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第38回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録
健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課
日時
令和7年8月28日(木) 10:00~12:00
場所
Web会議
厚生労働省 専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
(1)2025/26シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について
(2)ワクチンの安定供給に関する指針の作成について
(3)ワクチンの研究開発支援について(報告)
(4)その他
(2)ワクチンの安定供給に関する指針の作成について
(3)ワクチンの研究開発支援について(報告)
(4)その他
議事
- 議事内容
- ○眞中予防接種課課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第38回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。プレスの関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
本日は、対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。まず、Web会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。Web会議から御参加されております委員の皆様は、カメラオンに切替えをお願いいたします。御発言される場合は、Web会議システムの挙手機能などを用いて、部会長から御指名されてからお名前をおっしゃっていただいた上、御発言をお願いいたします。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
また、開催に先立ちまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告を申し上げます。ワクチン開発専門官に丹羽が着任しておりますので、よろしくお願いします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。野口委員から御欠席の連絡を受けております。現在、3名の委員が対面、6名の委員がWebにて御出席いただいており、委員10名のうち9名に御出席いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。ここで新しく就任された委員の方を御紹介いたします。本間委員の代わりに御就任いただいた、国立医薬品食品衛生研究所所長の齋藤委員です。
○齋藤委員 よろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に先立ちまして、本部会の資料について御説明させていただきます。本部会の資料については、通信負荷軽減の観点から、基本的に画面には投映いたしませんので、傍聴されている方々を含め、Webサイトに掲載している資料をお手元に御用意ください。
それでは、ここからの進行は伊藤部会長にお願いいたします。
○伊藤部会長 皆様、御出席いただきありがとうございます。生産・流通部会は、インフルエンザの流行前にワクチンの審議をすることが毎年、恒例になっています。まだ暑い最中ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項などについて、報告をお願いします。
○眞中予防接種課課長補佐 荒戸先生、カメラオンにできますか。ありがとうございます。
それでは審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員から予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について御申告を頂きました。各委員からの申告内容については、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本日の議事内容において個別に調査審議される品目はありませんので、議事への不参加に該当する委員はございません。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。
それでは早速、議事に入らせていただきます。本日はじめの議題は、「2025/26シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について」ということで、事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○井上予防接種課係長 事務局です。資料1、「2025/26シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について」を御準備ください。
2ページ目ですが、「本日の内容」を記載しております。本日の内容は、1つ目が「季節性インフルエンザワクチンの供給等について」。2つ目が「新型コロナワクチンの供給等について」。3つ目が「各ワクチンの供給等に係る対応について」です。
3ページ目は、インフルエンザワクチンの供給量の年次推移を表したグラフになります。棒グラフがワクチンの供給量、折れ線グラフがワクチンの使用量を表しております。今年度から、インフルエンザHAワクチンを回数で表記しており、経鼻弱毒生ワクチンと合算してお示しをしております。2025/26シーズンのワクチンの供給量は、合計で約5,293万回分となる見込みです。
4ページ目は、インフルエンザワクチンの週次の累積供給量となっております。9月5週の時点、こちらは金曜日を基準としておりますので、10月3日の時点となりますが、2025/26シーズンの供給量全体の6割を超える約3,578万回分がこの時点で出荷される見込みとなっております。過去3年間の平均使用量は4,860万回となっておりますので、総量5,293回分は、これらを超える供給となる見込みです。また、過去3年間の定期の予防接種の実施者数が約2,028万人となりますので、使用量全体の約4割のワクチンが定期接種に用いられていることになります。
5ページ目からは、新型コロナワクチンの供給等についてです。
6ページ目、こちらにお示ししているとおり、2025/26シーズンの定期接種に用いるワクチンの抗原組成は、令和7年5月の各選定小委におきまして、『1価のJN.1、KP.2若しくはLP.8.1に対する抗原又は令和7年5月現在流行しているJN.1系統変異株に対して、広汎かつ頑健な中和抗体応答又は有効性が示された抗原を含む』こととされ、現在、各製造販売企業におきまして、開発・薬事申請が進められています。これらの薬事承認や供給の見通しを踏まえ、10月1日から定期接種を開始する方向で準備が進められています。
