- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 社会保障審議会(福祉部会) >
- 2025年9月8日 第29回社会保障審議会福祉部会 議事録
2025年9月8日 第29回社会保障審議会福祉部会 議事録
1.日時
令和7年9月8日(月)15:00~17:30
2.場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F
3.出席者
- 出席委員(五十音順)
-
- 井口委員
- 石踊委員
- 稲垣委員(代理出席:杉浦参考人)
- 及川委員
- 小笠原委員
- 鏑木委員
- 菊池委員
- 佐保委員
- 新保委員
- 鈴木委員
- 高橋英委員
- 髙橋秀委員
- 谷村委員
- 鳥田委員
- 中村委員
- 沼尾委員
- 則武委員
- 樋口委員
- 堀田委員
- 松原委員
- 宮本委員
- 山下委員
- 山本委員(代理出席:高橋参考人)
- 吉田委員
4.議題
(1)地域共生社会の更なる展開について
(2)身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について
(2)身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について
5.議事録
○菊池部会長 皆様、こんにちは。今日は大勢の委員の皆様に会場にお越しいただいてございます。大変暑い中、御足労いただきまして、ありがとうございます。また、全国的にも大変暑い状況が続いております。災害等もございますけれども、御出席いただきまして、ありがとうございます。
それでは、ただいまより、第29回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、誠にありがとうございます。本日は、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただいております。
まず、事務局から、本日の委員の出欠状況について御説明をお願いいたします。
○池上総務課長 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、稲垣武委員、川井太加子委員、山本一太委員から御欠席の御連絡をいただいております。なお、稲垣委員は途中から御出席いただく可能性もあると伺っております。また、宮本委員は途中で退席される予定とお伺いしております。
そのほか、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市福祉健康部政策監の杉浦隆司参考人に、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。杉浦参考人及び高橋参考人の御出席につきまして、部会の承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○池上総務課長 ありがとうございます。それでは、御異議なきものとさせていただきます。
本日は御出席の委員の皆様が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、もしおられたら御退席をお願いいたします。
(カメラ退出)
○菊池部会長 それでは、議事に入ります前に資料の確認と会議の運営方法について、事務局からお願いします。
○池上総務課長 それでは、まず、資料の確認になります。会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、もし不足等ございましたらホームページからのダウンロードでの対応をお願いいたします。
事務局からの提出資料として、
資料1「地域共生社会の更なる展開について」
資料2「身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について」
の2点がございます。
併せまして、委員からの提出資料といたしまして、鳥田委員、宮本委員、山下委員の各委員より提出資料が3点ございます。欠落等ございませんでしょうか。もしありましたら、係の者におっしゃっていただけたらと思います。
次に、発言方法等についてでございます。オンラインで御参加の委員の皆様には、会議の進行中、マイクはミュートにしていただきます。御発言の際は「リアクション」の「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言後は「リアクション」の「手を下ろす」をクリックいただき、再度、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、発言は極力簡潔にお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。前回、事務局から、2つの検討会、地域共生社会の在り方検討会議、そして2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会のとりまとめについて御報告いただきましたので、本日からは具体的な制度改正の中身についての議論を深めていきたいと存じます。
まずは、「地域共生社会の更なる展開について」を議題とさせていただきます。事務局から資料の説明をお願いします。
○南地域共生社会推進室長 事務局です。地域共生社会推進室長でございます。
資料1に沿って、「地域共生社会の更なる展開について」、説明させていただきます。
資料をおめくりいただきまして、目次がございます。1から4までありまして、具体的な論点として挙げさせていただいておりますのは2から4になりますので、こちらを中心に御説明いたします。
1については、中間とりまとめの内容等を掲載しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
飛ばしていただきまして、2の包括的な支援体制整備に向けた対応というところで、10ページ以降を御確認ください。現状・課題として、 包括的な支援体制の整備について進んできている面がある一方で、市町村さんの中には、まだ取組が具体的に進んでいないところもあるといった状況もあります。
また、11ページですが、重層事業、令和2年に創設しておりますが、現在、機能とか取組の評価がなく、人口規模のみに応じた財政支援になっているという点でありますとか、検討プロセス、評価の見直し等が実施されていない状況が見られるといったことも上げております。
また、既存の制度ということで、生活困窮者自立支援制度との関係というところで、既存の制度が十分活用されないままに重層事業が実施されて、多機関協働事業担当等にケースが任せ切りにされてしまうといったケース、市町村のアンケート調査結果があるといった状況もございます。
また、生活困窮者支援制度については、制度の狭間を生まないための仕組みとして創設された経緯がありますが、現状、対象が限定的に捉えられてしまっている面もあるといったことも上げられております。
12ページに進んでいただきまして、包括的支援体制の中でも地域づくりが非常に重要ですが、こちらがまだ十分取り組めていない状況がある。こども・若者支援の分野につきまして連携が十分できていないところでありますとか、こどもの支援が十分に行われていないといった現状・課題があるということでまとめております。
13ページ以降に具体的な論点を上げております。
13ページは市町村における包括的な支援体制の整備ということで、1つには、包括的な支援体制を進めるに当たって、実施すべき施策の明確化をすべきではないかという観点を掲げております。
ポツの2つ目ですが、重層事業を実施されていない市町村に対して支援会議の活用を可能とすることなど、財政支援を含めて、そういった市町村への体制整備の促進も図るべきではないかという論点です。
それから、3点目、地域住民と支援関係機関の連携・協働を図るための方策として、消費者行政の仕組みも参考に、市町村が協力団体を委嘱できる仕組みの創設についても論点として上げております。
また、4点目、最後ですが、生活困窮者自立支援制度における対応として、制度の対象に支援が必要な者が幅広く含まれることについて、前々回の生活困窮法の改正でも地域社会との関係性等を明記しておりますが、さらにそこの明確化が図れないか。あるいは、市町村全てで包括的な支援体制を構築していく観点から、福祉事務所未設置市町村における一次相談事業の拡充等が考えられないかということです。
14ページ目に進んでいただきまして、都道府県における包括的な支援体制整備の推進ということで、都道府県による支援の強化というのを上げています。
また、重層事業については、質の向上を図る観点から、検討プロセスの要件化、重層実施計画の見直しということで、必須記載事項として目標・評価等に関する事項の追加でありますとか、PDCAの導入というのを論点として上げております。
また、財政支援については、人口規模に応じた人件費補助の仕組みから、機能とか取組面を評価する形で、評価に応じた支援にしていってはどうかという点を上げてございます。
こども・若者支援については、連携体制の構築、運用面でしっかり改善していく点と、生活困窮法の子どもの学習・生活支援事業の取組促進ということで、この事業のみ法律の中で完全な任意事業となっておりますが、そちらを努力義務化することでありますとか、補助率もその他の事業に比べて低くなっております。こどもの貧困の連鎖を断ち切るという意味でも非常に重要な事業ですので、その補助の在り方について考えてはどうかということで論点を上げております。
続きまして、3番目の過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組みということで、16ページ以降、資料を御用意しております。
現状・課題につきまして、人口減少がこれからもどんどん進んでいく中で、特に人口減少率が大きい市町村も一定数あるという状況でありますとか、行政職員の担い手不足の面も出てくる。あるいは、重層事業につきましては、人口規模が小さいところではどうしても進んでいない状況があります。大規模市町村とか財政力のある市町村によく使われている状況があるというふうに考えております。
具体的な論点といたしましては、17ページ以降に記載しております。基本的に社会福祉法の内容を議論いただくことにしておりますので、この部会で扱っていただく内容としては、相談と地域づくりの部分になるかと思っております。相談と地域づくりについては、こういった過疎地域とか中山間地みたいな担い手がどんどん不足する地域につきましては、既存事業の機能はしっかり確保しつつ、分野別の縦割りではない集約化した仕組みを導入してはどうかということで、さらにそういった集約化した前提で配置基準の柔軟化をしてはどうかということで上げております。
相談支援については、構造化が必要だと考えておりまして、イメージを下に書いてございますが、分野・属性を問わない包括的な相談対応をする一次相談の機能を市町村にはしっかり持っていただいて、そこについては必要な人員を配置していただく。広域の連携とか近隣市町村との連携の中で、専門相談の機能等も確保していただくことを考えていってはどうか。その際、一次相談について、特に資格ということではありませんが、研修等については、こういった分野・属性を問わない相談対応のための研修について共通化していくということを考えてはどうかということを上げております。
地域づくりについては、生活支援コーディネーターとか生活困窮の自立相談支援員さん等が実施されている地域づくりもありますし、総務省さん等が進められている集落支援とか地域振興分野の役割のコーディネーターさんがいらっしゃいますので、こういった地域においては、コーディネーター機能についても集約化・共通化していってはどうかということです。また、この際、地域運営組織(RMO)等がある地域については、そういった活動との一体的な実施というのも想定されるのではないかと考えております。
また、地域づくりについては、下の図の右上にありますとおり、地域活動運営機能もありますので、こちらについても分野・属性を問わない形での運営を可能とするような方法を考えてはどうかということで上げております。
18ページへ進んでいただきまして、この過疎地域等における柔軟な仕組みの対象地域・要件については、人口規模が小さい、人口減少が進行している等の指標を踏まえながら、必要なプロセスを経ていることを県ないしは国が何らかの形で確認する形としてはどうかと考えております。この点については、人員配置の緩和等も、また相談体制も変わる部分もありますので、そういった広域連携等の中で専門相談に対応していくような体制が取れているかといった意味で、都道府県や近隣市等と協議していることでありますとか、こういった体制に変更することについて、地域住民・支援関係機関の意見聴取、対話等を通じて一定の合意形成を図っていること等が必要になってくると思いますので、こういったところを何らかの形で確認する形としてはどうかということで考えております。
この特例制度を使われる際の市町村への補助の在り方につきましては、重層事業の交付金の仕組みも参考に、一体的な執行を行える仕組みにしてはどうかということで考えてございます。
さらに、※で書いておりますとおり、こういった担い手不足地域でありますし、行政職員さんの体制確保の課題もありますので、交付金については、柔軟性の確保とか事務負担の軽減をできるだけ図るということで考えてはどうかと上げております。この過疎地域等の特例の仕組みにつきましては、現在、町村会さん等を含めて、対象になり得る町村さん等の意見も聞きながら検討を進めているところですので、併せて御報告いたします。
最後、4点目、地域共生社会の理念の再整理・連携協働の強化のところです。
20ページ、21ページ目に現状・課題として上げています。
地域共生社会の概念・理念について、社会福祉法第4条ないしは第6条辺りの法文上の明確化が必要ではないかという意見ですとか、意思決定支援の配慮を明記すべきではないか。
21ページに進みまして、地域共生社会、包括的な支援体制をつくるに当たりまして、様々な分野、福祉を超えた他分野との連携が必要といった現状・課題を上げています。
22ページにその部分の論点を上げております。
1つは、理念・概念の性格、行政責務につきましては、社会福祉法4条・6条の関係性の整理ですとか、あらゆる地域住民等が地域社会に参画し、ともに生活していくといった考え方を条文上、反映できないかということで上げています。
真ん中に行きまして、意思決定支援の配慮については、社会福祉法においても明確化してはどうかということです。
最後、一番下ですが、福祉以外分野の連携・協働につきましては、既に社会福祉法に住まいとか地域再生というふうに他分野の連携についても規定されていますが、それに加えてまちづくりとか地域の産業、交通、防災、司法といった他分野との連携についても規定することとしてはどうか。
さらには、地域福祉計画等の記載事項として、他分野連携の事項というのを記載することを明確化してはどうかということで書いています。
※といたしましては、今、総務省さんと協働で地域運営組織(RMO)等福祉以外分野とも連携・協働した地域住民主体の地域づくりと包括的な支援体制の整備に係る調査研究を実施しておりますので、こういった調査研究の結果も踏まえまして、次年度以降、モデル事業等も含めて取組を進めていきたいと考えております。
資料の説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などをお願いしたいと存じます。最初に御説明がございましたように、限られた時間の中で多くの委員の皆様に御発言いただくために、簡潔に3分以内で御発言いただきますようお願いいたします。恐縮ですが、2分半を経過した時点でベルを鳴らさせていただきますので、おまとめいただければ幸いでございます。
宮本委員が本日、途中御退席の予定でございますので、まず最初に、オンラインからお願いできればと存じます。
○宮本委員 今日は大変恐縮です。オンラインである上に、この後、以前から予定していた用務がございまして、途中退席ということで、今、座長の御配慮で先に発言させていただくことになります。
地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめを踏まえた福祉部会での御議論をいただいているわけですけれども、座長として、その中身を報告するということではなくて、議論の中身を踏まえつつも、個人的な所感ということでお聞きいただければと思います。何回か申し上げたことでもあるのですけれども、今、地域福祉あるいはそれを集約する社会福祉法は第3のステージに入っているのではないかと思っております。措置制度として確立した段階、措置から契約へという第2段階。その契約も一部として踏まえつつも、共創という新しい住民・自治体・事業者がともに連携する段階に入っているということではないかと思います。
思い返すと、まさに第3ステージであるからこそ、この10年間、非常に重要な改革が次々に積み重なってきたわけであります。生活困窮者自立支援制度、さらに遡っては、地域包括ケアシステム等々、制度の包括化を目指す試みが様々な分野に広がって、地域共生社会のビジョンができ上がったし、さらにそれに基づいて、17年には包括的支援体制、そして20年には重層的支援体制整備事業が社会福祉法に書き込まれた。こうした中で、まさに試行錯誤は当然のことであって、新しい制度展開があるたびに様々な調整が必要になる。それを無理やりつじつま合わせをする必要もないのであって、その都度、率直に地域の人たち、事業者の人たちとコミュニケーションを密にしながら、この第3のステージを形づくっていくということが大事ではないかと思います。
非常に大枠のところで言うならば、包括的支援体制というのは、先ほどの事務局からの説明にもあったとおり、4条・6条にある労働、教育、住まい、地域再生等、狭い意味での福祉の領域にとどまらない包括的な支援を実現していく。重層事業というのは、それに対して、現行の事業の中身を見る限り、介護、障害、困窮、こどもという福祉の諸分野に横串を刺すことから始めている。この違いは念頭に置くべきだし、重層事業をいかに包括的な支援体制につなげていくのか、このことが大事だろうと思います。
重層事業に関しては、よく引かれる絵柄ではありますけれども、皆さん御覧になって、このスライドの右側にある2つの歯車とか2つの円がぶつかり合う構図ですね。一方では、福祉が課題から入っていくアプローチを進めていく。他方では、まちづくり、あるいは興味・関心から始めるアプローチが進んでいく。これが出会うということになっているわけですけれども、左に掲げた重層事業の概要を見ていったときに、この重層事業の中にこの2つの円、2つの歯車が出会う必然性が一体どこにあるのだろうかということは、疑問なしとはし得ないだろうということです。
現行の制度、重層事業を真面目に追求すればするほど、まちづくりからのアプローチというのはどこからかやってくることを待っている状態であって、ずっと突っ走って、いつまでたってもまちづくりと出会わないまま、自治体の果てまで来てしまったということがしばしばあるのではないかと思います。
その下に書いてあるのは、引用はどうしようかと思ったのですけれども、106条の3、どう取組が進んでいるかということを厚労省が三菱UFJ総研に委託してまとめたヒアリングの中で、宇和島市がこんなことを言っています。重層事業をつくることが自己目的化すると失敗する。包括的な支援体制をどうつくるかをまず考える必要があって、その中で、必要が生じているときにこの重層事業に着手するべきなのだというのです。この話は非常に参考になるだろうと思います。
次の図は非常にややこしい絵柄になってしまいましたけれども、基礎自治体レベルに破線で囲ってあるところが重層事業のところです。包括的支援体制、参加支援、地域づくり。重層を真面目にやれと言うと、自治体としては、重層という言葉の意味合いとして、ともかく相談と参加支援と地域づくり、一体的に進めるのだ。真面目な自治体ほど、恐らく支援フローのポンチ絵を描くと思います。そして、そこにどういうふうに地域の力を結集するかというところで頑張ってもらうと思うのですけれども、それで包括的支援体制ができるのだろうか、あるいはまちづくりと出会えるのだろうかということですね。
そうではなくて、地域をしっかり見ると、例えば圏域1の特養のところで、あるいは圏域2の子ども食堂で、地域共生社会というのはつながり、つなぎ、場をつくっていくわけですけれども、そういう営みが日々取り組まれているわけです。特養にやってきた家族が相談して、そこでいろいろな相談が起きていくし、その家族がレスパイトのケアを受けることができるように、どこか紹介するかもしれない。あるいは、子ども食堂でこどもの手を引いて連れてきたお母さんの相談が行われて、メンタルがかなり苦しくなっているお母さんにどこかが紹介されるかもしれない。紹介先は、例えば商店街が空き店舗を使って、ちょっと働きがたさを抱えた人たちが働く新しいお店をつくったり。これは重層事業の中では決してない。
でも、そこで紹介が起きることで包括的支援体制に向かって広がりが生まれてくるわけですね。こうした広がりをいかにつくっていくのか。そのためのツールとして、重層事業がいかに役立つのか。さらに言うならば、その中で専門職の皆さんがいかに活躍できるか。例えば、これは保育所で大阪府社協がやっていることですけれども、スマイルサポーターといって、こどものケアをすると、親がまいっているから、親の生活改善みたいなところにも専門職としてどうしても手を差し伸べなければいけない。そのためにいろいろな包括的な支援の知識を身につけていくスマイルサポーターという資格を、保育士さんが取っていくというような形で事業を広げているわけです。
もう一つ、最後に強調しておきたいのは、この部会の一つの大事なテーマがつながる、包括的な相談支援ですけれども、AIとこれからどういう形をつくっていくのかということを、AIとどういう形を取り結んでいくのかということをこれから考えなければいけないだろうと思います。御存じのように、今、若い世代だけじゃなくて、多くの人たちがまず相談するのはChatGPTです。ChatGPTも、この間、OpenAIがバージョン4から5に上げた途端、5は性能が高いのですけれども、キャラとしてあまり優しくないというところがあって、4は大変だったねとか、一息つこうよとか、深呼吸してみようということを言うわけですね。そのChatGPT-4を友達とする、4を相談先とする人は非常に多くて、5になった途端、4を返せという大合唱が起きたわけですね。
これくらい身近な相談先になっているAIを、例えば重層事業、包括的支援体制の事業が仲間にするのか、ライバルにしてしまうのか。今、まさにその岐路だというふうに思います。いずれにせよ、国と自治体の新しいコミュニケーション、先ほど申し上げたように、地域で起きているつなぎ、つながり、場をつくる機能。そこにAIの位置づけも図りながら、どういうふうに目標を共有しながら、プロセスを自在に多元的に展開していくか、そのためのコミュニケーションが必要だろうと思います。
すみません、超過してしまいましたが、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。宮本委員、途中御退席ということで、議題2の時間も併せてお使いになられたという理解でございますので、ありがとうございます。
○宮本委員 それでよろしいです。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、会場のほうに戻りまして、まずは、私の左手、池上課長側の皆様からお手をお挙げいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。石踊委員、鏑木委員でよろしいですか。
それでは、石踊委員からお願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。全国老施協の石踊でございます。
いろいろ資料を読ませていただいたり、御説明いただきまして、本当にありがとうございます。
地域共生社会の在り方検討会議中間まとめを読ませていただいて、それによりますと、包括的な支援体制の整備は、市町村や関係者から何をもって体制が整備できているのか判断が難しいとか、さらに制度のために何らかの取組が必要であると考えているが、具体的な検討を行っていないということも明らかになっているわけであります。そして、重層的支援体制整備事業を実施するに当たって、地域住民との対話を行い、様々な関係者と議論した上で実施することとなっておりますが、事業実施に向けた準備の検討会議を設置していない市町村が6割ある。また、計画を策定している市町村のうち、3割が事業評価見直しの事項を定めていない状況ということが明らかになっております。
これらのことを勘案しますと、事業の理念・目的や情報、財源に加えて、事業整備の指標を示すこと。また、都道府県の伴走的な支援というものも当然必要になってくるというふうに思います。つまり、市町村が包括的な支援体制の整備を進めるに当たっては、重層的支援体制整備事業が位置づけられておりますが、その趣旨を理解するとともに、整備を進めるに当たっては、住民視点の地域づくりの広がりが最も重要であるというふうに考えております。しかし、規模の小さい市町村では、地域づくりを担う人材、専門職の不足が深刻であります。また、どのように進めていくか、認識不足も課題となっていると思います。市町村をどのようにフォローアップしていくかが鍵であると考えております。
その上で、共生社会を構築していくためには、相談支援のみならず、それぞれの市町村が地域資源あるいは地域の課題を分析・整理して、実態に即した状況を共有し、地域の特性を生かした地域づくりを地域住民や関係者、我々社会福祉施設なども含むわけですけれども、と一緒に検討することが重要で、実効性の高い整備事業を推進することが必要というふうに考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 ありがとうございます。
私からは3点ございます。
