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- 2025年8月6日 中央社会保険医療協議会 総会 第614回議事録
2025年8月6日 中央社会保険医療協議会 総会 第614回議事録
日時
令和7年8月6日(水)9:00~
場所
全国都市会館大ホール 2階
出席者
- 構成員等
-
- 小塩隆士会長
- 永瀬伸子委員
- 本田文子委員
- 城山英明委員
- 鳥潟美夏子委員
- 松本真人委員
- 佐保昌一委員
- 髙町晃司委員
- 奥田好秀委員
- 鈴木順三委員
- 伊藤徳宇委員
- 茂松茂人委員
- 長島公之委員
- 江澤和彦委員
- 池端幸彦委員
- 太田圭洋委員
- 大杉和司委員
- 森昌平委員
- 木澤晃代専門委員
- 上田克彦専門委員
- 小松和子専門委員
- 事務局
-
- 間保険局長
- 林医療課長
- 梅木医療技術評価推進室長
- 吉田保険医療企画調査室長
- 和田歯科医療管理官
- 清原薬剤管理官 他
議題
- 入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について
- 医薬品の新規薬価収載について
- 医療機器及び臨床検査の保険適用について
- DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
- 保険医が投与することができる注射薬について
- 令和8年度診療報酬改定におけるDPC制度への参加又はDPC制度からの退出に係る届出の受付期間について
- 費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて
- 高額医薬品(認知症薬)に対する対応について
議事
(前半)
○小塩会長
おはようございます。
ただいまより第614回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、飯塚委員、笠木委員、岡本専門委員が御欠席です。
本日の中医協総会につきましては、まず、総会におきまして「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議論していただき、その議論が終了した後に一度総会を中断いたしまして、費用対効果評価専門部会、保険医療材料専門部会、薬価専門部会をそれぞれ開催いたします。その後、改めて総会を再開し、そのほかの議題の審議を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、同分科会の尾形分科会長にお越しいただいております。尾形分科会長より御報告をお願いいたします。
○尾形分科会長
おはようございます。尾形でございます。
本日は「中医協 総-1」「総-1」の参考資料1~5のうち、「総-1」を用いまして、入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告につきまして御説明いたします。
まず、1ページ目「Ⅰ.概要」についてです。
分科会では、令和6年度改定の附帯意見等に関する事項等について、次期改定の検討に資するよう「令和6年度入院・外来医療等における実態調査」を実施いたしました。この調査結果の速報は令和7年6月18日の総会に報告させていただきましたが、分科会ではこの調査結果等も踏まえ、入院・外来医療等の技術的な課題に関する様々な分析・評価等を行いましたので、本日、検討結果を御報告させていただきます。
なお、この検討結果に係る本日の総会での御意見及び「令和7年度入院・外来医療等における実態調査」の結果等を踏まえ、分科会としての最終的な取りまとめに向けて今後さらなる検討を行うことを予定しておりますことを併せて御報告させていただきます。
1ページ目に示してあります目次にございますとおり、分科会の検討結果については15項目にわたって整理しておりますが、資料は大部となっておりますので、以下、簡潔に御説明いたします。各項目の見出し部分に関連する参考資料のページ数が示されておりますので、併せて御参照ください。
それでは、2ページ目をお願いいたします。「1.急性期入院医療について」でございます。令和6年度改定による一般病棟入院基本料、急性期充実体制加算等の算定状況の変化や、新たな地域医療構想において創設されることとなっております医療機関機能報告の考え方等も踏まえつつ、急性期入院医療を適切に評価する指標につきまして、「1-1.一般的な急性期機能について」「1-2.拠点的な急性期機能について」「1-3.その他」の3つに分けて、医療機関の救急搬送件数や全身麻酔手術件数のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、急性期の機能としては特に救急医療を評価すべき、あるいは人口や医療機関の規模を考えた際に患者数だけでなく地域におけるシェアも考えていくべき、さらには人口20万人未満の二次医療圏を支える医療機関を評価する仕組みが重要といった意見がございました。
今後につきましては、一般的な急性期機能と拠点的な急性期機能のそれぞれについて、救急搬送件数、手術件数、総合性の観点から検討すること、その際、救急搬送件数や手術件数の絶対数だけではなく、地域で果たす役割を評価する観点から、地域シェア率等の指標についてさらに分析を進めることといたしております。
5ページ目をお開きください。「2.高度急性期入院医療について」でございます。令和6年度改定による特定集中治療室管理料等の算定状況の変化等を踏まえ、「2-1.特定集中治療室等を有する病院について」「2-2.特定集中治療室管理料の医師配置要件について」「2-3.特定集中治療室遠隔支援加算について」の3つに分けて、これらの点数を算定する医療機関の救急搬送件数や全身麻酔手術件数のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、救急部門の設置や一定の救急患者受入れ件数、一定の全身麻酔手術の実施件数などの実績がある病院において治療室が必要となるのではないか、あるいは特定集中治療室の現行の「治療室内に医師が常時勤務」という配置要件は厳しいものであり、緩和する方向での検討が必要ではないかといった意見がございました。
今後につきましては、病院の特性ごとに重症度等がどのように異なっているのか、あるいは算定する治療室の区分別の専任の医師の違い等についてさらに分析を進めることといたしております。
7ページをお願いいたします。「3.DPC/PDPSについて」でございます。令和6年度改定によるDPC対象病院数の変化等を踏まえ、「3-1.機能評価係数Ⅱ(複雑性係数)について」「3-2.再入院・再転棟ルールについて」「3-3.点数設定方式について」「3-4.特別調査の結果」の4つに分けて、DPCデータやDPC対象病院等への特別調査の結果を基に分科会及びDPC/PDPS作業グループにおいて議論を行いました。
今後も引き続き、機能評価係数Ⅱの適切な評価方法等について検討することといたしております。
10ページ目をお願いいたします。「4.包括的な機能を担う入院医療について」でございます。令和6年度改定により新設された地域包括医療病棟の算定状況や、新たな地域医療構想の取りまとめにおける医療機関機能報告の考え方等も踏まえつつ、こうした機能を担う病棟を適切に評価する指標について、「4-1.地域包括医療病棟入院料について」「4-2.地域包括ケア病棟入院料について」「4-3.包括的な入院医療を担う医療機関の機能について」の3つに分けて、これらの病棟に入院する患者像のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、多疾患を有する救急患者は搬送時点で急性期病棟と地域包括医療病棟のいずれが適しているか判断が難しい、高齢者の疾患を幅広くみるという観点から、内科疾患と外科疾患の包括範囲内の医療資源投入量について評価のバランスが取れるよう診療内容をさらに検討すべき、緊急入院の受入れ時には様々な手間がかかるので、看護師等の療養の世話の手間について評価方法を検討してはどうか、さらに地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との患者像の類似も踏まえ、緩やかに統一していくような評価方法も検討できるのではないか等の意見がございました。
今後につきましては、包括期の入院医療を担う医療機関の役割として、救急搬送の受入れと在宅・施設等の後方支援という観点を評価する指標、ADLや平均在院日数について、入院している患者像を踏まえたより適切な基準等についてさらに分析を進めることといたしております。
16ページ目をお願いいたします。「5.回復期リハビリテーション病棟入院料について」でございます。この入院料の算定状況や新たな地域医療構想に関する取りまとめにおいてこれまでの回復機能を包括期機能として位置づけることとされたこと等を踏まえ、「5-1.実績指数について」「5-2.重症患者割合について」「5-3.廃用症候群リハビリテーションについて」の3つに分けて、この病棟に入院する患者像のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、ほぼ全ての患者が実績指数の計算除外基準に該当している施設もあり、現行の基準で病棟の機能を正しく評価されているのか疑問であるといった御意見がございました。
今後も、こうした観点も踏まえ、さらに検討を進めることといたしております。
18ページ目をお願いいたします。「6.療養病棟入院基本料について」でございます。令和6年度改定を検証する観点から「6-1.医療区分や疾患・状態、処置等の該当状況」「6-2.経腸栄養管理加算・摂食嚥下機能回復について」について検討しております。
今後も、前回改定時の医療区分の見直し後のそれぞれの入院料における満たす割合等について詳細に検討することといたしております。
20ページ目をお願いいたします。「7.重症度、医療・看護必要度について」でございます。「7-1.特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度について」「7-2.一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について」の2つに分けて、特にB項目、内科系症例の適切な評価について議論を行いました。
引き続き、シミュレーション等を行いつつ、検討を行うことといたしております。
23ページ目をお願いいたします。「8.救急医療について」でございますが、「8-1.救急搬送に関する評価について」「8-2.救急外来応需体制に関する評価について」の2つに分けて、特に令和6年度改定で新設された下り搬送を評価する救急連携搬送料や救急外来の休日夜間の応需体制の現況等について議論を行いました。
引き続き、下り搬送の受入れ側医療機関の評価等の観点も含め、分析を行うことといたしております。
25ページ目をお願いいたします。「9.入退院支援について」でございます。入退院支援加算の病棟別の算定状況の評価や、令和6年入院外来調査の結果について議論を行いました。病院・病棟の機能ごとに入退院支援部門に記載される機能や、医療介護連携のさらなる推進の観点から、令和7年度入院外来調査の結果を基にさらに検討を進めることといたしております。
26ページ目をお願いいたします。「10.働き方・タスクシフト/シェアについて」でございます。「10-1.医師について」「10-2.看護職員について」の2つに分けて、地域医療体制確保加算、医師事務作業補助体制加算、看護補助体制充実加算の現況等について議論を行いました。
今後も、医師事務作業補助者の定着に向けた取組、病棟の看護業務のタスクシフト/シェアの現状、ICT、AI、IoT等の活用に関して令和7年度入院外来調査の結果等についてさらなる検討を進めることといたしております。
29ページ目をお願いいたします。「11.病棟における多職種でのケアについて」でございます。「11-1.リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算について」「11-2.病棟におけるリハビリテーションについて」「11-3.病棟における栄養管理について」「11-4.病棟における薬剤管理について」の4つに分けて、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、病棟配置の療法士・管理栄養士の役割、栄養サポートチーム加算、病棟薬剤業務実施加算の現況等について議論を行っており、今後も、令和7年度入院外来調査結果等を踏まえ、さらなる検討を行うことといたしております。
32ページ目をお願いいたします。「12.外来医療について」でございます。令和6年度改定の検証等の観点から「12-1.地域包括診療料・生活習慣病管理料について」「12-2.かかりつけ医機能について」「12-3.外来機能分化について」の3つに分けて検討いたしております。
今後、令和7年度入院外来調査の結果等を踏まえ、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する患者の特性、特定機能病院等が再診患者の逆紹介を行う上での課題や、診療所において病院からの紹介患者を受け入れる上での課題等についてさらに分析を進めることといたしております。
36ページ目をお願いいたします。「13.情報通信機器を用いた診療について」でございます。「13-1.D to Pについて」「13-2.D to P with Dについて」「13-3.D to P with Nについて」「13-4.へき地等におけるオンライン診療」の4つに分けて、オンライン診療に係る報酬の算定状況等を踏まえ、検討いたしております。
今後、オンライン診療による向精神薬の処方実態等を踏まえ、これらのテーマについてさらに分析を進めることといたしております。
38ページ目をお願いいたします。「14.入院から外来への移行について」でございます。短期滞在手術等基本料1・3の算定状況や、医療機関別にみたこれらの対象となる手術の入院と外来での実施割合等のデータを踏まえ、さらなる外来移行の必要性や課題等について議論を行いました。
引き続き、患者年齢等にも着目したさらなる分析を行うことといたしております。
39ページ目をお願いいたします。「15.個別的事項」についてでございます。「15-1.意思決定支援について」、40ページ目に行きまして、「15-2.身体的拘束を最小化する取組について」、42ページ目「15-3.栄養管理体制について」、43ページ目「15-4.リハビリテーションについて」、44ページ目「15-5.食事療養について」、45ページ目「15-6.病院薬剤師について」及び「15-7.ポリファーマシー対策・薬剤情報連携について」、46ページ目「15-8.総合病院精神科について」、47ページ目「15-9.診療科偏在対策について」、49ページ目「15-10.データ提出加算・退院患者調査について」の10のテーマについて議論いたしました。それぞれの詳細の説明は本日は割愛させていただきたいと思います。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめ分科会におかれましては、中間取りまとめの作成に御尽力いただきましたこと、お礼申し上げます。
今回の中間取りまとめを拝見いたしますと、次回改定の方向性について踏み込んだ御意見も記載されておりますが、分科会のミッションは、答申書附帯意見等に関する事項について技術的な課題に関して専門的な調査及び検討を行うことでございます。したがいまして、今回頂いた御意見はあくまでも技術的な課題に関する評価・分析として参考とさせていただくものであり、次回改定の方向性については今後総会で議論し、決定していくということにつきまして、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめ分科会の皆様には丁寧に御検討いただきまして、ありがとうございました。技術的な課題については引き続き議論をお進めいただきたいと思いますけれども、本日御報告いただいた内容に関する率直な受け止めと、今後、深掘りをぜひお願いしたいことについて、3点コメントしたいと思っております。
1点目は、医療機関機能に着目した地域医療の最適化について一定の方向性が見えてきたように感じております。特に高度な手術等の急性期機能を地域の拠点病院に集約していく流れは、医療全体の効率化だけでなく安全性や有効性の観点で患者にもメリットがあり、さらに医療機関にとっても経営基盤の安定化につながるものと考えております。今後、どのような治療を拠点病院に集約し、逆にどのような治療を身近な医療機関で対応していくのか、より詳細な検討を分科会にはお願いしたいと思います。
2点目は、資料24ページにあります救急搬送の件でございます。分科会の1つ目の御意見に、受入れ側医療機関の評価がないという記載がございますけれども、一方で、その下には、地域包括ケア病棟で転院搬送を受け入れた場合に在宅患者支援病床初期加算の対象としたことには意義があるという記載がございます。こうした、いわゆる下り搬送の受入れに対する評価の在り方を検討することは否定いたしませんけれども、現行でも評価なされているということは事実としてぜひ認識していただきたいと思っております。その上で、今後の議論では、直接の救急搬送と下り搬送で患者の状態、医療資源の投入量にどのような違いがあるのか、実態を丁寧に見る必要があるということを指摘させていただきたいと思います。
