御指摘の数字、精神科医療施設における薬物依存症の治療を受けた10代患者の主たる薬物の推移でございますけれども、こちらは手元のデータでも2022年が最新となっておりまして、市販薬が65.2%となっております。
 こちらはまさに御意見いただきましたけれども、2014年の当時は危険ドラッグというものが約半数の割合でございましたけれども、そちらの規制の強化というのも一因かと思いますけれども、年々危険ドラッグというのは減ってきて、今は危険ドラッグ自体は同じデータの中では0%、代わりに市販薬の割合が増えてきているというところもありまして、まさに今回、薬機法でも対応させていただいたような市販薬のオーバードーズ対策というのが重要になってきていると考えております。
 文科省との連携に関しましては我々も非常に重要だと考えておりまして、医薬局としては一つ薬剤師という観点で言いますと、学校薬剤師というのが各学校に配置されておりますので、今回、資材も作成させていただいておりますけれども、そういう学校薬剤師の方が医薬品の適正使用を伝える授業や薬物乱用防止教室といったところでより啓発等に取り組んでいただけるように、こういう資材等も含めて促していきたいと考えておりますし、今回、この資材を作るに当たっても、文科省の方にもオブザーバー的に入っていただいて一緒に資材を作っているところではございます。そのほかの部分でも、文科省のみならず、根本的な部分というのが乱用の背景にはどうしても悩みや生きづらさといったものがあると考えておりますので、省内でも様々な部署が関係しますし、例えば内閣府の孤独・孤立対策推進室やこども家庭庁など、関係省庁も多岐にわたると思っておりますので、その辺りも連携して取り組んでいきたいと考えております。
 ありがとうございます。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、佐藤委員。
○佐藤委員 先ほどの薬機法の改正にも関係するのですけれども、今回、特に若年者に焦点を当てた規制の強化というのが図られたのですけれども、先ほど伊豆津委員が御指摘された、習慣性から抜けられないという方々のこともやはり重要で、実は私がつい最近、泉委員が言われたレギュラトリーサイエンス学会とは別の学会に参加した中でオーバードーズの問題が取り上げられていたのですけれども、そこでの研究発表の中で、中年の50代の男性が習慣的にそういうものを頻回に購入していると。一種のアルコール依存症的な使い方をしている実態というのがかなり浮かび上がってきております。
 ですので、若年者だけではなくて、本当に死に至るほどの過量ではないけれども定期的にいつもそれを買って、商品名を出すとまずいのですけれども、例えば「○○○一気飲み」と検索するとすぐそういうものが出てくるのですが、そういう状況が一方ではあるということです。
 それに関して、広告の問題も大きな問題としてあるのではないかなと思うのですね。法律上の規制としてそういう広告をやめさせるわけにはいかないのでしょうけれども、行政指導という形で業界団体の方々と話し合って、特に今、オーバードーズが社会問題化しているので、一般用医薬品に関する広告を少し自粛してもらうような取組というのも考えてもいいのかなと思った次第です。
 これは意見です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 濫用のおそれは何も若者だけではないのではないかというのはそのとおりで、大人だったら大量に買えてしまうのだったら抜け道になりかねないという懸念以外に、そもそも大人自身が大量摂取しての健康被害の話もあり得る。やはり用法・用量を守って正しく使っていれば今の時点では有効だという中、でも用法・用量を守らない人がいるということなわけですから、どうしたらいいのでしょうね。文科省のことだけではなくてさらに何かもっとあるのかなという気もするのですけれども、時間になってしまいました。ほかの方、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。従来、この委員会で取り上げてきたような話とはちょっと違う切り口でしたが、でも、薬による健康被害として顕著な現象のような気がしますので、今後も注視していきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題1の1つ目というのはここまでとさせていただきまして、続きまして、2つ目「糖尿病治療薬等の適応外使用に関する注意喚起の状況」ということで、医政局、医薬局、医政局医薬産業振興・医療情報企画課の順で資料の説明をお願いいたします。資料2-1から2-3までそれぞれ5分、5分、2分という時間を想定しておりますが、資料に沿って御説明をお願いいたします。
○医政局総務課 それでは、医政局総務課の九十九でございます。
 まず、資料2-1を御覧ください。1枚めくっていただきまして、こちらは第13回の本委員会でも御説明した資料ですけれども、医療広告規制の概要についてお示ししたものでございます。医療広告に該当するものは、誘引性、特定性のいずれも満たす必要がございまして、いずれも満たさない、例えば誘引性を満たさない学術論文であったり院内掲示といったものは対象にならないということでございます。
 また、医療広告規制におきましては、患者等の利用者保護の観点から広告可能な事項を限定しておりまして、それ以外の広告については原則禁止としております。下のマル1ですけれども、法令に基づいて禁止されておりますのは虚偽の報告であったり比較優良、また、誇大な広告、また、治療等の内容または効果に関する体験談といったものについては禁止しております。