まず、1点目に、既存制度アプローチというところで、中間とりまとめの中で困窮者制度を軸とすると御説明いただいたのですけれども、現行の困窮法の3条では、法の対象者を、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者としています。既存制度アプローチの軸として本制度が機能するためには、定義規定の見直しを期待します。併せて、相談を断らず受け止めるということを明確化していくに当たって、困窮者法という名称そのものの見直しも御検討いただきたいです。
2点目です。既存制度アプローチの観点から考えますと、現行の困窮者法は、一部を除き、原則として生活保護の受給をしていない人を対象としています。他方、重層は全ての人を対象としていることから、生活保護受給者も対象とした事業として実施されてきました。困窮制度を軸とした既存制度アプローチを推進するに当たって、生活保護を含めた参加支援、包括的支援という理念が後退しないように御配慮いただきたいです。
3点目です。事務局から、重層を実施していない市町村の体制強化の推進として、支援会議の活用を上げていただいておりまして、この点、賛成いたします。支援会議というのは、適切に運用すれば非常に有用な会議体ですが、その際には、支援する側にとってのメリットであるとか、事務を円滑化するために開催するというものではなく、あくまでも支援が必要な状態にある人に、よりよい支援を届けるためのものであるということに留意する必要があると考えます。町村部も支援会議を行えるようにするに当たっては、アプローチや支援手法を慎重に検討する場であるということを改めて周知していただきたいと思って発言いたしました。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、逆のサイドの皆様からお手をお挙げいただければと思います。鳥田委員、中村委員、堀田委員、山下委員、よろしいですね。
それでは、鳥田委員からお願いします。
○鳥田委員 ありがとうございます。
全国では、重層的支援体制整備事業を実施して包括的支援体制の整備を行っている自治体がかなり多くあると存じておりまして、東京でも30の自治体が今年からそういったことになっております。これらを活用する自治体が、今後も着実に包括的支援体制整備を進められるように、2点のちょっと踏み込んだお話しをさせていただきたいと思っております。
重層的支援体制整備事業について、資料の14ページ、評価は支援実績のみでなく、複数の要素を組み合わせて総合的に行うというふうになっておりますが、その際、自治体における包括的な相談支援や多機関協働、地域づくり、参加支援などを一体的に取り組もうとしていることが評価できるものであることが必要なのではないかなと思っております。また、個別支援や地域支援における伴走的な支援のアプローチのプロセスを評価できるものとなること。そして、個別課題と地域課題については、一体的もしくは循環的な支援の取組の実施が評価できるものであることなどが重要だと思っているので、そういったことをぜひ重視していただきたいと思います。
2点目ですけれども、生活困窮者自立支援制度等を中心とした包括支援整備ということが資料の13ページに書かれているのですが、その内容を明確にしていただきたいということなのです。先ほど鏑木先生のほうからも、利用者の経済的困窮というところに非常に法律で捉えられがちのため、地域づくりのアプローチや、その方法論というところがなかなかはっきりしていない状況にございます。重層事業で示されているような地域づくりのための機能とか、それをどのように生活困窮事業に位置づけようとしているかということを、今後の包括的支援体制整備を進めるに当たっての生活困窮者自立支援制度を使うのであれば、そういったところをぜひ明確にして進めていただきたいなと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、中村委員、お願いします。
○中村委員 失礼いたします。ありがとうございます。一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟の中村です。
地域共生社会のさらなる展開にかかり、国の考えの御質問と、ソーシャルワーク養成団体としての要望がございます。
まず、御質問ですけれども、社会福祉士養成課程は、令和元年度の大幅なカリキュラム改正において、地域共生社会の実現に資するソーシャルワーク人材の養成を理念に掲げた改正が行われました。指定科目に地域福祉と包括的支援体制を基幹科目として、高齢、児童、成年後見や権利擁護、社会保険制度を含む社会保障など、制度横断的なソーシャルワークを担う専門職養成へと刷新されました。そして、本年2月の国家試験から新カリキュラムによる試験が実施されております。
精神保健福祉士養成カリキュラムにおいても、地域福祉と包括的支援体制を共通科目に据え、社会福祉士と同様の趣旨で同時改正が行われました。しかしながら、厚生労働省が進めておられる地域共生社会施策においては、社会福祉士や精神保健福祉士という固有名称はほとんど登場せず、相談支援人材といった抽象的な表現にとどまっております。他方で、福祉系大学等の入学者は減少傾向にあります。本連盟の会員校からは、国家資格を取得しても政策で活用されないのではないかとの声も上がっております。
先ほどのカリキュラム改正に伴い、養成校は実習時間の増加など、教育的・財政的に大きな負担を担っております。にもかかわらず、政策上に固有名詞が示されないことは、学生の学習意欲や資格の社会的信用を損なうおそれがございます。現に、養成から撤退を余儀なくされる学校も出始めております。こうした状況下で、今後、さらにソーシャルワーク人材が必要とされるにもかかわらず、養成校の減少を招き、福祉人材の安定供給に支障が出ることを強く危惧しております。例えば、医療分野においては、訪問看護は看護師、地域保健は保健師と、国家資格が明確に制度に位置づけられております。それでは、なぜ社会福祉士や精神保健福祉士については、同様の明示がなされないのか、ぜひ御見解を伺いたく存じます。
続いて、要望ですけれども、今と重なりますが、ぜひ地域共生社会を担う中核人材として、社会福祉士を政策文書に明確に位置づけていただきたく思います。また、配置基準や評価指標に有資格を明記し、専門性を制度的に担保していただきたく存じます。また、研修においても、養成校と自治体が連携しやすくなるよう、教育の自主性を接続していただきたく思います。ぜひよろしくお願い申し上げます。失礼いたしました。
○菊池部会長 御質問でございます。本日の論点との直接の関連性がよく理解できない部分がございましたが、質問でございますので、事務局のほうからお願いいたします。
○南地域共生社会推進室長 事務局です。ありがとうございます。
地域共生社会の実現に向けて、専門職の皆様の御尽力も大変感謝申し上げます。また、そういった役割が必要だということも御指摘のとおりかと思います。ただ、地域共生社会という考え方自体が、全ての住民さんとか支援関係機関、支援者を含めて、皆さんでつくっていくという考え方ですし、また、支え手、受け手を超えていくという関係性を強調している観点があり、職種とか事業だけを何か特定しているわけではなく、幅広く様々な方に御協力いただいていく施策だと思っておりますので、引き続き、もちろん運用面、通知、ガイドライン等ございますので、そういった中で専門職との連携等も含めて、具体的に提示できればと思っております。
○菊池部会長 ということでございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
14ページの論点に関連して、2点申し上げたいと思います。
1つ目は、都道府県における包括的な支援体制の整備の推進ということで、支援の強化ということが書かれています。今、様々な事業に関して、基礎自治体の構成員、都道府県あるいは厚生局がさらにということが試みられていると思いますが、なかなかうまくいかないものも多いなというふうに思っていますので、都道府県による管内の市町村への伴走支援ということも、それはそれで1つありだと思います。
これは、例えば13ページの市町村における支援体制整備を進めるに当たって、実施すべき施策の明確化とか、22ページのほかの関連分野との連携・協働といったことの在り方を考える上でも、並行して基礎自治体同士が、同じような人口規模とか特性を持っているところが、様々試みながら学び合うといったようなこと、それに伴走するといったような、都道府県を超えた枠組みということも併せて検討していく必要があるのではないかなと思います。
それから、もう一つ、14ページの2つ目ですけれども、重層的支援体制整備事業の質の向上のところです。宮本先生も出されていた、事業評価のプロセスは大事だけれども、難しくなっていくという学説もあるということを書いてくださっていましたが、この質の向上ということにつなげることができるような、質を高めるための振り返りという観点での評価の在り方は、ぜひ考えていく必要があるのではないかと思います。初回でも、たしか関連することを申し上げたような気もしますけれども、その際には、この包括的な支援体制整備を考えますと、相談者あるいは住民、個人にとっての変化、それから地域コミュニティにとっての変化、その循環が見えるようにするということ。
それから、課題解決の以前、それよりも手前のところで、個人の内面の変化とか関係性の変化。従来の事業評価の中ではほぼ取り入れられていなかったところだと思いますが、そういったところをどのように評価するかというところが、財政支援の在り方みたいなところにも関連すると思いますので、その視点は重要ではないか。
最後は、先ほどAIの活用ということが出てまいりました。実際、今、AIの活用というところ、相談支援、こども・子育てだったり、様々なところで私も御一緒しているところがありますが、現場でのAIの活用ということと併せて、振り返り、そしてナレッジを蓄積していくという観点でも、その実施のため簡易な評価を行う。それから、知見を蓄積していくという観点でのAIの活用についても検討していく余地が大きいのではないかなと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会の山下です。
意見について、文書で提出しておりますので、御覧いただければと思います。
まず、包括的な支援体制の関係、13ページになります。支援体制の整備の推進については、実施していない市町村への支援の拡大という方向性は出ております。その中で支援会議というものについてですけれども、包括的支援の要だと思っております。なおかつ、多機関連携ということが非常に大事だと思っております。そういう中で、地域間格差を是正していけるような様々な支援を行いながら、実効性を担保していく必要があるのではないかと思っております。人的な支援においては、社会福祉士等の専門職の配置が、いろいろな判断とか意思決定支援とか関係調整の上で大切だというふうに考えております。
生活保護受給者に関しては、いろいろな機関等の有機的な連携を一層推進することが大事だと思っております。
それから、2番目になりますけれども、こども期から成人期への切り替わりの時期の支援ですけれども、ここは切れ目のない継続的な支援が必要だと思っております。こども・家庭領域から生活困窮自立相談支援機関での情報共有とか引継ぎをしっかりとしていきながら、切れ目のない継続的な支援が大事だと思っております。そして、18歳以降も見据えた対応ということが大事だと思っております。地域の中のいろいろな制度を使いながら、どう支えていくかという視点が必要だと思いますし、様々な地域の機関との連携をしていく中で、先ほど申し上げたように、18歳以降も見据えた形での支援が必要だと考えております。
次のページに行きます。過疎地域の17ページのところでありますけれども、地域資源の開発・マッチングや社会参加支援、学習支援といった機能を持ったコーディネート機能が大変大事だと思っておりますし、これまでの困ってからの支援ということではなくて、より早い段階での予防的な関わりといったことも福祉分野の中で行っていかなければいけないのではないかと思っております。
次の課題ですけれども、意思決定支援のところ、22ページになります。意思決定支援は非常に大切です。意思決定支援については、配慮の必要性にとどまらずに、社会福祉法にて義務という形で明確に規定する必要があると思っております。
最後になります。地域共生社会の理念のところですけれども、福祉分野以外の連携・協働というのが非常に大事ですし、社会福祉士はネットワーキング機能を持っております。調査研究事業でまとめた中で、次のページを御覧ください。社会福祉士の活動領域、社会福祉士に特化した形で俯瞰した形で描いておりますけれども、例えば右にありますように農福連携、左にありますように司法関係、下にありますように居住関係、児童・家庭関係、様々な分野で社会福祉士が地域の中で活動しております。名称は様々でありますけれども、こういった社会福祉士の活用を地域の中であらゆる分野で考えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインの皆様から、及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
私のほうからは、2点意見を申し上げます。
まず最初ですが、12ページにあります包括的な支援体制整備に向けた対応というところの現状・課題の○のところに、今後の状況によって担い手不足が深刻化し、地域における支え合い機能の脆弱化が見込まれるが、自治体では地域住民との連携・協働に課題を感じているとございます。介護保険部会でも発言した内容とかぶるのですが、ボランティア主体の地域住民による支援の枠組みは貴重であると考えております。メンバーの高齢化や認知症状の進行等で、取組の継続が危うくなっているといったケースもあると聞いております。そのため、貴重な取組を継続させる重要性を踏まえれば、こういった取組を支える一定の専門性を備えた人材の登用が欠かせません。今後の体制の在り方を整理する際には、この点に十分に御配慮いただく必要があると考えます。
そして、もう一点です。全般の話になりますが、介護にまつわる悩みや相談事を抱えている地域住民は少なくございません。地域共生社会のさらなる展開を図るには、様々な側面から介護福祉士の専門性は欠かせず、地域に存在する潜在的な介護福祉士等を有効に活用していく視点も重要であると考えています。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、高橋(淳)参考人、お願いいたします。
○高橋(淳)参考人 ありがとうございます。全国知事会 山本知事代理の群馬県庁の高橋です。よろしくお願いします。
私からは、資料17ページの過疎地域における包括的な支援体制のための新たな仕組みについて御要望申し上げます。このページにあります機能集約アプローチでございますけれども、過疎地域において、マンパワー不足のために包括的支援体制の構築が難しかった自治体にとっては非常に有効な解決策で、社会資源の効率化を図る有効な手法だと考えています。
その一方で、特に地域づくりにおいては、コーディネーター役の資質に大きく左右される部分があると感じます。分野横断とか属性を問わない知識、相談、援助に関する高度なスキルが求められますので、属人性の高い仕組みになってしまうという懸念もあろうかと思います。また、こうした人材を確保できる自治体は非常に限られておりますので、人材育成の重要性というのが必然的に浮かび上がってくるかと思います。このため、人材育成の部分については、ぜひ全国レベルでの人材育成のプログラムの構築を要望したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
包括的な支援体制整備に向けた対応について、重層的支援体制整備事業以外の方法で支援体制を整備しようとしている自治体に、どのような理由で重層的支援体制整備事業を活用されていないのか。自治体の置かれている状況も含め、掘り下げることで、包括的な支援体制整備に関する具体的な検討を実施していない自治体に対し、重層的支援体制整備事業を活用した場合と、活用しなくても支援体制の整備を進めている例が示され、体制整備に向けて動き出しやすくなる必要があると考えております。また、重層的支援体制整備事業を実施していない自治体への支援とともに、実施自治体についても、支援する側がどのように困っているのか、調査分析し、支援する側への支援を実施する必要があると考えます。
こども・若者支援について、学校や福祉、就労などにつながっていない若者にアプローチするには、かなりの労力がかかると考えます。アウトリーチや信頼関係を築くまでのコミュニケーションなどを考えると、十分な人材を確保する必要があり、そのための財政支援も必要であると考えます。
過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組みについて、人口減少地域においては人材確保が難しくなることから、配置基準を柔軟化することは一定、理解いたします。しかし、それによって人口減少地域において支援している方に負担がかかることがないよう注意が必要であると考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
地域共生社会の実現、包括的な支援体制整備に向けた対応においては、連携・協働の強化は欠かすことができない視点であると考えます。特に、地域住民同士が支え合う地域づくりの視点は、ライフスタイルや価値観の多様化を前提とした現代社会においては、理念や概念として共通認識を高めていくという、ここが住民一人一人が主体となって連携・協働を進める上で不可欠であると思っています。こうした理念や概念を通じた共通認識という視点からしますと、福祉教育の推進というものが一層重要となると考えますし、また、現状でも福祉教育は多くの地域福祉計画等に位置づけられておりますので、教育の場等が実践の主体となって、また包括的な支援体制における重要な連携・協働機関のパートナーであるということも改めて認識しているところです。
また、地域における多様な福祉教育や活動を実行していくために、今までの議論にもありましたけれども、推進役となるキーパーソンの存在というのは不可欠で、近年ではここに社会福祉法人が公益的な取組として、地域貢献活動を展開しているという点についても着目するという意義があると思っています。
社会福祉法人は、事業所が従来担っている制度サービスを超えて地域で活躍する事例が増えていますが、社会福祉法人のこういった公益的な取組を実施していくためには、先ほどの石踊委員等々の人材育成に関する意見と重なりますけれども、こうした活動をさらに広く実効性のあるものとして、福祉専門職者が住民主体の地域づくりというものはどのように行うのか。そして、どのように関わるのか。その専門的知識や技術を体系的に獲得できる仕組みというものが、今後の体制整備の一つとして人材育成とセットで考えていくということも重要であると考えています。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、杉浦参考人、お願いします。
○杉浦参考人 よろしくお願いします。
全国市長会から1つ要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。重層的支援体制整備事業に係る国の財政支援についてでございます。重層的支援体制整備事業につきましては、国は今年度、多機関協働事業等における交付基準額の減額を行うなど、補助に関して見直しが行われております。令和8年度の概算要求資料におきましても、令和8年度以降、事業開始から5年が経過した市町村に対する補助率を引き下げることや、同年度以降に事業を開始する市町村に対する交付基準額の見直しを行うなどといった内容が示されております。こうした補助の減少によりまして、既に事業を開始している市町村におきまして、持続的な事業運営に影響が生じることが懸念されております。
また、新しく事業を開始する市町村としては、交付基準額が減額の方向で見直された場合、十分な財政的裏づけが得られず、事業開始に影響が生じることを懸念しております。また、当事業を行う自治体数が年々増加しているところでございますが、仮に事業を実施する自治体数に対して国の予算額が十分でない場合、市町村に十分な補助が行き渡らず、事業運営に支障が生じる可能性もございます。こうした点を踏まえまして、既に事業を開始している自治体が事業を持続的に実施できるよう、また、これから事業を開始する自治体に対しましても十分な支援が行われるよう、財政支援の充実と強化を図っていただきたいと思います。
さらに、交付基準額の見直しなど、制度の変更が生じる場合には、その詳細につきまして、できるだけ早期に自治体へ的確な情報提供を行っていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お手をお挙げいただいた皆様には御発言いただいたところでございますが、追加で御意見あるいは新たに御意見おありの方がいらしたら、お示しいただきたいと思いますが、会場からは小笠原委員、谷村委員、沼尾委員、松原委員、井口委員ですね。進行上、できれば最初にお手をお挙げいただけると大変ありがたいということで、御協力お願いします。あとは、会場のほうはいかがですか。いらしたら挙手をお願いできればと思います。
それでは、井口委員からお願いします。
○井口委員 資料の27にもあるのですけれども、これから558の市町村は人口が半分になってくる。そういった中で、資料の14にもありますように、都道府県の支援というのはとても重要であるかなと思っております。今、私自身も事業者としての立場で関わっているところではあるのですけれども、自分たちがやっている小田原の隣の市町村とか、様々なところで社会資源が少なくなってきている。隣の市ではどういう活動をしているのか、市民レベルでなかなか分からないというところもあるので、こういったところで、先ほど基礎自治体同士で連携しながら研究していくなど、様々なセーフティネットを張っていくことが必要ではないかなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会の小笠原でございます。
13ページに地域住民等の支え合いというのがございますが、もちろんこちらで例が示されてあるとおり、居場所として、また交流の場をつくるということが重要になってまいりますが、実際、細いながらもつながりがある方々はそういう場に参加されるのですが、もともと孤立している方々がその場に参加するというのは、つながりがないので非常に難しいというふうに感じるところがございます。
そういう方々に対してアウトリーチする機能として、地域活動コーディネーターの機能というのがあるかと思いますが、そこに入り込むのが難しい中で、介護福祉士や訪問介護の事業というのは、介護ということをハブにして、その家庭の中に入り、つながりを持つという機能がございますので、相談機能というと、どうしてもソーシャルワーカー、社会福祉士というところがメインになってまいると思いますが、そういう孤立した方々の中に入っていく介護福祉士との相談や連携機能の強化・活用というところをぜひお考えいただきたいと思います。
もう一点、実際、孤立してしまうと、関わり、地域に出ていただくということが非常に難しくなってまいりますので、孤立する前の孤立予備軍と言っていいか分かりません。そういう生き方も1つの生き方で強制はできませんが、そういう方々が予備軍にいらっしゃるときに地域とどうつながりを持っていくかという予防機能も考える必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
谷村委員、お願いします。
○谷村委員 ありがとうございます。
今の小笠原委員のお話に続いてということになろうかと思いますが、先ほど鈴木委員が御指摘のとおり、社会福祉協議会、17ページに書かれる支援について、今、それぞれの場づくりということで実践しているところであります。私どもも重層的支援体制整備事業を受けているところでありますが、先ほど中村委員もお話がありましたが、社会福祉士そのものの役割の位置づけの整理ができていないのではないかというところと、先ほど小笠原委員がおっしゃっていた、介護福祉士も十分やれるので、その辺の役割の位置づけみたいなことを整理していただければ、我々がやっていること、自身の価値を感じながら推進できるのではないかと思っています。
それから、これは中村委員にもですが、社会福祉士の方は新卒で資格を取得してすぐに現場に出ても、実務面で十分に力を発揮するのは難しいというのが現状です。ですので、社会福祉施設で10年程度の実務経験を積んだうえで、いま一度、資格の取得に臨めるような仕組みが、より効率的かつ有効ではないかと感じております。
それと、論点から少し外れてしまうのですが、ちょっと御検討いただきたいのが、いわゆる財政支援の部分で、先ほど宮本先生がおっしゃった包括的な支援体制をどうつくるかという視点から考えて、結果的につながる、つなぐ場づくりをやっているというような状況であるわけですが、その「場」の話なのです。社会福祉施設の空きスペースを使ったり、そういう有効活用をしておりますけれども、「場」が必要な場合があるのです。その場合、公共の施設で古くなった、使わなくなったところ、よくある話ですけれども、例えば廃校になった小学校などの改修や施設整備等、そのようなものが支援いただけるような仕組みがあれば非常にありがたいと思っています。そういったところで今後御検討いただければありがたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。谷村委員の発言は、この枠組みから外れていると全然思いませんので、ありがとうございます。
それでは、沼尾委員、お願いいたします。
○沼尾委員 地域づくりと福祉という観点から2つ申し上げたいと思うのですけれども、福祉の制度で実際に課題があるからということで、制度上の相談窓口に乗れる人はいると思うのですけれども、その制度に乗る手前のところで課題があって、それをどういうふうに制度上の相談に乗せるかというところが、実はとても重要ではないかと思っています。