7ページ目、新型コロナワクチンの見込み供給量となっております。一部の医薬品については薬事承認申請中であり、予定の情報ではありますが、株選定小委の決定を踏まえまして、オミクロン株LP.8.1対応ワクチン及びオミクロン株XEC対応ワクチンの薬事申請が行われております。また、定期接種に使用するワクチンについては、承認後にワクチン分科会に諮った上で決定をされますが、2025/26シーズンのワクチン供給量は、約909万回分となる見込みです。モダリティ別の供給量に関しましては、mRNAワクチンが約647万回、組換えタンパクワクチンが約180万回、mRNAのレプリコンワクチンが約82万回となっております。
8ページ目、新型コロナワクチンの週次の累積供給量となっております。9月5週時点で、2025/26シーズンの供給量の半数を超える約528万回分が出荷される見込みです。
9ページ目からは、各ワクチンの供給等に係る対応についてです。
10ページ目ですが、これまでの話をまとめますと、季節性インフルエンザワクチンの供給量については、2025/26シーズンのワクチン供給量は約5,293万回分となり、近年の平均使用量を超える供給量となる見込みです。また、新型コロナワクチンの供給量については、2025/26シーズンのワクチンの供給量は、全体で909万回分となり、これは昨年度の使用量を超える供給量となる見込みです。また、ワクチンのモダリティは昨年度と同様に、mRNA、組換えタンパク、mRNAのレプリコンが供給される予定であり、ワクチンの抗原組成は、1価のLP.8.1及びXEC対応ワクチンが供給される予定となっております。
季節性インフルエンザ及び新型コロナワクチンの対応についてですが、例年、ワクチンの効率的な使用について現場に働きかけを行っております。季節性インフルエンザワクチンについて、2025/26シーズンは近年の使用量を超える供給量が見込まれていることから、例年どおりワクチンを適切に使用すれば不足は生じない状況と考えられます。また、新型コロナワクチンについても、2025/26シーズンは、定期接種が開始された昨年度の使用量を超える供給量が見込まれていることから、季節性インフルエンザワクチンと同様にワクチンを適切に使用すれば不足は生じない状況と考えられます。これは、例年実施しているワクチンの効率的使用が前提となっていることから、今年度もワクチンの効率的な使用等について、医療現場へ働きかけを行うこととしてはどうかと考えております。
参考として、昨年度の取組を載せております。季節性インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの効率的な使用と安定供給を推進するため、同一バイアルから複数回の使用が可能とされている製品については、ワクチンの取扱い上の注意等に留意し、効率的な使用に努めること。また、接種シーズンの終盤までに在庫ワクチンを抱えていた場合、その後、返品を行うことは安定供給の妨げとなるため、こういったことを防ぐために、返品を前提とした注文及び在庫管理を行わず、必要に見合う量のワクチンを購入していただくことなどについて、医療機関に要請する等の取組を行っておりました。以降のページについては、参考資料となりますので御確認いただければと思います。資料1について、事務局からの説明は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございました。インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの過去の供給量と、今年予定している供給量を比較して提示していただいており、去年に比べて供給の立ち上がりが早そうだということではあるのですが、安定供給の点から、不足はしていないので安心してお使いくださいということ、一方で、一時的なワクチンの買い増しをされて、お米と同じような形になっては困るので、マスコミの方も含めて、例年どおりの対応をお願いしていきたいとの提案がありました。まず、委員の方々から、御質問などはありますか。では、坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元です。御説明どうもありがとうございました。ただいま御説明がありましたスライド7に関して、若干質問したいと思います。市町村として、前回のコロナワクチン、国のほうから8,300円のワクチン代の補助を付けていただきまして、まず、これは改めて非常に感謝申し上げたいと思います。しかし、残念ながら、高齢者の接種率が20%いくかいかないかのラインで止まってしまったということは非常に残念なことなのですが、この秋口からの接種に関して、現在、総量としては947万回分という形で、高齢者人口に比較すると26%という形で、供給量としては十分な量が供給されているということかと思いますが、御存じのように、このコロナワクチンは、市民の方の選択志向が非常に強いということが特徴であります。それぞれの各市町村も、各ワクチン毎の接種率がどれぐらいの比率だったかというデータはお持ちだと思うのです。
1つお聞きしたいのは、ヌバキソビッドとコスタイベに関しては180万と82万というように個別の供給量が明記されておりますが、mRNAのコミナティ、スパイクバックス、ダイチロナに関しては、合わせて647万回というように一くくりで供給量が示されておりますが、コミナティ、スパイクバックス、ダイチロナのそれぞれの供給量というものが、もし、お分かりになりましたら、今後、市町村としては医師会等の説明会など質問がでるかもしれませんので、お教えいただけたら非常に助かりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。私からは以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。まず質問などを頂ければと思います。では、笹本先生、どうぞ。
○笹本委員 日本医師会の笹本です。丁寧な資料をありがとうございました。2点ほどコメントがございます。1点目は、資料1の10ページ、一番下の所で、黒字の2つ目のポツですが、「返品を前提とした注文及び在庫管理を行わず、必要量に見合う量のワクチンを購入いただくこと」とありますが、ワクチン接種を目的にワクチンを注文するのであって、初めから返品を前提とした注文や在庫管理というのはありません。読点の前を削除して、「必要量に見合う量のワクチンを購入いただくこと」のみにすべきだと思いますので、修文をお願いいたします。
2点目です。ワクチンの安定供給に関しては、昨日、開催された「第1回厚生科学審議会医療用医薬品迅速・安定供給部会」において、安定供給体制の整備に向けた議論が行われているところです。そちらは、医政局の審議会で薬機法の一部改正の施行に向けた議論が行われております。こちらの「研究開発及び生産・流通部会」との間で十分な連携が取られているのでしょうか、医薬品の安定供給に関して、厚生労働省の他局で議論をされている内容と整合性を持たせ、十分に連携をしていただき、現場が混乱しないようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○伊藤部会長 ほかに、御意見や御質問はありますか。簡潔な資料なので、余りきちんと書かれていないのではないかと疑念を持たれている先生方もいらっしゃるのだと思いますが、インフルエンザのワクチンは、皆さん御存じのとおり、経鼻ワクチンが出てきて、皮下接種製剤の生産会社の数が減ったり、一人あたりも4価から3価になって、ワクチンそのものの使用量が減ったというところもあるのだろうと思っていますが、まず1つは、経鼻は小児しか対象にしていないわけで、経鼻と皮下接種のモダリティが違うものを一緒にして、何万回分という表記に変えていますが、皆さんに丁寧な情報提供をしないといけない。特に、医師会の先生方には情報提供しないといけないのではないかという気がしています。
