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- 第177回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
第177回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
労働基準局安全衛生部計画課
日時
令和7年9月5日(金)14:00~17:00
場所
対面及びオンラインにより開催
会場:AP虎ノ門(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)
出席者
会場
- 公益代表委員
-
- 髙田礼子(分科会長)
- 黒澤一
- 宮内博幸
労働者代表委員-
- 上野友里子
- 佐々木弘臣
- 中村恭士
- 福田千秋
- 松尾慎一郎
- 山脇義光
- 使用者代表委員
-
- 及川勝
- 小澤達也
- 七浦広志
- 福永忠宣
(五十音順、敬称略)
- 事務局
-
- 安井省侍郎(安全衛生部長)
- 佐藤俊(計画課長)
- 土井智史(安全課長)
- 佐々木孝治(労働衛生課長)
- 中野響(化学物質対策課長)
- 船井雄一郎(建設安全対策室長)
- 森川博司(電離放射線労働者健康対策室長)
- 堀部敦子(化学物質評価室長)
オンライン
- 公益代表委員
-
- 砂金伸治
- 熊﨑美枝子
- 島田裕子
- 新屋敷恵美子
-
労働者代表委員
山口裕之
使用者代表委員-
- 清田素弘
- 鈴木重也
-
矢内美雪
(五十音順、敬称略)
議題
- (1)労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律について(報告)
- (2)「経済財政運営と改革の基本方針2025」等について(報告)
- (3)労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(個人事業者等災害報告制度関係)
- (4)労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令案要綱等について(諮問及び報告)(不正防止強化関係)
- (5)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(リスクアセスメント対象物関係)
- (6)労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)
- (7)ボイラー構造規格等の一部を改正する告示について(報告)
- (8)その他
議事
- 議事内容
○髙田分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第177回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
本日は、山口委員が遅れて参加される見込みとなっておりますが、安全衛生分科会委員の皆様に御出席いただいております。
本日は対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますので、お含みおきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局でございます。本日、特に会場の委員の皆様におかれましては、台風でお足下の悪い中お集まりいただきましてありがとうございました。
まず、Zoomの操作方法の御説明をさせていただく前に、7月1日付及び8日付で事務局側に人事異動がございましたので、新たに着任した者を御紹介させていただきたいと思います。まず初めに安全衛生部長に就任いたしました安井でございます。続いて安全課長の土井でございます。続きまして化学物質対策課長の中野でございます。続いて建設安全対策室長の船井でございます。続きまして電離放射線労働者健康対策室長の森川でございます。最後に化学物質評価室長の堀部でございます。なお、私、佐藤と衛生課長の佐々木は引き続きということで、よろしくお願いいたします。
それでは、Zoomの操作方法の御説明をさせていただきます。まず、ハウリングの防止のために、御発言されない時にはマイクをオフに設定をお願いいたします。また、オンライン参加の委員の皆様につきましては、御発言される場合には御発言がある旨をチャットに書き込み、指名されましたら、マイクをオンに設定していただいて、氏名をおっしゃっていただいて御発言を頂ければと思います。このほか、進行中に通信トラブル等の不具合がございましたら、チャットへの書き込み又は事務局へのメールにて御連絡をお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。議題(1)「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律について(報告)」になります。事務局から資料について御説明をお願いいたします。
○計画課長 それでは、私、佐藤の方から御説明をさせていただきます。資料は資料1になります。1ページ目を御覧ください。昨年の年末に建議をおまとめいただいたものの中で、治療と仕事の両立支援につきましては労働安全衛生法ではなく、労働施策総合推進法の改正の方で対応させていただくことになり、こちらの成立の御報告です。
1ページ目を御覧ください。労働施策総合推進法につきまして、大きく3つ内容がございます。1つ目がハラスメント対策の強化、2つ目が女性活躍の推進、3つ目が治療と仕事の両立です。治療と仕事の推進につきましては、令和8年4月1日の施行となっています。
2ページ目です。審議経過ですが、衆議院の方で5月に審議入りいたしまして、5月20日に衆議院で可決され、参議院へ送付されました。参議院の方が5月から6月に掛けて審議が行われ、6月3日に参議院の厚労委員会で採決、6月4日に参議院の本会議で可決、成立いたしまして、6月11日に公布されています。
3ページ目ですけれども、こちらは附帯決議で、治療と仕事の両立の附帯決議が衆参共に2つずつございます。内容としては一緒になっております。十二番といたしまして、産業医と主治医の間の情報交換の在り方ですとか、労働者からの相談窓口等の職場復帰の支援を検討すること。十三番の方は諸々書いておりますけれども、産業保健総合支援センター等の企業支援の強化に取り組むことといったことが書かれています。私からの説明は以上になります。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいま、資料1について御説明いただきました。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場参加の委員で御発言を御希望の方がいらっしゃいましたら挙手をお願いいたします。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 労働側の山脇です。まずもって、本分科会で答申した法律案要綱に沿って改正法が成立されたということについて、この間の国会対応に御尽力いただいた事務局の皆様に改めて御礼申し上げます。
先ほど計画課長から御報告いただいたとおり、改正法には、衆・参それぞれ2つずつの附帯決議が付されています。この附帯決議は言うまでもなく、国会の意思ですので、この分科会においてもしっかりと受け止めて、附帯決議に付された内容に沿って対応を進めていくべきと考えます。
なお、厚労省では、現在、治療と仕事の両立支援指針作成委員会において、既に検討を進められていると承知していますが、改正法の円滑な施行に向けて必要な準備を行っていただくとともに、現行のガイドラインにおいて不十分とされていた周知について、どのように行っていくかも含め、分科会の中でしっかり議論をしていきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場から御発言を御希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。そうしましたら福永委員、お願いいたします。
○福永委員 御指名、ありがとうございます。使用者側代表委員の福永でございます。治療と仕事の両立支援の推進について2点コメントさせていただきます。まずは病気療養のための休暇について、通院・治療のための休暇制度は各企業の就業規則によることから、中小企業が制度やルールを整備するための更なる支援策の推進が必要になると思われます。産業保健体制の不足や代替要員の確保が難しい等の理由から、特に中小企業では努力義務が形骸化するおそれがあるため、企業支援の強化を引き続きお願いします。
次に両立支援情報の電子化について、「両立支援カード」を例に挙げると、紙ベースの場合は記載内容にバラつきや必要情報の不足が生じるおそれがある一方で、患者である労働者自身が医師と事業者の仲介、調整役を担うという肉体的・精神的な負担が生じ、またカードは有形のため、病歴等のプライバシー確保が難しい側面もあります。病状変動による情報の更新や電子カルテ等、他システムとの連携、オンライン診療の普及等まで見越した電子化の推進が望まれます。両立支援の電子化に関する施策がございましたらお聞かせください。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ここまでで一旦切らせていただいて、山脇委員と福永委員からの御発言につきまして事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木でございます。治療と仕事の両立支援の推奨ということで御意見を頂きました。ありがとうございます。
山脇委員からいただきました周知でございますけれども、これまでガイドラインの周知が十分でなかった、取組の方も十分でなかったという反省を踏まえまして、このたび、法改正を経まして、事業主に対して取組の努力義務を課すということと併せまして、これまでのガイドラインは法的根拠がなかったところでございますので、このたび法的根拠を持つ指針という形で、これはしっかり周知をしていきたいと思っております。ポータルサイトの活用もございますけれども、それと併せまして法改正の中で、厚生労働大臣が指導等行うことができるというようにしておりますので、大臣が直接、全国津々浦々指導を行うわけにはまいりませんので、その権限を都道府県労働局長に移管することを検討しておりまして、その中でいろいろな支援を行う中での周知も考えられるというように思っております。
また、これは福永委員からの御質問、御指摘の回答になると思いますけれども、中小企業の取組の支援につきましては今申し上げましたように、都道府県単位、地域の単位の中で都道府県労働局が支援していくということも考えられますし、現状、都道府県の産業保健総合支援センターの方で専門的な研修や相談対応等の技術的支援を行っておりますので、引き続き、企業のニーズに応じて対応してまいりたいと考えております。
加えまして、電子化についてのお尋ねでございました。両立支援カードですけれども、こちらにつきましては定型化したものとなっておりますので、ある意味必要な情報が不足ないような形で、バラつきがないような形にしてございます。ただ、もちろん様式の項目に収まらない事項につきましては、別途、自由記載欄を設けておりますので、柔軟な形で活用いただけるかなと思っております。ただ、このカードの記載事項に加えまして、例えば病状の変動だとか、電子カルテに書いてあるものを逐一連動させて、システムとして一体化するということにつきましては、プライバシーの確保、それからシステム運営の観点から課題があるというように考えております。基本的には、このカードなどを契機として患者御本人を中心に、主治医と事業主側が連携しながら、緊密に連携しながら対応していただくことが肝要であると考えているところ、今申し上げました解決すべき課題があるため、御指摘についてはすぐに実行することは難しいと考えております。
なお、これまでもこの分科会で御指摘がございましたカードにつきまして、それからカードを含めた各様式類につきましては、電子的な作成や加工が可能なWord版を厚労省のホームページ、それからポータルサイトから提供を行っておりますし、またカードについてはチェックボックスで簡易に入力できるExcel版も提供しておりますので、今後、その周知を図って活用を促してまいりたいと考えております。長くなりましたが以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの回答につきまして、山脇委員、よろしいでしょうか。福永委員、何かございますか。よろしいでしょうか。そのほか会場から御発言はございますか。よろしいでしょうか。オンライン参加の委員につきましてもチャットの書き込みはないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのほか御発言がないようですので、議題(1)につきましては以上とさせていただきます。事務局におきましては、ただいま御意見等を頂きましたけれども、そういった点も踏まえまして、改正法の施行に向けた指針等の準備を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(2)「「経済財政運営と改革の基本方針2025」等(報告)」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○計画課長 それでは、資料2に基づきまして私から御説明をいたします。資料2の3ページ目を御覧ください。毎年、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太ですが、骨太で安全衛生関係にどのような記載があったかというのを御報告しているものの今年度版ということになります。今年の骨太ですが、この資料の上半分の辺りに書いてあるとおり、基本的には「女性版骨太の方針2025」に基づきうんぬんというのが安全衛生関係の所であります。女性版骨太の方針2025で何が書いてあるかというのが、下の(抄)と書いてある所のローマ数字Ⅱ以下の所ですが、仕事と健康課題との両立の関係で様々書いておりますが、基本的には、昨年まとめていただいた建議でも書いていただきました、事業主健診のところの月経随伴症状や更年期障害等に関しての文言を記載しております。あと、最後の所に産保事業でやっている相談事業について記載しているところで、ここで新しいことを何か決めていることではありません。昨年度、議論いただきまして、まとめていただいたものが女性版骨太にも記載され、その方向で進めていくことになっております。
続きまして、規制改革実施計画が5ページ目以降になりますが、規制改革実施計画は大きく分けて2点あります。1点目が5ページ目で、デジタル・AIの関係になります。建設機械等の操作について、現行の様々な規制というのが運転者、操作者がその場にいる前提で、様々な規制ができていますが、現在、遠隔運転や自律運転というのが進んできており、このような場合のルールをどのようにするかというのを、今はまだしっかりしたものがありませんので、専門家検討会を設置して、そこで検討し、順次整備をしていくべきという御指摘を頂きまして、それが規制改革実施計画の中に書かれています。実施時期の所を御覧ください。検討会の設置は今年度、更に令和8年度以降に検討を開始し、結論を得次第速やかに措置ということになっております。
また、そのbの所ですが、それまでの間、それぞれの監督署で異なる判断が発生しないように、しっかりと本省に照会させて、判断の統一性を確保することになっており、こちらは令和7年度措置ということになっております。以上が大きな1点目になります。
