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第71回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録
職業安定局雇用開発企画課建設・港湾対策室
日時
場所
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)
出席者
公益代表
勇上座長、蟹澤委員、中村委員
労働者代表
西委員、松葉委員、横澤委員
使用者代表
岩田委員、吉田委員、若鶴委員
参考人
城国土交通省不動産・建設経済局建設振興課課長
小川国土交通省不動産・建設経済局参事官(建設人材・資材)付建設キャリアアップシステム推進官
古谷国土交通省不動産・建設経済局国際市場課国際展開推進官
事務局
藤川高齢・障害者雇用開発審議官
和田山建設・港湾対策室長、大原建設・港湾対策室長補佐、熊谷建設・港湾対策室長補佐
議題
(1)建設業の現状と課題について
(2)建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要
(3)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定に基づく実施計画の変更認定及び同法第31条第1項の規定に基づく建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可について(非公開)
議事
○大原補佐 では、定刻より少しだけ早いですが、ただいまから「第71回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催いたします。私は、事務局を務めます厚生労働省の大原と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、ここから着座で失礼します。まずは、マスコミの方へ毎度のお願いですが、カメラ等の撮影をされる場合は議事が始める前までといたしますので、よろしくお願いいたします。また、本日の議題3「実施計画の変更認定及び建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可」については、「審議会等会合の公開に関する方針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち、「個人に関する情報を保護する必要がある。」また、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当いたしますので、非公開の取り扱いといたします。したがって、恐縮ですが、随行の方及び傍聴していただいている方につきましては、この議題の前に、お声がけをしますので御退室いただきますよう、よろしくお願いいたします。
さて、本日の専門委員会では、公益委員の蟹澤委員、中村委員、使用者代表の吉田委員がオンライン参加となっております。音声は、聞こえておりますでしょうか。大丈夫でしょうか。
○蟹澤委員 はい、大丈夫です。
○大原補佐 ありがとうございます。次に、配付資料の確認をいたします。会場の委員におかれましては、お手元のタブレットで御確認をお願いいたします。操作方法で御不明な点がありましたら、事務局にお声がけください。保存されている資料のファイルですが、議事次第、配布資料が資料1~5、参考資料1~3、合計8種類入っております。なお、参考資料2につきましては、前回7月10日に開催をした第70回の専門委員会において、各委員から頂戴した主な御意見をまとめたものとなっております。時間の関係もあり、本日説明はいたしませんが、御参考にしていただければと思います。
続きまして、事務局の代表として、職業安定局高齢・障害者雇用開発審議官の藤川より御挨拶申し上げます。
○藤川審議官 おはようございます。御紹介に挙がりました、厚労省で建設労働を担当しております高齢・障害者雇用開発審議官の藤川と申します。前回、所用により参加することができず、誠に申し訳ありませんでした。この場をお借りして、一言御挨拶をいたします。本日は、勇上座長をはじめ、委員の皆様方には大変御多忙の中、御参集いただきまして改めて御礼申し上げます。日頃より、労働行政に御協力いただき、感謝を申し上げたいと思います。
さて、もう話題等にありますが、第10次建設雇用改善計画で、令和3年度~本年度までの5か年計画ですが、若者が展望を持って働ける魅力ある職場づくりの推進を大きな課題として掲げております。若年者の入職・定着促進とか、魅力ある労働環境に向けて基盤整備を重点的に、いろいろ計画として企画してまいりました。しかしながら、これも御案内かと存じますが、現状において建設業界の人手不足は依然として、ますます深刻な状況となってきております。前回の委員会では、人材確保や労働環境の改善の観点から、特定技能制度や、今、具体的に検討中の育成就業制度を前提とした外国人労働者の活用の話、最近も極めて深刻になっている酷暑対策と働き方改革のあり方や、CCUSの活用促進など、様々な課題について幅広く御意見を頂戴いたしました。ここでのご意見は現場の実情を踏まえた御意見というふうに考えており、是非とも、次期の11次計画に向けて真摯に受け止めて、今後検討してまいりたいと考えております。
本日は、委員の皆様、国土交通省から業界の現状や今後に向けての課題について御説明を頂くことにしております。その後、第11次計画における方向性の取組について、委員の皆様の専門的な見地から忌憚のない御意見を頂くことと承知しております。今後の議論におきましても、引き続き委員の皆様方の知見を賜りながら次期計画を、より実効性のある、地に足の着いたものとしての計画になるように進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。簡単ではありますが、御挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○大原補佐 それでは、これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。御協力をお願いいたします。
本日の出席状況ですが、公益代表の小野委員、使用者代表の堀川委員、労働者代表の初野委員が御欠席です。なお、本日オンラインで御参加されている中村委員、蟹澤委員、吉田委員におかれましては、所用のため途中で御退出の予定ですので御承知おきください。事務局からの説明は以上となりますので、以後の進行は、勇上座長からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○勇上座長 勇上です。本日もお忙しい中、専門委員会に御出席賜わりまして誠にありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いします。
それでは早速、議事に入りたいと存じます。本日は、議事次第にありますとおり、議題は3つあります。1つ目は「建設業の現状と課題について」、2つ目は「建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要」、3つ目は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定に基づく実施計画の変更及び同法第31条第1項の規定に基づく建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可について」、これは非公開となっております。
それでは、1つ目の議題に移りたいと思います。前回は、第11次建設雇用改善計画の策定に向けて、策定スケジュールや建設労働者を取り巻く状況について、事務局より説明を受けたところですが、今回から「建設業の現状と課題」と題して、関係機関及び団体へのヒアリングを行います。まず、初めに行政機関として、国土交通省不動産・建設経済局建設振興課長の城課長よりヒアリングを行いたいと思います。国土交通省から20分程度の御説明を頂いた後、各委員からの質問を20分目安に行います。その後、労働者団体として、全国建設労働組合総連合の松葉委員よりヒアリングを行い、続いて、その後、使用者団体として、一般社団法人建設産業専門団体連合会の岩田委員、一般社団法人日本建設業連合会の若鶴委員よりヒアリングを行いたいと思います。労働者及び使用者団体につきましては、3団体の説明を各10分ずつで行っていただきます。また、質問につきましても3団体まとめて進めたいと思います。
それでは、国土交通省のヒアリングから始めます。説明者の方は、自席から御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○建設振興課長城課長 ただいま御紹介いただきました国土交通省建設振興課長の城でございます。日頃よりお世話になっております。これから着座にて御説明させていただきます。本日の内容は、恐らく御存じの内容も多いかもしれないですが、少し体系的に全体を意識してまとめましたので、なるべく簡潔にいきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
資料の2ページです。まず、建設業のおかれている課題ということですけれども、建設投資額がピーク時に比べて一旦減って、その後、増加に転じているということです。就業者数はピーク時から約3割減ということになっております。3ページは、特に技能者と技術者を別に見てまいりますと、ピーク時から一旦、平成22年度ぐらいまで大きく落ち込んで、その後、下げ幅としてはやや緩やかになりつつも、技術者は若干増えていますが、技能者のほうは今、300万に減っているということと、あとは次世代への技能承継が大きな課題ということになっています。高齢の方の割合が多いということで、将来の担い手の確保が喫緊の課題ということで、我々も頑張っているところです。右側は、全産業に占める建設業従事者の割合ということで、こちらも少し減っている状況です。4ページは、繰り返しになりますけれども、高齢の方が多いということで担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上という柱で進めようとしているという背景になります。
5ページですが、主要建設資材の価格推移ということで、各建設資材が高騰して、今は高止まりが続いている状況です。こういった状況の中で確実に価格転嫁を進めることも建設業の課題となっています。以上が、概括的な話です。以降は、柱ごとにいきたいと思います。
6ページ以降は処遇改善です。処遇改善について、7ページですけれども、公共工事設計労務単価について、令和7年3月から適用するものについては、全職種全国平均で6%増ということになっております。最近の労働市場の実勢価格の反映とともに時間外労働の上限規制の対応等をしております。後ほど御説明しますが、公共工事設計労務単価を労務費に関する基準の考え方にも取り入れることとしておりまして、今後は、公共のみならず、民間工事にも関わるものとなります。8ページは、そのグラフの推移ですので割愛させていただきます。
9ページは、建設業団体との賃上げについて総理も入った車座という場で、本年2月に、技能者の賃上げについて民間工事も含め、「おおむね6%の上昇」を目的とすることと、生産性向上に取り組むことといったことを、国交省と建設業団体との間で申し合わせたものです。また、この9月にも、国交大臣、建設業団体の意見交換を開催して、こういった申し合わせを官民一体で取り組んでいることを確認したところです。
10ページ以降は、働き方改革の推進についてです。11ページは、建設業の現状ということで、年間の総労働時間が、年々減少傾向にあるものの、全産業と比べて、まだ長い状況です。それから、下のグラフですけれども、週休2日工事の推進などをやっておりますが、まだ4週8休の確保はできていないものが多くなっています。
12ページですが、建設業の働き方改革としてやっていることを示しています。令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用されておりますが、そういった規制内容の周知、公共工事における週休2日工事の対象拡大、そもそも無理を生じさせないようにということで適正な工期設定、生産性そのものを上げるという4つを、主に柱としてやっております。
13ページが、令和6年3月の話ですが、工期に関する基準の改正概要です。ポイントとしては、時間外労働規制を遵守した適正な工期とすること、特に猛暑日が昨今課題になっておりますが、猛暑日における不稼働を考慮した工期設定等を盛り込んでいます。
14ページでは、昨年度末にモデル事業事例集ということで、現場のICTですとか、バックオフィス系システムとか、4つのカテゴリーに沿って専門工事業者、元請など、様々な方の取組を事例集としてまとめたものです。
15ページ以降は、建設キャリアアップシステムについてです。16ページが建設キャリアアップシステム、CCUSと我々は呼んでおりますが、その目的です。技能者の処遇改善ということで、技能・経験に応じた適切な処遇につなげようとするものです。CCUSの概要ですが、まず技能者・事業者の事前登録をして、就業履歴を蓄積して、それが能力評価につながって、最終的に処遇改善につながるということを目指しております。
17ページが利用状況ですけれども、技能者の登録数が170万人ということで、半分超の方に登録いただいております。今後、就業履歴の蓄積を、増加傾向ですが、ますます伸ばしていくことが重要となっています。
18ページです。そういったこともあって、昨年7月にCCUS利用拡大に向けた3か年計画を公表しております。向こう3年をメリット拡大フェーズと称しまして、しっかり経験・技能に応じた処遇改善につながるように、また、CCUSを使うことが実際の事務作業の効率化につながるように、そして、就業履歴の蓄積と実際の個人の方の能力評価の拡大につながるようにということでやっております。19ページは、今の柱に沿って具体的にやることということですので、本日は時間の都合で割愛させていただきます。
20ページからは、目下、我々が最も力を入れているといってもいいのですけれども、4.建設業法等の改正についてです。令和6年6月に成立しまして段階的に施行しており、最終的な施行が1年半以内ということで、これが本年内ということになっております。
21ページは、全体像になります。担い手確保・生産性向上・地域における対応力強化を目的に、議員立法の公共工事品質確保等と、政府における閣議決定による建設業法等の改正、その両輪でやっています。特に担い手確保のところは、後ほど御説明いたします。
22ページですが、法改正の背景ということで、冒頭と少しかぶりますけれども、他産業より賃金が低く、就労時間も長い、なかなか価格転嫁が進まない、それが結果として労務費の圧迫につながってしまっている、時間外労働規制の適用開始ということで、処遇改善、労務費へのしわ寄せを防止するようなしっかりとした資材価格転嫁対策、プラス働き方改革や生産性の向上ということが法改正の背景と方向性です。
23ページが、この法律の概要ですけれども、黄色く塗った部分が今後の施行のところで、「労務費の基準」の作成・勧告と、著しく低い労務費等による見積り等の禁止について、また、工期ダンピングの対策強化について本年内に施行することとしております。
24ページですが、労務費の基準に係る新たなルールです。建設業の厳しい労働環境に見合った賃金の引上げ、処遇改善が大事ではあるのですが、その賃金の引上げのためには、原資となる労務費をしっかり契約の中で適正に確保しなければいけないということで新たなルールを設けております。右側が新たなルールということですが、まずは考え方として、処遇確保を建設業者に努力義務化しており、この点は既に施行されております。それから、適正な水準の労務費が、公共工事・民間工事を問わず、しっかり確保されて、最終的に技能労働者の賃金として支払われることを図るとしております。このために「適正な労務費の基準」を中央建設業審議会が作成して、指導・監督、そして適正な契約環境につなげていくというものです。
25ページは、そのための「労務費の基準に関するワーキンググループ」ということで、学識者の方や受発注者の方に入っていただいて、既に10回、精力的に議論をしておりますが、この議論では、労務費の基準そのものの作成だけではなく、どのように実効性を確保するかということも議論しております。こちらが、かなり処遇改善の主要な論点ですので、時間も限られておりますが、簡単に紹介させていただきます。
26ページ、これはWGの最初の頃に、これが基本方針だということで決めたものになりますが、青い矢印の所を御覧ください。労務費の基準を中央建設業審議会で定め、その基準を相場観とした見積り、契約による適切な労務費を確保する。そして、確保された労務費が各下請業者に行き渡り、技能者の方に賃金として支払われる仕組みづくり、これらのルールの行政による検証など、総合的な取組でやっていくことにしております。
27ページは「労務費の基準の作成に関する基本方針」です。中小事業者や一人親方であっても使いやすい仕様に、また、生産性をしっかり考慮しつつ、しっかりとした労務費が払われるような基準にということで、職種別に鋭意検討を進めているところです。
28ページですが、労務費と合わせて確保すべき「必要経費」というのも大事です。これまで、法定福利費の確保、それから最近では、安全衛生経費の「標準見積書」での内訳明示等々、それから、建退共掛金についても必要経費だということで要請をしてきましたが、これも建設業法の改正に合わせて、しっかりと内訳を明示すべき経費として位置付ける方向で検討しております。
これは特に内訳明示をする経費ではありますが、そもそも労務費の基準には、経費部分は含まれていなくて、必要な経費はしっかり確保されるということも、併せて発信していくことも重要と考えております。以上が労務費や処遇改善の関係です。
29ページからは別の話になります。担い手の裾野の拡大に資するものと考えておりますが、女性活躍・定着促進等にも取り組んでおります。30ページを御覧ください。この3月に業界団体の方と共同で、それぞれ官がこれをやる、民はこれをやるということで、取組内容と取組主体を明記した計画を策定しました。その柱としては、建設産業の魅力向上・発信、現場環境の改善、それから、取り組む裾野の拡大という3つにしております。女性活躍については、最初に計画を作ったのが平成26年で10年ぐらいたちますが、トップの意識改革が必要だということとか、女性活躍を入口にして、全ての人が働きやすくなるようにとか、そういった意見も計画の検討の過程で交わされまして、副題を、「トップの意識を変えて」等々と付けておりまして、こういった思いでやっております。31ページは、今申し上げたものを少し具体化しておりますので、説明は割愛いたします。
併せて、32ページですけれども、やはり魅力の発信のための、ターゲットを明確にした広報とか、現場環境改善の代表例としてトイレ環境の整備について非常にご意見が強かったので、こういったものを事例集も合わせて公表しました。
33ページですが、「若年者入職促進タスクフォース」ということで、令和5年度からやっておりますが、若年者の入職促進や業界団体の方や関係省庁で連携した職業訓練や教育訓練についての情報共有の場ということで、タスクフォースを設けております。関係省庁、建設業の関係団体、教育関係者、訓練校の関係団体で、各種情報共有、優良事例の共有などを行っております。
34ページからは、外国人労働者の受け入れについて紹介します。35ページが、外国人建設技能者の現状です。全建設技能者数の約4.9%を占めるということで、特にここ数年で急増しています。右側が、来られている国別の人数ですが、ベトナム、フィリピン、インドネシア等々が多くなっています。
36ページは、建設分野における特定技能制度の概要ということで、業種横断の基準に加えて、建設分野の特性を踏まえた上乗せの基準を設けております。上乗せ基準の内容として、受入計画の審査等がありますが、その中で建設キャリアアップシステムに登録していることなどについて計画の認定要件として、36ページにあるようなものを上乗せしております。
