2025年1月16日 薬事分科会審議参加規程評価委員会 議事録
日時
令和7年1月16日(木)13:00~
場所
TKP新橋14D会議室
出席者
- 出席委員(6名)五十音順
-
- 岩田太
- 曽根三郎
- 田島優子
- 花井十伍
- ◎樋口範雄
- 安原眞人
- 欠席委員(0名)
- 行政機関出席者
-
- 中井清人(医薬品審査管理課長)
- 高江慎一(医療機器審査管理課長)
- 岩崎容子(血液対策課長) 他
議事
○医薬局総務課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、「令和6年度第1回薬事分科会審議参加規程評価委員会」を開催させていただきます。本日、委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。今回はオンラインを用いたWeb会議と対面を併用する形式とさせていただいています。また、本委員会は公開で行うこととしており、このWeb会議の様子は厚生労働省のYouTubeにおいて、ライブ配信させていただいております。
本委員会については、薬事分科会審議参加規程に関し、特例的な取扱いを含めた運用状況の評価等を行っていただくものであり、薬事分科会の審議のより一層の中立性・公平性・透明性の確保に資するものと考えております。本日も忌憚のない御意見を頂ければと存じます。
はじめに、本日御参加いただいている委員を御紹介いたします。参考資料1(別紙)の委員名簿に従い、50音順に御紹介します。神奈川大学法学部教授の岩田委員です。徳島大学名誉教授の曽根委員です。さわやか法律事務所弁護士の田島委員です。特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事長の花井委員です。東京大学名誉教授・武蔵野大学客員教授の樋口委員です。帝京大学薬学部特任教授の安原委員です。
続いて、事務局を御紹介させていただきます。医薬品審査管理課長の中井です。医療機器審査管理課長の高江です。血液対策課長の岩﨑です。なお、医薬局長の城、大臣官房審議官の佐藤は、本日急遽公務が入り、欠席となっております。また総務課長の重元についても、欠席となっております。また医薬安全対策課長の野村については、本日欠席となり、代理の福田が出席しております。
それでは、早速ですが、以後の進行を樋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○樋口座長 皆さん、こんにちは。この会というのは、審議参加の規程というのが定められているわけですけれども、それの運用状況についてお伺いする会だということになっております。よろしくお願いいたします。まず事務局から、資料の確認をお願いします。
○医薬局総務課長補佐 それでは事務局から資料の確認をさせていただきます。現地にお越しの委員はお手元のタブレットを御確認いただければと思いますが、まず、議事次第、その後に、資料1-1、資料1-2、これら資料1-1、1-2についてはそれぞれ(別添)があり、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1~7となっています。もし資料等が手元にないということであれば、お教えいただくようよろしくお願いします。よろしいでしょうか。
○樋口座長 大丈夫そうですね。それでは、各委員からの寄附金・契約金等の申出状況やその取扱いを含めて、事務局から御報告をお願いします。
○医薬局総務課長補佐 本委員会は、薬事分科会から独立している位置付けであり、本来、審議参加規程の対象ではありませんが、前回会議同様、製薬企業等からの過去3年度における寄附金等の受取状況について各委員に伺っております。
曽根委員から受取実績があるとの御報告を頂いておりますが、本委員会の議題については、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議ではないことから、受領の有無にかかわらず、全ての委員が参加できることを御報告させていただきます。以上です。
○樋口座長 以上のような御報告がありました。それでは早速議題に入りたいと思いますが、議題1が、薬事分科会審議参加規程の運用状況等の御報告を頂くことになっています。これも資料によって説明をいただきたいと思います。
○医薬局総務課長補佐 それでは事務局から資料に基づいて御説明いたします。資料1-1を御覧ください。資料1-1については、薬事分科会審議参加規程の運用状況について、厚生労働省分を取りまとめた資料となっています。
1ページは、令和5年1月から12月までの1年間に開催された薬事分科会及び各部会における審議参加規程の運用状況について整理しています。この運用状況を見ていただくに当たり、御確認いただく点は大きく2点あります。
まず1点目ですが、1ページの表の一番下、特例的な取扱いにより参加した委員数についてです。こちらは申請資料に関与した委員、あるいは500万円を超える寄附金等の受領がある場合には、本来であれば、当該委員については、当該品目の審議又は議決が行われている間、審議会場から御退室いただくという規程となっていますが、一方で、審議参加規程第16条において、分科会等がその委員の意見が必要であるという決定をした場合には、特例的な扱いとして、審議への参加が認められております。このような特例的な取扱いにより参加した委員の有無ということが一番下の行に書かれているところです。左から3番目の医薬品第二部会の所を御確認いただければと思いますが、令和5年1月~12月の1年間において、特例的な扱いにより審議を行った委員は延べ1件となっています。こちらの部会ですが、血友病患者における出血傾向を抑制する医薬品の承認に係る議決となっており、当該医薬品の治験責任者を担当されていた委員がおられたため、本来であれば申請資料作成の関与委員ということで、審議から御退室いただく必要があるところ、当該委員については、関係学会の理事を務めており、その知見を豊富にお持ちであるということで、審議会参加規程に基づき、部会におけるその場の了解を得て、退席せずに審議に御参加いただいたというものとなっています。
こうした特例的な扱いについては、この1年間においてはこの委員のみとなっております。なお、これまで同様、その参加された委員については、当該議題の審議には御参加いただきましたが議決には参加されていないということを、併せて御報告させていただきます。
もう1点、本資料について御確認いただきたい点は、その上の行の直接議決権、直接議決委員の割合の2行となっています。直接議決について御説明しますと、50万円~500万円の寄附金を受領している委員については、審議には参加できるものの、議決に参加できないということとなっています。ただし、審議参加規程第14条の規程に基づき、当該委員の議決を分科会長に一任するということもできるとなっています。そういった方を除き、直接、委員御本人が議決に参加した割合をパーセントとして表示しています。全ての部会で、おおむね80%以上あるいは100%となっていて、こちらの平均としても例年と比較して同程度という形となっています。
続いて資料1-1の2ページを御覧ください。一番下に別表と書いてあるところがありますが、個別品目の審議でない場合においても、こういった寄附金等の額についての申告をしていただいていますが、こちらは、寄附金等の受領の有無にかかわらず、全ての委員が審議及び議決に参加することが可能となっています。こうした取扱いの委員の数をここに参考として示しています。
資料1-2を御覧ください。資料1-2は、農林水産省分の審議参加規程の運用状況を取りまとめた資料となっており、ただいま御説明した資料1-1とおおむね同じ構成となっています。こちらも令和5年1月から12月までの1年間に開催された動物用医薬品等部会等の運用状況となっています。
こちらについて、1ページの表の一番下のとおり、特例的な扱いにより参加した委員はゼロ、直接議決委員の割合も100%となっています。なお、散発的に各議題に応じ退席された委員というのが計3名おられますが、それぞれ別の委員となっていて、こちらについても例年の状況から変わっている状況ではありません。
なお、参考資料5に昨年の資料も添付しております。議題においてばらついているところはありますが、全体の傾向としては同じような状況となっています。なお、昨年も御報告したのですが、近年はオンライン併用での開催も多く、委員の出席数は高い所で安定的に推移しているということで、このため、定足数については、従前の対面開催のみであったときと比べると出席率がよいということが確保されていると認識しています。
なお、資料1-1、資料1-2に(別添)という資料がそれぞれ付いていますが、これは先ほど御説明した資料1-1、資料1-2に関するまとめの資料となっていて、それの個別議題ごとの委員の出席状況について示した資料となっています。こういった各部会での開催日、出席委員数、退室、議決不参加をまとめている資料となっており、細かい表となっておりますので、全体にかかる説明は割愛させていただきますが、幾つか御報告すべき点について、個別に説明したいと思います。
資料1-1(別添)の6ページを御覧ください。こちらは令和5年2月1日に開催された医薬品第二部会の議題3について、黄色ハイライトとなっている箇所があります。申告状況として、競合企業関係による退室委員数、そして対応状況の退室委員数について、黄色ハイライトでお示ししています。
この点については、競合企業より500万円以上受け取っている委員が、ここに書かれている委員とは別に1名いたところ、こちらの委員について退室せずに議事を進行してしまったということが会議後に明らかとなった事例がありました。当日は当該委員の発言もなく、当該委員を除いても定足数を充足しており、議決への影響はなかったものと考えられます。こちらは、委員及び企業からの申告状況については正しく行われていたものの、事務局が、当日の議事進行において、事前に整理して退室いただくべき委員と、その議題について言及することを失念したため、委員に対して退室を促すことがなされなかったために生じたものとなっています。
また同ページ、令和5年4月24日の医薬品第二部会の議題3について、個別品目の審議ではないため、議決に影響はありませんが、審議参加規程第18条に基づいて、各委員には影響を受ける企業の寄附金等の額についての申告をしていただくこととされているところ、申告を受けずに議決を実施した事例がありました。
もう1点、資料1-2(別添)の2ページを御覧ください。こちらについては、令和5年1月19日の動物用生物学的製剤調査会の議題2についてです。申告状況の申請企業関係の議決不参加と対応状況の議決不参加について、黄色ハイライトでお示ししています。こちらについて、50万円~500万円の受取りがある委員がいたものの、議決不参加を明示的にお示しせずに議決を実施してしまった事例がありました。こちらは先ほど同様、委員及び企業からの申告状況は正しかったものの、事務局が、当日の議事進行において事前に整理していた不参加とすべき委員とその議題について言及することを失念したため、委員に対して不参加を促すことがなされなかったというものになります。こちらも定足数は充足しており、議決への影響はなかったものと考えられます。
以上3件、ここで御報告したものがありますが、いずれも事務局側の手続の問題が原因と考えられます。今回の事例は、部会などの事務局を担う各課とは別に、本委員会の事務局のほうで公表資料を改めて確認し、詳細に検討した結果、齟齬について確認されたというものです。このため、現状の各課の担当者については、この旨の説明を行い、規程をしっかり確認して対応するということを改めてお願いするとともに、委員の申告状況について、着実に議事を進める重要性というところについても改めて共有したところです。今後についても、これをしっかり引き継いでいくということが重要かと思いますので、審議参加規程に従った運用が適切になされるよう、事務局として注意深く対応するということを各課にも求めていきたいと考えています。
