第7回循環器病総合支援委員会 議事録

厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和7年9月4日(木)14:00~16:00

場所

新橋ビジネスフォーラム(オンライン開催)

議題

  1. 1.開会
  2. 2.脳卒中・心臓病等総合支援センターの取組報告
  3. 3.脳卒中・心臓病等総合支援センターの今後について
  4. 4.脳卒中・心臓病等総合支援センターの整備指針作成について
  5. 5.その他

議事

○水島主査 定刻となりましたので、ただいまより第7回「循環器病総合支援委員会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の水島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、委員6名全ての方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、2名の参考人に御出席いただいております。日本脳卒中学会理事長、藤本茂先生。日本循環器学会常務理事、安田聡先生。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は先日お送りしたもので、議事次第、委員名簿、資料1-1から1-2、資料2-1から2-3、資料3、参考資料1から3がございますので、御確認ください。なお、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
 本日の総合支援委員会は、YouTubeのライブ配信で公開しておりますので、御承知おきください。御参加の委員の皆様におかれましては、本委員会の間、ウェブ会議システムのカメラを常にオンの状態にしていただきますようお願いいたします。また、マイクにつきましては、発言しないときはミュートの状態にして、発言するときのみミュートを解除するようお願いいたします。発言については、Zoomの手を挙げる機能を御活用ください。チャット機能は使用いたしませんので、御了承願います。
 事務局からは以上となります。
 これからの進行は宮本委員長にお願いいたします。

○宮本委員長 宮本でございます。
 それでは、議事の「(1)脳卒中・心臓病等総合支援センターの取組報告」に移りたいと思います。
 資料1-1「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の実施報告」について、事務局よりお願いいたします。

○水島主査 事務局の水島です。それでは、脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の実施報告をさせていただきます。
 まずは、スライドの2枚目で本モデル事業について御説明いたします。
 循環器病対策推進基本計画で、脳卒中・心臓病等(循環器病)患者を中心とした包括的な支援体制を構築するため、多職種が連携して、総合的な取組を進めることとしておりますが、これまでに都道府県が医療計画などで実施している対策よりも幅広い内容であり、各医療機関で個々の取組はされているものの情報が行き渡っているとは言えず、全ての支援について、十分なレベルで提供することに対して課題がございました。
 この取組を効果的に推進するため、専門的な知識を有し、地域の情報提供等の中心的な役割を担う医療機関に脳卒中・心臓病等総合支援センターを配置し、都道府県と連携しつつ、地域の医療機関と勉強会や支援方法などの情報提供を行うなど協力体制を強化し、包括的な支援体制を構築することにより、地域全体の患者支援体制の充実を図ることを目的として、令和4年度より本モデル事業を開始いたしました。
 事業の概要ですが、都道府県の循環器病対策推進計画等を踏まえ、自治体や関連する学会等とも連携しながら、相談支援窓口の設置、情報提供や普及啓発、研修会や勉強会等を実施してまいりました。
 また、都道府県や地域の病院、患者、地域住民との関係性については、スライド内のイメージのとおり、総合支援センターが支援の中心的な役割を担うことになっております。
 スライドを1枚おめくりください。
 令和4年度から令和7年度に対象となった医療機関の一覧は以下のとおりです。47都道府県で54医療機関となります。
 スライドを1枚おめくりください。
 本モデル事業の実績評価及び患者アンケートについて御説明いたします。
 こちらは、第2回総合支援委員会において作成した実績評価書と患者アンケート様式を活用して、モデル事業実施期間中の支援実績及びその間に支援した患者に対するアンケート結果を施設ごとに収集いたしました。
 令和4年度から令和6年度の取りまとめについては、参考資料3になっております。本日は説明を割愛させていただきます。
 スライドを1枚おめくりください。
 本モデル事業の実績概要について御説明いたします。
 総合支援センターでは「普及・啓発」「医療連携体制の構築」「人材育成」「相談支援」を主な役割としており、各都道府県の実績報告書を基に、スライドのとおり、実績を整理いたしました。
 各都道府県の実績報告書から、支援センターでは、包括的な支援体制が構築され、地域全体の患者支援体制の充実に資する取組を実施していることが確認をされました。
 一方で、対応内容の充実度については、各総合支援センターにおいてばらつきがあり、特に医療連携体制の構築には継続して取り組む必要性が示唆されたと考えております。
 以上で、脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の実施報告を終了させていただきます。

