2025年1月23日 薬事審議会 指定薬物部会 議事録
日時
令和7年1月23日(木)14:00~
出席者
- 出席委員(8名)五十音順
-
- 合川勇三
- ◎池田和隆
- 北中純一
- 髙野博德
- 田中理恵
- 新田淳美
- ○舩田正彦
- 丸井一弘
(注)◎部会長 ○部会長代理
- 欠席委員(3名)五十音順
-
- 青山久美
- 出水庸介
- 松本俊彦
行政機関出席者-
- 山本剛(監視指導・麻薬対策課監視指導室長) 他
議事
○監視指導・麻薬対策課監視指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「令和6年度第4回薬事審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。委員の先生方には、大変御多用のところ御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
本日の指定薬物部会は、Web形式併用での開催ですが、池田部会長、舩田部会長代理、田中委員には会場にお越しいただいています。当部会の委員数11名のうち、青山委員、松本委員、出水委員より御欠席との御連絡、また合川委員より遅れて御参加との御連絡を頂いています。また、北中先生も少々遅れて御参加の見込みです。現時点で6名の御出席を頂いていますので、定足数に達していることを御報告します。また、本日は事務局の局長、審議官、課長は別の公務のため恐縮ながら欠席をしています。
続きまして、部会を開始する前に本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明します。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされていますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
それでは、以後の議事進行は池田部会長にお願いをいたします。よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点について、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しては、事前に各委員宛てに送付しています。また、会場出席の委員はタブレットにて御確認をお願いいたします。資料としては、資料No.1、資料No.2-1・2、2-3、2-4、資料No.3、文献フォルダには文献1から文献14、参考資料フォルダには参考資料No.1からNo.3を搭載しています。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有しますので、併せて御覧ください。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料を御覧ください。資料No.1は、本日審議いただく4物質の名称、構造式、通称名等を記載しています。資料No.2は、御審議いただく4物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表としてまとめています。資料No.3は、審議物質の動物実験の結果等について取りまとめたものです。
それでは、LSD系化合物である審議物質マル1について説明します。資料No.2-1・2を御覧ください。資料No.2-1・2には、LSD系である審議物質マル1、通称名1cP-AL-LAD及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響等のデータをまとめています。
1cP-AL-LADは、首振り反応、累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページを御覧ください。資料No.3-1には、1cP-AL-LAD、また、その指定薬物である1cP-LSDと構造が類似する化合物です。
続いて、2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに1cP-AL-LADを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、3ページ、4ページの表1から3に、1cP-AL-LADに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、5ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は三つあります。これは、10mg/kg投与群の投与後約15分経過したマウスですが、腹ばい姿勢でしゃっくり様の動き、立毛が確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、腹ばい姿勢、歩行の停止が確認されました。これは、0.1mg/kg投与群の投与後約10分経過及び1.0、10mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、立ち上がりや首振り反応、網蓋につかまる不安定な異常姿勢が確認されました。動画は以上です。
続いて、6ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量で160分に、総移動距離で10分、160分などに一部有意差が見られましたが、いずれの項目も顕著な差は見られませんでした。
続いて、7ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1cP-AL-LAD約10mg/kg腹腔内投与群を5匹、コントロール群を6匹用い、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては若干の増加作用が確認されました。
続いて、8ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、全ての投与群において投与後5分から10分の間に増加傾向が見られました。また、累積首振り回数は、全ての投与群でコントロール群と比較して有意な累積首振り回数の増加が認められました。
続いて、9ページの(5)、ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。通常、本物質である1cP-AL-LADのようなプロドラッグ型の薬物においては、受容体等における活性評価では代謝を伴わないため活性データが得られないことが多く、本結果は、実験中の審議物質、プロドラッグ型の1cP-AL-LADの不安定さによる分解物、いわゆるドラッグ型のAL-LADの共存による結果であると推定されると、文献で結論付けられています。
そこで、10ページの(6)、本審議物質を含むプロドラッグ型のLSD系物質をマウスに投与後、その血清を採取し、LC-MS/MSによって分析したところ、11ページの図の4及び図の5の赤枠で示しているとおり、マウス体内ではその代謝物である麻薬、LSD、指定薬物であるAL-LADが検出されることが明らかとなっています。
