2024年12月20日 薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録
日時
令和6年12月20日(金)17:00~
出席者
出席委員(17名)五十音順
- 市瀬浩志
- 稲葉雅章
- ◎奥田晴宏
- 亀山貴康
- 川名三知代
- 神田祥一郎
- 齋藤嘉朗
- 酒井愛子
- 嶋澤るみ子
- ○新保卓郎
- 宗林さおり
- 多田弥生
- 立石敬介
- 富永孝治
- 長谷川洋一
- 堀里子
- 宮川政昭
- (注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(2名)
木下玲子
多賀谷悦子
行政機関出席者
- 佐藤大作(大臣官房審議官)
- 中井清人(医薬局医薬品審査管理課長)
- 野村由美子(医薬局医薬安全対策課長) 他
議事
○医薬品審査管理課長 それでは、「薬事審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催させていただきたいと思います。先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
まず、本日の出欠状況についてですが、木下委員、多賀谷委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、川名委員が遅れて御出席という連絡を頂いております。現時点で、委員19名のうち16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事審議会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の先生方より、第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様におかれましては、その都度書面を提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、何とぞ御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
それでは奥田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○奥田部会長 それでは、よろしくお願いいたします。まず、事務局より議事の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。Webでの審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、システム上で挙手をお願いいたします。部会長より順に発言者を御指名いただきますので、指名されましたらミュートを切った上で御自身のお名前をおっしゃっていただき、その後、御発言いただきますようよろしくお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージにて御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜メッセージ機能も御利用ください。システムの動作不良等がありましたら、会議の途中でも構いませんので、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○奥田部会長 今の事務局の説明に、御質問、御意見等はございますか。よろしいですね。それでは、本日の議題に入ります。まずは、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局です。資料の確認をさせていただきます。
資料1として、「マイフェミン及びミグリステンSの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料2として「パリエットS及びパリエット10の製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料3として「オメプラールS及びサトプラールの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料4として「タケプロンsの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料5として「ロゼレムSの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料6として「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」、
資料7として「競合品目・競合企業リスト」、
資料8として「専門委員リスト」をそれぞれ事前に電子媒体にてお送りしております。
続いて、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」及び「影響品目・影響企業リスト」について御報告いたします。資料7の1ページを御覧ください。競合品目・競合企業及びその選定理由について御説明いたします。まず、議題1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」ですが、ジメトチアジンメシル酸塩を含有する片頭痛及び緊張型頭痛用の薬で、効能・効果は「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」です。同様の効能・効果を有する要指導・一般用医薬品は販売されていないため、片頭痛の効能・効果を有する品目及び片頭痛の急性期治療に用いられる品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2~4ページです。議題2の「パリエットS」及び「パリエット10」はラベプラゾールナトリウムを、議題3の「オメプラールS」及びサトプラール」はオメプラゾールを、議題4の「タケプロンs」はランソプラゾールをそれぞれ含有する胃薬です。効能・効果はいずれも「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます。)」であり、同様の効能・効果を有する品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページです。議題5の「ロゼレムS」ですが、ラメルテオンを含有する睡眠用薬です。効能・効果は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝付きが悪い」であり、同様の効能・効果を有する品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの御説明について、特段御意見はございますか。それでは、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」については、皆様の了解を得たものといたします。
それでは、各委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 事務局です。各委員からの申出状況について御報告いたします。本年4月より、堀先生が所属されている慶應義塾大学薬学部に対して、佐藤製薬株式会社の寄附講座が設置されています。堀先生からは、本講座を通じて佐藤製薬より直接的に寄附金等が授与されてはいない旨をお伺いしていますが、兼務にて、本講座の兼担教授を務めていることを踏まえて、今般、薬事審議会参加規程第8条に定める「特別な利害関係を有する委員」に該当するのではないかとの申出が、堀委員御本人より薬事審議会長である奥田部会長にありました。該当性について奥田部会長とも御相談した結果、堀委員は佐藤製薬株式会社に関連する品目においては、薬事審議会参加規程第5条第2号の規定に基づき、当該品目に係る審議又は議決が行われている間は、審議会場から御退室いただくことといたしました。ただし、堀委員の発言が特に必要であると審議会等が認めた場合に限り、堀委員は出席をし意見を述べることができるものといたします。
今回、PPIとして佐藤製薬の品目を審議いたしますが、奥田部会長とも御相談し、堀委員には同品目の審議中は退室をお願いいたします。また、PPIのほか2品目についても、競合品目リストには佐藤製薬の名前はないものの、実質的に競合品目に該当すると考えますので、ほかの2品目についても、堀委員には同品目の審議中は同様に御退室をお願いいたします。佐藤製薬の申請品目ですけれども、本年9月4日開催の要指導・一般用医薬品部会でもありましたが、当該部会において堀委員は発言をしておらず、かつ承認可否等は満場一致で議決されていることも踏まえて、審議結果に特段の疑念はないと判断しており、この旨、部会長にも御了解いただいております。
各議題における各委員からの申出状況について報告いたします。
議題1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。
議題2の「パリエットS」及び「パリエット10」については、退室委員は堀委員、議決に参加しない委員は多田委員です。
議題3の「オメプラールS」及び「サトプラール」、
議題4の「タケプロンs」については、退室委員は堀委員、議決に参加しない委員はなしです。
議題5の「ロゼレムS」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員はなし、以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はございますか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとして、議題に入ります。本日は、審議事項が5議題、その他事項が1議題です。それでは、審議事項に移ります。議題1は、「マイフェミン」及び「ミグリステンS」についてです。機構より概要を説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。機構の方、概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、資料1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」について御説明いたします。製剤サンプルについては、写真を電子媒体で事前にお送りしておりますので、併せて御確認をお願いいたします。審査報告書の3ページを御覧ください。本剤は、ジメトチアジンメシル酸塩を初めて要指導・一般用医薬品に転用するもので、「ゼリア新薬工業株式会社」と「塩野義製薬株式会社」の共同開発品であり、「ゼリア新薬工業」からは「マイフェミン」、「塩野義製薬」からは「ミグリステンS」の名称で申請されました。このうち、「ミグリステンS」の申請者は、審査中に「シオノギヘルスケア株式会社」に変更されています。
効能・効果及び用法・用量は、こちらに記載の内容にて申請されました。本剤は、いずれも医療用医薬品と同一の製剤であり、○○○○○○○○○○○○○○○○○。スイッチ元の医療用医薬品はミグリステン錠20で、昭和47年に承認され、平成元年に医薬品再評価が行われています。
3ページ最終行から4ページにかけてを御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は「多くの片頭痛有訴者が使用しているNSAIDsにおいて薬物乱用頭痛が問題となっている中、本剤を要指導・一般用医薬品として開発することは、生活者の高いニーズに応えるとともに、国民のQOL改善・向上に寄与すると考えられる」と説明しています。
外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品はありません。本剤は、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、こちらに箇条書きにて示した点が課題点として示されました。この点に対する対応については、後ほど御説明いたします。
4ページ下段から5ページ中ほどにかけては、申請に際し提出された資料を記しています。細かい説明は割愛いたします。5ページ下段からは、審査の概略を記載しています。抜粋して御説明いたします。(2)本剤の治療上の位置付け及び服用期間についてです。本剤の申請当時、診療ガイドラインに本薬に係る記載がなかったため、頭痛治療におけるその位置付け及び使用方法に関して申請者に説明を求めたところ、本剤は抗セロトニン作用を有し、抗セロトニン作用を有する医薬品は片頭痛の予防薬に位置付けられていること。抗セロトニン薬は頭痛発作の頻度・程度や持続時間の軽減、鎮痛薬の反応改善、日常生活への支障の軽減を目的としており、症状がない日も含めて毎日服用することが説明されました。その後、2021年に「頭痛診療ガイドライン2021」が出版され、片頭痛の予防療法に使用する発症抑制薬として本薬が記載され、また緊張型頭痛に対する治療にも使用する旨が記載されました。
以上より機構は、本剤は発症抑制薬であり、症状がない日も含めて毎日服用する使用方法であるとする申請者の説明を了承いたしました。また、漫然とした服用を避けるため、服用期間の設定を求めたところ、効果を判断するタイミングを1か月とし、効果があった場合に服用できる最大期間を3か月と設定されました。機構は、2021年の診療ガイドラインにおける服用期間の記載及び医療用医薬品のインタビューフォームの記載を踏まえ、設定された服用期間は了承可能と判断いたしました。なお、この服用期間の設定は、評価検討会議の意見「効果判定や受診勧奨のタイミングについて、また継続期間について的確な指導が必要である。」に適切に対応していると判断いたしました。
7ページの(3)効能・効果についてを御覧ください。機構は効能・効果について、こちらに示した1)~3)の検討を行いました。まず1)片頭痛の効能・効果を有する本剤を要指導・一般用医薬品とすることについてです。片頭痛の効能・効果を有する医療用医薬品を要指導・一般用医薬品に転用するのは初めてですので、一般の使用者が片頭痛とそれ以外の頭痛との鑑別が可能かも含め、片頭痛という効能・効果を要指導・一般用医薬品とすることに問題はないか申請者に検討を求めたところ、自己判断により医療機関での治療が必要な頭痛に対して受診機会を逃すことを考慮し、効能・効果に「(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」を記載し、本剤の対象者が過去に片頭痛と診断・治療を受けた人に限定されました。
2)「緊張型頭痛」の追加要否についてです。医療用医薬品の効能・効果は、片頭痛、緊張性頭痛ですが、本剤は片頭痛のみを効能・効果として申請されました。その理由について申請者に説明を求めたところ、緊張性頭痛を本剤の効能・効果に含めない適切な理由は説明できないとして、緊張性頭痛を最新の用語にした「緊張型頭痛」が効能・効果に加えられました。
3)予防及び緩和の表現についてです。機構は、「予防」という表現は疾患自体の発症抑制を意味する可能性があること、また、既承認一般用医薬品に同一の表現があることで、本剤の効能・効果に対して誤解される懸念があることから、申請者に効能・効果の記載を変更することを求めました。その結果、その他の医療用の片頭痛発症抑制薬の効能・効果も踏まえ、「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和」と変更され、効能又は効果に関連する注意において、本剤の対象に関する注意事項が追記されました。
以上の議論を踏まえ、機構は最終的な効能・効果「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」について、特段の問題はないと判断いたしました。また、これは評価検討会議の意見「既に医師の診断及び治療を受け、片頭痛あるいは緊張型頭痛であることが確認されている患者においてのみ使用できるようにする必要がある。」に適切に対応されていると判断いたしました。
9ページの(4)用法・用量についてを御覧ください。申請時の用法・用量に対し、機構は服用時期や服用間隔を用法・用量に記載すること、また、評価検討会議の意見「急性期治療薬であるNSAIDsと使用方法が異なり、継続的に使用する薬であることを説明・周知する必要がある。」を踏まえ、用法及び用量に関連する注意に、服用方法について記載することを指示いたしました。その結果、用法・用量の末尾に「服用間隔は4時間以上おいてください。」と追記され、用法及び用量に関連する注意に、本剤の服用方法に関する注意事項が記載され、機構は適切に設定されているものと判断いたしました。
9ページ下段の(5)使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、通知に基づき医療用医薬品の添付文書を参考にして設定されました。そのほかに、本剤の使用対象ではない頭痛に使用されることを避けるため、使用すべきではない対象が「してはいけないこと」に記載されました。また、副作用のうち、眠気及びふらつきに関しては、二次的な事故を起こす可能性が考えられることから、太字かつ下線記載として目立たせる、自動車運転を禁止する、情報提供資料にも手厚く記載する等の対応がされました。機構は、評価検討会議の意見「副作用(眠気、消化器症状等)について的確な指導が必要である。」に適切に対応されていることも含め、使用上の注意は適切に設定されていると判断いたしました。
10ページ下段の(6)適正使用及び情報提供資料についてです。本剤の適正使用の方策として、添付文書のほか、チェックシート並びに販売店向け及び使用者向け情報提供資料が作成されています。その中で、頭痛ダイアリーの活用を促すこと、お薬手帳用購入カードを配布すること、本剤使用中に頭痛発作が起きた場合には、解熱鎮痛薬を服用する旨の案内を行うことが予定されており、機構は、評価検討会議の意見「服用中に頭痛があった時に急性期治療薬を服用できるか等を説明・周知する必要がある。」、「添付文書、チェックシート、情報提供資料、頭痛ダイアリーを使用して、適正使用及び安全性を確保する必要がある。」に適切に対応され、適正使用及び情報提供資料について必要な記載はなされていると判断いたしました。
しかし、本剤は要指導・一般用医薬品において初めての効能・効果をうたう医薬品であること、NSAIDsと使用方法が大きく異なること等から、製造販売後調査において安全性・適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えています。
最後に、11ページ中段の総合評価です。以上の検討を行った結果、機構はこちらに示した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見をお願いいたします。今、手を挙げられた方、川名先生、よろしくお願いいたします。
○川名委員 川名です。チェックシート、フローチャートのことについてお願いがあります。17/223ページで、2列四角があると思うのですが、「いいえ」に進むと小さい四角が並んでいる一番右端の四角の5番目、「服用する前に医師又は薬剤師に御相談ください。」の後、「(服用可能と判断された場合は以下の「いいえ」にお進みください。)」の所の「以下」に矢印がありません。矢印を付け加えていただくか「左の枠に戻って「いいえ」にお進みください。」となるべきではないのかなと思いましたので、御検討ください。以上です。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。
○事務局 川名先生、もしかすると、今お手元で御覧になっている資料は差換え前のものかと思います。
○川名委員 申し訳ないです。そうかもしれません。
○事務局 大変申し訳ありません。
○川名委員 では直していただいているのですね。
○事務局 はい。「(相談した上で服用可能と判断された場合は、以下の「いいえ」にお進みください。)」とした上で、そのボックスから左のほうにある「いいえ」のチェックにつながるL字の矢印を記載しております。
○川名委員 付けていただいていると。申し訳ございません。では、差換えを今からダウンロードいたします。申し訳ありませんでした。
○奥田部会長 川名先生、その点に関してはよろしいでしょうか。ほかに、このお薬について御意見、御質問をお願いいたします。大丈夫ですか。特段、御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。皆さん御異論がないようです。首をうなずいていらっしゃるのが見えます。ですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、議題2に移ります。堀先生におかれましては、退室をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料2、「パリエットS」及び同一製剤で販売名が異なる「パリエット10」について御説明いたします。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りしております。併せて御確認をお願いいたします。
審査報告書の3ページを御覧ください。本剤はプロトンポンプ阻害薬であるラベプラゾールナトリウムを有効成分とする医療用医薬品パリエット錠10mgを、要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。申請者は「エーザイ株式会社」です。本剤は3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において変更しておりますので、後ほど御説明させていただきます。スイッチ元の医療用医薬品パリエット錠10mgについては、以降においては「医療用パリエット錠」と言わせていただきます。
3ページ後段から5ページの表2にかけて御覧ください。医療用パリエット錠は平成9年の初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、現在は4ページの表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、医療用パリエット錠の再審査結果は、5ページ表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない。」が通知されております。なお、本剤を要指導・一般用医薬品とした場合の使用対象集団が同様と考えられる既承認の要指導・一般用医薬品として、ファモチジン等のH2受容体拮抗薬(以降、H2RAという)を有効成分とするものが平成9年に承認されており、現在も販売されております。
5ページの表2の下の文章を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は、本剤が「胃食道逆流症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」では、胃食道逆流症に対する第一選択薬として推奨されていること、胃酸分泌抑制作用は局所性かつ可逆性の対症療法薬であり、軽度の胃食道逆流による自覚症状に対して適していること、医療用医薬品における長期の使用実績があることを挙げております。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品はイギリス、オーストラリア及びロシアにおいて承認されております。
5ページ後段から6ページにかけて御覧ください。本剤は、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、箇条書きにて記した2点が課題点等として挙げられています。これらの点に対する対応については、後ほど御説明いたします。
6ページ中段から7ページにかけて御覧ください。申請に際し、提出された資料を記ししております。安定性に関する資料以外は、医療用パリエット錠の承認時に評価済みであるため、細かい説明は割愛させていただきます。7ページ中段からは審査の概略を記載しております。抜粋して御説明いたします。(2)使用期間についてです。評価検討会議において長期使用に関する懸念が挙げられていたこと、また、H2RAの要指導・一般用医薬品において、使用しても症状の改善が認められない場合は3日間、症状の改善が認められた場合でも、2週間の使用期間の上限が設けられていたことを踏まえ、本剤が漫然と使用されることがないよう、厳格に使用期間を設定するよう申請者に求めました。申請者は、使用しても症状の改善が認められない場合は3日間、症状の改善が認められた場合でも、安全性の観点から2週間の使用期間として設定しました。
続いて、8ページ中段の効能・効果を御覧ください。冒頭で申し上げたとおり、本剤の効能・効果については、申請時から変更しております。本剤の使用対象者として想定している胃食道逆流症は胃酸によって起こるものであり、症状としてはH2RAの要指導・一般用医薬品と同様と考えること、使用者が認識しやすいという観点も踏まえ、H2RAの要指導・一般用医薬品と同様に「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます)」とすることが適切と考え、申請者に再検討を求めました。申請者は審査報告書にお示しした公表文献も参考に、機構が提示した効能・効果に変更しております。