○宮本委員長 ありがとうございました。
 次の発表が終わりましてから、質疑がございましたらお願いいたします。
 次は、この総合支援センター事業が比較的順調に進捗している京都府の取組について、私のほうから説明いたします。資料1-2をお願いいたします。
 次のスライドをお願いいたします。
 京都府は、疾患を心臓と脳に分けた、2つの総合支援センターモデルとなっております。循環器病対策推進基本計画の青で囲みましたところ、健診や普及、あるいは啓発予防、それから、情報提供、相談支援は脳と心臓で共通の内容ですので、協調整備が可能ですが、赤で囲みましたところは、それぞれに脳卒中と心臓病で、例えば保険医療のシステムも違う。例えば急性期、回復期、生活期と、治療施設が明確に分かれている脳卒中と、必ずしもそうではない心臓病とは異なります。そもそも、重症心不全のようにだんだんと階段状に悪くなっていく病気と、発作後に生活期を過ごしていく脳卒中では病態が少し違うというところもあり、疾患別の整備が必要と考えております。
 次をお願いいたします。
 そういう理由から、京都府では京都府循環器病対策推進協議会の下に、脳卒中の相談支援は京大病院が中心となって、心臓病の相談支援は府立医大病院が心臓となって、疾患別2センタービジネスモデルとなっています。共有部分は協調しながら、疾患特有部分は個別化するという、非常にやりやすいモデルであるため、順調に推移しております。
 次のスライドをお願いいたします。
 行政、京都府、それから、京都府医師会、そして、両総合支援センターが4者共催で市民公開講座も毎年行っておりまして、皆さんからの好評をいただいております。
 次をお願いいたします。
 今回の報告の趣旨は、総合支援センターだけが単独で頑張るのではなくて、総合支援センターをハブとした地域連携・多職種連携をするということが大切だというメッセージです。
 次をお願いします。
 これは心臓部門ですけれども、京都心不全ネットワークとして、総合支援センターである京都府立医大病院をハブとした25病院16クリニックの連携が行われています。これは介護サービスも含めたオール京都の心不全指導チームということで、かかりつけ医、それから、病院、そして、介護サービスに関わる方々、各職種が連携しています。
 次をお願いいたします。
 心不全の在宅支援者、支援する側の職種に対しても、総合支援センターが中心となって、講演会・研修会をしています。
 次をお願いいたします。
 そして、京都心不全ネットワークでは、多施設多職種共通の心不全手帳による疾患管理指導が行われています。医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士が協働して、この手帳を運用しているということです。決して総合支援センターである京都府立医大病院だけが頑張っているというわけではなく、オール京都として連携できていることを御覧いただければと思います。
 次をお願いいたします。
 そして、京都府立医大病院のほうの主に心臓部門の相談窓口の活動報告ですが、2024年度、全体で1,237件、この中で対面相談が1,111件ということです。基本的にはワンストップで1人の専従職員がこれを処理していますので、これだけでもかなりの業務ということになることがお分かりいただけると思います。専従でないと、すなわち、兼務では難しい、専従職員が総合支援センターに必須であることを示す一例とお考えいただければと思います。
 次のスライドをお願いします。
 さて、脳卒中については私が居ります京大病院が中心となっております。スライド左側にありますPSC(Primary Stroke Center)とは日本脳卒中学会が認定している一次脳卒中センターすなわち脳卒中急性期病院ですが、京都府には22ありまして、これは年度ごとに認定更新されています。第1回から第12回まで3か月に1回ぐらいのペースで、全ての病院の診療責任者が会議をしております。また、右側の回復期リハビリテーション病院は27あるのですが、こちらもやはりその病院長あるいは診療責任者が3~4か月に1回ミーティングをしています。この事務局役をしているのが京大病院です。つまり、総合支援センターをハブとした脳卒中の急性期および回復期リハビリテーション49病院の全てが連携が取れています。、脳卒中は内科、脳神経外科と、2つの診療科で診ますけれども、大学医局とか診療科とか、あるいは急性期、回復期にかかわらず京都脳卒中ワンチームができているということを御理解いただけると思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 こういう連携のプラットフォームを担うのが脳卒中相談窓口連携会議というものでして、これは急性期および回復期49病院全てから指名された、主に医療ソーシャルワーカーの方で、病院によっては退院支援看護師、事務が担当されている場合がありますけれども、2023年度から3~4か月に一度、定例会を行っております。その中でいろいろな意見が出てきまして、こういう情報が欲しいなとか、こういう情報を共有していこうという情報づくりができております。
 一つの例を示します。次をお願いします。
 例えば、患者さんが生活期になられて、回リハに入院していたときに作った装具が体に合わなくなってくるということが起こるのですけれども、そういうときに、かかりつけ医の先生に相談されても、どこの病院に頼んで、その装具を作り直してもらったらいいかというのが分からない。回リハのほうは、かかりつけの先生から依頼されても、自分の病院には装具のための外来がない。どこの病院が対応してくれるのか、どこの業者で作ったか分からないという、これは装具難民と言われることがしばしば起こり得るというふうに聞いておりました。
 次のスライドをお願いします。
 京都府の49病院の脳卒中相談窓口連携会議では、それぞれの病院がかかりつけ患者なら装具の作り直すことに対応できるのか、かかりつけ患者以外にも対応できるのか。左側は急性期病院、右側は回復期リハビリテーション病院なのですけれども、そういう情報をいただきましてマップをつくりました。
 そして、次のスライドをお願いいたします。
 夫々の病院が、何曜日に外来をやっているとか、どういう対応ができるか、連絡先はどこだとかというリストをつくり、そして、その情報を49病院の医療ソーシャルワーカーが共有しています。
 次のスライドをお願いいたします。
 今、お示ししましたのは装具外来のリストですけれども、右上のところに青字で書いていますように、脳卒中生活期のかかりつけ医に関する情報とか、生活期かかりつけ薬局に関する情報、それから、摂食嚥下障害が生じたときに、退院後に外来でリハビリをしてくれる病院のリスト、さらに、自動車運転免許を再開しないとなかなか地方都市では復職できないのですけれども、そういう方への支援としてシミュレーターを使って再開支援をする、あるいは作業療法士が自動車教習所に一緒に出向いて再開支援をする、そういうリハができる病院はどこかというリストを、真ん中に書かれている49病院の医療ソーシャルワーカーが集まる脳卒中相談窓口連携会議で共有しておりますので、参加している医療ソーシャルワーカーがそれぞれの病院の脳卒中相談窓口で同じ情報を展開できる。自分の病院でできない支援でも、例えばB病院に行ったらできますとか、C病院だったら何曜日に行くのですということが、どの病院でも同じ情報を提供できるようになってきているというところが総合支援センターが目指すべき方向性ではないかなというふうに考えています。
 次をお願いします。
 そして、脳卒中では、回復期でのリハビリテーションが終わった後、在宅生活期に向かうのですけれども、従来は紹介状だけでかかりつけ医の先生と連携していました。しかし、京都府では、京都府医師会との組織的な連携で、脳卒中生活期かかりつけ医登録というものが1年半ぐらい前から始まっております。これは単に紹介状を介したやり取りというだけではなくて、赤で囲みましたところのように、その医院の情報、例えばその医院ではリハビリをできるのか、終末期になったときに対応してくれるのか、あるいは訪問診療とか、往診の対応時間とか、対応エリアはどこまでなのか。経管栄養などをしている場合に、在宅栄養管理をしていただけるのかどうか。こういう情報も登録していただいて連携をしているわけです。
 次のスライドをお願いします。
 例えば患者さんが京都市左京区に住んでおられる。そして、訪問診療が必要とされる。在宅栄養管理が必要とされる。この3つの条件を入れてソートすると、たとえば京都市左京区では、この3つを満たす医院は11あるということがわかります。このかかりつけ医登録情報も49機関の脳卒中相談窓口で共有しているわけです。
 次をお願いします。
 ですから、患者さんから、こういう条件を満たすかかりつけ医にかかりたいと相談を受けたときには、このリストから御相談して推薦できる。そして、どこの病院でも同じ推薦をできるということです。
 次のスライドをお願いします。
 連携主治医制というものはいろいろな病院、いろいろな領域で行われていますが、京都府における脳卒中生活期の連携主治医制が一般的なものと異なります。
 次のスライドをお願いします。
 各病院各領域で推進されている連携主治医制と、京都府における脳卒中生活期の連携主治医制とどこが違うのかといいますと、かかりつけ医登録というものがしっかりなされて情報共有できている点。それから、単一の医療機関と関係するかかりつけ医だけではなくて、京都府医師会と府内全ての49脳卒中医療機関が連携しているということ。さらに、医師による紹介状のみではなく、脳卒中相談窓口医療ソーシャルワーカーによる情報連携ができているということで、すなわち、脳卒中・心臓病等総合支援センターだけが患者支援していくのではなくて、脳卒中生活期かかりつけ医が患者さんに最も近い脳卒中相談窓口なので、そのハブとなる役割が総合支援センターにあるということです。
 次をお願いいたします。
 京都府看護協会とのコラボで、京都府では脳卒中連携看護師会議というものが開催されており、49脳卒中病院から看護師が指名されて、定期的に連携をしておりまして、脳卒中では治療施設が移っていきますので、意思決定支援のバトンを共有することが最終目標なのですけれども、まずは看護サマリーを標準化しようということになりました。
 次をお願いします。
 まず、急性期病院から回復期リハビリテーション病院に渡す看護サマリーの記載項目について標準化が昨年末に行われ、さらに、回リハから急性期病院にフィードバックする看護サマリーについても標準化が行われ、さらに、今年5月には回復期リハビリテーション病院から在宅生活期の訪問看護師やケアマネジャーに渡す情報提供項目26項目が標準化されました。
 次をお願いいたします。
 そして、今年5月の末には、京都府の49病院、急性期と回復期の70人ぐらいの看護師が集まり、標準化したものをどういうふうに実践しているかということを話し合う看護師研修セミナーが行われました。実のところ、私は、標準化してもそれぞれ病院の事情があるので、なかなか実践は難しいだろうなと思っていたのですけれども、結構、みんな頑張ってくれていまして、これだけサマリーが変わりましたとか、思いを伝えるという記載が、何%上がりましたというような発表をしてくれまして、大変感動いたしました。
 次をお願いいたします。
 脳卒中生活期は病院から患者さんが離れてしまいますので、これは情報をしっかり連携して、みんなで連携して支援していくということなのです。そして、京都府薬剤師会が一生懸命になっていただきまして、脳卒中生活期のかかりつけ薬局登録を始めようということが今年度から始まりました。これは全ての患者さんではなくて、黄色でハイライトしていますように、服薬指導が必要な患者さんには訪問指導もしてくれるような薬局をしっかりお示ししていこうということです。まだ始まって数か月なのですけれども、30ぐらいの薬局が登録していただいています。右下にありますように、薬局の情報だけではなくて、どういう時間帯とか、どういう連絡手段を取るかとか、在宅に向けて対応してくれるかとか、こういう情報も、先ほどのかかりつけ医と同じように、登録していただいております。
 次をお願いいたします。
 医療ソーシャルワーカーが集まる脳卒中相談窓口プラットフォームになり、職種ごとの横連携が進んでおります。薬剤の連携も、先ほどのかかりつけ薬局というものも始まりましたけれども、薬剤情報の連携についてもディスカッションが行われていますし、看護師のほうも看護サマリーの記載標準化、栄養士のほうも急性期から回復期までは栄養情報連携の項目の標準化というものが進んでおりますし、医師のほうはかかりつけ医連携主治医制、さらに、リハ担当者のほうでは今日お示ししたような装具外来・運転免許再開支援という情報連携ができております。
 次をお願いします。
 全ての職種が脳卒中生活期を見守る情報ネットワークをつくっていこう。その基軸になるのが脳卒中生活期の連携主治医制であるというふうに位置づけております。
 次のスライドをお願いします。
先ほど府立医大を中心とした心臓病のほうの総合支援センターの患者支援活動を御紹介しましたけれども、これは脳卒中に関する京大病院の支援活動なのです。2024年の夏から1年間において、セミナー・会合として、1は職種別あるいは多職種が一緒になった連携会議というものが合計22回、参加数が695名。そして、両立支援などに関係したセミナーが2回、参加数235名。そして、京都府対象、全国対象の8回の職種連携の会議。これは1,080名ぐらい参加しておりまして、合計で、一番上に黄色でハイライトしておりますように、1年間で32回、こういう会議を開催して、主催して、2,000人を超える方とやり取りをしています。これだけの活動をするということになりますと、やはりハブとなるには専従職員がどうしても必要で、兼任ではこういうことが全くできないわけです。
 次のスライドをお願いします。
 循環器病対策推進計画の重点個別施策の一つに、小児・若年期からの配慮が必要な循環器病への対策があります。心臓病領域では、患者会と共催して「思春期の心臓病教室」を開催したり「移行期支援看護外来」というものを開催しており、そして今後「は健康カード」というものをつくっていくという形でしっかり動いていただいております。
 次のスライドをお願いします。
 同じ重点施策の脳卒中領域では、難病のもやもや病に対して、患者就学支援、学習困難を抱える患者さんを世代別のピアサポートというものを毎年1回開催しております。
 次をお願いします。
 ここでは社会連携ということで、医療現場と教育現場との連携が進みまして、京都府、そして、京都市の教育委員会にお願いして、もやもや病という難病のお子さんがどの学校の何年生にいるかも全部調べていただきました。そして患児が就学する学校の養護教諭の先生方、あるいは担任の先生方と、私ども京大病院のもやもや病支援センターの医療スタッフたちが定期的に年3回ぐらいウェブミーティングをしております。学校の先生は患者・家族から、病院ではどう言っていたのかを伝え聞いて指導指針を立てられるわけですけれども、そうではなくて、教育現場と医療側がダイレクトに情報共有できるということで、非常に好評をいただいております。これこそ脳卒中・心臓病支援センターの事業があるからこそ教育行政も動いてくれるものだというふうに考えております。
 以上、京都府の現状について御報告いたしました。
 それでは、質疑の時間を10分ほどいただきましたので、一番初めの厚労省の事務局からの実績報告、あるいは京都府の事業報告について、御質問、御意見がございましたら、委員の先生方からお願いいたします。10分ほどございますので、御感想を言っていただくだけでも結構でございます。いかがでしょうか。
 そんなに構えていただかなくても、これはよかったなとか、こうしたらとかというものがありましたら。
 木澤委員、お願いいたします。