あと、新型コロナウイルスは変異が早くて、こちらに書かれている、今、ニンバスという新しい株が流行していて、皆さんが気にされているところだと思います。新しい流行株との関係に関しては、分かる部分と分からない部分があるのは承知しているのですが、今のワクチンのLP.8.1やXECとの関係で、どの程度の有効性を期待しているのか、若しくは中和抗体で見たときに、残念ながら、どれぐらい落ちることが結果として分かっているのかぐらいは、情報提供できるのであれば教えていただきたいと思います。
ほかに何かありますか。では、まず事務局のほうから答えていただけますか。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。まず、坂元先生のほうから、特にmRNAについて、被接種者の選択志向が強いために、各社ごとに示せないかといった御要望を頂いたと認識しております。
まず、新型ワクチンの供給量については、モダリティごとにこのようにお示しさせていただいているところで、個別企業の供給量というものについては、公平な競争関係を阻害するおそれがあることから、今回示せていないところを御理解いただければと思います。また、2025/26シーズンというのは、先生も御指摘いただきましたとおり、昨年度の使用量を超える供給が見込まれておりますので、ワクチンを適切に使用していただければ不足は生じない状況であるというようには考えております。足下の感染状況やワクチンの需給状況等を注視しながら、企業と連携しながら安定供給に努めていきたいと思っております。
そして、経鼻インフルエンザワクチンについて、医療機関への情報提供のために、どの程度供給されているのかというところについては、まず、2025/26シーズンの供給量は、全体で約5,293万回分となっております。そのうち、経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは約170万本が供給される見込みと企業から伺っております。
笹本委員から御指摘いただいた10ページ目の「初めから返品を」という所は、御指摘のとおりだと思います。こちら、資料が抜き出した箇所が誤解を招くような記載となっておりましたので、この部会のほうで通知の発出等を御了解いただけるのであれば、きちんと情報提供をする際は混乱が生じないような表現とさせていただければと思っております。
そして、部会長のほうからニンバスとの関係で、情報提供をしっかりといったところで、こちら、新型コロナワクチンの各製造販売企業において、今シーズン使用されるワクチンのNB.1.8.1を含む現在流行している株に対する非臨床データを取得中と伺っております。これらの非臨床データについては、令和7年度の定期接種で用いるワクチンを検討するワクチン分科会のほうで、データをお示しさせていただき委員の先生方にも見ていただきながら議論される予定となっております。事務局からは以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。ほかに何かありますか。
○丹羽ワクチン開発専門官 事務局から1点、追加でよろしいでしょうか。笹本委員から頂きました安定供給に関する他部局との連携ですけれども、後ほど、資料2の説明の中でもお話させていただきますが、連携して、齟齬がないように、現場に混乱がないように調整した上で、それぞれの施策を打っていく必要があると考えております。御指摘ありがとうございます。
○伊藤部会長 やはり「返品を前提とした」というのを文章の中に残すのは、医療機関にとって不本意だと感じられるということもあるので、これは、事務局が何と言おうと、公開用の資料からは削除してください。これは部会としてお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ほかに何かありますか。あと、資料として面白い。参考資料なので聞くべきかどうかよく分からないのですが、今回、インフルエンザのワクチンに関しては3価になっていて、量が減っているということなのですが、14ページの所に、資料で気になったのは、実際、使われているのは有精卵1個当たり43μg作られていて3価ということなので、ワクチン1本当たりの有効成分量が15μgHAと書いてあるのですが、これは多分、信澤先生が詳しいのですが、1価当たり15μgなので、1本当たりにすると、多分、45μgではないかという気がするのですけれど、誤解を招くような資料にするのはいけないと思うので、確認したいのです。
たぶんワクチン1本作るのに有精卵が1個ということでいいのかなという気がしますが、そういう考え方でいいのかどうかというのを、有精卵1個で各43μgとか、53とか45とかできるのだったら、基本的には有精卵1個で一人分できるのかなという気がするので。多分この資料は今回はじめて出てきたという気がするので、確認させていただければと思います。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 このファイザーとモデルナ、第一三共に関して個々には非公開ということは了解しました。なぜ聞くかというと、やはりこの医師会の説明会の際に、この手の質問が非常に多いということと、確か、ファイザーとモデルナ以外は、複数人数バイアルの供給というように伺っておりますので、特に開業の先生方は、患者さんの予約など、いろいろな面で個々の製品への関心が高いところであります。やはりその辺の情報提供など、例えば、複数バイアルでも、かえって高齢者施設で集団にやる場合は便利という場合もありますので、その辺の情報は、非常に関心が高いということを1つ御考慮いただければという形で質問をさせていただきました。どうもありがとうございました。
○伊藤部会長 少なくとも、このワクチンの剤形について、発売予定の剤形は、シリンジなのか、バイアルなのか。それから、昨シーズンはある会社が16人1バイアルという、とんでもないバイアルを発売して、医療機関も大変混乱をしたこともあるので、今年はどういう予定なのかぐらいはお話いただけるといいと思います。
ただ、もう1つ、皆さんお気付きになられているかと思いますが、例年は、インフルエンザワクチンは2バイアル、2人分が1バイアルだったので、バイアルの表記をされているのですが、今年から何万回分という、要するに、接種回数での表記に変わっていますので、比較をされるときにお気をつけいただきたいと思います。それは老婆心ながらですが、以上です。どうぞ。