続きまして、6ページ目ですが、こちらは規制改革実施計画のフォローアップということで、昨年度の計画のフォローアップになります。フォローアップが更に2点あり、ここのbとdという所ですが、bの所は、安全関係の業務上の指示を行った場合に、自分が雇っていない労働者に対して、安全関係の指示を行った場合に、労働者性が推認されてしまうのではないかという懸念があり、そこの判断基準をある程度整理して周知せよということになっていました。これについては、昨年度中に措置となっていましたが、右側のこれまでの実施状況の下線部の所を御覧ください。どのような場合にどのような判断が働く可能性が高くなるかということを整理し、その内容を取りまとめた通知を3月、年度末に発出をしました。
もう一点、今度はdの所ですが、令和6年5月に個人事業者の健康管理ガイドラインをまとめていただきました。このガイドラインの公表後に、これによって発注控えが生じないかということに関して、その実態を調査して、仮に発注控えが生じていることを把握した場合には、ガイドラインの見直しも含めて、必要な対応を検討することになっていましたが、これもこれまでの実施状況の所を御覧ください。今年の2月までにフリーランスを会員とする団体に様々なヒアリングを実施し、把握した限りにおいては、健康診断の費用負担を理由とした発注控えはなかったということを確認しており、これを報告いたします。規制改革関係は以上です。
7ページ以降はデジタル社会の実現に向けた重点計画になり、8ページ目がその中身になっておりますが、国家資格のオンライン・デジタル化の拡大という中で、安全衛生関係のものについても、なるべく資格取得や更新等の手続の添付書類の省略等を行う、電子化などを進めることになっています。その下の№1-46の所ですが、技能講習についても、デジタル庁が開発する国家資格等情報連携・活用システムとの連携を開始するということで、いわゆる国家資格連携システムと言われるものですが、こちらとの連携を行うことになっています。これは、昨年度も既に書いてありましたので、昨年度に引き続きということになっています。
9ページです。オンライン化を実施する行政手続の一覧で、安衛法関係の手続についてもオンライン化を推進し、一応、2026年度末までにオンライン化の申請の割合は20%、これはもともと、2026年度末までに20%を目標とする計画がありましたので、引き続き2026年度末に向けて頑張っていくことになっています。私からの説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。ただいま資料2に基づいて説明を頂いておりますが、本件につきまして、質問や意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御発言を希望の委員はいらっしゃいますか。中村委員、お願いします。
○中村委員 労働者側委員の中村です。よろしくお願いします。私のほうから、資料2の規制改革実施計画について発言したいと思います。改めて申し上げるまでもありませんが、規制緩和の結果、業務上災害の増加、労働者、就業者の安全衛生が妨げられるようなことがあってはならず、安易な規制緩和には反対する旨、改めて申し述べておきたいと思います。
その上で、資料の5ページ、(4)デジタル・AIのaの3行目の下線部分です。無人運転を行う場合の労働災害防止対策について、来年度以降、専門家検討会の立ち上げを検討するとされています。この検討会については、技術者や研究者による構成を想定していると考えていますが、検討内容に応じて、労使を構成員とする、あるいは労使に意見聴取をするなど、丁寧に検討を進めていただきたいと思います。また、検討を進めるに当たっては、諸外国の最新の知見を取り入れながら、業務上災害が起こることがないよう、安全最優先の制度設計としていただきたいと思っております。なお、現時点においては、就業者保護の観点から、無人運転の対象領域に就業者が安易に立ち入ることを認めるような制度設計を行うべきではないと考えていますので、そのことを申し述べておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか会場で御発言はありますか。山脇委員、お願いします。
○山脇委員 6ページのフリーランス・ギグワーカーの労働者性及び保護の在り方について。これは規制改革関連会議のヒアリングを受けた団体の方の発言で、一般健康診断の費用負担を理由に発注控えにつながるおそれがあるという御指摘に基づく対応だったと理解しています。結果として、一般健康診断の費用負担を理由とした発注控えはなかったということですので、改めて専属性がある個人事業者が一般健診と同様の検査を受けるのに要する費用を発注者が負担することが望ましいということについて、このような指摘に臆することなく、事務局においてしっかりと周知を図っていただくことをお願いします。また、当該のヒアリング対象の団体に対し、ヒアリングの結果についてしっかりと報告し、理解を得ていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして、七浦委員、お願いします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。使用者側の七浦です。御説明ありがとうございました。資料の5ページについて、安衛法の第59条に規定されている労働安全衛生教育、技能講習や特別教育などの実習については、現法上実機のみという形になっておりますが、今後はデジタルを有効活用していく事により、実技実習時間の見直しも可能になるだろうし、習得度を早期に確実に上げる政策としても十分有効なものとなるのではないかと考えております。
また、8ページの有効資格表示についても、技能講習にとどまらず、各社で実施される特別教育等においても、マイナポータル等の登録が出来るようになれば、労働基準監督署の監督官はもとより、発注者や地主管理者も作業資格確認が出来るようなシステムが出来上がると、相互に短時間で確実に確認出来ると思います。そういった活用が出来ることを是非お願いしたいと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。一旦ここで切らせていただいて、中村委員、山脇委員、七浦委員の御発言につきまして、事務局から順にお願いいたします。
○安全課長 安全課長の土井です。初めに、中村委員から、デジタル技術の活用に関して、緩和が安易に行われないようにといった御発言がありました。これはもちろん我々検討に当たって、当然、労働者保護の観点から、あるべき姿を考えながら検討を進めていきたいと思っております。
無人運転の関係で、検討会を年内に開催する計画になっておりますので、現在、その準備を進めているところです。現時点におきましては、専門的・技術的な観点から、専門家に集まっていただいて検討する予定にしております。労使の方の意見も聞いていただきたいというお話がありましたとおり、我々も専門家だけでお話が必ずしも十分に進むとは考えておりませんので、労使の方々の御意見も伺うように調整して進めてまいりたいと思います。
また、検討に当たりましては、諸外国の状況も十分勘案しますし、人が混在して作業する場合にどう対応するのかという視点も盛り込んで進めてまいりたいと考えております。
七浦委員から、実習の機会に習得度が上がるようにという御発言だったかと思います。デジタル技術を活用してどこまでできるのかということも含めて、御指摘の点も十分勘案しながら対応を進めていきたいと考えております。教育についても、御指摘を踏まえて対応できるところは対応していきたいと考えております。私からは以上です。
○建設安全対策室長 私のほうからは、6ページ、規制改革の関係のフリーランス・ギグワーカーのdの所で、山脇委員から御指摘を頂いた点について回答させていただきます。
11団体等にヒアリングさせていただく中で、発注控えはなかったということですが、今回ガイドラインで、健診のことを書いてくれたことに対して、非常に前向きに捉えて進めていこうと思うとおっしゃってくださった団体も複数あります。そういったことも踏まえて、臆することないというのは当然ですが、ちゃんと正しくこの趣旨が伝わるようにガイドラインだけではなく、Q&Aも含めて、しっかり周知に努めていきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいま事務局から御回答を頂きましたが、中村委員、いかがですか。よろしいですか。山脇委員、よろしいですか。七浦委員、よろしいですか。ありがとうございます。そうしましたら、お待たせしました。オンライン参加で鈴木委員が御発言を希望ということで、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。2点発言いたします。1点目は、5ページの「規制改革実施計画」の関係で、先ほど中村委員からも御指摘がありました、安衛法が適用される機械の無人運転に関して必要な措置や技能要件等の検討項目を整理するという点についてです。御案内のとおり、14次防におきまして、安全衛生対策におけるDXの推進が盛り込まれ、新たな技術を通じた効率的・効果的な安全衛生活動や作業の安全化の推進が課題になっていますので、本件は大変時宣を得た内容であると受け止めております。厚生労働省におかれましては、実施計画を踏まえ、専門家検討会を早期に立ち上げ、結論を得次第、所要の措置を速やかに講じていただきたいと思います。
中村委員からの、丁寧な検討を進めるべきという点は、私からも是非お願いいたします。実態を踏まえた検討を行うことで、適切な安全義務や技能要件が設定され、実効性の確保につながると思うところです。
2点目は、9ページの「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の関連です。労働基準関係法令に基づく届出等の利便性向上のKPIとして、オンラインによる申請等の割合を来年度末に20%とする目標が掲げられています。KPIの対象手続である労働者死傷病報告と一般定期健康診断報告書の実績値を見ますと、健康診断結果報告が目標を達成する一方、死傷病報告は昨年時点で10.2%にとどまります。オンライン利用率が1%を下回った令和元年に比べると、飛躍的な上昇ですので、この間の厚生労働省の取組に感謝を申し上げつつも、利用率の引き上げに向けて、一層の取組をお願いしたいと思っております。
本件に関連して、本社一括届出について質問させていただきます。昨年7月の第164回分科会におきまして、進捗状況をお伺いしたところ、事務局から、本社一括届出について今後対応を考えていきたいというご回答があったと記憶しております。1年以上経過しましたので、進捗状況に変化がありましたら御教示いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。事務局から回答をお願いします。
○安全課長 鈴木委員からの御指摘で、1点目は、重要事項にもDXについて記載があり効率的・効果的に進めていくことが重要だと御指摘を頂きました。こうした技術を有効に活用していくことは重要ですし、その上で、労働災害があってはならないということで、今回はその点も含めて、十分そうした点を勘案しながら取組を前へ進められるように、検討を進めていきたいと思っております。
死傷病報告の電子化については、利用率は20%となっていますが、いまだ10.2%にとどまっているという点について、我々としても、これはもっと取組を進めていかなければいけないという問題意識を持っておりますので、これまでも様々な機会を通じて、ホームページやリーフレット、監督署、我々が持っている手段を使いながら取組は進めているのですが、残念ながらこの数字にとどまっておりますので、更に取組が前に進むように充実・強化を進めていきたいと思っております。
本社一括届出に関しては、手元に資料を持っておりませんので、改めて御報告させていただくことでよろしいですか。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、いかがですか。何か御発言がありましたらお願いします。
○鈴木委員 ご回答をお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 よろしいですか。そのほか、御発言はありますか。山脇委員、お願いします。
○山脇委員 労働側の山脇です。何度も申し上げるのは心苦しいのですが、労働側としては、本社一括届出に関しては、現段階で反対ということを、改めて申し述べておきたいと思います。導入前提での検討とならないように釘を刺しておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか御発言はありますか。福永委員からお願いします。
○福永委員 御指名ありがとうございます。使用者代表の福永です。先ほど各委員から御発言を頂いたデジタル・AI機械の安全義務、または技能要件については、御発言の内容に賛同いたします。
1点だけ、建設業に限定したことで恐縮ですが、資料の8ページ、№1-46の「建設キャリアアップカード」についてコメントさせていただきます。建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設技能者の担い手確保や、処遇改善を目的として、国土交通省の主唱により、建設業全体で推進しています。同カード、建設キャリアアップカードについては、CCUSへの登録技能者に付与され、現在では「建キャリ」というスマホアプリの実装、建設業退職金共済制度の電子申請システムとの連携等、機能の拡充が予定されております。しかしながら、CCUS導入当初から、登録のインセンティブとして期待された保有資格の証明については、労働安全衛生法第61条第3項、「当該業務に従事するときは、これに係る免許証、その他、その資格を証する書面を携帯していなければならない」とする原本承認により、いまだ実現には至っておりません。これは労働政策審議会の職業安定分科会建設労働専門委員会においても要望されているかと思います。資格情報のオンライン・デジタル化を推進するには、書面携帯の緩和措置は欠かせないため、是非、改正に向けた御検討をお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。オンライン参加の鈴木委員、先ほどの件の続きの御発言でしょうか。もし御発言がありましたらお願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。先ほど山脇委員から、本社一括届出に反対する御意見がありましたので、それに対するコメントということで発言をお許しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○髙田分科会長 お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。例えば、死傷病報告について申し上げますと、行政手続をどのようなルートで実施したとしても、各事業場と所轄の監督署において、労災の発生状況をしっかりと把握することは当然です。企業としても速やかに再発防止に取り組みますので、本社一括届出によって企業の労災防止対策が後退することにはならないと認識しております。企業の労災防止の取組と行政手続の効率化が両立するという意味で、本社一括届出を是非進めていただきたいということを、改めて申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山脇委員、お願いします。
○山脇委員 今ほどの鈴木委員の御発言についてです。そのようにおっしゃるのであれば、労災防止対策が本当に後退しないのかどうか、使用者側において具体的にお示しを頂き、議論ができればと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、よろしいですか。
