第30回過労死等防止対策推進協議会 議事録

労働基準局総務課(過労死等防止対策推進室)

日時

令和7年6月27日(金) 14:00~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール11D
東京都千代田区内幸町1-3-1

出席者

専門家委員
岩井羊一委員、江口尚委員、戎野淑子委員、木村恵子委員、清山玲委員、玉木一成委員、中窪裕也委員、西賢一郎委員
当事者代表委員
工藤祥子委員、小池江利委員、髙橋幸美委員、渡辺しのぶ委員
労働者代表委員
青木哲彦委員、上野友里子委員、冨髙裕子委員 原健二委員
使用者代表委員
神尚武委員、清田素弘委員、佐久間一浩委員、鈴木重也委員、

議題

(1)会長の選出、会長代理の指名
(2)過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について

議事

議事内容
○企画官 ただいまから第30回「過労死等防止対策推進協議会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、御多用中にもかかわらず御参集賜り、誠にありがとうございます。
 本日、清田委員と工藤委員はオンラインでの御出席となります。
 本日は、会場にお越しの委員におかれましてはタブレットで、オンライン参加の委員におかれましては事前にお送りした資料により御議論いただくこととしております。タブレットの操作等で御不明な点がございましたら、随時、係の者までお呼びいただければと思います。
 本日は、令和6年12月17日の委員改選後の初めての協議会となります。会長が任命されるまで、我々事務局で司会を務めさせていただきます。
 まず初めに、委員の御紹介をさせていただきます。参考資料1の名簿を御覧ください。
 専門家委員として、岩井委員、江口委員、戎野委員、木村委員、清山委員、玉木委員、中窪委員、西委員。
 当事者代表委員として、工藤委員、小池委員、髙橋委員、渡辺委員。
 労働者代表委員としまして、青木委員、上野委員、冨髙委員、原委員。
 使用者代表委員として、清田委員、神委員、佐久間委員、鈴木委員。
 以上となります。
 次に、事務局に異動がございましたので、事務局の御紹介をさせていただきます。
 労働基準局補償課長の黒部です。
○補償課長 黒部です。よろしくお願いします。
○企画官 そして、私、労働基準局総務課企画官の杉山でございます。よろしくお願い申し上げます。
 事務局の紹介は以上です。
 次に、議題の「(1)会長の選出、会長代理の指名」でございます。参考資料2を御覧ください。こちらは過労死等防止対策推進協議会令を載せてございます。
 協議会令第2条では、協議会の会長は専門的知識を有する委員のうちから、委員が選挙するとされております。
 ここで事務局からの御提案でございますが、前回と引き続き、中窪委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○企画官 ありがとうございます。
 それでは、ここからの進行は中窪会長にお願いさせていただきたいと思います。
○中窪会長 皆様、こんにちは。改めまして、会長を務めさせていただきます中窪です。これまでにも増して、過労死の防止に向けて、皆様の御協力を得ながら進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、協議会令では会長代理を会長が指名することとされております。つきましては、戎野委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○中窪会長 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 それから、事務局からの説明にもありましたとおり、12月17日の改選後の初めての協議会であり、特に新しく委員になられた方に一言ずつ御挨拶をいただければと思います。
 まず最初に、専門家委員の岩井羊一委員、お願いいたします。
○岩井委員 弁護士の岩井羊一です。過労死弁護団全国連絡会議の弁護士をしております。
 新しく委員になりましたので、よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 続きまして、江口尚委員、お願いいたします。
○江口委員 皆様、こんにちは。産業医科大学の江口でございます。
 私は、大学のほうで職場のメンタルヘルスに関する研究をしております。また、実務としても産業医を長くしておりましたので、そういった観点から本会議に貢献できればというふうに思っております。まだまだ若輩者でございますが、御指導のほど、よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 続きまして、木村恵子委員、お願いいたします。
○木村委員 弁護士の木村でございます。
 私は安西法律事務所という労働法専門の事務所におりまして、日頃、企業の方々の御相談を聞くことが多くなっております。過労死ですとかに関しては、どちらかといいますと、企業側の代理ということで関わることが多くなっておりますけれども、やはり人が働きながら健康を害することはあってはならない。できるだけ、そういうことがない社会につくっていくということでこの会に関わらせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 続きまして、玉木一成委員、お願いいたします。
○玉木委員 弁護士の玉木一成でございます。過労死弁護団全国連絡会議の幹事長を務めております。
 私、1988年に過労死110番が始まって以来、現在まで担当させていただいておりまして、ぜひ、そのような過労死の救済・予防に関する活動についての経験などをこの協議会で発言をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 続きまして、西賢一郎委員、お願いいたします。
○西委員 初めまして。私は、静岡にありますジヤトコ株式会社で統括産業医をしております。
 産業医を専門でやっておりまして、会社の働く人たちも診ていますが、地域の産業保健総合支援センターの相談員等もしておりますので、静岡県内ではございますけれども、地域の産業保健活動も推進しております。どうぞよろしくお願いします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 次に、当事者委員として、小池江利委員、お願いいたします。
○小池委員 大阪過労死を考える家族の会代表をさせていただいています小池江利と申します。2010年に夫を脳・心臓疾患でありますくも膜下出血で亡くした遺族です。
 これからしっかり勉強していきたいと思いますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 続きまして、労働者代表委員の原健二委員、お願いいたします。
○原委員 UAゼンセンの原と申します。今回から初めて、この委員に名前を連ねさせていただくことになりました。
 何分初めてですので、いろいろと皆さんに見識をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございます。
 最後に、使用者代表委員で、今日はオンラインの御参加ですけれども、清田素弘委員、お願いいたします。
○清田委員 ありがとうございます。日本商工会議所の清田と申します。本日、出張中につき、オンラインで大変失礼をいたします。
 私、労働部門を担当して、今年6年目を迎えてございます。その前は人事として事務局の人事管理等を行っておりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、カメラの撮影につきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、次の議題で「(2)過労死等の防止対策の実施状況及び今後の取組について」につきまして、厚生労働省、人事院、内閣人事局、総務省、文部科学省の順に御説明をいただき、その後、一括して質問等の時間を設けたいと思います。
 委員からの御発言をできるだけ多くいただきたいと思いますので、事務局の御説明は簡潔にお願いいたします。
 それでは、厚生労働省から、順次、御説明をお願いいたします。
○企画官 厚生労働省です。私からは資料1、飛びまして、資料6、資料7、資料8について御説明いたします。
 資料1は、厚生労働省における令和6年度の主な取組等についてです。
 通し番号の2ページを御覧ください。こちらに大綱の数値目標、1から6まで記載しております。
 続きまして、通し番号の3ページ以降にこの数値目標の現状を載せてございます。
 まず、3ページの上のグラフは、労働時間が週40時間以上の雇用者のうち、週60時間以上の者の割合の経年変化のグラフとなっております。令和6年は8.0%となっており、全体的に緩やかに減少しております。下のグラフは、業種別の令和4年から令和6年の3か年の割合を表したものとなります。3か年とも、運輸業、郵便業が最も多くなっております。
 通し番号の4ページを御覧ください。左側の勤務間インターバル制度について、制度を知らないとする企業の割合は、令和2年から令和5年にかけて増加しておりましたが、令和6年は再度減少しております。右側の年次有給休暇については、平成27年度以降上昇、増加傾向が続いております。令和5年は65.3%と、目標の70%に近づいております。
 次に、通し番号の5ページを御覧ください。メンタルヘルスに取り組む事業所の割合、小規模事業場におけるストレスチェックの実施割合などの数値を載せております。労働者数50人未満の小規模事業場における令和5年のストレスチェックの実施割合は34.6%であり、目標達成に向けた施策等の改善が求められるところでございます。
 通し番号の6ページは、大綱に基づく委託事業についてです。1の過労死等防止対策推進シンポジウムは、11月の「過労死等防止啓発月間」を中心に、全国47都道府県・48会場で開催しております。過労死遺児交流会は年に1回開催、令和4年度からは遺児等のための相談室も設けてございます。1つ飛んで、3の中学・高校生等への講師派遣支援事業については、家族の会及び労働問題に関する有識者の皆様の御協力を得ながら、また引き続き、文科省とも連携をしまして、より多くの生徒等を対象とできるよう取り組んでいるところでございます。
 続きまして、通し番号の7ページを御覧ください。「1.過労死等事案の分析」については、脳・心臓疾患事案及び精神障害事案の分析について、引き続き進めていくとともに、重点業種や職種の深掘り分析も実施しております。このほかに「2.労働・社会面からみた過労死等の調査・分析」、そして「3.予防研究・支援ツールの開発」も進めております。これらの調査・研究の結果概要については過労死白書で掲載してございます。また、4.のとおり、ポータルサイト「RECORDs」におきまして、調査・研究の成果を広く国民に発信するとともに、過労死等防止に関する情報も提供しております。
 通し番号の8ページからは啓発の関係でございます。
 8ページの自動車運転従事者に関する取組として、構造的な課題に対応するため、厚生労働省と国土交通省とが連携し、トラック・物流Gメン及び荷主特別対策担当官による荷主への働きかけ等を実施しております。
 通し番号の9ページの建設業におきましても国土交通省との連携を図っており、令和6年11月には、建設労働者の長時間労働の改善、適正な工期・請負代金の設定等につきまして、厚生労働省と国土交通省との連名で、工事発注業者に要請を行う等の取組を行ってございます。
 続きまして、通し番号の10ページ、11ページでございます。こちらのほうは、医師、それから、医療従事者に関する取組内容でございます。適切な労務管理を図るために、生き生き働く医療機関サポートウェブによる周知、医療勤務環境改善支援センターによる助言・相談等を実施しております。
 また、通し番号の12ページには働き方改革推進支援助成金による中小企業事業主への支援。
 それから、通し番号の13ページは産業保健活動総合支援事業によるメンタルヘルス対策。
 そして、通し番号の14ページはシンポジウム等による啓発。
 通し番号の15ページは各種相談事業の実施状況について、簡単にピックアップさせていただいております。
 最後、通し番号の16ページ、17ページでございますが、こちらは(参考)といたしまして、令和7年度の施策の大きな動きにつきまして記載させていただいております。
