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- 2025年8月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第615回議事録
2025年8月27日 中央社会保険医療協議会 総会 第615回議事録
日時
令和7年8月27日(水)保険医療材料専門部会終了後~
場所
全国都市会館大ホール 2階
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 飯塚敏晃委員
- 笠木映里委員
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 髙町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 伊藤徳宇委員
- 茂松茂人委員
- 長島公之委員
- 江澤和彦委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて
- 在宅について(その1)
- 医療機関等を取り巻く状況について
- マイナ保険証の利用促進等について
- スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて(諮問)
- 個別改定項目について
- 答申について
議事
○小塩会長
それでは、ただいまより第615回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこの辺りとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1の1ページ目を御覧ください。
1つ目の丸でございますが、再生医療等製品につきましては、承認されたものについて、個別の製品の特性を踏まえて、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、まずは御判断いただくこととしております。
2つ目の丸でございますが、本年7月24日付で再生医療等製品バイジュベックゲルが薬機法において通常承認され、企業から保険収載を希望する旨の申出がなされております。
2ページ目を御覧ください。
類別は遺伝子治療用製品(ウイルスベクター製品)、形状、成分、分量等につきましては、ヒト7型コラーゲンタンパク質でございますが、これを発現する遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型を主構成体とする再生医療等製品でございます。
一番下を御覧ください。医療保険上の取扱いの案でございます。
本品目につきましては、審査報告書におきまして、「患者の創傷部位に塗布された本品が真皮のヒト皮膚線維芽細胞及び表皮のヒトケラチノサイトに感染することにより、本品のウイルスゲノムは細胞の核内にエピソームとして留まるとともに、ヒト皮膚線維芽細胞及びヒトケラチノサイトにおいて機能的な7型コラーゲンタンパク質を発現する」とされており、発現する7型コラーゲンタンパク質が作用を発揮すること、それと本品は皮膚創傷部に滴下塗布して投与する点も医薬品と同様の投与方法であることから、医薬品の例により対応することとしてはどうかというものでございます。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等ございますでしょうか。
松本委員、御質問をお願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
本製品につきましては、安全性と有効性がしっかり示されているということで、事務局の御提案どおり医薬品の例として対応し、薬価算定手続に進むことに異論はございません。
その上でのコメントでございますが、この製品により重篤な疾患の治療が可能になるということで、患者の期待も大きいものと思います。
その一方で、過去の再生医療等製品を念頭に置きますと、単価は相応の金額になるということが想定されます。さらに、2ページにあります用法を見てみますと、週1回の使用を症状が治るまでと、一定期間使い続けるということですので、トータルの薬剤費としてはかなりのものになるのではないかと思いますので、薬価の設定におかれましては慎重な議論をお願いしたいということでございます。
また、今回の製品に限らず、個人で負担できない治療を患者に届けることは公的医療保険制度の役割だと認識しております。限りある財源の持続可能性を確保しながら、高額な治療をいかに許容していくかということについては、次期改定に向けてもしっかり議論する必要があるということも改めて指摘させていただきます。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御発言ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「在宅について(その1)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「在宅(その1)」の資料について御説明をさせていただきます。
その1でございますので、特定の論点を議論いただくものではなく、今回も広い見地から課題や今後の議論の視点等について御議論いただきたいと思います。
時間が押しておりますので、端折って御説明させていただきます。
2ページが目次となってございまして、訪問診療、訪問看護、歯科、薬剤、栄養につきまして、在宅に関する部分をまとめて資料を構成させていただいております。
3ページ~16ページぐらいまでは、今までいろいろな形で御覧いただいている資料だと思いますので、説明を割愛させていただきます。
17ページ、在宅医療の提供体制として、診療所、病院のうち、このぐらいのところが提供しているということでございます。
18ページは、診療報酬の評価の構造をまとめたものでございます。
19ページ、在宅医療に係る診療報酬の総額や構成について、この10年の変化をまとめたものでございます。
平成26年と比較して令和6年に総額がどうなっているか、また、診療所の診療科目別の構成をお示ししております。スケールが科によって異なっておりますので御注意ください。
さらに20ページがそれを在宅診療1回当たりの算定額としてまとめたもの、21ページが回数としてまとめたものでございますので、20と21を掛け算したものが19ページということになります。
22ページ、在宅療養支援診療所についてまとめておりまして、23ページがその届出数の推移となってございます。
24ページは、在宅緩和ケア充実診療所という、看取りの実績が20件以上などの要件を満たす診療所、病院の施設数をまとめてございます。
25ページは、在宅療養実績加算、こちらは看取り件数で言うと4件、2件といった要件を満たすところが算定できる加算でございます。
26ページ、検証調査の結果でございまして、在支診等になるに当たって満たすことが難しい基準の御回答。
27ページは、24時間の往診体制確保のための民間企業等の利用状況ということで、第三者への委託を行っている医療機関の割合が示されてございます。
28ページは、多数の訪問患者に在宅医療を提供する医療機関が大都市に比較的多くあるという内容でございます。
29ページからが往診料となってございまして、30ページ、往診料の算定状況について、伸びておりますけれども、令和5年~6年にかけては、診療報酬改定の影響もあったのか、少し減少する方向での変化が見られてございます。
31ページは、それを年齢階級別に見たものでございますが、高齢者のほうは令和5年~6年にかけても増えてございますけれども、若年の方については減少の傾向が見られているということでございます。
32ページが都道府県別の診療及び在宅患者訪問診療料の算定状況ということで、都道府県別に見るとかなり増えているところとあまり変わっていないところ、あるいは一部減っている県というふうに差が見られているところでございます。
33ページからが、在宅時医学総合管理料等についてでございます。
34ページに算定回数の推移が書いてございまして、青色が居宅を中心とした在宅時医学総合管理料、赤色が施設入居時等医学総合管理料ということで、左側にその推移をまとめてございます。
また、右側、単一建物に何人住んでいらっしゃるかということによって診療報酬は異なりますので、それによる区分ごとに集計をしたものをお示ししております。
35ページからが、在宅患者訪問診療料でございますけれども、36ページがその算定状況、徐々に伸びているという状況がございます。
37ページが頻回訪問診療に係る加算の算定状況、そして38ページが訪問診療回数についての検証調査の結果でございます。
月に2回というところが多くなってございます。
39ページに、その理由等についてまとめてございますが、居宅においては医学的に必要、有料老人ホーム等においては施設の職員等が付き添って外来受診することが困難といった回答が多くなってございます。
40ページ、他の医療機関からの紹介に基づく訪問診療ということで、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2という点数がございます。平成30年に創設をされまして、徐々に増えておりますが、全体の中ではまだ割合としては非常に小さいものとなってございます。
41ページからが、在宅医療におけICTを用いた連携の推進ということで、42ページ、令和6年の改定で創設されました在宅医療情報連携加算の届出状況でございますけれども、3割程度、機能強化型の在支診等では届け出られているという状況でございます。
43ページはその具体例、44ページが検証調査の結果でございまして、訪問看護事業所等との連携が行われているということです。
45ページは、医療計画における在宅医療において積極的役割を担う医療機関についての位置づけでございます。
46ページが、往診時医療情報連携加算について、算定医療機関や件数等についてもまとめてございます。
47ページが具体例となってございます。
48ページは、入院が必要になった場合の病床確保方法についてということでございますが、連携体制を取っておられる医療機関も多い一方で、連携体制を取っておられない医療機関もあるということでございます。
49ページは、協力医療機関につきまして、令和6年度診療報酬改定と介護報酬改定において同時に行った見直しの内容をまとめており、50ページには、それを受けての検証調査の結果をまとめてございます。
51ページ、52ページには、令和6年度診療報酬改定に関連する見直しの内容をまとめてございます。
53ページ、情報通信機器を用いた在宅管理等の算定状況ということで、在宅時医学総合管理料のうち、オンラインを併用するような場合の点数の算定状況、現時点では非常に少ない状況となってございますが、その状況をまとめてございます。
54ページは、D to P with Dの実施状況でございまして、これについての点数の対象となっていないものでございますけれども、訪問診療における眼科・皮膚科・耳鼻科等との専門医の連携が一部行われている状況があるということでございます。
55ページからが、外来データ提出加算や在宅データ提出加算の状況でございます。
56ページに届出医療機関数の推移をまとめてございまして、前回改定で一部の医療機関に点数の要件として課されたことなどを受けまして、加算の届出医療機関が増えているということでございます。
57ページ、ここまでの資料についてのまとめでございます。
58ページからは訪問看護についてでございます。
59ページ、訪問看護の今後の需要につきましては、伸びる地域もかなりあるということで推計がなされております。
60ページが、訪問看護につきましては医療保険と介護保険それぞれの制度がございますので、その対象者の違いについてまとめてございます。
61ページ、さらに具体的にまとめてございますけれども、介護保険においては要支援者・要介護者が対象となり、医療保険についてはそれ以外の方が対象となりますが、一部、介護保険の対象者であっても、急性増悪の場合や一部重症の方について医療保険で給付する場合があるということをまとめてございます。
62ページは、訪問看護の実施事業所の伸びについてお示しをしており、右側で営利法人の事業所が伸びているということをお示ししております。
63ページ、看護職員の規模別の訪問看護ステーション数の推移でございまして、5人以上といった比較的規模の大きい訪問看護ステーションの数や割合が徐々に伸びているということでございます。
64ページ、機能強化型訪問看護ステーションの要件、そして65ページがその届出状況となってございます。
経年的に数が増えてきているところでございます。
66ページは、就業場所別の看護職員の推移でございまして、緑色、訪問看護ステーションで就業される方は経年的に増えてきているということでございます。以前にお示ししたグラフと比べて、2023年のところが今回追加されてございます。
67ページ、訪問看護の利用者数でございますが、赤が介護保険、青が医療保険となっておりまして、いずれも伸びておりますけれども、割合で見ると医療保険の伸びの度合いが非常に大きいということになります。
68ページ、金額ベースで見たもので、例えば令和4年は5000億余り、令和5年が6000億余りということでございますので、この間、年間1.2倍程度増えていることになります。
69ページ、訪問看護指示料の算定回数の推移、医師が指示をした件数を表すものでございまして、こちらも伸びております。
70ページが、同一建物居住者に対する訪問看護の診療報酬の構造でございまして、基本療養費(Ⅰ)というのが、1人の患者さんに対して訪問した場合の点数でございます。
訪問看護基本療養費(Ⅱ)のほうは、同一日に2人ないし3人の方に訪問した場合の点数でございますので、集合住宅等に訪問された場合にはこちらの点数を算定することが多くなると考えております。このあと、基本療養費(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分で集計をお示ししておりますので、御留意いただければと思います。
71ページがその算定割合の推移でございますけれども、訪問看護基本療養費(Ⅱ)、集合住宅等の算定のシェアが増えてきているという内容でございます。
72ページ、訪問看護ステーションの医療費を日数・件数などでまとめてございます。
下の折れ線グラフが伸び率でございますけれども、医療費が19.5%年間で伸びた中、日数ベースで見ると17.7%、件数、つまり患者数ベースで見ると13.2%の伸びということでございます。
したがって、割り算したものが73ページになりますが、1件当たりの日数が4.0%、1日当たりの医療費が1.6%伸びたということになります。
74ページは、1事業所当たりで御覧いただいた場合でございますけれども、1事業者当たりの年間医療費やレセプト件数ともこのような伸びになっているということになります。
75ページが、医療保険の訪問看護ステーションの利用者の状況で、精神及び行動の障害や神経系の障害、疾患などが多くなってございます。
76ページは、別表7や8といった特別な管理を必要とされる方や難病の方々の割合をお示ししております。
77ページ、78ページが、ターミナルケアの利用者数でございます。特に78ページを御覧いただきますと、赤色の部分、集合住宅等でターミナルケアを訪問看護で受けられる方の数や割合が増えてきていることが分かります。
79ページが、24時間対応体制加算の届出状況、80ページがそれに関する検証調査の結果となってございます。
81ページが、複数名訪問看護加算の算定状況、82ページは複数回訪問加算の算定状況です。
83ページが、夜間・早朝や深夜の訪問看護加算、こういった算定状況も伸びてきてございます。
84ページを御覧いただくと、これも集合住宅かどうかで分かれておりますけれども、集合住宅におけるこうした加算の算定が大きく伸びていることが分かります。
85ページ、緊急訪問看護加算の算定状況をお示ししております。
86ページは、機能強化型訪問看護ステーションにおける認定看護師などの専門の研修を受けた看護師の配置状況をお示ししております。
87ページが精神科訪問看護の利用者の状況、こちらのほうは若い方で、疾患名としては統合失調症や気分障害の方が多くなってございます。
88ページ、全利用者の中で精神科の方のシェアが増えているという内容でございます。
89ページ、地域の連携の取組についてまとめてございます。
90ページは、オンライン資格確認とオンライン請求の普及状況でございまして、令和7年6月で、例えばオンライン請求ですと89%の事業所が取り組んでいただいております。
91ページが、年間医療費総額別の訪問看護ステーション数ということで、非常に大規模なところが存在し、また、増えてきているということが分かります。
92ページが、レセプト1件当たりの医療費別の訪問看護ステーションですけれども、非常に高いレセプトが出ている訪問看護ステーションが増えていることが分かります。
93ページが、レセプト1件当たりの平均訪問日数をお示ししたものでございますけれども、こちらのほうも非常に大規模な訪問看護ステーションにおいては、日数の平均が多いと。月に25日以上訪問されている方が非常に多いようなステーションが見られるということでございます。
94ページが、令和6年10月にお示しをさせていただいた事務連絡でございまして、一律に訪問看護の日数を定めることは認められないといったことをお示しいたしました。
95ページは、この中医協でもお諮りいたしましたけれども、訪問看護ステーションに関しまして、1件当たりの平均額が高いところへの指導などを今後行うことを定めたものでございます。
96ページがここまでのまとめとなってございます。
97ページからが歯科訪問診療について、98ページが診療行為別件数と在宅医療の内訳でございますけれども、どの年齢層でも在宅医療の件数が、下のほうの赤い部分、増えてきているところでございます。
99ページ、歯科訪問診療を提供している歯科診療所の状況でございまして、全部の診療所の中で言うとまだ限られているということでございます。
100ページは、病院数とその全体の中での割合を示しております。
101ページ、歯科訪問診療の推定需要と供給の比較でございますけれども、まだ十分に需要を満たせていないのではないかという推計になってございます。
102ページを御覧いただくと、施設にお住まいの方についてはかなり満たしているものの、居宅にお住まいの高齢者の需要はまだまだ満たせていないのではないかという推計となってございます。
103ページが、現在の在宅歯科医療の診療報酬上の取扱い、そして104ページが、在宅療養支援歯科診療所の施設基準などをまとめてございます。
105ページが、在宅療養支援歯科診療所の届出医療機関数などをまとめたもの、106ページが、歯科疾患在宅療養管理料の算定状況の伸びなどをお示ししております。
107ページは、在宅療養支援歯科診療所の届出を行っていない理由として、訪問診療を行っていない診療所などの答えが多いということでございます。
108ページが、レセプト1日当たりの平均点数を外来と訪問診療で比較をしたものでございまして、平均点数で見ると、訪問診療のほうが2倍程度となっておりますけれども、1日に実施できる患者数については、外来診療の半分ぐらいではないかということで、モデル的にお示しをしているものです。
109ページが、歯科訪問診療料の算定状況、そして110ページが、訪問歯科衛生指導料の算定状況をまとめたものでございます。
111ページは、さらにそれを指導時間などに着目をして集計をさせていただいたものでございます。
112ページ、複数名訪問歯科衛生指導加算の算定状況ということで、その算定の理由も含めてまとめてございます。
113ページが、在宅歯科医療情報連携加算の算定、114ページが、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の算定の状況をまとめたものでございます。いずれも算定されている医療機関や回数等がまだ多くないという状況でございます。
116ページからが、訪問薬剤管理指導についてでございます。
117ページ、118ページが、概念、理念をまとめたものとなっており、119ページが第8次医療計画における位置づけをお示ししておるものです。
120ページに、訪問薬剤管理指導に係る届出薬局数等をまとめてございます。
121ページは、指導料の算定状況ということで、左側2つが医療保険の算定状況の伸びをまとめたものです。
122ページが、勤務薬剤師数との比較でございますけれども、在宅薬学総合体制加算2を算定している薬局等で複数の薬剤師がいらっしゃるということが分かります。
123ページでありますけれども、在宅患者訪問薬剤管理指導の処方箋1枚当たりの医療費ということで、技術料は平均6,492円といった数字をお示ししております。
124ページ、在宅患者の夜間休日対応等の体制で、訪問を行っておられるところは、かなり体制を整えていらっしゃるところが多いということでございます。
125ページと126ページが、令和6年に創設された在宅移行初期管理に関する実態の資料となってございます。
127ページが、麻薬の調剤の実績、そして128ページが無菌製剤処理の実施状況となってございます。
130ページからが、訪問栄養食事指導についてということでまとめております。
131ページが、現在の診療報酬の構造、132ページが、要介護高齢者において栄養障害や摂食・嚥下障害が発生しやすいという内容でございます。
133ページが、他の訪問診療の点数と比較をした在宅患者訪問栄養食事指導の算定回数となってございまして、一番右、かなり見えにくい数になっておりますので、拡大した部分を黄色でお示ししております。
134ページが、訪問栄養食事指導の実施件数の伸び、135ページが、第8次医療計画に関係する記載事項となってございます。
136ページが、令和6年度の診療報酬・介護報酬改定における訪問栄養食事指導に関する見直しの内容でございます。
137ページと138ページが、体制整備の状況や指導を現時点で実施していない理由などを検証調査からまとめたものとなってございます。
以上を受けまして、140ページに論点を書かせていただいております。
時間の関係上、読み上げは割愛させていただきますので、お目通しいただければ幸いでございます。
なお、関連する資料を総-2参考にもおつけしておりますので、施設基準などについて、御不明な点はこちらを御参照いただきたいと思います。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
最初に江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今日は総論ですので、総括的に意見を申し上げたいと思います。
今後の在宅医療の需要は、一部の過疎地域を除いて大きく伸びてまいります。66の二次医療圏では、2020年~2040年にかけて、在宅医療の需要が5割増し以上にもなります。
一方で、資料の17ページにございますように、在宅医療を担う医療機関は伸び悩んでおります。また、在宅医の年齢の高齢化、あるいは継承する医師の不透明化、いろいろ背景に課題があり、その辺りをどう考えていくかということが重要になります。もちろん全ての医療機関が在宅医療に取り組む必要はないわけですけれども、在支診・在支病、それ以外の医療機関と共に総力を挙げて在宅医療を支える必要性もあります。
そのためには、在宅医療の参入のハードルを引き下げる必要もあろうかと思います。特に医師1人で365日24時間の対応をすることは最大の困難であり、これはシステムとは言えません。地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、役割分担と連携により、地域を面で支えることが重要であります。すなわち、24時間対応や緊急往診対応などの体制を地域で整えることが大切であり、在宅医療に参入しやすくすべく、施設基準や要件は高めるべきではないと考えております。
もう一点は、参考資料の11ページ~13ページにこれまでの在宅医療における診療報酬改定の変遷が示されております。これを拝見いたしますと、訪問回数、居住場所、すなわち同一建物であるのかないのか、あるいは居住場所の規模の定員、こういったものが幾らであるのか、そういった観点からの報酬改定の議論に偏り過ぎではないかと思っています。医学的見地からのサービスの質に関する議論が乏しいと認識をしておりますし、また、居住場所により患者さんの自己負担が異なることは、サービスの対価に対する報酬設定においても、いかがなものかとも思っております。
移動コストなどを勘案するのは当然であることを前提として申し上げますが、診療報酬を削りやすいところから適正化する考え方については、慎むべきではないかと思っております。また、適正化なり減算なりをかけた場合には、その効果がどうであるかというのも検証していく必要もあろうかと思っております。
続いて訪問看護について申し上げます。
一部に高額な算定状況や大規模なグループによる展開があることは承知しておりますけれども、地域の高齢者施設を訪問している、あるいは地域の一軒家の在宅を訪問している中小規模の事業所の中には、必要なコストに対して報酬が追いついていない事例もあると認識をしています。現状、人材確保、患者さん・利用者さんの確保に苦慮しながら地域を支えている事業所をしっかりと支援していくことも必要と考えております。
なお、一部の1人当たりの請求額が高い訪問看護事業所については、中医協においても教育的指導に入るということとなっておりますので、まずはそういった実態を分析して、今後の方向性を議論すべきと思います。
最後に、訪問栄養指導について申し上げます。
要介護の主な原因の一つである高齢者の虚弱、いわゆるフレイルは、必須アミノ酸の摂取と筋肉の負荷運動を同時介入すると改善が期待される病態であります。現状、要介護度が高まるにつれて低栄養状態が悪化することが分かっており、要介護4あるいは5の方においては、低栄養あり、あるいは低栄養のおそれありがほぼ全員というような状況にもなっております。
したがいまして、在宅における訪問栄養指導の体制の構築は喫緊の課題であると認識をしております。なかなか現状、人材不足で難しい面はございますが、例えば余力のある医療機関から在宅を支援していくような仕組みも求められるのではないかと思います。
私からは以上となりますが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の意見を聴く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
「在宅(その1)」ということで、資料総-2の115ページの小括④に沿って、総論的に意見と要望を述べさせていただきます。
まず、今後の高齢者人口の増加に伴い、誤嚥性肺炎等をはじめとする口腔健康管理が必要とされる患者数は増加が予想されている状況を踏まえると、在宅歯科医療の重要性は言うまでもありません。
