第178回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和7年8月21日(木)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

出席委員
  • 竹内座長
  • 天野構成員
  • 一家構成員
  • 伊藤構成員
  • 今井構成員
  • 上村構成員
  • 岡田構成員
  • 掛江構成員
  • 木村構成員
  • 後藤構成員
  • 坂井構成員
  • 真田構成員
  • 戸高構成員
  • 蓮沼構成員
  • 松山座長代理
  • 飛田構成員
  • 平田構成員
  • 平川構成員
  • 山本構成員
  • 黒瀨構成員
事務局
  • 医政局研究開発政策課長
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長
  • 医政局研究開発政策課 課長補佐
  • 医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
  • 保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
  • 医薬局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
  2. 総括報告書の評価について
  3. 試験実施計画書の変更について
  4. 協力医療機関の追加について
  5. 先進医療Bの取下げについて
  6. その他

議事


○竹内座長
 定刻となりました。「第178回先進医療技術審査部会」を開始いたします。今日は大変御多用の中、また大変暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日はオンラインと対面によるハイブリッドでの開催となります。初めに、本日の構成員の出欠状況について事務局よりお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐
 事務局です。本日、後藤構成員から御欠席の御連絡を頂いております。また、現在、戸高構成員がまだオンラインで入られておりません。現在18名の構成員にお集まりいただいていることから、定足数を満たしており、本会議が成立していることを申し添えます。なお、傍聴者の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、配布資料及び本日の審査案件について確認いたします。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門員名簿と続きます。続いて、「継続審議の評価を受けた技術の再評価について」は資料1、「総括報告書の評価について」は資料2から資料3、「試験実施計画書の変更について」は資料4-1から資料7、「協力医療機関の追加について」は資料8-1及び8-2、「先進医療Bの取下げについて」は資料9、会議資料の最終ページは112ページです。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
 今回、整理番号149の技術、神戸市立神戸アイセンターからの新規申請に関して、岡田構成員、真田構成員におかれましては利益相反に該当がありましたため、審議の際には一時御退席いただければと存じます。旧B4の技術、杏林大学医学部付属病院の総括報告に関して、竹内座長、伊藤構成員より御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事取りまとめ及び事前評価に加わることができます。旧B22の技術、国立循環器病研究センターからの総括報告に関して、山本構成員より御報告がありましたが、50万円以上500万円未満であったため議事の取りまとめのみ加わることができません。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。ありがとうございます。
 また、資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内いたします。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけると議事の進行上助かります。
 本日は、オンラインと対面によるハイブリッドでの開催となります。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されている構成員の皆様におかれては、御発言される前に、画面下部の「挙手ボタン」をクリックしてください。座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートするとともに、「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上です。また、先ほど戸高構成員がオンラインで入られました。
 それでは、以降の議事進行については、竹内座長にお願いいたします。
○竹内座長
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐
 説明いたします。資料1、18ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価いただく技術は、整理番号149「網膜色素上皮(RPE)不全症に対する同種iPS細胞由来RPE細胞凝集紐移植」です。申請医療機関は神戸市立神戸アイセンター病院です。審査担当構成員は、主担当が木村構成員、副担当が今井構成員、掛江構成員、山本構成員となっております。なお、本議題の審議に関して、岡田構成員、真田構成員におかれては、利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。
                        (岡田構成員、真田構成員 退席)
○医政局研究開発政策課課長補佐
 ありがとうございます。それでは、資料1-5の66ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件ついて事務局より御説明いたします。
 まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は眼科であることが必要、資格は日本眼科学会眼科専門医であることが必要、当該診療科の経験年数は15年以上が必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は実施者又は術者として不要となっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は眼科が必要、実施診療科の医師数は5名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は薬剤師、視能訓練士が必要、病床数は不要、看護配置不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査の24時間実施体制は不要、他の医療機関との連携体制は必要、医療機器の保守管理体制は不要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要、その他の要件は不要、となっております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。これらの要件につきまして、何か御意見等ございますか。よろしいでしょうか。御意見はございませんので、様式第9号につきましては、お認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価につきまして、主担当の木村構成員より御説明をお願いいたします。
○木村構成員
 木村でございます。実施体制の評価につきましては、実施責任医師の体制は「適」、実施医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性等に関しては「不適」という評価をさせていただきました。
 その理由です。先進医療Bが、将来の保険収載を目指すための臨床研究であるという立て付けがあるとしますと、本技術の有用性を、主要評価項目にあるRPE異常領域面積、すなわち網膜のiPS細胞を移植した後、異常面積が減っているかどうか、増えているかどうかということで評価するという本申請は、その臨床的有用性を示す上では、ちょっと弱いのではないかというように判断いたしました。
 また、副次評価項目にあるマイクロペリメトリーによる網膜感度についても同様と考えます。本研究の対象となる疾患が経時的に視野、視力の低下をもたらすものであるとするならば、日本の場合は恐らく症例の蓄積があって、ヒストリカルコントロールはお持ちだと思うのですが、せめて、そのヒストリカルコントロールの自然経過、あるいは現在、主に用いられている治療法による経過、多分、視力等が落ちていくという疾患ですので、落ちていくことを全部回復させなくても、落ちていくスピードが、この治療によって遅くなるというようなことが示されたら、これは十分な効果があるというように判断いたしますし、ただ、それが同じであるならば効果がないということになってしまいます。
 ただ、そのヒストリカルコントロールをRPE異常領域面積、マイクロペリメトリーによる網膜感度と共に、視野、視力等、御本人のQOLに関係するようなものの変化と比較するようなデザインがないと、この技術の有用性を示すことが難しいというように考えました。
 研究者は、この点もやり取りがあり、様々な質疑をさせていただきましたが、視野、視力検査は本人の自覚症状であるために信頼性は乏しいという見解を述べておられますが、やはり患者にとって何が有用であるかという観点から見ますと、ばらつきとか主観をなるべく可能な限り廃した上で、やはり臨床的な改善が自覚されるもの、あるいはせめてヒストリカルコントロールで、この疾患の自然経過に比べて、あるいは従来の治療法に比べて、その年次的な低下の度合いが軽度であるというような、そのようなことが必要であるというように考えました。