その仕組みを恐らくまちづくりのようなところで、民生委員さんが関わるとか、地域でこれはちょっと相談したほうがいいのではないかというところで、背中を押す機能のようなものをどういうふうにサポートするかというところが大事で、それは恐らく相談しやすい体制をつくるという福祉の側からの機能と、まちづくりの側から声をかけていくというところの組合せだと思うのですけれども、それをどういうふうにつくっていくのかというのは、包括的な支援ということを考える上でとても重要かなと思っています。
それから、もう一つは、そのときに出てくるそれぞれの世帯とか個人の情報の取扱いをどうするかという問題があって、コミュニティレベルでみんなが暗黙に知っているのだけれども、それがなかなか文字になっていないというところと、行政とか福祉のそれぞれの分野で持っている情報がばらばらだというところで、それをどういうふうに一元的に管理できるのか、あるいはその情報を共有できる仕組みをつくるのかというところが、行政でも現場でも非常に課題かと思いますので、その辺りの工夫について情報共有していくとか、どういう対応ができるのかを考えていくというところがとても大切ではないかと思いました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 包括的な支援体制をつくるというときに、1人の人が様々な多様な福祉資格を持ちやすくするということが、これから人口が減っていく中で大変重要な点になってくると思います。これについては、大変時間がかかることなので、2040年に向けてというよりは、すぐにでも着手していかないと、実際に今、人口減少が進んでいる地域は大変困っておりますので、こうした取組は早急に必要ではないかと考えております。
あと、成年後見の件なのですけれども、例えば社会福祉法人というのは、非営利性も公益性も徹底している法人となっておりますので、こういうところが自分の利用者さんの後見人もなるというのは、今は利益相反になってなかなか難しいところがあるのですが、そこに第三者の目を入れることで、そうしたことも円滑にできるような体制づくり、応援・支援づくりというのも重要だと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。今、松原委員がおっしゃられた資格の共通化みたいな話は、全世代型社会保障構築会議の報告書の中に入っていたような気がするのですが、今、全社会議の動き自体が、政府のほうもいろいろございますので見えませんが、その点が入っていたなというのを今、松原委員のお話を伺いながら思い出した次第でございます。そういう大きな青写真の中に入っているということで進めていただければいいなと私も思いました。ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 失礼しました。日本知的障害者福祉協会の樋口です。
改めてですけれども、福祉サービスは出生前から児童期、青年・壮年期、そして老年期、みとりまで、人の生涯において、誰もがどこかで自分事になる身近なことが最大の特徴だと言えます。求められる地域における包括的支援体制を構築していく上では、まず、それぞれの分野の事業がその本来業務に多大な負担が生じない範囲で、柔軟に活用するということを考えていかないと、一気に新たな仕組みができるわけではありませんので、既存の施設・事業所の建物環境とか人材の活用という仕組みを考えることが、非常に現実的な方策になるのではないかと思っています。
特に、障害分野は、児童期から、先ほど言ったみとりの年代まで、居住支援や様々な就労系の事業所もあるわけですけれども、そうしたところも、高齢・福祉にも関わることですけれども、年代に関わりなく活用する方法は幾らでもあると思っております。今、始められることから始めるということでは、ぜひそういう柔軟な運用ができるような仕組みを早くつくっていかなければならないのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに追加で、あるいは2回目でも結構ですが、御発言いただける方がいらしたら合図をいただければと思いますが、会場の方あるいはオンラインの方、いかがですか。
それでは、山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会 山下です。
先ほど報告させていただいた資料の3枚目に、再度、これは強くお話ししたいなと思っているのですけれども、社会福祉士の登録者は今、30万を超えているのです。それで、活動領域も俯瞰したところ、今までの高齢や障害や、そういった伝統的な権利擁護の領域以外にも、先ほどお話ししたような新たな分野で社会福祉士の採用というか、登録というか、仕事が始まっています。多文化共生、外国人支援とか司法分野、居住支援の連携、こどもの分野、様々な分野に広がってきています。
先ほどお話があったように、質の問題が確かにございます。それは社会福祉士会の中で、全国的にも研修制度をしっかりと充実させて、社会福祉士の質を上げていくことが大きな課題とは思っていますけれども、全国で30万人登録で活動しているということを、私たちは地域共生社会の在り方の中で位置づけを再度考えていきたいと思っておりますし、ぜひそういうことを考えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。様々な御意見、頂戴いたしまして、ありがとうございました。本日御議論いただいた中身につきましては、生活困窮のほか、高齢、障害、こどもといった各制度が連携し、地域全体であらゆる課題を抱えておられる住民の皆さんを支えるための体制整備を目指すものでございます。実は、午前中、介護保険部会がございまして、そちらでも2040検討会報告書をベースに質疑を開始したところでございます。障害、こどもといった各分野に関わる審議会でも議論が行われるものと思います。
もちろん、我々としては、この福祉部会でしっかり議論してまいるところでございますが、とりわけ事務局におかれましては、地域共生社会の実現に向けて各分野が連携して、縦割りではなく、関わっていくということでございますので、今後の議論に向けて、それぞれの連携といいますか、場合によっては情報共有等を含めて御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、「身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について」を議題といたします。こちらの議題については、前回ヒアリング内容やヒアリングに関する皆様の御意見につきましても、事務局において資料としてまとめていただいています。そこで、まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
○占部成年後見制度利用促進室長 事務局でございます。成年後見制度利用促進室長でございます。資料2に沿って順次御説明させていただきます。
まず、これまでの経緯とか背景につきまして、3ページで第二期成年後見制度利用促進基本計画における権利擁護支援に関する記述とか、4ページですけれども、単身高齢世帯の増加がこれから見込まれるということ。それから、5ページ及び6ページにおきまして、政府文書の記載についてお示ししております。
7ページは、前回御報告した地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめですけれども、身寄りのない高齢者等への対応につきまして、相談支援機能を強化するということですとか、日常生活支援、入院入所手続支援、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業を新設するということ。それから、成年後見制度の見直しへの対応として、いわゆる中核機関の名称も含めた法定化という方向性を示してございます。
8ページと9ページにつきましては、前回の本部会におけるヒアリングの概要をまとめてございます。モデル事業の実施に当たっての課題ですとか、現在の日自事業における課題、あるいは新たな事業をどういう位置づけのものとして考えるのか等々、御意見をいただいたところでございます。
こういった御意見も踏まえまして、身寄りのない高齢者等への支援とか、権利擁護支援についての地域の支援体制の全体像について整理したものが10ページのイメージ図でございます。
右側が判断能力の不十分な方の権利擁護ということで、従来から成年後見制度利用促進基本計画などでお示ししておりますとおり、市町村が設置する中核機関を中心とした地域連携ネットワークを構築いたしまして、チーム支援の形成を図ってきたところでございます。
これに加え、身寄りのない高齢者等への支援につきまして、地域における支援体制を考えるに当たっては、市町村が運営する既存の相談支援体制の中で、身寄りのない方の相談を受け止めつつ、必要な支援へのつなぎを行うとともに、関係者の参画の下で必要な地域資源の開発を行っていく。その際に、身寄りのない方の支援につきまして、現在でも地域における互助的な支援とか、あるいは民間サービスとしての高齢者等終身サポート事業などが存在するわけですけれども、こうした民間サービスの利用が難しい方も含めまして、地域における支援ニーズに対応する資源を充実させるという観点から、今般、いわゆる新たな第二種事業について検討したいということでございます。
続いて、12ページ以降がいわゆる新たな事業についてでございます。
12ページの現状・課題のところでございますけれども、現在、社会福祉協議会で実施している日常生活自立支援事業の利用者数とか体制の現状について記載してございます。新たな第二種事業の検討に当たりましては、現行の日自事業の実施体制等についても勘案する必要があると記載してございます。
14ページから論点でございます。新たな事業について、まず、事業の趣旨ですが、現行の日自事業が対象としている判断能力が不十分な方に加えまして、頼れる身寄りがいない高齢者等を対象としつつ、資力が十分でない方が利用できるよう、いわゆる無低事業としてはどうかということでございます。
また、対象者として、特に身寄りがいないということに関しましては、家族・親族関係が多様であるということを踏まえれば、一律に身寄りがある方を対象外とすることはできないのではないかということについてお示ししております。
また、無低事業の要件といたしまして、3番でございますけれども、一定割合以上、無料または低額で利用できるようにすることとしてはどうか。また、無料または低額で利用できる要件につきましては、所得に加えて資産も含めて設定することが考えられないかということを記載してございます。
続いて、15ページが事業の内容でございます。現在の日自事業で実施している日常生活支援に加えまして、先ほどから出ております入院・入所等の手続支援と死後事務支援の少なくとも一方を実施することとしてはどうかとしてございます。
続いて、16ページでございますけれども、現在の日自事業と同様に、契約に基づく事業であるということと、それから、利用料につきましては、原則として利用者の方に御負担いただき、要件を満たす方につきましては減免するということ。ただし、葬儀・納骨・家財処分等の実費相当につきましては、利用者負担とするということについて記載してございます。
また、第二種社会福祉事業でございますので、実施主体に制限を設けないということと、都道府県知事への届出制であること等について記載してございます。
最後に、現在の日自事業と同様に、社会福祉協議会においてあまねく事業を実施するという場合につきましては、都道府県社協・指定都市社協において事業の実施を行うことが想定されるといったことについて記載してございます。
以上が新たな事業についてでございます。
続きまして、22ページをお願いいたします。身寄りのない高齢者等の支援策といたしまして、これまでの第二種社会福祉事業に加えまして、相談窓口の在り方につきまして、既存の支援体制の枠組みの中で受け止めるという旨を中間とりまとめの中で整理しているところでございます。
これを踏まえまして、生活困窮者自立支援制度の中での対応につきまして、論点として自立相談支援機関において相談を受け止め、体制の確保に必要な措置を講じること。また、身寄りのない生活困窮者につきまして、地域居住支援事業の対象者として法律上位置づけること等について記載してございます。
最後に、いわゆる中核機関の位置づけについてでございます。24ページをお開きいただければと思います。第二期成年後見制度利用促進基本計画におきまして、成年後見制度の見直しに対応して中核機関の位置づけ等についても検討を行い、所要の措置を講じるということを記載されておるところでございます。
このため、現状では法的根拠がない中核機関の位置づけ等に係る対応について、26ページ以降で論点としてお示ししてございます。
1点目として、今後、家庭裁判所から後見人等の選任・交代・終了の判断に当たっての意見が求められた場合の対応について記載してございます。
それから、2点目として、現在の権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能等につきまして、市町村業務として制度上位置づけることについて記載してございます。
続いて、27ページですけれども、いわゆる中核機関につきまして、権利擁護支援推進センターという名称として市町村が設置することができるものとするとともに、職員の守秘義務を明確にすること。
それから、個別事案に係る会議体の設置についても、制度上位置づけること等について記載させていただいてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問などお願いいたします。先ほどの議題と同様で、大変恐縮でございますが、御意見、御質問につきましては、2分半を経過した時点でベルを鳴らさせていただきますので、3分以内でおまとめいただけますとありがたく存じます。
それでは、会場から、先ほどと逆の順番で、谷村委員から吉田委員までの皆様から、ちょっとお手をお挙げいただけますと幸いです。谷村委員、鳥田委員、堀田委員、山下委員、吉田委員ですね。ありがとうございます。
谷村委員からお願いいたします。
○谷村委員 全国社会福祉法人経営者協議会としても、この事業に対しては前向きにやっていこうと思います。ただ、利益相反みたいなことを後で指摘されるようなことのないように、若干の課題も整理させていただいているので、改めてまた事務局とも細かい議論をさせていただいて、ここで発言させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
無低ということであれば、さらに第二種社会福祉事業であったとしても、社会福祉法24条2項の「地域における公益的な取組」だと思っていますので、その位置づけで我々、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。社協とともに連携しながら進めていく事業ではないかと位置づけています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鳥田委員、お願いします。
○鳥田委員 ありがとうございます。
私のほうからは、1枚物で意見を出させていただいているので、それを御覧いただきながら説明させていただきたいと思います。
地域共生社会の在り方検討会議の中間まとめにおいて、日常生活自立支援事業の拡充ということで、この身寄りのない高齢者等への対応ということが出されておりました。これに関しまして、関東ブロックの社会福祉協議会で議論したのですけれども、19の都道府県・政令市社協から様々な不安などの声が出てきまして、それに基づいた御説明でございます。社協としましても、身寄りのない高齢者の対応はとても大切な事業だと思っておりますし、社会的な非常に大きな課題であるという認識とともに、また利用者の方が利益になるように、この制度をつくっていかなければいけないということも考えまして、1から5までの5つの点を申し上げたいと思います。
まず、1番でございまして、身寄りのない高齢者等への対応は、福祉の領域を超えた多様な主体によって取り組むべき課題であることを前提に検討する必要があるということでございまして、この対応なのですけれども、皆さん、御案内のように、医療とか住まいとか民事法に係る領域とか消費者保護に係る領域など、様々なものがあるというふうに認識してございますので、そういった主体が一緒になって支援することが大切なのではないかということでございます。
2番目でございますが、福祉における身寄りのない高齢者等への対応は、権利擁護支援体制の一環として取り組むべき課題であることから、市町村を主体としながら、都道府県及び市区町村の実情に応じた支援体制を構築するよう検討する必要があるということでございますが、1のこととつながるのですけれども、この支援は地域住民の基本的権利を守るという性格が強うございます。かつ、医療や住まい、戸籍など、幅広いチームも関わっていることでございまして、そういったところに責任を大きく持つ市区町村が実施主体となり、責任を明確して都道府県も加わる仕組みがいいのではないかと思っております。
3番目でございます。身寄りのない高齢者等への対応は、現行の日自事業の支援の対象や支援内容が異なり、また事業実施に民事法等、高度な知識や専門性が求められることから、日自事業とは別な新たな枠組みの実施も含めて検討する必要があるということでございます。また、この説明ですが、入院・入所の手続とか死後事務の手続は、サービスを大幅に拡大してございます。また、対象の方も判断能力不十分な方とか身寄りのない高齢者というのは、対象も大幅に増えているという認識でございます。求められる専門性も非常に高くなることから、一時利用ということも含めて結構なのですが、新たな枠組みもひとつ御検討いただけたらなと思います。
あと、身寄りのない高齢者等が適切に支援を受けることができるように、高齢者等の終身サポート事業を実施する民間業者に対する、都道府県や市町村におけるチェック体制の構築で、これは事業実施と違ってチェックするほうでございますが、社協では運適という事業をやっておりまして、そうした視点からのお話でございます。今後、多くの民間事業者の参入が見込まれまして、報道でもこういったことが多くの課題だというふうに言われております。チェック対象の構築や苦情体制の事業スキームも必要不可欠でございます。できるだけ事業者に近い市区町村あるいは自治体がチェックする体制が必要であると思っておりまして、事業団体の自主的な規制と併せて、そういったことを考えていただきたいなと思います。
なお、第二種社会福祉事業の位置づけは、都道府県の運営適正化委員会を、先ほど申し上げましたように社協として実施してございまして、適正化に関しては社協以外の民間事業者を含めた苦情を受け付けることになるのですけれども、高度な専門性を有することから相当なボリュームが予想されるというに考えておりまして、都道府県社協の運営適正化委員会では限界があるのではないかと思われます。
最後でございます。今後の検討に当たっては、都道府県や市区町村の関わりも含めて、社会福祉協議会へのヒアリング等によって、実態把握や意見聴取を引き続き丁寧に行う必要があるということでございまして、この制度構築に当たりまして、引き続き、特に市区町村、加えまして都道府県などの行政もちゃんとこの議論に入れて制度を構築していただけたらと思います。
すみません、長くなりましたが、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
新たな事業について、14ページから16ページにかけての中核機関について申し上げたいと思います。
まず、14ページの対象者のところですけれども、※印にもありますが、実質的な支援の可否というものを判断する柔軟性が、身寄りがいないということを考えるときに欠かせないのではないかなと思います。これが1点目です。
それから、次の15から16ページにかけてですけれども、まず、この事業内容のところで一体として支援する意義というのは極めて大きいと思いますが、今、鳥田委員からもお話がありましたけれども、これを一体的にやっていくということになりますと、信頼関係をチームとして構築して情報や知見を共有しながら進めていくこと。それから、死後事務のことまで含めますと、継続的な伴走支援が求められるということを前提とした事業費あるいは仕組みということが重要になってくるのではないかと思います。
そして、それに関連して、16ページ、実施主体のところですけれども、これはもともと10ページの資料を拝見してもそういう想定かと思いますが、新たな事業の実施主体については、社協さんはもちろんのことですが、居住支援法人とか地域包括支援センター、そして特に地域密着型の介護保険のサービス事業所、介護事業所連絡会といったところがネットワーク型で実施するといった形をきちんと明確に示していくということが、モデルとしても重要になってくるのではないかなと思います。
そして、中核機関についてですけれども、26ページ以降のところですが、これが法的な根拠をきちんとということは大変重要ではないかと思っています。一方で、少し気になりますのは、コーディネートが前面に打ち出されているということになっていますけれども、実際には結構緊急性を要するようなこともあったりすると思います。そういったときに、コーディネートの機能だけでいいのか、屋根があって、寝るところがあって、食があって、お風呂があってという具体的な支援みたいなものは、ここには必要ないのかというような観点から、この有すべき機能というものについては、もう少し議論する余地もあるのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会 山下です。
身寄りのない高齢者の関係ですけれども、本日の資料でも10ページのイメージ図とか、かなり具体的な話になってきておりますけれども、とにかく第二種社会福祉事業として法に位置づけて、多様な自治体が参加できるというような方向性については支持しております。ただし、日本社会福祉士会としてこだわっているのが、この「身寄りのない高齢者」という表現なのです。どうもここが気になっていてしようがないのです。身寄りがあるないということではなくて、身寄りがないということが問題になる社会構造上の問題でありますし、身寄りがないというよりも、社会的に孤立している高齢者への支援ではないかと思っています。
最近の新聞・マスコミ報道の中でも孤独死の数が出ておりましたけれども、孤立しているというところで亡くなっている。死後1週間で発見ということがありますし、そういうように名称が全体を表す言葉なので非常に気になっているので、そこについて御検討いただければと思います。
中核機関の位置づけについてですけれども、2つ目の○にありますように、市町村の業務と関係機関のコーディネートを行うという中核機関に、法制上明確な位置づけを与えるということが欠かせないものと考えています。
それから、私どもの調査研究事業の中でも、中核機関の役割を果たすためには、ソーシャルワーク機能の発揮が必要だということが明確になっております。
次のページになりますけれども、これももう一つ、私どもが非常にこだわっている点として、中核機関の法律上の名称なのですけれども、権利擁護支援推進センターという形で提案されておりますけれども、中核機関ということで、この間進められてきましたので、私どもとしてはこの中核機関という言葉を含めた名称をぜひ検討していただきたいと思っております。非常に長くなることも含めてですけれども、中核機関という言葉は非常になじみがありますし、ここで表していることもありますので、そこは検討をお願いしたいと思っています。
それから、成年後見の関係で最後に1点だけ申し上げますけれども、私たちは、この前、パブコメでも出しましたけれども、成年後見制度の利用の終了を見据えた関わりが必要だというふうに考えております。例えば、最後のところにありますけれども、虐待対応で法定後見が始まったということであったとしても、その虐待対応が解決した場合も、そのまま非常に強い介入が継続するという今の制度になっています。そうではなくて、虐待といったものが改善された後、本人の同意と必要性の判断に基づいて法定後見制度の利用を考えるべきではないかと思っておりますし、そういう意見を出しております。
それから、今回の成年後見制度の見直しは、高齢者虐待防止法とか障害者虐待防止法とか、様々な法律に影響してくると思いますので、ぜひ福祉部会の中でも検討していただければと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。成年後見制度そのものは、民法改正について、法制審のほうで議論いただいているところでございますが、必要に応じて、こちらでも議論をお伝えいただければと思います。
では、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 吉田です。
今回の2040年に向けて社会的な課題の見通しを見ますと、この対象者が拡大されていく、緩和されていくということは、大変歓迎されるべきことの認識を改めてお示ししたいと思います。2点意見をさせていただきまして、1点質問させてください。
まず、意見ですけれども、今回の対象になっている事業の内容、例えば入院・入所等の手続の支援、あるいは死後事務の支援、それに、もともとの日常生活支援というのがあると思うのですけれども、地域福祉の推進をやっていくという大前提がある中で、どうしても行政ベースで、あるいは社会福祉法人法の中で推進していくと、あたかも公共サービス化していくというような懸念も少し考えられます。これから2040年に向けて、当然こういった事例を抱える高齢者等が増えていくわけです。その中で、住民の中で、こういうのは行政がやる仕事なのだというような誤解を生むようであれば、かえって地域福祉の推進というところに対しては、少し阻害的になるのではないかなというような気がいたします。