○鈴木委員 ありがとうございます。この議論を続けても平行線になってしまうと思うのですが、行政に対する届出自体は行うというところで、なぜ労災防止対策が後退するという御懸念を持たれるのか私も理解できませんので、別の機会で議論させていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 いろいろ問題点があると思いますので、また別の機会に議論をお願いしたいと思います。事務局から何かありますか。
○計画課長 福永委員から、CCUSについて御質問いただきましたので、私から回答させていただきます。CCUSにつきましては、確かに資格情報について確認できる仕組みができていると思いますが、一方で、CCUSの資格情報は、現状、国や登録業種機関が保有する資格情報と突合する仕組みになっておりませんので、そこの真正性の確保というところが課題となっていると我々として考えております。
現在、建設キャリアアップシステム、CCUSにつきましては、デジタル庁が開発運用を行っている国家資格連携システムとの情報連携を含めて、国交省さんのほうで様々な方策の検討を行っていると伺っておりますので、そこで今後システムの設計や開発などいろいろと行う予定と聞いております。その状況を踏まえて、我々としても、そこでどこまで真正性が確保されるのか、それを踏まえてどんなことができるのかということを考えていきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 話がまた戻って恐縮ですが、デジタル・AIの件で、今回、建設機械等が中心のお話だと認識しております。ただ、無人運転を行う場合ということで考えてきたときに、例えば、農業技術や食品製造の中でも、今後ますます無人の機械を使うことが推奨されてますし、多くなってくると思うのです。そういった中で、含めて安全のこと、また、技術要件等が吟味されることは非常に重要だと思います。ただし、これは安全だけではなく、例えば、農業技術等であれば、土壌の消毒等でいろいろな化学物質も使うと思いますので、衛生面についても今後一緒に配慮していく、そういった技術要件も重要視していくことが重要と思います。ですから、今後こういった検討会をやるときには、是非、そういったことも含めて両輪で御検討いただけないかということで発言させていただきました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。松尾委員、お願いします。
○松尾委員 御指名ありがとうございます。1つは、先ほど福永委員が言われたことの関係で、労働者の資格の関係、実際現場に入って、幾つも携行しなければいけないというところでは、非常に不便を感じています。紙になりますと、汗で資格証がぼろぼろになってしまうのが現状ですから、きちんとDX化と言われているところで、いつまでもデジタル庁を待っているのかなということもありますし、このキャリアアップカードのところでは、資格の関係で、レベル1~4の技能者の標準賃金がレベル別ということで、今、具体的に進んでおります。そうした意味で、インセンティブが効く中で、先ほど福永委員がおっしゃったようなことが、建設産業での部分ですが、現場で実現できれば更に効率的な処遇改善にもつながると感じているところです。
もう1つ質問をしたいと思います。先ほどの6ページのヒアリングの所ですが、ヒアリングの結果、把握した限りでは、費用負担を理由とした発注控えはなかったというのは、これは専属性がほぼあった中で、健康診断を具体的に現物として、あなた受けてもいいよとなっているのか。それとも、費用を請求したけど、それでも費用を頂いたと。こういう関係も含めてどういう関係があるのか。この文面では、費用負担を理由とした発注控えはなかったということだけだと分からないということで、この辺を確認したいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員と松尾委員の御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○建設安全対策室長 私のほうからまとめて回答させていただきます。まず、宮内委員からの御質問ですが、無人運転、自動運転というものがなされる中で、運転に伴う安全面だけの、ぶつかるとかそういうことではなくて、例えば無人機械を用いて薬剤を取り扱うなどの作業もあると思いますので、想定される作業というものを安全面だけでなく広く捉えた上で、健康障害の影響も含めて検討させていただきたいと思います。
2点目で、松尾委員からの御指摘ですが、このヒアリングにおきましては、ガイドラインができたのが昨年の5月末ということで、半年余り経過した時期でしたが、聞き方としては、ガイドラインで1年間を超えるような形で週40時間程度、いわゆる一般の常勤の労働者と同じような働き方をする場合には、健康診断の費用負担が、事業継続の観点からも望ましいのだということがガイドラインに書かれたと。それを注文者として負担するぐらいであれば、もうフリーランスの方には仕事をお願いしないと。そういう意味での発注控えというのが実際にありましたかという聞き方をしました。実際に健康診断を申し入れたとか、じゃあ、誰が費用を負担したかというところまでは、実は細かく聞けていないのが実状です。聞いた中で実際に払っていた事案もあるかもしれませんし、ただ1年以上で、週40時間みたいな形で1個の所と契約をしてお仕事をされているケースは、果たしてどれぐらい多いのかというのはあるのですが、いずれにしろ、そういう実態はなかったということで回答を頂いたというのが事実関係です。以上です。
○計画課長 あとCCUSの関係は、先ほど福永委員のお答えの繰り返しになってしまいますが、基本的にCCUSの世界の中でいかに真正性が担保されるのかというのを我々としては確認しながら、その後何ができるか検討していきたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員いかがですか。よろしいですか。松尾委員は、何か追加はありますか。お願いします。
○松尾委員 先ほどの確認で、健診の費用の関係ですが、今聞いた範囲だと、不十分ではないかと感じます。やはり費用負担というのはどのように本人が自発的に言って、費用を請求してもらったのか。それとも、事業者、元請が無料で行ったのか、費用負担を一部したのかどうかも含めて、きちんと把握することが大切ではないかと思いますので、引き続き、どのような状況か、把握しておく必要があるのではないかと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。
○建設安全対策室長 御指摘ありがとうございます。ヒアリングする中で、健診費用という項目を銘打っているかどうかは別にして、長く働いている人には、健康確保のために上乗せで報酬を出すとか、福利厚生的な意味で健康確保に役立つサービスを利用できるようにしているとか、そういうような団体等もあったのは事実です。これから、今後この分科会でも御議論を頂くことになると思いますが、個人事業者の安全衛生については、制度的な部分、またガイドライン等で周知することも含めて多くあると思いますので、こういった団体とは引き続きコミュニケーションを取らせていただくことになると思います。また、そういう中で、いろいろと詳細も含めて把握できるように引き続きやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。松尾委員、よろしいですか。福永委員、お願いします。
○福永委員 先ほど来、デジタル庁が行う国家資格等情報・連携システムについて御説明を頂きましたが、その一方で、社会復帰促進等事業の安全衛生確保等事業で、技能講習の修了情報を一元管理するような仕組み、データ収集等が進められていると聞いています。技能講習の修了情報について、デジタル庁のシステムと連携するのか、また連携する場合はスケジュール等の計画があればお聞かせください。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
○安全課長 御指摘のデジタル庁が進める国家資格等情報連携活用システムと技能講習修了証の情報の連携ですが、現在、取組を進めておりまして、マイナポータルを通じて、技能講習修了証明書のオンラインの申請を可能として、その情報を国家資格等情報活用システムと連携させていくこととしており、これによりまして、マイナポータル上で資格情報を閲覧可能にするためのシステムの整備を進めております。令和7年度中にこれを完了する予定で、現在進めているところです。
○髙田分科会長 ありがとうございます。福永委員、よろしいですか。ありがとうございます。
○安全課長 恐れ入ります。一点追加させていただきますが、デジタル庁におきまして、現在、デジタル証明による真正性確保、改ざん防止の機能を用いた証明書の電子化に関する検討を行っているという状況で、今後、これらの進捗状況を踏まえて、電子化された証明書につきまして、常時、携帯義務のある書面の代替として認められるかどうかを検討していくこととしております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。補足で御説明いただきました内容を含めて、福永委員、いかがですか。よろしいですか。ありがとうございます。そのほか御発言はありますか。よろしいですか。そうしましたら、議題(2)は以上とさせていただきます。
続きまして、議題(3)「労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(個人事業者等災害報告制度関係)」に関して、事務局から説明をお願いします。
○建設安全対策室長 それでは、引き続き船井から御説明いたします。関係の資料は、資料3-1と3-2があります。3-1は要綱です。具体的な内容については資料3-2に概要を用意しておりますので、こちらで御説明いたします。
2枚目のスライドの1ページにある業務上災害報告関係ですが、改正の趣旨の所にあるとおり、これまで分科会でも報告し、御議論いただきましたが、個人事業者の業務災害については、現在、網羅的に把握するような仕組みがないわけです。労働者については、労働者死傷病報告というものがあると。したがって、その仕組みを参考にして、個人事業者の業務上災害についても、把握できるような報告制度を創設しようということで、これまで合意いただいております。
先般、改正した安衛法改正においては、安衛法第100条2で、その報告の根拠となるような規定は整備したのですが、災害報告制度の具体的な中身については、法律上は書いていないということで、今回、その具体的な制度の中身について省令として定めるというものです。具体的な中身は、イメージが湧きやすいように、これまでも分科会で御報告しておりますが、12ページ目にポンチ絵を付けております。これを制度化したということです。
休業4日以上の災害について、本人が亡くなってしまったような場合、本人が報告や伝達できるような場合、それぞれ場合分けをして、誰が報告するかということで報告主体については、直近上位の注文者である特定注文者さん、そういった方がいない場合には、災害発生場所を管理する事業者さんといった形で、どのような場合に誰が報告するかということを御議論いただいたところです。戻って1ページ目の2の(1)にありますが、これを整理しております。
報告をしなければならない場面とは、個人事業者等が労働者と同じ場所で就業していた場合における事故になります。そのような際に、死亡又は休業(4日以上)の被災があった場合には、監督署に出してくださいということです。これは義務ということですが、労働者死傷病報告のように雇用労働者についての報告とは違いますので、罰則なしということで考えております。
先ほどのポンチ絵にあったように、①災害発生場所での直近上位の注文者(特定注文者)が報告をする。そのような方が存在しない場合には、災害発生場所を管理する事業者さん、このいずれかが報告主体となって、監督署に遅滞なく出していただくことがベースになっております。
②の被災した個人事業者の方自身が報告伝達できるような状況にあるときには、①の報告主体に対し伝達し、報告主体はそれに必要事項を補足した上で監督署に出していただくという仕組みにしております。③個人事業者等の等の部分、中小企業の事業主や役員さんが被災した場合については、今申し上げたような2段階報告の形ではなく、所属している企業が監督署に出していただくということで考えております。
次ページ(2)です。今申し上げたのはいわゆる事故災害系のものですが、(2)にあるのは脳・心、精神のような事案です。個人事業者の方についてもそういった事案があると思いますので、そのような場合については報告主体を経由するのではなく、直接監督署に報告することはできるという規定にしております。これは、脳・心、精神は必ず働いている場所で起きるわけでもないので、そういった場所を管理している人やその場所で作業していたときの注文者が出すというものでもないですし、何よりもプライバシーの問題もありますので、こういった仕組みにするということで御議論いただいた結果です。
(3)は報告事項です。①から④まで掲げておりますが、これは労働者死傷病報告の報告事項を参考にしております。ただ、労働者の場合と違い、個人事業者には関係ない事項もあります。例えば、派遣かどうかなどは関係ありませんし、逆に個人事業者の場合は、特別加入の状況といったところも取っておいたほうがいいのではないかという御議論もありましたので、少し出入りはありますが、基本的には死傷病報告の報告事項と同じような形で考えております。
こういった事項を、先ほど言った2段階方式を基本として出していただくのですが、個人事業者自身が報告主体にこういった事項を報告したときに、それを理由として不利益な取扱いをすると。災害を監督署に報告したくないがあまりに、出してくるなと、出してきたら何か不利益なことをするといったことがないようにしようということも仕組みとして入れております。(5)その他所要の改正です。タイトルにもあったように、派遣関係の規則にも条ずれのハネ改正などもありますので、そういったところをしっかりと手当てしていくということです。
この報告については、労働者死傷病報告と同じように、原則電子申請義務化でお願いしていきます。ただ、右の所にあるような経過措置の規定も設けております。施行日は、令和9年1月1日ということで少し先ではありますが、電子申請原則ということなのでシステム開発の期間も踏まえて、このようなタイミングでやらせていただいております。以上が省令改正の内容です。
3ページ目に細かく書いてありますが、これまでの検討会や分科会の議論の中で、規則には載ってきませんが、運用上必要なことは大分細かく議論を頂いております。運用に当たっての対応ということで、報告制度の適正化、労働者と同じ場所や不利益取扱いの範囲など、あとは報告者の負担軽減のための措置や関係団体による支援、国によるデータの活用等、またそれらの周知について、いろいろ御審議を頂いたところです。これまでの議論を踏まえて、漏れなく通達やQ&Aなどで示して、制度の適正運用を図っていきたいと思っております。
最後、14、15ページ目に、法改正の際の附帯決議を付けさせていただきました。衆参それぞれ付けてありますが、14ページ目の参議院であれば二の所、衆議院であれば三の所がこの報告制度に関係してきます。こちらに書いてある内容を、報告制度を活用して災害事例の収集分析を進める、それを施策に反映させるなど、あとは個人事業者に対する不利益取扱いの話や、脳・心、精神の仕組みなど、こういったことが附帯決議として御指摘いただいておりますが、先ほど御説明いたしましたとおり、こちらについては今回の改正で漏れなく対応できることになっておりますので、御了解いただければと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。資料3-2の1、2ページ目に改正省令案の概要、それから、3ページ目に運用に当たっての対応ということで、通達等に示す事項の案について掲載されております。本件につきまして、御意見、御質問等がある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨チャットに書き込みをお願いします。まず、会場の委員で御発言を御希望の方、お願いします。中村委員、お願いします。