 まず、16ページでございますが、安全衛生法を今年度改正し、これまで労働者50人以上の事業者のみに義務づけられておりましたストレスチェックを、50人未満の小規模事業者にも義務づけすることといたしました。
 また、17ページでは、労推法を改正いたしまして、ハラスメント対策として、カスタマーハラスメント防止に関する雇用管理上必要な措置を事業主に義務づけるといったこと等を行っております。これらの改正法によりまして、さらなる取組の推進を図っていくこととしております。
 資料1につきましては以上でございます。
 ページを飛びまして、大変恐縮でございます。通し番号の39ページ。ここからが資料6になります。資料6は、過労死等防止対策推進法及び大綱に基づく施策の実施状況につきまして、大綱の項目に沿って、平成27年度から令和6年度までの取組状況をまとめたものとなります。本日、時間の関係から、この場での説明は割愛させていただきます。
 また、ページを飛びまして、通し番号の92ページを御覧ください。こちらは資料7になります。過労死等防止対策の推進に係る令和7年度予算額の資料となっております。令和7年度は前年度の予算額より20億円程度増額となっております。
 続きまして、少し飛んで、通し番号の95ページ。ここから資料8になります。この資料8は、前回の協議会におきまして委員からいただきました、令和4年から5年にかけての心臓疾患及び精神疾患の労災請求件数が大きく増加している。過労死と思われる事案の請求件数が急増している。この要因について分析していただきたいといった御指摘を踏まえ、このたび作成いたしました分析データ関係資料ということになります。急増等の要因につきまして、男女別、年齢別、業種別、職種別、出来事別等で分析したグラフを載せてございます。また最後に、メンタルヘルスに関するデータも併せて載せております。
 時間の関係で、詳細な説明は割愛させていただきますが、ポイントと思われる部分のみお伝えいたします。
 通し番号の103ページを御覧ください。103ページ右上のグラフは、平成22年度を100とした精神障害の労災請求件数の経年変化指数でございます。水色の線が自殺(未遂を含む)事案の件数、黄色の線がそれ以外の事案の件数となっております。自殺事案につきましては比較的フラットな変化となっておりますが、それ以外事案につきましては、令和2年以降、増加が大きくなっております。また、令和4年から5年にかけては急増しております。
 これと同じような波形、動きをしているものとしまして、通し番号の105ページを御覧ください。こちらの105ページは、左のほうが業種別、右が職種別の請求件数のグラフになっております。左の業種別グラフでは、医療、福祉。そして、右の職種別グラフでは、専門的・技術的職業従事者、それから、事務従事者が同じような動きをしてございます。
 また、通し番号の106ページを御覧ください。106ページは出来事別の労災決定件数を載せてございます。緑の線の「6.対人関係」が特に多くなっております。特に令和4年から6年にかけて急増してございます。
 厚生労働省からの説明は以上となります。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 続きまして、人事院のほうから御説明をさせていただきます。18ページの資料2を御覧ください。19ページ、20ページにいろいろ参考データを載せておりますけれども、我々の取組としまして、この18ページのスライドを使って説明をさせていただきます。
 まず、取組の1つ目ですけれども、超過勤務の縮減でございます。人事院におきまして、各府省における超過勤務状況を調査しまして、超過勤務時間の縮減に関する指導を行っております。今年3月には、脳疾患・心臓疾患の発症との関連が強いとされる月100時間超えの上限を超える超過勤務を命ずることに関しまして、より慎重に対応すべきであるという旨を各府省に徹底するための通知改正を行ったところです。これからも超過勤務の縮減に向けて、各府省への指導をさらに充実・徹底してまいりたいと考えております。
 2つ目の取組が、勤務間インターバルの確保についてでございます。人事院では、各省各庁の長の勤務間インターバル確保に努める責務を明確にするために、昨年4月から努力義務規定を設けております。各府省の取組を支援する観点から、時間の目安、11時間なのですけれども、こちらも示しているところです。また、同じく昨年度、各府省における勤務間インターバルの確保に関する調査を行いました。今、この調査結果を我々のほうで分析しているところですけれども、こちらを通じまして、職員が勤務間インターバルを確保できない状況、要因、ボトルネックを抽出して、その解消に向けた実効的な施策を進めてまいりたいと考えております。
 3つ目が、ゼロ・ハラスメントに向けた取組、職員の健康増進等についてでございます。まず、ゼロ・ハラスメントに向けた取組としましては、各府省におけるハラスメント相談体制に関する実情・課題を踏まえまして、専門家によるハラスメント相談員向けの相談窓口を設置し、運営をしているところであります。また、官民問わず、今、カスタマーハラスメントへの対応が喫緊の課題となっている状況も踏まえまして、人事院のほうで実効的なカスタマーハラスメント防止の在り方についても検討してまいりたいと考えているところです。
 さらに、脳疾患・心臓疾患及び精神疾患に係る公務災害認定事案等の分析に基づきまして、過重な業務に従事している職員に対する勤務時間管理の徹底、体制面の配慮、日頃からの心身の健康管理・ケアなどについて、過労死防止の観点から、各府省に対して指導・助言を行ってきております。
 御説明は以上になります。
○内閣官房内閣参事官(働き方改革推進担当) 続きまして、内閣人事局でございます。中央下のページ番号21ページの資料3を御覧ください。令和6年度の内閣人事局におけます過労死等の防止対策の実施状況について御説明させていただきます。
 「Ⅰ 働き方改革の推進」につきましては「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づきまして、長時間労働等対策及びマネジメント改革等の取組を推進しているところでございます。
 具体的には、内閣人事局の取組といたしましては、まず1つ目、各府省等の取組の支援としまして、国家公務員の働き方改革に係る取組状況の実態及び職員の意識等を横断的に把握・検証するため、国家公務員の働き方改革に関する職員アンケートを実施しております。その結果を公表するとともに、各府省等の個別の結果をフィードバックしまして、各府省等におきます働き方改革の取組を推進しております。また、業務見直し・デジタル化及び人材開発に係る表彰を実施しまして、職員投票を踏まえた受賞結果を公表。それによりまして、各府省等への好事例の共有に取り組んでおります。
 2つ目の業務効率化・デジタル化の推進につきましては、業務見直しのさらなる推進のため、府省等横断の業務見直しに係る意見交換の場を設置・運営しております。
 続きまして、3つ目、長時間労働等対策の強化についてでございます。令和7年4月からフレックスタイム制の柔軟化が開始しておりますが、人事院と連携しまして、制度の運用上のポイントの周知等を行ってまいりました。引き続き、各府省等での円滑な活用を支援してまいります。また、勤務時間管理システムにつきましては、職員の勤務時間の正確な把握及び上司が部下の勤務状況を随時把握することによる適切なマネジメントなどが可能となるということから、各府省等への導入支援や、在庁時間の客観的把握について既に着手済みの本省に加えまして、地方支分部局等についても業務に応じて勤務形態の多様性に配慮しつつ、最も効果的な方法を遅滞なく措置するよう、計画的な導入を促進してまいります。
 4つ目、ワークライフバランスの推進のためのマネジメント向上です。
 まず、アにございますマネジメント研修につきましては、本府省の新任管理職を対象としてマネジメント能力の向上を図るための研修を令和5年度に引き続き実施しております。また、全ての新任の管理職を対象としまして、マネジメントの具体的な行動例をケーススタディーとして学ぶeラーニングも実施しております。
 また、そのeラーニングの中で、イにございますワークライフバランス推進に係る研修も併せて実施しております。引き続き、仕事と生活の両立促進に向けまして、管理職に求められる行動・役割について啓発し、管理職員の意識醸成に取り組んでまいります。
 さらに、ウにございますとおり、各府省等の当局の研修に係るこれまでの知見や各種の優良な取組事例等を共有しまして、各府省等の状況に応じた研修実施等のワークライフバランス等に係る自主的な取組を引き続き支援してまいります。
○内閣官房内閣参事官(福利厚生、ハラスメント防止等担当) 続きまして、次のページを御覧ください。通し番号の22ページになります。「Ⅱ 心身の健康の保持増進」についてでございます。
 まず、国家公務員に対する周知・啓発等の具体的な取組として4点ございます。1点目として、管理監督者がメンタルヘルスの基礎知識やメンタルヘルス不調者への実際の対応方法を習得するためのセミナーを実施しております。2点目は、10月1日から7日までの国家公務員健康週間中に、女性の健康及び心の健康に関するテーマで、健康に対する意識啓発講演会を実施しました。3点目としましては、新任の幹部職員、課長級職員、課長補佐等を対象として、メンタルヘルスやパワーハラスメント防止等の知識や部下からの相談への対応方法、幹部職員等の果たすべき役割や責任の理解、習得のため、eラーニングによるメンタルヘルス講習、ハラスメント防止講習を実施しました。4点目としましては、過労死等の原因となる脳血管疾患等を予防する観点から、健康診断等において、要医療・二次健診の対象となった職員への確実な受診等の指導などを推進しました。
 また、国家公務員に対する相談体制の整備等に関する取組として、カウンセリング能力向上のため、カウンセラー・相談員のための講習会を実施しました。
 内閣人事局としての取組は以上になります。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長 続きまして、総務省より、23ページの資料4「総務省における過労死等の防止対策の実施状況」について説明させていただきます。
 総務省では、地方公務員の過労死防止対策を担っている都道府県や市区町村に対する継続的な助言や情報提供のほか、調査・研究などを行っております。
 24ページでございます。地方公共団体における時間外勤務縮減等の取組をまとめております。
 昨年末に公表しました、令和5年度の地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果を踏まえ、令和6年12月26日に通知を発出いたしまして、勤務時間の適正な把握、長時間勤務者に対する健康確保措置、時間外勤務の縮減の取組などについて、改めて地方公共団体に助言しております。
 また、3のとおり、令和6年度も各種会議において同様の助言を行ったほか、4のとおり、先ほど申した昨年末の通知において、年次有給休暇の取得促進のほか、勤務間のインターバル確保に係る取組の検討などを要請しております。
 5のとおり、ハラスメント防止対策についても適切に講ずるよう要請しております。さらに(2)のところですが、初めて地方公共団体の職員を対象としたハラスメントに関する実態調査を実施するとともに、予防解決に関する取組事例を収集いたしまして、情報提供したところでございます。
 25ページでございますが、上段の地方公務員の過労死等をめぐる調査・分析の取組ですが、令和7年度においても、これまで同様、労働者健康安全機構への委託により、調査・分析を行うこととしております。
 下段には、地方公共団体におけるメンタルヘルス対策の実施状況等を取りまとめております。総務省ではこれまでも、50人未満の事業場を含めて、全ての職員にストレスチェックを実施するよう、地方公共団体に助言しておりますが、令和5年度は、上の表のb/a欄のとおり、全事業場のうち98.6%でストレスチェックが実施されております。また、その下の表の一番右、合計欄のとおり、98.6%の部局で何らかのメンタルヘルス対策が実施されております。
 また、下から2つ目のポツのとおり、研究会での議論を踏まえ、メンタルヘルス対策に関する計画の自主的な策定等を通じて、着実にメンタルヘルス対策を実施していただくよう要請しております。
 26ページでございます。地方公務員に対する講義・研修、それから、相談についての取組でございます。
