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第8回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会議事録
労働基準局安全衛生部労働衛生課
日時
令和7年8月20日(水)10:00~
場所
経済産業省別館11階1111号会議室(東京都千代田区霞が関1-3-1)
議題
(1)労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)
(2)「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」 作成に向けたワーキンググループの設置について
(3)「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について
(4)その他
(2)「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」 作成に向けたワーキンググループの設置について
(3)「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について
(4)その他
議事
- 議事内容
- ○加藤中央労働衛生専門官 定刻となりましたので、「第8回ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を開催いたします。本日は御多忙のところ、御参集いただき誠にありがとうございます。報道関係者の皆様にお願いがございます。カメラ撮りはここまでとしていただきますようお願いいたします。
最初に構成員に変更がありましたので、御紹介申し上げます。日本商工会議所より、大下構成員に代わり、清田構成員が就任されております。また、公益社団法人日本精神科病院協会より、新垣構成員に代わり、中島構成員が就任されております。最後に、立教大学兼任講師の砂押構成員が、今回辞任されております。
続いて本日の出欠状況ですが、種市構成員が御欠席となります。井上構成員、清田構成員、黒木構成員、茂松構成員、中島構成員、松本構成員、三柴構成員、森口構成員、矢内構成員がオンラインでの御参加になります。
また、事務局のメンバーに変更があります。安全衛生部長に安井が就任しております。
○安井安全衛生部長 厚生労働省安全衛生部長を拝命いたしました安井と申します。今年の5月に労働安全衛生法が改正され、従来は50人以上でありましたストレスチェック制度を事業場の規模にかかわらず義務付けるということです。そういった意味では、50人未満の事業場でいかにこのストレスチェック制度を円滑、かつ適切に実施するかが大変大きな課題になっておりますので、本検討会で十分な御議論を頂きたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○加藤中央労働衛生専門官 続いて、産業保健支援室長補佐に藤井が着任しております。
○藤井産業保健支援室長補佐 藤井です。よろしくお願いいたします。
○加藤中央労働衛生専門官 中央労働衛生専門官に、私、加藤が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。なお、大変恐縮ではありますが、安井部長は公務の都合により、途中で退席させていただきますので、あらかじめ御承知おきください。また、佐藤計画課長は公務の都合により、今回欠席となります。
次に、オンラインで御参加いただいている構成員の皆様に、御発言の仕方を説明いたします。会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートの解除をし、御発言をお願いいたします。また、御発言終了後は再度ミュートにしてくださいますようお願いいたします。
続いて、資料の確認を行います。本日の資料は、議事次第、資料1「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)」、資料2「「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループの設置について」、資料3「「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について」となっております。資料の不足等ありましたら、事務局にお申し出ください。
それでは、以降の議事進行について、川上座長にお願いいたします。
○川上座長 昨年の秋からの久しぶりの再開となり、構成員の皆様方にお目にかかるのを大変うれしく思いますし、また、新しい構成員の皆様も、この大事な検討会を是非よろしくお願いしたいと思います。
先ほど安全衛生部長からも御説明がありましたように、法改正を受け、これからは具体的な実施の仕方について検討していくということで、大変大事な検討会になると思いますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
それから、先ほどオンラインで御参加の構成員の方の手の挙げ方について御説明がありましたが、なかなか会場からですと、どなたが手を挙げているか視認がしにくく、順番が前後したりする場合もあるかもしれませんが、その点、御容赦いただければと思います。それでは、まず議題1「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)」です。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 富賀見です。お手元のタブレットの01番、資料1をクリックしてお開きください。改正労働安全衛生法について、今通常国会で成立し公布されましたので、そのご報告をいたします。スライドの1ページは、改正法の概要になります。詳細な説明は差し控えますが、ここにありますように全体では大きく5点あります。個人事業者等に対する安全衛生対策、メンタルヘルス対策、その他、化学物質、機械、高齢者といった内容になっておりました。そのうち、本件ストレスチェックの関係については2の職場のメンタルヘルス対策の推進になります。ストレスチェックの実施を50人未満の事業場にも義務化するということで、その際に50人未満の事業場の負担等に配慮して、十分な準備期間を確保することとしております。最下段に施行期日とありますが、この2は公布後3年以内に政令で定める日とされております。
次のページは、もう少し詳細に説明したものになります。下の囲みの改正内容を御覧ください。本検討会において、昨年11月におまとめいただきました中間とりまとめを基に、更にその後の審議会での議論も経た内容になりますが、義務化とセットで整備していく事項として、※にありますように50人未満の事業場に即した実施マニュアルの作成、また地産保の体制拡充は予算事業としてやっていくことになりますが、こういった内容になっております。
次のページは、その後の国会におけるこの審議の経過のご報告になります。この法案は参議院で先に審議するということで、3月14日の閣議決定の後国会に提出され、先に参議院の厚生労働委員会で議論がなされ、それから衆議院に回り議論いただき、5月8日に可決、成立、5月14日に公布という経過でした。
次のページは、衆議院、参議院それぞれの厚生労働委員会で、附帯決議として頂いている内容になります。この資料は、そのうちストレスチェック制度に関するものだけを抜粋したものになります。全体では、参議院で16項目、衆議院は更に倍の32項目という大変多い内容の附帯決議でしたが、そのうちストレスチェックに関係するものになります。附帯決議の内容というのは、委員会で実際に行われた審議の内容などを踏まえ、この改正法の円滑な施行に向けて、こういった環境を整備しておくべき、こういったことを検討すべきといった内容で、いわば宿題となっております。これらのうち、本検討会でこれからこのマニュアルの作成を進めていくに当たって意識しなければならない内容をご紹介いたします。このページは上が参議院で下が衆議院になりますが、衆議院のほうを御覧ください。十番の不利益取扱いの禁止ですが、これはこれまでも50人以上のマニュアルでも示してきた内容になりますが、当然これから作る50人未満のマニュアルにも反映していく内容にはなろうかと思います。次に十四番を見ていただきますと、デジタルの活用ということで、ストレスチェックは今もWeb上で回答する方式などがありますが、小規模事業場の現場の実情に応じた実施の在り方ということで、この点についても検討していくことになろうかと思います。一番下の十七番ですが、高ストレス者が安心して面接指導の申出をすることができる環境整備ということで、小規模事業場の特性を踏まえ、プライバシー保護の観点も含め、どのような方法が考えられるかといった内容になると思います。この辺りは今後、説明の中でも触れてまいりますが、このマニュアルの中でどのように示していくかを検討してまいりたいと考えております。国会の関係のご報告は以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関して、御質問等がある場合は御発言を頂きたいと思います。オンラインで御参加の構成員の皆様は、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックしてお知らせください。いかがでしょうか。特段の御質問は来ていないようですね。会場の構成員の皆様もよろしいでしょうか。よろしければ、議題2に進みます。
議題2は、「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」の作成に向けたワーキンググループの設置についてです。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 ご説明いたします。資料2をお開きください。小規模事業場ストレスチェック実施マニュアルを作成するためのワーキンググループの設置についてです。1ページを御覧ください。今般、このマニュアルの作成のため、作業を集中的にこなしていく必要がありますので、この検討会の下にワーキンググループを設置し、具体的な検討を進めることとしたいと考えております。構成及び運営の所を見ていただきますと、構成員は安全衛生部長が参集する構成員のほか、必要に応じて関係者にヒアリングなどの出席を求めることができることとしております。また、ワーキンググループは原則公開としますが、率直かつ自由な意見交換が確保されるように、非公開で実施することもできることとしております。
次は構成員名簿になります。この作業部会、ワーキンググループは集中的に開催していくこともあり、そのフットワークなども考慮し、最小限のリーズナブルな構成とさせていただいています。まず有識者ですが、本検討会とのつなぎを川上座長にお願いし、川上座長にこのワーキンググループにも御参画いただいております。そのほか、作成に当たって重視する観点が幾つかあります。その1つとして、プライバシー保護の観点から、三柴構成員にこのワーキングにも御協力いただいております。それから、面接指導の関係、地産保の運営の観点から森口構成員に、それから、傘下に実態の異なる多くの地産保を擁している産保センターとして神奈川産保センター、その所長を長らくされております渡辺構成員に御参画いただいています。また、医師会から松岡構成員にも御参画いただく予定にしております。
それから、外部機関、ストレスチェックの実施サービスを提供する側の御意見も頂戴していく必要がありますので、上から2人目の今藤構成員、新潟県労働衛生医学協会に所属されておられる方になりますが、ここは健診機関になるのですが、現に50人未満の事業場にも多くストレスチェックの実施サービスを提供しており、特に10人未満のかなり小規模な事業場にも実績が豊富にあるということで、そういった観点でいろいろとお聞きしながら作成してまいりたいと思っております。