一方で、歯科医師の高齢化も進む中、在宅歯科医療を担う歯科医療機関が不足しつつある地域が顕在化しています。今後の需要増に対し、質の高い在宅歯科医療の提供体制を推進・強化する方策が喫緊の課題と認識しております。
99ページのデータによれば、1歯科診療所当たりの歯科訪問診療の実施件数は増加しているものの、実施施設割合は、居宅、施設、病院ともに約2割に満たない状況です。かかりつけ歯科医に通院していた患者さんが通院できなくなる状況になるなどの環境変化に対応して、切れ目なく継続的に歯科医療を提供する体制を構築していくことが不可欠で、次回改定に向け、3点御要望させていただきます。
まず1点目ですが、101、102ページには、要介護高齢者における歯科訪問診療の推定需要と供給について示されていますが、特に居宅における歯科訪問診療の供給が十分でないため、これまで以上に歯科訪問診療が実施できる歯科医療機関を増やしていく方策が重要と考えます。
なお、これまでも日本歯科医師会として発言してきましたが、診療時間要件については、20分を基準とし診療報酬が異なる仕組みとなっており、令和6年度改定で歯科訪問診療1に関しては時間要件を撤廃していただきました。ただ、実際には、施設で1名を診る予定が、現場で急遽どうしても要請を受けて、もう一名追加で診る場合には、1名を診る点数と2名を診る点数が乖離してしまうなどの課題があります。
このような状況も踏まえて、歯科訪問診療の状況に応じて、歯科訪問診療1及び2の取扱いについて、柔軟な運用の検討をお願いいたします。
続いて2点目ですが、105ページのデータによれば、在宅療養支援歯科診療所は微増にとどまっています。また、令和6年度改定で新設された在宅療養支援歯科病院の届出は少なく、22病院にとどまっております。地域における在宅歯科医療提供への関わりとして、歯科診療所を後方から支援する役割をさらに充実するなど、届出施設数の増加に向けた検討をお願いいたしたいと思います。
最後、3点目になりますが、112ページには令和6年度改定で新設された複数名訪問歯科衛生指導加算の状況が示されていますが、実際には複数名での指導が必要にもかかわらず、あまり算定実績がないので、複数名での指導が必要な患者さんに効果的に指導が提供できるように検討をお願いしたいと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
訪問薬剤管理指導に関する論点について、在宅医療についての全体的な認識と併せて述べさせていただきたいと思います。
人口減少に伴い人口構造が変化していく中で、在宅患者の数は2040年以降にピークを迎えることが予測されております。その中で、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の人口増加も見込まれるため、在宅医療の受入体制の整備は不可欠と考えます。
在宅医療において薬物療法は不可欠で、薬局薬剤師はかかりつけ医、かかりつけ歯科医、看護師をはじめとする多職種と連携して、在宅においても必要な医薬品を提供し、より質の高い薬剤サービスを提供していくことができるよう、質と量の両面からの体制整備が必要です。
また、在宅医療の体制整備を進める上で、休日・夜間を含めた緊急時の体制整備、へき地等への対応の視点は外せません。医薬品提供に係る課題は各地域で異なっており、地域の実情を踏まえた対応が必要で、そのためには個々の薬局の努力のみによる対応だけではなく、先ほど江澤委員からも、地域が総力を挙げてという話がありましたけれども、薬局間連携による地域を面で支えていく地域体制の構築が必要となります。
第8次医療計画にもあるように、高度な薬学管理等を充実し、多様な病態の患者やターミナルケアの受入体制を整備強化していくことも必要となります。麻薬調剤や無菌製剤処理、小児への訪問薬剤管理指導、24時間対応といったことが可能な薬局機能を地域単位で配置して整備していくことが求められています。次回改定においては、今後の在宅ニーズへの体制整備や、地域単位で必要な薬局機能の体制がしっかりと進む評価や方策が必要と考えます。
最後に、125ページ目に示されている在宅移行初期管理料は前回改定の新規項目で、退院時、多職種と連携して、退院後の薬学管理に関する指導を評価するものです。今後、退院から在宅へのシームレスな移行は、療養環境を踏まえた薬物療法を実施する上でますます重要となってきます。対応を促進していく観点での要件や対象患者の見直しも必要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
2号側の委員の方々、よろしいですか。
次に、1号側に参りますけれども、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、木澤専門委員から御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
2040年に向けて在宅医療の需要が増加しており、多くの二次医療圏で訪問看護の必要量は今後まだまだ増加することが見込まれます。都市部か人口少数地域かにかかわらず、どの地域でも住み慣れた地域で暮らし続けることを24時間体制で支援するためには、各地域に訪問看護や在宅医療を整備するとともに、医療・介護間の連携を促進し、また、より広域的な観点から、機能が高く質が高い訪問看護事業所が拠点となって、地域を支えていくような訪問看護体制を構築していくことが必要です。
訪問看護に関する論点の2点目につきましては、データを基に、評価の在り方について議論していくことが重要だと考えております。
一方で、自宅で療養している人工呼吸器等を装着した難病の在宅療養者等、疾患の特性や状態によって、たんの吸引、人工呼吸器の調整等のために頻回な訪問が必要で、緊急時にはすぐ駆けつけることが必要な利用者もいます。このような方が安心して自宅で療養生活を送ることができるように、実態を踏まえた適切な評価の推進が必要と考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、多数の資料の整備、どうもありがとうございました。
私は、総論と個別の課題2つについて述べたいと思いますので、いささか少し長くなりますけれども、御容赦いただきたいと思います。
総論といたしましては、今、各委員からもございましたけれども、在宅医療につきましては今後さらにニーズが増えていくことは確実でございます。
一方で、医療資源も財源も限られておりますので、いかに増加するニーズを過不足なく充足するかということが非常に重要になってまいります。在宅の患者の中には、重度の方もいらっしゃれば、通院は困難でも、そこまで重度ではないという方もいらっしゃるかと思っております。身体的な疾患と精神疾患で必要な対応が異なることも想定されますが、いずれにしても、訪問診療・往診、訪問看護、歯科、調剤に共通する考え方として、提供する医療やケアの内容、施設と患者の自宅の違いなどによる効率性も考慮の上、これまで以上にメリハリの効いた評価にしていくべきだということはまず最初に指摘させていただきます。
それでは、個別の課題についてコメントいたします。
まず訪問診療・往診についてでございますが、資料の20ページを見てみますと、冒頭に、診療科ごとに比較すると精神科、小児科で特に増加傾向であるということが書かれておりますけれども、伸びの構造を見てみますと少し異なる印象を受けております。そこに書いておられますグラフの下の診療所の診療科目別というものがございますが、真ん中の一番上が精神科になっておりますけれども、精神科の場合は青い色、これは上に書いてあります在宅時医学総合管理料が顕著に伸びているということを示しております。
一方、その右側にあります小児科に目を移しますと、こちらのほうは黄色で示されております在宅療養指導管理材料加算が増えているということで、同じものが単純に伸びているというものではないということが読み取れます。単価が伸びているということが直ちに問題ということではありませんけれども、その背景は分析する必要があるだろうと考えております。
次に、27ページに目を移しまして、24時間の往診体制でございますけれども、機能強化型の在支病や在支診で民間企業を活用するケースが1割程度あるということでございますが、委託している業務の中身や、より詳細な医療機関の特徴があるのか、これは少し詳細に検証することが考えられます。
続いて30ページ、31ページの往診料についてですが、前回改定で緊急往診に関する評価を見直した影響が出ていると受け止めておりますけれども、32ページに目を移しますと、人口当たりの算定回数が令和2年度~5年度にかけて双方で急激に変化している地域がございます。具体例を申しますと島根県とか山口県が挙げられると思いますけれども、こうしたことは次回改定で何に対応する必要があるのか、さらに検討すべきだと考えます。
続きまして、39ページ、訪問診療についてですけれども、自宅の患者と有料老人ホームに入所する患者で月2回以上になる理由に違いがあるということで、これが右のグラフに示されておりますけれども、患者の状態や医療の内容に違いがあるのか、もう少し分析が必要ではないかと感じます。
次に、在宅患者に入院が必要になった場合の病床確保の方法については、48ページに記載がございますが、そこには救急搬送を依頼するための特定の医療機関とは連携していないと回答した診療所が11.7%ということでございますが、先ほど来、2号側のほうからも、面で支えるという観点からいたしますと、この点については次回改定で改善を促す対応を検討すべきだと考えております。
次に、訪問看護に移りますけれども、資料の62ページを拝見いたしますと、営利法人が著しく増えております。営利法人を否定するものではありませんけれども、どういったサービスが提供されているのか、引き続き丁寧に分析する必要があると考えております。
続いて63ページに行きますと、訪問看護ステーションの規模については、左のグラフにありますけれども、近年やや大規模化が停滞しているような印象を受けております。効率性の観点や24時間対応を推進するためには、次回改定で何か対応が必要なのか検討すべきだと感じております。
さらに、訪問看護ステーションの医療費が伸びている構造については、資料の72ページを見てみますと、利用者当たりの訪問日数の増加が大きく影響しており、次の73ページを見てみますと、レセプト1件当たりの日数の伸びが特に大きいということで、訪問回数の妥当性については検証が必要だと考えます。
81ページ以降にあります複数名訪問、複数回訪問、夜間・早朝、深夜、緊急の訪問などが増加している背景や、ケアの内容、患者の特徴といったことも丁寧に見ていく必要があります。
また、先ほど2号側委員からもありましたけれども、サービス提供側の要素として、93ページにあるような月25日以上という著しく訪問日数が多い、かなり年間医療費が高いステーションについても十分に検証すべきだと考えます。特に訪問看護については、レセプトのオンライン請求が義務化されましたので、事務局におかれましては今まで以上に詳細な実態の分析をお願いしたいと思います。
次に、訪問歯科についてですけれども、過去の改定でもニーズを充足できないことが課題になっておりましたが、今回も102ページで、特に居宅の高齢者で需要と供給に著しい乖離があることが示されております。
108ページに目を移しますと、外来の患者と比べて居宅の患者を治療する場合、1日に対応可能な患者数は半分程度になる一方で、1日当たり単価については約2倍ということで、収益性はおおむね同等ということですので、歯科医療機関が居宅の患者をしっかり治療する方向に進むよう、効率的に対応できる施設系の評価を適正化することも必要だと考えております。
訪問歯科衛生指導料についても、資料の110ページを見てみますと、かなり効率的な対応が可能な、グラフ上はグリーンで示されておりますけれども、単一建物10名以上の訪問に集中している状況にあり、しかも増加そのものも著しいことが分かります。
次の111ページでは、同一建物の患者数が多いほど、指導時間が算定要件である20分をぎりぎり満たすような割合が高いということですので、この辺りについては評価を適正化する必要があるのではないかと思っております。
続きまして、薬剤管理指導についてですが、前回改定で麻薬の備蓄や無菌製剤処理の体制整備を進める観点で、在宅患者調剤加算を組み替えて在宅薬学総合体制加算を新設した結果、加算の届出を行った薬局数が増加したことが資料の120ページからは読み取れます。
一方で、127ページに目を移しますと、在宅訪問を行っていても麻薬の備蓄がない薬局や、1か月間に麻薬調剤の実績が10件以下の薬局が大半という実態も示されております。
資料の122ページに戻りますと、在宅薬学総合体制加算のうち、施設基準の厳しい加算2の薬局では薬剤師が多く、そうした薬局では無菌調剤の実績が一定程度あるということですので、体制整備や実績の基準を改めて整理し、評価にメリハリをつける必要があるのではないかと感じております。
最後に、訪問栄養食事指導についてですが、133ページを見てみますと、赤枠に囲まれておりますが、算定回数が極めて少ないことが分かります。その理由として138ページを見てみますと、院内業務が多忙で余裕がないが最も多くなっておりますけれども、在支病、在支診におけるサポートや栄養ケア・ステーションの活用がどの程度進んだのか、実態を踏まえた上で議論すべきだと考えております。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
在宅医療につきまして、介護分野も含めて、多くの関係者の方々が連携しながら支援していくことになる中、協力・連携体制の確保やICTの活用が非常に重要だと思っております。新設された加算の算定が伸び悩んでいる状況について、さらに詳しく分析していく必要があると思っております。
また、皆様もおっしゃっておりましたが、訪問看護につきましては今後どんどん伸びていく分野だと認識もしておりますが、一方で、今回の資料からは、同じ意見になりますけれども、レセプト1件当たりの平均訪問日数が25日以上となっているステーションが一定あり、利用者の状況を踏まえた適正な訪問日数となっているか少し疑問がございます。
また、レセプト1件当たりの平均医療費が高額なステーションもかなり増えており、ステーション間の差が大きく、事業者によって提供体制や方法、患者像に違いが生じているのではないかと考えております。
こうした点について今後議論していきたいと思っておりますので、さらなる実態が分かる資料があれば御提示いただきたいと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
今後も在宅医療のニーズは高まっていきますので、入院や外来などの医療機関はもとより、介護施設等との連携をさらに進め、地域における必要な量を提供できる体制の構築に向けて検討していくことが重要と考えます。
その上で、他の委員からも発言が複数ございましたが、訪問看護においては、頻回であったり高額なケースも見受けられるということですので、適切な実施に向けて、どういったサービスが提供されているのかなど、さらに詳細を分析し、お示しいただくようお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
本当に地域の様々な関係者と一緒に、この10年間、地域包括ケアシステムの構築に全力を注いでまいりました。医療関係の皆さん、また介護関係の皆さんなど、本当に多くの方に御協力をいただいて、形になってきているなということを今、実感しています。
訪問診療専門のクリニックも出てきたり、御案内のような訪問看護ステーションも、桑名市内でももう27か所ということで、本当に多くの方々が、まさに面的に支える取組に御協力いただいておりますし、これからもしっかりと2040年に向けて取り組んでいかなければいけないと思っております。
その一方で、1つ心配をしておりますのは、急性期の医療に取り組んでおられる病院での看護師の離職率の高さです。桑名市の総合医療センターでも、看護師の離職率は10%を超えているという状況でありまして、様々な理由で離職をするわけですけれども、その後働く場所として訪問看護ステーションを選ばれる方もかなり増えているということで、訪問看護に期待をされて、そこでお仕事として選ばれる方もいるのだと思いますけれども、私たちの暮らしの中では、急性期の医療がしっかり成り立っているということが前提で、その上で地域包括ケアができることが大事だと思っていますので、急性期の本当に大変な現場で頑張っておられる看護師の方たちへの処遇といいますか、そこをしっかりと応援するのだというような仕組みが要るのではないのかなと感じております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
20ページの資料についてコメントさせていただきます。
精神科で在医総管とか施設総管が伸びているのは、当然精神科の在宅の患者さんが増えている表れであり、これは政策的に精神科病床の削減あるいは患者さんの地域移行・地域定着ということを目指している中で、そういったところにそぐうものと思っています。
また、小児科で在宅療養指導管理材料加算が伸びているのは、御存じのように医療的ケア児が右肩上がりで2万人を超えており、在宅医療を受けながら、学校に通ったり、生活をしたりされている方が増えており、そういったところの医療的ケア児を支えている表れだと思っており、我々としては非常に好意的に受け止めているものでございます。
また、もう一点、前回の緊急往診の見直しで、原則、緊急往診で医師と患者さんが初めましてというのはないですよねという改定があったわけですけれども、今回の結果を見ると、前回の改定の効果は十分現れているものと判断しております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかに特に御発言がないようでしたら、本件に係る質疑は取りあえずこの辺りとさせていただきます。
本日もいろいろな御意見を頂戴いたしましたが、今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「医療機関等を取り巻く状況について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-3に基づきまして御説明したいと思います。総-2に引き続きまして大部な資料となっておりますので、大変駆け足となりますが御説明をさせていただきたいと思います。
4ページを御覧いただきますと、前回、4月23日に中医協で同様の議題にて資料を提示して、御議論いただいたということになっておりますが、5ページを御覧いただきますと、一番下の箱になりますけれども、御意見いただいたところとしては、切り口別の詳細な分析が必要といったことや、歯科医療機関や薬局の状況についてもということ、資金繰りの状況、それから地域別の都市部や地方部といったデータもあるとよいのではないかといった御意見をいただいたということでありまして、今回そのような御意見も踏まえましてまとめてございます。
7ページを御覧いただきますと、まず病院のほうの分析に当たっては、切り口の定義といたしまして、左上に病院類型、左下に地域分類、右側に機能分類ということで、御覧いただいたような切り口で分析をしておるということでございます。
8ページでございますが、まず上の段で分析結果に関する留意点ということでございまして、2023年度はコロナ補助金や特例措置による影響が一部含まれている可能性があるということ。それから、後ほど御説明いたしますが、小児科や耳鼻咽喉科に関して、2023年度の利益率は新型コロナ等の影響を受けている点に留意が必要なのではないかということ。それから今回、MCDB、医療法人経営情報データベースシステムを使っておりますけれども、2023年度のデータを使っております。2024年度のデータについては今、集計が続いている状況ですので、その収集状況に応じて、より直近の経営状況を今後また把握することが必要ではないかと考えてございます。
9ページ以降、病院につきまして分析をしてございまして、全体、それから一般、療養型、精神科ということでやっておりますけれども、全体で見ますと平均値マイナス0.7ということであります。中央値で見ますと、いずれの病院類型でもマイナスとなっているということでございます。
10ページに行きますと、今御覧いただいたものをヒストグラムという形で、分布で見ていますけれども、下のほうで、箱ひげ図と言われるようなもので見ておりますが、一般病院と療養型病院、精神科病院とでは若干傾向が異なっておりまして、一般病院では200床以上のほうがやや利益率が低いと。療養型病院、精神科病院のほうは、病床数が小さいほうが利益率が低いというような状況が出ているというようなことが見てとれるかと思います。
11ページを御覧いただきますと、収支構造の比較をしてございますけれども、一般病院のところで材料費が20%を超えているということでありまして、いずれにしても材料費と給与費で70%超を占めているという状況になっております。
12ページを御覧いただきますと、10ページで箱ひげ図につきまして御紹介いたしましたが、これを病床規模別にまた切っておりまして、一般病院では、いわゆる200床以上のところのほうが若干利益率が低い傾向にある。他方で、療養型、精神科病院については、規模が小さいほうが利益率が低い傾向にあるのではないかといったことが見てとれるかと思います。
13ページを御覧いただきますと、13ページと14ページ、上側の表は同じものでありまして、下側のヒストグラムが赤枠で囲った分類についてお示ししているということでありまして、高度急性期、急性期A、Bに分類されるような病院が、医業利益率、経常利益率ともマイナスになっている、低いということであります。
14ページは、回復期、慢性期、精神のほうについてのヒストグラムを掲載しております。
15ページへ移っていただきますと、収支構造を機能分類別に比較しておりますけれども、高度急性期のほうの材料費が非常に高いといったところが見てとれるところであります。
16ページは、同様の表を回復期から慢性期といったところに分析をしているということでございます。
17ページを御覧いただきますと、今度、地域分類別に切って見ておりますということで、特に人口少数地域型は、赤字割合が62%高いということでありますけれども、右側の円グラフになりますが、いずれの地域においても赤字割合が過半数を超えているということであります。
18ページは、同様のものをヒストグラムとして見ているということであります。
19ページにつきましては、同様の形で収支構造の比較を地域分類別にやっているというものであります。
20ページを御覧いただきますと、自己資本比率とそれから現預金回転期間を見ておりまして、自己資本比率は全体としては問題ない数字ではないかと見られます。
他方で、現預金回転期間につきましては、中央値が3か月、それから最頻値のほうで1~2か月ということで、これは最低限の現預金水準で事業運営が行われている可能性があるということが見てとれるかと思っております。
21ページは、自己資本比率と設立年数との相関を見ているということであります。
22ページに移っていただきまして、別の社会保険診療報酬支払基金のほうのいわゆる診療報酬債権の譲渡、ファクタリングの数字を見ておりまして、この点、令和5年~6年にかけて、医療機関におけるファクタリングの利用件数が増えていることが見てとれるということでございます。
23ページに移りまして、またMCDBに戻りますが、債務償還年数について分析をしております。左上の37.5%、約4割の法人が債務償還年数がマイナスということで、返済原資がない、いわゆる経常利益自体が赤字であるということが要因であるということが見てとれると思います。
24ページ以降、自治体病院につきまして分析をしておりまして、総務省の調査を基に分析をしております。MCDBと異なりまして、経年で取れるところがありますので、今回、2018年度と2023年度で比較をしているということでありますが、24ページの表を御覧いただきますと、医業収益の伸びを医業費用の伸びが上回っているということで、右側のヒストグラムにありますが、青い2018年の山からやや左のほうにスライドしているという状況が見てとれるかと思います。
25ページを御覧いただきますと、一般病院のところでもそういう傾向が見てとれるということであります。
26ページに移っていただきまして、上のほうの表は経営指標ということで、患者数が減少している。それで平均病床稼働率も減少しているということが見てとれるということ。
それから、下のほうの人件費につきましては、全体としては職員数が増えており、基本給についても1人当たりということで増えているということが見てとれるかと思っております。
27ページ、収支構造のほうを同様に見ておりますけれども、一般病院のところで材料費が27%を占めているということ。それから、委託費に関しては、どの類型であっても10%を超えているといったところが見てとれるということであります。
28ページは、経常利益率について病床数などとクロス化をさせて分析をしておりますけれども、特に相関といったものが見られるわけではないというところであります。
29ページへ移っていただきますと、収支構造を地域分類別に見ているというものでございます。
30ページは、今度は機能大分類別、特定機能ですとか、こども病院とか、そういったところを見ておりますけれども、いわゆる高度急性期系の病院が材料費の割合が高いという傾向が出ているかと思います。
31ページは、同様に機能大分類別の経常利益率について、2018年と2023年をヒストグラムとして表しております。
32ページは、今度、病床数と経常利益率を地域分類で切ったものをお示ししております。
33ページに移っていただきますと、救急の受入件数が2,000件以上のものを、救急の受入件数自体をバブルの大きさで表しまして、救急シェアと経常利益率を掛けているといったものでありますけれども、全体としてマイナスのところに寄っている状況かなということを見ております。
34ページへ移っていただきますと、今度は大学病院ということで、まず国立大学病院ということで、国立大学病院長会議のほうから公表されている資料を基にこちらでお示ししておりますけれども、収益は増加しているものの、費用がそれを上回る形で増加しているということが示されておりまして、右側のほうにお示しされているのが、保険で個別に償還されている特定保険医療材料費、それから赤字のところですけれども、特材以外の診療材料費のいずれも増えていることが示されているということであります。
35ページに移っていただきますと、今度は私立大学になりますけれども、同様のことが掲げられているということで理解しております。
ここまでが病院でございまして、36ページ以降が診療所になりますが、37ページ、医科診療所の経営状況ということでございまして、医業利益率、経常利益率について、いずれの区分でも平均値、中央値ともプラスであるということであります。