なお、今御説明した関係部会の委員に対しては、問題が明らかになった後、本日までに状況を報告してお詫びするとともに、適切に運用がなされていなかった事例については、議事録の最後に、その旨と、審議結果に影響がなかったと考えられる旨を追記したことも、付け加えさせていただきます。
以上が資料1の関係になります。
○樋口座長 ありがとうございました。今日の御報告の一番中心になる部分について、資料1及び資料2を用いて。
○医薬局総務課長補佐 すみません。資料2を引き続きご説明させていただきます。
○樋口座長 それでは続けてください。
○医薬局総務課長補佐 大変申し訳ありません。資料2について、引き続き御説明いたします。資料2-1を御覧ください。先ほどと同様に、令和5年1月~12月の1年間に、申請企業・競合企業について委員から寄附金等の申告があったものに対して、その申告内容が適切かについて、該当する企業にも確認依頼をした結果を取りまとめたものが資料2-1及び2-2となっています。資料2-1は厚生労働省分、資料2-2が農林水産省分となっています。
資料2-1です。申請企業と競合企業に欄を分けていますが、委員の申告額に対し、企業からこの額では過少ではないかという指摘があったものが、申告が過少である可能性を指摘された委員数の欄で、逆に過大であったという指摘があったものが、申告が過大である可能性が指摘された委員数となっています。各表にそのまま書かれている数字が、企業から指摘があった数で、実際に指摘の結果、内容を修正したものというのが、各欄において括弧内に含まれている数字となっています。
ここで令和4年度の議論を振り返りますと、参考資料7に関しては、令和4年度の本委員会で利益相反の確認に関する運用の改善について御議論いただいて、委員側の申告額が大きいケースについては、委員が企業との利益相反関係をより厳格に捉えて申告されたものであることから、より申告額が大きい額に基づいて保守的に対応するということとされています。
この運用の見直しのため、過大な申告である可能性が指摘されたケースにおいては、申告の修正のための詳細な状況確認は行っていないということから、各欄における右側、過大である可能性を指摘された場合の括弧書きの数字はないという状況になっています。なお、こちらの表は、申請企業と競合企業を並べて記載していますが、競合企業のほうが数字が多くなるのは、競合としては最大3社の競合企業社の確認を行っていることから、全体数としては大きくなるという状況になっています。議題数に応じて確認数も増えるという傾向にありますので、単純に正確な比較というのはなかなか難しいのですが、例年と比べて突出した傾向の変化はないと考えています。
なお、先ほど申し上げた運用の改善により、事務担当や委員の先生から、負担が減ったという声もございます。また保守的に対応したということで、昨年度に引き続き審議に影響が出たという状況もありませんので、事務手続の効率化という意味で、御議論いただいた内容を踏まえて対応を行った結果、うまく進んでいると考えています。
続いて資料2-2になります。全体の数としては少なくなっていますが、傾向としては変わらないとなっています。
以上、長くなりましたが、資料1及び資料2に関し、薬事分科会審議参加規程の運用状況についての御説明となります。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。丁寧な御説明を頂いたと思いますが、ここまでの御報告について、委員の方からコメント、質問等を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
○花井委員 花井です。御説明ありがとうございます。事実上、この薬事分科会の審議参加ルールが多くの審議会でも採用されて、50万円、500万円ということで。論文等々についてもCOIという言葉が定着して長くなるのですけれども、皆さん、学会などに行くとスライドの2枚目を0.5秒出して、はい、COI終わりと言って、COI慣れしてきている部分もあると思います。この薬事分科会だけが全部これだけ表にして、事務局が大変なのですけれども、取りまとめて状況を報告しているというのは良いことだと思います。そういう中で事務手続のミスがありましたけれども、やはりここが模範となっている、ここでほかの審議会に言及できないと思うのですけれど、ここがいかにきちんとやっているか、ここの取組が先進的であると。それから、医薬局以外、いわゆる薬事は厳密なので、こういった形でやっているということだと思うのですけれど、近年、一つは医薬局全体としてその誇りを持って、模範となるので、その厳密なことを運用していくということを担当者全員に周知してほしいというのが1点目です。
それから、もう1点は、そろそろ他の審議会もきちんとしたほうがいいのではないかという気がしています。特に臨床研究の報告など、いわゆる施設長がCOI管理をするというようなことは多いのですけれども、実務上は結構困難な中で、いろいろデータベースを作ったらいいのではないかという議論はしているのですけれど、国民からすると、最近、こういう審議会というか、いわゆる大臣の諮問委員会は、委員と行政はグルになって行政の都合のいい結論を出すようにみたいなことを揶揄されたりすることも多いわけだけれども、これだけきちんとやっているということを国民は知らないと思うのですね。厚労省のホームページを見ると、使い慣れている者からすると、厚労省のホームページの政策についてクリックして、審議会研究会等をクリックすると、審議会全体が一覧できるというのは分かっているのですけれど、やはり、そういうことも、普通の人たちだと見ないかもしれないのですけれど、どこかの所でこういう運用をきちんとしているということを薬事分科会としてはもう少し社会に知ってもらうというのをやってもいいのではないかと。
具体的には、いろいろ難しいと思うのですけれど、省全体がやるべきと思います。だけれど、ここはそれを言えないから、例えば、厚労省のホームページを今後改正するときに、審議会・研究会の中で薬事分科会の所に、こういうことをやっていると、こういうルールでやっているという、その厳密さを国民にアピールする。それをここがやると、ほかの厚生科学審議会等々でもいろいろそういうルールはやっていて、事実上、退室とかそういう運用はやっていますし、あと、保険局のいろいろな所でも事実やっているのですけれども、やはり、そういうルールで動いているということ自体を国民が理解していないし、それから、委員の選任については全部メーカーからひもついた委員がやっているのではないかとか、事実、そういう部分もあるのかもしれませんが、雑なファクトではなくて、こういう人たちがこういうルールでこういうふうに動いているということを知らしめるということを、まずはこの薬事のほうからやったらどうかと。だから、省全体の話になる前に、医薬として、少なくとも薬食審についてはこうしているというアピールを、ホームページにもう少し分かりやすい所に載せていただくと。すると、今度はほかの所も、薬事がこうやっているのだったら、ほかはどうなんだということを、国民もそういうことを知ることになれば議論になっていくと思うので、そういう、何と言うか、ここがリーダーシップをとるような取組をそろそろやっていただきたいというのが2点目です。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかの委員はいかがでしょうか。大丈夫ですか。もちろん御遠慮なく、何かコメントを頂ければそれは有り難いと思っております。そのための委員会でもありますし。
○田島委員 田島です。ただいま御説明いただきまして、運用は期待どおりうまく行われているということを確認できたと思っております。それで、1点、資料1で御説明いただきました、本来議決に参加できない委員が御退室されなかったというミスが幾つかあったということについてですけれども、事務局のほうでミスがあったということは前提として、当の委員の方が自分はこの案件の議決には参加できないということの御認識がないままに参加されたのであれば、ちょっと問題があろうかと思います。本来、一つ一つの議案について自分の立場ということは御認識の上で、もし、議決に参加できないにもかかわらず退室しないという状況であれば、委員のほうから気付いて、お申出いただくようなことがあって然るべきではないかなと感じた次第です。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。何かその点について、事務局から補足等ありますか。その事例については、事務局側のミスであるという趣旨の御報告だったのですが、本来は御本人も気付いて然るべきではないかという、はっきり然るべきケースだったという認識でよろしいですか。
○医薬局総務課長補佐 事務局です。今回、御説明させていただいた件については、事前に申告状況については正しくやり取りがされていたということですから、その委員が明示的に知らなかったわけではないということではありますが、他方で、やはり事務局としても、議事もたくさんあって、進行も速やかに進めていくというところの中で、委員がそういったタイミングを逸してしまわないように適切に声掛けをすべきだったというところはあるかと思います。それに関しては、改めて、こういう場合について退席をするということについて、どこかの中で各委員に御説明するということも重要かとは思いますし、また、事務局としましても、申告をしていたのに委員が退席しそびれてしまうということがないように、各部会の事務局としても改めて進行を作っていくに当たり、対応を検討させていただければと考えております。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの委員の方から何かあれば伺いたいと思いますが、よろしいですか。曽根さん、どうぞ。
○曽根委員 私は今、日本医学会利益相反委員会から外れております。お二人の委員から、医薬品候補に関する審議をする委員会への出席は、自らのCOI状況を把握してから審議に参加すべきかどうかの判断をすべきとのご意見ですが、利益相反管理はAll or Nothingという判断ではなく、審議に必要で、その人でなければ駄目だという場合もありますので、事務局というよりは委員長が適切に判断を下して、この委員は深刻な利益相反状況にあるが、このは審議には参加が必要とか、あるいは、議決権は与えないが、専門的な見地から意見やコメントを発言する機会を与えるべきとか、審議内容の質、その深さを確保するための努力が必要と思う。その領域、その医薬品候補について専門の知識、経験を持っている委員の出席の機会与えるべきだと思います。そういう視点から、事務局はあくまで交通整理の役割とし、審議参加の可否についての判断は委員長が委員の方々と相談をして対応すべきではないかと思います。
私は医療サイドの委員ですので、医師・研究者の役割については性善説で考えております。一方、マスコミとかは時に性悪説の立場で医師・研究者を見ますが、何のために審議かというところを認識して、審議がきちんと信頼性の質を伴う形で議論され運営されることを願っております。少し言い訳になりましたが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。もし、何かありましたら、また後でも御発言いただければ、それは有り難いと思っております。一応、そこまでで資料1と2について。花井さん、どうぞ。
○花井委員 広報可能性について、事務局から回答をもらってないです。
○樋口座長 そうですか。
○医薬局総務課長補佐 失礼しました。まず、1点目について、内部については適切にというところは、改めてこの委員会で行っている対応は重要なものであるということは、もちろん内部の職員が各々認識すべきものであるということはあるかと思いますので、各担当の職員と認識を共有することは改めてさせていただくというのは重要かと思っておりますし、対応させていただければと思います。