8ページの下段から9ページにかけての(4)用法・用量を御覧ください。本薬の評価検討会議において、長期使用により重篤な副作用の発現リスクが高まり、また、がんの症状をマスクする可能性がある旨の意見が示されたことを踏まえ、最大使用期間を承認事項として、用法・用量に設定することが適切と考え、「2週間を超えて続けて服用しないこと。」を設定するよう申請者に求め、申請者はそのとおり追加設定しております。
また、H2RAの要指導・一般用医薬品においては、使用対象年齢の上限を「高齢者(80歳未満)」とし、用法・用量に設定したことを踏まえ、機構は本剤における使用対象年齢の上限設定の必要性について、申請者に検討を求めました。
申請者における検討内容は、9ページの中段に記載しております。申請者は次の四つの理由から、年齢の上限設定は不要と説明しております。1点目は、医療用医薬品のPPIは高齢者に対して特に年齢制約はなく、高齢者に多い胃食道逆流症の初期治療においての第一選択薬としていること、2点目は、医療用パリエット錠における特別調査及び承認時までに得られた副作用発現率の比較内容、3点目は、医療用パリエット錠の最新の定期的安全性最新報告において、高齢者と非高齢者で異なる安全性プロファイルを有するという根拠情報がないこと、4点目は、オーストラリアで承認されている一般用医薬品において、年齢の上限設定がないことです。
機構は、申請者の3点目の理由については適切でないと考えましたが、使用成績調査の高齢者(65歳以上)及び非高齢者(成人15~64歳)における、副作用発現率並びにプロファイルに大きな差はないと判断いたしました。加えて、要指導・一般用医薬品として承認されているH2RAは腎排泄型の薬物であり、医療用医薬品であるH2RA製剤の添付文書の「用法・用量に関連する注意」には、腎機能による用量調節が必要である旨が記載されていますが、本薬は肝代謝型の薬物であり、医療用パリエット錠の添付文書には、肝機能による用量調節の規定がないことから、本剤については使用対象年齢の上限として、「高齢者(80歳未満)」を記載する必要はないと判断いたしました。
続いて9ページ下段から始まる(5)使用上の注意を御覧ください。本剤の使用上の注意は、通知及び医療用パリエット錠の添付文書を参考に設定したとされております。申請時に示された使用期間に関する注意喚起は、改善が見られない場合の使用期間を2週間とした内容で、「相談すること」に設定されていました。しかしながら、先ほど(2)の使用期間についてで御説明したように、長期使用がなされないよう、使用期間を厳守することが重要と考え、「してはいけないこと」として「2週間を超えて続けて服用しないでください」を設定するよう申請者に求め、申請者は指示どおり対応しました。
3日間使用しても改善が見られない場合はほかの原因も考えられることから、その場合は使用を中止し、医師又は薬剤師に相談するように、「相談すること」に設けることが適切と判断し、申請者に対応を求め指示どおりの対応がされました。また、本剤の「相談すること」として、原因不明の体重減少や持続性の胃痛・腹痛の症状がある人が申請時から項目として設定されており、当該設定については胃癌等の重篤な疾患をマスクするリスクを軽減することが重要と考えることから、適切な設定であると判断しました。
続いて10ページ中段の(6)適正使用及び包装単位についてです。本剤の適正使用の方策として添付文書のほか、チェックシート並びに販売店向け及び使用者向け情報提供資料が作成されております。また、使用期間の上限を2週間としていますので、包装単位の上限が14日分と規定されております。機構は本剤の適正使用、情報提供資料及び包装単位について、現段階で特段の問題はないと判断しておりますが、本剤は今回初めて要指導・一般用医薬品として一般に使われるものであるので、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。そのため、製造販売後調査において適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えております。
最後に、10ページ下段の総合評価です。以上の検討を行った結果、機構はこちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 では、ただいまの御説明の内容に関して御質問、御意見をお願いいたします。宮川先生、よろしくお願いします。
○宮川委員 確認です。症状をある程度取るという中に、「むかつき」という言葉の四文字熟語が平仮名で書いてあるのです。これに対してはある程度検討されていると思いますけれども、むかつきというのは普通の一般の市民、国民の感情からすると嘔吐というか、気持ち悪さにつながる表現が一番多いと思うのです。このむかつきというのを取ることができないのかどうかということです。実際にパッケージを見ると、パリエットとオメプラールに関しては、この言葉がないわけです。タケプロンにおいては胃酸逆流による胸やけ、胃もたれで、ここにむかつきが入って、胃の痛みと書いてあるわけです。このむかつきという言葉が誤解を与えられると困るのです。
むかつきという言葉がなければ別に、専門家からすれば、これはもちろん意味が分かるわけですけれども、医療者でない人にとってはなかなか難しい。胃酸の逆流による不快な症状の中にむかつきがあることは、医療者にとっては非常に分かりやすいことなのですけれども、普通の一般の方がむかつきという言葉をどう理解するのか。そういう意味では機構も厚労省も専門家なので、このむかつきという言葉をどう捉えるのかということについて、市民感覚として教えていただきたいと思います。
○奥田部会長 「むかつき」という言葉の定義ですね。
○宮川委員 定義というか、考え方です。つまり医薬品のところには書いてないわけです。症状名ではありませんので、医薬品の方は疾患による付随のところで書いてあるわけですが、そこからむかつきというのは読み取れないのに、あえて要指導・一般用医薬品部会にこの案が上がってきています。要指導医薬品という形で国民の目の触れるところで、むかつきという言葉が選択されることについて、明解な御回答を頂きたいと思います。
○一般薬等審査部長 少しお時間を頂いて、資料を確認させてください。
○奥田部会長 よろしくお願いします。個人的にはH2RAでどう書いてあるのかが気になるところです。
○一般薬等審査部長 H2RAではむかつきも含めた全く同じ表現です。この文言について、少し調べさせてください。
○奥田部会長 今の目で見直して、それがちゃんと通じているのかどうかをお考えいただければと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。
○宮川委員 それについてはチェックシートにも四つあって、むかつきという所で線を引っ張っていって、チェックシートの下の方に行ってしまうのです。一般市民に対して間違った印象を与えるということでは、非常に問題があるのかなと思ったわけです。医療者と一般の人では前提が違うということをよくよく考えていただいて、表現の適正化を図られた方がよろしいのではないかと思っております。
○執行役員 よろしいでしょうか。宮川先生、貴重な御指摘をありがとうございます。私どももこの言葉を使うときに、一般の人たちが御覧になるような情報提供の場所、例えば各社が提供している既存の一般薬の説明の文書、Webサイトなどを見て、むかつきという言葉が広く使われているものであることは確認しましたが、こちらもどちらかと言うと企業側が提供しているところであって、実際に一般の方、ユーザーの方がどういう受取りをしているかというころは、正直、私どものほうでも今は情報を持っていないところです。
○一般薬等審査部長 追加させていただきます。153/175、154/175ページの資料で、主に資料2の154/175ページですけれども、症状の表現に関する文献があります。ここでは「胸やけ」という言葉を題材に取っておりますが、「ムカムカする」といった言い方があるようでしたので、こちらも参考にして検討させていただいたところです。
○宮川委員 私もそこは確認しましたけれども、それが一般国民に対するものであるかどうかというと、そうではないですね。これは医療者側からだけみた表現です。一般市民からすると、むかつきというのは嘔吐・嘔気につながるわけですから、この薬の本来の目的である胃酸ということに関して、どれだけ伝わるのかということをお聞きしたわけです。いつもそうなのですが、そこはやはり前例がありましたらというのではなくて、前例があったとしても間違ったとか、ある程度間違ったところに誘導するということがあれば、直ちに直すのが機構であり厚労省であると私は思っておりますので、是非、そこは検討していただきたい。
今回のパッケージにはパリエットの方もオメプラールの方も、むかつきという言葉が入ってないのですね。タケプロンの方に一つ入っているだけなので、そこからすれば申請者の方もむかつきという表現の問題を詳しく認識していないように思います。間違った誘導にならないようにすべきであると思っておりますが、いかがでしょうか。私だけがしゃべっても仕様がないので、各委員もどのようにお考えになるのかについても、私は聞きたいと思っております。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○富永委員 私どもも医薬分業が進んで、結局、処方箋調剤という形でPPIを調剤して患者さんとお話し、その中で受診勧奨をもう一度すべきかどうかも、医療用医薬品としてお渡しする時も考えているわけです。それで時系列の臨床経過の中で、病状変化を重視するのですけれども、患者によっていろいろな表現をなさるわけです。例えば「胃酸が上がって酸っぱい感じがしますか」ということも、効果のうちで聞くわけです。聞き取りの技術というのは、本当に必要なのです。そのためにもやはり評価検討会議でもあったように、対面で販売しなければならないと考えております。
それと、注意書きでもありましたように、これだけの情報を得るためには、医師又は薬剤師に相談するということですから、例えば3年経過したからそのまま自動的に要指導ではなくなるというのは、きちんとこの議論の場で確認を取りたいと思っています。宮川先生がおっしゃったように、こういう表現のいい加減さと言ったら怒られるかもしれませんが、これからスイッチ化されたとしても、やはり症状や副作用を的確に捉えていくというのが我々薬剤師の責任だと思うのです。結局、利用者と医薬品の提供側もきちんとチェックリストが決まっていくと、それに従ってやっていくわけですから、そこはやはりチェックリストをきちんと詰めた方がいいかなと私も思いました。
○奥田部会長 今の富永委員からの、要指導から第一類にするしないというお話については、全体に関わることかもしれません。もし今、この場で厚労省の方から何か御発言があればお願いいたします。その上で、また先ほどの宮川先生のお話に移りたいと思います。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。現時点のルールにおいて要指導医薬品というのは、現行の薬機法では3年経過すれば、OTCになるということになっております。ただ、これについてはいろいろな議論があります。今、薬機法の制度改正部会において、要指導医薬品に留まる分類を設けるべきといった議論があります。その議論がどのようになるかはまだ未定ではありますけれども、現時点においてはそういうルールになっているということです。それが今後、どのように見直されていくかということはあるかと思っております。
○宮川委員 宮川です。そういう意味では課長がお話になったように、現行法上はそうやって移行しまうということであれば、しっかりとした書きぶりにしておかないと、もし現行上のルールをそのまま適用していくことになりますと、かなり危険かつ状況がコントロールできなくなりますので、正しく理解できる表現にしたほうがよろしいのではないかと思います。現行法の中で考えなければいけないので、そういう場合は今、富永委員がおっしゃったように、改めるところは改めていった方が、国民に対して親切な表現ではないかと思ったので発言させていただきました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○一般薬等審査部長 先ほど宮川先生から頂いた、むかつきの表現の件についてです。先生も御指摘のとおり、受け取る方がしっかり分かった上で選んでいただけるようにする。今の効能・効果の表現というのは、前例がありますからこのとおりですが、何とかそこがきちんと買う方に伝わるように、販売するときにしっかり分かった上で選んでいただけるように、何か資材等で工夫させていただきたいと思っております。
○奥田部会長 余り前例で行くと、ずっと引きずってしまいますので、そこは少し工夫していただけるということです。
○宮川委員 宮川です。工夫をしていただくというのは、どういう工夫をしていただくのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○一般薬等審査部長 今考えているのは、薬剤師が、むかつきというのはこういうことであるというのをしっかり御説明いただけるように、販売店向けの資料の中に、もう少し詳しく書くということを考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。指摘に対する対応がされるのであればこれは不適格というわけではないのですけれども、今後は申請のときから不正確な言葉を機構の審査の段階からも適用してよいのかを考えていただいて、事前に企業と話し合うときにも、しっかりとした指導をしていただけたらと思います。前例があるからといつもおっしゃるわけですけれども、前例が悪かったらどうなるのですか。
また、市販後に3年が経過して、不都合な問題が多く現れたときにどう訂正するのでしょうか。機構の担当者が離職や異動されて、責任が取れないということも想定されるので、これは議事録にしっかり残しておきたいと思います。これからはそういうことがないようにしていただきたい、国民に対する責任は、しっかりと取っていただくということが、非常に重要だろうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長 ありがとうございました。今の宮川委員の御指摘は、非常に大事なことだと思っております。今の御指摘以外にWebの参加の先生方、追加で御発言はありますか。
○富永委員 こちらからよろしいでしょうか。漫然投与の話がありましたが、PPIの適正使用の観点から、処方医も、薬剤師側も、投与制限があることを分かっています。もしスイッチOTC化すれば、その漫然投与の確認を行ったかどうかの担保が必要になります。薬剤師が適正使用の確認をやっているわけですが、もし悪性腫瘍や消化性潰瘍が隠蔽されたまま、健康被害が非常にひどくなるということもありますので、そこはチェックをこの会議できちんと確認しておくべきかと思うのです。今の状況で行われている投薬の確認が、スイッチOTC化後もちゃんとできるようにということです。
○奥田部会長 薬剤師とのコミュニケーションの在り方かもしれませんね。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。御指摘は本当にそのとおりです。2週間続けてまでということなので、しっかりそこをチェックしながら販売していただくという形で、チェックシートにて気を付けていくということです。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今、富永委員がおっしゃったのですが、チェックシートで、そういうことが隠れていることがあるので、注意してくださいと言いながら、チェックシートを進めるのかどうかも今後、本当は重要になってくるのだろうと思います。それに対してはいかがでしょうか。
○一般薬等審査部長 チェックシートは14/175ページです。こちらは2週間続けてという所の「はい」「いいえ」だけで、今はチェックシートそのものに理由は書いておりません。そこは薬剤師には販売店向けシート等でしっかり御説明していただくということで、資材として準備しております。
○奥田部会長 14ページですか。
○一般薬等審査部長 はい、14/175ページが実際のチェックシートです。真ん中辺りにありますように、今の案では「2週間続けて服用しているか」というチェックがあります。ここにマスクするかもしれないという理由までは書いておりません。あとは直接ではないかもしれないのですけれども、四角の下から三つ目に「現在、次の症状があるか」という所で、原因不明の体重減少、持続性の胃痛・腹痛があるかというところで、何か症状が起きてないかというのを合わせてチェックするというチェックシートです。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。臨床現場で医師は、患者のいろいろな訴えを聞きながら、法的な責任を持っていろいろ行動しているというところがあります。しかしながら、こういう薬を販売する現場で、薬剤師の先生たちが購入者からの訴訟があったときに、果たして法的に薬剤師の先生方をお救いできるかどうかというのは、こういう書類に掛かっているので、そのこともよく考えていただきたいです。
仮に、訴訟の論点になる部分の説明がなくて、何も書いてもなかったじゃないですかということで訴訟問題になったときに、現場の薬剤師の先生たちがそれに対して立ち向かえるのでしょうか。訴訟に対してどのようにいろいろな救済策を法的に講ずることができるのかという側面もあるわけです。薬剤師の先生方を救うのはやはり厚労省であり、機構であると私は思っております。そういうところに一言書いてあるだけで、薬剤師の先生たちが助かることになるのではないかと思ったものですから、発言させていただきました。
○奥田部会長 いかがでしょうか。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。確かに先生のおっしゃるとおりです。今、我々は販売店向け情報提供資料の21/175ページなどで、重篤な副作用のリスクを書いているのですが、先生の御指摘のとおり、チェックシートでその場で、薬剤師がはっきり分った上でチェックしていただいた方が、より適切かと思いますので、チェックシート自体を改めるよう検討させていただきます。
○奥田部会長 分かりました。薬剤師の先生方と患者とのコミュニケーションがよりうまくいくような形で、整理をしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。もし追加で御質問がないようでしたら、議決に入りたいと思います。もちろん幾つか宿題というか、修正すべき点はあるのですが、それらを踏まえ、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、これを要指導・一般用医薬品に指定してよろしいでしょうか。御異議がないようなので承認を可とし、要指導・一般用医薬品に指定することとして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは議題3に移ります。これも同じくPPIで、「オメプラールS」及び「サトプラール」についてです。まず機構から概要を説明いただいて、その後に質疑応答としたいと思います。機構の方、説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料3、オメプラールS及び同一製剤で販売名が異なるサトプラールについて御説明いたします。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りしております。併せて御確認をお願いいたします。それでは審査報告書3ページを御覧ください。
本剤はプロトンポンプ阻害薬であるオメプラゾールを有効成分とする医療用医薬品オメプラール錠10を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。医療用医薬品としては、20mg製剤もありますが、以降においては20mg製剤と合わせて、これらを「医療用オメプラール錠」と言わせていただきます。申請者は佐藤製薬株式会社です。本剤は3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において、議題2のパリエットS及びパリエット10と同じ内容に変更しておりますことを申し添えます。
3ページ後段から4ページの表2にかけて御覧ください。医療用オメプラール錠は20mg製剤が平成3年の初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、平成12年に10mg製剤が承認されております。現在は4ページの表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、医療用パリエット錠の再審査結果は、4ページの表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない」が通知されております。表2の下に記載した既承認の要指導・一般用医薬品であるH2RAに関する内容は、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
4ページ下段を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次の3点を挙げております。1点目として、胃食道逆流症の有病率をまとめたシステマティックレビューにおいて、胸やけ、胃酸逆流・胃酸過多の症状を有する人のうち、「何もしていない人」がそれぞれ30.8%、24.2%であり、十分な対応を行えていない状況であることから、不快な症状を軽減できる治療法を提供することは、国民にとってメリットのあることと考えること。2点目として、適正使用の確保、薬剤師が必要なトリアージを実施することで、胸やけや胃酸逆流などに優れた効果を示す新たな要指導・一般用医薬品を提供すると共に、必要な場合には医療機関の受診を促すことが可能となること。3点目として、医療用オメプラール錠における臨床試験成績及び使用成績調査等から、本剤の使用期間を短期間とする場合に有効性及び安全性を確保可能と考えることです。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品は米国、イギリス、スウェーデン等の約30か国において承認・販売されています。以降に記載した「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」における内容については、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
5ページ下段から6ページにかけてを御覧ください。申請に際して提出された資料を記しております。規格及び試験方法並びに安定性に関する資料以外は医療用オメプラール錠の承認時に評価済みです。なお、本申請において追加提出となった規格及び試験方法並びに安定性に関する資料についても、審査において確認し、特段問題ないものと判断しております。
6ページ下段からは審査の概略を記載しております。審査の概略の項目及びその審査の方針については、本部会にお諮りしたPPI品目で統一した方針であり、議題2と重複するため、説明を省略させていただきます。
9ページ下段の総合評価を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構はこちらに記載した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。
○一般薬等審査部長 先ほどパリエットのところで頂いた対応は、ほかの剤でも対応してまいりたいと思います。
○奥田部会長 同効の医薬品なので、先生方から頂いた御質問は同じように反映をしていただくことという御発言だと思います。したがって、それ以外のことについて、オメプラールSやサトプラールに特有の問題について御意見をお願いいたします。
○富永委員 よろしいですか。富永です。前にも言えばよかったのですが、やはり投与制限の話をしましたけれども、これをスイッチ化するときは、やはり消費者の方が購入する手段として、例えばネットとかで買えるような状況になってしまうと非常に問題がある。気軽にそのまま自分自身が漫然服薬をしてしまうということになりますから、非常に懸念しているところです。また、こういうお薬ですから、市販後調査と言いますか、OTC化した場合、それを企業に任せるのではなくて、厚生労働省がきちんとやっていただきたいというお願いであります。そして我々にフィードバックしていただきたい。もしかすると逆もあるかもしれないです。要指導からまた医療用に戻るという、そういう健康被害が出てくれば、だからその辺も覚悟しておいたほうがいいと思いますけれども。以上、意見です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。何かネット販売の件も含めて。