○木澤委員 貴重な御発表ありがとうございます。感想と質問になります。
 非常に多職種といいますか、医療職だけではなく、行政の方ですとか、職能団体、急性期から生活期に至るまで、様々なステークホルダーの方と協働されて、ネットワーク化をされているということが非常にすばらしいことだと思いました。また、標準化というところで、看護の分野ですと、サマリーの様式もいろいろであったり、記載する情報もまちまちだったりしますが、、様式等標準化されていることと、それをつくっただけではなくて、実装されているというところに大変感銘を受けました。
 また、広域のチームということで、非常に有機的だと思いました。質問としましては、様々、いろいろな方が利用者・患者さんに関わるということでは、医療DXで情報ネットワークと共有ということを即時に行うことが必要と言われていると思います。そういったことでは、今回御紹介いただいたところでは何らか共有システムなどは、使用されているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

○宮本委員長 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、後でまたそういうお話が出てくると思いますけれども、この総合支援センターの予算というものは非常に限られたものでございまして、DXの導入までは全く至らないわけです。
 ただ、標準化というお話で、これはそれぞれの、例えば回復期の看護師たちにアンケートを取って、どういう情報が欲しいかというアンケート結果を基に急性期側が考えて標準化していったというようなプロセスを踏んでいるのですけれども、そういうディスカッションのとき、何を使って連携するか。これは理想的にはDXになるのですけれども、そういうディスカッションも必要です。一方、現場では、どういうコンテンツを共有するかというソフト面も結構大事でして、あまりツールのほうでディスカッションすると、あれが使える、あれが使えないということで立ちすくんでしまいますので、残念ながら、DXのほうまでは行っていないのです。
 ただ、京都府医師会も、この流れを見まして、要するに、地域連携パスを見直してはどうかというような話も出ておりますので、方向性としてはいいほうに行っておると思います。
 あまり答えになっていません。すみません。

○木澤委員 いえ、ありがとうございます。
 全国的にも電子カルテの標準化ですとか、診療所にも電子カルテということでミニマムな仕様が検討されていますが、やはりそれには費用が必要になりますので、有事備えて、地域のネットワークができ、かつDXの推進が必要というところで、予算の獲得というところもこれからかなと思いました。ありがとうございます。

○宮本委員長 ありがとうございました。
 では、坂田委員、手を挙げていただいたので、お願いいたします。

○坂田委員 毎回そうなのですが、京都府の非常にすばらしい取組を拝聴して大変勉強になっております。特に今回のお話の中で、やはり支援センターはハブであって、そこからかかりつけ医やかかりつけ薬局、回リハなどと連携していくということの重要性、そして、それが行政のサポートをいただいているということの重要性。その辺りが改めて認識できました。
 1つ御質問なのですが、かかりつけ医というものは、診療所とはいっても何となく、どういう感じの診療所かというものはそこまで多様性がないと思うのですが、薬局といいますと調剤薬局、その規模もばらばらだと思いますし、働き方もいろいろだと思うのですけれども、その辺り、かかりつけ薬局と支援センターの連携というものは、いわゆる薬剤師さんのネットワークだけでフォローできるのか。それとも、どのぐらい、我々医師が連携していかないといけないのか。その辺り、具体的なところはいかがでしょうか。

○宮本委員長 ありがとうございます。
 京都府では、京都府脳卒中連携薬剤師会議、各病院49病院から1人ずつ指名された薬剤師がやはり3~4か月に1回、ウェブ会議をしておりまして、それには必ず私も参加しております。その途中から京都府薬剤師会。これは主にかかりつけ薬局の団体になりますけれども、その委員も参加されまして、そこで先ほどのようなシステムが出来上がってまいりました。
 京都府ではエリアごとに、これまで地域連携の会、複数のエリアの急性期・回復期医療機関、それから、地区医師会、そして、地区薬剤師会が一緒になって問題意識を共有しているという取組をしてまいりました。そしてこの9月の末には京都府医師会館で、京都府薬剤師会も一緒になって、地域連携の会を京都府の全ての脳卒中医療機関と一緒に行うということが行われておりますので、ある程度クオリティーコントロールができている。
 ただし、かかりつけ薬局には、ほかの職種と違って、処方箋という情報しか行っていないのです。しっかり服薬指導していただくためには、それ以外の情報もやはり欲しいという意見がでてきて、大変前向きに、いい方向にディスカッションは進んでいるというふうには思っております。

○坂田委員 ありがとうございます。

○宮本委員長 早坂委員、お願いいたします。

○早坂委員 本当に京都のすばらしい実践を聞かせていただいて、すごく学びがありました。やはり脳卒中・心臓病等総合支援センターがハブとなって、結局、地域全体をコーディネートするといいますか、オール京都といいますか、脳卒中ワンチームという形で地域全体をつなげたというのがすごくよく分かりました。
 この中でやはり、よく49病院が集まったなといいますか、気持ちをそろえて情報提供して、どこに行っても患者さんがある項目について同じ情報を得られるというのはすばらしいのですが、その中で皆さんが集まってくださったときの難しかったことと、それをどういうような形で解決して、これだけの集まりがつくれたかということをお聞きできたらと思います。

○宮本委員長 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、初め、こういうことをやり出そうとしたときに、皆さん、通常業務で忙しいのに、これ以上の会議などはなかなかできないという意見がございました。そこは私にとっては急性期病院はもともと知り合いですから、お願いしますと言えば、ご協力いただけるのですけれども、回リハのほうは患者さんを紹介するだけのお付き合いでしたので、私がそれぞれの病院に赴きまして、病院長と面談して、こういうことをやってくれとお願いしました。宮本が言っているなら、付き合わないと仕方がないなみたいなことになりまして、初めは医療ソーシャルワーカーの連携から始まったのです。というのは、医療ソーシャルワーカーは院内でもいろいろな職種と連携していただいていますし、他機関とも連携される職業ですので、ここの連携がやはりプラットフォームだと思っていました。
 それで、医療ソーシャルワーカーの方が集まったときも、初めはみんな、地域連携パスの会議とどう違うのかみたいな形でちょっと固かったのですけれども、何回かやってきて、先ほど御紹介したのは様々なアウトプット情報共有ができるようになりますと、つながっていく何かモチベーションというものが上がってきて、そこからはどんどんよくなってきた。それは各職種においてもそうなのです。初め、立ち上げるときは嫌々という感じもあったのですけれども、その産みの苦しみを超えると、みんなつながっていって、非常に自律的に動いていただけるということかなと思います。皆、給料が上がっているわけでもないのに、やはり医療職というものはfor the Patientで、よく頑張ってくれるなというふうには思っております。

○早坂委員 ありがとうございました。

○宮本委員長 よろしいでしょうか。
 それでは、ちょうど大体の時間になりましたので、続きまして、議事の「(2)脳卒中・心臓病等総合支援センターの今後について」に移りたいと思います。
 まず、資料2-1について、日本脳卒中学会の藤本参考人よりお願いいたします。