 昔は、恐らく降圧剤とかが認可された当初は、血圧を下げるという薬理作用で認可されていたと思いますが、今の時代、例えば降圧剤を使って、ではその後、血圧を下げたら何が起こるのだということを示さないと、恐らく社会において降圧剤の有用性というものが、なかなか認知されないと、承知されないというような時代になっていると思います。そのようになりますと、現在の社会的要求にマッチした有用性の示し方というのが今後の保険収載のためのロードマップには必要であるのではないかというように考えました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。後ほど、今日は対面参加の先生方が多くご出席でございますので、一言ずつコメントを頂きます。その前に、副担当の今井構成員より実施体制の評価につきまして御評価をお願いしたいと思います。今井構成員、よろしくお願いいたします。
○今井構成員
 今井浩二郎です。実施責任医師等の体制及び実施医療機関の体制については「適」ですが、医療技術の有用性については「不適」のままとさせていただいております。こちらの本疾患ですが、有効な治療法が確立していないという中で、RPE細胞を供給して移植部位の網膜機能の維持・改善を目指していくということであり、そのこと自体は、試みる価値は十分あるところかと理解しております。
 前回審議後の照会事項については丁寧に御回答いただいております。特に、公開資料44ページ、回答6・7の照会事項2-1に対しての回答を頂いております。ですので、本研究は先進医療として実施しますけれども、その後の治験に向けた動きというのは、先進医療を実施した後に行っていくところとなされたという点の御回答を頂いております。
 もう一点ですが、対象疾患の選定です。疾患概念として、このRPE不全症ということで、ひとくくりにされていたのですけれども、先行研究の結果が得られていない、より軽症な疾患の症例は含めない計画とされたということです。ですので、このように、対象疾患を見直していただいていますので、改めて研究計画書等を見直していただいて、計画書の再構築をしていただけると幸いです。このため、現時点では医療技術の有用性については「不適」とさせていただいております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの御評価につきましてお願いいたします。
○掛江構成員
 掛江でございます。よろしくお願いいたします。今回、これまで指摘させていただいた事項について、再検討いただき、適宜修正していただいていることは確認できました。しかしながら、今、今井構成員からも御説明がございましたとおり、当該臨床研究の対象疾患について、いまだ議論が重ねられている状況ですので、研究計画に変更が必要となる可能性があることから、現時点で説明文書の内容について「適」と評価することは難しいと判断いたしましたので、今回は、同意に係る手続、同意文書の所は「不適」とさせていただいております。
 補償の内容に関しましては、前回同様「適」としております。コメントになりますけれども、下の欄に少しだけ書かせていただきましたが、評価療養として保険導入のための評価を行う段階の治療であるということで先進医療に申請されているものと理解しておりますが、説明文書の中に、「明らかな治療効果を期待するものではありません」とか、「期待される効果が発揮されない場合は、視機能の回復や維持が困難となり、悪化する可能性があります」という説明が、かなり誠実に書いていただいているというように評価はしているのですが、そういった説明と評価療養との間に若干、乖離を感じてしまっている状況です。当該技術は、先進医療として現段階でも実施する段階にあるのかどうかというところについて若干、もう少し御説明を頂きたいなと感じているところです。
 そのほかは、前回修正いただいたことについての補足なのですが、修正いただいた説明文書において、「立会人」という言葉が突然出てきたことについて質問させていただいて、「立会人」の御説明が付いたのですが、*が本文のほうにはなかったので、そこは紐づけをしていただきたいということです。あとは、修正された説明文書において、立会人は文書を読むことができない場合にのみ付けられるような記載になっているのですけれども、そういう理解でいいのか、それとも患者が文書を読める場合でも、信頼をおける方の立会いを希望した場合には立会人を置いて、かつその方に署名をしていただいても問題ないという意味なのか、ちょっとその辺りが説明文書の説明では判読することができませんでしたので、その立会人の位置付けの整理を前回もお願いしたのですが、もう少し詳細な整理をお願いした上で、説明文書に分かりやすく記載をしていただきたいというように考えた次第です。
 あとは、すみません、これはもう、ただのコメントになってしまいますが、今回、患者さんの費用負担が非常に高額となっているというところが当初から気になっているのですけれども、この患者負担額が妥当であるかどうか、どう評価できるのかということも併せて、議論の中で非常に考えさせられた申請だったのですが、いずれにしましても検討するための資料をなかなか御提示いただくのが難しいという御説明を頂いている中で、かつ先ほど申し上げたように、明らかな治療効果を期待するものではないという説明を踏まえた場合に、患者におけるベネフィットとリスク、それから不利益のバランスが取れているのかどうかというところについて、今の手持ちの情報だけで判断することが非常に困難なのではないのかなというのが若干、倫理の立場からは気になった点となります。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして副担当の山本構成員より、試験実施計画書等の評価につきまして、御評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本構成員
 副担当をやらせていただきました山本でございます。私の「適」「不適」の評価は、今、お示ししていただいているとおりなのですけれども、前回の審議後も、いろいろな照会事項に対応いただきまして、修正等も重ねていただき、対象疾患等も見直された上で、ちょっと疑念があった部分は幾つかクリアになったなというように考えるところです。
 ただ、一方で先進医療として実施するに当たっては、本試験における対象疾患の患者は、その先行研究と少し変わってきたというところもありまして、得るべき知見や目的というのを最後に明確にされた上で、主要評価項目の臨床的妥当性について検討が余りされていないという点で、その目的に鑑みた再検討が必要というように考えられましたので、これらに関連する箇所は「不適」とさせていただき、また、その患者負担額の適切性についても判断に足る資料がありませんでしたので、現時点では、そちらの項目に関しても「不適」というように判断せざるを得ないというような状況でした。
 これらの点を再検討された上で、やはり望まれている患者さんがいらっしゃるというのは間違いないと思いますので、これまでに指摘された点も含めて検討した上で、先進医療として実施されたいということを、最後にコメントとさせていただきます。以上となります。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございました。木村構成員主担当から、医療技術の有用性で「不適」、そして副担当の今井構成員からも、やはり医療技術の有用性等で「不適」、そして、倫理的観点で同意に関わる手続、同意文書で「不適」の御判断を頂き、最終的に試験実施計画書等の評価につきまして、山本構成員から、幾つかの項目で改善はされたものの、まだ「不適」の項目があるというような御意見と伺いました。せっかくの機会ですので、対面参加している先生方に一言いただいた後、また皆様方からコメントを頂きたいというように思います。
 それでは、今日、出席していらっしゃる、右回りで大変申し訳ございませんが、天野構成員から、一言コメントをお願いいたしたいと思います。
○天野構成員
 御指名ありがとうございます。私からは2点、コメントを申し上げたいと思います。まず、1点目が、先ほど患者負担について、それを判断するだけの資料が、提出が難しいというような説明があったと聞いたかと思うのですけれども、それが難しいというのは、何か知財の関係等で、それを示していただくのは難しいのか、どういった理由でお示しいただくのが難しいというような答えだったのかというのが、分かれば教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、恐らく有用性が非常に期待されている、こういった医療技術が、前回に続き、再び「不適」となったことは大変残念に思うわけですけれども、一方で、今回の研究自体は、臨床研究中核病院の特定認定再生医療等委員会では、一応OKというか、実施することはOKと出ているということなのですけれども、確認したいのは、そもそも臨床試験として実施するということは一般的に許容されるような状態になっているのか、あるいは先進医療で行うことがなじまないのか、どういった判断になっているのか、もし分かれば教えていただきたいと思った次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。1点目の患者負担額、これが分からないという、その理由について、事務局のほうでお答えできますか。
○医政局研究開発政策課課長補佐
 ありがとうございます。こちらのほうなのですけれども、申請者様に確認、照会のほうをさせていただいている中で、先ほど構成員からの発言にもございましたとおり、ちょっと知財に関わるところということで、なかなか内訳を出す等のことは難しいというようなコメントを頂いているところです。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは2点目、この計画そのものが先進医療なのか、臨床試験ならばいいのかという観点で、何か事務局のほうで把握されていらっしゃいますか。
