2025年3月3日 薬事審議会 血液事業部会 議事録

日時

令和7年3月3日(月)16:00~

場所

厚生労働省専用第14会議室

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(1名)
  •  野口晴子

日本赤十字社 血液事業本部
行政機関出席者
  •  佐藤大作(大臣官房審議官)
  •  岩崎容子(血液対策課長) 他

議事

○岩崎血液対策課長 定刻となりましたので、ただいまから「薬事審議会令和6年度第2回血液事業部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、またお足元の悪い中御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度は、御参加いただく方の利便性等の観点から、Web併用での審議とさせていただきます。会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、委員の改選後、初めての会議となります。改選に伴いまして、本年1月27日開催の薬事審議会において、当部会に所属する委員の指名が行われ、委員の互選により、三谷委員が部会長に選出されております。また、部会長代理については、三谷部会長より田野﨑委員が御指名されておりますので、併せて御報告いたします。
 委員の交代がありましたので御紹介いたします。長村委員、野村委員、濵口委員、矢口委員が退任され、新たに横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学主任教授の伊藤秀一委員、関西医科大学医学部微生物学講座教授の大隈和委員、東京女子医科大学内科学講座血液内科学分野教授・基幹分野長の瀬尾幸子委員、名古屋市立大学大学院医学研究科救命救急医療学教授の松嶋麻子委員が御就任されております。
 次に、委員の出欠状況です。野口委員からは御欠席との御連絡を頂いております。髙橋委員が遅れての御参画となります。本日の部会は、現時点で委員20名中18名に出席いただいており、定足数に達しておりますので、薬事審議会令第8条により、本部会が成立いたしましたことを御報告申し上げます。また、本日は、日本赤十字社血液事業本部から、藤田経営企画部部長、早坂経営企画部次長、後藤技術部次長にお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお、佐藤審議官は、本日は公務のため遅れての参加を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○金子課長補佐 続きまして、本日は改選後の初めての会議ですので、委員の皆様に御留意いただきたい事項について2点御説明いたします。第一に、守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。委員の皆様は非常勤の国家公務員としてこの規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願い申し上げます。第二に、薬事に関する企業等との関係です。薬事審議会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。審議への中立性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、又は任期中に該当することになった場合には、速やかに事務局に御連絡を頂くようお願いを申し上げます。なお、ただいま御説明した薬事審議会規程第11条につきまして、全ての委員の皆様より、適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。
 また、薬事審議会審議参加規程に基づきまして、各委員の皆様の利益相反の確認を行いましたところ、伊藤委員、堺田委員、瀬尾委員、髙橋委員、田野﨑委員、松下委員、松嶋委員、松本委員、三谷委員、山内委員から関連企業より一定額の寄附金・契約金などの受取の報告をいただきましたので、御報告いたします。
 議題1に関しましては、松下委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。
 また、議題2に関しまして、松下委員につきましては500万円を超えた受取との報告を頂いておりますので、本規定に基づき、ロビーのほうで待機していただきます。伊藤委員、堺田委員、髙橋委員、松本委員、三谷委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万以下の受取であることから、特段の措置はありません。
 これらの申告につきましては、ホームページで公開させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上に、01の議事次第から06の資料3-2までのPDFファイルが表示されているか御確認をお願いいたします。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。
 本日はWeb併用での審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見や御質問がありましたら、挙手等によりお示しいただきますようお願いいたします。部会長から順に発言者を御指名いただきます。指名された方は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、議事録作成のため、まずはお名前を御発言ください。ノイズを減らすために御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度、皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはチャットにその旨のメッセージを御記入いただくよう、事務局又は部会長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、部会長より発言者を御指名いただきます。Web参加の皆様におかれましては、議事進行中に会場の音声が聞こえづらい状況が続き、審議参加に支障を来す場合には、チャット等でお知らせいただくようお願い申し上げます。
 それでは、まもなく議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
この後の進行につきましては、三谷部会長にお願いいたします。
○三谷部会長 それでは議題に入ります。議題1は「1.令和7年度の献血の受入れに関する計画(案)について(諮問)」です。本日は、令和7年度の計画案について、2月17日付けで厚生労働大臣から諮問がなされておりますので、本部会で審議したいと思います。それでは、事務局より資料の説明をお願いします。
