第8回精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会 議事録

日時

令和7年8月20日(水)16:00~19:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 
(東京都千代田区内幸町2丁目2-3 日比谷国際ビル8階)

出席者

構成員(五十音順)
  • 家保構成員
  • 北村構成員
  • 長瀬構成員
  • 池原構成員
  • 吉川構成員
  • 長谷川構成員
  • 岩上構成員
  • 桐原構成員
  • 花村構成員
  • 上田構成員
  • 柑本構成員
  • 藤井構成員
  • 江澤構成員
  • 小阪構成員
  • 松本構成員
  • 岡田構成員
  • 小嶋構成員
  • 水野構成員
  • 岡部構成員
  • 田辺構成員
  • 森構成員
  • 柄澤構成員
  • 田村構成員
  • 山口構成員
  • 神庭構成員
  • 辻本構成員

議題

  1. (1)精神疾患に係る医療提供体制について
  2. (2)その他

議事

○田辺座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第8回「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」を開催いたします。
 皆様方におかれましては、お暑いところ、また、御多忙のところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに本日の出欠状況と資料の確認につきまして、事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○新平課長補佐 事務局でございます。
 本日の会議は、会議とオンライン会議システムを併用しての実施となります。御出席の構成員の方のうち、会場には16名お越しいただき、オンラインでは10名に参加いただいております。岡部構成員は御都合により途中退席されると伺っております。
 続きまして、人事異動により事務局の障害保健福祉部で変更がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 まず企画課長の乗越でございます。
○乗越企画課長 乗越でございます。よろしくお願いいたします。
○新平課長補佐 続きまして、精神・障害保健課長の海老名でございます。
○海老名精神・障害保健課長 海老名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○新平課長補佐 次に、本日の資料といたしまして、議事次第、資料1及び資料2を格納したタブレットをお配りしております。資料の不足等がございましたら、事務局までお申し出ください。
 傍聴の方につきましては、厚生労働省のホームページに資料を掲載しておりますので、そちらを御覧いただければと思います。
 次に、オンラインで御参加の構成員の方におかれましては、カメラを常に映る状態にしておいていただければと思います。また、御発言の都度、マイクをオンにしていただき、発言後はオフにする操作をお願いいたします。途中で不都合が生じましたら、事務局まで御連絡をいただければと思います。
 それでは、冒頭の頭撮りにつきましては、ここで終了とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(頭撮り終了)
○新平課長補佐 引き続き、資料の補足をさせていただきます。資料1につきましては、前回の検討会における主な御意見をまとめてございます。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございます。
 それでは、具体的な議題に入ってまいりたいと思います。
 議題「(1)精神疾患に係る医療提供体制について」です。
 事務局から資料2が提出されておりますので、まずは御説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたしまます。
○佐藤課長補佐 事務局でございます。
 事務局より資料2について御説明させていただきます。
 まず2ページを御覧ください。こちら目次でございますけれども、本日メインに議論いただきますのは、3、4、5、6のテーマになってございます。
 その上で、4ページ、5ページでございますけれども、これまでの議論をまとめさせていただきました。
 7ページを御覧ください。精神病床も地域医療構想に含むため、先般、医療法等の改正法案が通常国会に提出されましたけれども、衆議院で継続審議となっている状況でございます。
 8ページを御覧ください。地域医療構想につきましては、医政局におきまして、法案によらない部分について、先行して議論が進められているところでございます。同時に医療計画の中間見直しについても、令和7年度中に国の基本方針等を示す必要があるところでございます。
 9ページを御覧ください。9ページは医政局が示している検討体制でございますけれども、医療計画の見直し等に当たっては、こちらと適宜連携をしていく必要があるところでございます。
 10ページ以降ですが、10ページから18ページは医療計画の関係資料を載せてございます。
 19ページ、20ページでございますけれども、障害福祉計画についての資料でございます。医療計画と同様に令和7年度中に国の基本指針を見直す予定でございます。
 21ページは、医療計画と障害福祉計画を整合的にするということを示しているところでございます。
 22ページ以降、入院医療について載せてございます。
 23ページでございます。これまでの主な御意見をまとめさせていただきました。
 24ページから27ページは、これまでの議論ですとか、制度見直し、こういったものを資料として並べてございます。
 その上で、28ページから33ページは入院患者等の状況。
 34ページは、精神病床数の推移。
 35ページから38ページは、従事者の状況。
 39ページは、将来的な就業者数の減少等についてお示ししているところでございます。
 その上で、40ページは、入院医療の現状・課題をまとめているところでございます。
 平成16年の改革ビジョン以降、入院から地域への流れが続いてございまして、その結果として、精神病床や入院患者の減少、60代以下の入院受療率も減っている状況ですが、他方で、70代から80代の方の入院が長期化していること等が示唆されているところでございます。
 そこで、論点ですが、一つ目の○といたしまして、これまでの経緯や入院患者や従事者等の状況を踏まえ、今後期待される入院医療や地域移行の在り方について、どのように考えるか。
 二つ目の○といたしまして、70代から80代の方の地域移行の在り方や地域移行が進まない場合の入院中のサービスの在り方について、どのように考えるか。
 三つ目の○といたしまして、今後、精神病床を削減していった先に、最終的に地域移行を後押しし続ける病院があるべき体制や機能について、どのように考えるか。また、病床削減に伴う人員等の活用方法について、どのように考えるかということでございます。
 41ページ以降は、身体合併症対応についてでございます。
 42ページは、これまでの主な御意見をまとめてございます。
 43ページ、44ページは、総合病院の精神科の機能を示しているところでございます。
 45ページは、精神症状、身体症状、それぞれの重症度に応じた診療場所のイメージということで、資料を出させていただいてございます。
 46ページでございます。疾患ごとの救急車の病院までの収容時間ですが、精神系はほかと比べて時間を要しているということでございます。
 47ページから49ページは、身体合併症に関する資料でございます。
 50ページは、国で精神科救急医療体制整備事業をやっておりますので、その関係資料を載せてございます。
 51ページ、52ページは、専門性の高い看護師について、資料を載せているところでございます。
 53ページがメインの資料でございます。身体合併症対応の現状・課題として、精神科病院では身体合併症患者の受入れが、一方で、精神科以外の診療科では、精神疾患を合併している場合の対応が大変であるという点がこれまで指摘されたところでございます。
 また、精神科病院の入院患者の高齢化に伴う身体合併症への対応等が多くなっている状況でございます。
 身体合併症への対応は、精神症状、身体症状、それぞれの重症度に応じて対応する医療機関が異なるということが指摘されているところ、精神病床を有する総合病院のほか、一般病床でも精神科リエゾンによる対応が期待されているところでございます。
 他方で、精神病床を有する総合病院も地域で限られていることから、地域の実情に応じた役割分担も必要ということでございます。
 そこで、論点です。一つ目の○といたしまして、精神病床を有する総合病院、精神病床はないものの精神科リエゾンで対応可能な総合病院、精神科を持たない総合病院、精神科病院におけるそれぞれの役割分担、医療機関間連携についてどのように考えるか。
 二つ目の○といたしまして、精神科病院における身体合併症対応に必要な体制について、どのように考えるか。
 三つ目の○といたしまして、地域における受入れ体制の確保に当たり、どのような方策が考えられるかでございます。
 54ページ以降は、入院外医療についてでございますが、(1)かかりつけ精神科医機能、(2)初診待機、(3)情報通信機器を用いた診療と分けてございます。
 55ページは、かかりつけ精神科医機能に関するこれまでの主な御議論について、まとめてございます。
 56ページは、かかりつけ精神科医機能について、まとめた資料でございます。
 57ページ、58ページは、それを踏まえ、評価されている診療報酬での対応の資料でございます。
 59ページ、60ページは、時間外対応等に関する関係資料です。
 61ページから67ページは、既に医政局において制度化されている、かかりつけ医機能報告制度に関する関係資料となってございます。
 68ページを御覧ください。かかりつけ精神科医機能についての現状・課題をまとめております。
 まずかかりつけ精神科医機能については、これまでも期待されており、診療報酬等で対応されているところでございますが、診療所においては、この機能を一つの医療機関で完結することがなかなか容易ではなく、地域での役割分担が必要となってございます。
 他方で、かかりつけ医機能については、特定の診療科に制限されることなく、大学病院等を除く大宗の医療機関がかかりつけ医機能報告を行うことになってございまして、それを前提とする必要があること、また、かかりつけ医機能の制度に含まれない内容がかかりつけ精神科医機能にあるのであれば、それは明確化することが必要だと考えております。
 そこで、論点です。一つ目の○といたしまして、時間外診療を含め、かかりつけ精神科医機能を地域全体で確保する方策について、どのように考えるか。
 二つ目の○といたしまして、かかりつけ精神科医のうち、かかりつけ医機能にはない内容があるのであれば、どのように位置づけていくことが考えられるか。また、かかりつけ医機能との用語の混乱を防ぐ観点から、どのような対応が考えられるかでございます。
 69ページからは、初診待機についてでございます。
 70ページにこれまでの主な意見をまとめてございます。
 71ページは、精神科の医療機関の数の推移でございます。
 72ページから77ページは、外来の件数等の関係資料を並べてございます。
 78ページは、再来患者の平均受診間隔の資料を載せてございます。
 79ページでございます。初診待機の現状・課題をまとめております。
 医療機関数は全体として増加傾向でございますが、粗い計算ではございますが、1施設当たりの精神科の外来件数は、病院については、初診が3人、再診が60.4人、診療所については、初診が2.2人、再診が34.8人となってございます。
 また、初診待機を解消するに当たり、医療機関数が増加することのみで対応することには限界がありまして、既存の医療機関による取組が必要となってございます。
 しかしながら、診療時間は初診と再診で要する時間が異なりまして、初診のほうが長くかかるため、現状のまま初診の対応件数のみ増加させるということは、容易ではございません。
 他方で、精神科については、初診時に電話またはインターネットでの予約を求められることが一般的でございまして、受診を希望する方が即座に受診できないことも初診待機の要因と考えられるところでございます。
 そこで、論点でございます。一つ目の○といたしまして、医療機関における初診の対応能力を向上させる取組として、どのような方策が考えられるでしょうか。
 二つ目の○といたしまして、精神科への初回の受診を希望する方が医療機関を受診しやすくするための取組について、どのような方策が考えられるかでございます。
 80ページからは、情報通信機器を用いた診療についてでございます。
 81ページにこれまでの主な御意見をまとめてございます。
 82ページから84ページに、障害者総合福祉推進事業で作成いたしました情報通信機器を用いた精神療法に係る指針を載せております。
 85ページ86ページは、指針を踏まえた診療報酬における情報通信機器を用いた通院精神療法の状況。
 87ページは、規制改革実施計画の状況として、年末までに結論を得て、必要な措置を行うということが決められてございます。
 88ページから103ページは、本検討会でも既にお示ししてございますけれども、厚生労働科学研究により収集した状況。
 104ページから115ページは、通院精神療法に限らない情報通信機器を用いた診療の関係資料となってございます。
 116ページでございます。情報通信機器を用いた診療の現状・課題をまとめてございます。
 情報通信機器を用いた精神療法につきましては、そのための指針を策定し、情報通信機器を用いた診療は対面診療と比べて得られる情報が限定されることから、日常的に対面診療を実施している方に対して、対面診療と組み合わせるなど、必要に応じて活用することとし、初診では実施しないということで、お願いしているところでございます。
 他方で、規制改革実施計画におきましては、ニーズや有効性に触れた上で、新たな指針の策定や公表が求められているところでございます。
 本検討会でも御紹介したとおり、厚生労働科学研究によりまして、国内外の知見や事例の収集等をしたところ、情報通信機器を用いた精神療法の治療効果や有害事象は対面と差が見られなかったという一方で、対面での実施が必要な検査が実施できない等のデメリットも挙げられてございまして、対面との組合せの必要性は見られたところでございます。
 また、背景情報といたしまして、情報通信機器を用いた診療は増加傾向にあるところ、対面診療の割合が5割未満の医療機関にて適応障害等の診療が行われているほか、情報通信を用いた初回の診療で、休職等の診断書を即日発行している医療機関も見られている状況でございます。
 論点は、初診・再診における情報通信機器を用いた精神療法の在り方について、どのように考えるかです。
 117ページからは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進についてですが、医療提供体制に関わる内容ということで、アウトリーチや訪問看護等に焦点を当ててございます。
 118ページにこれまでの主な御意見をまとめてございます。
 119ページ、120ページは、関係資料でございます。
 121ページでございます。現状・課題ですが、いわゆる良質指針では、アウトリーチを行うことのできる体制を整備し、地域生活に必要な医療へのアクセス等の確保が求められているところでございます。
 アウトリーチにつきましては、医療機関だけで対応することは困難でございまして、行政が訪問を行い、それを医療機関が支援する形がよいのではないかといった御意見もございました。
 また、精神科訪問看護につきましては、多機関との連携機能が欠かせないとの意見がある一方で、24時間対応や緊急対応をしていない場合、身体合併症を有する利用者への対応が難しい事業所があるといった御指摘もあったところでございます。
 論点でございます。一つ目の○といたしまして、地域でのアウトリーチ機能を確保していく観点から、医療機関、行政、精神科訪問看護の事業所等が連携する取組として、どのような方策が考えられるか。
 二つ目の○といたしまして、精神科訪問看護の事業所に求められる機能や体制について、どのように考えるかでございます。
 以上、資料2の御説明をさせていただきました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○田辺座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、議論に移ってまいりたいと思います。
 ただいま説明がございましたように、事務局でこれまでの意見を踏まえて、現状・課題と論点等を整理していただいているところでございます。大きくトピックの3から6までの四つに分かれておりますので、項目ごとに分けて皆様から御意見を賜れればと思います。
 まず項目3の入院医療について、議論してまいりたいと思います。御意見、御質問等のある方は、挙手をお願いいたします。また、オンラインで参加の皆様方におかれましては、手を挙げる等の機能でお知らせいただければと思います。小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
 当事者の立場から言葉を紡ぎたいと思います。
 まず事務局に伺いたいのですが、論点の一つ目に、「今後期待される質の高い入院医療」という記載があります。ここで言う質の高いとはどのようなことを指し示しているのか、検討会の我々構成員が共通の理解を持てるように、ここで言う質の定義を教えてください。
 それから、論点の3点目に記載のある「病床削減に伴う人員等の活用方法について」は、病院に勤めていらっしゃる方々からは人手が足りないというお話をよく伺いますので、病床削減があっても、例えば看護師等をそのまま配置していただければ、病院等における看護師等の充足率が向上すると推察されますので、患者さんお一人お一人が手厚い看護等を受けられることにつながることと思います。よって、人員を地域に放出するというよりは、病棟内の充実に充ててほしいと思います。また、それを可能とする報酬体系の見直しが同時に必要だと思います。