有床診のほうで、右下の円グラフになりますけれども、半数の診療所で医業利益が赤字であるということが示されております。
38ページは、収支構造の比較を診療所についても同様にやっているということであります。
39ページからが、各診療科分類別に医業利益率、経常利益率をヒストグラム化しておりますけれども、各科ありますが、例えば40ページの小児科、それから41ページの真ん中の上の耳鼻咽喉科については、やや右のほうに少し山があるように見受けられます。ただ、42ページを御覧いただきますと、小児科、耳鼻咽喉科は、冒頭でも申し上げましたが、新型コロナにおける影響を2023年は特に受けているというところもあるかと思いますので、2024年度のデータも今後見ていく必要があるのかなというところには留意が必要かなと思っております。
43ページ、44ページは、診療科ごとに収支構造を見ているということでございます。
45ページに移っていただきまして、地域分類別に医科診療所の経営状況を見ておりまして、いずれも医業利益率、経常利益率はプラスではありますけれども、地方都市型、人口少数地域型のところで利益率がやや低めに出ているのかなと見受けられます。
46ページにつきましては、収支構造を同様に見ているというものでございます。
47ページは、自己資本比率を同様に見ております。
ここまで医科でございましたけれども、49ページ以降、歯科診療所ということで見ていきたいと思います。
歯科診療所につきましても、医科の診療所と同様の傾向といいますか、医業利益率、経常利益率ともプラスになっているというような状況であります。
50ページに、地域分類ごとに見ておりますけれども、これもまた医科診療所と同様の傾向かもしれませんが、人口少数地域型のところでやや利益率が低いというところが見てとれるということであります。
51ページの収支構造、52ページの自己資本比率についても掲載してございます。
54ページに移っていただきますと、今度、薬局につきましては、MCDB、医療法人という中では取ることができませんので、別のデータを基に分析を試みております。
まず54ページは、薬局数と院外処方率の推移ということで、いずれも増加しているという状況が見てとれます。
55ページでございますが、左側の円グラフ、同一グループで50店舗以上の薬局は、店舗数の45%を占めているということ。それから、右側で3分の2がいわゆる門前薬局ということになっているということが見てとれるかと思います。
56ページは、損益構造ということでお示しをしておりまして、57ページを御覧いただきますと、大手の調剤薬局、チェーン薬局といったところが、売上高が伸びていること、それから店舗数が非常に伸びていることが示されているということでございます。
59ページを御覧いただきますと、前回、100床当たりの常勤換算従業者数が増加しているという資料をお示しした中で、それは実人数が増えているのか、病床数が減っているのかというような御質問があったかと思いますので、実際に見てみたものでございまして、具体的には折れ線というか直線が上のほうに出ておりますけれども、いわゆる黄色の線が実人数でありまして、ここは変わっていない。青い線が減っているということで、病床数が減っている。結果として、100床当たりの常勤換算従業者数が増えているということが見てとれるということでございます。
60ページ、61ページは、それを機能分類別に見ているものでありますが、今度、62ページのほう、最後、委託費の関係に移っていきまして、委託費全体として、2018年~24年という経年で見てみますと、全体としては増えていると。中でもとりわけコロナ前、コロナ後ということもあるのかもしれませんが、滅菌ですとか感染性の廃棄物処理といったところが大幅に伸びているところが見てとれるかと思います。
63ページに行きますと、今度は2024年6月の断面で、病床規模別で委託費の動向というものを見ておりますけれども、例えば一番上の保守点検(医療機器)といったところは、病床規模が大きいほうが比率としても大きくなっているところでありますけれども、個別の内容によっては、病床の規模に応じてリニアに実額が増えていくわけではないといったところも見られたりというか、様々な形で出ているという状況でございます。
65ページ、66ページは、るる御説明申し上げたようなことを最後まとめてございまして、最後、67ページを御覧いただきますが、今回の課題としては、各切り口別に見た医療機関等の状況を踏まえて、近年の医療機関の経営状況等についてどのように対応することが考えられるかということ。
それから、先ほども申し上げましたように、MCDBのほうで2024年度のデータも今後上がってきますので、それも含めてどのような切り口とか、さらに分析、議論すべきものとしてどのようなことが考えられるかといったことを我々の課題として掲げさせていただきまして、各委員の皆様からの御意見や御質問をいただければと考えておるものでございます。
長くなりましたが説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらよろしくお願いします。
最初に江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
4月に引き続きまして、今回も2023年の医療機関等の経営状況が示されていますが、大変厳しい状況でございます。2024年以降はコロナ補助金も廃止され、同時に物価高騰、賃金上昇も相まって、経営状況は2023年より2024年、さらには2025年と、より一層厳しさを増しています。直近の病院・診療所の経営状況は極めて深刻であるということを共有すべきと申し上げたいと思います。
続きまして、資料について、20ページですけれども、上段の自己資本比率についてでございます。一定の目安とされる自己資本比率30%を切る医療機関が3割程度、また、さらに深刻な、危険な状態にある自己資本比率が0%以下、すなわち債務超過と想定されるものが1割程度存在しています。大変危険な状況にあると察します。
また、下の現預金回転期間におきまして、0.0~1.0、あるいは1.0~2.0辺りに高いモードが出ております。このグラフを見ますと、おおむね左側にグラフが偏っており、自己資本の中でも流動資産がいかに低いかということを表しております。言い換えると、自転車操業でどうにかやり繰りをしている、大変脆弱な状況にあると思います。
続きまして、22ページのファクタリングの動向でございます。R5からR6にかけて伸びています。ファクタリングを利用するということは、既に金融機関からの融資に支障を来しており、金融機関よりも利息の高いファクタリングに頼らざるを得ないという厳しい状況の表れでありますので、こういったところも厳しさを表しております。
続いて23ページですけれども、一般的に融資の最長期間が20年であることを考慮すると、この円グラフからは、大半の医療機関がキャッシュアウトしており、毎年度キャッシュアウトしているということが容易に理解できます。すなわち、長期借入金の返済が予定どおりいかず、短期の運転資金の借入れでどうにかしのいでいる実態が多いわけですけれども、まさにそういったことを表しております。
最近では、運転資金の融資に苦慮している医療機関が増えてきています。例えば2年赤字が続くと当然融資には大きく支障が出ますので、仮に運転資金がストップすると、もう経営破綻につながりますので、大変危機的な状況にあるということがお分かりだと思います。
以上により、医療機関の経営は、過去に経験のない厳しい状況にあることが明白であります。したがいまして、診療報酬や補助金による大幅な支援を緊急に手当てしないと、取り返しのつかない事態、深刻な医療崩壊が目前に迫っていることは誰もが認識できるものと思っております。
今後、令和6年度の状況や医療経済実態調査の内容も明らかになると思われますが、事務局におかれましては、医療機関の窮状が明らかになるような資料を御準備いただきますよう、引き続きよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からも一言、もうほとんど江澤先生がおっしゃったことに尽きます。今回、4月23日の総会から、病院の経営状況に関していろいろと資料のほうを事務局に出していただいております。今回は、2023年のMCDBの医療法人の病院、また自治体病院、大学病院の経営状況をより詳細に分析をいただいております。
先ほど江澤委員からもありましたが、2023年度というのは、まだ期中までコロナの補助金が入っていた年度になります。診療報酬上も少し特例があった年度で、これぐらい厳しいという状況になっております。高度急性期、急性期の医療法人立の病院は、もう既に経常利益率がマイナスであったということでございます。
当然、その後、2024年の改定があったわけでございますけれども、消費者物価が3%ぐらいずっと上昇していっているにもかかわらず、改定率は0.88だったということの中で、今、2024年度に関しましては、我々が確保している調査の結果では、2023年よりも大幅に悪化しているということになっております。これもできるだけ早期に、我々病院団体も出そうと思いますし、また、MCDBの2024年のデータに関しましても、できるだけ早期に分析をいただきたいと思います。また、さらにそれよりも今、オンゴーイングの2025年はもっと悪いということは御認識をいただきたいと思います。
先ほど資金繰りの話がございました。民間医療法人の病院も民間企業でありますので、2期以上経常赤字になると、当然金融機関からは、いわゆる融資に関して要注意先という形で認識されて、非常に金利を上げられたり、貸出しなんかが厳しい状況に追い込まれるというのは一般企業と一緒でございます。
2023年の状態でこれだけ赤字、2024年がさらに赤字、2025年がもっと赤という状況になりますと、本当に今、運転資金の確保に苦慮している病院が多くなってきてございます。一言で言うと、病院医療というのは金融機関から構造不況業種というような形でみなされてしまっているような状況になっております。ですので、今回の改定では、病院医療に関して大幅なてこ入れが必要であるということは再度お話をさせていただきたいです。
また、病院も企業であります。今後の医療環境の変化を考えて、長期的な視点から様々な取組をしなければいけない。機能分化、連携、集約化、様々なことを言われておりますけれども、そういう状況をやっていこうにも、全く経営の先行きが見通せない状況になってございます。当然老朽化した病院もございますけれども、建て替えなどはもう検討する余地もないような状況まで悪化しておりますし、機械の更新等に関しても、この先が見えないということで、なかなか踏み切れないような状況です。
先ほど、保険医療材料専門部会のほうでもありましたけれども、ある一定程度、予見可能性があるというものを企業としては求める。これは医療機関、病院としても一緒でございます。今後どのような形で診療報酬制度が推移して、どの程度病院医療に関して財源的に手当ていただけるかということも、今後、地域で医療を提供していく医療機関側には重要になります。病院医療を安定して地域で提供できる経営環境を整えていくという視点でも、今年の診療報酬改定に関して、いろいろと御議論させていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
池端です。
私からも、江澤委員、太田委員と同じような内容になりますけれども、少しお話をさせていただきたいと思います。
まずもって事務局には、各種の切り口でこのように詳細なデータをMCDBから分析していただきましたこと、心から感謝申し上げたいと思います。そして、過去に実調等のいろいろな分析がありますように、様々な業種あるいは規模等々で、今まではいろいろな差があったのですけれども、今回は全ての病棟の種類や規模でほぼ(経営指標は)マイナス基調であるということがはっきりしたかと思っております。
そして、人件費比率、経費が70%を超すという中で、さらに今、江澤委員、太田委員もおっしゃったように、これから2024、2025にかけてはさらにその比率が上がる、厳しさが増えていることは火を見るよりも明らかな状況にあります。
23ページ、これも江澤委員からもお話がありましたように、償還年数の分析でマイナスということは、いつ破綻してもおかしくないところが全体の病院の4割あるということですので、本当にゆゆしき問題ではないかと思っています。病院団体も盛んにあちこちで訴えておりますが、ある日突然その地域の病院がなくなる可能性がある病院が4割あるという事実をぜひ認識していただきたいと思います。
一方で、それは例えばコロナ等々で稼働率が落ちたからではないかという声も以前ありましたけれども、恐らく2024あるいは2025の近々のデータを分析していただければお分かりになりますように、稼働率は(徐々に)上がってきています。病院は本当に努力して患者は増えているのです。患者が増えて、収益は上がっているけれども、さらに経費がそれ以上に増えてしまって、赤字幅が広がっているのが現状で、2024~2025にかけてもそうです。これは自治体病院の24ページ以降のデータにもありましたように、収益は上がっているのに赤字幅が増えているという現状は、構造的におかしいとしか言えない。これ以上どうやって努力すればいいのだという声が、本当に現場の職員からも聞こえてきます。
この夏の賞与も、とても一般企業並みに出せない。そして、経営者は我が身をはたいて、それでも出せなくて、厳しい状況に陥り、そしてだんだん離職者が増えていくという悪循環に入ろうとしています。この状況に、私たちは期中改定も視野になければならない状況ではないかと感じています。ぜひこのあたりを御理解いただいて、今後の各論も含めてしっかり議論させていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それと事務局には、ぜひ早く2024年のMCDB、そして実調等も含めて、総合的に判断できる材料をご用意していただければと思いますし、病院団体としても今、最新のデータを準備していますので、それも併せてできれば皆さんにお示しさせていただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、法人立の歯科診療所のデータも精緻に分析をしていただき、ありがとうございます。
2023年度のMCDBを用いられておりますけれども、歯科医療はそもそも歯科診療所における提供がほとんどであり、その中でも個人立が75%を占めております。歯科においても、法人立と個人立とは経営状況も大きく異なっていると推測されます。法人立は、歯科診療所の中でも大きい部類でありますので、引き続き個人立の小さいほうのデータも併せて御検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
御説明いただきありがとうございました。
改めて、病院、医科・歯科診療所の厳しい経営状況が分かりました。薬局も同様に経営が非常に厳しい状況です。これらの状況を踏まえて、令和8年度診療報酬改定での対応はもちろん、何かしら早急な対応が必要と考えております。
先ほど事務局のほうからもありましたけれども、薬局にはMCDBがないため、医療経済実態調査の結果に基づいて発言をさせていただきます。
薬局の経営も年々非常に厳しさを増しております。令和5年度に実施された医療経済実態調査では、約3割の薬局が赤字と示されました。また、全体の約2割を占める最頻階級の薬局における収支は月額10万円にも満たない状況となっております。そのような状況の中、物価高や人件費の高騰の影響に大変苦慮しているところです。
さらに、56ページ目でも示されているとおり、薬局における収益の大半は薬剤料となっており、毎年の薬価改定による薬価の引下げ、薬価差の縮小、医薬品や医療材料の逆ざやの増加などにより、薬局は経営の悪化の一途をたどっています。
先ほど債権譲渡という話がありましたけれども、薬局での調剤報酬の債権譲渡もかなり進んでいて、令和5年度は約5,000件、薬局が約6万件ですので、8%を超える薬局は債権譲渡をしないと資金繰りが悪化しているという、そのように非常に厳しい状況になっています。
このままでは、地域に根差して地域医療を支えている薬局が存続できず、在宅医療や夜間・休日対応、それから災害時対応といった地域医療のセーフティーネット機能そのものが損なわれてしまう可能性も出てきています。地域医療の一翼を担う薬局が医薬品供給拠点としての機能、そして薬剤師サービスをしっかりと果たせるよう、次回改定においては必要な手当てを行うべきと考えます。
また、55ページ目にあるように、薬局は大規模と中小の二極化が進んでいる状況です。中小の薬局は、規模の経済の観点から、経営基盤構築は容易でなく、また不利であり、地域密着型で医療提供を行うことができる中小の薬局への制度的支援策が引き続きの課題だと考えます。
薬局数が充足しており、人口も集中している都市部においては、大病院前等での薬局開設が続いていますが、人口減少している地域における薬局数は減少傾向に転じており、都市部以外の地域や過疎地域における薬局の不足傾向はさらに進んでいくことが危惧されます。離島・へき地や過疎地を含めて、過不足ない医薬品の提供体制を構築するために、報酬上での対応と報酬以外での対応を組み合わせて検討していくべきと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まずは、これまでになかった非常に細かい分析をしていただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
MCDBにつきましては、データ提出の義務化が2023年度の年度途中からの施行ということもありまして、8ページにありますとおり、カバー率が非常に低いことは残念でございますけれども、原則全ての医療法人が対象ですので、2024年度については、より正確に経営状況を把握できるものと期待するものでございます。
MCDBは個人立が含まれず医療法人だけのデータであり、直ちに医療経済実態調査を代替できるものでないことは十分理解をしておりますけれども、補完的に活用できることが今回の分析で示されたものと受け止めております。事務局におかれましては、今後、積極的な活用について、具体的にさらなる検討をお進めいただきたいと思います。
それでは、分析結果についてコメントいたします。
最初に、全体を通した率直な感想として、病院と診療所の経営状況には明確な違いがあるということをまず申し上げておきたいと思います。
まず病院についてでございますが、10ページ以降に示されております病院類型別の状況を見てみますと、一般病院については、10ページで事務局の説明がありましたとおり、200床未満とそれ以上で分けた場合、規模が大きいほうが利益率が低いということですけれども、より細かく病床規模を区分している12ページに目を移しますと、診療報酬上の取扱いが異なります199床以下のグループと200床以上のグループ、ちょうど真ん中辺りになりますけれども、分けて見てみますと、それぞれのグループ内で病床数と利益率を見ていきますと、どちらのグループでも病床規模が大きくなるほど利益率が改善していく傾向があることが分かります。n数の限界や、いずれにしても赤字であるということではありますけれども、病院の集約化を進めることが経営改善に寄与する可能性があるということは改めて指摘させていただきます。
療養型病院では、病床規模との相関が顕著で、100床を超えると黒字になり、さらに病床数が増えると、3%を超える水準まで利益率が高くなってきております。
精神科病院につきましては、500床以上のところで医業利益率がマイナスですけれども、病床規模との相関がこれについても見てとれます。
次に、13ページ以降に示されております機能別の比較でございますが、急性期病院とそれ以外の違いが顕著で、特に左下にございます高度急性期は、利益率が正規分布ではなく、マイナス側に偏っているように思いますので、今後、病床規模とのクロス分析をするなどして、病院機能に着目した分化、連携の在り方を検討する際に活用することも考えられるのではないかと思います。
さらには20ページ以降で自己資本比率、現預金回転期間、ファクタリング、債務償還年数について説明があり、各委員からコメントがございましたけれども、この業界の非常に特徴的なものは、保険診療である限りは、お金は必ず一定期間後に入ってくるということでございます。これが一般の企業とは大幅に違うところでございます。金額が分かっていて、期間が必ず見えていると。ですから、自己資本比率も低く、現預金回転期間も少ない月数で済んでいるというのはそういったものに起因するものですし、ファクタリングというものが成立しますのも、そういったものの影響であるということはコメントさせていただきたいと思います。
続きまして、自治体病院の経営状況でございますけれども、28ページで病院類型別に見てみますと、一般病院と療養型病院は、経常利益の平均値・中央値がマイナス赤字ですけれども、特に一般病院の散布図を見てみますと、病床数が多くなるほど経常利益率が0%に近づいていっているということが見てとれます。
32ページの地域分類別の分析においても、病床規模が大きくなると経常利益率が0%周辺に寄ってくる傾向にあるように見てとれます。
以上のことから、やはり病院の再編・統合や医療機関機能の適切な選択を推進する方向で、診療報酬にはメリハリをつける必要があると言えます。
一方で、最後に診療所につきましては、37ページを見てみますと、医業利益率については平均値・中央値・最頻値ともにプラスで、分布としてのプラスが多く、かなり高い利益率の法人があることが分かります。この傾向は診療科別や地域別の集計でも大きな違いはないと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
まずは詳細な分析ありがとうございます。
医業利益率だけを見ても、病院、診療所、歯科診療所間のみならず、さらに医療機関の機能や類型といった特徴に応じて、状況に違いがあることが分かりますので、今後きめ細やかに議論していく必要があると感じました。
一方、経年での状況変化も確認する必要を感じており、今後に向けてMCDBへのデータの蓄積が進んでいくことを期待いたします。
医業利益、経常利益ともにマイナスという施設がある中で、前回の資料でも示されましたが、病床利用率の低下や患者数の減少の影響もあるかと考えられることから、地域医療構想を進めていくことが重要であると改めて実感いたしました。
また、病院100床当たりの従事者数の推移も詳細に示していただきましたが、基本的には多くの医療機関で増加していらっしゃいます。働き方改革や医療の高度化が進んだことなどが要因として想像できますが、要因の詳細や、今後適切な配置や分担、効率化についても検討していく必要があると思いました。
いずれにしても、今後こうした切り口も踏まえ、最新の実態を確認しつつ議論していければと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
お手が挙がっています佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、様々な角度から分析をいただきありがとうございます。
病院と診療所、病院においても、その類型や機能、地域などによって状況が異なることが分かりましたので、その要因は何か、より詳細について分析いただきたいと考えます。
診療報酬の検討に当たっては、今後も物価や賃金の上昇は見込まれる一方、医療保険財政には限りがありますので、さらなる分析を踏まえながら、地域に必要な医療提供体制の確保、人材確保に向けた処遇改善などを総合的に勘案し、めり張りをつけて検討していく必要があるのではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
今回の分析は大変有益な分析であり、御苦労いただいた事務局には本当に感謝申し上げたいと思います。
最後の65ページ、66ページにまとめて整理されておりますけれども、今回の資料を通じて、大枠として病院の医業利益率はマイナス傾向にある一方で、診療所はプラス傾向であるという構図が確認できました。これはもう既に松本委員、鳥潟委員等からもお話があった件ですけれども、こうした点を念頭に置きながら、改定の方向性を検討していくことが重要であると思います。
また、様々な切り口で経営状況について分析をしていただいたことで、病院の中でも入院機能によって利益率に差が生じている。また、診療所の中でも診療科によって利益率に差が生じていることが明らかになりました。ほかにも、同じ機能を持つ医療機関の中でも、赤字の医療機関がある一方で、高い利益率を確保している医療機関が存在していることも分かりました。
こうした差が生じる要因についても、引き続き、可能な範囲でより精緻な分析を行っていただきたいと思います。その結果を踏まえて、国民皆保険制度の持続性を維持するために、医療機能に応じためり張りのある評価としていくことが重要ではないかと考えておりますので、今後の改定の議論を進めていければと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
私からも一言お話をさせていただきます。
今現在、日本の物価、人件費が高騰して、日本全体がコスト高になって、なおかつ医療現場においては公定価格ということで、赤字ということで、非常に厳しい状況というのは十分理解をできます。けれども、だからといって報酬を短絡的に大きく上げればいいかという話にはならないですし、報酬が上がって、それぞれの患者さんへの負担が大きくなれば、医療を控えるような人が出てくるというような形で、悪循環になるということが考えられております。その中でやはり、この資料に基づきまして、いいところもあれば悪いところもあるかもしれないので、もう少しその辺のところを細かく分析をしていただければと思います。
例えばさっきお話ししたように人件費が高いです。これはもう医療機関は労働集約型の産業であるので間違いないわけです。ですから、その中でどういうふうにするか。また、現預金回転期間というような話で、3か月では短いというのか、では何か月だったらできるのかというよりは、実際問題、先ほど松本委員がおっしゃったように、貸し倒れがないわけですから、ある意味では3か月あれば十分ではないか。その中で何が問題かというと、流動比率に問題があるのかとか、キャッシュフローがどうなのかとか、そういったところがもう少し分からないといけないですし、今回の資料の中でも、例えば減価償却が入っているので、そういった流れでオペレーションプロフィットというか、運用上の流れ、キャッシュフローとしてどうなのかということも分析しながら、その中で割合経営に努力されていることが、どういう形を努力したら結果としてなっていくのかというようなことがもう少し分かるようにしていただければ、納得のいくような報酬改定というような形になるかと思いますので、事務局のほうでは、非常に細かい資料をさらにということでお願いするのは大変申し訳ないのですが、そういった形でぜひお願いをしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