○眞中予防接種課課長補佐 各医師会での質問が多いということで、御対応をいただくのに、もう少し情報提供をといった御指摘、真摯に受け止めたいと思います。その上で、各企業の今年度に発売を予定している剤形や入れ目等については、まず、各社が公表している情報としては、ファイザー社とモデルナ社はプレフィルドシリンジでの供給を予定しており、第一三共、武田薬品工業、Meiji Seikaファルマ社は、今年度は2回分のバイアルの供給を予定しているというように把握しております。以上です。
○伊藤部会長 ほかに、よろしいですか。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ちょっと追加で。皆さんの議論と同じようなことを申し上げることになると思うのですが、坂元先生、医師会の先生からの危惧に加えまして、インフルエンザワクチンにしてもコロナワクチンにしても、いろいろな種類、いろいろなメーカーからのワクチンが供給されるようになると、合計では足りていても、もしかすると、それぞれのワクチンごとに足りていないことというのは生じ得ると思うのです。ですので、最終的に、今、供給量がどれぐらいだということと、使用量がどれぐらいだということを比較して、十分な供給ができているということになってはいますが、関連するメーカーが増えれば増えるほど、その中身については、ある程度把握して次年度の供給量を考える必要もあるのではないかと思いました。
それから、私も申し上げるべきだったのかもしれない。伊藤先生から御指摘のあったインフルエンザワクチンの1本当たり15μgHA抗原というのは、確かに、表記としてはワンドーズとするべきだと思います。
あと、コロナのワクチンの有効性というか、非臨床データに関しては、15ページに、ある程度、抗体反応について、4倍の低下が見られたとか16倍高い抗体価を誘導したという情報が載っているような気がするのですが、先ほどの伊藤先生の御指摘に対しては、この記述では不十分ということでしょうか。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。今、流行が始まっているニンバスに関しては、多分、今年の春の段階では流行していたかどうかは分かっていないというので、多分それに関してのデータはないのを承知で、持っていれば教えてと言っただけです。多分ないという回答になることは承知の上で、一応聞いてみました。
○信澤委員 分かりました。失礼いたしました。
○伊藤部会長 皆さんにしてみると、やはり、記号がいっぱい付いていても、今、流行しているものについてどうなのというのを知りたいというように思うので、それは、ありませんということを言ってもらえれば、それで、しょうがないというように思いますが、今後、秋口にかけてデータが出てきたときには、皆さんに提供していただいて、国民の方々が納得、安心していただける材料の提供をしないといけないのと思うので、言葉をオブラートに包んで言っています。何か事務局から回答はありますか。
○眞中予防接種課課長補佐 ありがとうございます。先ほど、今、はやっているNB.1.8.1については、各製販業者がデータを取得中というところを御報告させていただいております。実は5月の株選定小委の中で、ファイザー社のみがこのNB.1.8.1について非臨床の中和抗体のデータというのを示しており、5月には詳細には報告していなかったのですが、ファイザー社のデータによると、NB.1.8.1を含めて、中和抗体の上昇率というのは変わらないというデータがありますので、後でお手元の5月の資料を御確認いただければと思います。事務局からの補足は以上です。
あと、先ほど、信澤先生がおっしゃっていたとおり、14ページ目の15μgHA/本というのが、こちらも実は、構成は若干変わっていますが、5月からお示しさせていただいていた資料だったのですが、少し示し方が誤解を招くというところで、こちらも記載のほうは修正して整えさせていただきたいと思います。
○前田予防接種課長 すみません。1点だけ補足をさせていただくと、まず、安定供給に関しては、非常に、この会議でもよく話題になって、ほかのワクチンでも話題になっておりまして、全く同じモダリティ成分でも特定のメーカーのものを使いたいというお声に対して、どうお答えをするかなど、様々な問題点は指摘を頂いていると思います。当初、特例臨時接種の際には、どっちがどっちという2社の供給でしたので、そういう話題も多かったですが、そういった銘柄の不足の場合は、極力、同一のものであれば同一であるということの理解をどういう形で深めていくかというところも大事だと思っておりますし、一点だけ、欲を申し上げれば、我々、国内の安定的に生産いただける体制を尽力して作ってきたというところもありますので、これまで御使用の御経験のないところも、是非御検討いただける形で、また議論を進めていきたいと思っております。
もう一点、返品のお話、たくさん御指摘を頂いてありがとうございます。そもそも、なぜこういった記載になっているかというのは、過去、流行した際の各流通の動態を見ていると、そういった最終的な流れに対して、過度なものについて、どういう形で対応するかというところが大きなトピックであったというところは御記憶のとおりかと思っております。最近、各関係される方々の御理解も進んでおりますので、実際の需要と供給とかなり近い形で御協力を頂けているのかなとも思っておりますので、過去の状況と最近の状況を踏まえて、どういった言葉が適切かというところは、また改めて御相談、出す際には、少し御意見を頂きながら進めさせていただければと思っております。私からは以上です。
○伊藤部会長 では、荒戸先生、どうぞ。
○荒戸委員 すみません。先ほどの14ページのお話なのですが、おっしゃるとおり、ワクチン1本当たりの有効成分量としては45μg入ることになると思うのですが、この式自体は製造量の推定式であって、分子のほうは各製造株の効率になっているので、分母のほうを、ワクチン1本当たりの各有効成分量にすると、つじつまが合うのではないかなと思いましたので、コメントをさせていただきました。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。基本的に、ワクチンの必要量を購入して無駄にしないというのは、ある意味では、医師にしてみれば、ノブレス・オブリージュの世界であって、箸の上げ下げまでいちいち言われたくないというのはそのとおりだと思いますので、適切な文章にして出していただきたいということだと理解しています。いずれにしても、安定供給ができるように、皆さん協力をしていただいて、ワクチンを必要な方に届けられるようにしていただきたいということについては、マスメディアの方も含めて協力をお願いしたいことについては、今年も、必要な通知なり、お願いをさせていただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。皆さん首肯していただいておりますので、それにてまとめさせていただきます。
それでは、次の議題に入ります。「ワクチンの安定供給に関する指針の作成について」ということで、多分、先ほどの医政局からの話も含めて御説明いただけるのだろうと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○丹羽ワクチン開発専門官 それでは、資料2の説明をさせていただきます。お手元に資料2を御準備ください。「ワクチンの安定供給に関する指針の作成について」になります。
