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第19回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録
厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課
日時
令和7年9月3日(水)10:00~12:00
場所
新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)
議事
○佐藤専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第19回「アレルギー疾患対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは本協議会委員の交代について御説明させていただきます。日本歯科医師会の理事交代に伴い、佐藤真奈美委員から近藤紀之委員に交代となっております。よろしくお願いいたします。
また、本日、全委員18名の方に御出席いただいており、定員数に達していることを御報告申し上げます。
皆様の御紹介については、名簿をもって代えさせていただきます。
また、本日は参考人として国立病院機構福岡病院 名誉院長、西間三馨先生にも御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1~3及び参考資料1~4がございますので御確認ください。
続きまして、ウェブ参加の委員を含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言については、ウェブ参加の委員におかれましてはZoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただき、発言しないときはミュートにして、発言するときのみミュートを解除するようお願いいたします。本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので御了承願います。
また、本日の協議会は、YouTubeでもライブ配信にて公開としておりますので御承知おきください。
事務局からは以上となります。
以降の進行は海老澤会長にお願いいたします。
○海老澤会長 それでは、議事1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」に移りたいと思います。資料1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」の説明を事務局よりお願いいたします。
○佐藤専門官 改めまして、事務局の佐藤でございます。お手元の資料1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」を御覧ください。
1ページ目、ここでは厚生労働省におけるリウマチ・アレルギー疾患に関するこれまでの取組について簡単に御紹介いたします。
もともとは昭和47年までさかのぼりまして、小児ぜんそく治療研究事業を実施してございます。
平成12年になりまして、リウマチ・アレルギー疾患に関する診療、研究、情報などに関する高度専門医療施設として、国立相模原病院(現国立病院機構相模原病院)に臨床研究センターが開設されております。
平成18年にはリウマチ・アレルギー特別対策事業を開始しております。
平成26年にはアレルギー疾患対策基本法が成立し、平成27年12月に施行されております。
平成29年にはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を制定しております。こちらは5年経過した令和4年に指針の改正を行いました。
平成30年にアレルギー疾患医療提供体制整備事業が開始されまして、アレルギー疾患に係る医師への研修等を実施しております。
また、免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開催しまして、免疫アレルギー疾患に係る今後10年間で取り組むべき研究戦略を免疫アレルギー疾患研究10か年戦略として取りまとめを行っております。こちらは昨年度の第18回アレルギー疾患対策推進協議会にて中間評価を実施しました。
また、令和5年に花粉症に関する関係閣僚会議が開催されており、厚生労働省においては、発症・暴露対策の推進として対症療法及び舌下免疫療法についての普及啓発の取組を行っております。
こちらは皆様御存じかと思いますが、平成26年に制定されましたアレルギー疾患対策基本法の概略図でございます。本基本法におきましては、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーの6疾患を対象としてございます。基本的な施策としましては、重症化の予防及び症状の軽減、医療の均てん化の促進等、生活の質の維持向上、研究の推進等となりまして、この基本法に基づきまして、アレルギー疾患対策基本指針や本協議会を設置しているところでございます。
こちらはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針でございます。参考資料2にもございますが、この指針は、この法にのっとりましてアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るために厚生労働大臣が策定するものでございます。この指針に定められている内容は5項目ございまして、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項から啓発、知識の普及や医療提供体制の話、調査・研究に関する事項、その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項というような構成になってございます。
リウマチ・アレルギー疾患対策予算の御紹介となります。先日、来年度予算の概算要求を行いましたので、来年度の令和8年度開始予定の新規事業も含めて順次御説明いたします。各事業における要求額については、ほぼ例年どおりとなってございます。
まず、アレルギー情報センター事業でございます。こちらはアレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、治療薬などについて、最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの整備等を通じた情報提供の充実に資することなどを目的としておりまして、実施主体としまして日本アレルギー学会及び日本リウマチ学会に事業を実施していただいております。
事業の内容としましては、まず、1がアレルギー疾患に関わる最新の知見に基づいた正しい情報等を提供するためのウェブサイトであるアレルギーポータルの作成・運営でございます。
2がアレルギー疾患の基礎知識や管理について講義形式で学ぶことができるアレルギー相談員養成研修会の実施。
また、3としてアレルギーの手引きの作成を行っていただいております。
こちらは国立保健医療科学院におけるアレルギー疾患対策従事者研修事業になります。
事業の目的は、地方公共団体においてアレルギー疾患対策の中心的な役割を担う保険医療機関へ関係する職種を対象とした人材育成ということでございまして、具体的に想定される職種としましては、保健師、医師、管理栄養士、行政職員等となっております。講義とグループワークを行い、災害時の対応や自治体の取組について2日間で学習するもので、今年は9月18日、19日に開催予定でございます。
こちらはアレルギー疾患医療提供体制整備事業でございます。実施主体としましては中心拠点病院であります国立成育医療研究センター及び国立病院機構相模原病院に行っていただいております。事業の概要、スキームのところを御覧ください。こちらは2つの中心拠点病院から全国拠点病院会議などを行い、情報共有を行ったり、都道府県拠点病院に対して困難症例の診断支援をいただいているところでございます。また、この都道府県拠点病院に在籍する医師に関しましても研修の受講の機会を提供しております。また、令和5年度からの取組としまして、中心拠点病院と都道府県拠点病院間でのオンライン相談会というものも開催しております。
現在のアレルギー疾患医療提供体制の全体のイメージをまとめたものになります。平成29年3月に策定されましたアレルギー疾患対策基本指針を踏まえまして、平成29年4月にアレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会を設置し、同年7月に報告書をまとめていただいたものを記載しております。具体的には、中心拠点病院や都道府県拠点病院の役割、また、かかりつけ医、薬局の役割について記載したものでございます。
右図のように全国拠点病院連絡会議等を通じた中心拠点病院と都道府県拠点病院の連携、都道府県内においては都道府県拠点病院と一般病院、診療所との診療連携、研修会の実施等によって、アレルギー疾患医療の均てん化に向けた取組を行うことになっております。
こちらは令和7年6月時点の都道府県アレルギー疾患医療拠点病院でございます。47全都道府県に設置いただいておりまして、現在で合計79病院が拠点病院として位置づけられております。
こちらはリウマチ・アレルギー特別対策事業でございます。この事業は基本指針の条文である「国はアレルギー疾患を有する者が居住する地域にかかわらず、適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう体制を整備する必要がある」に基づいて実施しております。各自治体がスライドの左下にある事業の概要に記載されているような内容を実施した際に補助をしております。
こちらは免疫アレルギー疾患患者に関わる治療と仕事の両立支援モデル事業でございます。こちらは実施主体として、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等にやっていただいておりまして、令和5年度から開始しており、今年で3年目の事業でございます。
概要としては、免疫アレルギー疾患患者、またはその家族が安心して仕事の継続や復職に臨めるよう、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等に両立支援コーディネーターを配置していただくということでございます。また、両立支援コーディネーターが中心となりまして、免疫アレルギー疾患患者、またはその家族の個々の生活、勤務状況等に応じた治療と仕事の両立に関わる計画を立て、支援を行うモデル事業を実施するものでございます。今年度でモデル事業は終了となりますが、こちらで得られた好事例や課題等を全国に展開し、医療圏関係者や患者など、多くの人に知ってもらうことで、両立支援の取組が普及するよう取り組んでいきたいと考えております。
こちらは令和7年度の採択病院で、合計8病院でございます。
こちらは来年度新規に予算要求を行っております事業となります。アレルギー疾患患者は年々増加しており、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの疾患は、小児科、内科、皮膚科など、複数の診療科が対応する機会が多くございます。リウマチ疾患についても同様です。アレルギー疾患の中では、特にアトピー性皮膚炎をはじめ、近年の研究成果や新規治療薬の登場により、ガイドラインの改定など、標準治療や患者指導管理が大幅にアップデートされている現状にございます。普段からアレルギー疾患等の診療を行ってらっしゃる医療従事者は、学会研修などで最新知識を得る機会がある一方、専門疾患を主診療領域としていない医療者には最新の医療情報が周知されず、標準治療が患者に十分届かない要因となっております。
アレルギー疾患患者を診る可能性のある全ての医療者は最新の情報をアップデートしていただき、医療水準の向上と全国的な医療の均てん化を図ることを目的としております。骨太の方針2025にも、アレルギー対策については、アレルギー疾患(アトピー性皮膚を含む)医療の均てん化促進、と記載されましたが、今回、日本医師会関係学会、患者会と連携・協力をし、日本医師会のかかりつけ医研修などにも活用できる学習資材や研修プログラムの開発を目的としております。
こちらは昨年度の協議会で取りまとめを行いました免疫アレルギー疾患研究10か年戦略中間評価報告書の概要でございます。前半5年間の主な研究成果並びに課題や今後の研究戦略の方向性についてまとめられてございます。
中間評価を踏まえ、今後推進すべき研究について10か年戦略で掲げる3つの戦略と戦略横断的な推進につながる項目としてまとめたものになります。
こちらは今年度進められておりますアレルギー分野の厚労科研究の御紹介になってございます。事業概要に記載のとおり、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が発出されたことに基づき、現在は記載の7つの研究課題を実施しております。
こちらはAMED研究でございますが、こちらも免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が発出されたことに基づきまして、このスライドに書いてありますような研究を行っております。今年度は38課題が行われており、エビデンスの創出から病態解明、また、医薬品・医療機器等開発まで幅広く実施している状況でございます。
これは先ほど御説明しました令和5年に花粉症に関する関係閣僚会議で取りまとめられた花粉症対策 初期集中対応パッケージでございまして、令和5年10月11日の関係閣僚会議で決定されたものでございます。花粉症対策としましては、発生源対策、飛散対策、発症・暴露対策の3本の柱となっておりまして、厚生労働省が担当しますのは、こちらの赤枠でお示ししております発症・暴露対策になります。
花粉症対策 初期集中対応パッケージの進捗状況の中で厚生労働省が担当している箇所をまとめたものです。環境省と一緒に花粉への暴露を軽減するための花粉症予防行動と治療に関する最新の知見についてまとめられたリーフレットを作成し、自治体や関係学会と連携して広く周知を行っております。また、舌下免疫療法治療薬の増産体制促進として、2025年からの倍増に向け、森林組合との協力を得て原料採取のための事業体数を増加させるとともに、治療薬を製造する民間事業者において生産能力倍増に向けて製造ラインの追加を実施しました。
駆け足となりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明について何か質問・御意見はございますでしょうか。挙手ボタンでお知らせください。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。この分野で意見を2つほど申し上げたいと思います。
私は消費者委員会で食品表示部会の部会長をやっておりまして、アレルギー表示などに深く関与しております。その中で、今、厚生労働省と消費者庁の関係で、どうしても消費者庁が技術行政に厚生労働省よりも疎いという問題があって、なかなかアレルギーの問題そのものについて詳しくなくなってしまっているという実感を持っております。
今までですと厚生労働省内で表示も基準も全部やってきたわけですけれども、まず、表示が消費者庁に移って、今回、食品基準も消費者庁に行きました。担当者はある程度詳しいのですけれども、だんだん上に行けば行くほど、特にこの医療系の技術行政については非常に疎くなっていて、特に治療と連携するような食品表示というのは、治療研究と裏表のところがあると思うのですけれども、そういったことに対して非常に疎くなっているという印象を受けています。ですので、ぜひ厚労省との連携を深めてほしいと思いますし、特に医療系の技術行政についての支援が不可欠だと思っておりますので、そこの連携を深めていただきたいと思っております。
もう一つは、最近分子標的薬を使ったアレルギー治療という分野が進んできていると思います。私もアレルギーの治療というよりは政策に携わってきた人間として、これがとてもよく効くのだなという印象を持っております。ただ、がんの治療などでも使っている中で、分子標的薬の副反応というのは非常に問題が多くて、これは相当高度な管理下の中で治療していかなければ難しいと思っています。アレルギー学会から分子標的薬の治療のマニュアルなどもつくっていただいています。舌下免疫療法については力を入れていただくと書いていただきますけれども、この分子標的薬を使った治療についても、ぜひ力を入れていただきたいと考えています。
以上2点です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
事務局のほうから何かございますか。
○佐藤専門官 事務局でございます。今村委員、どうもありがとうございます。
まず1点、消費者庁についてですけれども、消費者庁を含むアレルギー施策に関連する関係省庁につきましては年に一度、情報連携の会議などを行っております。また、各施策については当課と連携を実施するようにしているところでありますので、消費者庁の対応については、消費者庁の中でも適切な対応をしていると承知しておりますけれども、御指摘のとおり、しっかり情報共有などを進めながら、消費者庁のほうにも今回お声があったということはお伝えしていきたいと考えております。
薬については生物製剤ということでよろしかったですか。
○今村委員 生物製剤の中でも分子標的薬などを使う治療が今かなり出てきていますので、その辺の普及についても、ぜひお願いしたいという意見です。
○佐藤専門官 どうもありがとうございます。
御指摘のとおり、適切な使用とか、もちろん副作用も含めてですけれども、より多くの医療者の方にしっかり情報を伝えていく必要があると考えております。情報センター事業も含めてですが、来年度行っていきますアップデート事業の中にも、もちろんそういう内容を関係学会の先生方からの御意見も含めながら取り入れて、広く周知していきたいと考えております。御意見ありがとうございます。
○海老澤会長 今村先生、消費者庁のほうのアレルギー表示に関して、今、私はアドバイザリーボードの委員長で、あと、国立衛研から星薬科に移られた穐山先生が副委員長をされていまして、この間も消費者庁の新しい課長と御挨拶をさせていただいたのですけれども、その辺の医学的なところに関しては毎回課長が代わるたびに一応先生と一緒にやったようなエデュケーションではないですけれども、そういうようなことも一応やっているので、その辺の担保はしていきたいと思っています。
あと、2番目のことに関しては、ぜんそく、アトピー性皮膚炎で今バイオが結構出ていて、都市部などでは結構うまく使われているのですけれども、地方に行くと、まだその辺の情報がなかなか提供できていないところで、拠点病院と連携しながら、その辺のことも対策、あと、学会同士でも進めていこうと動いています。
以上になります。よろしいでしょうか。
○今村委員 ありがとうございます。
海老澤先生とは食品の表示については今までもずっと一緒にやらせていただきました。時々消費者庁の中で信じられないぐらい詳しくない方がおられるので、そのことに対しても対処、先生も今レクなどをしていただいているということですし、私もさせていただいてはいるのですが、厚労省内にいたときに比べると大分しんどい関係になっていると思いますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
○大坪健康・生活衛生局長 健康局長の大坪でございます。今村先生、いつも御指導ありがとうございます。
御案内のとおり、去年の4月に、食品の監視、指導の部分と基準課が分かれましたけれど、私ども食品の観点では月1でミーティングをやっておりまして、そこは一体に動かないと監視行政が回らないものですから、そこは密にやらせていただいています。消費者庁も長官が厚生労働省の統括官が行かれましたし、あと、基準課のほうも医学系の方たちがたくさん行っていますので、そこは密に連携を取らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○今村委員 ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