○藤本参考人 私の声は聞こえますでしょうか。

○宮本委員長 大丈夫です。

○藤本参考人 日本脳卒中学会の藤本でございます。では、早速始めさせていただきたいと思います。総合支援委員会にお呼びいただきまして、私が今日話させていただくのは「日本脳卒中学会からの提言」というテーマでお話をさせていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 私たちから提言は3つあるのですけれども、脳卒中・心臓病等総合支援センターをハブとした協働というテーマで3つのことを考えております。1つ目は、学会のプロジェクトチームや研究班との協働。2つ目が、脳卒中学会が認定しております一次脳卒中センターのコア施設に設置されています脳卒中相談窓口との協働。さらには、年次総会での議論という、この3つで話をしたいと思います。
 次をお願いいたします。
 学会から、今、脳卒中・心臓病等総合支援センターにどういう働きかけや協力をさせていただいているかというと、一つは学会の中の情報提供・相談支援プロジェクトチームですとか緩和ケアプロジェクトチームという、比較的、活発に活動しているチームがございまして、そのチームが研究班とリンクして、主に宮本班ですとか、私がやっています地域連携パスの調査とか、そういったところの調査に協力をしております。この調査というものは、まさにこの総合支援センターがハブとなって、司令塔となって行っている調査という形であります。
 今、脳卒中相談窓口が、全国に300以上、設置されていますので、その相談窓口が各地域の総合支援センターとつながって、脳卒中相談窓口連携会議というものを開催しております。これは多職種連携の鍵となっていると思います。
 さらには、定期的に各都道府県脳卒中対策推進委員長へ情報提供を行う会を開催いたしまして、この総合支援センターでの活動の紹介や好事例の紹介、モデルの提示を行っているといった働きかけをやっております。
 次をお願いいたします。
 今、宮本班等の研究で司令塔になっているという話をしましたが、そこの中で両立支援の調査や、両立支援のリハビリテーションの調査、意思決定支援の現状に続く調査。そういったことを行っていまして、地域における相談支援の現状と課題を明確化するという働きかけをやっております。
 次をお願いいたします。
 その一つのテーマとして、この総合支援センターがハブとなって、両立支援の調査を脳卒中のワーキンググループと循環器のワーキンググループで行っているわけです。
 次をお願いいたします。
 その中でいろいろなことが分かってきております。この両立支援調査2023におきましては、総合支援センターに早くから認定されました7つの府県が中心となって行っております。
 次をお願いいたします。
 結局、そこでいろいろな大事なことが分かってきております。ただ、就労支援のターゲットになる患者さんがどのぐらいいるかということを明らかにしておりまして、大体、急性期に入院する脳卒中の患者さんの3%ぐらいが両立支援のストライクゾーンであるということが分かってきておりまして、ターゲットを絞った支援というものが非常に大事だということが分かっています。
 次をお願いいたします。
 この調査はまだ続いておりまして、最終的には今年10月に最終報告が行われる予定ですが、そこでまた詳しいことが分かってきて提言につながっていくのではないかなと思っています。
 次をお願いいたします。
 そして、この調査はいろいろな調査を行っているわけなのですけれども、その過程の中で、この脳卒中相談窓口連携会議というものを活発に開催しておりまして、これは総合支援センターがハブとなって、その地域のPSCやPSCコア、さらには回復期リハビリテーション病院が一堂に会して、Zoom会議等で、研究班との協働、そして、情報共有、多職種連携。これはテーマごとに参加する職種が変わってくるわけですけれども、多くの職種が参加して、この連携会議をやることによって地域の結束も強まっていくといったメリットもございます。この連携会議を開くことによって、様々な課題の抽出をきちんと悉皆性を持って研究班として出すということも可能になっていますし、地域の結束を強める、そしてまた、総合支援センターの活動を円滑にするという、様々な側面のメリットがございます。
 次をお願いいたします。
 さらに、相談窓口を脳卒中学会として展開しております。
 次をお願いいたします。
 現在、2022年度からどんどん増えていきまして、2024年度、今年4月の報告では全国に308の相談窓口が設置されていて、その中でも一定の割合で脳卒中療養相談士という認定を取った方々がその中で中心的な役割を担っているという状況です。
 次をお願いいたします。
 多くの職種が参加しておりまして、両立支援コーディネーターも少しずつ増えてきているという状況です。
 次をお願いいたします。
 そして、この2022年度の報告から2024年度の報告に大きく変わってきているのは、相談回数が大体倍増していますし、支援患者さんも約3倍に増えてきているといった実績がございます。ですから、この相談窓口は全国でかなり多くの患者さんのサポートをできている。そういった実績を積み上げている。その相談窓口が各地域で総合支援センターのハブとなって連携して、地域の情報を共有したり、課題を共有したりということが可能となっているという状況です。
 次をお願いいたします。
 これはどういう相談支援を行ってきたかということですが、やはり最近の傾向として、介護・福祉・家族支援の相談、リハビリテーションに関する相談、さらには疾患管理。これは栄養指導とかも含みますけれども、疾患管理に関する相談とかが非常に増えてきていて、ニーズが高い。一方で、両立支援や緩和ケア、意思決定支援、障害者手帳、ピアサポート。こういった内容に関しては、なかなか支援がまだまだ十分にできていない。これはいろいろな制度の問題もあるかもしれませんが、これからの課題かなと思っています。
 次をお願いいたします。
 これは副産物として、宮本班の調査をしている38施設、調査に参加している38施設とそれ以外の施設で比べたら、両立支援コーディネーターの数がやはり支援している施設では多いし、両立支援に関する相談件数の実績も多い傾向が示されているということで、こういった活動をすることによって意識が高まって、そういった支援につながっていくといったメリットもあるのではないかなというふうに思っています。
 次をお願いいたします。
 そういうことで、都道府県の相談窓口の協働ということで考えたときに、この実績を都道府県単位で集計することもできますので、施設間の情報共有で地域の課題を明らかにすることにも貢献できるかなと思っています。
 各相談窓口から報告される情報提供・相談支援に関する課題も、フリーの書き込みでたくさん書き込んでもらっていますので、地域の課題に関する現場の声を各地域で共有して、改善を図っていくということにもつながっていくのではないかなと思っています。
 こういった協働を通した脳卒中相談窓口の活動の活性化に、今後も尽力していきたいと思っています。
 次をお願いいたします。
 最後に、年次総会との協働ということでございますが、STROKE2023、2024、2025と、毎年、シンポジウムでこの総合支援センターに関するテーマを取り上げて、周知と意見交換の場としております。来年の2026でも取り上げますし、また、日本神経学会でもお願いして、これに関するシンポジウムを組んでいただいて、循環器から小林代表理事にも参加いただくということになっております。
 次をお願いいたします。
 そういうことで、脳卒中学会の提言として3つ、学会のプロジェクトチームや研究班との協働、全国308施設に設置されている脳卒中相談窓口との協働、そして、年次総会での議論・協働といったことを提言させていただきたいと思います。
 以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。学会の活動とうまく総合支援センター事業をリンクさせていけという御提言であったと思います。
 それでは、次に、資料2-2につきまして、日本循環器学会の安田参考人よりお願いいたします。