2ページ目です。本日の内容として大きく3つに分けています。
3ページ目です。予防接種基本計画における安定供給に関する記載を紹介しています。図の上半分ですが、第36回研究開発及び生産・流通部会の9月の時点でお示ししている予防接種基本計画の記載に関する考え方を再掲しています。一番下の部分で●にございますが、安定供給に関する指針については、需給逼迫時の通知・事務連絡等による運用のフィードバックを行いやすいよう、通知等として周知することとし、具体的な内容は別途検討するということで御確認を頂きました。その後、10月の基本方針部会でも予防接種基本計画改定のポイントとして、この安定供給指針の作成を行うことを確認いただいています。これらの審議を踏まえ、令和7年3月に改定された基本計画が告示されています。
4ページ目です。こちらは基本計画の概要になります。赤枠で囲っている、第5、予防接種の研究開発の推進及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項という項目に、供給に関する内容が盛り込まれています。
5ページ目です。第5の項目の一部を抜粋しています。下線部に安定供給に関する取組を一部記載しています。一番下、黒と赤の太字で記載していますが、国が平時から上記の取組の方針を整理し、関係者に周知し需給状況の明確化を図るということで、この指針の作成についても触れているところです。
6ページ目です。(2)の「指針の作成に当たって留意すべき事項」を御説明します。こちらは先ほど笹本委員からも御指摘いただきましたが、他の法令や部局における検討を考慮する必要があるのではないかということで作成しています。
7ページ目です。こちらは薬機法や医療法の改正された法律の概要になります。真ん中の改正の概要の欄の2つ目、赤枠で囲っている所に医療用医薬品等の安定供給体制の強化等の内容が盛り込まれたところです。
8ページ目です。今、御説明した改正法で盛り込まれた安定供給体制の整備に関する概要となります。概要として上に記載がございますけれども、①として、医療用医薬品の製造販売業者の安定供給体制の整備を図るとともに、②として、厚生労働大臣が供給不安を迅速に把握し、安定供給のために必要な要請・指示等を行える規定を整備するということで内容が規定されたところです。下の図にありますように平時から有事にどういったことに取り組むか規定されています。一番左の青い所ですが、製造販売業者の安定供給体制の整備について、責任者の設置や「手順書」を踏まえた体制整備などが盛り込まれています。緑の所が供給不安の迅速な把握/報告徴収/協力要請に関する内容です。青と緑の部分が医療用医薬品全般にかけられている内容になります。右下の赤い部分は安定確保医薬品に関する内容です。赤い所の左側ですが、安定確保医薬品の指定がされます。こちらは疾患の重篤性や代替薬の有無等から、特に安定確保が求められる医薬品を指定するものです。こちらに指定されますと、赤の右側にございますが、大臣による安定確保措置の指示ができる対象となります。
9ページ目です。今、最後に御説明した安定確保医薬品に関する検討状況になります。こちらは昨日、8月27日に第1回医療用医薬品迅速・安定供給部会で提示された資料です。安定確保医薬品について、今回、見直しが行われていまして、一番下の○にございますとおり、前回の選定時には選定の対象外とされていたワクチンが、今回の見直しにおいては候補成分の対象とされたことが、昨日、確認されています。このほか、1ページ前で御紹介した改正法の各規定について施行に向けて検討が進んでいる状況です。
10ページ目です。こういったものも踏まえ、「ワクチンの安定供給に関する指針の構成(案)」についてお示ししています。
11ページ目です。こちらは指針の構成(案)の考え方について記載しています。指針の構成としては、基本計画の記載及び医療用医薬品の供給不足に係る報告等を踏まえ、以下の2つの観点で場合を分けて取組の方針を示してはどうかということです。2つの観点の1つ目ですが、ワクチンの供給状況です。平時において行う対応/ワクチンの需給逼迫が発生するおそれが判明したときに行う対応/ワクチンの需給逼迫した時点において行う対応、このように分けることを記載しています。観点の2つ目ですが、取組を行う者として、ワクチンの製造販売業者/ワクチンの卸売販売業者/厚生労働省(予防接種課)/その他、このように分けてはどうかということをお示ししています。
12ページ目です。今、御説明した考え方や基本計画の記載等を踏まえ、想定される指針の構成(案)は以下のとおりとしてお示ししています。枠囲みの部分ですが、第1に基本的事項を記載し、第2、第3、第4の中で先ほどの場合分けしたワクチンの供給状況、取組を行う者ごとに取組を記載してはどうかと考えています。これらの指針の作成に当たっては、他の法令や検討会における議論も踏まえ、盛り込むべき項目や内容を精査し、作成に当たり留意することをお示ししています。
13ページ目です。こちらは今後の進め方について(案)です。今日、お示しした構成(案)をもとに事務局において指針素案を作成し、本部会において素案を元に項目や取組について議論を行っていただく。その部会における議論や関係団体の御意見、他法令に基づく取組の進捗を踏まえて、事務局において指針案に反映し、再度、部会において議論をしていただき、取りまとめていってはどうかという進め方をお示ししています。
以降のスライドは参考資料となります。資料の説明は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。今日、議論しなければいけないのは10ページから12ページにかけてということで、今後の指針を作っていく構成、目次をどうするかという話だと思いますが、まずは御質問、御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
○笹本委員 日本医師会の笹本です。丁寧な説明をありがとうございます。12ページを拝見しますと指針の基本的な構成(案)が出てきますけれども、ワクチンを含めて薬剤というのは製造会社、卸、販売、それを受けた医療機関の間の流通関係で使用していくものです。薬剤を使う医療機関もこれらの関係者と協議をしないで対応を進めていくことは無理ですので、医療機関の対応も書き込んでいただいたほうが、よろしいのではないかと考えています。
○伊藤部会長 ありがとうございます。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。ワクチンの供給に関してですが、大きく考えると国内で製造できるものと国内で製造できないもの、これは原材料も含めてですが、そういうものがあると思います。今回、コロナのときに皆さんも記憶に新しいと思いますが、日本に最初に入ってきたあるワクチンはEU内で製造されて、一時、EU外に持ち出すなみたいなことをEUが言い出した経緯がありました。今の国際情勢をいろいろ考えると全部国内で製造しろと言っているわけではないのですが、国内で製造されている比率を一定のタイミングで明らかにしていくことが必要かと思います。それで、どれぐらいの比率で国内で製造できるのかを国民がしっかり把握していくことが、例えば今の国際情勢を考えると重要なことなので、その辺の情報をしっかり公開していくことが最も大事なことだと私は思っています。以上です。