○海老澤会長 続きまして、山口委員、お願いします。
○山口委員 ひらつか食物アレルギーの会の山口と申します。
別の話題なのですけれども、新しい事業、13ページ目に細かく載っていますアップデート事業に患者会と入れていただきましてありがとうございました。この事業ですとか、この協議会ですとか、あるいは研究のほうでも患者参画をいろいろと文字にもしていただいております。ほかの疾患のように、例えば患者や市民の数ですとか、その割合などを目標に入れていただけるといいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤専門官 事務局でございます。どうもありがとうございます。
来年の事業につきましては、来年度に関係学会の先生方、医師会の先生方も含めて、もちろん患者会にも加わっていただくかというところも協議しながら、よいものをつくっていきたいと考えておりますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ほかはよろしいでしょうか。
岡本委員、お願いします。
○岡本委員 アレルギー対策基本法、あるいは対策指針の中でも大きな柱の一つになっています専門医を増やす、あるいは医療の均てん化に関してです。先ほど御説明がありましたが、中心拠点病院と、地域の拠点病院とのオンラインの相談会とか、あるいは治療困難症例の検討会、相談を行っているというお話だったのですが、活発に行われているものなのでしょうか。
○海老澤会長 中心拠点と都道府県拠点病院のほうでリクエストがある場合、例えば各都道府県の拠点病院で困っている成人の食物アレルギーに関してはドクタートゥドクターの相談とか、そういったことも行われております。あと、都道府県拠点病院から地域のドクターのネットワークは、モデル事業で以前行われた都道府県では比較的行われているという認識ですが、それ以外の都道府県ですと、まだそこのところまでなかなかうまくいっていないところで、その辺を今後進めていかなければいけないと認識しています。
○岡本委員 どうもありがとうございます。
均てん化というのは大きな課題だと思いますので、ぜひ取組をよろしくお願いしたいと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
日本アレルギー学会としても専門医の育成のほうは今、学会認定で進んでおりまして、また、先日、専門医機構のほうとも複数領域にまたがるサブスペシャリティ領域の懇談会があったのですけれども、これからアレルギー専門医をよりきちんとつくっていけるようなスキームも十分考えていきたいと思っております。
ほかはよろしいでしょうか。
続きまして、議事2「今後の基本指針見直しスケジュールについて」に移ります。資料2「今後の基本指針見直しスケジュールについて」について、事務局よりお願いします。
○佐藤専門官 事務局の佐藤でございます。お手元の資料2を御覧ください。
1ページ目、前半のスライド2枚は先ほど御説明した資料1で御提示したものと同一となります。右に概略図をお示ししておりますが、平成26年に制定されましたアレルギー対策基本法の中で、第11条に「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るため、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を策定しなければならない」「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策基本指針を策定しようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議するとともに、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとする」とあります。また、第5条で「地方公共団体の責務としてアレルギー疾患対策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的にその地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない」とされております。
現在の基本指針につきましては、令和4年3月に一部改正が行われました。
こちらのスライドでは、アレルギー疾患対策基本法における基本指針の策定改正に関する位置づけについて記載してございます。基本法第11条第3項に「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策基本指針を策定しようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議するとともに、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとする」とあります。
また、第6項には「厚生労働大臣はアレルギー疾患医療に関する状況、アレルギー疾患を有する者を取り巻く生活環境、その他のアレルギー疾患に関する状況の変化を勘案し、及び前項の評価を踏まえ、少なくとも5年ごとにアレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときには、これを改正しなければならない」と記載されてございます。
加えて第7項には「第3項の規定はアレルギー疾患対策基本指針の変更について準用する」と記載されています。
以上の内容を踏まえ、前回、令和3年度に検討を行い、同年度末に改正したため、今般、令和8年度に検討を行う。検討に当たっては本協議会の意見を聞くこととさせていただきたいと考えております。
前回、令和3年度に改正された箇所の概要について、令和3年度の協議会資料の抜粋から御説明いたします。
指針の第1、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項については、アレルギー疾患のコントロールのために、アレルギー回避だけでなく、免疫関与の誘導も考慮に入れた環境の改善を図ることといたしました。
指針の第2、アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項については、アレルギー疾患に関する情報について、出生前から保護者等への普及啓発活動に取り組むことといたしました。また、外食・中食における食物アレルギー表示については、消費者の需要や誤食事故の実態に基づき、適切な情報提供に関する取組等を積極的に推進することといたしました。
指針の第3、アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項については、専門的な取組をより推進するため、医療従事者として、歯科医師、管理栄養士を明記いたしました。
2つ目として、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の検討結果に基づく医療提供体制の整備をすることといたしました。
3つ目として、都道府県拠点病院等は適切な情報の提供、アレルギー疾患医療に関する専門的な知識と技術を要する医療従事者の育成等の推進に協力することといたしました。
指針の第4、アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項については、免疫アレルギー疾患の特性に注目した研究等を盛り込んだ免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づくアレルギー疾患研究を推進する。また、長期的な疾患管理を十分に行う等の観点から患者の視点に立った研究を推進することといたしました。
指針の第5、そのほか、アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項については、アレルギー疾患を有する者が適切なアレルギー疾患医療を受けながら、本人、またはその家族が就労を維持できるよう、環境の整備等に関する施策について、各事業者団体に周知を図ることといたしました。また、地方公共団体は都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通じて地域の実情を把握し、都道府県拠点病院等を中心とした診療連携体制や情報提供と、アレルギー疾患対策の施策の策定及び実施をするよう努めることといたしました。
都道府県における現在のアレルギー疾患対策の位置づけについてですが、上段の青枠にお示しのとおり、基本法において、アレルギー疾患対策の推進に関し、都道府県におけるアレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定することができるとされております。
一方で、医療法第30条の4において、都道府県は基本指針に則して、かつ地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保に図るための計画(以下、医療計画という)を定めるものとするとされております。
現在、厚生労働省医政局通知の下、第8次医療計画が進められてございます。こちらの医療計画ですが、疾患としては、がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患の5疾病が記載事項として定められており、アレルギー疾患は含まれておりません。
しかしながら、下段の青枠の中にお示ししておりますが、医療計画作成指針では、医療計画の作成に当たっては、ほかの法律の規定による計画であって、医療の確保に関する事項に定めるものとの調和が保たれるようにすると記載があり、医療の確保に関する内容を含む計画及び医療と密接に関連を有する施策の例として、アレルギー疾患対策基本法に定める基本指針が挙げられてございます。実際に調査を行ったところ、47の都道府県のうち37の道府県において、実際に医療計画の中にアレルギー疾患対策を記載しており、そのほか8都県では個別のアレルギー疾患対策推進計画を作成している現状にございます。
基本指針の今後の検討スケジュールについて、大多数の都道府県がアレルギー疾患対策を医療計画に記載したり、個別にアレルギー疾患対策推進計画を作成していることを踏まえ、基本指針の検討について、今後のスケジュールとして次回の基本指針改正の検討については、前回改正の令和3年度から5年後となる令和8年度を予定しているが、次々回の検討については医療計画作成との整合性を取るため、5年経過を待たずに令和10年度に実施し、以降は3年ごとに検討を実施することとしてはどうかと考えております。
下の図にお示ししますように、現在、各都道府県において第8次医療計画が進められております。また、令和12年度より第9次医療計画が開始される予定です。基本指針において御説明させていただいたスケジュール案のとおり進めることで、都道府県の医療計画と整合を取ることが可能になり、都道府県としても基本指針の内容を医療計画に反映しやすくなると考えております。本日は、こちらのスケジュール案について、委員の皆様方より御意見等をいただければと思っております。
本検討事項についての事務局からの発表は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
事務局からの説明内容を踏まえて、委員の皆様の御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
栗原先生、お願いします。
○栗原委員 三重県医療保健部の栗原と申します。地方自治体の立場から意見を申し上げさせていただきます。
議題1でも先ほどお話がありましたが、このアレルギー疾患の治療は新規治療薬等の登場により大幅にアップデートされており、今後もその傾向が続くと想定しておりますので、地方自治体の立場としましては、それに対応した施策の検討が求められることになると考えております。その大元となる医療計画作成に当たりましては、このアレルギー疾患対策の基本指針を参考としておりますので、この令和10年度の検討から医療計画作成や中間評価を行う前年度に検討が行われることで、改正がなされた場合には迅速に県の施策につなげることができるようになるため、この見直し案に賛成いたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。2つほど御意見を申し上げます。
一つは、今のスケジュール案について、私も6年にしていただくことに賛成です。私は医療計画にも深く関与しておりますし、診療報酬改定、介護報酬にも関与している中で、6年で一区切りというのが、今の日本の医療政策の規定になっていると思います。少なくとも医療計画の以前、診療報酬改定は2年に一遍で介護報酬が3年に一遍ですので、この2つが合うのは6年に1回しかないということで、医療計画も5年だったものから6年に変わっていると思いますし、循環器規約なども6年に変えていただいているので、ここは足並みをそろえてやっていくほうが政策全体と整合性が取れると考えております。
もう一つは、令和3年度の指針で改定している第2にあります外食・中食のアレルギー表示の問題について、ここに入れていただいたことは本当にすばらしいことで、よくぞここまで踏み込んでやっていただいたと思っているところですが、私自身、この問題を担当したことがあって、いかにこれが難しいかということを知っております。
外食と一言に言いましても100万か所ぐらい外食する場所があって、皆さんにアレルギーのことについて詳しくなっていただかないと、この表示というのはできないわけです。よく言われる事例としては、例えばそばとうどんを同じ釜で茹でているというようなことであれば、アレルギーに詳しい方であれば、それは当然駄目ですというようなことですけれども、それを一般の食品をされている方が知っているかといったらなかなか難しい。これを代表例として挙げると、今、あちらこちらのうどん屋さん、そば屋さんでは、それを書くようになりましたけれども、同じような事例はたくさんあるわけです。
ですから、これが非常に困難な道のりであるということをぜひ認識していただきたいと思いますし、これには医療系の技術行政に詳しい方が前線でやっていただかない限り、なかなか進まないと思いますので、そういった意味で、ぜひ多くの方々の御支援をいただいて進めなければ難しいということを意見として言わせていただきたいと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
スケジュールに関しては、栗原委員も今村委員も、医療計画の年度というか、6年スパンでいくところに、この5年で今までやってきたアレルギーの対策指針の改正ということもスケジュールを合わせてったほうがいいという御意見だったと思うのですけれども、その点に関して、ほかの委員の皆様はいかがでしょうか。
大嶋委員、お願いします。
○大嶋委員 大嶋です。見直していただいて、6年ごとの地域医療計画の改訂時期に合わせていただくのが適切だと思います。私自身、地方のアレルギー疾患対策の委員担当していましたが、病院長という立場でアレルギー疾患対策の会議に参加しましても、なかなか県のほうの反応が一枚岩にならない。これが地域医療計画の中の一つの策定項目に入ってきますと、県のほうもかなり真剣になっていただけるところがあります。
もう一つは、アレルギー疾患対策に関しては、アレルギー診療を担当している各病院の方に参加していただくのですが、地域医療計画と検討時期が一緒になりますと、最終段階で地域の基幹病院の病院長クラスの方が参加されます。その結果、アレルギー疾患対策をアレルギー部門担当者だけでなく、病院長レベルに認識していただくことになり、非常に効率的に進めることが可能になると考えます。この6年ごとの地域医療計画と一致させていただくと非常に効果があるのではないかと考えます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ほかの委員から意見はございますでしょうか。
荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 基本的に医療計画に反映できるようなスケジューリングを取るということで賛成でございます。看護系だとか保健師の教育につきましても、医療計画だとかを見て教育に反映させていくところがありますので、そこにしっかり組み込まれていくような体制を取っていただくということで賛成いたします。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
栗原委員、お願いします。
○栗原委員 1点確認させていただきたいのですけれども、こちらの資料のほうでは検討を3年ごとにという記載になっているのですけれども、6年ごとの検討をされるということなのでしょうか。
○海老澤会長 事務局、お願いします。
○佐藤専門官 事務局でございます。こちらの対応案に記載させていただいていますとおり、協議会の中で、その改正をするかしないかといった協議も全部含まれておりますので、こちらにお示ししたとおり、当然先ほど6年ごとという御発言もありましたけれども、一応協議会の中で3年ごとに基本指針を組み直していく、改正するかしないかも含めて、その年度に協議を行っていくといった形になってございます。
○栗原委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 スケジュールに関してはよろしいですか。
先ほど今村委員からお話があった外食・中食のことに関しても、私もそこに消費者庁で関わっています。こういう指針を改正した後に、どれだけ行政的な行動というか、それが変わったかという評価をしていくのもきっとすごく重要な点なのかなと思って聞いていたのですが、なかなか一筋縄には行かなくて、動画をつくったりとか、あるいは関係団体に働きかけたりとか、いろいろやっているのですけれども、まだ日本は欧米の外食での情報提供のレベルには到底到達できないということがあります。
先日、自分の患者がウイーンに行って、ナッツアレルギーのある医学生だったのですけれども、ウイーン大学に短期研修に行って、大丈夫だったかと聞いたら、外食等でも表示がきちんとしていたので全然事故にならなくて安全に暮らせましたという話を伺っております。そういうところをこれからも引き続き進めていかなければいけないと思った次第です。その辺に関して指針を改正した後に各省庁で働きかけて、どれぐらい変わっていったかということも、ぜひ見直していきたいと思っています。
あと、なかなか省庁間で難しいかもしれないのですけれども、厚労省のがん・疾病対策課が中心になってアレルギー対策を進めていくときに、例えば文部科学省の学校のアレルギー対応についても、担当官が変わったりとかすると、突然全く動きがなくなってしまったりとか、そういったこともよく経験いたします。そういうことで、調布の事故が再発しないように、10年以上たって風化しないようにということも、しっかりと働きかけていかなければいけない。また、ナッツアレルギーが増えている中で、特にカシューなどは相当ひどいアナフィラキシーになりますから、失われなくてもいい命が失われてしまうようなことは決して起きてはいけないと思っています。
今村先生、その辺はすごく難しいところなのですけれども、実効性を持ってそういうものを進めていくに当たって、何かいいお考えとかはありますか。
○今村委員 ありがとうございます。
まず、これに関係する担当者や研究者の方々が綿密に連携することがとても重要だと思うのです。私は文科省にもおりまして担当しておりましたので、厚生労働省で食品の表示もやりましたけれども、それぞれの省にとっての優先順位があって、それを押しのけてちゃんと人命に関わる重要な問題だと認識してもらって施策を打つことが重要だと思っております。