法令上で、ここに書いてある要件というものが、住民ができない、それをやってしまうと法令に触れるのだということであれば、きちんと公と民で分けてやるべきですけれども、そうでないような内容も結構入っているわけですから、これは自治体がやるのだ、あるいは社会福祉法人がやるべきものなのだというような誤解を生まないような進め方というのは、極めて重要なのだろうと思っております。
もう一つ、次は運用面でございます。運用の話になりますので、先の話だと思いますが、当然、入院・入所等の手続とか死後のということになると、いつ起こるか分からない。では、それを実際に運用する立場の事業者側からすると、それを24時間構えておくのだろうかということは、心理的にも大変ストレスでありましょうし、人員体制を強化していくといことでも、人が減っていきますから限界がある。果たして、この辺りをどうやってクリアしていくのかというところは、論点としてお持ちになっていただければと思っております。
最後、質問でございます。16ページの8ポツのチェック体制であります。罰則の適用もあるということになってまいります。ここがどこまで罰則という範囲を考えておられるのかという、現状のところでちょっと御見解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問につきまして、事務局からお願いします。
○占部成年後見制度利用促進室長 御指摘の点ですけれども、新たな事業については、第二種社会福祉事業として位置づけることを想定しているわけですが、事業の監視体制としては、通常の二種事業に対する場合と同様で、都道府県知事が必要と認める事項を報告させ、あるいは帳簿・書類等を検査するような調査を行うことができますし、事業に関して、不当に営利を図るといった場合については、都道府県知事が事業の制限、もしくは停止を命じるということになります。
基本的には、こういう規制の中で見ていくということですけれども、この新たな事業については、実施主体ごとに事業運営に関して適正な運営の確保をしっかり図っていくという必要があると思いますので、こういった実施主体ごとの具体的な運営・監視体制の在り方については、今後の検討課題として考えてございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、会場、逆サイドの皆様からお手をお挙げいただきたいと思います。井口委員、石踊委員、鏑木委員でよろしいですか。
それでは、井口委員からお願いします。
○井口委員 先ほどの鳥田委員から提案されたこと、おおむね僕もそのとおりだなと思っているのですけれども、基本的には社協を中心としながら、多分、需要と供給の数でいうと、これからどんどん増えてくるのではないかなと思うところでございますので、第二種社会福祉事業でもあるので、社会福祉法人、先ほど松原委員からもありましたけれども、公益性の高い社会福祉法人もここに参加していったらどうなのかなと思っているところでございます。
今日、午前中、東京都のある区の民生委員さんたちが20人ぐらい、うちのほうに見学しに来られたのですけれども、孤立している高齢者が非常に多い。孤独死の問題もありますということでもあるので、かなりこれからこういうケースが増えてくると思うので、そういったところでサポートする体制とともに、私人の権利にも関わってくるところでもあるので、身元保証会社も今どんどん増えていく中で、しっかりとしたチェック体制が必要ではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。
新たな第二種社会福祉事業につきまして、いろいろと御意見があるのですけれども、私のほうからも3点ほどお話しさせていただきたいと思います。
まず、第1点は、特別養護老人ホームなどの施設におきましては、日常的な金銭管理や福祉サービスなどの利用支援も行っているわけでございます。その意味で、この事業につきましても地域貢献事業の一環としてやるべき事業だというふうに認識しております。ただ、実施事業として、特に死後事務につきましては、相続などの法的な問題も発生する可能性がありますので、今後、専門的な対応をいかにするかということを検討すべきじゃないかというふうに考えております。
2点目でございますが、資料の14ページにありますが、利用に対して資産要件の設定については、資産要件に該当して支援が必要な方が利用できないことがないように、身体状況への配慮も含めて検討していただければと思っております。それと、利用料金につきましては、原則利用者負担ということになっておりますが、各実施主体において設定されるということでございますけれども、高額にならないように、ある程度上限の規制も必要ではないかと考えております。
3点目でございますが、事業の実施主体につきまして制限は設けないとされておりますが、判断能力が不十分で身寄りのない高齢者・単身世帯に対し、金銭管理あるいは重要な契約、あるいは意思決定をサポートする事業を委ねるというのに、行政の届出だけでは非常に不安に感じております。しっかりしていない事業者は届出を受理しない、あるいは改善指導を行うなど、一定の行政の関与は必要ではないかと考えております。事業内容として、入院・入所等の手続支援、あるいは死後事務が加わることを踏まえると、本当に専門性や倫理性を兼ね備えていることはもちろんのこと、人員配置や経営基盤という体制面での事前のチェックも非常に必要かなと考えております。
私のほうから以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。届出を受け付けないのは、行政手続法上どうなのか、どう対応するかという重要な御指摘だと受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 ありがとうございます。
前回の部会の中でも申し上げたのですけれども、身寄りのない高齢者等への対応というのは、社福法の106条の3に規定される包括的な支援体制の中で推進していくことが重要であり、鳥田委員がおっしゃったように、福祉を超えた多様な主体が参画して、長期的・伴走的な関わりができるような体制の中で対応していくということが重要であるというふうに考えます。
また、身寄りのない高齢者等への対応の中でも、これまでも皆様からもあるように、死後事務とか医療や司法あるいは民間事業者との連携も求められるということを踏まえますと、市町村や都道府県の役割を明確化するということも重要であると考えます。
この2点に関して、社会福祉法上に明文化していただくということをぜひ御検討いただきたいです。
また、事務局資料の中で、新たな事業の事業内容は、日常生活支援に加えて、入院・入所の手続支援、死後事務支援の少なくとも一方を実施することとしてはどうかとございますけれども、現行の日自のスキームでいくと、都道府県社協がどれを選択するかによって、基幹的社協の実施範囲が決まるという運用になることが想定されます。基幹的社協の主体性や意向も反映されるように、柔軟な運用方法ということも併せて御検討いただきたいです。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインから高橋参考人、お願いいたします。
○高橋(淳)参考人 群馬県庁の高橋です。
私からは2点御意見を申し上げたいと思います。
身寄りのない高齢者等への対応についての新たな事業でございますけれども、この事業については、前回のヒアリングにおいても、社協が担い手になることへの負担、人材育成とか業務負担の懸念が出されたというふうに記憶しています。恐らく全国の自治体・社協も同様の考えを持つと思いますので、実施に当たっては、ぜひ丁寧な説明とか十分な検討期間を設けていただきたいというのが1点目の要望です。
そして、もう一点、同じく新たな事業の関係で、入院・退院の手続とか死後事務の支援について、現在必要とされている手続の仕組みを前提として、新たに担い手のところを考えていると思うのですけれども、先ほど申し上げた負担というところでいくと、そもそも現在の仕組みの中で必要な事務はどの範囲なのかというところも考えなければいけないのかなというふうに思います。これは行政だけではなくて、病院とか施設とか、いろいろなところが関係してくるので、一朝一夕にはいかないと思うのですが、そこの部分も併せて、ぜひ取り組んでいきたい。我々がやる部分もありますので、取り組んでいければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
資料の42ページにヒアリング結果といたしまして、死後事務支援には法的知識が必要なため、法的なサポート体制が必要とあります。前回の部会でも、枚方市社協の方が行政書士からアドバイスをいただいているとの話がありました。今後も単身世帯の高齢者の利用は増加すると予想されることから、入院・入所等の手続支援や死後事務の業務負担をできるだけ軽減する必要があり、法的なサポート体制の整備について、新たな事業を実施する実施主体に任せるのではなく、国や自治体が支援する必要があるのではないかと考えております。
次に、生活困窮者自立支援制度における対応について、身寄りのない生活困窮者を対象として位置づけることには賛成いたします。安心して暮らせるためには、住居の確保は必要不可欠であり、住宅確保給付金の支給要件の緩和や支給期間の延長についても検討すべきであるというふうに考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
新たな事業のところでございますが、論点には明確に位置づけられておりませんが、12ページの現状・課題の下から2つ目の○に、日自事業を支える専門員や生活支援員の充足状況に課題を感じている社協も見受けられる状況であるという旨の記載があることを踏まえて意見を申し上げたいと思います。今後、新たな事業を展開するに当たり、意思決定の支援を担う人材としては、本人の意思を尊重し、その利益を代弁するという権利擁護に関する知見を有するだけでなく、認知症のある高齢者や障害者等への支援に関する十分な経験がある人材であることが重要であると考えます。その際、地域には介護現場をリタイアした介護福祉士をはじめとする福祉専門職が少なくないと考えております。そういった人材の知見を活用することが重要だと考えます。
なお、新事業の枠組み案のうち、16ページにあります7.実施主体について。事業の実施主体に条件は設けないとありますが、ほかの委員の方からも意見がありましたとおり、対象者となる方のことを考えると、一定の要件を持っている必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
杉浦参考人、お願いします。
○杉浦参考人 それでは、高橋参考人の要望とも少し関連する部分もありますが、全国市長会のほうから1点要望させていただきたいと思います。
中核機関の位置づけとの関係で、資料2の26ページの①にあります家庭裁判所からの意見照会についてですが、現状では意見照会の頻度やボリューム等、その全容は不透明な状況でございまして、市町村の人的な資源や保有する情報といったものには限りがございます。そういった中で、体制や応答能力に見合った制度になるかどうかが懸念されるところでございます。このため、制度化に当たりましては、照会の基準等を明確なものにしていただくとともに、制度だけが先行して、自治体に過度な負担が生じてしまうというようなことがないように、また市町村の体制や応答能力を踏まえまして、その実現可能性についても十分に検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お手を挙げていただいた皆様からは、一わたり御発言いただけたかと思いますが、さらに追加で、二度目でも結構ですが、発言いただける方、いらしたら合図いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
沼尾委員、どうぞ。
○沼尾委員 10ページに市町村単位での支援体制のイメージというのがあるのですけれども、現行の日常生活支援事業を見ていましても、社協さんで割とうまくやれているところというのは、社協がそれぞれのコミュニティとうまくネットワークを構築していて、そこから適切に情報を取ってくるとか、そういうつながりが地域でつくれているところ、あるいはそのような仕組みが取れているところだと思うのですね。
その辺りも含めて、この図には「地域資源」ということで、事業とともに互助の支援とか民生委員の支援などが入っているのですが、どこまでが制度で、どこまでが地域資源なのかというところが非常に難しいところかなと思うのですけれども、この図で「地域資源」というふうに入っているものを、うまく制度として当てはめていくときに、どういうつながり方があるのかということを、例えばうまくいっている地域をモデルケースとして何か紹介していただくとか、そういったことも含めて、どういう工夫があることで、うまく支援につながっているのかというのが把握できるようなことをやっていただきたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問ではないのですが、今の沼尾委員の御発言を受けて、事務局で考えていることとか、そういうものがあれば、御発言できる部分があれば御発言いただけるといいかなと思ったのですけれども、どうでしょう。
○占部成年後見制度利用促進室長 ありがとうございます。
10ページの図につきましては、今回の議論の前提として、地域の身寄りのない方を支える体制について、どのように考えるかということについて、個別の事業についての議論に先立って、まず全体像を整理する必要があるかなと思って、お示ししてございます。
今、御指摘のあった、地域の中でどのような形で、あるいはどのような支援を組み合わせて対応していくのかということにつきましては、今、ここに書いているものについては、あくまでこういう支援に活用できるものとして、どういうものが想定されるかというのを一旦書き出してみたということですけれども、実際に現場において、どういう形で既に対応しているのかということも含めまして、今後、そこの部分については、実際にこの事業を実施するに当たっても非常に重要な部分だと思いますので、よく整理させていただきたいと考えてございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。このポンチ絵は今回初めてお出しいただいたもので、なかなか複雑というか、立体的というか、重層的というか、どう理解していけばいいのかということがあって、その意味で沼尾委員から御発言いただけてよかったなと思ってございます。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
今回、2時間半の枠を取って、十分御議論いただけるようにということで事務局と話しておったのですが、その反面、あらかじめ時間設定ということで御協力いただくということで、ちょっと申し訳ない部分もございました。結果的には大分時間を残すような形になって、皆様の御協力に深く感謝申し上げる次第でございますが、本日の議論を通じまして、さらに言い残した、あるいは気づいた等、御発言ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、則武委員からお願いいたします。
○則武委員 全国児童養護施設協議会の則武です。よろしくお願いします。
包括的な支援体制の整備ということで、とても期待しているところです。私のほうからは、この中のこども・若者支援というところから少しお話しさせていただきたいと思います。皆さん、今、児童養護施設でどんなことが起こっているかというのは、あまり御存じないと思うのですけれども、リスク対応というような、児童相談所のアセスメントがリスクアセスメントに少し偏っているような実感を持っております。どういうことかというと、児童虐待等が家庭であったときに、それを見つけることがなかなかできないのですけれども、何とか家庭でやれている間は家庭でというような感じで、なかなか社会的養護のほうにつながってこないということが起こっています。
その間に、もし命の危険があるというような判断が出た場合には、児童相談所を通じて施設等に措置されるわけですけれども、そうじゃない場合は、こどもがその劣悪な環境の中でずっと我慢して、我慢して、最近は中学生ぐらいになって、こども本人が、家で生活するのはもう無理だということを学校とかお友達の親御さんとかに訴えて、やっとつながってくるというようなことが起こっています。
申し上げたいのは、この包括的な支援体制のほうが、リスクとか何かが起こったときに対応するというような整備の仕方ではなくて、今日、お話があったような地域づくり、このまちをどうしていくかという、ある意味前向きな考え方の下に、このまちで暮らすこどもはこのようにあってほしい、こういう生活をしてほしいというような考えから、こどもたちをサポートする体制。ある意味、予防というか、そちらのほうにもうちょっと重点を置いた体制をつくっていただきたいなと思っています。
もう一点、ちょっとお伺いしたいのは、こども・若者支援というふうに今回、入れていただいているのですけれども、この若者というところです。日本の社会の中で、ハイティーンの15歳以上のこどもたちへの支援というのはなかなか整っていないのが現状で、これを早急にやらないといけないという事実があるのです。例えば、私どもが勤めている児童養護施設を出たこどもたちを支援するのもそうなのですけれども、高校に進学する子が多いのですけれども、高校を中退するこどもたちも最近多くて、学校につながっていない若者が社会から孤立していく現状。あるいは、ひきこもっていくこどもたちを、誰がどういうふうに支援していくかというところが、支援としての仕組みがなかなかできていないというところです。
ですので、この若者支援というのはぜひやっていただきたいのですけれども、どこが音頭を取って、リードして、これをやっていくのか。厚生労働省さんなのか、こども家庭庁さんなのかとか、包括的なので省庁を超えてということだと思うのですけれども、若者支援をどこがやっていくかというところを少し明確にしていただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。事務局からいかがでしょうか。
○南地域共生社会推進室長 ありがとうございます。事務局でございます。
若者支援につきましては、省庁がいろいろ関わってくる面もあると思いますが、御指摘いただいたように、15歳以上のところで支援が途切れてしまうというのは、私が担当している生活困窮の分野でもそういった御指摘を伺うことがあります。学習支援でも、15歳、中学校までは市町村である程度取り組んでいただくのですが、それ以降、実施されているケースが少ないということもあります。
1つは、制度内で18歳以降も含めて、生活困窮は特に年齢制限がございませんので、そういった意味では、こども期から関わっていた方の成人になって以降の支援も継続できる部分もありますので、そういった制度内での連携と、それから制度間という意味で、省庁を超えてこども家庭庁さんもありますし、場合によっては文科省さん等もあると思いますので、そういった省庁間の連携もより強化する。そこもなかなか十分できていない面もあるということで、検討会議でも御指摘いただいていると思っておりますので、具体の運用を含めて、これから関係省庁とも詰めていきますし、省庁横断的な課題については、省庁間でもまた協議させていただきながら進めていければと思っております。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○則武委員 ぜひ早めによろしくお願いします。
○菊池部会長 連携を誰が主導するかという問題もある。そういうことも含めて、しっかり御検討いただければと思います。施策の抜け落ちている部分でもありますね。
ほかにはいかがでしょうか。
高橋英治委員。
○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
保育がという話ではないのですけれども、個人的な地元のほうでというか、私のほうで自治会とかまちづくりの関係で関わっていたことがありますので、地域住民へという言葉がたくさん出てくるわけですけれども、今、どうなっているかどいうことだけ少しお話ししたいと思います。
我がほうは広島県福山市というところですけれども、約80の小学校単位でそれぞれ自治会があって、そこで数年前にはそれぞれの自治会で、それぞれの自治会での課題を出すために、まちづくり計画というのを全部つくるような施策をしまして、そこでそれぞれの自治会で、1つの小学校区の中に細分化して15ぐらいの地域があるのですけれども、それぞれ当然、課題が違うので、それぞれの計画をつくってPDCAサイクルを回していって、中長期計画から実施していきましょうということでやってきたのですけれどもね。
いかんせん、自治会も非常に弱体化しておりまして、役員のなり手がいない。なったとしても、変わってしまうと、それが全く続いていかない。一番これが如実に現れたのがコロナでございまして、あのコロナを経験した後がもっと大変になっているというのが実態でございます。民生委員さん、私も民生委員をやったことがありますけれども、先ほども民生委員の話がありましたが、民生委員に対する役割自体は昔から全然変わっていないのですけれども、働きながら民生委員をやっている方も非常に多くなっているのですが、実際、その働きながら前と同じことを求められても、民生委員は地域でそんな動きはできないというのが現実なのです。
今、弱体化している自治会と、様々、民生委員だけではなくて、福祉に関わる、例えば福祉を高める会とかボランティアの会が地域にはあるわけですけれども、そこも昔から同じようなやり方をやっていて、実は同じようなことをやっているのですけれども、違う組織で同じようなことをやってしまっていてダブっているとか、いろいろな課題があるのですけれども、昔から課題が全然変わっていかないことの大変さみたいなものがあって、役員のなり手がいない。その辺も併せて、自治会レベルでも少し考えていかなければいけませんけれども、行政と社協さんもあるかも分かりませんけれども、自治会とのうまいこと意思疎通がますます必要ではないかなというふうに思います。
すみません、全く保育とか、そういうことに関係ないのですけれども、一言実態を述べさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。福祉を超えたところで、地域そのものの弱体化、脆弱化から考えなければいけない。まさに、ここでの課題そのものではないかと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。だんだん核心に迫ってきたような気もするのですが、よろしいですか。オンラインの皆様、よろしいですか。
それでは、樋口委員。
○樋口委員 意見というよりも、ちょっと御紹介なのですけれども、よろしいですか。京都府の社会福祉協議会では、平成26年度から、わっかプロジェクトという、正式には京都地域福祉創生事業というのが立ち上げられていて、福祉制度のはざまにある課題に対応するために、社協とそれぞれの社会福祉法人が協働で事業を行う。現在、42法人が参画して地域ニーズに沿った様々な活動を展開しております。わっかプロジェクトの趣旨は、地域における公益的な取組に当たり、こどもの居場所づくりや子育て支援を中心にという内容になっているのですけれども、非常にニーズの高さを感じます。
子ども食堂ということが基本なのですけれども、それを超えて、例えば私どもの法人でやっているのは、地域のアート教室を5~6年やらせてもらっているのですけれども、障害のこどもたちが対象というよりも、地域にあって、そういうアートの機会になかなか恵まれない。例えば、アートの学習塾に行くには学費や塾代が相当係るのです。そういうところで諦めているこどもたちもいらっしゃる。そういう中で、年々希望者が多くて、地域的にもこどもさんが多い地域なのですけれども、そういう取組があります。それぞれ拠出金があって、最大年間30万円、そういう活動に使えるということで、1つの試みとして、なかなか有効じゃないかなと思って紹介させていただきました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。大変興味深い貴重な取組を御紹介いただきました。
ほかにはいかがでしょうか。
質問ですか。
○鳥田委員 質問というか、要望というか。
○菊池部会長 鳥田委員。
○鳥田委員 私のところの東京都社会福祉協議会では、今、何回も出てきました民生・児童委員さんの事務局も結構やらせていただいて、この身寄りのない高齢者等への対応なのですけれども、民生・児童委員の皆さんもこのことには大変心を悩ませていらしたり、何とかしなければいけないという思いとかがある。ただ、民生児童委員の皆さんは、それぞれがある意味スタンドアロンで活躍されていたりする部分がありますので、一人一人で解決することがなかなかできないというところがあって、それをどうバックアップするかということに、この身寄りのない高齢者等への対応が重要になってくると思うので。
先ほど、どんな方たちも事業者として参加できるというお話だったのですけれども、民生・児童委員がそういうのを見つけたときに、つながりやすい事業者の方とか、実際現場でやっている方たちをどうサポートするかということも、制度をつくっていく上では十分お考えになってやっていただけたらなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○菊池部会長 御意見ありがとうございます。生活困窮者自立支援及び生活保護部会は、民生委員代表の方が出ていらっしゃいましたね。そういった意味で、民生・児童委員の方々、地域を支える側の公的な役割を果たしてこられた皆さんの声というか、役割というか、そういったものを届けていただいたということで、大変貴重な御意見いただいたと思います。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
少し時間を残しておりますけれども、自由討論といいますか、その中でも非常に貴重な御意見を皆様からいただけたかなと思ってございます。どうもありがとうございます。