右側の労使に関しては、労、使それぞれの団体の皆様に入っていただくほか、実際の事業者の方、労働者の方、いわゆる50人未満の事業場ないしは中小企業の方に御参画いただき、現場の実情をしっかりと確認しながら進めていきたいと考えております。
それから、今回は地産保の話などがありますので、労働者健康安全機構からもオブザーバー参加という構成になっております。
次のページは、今後の検討会及びワーキンググループを含めた全体のスケジュールです。まず本検討会は、本日第8回の検討会で御議論いただいた内容を、この後、下に設置したワーキンググループに申し送りをし、そのワーキンググループで秋頃、集中的に4回程度を考えておりますが、ヒアリングや検討を行い、マニュアルの草案の作成まで行う予定です。その後、そのマニュアルの草案をこの検討会にまたトスアップして、この検討会で内容を御確認いただき、その上でマニュアル案をセットしてまいりたいと考えております。手続的には、さらにその後、安全衛生分科会、審議会にも、この検討会でとりまとめたマニュアル案を報告して、その上で令和7年度内もしくは8年度の端境にマニュアル公表とありますが、そのような段取りで進めていけたらと考えております。
なお、この検討会の行の令和8年度に入った所に、もう1つ矢羽根がありますが、これは昨年度からこのように先行して議論を進めてまいりましたストレスチェックの法改正に関係する検討事項は、この小規模事業場マニュアルの作成で一旦区切りができますので、その後、これまでできておりませんでしたストレスチェック以外のメンタルヘルス対策などについての検討を、令和8年度に入ってから議論を再開できればと考えており、このようなスケジュールで考えているところです。以上、事務局から資料2の説明になります。
○川上座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御意見や御質問等がある場合は、御発言を頂けたらと思いますが、いかがでしょうか。山脇構成員、お願いいたします。
○山脇構成員 山脇です。御指名ありがとうございます。本検討会の中間とりまとめに沿った改正法の成立に向けて御尽力いただいた厚生労働省の事務局の皆さんに、改めて感謝申し上げます。
その上で、こちらのワーキンググループでの議論に関しては、やはり小規模事業場の実態を反映することが大変重要だと思っています。今回のメンバーを見ますと、小規模事業場の労使も構成員として選出いただいているということですので、議論の充実を期待したいと思います。
なお、議論に当たっては、是非とも好事例の共有からスタートしていただくことをお願いしたいと思います。具体的に申し上げますと、この間、努力義務の中でも積極的にストレスチェック制度を実施してきた50人未満の事業場の事例、あるいは義務対象のうち50人未満に近いような規模の事業場において取り組まれている好事例については、集団分析、職場環境改善も含めてしっかりと共有をいただくことで、建設的な議論につなげてもらいたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。では、オンラインの松本構成員が手を挙げていらっしゃいますか。
○松本構成員 構成員については、ストレスチェックの実施者にも保健師が明文化されておりますので、全くメンバーに入っていないことについては御検討いただいてはいかがかと思っております。
また、今後の方向性、スケジュールが示されておりますので、そこについて意見を申し上げます。小規模事業場へのストレスチェックの義務化に当たっては、小規模事業場の産業保健体制の整備や強化が最も必要、重要だと考えています。本検討会では、マニュアルの検討や周知だけではなく、小規模事業場のメンタルヘルス対策全体の充実、強化に向けて検討していく必要があると考えております。来年度とおっしゃいましたが、ここについては抜本的に考えていくことが必要かと思っています。
この度の法改正は、全労働者の52.4%、全事業場の約95.3%にも上る非常に多くの労働者、事業場に関わる制度改正です。したがって、令和6年度の業務災害に係る精神障害の発生件数も、今回5月に発表されましたが1,000人を超えてまだ増加していますので、メンタルヘルス対策はこれまでと同様にストレスチェックをやればいいということではないと思います。先ほども御説明がありましたが、衆参の附帯決議は非常に多く出されており、厚生労働大臣からの答弁も様々していただいたところですが、小規模事業場も含めた産業保健体制全体の抜本的な強化に向けた検討が別に必要かと思っております。今後の検討の方向性についても、改めて事務局にお示しいただきたいと思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。事務局から何か説明はありますか。佐々木労働衛生課長、お願いいたします。
○佐々木労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木です。松本構成員から御要望、御指摘を頂きました。今回のワーキンググループですが、この後、論点の中で御議論を頂きたいと思っていますが、やはり小規模事業場に拡大するに当たり、中間とりまとめでも言われていますように、原則外部委託を推奨することから、特に力点を置きたいのが外部委託とそれに当たっての留意点、注意点、気付きになろうかと思います。
併せて、医師による面接指導がありますが、これについても当然外部の機関への委託もありますが、我々としては、全国350箇所あります地域産業保健センターでの無料による面接指導サービスの提供を考えており、その体制の拡充がひとつの課題となります。ただ、いずれにしても、それに当たっての必要な手続や、どこまでの情報提供をすべきだというようなところに注力をした議論を頂きたいと考えておりますので、今回のワーキンググループの構成については、正に小規模事業場の、特に外部委託等によっての困りごとがあるかもしれない、どうしたらいいのかというようなところにフォーカスを当てた議論をしたいということで、このような構成としております。
先ほど山脇構成員からも頂きましたように、中小の規模の事業場が参集して、またしっかり情報共有をしながら、このマニュアルづくりに注力できるような構成としておりますので、御理解いただきたいと思っております。正に、そういった保健師、看護師の立場からの御提言、お気付き等ありましたら、本検討会でいろいろとお話を頂ければ、室長から申し上げましたように、しっかりとワーキングに申し送りをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それから、大変重要な点として、抜本的な中小規模の事業場における産業保健体制のあり方について御意見がありました。かつて、そのようなことについて検討をした経緯もありますが、その中でも言われていますように、まずは関係従事者、特に医療関係職種の資質の向上が言われておりますので、その辺りの宿題に対応しながら、体制整備は本当に根本的なことですので、このマニュアルの作成とは別途、同時並行で取り組み、また検討を重ねてまいりたいと思っております。
松本構成員に対しては以上ですが、山脇構成員から頂きました御要望、特に今までも積まれているであろう中小規模の事業場での取組、ノウハウ、工夫については、ワーキングの中でも共有し、展開し、また御議論につなげていきたいと思っております。以上です。
○川上座長 それでは、オンラインの茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 1つお伺いしたいのですが、小規模事業場におけるストレスチェックのチェックリストを、またこのワーキングで新しく作られるのか、それとも今までの57項目、23項目のチェックリストをうまく活用するのか、その辺りは当ワーキングで議論されるのでしょうか。
○川上座長 事務局、お願いできますか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 今、茂松構成員がおっしゃったのは、今の50人以上のマニュアルで示しているチェックリストのことですよね。
○茂松構成員 はい、そうですね。それを活用するのか、それともやはり小規模事業場に合わせたチェックリストを新しく作るのかということです。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 はい。この後の資料3の論点の中でも触れますが、昨年の中間とりまとめでも、今の50人以上のマニュアルで示しているチェックリストについて、50人未満の事業者の方が外部機関を適切に選定できるように、新しく内容を見直すことの御提言を頂いております。それも、正に論点になっておりますので、チェックリストの見直しも含めて御議論いただく内容になっております。
○茂松構成員 分かりました。どうぞ、よろしくお願いします。
○川上座長 坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 御説明ありがとうございました。小規模事業場の実態に即したストレスチェック制度の実施マニュアルを作成することは大変重要です。検討ワーキングの一員として、従業員数50人未満の事業場が混乱せず、円滑にストレスチェックを実施できるようにする観点から、議論に建設的に参加してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○川上座長 ありがとうございます。高野構成員、お願いいたします。
○高野構成員 日精診の高野です。よろしくお願いします。先ほど、山脇構成員からもありましたが、ワーキンググループの中で好事例の展開ということで、御参考までに、こころの耳でメンタルヘルスの対策をしている事業所を150社ぐらい載せてあって、50人未満でストレスチェックと検索すると8社ぐらい出てくるのです。結構熱心にやっていて、10人未満の所も何社かありますので、そういった事例も参考にしていただければと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。そのほかには御発言、御質問等はありませんか。今の資料2についての御説明を基に、基本的にはこの検討会で、このワーキンググループの開催について御了承いただいたものと捉えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に進みます。議題3、「「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成に係る論点等について」です。事務局から資料の御説明をお願いいたします。なお、資料を見ていただくとお分かりのように、論点の数が7つと多いですので、事務局から説明を頂いた後、御意見を頂く場合には、2つのブロックに分けて御質問を頂こうと思います。論点1~3と、4~7に分けたいと思いますので、御了承願います。それでは、事務局、御説明をお願いいたします。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 ありがとうございます。資料3を御覧ください。マニュアル作成に係る論点等について、という資料になっています。
まず1ページ、「ストレスチェック制度の実施の流れ等」です。この上半分は、見ていただくと分かると思いますが、ストレスチェック制度の実施の流れになります。1~5というのは正に実施の流れに沿った各手続となっています。また、この下の6、7、8、9は、横断的な留意事項ということになろうかと思います。これを目次のイメージと置き換えて見ていただくと、マニュアルの全体像におのずとなってくるかと考えています。ですので、この全体をマニュアル化していくということになるわけですが、その中で特に、これから作成していくに当たって留意すべき点を、「論点」ということで特に記載しています。座長からありましたように、一応、論点は7つ御用意していますが、この7つの論点については本検討会の昨年の中間取りまとめにおいて、マニュアルにおいて示すべきポイントとして、既に御議論いただいて挙げられているものになります。昨年の御議論も思い返していただきながら、これらの論点を中心に、ワーキンググループに申し送るべき内容について、本日、また御意見を頂戴できればと思っています。