 地方公務員の研修機関として総務省に設置されております自治大学校では(1)のとおり、幹部候補職員等を対象とした研修課程がございまして、令和6年度においても「管理監督者が実践すべきメンタルヘルス対策」等の講義を行っております。また(2)のとおり、地方公務員安全衛生推進協会において、東京のほか、全国19会場でメンタルヘルス・マネジメント実践研修会を行っており、そのうち、東京会場には総務省からも出席いたしまして、先ほど申し上げた過労死等に関する調査・分析の結果などを説明し、地方公共団体の労働安全衛生の取組をさらに促進するようお願いしております。
 下段の地方公務員に対する相談関係につきましては(1)のとおり、各地方公共団体の人事委員会等に苦情・相談窓口が設置されておりますが、これに加えまして(2)のとおり、関係機関にメンタルヘルスに関する相談先が設置されているほか、一番下の3のとおり、災害に伴う消防職員等の惨事ストレスに対応するため、必要な支援を行います「緊急時メンタルサポートチーム」の派遣などが行われているところでございます。
 総務省といたしましては、引き続き、地方公共団体に対し、助言や情報提供を行ってまいります。
 総務省からは以上でございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 続きまして、文部科学省より、27ページの資料5「文部科学省における過労死等の防止対策の実施状況」について御説明させていただきます。
 次のスライドを御覧ください。文部科学省におきましては学校における働き方改革の更なる加速化に取り組んでおり、まず、客観的な方法により在校等時間を把握することを徹底するよう、教育委員会に対して求めてまいりました。令和6年度「教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査」によれば、令和6年度末までには全国の99.8%の教育委員会が、そして、令和7年度には全ての教育委員会が、ICTの活用などによる客観的な方法で在校等時間を把握する予定であると回答しています。また、2つ目の○でございますけれども、時間外在校等時間の縮減に向けた適切な対策を行う必要があること、3つ目の○でございますが、虚偽の時間を記録し、または記録させることのないようにすることや、業務の持ち帰りは行わないことが原則であること等についても示してまいりました。
 次に、業務の縮減・適正化等に関しましては、本年6月18日公布の給特法等一部改正法において、全ての教育委員会に対して「働き方改革実施計画」(業務量管理・健康確保措置実施計画)の策定・公表や、計画の実施状況の公表等を義務づけることとしております。学校における働き方改革につきましては、これまでも教育委員会に取組を促してまいりましたが、教育委員会における取組状況に差が見られ、取組が進捗していない教育委員会が一定数に上るといった課題を改善し、働き方改革に関するPDCAサイクルを構築するため、このような仕組みを制度化したものでございます。改正法の施行は令和8年4月1日ですが、文部科学省としましては、今後速やかに働き方改革の具体的な方策を明らかにした指針を策定し、教育委員会や学校を支援してまいります。このほかにも、働き方改革の進捗状況のフォローアップや、取組事例の展開等を通じて働き方改革を促進してまいります。
 次に、教師の健康及び福祉の確保等についてでございます。教師のメンタルヘルス対策は喫緊の課題であると認識しており、メンタルヘルス対策に関する調査・研究事業を実施し、医師や臨床心理士、保健師などの専門家の協力を得ながら、効果的な事例の創出等に取り組んでいるところでございます。それから、2つ目の○でございますけれども、令和6年度には、教師の精神疾患による病気休職について、各教育委員会において把握している主な要因について、新たに調査を行いました。この調査によりますと、児童生徒に対する指導そのものに関する業務、職場での対人関係、校務分掌や調査対応等の事務的な業務などが多い結果となりました。こうした結果も踏まえまして、学校の働き方改革の更なる加速化や学校の指導・運営体制の充実などについて、総合的に取組を進めているところです。3つ目の○でございますけれども、メンタルヘルス不調の早期発見等のため、ストレスチェックの実施や面接指導体制の整備等、労働安全衛生管理体制の整備充実を推進しており、引き続き、しっかりと指導してまいります。
 次に、29ページを御覧ください。学校の指導・運営体制の充実としましては、小学校の教科担任制の拡充など、教職員定数の改善に取り組んでおります。また、教師が教師でなければできないことに全力投球できるよう支援スタッフの配置充実に取り組むほか、新規採用教師の負担軽減等に資する取組も進めているところでございます。
 こうした取組を通して、長時間となっている在校等時間を是正し、教師の健康を守るとともに、教師に優れた人材を確保し、教師が子供たちに生き生きと向き合える環境を整備してまいります。
 文部科学省からは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 ただいまの各府省からの御説明につきまして、御質問や御意見等をいただきたいと思います。
 できるだけ多くの委員に御発言いただきたいと思いますので、各委員におかれましては円滑な進行に御協力をお願い申し上げます。
 それでは、渡辺委員、お願いします。
○渡辺委員 御指名ありがとうございます。東京過労死を考える家族の会の渡辺と申します。私からは2点お願いしたいと思います。
 一つは、過労死遺児についてです。本日の資料の89ページにありますように、昨年も皆様の御協力によって過労死遺児交流会を行うことができました。遺児交流会に参加している子供たちはみんな、家族を過労死で失っています。同じ年齢の子供たちの数倍も涙を流してきた子供たちです。交流会会場で1年ぶりに会った子供たちの笑顔を見ると、この会が子供たちの居場所になっていることが分かります。厚労省様には今後とも、御理解、御支援をお願いしたいと思います。
 年に一度の交流会に加えて、オンライン相談室も行っていただけるようになりました。88ページにありますように、相談対応が増えています。過労死に被災した子供たちも思春期になり、将来働くことを考えるときに、親が働いていて、仕事が原因で亡くなったという問題に直面せざるを得ません。過労死遺児たちは、残された親が苦労しているのをそばで見ているので、自分のことで心配をかけまいと、親に相談できないこともあります。そんなときにオンライン相談室が役に立ちます。現在は2か月おきに相談室を開催していただいております。今後もぜひ続けていただきたいと思います。
 この過労死遺児交流会に子供が小さい頃から参加していたお母さんが先日急逝しました。夫が過労死した私たちは、1人で子供を育てなければならなくなりました。子供にとってはたった1人の親です。その親も亡くなることがあるということが現実になりました。当然、労災年金は停止となってしまいます。過労死遺児だけが残されたとき、国からは子供たちに対してどのような補償があるのでしょうか。就学援助費は受け取れるのでしょうか。過労死遺児交流会で給付型の奨学金の情報をお知らせいただきましたが、このような情報を遺児家庭に届けていただきたいと思います。
 過労死家族の会に入会している御家庭のことは分かりますが、それ以外にも過労死遺児は大勢いると思います。そのような子供たちにも支援の手が届くように考えていただきたいと思います。親が家族の会に入っていなくても、子供たちには支援が届くようにしていただけたらと思います。過労死弁護団や過労死防止センターでは過労死遺児たちについて把握していると思いますので、そちらの団体とも協力して家族会以外の遺児たちにも支援を広げていってほしいと願っております。
 2点目は、若年層と啓発事業についてです。6ページに事業内容、57ページに啓発事業の実施状況が出ています。啓発事業では、生徒さんや学生さんに過労死のことを伝えて、感想をいただいております。その中で、過労死はたまに報道されるけれども、実態を初めて知ったとか、遺族がこんなに苦しむとは知らなかったとか、こんなに認定されにくいことを知らなかった、労働現場や会社側の過労死に対する扱いなどの話を聞いて驚いたなどの声を聞きます。在学中は過労死は別世界のこととして話を聞いているようですが、就職して1年目、2年目など、数年で過労死した若者たちが実際におり、その家族が私たちの会の会員です。若年層の被災は絶対なくしていかなければなりません。79ページにありますように、若年労働者への取組を行っているようですが、具体的内容とその効果についてお知らせいただければと思います。
 現在の啓発事業では、クラスや学校単位で遺家族が生徒・学生に話をしていますが、学校側が啓発事業を取り入れてくれなければ若い人に伝えることはできません。啓発事業を受けなくても、過労死のことが若年層に伝えられる方法を考えていただきたいと思います。若年層が社会に出る前に、過労死は他人事ではないこと、働き出して数年でも起こっていることを知ってもらいたいと思います。
 また、今までに啓発事業を受けて関心を持ってくれた人は延べ人数でかなりの数に上っていると思います。現在は、啓発事業の後、アンケートを送るだけで、その後、この学生たちについて何のフォローもありません。授業の感想を伝え合ったり、その人たちがその後、就職活動したり働き出して、この労働実態はおかしいと感じたり、これはハラスメントではないかと思ったときに相談したりできるような体制につなげる仕組みをつくっていただけないでしょうか。せっかく啓発事業で弁護士さんや遺族の発言を聞いて過労死を自分事として捉えることができる学生が、啓発事業の続きとして、その後、働き出したときにフォローができるような仕組みをぜひお願いしたいと思います。
 昨日も啓発事業に行ってきたのですけれども、授業の後に取るアンケートが電子データのやり取りになっておりました。電子データのやり取りで、学生さんのタブレットから直接、事務局に送ることになっておりまして、担当の先生とか私たちは目に触れることができません。6ページで啓発事業の内容について講師に伝えるというようなことが書いてあると思うのですけれども、電子データのやり取りになってしまった場合は、この面はどうなるのか、お伝えいただけたらと思います。
 また、私は授業をしているときにパワーポイントを使うのですけれども、パワーポイントの資料が学生さんのタブレット一台一台に電子データとして配付されていました。私は遺族なので、夫が亡くなった状況ですとか非常にプライベートな話もするのですけれども、それが学生さんのタブレットから外に出ないという保証はないです。個人データをそういうふうに学生さんに一人一人配付するという方向で、今年から厚労省は紙ベースを廃止したのでしょうか。その辺もお聞きしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○中窪会長 ありがとうございました。
 お答えにつきましては最後に一括してやっていただきますが、そのほか、御質問、御意見はございますでしょうか。
 それでは、オンラインの工藤委員、お願いいたします。
○工藤委員 御指名ありがとうございます。神奈川過労死等を考える家族の会の工藤でございます。私からは、今般、改正給特法が成立したばかりでもありますので、重点業種の教職員への対応について4点述べさせていただきます。今回、とても充実した分かりやすい資料をありがとうございます。
 1点目は、重点業種である教職員に対して、厚生労働省のほうからの対策についてです。資料からは啓発として、例えば8ページから17ページで、各省庁との連携についてですとか、あと、企業や各業種に対して、メンタルヘルス対策、各シンポジウムの開催やマニュアルの作成、勤務間インターバルについても助成金が出たりとか、あと、業種別のマニュアル作成などが書いてあります。その中で、3ページにもありますけれども、教職員は依然として長時間労働であって、精神疾患の休職者も過去最高を記録している状況があります。そして、重点業種の中でも、ほとんどが公立学校、一部が私立という、とても複雑な業種にもなっています。まずは、厚生労働省が私立学校に対して8ページから17ページにあるような対策を行っているか、質問をさせてください。
 また、文科省様がここまでの対策を公立学校に対してなかなかできるとは思えず、また、各教育委員会や学校管理職も行うのも限界があるというふうに考えています。ぜひ文科省と厚生労働省さんが、縦割りは大変難しいとは思いますけれども、やはり過労死防止法の中で、重点業種である教職員に対しては、厚生労働省が行っている対策を文科省と連携して、ほかの業種のように行っていただきたいです。ぜひ厚生労働省ともに対策をお願いします。