 1ページめくっていただきまして、こちらが具体的に広告可能な事項についてお示ししたものでございます。
 次のページをおめくりください。患者が自ら求めて入手する情報につきましては、適切な情報提供が円滑に行える必要がありますので、広告可能事項の限定解除というものがございます。具体的には、このマル1からマル4の要件を満たす場合に限定解除の要件が発動されまして、読み上げる時間はありませんが、このマル1からマル4で、マル1はウェブサイトに関するものということで、患者自ら求める情報についてということ、マル2につきましては問合せについてそういった照会が可能な状況ということと、マル3、マル4の要件については自由診療の場合はこの要件を満たすということになっております。さらに言えば、こちらの自由診療で適応外使用する場合についてはその下に1から5番のこういったことについても明示するということが求められております。
 次のページをおめくりください。5ページ目ですけれども、これは医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書というものを作っておりまして、これは第5版であります。第2版につきましては第13回で御説明しておりますけれども、そこからの更新としまして、ちょっと小さくて恐縮ですけれども、GLP-1に関連した事例を追加しております。その中で、未承認医薬品の記載についてですが、未承認医薬品等は医薬品副作用被害救済制度等の救済の対象にならないことの明示についても追加しております。また、SNS・動画における広告事例の追加も行っております。
 次のページをおめくりください。こちらが、ネットパトロール事業というのを医政局で行っておりまして、具体的には広告等の監視を行い、不適切な記載を認めた場合には自主的な見直しを図る。また、改善が認められない場合には、その医療機関を所管する自治体に情報提供を行うというところでございますが、今年度からは、下の点線で書いているマル2のところで「情報連携」とありますけれども、この不適切な記載を認めた場合に改善が認められる前に自治体に情報提供して、自治体が早急な対応をできるようにという取組を行っております。
 次のページをおめくりください。7ページ目でありますけれども、こちらのネットパトロールにおける具体的な医療分野における種類別の違反数でございますが、この広告が可能とされていない事項の広告に関する違反が最多となっております。
 次のページをおめくりください。こちらのうち美容・歯科において違反が多い内容についてまとめたものでございますが、美容に関しては左のほうですけれども、美容注射を筆頭に様々な違反が確認できている一方で、歯科に関しましては右ですけれども、審美、インプラントだけで約5割を占めているという特徴があります。
 次のページをおめくりください。また、美容医療サービスにおける自由診療におけるインフォームド・コンセントですけれども、医療法において医師等に対して患者への説明と理解を求めておりまして、そのため、医療従事者に関しましては特に留意すべき事項としてここにお示している内容について通知を求めているということと、患者・国民に関しましてはインフォームド・コンセントの観点からのチェックシートを消費者庁と合同で作成しておりまして、患者から医療従事者等に理解できるまでの追加の説明を求めるなどの対応を促しております。
 具体的なチェックシートが次のページにありまして、このような美容医療を受ける前にこのようなことをしっかり確認したかどうかというのを改めて見ていただくという取組を行っております。
 次のページです。こちらが最後になりますが、厚生労働省におきまして2024年11月にこのような美容医療の適切な実施に関する検討会の報告書を取りまとめております。具体的な課題と対応策を整理したものでございますが、こちらの対応策として例えば美容医療を行う医療機関等の報告・公表の仕組みの導入であったり、関係法令・ルールに関する通知の発出であったり、医療機関における診療録等への記載の徹底などについて、この報告書に基づいて現在対応を進めているという状況でございます。
 以上でございます。
○監視指導・麻薬対策課 医薬局監視指導・麻薬対策課でございます。
 資料2-2でございますけれども、「医薬品の不正な販売授与に係る監視活動と適正使用に関する注意喚起について」ということで、当課、監視指導・麻薬対策課と医薬安全対策課から御説明させていただきたいと思います。
 当課の観点といたしましては不正な販売授与に係る監視活動ということで、薬機法に違反している販売事業であったり、それに違反するような広告活動であったりといったものをどう取り締まっているか、もしくは監視しているかということについて御説明させていただければと思います。
 2枚目のスライドを御覧ください。取組の概要を大きく3つに分けて御説明させていただいております。上2つが事業でやらせていただいているもので、1個目、インターネットパトロール事業(能動監視)といいますものでございます。先ほど医政局から医療監視のほうでもやられているというお話がありましたけれども、お薬に関しましても医薬品の違法なインターネット販売や広告に関する調査をインターネット検索を通じてネットパトロールをしております。
 薬機法違反が発見された場合につきましては、国内事業者に対しては地方自治体に情報提供いたしまして、そちらから指導をいただいております。海外事業者でしたり、所在が特定できない事業者に対しましては、レジストラ等への削除要請を実施と書いておりまして、このレジストラといいますのが、あまり正確な言い方ではないのですけれども、インターネット上のURLを付与する事業者みたいなものがございまして、そちらに対してこちらのサイトは日本の法令に照らして法律違反を起こしているので削除してくださいという要請を行うものでございます。