○伊藤部会長 福島先生、どうぞ。
○福島委員 御説明、ありがとうございました。先ほど伊藤部会長が、12ページの目次についてどうでしょうかという御質問をされて、今の基本的な構成について先ほど笹本委員が医療機関のことを言われましたが、それ以外の大枠はこれでいいのではないかと思いました。基本的事項が先に述べられ、平時において行う対応、ワクチンの需給逼迫が発生するおそれが判明したときに行う対応、ワクチンの需給逼迫した時点において行う対応ということで、ちょうど、新型インフルエンザ等対策行動計画が国で策定され、都道府県で策定され、今、市町村が策定するフェーズに入っていますが、その目次の準備期、初動期、対応期といった所で対応しているのかなと思います。もちろん、医療機関という項目は入れる必要があると思いますが、新型インフルエンザ等対策行動計画の中にもワクチンという項目が盛り込まれていますし、対応具合もいい感じではないかと思いました。
その上で、私から1点、お尋ねしたいのは、こちらの指針は定期の予防接種の供給だけを念頭に置いているのでしょうか。あるいは、任意のワクチンも含める予定でしょうか。質問は以上です。
○伊藤部会長 ほかにございますか。まず、事務局には事前に申し上げたのですが、ワクチンそのものは医療機関で使われていて、医療機関のニーズとか医療機関がどう考えるかを無視して、こんな基本的構成ができるはずがないと思いますし、それをある程度情報を集めてコントロールしてくれるのが、日本医師会だったり都道府県の医師会だったりするのだろうと思いますので、その重要性に関しては文字で入れないといけないのではないかという気が個人的にはしています。ここで引っ掛かるのは、市町村と地方自治体をどうするのか。あまりステークホルダーをたくさん並べると余計分からなくなるだろうと思いますが。
先ほど、福島先生もおっしゃいましたが、ワクチンは定期接種だけでなく、実際、定期接種に近い形で行われている、おたふくかぜのワクチンみたいなものもあるわけで、その安定供給は重要だと思っています。
もう1つは、例えば古いワクチンの供給がうまくいかなくなるのは下水道管と一緒で、施設が老朽化したりしますので、安定製造については支援を考えていかないといけないのではないか。次の所にも出てきますが、安定供給と言いながら、今、使われているものがちゃんと作られているかどうかについては危機感を大変持っています。企業が再投資できるだけのゆとりを持たせてあげないといけないと思うので、そういったことも議論の視点の1つとして入れてあげないと、道路が凹んだだけでなく、落ちて亡くなる人がでることは避けないといけないのではないかという危機感があります。
一応、気になっているのはその点なので、質問としては、今の安定供給の議論の中に多く使われている比較的古いワクチンについても、きちんと入っているのかどうなのか。定期接種だけなのかどうかについては明示していただいたほうがいいという気がしました。ほかに何か御質問とかありますでしょうか。齋藤先生、どうぞ。
○齋藤委員 国衛研の齋藤です。今の部会長のお話とも関連するかもしれませんが、昨日の安定供給部会において、私は把握していませんけれども、指定されるとある程度製造の補助などがあると思います。その点も考慮してこの指針を作るのかどうか。つまり、安定確保医薬品として指定されたものと指定されないものに分けて、ここに書くのか。それとも全く別に指針で作るのか。その点は確認したいと思いました。よろしくお願いします。
○伊藤部会長 ほかになければ、事務局から御回答いただけますか。
○丹羽ワクチン開発専門官 網羅的になっているか分からないですが、抜けていましたら御指摘をお願いします。まず、医療機関の位置付けについて複数の委員から御指摘いただきました。今回の構成案ではその他という所で、その他の関係機関も入れることでお示ししていますが、需要側である医療機関についても対象とする方向で今後の議論の中で検討してまいりたいと考えています。それから、国内で製造できるものと海外のものということで、指針自体の対象としては、そういった製造の場所に関わらず、国内でワクチンを供給している製造販売業者を想定しているところです。
もう1つ頂いた点ですが、どれぐらいの比率で、どういう原材料で製造されているかデータも必要だということですけれども、おっしゃるとおり前提は大事かと思いますので、把握した上で、どのようなものが最終的に外に公表できるのかも含めて検討は考えたいと存じます。
それから、定期接種の対象であるか、任意のワクチンも対象になるかということですが、特に定期接種に限定するということではなく、ワクチンに関する供給不安の事例なども踏まえて検討していく必要があると考えています。現時点では特に定期接種に限定せずに、作成の過程において議論をしていくことを想定しています。
安定確保医薬品に関するところを切り分けるかですが、指針の中で書き分けるかどうかも今後の検討になるかと思います。それぞれ各施策の検討状況によって反映できる内容と、引用しながら書き分ける必要がある内容などを検討してまいりたいと考えています。
○伊藤部会長 ありがとうございます。多分、何人かの委員から御意見が出ているのは、昨日、安定確保医薬品の数まで出ている状態の中で、ワクチンは何が入っているのかを提示していただかないと、私たちも安心できないということが論点だったと思います。それに関して、今、把握をされているのでしょうか、把握をされていないのでしょうか。
○丹羽ワクチン開発専門官 御指摘ありがとうございます。本日、参考資料2に昨日の安定供給部会の資料を添付しています。こちら、今、パブリックコメントの前の状態の昨日の時点での候補医薬品になっています。こちらに一覧がございまして、新規成分(ワクチン・血液製剤)と書かれている項目にワクチンがございます。こちら、定期接種のもの、任意接種のものを含めて、この安定確保医薬品の指定のルールに沿って挙がってきたワクチンが含まれていると認識しています。
○眞中予防接種課課長補佐 まず、坂元先生から御指摘いただいたサプライチェーンについですが、先ほど安定確保医薬品について御紹介させていただきました。供給確保医薬品や重要供給確保医薬品になりますと、経済安保法の48条に基づいてサプライチェーンの調査といったものを行い、サプライチェーン上のリスクがある場合、供給不安の未然防止措置の要請や指示などを行うことになっていますので、今後、パブコメを踏まえて、今、参考資料2にお示ししたワクチンが、そういった分類に当てはまった際にはこういった調査等が進んでいくものと認識しています。補足は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。この場で意見を言わないと、厚労省というか健康局として意見を言うのは、多分、この場しかないはずなので主張しておかないといけないと思っています。今回は指針の概略と目次の部分だけだと認識しますので、今、頂いた意見に基づいて適切に中身を作っていただいて、それができた段階で、また議論させていただくことだろうと思っています。