○金子課長補佐 事務局です。それでは、議題1.「令和7年度の献血の受入れに関する計画(案)について(諮問)」を説明いたします。初めに事務局から概略について説明し、その後に日本赤十字社から内容について御説明をいただきます。
本計画は、いわゆる「献血受入計画」と呼ばれるものです。血液法の第11条に定められており、採血事業者である日本赤十字社は、血液法に定める基本方針や厚生労働省が定める献血推進計画に基づき、翌年度の献血により受け入れる血液の目標量、目標量を確保するために必要な措置、その他受入れに関する重要事項について計画を作成して厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされています。認可に当たりましては、薬事審議会の意見を聴くとされており、血液事業部会での審議となっています。また、作成に当たり、都道府県の区域を単位として計画を作成するため、各都道府県の意見を聴かなければならないとされています。
 それでは、資料1を御覧ください。表紙の次の1ページに、厚生労働大臣から審議会会長宛ての諮問書の写しが添付されています。続いて2ページが、日本赤十字社から厚生労働大臣宛てに、計画を提出する旨の文書です。
3ページからが、献血受入計画の案になります。こちらの内容は、昨年11月の第1回の本部会で御審議いただきました国の献血推進計画に沿った内容となっています。令和7年度に献血により受け入れる血液の目標量については、献血推進計画の献血により確保すべき血液の目標量と同様に合計224万リットルとしています。令和5年度の実績が224万リットルですので、確保可能な目標だと考えております。
 また、採血事業者が行う、献血者の利便性に配慮しつつ、安全で安心かつ効率的な採血を行うための取組が、ライフスタイルの多様化に対応するための取組であることを献血推進計画で明記しましたが、献血受入計画のほうにも同様に記載されています。なお、9ページには、輸血用血液製剤や原料血漿を確保するために必要な都道府県別の血液量、10~11ページには、献血により受け入れる血液の都道府県別の目標量が示されています。
 それでは、日本赤十字社から、内容について御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○日本赤十字社早坂経営企画部次長 日本赤十字社の早坂でございます。よろしくお願いいたします。それでは、私から、「令和7年度の献血の受入れに関する計画(案)」について説明させていただきます。本計画(案)については、20ページにあります、国の「令和7年度の献血の推進に関する計画(案)」に基づき作成させていただいております。また、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律及び同法施行規則に基づき、各都道府県と協議し、献血の受入計画と血液の目標量を確保するために必要な措置に関する事項及びその他献血の受入れに関する重要事項を定めたものです。13ページの別紙4には、各都道府県血液センターにおける主な取組が記載されていますので、後ほど御覧いただければと思います。
 それでは、3ページを御覧ください。「第1 令和7年度に献血により受け入れる血液の目標量」は、先ほども御説明がありましたが、全血献血で136万リットル、成分献血は血漿成分献血が59万リットル、血小板成分献血で29万リットルの合計224万リットルとなります。都道府県別の計画については、9ページの別紙1にあります「令和7年度都道府県別必要量」、10ページの別紙2-1の「令和7年度に献血により受け入れる血液の目標量」に示しております。
 3ページにお戻りいただき、「第2 献血をする者の募集その他の第1の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」については、1.献血受入体制で、安全かつ安心な献血の受入環境を保持するなど、継続した献血協力につながるよう、環境の整備を行ってまいります。また、2.献血受入のための施策については、(1)普及啓発活動の実施、アの国民全般を対象とした普及啓発、(ア)全国的なキャンペーン等の実施、4ページの(イ)企業等への献血推進対策、(ウ)複数回献血の推進、(エ)献血予約の推進に努めてまいります。
続きまして5ページです。イの若年層を対象とした普及啓発、(ア)普及啓発資材の作成及び活用、(イ)効果的な広報手段等を活用した取組、(ウ)献血セミナーの実施など学校等への献血の普及啓発、下段のマル1小学生、中学生を対象とした対策、マル2高校生を対象とした対策、マル3大学生を対象とした対策、さらには、ウの幼少期の子供とその親を対象とした普及啓発など、献血セミナーを含めた啓発に取り組んでまいります。
 6ページを御覧ください。(2)採血所の環境整備等、アの献血者が安心して献血できる環境の整備、イの献血者の利便性の向上、(ア)常設献血受入施設における対応、(イ)移動採血車における対応、(ウ)献血予約の推進等。
7ページに移りまして、「第3 その他献血の受入れに関する重要事項」としては、1.献血の受入れに際し、考慮すべき事項、(1)健康管理サービスの実施、(2)血液製剤の安全性を向上させるための対策、(3)まれな血液型の血液の確保、(4)献血者の意思を尊重した採血の実施、2.輸血用血液製剤の在庫管理と不足時の的確な対応、さらには、3.災害時等における危機管理、8ページに移りまして、4.効率的な原料血漿の確保、5.献血受入策の分析と評価。
このような内容を含めて、令和7年度の計画(案)としております。説明は以上です。よろしく御審議をお願いいたします。
○三谷部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問などございませんでしょうか。武田委員、お願いします。
○武田委員 よろしくお願いいたします。御説明いただきありがとうございました。計画(案)全体については、提出いただいたもので特に異論ないところです。献血の今の現状について、日本赤十字社のほうに二つ質問をさせていただきたいと思います。一つは、同意の取り方が昨年2月に変わって、というのも、国内自給と安定供給に支障のない範囲で、一部、血漿分画製剤の輸出をするということになって、それに伴って、献血者の皆様にも、そのことについて同意を頂くということで、もう1年ぐらいたっているかと思います。その間、このことで献血をやめられる方がいらっしゃったとか、そういったところを少しお話を聞かせていただきたいというのが1点目になります。
 もう1点は、これはごく直近のところになりますが、献血手帳等を今後発行しないとアナウンスをされたところかと思います。それに伴って、何か実際の献血の現場で、少し皆さんからの御意見であるとか、そういったことがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本赤十字社早坂経営企画部次長 ありがとうございます。まず、同意の件につきまして、約1年くらいたちますが、受付数自体が減っているということはありませんので、影響はなかったかなと。また、現場でいろいろ聞かれたというところも私の耳には入っておりませんので、献血者の皆様は受け入れていただいているのかなと思っております。