 2点目は、28ページの「教師の健康及び福祉の確保等」についてなのですけれども、精神疾患による病気休職の要因について、先ほど令和6年に調査を実施されたというお話がありましたが、今後もこの調査は引き続き行っていくのか。また、詳細についても報告をしていただけるのかということをお聞きしたいです。ぜひ要因については分析をして、それを生かすような対策を今後も取っていただきたいですし、勤務間インターバルについても、教職員ならではのマニュアルをつくって、学校自体が使いやすいものを広く啓発していただきたいです。
 3つ目は、今般、改正給特法の衆議院の附帯決議にて、教職員の過労死等の公務災害を疑われる事案が発生した際は、服務監督者である教育委員会及び校長は速やかに調査を行い、再発防止に向けた取組を講ずるとありますが、こちらは2019年1月17日、同じような内容で文科省より調査結果と通知が出ていて、この過労死防止の協議会でも以前報告されていましたし、その後、きちんと調査を行ってほしい旨、私のほうからもお願いいたしました。この2019年の通知以来、この調査及び再発防止の取組をどのように行われてきたのか、教えていただきたいと思います。また、行ってきたら、当時のように、資料として出していただきたいと思います。
 4点目、最後ですが、今回、新たに主務教諭が創設されましたが、私の夫は主務教諭と同じような業務内容の職に就いたことで業務が集中して過労死に至りました。多くの自治体で、主務教諭という名ではありませんけれども、主任・主幹・専任という職は業務が集中しがちで多忙となる傾向があり、先生方もあまりなりたくないという職でもあるというふうに聞いていますので、ぜひ業務過多にならないように、各自治体任せではなくて、文科省としてもチェックを行っていただきたいと思います。
 以上になります。ありがとうございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 では、髙橋委員、お願いします。
○髙橋委員 御指名ありがとうございます。髙橋幸美と申します。私は、大切に育てたかけがえのない娘を過労自殺で亡くした親として意見を申し上げます。
 1つ目は、資料4ページ、60ページにあります勤務間インターバル制度についてです。私の娘は大卒総合職で、入社後わずか9か月で亡くなりました。長時間労働などが原因の精神障害でした。一日の労働時間が19時間ということが度々ありました。朝9時出社から翌朝4時に退勤して、2時間の仮眠で、9時にまた出社しました。退勤後の5時間の全てを睡眠に充てることはできません。会社まで往復に1時間、シャワーを浴びて身支度するのも時間が必要です。十分に寝ることはできません。1週間の合計の睡眠がわずか10時間ということもありました。人間は眠らなければ生きられません。インターバルが確保されて、毎日、ちゃんと眠れていれば娘は過労死することはなかったと思います。人間らしい生活と生命を維持するための睡眠を確保するためには、最低でも11時間の勤務間インターバルが必要だと思います。
 インターバルの制度の導入率は5.7%、なかなか増えていきません。業界ごとの導入マニュアルも充実させていただいているところですが、このまま、努力勤務のまま導入が進まなければ過労死の危険がある、本当に導入するべき事業所の労働者が過労死の危険に置かれ続けることになります。労働基準関係法制研究会では、2026年の働き方改革の見直しに向けて、全ての働く人が心身の健康を維持しながら幸せに生き続けることのできる社会を目指して取りまとめがされました。義務化には、猶予期間を設けて、助成金制度を活用して導入するなどして、過労死の危険がある事業所の労働者の健康を守るために、必ず義務化に向けて進めていただきたいと思います。
 2つ目、資料41ページ、44ページの監督指導関係についてです。残業の上限規制が法制化されても長時間労働は解消されず、違法な長時間労働や過労死を起こした企業に対して監督指導を続けていただいているところです。労働基準関係法令違反の公表も行っていただいておりますが、一層の監督の強化をお願いしたいと思います。42ページの公表制度では、複数の事業所で違法な長時間労働が行われ、労基署の指導の後も改善されておらず、再度、是正勧告をされた医療法人の公表が行われ、報道もありました。公表と是正指導が、根本的な経営の見直しを行い、医療法人での働き方が改善されていくことを願っております。
 次に、47ページの、これは昨年度から運用していただいている、複数の過労死を出した事業所の本社に改善計画の策定と定着の確認を行っていただいているものです。私たちが長年お願いしてきた、過労死を繰り返している企業に対して対策をしてほしいという要望がやっと1つ進めていただいたものだと思います。昨年の実績は42件、42の企業が過労死を再発させていたということに、本当に悲しい気持ち、憤りを覚えています。このまま定着が行われることを、1年間単位で見ていって終了ということではなく、それ以降も継続して注視していただけるようにしてほしいと思います。しかし、過労死を再発させてからでは遅いと思います。一度でも過労死があった企業に対して、このような再発防止の改善計画の提出、職場の定着の確認などを継続に行う仕組みをつくっていただけるよう、いま一度お願いしたいと思います。
 3つ目は、高校・大学などの啓発事業についてです。先ほど渡辺委員からもありましたように、授業を受けた学生が、社会に出て間もない若者に対して過労死の危険がある。それは本当に人ごとではない、自分のことということが分かったという意見を私も幾つももらっています。今年度は予算を増やしていただいたと伺っており、感謝しております。
 今後、予算と目標数などがありましたら、お聞かせいただければと思います。今後、一層、多くの学生が授業を受けることができるようにお願いしたいと思います。
 4つ目、防止法の見直しについてです。今回の資料には防止法はついておりませんが、6月20日で過労死防止推進法の成立から11年になりました。令和6年度の労災補償状況がおととい出ましたが、残念ながら、過労死の労災認定・労災請求は増加の一方です。この防止法からの10年間の対策の課題を振り返り、どうか、防止法の見直しを視野に入れていただけるようにお願いしたいと思います。防止法第3条では過労死に関する実態が十分に把握されていないと記載されていますが、これはこの10年の調査・研究で原因と対策が明らかにされてきたのではないでしょうか。
 次に、第4条では、国は過労死防止対策を効果的に推進する責務がある、地方公共団体は国と協力して防止対策を効果的に推進するよう努めなければならない、事業主は国や地方公共団体の対策に協力するように努めるものとされています。事業主は、労働者の労務管理、安全と健康の確保に責務があり、過労死を防止する責任と義務があります。それが防止法には明記されていません。大綱では、事業主は国の対策に協力するとともに、労働者を雇用する者として責任を持って過労死防止に取り組むとしていただきました。防止法にも事業主の責務を明記して、全ての過労死対策を事業主は責任を持って行っていけるように改定をお願いしたいと思います。これについては、兵庫県議会が今年3月、過労死防止法の見直しを求める意見書を提出されています。厚労省の皆さんの下に届いているか、また確認していただいて、進めていただきたいと思います。
 過労死防止のために、国と事業所、国民一丸となって、働く者の命が守られる職場づくりを進めていってほしいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。 それでは、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 御指名いただきましたので、玉木から発言をさせていただきます。
 一昨日の6月25日に、厚生労働省が令和6年度の過労死の労災補償状況を発表しました。脳・心臓疾患の請求件数は1,030件、前年度比7件増。精神障害については3,780件、前年度比205件増という増加でありまして、脳・心臓疾患、精神障害とも、請求件数は減っていません。この6年度件数だけを見ると増加件数が多くない印象を受けるかもしれませんが、本日、委員に配付されている労災補償状況の経年変化を見ますと、脳・心臓疾患については、令和2年度が784件、令和6年度が1,030件、令和5年度が1,023件ということで、これは令和5年度に約200件、25%増をしているので、令和6年度が同じ水準でも増加が多く見えないようなことになっています。
 また、精神疾患に関して申し上げますと、令和5年度に約800件以上の増加、2,683件から3,575件ということで、この年度で33%増加しています。令和6年度はそれにさらに200件増加したということで、令和2年度の請求件数に比べると8割から9割の増加というように請求件数が増加しております。このような状況について、過労死防止法施行10年が昨年経過しているのですが、過労死を予防し根絶するということを目的として過労死等防止対策推進法ができたのに、このような増加傾向にあるというのは私どもとしてはゆゆしき事態ではないかと思っております。
 この労災補償状況の発表で、私ども、新聞報道を見させていただいたところ、厚生労働省の担当者のコメントとして、認定基準の改定や労災補償手続の周知が行われたことがこの増加数の原因ではないか、理由ではないかというようなコメントが書かれていました。しかし、もしこのような認識だとしますと、脳・心臓疾患、精神疾患の労災請求件数が急増している状態を矮小化して受け止められているのではないか。やはり実態はどこにあるのかということを厚生労働省としては把握していただかなくてはいけないのではないか。把握するだけではなくて、対策を取っていただかなくてはいけない。
 昨年のこの協議会で、令和5年に急増した要因を分析していただきたいということで、先ほど厚生労働省からも説明がございました。脳・心臓疾患に関しては総実労働時間が減少しているからという話もありましたが、私どもの認識としては、実労働時間が減少しているということが本当か、そういう実態ではないのではないかというように考えております。
 脳・心臓疾患については、令和3年9月に労災認定基準が改定されました。厚生労働省から、80時間未満でも負荷要因を考慮して労災認定をするのだというところが一番大きなポイントだということが指摘されましたが、令和2年度、認定基準改定前に、時間外労働が60時間から80時間で労災認定されたケースは17件、80時間から100時間で労災認定されたケースは75件。これが認定基準改定後、60時間から80時間で認定された件数が45件、80時間から100時間では34件。認定基準改定の前後で、80時間以上の労働時間で労災認定されたのが半数以下の件数になっております。令和6年度は80時間から100時間が63件となっていますが、認定件数自体が241件、令和2年度に比べると50件増えているのです。そういうことから考えると、80時間以上100時間の理由によって支給決定がされた件数は事実上減っているのではないか。
 このことを捉えて、過労死をした労働者の労働時間が減っているのではなくて、私ども、ふだんから労働基準監督署に現場で対応する者としては、労働時間の認定自体が減っているのではないか、と考えています。顕著なものとしては、例えば自宅への持ち帰り残業で、これまで成果物としてつくった文書が残っている場合は、この文書をつくるのにどのぐらいの時間がかかったかということを推定して労働時間として認めていたものを、現在は認めない、あくまで文書の更新は点であるというような理由。それから、休日労働については、使用者・事業主の指揮命令を受けているのかということによって労働時間と認定されなくなったり、最近の報道で、労働時間について、拘束時間の中の多くの時間を休憩時間として申告している例を、そのまま認定しているというようなケースが多くなり、やはり労働時間の認定が少なくなっているのではないかというように思っております。実態より少ないということです。
 それから、先ほど精神疾患の原因について、急増しているのは、職種と理由について、対人関係、上司とのトラブル、パワーハラスメント、仕事内容や仕事量の大きな変化を生じさせる出来事。これを理由とする精神疾患の請求件数が増えており、急増傾向が一致していると御説明がありました。もしそうであるとしたら、ここの急増をどういうふうに減らすということを、今のパワーハラスメント対策では効果が出ていないということではないかと思います。ぜひ、ここの点についての効果ある対策を取っていただきたい。