 続けて、入院医療に関連することとして、当事者の立場からきちんと言葉を紡いでおきたい大切なことが2点ほどあります。
 1点目は、今回の議事は(1)精神疾患に係る医療提供体制についてと示されています。まさに医療提供体制の話として、行動制限に頼らない精神科医療を実現するべく、入院医療における精神疾患に係る医療提供体制を整備していただきたいと思っています。そうした観点から、今回の第8回の検討会資料や論点からは、これまで複数回にわたってヒアリングや議論がなされる過程で導き出された「ゼロを目指した身体拘束の最小化」や「行動制限最小化」に係る部分がすっぽり抜け落ちているように思います。よって、第9回以降で構いませんので、これまでの議論の積み上げを資料化していただき、関心のある国民が議論の推移や今後の方向性等を分かりやすく知ることができるようにしていただきたいと思います。
 2点目は、これまでの議論には挙がってきませんでしたが、精神疾患に係る医療提供体制の整備の一環として、ハード面の観点から、隔離室の施設基準の見直しの検討を今後必ず実施していただきたいと思います。医療機関における1部屋のことですから、治療を受けるに当たって、患者さんが安心して治療に専念できるような環境整備が当たり前のこととして必要だと思います。現行の「保護室の構造設備基準」は、昭和44年に策定されたもので、改定なく運用されていると伺っています。現代の精神科医療の観点からは、時代にそぐわない部分も多々あると思いますので、早急な見直しが必要だと思います。
 誤解なきように申し添えておきますが、私たちはそもそも行動制限のゼロ化を求めています。しかしながら、精神科医療機関や精神科医療従事者の方々に過重な御負担をおかけしたいわけではありません。また、今すぐゼロ化を実現するには至らないでしょう。ですから、行動制限における環境面を少しでも患者さんにとってよりよい形にしてほしいと御提案申し上げます。
 以上になります。
○田辺座長 ありがとうございました。
 2点ほど御質問があったと思いますので、回答をお願いいたします。
○佐藤課長補佐 事務局でございます。
 御要望プラス御質問等が幾つかあったかと思います。
 まず最初に、入院医療の質の高い入院とはどういったことかということで、御質問をいただきました。
 事務局といたしましては、入院医療におきましては、精神保健福祉法の理念をしっかり踏まえていただきまして、これまでも地域移行に資する医療をお願いしているところでございます。それは良質指針等でこれまでも示しているところでございます。その上で、まさに本日集まりの皆様の方の間でもまたそれぞれ上乗せする御意見があると思いますので、それをぜひ本日は御議論いただきたいと思っているところでございます。
 その上で、病床削減後の人手の話につきましては、そのまま配置するということを含め、そういったことをこの場で御議論いただければと考えてございます。
 行動制限につきましても、御質問がありました。これはまさにこれまでの会でも様々な貴重な御意見をいただいたところでございます。行動制限の最小化に向けた医療機関での実践につきましては、引き続き進めていくべきということで、御議論を既にいただいたところでございまして、こちらは厚生労働科学研究におきまして、医療機関に広く普及するための利用しやすい資材を作成したり、医療機関間で効果的に行動制限の最小化のスキルを共有できる標準的なピアレビュー、こういった検討も行っているところでございまして、その成果の周知は事務局でやっていくことになっております。
 あわせて、この検討会におきまして、行動制限に関する検討を継続するに際しては、現場でどのような方たちに対して、どういった内容の行動制限がどのように行われているのかという実態把握とその分析をしないと議論が難しいのではないか、そういったところもあったと承知してございます。そういったところも含めまして、今後どのように進めていくのかということを検討していきたいと考えているところでございます。
 また、ハード面、いわゆる保護室の基準の関係でございます。保護室につきましては、精神病院建築基準というものの定めがございまして、その中で、他の患者様に悪影響を与えないようにするため、堅固であるということはどうしても求められる。他方で、堅固にしなければいけないからといって、圧迫感を与えない、これもまた重要なのだということを求めているところでございます。そのほか、採光、換気、通風、冷暖房等の環境条件について特に考慮するということ等も書かせていただいているものでございまして、本日御意見があったことについては、承りたいと考えてございます。
 以上でございます。
○田辺座長 小阪構成員、よろしゅうございますか。
○小阪構成員 はい。
○田辺座長 長瀬構成員、よろしくお願いします。
○長瀬構成員 長瀬でございます。
 御説明どうもありがとうございます。
 入院医療のところで、資料にもあるように、我々の病床は減少の一途をたどっております。これは皆さん御周知のとおりだと思うのですけれども、1年以上の入院の方が減っているという背景もありますし、その代わり、やはり高齢者が増えています。年を取れば様々な身体疾患を抱えるのは当然ですし、併存する身体疾患のケアが求められるわけです。自分の病院の連携先の検討を含めて、やはりそういったところは多職種、ここにも従事者の推移が書いてありますけれども、患者対応が多岐にわたることは、既に周知のことであります。
 特にPSWの存在なくして、我々は仕事ができません。38ページにありますように、これは100床当たり従事者の推定推計で、病床も減っているけれども、従事者の数は同じように減っているのです。そのあたりは、もちろんいろいろな事情がありますけれども、資料にもありますように、登録者が増えていても、医療施設で働くのはその4分の1ということです。福祉施設とか、行政で働きになられる方が多いということで、なかなか医療機関を選んでいただけないという事情があるというところは、我々としても、待遇面とか、いろいろな面で工夫しないといけないところだと思います。
 PSWの仕事は本当に多岐にわたっていて、入院前から退院後まで全て引き受けるということで、非常に受皿の多い仕事をやっていますので、シームレスに患者支援をやってもらわないと、我々も困るし、我々も非常に期待しているところであります。地域によっては人材の不足によってチームがなかなかつくれない場合もありますので、やはり限られた人員でサービスや支援を行う場合、この業務だけをというわけにはいかず、多職種を含めた方向性が求められると思いますので、その辺は柔軟な発想で進めていただければと思っています。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 長谷川構成員、よろしくお願いいたします。
○長谷川構成員 ありがとうございます。
 良質指針の中でやっていくとしたら、人権に最大限に配慮ということを重点的にすることが一つだと私は考えておりまして、要素は多分たくさんあると思うのですけれども、その一つに、やはり病院でのピアサポートがあると思います。生きる希望にもなりますし、六つのコア戦略、行動制限を緩和するための一つの戦略にも入っていますし、ひいては非同意入院を減らしていったり、地域で暮らす魅力というのは、ピアサポーターはもちろん伝えてくれますので、地域移行にもなると思っています。あくまでも一つの例だと思います。
 それから、高齢者の長期在院患者の地域移行ですけれども、ここはやはり施設が狙い目だと思います。私が前にいた病院でも、出たのですけれども、やはり適応できなくて戻るパターンが少なからずありまして、提案ですが、例えば訪問看護とか、できれば入院していた病院のスタッフが行って、この人の支援を教えるとか、そういうアウトリーチ的な取組はありだと考えています。
 あと、病床削減の話ですけれども、未来像の話ですが、救急と急性期が一つです。もう一つは、救急・急性期で退院できなかった方をケアミックス病棟のようなところで地域移行し、進めるパターンというのが一つ考えられます。あとは、グループホームです。今、たくさん出てきていますけれども、看多機などで、そういう施設での暮らしを支えるというのが一つではないか。1年もたないかもしれないけれども、地域で暮らしてという絵が描けるといいと思います。
 すみません、勝手な意見ですが、以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。藤井構成員、お願いいたします。
○藤井構成員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
 御説明ありがとうございました。
 地域移行の取組は徐々に進んできていて、確かに入院期間も短くなってきているところで、最近では3か月以内に退院される方が増えてはきているのですが、実際には3か月を超えてもなかなか退院できない方が一定数いらっしゃるという現状があるというのは、構成員の皆さん、御承知のとおりだと思います。
 そういう方たちに関して、いわゆるニューロングステイにならないように、多職種でのしっかりとしたケアを進めていくことの有効性に関しては、今までの研究や実践の中から、どのようなことをしたらいいかということ、どのような方が長期になりやすいかということも明らかになっておりますので、それを踏まえて、そのような実践を実装できるような仕組みが必要であろうかと思います。
 その一つの方法として、令和6年度に精神科地域包括ケア病棟が新設されたと理解をしているのですけれども、実際には地域包括ケア病棟を算定した病院の大半が撤退している、あるいは撤退を考えているという状況があると承知をしております。
 地域包括ケア病棟では、回復期で必要なケアがそこに盛り込まれているかと思うのですが、現実にその実装が難しいということであれば、どこが難しいのか、あるいはよりこういうことが必要だということも、今回の地域包括ケア病棟を実装してみて分かった課題に関してしっかり検証した上で、回復期の入院医療の在り方をもう一度考え直す必要があるのではないかと思います。
 その際には、やはり人員配置が重要で、先ほど長瀬構成員がおっしゃったように、特に精神保健福祉士の役割が重要だと思いますけれども、最近は公認心理師だったり、あるいは身体合併症を有する方に関しては理学療法士さんだったり、より多職種でのケアが必要な方が増えているかと思いますので、これも長瀬構成員の御発言と重なりますが、柔軟な運用ができるような人員配置が必要だと思います。
 もう一つ、長期の高齢の方に関しては、やはりADLの低下だったり、身体機能の低下ということで、在宅に移行することがなかなか厳しい方も多くて、施設を探しても、例えば有料老人ホームは非常に高額であって、そちらに行こうにも行けない、経済的に厳しいという現状があるかと思いますので、例えば介護医療院のような仕組みだったり、そういうものをどのように活用していくかという観点も含めて、経済的に困窮をしている方がちゃんと退院して生活ができるような仕組みを現実的な側面から考えていく必要があると考えます。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 北村構成員、よろしくお願いいたします。
○北村構成員 石川県立こころの病院の北村です。
 論点の二つ目の70~80代の長期在院患者の地域移行ですけれども、現実的に何十年も入院されている方が結構おられる中で、地域移行をするのは非常に難しいと思うので、以前から言っているとおり、現在の精神科病床を介護医療院とか、あるいは特養、要するに介護施設に転用するのが一番妥当なやり方だと思います。
 現在、入院中の方だけではなくて、20年ほど前からうちの病院でも盛んに地域移行をしていただきましたが、そういう患者さんが今70歳ぐらいになって、かなりADLが落ちてきて、またどこかに戻らなければいけない、あるいは施設に入らなければいけないという状況が出ています。
 そうした中で、当院の看護師などの研究によりますと、精神障害者の高齢者は、どうしても認知症のように介護施設では扱われてしまうので、なかなか適応できなくて、特に統合失調症圏よりも気分障害圏の方の状態が安定しないこともあって、結局、病院に戻ってくるということがしばしば経験されるようになりました。ですから、現実的な話として、やり方は分かりませんが、精神病床を介護施設に転用するのが、余剰の施設を建てる必要もありませんし、一番有効なやり方ではないかと思います。
 それから、そういうふうにして病床が減っていく中で、どういう入院機能を残すかということですけれども、一つ、救急病棟は要ると思いますし、もう一つは、先ほど藤井先生もおっしゃいましたが、地ケア病棟です。今の施設基準とか、人員配置では問題があると思うので、いろいろと研究が必要だと思いますが、要するに地ケア病棟、地域と密着して地域の生活を支えるための病棟として、私としては介護保険における地域密着型サービスの小規模多機能施設をイメージしておりまして、ですから、そこの病棟なり、病院に昼間は通所される、あるいはちょっと疲れたときは数日間お泊まりになる。その病棟から慣れた看護師さんがその方の在宅に訪問して、いろいろと支援をするみたいな感じで、そういう形にすれば、ニューロングステイも予防することができるので、地ケア病棟を介護保険における小規模多機能施設みたいな運用ができるといいと日頃から思っています。
 もう一つ、救急と地ケア病棟のほかに重度かつ慢性みたいな病棟、結局、いつも問題になりますけれども、個人的には重度かつ慢性というのは、医原性というか、社会によるというか、病院に入院させてしまうと長期入院になって、病院側が幾ら努力しても地域に全く受皿がないとか、そういうことが現実的にはあります。特に代表とされるのが強度行動障害の方々で、肥前精神医療センターなどで地域との連携をいろいろとつくろうとしておりますけれども、少なくとも石川県はそういう連携はできていない。地域の強度行動障害の方などをみる力が弱いので、結局、疲れ果てて、病院に入れたらもうみられないみたいな形になって、そういう方がこれまでたくさん存在してきたので、そのあたりをまず考える。重度かつ慢性用の病棟をつくるということではなくて、地域の障害者サービスなり、精神科のサービスを充実させることを考えるべきだと思います。
 最後に一つだけ、PSWがなかなか病院に就職しないと長瀬構成員もおっしゃっていましたが、実際、そのとおりのようで、私も学生などにいろいろと聞くのですけれども、彼らは何と言うかというと、普通のサービス事業所とかだったら、クライアントといろいろと交流も持てるし、楽しい。ところが、病院に就職したら、字ばかり書かされる。字を書いて電話をするだけの仕事になるので、勤めたくないと言いますので、今の医療全てにおいて厚労省に考えていただきたいのは、あまりにも書類仕事とか、会議とかが多過ぎるので、これはどこかで食い止めないと、有能な人材はなかなか精神科には来ないと思います。
 余計なこと言いましたけれども、以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 岡田構成員、よろしくお願いいたします。
○岡田構成員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
 質の高い入院医療や地域移行を考えるときに、やはり十分な人材の確保は欠かすことができないと考えております。精神科病院全体における実質的な人員配置基準の見直しは、必須の課題だと考えております。
 地域移行につきましてですが、医療従事者の方の中には、患者さんに対して無理して退院する必要はないとか、退院しても地域生活は難しいという意識のある人もまだまだ少なくないと聞いております。なぜ地域移行支援が必要なのかということを医療従事者自身が十分に理解するための研修会などが必要ですし、あわせて、患者さんへの地域移行支援に対する情報提供の機会も必要です。ポスターなどの掲示、OTなどでの退院への動機づけ、実際の地域移行支援によって退院した方へのピアサポーターの活用など、入院している患者さん自身が退院したい、退院できるという気持ちが持てる院内環境の整備が全国的に展開される必要があると思います。既に一部の病院ではこういう取組がなされていますけれども、医療機関によってかなりの格差が生じているという実感がございます。
 また、病床削減に伴う人員等の活用につきまして、先ほど病院内の人員配置の充実という御意見もありました。それも一つの選択肢だと考えます。
 また、入院医療中心から地域生活中心へという現在目指している方向性を鑑みますと、地域で活躍する人材の確保が重要課題となってまいりますので、病床削減に伴う人員に訪問やアウトリーチによる医療支援の場で活躍していただくということも考えられると思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 松本構成員、よろしくお願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
 そもそもでございますけれども、入院医療に関する地域移行につきましては、退院後の生活を踏まえた多職種・多機関との事前の調整とか、密な連携が不可欠でございますので、入院初期からあらゆる機を捉え、退院を見据えて、早期に地域移行のための支援を始めることが何より重要だと考えております。
 特に70~80歳代の患者の地域移行の在り方については、廃用症候群や認知機能の低下、身体合併症、経済的困窮とか、受皿となる家族機能の低下、こういったものもございますので、自宅へ戻るだけでなく、それ以外の受皿を地域でいかにつくるかということが重要だと考えております。福祉施設などもそうでございますけれども、移行の途中となるデイケアとか、ナイトケアとか、先ほども出ておりましたが、看護小規模多機能型居宅介護とか、グループホームとか、そういった受皿が何より必要になると考えております。
 また、地域の受皿となる場所をつくろうと思いますと、入所施設側の理解を進めたり、社会的包摂を推進するといったことを、併せて進めていく必要があると考えております。
 入院者訪問支援事業は、精神保健福祉法に規定されておりますけれども、この実効性を高めることが一つ大事だと考えております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 吉川構成員、よろしくお願いいたします。