診療報酬は公定価格でありますので、当然ながら物価高騰や賃金上昇を診療報酬に上乗せはできない仕組みになっています。そういった中で、複雑あるいは厳しい施設基準や算定要件を遵守しながら、診療報酬をいただいている状況にあります。
しかし、経営の観点で申し上げますと、他産業と同様に、しっかりと健全経営の担保、借入金の返済、あるいは健全なキャッシュフローの担保、こういったものは当然求められるわけでありますし、それができなくなると経営破綻になってくるわけであります。
したがいまして、さらに最近の状況は、医療従事者と他産業の労働者の賃金の格差は年々大きく開いています。そういった中で、我々の現場としては、本当に多大なる苦労をしながら、どうにか運営しているというところは御理解いただかないと、なかなか話が前に進まないのではないかと考えています。
今日の全体データでいくと、明らかに経営が厳しいというのが多くの状況であるというのは明白であります。これは病院のみならず、診療所も今、コロナ補助金もなくなり、大変厳しい状況に陥ってきております。したがって、我々も質の高い医療を提供したい思いでございますので、そういったところを支えるための健全経営というのはしっかり今後構築していただきたいと要望いたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も、お言葉を返すようですけれども、少し誤解されているのではないかと思うのです。診療報酬というのは、あくまでもその診療の対価として2か月後に入ることで、確かに貸し倒れがないとおっしゃいますけれども、診療そのものの対価ですから、その努力した結果として2か月後に報酬が入る形になっていて、黙っていても病院に2か月後に収入が入るわけでは決してないのです。2か月後にいただく報酬で経営を成すことの全てを債権化することは、誰もやりたくない。だって、全てそれを召し上げられるわけですから。なおかつ、それをしなければいけないというのは、本当に破綻寸前に近いところで、とにかく今、目の前のキャッシュフロー上、現金がないから、そのときに債権化するということになりますので、決して病院側に左うちわで2か月後にまた入ってくるからいいよとやっているわけではなくて、収入は入っても、その上に支出が多いからどんどん悪循環をしていって、今こういう状況になっていて、なおかつ、今までの原資も返せなくて、いわゆるマイナス基調、債権も返せなくなっている状況が4割あるということなので、決してそうではない。
しかも、なおかつ、それは先ほど江澤委員もおっしゃったように価格転嫁できないわけです。周りが上がったから、給与が上がったから、診療報酬、基本料、1割上乗せしようということはできない。2年間完全に損益となる。しかもなおかつ施設基準があって、必ず職員は何人配置しておかないと、たとえ入院患者が減っても、きちんと施設基準上の人員はそろえておかなければいけない。一般の企業であったら、顧客が減ってきて、あるいは消費者が減ってきたら、その分を合わせて人を減らせるかもしれませんけれども、そういう企業努力ができない仕組みになっているのが病院の体制なのです。ですから、その辺をぜひ御理解いただきたいなということを感じます。
○小塩会長
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
松本委員からありました20ページ、確かに自己資本比率が云々とか、現預金回転期間で資金繰りを全部証明できるわけではないというのはそのとおりです。2か月後に、確かに診療報酬債権が入ってくるということで、非常に少ない流動資産で回せているというのはそのとおりなのですが、これをもって別に資金繰りがきついということを証明できるわけではないですけれども、23ページの債務償還年数マイナスというのはかなり激しい数字だと思います。減価償却を含めてもキャッシュフローがマイナスになっているということと、ほぼ40%の病院が同義ということです。これはかなり厳しい数字だということを認識していかなければいけないのと、2022年以降、我が国は消費者物価が3%ぐらいずつ上がっているというのは、もう皆様方御存じのとおりです。人件費に関しましても、今年、人勧が3.62、定昇を入れると5%ぐらい給与が上がるという状況ですし、連合の今年の調査でも5%ぐらい上がるという状況になります。
先ほど、病院の経費構造が出ていました。人件費が6割弱、経費の中でも診療材料と薬、いわゆる診療報酬である一定程度面倒を見ているもの以外の経費は25~30%はあるのです。そこが消費者物価に連動して上がっていく。人件費が先ほど言ったように3%、4%で上がっていくとすると、1年間に3%ぐらい病院の経費は増えるのです。単純に計算していただければ分かります。同じ医療を同じ量提供していても、3%ぐらい毎年基本的にはコストは上がっていくという状況にこの物価上昇の局面でなっている中で、もちろんめり張りは重要です。考えていけばいいですけれども、先ほど機能ごとに示していただいたもので、回復期とか慢性期が少し利益が残っていると見えましたけれども、そこも1年ごとにそれだけ利益が減っていっているような状況に2024年、2025年、理論上なっているはずなのです。なので、物価が上がっていっているというものに関しては、しっかりと御認識いただいて、我々も資料を出していきますので、ぜひとも持続可能な医療提供体制の維持のために、いろいろと御協力をさせていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
医療現場は、全体を底上げした上での、メリハリをしなければ潰れます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
今日出ていない話として、まず長期借入金は何に対する借入れかというと、多くはキャピタルコスト、すなわち建物、土地が中心になるわけですけれども、現状の診療報酬ではキャピタルコストの部分までを賄うのはなかなか難しいというのは、今に至らず従前から続いていました。仮に黒字であっても、例えば法人税をざっくり4割払って、残りから当然借入れを返済しているわけでありますから、なかなかキャッシュフロー、すなわち減価償却前の利益と年間の返済額のバランスが取れないという経営体であるということは御理解いただいてほしいと思いますし、我々も経営努力は死ぬほどやっているわけで、売上げは予想できないのです。例えば来月、5割とか3割の売上げということはあまりないかもしれませんけれども、しっかりと健全経営のための売上げをいかに確保するのかということは、どの医療機関も死に物狂いで努力をしているのが今の実態でありますので、そういったことを踏まえてまた今後の議論につなげていただきたいとお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
非常に多くの意見を頂戴いたしました。ほかに追加の御意見がないようでしたら、本件に係る質疑は取りあえずこの辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、また、新しいデータが利用可能になると伺っておりますので、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○山田医療介護連携政策課長
医療介護連携政策課長でございます。
総-4を御覧ください。「マイナ保険証の利用促進等について」、特にスマートフォンのマイナ保険証利用を中心に御説明させていただきます。
1ページでありますが、今の利用状況でございます。真ん中のグラフの赤い折れ線でありますが、7月のマイナ保険証の利用件数は31.43%となっております。マイナ保険証の件数、7810万件ということで、今までで一番多くなっております。医療機関・薬局の皆様をはじめまして、関係者の皆様の御尽力、御協力に感謝申し上げます。
2ページをお願いいたします。
外来診療等におけるスマートフォンのマイナ保険証利用への対応についてであります。上段がマイナンバーカード、下がスマートフォンとなっております。
マイナンバーカードでありますが、ほぼ全ての医療機関・薬局でマイナ保険証として利用可能な状況となっております。
一方、3ポツ目でありますけれども、手続として必要になる場合以外での日常的にマイナンバーカードを持ち歩く習慣がないという方が一定程度存在するということでもあります。ですので、引き続き実物のマイナンバーカードによる利用経験が増えていくよう取組を進めてまいります。
一方、スマートフォンでございますが、マイナポータルへのログインが簡便になり、自身の医療情報の管理・把握が容易になるというメリットがございます。また、当然ですが、スマートフォンは日常的に広く利用されております。カードに加えまして、スマートフォンでも利用できる医療機関・薬局の環境整備を支援していきたいと思っております。
3ページであります。
実証事業を行わせていただきました。iPhoneでのマイナンバーカード機能の利用が6月24日より開始しておりまして、7月、8月の2回に分けて実証事業を行っております。
4ページがその結果でございますが、左下の表であります。15の医療機関などで実証を行いました。iPhoneを使われたのが252名、Androidを使っていただいたのが69名、合わせて300名少しの実証事業でございました。
この15医療機関、マイナ保険証の利用率は約50%と高い医療機関でありましたが、その中でスマホの利用割合は1%以下ということではありました。ただ、この三百何名、大きな支障なく資格確認ができることが確認されております。
右側が、患者または医療機関・薬局の職員の意見の主なものを記載しております。
まず患者でございますが、カードを出す手間がなくなり、受付がスムーズになった。また、持ち歩きによる紛失の心配がなくなったというポジティブな御意見がある一方、多かったのが、スマホの最初の設定が難しかったという意見が多くありました。
職員のほうからも同様でございまして、来院前にマイナンバーカードのスマートフォンへの追加を終えてから来院受付をしてほしい、こういう声が強かったと思っております。
スマホ利用に当たっての必要な事前準備や留意点について、周知を図ってまいりたいと思います。
5ページ、6ページでありますが、5ページは医療機関・薬局に対応をお願いしたいこと、6ページは患者に対応をお願いしたいことという資料を作っております。
まず5ページであります。
本年9月19日の予定でありますが、準備の整った医療機関・薬局から順次、スマートフォンでのマイナ保険証が扱えるようになります。医療機関の対応としましては、四角の中の赤字の3点ございます。
1点目は、カードリーダー、汎用カードリーダーの購入であります。8月29日より、ECサイトの専用ページが開設されます。申請するという手続なく、補助上限7,000円、2分の1補助で割引後の価格で購入することができます。
2点目は、資格確認端末と汎用カードリーダーとを接続していただくということ。
3点目が、スマホ対応施設であることを患者が確認できるステッカーを提示いただくということであります。このステッカーは後日、支払基金のほうから配布したいと思っております。
医療機関・薬局側の対応としては3点、繰り返しになりますが、汎用カードリーダーの購入、資格確認端末との接続、ステッカーの提示をお願いしたいと思っております。
6ページは患者側での対応でございます。
御自身のスマートフォンがそもそも対応しているのかというものもございますが、大きく2点赤字で書かせていただいております。
来院前にスマートフォンへのマイナンバーカードを追加していただくことが1点目。
2点目が、医療機関の受付にあるステッカーを事前に確認した上で、スマホを持参していただきたいということであります。9月19日から、スマートフォンでのマイナ保険証が始まりますけれども、医療機関・薬局で利用できるのは順次広がってまいりますので、確認前に、スマホだけを持ってきて来院することがないようお願いしたいと周知していきたいと思っています。
7ページでありますが、現行の取扱いであります。
マイナンバーカードを持ってきていただいた、マイナ保険証を持ってきていただいた場合に、カードリーダーにかざして、停電なり何らかの事情でオンライン資格確認が行えなかった場合、例えばマイナポータル画面を掲示したり、過去の情報で請求したり、もしくは申立書といったもので請求したり、とにかくマイナ保険証を持ってきていただければ、3割などの保険診療を受けられるということの取扱いとさせていただいております。
8ページでございます。
スマートフォンでのマイナ保険証の利用が始まるに当たりまして、マイナ保険証として利用可能なスマートフォンを、スマートフォンでのマイナ保険証の対応ができる医療機関・薬局に持ってきていただき、それでも何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合にどうするのかということであります。
赤字が今回の変更提案部分でございますけれども、マイナ保険証として利用可能なスマートフォンが何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合に、その場でマイナポータルにログインし、表示された資格情報の画面を提示していただければ、患者には3割などの適切な自己負担で保険診療が受けられる、このような取組とできないかと考えております。
以降、参考資料でございますので説明は省略させていただきます。
○小塩会長
御説明をいただきましたが、ただいまの御説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
スマートフォンへのマイナ保険証の搭載は、患者、国民にとって利便性が向上することに加えて、マイナポータルへログインし、自分の医療情報を把握するのが大幅に簡単になるという大きなメリットがありますので、大いに推進すべきであります。
ただし、以前から繰り返し申し上げていますが、スピード感は重要ですが、拙速に進めて国民や医療現場に混乱や不信を招いては、かえって大きなブレーキとなります。スマホへのマイナ保険証利用に関しても、混乱や負担をできるだけ少なくするために注意すべき点が幾つかあります。
まず、9月19日からスマホ利用がシステム上は可能となるとしても、対応できる医療機関が増えるには一定期間かかりますので、当面の間は、実際に対応できる医療機関は全国でもごく一部であると思われます。このことをしっかりと国民に周知する必要があります。
次に、スマホに対応できる医療機関であっても、何らかの事情で読み取りに失敗した場合、その場でマイナポータル画面にログインし確認することとなっておりますが、そのときに、ログインした方が御本人なのか、また、表示されたマイナポータル画面が真正なものであるのか、ここに関しては、例えばマイナ保険証や他の身分証明書などで確認しないと、医療機関ではすぐには確認できません。
そうした手間や混乱は、患者や医療機関に大きな負担となります。したがって、初めてスマホ搭載のマイナ保険証を利用する場合は、スマホだけではなく、必ず実物のマイナ保険証を持参していただくことが重要です。
また、患者さんがマイナ保険証をスマートフォンに搭載させるには、それなりに手間がかかりますが、その手続の説明やお手伝いを医療機関の窓口で行うとなれば、これも大変大きな負担、混乱になってしまいます。したがいまして、スマホを利用される患者さんは、必ず来院前に手続を済ませていただくことが重要です。
さらに、医療現場に実際にこの仕組みを導入する手順やシステムがうまくいかなかった場合の対応について、国が分かりやすい資料を提供するとともに、相談窓口の設置が重要と考えます。
以上については、実際の運用に当たり、円滑に普及するために極めて重要なことであります。国の責任において、丁寧に、確実に周知していただく必要があります。また、保険者の皆様には、被保険者の皆様に周知と支援をぜひお願いしたいと思います。
最後に、オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーや資格確認専用端末について、早期に導入した医療機関・薬局では保守期限が残り1年程度となっており、今後これらの機器を更新する必要が生じます。その場合、様々な費用や業務負担が想像されます。
今後、円滑かつ適切に医療提供を継続するためには、保守期限の終了や機器の故障などによりオンライン資格確認ができない事態は避けなければなりません。そこで国に対し、機器更新の費用等に対して十分な補助を行うこと、関連業者・業界に適切に対応することをしっかりと働きかけることを望みます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今、長島さんのほうから、非常に懸念事項とか対応について詳しく説明いただきましたので、私からも1点だけ、5ページにありますけれども、オンライン資格確認システムの機能の開放は9月19日の予定ですと。一方で、下に汎用カードリーダーの購入やECサイトのオープンは8月29日と書いてありますので、非常に時間がない。この辺について、医療機関並びにこういったものを購入する業者、それと先ほど我々保険者もとありましたけれども、トータル的にしっかり丁寧に周知をしないと、行ったけれども駄目だったとなってしまうと、また評判が落ちてしまうということになりかねませんので、それについては、我々もですけれども、統一的なマテリアルで周知することが必要かと思いますので、それについては厚労省のほうでよろしくお願いしたいということを私からもお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
今、長島委員からほぼ全ての御発言がありましたけれども、私からも、スマートフォンによる方策が増えることは、便利になり大変よいことだと思いますけれども、実証事業の中でもありましたが、小規模な歯科診療所などでは、人材を窓口に配置することもできず、窓口にて患者さんの対応に手を取られると、本来の診療時間に支障を来します。国民の方々に、できるだけ分かりやすく使い方、使用方法等を周知広報していただきたいと思います。
要望になりますけれども、よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
長島委員、大杉委員と重複する点もあるのですけれども、9月18日までに全ての薬局・医療機関で汎用カードリーダーの購入準備などができるわけではありません。また、顔認証付きカードリーダーについてですが、来年に保守期限を迎えて、入替えがもう迫っている中で、正直、躊躇するところも出てくるのではないかと思います。そうなると、スマホに対応できる医療機関・薬局、対応できない医療機関・薬局が混在することになって、現場でのトラブル、または国民が混乱すると思っています。
また、普段、利用している医療機関・薬局がスマホ対応していても、急におなかが痛くなりかかりつけの医療機関ではなく職場の近くの医療機関を受診することや、いつも利用している薬局以外を利用することもありますので、国や保険者も含めて、マイナ保険証の携帯もするよう必要な注意に関して、十分に周知をいただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいですか。
それでは、特にほかに御質問等がないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
12時半になってしまいましたけれども、引き続き審議を続けます。
続きまして、「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて(諮問)」を議題といたします。
本日、厚生労働大臣より諮問がなされておりますので、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料総-5を御覧ください。
スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて、中央社会保険医療協議会会長に対し、厚生労働大臣より諮問がされております。
健康保険法第82条第1項、その他関係法令の規定に基づき、スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて、貴会の意見を求めます。
なお、答申に当たっては、別紙、総-4「マイナ保険証の利用促進等について」に基づき行っていただくよう求めます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま諮問を受けましたが、この件につきまして何か御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、この諮問を受けまして、本件につきまして、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
そこで、「個別改定項目について」を議題といたします。
ただいま諮問のございました「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」に関しまして、引き続き議論を進めてまいりたいと思います。
事務局より「個別改定項目について」、いわゆる「短冊」につきまして説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
先ほど諮問いたしました事項について、改正案を御説明いたします。
まず、総-6-2「補足資料」のほうを御覧いただければと思います。
こちらは先ほどの総-4の資料に、それぞれの資格確認方法が法令上どこに規定されているかを追記したものでございます。
今回の諮問でございますけれども、先ほど事務局より説明のあった資料中央の赤枠で囲われた部分を新たに法令に定めるために行ったものとなっております。
総-6-1「短冊」のほうを御覧ください。
第2のところが具体的な改正内容となっておりまして、保険医療機関等が、電子資格確認により資格を確認できない場合の資格確認方法を規定する告示となっておりますけれども、2ページをおめくりいただきまして、左側の改定案の欄にありますとおり、第三号を新設するものとなります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、御質問がないようですので、この後、休憩を挟みまして、「答申について」を追加議題としたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
それでは、ここで一旦休憩といたします。
休憩中に、事務局は答申案を各委員に配付していただいて、その上で、1号側委員、2号側委員の皆様には御確認をお願いいたします。
その後に会議を再開いたしまして、「答申について」を議題として、御議論いただくようにしたいと思います。
ということで、休憩に入ります。よろしくお願いいたします。
(休憩)
○小塩会長
それでは、「答申について」を議題といたします。
「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」につきましては、本日8月27日に厚生労働大臣から諮問されました。
そこで、これまでの中医協における議論の成果を踏まえて、答申書(案)が提出されております。
内容につきまして、事務局より補足することなどがございましたらよろしくお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料総-7と別紙を追加でお配りしております。総-7が答申書のかがみとなっております。本日付にて、中央社会保険医療協議会会長から厚生労働大臣宛ての答申となっております。別紙が告示の改正(案)でございます。
答申をいただきましたら、告示の公布に向けまして、事務的な作業を進めさせていただきたいと考えております。
以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
これを受けまして、1号側委員、それから2号側委員の代表からもし御発言等ございましたらよろしくお願いいたしますが、いかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、コメントをする前に1点確認なのですけれども、先ほど見せていただいた「短冊」に書いてあるアンダーラインの項目と、今回いただいている項目の関係が私、分かりかねているのですけれども、御説明いただけますでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-6-1の2ページ目に記載をしております三の下線が引いてあるところと、今回答申書の別紙の中で、一番最終のページにあります三号の下線部が同じものということになります。
その他については、形式的な修正は施しております。
○小塩会長
ということで、いかがでしょうか。松本委員。
○松本委員
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、御了解いただいたと理解させていただきます。
2号側委員はいかがでしょうか。
江澤委員、お願いします。
○江澤委員
診療側を代表いたしまして、本件の答申につきましては異論ございません。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、この答申書をもちまして、中医協から答申を行うということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、答申書の正本の御準備をお願いいたします。
本日は、私より、間局長に答申書をお渡ししたいと思います。
(小塩会長から間保険局長へ答申書を手交)
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、間局長より一言御挨拶をお願いいたします。
○間保険局長
保険局長でございます。
小塩会長はじめ、委員の皆様におかれましては、日頃から、厚生労働行政、とりわけ医療保険行政に関しまして御指導いただいておりますこと、この場をお借りしまして改めて心から感謝申し上げます。
ただいま「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」の答申を頂戴いたしました。答申を取りまとめいただきましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
厚生労働省といたしましては、関係者の皆様の御協力をいただきながら、引き続き、マイナ保険証の利用環境の整備にしっかり取り組んでまいる所存でございます。この答申に基づき、速やかに告示の準備を行う予定です。
本日は誠にありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