 献血手帳の件につきましては、来年1月を目途に献血アプリのほうに切替えということで、献血手帳の新たな発行・更新については行わないということにさせていただいております。献血者の中からは、大きなトラブルはありません。ただ、献血ができなくなるのではないかというような、若干誤解される方がございまして、その辺は丁寧に説明をするなどして、分かっていただくように努めております。今のところ、アプリ化が4割弱、それからWebの会員がもう8割を超えてきておりますので、進捗管理を進めながら、円滑な移行に切り替えてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○三谷部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見等がある委員の先生方はいらっしゃいますか。
ないようですので、それでは議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。なお、松下委員は議決には加われません。当部会として、令和7年度献血受入計画(案)について適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 議決につきましては、御異議はなかったと認めます。
本件については、薬事審議会における確認事項に基づき、当部会の議決をもって令和7年度献血受入計画(案)について適当であると認め、薬事審議会に報告することといたします。なお、その他の取扱いにつきましては、私に御一任を頂くということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、続いて、議題2に入ります。議題2は「令和7年度需給計画(案)について(諮問)」です。それでは、松下委員は御退席をお願いします。
――松下委員 退席――
○山本専門官 議題2について説明させていただきます。令和7年度需給計画に関しましては、昨年11月に開催された血液事業部会で原料血漿の標準価格を除く部分について御審議いただきましたが、今回は原料血漿の標準価格も含めた最終案となります。資料2の1ページが諮問書で、2~6ページが需給計画(案)の本体になります。需給計画は、血液法第26条の規定に基づき、翌年度の血液製剤の安定供給に関する計画を策定するものです。計画の内容は、令和6年度の需給計画と同様としておりまして、原料血漿の配分量や供給見込量等の数値を、令和7年度の計画値に置き換えております。
 3ページを御覧ください。血液法第26条第2項で規定されている、本計画で定めることとされている各事項につきまして、第1の需要見込量、第2の製造・輸入目標量、第4の国内原料血漿による製造目標量、また、5ページの第5の2の輸出量につきましては、6ページの別表に記載されております(ア)~(エ)の数値となります。これら需要見込みや目標量に関しまして、血液法に基づき製造販売業者から報告される届出や、近年の供給実績を基に医療需要に対して過不足が生じることなく安定的に供給されるよう算出したものです。
 6ページを御覧ください。令和6年度末の在庫見込量の報告を参考としていただいておりまして、この在庫見込量に、(イ)製造・輸入目標量の合計を加えまして、そこから(エ)輸出量を差し引いたものが一番右端の「供給可能量」になっております。この供給可能量が(ア)需要見込と同等以上であれば安定供給が可能となります。供給可能量と(ア)需要見込を比較したところ、全ての製剤において供給可能量が需要見込を上回っている、あるいは同等となっていますので、令和7年度は全ての製剤が安定的に供給されると考えております。
 4ページに戻っていただきまして、血液製剤の製造販売業者等に配分する原料血漿の種類及び見込量を定めております。見込量は合計で120.0万リットルです。以上が、11月の部会において審議いただいた部分になります。
 今回、11月の部会から変更点が4点あります。一つ目は、3ページの第1です。11月の部会の際に、「製造販売業者及び製造業者」と記載していたものを、「法第26条第3項に規定する製造販売業者等」に記載整備したものです。二つ目は、第3の令和7年度に確保されるべき原料血漿の量の目標につきまして、120.0万リットルから124.0万リットルに変更したものです。三つ目は、4ページの原料血漿の標準価格の(1)と(2)を記載したものです。四つ目は、6ページの上から四つ目の血液凝固第VIII因子の輸出量の計上を削除したものです。
 変更点の二つ目の原料血漿の量の目標につきまして、7ページの「令和7年度の原料血漿確保目標量(案)について」を御覧ください。こちらは前回11月の部会にもお示ししたものですが、変更部分に下線を付しておりまして、120.0万リットルから124.0万リットルへと、4万リットルを増やしております。
 こちらの要因としましては、1.需給計画の実施状況等の下から4行目ですが、「将来、血漿分画製剤の製造能力が強化されることを見据えて原料血漿を確保する準備が必要であること」を追加したことによるものです。今後も人免疫グロブリン製剤の需要は伸びていくものと見込まれること、また、武田薬品工業が大阪市において血漿分画製剤の新製造施設の建設を進めていまして、国内における将来の血漿分画製剤の製造能力は強化されることになります。他方で、血漿分画製剤のもととなる原料血漿を増やすには、献血に御協力いただける方が必要となりますが、原料血漿を1万リットル増やすためには約2万人の方の御協力が必要と言われておりまして、急には増やせられませんので準備が必要となります。このため、将来の血漿分画製剤の製造能力強化に向けて、年々、徐々に献血に御協力いただける方を増やすとともに、原料血漿の確保量も年々、徐々に増やすというものです。この4万リットルにつきましては、在庫量として計上しております。メーカーへの配分量は11月の部会でお示しした120.0万リットルから変更はありません。
 変更の三つ目です。4ページの下線部分に記載しております原料血漿の種類ごとの標準価格につきましては、凝固因子製剤用が1リットル当たり12,210円、その他の分画用が11,180円としており、結論から申し上げますと、令和6年度と同額としております。
 標準価格の考え方につきましては、9ページの「令和7年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」を御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方につきましては、これまでの考え方と同様です。血漿成分献血については、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費を除いて必要な経費を算出、積算しております。全血採血及び血小板成分献血につきましては、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては、一部に限定して積算しております。その上で、基本方針やタスクフォースの提言及び日本赤十字社や製薬企業の収支状況等を勘案し、決定することとしております。