○吉川構成員 ありがとうございます。吉川です。
 入院患者の高齢化と地域移行というところは、既に構成員の皆さんが御発言されていることと同じようなことを考えていますが、入院中、地域ともに、やはり医療・介護連携の強化を考えることが必要ではないかと思います。精神科訪問看護においても、身体ケアができる人員配置と体制を検討することが必要だと思います。
 病院が有するべき体制・機能の在り方をどのように考えるかというのと、あと、病院病床削減に伴う人員等の活用についてですが、精神科病院において、身体疾患の治療、身体ケアの体制、人材を強化することが精神科看護職としては非常に重要だと考えています。そのため、現在勤務している精神科看護職、これは有資格者だけではなくて、看護補助者も含めて、身体ケアの対応力を高めるような教育体制を構築していくことが必要だと思います。冒頭の小阪構成員の御意見にもありましたが、病床削減によってより手厚い看護が必要な病棟に、これは精神医療・身体ケアの両方ですが、そういった病棟での配置を充実させることが必要だと思います。そういったことを行うことで、身体疾患の早期発見、必要なケアが提供できるということだけではなくて、高齢化に伴う身体機能の低下を防ぐためのケアも実践できるようになります。
 これは私の臨床経験や実習指導の経験を通じて感じていることですが、やはり入院期間が長くなったり、高齢化をすると、どうしても歯の治療が行き届いていないとか、歯の健康の維持ができていないところがあって、これは食生活との関連で非常に重要で、入院中もそうですけれども、退院して地域生活をされるときにも、歯の健康が課題だと思います。
 それと、視力低下です。これもなかなか御本人から訴えることができていなくて、視力低下によって活動性の低下とか、転倒リスクにもつながりますので、そういったところにも目を向けていくこと、これは聴力低下なども一緒です。そういったことに目を向けるためには、今の配置では業務をこなすだけで手いっぱいというところがありますので、手厚い配置が必要ではないか。そういったケアの充実が結果的に行動制限の最小化にもつながってくるところがあるのではないかと思います。
 もう一つだけ、今後有するべき体制や機能として、地域で生活する精神障害者の皆さんが短期入院とか、休息入院が必要時にできるような、これはこれまでもよく議論には出ているのですが、なかなか体制として議論できていません。利用しやすいというのと、安心して利用できるような、そういった入院機能を設けていくことが必要ではないかと考えていますので、当事者の皆さんを含めて、どういった機能や体制であれば利用しやすいのかということを検討する必要があるのではないかと思います。重症化を防いだり、長期入院を防止できることにもつながると思いますので、先ほどから御意見が出ています看護小規模多機能型居宅介護、そういったところも含めて、検討することが必要ではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 辻本構成員、よろしくお願いいたします。
○辻本構成員 ありがとうございます。
 全国精神保健福祉センター長会の辻本です。まずは今回テーマが多くて、時間は長いようで短くなると思うので、今後もメッセージを出し尽くしにくいかと思うので、話せないところは、後日何らかの形の文章にまとめて提出などをさせてもらいたいと考えていますので、事務局はその辺の御理解をよろしくお願いいたしまます。
 その上で、今のテーマ、入院医療に関してですが、70~80代の長期在院者に関しては、皆さんがおっしゃっていたことプラス空き家対策などに関連してのグループホームの活用とか、あとは、精神科スタッフが、身体科に入院している患者さんや医療スタッフのサポートをしていくというのはどうかと思います。
 三つ目の○の引き続き云々かんぬんで、後押しし続ける病院に関しては、精神科救急、処遇困難、災害支援、研修・人材育成、政策医療等の機能を持つような病院が必要になってくるのではないか。
 人員の活用に関しては、皆さんおっしゃっているようなところプラス審査会活動―精神医療審査会とか、人権擁護を含めた地域支援を行う人員としての活用はどうか。それは両方とも予算が必要になってくると思うので、その辺で適切にバランスを取っていただきたい。どちらにしても、地域、外来、福祉、行政の人員異動を図っていくのがいいのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 江澤構成員、よろしくお願いいたします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 資料の21ページの基準病床数の算定式について、今、病床利用率が低下している中で、この算定式でいくと、病床利用率が分母にございますから、基準病床数としては増えてくるということで、これは他の一般医療でも同様の傾向があるので、これは実態に合わせて見直していく必要があろうかと思います。
 今、全国で基準病床数をオーバーしている病床が五万数千床ぐらいありますし、実態に応じて、どういった基準病床数としてそういった算定式がふさわしいのかは、検討課題だと思っておりますし、また、政策効果の1-A、1-Bというのも、都道府県の好事例もピックアップしていると思いますが、確固たる根拠もないかと思いますので、この辺についてはより実態を反映するように検討する必要があると思います。
 一方で、先般の病床数の適正化支援事業においては、全国で五万数千床の病床削減の希望があったわけですけれども、その約3分の1が精神病床であったという実態もあります。今後、新たな地域医療構想においても、精神医療の必要病床数というのは初めていろいろと検討がなされるわけですけれども、そういった部分も含めながら、まずは地域のニーズ、過不足のない病床数の配置が必要だと思っています。
 論点に精神病床削減といった記載があります。これまでも介護医療院とか、いろいろと御意見が出ているところですけれども、病床をそのまま削減するのか、あるいは病床を廃止した部分を他の施設等で有効活用するのか、そういった点は今後きめ細かい議論が必要ではないかと思っています。
 また、これも意見が複数出ておりましたけれども、精神科地域包括ケア病棟入院料というものが診療報酬で位置づけられて、施設基準が厳しいということもあり、現在、手挙げが芳しくない状況だろうと思います。ただ、考え方としては、地域を支える病棟、特に在宅の障害福祉サービス、あるいは介護保険サービスとの密なる連携は非常に重要ではないかと思っておりますので、ここは診療報酬を議論する場ではありませんけれども、今後そういった役割は期待されているのではないかと思います。
 また、70~80代の長期在院患者について、在宅に行ける人もいれば、当然施設がふさわしい方もいらっしゃると思います。特に介護ケアがかなり重要になりますし、一般医療においてもリハビリテーションと栄養と口腔管理の一体的な取組が医療や介護分野では推奨されているところでございます。
 先ほど口の話も出ておりましたけれども、例えば口腔管理をしよう、口腔ケアしようと思えば、歯科受診をしないと、歯科医師から歯科衛生士へはなかなか指示が出ないということもありますので、精神科の入院患者においても、もしニーズがあれば、リハビリテーションとか、栄養に対する対策、あるいは口腔管理・口腔ケア・口腔機能向上ということについても、しっかりと多職種協働で取り組めるような体制が求められると考えております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 全国衛生部長会の家保でございます。
 皆様方がおっしゃっていたように、70~80代の長期入院者の方の問題とそれ以外の方の問題、地域移行なり、入院の状態は大きく違ってくるのだと思います。特に70~80歳以上の方については、介護保険制度があり、それに基づく各種のサービスがありますので、その部分をどういうふうに生かすのかということを併せて考えていくほうが効率的だと、お話を聞いていて思いました。
 ただ、現在の介護保険制度の各施設については、精神科領域の要素があまり十分ではなく、慣れておられない方もいますので、そのあたりについては、老健局とも事前によくお話をして、現在、長期入院をされている方が介護保険系の施設で安心して療養できるような環境整備というビジョンを打ち出していくことが、全体としても、施設整備をするわけではございませんし、いろいろな意味で負担の公平という観点からも適切だと思いますので、医療保険、入院だけではなくて、介護保険も含めて御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 岩上構成員、よろしくお願いいたします。
○岩上構成員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上です。
 70~80代の地域移行の話が出ていますが、私は10年前にこういうふうになるので、病床を転換することを議論すべきだということを発言して、なかなか紛糾してしまったという状況ですから、ここは先ほど北村構成員もおっしゃっていましたけれども、あるいは家保構成員もおしゃっていましたが、きちんと議論が必要だと思います。ただ、それは周りが決めることだけではなく、医療機関の経営者の皆さんがどのようにお考えなのかということもしっかり確認をしていただけたらいいと思っています。
 もう一つは、二つ前のこの検討会で、長期入院者については市町村がしっかり責任を持つということを位置づけると書かれているのだけれども、位置づけられていないのです。つまり住民を精神科病院にお願いしたままになっている自治体があるということなので、これについては市町村がしっかり医療機関に行って、その人がどういう暮らしをしたいのかということの意思決定支援をしていくという話で、そこができていないことが課題だと思っています。ですから、戻ることを望んでいるとは限らない。しかし、望んでいらっしゃる方もいるということで、医療機関に責任を投げてしまうのではなくて、住民への支援を考える必要があると思います。
 今日の午前中に障害福祉課が施設の在り方の検討会をやっていまして、そこでは施設に入られている方の意思決定支援をしっかりやるという議論なのです。それと同じことを精神科でももう一度、それは二つ前の検討会の報告書で位置づけているわけですから、しっかり取り組む必要があると思っています。
 もう一点は、藤井構成員がおっしゃっていた、地域包括ケア病棟を撤退しなくてはいけない事態が生じているというお話ですけれども、そのことはとても重要なことになっていくのではないかと思っていて、病床を削減したとすると、その人員とお金は1年未満のところで手厚く支援が必要なところに持っていくというのが私たちがずっと望んでいることですから、そういったことをこの議論の中でまとめていく必要があるのではないかと思っています。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。柑本構成員、よろしくお願いいたします。
○柑本構成員 ありがとうございます。東海大学の柑本でございます。
 私も一点だけ厚労省にお尋ねしたい点がございます。今、岩上構成員がおっしゃっておられた病床転換のことについてですが、私自身も当時の議論を議事録等で拝見していて、当時は反対意見が強くて合意に至らなかったということをよく覚えております。
 ただ、地域移行体制を進めて病床削減を行い、完全に地域移行ができない方たちをどのようなところが受けるのか、受皿はどういうものがいいのかという議論を進めていく中で、やはり病床転換ということも一つの選択肢として考える必要があるのではないかと私個人は思っております。藤井構成員、北村構成員も同じような意見をおっしゃっていたかと思うのですが、現在、それは選択肢の一つとしてあり得るのかどうなのか、考える余地があるのかどうかということについて、厚労省の御意見を伺えればと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田辺座長 なかなか答えるのは難しそうな感じがしますけれども、いかがでございましょうか。
○佐藤課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 まさにいろいろなやり方があるのだろうと思います。その中の一つとして、施設を流用する、施設構造を流用するというのがあるのか。もしするのであれば、どんな留意点があるのか。逆に言うと、それを後押しするのであれば、どういった支援策みたいなものがあるのかというのが、恐らく発展的に議論がなされていくものなのだろうと理解してございますので、こちらからその議論をやめてくださいというものではないと理解してございます。
○田辺座長 柑本構成員、よろしゅうございますか。
○柑本構成員 結構です。ありがとうございます。
○田辺座長 ほかはいかがでございましょうか。田村構成員、よろしくお願いします。
○田村構成員 日本精神保健福祉士協会の田村です。
 御説明いろいろとありがとうございました。
 もう大分御意見が出ているので、あまり重複しないようにと思っているのですけれども、論点の中にあって、最初に小阪さんがおっしゃった期待される質の高さについては、入院医療と、その後に地域移行と書かれているので、私は今後期待される質の高い地域移行の在り方も考えたいと思いました。
 地域移行とは、単純に退院できればいいというわけではなくて、やはり入院中と退院後の生活がきちんとつながっていることが大事で、御本人が安心して今後に希望を持って退院できるのが一番だと思っています。そういう形での地域移行が本当にどこまでできているのかということは、恐らく病院とか、地域によって違いがあるのではないかと思います。病状のせいでなかなか退院できないと思われている方もあれば、実際にある地域ではそういう方も十分に地域で生活しているという実態があると思われます。地域特性との兼ね合いの中で考えていく必要はありますが、地域の協議会でこのあたりはきちんと継続して議論していただいて、それがまた医療機関とも共有されることが必要だと考えます。
 それから、70~80代の長期在院者の方々に関して言いますと、厚労省が経年データで、死亡退院者数を入院期間別に示してくださっていますが、結局、精神科病院で亡くなっている方もたくさんいらっしゃる現実がありますので、70~80代でお元気な方ももちろんいらっしゃるものの、精神科病院で亡くならざるを得ない方たちに対して、いい治療や看取りに向けたケアなどがなされていくということも必要ではないかと思っています。それには病室の構造的なものであったり、人員配置の問題で非常に難しいところがあると思われるうえ、次の論点である身体合併症との兼ね合いでいえば、緩和ケアのようなものがどこまで精神科病院内でできるのかということも考えなければいけないと思っています。
 もう一つは、精神保健福祉士がなかなか医療機関に配置できていないということです。度々ご発言があり、私も病院を辞めてしまった立場なので、申し訳ございませんが、精神科病院において精神保健福祉士のやりがいはすごくありますので、そこはもっと私たち職能団体としてもアピールしていかなければいけないと思っていますが、先ほど他の構成員もおっしゃっていましたように、会議調整や書類作成等の雑務に忙殺されることによって、やりがいがちょっと見えにくくなっている現状はあります。医療機関のDX化等が進み効率化が図られれば、軽減される部分があるのではないかと思います。
 もう一つは、精神保健福祉士業務に付随する雑務を担ってくれる事務職員等が配置できるとか、現にそうしていらっしゃる精神科病院もあると伺っているので、業務の切り出しみたいなことも考えていく必要があると思っています。ただ、それにはまた職員を配置しなければいけないという話になるので、長瀬先生が大きくうなずいていますけれども、人件費をかけにくいという難しさはありますが、精神保健福祉士の本来業務である権利擁護や退院支援のために働きたいと思っていても、雑務が多くて思うように機能できずやりがいを見出しにくいということになってしまう現実を何とかしなければいけないと思っています。
 すみません、ちょっと余計なこと言いましたけれども、そのように思っています。以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。山口構成員、よろしくお願いします。
○山口構成員 全国保健所長会から来ております、山口です。
 詳細なご説明ありがとうございました。
 皆様の意見とほぼ同じなのですが、今、精神科病院で亡くなられる方の話が出ましたが、保健所等では、高齢者施設に入所している方に対して、ACP等を必ず確認しましょうと施設関係者に働きかけているところです。
 精神科病院にも高齢者施設と同じ程度の精神症状をもつ認知症の高齢者が入院されています。精神科病院に入院している高齢者の方に対するACP等の意思確認は高齢者施設入所者に比べるとかなり遅れているのではないかと思います。同じ高齢者の方であれば、精神科病院でも高齢者施設と同じくように意思確認するように、行政としては早急に働きかけていかないといけないと思った次第です。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 柄澤構成員、よろしくお願いいたします。
○柄澤構成員 北海道北広島市の柄澤でございます。全国精神保健福祉相談員会の理事をしております。
 今回、論点には挙がっていないところなのですけれども、地域で精神保健相談に従事している者として、児童・思春期の医療提供の部分でも非常に課題を感じているところでございます。
 先ほど構成員の方がおっしゃっていましたが、短期入院とか、休息入院を利用しやすくすることで、重症化や長期入院の予防につながるという御意見があったかと思うのですけれども、児童・思春期についても全く同じことが言えるかと思っています。
 短期入院や休息入院ができることで、重症化の予防であったり、あるいは家族関係とか、友人関係の再構築につながるのではないかと思われるケースも地域にあるのですけれども、入院病床が少なくて、そういったところの調整に苦慮しているという実態がございますので、ぜひ児童・思春期の医療提供体制についても、今後の論点としていただければと思います。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 最初に、質について、お答えいただいてありがとうございました。