○安田参考人 聞こえておりますでしょうか。

○宮本委員長 大丈夫です。

○安田参考人 日本循環器学会常務理事、東北大学循環器内科の安田でございます。日本循環器学会では、総合支援センターモデル事業の連絡会議を施設間の連携促進の場として開催してまいりました。本日は、その活動内容と議論の要点につきまして御報告したいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 日本循環器学会では、モデル事業選定施設の代表者が一堂に会しまして、心臓病領域の情報共有を目的とした連絡会議を設置しております。2022年10月以降、左上のほうにスケジュールを書いておりますけれども、これまで延べ11回にわたって開催をしてまいりました。
 これまでの議論の内容をスライド左下にまとめております。各施設の取組内容の紹介と、相談支援の好事例の共有、また、地域住民向けの資材の情報共有、総合支援センターの今後の展開についての議論、相談窓口の相談件数及び内容についての情報共有、2年目以降の予算と実務担当者の雇用に関する情報共有、そして、日本循環器協会との連携などでございます。
 次をお願いいたします。
 連携会議では、好事例を共有しながら、各センターの運営に生かしてまいりました。具体的には、スライド中央の福岡県、それから、スライド右上の香川県、相談支援における多職種連携やセンターの運用フロー、スライド左下の北海道による病病あるいは病診連携ネットワークの強化と、ICTを活用した遠隔医療環境の構築。そして、スライド右の東京都による親子教室の実施など、各地域の特徴的な事例を紹介し、それを取り入れていくというような活動を行ってまいりました。
 次のスライドをお願いいたします。
 また、啓発資材については情報共有を進めまして、患者向け啓発動画を共同で作成するなどの取組を行ってまいりました。スライド上段は栃木県、茨城県、三重県、京都府、福岡県、熊本県、各都道府県が共同で啓発動画を作成し、それらを実際に活用するというような試みでございます。これらの資材でございますが、厚生労働省様にも御協力いただきまして、厚労省のサイトでも掲載をされ、都道府県を超えて参照できるような環境が整備されてきております。
 次のスライドをお願いいたします。
 相談支援部門の支援体制でございますけれども、学会内で調査を行っております。スライド下側の棒グラフにお示ししますように、左側から医師、看護師、それから、宮本先生からも事務職の重要性のお話がございましたけれども、専任の事務職、それから、リハビリの専門職、そして、社会福祉士の必要性が高いということが示唆される結果となっております。
 次のスライドをお願いいたします。
 さらに、予算状況に関して、学会事務局がアンケート調査を実施いたしまして、その結果を各センターの予算化を検討する際の資料として学会の中で共有し、活用してまいりました。
 次のスライドをお願いいたします。
 また、先ほど藤本先生もおっしゃっておられましたが、日本脳卒中学会と共同でこの総合支援センターに関するシンポジウムを開催し、各地域での各センターの取組事例の紹介と、課題に関する議論を行ってまいりました。このシンポジウムには、今日御出席の鶴田課長をはじめ、厚生労働省の担当の方にも御出席をいただき、意見交換を続けてきたという経緯がございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これがまとめのスライドとなりますが、日本循環器学会のこれまでの議論を踏まえまして、脳卒中・心臓病等総合支援センターの運営に関する重要な4項目を整理いたしました。
 まず第1に、脳卒中及び急性期の心血管疾患に対しまして、地域医療機関・緊急搬送システムと連携しながら、t-PA静注療法・血管内治療・冠動脈インターベンション等の急性期医療を切れ目なく提供できる体制を確保していくこと。
 2番目に、急性期から回復期・維持期まで切れ目のない診療を提供し、リハビリテーション、慢性期管理、再発予防を含む包括的治療体制を整備すること。
 3番目に、医師、看護師、リハビリ専門職、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカー等による多職種チームを常設し、患者・家族への生活習慣改善指導、退院後支援、就労及び社会復帰支援等を一体的に行うこと。
 そして第4に、脳卒中・循環器病に関する診療データを継続的に収集・分析し、地域・施設間での活用を促進するとともに、医療DXを活用し、診療・予防・研究の効率化と質の向上を図っていくこと。
 これらの4点は、地域のハブとして機能いたします総合支援センターが担うべき重要な役割であると私どもは考えております。
 日本循環器学会からの報告は以上でございます。

○宮本委員長 安田先生、ありがとうございました。
 質疑は、また後ほどまとめまして行わせていただきます。
 続きまして、私、宮本のほうから資料2-3について説明いたします。ただいま両学会からの提言がございまして、循環器病総合支援委員会の委員長として、この総合支援センターの今後について、現在、感じていることをまとめたいと思います。
 次をお願いいたします。
 総合支援センターをこの厚労省がつくられたポンチ絵はこの事業が目指すところを本当にうまく示しているなと思います。支援の中心的な役割を担う医療機関に脳卒中・心臓病等センターを設置して、県の行政、医師会、医療機関・医療団体、そして、患者団体と連携しながら、循環器病対策推進基本計画の患者支援に関する重点施策をハブとなって進める、決して総合支援センターだけが支援を行うのではないということがよく表されていると考えております。
 次をお願いいたします。
 この循環器病対策推進基本計画に書き込まれた患者支援に関する重点施策というものは4~10までの主に7つの施策ですけれども、ここの内容を二言でまとめますと、相談支援と情報提供ということになります。
 次をお願いします。
 そして、総合支援センターができたときに、脳卒中学会も循環器学会もそれぞれの責任者などを集めて様々な情報共有をしております。そういうときにしばしば認められる誤認識というものがございまして、総合支援センターになったら県独自の啓発動画やパンフレットを作成するのとまず考えるようなのですけれども、先ほど安田先生の発表にもありましたように、学会など、と厚労省が連携しながら、たくさんの情報提供資材がすでに作成されておりますので、同じようなものを個別で県がつくっていくというのは、予算の無駄遣いであまり得策ではないというふうに考えております。
 それから、相談支援について、総合支援センターは、県民全ての相談窓口として、支援を行わなければならないというふうに思われがちなのですけれども、とんでもないことで、ハブとなって、どの病院もそれぞれの患者さんに対して支援を行っていく体制づくりをするというのが総合支援センターの事業です。
 そして、ネットワーク構築。これが非常に大事なのですけれども、ここでも、地域連携パス会議などのネットワークはあるので、これ以上のネットワークは要らないというふうに誤解されているのですけれども、そうではなくて、横連携、縦連携、縦串、横串のように、地域多職種連携を整備していくということが大事だというふうに考えております。
 次をお願いします。
 これは京大病院の脳卒中相談窓口における支援状況なのですけれども、1年間で支援件数211名なのです。京大病院は急性期脳卒中が年間二百数十名で入院してまいりますので、その多くを支援させていただいているということなのです。反対に言いますと、総合支援センターに相談窓口を設けましても、一般の市民にとってはそこに来て相談するというのはなかなかハードルが高いということがあり、総合支援センターとはいえ、支援の対象はやはりかかりつけ患者さん主体になってしまう。それも入院患者さん主体になってしまうということです。
 右上のほうに書いていますように、日本脳卒中学会の年次報告データでは、京都府の急性期脳卒中患者というものは年間6,000人余りなので、総合支援センターがいかに頑張っても、この6,000人にはなかなか情報提供できないわけです。これはどの総合支援センターでもそうだと思います。すなわち、脳卒中・心臓病等総合支援センター単一機関で実施可能な相談支援というものは疾患発生数と比べればどうしても限られてしまうわけです。そうなりますと、総合支援センターがハブとなって、各医療機関がそれぞれの自院かかりつけ患者さんに対して標準化された情報提供・相談支援ができる体制をつくっていくというのが総合支援センターの大事なところではないかなというふうに考えるわけです。
 次をお願いいたします。
 そうなりますと、情報提供・相談支援についても、総合支援センターは主に自院かかりつけ患者・家族を対象とするとともに、一般患者・市民を対象とした市民公開講座とか啓発動画・資料などを紹介して、そして、それを県内施設にハブとして提供していって、支援情報を標準化して共有していく。
 すなわち、どの医療機関においても、自院のかかりつけ患者・家族に対して同じ情報・同じ支援ができる体制をつくっていくということこそ総合支援センターに求められることです。ネットワーク構築についても、単に患者さんの転院に関係する情報共有のための地域連携パスの会議ではなくて、その県において地域連携・多職種連携による情報共有を社会実装するというのが総合支援センターの役割であろうというふうに考えております。
 次をお願いします。
 これは先ほど京都府の事例でお示ししたスライドですので、割愛いたします。
 次をお願いします。
 これも先ほどお示しいたしました。総合支援センターもかなりのエフォートでございますので、ハブとなるには専従の職員が絶対必要で、それを雇用するための予算をしっかり確保するということが大切でございます。
 次をお願いいたします。
 そうなりますと、各県のハブとなりますと、下に書いていますように、脳卒中と心臓病、先ほど一番初めに言いましたように、それぞれ共通するところとはやはり疾患特異なところがありますので、脳卒中と心臓病、各領域に少なくとも各1名の専従職員を雇用しないと事業はなかなかできません。そうしますと、三百数十万円は雇用人件費だけでかかりますので、それ以外の実際の事業に関わる費用のことを考えると、合計年間1000万円は最低、事業継続のために必要ではないかと学会としては考えております。
 次をお願いいたします。
 この総合支援センターの予算というものは、初年度は脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業ということで国が100%、2年目からは循環器病特別対策事業として国と都道府県がフィフティー・フィフティーということになります。
 次をお願いします。
 そして、この循環器病特別対策事業は、下の図にありますように、幾つも事業内容が1から7までありまして、7が総合支援センター事業なわけです。赤で囲みましたように「補助先:都道府県、補助率:1/2」と書かれておりますように、県が予算を決めて、その50%を国が補助しますという立てつけの予算でございます。反対に言いますと、県が予算をつくってくれませんと厚労省は予算を補助できないという仕組みの事業費でございます。
 次をお願いいたします。
 これが、脳卒中学会が調べました令和7年度の総合支援センターの各県の事業費でございまして、2年目以降の37都道府県で、令和7年度に採択された10県は初年度であるためこのデータには入っておりません。37都道府県の中で、先ほど学会側が事業継続に最低やはり1000万円は要ると考えた予算が確保されているのは御覧の13都道県で、緑で示したところが1500万円以上、青で示したところが1000万円以上の予算になっておりまして、それぞれ額を記入させていただいております。特に地方性はないというふうには思います。
 次をお願いいたします。
 それ以外の24府県では、必要とされる1000万円以上が確保されていないわけです。黄色で示した12府県というものは1000万円以下ということですから、専従職員1名は何とか雇用できても、それ以外の事業がなかなか展開が難しい。京都府はなかなか頑張っていますねとご感想をいただきましたが、京都府も今年は800万円に減らされておりますので、雇用職員を1人、それぞれの病院が雇うと、ほぼそれ以上の予算は残りません。持ち出しや自己努力で活動しているにすぎません。
 赤で示しました6県は500万円未満でございますので、専従職員を雇うことは全く難しいという県です。さらに、紫で示しました4府県。ここは100万円未満となっておりまして、ゼロのところもございます。これでは幾ら頑張れと言われても頑張れないわけでございまして、神奈川県は予算が折り合わずに、施設が辞退されたと聞いております。
 次をお願いします。
 総合支援センターの2年目以降の事業進捗が難渋している県はどんなところがあるかといいますと、行政が、県が2年目以降の事業予算を確保しない。そうしますと、病院も、皆さん御存じのように、大学病院も軒並み赤字でございます。予算が来ないということであれば、病院執行部もこの事業はなかなか積極的にやらさない。働き方改革もありますので、これ以上、業務を増やすなと抑制がかかる大学病院もございます。そうなりますと、担当部署も今でも手いっぱいなので、これ以上、仕事できませんということで、総合支援センターが病院一丸として動きません。
 中には、脳卒中領域と心臓領域の事業に関する認識や連携が不十分な施設もございます。それから、総合支援センターの力量不足でございますけれども、県全体の関連施設とか団体をうまく動かしていく力量が少し不足しているところもございまして、それであれば、県全体の医療施設あるいは団体が動かないで、ローカルな相談支援事業にとどまってしまいます。そうなりますと、右の矢印のように、事業進捗がありませんので、幾ら県の健康部局が予算を増やしてほしいと財政部局に言いましても説得できる内容がございません。そうすると、3年目はさらに予算がつくられなくなってしまいます。これが悪循環でございます。
 次をお願いします。
 総合支援センター事業が持続可能であるためには、今、述べましたように、都道府県行政の支援、適切な事業予算を組んでいただかないと国もサポートできないわけでございます。そして、もう一つは、ハブとなる総合支援センターの力量というものが非常に大事でございまして、これがないと県全体の医療機関・医療団体が動かないわけです。これらは、飛行機に例えると両翼のエンジンです。いずれが欠けても片肺飛行で、長もちしませんし、いずれもなければ全く飛べないわけでございまして、全く飛んでいない県もございます。
 次をお願いいたします。
 これは先ほど藤本先生から御紹介があった、私が主任研究者をしている研究班でございますけれども、研究班で様々な活動を総合支援センター設置県で行うことによって地域多職種連携は進みます。
 次をお願いします。
 両立支援調査2023というものは、7つの府県で半年間の急性期脳卒中患者さん全てを対象として両立支援についての実態調査を行いまして、この実態調査を行ってくれたのは各病院の医療ソーシャルワーカーでございます。
 次をお願いいたします。
 これは別の8県で行われている両立支援調査2024です。「期待される効果」のところに書いておりますように、医療ソーシャルワーカーが集まる脳卒中相談窓口連携会議が、この調査をきっかけに立ち上がる。そして、この調査に参加することによって、横につながっていって、地域連携が活性化していくということです。実は両立支援調査2025というものも12道県で予定されております。
 次のスライドをお願いいたします。
 こういう研究班活動とリンクする脳卒中相談窓口連携会議が少なくとも31道府県で稼働しているということになります。今年度をもちまして総合支援センターは47都道府県ですけれども、やはり何かのアクションを起こさないと実際には動き出さないということでございまして、研究班とリンクしていくというのも非常に有効だというふうに考えております。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは最後のまとめのスライドになります。提言でございます。ハブとしての事業が重要だということは今日、何度も述べました。どの病院でも、急性期・回復期・生活期、どのステージでも、標準化された支援・情報提供をできるように持っていくということが大事でございます。
 2番目に、総合支援センター事業予算確保の重要性ということです。現在のスキームでは、県が出さないと国も出せない、フィフティー・フィフティーだ。これで県が出してくれなかったら、これはなかなか国も対応できないわけで、この事業の均てん化や事業継続性が果たしてこのままで可能だろうかというところは不安を感じております。
 それから、3番目は、最後に御紹介しました研究班事業に参加することで、総合支援センター事業をハブとした地域多職種連携を社会実装できる。
 4番目に、総合支援センター事業の適切な評価。これは大変大事だと思うのです。どうしても各県に出す評価も、単に相談件数とか、公開講座を何回やりましたかとか、そういうことだけなのですけれども、そうではなくて、地域連携とか多職種連携のハブとなっていることを示す評価項目というものが必要なのではないか。
 5番目として、これまで両学会が総合支援センターの責任者を集めて情報共有とか検証を行ってまいりましたが、やはり県の行政も参加していただいて、他県の好事例を共有するとか、あるいはディスカッションするような仕組みがないと、学会側・病院側だけではこれは進まないのではないかなというふうに考えます。患者支援の推進にとっては総合支援センターというものは非常にいいスキームだと思いますので、これはしっかり成功させないと循環器病対策基本法の意味がございません。
 私からは以上でございます。
 それでは、あと5分余りになりましたけれども、時間が残っていますので、ここまでの両学会からの提言、そして、循環器病総合支援委員会委員長としての今後に向けての私の話を聞いていただいて、委員の先生方からぜひ御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
 川勝委員、先ほど御発言なかったので、顔が見えていますけれども、いかがですか。