それでは、本日の審議については、ここで終了とさせていただきまして、次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○池上総務課長 次回の開催日時、開催場所につきましては、追って調整の上、御連絡させていただきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、本日の審議はこれにて終了とさせていただきます。大変お忙しい中、貴重な御意見賜りまして、誠にありがとうございました。
それでは、ただいまより、第29回「社会保障審議会福祉部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、誠にありがとうございます。本日は、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただいております。
まず、事務局から、本日の委員の出欠状況について御説明をお願いいたします。
○池上総務課長 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、稲垣武委員、川井太加子委員、山本一太委員から御欠席の御連絡をいただいております。なお、稲垣委員は途中から御出席いただく可能性もあると伺っております。また、宮本委員は途中で退席される予定とお伺いしております。
そのほか、稲垣委員の代理といたしまして、刈谷市福祉健康部政策監の杉浦隆司参考人に、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。杉浦参考人及び高橋参考人の御出席につきまして、部会の承認をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○池上総務課長 ありがとうございます。それでは、御異議なきものとさせていただきます。
本日は御出席の委員の皆様が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、もしおられたら御退席をお願いいたします。
(カメラ退出)
○菊池部会長 それでは、議事に入ります前に資料の確認と会議の運営方法について、事務局からお願いします。
○池上総務課長 それでは、まず、資料の確認になります。会場にお越しの委員におかれましては、机上に用意してございます。オンラインにて御出席の委員におかれましては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、もし不足等ございましたらホームページからのダウンロードでの対応をお願いいたします。
事務局からの提出資料として、
資料1「地域共生社会の更なる展開について」
資料2「身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について」
の2点がございます。
併せまして、委員からの提出資料といたしまして、鳥田委員、宮本委員、山下委員の各委員より提出資料が3点ございます。欠落等ございませんでしょうか。もしありましたら、係の者におっしゃっていただけたらと思います。
次に、発言方法等についてでございます。オンラインで御参加の委員の皆様には、会議の進行中、マイクはミュートにしていただきます。御発言の際は「リアクション」の「手を挙げる」をクリックいただき、部会長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。御発言後は「リアクション」の「手を下ろす」をクリックいただき、再度、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、時間が限られておりますので、発言は極力簡潔にお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。前回、事務局から、2つの検討会、地域共生社会の在り方検討会議、そして2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会のとりまとめについて御報告いただきましたので、本日からは具体的な制度改正の中身についての議論を深めていきたいと存じます。
まずは、「地域共生社会の更なる展開について」を議題とさせていただきます。事務局から資料の説明をお願いします。
○南地域共生社会推進室長 事務局です。地域共生社会推進室長でございます。
資料1に沿って、「地域共生社会の更なる展開について」、説明させていただきます。
資料をおめくりいただきまして、目次がございます。1から4までありまして、具体的な論点として挙げさせていただいておりますのは2から4になりますので、こちらを中心に御説明いたします。
1については、中間とりまとめの内容等を掲載しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
飛ばしていただきまして、2の包括的な支援体制整備に向けた対応というところで、10ページ以降を御確認ください。現状・課題として、 包括的な支援体制の整備について進んできている面がある一方で、市町村さんの中には、まだ取組が具体的に進んでいないところもあるといった状況もあります。
また、11ページですが、重層事業、令和2年に創設しておりますが、現在、機能とか取組の評価がなく、人口規模のみに応じた財政支援になっているという点でありますとか、検討プロセス、評価の見直し等が実施されていない状況が見られるといったことも上げております。
また、既存の制度ということで、生活困窮者自立支援制度との関係というところで、既存の制度が十分活用されないままに重層事業が実施されて、多機関協働事業担当等にケースが任せ切りにされてしまうといったケース、市町村のアンケート調査結果があるといった状況もございます。
また、生活困窮者支援制度については、制度の狭間を生まないための仕組みとして創設された経緯がありますが、現状、対象が限定的に捉えられてしまっている面もあるといったことも上げられております。
12ページに進んでいただきまして、包括的支援体制の中でも地域づくりが非常に重要ですが、こちらがまだ十分取り組めていない状況がある。こども・若者支援の分野につきまして連携が十分できていないところでありますとか、こどもの支援が十分に行われていないといった現状・課題があるということでまとめております。
13ページ以降に具体的な論点を上げております。
13ページは市町村における包括的な支援体制の整備ということで、1つには、包括的な支援体制を進めるに当たって、実施すべき施策の明確化をすべきではないかという観点を掲げております。
ポツの2つ目ですが、重層事業を実施されていない市町村に対して支援会議の活用を可能とすることなど、財政支援を含めて、そういった市町村への体制整備の促進も図るべきではないかという論点です。
それから、3点目、地域住民と支援関係機関の連携・協働を図るための方策として、消費者行政の仕組みも参考に、市町村が協力団体を委嘱できる仕組みの創設についても論点として上げております。
また、4点目、最後ですが、生活困窮者自立支援制度における対応として、制度の対象に支援が必要な者が幅広く含まれることについて、前々回の生活困窮法の改正でも地域社会との関係性等を明記しておりますが、さらにそこの明確化が図れないか。あるいは、市町村全てで包括的な支援体制を構築していく観点から、福祉事務所未設置市町村における一次相談事業の拡充等が考えられないかということです。
14ページ目に進んでいただきまして、都道府県における包括的な支援体制整備の推進ということで、都道府県による支援の強化というのを上げています。
また、重層事業については、質の向上を図る観点から、検討プロセスの要件化、重層実施計画の見直しということで、必須記載事項として目標・評価等に関する事項の追加でありますとか、PDCAの導入というのを論点として上げております。
また、財政支援については、人口規模に応じた人件費補助の仕組みから、機能とか取組面を評価する形で、評価に応じた支援にしていってはどうかという点を上げてございます。
こども・若者支援については、連携体制の構築、運用面でしっかり改善していく点と、生活困窮法の子どもの学習・生活支援事業の取組促進ということで、この事業のみ法律の中で完全な任意事業となっておりますが、そちらを努力義務化することでありますとか、補助率もその他の事業に比べて低くなっております。こどもの貧困の連鎖を断ち切るという意味でも非常に重要な事業ですので、その補助の在り方について考えてはどうかということで論点を上げております。
続きまして、3番目の過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組みということで、16ページ以降、資料を御用意しております。
現状・課題につきまして、人口減少がこれからもどんどん進んでいく中で、特に人口減少率が大きい市町村も一定数あるという状況でありますとか、行政職員の担い手不足の面も出てくる。あるいは、重層事業につきましては、人口規模が小さいところではどうしても進んでいない状況があります。大規模市町村とか財政力のある市町村によく使われている状況があるというふうに考えております。
具体的な論点といたしましては、17ページ以降に記載しております。基本的に社会福祉法の内容を議論いただくことにしておりますので、この部会で扱っていただく内容としては、相談と地域づくりの部分になるかと思っております。相談と地域づくりについては、こういった過疎地域とか中山間地みたいな担い手がどんどん不足する地域につきましては、既存事業の機能はしっかり確保しつつ、分野別の縦割りではない集約化した仕組みを導入してはどうかということで、さらにそういった集約化した前提で配置基準の柔軟化をしてはどうかということで上げております。
相談支援については、構造化が必要だと考えておりまして、イメージを下に書いてございますが、分野・属性を問わない包括的な相談対応をする一次相談の機能を市町村にはしっかり持っていただいて、そこについては必要な人員を配置していただく。広域の連携とか近隣市町村との連携の中で、専門相談の機能等も確保していただくことを考えていってはどうか。その際、一次相談について、特に資格ということではありませんが、研修等については、こういった分野・属性を問わない相談対応のための研修について共通化していくということを考えてはどうかということを上げております。
地域づくりについては、生活支援コーディネーターとか生活困窮の自立相談支援員さん等が実施されている地域づくりもありますし、総務省さん等が進められている集落支援とか地域振興分野の役割のコーディネーターさんがいらっしゃいますので、こういった地域においては、コーディネーター機能についても集約化・共通化していってはどうかということです。また、この際、地域運営組織(RMO)等がある地域については、そういった活動との一体的な実施というのも想定されるのではないかと考えております。
また、地域づくりについては、下の図の右上にありますとおり、地域活動運営機能もありますので、こちらについても分野・属性を問わない形での運営を可能とするような方法を考えてはどうかということで上げております。
18ページへ進んでいただきまして、この過疎地域等における柔軟な仕組みの対象地域・要件については、人口規模が小さい、人口減少が進行している等の指標を踏まえながら、必要なプロセスを経ていることを県ないしは国が何らかの形で確認する形としてはどうかと考えております。この点については、人員配置の緩和等も、また相談体制も変わる部分もありますので、そういった広域連携等の中で専門相談に対応していくような体制が取れているかといった意味で、都道府県や近隣市等と協議していることでありますとか、こういった体制に変更することについて、地域住民・支援関係機関の意見聴取、対話等を通じて一定の合意形成を図っていること等が必要になってくると思いますので、こういったところを何らかの形で確認する形としてはどうかということで考えております。
この特例制度を使われる際の市町村への補助の在り方につきましては、重層事業の交付金の仕組みも参考に、一体的な執行を行える仕組みにしてはどうかということで考えてございます。
さらに、※で書いておりますとおり、こういった担い手不足地域でありますし、行政職員さんの体制確保の課題もありますので、交付金については、柔軟性の確保とか事務負担の軽減をできるだけ図るということで考えてはどうかと上げております。この過疎地域等の特例の仕組みにつきましては、現在、町村会さん等を含めて、対象になり得る町村さん等の意見も聞きながら検討を進めているところですので、併せて御報告いたします。
最後、4点目、地域共生社会の理念の再整理・連携協働の強化のところです。
20ページ、21ページ目に現状・課題として上げています。
地域共生社会の概念・理念について、社会福祉法第4条ないしは第6条辺りの法文上の明確化が必要ではないかという意見ですとか、意思決定支援の配慮を明記すべきではないか。
21ページに進みまして、地域共生社会、包括的な支援体制をつくるに当たりまして、様々な分野、福祉を超えた他分野との連携が必要といった現状・課題を上げています。
22ページにその部分の論点を上げております。
1つは、理念・概念の性格、行政責務につきましては、社会福祉法4条・6条の関係性の整理ですとか、あらゆる地域住民等が地域社会に参画し、ともに生活していくといった考え方を条文上、反映できないかということで上げています。
真ん中に行きまして、意思決定支援の配慮については、社会福祉法においても明確化してはどうかということです。
最後、一番下ですが、福祉以外分野の連携・協働につきましては、既に社会福祉法に住まいとか地域再生というふうに他分野の連携についても規定されていますが、それに加えてまちづくりとか地域の産業、交通、防災、司法といった他分野との連携についても規定することとしてはどうか。
さらには、地域福祉計画等の記載事項として、他分野連携の事項というのを記載することを明確化してはどうかということで書いています。
※といたしましては、今、総務省さんと協働で地域運営組織(RMO)等福祉以外分野とも連携・協働した地域住民主体の地域づくりと包括的な支援体制の整備に係る調査研究を実施しておりますので、こういった調査研究の結果も踏まえまして、次年度以降、モデル事業等も含めて取組を進めていきたいと考えております。
資料の説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などをお願いしたいと存じます。最初に御説明がございましたように、限られた時間の中で多くの委員の皆様に御発言いただくために、簡潔に3分以内で御発言いただきますようお願いいたします。恐縮ですが、2分半を経過した時点でベルを鳴らさせていただきますので、おまとめいただければ幸いでございます。
宮本委員が本日、途中御退席の予定でございますので、まず最初に、オンラインからお願いできればと存じます。
○宮本委員 今日は大変恐縮です。オンラインである上に、この後、以前から予定していた用務がございまして、途中退席ということで、今、座長の御配慮で先に発言させていただくことになります。
地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめを踏まえた福祉部会での御議論をいただいているわけですけれども、座長として、その中身を報告するということではなくて、議論の中身を踏まえつつも、個人的な所感ということでお聞きいただければと思います。何回か申し上げたことでもあるのですけれども、今、地域福祉あるいはそれを集約する社会福祉法は第3のステージに入っているのではないかと思っております。措置制度として確立した段階、措置から契約へという第2段階。その契約も一部として踏まえつつも、共創という新しい住民・自治体・事業者がともに連携する段階に入っているということではないかと思います。
思い返すと、まさに第3ステージであるからこそ、この10年間、非常に重要な改革が次々に積み重なってきたわけであります。生活困窮者自立支援制度、さらに遡っては、地域包括ケアシステム等々、制度の包括化を目指す試みが様々な分野に広がって、地域共生社会のビジョンができ上がったし、さらにそれに基づいて、17年には包括的支援体制、そして20年には重層的支援体制整備事業が社会福祉法に書き込まれた。こうした中で、まさに試行錯誤は当然のことであって、新しい制度展開があるたびに様々な調整が必要になる。それを無理やりつじつま合わせをする必要もないのであって、その都度、率直に地域の人たち、事業者の人たちとコミュニケーションを密にしながら、この第3のステージを形づくっていくということが大事ではないかと思います。
非常に大枠のところで言うならば、包括的支援体制というのは、先ほどの事務局からの説明にもあったとおり、4条・6条にある労働、教育、住まい、地域再生等、狭い意味での福祉の領域にとどまらない包括的な支援を実現していく。重層事業というのは、それに対して、現行の事業の中身を見る限り、介護、障害、困窮、こどもという福祉の諸分野に横串を刺すことから始めている。この違いは念頭に置くべきだし、重層事業をいかに包括的な支援体制につなげていくのか、このことが大事だろうと思います。
重層事業に関しては、よく引かれる絵柄ではありますけれども、皆さん御覧になって、このスライドの右側にある2つの歯車とか2つの円がぶつかり合う構図ですね。一方では、福祉が課題から入っていくアプローチを進めていく。他方では、まちづくり、あるいは興味・関心から始めるアプローチが進んでいく。これが出会うということになっているわけですけれども、左に掲げた重層事業の概要を見ていったときに、この重層事業の中にこの2つの円、2つの歯車が出会う必然性が一体どこにあるのだろうかということは、疑問なしとはし得ないだろうということです。
現行の制度、重層事業を真面目に追求すればするほど、まちづくりからのアプローチというのはどこからかやってくることを待っている状態であって、ずっと突っ走って、いつまでたってもまちづくりと出会わないまま、自治体の果てまで来てしまったということがしばしばあるのではないかと思います。
その下に書いてあるのは、引用はどうしようかと思ったのですけれども、106条の3、どう取組が進んでいるかということを厚労省が三菱UFJ総研に委託してまとめたヒアリングの中で、宇和島市がこんなことを言っています。重層事業をつくることが自己目的化すると失敗する。包括的な支援体制をどうつくるかをまず考える必要があって、その中で、必要が生じているときにこの重層事業に着手するべきなのだというのです。この話は非常に参考になるだろうと思います。
次の図は非常にややこしい絵柄になってしまいましたけれども、基礎自治体レベルに破線で囲ってあるところが重層事業のところです。包括的支援体制、参加支援、地域づくり。重層を真面目にやれと言うと、自治体としては、重層という言葉の意味合いとして、ともかく相談と参加支援と地域づくり、一体的に進めるのだ。真面目な自治体ほど、恐らく支援フローのポンチ絵を描くと思います。そして、そこにどういうふうに地域の力を結集するかというところで頑張ってもらうと思うのですけれども、それで包括的支援体制ができるのだろうか、あるいはまちづくりと出会えるのだろうかということですね。
そうではなくて、地域をしっかり見ると、例えば圏域1の特養のところで、あるいは圏域2の子ども食堂で、地域共生社会というのはつながり、つなぎ、場をつくっていくわけですけれども、そういう営みが日々取り組まれているわけです。特養にやってきた家族が相談して、そこでいろいろな相談が起きていくし、その家族がレスパイトのケアを受けることができるように、どこか紹介するかもしれない。あるいは、子ども食堂でこどもの手を引いて連れてきたお母さんの相談が行われて、メンタルがかなり苦しくなっているお母さんにどこかが紹介されるかもしれない。紹介先は、例えば商店街が空き店舗を使って、ちょっと働きがたさを抱えた人たちが働く新しいお店をつくったり。これは重層事業の中では決してない。
でも、そこで紹介が起きることで包括的支援体制に向かって広がりが生まれてくるわけですね。こうした広がりをいかにつくっていくのか。そのためのツールとして、重層事業がいかに役立つのか。さらに言うならば、その中で専門職の皆さんがいかに活躍できるか。例えば、これは保育所で大阪府社協がやっていることですけれども、スマイルサポーターといって、こどものケアをすると、親がまいっているから、親の生活改善みたいなところにも専門職としてどうしても手を差し伸べなければいけない。そのためにいろいろな包括的な支援の知識を身につけていくスマイルサポーターという資格を、保育士さんが取っていくというような形で事業を広げているわけです。
もう一つ、最後に強調しておきたいのは、この部会の一つの大事なテーマがつながる、包括的な相談支援ですけれども、AIとこれからどういう形をつくっていくのかということを、AIとどういう形を取り結んでいくのかということをこれから考えなければいけないだろうと思います。御存じのように、今、若い世代だけじゃなくて、多くの人たちがまず相談するのはChatGPTです。ChatGPTも、この間、OpenAIがバージョン4から5に上げた途端、5は性能が高いのですけれども、キャラとしてあまり優しくないというところがあって、4は大変だったねとか、一息つこうよとか、深呼吸してみようということを言うわけですね。そのChatGPT-4を友達とする、4を相談先とする人は非常に多くて、5になった途端、4を返せという大合唱が起きたわけですね。
これくらい身近な相談先になっているAIを、例えば重層事業、包括的支援体制の事業が仲間にするのか、ライバルにしてしまうのか。今、まさにその岐路だというふうに思います。いずれにせよ、国と自治体の新しいコミュニケーション、先ほど申し上げたように、地域で起きているつなぎ、つながり、場をつくる機能。そこにAIの位置づけも図りながら、どういうふうに目標を共有しながら、プロセスを自在に多元的に展開していくか、そのためのコミュニケーションが必要だろうと思います。
すみません、超過してしまいましたが、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。宮本委員、途中御退席ということで、議題2の時間も併せてお使いになられたという理解でございますので、ありがとうございます。
○宮本委員 それでよろしいです。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、会場のほうに戻りまして、まずは、私の左手、池上課長側の皆様からお手をお挙げいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。石踊委員、鏑木委員でよろしいですか。
それでは、石踊委員からお願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。全国老施協の石踊でございます。
いろいろ資料を読ませていただいたり、御説明いただきまして、本当にありがとうございます。
地域共生社会の在り方検討会議中間まとめを読ませていただいて、それによりますと、包括的な支援体制の整備は、市町村や関係者から何をもって体制が整備できているのか判断が難しいとか、さらに制度のために何らかの取組が必要であると考えているが、具体的な検討を行っていないということも明らかになっているわけであります。そして、重層的支援体制整備事業を実施するに当たって、地域住民との対話を行い、様々な関係者と議論した上で実施することとなっておりますが、事業実施に向けた準備の検討会議を設置していない市町村が6割ある。また、計画を策定している市町村のうち、3割が事業評価見直しの事項を定めていない状況ということが明らかになっております。
これらのことを勘案しますと、事業の理念・目的や情報、財源に加えて、事業整備の指標を示すこと。また、都道府県の伴走的な支援というものも当然必要になってくるというふうに思います。つまり、市町村が包括的な支援体制の整備を進めるに当たっては、重層的支援体制整備事業が位置づけられておりますが、その趣旨を理解するとともに、整備を進めるに当たっては、住民視点の地域づくりの広がりが最も重要であるというふうに考えております。しかし、規模の小さい市町村では、地域づくりを担う人材、専門職の不足が深刻であります。また、どのように進めていくか、認識不足も課題となっていると思います。市町村をどのようにフォローアップしていくかが鍵であると考えております。
その上で、共生社会を構築していくためには、相談支援のみならず、それぞれの市町村が地域資源あるいは地域の課題を分析・整理して、実態に即した状況を共有し、地域の特性を生かした地域づくりを地域住民や関係者、我々社会福祉施設なども含むわけですけれども、と一緒に検討することが重要で、実効性の高い整備事業を推進することが必要というふうに考えております。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 ありがとうございます。
私からは3点ございます。
まず、1点目に、既存制度アプローチというところで、中間とりまとめの中で困窮者制度を軸とすると御説明いただいたのですけれども、現行の困窮法の3条では、法の対象者を、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者としています。既存制度アプローチの軸として本制度が機能するためには、定義規定の見直しを期待します。併せて、相談を断らず受け止めるということを明確化していくに当たって、困窮者法という名称そのものの見直しも御検討いただきたいです。
2点目です。既存制度アプローチの観点から考えますと、現行の困窮者法は、一部を除き、原則として生活保護の受給をしていない人を対象としています。他方、重層は全ての人を対象としていることから、生活保護受給者も対象とした事業として実施されてきました。困窮制度を軸とした既存制度アプローチを推進するに当たって、生活保護を含めた参加支援、包括的支援という理念が後退しないように御配慮いただきたいです。