私のほうからも、本日、非常に短い間に御議論を精力的にしていただきました委員の方々にお礼を厚く申し上げます。ありがとうございました。
以上で「答申について」の議題は終了いたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
それでは、ただいまより第615回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、岡本専門委員が御欠席です。
それでは、カメラの頭撮りはこの辺りとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料総-1の1ページ目を御覧ください。
1つ目の丸でございますが、再生医療等製品につきましては、承認されたものについて、個別の製品の特性を踏まえて、医薬品の例により対応するか、医療機器の例により対応するかを、まずは御判断いただくこととしております。
2つ目の丸でございますが、本年7月24日付で再生医療等製品バイジュベックゲルが薬機法において通常承認され、企業から保険収載を希望する旨の申出がなされております。
2ページ目を御覧ください。
類別は遺伝子治療用製品(ウイルスベクター製品)、形状、成分、分量等につきましては、ヒト7型コラーゲンタンパク質でございますが、これを発現する遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス1型を主構成体とする再生医療等製品でございます。
一番下を御覧ください。医療保険上の取扱いの案でございます。
本品目につきましては、審査報告書におきまして、「患者の創傷部位に塗布された本品が真皮のヒト皮膚線維芽細胞及び表皮のヒトケラチノサイトに感染することにより、本品のウイルスゲノムは細胞の核内にエピソームとして留まるとともに、ヒト皮膚線維芽細胞及びヒトケラチノサイトにおいて機能的な7型コラーゲンタンパク質を発現する」とされており、発現する7型コラーゲンタンパク質が作用を発揮すること、それと本品は皮膚創傷部に滴下塗布して投与する点も医薬品と同様の投与方法であることから、医薬品の例により対応することとしてはどうかというものでございます。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等ございますでしょうか。
松本委員、御質問をお願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
本製品につきましては、安全性と有効性がしっかり示されているということで、事務局の御提案どおり医薬品の例として対応し、薬価算定手続に進むことに異論はございません。
その上でのコメントでございますが、この製品により重篤な疾患の治療が可能になるということで、患者の期待も大きいものと思います。
その一方で、過去の再生医療等製品を念頭に置きますと、単価は相応の金額になるということが想定されます。さらに、2ページにあります用法を見てみますと、週1回の使用を症状が治るまでと、一定期間使い続けるということですので、トータルの薬剤費としてはかなりのものになるのではないかと思いますので、薬価の設定におかれましては慎重な議論をお願いしたいということでございます。
また、今回の製品に限らず、個人で負担できない治療を患者に届けることは公的医療保険制度の役割だと認識しております。限りある財源の持続可能性を確保しながら、高額な治療をいかに許容していくかということについては、次期改定に向けてもしっかり議論する必要があるということも改めて指摘させていただきます。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御発言ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかには特に御質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。
続きまして、「在宅について(その1)」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
総-2「在宅(その1)」の資料について御説明をさせていただきます。
その1でございますので、特定の論点を議論いただくものではなく、今回も広い見地から課題や今後の議論の視点等について御議論いただきたいと思います。
時間が押しておりますので、端折って御説明させていただきます。
2ページが目次となってございまして、訪問診療、訪問看護、歯科、薬剤、栄養につきまして、在宅に関する部分をまとめて資料を構成させていただいております。
3ページ~16ページぐらいまでは、今までいろいろな形で御覧いただいている資料だと思いますので、説明を割愛させていただきます。
17ページ、在宅医療の提供体制として、診療所、病院のうち、このぐらいのところが提供しているということでございます。
18ページは、診療報酬の評価の構造をまとめたものでございます。
19ページ、在宅医療に係る診療報酬の総額や構成について、この10年の変化をまとめたものでございます。
平成26年と比較して令和6年に総額がどうなっているか、また、診療所の診療科目別の構成をお示ししております。スケールが科によって異なっておりますので御注意ください。
さらに20ページがそれを在宅診療1回当たりの算定額としてまとめたもの、21ページが回数としてまとめたものでございますので、20と21を掛け算したものが19ページということになります。
22ページ、在宅療養支援診療所についてまとめておりまして、23ページがその届出数の推移となってございます。
24ページは、在宅緩和ケア充実診療所という、看取りの実績が20件以上などの要件を満たす診療所、病院の施設数をまとめてございます。
25ページは、在宅療養実績加算、こちらは看取り件数で言うと4件、2件といった要件を満たすところが算定できる加算でございます。
26ページ、検証調査の結果でございまして、在支診等になるに当たって満たすことが難しい基準の御回答。
27ページは、24時間の往診体制確保のための民間企業等の利用状況ということで、第三者への委託を行っている医療機関の割合が示されてございます。
28ページは、多数の訪問患者に在宅医療を提供する医療機関が大都市に比較的多くあるという内容でございます。
29ページからが往診料となってございまして、30ページ、往診料の算定状況について、伸びておりますけれども、令和5年~6年にかけては、診療報酬改定の影響もあったのか、少し減少する方向での変化が見られてございます。
31ページは、それを年齢階級別に見たものでございますが、高齢者のほうは令和5年~6年にかけても増えてございますけれども、若年の方については減少の傾向が見られているということでございます。
32ページが都道府県別の診療及び在宅患者訪問診療料の算定状況ということで、都道府県別に見るとかなり増えているところとあまり変わっていないところ、あるいは一部減っている県というふうに差が見られているところでございます。
33ページからが、在宅時医学総合管理料等についてでございます。
34ページに算定回数の推移が書いてございまして、青色が居宅を中心とした在宅時医学総合管理料、赤色が施設入居時等医学総合管理料ということで、左側にその推移をまとめてございます。
また、右側、単一建物に何人住んでいらっしゃるかということによって診療報酬は異なりますので、それによる区分ごとに集計をしたものをお示ししております。
35ページからが、在宅患者訪問診療料でございますけれども、36ページがその算定状況、徐々に伸びているという状況がございます。
37ページが頻回訪問診療に係る加算の算定状況、そして38ページが訪問診療回数についての検証調査の結果でございます。
月に2回というところが多くなってございます。
39ページに、その理由等についてまとめてございますが、居宅においては医学的に必要、有料老人ホーム等においては施設の職員等が付き添って外来受診することが困難といった回答が多くなってございます。
40ページ、他の医療機関からの紹介に基づく訪問診療ということで、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2という点数がございます。平成30年に創設をされまして、徐々に増えておりますが、全体の中ではまだ割合としては非常に小さいものとなってございます。
41ページからが、在宅医療におけICTを用いた連携の推進ということで、42ページ、令和6年の改定で創設されました在宅医療情報連携加算の届出状況でございますけれども、3割程度、機能強化型の在支診等では届け出られているという状況でございます。
43ページはその具体例、44ページが検証調査の結果でございまして、訪問看護事業所等との連携が行われているということです。
45ページは、医療計画における在宅医療において積極的役割を担う医療機関についての位置づけでございます。
46ページが、往診時医療情報連携加算について、算定医療機関や件数等についてもまとめてございます。
47ページが具体例となってございます。
48ページは、入院が必要になった場合の病床確保方法についてということでございますが、連携体制を取っておられる医療機関も多い一方で、連携体制を取っておられない医療機関もあるということでございます。
49ページは、協力医療機関につきまして、令和6年度診療報酬改定と介護報酬改定において同時に行った見直しの内容をまとめており、50ページには、それを受けての検証調査の結果をまとめてございます。
51ページ、52ページには、令和6年度診療報酬改定に関連する見直しの内容をまとめてございます。
53ページ、情報通信機器を用いた在宅管理等の算定状況ということで、在宅時医学総合管理料のうち、オンラインを併用するような場合の点数の算定状況、現時点では非常に少ない状況となってございますが、その状況をまとめてございます。
54ページは、D to P with Dの実施状況でございまして、これについての点数の対象となっていないものでございますけれども、訪問診療における眼科・皮膚科・耳鼻科等との専門医の連携が一部行われている状況があるということでございます。
55ページからが、外来データ提出加算や在宅データ提出加算の状況でございます。
56ページに届出医療機関数の推移をまとめてございまして、前回改定で一部の医療機関に点数の要件として課されたことなどを受けまして、加算の届出医療機関が増えているということでございます。
57ページ、ここまでの資料についてのまとめでございます。
58ページからは訪問看護についてでございます。
59ページ、訪問看護の今後の需要につきましては、伸びる地域もかなりあるということで推計がなされております。
60ページが、訪問看護につきましては医療保険と介護保険それぞれの制度がございますので、その対象者の違いについてまとめてございます。
61ページ、さらに具体的にまとめてございますけれども、介護保険においては要支援者・要介護者が対象となり、医療保険についてはそれ以外の方が対象となりますが、一部、介護保険の対象者であっても、急性増悪の場合や一部重症の方について医療保険で給付する場合があるということをまとめてございます。
62ページは、訪問看護の実施事業所の伸びについてお示しをしており、右側で営利法人の事業所が伸びているということをお示ししております。
63ページ、看護職員の規模別の訪問看護ステーション数の推移でございまして、5人以上といった比較的規模の大きい訪問看護ステーションの数や割合が徐々に伸びているということでございます。
64ページ、機能強化型訪問看護ステーションの要件、そして65ページがその届出状況となってございます。
経年的に数が増えてきているところでございます。
66ページは、就業場所別の看護職員の推移でございまして、緑色、訪問看護ステーションで就業される方は経年的に増えてきているということでございます。以前にお示ししたグラフと比べて、2023年のところが今回追加されてございます。
67ページ、訪問看護の利用者数でございますが、赤が介護保険、青が医療保険となっておりまして、いずれも伸びておりますけれども、割合で見ると医療保険の伸びの度合いが非常に大きいということになります。
68ページ、金額ベースで見たもので、例えば令和4年は5000億余り、令和5年が6000億余りということでございますので、この間、年間1.2倍程度増えていることになります。
69ページ、訪問看護指示料の算定回数の推移、医師が指示をした件数を表すものでございまして、こちらも伸びております。
70ページが、同一建物居住者に対する訪問看護の診療報酬の構造でございまして、基本療養費(Ⅰ)というのが、1人の患者さんに対して訪問した場合の点数でございます。
訪問看護基本療養費(Ⅱ)のほうは、同一日に2人ないし3人の方に訪問した場合の点数でございますので、集合住宅等に訪問された場合にはこちらの点数を算定することが多くなると考えております。このあと、基本療養費(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分で集計をお示ししておりますので、御留意いただければと思います。
71ページがその算定割合の推移でございますけれども、訪問看護基本療養費(Ⅱ)、集合住宅等の算定のシェアが増えてきているという内容でございます。
72ページ、訪問看護ステーションの医療費を日数・件数などでまとめてございます。
下の折れ線グラフが伸び率でございますけれども、医療費が19.5%年間で伸びた中、日数ベースで見ると17.7%、件数、つまり患者数ベースで見ると13.2%の伸びということでございます。
したがって、割り算したものが73ページになりますが、1件当たりの日数が4.0%、1日当たりの医療費が1.6%伸びたということになります。
74ページは、1事業所当たりで御覧いただいた場合でございますけれども、1事業者当たりの年間医療費やレセプト件数ともこのような伸びになっているということになります。
75ページが、医療保険の訪問看護ステーションの利用者の状況で、精神及び行動の障害や神経系の障害、疾患などが多くなってございます。
76ページは、別表7や8といった特別な管理を必要とされる方や難病の方々の割合をお示ししております。
77ページ、78ページが、ターミナルケアの利用者数でございます。特に78ページを御覧いただきますと、赤色の部分、集合住宅等でターミナルケアを訪問看護で受けられる方の数や割合が増えてきていることが分かります。
79ページが、24時間対応体制加算の届出状況、80ページがそれに関する検証調査の結果となってございます。
81ページが、複数名訪問看護加算の算定状況、82ページは複数回訪問加算の算定状況です。
83ページが、夜間・早朝や深夜の訪問看護加算、こういった算定状況も伸びてきてございます。
84ページを御覧いただくと、これも集合住宅かどうかで分かれておりますけれども、集合住宅におけるこうした加算の算定が大きく伸びていることが分かります。
85ページ、緊急訪問看護加算の算定状況をお示ししております。
86ページは、機能強化型訪問看護ステーションにおける認定看護師などの専門の研修を受けた看護師の配置状況をお示ししております。
87ページが精神科訪問看護の利用者の状況、こちらのほうは若い方で、疾患名としては統合失調症や気分障害の方が多くなってございます。
88ページ、全利用者の中で精神科の方のシェアが増えているという内容でございます。
89ページ、地域の連携の取組についてまとめてございます。
90ページは、オンライン資格確認とオンライン請求の普及状況でございまして、令和7年6月で、例えばオンライン請求ですと89%の事業所が取り組んでいただいております。
91ページが、年間医療費総額別の訪問看護ステーション数ということで、非常に大規模なところが存在し、また、増えてきているということが分かります。
92ページが、レセプト1件当たりの医療費別の訪問看護ステーションですけれども、非常に高いレセプトが出ている訪問看護ステーションが増えていることが分かります。
93ページが、レセプト1件当たりの平均訪問日数をお示ししたものでございますけれども、こちらのほうも非常に大規模な訪問看護ステーションにおいては、日数の平均が多いと。月に25日以上訪問されている方が非常に多いようなステーションが見られるということでございます。
94ページが、令和6年10月にお示しをさせていただいた事務連絡でございまして、一律に訪問看護の日数を定めることは認められないといったことをお示しいたしました。
95ページは、この中医協でもお諮りいたしましたけれども、訪問看護ステーションに関しまして、1件当たりの平均額が高いところへの指導などを今後行うことを定めたものでございます。
96ページがここまでのまとめとなってございます。
97ページからが歯科訪問診療について、98ページが診療行為別件数と在宅医療の内訳でございますけれども、どの年齢層でも在宅医療の件数が、下のほうの赤い部分、増えてきているところでございます。
99ページ、歯科訪問診療を提供している歯科診療所の状況でございまして、全部の診療所の中で言うとまだ限られているということでございます。
100ページは、病院数とその全体の中での割合を示しております。
101ページ、歯科訪問診療の推定需要と供給の比較でございますけれども、まだ十分に需要を満たせていないのではないかという推計になってございます。
102ページを御覧いただくと、施設にお住まいの方についてはかなり満たしているものの、居宅にお住まいの高齢者の需要はまだまだ満たせていないのではないかという推計となってございます。
103ページが、現在の在宅歯科医療の診療報酬上の取扱い、そして104ページが、在宅療養支援歯科診療所の施設基準などをまとめてございます。
105ページが、在宅療養支援歯科診療所の届出医療機関数などをまとめたもの、106ページが、歯科疾患在宅療養管理料の算定状況の伸びなどをお示ししております。
107ページは、在宅療養支援歯科診療所の届出を行っていない理由として、訪問診療を行っていない診療所などの答えが多いということでございます。
108ページが、レセプト1日当たりの平均点数を外来と訪問診療で比較をしたものでございまして、平均点数で見ると、訪問診療のほうが2倍程度となっておりますけれども、1日に実施できる患者数については、外来診療の半分ぐらいではないかということで、モデル的にお示しをしているものです。
109ページが、歯科訪問診療料の算定状況、そして110ページが、訪問歯科衛生指導料の算定状況をまとめたものでございます。
111ページは、さらにそれを指導時間などに着目をして集計をさせていただいたものでございます。
112ページ、複数名訪問歯科衛生指導加算の算定状況ということで、その算定の理由も含めてまとめてございます。
113ページが、在宅歯科医療情報連携加算の算定、114ページが、在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の算定の状況をまとめたものでございます。いずれも算定されている医療機関や回数等がまだ多くないという状況でございます。
116ページからが、訪問薬剤管理指導についてでございます。
117ページ、118ページが、概念、理念をまとめたものとなっており、119ページが第8次医療計画における位置づけをお示ししておるものです。
120ページに、訪問薬剤管理指導に係る届出薬局数等をまとめてございます。
121ページは、指導料の算定状況ということで、左側2つが医療保険の算定状況の伸びをまとめたものです。
122ページが、勤務薬剤師数との比較でございますけれども、在宅薬学総合体制加算2を算定している薬局等で複数の薬剤師がいらっしゃるということが分かります。
123ページでありますけれども、在宅患者訪問薬剤管理指導の処方箋1枚当たりの医療費ということで、技術料は平均6,492円といった数字をお示ししております。
124ページ、在宅患者の夜間休日対応等の体制で、訪問を行っておられるところは、かなり体制を整えていらっしゃるところが多いということでございます。
125ページと126ページが、令和6年に創設された在宅移行初期管理に関する実態の資料となってございます。
127ページが、麻薬の調剤の実績、そして128ページが無菌製剤処理の実施状況となってございます。
130ページからが、訪問栄養食事指導についてということでまとめております。
131ページが、現在の診療報酬の構造、132ページが、要介護高齢者において栄養障害や摂食・嚥下障害が発生しやすいという内容でございます。
133ページが、他の訪問診療の点数と比較をした在宅患者訪問栄養食事指導の算定回数となってございまして、一番右、かなり見えにくい数になっておりますので、拡大した部分を黄色でお示ししております。
134ページが、訪問栄養食事指導の実施件数の伸び、135ページが、第8次医療計画に関係する記載事項となってございます。
136ページが、令和6年度の診療報酬・介護報酬改定における訪問栄養食事指導に関する見直しの内容でございます。
137ページと138ページが、体制整備の状況や指導を現時点で実施していない理由などを検証調査からまとめたものとなってございます。
以上を受けまして、140ページに論点を書かせていただいております。
時間の関係上、読み上げは割愛させていただきますので、お目通しいただければ幸いでございます。
なお、関連する資料を総-2参考にもおつけしておりますので、施設基準などについて、御不明な点はこちらを御参照いただきたいと思います。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
最初に江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今日は総論ですので、総括的に意見を申し上げたいと思います。
今後の在宅医療の需要は、一部の過疎地域を除いて大きく伸びてまいります。66の二次医療圏では、2020年~2040年にかけて、在宅医療の需要が5割増し以上にもなります。
一方で、資料の17ページにございますように、在宅医療を担う医療機関は伸び悩んでおります。また、在宅医の年齢の高齢化、あるいは継承する医師の不透明化、いろいろ背景に課題があり、その辺りをどう考えていくかということが重要になります。もちろん全ての医療機関が在宅医療に取り組む必要はないわけですけれども、在支診・在支病、それ以外の医療機関と共に総力を挙げて在宅医療を支える必要性もあります。
そのためには、在宅医療の参入のハードルを引き下げる必要もあろうかと思います。特に医師1人で365日24時間の対応をすることは最大の困難であり、これはシステムとは言えません。地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、役割分担と連携により、地域を面で支えることが重要であります。すなわち、24時間対応や緊急往診対応などの体制を地域で整えることが大切であり、在宅医療に参入しやすくすべく、施設基準や要件は高めるべきではないと考えております。
もう一点は、参考資料の11ページ~13ページにこれまでの在宅医療における診療報酬改定の変遷が示されております。これを拝見いたしますと、訪問回数、居住場所、すなわち同一建物であるのかないのか、あるいは居住場所の規模の定員、こういったものが幾らであるのか、そういった観点からの報酬改定の議論に偏り過ぎではないかと思っています。医学的見地からのサービスの質に関する議論が乏しいと認識をしておりますし、また、居住場所により患者さんの自己負担が異なることは、サービスの対価に対する報酬設定においても、いかがなものかとも思っております。
移動コストなどを勘案するのは当然であることを前提として申し上げますが、診療報酬を削りやすいところから適正化する考え方については、慎むべきではないかと思っております。また、適正化なり減算なりをかけた場合には、その効果がどうであるかというのも検証していく必要もあろうかと思っております。
続いて訪問看護について申し上げます。
一部に高額な算定状況や大規模なグループによる展開があることは承知しておりますけれども、地域の高齢者施設を訪問している、あるいは地域の一軒家の在宅を訪問している中小規模の事業所の中には、必要なコストに対して報酬が追いついていない事例もあると認識をしています。現状、人材確保、患者さん・利用者さんの確保に苦慮しながら地域を支えている事業所をしっかりと支援していくことも必要と考えております。
なお、一部の1人当たりの請求額が高い訪問看護事業所については、中医協においても教育的指導に入るということとなっておりますので、まずはそういった実態を分析して、今後の方向性を議論すべきと思います。
最後に、訪問栄養指導について申し上げます。
要介護の主な原因の一つである高齢者の虚弱、いわゆるフレイルは、必須アミノ酸の摂取と筋肉の負荷運動を同時介入すると改善が期待される病態であります。現状、要介護度が高まるにつれて低栄養状態が悪化することが分かっており、要介護4あるいは5の方においては、低栄養あり、あるいは低栄養のおそれありがほぼ全員というような状況にもなっております。
したがいまして、在宅における訪問栄養指導の体制の構築は喫緊の課題であると認識をしております。なかなか現状、人材不足で難しい面はございますが、例えば余力のある医療機関から在宅を支援していくような仕組みも求められるのではないかと思います。
私からは以上となりますが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の意見を聴く機会について御検討いただければ幸いでございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
「在宅(その1)」ということで、資料総-2の115ページの小括④に沿って、総論的に意見と要望を述べさせていただきます。
まず、今後の高齢者人口の増加に伴い、誤嚥性肺炎等をはじめとする口腔健康管理が必要とされる患者数は増加が予想されている状況を踏まえると、在宅歯科医療の重要性は言うまでもありません。
一方で、歯科医師の高齢化も進む中、在宅歯科医療を担う歯科医療機関が不足しつつある地域が顕在化しています。今後の需要増に対し、質の高い在宅歯科医療の提供体制を推進・強化する方策が喫緊の課題と認識しております。
99ページのデータによれば、1歯科診療所当たりの歯科訪問診療の実施件数は増加しているものの、実施施設割合は、居宅、施設、病院ともに約2割に満たない状況です。かかりつけ歯科医に通院していた患者さんが通院できなくなる状況になるなどの環境変化に対応して、切れ目なく継続的に歯科医療を提供する体制を構築していくことが不可欠で、次回改定に向け、3点御要望させていただきます。
まず1点目ですが、101、102ページには、要介護高齢者における歯科訪問診療の推定需要と供給について示されていますが、特に居宅における歯科訪問診療の供給が十分でないため、これまで以上に歯科訪問診療が実施できる歯科医療機関を増やしていく方策が重要と考えます。