 もう一つ、過労死の労災補償の申請件数に対する職員体制が追いついていないのではないか。令和2年度以降の急増は著しく、先ほど述べたように、脳・心臓疾患で25%の請求件数の急増、精神障害については8~9割の増加をしているわけです。これに対して、調査・判断をする現場の職員は多く増えていない、追いついていないのではないか。そういうことから、労働時間の実態把握が不十分になっているのではないでしょうか。
 往々にして、労働時間の認定について、使用者側が提出した勤務実態の申告書ですとかタイムカードだけを基に認定されたり、ハラスメントに対して同僚に対する調査を、私どもの経験した例では、会社を通じて労基署がアンケートのようなものを配って、パワーハラスメントを見たか、見ないか、はい、いいえで答える。会社を通じて出したものです。それでいいえが多いから、こういうパワーハラスメントはなかったという安易な調査体制を取っているのではないかというように、つまり、それは基準監督署の職員の数が足りていないことからそういうことが起きているのではないか。
 特に、私どもは東京労働局管内の支給決定件数が全国平均に比較して著しく低い状態を問題視しております。精神疾患に関しては過去5年間、一度も全国平均を上回ったことがございません。昨年度は、全国平均が30.2%なのに対して、東京の労災認定率、支給決定された認定率は18.3%です。私どもとしてはあまりに低いのではないか。その原因は、東京でそういうハラスメントとか上司とのトラブルが少ないのではなくて、やはり先ほど述べた労働基準監督署の職員体制が十分でないことから、実態に即した調査が必要な、ハラスメント、上司とのトラブルなどについて、それがなかなか実現できていないのではないかというように考えております。こういう点からも、ぜひとも過労死の心臓疾患、精神疾患に対する労災補償の現場を対応する職員体制も充実をしていただきたいと考えております。
 最後に、ちょっと違う問題で、啓発シンポジウムについてですが、参加人員の問題について、厚生労働省の資料の89ページを拝見しますと、参加者の推移があります。新型コロナウイルス感染症前の平成29年、30年は約5,600~5,800人が参加しているのですが、コロナが終息した令和5年度から令和6年度は4,400~4,800人という参加人数になっております。過労死は、働き方改革や過労死防止対策推進法ができたことによって解決した問題ではありません。特にこのシンポジウムの参加者のアンケートで見ますと、遺族・当事者の体験談を聞いて初めて過労死の実態が分かったという参加者が非常に多い回答を得ています。
 したがって、今後、啓発シンポジウムを行っていくのに、やはり参加者の数を増やしていかなくてはいけない。そういう点で、ぜひ各地の労働局が主体となって、事業者団体を通じた会社への働きかけ、それから、労働組合を通じた働きかけをより一層行っていただいて、委託会社任せではなくて、参加者を増やす方策を取っていただきたいというのが私の意見でございます。
 以上です。長くなりましたら申し訳ありません。ありがとうございました。
○中窪会長 ありがとうございました。
 では、小池委員、お願いいたします。
○小池委員 御指名ありがとうございます。大阪過労死を考える家族の会の小池でございます。私から3点意見を述べます。
 1点目は、私は夫を過労死で亡くした遺族ですが、夫の働き方、夫が過労死して感じたこと、また、夫の業種への思いなどを話させていただきます。
 夫は、保育園を経営していた社会福祉法人が介護老人福祉施設を開業し、夫は会計の全てを担う事務職でした。法人はわずか数年の間に様々な老人福祉施設を開業し、施設数の増加に伴い、職員数も増えていきました。しかしながら、現場職員はもちろん、事務職も離職する職員が多く、人手不足で、夫の仕事も膨大になっていました。夫は職場のことは話してくれていましたが、亡くなった後、労働基準監督署の調査官の方や職場の元同僚のお話をお聞きし、改めて職場での夫の過酷な働かされ方を知り、驚愕しました。私は、十数年前から多くの施設が開設されてきた老人介護職場だからこそ実態の調査を行ってほしいと願っております。
 そこで、資料8の106ページの「精神障害事案について5」では、介護事業所は医療福祉のところに当てはまると思われます。先日公表された令和6年度の過労死等の労災補償状況の表2-2-1の精神障害の請求件数、表2-2-2の支給決定件数、いずれも社会保険、社会福祉、介護事業が一番多い業種であり、今後も申請者が増加する傾向にあると予想されます。介護事業は近年急成長し、社会福祉法人から少人数の小さな事業所まで、携わる方が大変多くなっていることを考え合わせると、介護業種の具体的な情報の提供、調査・研究、啓発が必要との思いがあります。私たちの身近な存在となっている介護の職種にも注目をしていただき、携わる方が働きやすい職場であることが、提供される側にもよいサービスを受けることにつながると考えます。
 2点目は、渡辺委員の意見と重なるところがありますが、過労死遺族・当事者へのオンライン相談室について要望します。
 私が代表をしている大阪過労死を考える家族の会では最近、私のような脳・心臓疾患の過労死遺族と当事者の相談は少なく、圧倒的に過労自死遺族や精神疾患の方がほとんどになっています。遺族は、大切な家族の突然の死を受け止められず、死の原因が仕事であることに大きな憤りを感じます。そんな遺族の嘆き・悲しみは想像をはるかに超えていると思っていただきたいです。
 家族の会では、ほかの遺族の経験を聞いてもらい、励まし合い、支え合っていますが、残念ながら、個人の心のうちの解決を図れる場ではありません。おかげさまで、民間団体の活動支援ということで、オンラインでの子供相談室や保護者相談室は充実していて、相談してよかったという声もよく聞きます。子供や保護者以外の方が相談できる相談室の日程も設定してくださっています。しかしながら、子供や保護者以外のオンライン相談室は最近、過労死等防止対策推進月間の11月中の1日のみとなっておりますので、1年に一度というタイミングが合わず、相談できない場合も考えられます。日にちに間隔を空けて、せめて年に2~3回の日程を要望いたします。
 皆様も御承知のとおり、最近は若年層の過労死遺族・当事者が増加しています。そのため、娘さんや息子さんを亡くされた親御さんの会員も増え、遺族・当事者それぞれに家庭環境や立場の違いによるストレスの受け方は多様となっています。引き続き、個々に合わせた相談室をお願いしたいと思っております。
 3点目は、フリーランスについてです。
 6月17日の朝刊に、出版大手2社のフリーランス法違反が掲載されました。メディア業界である出版社の中でこれまで日が当たらなかったフリーランスではありますが、公正取引委員会が会社名を挙げ、初の勧告を出しました。さきの大綱の見直しで、重点業種にメディア業界が挙げられております。多岐にわたるメディア業界ではありますが、今後の調査・研究で働き方を見直せることを望みます。
 それに加え、昨日26日の朝刊にも、音楽教室の教師をフリーランスに委託していた楽器販売大手に音楽業界初の勧告措置が取られたという記事がありました。このように、一つ一つ企業名を公表することで啓発につながることを期待しています。
 フリーランスについては、様々な業種で働く方々がおられますが、1人で仕事を請け負う弱い立場であります。フリーランスの方々の働き方が法律の保護のもととなり、職場改善につながる権利の周知と啓発につながっていくことを願います。現在、働き方への意識改革が促されつつありますが、このようなフリーランスなど、多種多様な働き方の一つ一つが見直されていくことも働くこと全体への意識向上という相乗効果を生み出すと信じています。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。私からは2点意見を申し上げたいと思います。
 今ほど様々御紹介いただきましたけれども、長時間労働の是正を含む働き方改革関連法につきましては、施行後5年を経過し、その見直しに向け労働条件分科会でも議論されております。様々な取組によって長時間労働者の割合は全体としては下がってきていると思いますけれども、資料でも御紹介をいただいているように、業種別でかなりばらつきが出ていると捉えております。また、運輸業・建設業等の割合が高いまま推移しているという現状が見てとれるかと思っておりますし、これらの業種での脳・心臓疾患の請求件数も多くなっているということから、さらなる労働時間の縮減に向けた取組の強化が必要だと考えております。
 とりわけ運送業につきましては、発着荷主・元請運送事業者からの荷積みの強要、長時間の荷待ち、また、建設業では、発注者や元請事業者からの短納期での発注、買いたたきなどが長時間労働を招いているというような現状もございます。今国会で成立いたしました改正貨物自動車運送事業法等の施行を見据えつつ、新・担い手3法などを踏まえた商慣行の是正または取引の適正化を強力に進めるということが重要だと考えておりますし、労働者保護の視点に立った働き方改革を実現する観点から、各企業の労使による長時間労働の根絶に向けた取組を、これは業所管省庁も含めて、強力に後押しいただくことが重要と考えております。
 もう一点、メンタルヘルス対策の強化でございます。資料にもございますけれども、先ほどから何人かの方が御指摘されています、今月25日に公表された令和6年度過労死等の労災補償状況を見ますと、精神障害を理由とした労災の請求件数、支給決定件数ともに過去最高となっております。そうした状況を踏まえれば、当然のことながら、職場におけるメンタルヘルス対策を強化することというのはまさに急務だと考えております。
 その点、今国会で成立をいたしました労働安全衛生法等の改正法につきましては、先ほどもフリーランスの話がございましたけれども、個人事業主等に対する安全衛生対策、また、全事業場へのストレスチェックの義務化など、過労死等ゼロの実現にも資する内容となっていると思いますので、同法の施行を待つのではなく、7ページにも記載がありますが、調査・研究等で得られた知見に基づきながら、新たなメンタルヘルス対策の検討や強化を含めまして、ぜひ積極的なお取組をお願いしたいというふうに思います。
 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、清山委員、お願いいたします。
○清山委員 すみません。先ほど玉木先生がおっしゃったことに関連して、労働時間の認定をめぐることについて、少し調査をしていただきたいなと思っていることがあります。特に重点業種に関して言えば、医師と学校教員などで働き方改革が随分進められているとは思うのですけれども、例えば学校教員は超勤4項目以外を残業として認めるようになった。そうすると、以前は認められなかった労働災害が、もし今、それが裁判になったら認められたのではないかというようなケースとかも実際にあるのではないかと思うのです。そういうものがどのくらいあるのかということをやはり遡ってきちんと検討する必要はあるのではないかということ。
 それから、将来に向かってということであると、医師の宿直許可が物すごい勢いで、大学病院や救急病院等、大変なところにもオーケーが出ている。働き方にこれまでとそこまでの変化がないにもかかわらずといいますか、業務は結構やっているのに許可が下りてしまって労働時間ではないというふうにされているところもあるということが新聞やテレビ、あるいはいろいろな医療関係の調査でも出ています。やはりここの部分について、許可を出した後、どのような労働実態なのか。特に自己研さんとされている部分、つまり、労働時間から外されて、大抵、宿日直をやっていたときに、手術の準備とか、新しい薬や治療法の勉強とか、いろいろなことをされていたと思うのですけれども、それらがどこまでが自己研さん、ほとんど自己研さんなのか、あるいはどこまでは認めるのかというようなことも含めて、実態を明らかにしてほしいと思います。それによって、もしかしたら、今は労働時間とみなさなくなってしまったものも再度、これは労働時間とみなすべきではないかというような検討もできると思うのです。実態に合わせることがすごく大事ではないかなと思っているので、その辺りの調査を是非していただきたい。あるいは既にフォローしている、許可を出した後、きちんとその後、チェックしていますということであれば、そういうこともお伝えいただきたいなと思います。