以上の結果から、1cP-AL-LADは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められること、マウス体内での代謝データなど、中枢神経系への作用を科学的に類推できることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリーで流通が確認されています。
また、(7)海外での規制状況については、フィンランド、ドイツで流通が確認されています。
審議物質マル1は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2021年8月に1件、2021年10月に2件、11月に1件、12月に1件、2024年9月に4件の検出事例がありました。いずれも紙片として検出されています。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。プロドラッグということで体内で既に指定されている物質、AL-LADになるということで、このような症状が出ているということかと思います。国内でも、かなり出回っているようですので、指定する必要があるように思いますが、いかがでしょうか。
特に御異論ないようでしたら、それでは審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、指定するということで決議したいと思います。
引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、同じくLSD系化合物である審議物質マル2について説明します。先ほどと同じく資料No.2-1・2を御覧ください。資料No.2-1・2は、LSD系である審議物質マル2、通称名1cP-MiPLA及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響等のデータをまとめています。
1cP-MiPLAは、首振り反応、累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の13ページを御覧ください。1cP-MiPLAは、指定薬物であるMiPLAと構造が類似する化合物です。
続いて、14ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに1cP-MiPLAを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、15ページ、16ページの表1から3に、1cP-MiPLAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、17ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は二つあります。これは、10mg/kg投与群の投与直後のマウスですが、せわしなく動き回り、腰の低い姿勢でスニッフィングを繰り返すことが確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、同じくせわしなく動き回り、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。動画は以上です。
続いて、18ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。いずれの項目も対照群と比べ顕著な有意差は見られませんでした。
続いて、19ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1cP-MiPLA約9mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては若干増加作用が確認されました。
続いて、8ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、全ての投与群において投与後10分の間に増加傾向が見られました。また、累積首振り回数は、全ての投与群でコントロール群と比較して有意な累積首振り回数の増加が認められました。
続いて、9ページの(5)、ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果です。ヒトセロトニン2A及び2C受容体に対するアゴニスト活性は、いずれも算出されませんでした。本実験では示していませんが、本審議物質も、先ほどの審議物質マル11cP-AL-LADと同様、生体内で代謝を受け、既に指定薬物として指定しているMiPLAとして生体内では作用することが考えられます。
以上の結果から、1cP-MiPLAは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められていること、中枢神経系への作用を科学的に類推できることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、事務局にて確認した範囲では、海外での流通は確認されていません。
また、(7)海外での規制状況については、ドイツ、スイスで包括規制によって規制されています。審議物質マル2は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2022年3月に3件、検出されています。いずれも紙片として検出されています。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。それでは、それ以外の委員の先生方、改めまして御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 □□ですが、よろしいでしょうか。薬理の研究者として、スニッフィングやせわしなく動き回る行動が観察されながら、自発行動量に変化がないというのが、一見、矛盾しているように感じるのですが、その辺りはどのように考えたらいいのか、御意見を頂けたらと思います。以上です。
○池田部会長 御指摘ありがとうございます。確かに1mg/kgでロコモーションを測っていて、そこでほとんど効果がないのですが、0.3など、それより低い濃度で首振り反応等で増加が見られて、これは前の物質もそうです。ですので、その辺りに関しては、首振り反応は始まっていても、大きな動きにはまだ反映されてこないということかとは思いますが、事務局で何か情報をお持ちでしょうか。
○事務局 こちらもそのように考えているところです。特にこのような結果であったということに対して、これ以上の正確な情報は持ち合わせておりません。
○池田部会長 ありがとうございます。ビデオ等でお見せいただいたのは、前の物質も今回も10mg/kgですね。ですから、あれよりもかなり低い濃度、10分の1でもってロコモーションを測っているということで、あのときのビデオの様子からだと、もっと多動になっているかなと確かに思いますが、ちょっとドーズが低いのかなとは思いました。□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員 この前のは、まだ腹ばい行動などが出ていたので、トータルしたらそうなのかなと思ったのですが、今回ちょっとそのような疑問を持っただけで、何ら規制を妨げるものではないと思っています。以上です。