2ページです。論点1「関係労働者の意見を聴く機会の活用」です。まず「検討事項」を御覧ください。その上に中間とりまとめの部分も抜き出していますが、労働者が安心してストレスチェックを受検できるように、関係労働者の意見を聴く機会を活用することが適当であると御提言いただいています。その実効性を確保するために、この意見聴取の機会をどのような方法で設けるか、ということが検討事項になってくるかと思います。一番下にこの意見聴取の機会を定めた労働安全衛生規則第二十三条の二の条文と、その下にその解釈通達を掲載しています。一番下の※を御覧ください。この関係労働者の意見を聴く機会を設けるとはどういうことかの例示があります。古い通達になりますが、安全衛生の委員会、労働者の常会、職場懇談会といったようなものが例として示されています。何分、この法律、規則の制定当時の昭和47年の状況で示したものになりますので、現在の現場の現状に即して、どのような場、また、ストレスチェックにおいてはどういった活用が実効的なのかという点について、御検討、御議論を頂ければと思っています。
論点2「事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定」です。これも中間とりまとめにおいて御指摘いただいた点になりますが、検討事項としては、ストレスチェックの実施を外部委託する場合であっても、事業者として主体的に取り組んでいくことが重要ですので、そのための実施体制・実施方法についてどのように考えるかということが1点目。次に、事業者が外部委託先を適切に選定できるようにするため、外部機関のストレスチェックの実施体制や個人情報保護の体制、あとは費用面、または開示情報等の外部機関が備えるべき水準をどう考えるか。また、これらの水準を事業者が把握しやすくするためにはどうすればよいか、ということで先ほど茂松構成員からも触れていただきましたが、現在のチェックリストの見直しも射程に入っています。こういった点について、御検討を頂ければと思います。
加えて、50人未満の事業場においては、プライバシー保護の観点から、原則、外部委託が推奨されるわけですが、これを外部委託せず、あえて自社で実施するといった場合に、外部委託する場合と比較して特にどういった点に留意が必要になってくるか。最後の3点目の観点は、全体にわたる横断的な留意事項になりますが、まずこの外部委託が分岐点になりますので、頭出ししているというところです。後にも出てくる検討事項となります。
次に論点3「調査票」です。これは、附帯決議などを踏まえた論点になっています。検討事項として、2つ観点を挙げています。1つ目は、項目数についてです。現行のストレスチェック指針においては、57項目の利用が推奨されています。一方で、その簡略版の23項目というものがあります。欄外の一番下の※にありますが、平成26年当時の検討の場においても、もともと、ここにありますように中小事業場における実施可能性も考慮して作成されたという経緯もありますので、この23項目も含めまして、それぞれ57項目、23項目のメリット、デメリットを踏まえた上で50人未満の事業場において、どのような調査票の活用方法が考えられるか、というところを1つの検討事項とさせていただいています。
もう1つは、調査形態についてです。調査形態とは、紙かデジタルか、そういったところのことを言っておりますが、紙の調査票を用いた方式、デジタル媒体を用いてウェブ上で回答する方式、ということで現状も実施されているところですが、これを50人未満の事業場において、プライバシーの保護や実効性等の観点からそれぞれの方式のメリット・デメリットがありますのでそういった所を比較しながら、ケースに応じてどのように実施することが考えられるか、ということを検討事項の1つに挙げています。
論点4「面接指導」の関係です。検討事項を見ていただくと、1つ目は附帯決議を踏まえた論点です。対象者が安心して申出をすることができるよう、プライバシー保護の観点も含め、どのような環境整備が必要か、という幅広い内容になるかと思いますがそういった論点を掲げています。
次は中間とりまとめでも挙げられています地産保の活用、これも含めまして、外部機関への依頼手続や情報提供の仕方など、適切にこの面接指導を実施するためにはどのようなことに留意する必要があるか、といったところを検討事項としています。
加えまして、3つ目は、面接指導以外の相談を選択する高ストレス者に対する対応について、「こころの耳」の活用なども含めどのような対応が考えられるか、といったところを検討事項としています。
次に論点5「集団分析・職場環境改善」の関係です。検討事項としては、1つ目はまず集団分析について、労働者のプライバシー保護の観点から、「個人が特定されない形での」という、今はこの枕詞はないのですが、この枕詞を付ける省令改正を別途行うことになるのですが、この個人が特定されない形での集団分析の実施について、50人未満の事業場においては、具体的にどういった実施方法が考えられるかといった点になります。なお、10人未満の事業場、集団単位においては、現行のマニュアルでも基本やらないでいただきたいに近い言い方をしていますが、この集団分析を実施することは慎重であるべきとしています。
2つ目は職場環境改善についてです。これも事業場規模などを踏まえまして、どういった実効的な方法が考えられるかといった点、これを検討事項としています。
論点6「労働者のプライバシー保護」の関係です。これは横断的な課題になりますが、検討事項の所です。1つ目は、この50人未満の事業場でのストレスチェックの実施の各段階、①、②、③、④とありますが、ストレスチェックの実施、また受検勧奨を行うフェーズ、個人結果の通知・保存、面接指導の実施・申出勧奨というフェーズ、ここは申出時の事業者への個人結果の提供自体をありとするのかなしとするのかも含め。そして事後措置。こういったそれぞれの段階において、労働者のプライバシー保護の観点から、どのような対応が適切か、といった点になります。
次の点は、先ほど論点2で頭出しをさせていただきましたが、このストレスチェックの実施を外部機関に委託する場合には一定程度プライバシーの保護が図られると考えられますが、それをあえて自社内で実施しようとする場合に、本当に大丈夫かという点です。特に留意しなければならないことになってくる点についてどう考えるか。これを1つのポイントとしています。
3つ目は、事業者が外部委託先に個人結果の提供を強要したり、労働者に同意を強要したりといった不正な手段によって個人結果を取得してはならないといったこと、あとはプライバシー保護を担保する不利益取扱いの禁止についてどう明示するか。これは当然、書く内容にはなるのですが、どう書くか、どう明示するかといった観点で、また御意見を頂戴できればと考えています。
最後のページ、論点7「10人未満等の特に小規模の事業場におけるストレスチェック制度の実施」です。これも昨年の議論、中間とりまとめでも頂いていますが、家族経営等といった10人未満の特に小規模な事業場について、特に課題にしていただいていました。そういった事業場におけるストレスチェック制度の実施について、特にプライバシー保護の観点や実施体制等の実態も踏まえて、現状に即した取組可能な実施内容ということで、どのように示していけるか、といった点になろうかと思います。
以上、これらの論点を中心にということで、それ以外の点も含めまして、意見交換をしていただければと思っています。事務局からの資料の説明は以上です。
○川上座長 御説明ありがとうございました。それでは、構成員の皆様方から御意見を頂きたいと思いますが、先ほど申しましたように論点をまとめて2ブロックで御意見を頂く形にしたいと思います。まず、論点1、2、3です。その部分について、御意見や御質問等がある場合には御発言いただけますか。では、渡辺構成員、よろしくお願いいたします。
○渡辺構成員 渡辺です。今回の法制度化に当たっては、いろいろ大変なところもあったと思いますが、厚労省の担当の方々には非常に難しいお仕事をしていただいたということで感謝しています。私は今回の50人未満の事業場のストレスチェックも、今までのこの委員会でもいろいろな課題、難しい点があるということは多々出ていたと思いますが、法制度化されてやるからには、少しでも意義のある制度にするべきだと思っています。
今の論点の大前提になるところなのですが、このマニュアルを作るときにどういう方々を対象者としてイメージして作るかというところは、とても大事だと思います。実は私は前回までのこの委員会の中では、50人未満の事業場という場合に、これで日本のほとんどの労働者の人が対象になるのだろうと思っていたのです。50人未満の事業場で働いている人というのは、約3,000万人いるということで、その3,000万人の人が対象になると理解していたのですが、先日、ちょっと確認させていただいたところ、3,000万人ではなくて対象は1,000万人だとお聞きしました。そこはなぜかということを確認しましたら、今の規定で週の労働時間が4分の3、すなわち30時間以上の人を対象にする。その週30時間以上働いている人が、50人未満の事業場では1,000万人であるということで、対象は3,000万人ではなくて1,000万人だということをお聞きしました。そうなりますと、ちょっと私がイメージしていたものと大きく変わってしまいまして、私がイメージしていたのは50人未満の事業場と言いますと、例えばいわゆるコンビニ、飲食店のチェーン店、そういった所の従業員の人たちということを何となくイメージしていたのですが、週30時間以上の人というのを対象にすると、いわゆるパートの方、非正規の方々は全部外れてしまう。いわゆる正規社員のみが対象者になると、ほぼ置き換えられてしまうと理解したのですが、そういった理解でよろしいのでしょうかということを、まず最初にお聞きしたいと思います。
○川上座長 分かりました。大事な点だと思います。事務局で御対応いただけますか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 今、御指摘いただいた点は明確にしておきたいと思いますので、説明させていただきますと、正におっしゃっていただいたこのストレスチェックの実施義務の対象となる労働者というのは、通常労働者の週の所定労働時間数の4分の3以上の労働者ということになっています。いわゆる通常の労働者というのは、フルタイムの労働者の方を想定しますので、1日8時間、週40時間ということで、その4分の3となる、先ほど渡辺構成員からもございましたように週30時間以上の方を念頭に置いた形で対象をイメージしていただければと思います。これは現状の取扱いになります。
○川上座長 ありがとうございます。よろしいですか。
○渡辺構成員 そうすると、先ほど申しましたように、いわゆる非正規、パートの方々が全部外れてしまうということになるのですが、ちょっとそこに関してはそれでいいのかと、皆様方の御意見をお聞きしたいと思います。
それから、一応、今までの規定の中では、2分の1以上を努力義務のようにすると書かれていたのですが、その辺りはどう考えるかということも含めてお聞きしたいと思います。
それから、現行の規定では通常労働者の4分の3となっているのですが、その手前で当該事業場における通常労働者の4分の3という規定になっているので、当該事業場における通常労働者ということになると、そこの事業場ごとで変わってきてしまうと思います。そうするとばらばらになってしまう可能性があると思いますが、その辺りもそれでよろしいのかということを、ちょっと確認いただければと思います。