○医薬品審査管理課長 ネット販売の件については、今のルールを先ほど申し上げたとおりですので、それについては割愛させていただきますが、先ほど御指摘いただいた、厚生労働省でも何か考えることができないのかという御指摘だと思いますので、適正使用、市販後に適正使用の状況とか、そういったことについては、我々も企業任せということでは決してないわけでありますけれども、我々としても何らかの対策というか、対応というのを考えていきたいと思っております。
○奥田部会長 よろしいですか。安対課長、今の御発言で。どうもありがとうございます。ほかに御質問、御意見等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。特段、御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。それでは議題4に移ります。3番目のPPIですが、タケプロンsについてです。まず機構から概要の説明を頂いて、その後、質疑応答としたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から、資料4、「タケプロンs」について御説明いたします。製剤サンプルについては、この写真を電子媒体で事前にお送りいたしております。併せて御確認をお願いいたします。また、事前にお配りした審査報告書に、2か所誤記がございましたため、修正をさせていただいております。修正点について、口頭で説明させていただきます。
審査報告書7ページ、(2)使用期間についての箇条書き1点目を御覧ください。1点目の修正は、「重要な基本的注意」の記載で、正しくは「用法及び用量に関連する注意」です。2点目の修正点は、同じく箇条書き1点目で、「非びらん性胃食道症」の記載は、正しくは「非びらん性胃食道逆流症」です。この度は修正がありましたことをお詫び申し上げます。
それでは、審査報告書3ページを御覧ください。本剤は、プロトンポンプ阻害薬であるランソプラゾールを有効成分とする医療用医薬品タケプロンOD錠15を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。なお、以降において、カプセル剤、OD錠30mg製剤と合わせた場合は、「医療用タケプロン」と言わせていただきます。
申請者は、「アリナミン製薬株式会社」です。本剤は、3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において議題2のパリエットS及びパリエット10と同じ内容にて変更していることを申し添えます。
3ページの後段から、4ページの表2にかけて御覧ください。医療用タケプロンは、カプセル剤が平成4年初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、平成14年にOD錠であるタケプロンOD錠15が承認されております。現在は、4ページ表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、タケプロンOD錠15の再審査結果は、4ページの表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない」とされております。表2の下から記載した既承認の要指導・一般用医薬品であるH2RAに関する内容は、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
5ページ上段を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次の3点を挙げております。1点目として、「胃食道逆流症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」で規定されている本疾患の診断、治療のフローチャートでは、これらの疾患の治療に際して、内視鏡検査による確定診断が必須でなく、PPIを用いて胸やけなどの酸の胃食道逆流に伴う症状の消失の有無で治療的診断を行い、症状持続又は症状再発があった場合に内視鏡検査を実施することになっていること。
2点目として、一般に胸やけ症状は、食道癌、胃癌、あるいは胃潰瘍といった上腹部の重篤な疾患でも起こるが、定期的に内視鏡検査を受診している場合や、貧血、嚥下障害及び体重減少などのリスクファクターを有していない場合には、このような重篤な疾患が存在しているケースは非常に少ないと言われており、内視鏡検査による患者の物理的・経済的負担を鑑み、まずはPPIによる治療を行い、症状に対する反応性を確認する治療フローが設定されていること。
3点目として、胃食道逆流症に伴い繰り返し起こる胸やけ等の症状緩和を目的に、PPIを要指導・一般用医薬品に転用して治療することには妥当性があると考えられることです。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品は、米国、オーストラリア、スウェーデン等の8か国で承認・販売されております。以降に記載しました「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」における内容については、議題2と同じ内容ですので説明を省略いたします。
6ページ上段を御覧ください。申請に際し、提出された資料を記しております。タケプロンOD錠15及びタケプロンカプセル15/同カプセル30の承認時に評価済みです。
7ページからは、審査の概略を記載しております。審査の概略の項目及びその審査の方針については、本部会にお諮りしましたPPI品目で統一した方針であり、議題2と重複するため説明を省略させていただきます。
10ページ下段の総合評価を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は、要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。この品目も先ほどと同様の扱いで、まずはこの品目特有のことについて御質問や御意見をお願いできたらと思います。
私から1点あるのですが、タケプロンの用法・用量の記載で、小さなことですが、この剤は腸溶剤です。溶けてしまって胃に入ると、胃酸で壊れてしまうために溶けないように設計されているので、この用法・用量の所で、口の中で溶かして服用というのは、余り科学的ではないように思いますので、できれば何か科学的で、かつ分かりやすい表現を検討していただければと思う次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂きましてありがとうございます。既承認OTCのOD錠での表現を参考に現在の用法・用量にしていましたが、今、頂きました御指摘を踏まえて、現在、「口中で溶かして」としている部分について、「口中で崩壊させて」といった表現に変更したいと思っております。
○奥田部会長 よろしくお願いします。多分、腸溶性の口腔内崩壊錠というのは割に珍しいかもしれません。
○宮川委員 宮川です。もともとの薬の特性なのでしょうが、150~151ページにかけて、「マル4結論」という所で、症候性の胃逆流症候群の患者対象に使ったという点について質問です。これは全て胸やけを主要評価項目としてプラセボとの二重盲検であって、この主要評価項目に関しては、有効性としては有意な差が認められたと書いてあるわけですが、150ページの下から2行目の所から、その他の有効性評価項目として、胸やけの症状である酸逆流、咽頭部違和感、舌下違和感、悪心・嘔気、嘔吐及び胃痛を評価したと書いてあるのですが、そこから151ページに向かって、4行目から、一方、舌下困難、悪心・嘔気・嘔吐及び胃痛に関しては、プラセボと15mg、30mgのいずれも有意な改善効果は認められなかったということは、どう考えればよろしいのでしょうか。つまり、胸やけは改善したが、その他の副次項目は改善しなかったと考えるのかどうかです。これはどういうふうに読めばよろしいのですか。
○一般薬等審査部長 先生の御指摘のとおりかと思いますが、確認させていただきます。
○宮川委員 そうすると、胸やけに関しては改善したけれども、ほかの付随症状に関しては、いずれも有意な改善効果は認められなかったということで、これは認識してよろしいですか。
○一般薬等審査部長 すみません。少し確認の時間を頂戴させていただきます。
○奥田部会長 今、この会議中に出ますか。そういたしましたら、今すぐ確認をしておりますので、この問題はペンディングにして、それ以外に先生方から御意見などをお伺いできますか。
○酒井委員 今回このように制酸剤というか、胃痛、胸やけというところに対するお薬をまとめてくださって審議していて、とても分かりやすいと思うのですが、このように幾つか似たような効能を持つお薬が一般薬になった場合、患者さん、あるいは指導する側の薬剤師さんはどのように選んで使い分けることを想定しているのかと思いまして、このお薬に限ったことではなく恐縮ですが、その点を教えていただければと思いました。
○奥田部会長 ありがとうございます。それぞれの特徴をどういうふうにするのかということですが。
○酒井委員 先ほどの議論にも少し通じるのですが、医師が処方する場合は、意図的にというか、エビデンスを持ったものを選んで、効果の判定もしっかりしていくことになると思うのですが、患者さんが選んで使う場合に、漫然とこっちが駄目ならこれ、こっちが駄目ならこれみたいな感じで使い続けて、症状が悪くなってしまうということが懸念されるのではないかと思った次第です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。一つだけ確認です。タケプロンで2週間服用して、その次にパリエットを2週間というのはありなのですか。今の酒井先生の御質問と多分かぶるのかもしれませんが。
○一般薬等審査部長 御指摘ありがとうございます。それはちょっとないのではないかと思っておりますが、今のこの説明文書で、それが伝わるかどうかというところを、もう少し検討させていただきたいと思います。
○奥田部会長 そこは多分、実際、かかり付けの薬剤師さんがいらっしゃれば、そこのところでチェックが掛かる所と思いますが。
○一般薬等審査部長 先生御指摘の点につきまして、今、確かにPPI3品目ありますが、この品目のみがというふうに見えてしまいますので、ほかのPPIも含めてという書き方にして、資材等を変更していきたいと思います。
○奥田部会長 同時に、多分出回ると思いますので、それはよろしくお願いいたします。
○一般薬等審査部長 承知いたしました。
○奥田部会長 酒井先生、ありがとうございます。最初の宮川先生からの件については。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどの宮川委員からの御意見について御説明させていただきます。資料の118/185ページを御覧ください。御説明させていただきます。
118ページの総括の所に、表ト-1、症候性胃食道逆流症を対象とした臨床試験一覧として、第III相試験と臨床薬理試験の二つが載っています。先ほど宮川委員から御指摘いただいたのが第III相試験のほうになります。こちらの二つの臨床試験が、医療用タケプロンの胃食道逆流症の効能を追加した根拠となる臨床試験成績ということで、先ほどの結果をもって、医療用では、胃食道逆流症という効能が追加されたという経緯があります。今回、OTCにするに当たって、胃食道逆流症を一般の人がどういうふうに感じるかと考えた中で、当初、御提示の効能・効果としたということになります。
○宮川委員 それはだから、胸やけ症状に対しての改善の有無について臨床の効果を調べたということですが、先ほど151ページに掛かった所で、それ以外の所の副次効果のそういう指標ということに関しては、効果があったのか、なかったのかということに関して、どう理解すればよろしいのですか。
○一般薬等審査部長 この点につきましては、先生の御指摘のとおり、有意差が認められなかったという症状につきましては、記載のとおり有意差が認められなかったということです。
○宮川委員 記載のとおりですよね。でしたら、悪心・嘔気・嘔吐という所は、有意な効果は認められなかったということですが、一般の方が読めば、これらの言葉は吐き気とか、むかつきとか、そのように理解されますよね。これはむかつきと違うのですか。逆流による、そういう不快な症状としての違和感としてのむかつきというのは分かるのですが、一般の方が、このむかつきという言葉が悪心・嘔気・嘔吐に結び付くのではないか、どちらが結び付くのかということを今お尋ねしているのですが。それに関しては、どのように機構ではお考えですか。もし、そういうようなことが懸念されるのであれば、先ほど私が申し上げたとおり、むかつきという表現は、使わないほうがよろしいのかなと思ったので、この臨床試験の所を御指摘したわけです。
○一般薬等審査部長 不十分で申し訳ございません。先生の御指摘を踏まえて、もう一度、医療用医薬品の承認の経緯を改めて確認して、どういった書き方が一般用医薬品の場合に良いかというのを持ち帰って検討させていただきたいと思います。
○宮川委員 よろしくお願いします。適切に処理していただければと思います。文言というのは、非常に大事ですので。そうなりますと、タケプロンのパッケージの所にある「むかつき」という言葉も、取らない限り、整合性が取れなくなるので、全ての所の語句をしっかりと訂正していただきたいと思います。以上です。
○一般薬等審査部長 承知いたしました。
○富永委員 先ほどの御質問のどうやって各PPIを見分けるかという話ですが、私ども今までは処方箋で調剤して、医薬品をお渡しして、これはどう違うのですかで質問を受けることがあります。代謝経路が違ったり、効き方が違う、簡単に言えば、H2RAよりもPPIが強力に胃酸を抑制するのは分かっています。ほかの薬を飲んでいると、代謝経路で阻害するものがありますから、相互作用があるので、様々な可能性を考慮して、胃腸科の先生は選択されていると答えます。そこで、もう少し薬剤師も現場でしっかり勉強しないといけないところですが、パリエットは中でも非常に強い胃酸の抑制作用があると。そういう症状の変化の段階で、患者さんにお勧めすることになるかと思います。薬ごとにそれは違うということです。全て同じ並びで考えているのではなくて、この3品目は、それぞれの症状によって使い分けることになると思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○酒井委員 今、おっしゃっていただいたような使い分けを、患者さんの御希望と薬剤師さんの知識で使い分けるということになると、今、医師が診療・処方する際に担う責任が薬剤師さんに行くという形になるのですか。
○富永委員 はい、そのとおりです。私ども薬剤師の責任というのが重大になってきますので、今までの患者対応においていま一つステップアップして、臨床経過というか、症状の強さを聞き取る責任があるというか、臨床判断の能力を育てていかなければならないと思っています。以上です。
○奥田部会長 富永先生、ありがとうございます。ほかによろしいですか。
○医薬品審査管理課長 幾つか御指摘を頂いておりますが、富永先生、宮川先生から幾つか共通のもの、個別のものがありましたので、それについてはできる限り共通のものは、全ての3品目の製品に対応したいと思っております。
むかつきについていろいろ議論がありましたが、機構でもう一度検討していただいた上で、また宮川先生、部会長に相談しつつ、対応していきたいと思っております。よろしいですよね。
○奥田部会長 分かりました。最終的な書きぶりについては、宮川先生と私で確認をして、その上でと。そういったプロセスを含んだ上で、もし、これ以上この段階で御質問がなければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。また、要指導医薬品に指定としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとしまして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。それでは、最後の議題5、ロゼレムSについてに移ります。まず、機構から説明をお願いたします。その後で、質疑応答といたします。堀先生がここで入っていただいたのですね。よろしくお願いします。
3ページ下段から4ページ表1にかけて御覧ください。スイッチ元の医療用医薬品はロゼレム錠8mgであり、平成22年に「不眠症における入眠困難の改善」の効能・効果で承認され、令和元年に再審査結果、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しない」が通知されております。以降において、医療用医薬品を「医療用ロゼレム」と言わせていただきます。
4ページ中段より始まる箇条書きを御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は、セルフメディケーションの新たな選択肢として体内時計機構に働き掛け、鎮静作用によらない本薬のスイッチOTC化は社会的に意義のあるものと考えられ、本薬を一般用医薬品として転用することにより、セルフメディケーションの促進に貢献することができるものと考えると説明しています。また、外国での使用状況については、審査報告書4ページ最下段に記載のとおり、令和6年11月現在、本薬を含有する一般用医薬品が承認されている国はありません。
5ページ上段を御覧ください。本剤は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、箇条書きにて記した5点が課題点などとして挙げられています。これらの点に対する対応については後ほど御説明いたします。5ページ中段からは、申請に際し提出された資料について記しておりますが、いずれも医療用ロゼレムの承認時に評価済であり、新たな試験成績は提出されておりません。
続いて、審査の概略について抜粋して御説明いたします。6ページ中段、効能・効果について、申請時は既承認の睡眠改善薬と同様に、「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」とされていましたが、医療用ロゼレムの効能・効果である「不眠症における入眠困難の改善」に基づき、本剤の効能・効果を設定するよう求めたところ、「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い」に変更されました。変更後の効能・効果について、機構は特段の問題はないと判断しました。
続いて、用法・用量について、医療用ロゼレムの用法・用量を基に設定されています。なお、評価検討会議において、「本薬は、医療用医薬品で承認されている用法・用量及び効能・効果とは別に、より低用量で長期間使用することにより睡眠リズムの改善が期待される。」との御指摘がありました。しかしながら、今回の申請は、医療用医薬品を要指導・一般用医薬品へと転用するものであり、本剤は医療用ロゼレムとして有効性及び安全性が確認された用法・用量にて設定されていることから、機構は本剤の用法・用量について、特段の問題はないと判断しました。
続いて、7ページ上段、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は医療用ロゼレムの添付文書、一般用の睡眠改善薬であるジフェンヒドラミン製剤の添付文書等を参考に設定されております。評価検討会議で示された課題点などに対する対応を中心に御説明いたします。まず、「適応範囲は、既承認OTCの睡眠改善薬と同様の一時的な不眠であり、不眠症の診断を受けた人は使用しないことが原則である。」との指摘から、申請時に添付された添付文書(案)では、「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に「不眠症」が記載されていました。この点について、機構は、本申請は医療用ロゼレムの効能・効果である不眠症における入眠困難の改善に対して確認された有効性及び安全性に基づき、本剤を要指導・一般用医薬品として転用するものであることから、「次の人は服用しないこと」に「不眠症」を記載することは適切ではないと判断しました。
また、本剤の漫然とした使用や、それに伴う必要な受診機会を逃すことを防ぐため、添付文書の「してはいけないこと」に「2週間を超えて使用しないこと、2週間を超えた使用が必要な場合は医師又は薬剤師に相談すること」を記載し、不眠が続き、医師による診断及び治療を要する可能性がある使用者への受診勧奨が適切に行われるようにすることが重要と判断しました。なお、最大使用期間を2週間とした根拠については、審査報告書7ページの下段に記載のとおり、医療用ロゼレムの記載やUSFDAの承認基準となります。これらの点を踏まえ、申請者に対し使用上の注意の変更を求めたところ、申請者は対応いたしました。機構は、さらに添付文書やチェックシートの記載を踏まえ、評価検討会議での先ほどの指摘事項に対する申請者の対応は適切であると判断いたしました。
続いて、「不眠、寝つきが悪いが主訴であっても、うつ病、精神疾患等、様々な疾患を背景とすることが多く、可能な限り正確な診断の下に生活指導や治療を行うことが重要であるが、受診が遅れる可能性がある。また、漫然とした使用やセルフメディケーションにより、基礎疾患の増悪、精神疾患の悪化の危惧がある。」との指摘について、添付文書の「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に、睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害、うつ病等の不眠を伴う精神疾患の治療を受けている人が設定され、また、添付文書の「相談すること」に、寝つきが悪い、かつ、これらの疾患への罹患が疑わしい人、過去にこれらの疾患にり患したことのある人は服用前に医師又は薬剤師に相談するよう記載されています。この他、添付文書の「相談すること」に、定められた用法・用量を厳守した上で、2~3回服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、添付文書をもって医師又は薬剤師に相談するよう記載されています。機構は、これらの申請者が予定している対応により、うつ病や精神疾患等による不眠への投与を回避するための一定の方策が講じられていると判断いたしました。
続いて、「フルボキサミンマレイン酸塩と併用禁忌であるほか、併用注意薬など、相互作用が非常に多い薬である。」との御指摘については、添付文書の「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に、フルボキサミンマレイン酸塩で治療を受けている人が設定され、また、併用注意薬についても、お薬手帳に貼るシールを配布し、使用者のお薬手帳にシールを貼付することで、併用注意薬の処方時に医師及び薬剤師の確認が可能となるよう対策されています。機構は、これに加え、医師の治療を受けている人は服用前に医師又は薬剤師に相談するよう、添付文書において注意喚起されていることから、適切に対応されていると判断しました。
9ページ中段、適正使用及び情報提供資料についてです。評価検討会議では、「メラトニンと混同されることに起因する過剰服用に伴う副作用の発現、乱用、レイプドラッグとしての使用など、不適切使用が懸念される。」との御指摘がありました。この点に関し、申請者は、本薬の乱用などに関する情報として、9ページ中ほどに示す3点を示した上で、本薬の乱用、不適正使用の可能性は低いと考える旨を説明しています。その上で、乱用対策及び適正使用のための方策として、これから御説明する方策が提案されています。販売店に対する情報提供及び適正販売指導について、審査結果も踏まえた方策を要約して御説明いたしますので、9ページ中ほど、1)-マル1及び10ページ中段以降の機構の検討内容を併せて御覧ください。
販売時に薬剤師がチェックシートにて本剤の使用対象者として適格性を確認した場合のみ販売すること。用法・用量を厳守すること。寝つきが悪いときのみの服用にとどめること。ほかの睡眠改善薬や催眠鎮静薬と併用しないことについて、使用者向け情報提供資料を用いて服薬指導を徹底すること。購入前後に医療用医薬品の睡眠薬を処方されていないことの確認及びOTCの睡眠改善薬を同時に販売しないことや、販売個数は本剤の使用対象者として適格な購入者本人に対し1個のみとすることや、短期間に再購入がある場合は当該購入者への販売を行わないようにすることを販売時の厳守事項として徹底すること。以上の方策が挙げられています。
また、製品に対する対策については、10ページ中ほどのマル2を御覧ください。製剤の外箱に、本剤の購入に際しては必ず薬剤師に相談すること、服用しても効果が認められない場合は漫然と連用しないことについて目立つように記載すること。PTPシートにも本剤の用法・用量を表示すること。製品の最大包装用量を2週間、すなわち14日分とすることなどが挙げられています。以上の乱用対策及び適正使用の方策について、機構は現段階においては、申請者の提案で差し支えないと考えますが、製造販売後の状況を観察しつつ、必要に応じ対策を変更していくことが重要であると判断しました。