また、広報について、この委員会でやっているような運用の詳細な確認をしている旨を周知していく、打ち出していくというところについて、この委員会が薬事分科会とは独立しているという立場のもと、薬事分科会の対象の各部会を運用状況評価しているというものとして、厚生労働省でこういったことをやっている旨はより示していけないということについては、中で検討させていただいて、できるだけ前向きに対応したいと思います。やはり、委員が御指摘のとおり、ほかの審議会においても、薬事分科会審議参加規程評価委員会の運用を準用して対応されているという部会が多いのは事実かと思いますので、その面も含めて、情報発信をしていくということについて前向きに検討できればと思います。
○花井委員 よろしくお願いいたします。ミスがあったことも、こうやってさらっているから分かっていて、ほかの審議会はミスがないのですかという、ないのだとは思うけれど、やはり、こうやって確認してさらっているからこそ分かっているわけです。そうすると、ほかはもうそうではないということになれば、ほかの審議会のルールは何となくやっているだけということになりかねないので、今後、ここは独特かもしれないけれど、省全体が、国民に対して、いわゆる諮問機関が適正に運用されているということを示すきっかけにここがなってほしいと思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。今日、3件について、事務的なと、簡単にまとめていいのかどうかは問題かもしれませんが、やはり手続的なミスがあったということを、こうやって公表している会議で明らかにしてくれるということ自体が本当にいいことだと思うのです。その姿勢を、ここだけではなくて、花井さんがおっしゃるように、どこでも本当はそれは通用すべきものなので、それが広がっていくというのですか、厚生行政は本当に重要な行政ですので、行政に対する信頼がとにかく揺るがないということが一番大事なので、そのために、実際に事務局含めてずっと御努力されていると思いますけれども、その努力が更に見える形になっていくということも大事なので、今日、花井さんの御助言もありましたが、こういう形できちんとやっていますよということをもう少し広く知らしめる、知らしめるというのがいい言葉なのかどうか分かりませんが、どういう形で啓発していくという、だから自己啓発でもあるわけですが、そういうことの重要性を改めて認識するために、この委員会もあると考えたらいいかと思いました。
それでは、議題2は「その他」ということになりますが、その他事項について、これも資料の説明があるそうですので、事務局からお願いいたします。
○医薬局総務課長補佐 事務局より御説明いたします。資料3を御覧ください。資料3については「日米欧の審議参加ルールの比較」というタイトルになっておりますが、前回以降の国内外での動向を御説明させていただければと思います。
前回までの本委員会において、米国は現在、利益相反の取扱いの詳細に係るガイダンスの策定を検討中である旨、御報告させていただいたところです。その際、米国のガイドラインの完成後に、改めて日本における利益相反管理の在り方についても議論を行うべきであるという御意見を頂いています。本年も厚生労働省からFDAの担当部局にコンタクトをして、この状況についてフォローを行ったところです。米国からは、現状、引き続き、明確な動きはない見込みであると聞いております。
また、欧州の状況ですが、この表の1ページの左側の欧州の欄の※にあるとおり、EMAにおいては、加盟国の審査当局の職員、公務員に相当する人間が審議会に参加しているということで、日米とは若干仕組みが異なっているところもあり、その点を踏まえて御覧いただく必要があります。2日前の1月14日付けで、改定版のポリシーが公表され、令和7年(2025年)5月より運用開始予定ということが公表されております。改定版のポリシーにおいては、EMAが関与する医療機器関係の会議体が増えた等を受けて、医療機器の企業関係の利益相反がある場合について、審議参加のルールが明示的に示されたということになり、医薬品並びの厳しさで設定されるといった変更が行われております。ただし、本比較資料においては、従前から、資料中の寄附金等の額に応じた審議参加の取扱いという項において、製薬企業等として、医療機器企業についても丸めた形で、同列で記載していたというところもあり、資料上は修正が加わっていないということになっております。
事務局でも、引き続き定期的にフォローアップを続けて、海外等の動向が変化した際には、改めて追って御報告させていただければと考えております。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。2008年にこの参加規程を作ったときも、日本だけの問題でもない、薬事の関係ではそれ以前から3局で協力するというか、そういう国際的な動きも背景にして、当然のことですが、アメリカとヨーロッパではどういうルールを作っているかということも参考にしながら、日本のルールも決めたということがあります。ですから、それは規程を設定した時点だけではなくて、その後の変化についてもこうやって注視するということで、今のような御報告もいただいているということです。この点について、あるいはその他事項ですので、その他の問題でもいいのですが、委員の方から御意見やコメントがあれば、お伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○曽根委員 日本で利益相反管理が具体的にスタートしたのは2006年です。文科省支援の班活動として「臨床研究のCOIポリシー策定のためのガイドライン」を、私が班長となって作成し公表しました。これは大学等の基幹病院がCOIポリシーを策定するためのガイドラインです。その後、2008年に厚労科研を受けた研究者を対象としたCOI管理指針が公表されましたが、基本的には同じ内容です。その年に薬事分科会審議参加規程も作られております。
100を超える専門医学会を束ねる日本医学会も、特に臨床研究を行い、研究内容を公表した論文内容の信頼性確保という視点からCOI管理が絶対必要だと考え、国際的動向を踏まえてCOI管理のためのガイドラインを作成し、2011年に公表しました。降圧剤にかかる臨床研究不正事件が2013年頃に発覚し、私も田島委員や花井委員と一緒に、ディオバン臨床研究不正事件を検討する委員会で、COI、利益相反管理が非常に重要だということを理解し、その後、具体的に利益相反管理の意義を医師・研究者に理解して貰うための啓発活動に取り組んできております。
2018年に、それを受けて臨床研究法、2019年には利益相反の管理をするためのガイダンスが厚労省からも出ております。日本医学会は臨床研究に係る質の確保という点で、論文だけではなく、実際に臨床研究そのもの、そして我々が一番重要だと思ったのは診療ガイドライン、臨床研究成果を基に科学的な根拠に基づく診療の指針を作ること、そこにバイアスが絶対掛かってはいけないということで、COI管理の指針を作りました。
以前、治療指針作成に携わる医師の利益相反問題にはマスコミの関心が非常に高かったのです。要するに、いつも企業と医師の癒着という形で報道されていたわけです。しかし、この4、5年間は、医学会、専門学会、また大学病院関係者、医師あるいは研究者の方々の認識もかなり深くなり、COI管理を自ら行い、組織や団体も関心が高い形で進めてきたということもあり、過去4、5年はほとんどマスコミ紙面に利益相反問題の記事が見られていません。そのこと自体、私はすばらしいことであると思います。
一方、厚労省の方のCOIの管理に関しては、最初は、いわゆる臨床研究の対象というのは企業からの資金というところがあったわけですけれども、その後、厚労省も非常に努力をされてきて、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が2021年にできて、かなり強い倫理指針になってきておりますし、また、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」とか、「手術等で摘出されたヒト組織を用いた臨床開発の在り方」、倫理面だけではなく、利益相反管理もかなりきちんと書かれてきました。そういう形で、専門学会、また医学系大学、病院、そして行政という形でCОI管理は非常に浸透してきたと思います。
それは非常によろしいのですが、最初にCOI管理という視点から審議参加規程を作ってからもう17年経過しています。内容的には非常にシンプルですが、私が思うのは今の段階で、ほかのCOIの管理指針との整合性を図るために、薬事審議会でのCOI管理内容や方法はそのままでいいのか。あるいは、整合性を図るという視点からより分かりやすくする。分かりやすくというのは、研究者や医師だけではなく、先ほどから言われているように、国民が分かりやすいような管理法を検討すべきではないかと思います。
この1年半ぐらい前ですか、利益相反データベースの構築事業が進んでおり、私も有識者おして委員入りましたが、このデータベースは単に厚労省だけのためではなく、専門学会あるいは医科系大学や研究機関に所属する研究者や医師全てを対象に、データベースの構築ということで進められております。今は実際に臨床系学会で使われるところまで検討されてきているのではないかと私は推測しています。そういうことを考えると、当然、この薬事審議会に参加する委員のCOI管理についても、そのデータベース構築の中に入れられるべきであって、その場合に、かなり整合性が付かないところも幾つかありますので、今回、見直しをするいいタイミングではないかということで、私は厚労省サイドに提案をしたいということです。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ちょっとこれはなかなかですが、事務局、お願いしたいと思います。
○医薬局総務課長補佐 ありがとうございます。まず、10年前、あるいは15年前と比べて、利益相反に関する社会的な状況は大きく変わり、きちんとした体制整備が求められている中で、本日の委員会もそうですが、薬事審議会関係において、利益相反をしっかりやっていくということで、先ほど花井委員もおっしゃったように、ある程度模範となって取り組んできたということは事実かと思いますし、御協力いただいてきているという認識です。その中で、ほかの倫理指針などもそうかと思いますし、あるいは学会での各種活動等も、そういうことも含まれるかと思いますが、利益相反に関する考え方がそれぞれに立ち上がり、必要な対応をやっている中で、見直しをすることが必要ではないかという御意見があったというように理解しております。
幾つかのコメントがあるのですが、まず一つは、先ほどあったデータベースの話です。COIデータベースに関しては、もともとは臨床研究法ができたときの利益相反ガイダンスも含めて、その対応の中で構築されていくという議論が進んでいるという認識です。それに関しては、この薬事審議会においても、活用できる部分については活用を検討していく必要があるだろうということで、各担当部局とも議論を行っているところです。現状においては、まだCOIデータベースが新しいものとして完成している段階ではなく、構築中ということを伺っておりまして、研究者の負担ができるだけ小さくなるようなデータベースで、かつ目標を達成できるということについて、担当部局及び関係者において議論を行っております。。いずれにしても、COIデータベースのユーザーの中には、必要な活用ができるように、薬事審議会の委員も含めるということも含めて、検討していくということは、ツールとしてはあるのかと思っております。
一方、利益相反全般の話で言うと、趣旨・目的というところに照らして、薬事審議会が品目の承認審査、あるいは直接関わるものをするというところで、かなり厳格にやっているところもありまして、そういったところとの整合性、あるいは先ほど資料3で御説明させていただいた、そういった観点で各当局がどうやっているかということとも整合性を取っていく必要があるという観点から、何と整合性を取って、あるいは、この薬事審議会、あるいは薬事分科会で行っていくものとして確保しなければいけないものは何かというところについては、きちんと確認していく必要があると考えているところでございます。
