2025年3月4日 薬事審議会 指定薬物部会 議事録
日時
令和7年3月4日(火)10:00~
出席者
- 出席委員(10名)五十音順
 - 
		
- 青山久美
 - ◎池田和隆
 - 北中純一
 - 髙野博德
 - 田中理恵
 - 出水庸介
 - 新田淳美
 - ○舩田正彦
 - 松本俊彦
 - 丸井一弘
 
(注)◎部会長 ○部会長代理
 - 欠席委員(1名)五十音順
 - 
		
- 合川勇三
 
 
行政機関出席者- 
		
- 城克文 (医薬局長)
 - 佐藤大作 (大臣官房審議官)
 - 小園英俊 (監視指導・麻薬対策課長) 他
 
 
議事
○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「令和6年度第5回薬事審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。委員の先生方には、大変御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日はWeb併用開催でございますが、池田部会長、舩田委員、田中委員には会場にお越しいただいております。現在のところ、当部会の委員数11名のうち、御出席の予定と伺っておりますが、合川委員と青山委員がまだWebのほうに入られておりませんけれども、9名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
初めに、一つ報告をさせていただきます。先般の薬事審議会委員の改選に伴い、本年1月27日に薬事審議会の総会が開催されたところでございます。本部会に関しましては、委員の交代はございませんことを御報告申し上げます。改選後、最初の指定薬物部会でございますので、特に御留意いただきたい事項などについて、事務局より御説明をさせていただきます。
○事務局 それでは、本部会への御参加に当たりまして、留意事項を3点ほど、改めて御説明させていただきます。資料フォルダにある薬事審議会規程も併せて御覧ください。それでは、3点、御説明します。
第一に、守秘義務の関係でございます。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきまして、漏らすことのないよう、お願いいたします。
第二に、薬事に関する企業等との関係でございます。薬事審議会規程の7ページを御覧ください。第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますよう、お願いいたします。
第三に、薬事審議会の審議事項でございます。薬事審議会規程の5ページを御覧ください。第3条第14項に指定薬物部会の所掌について、「指定薬物部会は、法第2条第15項の規定による指定薬物の指定に関する事項を調査審議する」と規定されております。次に6ページを御覧ください。第7条に部会の議決について、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして審議会があらかじめ定める事項に該当するものについては、会長の同意を得て、当該部会の議決をもって審議会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であると決定され、決定がなされた場合はこの限りではない」と規定されております。この但し書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、審議会において御審議をお願いすることとなります。
委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただくようお願いいたします。以上になります。
○監視指導・麻薬対策課長 続いて、本部会の部会長ですが、1月27日に開催された薬事審議会において選出が行われております。この指定薬物部会については池田委員が部会長に選出されておりますので、御報告を申し上げます。では、最初に池田部会長から一言御挨拶をお願いいたします。
○池田部会長 おはようございます。東京都医学総合研究所と国立精神・神経医療研究センターにクロスアポイントメントで務めております池田和隆でございます。前期に引き続きまして、今期の部会長として務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。指定薬物部会という、国民の健康を守るための重要な審議に皆様方と一緒に関われることを大変光栄に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。続いて、部会長代理については、薬事審議会令第6条第5項の規定に基づき、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされていまして、部会長から御指名いただくことになっております。池田部会長、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 引き続き舩田委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいようですので、それでは、舩田委員にお願いいたしたいと思います。どうぞ部会長代理の席に移動をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 舩田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力や干渉、被害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。それでは、以後の議事進行は池田部会長にお願いをいたします。
○池田部会長 それでは、本日の部会資料、確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しましては、事前に各委員宛てに送付しております。また、会場出席の委員はタブレットにて御確認をお願いします。三つのフォルダ、資料フォルダ、文献フォルダ、参考資料フォルダを搭載しております。資料フォルダには、No.1、No.2、No.3、それから、先ほど御説明した薬事審議会規程をフォルダのほうに入れさせていただいております。文献フォルダとしましては、文献1~12、参考資料フォルダには、参考資料No.1~3をフォルダのほうに搭載しております。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有いたしますので、併せて御覧ください。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は指定薬物の指定についてです。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料を御覧ください。資料No.1は本日審議いただく3物質の名称、構造式、通称名等を記載しています。資料No.2は御審議いただく3物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表としてまとめています。資料No.3は審議物質の動物実験の結果等について、取りまとめたものです。