最後は、資料の34~35ページにありますかかりつけ医機能についてでございます。報告制度と診療報酬の関係性をどのように考えるかということについて意見が披瀝されておりますけれども、この点については最終的には中医協総会で議論するものだと考えております。この報告制度がいわゆる認定の仕組みでないということは十分理解しておりますが、少なくともかかりつけ医機能の発揮が今後の地域医療にとって極めて重要であるということは認識を共有できると思います。分科会では、かかりつけ医機能の1号機能、2号機能、それぞれについて診療報酬で評価する場合にはどのような点に留意すればいいのかといったところから技術的な観点で検討をぜひ進めていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
私からも尾形分科会長をはじめ分科会の皆様に感謝申し上げます。
今後の検討について3点お願いを申し上げたいと思っております。
最初に、2ページからの「1.急性期入院医療について」は、新たな地域医療構想の検討において急性期医療に関連する機能として、高齢者救急・地域急性期機能、急性期拠点機能、専門等機能などが報告されること、また10ページからの「4.包括的な機能を担う入院医療について」は、急性期一般入院料の病棟、地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟との違い、役割分担も踏まえ、医療機関が担う機能や患者の状態像に応じた機能分化がさらに進むよう検討していただければと考えます。
次に、25ページからの「9.入退院支援について」です。令和6年度改定では入退院支援における関係機関との連携強化の観点から、介護サービス事業者及び障害福祉サービス事業所等との連携を一定程度求める改定が行われました。今後の検討の方向性に、医療介護連携のさらなる推進の観点から、さらに検討を進めるとありますが、介護に加え、障害福祉サービス事業所等との連携についても検討を進めていただければと考えます。
最後、26ページからの「10.働き方・タスクシフト/シェアについて」です。医療職一人一人が専門性を十分発揮できるよう、タスクシフト/シェア、業務負担の軽減と効率化に資するICTの活用を促進し、業務負担の軽減をさらに進めることが重要と考えます。とりわけ看護職員の負担軽減に向けては、夜勤が可能な職員の確保や夜勤者の負担軽減が非常に大きな課題であり、夜勤に関する調査結果も精査すべきという意見も踏まえ、検討を進めていただくようお願いいたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今、1号側から詳細なコメントも頂きましたけれども、中には相入れない御意見もあったと思いますが、今後、あくまでも入外分科会の取りまとめを参考にしつつ、しっかりと総会であくまでも議論していくという形で御了解いただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、ほかには御発言ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
尾形分科会長、どうもありがとうございました。
冒頭に申し上げましたとおり、ここで総会を中断いたします。そして、費用対効果評価専門部会、保険医療材料専門部会、薬価専門部会、それぞれの審議を行った後に改めて総会を開催したいと思います。
それでは、本日の総会は一時中断いたします。
(後半)
○小塩会長
それでは、総会を開催いたします。
「医薬品の新規薬価収載について」をまず議題といたします。
本日は、薬価算定組織の弦間委員長にお越しいただいておりますので、弦間委員長より御説明をお願いいたします。
○弦間委員長
薬価算定組織の委員長の弦間でございます。
私から今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。
資料「総-2」を御覧いただきたいと思います。
今回報告する新医薬品については1ページに一覧表がありますけれども、8成分10品目でございます。
それでは、算定内容について御説明させていただきます。
まず、1品目目でございますけれども、ベルスピティ錠2mgでございます。2~3ページ目を御覧いただきたいと思います。本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療を効能・効果としており、ゼポジアカプセル0.92mgを最類似薬としました類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。その結果でございますけれども、本剤の算定薬価は2mg1錠4792.80円でございます。
続きまして、2品目目でございます。4~5ページを御覧いただきたいと思います。リアルダ錠600mgでございます。本剤は、潰瘍性大腸炎等を効能・効果としており、リアルダ錠1200mgを最類似薬とした規格間調整により算定いたしました。本剤は小児に係る用法・用量が明示されていることなどを踏まえ、小児加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は600mg1錠96.10円となりました。
続きまして、3品目目でございます。6~7ページを御覧いただきたいと思います。ウェリレグ錠40mgでございます。本剤は、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍及びがん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌を効能・効果としており、原価計算方式により算定いたしました。本剤はHIF-2α阻害作用を有する新規作用機序医薬品であること、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍の適応症で初めて承認された薬剤であること、本適応に対して初めて全身治療を提供するものであることなどから、画期性加算の75%加算を適用することが妥当と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)の15%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価でございますけれども、40mg1錠2万1916.80円となりました。
続きまして、4品目目でございますけれども、8~9ページ目を御覧いただきたいと思います。アネレム静注用20mgでございます。本剤は、全身麻酔の導入及び維持、消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果としており、アネレム静注用50mgを最類似薬としました規格間調整により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価でございますけれども、20mg1瓶1540円となりました。
続きまして、5品目目でございます。10~11ページ目を御覧いただきたいと思います。エアウィン皮下注用でございます。本剤は、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果としており、原価計算方式により算定いたしました。本剤はアクチビン受容体IIAのリガンドに結合する新規作用機序医薬品であること、対象疾病において約10年6か月間、新規の作用機序の新薬収載がないこと、既存の治療方法で効果が不十分な患者群に対し効果が認められたこと、国内ガイドライン等において従来の薬剤に追加して使用する標準療法として推奨されていることから、有用性加算(Ⅰ)の45%加算を適用することが妥当と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)の15%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は汎用規格で45mg1瓶108万2630円となりました。
続きまして、6品目目でございます。12~13ページを御覧いただきたいと思います。ポムビリティ点滴静注用105mg及びオプフォルダカプセル65mgでございます。両剤は、併用療法として遅発型ポンペ病を効能・効果としており、ネクスビアザイム点滴静注用100mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。その結果、ポムビリティ点滴静注用の算定薬価は105mg1瓶20万4251円、オプフォルダカプセル算定薬価につきましては、65mg1カプセル6038.20円となりました。
続きまして、7品目目でございます。14~15ページを御覧いただきたいと思います。タービー皮下注でございます。本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果としており、テクベイリ皮下注153mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。本剤はGPRC5D受容体を標的とする初めての二重特異性抗体であり、BCMAを標的とするCAR-T又は二重特異性抗体の前治療歴のある患者を対象とした臨床試験においても臨床的意義のある効果が認められていることなどから、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果でございますけれども、本剤の算定薬価につきましては、40mg1mL1瓶187万9962円となりました。
以上で私からの説明は終わらせていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から補足と説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。補足説明をさせていただきます。
先ほどの「総-2」の資料の1ページ目を御覧ください。今回収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象品目が3品目ございます。まず、3番目のウェリレグ錠及び5番目のエアウィン皮下注用は、いずれも原価計算方式により算定され、原価計算の開示度50%未満の品目でございます。ピーク時の市場規模予測はそれぞれ404億円及び544億円であるため、H1品目に該当いたします。
次に、7番目のタービー皮下注は、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定され、有用性系加算の対象とされた品目でございます。ピーク時の市場規模予測は256億円であるため、H1品目に該当いたします。
次に、令和6年度薬価制度改革でイノベーション評価に関する内容の制度改正を行いましたが、今回の収載品目におきまして該当するものがありましたので、御紹介させていただければと思います。
2番目のリアルダ錠600mgは、5ページ目にあるように小児加算が10%となっております。患者数は限られているところ、小児患者を対象といたしました国内臨床試験を実施していることなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
3番目のウェリレグ錠40mgは、7ページ目にあるように市場性加算(Ⅰ)が15%となっております。患者数は極めて少なく、開発が難しいと想定される中、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍の適応で初めて承認された薬剤であることなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
5番目のエアウィン皮下注用は、11ページ目にあるように、有用性評価の①-eに該当しております。こちらは令和6年度の制度改革において新しく評価ポイントとして加えたものでございますが、疾患領域で新規の作用機序の品目が長期間収載されていないことを評価したものでございます。また、市場性加算(Ⅰ)が15%となっており、こちらは国内第Ⅲ相試験の速やかな実施などにより、欧米に大きく遅れることなく本邦での承認に至ったことなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
補足説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
今回示されました薬価収載については異論ありません。その上で、一点確認させていただきたいと思います。
今、薬剤管理官から御説明がありましたけれども、3番目のウェリレグ錠と5番目のエアウィン皮下注について、両剤とも補正加算を見ていただきますと、ウェリレグ錠では画期性加算が75%、市場性加算が15%という非常に高い評価を受けているところになります。ただ、原価計算方式で加算係数がゼロとなっています。ということは、製造原価の開示度が低かったと思っていますが、他社からの製品の場合と同一企業の製品の場合、2つに分けられると思っております。その中で他社からの製品に関しては契約上の問題があって開示ができないということがあると思いますが、そうした契約上の問題で開示ができなかったなど、開示が低かった理由について、もし分かるようであれば教えていただければと思います。
○小塩会長
それでは、事務局、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
ありがとうございます。
お尋ねの2品目につきまして開示度が低い理由につきましては、いずれも当該品目の移転価格による影響が大きいというようなことを聞いております。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○森委員
移転価格による影響で、それで開示ができなかったという理解でよろしいですか。
○清原薬剤管理官
そのとおりでございます。
○森委員
せっかく評価する制度があって、これだけ革新的なものが評価できないというのは非常に残念なことと思っています。まずは企業の努力で、開示度を上げるようにするということと、例えば、他社品の場合と同一企業品の場合で、若干、対応が異なってくるのではないかと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私もウェリレグ錠についてですが、今、森委員からの質問にお答えがあったように、企業からの原価開示ができていないことから加算がなかったということですが、企業からの不服意見が出ていない理由というのは今の御説明のとおりなのでしょうか。
○小塩会長
事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
不服意見は出ておりません。こちらにつきましては、薬価算定ルールのところで開示度の50%未満につきましては加算がされないというルールになっていますので、申請される企業の方もそれを前提に申請されているということですので、この品目に関してこの点についての不服というのは特にございません。
以上でございます。
○小塩会長
高町委員、いかがでしょうか。
○高町委員
ありがとうございます。
原価計算方式においては、やはり原価の開示度が重要となってくると思います。それが低いということは議論においても問題になると思いますので、この改善については努力していただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、森さんとか高町さんからもありましたけれども、原価計算のものに関して開示度が低いからとなっておりますが、いろいろなものがやはり原因を問い詰めないと、ということになっておりますので、ここはもう少し、先ほどの別の場でも意見を申し上げましたけれども、詰めていかないと、一方で評価されないという話が出ているのに、一方で「評価するのは結構です」になっているわけですね。今のスタンスからすると、企業側は「結構です」を取っているというふうに我々は受け止めざるを得ないので、そういうことに関してもう少し議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
弦間委員長、どうもありがとうございました。
続きまして「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
本日は、保健医療材料等専門組織の渡邉委員長にお越しいただいております。渡邉委員長より御説明をお願いいたします。
○渡邉委員長
それでは、説明いたします。
「中医協 総-3」の資料を御覧ください。今回の医療機器の保険適用は、C1が1製品とC2が1製品です。
2ページ目を御覧ください。販売名はConamon PVPキットです。5ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、1~3椎体の有痛性の第5胸椎~第5腰椎骨折に対する経皮的椎体形成術に用いて疼痛の軽減を図ることを目的で使用する医療機器です。2ページ目にお戻りください。価格につきましては、類似機能区分比較方式で評価しました。この結果、最終的な価格を1グラム当たり1万9800円といたしました。外国における販売実績がないため、外国平均価格との比はありません。
次に、6ページ目を御覧ください。販売名はサーフローMidelaです。9ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、肘窩を含む上腕の末梢血管から経皮的にアクセスし、上腕の静脈へ挿入留置し、輸血または血液の採取等を行うために用いる医療機器です。6ページ目にお戻りください。価格につきましては、原価計算方式で評価しました。この結果、最終的な価格を5790円といたしました。外国における販売実績がないため、外国平均価格との比はありません。