 採血区分別の原料血漿確保に係る費用の内訳につきましては、11ページの表を御参照ください。積算する費用は、採血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な「材料費」と「人件費」、原料血漿の凍結・一時保管費用等に要する「経費」及び原料血漿輸送・貯留保管経費の「管理供給費」で構成されております。採血種別ごとに積算する費用につきましては表のとおりとなっておりますが、血漿成分採血については、全血と血小板成分の積算に差異があります。人件費は原料血漿の凍結・一時保管に係る製造職員の人件費のほかに、検診・採血・検査などに係る医師、看護師、検査職員、事務職員の人件費。経費は、原料血漿の凍結・一時保管経費のほかに、成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守関連経費などを積算しております。
 9ページに戻ります。原料血漿の標準価格については、これまでと同様にまずは凝固因子製剤用の原料血漿について経費の積算を行っております。確保の目標量の合計を124.0万リットルとしまして、全血採血や血小板成分採血などの採血区分ごとに原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1リットル当たりの単価を算出しております。
 これらの具体的な数値ですが、15ページを御参照ください。積上げに用いる経費につきまして、基本的には日本赤十字社の令和5年度実績の数値を用いております。人件費については、人事院が実施する直近の職種別民間給与実態調査により算出しております。15ページの中ほどに、合計(1リットル当たり単価)マル1と書いてある部分、こちらが採血区分ごとの1リットル当たりの単価となります。こちらに、その下にあります原料血漿確保見込量マル2を乗じて、採血方法別の確保費用を算出します。採血方法別に算出した確保費用を全部の採血方法で合計した確保費用総計マル3、こちらを原料血漿確保目標量マル4124.0万リットルのほうで割り返しまして、10%の消費税率を掛けて、1リットル当たりの単価、凝固因子用製剤価格13,720円を算出しております。令和6年度と比較しまして、1リットル当たり780円の増となっております。
 その他の分画用原料血漿につきましては従来と同様ですが、凝固因子製剤用の価格増減率を用いて、比例計算で算出した結果、12,630円となっております。令和6年度と比較して、1リットル当たり720円の増となっております。こちらは10ページにも同様の金額を記載しております。
 なお、原料血漿の価格につきましては、12、13ページに記載しております血液法の基本方針や、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会最終報告書及びワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言において、原料血漿価格の低減が求められております。これらを踏まえまして、4ページ及び10ページに記載のとおり、令和7年度の原料血漿標準価格につきましては、令和6年度と同額の、凝固因子製剤用が1リットル当たり12,210円、対前年度と同額です。その他の分画製剤用が1リットル当たり11,180円、こちらも前年度同額としております。
 原価計算方式に基づく価格の積算と、需給計画で定める標準価格とで差が生じていますが、先ほど申し上げました血液法の基本方針などの原料血漿価格に関する議論等を踏まえ、日本赤十字社や血液製剤の製造販売業者の収支状況等を勘案し、特に血漿分画製剤の製造販売業者の収益の改善の観点から、前年度と同額としております。
 なお、議題2につきまして、御退室されている松下委員から「原料血漿価格を上げないのはいかがなものか。物価高騰、人件費が高騰している中で、10円でも20円でもいいから上げるべきではないか」との御意見を事前に頂いております。
 当課としましては、先ほど申し上げましたとおり、日本赤十字社や血漿分画製剤の製造販売業者の収支状況等を勘案し、特に製造販売業者の収益の改善の観点から、前年度と同額とした次第です。
 6ページ、変更点の四つ目です。上から四つ目の血液凝固第Ⅷ因子製剤の輸出量につきまして、11月の段階では1,000本を計上していましたが、今回削除しております。理由としましては、本年1月に日本血液製剤機構(JB)が製造販売する血液凝固第VIII因子製剤(クロスエイト)につきまして、製造工程における不具合に伴う異物混入が認められたことにより製造を一時停止したためです。JBでは、製造工程の改善等の対策を鋭意進めておりますが、製造再開に関しましては、現時点で具体的なめどが立っておりません。具体的な製造再開のめどが分かり次第、製造可能量を確認し、必要に応じて需給計画の変更を行うところです。ただ、今回、輸出を行う前提として「国内の需要を満たす」ということが要件となっておりますところ、現時点で国内需要を満たすことが未定なため、輸出については削除することとしました。
以上が、資料2の説明となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○三谷部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について御意見、御質問などはありませんか。館林委員、お願いします。
○館林委員 一般の人に分かりやすい説明をお願いしたいのです。必要なのは120.0万リットルで、4万リットルをプラスして124.0万リットル確保する目標ということですよね。配分するのは120.0万リットル。その4万リットルは皆さんの献血で使われているものなので、どのように使われるのかを教えてください。
○山本専門官 4万リットルについては、来年度は配分しないで在庫として取っておくだけです。再来年度の令和8年度で、各製造販売業者のほうに配分いたします。
○館林委員 消費期限は大丈夫なのですか。
○山本専門官 はい。原料血漿の有効期限は約4年ありますので、問題ありません。
○館林委員 取りあえず1点目はこれだけです。
○三谷部会長 ありがとうございました。ほかの委員の先生方、御質問や御意見はおありですか。
○館林委員 では、もう1回いいですか。
○三谷部会長 館林委員、お願いします。
○館林委員 館林です。先ほどの値段のことも、もう少し分かりやすく説明していただきたいのですが、コスト的には前年に比べて費用が掛かるけれども、価格は据置きということですよね。その据え置ける理由が一体何かというのを、もう少し詳しく説明してください。