それでは、LSD系化合物である審議物質マル1について説明します。資料No.2の1ページ、2-1を御覧ください。資料No.2-1にはLSD系である審議物質マル1、通称名1S-LSD及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響、首振り反応試験等のデータをまとめています。1S-LSDは、行動及び症状観察や首振り反応・累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用が類推されることを確認しています。資料No.2-1は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページを御覧ください。1S-LSDは、指定薬物である1V-LSDと構造が類似する化合物です。続いて、2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに1S-LSDを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、3ページ、4ページの表1~3に1S-LSDに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、5ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで写真と併せて、実際の動画とともに御確認ください。動画は四つあります。少々お待ちください。では、進めさせていただきます。これは10mg/kg投与群の投与後約10分経過したマウスですが、スニッフィングを繰り返し、自発運動は低下することが確認されました。これは10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、せわしなく立ち上がり、網蓋につかまる動作を繰り返すことが確認されました。これも10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、自発運動が低下し、スニッフィングやしゃっくり様の動きを繰り返すことが確認されました。これは10mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、腹ばいでスニッフィングとしゃっくり様の動きを繰り返すことが確認されました。動画は以上です。
続いて、6ページ、(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。立ち上がり回数は、測定開始10~40分で増加傾向が見られましたが、いずれの項目も有意な差は見られませんでした。
続いて、7ページ、(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1S-LSD約10mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹を用い、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては増加作用が確認されました。
続いて、8ページ、(4)には首振り反応試験における首振り回数の経時変化と、累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、1.1mg/kg投与群においては15分~30分の間に増加し、3.3mg/kg投与群においては10分~15分の間に増加、以降は横ばい傾向でした。10mg/kg投与群においては、5分~15分の間に増加し、以降は減少傾向が認められました。また、累積首振り回数は3.3mg/kg投与群、10mg/kg投与群では15分~30分において対象群に比べ有意に増加しました。
続いて、9ページの(5)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。いずれの値も算出されませんでした。
続いて、(6)1S-LSDのマウス体内での代謝についてですが、本審議物質1S-LSDは体内で代謝されるプロドラッグ型のLSD化合物と考えられることから、マウスに投与後、その血清を採取し、LC-MS/MSによって分析しました。10ページの図4、赤枠で示しているとおり、マウス体内ではその代謝物である麻薬LSDが検出されることが明らかとなっています。
以上の結果から1S-LSDは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められていること、マウス体内での代謝データなど、中枢神経系への作用を科学的に類推することができることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(7)海外での流通事例についてですが、ドイツでの流通が確認されています。また、海外での規制状況については、スイスでの規制が確認されています。審議物質マル1は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2024年7月に1件、2025年2月に5件あります。いずれも紙片として検出されています。紙片なので柄がいろいろありまして、片面だけにプリントされているもの又は裏面にもプリントされているもの、図柄というものもカラーの図柄であったり、構造式であると考えるものが一部見えていたり、また1S-LSDという文字が印刷されていたりするものがありました。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方、改めまして御意見を頂きたいと思いますがいかがでしょうか。症状も出ていますし、受容体へのアフィニティはありませんが、プロドラッグということで生体内でLSDになることも分かっています。指定することが妥当のようにも思いますが、いかがでしょうか。
それでは、特に御異論がないようですので、ありがとうございました。審議をまとめたいと思います。ただいま、御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。オンラインの方、挙手をお願いいたします。挙手ボタンを押していただけると有り難く思いますが。
○事務局 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員 ちょっとお待ちください。できました。
○事務局 続きまして、ニタゼン系化合物である審議物質マル2について、説明します。資料No.2の2ページ、2-2を御覧ください。資料No.2-2はニタゼン系合成オピオイドである審議物質マル2Protonitazepyneと、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験でのデータをまとめています。
審議物質マル2であるProtonitazepyneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2-2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の11ページを御覧ください。Protonitazepyneは、指定薬物であるメトニタゼピンと構造が類似する化合物です。
続いて、12ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにProtonitazepyneを0.2、1、3mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、13ページ、14ページの表1~3に、Protonitazepyneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を15ページに載せています。
ここで写真と併せて実際の動画も確認ください。動画は三つあります。これは0.2mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、かかとを上げた旋回歩行及び挙尾反応が認められることが確認されました。これは3mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、壁に寄り掛かる不安定な異常姿勢や旋回歩行、眼球の色が暗いことが確認されました。これは3mg/kg投与群の投与後120分経過したマウスですが、腹ばいの旋回歩行や、ときおり静止、眼球の白濁が確認されました。動画は以上です。
続きまして、16ページ(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにProtonitazepyneを1mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しています。総運動量、大きい運動量、総移動距離は有意に増加し、立ち上がり回数は有意に減少することが確認されました。
続いて、17ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Protonitazepyne約1mg/kg腹腔内投与群マウス6匹、コントロール群マウス6匹を用いてモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