 教員のところに関して言うと、働き方改革を随分と、今、文科省は進めていらっしゃると思いますけれども、やはり時間記録について確認・指導を徹底していただきたいと思います。ICTになったからといって正しく記録されているというわけではない。マネジメント側がかなり調整をかけて、長時間休日労働にならないように文科省さんはちゃんと指導されているのだけれども、教育委員会も指導しているのだけれども、現場が変わっていないところもあるようです。本当に管理職、上のほうのクラスの先生方からも、なかなか難しいのですと、困っていらっしゃる方が結構いらっしゃいますし、若い、今年になったばかりとか2年目とかの、学校の先生になったばかりで休職に追い込まれているというような、そのときの職場環境であるとかマネジメントとの対応関係についても、伺っていると、これまでの労働慣行から完全に離脱するということはすぐには難しいように見受けられます。難しいから放っておけということではなくて、文科省だけではなくて、労働のプロフェッショナルな部署である厚労省の担当者の方とかが、今のままでは駄目だと、実際に入っていってチェックされないといけないのではないかなと思ったりします。
 マネジメントのうまいところのロールモデル校は、働き方改革をちゃんと進めているけれども、まだ全然進んでいないという学校現場があると聞いています。労働時間を改ざんするということは、改ざんとまでいかなくても、時間を正確につけないでくれということが起きています。これも自己研さんにということなのかもしれないのですけれども、そのような雰囲気が漂っている。時間をきちんとつける立場にあるマネジメントの先生が正確につけていない。本当に大変な思いをされているという教頭先生とか副校長とかのレベルの方々が大変だというものを見たら、自分もつけられないねというふうになったりとかをしていると聞いているので、その辺りの慣行の見直しも、やはり同じ組織内だけではなくて、もしかしたら民間企業のいい事例とかも指導していただいたらいいのかなと思います。
 あと、国家公務、地方公務とも、自然災害やその他、必ず毎年起きているので、やはりうまくやった、比較的上手に対応したロールモデル自治体のケースをちゃんと他の自治体に公表しといいますか、広げてもらったらいいのではないかなと思うのです。コロナのときも、すごくひどい働き方をしている自治体と、そこまででなくても対応が比較的できている自治体というものがあったのではないかなと思います。国家公務員の方についてつい最近出た働き方改革の調査は胸が痛みました。厚生労働省の皆さん方も文科省の皆さん方も本当に過労死しそうな状態ではないか。辞めた人たちがたくさんいるということに対して胸が痛みましたが、そこの部分もちゃんと対策を打っていただきたい。民間だけではないというところはお伝えしたいと思います。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 御指名ありがとうございます。私からは2点発言をさせていただきます。
 まず1点目につきましては、公務員における超過勤務及びメンタルヘルスへの対策・取組についてです。資料18ページの人事院の資料を見ますと、国家公務員において、超過勤務の縮減、勤務間インターバル確保など、様々な取組が進められておりますが、19ページの4つの上限を超えた職員の割合はいずれも2023年度は前年度からほぼ横ばいとなっております。また、地方公共団体におきましても、45時間超の長時間労働を行った割合は2023年度では全団体で4.8%との調査結果も出ており、超過勤務の課題はまだまだ解消されていないと言わざるを得ないと思います。
 また、メンタルヘルス対策をはじめとして、取組も紹介をされておりますが、国家公務員についても精神・行動の障害による長期病休者率は直近の2021年調査では増加をしております。また、総務省の調査においても、2023年度の地方公務員のメンタルヘルス不調により、引き続いて1か月以上の期間、病気休暇取得または休職した職員については約4万8000人となっており、前年度調査よりも4,000人超増加をしている実態がございます。
 公務現場における超過勤務の縮減やハラスメント・メンタルヘルス対策を一層進めていくことが非常に重要であることは言うまでもございませんが、過大な超過勤務の大きな原因の一つである人手不足解消を図るために、行政機関の職員の定員に関する法律の改正を含め、国及び地方における必要な人員の確保と適正配置にも引き続き取り組んでいただきたいと思っております。
 2点目につきましては、学校における働き方改革についてです。資料28ページにもありますように、教師の1か月当たりの平均の時間外在校等時間は平均で、小学校は約41時間、中学校は約58時間と長く、38ページのとおり、教員の精神疾患による病気休職者数は増加傾向にあり、看過できない現状であると言えます。
 今国会で成立をしました改正給特法には、学校の働き方改革を推進するための施策を講じることが与野党の修正で明記がされましたが、その着実な実行が重要であると考えております。政府は、施策の実行を教育委員会や学校に任せきりにするのではなく、伴走支援を行い、施策に目詰まりがあった場合は早期に対策を図るなど、強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。併せまして、施策のフォローアップとして、今後も教員勤務実態調査の継続的な実施によって実態把握のほうもお願いをしたいと思います。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、岩井委員、お願いいたします。
○岩井委員 岩井です。私は、愛知で弁護士をしております。過労死弁護団の一員でもありまして、私のところには、過労死をされたという御家族の方とか、あるいは精神疾患や脳・心臓疾患で倒れたといいますか、休職せざるを得なくなって労災申請したいという相談に乗っております。一弁護士ですので、統計的なことまで分からないのですけれども、体感的に、減っていかないといいますか、相談がずっとひっきりなしにあるというふうに思います。
 まさに、今日、統計でありましたけれども、医師の方、あるいは先生の方というものの知見もありましたし、運輸関係で運転手さんがやはり長時間労働で脳・心臓疾患になったという事件もありました。最近は、パワーハラスメントで労災認定されたという事案も複数あって、これは今までだとなかなかパワーハラスメントだけでは難しくて、長時間労働とか、あるいは配転とか、そういうものの組合せで認定されたというものが、これは令和2年の認定基準が明確化されたことによって、若干、パワーハラスメントの基準が明らかになったおかげで認定されているのかなという体感もあります。
 ただ、先ほども玉木委員も言われましたように、認定基準が変わったことだけで今の認定件数が増えているのかなということを考えると、請求件数が大幅に増えているところから見ると、認定基準が変わったからすぐに請求しようという方がいるというふうには思えないので、これは実態として、請求したいという方が増えている。そういう実情にあるのではないかなと思います。そういう意味では今回、厚生労働省のほうから令和5年の件数が増えているということの分析をしていただきましたけれども、今回の令和6年の支給件数が増えていることについて、果たして認定基準が明確化されたり、あるいは認められなかったものを認めることになった部分が増えているのか、それとも、違う要因もあるのかということについては引き続き検討していただきたいし、ほかの要因もあるのではないかなということが実情として思っております。
 それからもう一点、私も体験しておりますが、最近、報道でも一部ありましたけれども、外国に出張した方が出張先で亡くなられるというような事件が報道されて、そういう方が多数おられるということがありました。今、こういう時代で、コロナも明けて、あるいはコロナの前から企業で海外出張されてということがあって、それが原因で脳・心臓疾患あるいはメンタルが不調になって労災を請求するということが一定数あるように思われます。
 私が体験したものについては、行政訴訟もやって、認定されませんでしたけれども、海外に行ってからメンタルが不調になって帰ってきて、その後もストレスがあって、最終的には自殺されたというケースがありました。この点、それから、海外に出張されてということになると、日本の労災なのか、海外の労災なのかという、海外なので特別支給に加入して労災なのかという問題もありますし、特別支給の加入ですと、普通の労災よりも手当てが十分でないという問題点とか、いろいろ問題点があるみたいですけれども、この海外の出張をされる方、あるいは長期に海外に滞在される方についての実情はどうなのかということについても取り上げていただいて、実態はどうかということを一度検討していただけないかなというふうには思っております。
 以上です。
○中窪会長 ありがとうございました。
 それでは、青木委員、お願いいたします。
○青木委員 御指名ありがとうございます。情報労連の青木でございます。私のほうからは2点、意見を申し上げたいと思っております。
 まず1点目ですが、ハラスメント対策について、2022年4月からパワハラ防止措置が全ての事業者に義務化されておりますが、資料17ページに掲載いただいておりますとおり、今般の常会で労働施策総合推進法等の改正がなされ、来年以降、カスタマーハラスメント対策やいわゆる就活セクハラ対策も事業者に勤務づけられることになりました。職場におけるハラスメントにつきましては、メンタル不調の主たる原因でもありまして、働く者の人権や尊厳をないがしろにするものであります。ハラスメントをしない、させないということを各職場で意識を醸成するには我々労働組合の役割も大きいと考えておりまして、私ども情報労連の加盟組織でも、職場におけるハラスメントの是正に向けた労使協議等の開催や職場段階での取組を進めてきておりますし、企業のみならず、労働組合としても相談窓口を設置し、組合員からの相談を受ける専門ダイヤルやホームページを開設するなどの取組を実施してきております。
 企業労使の取組はこのように進んでおりますが、今回、資料に記載されていますように、カスタマーハラスメントにつきましては、取引先や顧客を含めたハラスメント対策という意味では、やはり国全体で規範意識を高める取組ということが非常に重要だと考えておりますので、改正労推法の施行に向け、改正内容の理解促進とともに、労働者が安心して働くことができるよう啓発を進めていただきたいと考えております。
 もう一点は、勤務間インターバルの制度の導入促進でございます。先ほど髙橋委員も触れていただきましたけれども、4ページの結果を見ても、やはり制度導入が進んでいない状況になっております。現在、働き方改革関連法の施行5年後の見直し論議が行われておりまして、勤務間インターバル制度の導入を後押しするための法制面での対応が欠かせないと考えております。あわせて、勤務間インターバル制度の各職場での定着や適正な運用を広げていくためには、まさに現場の労使である我々が着実な取組を推進していくということが重要だと思っておりまして、施策とセットで進めることが重要と考えております。
 私ども情報労連でも、実は2011年から勤務間インターバル制度の導入を掲げて、当初、16組織だけの導入でしたが、10年かけて、2024年段階で125組織が導入されました。この間、導入に向けて、独自のガイドラインの作成などを進めてきました。こうした取組を一層推進するためには法制面での後押しが重要になってくると思いますので、ぜひとも積極的な対応をお願いしたいと考えております。
 私のほうからは以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、以上、様々な御意見や御質問をいただきました。それぞれの御担当から回答をお願いしたいと思います。
○総務課長 厚生労働省でございます。担当のほうから、順次、御質問に対して御回答させていただきたいと思います。
 私のほうから、少しまとめて御回答させていただければと思います。
 1点目、遺児交流会に関する御意見ありがとうございました。渡辺委員、それから、小池委員からいただいております。引き続き、遺児交流会は実施していきたいというふうに思っております。参加者を広げていくことについて、やり方自体、いつも家族の会の皆様方とも御相談させていただきながら進めておりましたので、少し、どういうやり方がいいのかということを、効果的に行うためにもということだと思いますので、その辺りは御相談させていただければというふうに思っております。また、やはり私どもとしても、いろいろな方に広げていくということは大事だというふうに思っております。支援についても、どのようにお伝えできるのか。その辺りも少し考えていきたいというふうに思っております。