3点目です。事務局から、重層を実施していない市町村の体制強化の推進として、支援会議の活用を上げていただいておりまして、この点、賛成いたします。支援会議というのは、適切に運用すれば非常に有用な会議体ですが、その際には、支援する側にとってのメリットであるとか、事務を円滑化するために開催するというものではなく、あくまでも支援が必要な状態にある人に、よりよい支援を届けるためのものであるということに留意する必要があると考えます。町村部も支援会議を行えるようにするに当たっては、アプローチや支援手法を慎重に検討する場であるということを改めて周知していただきたいと思って発言いたしました。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、逆のサイドの皆様からお手をお挙げいただければと思います。鳥田委員、中村委員、堀田委員、山下委員、よろしいですね。
それでは、鳥田委員からお願いします。
○鳥田委員 ありがとうございます。
全国では、重層的支援体制整備事業を実施して包括的支援体制の整備を行っている自治体がかなり多くあると存じておりまして、東京でも30の自治体が今年からそういったことになっております。これらを活用する自治体が、今後も着実に包括的支援体制整備を進められるように、2点のちょっと踏み込んだお話しをさせていただきたいと思っております。
重層的支援体制整備事業について、資料の14ページ、評価は支援実績のみでなく、複数の要素を組み合わせて総合的に行うというふうになっておりますが、その際、自治体における包括的な相談支援や多機関協働、地域づくり、参加支援などを一体的に取り組もうとしていることが評価できるものであることが必要なのではないかなと思っております。また、個別支援や地域支援における伴走的な支援のアプローチのプロセスを評価できるものとなること。そして、個別課題と地域課題については、一体的もしくは循環的な支援の取組の実施が評価できるものであることなどが重要だと思っているので、そういったことをぜひ重視していただきたいと思います。
2点目ですけれども、生活困窮者自立支援制度等を中心とした包括支援整備ということが資料の13ページに書かれているのですが、その内容を明確にしていただきたいということなのです。先ほど鏑木先生のほうからも、利用者の経済的困窮というところに非常に法律で捉えられがちのため、地域づくりのアプローチや、その方法論というところがなかなかはっきりしていない状況にございます。重層事業で示されているような地域づくりのための機能とか、それをどのように生活困窮事業に位置づけようとしているかということを、今後の包括的支援体制整備を進めるに当たっての生活困窮者自立支援制度を使うのであれば、そういったところをぜひ明確にして進めていただきたいなと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、中村委員、お願いします。
○中村委員 失礼いたします。ありがとうございます。一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟の中村です。
地域共生社会のさらなる展開にかかり、国の考えの御質問と、ソーシャルワーク養成団体としての要望がございます。
まず、御質問ですけれども、社会福祉士養成課程は、令和元年度の大幅なカリキュラム改正において、地域共生社会の実現に資するソーシャルワーク人材の養成を理念に掲げた改正が行われました。指定科目に地域福祉と包括的支援体制を基幹科目として、高齢、児童、成年後見や権利擁護、社会保険制度を含む社会保障など、制度横断的なソーシャルワークを担う専門職養成へと刷新されました。そして、本年2月の国家試験から新カリキュラムによる試験が実施されております。
精神保健福祉士養成カリキュラムにおいても、地域福祉と包括的支援体制を共通科目に据え、社会福祉士と同様の趣旨で同時改正が行われました。しかしながら、厚生労働省が進めておられる地域共生社会施策においては、社会福祉士や精神保健福祉士という固有名称はほとんど登場せず、相談支援人材といった抽象的な表現にとどまっております。他方で、福祉系大学等の入学者は減少傾向にあります。本連盟の会員校からは、国家資格を取得しても政策で活用されないのではないかとの声も上がっております。
先ほどのカリキュラム改正に伴い、養成校は実習時間の増加など、教育的・財政的に大きな負担を担っております。にもかかわらず、政策上に固有名詞が示されないことは、学生の学習意欲や資格の社会的信用を損なうおそれがございます。現に、養成から撤退を余儀なくされる学校も出始めております。こうした状況下で、今後、さらにソーシャルワーク人材が必要とされるにもかかわらず、養成校の減少を招き、福祉人材の安定供給に支障が出ることを強く危惧しております。例えば、医療分野においては、訪問看護は看護師、地域保健は保健師と、国家資格が明確に制度に位置づけられております。それでは、なぜ社会福祉士や精神保健福祉士については、同様の明示がなされないのか、ぜひ御見解を伺いたく存じます。
続いて、要望ですけれども、今と重なりますが、ぜひ地域共生社会を担う中核人材として、社会福祉士を政策文書に明確に位置づけていただきたく思います。また、配置基準や評価指標に有資格を明記し、専門性を制度的に担保していただきたく存じます。また、研修においても、養成校と自治体が連携しやすくなるよう、教育の自主性を接続していただきたく思います。ぜひよろしくお願い申し上げます。失礼いたしました。
○菊池部会長 御質問でございます。本日の論点との直接の関連性がよく理解できない部分がございましたが、質問でございますので、事務局のほうからお願いいたします。
○南地域共生社会推進室長 事務局です。ありがとうございます。
地域共生社会の実現に向けて、専門職の皆様の御尽力も大変感謝申し上げます。また、そういった役割が必要だということも御指摘のとおりかと思います。ただ、地域共生社会という考え方自体が、全ての住民さんとか支援関係機関、支援者を含めて、皆さんでつくっていくという考え方ですし、また、支え手、受け手を超えていくという関係性を強調している観点があり、職種とか事業だけを何か特定しているわけではなく、幅広く様々な方に御協力いただいていく施策だと思っておりますので、引き続き、もちろん運用面、通知、ガイドライン等ございますので、そういった中で専門職との連携等も含めて、具体的に提示できればと思っております。
○菊池部会長 ということでございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
14ページの論点に関連して、2点申し上げたいと思います。
1つ目は、都道府県における包括的な支援体制の整備の推進ということで、支援の強化ということが書かれています。今、様々な事業に関して、基礎自治体の構成員、都道府県あるいは厚生局がさらにということが試みられていると思いますが、なかなかうまくいかないものも多いなというふうに思っていますので、都道府県による管内の市町村への伴走支援ということも、それはそれで1つありだと思います。
これは、例えば13ページの市町村における支援体制整備を進めるに当たって、実施すべき施策の明確化とか、22ページのほかの関連分野との連携・協働といったことの在り方を考える上でも、並行して基礎自治体同士が、同じような人口規模とか特性を持っているところが、様々試みながら学び合うといったようなこと、それに伴走するといったような、都道府県を超えた枠組みということも併せて検討していく必要があるのではないかなと思います。
それから、もう一つ、14ページの2つ目ですけれども、重層的支援体制整備事業の質の向上のところです。宮本先生も出されていた、事業評価のプロセスは大事だけれども、難しくなっていくという学説もあるということを書いてくださっていましたが、この質の向上ということにつなげることができるような、質を高めるための振り返りという観点での評価の在り方は、ぜひ考えていく必要があるのではないかと思います。初回でも、たしか関連することを申し上げたような気もしますけれども、その際には、この包括的な支援体制整備を考えますと、相談者あるいは住民、個人にとっての変化、それから地域コミュニティにとっての変化、その循環が見えるようにするということ。
それから、課題解決の以前、それよりも手前のところで、個人の内面の変化とか関係性の変化。従来の事業評価の中ではほぼ取り入れられていなかったところだと思いますが、そういったところをどのように評価するかというところが、財政支援の在り方みたいなところにも関連すると思いますので、その視点は重要ではないか。
最後は、先ほどAIの活用ということが出てまいりました。実際、今、AIの活用というところ、相談支援、こども・子育てだったり、様々なところで私も御一緒しているところがありますが、現場でのAIの活用ということと併せて、振り返り、そしてナレッジを蓄積していくという観点でも、その実施のため簡易な評価を行う。それから、知見を蓄積していくという観点でのAIの活用についても検討していく余地が大きいのではないかなと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会の山下です。
意見について、文書で提出しておりますので、御覧いただければと思います。
まず、包括的な支援体制の関係、13ページになります。支援体制の整備の推進については、実施していない市町村への支援の拡大という方向性は出ております。その中で支援会議というものについてですけれども、包括的支援の要だと思っております。なおかつ、多機関連携ということが非常に大事だと思っております。そういう中で、地域間格差を是正していけるような様々な支援を行いながら、実効性を担保していく必要があるのではないかと思っております。人的な支援においては、社会福祉士等の専門職の配置が、いろいろな判断とか意思決定支援とか関係調整の上で大切だというふうに考えております。
生活保護受給者に関しては、いろいろな機関等の有機的な連携を一層推進することが大事だと思っております。
それから、2番目になりますけれども、こども期から成人期への切り替わりの時期の支援ですけれども、ここは切れ目のない継続的な支援が必要だと思っております。こども・家庭領域から生活困窮自立相談支援機関での情報共有とか引継ぎをしっかりとしていきながら、切れ目のない継続的な支援が大事だと思っております。そして、18歳以降も見据えた対応ということが大事だと思っております。地域の中のいろいろな制度を使いながら、どう支えていくかという視点が必要だと思いますし、様々な地域の機関との連携をしていく中で、先ほど申し上げたように、18歳以降も見据えた形での支援が必要だと考えております。
次のページに行きます。過疎地域の17ページのところでありますけれども、地域資源の開発・マッチングや社会参加支援、学習支援といった機能を持ったコーディネート機能が大変大事だと思っておりますし、これまでの困ってからの支援ということではなくて、より早い段階での予防的な関わりといったことも福祉分野の中で行っていかなければいけないのではないかと思っております。
次の課題ですけれども、意思決定支援のところ、22ページになります。意思決定支援は非常に大切です。意思決定支援については、配慮の必要性にとどまらずに、社会福祉法にて義務という形で明確に規定する必要があると思っております。
最後になります。地域共生社会の理念のところですけれども、福祉分野以外の連携・協働というのが非常に大事ですし、社会福祉士はネットワーキング機能を持っております。調査研究事業でまとめた中で、次のページを御覧ください。社会福祉士の活動領域、社会福祉士に特化した形で俯瞰した形で描いておりますけれども、例えば右にありますように農福連携、左にありますように司法関係、下にありますように居住関係、児童・家庭関係、様々な分野で社会福祉士が地域の中で活動しております。名称は様々でありますけれども、こういった社会福祉士の活用を地域の中であらゆる分野で考えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインの皆様から、及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
私のほうからは、2点意見を申し上げます。
まず最初ですが、12ページにあります包括的な支援体制整備に向けた対応というところの現状・課題の○のところに、今後の状況によって担い手不足が深刻化し、地域における支え合い機能の脆弱化が見込まれるが、自治体では地域住民との連携・協働に課題を感じているとございます。介護保険部会でも発言した内容とかぶるのですが、ボランティア主体の地域住民による支援の枠組みは貴重であると考えております。メンバーの高齢化や認知症状の進行等で、取組の継続が危うくなっているといったケースもあると聞いております。そのため、貴重な取組を継続させる重要性を踏まえれば、こういった取組を支える一定の専門性を備えた人材の登用が欠かせません。今後の体制の在り方を整理する際には、この点に十分に御配慮いただく必要があると考えます。
そして、もう一点です。全般の話になりますが、介護にまつわる悩みや相談事を抱えている地域住民は少なくございません。地域共生社会のさらなる展開を図るには、様々な側面から介護福祉士の専門性は欠かせず、地域に存在する潜在的な介護福祉士等を有効に活用していく視点も重要であると考えています。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、高橋(淳)参考人、お願いいたします。
○高橋(淳)参考人 ありがとうございます。全国知事会 山本知事代理の群馬県庁の高橋です。よろしくお願いします。
私からは、資料17ページの過疎地域における包括的な支援体制のための新たな仕組みについて御要望申し上げます。このページにあります機能集約アプローチでございますけれども、過疎地域において、マンパワー不足のために包括的支援体制の構築が難しかった自治体にとっては非常に有効な解決策で、社会資源の効率化を図る有効な手法だと考えています。
その一方で、特に地域づくりにおいては、コーディネーター役の資質に大きく左右される部分があると感じます。分野横断とか属性を問わない知識、相談、援助に関する高度なスキルが求められますので、属人性の高い仕組みになってしまうという懸念もあろうかと思います。また、こうした人材を確保できる自治体は非常に限られておりますので、人材育成の重要性というのが必然的に浮かび上がってくるかと思います。このため、人材育成の部分については、ぜひ全国レベルでの人材育成のプログラムの構築を要望したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
包括的な支援体制整備に向けた対応について、重層的支援体制整備事業以外の方法で支援体制を整備しようとしている自治体に、どのような理由で重層的支援体制整備事業を活用されていないのか。自治体の置かれている状況も含め、掘り下げることで、包括的な支援体制整備に関する具体的な検討を実施していない自治体に対し、重層的支援体制整備事業を活用した場合と、活用しなくても支援体制の整備を進めている例が示され、体制整備に向けて動き出しやすくなる必要があると考えております。また、重層的支援体制整備事業を実施していない自治体への支援とともに、実施自治体についても、支援する側がどのように困っているのか、調査分析し、支援する側への支援を実施する必要があると考えます。
こども・若者支援について、学校や福祉、就労などにつながっていない若者にアプローチするには、かなりの労力がかかると考えます。アウトリーチや信頼関係を築くまでのコミュニケーションなどを考えると、十分な人材を確保する必要があり、そのための財政支援も必要であると考えます。
過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組みについて、人口減少地域においては人材確保が難しくなることから、配置基準を柔軟化することは一定、理解いたします。しかし、それによって人口減少地域において支援している方に負担がかかることがないよう注意が必要であると考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
地域共生社会の実現、包括的な支援体制整備に向けた対応においては、連携・協働の強化は欠かすことができない視点であると考えます。特に、地域住民同士が支え合う地域づくりの視点は、ライフスタイルや価値観の多様化を前提とした現代社会においては、理念や概念として共通認識を高めていくという、ここが住民一人一人が主体となって連携・協働を進める上で不可欠であると思っています。こうした理念や概念を通じた共通認識という視点からしますと、福祉教育の推進というものが一層重要となると考えますし、また、現状でも福祉教育は多くの地域福祉計画等に位置づけられておりますので、教育の場等が実践の主体となって、また包括的な支援体制における重要な連携・協働機関のパートナーであるということも改めて認識しているところです。
また、地域における多様な福祉教育や活動を実行していくために、今までの議論にもありましたけれども、推進役となるキーパーソンの存在というのは不可欠で、近年ではここに社会福祉法人が公益的な取組として、地域貢献活動を展開しているという点についても着目するという意義があると思っています。
社会福祉法人は、事業所が従来担っている制度サービスを超えて地域で活躍する事例が増えていますが、社会福祉法人のこういった公益的な取組を実施していくためには、先ほどの石踊委員等々の人材育成に関する意見と重なりますけれども、こうした活動をさらに広く実効性のあるものとして、福祉専門職者が住民主体の地域づくりというものはどのように行うのか。そして、どのように関わるのか。その専門的知識や技術を体系的に獲得できる仕組みというものが、今後の体制整備の一つとして人材育成とセットで考えていくということも重要であると考えています。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、杉浦参考人、お願いします。
○杉浦参考人 よろしくお願いします。
全国市長会から1つ要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。重層的支援体制整備事業に係る国の財政支援についてでございます。重層的支援体制整備事業につきましては、国は今年度、多機関協働事業等における交付基準額の減額を行うなど、補助に関して見直しが行われております。令和8年度の概算要求資料におきましても、令和8年度以降、事業開始から5年が経過した市町村に対する補助率を引き下げることや、同年度以降に事業を開始する市町村に対する交付基準額の見直しを行うなどといった内容が示されております。こうした補助の減少によりまして、既に事業を開始している市町村におきまして、持続的な事業運営に影響が生じることが懸念されております。
また、新しく事業を開始する市町村としては、交付基準額が減額の方向で見直された場合、十分な財政的裏づけが得られず、事業開始に影響が生じることを懸念しております。また、当事業を行う自治体数が年々増加しているところでございますが、仮に事業を実施する自治体数に対して国の予算額が十分でない場合、市町村に十分な補助が行き渡らず、事業運営に支障が生じる可能性もございます。こうした点を踏まえまして、既に事業を開始している自治体が事業を持続的に実施できるよう、また、これから事業を開始する自治体に対しましても十分な支援が行われるよう、財政支援の充実と強化を図っていただきたいと思います。
さらに、交付基準額の見直しなど、制度の変更が生じる場合には、その詳細につきまして、できるだけ早期に自治体へ的確な情報提供を行っていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お手をお挙げいただいた皆様には御発言いただいたところでございますが、追加で御意見あるいは新たに御意見おありの方がいらしたら、お示しいただきたいと思いますが、会場からは小笠原委員、谷村委員、沼尾委員、松原委員、井口委員ですね。進行上、できれば最初にお手をお挙げいただけると大変ありがたいということで、御協力お願いします。あとは、会場のほうはいかがですか。いらしたら挙手をお願いできればと思います。
それでは、井口委員からお願いします。
○井口委員 資料の27にもあるのですけれども、これから558の市町村は人口が半分になってくる。そういった中で、資料の14にもありますように、都道府県の支援というのはとても重要であるかなと思っております。今、私自身も事業者としての立場で関わっているところではあるのですけれども、自分たちがやっている小田原の隣の市町村とか、様々なところで社会資源が少なくなってきている。隣の市ではどういう活動をしているのか、市民レベルでなかなか分からないというところもあるので、こういったところで、先ほど基礎自治体同士で連携しながら研究していくなど、様々なセーフティネットを張っていくことが必要ではないかなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小笠原委員、お願いします。
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会の小笠原でございます。
13ページに地域住民等の支え合いというのがございますが、もちろんこちらで例が示されてあるとおり、居場所として、また交流の場をつくるということが重要になってまいりますが、実際、細いながらもつながりがある方々はそういう場に参加されるのですが、もともと孤立している方々がその場に参加するというのは、つながりがないので非常に難しいというふうに感じるところがございます。
そういう方々に対してアウトリーチする機能として、地域活動コーディネーターの機能というのがあるかと思いますが、そこに入り込むのが難しい中で、介護福祉士や訪問介護の事業というのは、介護ということをハブにして、その家庭の中に入り、つながりを持つという機能がございますので、相談機能というと、どうしてもソーシャルワーカー、社会福祉士というところがメインになってまいると思いますが、そういう孤立した方々の中に入っていく介護福祉士との相談や連携機能の強化・活用というところをぜひお考えいただきたいと思います。
もう一点、実際、孤立してしまうと、関わり、地域に出ていただくということが非常に難しくなってまいりますので、孤立する前の孤立予備軍と言っていいか分かりません。そういう生き方も1つの生き方で強制はできませんが、そういう方々が予備軍にいらっしゃるときに地域とどうつながりを持っていくかという予防機能も考える必要があるのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
谷村委員、お願いします。
○谷村委員 ありがとうございます。
今の小笠原委員のお話に続いてということになろうかと思いますが、先ほど鈴木委員が御指摘のとおり、社会福祉協議会、17ページに書かれる支援について、今、それぞれの場づくりということで実践しているところであります。私どもも重層的支援体制整備事業を受けているところでありますが、先ほど中村委員もお話がありましたが、社会福祉士そのものの役割の位置づけの整理ができていないのではないかというところと、先ほど小笠原委員がおっしゃっていた、介護福祉士も十分やれるので、その辺の役割の位置づけみたいなことを整理していただければ、我々がやっていること、自身の価値を感じながら推進できるのではないかと思っています。
それから、これは中村委員にもですが、社会福祉士の方は新卒で資格を取得してすぐに現場に出ても、実務面で十分に力を発揮するのは難しいというのが現状です。ですので、社会福祉施設で10年程度の実務経験を積んだうえで、いま一度、資格の取得に臨めるような仕組みが、より効率的かつ有効ではないかと感じております。
それと、論点から少し外れてしまうのですが、ちょっと御検討いただきたいのが、いわゆる財政支援の部分で、先ほど宮本先生がおっしゃった包括的な支援体制をどうつくるかという視点から考えて、結果的につながる、つなぐ場づくりをやっているというような状況であるわけですが、その「場」の話なのです。社会福祉施設の空きスペースを使ったり、そういう有効活用をしておりますけれども、「場」が必要な場合があるのです。その場合、公共の施設で古くなった、使わなくなったところ、よくある話ですけれども、例えば廃校になった小学校などの改修や施設整備等、そのようなものが支援いただけるような仕組みがあれば非常にありがたいと思っています。そういったところで今後御検討いただければありがたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。谷村委員の発言は、この枠組みから外れていると全然思いませんので、ありがとうございます。
それでは、沼尾委員、お願いいたします。
○沼尾委員 地域づくりと福祉という観点から2つ申し上げたいと思うのですけれども、福祉の制度で実際に課題があるからということで、制度上の相談窓口に乗れる人はいると思うのですけれども、その制度に乗る手前のところで課題があって、それをどういうふうに制度上の相談に乗せるかというところが、実はとても重要ではないかと思っています。
その仕組みを恐らくまちづくりのようなところで、民生委員さんが関わるとか、地域でこれはちょっと相談したほうがいいのではないかというところで、背中を押す機能のようなものをどういうふうにサポートするかというところが大事で、それは恐らく相談しやすい体制をつくるという福祉の側からの機能と、まちづくりの側から声をかけていくというところの組合せだと思うのですけれども、それをどういうふうにつくっていくのかというのは、包括的な支援ということを考える上でとても重要かなと思っています。