○医政局研究開発政策課再生医療等研究推進室長
 再生医療等研究推進室長の杉原でございます。再生医療等評価部会では、再生医療等安全性確保法に基づきまして、再生医療等提供基準という基準に照らして、その適合性があるかどうかということを判断しております。そちらに関しましては、本件については、認定再生医療等委員会での議論、そして厚生科学審議会での議論を踏まえまして、適合性があるというように判断されております。いわゆる先進医療として、評価療養として実施するというものとは、評価する観点が異なりますので、一般的な臨床研究であっても認められることは、もちろんあり得るものですので、そういった観点で、もちろん異なることというのはあり得るというように考えております。
○竹内座長
 ありがとうございます。天野構成員、よろしいでしょうか。
○天野構成員
 はい。
○竹内座長
 ありがとうございました。2点、クリアにしていただきました。一家構成員、コメントをよろしくお願いいたします。
○一家構成員
 既に、ほかの構成員の先生方がおっしゃったことと重なることしか申し上げられませんが、私も天野構成員がおっしゃったように、事前評価していただいた先生方の評価を拝見すると、臨床研究としても少し気になるところはあると思いました。再生医療等研究推進室長が説明された各審査会議の役割分担は理解しても、それが正直なところでございます。
 あとは、この審査を通じて、先進医療についても改めて考えさせていただいたところがありました。勉強させていただいたと言うと申請者には失礼かもしれないのですが、この審査を踏まえて、制度のことを改めて考えていきたいと思った次第です。
○竹内座長
 ありがとうございました。掛江構成員からは御評価いただきましたので、黒瀨構成員、コメントをお願いいたします。
○黒瀨構成員
 ありがとうございます。この資料を拝見させていただきまして、主担当、副担当の先生方の評価に特に異存はございません。その中でも特に、患者さんにとっては有用性がなかなか示されないというこのデザインそのものが、やはり先進医療Bとして実施することに対しては非常に難しいだろうなという率直な感想です。
 ただ、この技術そのものがさらに進歩をして、網膜変性という非常に難しい病気に苦しんでいる患者さん方の少しでもお役に立てるように、また今後、向上されることを期待しております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。松山構成員、いかがでしょうか。
○松山座長代理
 ありがとうございます。まず、天野構成員がおっしゃった費用の負担のところですが、知財が掛かっているから出せないというのは、私は若干ちょっと違うのではないかと。そこまで知財が掛かっていない部分で、簡単にフローチャートのところだけ示していただければ、その適切性というのは粗々分かります、再生医療をやっている仲間にとっては。
 そう考えたときに、知財があるから出せないというのは、もうそれは、さすがにちょっと、この技術審査部会で認めるということは今後も難しいのではないのかというように考えております。同じような案件が挙がってきたとしても、やはりきっちりと積み上げに正当性が認められるというのは、患者に負担していただくわけですから、経済的負担というのも精神的な負担と同じように負荷であることに間違いありませんので、その正当性を証明されなければ、この会議でお認めするのはなかなか難しいのではないかという形で、今回はコメント、まず私個人のコメントですけれども申し上げさせていただきます。
 次に、今回ロードマップが結構変わりまして、疾患対象が変ったということになっていますが、実質的には余り変わっていない。治験の内容は先進医療の結果を踏まえて設計すると書いてあるのですが、実はこの部分が、できればもうちょっと細かく書いてほしかったなというところがあります。というのは、例えば15例とか30例やった後に、サブスタディー的に初めからデザインして、RPE不全症という疾患群がもしあるのであれば、その中でも特定のサプレッション、例えばスターガルト病とか、あるいは特定のRPE65ミューテーションとか、みんな効きます、効果がありそうですよ、患者さんの適応は上がりますよという形であれば、その部分は治験に進んでくるという形はあるのかもしれない。ただ、その場合、本来であれば、その部分が治験、先進医療に進むべきであって、効かない患者さんを落とすための研究というか、検証型研究ではない。どちらかというと探索に近いところがあって、効果がない患者さんを落とすための試験を、もし組まれているのであれば、そのためにこのような費用を患者さんにお求めするというのは、なかなか正義ではないのではないかというように考えました。
 ですから、できましたらゴールを目指して、ゴールを決めるのではなくて、ゴールがあって患者さんにお届けするということであれば、この疾患は本当に効くはずだ、このサプリは効くということを、モード・オブ・アクションをしっかり提示して、我々にお示ししていただいて、対象をより絞った上で、治験のゴールを設定して、かつ効果がありそうだということを検証型試験として、もうちょっと疾患を絞って先進医療を組み立てていただければ有り難いなというように考えているところです。以上です。ありがとうございます。
○竹内座長
 大変貴重なコメントでございました。後ほど皆様方から、もう一回御意見を伺いますが、その前に平田構成員からコメントを一言お願いいたします。
○平田構成員
 平田でございます。私は臨床的な立場からお話させていただきますけれども、やはりほかの委員からもございましたように、この主要評価項目を含めて、この試験のデザインでは、なかなか臨床的な有用性を図ることがちょっと難しいのではないかなということです。その辺は、ほかの委員と同じように、やはり再検討いただく必要があるかなというように思っております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。坂井構成員、いかがでしょうか。
○坂井構成員
 もう今、先生方から言われておりましたけれども、私も、この対象疾患が不全症という、網膜色素上皮不全症という概念的なものになるかと思うのですけれど、これが非常に不明瞭と言いますか、このiPS細胞が、その疾患群のどこにどういうように効くのかが不明瞭だなと、いつも感じて見ておりました。評価系も難しいところであることは承知しているのですけれども、面積だけではない何か、直接視力・視野に関連のある、そういった評価系をもう少し何か考えていただいたほうがいいという、先ほどの御意見もありましたけれども、私も同意いたします。難しい疾患だし、難しい治療だとは思うのですけれども、再考していただいて、またチャレンジしていただければと思うところです。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございました。ただいまの、今日御出席の構成員からのコメントを踏まえまして、皆様方から追加のコメント、御意見等はございますか。主に患者さんの負担額の面、もう1つは、臨床的有用性、特に効果についての評価をどうしたらいいのか、適切な評価というのが少しどうかということと、そして最後にRPE不全症というのは、かなり幅広いものであって、これが適応疾患として果たして適切なのか、もうちょっと対象を絞って、本当に治療法がなくて困っている患者さんに届けるのであれば、この適応症をもうちょっと絞って、先進的な治療法の恩恵を受ける患者さんにフォーカスしたほうが、より再生医療による光が当たるのではないかというコメントだと理解いたしました。
 それを踏まえて、残念ながら今回は皆様方の御意見は、主担当、副担当の評価のとおり、「不適」で、やむを得ないのではないかというコメントだったと理解いたしました。何か追加のコメント等ございますか。よろしいでしょうか。今井構成員から手が挙がっております。よろしくお願いいたします。
○今井構成員
 ありがとうございます。今回の主担当、副担当の先生方の評価を改めて見直していたのですけれども、木村先生の前半部分のコメントについて、自然経過を知りたいという御指摘がございました。その点、確かに症例としての自然経過は把握すべきところというのは理解しております。ただ、もし、そうしたトータルな自然経過、網羅的な、このマイクロペリメトリーなども含めた自然経過というのが、まだないと、研究者にもないということであれば、やはりそれは治療が難しいという成書での記載などをもって、そうした自然経過については、代替することは可能かどうかということを知りたい点がございます。もう回復不能というのが成書で明らかになっていると、なかなかさらに突っ込んだ経過はやりにくいところはあるのかなと。
 もう1つ、タブレット資料の13ページに評価内容が書かれているのですが、そうしたときに、これは研究対象者間試験ではなくて、研究対象者内試験を目指しているのかなと理解しております。なので細胞を注入した所だけの、良くなった、悪くなっただけではなくて、細胞を注入していない部分で異常コントロール部位というところを設定して、その異常コントロール部位がその疾患がそのまま進んでいった状態とみなせるとするならば、異常コントロール部位と細胞を注入した部分の比較をするという、一応、試験デザインになっているかと思いますので、そういったことで、いわゆる研究対象者間試験とすることに、どこまでこだわるのかというところもあるかと思いました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。松山構成員から手が挙がっております、どうぞ。
○松山座長代理