先ほどの食品表示の問題で言うと、私は厚労省と消費者庁の関係のことに言及しましたけれども、もともと食品が全て厚生労働省にあったときには、保健所は非常に素直に食品表示の問題も動いてくれていたわけですけれども、今、大半が消費者庁に行って、厚生労働大臣通知については割と現状の反応はいいのですけれども、消費者庁長官通知などについては反応が鈍いところがあって、現実問題として指針を改定したときの効果が厚労時代の動きに比べて消費者庁に行ってからの動きは鈍いです。実際、食品表示監視そのものを消費者庁でやっていますけれども、現場に一番近いのは保健所ですので、保健所の動きも消費者庁の監視と合わせてちゃんとやっていただいてこそ、初めて周知が行くと思うのです。
学校での動きも文科省からの動きもそうなのですけれども、現場で食物アレルギーをやっている保健所の方々と教育委員会との連携が取れているとうまくいくのですけれども、それが取れていないとうまくいかないことがあって、いかに関係者の方々がうまく連携するかというのが一つの大きなポイントだと思っております。概論的な意見で申し訳ないですが、そのように考えている次第です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 医師会の坂本です。繰り返しの質問になります。
1点目、3年ごとというのは、この対策は6年で、3年ごとの中間見直しということでよろしいですか。
2点目は、4ページの第2指針の改正箇所の内容でございます。今村委員からもたびたび御発言いただいているのですけれども、食物アレルギーは、文科省、消費者庁、厚労省が関係しておりますし、保健所とかも関係しています。学校ではもちろん教職員も気をつけなくてはいけないのですけれども、御両親が情報提供をしていても、また、子供さんが友達のところ遊びに行ったり、キャンプに行ったり、そういうときは低学年の方はなかなか難しくて、救急車に乗ってという事故も経験しております。その辺に関しても今後、省庁、文科省とかも横槍を入れて何か施策を考えていただけたらと思います。
その2点でございます。
○海老澤会長 最初のスケジュールに関して、事務局からよろしいですか。
○佐藤専門官 事務局でございます。御意見ありがとうございます。
基本的に3年ごと、まだ具体的にどういう改正スケジュールを進めていくかということについては、また検討を進めていく必要があるかと思っておりますが、3年のタイミングで基本指針の改正が必要と判断した場合は、そこのタイミングで改正を行う可能性は十分あると考えてございます。
○坂本委員 アレルギー対策は5年ごとという理解ですか。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。正確にお伝えできればと思いますが、資料の3枚目を御確認いただければと思います。アレルギー対策基本法の中で少なくとも5年ごとにアレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときには、これを改正しなければならない、これが法律事項になっています。この解釈として医療計画との整合性を取るように3年ごとに検討して、必要があれば見直しを行うということで今後運用させていただきたいということを今回御提案させていただいたことになります。
○坂本委員 では、運用上、3年ごとという理解で、法律はこのままという理解でよろしいですか。
○鶴田がん・疾病対策課長 法律はそのままで、解釈として3年ごとに検討して見直しをするかどうか検討した内容を踏まえて見直すかどうかということになりますが、この法の解釈に沿って対応していきたいと考えていますという感じです。
○坂本委員 もう1点の文科省も含めての質問は。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。関係省庁とは年1回の連絡会議をやっていますので、そういう中で密に情報共有していきたいと思っていますし、この協議会に参加しているメンバーの方々の中にも各省庁の委員なり座長なりを務めていていただいている方々がいらっしゃいますので、そういった方々とも密に連携しながら、各省庁との連携も深めていきたいと考えているところです。
○坂本委員 ありがとうございました。
学校、御両親に周知しても、低学年の子供さんとかはたびたび救急車に乗られたりするので、その辺もよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 患者団体のほうでもお子さんたちへの教育の資材とかをつくっていただいたりとか、そういうようなこともされていますよね。
山口さん、もし、何か発言があれば。
○山口委員 この会議に出席している所属の患者会とは別に、参画しているNPO法人で全国向けに小学生の啓発教材をつくりました。私たちの活動のモットーは子供に分かる言葉は大人にも分かりやすい、また広げて外国籍の方にも分かりやすいということです。疾患のことですとか、患者本人が気をつけること、お友達にできることを分かりやすく伝えるのは大変難しいのですが、監修のお医者様、専門医の皆様にも見ていただいて、小さな団体ですけれども、広げるように活動しております。それが広がってくれればと思っております。
○海老澤会長 ありがとうございます。
アレルギーの場合は社会生活とかにも多大なる影響を与えていくので、様々な省庁が連携して、あと、学会、患者団体とも連携しながら、対策を一歩ずつ確実に進めていくことが求められているのではないかと思います。
ほかに、スケジュール、あるいは指針について何か御意見のある方おられますでしょうか。よろしいでしょうか。
いろいろ活発な御議論をいただきましてありがとうございます。
それでは、事務局から提案のあった今後の基本指針の見直しのスケジュールについて、次回検討は令和8年度に実施、次々回の検討については医療計画作成と整合性を取るため、5年経過を待たずに令和10年度に実施、以降の検討は3年ごとに実施とすることでよろしいでしょうか。
特に御異議がないと判断させていただきます。ありがとうございます。
それでは、今回、委員の皆様に合意いただいた方針に沿って今後は進めていきたいと思います。
次に、議事3「免疫アレルギー疾患患者に係る治療と仕事の両立支援モデル事業についての実施報告」について、矢上委員から説明をお願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上でございます。藤田医科大学総合アレルギーセンターにおける治療と仕事の両立支援モデルとして、取組と課題についてお話ししたいと思います。
私どもは、愛知県のアレルギー疾患拠点病院としまして2018年より取り組んでまいりました。その中で、このたび両立支援のモデル事業を令和5年から始めさせていただきまして、その経過を今日まとめてお話したいと思います。特に症例を中心に両立支援コーディネーターの必要性、そして、企業との橋渡し、また、介入の重要性についてお伝えできればと思っております。
私どもは2つ柱をつくって取り組んでまいりました。一つは、個々の患者さんの両立支援体制の構築でございます。もう一方で、アレルギー疾患の両立支援事業の啓発というところで、地元の企業での勉強会などを重ねてまいりました。
また、周知としましては、大学におけるプレスリリースであったり、私どものウェブサイトに相談窓口をつくりまして、例えば相談内容としましては、アレルギーを持っているけれども、どんな働き方を選ぶかというような御質問を受けたりしながら回答して、患者さんと共に進んでまいりました。
手始めに実態調査を行いました。そのような患者さんがどのように苦しんでいるかというところを可視化しようということを行いました。一つお示ししますと、アレルギー疾患のために就学・就労に大きく困難をきたしたことがありますかということで聞きました。そうしますと、4人に1人の患者さん、もしくは御家族の方もアレルギー疾患のために就労・就学に大きく困難があるという答えでした。また、右下のほう、産業医、保健師はいない、存在を知らなかった、相談できない環境であることが分かりました。
そういうことを背景に体制を整えました。当院が構築した両立支援システムの概要でございます。多職種の方々に集まっていただいて議論するチームをつくっており、右下に示しておりますけれども、月に2回、両立支援コーディネーターが患者さんと面談をする前と後、その後のフォローアップについて検討会を重ねてまいりました。
これまでですけれども、19例まとめてまいりました。現在も進んでおりますけれども、幅広い年齢の方々、そして、幅広い疾患の方々が対象となって希望されて、両立支援事例の取組の中に入っていらっしゃいました。
ここからは患者さんのまとめになります。個人情報をなるべく伏せるようにしながらまとめてまいりました。20歳の女性で様々なアレルギー疾患がありながら、でも、就業している、しかしながら、真ん中に書きましたけれども、就労時に困っていることがあって、症状が起こってしまう。それによっては仕事を休むしかない。そうすると、非正規雇用者にしかなれなくてパートにしかなれない。でも、本当は体調を整えて就業して正職員になりたいという希望を持っていらっしゃいました。
そこで、私どもは両立支援コーディネーターに入っていただきまして、その方がどうやったら職場とうまく調整できるか。また、介入によって発症の状況であったり、検査結果、または主治医等の見解を踏まえて、職場に理解しやすくなっていただけるように本人がどう動くべきか、また、私たちが勤務先と連携を取りながら、その方がどうやったらうまく仕事ができるか。そして、成人ですけれども、食物アレルギーを小児科の先生と成人の食物アレルギーを診る医者が連携をしながら、患者さんの就労体制を見ながらスケジュールを組んで負荷試験を行っています。そうしたことで、私たちは本人が安心して働き続けられる環境が整って、そのことによって両立支援の必要性と有効性が改めて示されたと考えました。
次に、仕事が続かない方がいらっしゃいます。様々なアレルギーがあって、そして、精神疾患もございますが、症状をコントロールして働けるようになりたいという希望がありました。コーディネーターに入っていただいたところ、患者さんの希望と職種がマッチしてなかったことが分かりました。患者さんには就労継続支援のBやA、就労支援についてお伝えをして、患者さんが自分自身の状態に合った就労レベルを理解して自分に合ったところに行き社会への第一歩を踏み出すということをバックアップしました。このコーディネートの枠組みがあったからこそ、患者さんが社会につながる大きな契機になったと感じました。
次は、食物を扱う実習を受けたい10歳代の方です。管理栄養士の専門学校に通っていますけれども、食物アレルギーがあることによって、学内・学外の調理実習への参加が認めないという状況がありました。この方は小麦の食物アレルギーがありますけれども、しかし、自分ではちゃんとコントロールできておりました。そこで、コーディネーターの介入によって他大学の管理栄養士、または大学の関連部署と連携をしながら、具体的な助言と体制整備を行いまして、患者さん自身も自分で自分のアレルギーをちゃんと伝えてコントロールしていく。そこで今、学内・学外でちゃんと実習できるようになりました。
この症例は1例でありますけれども、こういう方は、この制度がなければ教育や就労の機会を失う危険があったので、両立支援というのは患者さん個人の力に委ねるものではなくて、社会が制度として保障すべき不可欠な仕組みであることを感じられる事例でした。
次は、学校に行きたいが行けない10歳代の方です。こういう方はきっと多いと思います。様々なアレルギー疾患があって、昼間は治療するけれども、夜なかなかよく眠れない、そうすると、昼夜逆転が起こって学校に行けない。でも、本人は学校に通いたいし、親御さんも学校に通わせたいという方です。幾ら医者が治療したとしても、学校の担任、養護教諭、そして、担当医師がタッグを組まないと、なかなかそういう方を社会・学校に戻すことはできない。私たちは、このような就学支援の仕組みによって、学校、家庭、医療をつないでいくことが不可欠だと分かりました。
ですので、こういう移行期医療の狭間にいる学校に行けなくなるような方は少なくなくて、全国的な整備は急務であって、その欠如というのは教育・就労の機会を失ってしまう。ですから、このようなモデル事業を続けることが社会的に大事だと感じました。
皮膚科専門医の視点から申し上げますと、成人以降にアトピー性皮膚炎があって、なかなか社会に戻れない方は少なくありません。一番上にあるのは今のような方ですけれども、少しの湿疹があって、それがこじれていってなかなか学校に行けない方がいる。そこにはもちろん精神疾患もあるかもしれません。その方自身を救うことはもちろんですが、アレルギー児の不登校というのは親の離職にもつながります。ですから、社会全体のマイナスになってしまう。
また、下の例ですけれども、移行期でアトピー性皮膚炎などがあると、非正規雇用しかできない、受けられなくなる場合も良く見られますが、患者さんは実は働いてちゃんと賃金を稼ぎたいという希望がある。ですので、私は相談できる人が身近にあることが患者さんの家族を救うのだということを感じて、医療の場、もしくは学校、もしくは就労の場にコーディネーターが配置されることがとても大事だと考えました。
アレルギー疾患の治療と就労の両立に関する勉強会をして、広い範囲で周知を行いました。愛知県の様々な企業で勉強会を重ね、アンケートも取りました。そうしますと、4分の1の方が自身の離職、移動、時短勤務などを経験したことがある。また、真ん中ですけれども、社内で相談の経験がある方は4分の1にしかすぎなかった。そして、両立支援を活用したいという方が99%でありました。
ここでお伝えしたいことは、担当や管理職だけではなくて経営層の理解も必要、ひいては社会の理解が必要というご意見があったこと、中小企業の理解が両立支援の実用化の鍵になるというお言葉や、国の助成があると両立支援そのものの認知や普及が進むというご意見をいただいたということです。
最後の行ですけれども、アレルギー疾患は身近であるものの、患者さん自身、もしくは患者さんの家族が我慢すべき認識が強い、というお言葉をいただきました。ですから、そのような広いアンメットニーズを私たちは受け止めて取り組んでいかなくてはいけないということを改めて思いました。
そのような背景から手引きをつくりました。今ポータルに載っております。この手引きを全国の拠点病院に配付しました。そこで読んでいただいた後のアンケートを行いましたところ、8割以上の施設においてアレルギー疾患における両立支援の必要性を感じているという回答をいただきました。本手引きを参考にして貴施設での運用に取り入れたいと感じましたかと問いますと、84.4%の施設の方が取り入れたいという回答をいただきました。一方で、マンパワーであったり、連携システムの構築が難しいというところで、ハードルがなかなか高いという背景もありました。ですので、両立支援モデルの取組というのは今年で終わりますけれども、私たちは自分たちができることを全国の先生方に発信しながら、モデルになるような、後に続くような拠点病院の取組を続けていきたいと思っております。
最後のパートになります。令和7年において何を行っていくかですけれども、昨年に引き続き手引きを活用して県全体での周知を推進する。
また、多くの方を助けるためには、自施設だけではなく、ほかの支援センターとも連携する必要があることに気がつきました。ですので、その連携体制を構築して適切な支援提供を確保する。これは後で申し上げます。
また、今年はメインの支援対象としてリウマチが入りました。そこで、今年はアレルギーの方々プラス関節リウマチの方々への支援体制も構築中でございます。
左下ですけれども、現在、私どもの施設では医療コーディネーターにかかわらず、医師、看護師、事務の方にも学んでもらって、両立支援コーディネーターを輩出しています。多様なコーディネーターがいることも患者さんにとってはいいことだと思いますので、今、みんなで学びながら進めております。
最後ですけれども、そのような免疫リウマチ・アレルギー疾患の患者さんがこの取組に気づくために、周知の強化としましてはSNSであったり、今示しているような地元のラジオ局で啓発をするとか、幅広く患者さんの耳に届くような取組をしていくことが大事です。
右側、支援体制の強化としましては、がん等の両立支援事業者と共に免疫アレルギー分野における協定を締結して、支援体制の強化と拡大を図ることで、今、愛知産業保健総合支援センターと締結しながら、幅広い患者さんに対する支援体制をつくるという努力をしております。
本当にありがとうございました。これからもお願いいたします。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ただいまの矢上委員からの御説明について何か質問・御意見等はございますでしょうか。
森田委員、お願いします。
○森田委員 国立成育医療研究センターの森田でございます。非常に日々の診療でも感じる大変重要な課題かなと感じております。
今回のモデル事業の中では、御本人の就労・就学という観点が一番多かったかと思いますが、小児科の立場で言いますと、子供が疾患を抱えておりますと、お母さんがつきっきりになって就労ができないというケースも結構ございます。そのような方へのアプローチというのは、このモデル事業の中でどのように取り組まれたのかとか、取り組み方とか、何かございましたら教えていただきたいです。
○矢上委員 ありがとうございます。
私たちは、お母さん方の苦難、子供の疾病を自分がすごく大きく感じていることを感じました。それを言うところがないのです。医師にしか話す場所がなくて、お母さんが学校に行ったりするのはなかなか難しいことが分かりました。ですから、その間をつなぐ、医師と患者さん御家族、お母さんと学校とかをつなぐ第3のコーディネーターの取組がとても大事です。
家族とか自分が困っていることをどうやったら就業・就労につながるように伝えていくかというのが、医師ではない両立支援コーディネーターがもう1個あると、お母さんの苦難とか、夜中にずっと起きていて、自分は昼間にへとへとで、とても仕事などはできないという方がいらっしゃるのです。あと、子供たちの将来をすごく心配している方がたくさんいます。でも、そういう声は社会にまだ出ていないのではないかと思います。ですので、赤ちゃんの頃は実際の医療処置、中学・高校になったときにはその子の将来についての心配事を相談できる場所があったらいいなと思いました。
○海老澤会長 下浦委員、お願いします。
○下浦委員 矢上先生、モデル事業の御紹介をありがとうございました。
最後から2ページ目のところの両立支援体制のことでお聞きしたいのですけれども、よろしいでしょうか。この中で両立支援コーディネーターという形で記載がされているかと思います。コーディネーターについてはチームで動いておられるという理解でよろしいですか。それとも、ソーシャルワーカーさんが中心となって関係のコーディネーターさんとアプローチをしながらカンファレンス等々でお話をされているということですか。
○矢上委員 ありがとうございます。
全体のチームです。ですから、多職種全員のチームがあって、最初はMSWの方になっていただいたのですけれども、でも、そこの学びがないといけないし、自分たちもプレーヤーにならないといけないということに気がつきまして、臨床心理の先生であったり、医師であったり、事務の方もみんなで学んで、両立支援コーディネーターになって、その観点から、どの患者さんはどの両立支援コーディネーターが必要かということを見ながら、決してMSWというか、医療従事者だけが両立支援コーディネーターであるとは全然思ってなくて、全員でみんなを助けてあげるという、医療と患者さんをつなぐというところは、決してどの職種に限定されるというものではないわけです。それら全員がチームになって今やっております。その方々が月に2回集まって、患者さんのフォローアップを見ていくということになっております。
○下浦委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 ほかはいかがでしょうか。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 日本医師会の坂本です。矢上先生、ありがとうございます。
非常に好事例だと思っております。2点質問がございます。