それから、もう一つは、そのときに出てくるそれぞれの世帯とか個人の情報の取扱いをどうするかという問題があって、コミュニティレベルでみんなが暗黙に知っているのだけれども、それがなかなか文字になっていないというところと、行政とか福祉のそれぞれの分野で持っている情報がばらばらだというところで、それをどういうふうに一元的に管理できるのか、あるいはその情報を共有できる仕組みをつくるのかというところが、行政でも現場でも非常に課題かと思いますので、その辺りの工夫について情報共有していくとか、どういう対応ができるのかを考えていくというところがとても大切ではないかと思いました。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 包括的な支援体制をつくるというときに、1人の人が様々な多様な福祉資格を持ちやすくするということが、これから人口が減っていく中で大変重要な点になってくると思います。これについては、大変時間がかかることなので、2040年に向けてというよりは、すぐにでも着手していかないと、実際に今、人口減少が進んでいる地域は大変困っておりますので、こうした取組は早急に必要ではないかと考えております。
あと、成年後見の件なのですけれども、例えば社会福祉法人というのは、非営利性も公益性も徹底している法人となっておりますので、こういうところが自分の利用者さんの後見人もなるというのは、今は利益相反になってなかなか難しいところがあるのですが、そこに第三者の目を入れることで、そうしたことも円滑にできるような体制づくり、応援・支援づくりというのも重要だと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。今、松原委員がおっしゃられた資格の共通化みたいな話は、全世代型社会保障構築会議の報告書の中に入っていたような気がするのですが、今、全社会議の動き自体が、政府のほうもいろいろございますので見えませんが、その点が入っていたなというのを今、松原委員のお話を伺いながら思い出した次第でございます。そういう大きな青写真の中に入っているということで進めていただければいいなと私も思いました。ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 失礼しました。日本知的障害者福祉協会の樋口です。
改めてですけれども、福祉サービスは出生前から児童期、青年・壮年期、そして老年期、みとりまで、人の生涯において、誰もがどこかで自分事になる身近なことが最大の特徴だと言えます。求められる地域における包括的支援体制を構築していく上では、まず、それぞれの分野の事業がその本来業務に多大な負担が生じない範囲で、柔軟に活用するということを考えていかないと、一気に新たな仕組みができるわけではありませんので、既存の施設・事業所の建物環境とか人材の活用という仕組みを考えることが、非常に現実的な方策になるのではないかと思っています。
特に、障害分野は、児童期から、先ほど言ったみとりの年代まで、居住支援や様々な就労系の事業所もあるわけですけれども、そうしたところも、高齢・福祉にも関わることですけれども、年代に関わりなく活用する方法は幾らでもあると思っております。今、始められることから始めるということでは、ぜひそういう柔軟な運用ができるような仕組みを早くつくっていかなければならないのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかに追加で、あるいは2回目でも結構ですが、御発言いただける方がいらしたら合図をいただければと思いますが、会場の方あるいはオンラインの方、いかがですか。
それでは、山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会 山下です。
先ほど報告させていただいた資料の3枚目に、再度、これは強くお話ししたいなと思っているのですけれども、社会福祉士の登録者は今、30万を超えているのです。それで、活動領域も俯瞰したところ、今までの高齢や障害や、そういった伝統的な権利擁護の領域以外にも、先ほどお話ししたような新たな分野で社会福祉士の採用というか、登録というか、仕事が始まっています。多文化共生、外国人支援とか司法分野、居住支援の連携、こどもの分野、様々な分野に広がってきています。
先ほどお話があったように、質の問題が確かにございます。それは社会福祉士会の中で、全国的にも研修制度をしっかりと充実させて、社会福祉士の質を上げていくことが大きな課題とは思っていますけれども、全国で30万人登録で活動しているということを、私たちは地域共生社会の在り方の中で位置づけを再度考えていきたいと思っておりますし、ぜひそういうことを考えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。様々な御意見、頂戴いたしまして、ありがとうございました。本日御議論いただいた中身につきましては、生活困窮のほか、高齢、障害、こどもといった各制度が連携し、地域全体であらゆる課題を抱えておられる住民の皆さんを支えるための体制整備を目指すものでございます。実は、午前中、介護保険部会がございまして、そちらでも2040検討会報告書をベースに質疑を開始したところでございます。障害、こどもといった各分野に関わる審議会でも議論が行われるものと思います。
もちろん、我々としては、この福祉部会でしっかり議論してまいるところでございますが、とりわけ事務局におかれましては、地域共生社会の実現に向けて各分野が連携して、縦割りではなく、関わっていくということでございますので、今後の議論に向けて、それぞれの連携といいますか、場合によっては情報共有等を含めて御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、「身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応について」を議題といたします。こちらの議題については、前回ヒアリング内容やヒアリングに関する皆様の御意見につきましても、事務局において資料としてまとめていただいています。そこで、まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
○占部成年後見制度利用促進室長 事務局でございます。成年後見制度利用促進室長でございます。資料2に沿って順次御説明させていただきます。
まず、これまでの経緯とか背景につきまして、3ページで第二期成年後見制度利用促進基本計画における権利擁護支援に関する記述とか、4ページですけれども、単身高齢世帯の増加がこれから見込まれるということ。それから、5ページ及び6ページにおきまして、政府文書の記載についてお示ししております。
7ページは、前回御報告した地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめですけれども、身寄りのない高齢者等への対応につきまして、相談支援機能を強化するということですとか、日常生活支援、入院入所手続支援、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業を新設するということ。それから、成年後見制度の見直しへの対応として、いわゆる中核機関の名称も含めた法定化という方向性を示してございます。
8ページと9ページにつきましては、前回の本部会におけるヒアリングの概要をまとめてございます。モデル事業の実施に当たっての課題ですとか、現在の日自事業における課題、あるいは新たな事業をどういう位置づけのものとして考えるのか等々、御意見をいただいたところでございます。
こういった御意見も踏まえまして、身寄りのない高齢者等への支援とか、権利擁護支援についての地域の支援体制の全体像について整理したものが10ページのイメージ図でございます。
右側が判断能力の不十分な方の権利擁護ということで、従来から成年後見制度利用促進基本計画などでお示ししておりますとおり、市町村が設置する中核機関を中心とした地域連携ネットワークを構築いたしまして、チーム支援の形成を図ってきたところでございます。
これに加え、身寄りのない高齢者等への支援につきまして、地域における支援体制を考えるに当たっては、市町村が運営する既存の相談支援体制の中で、身寄りのない方の相談を受け止めつつ、必要な支援へのつなぎを行うとともに、関係者の参画の下で必要な地域資源の開発を行っていく。その際に、身寄りのない方の支援につきまして、現在でも地域における互助的な支援とか、あるいは民間サービスとしての高齢者等終身サポート事業などが存在するわけですけれども、こうした民間サービスの利用が難しい方も含めまして、地域における支援ニーズに対応する資源を充実させるという観点から、今般、いわゆる新たな第二種事業について検討したいということでございます。
続いて、12ページ以降がいわゆる新たな事業についてでございます。
12ページの現状・課題のところでございますけれども、現在、社会福祉協議会で実施している日常生活自立支援事業の利用者数とか体制の現状について記載してございます。新たな第二種事業の検討に当たりましては、現行の日自事業の実施体制等についても勘案する必要があると記載してございます。
14ページから論点でございます。新たな事業について、まず、事業の趣旨ですが、現行の日自事業が対象としている判断能力が不十分な方に加えまして、頼れる身寄りがいない高齢者等を対象としつつ、資力が十分でない方が利用できるよう、いわゆる無低事業としてはどうかということでございます。
また、対象者として、特に身寄りがいないということに関しましては、家族・親族関係が多様であるということを踏まえれば、一律に身寄りがある方を対象外とすることはできないのではないかということについてお示ししております。
また、無低事業の要件といたしまして、3番でございますけれども、一定割合以上、無料または低額で利用できるようにすることとしてはどうか。また、無料または低額で利用できる要件につきましては、所得に加えて資産も含めて設定することが考えられないかということを記載してございます。
続いて、15ページが事業の内容でございます。現在の日自事業で実施している日常生活支援に加えまして、先ほどから出ております入院・入所等の手続支援と死後事務支援の少なくとも一方を実施することとしてはどうかとしてございます。
続いて、16ページでございますけれども、現在の日自事業と同様に、契約に基づく事業であるということと、それから、利用料につきましては、原則として利用者の方に御負担いただき、要件を満たす方につきましては減免するということ。ただし、葬儀・納骨・家財処分等の実費相当につきましては、利用者負担とするということについて記載してございます。
また、第二種社会福祉事業でございますので、実施主体に制限を設けないということと、都道府県知事への届出制であること等について記載してございます。
最後に、現在の日自事業と同様に、社会福祉協議会においてあまねく事業を実施するという場合につきましては、都道府県社協・指定都市社協において事業の実施を行うことが想定されるといったことについて記載してございます。
以上が新たな事業についてでございます。
続きまして、22ページをお願いいたします。身寄りのない高齢者等の支援策といたしまして、これまでの第二種社会福祉事業に加えまして、相談窓口の在り方につきまして、既存の支援体制の枠組みの中で受け止めるという旨を中間とりまとめの中で整理しているところでございます。
これを踏まえまして、生活困窮者自立支援制度の中での対応につきまして、論点として自立相談支援機関において相談を受け止め、体制の確保に必要な措置を講じること。また、身寄りのない生活困窮者につきまして、地域居住支援事業の対象者として法律上位置づけること等について記載してございます。
最後に、いわゆる中核機関の位置づけについてでございます。24ページをお開きいただければと思います。第二期成年後見制度利用促進基本計画におきまして、成年後見制度の見直しに対応して中核機関の位置づけ等についても検討を行い、所要の措置を講じるということを記載されておるところでございます。
このため、現状では法的根拠がない中核機関の位置づけ等に係る対応について、26ページ以降で論点としてお示ししてございます。
1点目として、今後、家庭裁判所から後見人等の選任・交代・終了の判断に当たっての意見が求められた場合の対応について記載してございます。
それから、2点目として、現在の権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能等につきまして、市町村業務として制度上位置づけることについて記載してございます。
続いて、27ページですけれども、いわゆる中核機関につきまして、権利擁護支援推進センターという名称として市町村が設置することができるものとするとともに、職員の守秘義務を明確にすること。
それから、個別事案に係る会議体の設置についても、制度上位置づけること等について記載させていただいてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問などお願いいたします。先ほどの議題と同様で、大変恐縮でございますが、御意見、御質問につきましては、2分半を経過した時点でベルを鳴らさせていただきますので、3分以内でおまとめいただけますとありがたく存じます。
それでは、会場から、先ほどと逆の順番で、谷村委員から吉田委員までの皆様から、ちょっとお手をお挙げいただけますと幸いです。谷村委員、鳥田委員、堀田委員、山下委員、吉田委員ですね。ありがとうございます。
谷村委員からお願いいたします。
○谷村委員 全国社会福祉法人経営者協議会としても、この事業に対しては前向きにやっていこうと思います。ただ、利益相反みたいなことを後で指摘されるようなことのないように、若干の課題も整理させていただいているので、改めてまた事務局とも細かい議論をさせていただいて、ここで発言させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
無低ということであれば、さらに第二種社会福祉事業であったとしても、社会福祉法24条2項の「地域における公益的な取組」だと思っていますので、その位置づけで我々、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。社協とともに連携しながら進めていく事業ではないかと位置づけています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
鳥田委員、お願いします。
○鳥田委員 ありがとうございます。
私のほうからは、1枚物で意見を出させていただいているので、それを御覧いただきながら説明させていただきたいと思います。
地域共生社会の在り方検討会議の中間まとめにおいて、日常生活自立支援事業の拡充ということで、この身寄りのない高齢者等への対応ということが出されておりました。これに関しまして、関東ブロックの社会福祉協議会で議論したのですけれども、19の都道府県・政令市社協から様々な不安などの声が出てきまして、それに基づいた御説明でございます。社協としましても、身寄りのない高齢者の対応はとても大切な事業だと思っておりますし、社会的な非常に大きな課題であるという認識とともに、また利用者の方が利益になるように、この制度をつくっていかなければいけないということも考えまして、1から5までの5つの点を申し上げたいと思います。
まず、1番でございまして、身寄りのない高齢者等への対応は、福祉の領域を超えた多様な主体によって取り組むべき課題であることを前提に検討する必要があるということでございまして、この対応なのですけれども、皆さん、御案内のように、医療とか住まいとか民事法に係る領域とか消費者保護に係る領域など、様々なものがあるというふうに認識してございますので、そういった主体が一緒になって支援することが大切なのではないかということでございます。
2番目でございますが、福祉における身寄りのない高齢者等への対応は、権利擁護支援体制の一環として取り組むべき課題であることから、市町村を主体としながら、都道府県及び市区町村の実情に応じた支援体制を構築するよう検討する必要があるということでございますが、1のこととつながるのですけれども、この支援は地域住民の基本的権利を守るという性格が強うございます。かつ、医療や住まい、戸籍など、幅広いチームも関わっていることでございまして、そういったところに責任を大きく持つ市区町村が実施主体となり、責任を明確して都道府県も加わる仕組みがいいのではないかと思っております。
3番目でございます。身寄りのない高齢者等への対応は、現行の日自事業の支援の対象や支援内容が異なり、また事業実施に民事法等、高度な知識や専門性が求められることから、日自事業とは別な新たな枠組みの実施も含めて検討する必要があるということでございます。また、この説明ですが、入院・入所の手続とか死後事務の手続は、サービスを大幅に拡大してございます。また、対象の方も判断能力不十分な方とか身寄りのない高齢者というのは、対象も大幅に増えているという認識でございます。求められる専門性も非常に高くなることから、一時利用ということも含めて結構なのですが、新たな枠組みもひとつ御検討いただけたらなと思います。
あと、身寄りのない高齢者等が適切に支援を受けることができるように、高齢者等の終身サポート事業を実施する民間業者に対する、都道府県や市町村におけるチェック体制の構築で、これは事業実施と違ってチェックするほうでございますが、社協では運適という事業をやっておりまして、そうした視点からのお話でございます。今後、多くの民間事業者の参入が見込まれまして、報道でもこういったことが多くの課題だというふうに言われております。チェック対象の構築や苦情体制の事業スキームも必要不可欠でございます。できるだけ事業者に近い市区町村あるいは自治体がチェックする体制が必要であると思っておりまして、事業団体の自主的な規制と併せて、そういったことを考えていただきたいなと思います。
なお、第二種社会福祉事業の位置づけは、都道府県の運営適正化委員会を、先ほど申し上げましたように社協として実施してございまして、適正化に関しては社協以外の民間事業者を含めた苦情を受け付けることになるのですけれども、高度な専門性を有することから相当なボリュームが予想されるというに考えておりまして、都道府県社協の運営適正化委員会では限界があるのではないかと思われます。
最後でございます。今後の検討に当たっては、都道府県や市区町村の関わりも含めて、社会福祉協議会へのヒアリング等によって、実態把握や意見聴取を引き続き丁寧に行う必要があるということでございまして、この制度構築に当たりまして、引き続き、特に市区町村、加えまして都道府県などの行政もちゃんとこの議論に入れて制度を構築していただけたらと思います。
すみません、長くなりましたが、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、堀田委員、お願いします。
○堀田委員 ありがとうございます。
新たな事業について、14ページから16ページにかけての中核機関について申し上げたいと思います。
まず、14ページの対象者のところですけれども、※印にもありますが、実質的な支援の可否というものを判断する柔軟性が、身寄りがいないということを考えるときに欠かせないのではないかなと思います。これが1点目です。
それから、次の15から16ページにかけてですけれども、まず、この事業内容のところで一体として支援する意義というのは極めて大きいと思いますが、今、鳥田委員からもお話がありましたけれども、これを一体的にやっていくということになりますと、信頼関係をチームとして構築して情報や知見を共有しながら進めていくこと。それから、死後事務のことまで含めますと、継続的な伴走支援が求められるということを前提とした事業費あるいは仕組みということが重要になってくるのではないかと思います。
そして、それに関連して、16ページ、実施主体のところですけれども、これはもともと10ページの資料を拝見してもそういう想定かと思いますが、新たな事業の実施主体については、社協さんはもちろんのことですが、居住支援法人とか地域包括支援センター、そして特に地域密着型の介護保険のサービス事業所、介護事業所連絡会といったところがネットワーク型で実施するといった形をきちんと明確に示していくということが、モデルとしても重要になってくるのではないかなと思います。
そして、中核機関についてですけれども、26ページ以降のところですが、これが法的な根拠をきちんとということは大変重要ではないかと思っています。一方で、少し気になりますのは、コーディネートが前面に打ち出されているということになっていますけれども、実際には結構緊急性を要するようなこともあったりすると思います。そういったときに、コーディネートの機能だけでいいのか、屋根があって、寝るところがあって、食があって、お風呂があってという具体的な支援みたいなものは、ここには必要ないのかというような観点から、この有すべき機能というものについては、もう少し議論する余地もあるのではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
山下委員、お願いします。
○山下委員 日本社会福祉士会 山下です。
身寄りのない高齢者の関係ですけれども、本日の資料でも10ページのイメージ図とか、かなり具体的な話になってきておりますけれども、とにかく第二種社会福祉事業として法に位置づけて、多様な自治体が参加できるというような方向性については支持しております。ただし、日本社会福祉士会としてこだわっているのが、この「身寄りのない高齢者」という表現なのです。どうもここが気になっていてしようがないのです。身寄りがあるないということではなくて、身寄りがないということが問題になる社会構造上の問題でありますし、身寄りがないというよりも、社会的に孤立している高齢者への支援ではないかと思っています。
最近の新聞・マスコミ報道の中でも孤独死の数が出ておりましたけれども、孤立しているというところで亡くなっている。死後1週間で発見ということがありますし、そういうように名称が全体を表す言葉なので非常に気になっているので、そこについて御検討いただければと思います。
中核機関の位置づけについてですけれども、2つ目の○にありますように、市町村の業務と関係機関のコーディネートを行うという中核機関に、法制上明確な位置づけを与えるということが欠かせないものと考えています。
それから、私どもの調査研究事業の中でも、中核機関の役割を果たすためには、ソーシャルワーク機能の発揮が必要だということが明確になっております。
次のページになりますけれども、これももう一つ、私どもが非常にこだわっている点として、中核機関の法律上の名称なのですけれども、権利擁護支援推進センターという形で提案されておりますけれども、中核機関ということで、この間進められてきましたので、私どもとしてはこの中核機関という言葉を含めた名称をぜひ検討していただきたいと思っております。非常に長くなることも含めてですけれども、中核機関という言葉は非常になじみがありますし、ここで表していることもありますので、そこは検討をお願いしたいと思っています。
それから、成年後見の関係で最後に1点だけ申し上げますけれども、私たちは、この前、パブコメでも出しましたけれども、成年後見制度の利用の終了を見据えた関わりが必要だというふうに考えております。例えば、最後のところにありますけれども、虐待対応で法定後見が始まったということであったとしても、その虐待対応が解決した場合も、そのまま非常に強い介入が継続するという今の制度になっています。そうではなくて、虐待といったものが改善された後、本人の同意と必要性の判断に基づいて法定後見制度の利用を考えるべきではないかと思っておりますし、そういう意見を出しております。
それから、今回の成年後見制度の見直しは、高齢者虐待防止法とか障害者虐待防止法とか、様々な法律に影響してくると思いますので、ぜひ福祉部会の中でも検討していただければと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。成年後見制度そのものは、民法改正について、法制審のほうで議論いただいているところでございますが、必要に応じて、こちらでも議論をお伝えいただければと思います。
では、吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 吉田です。
今回の2040年に向けて社会的な課題の見通しを見ますと、この対象者が拡大されていく、緩和されていくということは、大変歓迎されるべきことの認識を改めてお示ししたいと思います。2点意見をさせていただきまして、1点質問させてください。
まず、意見ですけれども、今回の対象になっている事業の内容、例えば入院・入所等の手続の支援、あるいは死後事務の支援、それに、もともとの日常生活支援というのがあると思うのですけれども、地域福祉の推進をやっていくという大前提がある中で、どうしても行政ベースで、あるいは社会福祉法人法の中で推進していくと、あたかも公共サービス化していくというような懸念も少し考えられます。これから2040年に向けて、当然こういった事例を抱える高齢者等が増えていくわけです。その中で、住民の中で、こういうのは行政がやる仕事なのだというような誤解を生むようであれば、かえって地域福祉の推進というところに対しては、少し阻害的になるのではないかなというような気がいたします。
法令上で、ここに書いてある要件というものが、住民ができない、それをやってしまうと法令に触れるのだということであれば、きちんと公と民で分けてやるべきですけれども、そうでないような内容も結構入っているわけですから、これは自治体がやるのだ、あるいは社会福祉法人がやるべきものなのだというような誤解を生まないような進め方というのは、極めて重要なのだろうと思っております。
もう一つ、次は運用面でございます。運用の話になりますので、先の話だと思いますが、当然、入院・入所等の手続とか死後のということになると、いつ起こるか分からない。では、それを実際に運用する立場の事業者側からすると、それを24時間構えておくのだろうかということは、心理的にも大変ストレスでありましょうし、人員体制を強化していくといことでも、人が減っていきますから限界がある。果たして、この辺りをどうやってクリアしていくのかというところは、論点としてお持ちになっていただければと思っております。