○川上座長 どうしましょうか。事務局から何かお答えいただけるところはありますか。少しワーキンググループで、もむべきところもあるかなと思って聞いていましたが。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 その解釈の部分についてもご指摘ありましたので、かなり詳しく御確認いただいたのだと思います。当該事業場における通常労働者、というようにもあるのですが、現状、ちょっと曖昧な部分はあるのですが、その取扱いとしては社会一般で言うとやはり週40時間の正社員のところが通常労働者の1つの基準といいますか、そこを念頭に置いています。御指摘いただいたような現在の事業場のあり方、特に小規模の場合の社員構成の実情など、そういったことも出てまいりますので、そのあたりはこの後、ワーキンググループも含めて、そういった実情も踏まえてマニュアルの中でどのようにうまく分かりやすく示していけるか、頂いた御指摘も踏まえまして検討課題として進めていきたいと思います。
○川上座長 ありがとうございました。渡辺先生、いい御指摘をありがとうございました。オンラインから茂松構成員、それから清田構成員、それから黒木構成員の順だと思いますが、よろしいですか。それでは茂松構成員、まず御発言をお願いいたします。
○茂松構成員 ありがとうございます。論点2の所なのですが、外部機関に委託する場合のチェックリスト例ということで、例えば行政が質問しても、これはやっていますということでポンと答えてチェックを入れると、実態を確認することが全然できていないということはよくあると思います。小規模事業場などにおいては、そこは非常に丁寧に攻めていかないと、事実がわからないのではないかと思いますので、その辺をどのようにしていくのかということをお聞きしたいと思っています。
それと小規模事業場になりますと、先ほども出ましたが正社員や派遣社員の割合、また性別の割合がかなり偏ったものになってきているということもあると思います。その辺も考慮していかないと、分析なども行うときにも影響するのではと思います。その辺りは丁寧に検討していただきたいと思うところです。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。今のはワーキンググループで取り入れていくということでよろしいですか。ありがとうございます。それでは清田構成員、よろしくお願いいたします。
○清田構成員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田です。まず全般的なところを少し申し上げます。これまでの検討会で日商として主張してきたとおり、これまでストレスチェック制度を実施してきた企業と、今後検討すべき50人未満の中小・小規模事業者では環境、人的リソースに大きな隔たりがあります。ストレスチェック制度の目的は、基本的には労働者のセルフチェックによる一次予防にあると認識をしています。当然、医師の面接指導につなげることや、集団分析、職場環境改善につなげることは望ましいものであるとは思いますが、小規模事業場になればなるほど自社内でそのような対応を実施することは、プライバシー確保の点から難しいのではないかと考えます。そもそも現行のストレスチェック制度は、プライバシー確保の観点から非常に複雑な運用を求めているのではないかとも受け止めています。50人未満の事業場への拡大に当たっては、まずは従業員に気付きと自己の振り返りの機会を与えることを重視した、可能な限りシンプルな制度設計にすべきと考えます。特に小規模の事業場、事業者に対しては、厚労省として実施方法を明確に提示することも重要だと思います。私もワーキンググループに参加させていただきますので、こうした観点での発言をしていきたいと思います。
その上で論点1、2についても意見を申し上げます。論点1、関係労働者の意見を聴く機会についてですが、50人未満の中小企業において、コミュニケーション方法は非常に多様であると考えます。このような実態を考慮すれば、画一的な規定は、なかなかなじまないのではないかと思います。衛生推進者の活用も1つの解決策だとは思いますが、懇談会、ミーティングなど、多様な機会での意見聴取を可能とすることや、厚労省として実施方法のモデルを提示し、それに従う形であれば労使協議を免除とするなど、分かりやすく取り組みやすいというところを重視した多様な手段を想定し、用意するべきではないかと思っています。
2点目、論点2の所です。事業者の関わり、外部委託についてです。お示しいただいているとおり、プライバシー確保の観点からも外部委託で進めることが理想だと思います。事業者の立場としては外部委託先の適正な選定が非常に重要となってきますので、適切なサービスを適切な料金で受けられる外部機関の紹介を、このマニュアルの中で行うべきではないかと思います。当然、紹介に値する機関については、厚労省としても事前に審査も含めた選定をしていくということが必要ではないかと考えます。あわせて、法定健康診断の実施機関との連携状況などもマニュアル上に記載できるとよいのではないかと考えています。私からは以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それでは、続きまして、オンラインの黒木構成員、お願いいたします。その後、松本構成員にお願いいたします。
○黒木構成員 ありがとうございます。私もちょっと勘違いをしていたのですが、全労働者にストレスチェックを実施すると思っていました。渡辺構成員のお話だと、それは厚労省としても週30時間ということなので、例えば複数事業場にまたがって仕事をしている人が、片方では社会保険料を払っている、でも、片方では払っていない。そういう場合の例えば20時間ぐらいの人など、そういった複数事業場で働いている人の場合に、どうするのかということも検討していただければと思います。
それから、10人未満でこのストレスチェックを実施する場合に、実施責任者は事業主であるし、それを例えば自社でやるということは、ほぼ難しいのではないかと思いますが、これもどういう過程を外部に委託するのか、そしてどのようにストレスチェックの面接指導にもっていくのかということについても、詳細に検討していただきたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それでは松本構成員、それから中島構成員にお願いしたいと思います。まず、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。まず、論点2の事業者の関わり及び外部委託先の適切な選定ですが、事業者がストレスチェックを委託する際には、ストレスチェックをやればいいということで終わらないように、目的や意義を、事業場や委託事業者、事業主、それから受ける側が共通理解することが非常に重要だと考えています。事業場が主体的に取り組めることを前提としているものですが、委託する場合には例えば事業場と委託先が協議するような場を設けるなど、事業場の課題や実態を共有し、ハイリスク者、あるいは高ストレス者が医師の面接指導を受けたかどうかなど、事後のアウトカムを含めて評価することが非常に重要ではないかと思っています。双方が連携して実施できる体制や仕組み作りが必要ですので、マニュアルには是非、そのような点を具体的に含めていただきたいと思います。
また、こちらのほうでは全体の体制、論点2のストレスチェック制度の実施体制という所になっていますので、そこについては昨年度日本看護協会で産業保健に関係する調査をさせていただいたのですが、そのときに小規模事業場の健康支援のために地産保と行政、あるいは保険者と行政が連携して支援している事例なども浮かび上がってきたところです。このような事例も参考にしていただいて、事業場だけで対応することが難しい場合には、地産保や行政などとの連携など、様々な事業場が別の方法を用いて産業保健体制を全体的に推進できるような仕組みを作っていただくことも必要かと考えています。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それでは、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の常務理事をしています中島です。初めての参加ですので、どうぞよろしくお願いいたします。まず論点1なのですが、関係労働者の意見を聴く機会の活用、現状、10人から49人の事業場には衛生推進者の選任が義務付けられています。ここでマニュアルにおいて示すべきポイントとしては、各事業場の実情に併せて衛生推進者が中心となって、関係労働者の意見を聴く機会を設定するように推奨してはどうかと思います。
それと論点2、事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定ですが、外部委託先である外部機関が備えるべき水準、外部機関に一定の質を担保する方策は常に考えておくべきと思います。ストレスチェックを実施する機関の登録制度というものはどうかと思いました。厚労省でストレスチェックを外部委託する際のチェックリスト例がありますが、これは事業場がチェックするということなのでしょうが、厚労省でもこのチェックリストで外部事業者のチェックをして、登録制にしてはいかがかと思いました。それと小規模事業場でこのストレスチェックをやる場合に、やはり費用の面が気になるところだと思います。事業者への補助制度や税負担の軽減など、そういったようなインセンティブとなる制度を充実させるのはどうかと思いました。
それと、論点3、調査票ですが、簡略版の23項目版というものは、この回答項目が少ないのですが、実施に伴う各種手続等の負担、従業員の回答に使用する時間は変わらないと思います。また、簡略版の信頼性と妥当性は十分に立証されているとは言い難いと思います。項目数に関しては、これまでのとおり57項目を推奨していいのではないかと思いました。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。一旦会場に戻りまして、江口構成員、堤構成員、それからオンラインの三柴構成員にと思います。江口構成員、お願いいたします。
○江口構成員 産業医科大学の江口です。改めてここまでの取りまとめ、大変お疲れさまでした。
私からは論点1、2、3と順番なのですが、まず1つ目の論点1、先ほど渡辺構成員からもあったのですが、前提が違ってくるとこの関係労働者の意義が全然違ってくるというところがありました。そこで、もし30時間というところで分けるのであれば、やはり先ほど日商の清田構成員からもセルフケアの話もあったのですが、ストレスチェックというのは職場全体で進めていくというところですので、その点を留意した関係労働者への意見を聴く機会を設けていかなければいけないと思いました。我々が研究していますと、よりぜい弱な立場にある方々が、よりメンタルヘルス上ハイリスクであるケースがとても多いので、それを就業時間で切ってしまうと、よりリスクの高い方々が外れてしまうというところも懸念すべき点ですので、その点は法律の建付けとしてはあると思いますが、こういった聴く機会という部分の活用も含めて、そういった方々が巻き込まれるような形を取っていけないかなと思ったところです。
もう1点、この点に関して、労働者が安心してストレスチェックを受検できるためにという点もあるのですが、それはもちろん大前提として、もう1点、是非、ストレスチェックをいかすためのこういった機会の聴く場というような設定をしていただくというところを、していただければと思います。やはり、私も様々な50人未満の事業者さんとやり取りをしますと、やらされるというスタンスがどうしても多く出てきますが、そこはいかしていくという視点で職場全体で取り組んでいただくというような点を、この部分にも明記していただけると有り難いのではないかと思っています。