○山本専門官 先ほどの9ページです。凝固因子製剤用の原価計算方式に基づく価格として、13,720円という数字をお示ししております。こちらは日本赤十字社の令和5年度実績の数字、あるいは人事院が行っている調査結果を踏まえ、職種別民間給与実態調査などを踏まえて、原価計算方式で製造するとしたら13,720円という計算になります。他方で、標準価格が1リットル当たり12,210円となっております。こちらは昨年度から変わっておりません。
 では、この差ですが、原料血漿の標準価格については、日本赤十字社から血漿分画製剤の製造販売業者への販売の際の価格につながっていきます。現在、原料血漿の製造販売業者については、収益の改善、粗く申し上げますと、どう儲けを出して収益を改善するかということが課題となっております。そういったことを踏まえて、原料血漿の標準価格を据置きとしたわけです。これに関しては、献血を採って、実際の原料血漿を製造する日本赤十字社様の多大な御努力のお陰によるものです。昨年度、令和5年度は日本赤十字社の収支状況、当期純利益が約82億円あるという中で、我々としては原料血漿の製造販売業者の収益改善のために据置きをお願いしたいというところでございまして、日本赤十字社におかれましても、やむを得ないものとして御了承いただけたと承知しております。原料血漿自体が年々、採る量がかなり増えている中で、採るだけでも大変なのですけれども、価格も上がっている中で、日本赤十字社様の御協力を頂いているという状況です。以上です。
○館林委員 分かりました。では、日本赤十字社の方のコメントもお願いしたいです。
○日本赤十字社藤田経営企画部部長 今の血液対策課からの御発言のとおりです。日本赤十字社としては、まず一つは、輸血用の血液製剤という収入があります。もう一つは、メーカーのほうにお出ししている原料血漿という部分があります。大半が輸血用血液製剤の部分ですけれども、先ほどの資料の御説明にもあったように、我々が計算している原価より、価格がずっと据置きになっていますので、正直言いますと、我々としては原料血漿の部分であれば、やはり厳しい状況であることに変わりはないのですが、そういった意味では、輸血用血液製剤のほうが安定的な供給をさせていただいておりますので、そこで相償っているというように認識しております。
 ただ、輸血用血液製剤は、恐らく今後増えていくことは余りないのではないか、どちらかと言うと横ばいから微減なのかと予想しておりますが、恐らく原料血漿はこれから上がっていくということになりますと、やはりそちらのほうの負担が多くなってきますので、今年はこの金額でしたけれども、そこら辺は、今後、国とも調整をさせていただきながら決めていければと思っております。当然、我々としても事業の効率化を進めさせていただいて、今年についてはこういう金額だというふうに認識しています。
○三谷部会長 館林委員、よろしいでしょうか。
○館林委員 一般人としては、価格が分かりにくかったので、分かりやすい状態になっているほうがいいと思います。最近は社会保障費を何とか削ろうという風潮です。しかし危機管理というのは、やはりきちんとしていただかないと困りますので、持続可能なシステムであることを、国民が分かりやすいようになっているとよいのではないかと思います。極端に安いのであれば問題ですし、まだ余剰があるのなら、それはそれでいいと思いますけれども、その辺も分かりやすく伝えていただければと思います。
○山本専門官 ありがとうございます。
○三谷部会長 よろしいでしょうか。
○伊藤委員 横浜市立大学の伊藤です。私は小児科医をしておりますが、昨今、ジェネリックメーカーの様々な医薬品が収益割れしています。現場では、鎮咳剤が足りないとか、アモキシシリンが足りないということが頻繁に起きています。ジェネリックメーカーが製造する製剤は、採算性は厳しい薬剤も少なからずあります。日本小児科学会は、採算性に困っているメーカーからの要望を受け、厚労省に薬価を上げるお願いを度々しています。血液製剤も海外に比べると大分価格が安く、日本ではグロブリンなどもかなり安く作っています。昨今、薬価を上げてくれという依頼を数多く受けている身としては、メーカー的に、採算性は大丈夫なのかと少し心配です。その辺はどうなのでしょうか。
○山本専門官 ありがとうございます。先生もおっしゃるとおり、今、薬価がかなり下がっております。メーカーのほうからしますと、発売当初から3分の1とか3分の2ぐらいで下がっているという状況です。そういった中で、原料となる血漿は、これでもかなり安くしてはおりますが昔から比べると徐々に値段は上がっているという状況の中で、血液製剤だけで見ればどんどん収益は下がっているという状況です。
 他方、グロブリン製剤などは需要が伸びている中で、先ほど館林委員がおっしゃったとおり、持続可能な事業という点ですが、グロブリン製剤の需要が増えていく中でどうやってしっかり供給していくかというのは、当然薬価を上げてもらう必要があるとメーカーからも御要望を頂いておりますので、我々血対課としては、そういった御要望をしっかりと踏まえて、関係当局にも御相談しながら、薬価を上げるような努力をしていきたいと考えております。この薬価が上がりますと、先ほどの原料血漿価格も上げられるような好循環が進んでいくだろうと考えております。以上です。
○伊藤委員 私は日本小児科学会の理事をしており、薬事委員会の主担当理事もしております。昨今、安定供給医薬品の要望が各学会から挙げられていると思いますが、グロブリンも大事な薬剤と認識しております。安定供給医薬品については、是非、薬価を下げ過ぎないで、製造を守っていただきたいというのが、私たち小児科医の正直な気持ちです。安価だが必要な薬剤が現場で足りないということが起きています。実際、去年も免疫グロブリンが川崎病の患者に投与できず、ほかの病院に転院するということが起きていますので、企業を守る努力もしていただければと、現場としては思います。
○山本専門官 先生、ありがとうございます。我々も薬価が大切だということは認識しております。ただ、薬価については他の部署が所管しておりますので、我々が直接どうこうということはできないのですけれども、他方で、今、実際にグロブリンの国内自給は下がっております。そういったものは非常に喫緊の課題だと認識しており、我々は令和6年度の補正予算として13億円ほど計上しており、今後、血漿分画メーカーのほうに補助をして、国内自給の向上、あるいはその維持、安定供給の維持に努力していきたいと考えております。以上です。
○伊藤委員 その件は存じております。御努力に感謝いたします。
○三谷部会長 伊藤委員、貴重なコメントをありがとうございました。将来にわたる血漿分画製剤の安定供給のためにも、製造販売業者を守るような方向で価格を決めてほしいということではないかと思います。続いて、Webで御参加の髙橋委員、お願いいたします。