1点目は、支援センターとの連携体制という言葉が出てきました。他の支援センターというのは、愛知県に両立支援センターと同じような、あるいは両立支援センターの先生のところから愛知県の県域に1か所ずつ、拠点ではないですけれども、それと似たようなものを展開していっているのか、その辺も含めて県内も展開していらっしゃるのか、もちろん全国にこういうのを展開して連携していくのは非常に大事なのですけれども、県内ではどうなっているのか。
逆に、まだその辺が十分にできていない場合、県内にこれだけのメンバーをそろえられているセンターがあるということは、県内でアクセスが遠くても先生のところに紹介されていらっしゃるという理解でいいのか、愛知県での状況を教えていただけますか。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございます。
去年まではアレルギー疾患だけだったので、センターで賄えるかと思ったのですけれども、今年はリウマチが入りました。そうすると、リウマチの方々はもちろん年齢が幅広いのですけれども、さらに職業と関わってくるのです。そうしますと、私たちは今、愛知産業保健総合支援センターといって、独立行政のところのセンターがあって、そこももちろん専門の方々がいらっしゃる。ですので、そこと連携することによって、医療で回答すべき人がいるのか、産業保健総合支援センターという行政のほうでバックアップをもっとできるところがあるのでは、と気がつきました。今までは、がんと難病疾患だけの連携だったのですけれども、そこに免疫アレルギーが入って、愛知県であれば、藤田医科大学ばんたね病院が初めて免疫アレルギーで提携をつなげました。
2番目の回答にも入ってくるのですけれども、そうしますと、ばんたね病院だけに行ってもらうのは無理ですので、広くウェブであったり、電話であったり、病院に通っていなくても、私はどうしたら仕事を続けられるだろうという方に対応するため、センターのほうに連絡していただきながら、私たちなのか、それとも支援センターか分けながら広く回答するような体制をつくっております。ですので、患者さんは外からでもいらっしゃいます。
今、そういうところを愛知県の連携会議とか拠点連絡会議とかでお話をしながら、愛知県の医師会の先生方にバックアップをいただきながら広く周知していて、私たちは1施設では賄えないので、1施設プラス拠点病院の先生方、または産保センターと一丸となって愛知県で両立支援が必要な方々を助けられるような体制を今年つくろうと思って努力しております。
○海老澤会長 それでは、大嶋委員、お願いします。
○大嶋委員 大嶋のほうから質問させていただきます。矢上先生、大変すばらしい取組の御紹介をありがとうございます。
お話を聞かせていただいて、コーディネーターをどこに配置するかという点が非常に気になりました。がんと比べ対象患者数がそれに匹敵するぐらいいると思いますが、拠点病院とかセンターだけで対応できないのではないか。そういう観点からいきますと、ある程度の規模の病院にこういうコーディネーターが配置できるのが理想だと思います。
一方で、多数の病院にこういうコーディネーターを設置しようとすると、費用の問題がそこにつきまといます。患者総合支援センターの様なシステムを動かしている病院において、アレルギーに関するコーディネート事業を展開できるためのノウハウをどのように普及させるかというのが一つの重要なポイントになるのではと感じました。
先生にお聞きしたいのは、アレルギーに特化していないけれども、がんの支援センターみたいな施設を持っているような規模の病院に対して、こういう部分の情報があればアレルギーに対しても対応できますというノウハウの伝授については、何かお考えがありますでしょうか。
○矢上委員 私の考えとしましては、愛知県であれば、愛知県アレルギー疾患医療連絡協議会や愛知県アレルギー疾患医療拠点病院連携会議とかでお話をして、どうしたら皆さんに伝わるかという御意見をいただきながら、また愛知県の産業保健支援センターともつながりながら、コーディネーターの必要性や、患者さんをどのようにみんなで見ていくかというところを行政も交え広くしっかりと考えていく必要がある。その1段目が今やっとできたと思います。あともう1個思うのは、企業ともつながっておく必要性であり、それがないと私たちがどんなに言っても企業に言葉が届かないのです。ですから、両立支援コーディネーターの有効性・有用性を私たちは幅広く伝えていく必要があり、その理解無く、企業はもちろんのこと、さらには愛知県の行政にも、声が届かないということを感じております。
ですので、まずは啓発活動をちゃんと行い、また両立支援コーディネーターという資格があることも伝えていきながら、いろいろな企業、拠点病院とか市民病院に1人は両立支援コーディネーターがいるようにしたい。これからだと思います。ありがとうございます。
○大嶋委員 よろしくお願いします。
○海老澤会長 中西委員、お願いします。
○中西委員 たまひよの中西です。両立支援センターは患者さんがチームで支えてもらえるという点で、1人で頑張らなくていいというのがすばらしい取組だと思いました。最近リウマチを20代で発症した小さなお子さんを育てているお母さんとお話ししたことがあったのですけれども、世間の無理解がつらいというのをすごくおっしゃっていて、これはきっとアレルギーの人も一緒なのではないかなと、そのときに思いました。
現在、疾患のある人とか、関係者への広報とか、最新情報の提供とかは結構充実してきていると思うのですが、疾患と全く関係ない人々に対してもどんどん情報を発信して理解してもらえるようにしておかないと、生きやすさという点でこういう疾患を抱えている人たちが辛い思いをしてしまうのかなと強く思いました。次年度に見直し等々があると思いますので、もっと広い広報みたいなところも検討していただけるといいと思いました。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 それでは、荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 とてもすばらしい御発表を聞かせていただいて、いろいろと学ぶところが多かったです。特に中小企業の理解が両立支援に必要であるとか、患者さんや御家族を孤立させないことが重要だということで、愛知県の産業保健総合支援センターと連携を取っておられるところとか、すばらしいと思いました。
産業保健の立場で言うと、アレルギー疾患というのはもともとプレゼンティーズムや労働生産性の低下やアブセンティーズムの増加というところですごく重要な問題だったのですけれども、なかなか語られてこなかったところがあります。
地域・職域連携推進事業というのが全国で進んでいて、今、二次医療圏に地域・職域連携推進協議会というのができております。こちらのほうは主に健康づくりだとか、プレゼンティーズムなどを取り上げているところもあることはあるのですけれども、なかなかアレルギーというところが入ってきてなかったと思うのです。ただ、アレルギー疾患は本当に有症率の高い疾患ですので、産業保健の方々にとっても大きな問題だと思います。この地域・職域連携推進協議会も活用していただいて、このアレルギー疾患だとか、それから、1人にさせないとか、中小企業へのアプローチというところも検討していただくといいのではないかと思いました。本当にすばらしいお取組の御発表をありがとうございました。
○矢上委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、岡本委員、お願いします。
○岡本委員 岡本です。すばらしい取組だと思います。また、ニーズが高いこともよく理解しました。
一方で、私の勤務している労災病院では勤労者医療というのを一つの大きな目標にしており、特に治療・就労両立支援では、これまでがんの患者さんを対象に取組を行ってきました。
ただ、実施には非常に高いハードルが幾つもあって、一つは、アレルギーもそうだと思いますが、患者さんの掘り起こしをどうやって進めていくか、あとは病院と企業と患者さんの橋渡しをどのようにやっていくのか、そこにはどうしてもMSWのような人たちが専属的に配置されないと、取組が進まないというのが現実だと思います。
がんについてはこの両立支援は、保険収載になっているのですが、それでも決してそれほど順調に進んでいるわけでは無いと思います。アレルギーに至っては保険収載にさえなっていませんので、このままの状況では一般の市中病院、ゆとりのない病院では実施していくのは簡単ではないと、お話を聞いていて思いました。
ただ、非常に重要なことだとは思うので、ぜひ将来、保険収載に入る、あるいは今のがんについても非常にハードルが高くて、相談だけでは駄目です。さらにその次のステップへの取組をしない限りは医療機関の収入につながらないし、収入につながらなければMSWの雇用なども困難な状況です。その辺はもう少し国の取組を進めて、あるいは支援をお願いしていくことがどうしても不可欠だと思いました。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、田辺委員、お願いします。
○田辺委員 山口県で患者会の代表しております。地方では専門医も少なく、正しい治療にたどり着いていない人もまだ多い状態にあります。その中で、将来の進路や就職をする上での選択に小学校とか中学校のうちからどうしようかなと悩んでいる方も多いです。県でも相談窓口などをつくっていたりはするのですが、そういう方になかなか情報が届いていない状況があるように思います。大きくなると通院する機会も減り、病院などで情報を目にする機会も減ってくると思います。
こういった取組が今後全国に広まっていけばいいと思うのですが、周知の仕方というか、今、企業とも取り組んでいるとお伺いしましたが、そういった企業とか、小学校、中学校、高校のような学校などにも周知してもらって、必要な人にこういう相談ができるという周知をしていけるようになるといいなと思っています。また、今取り組まれている中で、こうしたらよかったというのがあれば、発信していただけたらいいなと思っております。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
大森委員、お願いします。
○大森委員 LFA食物アレルギーと共に生きる会の代表をしています大森と申します。
田辺さんとかぶってしまう部分があるのですけれども、今、会員が全国で200弱おりまして、82団体ぐらいの全国のアレルギーの患者サークルの代表らと情報共有する機会を持っています。今回、先生方がお話をされたような支援コーディネーターのような存在というのはまさにすごく必要で、私たちのような保護者の立場でたくさんのそういった相談が来るのですけれども、それをつなぐ先が現時点ではないというのが、患者会を運営している中でも今すごく困っているところでもあります。
あと、移行期、うちは最近18歳以上、大学で地方から出てきて病院を探して見つからないという問題が大変急増しています。皆さんが相談してきているのがSNS、特に食物アレルギーに関してはInstagramというツールを使っている方、DMなどが来る方が非常に多くて、その後に順番としてはX、Facebookは若い世代にはあまり届いてなくて、ホームページはほぼ見ていないみたいに言ってくる方が多いです。
今、アレルギーポータルを講演会などでお伝えしているのですけれども、今、ポータルサイトを見ていたのですが、XとFacebookのロゴマークをクリックしても飛ばないので作成中かなとは思うのですが、今日のような新しい取組とか、中食の話とか、アレルギーポータルまで行かないと取りに行けない情報なのです。患者側だと、どこかに登録しておいて情報が定期的にもらえるようなものが希望なのです。また、Instagramの開設なども含めて、いつ頃に計画しているとかがありましたら教えていただきたいです。
○海老澤会長 ポータルのほうは、日本アレルギー学会と厚生労働省で共同で運用しているのですけれども、現在、広報の在り方について検討を進めていまして、来年の4月をめどに、もっとフレンドリーで分かりやすく、あと、最新情報をうまく提供できるようなシステムを構築していこうと今動いているところです。
厚労省のほうから何か追加はありますか。
○佐藤専門官 事務局でございます。御意見をありがとうございます。
御指摘のとおり、アレルギーポータルを使った情報提供を今、厚生労働省の事業のほうで進めさせていただいております。今、海老澤会長からも御発言のあったとおり、現在、アレルギーポータルの大幅なリニューアルに向けて進めさせていただいているところでございますので、今しばらくお待ちいただけたらと思います。
○大森委員 ぜひInstagramの開設もお願いできたら大変光栄です。よろしくお願いします。
○海老澤会長 分かりました。
あと、成人に到達した食物アレルギーの患者さんの全国の受け皿がないという問題については、つい最近、アレルギーポータルのほうにもリンクを貼りましたけれども、日本アレルギー学会の専門医で、いろいろなレベルがあるのですけれども、ドクターで小児期から上がった方、あるいは成人期発症の方を診療できますという情報も公開しましたので、医療機関情報というところを一度見ていただければと思います。
○大森委員 7月末に公表したところ、すごい反響で、待っていましたというお声がたくさん、食物アレルギー研究会のホームページを皆さん見られておりました。
○海老澤会長 ありがとうございます。
そうしましたら、上田委員、お願いします。
○上田委員 アレルギーの治療と仕事の両立支援ということで、すばらしい取組があることを知ることができました。
今回、私は環境保健の立場からなのですけれども、10ページの両立支援の事例の報告を見ますと、アレルギーにもいろいろあって、しかもこの中にいろいろ職域、あるいは室内環境の要因が関わっているのが非常に多いことを実感を持って拝見させていただきました。今回は両立支援という取組なのですが、その中で、恐らく職域のいろいろな原因物質に関する情報も関わってくるかと思うのですけれども、そういったものが職域の今後の予防に役立てられるような情報の整理とか、恐らくされているのではないかと思うのですけれども、どういった形で反映されているか、もし、そういった取組があれば教えていただければと思います。
○矢上委員 ありがとうございます。
今回は両立支援なのですけれども、私は接触皮膚炎の専門家でもあります。そちらのほうでは、職業性、このようなアレルギーが起こりやすいとか、ヘアカラーであったり、化学物質だったり、接着物質とか、塗料とか、いろいろなものでかぶれたりが起こります。あと、食物も関わってきます。多分、接触皮膚炎とか皮膚障害事例とか、そういうところとも融合しながら情報を出していかないと、全国の方々に届けられるような情報がなかなか出ないのかなと思いました。両立支援でもそれらの部分と連携しながら、学生さん、もしくはその職業に就きたい者、もしくはその職業で今困っている方々に対する資料とかをつくっていければと思いました。
○上田委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 それでは、いろいろ意見をいただいているのですけれども、次で最後にしたいと思います。木原委員、お願いします。
○木原委員 いろいろとお話を聞かせていただきありがとうございました。
私は学校のほうで養護教諭をしております。今までのお話の中にも省庁との連携ということもあったと思うのですけれども、学校は文科省の管轄にあるということで、厚生労働省のそういった指針の下に、文科省からは学校におけるアレルギーのガイドラインというものが出ています。それに基づいて、アレルギー疾患を持っている子供たちは管理指導表というものを医師に書いていただいて、それに基づいて学校生活を送っております。
特に小さい子供たちは、こういった管理指導表に守られているというか、見ていただくことで対応もしやすいような状況になっていますし、対応もしてあげられるということで、今日からうちの学校も給食が始まるに当たって、アレルギーの子たちの対応も始まっていきます。先ほどアトピーの子が汗でかゆいと言ってきた子もいたのですけれども、そういう子供たちは管理指導表を出していただいていたりするので管理もしやすい、家庭のほうも管理してくださる、学校もそれに基づいてやれるということでいいのです。
先ほどの委員の方からお話があったように、年齢が上がっていく移行期といったところで、だんだんガイドライン的なもの、管理指導表とか、そういったものがなくなっていくような、自己管理になっていくような年齢になったときにすごく難しいのだなというのを先ほどの矢上先生のお話の中からも伺えました。
今の小さい子たちもやがて大きくなるときに、こういった情報が私たちの中にも入っていることで、育っていく中でも情報を伝えていってあげたり、家庭にも紹介してあげたりということができるのだなというのを改めてお話の中で感じました。
私もポータルサイトのこともお話を聞こうと思ったのですが、先ほどの質問の中でもあってお答えをいただいたということで、これからアレルギーを持つお子さん・家庭については、ポータルサイトのほうも紹介していきたいと思っていますので、ぜひ充実していただけるとありがたいと思います。特に質問というわけではないのですが、ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
移行期医療の問題についても、今、日本アレルギー学会、あるいは日本小児アレルギー学会のほうでも、ガイドラインのほうでも改定作業等を進めていまして、それに対してしっかり取り組んでいかなければいけないということで今進めております。なかなか難しい問題を含んでいますけれども、学会としてはそういう対応をしていくということです。
最後に、議事4「その他」について何か委員から意見はございますでしょうか。今まで非常に活発にいろいろな意見をいただいているので、追加で何かございましたら挙手いただいてお話しいただきたいと思います。
矢上委員、お願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上でございます。話題が全く変わるのですが、先ほど申し上げましたけれども、接触皮膚炎への専門医として発言させていただきます。
接触皮膚炎というのは家庭用品や化粧品、金属、医薬品などを原因として小児から成人まで発症し得る疾患でございます。過去にはラテックス手袋や医薬品、化粧品による大規模な障害が社会的問題になりまして、患者のみならず産業界や行政にも大きな影響を及ぼしました。厚労科研の調査では、国民の約28.5%が金属によるアレルギーを経験することが明らかになっております。
接触皮膚炎は原因を断つことで根治が可能ですけれども、現行の保険収載薬では、多くの症例は原因成分を特定できておりません。現在は学会を中心とした限定的な研究に依存しており、持続性や全国展開には限界があります。したがって、原因究明、また、皮膚障害事例の最小化には産官学の連携、また、各省庁の連携と国の仕組みづくりが不可欠と考えております。接触皮膚炎への対応を国のアレルギー疾患の対策に明確に位置づけ、そして、国がリーダーシップを発揮されるようなことを希望しており、推進協議会におきまして、この重要性ということを少し発言させていただきました。
以上ですありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございます。
今のところアレルギー疾患対策基本法で定められている6疾患のところから外れてしまっている接触皮膚炎に関するお話だったのですけれども、事務局のほうからございますか。
○佐藤専門官 矢上先生、ありがとうございました。
御指摘のとおり、近年のアレルギー疾患の疾病構造の変化なども鑑みながらアレルギー疾患対策、医療提供体制についても、このような疾患についても実態を把握しながら協議会を通じて、必要に応じてまた議論を進めていきたいと考えております。関係省庁に関しても今後、情報共有なども一緒に進めていきたいと考えております。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 そのほかにございますでしょうか。