 次が、「あやしいヤクブツ連絡ネット」という事業でございまして、こちらが情報収集と啓発活動を行っているものになっております。こちらはあやしいヤクブツ連絡ネットというところで情報の受付フォーム等々がございまして、消費者の方からの個人輸入等に関する通報、電話であったり、メールであったり、フォームを通じた連絡だったり、御相談も含めてそういったものを承り、また、インターネット検索等も行いまして様々な情報を収集しております。収集した情報に基づきまして法違反が疑われるものについては、先ほどと同じような話になりますけれども、国・都道府県等に情報提供して対応していくという形になります。また、こちらの事業は啓発にも力を入れておりまして、ホームページ、それからSNS(X)におきまして、一般消費者等に対しまして偽造医薬品の情報や健康被害情報などの啓発活動を実施しているものでございます。
 それから、通報への対応ということで、これは事業ではないのですけれども、我々が普段やっている取組につきまして御説明するものでございます。我々厚生労働省も含みますし、地方自治体の薬務課も含みますけれども、国民であったり地方自治体等々からECサイト、フリマサイト、SNS等において違法な医薬品販売等がある場合には、そういうものに対して通報というのがある程度の頻度でやってまいります。そういったものについて関係者と連携し、対応するものでございます。
 先ほどの説明にありましたとおり、事業所の所在地が分かる場合には、その地方自治体に連絡をいたしましてそこで対応してもらうのですけれども、それとは別にいわゆるECサイト等につきましてはその運営事業者との連携というのも行っております。違法な出品等の削除要請を実施しておりまして、メルカリ、X、フェイスブック、楽天、ヤフオク、Qoo10などなどがあるわけですけれども、こういったいわゆるECサイトさんは自社の規約としても違法なものは出してはいけないというのは当然持っておられますし、そうではなくても当然法律違反のものを出すわけにいかないので、お願いすれば、違法性があると確認できれば削除していただく等の対応をしていただいているところでございます。
 また、説明の順番が前後してしまいましたが、ウェブページにつきましては先ほど御説明したとおり、販売者の所在が分かるものにつきましては地方自治体への情報提供で、販売の所在が不明な場合にはレジストラ等への削除要請を実施しているところでございます。
 おめくりいただきまして3ページ目ですけれども、先ほどあやしいヤクブツ連絡ネットのところで啓発活動に力を入れていると申し上げさせていただきました。こちらはあやしいヤクブツ連絡ネットのXのほうでしている投稿の例でございますけれども、例えば右側ですけれども、「その個人輸入 待って!」というリーフレットの半分ぐらいが表示されております。個人輸入というものが法律違反ではないのですけれども、やはりリスクがあるものだということを国民の皆様に正しく理解していただく必要がありますので、そういう注意喚起をするなどのことをさせていただいている次第でございます。
 では、監麻課からは以上でございます。安対課に替わります。
○医薬安全対策課 医薬安全対策課から、適正使用に関する注意喚起について御説明させていただきます。
 資料4ページでございますけれども、GLP-1受容体作動薬等の適応外使用につきまして、関連学会からのお知らせ、日本糖尿病学会や日本肥満学会、製薬企業等からの注意喚起につきまして、PMDAのホームページ等に掲載して注意喚起を図っているというのが4ページでございます。
 5ページをお願いいたします。こちらにつきましては、医薬品・医療機器等安全性情報につきまして、こちらは定期的に年10回ほど発信しております関係団体等を通じて周知している資材になりますけれども、こちらにおきまして関連部局共同で記事を作成しまして、例えば重大な副作用として低血糖等が見られるとか、適応外で使用された場合はこれまでに知られていない思わぬ副作用につながる可能性が否定できないこととか、美容医療に関する注意喚起等を含めまして様々な観点の適正使用に係る注意喚起を実施させていただいているところでございます。
 資料2-2の説明は以上でございます。
○医薬産業振興・医療情報企画課 資料2-3について、医政局医薬産業振興・医療情報企画課から説明させていただきます。
 GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する注意喚起の状況及び供給状況について御説明させていただきます。
 資料2-3のスライド2ページ目を御覧ください。概要でございますが、2型糖尿病等の適応を有するGLP-1受容体作動薬については、一時、供給を上回る需要の増加により一部の製剤において限定出荷が発生しました。そのため、以下の事務連絡を発出し、医療機関等に対し買い込みを厳に控えていただく等の協力を依頼しております。
 詳細については下半分に記載しておりますが、まずは一昨年の7月28日付の事務連絡で医療機関等に対して買い込みを厳に控えることを依頼するとともに、卸売販売業者に対しては糖尿病治療を行っている医療機関等への優先的な供給を依頼しております。さらに、11月9日付の事務連絡ではより踏み込んだ内容で依頼しておりまして、卸売販売業者に対しては承認を得た範囲での治療を目的としたものであるかどうかを確認し、承認外の目的による使用であることが明らかな場合には納入をしないなど、糖尿病治療を行っている医療機関等への供給を依頼しております。さらに、11月21日付の事務連絡においては、同様に卸売業者に対しては本剤の投与対象以外に使用することが明らかな場合には納入をしないことを依頼という形で関係各所に依頼をしているところでございます。