坂元先生から頂いた安定供給というか、よその国では安全保障上、自国で生産を義務付けている国もあると認識していますので、それと同じところまで日本がいくのかどうかの分岐点に、今、なっているのだろうと思います。特に医薬品に関しては原薬供給の問題、特に感染症の治療薬の原薬の問題がフィーチャーされていますが、原薬は実はそれだけではないというのも分かっているところなので、これだけ世界情勢が不安定になる中で、今後、我が国の人の健康を守るための医薬品の供給をどうするのか。重大な局面にきているだろうと思っていますので、ワクチンも含めて十分考えていただきたいと思います。福島先生、どうぞ。
○福島委員 ありがとうございます。この部会の場でしか発言する機会はないと思いますので、私も議事録に残すという意味で発言させていただきたいと思います。事務局から参考資料2の御説明を頂きましてありがとうございました。今、初めて見たのですが、R7年度カテゴリ分類案の所でA、B、Cと書かれていて、これがリストに付されている薬剤は全て安定確保医薬品対象となるのですが、その関与と言いますか、優先度がA、B、Cと付けられていると理解しました。今の時点での理解です。
それでワクチンを個別に検索しますと、18ページに沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンが列挙されていて、これはいわゆるDPTワクチンかと思います。本日の事務局資料の本体資料、今、議論している資料ですが、その15ページ目にワクチンの供給に関する主な事例として歴史的なところを書いていただいていて、直近の2025(令和7)年には、①として百日せき患者数の増大によるDPTワクチン供給への影響とあります。もちろん、この図に載せていただいている他のワクチンには、各ワクチンメーカーの製造過程で品質保証に関する懸念が一部生じたため、自主的に供給を停止したものもあるのですが、今、申し上げた令和7年の百日せき患者数の増大によるDPTワクチン供給への影響というのは、今は定期接種としては使われなくなったDPTワクチンを、医療従事者等でのニーズを勘案して、あるワクチンメーカーが細々とラインを繋いで毎年供給していたところ、予想を超えて百日せきが大流行し、0歳児、特に0か月、1か月といったワクチンそのもので守ってあげられない赤ちゃんを守るために、例えば妊婦さんへのDPT接種であるとか、就学前の幼児、学童、医療関係者等へのDPT追加接種を行おうとする状況になったため、ニーズの負荷が急激に高まって供給できなくなり、限定出荷の措置が講じられたということがございます。
これに対してメーカーは、各所にお詫びに回られたわけですけれども、メーカーの責任では全くないと思います。一方、DPTは定期で使われているワクチンではない。今、百日せき含有ワクチンは5混が主流になっていますから、定期で使っているワクチンではないので、恐らく国、厚生労働省もあまり取り合っていただけないだろうということでした。私は予防接種推進専門協議会の委員でもありますけれども、そこでもかなり長い時間、本件について意見交換を行ったりしました。こういうやり場のない問題意識を救ってあげられるような指針になればと思いますので、この場で発言させていただきました。以上です。
○伊藤部会長 貴重な情報提供、ありがとうございました。どちらかというと定期接種というか、安定供給だけの話ではなさそうな気がしますので、それに関しては基本方針部会や分科会で同じように提言していただき、今後、どういうようにするのかという話になるのではないかと思います。比較的必要性が出てきそうなものについては、例えば増産できるとか、ワクチンは増産するのはなかなか大変だと思いますが、バッファをどうするのかというのは考えていかなければいけないと思います。皆さん、これで御意見はよろしいでしょうか。今、出てきた御意見に基づいて、中身についてはもう少し丁寧に作っていただいて提示いただくということで、御理解いただけますでしょうか。ありがとうございます。それでは、そういう形にさせていただきます。
次の議題で、資料3について御説明いただきます。「ワクチンの研究開発支援について(報告)」ですが、資料3について御報告いただけますか。
○丹羽ワクチン開発専門官 資料3を説明いたします。お手元に資料3を御用意ください。「ワクチンの研究開発支援について(報告)」となります。2ページに概要として示しております。1つ目は、開発優先度の高いワクチンに関する取組です。前回、第37回の部会において御確認いただいた結果を踏まえ、ワクチンの4団体に対して開発要請の通知を発出したところです。この通知を踏まえた開発状況の進捗については、こちらの部会において年1回程度報告を予定しております。
2つ目は、ワクチンの生産体制等研究整備事業に関する取組です。こちらは、引き続き支援を継続しております。その結果として、これまでに3社のワクチンが昨シーズンの定期接種に用いるワクチンに位置付けられ、それ以外の採択事業者においても市場供給を目指して治験などを実施中です。
3つ目は、ワクチン開発・生産体制強化戦略(ワクチン戦略)に関する取組として、その他の内容を報告しております。こちらは、感染症の有事に備えて、今後脅威となり得る感染症にも対応できるように、基礎研究から実用化に至るまでの研究開発や製造体制整備等、政府一体となって必要な体制を再構築して、長期継続的に支援を実施しているところです。
スライド3です。1つ目は、開発優先度の高いワクチンに関する取組です。スライドの3ページには、基本計画で関連する内容を記載しております。一の基本的考え方、二の開発優先度の高いワクチンの項目で記載をしており、下線部に定期の予防接種の対象とすることを目指し、現に我が国に存在し、疾病負荷が高い感染症を対象とした公衆衛生上必要性の高いワクチンについて、研究開発の推進を図ることが基本計画上盛り込まれております。4ページは、前回の部会で御確認いただいた4分類の対象ワクチンについて示しております。
続いて6ページです。2番のワクチン生産体制等緊急整備事業に関する取組の概要となります。表の左側に採択企業を示しており、それぞれについて主な成果・進捗を示しております。先ほど説明しましたとおり、薬事承認という欄に承認の状況を記載しております。それから、主な開発状況の進捗・その他という欄に、現在継続して進められている第Ⅲ相試験の状況などを報告しております。
7ページ以降が、3番目のワクチン戦略に関する取組についてです。7ページが、全体の取組の概要となっております。
8~13ページまでが、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業、SCARDAで行われておりますこちらの事業についての進捗になります。赤い枠で各ページに記載がある課題が、前回の報告以降追加されている課題となります。また、8ページの緑の枠にある課題は、前回から変更はありません。後ほど説明します「ワクチン大規模臨床試験等支援事業」で採択されている課題となります。今説明した事業が14ページです。ワクチン大規模臨床試験等支援事業についても取組を継続しており、下の表にある2つの事業実施団体において、3つの課題が進められているところです。