あとは、事業者の関わり方及び外部委託先という所についても、やはりプライバシーの問題や安心していかしていくというところで、先ほどの関係者の意見を聴く機会も含めて、ある程度そこを規定とするかどうかなのですが、事業者側が余り労働者のプライバシーを踏みにじるようなことをしないような、そういったような一定の何かしらの取決めというものが社内でできるとか、労使でのそういった取決めができるようなものをしていけるといいのではないかと思った次第です。
最後、論点3についてなのですが、ここのデジタル化の部分については、改めてワーキングの中で検討いただいてもいいのではないかと思っています。私はこの附帯決議、詳細の所までは読み込めていないのですが、単にそのストレスチェックをウェブで回答するというところにとどまらず、中小企業であればなおのこと、そのリソースが限られているわけですので、そのサービスを活用したフォローアップであったり、例えばストレスチェックで高ストレスとなった方については、その場で何かセルフケアのそういったものが提供されるであったり、大手の企業で、人がいれば、その方が専門職が提供するようなサービスを、もちろんそのレベルには達しないものであっても、一定の限界がある中でデジタルサービスで代替するといったようなこともここに入ってくるのではないかと思っています。そういった点も併せて検討いただければと思った次第です。私からは以上です。
○川上座長 ありがとうございます。それでは堤構成員、お願いいたします。
○堤構成員 ありがとうございます。堤です。私は論点2の外部委託先の適切な選定について、1つだけ意見を申し上げます。こちらは事業者が適切に選定ができるという、そういう意味では主体的な関わりを持つためにはとても大切な考え方だと思っていますが、一方でかなり負担感も出てくる可能性もあるかなと懸念しています。そういった意味で、事業者が選定するというようなオプションもありつつ、その上の商業的な団体、商工会、商店会など、そういうような団体が取りまとめられるような形、そこに小規模事業場が簡易に申込みをするといったような、そういう形というのもあり得るのではないかと思いました。こちらはマニュアルの趣旨に反しないような形でという前提ですが、少し視野に置いていただいたほうが、小規模事業場にとっては、ちょっと御負担が減るのではないかなと、そういう意味での意見です。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。では、オンラインに戻りまして、三柴構成員、御発言をお願いいたします。
○三柴構成員 私からは論点1、2について、清田構成員、中島構成員、江口構成員と多分、同趣旨の部分があると思いますが、意見を申し上げます。国会の附帯決議でも示されていましたが、制度のスムーズで有意義な施行には、発想の転換が、やはり必要であろうと思います。小規模事業場への拡大のためにも、事業者にとってのやりやすさだけではなくて、やりたくなる、やらざるを得ない制度にする必要があると考えます。それには、これまでの有効性のエビデンスにこだわるよりも、人材の確保や定着のための人事戦略と考える視点も重要だと思います。また、それを有効に講じている事業が取引先や金融などの面で、信用を得られるような仕組み作りも検討されるべきではないかと考えます。メンタルヘルスというのは、もめやすい課題でもあるので、もめ事対応の視点も必要だと思います。どうしても困らないとやらないのが人間という面がありますので、そういう視点は必要だろうと。また、そういう視点を持たないとかなり形骸化してしまうおそれを感じています。ただ、それらができないと施行すべきでないという趣旨ではなくて、まずは施行させることが重要だと思っています。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。現時点でお手を挙げているのは、神村構成員、お願いいたします。
○神村構成員 神村です。今まで各構成員のいろいろな御意見を伺いましたが、私はこの1、2、3の全般的なところで、ストレスチェック制度を今、三柴構成員がおっしゃったように事業者がやりたくなる、それから労働者も受けたいなと思うような状況を、もっともっと作っていくにはどうしたらいいのかという観点をもう少し持っていただきたいと思ったところです。ただ、その中でも先ほど渡辺構成員が御指摘になったように、本当に全ての労働者ではなかったというところ、この同じ職場の中でもストレスチェックに該当しない人がいるという状況は、あまり作りたくないと思います。例えば、これまで小規模の50人未満の事業場で、ストレスチェックをしっかりやっている所もありますが、なぜやっているかというと、取引先の大手から、ここを使って、このサービス機関を使ってやってくれというような指示があったからやっていると聞いたりもしていますので、やはりいろいろな選択の自由、あるいは利便性の自由も事業者が選択できるような方法もきちんと担保していただかなければ、やらされ感ばかりがあるストレスチェック制度では、現場の満足感はないと感じています。その辺りはワーキンググループでもよく考えていただきたいと思います。
○川上座長 ありがとうございました。ほかにはありますか。では、山脇構成員、渡辺構成員、それから高野構成員の順でお願いいたします。
○山脇構成員 ありがとうございます。1、2、3、それぞれについて、コメントさせていただきたいと思います。
まず、1の関係労働者の意見を聴く機会の活用については、集団分析・職場環境改善の実施をするかどうかを含め、制度の実施内容をどこまでとするか、労使でしっかり話し合うということが、この制度の実効性を高めるために重要だと思っています。形式的に関係労働者の意見を聴いたにとどめることなく、しっかりと聴いた意見を制度に反映していくべきと考えています。
そういう意味で、この間も過去の検討会で発言させていただきましたとおり、この安衛則の第二十三条二項に基づく関係労働者の意見聴取が、必ずしも適切に実施されているとまで言える状況かどうか、私は疑問を持っているところです。仮に現行でも適切に実施されていないというのであれば、仕組みの在り方を含めて、実効性を確保するための方策を考えていかなければならないと思います。ワーキンググループで検討するに当たっては、まずこの関係労働者の意見を聴く機会の確保ということが現状しっかり行われているのかどうかということから是非始めていただきたいと思っています。
2点目、事業者の関わり方及び外部委託先の適切な選定について。予算面なども考慮して自社内で実施したいと考える企業も一定数あると思います。仮に自社内で実施する場合にはどのような点をクリアしなければいけないのかということをまず明確にして、各企業において、ストレスチェックを自社内で実施できるのかどうか判断してもらうということをスタートとすべきではないかと思います。指針で定められている実施体制の明確化、守秘義務の徹底など、労働者保護の観点から必要な基準というものをまず明確にして、仮にその基準を満たせないのであれば、外部委託してもらうという形に持っていかないと、実施方法が曖昧になってしまうのではないかと思っています。
また、外部機関の水準に関して、先ほどほかの先生からもお話がありましたが、企業が安心して委託できるということを担保するためには、優良認定制度のような、ここなら安心して委託できますというお墨付きを与えることが重要ではないかと思っています。
調査票に関しても、ほかの先生からありましたが、簡略版では職場の雰囲気だとか作業環境の項目が省かれていますので、集団分析・職場環境改善の普及を図っていこうということも踏まえると、少なくとも10人以上の事業場に関しては、やはり57項目を推奨していくことを基本にすべきではないかと思っています。
最後、会議の冒頭に渡辺先生から、派遣労働者を含めて今後どこまでを対象とするか別途検討が必要ではないかという意見がありました。そもそも義務対象するかどうかを含め、この検討会においてもしっかりと議論をする必要があると思います。仮に義務対象としないとしても、少なくともこの検討会としては、パート・有期の方で、4分の3要件に当てはまらない方に関してもストレスチェックを推奨していくのだということは打ち出しをしていくべきだと思っています。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。では、渡辺構成員、お願いします。
○渡辺構成員 渡辺でございます。論点2と3の所で少しお話させていただきたいと思います。やはり、先ほどから各構成員の先生方から出ているように、外部委託ということになりますと、外部委託の選定ということがとても大事になってくると思います。実は、前回のこの検討会でも外部委託先のことについては相当議論がありまして、マニュアルを見ていただくと分かりますように、実は相当細かいチェックリストがあります。4ページにわたって40項目ぐらいのチェックリストがあるのです。ところが、先ほど茂松先生もおっしゃっていたように、ほとんどそれが活用されていないのです。なので、いかに活用するかというところを今度のワーキンググループでしっかり検討していただきたいと思います。
例えば、実施体制の所でも、「実施者、実施事務従事者、面接指導医を明示すること」と書いてあるのです。ところが、今、外部委託機関で事前に明示している所は私は見たことがありません。例えば、そういったことを逆に業者に義務化させるというようなことも含めて、いかにこのチェックリストを活用するかということをむしろ重点的に考えていく必要があると思います。
それから、そこにも絡んでくるのですが、もう一つ、このデータの保存場所をどこにするのかという問題が出てくると思います。データの保存を、小さい企業ですと自分の会社では保存できないということになってしまうと思うのです。とすると外部委託機関に保存する。外部委託機関に保存するのですが、では、データの持ち主は誰か、そして責任者は誰かということになります。ここら辺りをはっきりしておく必要があります。それからもう一つは、外部委託機関に保存させてしまうと、次の年から外部委託機関を変更することが非常に難しくなります。というのは、経年変化を出すということが非常に大事になるのですが、経年変化を出そうと思うと前のデータが要るのですが、外部機関に保存させてしまうと、次に業者を変えようと思っても、その前のデータがもらえないとか、そういったことが現在でも起こってきています。そういったこともワーキンググループで検討していただきたいと思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。高野構成員、お願いいたします。
○高野構成員 ありがとうございます。日精診の高野です。私も、全ての労働者を対象にという茨の道に立ち向かう厚生労働省の意気込みを感じていた一人なのですが、先ほどの渡辺構成員の御指摘を受けて、1つ確認したいことがあります。数年前に個人事業主向けの調査票を作ったと思うのですが、今回の個人事業主は労働者と言っていいのか、義務化の対象に入っているのかどうかという確認でございます。
○川上座長 事務局のほうからお答えいただいてもいいですか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 個人事業者は、ストレスチェックの実施義務の対象にはなっておりません。
○川上座長 ありがとうございます。では、次は坂下構成員だと思いますが、ちょっと時間が押してきましたので、坂下構成員の御発言までで論点1~3は一旦締め切らせていただいて、また時間があればということにしていただきたいと思います。では、坂下構成員、お願いいたします。
○坂下構成員 まず、資料3の1ページにマニュアル作成に係る7つの論点が俯瞰的に書いてありますが、これは今の実施マニュアルの目次に連動していて、何を議論する必要があるのかが分かりやすいという印象を持ちました。私自身、ワーキングのメンバーとして議論していく上で非常に参考になりました。分科会の構成員の皆様から見て、ほかに足りない論点があれば是非お聞きしたいと思いますが、私としては論点はカバーされているかと認識しております。