○髙橋委員 髙橋です。先ほど館林委員から言及されたところにも関連して発言します。7ページの第1の所で、将来の製造能力の強化のために徐々に目標量を上げていく必要があるというのは、私も理解しておりまして、そのための作業を行うことは重要だと思います。
 一方で、目標量を上げていく際に、増えた血液の有効活用の在り方というのも、国民に対して適切に説明する必要があると考えます。要するに、増えた血液を無駄にしないで、有効活用しますという説明、将来の製造能力が上がるまでの間、製造が開始されるまでの間、有効活用できますという説明をしていくことが非常に重要だと思います。在庫量を増やしていき、そこで増強されたときに在庫量を活用する方針であると私は理解していたのですが、先ほどのご説明では、来年度はすべて在庫量を配分してしまうということになると、その辺の関係はどうなるのかを教えていただきたいと思いました。その辺、ご説明をよろしくお願いいたします。
○山本専門官 ありがとうございます。来年度につきましては、124.0万リットル確保して、そのうちの120.0万リットルをメーカーのほうに配分すると。残りの4万リットルはどうするのかということは、再来年度の令和8年度に供給するために、来年度、令和7年度は取っておくというものです。こうやって徐々に確保目標量を毎年毎年徐々に増やすことによって、いわば採血の現場のほうで徐々に採血目標量を増やして確保できるようにするということです。髙橋先生、いかがですか。
○髙橋委員 それで、結局、有効活用ができるということの説明になるのですか。私は素人で分からないのですが。
○山本専門官 結局、採ったものの有効期限が1年ではなく4年ありますので、採った後、採ってから4年の間に使うというものです。ですので、この4万リットルというのは、来年度採りつつ、再来年度にメーカーに配分して活用するというものです。決して、有効活用できないものではない、無駄にするものではありません。
○髙橋委員 増強される年度というのは、いつなのですか。
○山本専門官 これは、武田薬品工業が2029年に血漿分画製剤の新しい設備が完了すると聞いております。
○髙橋委員 そうすると、増えた分は4年間の有効期限が切れずに取っておけるということですか。
○山本専門官 翌年度に多く採る準備をすることによって、これは一気に採れるものではありませんので、献血者を増やす必要がありますので、徐々に献血、採血をできるような体制にするということです。
○髙橋委員 では、実際には増えないかもしれないということを予定されているということですか。
○山本専門官 増やさなければいけないというところでございます。
○髙橋委員 実際には、徐々に124.0万リットルまでもっていく目標量だったのですか。
○山本専門官 いえ、目標量としては、130、140とか、そういったぐらいを目指してはいるのですが、実際、今年度は123万リットルの確保量ですので、10何万リットル増やす必要があると。これは短期間にできるものではありませんので、徐々に目標量を増やしていって、実際に武田薬品工業の施設ができたときに、十分な原量血漿を確保できるように、今から準備をしておくというものです。採る準備運動をしておくというのが近いのかもしれません。
○髙橋委員 ちょっと素人には分かりにくいご説明でした。要するに、配分して、それで消費できるのですか。例えば、126とか128とか、どんどん増やしていくのですが、それで有効に、配分したものが全部有効に活用されるということですか。
○山本専門官 はい。当然、メーカーも使わない分を無駄に購入するようなことはありませんので、他方で、日本赤十字社も、献血に御協力いただいている人から献血を無駄に採ることもしませんので、無駄になることはないと考えております。
○三谷部会長 なかなか理解が難しいところもあると思います。そうしますと、令和7年度は。
○山本専門官 そうですね。4年間は備蓄できると言いますか、使える期間を延ばせるということです。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。備蓄するという感覚と考えることができ、つまり、瞬間風速があったときに、ある程度バッファーとして有効活用しなくてはいけない。そのためには、その先々のところで実際には工場を建て替えて、その増産体制ができるようになるために、原料がなければできないので、それに対しての余裕のバッファーを作っておくということで理解してよろしいわけですよね。
○山本専門官 はい、先生のおっしゃるとおりです。ありがとうございます。
○宮川委員 先ほど小児科の伊藤先生からもお話がありましたが、今回、これは例えがちょっと違うのかもしれませんが、インフルエンザのときにある製剤が非常に困窮したということがありました。理由として、需要のカーブが急峻に上がったこと、すなわち、インフルエンザの流行がいつもよりは急峻であったということがあります。そして、それも高く上がったということでした。そのときに、家族内感染も多かった。また、流行時期が受験期であったために、予防投薬も必要になりました。薬においては、そういうような瞬間風速が出ることがある。これは、血液製剤においては、国の安全保障として、様々な災害や、あってはならない戦争も含めてですが、いろいろなことがあろうかと思います。それに対してのどれだけの備蓄があるかということは、やはりそのバッファーになる量は必要であると考えます。そのときに、先ほどから縷々お話があったように、どのように確保量を維持するのか。そして、適正な価格というのがあるべきであろうということも考えなければなりません。そうでなければ、今回もあるメーカーが工場を造っていくということがあったのですが、それは原資がなければできない。あるメーカーだけではなくて、ほかのメーカーも含めて、血液製剤の製造工場が老朽化しているという現状があるので、それに対する原資はしっかりと確保しなければいけない。そして、それに対する原資はどこにあるべきかと言ったら、薬価でしかないわけです。その辺りのところの困窮状態をしっかりとメッセージとして出すということは非常に必要です。日本医師会としても、それに対しては理解をしておりますので、様々なメディアを通じて、血液製剤というのは非常に重要であるということ、それから、ふつうの薬と違って、瞬間的に増やすというわけにはなかなかいかないものであることも考慮する必要があります。何回も繰り返しますが、適切な備蓄の中で増産体制をしっかり考えていかないといけないということで、それに対しては、しっかりとした説明を厚労省も日赤もしていただいて、国民に理解していただくような方策を立てていただきたいと思っております。以上です。
○三谷部会長 宮川委員、ありがとうございました。私も、まだよく理解しきれていないところがあるのですが、令和7年度の確保目標量が124.0万リットルですよね。そうすると、令和8年度は幾らになって、最終的に2029年度には幾らまでもっていかれる予定ですか。