 「精神保健福祉法」、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」に関わるところで示しているという、厚生労働省の説明に全く異論はありません。
 そうしたことを踏まえたときに、精神保健福祉法では、目的の中で主語が二つ出てきます。当然「精神障害者」という主語、それから、「国民」という主語が出てきます。質の高い入院医療と考えたときに、まさに精神障害者の方、それから、国民の声を聴く必要があるのではないのでしょうか。我々の議論だけでは、何を持って質が高いというのは、決めづらいのではないかと思います。
 国民の声は聴けていないかというと、私は聴けている部分もあると思っています。受療行動調査です。厚生労働省さんが行っている入院患者さんへの調査として、精神病床に関する患者さんの満足度が調査されているわけですけれども、私の記憶が正しければ、今、手元に資料がないので、記憶で申し上げてしまいますが、他科もあわせた全体の平均として7割ぐらいの満足度があったはずです。でも、精神病床に関しては、42.5%ぐらいの満足度だったと記憶しています。この満足度の低さについて、きちんと向き合うことなしに、質の高い入院医療ということは議論し得ないのではないかと私は思います。これが1点目です。
 2点目ですが、当事者としてはここに私と桐原さんがいますけれども、正直言って、70~80代の方の苦しみ、それから、どう暮らしたいのかということは、私たちだけでは代弁できないと思っています。ですから、70~80代の人はどんな退院生活をしたいと思われているかということをじかに聞いていただきたい。これは研究としてでもいいのですけれども、どんな形でもいいのでやっていただきたいですし、誤解してほしくないのは、その研究結果でこうしましょうということを決めるのではなくて、その研究結果でベースをつくりつつも、個別性をきちんと大事にするということは大前提の話なのですが、70代と80代の御本人たちの声をこの検討会だけで代弁されているとは、厚生労働省には認識してほしくないと思いました。
 以上になります。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。桐原構成員、よろしくお願いします。
○桐原構成員 全国「精神病」者集団の桐原です。
 今、小阪構成員が発言されたように、精神障害当事者としてこの検討会に出ているのはたったの2名で、多勢に無勢だと思っています。かつ精神障害者と一言で言っても、いろいろな病気の人がいます。そういった人たち全体の声は、より多くの人たちから聞かないと見えてこないと思っています。
 進行と異なりますが、この段階で本日の論点にかかわるすべての意見を述べます。まずオンライン診療について述べます。オンライン診療で初診から診断書を発行している医療機関が参考資料として挙がっています。そもそもこの医療機関ですが、オンラインに限らず、対面診療でも初診で診断書を発行しています。かつ精神保健指定医がやっています。この情報が加わるだけで、参考資料の意味合いは大きく変わると思っています。参考資料は、オンライン診療が普及すると、患者のことをよく知りもしない医者が意見書を無造作に発行していくというような印象をほうふつとさせるものとなっています。オンライン診療の問題点を検討するなら、オンライン診療特有の問題から論点出しがされていかなければならず、対面診療で行われていることをオンライン診療特有の問題であるかのように論点出ししてはならないと考えています。こういうことについて、構成員の皆様には改めて慎重な御検討をお願いできますとうれしいです。
 また、初診からオンライン診療を可能にするかどうかということについては、様々な論点が出されているからこそ、患者当事者の目線からの必要性や課題について、実態把握を行う必要があると考えます。
 4の医療提供体制について述べます。合併症については、現状では身体病を診られる精神科病院の需要が高いです。先日問題になった滝山病院も透析ができて、精神科の入院医療ができる数少ない病院という機能を担っていました。このような従来の枠組みに対して、例えば身体科のほうで入院医療を提供して、精神科医が身体科の病棟まで訪問診療をするバリエーションとか、あと、精神科に入院しながら身体科の外来にかかることができるバリエーションとか、いろいろとあると思います。これらが円滑に可能となるような仕組みの整備やこれらを困難せしめる仕組みの見直しが必要になると思っています。そうすれば、例えば滝山病院のような病院がこれまで担ってきた医療機能は不要となり、病床のダウンサイジングにもつながるのではないかと思います。
 2の第8次医療計画について述べます。医療計画の中間見直しに係る指標例ですが、ここには非自発的入院件数を新たに入れるべきであると考えています。非自発的入院は必要な場面における必要な手続との見方もありますけれども、実際のところ不要な非自発的入院が散見されますし、入院に当たって同意を求めようとする医者を私たち精神障害者はやはり信用したいと思っているのが本音ですから、非自発的入院の縮減を方向づけることによって治療関係を良好にしていくことになると思っています。
 また、障害者権利条約に関わる総括所見、勧告、国会の附帯決議などにもありますので、指標例にするための具体的な検討を開始することが不可欠であると考えます。
 医療関係と無関係ではないので、障害福祉計画についても述べます。障害福祉計画の指針では、精神科病院の新規入院者の1年以内退院を92%と定めています。言い換えれば、8%が長期入院になることを意味しています。これは実績をベースにして算出されたものです。要は平均在日数が40日ぐらいの病院と死亡退院が50%を超えている病院の実数を合計して割り算して算出されたものです。前者の病院と後者の病院は、はっきり言って別物です。後者を算出根拠に入れ込まずして、指針をつくる必要があると考えます。
 3の入院医療について述べます。入院医療の人員体制は、他科と同質の人員体制にしていくためにも、重症度、医療・看護必要度の判定基準が必要になると考えます。例えば圧の強い家族と警察官の長話がしんどくて、医師が渋々入院させてしまったみたいなことも現場では起こり得ると思うのですけれども、そういったものを退けるためにも、基準があったほうが効果的であると考えます。
 ここからは、主に療養病床機能について述べます。私たち障害当事者が目指す社会というのは、インクルーシブ社会です。インクルーシブ社会というのは、障害の有無によって分け隔てられない、共に生きる社会のことです。これは人間の差異を無視して、単に機械的に均等にしようという考え、話とは異なっていて、人間の差異を踏まえて、個別の配慮を保障しつつ、結果を平等にしていくための取組になります。私たち当事者は、単に病気を持ったこのままの状態を尊重されて、そして、分け隔てられることなく過ごしていきたいと、ただそれだけなのです。
 療養病棟については、生活の場という見方もありますが、仮に現状そのように機能していて、かつそこにいる患者さんたちが満足していたとしても、1か所に患者や障害者を集めることで、ほかの社会との交流を脆弱にしてしまうため、インクルーシブ社会という観点から見ると、やがては脱却すべき枠組みだと言わざるを得ないです。
 私たちは、病床を減らすことが精神障害者と健常者の接点を増やすことになると考えるので、病床は削減すべきという立場を取っています。しかし、病床を削減すべきか、すべきではないかという議論の手前で、決して少なくはない精神科病院が山奥にあることを問題にしないわけにはいかないと思っています。要するに多くの精神障害者の実感として、山奥の病院にかかるのはいろいろな意味できついわけです。町なかに建て直すならまだしも、山奥に建てたままなら、患者としては削減してくれとか、そう思うのは当然の反応だと思ってほしいです。だから何だという話ではないのですけれども、そこを踏まえずに政策にしようとすると、やはり反発になったりするので、そこは理解をちゃんと示しつつ、進めなければならないところだと思っています。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 森構成員、よろしくお願いいたします。
○森構成員 精神保健福祉事業団体連絡会の森と申します。
 地域移行に関してですけれども、受皿になる地域の福祉サービスなどを私どもは担っているわけですが、現在の障害者の福祉サービスを受皿として考えたときに、精神障害者を簡単に受皿として考えていいのか、精神科領域の御知見をあまり持っておられない職員の方たちが結構配置されていて、いろいろと問題を起こすようなことが地域の中では起こっています。だから、精神障害者の人たちにとって有効なサービスがどういうものかという、そのあたりの議論も一つ進めていく必要があると思っています。もちろん人員配置も含めてです。
 もう一つ、岩上構成員がおっしゃっていたように、精神障害者の方たちを住民として市町村がどう責任持って受け止めていくかというのは、非常に大事なことだと思っています。その核となってくるのが自立支援協議会などの活動だと思うのですけれども、市町村などの活動に医療機関の方たちが参画することがまだまだ少ないのではないか。そのあたりのことをきっちりとやっていかないと、ただ市町村にやりなさいと言うだけでは動いていかないので、医療機関との連携の取り方とか、連携が取りやすいような制度設計もちょっと考えていく必要がある。そして、地域づくりをどうしていくのか、このあたりのことをきっちりと捉えていく必要があるのではないかという感じがしております。
 以上です。ありがとうございました。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしいですか。
 医療体制のところではなくて、入院医療に関しても議論が出るだろうとはもちろん思っておりましたけれども、かなり時間をオーバーしておりますので、次に入ってまいりたいと思います。
 それでは、項目の4、身体合併症につきまして、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。長谷川構成員、よろしくお願いします。
○長谷川構成員 身体合併症の件は、先ほどの議論でも幾つか出ていましたけれども、これは精神科救急学会などでもあったと思いますが、並列モデル、縦列モデルとあって、並列モデルが精神病床を有する総合病院だと思いますが、縦列モデルで、とにかくピストンで受診を縦横無尽にできるようにする。今もやっているとは思うのですけれども、よりできるようにする以外はないと思います。
 あと、理想を言ってしまえば、医療圏域で身体合併症病棟があるといいとは思うのですけれども、なかなかそうもいきませんので、そこは役割分担とトリアージでやっていくのがよろしいのではないかと考えています。
 あと、精神科病院には、内科の非常勤の先生などにいらしていただけるのがいいのではないかと考えています。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 長瀬構成員、よろしくお願いします。
○長瀬構成員 日精協の長瀬です。
 長谷川先生が言ったこととほぼ同じです。総合病院であれ、精神科病院であれ、医療機関の身体合併症のトリアージ機能、トリアージするのをどうするかということに尽きてしまうような気がします。患者さんの重症度とか、病期も踏まえて、あと、御本人の御意向を十分に踏まえた上で、受皿提示をする窓口が必要になってくるのではないか。実務的に患者さんは高齢化していますし、急性の合併症だけではなくて、生活習慣病とか、そういったことについても丁寧な処置や対応が求められる現状がありますし、慢性期の患者さんの合併症のケアに係る負担も年々変化して増えていますので、その評価についても検討をしないといけないと思います。
 これも地域特性に左右されます。私は東京で精神科の病院をやっていますけれども、病態によってはどうしてもお断りせざるを得ない場合もございますので、どういったケアをどういった病棟でするのが適切かというのは、現状、非常に悩ましい課題ではあります。意見でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 「身体合併症の対応について」は、精神疾患や精神障害があることをもって、他科の必要な治療が適切に受けられないということは、あってはならないことだと当たり前に認識しています。精神疾患や精神障害の程度によると思いますので、一概には言えないと思いますが、例えば身体科の病院において、精神疾患の方の対応に不慣れで対応に苦慮するなどの実態があり、精神疾患や精神障害があることをもって、適切な身体科の治療を受けられていない精神障害者の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。事態の深刻度を知りたいので、今回論点に据えられたということを踏まえて、推計値で結構ですので、お示しいただけるものがあれば、教えていただければと思います。
 また、何が身体合併症の方の治療を妨げる要因になっているのかを具体的に示していただけると、議論が進みやすいのではないかと思います。例えば一般病院において身体合併症の方の治療を妨げる要因や障壁について、具体的な考察などがあれば、教えていただきいただければと思います。
 以上2点について、事務局にお尋ねいたします。よろしくお願いいたします。
○田辺座長 お願いいたします。
○佐藤課長補佐 事務局でございます。
 まず精神科以外で、精神を理由にお断りされているようなケースがどのぐらいあるのかというお尋ねでございました。
 これにつきましては、まさに小阪構成員におっしゃっていただいたとおり、体制ですとか、病状によって、そもそも同率に評価していいのかというところがありまして、調査をするにしても難しいというのが正直ございまして、現時点でそういった件数のデータを取るのはなかなか困難だろうと考えてございます。
 そのため、先ほどお話にありました滝山病院は、そういうことをやっていた希有な数少ない病院の一つであったというところで、例えば参考資料の中にも入れさせていただきましたけれども、透析医療というのは、精神科病院ではなかなか難しい要素であることが分かる資料を入れさせていただいてございます。そういったものを間接的にお示しさせていただいているというのが現状でございます。
 他方で、前回の検討会で身体合併症を一つのテーマとして、参考人も呼ばせていただいて、御議論いただいた中で、まさに皆様からも身体合併症対応の課題を様々いただいたところで、事務局としては重く受け止めさせていただいたところで、今回、大きなテーマとして論点出しをさせていただいたというのが現状でございます。
 その上で、阻害要因というのも、まさに対応してもらうための後押しと表裏一体のところだと認識してございますので、どうすれば受けていただけるのか、または精神科病院でも対応できることは何なのかというところ、こういったところも含めて、ぜひ皆様に御議論いただきたいと思ってございます。
○田辺座長 よろしゅうございますか。
○小阪構成員 はい。
○田辺座長 北村構成員、よろしくお願いいたします。
○北村構成員 先ほど桐原構成員がおっしゃったように、精神科病院入院中の患者を一般病院の外来で診てもらうとか、あるいは精神科の医師がほかの病院を訪問して何かするとかということが自由にできればいいのですが、診療報酬上のいろいろな妨げがあって、軽々しく入院患者の外来診療をほかの病院にさせると、病院側の持ち出しになるとか、あるいは薬は1日分ならいいのだけれども、例えば分子標的薬などを1か月分もらってきたりすると、例えばスーパー救急とか、マルメ病棟だったら、持ち出しになるとか、診療報酬上いろいろなことがあります。
 我々がほかの病院の往診などに軽々しく行けないのは、施設基準で、例えばスーパー救急だったら常時3人の指定医がその病棟に張りついていなければならず、外来診療すらしてはいけないとかという決まりがあるので、精神科病院はどこもそんなに医師が充足されておりませんから、行きたくても行けないというのがあります。ですから、面倒くさいいろいろなしがらみをと取っ払ってくれると、もっとやり取りはしやすくなると思っております。
 それから、連携が重要なことはもちろんなのですけれども、一方、精神科の身体合併症対応を高める必要があって、前回から特定看護師とか、そういう話も出ておりますが、医者は大事だと思うので、個人的な経験から精神科病院にも総合診療医が勤めやすくなるような仕組みをぜひ考えていただきたいということです。
 これは何回か言ったかもしれませんけれども、私は昭和から平成にかけて、地震のあった奥能登で3年半、僻地診療所におりまして、この病院に来たときに、ちょっと言葉は悪いですけれども、僻地診療所よりも患者さんが医療に恵まれていないと思いました。今はさすがにそこまでではありませんけれども、内科医がいればいいとかではなくて、全体を診られる総合診療医がいないのです。
 今、総合診療医の議論を聞いていると、僻地の病院や診療所でいろいろなことをしたいというタイプと、もう一つは、都会の家庭医になって、在宅診療をするみたいな、総合診療医でも二つの方向性があったりするので、そういう中で、精神科病院も僻地医療と同じように混ぜていただくというか、そういうふうにしたら、一般の医師でも精神科の患者について分かる度合いが広まりますし、何か工夫はないものか。私は地域医療学会とかもやっていますので、いろいろと訴えておりますが、はっきり言って精神科病院はあまり人気はございません。
 それから、現実的な問題として、今、総合病院の精神科病床がどんどん減っているという状況があって、それは診療報酬が安いことと人員確保が難しいからなのですけれども、なくなったら大変なので、もう放っておいたらなくなるかもしれないという危機感を持っているわけです。各地域によって病院の社会資源が全く違いますから、一概に決めることはできませんが、例えばどのぐらいの数が必要かということはある程度計算できるのではないかと思います。