37ページは、全職種共通の話ですが、いよいよ育成就労制度が令和9年4月に施行予定となっていることを踏まえまして、38ページは育成就労制度そのものの概要ですが、しっかり育成して特定技能につなげていくこととなります。39ページですけれども、建設分野の外国人材の育成・確保のあり方ということで検討会を設けて、今3回まで終わっていて、第4回、第5回ということで、第5回に分野別の運用方針案がまとめられるように、外国人材の適正処遇・育成・定着、日本語教育、地域との共生、技術者人材の受入れ等の幅広い論点について、関係者が議論・検討を行っているところです。
最後に、40ページですけれども、技能者ではなくて技術者の受入れ・定着支援も行っております。「採用」「定着」「人材獲得戦略」の3つに分類して、例えば採用については、広報オンラインセミナーや説明会をするといったこと、定着については、企業へのアンケートや教育プログラムの検討、それから、人材獲得戦略についても取り組んでおります。最近は「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」というのも公表しまして、様々な実例を紹介しています。
少し駆け足になりましたが、以上、建設産業で取り組んでいることを御紹介させていただきます。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました内容につきまして、御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。よろしいですか。
非常に盛りだくさんな内容を報告いただきましたので、少し咀嚼してからという面もあるかと存じます。そうしましたら、まとめて、また後でご意見をいただくということとして、次の説明に移らせていただいてもよろしいですか。
それでは、ヒアリングを続けさせていただきまして、今御説明いただいた内容についても、御質問等ございましたら後で頂くというようにさせていただきます。
それでは、次に労働者団体のヒアリングにまいりたいと思います。全国建設労働組合総連合の松葉委員より、御説明をお願いいたします。御説明は、同様に自席からお願いいたします。
○松葉委員 ただいま御紹介いただきました全建総連の松葉と申します。資料2を御覧ください。業界の現状と私どもの取組、そして、今後の課題等ということで簡単に御説明させていただきます。
資料の2ページは、全建総連の概要ということで載せておりますので御覧ください。建設業に従事する労働者・職人を対象に、個人加入を原則とした組織で、47都道府県に53の加盟組合があり、約60万人を組織しています。国民健康保険組合や認定職業訓練校なども運営しています。
3ページは主な取組を載せております。後ほども御紹介させていただきますが、CCUSの普及促進、処遇改善や担い手確保・育成などを中心に取り組んでいます。昨今で言いますと、右側に写真を載せておりますが、JBN・工務店協会と連携して、応急仮設木造住宅の建設に、労働組合として労働者である大工を供給するという形で、復旧・復興支援活動等にも取り組んでいます。
次の4ページからは、1.全建総連としてみる業界の現状・課題です。先ほど、業界全体の話については国交省さんから資料や説明がありましたので、私どもは、組合の加入者等から見た視点でまとめさせていただきました。
2004年から2024年までの20年間で見ますと、全体で平均年齢が上がり、組織人数も9万人ほど減ってしまっています。特に建築大工は、20年前は約20万人いて、組織構成の約3割を占めていましたが、現在は10万人ほどで、組織構成の割合でも20%を切っています。左官も同様で、いわゆる町場と言われている職種が特に減っています。一方で、鳶、解体、基礎や、空調、給排水管工は人数も増えています。恐らく技能者を5人から10人ほど抱えている事業所が、鳶や解体等では一定数増えているものの、町場の事業所では減ってしまっている、雇用がなかなか進んでいないという現状が明らかではないかと見込んでいます。
次の5ページは、国勢調査の数字です。2015年から2020年までを見ると、多くの職種で10%程度減ってしまっている中で、大工・左官などは15%以上の減少になっています。一方で、とび職などではその5年間で増えているという実態もあります。今、2025年の国勢調査が行われており、調査結果は来年、詳細なものは再来年に出てくると思いますので、その動きにも、しっかり注視をする必要があります。
6ページです。これは、一般企業が行っている小学生を対象にした「将来就きたい職業」「大人になったらなりたいもの調査」で、2020年までは「大工」「職人」というのは上位10位以内の常連でしたが、2020年以降は圏外となってしまっているところがあります。コロナがきっかけで、建設現場で職人さんを見る機会が今までよりも減ってしまったのが影響しているのではないかと見られます。また、なりたい理由の2位に「人の役に立ちたいから」が上がっていることから、キャリア教育では建設業の「かっこいい」ところや、処遇とキャリアパスも見せる必要がありますが、社会的役割をしっかり伝えることが重要と認識をしているところです。
7ページは、毎年全建総連で行っている賃金実態調査の一部抜粋です。約10万人から回収しています。労働者や一人親方、事業主の方など働き方や、ゼネコンから町場などいろいろな現場で働いている方もいるので、少し分類をしています。労働者の日額平均は1万5,653円、一人親方・手間請が1万8,551円となっています。右側のグラフが一人親方の年齢別のもので、30歳から40歳未満がピークとなっておりそこから減少しています。技能や経験が反映されておらず働いた分だけの賃金実態となっています。これを若年層に将来のキャリアパスとして示すには、非常に厳しい状況になっています。
次の8ページは、平均日額と設計労務単価の推移です。コロナの影響もあり2020年から私どもの賃金実態調査では、一部下がりもしていますが2023年から2024年では883円増加と回復が見えるものの、設計労務単価との差がますます大きくなっているという現状です。
9ページから、現在、全建総連で取り組んでいることを簡単に御紹介させていただきます。まずは、組織外に向けた取組で、学校教育協力運動です。学校の授業の一環でキャリア教育として建設業で働くことの紹介などを、ものづくりマイスターも活用して取り組んでいます。また、木造住宅振興ということで、「住宅デー」に全国で取り組んでいますし、処遇改善運動や、先ほど御紹介した建設業の社会的役割としての応急仮設木造住宅や応急修理等にも組合を上げて取り組んでいます。10ページはその詳細になりますので、是非、御覧ください。
11ページからは、組織内に向けた取組です。建築大工の担い手確保・育成支援として、国交省住宅局の補助事業等を活用して大工育成等に取り組んでいます。木造建築科を中心とした認定職業訓練校も運営しており、若い技能者に目標を持ってもらうために若年大工を対象に全国青年技能競技大会を開催しています。CCUSの加入促進、資格取得に対するお祝い金、そして小零細事業所に対して働き方改革を進める支援等にも取り組んでいます。
12ページです。改正担い手3法が、組合員にとって具体化していくことを図るために、「賃上げチャレンジミッション」として、請求、要求にしっかり取り組んでいこうと掲げています。
特に、労働契約や請負契約等がなかなか書面で行われていないという現状があります。これも賃金実態調査で集計しており、いわゆる野丁場では7割以上は書面で行われている一方で、町場や住宅現場では半数以下という調査結果も出ており、まずそこをしっかり書面で行っていくことを訴えて取組を進めています。私ども組合には、労働者、一人親方、事業主とそれぞれの立場の組合員がいますので、13ページのようにそれぞれの立場に立った形で、と組むべきミッションを掲げています。
14ページは、今後に向けて、業界として取り組むべき課題です。当然これまで行ってきた技能者の処遇改善や、CCUSの活用推進をはじめとした取組を発展・強化していくことが第一。そして、(2)として、新規入職者の受け皿となる地域中小建設事業所の育成をしていく必要があります。一定規模の専門工事業者では、技能者の新規雇用と育成が進んでいると見受けられますが、いわゆる小零細規模の事業所では、以前は職人を抱えていたが今は雇用できないという事例も非常に多く聞きますので、そうした事業所に建設事業主に対する助成金を活用して雇用・育成ができるように、組合としても相談・支援ができるような形を作っていく必要があると考えています。そして、雇用・育成をすること自体に何かインセンティブが与えられるような補助・助成をお願いします。
そして、(3)は、仕事確保や繁閑調整に役立てるよう労働組合のみが行える労働者供給事業を行うため、元請企業や団体との労働協約等を結んで進めていくことです。(4)は、技能者育成は業界全体の責任として業界全体で助け合い進めていくため、「建設技能者育成基金」のような官民共同での基金を立ち上げて、業界全体で技能者育成できる仕組みを目指しいく必要があると考えています。最後に(5)として、全ての人が働きやすく業界のために外国人技能労働者の組織化、女性活躍推進の環境づくりを、労働組合として取り組んでいく必要があることで掲げています。
(4)の技能者育成基金については、最後のページにイメージ図を掲載しています。業界全体で技能者を育成して、労働組合として労働者供給ができるように取り組んでいく形をイメージしています。地域の一定規模の工務店等では、大工を直接雇用して、育成していくという動きも進んできていますが、これまで直接雇用がなかったため育成のノウハウに困り、私どもで運営している認定職業訓練校と連携して、一緒に技能者育成しているケースもあります。イメージ図はアメリカのアプレンティス制度などを参考に作らせてもらいましたが、こうした地域ごとの連携を、今後さらに進めていく必要があると考えています。私どもからは以上となります。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。最初に申し上げたとおり、続けて御報告をお願いしたいと思います。次に、一般社団法人建設産業専門団体連合の岩田委員より、御説明をお願いいたします。
○岩田委員 建専連の岩田です。よろしくお願いします。資料ですが、これは参考として見ていただいて、この辺のデータの結果を見ながら発言をさせていただきます。
現状は皆さんと同じになると思いますが、取り巻く環境と現状ということで感じている部分として、建設業を持続させていくためには、技能の継承ということが非常に重要であり、不可欠であると。受け継ぐ次世代の若者の獲得が喫緊の課題となっているわけですが、国内の人口が減少している中、全産業間での担い手確保競争が激化しており、建設業は入職したい産業の上位にはない状況で、これから標準労務費の定着により、3Kだから、この賃金と言えるような他産業以上の処遇改善が急務になっていると言えます。
そこで若者の建設業への入職定着の促進についてですが、前回の計画策定時以上に入職者の採用が困難になってきており、工業高校生なども、地場のゼネコンさんなどとの競合になっている状況です。新卒者の会社の選択として、休暇の条件が重要視されており、年間120日以上の休みが必要とか、週休2日を提示する必要がある中で、建設現場は4週6休となっており、定着や入職できない理由の1つになっているものと考えております。
室外作業である建設現場は、他産業と比べて、きつい職場であるため、他産業以上の給与の処遇にする必要があり、生涯設計が立てられるよう、技能レベルの習得により、年収などのキャリアパスを見えるようにしていくことが重要であると考えます。
次に、女性労働者の建設業への入職、定着促進についてです。全国の託児所の拡充による育成支援の強化。私は鉄筋のほうをやっているのですが、そこで毎年、20数名集めて、女性の方々に議論をしていただくのですが、やはり、子どもがネックで預けられない。8時からの始業になっていますので、早い所は朝5時頃ということになりますので、預ける所がないと。それに対して、遅れて預けてから現場に行くと、ほかの仲間から、「お前は、ええよな」というような目線で見られると。そのこと自体、職人らにもしっかり言っておくよというような話をしても、そう思われること自体が嫌なのですと。ですから、「環境として、そういうものが何とかならないですか」という声が多くありました。子どもを産んでいる人からも声としてあって、これから結婚しよう、子供を産もうと悩んでいる人は、これができないのだったら、もう産めないのではないかとか、辞めないといけないのではないかとか、そういう本音の議論などもあり、子育て中の技能者が、遠い現場、新規入場の朝早い時間帯にも通勤可能となるよう、早朝や夜の登園が可能な託児所を全国に設置することが重要課題だと考えます。大規模、あるいは工期の長い現場では、元請が託児所を設置できるよう、整備も必要ではないかという声も上がっておりました。
次に、現場環境の整備に関する法的基準の明確化と徹底ということで、非常に難しい言葉で書いていますが、特に、地方は依然として女性専用トイレ、更衣室、休憩所など、未整備の現場が多くあります。現場の基本的かつ最低限の設備基準の明確化と徹底、全国の整備が必要ではないかと思います。
あと、柔軟な就労環境の整備と育成支援の制度化については、新規入場手続の簡素化とか、ICTを活用した事前教育の導入などによって、保育所への送迎など、配慮を含む柔軟な勤務形態の実現に取り組む企業に対して、国による支援措置を是非ともお願い申し上げたいと思います。
次に、復職支援、賃金補填の制度の拡充ということで、産後・育児休暇後の復職支援と託児所の支援導入は技能者の継続的な就業を支えるとともに、人材確保への波及の効果も大きく必要不可欠な施策と考えますが、財政基盤が弱い専門工事業者には非常に負担が大きいので、小さな会社などに対する支援の検討を是非ともお願い申し上げます。ちなみに、資本金2,000万円以下が建設業者の中では、協会業者の中で8割を占めていると言われておりますので御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、外国人労働者の活用についてです。生産労働人口の減少に伴う形で、技能実習、これから育成就労という形になるかと思いますが、そこから特定技能まで幅広く外国人労働者の登用は進んでおりますが、最低賃金を目安に登用している企業も多くあり、技能レベルに応じた昇給など、日本人と同等という処遇をしっかりと実現していくことが重要と考えます。明確な職業ビジョンを持って日本で働く意識を持っている者もおりますが、建設業の場合は母国に帰って技能者になるという方は少ないため、技能実習から特定技能へと長く働ける環境を提供すべきと思います。また、技能試験に関しては、技能レベルを確認できることが重要であり、日本語の習得状況と観点が異なりますので、母国語で受験ができるようにすることも考えて検討していくべきではないかと思います。意思疎通などの会話や指示においては、他言語変換ソフトなどが開発されており、製造業においては、既に実相されている所もあって、建設面においても現在、検討を進めているところです。いずれにしても、外国人にも選ばれる日本になるための政策が重要と考えます。
「魅力ある労働環境づくり」ということで、働き方改革では、心身の健康を考える上で、過剰な時間外労働の排除が大きな観点だったと思います。コロナ禍を経て、住宅勤務やリモート勤務など、多様な働き方を提案されて、普及・定着はしましたが、建設現場は屋外が基本で、職人が現場に出ないと成果にならない業界です。そうした環境下でも休日は、世間一般が週休2日となっているところ、4週6休が建設業の実態としてあり、新卒者から就業条件で敬遠されている状況です。併せて、命に影響を及ぼす猛暑日に関して、年々増加しており、労働環境が過酷になる一方です。担い手になる若者を獲得していくためには、外で仕事をする建設業は、他の産業にはない建設業ならではの環境整備が必要と考えています。そこで、業界の習わしとして、現場を休工して、夏休みのある業界として打って出てはいかがでしょうか。月給制の確立などの課題は多々ありますが、夏休みのある業界となれば、魅力ある労働環境として、担い手の確保、また現在働いている人たちの離職者の減少、併せて生産性向上にも大きく寄与できるものと考えております。是非とも御検討をお願いしたいと思います。
次は、職業能力開発の促進・技能の継承についてです。富士教育訓練センターなど、研修に出すときには、厚労省の助成金の活用もしておりますが、基本は全額企業負担であるために積極的な活用が図られていないと思います。先ほども全建総連さんのほうからも御提案がありましたが、諸外国では、業界全体で負担する仕組みがあり、企業の負担が軽減されているため、職業訓練に出すことが当たり前になっており、資格取得と合わせた賃金評価を行っております。技能者の育成とともに、次世代の技能継承のためには、業界全体でこのような大きな枠組みを構築することが必要ではないでしょうか。教える側の問題としても、25%を占める55歳以上の技能者の有効活用は早急にしないといけないと思いますが、そのような取組が重要だと考えます。
続きまして、雇用改善推進体制の整備ということで、建設キャリアアップシステムは、建設現場で働く労働者の職歴、経験年数、資格などのカードの色によって、熟練度の見える化をして、レベルに見合った給与などの処遇を実現しようとするものであり、現在170万人が登録していると聞いております。建設業に従事する者は、CCUSに登録することで適正な雇用関係が確認されるシステムでもあることから、技能実習を含む外国人労働者も登録を義務付けられています。このCCUSでは、現場の入退場管理や、既存の建設現場の管理システムと連携することなどにより、施行体制など適正に管理できることに加え、このカード情報として諸々の資格を登録できるものです。現場の様々な書式を統一し、本システムの共通処理を可能にして効率化を図り、カード情報を提示することで、資格証の現場携帯を省略できるようにお願いしたいと思います。また、技能者のスキルアップの仕組みとして、OJTだけではなく、多くの現場を体験させる応援という仕組みがあり、これが現場の指揮命令系統などの対応によっては違法状態にあることを認知しないまま、請負として契約している曖昧な状況にあるため、CCUS下で管理することで、「応援」を適切な契約状態に置けるよう御検討をお願い申し上げます。
先ほどの全建連さんのことと相当かぶっていますが、是非とも一緒に頑張ってまいりたいと思います。以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。続きまして最後に、一般社団法人日本建設業連合会の若鶴委員より、御説明をお願いいたします。
○若鶴委員 日建連の若鶴です。どうぞよろしくお願いします。お手元の資料4で、説明させていただきます。
まず、1ページです。この5年間の振り返りを申し上げます。一番上の四角にありますが、やはりコロナと、その後のアフターコロナを契機とする需給バランスが激変し、これが建設業にかなり大きな影響を及ぼしたと考えております。また併せて、いわゆる2024年問題、時間外労働上限規制が拍車をかけて、人手不足、工事費の高騰などを招きました。
そこで、日建連での対応です。建設業の大きな特色ですが、建設業ではいろいろな労働環境は発注者と元請の一つ一つの工事請負契約に大きく依存しております。メーカーさんとかで大きく違うのがこの1点です。一つ一つの工事請負契約の中でいろいろなものを改善していかなければいけないということです。大きく影響を及ぼすのが、請負代金と工期の2点です。そこで、日建連が取り組んだこととしては、まず、工事費高騰のパンフレットです。公共工事におきましては、「物価スライド」というシステムがあり、価格高騰をある程度吸収するようなシステムがあるのですが、民間工事ではなかなか、それが困難です。それまでは、施工者が一方的に価格変動リスクを負うケースもありましたので、こういったことを何とか防ぐようにということで、日建連としては、統一した工事費高騰のベースとなるような資料を作ったところです。こちらについては、非常に皆様に好評で、価格転嫁に非常に役立ったと聞いております。