また、メラトニンとの混同を回避する対策については、11ページ中ほどの2)を御覧ください。使用者向け情報提供資料に、本剤はメラトニンが含まれていないこと、また、メラトニンと誤認されることによる過量服用を避けるため、販売店向け情報提供資料に、情報提供と用法・用量の厳守による適正使用に努めることがそれぞれ記載されており、機構は現時点において、これらに加えた追加の対応は不要と判断しました。
最後に総合評価です。11ページ下段、「3.総合評価」を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性などに関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見があったらお願いしたいのですが、その前に一言、チェックシートに関して、修正が入っています。今、私たちが見ているのは修正後のものを見ているのですが、もしかしてWebで参加の方々はそこのところは。
○事務局 昨夜、Webの先生方にお送りしました。
○奥田部会長 入っているので、修正があるということを念頭に置いて御質問をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 チェックシートのほか添付文書と使用者向け情報提供資料、販売店向け情報提供資料と、ちょっと多く修正が発生して申し訳ございませんが、差し替え後のほうが最新の内容になっておりますので、そちらを御覧いただいて、御指摘等があれば頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございます。今、手を挙げられた方、よろしくお願いします。
○稲葉委員 大野記念病院の稲葉です。私は睡眠学会に入っているのですが、睡眠学会の方は、このラメルテオンとかオレキシン受容体拮抗薬というのは、GABA系の薬剤に比べたら安全性が高いということで、そちらへの移行を推奨しています。割とこういうOTCの場合に、高齢者が非常に多いので転倒骨折の問題とかがあるのですが、ここら辺を、OTCでもし出したときに、そういう問題が起こったときの対応は、余りそういう転倒の問題とかが書かれていません。
あと、まずは、精神疾患の問題、生活習慣を一応チェックしてから薬剤のほうも一緒に考えましょうという方向で、睡眠学会のガイドラインとかは言っているのですが、こういうのは高齢者の方で、割と習慣性で不眠で、2週間で薬をやめられたらいいのですが、なかなか習慣性なのでやめられないことが多いのです。こういうところは、OTCで売ったときの責任の問題、結構、医者の場合はそういうところをチェックしてカルテに記載しているのですが、ここら辺の問題というのもかなり責任が重いような気がするのですが、どういうふうにお考えなのでしょうか。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。最後の2週間の所ですが、15/301ページが販売時のチェックシートです。一番下、2週間を超えて服用しないでください、2週間を超えた服用が必要な場合は医師又は薬剤師に相談してくださいということで、基本的には2週間を超えて服用しないということでお願いしております。
○稲葉委員 多分、効かない患者さんが割と多いのですが、非常にこれが合う患者さんというのは、2週間では多分やめられないので、もし、こういうOTCの部分でずっと継続というと、場所を変えていろいろ処方とかをされて、そこで問題が起こることは一応想定されます。こういう睡眠の薬剤というのは、基本的には、このラメルテオンとかオレキシン受容体拮抗薬というのは、割と習慣性とか範疇性不眠とかは少ないと言われているのですが、これを飲んで効いていると、やはり、やめると元に戻ると。そういうところで、やはり患者さんというのは処方を長期でほしがるというのが一般的です。そういう、場所を変えて2週間。もしそこら辺で引っ掛かるのでしたら、そういう問題が出てくると思います。プロトンポンプインヒビターなどでも、むかつきとかそういうのが割と薬の服用をやめると出てくると思います。そういう問題よりももっと切実な問題を含んでいると思います。
○奥田部会長 適正使用の問題だと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。そこは販売のときに丁寧に御説明していただくのですが、同じチェックシートで申しますと、15/301ページです。真ん中より少し下、短期間の再購入でないか薬剤師さんが聞いていただいて、そこで本当のことをおっしゃっていただかないと難しいところではありますが、項目を確認して、繰り返し買われているわけではないということを確認して売っていただくということになろうかと思います。
○稲葉委員 可能でしたら、なかなか大変だとは思うのですが、睡眠学会などがいろいろな提言をまとめられているので、厚労省が睡眠学会の担当の部署に一回相談されて、この販売をどういうふうにやるかを考えられたほうが安全だとは思います。そういう問題、転倒の問題も出てないですし、精神的な疾患が隠れている場合もあるので、そういうところを注意していただきたいと思います。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今の先生の御指摘のとおり、日本医師会としても、この薬剤に関しての要指導医薬品への医療用からの転用というのは、しっかりと反対してまいりました。しかし、ここで言うべきことではないかもしれませんが、規制改革推進会議等で要指導医薬品やOTC化推進について盛んに圧力がかけられているのが現状だろうと思います。厚労省も苦慮しながら対応しているという現状があって、大変、日本医師会としてもこの状況全体を憂えている状況であります。
先ほどの消化器の薬に関する問題もそうですが、この不眠に関する問題についても、一時的な不眠による寝つきの悪さの改善などの表現で、今回のような薬を出さざるを得なくなっていることに憂えています。先生の御指摘のとおり、メラトニン受容体の作動薬や、オレキシン受容体の拮抗薬のような、医療用医薬品としてある程度長い期間しっかりと飲んで、そのことによって睡眠のリズムが改善するということを目的にするはずの薬が、OTCとなって市販されるということは大変腹立たしいことだと思いますが、なかなかそれを防ぐ手段がないので、機構や厚労省にお願いして、適切な注意喚起、チェックシート、そして販売店に対する指導内容をしっかりと書き込みをしていただかないといけないということで、先ほどから機構に大変恐縮ながらも強く言っているのはそういう意味なのです。
そのところが、まだまだ十分に理解されておりません。記載を前例主義で改めないなどの点に対し、私は強い違和感を持っており、指摘した点について機構がどのように国民のことを考えて書き込みをしていくのか、そして厚労省がそれを助けて、国民に不利益なことが起こらないようにしていくべきではないのかを私はこの審議への参加を通じて確認しております。先生もそういう御意見だろうと思いますので、是非、様々な学会等から多方面に強く働きかけていただいて、適切に国民のためになるような薬剤が国民の手に届き、そしてその際には薬剤師の先生方の助けを借りて世に出ていくようにしていただくよう、学術的な御意見を賜りたいと思っております。そして、そういう貴重な意見を機構が真摯に耳を傾けた上で、しっかりとした書き込みをしていただきたいと私は常に思っております。以上です。
○奥田部会長 どうも、宮川先生、ありがとうございます。
○一般薬等審査部長 宮川先生から、本当に御指導ありがとうございます。また先ほど、稲葉先生からも頂いた御意見、宮川先生から頂いている御意見も、前例ということばかりではなく、しっかり考えよということだと思っております。両先生から頂いた御意見を含めて、対応を検討していきたいと思います。学会との相談等も含めて、検討いたしたいと思っております。ありがとうございます。
○奥田部会長 宗林先生、お願いいたします。
○宗林委員 宗林です。立ち戻ってお聞きしたいのですが。この薬は連続的に飲むということでなくても、例えば、明日は早く起きたいから、時差を調整するときに飲むというような、1日単位の飲み方でもある程度の効果があるからということではなかったのでしょうか。1回の頓服的に飲むということで効果が得られる。私は飲んだことがないのですが、そういった感じのものかなと誤解していましたが、いかがでしょうか。教えてください。
○奥田部会長 いかがでしょうか。実際の使い方ですけれども。
○宗林委員 1日でも2日でも効果があるというデータが出ていたような気がしますが、その辺はいかがでしょうか。
○奥田部会長 よろしくお願いします。
○一般薬等審査部長 宗林先生、御指摘ありがとうございます。先生が御指摘のとおり、ずっと飲まなくてはいけないということではなくて、単回でも効果があるというふうに考えております。具体的には資料の148/301ページです。こちらにラメルテオン8mg単回投与したときの検討があります。プラセボよりも有意に短縮するということですので、単回投与でも一定の有効性はあると考えております。以上です。
○宗林委員 あくまでOTCなので、使い方としては、やはりそういうものに限るということがきちんと分かる感じで販売されるということなのではないのでしょうか。連続でずっと不眠症とかそういう方にはちゃんとお医者さんで診察し違うものを飲むという、その区別がついているのか。これは内科でも扱われて、何回分などともともと出されているように、神経内科とか、強い眠剤を出さない所でも出せる薬というふうに説明を受けていたような気がするのです。そういう意味では、単回投与とか、今日はちょっと、というふうに飲むという形が、よく分かるような形でOTCで販売するということではないのですか。そんな感じではなかったでしょうか。
○奥田部会長 もう1回、このお薬の使用法について確認をお願いいたします。
○一般薬等審査部長 先生、ありがとうございます。まず、効能・効果としては、一時的な不眠の方ということで考えております。おっしゃるように、28/301ページが使用者の方向けの御説明なのですが、3番の、このお薬の使い方ということですと、1日1回飲んでくださいということぐらいですので、特に連続してということではありません。もちろん、2週間までは連続して飲んでいただいていいのですが、連続して飲まなくてはいけないということではなく、症状があるときだけ、一時的不眠があるときだけ飲んでくださいということです。追加で申し上げますと、28/301ページの真ん中辺りの赤い四角の所に、「寝つきが悪いという一時的な不眠の症状がある時のみ服用にとどめてください」とあり、特に不眠の症状がないときは飲んでいただくものではありません。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 ありがとうございました。その辺が、先ほど宮川先生とかがお話されているのと、今の使い方で大分落差があるかなと思うので、国民への周知をきちんとしていただければと思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。適正使用は非常に大事な問題だと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。先生から頂いた御指摘も含めまして、本日、幾つか御指摘も頂戴しておりますので、全体的に見直してまいりたいと思います。
○奥田部会長 この部分について、実際、報告書に今の段階で完璧に記載するのはなかなか難しくて、これからも、また改善していく必要があるかもしれないということが指摘されています。なかなか難しい問題だと思うのですが、やはり現時点でできることはきちんと対応をお願いしたいと思います。そこの部分については、また対応の具合を先生方に見ていただいて、その上できちんと確認をしていきたいというふうに思います。ありがとうございました。加えての御発言がなければ、議決に移りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、その他事項に移ります。その他事項1について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。その他事項の議題1として、資料6、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について御説明します。「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、欧米諸国での承認状況及び消費者・学会等からの要望等を定期的に把握し、消費者等の多様な主体からの意見を幅広く収集した上で、スイッチOTC化する上での課題点及びその解決策等について、医学・薬学の専門家のほか、医療関係者・消費者代表・産業界代表・販売関係者等に御参加いただき、公開の場で議論をしております。会議結果案については、パブリックコメントを実施し、広く御意見を頂いた上で再度評価検討会議で議論した後、確定した結果を公表しています。
1ページを御覧ください。本年11月の前回部会以降、本日までに新たにアダパレンについて会議結果を公表しましたので、結果の概要について御報告します。アダパレンは主に「尋常性ざ瘡(ニキビ)」を効能・効果として、OTC化する際の課題とその解決策について検討しています。
主な課題としては、半数近くの症例で、塗布部位に乾燥・かゆみ・熱感等刺激症状が副作用として発生すること、及び副作用の発現状況には個人差が大きいことを踏まえ、治療上、許容され得る副作用の程度を情報提供することや、使用の中止を判断するためのチェックリストを作成する必要があること等が挙げられました。なお各成分の検討結果は2ページ以降にありますので、適宜御参照ください。
今後の評価検討会議の結果についても、随時、当部会へ報告させていただきます。また評価検討会議で整理された課題点やその対応策を受け、医薬品メーカーが開発を行い、承認申請がなされることとなります。その承認の際には、当部会において御審議いただくこととなりますので、よろしくお願いします。事務局からの御説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。
○多田委員 すみません、帝京大学の皮膚科の多田です。報告事項に対する意見というか、お伺いですけれどもよろしいでしょうか。
○奥田部会長 よろしくお願いいたします。
○多田委員 今のアダパレンについてなのですけれども、本日の会議においても、学会等と検討といったお話もあったかと思うのですが、今回のこのアダパレンに関しましては、日本皮膚科学会もOTC化は反対との立場をとっています。
それから日本臨床皮膚科医会に関しましては、議事録におきましては一定の条件を満たせばと、書いてはあるのですけれども、実際にその評価検討委員会の会議に参加されている日本臨床皮膚科医会の先生は、先ほど一定の条件を満たせばと申し上げたけれども、満たすことができないので反対となっています。評価検討会議のお二人の皮膚科の先生とも反対、そして日本皮膚科学会も反対といったような形の製剤なのです。
つまりこの薬剤は何が問題かと言うと、半数近くで刺激感が出るといったようなところです。後で読んでおいてくださいとおっしゃられたのですけれども、これは恐らくこちらの会議に出てくる際に、非常にいろいろな問題を含んだ状態で出てくるのではないかと考えますので、今日発言させていただきます。
まず、本日も海外でのOTC化の承認状況といったようなものが、ほかの薬剤で示されておりましたけれども、この薬剤もアメリカにおいて承認されていて、あとは私が調べた限りにおいては、ロシアかなと思うのですけれども、海外で承認されていて、日本でもOTC化して大丈夫なんじゃないかと思われるかもしれないのですが、日本と海外で、有害事象の発現率が全く違う薬剤なのです。
海外においては、多くても50%の有害発現発症率で、アメリカでは大体30%前後なのですけれども、日本では有害事象の発現率が80%の薬剤です。しかもアメリカにおいて、実はこれレチノイドの誘導体なのですけれども、ほかにもトレチノインやタザロテンといったような、ビタミンA誘導体の外用薬があるのですが、そちらについてはOTC化されていないのです。
なぜそれらがOTC化されていないかというと、アダパレンよりもそちらの方が有害事象の発現率が高めなので、アダパレンのほうがやはり安全性が高そうなのでということで、海外ではOTC化されているわけなのです。ちなみに他の有害事象が高めのものとは、トレチノインやタザロテンといったもので、有害事象の発現率は、海外で6割ぐらいなのです。
日本人で8割で有害事象がでているアダパレンは確かに海外でOTC化されているけれども、これは海外では3割しか有害事象が出ていないからであって、向こうで6割の有害事象がでているものはOTC化されていないといったような事実を踏まえると、恐らく海外のOTC化状況というのは参考にならないということだと思います。つまり、海外でOTC化されているかどうかではなく、日本人に対して使われた安全性の状況というのが一番重要で、それを恐らく唯一みているのが日本の皮膚科医という現状になります。
その日本の皮膚科医が、みんなこれはOTC化に向いていないと申し上げているのですけれども、評価検討委員会での会議での議論の結果を見ると、幾つかの対応策が挙げられていまして、これに対する問題を解決すれば、OTC化に持っていけるのではないかというような形にも読み取れるのです。
その場合に、実際患者さんを診ている皮膚科医が、これは薬剤師さんが対応できるような薬剤ではないといって反対しているのだけれども、それがそのままここの会議に上がってきてしまう。そしてこの会議で、今日は私、皮膚科医としているのですけれども、もし皮膚科医がいなかったり、あるいは議決に参加できないという状況で、ここを通過してしまうということになりますと、結局唯一いろいろな日本人の肌に対して起こっている問題点を非常によく見ていて、これはちょっと薬剤師さんが対応するのは無理だと言っている皮膚科医の意見が、消されてしまって、実際に国民の皆様が使って、すごく大変なことになってしまうということになりかねません。
大変なことになったときに、薬剤師さんもそれに巻き込まれますし、あとは国民の皆様がお困りの状況に対応する皮膚科医も、非常に困ってしまうということになりますので、今、承認過程で、実際に有害事象に対して唯一対応している人たちの意見がひょっとしたら反映されないまま通過してしまうという、この承認過程というのが、問題ではないのかといったところで、発言しましたけれども、いかがでしょうか。
○奥田部会長 ありがとうございます。審査のプロセスの話ですのでこれは。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。これについては、評価検討委員会というのは以前と違って、いろいろな経緯があった結果ですけれども、スイッチ化の要否を判断する機会ではないと整理されていて、いろいろな議題を踏まえた上で、事前に幾つかいろいろな意見を踏まえ、それを課題として認識して、それが申請される、申請されるかどうかは別として、その課題を解決した形でないと、承認とかそういうことがなかなかできにくいということになるのだと思っています。
そういう意味でいきますと、今日頂いた先生の意見は議事録に載りますので、それも含めて一つの意見として対応させていただきたいと思います。
ただ、先ほど先生がおっしゃったように、いないときになんとかしようとか、そういうことは一切考えていませんので、むしろそれをやってしまったら、後から我々としても非難を受けるわけですので、いらっしゃらないときは例えばほかの先生にお願いするとか、いろいろなことを考えてやっていきたい。そこの辺りは我々としては恣意的なものが特にあるわけではありませんので、そういうふうに運用していきたいと思っています。
○多田委員 もちろん恣意的なものなどは、厚労省におかれましては国民の安全が一番ですから、はたらかないとは思うのですけれども、例えば本会議に参加している皮膚科医が、いろいろな企業さんとの関係で議決権を失われたような場合には、議決に参加できないというパターンもあり得るのではないかと思うのです。
また、評価検討委員会であがった対応策案にしたがって対応さえすれば薬剤をOTC化できるかもしれないと、企業は思うわけですよね。企業が開発を進められて、いろいろな準備をされて、ここに出てきても基本的には駄目なものは駄目という形になりうる。
そうすると企業としても、評価検討委員会の議事録に皮膚科医の反対意見が載っていないからOTC化に適した薬剤として開発を進めてきたのに、こちらの会議で否決されたとなると、やはり少し気の毒ですし、それがOTC化されて世の中に出てきたら出てきたで、国民も皮膚科医も薬剤師さんも、非常に困るのではないかと思うのです。つまり、この議論の土台に、こういった皮膚科医がそもそもOTC化に反対している薬剤を載せてOTC化に向けての道を開いておくというのが、どうなのかなと思いました。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。そういう意味でいきますと、先ほど議決権の話がありましたが、そういったことは確かに審議会の委員のメンバーとしては、どうしても人数が限られていて、あり得るかもしれません。その場合は例えば参考人を呼ぶとか、いろいろなことをやっていきたいと思っています。
それからまたそういう意味でいくと、事前にいろいろな意見を聞いて課題を整理するという意味で、評価検討会議があるわけで、そこにそういうものを全部入れ込んだ形で公表しているというのが、今回のやり方だということになります。
○多田委員 できれば、こうした皮膚科医が全員反対しているようなものに関しては、やはり皮膚科の学会にしっかり意見を聞いておくというのはいかがでしょうか。つまり、これも2名の皮膚科医の先生が反対されているわけですけれども、より深い議論を学会とあらかじめしておくとか、そういうことをしておいたほうが、傷口が大きくならずにすむのではないかと思いましたので、是非そういった細かな御対応のほうも検討いただければと思います。以上です。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。一応これも皮膚科学会に相談をしたりしているわけですけれども、これからもやっていきたいと思います。
○多田委員 よろしくお願いします。
○奥田部会長 ありがとうございました。それではほかになければ、この議題1についても御確認いただいたものといたします。どうもありがとうございました。
これで一応議題を終わったのですけれども、その他事務局から、何か本日ありますでしょうか。
○医薬品審査管理課長 本日長時間にわたり御議論をどうもありがとうございます。最後に委員の交代について御報告します。今日をもちまして、新保委員、多田委員おかれましては、要指導・一般用医薬品部会の委員を退任されます。両委員、先生方におかれましては、これまで10年間にわたり本部会に大変御貢献いただきました。事務局として感謝申し上げます。
よろしければ、お二人から一言ずつお願いできればと思います。新保委員からお願いできますでしょうか。
○新保委員 新保です、この部会に10年間参加させていただきました。この間に委員の皆様や事務局の皆様には、大変お世話になりありがとうございました。お薬の使用者の方の利便性と、一方で安全性のバランスを取るという、なかなか難しい議論をしてきたかと思います。
この部会の議論を通して、国内のセルフメディケーションがよりよい方向に進むように、お薬の使用者の方がより自立していただけるようになっていただくということを期待しているところです。ありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 どうもありがとうございます。それでは多田先生、お願いできますでしょうか。
○多田委員 私もあっという間の10年間で、大変お世話になりました。いろいろな薬剤についての議論に参加させていただきまして、皆様方の貴重な御意見を拝聴しながら、こうやって国民の健康は守られているのだなというのを、実感する日々でございました。
特に何か問題があるというわけではないのですが、ちょっとこの2回ほど、皮膚科についての薬剤の検討会の議論が、少し専門家の意見がないまま、そのままOTC化に向かってしまうような部分も若干感じられたものですから、意見させていただきましたけれども、実際にはこちらの要指導の部会においては、適切に処理されるものと期待しております。いろいろありがとうございました。
○奥田部会長 新保先生、多田先生、長いことありがとうございました。今後も引き続きサポートのほどよろしくお願いいたします。
○事務局 次回の部会についてです。次回の当部会は先日御連絡を差し上げていますけれども、令和7年2月14日金曜日15時から17時で予定しています。議題等の詳細については、改めて御連絡を差し上げます。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 どうもありがとうございました。それでは本日の要指導・一般用医薬品部会をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