○中村委員 労働者側委員の中村です。よろしくお願いします。本諮問事項に関しては、この間、分科会で審議されてきた内容を省令案に落とし込むということですから、おおむね異論はありませんが、何点か要望したいと思います。1点目は、これまでも労働側委員として発言してきたとおり、個人事業者が、本人の自由な意思に基づいて災害を申告できる環境整備が非常に重要だと思っています。これは、今般法制化される不利益取扱いの禁止等の仕組みで担保することはもとより、行政等による指導や監督などの運用面が機能してこそ実効性が確保できるのだろうと思います。適切な業務上災害の認定及び災害事例の収集の面からも、丁寧に対応していただきたいと思います。
次に、資料の2ページ、改正の概要の(2)脳・心臓疾患及び精神障害の事案については、個人事業者が直接労基署に申告することになっていますが、この場合であっても、個人事業者が発注者等に情報提供を求めた場合には速やかに情報を開示していただくなど、発注者等の協力が欠かせないと思っています。例えば、入構・退構時間を管理している場合や、作業環境・作業負荷等の情報について、注文者等が持つ情報が災害認定に重要な役割を果たすケースも想定されるのだろうと思います。こうした協力要請に対して、注文者が積極的に応じることが望ましい旨、いずれかに記載することができないか、要望したいと思います。
そして、同じく改正の概要の(4)では、個人事業者が注文者等に業務上災害の報告を行った場合に、不利益の取扱いを禁止するものとなっていますが、単一の注文者から専属的に発注を受けているケースのように、脳・心、精神事案においても、個人事業者に対する不利益取扱いを行わないように禁止することが望ましいケースもあるものと思います。こちらについては、事例の蓄積を行うとともに、今後の検討課題としてもらいたいと思います。よろしくお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか御発言はございますか。そうしましたら、福永委員、お願いします。
○福永委員 今回の省令改正により、個人事業主等の業務上災害の報告制度が創設されることについては大きな前進と考えます。ただし、先ほど来御説明を頂いておりますが、依然として運用上の課題が残っています。建設業で挙げると、やはり重層下請や分離発注等、報告主体の特定が難しいケースが想定されます。また、個人事業者は、労働者にも増して、休業の判定や、また電子申請の環境確保が難しい側面があります。いずれの課題も、先ほど事務局より御説明があった、マニュアル、通達、又はQ&Aの整備等で一定レベルは解消が期待できますが、行政と企業が一体となり運用を支える仕組みづくりが重要と考えます。
次、2点目として、資料3-2の2ページ目、改正の概要のうち、(3)①報告者に関する情報として労働保険番号があります。こちらに記載する労働保険番号については、継続又は有期事業関係なく、直近上位の注文者、特定注文者が加入する労働保険番号にすべきではないかと考えます。また、②被災者に関する情報欄に、個人事業者ということで、特別加入の状況というのが今回追加されています。特別加入している場合はその保険番号が併記できると、将来的にはデータのひも付けにより他システムとの連携に資すると考えます。現行の労働者死傷病報告がプラットフォームとは伺いましたが、電子申請化により、元請が事実把握なく災害防止上の責任を負わされるリスクも増しています。新しい報告制度の報告システムでは、是非、労災保険特別加入の処理等にも連携できる効率的なシステムとなることを希望します。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。一旦、ここで切らせていただいて、中村委員と福永委員の御発言につきまして、事務局からお願いします。
○建設安全対策室長 船井から回答させていただきます。御質問、御指摘ありがとうございました。まず中村委員は何点かありました。今回、報告制度が罰則なしとはいえ義務化されるということで、行政としても、しっかりそれが適正運用されるように指導をということでした。こちらについては、丁寧な指導に努めていきたいと思います。
2点目です。脳・心、精神について報告できるという規定がありますが、その報告に当たって、注文者の必要な協力をということでした。これは、健康管理ガイドラインの策定に当たっても本分科会で御議論を頂きました。例えば、御自身の就業時間であるとか、健康の状況というのは、基本は、個人事業者の方御自身が、アプリなどを使ったりだとか、場合によっては注文者の協力も得ながら御自身で管理することが基本であろうということでお願いしております。ただ、御自身で管理する中で、注文者の方の協力も必要な部分はあるかと思いますので、その辺りは、健康管理ガイドラインにも記載しておりますが、今回の災害報告制度の中でも、通達の中で、健康管理ガイドラインとの関係も含めてどういうことが書けるか、今後検討したいと思います。
あと、脳・心、精神の場合の不利益取扱いの禁止ということですが、これは、通常の災害の2段階報告の義務のものとは少し違うので、現時点は含めてないわけですが、制度がどのように適正に運用されるかというのは、引き続きフォローさせていただきたいと思いますので、継続検討という御指摘もありましたが、まずは、この制度をしっかり進めていくことで状況を見させていただきたいと思っております。
続いて、福永委員からの御質問です。建設業の場合、確かに実態がいろいろなものがありますので、誰が報告主体になるのかが、なかなか特定できないようなケースもあるのではないかと思います。例えば、同じ場所で働いているのですが、複数の注文系統で2つの仕事をやっているようなケースも中にはあると聞いております。そういう場合、どちらの仕事で被災したかによって、誰が報告主体になるかというのは変わってくると、そのような問題もあると思います。施行通達の中で、どこまでそういう個別事例に触れられるか分かりませんが、なるべく分かりやすく書くとともに、場合によっては、Q&Aなどもお示ししながら分かりやすい運用に努めたいと思います。また、運用した中でもいろいろな疑義が出てくると思いますので、そういう部分については、是非、引き続き施行後もコミュニケーションを取らせていただいて、このようなところが困っているのだという意見を頂ければ、例えばQ&Aに追加するとかもできるのかと思いますので、よろしくお願いします。
あと2点目が、3の(1)の報告者の労働保険番号ということです。こちらについては、元請ではなくて特定注文者の番号をということでしたが、こちらの保険番号については、御指摘のとおり、報告主体の番号、特定注文者が報告主体になるのであればその番号であるし、災害発生場所管理事業者が報告主体になるのであればその番号ということになります。ただ、それに加えて、建設業の場合については、その番号を持っている事業者というのと、実際に仕事を行う場所、若しくは災害が起きた場所が異なる場合がありますので、「元方事業者の名称等」と書いてありますが、元方の名称や番号というのも取らせていただきたいと考えております。簡単に言うと両方の番号を把握させていただきたいと考えております。これは、今回の報告制度が労働者と同じ場所で被災した場合に出していただくということなので、個人事業者の災害防止とか、個人事業者がいるような場面での労働災害の防止にも役立てていきたいということなので、場所にひも付いた情報ということで、システム上も管理させていただきたいと思っております。
あとは、被災者が特別加入している場合の特別加入の保険番号も取るようにして、労災の特別加入のシステムとの連携をという御指摘もありました。こちらについては、現時点では、これまでの検討会の議論も踏まえて「特別加入の有無」について取ろうとしておりますが、番号については取ることは予定しておりません。システム上、リアルタイムに連携して労災システムとつなぐのは、これは死傷病報告の管理を行うシステムと、労災のシステムは別のシステムなので、なかなか技術的にも財政的にも難しいところがあるのと、あと、災害防止上必要な情報というのは、労災のほうにあるものを連携して取りに行くというよりも、今回の改正で、必要十分な情報は報告事項に義務付けてしまえばいいだろうということで、今回、死傷病報告を参考にして、必要十分な情報は報告義務として取ろうとしておりますので、殊更、膨大なコストを掛けて連携することは現時点では必要ないのかと考えております。
最後、元請が知らないところで報告が出てしまうような事案もあるのではないかと。そういう部分については、個人事業者の報告についてはないようにということでしたが、それは現場でしっかりコミュニケーションを取っていただくのも必要だと思いますが、それの後押し材料になるものとして、先ほど申し上げました、元請さんの名称であるとか保険番号を報告事項に含めることは、これは元請に聞く行為が出てくるのではないかと思いますので、そういうことをきっかけにして、元請が知らないままに出ていくことがないようになるのではないかと考えています。元請さんが知らない情報が出ていくということは、報告精度も余り高くないものが監督署に出てしまうことにもなるので、報告の適正化の観点からも、元請の名称や保険番号を報告事項に含めることがコミュニケーションのきっかけになるようになればと思っております。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。中村委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。福永委員、いかがでしょうか。お願いします。
○福永委員 御説明ありがとうございました。報告事項をきっかけとしたコミュニケーションとの御説明でしたが、建設現場では事業の名称や労働保険番号等を見えやすい場所に掲示しています。元請としては、事実把握を行うために、何かあれば些細なことでも必ず報告するよう求めています。しかしながら、現在は療養給付支給請求の捺印も省略されていることから、元請けに報告なく労災保険の手続きが進められ、所轄労働基準監督署からの問い合わせがあって初めて元請がその事実を知るという事案が現実問題として発生しています。今回のシステムに限らず、労働保険番号を持つ事業者が報告の事実を把握できる仕組みをご検討頂きたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いします。
○建設安全対策室長 ちょっとすみません、今の御指摘は、今回は建設現場の場合、ほとんど特定注文者が報告するケースが多いのかと思います。例えば、一次下請、二次下請の方が個人事業者に出している場合については、一次下請、二次下請の方がその場に一切来ないことはあまり想定されないと思います。建設業法上も適切ではないと思うので、そういう方が特定注文者の保険番号は書いていただくことになります。それに加えて、事故が起きた現場の元方事業者の名称とか保険番号も書いていただく。両方書いていただいて報告をしていただくということなので、監督署としては、その場所、現場も特定できますし、その際の仕事をしていたときの直近上位の注文者が誰かというのも把握できるようになる、そういう仕組みかと思っておりますが、それで何か問題があるのでしたら御指摘いただければと思います。
○髙田分科会長 福永委員、いかがでしょうか。
○福永委員 私が誤認していたようなので再確認しますが、労働保険番号は、特定注文者の番号と元方事業者の番号をそれぞれ記載するということでしょうか。
○建設安全対策室長 御指摘のとおりです。両方取るということです。もしかしたら、事前説明のときに、元請だけの番号を取るという前提で御理解いただいたのかもしれませんが、今日までの間議論をする中で、事前説明の際の御指摘も踏まえて、報告主体である特定注文者の番号も取るし、発生現場である現場を統括管理する元方事業者の番号も取るということで考えています。
○福永委員 承知しました。
○髙田分科会長 よろしいでしょうか。
○建設安全対策室長 ごめんなさい、あと一点だけ。先ほど申し上げ忘れたのですが、被災者の方が特別加入している際の番号もということですが、それはちょっとなかなか難しいという話は申し上げましたが、仮に、労災のシステムのほうにしか入っていない情報をひも付けて取りたいという事案があった場合については、今回、被災者の名称や生年月日、発生日とかも取りますので、そういうところで、個別対応になりますが、相互のシステムで検索すれば情報が取れることは確認しております。それがリアルタイムにシステムで自動的に取れる状況ではないですが、必要があればアクセスできる状況は確保できておりますので、念のためお伝えします。
○髙田分科会長 福永委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、小澤委員、その次及川委員、お願いします。
○小澤委員 使用者側代表の小澤です。やはり本件は、実効性を高めるための取組が重要になるかと思います。先ほどQ&A形式というのも出ましたが、正にそういうのが重要かと思いました。報告が遅れたりとか、知らない所で報告が出たりということが懸念されるので、やはり、発注側と受注側のコミュニケーションが非常に重要になってくるので、そのために、事前に、例えば災害が起きた場合はこのように報告してくださいとか、ここに連絡してくださいとか、事前の取決めが重要かと思いますので、Q&Aとかに是非、そういう事例を、こうしたほうがいいよというのを入れてくれると実効性が高まるのではないかと思いましたので、提案させていただきます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、及川委員、お願いします。
○及川委員 システムを作ることの重要性を改めて感じました。早期に着手をしていただきたいとともに、新たな報告制度ですし、対象が個人事業者という難しさもあり、是非、実態に即して役立つシステムを早期に組んでいただきますようお願い申し上げます。
3ページの最後に周知の所がありますが、ここは大変工夫の余地がある所だと思います。今、申し上げたように、個人事業者等ということですので、そこまでしっかり周知をするにはどうしたらいいのかを、今から考えていかなければいけないと思っています。ポイントになるのは、ここに書いてありますように、関係者に対する周知という、なり得る関係者、広く面的に捉えて周知をしていくことだと思います。本来であれば、フリーランス法に入れられたら、周知は、あるいは実効性が高まったのかもしれませんが、直接取引の関係がないとかいろいろな問題がありまして、できないということは十分理解していますので、フリーランス法のときには、取引の環境と労務環境、ハラスメント等が両輪となって広くフリーランスのほうにも周知をして、かなり大きな広報をしてきたという実績を持っていますので、そういうことも参考にしながら、あるいは、いい意味で乗っかるという意味でも、面的に周知を、今からどのようなことが効果的なのかを考えていく必要があるかと思います。