2番目が工期です。こちらにつきましては、日建連で、適正工期確保宣言というものを作成させていただきました。いわゆる4週8閉所が実現できるような工期で受注しようという運動ですが、結果として、例えば4週8閉所を達成した工事現場は、この2年間で激増しております。非常に大きな効果を得られたと考えております。ただ、そうは言いながら、下の四角です。しかしながら、足元の人手不足は更に深刻化してしまったということです。建設業は若者に選ばれないという傾向がどんどん強くなってきております。そういったことを含めて、日建連では、建設業の長期ビジョン2.0を策定いたしました。
お手元の資料の6ページ以降を御覧ください。このビジョンを策定したことについて説明させていただきます。7ページです。ビジョンの大きな構成を書いております。Ⅰ部、Ⅱ部、Ⅲ部の3部構成となっております。Ⅰ部は、2050年の話をしております。ここはどちらかと言いますと、明るい若者向けの夢のあるような話。今は、やはり若者からどうしても選ばれないということがありますので、若者に選ばれるような環境となるにはどうしたらいいのか、どのように調整していけばいいのかということを掲げております。
第Ⅱ部は、2035年に向けての建設業の課題です。既に顕在化しているものもあるのですが、それに対して10年後、こういったことをすればいいのではないかということを掲げております。そこに書いておりますが、日建連の試算としては大体、技能労働者が、この10年後に129万人ぐらい不足するだろうということを掲げております。そしてこれを克服するためには、生産性向上と入職者の増加を図らなければならないということです。特に入職者の増加が8ページ以降です。
やはり、やらなければいけないことははっきりしておりまして、選ばれる産業への変革をしなければならないということで、日建連は、ずっと「新4K」を掲げております。「給与がよい、休暇がとれる、希望がもてる、かっこいい」、今本気になってこれが建設業で実現するように向かっていかなければならないと考えております。
9ページ以降は、時間の関係もありますのでポイントのみ申し上げます。まず、処遇改善、賃金です。目標としては、異次元の処遇改善と掲げておりますが、この10年後には所得倍増、40代で平均年収1,000万円を超えるような建設業界を目指そうではないかということを掲げております。
10ページは退職金の話です。「e.建退共」の所ですが、建退共制度を抜本的に改善して、まずは退職金が1,000万円を超えるような業界にしていかないといけないのではないかということを掲げております。
11ページは、働き方・休み方改革です。建設現場におきましては、全ての現場を「土日祝日一斉閉所」にしようと。祝日は、夏季、年末年始休暇を含むということを掲げております。一方で、今の技能労働者の方々の考え方はいろいろ多様化しております。そういった意欲や環境に応じて、個人個人のベースで多様な働き方、休み方を選択できるようにしていいとしています。特に、「土日祝日一斉閉所」で言いますと、一般の方々が聞くと当たり前なのですが、これが当たり前ではない。特に祝日に現場を開けるのは当たり前というのが、そろそろこういった考えは10年後には改めなければいけないのではないかと。今、多くの若者に聞きますと、やはり他業界に行った友達と、祝日でも休みを取りたいとか、子どもが休みの祝日に一緒に団らんのときを設けたい、こんな意見を聞いております。こういったことを含めて、10年後には「土日祝日閉所」とするのが当たり前であるような建設業界にしなければいけないということを考えております。
12ページが、人材育成の強化です。イ)「学習」と「実践」を組み合わせた技能労働者育成システムを、国と業界が一体となって整備しなければいけないのではないかと。先ほど全建総連さんからもありましたが、ドイツ等のアプレンティスシップ制度を参考にしていいのではないかと考えております。
13ページが、外国人の話です。実は10年前に長期ビジョン1.0を策定したわけですが、そのとき日建連は、どちらかと言うと外国人には否定的なスタンスを取っておりました。ただ、今、いろいろ制度が整ってきておりますので、また実態として、今は外国人がいないとできないような業界になってきておりますので、外国人材が建設業の主要の担い手としてキャリアアップしつつ活動するような環境を国のほうで整備していかなければいけないのではないかということを書いております。
また、14ページは、女性活躍の加速ということで、2035年には女性就業者100万人、技能労働者20万人を目指そうということです。それ以降もまだいろいろ書いてありますが、そのうち特に3点、日建連から申し上げたいことがありますので、17ページ以降を御覧ください。
次期雇用改善計画への要望ということです。①猛暑日対策です。先ほど岩田会長からもお話がありましたが、特に、この異常気象による夏の暑さは年々年々過酷さを増しておりまして、さらに長期化が進んでおります。夏季において、従事者が一番直射日光に晒されているのは恐らく建設業界だと思っております。これは他の業界にはない特徴だと思っております。また、余り皆さんは気付かないのですが、実は屋内であっても建設業は暑い。屋内は日陰だから涼しいだろうと思われているかもしれませんが、全く違っておりまして、屋内であっても空調がない、これも過酷な労働環境であるというのは回避できない。これが今の建設業界の宿命です。また、高温時には生産性が低くなるということは広く知られていることですが、今の異常な高温は健康の維持すら危ぶまれるレベルに達しているのが現状であります。
そこで、要望事項です。まず、一番目の■です。夏季の労働時間を相対的に短く、夏季以外に長く働くような働き方。先ほど、岩田会長も言われましたが、夏の長期バカンス、あるいは暑さが和らぐ時間への労働時間のシフトなど、こういったことが可能になるような環境整備をしてはどうかということです。また、気候変動による熱中症多発傾向ですので、健康管理上の観点から、「猛暑日における屋外作業禁止」を法制化してはどうかということも、2点目に掲げております。あと3点目です。もし、「夏の長期バカンス」が実現しますと、これは若者を建設業へ呼び込むツールとして十分魅力的なものになるのではないかと考えております。ヨーロッパやアメリカみたいな感じもちょっとするような制度ではないかと。ただ今はなかなか、官民ともに発注者の理解が得られる風潮にはありませんので、こういったことを関係省庁において、発注者の理解、促進、また積極的な広報をしていただけないかということを、まず一番目に要望しております。
2番目が18ページで、②技能労働者の流動性の向上です。先ほどから説明がありましたが、建設業の技能労働者は減っておりまして、担い手確保は喫緊の課題である中、技能労働者の流動性へのニーズが高まっているということです。特に建設業は、どうしても地方の繁閑差が激しいということもあります。東京は忙しいが、ほかの地域はそんなに忙しくないということも現状としてはあります。建設業の技能労働者については、悪質な業者による中間搾取のおそれが高いということを理由に派遣が禁止されておりますので、他産業に比べたらどうしても流動性が低い。ただ、建設業が将来にわたり持続性を確保するためには、将来的には一定の条件のもとで派遣を可能とするということ、また足元では、まず既存の制度を最大限有効に活用することができるのではないかということです。今ある足元の制度としては、「建設業務労働者就業機会確保事業」というのがありますが、これは要件と実態がそぐわない等の原因で、なかなか活用が前に進んでいないと聞いております。
そこで要望事項としましては、まず、他産業にはない、キャリアアップシステムを活用すれば、技能者がどこで就業しようと、その履歴が蓄積され、技能や経験に応じた処遇が実現できることから、例えばCCUSの能力判定を受けた技能労働者については建設業者間での派遣を可能とするように制度を見直してはどうかと思っております。ただ、もちろんなのですが、ここで述べる建設業者は建設許可を取っている業者や、CCUSに登録している業者を想定しております。
また、既存制度である建設業務労働者就業者機会確保事業については、例えば、CCUSを活用することを条件に、早急に運用緩和できるのではないかと考えております。
その下に3点書いてあります。aは、対象企業については当該事業団体の直接の会員企業ではなくて、その企業と一定の取引のある二次以下の協力企業にも拡大してはどうか。bは、財産的要件ですが、「賃金不払い等の場合における事業主団体による支払保証」や、「当該事業主団体に対する第三者による債務保証」の措置を講じることによって、送出事業主の財産的要件を廃止してはどうかと考えております。ただ一方で、CCUSの活用も、ある程度の枠を定めることも必要かと考えております。
3点目は、送出事業主・受入事業主が事業者登録をしていること、対象技能労働者のレベル判定、現場での就業履歴蓄積といったことを義務付けてはどうかと考えております。
次に19ページ、3点目の要望事項です。CCUSの完全実施の実現です。先ほどから説明がありましたが、CCUSは、現在の登録技能者数が約170万人であり、技能者の処遇改善のための「業界共通の制度インフラ」として、ある程度の土台は整ってきたのではないかと考えております。特に、5年後にはかなりの広まりを持っているのではないかと考えております。ただ、一方で、CCUS本来の目的である技能や経験に応じた処遇改善のためには、登録技能者の就業履歴の蓄積(カードリーダーへのタッチ等)や、能力評価の実施が必要ですが、なかなか現状の進展が思わしくない。※に書いてありますが、就業履歴の蓄積は、国交省の低位推計の目標を2年連続で未達。登録技能者のうち、就業履歴のある者は3割程度で停滞ということです。また、能力評価の実施は7%ということで、これもまだまだ進まないところです。
2028年度に、初めての技能者登録の更新を控えていますが、技能者が処遇改善を期待できる状況を実現するためには、施策を総動員して、今後数年内には公共工事・民間工事を問わずCCUSの完全実施をぜひ実現させていただきたいと考えております。
要望事項を幾つかポイントのみ述べさせていただきます。まず、CCUSレベルに応じた賃金の支払いの徹底です。建設Gメンと労基署との連携による指導や通報制度等の実効性ある手段によりまして、CCUSレベルに応じた賃金の支払いを担保する。こういったことを実施していただきたい。
次に、建退共ですが、こちらもCCUSのレベルに応じた建退共掛金を実現して、最低でも退職金1,000万円を超える額が確保される仕組みを構築していただきたいと考えております。また、外国人についても、CCUSの登録のみならず、就業履歴の蓄積や能力評価の実施を原則としてはどうかと考えております。
4番目は、公共工事におけるCCUS活用の義務化です。第一次国土強靭化実施中期計画(閣議決定)ですが、この目標達成に向けて、全ての公共工事において、入札契約を通じたCCUSの就業履歴の蓄積や能力評価の義務化を図ってはどうかという要望です。
5番目です。ただ、そうは言っても、なかなか中小企業にはいろいろな制約がありますので、国や建設業振興基金等による技術的支援や財政的支援の充実を図っていただきたいという要望です。
最後は、これは小さな話ですが、結構大きい声です。CCUSに安全衛生関係の資格者情報を登録した技能者については、資格者証の携帯義務を免除していただけないかという声が強く上がってきておりますので、こちらを強く要望いたします。簡単ですが、日建連の説明は以上です。
○勇上座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの3名の委員からの御説明と、その前の国交省より御説明のあった内容を含め、御質問等がありましたら御発言をお願いいたします。吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 沼田土建の吉田と申します。キャリアアップの能力評価のことで、ちょっとお話をさせていただきたいのですが、能力評価がきちんと運用できれば本当に、技能者のやりがい創出や処遇改善につなげることができるなと感じてはいるのですが。ただ、キャリアアップのカードタッチの前に、技能者の立場、要するに班長とか職長といった立場や職種などが設定されていないまま毎日現場で、せっせとカードタッチしているという事例が多いのではないのかなというように感じています。きちんと職長という立場で、何か月以上といったことで、能力評価につなげられればいいのですが、本当に、ただ現場の入退場の履歴だけをせっせと積み上げているというような事例が、当社では意外と多いので、ちょっとそのように感じております。
ただ、そんな中でも、しっかりと登録をしているという企業がありまして、それは外国人を多く雇用している企業です。そこは本当にきちんと、立場や職種を明確に登録されて積み上げています。こんなことを言うと外国人をキャリアアップ促進の道具にしているように感じるかもしれないのですが、外国人雇用の拡大が、キャリアアップシステムの定着、拡大につながるのではないかと、突破口になるのではないかなというように感じている次第です。簡単な意見なのですが、以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。能力評価の推進・促進に関して、貴重な御意見、情報を頂いたと思います。今の点について、何かございますか。
○参事官(建設人材・資材)付建設キャリアアップシステム推進官小川推進官 国土交通省の建設キャリアアップシステム推進官の小川と申します。貴重な御意見をありがとうございます。大きく2つ、登録自体、職長とか立場を登録していない方がいらっしゃるのではないかというお話と、外国人のお話と2つあったかと思います。前者については、国土交通省としては、CCUSという制度は業界全体として処遇改善や能力評価を目指して進めている施策ですので、そこは是非、単なる入退場だけではなく、そういった職長、班長さんといった立場、あとは資格といったこともちゃんと登録するような形で是非進めていただきたいなとは思っております。
最初に登録する際、1回登録すると、後はタッチすればいいので割と簡単なのですが、やはり、どうしても最初の技能者の登録の所で、登録する項目が多かったり、その資格を登録する際に、いちいちスキャンしたり写真を撮ったりしてアップロードしてと、その辺の最初の技能者の登録の所で、まだ改善の余地があるという声は頂いているところです。現在は、そういった登録の際に、CCUSのアドバイザーという形で、主に行政書士の方に御協力いただいてやっていただいているのですが、最初の登録や、そのサポートはさせていただいているところです。それは国土交通省だけではなくて、運営主体である建設業振興基金等が主に中心になってやっているところですが、先ほどの委員の御意見を踏まえまして、そこの最初のハードルと言いますか、最初の登録の所は、今後もそういうアドバイザーを活用するなどして、より皆さんがちゃんと、単なる入退場管理だけではなくて、能力評価なども含めて、そういうのも見込んだ上で各種詳細に登録いただくことを目指していきたいなと思っております。
2点目の外国人の活用というところで、むしろ、外国人のほうがちゃんと登録しているのではないかといった御意見を頂戴いたしました。現在、新たな育成就労制度が今後スタートするときに、では、建設業でどういう形でやるのかというのは、今、正にあり方検討会のほうで議論を進めているところです。その際に、CCUSを活用できるのではないかといったお話は各委員からも頂戴しているところですので、そちらのあり方検討会での議論、先ほどの御意見も踏まえながら、どういう形が良いのかというのを今後、検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○勇上座長 吉田委員、よろしいでしょうか。
〇吉田委員 詳細の登録といったところでは、結構そういった手当を頂いているかなと思うのですが、送出しの際に、この技能者をこの現場には職長で入れるとか、この人を安全衛生責任者で入れるとか、そういう立場の紐づけというのは、各専門工事業者の企業のほうで送出しの際に都度、設定する必要がありますが、立場や職種の設定をせずに送り出し、空のままタッチをされているというような事例が結構見受けられるので、そこをちょっと申し上げたかったのですが。
○勇上座長 補足の御説明を頂きましたが、よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに、御意見などありますか。岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 今おっしゃられたのは、恐らく我々の代わりに言っていただいたのかなと思うのですが。今日は職長で、こっちの現場へ行くと職長ではないケースなんかもあって、日々、我々が入力をし直さないといけないというか、この現場では兵隊です、ここは職長ですというような、職長が変わったりすることもあるので、そのことをおっしゃられたのかなということなので、また後で御説明をしたいと思います。
全建総連さんの御発表の中で、雇用を進める企業へのインセンティブというのは、全面的に我々の代わりに言っていただいたのかなと思うのですが、総連さんの中で一人親方がたくさんおられるではないですか、雇用を進めるということは、どこかの企業に所属する、ということは会員数が減ることにならないのかなとか。何か、その辺のところのバックアップとか、この御説明の中で、ある時から町場から野丁場に流れたのか、町場は減っているけれども野丁場が増えているというような、会員が増えているというのは、たまたま加入がそういう傾向にあったのか、それとも、ゼネコンのほうが処遇が良くなったからそうなったのか、この辺のところ、もし、分かる範囲であればと思います。
あと、アプレンティスシップの件について、一緒に視察で行って来ましたので、アメリカのユニオンの例が日本に合うのか、それともヨーロッパの形が合うのか、徒弟制度と言われるものが合うのか、そこはちょっとあれだと思うのですけれど。いずれにしても、ここを分かりやすく書いていただいて、現在、我々のほうも、「技能者の雇用・育成の在り方検討会」というものがあり、そこで、やはり国が関与するような建設技能者の育成システムがいると。今現在は職業訓練校、当然、総連さんもお持ちですし、各地で、自分らのために立ち上げたというのは、ぽつぽつ立ち上がっていると。でも、職種が偏ったり、いろいろしているので、そこはやはり、国として体系的な教育システムを作るべきではないかというのは、我々も日本だけが、これがないので、是非とも、一緒に検討していただければなというように思います。
最後に、日建連さんのおっしゃられた派遣というか、人の流動化に対するお考えですけれども、やはり繁閑調整という意味合いもあるのですが、でも、これは基本に立ち返って考えていただくと、CCUSは能力評価と言っていますが、我々は能力評価とは思っておらず、あれは資格と経験年数で、技能者が得られる最低限見える化した年収や権利を明確化したものだと考えており、やはり能力評価はどこまで行っても現場を預っている親方がするべきものだろうと、そうしないと、こちらの現場では職長だけれど、こっちに行ったら兵隊なのですという現場の例もありますので、このCCUSを活用して、賃金を紐づけるというところまでやっときましたので、こうなると、今まで取らされていた資格や、やらされていた制度みたいな枠組みから抜け出して、職人が取りたい資格や、取り組みたい制度というものに変わっていきますので、そうなったときに、1つの現場で体験するスキルという、現場はもう、一品生産ですから、この現場で得られるスキルというものだけではなくて、空いてるときにいろいろな現場を体験させて、どんどんスキルアップをさせて資格に合格するようにするなど、そのスキルアップという意味が、ものすごく今回のCCUSでの賃金評価や処遇改善につながれば、つながって連動してまいりますので、職人たちも目の色を変えてやり始めるというような状況になろうかと思いますので、是非とも、これまでの枠組みとはちょっと違った、よその産業とは違った切り出し方というか、産業別の考え方として、建設業のあるべき姿というか、人の流動化、また、スキルアップについての議論が深まっていけばいいなと。そうしないと、結局、形はできたけれども、現場で職人任せになっていくというか、企業側もサポートがなかなかしにくくなっていくということにもなりますので、是非とも御検討いただければと思います。ちょっと長くなりましたけれども、先ほどの総連さん、もし、分かる範疇であればよろしくお願いします。