続きまして、1ページ目を御覧ください。今回の臨床検査の保険適用はE3の3件です。10ページ目を御覧ください。販売名はConcizuTrace ELISAキットです。測定項目はコンシズマブ血中濃度です。測定方法はELISA(定量)です。12ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、血漿中のコンシズマブ濃度の測定を行う臨床検査です。10ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D012(感染症免疫学的検査)66 抗アデノ随伴ウイルス9型(AAV9)抗体 1万2850点」を参考点数とします。
次に、13ページ目を御覧ください。販売名はipsogen IDH1 変異検出キット RGQ「キアゲン」です。測定項目はIDH1遺伝子変異です。測定方法はリアルタイムPCR法(定性)です。15ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、急性骨髄性白血病患者の血液または骨髄穿刺検体から抽出したゲノムDNA中のIDH1遺伝子変異の検出に用いる臨床検査です。13ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D004-2(悪性腫瘍組織検査)1 悪性腫瘍遺伝子検査 イ 処理が容易なもの (1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの 2500点」を参考点数としています。
次に、16ページ目を御覧ください。販売名はエクルーシス試薬β-アミロイド1-42、エクルーシス試薬リン酸化タウ181です。測定項目はリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比でございます。測定方法は電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)です。18ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42の測定及び脳脊髄液中の181位リン酸化タウ蛋白の測定に用いる臨床検査です。16ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D004(穿刺液・採取液検査)15 アミロイドβ42/40比(髄液) 1282点」を参考点数としています。
私から御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
渡邉委員長におかれましては、ありがとうございました。
続きまして「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-4 DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を御覧ください。新規に薬価収載された医薬品等につきましては、DPCにおける診療報酬点数表に反映されないことから高額であるために、一定の基準に該当する医薬品等を使用した患者については、入院全体を包括評価の対象外とし、次期診療報酬改定までの間、出来高算定することとしております。この間、新たに効能・効果等が追加された医薬品及び今後薬価収載を予定している医薬品につきまして、以下のリストにあるものについてはこの対象として取り扱うことについてお諮りするものでございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「保険医が投与することができる注射薬について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-5」を御覧ください。「保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤の追加について」でございます。今回、1つの品目につきまして、お諮りいたします。シパグルコシダーゼ アルファでございます。投与間隔や、学会からの要望書が提出されていることなど、これまでの要件を満たすと考えております。本件につきましては、訪問看護等での使用が想定されるということで、処方箋を交付することができる注射薬への追加をお諮りするものでございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「令和8年度診療報酬改定におけるDPC制度への参加又はDPC制度からの退出に係る届出の受付期間について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-6」の資料を御覧ください。診療報酬改定時にDPC制度への参加またはDPC制度からの退出を希望する病院につきましては、現行の通知におきまして、届出様式を診療報酬改定の6か月以前の厚生労働省が定める一定期間を受付期間として提出いただくことと定めております。診療報酬改定時の医療機関群別係数の設定等におきましては、一定の集計作業を行う必要がありますため、令和6年度診療報酬改定、このときは改定が6月でございましたけれども、このときを含めまして、受付期間については9月1日から起算して1か月間とさせていただいております。その上でデータの集計等を行うという作業期間を確保させていただいております。
令和8年度診療報酬改定の施行時期につきましては、令和6年度診療報酬改定を踏襲すれば令和8年6月となりますが、令和8年度診療報酬改定におきましても、改定に向けた作業期間を確保する必要がございます。このため、令和8年度診療報酬改定時にDPC制度への参加またはDPC制度からの退出を希望する病院における届出様式の受付期間につきましては、令和7年9月の1か月間としてはどうかということをお諮りさせていただきます。また、こうした事情については今後も継続するものでございますので、この際、届出に関する通知を改定させていただきまして、この9月1日から1か月間ということを明確に記載させていただいてはどうかと考えております。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。太田委員、お願いいたします。
○太田委員
本論ではないのですけれども、今回、概要のところの3つ目に、令和6年度診療報酬改定を踏襲すれば次回改定は令和8年6月1日となるがという表現なのですが、次回の改定の日時というのはまだ決まっていないということなのか、決まっているのか、もし決まっていないとするならば、どこがこれを決める権限があるのかを分かれば教えていただけたらと思いますが。
○小塩会長
太田委員からの御質問ですが、いかがでしょうか。
○林医療課長
ありがとうございます。
まず、踏襲すればという表現でございますけれども、基本的にはこういう方向で作業を進めているということでございます。決めるのも中医協であると考えておりますが、予算編成過程等で様々なことが決まってくる中で最終的には決定されるということだと思いますので、現時点においてはこのような書き方をさせていただいて、6月1日に施行できるように準備を進めていきたいと考えております。
○小塩会長
ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にほかには御質問等ないようでしたら、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて」を議題といたします。
本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。事務局より説明していただいた後に、田倉委員長、福田参考人より御説明をお願いいたします。
それでは、事務局、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
5月及び7月の中医協総会において御承認いただきました医薬品の費用対効果評価結果に基づく価格調整について御報告させていただきます。
まず、資料「総-7-1」を御覧ください。フォゼベル錠でございます。5月14日の中医協で承認されました上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映して見直した価格調整の結果を記載しております。
次に、資料「総-7-2」を御覧ください。レクビオ皮下注でございます。こちらも同様に、上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映して見直した価格調整の結果についてお示ししております。
続きまして、資料「総-7-3」を御覧ください。ウゴービ皮下注でございます。こちらも同様に、上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映した見直しの価格調整の結果について記載しております。
最後に、資料「総-7-4」を御覧ください。レケンビ点滴静注でございます。1ページ目に7月9日の中医協で承認されました費用対効果評価の結果をお示ししております。2ページ目に「公的医療・介護の立場」と「公的医療の立場」の両方の場合について、価格調整を行った薬価を改定薬価の欄に記載しております。
いずれにつきましても、適用日は令和7年11月1日でございます。
○梅木医療技術評価推進室長
引き続き、事務局、医療技術評価推進室長でございます。
「中医協 総-7-5 レケンビの費用対効果評価に係る『公的医療・介護の立場』の取扱いについて」の御説明をいたします。
まず、2ページに本日の流れを示しております。最初に、事務局から介護費用に関する費用対効果評価制度での議論等について説明した後、公的分析として国立保健医療科学院の福田参考人から具体的な分析内容について、続いて費用対効果評価専門組織の田倉委員長より専門組織での議論について、また最後に事務局よりレケンビの費用対効果評価結果に基づく価格調整について御説明させていただきます。
まず、4ページを御覧ください。我が国の費用対効果評価では、中医協における分析ガイドラインにお示ししてあるとおりでありますが、「公的医療の立場」を基本としております。平成31年の骨子にありますとおり、公的介護費を含めた分析結果については価格調整には用いないとしており、この点については継続的に議論されてきた背景がございます。
7~11ページにかけては、レケンビの費用対効果評価における介護費用に係る議論をお示ししております。
10ページに関しましては、費用対効果評価における介護費用の取扱いに関して指摘された技術的な課題と学術的な課題を示しております。
これらを踏まえまして、12ページにございますとおり、レケンビの費用対効果評価においては、介護費用の取扱いについては介護費用を含めた場合と含めない場合の総合評価案を策定し、中医協総会で議論して評価結果を決定するという扱いとしておるところでございます。
14ページでございます。7月9日の中医協総会で報告させていただきましたレケンビの費用対効果評価の総合評価案を載せております。
15ページは、その際にお示しした内容であります。
16ページに移りまして、その際に総会で頂きました御意見をまとめております。1つ目の丸にありますとおり、費用対効果評価における介護費用とは何を示しているのか、下から3つ目の丸に示している、公的介護の立場を含める場合にどのような費用をどのように考慮したか、具体的に整理し、その手法が技術的に確立されたものなのか、まだ試行錯誤の段階なのかについて説明いただきたいといった点でございますとか、一番下の丸にございますとおり、介護費用の軽減効果を医療保険の財源で評価することについては公的医療保険の哲学そのものに関わるのではないかといった御意見を頂いております。
これらを踏まえまして、介護費用を含めた分析の詳細につきましては、公的分析を取りまとめる立場として国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター、センター長であります福田参考人より報告させていただきます。
福田参考人、よろしくお願いいたします。
○福田参考人
国立保健医療科学院の福田でございます。
それでは、今回実施いたしましたレケンビの費用対効果評価における介護費用の分析方法等について御説明させていただきます。
資料の19ページをお願いいたします。本制度におきましては、分析は中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドラインに従って行うと定められております。分析ガイドラインにおきまして、公的医療保険制度の範囲で実施する「公的医療の立場」が基本となっておりますが、公的介護費への影響が大きい場合には「公的医療・介護の立場」の分析を行うことができるということで、今回初めてこの分析が行われたというものでございます。「公的医療・介護の立場」においては公的介護費を含める追加分析を実施すべきとされております。公的介護費という中身ですが、公的介護保険サービスにかかる費用が含まれるということでございます。
20ページに具体的内容を書いておりますけれども、ガイドラインに従って、企業分析、公的分析ともに介護保険サービスの費用を介護費用として分析いたしました。介護保険で提供されていないサービスについては含まれていないということでございます。
21ページは、参考までに介護保険によって含まれる内容でございます。
22ページを御覧ください。この分析ですが、アルツハイマー病の病態が軽度認知障害(MCI)から軽度認知症、中等度、重度というふうに進行していくことが想定されております。このため、各段階でかかる介護費用の集計においてはアルツハイマー病の重症度別の介護費用を推計する必要がございます。
23ページを御覧ください。これに対しまして、企業分析で御対応いただいたものですが、実はアルツハイマー病の重症度別の介護費用のデータという既存のものは存在しなかったということでございます。これは我々のほうで確認しております。そこで、企業に工夫していただいて、以下のようなやり方でデータを御提出いただきました。
まず、アルツハイマー病患者の要介護度別の介護費を九州大学のLIFE studyというデータを用いて分析していただいております。ただ、LIFE studyのデータには、CDRとかMMSEといいますアルツハイマー病の重症度に関するデータが含まれていないということから、重症度別の介護費を出すために、先行研究において認知症の重症度別の要介護度分布を調べたものがございますので、これを使用して分析していただいたということでございます。
結果として製造販売業者は、このデータを使って、重症度を区別していない要介護度別の介護費と先行研究によって病態を区別していない認知症の重症度別要介護度分布を組み合わせることで重症度別の介護費を推計しているということでございます。
24ページをお願いします。これに対しまして、公的分析では、データソースといたしましては、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)と介護DBの連結データを用いるというアプローチを取りました。これは代表する項目があると考えたためです。この2つをID4によって連結して、一対一で結合可能であったデータを使用しております。ただ、このデータにおきましても、CDRやMMSE等のアルツハイマー病の重症度に関するデータが含まれていません。これは企業の分析と同様でありますので、我々も企業と同じように先行研究を用いて分析しているということでございます。
我々が試みた分析では全てのデータ連結はできなかったというのが実態でございます。さらに、医療機関で診断を受けていない軽度の認知症あるいは認知障害、あるいは要支援・要介護というような介護認定を受けていない対象者はもちろん含まれないということになります。結果としては、企業分析と公的分析の要介護度別の介護費用には大きな違いがなかったということを確認いたしております。それを踏まえて、公的分析としては、今回は介護費用についての企業分析が妥当ではないとは言えないと考えまして、企業分析の分析結果を受け入れたということでございます。
ただし、要介護度の状態とかかる費用、この関係を考えるのは非常に難しいところでありますので、軽度の認知障害あるいは軽度認知症患者が認知症の症状のみで施設に入所するということは想定されないと考えるため、この部分の費用は除外して分析したという状況でございます。
26ページをお願いいたします。これについては諸外国ですけれども、イギリスではNICEという組織においてレケンビの評価に取り組まれているところであります。こちらにおいてもソーシャルケアコスト、日本で言うところの介護費用に相当するものと理解しておりますけれども、この部分を先行研究に基づいて、これは実際にそのときにやったということではなくて文献に基づいて推計するということで含まれて実施されております。