そして、個人事業者ですので、関係団体の支援が重要になってくると思います。施行後かもしれませんが、災害の把握ですとかその分析、加入の周知、その分析した結果、個々ではなかなか大変なことが、業種別団体ではこういうサポートができるとか支援ができるということも出てくるのだと思います。そういう意味でも、やはりシステムを組むことが重要ではないかと改めて感じた次第です。ひとつ、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの小澤委員と及川委員の御発言につきまして、お願いします。
○建設安全対策室長 まずは、小澤委員からアドバイスを頂きました点。Q&Aとかだけではなくて、実際に災害が起きたときに現場で関係者がどうアクションを取るかというような、モデルと言いますか対応フローみたいなのがあるといいということでしたので、御意見を参考にさせていただいて、また現場の声も聞きながら、どういうフローがあると現場として動きやすいのかというのも勉強させていただきながら、通達等で示す際には、そのようなことも盛り込みたいと思います。
あと及川委員からの御指摘ですが、ちゃんと実態として役立つようなシステムをということは御指摘のとおりです。運用面のそういうフォローも含めてしっかりやっていきたいと思います。あとは、周知の部分です。これは、これまでも分科会で法案を検討する段階でも度々御指摘いただいていた点です。今回、災害報告制度については、労働者と同じ場所で就業していたときに被災したものを報告していただくということなので、労働者がいる場面が対象になります。ですので、まず事業者さんを対象に周知することは重要だと思います。事業者のうち、個人事業者の方に仕事をお願いしていたり、出入りしているような方は、今回の新しい制度の報告主体になり得るのだということを、明確に理解していただくことが第一だと思います。
あとは、個人事業者自身に届けることも重要です。ここは、本当に、ここのチャンネルを回せば絶対に届くというものはないので、フリーランス新法の関係のチャンネルを使わせてもらったり、あとは、特別加入団体とか労働保険の事務組合さんだとか、あとは、インボイス制度とかも個人事業者に対していろいろなチャンネルを通じて周知しているので、そういう所とも連携しながら、なるべく広くいろいろな方向から情報が届くように工夫したいと思って、今、いろいろと検討しております。あと、業種職種別の団体さん等とも引き続き関係を持ちながら、いろいろな協議会の場なども作っていきたいと思っておりますので、そういうチャンネルも活用しながらやっていきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。小澤委員、よろしいでしょうか。及川委員、よろしいでしょうか。すみません、一旦、ここで切らせていただいて、オンライン参加で鈴木委員が御発言を御希望とのことですので、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。諮問事項に異論はございません。これまでの当分科会、あるいは検討会における議論の結果を適切に反映いただいていると受け止めたところです。私からも意見と質問を述べさせていただきたいと思います。
まず、意見の1点目です。資料3-2の3ページに、報告制度の円滑化のために通達等で示す事項の(案)が示されています。福永委員からも運用上の課題に対する御懸念がありましたが、報告制度の適正化についても、とりわけ、現場レベルでは分かりづらい部分が多いのではないかと思います。例えば、黒ポツの1個目の「労働者と同じ場所」等の考え方や、6個目の報告主体が災害発生の事実を知り得なかった場合における報告義務の考え方、7個目の関連で特定注文者あるいは災害発生場所管理事業者に該当するかどうかの具体例、8個目の災害発生場所管理事業者が報告義務を負う災害の範囲、それから10個目の関連で、報告対象とならない災害に関して特定注文者等が存在しない場合における情報提供先となる監督署の考え方などを、丁寧に示した上で、周知・広報を進めていただくことをお願いいたします。
2点目は、同じく3ページの災害報告データの活用についてです。国によるデータの分析と公表を是非進めていただきたいと思います。業種別、職種別の災害データの分析・公表をいただければ、個人事業者等の関係団体等における災害防止対策にも利活用されると考えております。併せまして、第165回分科会で、私から災害実態の生データについて、個人情報を秘匿するという前提のもと、公表の検討を要望いたしました。当時、事務局からは前向きな御回答をいただいたと記憶しておりますので、生データの公表も是非進めていただけると有り難たく思います。
最後に質問です。2ページに記載のとおり、特定注文者等から監督署への業務上災害の報告とか、個人事業者等から監督署への脳・心臓疾患、精神障害事案の情報提供につきましては、電子申請を原則とすることが記載されています。こちらにつきまして、個人事業者等から特定注文者等への情報の伝達も電子的に実施できれば、災害報告制度全体が円滑にワークするように感じるところです。この点について、何か事務局で具体的に検討されていることがありましたら、御紹介いただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの鈴木委員の御発言につきまして、お願いいたします。
○建設安全対策室長 御質問、御指摘ありがとうございます。1点目の適正化に向けて通達等で丁寧にお示しさせていただくという事項、具体的に6、7、8ポツ、10ポツの例でいただきましたが、ちょっと個別にどういう書き方にするかは今ここで申し上げられませんけれども、正にここに書いてあるのはこれまでの分科会の議論などでも、委員の方から現場で迷いそうなことだと挙げていただいた事項なので、この辺りは現場で混乱が生じないように丁寧に書かせていただきたいと思います。
データの利活用ですけれども、これの分析・公表というのは労働者死傷病報告でやっているのも参考にしながら、どこまで細かくできるかはまた検討ですけれども、やらせていただきたいと思いますし、災害の発生状況等の生データ、オープンデータ化も労働災害の部分も含めて検討していきたいと思っております。
あと最後に、報告に当たっての電子化ですが、監督署に対して報告していただく部分については原則電子申請ということで、省令上、書かせていただいておりますが、個人事業者から報告主体に対する2段階報告の1段目で、ここについては必ずしも電子申請の義務とかいう形にはしておりません。ただ、ここも電子でやったほうがうまくいくようなケースもあろうかと思います。一方で、電子でやろうにも、ちょっと相手がなかなか分からないのでというところもあると。あとは個人事業者に必ずそのIDを取得することを求めることもなかなか負担になるかなと思っておりまして、現時点での考えとしましては、1段階目の民・民の報告についてもこの電子申請のシステムのインターフェイスは使えるようにしたいと。ただIDとかそういうことは求めないで、途中まで入力したものを、例えばエクセルのような形式に書き出して、それをシステム上というわけではなくて、電子メール等で報告主体に送ることによって、報告主体が二度手間なくそのファイルを読み込んで、続きから書くことができるようにする。システム完結はしてないですけれども、事実上、電子でうまくやっていただくというようなことを考えており、今後そのシステム開発する中で、そういう方向でできないかということを、これから詰めていきたいというのが現時点の考え方です。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木委員 いろいろと前向きに御検討いただいていることに感謝いたします。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。また会場に戻りまして、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 昨年度もちょっと発言させていただいたと思うのですけれども、結局この報告データ、今、及川委員からも話がありましたけれども、どのように活用していくかが非常に重要かと思っております。要は、再発防止とか予防対策としてしっかりとしたものを出すために、この分析をこれからやることになると思うのですけれども、その中で、やはり従来労働者として位置付けられてなかったということで、まずは理解を頂くことが御本人にとって重要かなと思います。電子申請というお話もありましたし、正に電子化するという意味では、デジタル化教育と言いますか、遠隔の教育とか、事例の共有等、また具体的な対策、非常に分かりやすいような対策とかそういうことを是非考えていただいて、再発防止を防ぐことをやっていただくということをお願いしたいのと、あと目標値をどのくらいまで下げるべきなのかと、そういうことも含めて、よりよくこのシステムが回るようにということをお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言を御希望の委員。松尾委員、お願いいたします。
○松尾委員 1つは不利益の関係で、中村委員がおっしゃったように、建設の場合は使用者とこの間ずっといろいろやり取りをしておりました。30年前と比べると現場の労働災害を0にするというところは、個人事業者等の関係も含めて把握をしたり、軽微なけがでも報告することによって労働環境の改善につながってきて、現在がありますが、実際に広く様々な産業を見てみますと、不利益な扱いになることが非常に懸念されます。どうしても個人事業者等の関係で、弱い立場ですから、労災の適用が、個人の関係で報告がしづらいということで、労災自体を受けない可能性もあるということも含めて、必要な手立てがいるのではないかと思います。
それから先ほど福永委員がおっしゃったように、私たちの団体、いわゆる特別加入の中で2種が多いのですね。建設関係は2種の加入者が多いので、データも含めて、ここの対策をきちんと打てるか。建設現場で言うと全ての現場で労働安全衛生の改善に資するというように思っていますし、データの活用という点ではこの特別加入の状況の関係の把握、これと関連できるようにしていただきたいと。先ほど番号の登録は考えていないということでしたが、こちらとしては番号も把握していただければ有り難いと思っているのです。お金が掛かるという話ですけれど、我々としてはデータの活用の関係で是非お願いしたいし、引き続き、組合の関係での集約もして、この2種の加入の労働災害の状況について把握をしていきたいと思います。是非データの活用の観点では整備をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの宮内委員と、松尾委員の御発言について、お願いいたします。
○建設安全対策室長 御質問、御指摘ありがとうございます。まず、宮内委員からの御指摘です。1点目については、把握したデータを活用したいろいろな対策、これは当然政策の企画立案としてやるのですけれども、そうした対策が個人事業者という特性、属性を踏まえて、分かりやすいものにする必要があるという御指摘だったと思います。こちらについてはそのとおりと思いますので、いわゆる事業者としてのしっかりとした組織体がある人たちが相手なのか、個人が相手なのかで、分かりやすい周知啓発の資料のあり方も変わってくると思いますので、そこら辺は今後、そういうものを示す際に常に頭に置いておく必要があると思います。
あと目標数値ですけれども、これが労働災害の数値目標と同じように個人事業者の災害の目標を立てるのがいいのか、立てられるのかという点について、報告制度が罰則付きであるかどうかとか、あと報告ではなく、情報提供とかも求められるような仕組みになっていることも踏まえて、慎重に考えていかないといけないのかなとは思っております。
あと松尾委員からの御指摘ですけれども、弱い立場にあるのでなかなか報告しづらいところがあると、そういうことも踏まえての不利益取扱い禁止規定を盛り込んだという経緯もありますし、それとは別に、報告義務を果たした上で、なお監督署に対して情報提供できますということも確保すべきではないかということが検討会、分科会でも御議論ありましたので、そういうことは通達でお示しする。要はきちんと報告義務を果たして報告主体に出していたのに、それが闇に葬られてしまうのではないかということがあると。ですので、そういうことがないように、監督署にも同じようなものを情報提供できるというようなことは確保するということです。
あと最後に、特別加入の部分ですけれども、この特別加入の有無については把握させていただきたいというのは、繰り返しになりますけれども、お伝えさせていただきますし、あと番号については、その番号を把握することによって、データ連携して、どういうものが取れるのか、取る必要があるのかはコストなども踏まえて現時点では考えてないというのが先ほどの回答です。今回、災害報告制度で報告を義務付けるのは、労働者と同じ場所で就業している場合の被災でして、特別加入の有無は関係ない。一方で、労災で持っている特別加入のデータは、特別加入の加入者に限って労働者と同じ場所であるかどうかに関わらず出していただくものなので、両者が重なる部分というのが必ずしも全部重なるというわけではないですし、部分的なものなのでそこにコストを掛けて連携させる、連携した上で取れるデータがどれぐらいあるのかを踏まえると、現時点ではちょっと難しい状況です。ただ繰り返しになりますけれども、何か個別の対応になるとは思いますが、取らなければいけない部分があることになれば、その他の情報で突合することは可能ですので、そういう形で対応させていただきたいと思っておりますので、御理解いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員、よろしいでしょうか。松尾委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか、御発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは、議題(3)労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(個人事業者等災害報告制度関係)において諮問されました、労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは事務局で答申の手続をお願いいたします。
続きまして、議題(4)「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令案要綱等について(諮問及び報告)(不正防止強化関係)」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○安全課長 資料4-2を御覧ください。めくっていただき、法改正を踏まえた法令対応で、3点ほど記載があります。1点目は、令和7年の改正法により、特定自主検査を実施する者に、必要な資格を有する代表者や役員等が追加されたということ等を踏まえたもの。2点目が、これも法改正関係ですが、技能講習修了証を不正に交付し回収命令に従わない登録教習機関に対し、登録取消しの際に10年を超えない範囲で登録できない期間を指定するということに伴うもの。3点目は次回分科会で議論を予定しております。
次のページです。1点目ですが、改正の趣旨は、今申し上げたようなことで、改正の概要です。(1)の①の所に書いてありますとおり、改正法におきまして、特定自主検査については厚生労働省で定める資格を有する労働者のみならず、代表者、役員が実施することも可能になったということで、現在、規定中「労働者」とされているところを「もの」に改めまして、代表者、役員が読めるようにするというものです。②の部分は、この改正法における安衛法の改正に伴う規定の整理、所要の改正ということで、文言を修正していくというもの。(2)につきましては、登録省令の改正ということで、これは改正法で条文が新設されたことに伴い、条文のずれを修正するというものです。公布日につきましては、令和7年9月を予定しており、施行期日は令和8年1月1日としております。これが1点目です。