○池田部会長 御指摘ありがとうございました。そのほか何か御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、ケタミン系(フェンサイクリジン系)化合物である審議物質マル3について説明いたします。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、ケタミン系(フェンサイクリジン系)である物質マル3、通称名2F-NENDCK及びこれに構造が類似する麻薬、指定薬物について、NMDA受容体に対する影響、マイクロダイアリシス試験の結果等をまとめております。
2F-NENDCKは、グルタミン酸NMDA受容体フェンサイクリジンサイトの阻害活性、マイクロダイアリシス試験結果からは、神経伝達物質の濃度を有意に増加させる作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しております。資料No.2-3は以上です。
資料No.3について説明いたします。資料No.3の22ページを御覧ください。2F-NENDCKは、指定薬物であるFXEと構造が類似する化合物です。
23ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに2F-NENDCKを1.1、11、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、24、25ページの表1から3に、2F-NENDCKに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を26ページに載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、壁にもたれかかりながら跳躍を繰り返すことが確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、せわしなく歩行と立ち上がりを繰り返すことが確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、腰ぬけ姿勢で、引きずるような歩行、挙尾が確認されました。動画は以上です。
27ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスに2F-NENDCKを11mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動を測定しております。各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定しました。総運動量、大きい運動量及び総移動距離は、投与後10~20分で増加傾向が見られましたが、立ち上がり回数は、測定期間中、対照群と比べ有意な差は見られませんでした。
28ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。2F-NENDCK約22mg/kg腹腔内投与群マウス5匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
29ページの(4)を御覧ください。2F-NENDCKのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン、いずれのトランスポーターに対するIC50も算出はされませんでした。
31ページの(5)、2F-NENDCKのグルタミン酸NMDA受容体に対するIC50を算出した結果です。Phencyclidine siteで1.35×10-6mol/Lでした。
以上の結果から、2F-NENDCKは、動物による行動観察の結果及びモノアミンの経時変化、受容体阻害活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、カナダ、中国、欧州、東南アジアなどで流通が確認されております。
また、(7)海外での規制状況については、ロシアで規制されていることを確認しております。
物質マル3は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例がございます。いずれも白色粉末として、2023年9月に2件が検出されております。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。先ほど□□先生から御指摘いただいていたロコモーションが、それほど後半のほうは差がないということですが、それが調べられているのが11mg/kg、ビデオのほうは27.5mg/kgで、60分のときとかでも、かなり運動量が上がっていましたけれども、ドーズの問題かなというようには思います。何か御意見はいかがでしょうか。□□先生、薬理の御専門として、先ほどの運動量の件とか、首振りが出ているのに出なかったとか、先ほどの物質ではそういったこともありますけれども、その辺のことに関して、何か情報はお持ちでしょうか。
○□□委員 私も詳細なデータは持っていないのですが、やはり作用を見ているタイムコースの問題と用量の違いがありますので、同じ条件で見ないといけない部分もあるのかと思いました。しかしながら、総じて指定薬物にするべき物質の特性を持っているのかなと考えます。
○池田部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、ニタゼン系化合物である審議物質マル4について説明いたします。資料No.2-4を御覧ください。資料No.2-4は、ニタゼン系(合成オピオイド系)である審議物質マル4Metonitazepyneと、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験のデータ等をまとめております。
審議物質マル4であるMetonitazepyneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-4は以上です。
資料No.3について説明いたします。資料No.3の33ページを御覧ください。Metonitazepyneは、麻薬であるEtazeneと構造が類似する化合物です。
34ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMetonitazepyneを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、35、36ページの表1から3に、Metonitazepyneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を37ページに載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、10mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、高速で旋回歩行、挙尾が見られ、耳を後方へ倒していることが確認されました。これも、10mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、網蓋にぶら下がる異常姿勢、あるいは壁にもたれかかり静止、四肢の筋肉の緊張が確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、旋回歩行と挙尾が見られ、時折、壁にもたれかかり静止することが確認されました。動画は以上です。
38ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにMetonitazepyneを1mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。総運動量、大きい運動量、総移動距離は測定開始20~60分及び90分で対照群と比べ有意に増加しました。立ち上がり回数は、開始10~30分で対照群と比べ減少傾向にあり、その後、増加傾向に転じ、90分で対照群と比べ有意に増加しました。
39ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Metonitazepyne約5mg/kg腹腔内投与群マウス4匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
40ページの(4)を御覧ください。Metonitazepyneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しております。μ受容体でのEC50は5.67×10-9mol/Lでした。
以上の結果から、Metonitazepyneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、(5)海外での流通事例についてですが、欧州やブラジルで流通が確認されております。
また、(6)海外での規制状況については、アメリカ、スウェーデンで規制されていることを確認しております。
審議物質マル4は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。μオピオイド受容体に対してDAMGOよりも強い効果があるということで指定する必要があると思いますが。御意見があればミュートを解除して御発言いただければと思いますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ、確認されておりません。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は終了いたしました。事務局から次回の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、改めて御連絡いたします。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして令和6年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
本日の指定薬物部会は、Web形式併用での開催ですが、池田部会長、舩田部会長代理、田中委員には会場にお越しいただいています。当部会の委員数11名のうち、青山委員、松本委員、出水委員より御欠席との御連絡、また合川委員より遅れて御参加との御連絡を頂いています。また、北中先生も少々遅れて御参加の見込みです。現時点で6名の御出席を頂いていますので、定足数に達していることを御報告します。また、本日は事務局の局長、審議官、課長は別の公務のため恐縮ながら欠席をしています。
続きまして、部会を開始する前に本部会の公開・非公開の取扱いについて御説明します。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶおそれが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされていますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
それでは、以後の議事進行は池田部会長にお願いをいたします。よろしくお願いいたします。
○池田部会長 それでは、本日の部会資料の確認及び注意点について、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の部会資料に関しては、事前に各委員宛てに送付しています。また、会場出席の委員はタブレットにて御確認をお願いいたします。資料としては、資料No.1、資料No.2-1・2、2-3、2-4、資料No.3、文献フォルダには文献1から文献14、参考資料フォルダには参考資料No.1からNo.3を搭載しています。部会資料についての説明は以上です。また、審議物質の説明中は画面上に資料を共有しますので、併せて御覧ください。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。本日の議題は、指定薬物の指定についてです。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 では、資料を御覧ください。資料No.1は、本日審議いただく4物質の名称、構造式、通称名等を記載しています。資料No.2は、御審議いただく4物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬などについて一覧表としてまとめています。資料No.3は、審議物質の動物実験の結果等について取りまとめたものです。
それでは、LSD系化合物である審議物質マル1について説明します。資料No.2-1・2を御覧ください。資料No.2-1・2には、LSD系である審議物質マル1、通称名1cP-AL-LAD及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響等のデータをまとめています。
1cP-AL-LADは、首振り反応、累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページを御覧ください。資料No.3-1には、1cP-AL-LAD、また、その指定薬物である1cP-LSDと構造が類似する化合物です。
続いて、2ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに1cP-AL-LADを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30分、60分、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、3ページ、4ページの表1から3に、1cP-AL-LADに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、5ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は三つあります。これは、10mg/kg投与群の投与後約15分経過したマウスですが、腹ばい姿勢でしゃっくり様の動き、立毛が確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、腹ばい姿勢、歩行の停止が確認されました。これは、0.1mg/kg投与群の投与後約10分経過及び1.0、10mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、立ち上がりや首振り反応、網蓋につかまる不安定な異常姿勢が確認されました。動画は以上です。