続きまして、関連するところなのですが、介護者のQOLについて御紹介したいと思います。28ページをお願いいたします。分析ガイドラインにおきまして「公的医療・介護の立場」を取る場合には、インフォーマルケアの介護負担について、分析ガイドライン上でアウトカム(QALY)のほうで評価するという形になっております。下に考え方を示しましたけれども、インフォーマルケア、家族等がケアしている場合に介護者のQOLは介護を行っていない人よりも低下するだろうと考えられます。一方で、インフォーマルケアの費用については公的な介護保険の費用に含まれておりませんので、費用によっては評価されないということになります。そこで、介護負担の軽減により生じるQALYを患者自身のQALYに足し合わせるという形でアウトカムの一部として評価する考え方があり、諸外国でも取り組まれていることでございます。これについての研究班での検討を踏まえた上で、現在の分析ガイドラインにはこれが可能という形で位置づけられておりますので、そのような扱いになっています。ただし、介護負担の軽減により生じるQALYの計算方法については様々な考え方があるというのが実情でございます。
29ページは介護負担の軽減により生じるQALYの概念図でございます。
30ページを御覧ください。ここに対して企業分析では、患者QOLについてはピボタル試験(臨床試験)で収集したQOL値を用いており、公的分析でも同じものを使っています。介護者のQOLについても臨床試験でやはり測定されておりましたので、この値を使っているということでございます。
企業分析におきましては、介護負担の軽減により生じるQALYを介護者のQOL値(絶対値)と各状態の期間を掛け合わせることによって推計して、これを患者死亡時まで加算して得られた介護者のQALYとして、レカネマブ群と比較対照群における介護者のQALYの差として評価していくというアプローチを取っております。下がイメージ図でございます。
これに対しまして、31ページ、公的分析のほうになりますけれども、患者及び介護者のQOL値については企業と同じ臨床試験のデータを使っているものでございます。ただし、公的分析では両群で統計学的な差はありませんでしたので、まとめた値を使用しております。
また、企業分析では、介護者のQOL値(絶対値)と各状態の期間を掛けたという計算をしているのですが、これで計算しますと、患者死亡後に介護者のQALYもゼロになってしまうという構造になっておりますので、患者の生存時間を延長する、この薬によって期待される部分ですけれども、その扱いについては適切ではないというふうに公的分析では判断いたしました。そこで、公的分析では、各状態、患者の重症度における介護者のQOLの差を介護負担と捉え、その影響の差分を足し合わせて介護負担の軽減により生じるQALYという形にいたしました。
参考でイギリスのものは32ページにあります。同様なアプローチが取られているものでございます。
まとめて数値的なところになりますが、34ページを御覧ください。立場によってどのくらいの数値の差が出るかということなのですが、赤枠に囲まれている部分が「公的医療の立場」、つまり公的保険における医療費と患者のQOLのみを考慮したものでございます。これに対して介護者のQOLを足すことによって僅かに増分QALYが増えます。また、介護費については、本剤を使うことによってマイナス、多少減少するという推計になっておりますので、このような値になっております。これをICERという形で計算しますと35ページになります。
35ページは、アルツハイマー病における軽度認知障害(MCI)のほうですけれども、「公的医療の立場」と比べて「公的医療・介護の立場」ですと、増分QALYが僅かに増えて増分費用は僅かに減少する。これは介護費用の減少分があるからということなので、ICERとしては若干小さな値になるという結果でございます。
36ページは、軽度認知症のほうですけれども、こちらも同様で、増分QALYは「公的医療・介護の立場」の場合には僅かに増えて増分費用が減るということで、ICERの数字が改善しているという状況でございます。
併せまして38ページになりますが、今回、実際にデータを分析させていただいて生じた課題について1枚にまとめました。今回、LIFE study、企業がやった分析、あるいは我々がやったNDBと介護DBの連結データにおきまして、アルツハイマー病の対象者を特定することはできたという状況でございます。ただし、途中で申し上げたとおり、CDRやMMSEといった認知機能検査指標は含まれていないため、重症度別の介護費という分析はできなかったという状況でございます。これについてはほかの過去の研究等を使って推計したということですので、本来こういうものがデータに含まれていると、かなり充実した適切な分析ができるのではないかと思っています。また、家族介護者のQOLにつきましては、正直なところ、まだ学術的に確立されたコンセンサスは存在していないかと、やり方については引き続き検討が必要ではないかと考えた次第です。
私からは以上でございます。
○梅木医療技術評価推進室長
福田参考人、ありがとうございました。
続きまして、費用対効果評価専門組織での議論につきましては、専門組織委員長であります田倉委員長より御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
40ページ目を御覧ください。令和6年3月の費用対効果評価専門組織で分析枠組みを決定いたしました。その際、製造販売業者が希望したため、公的医療と介護の立場の分析も行ってもよいといたしました。令和7年1月には、企業分析に対して公的分析がレビューを行い、大きく4つの論点が指摘され、公的分析による再分析の実施が妥当であると決定いたしました。これに対して製造販売業者からは、指摘された論点について不服の申立てがあり、改めて専門組織で議論させていただきました。
41ページ目を御覧ください。4月の専門組織では、公的分析による再分析について議論を進め、レカネマブの有効性に関する推計、患者及び家族介護者のQOL値の設定、費用の推計方法及び分析モデルの再構築について、公的分析の結果が妥当であると決定いたしました。この決定に対して製造販売業者より不服申立てがあり、専門組織において再度各論点について議論を行い、公的分析が妥当であると結論づけました。
42ページ目を御覧ください。介護費用に関する専門組織での決定事項になります。費用の推計については、軽度認知障害、軽度認知症患者における施設入所費用を公的介護費から除外したという公的分析の判断は妥当であると決定いたしました。また、家族介護者のQOL値の決定について、2ポツにあるとおり「現実的な設定をした」という公的分析の説明に専門組織として同意いたしました。これらを踏まえて、総合的評価について専門組織では公的分析が妥当であると結論づけました。
43ページ目を御覧ください。今回の分析で新たに生じた課題について専門組織の立場からお示しいたします。介護費用については、分析ガイドラインにのっとって「公的医療・介護の立場」で公的介護費用を含めた分析を行いましたが、仮定や推計を重ねたものであったこと、また、家族介護者のQOL値については、介護負担軽減により生じるQALYの計算方法に関わり、学術的に確立されたコンセンサスは現時点では存在しないことなどが課題と考えております。
専門組織からの説明は以上となります。
○梅木医療技術評価推進室長
田倉委員長、ありがとうございました。
最後に、事務局よりレケンビに係る分析の立場と価格調整の決定について御説明いたします。
45ページ、最後のスライドを御覧ください。現状と課題としまして、1ポツにありますように、我が国の費用対効果評価制度では、公的医療保険の範囲で実施する「公的医療の立場」を基本としてきました。レケンビの費用対効果評価について、「公的医療・介護の立場」の分析結果を含む総合的評価案を中医協総会に提出いたしました。分析を通じて、事前に指摘されていた課題に加えまして、お示ししている課題が明らかとなりました。
これらを踏まえまして、下の対応案に移りますが、費用対効果評価制度における介護費用の取扱いにつきましては、今後の費用対効果評価専門部会において、引き続き議論を進めていくこととしてはどうか、今回のレケンビにおける費用対効果評価においては、上記のような課題があることも踏まえると、基本としている「公的医療の立場」ではなく「公的医療・介護の立場」を採用すべきとは言えないことから、「公的医療の立場」の費用対効果評価結果に基づく価格調整の改定薬価を採用してはどうかとしております。
事務局からの御説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
45ページの対応案についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の丸につきまして、今回示された分析結果によりまして、介護費用の取扱いについてはまだ様々な課題があることが分かります。そもそも我が国には確固たる介護保険制度があり、諸外国を参考にするより、我が国独自のモデルも考えていくべきと思います。また、介護者の負担軽減についてQALYの評価とすべきかどうかも検討の余地があるのではないかと思っております。現状、介護保険の通所サービスやショートステイは介護者のレスパイトとセットになってもいます。また、例えば介護保険の通所サービスを使う場合には費用がかかりますし、市町村の地域支援事業の総合事業とか通いの場を活用すると費用は発生しません。そういった差異もありますので、いろいろ検討が必要と思います。したがいまして、費用対効果における介護費用の取扱いについての考えは、具体的な例を積み重ねながら、中医協において丁寧かつ詳細に整理していくとともに、学術的な研究や分析を引き続き続けていく必要があろうと思っております。こうしたことを踏まえますと、費用対効果評価において介護費用を考慮することは現時点ではまだまだ課題が多く、解決までの道のりは長いものと考えております。
以上により、2つ目の丸に提案されているとおり、レケンビにおける費用対効果評価においては「公的医療の立場」の費用対効果評価結果に基づく価格調整の改定薬価を採用するという事務局案に賛同いたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
45ページの対応案についてコメントさせていただきたいと思います。今、江澤委員からありましたけれども、介護費用の取扱いについては学術的に確立されたコンセンサスは存在しないとの指摘があります。今回を契機に、費用対効果評価制度での取扱いとともに、学術的に確立していくための検討や研究の継続も必要と考えます。また、レケンビの価格ですけれども、今回「公的医療の立場」ということで示された価格で対応することでよいのではないかと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、福田先生におかれましては、詳細な説明、また費用対効果評価専門組織での非常に丁寧な議論についてもお礼を申し上げたいと思います。
今、お二人の委員からもありましたけれども、資料「総-7-5」の45ページに示されておりますとおり、レケンビの費用対効果評価に関わる介護費用の取扱いにつきましては、分析方法についてまだまだ学術的に確立されていないということでございますので、事務局から示された対応案に異論はございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
鳥潟委員、お手が挙がっておりますので、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
レケンビに関してですが、整理していただいた課題があることを踏まえ、今回、費用対効果評価について介護費用の取扱いを含めないこととすることに異論はございません。介護費用の取扱いにつきましては、引き続き、データの集積や研究の進展を待って改めて検討するのが現実的ではないかと考えております。一方、公的分析においては、NDBと介護DBの連結データが活用できなかった点につきまして、現在、医療分野も介護分野もDXを推進していますので、そこで得られたデータが様々な研究にも活用できるようになっていくことを期待しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
レケンビの費用対効果評価は、ICERが500万/QALYとなる仮の価格と見直し前の価格の差額の25%を調整額とするとなっていると思います。下げ止めは85%が下限となっていますので、レケンビの費用対効果評価ではこの下げ止めの85%が適用されるかと思います。それにより、例えば200ミリグラムであれば4万5777円のレケンビは、本来ならば1万円台まで下がるところが、下げ止めの適用によって3万8910円にとどまると理解しています。あらかじめ決められたルールに従ったこの価格設定に異論はありません。しかし、今後、今回下げ止めとなり、引下げ猶予となった部分も加味した再評価、価格調整も検討されるべきだと考えていますので、御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、ほかに特に御質問ないようですので、本件につきましては、事務局から出された対応方針でということで、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
続きまして「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料「総-8」の2ページを御覧ください。アルツハイマー病治療薬につきましては、令和5年11月の中医協におきまして、レケンビ点滴静注の薬価収載に当たって「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」が取りまとめられ、その後、ケサンラ点滴静注液の薬価収載に当たって、今後開発される類似薬も含めた取りまとめがなされております。
3ページ目を御覧ください。今回、レケンビの薬価収載から18か月が経過したことから、この取りまとめに基づき、レケンビ及びケサンラについて使用実態の変化等における市場規模への影響、薬価・価格調整に関する対応の必要性等について御報告いたします。
まず、4ページ目でございますが、こちらが全症例を対象とした調査についてのものでございます。
次に、5ページ目は、投与期間、累計患者数についての資料でございます。薬価収載後、レケンビ及びケサンラの効能・効果、用法・用量、最適使用推進ガイドラインの要件に変更はなく、投与期間に関する要件の変更もございません。また、累計患者数につきましても、レケンビは収載2年度末時点で約7400人、ケサンラは収載から半年時点で約1780人と、収載時の予測と比べて大幅な増加は見られておりません。
次に、6ページは提供可能な医療機関の体制等につきまして、7ページ目は実施可能な検査方法等の拡充についての資料でございます。
8ページ目を御覧ください。今回の御報告といたしまして、レケンビ及びケサンラ、いずれにおきましても、使用実態の変化、患者当たりの投与期間の増加はなく、投与患者数等は薬価収載時の予測と比べて大幅な増加は認められません。したがいまして、市場規模の大幅な拡大も認められなかったというものでございます。
今後の対応といたしましては、引き続き、高額医薬品(認知症薬)に対する取りまとめに基づきまして、全症例を対象とした調査の結果等を注視し、使用実態の変化等が生じた場合等には速やかに中医協総会に報告の上、これらの医薬品の薬価・価格調整等に関する対応の必要性について検討してまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
8ページの今後の対応に賛同いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
4ページ目に調査目的、また調査結果が示されていますが、この中でARIAの出現等に関してということも入っているのですけれども、市販後のリアルワールドでのARIAの発現の有無や副作用の状況がどうだったのか、また、未知のリスク等の安全性について問題がなかったのかなど、もし情報があれば教えていただきたいと思います。
○小塩会長
事務局、御質問ございましたが、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
市販後におきましても、レケンビ、ケサンラともARIAの発現は報告されている状況でございます。ただ、収載後から現時点まで添付文書の使用上の注意の改定はございません。また、現時点において市販後の副作用情報等の状況から、新たな副作用に対する安全対策を講じるような報告は受けていないと承知しております。
以上でございます。
○小塩会長
森委員、いかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
使用実態の変化が生じず、当初の施設、患者数の予測とかけ離れておらず、今、回答いただいたとおり、特段安全性に問題がなかったようであれば、今後の対応案について異論ありません。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
投与施設数、投与患者数、市場規模のいずれもおおむね想定どおりということでございますので、安全性を含めて医療現場で適切に対応されたものと受け止めております。引き続き、ケサンラを含めまして、認知症全体の市場動向も把握した上で適切なタイミングで中医協に御報告をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