続きまして、2点目です。先ほど申し上げたとおり、技能講習修了証を不正に交付し回収命令に従わない登録教習機関に対し、登録取消しの際に10年を超えない範囲で登録できない期間を指定できると改正法でなりました。改正の概要ですが、法律において10年を超えない範囲というところ、ここに掲げておりますとおり欠格期間は登録の取消しの日から起算して10年とするということ。これに関わらず、不正に交付した技能講習修了証の回収の状況や自主的な申告の有無等々を勘案して、適当と認めるときはこの欠格期間を10年未満、年単位で2年を超えるものとすることができるということです。この2年を超えるというのは、登録取消しの欠格期間が今2年になっておりますので、それを超えるという趣旨です。公布日につきましては、令和7年9月を予定しており、適用期日は、令和8年1月1日としております。
参考資料として、166回の分科会でお示ししました論点(案)ということで、この論点に基づいて今回の措置を講じるということ、次のページでは改正法の概要をお示ししており、最後のページでは参考として附帯決議をお示ししています。この附帯決議につきましては、登録期間について安全性の確保が適切に行われるように立入検査を行い、必要な監査・指導を行うこと、変更届等々の受検を行うように周知に努めることが記載されており、これに基づき、適正な立入検査や周知を進めていくこととしております。説明は以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。資料4-2で、2ページに諮問内容、3ページに報告の内容が示されております。本件につきまして、御質問、御意見がある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御発言を御希望の方、挙手をお願いいたします。佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 ありがとうございます。労働側の佐々木です。私から、1点お伺いをしたいと思います。説明いただいた資料4-2の3ページの2ポツ、改正の概要の欠格期間について、先ほどの説明のとおり、欠格期間は10年としつつ、自主申告の有無又は協力の程度など、情状によっては欠格期間を短縮できる旨、記載がされているところです。一方で、例えば、回収命令などに一切従わないなど、改善の余地が見られない登録教習機関等に対しては、欠格期間を更に延長するなどの追加的な措置を行うということは考えていないのか質問したいと思います。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。御質問がありましたが、事務局から回答をお願いいたします。
○安全課長 登録の取消し期間につきましては、法律におきまして10年を超えない範囲というふうに定めており、今回それを最大限活かしていくということで、他の事例も参考に、最大限の期間を設定するという意味で10年とさせていただいており、これ以上の延長は、なかなか難しいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。佐々木委員、よろしいでしょうか。御発言お願いいたします。
○佐々木委員 御回答ありがとうございます。現状は理解しました。施行後の状況なども踏まえて、必要に応じて御検討いただければなと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、議題(4)労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令案要綱等について(諮問及び報告)(不正防止強化関係)において諮問されました、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整理等に関する省令案要綱については、妥当と認めることでよろしいですか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。また、報告事項につきましては、事務局から御説明いただいた方針で進めていただくことにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(5)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(リスクアセスメント対象物関係)」に関しまして、事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長の中野です。私から、議題5について説明いたします。議題5-1は諮問文となりますので、説明は省略させていただき、中身をまとめております資料5-2を御覧ください。1ページが、令和6年以降の化学物質の自律的管理が始まっている状況をまとめたものです。これまで何度も御覧いただいている資料ですので、説明は省略いたします。
2ページは、リスクアセスメント対象物です。こちらは、毎年一度、定期的に国によるGHS分類を踏まえて、労働安全衛生規則に物質を追加、削除しているところです。直近は令和7年2月に改正が行われており、リスクアセスメント対象物の追加、削除の措置をしております。これが、令和9年4月の施行を待っている状態ですが、これに関して改めて省令改正を行い、削除する予定の物質について追加する物質と同様に交付後2年後の施行という規定ぶりにしておりますが、リスクアセスメント対象物から外れる場合には事業者の準備期間が必要ありませんので、削除される2つの物質、りん酸トリフェニルとステアリン酸ナトリウムについては、今回省令を改正し、交付日施行により速やかに対象から外そうとするものです。削除の場合、即日施行するという扱いは、※2で平成29年と令和5年に例があり、従来からこのような扱いとなっており、それに倣うものです。こちらの御審議をお願いいたします。
併せて3ページは御報告です。今後公布を予定しております告示と技術上の指針です。リスクアセスメント対象物のうち一部の物質については、告示で濃度基準値が定められております。先ほどの削除2物質のうち、りん酸トリフェニルの濃度基準値を適用しないことにするものです。また、この指針では測定方法も定めておりますが、これも関係部分を削除するということでお願いしたいと思っております。こちらも、省令の施行と同時に改正をしたいと考えております。
4ページは御参考で、今回の安全衛生法改正の際の附帯決議の化学物質の関係をまとめたものです。今回示しています省令、告示、指針の改正は、これらの附帯決議と直接関連するものはありません。
続いて、資料5-3についても、併せて説明いたします。こちらも御報告です。1ページのリスクアセスメント対象物のうち大臣が定めるものについては、労働者のばく露の程度を大臣が定める濃度の基準以下としなければならないということになっております。こちらの濃度基準は、次の2ページのとおり、有識者の方々による検討会を開催し、そこで専門的な御検討を頂いております。この3月に新たな評価がまとまっておりますので、これに基づいて告示改正を行うものです。
3ページは、現在179の物質の濃度基準がありますが、今回78物質について新たに定めるという改正をしようというものです。改正の概要は、(1)の78物質については新たに追加ということです。(2)の検討いただいた中に酢酸-セカンダリ-ブチルというものがあります。一方で、既に濃度基準のある物質で酢酸ブチル(酢酸ターシャリ-ブチルに限る)というものがありますので、セカンダリ-ブチルに関してはこちらと一緒にまとめていこうというものです。交付は令和7年9月の下旬を想定しており、施行はこれまで1年の期間を置いておりますので、それに倣い今回も令和8年10月からの施行としたいものです。
具体的な物質と濃度基準値ですが、4ページ以降に記載があります。少し専門的に過ぎますので、御説明は省略いたします。
続いて8ページは、技術上の指針の一部改正です。濃度基準の設定に伴い、その物質の測定方法を定めようとするものです。改正概要の(1)は、新たに濃度基準を設定する78の物質のうち、77について測定方法を追加するものです。これと別に、濃度基準を設定しなかった2物質、発がん性等があるものですが、これについても測定方法を追加するということです。(2)については、酢酸-セカンダリ-ブチルについて、今ほど告示で申し上げた扱いと同様に、ターシャリ-ブチルと併記するものです。また、今回の78物質のうちのメタ-ジクロロベンゼンについては、測定方法が既にパラ-ジクロロベンゼンについてありますので、こちらと合わせて一項目にするものです。公示、施行のタイミングは、告示と同時で考えております。説明は以上です。
○髙田分科会長 資料5-2と5-3について御説明いただきました。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。会場の委員で御発言を御希望の委員は、挙手をお願いいたします。上野委員、お願いいたします。
○上野委員 私からは、まず資料5-2のリスクアセスメント対象物関係について、発言をさせていただきます。諮問されました内容については、GHS分類によって削除となったリスクアセスメント対象物質について、従来の取扱いに倣って政省令改正の交付日に削除を行うものですので、特段異論はありません。
続いて資料5-3について、専門家検討会報告書の結果に基づき、本年度新たに78物質に濃度基準値と測定方法、発がん性が明確である2物質に測定方法が定められるものと承知しています。今回の改正内容について、事業者と連携の上、対象物質を取り扱う労働者、関係者に対する確実な周知に取り組んでいただきたいと思います。
また過去の分科会において、労働側委員が発言したとおり、濃度基準値を設定できない発がん性が明確である物質については、濃度基準値を設定しないがために安全な物質であるという誤解が生じることがあってはならないと考えます。安全な閾値を設定することのできない物質であるということについて、丁寧に周知をしていただきたいと思います。なお、次年度以降においても、最新の知見を反映していただき、より多くの化学物質の濃度基準値を設定するよう、対応をお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。福永委員、お願いいたします。
○福永委員 御指名ありがとうございます。先ほど御説明いただきました改正内容について、異論はありません。今回の御説明、報告に限らない話なのですが、化学物質規制の強化以降、建設労務安全研究会の理事をはじめ、建設業での実情について意見交換をする機会がありました。その中でも、現状の課題を簡単にお話させていただきます。6つに大別しますが、1つ目は、リスクアセスメント対象物の拡大に対する実装力不足が挙げられます。対象が急速に拡大する一方で、工程把握や換気・密閉化の優先順位付け、記録保存や衛生委員会付議までを含む運用を、なかなか回し切れていない事業場が多くあるという実情があります。2つ目は、SDSの品質・到達・改訂の遅れがあります。混合物の成分開示や変更通知、CAS番号記載など、通知内容の充実と迅速な更新が追いつかず、現場のリスクアセスメントに必要な情報が届かないことが挙げられております。
3つ目として、営業秘密と成分情報の板挟みが生じていること。開示の手順、保存義務の運用が難しいことから、過少情報のSDSや現場判断の迷いが生じていることが確認されております。4つ目は、ばく露評価スキルの不足が挙げられます。クリエイトシンプル等の推定ツールや、個人ばく露測定の選定・評価・不確かさ管理が十分ではなく、濃度基準等、遵守の裏付けが弱い側面があります。
5つ目は、濃度基準値、また作業記録の付加については、過去の分科会でも発言させていただいたかと思います。倒産・廃業する事業者の記録保存に対して、何らかの措置を早急に講じることは、前任の委員からも要望してきたものです。6つ目は、化学物質管理者の力量・配置についてです。化学物質管理者の選任は進んでおりますが、その力量が未熟なため、現場改善を主導し切れていない実情があります。背景には、SDSの電子化や、ばく露測定の可視化が遅れていること。また、現場別、作業別の具体教材が不足し、一般管理者や派遣、協力会社まで浸透していないことが挙げられます。
これらの課題を解決する方向性を提案させていただくと、①SDSの使える化、②ばく露評価の底上げ、③工学的対策の優先、④役割と人材、⑤健康管理の実行化、⑥デジタルデータ基盤の構築等が挙げられます。いずれにしても、多様な化学物質を事業の規模を問わず、事業者が自律的に管理するには、政策と企業実務の互換性、親和性を高める必要があり、そのための支援をお願いしたいと考えます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ここまでで一旦切らせていただきます。上野委員と福永委員の御発言について、事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 御意見ありがとうございます。まず上野委員の御指摘ですが、がん原性等の閾値のないものですが、安全であるという誤解をされるのは私どもとしても考えているところではありません。これに限らず、化学物質の有害性について正確な知識が広まるように、周知に努めてまいりたいと存じます。
それから福永委員の御指摘ですが、若干、包括的なお答えになる部分も含みます。化学物質の管理については、まだまだ行政としても支援を充実させていく必要があると考えております。例えば、教材の作成を業種別、作業別にやっていたり、御利用いただいているかもしれませんが、クリエイトシンプルのような、Web上で使えるばく露の評価ができるようなツールを充実させていくことに取り組んでいるところです。
このほか、がん原性物質の保存の御指摘もあったかと思いますが、事業廃止時に監督署に書類の移管が規定されていない部分がありますが、これに関しては早急に対応を考えてまいりたいと思っております。また、化学物質管理者の力量等についても、御指摘があったかと思います。これも先ほど申し上げましたように、教材の開発を進めていきたいところもありますが、これに限らずやれることは何でも協力してやっていきたいと思いますので、皆様におかれましても御支援を賜れればと存じます。引き続き、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ただいまの回答について、上野委員、よろしいでしょうか。福永委員、追加はよろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか、会場の委員で御発言のある方はいらっしゃいますか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 リスクアセスメントの対象物質というのは、当然危険有害性があって、区分が明確だということで選ばれているものです。これに対して、今回78物質に濃度基準を新たに定めるのは、非常に重要なことと思っております。ですから、今後やらなければいけないことは、こういった濃度をきちんと守ってて、ばく露を減らしていくことに尽きると思います。そのために、各事業者自身はもちろんですが、いろいろな団体と連携して、制度をしっかりやっていくことが非常に重要だと思います。そのために、今、専門家の制度もいろいろとできていますし、また養成をしている段階と思います。これから労使ともに非常に重要な課題だと思いますので、今後とも推進していただきたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの宮内委員の御発言について、何かありますか。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。引き続き、周知活動に努めてまいりたいと思います。先ほど申し上げました作業別、業種別のマニュアルについても、関係する業界団体に御案内をするなどの取組を進めているところですので、引き続き、対応してまいりたいと存じます。