○樋口座長 ありがとうございます。以上のようなお答えを事務局からいただきましたが、私もCOIのデータベースがどのようになっているのか、伺うことができて有り難かったと思います。そういうデータベースができれば、曽根さんがおっしゃっているところの整合性というものが常に取らないといけないのかという問題も、もちろんあるのですけれども、本当は問題点の発見に資するものでないといけないわけですよね。今日出てきたような、人間的なミスというのももちろん少なくなるだろうと思いますし、それがどういう形で活用されていくのかということを、私も関心を持って見ていきたいと思っております。曽根さんのほうから、今のようなことでよろしいでしょうか。
○曽根委員 曽根です。臨床医の立場、研究者の立場で、臨床研究あるいは医学系研究を実施する場合には、当然に、産と学の間での連携も利害関係を伴うわけです。利益相反管理というのは医師・研究者が自ら行うべきものであって、他人に管理されるものではないと思っております。正直に、自ら利害関係者とお金だけでなく、human relationshipも含めて、きちんと利益相反の有無について把握し申告管理していくことが重要です。その場合に、基本的に自ら利益相反状態をデータベース化しておくこと。研究実施や論文作成内容に影響を及ぼすスポンサー等があれば、必要に応じて利益相反状況を適切に申告する、大学所属の研究者が厚労省関係の事業に参加する場合、それぞれCOI申告の項目や内容が異なることもあり、申告者に過分の負担や煩雑さが加わると申告ミスも起こしやすい。私からすれば、基本的には国際的なCOI管理の考え方や、利益相反を起こすような要因が分かっているわけですから、そういった項目を全て網羅する形で利益相反申告のデータベースを自分で作る。間違いがないように、求められるCOI申告書に記載をして、その都度開示していくという仕組みが一番いいのではないかと思います。
そういう視点からすれば、大学に所属しておれば、臨床研究の実施や論文執筆に関して国際基準に日本が合わさなければ世界で闘えないという認識があり、ICMJEという医学雑誌編集者国際委員会が医学研究の実施、論文作成等に関する指針を利益相反管理も含めて公表し、2,3年ごとに問題点改善のために改訂しており、日本医学会は2年前に国際化を目指してICMJEとの整合性を図ったのはそういう理由です。審議会に参加する委員には医師・研究者が多いと思いますので、COIの管理が難しくないように、間違いなくきちんと審議が適切にできるような環境を作っていくべきではないかと思うし、非常に言いたいところです。
厚労省サイドもそういう提案があれば、いろいろな事情や難しいところもあるかもしれませんが、一歩でも前へ進めていくために、本当にこの規程でいいのか、17年前に作った規程でいいのかどうかという議論を、私はすべきではないかと思います。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。不断に検討するということですね。どのようなルールでも、ルールを作ったからそれがずっと永続的に続くということは普通ないわけです。それを常に見直すことが必要だということは、本当にそのとおりだと思いました。ありがとうございます。花井さん、お待たせしました。
○花井委員 正に、今、曽根先生がおっしゃった話と関連するのですが、50万円、500万円、当初から市民感覚で500万円は莫大ですから、そんなものでいいのかという議論はあったのですが、一応、欧米の水準と合わせて、こんなものだという感じで決めたルールです。曽根先生の意見もよく分かるのですが、やはり臨床研究上のCOIと、それから薬事の場合は、すなわち医薬品の承認や安全対策に対して、企業のプレゼンスを遮断できるのか問題なのです。これは、完全に遮断することは事実上不可能なわけです。そのときに、よく言われるのは、企業というのは、もちろん今は非常に競争が激しく、大きな企業が研究開発費を莫大にかけていますが、それ以上にマーケティング、宣伝費も要るわけです。マーケティングも、一般のプロダクトであれば、商品が出来上がったらこれをどう売るかという話をするのですが、医薬品の場合は、製品が出てくる過程の中で、いかにそれを待望する味方をいかにつくるかというマーケティング、プレマーケティングが、医薬品という商品の特殊なもので、それを完全に遮断、もちろん、患者も早くいい薬が欲しいと思うから、今度開発している薬はいい薬らしい、早く出てきてほしいという気持ちがあれば、それは企業の後押しをするということになって、そういう気持ちが実は医薬品を過大に評価してしまうのではないかとか、こういうことを遮断しようというのがこのCOIルールなのです。
もちろん、完全には不可能ですが、やはり薬事の中で一体それがどのような影響力を持っているかということは、ある種分析しないと、なかなかルールを考えるわけにはいかないと思うのです。ですから、先ほど曽根先生がおっしゃったことも含めて、薬事の場合、臨床研究の場合、ありますが、そのようなものは厚生科学研究などでやるのだと思うのですが、1回研究班などを設置して、他局とも、医政局との連携になるのかもしれませんが、薬事は薬事の厳密さというものがあるので、そういう視点と、先ほどCOI慣れという言い方をしましたが、データベースの最大のメリットはCOI管理が簡略になるのです。今回、強制はできなくて任意にして、登録をすれば施設長の管理がそれで緩和されるという、ある種研究しやすい環境をつくるという視点もあってやっていることなのです。それはいいことなのですが、そういう意味では、薬事は、製品評価の中立性、厳密性をどのように製品を売りたい勢力のバイアスを遮断するかという装置なので、そういう意味では、臨床研究とは少し違うというところもありますから、そういうことも含めて、欧米の例や実態、もっと言えば、日本の医者の給料とヨーロッパの医者の給料は違うと思うのです。アメリカは全然違うということです。そうすると、お金の価値も変わってくる。それから研究しようと思ったときにグラント争奪合戦が起こるわけですが、NIHのようなビッググラントがある国と、日本のAMEDなどの状況でも違ってきますので、やはりある種そのような総合的分析がないと、このCOI管理が薬事審議に対して一定のこのクライテリアでいいのかという評価もできないので、ここだけの問題ではありませんが、それを研究する、科研か何かで1回やっていただくというのは、一つあっていいかと思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの委員の方、いかがでしょうか。
私は、ときにこのように座長のような役割を果たすこともあるのですが、そういうときを含めて、委員の方に当てて、無理矢理発言させるようなことは余りしていないのですが、これだけ小人数の、しかもそれぞれの専門家である人が集まって、最低と書いてありますが、実際には1年に1度だけぐらいの委員会ですので、せっかくですので、申し訳ないけれども、安原さんと岩田さんにも一言何か、今日全体のことでもよろしいのですが、御発言いただけたら有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
○安原委員 ありがとうございます。安原です。曽根委員からの御説明で、改めてCOIの歴史を振り返って学ぶことができました。先生方がおっしゃるように、制度はどんどん変わる部分があって然るべきというか、社会のニーズに応じて変わらなければいけない。それを、できれば先取りする形で、1歩先に先に国民のニーズに合うような形に変えていくというのが、あるべき姿かと思います。データベース化することは、そんなに簡単ではないなと私も思うのですが、一つのこれからの進むべき道かもしれないと思いますので、諸外国の制度と比較しながら、是非、御検討いただければ有り難いと思います。
それから、今日の1番目の議題、あるいは今の議長からもお話があったこととも関係すると思いますが、やはりコロナがあることによって、このような会議の持ち方が随分変わりましたよね。今日も、こういう形で、リモートでZoomで参加させていただくということが可能になって、それによって、会議体が成立することは、昔に比べればお忙しい先生も比較的容易に時間の都合をつけられるようになったかと思います。ただ一方において、やはりリモートで参加しているときの自分のモチベーションというか、ほかの先生方がどんな顔をして、今どのように思っていらっしゃるのかというのが、なかなか小さい画面では分からなくて、逆に気楽に参加しているという部分もあるのですが、そこの良し悪しがあるかと思います。
薬事の場合に、個々の医薬品の承認申請をまずは審査する部分のタスクがあるのですが、それは恐らくこういう形でリモートで参加した委員も、それぞれの専門の立場からできるかとは思います。ただ、一方で、例えばガイドラインを作るとか、新しいルールを作ろうというときは、やはり一堂に会してというか、その部分でお互いの顔色も見ながら発言するというのも、もしかしたらそれもすごく大事なことなのかということを、今日このように発言しながらも感じた次第です。それには本当にメリット、デメリットがあって、これから恐らくこのシステムがなくなることはないと思うので、それをいかにして活用するのか。例えば、一堂に会してやれば、事務方のほうで、あの先生が今出てはいけないということも分かりやすいといえば分かりやすいところもあったりして、それぞれのメリット、デメリットがあると思いますが、その会議体の在り方も含めて、これがルーティン化するのではなくて、次がどうあるべきかというようなことも考えていくことが必要ではないかと思いました。少し余談になりましたが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。岩田さんも、いかがでしょうか。
○岩田委員 漠然とした質問、コメントのような形になってしまうかもしれませんが、先ほど曽根先生や花井先生が言われていたように、制度ができてから随分時間がたっているので、見直しにするのか、新たに研究をするのかというようなことは、これまでも私も何回か申し上げさせていただいていたので、そういう意味では、うまくいっているのならうまくいっているので、結果としては構わないので、うまくいっていることを示すためにも、何らかの再評価のようなことがなされてもいいのかと感じています。
先ほどの資料3のアメリカとEUとの比較の所で教えていただきたいのですが、この議論をするときに、割と企業からの寄附金や研究費のお金の大きさの部分に注目が集まるような感じがしているのですが、それ自体は重要だと思うのですが、例えば、5ページに公表の仕方という部分もあって、基本的には公表という部分では共通していると思うのですが、どのような形で、例えば事前に公表しているのか、事後に公表しているのか、議事録の中で公表しているのかなど、微妙な違いは多分あると思うのです。例えば、アメリカなどですと、開催前にWebで公開などしているので、一番最初に花井先生が議論した、きちんとやっているということをホームページ上でも示したらいいのではないかということにも関連しますが、きちんとやっているということを示すことと同時に、形としても何か問題があることをより規律してもらうためにも、自律的にきちんとしていただくためにも、公表の仕方というのは結構重要な気がしますので、そういう部分も含めて、何か新たな、全面的な見直しまでいくかどうかは別にして、他国の例なども参考にしながら、もしかすると日本のほうが先にいっているということもあってもいいと思いますので、どこかの機会で検討していただくのがいいのかということを、この間考えておりました。
取り分けコロナを経て、これはCOIのことだけではないと思いますが、こういう医薬品のようなものの審査などについての社会の需要や期待というものがすごく高い時期を経ましたので、そこでのブレーキの踏み方とアクセルの踏み方のようなものの緊張関係というか、難しさのようなものを非常に感じたこともあったので、そういうものを経て、新たにどのような在り方を模索するのかということは考えてもいい時期なのかということを全般的に感じておりましたので、今のような発言をさせていただきました。まとまりませんが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。今日の議論はここまでかと思っているのですが、事務局、ここまでの段階で何か補足などはありますか。大丈夫ですか。