続いて、18ページ(4)を御覧ください。Protonitazepyneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しています。μ受容体のEC50は9.21×10-10Mでした。以上の結果からProtonitazepyneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において、有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、海外での流通事例についてですが、欧州やカナダ、アメリカで流通が確認されています。また、海外での規制状況については、アメリカ、ハンガリー、スウェーデンで規制されていることを確認しています。審議物質マル2は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。オンラインの先生方もミュートを外して御発言いただければと思います。非常に強力なμオピオイド受容体のアゴニスト活性を持っているということで、症状もはっきり出ていますので、指定するのが妥当のように思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめさせていただきたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手をお願いいたします。
○事務局 続きまして、トリプタミン系化合物である審議物質マル3について説明します。資料No.2の3ページ、資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、トリプタミン系である審議物質マル3、通称名MPT及びこれらに構造が類似する指定薬物について、行動観察結果、モノアミントランスポーター阻害活性等のデータをまとめております。
MPTは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響についても、過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しております。資料No.2-3の説明は以上です。
次に、資料No.3の19ページを御覧ください。審議物質MPTですが、指定薬物であるMETと構造が類似する化合物です。
続いて、20ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMPTを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、21、22ページの表1~3にMPTに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、23ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は二つあります。これは100mg/kg投与群の投与後約15分経過したマウスですが、活動量が少なく、腹ばい姿勢で、しゃっくり様の動きや、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。これは更に約60分経過したマウスですが、同じく活動量が少なく、しゃっくり様の動きや、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。動画は以上になります。
続いて、24ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。全ての項目で測定期間中、対照群と比べ有意な差は見られませんでした。
続いて、25ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。MPT約27mg/kg経口投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンで有意に増加することが確認されました。
26ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、9mg/kg投与群において、5分までに首振り回数が増加したが、15分まで減少傾向が認められました。また、累積首振り反応数は、9mg/kg投与群では全ての時間において、3mg/kg投与群では、5、10、20分で、1mg/kg投与群では、5分において対照群に比べ有意に増加しました。
続いて、27ページの(5)MPTのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。
結果は、表4及び28ページの図4のとおり、MPTのノルアドレナリントランスポーターに対するIC50は、9.0×10-5Mでコカイン塩酸塩の約33倍、ドパミントランスポーターに対するMPTのIC50は、7.6×10-5Mでコカイン塩酸塩の約32倍、セロトニントランスポーターに対するMPTのIC50は、1.1×10-5Mでコカイン塩酸塩の約5.0倍でした。
続いて、29ページの(6)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。MPTは、ヒトセロトニン2A受容体で3.92×10-8M、2C受容体で6.35×10-8mol/Lでした。
以上の結果から、MPTは、モノアミントランスポーターに対する阻害作用の結果及び受容体親和性評価の結果において有意な結果が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき、指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、海外の流通状況についてです。カナダでの流通が確認されています。また、海外での規制状況については、イギリス、ドイツで規制されていることを確認しております。審議物質マル3は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2022年2月に白色粉末として1件検出されています。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは委員の先生方に、改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがですか。症状も出ておりますし、モノアミントランスポーターへの作用、また、セロトニン受容体への作用等も確認されておりますので、指定することで問題ないように思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 □□ですけれども。
○池田部会長 □□先生、お願いします。
○□□委員 今回、29ページにフマル酸塩をあえて括弧付きで書かれているのですけれども、これは「塩」だと、別に水に溶ければ「塩」は外れると思いますが、フマル酸塩のみを指定されるという考え方でいいのかを教えていただけますか、お願いします。
○事務局 指定薬物としては、MPT及びその塩類という形での指定ということになります。
○□□委員 分かりました。今回これはモル濃度をちゃんと出すためにフマル酸塩とあえて書かれているということで理解いたしました。
○事務局 おっしゃるとおりでございます。
○□□委員 ありがとうございます。
○池田部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。特にないようですので、それでは審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手のほうをよろしくお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果について、次回開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は終了いたしました。事務局から、次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程につきましては正式に決まり次第、改めて御連絡いたします。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして、薬事審議会令和6年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