○山本専門官 来年度はまた来年度で、ほぼ同様の数字で、120~124万リットルぐらいに、徐々に増やすということですので、プラス1、2万リットル、126万リットルぐらいかなと考えております。将来的に、武田薬品が新しい製造施設を建設するのですが、どのくらい製造するといったキャパシティはまだ公表されておりませんので、ただ、公表された際には、当然、血液事業部会の各先生にもお知らせして、きちんと製造施設が活かせるような原量血漿の採取体制を、日本赤十字社様と共に連携して構築していきたいと考えております。
○三谷部会長 ありがとうございました。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今言ったように、武田薬品工業がどれだけの製造のキャパを持っているのかということがまだ明らかにされていないので、はっきりしたことが言えないということは私も理解しております。作るべき原料が十分でないと、例えば8割しか入ってこないというのでは困るので、きちんと10割が入ってこれるような、そういうキャパを今から作っておくということで、日本における血液の供給体制がしっかり守れるということだろうと思いますので、その説明をしっかりされるといいのではないかと思います。
○山本専門官 ありがとうございます。先生のおっしゃるとおりです。
○髙橋委員 ご指摘のことが重要なことははよく分かっています。ただ、それを前提として、免疫グロブリンに使うものを増やすために、そこまで増やすわけですよね。
○山本専門官 はい。
○髙橋委員 要するに、武田薬品工業ができなければ、免疫グロブリンには使えない。では、増やしたものについて、どこまで有効活用できるかという、そこの目途について、安定供給とのバランスで、どこまで努力しますということをしっかり言っていただかないといけないと思います。人様から頂く血液なので、しっかりそこは厚労省から説明いただきたいという話です。
○山本専門官 ありがとうございます。こちらは、当然、グロブリンに使うために、今、グロブリンの需要が非常に伸びておりますので、このグロブリンの製造が十分にできるような形で原量血漿を確保していくというものです。将来的なキャパシティも当然大切ですが、現行、原量血漿を取っていただいて、それをグロブリン製剤として製造する製造設備がフル稼動の状態ですので、増やしていったグロブリンをしっかり活用するというのは確実にしていきたいと思っています。
○三谷部会長 よろしいですか。田野﨑委員、お願いします。
○田野﨑委員 田野﨑です。6ページにある需要見込みの免疫グロブリンの量などに関しては、私が伺ったところでは、本当に需要の問題というよりは、各企業で製造が可能である、そういうものをここに集めてあると伺っております。ですから、124.0万リットルを無駄にというよりは、本当はもう少し必要であるけれども、今の段階では、これで何とかしのいで、それでやっていくということで、少し将来的に向けて増産体制を図っていかなければいけないと。数字の上では、これはとんとんになっているようには見えるのですが、現実、今年、これまでにおいても、アルブミン、それから免疫グロブリン、現場では足りないということもありまして、実際には、もしかすると、うまく配分できれば間に合ったかもしれませんが、いろいろと現場では、微妙に、これは増産するとかということができないので、そういう意味では、この4万リットルというのは十分理にかなっているのではないかと理解しております。
 ここの所に関しては、輸血用血液製剤に関しては、本当に日本赤十字社の方々が、献血を増やしたり、微調整していただいて、非常にうまくできてはいるのですが、この血漿分画製剤に関しては、それがそんなに微調整がいかないので、ここのところに関してはうまく、今後、少しずつ無駄のないように計画的に増やしていただきたい。配分についてもやっていただければと考えております。そのような理解でよろしかったですか。
○山本専門官 ありがとうございます。
○三谷部会長 田野﨑委員、貴重なコメントありがとうございました。武田委員、お願いします。
○武田委員 今も田野﨑委員からもお話いただいたところでもあるのですが、前回も御意見を申し上げたところですが、流通在庫も含めてきちんと見える化していく努力というか、やはり、現場はもう疑心暗鬼のようになってしまって、ある程度治療に必要なものとして抱えておかないと困るという状況になっているのかなと思っています。実際に、伊藤委員からも御指摘がありましたが、川崎病で使えないといった声も私も聞いておりますので、在庫がどこにあるのか、きちんとあるから大丈夫だということを、まず皆さんに見える化をしていく、それが一番必要なことではないかと思うのが1点目です。
 もう一つは、先ほど御説明があった血液凝固第VIII因子製剤、クロスエイトの所で、今、製造設備の不具合で製造ができないということになっていて、これは非常にゆゆしき事態だと思っています。特に、海外の製剤で何かあったときに、きちんと国内の製剤で賄っていくとか、そういった議論もあった中で、やはり国内の製剤が止まるということは、規模とかではなくて、本当に安全保障の中で非常に重大な問題だと認識していただきたいと思います。
 短期的には、メーカーの努力で逸早く復帰をしてもらうということを、こちらはお願いをしていくしかないところですが、少し中長期的なところで、こういったことを繰り返さないようにというところで、国のほうにも努力をお願いしたいと思っています。具体的には、先ほど、今年度の補正予算13億円の話も出たところですが、あの補正予算については、グロブリン製剤のフル稼動を支えるというような目的で御説明があったかと思います。フル稼動をもちろん支えて、グロブリンを出していただくことも重要ですが、ただ、フル稼動を続けるというのはリスクもかなりあるということが、今回のクロスエイトのことでも分かってきたところかと。つまり、何か設備に不具合があったときに、もうそれでバッファーがないというか、フル稼動しているところで止まってしまうと、本当に壊滅的な事態になってしまうというのが、今回のことで分かったと思いますので、ここのフル稼動を支えるということだけてはなく、安全保障として、何かがあったときにもきちんと対応できるというような、中長期的にはそういったことの支援もしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○山本専門官 事務局です。私ども、血液法で国内自給と、安定供給の責務をメーカーと一緒に担っております。そういった点で、我々としても国内自給率を維持、あるいは高めるといったことも努力しなければなりませんし、あるいは安定供給、フル稼動を続ける中で供給ができないというのは非常にまずい問題ですので、安定供給もしっかり続けられるよう、我々としては予算要求などでそういった努力をしてまいりたいと考えております。