 なお、現時点でございますが、概要の2つ目の丸に記載しておりますとおり、これはGLP-1受容体作動薬のいずれの品目に関しても現在は通常出荷の状況にありまして、供給状況に支障はないところでございます。
 説明は以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 それでは、以上の御説明に基づきまして委員の皆様から御意見、御質問があれば、御発言をお願いいたします。
 戸部委員、どうぞ。
○戸部委員 御説明ありがとうございました。
 広告規制だとか、あるいは用途外に適正な販売ということの活動をされてきたということもよく分かりました。その結果、市場での使用実態は何か変化があったのですか。
○磯部委員長 これまで御説明いただいた取組の効果といったものはどうでしょうということなのですけれども、これはどういう順番で聞いていったらいいですか。
○監視指導・麻薬対策課 今の御質問はちょっと幅が広い御質問だったので、セクションセクションで答えさせていただくことになろうかと思いますけれども、監視指導の観点で言いますと、例えばウェブサイトの削除要請をさせていただいているという話をさせていただきました。事前の御説明のときにも御関心があったと承っておるので一応数字を持ってきたのですけれども、令和6年度で言えば253件のサイトについて削除をしていただきました。年によって波はあるのですけれども、大体3桁の件数のサイトを消していただいているような状況でございます。
 ただ、この削除というのはあくまでも要請に基づくものでございまして、特に海外のサイトに関しましては一度削除されても別のサーバーでまた出てくるとか、そもそも要請をしても削除していただけないというケースもあると委託先の事業者からは聞いておりまして、一定の限界の中でやらせていただいている取組になってございます。
 どのくらい効果があるのかというものに関してあまりお答えにはなっていないのですけれども、この削除要請だけでは特に海外対応につきましては正直限界も理解した上で私どもはやらせていただいておりますので、これはこれでやらせていただくのですけれども、やはり個人輸入のリスクというものにつきましては国民の皆様に正しく理解していただくということが一番肝要だとは思っております。そういう意味で現在も啓発のほうもやらせていただいておりますし、最近、このGLP-1の話に限らずいろいろと個人輸入のことが話題になることも多いので、我々の中でもその啓発の部分についてはさらに力を入れなければいけないと議論しているところでございますので、取り組ませていただければと思っております。
○戸部委員 ありがとうございます。
 私が心配しているのは、やはり本来使われるべき用途で使われるべきだと思いますし、ここで適用外使用に関する注意喚起ということで供給が必要なところに薬が行くようにという取組をされている中で、こういった注意喚起によって流通の量やバランスが適切になっていくのかどうかということに関心があります。先ほどの資料2-3でいわゆる医療現場に対して買い込みを控えてくださいという注意喚起ということなのですけれども、結局買い込みをする理由、背景は必要な供給量に対して足りないからということが原因だと思うので、用途外使用を減らしていかないといけないと思います。今までのそういった監視や規制に関しての効果として適正な使用にシフトしているのかどうかが知りたかったということです。
○医薬産業振興・医療情報企画課 医政局産情課でございます。
 こちらは御質問の回答になりますが、具体的に自由診療目的での使用量と薬事承認範囲内での使用量について、定量的な数字については、現時点では持ち合わせていないところではございます。ただ、確実に今、回答可能なことは、こちらの資料にも記載させていただいたとおり、これらの薬については現在、通常出荷になっておりまして、糖尿病で必要としている患者さんに対しては全く問題なく供給可能な状況になっています。これにつきましては製造販売業者で増産に御協力いただいたと承知しておりますので、現状では必要な方に供給はできているところではございます。
 以上になります。
○磯部委員長 今のやり取りの中で戸部委員が特に重視されたように、必要な人にきちんと届いているかというところは今、どうやら通常出荷という状況なら大丈夫なのではないかというのでいいと思うのですけれども、増産すればそういうことにもなるでしょうけれども、当面一番大事なところへの抑えは効いたとして、やはり糖尿病に使っているものと自由診療で使っているものの割合というのは、現時点においては数字は持っていないという言い方をされましたけれども、調査中だということですか。これからきちんとそれはどう使われているか、どういうところが買い込んでいるのか、その買い込んだところがどういう広告を打っているのかということを今は調査中だということだけれども、今は情報がないということか、特段今後も情報を取るつもりはないということをただ現時点においては情報がないとおっしゃっているのか、その情報がない背景を教えていただけますか。
○医薬産業振興・医療情報企画課 御質問ありがとうございます。