 ありがとうございます。非常にするどい御指摘というか、感銘を受けました。まず、患者内の比較ということですけれども、患者内の比較でサイエンスベースで、このiPS由来のRPEのような細胞が機能することが分かるということと、患者にとってQOLが改善するようなエンドポイントが獲得できるかというところは、実は別問題だと私は考えています。この部分、どこまで先進医療で拾っていくかはかなり議論があると思いますが、やはり将来の保険収載を目指すのであれば、サイエンスベースで差が取れましたではなく、例えば、ランドルト環で0.01レベルのプラスマイナスを見ることが本当にQOLの回復を行うのか、RPEに関しては、ES細胞のRPE細胞の移植というのが世界で最初の、確かランセットだったと思うのですけれど、有効性が出たというランドルト環で0.01レベルでプラスマイナスでしたという話しかなくて、当時、これで本当に患者のQOLを回復できるような再生医療ができるのだろうかという議論があったのです。実は、その段階から全く進んでないところがあって、だからサイエンスベースでOKということと、それは先進医療ではなくて、再生医療法下のプライマリーな研究でやっていただく話で、できれば、それをベースにして患者のQOLのところをフォーカスした研究にしていただければ有り難いと。
 だから、今回は先行症例があるわけですから、この症例で実際に患者内でしっかりと差が取れましたという患者では、QOL的にはどうだったということをしっかりと解析して、どうもそういう十分な解析が行われずに申請が行われているので、やはり1例1例を大切にして、実際この細胞というものが、どんなQOLを、自分たちが求めているQOLではないものが回復しているかもしれなくて、それを我々も見落としているかもしれませんので。そのようなサブ解析をしっかりやっていただいたほうがいいのだろうと考えたところです。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございます。患者内の経時的な変化で、そこで何らかの統計学的な差を出すのでいいのではないかという御意見がある一方で、クリニカルサイエンスの現場では、その個人の変化というのは、正に木村構成員が御指摘されたように、同じような対象疾患で、同じような経過の自然経過があって初めて、その差というのが優位だと。何らかの治療効果であると判断するのが一般的なので、今井構成員の御指摘というのは、現在のクリニカルサイエンスから言うと、それでも不足だと。その評価法の問題点も指摘されて、今日のこの結論に至ったと理解しております。
 今井構成員、その点でこれまでの議論を踏まえて、今井先生としては、議論の余地と言いますか、そういうことが残っているとお考えでしょうか。
○今井構成員
 御議論いただきありがとうございます。単なる臨床試験ではなく、先進医療としてするといったときに、やはり何かしらベネフィットがある、そういった結果が求められるであろうというところは大変理解しております。なので、確かにこの患者内でその差異がどうかというよりかは、やはりこの全体的な経過と比べて改善があるのか、それとも維持できるのか、そういったところは確かに明らかにしていただきたいところではあると思います。なので、2つの評価系統があると思いますけれども、そういう意味でQOL等も含めた改善が何かしら得られないかという観点での更なる議論は必要かと理解いたしました。ありがとうございます。
○竹内座長
 ありがとうございます。ポイントが非常に深まったと思います。松山構成員、どうぞ。
○松山座長代理
 すみません、追加で、1点目がヒストリカルコントロールの話ですけれども、非常に重要な話で、成書に恐らくリカバリーしないと書かれていて、これも私も眼科学の教科書をもう一回引きずり出してきて、確認して、そうだなと思いました。ただ、成書の内容というのは時によって変わっていくものであって、例えば脊髄損傷に関しても、昔は、脊損はリハビリは効きませんということだったのですけれども、再生医療でリハビリをコンビネーションすることによって、何と、リハビリが効くんだという形になって、実はリハビリのほうがメインに効くのではないかという議論までもあるぐらいです。ですから、今後は成書に書かれていることが変わる可能性もあるということを考えることは、必要かなと。そこは恐らく眼科の先生方がこれからやってくださることだろうと思います。
 先進医療に関して、今までは、どうしても再生医療の場合はシングルアームしかできないというところがあって、どうされていたかというと、ドーズエスカレーションをスタディーにするか、あるいはどうしてもシングルでドーズが1つしかない場合は、その病院の過去のレトロスペクティヴのデータを解析して、それをヒストリカルコントロールとすることが圧倒的に多かった。順天堂大学とか、京都府立医科大学が、そのような解析をしておられたと思いますので、そういうヒストリカルデータを用いられればいいのかなと思います。
 加えまして、今回、RPE不全症の中に加齢黄斑変性症のみならず、いわゆる遺伝性疾患とか、難病指定されているものが入っていることを考えると、難病に関しましては、難病個票の中で患者のエンドポイントはヒストリカルで追えるようになって、個人ベースで紐付けされているので、そういうものを活用することによってヒストリカルコントロール、メジャーな加齢黄斑変性症ではないですけれども、遺伝性疾患とか難治性疾患にアサインされているものに関しては、ヒストリカルコントロールになるようなデータがアーカイブできるのではないかと考えますので、ここでコメントを残すことによって、今後同じような研究をされる人にとっては、1つの考え方を提示できるかと思いましたのでコメントさせていただきました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。大変深く御議論いただきました。追加のコメント、また御意見等はございますか。よろしいですか。それでは、十分御議論を尽くしていただいたと思います。
 戻りまして、木村先生の総括を、ここで頂いてもよろしいでしょうか。
○木村構成員
 「1~16の総評」という形で「不適」という結論に達したものです。今までの御議論、あるいは先に意見を求めました各委員の先生方の御意見を総合いたしますと、やはり先進医療が保険収載を前提として行われているという点で、通常の臨床研究ではないということが重視されているのだろうと考えました。
 効果判定におきましては、先ほど来、議論が出ております、症例内のコントロールは確かにございます。そのとおりですが、ただ、御本人にとって、やはり視力・視野の維持ではなく、このような検査による主要評価項目、あるいは副次評価項目になっていますが、これらが臨床的症状の向上、あるいは維持に必ずしもつながらない点を患者説明文章で「明らかな治療効果を期待するものではありません」あるいは「期待される効果が発揮されない場合は、視機能の回復や維持が困難となり、悪化する可能性があります」などと、非常に誠実に説明していただいております。しかし、では、この治療をしなかったら、この治療を受けなければ何が起こるのかという対象疾患の自然経過、先ほどから議論になっていますが、ヒストリカルコントロールと、本先進医療を受けた場合の何らかの臨床症状で有意性を示す可能性があるプロトコールがやはり必要ではないかと考えました。
 また、対象疾患が様々な議論、ここで回答が長く、非常にたくさんの質問と回答が寄せられています。この議論の中で、いくらか絞られてきたという点に関しては評価したいと思います。それが故に、リクルートされる疾患の自然史あるいは既存治療における経過の評価というものが行いやすくなったとも考えられます。これらの点を考慮しまして主要評価項目の臨床的妥当性、あるいはサロゲート性などについて、その目的に鑑みた再検討を是非お願いしたいと思います。
 また、先駆的研究をこれまで安全性に留意しつつ展開してきた当該グループの努力と実力は十分評価いたします。ただ、保険診療への導入を目指すための先進医療としては、対象疾患の変更があったことから、再生医療に関する然るべき審議体、具体的には「再生医療等評価部会」という所があるそうですが、そういう所で、再度の審査を受けた後に、そちらでは科学性の評価だと思いますので、それに加えて、上記の点に留意された研究計画を再度提出していただくことを期待しております。
 その他としまして、評価に直接反映されたものではございませんが、やはり今回の申請に関しまして非常に高額でありました患者負担額の適切性に対しての質疑応答がありましたが、その返答に関して判断に足る資料が十分ではありませんでした。この患者負担額が妥当であるか否かということの検討を行うための資料が十分に示されていないという状況におきまして、患者さんに対して明らかな治療効果を期待するものではないというような現状で、何がいいことがあるのかということが明らかになっていない現状での説明という形になりますと、患者の受けるベネフィットと患者負担、費用負担を含むリスク・不利益のバランスがうまく取れていないのではないかということも感じましたので、このような点についても十分な説明が必要と考えます。以上です。よろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。配布資料の23ページ、「1~16の総評」につきまして、木村主担当から「不適」ということの御説明を頂きました。多くの改善がなされた一方で、まだ「適」とするには不十分なポイントを今、幾つか御説明いただいたところです。多くの進歩がございましたが、一方で、大変な時間を要して御評価を頂いて、これを研究計画書を取りまとめた研究者にフィードバックして、更に、より良い研究計画書に結び付けていただければと思います。それでは、整理番号149につきましては「不適」ということにさせていただきまして、再生医療等委員会のほうに、もう一度審議をお願いすると。また、研究者のほうに、そのフィードバックをするということで進めていきたいと思います。よろしいでしょうか。
 御協力、どうもありがとうございました。それでは、岡田構成員、真田構成員にお戻りいただくことといたします。
                          (岡田構成員、真田構成員 入室)