続いて、6ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。総運動量で160分に、総移動距離で10分、160分などに一部有意差が見られましたが、いずれの項目も顕著な差は見られませんでした。
続いて、7ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1cP-AL-LAD約10mg/kg腹腔内投与群を5匹、コントロール群を6匹用い、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては若干の増加作用が確認されました。
続いて、8ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、全ての投与群において投与後5分から10分の間に増加傾向が見られました。また、累積首振り回数は、全ての投与群でコントロール群と比較して有意な累積首振り回数の増加が認められました。
続いて、9ページの(5)、ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。通常、本物質である1cP-AL-LADのようなプロドラッグ型の薬物においては、受容体等における活性評価では代謝を伴わないため活性データが得られないことが多く、本結果は、実験中の審議物質、プロドラッグ型の1cP-AL-LADの不安定さによる分解物、いわゆるドラッグ型のAL-LADの共存による結果であると推定されると、文献で結論付けられています。
そこで、10ページの(6)、本審議物質を含むプロドラッグ型のLSD系物質をマウスに投与後、その血清を採取し、LC-MS/MSによって分析したところ、11ページの図の4及び図の5の赤枠で示しているとおり、マウス体内ではその代謝物である麻薬、LSD、指定薬物であるAL-LADが検出されることが明らかとなっています。
以上の結果から、1cP-AL-LADは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められること、マウス体内での代謝データなど、中枢神経系への作用を科学的に類推できることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリーで流通が確認されています。
また、(7)海外での規制状況については、フィンランド、ドイツで流通が確認されています。
審議物質マル1は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2021年8月に1件、2021年10月に2件、11月に1件、12月に1件、2024年9月に4件の検出事例がありました。いずれも紙片として検出されています。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に改めまして御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。プロドラッグということで体内で既に指定されている物質、AL-LADになるということで、このような症状が出ているということかと思います。国内でも、かなり出回っているようですので、指定する必要があるように思いますが、いかがでしょうか。
特に御異論ないようでしたら、それでは審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、指定するということで決議したいと思います。
引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、同じくLSD系化合物である審議物質マル2について説明します。先ほどと同じく資料No.2-1・2を御覧ください。資料No.2-1・2は、LSD系である審議物質マル2、通称名1cP-MiPLA及びこれに構造が類似する指定薬物について、症状観察、セロトニン受容体への影響等のデータをまとめています。
1cP-MiPLAは、首振り反応、累積首振り回数は増加及び増加傾向を示し、中枢神経系への作用も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しています。資料No.2は以上です。
続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の13ページを御覧ください。1cP-MiPLAは、指定薬物であるMiPLAと構造が類似する化合物です。
続いて、14ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに1cP-MiPLAを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しています。また、15ページ、16ページの表1から3に、1cP-MiPLAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、17ページには観察された特徴的な症状を示した写真を載せています。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は二つあります。これは、10mg/kg投与群の投与直後のマウスですが、せわしなく動き回り、腰の低い姿勢でスニッフィングを繰り返すことが確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、同じくせわしなく動き回り、スニッフィングを繰り返すことが確認されました。動画は以上です。
続いて、18ページの(2)自発運動における運動量の測定結果を御覧ください。いずれの項目も対照群と比べ顕著な有意差は見られませんでした。
続いて、19ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。1cP-MiPLA約9mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミンに対しては減少作用、ノルアドレナリンに対しては若干増加作用が確認されました。
続いて、8ページの(4)には、首振り反応試験における首振り回数の経時変化と累積首振り回数の結果を示しています。首振り回数の経時変化は、全ての投与群において投与後10分の間に増加傾向が見られました。また、累積首振り回数は、全ての投与群でコントロール群と比較して有意な累積首振り回数の増加が認められました。
続いて、9ページの(5)、ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果です。ヒトセロトニン2A及び2C受容体に対するアゴニスト活性は、いずれも算出されませんでした。本実験では示していませんが、本審議物質も、先ほどの審議物質マル11cP-AL-LADと同様、生体内で代謝を受け、既に指定薬物として指定しているMiPLAとして生体内では作用することが考えられます。