 今回のGLP-1受容体作動薬の需給の逼迫については、国内の自由診療による影響が全くないとは申し上げませんが、世界的に需要が逼迫し、日本だけではなく、例えば欧米でもかなり需要が増えたという背景がございますので、今、当課で具体的に目的に応じて国内でどれぐらい出荷されているかについて調べることは想定していないところではございます。国内の流通だけを見るだけではあまり意味がない、つまり海外での取り合いも発生したことも背景としてあるので、調査について今は考えていないところではございます。ただ、少なくとも今、必要なところには届いているという状況ではございますので、特段の問題はないと考えています。また、国内での自由診療の割合がどれぐらいかについては、自由診療の所管は当課ではないのでなかなかお答えが難しいところではございます。
 以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 でも、厚生労働省が規制権限を行使し得るのはまずは国内。分からないですけれども、自由診療のところで広告なども今日のほかの資料で御説明いただいたように問題があるところというのはある程度見えているのかなと思っているものですから、もうちょっと何か調査しようがあるのではないかと思った次第です。
 戸部さん、どうぞ。
○戸部委員 確かに市場が非常に複雑なので難しいというのは分かるのですけれども、ただ、今後はそういったことも前提で、薬の流通もグローバルになってくるというところであれば、そういった調査の方法だとか、国内の状況をどう把握していくのかということを検討いただくのも必要ではないかなと思います。
 本薬剤だけではなくて、今後、また類似のことも出てくるかもしれないので、そういったときにどういう対応をするのが効果的なのかということも必要だと思います。
 ありがとうございました。
○磯部委員長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 広告の監視に関して、ネットパトロール事業をされているということで能動的な監視もされていると伺ったのですけれども、最近、動画を見るとそこに一緒に入ってくる広告が問題だなと思っておりまして、その広告を見ると、検索しても出てこないので今すぐみたいなキャッチコピーで誘導するのですね。ですから、このネットパトロールでそういうSNSなどから入った動画を見る中でなされる広告については把握するのが難しいのかなと思ったのですけれども、何か取組があれば教えていただけますでしょうか。
○医政局総務課 医政局総務課でございます。御質問ありがとうございます。
 ネットパトロールにおける対象というのは、基本的には動画も含め、そういった医療広告の対象となるものであれば対象となっておりますので、そういったものも入ってきているところでございます。
○佐藤委員 ただ、検索で引っかからないのかなと思うのですが、どのようにそういうものを引っかけてくるのかなというのが疑問だったのです。
○医政局総務課 こちらは私の理解では、事業者にお願いしているものでございますが、厚労省の事業において事業者にネットパトロールという形でいろいろなネット、SNSを能動的に見ていただくというところで引っかかるものは探知しているところでございます。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○花井委員 今、ネットパトロールの話が出ていて、医療機関の広告についてはかねてからいろいろな論点があったと思います。今回、資料の2ページにあるように、ウェブサイトに限った一定の要件で解除の要件を満たせばとなっているのですね。この解除の要件というのが守られているのか。
 それからもう一つは、とはいえ、マル1の法令に基づく、つまり医療法違反になるものについて、なっていないかというところなのですけれども、これは医療法違反というのは違法だと思うのですけれども、再生医療の世界で間葉系細胞のかなり汎用的な広告があって、安確法では一応広告というよりも再生医療自体のリスクと、それから有効性のエビデンスがない場合は一定程度安確法でも言えるのではないかみたいな議論があったと思うのですけれども、見ていると結構これは本当に限定解除の要件を満たしていないのではないかみたいな話や、いや、誇大広告でしょうというものは大量に私は見つけるのですが、パトロールでは恐らくとんでもない宣伝を例えば美容系がやっていたり、実は内科系でも微妙なエビデンスのない効きますよ的なものは結構野放しに見えるのですが、その辺はどうなのですか。
○医政局総務課 花井先生、御質問ありがとうございます。
 まず、基本的には医療広告の規制におきましては患者等の利用者保護の観点からも限定的に広告できるものを定めています。ただ、限定解除の要件というのがウェブの場合はございます。その中で、そうであっても法令に基づいて禁止されているものはやってはいけないといった立てつけになっております。
 具体的に内容に踏み込んだ御質問だと、なかなか正確に答えることは難しいのですけれども、このような立てつけでネットパトロールで違反のものを探しているということだけはお答えできるのですが、詳細なところは個別の事例になりますので、お答えが難しいところもあろうかと思います。
○花井委員 このマル1に引っかかってしまったら違法ですね。これは罰則があるのですか。
○医政局総務課 基本的には改善命令というか、改善を促して、当然それにも従わなければ徐々にラダーとなっています。最初は自主的に促していって、それで駄目なら命令の形になっていくといったラダーになっているものになります。
○花井委員 なるほど、分かりました。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 そのほかはいかがですか。