○竹内座長
 お戻りいただきましたでしょうか。
 それでは、続きまして「総括報告書の評価」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐
 ありがとうございます。御説明いたします。資料2-1、68ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのが、告示番号旧4「テモゾロミド用量強化療法」です。申請医療機関は杏林大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が坂井構成員、副担当が伊藤構成員となっております。それでは、資料に沿って御説明します。
 再発膠芽腫に対しては、近年承認されたベバシズマブをはじめとした薬物療法などでは治療効果が不十分であり、新たな治療開発が必要である。「用量強化テモゾロミド療法」は、初発膠芽腫に対する標準治療薬であるテモゾロミドを、用量を強化して使用する医療技術である。欧米からの報告では、再発膠芽腫に対してベバシズマブに匹敵する治療効果が報告されている。さらに、初回再発時、ベバシズマブ療法の前に用量強化テモゾロミド療法を行うことで、初回再発後の生存期間の延長が期待できるとする報告もある。本試験では、再発膠芽腫の予後を改善するため、初回再発及び増悪膠芽腫に対して、用量強化テモゾロミド療法とその再発後のベバシズマブ療法の優越性を、標準治療であるベバシズマブ療法とのランダム化第Ⅲ相比較試験にて検証する。
 主要評価項目等は68ページに記載してあるとおり、全生存期間(OS)、副次評価項目は安全性評価基準として、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合、有効性評価基準として、無増悪生存期間(PFS)、6か月無増悪生存期間(6m-PFS)、完全奏効割合、奏効割合、ベバシズマブ開始後のPFS、ベバシズマブ開始後の6m-PFS、ベバシズマブ開始後のOS、MMSE非悪化割合、KPS非悪化割合となっております。
 目標症例数は146例で、実際の登録症例数が146例となっています。試験期間は、平成28年1月から令和6年12月までとなっています。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、本技術の評価につきまして、主担当の坂井構成員から御説明をお願いします。
○坂井構成員
 よろしくお願いいたします。まず初めに、髄芽腫という疾患について簡単に御説明したいと思います。こちらは、脳腫瘍の中で最も悪性度の高い事象であり、発症からの生存期間の中央値は約1年と短く、最も悪性度の高い疾患になります。標準治療としましては、資料2-2にあります医療技術の概要図に示されていますように、初発時の標準治療としては、放射線治療とテモゾロミド併用療法というのが世界的にも標準の治療法となっております。その中で再発した症例に対しては、現在はベバシズマブが標準治療ですけれども、これでも有効な結果をなかなか得られないということで、こういった研究が計画されたものです。
 結果としましては、primary endpoint(OS)は、標準治療群のA群が11か月、この試験治療群のB群が10.8か月ということで有意差が認められませんでした。secondary endpointも、無増悪生存期間がA群で4.0か月、B群で2.0か月と、A群のほうが長いという結果で、6か月のPFSにつきましても、A群が34.2%に対しB群が15.1%と、いずれも標準治療群のほうが有効な結果ということが報告されています。そのほかに、一次治療の完全奏効割合としても、A群が9.7%、B群が1.5%ということで、完全奏効割合につきましてもA群の標準治療群のほうが成績がよかったという結果でした。安全性の評価結果につきましては、双方、特に有意な差はなく、この治療群のほうが若干、Grade3以上の血液毒性が多かったというような結果でした。
 評価に移りたいと思います。有効性の評価としましては、Dの「従来の医療技術を用いるよりも、劣る。」としました。結果につきましては、今御説明したとおりで、標準治療群よりも有効な結果を示せず、secondary endpointとしても、標準治療群よりも劣るという結果でしたので、Dとしました。安全性につきましては、特に大きな差はなかったことから、Bの「余り問題なし」という判定にしました。技術的成熟度につきましては、Aの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と判断しました。私からは以上とさせていただきます。
○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、続きまして副担当の伊藤構成員から御説明をお願いいたします。
○伊藤構成員
 私のほうでも、有効性についての評価に関しては、従来の医療技術であるBEV療法と比較して、本先進医療であるddTMZ-BEV逐次併用療法は、主要評価項目の全生存期間の改善は見られず、副次的評価項目である無増悪生存期間が有意に劣っていたので、Dの「従来の医療技術を用いるよりも、劣る」と評価しております。
 安全性については、安全性評価項目において両群で大きな違いが見られなかったので、余り問題なしということで、Bの「あまり問題なし」と評価しております。
 技術的成熟度については、どちらも通常の抗がん剤治療、本先進医療に関しても通常の抗がん剤治療なので、技術的成熟度に関しては問題にならないと考え、Aの「当該分野を専門とし、経験を積んだ医師又は医師の指導の下であれば実施できる」と評価しております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。ほぼ同じ形の評価をいただきましたが、坂井構成員から何か、追加のコメント等ございますか。
○坂井構成員
 もう総合的なコメントにしてもよろしいでしょぅか。残念でしたけれども、今回の先進医療技術は、従来の治療法に対して有効性を示せませんでしたので、この結果からは現在の標準治療が最もよいということが示されたことが明らかになったところです。ですので、今回の研究が、やはり無駄にはならないと思いますので、この結果を基にして、また新しい治療法が開発されればと思うところです。この薬事承認申請の効率化に資するかどうかという点ですけれども、従来の治療法に対する有効性は示されませんでしたので、「薬事承認申請の効率化に資する結果は得られなかった」と結論しました。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。何かコメント、御意見等ございますでしょうか。木村構成員、どうぞ。
○木村構成員
 質問させていただいてよろしいでしょうか。この評価項目のOSは、再発が分かってからのOSと考えてよろしいのでしょうか。
○坂井構成員
 そうですね。
○木村構成員
 副次のところで、副次評価項目では、ベバシズマブ開始後のOSという言葉が入っております。そうしますと、テモゾロミドを使っている期間分長生きしていないかということを感じてしまいましたので、そうでなければ。再発発見時からのOSであれば、このとおりだと思うのですが。
○坂井構成員
 そうですね。再発発見時からのOSで比較されていると思います。
○竹内座長
 ありがとうございます。ほかに追加のコメント、御意見はございますか。1つだけ、私がちょっとひっかかったのは、標準治療よりも強化のほうが劣るということで、用量を強化したにもかかわらず劣るというのは安全性なら理解できたのですが、有効性で劣るというのは、何か理屈と言いますか、説明は可能でしょうか。
○坂井構成員
 考えられることとしては、初回治療がテモゾロミドで使われていて、それで再発したものに対して、用量を強化した同じ薬剤が使われているというところで、やはり効果が薄くなるのではないかと考えました。
○竹内座長
 ありがとうございます。非常に納得のいくコメントでございました。よろしいでしょぅか。それでは、追加の御意見ないようでしたら、告示番号旧4につきましては、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめまして、先進医療会議に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、「総括報告書の評価」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料3-1、75ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのが、告示番号旧22、「偽腔拡大に対する血管内治療」です。申請医療機関は国立循環器病研究センターです。審査担当構成員は、主担当が戸高構成員、副担当は平川構成員となっております。
 それでは、資料に沿って御説明いたします。大動脈解離に対する人工血管置換術やステントグラフト内挿術(TEVAR)の目的は、エントリー(内膜の亀裂)の切除若しくは閉鎖である。エントリーが1か所の場合には術後の治癒が良好であるが、元々リエントリーであった内膜の亀裂が術後に残存するエントリーとなった場合には、偽腔の拡大を来すことがある。
 大動脈解離術後の残存するエントリーの治療は、TEVARの施行が困難で、従来の開胸開腹による人工血管置換術が必要な場合も多い。近年、残存エントリーからの血流による偽腔の拡大を防止する目的で幾つかの方法が報告されているが、エントリーが腹部主要分枝(腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈)の起始部や頸部分枝(頸動脈、鎖骨下動脈)、腸骨動脈内に存在する場合には、上記のものより小口径のステントグラフト(バイアバーン)により閉鎖する方法がある。一方で、これらのステントグラフトの本邦での適応は、外傷性の血管損傷若しくは閉塞性動脈硬化症における浅大腿動脈領域に限定されている。