まず、本日の出欠状況についてですが、木下委員、多賀谷委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、川名委員が遅れて御出席という連絡を頂いております。現時点で、委員19名のうち16名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事審議会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の先生方より、第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様におかれましては、その都度書面を提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、何とぞ御理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
それでは奥田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○奥田部会長 それでは、よろしくお願いいたします。まず、事務局より議事の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。Webでの審議の進行方法について御説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、システム上で挙手をお願いいたします。部会長より順に発言者を御指名いただきますので、指名されましたらミュートを切った上で御自身のお名前をおっしゃっていただき、その後、御発言いただきますようよろしくお願いいたします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージにて御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただきます。適宜メッセージ機能も御利用ください。システムの動作不良等がありましたら、会議の途中でも構いませんので、事務局までお申し付けください。事務局からは以上です。
○奥田部会長 今の事務局の説明に、御質問、御意見等はございますか。よろしいですね。それでは、本日の議題に入ります。まずは、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局です。資料の確認をさせていただきます。
資料1として、「マイフェミン及びミグリステンSの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料2として「パリエットS及びパリエット10の製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料3として「オメプラールS及びサトプラールの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料4として「タケプロンsの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料5として「ロゼレムSの製造販売承認の可否及び要指導医薬品への指定の要否について」、
資料6として「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について」、
資料7として「競合品目・競合企業リスト」、
資料8として「専門委員リスト」をそれぞれ事前に電子媒体にてお送りしております。
続いて、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」及び「影響品目・影響企業リスト」について御報告いたします。資料7の1ページを御覧ください。競合品目・競合企業及びその選定理由について御説明いたします。まず、議題1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」ですが、ジメトチアジンメシル酸塩を含有する片頭痛及び緊張型頭痛用の薬で、効能・効果は「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」です。同様の効能・効果を有する要指導・一般用医薬品は販売されていないため、片頭痛の効能・効果を有する品目及び片頭痛の急性期治療に用いられる品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2~4ページです。議題2の「パリエットS」及び「パリエット10」はラベプラゾールナトリウムを、議題3の「オメプラールS」及びサトプラール」はオメプラゾールを、議題4の「タケプロンs」はランソプラゾールをそれぞれ含有する胃薬です。効能・効果はいずれも「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます。)」であり、同様の効能・効果を有する品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページです。議題5の「ロゼレムS」ですが、ラメルテオンを含有する睡眠用薬です。効能・効果は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝付きが悪い」であり、同様の効能・効果を有する品目として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの御説明について、特段御意見はございますか。それでは、本部会の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」については、皆様の了解を得たものといたします。
それでは、各委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 事務局です。各委員からの申出状況について御報告いたします。本年4月より、堀先生が所属されている慶應義塾大学薬学部に対して、佐藤製薬株式会社の寄附講座が設置されています。堀先生からは、本講座を通じて佐藤製薬より直接的に寄附金等が授与されてはいない旨をお伺いしていますが、兼務にて、本講座の兼担教授を務めていることを踏まえて、今般、薬事審議会参加規程第8条に定める「特別な利害関係を有する委員」に該当するのではないかとの申出が、堀委員御本人より薬事審議会長である奥田部会長にありました。該当性について奥田部会長とも御相談した結果、堀委員は佐藤製薬株式会社に関連する品目においては、薬事審議会参加規程第5条第2号の規定に基づき、当該品目に係る審議又は議決が行われている間は、審議会場から御退室いただくことといたしました。ただし、堀委員の発言が特に必要であると審議会等が認めた場合に限り、堀委員は出席をし意見を述べることができるものといたします。
今回、PPIとして佐藤製薬の品目を審議いたしますが、奥田部会長とも御相談し、堀委員には同品目の審議中は退室をお願いいたします。また、PPIのほか2品目についても、競合品目リストには佐藤製薬の名前はないものの、実質的に競合品目に該当すると考えますので、ほかの2品目についても、堀委員には同品目の審議中は同様に御退室をお願いいたします。佐藤製薬の申請品目ですけれども、本年9月4日開催の要指導・一般用医薬品部会でもありましたが、当該部会において堀委員は発言をしておらず、かつ承認可否等は満場一致で議決されていることも踏まえて、審議結果に特段の疑念はないと判断しており、この旨、部会長にも御了解いただいております。
各議題における各委員からの申出状況について報告いたします。
議題1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員はなしです。
議題2の「パリエットS」及び「パリエット10」については、退室委員は堀委員、議決に参加しない委員は多田委員です。
議題3の「オメプラールS」及び「サトプラール」、
議題4の「タケプロンs」については、退室委員は堀委員、議決に参加しない委員はなしです。
議題5の「ロゼレムS」については、退室委員はなし、議決に参加しない委員はなし、以上です。
○奥田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はございますか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとして、議題に入ります。本日は、審議事項が5議題、その他事項が1議題です。それでは、審議事項に移ります。議題1は、「マイフェミン」及び「ミグリステンS」についてです。機構より概要を説明いただき、その後、質疑応答としたいと思います。機構の方、概要説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、資料1の「マイフェミン」及び「ミグリステンS」について御説明いたします。製剤サンプルについては、写真を電子媒体で事前にお送りしておりますので、併せて御確認をお願いいたします。審査報告書の3ページを御覧ください。本剤は、ジメトチアジンメシル酸塩を初めて要指導・一般用医薬品に転用するもので、「ゼリア新薬工業株式会社」と「塩野義製薬株式会社」の共同開発品であり、「ゼリア新薬工業」からは「マイフェミン」、「塩野義製薬」からは「ミグリステンS」の名称で申請されました。このうち、「ミグリステンS」の申請者は、審査中に「シオノギヘルスケア株式会社」に変更されています。
効能・効果及び用法・用量は、こちらに記載の内容にて申請されました。本剤は、いずれも医療用医薬品と同一の製剤であり、○○○○○○○○○○○○○○○○○。スイッチ元の医療用医薬品はミグリステン錠20で、昭和47年に承認され、平成元年に医薬品再評価が行われています。
3ページ最終行から4ページにかけてを御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は「多くの片頭痛有訴者が使用しているNSAIDsにおいて薬物乱用頭痛が問題となっている中、本剤を要指導・一般用医薬品として開発することは、生活者の高いニーズに応えるとともに、国民のQOL改善・向上に寄与すると考えられる」と説明しています。
外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品はありません。本剤は、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、こちらに箇条書きにて示した点が課題点として示されました。この点に対する対応については、後ほど御説明いたします。
4ページ下段から5ページ中ほどにかけては、申請に際し提出された資料を記しています。細かい説明は割愛いたします。5ページ下段からは、審査の概略を記載しています。抜粋して御説明いたします。(2)本剤の治療上の位置付け及び服用期間についてです。本剤の申請当時、診療ガイドラインに本薬に係る記載がなかったため、頭痛治療におけるその位置付け及び使用方法に関して申請者に説明を求めたところ、本剤は抗セロトニン作用を有し、抗セロトニン作用を有する医薬品は片頭痛の予防薬に位置付けられていること。抗セロトニン薬は頭痛発作の頻度・程度や持続時間の軽減、鎮痛薬の反応改善、日常生活への支障の軽減を目的としており、症状がない日も含めて毎日服用することが説明されました。その後、2021年に「頭痛診療ガイドライン2021」が出版され、片頭痛の予防療法に使用する発症抑制薬として本薬が記載され、また緊張型頭痛に対する治療にも使用する旨が記載されました。
以上より機構は、本剤は発症抑制薬であり、症状がない日も含めて毎日服用する使用方法であるとする申請者の説明を了承いたしました。また、漫然とした服用を避けるため、服用期間の設定を求めたところ、効果を判断するタイミングを1か月とし、効果があった場合に服用できる最大期間を3か月と設定されました。機構は、2021年の診療ガイドラインにおける服用期間の記載及び医療用医薬品のインタビューフォームの記載を踏まえ、設定された服用期間は了承可能と判断いたしました。なお、この服用期間の設定は、評価検討会議の意見「効果判定や受診勧奨のタイミングについて、また継続期間について的確な指導が必要である。」に適切に対応していると判断いたしました。
7ページの(3)効能・効果についてを御覧ください。機構は効能・効果について、こちらに示した1)~3)の検討を行いました。まず1)片頭痛の効能・効果を有する本剤を要指導・一般用医薬品とすることについてです。片頭痛の効能・効果を有する医療用医薬品を要指導・一般用医薬品に転用するのは初めてですので、一般の使用者が片頭痛とそれ以外の頭痛との鑑別が可能かも含め、片頭痛という効能・効果を要指導・一般用医薬品とすることに問題はないか申請者に検討を求めたところ、自己判断により医療機関での治療が必要な頭痛に対して受診機会を逃すことを考慮し、効能・効果に「(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」を記載し、本剤の対象者が過去に片頭痛と診断・治療を受けた人に限定されました。
2)「緊張型頭痛」の追加要否についてです。医療用医薬品の効能・効果は、片頭痛、緊張性頭痛ですが、本剤は片頭痛のみを効能・効果として申請されました。その理由について申請者に説明を求めたところ、緊張性頭痛を本剤の効能・効果に含めない適切な理由は説明できないとして、緊張性頭痛を最新の用語にした「緊張型頭痛」が効能・効果に加えられました。
3)予防及び緩和の表現についてです。機構は、「予防」という表現は疾患自体の発症抑制を意味する可能性があること、また、既承認一般用医薬品に同一の表現があることで、本剤の効能・効果に対して誤解される懸念があることから、申請者に効能・効果の記載を変更することを求めました。その結果、その他の医療用の片頭痛発症抑制薬の効能・効果も踏まえ、「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和」と変更され、効能又は効果に関連する注意において、本剤の対象に関する注意事項が追記されました。
以上の議論を踏まえ、機構は最終的な効能・効果「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制及び症状緩和(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)」について、特段の問題はないと判断いたしました。また、これは評価検討会議の意見「既に医師の診断及び治療を受け、片頭痛あるいは緊張型頭痛であることが確認されている患者においてのみ使用できるようにする必要がある。」に適切に対応されていると判断いたしました。
9ページの(4)用法・用量についてを御覧ください。申請時の用法・用量に対し、機構は服用時期や服用間隔を用法・用量に記載すること、また、評価検討会議の意見「急性期治療薬であるNSAIDsと使用方法が異なり、継続的に使用する薬であることを説明・周知する必要がある。」を踏まえ、用法及び用量に関連する注意に、服用方法について記載することを指示いたしました。その結果、用法・用量の末尾に「服用間隔は4時間以上おいてください。」と追記され、用法及び用量に関連する注意に、本剤の服用方法に関する注意事項が記載され、機構は適切に設定されているものと判断いたしました。
9ページ下段の(5)使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は、通知に基づき医療用医薬品の添付文書を参考にして設定されました。そのほかに、本剤の使用対象ではない頭痛に使用されることを避けるため、使用すべきではない対象が「してはいけないこと」に記載されました。また、副作用のうち、眠気及びふらつきに関しては、二次的な事故を起こす可能性が考えられることから、太字かつ下線記載として目立たせる、自動車運転を禁止する、情報提供資料にも手厚く記載する等の対応がされました。機構は、評価検討会議の意見「副作用(眠気、消化器症状等)について的確な指導が必要である。」に適切に対応されていることも含め、使用上の注意は適切に設定されていると判断いたしました。
10ページ下段の(6)適正使用及び情報提供資料についてです。本剤の適正使用の方策として、添付文書のほか、チェックシート並びに販売店向け及び使用者向け情報提供資料が作成されています。その中で、頭痛ダイアリーの活用を促すこと、お薬手帳用購入カードを配布すること、本剤使用中に頭痛発作が起きた場合には、解熱鎮痛薬を服用する旨の案内を行うことが予定されており、機構は、評価検討会議の意見「服用中に頭痛があった時に急性期治療薬を服用できるか等を説明・周知する必要がある。」、「添付文書、チェックシート、情報提供資料、頭痛ダイアリーを使用して、適正使用及び安全性を確保する必要がある。」に適切に対応され、適正使用及び情報提供資料について必要な記載はなされていると判断いたしました。
しかし、本剤は要指導・一般用医薬品において初めての効能・効果をうたう医薬品であること、NSAIDsと使用方法が大きく異なること等から、製造販売後調査において安全性・適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えています。
最後に、11ページ中段の総合評価です。以上の検討を行った結果、機構はこちらに示した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見をお願いいたします。今、手を挙げられた方、川名先生、よろしくお願いいたします。
○川名委員 川名です。チェックシート、フローチャートのことについてお願いがあります。17/223ページで、2列四角があると思うのですが、「いいえ」に進むと小さい四角が並んでいる一番右端の四角の5番目、「服用する前に医師又は薬剤師に御相談ください。」の後、「(服用可能と判断された場合は以下の「いいえ」にお進みください。)」の所の「以下」に矢印がありません。矢印を付け加えていただくか「左の枠に戻って「いいえ」にお進みください。」となるべきではないのかなと思いましたので、御検討ください。以上です。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。
○事務局 川名先生、もしかすると、今お手元で御覧になっている資料は差換え前のものかと思います。
○川名委員 申し訳ないです。そうかもしれません。
○事務局 大変申し訳ありません。
○川名委員 では直していただいているのですね。
○事務局 はい。「(相談した上で服用可能と判断された場合は、以下の「いいえ」にお進みください。)」とした上で、そのボックスから左のほうにある「いいえ」のチェックにつながるL字の矢印を記載しております。
○川名委員 付けていただいていると。申し訳ございません。では、差換えを今からダウンロードいたします。申し訳ありませんでした。
○奥田部会長 川名先生、その点に関してはよろしいでしょうか。ほかに、このお薬について御意見、御質問をお願いいたします。大丈夫ですか。特段、御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題については、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。皆さん御異論がないようです。首をうなずいていらっしゃるのが見えます。ですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、議題2に移ります。堀先生におかれましては、退室をお願いいたします。
──堀委員 退室──
○奥田部会長 それでは議題2に移ります。「パリエットS」及び「パリエット10」についてです。まず、機構から概要を説明いただき、その後に質疑応答としたいと思います。機構の方、説明をお願いいたします。○医薬品医療機器総合機構 機構から資料2、「パリエットS」及び同一製剤で販売名が異なる「パリエット10」について御説明いたします。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りしております。併せて御確認をお願いいたします。
審査報告書の3ページを御覧ください。本剤はプロトンポンプ阻害薬であるラベプラゾールナトリウムを有効成分とする医療用医薬品パリエット錠10mgを、要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。申請者は「エーザイ株式会社」です。本剤は3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において変更しておりますので、後ほど御説明させていただきます。スイッチ元の医療用医薬品パリエット錠10mgについては、以降においては「医療用パリエット錠」と言わせていただきます。
3ページ後段から5ページの表2にかけて御覧ください。医療用パリエット錠は平成9年の初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、現在は4ページの表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、医療用パリエット錠の再審査結果は、5ページ表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない。」が通知されております。なお、本剤を要指導・一般用医薬品とした場合の使用対象集団が同様と考えられる既承認の要指導・一般用医薬品として、ファモチジン等のH2受容体拮抗薬(以降、H2RAという)を有効成分とするものが平成9年に承認されており、現在も販売されております。
5ページの表2の下の文章を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は、本剤が「胃食道逆流症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」では、胃食道逆流症に対する第一選択薬として推奨されていること、胃酸分泌抑制作用は局所性かつ可逆性の対症療法薬であり、軽度の胃食道逆流による自覚症状に対して適していること、医療用医薬品における長期の使用実績があることを挙げております。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品はイギリス、オーストラリア及びロシアにおいて承認されております。
5ページ後段から6ページにかけて御覧ください。本剤は、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、箇条書きにて記した2点が課題点等として挙げられています。これらの点に対する対応については、後ほど御説明いたします。
6ページ中段から7ページにかけて御覧ください。申請に際し、提出された資料を記ししております。安定性に関する資料以外は、医療用パリエット錠の承認時に評価済みであるため、細かい説明は割愛させていただきます。7ページ中段からは審査の概略を記載しております。抜粋して御説明いたします。(2)使用期間についてです。評価検討会議において長期使用に関する懸念が挙げられていたこと、また、H2RAの要指導・一般用医薬品において、使用しても症状の改善が認められない場合は3日間、症状の改善が認められた場合でも、2週間の使用期間の上限が設けられていたことを踏まえ、本剤が漫然と使用されることがないよう、厳格に使用期間を設定するよう申請者に求めました。申請者は、使用しても症状の改善が認められない場合は3日間、症状の改善が認められた場合でも、安全性の観点から2週間の使用期間として設定しました。
続いて、8ページ中段の効能・効果を御覧ください。冒頭で申し上げたとおり、本剤の効能・効果については、申請時から変更しております。本剤の使用対象者として想定している胃食道逆流症は胃酸によって起こるものであり、症状としてはH2RAの要指導・一般用医薬品と同様と考えること、使用者が認識しやすいという観点も踏まえ、H2RAの要指導・一般用医薬品と同様に「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき(本剤は胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬を含んでいます)」とすることが適切と考え、申請者に再検討を求めました。申請者は審査報告書にお示しした公表文献も参考に、機構が提示した効能・効果に変更しております。
8ページの下段から9ページにかけての(4)用法・用量を御覧ください。本薬の評価検討会議において、長期使用により重篤な副作用の発現リスクが高まり、また、がんの症状をマスクする可能性がある旨の意見が示されたことを踏まえ、最大使用期間を承認事項として、用法・用量に設定することが適切と考え、「2週間を超えて続けて服用しないこと。」を設定するよう申請者に求め、申請者はそのとおり追加設定しております。