○髙田分科会長 宮内委員、よろしいでしょうか。そのほか、会場から御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。オンライン参加の委員についても、チャットの書き込みはないようですので、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議題(5)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)(リスクアセスメント対象物関係)において諮問されました、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱については、おおむね妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。また報告事項については、事務局から御説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思います。
続いて、議題(6)「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課でございます。資料6-2をお開きください。諮問については、こちらの資料で御説明したいと思います。電離則等一部改正についてです。1ページは改正の趣旨です。発端は、令和3年に発生した製鉄所におけるエックス線装置の点検作業中の労働者のエックス線への被ばく労働災害です。「重大な異常事象」に当たるとして、国際原子力機関(IAEA)に対して報告されたものです。
災害の発生原因としては、労働者が放射線照射中であることを確実に認識できる措置が講じられていなかったこと、設置された安全装置が有効に保持されていることを定期的に確認できる体制がなかったこと、労働者に対して特別の教育を受講させていなかったこと等が挙げられます。これを受けて開催された有識者の検討会の中で、今の点も含めて5つの論点について検討が行われた結果、必要な法令改正等を行うべきとされて、今日に至っているものです。
2ページは改正の概要ですが、3点あります。1点目は(1)工業用等の特定エックス線装置の自動警報装置の設置義務の拡大等で、電離則の改正によります。具体的には図を御覧いただければと思いますが、現行は左で、放射線装置室に設置されるエックス線装置は、管電圧150kV超については自動警報装置の設置が義務付けられています。なお、「医療用」については、ここまで高い電圧ではありませんので該当しませんが、改正後は右の図です。管電圧を10kvに引き下げて、要は拡大する形で、工業用等については、いわゆる特定エックス線装置ですが、自動警報装置に加えて安全装置の設置も義務とするものです。
「一部のエックス線装置」(※3)ということで脚注にありますが、研究又は教育のため、使用の都度組み立てるものについては、従前どおり自動警報装置の設置義務のみといたします。医療用については、医療用の特定エックス線装置のうち放射線装置室に設置されるものですが、医療法施行規則又は獣医療法施行規則と同様の措置を取ることといたします。医療用の定義は、脚注の(※4)に記載しているとおりですが、今回の改正に合わせて明確化を行いたいと考えています。
3ページは、改正の2点目です。エックス線作業主任者等の職務の見直しで、やはり電離則の改正です。現行のエックス線作業主任者の職務については、例えば管理区域の標識の掲示や、立ち入らせないといった安全のための措置等がありますが、これに加えて安全装置の点検、自動警報装置等による周知措置及び安全装置に異常を認めた際、直ちに必要な措置を講ずること、安全装置をやむを得ず取り外し、又は機能を失わせた場合の代替措置が講じられていることの確認作業の方法を決定し、放射線業務従事者を指揮することを加えたいと考えています。ガンマ線透過写真撮影作業主任者についても、こちらと整合する形で2点、御覧の職務を追加したいと考えています。
3点目の改正ですが、特別教育の実施対象となる業務の拡大で、こちらは安衛則と電離則の改正になります。現行では、対象業務は透過写真撮影業務に限定されているところ、装置を取り扱う業務全体に拡大いたします。ただ、いわゆるボックス型のエックス線装置ですが、こちらについては対象から除外いたします。
4ページは公布日等です。公布は9月下旬を予定しています。経過措置ですが、既設のエックス線装置のうち、新たに自動警報装置あるいは安全装置の設置義務対象となる装置について、改修等でこれらの設置が著しく困難な事情がある場合、具体的には、既にメーカーが存在しないといった場合が想定されますが、そうした場合には、警報機能を有する放射線測定器「APD」の装着、その他の代替措置を講じなければならないことといたします。加えて、経過措置の(3)ですが、安全装置についての代替措置が講じられていることを、事業者はエックス線作業主任者に確認させなければならないことといたします。
施行日は公布日といたします。対象となるのは、医療用の明確化等です。ただ、幾つか猶予期間を設けます。2の(1)の装置に関すること、及び2の(2)の作業主任者の職務のうち安全装置に関すること並びに経過措置に関することは、令和9年10月1日として、約2年間の猶予を設けたいと思っています。作業主任者の職務のうち、自動警報装置等による周知措置並びに作業の方法の決定及び放射線業務従事者の指揮に関すること、並びに2の(3)の特別教育については、令和8年4月1日としたいと考えています。
諮問関係の説明は以上ですが、続いて、資料6-3の報告事項についての御説明です。報告事項は、透過写真撮影業務特別教育規程の改正についてです。1ページです。同規程は労働省告示となっており、この中で特別教育の科目等を規定しております。改正は先ほど申し上げたように、特別教育の実施対象となる業務について、安衛則や電離則の改正により装置を取り扱う業務全体に拡大することに伴い、所要の書きぶりの変更を行うもので、科目及び科目の範囲並びに告示名そのものについて変更を行うものです。告示は令和7年9月下旬を予定しており、適用は令和8年4月1日としたいと考えています。資料6関係の説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。資料6-2の諮問事項と、資料6-3の報告事項について説明いただきました。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員からいかがでしょうか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 労働側の山脇でございます。まず、この事故で被災された労働者の方に、改めて心よりお見舞い申し上げたいと思います。私はこの検討会に参加させていただいていましたので、その立場から発言したいと思います。今回の事故を契機として一定、労働者保護の観点から規制強化をされるということで、諮問内容自体については特段、異論はありません。
他方で、省令改正のため一定の制約があるという事は理解しますが、報告書と比べると、幾つか記載がされていない点があります。例えば、報告書では基本的考え方として、意図しない被ばくを避けるという観点から、各事業場においてハードとソフト面の安全対策を組み合わせた多重防護がなされるべきという記載があります。省令に落とせないことは十分承知していますが、多重防護は大変重要な点でありますので、今後示される指針あるいは通知等の中に適切に落とし込んでいただきたいと思います。
同様に、改正の概要において、安全装置について、放射線装置室に設置される工業用等の特定エックス線装置に設置を義務付けると記載されていますが、これについて報告書では、放射線装置において、使用しない工業機械等のエックス線装置についても、自動警報装置や安全装置の設置が望ましいことと書かれているなど、報告書には記載されているものの、省令には書き込めていない部分が幾つかありますので、これらについてもしっかりと指針あるいは通知に盛り込んでいただきたいと思います。
もう一点は、4ページに記載の経過措置に関して、先ほど衛生課長より補足いただいた既存の装置のうち改修等が著しく困難な事情については、報告書の中では限定列挙で書かれていますので、拡大解釈がされることがないよう、指導監督の中でしっかりと対応いただきたいということを申し添えておきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、御発言はございますか。そうしましたら、山脇委員からの御発言について、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 御指摘をありがとうございます。検討会では、山脇委員には構成員としても御参加いただき、本当にありがとうございました。ようやく結実する段階だと思っています。御指摘いただきましたように、報告書で書かれていて、今回の改正概要に書いていない部分については、施行通達の中で記載してまいりたいと思っております。御指摘いただきました多重防護の関係、例えば、装置に電力供給していることを周知する方法について、光、音等複数の手段で周知を図ること等、そういったことも書いてまいりたいと思っていますし、先ほど御指摘がありました望ましい対応についても、併せて記載したいと思います。
それから、経過措置の例についても併せて限定列挙して、通知でしっかりお示しするとともに、この点については周知に加えて、監督指導等で適切に対応してまいりたいと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山脇委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そのほか、会場で御発言を希望の委員はいらっしゃいますか。オンライン参加の委員についても、チャットの書き込みはないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議題(6)労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱等について(諮問及び報告)において諮問されました、労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。また、報告事項については、事務局より御説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思います。
続いて、議題(7)「ボイラー構造規格等の一部を改正する告示について(報告)」について、事務局より説明をお願いいたします。
○安全課長 資料7、ボイラー構造規格等の一部を改正する告示について(報告)です。1枚おめくりいただき、改正の趣旨です。ボイラー等については、ボイラー構造規格等を定めており、製造、流通の規制を行っているところです。この基準については、これまでASME(米国機械学会規格)があり、これに整合するように定めているところです。
※1の所に書いてありますが、この米国機械学会の規格については、ボイラー、圧力容器のASME規格は国際的に広く採用されているものです。今般、日本ボイラ協会における有識者検討会において、このボイラー構造規格について、ASMEに整合したものとなるように見直すべきという提言が盛り込まれた報告書が厚生労働省に提出されたところであり、厚生労働省において、この内容をしっかり精査しております。この妥当性が確認されたところですので、今回、ボイラー構造規格を改正するというものです。
具体的には、近年、技術革新により、材料自体の品質向上も図られており、材料の均一性の向上、溶接部の品質の向上、その他、試験検査技術の進歩などもございますので、このASME規格に合わせて構造規格を見直した場合にも、適切な安全確保が引き続き可能と確認された安全係数について規制を見直すというものです。
※2ですが、このASME規格に整合した構造規格を具備している状態での構造上の欠陥を原因とする事故はこれまで発生していないところで、また、ASME規格で製造されたボイラー、圧力容器について、安全係数を見直したことに起因する事故は報告されていないということす。厚生労働省としましては検査制度もありますので、引き続き、検査制度により構造規格の適合をしっかり確認して安全を確保していくこととしております。
2.改正の概要です。申し上げたとおり、安全係数や水圧試験の圧力、引張試験の合格基準に関して、ASMEに合わせた場合でも安全の確保に影響しないことが確認されたことから、ASMEに整合させていくというものです。また、今、機械式の圧力計を使っているのですが、電子式の圧力計に関する規定の整備、それから、放射線検査の検査方法の追加等を行うのが1点。それから、2点目は構造規格中にJISを引用している部分があるのですが、その最新版への更新を行うということです。
3.適用期日等です。告示日は令和7年10月を予定しており、適用期日は令和8年4月1日と予定しております。次のページは改正の詳細を記載したものです。大きく2点ございます。1点目は、今、申し上げたようなお話ですが、安全確保に影響しないことが専門家に確認されているものについて見直すということで、具体的には、材料の許容引張応力の計算に用いる材料の安全係数を4から3.5に改める。水圧試験の圧力を最高使用圧力の1.5倍から1.3倍に、気圧試験の圧力を1.25倍から1.1倍に改める。材料の引張試験の合格基準を許容引張応力の4倍から3.5倍に改めることを予定しております。
(1)-2、圧力計について、電子式のものを使用可能にするもの、溶接部の新たな検査方法であるスポット放射線検査について、信頼性が確認されたことから、その検査の規定を整備するというものです。(2)はJISとの整合性の関係です。ここに5点書いてあるとおりです。曲げ加工又は成形加工を行う場合に熱処理を行わなければならない。多管式の貫流ボイラーについてガラス水面計及び吹出し弁を取り付けなければならない。材料の許容圧縮応力は、許容引張応力又は許容座屈応力のうち、いずれか小さい値とするよう改める。板の最小厚さについては、機器の形状等に応じて安全を確保できるものに改める。ステンレス鋼板等の一定の鋼材の使用制限箇所に関する規定を危険性に応じたものに改めることを予定しております。
次のページには、そのボイラ協会において作成した報告書の概要、検討委員会名簿、最後に、ボイラ協会についてということでお示ししておりますが、最後の一番下の部分は、この日本ボイラ協会は安衛法に基づく登録性能検査機関であり、技能講習、調査研究等々、公益性の高い業務を実施している団体です。一般社団法人に移行後も公益目的事業を行っている団体です。ボイラー構造規格については、従来、この日本ボイラ協会の検討を踏まえて改正しているという経緯があります。説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料7について御説明いただきましたが、本件について質問、意見等のある方は会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書込みをお願いいたします。会場の委員で福田委員、お願いいたします。