 ネットパトロールというのは、医療広告協議会というところの構成員を私は何年かやっているのですけれども、どのようにネットパトロール事業をやっていて、どういう傾向が危惧されるからこのようにパトロールを強化しようとか、そういう議論をするところなのですけれども、ずっと言っているのですが、それがあまりオープンになっていないのですね。もちろんオープンにできないことは隠せばいいと思うのですけれども、その上で原則もっと公開すればいいのではないかなと思っているのですが、あまり言い続けていても実を結んでこないので、その不満がまだあるということは何度でも繰り返し言うのですけれども、とにかくウェブサイトの監視指導体制自体がどうあるべきかということで、このパトロール事業は毎年事業者に入札で入ってもらってという形ですね。そのやり方でこのままずっとやっていくのですかねという疑問です。オーバードーズのこともそうですけれども、結局いろいろな人が情報を得るSNSなどにどんな情報が流れていて、消費者がどういう行動に出るのかという、情報の提供や受領のあり方というのは広告規制という安全性確保の仕組みにおいてもすごく中核的な大事なところだと思うのですけれども、それが予算事業で、本当にノウハウは言えないのでしょうけれども、手作業で探しているみたいなところと実際通報があるのという両方で監視するのですけれども、何かもうちょっと体制強化のアイデアはないのでしょうかという素朴な質問が一つです。その点、いかがでしょう。
○医政局総務課 御質問ありがとうございます。
 この美容を含む医療広告に関してしっかり医療法を守っていただきたいという趣旨の事業に関しましては、当然ネットパトロールだけではなくて、SNSを使った普及啓発であるとか、政府広報といったものを用いて厚労省として制度周知を行っております。
 そのうち、このネットパトロールに関してどうするかというのは、まさに広告協議会の中で次年度どうするべきか、たとえ事業者が替わりましてもそういった方向性は引き継がれますので、そこの中で御議論いただいたことについて我々もそれを受け止めて検討していくということかと思っております。
○磯部委員長 ありがとうございます。
 ここから先はつい渡邉先生や小風先生に振りたくなるのですけれども、医者の世界で何とかならないのかという気がちょっとするのですけれども、この間はカルタヘナ法違反の事案がありましたね。自由診療でカルタヘナ法10条1項に基づく措置命令を行ったという、それは再生医療法に基づく遺伝子組換えの製品を使ったものだったので、それが承認を受けるべき手続を経ないでやっていたということで処分されたという事案はあるのですけれども、医療法人が何とか療法という遺伝子組換え生物を用いた医療を行っていた。自由診療の名の下に本当にいろいろな行為ができて、広告も野放しとは言ってはいけないのでしょうが、規制が十分とは思えず、前に第13回でこの案件を取り上げたときには医師会のほうでもこれは非常に適切な処方とは言えないようなものだということを常任理事の先生が記者会見したという、ちょうどそういうタイミングだったと思いますが、その後、何かしているのですか。そういう自由診療の不適正な行為をするクリニックなどに対して自主規制、自己規律のような営みというのはもうちょっと医療界ではないのでしょうかというのはいかがでしょう。
 渡邉先生、まずいかがですか。無茶振りを急にしてしまってごめんなさい。
○渡邉委員 いえ、今の磯部先生のご指摘は非常に重要な問題だと、どなたも認識していると思います。ただ、それに対して有効な措置があるかということになるとなかなか難しくて、具体的に以前の段階からどのような対策が取られていたかは私も調べてみたいと思います。
 なお、もし自由診療と言いながら保険診療と混在して取り扱われているようであれば、それは混合診療の問題としても対応できるかもしれません。 小風先生、何か御存じですか。
○小風委員 いえ、私も特にそこら辺はよく分かっておりませんけれども、もともとこういうものは基本的にはプロフェッショナリズムのところで、かなり行為としてはアンプロフェッショナルなことということで、本来は自主的に自律的に控えるというか、しないという選択を取るのが普通かなとは思うのですけれども、ただ、そうはなっていないのが事実であるというところで、やはり何かの規制等々が必要。ただ、そこが前進していますかというと、ちょっと私も不勉強ではありますけれども、実際は進んでいないというのが私の認識ですけれども、渡邉先生、そんな形で合っていますでしょうか。
○渡邉委員 私も小風先生と同じく、最終的にはプロフェッショナリズムに由来する課題だと思います。
○磯部委員長 両先生、急にお願いしてしまって、ありがとうございました。
 ただ、本当にプロフェッショナリズムがまず本来顔を出すべきではないかという御指摘をいただきまして、私も問題意識を全く共有するところで、そういう問題があるのではないかということをたまに思い出すというのは大事だと思うので、今回もこのテーマを取り上げたのは意義があったと思うのですが、前回の資料から進んだところとしては、資料2-1の11ページに美容医療の適切実施に関する検討会というものがありましたね。これはこれで重要だと思うのですが、例えばその中で関係学会がガイドラインを作成する、適切な研修を行うという辺りは若干自律的な営みとは言えるかと思います。ここでいう広告規制の取締り強化というのは具体的に何を指しているのですか。これは質問です。
○医政局総務課 御質問ありがとうございます。