最後、質問でございます。16ページの8ポツのチェック体制であります。罰則の適用もあるということになってまいります。ここがどこまで罰則という範囲を考えておられるのかという、現状のところでちょっと御見解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
御質問につきまして、事務局からお願いします。
○占部成年後見制度利用促進室長 御指摘の点ですけれども、新たな事業については、第二種社会福祉事業として位置づけることを想定しているわけですが、事業の監視体制としては、通常の二種事業に対する場合と同様で、都道府県知事が必要と認める事項を報告させ、あるいは帳簿・書類等を検査するような調査を行うことができますし、事業に関して、不当に営利を図るといった場合については、都道府県知事が事業の制限、もしくは停止を命じるということになります。
基本的には、こういう規制の中で見ていくということですけれども、この新たな事業については、実施主体ごとに事業運営に関して適正な運営の確保をしっかり図っていくという必要があると思いますので、こういった実施主体ごとの具体的な運営・監視体制の在り方については、今後の検討課題として考えてございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、会場、逆サイドの皆様からお手をお挙げいただきたいと思います。井口委員、石踊委員、鏑木委員でよろしいですか。
それでは、井口委員からお願いします。
○井口委員 先ほどの鳥田委員から提案されたこと、おおむね僕もそのとおりだなと思っているのですけれども、基本的には社協を中心としながら、多分、需要と供給の数でいうと、これからどんどん増えてくるのではないかなと思うところでございますので、第二種社会福祉事業でもあるので、社会福祉法人、先ほど松原委員からもありましたけれども、公益性の高い社会福祉法人もここに参加していったらどうなのかなと思っているところでございます。
今日、午前中、東京都のある区の民生委員さんたちが20人ぐらい、うちのほうに見学しに来られたのですけれども、孤立している高齢者が非常に多い。孤独死の問題もありますということでもあるので、かなりこれからこういうケースが増えてくると思うので、そういったところでサポートする体制とともに、私人の権利にも関わってくるところでもあるので、身元保証会社も今どんどん増えていく中で、しっかりとしたチェック体制が必要ではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
石踊委員、お願いします。
○石踊委員 ありがとうございます。
新たな第二種社会福祉事業につきまして、いろいろと御意見があるのですけれども、私のほうからも3点ほどお話しさせていただきたいと思います。
まず、第1点は、特別養護老人ホームなどの施設におきましては、日常的な金銭管理や福祉サービスなどの利用支援も行っているわけでございます。その意味で、この事業につきましても地域貢献事業の一環としてやるべき事業だというふうに認識しております。ただ、実施事業として、特に死後事務につきましては、相続などの法的な問題も発生する可能性がありますので、今後、専門的な対応をいかにするかということを検討すべきじゃないかというふうに考えております。
2点目でございますが、資料の14ページにありますが、利用に対して資産要件の設定については、資産要件に該当して支援が必要な方が利用できないことがないように、身体状況への配慮も含めて検討していただければと思っております。それと、利用料金につきましては、原則利用者負担ということになっておりますが、各実施主体において設定されるということでございますけれども、高額にならないように、ある程度上限の規制も必要ではないかと考えております。
3点目でございますが、事業の実施主体につきまして制限は設けないとされておりますが、判断能力が不十分で身寄りのない高齢者・単身世帯に対し、金銭管理あるいは重要な契約、あるいは意思決定をサポートする事業を委ねるというのに、行政の届出だけでは非常に不安に感じております。しっかりしていない事業者は届出を受理しない、あるいは改善指導を行うなど、一定の行政の関与は必要ではないかと考えております。事業内容として、入院・入所等の手続支援、あるいは死後事務が加わることを踏まえると、本当に専門性や倫理性を兼ね備えていることはもちろんのこと、人員配置や経営基盤という体制面での事前のチェックも非常に必要かなと考えております。
私のほうから以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。届出を受け付けないのは、行政手続法上どうなのか、どう対応するかという重要な御指摘だと受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
鏑木委員、お願いします。
○鏑木委員 ありがとうございます。
前回の部会の中でも申し上げたのですけれども、身寄りのない高齢者等への対応というのは、社福法の106条の3に規定される包括的な支援体制の中で推進していくことが重要であり、鳥田委員がおっしゃったように、福祉を超えた多様な主体が参画して、長期的・伴走的な関わりができるような体制の中で対応していくということが重要であるというふうに考えます。
また、身寄りのない高齢者等への対応の中でも、これまでも皆様からもあるように、死後事務とか医療や司法あるいは民間事業者との連携も求められるということを踏まえますと、市町村や都道府県の役割を明確化するということも重要であると考えます。
この2点に関して、社会福祉法上に明文化していただくということをぜひ御検討いただきたいです。
また、事務局資料の中で、新たな事業の事業内容は、日常生活支援に加えて、入院・入所の手続支援、死後事務支援の少なくとも一方を実施することとしてはどうかとございますけれども、現行の日自のスキームでいくと、都道府県社協がどれを選択するかによって、基幹的社協の実施範囲が決まるという運用になることが想定されます。基幹的社協の主体性や意向も反映されるように、柔軟な運用方法ということも併せて御検討いただきたいです。
私から以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインから高橋参考人、お願いいたします。
○高橋(淳)参考人 群馬県庁の高橋です。
私からは2点御意見を申し上げたいと思います。
身寄りのない高齢者等への対応についての新たな事業でございますけれども、この事業については、前回のヒアリングにおいても、社協が担い手になることへの負担、人材育成とか業務負担の懸念が出されたというふうに記憶しています。恐らく全国の自治体・社協も同様の考えを持つと思いますので、実施に当たっては、ぜひ丁寧な説明とか十分な検討期間を設けていただきたいというのが1点目の要望です。
そして、もう一点、同じく新たな事業の関係で、入院・退院の手続とか死後事務の支援について、現在必要とされている手続の仕組みを前提として、新たに担い手のところを考えていると思うのですけれども、先ほど申し上げた負担というところでいくと、そもそも現在の仕組みの中で必要な事務はどの範囲なのかというところも考えなければいけないのかなというふうに思います。これは行政だけではなくて、病院とか施設とか、いろいろなところが関係してくるので、一朝一夕にはいかないと思うのですが、そこの部分も併せて、ぜひ取り組んでいきたい。我々がやる部分もありますので、取り組んでいければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
資料の42ページにヒアリング結果といたしまして、死後事務支援には法的知識が必要なため、法的なサポート体制が必要とあります。前回の部会でも、枚方市社協の方が行政書士からアドバイスをいただいているとの話がありました。今後も単身世帯の高齢者の利用は増加すると予想されることから、入院・入所等の手続支援や死後事務の業務負担をできるだけ軽減する必要があり、法的なサポート体制の整備について、新たな事業を実施する実施主体に任せるのではなく、国や自治体が支援する必要があるのではないかと考えております。
次に、生活困窮者自立支援制度における対応について、身寄りのない生活困窮者を対象として位置づけることには賛成いたします。安心して暮らせるためには、住居の確保は必要不可欠であり、住宅確保給付金の支給要件の緩和や支給期間の延長についても検討すべきであるというふうに考えております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護福祉士会の及川でございます。
新たな事業のところでございますが、論点には明確に位置づけられておりませんが、12ページの現状・課題の下から2つ目の○に、日自事業を支える専門員や生活支援員の充足状況に課題を感じている社協も見受けられる状況であるという旨の記載があることを踏まえて意見を申し上げたいと思います。今後、新たな事業を展開するに当たり、意思決定の支援を担う人材としては、本人の意思を尊重し、その利益を代弁するという権利擁護に関する知見を有するだけでなく、認知症のある高齢者や障害者等への支援に関する十分な経験がある人材であることが重要であると考えます。その際、地域には介護現場をリタイアした介護福祉士をはじめとする福祉専門職が少なくないと考えております。そういった人材の知見を活用することが重要だと考えます。
なお、新事業の枠組み案のうち、16ページにあります7.実施主体について。事業の実施主体に条件は設けないとありますが、ほかの委員の方からも意見がありましたとおり、対象者となる方のことを考えると、一定の要件を持っている必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
杉浦参考人、お願いします。
○杉浦参考人 それでは、高橋参考人の要望とも少し関連する部分もありますが、全国市長会のほうから1点要望させていただきたいと思います。
中核機関の位置づけとの関係で、資料2の26ページの①にあります家庭裁判所からの意見照会についてですが、現状では意見照会の頻度やボリューム等、その全容は不透明な状況でございまして、市町村の人的な資源や保有する情報といったものには限りがございます。そういった中で、体制や応答能力に見合った制度になるかどうかが懸念されるところでございます。このため、制度化に当たりましては、照会の基準等を明確なものにしていただくとともに、制度だけが先行して、自治体に過度な負担が生じてしまうというようなことがないように、また市町村の体制や応答能力を踏まえまして、その実現可能性についても十分に検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
お手を挙げていただいた皆様からは、一わたり御発言いただけたかと思いますが、さらに追加で、二度目でも結構ですが、発言いただける方、いらしたら合図いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
沼尾委員、どうぞ。
○沼尾委員 10ページに市町村単位での支援体制のイメージというのがあるのですけれども、現行の日常生活支援事業を見ていましても、社協さんで割とうまくやれているところというのは、社協がそれぞれのコミュニティとうまくネットワークを構築していて、そこから適切に情報を取ってくるとか、そういうつながりが地域でつくれているところ、あるいはそのような仕組みが取れているところだと思うのですね。
その辺りも含めて、この図には「地域資源」ということで、事業とともに互助の支援とか民生委員の支援などが入っているのですが、どこまでが制度で、どこまでが地域資源なのかというところが非常に難しいところかなと思うのですけれども、この図で「地域資源」というふうに入っているものを、うまく制度として当てはめていくときに、どういうつながり方があるのかということを、例えばうまくいっている地域をモデルケースとして何か紹介していただくとか、そういったことも含めて、どういう工夫があることで、うまく支援につながっているのかというのが把握できるようなことをやっていただきたいと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御質問ではないのですが、今の沼尾委員の御発言を受けて、事務局で考えていることとか、そういうものがあれば、御発言できる部分があれば御発言いただけるといいかなと思ったのですけれども、どうでしょう。
○占部成年後見制度利用促進室長 ありがとうございます。
10ページの図につきましては、今回の議論の前提として、地域の身寄りのない方を支える体制について、どのように考えるかということについて、個別の事業についての議論に先立って、まず全体像を整理する必要があるかなと思って、お示ししてございます。
今、御指摘のあった、地域の中でどのような形で、あるいはどのような支援を組み合わせて対応していくのかということにつきましては、今、ここに書いているものについては、あくまでこういう支援に活用できるものとして、どういうものが想定されるかというのを一旦書き出してみたということですけれども、実際に現場において、どういう形で既に対応しているのかということも含めまして、今後、そこの部分については、実際にこの事業を実施するに当たっても非常に重要な部分だと思いますので、よく整理させていただきたいと考えてございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。このポンチ絵は今回初めてお出しいただいたもので、なかなか複雑というか、立体的というか、重層的というか、どう理解していけばいいのかということがあって、その意味で沼尾委員から御発言いただけてよかったなと思ってございます。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
今回、2時間半の枠を取って、十分御議論いただけるようにということで事務局と話しておったのですが、その反面、あらかじめ時間設定ということで御協力いただくということで、ちょっと申し訳ない部分もございました。結果的には大分時間を残すような形になって、皆様の御協力に深く感謝申し上げる次第でございますが、本日の議論を通じまして、さらに言い残した、あるいは気づいた等、御発言ございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、則武委員からお願いいたします。
○則武委員 全国児童養護施設協議会の則武です。よろしくお願いします。
包括的な支援体制の整備ということで、とても期待しているところです。私のほうからは、この中のこども・若者支援というところから少しお話しさせていただきたいと思います。皆さん、今、児童養護施設でどんなことが起こっているかというのは、あまり御存じないと思うのですけれども、リスク対応というような、児童相談所のアセスメントがリスクアセスメントに少し偏っているような実感を持っております。どういうことかというと、児童虐待等が家庭であったときに、それを見つけることがなかなかできないのですけれども、何とか家庭でやれている間は家庭でというような感じで、なかなか社会的養護のほうにつながってこないということが起こっています。
その間に、もし命の危険があるというような判断が出た場合には、児童相談所を通じて施設等に措置されるわけですけれども、そうじゃない場合は、こどもがその劣悪な環境の中でずっと我慢して、我慢して、最近は中学生ぐらいになって、こども本人が、家で生活するのはもう無理だということを学校とかお友達の親御さんとかに訴えて、やっとつながってくるというようなことが起こっています。
申し上げたいのは、この包括的な支援体制のほうが、リスクとか何かが起こったときに対応するというような整備の仕方ではなくて、今日、お話があったような地域づくり、このまちをどうしていくかという、ある意味前向きな考え方の下に、このまちで暮らすこどもはこのようにあってほしい、こういう生活をしてほしいというような考えから、こどもたちをサポートする体制。ある意味、予防というか、そちらのほうにもうちょっと重点を置いた体制をつくっていただきたいなと思っています。
もう一点、ちょっとお伺いしたいのは、こども・若者支援というふうに今回、入れていただいているのですけれども、この若者というところです。日本の社会の中で、ハイティーンの15歳以上のこどもたちへの支援というのはなかなか整っていないのが現状で、これを早急にやらないといけないという事実があるのです。例えば、私どもが勤めている児童養護施設を出たこどもたちを支援するのもそうなのですけれども、高校に進学する子が多いのですけれども、高校を中退するこどもたちも最近多くて、学校につながっていない若者が社会から孤立していく現状。あるいは、ひきこもっていくこどもたちを、誰がどういうふうに支援していくかというところが、支援としての仕組みがなかなかできていないというところです。
ですので、この若者支援というのはぜひやっていただきたいのですけれども、どこが音頭を取って、リードして、これをやっていくのか。厚生労働省さんなのか、こども家庭庁さんなのかとか、包括的なので省庁を超えてということだと思うのですけれども、若者支援をどこがやっていくかというところを少し明確にしていただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。事務局からいかがでしょうか。
○南地域共生社会推進室長 ありがとうございます。事務局でございます。
若者支援につきましては、省庁がいろいろ関わってくる面もあると思いますが、御指摘いただいたように、15歳以上のところで支援が途切れてしまうというのは、私が担当している生活困窮の分野でもそういった御指摘を伺うことがあります。学習支援でも、15歳、中学校までは市町村である程度取り組んでいただくのですが、それ以降、実施されているケースが少ないということもあります。
1つは、制度内で18歳以降も含めて、生活困窮は特に年齢制限がございませんので、そういった意味では、こども期から関わっていた方の成人になって以降の支援も継続できる部分もありますので、そういった制度内での連携と、それから制度間という意味で、省庁を超えてこども家庭庁さんもありますし、場合によっては文科省さん等もあると思いますので、そういった省庁間の連携もより強化する。そこもなかなか十分できていない面もあるということで、検討会議でも御指摘いただいていると思っておりますので、具体の運用を含めて、これから関係省庁とも詰めていきますし、省庁横断的な課題については、省庁間でもまた協議させていただきながら進めていければと思っております。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○則武委員 ぜひ早めによろしくお願いします。
○菊池部会長 連携を誰が主導するかという問題もある。そういうことも含めて、しっかり御検討いただければと思います。施策の抜け落ちている部分でもありますね。
ほかにはいかがでしょうか。
高橋英治委員。
○高橋(英)委員 日本保育協会の高橋でございます。
保育がという話ではないのですけれども、個人的な地元のほうでというか、私のほうで自治会とかまちづくりの関係で関わっていたことがありますので、地域住民へという言葉がたくさん出てくるわけですけれども、今、どうなっているかどいうことだけ少しお話ししたいと思います。
我がほうは広島県福山市というところですけれども、約80の小学校単位でそれぞれ自治会があって、そこで数年前にはそれぞれの自治会で、それぞれの自治会での課題を出すために、まちづくり計画というのを全部つくるような施策をしまして、そこでそれぞれの自治会で、1つの小学校区の中に細分化して15ぐらいの地域があるのですけれども、それぞれ当然、課題が違うので、それぞれの計画をつくってPDCAサイクルを回していって、中長期計画から実施していきましょうということでやってきたのですけれどもね。
いかんせん、自治会も非常に弱体化しておりまして、役員のなり手がいない。なったとしても、変わってしまうと、それが全く続いていかない。一番これが如実に現れたのがコロナでございまして、あのコロナを経験した後がもっと大変になっているというのが実態でございます。民生委員さん、私も民生委員をやったことがありますけれども、先ほども民生委員の話がありましたが、民生委員に対する役割自体は昔から全然変わっていないのですけれども、働きながら民生委員をやっている方も非常に多くなっているのですが、実際、その働きながら前と同じことを求められても、民生委員は地域でそんな動きはできないというのが現実なのです。
今、弱体化している自治会と、様々、民生委員だけではなくて、福祉に関わる、例えば福祉を高める会とかボランティアの会が地域にはあるわけですけれども、そこも昔から同じようなやり方をやっていて、実は同じようなことをやっているのですけれども、違う組織で同じようなことをやってしまっていてダブっているとか、いろいろな課題があるのですけれども、昔から課題が全然変わっていかないことの大変さみたいなものがあって、役員のなり手がいない。その辺も併せて、自治会レベルでも少し考えていかなければいけませんけれども、行政と社協さんもあるかも分かりませんけれども、自治会とのうまいこと意思疎通がますます必要ではないかなというふうに思います。
すみません、全く保育とか、そういうことに関係ないのですけれども、一言実態を述べさせていただきました。
○菊池部会長 ありがとうございます。福祉を超えたところで、地域そのものの弱体化、脆弱化から考えなければいけない。まさに、ここでの課題そのものではないかと思います。ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。だんだん核心に迫ってきたような気もするのですが、よろしいですか。オンラインの皆様、よろしいですか。
それでは、樋口委員。
○樋口委員 意見というよりも、ちょっと御紹介なのですけれども、よろしいですか。京都府の社会福祉協議会では、平成26年度から、わっかプロジェクトという、正式には京都地域福祉創生事業というのが立ち上げられていて、福祉制度のはざまにある課題に対応するために、社協とそれぞれの社会福祉法人が協働で事業を行う。現在、42法人が参画して地域ニーズに沿った様々な活動を展開しております。わっかプロジェクトの趣旨は、地域における公益的な取組に当たり、こどもの居場所づくりや子育て支援を中心にという内容になっているのですけれども、非常にニーズの高さを感じます。
子ども食堂ということが基本なのですけれども、それを超えて、例えば私どもの法人でやっているのは、地域のアート教室を5~6年やらせてもらっているのですけれども、障害のこどもたちが対象というよりも、地域にあって、そういうアートの機会になかなか恵まれない。例えば、アートの学習塾に行くには学費や塾代が相当係るのです。そういうところで諦めているこどもたちもいらっしゃる。そういう中で、年々希望者が多くて、地域的にもこどもさんが多い地域なのですけれども、そういう取組があります。それぞれ拠出金があって、最大年間30万円、そういう活動に使えるということで、1つの試みとして、なかなか有効じゃないかなと思って紹介させていただきました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。大変興味深い貴重な取組を御紹介いただきました。
ほかにはいかがでしょうか。
質問ですか。
○鳥田委員 質問というか、要望というか。
○菊池部会長 鳥田委員。
○鳥田委員 私のところの東京都社会福祉協議会では、今、何回も出てきました民生・児童委員さんの事務局も結構やらせていただいて、この身寄りのない高齢者等への対応なのですけれども、民生・児童委員の皆さんもこのことには大変心を悩ませていらしたり、何とかしなければいけないという思いとかがある。ただ、民生児童委員の皆さんは、それぞれがある意味スタンドアロンで活躍されていたりする部分がありますので、一人一人で解決することがなかなかできないというところがあって、それをどうバックアップするかということに、この身寄りのない高齢者等への対応が重要になってくると思うので。
先ほど、どんな方たちも事業者として参加できるというお話だったのですけれども、民生・児童委員がそういうのを見つけたときに、つながりやすい事業者の方とか、実際現場でやっている方たちをどうサポートするかということも、制度をつくっていく上では十分お考えになってやっていただけたらなというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○菊池部会長 御意見ありがとうございます。生活困窮者自立支援及び生活保護部会は、民生委員代表の方が出ていらっしゃいましたね。そういった意味で、民生・児童委員の方々、地域を支える側の公的な役割を果たしてこられた皆さんの声というか、役割というか、そういったものを届けていただいたということで、大変貴重な御意見いただいたと思います。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
少し時間を残しておりますけれども、自由討論といいますか、その中でも非常に貴重な御意見を皆様からいただけたかなと思ってございます。どうもありがとうございます。
それでは、本日の審議については、ここで終了とさせていただきまして、次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○池上総務課長 次回の開催日時、開催場所につきましては、追って調整の上、御連絡させていただきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、本日の審議はこれにて終了とさせていただきます。大変お忙しい中、貴重な御意見賜りまして、誠にありがとうございました。