 また、保護者の方、お子さん以外の方の相談ということでございますが、こちらも相談に対応できる体制がどれだけ取れるかということとも関わってくるかと思います。また、どういうタイミングで相談を設置するのがいいのかどうかということもあるのかなというふうに思っております。こちらも少し、事業を進めていく、あるいは来年度、再来年度に向けて御相談させていただければというふうに思っております。
 若者への啓発事業の関係についてでございます。やはり啓発事業を受けた方が社会に出たときにつながるべきところにつながっていけるように、そういうことは私たちもそういう思いで進めているところでございます。労働法制の様々な制度に関する周知のツールといいますか、そういったものも用意しておりますので、そういうものがうまく連携させていくことが大事だというふうに思っております。引き続き、少し工夫をさせていただきながら対応していきたいというふうに思っています。
 それから、事業の中で、今、お子さん方はタブレットをお持ちになっているので、そこで資料を事前に提供したということではないかと思っております。私どものほうから紙はだめだと言ったつもりはなかったのですが、やはりどういうものが、紙がふさわしいのか、タブレットがふさわしいのかという問題だと思っておりますので、少し委託事業者とそちらのほうは話をさせていただきたいというふうに思っております。
 それから、啓発事業、これからの目標ということで、髙橋委員からの御質問、御意見をいただいたところでございます。数値的な目標というより、私も今の実施状況を見ると、少し地域的に差があったりとか、新規の参加する学校というものがそこまで多くない部分もあるのかなというふうに思っております。ただ一方で、講師になっていただく方々の御都合というものもあると思っておりますので、オンラインとか、そういうやり方も少し考えながら、広げていく方策は引き続き考えていきたいというふうに思っております。
 また、過労死防止法の見直しについても御意見いただきました。議員立法で過労死防止法をつくっていただいて、それに基づいて私ども進めているところでございます。もともと、労働基準法において、事業主には基本的な労働条件を遵守する責務。それから、労働安全衛生法においては、労働者の健康や安全に関する責務が規定されているということを踏まえつつ、過労死等防止対策法においては、国の対策に協力する努力義務という形になっているというふうに理解しておったところでございます。いずれにしましても、労働基準法等に規定された責務がしっかり果たされるよう、監督指導を徹底していく。それから、昨年つくっていただいた大綱に基づく各種施策をしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
 玉木委員から、啓発シンポジウム、過労死シンポジウムのお話がございました。参加人数は、やはり多くの方に参加していただくことが大事だというふうに思っております。秋に向けて、どのような形で事業主団体、それから、労働組合に御協力いただきながら、また、ほかの団体にも御協力いただきながら、参加者を増やせるような方策を考えてまいりたいというふうに思っております。
 それから、小池委員と岩井委員のほうから調査の関係でお話しいただいたところでございます。毎年度、様々な形で調査を進めておりまして、その結果を白書などで紹介させていただいているところでございます。どのような形でできるか、労災のデータなどを持っている部分もありますが、どういう分析ができるか、どういうタイミングで公表できるかを含めて、少し中で検討させていただきたいと思っております。
 私からは以上です。
○労働条件政策課長 労働条件政策課でございます。私からは、勤務間インターバルについてと、建設業や自動車の取組について御回答申し上げたいと思います。
 先ほどの委員からの御指摘にもございましたように、勤務間インターバルにつきましては、現在の制度導入の状況を踏まえた上で、ここから先、どのような促進が必要かということについて、労働政策審議会で労使の意見も伺いながら検討を進めているところでございます。実際、導入している企業におきましても、労働時間の長さや対象とされていない方の状況など、様々だという御意見もある一方で、やはりこうしたものは必要だということも、法制化も含めて、御意見をいただいております。様々な御意見をいただきながら、施策あるいは制度として何が必要かということについて検討を進めてまいります。
 また、建設業、自動車運転者の対策につきましては、昨年4月から上限規制適用となっております。今回の資料の8ページ、9ページに入れているもののほか、先ほど冨髙委員から直近の国会におけます法案の成立状況につきましても御紹介をいただきましたけれども、商慣行の見直し、荷主の御協力、発注者の御協力を得ながら、担い手の確保のためには働き方改革の推進が必要だということで、業所管であります国土交通省と共に取り組んでいるところでございます。引き続き、周知・啓発、また、個別の事業主への指導等を進めてまいりたいと思います。
○監督課長 監督課長の村野でございます。いただいた質問が幾つかございますので、お答えしたいと思います。
 最初に、工藤委員、清山委員から学校について御質問いただきました。私立学校については、労働基準法上は特段、特例等を設けられておりませんので、学校ではありますが、一般の民間企業と同じように監督指導を行っておりますし、厚生労働省で実施している長時間労働対策も同様に適用しておりますので、私立学校についてはそのような形で我々としてやっているところでございます。あと、公立学校のところは、確かに自治体、あるいは人事委員会で実施していただくというところが基本ではあるのですが、当然、今回の法律をつくる段階においても文科省さんとはいろいろ御相談させていただいておりますし、我々本省レベルも含めて、御協力できるところはあると思いますので、よく連携をして進めていきたいなというふうには思っておるところでございます。
 次に、髙橋委員から御質問いただきました監督指導をしっかりやるべきだということ、あるいは手法として公表も含めて、よく組み合わせて考えていくべきではないかというところでございますが、それはおっしゃるとおりでございまして、特に我々、昨年度から時間外労働の上限規制の適用猶予業種となっていた自動車運転者ですとか、あるいは建設、医師といったところに関しても働き方改革関連法が適用されておりますので、こういったところを含めて、一層の監督指導をしっかりやっていきたいなというところで今、進めていってございます。もちろん、長時間労働がないように、監督指導をしっかり行うようにということで全国に指示をしておりますので、それを引き続きやっていきたいというふうに考えております。
 加えて、公表というところに関して申し上げますと、我々は、これは従前から同じ取扱いでございますが、重大・悪質といったものに関しては、監督指導の上に、さらに送検をするということでやっておりますので、この送検をするといった場合には、基本的には公表しているところでございます。加えて、繰り返し指導しても繰り返し違法な長時間労働を発生させてしまった事業場に関しては、送検ではなくても公表するという企業名公表制度というものを設けておりまして、これが先ほど髙橋委員がおっしゃった、令和6年度末の医療法人名の公表の件なのですが、こういった手法もありますので、こういったものも組み合わせて、よく効率的な監督指導を行っていきたいというふうに考えております。
 同じく髙橋委員からいただきましたご要望ですが、過労死等防止計画指導は昨年度から始めた取組でして、過労死等が繰り返し発生したところには特別な指導をするという仕組みでございますが、前提として私から申し上げておきたいのは、これは繰り返し発生しないと指導しないということではなくて、一回でも過労死等が発生した事業場というものは当然、監督指導あるいは個別指導を行って、全社的な再発防止対策、長時間労働の是正、過重労働による健康障害防止対策、あるいはメンタルヘルス対策、こういったものを全部やるというのが基本でございますので、繰り返し発生させない限り監督署は行かないのだとか、そういうことではありませんので、今、申し上げた、一回でも過労死等を発生させた事業場に対してはこういったことをしっかりとやる。加えて、過労死等が繰り返し発生した場合には過労死等防止計画指導という、もう一つ上乗せといいますか、その特別な中で再発防止を図っていくということでございますので、まずは1回目が起きた場合に当然、しっかりと監督指導を行う。こういったことは基本としてやっていきたいというふうに考えております。
 清山委員からいただきました医療に関するところでございますけれども、宿日直の件数が確かに増えているというのは御指摘のとおりだと思います。一方で、これは一回許可を取ってしまえば、この行われた時間は全て労働時間としてカウントしないということでありませんので、実際に宿日直の許可の該当する時間であっても、例えば手術が入ってしまったとか、そういった場合というものは当然に労働時間に算定して割増し賃金を払うということになりますので、そこは徹底させておりますし、加えて、監督指導でそういうようなものを見つけた場合には、しっかりと賃金を払うようにということを指導しているところでございますので、事前にしっかり調査をして、本当に宿日直に該当するような業務なのかというものを調べた上で、かつ許可を出した後でも労働時間に該当するようなものがあれば、それはしっかり賃金を支払うよう指導をしているところでございます。
 また、労働時間の把握の部分について、これはガイドライン等がありますし、あとは加えて、おっしゃるとおり、自己研さんとかというものは医療の場合はかなり議論になるものですから、そこはお求めが多かったということもありますので、令和6年3月にこういった労働時間、宿日直はどういったものが当たるかとか、そういったものの分かりやすい資料をつくって周知をしておりますので、引き続き、確かに疑念があるというところは国会でも指摘いただくところではあるのですけれども、こういった分かりやすい資料をつくって周知に努めていきたい。こういうふうに考えているところでございます。
 以上です。
○労働衛生課長 続きまして、厚労省労働衛生課から1点、メンタルヘルス対策の強化について、冨髙委員から御指摘ございましたので、それに対する回答でございます。
 お話ございましたように、このたびの労働安全衛生法等の改正によりまして、ストレスチェックの義務が拡大いたしまして、対象を小規模事業場についても行っていただくこととなりました。施行自体は公布から3年以内ではございますけれども、自発的に取り組みたいというところもあると思いますので、国のほうといたしましては、小規模事業向けに、取り組んでいただきやすいマニュアルをなるべく早く作成してお示しし、取り組んでいただきたいと考えております。
 また、個人事業者に対しましては、健康管理のガイドラインがございます。この中でメンタルヘルス対策がございますので、また、ポータルサイト「こころの耳」の中で幾つかコンテンツをつくっておりますし、それから、相談窓口も設けてございますので、これらを併せて周知をしてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。
○補償課長 続きまして、補償課でございます。玉木委員と岩井委員から労災の調査の関係で御質問がございました。
 まず、玉木委員のほうから3点ございました。1点目は、労災認定の際の労働時間の認定の仕方、調査の仕方ということで、持ち帰り残業の例を挙げられていたかと思います。労働時間かどうかという判断については、明示的な指示がある場合以外にも当然、黙示の指示があったかどうかという観点での判断も重要だというふうに思ってございます。その点、しっかりと調査を漏らさないよう、必要に応じて指示・指導していきたいと考えております。
 東京労働局の労災認定のいわゆる認定率の関係での御質問がございました。事案については、現場の職員が一件一件、その事例に向き合いながら、丁寧に調査を行って、その上で認定基準に当てはめて判断しております。全体的な全国の認定率を横目で見ながら調査をしているわけではございませんが、例えば業務指導等でそういう調査が十分でないようなものを見つけた場合には、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