○川勝委員 川勝です。こんにちは。今、一応、御指名でございまして、感想といいますか、意見を言いたいと思います。
 これまで何回もこの総合支援委員会に出まして、大体、いつも京都府なのです。委員長が宮本先生だからこそ御発表は京都府なのでしょうけれども、私は神奈川県の在住で、出身が京都府です。神奈川県は、さっき施設が辞退した。スタートから全く存在感がなかったので、はっきり言って、神奈川県を引っ越して、京都府に引っ越したいなと思うぐらい劣っているなという印象を強く持っています。
 では、何で京都府がこれだけうまくいっているのかということを今日の話を聞いていてますます強めたのですけれども、これはまず最初にスタートするときに、かなりセンターの皆さん、MSWの皆さんが中心となって悩んだと思うのですよ。身近なセンター内の職員の皆さんの意識改革を、リーダーである宮本先生がかなりうまくやって、府内の課題がこうだということを集約し、そこで大事だったのは、センターの職員の方、それから、府内のいろいろなネットワークの皆さんが、言われたことだけやるのではなくて、自ら動き出しているわけです。その雰囲気をつくったのが、やはりこの京都府のセンターの成功だったと思うのですよ。
 では、これは何でできたのか。これはきっと、入れ物ではなくて人なので、リーダーである宮本先生は結構、持ち上げるつもりではないのですけれども、やはりリーダーの思いとか心意気がまず職員の皆さんに伝わり、かつ府内のいろいろな病院にも伝わり、クリニックにも伝わって、動いて、ここまで来ているのだと思うのです。
 先ほどから、都道府県で予算がゼロになったとか、いろいろな予算の面もあると思うのですが、僕はやはり、人で動いていますから、そろそろ、大変言い方もきついのですけれども、私は民間企業の出身なので、成績の悪いところをやはりあぶり出して個別指導してもいいのではないか。ですから、遅れていると、これはさっきも行政が参加という一番最後のシートで書いてあったのですけれども、そろそろ、厚労省から見て、総合支援事業が遅れている都道府県を絞り込んで、特定強化センターとかをつくって個別指導したらどうですか。それぐらいやらないと、せっかく最初はお金を使って、私たちは一生懸命悩んで、選定して動かしたのに、仏様をつくって心が入っていないような感じではないかなというふうにすごく感じます。
 だから、リーダーを育てなければいけないのであれば、かじを切り替えて、リーダーを育成することも力を入れてもいいのではないかなというふうに今日の話を聞いて思いました。
 いつも言い過ぎておりますけれども、よろしくお願いします。

○宮本委員長 やはり患者さんの立場からという、川勝委員ならではの御意見だったと思います。
 決して京都だけではなくて、先ほどスライドで示しましたように、31の県で医療ソーシャルワーカーの横連携、年度ごとによって進捗度はやはりかかるのですけれども、動き出していますので、それはそれで仕掛けでそういう横連携は進んでいくものだと思います。
 それと、ここはあくまで私個人の意見ですけれども、川勝委員がおっしゃったように、進捗していないところを呼び出してどうのこうのというものは難しいかもしれませんけれども、やはり定期的に、循環器病総合支援委員会もウェブでできますので、そこにある県の行政の方とか総合支援センターの長とかでプレゼンをしてもらったりして、駄目だしするのではなくて、むしろ、こうしたらいいのではないのかという意見をみんなでサジェスチョンするという機会はあってもいいのかなというふうにも考えている次第で、また御意見をいただければというふうにも思います。ありがとうございました。
 それでは、阿彦委員、お願いいたします。