論点1について、山脇構成員からもご発言がございましたが、関係労働者の意見聴取は実際、どのような形で行われているのか、私も非常に興味があります。議論を進めていく上でのスタートになるだろうと思っています。そこで、これは質問なのですが、関係労働者の意見聴取が、実際どのように行われているのか、何か実態を調べているものが厚労省のほうであるのかどうかということをお聞きしたいと思っています。
○川上座長 そうですね。事務局、何かお答えいただけることはございますでしょうか。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 現状、詳細に把握できているわけではないのですが、労働局や監督署、我々の出先の現場職員に今般の議論に関しまして話を聞いている中では、50人未満の事業場においてどういう実態があるかというと、例えば、安全衛生に特化したものではないのですが定例の業務ミーティングとか、朝礼の場とか、いろいろな場を活用して、同業者の災害の事例を共有するなど、そういった安全衛生に関わる情報を共有して、労働者の意見も聴取するという、そういう機会の設け方が様々あるようでして、事例の報告を受けております。なので、ここは正に今後のワーキンググループの中で、実際の事業者さんや労働者さんにも参加していただいていますので、さらに、どういった実情か、また、このストレスチェックに当てはめてどういった活用があるのか、ということをしっかり確認してまいりたいと思います。
○川上座長 あと、残りの部分をお願いいたします。
○坂下構成員 ありがとうございます。実態がどうなっているのかということをよく理解した上で議論することが重要だと思っています。検討スケジュールを考えると新たな調査の実施は難しいと思いますが、何か実態が分かるような資料等をワーキングでは出していただけると、地に着いた議論ができると思っています。昭和47年の通達ですので、「労働者の常会」など、書いてある文言も非常に古い表現がありまして、どのような実態になっているのかということを勉強したいと思っています。
論点2に関して、資料の記載にあるとおり、外部委託を選択したとしても事業者が主体的に取り組むということは極めて重要だと思います。労働条件分科会でも鈴木がそのような旨を発言させていただいたと思いますが、50人未満の事業者が現実的に対応可能な実施体制、実施方法を事業者に分かりやすく示すことが重要であると認識しております。
また、先ほど、多くの方からも御指摘がありましたが、実務の観点から言いますと、外部委託先を適切に選定できるような取組、優良な外部機関を活用しやすくするような取組は、中小事業者の負担軽減につながるという意味でも非常に重要なものだと思いますし、質を担保する意味でも大切だと思っています。どのような対応が現実的にできるのか、ワーキングの中でも有識者の皆様の御知見なども頂きながらしっかり議論してまいりたいと思っています。その際、やはり、渡辺先生からもご発言がございましたが、特に小規模の事業者が実際に対応可能で、実施してよかったと、その効果を実感できるような支援をワーキングでは検討していく必要があるのかと考えています。
論点3に関して、これは質問なのですが、簡易調査票の57項目と、その簡略版の23項目の2種類がありますが、これは具体的にどのような効果の違いがあるのか。山脇構成員から、作業環境などの質問項目が入ってないというご指摘があったのですが、個人のメンタルをセルフチェックする際に、簡略版と57項目版でどのような違いがあるのか、教えていただければと思っています。これは質問ですので、終わった後、対象者の労働者のところについて、一言申し上げたいと思います。
○川上座長 一旦はよろしいですか。質問について、お願いいたします。
○富賀見メンタルヘルス対策・治療と仕事の両立支援推進室長 調査票の57項目と23項目の違いですが、平成26年のストレスチェック制度の創設当初に、このストレスチェックの項目に関する専門検討会というのがありました。その報告書に書いてある内容で申し上げますと、まず57項目は、平成26年時点ですが、これまでの研究の蓄積及び使用実績があり、現時点ではもっとも望ましいものであると考えられる、と示しておりまして、推奨しているのが57項目です。
23項目については、中小規模事業場における実施可能性も考慮すると、57項目の標準的な項目をさらに簡略化した調査票へのニーズも想定される、とし、この57項目のうち、例えば「ストレス要因」に関する6項目、「心理のストレス反応」のうち9項目といったように、これは重要という議論が検討会でなされ、その結果を踏まえてチョイスされた23項目です。更にこの23項目の妥当性や信頼性について、57項目との結果の相関などを専門の方により検証をし、検討会でその確認をしております。その結果、最終的に報告の中でどう示しているかというと、今後、簡略化した調査票の例をマニュアルなどで示すことが適当という、そういった表現で示しています。
実際、川上構成員、黒木構成員、渡辺構成員などもこの検討会に入っていらっしゃったようですが、23項目に対してはいろいろな議論があった結果、検討会の取りまとめとしての位置付けは、今後そういったものを示すことが適当、というところにとどまっています。これを受けてその後の行政としての反映は、ストレスチェック指針において57項目を掲載し、事業者がストレスチェックに用いる調査票としては別添の57項目を用いることが望ましい、という言い方にしております。その後、マニュアルにおいても、57項目を利用することが推奨されます、と言った上で、また、これを簡略化した調査票の例として、この23項目を以下に示します、という言い方で掲載しているものになります。
一応、23項目は、その検討会の中でも、妥当性や信頼性の検証も行われていますし、集団分析にも用いることは可能だというところは、簡略化する場合でもこの23項目であれば最低限できるというところは確認されたものであるという位置付けになっております。
○川上座長 座長が補足するのも変ですが、その後、堤構成員が研究をされて、23項目版での高ストレス判定は57項目と同等の妥当性があることになっていますが、本人へのフィードバックは項目がちょっと少ないので、どのぐらい効果があるのかというのは少し気になるところではあります。
最後の御発言をお願いします。
○坂下構成員 ありがとうございます。それぞれの方式のメリット・デメリットも踏まえて検討すると資料に書いてありますが、是非、その方式に関して勉強しながら考えてまいりたいと思います。
最後に、派遣・パートの労働者がストレスチェック実施義務の対象になるかどうかという、通常労働者と比較して週労働時間4分の3以上や週30時間要件の論点ですが、これは50人未満にかかわらず、全ての事業場・事業規模に関わる話ですので、小規模事業場向けのマニュアルを検討するワーキングの場で議論するにはあまりにも影響も大きいですし、非常に慎重な議論が必要だと思います。4分の3要件は社会保険など、他の制度に関連する可能性も懸念されます。この検討会や安全衛生分科会など、いろいろな場が考えられますが、別途議論するのであれば慎重な対応が必要ではないかと思っています。
○川上座長 佐々木労働衛生課長、お願いいたします。
○佐々木労働衛生課長 ありがとうございます。4分の3をめぐるいろいろな議論を構成員の皆様方から頂いたところでございます。我々のスタンスとしましては、室長から申し上げましたように、現在のストレスチェック制度の対象というのは、一般的に業務に起因して生じるストレスが一定以上の時間、業務に従事することが要件であるという考え方の下に設定されております。そういうことから、これまで念頭に置いていたのは、例えば、40時間という法定時間がありましたら、4分の3であれば30時間、2分の1であれば20時間ということを念頭に置いてこれまで制度を設計し運用してきたところです。この点につきましては、今回、改めて御意見、御指摘がございましたので、また、このマニュアル作成とは別に、本検討会は次年度も引き続き行いたいと思いますので、その中で改めて御議論いただきたいと思っております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それでは、時間が詰まってまいりましたが、残りの論点4~7について御意見、御発言いただける方がおいでになりましたら挙手をお願いいたします。堤構成員、お願いいたします。
○堤構成員 ありがとうございます。私は、集団分析・職場環境改善の対象の所で、個人が特定されない形の集団分析のアジェンダについて少しだけ。御存知の方もいらっしゃるかと思いますが、これは建設業労働災害防止協会、いわゆる建災防のほうで、実に無記名で作業前に実施をしておられる事例がありまして、それが非常に参考になるのではないかと思いましたので、情報提供ということでお話をいたしました。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。それから、オンラインのほうにいきまして、井上構成員、矢内構成員、松本構成員の順でお願いいたします。
○井上構成員 日本精神神経学会の精神科医の井上です。多くの労働者に役立つ制度についての議論に参加させていただいて感謝しております。私がちょっと気になるのは論点4の面接指導の所です。これは、やはり地産保の活用というところがかなり重要になってくるかと思っております。「マニュアルにおいて示すべきポイント」などと書いてあるこのマニュアルなのですが、これは基本的に私の理解では、実施者向けマニュアルのことなのかなと考えております。
ただ、実際に地産保で面接を行うときのマニュアルやノウハウについて少し御検討いただきたいと思っております。すなわち、地産保は拡充していだだけるということで大変良いと思うのですが、質と量の両方がございまして、量については様々な、精神科医に限らず内科とかいろいろな方に御参加いただくという形で担保は可能だと思うのですが、質のところの担保をどうするかが極めて難しいと思っています。
というのは、やはり今回の50人未満ということになりますと一次産業も入ってきますし、山間部とか本当にいろいろな労働環境があります。また、家庭内で行っている事業所も入ってまいります。そこに、実施者に高ストレス者に該当すると指摘され、面接希望で地産保に来られ、面接医師が相対したときに、その労働環境を面接医師は知らないと思うのです。特に一次産業とか家内事業所とか、そういうものに関しては、何が何だか分からない状態での面接ということもあり得ると思います。やはり、50人以上の方、しっかりした事業体の中の面接と今回のものはちょっと違うと考えた上で、先ほどお話いただきましたように、好事例とかQ&Aみたいなものをできるだけたくさん含めていただいたような、地産保等の面接医師向けの実効性のあるマニュアル等を作っていただけると大変有り難いと思っております。実効性を担保するためのお願いとして発言させていただきました。よろしくお願いします。
○川上座長 ありがとうございました。では、矢内構成員、お願いします。その後はオンラインで松本構成員、茂松構成員、森口構成員の順でお願いいたします。