○勇上座長 ありがとうございます。松葉委員、いかがでしょうか。
○松葉委員 ここに掲げている新規入職者、地域中小建設事業者と申しますのは、簡単に言うと、数十年前は、例えば、5人未満の個人事業所でも、数年に1回は若い技能者を雇用して育成をしていました。一人親方も、弟子を抱えるということがあったのですが、現在はなかなか担い手がいないというのもありますが、今は経営上も厳しく雇用することができないという実態があります。
若い子を、地域でちゃんと育てていかなければいけないという思いはあっても、そこになかなか踏み出せないでいる個人事業所や、一人親方もいるので、そのインセンティブになる、雇用を支援する助成金も活用できるサポートが必要だということで申し上げた課題です。全員、一定規模の会社に社員化することがベストだということではありません。
ただ、もちろん一定規模の企業で技能者を社員化するという方向性は、全く同意というか、賛同をいたします。その上で、求人を100人出しても、なかなか50も集まらないというような実情があるというのは聞いています。その分子を増やすことも大切ですが、雇用をしようと思う事業者を増やしていく、分母を増やしていかなければいけないという視点で、ここに課題として載せさせていただきました。
私どもの組合員でも、以前はいわゆる町場の個人事業者も若い技能者を雇い、一定数保たれていましたが、雇用が難しくなり自然に減少してしまっている。一方で、野丁場の鳶や解体などの中小・零細事業所、特に5人未満の事業所では技能者雇用を進め、従業員数を増やして組合に残っているので、増えているという実情があると認識しています。
建設業全体の動きや現状には、いろいろな数字があります。例えばCCUSの普及状況や賃金・単価などの処遇、休日取得、そして技能者の数など。それが職種や現場、地域などによっての差が非常に生じてきているという実態がありますので、その不十分な所をしっかり洗い出して、そこにテコ入れをしていかないと、建設業全体としての動きになっていかないのではないかと危惧しています。一部の所だけで業界全体が良くなったというようには言えないと認識しているため、そこに対するテコ入れを、是非、今後の計画で力を入れていただきたいと考えています。
○勇上座長 ありがとうございます。そのアプレンティスシップに関して、蟹澤委員は所用により中座されたということなのですが、コメントを頂いておりますので読み上げさせていただきます。
「本日、発表を頂いた皆様の御意見に賛同いたします。事業者、技能者ともCCUSに登録されていること、建設業許可があり、社会保険未加入者等は許可が得られないこと、外国人はJACがあること等々を前提として、新しい制度設計が検討されることを期待いたします。担い手確保・育成については、アプレンティスシップについての検討が最重要と考えております。よろしくお願いいたします。」ということです。今、松葉委員、岩田委員、蟹澤委員も、担い手の育成についてご意見を頂きました。松葉委員の資料ですと、建設技能者育成基金のアイディアを出していただいたり、いわゆる見習い訓練についてのお話が幾つか挙がったりしておりますが、この点について、厚生労働省のほうから、いかがでしょうか。
○和田山室長 建設・港湾対策室長の和田山です。私のほうから、担い手確保、訓練の在り方について総体的に御回答させていただければと思います。
これから、若者の確保・定着、次世代を担う労働者の技能継承は重要なこととであり、私どもの職業能力開発に関する取組をますます進めて必要があるとの認識です。建設業に興味を持つ求職者や学生の方に対しては、業界の魅力の発信、それから、基礎技能修得に向けた訓練の充実といった中で、今の我々の制度の中では、認定職業訓練や公的職業訓練の中で実施をしており、また、在職者に対するキャリアアップに資する訓練などを実施しているわけですが、こういったところの充実を図ることが本当に重要であると思っております。次の計画においても、建設業を担う人材の訓練の在り方というところも大きなポイントとなるかと思いますので、よくよく今日の御意見も踏まえながら、計画策定の論点として考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 これは、次の計画に入れるかどうかは別として、意見として、日建連さんも全建連さんもそうだと思うのですが、我々としても、スキルアップのための人の流動化をどう図っていくかという人的資源の有効活用という観点で、ここは是非とも議論の中に、こういう話があるということに関しては是非とも挙げていただきたいと思いますし、それをどうするかということは、これから一番、当然、これまでの法的な枠組みもあるのも存じております。でも、そうしないと、という場面に我々の切実な声として上がってきているのだということも、労政審のほうでも、もし意見することがあれば、挙げていただければと思います。
○和田山室長 ありがとうございます。人の流動化というところで担い手不足の中で非常に重要かなと思っております。そういった中で、今、法制度の中で規制があり、建設業における重層下請構造の中で、雇用管理を確立できていないというところについての懸念があるということで一定の規制をかけさせていただいているというところですので、非常に難しい課題かなと思いつつも、今、この建設業に置かれている状況を踏まえ、どういうことができるかを、引き続き我々としても考えてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかに御質問や御意見等、いかがでしょうか。特にないですか、よろしいですか。この点も後ほど、もし、お気付きの点がありましたら、また御発言いただくとして、1つ目の議題は、一旦ここまでとさせていただきます。
次に、2つ目の議題に移ります。2つ目の議題は、建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要について、事務局より御説明をお願いいたします。
○熊谷補佐 建設・港湾対策室の熊谷と申します。よろしくお願いします。着座にて説明をさせていただきます。それでは議題(2)の「建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要」については、資料5に沿って御説明させていただきますので御覧いただければと思います。
例年、厚生労働省と国土交通省におきまして、共同で建設業の人材確保・育成に関する予算の概要を取りまとめて公表しているところです。今月1日になりますが、令和8年度の予算概算要求を取りまとめて公表いたしましたので、その内容についてポイントを絞って御説明させていただきます。
1ページを御覧ください。全体像につきましては、資料中央に記載のとおり、国交省と厚労省が連携しましてCCUSの普及促進に向けた取組を中心に、人材確保・人材育成、また、魅力ある職場づくりを柱に予算要求をしております。
2ページです。こちらは全体の要求額規模と柱ごとの事業項目となっております。左側には国土交通省の取組、右側には厚生労働省の取組となっております。事業名の頭に菱形マークがありますが、黒色は建設業に特化した支援、白色が他の産業も含めた支援となっております。
それでは、ここから令和8年度要求の新規拡充事業を中心に簡潔に説明をさせていただきます。なお、説明につきましては引き続き資料5に沿って行いますが、参考資料3として要求事業の個票を用意させていただいておりますので、参考として、併せて御覧いただければと思います。
資料5の3ページです。まず、国土交通省の要求内容となっております。個票については、1、2ページになっておりますので併せて御覧ください。まず、人材確保に関するものとして、3つ目の○の「建設業の生産性向上の促進」を新規に計上しております。将来の建設業行政の検討材料とするため、ICT導入に係る生産性向上策の深堀調査、また、経営事項審査等の企業評価の見直しの検討を実施する内容となっております。
また、本ページの一番下の○の「建設業への入職促進に向けた魅力発信事業」も新規で要求しております。こちらは工業高校生などの建設業への就業有望層に向けたPR手法、また、就業に当たっての阻害要因といったものの解消に向けて調査を新たに実施するものです。
5ページに移ります。ここからは厚生労働省の要求概要となっております。まず、人材確保に関して、一番上の「建設事業主等に対する助成金による支援」についてですが、幾つか拡充しております。まず、助成金の2ポツ目ですが、人材確保等支援助成金の若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースになります。個票は4ページになりますので併せて御覧いただければと思います。
本助成金は、若年者及び女性労働者の入職・定着を図ることを目的に、建設事業主等が実施する魅力発信、理解促進の取組、また、入職者への研修会の取組や雇用管理研修といったものの実施などについて、現在、それぞれ女性対象として支援しているところですが、この事業の中に、今回、新たに追加しますのは、入職前の魅力発信から入職後における教育訓練、更にそれを定着までを一体的に行う取組をした事業主に対して、通常の助成額に加え、更に上乗せで助成をしようと考えているものです。
具体的に申しますと、例えば入職前の見学会などを実施したり、当該見学会に参加した学生などが当該事業所へ入職して、入職者研修などを実施した上で半年間定着した場合に、インセンティブとして1人当たり42万円を上乗せで支給するような形で考えております。
こちらは高齢化や新規高卒者の離職率が他の産業より高い建設業においては、若年者等の人材確保・育成と定着の両面で課題を抱えているということもありまして、入職前から定着までを一体的に支援することによって、人手不足対策を進めていこうという考えです。
助成金ではほかにもあります。個票は4ページになります。赤字で記載しております。CCUS関係としては、3ポツ目の※事業主団体の登録手数料補助に係る助成、また、4ポツ目のCCUSカード登録者を技能実習で受講させた場合の賃金助成額の1.1倍措置について、それぞれ今年度限りとしていたものを、来年度も延長する方針で要求しております。
資料5、次に3つ目の◇の「ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援」についてです。個票は6ページです。併せて御覧いただければと思います。人材確保対策コーナーの設置箇所の増設と、それに伴う職業相談員の増加など、実施体制を拡充していくものです。
資料5の7ページです。魅力ある職場づくりの推進に関する取組としての1つ目の◇の「働き方改革推進支援助成金による支援」についてです。個票は7ページです。この助成金につきましては、令和6年4月からの時間外労働の上限規制が適用された建設業などの業種を対象に、業種別課題対応コースを設けまして、労働時間の短縮等に取り組む中小企業等を支援しており、例えば建設業に対しては、業界の状況を考慮した固有の成果目標を設置し、週休2日制の導入に対する支援などを行ってきておりますが、選択可能な成果目標を新たに新設するなど、より幅広い取組を支援していくこととなっております。
次に、3つ目の◆の「雇用管理責任者等に対する研修の実施」についてです。個票は8ページです。これは委託事業により雇用管理責任者に対して研修会を実施しているものですが、これまで実施してきた若年労働者を指導する立場にある者に対するコミュニケーションスキルを学ぶ研修に加えて、女性と外国人の従事者が増加してきていることを鑑み、女性労働者の雇用環境整備等に関する研修、また、外国人労働者の言語や文化の違いによる誤解等を防ぐ目的のための研修など、女性と外国人に特化した研修を新たに新設するものとなります。
最後、8ページです。1つ目の◇の「個人事業者等の安全衛生確保支援事業」についてです。個別票は9ページです。併せて御覧ください。こちらは個人事業主等による災害防止を目的として安全衛生教育、工事現場への巡回指導を行うことに加えて、改正労働安全衛生法の内容に関する説明会を新たに実施するものとなっております。説明は以上となります。
これらの要求につきましては、今月から財務省に対して、各担当部署から説明をスタートしているところです。それぞれの事業におきまして、必要性をしっかりと説明して予算が確保できるように進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいま事務局より御説明がありました内容について、御意見や御質問等がございましたらお願いいたします。横澤委員、お願いします。
○横澤委員 横澤でございます。ただいま御説明いただいた概算要求内容につきまして、質問を2点と意見を1点述べさせていただきたいと思います。まず質問の1点目は、資料の中で厚生労働省の部分では施策ごとに要求額が細かく示されております。一方、国土交通省のところで、例えば3ページの人材確保の部分を見ますと、全体の要求額しか示されておりませんけれども、施策ごとの要求額が分かればお伺いしたいと思います。
2点目は、資料4ページの「暮らし維持のための安全・安心確保モデル事業」についてです。災害対策の側面が強い施策のようにも受け取れるのですけれども、具体的に建設業の人材確保にどう寄与するものなのかをお伺いしたいと思います。
最後に1点、意見を述べさせていただきます。各施策の要求額を見ると、厚生労働省と比較して、国土交通省の要求額が少ないように感じられます。各省庁の所掌に基づいて検討されたものと理解しておりますけれども、人材確保や育成は産業政策的側面も含んでいると考えておりますので、建設業の魅力向上や人材確保に向けて、国土交通省をはじめ関係省庁それぞれで必要な予算をしっかりと確保していただくようにお願いしたいと思います。以上でございます。
○勇上座長 ありがとうございました。御質問と御要望があったものと存じます。それでは、国土交通省よりお願いします。
○建設振興課長城課長 御質問ありがとうございます。結論としては、これ以上の内訳については今、申し上げにくいところではあるのですが、参考資料3の1ページ目になりますけれども、建設業の施策というのが、担い手確保・生産性向上・企業戦略ということで、かなり密接に関連するということで、非常に様々な内容をやるものに関して、全体を、担い手確保等を通じた持続可能な建設業の実現という施策・6.62億円というお示しの仕方をしてございます。当然、これからの予算折衝を通じて、しっかり必要なものに必要な予算が確保できるように頑張ってまいります。次の2ページ目が、具体にやることの全体像になりますが、内容がかなり多岐にわたるものについて調査等するということで、この一つ一つに対しての予算額はお示ししていないのですけれども、全体としてしっかりやってきたいと思います。
○勇上座長 もう1つは、暮らし維持の取組についてですね。
○建設振興課長城課長 失礼いたしました。暮らし維持のための安全・安心確保モデルは、我が省の住宅局のほうでやっているものですが、参考資料3の3ページになります。「住宅・建築物防災力緊急促進事業」の内数ということになっておりますけれども、住宅についても担い手不足の懸念というのが、建設業と同様にございますので、災害発生時に備えてモデル的取組をやることを支援するということです。ひいては、担い手確保につながるということで、今回、入れさせていただいております。
あと、先ほど回答が漏れてしまいましたけれども、厚労省さんに比べて国土交通省の要求額が少ないのではという御指摘を頂きました。実際に職業訓練とか、そういった部分は厚労省建設・港湾対策室さんなどで対応されつつ、我々のほうでは担い手確保に向けた政策検討をするということが主な役割分担になっております。先ほど私の説明の中でも、若年者入職促進タスクフォースの話もさせていただきましたし、こういった共同プレスというのもありますので、それぞれの役割で要求をしつつ、しっかり内容面で連携して取り組んでいきたいと思っております。
○勇上座長 ありがとうございます。横澤委員、いかがですか。
○横澤委員 御回答ありがとうございました。予算の状況については承知いたしました。できれば、次回は具体的な施策の内容と個々の予算額を、示せるものについては示していただくようにお願いしたいと思います。
2点目の暮らし維持のための安全・安心確保モデルの事業につきましては、是非、建設業の人材確保につながるようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
○勇上座長 ありがとうございました。それでは、そのほかに御質問、御意見等はいかがですか。岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 前もお願いしたのですけれども、普通高校が主なのですね、今も。工業高校は地場、ゼネコンさん、元請のほうに行くので、少し普通高校生の手助けしていただけないかなと。これは実際に普通高校で、高校2年生で工業高校であれば3級の資格を取って、経験なしで3級を持っていると、3年生で2級を取れるという。実際にそれで来た子もいて、よその就職した子と比較して高いのですね、やはり資格を持っている分、というインセンティブにもつながりますので。ただ、この試験、トレーニングをする上でのあれは、やはり大阪府、その費用を決めるのが各地方自治体になっているようで、それは助成金に対して府が決めていくということになっているようですので、そういうところも手厚くしていただくことによって、大学ではなく、働かなければいけないという子が職業選択をする上で、建設業はものすごくトレーニングをして資格取ったら賃金が上がるのだったら、行ってみようかと思えるような手厚い支援を、これからは工業高校生ではなく普通高校生になるのではないかと思いますので、是非とも御検討をお願いしたいと思います。
○勇上座長 ありがとうございます。和田山室長、いかがですか。
○和田山室長 ありがとうございます。最近は、工業高校の生徒さんも就職の選択をせずに大学へ進学を選択することが多いと、企業様からの御意見をよくお聞きするのですが、なかなか高卒でも採用できないとお聞きすることがあるので、そういうのが現状なのかなと思っております。そういう中、人材不足の中、大卒者にこだわらず積極的に高卒者を採用する企業が多くなっているということもお聞きします。高卒就職者の方が、早いうちから技術を磨いていただいて大卒者と変わらない賃金を得ることも人材確保策の一つかとも思っています。引き続き高校生を対象とした魅力発信事業も推進してまいりたい。
そういった中で、今、岩田委員からありましたが、工業高校だけではなく普通高校もターゲットにしていくことが非常に重要かなと思っており、先ほどご説明いたしまいした予算算資料5の5ページの真ん中ぐらいに、◆の所の「つなぐ化」事業の実施というのがあると思いますけれども、これがいわゆる学校の生徒さんと先生方と業界をつなぐ機会として、出前授業や職場見学会を実施する授業というものであり、今、非常に人気のある事業であります。経営者の方からも、これをうちもやってもらえないかという声を多く寄せられている事業です。これは今、工業高校が中心なのですけれども、普通科、普通高校にも広げられないかと思っておりまして、見直しを図っているところです。この事業を使いながら魅力発信、担い手確保というところを努めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○岩田委員 是非ともお願いしたいと思いますが、出前講座を10何年か前から関西でもずっとやっていまして、年間700名ぐらいやっていたのです。大学、工業高校、普通高校に行けなかった理由として、授業の時間で進学する子たちも含めてやるというのが、なかなか一緒にはできないと。そうすると、夏休みにやってくださいとか、そういう意味で、夏休みにやる受講する上での費用負担が非常に大変になってきて、親からすると、授業でやってもらえるのだったらいいけれども、別にお金を払って、休みを別枠で取って、何時間以上という制限か何かが掛かっていたと思います。8時間か、10何時間だったか、それで2日やらないと駄目なのです。そういうところも是非とも緩和をお願いできればなと思います。これが、うちも普通高校ばかりです。工業高校は来ないです。よろしくお願いします。