 例えば精神障害者が何人いるかは分かっているので、その人たちが身体合併症を発症する率は、もしかしたら一般人よりは高いかもしれないけれども、人口割合で何%と出るので、何人ぐらいの身体合併症が発生するとか、あるいは摂食障害とか、自損事故の重症者とか、脳炎とかの器質性精神障害などが年間何件ぐらい発生しているかというのは、厚労省は数字を集めるのが得意なので、簡単にできると思うので、それによってどのぐらい地域というか、石川県などは県単位でいいと思うのですけれども、県でどのぐらいの総合病院の精神科がいるかというのは算出できると思うので、そのあたりを具体的に示さないと、本当になくなってしまったら元に戻らないと思います。
 先ほどどなたかがおっしゃったように、精神障害者であるがゆえに、まともな身体医療ができないということになりますから、今はそうでもないけれども、昔はそうだったので、またそういう時代に戻るのは困るので、そのあたりを算出するというか、そういうことを考えていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 岡田構成員、よろしくお願いいたします。
○岡田構成員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会、岡田です。
 今の北村構成員のお話とも共通する部分があるのですけれども、医療本来のあるべき姿としては、先ほどどなたかがおっしゃっていましたが、精神障害があったとしても、どこの医療機関でも対応可能な体制が求められると思います。そこにつながる方向性としては、現在は逆行しているというお話もありましたけれども、総合病院に精神科の設置を進めること、特に精神科医療機関が不足している地域では、重点的に総合病院の精神科設置を進める必要があるのではないかと考えております。
 どのような病気であっても、命に関わるような局面を迎えたり、回復後の生活に大きな課題を残すような状況に直面した方にとっては、精神的ケアが必要になります。そのことを考えても、総合病院に精神科医が存在するということは、他の診療科にとっても大変意味があることと考えますし、精神科医療が特別視されることを解消することにもつながっていくと考えております。
 また、精神科入院者への課題の対応としましては、今、対応がなかなか難しいというお話がありましたけれども、他科の医療機関との連携によって、地域にある医療機関同士で情報共有をしながら、ほかの病院からの往診も含めて、通院や転院の体制がスムーズに取れる体制づくりが必要だと考えています。幾つもハードルがあるということは、今、お聞きしましたけれども、ぜひそのハードルを少しずつでも取り除いていけたらと思います。
 さらにこの体制に対応できる精神科病院の人員体制の見直しも必要になると考えます。ここで課題になるのは、医療者による偏見の問題だと考えています。全ての医療関係者に精神疾患の知識のみならず、人権意識を高め、精神疾患・精神障害への偏見を持たない医師・医療関係者の養成に力を入れることが必要だと考えています。
 現状では精神障害がある人が地域で身体合併症等の治療を受ける際に、医療者によって対応に大きな違いがあるという体験をしています。ある医療者は統合失調症と聞いただけで、門前払いの対応をする場合があります。また、ある医者は、本人の状態をありのままに受け入れて丁寧に診察をしてくださる場合もありますが、残念なことに前者の対応が多いという現状があります。このような対応の格差なく、精神障害があっても安心して必要な医療を受けられる地域となるためには、医療者による精神障害への偏見、これは大きな障壁となっていると実感をしています。
 これまでは精神障害がある人が大きな事件を起こすたびに、その対応策として国が法律を見直したり、制度を変えたり、支援体制を新たにつくり出したりという、そういう動きがつくられてきましたが、そのこと自体が精神障害への偏見を生み出してきたという側面があるとも考えられます。大多数の精神障害がある人たちは、犯罪とは無関係に生きております。それが事実です。社会がつくり出した精神障害への偏見を解消するため、様々な立場の国民への教育体制、情報提供体制を真剣に考えていくことが必要です。この場ではまずは医療関係者に徹底した教育を求めたいと考えております。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 江澤構成員、よろしくお願いします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 医療提供体制の観点から、身体合併症患者への対応を平素からしっかりと都道府県において議論していくことが重要だと思っています。各都道府県においては、地域医療対策協議会、地域医療構想調整会議、医療計画の検討の場など、たくさん議論する場がありますので、そういった中で、精神医療についても十分に議論を行っていくことが重要だと思います。
 最近の新たな地域医療構想等に関する検討会でも、人口規模別、すなわち人口100万人以上の大都市部、あるいは人口50~60万人程度の地方都市部、人口30万人未満の人口の少ない都市部等に分けて、人口規模別にどのように高度急性期、急性期、包括期、あるいは慢性期、それぞれの医療提供体制をどう考えていくのかというのは、今、まさに議論が進行中であります。精神医療の場合、全県が医療圏の場合もありますし、いろいろな状況があるかと思いますので、各地域において精神科医療の社会資源というのはかなり差異もあると思いますから、まずは自らの地域においてどういった体制がいいのか、身体合併症患者さんへの対応をどこでどうするのかということをしっかりと議論していくことが必要だと思います。
 特に診療報酬で急性期充実体制加算が設定されて以降、総合病院の精神科病床が減ってきたという経緯もありますので、次回の診療報酬改定にもおいても議論になろうかと思いますが、総合病院の精神科病床はしっかりと拡充していかないと、転院では身体合併症にすぐさま対応がしづらいという状況もありますので、そういった観点で、また医療計画の検討をしていただければと思っております。
 最後に、認知症においては、医療従事者向けの対応力向上研修をはじめ、かなり充実した研修がラインナップされておりますけれども、それと同様に、精神疾患、あるいは障害者の対応力向上研修を医療従事者向けに充実していくことが必要ではないかと思っております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。神庭構成員、よろしくお願いします。
○神庭構成員 ありがとうございます。神庭です。
 皆さんの発言にかぶるかもしれませんけれども、精神疾患を持つ持たないにかかわらず、必要なときには高度な身体疾患の治療が受けられるような体制というのは、欠かすことができないと思います。
 その上で危惧するのは、精神科病床を持つ総合病院が減ってきているのではないかということです。それは多くの病院で収支が赤字に傾いているということもあって、不採算部門の精神科を縮小しようという流れが目立つのです。それこそ国立病院機構のヘッドクオーターがある東京医療センターに精神科の病床がなくなったという、ちょっと信じ難い状況も発生しているのです。先ほど小阪構成員がデータを出してほしいとおっしゃっていましたが、肌感覚の話になりますけれども、そんなに病床数は必要ないと思います。ですけれども、必ずある地域には総合病院の精神科病床が何床か必要である。それは守っていかなければいけないと思います。
 岡田構成員は、一般科の先生は非常に偏見を持っているとおっしゃいました。それもそのとおりなのですけれども、初期研修制度が始まって、医学部では精神医学がコアカリキュラムの一つに位置づけられて、かつてよりはよくなっています。かつてよりはよくなっていて、一般病床である程度の精神疾患を持たれた方を受け取ってもいいという流れは生まれてきているのですけれども、その先生方が精神疾患を持っている患者さんを治療してみて大変だったという経験をしてしまうと、その先が続かないのです。だから、生涯教育の中で、持続的に精神疾患への偏見をなくすということが必要だと思いますし、それから、リエゾン精神医学において、身体科の先生方が困らないような体制をつくっていくことも必要です。総合病院の病床がないところでもせめてそれぐらいのことはしていただいて、高度な身体疾患治療を患者さんたちが受けられるようにしていく必要がある。
 それから、精神科病院で働く若手の精神科医は、初期研修で内科、外科を回ることが義務づけられていて、我々の時代に比べると、はるかに身体疾患の治療能力は高いです。特に専門家を呼ばなくても、ある程度の治療はできるようになっているというのが、現場の肌感覚としてお伝えできるところです。ただ、それでも専門的な治療が必要なときには、専門家の治療が受けられるような体制というのは必要だと思っています。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。上田構成員、よろしくお願いいたします。
○上田構成員 日本精神神経科診療所協会の上田でございます。
 私は外来のクリニックに勤務しておりますので、いわゆる600万弱の日本の外来患者さんに対応しているというか、その一部に対応しているので、身体合併症があるからといって、治療を断られたということは、外来患者においてはないのです。なので、精神疾患があるイコール身体合併症をなかなか診てもらえないというイメージをつくるのは、偏見を助長することになると思うので、そこはもっと全体的な目で見ていただきたいと思います。
 とはいえ、例えば精神科の症状が重篤で入院が必要である方が、高度な身体疾患の治療を受けなければいけない場合は、どうしても身体合併症病棟といいますか、病床が必要となるので、その場合は総合病院のベッドがなくなってしまっては困りますから、各都道府県においてどのぐらいの精神・身体合併症の病床数が必要であるかということは、数値を出していただいて、少なくとも何床はキープするという決まりをぜひ厚労省様につくっていただきたいと思っております。
 先ほど神庭構成員もおっしゃいましたけれども、若手の精神科医は結構身体疾患も診ることができたりしますので、精神科病院においてもそれなりのことはできるかと思いますが、精神科病院が総合病院になるわけではないので、内科医とか、歯科医とか、非常勤のドクターが勤務することも大変重要だと思います。
 あとは、繰り返しになりますけれども、精神疾患があるということに対する偏見を助長させないように、近隣の病院といい関係をつなげていくとか、診てくださるようなところとコンタクトを取るようなことも、努力としてはしていくべきではないかと考えております。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 松本構成員、よろしくお願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
 資料の52ページで精神科領域に関する専門性の高い看護師の配置状況を示していただいておりますので、2点、御意見を申し上げたいと思います。
 1点目でございますけれども、いわゆる630調査は、最近設定された調査項目と伺っております。こういった実態把握ができることにより在り方が検討できますので、ぜひ配置状況や役割の発揮について、引き続き実態を把握していただきたいと思います。このような活躍の場を増やしていくこと、それから、そういった専門性の高い看護師を増やしていくことが大切だと考えております。
 2点目でございますけれども、精神・身体合併症の患者の医療提供体制につきましては、精神看護専門看護師などはコンサルテーション機能を果たしておりまして、専門性の高い看護師とともに協働・連携することで、患者の状態に応じた質の高い医療や看護が提供できるものと考えております。いわゆる看護職間の看看連携といったものをさらに進めることが重要だと考えております。また、そのための取組の検討や体制整備に努めていく必要があると考えております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。花村構成員、よろしくお願いいたします。
○花村構成員 ありがとうございます。日本公認心理師協会の花村でございます。
 今、いろいろな構成員の先生方からお話が出ていたところなのですけれども、精神科リエゾン機能を総合病院の中で発揮できることは大変必要で、今、松本構成員もおっしゃられていたように、高度な専門性を持った精神科の看護師さんの働きというのは、私はすごく重要だと思っています。て、そういった看護師さんと我々のような公認心理師、精神保健福祉士、作業療法士、医師がセットになってリエゾンとして回っていって、身体科と精神科をつなぐという役割を現在でもしていますが、それをもうちょっとうまくやっていけるといいのだろうと思うのですが、それも人員が難しいというところはあったりすると思います。
 精神科病院の中でも精神科のスタッフが体のほうをある程度勉強してきている看護師さん、糖尿病の慢性疾患の専門看護師さんですとか、糖尿病療養指導士を持っている看護師さんですとか、栄養士さんなどでもそういうものを持っている方がおられますので、そういったいろいろな多職種を活用しつつ、精神科病院の中での身体科医療の診る力を上げていくことと、逆に身体科でも精神科の対応を向上させるようなお互いの研修みたいな取組が相互交流としてできるといいと思いまして、そこに多職種チームとして我々公認心理師も貢献できればと思いまして、御意見させていただきました。ありがとうございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。藤井構成員、よろしくお願いします。
○藤井構成員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
 今までの構成員の方々の意見と重なるところもあるのですけれども、精神・身体合併症に関しては、何人かの構成員の方におっしゃっていただいたように、一般病院と精神科病院がいかに連携していくかという方法論をきちんとしていくことが重要だと考えています。今、実際に連携しているところは結構あるのですけれども、医師が連携するだけではなく、先ほどご意見のあった専門看護師さんであったり、公認心理師の方が病院間で連携していくことができるようなスキームが今後必要だと思います。
 というのは、実際に患者さんを身体科病棟で精神科の患者さんを診ていく、あるいはその逆の状況で、実は診療だけではなくて、看護の部分が非常に重要で、身体科の治療ができても、看護がなかなか難しいという状況もしばしばありますので、そういうところは専門看護師の方の看看連携というあたりでカバーしていくことも考えていく必要があると思います。
 あとは、近くにある一般病院と精神科病院の連携であれば、実際に行き来することができるかもしれないのですけれども、実際に遠くにあるところはそれが難しいことになってくると、病院間でのオンライン診療やコンサルテーションもできるように考えていく必要があると思います。
 総合病院の精神科に関しては、多くの方がおっしゃっているとおり、総合病院の精神科病床をなくしてはいけないと考えているのですけれども、医療提供体制だけではなくて、教育体制で非常に重要な役割を担っていて、精神科医が総合病院で診療することによる教育的効果であるとか、看護師であったり、ほかの方が勤務することによる教育的効果を考えると、診療提供体制以外での人材育成という観点からも、総合病院の精神科を考えていく必要があるのではないかと思いますので、ぜひ地域医療構想の中で必要な病床を調整会議等々で検討していただいて、機能を維持していくことを考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 長谷川構成員、よろしくお願いします。
○長谷川構成員 皆さんの議論を伺っていて、今、私はまさにリエゾン精神科医なので、その数のことをお伝えしようと思います。しっかり数えてきているわけではないのですけれども、去年、1年間でリエゾンに対応したのが約400人近く、その中で40%が精神科疾患の対応になります。本当にざっくりですけれども、そのうち精神科病床を有する、いわゆる身体合併症病棟にお願いをしたのは1人です。あとは、何とかかんとか体の治療を終えて、半分ぐらいが精神科の単科病院に転院してもらった感じになります。
○田辺座長 サンプル問題がありますけれども、非常に貴重な情報をありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 取りあえず身体合併に関する議論はここで一度終了したいと思います。
 さすがに集中力の問題が出てきましたので、5分ほど休憩を入れたいと思います。
 50分に再開したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
(休憩)
 
○田辺座長 それでは、再開したいと存じます。
 続きまして、項目5の入院外医療について、御議論を賜ればと思います。(1)~(3)までをまとめて議論したいと思いますので、御発言の際にはどの論点に関するものなのか明示いただいた上で、御発言いただければと存じます。
 それでは、御意見、御質問のある方は挙手をお願いいたします。小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 まず「かかりつけ精神科医機能について」ですが、少し分からないので教えていただければと思いますが、論点の一つ目に記載されている「かかりつけ精神科医機能を地域全体で確保」とは、どのようなことをイメージされているのでしょうか。
 かかりつけ精神科医は、患者の立場から見ると、基本的にはお一人だと思うのですが、そのかかりつけ精神科医とかかりつけ精神科医機能を地域全体で確保という、機能だけを人から分離する考え方が患者の立場からするとよく分からないので、質問させてください。
 「初診待機」については、特定の病院やクリニックにおいては、予約を取りづらいということがある一方で、比較的容易に予約が取れる医療機関があるのも事実だと思います。比較的容易に予約が取れる医療機関の情報を私たち患者の立場の方たちが知りやすくなる取組、そうした情報にアクセスしやすくなる取組を推進していくのは、一つの有効な手だてだと思います。