初めに、一つ報告をさせていただきます。先般の薬事審議会委員の改選に伴い、本年1月27日に薬事審議会の総会が開催されたところでございます。本部会に関しましては、委員の交代はございませんことを御報告申し上げます。改選後、最初の指定薬物部会でございますので、特に御留意いただきたい事項などについて、事務局より御説明をさせていただきます。
○事務局 それでは、本部会への御参加に当たりまして、留意事項を3点ほど、改めて御説明させていただきます。資料フォルダにある薬事審議会規程も併せて御覧ください。それでは、3点、御説明します。
第一に、守秘義務の関係でございます。国家公務員法第100条におきまして、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密につきまして、漏らすことのないよう、お願いいたします。
第二に、薬事に関する企業等との関係でございます。薬事審議会規程の7ページを御覧ください。第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性、公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますよう、お願いいたします。
第三に、薬事審議会の審議事項でございます。薬事審議会規程の5ページを御覧ください。第3条第14項に指定薬物部会の所掌について、「指定薬物部会は、法第2条第15項の規定による指定薬物の指定に関する事項を調査審議する」と規定されております。次に6ページを御覧ください。第7条に部会の議決について、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして審議会があらかじめ定める事項に該当するものについては、会長の同意を得て、当該部会の議決をもって審議会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であると決定され、決定がなされた場合はこの限りではない」と規定されております。この但し書きにありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、審議会において御審議をお願いすることとなります。
委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただくようお願いいたします。以上になります。
○監視指導・麻薬対策課長 続いて、本部会の部会長ですが、1月27日に開催された薬事審議会において選出が行われております。この指定薬物部会については池田委員が部会長に選出されておりますので、御報告を申し上げます。では、最初に池田部会長から一言御挨拶をお願いいたします。
○池田部会長 おはようございます。東京都医学総合研究所と国立精神・神経医療研究センターにクロスアポイントメントで務めております池田和隆でございます。前期に引き続きまして、今期の部会長として務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。指定薬物部会という、国民の健康を守るための重要な審議に皆様方と一緒に関われることを大変光栄に思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 ありがとうございます。続いて、部会長代理については、薬事審議会令第6条第5項の規定に基づき、「部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされていまして、部会長から御指名いただくことになっております。池田部会長、御指名のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 引き続き舩田委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいようですので、それでは、舩田委員にお願いいたしたいと思います。どうぞ部会長代理の席に移動をお願いいたします。
○監視指導・麻薬対策課長 舩田委員、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して、外部からの圧力や干渉、被害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。それでは、以後の議事進行は池田部会長にお願いをいたします。
○池田部会長 それでは、本日の部会資料、確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しましては、事前に各委員宛てに送付しております。また、会場出席の委員はタブレットにて御確認をお願いします。三つのフォルダ、資料フォルダ、文献フォルダ、参考資料フォルダを搭載しております。資料フォルダには、No.1、No.2、No.3、それから、先ほど御説明した薬事審議会規程をフォルダのほうに入れさせていただいております。文献フォルダとしましては、文献1~12、参考資料フォルダには、参考資料No.1~3をフォルダのほうに搭載しております。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有いたしますので、併せて御覧ください。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は指定薬物の指定についてです。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料を御覧ください。資料No.1は本日審議いただく3物質の名称、構造式、通称名等を記載しています。資料No.2は御審議いただく3物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表としてまとめています。資料No.3は審議物質の動物実験の結果等について、取りまとめたものです。
それでは、LSD系化合物である審議物質マル1について説明します。資料No.2の1ページ、2-1を御覧ください。資料No.2-1にはLSD系である審議物質マル1、通称名1S-LSD及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響、首振り反応試験等のデータをまとめています。1S-LSDは、行動及び症状観察や首振り反応・累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用が類推されることを確認しています。資料No.2-1は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページを御覧ください。1S-LSDは、指定薬物である1V-LSDと構造が類似する化合物です。続いて、2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに1S-LSDを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、3ページ、4ページの表1~3に1S-LSDに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、5ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで写真と併せて、実際の動画とともに御確認ください。動画は四つあります。少々お待ちください。では、進めさせていただきます。これは10mg/kg投与群の投与後約10分経過したマウスですが、スニッフィングを繰り返し、自発運動は低下することが確認されました。これは10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、せわしなく立ち上がり、網蓋につかまる動作を繰り返すことが確認されました。これも10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、自発運動が低下し、スニッフィングやしゃっくり様の動きを繰り返すことが確認されました。これは10mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、腹ばいでスニッフィングとしゃっくり様の動きを繰り返すことが確認されました。動画は以上です。