○医薬局総務課長補佐 ありがとうございます。様々な御意見を頂きましたので、全体としてまず何ができるかについて検討させていただいて、必要に応じて御報告させていただければと思います。
○樋口座長 各委員の方も含めて、ありがとうございました。御発言があれば、今からでも大丈夫ですが、よろしいですね。それでは、今年度の薬事分科会審議参加規程評価委員会を終了いたします。お疲れさまでした。本日は、どうもありがとうございました。
本委員会については、薬事分科会審議参加規程に関し、特例的な取扱いを含めた運用状況の評価等を行っていただくものであり、薬事分科会の審議のより一層の中立性・公平性・透明性の確保に資するものと考えております。本日も忌憚のない御意見を頂ければと存じます。
はじめに、本日御参加いただいている委員を御紹介いたします。参考資料1(別紙)の委員名簿に従い、50音順に御紹介します。神奈川大学法学部教授の岩田委員です。徳島大学名誉教授の曽根委員です。さわやか法律事務所弁護士の田島委員です。特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事長の花井委員です。東京大学名誉教授・武蔵野大学客員教授の樋口委員です。帝京大学薬学部特任教授の安原委員です。
続いて、事務局を御紹介させていただきます。医薬品審査管理課長の中井です。医療機器審査管理課長の高江です。血液対策課長の岩﨑です。なお、医薬局長の城、大臣官房審議官の佐藤は、本日急遽公務が入り、欠席となっております。また総務課長の重元についても、欠席となっております。また医薬安全対策課長の野村については、本日欠席となり、代理の福田が出席しております。
それでは、早速ですが、以後の進行を樋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○樋口座長 皆さん、こんにちは。この会というのは、審議参加の規程というのが定められているわけですけれども、それの運用状況についてお伺いする会だということになっております。よろしくお願いいたします。まず事務局から、資料の確認をお願いします。
○医薬局総務課長補佐 それでは事務局から資料の確認をさせていただきます。現地にお越しの委員はお手元のタブレットを御確認いただければと思いますが、まず、議事次第、その後に、資料1-1、資料1-2、これら資料1-1、1-2についてはそれぞれ(別添)があり、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1~7となっています。もし資料等が手元にないということであれば、お教えいただくようよろしくお願いします。よろしいでしょうか。
○樋口座長 大丈夫そうですね。それでは、各委員からの寄附金・契約金等の申出状況やその取扱いを含めて、事務局から御報告をお願いします。
○医薬局総務課長補佐 本委員会は、薬事分科会から独立している位置付けであり、本来、審議参加規程の対象ではありませんが、前回会議同様、製薬企業等からの過去3年度における寄附金等の受取状況について各委員に伺っております。
曽根委員から受取実績があるとの御報告を頂いておりますが、本委員会の議題については、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議ではないことから、受領の有無にかかわらず、全ての委員が参加できることを御報告させていただきます。以上です。
○樋口座長 以上のような御報告がありました。それでは早速議題に入りたいと思いますが、議題1が、薬事分科会審議参加規程の運用状況等の御報告を頂くことになっています。これも資料によって説明をいただきたいと思います。
○医薬局総務課長補佐 それでは事務局から資料に基づいて御説明いたします。資料1-1を御覧ください。資料1-1については、薬事分科会審議参加規程の運用状況について、厚生労働省分を取りまとめた資料となっています。
1ページは、令和5年1月から12月までの1年間に開催された薬事分科会及び各部会における審議参加規程の運用状況について整理しています。この運用状況を見ていただくに当たり、御確認いただく点は大きく2点あります。
まず1点目ですが、1ページの表の一番下、特例的な取扱いにより参加した委員数についてです。こちらは申請資料に関与した委員、あるいは500万円を超える寄附金等の受領がある場合には、本来であれば、当該委員については、当該品目の審議又は議決が行われている間、審議会場から御退室いただくという規程となっていますが、一方で、審議参加規程第16条において、分科会等がその委員の意見が必要であるという決定をした場合には、特例的な扱いとして、審議への参加が認められております。このような特例的な取扱いにより参加した委員の有無ということが一番下の行に書かれているところです。左から3番目の医薬品第二部会の所を御確認いただければと思いますが、令和5年1月~12月の1年間において、特例的な扱いにより審議を行った委員は延べ1件となっています。こちらの部会ですが、血友病患者における出血傾向を抑制する医薬品の承認に係る議決となっており、当該医薬品の治験責任者を担当されていた委員がおられたため、本来であれば申請資料作成の関与委員ということで、審議から御退室いただく必要があるところ、当該委員については、関係学会の理事を務めており、その知見を豊富にお持ちであるということで、審議会参加規程に基づき、部会におけるその場の了解を得て、退席せずに審議に御参加いただいたというものとなっています。
こうした特例的な扱いについては、この1年間においてはこの委員のみとなっております。なお、これまで同様、その参加された委員については、当該議題の審議には御参加いただきましたが議決には参加されていないということを、併せて御報告させていただきます。
もう1点、本資料について御確認いただきたい点は、その上の行の直接議決権、直接議決委員の割合の2行となっています。直接議決について御説明しますと、50万円~500万円の寄附金を受領している委員については、審議には参加できるものの、議決に参加できないということとなっています。ただし、審議参加規程第14条の規程に基づき、当該委員の議決を分科会長に一任するということもできるとなっています。そういった方を除き、直接、委員御本人が議決に参加した割合をパーセントとして表示しています。全ての部会で、おおむね80%以上あるいは100%となっていて、こちらの平均としても例年と比較して同程度という形となっています。
続いて資料1-1の2ページを御覧ください。一番下に別表と書いてあるところがありますが、個別品目の審議でない場合においても、こういった寄附金等の額についての申告をしていただいていますが、こちらは、寄附金等の受領の有無にかかわらず、全ての委員が審議及び議決に参加することが可能となっています。こうした取扱いの委員の数をここに参考として示しています。
資料1-2を御覧ください。資料1-2は、農林水産省分の審議参加規程の運用状況を取りまとめた資料となっており、ただいま御説明した資料1-1とおおむね同じ構成となっています。こちらも令和5年1月から12月までの1年間に開催された動物用医薬品等部会等の運用状況となっています。
こちらについて、1ページの表の一番下のとおり、特例的な扱いにより参加した委員はゼロ、直接議決委員の割合も100%となっています。なお、散発的に各議題に応じ退席された委員というのが計3名おられますが、それぞれ別の委員となっていて、こちらについても例年の状況から変わっている状況ではありません。
なお、参考資料5に昨年の資料も添付しております。議題においてばらついているところはありますが、全体の傾向としては同じような状況となっています。なお、昨年も御報告したのですが、近年はオンライン併用での開催も多く、委員の出席数は高い所で安定的に推移しているということで、このため、定足数については、従前の対面開催のみであったときと比べると出席率がよいということが確保されていると認識しています。
なお、資料1-1、資料1-2に(別添)という資料がそれぞれ付いていますが、これは先ほど御説明した資料1-1、資料1-2に関するまとめの資料となっていて、それの個別議題ごとの委員の出席状況について示した資料となっています。こういった各部会での開催日、出席委員数、退室、議決不参加をまとめている資料となっており、細かい表となっておりますので、全体にかかる説明は割愛させていただきますが、幾つか御報告すべき点について、個別に説明したいと思います。
資料1-1(別添)の6ページを御覧ください。こちらは令和5年2月1日に開催された医薬品第二部会の議題3について、黄色ハイライトとなっている箇所があります。申告状況として、競合企業関係による退室委員数、そして対応状況の退室委員数について、黄色ハイライトでお示ししています。
この点については、競合企業より500万円以上受け取っている委員が、ここに書かれている委員とは別に1名いたところ、こちらの委員について退室せずに議事を進行してしまったということが会議後に明らかとなった事例がありました。当日は当該委員の発言もなく、当該委員を除いても定足数を充足しており、議決への影響はなかったものと考えられます。こちらは、委員及び企業からの申告状況については正しく行われていたものの、事務局が、当日の議事進行において、事前に整理して退室いただくべき委員と、その議題について言及することを失念したため、委員に対して退室を促すことがなされなかったために生じたものとなっています。
また同ページ、令和5年4月24日の医薬品第二部会の議題3について、個別品目の審議ではないため、議決に影響はありませんが、審議参加規程第18条に基づいて、各委員には影響を受ける企業の寄附金等の額についての申告をしていただくこととされているところ、申告を受けずに議決を実施した事例がありました。
もう1点、資料1-2(別添)の2ページを御覧ください。こちらについては、令和5年1月19日の動物用生物学的製剤調査会の議題2についてです。申告状況の申請企業関係の議決不参加と対応状況の議決不参加について、黄色ハイライトでお示ししています。こちらについて、50万円~500万円の受取りがある委員がいたものの、議決不参加を明示的にお示しせずに議決を実施してしまった事例がありました。こちらは先ほど同様、委員及び企業からの申告状況は正しかったものの、事務局が、当日の議事進行において事前に整理していた不参加とすべき委員とその議題について言及することを失念したため、委員に対して不参加を促すことがなされなかったというものになります。こちらも定足数は充足しており、議決への影響はなかったものと考えられます。
以上3件、ここで御報告したものがありますが、いずれも事務局側の手続の問題が原因と考えられます。今回の事例は、部会などの事務局を担う各課とは別に、本委員会の事務局のほうで公表資料を改めて確認し、詳細に検討した結果、齟齬について確認されたというものです。このため、現状の各課の担当者については、この旨の説明を行い、規程をしっかり確認して対応するということを改めてお願いするとともに、委員の申告状況について、着実に議事を進める重要性というところについても改めて共有したところです。今後についても、これをしっかり引き継いでいくということが重要かと思いますので、審議参加規程に従った運用が適切になされるよう、事務局として注意深く対応するということを各課にも求めていきたいと考えています。
なお、今御説明した関係部会の委員に対しては、問題が明らかになった後、本日までに状況を報告してお詫びするとともに、適切に運用がなされていなかった事例については、議事録の最後に、その旨と、審議結果に影響がなかったと考えられる旨を追記したことも、付け加えさせていただきます。
以上が資料1の関係になります。
○樋口座長 ありがとうございました。今日の御報告の一番中心になる部分について、資料1及び資料2を用いて。
○医薬局総務課長補佐 すみません。資料2を引き続きご説明させていただきます。
○樋口座長 それでは続けてください。