○三谷部会長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川です。先ほど伊藤委員がいろいろな安定供給のお話をされたわけですが、医薬品の安定供給の会議に私はずっと出ておりますが、もともと医薬品の安定供給が十分できなかったというのは、後発医薬品メーカーの不祥事から始まったことです。しかしながら、血液製剤のところは皆さん不祥事があるわけではない。ですから、しっかりと製剤を作っていただいて、不正もなく、齟齬もなく、製造のときにもしっかりやっていただいている。しかし、武田委員がおっしゃったように、供給量がギリギリでは困るわけです。つまり、いろいろな物事があったときには、バッファーとしての適正な在庫量がなければいけない。この前もいろいろな議論が田野﨑先生からもあったように、在庫がないから、結局はみんな融通し合って、それで現場で解決したということがあるわけです。こういうことは、バッファーとしての適切な在庫量がなければいけない。そのくらいのプラスアルファはなければいけないものなのです。それを偏在だと言うということで、言葉として解決されては困るのです。血液製剤にとっては、安全なバッファーとしての在庫量がありながら、しっかりと安定供給をするという、先ほどから武田委員、田野﨑委員がおっしゃったように、全てそういうところに血液製剤というのがあるのだということを、厚労省、日赤もしっかりと訴えていただきたい。安定供給の会議でやっているような医薬品の不祥事のところとは全く違うことの中で、これは議論しているということを、しっかりと理解していただくような、報道関係者もそのようなつもりでやっていただかないと、意味合いが違うのだろうなと思っております。以上です。
○山本専門官 先生、ありがとうございます。全くおっしゃるとおりで、不祥事とは全く別の次元でありまして、血液製剤というのは非常に製造設備にお金が掛かるというところでございます。そういった中で、国内自給に各メーカーは努力しつつ、我々としても何らかそういった予算的な措置の努力をしていく必要があると考えております。ありがとうございます。
○宮川委員 私は、努力の限界に来ているのだと考えています。工場を新たに作らなければいけないのに、資本投下として増産体制ができるような新しい設備ができないというギリギリのところに来ているのだということを、皆さんに理解していただかないといけないのではないかと思っております。努力にかけてしまってはいけないのだろうなと思っております。
○山本専門官 ありがとうございます。
○三谷部会長 ありがとうございました。それでは、ほかに御意見、御質問はありますか。松嶋委員、お願いします。
○松嶋委員 松嶋と申します。安定的な供給のために増やすというのは非常に大事なことだと思います。今後、遺伝子組換え製剤が種類も供給量もどんどん増えていくと思いますが、そうしますと、一部の製剤は遺伝子組換え製剤でほとんど賄われて、一部はまだ遺伝子組換えが出てこない。そうすると、血漿分画のアンバランスが生じると思いますが、その計画については何かお考えはありますか。
○山本専門官 事務局です。アンバランスさが出てくるというのは、正に御指摘のとおりです。例えば、今、血液凝固第IX因子製剤は国内で遺伝子組換え製剤がありまして、それ以外に血漿由来のものもあるという状況です。血漿由来のものについては、国内で安定供給がなされている前提で、海外への輸出をしてもいいとしております。今回、国内血液凝固製剤は3,400本を輸出することで予定しております。国内自給に影響ない範囲で、海外への輸出も考えてはおります。以上です。
○松嶋委員 今後、ほかの製剤も輸出ということを考えておられるわけですか。
○山本専門官 国内自給が100%という前提ではございますが、まだ、国内自給100%を満たしていない製剤は多いですので、まずは国内自給を満たすという努力をしていく所存です。
○松嶋委員 承知しました。ありがとうございました。
○三谷部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見はありますか。よろしいですか。大分活発に御議論いただきましたので、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。なお、伊藤委員、堺田委員、髙橋委員、松本委員は議決には加われません。また、私についても同様の取扱いとします。
当部会として、令和7年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について適当であると認める旨、議決したいと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。議決につきましては、異議はなかったと認めます。
 それでは、薬事審議会における確認事項に基づき、当部会の議決をもって令和7年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について適当であると認め、薬事審議会に報告することといたします。なお、その他の取扱いについては、私に御一任を頂くということでよろしいですか。ありがとうございました。事務局におかれては、部会意見を踏まえ、本計画の告示の手続を進めてください。
それでは議題3に入ります。御退席いただいた松下委員をお呼びください。
――松下委員入室――
○三谷部会長 それでは、議題3に入ります。議題3は「運営委員会委員の指名について」です。本日は、血液事業部会運営委員会規程に基づきまして、部会長の私から運営委員会委員の指名について御報告いたします。説明は事務局からお願いします。
○金子課長補佐 資料3-1を御覧ください。血液事業を定期的にチェックし、緊急時には迅速に対応できるように、血液事業部会に運営委員会を設置しています。メンバーは、患者側の代表者、医療関係者や研究者等、血液事業に専門的知見を有する方々で構成しています。血液事業部会運営委員会規程におきまして、運営委員会に所属すべき委員は、血液事業部会長が指名することとなっており、指名したときには、当部会に報告することとなっております。今回、指名後の初の部会になりますので、指名された委員の皆様方を御紹介いたします。
大隈和委員、武田飛呂城委員、田野﨑隆二委員、松下正委員、松本剛史委員、水上拓郎委員、三谷絹子委員です。従来のメンバーに加えて、新たに三谷部会長と大隈委員に加わっていただきました。報告は以上です。
○三谷部会長 ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問などありますか。ありがとうございました。それでは、今回の新しい運営委員会の構成について、御承認いただいたとさせていただきます。
本日の議題は以上ですが、委員の皆様からほかに何かありますか。ありがとうございました。それでは事務局に議事進行を戻します。
○岩崎血液対策課長 三谷部会長、ありがとうございました。次回の血液事業部会の日程は、別途御連絡差し上げます。これにて、令和6年度第2回血液事業部会を終了いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬局

血液対策課 課長補佐 (2909)