続いて、6ページ、(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。立ち上がり回数は、測定開始10~40分で増加傾向が見られましたが、いずれの項目も有意な差は見られませんでした。
続いて、7ページ、(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1S-LSD約10mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹を用い、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては増加作用が確認されました。
続いて、8ページ、(4)には首振り反応試験における首振り回数の経時変化と、累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、1.1mg/kg投与群においては15分~30分の間に増加し、3.3mg/kg投与群においては10分~15分の間に増加、以降は横ばい傾向でした。10mg/kg投与群においては、5分~15分の間に増加し、以降は減少傾向が認められました。また、累積首振り回数は3.3mg/kg投与群、10mg/kg投与群では15分~30分において対象群に比べ有意に増加しました。
続いて、9ページの(5)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。いずれの値も算出されませんでした。
続いて、(6)1S-LSDのマウス体内での代謝についてですが、本審議物質1S-LSDは体内で代謝されるプロドラッグ型のLSD化合物と考えられることから、マウスに投与後、その血清を採取し、LC-MS/MSによって分析しました。10ページの図4、赤枠で示しているとおり、マウス体内ではその代謝物である麻薬LSDが検出されることが明らかとなっています。
以上の結果から1S-LSDは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められていること、マウス体内での代謝データなど、中枢神経系への作用を科学的に類推することができることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(7)海外での流通事例についてですが、ドイツでの流通が確認されています。また、海外での規制状況については、スイスでの規制が確認されています。審議物質マル1は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2024年7月に1件、2025年2月に5件あります。いずれも紙片として検出されています。紙片なので柄がいろいろありまして、片面だけにプリントされているもの又は裏面にもプリントされているもの、図柄というものもカラーの図柄であったり、構造式であると考えるものが一部見えていたり、また1S-LSDという文字が印刷されていたりするものがありました。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方、改めまして御意見を頂きたいと思いますがいかがでしょうか。症状も出ていますし、受容体へのアフィニティはありませんが、プロドラッグということで生体内でLSDになることも分かっています。指定することが妥当のようにも思いますが、いかがでしょうか。
それでは、特に御異論がないようですので、ありがとうございました。審議をまとめたいと思います。ただいま、御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。オンラインの方、挙手をお願いいたします。挙手ボタンを押していただけると有り難く思いますが。
○事務局 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員 ちょっとお待ちください。できました。
――各委員了承――
○池田部会長 それでは、決議させていただきました。ありがとうございました。引き続きまして、事務局より御説明をお願いいたします。○事務局 続きまして、ニタゼン系化合物である審議物質マル2について、説明します。資料No.2の2ページ、2-2を御覧ください。資料No.2-2はニタゼン系合成オピオイドである審議物質マル2Protonitazepyneと、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験でのデータをまとめています。
審議物質マル2であるProtonitazepyneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2-2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の11ページを御覧ください。Protonitazepyneは、指定薬物であるメトニタゼピンと構造が類似する化合物です。
続いて、12ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにProtonitazepyneを0.2、1、3mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、13ページ、14ページの表1~3に、Protonitazepyneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を15ページに載せています。
ここで写真と併せて実際の動画も確認ください。動画は三つあります。これは0.2mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、かかとを上げた旋回歩行及び挙尾反応が認められることが確認されました。これは3mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、壁に寄り掛かる不安定な異常姿勢や旋回歩行、眼球の色が暗いことが確認されました。これは3mg/kg投与群の投与後120分経過したマウスですが、腹ばいの旋回歩行や、ときおり静止、眼球の白濁が確認されました。動画は以上です。
続きまして、16ページ(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにProtonitazepyneを1mg/kg腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しています。総運動量、大きい運動量、総移動距離は有意に増加し、立ち上がり回数は有意に減少することが確認されました。
続いて、17ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Protonitazepyne約1mg/kg腹腔内投与群マウス6匹、コントロール群マウス6匹を用いてモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
続いて、18ページ(4)を御覧ください。Protonitazepyneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しています。μ受容体のEC50は9.21×10-10Mでした。以上の結果からProtonitazepyneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において、有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、海外での流通事例についてですが、欧州やカナダ、アメリカで流通が確認されています。また、海外での規制状況については、アメリカ、ハンガリー、スウェーデンで規制されていることを確認しています。審議物質マル2は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。オンラインの先生方もミュートを外して御発言いただければと思います。非常に強力なμオピオイド受容体のアゴニスト活性を持っているということで、症状もはっきり出ていますので、指定するのが妥当のように思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめさせていただきたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手をお願いいたします。