また、H2RAの要指導・一般用医薬品においては、使用対象年齢の上限を「高齢者(80歳未満)」とし、用法・用量に設定したことを踏まえ、機構は本剤における使用対象年齢の上限設定の必要性について、申請者に検討を求めました。
申請者における検討内容は、9ページの中段に記載しております。申請者は次の四つの理由から、年齢の上限設定は不要と説明しております。1点目は、医療用医薬品のPPIは高齢者に対して特に年齢制約はなく、高齢者に多い胃食道逆流症の初期治療においての第一選択薬としていること、2点目は、医療用パリエット錠における特別調査及び承認時までに得られた副作用発現率の比較内容、3点目は、医療用パリエット錠の最新の定期的安全性最新報告において、高齢者と非高齢者で異なる安全性プロファイルを有するという根拠情報がないこと、4点目は、オーストラリアで承認されている一般用医薬品において、年齢の上限設定がないことです。
機構は、申請者の3点目の理由については適切でないと考えましたが、使用成績調査の高齢者(65歳以上)及び非高齢者(成人15~64歳)における、副作用発現率並びにプロファイルに大きな差はないと判断いたしました。加えて、要指導・一般用医薬品として承認されているH2RAは腎排泄型の薬物であり、医療用医薬品であるH2RA製剤の添付文書の「用法・用量に関連する注意」には、腎機能による用量調節が必要である旨が記載されていますが、本薬は肝代謝型の薬物であり、医療用パリエット錠の添付文書には、肝機能による用量調節の規定がないことから、本剤については使用対象年齢の上限として、「高齢者(80歳未満)」を記載する必要はないと判断いたしました。
続いて9ページ下段から始まる(5)使用上の注意を御覧ください。本剤の使用上の注意は、通知及び医療用パリエット錠の添付文書を参考に設定したとされております。申請時に示された使用期間に関する注意喚起は、改善が見られない場合の使用期間を2週間とした内容で、「相談すること」に設定されていました。しかしながら、先ほど(2)の使用期間についてで御説明したように、長期使用がなされないよう、使用期間を厳守することが重要と考え、「してはいけないこと」として「2週間を超えて続けて服用しないでください」を設定するよう申請者に求め、申請者は指示どおり対応しました。
3日間使用しても改善が見られない場合はほかの原因も考えられることから、その場合は使用を中止し、医師又は薬剤師に相談するように、「相談すること」に設けることが適切と判断し、申請者に対応を求め指示どおりの対応がされました。また、本剤の「相談すること」として、原因不明の体重減少や持続性の胃痛・腹痛の症状がある人が申請時から項目として設定されており、当該設定については胃癌等の重篤な疾患をマスクするリスクを軽減することが重要と考えることから、適切な設定であると判断しました。
続いて10ページ中段の(6)適正使用及び包装単位についてです。本剤の適正使用の方策として添付文書のほか、チェックシート並びに販売店向け及び使用者向け情報提供資料が作成されております。また、使用期間の上限を2週間としていますので、包装単位の上限が14日分と規定されております。機構は本剤の適正使用、情報提供資料及び包装単位について、現段階で特段の問題はないと判断しておりますが、本剤は今回初めて要指導・一般用医薬品として一般に使われるものであるので、販売に当たっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。そのため、製造販売後調査において適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えております。
最後に、10ページ下段の総合評価です。以上の検討を行った結果、機構はこちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 では、ただいまの御説明の内容に関して御質問、御意見をお願いいたします。宮川先生、よろしくお願いします。
○宮川委員 確認です。症状をある程度取るという中に、「むかつき」という言葉の四文字熟語が平仮名で書いてあるのです。これに対してはある程度検討されていると思いますけれども、むかつきというのは普通の一般の市民、国民の感情からすると嘔吐というか、気持ち悪さにつながる表現が一番多いと思うのです。このむかつきというのを取ることができないのかどうかということです。実際にパッケージを見ると、パリエットとオメプラールに関しては、この言葉がないわけです。タケプロンにおいては胃酸逆流による胸やけ、胃もたれで、ここにむかつきが入って、胃の痛みと書いてあるわけです。このむかつきという言葉が誤解を与えられると困るのです。
むかつきという言葉がなければ別に、専門家からすれば、これはもちろん意味が分かるわけですけれども、医療者でない人にとってはなかなか難しい。胃酸の逆流による不快な症状の中にむかつきがあることは、医療者にとっては非常に分かりやすいことなのですけれども、普通の一般の方がむかつきという言葉をどう理解するのか。そういう意味では機構も厚労省も専門家なので、このむかつきという言葉をどう捉えるのかということについて、市民感覚として教えていただきたいと思います。
○奥田部会長 「むかつき」という言葉の定義ですね。
○宮川委員 定義というか、考え方です。つまり医薬品のところには書いてないわけです。症状名ではありませんので、医薬品の方は疾患による付随のところで書いてあるわけですが、そこからむかつきというのは読み取れないのに、あえて要指導・一般用医薬品部会にこの案が上がってきています。要指導医薬品という形で国民の目の触れるところで、むかつきという言葉が選択されることについて、明解な御回答を頂きたいと思います。
○一般薬等審査部長 少しお時間を頂いて、資料を確認させてください。
○奥田部会長 よろしくお願いします。個人的にはH2RAでどう書いてあるのかが気になるところです。
○一般薬等審査部長 H2RAではむかつきも含めた全く同じ表現です。この文言について、少し調べさせてください。
○奥田部会長 今の目で見直して、それがちゃんと通じているのかどうかをお考えいただければと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。
○宮川委員 それについてはチェックシートにも四つあって、むかつきという所で線を引っ張っていって、チェックシートの下の方に行ってしまうのです。一般市民に対して間違った印象を与えるということでは、非常に問題があるのかなと思ったわけです。医療者と一般の人では前提が違うということをよくよく考えていただいて、表現の適正化を図られた方がよろしいのではないかと思っております。
○執行役員 よろしいでしょうか。宮川先生、貴重な御指摘をありがとうございます。私どももこの言葉を使うときに、一般の人たちが御覧になるような情報提供の場所、例えば各社が提供している既存の一般薬の説明の文書、Webサイトなどを見て、むかつきという言葉が広く使われているものであることは確認しましたが、こちらもどちらかと言うと企業側が提供しているところであって、実際に一般の方、ユーザーの方がどういう受取りをしているかというころは、正直、私どものほうでも今は情報を持っていないところです。
○一般薬等審査部長 追加させていただきます。153/175、154/175ページの資料で、主に資料2の154/175ページですけれども、症状の表現に関する文献があります。ここでは「胸やけ」という言葉を題材に取っておりますが、「ムカムカする」といった言い方があるようでしたので、こちらも参考にして検討させていただいたところです。
○宮川委員 私もそこは確認しましたけれども、それが一般国民に対するものであるかどうかというと、そうではないですね。これは医療者側からだけみた表現です。一般市民からすると、むかつきというのは嘔吐・嘔気につながるわけですから、この薬の本来の目的である胃酸ということに関して、どれだけ伝わるのかということをお聞きしたわけです。いつもそうなのですが、そこはやはり前例がありましたらというのではなくて、前例があったとしても間違ったとか、ある程度間違ったところに誘導するということがあれば、直ちに直すのが機構であり厚労省であると私は思っておりますので、是非、そこは検討していただきたい。
今回のパッケージにはパリエットの方もオメプラールの方も、むかつきという言葉が入ってないのですね。タケプロンの方に一つ入っているだけなので、そこからすれば申請者の方もむかつきという表現の問題を詳しく認識していないように思います。間違った誘導にならないようにすべきであると思っておりますが、いかがでしょうか。私だけがしゃべっても仕様がないので、各委員もどのようにお考えになるのかについても、私は聞きたいと思っております。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○富永委員 私どもも医薬分業が進んで、結局、処方箋調剤という形でPPIを調剤して患者さんとお話し、その中で受診勧奨をもう一度すべきかどうかも、医療用医薬品としてお渡しする時も考えているわけです。それで時系列の臨床経過の中で、病状変化を重視するのですけれども、患者によっていろいろな表現をなさるわけです。例えば「胃酸が上がって酸っぱい感じがしますか」ということも、効果のうちで聞くわけです。聞き取りの技術というのは、本当に必要なのです。そのためにもやはり評価検討会議でもあったように、対面で販売しなければならないと考えております。
それと、注意書きでもありましたように、これだけの情報を得るためには、医師又は薬剤師に相談するということですから、例えば3年経過したからそのまま自動的に要指導ではなくなるというのは、きちんとこの議論の場で確認を取りたいと思っています。宮川先生がおっしゃったように、こういう表現のいい加減さと言ったら怒られるかもしれませんが、これからスイッチ化されたとしても、やはり症状や副作用を的確に捉えていくというのが我々薬剤師の責任だと思うのです。結局、利用者と医薬品の提供側もきちんとチェックリストが決まっていくと、それに従ってやっていくわけですから、そこはやはりチェックリストをきちんと詰めた方がいいかなと私も思いました。
○奥田部会長 今の富永委員からの、要指導から第一類にするしないというお話については、全体に関わることかもしれません。もし今、この場で厚労省の方から何か御発言があればお願いいたします。その上で、また先ほどの宮川先生のお話に移りたいと思います。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。現時点のルールにおいて要指導医薬品というのは、現行の薬機法では3年経過すれば、OTCになるということになっております。ただ、これについてはいろいろな議論があります。今、薬機法の制度改正部会において、要指導医薬品に留まる分類を設けるべきといった議論があります。その議論がどのようになるかはまだ未定ではありますけれども、現時点においてはそういうルールになっているということです。それが今後、どのように見直されていくかということはあるかと思っております。
○宮川委員 宮川です。そういう意味では課長がお話になったように、現行法上はそうやって移行しまうということであれば、しっかりとした書きぶりにしておかないと、もし現行上のルールをそのまま適用していくことになりますと、かなり危険かつ状況がコントロールできなくなりますので、正しく理解できる表現にしたほうがよろしいのではないかと思います。現行法の中で考えなければいけないので、そういう場合は今、富永委員がおっしゃったように、改めるところは改めていった方が、国民に対して親切な表現ではないかと思ったので発言させていただきました。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○一般薬等審査部長 先ほど宮川先生から頂いた、むかつきの表現の件についてです。先生も御指摘のとおり、受け取る方がしっかり分かった上で選んでいただけるようにする。今の効能・効果の表現というのは、前例がありますからこのとおりですが、何とかそこがきちんと買う方に伝わるように、販売するときにしっかり分かった上で選んでいただけるように、何か資材等で工夫させていただきたいと思っております。
○奥田部会長 余り前例で行くと、ずっと引きずってしまいますので、そこは少し工夫していただけるということです。
○宮川委員 宮川です。工夫をしていただくというのは、どういう工夫をしていただくのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○一般薬等審査部長 今考えているのは、薬剤師が、むかつきというのはこういうことであるというのをしっかり御説明いただけるように、販売店向けの資料の中に、もう少し詳しく書くということを考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。指摘に対する対応がされるのであればこれは不適格というわけではないのですけれども、今後は申請のときから不正確な言葉を機構の審査の段階からも適用してよいのかを考えていただいて、事前に企業と話し合うときにも、しっかりとした指導をしていただけたらと思います。前例があるからといつもおっしゃるわけですけれども、前例が悪かったらどうなるのですか。
また、市販後に3年が経過して、不都合な問題が多く現れたときにどう訂正するのでしょうか。機構の担当者が離職や異動されて、責任が取れないということも想定されるので、これは議事録にしっかり残しておきたいと思います。これからはそういうことがないようにしていただきたい、国民に対する責任は、しっかりと取っていただくということが、非常に重要だろうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長 ありがとうございました。今の宮川委員の御指摘は、非常に大事なことだと思っております。今の御指摘以外にWebの参加の先生方、追加で御発言はありますか。
○富永委員 こちらからよろしいでしょうか。漫然投与の話がありましたが、PPIの適正使用の観点から、処方医も、薬剤師側も、投与制限があることを分かっています。もしスイッチOTC化すれば、その漫然投与の確認を行ったかどうかの担保が必要になります。薬剤師が適正使用の確認をやっているわけですが、もし悪性腫瘍や消化性潰瘍が隠蔽されたまま、健康被害が非常にひどくなるということもありますので、そこはチェックをこの会議できちんと確認しておくべきかと思うのです。今の状況で行われている投薬の確認が、スイッチOTC化後もちゃんとできるようにということです。
○奥田部会長 薬剤師とのコミュニケーションの在り方かもしれませんね。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。御指摘は本当にそのとおりです。2週間続けてまでということなので、しっかりそこをチェックしながら販売していただくという形で、チェックシートにて気を付けていくということです。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今、富永委員がおっしゃったのですが、チェックシートで、そういうことが隠れていることがあるので、注意してくださいと言いながら、チェックシートを進めるのかどうかも今後、本当は重要になってくるのだろうと思います。それに対してはいかがでしょうか。
○一般薬等審査部長 チェックシートは14/175ページです。こちらは2週間続けてという所の「はい」「いいえ」だけで、今はチェックシートそのものに理由は書いておりません。そこは薬剤師には販売店向けシート等でしっかり御説明していただくということで、資材として準備しております。
○奥田部会長 14ページですか。
○一般薬等審査部長 はい、14/175ページが実際のチェックシートです。真ん中辺りにありますように、今の案では「2週間続けて服用しているか」というチェックがあります。ここにマスクするかもしれないという理由までは書いておりません。あとは直接ではないかもしれないのですけれども、四角の下から三つ目に「現在、次の症状があるか」という所で、原因不明の体重減少、持続性の胃痛・腹痛があるかというところで、何か症状が起きてないかというのを合わせてチェックするというチェックシートです。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。臨床現場で医師は、患者のいろいろな訴えを聞きながら、法的な責任を持っていろいろ行動しているというところがあります。しかしながら、こういう薬を販売する現場で、薬剤師の先生たちが購入者からの訴訟があったときに、果たして法的に薬剤師の先生方をお救いできるかどうかというのは、こういう書類に掛かっているので、そのこともよく考えていただきたいです。
仮に、訴訟の論点になる部分の説明がなくて、何も書いてもなかったじゃないですかということで訴訟問題になったときに、現場の薬剤師の先生たちがそれに対して立ち向かえるのでしょうか。訴訟に対してどのようにいろいろな救済策を法的に講ずることができるのかという側面もあるわけです。薬剤師の先生方を救うのはやはり厚労省であり、機構であると私は思っております。そういうところに一言書いてあるだけで、薬剤師の先生たちが助かることになるのではないかと思ったものですから、発言させていただきました。
○奥田部会長 いかがでしょうか。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。確かに先生のおっしゃるとおりです。今、我々は販売店向け情報提供資料の21/175ページなどで、重篤な副作用のリスクを書いているのですが、先生の御指摘のとおり、チェックシートでその場で、薬剤師がはっきり分った上でチェックしていただいた方が、より適切かと思いますので、チェックシート自体を改めるよう検討させていただきます。
○奥田部会長 分かりました。薬剤師の先生方と患者とのコミュニケーションがよりうまくいくような形で、整理をしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。もし追加で御質問がないようでしたら、議決に入りたいと思います。もちろん幾つか宿題というか、修正すべき点はあるのですが、それらを踏まえ、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、これを要指導・一般用医薬品に指定してよろしいでしょうか。御異議がないようなので承認を可とし、要指導・一般用医薬品に指定することとして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは議題3に移ります。これも同じくPPIで、「オメプラールS」及び「サトプラール」についてです。まず機構から概要を説明いただいて、その後に質疑応答としたいと思います。機構の方、説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から資料3、オメプラールS及び同一製剤で販売名が異なるサトプラールについて御説明いたします。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りしております。併せて御確認をお願いいたします。それでは審査報告書3ページを御覧ください。
本剤はプロトンポンプ阻害薬であるオメプラゾールを有効成分とする医療用医薬品オメプラール錠10を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。医療用医薬品としては、20mg製剤もありますが、以降においては20mg製剤と合わせて、これらを「医療用オメプラール錠」と言わせていただきます。申請者は佐藤製薬株式会社です。本剤は3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において、議題2のパリエットS及びパリエット10と同じ内容に変更しておりますことを申し添えます。
3ページ後段から4ページの表2にかけて御覧ください。医療用オメプラール錠は20mg製剤が平成3年の初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、平成12年に10mg製剤が承認されております。現在は4ページの表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、医療用パリエット錠の再審査結果は、4ページの表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない」が通知されております。表2の下に記載した既承認の要指導・一般用医薬品であるH2RAに関する内容は、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
4ページ下段を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次の3点を挙げております。1点目として、胃食道逆流症の有病率をまとめたシステマティックレビューにおいて、胸やけ、胃酸逆流・胃酸過多の症状を有する人のうち、「何もしていない人」がそれぞれ30.8%、24.2%であり、十分な対応を行えていない状況であることから、不快な症状を軽減できる治療法を提供することは、国民にとってメリットのあることと考えること。2点目として、適正使用の確保、薬剤師が必要なトリアージを実施することで、胸やけや胃酸逆流などに優れた効果を示す新たな要指導・一般用医薬品を提供すると共に、必要な場合には医療機関の受診を促すことが可能となること。3点目として、医療用オメプラール錠における臨床試験成績及び使用成績調査等から、本剤の使用期間を短期間とする場合に有効性及び安全性を確保可能と考えることです。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品は米国、イギリス、スウェーデン等の約30か国において承認・販売されています。以降に記載した「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」における内容については、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
5ページ下段から6ページにかけてを御覧ください。申請に際して提出された資料を記しております。規格及び試験方法並びに安定性に関する資料以外は医療用オメプラール錠の承認時に評価済みです。なお、本申請において追加提出となった規格及び試験方法並びに安定性に関する資料についても、審査において確認し、特段問題ないものと判断しております。
6ページ下段からは審査の概略を記載しております。審査の概略の項目及びその審査の方針については、本部会にお諮りしたPPI品目で統一した方針であり、議題2と重複するため、説明を省略させていただきます。
9ページ下段の総合評価を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構はこちらに記載した効能・効果、用法・用量において本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。
○一般薬等審査部長 先ほどパリエットのところで頂いた対応は、ほかの剤でも対応してまいりたいと思います。
○奥田部会長 同効の医薬品なので、先生方から頂いた御質問は同じように反映をしていただくことという御発言だと思います。したがって、それ以外のことについて、オメプラールSやサトプラールに特有の問題について御意見をお願いいたします。
○富永委員 よろしいですか。富永です。前にも言えばよかったのですが、やはり投与制限の話をしましたけれども、これをスイッチ化するときは、やはり消費者の方が購入する手段として、例えばネットとかで買えるような状況になってしまうと非常に問題がある。気軽にそのまま自分自身が漫然服薬をしてしまうということになりますから、非常に懸念しているところです。また、こういうお薬ですから、市販後調査と言いますか、OTC化した場合、それを企業に任せるのではなくて、厚生労働省がきちんとやっていただきたいというお願いであります。そして我々にフィードバックしていただきたい。もしかすると逆もあるかもしれないです。要指導からまた医療用に戻るという、そういう健康被害が出てくれば、だからその辺も覚悟しておいたほうがいいと思いますけれども。以上、意見です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。何かネット販売の件も含めて。
○医薬品審査管理課長 ネット販売の件については、今のルールを先ほど申し上げたとおりですので、それについては割愛させていただきますが、先ほど御指摘いただいた、厚生労働省でも何か考えることができないのかという御指摘だと思いますので、適正使用、市販後に適正使用の状況とか、そういったことについては、我々も企業任せということでは決してないわけでありますけれども、我々としても何らかの対策というか、対応というのを考えていきたいと思っております。