 本先進医療では、大動脈解離に対する人工血管置換術やTEVAR術後に偽腔の拡大を来した患者に対して、小口径のステントグラフトによるエントリーの閉鎖を施行し、偽腔の拡大阻止や縮小及び血栓閉塞に対する効果を中長期的に評価する。
 主要評価項目は、75ページに記載されておりますとおり、試験機器による治療から12カ月後のCTによる大動脈瘤径です。副次評価項目は、①有効性評価項目として、1)試験機器による治療から12カ月後のCTによる偽腔の閉塞、2)試験機器による治療から6か月後と24か月後のCTによる大動脈瘤径及び偽腔の閉塞、3)大動脈破裂回避率、4)大動脈再解離回避率、5)突然死回避率、6)二次的介入回避率です。
 ②安全性評価項目としては、1)術後30日以内の全死亡、2)術後30日以内の術後合併症、3)術後10日、6か月後、12か月後、24か月後のバイアバーンを留置した血管の開存性、4)その他、術後試験期間(術後24か月間)の全ての重篤な疾病等又は不具合及び未知の疾病等又は不具合となっております。目標症例数は15例で、実際の登録症例数は8例となっております。試験期間は2020年2月から2024年2月となっております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、本技術の評価について、主担当の戸高構成員から御説明をお願いいたします。
○戸高構成員
 よろしくお願いいたします。まず概要です。全体像を見ていただくために92ページの図を御覧いただくと分かりやすいと思います。左側の大動脈解離、解離性大動脈瘤についての病態に沿ったものですが、これは既に、一期の治療が終わった状態です。上のほうに大きなステントが入っています。これで、いわゆるエントリー、最初の傷を塞ぐと同時に、構造的に内側から脆弱となった大動脈を支えるといった発想でされたEVAR・TEVARと呼ばれる治療です。また先ほど御説明がありましたように、全く違う方法で、人工血管で開胸して治療する場合もあります。
 大動脈解離というのは、エントリーから傷が入って、そこからザーッと裂けて大抵、出口があり、リエントリーと呼ばれています。いろいろな理由で一期的には(閉鎖する)処置をしないことが多いようです。長期的にはそれでも塞がることが多く、裂けたところがずっとそのまま血栓性に塞がってくれる良いシナリオを期待します。それがそうはいかずに、リエントリーのところから逆行性に血流が入り始めて、血栓性の閉塞をせずに治らないというようなことが起こった患者さんに対する二期的な治療が、今回の先進医療です。
 右側に、その二期的な治療方法が①、②、③と書いてありますが、今回、①は違うものです。②と③について行われたものということで、そのリエントリーの部分が、たまたま腹腔内の主要な動脈の起始部にあれば、その動脈のほうにカバードステントを入れて、そことリエントリーとの間の傷を、これによって塞ぐという発想の治療です。背景の説明が先ほどありましたが、そういったリエントリーの症例に限られるのですが、もう既に適応外で盛んにされているもので、それを何とか、きちんとした保険適用にしたいという思いで始められた試験のようです。ということで、背景を御説明いたしました。
 76ページに戻り、試験結果の解説をしたいと思います。15例が予定されていたのですが、8例が組み入れられたところで試験期間が終了し、特に延長することなく、ここで終了されています。8例の中で、そもそも高齢者が多く動脈硬化も強い方が多くて非常にリスクの高い患者群であることを背景にして、この試験期間中に2例、死亡が起こっています。
 ただ、詳細が書いていなかったので問い合わせました。詳細を見ていただきますと、いずれの症例も、恐らく、本手技、本機器とは関係ない形で死亡が起きたと判断して妥当であろうと思います。1例については、元々あった心房細動から起こったのであろう脳梗塞が発生して、それを基にして亡くなられたということです。また、下のほうにありますが、2例目は、主要評価項目の12か月までは追えたのですが24か月には達せず、くも膜下出血で死亡されたということで、いずれも脳の動脈硬化性疾患で亡くなられたといった大くくりには入ると思います。本手技、本機器とは、直接、関係なかろうといった判断がされています。
 少し上に戻っていただき、そういった8例という小数例の中で2例、死亡例が発生したことによって、これは前後比較ですので、言ってみれば、生存例のバイアスが働いた状態です。前後比較で、主要評価項目は先ほどの本体のほうの動脈瘤が大きくならずに、きちんと小さくなっていますかということですが、確かに小さくなっています。四分位数で書いてありますが、中央値で-14%、24か月目にも-15%ということで、生存された患者さんでは良好な経過を辿られたことは少なくとも分かると思います。
 若干の問題点は安全性のほうです。ここは中等度から重症の合併症が3例発生したけれども因果関係は否定できたと主張しておられるのですが、1例において、この結論の下のほうに書いてありますが、試験機器の閉塞が生じております。腎動脈か腹腔動脈に入れた症例ばかりですが、腎動脈に入れた症例において、試験機器が閉塞して、そちら側の腎の機能を廃絶させています。そういった閉塞が生じて、元々低下していた総腎機能(eGFR)が低下したと書いてありました。eGFRが60から30に低下したと書いてあります。
 それによって、因果関係は研究者が認めておられるのですが、これは「軽度」の有害事象であるといった主張を現在も展開しておられます。それはいかがなものかということで、かなり照会を何回もしたのですが、最終的な解釈は変わっておりません。それに対して、大きな異議があり、客観的な判断として、これは重篤な有害事象と考えるのが普通であろうと判断しますので安全性の結論の書き方が変わるかなと思います。
 ただ、繰り返し申し上げますが、非常にリスクの高い疾患群でありますし、もし、これをしなくて拡大していくのであれば、そちらのほうが命取りになる、再破裂もあり得るということですので、それを防止する手段として、ある程度こういった重篤な有害事象も、容認されると思うのですが、ただ、解釈はしっかりと客観的にしなければならないと思っております。
 繰り返しになりますが、有効性については、2例の死亡例が生じているので、生存者バイアスを考えながら解釈しなければならないということです。安全性については、eGFR低下で、30ちょっとだったと思うのですが、少なくともCTCAE grade2にはなりますので、軽度ではないと、普通は判断すると思います。片側の腎の血流が全くなくなって廃絶したと思われますので、それは普通、重篤と考えるのが妥当ではないかと思います。
 次に、技術的成熟度、これは問題ないと思います。当該分野を専門として熟練した医師が行うのであれば血管内からやるので、それほど難しい手技だとは思われないと思います。総合的なコメント欄もこういった形で書いているところです。因みに、非公開資料で先ほど私が口頭で申し上げたところ、非公開資料のほうの3-2の通しページの68ページに、こういった表の記載があります。68ページの再狭窄度の推移、閉塞による合併症の有無といったところで、症例5001の3の症例が、「EGFRの低下(60→30)」と明記してありました。
 それに対して「軽度」という評価がおかしいのではないかと照会したのですが、最終的には公開資料の91ページの下のほう、これが最終的な研究者側の回答が下に書いてあります。数字が間違っておりましたといったので、もう一回見たら一時的に良くなったeGFRが48であり、入れた直後、まだ開存しているときの退院時でも38.2であると。それが、2回目の入院時、このときには閉塞しているのですが、このときの入院時にも36であり、ほとんど変わっていないと。だから、この閉塞の影響はないのだと。だから「軽度」であるという判定をしていると、その解釈は変えませんというお返事です。
 これが妥当かどうかというのは、委員の先生方で、もし御意見があれば頂きたいと思いますが、私は妥当ではないと思います。少なくとも、中等度以上の因果関係のある有害事象と判断するのが妥当であろうと思います。まずは、ここまでで、私の説明は一旦中断したいと思います。よろしくお願いします。
○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、続いて、副担当の平川構成員からコメントを頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○平川構成員
 平川です。一部重複いたしますが、私のレビューの結果をお話いたします。こちらの試験は、従来技術との比較を目的とした比較試験ではなく、当該技術の有効性を探索的に評価することを目的とした非盲検非対照試験になります。試験開始前に、いわゆる統計的な仮説は設定されておりません。目標症例数15例というのは登録可能性に基づいて設定された人数ということになります。
 実際には、8例の登録で終了していますので、仮説は置いていないものの、やはり非常に探索的な評価にとどまることになります。プライマリーエンドポイントに関しては、動脈瘤の大きさが小さくなっていることは示唆されておりますが、再現性のある結果ではないというのはデザインの観点から言えることかなと思います。
 副次的評価項目等に関しても、有効性を示唆するという結果は、8例に限定して議論すれば認められるかなとは思いますが、いずれにしても目標症例数に到達しておりませんし、統計的仮説はそもそもありませんので、この試験成績から言えることとしては、有効性が示唆されている程度、再現性は不明ということになります。したがって、判定は、Eの「その他」とさせていただきました。