 ちなみに、予約が取りづらい医療機関は良質で、比較的予約が取れる医療機関は良質ではないというような推論があるとすれば、それはいささか短絡的すぎるのではないかと申し添えておきます。
 「初診・再診における情報通信機器を用いた精神療法の在り方」については、患者さん自身が自己選択できる形が望ましいと思います。一方で、国策として情報通信機器を用いた精神療法を推奨したりするのは、控えてもらいたいと思います。
 あくまで患者さん自身の自己選択の範疇において、メリット・デメリット等を勘案しながら、患者さん御本人の選択肢として存在することが望ましい在り方だと思います。
 以上になりますが、最初の質問のかかりつけ精神科医とかかりつけ精神科医機能を地域全体で確保という、機能だけを人から分離する考え方のイメージを我々患者にも分かりやすく教えていただければと思います。
○田辺座長 それでは、この点をよろしくお願いします。
○佐藤課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
 かかりつけ精神科医機能の部分につきましては、56ページにその機能を有する医療機関の役割を明示させていただいているところでございます。
 まさに大事なポイントで様々な機能があると思いますけれども、分かりやすく申し上げると、一つの医療機関、特に一つの診療所がその機能を例えば時間外対応、災害対応、様々なことを求められているわけですけれども、それが全てできるかと申し上げると、多くの場合は1人のお医者さんしかいませんので、そういったところでやるのは困難です。
 本来必要とされた機能というのは、どこか別のところがサポートする形で担わざるを得ないのではないか、そうすると、それは地域の中でどのように機能を補完し合うのかが必要な視点になってくるのではないかというところで、こういった書き方をさせていただいたところでございます
○田辺座長 保阪構成員、よろしゅうございますか。
 ほかはいかがでございましょうか。岩上構成員、よろしくお願いします。
○岩上構成員 岩上です。
 今のかかりつけ精神科医機能については、ずっと議論がされていて、とてもかぶってしまって分かりにくいというお話で、今、佐藤課長補佐がお話になった56ページを見ていただいて、結局、かかりつけ精神科医機能としての位置づけの部分と精神科医療機関として対応する機能があって、ここで議論してきたのは、その両方をしっかりやることができる機能という位置づけですから、そうなりますと、ここの一番上に書いてある精神障害にも対応した地域包括ケアシステムにおける医療機関の役割を名称として対応できるように考えていくのが分かりやすいと思いました。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。北村構成員、よろしくお願いします。
○北村構成員 まずかかりつけ精神科医については、ずっと一般病院のかかりつけ医とか、かかりつけ医機能報告とか、そんな話ばかり聞いていたので、頭がごちゃごちゃで訳が分からなくなっていて、年明けには精神科病院でもかかりつけ医機能報告をしなければいけないという状況の中で、別のかかりつけ医の何とかとかとなったら、何のことやらさっぱり分からなくて、院長が分からないのに職員に分かれと言っても、全く分かりません。何をどう読んでも分かりません。
 先ほどおっしゃったように、地域包括ケアシステムの中でこういう医療機関が求められるということを、多分これは地域包括ケアシステムの在り方検討会のときにそういう意見として、言葉としてのかかりつけ精神科医というのが出てきたと思うのですけれども、あえてそんな名前をつけなくても、地域包括ケアシステムに対応した医療機関単独でできないならば、そのグループをつくるみたいな話にしたほうが分かりやすいのではないか。かかりつけ医という言葉はやめていただかないと、本当に訳が分かりません。
 それから、初診待機などの問題ですけれども、その資料にもありますとおり、再診の間隔が23日と、私の感覚からしたら非常に短いので、もちろん重症の方は毎週来られる方もいますけれども、例えば気分障害などで安定してしまって、薬だけであったら、当院の場合は56日とか、認知症の人なども84日処方にしています。恐らくベンゾジアゼピン系の薬の使用が多くて、28日以上延ばせないところが多いのではないか。
 今、ベンゾジアゼピンの使用については、診療報酬で規制がかかってきたようにも思いますけれども、日本は諸外国に比べて非常に使いやすいというか、精神科医によってはベンゾジアゼピンのどこが悪いとおっしゃる方もいるし、実際に常用量依存になって、どうにもならない方もいっぱいいらっしゃるのですけれども、個人的にはベンゾジアゼピン系の薬は頓服薬だと思うので、そのあたりを抜本的に改善していかないといけません。あまりやり過ぎたら困る患者さんなどもいるかもしれないけれども、そういう問題があると思います。
 みんながみんな1か月ごとに来なければいけないほど落ち着かない状態で毎日20人も30人も診ていたら、医者のほうがもたないと思うので、世間話ぐらいで帰ることができるような患者さんも多分いらっしゃると思うのですけれども、そうなればそういうのは56日処方などができるように、あるいはリフィルとか、日本では全く使っていませんけれども、そういうことを考えるべきです。再来の患者が減れば、新患を診る余裕ができますし、診療報酬で何がしか誘導することもできるかもしれません。
 かかりつけ医師というか、一般の開業医の先生らに精神科の問題についてのアンケート調査をしたときに、クリニックの待機時間が1か月、2か月までで、自分は鬱病だと思ってすぐ診てほしいのに、2か月待てと言ったら、その2か月の間はどうするのだという話を聞いたので、石川県は地震でできなくなったのですけれども、精神科救急システムができたように、例えば緊急性はあまりないかもしれないのですが、今、診てほしいですという医療機関を各地域で当番制にして、木曜日の午後はどこどこ病院なら診てくれますとすれば、そういうものを広報すれば、先ほど小阪構成員がおっしゃったように、すぐに診てくれます。自分の希望する病院でなくても、とにかくワンタッチして、これは重症だとか、軽いとかとなれば、安心も出ると思うので、そういうものは地域でシステムをつくれば、できると思います。
 オンライン診療に関しては、僻地医療とか、あるいはひきこもりの方とかの活用は非常に幅広いと思うし、先ほど桐原構成員がおっしゃっていたように、対面でもすぐに診断書を出してしまうような医者もいるから、そこをオンライン診療の問題にしてはいけないというのもよく分かるのですが、ただ、いろいろな話を聞く限り、モラルのよくない医療機関もあれば、患者さんもいらっしゃるので、しばらくオンライン診療を普及させるまでは、やはりD to P with Nとか、with Dとか、先ほど総合病院の相談もあって、オンライン診療で総合病院のお医者さんと患者さんを交えて診察することもできるわけですから、初めは単独で対面でオンラインではなくて、with Nとか、with Dとか、with行政職員とか、そういう形から始めて、普及した時点で、さらに小阪構成員のおっしゃるように、患者の希望で選べるような形に持っていくようにしたらいいのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 辻本構成員、よろしくお願いします。
○辻本構成員 まずかかりつけ医機能については、夜間休日の診療対応は手厚い人員のための予算確保を適切にしていかないと無理だと思います。かかりつけ医機能のうち精神科病院の特有な内容に関しては、精神科領域のほうが先行している地域包括ケアという意味合いがあるので、関係機関の連携を現行の事業展開の延長線上でやっていくのがいいと思います。
 それと名称変更ですが、これもそのとおりで、例えば包括的保健福祉連携医とか、精神科の場合、違う名称をキチンとつけて、いわゆるかかりつけ医とは違う機能として適切に位置づけていただきたいと思います。
 多機能型の診療所にはインセンティブがつく配慮が必要ですが、想定されているかかりつけ精神科医療機能を一つ病院や診療所で全てをこなしていくのは無理なので、どの事業にはどういう診療報酬をつけるとか、その辺の整理をして、それは地域医療構想の中の地域でうまく役割分担をしていけばいいのではないかと思います。
 初診待機に関しては、いろいろな意見があるでしょうが、オンライン機能の活用も既に使われているのだから、オンライン診療の流れは止められません。適切な活用の推進のしかた、逆に不適切な使われ方の規制をどうするのかを考えていただきたい。
 受診しやすくなるような取組としては、まずはメンタルヘルスの普及啓発の充実。改正精神保健福祉法で明確に取り上げられた精神保健に課題を抱えながら、医療機関受診が容易でない人たちへの地域支援体制の構築、これは自治体内での体制整備をもっと進めていくー市町村だとか、保健所、精神保健福祉センター等による包括的重層的支援体制をつくる。
 一般相談窓口の機能強化、市町村における精神保健福祉の相談は、今は努力義務なのですけれども、適切に相談機能を発揮するために義務化・必須化していくことが大事です。
 それと保健福祉専門機関、例えばひきこもり支援センターだとか、発達障害者支援センター等の機能強化をします。相談レベルで適切に対応できるような相談支援を充実させて、医療が必要な人、医療の役割が明確な人をトリアージして受診体制をよりしっかりしていく。その辺の現場での相談支援のところで、医療にかからずに済むような体制づくり。
 医療受診が難しい人々に対する行政機関と医療機関が連携したアウトリーチ事業も、先ほどおっしゃったように、市町村だとか、保健所、センターなどが関わっているケースだとか、そこにまず行政機関が受け皿になって、急な受診が必要なときには、行政機関支援枠といったルートをつくっておく。今、北村先生がおっしゃったようなことが大事ではないかと思います。
 もう一つ、通信機器を用いた診療に関しては、研究等のエビデンスが出ているので、そういうエビデンスのある精神療法は認可していく方向でどうか。現実的には都会型のオンライン特化した診療所と地方かかりつけ医機能を持つ精神医療機関診療との役割を適切に整理して、診療報酬を分けるとか、機能分化をしていかないと、両方をやれというのは無理なので、軽症例に関してはオンラインを活用していくとか、フットワークがよく、ただ、しっかりと重症化したときには、地域の精神科医療機関に結びつけるような仕組みをつくることと、地域に根ざしてしっかり地域包括ケアシステムを実施する診療所で、その保険点数のつけ方を変えるとか、そういうところを検討いただければどうかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 江澤構成員、よろしくお願いします。
○江澤構成員 ありがとうございます。
 まずかかりつけ医機能は、診療科横断的に全ての診療科に共通の用語であります。かかりつけ医機能報告制度においても、特定機能病院以外の全ての医療機関が報告することになっており、1号機能の40疾患には精神疾患も当然含まれております。
 資料の56ページの機能も精神科医療以外のかかりつけ医機能と全く同様になっています。したがいまして、かかりつけ精神科医機能という言葉については、今後、見直しなりの検討が必要ではないかと思っています。
 かかりつけ医機能報告制度は、各医療機関の機能を報告することによって、地域における最適な医療提供体制、すなわち、地域の医療機関が役割分担と連携によって地域を面として支えることを目的としています。
 したがいまして、精神医療に特有な内容につきましては、地域で医療提供が不足することのないように、地域に協議の場を設置し、しっかりと話し合う体制を構築することが重要だと考えております。
 続いて、オンライン診療について、申し上げます。オンライン診療は、医学的な有効性・安全性、特に安全性が最優先されるべきでありますので、これらが担保されたものは推進すべきであると考えますが、利便性や効率性のみを重視した安易な拡大はすべきではないと考えております。
 オンライン診療の指針においては、最低限遵守すべき事項として、初診の場合には、麻薬及び向精神薬の処方は行わないとなっているにもかかわらず、初診から向精神薬が処方されている例が実態として示されております。また、患者さんの急変時に適切に対応するために、患者さんが速やかにアクセスできる協力医療機関等にて直接の対面診療を行う体制を整備するとされているところでございます。
 ところが、本日の資料の113ページ、114ページにもございますように、患者さんと受診医療機関の所在が一定以上異なっている実態もデータで示されておりますので、こういった状況下において、直接の対面診療の体制が担保されているのかどうか、危惧をしているところでございます。
 さらに我が国においては、精神科領域におけるオンライン診療、特に初診については、まだ少数の検討しかなされておりません。また、日本全国での患者さんの状態や医療提供体制の状況は、当然ながら千差万別でありまして、まだまだ一般化する状況にはないと考えており、今後しっかりとしたエビデンスを踏まえて考えていくものだろうと思います。
 さらに令和6年度診療報酬改定で新しく導入されました情報通信機器を用いた通信精神療法の算定状況もまだ極めて少ないことを踏まえれば、引き続き十分な調査分析を行って、課題が何であるのかをしっかりと分析した上で、今後の対応を検討すべきと考えます。
 最後に精神障害者等の地域へのアウトリーチについてです。これは以前も申し上げましたけれども、認知症においては、認知症初期集中支援チームが全国の市町村で活躍をされています。
 一方で、地域によっては訪問件数もかなり減っていたり、あるいは認知症以外の精神疾患とか、いろいろな障害者の方々も介入する対象に入ってきていますが、現在の認知症初期集中支援チームは、認知症でないという診断がついた時点で介入をストップすることになって、現場では難渋しており、したがって、仕組み上は介入がストップしておりますけれども、関わった以上はそこで終了とはいきませんので、ボランティア的に関わっているのが実態だろうと思います。
 そういった認知症初期集中支援チームのような仕組みがせっかくできたわけでありますので、そういったことも活用しながら、しっかりとアウトリーチで支えていくことが重要であります。
 精神科訪問看護については、これまでも不適切な事例が指摘されておりますけれども、しっかりと質を担保していくことを引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。上田構成員、よろしくお願いします。
○上田構成員 日本精神神経科診療所協会の上田でございます。
 かかりつけというと、普通だとかかりつけ医というイメージのほうが強いので、かかりつけ医機能を持っている精神科医療機関になってしまうとすごく複雑な感じがして、混乱しやすいと考えていまして、患者さんとしてもかかりつけの先生はこの先生だと理解していらっしゃると思うのですけれども、私はこのかかりつけ機能を持つ精神科医療機関という概念は、精神科の場合はあまりなじまない気がして、主治医が転勤したらついていかれる方が結構いらっしゃるので、そういう意味では、かかりつけというのは、心理的に特定の主治医を信頼してかかっているというイメージになると考えています。
 この複雑な絵を見て、小さなクリニックの自分としましては、こんなフル装備は絶対に無理だし、こんなハイスペックは絶対無理だと思うのですけれども、そのような医療機関が非常に多くございますので、やはりチームを組むといいますか、いろいろな機能を持っているところと連携していく必要があると考えております。
 救急に関しましては、例えば東京ですと、以前もお話ししたことがありますが、東京精神神経科診療所協会の有志で夜間休日診療を東京精神科病院協会の方と協力してやっておりまして、ただ、夜間も休日も診療等をやっているのですけれども、意外とそこに患者さんがいらっしゃらないという問題もあるので、もっと広く周知して、初診で困っていて、救急的なというときに利用していただければと考えております。
 東京精神神経科診療所協会においては、医者が電話対応をし、電話相談を受ける日も月に何回か設けておりまして、そのような相談も受けております。
 初診待機に関しましては、やはり地域によってすごく地域偏在があるので、東京などは新しいタイプのクリニックが日曜日や祝日、夜間もやっていますみたいなものがたくさん増えていますから、もしかしたら東京の辺りは初診がそんなに困らないと思うのですけれども、地域になると医療機関が少なく、かつ医者の高齢化もあります中、なかなか難しい問題だと思いますので、初診のインセンティブを診療報酬上に与えるみたいなことも、もしかしたら初診の患者さんをもっとたくさん診る励みになってくると思います。
 オンライン診療に関しましては、本当に必要な方はいらっしゃいます。例えば産後の精神不調とか、対人恐怖などが強い方のひきこもり状態とか、僻地の方とか、必要であるけれども、対面で診療が難しい人に届くのがいいのではないかと考えておりまして、便利だから何でも誰でもというよりは、安全性を重視して必要な方へ届けるという形が適切なのではないかと思いますし、できることなら対面と組み合わせて行うほうがより良質な医療が提供できるのではないかと考えております。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 藤井構成員、お願いします。
○藤井構成員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
 かかりつけ精神科医療機能については、これも複数の構成員がおっしゃるとおり、名称問題でちょっと混乱をしているので、中身をそんなに変える必要はないと思うのですけれども、身体のほうで議論されているかかりつけとはコンセプト的に異なるので、名称変更がよろしいのではないかと思います。
 初診待機問題に関しては、すぐにこれが有効という処方箋があるわけではないとは思うのですけれども、一部の地域では、診療所の先生方がネットワークを組んで、初診に対応しているような取組をされていることも聞いておりますので、そのような、地域でどのように初診に対応していくかというようなネットワークを活用するような考え方もあると思います。