以上の結果から、1cP-MiPLAは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化において有意な影響が認められていること、中枢神経系への作用を科学的に類推できることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えています。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、事務局にて確認した範囲では、海外での流通は確認されていません。
また、(7)海外での規制状況については、ドイツ、スイスで包括規制によって規制されています。審議物質マル2は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例があります。2022年3月に3件、検出されています。いずれも紙片として検出されています。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。それでは、それ以外の委員の先生方、改めまして御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
○□□委員 □□ですが、よろしいでしょうか。薬理の研究者として、スニッフィングやせわしなく動き回る行動が観察されながら、自発行動量に変化がないというのが、一見、矛盾しているように感じるのですが、その辺りはどのように考えたらいいのか、御意見を頂けたらと思います。以上です。
○池田部会長 御指摘ありがとうございます。確かに1mg/kgでロコモーションを測っていて、そこでほとんど効果がないのですが、0.3など、それより低い濃度で首振り反応等で増加が見られて、これは前の物質もそうです。ですので、その辺りに関しては、首振り反応は始まっていても、大きな動きにはまだ反映されてこないということかとは思いますが、事務局で何か情報をお持ちでしょうか。
○事務局 こちらもそのように考えているところです。特にこのような結果であったということに対して、これ以上の正確な情報は持ち合わせておりません。
○池田部会長 ありがとうございます。ビデオ等でお見せいただいたのは、前の物質も今回も10mg/kgですね。ですから、あれよりもかなり低い濃度、10分の1でもってロコモーションを測っているということで、あのときのビデオの様子からだと、もっと多動になっているかなと確かに思いますが、ちょっとドーズが低いのかなとは思いました。□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員 この前のは、まだ腹ばい行動などが出ていたので、トータルしたらそうなのかなと思ったのですが、今回ちょっとそのような疑問を持っただけで、何ら規制を妨げるものではないと思っています。以上です。
○池田部会長 御指摘ありがとうございました。そのほか何か御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、ケタミン系(フェンサイクリジン系)化合物である審議物質マル3について説明いたします。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3は、ケタミン系(フェンサイクリジン系)である物質マル3、通称名2F-NENDCK及びこれに構造が類似する麻薬、指定薬物について、NMDA受容体に対する影響、マイクロダイアリシス試験の結果等をまとめております。
2F-NENDCKは、グルタミン酸NMDA受容体フェンサイクリジンサイトの阻害活性、マイクロダイアリシス試験結果からは、神経伝達物質の濃度を有意に増加させる作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有することを確認しております。資料No.2-3は以上です。
資料No.3について説明いたします。資料No.3の22ページを御覧ください。2F-NENDCKは、指定薬物であるFXEと構造が類似する化合物です。
23ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状観察を御覧ください。マウスに2F-NENDCKを1.1、11、27.5mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、24、25ページの表1から3に、2F-NENDCKに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を26ページに載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、壁にもたれかかりながら跳躍を繰り返すことが確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、せわしなく歩行と立ち上がりを繰り返すことが確認されました。これは、27.5mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、腰ぬけ姿勢で、引きずるような歩行、挙尾が確認されました。動画は以上です。
27ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスに2F-NENDCKを11mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動を測定しております。各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定しました。総運動量、大きい運動量及び総移動距離は、投与後10~20分で増加傾向が見られましたが、立ち上がり回数は、測定期間中、対照群と比べ有意な差は見られませんでした。
28ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。2F-NENDCK約22mg/kg腹腔内投与群マウス5匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
29ページの(4)を御覧ください。2F-NENDCKのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン、いずれのトランスポーターに対するIC50も算出はされませんでした。
31ページの(5)、2F-NENDCKのグルタミン酸NMDA受容体に対するIC50を算出した結果です。Phencyclidine siteで1.35×10-6mol/Lでした。
以上の結果から、2F-NENDCKは、動物による行動観察の結果及びモノアミンの経時変化、受容体阻害活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、(6)海外での流通事例についてですが、カナダ、中国、欧州、東南アジアなどで流通が確認されております。
また、(7)海外での規制状況については、ロシアで規制されていることを確認しております。
物質マル3は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例がございます。いずれも白色粉末として、2023年9月に2件が検出されております。以上です。