○阿彦委員 すみません。総合支援センターは今年度実施できないところもあるということで、始めたのに継続できないということが非常に問題になっています。後での整備指針等にも関わると思うのですけれども、総合支援センターとして活動するに当たって、今は大学病院が多いと思うのですけれども、宮本先生からあったように、ほとんどの大学病院が大赤字で、新しい人材の確保というものも厳しい状況になっている。
 そういう状況ですので、がんの診療連携拠点病院や認知症疾患医療センターの関係の診療報酬加算とか、いろいろ拠点病院やセンターと名のつくような病院・施設に対しては、診療報酬上もいろいろなメリットとなるような加算が整備されていると思うのですけれども、今回の脳卒中・心臓病等総合支援センターについては、通常の脳卒中や高度医療関係の診療に関する加算はあっても、このセンターの幅広い事業を見込んでの加算というものがないように思うのですけれども、宮本先生、その辺はいかがなのでしょうか。

○宮本委員長 ぜひつけていただきたいと思います。
 これは私が答える内容ではなくて、どうしましょう。厚労省から何か御意見ございますか。
 では、鶴田課長から。

○鶴田課長 基本的に診療報酬のことは中医協で議論する話になりますので、あまりここで議論するものではないのではないかなというふうには思っていますけれども、ただ、今回の総合支援センター自体は、医療の質、患者さんに医療を提供するというよりは、どちらかというと、ハブとして関係の医療機関を巻き込んで、連携をどう強化したり、人材育成をどう高めていったり、また、相談をどういうふうにしていくかという話になりますので、どちらかというと、予算でしっかりと補助する対象かなというふうには思っていますので、今のところは国が2分の1、都道府県が2分の1という形で事業を執行させていただいていますので、それを都道府県から上がってくる必要性を踏まえて、必要な予算を確保できるように我々としては努力をするといった構造にあるものかなというふうには思っております。
 以上です。

○宮本委員長 なかなか苦しいお答えだったと思います。

○阿彦委員 ありがとうございます。

○宮本委員長 皆さん、基本的には総合支援センター事業というものは非常に実現していきたいものなので、その予算はしっかり確保してほしいというのは委員の先生方のお気持ちではないかなと思います。
 少し時間が過ぎましたので、これで続きまして、議事(3)の整備指針作成方針(案)に移りたいと思います。
 それでは、資料3-1について、事務局よりお願いいたします。

○水島主査 事務局でございます。それでは、資料3の整備指針(案)作成について御説明をさせていただきます。
 まず、脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の総括について御説明いたします。
 背景・現状について、先ほどの資料1-1と一部重複しますが、御説明をいたします。第2期循環器病対策推進基本計画において、循環器病患者を中心とした包括的な支援体制を構築するため、総合的な取組を推進することとしております。
 この取組の一環として、令和4年度より「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」を実施し、各都道府県の循環器病に関する専門的な知識を有する医療機関に対して、総合支援センターの立ち上げ支援を行ってまいりました。
 モデル事業においては、公募を経て本委員会で選定した医療機関に総合支援センターを設置し、都道府県と連携して、地域の医療機関への情報提供や地域連携の体制構築など、包括的な支援体制の整備を推進してきたところです。
 令和7年度の採択をもって、47都道府県(54医療機関)においてモデル事業が展開されました。
 このような背景・現状を踏まえて、今後の対応(案)として、厚生労働省としましては、モデル事業において得られた知見や課題を、総合支援センターに求められる役割ごとに整理し、全国の総合支援センターにおいて、包括的な支援体制が提供できるよう、整備指針を作成することを考えております。
 その整備指針の作成に当たって、まず「整備指針の作成のポイント」について本委員会及び循環器病対策推進協議会で協議いただければと思っております。
 その内容を踏まえて、厚生労働省において整備指針を作成し、令和7年度中に、厚生労働省から各都道府県に対して通知を発出し、整備指針の周知を実施することを考えております。
 スライドを1枚おめくりください。
 脳卒中・心臓病等総合支援センターの整備指針(案)作成のポイントについてです。これまでの取組等を踏まえ、以下のとおり、整備指針に掲載する内容を取りまとめたところです。
 総合支援センター、都道府県、国及び国立循環器病研究センター、それぞれの対応すべき内容について、普及啓発、医療連携体制の構築、人材育成、相談支援ごとに整理し、まとめたものになります。
 各項目の内容はスライドを御覧いただければと思いますが、まず、総合支援センターは、都道府県全体の循環器病対策における中心的な役割を担う医療機関として、都道府県と連携しながら、地域の循環器病に関わる医療機関、患者団体等との連携体制を構築することとしております。
 都道府県は、総合支援センターが安定的に運営できるよう、脳卒中・心臓病等特別対策費等を活用して必要な予算を確保し、都道府県の循環器病対策推進協議会とも連携し、循環器病対策を推進することとしております。
 そして、国及び国立循環器病研究センターは、総合支援センターや都道府県がその役割を最大限に発揮できるよう、最新の科学的な知見を収集するとともに、各都道府県の取組を評価・分析し、好事例の横展開等を通じて、国の循環器病対策を推進することとしております。
 スライドの最後でございますが、脳卒中・心臓病等総合支援センターの今後の展望について御説明いたします。
 赤線が引いてあるところが本日の総合支援委員会となります。今後は、本日御議論いただいた内容を踏まえて、第15回循環器病対策推進協議会においても総合支援センターについてを議題とさせていただき、令和7年度中に整備指針を発出することを考えております。
 また、令和8年度には、国と国立循環器病研究センターにおいて、名称は仮称となりますけれども、都道府県循環器病総合支援センター連絡会議を設置し、好事例の横展開やセンターの実績報告をする場を設け、引き続き、総合支援センターの取組を推進してまいりたいと考えております。
 以上になります。

○宮本委員長 ありがとうございました。
 では、この1つ前のスライドですか。資料3の3ページを出していただいて、これです。
 先ほど事務局のほうから、それぞれの総合支援センター、都道府県、そして、国・国循というところで横向けにまとめたところがありますので、それを読んでいただいたということでございます。
 恐らく、整備指針をしっかり定めないと、何となくイメージだけではいけないので、こういうことをしっかり定めていこうということについては、皆さん、御賛同いただけるのではないかなというふうに考えております。
 整備指針は今からつくっていかれることになるのですけれども、そのコンセプトとして、こういう案が厚労省のほうから示されております。この案について、いかがでしょうか。
 御覧いただいて、先ほどの都道府県の予算というところも都道府県の2番のところに必要な予算を確保しということはしっかりと書き込まれているようには思いますけれども、どう確保してくれるのだということが実は大事なのですけれども、作成のポイントとしては書いていただいているというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
 この全体的なイメージといいますか、内容として、ぜひ一言ずつ、委員の先生方から、あるいは参考人の先生方、御意見があれば後で伺いたいと思いますけれども、坂田委員、いかがでしょうか。手を挙げていただいていましたね。

○坂田委員 ありがとうございます。国から総合支援センターまでと、その4つの必要な項目というものが項目としては網羅されていて、こういう指針があると、強化するべきポイントというものはよく分かるのではないかと思います。
 その上で、多分ですけれども、各都道府県で強いところと弱いところという部分がやはりあるのではないかなと思いますので、先ほど川勝委員の御意見もありましたが、ある機関を決めて、どこまで整備されているのかということになると思いますが、ある程度、この整備指針が出来上がったときに各都道府県は、この1年か2年か分からないですけれども、その期間ではここの部分を強化するとか、そういうふうなこともきちんと出していただいて、逆に言うと、それ以外のところができていないからといって駄目ではないかということにはならないとか、何かそういうふうなことも、予算も考えると、必要かなというふうに思いました。
 いかがでしょうか。

○宮本委員長 ありがとうございます。
 それは評価に対する予算ということですか。

○坂田委員 評価に対する予算というものと、あと、各都道府県や支援センターの実際のアクションという意味でもあるのです。

○宮本委員長 ありがとうございます。
 次のスライドをお願いします。
 先ほど御説明がありました右下のところですけれども、これは仮の名前になっていて、都道府県総合支援センター連絡会議などを設置してというディスカッションもありましたので、何らかの形でこういうふうに事業の進捗を評価したり、あるいは指導したりということが必要だというコンセプトがここに書き込まれているのではないかなというふうに思いますので、坂田委員の御意見もその方向に沿ったものだと思いますけれども、事務局、いかがですか。

○水島主査 事務局でございます。宮本委員長のおっしゃったとおりかなと思っております。
 この連絡会議は仮の名前ですし、この場で議論する内容自体もまだ決まっているものではございませんけれども、そういった評価だったりとか、そういう進捗管理みたいなものというものもこの中で実現できるのではないかなと今の時点では思っているところでございます。