 続いて、安全性ですが、こちらも同様に、8例という少数での評価になり、集団レベルで安全性を議論することはできないため、「E.その他(不明)」としております。ただ、先ほど戸高先生からも御指摘がありましたが、「試験機器の閉塞」に関しては、一つ論点として残っていますので、是非、臨床の先生方の御意見を頂戴したいと思います。技術的成熟度については、専門外ですので、主担当の先生に判断を委ねております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。小数例である有効性の判断というのは統計学的な目標値が設定されていないのでなかなか難しい。安全性については、1例において「機器の閉塞」があり、この取扱いについて少し疑義があるのではないかというようなコメントでした。構成員の先生方から何かコメント、追加の御意見等はございますか。真田構成員、お願いいたします。
○真田構成員
 真田です。今、戸高先生、平川先生から詳細な御説明をいただきましたが、私としても、やはり探索的試験とはいえ、仮に15例という症例数を立てて、8例の時点、約半分で、有害事象が発生していることは既に分かっているという状況で、全試験期間が4年間ということであれば、多分試験期間の延長は考慮されなかったのだと理解はしているのですが、どうなのでしょうか。
○戸高構成員
 されなかったと思います。
○真田構成員
 そうですよね。だとすると、やはり、探索的なところから有意な、あるいは次の試験に明確につながるエビデンスが得られたかどうかというのは、実際には試験の結果を開いてみないと分からないことは分からないのですが、その半分の段階で、さらにエントリーを増やすということをお考えにならずに終了されたのは、多少、残念なところは残ると思います。
 そこは探索的であれ、やはり次につながる、ある程度の知見、例えば、こういうサブコホートなら有効だとか、少し危険性が高いとか、そのような何らかの次につながるエビデンスを得るところも探索的試験の1つの重要な目標だと理解していますので、15例に到達する最大限の努力は、もう少し積極的にやっていただいても良かったかなというコメントです。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変、貴重なコメントを頂戴しました。安全性の評価、1例の「機器閉塞」によるeGFRの低下については、戸高構成員から大変丁寧な御説明がありましたが、皆様方から追加のコメント等はございますか。やはり、これは重篤、有害事象相当というようなコメント等はございますか。なかなか、この書きぶりだけでは難しいかなとは思いますが、特にコメントがないようです。それでは、改めて戸高構成員、全体を取りまとめていただけますか。
○戸高構成員
 コメントになりますが、当初、1月か2月頃、私の担当として回ってきたのですが、総括報告書が2、3ページで、どこに何を植えたかすらも全く分からないような、全体の平均だけが書いてあるような、正直いって中身がない総括報告書でした。8例だけだったので、個別のデータを見せてくださいとお願いしたのですが、なかなか対処していただけず、4か月ぐらいたって、ようやく今の形の中身が分かるようなものが提出されたという経緯が、まずございます。研究者側のこういった認識について、先ほどの安全性の判定もそうですが、やや懸念を持っているところです。
 全体を現状で判断すると、もちろん、有効性が示唆されるものであると思います。安全性も、1例にこういった重篤と判断され得る副作用が生じたとはいえ、対象としている高リスクの患者のことを考えれば、それなりに容認される範囲ではないかなと個人的には思います。
 ただし、最後の薬事未承認に資するかという問いに関しては、こちらの問い合わせに対して「数字が間違っていました」といった返答をされるような信頼性の確保されていない総活報告書をどのように扱うのかといったことに関して、私自身は薬事申請に資するとは思いませんが、最終的には症例が難しいですし、適用される全体の症例数も少ないといったことも鑑みて、規制当局のほうで御判断いただければと思います。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。大変、貴重な御意見、取りまとめを頂きました。これをもって先進医療会議に報告するのですが、先進医療会議の場でも様々な御意見が出る可能性があり、目標症例15例に対して、なぜ8例で中止したのかという、その理由については、何か報告があるのでしょうか。
○医政局研究開発政策課長補佐
 ありがとうございます。その点について、こちらから照会し、81ページの回答1に、照会回答を頂いているところです。8例で本試験を中止することにした理由を説明してくださいと照会しているところです。当初15例の実施予定でしたが、想定した開胸手術困難な高齢患者層には多くの生活保護受給患者を含んでおり、症例登録に至らなかった。研究開始時、生活保護受給患者には、保険外併用療養費の支給が適用されないという認識がなかった。加えて、8例ではあったが、想定された結果・効果が確認されたため、研究終了といたしましたと、照会回答を頂いているところです。
○竹内座長
 なかなか、先進医療会議ではこの理由を披露しにくいということと、最後に「有効性・効果が確認されたため」と書き切ってしまっているので、少し説明しにくいところがございますが、そのときはそのときで素直に答えたいと思います。よろしいでしょうか。戸高先生、大変、御苦労様でございました。掛江先生、どうぞ。
○掛江構成員
 きっと、この場であれば質問してもいいのかなと、座長のお言葉を伺って思いましたので聞かせていただきたいのですが。そもそも生活保護受給者の患者さんを、生活保護受給者の方には保険外併用療養費の支給がないというのは、そのような制度なのですね。すみません、2点ほど分からなかったのです。
○松山座長代理
 生活保護受給者に適用されないというわけではないのですが、これが利益供与になるので個人所得と同じ扱いとなり、生活保護の基準から外れてしまう可能性があるということです。税制上そのようなことになっていると思います。
○掛江構成員
 そういうことなのですか。ありがとうございます。そうだとして、そもそも生活保護受給者の方に、当該プロトコルのクライテリアに合う方がたくさんいるという社会的な理由と、この状態の相関はないと思うのですが、この理由はやはり、理由として十二分に理解できるものではないような気がするのですが。
○竹内座長
 そう思います。
○掛江構成員
 これは、きちんとした回答を改めて求めていただくというのは、いかがでしょうか。
○竹内座長
 なかなか、この文言だと受け入れ難いですよね。公式的な場でこのような表明はできないのではないかと思います。
○医政局研究開発政策課長補佐
 承知いたしました。本件について、もう一度、事務局から照会という形でさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○木村構成員
 座長、少しよろしいでしょうか。
○竹内座長
 木村構成員、どうぞ。
○木村構成員
 この文章というか、流れを全体的に拝見して、この場に対面で出席させていただいているので、あえて申し上げますと、恐らく、この研究者たちは「開胸、開腹を免れたのだからいいではないか」というような発想で、そもそも試験を組んでおられるような気がするのです。そもそも、この研究のエンドポイントは、より侵襲的な手術を避けられたということがエンドポイントであるというような考えを、この方々は持っておられるのではないかという気がするのです。
 そのような意味で、臨床研究としてはどうかという御意見が出ましたが、確かに、そのとおりだと思います。ただ、弁護をするつもりはありませんが、研究者の、この申請された方々のお立場として、恐らく、より侵襲的なことを免れたから効果があったと御判断されたのではないかという印象を持った次第です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございます。たくさんの言葉に表わせない背景があるような感じがします。この辺りはやはり慎重に文章の表現等は吟味したほうがいいかなと思いました。先進医療会議に上げて、もし、御意見が出たときに、迂闊なことは御説明できないなという気がします。よろしいでしょうか。ありがとうございました。十分、議論を尽くしていただきました。
 それでは、ただいまの御意見、そして、また少し詳しく調査をしていただいた結果を踏まえて、先進医療会議に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。それでは、続いて、試験実施計画の変更について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 御説明いたします。資料4-1、93ページを御覧ください。国立循環器病研究センターからの申請で、告示番号27、「遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤静脈内投与療法」です。適応症は「脳出血(発症から二時間以内のものに限る)」です。
 こちらなのですが、前回の第177回先進医療技術審査部会において御審議いただいた申請になります。その際に幾つか御照会事項を頂きまして、申請医療機関の回答を踏まえて、今回再度、検討いただくものです。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、前回と同様のものが、94ページから95ページに記載されています。また、資料4-2の96ページから、頂きました照会事項に対する回答を記載しています。こちらは前回も御審議いただいた内容ですので少し簡便にさせていただいております。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。かなり深く御議論いただいた今回の提案で、計画ですが、照会事項、このような形で照会をしていただきまして、回答を頂戴いたしました。本変更内容につきまして御意見等はございますか。かなりクリアに御回答いただいたということだと理解しております。よろしいでしょうか。追加がないようでしたら、今回、先進医療ですが、アダプティブデザインという、少し先進的なデザインで行われた研究であって、それについての統計解析の計画あるいは説明等で、もう少し最初から説明があってもよかったかなという気はいたしますが。それでは、告示番号27番の変更につきましては、お認めすることとしてよろしいでしょうか。