○和田山室長 要望として承りました。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかはいかがですか。よろしいですか。それでは、特にないようでしたら、議題2は、以上とさせていただきたいと思います。
それでは、最後の議題4に移ります。実施計画の変更認定及び建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可についてです。こちらについては非公開とさせていただきますので、傍聴の方は、ここで御退席をお願いいたします。
それでは、ここから着座で失礼します。まずは、マスコミの方へ毎度のお願いですが、カメラ等の撮影をされる場合は議事が始める前までといたしますので、よろしくお願いいたします。また、本日の議題3「実施計画の変更認定及び建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可」については、「審議会等会合の公開に関する方針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち、「個人に関する情報を保護する必要がある。」また、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当いたしますので、非公開の取り扱いといたします。したがって、恐縮ですが、随行の方及び傍聴していただいている方につきましては、この議題の前に、お声がけをしますので御退室いただきますよう、よろしくお願いいたします。
さて、本日の専門委員会では、公益委員の蟹澤委員、中村委員、使用者代表の吉田委員がオンライン参加となっております。音声は、聞こえておりますでしょうか。大丈夫でしょうか。
○蟹澤委員 はい、大丈夫です。
○大原補佐 ありがとうございます。次に、配付資料の確認をいたします。会場の委員におかれましては、お手元のタブレットで御確認をお願いいたします。操作方法で御不明な点がありましたら、事務局にお声がけください。保存されている資料のファイルですが、議事次第、配布資料が資料1~5、参考資料1~3、合計8種類入っております。なお、参考資料2につきましては、前回7月10日に開催をした第70回の専門委員会において、各委員から頂戴した主な御意見をまとめたものとなっております。時間の関係もあり、本日説明はいたしませんが、御参考にしていただければと思います。
続きまして、事務局の代表として、職業安定局高齢・障害者雇用開発審議官の藤川より御挨拶申し上げます。
○藤川審議官 おはようございます。御紹介に挙がりました、厚労省で建設労働を担当しております高齢・障害者雇用開発審議官の藤川と申します。前回、所用により参加することができず、誠に申し訳ありませんでした。この場をお借りして、一言御挨拶をいたします。本日は、勇上座長をはじめ、委員の皆様方には大変御多忙の中、御参集いただきまして改めて御礼申し上げます。日頃より、労働行政に御協力いただき、感謝を申し上げたいと思います。
さて、もう話題等にありますが、第10次建設雇用改善計画で、令和3年度~本年度までの5か年計画ですが、若者が展望を持って働ける魅力ある職場づくりの推進を大きな課題として掲げております。若年者の入職・定着促進とか、魅力ある労働環境に向けて基盤整備を重点的に、いろいろ計画として企画してまいりました。しかしながら、これも御案内かと存じますが、現状において建設業界の人手不足は依然として、ますます深刻な状況となってきております。前回の委員会では、人材確保や労働環境の改善の観点から、特定技能制度や、今、具体的に検討中の育成就業制度を前提とした外国人労働者の活用の話、最近も極めて深刻になっている酷暑対策と働き方改革のあり方や、CCUSの活用促進など、様々な課題について幅広く御意見を頂戴いたしました。ここでのご意見は現場の実情を踏まえた御意見というふうに考えており、是非とも、次期の11次計画に向けて真摯に受け止めて、今後検討してまいりたいと考えております。
本日は、委員の皆様、国土交通省から業界の現状や今後に向けての課題について御説明を頂くことにしております。その後、第11次計画における方向性の取組について、委員の皆様の専門的な見地から忌憚のない御意見を頂くことと承知しております。今後の議論におきましても、引き続き委員の皆様方の知見を賜りながら次期計画を、より実効性のある、地に足の着いたものとしての計画になるように進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。簡単ではありますが、御挨拶といたします。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○大原補佐 それでは、これから議事に入りますので、カメラ等の撮影はここまでといたします。御協力をお願いいたします。
本日の出席状況ですが、公益代表の小野委員、使用者代表の堀川委員、労働者代表の初野委員が御欠席です。なお、本日オンラインで御参加されている中村委員、蟹澤委員、吉田委員におかれましては、所用のため途中で御退出の予定ですので御承知おきください。事務局からの説明は以上となりますので、以後の進行は、勇上座長からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○勇上座長 勇上です。本日もお忙しい中、専門委員会に御出席賜わりまして誠にありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いします。
それでは早速、議事に入りたいと存じます。本日は、議事次第にありますとおり、議題は3つあります。1つ目は「建設業の現状と課題について」、2つ目は「建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要」、3つ目は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定に基づく実施計画の変更及び同法第31条第1項の規定に基づく建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可について」、これは非公開となっております。
それでは、1つ目の議題に移りたいと思います。前回は、第11次建設雇用改善計画の策定に向けて、策定スケジュールや建設労働者を取り巻く状況について、事務局より説明を受けたところですが、今回から「建設業の現状と課題」と題して、関係機関及び団体へのヒアリングを行います。まず、初めに行政機関として、国土交通省不動産・建設経済局建設振興課長の城課長よりヒアリングを行いたいと思います。国土交通省から20分程度の御説明を頂いた後、各委員からの質問を20分目安に行います。その後、労働者団体として、全国建設労働組合総連合の松葉委員よりヒアリングを行い、続いて、その後、使用者団体として、一般社団法人建設産業専門団体連合会の岩田委員、一般社団法人日本建設業連合会の若鶴委員よりヒアリングを行いたいと思います。労働者及び使用者団体につきましては、3団体の説明を各10分ずつで行っていただきます。また、質問につきましても3団体まとめて進めたいと思います。
それでは、国土交通省のヒアリングから始めます。説明者の方は、自席から御説明をお願いいたします。では、よろしくお願いします。
○建設振興課長城課長 ただいま御紹介いただきました国土交通省建設振興課長の城でございます。日頃よりお世話になっております。これから着座にて御説明させていただきます。本日の内容は、恐らく御存じの内容も多いかもしれないですが、少し体系的に全体を意識してまとめましたので、なるべく簡潔にいきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
資料の2ページです。まず、建設業のおかれている課題ということですけれども、建設投資額がピーク時に比べて一旦減って、その後、増加に転じているということです。就業者数はピーク時から約3割減ということになっております。3ページは、特に技能者と技術者を別に見てまいりますと、ピーク時から一旦、平成22年度ぐらいまで大きく落ち込んで、その後、下げ幅としてはやや緩やかになりつつも、技術者は若干増えていますが、技能者のほうは今、300万に減っているということと、あとは次世代への技能承継が大きな課題ということになっています。高齢の方の割合が多いということで、将来の担い手の確保が喫緊の課題ということで、我々も頑張っているところです。右側は、全産業に占める建設業従事者の割合ということで、こちらも少し減っている状況です。4ページは、繰り返しになりますけれども、高齢の方が多いということで担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上という柱で進めようとしているという背景になります。
5ページですが、主要建設資材の価格推移ということで、各建設資材が高騰して、今は高止まりが続いている状況です。こういった状況の中で確実に価格転嫁を進めることも建設業の課題となっています。以上が、概括的な話です。以降は、柱ごとにいきたいと思います。
6ページ以降は処遇改善です。処遇改善について、7ページですけれども、公共工事設計労務単価について、令和7年3月から適用するものについては、全職種全国平均で6%増ということになっております。最近の労働市場の実勢価格の反映とともに時間外労働の上限規制の対応等をしております。後ほど御説明しますが、公共工事設計労務単価を労務費に関する基準の考え方にも取り入れることとしておりまして、今後は、公共のみならず、民間工事にも関わるものとなります。8ページは、そのグラフの推移ですので割愛させていただきます。
9ページは、建設業団体との賃上げについて総理も入った車座という場で、本年2月に、技能者の賃上げについて民間工事も含め、「おおむね6%の上昇」を目的とすることと、生産性向上に取り組むことといったことを、国交省と建設業団体との間で申し合わせたものです。また、この9月にも、国交大臣、建設業団体の意見交換を開催して、こういった申し合わせを官民一体で取り組んでいることを確認したところです。
10ページ以降は、働き方改革の推進についてです。11ページは、建設業の現状ということで、年間の総労働時間が、年々減少傾向にあるものの、全産業と比べて、まだ長い状況です。それから、下のグラフですけれども、週休2日工事の推進などをやっておりますが、まだ4週8休の確保はできていないものが多くなっています。
12ページですが、建設業の働き方改革としてやっていることを示しています。令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用されておりますが、そういった規制内容の周知、公共工事における週休2日工事の対象拡大、そもそも無理を生じさせないようにということで適正な工期設定、生産性そのものを上げるという4つを、主に柱としてやっております。
13ページが、令和6年3月の話ですが、工期に関する基準の改正概要です。ポイントとしては、時間外労働規制を遵守した適正な工期とすること、特に猛暑日が昨今課題になっておりますが、猛暑日における不稼働を考慮した工期設定等を盛り込んでいます。
14ページでは、昨年度末にモデル事業事例集ということで、現場のICTですとか、バックオフィス系システムとか、4つのカテゴリーに沿って専門工事業者、元請など、様々な方の取組を事例集としてまとめたものです。
15ページ以降は、建設キャリアアップシステムについてです。16ページが建設キャリアアップシステム、CCUSと我々は呼んでおりますが、その目的です。技能者の処遇改善ということで、技能・経験に応じた適切な処遇につなげようとするものです。CCUSの概要ですが、まず技能者・事業者の事前登録をして、就業履歴を蓄積して、それが能力評価につながって、最終的に処遇改善につながるということを目指しております。
17ページが利用状況ですけれども、技能者の登録数が170万人ということで、半分超の方に登録いただいております。今後、就業履歴の蓄積を、増加傾向ですが、ますます伸ばしていくことが重要となっています。
18ページです。そういったこともあって、昨年7月にCCUS利用拡大に向けた3か年計画を公表しております。向こう3年をメリット拡大フェーズと称しまして、しっかり経験・技能に応じた処遇改善につながるように、また、CCUSを使うことが実際の事務作業の効率化につながるように、そして、就業履歴の蓄積と実際の個人の方の能力評価の拡大につながるようにということでやっております。19ページは、今の柱に沿って具体的にやることということですので、本日は時間の都合で割愛させていただきます。
20ページからは、目下、我々が最も力を入れているといってもいいのですけれども、4.建設業法等の改正についてです。令和6年6月に成立しまして段階的に施行しており、最終的な施行が1年半以内ということで、これが本年内ということになっております。
21ページは、全体像になります。担い手確保・生産性向上・地域における対応力強化を目的に、議員立法の公共工事品質確保等と、政府における閣議決定による建設業法等の改正、その両輪でやっています。特に担い手確保のところは、後ほど御説明いたします。
22ページですが、法改正の背景ということで、冒頭と少しかぶりますけれども、他産業より賃金が低く、就労時間も長い、なかなか価格転嫁が進まない、それが結果として労務費の圧迫につながってしまっている、時間外労働規制の適用開始ということで、処遇改善、労務費へのしわ寄せを防止するようなしっかりとした資材価格転嫁対策、プラス働き方改革や生産性の向上ということが法改正の背景と方向性です。
23ページが、この法律の概要ですけれども、黄色く塗った部分が今後の施行のところで、「労務費の基準」の作成・勧告と、著しく低い労務費等による見積り等の禁止について、また、工期ダンピングの対策強化について本年内に施行することとしております。
24ページですが、労務費の基準に係る新たなルールです。建設業の厳しい労働環境に見合った賃金の引上げ、処遇改善が大事ではあるのですが、その賃金の引上げのためには、原資となる労務費をしっかり契約の中で適正に確保しなければいけないということで新たなルールを設けております。右側が新たなルールということですが、まずは考え方として、処遇確保を建設業者に努力義務化しており、この点は既に施行されております。それから、適正な水準の労務費が、公共工事・民間工事を問わず、しっかり確保されて、最終的に技能労働者の賃金として支払われることを図るとしております。このために「適正な労務費の基準」を中央建設業審議会が作成して、指導・監督、そして適正な契約環境につなげていくというものです。
25ページは、そのための「労務費の基準に関するワーキンググループ」ということで、学識者の方や受発注者の方に入っていただいて、既に10回、精力的に議論をしておりますが、この議論では、労務費の基準そのものの作成だけではなく、どのように実効性を確保するかということも議論しております。こちらが、かなり処遇改善の主要な論点ですので、時間も限られておりますが、簡単に紹介させていただきます。
26ページ、これはWGの最初の頃に、これが基本方針だということで決めたものになりますが、青い矢印の所を御覧ください。労務費の基準を中央建設業審議会で定め、その基準を相場観とした見積り、契約による適切な労務費を確保する。そして、確保された労務費が各下請業者に行き渡り、技能者の方に賃金として支払われる仕組みづくり、これらのルールの行政による検証など、総合的な取組でやっていくことにしております。
27ページは「労務費の基準の作成に関する基本方針」です。中小事業者や一人親方であっても使いやすい仕様に、また、生産性をしっかり考慮しつつ、しっかりとした労務費が払われるような基準にということで、職種別に鋭意検討を進めているところです。
28ページですが、労務費と合わせて確保すべき「必要経費」というのも大事です。これまで、法定福利費の確保、それから最近では、安全衛生経費の「標準見積書」での内訳明示等々、それから、建退共掛金についても必要経費だということで要請をしてきましたが、これも建設業法の改正に合わせて、しっかりと内訳を明示すべき経費として位置付ける方向で検討しております。
これは特に内訳明示をする経費ではありますが、そもそも労務費の基準には、経費部分は含まれていなくて、必要な経費はしっかり確保されるということも、併せて発信していくことも重要と考えております。以上が労務費や処遇改善の関係です。
29ページからは別の話になります。担い手の裾野の拡大に資するものと考えておりますが、女性活躍・定着促進等にも取り組んでおります。30ページを御覧ください。この3月に業界団体の方と共同で、それぞれ官がこれをやる、民はこれをやるということで、取組内容と取組主体を明記した計画を策定しました。その柱としては、建設産業の魅力向上・発信、現場環境の改善、それから、取り組む裾野の拡大という3つにしております。女性活躍については、最初に計画を作ったのが平成26年で10年ぐらいたちますが、トップの意識改革が必要だということとか、女性活躍を入口にして、全ての人が働きやすくなるようにとか、そういった意見も計画の検討の過程で交わされまして、副題を、「トップの意識を変えて」等々と付けておりまして、こういった思いでやっております。31ページは、今申し上げたものを少し具体化しておりますので、説明は割愛いたします。
併せて、32ページですけれども、やはり魅力の発信のための、ターゲットを明確にした広報とか、現場環境改善の代表例としてトイレ環境の整備について非常にご意見が強かったので、こういったものを事例集も合わせて公表しました。
33ページですが、「若年者入職促進タスクフォース」ということで、令和5年度からやっておりますが、若年者の入職促進や業界団体の方や関係省庁で連携した職業訓練や教育訓練についての情報共有の場ということで、タスクフォースを設けております。関係省庁、建設業の関係団体、教育関係者、訓練校の関係団体で、各種情報共有、優良事例の共有などを行っております。
34ページからは、外国人労働者の受け入れについて紹介します。35ページが、外国人建設技能者の現状です。全建設技能者数の約4.9%を占めるということで、特にここ数年で急増しています。右側が、来られている国別の人数ですが、ベトナム、フィリピン、インドネシア等々が多くなっています。
36ページは、建設分野における特定技能制度の概要ということで、業種横断の基準に加えて、建設分野の特性を踏まえた上乗せの基準を設けております。上乗せ基準の内容として、受入計画の審査等がありますが、その中で建設キャリアアップシステムに登録していることなどについて計画の認定要件として、36ページにあるようなものを上乗せしております。
37ページは、全職種共通の話ですが、いよいよ育成就労制度が令和9年4月に施行予定となっていることを踏まえまして、38ページは育成就労制度そのものの概要ですが、しっかり育成して特定技能につなげていくこととなります。39ページですけれども、建設分野の外国人材の育成・確保のあり方ということで検討会を設けて、今3回まで終わっていて、第4回、第5回ということで、第5回に分野別の運用方針案がまとめられるように、外国人材の適正処遇・育成・定着、日本語教育、地域との共生、技術者人材の受入れ等の幅広い論点について、関係者が議論・検討を行っているところです。