8ページの今後の対応につきまして、異論はございません。その上で、レケンビ点滴静注を投与した全症例を対象とした調査結果等を注視するとありますように、患者の状況を長期的に見た上で検討していくことが重要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。
○小塩会長
おはようございます。
ただいまより第614回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、飯塚委員、笠木委員、岡本専門委員が御欠席です。
本日の中医協総会につきましては、まず、総会におきまして「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議論していただき、その議論が終了した後に一度総会を中断いたしまして、費用対効果評価専門部会、保険医療材料専門部会、薬価専門部会をそれぞれ開催いたします。その後、改めて総会を再開し、そのほかの議題の審議を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、会議冒頭のカメラの頭撮りはこの辺りということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○小塩会長
それでは、議事に入らせていただきます。
最初に「入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告について」を議題といたします。
本日は、同分科会の尾形分科会長にお越しいただいております。尾形分科会長より御報告をお願いいたします。
○尾形分科会長
おはようございます。尾形でございます。
本日は「中医協 総-1」「総-1」の参考資料1~5のうち、「総-1」を用いまして、入院・外来医療等の調査・評価分科会からの報告につきまして御説明いたします。
まず、1ページ目「Ⅰ.概要」についてです。
分科会では、令和6年度改定の附帯意見等に関する事項等について、次期改定の検討に資するよう「令和6年度入院・外来医療等における実態調査」を実施いたしました。この調査結果の速報は令和7年6月18日の総会に報告させていただきましたが、分科会ではこの調査結果等も踏まえ、入院・外来医療等の技術的な課題に関する様々な分析・評価等を行いましたので、本日、検討結果を御報告させていただきます。
なお、この検討結果に係る本日の総会での御意見及び「令和7年度入院・外来医療等における実態調査」の結果等を踏まえ、分科会としての最終的な取りまとめに向けて今後さらなる検討を行うことを予定しておりますことを併せて御報告させていただきます。
1ページ目に示してあります目次にございますとおり、分科会の検討結果については15項目にわたって整理しておりますが、資料は大部となっておりますので、以下、簡潔に御説明いたします。各項目の見出し部分に関連する参考資料のページ数が示されておりますので、併せて御参照ください。
それでは、2ページ目をお願いいたします。「1.急性期入院医療について」でございます。令和6年度改定による一般病棟入院基本料、急性期充実体制加算等の算定状況の変化や、新たな地域医療構想において創設されることとなっております医療機関機能報告の考え方等も踏まえつつ、急性期入院医療を適切に評価する指標につきまして、「1-1.一般的な急性期機能について」「1-2.拠点的な急性期機能について」「1-3.その他」の3つに分けて、医療機関の救急搬送件数や全身麻酔手術件数のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、急性期の機能としては特に救急医療を評価すべき、あるいは人口や医療機関の規模を考えた際に患者数だけでなく地域におけるシェアも考えていくべき、さらには人口20万人未満の二次医療圏を支える医療機関を評価する仕組みが重要といった意見がございました。
今後につきましては、一般的な急性期機能と拠点的な急性期機能のそれぞれについて、救急搬送件数、手術件数、総合性の観点から検討すること、その際、救急搬送件数や手術件数の絶対数だけではなく、地域で果たす役割を評価する観点から、地域シェア率等の指標についてさらに分析を進めることといたしております。
5ページ目をお開きください。「2.高度急性期入院医療について」でございます。令和6年度改定による特定集中治療室管理料等の算定状況の変化等を踏まえ、「2-1.特定集中治療室等を有する病院について」「2-2.特定集中治療室管理料の医師配置要件について」「2-3.特定集中治療室遠隔支援加算について」の3つに分けて、これらの点数を算定する医療機関の救急搬送件数や全身麻酔手術件数のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、救急部門の設置や一定の救急患者受入れ件数、一定の全身麻酔手術の実施件数などの実績がある病院において治療室が必要となるのではないか、あるいは特定集中治療室の現行の「治療室内に医師が常時勤務」という配置要件は厳しいものであり、緩和する方向での検討が必要ではないかといった意見がございました。
今後につきましては、病院の特性ごとに重症度等がどのように異なっているのか、あるいは算定する治療室の区分別の専任の医師の違い等についてさらに分析を進めることといたしております。
7ページをお願いいたします。「3.DPC/PDPSについて」でございます。令和6年度改定によるDPC対象病院数の変化等を踏まえ、「3-1.機能評価係数Ⅱ(複雑性係数)について」「3-2.再入院・再転棟ルールについて」「3-3.点数設定方式について」「3-4.特別調査の結果」の4つに分けて、DPCデータやDPC対象病院等への特別調査の結果を基に分科会及びDPC/PDPS作業グループにおいて議論を行いました。
今後も引き続き、機能評価係数Ⅱの適切な評価方法等について検討することといたしております。
10ページ目をお願いいたします。「4.包括的な機能を担う入院医療について」でございます。令和6年度改定により新設された地域包括医療病棟の算定状況や、新たな地域医療構想の取りまとめにおける医療機関機能報告の考え方等も踏まえつつ、こうした機能を担う病棟を適切に評価する指標について、「4-1.地域包括医療病棟入院料について」「4-2.地域包括ケア病棟入院料について」「4-3.包括的な入院医療を担う医療機関の機能について」の3つに分けて、これらの病棟に入院する患者像のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、多疾患を有する救急患者は搬送時点で急性期病棟と地域包括医療病棟のいずれが適しているか判断が難しい、高齢者の疾患を幅広くみるという観点から、内科疾患と外科疾患の包括範囲内の医療資源投入量について評価のバランスが取れるよう診療内容をさらに検討すべき、緊急入院の受入れ時には様々な手間がかかるので、看護師等の療養の世話の手間について評価方法を検討してはどうか、さらに地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟との患者像の類似も踏まえ、緩やかに統一していくような評価方法も検討できるのではないか等の意見がございました。
今後につきましては、包括期の入院医療を担う医療機関の役割として、救急搬送の受入れと在宅・施設等の後方支援という観点を評価する指標、ADLや平均在院日数について、入院している患者像を踏まえたより適切な基準等についてさらに分析を進めることといたしております。
16ページ目をお願いいたします。「5.回復期リハビリテーション病棟入院料について」でございます。この入院料の算定状況や新たな地域医療構想に関する取りまとめにおいてこれまでの回復機能を包括期機能として位置づけることとされたこと等を踏まえ、「5-1.実績指数について」「5-2.重症患者割合について」「5-3.廃用症候群リハビリテーションについて」の3つに分けて、この病棟に入院する患者像のデータ等を基に議論を行いました。
分科会におきましては、ほぼ全ての患者が実績指数の計算除外基準に該当している施設もあり、現行の基準で病棟の機能を正しく評価されているのか疑問であるといった御意見がございました。
今後も、こうした観点も踏まえ、さらに検討を進めることといたしております。
18ページ目をお願いいたします。「6.療養病棟入院基本料について」でございます。令和6年度改定を検証する観点から「6-1.医療区分や疾患・状態、処置等の該当状況」「6-2.経腸栄養管理加算・摂食嚥下機能回復について」について検討しております。
今後も、前回改定時の医療区分の見直し後のそれぞれの入院料における満たす割合等について詳細に検討することといたしております。
20ページ目をお願いいたします。「7.重症度、医療・看護必要度について」でございます。「7-1.特定集中治療室・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度について」「7-2.一般病棟用の重症度、医療・看護必要度について」の2つに分けて、特にB項目、内科系症例の適切な評価について議論を行いました。
引き続き、シミュレーション等を行いつつ、検討を行うことといたしております。
23ページ目をお願いいたします。「8.救急医療について」でございますが、「8-1.救急搬送に関する評価について」「8-2.救急外来応需体制に関する評価について」の2つに分けて、特に令和6年度改定で新設された下り搬送を評価する救急連携搬送料や救急外来の休日夜間の応需体制の現況等について議論を行いました。
引き続き、下り搬送の受入れ側医療機関の評価等の観点も含め、分析を行うことといたしております。
25ページ目をお願いいたします。「9.入退院支援について」でございます。入退院支援加算の病棟別の算定状況の評価や、令和6年入院外来調査の結果について議論を行いました。病院・病棟の機能ごとに入退院支援部門に記載される機能や、医療介護連携のさらなる推進の観点から、令和7年度入院外来調査の結果を基にさらに検討を進めることといたしております。
26ページ目をお願いいたします。「10.働き方・タスクシフト/シェアについて」でございます。「10-1.医師について」「10-2.看護職員について」の2つに分けて、地域医療体制確保加算、医師事務作業補助体制加算、看護補助体制充実加算の現況等について議論を行いました。
今後も、医師事務作業補助者の定着に向けた取組、病棟の看護業務のタスクシフト/シェアの現状、ICT、AI、IoT等の活用に関して令和7年度入院外来調査の結果等についてさらなる検討を進めることといたしております。
29ページ目をお願いいたします。「11.病棟における多職種でのケアについて」でございます。「11-1.リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算について」「11-2.病棟におけるリハビリテーションについて」「11-3.病棟における栄養管理について」「11-4.病棟における薬剤管理について」の4つに分けて、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、病棟配置の療法士・管理栄養士の役割、栄養サポートチーム加算、病棟薬剤業務実施加算の現況等について議論を行っており、今後も、令和7年度入院外来調査結果等を踏まえ、さらなる検討を行うことといたしております。
32ページ目をお願いいたします。「12.外来医療について」でございます。令和6年度改定の検証等の観点から「12-1.地域包括診療料・生活習慣病管理料について」「12-2.かかりつけ医機能について」「12-3.外来機能分化について」の3つに分けて検討いたしております。
今後、令和7年度入院外来調査の結果等を踏まえ、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する患者の特性、特定機能病院等が再診患者の逆紹介を行う上での課題や、診療所において病院からの紹介患者を受け入れる上での課題等についてさらに分析を進めることといたしております。
36ページ目をお願いいたします。「13.情報通信機器を用いた診療について」でございます。「13-1.D to Pについて」「13-2.D to P with Dについて」「13-3.D to P with Nについて」「13-4.へき地等におけるオンライン診療」の4つに分けて、オンライン診療に係る報酬の算定状況等を踏まえ、検討いたしております。
今後、オンライン診療による向精神薬の処方実態等を踏まえ、これらのテーマについてさらに分析を進めることといたしております。
38ページ目をお願いいたします。「14.入院から外来への移行について」でございます。短期滞在手術等基本料1・3の算定状況や、医療機関別にみたこれらの対象となる手術の入院と外来での実施割合等のデータを踏まえ、さらなる外来移行の必要性や課題等について議論を行いました。
引き続き、患者年齢等にも着目したさらなる分析を行うことといたしております。
39ページ目をお願いいたします。「15.個別的事項」についてでございます。「15-1.意思決定支援について」、40ページ目に行きまして、「15-2.身体的拘束を最小化する取組について」、42ページ目「15-3.栄養管理体制について」、43ページ目「15-4.リハビリテーションについて」、44ページ目「15-5.食事療養について」、45ページ目「15-6.病院薬剤師について」及び「15-7.ポリファーマシー対策・薬剤情報連携について」、46ページ目「15-8.総合病院精神科について」、47ページ目「15-9.診療科偏在対策について」、49ページ目「15-10.データ提出加算・退院患者調査について」の10のテーマについて議論いたしました。それぞれの詳細の説明は本日は割愛させていただきたいと思います。
私からの説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめ分科会におかれましては、中間取りまとめの作成に御尽力いただきましたこと、お礼申し上げます。
今回の中間取りまとめを拝見いたしますと、次回改定の方向性について踏み込んだ御意見も記載されておりますが、分科会のミッションは、答申書附帯意見等に関する事項について技術的な課題に関して専門的な調査及び検討を行うことでございます。したがいまして、今回頂いた御意見はあくまでも技術的な課題に関する評価・分析として参考とさせていただくものであり、次回改定の方向性については今後総会で議論し、決定していくということにつきまして、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
尾形分科会長をはじめ分科会の皆様には丁寧に御検討いただきまして、ありがとうございました。技術的な課題については引き続き議論をお進めいただきたいと思いますけれども、本日御報告いただいた内容に関する率直な受け止めと、今後、深掘りをぜひお願いしたいことについて、3点コメントしたいと思っております。
1点目は、医療機関機能に着目した地域医療の最適化について一定の方向性が見えてきたように感じております。特に高度な手術等の急性期機能を地域の拠点病院に集約していく流れは、医療全体の効率化だけでなく安全性や有効性の観点で患者にもメリットがあり、さらに医療機関にとっても経営基盤の安定化につながるものと考えております。今後、どのような治療を拠点病院に集約し、逆にどのような治療を身近な医療機関で対応していくのか、より詳細な検討を分科会にはお願いしたいと思います。
2点目は、資料24ページにあります救急搬送の件でございます。分科会の1つ目の御意見に、受入れ側医療機関の評価がないという記載がございますけれども、一方で、その下には、地域包括ケア病棟で転院搬送を受け入れた場合に在宅患者支援病床初期加算の対象としたことには意義があるという記載がございます。こうした、いわゆる下り搬送の受入れに対する評価の在り方を検討することは否定いたしませんけれども、現行でも評価なされているということは事実としてぜひ認識していただきたいと思っております。その上で、今後の議論では、直接の救急搬送と下り搬送で患者の状態、医療資源の投入量にどのような違いがあるのか、実態を丁寧に見る必要があるということを指摘させていただきたいと思います。
最後は、資料の34~35ページにありますかかりつけ医機能についてでございます。報告制度と診療報酬の関係性をどのように考えるかということについて意見が披瀝されておりますけれども、この点については最終的には中医協総会で議論するものだと考えております。この報告制度がいわゆる認定の仕組みでないということは十分理解しておりますが、少なくともかかりつけ医機能の発揮が今後の地域医療にとって極めて重要であるということは認識を共有できると思います。分科会では、かかりつけ医機能の1号機能、2号機能、それぞれについて診療報酬で評価する場合にはどのような点に留意すればいいのかといったところから技術的な観点で検討をぜひ進めていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
私からも尾形分科会長をはじめ分科会の皆様に感謝申し上げます。
今後の検討について3点お願いを申し上げたいと思っております。
最初に、2ページからの「1.急性期入院医療について」は、新たな地域医療構想の検討において急性期医療に関連する機能として、高齢者救急・地域急性期機能、急性期拠点機能、専門等機能などが報告されること、また10ページからの「4.包括的な機能を担う入院医療について」は、急性期一般入院料の病棟、地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟との違い、役割分担も踏まえ、医療機関が担う機能や患者の状態像に応じた機能分化がさらに進むよう検討していただければと考えます。