――各委員了承――
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、決議させていただきました。引き続きまして、事務局から御説明をお願いいたします。○事務局 続きまして、トリプタミン系化合物である審議物質マル3について説明します。資料No.2の3ページ、資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、トリプタミン系である審議物質マル3、通称名MPT及びこれらに構造が類似する指定薬物について、行動観察結果、モノアミントランスポーター阻害活性等のデータをまとめております。
MPTは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響についても、過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しております。資料No.2-3の説明は以上です。
次に、資料No.3の19ページを御覧ください。審議物質MPTですが、指定薬物であるMETと構造が類似する化合物です。
続いて、20ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMPTを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、21、22ページの表1~3にMPTに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、23ページには、観察された特徴的な症状を示した写真を載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は二つあります。これは100mg/kg投与群の投与後約15分経過したマウスですが、活動量が少なく、腹ばい姿勢で、しゃっくり様の動きや、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。これは更に約60分経過したマウスですが、同じく活動量が少なく、しゃっくり様の動きや、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。動画は以上になります。
続いて、24ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。全ての項目で測定期間中、対照群と比べ有意な差は見られませんでした。
続いて、25ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。MPT約27mg/kg経口投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンで有意に増加することが確認されました。
26ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、9mg/kg投与群において、5分までに首振り回数が増加したが、15分まで減少傾向が認められました。また、累積首振り反応数は、9mg/kg投与群では全ての時間において、3mg/kg投与群では、5、10、20分で、1mg/kg投与群では、5分において対照群に比べ有意に増加しました。
続いて、27ページの(5)MPTのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。
結果は、表4及び28ページの図4のとおり、MPTのノルアドレナリントランスポーターに対するIC50は、9.0×10-5Mでコカイン塩酸塩の約33倍、ドパミントランスポーターに対するMPTのIC50は、7.6×10-5Mでコカイン塩酸塩の約32倍、セロトニントランスポーターに対するMPTのIC50は、1.1×10-5Mでコカイン塩酸塩の約5.0倍でした。
続いて、29ページの(6)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。MPTは、ヒトセロトニン2A受容体で3.92×10-8M、2C受容体で6.35×10-8mol/Lでした。
以上の結果から、MPTは、モノアミントランスポーターに対する阻害作用の結果及び受容体親和性評価の結果において有意な結果が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき、指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、海外の流通状況についてです。カナダでの流通が確認されています。また、海外での規制状況については、イギリス、ドイツで規制されていることを確認しております。審議物質マル3は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○池田部会長 御説明ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2022年2月に白色粉末として1件検出されています。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございました。それでは委員の先生方に、改めまして御意見を頂きたいと思います。いかがですか。症状も出ておりますし、モノアミントランスポーターへの作用、また、セロトニン受容体への作用等も確認されておりますので、指定することで問題ないように思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 □□ですけれども。
○池田部会長 □□先生、お願いします。
○□□委員 今回、29ページにフマル酸塩をあえて括弧付きで書かれているのですけれども、これは「塩」だと、別に水に溶ければ「塩」は外れると思いますが、フマル酸塩のみを指定されるという考え方でいいのかを教えていただけますか、お願いします。
○事務局 指定薬物としては、MPT及びその塩類という形での指定ということになります。
○□□委員 分かりました。今回これはモル濃度をちゃんと出すためにフマル酸塩とあえて書かれているということで理解いたしました。
○事務局 おっしゃるとおりでございます。
○□□委員 ありがとうございます。
○池田部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。特にないようですので、それでは審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。挙手のほうをよろしくお願いいたします。
――各委員了承――
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、決議させていただきました。続きまして、事務局より御説明をお願いいたします。○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果について、次回開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は終了いたしました。事務局から、次回の予定について御連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程につきましては正式に決まり次第、改めて御連絡いたします。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして、薬事審議会令和6年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
( 了 )
- 備考
 - 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。
 
照会先
医薬局
監視指導・麻薬対策課 課長補佐 飯島 (2779)