○医薬局総務課長補佐 大変申し訳ありません。資料2について、引き続き御説明いたします。資料2-1を御覧ください。先ほどと同様に、令和5年1月~12月の1年間に、申請企業・競合企業について委員から寄附金等の申告があったものに対して、その申告内容が適切かについて、該当する企業にも確認依頼をした結果を取りまとめたものが資料2-1及び2-2となっています。資料2-1は厚生労働省分、資料2-2が農林水産省分となっています。
資料2-1です。申請企業と競合企業に欄を分けていますが、委員の申告額に対し、企業からこの額では過少ではないかという指摘があったものが、申告が過少である可能性を指摘された委員数の欄で、逆に過大であったという指摘があったものが、申告が過大である可能性が指摘された委員数となっています。各表にそのまま書かれている数字が、企業から指摘があった数で、実際に指摘の結果、内容を修正したものというのが、各欄において括弧内に含まれている数字となっています。
ここで令和4年度の議論を振り返りますと、参考資料7に関しては、令和4年度の本委員会で利益相反の確認に関する運用の改善について御議論いただいて、委員側の申告額が大きいケースについては、委員が企業との利益相反関係をより厳格に捉えて申告されたものであることから、より申告額が大きい額に基づいて保守的に対応するということとされています。
この運用の見直しのため、過大な申告である可能性が指摘されたケースにおいては、申告の修正のための詳細な状況確認は行っていないということから、各欄における右側、過大である可能性を指摘された場合の括弧書きの数字はないという状況になっています。なお、こちらの表は、申請企業と競合企業を並べて記載していますが、競合企業のほうが数字が多くなるのは、競合としては最大3社の競合企業社の確認を行っていることから、全体数としては大きくなるという状況になっています。議題数に応じて確認数も増えるという傾向にありますので、単純に正確な比較というのはなかなか難しいのですが、例年と比べて突出した傾向の変化はないと考えています。
なお、先ほど申し上げた運用の改善により、事務担当や委員の先生から、負担が減ったという声もございます。また保守的に対応したということで、昨年度に引き続き審議に影響が出たという状況もありませんので、事務手続の効率化という意味で、御議論いただいた内容を踏まえて対応を行った結果、うまく進んでいると考えています。
続いて資料2-2になります。全体の数としては少なくなっていますが、傾向としては変わらないとなっています。
以上、長くなりましたが、資料1及び資料2に関し、薬事分科会審議参加規程の運用状況についての御説明となります。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。丁寧な御説明を頂いたと思いますが、ここまでの御報告について、委員の方からコメント、質問等を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
○花井委員 花井です。御説明ありがとうございます。事実上、この薬事分科会の審議参加ルールが多くの審議会でも採用されて、50万円、500万円ということで。論文等々についてもCOIという言葉が定着して長くなるのですけれども、皆さん、学会などに行くとスライドの2枚目を0.5秒出して、はい、COI終わりと言って、COI慣れしてきている部分もあると思います。この薬事分科会だけが全部これだけ表にして、事務局が大変なのですけれども、取りまとめて状況を報告しているというのは良いことだと思います。そういう中で事務手続のミスがありましたけれども、やはりここが模範となっている、ここでほかの審議会に言及できないと思うのですけれど、ここがいかにきちんとやっているか、ここの取組が先進的であると。それから、医薬局以外、いわゆる薬事は厳密なので、こういった形でやっているということだと思うのですけれど、近年、一つは医薬局全体としてその誇りを持って、模範となるので、その厳密なことを運用していくということを担当者全員に周知してほしいというのが1点目です。
それから、もう1点は、そろそろ他の審議会もきちんとしたほうがいいのではないかという気がしています。特に臨床研究の報告など、いわゆる施設長がCOI管理をするというようなことは多いのですけれども、実務上は結構困難な中で、いろいろデータベースを作ったらいいのではないかという議論はしているのですけれど、国民からすると、最近、こういう審議会というか、いわゆる大臣の諮問委員会は、委員と行政はグルになって行政の都合のいい結論を出すようにみたいなことを揶揄されたりすることも多いわけだけれども、これだけきちんとやっているということを国民は知らないと思うのですね。厚労省のホームページを見ると、使い慣れている者からすると、厚労省のホームページの政策についてクリックして、審議会研究会等をクリックすると、審議会全体が一覧できるというのは分かっているのですけれど、やはり、そういうことも、普通の人たちだと見ないかもしれないのですけれど、どこかの所でこういう運用をきちんとしているということを薬事分科会としてはもう少し社会に知ってもらうというのをやってもいいのではないかと。
具体的には、いろいろ難しいと思うのですけれど、省全体がやるべきと思います。だけれど、ここはそれを言えないから、例えば、厚労省のホームページを今後改正するときに、審議会・研究会の中で薬事分科会の所に、こういうことをやっていると、こういうルールでやっているという、その厳密さを国民にアピールする。それをここがやると、ほかの厚生科学審議会等々でもいろいろそういうルールはやっていて、事実上、退室とかそういう運用はやっていますし、あと、保険局のいろいろな所でも事実やっているのですけれども、やはり、そういうルールで動いているということ自体を国民が理解していないし、それから、委員の選任については全部メーカーからひもついた委員がやっているのではないかとか、事実、そういう部分もあるのかもしれませんが、雑なファクトではなくて、こういう人たちがこういうルールでこういうふうに動いているということを知らしめるということを、まずはこの薬事のほうからやったらどうかと。だから、省全体の話になる前に、医薬として、少なくとも薬食審についてはこうしているというアピールを、ホームページにもう少し分かりやすい所に載せていただくと。すると、今度はほかの所も、薬事がこうやっているのだったら、ほかはどうなんだということを、国民もそういうことを知ることになれば議論になっていくと思うので、そういう、何と言うか、ここがリーダーシップをとるような取組をそろそろやっていただきたいというのが2点目です。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかの委員はいかがでしょうか。大丈夫ですか。もちろん御遠慮なく、何かコメントを頂ければそれは有り難いと思っております。そのための委員会でもありますし。
○田島委員 田島です。ただいま御説明いただきまして、運用は期待どおりうまく行われているということを確認できたと思っております。それで、1点、資料1で御説明いただきました、本来議決に参加できない委員が御退室されなかったというミスが幾つかあったということについてですけれども、事務局のほうでミスがあったということは前提として、当の委員の方が自分はこの案件の議決には参加できないということの御認識がないままに参加されたのであれば、ちょっと問題があろうかと思います。本来、一つ一つの議案について自分の立場ということは御認識の上で、もし、議決に参加できないにもかかわらず退室しないという状況であれば、委員のほうから気付いて、お申出いただくようなことがあって然るべきではないかなと感じた次第です。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。何かその点について、事務局から補足等ありますか。その事例については、事務局側のミスであるという趣旨の御報告だったのですが、本来は御本人も気付いて然るべきではないかという、はっきり然るべきケースだったという認識でよろしいですか。
○医薬局総務課長補佐 事務局です。今回、御説明させていただいた件については、事前に申告状況については正しくやり取りがされていたということですから、その委員が明示的に知らなかったわけではないということではありますが、他方で、やはり事務局としても、議事もたくさんあって、進行も速やかに進めていくというところの中で、委員がそういったタイミングを逸してしまわないように適切に声掛けをすべきだったというところはあるかと思います。それに関しては、改めて、こういう場合について退席をするということについて、どこかの中で各委員に御説明するということも重要かとは思いますし、また、事務局としましても、申告をしていたのに委員が退席しそびれてしまうということがないように、各部会の事務局としても改めて進行を作っていくに当たり、対応を検討させていただければと考えております。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの委員の方から何かあれば伺いたいと思いますが、よろしいですか。曽根さん、どうぞ。
○曽根委員 私は今、日本医学会利益相反委員会から外れております。お二人の委員から、医薬品候補に関する審議をする委員会への出席は、自らのCOI状況を把握してから審議に参加すべきかどうかの判断をすべきとのご意見ですが、利益相反管理はAll or Nothingという判断ではなく、審議に必要で、その人でなければ駄目だという場合もありますので、事務局というよりは委員長が適切に判断を下して、この委員は深刻な利益相反状況にあるが、このは審議には参加が必要とか、あるいは、議決権は与えないが、専門的な見地から意見やコメントを発言する機会を与えるべきとか、審議内容の質、その深さを確保するための努力が必要と思う。その領域、その医薬品候補について専門の知識、経験を持っている委員の出席の機会与えるべきだと思います。そういう視点から、事務局はあくまで交通整理の役割とし、審議参加の可否についての判断は委員長が委員の方々と相談をして対応すべきではないかと思います。
私は医療サイドの委員ですので、医師・研究者の役割については性善説で考えております。一方、マスコミとかは時に性悪説の立場で医師・研究者を見ますが、何のために審議かというところを認識して、審議がきちんと信頼性の質を伴う形で議論され運営されることを願っております。少し言い訳になりましたが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。もし、何かありましたら、また後でも御発言いただければ、それは有り難いと思っております。一応、そこまでで資料1と2について。花井さん、どうぞ。
○花井委員 広報可能性について、事務局から回答をもらってないです。
○樋口座長 そうですか。
○医薬局総務課長補佐 失礼しました。まず、1点目について、内部については適切にというところは、改めてこの委員会で行っている対応は重要なものであるということは、もちろん内部の職員が各々認識すべきものであるということはあるかと思いますので、各担当の職員と認識を共有することは改めてさせていただくというのは重要かと思っておりますし、対応させていただければと思います。
また、広報について、この委員会でやっているような運用の詳細な確認をしている旨を周知していく、打ち出していくというところについて、この委員会が薬事分科会とは独立しているという立場のもと、薬事分科会の対象の各部会を運用状況評価しているというものとして、厚生労働省でこういったことをやっている旨はより示していけないということについては、中で検討させていただいて、できるだけ前向きに対応したいと思います。やはり、委員が御指摘のとおり、ほかの審議会においても、薬事分科会審議参加規程評価委員会の運用を準用して対応されているという部会が多いのは事実かと思いますので、その面も含めて、情報発信をしていくということについて前向きに検討できればと思います。