○奥田部会長 よろしいですか。安対課長、今の御発言で。どうもありがとうございます。ほかに御質問、御意見等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。特段、御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。それでは議題4に移ります。3番目のPPIですが、タケプロンsについてです。まず機構から概要の説明を頂いて、その後、質疑応答としたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から、資料4、「タケプロンs」について御説明いたします。製剤サンプルについては、この写真を電子媒体で事前にお送りいたしております。併せて御確認をお願いいたします。また、事前にお配りした審査報告書に、2か所誤記がございましたため、修正をさせていただいております。修正点について、口頭で説明させていただきます。
審査報告書7ページ、(2)使用期間についての箇条書き1点目を御覧ください。1点目の修正は、「重要な基本的注意」の記載で、正しくは「用法及び用量に関連する注意」です。2点目の修正点は、同じく箇条書き1点目で、「非びらん性胃食道症」の記載は、正しくは「非びらん性胃食道逆流症」です。この度は修正がありましたことをお詫び申し上げます。
それでは、審査報告書3ページを御覧ください。本剤は、プロトンポンプ阻害薬であるランソプラゾールを有効成分とする医療用医薬品タケプロンOD錠15を要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。なお、以降において、カプセル剤、OD錠30mg製剤と合わせた場合は、「医療用タケプロン」と言わせていただきます。
申請者は、「アリナミン製薬株式会社」です。本剤は、3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されましたが、審査において議題2のパリエットS及びパリエット10と同じ内容にて変更していることを申し添えます。
3ページの後段から、4ページの表2にかけて御覧ください。医療用タケプロンは、カプセル剤が平成4年初回承認後、効能・効果、用法・用量の追加がなされ、平成14年にOD錠であるタケプロンOD錠15が承認されております。現在は、4ページ表1に記載の効能・効果にて承認されております。また、タケプロンOD錠15の再審査結果は、4ページの表2でお示しした通知日にて、いずれについても「薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しない」とされております。表2の下から記載した既承認の要指導・一般用医薬品であるH2RAに関する内容は、議題2と同じ内容ですので、説明を省略いたします。
5ページ上段を御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は次の3点を挙げております。1点目として、「胃食道逆流症診療ガイドライン2021(改訂第3版)」で規定されている本疾患の診断、治療のフローチャートでは、これらの疾患の治療に際して、内視鏡検査による確定診断が必須でなく、PPIを用いて胸やけなどの酸の胃食道逆流に伴う症状の消失の有無で治療的診断を行い、症状持続又は症状再発があった場合に内視鏡検査を実施することになっていること。
2点目として、一般に胸やけ症状は、食道癌、胃癌、あるいは胃潰瘍といった上腹部の重篤な疾患でも起こるが、定期的に内視鏡検査を受診している場合や、貧血、嚥下障害及び体重減少などのリスクファクターを有していない場合には、このような重篤な疾患が存在しているケースは非常に少ないと言われており、内視鏡検査による患者の物理的・経済的負担を鑑み、まずはPPIによる治療を行い、症状に対する反応性を確認する治療フローが設定されていること。
3点目として、胃食道逆流症に伴い繰り返し起こる胸やけ等の症状緩和を目的に、PPIを要指導・一般用医薬品に転用して治療することには妥当性があると考えられることです。また、外国での使用状況について、本薬を含有する一般用医薬品は、米国、オーストラリア、スウェーデン等の8か国で承認・販売されております。以降に記載しました「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」における内容については、議題2と同じ内容ですので説明を省略いたします。
6ページ上段を御覧ください。申請に際し、提出された資料を記しております。タケプロンOD錠15及びタケプロンカプセル15/同カプセル30の承認時に評価済みです。
7ページからは、審査の概略を記載しております。審査の概略の項目及びその審査の方針については、本部会にお諮りしましたPPI品目で統一した方針であり、議題2と重複するため説明を省略させていただきます。
10ページ下段の総合評価を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本剤は、要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。この品目も先ほどと同様の扱いで、まずはこの品目特有のことについて御質問や御意見をお願いできたらと思います。
私から1点あるのですが、タケプロンの用法・用量の記載で、小さなことですが、この剤は腸溶剤です。溶けてしまって胃に入ると、胃酸で壊れてしまうために溶けないように設計されているので、この用法・用量の所で、口の中で溶かして服用というのは、余り科学的ではないように思いますので、できれば何か科学的で、かつ分かりやすい表現を検討していただければと思う次第です。
○医薬品医療機器総合機構 御意見を頂きましてありがとうございます。既承認OTCのOD錠での表現を参考に現在の用法・用量にしていましたが、今、頂きました御指摘を踏まえて、現在、「口中で溶かして」としている部分について、「口中で崩壊させて」といった表現に変更したいと思っております。
○奥田部会長 よろしくお願いします。多分、腸溶性の口腔内崩壊錠というのは割に珍しいかもしれません。
○宮川委員 宮川です。もともとの薬の特性なのでしょうが、150~151ページにかけて、「マル4結論」という所で、症候性の胃逆流症候群の患者対象に使ったという点について質問です。これは全て胸やけを主要評価項目としてプラセボとの二重盲検であって、この主要評価項目に関しては、有効性としては有意な差が認められたと書いてあるわけですが、150ページの下から2行目の所から、その他の有効性評価項目として、胸やけの症状である酸逆流、咽頭部違和感、舌下違和感、悪心・嘔気、嘔吐及び胃痛を評価したと書いてあるのですが、そこから151ページに向かって、4行目から、一方、舌下困難、悪心・嘔気・嘔吐及び胃痛に関しては、プラセボと15mg、30mgのいずれも有意な改善効果は認められなかったということは、どう考えればよろしいのでしょうか。つまり、胸やけは改善したが、その他の副次項目は改善しなかったと考えるのかどうかです。これはどういうふうに読めばよろしいのですか。
○一般薬等審査部長 先生の御指摘のとおりかと思いますが、確認させていただきます。
○宮川委員 そうすると、胸やけに関しては改善したけれども、ほかの付随症状に関しては、いずれも有意な改善効果は認められなかったということで、これは認識してよろしいですか。
○一般薬等審査部長 すみません。少し確認の時間を頂戴させていただきます。
○奥田部会長 今、この会議中に出ますか。そういたしましたら、今すぐ確認をしておりますので、この問題はペンディングにして、それ以外に先生方から御意見などをお伺いできますか。
○酒井委員 今回このように制酸剤というか、胃痛、胸やけというところに対するお薬をまとめてくださって審議していて、とても分かりやすいと思うのですが、このように幾つか似たような効能を持つお薬が一般薬になった場合、患者さん、あるいは指導する側の薬剤師さんはどのように選んで使い分けることを想定しているのかと思いまして、このお薬に限ったことではなく恐縮ですが、その点を教えていただければと思いました。
○奥田部会長 ありがとうございます。それぞれの特徴をどういうふうにするのかということですが。
○酒井委員 先ほどの議論にも少し通じるのですが、医師が処方する場合は、意図的にというか、エビデンスを持ったものを選んで、効果の判定もしっかりしていくことになると思うのですが、患者さんが選んで使う場合に、漫然とこっちが駄目ならこれ、こっちが駄目ならこれみたいな感じで使い続けて、症状が悪くなってしまうということが懸念されるのではないかと思った次第です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。一つだけ確認です。タケプロンで2週間服用して、その次にパリエットを2週間というのはありなのですか。今の酒井先生の御質問と多分かぶるのかもしれませんが。
○一般薬等審査部長 御指摘ありがとうございます。それはちょっとないのではないかと思っておりますが、今のこの説明文書で、それが伝わるかどうかというところを、もう少し検討させていただきたいと思います。
○奥田部会長 そこは多分、実際、かかり付けの薬剤師さんがいらっしゃれば、そこのところでチェックが掛かる所と思いますが。
○一般薬等審査部長 先生御指摘の点につきまして、今、確かにPPI3品目ありますが、この品目のみがというふうに見えてしまいますので、ほかのPPIも含めてという書き方にして、資材等を変更していきたいと思います。
○奥田部会長 同時に、多分出回ると思いますので、それはよろしくお願いいたします。
○一般薬等審査部長 承知いたしました。
○奥田部会長 酒井先生、ありがとうございます。最初の宮川先生からの件については。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどの宮川委員からの御意見について御説明させていただきます。資料の118/185ページを御覧ください。御説明させていただきます。
118ページの総括の所に、表ト-1、症候性胃食道逆流症を対象とした臨床試験一覧として、第III相試験と臨床薬理試験の二つが載っています。先ほど宮川委員から御指摘いただいたのが第III相試験のほうになります。こちらの二つの臨床試験が、医療用タケプロンの胃食道逆流症の効能を追加した根拠となる臨床試験成績ということで、先ほどの結果をもって、医療用では、胃食道逆流症という効能が追加されたという経緯があります。今回、OTCにするに当たって、胃食道逆流症を一般の人がどういうふうに感じるかと考えた中で、当初、御提示の効能・効果としたということになります。
○宮川委員 それはだから、胸やけ症状に対しての改善の有無について臨床の効果を調べたということですが、先ほど151ページに掛かった所で、それ以外の所の副次効果のそういう指標ということに関しては、効果があったのか、なかったのかということに関して、どう理解すればよろしいのですか。
○一般薬等審査部長 この点につきましては、先生の御指摘のとおり、有意差が認められなかったという症状につきましては、記載のとおり有意差が認められなかったということです。
○宮川委員 記載のとおりですよね。でしたら、悪心・嘔気・嘔吐という所は、有意な効果は認められなかったということですが、一般の方が読めば、これらの言葉は吐き気とか、むかつきとか、そのように理解されますよね。これはむかつきと違うのですか。逆流による、そういう不快な症状としての違和感としてのむかつきというのは分かるのですが、一般の方が、このむかつきという言葉が悪心・嘔気・嘔吐に結び付くのではないか、どちらが結び付くのかということを今お尋ねしているのですが。それに関しては、どのように機構ではお考えですか。もし、そういうようなことが懸念されるのであれば、先ほど私が申し上げたとおり、むかつきという表現は、使わないほうがよろしいのかなと思ったので、この臨床試験の所を御指摘したわけです。
○一般薬等審査部長 不十分で申し訳ございません。先生の御指摘を踏まえて、もう一度、医療用医薬品の承認の経緯を改めて確認して、どういった書き方が一般用医薬品の場合に良いかというのを持ち帰って検討させていただきたいと思います。
○宮川委員 よろしくお願いします。適切に処理していただければと思います。文言というのは、非常に大事ですので。そうなりますと、タケプロンのパッケージの所にある「むかつき」という言葉も、取らない限り、整合性が取れなくなるので、全ての所の語句をしっかりと訂正していただきたいと思います。以上です。
○一般薬等審査部長 承知いたしました。
○富永委員 先ほどの御質問のどうやって各PPIを見分けるかという話ですが、私ども今までは処方箋で調剤して、医薬品をお渡しして、これはどう違うのですかで質問を受けることがあります。代謝経路が違ったり、効き方が違う、簡単に言えば、H2RAよりもPPIが強力に胃酸を抑制するのは分かっています。ほかの薬を飲んでいると、代謝経路で阻害するものがありますから、相互作用があるので、様々な可能性を考慮して、胃腸科の先生は選択されていると答えます。そこで、もう少し薬剤師も現場でしっかり勉強しないといけないところですが、パリエットは中でも非常に強い胃酸の抑制作用があると。そういう症状の変化の段階で、患者さんにお勧めすることになるかと思います。薬ごとにそれは違うということです。全て同じ並びで考えているのではなくて、この3品目は、それぞれの症状によって使い分けることになると思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○酒井委員 今、おっしゃっていただいたような使い分けを、患者さんの御希望と薬剤師さんの知識で使い分けるということになると、今、医師が診療・処方する際に担う責任が薬剤師さんに行くという形になるのですか。
○富永委員 はい、そのとおりです。私ども薬剤師の責任というのが重大になってきますので、今までの患者対応においていま一つステップアップして、臨床経過というか、症状の強さを聞き取る責任があるというか、臨床判断の能力を育てていかなければならないと思っています。以上です。
○奥田部会長 富永先生、ありがとうございます。ほかによろしいですか。
○医薬品審査管理課長 幾つか御指摘を頂いておりますが、富永先生、宮川先生から幾つか共通のもの、個別のものがありましたので、それについてはできる限り共通のものは、全ての3品目の製品に対応したいと思っております。
むかつきについていろいろ議論がありましたが、機構でもう一度検討していただいた上で、また宮川先生、部会長に相談しつつ、対応していきたいと思っております。よろしいですよね。
○奥田部会長 分かりました。最終的な書きぶりについては、宮川先生と私で確認をして、その上でと。そういったプロセスを含んだ上で、もし、これ以上この段階で御質問がなければ、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいですか。また、要指導医薬品に指定としてよろしいですか。御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとしまして、薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。それでは、最後の議題5、ロゼレムSについてに移ります。まず、機構から説明をお願いたします。その後で、質疑応答といたします。堀先生がここで入っていただいたのですね。よろしくお願いします。
──堀委員 入室──
○医薬品医療機器総合機構 機構から、資料5、ロゼレムSについて御説明いたします。製剤サンプルについては、その写真を電子媒体で事前にお送りいたしております。併せて御確認をお願いいたします。審査報告書の3ページを御覧ください。本剤はメラトニン受容体作動薬であるラメルテオンを要指導・一般用医薬品にスイッチするものです。申請者は「アリナミン製薬株式会社」です。本剤は3ページの「1.申請品目」に記載の効能・効果、用法・用量にて申請されました。3ページ下段から4ページ表1にかけて御覧ください。スイッチ元の医療用医薬品はロゼレム錠8mgであり、平成22年に「不眠症における入眠困難の改善」の効能・効果で承認され、令和元年に再審査結果、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しない」が通知されております。以降において、医療用医薬品を「医療用ロゼレム」と言わせていただきます。
4ページ中段より始まる箇条書きを御覧ください。本剤を要指導・一般用医薬品とする意義について、申請者は、セルフメディケーションの新たな選択肢として体内時計機構に働き掛け、鎮静作用によらない本薬のスイッチOTC化は社会的に意義のあるものと考えられ、本薬を一般用医薬品として転用することにより、セルフメディケーションの促進に貢献することができるものと考えると説明しています。また、外国での使用状況については、審査報告書4ページ最下段に記載のとおり、令和6年11月現在、本薬を含有する一般用医薬品が承認されている国はありません。
5ページ上段を御覧ください。本剤は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において、要指導・一般用医薬品への転用について検討され、箇条書きにて記した5点が課題点などとして挙げられています。これらの点に対する対応については後ほど御説明いたします。5ページ中段からは、申請に際し提出された資料について記しておりますが、いずれも医療用ロゼレムの承認時に評価済であり、新たな試験成績は提出されておりません。
続いて、審査の概略について抜粋して御説明いたします。6ページ中段、効能・効果について、申請時は既承認の睡眠改善薬と同様に、「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」とされていましたが、医療用ロゼレムの効能・効果である「不眠症における入眠困難の改善」に基づき、本剤の効能・効果を設定するよう求めたところ、「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い」に変更されました。変更後の効能・効果について、機構は特段の問題はないと判断しました。
続いて、用法・用量について、医療用ロゼレムの用法・用量を基に設定されています。なお、評価検討会議において、「本薬は、医療用医薬品で承認されている用法・用量及び効能・効果とは別に、より低用量で長期間使用することにより睡眠リズムの改善が期待される。」との御指摘がありました。しかしながら、今回の申請は、医療用医薬品を要指導・一般用医薬品へと転用するものであり、本剤は医療用ロゼレムとして有効性及び安全性が確認された用法・用量にて設定されていることから、機構は本剤の用法・用量について、特段の問題はないと判断しました。
続いて、7ページ上段、使用上の注意についてです。本剤の使用上の注意は医療用ロゼレムの添付文書、一般用の睡眠改善薬であるジフェンヒドラミン製剤の添付文書等を参考に設定されております。評価検討会議で示された課題点などに対する対応を中心に御説明いたします。まず、「適応範囲は、既承認OTCの睡眠改善薬と同様の一時的な不眠であり、不眠症の診断を受けた人は使用しないことが原則である。」との指摘から、申請時に添付された添付文書(案)では、「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に「不眠症」が記載されていました。この点について、機構は、本申請は医療用ロゼレムの効能・効果である不眠症における入眠困難の改善に対して確認された有効性及び安全性に基づき、本剤を要指導・一般用医薬品として転用するものであることから、「次の人は服用しないこと」に「不眠症」を記載することは適切ではないと判断しました。
また、本剤の漫然とした使用や、それに伴う必要な受診機会を逃すことを防ぐため、添付文書の「してはいけないこと」に「2週間を超えて使用しないこと、2週間を超えた使用が必要な場合は医師又は薬剤師に相談すること」を記載し、不眠が続き、医師による診断及び治療を要する可能性がある使用者への受診勧奨が適切に行われるようにすることが重要と判断しました。なお、最大使用期間を2週間とした根拠については、審査報告書7ページの下段に記載のとおり、医療用ロゼレムの記載やUSFDAの承認基準となります。これらの点を踏まえ、申請者に対し使用上の注意の変更を求めたところ、申請者は対応いたしました。機構は、さらに添付文書やチェックシートの記載を踏まえ、評価検討会議での先ほどの指摘事項に対する申請者の対応は適切であると判断いたしました。
続いて、「不眠、寝つきが悪いが主訴であっても、うつ病、精神疾患等、様々な疾患を背景とすることが多く、可能な限り正確な診断の下に生活指導や治療を行うことが重要であるが、受診が遅れる可能性がある。また、漫然とした使用やセルフメディケーションにより、基礎疾患の増悪、精神疾患の悪化の危惧がある。」との指摘について、添付文書の「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に、睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害、うつ病等の不眠を伴う精神疾患の治療を受けている人が設定され、また、添付文書の「相談すること」に、寝つきが悪い、かつ、これらの疾患への罹患が疑わしい人、過去にこれらの疾患にり患したことのある人は服用前に医師又は薬剤師に相談するよう記載されています。この他、添付文書の「相談すること」に、定められた用法・用量を厳守した上で、2~3回服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、添付文書をもって医師又は薬剤師に相談するよう記載されています。機構は、これらの申請者が予定している対応により、うつ病や精神疾患等による不眠への投与を回避するための一定の方策が講じられていると判断いたしました。
続いて、「フルボキサミンマレイン酸塩と併用禁忌であるほか、併用注意薬など、相互作用が非常に多い薬である。」との御指摘については、添付文書の「してはいけないこと」の「1.次の人は服用しないこと」に、フルボキサミンマレイン酸塩で治療を受けている人が設定され、また、併用注意薬についても、お薬手帳に貼るシールを配布し、使用者のお薬手帳にシールを貼付することで、併用注意薬の処方時に医師及び薬剤師の確認が可能となるよう対策されています。機構は、これに加え、医師の治療を受けている人は服用前に医師又は薬剤師に相談するよう、添付文書において注意喚起されていることから、適切に対応されていると判断しました。
9ページ中段、適正使用及び情報提供資料についてです。評価検討会議では、「メラトニンと混同されることに起因する過剰服用に伴う副作用の発現、乱用、レイプドラッグとしての使用など、不適切使用が懸念される。」との御指摘がありました。この点に関し、申請者は、本薬の乱用などに関する情報として、9ページ中ほどに示す3点を示した上で、本薬の乱用、不適正使用の可能性は低いと考える旨を説明しています。その上で、乱用対策及び適正使用のための方策として、これから御説明する方策が提案されています。販売店に対する情報提供及び適正販売指導について、審査結果も踏まえた方策を要約して御説明いたしますので、9ページ中ほど、1)-マル1及び10ページ中段以降の機構の検討内容を併せて御覧ください。
販売時に薬剤師がチェックシートにて本剤の使用対象者として適格性を確認した場合のみ販売すること。用法・用量を厳守すること。寝つきが悪いときのみの服用にとどめること。ほかの睡眠改善薬や催眠鎮静薬と併用しないことについて、使用者向け情報提供資料を用いて服薬指導を徹底すること。購入前後に医療用医薬品の睡眠薬を処方されていないことの確認及びOTCの睡眠改善薬を同時に販売しないことや、販売個数は本剤の使用対象者として適格な購入者本人に対し1個のみとすることや、短期間に再購入がある場合は当該購入者への販売を行わないようにすることを販売時の厳守事項として徹底すること。以上の方策が挙げられています。
また、製品に対する対策については、10ページ中ほどのマル2を御覧ください。製剤の外箱に、本剤の購入に際しては必ず薬剤師に相談すること、服用しても効果が認められない場合は漫然と連用しないことについて目立つように記載すること。PTPシートにも本剤の用法・用量を表示すること。製品の最大包装用量を2週間、すなわち14日分とすることなどが挙げられています。以上の乱用対策及び適正使用の方策について、機構は現段階においては、申請者の提案で差し支えないと考えますが、製造販売後の状況を観察しつつ、必要に応じ対策を変更していくことが重要であると判断しました。
また、メラトニンとの混同を回避する対策については、11ページ中ほどの2)を御覧ください。使用者向け情報提供資料に、本剤はメラトニンが含まれていないこと、また、メラトニンと誤認されることによる過量服用を避けるため、販売店向け情報提供資料に、情報提供と用法・用量の厳守による適正使用に努めることがそれぞれ記載されており、機構は現時点において、これらに加えた追加の対応は不要と判断しました。