○福田委員 労働側委員の福田です。発言の機会をありがとうございます。まず、本件について、過去の分科会における労働側委員の発言を踏まえて、構造規格の改正に関して当分科会で報告いただきましたことに感謝を申し上げます。その上で、今回の構造規格等の規制緩和によって災害が発生するようなことがあってはならないと考えています。資料の3ページ目、安全係数の国際比較を見る限り、諸外国の基準のうち最も厳しいASMEの数値を使用しているものと考えていますが、改めて、今回の改正が安全に影響を及ぼすものではないということについて確認したいと思いますがいかがでしょうか。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○安全課長 御質問ありがとうございます。今回の構造規格の改正については、専門家による検討委員会において、安全確保に影響しないことを明確に御報告いただいたところです。厚生労働省においても妥当性について確認をさせていただき、安全には影響しないと考えております。また、先ほど説明しましたが、検査の機会もありますので、その検査制度をしっかり機能させて安全確保を図っていきたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。福田委員、よろしいでしょうか。
○福田委員 ありがとうございます。承知いたしました。構造規格の改正に関しては、就業者の安全に大きな影響を及ぼす可能性があると考えます。周知の観点も含めて、引き続き、適切に分科会に御報告を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、よろしいでしょうか。
○安全課長 ありがとうございます。
○髙田分科会長 そのほか会場から御発言を御希望の委員はいらっしゃいますか。及川委員、お願いいたします。
○及川委員 近年の技術革新を踏まえた改正であるということで、こういった取組は大変評価できると思います。ボイラ協会さんの働きが大変大きいと感じました。今後、安全性をしっかり確保しながら、労働人口の減少、あるいは生産性をアップしなければいけない。省力化を推進しなければいけないという観点も、トータル的、総合的にあるのだと思います。今後、こういった日本ボイラ協会さんのようなところで報告書を取りまとめようとする、これに続くような取組があれば、是非、教えていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○安全課長 ボイラ協会においては、ボイラーの構造規格についていろいろな知見をお持ちですが、今回、専門的な見地から検討していただいたというもので、今後もボイラ協会においては、様々な見地から御検討いただくものと考えております。ほかにもいろいろな団体があると思いますので、そのような団体で知見が蓄積されれば、我々もそれを受け止めて、必要に応じて構造規格の改正等を進めていきたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。及川委員、よろしいでしょうか。そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。オンライン参加の委員についてもチャットの書込みはないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本件については事務局から御説明いただいた方針で進めていただくことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。ここまでの議題以外で何か御発言はございますか。山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 労働側の山脇です。本日、資料は特に用意いただいていませんが、概算要求の関係を確認させていただきたいと思います。今回、ストレスチェックの実施義務対象が50人未満の事業場への拡大されることに伴い、高ストレス者の面談実施など、地さんぽには追加的な負荷かかることから、その体制強化が必要ということで、既に本分科会等でも議論がされてきました。
そうした中で、ストレスチェックに限ったものではありませんが、産業保健活動総合支援事業は医師の単価の引き上げ、巡回回数の拡大等に振り分けるということで今年度プラス3億円の増額がなされています。単年度でみると、この3億円という増額が十分か、測りかねるところではありますが、施行までの間にどの程度の認定産業医を新たに育成するのか、あるいは、巡回回数をどの程度増やしていくのかということについて、しっかりと分科会、もしくはストレスチェック制度等検討会において議論し、一定の合意を得てから逆算のうえ、次年度以降予算を増額していく必要があると考えます。
同様に、産業医の育成を担っている産業医科大に関して、運営費自体は次年度の要求において据え置かれていますが、これについても必要な手立てをしていく必要があると思っています。引き続き、見通しを立てた議論をすること、および、必要な予算の確保をお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ただいまの件について事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課です。地域産業保健センターの体制拡充についての概算要求について御指摘を頂きました。この度、来年度の要求額ですが、産業保健活動総合支援事業全体として約3億円、この中身はストレスチェックで切り分けること自体は困難ですが、この中には、登録産業医の医師の単価引き上げというのも念頭に置いており、やはり、このストレスチェックの対象の事業場を小規模でも拡大する。そして、医師による面接指導の対象者も増えるだろう、その要請に応えていくための準備の第一段階として、まずは、令和8年度に要求してまいりたいと思っています。
今後について、我々としては今後増えるであろう医師面接指導対象者をにらみながら、体制の拡充も併せて考えてまいりたいと思っております。施行日自体まだ決まっておりません。公布日から3年以内で政令で定める日となっておりますので、最大、令和10年5月14日までにという形になると思いますが、いずれにしても、その間にいろいろな体制整備に限らず様々な準備を進めながら取り組んでいきたいと考えており、そういった工程については、今後、有識者の検討会が別途ございますので、その中でお示ししながら御議論を頂けたらと思っております。
また、その結果については、この当分科会にも報告されるのだろうと思っております。具体的に予算の額など、その辺りについてはいろいろな要素がございますので、検討会の中でもどこまで詳細に詰めて議論できるかは分かりませんが、少なくとも、目指す方向について関係者の御理解を頂きながら進めてまいりたいと考えております。
○計画課長 すみません。あと、産医大についても御質問がありましたが、産医大については基本的には大きく分けて修学資金の貸付の予算と、あとは大学部分の運営費の補助と、大きく分けて2つになっております。運営費の補助については基本的に前年と同額の要求となっております。修学資金のほうは離脱する方が減ったことを踏まえて増額の要求となっており、全体としては増額になっているということです。そのような中で、運営費も予算の全体像が厳しい中で、前年度と同額を何とか確保しているということで御理解を頂ければと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山脇委員、よろしいでしょうか。そのほか、七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。七浦です。今のお話にございました産業医は、さんぽセンターも含めてですが、やはり、まだまだ充足されていないというのが現状で、県の差あるいは市町村によってということも、かなり差もございますので一朝一夕にはなかなかいかない部分もありますが、ただ、しっかりとした進め方をしていかないといけないだろうと感じております。
その辺りは、厚生労働省様が進めていっていただくことになるかと思いますが、地域によっては各大学の予防医学の教室や、産業保健公衆衛生関連などの協力も必須だと思います。それにプラス、我々が対応している産業医医学、産業医がいかに協力できるかということも検討していかないといけないと思っておりますので、必要がありましたら、企業としてこのような動きはできないかというようなことも御指摘いただき、よりしっかりとした体制づくりができればと思っております。引き続き、いろいろ御指導いただきながら、我々が必要なことも御注文いただければ、体制を整えていきたいと考えております。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局からコメントをお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。七浦委員には、大変、貴重でまた本質的な御指摘をありがとうございます。全国的にみて産業保健体制、特にその産業医を確保していくことは非常に重要な課題であり、また、中長期的な観点から、引き続き、こちら行政内部でも検討してまいりたいと思っております。
そして、繰り返しになりますが、今回のストレスチェックの対象拡大が小規模事業場に向けて、まず、登録産業医という形になりますがサービスを提供していく、そのようなきっかけになると思いますので、こういったところ。そしてまた、その登録産業医が配置される地域産業保健センターの体制の拡充について、全国的にバラつきを無くしていくという視点も必要ですので、まず手を付けていくべきところを進めながら、併せて、そういった本質的な議論を考えてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。黒澤委員、お願いいたします。
○黒澤委員 公益代表の黒澤です。今の議論、大学の衛生関係という話もあり、私はその当事者といいますか、教授を拝命して産業医の教室をやっております。同時に、宮城県の医師会の産業保健にも関わっておりますし、また、労働基準監督署と労働局と連絡を取り合い、地さんぽにおいて、どのような準備をするかというようなことも意見交換しております。
それからまた、本日、資料1にも出ました治療と仕事の両立支援、これも、さんぽセンターが当然関わってくるだろうということで、産業医がここに度々出て来て役割が重くなるといいますか、仕事が増えるといいますか、我々も心してやっているところで、東北大学でも研修会などをやり、教育をするということをやってはおりますが、是非、これからこのような予定で、このようなことをしてほしいと、医師会なり、さんぽセンターなり、あるいは、我々も大学として何かできることがあればお手伝いしたいと思いますので、是非、施行に向けた、あるいは、治療と仕事の両立支援などに向けた取組の方針を早く出していただいて、我々がどのような方向に進めばいいか明示していただけると有難いと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課長です。黒澤委員からは、大変、あたたかいエールを頂いたと受け止めています。これから、両立支援については指針を策定し、それを明らかにして運用していくということですが、こちらもできる限り、その姿をお見せして、同時並行で大学又は企業、また、いろいろな関係団体もございますので、意見交換を重ねながら、みんなでより良い体制づくりがどのようにしたらできるか考えてまいりたいと思いますので、引き続き、御指導、御鞭撻のほどお願いいたします。ありがとうございます。
○髙田分科会長 黒澤委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのほか御発言はございますか。福永委員、お願いいたします。
○福永委員 御指名ありがとうございます。私からは熱中症関係について発言をさせていただきます。過去、分科会で盛んに議論されました職場における熱中症対策の強化について、厚生労働省や各団体企業の御努力により、規制強化の周知又は実施についてはきちんと進められたと感じます。当社の情報ではありますが、所轄労働基準監督署による建設現場への臨検時にも、今回の対策の強化、特に、罰則付の義務の内容について丁寧に御指導いただいたと聞いております。誠にありがとうございます。
しかしながら、御存じのとおり今夏は記録的な猛暑により、当社においても熱中症の報告件数が昨年度比で大きく増加している状況です。今回、規制強化の早期発見のための体制整備、また、実施手順の周知、実践による成果とみることもできますが、熱中症件数の増加に対して追加措置、対応を求められるのが実情です。
9月も厳しい残暑が予報されており、引き続き対策を徹底させる必要があるのはもちろんですが、過去の分科会で、今後の対応として挙げた「休業に至らなかった事案を含めたエビデンスデータの収集分析」、また「新たに立ち上げる検討会での有効性等の検討」等の進捗状況についてお聞かせいただければと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 労働衛生課です。熱中症対策については、この夏、大変暑くなるだろうという見立ての下、関係者の御理解を頂きながら省令改正を行い、体制整備と手順の作成、そして、これらの周知という形で義務化に至ったということです。その成果の評価自体はまだ十分なされているわけではございません。足下の数字もかなり増えていそうな雰囲気はございますが、実際のところ、これというのは、結構、タイムラグが生じ、確定的な数値を得られるまでにはまだ当分時間が必要かと思っております。
ただ、行政としては、福永委員がおっしゃられたように、今後、予防策等の検討会を立ち上げると申し上げておりますので、何らかの形でデータを収集、分析して議論していただけるよう準備を進めたいと考えております。現在、そのデータ収集の在り方を含めて内部で検討中でございます。
また、検討会の開催予定も現時点では未定です。もう少し暑い日が続くと思いますが、並行してデータ収集、分析を続けながら然るべきときに検討会を立ち上げて、そしてまた、次の夏以降に向けて何ができるかということを検討してまいりたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 福永委員、お願いします。
○福永委員 御回答ありがとうございました。先ほどのデータ収集の件については、前回の分科会でも提案したのですが、休業に至らなかった場合のデータをいかに収集するか、どういった項目を集めるかは非常に難しい課題です。既に発生した休業に至らなかった熱中症の事案は、恐らく、個別にはいろいろデータ取りはしているかと思います。
個別の収集データはバラつきがあり、当然、休業に至っていないとその後の追跡もできず、時間の経過とともに不確実性が高くなるなど、精度の高いデータを横断的に収集する機会をどんどん失っている状況です。もし、案があれば、早めに各団体、企業にも提示いただければと思います。熱中症対策は来年以降も含めて重要な施策と捉えており、今後の対応を進めていただきたくよろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 御提案、誠にありがとうございます。内部で急いで整理し、また、関係する皆様にお願いすることがあるかもしれませんので、そのときには御協力をよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか御発言はよろしいでしょうか。大変、長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。本日の議題は全て終了いたしました。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございます。台風接近で悪天候となっておりますので、皆様、気を付けてお帰りください。ありがとうございました。