○花井委員 よろしくお願いいたします。ミスがあったことも、こうやってさらっているから分かっていて、ほかの審議会はミスがないのですかという、ないのだとは思うけれど、やはり、こうやって確認してさらっているからこそ分かっているわけです。そうすると、ほかはもうそうではないということになれば、ほかの審議会のルールは何となくやっているだけということになりかねないので、今後、ここは独特かもしれないけれど、省全体が、国民に対して、いわゆる諮問機関が適正に運用されているということを示すきっかけにここがなってほしいと思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。今日、3件について、事務的なと、簡単にまとめていいのかどうかは問題かもしれませんが、やはり手続的なミスがあったということを、こうやって公表している会議で明らかにしてくれるということ自体が本当にいいことだと思うのです。その姿勢を、ここだけではなくて、花井さんがおっしゃるように、どこでも本当はそれは通用すべきものなので、それが広がっていくというのですか、厚生行政は本当に重要な行政ですので、行政に対する信頼がとにかく揺るがないということが一番大事なので、そのために、実際に事務局含めてずっと御努力されていると思いますけれども、その努力が更に見える形になっていくということも大事なので、今日、花井さんの御助言もありましたが、こういう形できちんとやっていますよということをもう少し広く知らしめる、知らしめるというのがいい言葉なのかどうか分かりませんが、どういう形で啓発していくという、だから自己啓発でもあるわけですが、そういうことの重要性を改めて認識するために、この委員会もあると考えたらいいかと思いました。
それでは、議題2は「その他」ということになりますが、その他事項について、これも資料の説明があるそうですので、事務局からお願いいたします。
○医薬局総務課長補佐 事務局より御説明いたします。資料3を御覧ください。資料3については「日米欧の審議参加ルールの比較」というタイトルになっておりますが、前回以降の国内外での動向を御説明させていただければと思います。
前回までの本委員会において、米国は現在、利益相反の取扱いの詳細に係るガイダンスの策定を検討中である旨、御報告させていただいたところです。その際、米国のガイドラインの完成後に、改めて日本における利益相反管理の在り方についても議論を行うべきであるという御意見を頂いています。本年も厚生労働省からFDAの担当部局にコンタクトをして、この状況についてフォローを行ったところです。米国からは、現状、引き続き、明確な動きはない見込みであると聞いております。
また、欧州の状況ですが、この表の1ページの左側の欧州の欄の※にあるとおり、EMAにおいては、加盟国の審査当局の職員、公務員に相当する人間が審議会に参加しているということで、日米とは若干仕組みが異なっているところもあり、その点を踏まえて御覧いただく必要があります。2日前の1月14日付けで、改定版のポリシーが公表され、令和7年(2025年)5月より運用開始予定ということが公表されております。改定版のポリシーにおいては、EMAが関与する医療機器関係の会議体が増えた等を受けて、医療機器の企業関係の利益相反がある場合について、審議参加のルールが明示的に示されたということになり、医薬品並びの厳しさで設定されるといった変更が行われております。ただし、本比較資料においては、従前から、資料中の寄附金等の額に応じた審議参加の取扱いという項において、製薬企業等として、医療機器企業についても丸めた形で、同列で記載していたというところもあり、資料上は修正が加わっていないということになっております。
事務局でも、引き続き定期的にフォローアップを続けて、海外等の動向が変化した際には、改めて追って御報告させていただければと考えております。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。2008年にこの参加規程を作ったときも、日本だけの問題でもない、薬事の関係ではそれ以前から3局で協力するというか、そういう国際的な動きも背景にして、当然のことですが、アメリカとヨーロッパではどういうルールを作っているかということも参考にしながら、日本のルールも決めたということがあります。ですから、それは規程を設定した時点だけではなくて、その後の変化についてもこうやって注視するということで、今のような御報告もいただいているということです。この点について、あるいはその他事項ですので、その他の問題でもいいのですが、委員の方から御意見やコメントがあれば、お伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○曽根委員 日本で利益相反管理が具体的にスタートしたのは2006年です。文科省支援の班活動として「臨床研究のCOIポリシー策定のためのガイドライン」を、私が班長となって作成し公表しました。これは大学等の基幹病院がCOIポリシーを策定するためのガイドラインです。その後、2008年に厚労科研を受けた研究者を対象としたCOI管理指針が公表されましたが、基本的には同じ内容です。その年に薬事分科会審議参加規程も作られております。
100を超える専門医学会を束ねる日本医学会も、特に臨床研究を行い、研究内容を公表した論文内容の信頼性確保という視点からCOI管理が絶対必要だと考え、国際的動向を踏まえてCOI管理のためのガイドラインを作成し、2011年に公表しました。降圧剤にかかる臨床研究不正事件が2013年頃に発覚し、私も田島委員や花井委員と一緒に、ディオバン臨床研究不正事件を検討する委員会で、COI、利益相反管理が非常に重要だということを理解し、その後、具体的に利益相反管理の意義を医師・研究者に理解して貰うための啓発活動に取り組んできております。
2018年に、それを受けて臨床研究法、2019年には利益相反の管理をするためのガイダンスが厚労省からも出ております。日本医学会は臨床研究に係る質の確保という点で、論文だけではなく、実際に臨床研究そのもの、そして我々が一番重要だと思ったのは診療ガイドライン、臨床研究成果を基に科学的な根拠に基づく診療の指針を作ること、そこにバイアスが絶対掛かってはいけないということで、COI管理の指針を作りました。
以前、治療指針作成に携わる医師の利益相反問題にはマスコミの関心が非常に高かったのです。要するに、いつも企業と医師の癒着という形で報道されていたわけです。しかし、この4、5年間は、医学会、専門学会、また大学病院関係者、医師あるいは研究者の方々の認識もかなり深くなり、COI管理を自ら行い、組織や団体も関心が高い形で進めてきたということもあり、過去4、5年はほとんどマスコミ紙面に利益相反問題の記事が見られていません。そのこと自体、私はすばらしいことであると思います。
一方、厚労省の方のCOIの管理に関しては、最初は、いわゆる臨床研究の対象というのは企業からの資金というところがあったわけですけれども、その後、厚労省も非常に努力をされてきて、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が2021年にできて、かなり強い倫理指針になってきておりますし、また、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」とか、「手術等で摘出されたヒト組織を用いた臨床開発の在り方」、倫理面だけではなく、利益相反管理もかなりきちんと書かれてきました。そういう形で、専門学会、また医学系大学、病院、そして行政という形でCОI管理は非常に浸透してきたと思います。
それは非常によろしいのですが、最初にCOI管理という視点から審議参加規程を作ってからもう17年経過しています。内容的には非常にシンプルですが、私が思うのは今の段階で、ほかのCOIの管理指針との整合性を図るために、薬事審議会でのCOI管理内容や方法はそのままでいいのか。あるいは、整合性を図るという視点からより分かりやすくする。分かりやすくというのは、研究者や医師だけではなく、先ほどから言われているように、国民が分かりやすいような管理法を検討すべきではないかと思います。
この1年半ぐらい前ですか、利益相反データベースの構築事業が進んでおり、私も有識者おして委員入りましたが、このデータベースは単に厚労省だけのためではなく、専門学会あるいは医科系大学や研究機関に所属する研究者や医師全てを対象に、データベースの構築ということで進められております。今は実際に臨床系学会で使われるところまで検討されてきているのではないかと私は推測しています。そういうことを考えると、当然、この薬事審議会に参加する委員のCOI管理についても、そのデータベース構築の中に入れられるべきであって、その場合に、かなり整合性が付かないところも幾つかありますので、今回、見直しをするいいタイミングではないかということで、私は厚労省サイドに提案をしたいということです。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ちょっとこれはなかなかですが、事務局、お願いしたいと思います。
○医薬局総務課長補佐 ありがとうございます。まず、10年前、あるいは15年前と比べて、利益相反に関する社会的な状況は大きく変わり、きちんとした体制整備が求められている中で、本日の委員会もそうですが、薬事審議会関係において、利益相反をしっかりやっていくということで、先ほど花井委員もおっしゃったように、ある程度模範となって取り組んできたということは事実かと思いますし、御協力いただいてきているという認識です。その中で、ほかの倫理指針などもそうかと思いますし、あるいは学会での各種活動等も、そういうことも含まれるかと思いますが、利益相反に関する考え方がそれぞれに立ち上がり、必要な対応をやっている中で、見直しをすることが必要ではないかという御意見があったというように理解しております。
幾つかのコメントがあるのですが、まず一つは、先ほどあったデータベースの話です。COIデータベースに関しては、もともとは臨床研究法ができたときの利益相反ガイダンスも含めて、その対応の中で構築されていくという議論が進んでいるという認識です。それに関しては、この薬事審議会においても、活用できる部分については活用を検討していく必要があるだろうということで、各担当部局とも議論を行っているところです。現状においては、まだCOIデータベースが新しいものとして完成している段階ではなく、構築中ということを伺っておりまして、研究者の負担ができるだけ小さくなるようなデータベースで、かつ目標を達成できるということについて、担当部局及び関係者において議論を行っております。。いずれにしても、COIデータベースのユーザーの中には、必要な活用ができるように、薬事審議会の委員も含めるということも含めて、検討していくということは、ツールとしてはあるのかと思っております。
一方、利益相反全般の話で言うと、趣旨・目的というところに照らして、薬事審議会が品目の承認審査、あるいは直接関わるものをするというところで、かなり厳格にやっているところもありまして、そういったところとの整合性、あるいは先ほど資料3で御説明させていただいた、そういった観点で各当局がどうやっているかということとも整合性を取っていく必要があるという観点から、何と整合性を取って、あるいは、この薬事審議会、あるいは薬事分科会で行っていくものとして確保しなければいけないものは何かというところについては、きちんと確認していく必要があると考えているところでございます。
○樋口座長 ありがとうございます。以上のようなお答えを事務局からいただきましたが、私もCOIのデータベースがどのようになっているのか、伺うことができて有り難かったと思います。そういうデータベースができれば、曽根さんがおっしゃっているところの整合性というものが常に取らないといけないのかという問題も、もちろんあるのですけれども、本当は問題点の発見に資するものでないといけないわけですよね。今日出てきたような、人間的なミスというのももちろん少なくなるだろうと思いますし、それがどういう形で活用されていくのかということを、私も関心を持って見ていきたいと思っております。曽根さんのほうから、今のようなことでよろしいでしょうか。