それでは、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。
委員の皆様方におかれましては、精力的に御議論いただきましたことに感謝を申し上げます。
それでは、進行を事務局にお返しします。
○佐藤専門官 海老澤会長、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても活発な御議論をいただきましたことに感謝を申し上げます。
本日御協議いただきました内容に沿って、今後の基本指針の見直しの検討を実施してまいりたいと思っております。引き続き国のアレルギー疾患対策への御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
以上で本日の協議会を終了いたします。
委員の皆様、長時間にわたり誠にありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
私は事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは本協議会委員の交代について御説明させていただきます。日本歯科医師会の理事交代に伴い、佐藤真奈美委員から近藤紀之委員に交代となっております。よろしくお願いいたします。
また、本日、全委員18名の方に御出席いただいており、定員数に達していることを御報告申し上げます。
皆様の御紹介については、名簿をもって代えさせていただきます。
また、本日は参考人として国立病院機構福岡病院 名誉院長、西間三馨先生にも御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。議事次第、資料1~3及び参考資料1~4がございますので御確認ください。
続きまして、ウェブ参加の委員を含めた本日の会議の進め方について御説明いたします。御発言については、ウェブ参加の委員におかれましてはZoomの「手を挙げる」機能を御活用ください。カメラは常に映る状態にしていただき、発言しないときはミュートにして、発言するときのみミュートを解除するようお願いいたします。本日はチャット機能の使用は予定しておりませんので御了承願います。
また、本日の協議会は、YouTubeでもライブ配信にて公開としておりますので御承知おきください。
事務局からは以上となります。
以降の進行は海老澤会長にお願いいたします。
○海老澤会長 それでは、議事1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」に移りたいと思います。資料1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」の説明を事務局よりお願いいたします。
○佐藤専門官 改めまして、事務局の佐藤でございます。お手元の資料1「令和7年度のアレルギー疾患対策について」を御覧ください。
1ページ目、ここでは厚生労働省におけるリウマチ・アレルギー疾患に関するこれまでの取組について簡単に御紹介いたします。
もともとは昭和47年までさかのぼりまして、小児ぜんそく治療研究事業を実施してございます。
平成12年になりまして、リウマチ・アレルギー疾患に関する診療、研究、情報などに関する高度専門医療施設として、国立相模原病院(現国立病院機構相模原病院)に臨床研究センターが開設されております。
平成18年にはリウマチ・アレルギー特別対策事業を開始しております。
平成26年にはアレルギー疾患対策基本法が成立し、平成27年12月に施行されております。
平成29年にはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を制定しております。こちらは5年経過した令和4年に指針の改正を行いました。
平成30年にアレルギー疾患医療提供体制整備事業が開始されまして、アレルギー疾患に係る医師への研修等を実施しております。
また、免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開催しまして、免疫アレルギー疾患に係る今後10年間で取り組むべき研究戦略を免疫アレルギー疾患研究10か年戦略として取りまとめを行っております。こちらは昨年度の第18回アレルギー疾患対策推進協議会にて中間評価を実施しました。
また、令和5年に花粉症に関する関係閣僚会議が開催されており、厚生労働省においては、発症・暴露対策の推進として対症療法及び舌下免疫療法についての普及啓発の取組を行っております。
こちらは皆様御存じかと思いますが、平成26年に制定されましたアレルギー疾患対策基本法の概略図でございます。本基本法におきましては、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーの6疾患を対象としてございます。基本的な施策としましては、重症化の予防及び症状の軽減、医療の均てん化の促進等、生活の質の維持向上、研究の推進等となりまして、この基本法に基づきまして、アレルギー疾患対策基本指針や本協議会を設置しているところでございます。
こちらはアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針でございます。参考資料2にもございますが、この指針は、この法にのっとりましてアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るために厚生労働大臣が策定するものでございます。この指針に定められている内容は5項目ございまして、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項から啓発、知識の普及や医療提供体制の話、調査・研究に関する事項、その他アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項というような構成になってございます。
リウマチ・アレルギー疾患対策予算の御紹介となります。先日、来年度予算の概算要求を行いましたので、来年度の令和8年度開始予定の新規事業も含めて順次御説明いたします。各事業における要求額については、ほぼ例年どおりとなってございます。
まず、アレルギー情報センター事業でございます。こちらはアレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、治療薬などについて、最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの整備等を通じた情報提供の充実に資することなどを目的としておりまして、実施主体としまして日本アレルギー学会及び日本リウマチ学会に事業を実施していただいております。
事業の内容としましては、まず、1がアレルギー疾患に関わる最新の知見に基づいた正しい情報等を提供するためのウェブサイトであるアレルギーポータルの作成・運営でございます。
2がアレルギー疾患の基礎知識や管理について講義形式で学ぶことができるアレルギー相談員養成研修会の実施。
また、3としてアレルギーの手引きの作成を行っていただいております。
こちらは国立保健医療科学院におけるアレルギー疾患対策従事者研修事業になります。
事業の目的は、地方公共団体においてアレルギー疾患対策の中心的な役割を担う保険医療機関へ関係する職種を対象とした人材育成ということでございまして、具体的に想定される職種としましては、保健師、医師、管理栄養士、行政職員等となっております。講義とグループワークを行い、災害時の対応や自治体の取組について2日間で学習するもので、今年は9月18日、19日に開催予定でございます。
こちらはアレルギー疾患医療提供体制整備事業でございます。実施主体としましては中心拠点病院であります国立成育医療研究センター及び国立病院機構相模原病院に行っていただいております。事業の概要、スキームのところを御覧ください。こちらは2つの中心拠点病院から全国拠点病院会議などを行い、情報共有を行ったり、都道府県拠点病院に対して困難症例の診断支援をいただいているところでございます。また、この都道府県拠点病院に在籍する医師に関しましても研修の受講の機会を提供しております。また、令和5年度からの取組としまして、中心拠点病院と都道府県拠点病院間でのオンライン相談会というものも開催しております。
現在のアレルギー疾患医療提供体制の全体のイメージをまとめたものになります。平成29年3月に策定されましたアレルギー疾患対策基本指針を踏まえまして、平成29年4月にアレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会を設置し、同年7月に報告書をまとめていただいたものを記載しております。具体的には、中心拠点病院や都道府県拠点病院の役割、また、かかりつけ医、薬局の役割について記載したものでございます。
右図のように全国拠点病院連絡会議等を通じた中心拠点病院と都道府県拠点病院の連携、都道府県内においては都道府県拠点病院と一般病院、診療所との診療連携、研修会の実施等によって、アレルギー疾患医療の均てん化に向けた取組を行うことになっております。
こちらは令和7年6月時点の都道府県アレルギー疾患医療拠点病院でございます。47全都道府県に設置いただいておりまして、現在で合計79病院が拠点病院として位置づけられております。
こちらはリウマチ・アレルギー特別対策事業でございます。この事業は基本指針の条文である「国はアレルギー疾患を有する者が居住する地域にかかわらず、適切なアレルギー疾患医療や相談支援を受けられるよう体制を整備する必要がある」に基づいて実施しております。各自治体がスライドの左下にある事業の概要に記載されているような内容を実施した際に補助をしております。
こちらは免疫アレルギー疾患患者に関わる治療と仕事の両立支援モデル事業でございます。こちらは実施主体として、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等にやっていただいておりまして、令和5年度から開始しており、今年で3年目の事業でございます。
概要としては、免疫アレルギー疾患患者、またはその家族が安心して仕事の継続や復職に臨めるよう、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院等に両立支援コーディネーターを配置していただくということでございます。また、両立支援コーディネーターが中心となりまして、免疫アレルギー疾患患者、またはその家族の個々の生活、勤務状況等に応じた治療と仕事の両立に関わる計画を立て、支援を行うモデル事業を実施するものでございます。今年度でモデル事業は終了となりますが、こちらで得られた好事例や課題等を全国に展開し、医療圏関係者や患者など、多くの人に知ってもらうことで、両立支援の取組が普及するよう取り組んでいきたいと考えております。
こちらは令和7年度の採択病院で、合計8病院でございます。
こちらは来年度新規に予算要求を行っております事業となります。アレルギー疾患患者は年々増加しており、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの疾患は、小児科、内科、皮膚科など、複数の診療科が対応する機会が多くございます。リウマチ疾患についても同様です。アレルギー疾患の中では、特にアトピー性皮膚炎をはじめ、近年の研究成果や新規治療薬の登場により、ガイドラインの改定など、標準治療や患者指導管理が大幅にアップデートされている現状にございます。普段からアレルギー疾患等の診療を行ってらっしゃる医療従事者は、学会研修などで最新知識を得る機会がある一方、専門疾患を主診療領域としていない医療者には最新の医療情報が周知されず、標準治療が患者に十分届かない要因となっております。
アレルギー疾患患者を診る可能性のある全ての医療者は最新の情報をアップデートしていただき、医療水準の向上と全国的な医療の均てん化を図ることを目的としております。骨太の方針2025にも、アレルギー対策については、アレルギー疾患(アトピー性皮膚を含む)医療の均てん化促進、と記載されましたが、今回、日本医師会関係学会、患者会と連携・協力をし、日本医師会のかかりつけ医研修などにも活用できる学習資材や研修プログラムの開発を目的としております。
こちらは昨年度の協議会で取りまとめを行いました免疫アレルギー疾患研究10か年戦略中間評価報告書の概要でございます。前半5年間の主な研究成果並びに課題や今後の研究戦略の方向性についてまとめられてございます。
中間評価を踏まえ、今後推進すべき研究について10か年戦略で掲げる3つの戦略と戦略横断的な推進につながる項目としてまとめたものになります。
こちらは今年度進められておりますアレルギー分野の厚労科研究の御紹介になってございます。事業概要に記載のとおり、免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が発出されたことに基づき、現在は記載の7つの研究課題を実施しております。
こちらはAMED研究でございますが、こちらも免疫アレルギー疾患研究10か年戦略が発出されたことに基づきまして、このスライドに書いてありますような研究を行っております。今年度は38課題が行われており、エビデンスの創出から病態解明、また、医薬品・医療機器等開発まで幅広く実施している状況でございます。
これは先ほど御説明しました令和5年に花粉症に関する関係閣僚会議で取りまとめられた花粉症対策 初期集中対応パッケージでございまして、令和5年10月11日の関係閣僚会議で決定されたものでございます。花粉症対策としましては、発生源対策、飛散対策、発症・暴露対策の3本の柱となっておりまして、厚生労働省が担当しますのは、こちらの赤枠でお示ししております発症・暴露対策になります。
花粉症対策 初期集中対応パッケージの進捗状況の中で厚生労働省が担当している箇所をまとめたものです。環境省と一緒に花粉への暴露を軽減するための花粉症予防行動と治療に関する最新の知見についてまとめられたリーフレットを作成し、自治体や関係学会と連携して広く周知を行っております。また、舌下免疫療法治療薬の増産体制促進として、2025年からの倍増に向け、森林組合との協力を得て原料採取のための事業体数を増加させるとともに、治療薬を製造する民間事業者において生産能力倍増に向けて製造ラインの追加を実施しました。
駆け足となりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明について何か質問・御意見はございますでしょうか。挙手ボタンでお知らせください。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。この分野で意見を2つほど申し上げたいと思います。
私は消費者委員会で食品表示部会の部会長をやっておりまして、アレルギー表示などに深く関与しております。その中で、今、厚生労働省と消費者庁の関係で、どうしても消費者庁が技術行政に厚生労働省よりも疎いという問題があって、なかなかアレルギーの問題そのものについて詳しくなくなってしまっているという実感を持っております。
今までですと厚生労働省内で表示も基準も全部やってきたわけですけれども、まず、表示が消費者庁に移って、今回、食品基準も消費者庁に行きました。担当者はある程度詳しいのですけれども、だんだん上に行けば行くほど、特にこの医療系の技術行政については非常に疎くなっていて、特に治療と連携するような食品表示というのは、治療研究と裏表のところがあると思うのですけれども、そういったことに対して非常に疎くなっているという印象を受けています。ですので、ぜひ厚労省との連携を深めてほしいと思いますし、特に医療系の技術行政についての支援が不可欠だと思っておりますので、そこの連携を深めていただきたいと思っております。
もう一つは、最近分子標的薬を使ったアレルギー治療という分野が進んできていると思います。私もアレルギーの治療というよりは政策に携わってきた人間として、これがとてもよく効くのだなという印象を持っております。ただ、がんの治療などでも使っている中で、分子標的薬の副反応というのは非常に問題が多くて、これは相当高度な管理下の中で治療していかなければ難しいと思っています。アレルギー学会から分子標的薬の治療のマニュアルなどもつくっていただいています。舌下免疫療法については力を入れていただくと書いていただきますけれども、この分子標的薬を使った治療についても、ぜひ力を入れていただきたいと考えています。
以上2点です。
○海老澤会長 ありがとうございます。
事務局のほうから何かございますか。
○佐藤専門官 事務局でございます。今村委員、どうもありがとうございます。
まず1点、消費者庁についてですけれども、消費者庁を含むアレルギー施策に関連する関係省庁につきましては年に一度、情報連携の会議などを行っております。また、各施策については当課と連携を実施するようにしているところでありますので、消費者庁の対応については、消費者庁の中でも適切な対応をしていると承知しておりますけれども、御指摘のとおり、しっかり情報共有などを進めながら、消費者庁のほうにも今回お声があったということはお伝えしていきたいと考えております。
薬については生物製剤ということでよろしかったですか。
○今村委員 生物製剤の中でも分子標的薬などを使う治療が今かなり出てきていますので、その辺の普及についても、ぜひお願いしたいという意見です。
○佐藤専門官 どうもありがとうございます。
御指摘のとおり、適切な使用とか、もちろん副作用も含めてですけれども、より多くの医療者の方にしっかり情報を伝えていく必要があると考えております。情報センター事業も含めてですが、来年度行っていきますアップデート事業の中にも、もちろんそういう内容を関係学会の先生方からの御意見も含めながら取り入れて、広く周知していきたいと考えております。御意見ありがとうございます。
○海老澤会長 今村先生、消費者庁のほうのアレルギー表示に関して、今、私はアドバイザリーボードの委員長で、あと、国立衛研から星薬科に移られた穐山先生が副委員長をされていまして、この間も消費者庁の新しい課長と御挨拶をさせていただいたのですけれども、その辺の医学的なところに関しては毎回課長が代わるたびに一応先生と一緒にやったようなエデュケーションではないですけれども、そういうようなことも一応やっているので、その辺の担保はしていきたいと思っています。
あと、2番目のことに関しては、ぜんそく、アトピー性皮膚炎で今バイオが結構出ていて、都市部などでは結構うまく使われているのですけれども、地方に行くと、まだその辺の情報がなかなか提供できていないところで、拠点病院と連携しながら、その辺のことも対策、あと、学会同士でも進めていこうと動いています。
以上になります。よろしいでしょうか。
○今村委員 ありがとうございます。
海老澤先生とは食品の表示については今までもずっと一緒にやらせていただきました。時々消費者庁の中で信じられないぐらい詳しくない方がおられるので、そのことに対しても対処、先生も今レクなどをしていただいているということですし、私もさせていただいてはいるのですが、厚労省内にいたときに比べると大分しんどい関係になっていると思いますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
○大坪健康・生活衛生局長 健康局長の大坪でございます。今村先生、いつも御指導ありがとうございます。
御案内のとおり、去年の4月に、食品の監視、指導の部分と基準課が分かれましたけれど、私ども食品の観点では月1でミーティングをやっておりまして、そこは一体に動かないと監視行政が回らないものですから、そこは密にやらせていただいています。消費者庁も長官が厚生労働省の統括官が行かれましたし、あと、基準課のほうも医学系の方たちがたくさん行っていますので、そこは密に連携を取らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○今村委員 ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