 御意見がございませんので、お認めすることとさせていただきます。ありがとうございました。続きまして「試験実施計画の変更」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 御説明いたします。資料5、99ページを御覧ください。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号50、「タミバロテン内服投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法」です。適応症は「二次治療抵抗性膵臓癌」です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、101ページを御覧ください。「主な変更内容」といたしまして、1点目、実施者の変更、2点目、「3コース目、5コース目と7コース目に実施する下肢静脈エコー及び各検査の許容範囲の変更」として、「14日以内の結果がある場合は、利用可能」と追記されています。3点目、「スクリーニング時の膵アミラーゼの測定の変更」としまして、膵型アミラーゼに関しては「スクリーニングは必須ではない」と追記されています。4点目、キイトルーダで、こちらはペムブロリズマブの添付文書改訂による変更による変更となっております。
 次に、「変更申請する理由」として、1点目、異動に伴い、実施者・監査担当者を追加・削除したため。2点目、安全性評価の上で一定期間許容しても問題ないと考えたため、変更した。3点目、スクリーニング時の膵アミラーゼは、総アミラーゼ高値の場合など、膵炎を疑う場合にのみ測定することで十分であるため、必要に応じ測定することとした。4点目、被験者に最新の安全性情報を提供するためです。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして、御意見・コメント等ございますか。よろしいでしょうか。
 御意見等はないようですので、告示番号50の変更につきましては、お認めすることといたします。ありがとうございます。
 続きまして、試験実施計画の変更につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 御説明いたします。資料6、103ページを御覧ください。地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターからの申請で、告示番号55、アナモレリン塩酸塩経口投与です。適応症は「体重減少(食道癌に対する食道亜全摘胃管再建術又は胃癌に対する噴門側胃切除術若しくは胃全摘術を実施したものに限る。)」です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、103ページを御覧ください。「主な変更内容」としまして、「検査委託会社の変更」としています。「変更申請する理由」として、大阪府立病院機構5病院全体で検査項目を取りまとめコスト削減を目的に一括入札を実施したため検査委託会社の変更を行った。なお、これに伴う検査基準値への影響はない」です。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして御意見等はございますか。
 御意見ないようです。それでは、告示番号55の変更につきましては、お認めすることといたします。
 続きまして、試験実施計画の変更につきまして、御説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 御説明いたします。資料7の105ページを御覧ください。岡山大学病院からの申請で、告示番号58「ギルテリチニブ経口投与療法」です。適応症は、「進行再発非小細胞肺がん(ロルラチニブ経口投与療法が不忍容であるもの又はロルラチニブ経口投与療法に抵抗性を有するものであって、ALK融合遺伝子陽性の者に限る。)」です。
 御審議いただく主な変更内容につきまして、106ページを御覧ください。「主な変更内容」として、1点目として、製薬会社の本研究への関与について「説明文書、同意文書」に追記、2点目として、監査の実施について「研究計画書」、「説明文書、同意文書」に追記、3点目として、効果安全性評価委員会の関与について「研究計画書」に追記、4点目として、個々の患者の中止基準、及び用量減量後の再増量の禁止について、記載整備として「研究計画書」に追記、5点目として、試験文書間に見られた記載不整合の整備、人員変更等です。
 「変更申請する理由」として、1点目は、本研究終了後の薬事承認を目指した開発に関与する可能性を鑑みて、個人情報の扱い等への関わり合いを明示するべきと考えた。2点目は、本研究の品質保証を高め、本研究終了後の開発意思決定に備えるため。3点目は、効果安全性評価委員会の有効性評価を明確にし、安全性評価については改正臨床研究法にのっとっていることを明示するため。4点目及び5点目は、中止について、研究全体を指すのか個々の患者を指すのかが曖昧だったので記載を整備し、また減量後の再増量については記載がなかったので明示した。以上です。
○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容につきまして御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 御意見がないようです。それでは、告示番号58の変更につきましては、お認めすることといたします。続きまして、協力医療機関の追加につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 資料8-1、109ページを御覧ください。告示番号53について、1施設の協力医療機関の追加申請がありました。
 資料8-2を御覧ください。事務局におきまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しております。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、事務局で手続を進めていただくようお願いいたします。続きまして、先進医療Bの取下げにつきまして事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 御説明いたします。資料9の112ページを御覧ください。先進医療の取下げとして、告示番号42の1件、申請がございました。取下げ理由としましては、告示番号42につきまして「すべての症例で投薬が終了し、また観察期間も終了したため」となっております。以上につきまして、特に御意見がなければ手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、事務局で手続をお進めくださいますようお願いいたします。ありがとうございました。
 本日の議題は大変重い議題も多く、また審議案件も多くて大変お疲れさま、御苦労さまでございました。以上です。構成員の皆様、全体を通して追加のコメント、御意見等はございますか。よろしいですか。
 ないようでございましたら、最後に、本日をもちまして、日本医師会の黒瀨構成員が退任となりますので御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
○黒瀨構成員
 ありがとうございます。貴重なお時間を頂戴いたしまして一言御礼を申し上げたいと思います。私、昨年より日本医師会を代表いたしまして、この本部会の構成員をさせていただきまして、難病に苦しむ患者さんの光となるような先進医療に関して評価をするという貴重な機会を頂戴いたしましたことを感謝申し上げたいと思います。
 残念ながら、来月から、この会とは併任できない会の委員に就任することになりまして、退任させていただくということになりました。
 最後に、皆様方のますますの御健勝と、この先進医療が更に開発され、発展し、患者さんのために役に立つようになることを祈念いたしまして、私の退任の挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○竹内座長
 ありがとうございました。事務局からお願いいたします。
○医政局研究政策課課長補佐
 ありがとうございます。黒瀨構成員におかれましては、先進医療技術審査部会構成員として、長きにわたり御尽力を賜りまして誠にありがとうございました。
 それでは、座長に、もう一度進行をお渡しいたします。
○竹内座長
 ありがとうございました。黒瀨構成員、本当にありがとうございました。また様々な場面で御助言を頂いたり御指導いただく場面もあるかと思いますので、引続き何卒よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究政策課課長補佐
 次回は令和7年9月12日(金)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細につきましては、別途御連絡させていただきます。
 また、本日の議事録については作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますのでよろしくお願いいたします。
○竹内座長
 ありがとうございます。次回、また9月12日(金)というように、ちょっと曜日がずれますので御確認いただきまして、何とぞ御参加をお願いしたいというように思います。また、会によって濃淡がかなりありまして、なかなか調整するのが難しい状況にございます。今日のように大変多くの案件を御審議いただきましてありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第178回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。