最後に、40ページですけれども、技能者ではなくて技術者の受入れ・定着支援も行っております。「採用」「定着」「人材獲得戦略」の3つに分類して、例えば採用については、広報オンラインセミナーや説明会をするといったこと、定着については、企業へのアンケートや教育プログラムの検討、それから、人材獲得戦略についても取り組んでおります。最近は「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」というのも公表しまして、様々な実例を紹介しています。
少し駆け足になりましたが、以上、建設産業で取り組んでいることを御紹介させていただきます。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました内容につきまして、御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。よろしいですか。
非常に盛りだくさんな内容を報告いただきましたので、少し咀嚼してからという面もあるかと存じます。そうしましたら、まとめて、また後でご意見をいただくということとして、次の説明に移らせていただいてもよろしいですか。
それでは、ヒアリングを続けさせていただきまして、今御説明いただいた内容についても、御質問等ございましたら後で頂くというようにさせていただきます。
それでは、次に労働者団体のヒアリングにまいりたいと思います。全国建設労働組合総連合の松葉委員より、御説明をお願いいたします。御説明は、同様に自席からお願いいたします。
○松葉委員 ただいま御紹介いただきました全建総連の松葉と申します。資料2を御覧ください。業界の現状と私どもの取組、そして、今後の課題等ということで簡単に御説明させていただきます。
資料の2ページは、全建総連の概要ということで載せておりますので御覧ください。建設業に従事する労働者・職人を対象に、個人加入を原則とした組織で、47都道府県に53の加盟組合があり、約60万人を組織しています。国民健康保険組合や認定職業訓練校なども運営しています。
3ページは主な取組を載せております。後ほども御紹介させていただきますが、CCUSの普及促進、処遇改善や担い手確保・育成などを中心に取り組んでいます。昨今で言いますと、右側に写真を載せておりますが、JBN・工務店協会と連携して、応急仮設木造住宅の建設に、労働組合として労働者である大工を供給するという形で、復旧・復興支援活動等にも取り組んでいます。
次の4ページからは、1.全建総連としてみる業界の現状・課題です。先ほど、業界全体の話については国交省さんから資料や説明がありましたので、私どもは、組合の加入者等から見た視点でまとめさせていただきました。
2004年から2024年までの20年間で見ますと、全体で平均年齢が上がり、組織人数も9万人ほど減ってしまっています。特に建築大工は、20年前は約20万人いて、組織構成の約3割を占めていましたが、現在は10万人ほどで、組織構成の割合でも20%を切っています。左官も同様で、いわゆる町場と言われている職種が特に減っています。一方で、鳶、解体、基礎や、空調、給排水管工は人数も増えています。恐らく技能者を5人から10人ほど抱えている事業所が、鳶や解体等では一定数増えているものの、町場の事業所では減ってしまっている、雇用がなかなか進んでいないという現状が明らかではないかと見込んでいます。
次の5ページは、国勢調査の数字です。2015年から2020年までを見ると、多くの職種で10%程度減ってしまっている中で、大工・左官などは15%以上の減少になっています。一方で、とび職などではその5年間で増えているという実態もあります。今、2025年の国勢調査が行われており、調査結果は来年、詳細なものは再来年に出てくると思いますので、その動きにも、しっかり注視をする必要があります。
6ページです。これは、一般企業が行っている小学生を対象にした「将来就きたい職業」「大人になったらなりたいもの調査」で、2020年までは「大工」「職人」というのは上位10位以内の常連でしたが、2020年以降は圏外となってしまっているところがあります。コロナがきっかけで、建設現場で職人さんを見る機会が今までよりも減ってしまったのが影響しているのではないかと見られます。また、なりたい理由の2位に「人の役に立ちたいから」が上がっていることから、キャリア教育では建設業の「かっこいい」ところや、処遇とキャリアパスも見せる必要がありますが、社会的役割をしっかり伝えることが重要と認識をしているところです。
7ページは、毎年全建総連で行っている賃金実態調査の一部抜粋です。約10万人から回収しています。労働者や一人親方、事業主の方など働き方や、ゼネコンから町場などいろいろな現場で働いている方もいるので、少し分類をしています。労働者の日額平均は1万5,653円、一人親方・手間請が1万8,551円となっています。右側のグラフが一人親方の年齢別のもので、30歳から40歳未満がピークとなっておりそこから減少しています。技能や経験が反映されておらず働いた分だけの賃金実態となっています。これを若年層に将来のキャリアパスとして示すには、非常に厳しい状況になっています。
次の8ページは、平均日額と設計労務単価の推移です。コロナの影響もあり2020年から私どもの賃金実態調査では、一部下がりもしていますが2023年から2024年では883円増加と回復が見えるものの、設計労務単価との差がますます大きくなっているという現状です。
9ページから、現在、全建総連で取り組んでいることを簡単に御紹介させていただきます。まずは、組織外に向けた取組で、学校教育協力運動です。学校の授業の一環でキャリア教育として建設業で働くことの紹介などを、ものづくりマイスターも活用して取り組んでいます。また、木造住宅振興ということで、「住宅デー」に全国で取り組んでいますし、処遇改善運動や、先ほど御紹介した建設業の社会的役割としての応急仮設木造住宅や応急修理等にも組合を上げて取り組んでいます。10ページはその詳細になりますので、是非、御覧ください。
11ページからは、組織内に向けた取組です。建築大工の担い手確保・育成支援として、国交省住宅局の補助事業等を活用して大工育成等に取り組んでいます。木造建築科を中心とした認定職業訓練校も運営しており、若い技能者に目標を持ってもらうために若年大工を対象に全国青年技能競技大会を開催しています。CCUSの加入促進、資格取得に対するお祝い金、そして小零細事業所に対して働き方改革を進める支援等にも取り組んでいます。
12ページです。改正担い手3法が、組合員にとって具体化していくことを図るために、「賃上げチャレンジミッション」として、請求、要求にしっかり取り組んでいこうと掲げています。
特に、労働契約や請負契約等がなかなか書面で行われていないという現状があります。これも賃金実態調査で集計しており、いわゆる野丁場では7割以上は書面で行われている一方で、町場や住宅現場では半数以下という調査結果も出ており、まずそこをしっかり書面で行っていくことを訴えて取組を進めています。私ども組合には、労働者、一人親方、事業主とそれぞれの立場の組合員がいますので、13ページのようにそれぞれの立場に立った形で、と組むべきミッションを掲げています。
14ページは、今後に向けて、業界として取り組むべき課題です。当然これまで行ってきた技能者の処遇改善や、CCUSの活用推進をはじめとした取組を発展・強化していくことが第一。そして、(2)として、新規入職者の受け皿となる地域中小建設事業所の育成をしていく必要があります。一定規模の専門工事業者では、技能者の新規雇用と育成が進んでいると見受けられますが、いわゆる小零細規模の事業所では、以前は職人を抱えていたが今は雇用できないという事例も非常に多く聞きますので、そうした事業所に建設事業主に対する助成金を活用して雇用・育成ができるように、組合としても相談・支援ができるような形を作っていく必要があると考えています。そして、雇用・育成をすること自体に何かインセンティブが与えられるような補助・助成をお願いします。
そして、(3)は、仕事確保や繁閑調整に役立てるよう労働組合のみが行える労働者供給事業を行うため、元請企業や団体との労働協約等を結んで進めていくことです。(4)は、技能者育成は業界全体の責任として業界全体で助け合い進めていくため、「建設技能者育成基金」のような官民共同での基金を立ち上げて、業界全体で技能者育成できる仕組みを目指しいく必要があると考えています。最後に(5)として、全ての人が働きやすく業界のために外国人技能労働者の組織化、女性活躍推進の環境づくりを、労働組合として取り組んでいく必要があることで掲げています。
(4)の技能者育成基金については、最後のページにイメージ図を掲載しています。業界全体で技能者を育成して、労働組合として労働者供給ができるように取り組んでいく形をイメージしています。地域の一定規模の工務店等では、大工を直接雇用して、育成していくという動きも進んできていますが、これまで直接雇用がなかったため育成のノウハウに困り、私どもで運営している認定職業訓練校と連携して、一緒に技能者育成しているケースもあります。イメージ図はアメリカのアプレンティス制度などを参考に作らせてもらいましたが、こうした地域ごとの連携を、今後さらに進めていく必要があると考えています。私どもからは以上となります。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。最初に申し上げたとおり、続けて御報告をお願いしたいと思います。次に、一般社団法人建設産業専門団体連合の岩田委員より、御説明をお願いいたします。
○岩田委員 建専連の岩田です。よろしくお願いします。資料ですが、これは参考として見ていただいて、この辺のデータの結果を見ながら発言をさせていただきます。
現状は皆さんと同じになると思いますが、取り巻く環境と現状ということで感じている部分として、建設業を持続させていくためには、技能の継承ということが非常に重要であり、不可欠であると。受け継ぐ次世代の若者の獲得が喫緊の課題となっているわけですが、国内の人口が減少している中、全産業間での担い手確保競争が激化しており、建設業は入職したい産業の上位にはない状況で、これから標準労務費の定着により、3Kだから、この賃金と言えるような他産業以上の処遇改善が急務になっていると言えます。
そこで若者の建設業への入職定着の促進についてですが、前回の計画策定時以上に入職者の採用が困難になってきており、工業高校生なども、地場のゼネコンさんなどとの競合になっている状況です。新卒者の会社の選択として、休暇の条件が重要視されており、年間120日以上の休みが必要とか、週休2日を提示する必要がある中で、建設現場は4週6休となっており、定着や入職できない理由の1つになっているものと考えております。
室外作業である建設現場は、他産業と比べて、きつい職場であるため、他産業以上の給与の処遇にする必要があり、生涯設計が立てられるよう、技能レベルの習得により、年収などのキャリアパスを見えるようにしていくことが重要であると考えます。
次に、女性労働者の建設業への入職、定着促進についてです。全国の託児所の拡充による育成支援の強化。私は鉄筋のほうをやっているのですが、そこで毎年、20数名集めて、女性の方々に議論をしていただくのですが、やはり、子どもがネックで預けられない。8時からの始業になっていますので、早い所は朝5時頃ということになりますので、預ける所がないと。それに対して、遅れて預けてから現場に行くと、ほかの仲間から、「お前は、ええよな」というような目線で見られると。そのこと自体、職人らにもしっかり言っておくよというような話をしても、そう思われること自体が嫌なのですと。ですから、「環境として、そういうものが何とかならないですか」という声が多くありました。子どもを産んでいる人からも声としてあって、これから結婚しよう、子供を産もうと悩んでいる人は、これができないのだったら、もう産めないのではないかとか、辞めないといけないのではないかとか、そういう本音の議論などもあり、子育て中の技能者が、遠い現場、新規入場の朝早い時間帯にも通勤可能となるよう、早朝や夜の登園が可能な託児所を全国に設置することが重要課題だと考えます。大規模、あるいは工期の長い現場では、元請が託児所を設置できるよう、整備も必要ではないかという声も上がっておりました。
次に、現場環境の整備に関する法的基準の明確化と徹底ということで、非常に難しい言葉で書いていますが、特に、地方は依然として女性専用トイレ、更衣室、休憩所など、未整備の現場が多くあります。現場の基本的かつ最低限の設備基準の明確化と徹底、全国の整備が必要ではないかと思います。
あと、柔軟な就労環境の整備と育成支援の制度化については、新規入場手続の簡素化とか、ICTを活用した事前教育の導入などによって、保育所への送迎など、配慮を含む柔軟な勤務形態の実現に取り組む企業に対して、国による支援措置を是非ともお願い申し上げたいと思います。
次に、復職支援、賃金補填の制度の拡充ということで、産後・育児休暇後の復職支援と託児所の支援導入は技能者の継続的な就業を支えるとともに、人材確保への波及の効果も大きく必要不可欠な施策と考えますが、財政基盤が弱い専門工事業者には非常に負担が大きいので、小さな会社などに対する支援の検討を是非ともお願い申し上げます。ちなみに、資本金2,000万円以下が建設業者の中では、協会業者の中で8割を占めていると言われておりますので御検討をお願いしたいと思います。
続きまして、外国人労働者の活用についてです。生産労働人口の減少に伴う形で、技能実習、これから育成就労という形になるかと思いますが、そこから特定技能まで幅広く外国人労働者の登用は進んでおりますが、最低賃金を目安に登用している企業も多くあり、技能レベルに応じた昇給など、日本人と同等という処遇をしっかりと実現していくことが重要と考えます。明確な職業ビジョンを持って日本で働く意識を持っている者もおりますが、建設業の場合は母国に帰って技能者になるという方は少ないため、技能実習から特定技能へと長く働ける環境を提供すべきと思います。また、技能試験に関しては、技能レベルを確認できることが重要であり、日本語の習得状況と観点が異なりますので、母国語で受験ができるようにすることも考えて検討していくべきではないかと思います。意思疎通などの会話や指示においては、他言語変換ソフトなどが開発されており、製造業においては、既に実相されている所もあって、建設面においても現在、検討を進めているところです。いずれにしても、外国人にも選ばれる日本になるための政策が重要と考えます。
「魅力ある労働環境づくり」ということで、働き方改革では、心身の健康を考える上で、過剰な時間外労働の排除が大きな観点だったと思います。コロナ禍を経て、住宅勤務やリモート勤務など、多様な働き方を提案されて、普及・定着はしましたが、建設現場は屋外が基本で、職人が現場に出ないと成果にならない業界です。そうした環境下でも休日は、世間一般が週休2日となっているところ、4週6休が建設業の実態としてあり、新卒者から就業条件で敬遠されている状況です。併せて、命に影響を及ぼす猛暑日に関して、年々増加しており、労働環境が過酷になる一方です。担い手になる若者を獲得していくためには、外で仕事をする建設業は、他の産業にはない建設業ならではの環境整備が必要と考えています。そこで、業界の習わしとして、現場を休工して、夏休みのある業界として打って出てはいかがでしょうか。月給制の確立などの課題は多々ありますが、夏休みのある業界となれば、魅力ある労働環境として、担い手の確保、また現在働いている人たちの離職者の減少、併せて生産性向上にも大きく寄与できるものと考えております。是非とも御検討をお願いしたいと思います。
次は、職業能力開発の促進・技能の継承についてです。富士教育訓練センターなど、研修に出すときには、厚労省の助成金の活用もしておりますが、基本は全額企業負担であるために積極的な活用が図られていないと思います。先ほども全建総連さんのほうからも御提案がありましたが、諸外国では、業界全体で負担する仕組みがあり、企業の負担が軽減されているため、職業訓練に出すことが当たり前になっており、資格取得と合わせた賃金評価を行っております。技能者の育成とともに、次世代の技能継承のためには、業界全体でこのような大きな枠組みを構築することが必要ではないでしょうか。教える側の問題としても、25%を占める55歳以上の技能者の有効活用は早急にしないといけないと思いますが、そのような取組が重要だと考えます。
続きまして、雇用改善推進体制の整備ということで、建設キャリアアップシステムは、建設現場で働く労働者の職歴、経験年数、資格などのカードの色によって、熟練度の見える化をして、レベルに見合った給与などの処遇を実現しようとするものであり、現在170万人が登録していると聞いております。建設業に従事する者は、CCUSに登録することで適正な雇用関係が確認されるシステムでもあることから、技能実習を含む外国人労働者も登録を義務付けられています。このCCUSでは、現場の入退場管理や、既存の建設現場の管理システムと連携することなどにより、施行体制など適正に管理できることに加え、このカード情報として諸々の資格を登録できるものです。現場の様々な書式を統一し、本システムの共通処理を可能にして効率化を図り、カード情報を提示することで、資格証の現場携帯を省略できるようにお願いしたいと思います。また、技能者のスキルアップの仕組みとして、OJTだけではなく、多くの現場を体験させる応援という仕組みがあり、これが現場の指揮命令系統などの対応によっては違法状態にあることを認知しないまま、請負として契約している曖昧な状況にあるため、CCUS下で管理することで、「応援」を適切な契約状態に置けるよう御検討をお願い申し上げます。
先ほどの全建連さんのことと相当かぶっていますが、是非とも一緒に頑張ってまいりたいと思います。以上です。
○勇上座長 御説明ありがとうございます。続きまして最後に、一般社団法人日本建設業連合会の若鶴委員より、御説明をお願いいたします。
○若鶴委員 日建連の若鶴です。どうぞよろしくお願いします。お手元の資料4で、説明させていただきます。
まず、1ページです。この5年間の振り返りを申し上げます。一番上の四角にありますが、やはりコロナと、その後のアフターコロナを契機とする需給バランスが激変し、これが建設業にかなり大きな影響を及ぼしたと考えております。また併せて、いわゆる2024年問題、時間外労働上限規制が拍車をかけて、人手不足、工事費の高騰などを招きました。
そこで、日建連での対応です。建設業の大きな特色ですが、建設業ではいろいろな労働環境は発注者と元請の一つ一つの工事請負契約に大きく依存しております。メーカーさんとかで大きく違うのがこの1点です。一つ一つの工事請負契約の中でいろいろなものを改善していかなければいけないということです。大きく影響を及ぼすのが、請負代金と工期の2点です。そこで、日建連が取り組んだこととしては、まず、工事費高騰のパンフレットです。公共工事におきましては、「物価スライド」というシステムがあり、価格高騰をある程度吸収するようなシステムがあるのですが、民間工事ではなかなか、それが困難です。それまでは、施工者が一方的に価格変動リスクを負うケースもありましたので、こういったことを何とか防ぐようにということで、日建連としては、統一した工事費高騰のベースとなるような資料を作ったところです。こちらについては、非常に皆様に好評で、価格転嫁に非常に役立ったと聞いております。
2番目が工期です。こちらにつきましては、日建連で、適正工期確保宣言というものを作成させていただきました。いわゆる4週8閉所が実現できるような工期で受注しようという運動ですが、結果として、例えば4週8閉所を達成した工事現場は、この2年間で激増しております。非常に大きな効果を得られたと考えております。ただ、そうは言いながら、下の四角です。しかしながら、足元の人手不足は更に深刻化してしまったということです。建設業は若者に選ばれないという傾向がどんどん強くなってきております。そういったことを含めて、日建連では、建設業の長期ビジョン2.0を策定いたしました。