次に、25ページからの「9.入退院支援について」です。令和6年度改定では入退院支援における関係機関との連携強化の観点から、介護サービス事業者及び障害福祉サービス事業所等との連携を一定程度求める改定が行われました。今後の検討の方向性に、医療介護連携のさらなる推進の観点から、さらに検討を進めるとありますが、介護に加え、障害福祉サービス事業所等との連携についても検討を進めていただければと考えます。
最後、26ページからの「10.働き方・タスクシフト/シェアについて」です。医療職一人一人が専門性を十分発揮できるよう、タスクシフト/シェア、業務負担の軽減と効率化に資するICTの活用を促進し、業務負担の軽減をさらに進めることが重要と考えます。とりわけ看護職員の負担軽減に向けては、夜勤が可能な職員の確保や夜勤者の負担軽減が非常に大きな課題であり、夜勤に関する調査結果も精査すべきという意見も踏まえ、検討を進めていただくようお願いいたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
今、1号側から詳細なコメントも頂きましたけれども、中には相入れない御意見もあったと思いますが、今後、あくまでも入外分科会の取りまとめを参考にしつつ、しっかりと総会であくまでも議論していくという形で御了解いただければと思います。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
それでは、ほかには御発言ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
尾形分科会長、どうもありがとうございました。
冒頭に申し上げましたとおり、ここで総会を中断いたします。そして、費用対効果評価専門部会、保険医療材料専門部会、薬価専門部会、それぞれの審議を行った後に改めて総会を開催したいと思います。
それでは、本日の総会は一時中断いたします。
(後半)
○小塩会長
それでは、総会を開催いたします。
「医薬品の新規薬価収載について」をまず議題といたします。
本日は、薬価算定組織の弦間委員長にお越しいただいておりますので、弦間委員長より御説明をお願いいたします。
○弦間委員長
薬価算定組織の委員長の弦間でございます。
私から今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。
資料「総-2」を御覧いただきたいと思います。
今回報告する新医薬品については1ページに一覧表がありますけれども、8成分10品目でございます。
それでは、算定内容について御説明させていただきます。
まず、1品目目でございますけれども、ベルスピティ錠2mgでございます。2~3ページ目を御覧いただきたいと思います。本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療を効能・効果としており、ゼポジアカプセル0.92mgを最類似薬としました類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。その結果でございますけれども、本剤の算定薬価は2mg1錠4792.80円でございます。
続きまして、2品目目でございます。4~5ページを御覧いただきたいと思います。リアルダ錠600mgでございます。本剤は、潰瘍性大腸炎等を効能・効果としており、リアルダ錠1200mgを最類似薬とした規格間調整により算定いたしました。本剤は小児に係る用法・用量が明示されていることなどを踏まえ、小児加算の10%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は600mg1錠96.10円となりました。
続きまして、3品目目でございます。6~7ページを御覧いただきたいと思います。ウェリレグ錠40mgでございます。本剤は、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍及びがん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌を効能・効果としており、原価計算方式により算定いたしました。本剤はHIF-2α阻害作用を有する新規作用機序医薬品であること、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍の適応症で初めて承認された薬剤であること、本適応に対して初めて全身治療を提供するものであることなどから、画期性加算の75%加算を適用することが妥当と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)の15%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価でございますけれども、40mg1錠2万1916.80円となりました。
続きまして、4品目目でございますけれども、8~9ページ目を御覧いただきたいと思います。アネレム静注用20mgでございます。本剤は、全身麻酔の導入及び維持、消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果としており、アネレム静注用50mgを最類似薬としました規格間調整により算定いたしました。その結果、本剤の算定薬価でございますけれども、20mg1瓶1540円となりました。
続きまして、5品目目でございます。10~11ページ目を御覧いただきたいと思います。エアウィン皮下注用でございます。本剤は、肺動脈性肺高血圧症を効能・効果としており、原価計算方式により算定いたしました。本剤はアクチビン受容体IIAのリガンドに結合する新規作用機序医薬品であること、対象疾病において約10年6か月間、新規の作用機序の新薬収載がないこと、既存の治療方法で効果が不十分な患者群に対し効果が認められたこと、国内ガイドライン等において従来の薬剤に追加して使用する標準療法として推奨されていることから、有用性加算(Ⅰ)の45%加算を適用することが妥当と判断いたしました。また、本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(Ⅰ)の15%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果、本剤の算定薬価は汎用規格で45mg1瓶108万2630円となりました。
続きまして、6品目目でございます。12~13ページを御覧いただきたいと思います。ポムビリティ点滴静注用105mg及びオプフォルダカプセル65mgでございます。両剤は、併用療法として遅発型ポンペ病を効能・効果としており、ネクスビアザイム点滴静注用100mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。その結果、ポムビリティ点滴静注用の算定薬価は105mg1瓶20万4251円、オプフォルダカプセル算定薬価につきましては、65mg1カプセル6038.20円となりました。
続きまして、7品目目でございます。14~15ページを御覧いただきたいと思います。タービー皮下注でございます。本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果としており、テクベイリ皮下注153mgを最類似薬とした類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定いたしました。本剤はGPRC5D受容体を標的とする初めての二重特異性抗体であり、BCMAを標的とするCAR-T又は二重特異性抗体の前治療歴のある患者を対象とした臨床試験においても臨床的意義のある効果が認められていることなどから、有用性加算(Ⅰ)の35%加算を適用することが妥当と判断いたしました。その結果でございますけれども、本剤の算定薬価につきましては、40mg1mL1瓶187万9962円となりました。
以上で私からの説明は終わらせていただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
引き続き、事務局から補足と説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。補足説明をさせていただきます。
先ほどの「総-2」の資料の1ページ目を御覧ください。今回収載予定の新薬のうち、費用対効果評価の対象品目が3品目ございます。まず、3番目のウェリレグ錠及び5番目のエアウィン皮下注用は、いずれも原価計算方式により算定され、原価計算の開示度50%未満の品目でございます。ピーク時の市場規模予測はそれぞれ404億円及び544億円であるため、H1品目に該当いたします。
次に、7番目のタービー皮下注は、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定され、有用性系加算の対象とされた品目でございます。ピーク時の市場規模予測は256億円であるため、H1品目に該当いたします。
次に、令和6年度薬価制度改革でイノベーション評価に関する内容の制度改正を行いましたが、今回の収載品目におきまして該当するものがありましたので、御紹介させていただければと思います。
2番目のリアルダ錠600mgは、5ページ目にあるように小児加算が10%となっております。患者数は限られているところ、小児患者を対象といたしました国内臨床試験を実施していることなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
3番目のウェリレグ錠40mgは、7ページ目にあるように市場性加算(Ⅰ)が15%となっております。患者数は極めて少なく、開発が難しいと想定される中、フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍の適応で初めて承認された薬剤であることなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
5番目のエアウィン皮下注用は、11ページ目にあるように、有用性評価の①-eに該当しております。こちらは令和6年度の制度改革において新しく評価ポイントとして加えたものでございますが、疾患領域で新規の作用機序の品目が長期間収載されていないことを評価したものでございます。また、市場性加算(Ⅰ)が15%となっており、こちらは国内第Ⅲ相試験の速やかな実施などにより、欧米に大きく遅れることなく本邦での承認に至ったことなどから、加算率はこれまでより大きく評価したものでございます。
補足説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
森委員、お願いします。
○森委員
ありがとうございます。
今回示されました薬価収載については異論ありません。その上で、一点確認させていただきたいと思います。
今、薬剤管理官から御説明がありましたけれども、3番目のウェリレグ錠と5番目のエアウィン皮下注について、両剤とも補正加算を見ていただきますと、ウェリレグ錠では画期性加算が75%、市場性加算が15%という非常に高い評価を受けているところになります。ただ、原価計算方式で加算係数がゼロとなっています。ということは、製造原価の開示度が低かったと思っていますが、他社からの製品の場合と同一企業の製品の場合、2つに分けられると思っております。その中で他社からの製品に関しては契約上の問題があって開示ができないということがあると思いますが、そうした契約上の問題で開示ができなかったなど、開示が低かった理由について、もし分かるようであれば教えていただければと思います。
○小塩会長
それでは、事務局、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
ありがとうございます。
お尋ねの2品目につきまして開示度が低い理由につきましては、いずれも当該品目の移転価格による影響が大きいというようなことを聞いております。
○小塩会長
よろしいでしょうか。
○森委員
移転価格による影響で、それで開示ができなかったという理解でよろしいですか。
○清原薬剤管理官
そのとおりでございます。
○森委員
せっかく評価する制度があって、これだけ革新的なものが評価できないというのは非常に残念なことと思っています。まずは企業の努力で、開示度を上げるようにするということと、例えば、他社品の場合と同一企業品の場合で、若干、対応が異なってくるのではないかと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
私もウェリレグ錠についてですが、今、森委員からの質問にお答えがあったように、企業からの原価開示ができていないことから加算がなかったということですが、企業からの不服意見が出ていない理由というのは今の御説明のとおりなのでしょうか。
○小塩会長
事務局、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
不服意見は出ておりません。こちらにつきましては、薬価算定ルールのところで開示度の50%未満につきましては加算がされないというルールになっていますので、申請される企業の方もそれを前提に申請されているということですので、この品目に関してこの点についての不服というのは特にございません。
以上でございます。
○小塩会長
高町委員、いかがでしょうか。
○高町委員
ありがとうございます。
原価計算方式においては、やはり原価の開示度が重要となってくると思います。それが低いということは議論においても問題になると思いますので、この改善については努力していただきたいと思います。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほかに御質問等ございますでしょうか。
松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今、森さんとか高町さんからもありましたけれども、原価計算のものに関して開示度が低いからとなっておりますが、いろいろなものがやはり原因を問い詰めないと、ということになっておりますので、ここはもう少し、先ほどの別の場でも意見を申し上げましたけれども、詰めていかないと、一方で評価されないという話が出ているのに、一方で「評価するのは結構です」になっているわけですね。今のスタンスからすると、企業側は「結構です」を取っているというふうに我々は受け止めざるを得ないので、そういうことに関してもう少し議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
弦間委員長、どうもありがとうございました。
続きまして「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。
本日は、保健医療材料等専門組織の渡邉委員長にお越しいただいております。渡邉委員長より御説明をお願いいたします。
○渡邉委員長
それでは、説明いたします。
「中医協 総-3」の資料を御覧ください。今回の医療機器の保険適用は、C1が1製品とC2が1製品です。
2ページ目を御覧ください。販売名はConamon PVPキットです。5ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、1~3椎体の有痛性の第5胸椎~第5腰椎骨折に対する経皮的椎体形成術に用いて疼痛の軽減を図ることを目的で使用する医療機器です。2ページ目にお戻りください。価格につきましては、類似機能区分比較方式で評価しました。この結果、最終的な価格を1グラム当たり1万9800円といたしました。外国における販売実績がないため、外国平均価格との比はありません。
次に、6ページ目を御覧ください。販売名はサーフローMidelaです。9ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、肘窩を含む上腕の末梢血管から経皮的にアクセスし、上腕の静脈へ挿入留置し、輸血または血液の採取等を行うために用いる医療機器です。6ページ目にお戻りください。価格につきましては、原価計算方式で評価しました。この結果、最終的な価格を5790円といたしました。外国における販売実績がないため、外国平均価格との比はありません。
続きまして、1ページ目を御覧ください。今回の臨床検査の保険適用はE3の3件です。10ページ目を御覧ください。販売名はConcizuTrace ELISAキットです。測定項目はコンシズマブ血中濃度です。測定方法はELISA(定量)です。12ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、血漿中のコンシズマブ濃度の測定を行う臨床検査です。10ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D012(感染症免疫学的検査)66 抗アデノ随伴ウイルス9型(AAV9)抗体 1万2850点」を参考点数とします。