○海老澤会長 続きまして、山口委員、お願いします。
○山口委員 ひらつか食物アレルギーの会の山口と申します。
別の話題なのですけれども、新しい事業、13ページ目に細かく載っていますアップデート事業に患者会と入れていただきましてありがとうございました。この事業ですとか、この協議会ですとか、あるいは研究のほうでも患者参画をいろいろと文字にもしていただいております。ほかの疾患のように、例えば患者や市民の数ですとか、その割合などを目標に入れていただけるといいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤専門官 事務局でございます。どうもありがとうございます。
来年の事業につきましては、来年度に関係学会の先生方、医師会の先生方も含めて、もちろん患者会にも加わっていただくかというところも協議しながら、よいものをつくっていきたいと考えておりますので、引き続き御指導のほど、よろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ほかはよろしいでしょうか。
岡本委員、お願いします。
○岡本委員 アレルギー対策基本法、あるいは対策指針の中でも大きな柱の一つになっています専門医を増やす、あるいは医療の均てん化に関してです。先ほど御説明がありましたが、中心拠点病院と、地域の拠点病院とのオンラインの相談会とか、あるいは治療困難症例の検討会、相談を行っているというお話だったのですが、活発に行われているものなのでしょうか。
○海老澤会長 中心拠点と都道府県拠点病院のほうでリクエストがある場合、例えば各都道府県の拠点病院で困っている成人の食物アレルギーに関してはドクタートゥドクターの相談とか、そういったことも行われております。あと、都道府県拠点病院から地域のドクターのネットワークは、モデル事業で以前行われた都道府県では比較的行われているという認識ですが、それ以外の都道府県ですと、まだそこのところまでなかなかうまくいっていないところで、その辺を今後進めていかなければいけないと認識しています。
○岡本委員 どうもありがとうございます。
均てん化というのは大きな課題だと思いますので、ぜひ取組をよろしくお願いしたいと思います。
○海老澤会長 ありがとうございます。
日本アレルギー学会としても専門医の育成のほうは今、学会認定で進んでおりまして、また、先日、専門医機構のほうとも複数領域にまたがるサブスペシャリティ領域の懇談会があったのですけれども、これからアレルギー専門医をよりきちんとつくっていけるようなスキームも十分考えていきたいと思っております。
ほかはよろしいでしょうか。
続きまして、議事2「今後の基本指針見直しスケジュールについて」に移ります。資料2「今後の基本指針見直しスケジュールについて」について、事務局よりお願いします。
○佐藤専門官 事務局の佐藤でございます。お手元の資料2を御覧ください。
1ページ目、前半のスライド2枚は先ほど御説明した資料1で御提示したものと同一となります。右に概略図をお示ししておりますが、平成26年に制定されましたアレルギー対策基本法の中で、第11条に「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策の総合的な推進を図るため、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針を策定しなければならない」「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策基本指針を策定しようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議するとともに、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとする」とあります。また、第5条で「地方公共団体の責務としてアレルギー疾患対策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的にその地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない」とされております。
現在の基本指針につきましては、令和4年3月に一部改正が行われました。
こちらのスライドでは、アレルギー疾患対策基本法における基本指針の策定改正に関する位置づけについて記載してございます。基本法第11条第3項に「厚生労働大臣はアレルギー疾患対策基本指針を策定しようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議するとともに、アレルギー疾患対策推進協議会の意見を聞くものとする」とあります。
また、第6項には「厚生労働大臣はアレルギー疾患医療に関する状況、アレルギー疾患を有する者を取り巻く生活環境、その他のアレルギー疾患に関する状況の変化を勘案し、及び前項の評価を踏まえ、少なくとも5年ごとにアレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときには、これを改正しなければならない」と記載されてございます。
加えて第7項には「第3項の規定はアレルギー疾患対策基本指針の変更について準用する」と記載されています。
以上の内容を踏まえ、前回、令和3年度に検討を行い、同年度末に改正したため、今般、令和8年度に検討を行う。検討に当たっては本協議会の意見を聞くこととさせていただきたいと考えております。
前回、令和3年度に改正された箇所の概要について、令和3年度の協議会資料の抜粋から御説明いたします。
指針の第1、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な事項については、アレルギー疾患のコントロールのために、アレルギー回避だけでなく、免疫関与の誘導も考慮に入れた環境の改善を図ることといたしました。
指針の第2、アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及並びにアレルギー疾患の予防のための施策に関する事項については、アレルギー疾患に関する情報について、出生前から保護者等への普及啓発活動に取り組むことといたしました。また、外食・中食における食物アレルギー表示については、消費者の需要や誤食事故の実態に基づき、適切な情報提供に関する取組等を積極的に推進することといたしました。
指針の第3、アレルギー疾患医療を提供する体制の確保に関する事項については、専門的な取組をより推進するため、医療従事者として、歯科医師、管理栄養士を明記いたしました。
2つ目として、アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会の検討結果に基づく医療提供体制の整備をすることといたしました。
3つ目として、都道府県拠点病院等は適切な情報の提供、アレルギー疾患医療に関する専門的な知識と技術を要する医療従事者の育成等の推進に協力することといたしました。
指針の第4、アレルギー疾患に関する調査及び研究に関する事項については、免疫アレルギー疾患の特性に注目した研究等を盛り込んだ免疫アレルギー疾患研究10か年戦略に基づくアレルギー疾患研究を推進する。また、長期的な疾患管理を十分に行う等の観点から患者の視点に立った研究を推進することといたしました。
指針の第5、そのほか、アレルギー疾患対策の推進に関する重要事項については、アレルギー疾患を有する者が適切なアレルギー疾患医療を受けながら、本人、またはその家族が就労を維持できるよう、環境の整備等に関する施策について、各事業者団体に周知を図ることといたしました。また、地方公共団体は都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通じて地域の実情を把握し、都道府県拠点病院等を中心とした診療連携体制や情報提供と、アレルギー疾患対策の施策の策定及び実施をするよう努めることといたしました。
都道府県における現在のアレルギー疾患対策の位置づけについてですが、上段の青枠にお示しのとおり、基本法において、アレルギー疾患対策の推進に関し、都道府県におけるアレルギー疾患対策の推進に関する計画を策定することができるとされております。
一方で、医療法第30条の4において、都道府県は基本指針に則して、かつ地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保に図るための計画(以下、医療計画という)を定めるものとするとされております。
現在、厚生労働省医政局通知の下、第8次医療計画が進められてございます。こちらの医療計画ですが、疾患としては、がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患の5疾病が記載事項として定められており、アレルギー疾患は含まれておりません。
しかしながら、下段の青枠の中にお示ししておりますが、医療計画作成指針では、医療計画の作成に当たっては、ほかの法律の規定による計画であって、医療の確保に関する事項に定めるものとの調和が保たれるようにすると記載があり、医療の確保に関する内容を含む計画及び医療と密接に関連を有する施策の例として、アレルギー疾患対策基本法に定める基本指針が挙げられてございます。実際に調査を行ったところ、47の都道府県のうち37の道府県において、実際に医療計画の中にアレルギー疾患対策を記載しており、そのほか8都県では個別のアレルギー疾患対策推進計画を作成している現状にございます。
基本指針の今後の検討スケジュールについて、大多数の都道府県がアレルギー疾患対策を医療計画に記載したり、個別にアレルギー疾患対策推進計画を作成していることを踏まえ、基本指針の検討について、今後のスケジュールとして次回の基本指針改正の検討については、前回改正の令和3年度から5年後となる令和8年度を予定しているが、次々回の検討については医療計画作成との整合性を取るため、5年経過を待たずに令和10年度に実施し、以降は3年ごとに検討を実施することとしてはどうかと考えております。
下の図にお示ししますように、現在、各都道府県において第8次医療計画が進められております。また、令和12年度より第9次医療計画が開始される予定です。基本指針において御説明させていただいたスケジュール案のとおり進めることで、都道府県の医療計画と整合を取ることが可能になり、都道府県としても基本指針の内容を医療計画に反映しやすくなると考えております。本日は、こちらのスケジュール案について、委員の皆様方より御意見等をいただければと思っております。
本検討事項についての事務局からの発表は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
事務局からの説明内容を踏まえて、委員の皆様の御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。
栗原先生、お願いします。
○栗原委員 三重県医療保健部の栗原と申します。地方自治体の立場から意見を申し上げさせていただきます。
議題1でも先ほどお話がありましたが、このアレルギー疾患の治療は新規治療薬等の登場により大幅にアップデートされており、今後もその傾向が続くと想定しておりますので、地方自治体の立場としましては、それに対応した施策の検討が求められることになると考えております。その大元となる医療計画作成に当たりましては、このアレルギー疾患対策の基本指針を参考としておりますので、この令和10年度の検討から医療計画作成や中間評価を行う前年度に検討が行われることで、改正がなされた場合には迅速に県の施策につなげることができるようになるため、この見直し案に賛成いたします。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。2つほど御意見を申し上げます。
一つは、今のスケジュール案について、私も6年にしていただくことに賛成です。私は医療計画にも深く関与しておりますし、診療報酬改定、介護報酬にも関与している中で、6年で一区切りというのが、今の日本の医療政策の規定になっていると思います。少なくとも医療計画の以前、診療報酬改定は2年に一遍で介護報酬が3年に一遍ですので、この2つが合うのは6年に1回しかないということで、医療計画も5年だったものから6年に変わっていると思いますし、循環器規約なども6年に変えていただいているので、ここは足並みをそろえてやっていくほうが政策全体と整合性が取れると考えております。
もう一つは、令和3年度の指針で改定している第2にあります外食・中食のアレルギー表示の問題について、ここに入れていただいたことは本当にすばらしいことで、よくぞここまで踏み込んでやっていただいたと思っているところですが、私自身、この問題を担当したことがあって、いかにこれが難しいかということを知っております。
外食と一言に言いましても100万か所ぐらい外食する場所があって、皆さんにアレルギーのことについて詳しくなっていただかないと、この表示というのはできないわけです。よく言われる事例としては、例えばそばとうどんを同じ釜で茹でているというようなことであれば、アレルギーに詳しい方であれば、それは当然駄目ですというようなことですけれども、それを一般の食品をされている方が知っているかといったらなかなか難しい。これを代表例として挙げると、今、あちらこちらのうどん屋さん、そば屋さんでは、それを書くようになりましたけれども、同じような事例はたくさんあるわけです。
ですから、これが非常に困難な道のりであるということをぜひ認識していただきたいと思いますし、これには医療系の技術行政に詳しい方が前線でやっていただかない限り、なかなか進まないと思いますので、そういった意味で、ぜひ多くの方々の御支援をいただいて進めなければ難しいということを意見として言わせていただきたいと思います。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
スケジュールに関しては、栗原委員も今村委員も、医療計画の年度というか、6年スパンでいくところに、この5年で今までやってきたアレルギーの対策指針の改正ということもスケジュールを合わせてったほうがいいという御意見だったと思うのですけれども、その点に関して、ほかの委員の皆様はいかがでしょうか。
大嶋委員、お願いします。
○大嶋委員 大嶋です。見直していただいて、6年ごとの地域医療計画の改訂時期に合わせていただくのが適切だと思います。私自身、地方のアレルギー疾患対策の委員担当していましたが、病院長という立場でアレルギー疾患対策の会議に参加しましても、なかなか県のほうの反応が一枚岩にならない。これが地域医療計画の中の一つの策定項目に入ってきますと、県のほうもかなり真剣になっていただけるところがあります。
もう一つは、アレルギー疾患対策に関しては、アレルギー診療を担当している各病院の方に参加していただくのですが、地域医療計画と検討時期が一緒になりますと、最終段階で地域の基幹病院の病院長クラスの方が参加されます。その結果、アレルギー疾患対策をアレルギー部門担当者だけでなく、病院長レベルに認識していただくことになり、非常に効率的に進めることが可能になると考えます。この6年ごとの地域医療計画と一致させていただくと非常に効果があるのではないかと考えます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ほかの委員から意見はございますでしょうか。
荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 基本的に医療計画に反映できるようなスケジューリングを取るということで賛成でございます。看護系だとか保健師の教育につきましても、医療計画だとかを見て教育に反映させていくところがありますので、そこにしっかり組み込まれていくような体制を取っていただくということで賛成いたします。ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
栗原委員、お願いします。
○栗原委員 1点確認させていただきたいのですけれども、こちらの資料のほうでは検討を3年ごとにという記載になっているのですけれども、6年ごとの検討をされるということなのでしょうか。
○海老澤会長 事務局、お願いします。
○佐藤専門官 事務局でございます。こちらの対応案に記載させていただいていますとおり、協議会の中で、その改正をするかしないかといった協議も全部含まれておりますので、こちらにお示ししたとおり、当然先ほど6年ごとという御発言もありましたけれども、一応協議会の中で3年ごとに基本指針を組み直していく、改正するかしないかも含めて、その年度に協議を行っていくといった形になってございます。
○栗原委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 スケジュールに関してはよろしいですか。
先ほど今村委員からお話があった外食・中食のことに関しても、私もそこに消費者庁で関わっています。こういう指針を改正した後に、どれだけ行政的な行動というか、それが変わったかという評価をしていくのもきっとすごく重要な点なのかなと思って聞いていたのですが、なかなか一筋縄には行かなくて、動画をつくったりとか、あるいは関係団体に働きかけたりとか、いろいろやっているのですけれども、まだ日本は欧米の外食での情報提供のレベルには到底到達できないということがあります。
先日、自分の患者がウイーンに行って、ナッツアレルギーのある医学生だったのですけれども、ウイーン大学に短期研修に行って、大丈夫だったかと聞いたら、外食等でも表示がきちんとしていたので全然事故にならなくて安全に暮らせましたという話を伺っております。そういうところをこれからも引き続き進めていかなければいけないと思った次第です。その辺に関して指針を改正した後に各省庁で働きかけて、どれぐらい変わっていったかということも、ぜひ見直していきたいと思っています。
あと、なかなか省庁間で難しいかもしれないのですけれども、厚労省のがん・疾病対策課が中心になってアレルギー対策を進めていくときに、例えば文部科学省の学校のアレルギー対応についても、担当官が変わったりとかすると、突然全く動きがなくなってしまったりとか、そういったこともよく経験いたします。そういうことで、調布の事故が再発しないように、10年以上たって風化しないようにということも、しっかりと働きかけていかなければいけない。また、ナッツアレルギーが増えている中で、特にカシューなどは相当ひどいアナフィラキシーになりますから、失われなくてもいい命が失われてしまうようなことは決して起きてはいけないと思っています。
今村先生、その辺はすごく難しいところなのですけれども、実効性を持ってそういうものを進めていくに当たって、何かいいお考えとかはありますか。
○今村委員 ありがとうございます。
まず、これに関係する担当者や研究者の方々が綿密に連携することがとても重要だと思うのです。私は文科省にもおりまして担当しておりましたので、厚生労働省で食品の表示もやりましたけれども、それぞれの省にとっての優先順位があって、それを押しのけてちゃんと人命に関わる重要な問題だと認識してもらって施策を打つことが重要だと思っております。
先ほどの食品表示の問題で言うと、私は厚労省と消費者庁の関係のことに言及しましたけれども、もともと食品が全て厚生労働省にあったときには、保健所は非常に素直に食品表示の問題も動いてくれていたわけですけれども、今、大半が消費者庁に行って、厚生労働大臣通知については割と現状の反応はいいのですけれども、消費者庁長官通知などについては反応が鈍いところがあって、現実問題として指針を改定したときの効果が厚労時代の動きに比べて消費者庁に行ってからの動きは鈍いです。実際、食品表示監視そのものを消費者庁でやっていますけれども、現場に一番近いのは保健所ですので、保健所の動きも消費者庁の監視と合わせてちゃんとやっていただいてこそ、初めて周知が行くと思うのです。