なお、これまでも日本歯科医師会として発言してきましたが、診療時間要件については、20分を基準とし診療報酬が異なる仕組みとなっており、令和6年度改定で歯科訪問診療1に関しては時間要件を撤廃していただきました。ただ、実際には、施設で1名を診る予定が、現場で急遽どうしても要請を受けて、もう一名追加で診る場合には、1名を診る点数と2名を診る点数が乖離してしまうなどの課題があります。
このような状況も踏まえて、歯科訪問診療の状況に応じて、歯科訪問診療1及び2の取扱いについて、柔軟な運用の検討をお願いいたします。
続いて2点目ですが、105ページのデータによれば、在宅療養支援歯科診療所は微増にとどまっています。また、令和6年度改定で新設された在宅療養支援歯科病院の届出は少なく、22病院にとどまっております。地域における在宅歯科医療提供への関わりとして、歯科診療所を後方から支援する役割をさらに充実するなど、届出施設数の増加に向けた検討をお願いいたしたいと思います。
最後、3点目になりますが、112ページには令和6年度改定で新設された複数名訪問歯科衛生指導加算の状況が示されていますが、実際には複数名での指導が必要にもかかわらず、あまり算定実績がないので、複数名での指導が必要な患者さんに効果的に指導が提供できるように検討をお願いしたいと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
訪問薬剤管理指導に関する論点について、在宅医療についての全体的な認識と併せて述べさせていただきたいと思います。
人口減少に伴い人口構造が変化していく中で、在宅患者の数は2040年以降にピークを迎えることが予測されております。その中で、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の人口増加も見込まれるため、在宅医療の受入体制の整備は不可欠と考えます。
在宅医療において薬物療法は不可欠で、薬局薬剤師はかかりつけ医、かかりつけ歯科医、看護師をはじめとする多職種と連携して、在宅においても必要な医薬品を提供し、より質の高い薬剤サービスを提供していくことができるよう、質と量の両面からの体制整備が必要です。
また、在宅医療の体制整備を進める上で、休日・夜間を含めた緊急時の体制整備、へき地等への対応の視点は外せません。医薬品提供に係る課題は各地域で異なっており、地域の実情を踏まえた対応が必要で、そのためには個々の薬局の努力のみによる対応だけではなく、先ほど江澤委員からも、地域が総力を挙げてという話がありましたけれども、薬局間連携による地域を面で支えていく地域体制の構築が必要となります。
第8次医療計画にもあるように、高度な薬学管理等を充実し、多様な病態の患者やターミナルケアの受入体制を整備強化していくことも必要となります。麻薬調剤や無菌製剤処理、小児への訪問薬剤管理指導、24時間対応といったことが可能な薬局機能を地域単位で配置して整備していくことが求められています。次回改定においては、今後の在宅ニーズへの体制整備や、地域単位で必要な薬局機能の体制がしっかりと進む評価や方策が必要と考えます。
最後に、125ページ目に示されている在宅移行初期管理料は前回改定の新規項目で、退院時、多職種と連携して、退院後の薬学管理に関する指導を評価するものです。今後、退院から在宅へのシームレスな移行は、療養環境を踏まえた薬物療法を実施する上でますます重要となってきます。対応を促進していく観点での要件や対象患者の見直しも必要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
2号側の委員の方々、よろしいですか。
次に、1号側に参りますけれども、その前に、先ほど江澤委員から御提案がございましたが、木澤専門委員から御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
ありがとうございます。
2040年に向けて在宅医療の需要が増加しており、多くの二次医療圏で訪問看護の必要量は今後まだまだ増加することが見込まれます。都市部か人口少数地域かにかかわらず、どの地域でも住み慣れた地域で暮らし続けることを24時間体制で支援するためには、各地域に訪問看護や在宅医療を整備するとともに、医療・介護間の連携を促進し、また、より広域的な観点から、機能が高く質が高い訪問看護事業所が拠点となって、地域を支えていくような訪問看護体制を構築していくことが必要です。
訪問看護に関する論点の2点目につきましては、データを基に、評価の在り方について議論していくことが重要だと考えております。
一方で、自宅で療養している人工呼吸器等を装着した難病の在宅療養者等、疾患の特性や状態によって、たんの吸引、人工呼吸器の調整等のために頻回な訪問が必要で、緊急時にはすぐ駆けつけることが必要な利用者もいます。このような方が安心して自宅で療養生活を送ることができるように、実態を踏まえた適切な評価の推進が必要と考えております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、多数の資料の整備、どうもありがとうございました。
私は、総論と個別の課題2つについて述べたいと思いますので、いささか少し長くなりますけれども、御容赦いただきたいと思います。
総論といたしましては、今、各委員からもございましたけれども、在宅医療につきましては今後さらにニーズが増えていくことは確実でございます。
一方で、医療資源も財源も限られておりますので、いかに増加するニーズを過不足なく充足するかということが非常に重要になってまいります。在宅の患者の中には、重度の方もいらっしゃれば、通院は困難でも、そこまで重度ではないという方もいらっしゃるかと思っております。身体的な疾患と精神疾患で必要な対応が異なることも想定されますが、いずれにしても、訪問診療・往診、訪問看護、歯科、調剤に共通する考え方として、提供する医療やケアの内容、施設と患者の自宅の違いなどによる効率性も考慮の上、これまで以上にメリハリの効いた評価にしていくべきだということはまず最初に指摘させていただきます。
それでは、個別の課題についてコメントいたします。
まず訪問診療・往診についてでございますが、資料の20ページを見てみますと、冒頭に、診療科ごとに比較すると精神科、小児科で特に増加傾向であるということが書かれておりますけれども、伸びの構造を見てみますと少し異なる印象を受けております。そこに書いておられますグラフの下の診療所の診療科目別というものがございますが、真ん中の一番上が精神科になっておりますけれども、精神科の場合は青い色、これは上に書いてあります在宅時医学総合管理料が顕著に伸びているということを示しております。
一方、その右側にあります小児科に目を移しますと、こちらのほうは黄色で示されております在宅療養指導管理材料加算が増えているということで、同じものが単純に伸びているというものではないということが読み取れます。単価が伸びているということが直ちに問題ということではありませんけれども、その背景は分析する必要があるだろうと考えております。
次に、27ページに目を移しまして、24時間の往診体制でございますけれども、機能強化型の在支病や在支診で民間企業を活用するケースが1割程度あるということでございますが、委託している業務の中身や、より詳細な医療機関の特徴があるのか、これは少し詳細に検証することが考えられます。
続いて30ページ、31ページの往診料についてですが、前回改定で緊急往診に関する評価を見直した影響が出ていると受け止めておりますけれども、32ページに目を移しますと、人口当たりの算定回数が令和2年度~5年度にかけて双方で急激に変化している地域がございます。具体例を申しますと島根県とか山口県が挙げられると思いますけれども、こうしたことは次回改定で何に対応する必要があるのか、さらに検討すべきだと考えます。
続きまして、39ページ、訪問診療についてですけれども、自宅の患者と有料老人ホームに入所する患者で月2回以上になる理由に違いがあるということで、これが右のグラフに示されておりますけれども、患者の状態や医療の内容に違いがあるのか、もう少し分析が必要ではないかと感じます。
次に、在宅患者に入院が必要になった場合の病床確保の方法については、48ページに記載がございますが、そこには救急搬送を依頼するための特定の医療機関とは連携していないと回答した診療所が11.7%ということでございますが、先ほど来、2号側のほうからも、面で支えるという観点からいたしますと、この点については次回改定で改善を促す対応を検討すべきだと考えております。
次に、訪問看護に移りますけれども、資料の62ページを拝見いたしますと、営利法人が著しく増えております。営利法人を否定するものではありませんけれども、どういったサービスが提供されているのか、引き続き丁寧に分析する必要があると考えております。
続いて63ページに行きますと、訪問看護ステーションの規模については、左のグラフにありますけれども、近年やや大規模化が停滞しているような印象を受けております。効率性の観点や24時間対応を推進するためには、次回改定で何か対応が必要なのか検討すべきだと感じております。
さらに、訪問看護ステーションの医療費が伸びている構造については、資料の72ページを見てみますと、利用者当たりの訪問日数の増加が大きく影響しており、次の73ページを見てみますと、レセプト1件当たりの日数の伸びが特に大きいということで、訪問回数の妥当性については検証が必要だと考えます。
81ページ以降にあります複数名訪問、複数回訪問、夜間・早朝、深夜、緊急の訪問などが増加している背景や、ケアの内容、患者の特徴といったことも丁寧に見ていく必要があります。
また、先ほど2号側委員からもありましたけれども、サービス提供側の要素として、93ページにあるような月25日以上という著しく訪問日数が多い、かなり年間医療費が高いステーションについても十分に検証すべきだと考えます。特に訪問看護については、レセプトのオンライン請求が義務化されましたので、事務局におかれましては今まで以上に詳細な実態の分析をお願いしたいと思います。
次に、訪問歯科についてですけれども、過去の改定でもニーズを充足できないことが課題になっておりましたが、今回も102ページで、特に居宅の高齢者で需要と供給に著しい乖離があることが示されております。
108ページに目を移しますと、外来の患者と比べて居宅の患者を治療する場合、1日に対応可能な患者数は半分程度になる一方で、1日当たり単価については約2倍ということで、収益性はおおむね同等ということですので、歯科医療機関が居宅の患者をしっかり治療する方向に進むよう、効率的に対応できる施設系の評価を適正化することも必要だと考えております。
訪問歯科衛生指導料についても、資料の110ページを見てみますと、かなり効率的な対応が可能な、グラフ上はグリーンで示されておりますけれども、単一建物10名以上の訪問に集中している状況にあり、しかも増加そのものも著しいことが分かります。
次の111ページでは、同一建物の患者数が多いほど、指導時間が算定要件である20分をぎりぎり満たすような割合が高いということですので、この辺りについては評価を適正化する必要があるのではないかと思っております。
続きまして、薬剤管理指導についてですが、前回改定で麻薬の備蓄や無菌製剤処理の体制整備を進める観点で、在宅患者調剤加算を組み替えて在宅薬学総合体制加算を新設した結果、加算の届出を行った薬局数が増加したことが資料の120ページからは読み取れます。
一方で、127ページに目を移しますと、在宅訪問を行っていても麻薬の備蓄がない薬局や、1か月間に麻薬調剤の実績が10件以下の薬局が大半という実態も示されております。
資料の122ページに戻りますと、在宅薬学総合体制加算のうち、施設基準の厳しい加算2の薬局では薬剤師が多く、そうした薬局では無菌調剤の実績が一定程度あるということですので、体制整備や実績の基準を改めて整理し、評価にメリハリをつける必要があるのではないかと感じております。
最後に、訪問栄養食事指導についてですが、133ページを見てみますと、赤枠に囲まれておりますが、算定回数が極めて少ないことが分かります。その理由として138ページを見てみますと、院内業務が多忙で余裕がないが最も多くなっておりますけれども、在支病、在支診におけるサポートや栄養ケア・ステーションの活用がどの程度進んだのか、実態を踏まえた上で議論すべきだと考えております。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
在宅医療につきまして、介護分野も含めて、多くの関係者の方々が連携しながら支援していくことになる中、協力・連携体制の確保やICTの活用が非常に重要だと思っております。新設された加算の算定が伸び悩んでいる状況について、さらに詳しく分析していく必要があると思っております。
また、皆様もおっしゃっておりましたが、訪問看護につきましては今後どんどん伸びていく分野だと認識もしておりますが、一方で、今回の資料からは、同じ意見になりますけれども、レセプト1件当たりの平均訪問日数が25日以上となっているステーションが一定あり、利用者の状況を踏まえた適正な訪問日数となっているか少し疑問がございます。
また、レセプト1件当たりの平均医療費が高額なステーションもかなり増えており、ステーション間の差が大きく、事業者によって提供体制や方法、患者像に違いが生じているのではないかと考えております。
こうした点について今後議論していきたいと思っておりますので、さらなる実態が分かる資料があれば御提示いただきたいと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
今後も在宅医療のニーズは高まっていきますので、入院や外来などの医療機関はもとより、介護施設等との連携をさらに進め、地域における必要な量を提供できる体制の構築に向けて検討していくことが重要と考えます。
その上で、他の委員からも発言が複数ございましたが、訪問看護においては、頻回であったり高額なケースも見受けられるということですので、適切な実施に向けて、どういったサービスが提供されているのかなど、さらに詳細を分析し、お示しいただくようお願いいたします。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員
ありがとうございます。
本当に地域の様々な関係者と一緒に、この10年間、地域包括ケアシステムの構築に全力を注いでまいりました。医療関係の皆さん、また介護関係の皆さんなど、本当に多くの方に御協力をいただいて、形になってきているなということを今、実感しています。
訪問診療専門のクリニックも出てきたり、御案内のような訪問看護ステーションも、桑名市内でももう27か所ということで、本当に多くの方々が、まさに面的に支える取組に御協力いただいておりますし、これからもしっかりと2040年に向けて取り組んでいかなければいけないと思っております。
その一方で、1つ心配をしておりますのは、急性期の医療に取り組んでおられる病院での看護師の離職率の高さです。桑名市の総合医療センターでも、看護師の離職率は10%を超えているという状況でありまして、様々な理由で離職をするわけですけれども、その後働く場所として訪問看護ステーションを選ばれる方もかなり増えているということで、訪問看護に期待をされて、そこでお仕事として選ばれる方もいるのだと思いますけれども、私たちの暮らしの中では、急性期の医療がしっかり成り立っているということが前提で、その上で地域包括ケアができることが大事だと思っていますので、急性期の本当に大変な現場で頑張っておられる看護師の方たちへの処遇といいますか、そこをしっかりと応援するのだというような仕組みが要るのではないのかなと感じております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
20ページの資料についてコメントさせていただきます。
精神科で在医総管とか施設総管が伸びているのは、当然精神科の在宅の患者さんが増えている表れであり、これは政策的に精神科病床の削減あるいは患者さんの地域移行・地域定着ということを目指している中で、そういったところにそぐうものと思っています。
また、小児科で在宅療養指導管理材料加算が伸びているのは、御存じのように医療的ケア児が右肩上がりで2万人を超えており、在宅医療を受けながら、学校に通ったり、生活をしたりされている方が増えており、そういったところの医療的ケア児を支えている表れだと思っており、我々としては非常に好意的に受け止めているものでございます。
また、もう一点、前回の緊急往診の見直しで、原則、緊急往診で医師と患者さんが初めましてというのはないですよねという改定があったわけですけれども、今回の結果を見ると、前回の改定の効果は十分現れているものと判断しております。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ほかに特に御発言がないようでしたら、本件に係る質疑は取りあえずこの辺りとさせていただきます。
本日もいろいろな御意見を頂戴いたしましたが、今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「医療機関等を取り巻く状況について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-3に基づきまして御説明したいと思います。総-2に引き続きまして大部な資料となっておりますので、大変駆け足となりますが御説明をさせていただきたいと思います。
4ページを御覧いただきますと、前回、4月23日に中医協で同様の議題にて資料を提示して、御議論いただいたということになっておりますが、5ページを御覧いただきますと、一番下の箱になりますけれども、御意見いただいたところとしては、切り口別の詳細な分析が必要といったことや、歯科医療機関や薬局の状況についてもということ、資金繰りの状況、それから地域別の都市部や地方部といったデータもあるとよいのではないかといった御意見をいただいたということでありまして、今回そのような御意見も踏まえましてまとめてございます。
7ページを御覧いただきますと、まず病院のほうの分析に当たっては、切り口の定義といたしまして、左上に病院類型、左下に地域分類、右側に機能分類ということで、御覧いただいたような切り口で分析をしておるということでございます。
8ページでございますが、まず上の段で分析結果に関する留意点ということでございまして、2023年度はコロナ補助金や特例措置による影響が一部含まれている可能性があるということ。それから、後ほど御説明いたしますが、小児科や耳鼻咽喉科に関して、2023年度の利益率は新型コロナ等の影響を受けている点に留意が必要なのではないかということ。それから今回、MCDB、医療法人経営情報データベースシステムを使っておりますけれども、2023年度のデータを使っております。2024年度のデータについては今、集計が続いている状況ですので、その収集状況に応じて、より直近の経営状況を今後また把握することが必要ではないかと考えてございます。
9ページ以降、病院につきまして分析をしてございまして、全体、それから一般、療養型、精神科ということでやっておりますけれども、全体で見ますと平均値マイナス0.7ということであります。中央値で見ますと、いずれの病院類型でもマイナスとなっているということでございます。
10ページに行きますと、今御覧いただいたものをヒストグラムという形で、分布で見ていますけれども、下のほうで、箱ひげ図と言われるようなもので見ておりますが、一般病院と療養型病院、精神科病院とでは若干傾向が異なっておりまして、一般病院では200床以上のほうがやや利益率が低いと。療養型病院、精神科病院のほうは、病床数が小さいほうが利益率が低いというような状況が出ているというようなことが見てとれるかと思います。
11ページを御覧いただきますと、収支構造の比較をしてございますけれども、一般病院のところで材料費が20%を超えているということでありまして、いずれにしても材料費と給与費で70%超を占めているという状況になっております。
12ページを御覧いただきますと、10ページで箱ひげ図につきまして御紹介いたしましたが、これを病床規模別にまた切っておりまして、一般病院では、いわゆる200床以上のところのほうが若干利益率が低い傾向にある。他方で、療養型、精神科病院については、規模が小さいほうが利益率が低い傾向にあるのではないかといったことが見てとれるかと思います。
13ページを御覧いただきますと、13ページと14ページ、上側の表は同じものでありまして、下側のヒストグラムが赤枠で囲った分類についてお示ししているということでありまして、高度急性期、急性期A、Bに分類されるような病院が、医業利益率、経常利益率ともマイナスになっている、低いということであります。
14ページは、回復期、慢性期、精神のほうについてのヒストグラムを掲載しております。
15ページへ移っていただきますと、収支構造を機能分類別に比較しておりますけれども、高度急性期のほうの材料費が非常に高いといったところが見てとれるところであります。
16ページは、同様の表を回復期から慢性期といったところに分析をしているということでございます。
17ページを御覧いただきますと、今度、地域分類別に切って見ておりますということで、特に人口少数地域型は、赤字割合が62%高いということでありますけれども、右側の円グラフになりますが、いずれの地域においても赤字割合が過半数を超えているということであります。
18ページは、同様のものをヒストグラムとして見ているということであります。
19ページにつきましては、同様の形で収支構造の比較を地域分類別にやっているというものであります。
20ページを御覧いただきますと、自己資本比率とそれから現預金回転期間を見ておりまして、自己資本比率は全体としては問題ない数字ではないかと見られます。
他方で、現預金回転期間につきましては、中央値が3か月、それから最頻値のほうで1~2か月ということで、これは最低限の現預金水準で事業運営が行われている可能性があるということが見てとれるかと思っております。
21ページは、自己資本比率と設立年数との相関を見ているということであります。
22ページに移っていただきまして、別の社会保険診療報酬支払基金のほうのいわゆる診療報酬債権の譲渡、ファクタリングの数字を見ておりまして、この点、令和5年~6年にかけて、医療機関におけるファクタリングの利用件数が増えていることが見てとれるということでございます。
23ページに移りまして、またMCDBに戻りますが、債務償還年数について分析をしております。左上の37.5%、約4割の法人が債務償還年数がマイナスということで、返済原資がない、いわゆる経常利益自体が赤字であるということが要因であるということが見てとれると思います。
24ページ以降、自治体病院につきまして分析をしておりまして、総務省の調査を基に分析をしております。MCDBと異なりまして、経年で取れるところがありますので、今回、2018年度と2023年度で比較をしているということでありますが、24ページの表を御覧いただきますと、医業収益の伸びを医業費用の伸びが上回っているということで、右側のヒストグラムにありますが、青い2018年の山からやや左のほうにスライドしているという状況が見てとれるかと思います。
25ページを御覧いただきますと、一般病院のところでもそういう傾向が見てとれるということであります。
26ページに移っていただきまして、上のほうの表は経営指標ということで、患者数が減少している。それで平均病床稼働率も減少しているということが見てとれるということ。
それから、下のほうの人件費につきましては、全体としては職員数が増えており、基本給についても1人当たりということで増えているということが見てとれるかと思っております。
27ページ、収支構造のほうを同様に見ておりますけれども、一般病院のところで材料費が27%を占めているということ。それから、委託費に関しては、どの類型であっても10%を超えているといったところが見てとれるということであります。
28ページは、経常利益率について病床数などとクロス化をさせて分析をしておりますけれども、特に相関といったものが見られるわけではないというところであります。
29ページへ移っていただきますと、収支構造を地域分類別に見ているというものでございます。
30ページは、今度は機能大分類別、特定機能ですとか、こども病院とか、そういったところを見ておりますけれども、いわゆる高度急性期系の病院が材料費の割合が高いという傾向が出ているかと思います。
31ページは、同様に機能大分類別の経常利益率について、2018年と2023年をヒストグラムとして表しております。
32ページは、今度、病床数と経常利益率を地域分類で切ったものをお示ししております。
33ページに移っていただきますと、救急の受入件数が2,000件以上のものを、救急の受入件数自体をバブルの大きさで表しまして、救急シェアと経常利益率を掛けているといったものでありますけれども、全体としてマイナスのところに寄っている状況かなということを見ております。
34ページへ移っていただきますと、今度は大学病院ということで、まず国立大学病院ということで、国立大学病院長会議のほうから公表されている資料を基にこちらでお示ししておりますけれども、収益は増加しているものの、費用がそれを上回る形で増加しているということが示されておりまして、右側のほうにお示しされているのが、保険で個別に償還されている特定保険医療材料費、それから赤字のところですけれども、特材以外の診療材料費のいずれも増えていることが示されているということであります。
35ページに移っていただきますと、今度は私立大学になりますけれども、同様のことが掲げられているということで理解しております。
ここまでが病院でございまして、36ページ以降が診療所になりますが、37ページ、医科診療所の経営状況ということでございまして、医業利益率、経常利益率について、いずれの区分でも平均値、中央値ともプラスであるということであります。
有床診のほうで、右下の円グラフになりますけれども、半数の診療所で医業利益が赤字であるということが示されております。
38ページは、収支構造の比較を診療所についても同様にやっているということであります。
39ページからが、各診療科分類別に医業利益率、経常利益率をヒストグラム化しておりますけれども、各科ありますが、例えば40ページの小児科、それから41ページの真ん中の上の耳鼻咽喉科については、やや右のほうに少し山があるように見受けられます。ただ、42ページを御覧いただきますと、小児科、耳鼻咽喉科は、冒頭でも申し上げましたが、新型コロナにおける影響を2023年は特に受けているというところもあるかと思いますので、2024年度のデータも今後見ていく必要があるのかなというところには留意が必要かなと思っております。
43ページ、44ページは、診療科ごとに収支構造を見ているということでございます。