次に、13ページ目を御覧ください。販売名はipsogen IDH1 変異検出キット RGQ「キアゲン」です。測定項目はIDH1遺伝子変異です。測定方法はリアルタイムPCR法(定性)です。15ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、急性骨髄性白血病患者の血液または骨髄穿刺検体から抽出したゲノムDNA中のIDH1遺伝子変異の検出に用いる臨床検査です。13ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D004-2(悪性腫瘍組織検査)1 悪性腫瘍遺伝子検査 イ 処理が容易なもの (1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの 2500点」を参考点数としています。
次に、16ページ目を御覧ください。販売名はエクルーシス試薬β-アミロイド1-42、エクルーシス試薬リン酸化タウ181です。測定項目はリン酸化タウ蛋白/アミロイドβ42比でございます。測定方法は電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)です。18ページ目の製品概要を御覧ください。本品は、脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42の測定及び脳脊髄液中の181位リン酸化タウ蛋白の測定に用いる臨床検査です。16ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D004(穿刺液・採取液検査)15 アミロイドβ42/40比(髄液) 1282点」を参考点数としています。
私から御説明いたします内容は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
渡邉委員長におかれましては、ありがとうございました。
続きまして「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-4 DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を御覧ください。新規に薬価収載された医薬品等につきましては、DPCにおける診療報酬点数表に反映されないことから高額であるために、一定の基準に該当する医薬品等を使用した患者については、入院全体を包括評価の対象外とし、次期診療報酬改定までの間、出来高算定することとしております。この間、新たに効能・効果等が追加された医薬品及び今後薬価収載を予定している医薬品につきまして、以下のリストにあるものについてはこの対象として取り扱うことについてお諮りするものでございます。
資料の説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「保険医が投与することができる注射薬について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-5」を御覧ください。「保険医が投与することができる注射薬の対象薬剤の追加について」でございます。今回、1つの品目につきまして、お諮りいたします。シパグルコシダーゼ アルファでございます。投与間隔や、学会からの要望書が提出されていることなど、これまでの要件を満たすと考えております。本件につきましては、訪問看護等での使用が想定されるということで、処方箋を交付することができる注射薬への追加をお諮りするものでございます。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特に御質問等ないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「令和8年度診療報酬改定におけるDPC制度への参加又はDPC制度からの退出に係る届出の受付期間について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○林医療課長
医療課長です。
「総-6」の資料を御覧ください。診療報酬改定時にDPC制度への参加またはDPC制度からの退出を希望する病院につきましては、現行の通知におきまして、届出様式を診療報酬改定の6か月以前の厚生労働省が定める一定期間を受付期間として提出いただくことと定めております。診療報酬改定時の医療機関群別係数の設定等におきましては、一定の集計作業を行う必要がありますため、令和6年度診療報酬改定、このときは改定が6月でございましたけれども、このときを含めまして、受付期間については9月1日から起算して1か月間とさせていただいております。その上でデータの集計等を行うという作業期間を確保させていただいております。
令和8年度診療報酬改定の施行時期につきましては、令和6年度診療報酬改定を踏襲すれば令和8年6月となりますが、令和8年度診療報酬改定におきましても、改定に向けた作業期間を確保する必要がございます。このため、令和8年度診療報酬改定時にDPC制度への参加またはDPC制度からの退出を希望する病院における届出様式の受付期間につきましては、令和7年9月の1か月間としてはどうかということをお諮りさせていただきます。また、こうした事情については今後も継続するものでございますので、この際、届出に関する通知を改定させていただきまして、この9月1日から1か月間ということを明確に記載させていただいてはどうかと考えております。
説明は以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。太田委員、お願いいたします。
○太田委員
本論ではないのですけれども、今回、概要のところの3つ目に、令和6年度診療報酬改定を踏襲すれば次回改定は令和8年6月1日となるがという表現なのですが、次回の改定の日時というのはまだ決まっていないということなのか、決まっているのか、もし決まっていないとするならば、どこがこれを決める権限があるのかを分かれば教えていただけたらと思いますが。
○小塩会長
太田委員からの御質問ですが、いかがでしょうか。
○林医療課長
ありがとうございます。
まず、踏襲すればという表現でございますけれども、基本的にはこういう方向で作業を進めているということでございます。決めるのも中医協であると考えておりますが、予算編成過程等で様々なことが決まってくる中で最終的には決定されるということだと思いますので、現時点においてはこのような書き方をさせていただいて、6月1日に施行できるように準備を進めていきたいと考えております。
○小塩会長
ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特にほかには御質問等ないようでしたら、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして「費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて」を議題といたします。
本日は、費用対効果評価専門組織の田倉委員長、福田参考人にお越しいただいております。事務局より説明していただいた後に、田倉委員長、福田参考人より御説明をお願いいたします。
それでは、事務局、お願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
5月及び7月の中医協総会において御承認いただきました医薬品の費用対効果評価結果に基づく価格調整について御報告させていただきます。
まず、資料「総-7-1」を御覧ください。フォゼベル錠でございます。5月14日の中医協で承認されました上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映して見直した価格調整の結果を記載しております。
次に、資料「総-7-2」を御覧ください。レクビオ皮下注でございます。こちらも同様に、上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映して見直した価格調整の結果についてお示ししております。
続きまして、資料「総-7-3」を御覧ください。ウゴービ皮下注でございます。こちらも同様に、上の表の費用対効果評価の結果に基づきまして、下の表の改定薬価の欄に患者割合を反映した見直しの価格調整の結果について記載しております。
最後に、資料「総-7-4」を御覧ください。レケンビ点滴静注でございます。1ページ目に7月9日の中医協で承認されました費用対効果評価の結果をお示ししております。2ページ目に「公的医療・介護の立場」と「公的医療の立場」の両方の場合について、価格調整を行った薬価を改定薬価の欄に記載しております。
いずれにつきましても、適用日は令和7年11月1日でございます。
○梅木医療技術評価推進室長
引き続き、事務局、医療技術評価推進室長でございます。
「中医協 総-7-5 レケンビの費用対効果評価に係る『公的医療・介護の立場』の取扱いについて」の御説明をいたします。
まず、2ページに本日の流れを示しております。最初に、事務局から介護費用に関する費用対効果評価制度での議論等について説明した後、公的分析として国立保健医療科学院の福田参考人から具体的な分析内容について、続いて費用対効果評価専門組織の田倉委員長より専門組織での議論について、また最後に事務局よりレケンビの費用対効果評価結果に基づく価格調整について御説明させていただきます。
まず、4ページを御覧ください。我が国の費用対効果評価では、中医協における分析ガイドラインにお示ししてあるとおりでありますが、「公的医療の立場」を基本としております。平成31年の骨子にありますとおり、公的介護費を含めた分析結果については価格調整には用いないとしており、この点については継続的に議論されてきた背景がございます。
7~11ページにかけては、レケンビの費用対効果評価における介護費用に係る議論をお示ししております。
10ページに関しましては、費用対効果評価における介護費用の取扱いに関して指摘された技術的な課題と学術的な課題を示しております。
これらを踏まえまして、12ページにございますとおり、レケンビの費用対効果評価においては、介護費用の取扱いについては介護費用を含めた場合と含めない場合の総合評価案を策定し、中医協総会で議論して評価結果を決定するという扱いとしておるところでございます。
14ページでございます。7月9日の中医協総会で報告させていただきましたレケンビの費用対効果評価の総合評価案を載せております。
15ページは、その際にお示しした内容であります。
16ページに移りまして、その際に総会で頂きました御意見をまとめております。1つ目の丸にありますとおり、費用対効果評価における介護費用とは何を示しているのか、下から3つ目の丸に示している、公的介護の立場を含める場合にどのような費用をどのように考慮したか、具体的に整理し、その手法が技術的に確立されたものなのか、まだ試行錯誤の段階なのかについて説明いただきたいといった点でございますとか、一番下の丸にございますとおり、介護費用の軽減効果を医療保険の財源で評価することについては公的医療保険の哲学そのものに関わるのではないかといった御意見を頂いております。
これらを踏まえまして、介護費用を含めた分析の詳細につきましては、公的分析を取りまとめる立場として国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センター、センター長であります福田参考人より報告させていただきます。
福田参考人、よろしくお願いいたします。
○福田参考人
国立保健医療科学院の福田でございます。
それでは、今回実施いたしましたレケンビの費用対効果評価における介護費用の分析方法等について御説明させていただきます。
資料の19ページをお願いいたします。本制度におきましては、分析は中央社会保険医療協議会における費用対効果評価の分析ガイドラインに従って行うと定められております。分析ガイドラインにおきまして、公的医療保険制度の範囲で実施する「公的医療の立場」が基本となっておりますが、公的介護費への影響が大きい場合には「公的医療・介護の立場」の分析を行うことができるということで、今回初めてこの分析が行われたというものでございます。「公的医療・介護の立場」においては公的介護費を含める追加分析を実施すべきとされております。公的介護費という中身ですが、公的介護保険サービスにかかる費用が含まれるということでございます。
20ページに具体的内容を書いておりますけれども、ガイドラインに従って、企業分析、公的分析ともに介護保険サービスの費用を介護費用として分析いたしました。介護保険で提供されていないサービスについては含まれていないということでございます。
21ページは、参考までに介護保険によって含まれる内容でございます。
22ページを御覧ください。この分析ですが、アルツハイマー病の病態が軽度認知障害(MCI)から軽度認知症、中等度、重度というふうに進行していくことが想定されております。このため、各段階でかかる介護費用の集計においてはアルツハイマー病の重症度別の介護費用を推計する必要がございます。
23ページを御覧ください。これに対しまして、企業分析で御対応いただいたものですが、実はアルツハイマー病の重症度別の介護費用のデータという既存のものは存在しなかったということでございます。これは我々のほうで確認しております。そこで、企業に工夫していただいて、以下のようなやり方でデータを御提出いただきました。
まず、アルツハイマー病患者の要介護度別の介護費を九州大学のLIFE studyというデータを用いて分析していただいております。ただ、LIFE studyのデータには、CDRとかMMSEといいますアルツハイマー病の重症度に関するデータが含まれていないということから、重症度別の介護費を出すために、先行研究において認知症の重症度別の要介護度分布を調べたものがございますので、これを使用して分析していただいたということでございます。
結果として製造販売業者は、このデータを使って、重症度を区別していない要介護度別の介護費と先行研究によって病態を区別していない認知症の重症度別要介護度分布を組み合わせることで重症度別の介護費を推計しているということでございます。
24ページをお願いします。これに対しまして、公的分析では、データソースといたしましては、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)と介護DBの連結データを用いるというアプローチを取りました。これは代表する項目があると考えたためです。この2つをID4によって連結して、一対一で結合可能であったデータを使用しております。ただ、このデータにおきましても、CDRやMMSE等のアルツハイマー病の重症度に関するデータが含まれていません。これは企業の分析と同様でありますので、我々も企業と同じように先行研究を用いて分析しているということでございます。
我々が試みた分析では全てのデータ連結はできなかったというのが実態でございます。さらに、医療機関で診断を受けていない軽度の認知症あるいは認知障害、あるいは要支援・要介護というような介護認定を受けていない対象者はもちろん含まれないということになります。結果としては、企業分析と公的分析の要介護度別の介護費用には大きな違いがなかったということを確認いたしております。それを踏まえて、公的分析としては、今回は介護費用についての企業分析が妥当ではないとは言えないと考えまして、企業分析の分析結果を受け入れたということでございます。
ただし、要介護度の状態とかかる費用、この関係を考えるのは非常に難しいところでありますので、軽度の認知障害あるいは軽度認知症患者が認知症の症状のみで施設に入所するということは想定されないと考えるため、この部分の費用は除外して分析したという状況でございます。
26ページをお願いいたします。これについては諸外国ですけれども、イギリスではNICEという組織においてレケンビの評価に取り組まれているところであります。こちらにおいてもソーシャルケアコスト、日本で言うところの介護費用に相当するものと理解しておりますけれども、この部分を先行研究に基づいて、これは実際にそのときにやったということではなくて文献に基づいて推計するということで含まれて実施されております。
続きまして、関連するところなのですが、介護者のQOLについて御紹介したいと思います。28ページをお願いいたします。分析ガイドラインにおきまして「公的医療・介護の立場」を取る場合には、インフォーマルケアの介護負担について、分析ガイドライン上でアウトカム(QALY)のほうで評価するという形になっております。下に考え方を示しましたけれども、インフォーマルケア、家族等がケアしている場合に介護者のQOLは介護を行っていない人よりも低下するだろうと考えられます。一方で、インフォーマルケアの費用については公的な介護保険の費用に含まれておりませんので、費用によっては評価されないということになります。そこで、介護負担の軽減により生じるQALYを患者自身のQALYに足し合わせるという形でアウトカムの一部として評価する考え方があり、諸外国でも取り組まれていることでございます。これについての研究班での検討を踏まえた上で、現在の分析ガイドラインにはこれが可能という形で位置づけられておりますので、そのような扱いになっています。ただし、介護負担の軽減により生じるQALYの計算方法については様々な考え方があるというのが実情でございます。
29ページは介護負担の軽減により生じるQALYの概念図でございます。
30ページを御覧ください。ここに対して企業分析では、患者QOLについてはピボタル試験(臨床試験)で収集したQOL値を用いており、公的分析でも同じものを使っています。介護者のQOLについても臨床試験でやはり測定されておりましたので、この値を使っているということでございます。