学校での動きも文科省からの動きもそうなのですけれども、現場で食物アレルギーをやっている保健所の方々と教育委員会との連携が取れているとうまくいくのですけれども、それが取れていないとうまくいかないことがあって、いかに関係者の方々がうまく連携するかというのが一つの大きなポイントだと思っております。概論的な意見で申し訳ないですが、そのように考えている次第です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 医師会の坂本です。繰り返しの質問になります。
1点目、3年ごとというのは、この対策は6年で、3年ごとの中間見直しということでよろしいですか。
2点目は、4ページの第2指針の改正箇所の内容でございます。今村委員からもたびたび御発言いただいているのですけれども、食物アレルギーは、文科省、消費者庁、厚労省が関係しておりますし、保健所とかも関係しています。学校ではもちろん教職員も気をつけなくてはいけないのですけれども、御両親が情報提供をしていても、また、子供さんが友達のところ遊びに行ったり、キャンプに行ったり、そういうときは低学年の方はなかなか難しくて、救急車に乗ってという事故も経験しております。その辺に関しても今後、省庁、文科省とかも横槍を入れて何か施策を考えていただけたらと思います。
その2点でございます。
○海老澤会長 最初のスケジュールに関して、事務局からよろしいですか。
○佐藤専門官 事務局でございます。御意見ありがとうございます。
基本的に3年ごと、まだ具体的にどういう改正スケジュールを進めていくかということについては、また検討を進めていく必要があるかと思っておりますが、3年のタイミングで基本指針の改正が必要と判断した場合は、そこのタイミングで改正を行う可能性は十分あると考えてございます。
○坂本委員 アレルギー対策は5年ごとという理解ですか。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。正確にお伝えできればと思いますが、資料の3枚目を御確認いただければと思います。アレルギー対策基本法の中で少なくとも5年ごとにアレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときには、これを改正しなければならない、これが法律事項になっています。この解釈として医療計画との整合性を取るように3年ごとに検討して、必要があれば見直しを行うということで今後運用させていただきたいということを今回御提案させていただいたことになります。
○坂本委員 では、運用上、3年ごとという理解で、法律はこのままという理解でよろしいですか。
○鶴田がん・疾病対策課長 法律はそのままで、解釈として3年ごとに検討して見直しをするかどうか検討した内容を踏まえて見直すかどうかということになりますが、この法の解釈に沿って対応していきたいと考えていますという感じです。
○坂本委員 もう1点の文科省も含めての質問は。
○鶴田がん・疾病対策課長 がん・疾病対策課長です。関係省庁とは年1回の連絡会議をやっていますので、そういう中で密に情報共有していきたいと思っていますし、この協議会に参加しているメンバーの方々の中にも各省庁の委員なり座長なりを務めていていただいている方々がいらっしゃいますので、そういった方々とも密に連携しながら、各省庁との連携も深めていきたいと考えているところです。
○坂本委員 ありがとうございました。
学校、御両親に周知しても、低学年の子供さんとかはたびたび救急車に乗られたりするので、その辺もよろしくお願いいたします。
○海老澤会長 患者団体のほうでもお子さんたちへの教育の資材とかをつくっていただいたりとか、そういうようなこともされていますよね。
山口さん、もし、何か発言があれば。
○山口委員 この会議に出席している所属の患者会とは別に、参画しているNPO法人で全国向けに小学生の啓発教材をつくりました。私たちの活動のモットーは子供に分かる言葉は大人にも分かりやすい、また広げて外国籍の方にも分かりやすいということです。疾患のことですとか、患者本人が気をつけること、お友達にできることを分かりやすく伝えるのは大変難しいのですが、監修のお医者様、専門医の皆様にも見ていただいて、小さな団体ですけれども、広げるように活動しております。それが広がってくれればと思っております。
○海老澤会長 ありがとうございます。
アレルギーの場合は社会生活とかにも多大なる影響を与えていくので、様々な省庁が連携して、あと、学会、患者団体とも連携しながら、対策を一歩ずつ確実に進めていくことが求められているのではないかと思います。
ほかに、スケジュール、あるいは指針について何か御意見のある方おられますでしょうか。よろしいでしょうか。
いろいろ活発な御議論をいただきましてありがとうございます。
それでは、事務局から提案のあった今後の基本指針の見直しのスケジュールについて、次回検討は令和8年度に実施、次々回の検討については医療計画作成と整合性を取るため、5年経過を待たずに令和10年度に実施、以降の検討は3年ごとに実施とすることでよろしいでしょうか。
特に御異議がないと判断させていただきます。ありがとうございます。
それでは、今回、委員の皆様に合意いただいた方針に沿って今後は進めていきたいと思います。
次に、議事3「免疫アレルギー疾患患者に係る治療と仕事の両立支援モデル事業についての実施報告」について、矢上委員から説明をお願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上でございます。藤田医科大学総合アレルギーセンターにおける治療と仕事の両立支援モデルとして、取組と課題についてお話ししたいと思います。
私どもは、愛知県のアレルギー疾患拠点病院としまして2018年より取り組んでまいりました。その中で、このたび両立支援のモデル事業を令和5年から始めさせていただきまして、その経過を今日まとめてお話したいと思います。特に症例を中心に両立支援コーディネーターの必要性、そして、企業との橋渡し、また、介入の重要性についてお伝えできればと思っております。
私どもは2つ柱をつくって取り組んでまいりました。一つは、個々の患者さんの両立支援体制の構築でございます。もう一方で、アレルギー疾患の両立支援事業の啓発というところで、地元の企業での勉強会などを重ねてまいりました。
また、周知としましては、大学におけるプレスリリースであったり、私どものウェブサイトに相談窓口をつくりまして、例えば相談内容としましては、アレルギーを持っているけれども、どんな働き方を選ぶかというような御質問を受けたりしながら回答して、患者さんと共に進んでまいりました。
手始めに実態調査を行いました。そのような患者さんがどのように苦しんでいるかというところを可視化しようということを行いました。一つお示ししますと、アレルギー疾患のために就学・就労に大きく困難をきたしたことがありますかということで聞きました。そうしますと、4人に1人の患者さん、もしくは御家族の方もアレルギー疾患のために就労・就学に大きく困難があるという答えでした。また、右下のほう、産業医、保健師はいない、存在を知らなかった、相談できない環境であることが分かりました。
そういうことを背景に体制を整えました。当院が構築した両立支援システムの概要でございます。多職種の方々に集まっていただいて議論するチームをつくっており、右下に示しておりますけれども、月に2回、両立支援コーディネーターが患者さんと面談をする前と後、その後のフォローアップについて検討会を重ねてまいりました。
これまでですけれども、19例まとめてまいりました。現在も進んでおりますけれども、幅広い年齢の方々、そして、幅広い疾患の方々が対象となって希望されて、両立支援事例の取組の中に入っていらっしゃいました。
ここからは患者さんのまとめになります。個人情報をなるべく伏せるようにしながらまとめてまいりました。20歳の女性で様々なアレルギー疾患がありながら、でも、就業している、しかしながら、真ん中に書きましたけれども、就労時に困っていることがあって、症状が起こってしまう。それによっては仕事を休むしかない。そうすると、非正規雇用者にしかなれなくてパートにしかなれない。でも、本当は体調を整えて就業して正職員になりたいという希望を持っていらっしゃいました。
そこで、私どもは両立支援コーディネーターに入っていただきまして、その方がどうやったら職場とうまく調整できるか。また、介入によって発症の状況であったり、検査結果、または主治医等の見解を踏まえて、職場に理解しやすくなっていただけるように本人がどう動くべきか、また、私たちが勤務先と連携を取りながら、その方がどうやったらうまく仕事ができるか。そして、成人ですけれども、食物アレルギーを小児科の先生と成人の食物アレルギーを診る医者が連携をしながら、患者さんの就労体制を見ながらスケジュールを組んで負荷試験を行っています。そうしたことで、私たちは本人が安心して働き続けられる環境が整って、そのことによって両立支援の必要性と有効性が改めて示されたと考えました。
次に、仕事が続かない方がいらっしゃいます。様々なアレルギーがあって、そして、精神疾患もございますが、症状をコントロールして働けるようになりたいという希望がありました。コーディネーターに入っていただいたところ、患者さんの希望と職種がマッチしてなかったことが分かりました。患者さんには就労継続支援のBやA、就労支援についてお伝えをして、患者さんが自分自身の状態に合った就労レベルを理解して自分に合ったところに行き社会への第一歩を踏み出すということをバックアップしました。このコーディネートの枠組みがあったからこそ、患者さんが社会につながる大きな契機になったと感じました。
次は、食物を扱う実習を受けたい10歳代の方です。管理栄養士の専門学校に通っていますけれども、食物アレルギーがあることによって、学内・学外の調理実習への参加が認めないという状況がありました。この方は小麦の食物アレルギーがありますけれども、しかし、自分ではちゃんとコントロールできておりました。そこで、コーディネーターの介入によって他大学の管理栄養士、または大学の関連部署と連携をしながら、具体的な助言と体制整備を行いまして、患者さん自身も自分で自分のアレルギーをちゃんと伝えてコントロールしていく。そこで今、学内・学外でちゃんと実習できるようになりました。
この症例は1例でありますけれども、こういう方は、この制度がなければ教育や就労の機会を失う危険があったので、両立支援というのは患者さん個人の力に委ねるものではなくて、社会が制度として保障すべき不可欠な仕組みであることを感じられる事例でした。
次は、学校に行きたいが行けない10歳代の方です。こういう方はきっと多いと思います。様々なアレルギー疾患があって、昼間は治療するけれども、夜なかなかよく眠れない、そうすると、昼夜逆転が起こって学校に行けない。でも、本人は学校に通いたいし、親御さんも学校に通わせたいという方です。幾ら医者が治療したとしても、学校の担任、養護教諭、そして、担当医師がタッグを組まないと、なかなかそういう方を社会・学校に戻すことはできない。私たちは、このような就学支援の仕組みによって、学校、家庭、医療をつないでいくことが不可欠だと分かりました。
ですので、こういう移行期医療の狭間にいる学校に行けなくなるような方は少なくなくて、全国的な整備は急務であって、その欠如というのは教育・就労の機会を失ってしまう。ですから、このようなモデル事業を続けることが社会的に大事だと感じました。
皮膚科専門医の視点から申し上げますと、成人以降にアトピー性皮膚炎があって、なかなか社会に戻れない方は少なくありません。一番上にあるのは今のような方ですけれども、少しの湿疹があって、それがこじれていってなかなか学校に行けない方がいる。そこにはもちろん精神疾患もあるかもしれません。その方自身を救うことはもちろんですが、アレルギー児の不登校というのは親の離職にもつながります。ですから、社会全体のマイナスになってしまう。
また、下の例ですけれども、移行期でアトピー性皮膚炎などがあると、非正規雇用しかできない、受けられなくなる場合も良く見られますが、患者さんは実は働いてちゃんと賃金を稼ぎたいという希望がある。ですので、私は相談できる人が身近にあることが患者さんの家族を救うのだということを感じて、医療の場、もしくは学校、もしくは就労の場にコーディネーターが配置されることがとても大事だと考えました。
アレルギー疾患の治療と就労の両立に関する勉強会をして、広い範囲で周知を行いました。愛知県の様々な企業で勉強会を重ね、アンケートも取りました。そうしますと、4分の1の方が自身の離職、移動、時短勤務などを経験したことがある。また、真ん中ですけれども、社内で相談の経験がある方は4分の1にしかすぎなかった。そして、両立支援を活用したいという方が99%でありました。
ここでお伝えしたいことは、担当や管理職だけではなくて経営層の理解も必要、ひいては社会の理解が必要というご意見があったこと、中小企業の理解が両立支援の実用化の鍵になるというお言葉や、国の助成があると両立支援そのものの認知や普及が進むというご意見をいただいたということです。
最後の行ですけれども、アレルギー疾患は身近であるものの、患者さん自身、もしくは患者さんの家族が我慢すべき認識が強い、というお言葉をいただきました。ですから、そのような広いアンメットニーズを私たちは受け止めて取り組んでいかなくてはいけないということを改めて思いました。
そのような背景から手引きをつくりました。今ポータルに載っております。この手引きを全国の拠点病院に配付しました。そこで読んでいただいた後のアンケートを行いましたところ、8割以上の施設においてアレルギー疾患における両立支援の必要性を感じているという回答をいただきました。本手引きを参考にして貴施設での運用に取り入れたいと感じましたかと問いますと、84.4%の施設の方が取り入れたいという回答をいただきました。一方で、マンパワーであったり、連携システムの構築が難しいというところで、ハードルがなかなか高いという背景もありました。ですので、両立支援モデルの取組というのは今年で終わりますけれども、私たちは自分たちができることを全国の先生方に発信しながら、モデルになるような、後に続くような拠点病院の取組を続けていきたいと思っております。
最後のパートになります。令和7年において何を行っていくかですけれども、昨年に引き続き手引きを活用して県全体での周知を推進する。
また、多くの方を助けるためには、自施設だけではなく、ほかの支援センターとも連携する必要があることに気がつきました。ですので、その連携体制を構築して適切な支援提供を確保する。これは後で申し上げます。
また、今年はメインの支援対象としてリウマチが入りました。そこで、今年はアレルギーの方々プラス関節リウマチの方々への支援体制も構築中でございます。
左下ですけれども、現在、私どもの施設では医療コーディネーターにかかわらず、医師、看護師、事務の方にも学んでもらって、両立支援コーディネーターを輩出しています。多様なコーディネーターがいることも患者さんにとってはいいことだと思いますので、今、みんなで学びながら進めております。
最後ですけれども、そのような免疫リウマチ・アレルギー疾患の患者さんがこの取組に気づくために、周知の強化としましてはSNSであったり、今示しているような地元のラジオ局で啓発をするとか、幅広く患者さんの耳に届くような取組をしていくことが大事です。
右側、支援体制の強化としましては、がん等の両立支援事業者と共に免疫アレルギー分野における協定を締結して、支援体制の強化と拡大を図ることで、今、愛知産業保健総合支援センターと締結しながら、幅広い患者さんに対する支援体制をつくるという努力をしております。
本当にありがとうございました。これからもお願いいたします。
以上です。
○海老澤会長 ありがとうございました。
ただいまの矢上委員からの御説明について何か質問・御意見等はございますでしょうか。
森田委員、お願いします。
○森田委員 国立成育医療研究センターの森田でございます。非常に日々の診療でも感じる大変重要な課題かなと感じております。
今回のモデル事業の中では、御本人の就労・就学という観点が一番多かったかと思いますが、小児科の立場で言いますと、子供が疾患を抱えておりますと、お母さんがつきっきりになって就労ができないというケースも結構ございます。そのような方へのアプローチというのは、このモデル事業の中でどのように取り組まれたのかとか、取り組み方とか、何かございましたら教えていただきたいです。
○矢上委員 ありがとうございます。
私たちは、お母さん方の苦難、子供の疾病を自分がすごく大きく感じていることを感じました。それを言うところがないのです。医師にしか話す場所がなくて、お母さんが学校に行ったりするのはなかなか難しいことが分かりました。ですから、その間をつなぐ、医師と患者さん御家族、お母さんと学校とかをつなぐ第3のコーディネーターの取組がとても大事です。
家族とか自分が困っていることをどうやったら就業・就労につながるように伝えていくかというのが、医師ではない両立支援コーディネーターがもう1個あると、お母さんの苦難とか、夜中にずっと起きていて、自分は昼間にへとへとで、とても仕事などはできないという方がいらっしゃるのです。あと、子供たちの将来をすごく心配している方がたくさんいます。でも、そういう声は社会にまだ出ていないのではないかと思います。ですので、赤ちゃんの頃は実際の医療処置、中学・高校になったときにはその子の将来についての心配事を相談できる場所があったらいいなと思いました。
○海老澤会長 下浦委員、お願いします。
○下浦委員 矢上先生、モデル事業の御紹介をありがとうございました。
最後から2ページ目のところの両立支援体制のことでお聞きしたいのですけれども、よろしいでしょうか。この中で両立支援コーディネーターという形で記載がされているかと思います。コーディネーターについてはチームで動いておられるという理解でよろしいですか。それとも、ソーシャルワーカーさんが中心となって関係のコーディネーターさんとアプローチをしながらカンファレンス等々でお話をされているということですか。
○矢上委員 ありがとうございます。
全体のチームです。ですから、多職種全員のチームがあって、最初はMSWの方になっていただいたのですけれども、でも、そこの学びがないといけないし、自分たちもプレーヤーにならないといけないということに気がつきまして、臨床心理の先生であったり、医師であったり、事務の方もみんなで学んで、両立支援コーディネーターになって、その観点から、どの患者さんはどの両立支援コーディネーターが必要かということを見ながら、決してMSWというか、医療従事者だけが両立支援コーディネーターであるとは全然思ってなくて、全員でみんなを助けてあげるという、医療と患者さんをつなぐというところは、決してどの職種に限定されるというものではないわけです。それら全員がチームになって今やっております。その方々が月に2回集まって、患者さんのフォローアップを見ていくということになっております。
○下浦委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 ほかはいかがでしょうか。
坂本委員、お願いします。
○坂本委員 日本医師会の坂本です。矢上先生、ありがとうございます。
非常に好事例だと思っております。2点質問がございます。
1点目は、支援センターとの連携体制という言葉が出てきました。他の支援センターというのは、愛知県に両立支援センターと同じような、あるいは両立支援センターの先生のところから愛知県の県域に1か所ずつ、拠点ではないですけれども、それと似たようなものを展開していっているのか、その辺も含めて県内も展開していらっしゃるのか、もちろん全国にこういうのを展開して連携していくのは非常に大事なのですけれども、県内ではどうなっているのか。
逆に、まだその辺が十分にできていない場合、県内にこれだけのメンバーをそろえられているセンターがあるということは、県内でアクセスが遠くても先生のところに紹介されていらっしゃるという理解でいいのか、愛知県での状況を教えていただけますか。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございます。