○矢内構成員 矢内です。私は大規模事業場に勤務している立場となります。論点の4と5について、意見を述べさせていただきます。面接指導については、今もお話がありましたが、かなり慎重に対応する必要があるかと思います。大企業の中でも、医師面接を希望される方は対象の数パーセントと非常に少ない状況です。やはりプライバシーを守るための仕組み複雑さもありますし、もともとの事業主を巻き込んだ相談のハードルがあると思います。小規模事業場になると、そのハードルがより高く、色濃くなるのではと思います。本当にこの仕組み自体が小規模事業場に合っているのかという視点での検討もしていただきたいです。一方、医師面接ではなく、保健師や、カウンセラー等による健康相談は一定数ある状況ですので、実施することありきではなく、その後の相談体制をどう作るか、サポートをどう行うかが非常に大切かと思います。また、ストレスチェックのときだけ相談ができればいいのではなく、並行してメンタルヘルス全体の体制について検討もする中で日常の相談体制の整備を行いストレスチェックと連動させるような形で検討いただけると、現場に即した対応になると考えます。
次に、論点5の集団分析についてです。10年ほど集団分析を継続しており、職場の階層カテゴリーや属性に応じて、数千人単位から数百、数十といったかなり柔軟な分析を行っております。その中で、やはり50人を下回る集団になると単年の分析はできるものの経年データを見ると、非常にデータが不安定というか、揺らぎがあります。職場への報告の際には、データ変動に対する丁寧な説明など、数字のみの評価にならないよう慎重に対応しております。小規模事業場での集団分析についても改めて検討いただきたいですし、検討を進めるにあたっては、既存の大規模事業場でのデータであっても少数単位での分析結果はあるので、そういったデータや評価も活用できると思います。小規模事業場での集団分析の可能性や限界、リスクなどを分科会、ワーキンググループの中で検討していただけると非常に有り難いと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 論点4の面接指導でございます。今のお話にもございましたが、現状として、50人以上の事業場でのストレスチェック受検者のうち、医師面接を受けた割合は、約1.5%という資料を前回も出していただいております。これは高ストレス者の1割にすぎないということになりますので、小規模事業場においては、更に産業保健体制が整っていない状況で、このストレスチェック実施後のフォローとか、対応、対策を進めることは非常に難しいのではないかと想定されます。
小規模事業場においてストレスチェック実施後の面接指導をはじめとした対応や、個人へのフォローがきちんとできることが重要だと思いますので、その実効性を担保するための何らかの積極的な仕組みや仕掛けを検討することが必要だと考えております。労働者自身が面接・面談を申し出て、それが安心してできる仕組みや支援体制の整備、労働者への十分な情報提供なども行うことが重要だと思っております。
本会で、昨年度実施した調査によりますと、地産保のコーディネーターを兼務している登録保健師のほうが、労働環境を含めて情報を収集、整理し、産業医が適切かつ迅速に就業判断を行えるようにサポートしている。このような事例も、把握しております。
また、面接指導をタイムリーかつスムーズに実施できるような事前の調整とか、事後フォローなど有効な調整機能を発揮していることも確認しております。更には、包括的な支援もできているということですので、そういった所の事例も是非御活用いただければと思います。マニュアルには、そういった事後対応の方策を具体的に記載していくことが必要ではないかと思っております。
また、この方向性ですけれども、地産保の体制強化が重要だということになっておりますが、まず、実態把握というのが必要だと思っております。本会では、医師面接を受ける人数が、今現在の2.6倍ぐらいになるのではないかというような試算もしており、相当な強化が必要だと考えております。国のほうでは、どのような視点に基づいて、どのような手当をなさるおつもりなのか、伺いたいと思っております。以上でございます。
○川上座長 ありがとうございました。では、佐々木労働衛生課長、お願いいたします。
○佐々木労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木です。ありがとうございます。最後に頂きました地産保の在り方につきましては、この度の法案改正の審議の中では、かなり御指摘を頂いたところでございまして、国といたしましては、地産保の実態を把握しながら、その体制の全体的な底上げを図っていきたいと考えております。
具体的な着目の視点としましては、当然、地産保はいろいろな体制の状況がそのセンターごとに異なっています。それによって実際のそのアクションというものも異なっている可能性があると思いますので、一体そこに相関関係というか、関係性が見出せるのかどうかというのを見ていきたいと思っています。
特に、今回のメンタルヘルスの取組につきましては、ストレスチェックの実施義務の拡大に伴いまして、医師による面接指導のニーズが高まるというように思っておりますので、面接指導におけるその対応の現状について、もう少しつぶさに見ていきたいと思いますので、この点を中心としながら、当然、地産保の活動全体に及ぶことですので、その体制とアクションの関係性というのを着目しながら、今後は掘り下げていきたいと思っております。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインで森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 私でよろしいですか。
○川上座長 茂松構成員はまだ御発言されていませんでした。すみません、失礼しました。茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 茂松です。私は面接指導のところの実施に際して、地産保等の外部機関の活用をどのように考えるかというところですが、先ほど井上構成員から質と量ということが言われました。日本医師会としましても、やはり小規模事業場というのは地域の関わりがすごく多いということがありますので、産業医を持つ、かかりつけ医の関与というのは非常に重要と考えております。そのためにも、やはり精神科の先生と研修を行っていただいて、かかりつけ医の質を上げていこうということを日本医師会としても検討中で、精神科に関する研修会をこれからさらに充実させるために、精神科の先生と連携を図っております。
もう1つは、論点5の集団分析です、やはり50人以上の事業場でも努力義務であるためまずはそちらのほうをしっかりと対応できるよう検討すべきではないかと考えております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。失礼しました。森口構成員、お願いいたします。
○森口構成員 森口です。私は論点4の面接指導の部分で、やはり今、茂松構成員等からもございました地産保の役割が増えるということは今後、当然想定されると思いますけれども、私の地元の京都で見ていますと、認定産業医を取っても、なかなか産業医としての業務であったり、地産保の業務に入らないような先生もいらっしゃって、1つは、以前のこの検討会でも論点に上がったと思いますけれども、謝金が非常に安く据え置かれているような状況があるという認識を持っております。それが全てではないですけれども、一因ではないかと思っております。今後そういった点に関して、厚生労働省としてどのようにお考えなのかを、少し確認させていただければと思います。よろしくお願いします。
○川上座長 ありがとうございました。今、お答えいただけますか。佐々木労働衛生課長、お願いします。
○佐々木労働衛生課長 佐々木でございます。御指摘ありがとうございます。今後の地産保のニーズの拡大に伴いまして、当然その登録産業医の方々の拡充をお願いしたいと思いますし、現行、既に活躍されている先生方にも、更なる活躍をお願いしたいと思っています。そのため、今、あくまでも厚労省内ですけれども、謝金単価も増額を検討中ではございます。ただ、何分これは予算と絡む話ですので、現時点では決定事項ではありませんけれども、なるべくそのような方向で検討してまいりたいと考えております。
○森口構成員 ありがとうございます。
○川上座長 それでは現地の、島津構成員、お願いいたします。
○島津構成員 島津です。この度は、おまとめをありがとうございます。私からは論点4と5について発言させていただきます。論点4の面接指導についてですが、以前からもご指摘がありましたように、高ストレス者については、そうではない方と比べて、その後の1か月以上の病気による休職のリスクも非常に高いというのは、エビデンスも、こちらでも報告があったと思いますけれども、高ストレス者への面接というのが、今後さらに重要になってくると認識しております。
一方で、ただ、その面接が、ストレスチェックの本来の目的が、やはり一次予防ということを考えると、適切な医療機関につなぐのが必要な方をつなぐことはもちろん大事なのですが、それに加えて、相談対応や、本人申出をしていない高ストレス者への面談を実施し、その方がどのような職場環境にいて、そこでどのような負担を感じていて、どのように調子を崩してというようなところをしっかり本人の心理的負担をアセスメントして、改善に結び付けていくような支援をしていくということも非常に重要なのかと思っています。
この意味では、高ストレス者への補足的面談、選定における事前の面談のところで、保健師の方もそうですし、心理職も含めて医師以外も関わっていくような場がありますが、是非そういったところを、今後、十分に活用できるような、体制づくりが重要と思います。そういった事前面談の中で、例えば心理職等が、セルフケアの支援をすることで、産業医との連携も非常にしやすくなったり、産業医の職務の面接につなぐところでの負担の軽減になったり、うまく連携していけるところもあるかと思いますので、産業医、保健師、心理職を含めた産業保健スタッフが一丸となって支援していくような体制が作れるようにしていく、というのが、より今後は重要になっていくのではないかと考えています。
そういう意味では、ここでも地産保の拡充というお話が、先ほどから出ていますが、地産保にも登録産業医・保健師の方がいらっしゃいますが、あわせて心理師も、可能であれば、そういった所に可能な範囲で配置をしていただくなど、心の健康の支援について、各専門家が連携をしながら一丸となって支援していけるような体制づくりを行っていくことが、これから先の、小規模事業場でのメンタルヘルスの体制、相談体制づくりがきちんと行えるところにもつながっていくと考えています。そういうこともありますので、先ほども地産保のスタッフに向けたマニュアルのお話もありましたが、こういった体制づくりの実現のためにも、是非、そこに向けて、スタッフのマニュアルとか教育も非常に大事になってくると思っています。
続きまして、論点5の集団分析のところになります。こちらも多職種の連携が、より重要になってくると思っています。例えば、心理職ですと心理統計のようなところが少し得意な人もいたりとか、それぞれ各職種で得意な分野があるかなと思うのですけれども、特に小規模事業場になってくると、経営者の方に御理解いただくようになった場合に、そのようなデータでお話をすることも、もしかすると、1つ助けになることもあるのかななど、多職種がいればアプローチの選択肢が増えるという意味で、そういったそれぞれの職種が連携をして支援していく体制も重要かなと思っています。
あとは、やはりプライバシーという観点が非常に大事かと思っていますが、私自身は通常、大規模な企業の中で産業保健の支援に携わっていて、4万人ぐらいの社員を対象にして、事業場規模は10人未満から数千人の所まで40社ぐらいを対象にして、グループ会社の支援を行っているのですけれども、例えば私が支援している事業場では、50人未満の会社については、経営層への報告の際に、10名以上の集計ができても、会社としての集計しか行わないというような運用を決めて実施したりしています。ですので、万が一、疑われるようなというか、個人情報が漏れてしまうのではないかという懸念を持たれないためにも、徹底的に事前にプライバシーの保護についてお話をするとともに、万が一にも、漏れがないような集計方法を検討するとか、そういった運用の検討を、特に小規模の事業場の場合には考えていくということが重要かと思っています。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインで三柴構成員だと思いますが、時間がいっぱいになっていまして、あとは時間いっぱい限りで、一旦、締めさせていただいて、メールで頂くことになるかもしれません。御容赦ください。三柴構成員、お願いします。