45ページに移っていただきまして、地域分類別に医科診療所の経営状況を見ておりまして、いずれも医業利益率、経常利益率はプラスではありますけれども、地方都市型、人口少数地域型のところで利益率がやや低めに出ているのかなと見受けられます。
46ページにつきましては、収支構造を同様に見ているというものでございます。
47ページは、自己資本比率を同様に見ております。
ここまで医科でございましたけれども、49ページ以降、歯科診療所ということで見ていきたいと思います。
歯科診療所につきましても、医科の診療所と同様の傾向といいますか、医業利益率、経常利益率ともプラスになっているというような状況であります。
50ページに、地域分類ごとに見ておりますけれども、これもまた医科診療所と同様の傾向かもしれませんが、人口少数地域型のところでやや利益率が低いというところが見てとれるということであります。
51ページの収支構造、52ページの自己資本比率についても掲載してございます。
54ページに移っていただきますと、今度、薬局につきましては、MCDB、医療法人という中では取ることができませんので、別のデータを基に分析を試みております。
まず54ページは、薬局数と院外処方率の推移ということで、いずれも増加しているという状況が見てとれます。
55ページでございますが、左側の円グラフ、同一グループで50店舗以上の薬局は、店舗数の45%を占めているということ。それから、右側で3分の2がいわゆる門前薬局ということになっているということが見てとれるかと思います。
56ページは、損益構造ということでお示しをしておりまして、57ページを御覧いただきますと、大手の調剤薬局、チェーン薬局といったところが、売上高が伸びていること、それから店舗数が非常に伸びていることが示されているということでございます。
59ページを御覧いただきますと、前回、100床当たりの常勤換算従業者数が増加しているという資料をお示しした中で、それは実人数が増えているのか、病床数が減っているのかというような御質問があったかと思いますので、実際に見てみたものでございまして、具体的には折れ線というか直線が上のほうに出ておりますけれども、いわゆる黄色の線が実人数でありまして、ここは変わっていない。青い線が減っているということで、病床数が減っている。結果として、100床当たりの常勤換算従業者数が増えているということが見てとれるということでございます。
60ページ、61ページは、それを機能分類別に見ているものでありますが、今度、62ページのほう、最後、委託費の関係に移っていきまして、委託費全体として、2018年~24年という経年で見てみますと、全体としては増えていると。中でもとりわけコロナ前、コロナ後ということもあるのかもしれませんが、滅菌ですとか感染性の廃棄物処理といったところが大幅に伸びているところが見てとれるかと思います。
63ページに行きますと、今度は2024年6月の断面で、病床規模別で委託費の動向というものを見ておりますけれども、例えば一番上の保守点検(医療機器)といったところは、病床規模が大きいほうが比率としても大きくなっているところでありますけれども、個別の内容によっては、病床の規模に応じてリニアに実額が増えていくわけではないといったところも見られたりというか、様々な形で出ているという状況でございます。
65ページ、66ページは、るる御説明申し上げたようなことを最後まとめてございまして、最後、67ページを御覧いただきますが、今回の課題としては、各切り口別に見た医療機関等の状況を踏まえて、近年の医療機関の経営状況等についてどのように対応することが考えられるかということ。
それから、先ほども申し上げましたように、MCDBのほうで2024年度のデータも今後上がってきますので、それも含めてどのような切り口とか、さらに分析、議論すべきものとしてどのようなことが考えられるかといったことを我々の課題として掲げさせていただきまして、各委員の皆様からの御意見や御質問をいただければと考えておるものでございます。
長くなりましたが説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらよろしくお願いします。
最初に江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
4月に引き続きまして、今回も2023年の医療機関等の経営状況が示されていますが、大変厳しい状況でございます。2024年以降はコロナ補助金も廃止され、同時に物価高騰、賃金上昇も相まって、経営状況は2023年より2024年、さらには2025年と、より一層厳しさを増しています。直近の病院・診療所の経営状況は極めて深刻であるということを共有すべきと申し上げたいと思います。
続きまして、資料について、20ページですけれども、上段の自己資本比率についてでございます。一定の目安とされる自己資本比率30%を切る医療機関が3割程度、また、さらに深刻な、危険な状態にある自己資本比率が0%以下、すなわち債務超過と想定されるものが1割程度存在しています。大変危険な状況にあると察します。
また、下の現預金回転期間におきまして、0.0~1.0、あるいは1.0~2.0辺りに高いモードが出ております。このグラフを見ますと、おおむね左側にグラフが偏っており、自己資本の中でも流動資産がいかに低いかということを表しております。言い換えると、自転車操業でどうにかやり繰りをしている、大変脆弱な状況にあると思います。
続きまして、22ページのファクタリングの動向でございます。R5からR6にかけて伸びています。ファクタリングを利用するということは、既に金融機関からの融資に支障を来しており、金融機関よりも利息の高いファクタリングに頼らざるを得ないという厳しい状況の表れでありますので、こういったところも厳しさを表しております。
続いて23ページですけれども、一般的に融資の最長期間が20年であることを考慮すると、この円グラフからは、大半の医療機関がキャッシュアウトしており、毎年度キャッシュアウトしているということが容易に理解できます。すなわち、長期借入金の返済が予定どおりいかず、短期の運転資金の借入れでどうにかしのいでいる実態が多いわけですけれども、まさにそういったことを表しております。
最近では、運転資金の融資に苦慮している医療機関が増えてきています。例えば2年赤字が続くと当然融資には大きく支障が出ますので、仮に運転資金がストップすると、もう経営破綻につながりますので、大変危機的な状況にあるということがお分かりだと思います。
以上により、医療機関の経営は、過去に経験のない厳しい状況にあることが明白であります。したがいまして、診療報酬や補助金による大幅な支援を緊急に手当てしないと、取り返しのつかない事態、深刻な医療崩壊が目前に迫っていることは誰もが認識できるものと思っております。
今後、令和6年度の状況や医療経済実態調査の内容も明らかになると思われますが、事務局におかれましては、医療機関の窮状が明らかになるような資料を御準備いただきますよう、引き続きよろしくお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
私からも一言、もうほとんど江澤先生がおっしゃったことに尽きます。今回、4月23日の総会から、病院の経営状況に関していろいろと資料のほうを事務局に出していただいております。今回は、2023年のMCDBの医療法人の病院、また自治体病院、大学病院の経営状況をより詳細に分析をいただいております。
先ほど江澤委員からもありましたが、2023年度というのは、まだ期中までコロナの補助金が入っていた年度になります。診療報酬上も少し特例があった年度で、これぐらい厳しいという状況になっております。高度急性期、急性期の医療法人立の病院は、もう既に経常利益率がマイナスであったということでございます。
当然、その後、2024年の改定があったわけでございますけれども、消費者物価が3%ぐらいずっと上昇していっているにもかかわらず、改定率は0.88だったということの中で、今、2024年度に関しましては、我々が確保している調査の結果では、2023年よりも大幅に悪化しているということになっております。これもできるだけ早期に、我々病院団体も出そうと思いますし、また、MCDBの2024年のデータに関しましても、できるだけ早期に分析をいただきたいと思います。また、さらにそれよりも今、オンゴーイングの2025年はもっと悪いということは御認識をいただきたいと思います。
先ほど資金繰りの話がございました。民間医療法人の病院も民間企業でありますので、2期以上経常赤字になると、当然金融機関からは、いわゆる融資に関して要注意先という形で認識されて、非常に金利を上げられたり、貸出しなんかが厳しい状況に追い込まれるというのは一般企業と一緒でございます。
2023年の状態でこれだけ赤字、2024年がさらに赤字、2025年がもっと赤という状況になりますと、本当に今、運転資金の確保に苦慮している病院が多くなってきてございます。一言で言うと、病院医療というのは金融機関から構造不況業種というような形でみなされてしまっているような状況になっております。ですので、今回の改定では、病院医療に関して大幅なてこ入れが必要であるということは再度お話をさせていただきたいです。
また、病院も企業であります。今後の医療環境の変化を考えて、長期的な視点から様々な取組をしなければいけない。機能分化、連携、集約化、様々なことを言われておりますけれども、そういう状況をやっていこうにも、全く経営の先行きが見通せない状況になってございます。当然老朽化した病院もございますけれども、建て替えなどはもう検討する余地もないような状況まで悪化しておりますし、機械の更新等に関しても、この先が見えないということで、なかなか踏み切れないような状況です。
先ほど、保険医療材料専門部会のほうでもありましたけれども、ある一定程度、予見可能性があるというものを企業としては求める。これは医療機関、病院としても一緒でございます。今後どのような形で診療報酬制度が推移して、どの程度病院医療に関して財源的に手当ていただけるかということも、今後、地域で医療を提供していく医療機関側には重要になります。病院医療を安定して地域で提供できる経営環境を整えていくという視点でも、今年の診療報酬改定に関して、いろいろと御議論させていただければと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、池端委員、お願いいたします。
○池端委員
池端です。
私からも、江澤委員、太田委員と同じような内容になりますけれども、少しお話をさせていただきたいと思います。
まずもって事務局には、各種の切り口でこのように詳細なデータをMCDBから分析していただきましたこと、心から感謝申し上げたいと思います。そして、過去に実調等のいろいろな分析がありますように、様々な業種あるいは規模等々で、今まではいろいろな差があったのですけれども、今回は全ての病棟の種類や規模でほぼ(経営指標は)マイナス基調であるということがはっきりしたかと思っております。
そして、人件費比率、経費が70%を超すという中で、さらに今、江澤委員、太田委員もおっしゃったように、これから2024、2025にかけてはさらにその比率が上がる、厳しさが増えていることは火を見るよりも明らかな状況にあります。
23ページ、これも江澤委員からもお話がありましたように、償還年数の分析でマイナスということは、いつ破綻してもおかしくないところが全体の病院の4割あるということですので、本当にゆゆしき問題ではないかと思っています。病院団体も盛んにあちこちで訴えておりますが、ある日突然その地域の病院がなくなる可能性がある病院が4割あるという事実をぜひ認識していただきたいと思います。
一方で、それは例えばコロナ等々で稼働率が落ちたからではないかという声も以前ありましたけれども、恐らく2024あるいは2025の近々のデータを分析していただければお分かりになりますように、稼働率は(徐々に)上がってきています。病院は本当に努力して患者は増えているのです。患者が増えて、収益は上がっているけれども、さらに経費がそれ以上に増えてしまって、赤字幅が広がっているのが現状で、2024~2025にかけてもそうです。これは自治体病院の24ページ以降のデータにもありましたように、収益は上がっているのに赤字幅が増えているという現状は、構造的におかしいとしか言えない。これ以上どうやって努力すればいいのだという声が、本当に現場の職員からも聞こえてきます。
この夏の賞与も、とても一般企業並みに出せない。そして、経営者は我が身をはたいて、それでも出せなくて、厳しい状況に陥り、そしてだんだん離職者が増えていくという悪循環に入ろうとしています。この状況に、私たちは期中改定も視野になければならない状況ではないかと感じています。ぜひこのあたりを御理解いただいて、今後の各論も含めてしっかり議論させていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それと事務局には、ぜひ早く2024年のMCDB、そして実調等も含めて、総合的に判断できる材料をご用意していただければと思いますし、病院団体としても今、最新のデータを準備していますので、それも併せてできれば皆さんにお示しさせていただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、法人立の歯科診療所のデータも精緻に分析をしていただき、ありがとうございます。
2023年度のMCDBを用いられておりますけれども、歯科医療はそもそも歯科診療所における提供がほとんどであり、その中でも個人立が75%を占めております。歯科においても、法人立と個人立とは経営状況も大きく異なっていると推測されます。法人立は、歯科診療所の中でも大きい部類でありますので、引き続き個人立の小さいほうのデータも併せて御検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
御説明いただきありがとうございました。
改めて、病院、医科・歯科診療所の厳しい経営状況が分かりました。薬局も同様に経営が非常に厳しい状況です。これらの状況を踏まえて、令和8年度診療報酬改定での対応はもちろん、何かしら早急な対応が必要と考えております。
先ほど事務局のほうからもありましたけれども、薬局にはMCDBがないため、医療経済実態調査の結果に基づいて発言をさせていただきます。
薬局の経営も年々非常に厳しさを増しております。令和5年度に実施された医療経済実態調査では、約3割の薬局が赤字と示されました。また、全体の約2割を占める最頻階級の薬局における収支は月額10万円にも満たない状況となっております。そのような状況の中、物価高や人件費の高騰の影響に大変苦慮しているところです。
さらに、56ページ目でも示されているとおり、薬局における収益の大半は薬剤料となっており、毎年の薬価改定による薬価の引下げ、薬価差の縮小、医薬品や医療材料の逆ざやの増加などにより、薬局は経営の悪化の一途をたどっています。
先ほど債権譲渡という話がありましたけれども、薬局での調剤報酬の債権譲渡もかなり進んでいて、令和5年度は約5,000件、薬局が約6万件ですので、8%を超える薬局は債権譲渡をしないと資金繰りが悪化しているという、そのように非常に厳しい状況になっています。
このままでは、地域に根差して地域医療を支えている薬局が存続できず、在宅医療や夜間・休日対応、それから災害時対応といった地域医療のセーフティーネット機能そのものが損なわれてしまう可能性も出てきています。地域医療の一翼を担う薬局が医薬品供給拠点としての機能、そして薬剤師サービスをしっかりと果たせるよう、次回改定においては必要な手当てを行うべきと考えます。
また、55ページ目にあるように、薬局は大規模と中小の二極化が進んでいる状況です。中小の薬局は、規模の経済の観点から、経営基盤構築は容易でなく、また不利であり、地域密着型で医療提供を行うことができる中小の薬局への制度的支援策が引き続きの課題だと考えます。
薬局数が充足しており、人口も集中している都市部においては、大病院前等での薬局開設が続いていますが、人口減少している地域における薬局数は減少傾向に転じており、都市部以外の地域や過疎地域における薬局の不足傾向はさらに進んでいくことが危惧されます。離島・へき地や過疎地を含めて、過不足ない医薬品の提供体制を構築するために、報酬上での対応と報酬以外での対応を組み合わせて検討していくべきと考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
まずは、これまでになかった非常に細かい分析をしていただきました事務局に感謝申し上げたいと思います。
MCDBにつきましては、データ提出の義務化が2023年度の年度途中からの施行ということもありまして、8ページにありますとおり、カバー率が非常に低いことは残念でございますけれども、原則全ての医療法人が対象ですので、2024年度については、より正確に経営状況を把握できるものと期待するものでございます。
MCDBは個人立が含まれず医療法人だけのデータであり、直ちに医療経済実態調査を代替できるものでないことは十分理解をしておりますけれども、補完的に活用できることが今回の分析で示されたものと受け止めております。事務局におかれましては、今後、積極的な活用について、具体的にさらなる検討をお進めいただきたいと思います。
それでは、分析結果についてコメントいたします。
最初に、全体を通した率直な感想として、病院と診療所の経営状況には明確な違いがあるということをまず申し上げておきたいと思います。
まず病院についてでございますが、10ページ以降に示されております病院類型別の状況を見てみますと、一般病院については、10ページで事務局の説明がありましたとおり、200床未満とそれ以上で分けた場合、規模が大きいほうが利益率が低いということですけれども、より細かく病床規模を区分している12ページに目を移しますと、診療報酬上の取扱いが異なります199床以下のグループと200床以上のグループ、ちょうど真ん中辺りになりますけれども、分けて見てみますと、それぞれのグループ内で病床数と利益率を見ていきますと、どちらのグループでも病床規模が大きくなるほど利益率が改善していく傾向があることが分かります。n数の限界や、いずれにしても赤字であるということではありますけれども、病院の集約化を進めることが経営改善に寄与する可能性があるということは改めて指摘させていただきます。
療養型病院では、病床規模との相関が顕著で、100床を超えると黒字になり、さらに病床数が増えると、3%を超える水準まで利益率が高くなってきております。
精神科病院につきましては、500床以上のところで医業利益率がマイナスですけれども、病床規模との相関がこれについても見てとれます。
次に、13ページ以降に示されております機能別の比較でございますが、急性期病院とそれ以外の違いが顕著で、特に左下にございます高度急性期は、利益率が正規分布ではなく、マイナス側に偏っているように思いますので、今後、病床規模とのクロス分析をするなどして、病院機能に着目した分化、連携の在り方を検討する際に活用することも考えられるのではないかと思います。
さらには20ページ以降で自己資本比率、現預金回転期間、ファクタリング、債務償還年数について説明があり、各委員からコメントがございましたけれども、この業界の非常に特徴的なものは、保険診療である限りは、お金は必ず一定期間後に入ってくるということでございます。これが一般の企業とは大幅に違うところでございます。金額が分かっていて、期間が必ず見えていると。ですから、自己資本比率も低く、現預金回転期間も少ない月数で済んでいるというのはそういったものに起因するものですし、ファクタリングというものが成立しますのも、そういったものの影響であるということはコメントさせていただきたいと思います。
続きまして、自治体病院の経営状況でございますけれども、28ページで病院類型別に見てみますと、一般病院と療養型病院は、経常利益の平均値・中央値がマイナス赤字ですけれども、特に一般病院の散布図を見てみますと、病床数が多くなるほど経常利益率が0%に近づいていっているということが見てとれます。
32ページの地域分類別の分析においても、病床規模が大きくなると経常利益率が0%周辺に寄ってくる傾向にあるように見てとれます。
以上のことから、やはり病院の再編・統合や医療機関機能の適切な選択を推進する方向で、診療報酬にはメリハリをつける必要があると言えます。
一方で、最後に診療所につきましては、37ページを見てみますと、医業利益率については平均値・中央値・最頻値ともにプラスで、分布としてのプラスが多く、かなり高い利益率の法人があることが分かります。この傾向は診療科別や地域別の集計でも大きな違いはないと考えております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
まずは詳細な分析ありがとうございます。
医業利益率だけを見ても、病院、診療所、歯科診療所間のみならず、さらに医療機関の機能や類型といった特徴に応じて、状況に違いがあることが分かりますので、今後きめ細やかに議論していく必要があると感じました。
一方、経年での状況変化も確認する必要を感じており、今後に向けてMCDBへのデータの蓄積が進んでいくことを期待いたします。
医業利益、経常利益ともにマイナスという施設がある中で、前回の資料でも示されましたが、病床利用率の低下や患者数の減少の影響もあるかと考えられることから、地域医療構想を進めていくことが重要であると改めて実感いたしました。
また、病院100床当たりの従事者数の推移も詳細に示していただきましたが、基本的には多くの医療機関で増加していらっしゃいます。働き方改革や医療の高度化が進んだことなどが要因として想像できますが、要因の詳細や、今後適切な配置や分担、効率化についても検討していく必要があると思いました。
いずれにしても、今後こうした切り口も踏まえ、最新の実態を確認しつつ議論していければと考えております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
お手が挙がっています佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
事務局におかれましては、様々な角度から分析をいただきありがとうございます。
病院と診療所、病院においても、その類型や機能、地域などによって状況が異なることが分かりましたので、その要因は何か、より詳細について分析いただきたいと考えます。
診療報酬の検討に当たっては、今後も物価や賃金の上昇は見込まれる一方、医療保険財政には限りがありますので、さらなる分析を踏まえながら、地域に必要な医療提供体制の確保、人材確保に向けた処遇改善などを総合的に勘案し、めり張りをつけて検討していく必要があるのではないかと考えております。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員
ありがとうございます。
今回の分析は大変有益な分析であり、御苦労いただいた事務局には本当に感謝申し上げたいと思います。
最後の65ページ、66ページにまとめて整理されておりますけれども、今回の資料を通じて、大枠として病院の医業利益率はマイナス傾向にある一方で、診療所はプラス傾向であるという構図が確認できました。これはもう既に松本委員、鳥潟委員等からもお話があった件ですけれども、こうした点を念頭に置きながら、改定の方向性を検討していくことが重要であると思います。
また、様々な切り口で経営状況について分析をしていただいたことで、病院の中でも入院機能によって利益率に差が生じている。また、診療所の中でも診療科によって利益率に差が生じていることが明らかになりました。ほかにも、同じ機能を持つ医療機関の中でも、赤字の医療機関がある一方で、高い利益率を確保している医療機関が存在していることも分かりました。
こうした差が生じる要因についても、引き続き、可能な範囲でより精緻な分析を行っていただきたいと思います。その結果を踏まえて、国民皆保険制度の持続性を維持するために、医療機能に応じためり張りのある評価としていくことが重要ではないかと考えておりますので、今後の改定の議論を進めていければと思います。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。
鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
御指名ありがとうございます。
私からも一言お話をさせていただきます。
今現在、日本の物価、人件費が高騰して、日本全体がコスト高になって、なおかつ医療現場においては公定価格ということで、赤字ということで、非常に厳しい状況というのは十分理解をできます。けれども、だからといって報酬を短絡的に大きく上げればいいかという話にはならないですし、報酬が上がって、それぞれの患者さんへの負担が大きくなれば、医療を控えるような人が出てくるというような形で、悪循環になるということが考えられております。その中でやはり、この資料に基づきまして、いいところもあれば悪いところもあるかもしれないので、もう少しその辺のところを細かく分析をしていただければと思います。
例えばさっきお話ししたように人件費が高いです。これはもう医療機関は労働集約型の産業であるので間違いないわけです。ですから、その中でどういうふうにするか。また、現預金回転期間というような話で、3か月では短いというのか、では何か月だったらできるのかというよりは、実際問題、先ほど松本委員がおっしゃったように、貸し倒れがないわけですから、ある意味では3か月あれば十分ではないか。その中で何が問題かというと、流動比率に問題があるのかとか、キャッシュフローがどうなのかとか、そういったところがもう少し分からないといけないですし、今回の資料の中でも、例えば減価償却が入っているので、そういった流れでオペレーションプロフィットというか、運用上の流れ、キャッシュフローとしてどうなのかということも分析しながら、その中で割合経営に努力されていることが、どういう形を努力したら結果としてなっていくのかというようなことがもう少し分かるようにしていただければ、納得のいくような報酬改定というような形になるかと思いますので、事務局のほうでは、非常に細かい資料をさらにということでお願いするのは大変申し訳ないのですが、そういった形でぜひお願いをしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
診療報酬は公定価格でありますので、当然ながら物価高騰や賃金上昇を診療報酬に上乗せはできない仕組みになっています。そういった中で、複雑あるいは厳しい施設基準や算定要件を遵守しながら、診療報酬をいただいている状況にあります。
しかし、経営の観点で申し上げますと、他産業と同様に、しっかりと健全経営の担保、借入金の返済、あるいは健全なキャッシュフローの担保、こういったものは当然求められるわけでありますし、それができなくなると経営破綻になってくるわけであります。