○池田部会長 □□委員、ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。先ほど□□先生から御指摘いただいていたロコモーションが、それほど後半のほうは差がないということですが、それが調べられているのが11mg/kg、ビデオのほうは27.5mg/kgで、60分のときとかでも、かなり運動量が上がっていましたけれども、ドーズの問題かなというようには思います。何か御意見はいかがでしょうか。□□先生、薬理の御専門として、先ほどの運動量の件とか、首振りが出ているのに出なかったとか、先ほどの物質ではそういったこともありますけれども、その辺のことに関して、何か情報はお持ちでしょうか。
○□□委員 私も詳細なデータは持っていないのですが、やはり作用を見ているタイムコースの問題と用量の違いがありますので、同じ条件で見ないといけない部分もあるのかと思いました。しかしながら、総じて指定薬物にするべき物質の特性を持っているのかなと考えます。
○池田部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいでしょうか。それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、ニタゼン系化合物である審議物質マル4について説明いたします。資料No.2-4を御覧ください。資料No.2-4は、ニタゼン系(合成オピオイド系)である審議物質マル4Metonitazepyneと、これに構造が類似する麻薬、指定薬物について、オピオイド受容体活性、中枢神経系への作用、マイクロダイアリシス試験のデータ等をまとめております。
審議物質マル4であるMetonitazepyneは、マイクロダイアリシス試験でモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も、過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-4は以上です。
資料No.3について説明いたします。資料No.3の33ページを御覧ください。Metonitazepyneは、麻薬であるEtazeneと構造が類似する化合物です。
34ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMetonitazepyneを0.2、1.0、10mg/kgを腹腔内投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、35、36ページの表1から3に、Metonitazepyneに対する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を37ページに載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は三つあります。これは、10mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、高速で旋回歩行、挙尾が見られ、耳を後方へ倒していることが確認されました。これも、10mg/kg投与群の投与後10分経過したマウスですが、網蓋にぶら下がる異常姿勢、あるいは壁にもたれかかり静止、四肢の筋肉の緊張が確認されました。これは、10mg/kg投与群の投与後30分経過したマウスですが、旋回歩行と挙尾が見られ、時折、壁にもたれかかり静止することが確認されました。動画は以上です。
38ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにMetonitazepyneを1mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。総運動量、大きい運動量、総移動距離は測定開始20~60分及び90分で対照群と比べ有意に増加しました。立ち上がり回数は、開始10~30分で対照群と比べ減少傾向にあり、その後、増加傾向に転じ、90分で対照群と比べ有意に増加しました。
39ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Metonitazepyne約5mg/kg腹腔内投与群マウス4匹、コントロール群6匹を用いて、モノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されました。
40ページの(4)を御覧ください。Metonitazepyneのヒトオピオイド受容体に対するアゴニスト活性を明らかにするために、EC50を算出しております。μ受容体でのEC50は5.67×10-9mol/Lでした。
以上の結果から、Metonitazepyneは、動物による行動観察の結果、モノアミン類の経時的変化及びμオピオイド受容体に対するアゴニスト活性の結果において有意な影響が認められていることから、中枢神経系への作用を科学的に類推でき、その強さは既に医薬品医療機器等法に基づき指定薬物として指定されている指定薬物と比較して同等であると考えられることから、本化合物を医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物に指定することが相当であると考えております。
続いて、(5)海外での流通事例についてですが、欧州やブラジルで流通が確認されております。
また、(6)海外での規制状況については、アメリカ、スウェーデンで規制されていることを確認しております。
審議物質マル4は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○池田部会長 ありがとうございます。改めまして、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。μオピオイド受容体に対してDAMGOよりも強い効果があるということで指定する必要があると思いますが。御意見があればミュートを解除して御発言いただければと思いますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
それでは、審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、指定するということで決議したいと思います。
それでは、引き続き事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事審議会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ、確認されておりません。いずれにいたしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○池田部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は終了いたしました。事務局から次回の予定について連絡をお願いいたします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、改めて御連絡いたします。以上です。
○池田部会長 それでは、以上をもちまして令和6年度第4回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。
照会先
医薬局
監視指導・麻薬対策課 課長補佐 (2779)