○三柴構成員 論点6についてです。プライバシー保護というのは、本音の部分、実質的にはなかなか難しいし、行き過ぎると制度を無意味にしかねないという懸念を持っております。ストレスチェックというのは、本来は専門家を媒体とした対話を通じて労使の信頼関係をいざなう制度でもある。それが本質的な一次予防にもなるということです。労使の利害対立を前に出しすぎると、制度趣旨の実現は難しくなってしまいます。
とは言え、プライバシー保護を無視はできないので、結局、本人同意の取り方の問題になってくると思います。例えば就業規則などに同意を書けば有効かといった問題になってきます。この点、健康管理はプライバシーよりも上位の法的利益であるという原則を確認する必要があります。今の健康情報等に関するマニュアルでは、慎重に書きすぎています。詳しくはワーキンググループで検討することになりますが、その点についてあらかじめ共有を図れればと考えております。最後に、データを示しても、必ずしも、特に中小企業の経営者は動かないということは、申し上げておきたいと思います。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。現地のほうで、江口構成員にお願いします。
○江口構成員 そうしましたら、私から簡単に。論点4ですが、こちらは恐らくワーキンググループのほうにも神奈川産保の渡辺先生と森口先生が入られているのだと思いますけれども、私も地産保での仕事などに少し関わらせていただいていると、やはりそこでの1回だけの面接は、社内における面接と大分意味が、難しさが違うというところがございます。やはり組織のことが分からなかったりするところがありますので、やはりその点は先ほど茂松構成員からもありましたとおり、より地域の先生方がしっかりと診ていく必要があるのではないか。最近、様々な点でオンラインが導入されていますが、正に地産保のこの面接においては、安易にオンラインで、例えば東京の先生が北海道の事業場の高ストレス者の面接を行う状況になるのは、更に評価が難しくなっていくのではないかと思っています。そのオンライン化の部分と地域性という部分は是非留意いただければと思っております。
論点5~7につきましては、マニュアル、これは時間も限られている中での作成になると思いますけれども、50人と10人の間でも、やはり30人とか、一定、そこら辺の部分でも、ある程度の目安を作っていただいて、幾つかの事業場規模において、50人未満と10人以上でひとくくりにするのではなくて、50人、30人、10人ぐらいで一定数の目安を作っていただけると、事業者のほうもやりやすいのではないかと思った次第です。私からは以上です。
○川上座長 ありがとうございました。オンラインの中島構成員、お願いできますか。
○中島構成員 日本精神科病院協会の中島です。論点4ですが、個人情報の保護を考えますと、現状のシステムとしては、ストレスチェックと定期健診をセットで外部委託して、健診センターなどで各種検査を行う際に、医師による面接指導を行うといった方法が、より現実的ではないかと思います。
論点5ですが、小規模事業場における職場環境改善については、典型例を複数提示して、特定の事象に当該の事業場が該当する場合には、そこに示された対策を指針として職場環境改善を実施するといったガイドラインを示すということがいいのではないかと思いました。以上です。
○川上座長 ありがとうございます。一旦、現地に戻りまして、及川構成員、お願いします。
○及川構成員 及川です。論点7ですが、50人未満でも、なかなかプライバシーの観点とか実施体制が大変な中で、10人未満ということなのですけれども、この実施体制の実態に即してというところで、10人未満ですので就業規則もない所が多くあります。まずは就業規則を作ってからというような前提条件を示してあげるというのも、1つ考えられるのではないかというように思っています。
それと、本日、出ました週30時間のところですが、50人未満の中小企業を考えたときに、時間という、変動して、なおかつ外から見えないものについて把握をしていくということに対して大変負担感を覚えるものです。時間というところのメンタルヘルスの関わり方はよく理解できるのですけれども、50人未満を考えたときに、むしろ思い切って賃金台帳で形式的に外からはっきりさせるということもあるのではないかと思っています。引き続き、30時間というところの議論は必要だと考えます。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。これを最後にさせていただきたいと思います。清田構成員、お願いいたします。
○清田構成員 日商の清田でございます。時間がないので簡潔に。論点7ですが、10人未満の事業場の件ですけれども、やはり10人未満となると、本当に人的リソース、それからプライバシーの確保という面を考えたときに、従来のこの運用をフルパッケージで求めるというのは、非常に困難なのではないかと思っております。セルフチェックという重要な観点は維持しつつ、どのような形が現実的にできるのかというところを踏まえた検討をしていくべきであろうと考えております。以上です。
○川上座長 ありがとうございました。本日は時間が限られておりまして、頂戴できなかった御意見はたくさんあると思います。メール等で事務局へお願いできればと思います。それでは、本日の御議論も踏まえまして、今後のワーキンググループでマニュアル案の議論を進めていければと思いますので、よろしくお願いいたします。本日の議事は、これで終了させていただきます。皆様方の御協力、どうもありがとうございました。事務局へお返しします。
○加藤中央労働衛生専門官 事務局から連絡事項が2点ございます。次回の検討会の日程等につきましては、改めて御連絡させていただきます。
また、本日の議事録につきましては、先生方に内容を御確認いただいた上で、厚労省のホームページに掲載しますので、追って御連絡をさせていただきます。以上でございます。
○川上座長 それでは、本日の検討会、どうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【検討会終了後、メールにて構成員から追加でいただいたご意見】
○松本構成員
・小規模事業場におけるストレスチェック制度の運用を実効性のある、意味のあるものにするためには、大前提として、事業場と労働者自身が、その重要性を理解することが重要である。
・ストレスチェック制度の目的は一次予防であること、従業員のメンタル不調は事業場の生産性にも影響すること等、理解を深めるための事項をマニュアルの冒頭で提示するよう検討をお願いしたい。
・また、事業場側のメリットや事業場として効果評価をするためには、自組織のストレスチェックの実施状況等の現状について、プライバシーを保護した状態で把握し、集団データとして活用できることも必要ではないかと思う。
・例えば、一般の同一産業種別の事業場などと比較して、自組織がどのような特徴をもっているのかなどが理解できるような仕組みなど、関連するさまざまなデータから把握し、対応を検討できるような仕組みや体制を構築することが必要ではないか。国として、集積したデータの事業場での利活用の方向性や方針の具体についても、マニュアルに提示できるとよいと考える。
○渡辺構成員
高ストレス者の面接指導をだれがどのように行うかはもちろん重要なところですが、面接指導のあとのことを検討することも極めて重要と考えます。
①本制度の本来の趣旨にそった対応をするためには、面接指導後の意見書の取り扱いがとても大事ですが、地産保の先生が面接指導されるような場合に、その先生がかかれた意見書に対する返書の扱い方、保存方法などの検討が必要と考えます。
②面接指導の対象者のフォローをどうするかも検討しておく必要があると思います。事後措置が適切に取られたか、対象者のその後の経過などにつきフォローが必要な場合が多いのですが、50人未満の事業場では産業医が存在しないため、面接指導を行った後が放置されてしまう危惧を感じます。従いまして、面接指導後のフォロー体制についても何らかのマニュアル化をする必要があると考えます。
○山脇構成員
(論点4について)
・対象者が安心して面接指導の申出をすることができる環境を整備するには、面接指導の申出やその結果により、不利益な取り扱い等がなされるのではないかという不安を取り除くことが重要と考える。事業者から労働者に対し、積極的に面接指導を勧奨することはもとより、プライバシーの保護や不利益取り扱いの禁止について周知広報することが必要であり、どのようなことが法違反となるのかを明示することも含め検討していただきたい。
・地産保等の外部機関への依頼手続きや情報提供については、本人同意のない情報が事業者に提供されることがないよう、労働者のプライバシー保護の徹底が不可欠である。
・実施義務対象の拡大により、面接指導の対象者の相当な増加が見込まれるため、地産保の体制拡充と必要な予算の確保について改めて要望しておく。
・体制強化にあたっては、医師会の協力のもと全国規模での認定産業医の育成はもとより、産業医科大の体制強化も併せて実施してもらいたい。令和6年度から産業医科大の予算が減額されたままとなっており、次年度においてはしっかりと予算確保をしていただきたい。
(論点5について)
・50人未満事業場における集団分析・職場環境改善については、一定の配慮との認識には相違はない。
・他方、集団分析の有用性も明らかとなっているところであり、例えば、10人以上の事業場においては、事業場全体を一つの単位集団とみなしたうえで、職種別の全国平均値と比較することで、集団分析・職場環境改善を実施するという方法も考えられるのではないか。
・小規模事業場において、自分たちには集団分析・職場環境改善が関係のないことと捉えられることのないように周知していくことが重要と考える。
・なお、厚労省には、過去の科研費調査で実施しているような職種別の平均値について、年度ごとに公表することを検討していただきたい。
(論点6について)
・労働者のプライバシー保護は最も重要な点であり、事業所規模に関わらず、同一の措置としたうえで、実効性を確保すべき。原則として現行のストレスチェック指針に基づいた対応を図るべきと考える。
・事業場が実施体制を確立し、責任の所在を明確にし、法違反があった際には罰則が適用される可能性があることを含め周知するとともに、労働者が通報できる外部の窓口について広報することが重要と考える。
○中島構成員
(論点4について)
・医療過疎地対策として、高ストレス者への面接指導を、一定の要件を満たす(研修を義務付けるなどして)公認心理師、産業保健師が行うことができる、現状以上にオンラインによる面接指導を行うことができる、といった制度を準備する必要がある。
(論点7について)
・10人未満等の特に小規模な事業場が単独で実施するのが困難な場合、同業種の連合体や地域の商工会、協同組合等を実施母体と考え、そこに小規模事業所が加盟することによって外部機関で一括実施するというような方策も考えられる。
・小規模事業場のストレスチェックの実施を受託する事業者に対する配慮も必要である。小規模事業所を対象にストレスチェックを受託した時に所要される経費は、小規模事業所が期待する経費より大きくなる可能性がある。小規模事業所側からすると、実施しなければならないが高い経費は支出できないということも起こりうる。そうした際、何らかの公費助成制度を準備するなり、実施する外部機関への補助を行うなりの対策があれば良いと思われる。