最後に総合評価です。11ページ下段、「3.総合評価」を御覧ください。以上の検討を行った結果、機構は、こちらに記載した効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は要指導医薬品に該当し、承認条件として少なくとも3年間の安全性などに関する製造販売後調査を課すことが適切であると考えております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して、御質問、御意見があったらお願いしたいのですが、その前に一言、チェックシートに関して、修正が入っています。今、私たちが見ているのは修正後のものを見ているのですが、もしかしてWebで参加の方々はそこのところは。
○事務局 昨夜、Webの先生方にお送りしました。
○奥田部会長 入っているので、修正があるということを念頭に置いて御質問をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 チェックシートのほか添付文書と使用者向け情報提供資料、販売店向け情報提供資料と、ちょっと多く修正が発生して申し訳ございませんが、差し替え後のほうが最新の内容になっておりますので、そちらを御覧いただいて、御指摘等があれば頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 ありがとうございます。今、手を挙げられた方、よろしくお願いします。
○稲葉委員 大野記念病院の稲葉です。私は睡眠学会に入っているのですが、睡眠学会の方は、このラメルテオンとかオレキシン受容体拮抗薬というのは、GABA系の薬剤に比べたら安全性が高いということで、そちらへの移行を推奨しています。割とこういうOTCの場合に、高齢者が非常に多いので転倒骨折の問題とかがあるのですが、ここら辺を、OTCでもし出したときに、そういう問題が起こったときの対応は、余りそういう転倒の問題とかが書かれていません。
あと、まずは、精神疾患の問題、生活習慣を一応チェックしてから薬剤のほうも一緒に考えましょうという方向で、睡眠学会のガイドラインとかは言っているのですが、こういうのは高齢者の方で、割と習慣性で不眠で、2週間で薬をやめられたらいいのですが、なかなか習慣性なのでやめられないことが多いのです。こういうところは、OTCで売ったときの責任の問題、結構、医者の場合はそういうところをチェックしてカルテに記載しているのですが、ここら辺の問題というのもかなり責任が重いような気がするのですが、どういうふうにお考えなのでしょうか。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。最後の2週間の所ですが、15/301ページが販売時のチェックシートです。一番下、2週間を超えて服用しないでください、2週間を超えた服用が必要な場合は医師又は薬剤師に相談してくださいということで、基本的には2週間を超えて服用しないということでお願いしております。
○稲葉委員 多分、効かない患者さんが割と多いのですが、非常にこれが合う患者さんというのは、2週間では多分やめられないので、もし、こういうOTCの部分でずっと継続というと、場所を変えていろいろ処方とかをされて、そこで問題が起こることは一応想定されます。こういう睡眠の薬剤というのは、基本的には、このラメルテオンとかオレキシン受容体拮抗薬というのは、割と習慣性とか範疇性不眠とかは少ないと言われているのですが、これを飲んで効いていると、やはり、やめると元に戻ると。そういうところで、やはり患者さんというのは処方を長期でほしがるというのが一般的です。そういう、場所を変えて2週間。もしそこら辺で引っ掛かるのでしたら、そういう問題が出てくると思います。プロトンポンプインヒビターなどでも、むかつきとかそういうのが割と薬の服用をやめると出てくると思います。そういう問題よりももっと切実な問題を含んでいると思います。
○奥田部会長 適正使用の問題だと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。そこは販売のときに丁寧に御説明していただくのですが、同じチェックシートで申しますと、15/301ページです。真ん中より少し下、短期間の再購入でないか薬剤師さんが聞いていただいて、そこで本当のことをおっしゃっていただかないと難しいところではありますが、項目を確認して、繰り返し買われているわけではないということを確認して売っていただくということになろうかと思います。
○稲葉委員 可能でしたら、なかなか大変だとは思うのですが、睡眠学会などがいろいろな提言をまとめられているので、厚労省が睡眠学会の担当の部署に一回相談されて、この販売をどういうふうにやるかを考えられたほうが安全だとは思います。そういう問題、転倒の問題も出てないですし、精神的な疾患が隠れている場合もあるので、そういうところを注意していただきたいと思います。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今の先生の御指摘のとおり、日本医師会としても、この薬剤に関しての要指導医薬品への医療用からの転用というのは、しっかりと反対してまいりました。しかし、ここで言うべきことではないかもしれませんが、規制改革推進会議等で要指導医薬品やOTC化推進について盛んに圧力がかけられているのが現状だろうと思います。厚労省も苦慮しながら対応しているという現状があって、大変、日本医師会としてもこの状況全体を憂えている状況であります。
先ほどの消化器の薬に関する問題もそうですが、この不眠に関する問題についても、一時的な不眠による寝つきの悪さの改善などの表現で、今回のような薬を出さざるを得なくなっていることに憂えています。先生の御指摘のとおり、メラトニン受容体の作動薬や、オレキシン受容体の拮抗薬のような、医療用医薬品としてある程度長い期間しっかりと飲んで、そのことによって睡眠のリズムが改善するということを目的にするはずの薬が、OTCとなって市販されるということは大変腹立たしいことだと思いますが、なかなかそれを防ぐ手段がないので、機構や厚労省にお願いして、適切な注意喚起、チェックシート、そして販売店に対する指導内容をしっかりと書き込みをしていただかないといけないということで、先ほどから機構に大変恐縮ながらも強く言っているのはそういう意味なのです。
そのところが、まだまだ十分に理解されておりません。記載を前例主義で改めないなどの点に対し、私は強い違和感を持っており、指摘した点について機構がどのように国民のことを考えて書き込みをしていくのか、そして厚労省がそれを助けて、国民に不利益なことが起こらないようにしていくべきではないのかを私はこの審議への参加を通じて確認しております。先生もそういう御意見だろうと思いますので、是非、様々な学会等から多方面に強く働きかけていただいて、適切に国民のためになるような薬剤が国民の手に届き、そしてその際には薬剤師の先生方の助けを借りて世に出ていくようにしていただくよう、学術的な御意見を賜りたいと思っております。そして、そういう貴重な意見を機構が真摯に耳を傾けた上で、しっかりとした書き込みをしていただきたいと私は常に思っております。以上です。
○奥田部会長 どうも、宮川先生、ありがとうございます。
○一般薬等審査部長 宮川先生から、本当に御指導ありがとうございます。また先ほど、稲葉先生からも頂いた御意見、宮川先生から頂いている御意見も、前例ということばかりではなく、しっかり考えよということだと思っております。両先生から頂いた御意見を含めて、対応を検討していきたいと思います。学会との相談等も含めて、検討いたしたいと思っております。ありがとうございます。
○奥田部会長 宗林先生、お願いいたします。
○宗林委員 宗林です。立ち戻ってお聞きしたいのですが。この薬は連続的に飲むということでなくても、例えば、明日は早く起きたいから、時差を調整するときに飲むというような、1日単位の飲み方でもある程度の効果があるからということではなかったのでしょうか。1回の頓服的に飲むということで効果が得られる。私は飲んだことがないのですが、そういった感じのものかなと誤解していましたが、いかがでしょうか。教えてください。
○奥田部会長 いかがでしょうか。実際の使い方ですけれども。
○宗林委員 1日でも2日でも効果があるというデータが出ていたような気がしますが、その辺はいかがでしょうか。
○奥田部会長 よろしくお願いします。
○一般薬等審査部長 宗林先生、御指摘ありがとうございます。先生が御指摘のとおり、ずっと飲まなくてはいけないということではなくて、単回でも効果があるというふうに考えております。具体的には資料の148/301ページです。こちらにラメルテオン8mg単回投与したときの検討があります。プラセボよりも有意に短縮するということですので、単回投与でも一定の有効性はあると考えております。以上です。
○宗林委員 あくまでOTCなので、使い方としては、やはりそういうものに限るということがきちんと分かる感じで販売されるということなのではないのでしょうか。連続でずっと不眠症とかそういう方にはちゃんとお医者さんで診察し違うものを飲むという、その区別がついているのか。これは内科でも扱われて、何回分などともともと出されているように、神経内科とか、強い眠剤を出さない所でも出せる薬というふうに説明を受けていたような気がするのです。そういう意味では、単回投与とか、今日はちょっと、というふうに飲むという形が、よく分かるような形でOTCで販売するということではないのですか。そんな感じではなかったでしょうか。
○奥田部会長 もう1回、このお薬の使用法について確認をお願いいたします。
○一般薬等審査部長 先生、ありがとうございます。まず、効能・効果としては、一時的な不眠の方ということで考えております。おっしゃるように、28/301ページが使用者の方向けの御説明なのですが、3番の、このお薬の使い方ということですと、1日1回飲んでくださいということぐらいですので、特に連続してということではありません。もちろん、2週間までは連続して飲んでいただいていいのですが、連続して飲まなくてはいけないということではなく、症状があるときだけ、一時的不眠があるときだけ飲んでくださいということです。追加で申し上げますと、28/301ページの真ん中辺りの赤い四角の所に、「寝つきが悪いという一時的な不眠の症状がある時のみ服用にとどめてください」とあり、特に不眠の症状がないときは飲んでいただくものではありません。
○奥田部会長 よろしいでしょうか。
○宗林委員 ありがとうございました。その辺が、先ほど宮川先生とかがお話されているのと、今の使い方で大分落差があるかなと思うので、国民への周知をきちんとしていただければと思います。以上です。
○奥田部会長 どうもありがとうございます。適正使用は非常に大事な問題だと思います。
○一般薬等審査部長 ありがとうございます。先生から頂いた御指摘も含めまして、本日、幾つか御指摘も頂戴しておりますので、全体的に見直してまいりたいと思います。
○奥田部会長 この部分について、実際、報告書に今の段階で完璧に記載するのはなかなか難しくて、これからも、また改善していく必要があるかもしれないということが指摘されています。なかなか難しい問題だと思うのですが、やはり現時点でできることはきちんと対応をお願いしたいと思います。そこの部分については、また対応の具合を先生方に見ていただいて、その上できちんと確認をしていきたいというふうに思います。ありがとうございました。加えての御発言がなければ、議決に移りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に指定してよろしいでしょうか。
それでは、御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に指定することとして薬事審議会には文書配布による報告とさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、その他事項に移ります。その他事項1について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。その他事項の議題1として、資料6、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議の報告について御説明します。「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、欧米諸国での承認状況及び消費者・学会等からの要望等を定期的に把握し、消費者等の多様な主体からの意見を幅広く収集した上で、スイッチOTC化する上での課題点及びその解決策等について、医学・薬学の専門家のほか、医療関係者・消費者代表・産業界代表・販売関係者等に御参加いただき、公開の場で議論をしております。会議結果案については、パブリックコメントを実施し、広く御意見を頂いた上で再度評価検討会議で議論した後、確定した結果を公表しています。
1ページを御覧ください。本年11月の前回部会以降、本日までに新たにアダパレンについて会議結果を公表しましたので、結果の概要について御報告します。アダパレンは主に「尋常性ざ瘡(ニキビ)」を効能・効果として、OTC化する際の課題とその解決策について検討しています。
主な課題としては、半数近くの症例で、塗布部位に乾燥・かゆみ・熱感等刺激症状が副作用として発生すること、及び副作用の発現状況には個人差が大きいことを踏まえ、治療上、許容され得る副作用の程度を情報提供することや、使用の中止を判断するためのチェックリストを作成する必要があること等が挙げられました。なお各成分の検討結果は2ページ以降にありますので、適宜御参照ください。
今後の評価検討会議の結果についても、随時、当部会へ報告させていただきます。また評価検討会議で整理された課題点やその対応策を受け、医薬品メーカーが開発を行い、承認申請がなされることとなります。その承認の際には、当部会において御審議いただくこととなりますので、よろしくお願いします。事務局からの御説明は以上です。
○奥田部会長 ありがとうございました。
○多田委員 すみません、帝京大学の皮膚科の多田です。報告事項に対する意見というか、お伺いですけれどもよろしいでしょうか。
○奥田部会長 よろしくお願いいたします。
○多田委員 今のアダパレンについてなのですけれども、本日の会議においても、学会等と検討といったお話もあったかと思うのですが、今回のこのアダパレンに関しましては、日本皮膚科学会もOTC化は反対との立場をとっています。
それから日本臨床皮膚科医会に関しましては、議事録におきましては一定の条件を満たせばと、書いてはあるのですけれども、実際にその評価検討委員会の会議に参加されている日本臨床皮膚科医会の先生は、先ほど一定の条件を満たせばと申し上げたけれども、満たすことができないので反対となっています。評価検討会議のお二人の皮膚科の先生とも反対、そして日本皮膚科学会も反対といったような形の製剤なのです。
つまりこの薬剤は何が問題かと言うと、半数近くで刺激感が出るといったようなところです。後で読んでおいてくださいとおっしゃられたのですけれども、これは恐らくこちらの会議に出てくる際に、非常にいろいろな問題を含んだ状態で出てくるのではないかと考えますので、今日発言させていただきます。
まず、本日も海外でのOTC化の承認状況といったようなものが、ほかの薬剤で示されておりましたけれども、この薬剤もアメリカにおいて承認されていて、あとは私が調べた限りにおいては、ロシアかなと思うのですけれども、海外で承認されていて、日本でもOTC化して大丈夫なんじゃないかと思われるかもしれないのですが、日本と海外で、有害事象の発現率が全く違う薬剤なのです。
海外においては、多くても50%の有害発現発症率で、アメリカでは大体30%前後なのですけれども、日本では有害事象の発現率が80%の薬剤です。しかもアメリカにおいて、実はこれレチノイドの誘導体なのですけれども、ほかにもトレチノインやタザロテンといったような、ビタミンA誘導体の外用薬があるのですが、そちらについてはOTC化されていないのです。
なぜそれらがOTC化されていないかというと、アダパレンよりもそちらの方が有害事象の発現率が高めなので、アダパレンのほうがやはり安全性が高そうなのでということで、海外ではOTC化されているわけなのです。ちなみに他の有害事象が高めのものとは、トレチノインやタザロテンといったもので、有害事象の発現率は、海外で6割ぐらいなのです。
日本人で8割で有害事象がでているアダパレンは確かに海外でOTC化されているけれども、これは海外では3割しか有害事象が出ていないからであって、向こうで6割の有害事象がでているものはOTC化されていないといったような事実を踏まえると、恐らく海外のOTC化状況というのは参考にならないということだと思います。つまり、海外でOTC化されているかどうかではなく、日本人に対して使われた安全性の状況というのが一番重要で、それを恐らく唯一みているのが日本の皮膚科医という現状になります。
その日本の皮膚科医が、みんなこれはOTC化に向いていないと申し上げているのですけれども、評価検討委員会での会議での議論の結果を見ると、幾つかの対応策が挙げられていまして、これに対する問題を解決すれば、OTC化に持っていけるのではないかというような形にも読み取れるのです。
その場合に、実際患者さんを診ている皮膚科医が、これは薬剤師さんが対応できるような薬剤ではないといって反対しているのだけれども、それがそのままここの会議に上がってきてしまう。そしてこの会議で、今日は私、皮膚科医としているのですけれども、もし皮膚科医がいなかったり、あるいは議決に参加できないという状況で、ここを通過してしまうということになりますと、結局唯一いろいろな日本人の肌に対して起こっている問題点を非常によく見ていて、これはちょっと薬剤師さんが対応するのは無理だと言っている皮膚科医の意見が、消されてしまって、実際に国民の皆様が使って、すごく大変なことになってしまうということになりかねません。
大変なことになったときに、薬剤師さんもそれに巻き込まれますし、あとは国民の皆様がお困りの状況に対応する皮膚科医も、非常に困ってしまうということになりますので、今、承認過程で、実際に有害事象に対して唯一対応している人たちの意見がひょっとしたら反映されないまま通過してしまうという、この承認過程というのが、問題ではないのかといったところで、発言しましたけれども、いかがでしょうか。
○奥田部会長 ありがとうございます。審査のプロセスの話ですのでこれは。
○医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。これについては、評価検討委員会というのは以前と違って、いろいろな経緯があった結果ですけれども、スイッチ化の要否を判断する機会ではないと整理されていて、いろいろな議題を踏まえた上で、事前に幾つかいろいろな意見を踏まえ、それを課題として認識して、それが申請される、申請されるかどうかは別として、その課題を解決した形でないと、承認とかそういうことがなかなかできにくいということになるのだと思っています。
そういう意味でいきますと、今日頂いた先生の意見は議事録に載りますので、それも含めて一つの意見として対応させていただきたいと思います。
ただ、先ほど先生がおっしゃったように、いないときになんとかしようとか、そういうことは一切考えていませんので、むしろそれをやってしまったら、後から我々としても非難を受けるわけですので、いらっしゃらないときは例えばほかの先生にお願いするとか、いろいろなことを考えてやっていきたい。そこの辺りは我々としては恣意的なものが特にあるわけではありませんので、そういうふうに運用していきたいと思っています。
○多田委員 もちろん恣意的なものなどは、厚労省におかれましては国民の安全が一番ですから、はたらかないとは思うのですけれども、例えば本会議に参加している皮膚科医が、いろいろな企業さんとの関係で議決権を失われたような場合には、議決に参加できないというパターンもあり得るのではないかと思うのです。
また、評価検討委員会であがった対応策案にしたがって対応さえすれば薬剤をOTC化できるかもしれないと、企業は思うわけですよね。企業が開発を進められて、いろいろな準備をされて、ここに出てきても基本的には駄目なものは駄目という形になりうる。
そうすると企業としても、評価検討委員会の議事録に皮膚科医の反対意見が載っていないからOTC化に適した薬剤として開発を進めてきたのに、こちらの会議で否決されたとなると、やはり少し気の毒ですし、それがOTC化されて世の中に出てきたら出てきたで、国民も皮膚科医も薬剤師さんも、非常に困るのではないかと思うのです。つまり、この議論の土台に、こういった皮膚科医がそもそもOTC化に反対している薬剤を載せてOTC化に向けての道を開いておくというのが、どうなのかなと思いました。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。そういう意味でいきますと、先ほど議決権の話がありましたが、そういったことは確かに審議会の委員のメンバーとしては、どうしても人数が限られていて、あり得るかもしれません。その場合は例えば参考人を呼ぶとか、いろいろなことをやっていきたいと思っています。
それからまたそういう意味でいくと、事前にいろいろな意見を聞いて課題を整理するという意味で、評価検討会議があるわけで、そこにそういうものを全部入れ込んだ形で公表しているというのが、今回のやり方だということになります。
○多田委員 できれば、こうした皮膚科医が全員反対しているようなものに関しては、やはり皮膚科の学会にしっかり意見を聞いておくというのはいかがでしょうか。つまり、これも2名の皮膚科医の先生が反対されているわけですけれども、より深い議論を学会とあらかじめしておくとか、そういうことをしておいたほうが、傷口が大きくならずにすむのではないかと思いましたので、是非そういった細かな御対応のほうも検討いただければと思います。以上です。
○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。一応これも皮膚科学会に相談をしたりしているわけですけれども、これからもやっていきたいと思います。
○多田委員 よろしくお願いします。
○奥田部会長 ありがとうございました。それではほかになければ、この議題1についても御確認いただいたものといたします。どうもありがとうございました。
これで一応議題を終わったのですけれども、その他事務局から、何か本日ありますでしょうか。
○医薬品審査管理課長 本日長時間にわたり御議論をどうもありがとうございます。最後に委員の交代について御報告します。今日をもちまして、新保委員、多田委員おかれましては、要指導・一般用医薬品部会の委員を退任されます。両委員、先生方におかれましては、これまで10年間にわたり本部会に大変御貢献いただきました。事務局として感謝申し上げます。
よろしければ、お二人から一言ずつお願いできればと思います。新保委員からお願いできますでしょうか。
○新保委員 新保です、この部会に10年間参加させていただきました。この間に委員の皆様や事務局の皆様には、大変お世話になりありがとうございました。お薬の使用者の方の利便性と、一方で安全性のバランスを取るという、なかなか難しい議論をしてきたかと思います。
この部会の議論を通して、国内のセルフメディケーションがよりよい方向に進むように、お薬の使用者の方がより自立していただけるようになっていただくということを期待しているところです。ありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 どうもありがとうございます。それでは多田先生、お願いできますでしょうか。
○多田委員 私もあっという間の10年間で、大変お世話になりました。いろいろな薬剤についての議論に参加させていただきまして、皆様方の貴重な御意見を拝聴しながら、こうやって国民の健康は守られているのだなというのを、実感する日々でございました。
特に何か問題があるというわけではないのですが、ちょっとこの2回ほど、皮膚科についての薬剤の検討会の議論が、少し専門家の意見がないまま、そのままOTC化に向かってしまうような部分も若干感じられたものですから、意見させていただきましたけれども、実際にはこちらの要指導の部会においては、適切に処理されるものと期待しております。いろいろありがとうございました。
○奥田部会長 新保先生、多田先生、長いことありがとうございました。今後も引き続きサポートのほどよろしくお願いいたします。
○事務局 次回の部会についてです。次回の当部会は先日御連絡を差し上げていますけれども、令和7年2月14日金曜日15時から17時で予定しています。議題等の詳細については、改めて御連絡を差し上げます。よろしくお願いいたします。
○奥田部会長 どうもありがとうございました。それでは本日の要指導・一般用医薬品部会をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医薬品審査管理課 課長補佐(内線2737)