お手元の資料の6ページ以降を御覧ください。このビジョンを策定したことについて説明させていただきます。7ページです。ビジョンの大きな構成を書いております。Ⅰ部、Ⅱ部、Ⅲ部の3部構成となっております。Ⅰ部は、2050年の話をしております。ここはどちらかと言いますと、明るい若者向けの夢のあるような話。今は、やはり若者からどうしても選ばれないということがありますので、若者に選ばれるような環境となるにはどうしたらいいのか、どのように調整していけばいいのかということを掲げております。
第Ⅱ部は、2035年に向けての建設業の課題です。既に顕在化しているものもあるのですが、それに対して10年後、こういったことをすればいいのではないかということを掲げております。そこに書いておりますが、日建連の試算としては大体、技能労働者が、この10年後に129万人ぐらい不足するだろうということを掲げております。そしてこれを克服するためには、生産性向上と入職者の増加を図らなければならないということです。特に入職者の増加が8ページ以降です。
やはり、やらなければいけないことははっきりしておりまして、選ばれる産業への変革をしなければならないということで、日建連は、ずっと「新4K」を掲げております。「給与がよい、休暇がとれる、希望がもてる、かっこいい」、今本気になってこれが建設業で実現するように向かっていかなければならないと考えております。
9ページ以降は、時間の関係もありますのでポイントのみ申し上げます。まず、処遇改善、賃金です。目標としては、異次元の処遇改善と掲げておりますが、この10年後には所得倍増、40代で平均年収1,000万円を超えるような建設業界を目指そうではないかということを掲げております。
10ページは退職金の話です。「e.建退共」の所ですが、建退共制度を抜本的に改善して、まずは退職金が1,000万円を超えるような業界にしていかないといけないのではないかということを掲げております。
11ページは、働き方・休み方改革です。建設現場におきましては、全ての現場を「土日祝日一斉閉所」にしようと。祝日は、夏季、年末年始休暇を含むということを掲げております。一方で、今の技能労働者の方々の考え方はいろいろ多様化しております。そういった意欲や環境に応じて、個人個人のベースで多様な働き方、休み方を選択できるようにしていいとしています。特に、「土日祝日一斉閉所」で言いますと、一般の方々が聞くと当たり前なのですが、これが当たり前ではない。特に祝日に現場を開けるのは当たり前というのが、そろそろこういった考えは10年後には改めなければいけないのではないかと。今、多くの若者に聞きますと、やはり他業界に行った友達と、祝日でも休みを取りたいとか、子どもが休みの祝日に一緒に団らんのときを設けたい、こんな意見を聞いております。こういったことを含めて、10年後には「土日祝日閉所」とするのが当たり前であるような建設業界にしなければいけないということを考えております。
12ページが、人材育成の強化です。イ)「学習」と「実践」を組み合わせた技能労働者育成システムを、国と業界が一体となって整備しなければいけないのではないかと。先ほど全建総連さんからもありましたが、ドイツ等のアプレンティスシップ制度を参考にしていいのではないかと考えております。
13ページが、外国人の話です。実は10年前に長期ビジョン1.0を策定したわけですが、そのとき日建連は、どちらかと言うと外国人には否定的なスタンスを取っておりました。ただ、今、いろいろ制度が整ってきておりますので、また実態として、今は外国人がいないとできないような業界になってきておりますので、外国人材が建設業の主要の担い手としてキャリアアップしつつ活動するような環境を国のほうで整備していかなければいけないのではないかということを書いております。
また、14ページは、女性活躍の加速ということで、2035年には女性就業者100万人、技能労働者20万人を目指そうということです。それ以降もまだいろいろ書いてありますが、そのうち特に3点、日建連から申し上げたいことがありますので、17ページ以降を御覧ください。
次期雇用改善計画への要望ということです。①猛暑日対策です。先ほど岩田会長からもお話がありましたが、特に、この異常気象による夏の暑さは年々年々過酷さを増しておりまして、さらに長期化が進んでおります。夏季において、従事者が一番直射日光に晒されているのは恐らく建設業界だと思っております。これは他の業界にはない特徴だと思っております。また、余り皆さんは気付かないのですが、実は屋内であっても建設業は暑い。屋内は日陰だから涼しいだろうと思われているかもしれませんが、全く違っておりまして、屋内であっても空調がない、これも過酷な労働環境であるというのは回避できない。これが今の建設業界の宿命です。また、高温時には生産性が低くなるということは広く知られていることですが、今の異常な高温は健康の維持すら危ぶまれるレベルに達しているのが現状であります。
そこで、要望事項です。まず、一番目の■です。夏季の労働時間を相対的に短く、夏季以外に長く働くような働き方。先ほど、岩田会長も言われましたが、夏の長期バカンス、あるいは暑さが和らぐ時間への労働時間のシフトなど、こういったことが可能になるような環境整備をしてはどうかということです。また、気候変動による熱中症多発傾向ですので、健康管理上の観点から、「猛暑日における屋外作業禁止」を法制化してはどうかということも、2点目に掲げております。あと3点目です。もし、「夏の長期バカンス」が実現しますと、これは若者を建設業へ呼び込むツールとして十分魅力的なものになるのではないかと考えております。ヨーロッパやアメリカみたいな感じもちょっとするような制度ではないかと。ただ今はなかなか、官民ともに発注者の理解が得られる風潮にはありませんので、こういったことを関係省庁において、発注者の理解、促進、また積極的な広報をしていただけないかということを、まず一番目に要望しております。
2番目が18ページで、②技能労働者の流動性の向上です。先ほどから説明がありましたが、建設業の技能労働者は減っておりまして、担い手確保は喫緊の課題である中、技能労働者の流動性へのニーズが高まっているということです。特に建設業は、どうしても地方の繁閑差が激しいということもあります。東京は忙しいが、ほかの地域はそんなに忙しくないということも現状としてはあります。建設業の技能労働者については、悪質な業者による中間搾取のおそれが高いということを理由に派遣が禁止されておりますので、他産業に比べたらどうしても流動性が低い。ただ、建設業が将来にわたり持続性を確保するためには、将来的には一定の条件のもとで派遣を可能とするということ、また足元では、まず既存の制度を最大限有効に活用することができるのではないかということです。今ある足元の制度としては、「建設業務労働者就業機会確保事業」というのがありますが、これは要件と実態がそぐわない等の原因で、なかなか活用が前に進んでいないと聞いております。
そこで要望事項としましては、まず、他産業にはない、キャリアアップシステムを活用すれば、技能者がどこで就業しようと、その履歴が蓄積され、技能や経験に応じた処遇が実現できることから、例えばCCUSの能力判定を受けた技能労働者については建設業者間での派遣を可能とするように制度を見直してはどうかと思っております。ただ、もちろんなのですが、ここで述べる建設業者は建設許可を取っている業者や、CCUSに登録している業者を想定しております。
また、既存制度である建設業務労働者就業者機会確保事業については、例えば、CCUSを活用することを条件に、早急に運用緩和できるのではないかと考えております。
その下に3点書いてあります。aは、対象企業については当該事業団体の直接の会員企業ではなくて、その企業と一定の取引のある二次以下の協力企業にも拡大してはどうか。bは、財産的要件ですが、「賃金不払い等の場合における事業主団体による支払保証」や、「当該事業主団体に対する第三者による債務保証」の措置を講じることによって、送出事業主の財産的要件を廃止してはどうかと考えております。ただ一方で、CCUSの活用も、ある程度の枠を定めることも必要かと考えております。
3点目は、送出事業主・受入事業主が事業者登録をしていること、対象技能労働者のレベル判定、現場での就業履歴蓄積といったことを義務付けてはどうかと考えております。
次に19ページ、3点目の要望事項です。CCUSの完全実施の実現です。先ほどから説明がありましたが、CCUSは、現在の登録技能者数が約170万人であり、技能者の処遇改善のための「業界共通の制度インフラ」として、ある程度の土台は整ってきたのではないかと考えております。特に、5年後にはかなりの広まりを持っているのではないかと考えております。ただ、一方で、CCUS本来の目的である技能や経験に応じた処遇改善のためには、登録技能者の就業履歴の蓄積(カードリーダーへのタッチ等)や、能力評価の実施が必要ですが、なかなか現状の進展が思わしくない。※に書いてありますが、就業履歴の蓄積は、国交省の低位推計の目標を2年連続で未達。登録技能者のうち、就業履歴のある者は3割程度で停滞ということです。また、能力評価の実施は7%ということで、これもまだまだ進まないところです。
2028年度に、初めての技能者登録の更新を控えていますが、技能者が処遇改善を期待できる状況を実現するためには、施策を総動員して、今後数年内には公共工事・民間工事を問わずCCUSの完全実施をぜひ実現させていただきたいと考えております。
要望事項を幾つかポイントのみ述べさせていただきます。まず、CCUSレベルに応じた賃金の支払いの徹底です。建設Gメンと労基署との連携による指導や通報制度等の実効性ある手段によりまして、CCUSレベルに応じた賃金の支払いを担保する。こういったことを実施していただきたい。
次に、建退共ですが、こちらもCCUSのレベルに応じた建退共掛金を実現して、最低でも退職金1,000万円を超える額が確保される仕組みを構築していただきたいと考えております。また、外国人についても、CCUSの登録のみならず、就業履歴の蓄積や能力評価の実施を原則としてはどうかと考えております。
4番目は、公共工事におけるCCUS活用の義務化です。第一次国土強靭化実施中期計画(閣議決定)ですが、この目標達成に向けて、全ての公共工事において、入札契約を通じたCCUSの就業履歴の蓄積や能力評価の義務化を図ってはどうかという要望です。
5番目です。ただ、そうは言っても、なかなか中小企業にはいろいろな制約がありますので、国や建設業振興基金等による技術的支援や財政的支援の充実を図っていただきたいという要望です。
最後は、これは小さな話ですが、結構大きい声です。CCUSに安全衛生関係の資格者情報を登録した技能者については、資格者証の携帯義務を免除していただけないかという声が強く上がってきておりますので、こちらを強く要望いたします。簡単ですが、日建連の説明は以上です。
○勇上座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの3名の委員からの御説明と、その前の国交省より御説明のあった内容を含め、御質問等がありましたら御発言をお願いいたします。吉田委員、お願いいたします。
○吉田委員 沼田土建の吉田と申します。キャリアアップの能力評価のことで、ちょっとお話をさせていただきたいのですが、能力評価がきちんと運用できれば本当に、技能者のやりがい創出や処遇改善につなげることができるなと感じてはいるのですが。ただ、キャリアアップのカードタッチの前に、技能者の立場、要するに班長とか職長といった立場や職種などが設定されていないまま毎日現場で、せっせとカードタッチしているという事例が多いのではないのかなというように感じています。きちんと職長という立場で、何か月以上といったことで、能力評価につなげられればいいのですが、本当に、ただ現場の入退場の履歴だけをせっせと積み上げているというような事例が、当社では意外と多いので、ちょっとそのように感じております。
ただ、そんな中でも、しっかりと登録をしているという企業がありまして、それは外国人を多く雇用している企業です。そこは本当にきちんと、立場や職種を明確に登録されて積み上げています。こんなことを言うと外国人をキャリアアップ促進の道具にしているように感じるかもしれないのですが、外国人雇用の拡大が、キャリアアップシステムの定着、拡大につながるのではないかと、突破口になるのではないかなというように感じている次第です。簡単な意見なのですが、以上です。
○勇上座長 ありがとうございます。能力評価の推進・促進に関して、貴重な御意見、情報を頂いたと思います。今の点について、何かございますか。
○参事官(建設人材・資材)付建設キャリアアップシステム推進官小川推進官 国土交通省の建設キャリアアップシステム推進官の小川と申します。貴重な御意見をありがとうございます。大きく2つ、登録自体、職長とか立場を登録していない方がいらっしゃるのではないかというお話と、外国人のお話と2つあったかと思います。前者については、国土交通省としては、CCUSという制度は業界全体として処遇改善や能力評価を目指して進めている施策ですので、そこは是非、単なる入退場だけではなく、そういった職長、班長さんといった立場、あとは資格といったこともちゃんと登録するような形で是非進めていただきたいなとは思っております。
最初に登録する際、1回登録すると、後はタッチすればいいので割と簡単なのですが、やはり、どうしても最初の技能者の登録の所で、登録する項目が多かったり、その資格を登録する際に、いちいちスキャンしたり写真を撮ったりしてアップロードしてと、その辺の最初の技能者の登録の所で、まだ改善の余地があるという声は頂いているところです。現在は、そういった登録の際に、CCUSのアドバイザーという形で、主に行政書士の方に御協力いただいてやっていただいているのですが、最初の登録や、そのサポートはさせていただいているところです。それは国土交通省だけではなくて、運営主体である建設業振興基金等が主に中心になってやっているところですが、先ほどの委員の御意見を踏まえまして、そこの最初のハードルと言いますか、最初の登録の所は、今後もそういうアドバイザーを活用するなどして、より皆さんがちゃんと、単なる入退場管理だけではなくて、能力評価なども含めて、そういうのも見込んだ上で各種詳細に登録いただくことを目指していきたいなと思っております。
2点目の外国人の活用というところで、むしろ、外国人のほうがちゃんと登録しているのではないかといった御意見を頂戴いたしました。現在、新たな育成就労制度が今後スタートするときに、では、建設業でどういう形でやるのかというのは、今、正にあり方検討会のほうで議論を進めているところです。その際に、CCUSを活用できるのではないかといったお話は各委員からも頂戴しているところですので、そちらのあり方検討会での議論、先ほどの御意見も踏まえながら、どういう形が良いのかというのを今後、検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○勇上座長 吉田委員、よろしいでしょうか。
〇吉田委員 詳細の登録といったところでは、結構そういった手当を頂いているかなと思うのですが、送出しの際に、この技能者をこの現場には職長で入れるとか、この人を安全衛生責任者で入れるとか、そういう立場の紐づけというのは、各専門工事業者の企業のほうで送出しの際に都度、設定する必要がありますが、立場や職種の設定をせずに送り出し、空のままタッチをされているというような事例が結構見受けられるので、そこをちょっと申し上げたかったのですが。
○勇上座長 補足の御説明を頂きましたが、よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに、御意見などありますか。岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 今おっしゃられたのは、恐らく我々の代わりに言っていただいたのかなと思うのですが。今日は職長で、こっちの現場へ行くと職長ではないケースなんかもあって、日々、我々が入力をし直さないといけないというか、この現場では兵隊です、ここは職長ですというような、職長が変わったりすることもあるので、そのことをおっしゃられたのかなということなので、また後で御説明をしたいと思います。
全建総連さんの御発表の中で、雇用を進める企業へのインセンティブというのは、全面的に我々の代わりに言っていただいたのかなと思うのですが、総連さんの中で一人親方がたくさんおられるではないですか、雇用を進めるということは、どこかの企業に所属する、ということは会員数が減ることにならないのかなとか。何か、その辺のところのバックアップとか、この御説明の中で、ある時から町場から野丁場に流れたのか、町場は減っているけれども野丁場が増えているというような、会員が増えているというのは、たまたま加入がそういう傾向にあったのか、それとも、ゼネコンのほうが処遇が良くなったからそうなったのか、この辺のところ、もし、分かる範囲であればと思います。
あと、アプレンティスシップの件について、一緒に視察で行って来ましたので、アメリカのユニオンの例が日本に合うのか、それともヨーロッパの形が合うのか、徒弟制度と言われるものが合うのか、そこはちょっとあれだと思うのですけれど。いずれにしても、ここを分かりやすく書いていただいて、現在、我々のほうも、「技能者の雇用・育成の在り方検討会」というものがあり、そこで、やはり国が関与するような建設技能者の育成システムがいると。今現在は職業訓練校、当然、総連さんもお持ちですし、各地で、自分らのために立ち上げたというのは、ぽつぽつ立ち上がっていると。でも、職種が偏ったり、いろいろしているので、そこはやはり、国として体系的な教育システムを作るべきではないかというのは、我々も日本だけが、これがないので、是非とも、一緒に検討していただければなというように思います。
最後に、日建連さんのおっしゃられた派遣というか、人の流動化に対するお考えですけれども、やはり繁閑調整という意味合いもあるのですが、でも、これは基本に立ち返って考えていただくと、CCUSは能力評価と言っていますが、我々は能力評価とは思っておらず、あれは資格と経験年数で、技能者が得られる最低限見える化した年収や権利を明確化したものだと考えており、やはり能力評価はどこまで行っても現場を預っている親方がするべきものだろうと、そうしないと、こちらの現場では職長だけれど、こっちに行ったら兵隊なのですという現場の例もありますので、このCCUSを活用して、賃金を紐づけるというところまでやっときましたので、こうなると、今まで取らされていた資格や、やらされていた制度みたいな枠組みから抜け出して、職人が取りたい資格や、取り組みたい制度というものに変わっていきますので、そうなったときに、1つの現場で体験するスキルという、現場はもう、一品生産ですから、この現場で得られるスキルというものだけではなくて、空いてるときにいろいろな現場を体験させて、どんどんスキルアップをさせて資格に合格するようにするなど、そのスキルアップという意味が、ものすごく今回のCCUSでの賃金評価や処遇改善につながれば、つながって連動してまいりますので、職人たちも目の色を変えてやり始めるというような状況になろうかと思いますので、是非とも、これまでの枠組みとはちょっと違った、よその産業とは違った切り出し方というか、産業別の考え方として、建設業のあるべき姿というか、人の流動化、また、スキルアップについての議論が深まっていけばいいなと。そうしないと、結局、形はできたけれども、現場で職人任せになっていくというか、企業側もサポートがなかなかしにくくなっていくということにもなりますので、是非とも御検討いただければと思います。ちょっと長くなりましたけれども、先ほどの総連さん、もし、分かる範疇であればよろしくお願いします。
○勇上座長 ありがとうございます。松葉委員、いかがでしょうか。
○松葉委員 ここに掲げている新規入職者、地域中小建設事業者と申しますのは、簡単に言うと、数十年前は、例えば、5人未満の個人事業所でも、数年に1回は若い技能者を雇用して育成をしていました。一人親方も、弟子を抱えるということがあったのですが、現在はなかなか担い手がいないというのもありますが、今は経営上も厳しく雇用することができないという実態があります。