 こちらは、例えば現在行っている事業についてより実効性を持つようなことを考えるということを考えておりまして、まだ中身についてはもう少し検討が必要かなと思いますけれども、対応策の方向性としてはこういったものが取りまとまっておりますので、これも続いて対応を検討していくというところになります。
 この中の全体にいろいろ書いておりますけれども、一部今後、医療法の改正が行われた場合には対応するものであったり、それでなくても例えば関係学会によるガイドライン策定など、このように進度についてはそれぞれ様々になりますけれども、この対応策に従って進めていくということになります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 そのほか、この件ではいかがでしょうか。この議題は、まだ時間はあるといえばあるのですけれども、よろしいですね。
 ただ、本当にオーバードーズの件も含めて、一般の方の医療と医薬品に対する理解をどう深めていただけるかという、実は共通する本質的な課題があるなと感じたところで、医薬品に関わる健康被害をできるだけ予防したいと考えるこの委員会としても重要な検討課題だと感じますので、今後も改めて話題に上げて議論をしていきたいと思っております。またいろいろ情報の共有などをしていただければとお願い申し上げます。
 では、今日は御説明ありがとうございました。
 それでは、議題1の2つ目というのはここまでとさせていただいて、今日は非常にゆったり進められましたが、次は議題2として「医薬局からの定期報告」です。こちらは事務局から御説明を資料3と4を合わせてお願いいたします。
○池上室長補佐 事務局より御説明させていただきます。
 まずは資料3の「医薬局からの定期報告」を御覧ください。医薬局からの定期報告としましては、国内における市販後の安全対策の措置状況、外国での新たな措置の報告状況の2点を御報告させていただきます。
 製造販売承認された医薬品の情報につきましては、前回の委員会以降、該当の品目がございませんでしたので、今回の御報告はございません。
 また、前回の委員会以降、緊急安全性情報や安全性速報、いわゆるイエローレター、ブルーレターについては新たに発出されておりませんことを併せて御報告させていただきます。
 まず、2ページ目の医薬品の使用上の注意の改訂になります。こちらは本年7月24日に開催された医薬品等安全対策部会で確認された内容の御報告になります。今年3月15日から6月24日までの3か月間で行われた27件の添付文書の改訂について掲載しております。特筆して取り上げる事項はございません。
 また、19ページから始まります外国での新たな措置の報告状況についても同じく7月24日の安全対策部会で報告された内容のうち、回収、警告、禁忌に関する添付文書の改訂など、監視委員会の報告要件に該当するものを抜粋して資料としております。今回は全部で154件が報告対象となっておりますけれども、個別の品目の御説明については割愛させていただきます。全体の概略としましては、安全性の懸念に関する販売中止等はございませんでした。
 続きまして、資料4を御覧ください。こちらに関しましては、新たに承認された医薬品の成分で国内での承認審査時に海外で承認がなかったものや、特例承認等の対象品目について、欧米での承認状況を調査した結果をお示しするものとなっております。調査対象品目は資料2ページ目から7ページに一覧表としてお示ししております60品目となっております。今回、更新があった品目のみ御紹介させていただきます。
 まずはR1-02「コレクチム軟膏」になります。こちらは日本ではアトピー性皮膚炎への適応で承認されておりますけれども、今年7月にFDAで重度の慢性手湿疹で適応症違いとして承認されております。こちらはEMAで承認されているものと同じ適応となっております。
 続きまして、6ページのR5-9「コスタイベ筋注用」につきまして、今年2月にEMAで承認されておりますので、個別のシートに情報を追記しております。
 また、6ページの、R6-8「テッペーザ」につきましても、今年6月にEMAで承認されております。こちらについてはFDAでも既に承認済みですので、本剤は今回で調査終了となります。
 7ページのR6-15「アナエブリ皮下注」につきまして、FDAで6月に承認されております。こちらもEMAで承認済みですので、今回で調査終了となります。
 最後に、R7-1「プーレンレップ」につきましては、EMAで7月に承認されております。FDAのほうは未承認のため、調査継続となります。
 事務局からの説明は以上になります。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 委員の皆様から御意見、御質問などはございますでしょうか。
 特になければ、定期報告については次回以降も引き続きよろしくお願いしますということで、大分時間があるので、早く終わるのは良いことだと思うのですけれども、この際、いつもは私は嫌な役回りで手短にお願いしますと佐藤さんとか、いろいろな人に言っていると思うのですけれども、何かこの際、自由に御発言いただければと思います。今後、もっとこういうことをやろうかとか、前回のあれでそういえば言い忘れたことがあったとか。よろしいですか。
 では、花井先生、どうぞ。
○花井委員 次回以降のテーマですけれども、この前、薬害被害者団体でも議論したことがあって、それは今、特にワクチン以降は多くの人が救済されていないぞという形で救済申請、ワクチン救済もそうですし、医薬品副作用被害救済基金制度があって、これまで救済されないことによって薬害化するということがあるわけですね。つまり、79年にまさに製造販売業者と被害者側が制度をつくった理由は、薬害裁判なんてお互いにつらいわけだから、そういうことがないように制度によって一定程度無過失・無欠陥で救済するという設計図だったわけです。