 あとは、医師のみで診療するのではなくて、多職種での診療も必要に応じて、むしろそちらのほうが適切のようなケースもありますので、そこも柔軟に対応できるとよいのではないかと思います。
 辻本構成員もおっしゃっていましたけれども、初診待機されている方、あるいは初診にかかる方全員に本当に医療が必要なのかというと、そうではないというところは私の実感としてもあるのですが、現状だと精神科外来しか相談できるところがないため精神科外来にかかっておられる方も一定数いらっしゃると思います。
 それは地域の相談支援が十分ではないということだったり、もちろんスクールカウンセラーが充実してきたり、企業でもメンタルケアに力を入れてきているところもあるとは思うのですけれども、それでも医療未満の方が相談できるところがまだまだ不足していて、自費でカウンセリングにかかることができる方はそちらに行くかもしれないですけれども、大体困っている方は経済的にも困っている方も多いわけで、公的な支援としての相談支援が充実する必要があると思います。
 例えば札幌市とか、足立区だったり、川口市とか、具体的なところを挙げていくと、若者のワンストップサービスを行政が主導で民間と官民連携で行っているような事例もあって、そういうところでは医療にかかるまでもないかもしれない、あるいは医療がかかることを迷っている方も含めてワンストップで相談できるということで、そういうことは保健所でも精神保健相談などでもやっているとは思うのですけれども、役所や保健所、センターというのは足を踏み入れにくいところでもあったりするので、そこはユーザーフレンドリーな場所での相談を受けられるような体制をもう少し充実していくことも必要になってくると思います。
 精神保健福祉法の改正で、精神障害がある方だけではなくて、精神保健上の課題を抱える方に関しても支援の対象と明記をされているところでもありますので、よりそこの保健の部分の充実が進むとよいのではないかと思います。
 同様にアウトリーチに関しても、やはり行政の役割は非常に大きくて、特に未受診の方に関して支援をできるだけ早く届けるという意味では、アウトリーチの充実が必要なわけですが、先ほど江澤構成員におっしゃっていただいたとおり、認知症初期集中支援チームの枠組みを活用することであったり、あるいは八王子市さんなどでは医療機関から精神保健福祉士の方が出向いて、保健師さんと一緒にアウトリーチをするようなスキームもあったり、自治体側が様々な工夫をしているところであります。
 どちらにしても、自治体が単独でそういうアウトリーチ機能を発揮するというのは、マンパワー上では難しいところがありますので、現実的には、先日、上ノ山参考人がおっしゃっていただいた彦根市の例のように、医療機関への委託などによって、アウトリーチができるような体制を考えていくのが必要になってくるのではないかと思います。
 ただ、そのときに重要なのは、自治体が医療機関等に丸投げにするのではなくて、自治体できちんとグリップできることが非常に重要になってくると思いますので、そういう意味では、今、精神保健福祉相談員の講習の要件なども変えていただいたところでもありますので、そのような講習も活用して、保健師の方だったり、自治体の職員さんが精神保健福祉に関しての一定のスキルを身につけていただく機会なども確保しながら、医療機関等と連携した上でアウトリーチ、精神保健相談などを充実させていくことが必要なのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 家保構成員、よろしくお願いします。
○家保構成員 衛生部長会の家保です。
 私は66ページにございますかかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会の構成員をやっておりましたので、そこの部分について補足させていただきたいと思います。
 先ほど江澤構成員がおっしゃったように、もともと特定機能病院以外の全ての医療機関が出して、40の診療についての診療実績がどうこうということで、その中で三つほど精神科領域の部分があります。国民患者の選択に資するということで情報提供になります。
 もう一つ大事なのは、66ページの下に書いていますように、全ての医療機関がそれらの機能全て見ることができるわけではないですので、連携をして進めていきましょうという観点で、地域における協議の場、従来は入院ですと地域医療構想が協議の場でした。
 もう少し細かい部分で協議を進めていったらいいのではないかということで、在宅医療とか、介護連携などは、市町村がもっと積極的に入るような単位でかかりつけ医機能を協議しましょうという構成になっております。
 精神科領域の先生方の各診療所もそういう協議の場に出ていただいて、市町村に対しても私たちの診療領域でも課題になっていることはどうなのか、診療所にもそういう情報を伝える場として活用いただくことで、地域全体で医療提供を確保していこうという色彩ですので、先ほどのお話がありました身体合併症の話とか、市町村との連携という場でぜひとも精神科領域の医療機関の方にも積極的に参加していただいて、取り組むことが包括の推進にもつながりますので、そういう背景で受け取っていただければと思います。
 ただ一方で、かかりつけ精神科医機能については、そちらの検討会でも何なのだろうという世界になっていまして、こちらの分科会での議論を踏まえてまたというような状況のお話だったと思いますので、ぜひとも整理をしていただきたいというのは全体としての希望でございます。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 松本構成員、よろしくお願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
 私からは(3)オンライン診療についての御意見を申し上げたいと思います。精神疾患や精神障害を有する方々は、医療を必要とする状態であっても、受診になかなかつながっていないような実態を日々見ております。
 そのような場合におきまして、適切に医療につなげるためには、心身症状や病状の経過などの対象者の主訴を正しく医師へ伝えるためのサポートとか、医師からの指示内容の認識を共有したり、理解を促進していただいたり、そういった意味での看護の果たす役割は非常に大きいと考えております。そのため、精神科領域におきましては、D to P with Nがオンライン診療の基本の形になるのではないかと考えております。
 また、行政の保健師が医療を必要とする方を把握して、初動を担うこともございますので、D to P with PHNとしてオンライン診療での初診につなげられるような体制整備や仕組みがつくられるとよいのではないかと考えております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 岡田構成員、よろしくお願いいたします。
○岡田構成員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
 入院外医療、初診待機についてですが、先ほど藤井構成員からお話がありましたけれども、私もまずは相談できることが必要なのではないかと考えております。先ほど藤井構成員から御提案のあった相談先に加えまして、身近な内科医等の開業医も考えられると思います。
 地域の開業医が基本的な精神科の知識を持っていて、地域内の精神科医療機関や専門職との連携体制があれば、状況によっては開業医で、ある程度の治療を受けることができますし、状態によっては精神科につなげていくということで、比較的早い段階でより適切な治療を受けることができると考えます。重症化する前に対応できる体制をつくることが精神科初診の混雑を軽減する、このような視点での取組も必要なのではないかと考えています。
 このことに関連しまして、先ほど児童・思春期の精神科医療体制が不十分という御意見がありましたが、私も全く同感で、特に統合失調症は10代で発症する方が多くおりますので、ぜひ児童・思春期の精神科医療体制についても検討を進めていただきたいと考えております。
 情報通信機器を用いた診療につきまして、精神科医療においても必要な選択肢の一つになり得るのではないかと考えます。私自身、精神科ではありませんが、実際にオンライン診療を受けた経験から、精神科においても画面上で医師と一対一で顔を合わせて話ができるシステムはあってよいものと感じております。初診もオンラインでならと治療を受け入れる人もいるかもしれません。
 ただ、薬の処方に関しては、かなり慎重な判断と対応が必要になると思いますので、処方につきましては、一定の決まりを設ける。このあたりはきちんと何かしらの手だてを構築する必要があると考えております。
 にも包括に関してですけれども、にも包括が目指す地域で安心して暮らすためには、長期入院者の退院支援とともに、現在、地域に埋もれてしまって孤立した本人も含めた家族への支援、8050問題から9060問題とも言われておりますが、この方々への対応は急務の課題と考えております。
 アウトリーチ訪問による急な病状変化への対応と、本人の自立生活の実現のための支援を求めたいと考えます。孤立した家庭の中では、急な病状変化があっても、家族だけで何とか対応しなければならないために、常に家族が不安を抱え込んで生活をしています。だからこそ、本人の自立生活はとても無理と考えてしまう家族が多く存在しています。このことは、家族会に寄せられる相談内容からも推察できることです。
 また、何とか医療とつながって、訪問看護を受けても、何も先に進まないと感じている家族が少なくありません。この現状から、にも包括で取り組むべき課題として、訪問看護のみならず、行政も含めたアウトリーチ支援やアウトリーチの医療として、家族全体を支援するという家族支援の視点を持って取り組む必要があると思います。
 単に家族が大変だから、困っているから支援するだけではなく、家族に病気や障害があっても、成人した本人の持てる力を理解して、地域の医療者・支援者の力を信じて、家族が抱え込みがちな本人への支援やケアを地域に手渡す、そういうことができるように家族を支援する視点が必要だと考えております。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。柄澤構成員、よろしくお願いします。
○柄澤構成員 北海道北広島市の柄澤でございます。
 私から初診待機とかかりつけ精神科医で1点ずつ意見を述べたいと思います。
 まず初診待機なのですが、初診待機中の支援のところで多職種のアウトリーチチームや市町村の精神保健の担当が受診前の調整を行ったり、病気の重症度や緊急性のトリアージができる体制があると、初診待機を減らす一助となるのではないかと思います。
 藤井構成員もおっしゃっていましたが、ひきこもりなど、必ずしも医療につなぐことが最優先ではない場合もあります。そのような体制を取るには、まず市町村の精神保健相談体制の整備が必要であるのは、今までもほかの構成員の皆さんから御意見が出ているところでもありますけれども、精神保健福祉法が変わりましたが、精神保健福祉相談員の配置を努力義務ではなく、必置としなければ、体制整備というのはなかなか進まないと思います。
 また、そのための財源をどう確保するかという課題もありますし、先ほど藤井構成員がおっしゃっていた若者のワンストップサービスについても、こちらは政令市や中核市が対象ということで、一般の市町村で取り組もうとすると、全て市町村の一般財源からとなりますので、なかなか進まないところもあると思います。
 また、私から過去に何度か申し上げてきましたが、市町村の精神保健福祉相談体制の整備には、保健所や都道府県のバックアップが欠かせないものと思います。
 次に、かかりつけ精神科医機能ですけれども、今後の精神科医療の在り方を考える際に、地域責任制という考え方も必要になってくるのではないでしょうか。地域責任制については、平成28年6月開催の第4回新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会で構成員のお一人が、「地域の精神保健医療福祉は自分たちで守っていくという地域責任制の考え方も必要になってくると思われる。今後の地域精神保健福祉医療を充実させていくためには、一定の地域内で情報連絡を密に行い、関係機関の信頼関係を醸成していく中で、各機関の役割分担を明確にし、連携協力体制を作っていく必要がある。」と述べられています。
 例えばこれを踏まえると、精神科救急は地域責任制によるミクロ救急が提供され、これをマクロ救急である精神科救急医療体制整備事業が補完するという仕組みになると思います。ただし、精神科医療資源が少ない地域の精神医療提供体制については、別途検討する必要があると考えます。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。花村構成員、よろしくお願いします。
○花村構成員 日本公認心理師協会の花村でございます。
 何人かの先生方が既におっしゃられていたことなのですけれども、まず北村構成員がおっしゃられていた、安定した方はもうちょっと投薬の間隔が長くても良いのでは、みたいなお話があったのですが、先生に会いに来て安定している方は絶対いらっしゃると思って、お薬を長く出して安定していると思いきや、結局、その間に心配になって来てしまうみたいな方はおられると思いますので、その辺は先生方の負担を少し軽くするためにも、多職種でその合間にお話を聞くことで、看護ですとか、心理ですとか、PSWというところでうまく補完しながら、そしてもし緊急の事態が起きたら、すぐに先生方に御相談できるようにするシステムは、人員的に難しいのは確かに分かるのですが、そういったことが広まっていくともっといいと思います。
 また藤井構成員がおっしゃられていた、医療未満の相談機能の充実は、それも非常に望まれることだと思いますので、そこに多職種を配置し、精神科が本当に必要なときにはさっと紹介できるような、医療機関と行政での相談機関のシステムのつなぎを地域の中でいかにうまくやっていくかというのが課題だと思いました。
 それでも顔を出すのは抵抗があるみたいな方に関しては、私、埼玉で働いているのですけれども、埼玉県で、アバター相談をやりますみたいなものがあって、キャラクターになりきって、相談員も相談する人もキャラになって御相談して、でも、中身は心理師だったりするのです、そのキャラクターになってくれる心理師さんを紹介してくれませんかという相談が来たのですが、専門家の支援を気軽にちゃんと質の担保されたものとしてアクセスしやすい工夫を我々みんなで考えていけるといいと思いまして、意見させていただきました。ありがとうございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。田村構成員、よろしくお願いします。
○田村構成員 日本精神保健福祉士協会の田村です。
 かかりつけ精神科医機能について、名称の見直しに私も賛成です。もともと、にも包括検討会のときにすごく分かりやすいこの言葉が使われ、一言で言い表せてよかったとは思っていたのですけれども、変更したほうが今後にとってはいいと思います。
 論点の夜間休日の診療対応を含めて地域で確保する方法については、地域には、高齢等で介護などが必要な方だと、在宅療養支援診療所・病院といったところが対応されていて、24時間365日体制があります。精神科でも長期入院後に退院して、高齢者ではあっても介護保険には該当しない方は一定数いらっしゃり、その方たちにどのように対応していくかを考えますと、介護との連携も必要ですが、お体のことも含めて医療機関が全般的に診てくれるという安心感は欠かせないと思います。ですので、精神科版の在宅療養支援診療所等をつくっていくことも検討してはどうかと考えます。
 また、かかりつけ精神科医機能を有する医療機関には精神保健福祉士が配置されることが想定できると思いますが、精神保健福祉士も職場によって業務の内容がかなり違う側面があり、先ほどの入院医療の論点でもありましたように、精神保健福祉士をもう少し医療機関にしっかり入れていくために何が必要か、私ども職能団体としてもその検討の必要性を感じています。
 精神保健福祉士の養成は、2021年度から新カリキュラムがスタートしたところですが、その後の法改正や医療の在り方の変化もありますし、精神科医療機関の実習は必須とされているものの、その内容は様々です。この検討会の論点ではないとは思いますが、厚労省にお願いしたいのは、精神保健福祉士の新カリ後の実態把握等と併せて養成カリキュラムの見直し等についても、議論が必要であろうことを御認識いただけるとありがたいです。
 次に、初診待機の問題ですが、先ほど藤井先生をはじめ何人かの構成員がおっしゃったように、絶対にお医者さんがすぐ会わなければいけない人以外の方たちもほかに行き場がないので、精神科医療機関にかかりたいとおっしゃることがあると思います。そうした場合に医師の診察予約がすぐ取れずとも、多職種がお会いして相談を受けることも考えられると思います。病院によっては、まずお医者さんが会わないと、その他の職種に回されないというお考えもありますが、柔軟性が持たせられるといいと思います。
 実は私どもの協会と公認心理師・臨床心理士協会で、コロナ禍以降、こころの健康相談統一ダイヤルという自殺対策を主眼に置いた電話相談に全国6拠点で協力しており、多くの方がお電話くださっています。そこでお話を伺っていても、家族間の問題や職場の人間関係、学校への不適応といったことで、必ずしも医療や薬が必要ではない方が一定数いらっしゃいます。丁寧な傾聴や助言とか情報提供で落ち着かれるということも、ある程度知見としては出てきています。こうしたことを踏まえても、初診ということで「医師の診察」でなければいけないのかという点については、検討の余地があるかもしれないと思います。
 とはいえ、もちろん診療が必要な方は多数おられると思いますので、きちんと医療につなげることは大事ですから、にも包括の体制がどうつくれるかということにつながる話だと思います。というのは、にも包括の協議会で、その地域の各医療機関の得意分野や診療体制を含めて、初診の予約の取りやすさなど具体的な情報まで全部網羅的に把握できる体制かどうかは様々ではないかと思います。
 本来は情報が一括して把握されていて、先ほど小阪さんがおっしゃっていたように、必要な方には直接アクセスしていただけるといいのではないかと思います。相談支援事業に関しても同じことが言えると思います。ここでする話ではないかもしれませんけれども、どこの相談支援事業所が精神障害について相談を受けてくださるのかといった情報を必要な人がアクセスしやすい形で集約していただけると実用的です。