 それから、労災の認定を行う職員の充実という観点での御質問もございました。直ちに人数をどうこうというのはなかなか難しい点もあるかと思いますけれども、労災認定の調査をやはり丁寧に行っていかなければいけないと考えております。その辺、その他の面で業務簡素化等ができないかどうかということは引き続き努力してまいりたいと思います。
 それから、岩井委員から増加の要因ということでお話がございました。マスコミの報道の中で、認定基準が改正されたということも書いてございますが、その他の報道機関では、例えば労災請求の敷居が低くなったのではないかとか、あるいは今回、カスタマーハラスメントの認定が多かったのですが、そういうことも労災認定されるということが認識されているのではないか。それから、医療機関であるとか介護施設等でのいわゆる請求とか認定が多いことについて、そういったところでは、いわゆる人間関係とかでストレスが多くたまっているのではないかと、様々な論調がございます。いずれにせよ、増加の要因は様々な要因があると思いますので、そういった点、多角的に分析していく必要があるのではないかと考えております。
○雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室長 続きまして、雇用環境・均等局雇用機会均等課ハラスメント防止対策室から一言御発言させていただきます。
 先ほど、ハラスメント対策に関しまして御意見をいただいたところでございます。青木委員から、先般の労働施策総合推進法等の改正についても御言及いただきました。御指摘のとおり、先般成立いたしました改正法案では、カスタマーハラスメント対策の強化、就活等セクシャルハラスメント対策の強化といったものを盛り込んでおりまして、加えまして、これはハラスメント全般でございますけれども、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確化し、国が規範意識の醸成に取り組むということが責務として設けられたところでございます。
 御指摘のとおり、国全体でそうした規範意識を高めていくような形で、厚生労働省としても必要な啓発等を行うことで、ハラスメントのない職場づくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○人事院職員福祉局職員福祉課長 続きまして、人事院のほうから、主に上野委員から御指摘がされていた、資料19ページにある超過勤務の状況は改善していないではないかというところにつきまして幾つか御回答させていただきます。
 まず、国家公務員の超過勤務の縮減に向けては、今、私が課長をやっている職員福祉課に勤務時間指導室というものがあるのですけれども、より実効性の上がる指導の在り方というものをしっかり検討していきたいと思っています。もちろん、そこには指導室の体制拡充というものもやっていきたいのですけれども、より各府省に対して、例えば先ほど清山委員のお話にはあったと思うのですが、好事例、こういうことをやったら、実際、超過勤務が減るのだというものを伝えないと、ただ指導するだけではなかなか実が上がりませんので、そういった複合的な取組をしっかりしていきたいと考えています。
 また、ハラスメント対策は、我々は様々な制度の整備や、相談窓口など、いろいろ実施しておりますけれども、これらについても実効性をどう上げられるかしっかり考えていきたいと思っております。
 最後、メンタルの問題による長期病休者が増えているのも御指摘どおりでして、そこに、今年5月なのですけれども、各府省の人事当局と、実際に長期病休をされている職員向けに、かなり詳細な手引みたいなものをつくっており、我々としても、引き続き、各府省の職場復帰支援をしっかりやっていきたいと思っているところです。
 人事院は以上になります。
○内閣官房内閣参事官(働き方改革推進担当) 国家公務員の関係で、内閣人事局からも御説明させていただきたいと思います。
 国家公務員の超過勤務の縮減につきましては、引き続き、課題となっておりますけれども、一つの要因としましては業務が多いというものがございます。そういった観点から、業務効率化・デジタル化ということで、例えば対面とか紙を前提としたような業務プロセス自体を見直すですとか、業務自体も廃止するといったことも含めて、上司の方のマネジメントの中でそういった業務効率化・デジタル化というものを引き続き進めたいというふうに考えております。
 あと、働きやすい職場づくりという観点でいきますと、職場自体の心理的安全性を確保するという、いろいろな意見を言いやすいような職場づくりという観点が非常に重要となってまいりますので、そういった観点では、管理職へのマネジメント研修の中でも、心理的安全性を確保するような職場づくりに努めていただくといったことを引き続き、研修の中で伝えていきたいというふうに考えております。
 以上となります。
○総務省自治行政局公務員部安全厚生推進室長 続きまして、総務省よりお答え申し上げます。
 まず、清山委員より災害時の自治体の働き方について優良な事例の横展開をというようなお話もいただきました。総務省といたしましては、これまでも大規模災害時などで災害対応を行っている職員の健康管理につきましては徹底いただくよう助言をしてきておるところでございますが、御提案いただいた件につきまして、またこちらのほうでも検討させていただければと思います。
 また、上野委員から2点お話をいただいております。地方公務員のメンタルヘルスの不調者は増加傾向でございます。総務省といたしましては、メンタルヘルス対策の推進につきましては、これまでも地方公共団体に対して重ねて助言をしてきておるところでございます。例えば知事・市町村長のリーダーシップの下、全庁的な体制を確保し、予防から再発防止までの各段階に応じた対応を継続的かつ計画的に講じるといったようなことなどを助言してきているところでございます。地方公務員につきましては、それぞれの各地方公共団体のほうで対策を行っていただかなければなりませんので、総務省といたしましては引き続き、各地方公共団体に御理解いただけるよう要請をしてまいりたいと思います。
 もう一点、地方の人手不足といいますか、人員不足につきましてお話をいただいておりました。以前は集中改革プランといったこともございましたけれども、近年では総務省といたしましては必要なところに必要な人員をというスタンスでございます。しかしながら、近年、公務員のなり手不足ということで、募集をしてもなかなか集まらないといったようなこともございますので、各地方公共団体のほうで、例えば中途採用を実施していただくですとか、必要な人員を確保できるよう引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課課長補佐 文部科学省でございます。
 まず、工藤委員から4点御質問いただきました。まず1点目の厚労省との連携につきましては、労働法制を所管する厚生労働省、または地方公務員法制を所管する総務省ともしっかり連携をしながら取組を進めていきたいと考えております。
 2点目の、精神疾患による病気休職の要因について、令和6年度に新たに調査を実施したという点につきましては、令和6年12月に調査結果を公表しておりまして、年代別や校種別でのデータも公表しているところでございます。また、こうした病気休職の要因だけでなく、ほかにも、例えば公立学校共済組合では、ストレスチェックのデータを用いた教師のストレス要因についても分析しているところでございます。現在、文部科学省で行っておりますメンタルヘルス対策に関する調査研究事業の中で、病気休職の要因、あるいはストレスチェックのストレス要因等のデータも取り扱っているところでございます。調査研究事業の中では自治体に委託して取組を進めている部分もありますけれども、自治体の好事例とともに、各教育委員会にメンタルヘルス対策についてお示しできるように、取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、3点目、公務災害に関する令和2年1月17日の通知等についてお話しいただいたところでございます。文部科学省におきましては、公立学校の教師等が健康障害や過労死等をはじめとする公務災害を申請するような事態に至ってしまった場合の職員や御遺族等が公務災害認定に関する相談を行えるような相談窓口の設置状況等について調査し、令和2年1月17日に公表し、留意事項について通知してきたところでございますけれども、この通知等を踏まえた対応につきましては、最近でも令和7年2月に適切な対応を行うことについて、引き続き促しているところでございます。また、お話しいただきました今般の給特法改正に関する附帯決議において、教職員の過労死等の公務災害が疑われる事案が発生した際には、服務監督権者である教育委員会及び校長は速やかに調査を行い、再発防止に向けた取組を講ずることとされておりますので、その附帯決議の趣旨もしっかり周知するとともに、過労死が発生してしまった教育委員会のみならず、全ての教育委員会がしっかり働き方改革や健康確保に取り組んでいくよう促してまいりたいと考えております。
 それから、4点目、今般の改正において創設された主務教諭でございますが、主務教諭の配置等によりまして、学校全体の業務のより効率的な実施につながることが期待されるところでございますけれども、文部科学省としましては、主務教諭の創設の趣旨や、特定の主務教諭に負担が偏ることのないようにするということなども含めまして、各教育委員会に対して丁寧に説明してまいりたいと考えております。
 続きまして、清山委員から御質問等をいただいた点でございます。教師の時間管理につきましては、学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を在校等時間としまして、その把握管理をするよう求めてきているところでございまして、そうした在校等時間というものの計測結果につきましては、公務災害が生じた場合等において重要な記録になるといったことも示してきているところでございます。
 また、管理職のマネジメントとについてもお話いただいたところでございます。校長をはじめ、各学校の管理職は、教育委員会と共に、一人一人の教師の時間管理を適切に行った上で、その実態を踏まえて各学校における業務改善を進めていく必要がございます。管理職がリーダーシップを発揮し、働き方改革を進めていると認識している先生ほど時間管理意識が高く、時間管理意識が高い先生ほど在校等時間が短いといった調査結果もあるところでございます。校長先生等のリーダーシップの下、学校における業務改善がしっかり推進され、働きやすい職場環境が構築できるよう取組を進めてまいりたいというふうに思います。
 それから、上野委員からご指摘いただいた、フォローアップ、継続的な実態把握をという点でございますが、過去に実施した教員勤務実態調査というものは学校現場への負担の大きい調査であったことから、今後につきましては、教師に追加的な調査負担を生じさせることのないよう、基本的に教育委員会に対して実施する調査を通じて把握していく予定でございます。学校における働き方改革の進捗状況についてしっかりフォローアップを行うとともに、様々な取組事例の展開を通じて働き方改革の取組を促進してまいりたいと思っております。また、教育委員会や学校と連携し、文部科学省としてもしっかり教育委員会に伴走しながら取組を前に進めてまいります。
 以上でございます。
○中窪会長 ありがとうございました。
 まだまだ御質問や御意見あるかとも思いますが、既に予定された時間も超えておりますので、本日はここまでとさせていただきます。
 委員の皆様、活発な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。各府省におかれましては、委員より出されました御意見を踏まえて、今後対策をしっかりと行っていっていただきたいと思います。
 最後に、次回の日程について事務局から御説明をお願いいたします。
○企画官 次回は、今年度の過労死等防止対策白書の公表後、その御報告を主な議題といたしまして、10月から11月頃に開催したいと考えております。
 なお、具体的な日程等につきましては、追って調整の上、事務局より御案内させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○中窪会長 それでは、第30回「過労死等防止対策推進協議会」はこれで閉会といたします。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。