15ページは、ワクチン戦略の見直しについてです。6月の感染症協議会の資料を示しております。ワクチン戦略の現状という欄において、主な成果や主な課題が整理され、また下の欄で感染症全体の現状についても、主な課題が挙げられたところです。矢印の下の部分ですが、第3期健康・医療戦略と整合性をとりつつ、ワクチン戦略の見直し・強化を行うとともに、より具体的な施策等を盛り込むべく、ワクチン・治療薬・診断薬も含む感染症に対する危機対応医薬品等に関する対応を検討する必要性が説明されております。こちらについて議論が進められており、16ページが感染症協議会についてです。緑の枠ですが、ワクチン戦略の見直し・強化、治療薬・診断薬への支援拡大という内容について検討を行っているところです。こちらについて、2026年の年明けにとりまとめる提言案に向けて、各省庁でも議論が進められているところです。
以降のスライドは参考資料となりますので、適宜御参照ください。資料3の説明は以上です。
○伊藤部会長 基本的に報告案件です。まず、御質問を受けたいと思います。主には、SCARDAがどういった形で開発をしているのかと、ほかの団体の動きについての御報告を頂いたという整理だと思います。この部会の関与がある開発優先度の高いワクチンについての選定結果が参照されているのだと思いますが、御質問などはありますか。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 質問というか、この開発優先度の高いワクチンに関しては、ずっとこのまま維持していくというわけではなくて、必要に応じて優先度の見直しは考慮されると以前伺ったように覚えているのですが、例えば、今は地球の温暖化で日本で余り流行していなかったようなウイルスがだんだん流行するようになってくる状況があります。例えば、SFTSのようなウイルスに対するワクチンも、今後必要になってくる可能性もあると思います。もちろん、そういう点も考慮されているとは思いますが、そのときそのときの今の日本の状況に応じたワクチン開発優先度の順位を考慮していただければと思います。以上です。
○伊藤部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。ではSFTSに関しては、今、事務局でどのように考えているのかがあれば、教えていただければと思います。
○丹羽ワクチン開発専門官 御質問ありがとうございます。まず1点目の開発優先度の高いワクチンの選定自体は、5年に1度を目処に見直しを行うことを想定しておりましたが、それ以外でも必要に応じて見直しが必要になれば検討することになるかと考えております。
それから、SFTSについてですが、参考資料の31ページにMCMに関する厚生労働省での小委員会の進め方の資料を付けております。こちらの対象にもなってまいりますので、開発優先度の高いワクチンとしての指定が必要であるのか、MCMの研究開発の対象として議論をするべきなのかが、今後検討されていくと認識しております。
○信澤委員 ありがとうございます。
○伊藤部会長 以前は、ここで議論をするのが全てのワクチンであったのが、現在はどちらかというと重点感染症に関しては、SCARDAをはじめ、よそに持っていかれてしまっているので、なかなか議論しにくいのだろうとは思います。ただ、それとは別にして、私どもがメインでないにしても、積極的に情報発信ができる形は残しておかないといけないと思います。貴重な御意見を頂きました。ほかに御質問はありますか。福島先生、どうぞ。
○福島委員 先ほど信澤先生が言われた気候変動による影響ですが、私も委員なのですが、MCMの小委員会でもそのような意見が出ました。ですので、そのような気候変動による蓋然性を考慮して、これから検討していくことになると思います。全ての感染症に対してワクチンが開発されているわけではありませんので、ワクチンが開発されているVaccine Preventable Diseasesについてということにはなるでしょうが、情報提供させていただきます。また事務局のほうでも、所管課は違いますが、適宜連携されるのではないかと思います。
○伊藤部会長 貴重な情報提供を頂き、ありがとうございます。ほかに何かありますか。
○前田予防接種課長 予防接種課長です。今回の研究開発支援で特に報告させていただいた所は、先ほど伊藤部会長から、昔はワクチンの研究はここを軸にというお話を頂きました。昔は、最終的に定期接種にどういう形で位置付けるか、これはゴールかと。国内の疾病負荷がどれぐらいあって、流行していて、それに対する適切なワクチンの開発が進んでいれば、定期接種をゴールとして議論ができる環境から、ワクチンに対する期待が広がっておりまして、感染症の危機管理で、国内外で急に大きく流行した場合にワクチンをどう開発するかという話が、今回のコロナで大きく膨らんできたところがありますので、最終的にパンデミックのときを除けば、普段の定期接種にはなじまないものにはなるかとは思うのです。一方で、そういう所にも備えるという両軸で議論するようになってきたところがあります。
この委員会でお願いしているのは、最終的に定期接種になり得る、かなり距離の近いものについて、どういう形で開発を進めていくかという前提で、国内外でMCMの対策の研究も含めて、どのような研究開発が進んでいるかを前提に御議論いただきたいという趣旨で、このような資料構成にさせていただいたところです。また、疾病負荷が今後増加が見込まれるものについて、あらかじめ研究開発をしておいて、その中でこういったワクチンがあるという中で、定期接種の議論をしていくと。繰り返しですが、この場合は今どれぐらい流行っていて、どれぐらい重症かとか、亡くなっている方がおられるといった議論をしながら、別の場で議論をすることになります。そういう形で、引き続き研究、定期接種化、最終的には企業もそのゴールを定期接種ということで、この場では議論させていただければと思っております。私からは以上です。
○伊藤部会長 こちらに関しても、情報提供が重要だと思っております。SCARDAというか、厚生労働省外の組織で行われていることを、厚生労働省としても十分に把握をしているということを示すためにも、以前にこの場で報告をしてくださいとお願いをして、その結果としてこうした報告がされていると認識しています。私どもにも情報提供をするだけではなく、この部会を通じて国民の方々に分かりやすいデータの提供をすることであると思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上で、予定していた議題は終了となります。ほかに、事務局から何かありますか。
○眞中予防接種課課長補佐 本日も様々な御意見を頂き、どうもありがとうございました。次回の開催については、追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○伊藤部会長 それでは以上をもちまして、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を終了いたします。本日は、どうもありがとうございました。