若い子を、地域でちゃんと育てていかなければいけないという思いはあっても、そこになかなか踏み出せないでいる個人事業所や、一人親方もいるので、そのインセンティブになる、雇用を支援する助成金も活用できるサポートが必要だということで申し上げた課題です。全員、一定規模の会社に社員化することがベストだということではありません。
ただ、もちろん一定規模の企業で技能者を社員化するという方向性は、全く同意というか、賛同をいたします。その上で、求人を100人出しても、なかなか50も集まらないというような実情があるというのは聞いています。その分子を増やすことも大切ですが、雇用をしようと思う事業者を増やしていく、分母を増やしていかなければいけないという視点で、ここに課題として載せさせていただきました。
私どもの組合員でも、以前はいわゆる町場の個人事業者も若い技能者を雇い、一定数保たれていましたが、雇用が難しくなり自然に減少してしまっている。一方で、野丁場の鳶や解体などの中小・零細事業所、特に5人未満の事業所では技能者雇用を進め、従業員数を増やして組合に残っているので、増えているという実情があると認識しています。
建設業全体の動きや現状には、いろいろな数字があります。例えばCCUSの普及状況や賃金・単価などの処遇、休日取得、そして技能者の数など。それが職種や現場、地域などによっての差が非常に生じてきているという実態がありますので、その不十分な所をしっかり洗い出して、そこにテコ入れをしていかないと、建設業全体としての動きになっていかないのではないかと危惧しています。一部の所だけで業界全体が良くなったというようには言えないと認識しているため、そこに対するテコ入れを、是非、今後の計画で力を入れていただきたいと考えています。
○勇上座長 ありがとうございます。そのアプレンティスシップに関して、蟹澤委員は所用により中座されたということなのですが、コメントを頂いておりますので読み上げさせていただきます。
「本日、発表を頂いた皆様の御意見に賛同いたします。事業者、技能者ともCCUSに登録されていること、建設業許可があり、社会保険未加入者等は許可が得られないこと、外国人はJACがあること等々を前提として、新しい制度設計が検討されることを期待いたします。担い手確保・育成については、アプレンティスシップについての検討が最重要と考えております。よろしくお願いいたします。」ということです。今、松葉委員、岩田委員、蟹澤委員も、担い手の育成についてご意見を頂きました。松葉委員の資料ですと、建設技能者育成基金のアイディアを出していただいたり、いわゆる見習い訓練についてのお話が幾つか挙がったりしておりますが、この点について、厚生労働省のほうから、いかがでしょうか。
○和田山室長 建設・港湾対策室長の和田山です。私のほうから、担い手確保、訓練の在り方について総体的に御回答させていただければと思います。
これから、若者の確保・定着、次世代を担う労働者の技能継承は重要なこととであり、私どもの職業能力開発に関する取組をますます進めて必要があるとの認識です。建設業に興味を持つ求職者や学生の方に対しては、業界の魅力の発信、それから、基礎技能修得に向けた訓練の充実といった中で、今の我々の制度の中では、認定職業訓練や公的職業訓練の中で実施をしており、また、在職者に対するキャリアアップに資する訓練などを実施しているわけですが、こういったところの充実を図ることが本当に重要であると思っております。次の計画においても、建設業を担う人材の訓練の在り方というところも大きなポイントとなるかと思いますので、よくよく今日の御意見も踏まえながら、計画策定の論点として考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。岩田委員、どうぞ。
○岩田委員 これは、次の計画に入れるかどうかは別として、意見として、日建連さんも全建連さんもそうだと思うのですが、我々としても、スキルアップのための人の流動化をどう図っていくかという人的資源の有効活用という観点で、ここは是非とも議論の中に、こういう話があるということに関しては是非とも挙げていただきたいと思いますし、それをどうするかということは、これから一番、当然、これまでの法的な枠組みもあるのも存じております。でも、そうしないと、という場面に我々の切実な声として上がってきているのだということも、労政審のほうでも、もし意見することがあれば、挙げていただければと思います。
○和田山室長 ありがとうございます。人の流動化というところで担い手不足の中で非常に重要かなと思っております。そういった中で、今、法制度の中で規制があり、建設業における重層下請構造の中で、雇用管理を確立できていないというところについての懸念があるということで一定の規制をかけさせていただいているというところですので、非常に難しい課題かなと思いつつも、今、この建設業に置かれている状況を踏まえ、どういうことができるかを、引き続き我々としても考えてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかに御質問や御意見等、いかがでしょうか。特にないですか、よろしいですか。この点も後ほど、もし、お気付きの点がありましたら、また御発言いただくとして、1つ目の議題は、一旦ここまでとさせていただきます。
次に、2つ目の議題に移ります。2つ目の議題は、建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要について、事務局より御説明をお願いいたします。
○熊谷補佐 建設・港湾対策室の熊谷と申します。よろしくお願いします。着座にて説明をさせていただきます。それでは議題(2)の「建設業の人材確保・育成に係る令和8年度予算概算要求の概要」については、資料5に沿って御説明させていただきますので御覧いただければと思います。
例年、厚生労働省と国土交通省におきまして、共同で建設業の人材確保・育成に関する予算の概要を取りまとめて公表しているところです。今月1日になりますが、令和8年度の予算概算要求を取りまとめて公表いたしましたので、その内容についてポイントを絞って御説明させていただきます。
1ページを御覧ください。全体像につきましては、資料中央に記載のとおり、国交省と厚労省が連携しましてCCUSの普及促進に向けた取組を中心に、人材確保・人材育成、また、魅力ある職場づくりを柱に予算要求をしております。
2ページです。こちらは全体の要求額規模と柱ごとの事業項目となっております。左側には国土交通省の取組、右側には厚生労働省の取組となっております。事業名の頭に菱形マークがありますが、黒色は建設業に特化した支援、白色が他の産業も含めた支援となっております。
それでは、ここから令和8年度要求の新規拡充事業を中心に簡潔に説明をさせていただきます。なお、説明につきましては引き続き資料5に沿って行いますが、参考資料3として要求事業の個票を用意させていただいておりますので、参考として、併せて御覧いただければと思います。
資料5の3ページです。まず、国土交通省の要求内容となっております。個票については、1、2ページになっておりますので併せて御覧ください。まず、人材確保に関するものとして、3つ目の○の「建設業の生産性向上の促進」を新規に計上しております。将来の建設業行政の検討材料とするため、ICT導入に係る生産性向上策の深堀調査、また、経営事項審査等の企業評価の見直しの検討を実施する内容となっております。
また、本ページの一番下の○の「建設業への入職促進に向けた魅力発信事業」も新規で要求しております。こちらは工業高校生などの建設業への就業有望層に向けたPR手法、また、就業に当たっての阻害要因といったものの解消に向けて調査を新たに実施するものです。
5ページに移ります。ここからは厚生労働省の要求概要となっております。まず、人材確保に関して、一番上の「建設事業主等に対する助成金による支援」についてですが、幾つか拡充しております。まず、助成金の2ポツ目ですが、人材確保等支援助成金の若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースになります。個票は4ページになりますので併せて御覧いただければと思います。
本助成金は、若年者及び女性労働者の入職・定着を図ることを目的に、建設事業主等が実施する魅力発信、理解促進の取組、また、入職者への研修会の取組や雇用管理研修といったものの実施などについて、現在、それぞれ女性対象として支援しているところですが、この事業の中に、今回、新たに追加しますのは、入職前の魅力発信から入職後における教育訓練、更にそれを定着までを一体的に行う取組をした事業主に対して、通常の助成額に加え、更に上乗せで助成をしようと考えているものです。
具体的に申しますと、例えば入職前の見学会などを実施したり、当該見学会に参加した学生などが当該事業所へ入職して、入職者研修などを実施した上で半年間定着した場合に、インセンティブとして1人当たり42万円を上乗せで支給するような形で考えております。
こちらは高齢化や新規高卒者の離職率が他の産業より高い建設業においては、若年者等の人材確保・育成と定着の両面で課題を抱えているということもありまして、入職前から定着までを一体的に支援することによって、人手不足対策を進めていこうという考えです。
助成金ではほかにもあります。個票は4ページになります。赤字で記載しております。CCUS関係としては、3ポツ目の※事業主団体の登録手数料補助に係る助成、また、4ポツ目のCCUSカード登録者を技能実習で受講させた場合の賃金助成額の1.1倍措置について、それぞれ今年度限りとしていたものを、来年度も延長する方針で要求しております。
資料5、次に3つ目の◇の「ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援」についてです。個票は6ページです。併せて御覧いただければと思います。人材確保対策コーナーの設置箇所の増設と、それに伴う職業相談員の増加など、実施体制を拡充していくものです。
資料5の7ページです。魅力ある職場づくりの推進に関する取組としての1つ目の◇の「働き方改革推進支援助成金による支援」についてです。個票は7ページです。この助成金につきましては、令和6年4月からの時間外労働の上限規制が適用された建設業などの業種を対象に、業種別課題対応コースを設けまして、労働時間の短縮等に取り組む中小企業等を支援しており、例えば建設業に対しては、業界の状況を考慮した固有の成果目標を設置し、週休2日制の導入に対する支援などを行ってきておりますが、選択可能な成果目標を新たに新設するなど、より幅広い取組を支援していくこととなっております。
次に、3つ目の◆の「雇用管理責任者等に対する研修の実施」についてです。個票は8ページです。これは委託事業により雇用管理責任者に対して研修会を実施しているものですが、これまで実施してきた若年労働者を指導する立場にある者に対するコミュニケーションスキルを学ぶ研修に加えて、女性と外国人の従事者が増加してきていることを鑑み、女性労働者の雇用環境整備等に関する研修、また、外国人労働者の言語や文化の違いによる誤解等を防ぐ目的のための研修など、女性と外国人に特化した研修を新たに新設するものとなります。
最後、8ページです。1つ目の◇の「個人事業者等の安全衛生確保支援事業」についてです。個別票は9ページです。併せて御覧ください。こちらは個人事業主等による災害防止を目的として安全衛生教育、工事現場への巡回指導を行うことに加えて、改正労働安全衛生法の内容に関する説明会を新たに実施するものとなっております。説明は以上となります。
これらの要求につきましては、今月から財務省に対して、各担当部署から説明をスタートしているところです。それぞれの事業におきまして、必要性をしっかりと説明して予算が確保できるように進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○勇上座長 御説明ありがとうございました。それでは、ただいま事務局より御説明がありました内容について、御意見や御質問等がございましたらお願いいたします。横澤委員、お願いします。
○横澤委員 横澤でございます。ただいま御説明いただいた概算要求内容につきまして、質問を2点と意見を1点述べさせていただきたいと思います。まず質問の1点目は、資料の中で厚生労働省の部分では施策ごとに要求額が細かく示されております。一方、国土交通省のところで、例えば3ページの人材確保の部分を見ますと、全体の要求額しか示されておりませんけれども、施策ごとの要求額が分かればお伺いしたいと思います。
2点目は、資料4ページの「暮らし維持のための安全・安心確保モデル事業」についてです。災害対策の側面が強い施策のようにも受け取れるのですけれども、具体的に建設業の人材確保にどう寄与するものなのかをお伺いしたいと思います。
最後に1点、意見を述べさせていただきます。各施策の要求額を見ると、厚生労働省と比較して、国土交通省の要求額が少ないように感じられます。各省庁の所掌に基づいて検討されたものと理解しておりますけれども、人材確保や育成は産業政策的側面も含んでいると考えておりますので、建設業の魅力向上や人材確保に向けて、国土交通省をはじめ関係省庁それぞれで必要な予算をしっかりと確保していただくようにお願いしたいと思います。以上でございます。
○勇上座長 ありがとうございました。御質問と御要望があったものと存じます。それでは、国土交通省よりお願いします。
○建設振興課長城課長 御質問ありがとうございます。結論としては、これ以上の内訳については今、申し上げにくいところではあるのですが、参考資料3の1ページ目になりますけれども、建設業の施策というのが、担い手確保・生産性向上・企業戦略ということで、かなり密接に関連するということで、非常に様々な内容をやるものに関して、全体を、担い手確保等を通じた持続可能な建設業の実現という施策・6.62億円というお示しの仕方をしてございます。当然、これからの予算折衝を通じて、しっかり必要なものに必要な予算が確保できるように頑張ってまいります。次の2ページ目が、具体にやることの全体像になりますが、内容がかなり多岐にわたるものについて調査等するということで、この一つ一つに対しての予算額はお示ししていないのですけれども、全体としてしっかりやってきたいと思います。
○勇上座長 もう1つは、暮らし維持の取組についてですね。
○建設振興課長城課長 失礼いたしました。暮らし維持のための安全・安心確保モデルは、我が省の住宅局のほうでやっているものですが、参考資料3の3ページになります。「住宅・建築物防災力緊急促進事業」の内数ということになっておりますけれども、住宅についても担い手不足の懸念というのが、建設業と同様にございますので、災害発生時に備えてモデル的取組をやることを支援するということです。ひいては、担い手確保につながるということで、今回、入れさせていただいております。
あと、先ほど回答が漏れてしまいましたけれども、厚労省さんに比べて国土交通省の要求額が少ないのではという御指摘を頂きました。実際に職業訓練とか、そういった部分は厚労省建設・港湾対策室さんなどで対応されつつ、我々のほうでは担い手確保に向けた政策検討をするということが主な役割分担になっております。先ほど私の説明の中でも、若年者入職促進タスクフォースの話もさせていただきましたし、こういった共同プレスというのもありますので、それぞれの役割で要求をしつつ、しっかり内容面で連携して取り組んでいきたいと思っております。
○勇上座長 ありがとうございます。横澤委員、いかがですか。
○横澤委員 御回答ありがとうございました。予算の状況については承知いたしました。できれば、次回は具体的な施策の内容と個々の予算額を、示せるものについては示していただくようにお願いしたいと思います。
2点目の暮らし維持のための安全・安心確保モデルの事業につきましては、是非、建設業の人材確保につながるようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
○勇上座長 ありがとうございました。それでは、そのほかに御質問、御意見等はいかがですか。岩田委員、お願いいたします。
○岩田委員 前もお願いしたのですけれども、普通高校が主なのですね、今も。工業高校は地場、ゼネコンさん、元請のほうに行くので、少し普通高校生の手助けしていただけないかなと。これは実際に普通高校で、高校2年生で工業高校であれば3級の資格を取って、経験なしで3級を持っていると、3年生で2級を取れるという。実際にそれで来た子もいて、よその就職した子と比較して高いのですね、やはり資格を持っている分、というインセンティブにもつながりますので。ただ、この試験、トレーニングをする上でのあれは、やはり大阪府、その費用を決めるのが各地方自治体になっているようで、それは助成金に対して府が決めていくということになっているようですので、そういうところも手厚くしていただくことによって、大学ではなく、働かなければいけないという子が職業選択をする上で、建設業はものすごくトレーニングをして資格取ったら賃金が上がるのだったら、行ってみようかと思えるような手厚い支援を、これからは工業高校生ではなく普通高校生になるのではないかと思いますので、是非とも御検討をお願いしたいと思います。
○勇上座長 ありがとうございます。和田山室長、いかがですか。
○和田山室長 ありがとうございます。最近は、工業高校の生徒さんも就職の選択をせずに大学へ進学を選択することが多いと、企業様からの御意見をよくお聞きするのですが、なかなか高卒でも採用できないとお聞きすることがあるので、そういうのが現状なのかなと思っております。そういう中、人材不足の中、大卒者にこだわらず積極的に高卒者を採用する企業が多くなっているということもお聞きします。高卒就職者の方が、早いうちから技術を磨いていただいて大卒者と変わらない賃金を得ることも人材確保策の一つかとも思っています。引き続き高校生を対象とした魅力発信事業も推進してまいりたい。
そういった中で、今、岩田委員からありましたが、工業高校だけではなく普通高校もターゲットにしていくことが非常に重要かなと思っており、先ほどご説明いたしまいした予算算資料5の5ページの真ん中ぐらいに、◆の所の「つなぐ化」事業の実施というのがあると思いますけれども、これがいわゆる学校の生徒さんと先生方と業界をつなぐ機会として、出前授業や職場見学会を実施する授業というものであり、今、非常に人気のある事業であります。経営者の方からも、これをうちもやってもらえないかという声を多く寄せられている事業です。これは今、工業高校が中心なのですけれども、普通科、普通高校にも広げられないかと思っておりまして、見直しを図っているところです。この事業を使いながら魅力発信、担い手確保というところを努めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○岩田委員 是非ともお願いしたいと思いますが、出前講座を10何年か前から関西でもずっとやっていまして、年間700名ぐらいやっていたのです。大学、工業高校、普通高校に行けなかった理由として、授業の時間で進学する子たちも含めてやるというのが、なかなか一緒にはできないと。そうすると、夏休みにやってくださいとか、そういう意味で、夏休みにやる受講する上での費用負担が非常に大変になってきて、親からすると、授業でやってもらえるのだったらいいけれども、別にお金を払って、休みを別枠で取って、何時間以上という制限か何かが掛かっていたと思います。8時間か、10何時間だったか、それで2日やらないと駄目なのです。そういうところも是非とも緩和をお願いできればなと思います。これが、うちも普通高校ばかりです。工業高校は来ないです。よろしくお願いします。
○和田山室長 要望として承りました。ありがとうございます。
○勇上座長 ありがとうございます。そのほかはいかがですか。よろしいですか。それでは、特にないようでしたら、議題2は、以上とさせていただきたいと思います。
それでは、最後の議題4に移ります。実施計画の変更認定及び建設業務労働者就業機会確保事業の新規許可についてです。こちらについては非公開とさせていただきますので、傍聴の方は、ここで御退席をお願いいたします。
(了)