 ところが、79年以降も御案内のとおり薬害が繰り返されていて、特にワクチン系は割とセーフティーネットが厚くなっているから、どんどん救済が進んでいれば裁判沙汰にならない可能性が高かったのですけれども、もうなってしまっているというところで、だから、救済が十分できているか問題というのがテーマになるのではないかと思います。
 そのときによくあるのは、シグナル検出して地引き網でいろいろ安全対策しているのですけれども、そのときに医療機関報告などは一定程度救済についても調べているのですけれども、製販側の報告はそういうものがないので、本来救済されるべき人が救済されていないのはどのぐらいなのかという相場感がデータがないから分からないわけですよ。もちろんあれは地引き網なので、シグナル全部が救済対象とは限りません。なので、それを比較してもあまり意味がないというか、だけれども、その中で因果関係の可能性が高いものがどれだけ落ちていて救済件数との差があるかというところを基礎的に分からなければ、単に今、救済のいろいろな宣伝をしていますよ、広告していますという形で言っているのですけれども、それが十分なのか不十分なのかも評価できないという現状にあるので、この安全対策と救済との連携がもうちょっとできるようなことをやってほしいというのが被害者団体のお願いだったわけですけれども、非常に難しいテーマなのですね。制度的にも全然違うので、ただし、さっき言ったように製販にもうちょっとそこは協力してもらえれば、もうちょっと何とかなるのではないかというところもあるので、今後の一つのテーマにしたいというのが一つです。
 それから、先ほどの医療行為との関係については、これはもうかなり超長期的なビジョンですけれども、薬事からすれば医師は基本的に承認された医薬品については処方箋を自由に書けるし、さっきの広告の話だって広告しなければもちろん自由なのですね。何でもできるということになっていて、医薬品が一定程度の専門性のある医師のみが処方できるよという承認形態がもしも可能であれば、これは薬機統制も相当楽になります。ただし、それは医師の処方権という手足を縛る話になるので、非常にテーマとしては大きいのですが、やはりこれだけ医薬品のコモディティーというのが多様になっているときに、これは専門医でなくては扱えないよねという医薬品も承認せざるを得ないわけですよ。今は製販を承認条件で販売の仕方として間接的に規制をしている体制なのですけれども、今後は医療法と薬機法との関係、医師法も含めてですけれども、そういう形で構想しないと再発防止は難しいのではないかという超長期的なテーマとしてもこの委員会としては考えざるを得ない。
 だから、この委員会はもちろん薬害をなくそうというのがテーマですけれども、薬機規律だけやってもなくならないというのは今日の例を見ても明らかなので、かといって、あまり医療法や医師法に手を突っ込むといろいろ問題があるのは分かるのですけれども、国民みんなで考えていく問題としては、この委員会としてはある種提案をしていくということが大事だと思いました。
 以上です。
○磯部委員長 ありがとうございました。
 どちらも重要な御指摘で、実は2点目は今日の最後に少しそれに近いことを言おうかなと思っていたのですけれども、2010年の最終提言をもう一度読み直そうと思って日比谷線で来るときにスマホで探していたら、厚労省の厚生労働白書の平成22年版に医薬品行政に携わる者に求められる基本精神というもののうちの一部が抜粋されていて、ちょっと読み上げると、現在の医薬品行政は、ともすれば、医薬品という製品を通じた規制に偏りがちであるが、医薬品は医療の場で適切に使用されてこそ、その役割を果たすものである。したがって、医薬品行政に携わる者は、医師、薬剤師等の医療関係者が果たすべき役割や患者の現在置かれている状況等を十分に理解し、医療関係者や研究者等と密接に連携して、職務を遂行することが必要であると既に書かれていて、医薬品という製品に偏りがちではないか、医療の現場のプロフェッションたちとの連携といったことなども、おのずとセットで考えなくてはいけないことなのではないかということを少し強調したいと思ったのですね。私はそういう意味で、今、花井さんが言ってくださったことは全く同意しましたということであります。
 あと、1点目におっしゃったのは、こちらの議論としては医薬品等行政評価・監視委員会の所掌に入るのかという話が必ず出てきて、安全性と医薬品の使用に関する保健衛生上の危害の発生・拡大防止ということについての話になると思うのですけれども、私は医薬品の安全というのは健康被害の救済と車の両輪で考えるべきだと思っております。PMDAはさらに3つ、トライアングルだと言っていて、そのうちのどれかだけというのは本当に不十分だと思いますし、α、β、γもここでは何度か取り上げていますけれども、あれも被害救済のところと数字の見え方が違って大丈夫なのか、みたいに言われていたりするので、どうしてもそちらのほうを視野に入れざるを得ないのではないかなとは思っておりますので、その点でもすごく同意したところです。救済制度の運用がどんなものかということはどこかで取り上げてもいいのかなと、まずは勉強してみたい気がしました。
 さて、ありがとうございます。幾らでもこんな話はしていても楽しいのですけれども、ほかの先生方、よろしいですね。ありがとうございました。何か最後に事務局からありますか。
○土岐室長 本日もありがとうございました。