企業分析におきましては、介護負担の軽減により生じるQALYを介護者のQOL値(絶対値)と各状態の期間を掛け合わせることによって推計して、これを患者死亡時まで加算して得られた介護者のQALYとして、レカネマブ群と比較対照群における介護者のQALYの差として評価していくというアプローチを取っております。下がイメージ図でございます。
これに対しまして、31ページ、公的分析のほうになりますけれども、患者及び介護者のQOL値については企業と同じ臨床試験のデータを使っているものでございます。ただし、公的分析では両群で統計学的な差はありませんでしたので、まとめた値を使用しております。
また、企業分析では、介護者のQOL値(絶対値)と各状態の期間を掛けたという計算をしているのですが、これで計算しますと、患者死亡後に介護者のQALYもゼロになってしまうという構造になっておりますので、患者の生存時間を延長する、この薬によって期待される部分ですけれども、その扱いについては適切ではないというふうに公的分析では判断いたしました。そこで、公的分析では、各状態、患者の重症度における介護者のQOLの差を介護負担と捉え、その影響の差分を足し合わせて介護負担の軽減により生じるQALYという形にいたしました。
参考でイギリスのものは32ページにあります。同様なアプローチが取られているものでございます。
まとめて数値的なところになりますが、34ページを御覧ください。立場によってどのくらいの数値の差が出るかということなのですが、赤枠に囲まれている部分が「公的医療の立場」、つまり公的保険における医療費と患者のQOLのみを考慮したものでございます。これに対して介護者のQOLを足すことによって僅かに増分QALYが増えます。また、介護費については、本剤を使うことによってマイナス、多少減少するという推計になっておりますので、このような値になっております。これをICERという形で計算しますと35ページになります。
35ページは、アルツハイマー病における軽度認知障害(MCI)のほうですけれども、「公的医療の立場」と比べて「公的医療・介護の立場」ですと、増分QALYが僅かに増えて増分費用は僅かに減少する。これは介護費用の減少分があるからということなので、ICERとしては若干小さな値になるという結果でございます。
36ページは、軽度認知症のほうですけれども、こちらも同様で、増分QALYは「公的医療・介護の立場」の場合には僅かに増えて増分費用が減るということで、ICERの数字が改善しているという状況でございます。
併せまして38ページになりますが、今回、実際にデータを分析させていただいて生じた課題について1枚にまとめました。今回、LIFE study、企業がやった分析、あるいは我々がやったNDBと介護DBの連結データにおきまして、アルツハイマー病の対象者を特定することはできたという状況でございます。ただし、途中で申し上げたとおり、CDRやMMSEといった認知機能検査指標は含まれていないため、重症度別の介護費という分析はできなかったという状況でございます。これについてはほかの過去の研究等を使って推計したということですので、本来こういうものがデータに含まれていると、かなり充実した適切な分析ができるのではないかと思っています。また、家族介護者のQOLにつきましては、正直なところ、まだ学術的に確立されたコンセンサスは存在していないかと、やり方については引き続き検討が必要ではないかと考えた次第です。
私からは以上でございます。
○梅木医療技術評価推進室長
福田参考人、ありがとうございました。
続きまして、費用対効果評価専門組織での議論につきましては、専門組織委員長であります田倉委員長より御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田倉委員長
費用対効果評価専門組織委員長の田倉です。よろしくお願いいたします。
40ページ目を御覧ください。令和6年3月の費用対効果評価専門組織で分析枠組みを決定いたしました。その際、製造販売業者が希望したため、公的医療と介護の立場の分析も行ってもよいといたしました。令和7年1月には、企業分析に対して公的分析がレビューを行い、大きく4つの論点が指摘され、公的分析による再分析の実施が妥当であると決定いたしました。これに対して製造販売業者からは、指摘された論点について不服の申立てがあり、改めて専門組織で議論させていただきました。
41ページ目を御覧ください。4月の専門組織では、公的分析による再分析について議論を進め、レカネマブの有効性に関する推計、患者及び家族介護者のQOL値の設定、費用の推計方法及び分析モデルの再構築について、公的分析の結果が妥当であると決定いたしました。この決定に対して製造販売業者より不服申立てがあり、専門組織において再度各論点について議論を行い、公的分析が妥当であると結論づけました。
42ページ目を御覧ください。介護費用に関する専門組織での決定事項になります。費用の推計については、軽度認知障害、軽度認知症患者における施設入所費用を公的介護費から除外したという公的分析の判断は妥当であると決定いたしました。また、家族介護者のQOL値の決定について、2ポツにあるとおり「現実的な設定をした」という公的分析の説明に専門組織として同意いたしました。これらを踏まえて、総合的評価について専門組織では公的分析が妥当であると結論づけました。
43ページ目を御覧ください。今回の分析で新たに生じた課題について専門組織の立場からお示しいたします。介護費用については、分析ガイドラインにのっとって「公的医療・介護の立場」で公的介護費用を含めた分析を行いましたが、仮定や推計を重ねたものであったこと、また、家族介護者のQOL値については、介護負担軽減により生じるQALYの計算方法に関わり、学術的に確立されたコンセンサスは現時点では存在しないことなどが課題と考えております。
専門組織からの説明は以上となります。
○梅木医療技術評価推進室長
田倉委員長、ありがとうございました。
最後に、事務局よりレケンビに係る分析の立場と価格調整の決定について御説明いたします。
45ページ、最後のスライドを御覧ください。現状と課題としまして、1ポツにありますように、我が国の費用対効果評価制度では、公的医療保険の範囲で実施する「公的医療の立場」を基本としてきました。レケンビの費用対効果評価について、「公的医療・介護の立場」の分析結果を含む総合的評価案を中医協総会に提出いたしました。分析を通じて、事前に指摘されていた課題に加えまして、お示ししている課題が明らかとなりました。
これらを踏まえまして、下の対応案に移りますが、費用対効果評価制度における介護費用の取扱いにつきましては、今後の費用対効果評価専門部会において、引き続き議論を進めていくこととしてはどうか、今回のレケンビにおける費用対効果評価においては、上記のような課題があることも踏まえると、基本としている「公的医療の立場」ではなく「公的医療・介護の立場」を採用すべきとは言えないことから、「公的医療の立場」の費用対効果評価結果に基づく価格調整の改定薬価を採用してはどうかとしております。
事務局からの御説明は以上となります。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
最初に、江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
ありがとうございます。
45ページの対応案についてコメントさせていただきます。
まず、1つ目の丸につきまして、今回示された分析結果によりまして、介護費用の取扱いについてはまだ様々な課題があることが分かります。そもそも我が国には確固たる介護保険制度があり、諸外国を参考にするより、我が国独自のモデルも考えていくべきと思います。また、介護者の負担軽減についてQALYの評価とすべきかどうかも検討の余地があるのではないかと思っております。現状、介護保険の通所サービスやショートステイは介護者のレスパイトとセットになってもいます。また、例えば介護保険の通所サービスを使う場合には費用がかかりますし、市町村の地域支援事業の総合事業とか通いの場を活用すると費用は発生しません。そういった差異もありますので、いろいろ検討が必要と思います。したがいまして、費用対効果における介護費用の取扱いについての考えは、具体的な例を積み重ねながら、中医協において丁寧かつ詳細に整理していくとともに、学術的な研究や分析を引き続き続けていく必要があろうと思っております。こうしたことを踏まえますと、費用対効果評価において介護費用を考慮することは現時点ではまだまだ課題が多く、解決までの道のりは長いものと考えております。
以上により、2つ目の丸に提案されているとおり、レケンビにおける費用対効果評価においては「公的医療の立場」の費用対効果評価結果に基づく価格調整の改定薬価を採用するという事務局案に賛同いたします。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
45ページの対応案についてコメントさせていただきたいと思います。今、江澤委員からありましたけれども、介護費用の取扱いについては学術的に確立されたコンセンサスは存在しないとの指摘があります。今回を契機に、費用対効果評価制度での取扱いとともに、学術的に確立していくための検討や研究の継続も必要と考えます。また、レケンビの価格ですけれども、今回「公的医療の立場」ということで示された価格で対応することでよいのではないかと考えます。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
ありがとうございます。
まず、福田先生におかれましては、詳細な説明、また費用対効果評価専門組織での非常に丁寧な議論についてもお礼を申し上げたいと思います。
今、お二人の委員からもありましたけれども、資料「総-7-5」の45ページに示されておりますとおり、レケンビの費用対効果評価に関わる介護費用の取扱いにつきましては、分析方法についてまだまだ学術的に確立されていないということでございますので、事務局から示された対応案に異論はございません。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
鳥潟委員、お手が挙がっておりますので、お願いします。
○鳥潟委員
ありがとうございます。
レケンビに関してですが、整理していただいた課題があることを踏まえ、今回、費用対効果評価について介護費用の取扱いを含めないこととすることに異論はございません。介護費用の取扱いにつきましては、引き続き、データの集積や研究の進展を待って改めて検討するのが現実的ではないかと考えております。一方、公的分析においては、NDBと介護DBの連結データが活用できなかった点につきまして、現在、医療分野も介護分野もDXを推進していますので、そこで得られたデータが様々な研究にも活用できるようになっていくことを期待しております。
以上です。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
高町委員、お願いいたします。
○高町委員
ありがとうございます。
レケンビの費用対効果評価は、ICERが500万/QALYとなる仮の価格と見直し前の価格の差額の25%を調整額とするとなっていると思います。下げ止めは85%が下限となっていますので、レケンビの費用対効果評価ではこの下げ止めの85%が適用されるかと思います。それにより、例えば200ミリグラムであれば4万5777円のレケンビは、本来ならば1万円台まで下がるところが、下げ止めの適用によって3万8910円にとどまると理解しています。あらかじめ決められたルールに従ったこの価格設定に異論はありません。しかし、今後、今回下げ止めとなり、引下げ猶予となった部分も加味した再評価、価格調整も検討されるべきだと考えていますので、御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、ほかに特に御質問ないようですので、本件につきましては、事務局から出された対応方針でということで、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○小塩会長
ありがとうございます。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
田倉委員長、福田参考人、どうもありがとうございました。
続きまして「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
資料「総-8」の2ページを御覧ください。アルツハイマー病治療薬につきましては、令和5年11月の中医協におきまして、レケンビ点滴静注の薬価収載に当たって「高額医薬品(認知症薬)に対する対応について」が取りまとめられ、その後、ケサンラ点滴静注液の薬価収載に当たって、今後開発される類似薬も含めた取りまとめがなされております。
3ページ目を御覧ください。今回、レケンビの薬価収載から18か月が経過したことから、この取りまとめに基づき、レケンビ及びケサンラについて使用実態の変化等における市場規模への影響、薬価・価格調整に関する対応の必要性等について御報告いたします。
まず、4ページ目でございますが、こちらが全症例を対象とした調査についてのものでございます。
次に、5ページ目は、投与期間、累計患者数についての資料でございます。薬価収載後、レケンビ及びケサンラの効能・効果、用法・用量、最適使用推進ガイドラインの要件に変更はなく、投与期間に関する要件の変更もございません。また、累計患者数につきましても、レケンビは収載2年度末時点で約7400人、ケサンラは収載から半年時点で約1780人と、収載時の予測と比べて大幅な増加は見られておりません。
次に、6ページは提供可能な医療機関の体制等につきまして、7ページ目は実施可能な検査方法等の拡充についての資料でございます。
8ページ目を御覧ください。今回の御報告といたしまして、レケンビ及びケサンラ、いずれにおきましても、使用実態の変化、患者当たりの投与期間の増加はなく、投与患者数等は薬価収載時の予測と比べて大幅な増加は認められません。したがいまして、市場規模の大幅な拡大も認められなかったというものでございます。
今後の対応といたしましては、引き続き、高額医薬品(認知症薬)に対する取りまとめに基づきまして、全症例を対象とした調査の結果等を注視し、使用実態の変化等が生じた場合等には速やかに中医協総会に報告の上、これらの医薬品の薬価・価格調整等に関する対応の必要性について検討してまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。
江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
8ページの今後の対応に賛同いたします。
以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
ありがとうございます。
4ページ目に調査目的、また調査結果が示されていますが、この中でARIAの出現等に関してということも入っているのですけれども、市販後のリアルワールドでのARIAの発現の有無や副作用の状況がどうだったのか、また、未知のリスク等の安全性について問題がなかったのかなど、もし情報があれば教えていただきたいと思います。
○小塩会長
事務局、御質問ございましたが、いかがでしょうか。
○清原薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
市販後におきましても、レケンビ、ケサンラともARIAの発現は報告されている状況でございます。ただ、収載後から現時点まで添付文書の使用上の注意の改定はございません。また、現時点において市販後の副作用情報等の状況から、新たな副作用に対する安全対策を講じるような報告は受けていないと承知しております。
以上でございます。
○小塩会長
森委員、いかがでしょうか。
○森委員
ありがとうございます。
使用実態の変化が生じず、当初の施設、患者数の予測とかけ離れておらず、今、回答いただいたとおり、特段安全性に問題がなかったようであれば、今後の対応案について異論ありません。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
ありがとうございます。
投与施設数、投与患者数、市場規模のいずれもおおむね想定どおりということでございますので、安全性を含めて医療現場で適切に対応されたものと受け止めております。引き続き、ケサンラを含めまして、認知症全体の市場動向も把握した上で適切なタイミングで中医協に御報告をお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員
ありがとうございます。
8ページの今後の対応につきまして、異論はございません。その上で、レケンビ点滴静注を投与した全症例を対象とした調査結果等を注視するとありますように、患者の状況を長期的に見た上で検討していくことが重要と考えます。
私からは以上です。
○小塩会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかに御質問等ないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
本日の議題は以上です。
次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。