 自治体のホームページに出ている一覧に加えて、リアルタイムに使えるのはどこかということや、どうアクセスしたらいいかという具体的な方策がわからない面もあり情報発信の仕方についてはまだまだ工夫の余地があるのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、皆様方からも既に言及いただいたところでございますけれども、続きまして、項目6の精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進について、御意見、御質問のある方は挙手をお願いしたいと存じます。小阪構成員、よろしくお願いします。
○小阪構成員 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 ピアサポートを提供する立場として、行政等と連携しながら地域を巡らせていただくと、アウトリーチ支援チームの必要性・重要性はとても強く感じます。特に医療にはまだつながっていないような未治療の方、そして、医療中断の方等に支援を受け入れていただく。そのために御本人の意思を尊重した形で介入できるプロの多職種連携支援チームが地域に存在してくれることは大変心強いです。
 そうした観点から思うことは、感覚的な話で恐縮ですが、アウトリーチ支援においては、まず最初の関わりの第一歩は、精神科医療を前面に出さない形のほうがよいような気もするのです。アウトリーチ支援を必要とすると見受けられる未治療の方や医療中断の方々については、それぞれに精神科医療を拒否する相当の理由がある場合も少なくありません。そのような方たちの意思や考えも尊重しつつ、良質かつ適切な精神科医療を本来必要とするような方々になるべく早期に提供するべく、一定の時間をかけてそうした方々と適切な信頼関係を構築していき、御本人が必要だと思った際に、極力任意の形で精神科医療とつなぐことができるような形が本来的には望ましいと考えるからです。御本人や御家族が安心して頼りにできる第一歩を構築してほしいと思います。
 その上でアウトリーチ支援については、地域住民へのサービスとして「行政が主導する形」が望ましいのではないかと思っています。その中において御本人の同意を最優先としつつ、必要な医療機関等々、その都度、適宜連携していく形が望ましいと思います。
 以上になります。
○田辺座長 ありがとうございました。
 吉川構成員、よろしくお願いします。
○吉川構成員 ありがとうございます。
 それでは、まず地域包括ケアシステムのところで出てきたアウトリーチ機能の確保についてですが、精神科訪問看護が行政機関とか、関係機関と連携した取組を進めることは本当に重要だと思っていますので、課題としても挙がっていましたが、24時間対応ができないとか、緊急対応ができておらず、十分な対応ができないというところは、解決していくことが必要だと思います。
 ただ、アウトリーチ支援が必要な対象者には、医療につながっていない方とか、先ほども出ましたけれども、医療中断の方もいて、その支援は対象者の個別性とか、リカバリーの視点を重視した柔軟な支援が必要だと思われます。精神科訪問看護師が動くときに診療報酬制度では、いろいろな制約とか、いろいろな限定があって動きにくいところもありますので、そういった支援の提供に縛りがないような、少ないような制度の活用や創設を検討していただく必要があるのではないかと思っています。
 さらには精神科訪問看護についてなのですが、精神科訪問看護の一つの特性として、利用が非常に長期になってしまうところがあります。長期になった方については、訪問回数も非常に少ないような状況の方もいらっしゃいます。それでも地域で看護者とつながっていることは、地域生活を継続するために安心材料になっていらっしゃる状況があることは確かだと思います。
 ただし、長期利用者の支援の在り方を考える時期に来ているのではないかと思います。訪問看護の件数も利用者も今は非常に増えていますので、指示書のほかに継続的なケアのマネジメントも考えていく必要があるのではないかと思います。長期的な目標や評価の仕組みなどです。
 もう一つは、長期利用者についての障害福祉サービスの利用とか、障害福祉サービスへの移行とか、そういった視点を計画長期的な計画の中には盛り込んでいくことが必要になるのではないかと思います。
 現在も地域で訪問看護連絡協議会とか、地域の連絡会が協議会の中に入っていることもありますけれども、そういった連携だけではなくて、制度にきちっとつなげるとか、移行することを位置づけていくのも必要だと思います。
 また、精神科訪問看護と身体ケアのことですが、これも地域で訪問看護の連絡協議会のようなものがあって、身体と精神の訪問看護を提供しているところでいろいろな連携や情報交換を行うところもあるようですが、精神科訪問看護と身体ケアの訪問看護との連携を進めるために、例えば身体ケアを主とする訪問看護ステーションへの地域コンサルテーションのようなことを精神科訪問看護ステーションが行えるような、そういったことも必要だと考えています。
 その上で精神科病院の地域偏在にも対応できるように、精神科の地域ケアの拠点になるような役割を精神科訪問看護ステーションが持つことも今後は必要になってくるのではないかと思います。ただ、そのためには今よりもさらに地域ケア力を高めることも必要になりますので、精神科ニーズに対応できる機能強化型訪問看護ステーションのような体制も必要ではないかと思います。
 長期的な利用者のことも検討した上で、本来の精神科訪問看護の専門性を生かしたケアとして、先ほど御意見にもありました家族支援もそうですし、精神科のケアニーズが高い方、措置入院を経て退院された方や医療観察法による訪問看護、そういった専門性の高い看護師の対応が求められるところに活用できるようにしていくのが必要ではないかと思いました。
 これは私もあまり詳しく理解できていない上での意見になるのですが、精神科訪問看護が身体ケアに対してできることとして、よく精神科訪問看護を利用されている方で内科の受診などをされている方がいらっしゃるのですが、自分の状態をお医者さんにうまく伝えられないとか、内科医の指示が理解できていなくて、それが精神科訪問看護にもなかなか共有できない状況もあります。
 それを考えたときに、先ほど出てきましたオンライン診療のD to P with Nのような、精神科訪問看護で訪問看護師がいるところで内科医師とオンライン診療することで、医師への情報伝達とか、看護師によるその後のフォローアップとか、そういったことにもつながると思いました。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○田辺座長 ありがとうございました。
 松本構成員、よろしくお願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
 論点の1点目にございますアウトリーチ機能を確保していく観点でございますけれども、いわゆるにも包括の推進をプロセスとして可視化していく必要があると思っております。地域の実態に沿ったにも包括の検証を行い、そこから学ぶべきところが大きいのではないかと思っております。
 2点目の訪問看護でございますけれども、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構築する上で、精神科訪問看護には多くの役割が期待されています。精神科訪問看護の利用者は年々増加し、ニーズも多様化しております。当然ながら精神科訪問看護であっても身体合併症への対応も求められることから、精神科訪問看護を担う看護師には、心身社会面の包括的なアセスメントに基づく看護計画の立案や、他科の主治医との連携などを含むマネジメント機能を有し、多職種と連携・協働できる専門性の構築が重要と考えております。
 地域や患者の実態に応じてその専門性を発揮し、必要に応じて夜間休日の緊急対応などにも対応できるようにするためには、訪問看護事業所の規模の拡大や関係機関と連携した体制の構築も必要だと考えております。
 精神疾患を有する方や精神・身体合併症患者の代弁者となって患者を擁護できる精神科訪問看護事業所の看護師が、精神科以外の外来通院時に受診支援、同行訪問などをすることによって、地域移行後の疾患悪化を予防でき、対処方法などの正確な情報共有や円滑な生活・療養環境の整備が可能となるのではないかと考えます。
 あわせて、関係者による支援の困難性を軽減し、支援の効率化やきめ細やかな支援を充実させる観点から、身体・精神合併症患者への訪問看護の際に、精神科看護に高い専門性を持つ看護師が同行し、看護提供できる体制・仕組みづくりが、今後さらに求められるのではないかと考えております。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。岩上構成員からお願いします。
○岩上構成員 岩上です。
 アウトリーチの話をしたいのですが、その前に精神保健福祉士の話が随分出ていましたので、私はカリキュラム変更の検討会にも参加をして、その際もずっと言い続けてきたのですが、基本的に精神保健福祉士は精神科医療機関で働くことを主たる業務にしてほしいと思っています。
 行政機関には少し我慢していただいて、我々障害福祉事業もそうですが、そちらは社会福祉士に頑張っていただく、そういった人たちを教育することをやらないと、人が足りないので、そうだとすると、精神保健福祉士は何のために生まれたかというと、精神障害者のための資格であってほしいと言われてつくられた資格ですから、精神科医療機関で働いていただくことを主たる業務にしていただくように誘導してほしいと思っています。
 アウトリーチの話ですが、ここの書き方ですと、まず市町村の相談レベルでのアウトリーチの必要性の話と、診療が必要で訪問看護等が必要な話が混ざって書かれているので、そこは分けていただきたいです。つまり小阪構成員もおっしゃっていましたように、医療にかかれない人たちのベースはどこがつくるかというと、行政機関で、今回、市町村にそういった国民の精神保健に対応してくださいということを位置づけたわけですから、そこを基盤として、江澤構成員や藤井構成員がおっしゃったように、初期集中支援チームの精神版みたいな形を考えていただきたい。
 そのときに藤井構成員がお話になったような早期相談の形は、中核市等であると、推進事業の予算等も使って行いやすいのはあるのですが、一般市町村はそれができないので、言葉は選んでいないのですが、保健師さんたちが支援をしている中で医師の介入が必要なときにもう少し身軽な形で精神科医の方が行けるように、それが今まで議論していたかかりつけ精神科医療機関の機能として連動していくといいのではないかと思っているのが一つです。
 診療が必要になった人の診療チームは診療ですから、それは医師を中心とした診療チームの中で訪問看護も、あるいは家族支援ですと、行政の保健師さんたちも活躍していただきたい。その辺を少し分かりやすく書いていただいたほうがいいという意見です。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 長瀬構成員、よろしくお願いします。
○長瀬構成員 日精協の長瀬です。
 訪問看護の話が少し出ていますけれども、訪問看護については、構成員の皆さんがよく御存じのように、最近、不正が指摘されていますし、例えば高齢化を伴うニーズの増加とか、在宅型の医療を拡充する政策的なところもあるのでしょうけれども、そういったところに乗じて、事業者が制度をうまく利用するという形で問題が出てきています。
 もし訪問看護を拡充していくことであれば、例えば精神科の医療機関ときちんと連携をする仕組みをつくっていただくとか、そういった形で地域に根ざしてもらったほうがいいと思います。
 あと、吉川先生や北村先生もおっしゃっていましたけれども、精神科の訪問看護の長期利用者がずっと多くなっていきます。あと、外来の再来患者さんも同じ仕組みだと思います。なので、そのあたりは長期に御利用される方々の出口戦略というか、そういったところは今後議論しなければいけないところだと思っています。
 我々精神科病院は外来をやっていますので、長く通われている方がどうしても月に一度は会いたい、2週間に一度は会いたいとおっしゃる患者さんがおられて、そういうニーズに極力答えておりますけれども、そうすると、どうしても初診の問題が出てきますので、両にらみで少し工夫していなければいけないとニーズを受け止める者としては考えております。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。柑本構成員、よろしくお願いします。
○柑本構成員 どうもありがとうございます。東海大学の柑本です。
 アウトリーチ機能を確保していくことが本当に重要なことだというのは、私もそのとおりだと思います。その一方で、「訪問」という性質を伴う業務・活動全てについて言えることだと思うのですけれども、事故なくうまく機能する仕組みをどのように構築していくのかということを考えていただくことも必要だと思っております。ですので、ぜひ厚生労働省さんにはその点も併せて御検討いただければと思います。これはお願いです。よろしくお願いいたします。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。柄澤構成員、よろしくお願いします。
○柄澤構成員 北海道北広島市の柄澤でございます。
 先ほど初診待機のところで申し上げたことと一部重複するのですが、市町村の精神保健福祉相談体制の整備について、精神保健福祉相談員の配置を必須とするか、もしくは体制整備をした市町村が評価される仕組みが必要であると思います。
 また、都道府県や保健所のバックアップ体制につきましても、地域差がかなり大きいと思いますので、それらが均てん化される仕組みも必要であると思います。
 以上でございます。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。藤井構成員、よろしくお願いします。
○藤井構成員 藤井です。ありがとうございます。
 先ほどフライングでにも包括のところも話をしてしまいましたが、追加です。先ほどの精神・身体合併症を入院でどうするかというお話が出ましたが、ここでは論点には上がっていないのですが、にも包括を考えるに当たっては、精神・身体合併症を地域で見ることをどうするかを検討することも当然必要です。
 それに関しては、先ほど訪問看護の連携という御意見があったと思いますけれども、訪問診療に関しても、精神と身体が両方必要な方がいらっしゃって、ここは診療報酬を議論する場ではないのですが、精神科在宅患者支援管理料と在医総管をどのようにすみ分けるかというあたりも今後整理していかなくてはいけないところだと考えています。
 あとは、先ほど岡田構成員がおっしゃっていた、いわゆるかかりつけ医との連携になってくると思うのですけれども、そこも非常に大事で、それに関しては、例えばこころの連携指導料とか、仕組み自体がいろいろあるにもかかわらず、活用されていない状況がありますので、今ある仕組みをいかに活用していくかという観点も含めて、外来での精神・身体合併症の在り方だったり、身体科との連携を考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。小阪構成員、どうぞ。
○小阪構成員 ありがとうございます。
 長瀬構成員が踏み込んでご発言なさって下さったのでで、少し触発されまして、精神科訪問看護については、正直、当事者の立場から見たときに、どこまでの専門性を発揮していただいて支援していただいているのだろうかと疑問に思うケースもあります。それから、この方に本当に精神科訪問看護を利用していただくことが適切なのだろうかと迷うケースもあります。
 ただ、御本人が契約に基づいて精神科訪問看護を利用しているので、御本人は必要性を納得されているのだと思うのですけれども、実は定期的に訪問してくれることによって支援者が安心するという、本人のためだけではなくて、支援者のために精神科訪問看護という資源が提供されているようなケースも実際には地域の中にあるのではないかということは、この検討会でもつまびらかにして話したほうがいいと思いました。
 その上で、にも包括を構築していく上で、精神科訪問看護にぜひ求めたい役割としては、入院を望まない患者さんをまさに地域で支える医療機関として専門性や役割を発揮していただきたいと思います。ですので、この検討会で、にも包括に限定してでも結構なのですけれども、事務局で「精神科訪問看護が担う役割」を視覚化していただけると、我々患者としても非常に分かりやすくなると思いました。
 以上になります。
○田辺座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御発言がないようでしたら、本日の議題である精神疾患に関わる医療提供体制についての議論は以上としたいと存じます。
 本日は、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。論点ごとに様々な御意見をいただきましたので、事務局におかれましては、本日の議論を整理して、次回の議論に向けた準備をお願いしたいと存じます。
 その他、今日できれば言っておきたいというような御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、こちらで議論は終了したいと思います。
 最後に今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いいたします。
○新平課長補佐 本日はありがとうございました。
 次回の予定につきましては、改めて御案内をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺座長 ありがとうございます。
 それでは、本日は本当に長時間お疲れさまでございました。何となく時間的にはリカバリーしたという感じでありますけれども、次回もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これで散会いたします。