したがいまして、さらに最近の状況は、医療従事者と他産業の労働者の賃金の格差は年々大きく開いています。そういった中で、我々の現場としては、本当に多大なる苦労をしながら、どうにか運営しているというところは御理解いただかないと、なかなか話が前に進まないのではないかと考えています。
今日の全体データでいくと、明らかに経営が厳しいというのが多くの状況であるというのは明白であります。これは病院のみならず、診療所も今、コロナ補助金もなくなり、大変厳しい状況に陥ってきております。したがって、我々も質の高い医療を提供したい思いでございますので、そういったところを支えるための健全経営というのはしっかり今後構築していただきたいと要望いたします。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
池端委員、お願いいたします。
○池端委員
ありがとうございます。
私も、お言葉を返すようですけれども、少し誤解されているのではないかと思うのです。診療報酬というのは、あくまでもその診療の対価として2か月後に入ることで、確かに貸し倒れがないとおっしゃいますけれども、診療そのものの対価ですから、その努力した結果として2か月後に報酬が入る形になっていて、黙っていても病院に2か月後に収入が入るわけでは決してないのです。2か月後にいただく報酬で経営を成すことの全てを債権化することは、誰もやりたくない。だって、全てそれを召し上げられるわけですから。なおかつ、それをしなければいけないというのは、本当に破綻寸前に近いところで、とにかく今、目の前のキャッシュフロー上、現金がないから、そのときに債権化するということになりますので、決して病院側に左うちわで2か月後にまた入ってくるからいいよとやっているわけではなくて、収入は入っても、その上に支出が多いからどんどん悪循環をしていって、今こういう状況になっていて、なおかつ、今までの原資も返せなくて、いわゆるマイナス基調、債権も返せなくなっている状況が4割あるということなので、決してそうではない。
しかも、なおかつ、それは先ほど江澤委員もおっしゃったように価格転嫁できないわけです。周りが上がったから、給与が上がったから、診療報酬、基本料、1割上乗せしようということはできない。2年間完全に損益となる。しかもなおかつ施設基準があって、必ず職員は何人配置しておかないと、たとえ入院患者が減っても、きちんと施設基準上の人員はそろえておかなければいけない。一般の企業であったら、顧客が減ってきて、あるいは消費者が減ってきたら、その分を合わせて人を減らせるかもしれませんけれども、そういう企業努力ができない仕組みになっているのが病院の体制なのです。ですから、その辺をぜひ御理解いただきたいなということを感じます。
○小塩会長
続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
松本委員からありました20ページ、確かに自己資本比率が云々とか、現預金回転期間で資金繰りを全部証明できるわけではないというのはそのとおりです。2か月後に、確かに診療報酬債権が入ってくるということで、非常に少ない流動資産で回せているというのはそのとおりなのですが、これをもって別に資金繰りがきついということを証明できるわけではないですけれども、23ページの債務償還年数マイナスというのはかなり激しい数字だと思います。減価償却を含めてもキャッシュフローがマイナスになっているということと、ほぼ40%の病院が同義ということです。これはかなり厳しい数字だということを認識していかなければいけないのと、2022年以降、我が国は消費者物価が3%ぐらいずつ上がっているというのは、もう皆様方御存じのとおりです。人件費に関しましても、今年、人勧が3.62、定昇を入れると5%ぐらい給与が上がるという状況ですし、連合の今年の調査でも5%ぐらい上がるという状況になります。
先ほど、病院の経費構造が出ていました。人件費が6割弱、経費の中でも診療材料と薬、いわゆる診療報酬である一定程度面倒を見ているもの以外の経費は25~30%はあるのです。そこが消費者物価に連動して上がっていく。人件費が先ほど言ったように3%、4%で上がっていくとすると、1年間に3%ぐらい病院の経費は増えるのです。単純に計算していただければ分かります。同じ医療を同じ量提供していても、3%ぐらい毎年基本的にはコストは上がっていくという状況にこの物価上昇の局面でなっている中で、もちろんめり張りは重要です。考えていけばいいですけれども、先ほど機能ごとに示していただいたもので、回復期とか慢性期が少し利益が残っていると見えましたけれども、そこも1年ごとにそれだけ利益が減っていっているような状況に2024年、2025年、理論上なっているはずなのです。なので、物価が上がっていっているというものに関しては、しっかりと御認識いただいて、我々も資料を出していきますので、ぜひとも持続可能な医療提供体制の維持のために、いろいろと御協力をさせていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
医療現場は、全体を底上げした上での、メリハリをしなければ潰れます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
今日出ていない話として、まず長期借入金は何に対する借入れかというと、多くはキャピタルコスト、すなわち建物、土地が中心になるわけですけれども、現状の診療報酬ではキャピタルコストの部分までを賄うのはなかなか難しいというのは、今に至らず従前から続いていました。仮に黒字であっても、例えば法人税をざっくり4割払って、残りから当然借入れを返済しているわけでありますから、なかなかキャッシュフロー、すなわち減価償却前の利益と年間の返済額のバランスが取れないという経営体であるということは御理解いただいてほしいと思いますし、我々も経営努力は死ぬほどやっているわけで、売上げは予想できないのです。例えば来月、5割とか3割の売上げということはあまりないかもしれませんけれども、しっかりと健全経営のための売上げをいかに確保するのかということは、どの医療機関も死に物狂いで努力をしているのが今の実態でありますので、そういったことを踏まえてまた今後の議論につなげていただきたいとお願いいたします。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
非常に多くの意見を頂戴いたしました。ほかに追加の御意見がないようでしたら、本件に係る質疑は取りあえずこの辺りとさせていただきます。
今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、また、新しいデータが利用可能になると伺っておりますので、引き続き対応していただくようにお願いいたします。
続きまして、「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○山田医療介護連携政策課長
医療介護連携政策課長でございます。
総-4を御覧ください。「マイナ保険証の利用促進等について」、特にスマートフォンのマイナ保険証利用を中心に御説明させていただきます。
1ページでありますが、今の利用状況でございます。真ん中のグラフの赤い折れ線でありますが、7月のマイナ保険証の利用件数は31.43%となっております。マイナ保険証の件数、7810万件ということで、今までで一番多くなっております。医療機関・薬局の皆様をはじめまして、関係者の皆様の御尽力、御協力に感謝申し上げます。
2ページをお願いいたします。
外来診療等におけるスマートフォンのマイナ保険証利用への対応についてであります。上段がマイナンバーカード、下がスマートフォンとなっております。
マイナンバーカードでありますが、ほぼ全ての医療機関・薬局でマイナ保険証として利用可能な状況となっております。
一方、3ポツ目でありますけれども、手続として必要になる場合以外での日常的にマイナンバーカードを持ち歩く習慣がないという方が一定程度存在するということでもあります。ですので、引き続き実物のマイナンバーカードによる利用経験が増えていくよう取組を進めてまいります。
一方、スマートフォンでございますが、マイナポータルへのログインが簡便になり、自身の医療情報の管理・把握が容易になるというメリットがございます。また、当然ですが、スマートフォンは日常的に広く利用されております。カードに加えまして、スマートフォンでも利用できる医療機関・薬局の環境整備を支援していきたいと思っております。
3ページであります。
実証事業を行わせていただきました。iPhoneでのマイナンバーカード機能の利用が6月24日より開始しておりまして、7月、8月の2回に分けて実証事業を行っております。
4ページがその結果でございますが、左下の表であります。15の医療機関などで実証を行いました。iPhoneを使われたのが252名、Androidを使っていただいたのが69名、合わせて300名少しの実証事業でございました。
この15医療機関、マイナ保険証の利用率は約50%と高い医療機関でありましたが、その中でスマホの利用割合は1%以下ということではありました。ただ、この三百何名、大きな支障なく資格確認ができることが確認されております。
右側が、患者または医療機関・薬局の職員の意見の主なものを記載しております。
まず患者でございますが、カードを出す手間がなくなり、受付がスムーズになった。また、持ち歩きによる紛失の心配がなくなったというポジティブな御意見がある一方、多かったのが、スマホの最初の設定が難しかったという意見が多くありました。
職員のほうからも同様でございまして、来院前にマイナンバーカードのスマートフォンへの追加を終えてから来院受付をしてほしい、こういう声が強かったと思っております。
スマホ利用に当たっての必要な事前準備や留意点について、周知を図ってまいりたいと思います。
5ページ、6ページでありますが、5ページは医療機関・薬局に対応をお願いしたいこと、6ページは患者に対応をお願いしたいことという資料を作っております。
まず5ページであります。
本年9月19日の予定でありますが、準備の整った医療機関・薬局から順次、スマートフォンでのマイナ保険証が扱えるようになります。医療機関の対応としましては、四角の中の赤字の3点ございます。
1点目は、カードリーダー、汎用カードリーダーの購入であります。8月29日より、ECサイトの専用ページが開設されます。申請するという手続なく、補助上限7,000円、2分の1補助で割引後の価格で購入することができます。
2点目は、資格確認端末と汎用カードリーダーとを接続していただくということ。
3点目が、スマホ対応施設であることを患者が確認できるステッカーを提示いただくということであります。このステッカーは後日、支払基金のほうから配布したいと思っております。
医療機関・薬局側の対応としては3点、繰り返しになりますが、汎用カードリーダーの購入、資格確認端末との接続、ステッカーの提示をお願いしたいと思っております。
6ページは患者側での対応でございます。
御自身のスマートフォンがそもそも対応しているのかというものもございますが、大きく2点赤字で書かせていただいております。
来院前にスマートフォンへのマイナンバーカードを追加していただくことが1点目。
2点目が、医療機関の受付にあるステッカーを事前に確認した上で、スマホを持参していただきたいということであります。9月19日から、スマートフォンでのマイナ保険証が始まりますけれども、医療機関・薬局で利用できるのは順次広がってまいりますので、確認前に、スマホだけを持ってきて来院することがないようお願いしたいと周知していきたいと思っています。
7ページでありますが、現行の取扱いであります。
マイナンバーカードを持ってきていただいた、マイナ保険証を持ってきていただいた場合に、カードリーダーにかざして、停電なり何らかの事情でオンライン資格確認が行えなかった場合、例えばマイナポータル画面を掲示したり、過去の情報で請求したり、もしくは申立書といったもので請求したり、とにかくマイナ保険証を持ってきていただければ、3割などの保険診療を受けられるということの取扱いとさせていただいております。
8ページでございます。
スマートフォンでのマイナ保険証の利用が始まるに当たりまして、マイナ保険証として利用可能なスマートフォンを、スマートフォンでのマイナ保険証の対応ができる医療機関・薬局に持ってきていただき、それでも何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合にどうするのかということであります。
赤字が今回の変更提案部分でございますけれども、マイナ保険証として利用可能なスマートフォンが何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合に、その場でマイナポータルにログインし、表示された資格情報の画面を提示していただければ、患者には3割などの適切な自己負担で保険診療が受けられる、このような取組とできないかと考えております。
以降、参考資料でございますので説明は省略させていただきます。
○小塩会長
御説明をいただきましたが、ただいまの御説明につきまして御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
長島委員、お願いいたします。
○長島委員
ありがとうございます。
スマートフォンへのマイナ保険証の搭載は、患者、国民にとって利便性が向上することに加えて、マイナポータルへログインし、自分の医療情報を把握するのが大幅に簡単になるという大きなメリットがありますので、大いに推進すべきであります。
ただし、以前から繰り返し申し上げていますが、スピード感は重要ですが、拙速に進めて国民や医療現場に混乱や不信を招いては、かえって大きなブレーキとなります。スマホへのマイナ保険証利用に関しても、混乱や負担をできるだけ少なくするために注意すべき点が幾つかあります。
まず、9月19日からスマホ利用がシステム上は可能となるとしても、対応できる医療機関が増えるには一定期間かかりますので、当面の間は、実際に対応できる医療機関は全国でもごく一部であると思われます。このことをしっかりと国民に周知する必要があります。
次に、スマホに対応できる医療機関であっても、何らかの事情で読み取りに失敗した場合、その場でマイナポータル画面にログインし確認することとなっておりますが、そのときに、ログインした方が御本人なのか、また、表示されたマイナポータル画面が真正なものであるのか、ここに関しては、例えばマイナ保険証や他の身分証明書などで確認しないと、医療機関ではすぐには確認できません。
そうした手間や混乱は、患者や医療機関に大きな負担となります。したがって、初めてスマホ搭載のマイナ保険証を利用する場合は、スマホだけではなく、必ず実物のマイナ保険証を持参していただくことが重要です。
また、患者さんがマイナ保険証をスマートフォンに搭載させるには、それなりに手間がかかりますが、その手続の説明やお手伝いを医療機関の窓口で行うとなれば、これも大変大きな負担、混乱になってしまいます。したがいまして、スマホを利用される患者さんは、必ず来院前に手続を済ませていただくことが重要です。
さらに、医療現場に実際にこの仕組みを導入する手順やシステムがうまくいかなかった場合の対応について、国が分かりやすい資料を提供するとともに、相談窓口の設置が重要と考えます。
以上については、実際の運用に当たり、円滑に普及するために極めて重要なことであります。国の責任において、丁寧に、確実に周知していただく必要があります。また、保険者の皆様には、被保険者の皆様に周知と支援をぜひお願いしたいと思います。
最後に、オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーや資格確認専用端末について、早期に導入した医療機関・薬局では保守期限が残り1年程度となっており、今後これらの機器を更新する必要が生じます。その場合、様々な費用や業務負担が想像されます。
今後、円滑かつ適切に医療提供を継続するためには、保守期限の終了や機器の故障などによりオンライン資格確認ができない事態は避けなければなりません。そこで国に対し、機器更新の費用等に対して十分な補助を行うこと、関連業者・業界に適切に対応することをしっかりと働きかけることを望みます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
今、長島さんのほうから、非常に懸念事項とか対応について詳しく説明いただきましたので、私からも1点だけ、5ページにありますけれども、オンライン資格確認システムの機能の開放は9月19日の予定ですと。一方で、下に汎用カードリーダーの購入やECサイトのオープンは8月29日と書いてありますので、非常に時間がない。この辺について、医療機関並びにこういったものを購入する業者、それと先ほど我々保険者もとありましたけれども、トータル的にしっかり丁寧に周知をしないと、行ったけれども駄目だったとなってしまうと、また評判が落ちてしまうということになりかねませんので、それについては、我々もですけれども、統一的なマテリアルで周知することが必要かと思いますので、それについては厚労省のほうでよろしくお願いしたいということを私からもお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、大杉委員、お願いいたします。
○大杉委員
今、長島委員からほぼ全ての御発言がありましたけれども、私からも、スマートフォンによる方策が増えることは、便利になり大変よいことだと思いますけれども、実証事業の中でもありましたが、小規模な歯科診療所などでは、人材を窓口に配置することもできず、窓口にて患者さんの対応に手を取られると、本来の診療時間に支障を来します。国民の方々に、できるだけ分かりやすく使い方、使用方法等を周知広報していただきたいと思います。
要望になりますけれども、よろしくお願いします。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
長島委員、大杉委員と重複する点もあるのですけれども、9月18日までに全ての薬局・医療機関で汎用カードリーダーの購入準備などができるわけではありません。また、顔認証付きカードリーダーについてですが、来年に保守期限を迎えて、入替えがもう迫っている中で、正直、躊躇するところも出てくるのではないかと思います。そうなると、スマホに対応できる医療機関・薬局、対応できない医療機関・薬局が混在することになって、現場でのトラブル、または国民が混乱すると思っています。
また、普段、利用している医療機関・薬局がスマホ対応していても、急におなかが痛くなりかかりつけの医療機関ではなく職場の近くの医療機関を受診することや、いつも利用している薬局以外を利用することもありますので、国や保険者も含めて、マイナ保険証の携帯もするよう必要な注意に関して、十分に周知をいただきたいと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはよろしいですか。
それでは、特にほかに御質問等がないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
12時半になってしまいましたけれども、引き続き審議を続けます。
続きまして、「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて(諮問)」を議題といたします。
本日、厚生労働大臣より諮問がなされておりますので、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料総-5を御覧ください。
スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて、中央社会保険医療協議会会長に対し、厚生労働大臣より諮問がされております。
健康保険法第82条第1項、その他関係法令の規定に基づき、スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて、貴会の意見を求めます。
なお、答申に当たっては、別紙、総-4「マイナ保険証の利用促進等について」に基づき行っていただくよう求めます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいま諮問を受けましたが、この件につきまして何か御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、この諮問を受けまして、本件につきまして、さらに検討を進めてまいりたいと思います。
そこで、「個別改定項目について」を議題といたします。
ただいま諮問のございました「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」に関しまして、引き続き議論を進めてまいりたいと思います。
事務局より「個別改定項目について」、いわゆる「短冊」につきまして説明をお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
先ほど諮問いたしました事項について、改正案を御説明いたします。
まず、総-6-2「補足資料」のほうを御覧いただければと思います。
こちらは先ほどの総-4の資料に、それぞれの資格確認方法が法令上どこに規定されているかを追記したものでございます。
今回の諮問でございますけれども、先ほど事務局より説明のあった資料中央の赤枠で囲われた部分を新たに法令に定めるために行ったものとなっております。
総-6-1「短冊」のほうを御覧ください。
第2のところが具体的な改正内容となっておりまして、保険医療機関等が、電子資格確認により資格を確認できない場合の資格確認方法を規定する告示となっておりますけれども、2ページをおめくりいただきまして、左側の改定案の欄にありますとおり、第三号を新設するものとなります。
説明は以上でございます。
○小塩会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、御質問がないようですので、この後、休憩を挟みまして、「答申について」を追加議題としたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
それでは、ここで一旦休憩といたします。
休憩中に、事務局は答申案を各委員に配付していただいて、その上で、1号側委員、2号側委員の皆様には御確認をお願いいたします。
その後に会議を再開いたしまして、「答申について」を議題として、御議論いただくようにしたいと思います。
ということで、休憩に入ります。よろしくお願いいたします。
(休憩)
○小塩会長
それでは、「答申について」を議題といたします。
「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」につきましては、本日8月27日に厚生労働大臣から諮問されました。
そこで、これまでの中医協における議論の成果を踏まえて、答申書(案)が提出されております。
内容につきまして、事務局より補足することなどがございましたらよろしくお願いいたします。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料総-7と別紙を追加でお配りしております。総-7が答申書のかがみとなっております。本日付にて、中央社会保険医療協議会会長から厚生労働大臣宛ての答申となっております。別紙が告示の改正(案)でございます。
答申をいただきましたら、告示の公布に向けまして、事務的な作業を進めさせていただきたいと考えております。
以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
これを受けまして、1号側委員、それから2号側委員の代表からもし御発言等ございましたらよろしくお願いいたしますが、いかがでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
まず、コメントをする前に1点確認なのですけれども、先ほど見せていただいた「短冊」に書いてあるアンダーラインの項目と、今回いただいている項目の関係が私、分かりかねているのですけれども、御説明いただけますでしょうか。
○吉田保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
総-6-1の2ページ目に記載をしております三の下線が引いてあるところと、今回答申書の別紙の中で、一番最終のページにあります三号の下線部が同じものということになります。
その他については、形式的な修正は施しております。
○小塩会長
ということで、いかがでしょうか。松本委員。
○松本委員
ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、御了解いただいたと理解させていただきます。
2号側委員はいかがでしょうか。
江澤委員、お願いします。
○江澤委員
診療側を代表いたしまして、本件の答申につきましては異論ございません。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、この答申書をもちまして、中医協から答申を行うということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、答申書の正本の御準備をお願いいたします。
本日は、私より、間局長に答申書をお渡ししたいと思います。
(小塩会長から間保険局長へ答申書を手交)
○小塩会長
どうもありがとうございました。
それでは、間局長より一言御挨拶をお願いいたします。
○間保険局長
保険局長でございます。
小塩会長はじめ、委員の皆様におかれましては、日頃から、厚生労働行政、とりわけ医療保険行政に関しまして御指導いただいておりますこと、この場をお借りしまして改めて心から感謝申し上げます。
ただいま「スマートフォンでのマイナ保険証の利用開始に伴う資格確認方法の所要の見直しについて」の答申を頂戴いたしました。答申を取りまとめいただきましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
厚生労働省といたしましては、関係者の皆様の御協力をいただきながら、引き続き、マイナ保険証の利用環境の整備にしっかり取り組んでまいる所存でございます。この答申に基づき、速やかに告示の準備を行う予定です。
本日は誠にありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
私のほうからも、本日、非常に短い間に御議論を精力的にしていただきました委員の方々にお礼を厚く申し上げます。ありがとうございました。
以上で「答申について」の議題は終了いたします。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。