去年まではアレルギー疾患だけだったので、センターで賄えるかと思ったのですけれども、今年はリウマチが入りました。そうすると、リウマチの方々はもちろん年齢が幅広いのですけれども、さらに職業と関わってくるのです。そうしますと、私たちは今、愛知産業保健総合支援センターといって、独立行政のところのセンターがあって、そこももちろん専門の方々がいらっしゃる。ですので、そこと連携することによって、医療で回答すべき人がいるのか、産業保健総合支援センターという行政のほうでバックアップをもっとできるところがあるのでは、と気がつきました。今までは、がんと難病疾患だけの連携だったのですけれども、そこに免疫アレルギーが入って、愛知県であれば、藤田医科大学ばんたね病院が初めて免疫アレルギーで提携をつなげました。
2番目の回答にも入ってくるのですけれども、そうしますと、ばんたね病院だけに行ってもらうのは無理ですので、広くウェブであったり、電話であったり、病院に通っていなくても、私はどうしたら仕事を続けられるだろうという方に対応するため、センターのほうに連絡していただきながら、私たちなのか、それとも支援センターか分けながら広く回答するような体制をつくっております。ですので、患者さんは外からでもいらっしゃいます。
今、そういうところを愛知県の連携会議とか拠点連絡会議とかでお話をしながら、愛知県の医師会の先生方にバックアップをいただきながら広く周知していて、私たちは1施設では賄えないので、1施設プラス拠点病院の先生方、または産保センターと一丸となって愛知県で両立支援が必要な方々を助けられるような体制を今年つくろうと思って努力しております。
○海老澤会長 それでは、大嶋委員、お願いします。
○大嶋委員 大嶋のほうから質問させていただきます。矢上先生、大変すばらしい取組の御紹介をありがとうございます。
お話を聞かせていただいて、コーディネーターをどこに配置するかという点が非常に気になりました。がんと比べ対象患者数がそれに匹敵するぐらいいると思いますが、拠点病院とかセンターだけで対応できないのではないか。そういう観点からいきますと、ある程度の規模の病院にこういうコーディネーターが配置できるのが理想だと思います。
一方で、多数の病院にこういうコーディネーターを設置しようとすると、費用の問題がそこにつきまといます。患者総合支援センターの様なシステムを動かしている病院において、アレルギーに関するコーディネート事業を展開できるためのノウハウをどのように普及させるかというのが一つの重要なポイントになるのではと感じました。
先生にお聞きしたいのは、アレルギーに特化していないけれども、がんの支援センターみたいな施設を持っているような規模の病院に対して、こういう部分の情報があればアレルギーに対しても対応できますというノウハウの伝授については、何かお考えがありますでしょうか。
○矢上委員 私の考えとしましては、愛知県であれば、愛知県アレルギー疾患医療連絡協議会や愛知県アレルギー疾患医療拠点病院連携会議とかでお話をして、どうしたら皆さんに伝わるかという御意見をいただきながら、また愛知県の産業保健支援センターともつながりながら、コーディネーターの必要性や、患者さんをどのようにみんなで見ていくかというところを行政も交え広くしっかりと考えていく必要がある。その1段目が今やっとできたと思います。あともう1個思うのは、企業ともつながっておく必要性であり、それがないと私たちがどんなに言っても企業に言葉が届かないのです。ですから、両立支援コーディネーターの有効性・有用性を私たちは幅広く伝えていく必要があり、その理解無く、企業はもちろんのこと、さらには愛知県の行政にも、声が届かないということを感じております。
ですので、まずは啓発活動をちゃんと行い、また両立支援コーディネーターという資格があることも伝えていきながら、いろいろな企業、拠点病院とか市民病院に1人は両立支援コーディネーターがいるようにしたい。これからだと思います。ありがとうございます。
○大嶋委員 よろしくお願いします。
○海老澤会長 中西委員、お願いします。
○中西委員 たまひよの中西です。両立支援センターは患者さんがチームで支えてもらえるという点で、1人で頑張らなくていいというのがすばらしい取組だと思いました。最近リウマチを20代で発症した小さなお子さんを育てているお母さんとお話ししたことがあったのですけれども、世間の無理解がつらいというのをすごくおっしゃっていて、これはきっとアレルギーの人も一緒なのではないかなと、そのときに思いました。
現在、疾患のある人とか、関係者への広報とか、最新情報の提供とかは結構充実してきていると思うのですが、疾患と全く関係ない人々に対してもどんどん情報を発信して理解してもらえるようにしておかないと、生きやすさという点でこういう疾患を抱えている人たちが辛い思いをしてしまうのかなと強く思いました。次年度に見直し等々があると思いますので、もっと広い広報みたいなところも検討していただけるといいと思いました。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 それでは、荒木田委員、お願いします。
○荒木田委員 とてもすばらしい御発表を聞かせていただいて、いろいろと学ぶところが多かったです。特に中小企業の理解が両立支援に必要であるとか、患者さんや御家族を孤立させないことが重要だということで、愛知県の産業保健総合支援センターと連携を取っておられるところとか、すばらしいと思いました。
産業保健の立場で言うと、アレルギー疾患というのはもともとプレゼンティーズムや労働生産性の低下やアブセンティーズムの増加というところですごく重要な問題だったのですけれども、なかなか語られてこなかったところがあります。
地域・職域連携推進事業というのが全国で進んでいて、今、二次医療圏に地域・職域連携推進協議会というのができております。こちらのほうは主に健康づくりだとか、プレゼンティーズムなどを取り上げているところもあることはあるのですけれども、なかなかアレルギーというところが入ってきてなかったと思うのです。ただ、アレルギー疾患は本当に有症率の高い疾患ですので、産業保健の方々にとっても大きな問題だと思います。この地域・職域連携推進協議会も活用していただいて、このアレルギー疾患だとか、それから、1人にさせないとか、中小企業へのアプローチというところも検討していただくといいのではないかと思いました。本当にすばらしいお取組の御発表をありがとうございました。
○矢上委員 ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、岡本委員、お願いします。
○岡本委員 岡本です。すばらしい取組だと思います。また、ニーズが高いこともよく理解しました。
一方で、私の勤務している労災病院では勤労者医療というのを一つの大きな目標にしており、特に治療・就労両立支援では、これまでがんの患者さんを対象に取組を行ってきました。
ただ、実施には非常に高いハードルが幾つもあって、一つは、アレルギーもそうだと思いますが、患者さんの掘り起こしをどうやって進めていくか、あとは病院と企業と患者さんの橋渡しをどのようにやっていくのか、そこにはどうしてもMSWのような人たちが専属的に配置されないと、取組が進まないというのが現実だと思います。
がんについてはこの両立支援は、保険収載になっているのですが、それでも決してそれほど順調に進んでいるわけでは無いと思います。アレルギーに至っては保険収載にさえなっていませんので、このままの状況では一般の市中病院、ゆとりのない病院では実施していくのは簡単ではないと、お話を聞いていて思いました。
ただ、非常に重要なことだとは思うので、ぜひ将来、保険収載に入る、あるいは今のがんについても非常にハードルが高くて、相談だけでは駄目です。さらにその次のステップへの取組をしない限りは医療機関の収入につながらないし、収入につながらなければMSWの雇用なども困難な状況です。その辺はもう少し国の取組を進めて、あるいは支援をお願いしていくことがどうしても不可欠だと思いました。
以上です。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございました。
続きまして、田辺委員、お願いします。
○田辺委員 山口県で患者会の代表しております。地方では専門医も少なく、正しい治療にたどり着いていない人もまだ多い状態にあります。その中で、将来の進路や就職をする上での選択に小学校とか中学校のうちからどうしようかなと悩んでいる方も多いです。県でも相談窓口などをつくっていたりはするのですが、そういう方になかなか情報が届いていない状況があるように思います。大きくなると通院する機会も減り、病院などで情報を目にする機会も減ってくると思います。
こういった取組が今後全国に広まっていけばいいと思うのですが、周知の仕方というか、今、企業とも取り組んでいるとお伺いしましたが、そういった企業とか、小学校、中学校、高校のような学校などにも周知してもらって、必要な人にこういう相談ができるという周知をしていけるようになるといいなと思っています。また、今取り組まれている中で、こうしたらよかったというのがあれば、発信していただけたらいいなと思っております。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 ありがとうございます。
大森委員、お願いします。
○大森委員 LFA食物アレルギーと共に生きる会の代表をしています大森と申します。
田辺さんとかぶってしまう部分があるのですけれども、今、会員が全国で200弱おりまして、82団体ぐらいの全国のアレルギーの患者サークルの代表らと情報共有する機会を持っています。今回、先生方がお話をされたような支援コーディネーターのような存在というのはまさにすごく必要で、私たちのような保護者の立場でたくさんのそういった相談が来るのですけれども、それをつなぐ先が現時点ではないというのが、患者会を運営している中でも今すごく困っているところでもあります。
あと、移行期、うちは最近18歳以上、大学で地方から出てきて病院を探して見つからないという問題が大変急増しています。皆さんが相談してきているのがSNS、特に食物アレルギーに関してはInstagramというツールを使っている方、DMなどが来る方が非常に多くて、その後に順番としてはX、Facebookは若い世代にはあまり届いてなくて、ホームページはほぼ見ていないみたいに言ってくる方が多いです。
今、アレルギーポータルを講演会などでお伝えしているのですけれども、今、ポータルサイトを見ていたのですが、XとFacebookのロゴマークをクリックしても飛ばないので作成中かなとは思うのですが、今日のような新しい取組とか、中食の話とか、アレルギーポータルまで行かないと取りに行けない情報なのです。患者側だと、どこかに登録しておいて情報が定期的にもらえるようなものが希望なのです。また、Instagramの開設なども含めて、いつ頃に計画しているとかがありましたら教えていただきたいです。
○海老澤会長 ポータルのほうは、日本アレルギー学会と厚生労働省で共同で運用しているのですけれども、現在、広報の在り方について検討を進めていまして、来年の4月をめどに、もっとフレンドリーで分かりやすく、あと、最新情報をうまく提供できるようなシステムを構築していこうと今動いているところです。
厚労省のほうから何か追加はありますか。
○佐藤専門官 事務局でございます。御意見をありがとうございます。
御指摘のとおり、アレルギーポータルを使った情報提供を今、厚生労働省の事業のほうで進めさせていただいております。今、海老澤会長からも御発言のあったとおり、現在、アレルギーポータルの大幅なリニューアルに向けて進めさせていただいているところでございますので、今しばらくお待ちいただけたらと思います。
○大森委員 ぜひInstagramの開設もお願いできたら大変光栄です。よろしくお願いします。
○海老澤会長 分かりました。
あと、成人に到達した食物アレルギーの患者さんの全国の受け皿がないという問題については、つい最近、アレルギーポータルのほうにもリンクを貼りましたけれども、日本アレルギー学会の専門医で、いろいろなレベルがあるのですけれども、ドクターで小児期から上がった方、あるいは成人期発症の方を診療できますという情報も公開しましたので、医療機関情報というところを一度見ていただければと思います。
○大森委員 7月末に公表したところ、すごい反響で、待っていましたというお声がたくさん、食物アレルギー研究会のホームページを皆さん見られておりました。
○海老澤会長 ありがとうございます。
そうしましたら、上田委員、お願いします。
○上田委員 アレルギーの治療と仕事の両立支援ということで、すばらしい取組があることを知ることができました。
今回、私は環境保健の立場からなのですけれども、10ページの両立支援の事例の報告を見ますと、アレルギーにもいろいろあって、しかもこの中にいろいろ職域、あるいは室内環境の要因が関わっているのが非常に多いことを実感を持って拝見させていただきました。今回は両立支援という取組なのですが、その中で、恐らく職域のいろいろな原因物質に関する情報も関わってくるかと思うのですけれども、そういったものが職域の今後の予防に役立てられるような情報の整理とか、恐らくされているのではないかと思うのですけれども、どういった形で反映されているか、もし、そういった取組があれば教えていただければと思います。
○矢上委員 ありがとうございます。
今回は両立支援なのですけれども、私は接触皮膚炎の専門家でもあります。そちらのほうでは、職業性、このようなアレルギーが起こりやすいとか、ヘアカラーであったり、化学物質だったり、接着物質とか、塗料とか、いろいろなものでかぶれたりが起こります。あと、食物も関わってきます。多分、接触皮膚炎とか皮膚障害事例とか、そういうところとも融合しながら情報を出していかないと、全国の方々に届けられるような情報がなかなか出ないのかなと思いました。両立支援でもそれらの部分と連携しながら、学生さん、もしくはその職業に就きたい者、もしくはその職業で今困っている方々に対する資料とかをつくっていければと思いました。
○上田委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 それでは、いろいろ意見をいただいているのですけれども、次で最後にしたいと思います。木原委員、お願いします。
○木原委員 いろいろとお話を聞かせていただきありがとうございました。
私は学校のほうで養護教諭をしております。今までのお話の中にも省庁との連携ということもあったと思うのですけれども、学校は文科省の管轄にあるということで、厚生労働省のそういった指針の下に、文科省からは学校におけるアレルギーのガイドラインというものが出ています。それに基づいて、アレルギー疾患を持っている子供たちは管理指導表というものを医師に書いていただいて、それに基づいて学校生活を送っております。
特に小さい子供たちは、こういった管理指導表に守られているというか、見ていただくことで対応もしやすいような状況になっていますし、対応もしてあげられるということで、今日からうちの学校も給食が始まるに当たって、アレルギーの子たちの対応も始まっていきます。先ほどアトピーの子が汗でかゆいと言ってきた子もいたのですけれども、そういう子供たちは管理指導表を出していただいていたりするので管理もしやすい、家庭のほうも管理してくださる、学校もそれに基づいてやれるということでいいのです。
先ほどの委員の方からお話があったように、年齢が上がっていく移行期といったところで、だんだんガイドライン的なもの、管理指導表とか、そういったものがなくなっていくような、自己管理になっていくような年齢になったときにすごく難しいのだなというのを先ほどの矢上先生のお話の中からも伺えました。
今の小さい子たちもやがて大きくなるときに、こういった情報が私たちの中にも入っていることで、育っていく中でも情報を伝えていってあげたり、家庭にも紹介してあげたりということができるのだなというのを改めてお話の中で感じました。
私もポータルサイトのこともお話を聞こうと思ったのですが、先ほどの質問の中でもあってお答えをいただいたということで、これからアレルギーを持つお子さん・家庭については、ポータルサイトのほうも紹介していきたいと思っていますので、ぜひ充実していただけるとありがたいと思います。特に質問というわけではないのですが、ありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございました。
移行期医療の問題についても、今、日本アレルギー学会、あるいは日本小児アレルギー学会のほうでも、ガイドラインのほうでも改定作業等を進めていまして、それに対してしっかり取り組んでいかなければいけないということで今進めております。なかなか難しい問題を含んでいますけれども、学会としてはそういう対応をしていくということです。
最後に、議事4「その他」について何か委員から意見はございますでしょうか。今まで非常に活発にいろいろな意見をいただいているので、追加で何かございましたら挙手いただいてお話しいただきたいと思います。
矢上委員、お願いします。
○矢上委員 藤田医科大学の矢上でございます。話題が全く変わるのですが、先ほど申し上げましたけれども、接触皮膚炎への専門医として発言させていただきます。
接触皮膚炎というのは家庭用品や化粧品、金属、医薬品などを原因として小児から成人まで発症し得る疾患でございます。過去にはラテックス手袋や医薬品、化粧品による大規模な障害が社会的問題になりまして、患者のみならず産業界や行政にも大きな影響を及ぼしました。厚労科研の調査では、国民の約28.5%が金属によるアレルギーを経験することが明らかになっております。
接触皮膚炎は原因を断つことで根治が可能ですけれども、現行の保険収載薬では、多くの症例は原因成分を特定できておりません。現在は学会を中心とした限定的な研究に依存しており、持続性や全国展開には限界があります。したがって、原因究明、また、皮膚障害事例の最小化には産官学の連携、また、各省庁の連携と国の仕組みづくりが不可欠と考えております。接触皮膚炎への対応を国のアレルギー疾患の対策に明確に位置づけ、そして、国がリーダーシップを発揮されるようなことを希望しており、推進協議会におきまして、この重要性ということを少し発言させていただきました。
以上ですありがとうございました。
○海老澤会長 ありがとうございます。
今のところアレルギー疾患対策基本法で定められている6疾患のところから外れてしまっている接触皮膚炎に関するお話だったのですけれども、事務局のほうからございますか。
○佐藤専門官 矢上先生、ありがとうございました。
御指摘のとおり、近年のアレルギー疾患の疾病構造の変化なども鑑みながらアレルギー疾患対策、医療提供体制についても、このような疾患についても実態を把握しながら協議会を通じて、必要に応じてまた議論を進めていきたいと考えております。関係省庁に関しても今後、情報共有なども一緒に進めていきたいと考えております。
○矢上委員 ありがとうございます。
○海老澤会長 そのほかにございますでしょうか。
それでは、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。
委員の皆様方におかれましては、精力的に御議論いただきましたことに感謝を申し上げます。
それでは、進行を事務局にお返しします。
○佐藤専門官 海老澤会長、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても活発な御議論をいただきましたことに感謝を申し上げます。
本日御協議いただきました内容に沿って、今後の基本指針の見直しの検討を実施してまいりたいと思っております。引き続き国のアレルギー疾患対策への御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
以上で本日の協議会を終了いたします。
委員の皆様、長時間にわたり誠にありがとうございました。