○曽根委員 曽根です。臨床医の立場、研究者の立場で、臨床研究あるいは医学系研究を実施する場合には、当然に、産と学の間での連携も利害関係を伴うわけです。利益相反管理というのは医師・研究者が自ら行うべきものであって、他人に管理されるものではないと思っております。正直に、自ら利害関係者とお金だけでなく、human relationshipも含めて、きちんと利益相反の有無について把握し申告管理していくことが重要です。その場合に、基本的に自ら利益相反状態をデータベース化しておくこと。研究実施や論文作成内容に影響を及ぼすスポンサー等があれば、必要に応じて利益相反状況を適切に申告する、大学所属の研究者が厚労省関係の事業に参加する場合、それぞれCOI申告の項目や内容が異なることもあり、申告者に過分の負担や煩雑さが加わると申告ミスも起こしやすい。私からすれば、基本的には国際的なCOI管理の考え方や、利益相反を起こすような要因が分かっているわけですから、そういった項目を全て網羅する形で利益相反申告のデータベースを自分で作る。間違いがないように、求められるCOI申告書に記載をして、その都度開示していくという仕組みが一番いいのではないかと思います。
そういう視点からすれば、大学に所属しておれば、臨床研究の実施や論文執筆に関して国際基準に日本が合わさなければ世界で闘えないという認識があり、ICMJEという医学雑誌編集者国際委員会が医学研究の実施、論文作成等に関する指針を利益相反管理も含めて公表し、2,3年ごとに問題点改善のために改訂しており、日本医学会は2年前に国際化を目指してICMJEとの整合性を図ったのはそういう理由です。審議会に参加する委員には医師・研究者が多いと思いますので、COIの管理が難しくないように、間違いなくきちんと審議が適切にできるような環境を作っていくべきではないかと思うし、非常に言いたいところです。
厚労省サイドもそういう提案があれば、いろいろな事情や難しいところもあるかもしれませんが、一歩でも前へ進めていくために、本当にこの規程でいいのか、17年前に作った規程でいいのかどうかという議論を、私はすべきではないかと思います。以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。不断に検討するということですね。どのようなルールでも、ルールを作ったからそれがずっと永続的に続くということは普通ないわけです。それを常に見直すことが必要だということは、本当にそのとおりだと思いました。ありがとうございます。花井さん、お待たせしました。
○花井委員 正に、今、曽根先生がおっしゃった話と関連するのですが、50万円、500万円、当初から市民感覚で500万円は莫大ですから、そんなものでいいのかという議論はあったのですが、一応、欧米の水準と合わせて、こんなものだという感じで決めたルールです。曽根先生の意見もよく分かるのですが、やはり臨床研究上のCOIと、それから薬事の場合は、すなわち医薬品の承認や安全対策に対して、企業のプレゼンスを遮断できるのか問題なのです。これは、完全に遮断することは事実上不可能なわけです。そのときに、よく言われるのは、企業というのは、もちろん今は非常に競争が激しく、大きな企業が研究開発費を莫大にかけていますが、それ以上にマーケティング、宣伝費も要るわけです。マーケティングも、一般のプロダクトであれば、商品が出来上がったらこれをどう売るかという話をするのですが、医薬品の場合は、製品が出てくる過程の中で、いかにそれを待望する味方をいかにつくるかというマーケティング、プレマーケティングが、医薬品という商品の特殊なもので、それを完全に遮断、もちろん、患者も早くいい薬が欲しいと思うから、今度開発している薬はいい薬らしい、早く出てきてほしいという気持ちがあれば、それは企業の後押しをするということになって、そういう気持ちが実は医薬品を過大に評価してしまうのではないかとか、こういうことを遮断しようというのがこのCOIルールなのです。
もちろん、完全には不可能ですが、やはり薬事の中で一体それがどのような影響力を持っているかということは、ある種分析しないと、なかなかルールを考えるわけにはいかないと思うのです。ですから、先ほど曽根先生がおっしゃったことも含めて、薬事の場合、臨床研究の場合、ありますが、そのようなものは厚生科学研究などでやるのだと思うのですが、1回研究班などを設置して、他局とも、医政局との連携になるのかもしれませんが、薬事は薬事の厳密さというものがあるので、そういう視点と、先ほどCOI慣れという言い方をしましたが、データベースの最大のメリットはCOI管理が簡略になるのです。今回、強制はできなくて任意にして、登録をすれば施設長の管理がそれで緩和されるという、ある種研究しやすい環境をつくるという視点もあってやっていることなのです。それはいいことなのですが、そういう意味では、薬事は、製品評価の中立性、厳密性をどのように製品を売りたい勢力のバイアスを遮断するかという装置なので、そういう意味では、臨床研究とは少し違うというところもありますから、そういうことも含めて、欧米の例や実態、もっと言えば、日本の医者の給料とヨーロッパの医者の給料は違うと思うのです。アメリカは全然違うということです。そうすると、お金の価値も変わってくる。それから研究しようと思ったときにグラント争奪合戦が起こるわけですが、NIHのようなビッググラントがある国と、日本のAMEDなどの状況でも違ってきますので、やはりある種そのような総合的分析がないと、このCOI管理が薬事審議に対して一定のこのクライテリアでいいのかという評価もできないので、ここだけの問題ではありませんが、それを研究する、科研か何かで1回やっていただくというのは、一つあっていいかと思いました。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの委員の方、いかがでしょうか。
私は、ときにこのように座長のような役割を果たすこともあるのですが、そういうときを含めて、委員の方に当てて、無理矢理発言させるようなことは余りしていないのですが、これだけ小人数の、しかもそれぞれの専門家である人が集まって、最低と書いてありますが、実際には1年に1度だけぐらいの委員会ですので、せっかくですので、申し訳ないけれども、安原さんと岩田さんにも一言何か、今日全体のことでもよろしいのですが、御発言いただけたら有り難いと思いますが、いかがでしょうか。
○安原委員 ありがとうございます。安原です。曽根委員からの御説明で、改めてCOIの歴史を振り返って学ぶことができました。先生方がおっしゃるように、制度はどんどん変わる部分があって然るべきというか、社会のニーズに応じて変わらなければいけない。それを、できれば先取りする形で、1歩先に先に国民のニーズに合うような形に変えていくというのが、あるべき姿かと思います。データベース化することは、そんなに簡単ではないなと私も思うのですが、一つのこれからの進むべき道かもしれないと思いますので、諸外国の制度と比較しながら、是非、御検討いただければ有り難いと思います。
それから、今日の1番目の議題、あるいは今の議長からもお話があったこととも関係すると思いますが、やはりコロナがあることによって、このような会議の持ち方が随分変わりましたよね。今日も、こういう形で、リモートでZoomで参加させていただくということが可能になって、それによって、会議体が成立することは、昔に比べればお忙しい先生も比較的容易に時間の都合をつけられるようになったかと思います。ただ一方において、やはりリモートで参加しているときの自分のモチベーションというか、ほかの先生方がどんな顔をして、今どのように思っていらっしゃるのかというのが、なかなか小さい画面では分からなくて、逆に気楽に参加しているという部分もあるのですが、そこの良し悪しがあるかと思います。
薬事の場合に、個々の医薬品の承認申請をまずは審査する部分のタスクがあるのですが、それは恐らくこういう形でリモートで参加した委員も、それぞれの専門の立場からできるかとは思います。ただ、一方で、例えばガイドラインを作るとか、新しいルールを作ろうというときは、やはり一堂に会してというか、その部分でお互いの顔色も見ながら発言するというのも、もしかしたらそれもすごく大事なことなのかということを、今日このように発言しながらも感じた次第です。それには本当にメリット、デメリットがあって、これから恐らくこのシステムがなくなることはないと思うので、それをいかにして活用するのか。例えば、一堂に会してやれば、事務方のほうで、あの先生が今出てはいけないということも分かりやすいといえば分かりやすいところもあったりして、それぞれのメリット、デメリットがあると思いますが、その会議体の在り方も含めて、これがルーティン化するのではなくて、次がどうあるべきかというようなことも考えていくことが必要ではないかと思いました。少し余談になりましたが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。岩田さんも、いかがでしょうか。
○岩田委員 漠然とした質問、コメントのような形になってしまうかもしれませんが、先ほど曽根先生や花井先生が言われていたように、制度ができてから随分時間がたっているので、見直しにするのか、新たに研究をするのかというようなことは、これまでも私も何回か申し上げさせていただいていたので、そういう意味では、うまくいっているのならうまくいっているので、結果としては構わないので、うまくいっていることを示すためにも、何らかの再評価のようなことがなされてもいいのかと感じています。
先ほどの資料3のアメリカとEUとの比較の所で教えていただきたいのですが、この議論をするときに、割と企業からの寄附金や研究費のお金の大きさの部分に注目が集まるような感じがしているのですが、それ自体は重要だと思うのですが、例えば、5ページに公表の仕方という部分もあって、基本的には公表という部分では共通していると思うのですが、どのような形で、例えば事前に公表しているのか、事後に公表しているのか、議事録の中で公表しているのかなど、微妙な違いは多分あると思うのです。例えば、アメリカなどですと、開催前にWebで公開などしているので、一番最初に花井先生が議論した、きちんとやっているということをホームページ上でも示したらいいのではないかということにも関連しますが、きちんとやっているということを示すことと同時に、形としても何か問題があることをより規律してもらうためにも、自律的にきちんとしていただくためにも、公表の仕方というのは結構重要な気がしますので、そういう部分も含めて、何か新たな、全面的な見直しまでいくかどうかは別にして、他国の例なども参考にしながら、もしかすると日本のほうが先にいっているということもあってもいいと思いますので、どこかの機会で検討していただくのがいいのかということを、この間考えておりました。
取り分けコロナを経て、これはCOIのことだけではないと思いますが、こういう医薬品のようなものの審査などについての社会の需要や期待というものがすごく高い時期を経ましたので、そこでのブレーキの踏み方とアクセルの踏み方のようなものの緊張関係というか、難しさのようなものを非常に感じたこともあったので、そういうものを経て、新たにどのような在り方を模索するのかということは考えてもいい時期なのかということを全般的に感じておりましたので、今のような発言をさせていただきました。まとまりませんが、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。今日の議論はここまでかと思っているのですが、事務局、ここまでの段階で何か補足などはありますか。大丈夫ですか。
○医薬局総務課長補佐 ありがとうございます。様々な御意見を頂きましたので、全体としてまず何ができるかについて検討させていただいて、必要に応じて御報告させていただければと思います。
○樋口座長 各委員の方も含めて、ありがとうございました。御発言があれば、今からでも大丈夫ですが、よろしいですね。それでは、今年度の薬事分科会審議参加規程評価委員会を終了いたします。お疲れさまでした。本日は、どうもありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本委員会は、公開で開催された。
照会先
医薬局
総務課 課長補佐 稲角(内線2711)