○宮本委員長 どういうようなものを、どういうような会議体を設置して、どういうことを考えていくかということについてはもう少し詰めないといけないと思いますので、また、今日はなかなか、この会議の間に考えるというのは難しいですから、ぜひ皆さんの御意見を適宜伺っていきたいと思います。
 ほかはいかがでしょうか。
 木澤委員とかはいかがですか。

○木澤委員 ありがとうございます。先ほどの整備指針の案もかなり網羅されていると思います。
 あと、先ほどもありました、都道府県で少し濃淡があるというところがあると思いますし、患者・利用者の側面から見ると、転居して都道府県が移っても同じような医療が受けられるということが重要だと思っています。
 そういった意味では、総合支援センターでこれから体制構築するところが、今まで先駆的なノウハウを培ってきたところから相談支援が受けられるような体制が必要かと思いました。そういった意味では、先ほどの学会でのいろいろな知見の御発表ですとか、都道府県総合支援センター連絡会議で何をどのようにやるかという情報共有もあると思います。
 それから、センターの代表者だけは、いろいろな話を聞いても、具体的な体制構築は難しいと思うので、関係する多職種が複数名参加されることも有効かと思いました。
 以上でございます。

○宮本委員長 ありがとうございました。基本的には、これは循環器病対策推進ということですので、県のそういう委員会がありますので、そこがしっかりグリップしてくれないといけないのですけれども、なかなか、そういうところまでいっていないということかなと思うのです。
 総合支援センターのセンター長だけがそこに出ても、あまりにも孤立してしまっているということかなと思いますので、こういう事業をやっている厚労省あるいは委員会として、現場をそういうふうにちゃんとサポートしていくという何らかの仕組みが必要かなというふうには考えております。
 阿彦委員、お願いします。

○阿彦委員 聞こえますか。

○宮本委員長 大丈夫です。

○阿彦委員 今、映っている作成のポイントの中に項目としてはいろいろ網羅されていると思うのですけれども、整備指針については参考となるのは、例えばがん診療連携拠点病院等の整備指針というものががんではあるわけですけれども、その中に、例えば今の共有画面の一番上のセンターの「2.医療連携体制の構築」のところにいろいろな、ネットワーク会議の運営とか会議体の開催・運営とありますけれども、がん診療連携拠点病院等の整備指針には、都道府県拠点病院と都道府県が連携してがん連携協議会をつくって、協議会の下にいろいろな専門部会を置いて、こういったことを共有するということが具体的に整備指針の中に書かれていると思うのですけれども、このセンターの整備指針の中にも、この総合支援センターと各都道府県行政の連携によって、そういう会議体を、こんな項目を協議するとか、こんな項目について情報共有するというようなことをより具体的に整備指針の中に例示をしていただいて進めてもらったらいいのではないかなと思いました。
 先ほどの京都の事例に始まり、ただ、大変先進的な事例があったように、京都ではPSCの責任者会議とか、回復期リハビリテーション病院の責任者会議とか、相談窓口の連携会議とか、いろいろな数多くのものがありましたけれども、ああいったものを各都道府県の重要課題に応じて、そういう会議体は、種類は各都道府県でいろいろ工夫していいと思うのですけれども、具体的にそういった会議体の例示をするということも非常に重要ではないかと思いました。それが一つです。
 先ほどの診療報酬に関連して、この整備指針とは別の意見ですけれども、やはり総合支援センター、そして、活動することのメリットを、必要だと思うので、患者さんの負担になりますけれども、総合支援センターに入院した場合は入院初日だけでもがん拠点病院と同じように500点加算するとか、あと、いろいろな相談・指導・情報提供する場合であっても、例えば認知症の疾患医療センターの場合は、他の病院と違って、認知症の医療センターからいろいろな情報を提供した場合は紹介加算とか特別にありますので、そういったところ辺りでも配慮するということも必要ではないかと思いました。
 あと、人材育成面では、特に脳卒中では施設介護関係者との連携による人材育成というものは非常に重要なので、例えば財源としては、診療報酬ではなくても、都道府県の医療介護総合確保基金の介護保険分野のところで人材育成に総合確保基金が使えると思いましたので、そういう都道府県にあっては、こういう脳卒中等の相談支援の人材育成に関係する部分のセンターの費用については医療介護総合確保基金の活用などもできるのであれば、そういったこともきちんと明記していただければと思った次第です。
 以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。御意見は2つあったと思います。一つは医療連携体制の整備・構築のところで、もう少し詳しく例を述べてはどうかというようなことでございましたし、予算の確保についてはもう少し弾力的に考えていただきたいということだったと思います。
 総合支援センター事業自体は、実は総合支援センターに予算をつけないと回らないのですけれども、そういう総合支援センターだけに予算をつければいいというものではなくて、各病院がやはり頑張ってくれないといけないので、そういうために使える予算をつけてもらうということが大事なのかなというふうに、私、個人的には考えているのですけれども、いずれにせよ、もう少し事業の継続性を確保できるような予算をつくってくれという御意見だったと思います。
 それでは、早坂委員、いかがですか。

○早坂委員 ありがとうございます。
 私も、今、宮本先生が最後におっしゃっていたように、病院につくとなると、私も神奈川に住んでいるのですけれども、その病院のお金になってしまうのだなというのも感じたところがあって、この連携につくという形が何とか取れないかなというのが一つは、イメージがないのですけれども、そのために、目的を決めた使い方みたいな形で出ないかなというのが私もちょうど思っているところでしたというものが一つ。
 あと、これの最終的な評価というものは、やはり脳卒中とか心臓病の患者さんにとって、すごく情報が本当に欲しいときに欲しいところ、御自分のかかりつけとかからもきちんとした情報をもらえて安心できるとか、そういう最終的な患者さんが感じるメリットをどう評価するかというところで、何らかのこの総合支援センターがあって、いろいろなところと連携して、情報提供することがこうよかったという、何か評価する項目といいますか、方法とかもつくっていかないと、さっき宮本先生がおっしゃったように、アウトプットが見えにくいのだと思うのです。アウトプットが見えるとやる気になるのは確かにそうだと思うので、そういう評価についても考えていけたらというふうに思いました。
 すみません。以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。恐らく、各県もそういう、目に見えると予算をつけやすいのですけれども、今のところ、相談件数ぐらいしかないから、なかなか、あまり大したことないねという評価になって、予算を下げられたりするのかもしれない。県自体が、この事業についての理解をもっと深めてもらわないといけないなというふうには考えております。
 いかがでしょうか。
 川勝委員、もう一度、この整備指針などで、手を挙げていただきました。どうぞ、お願いします。

○川勝委員 都道府県の皆さんの人材育成がまず大事だと思っています。前回の循環器病対策推進協議会でも提案しているのですけれども、県庁職員への脳卒中・心臓病を学んでもらう研修会をぜひやるべきだと思っています。
 要は、総合支援センターをお願いねという立場では駄目なのです。まず、県庁の医療に関わる行政をやっている皆さんが、脳卒中と心臓病のような病気そのもの、それから、患者の苦労、生活期の大変さなどを学んでもらわなければいけないので、それはまず、この一文を増やすべきだと思います。都道府県職員への脳卒中・心臓病の研修会の実施推進。これがないと、学ばないと進まないのです。都道府県の職員の人はそれを知らないから、要は机上の空論になっているおそれが極めて高いというふうに思います。
 以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。結構、そういうところも分かってもらいたいなと思います。
 実は、総合支援センターの責任者が知事などに面談している県もあるのですよ。それで、よく分かりました、でも、予算はつけられませんというものもあるのですよ。それから、今日は県にとってはショッキングなデータを私は提示したと思うのですけれども、やはり県同士で競ってもらって、これは最低の予算を確保しようと思ってもらいたいなというふうに個人的には思っております。
 参考人で御参加いただいたお二人からも御意見をいただけたらと思います。
 安田先生、いかがですか。

○安田参考人 ありがとうございます。
 整備指針に関しましては、一番下の横連絡といいますものを、今日御発表いたしましたように、学会が担ってきたということがあったかと思いますけれども、今日、この作成のポイントにありますように、それは国循を中心に横連絡が行われるということで、その点、体制づくりのほうを期待しております。
 あと、どんなふうにその整備内容を評価していくか。先ほどから議論がありますように、件数だけですとなかなか、例えば東京都と地域と大きな件数の違いがございますし、一方で今日、宮本委員長がおっしゃっておられた多職種連携の広がり、ハブであることを示す指標になるのか。ここが一番大事だと私どもも思っていますが、どんなふうにそれを見える化していくかというところなど、いろいろ考えどころが非常に多く、その点は例えば厚労科研等で考えていくとか、いろいろなやり方もこれから模索していただければというふうに思いました。
 以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。
 一番最後の欄は、国・国循、そして、関係学会と連携という欄になっていますので、今、安田先生がおっしゃったようなことは学会としても、この評価についてはどう考えるのだ。例えば、それを厚労科研などで両学会が一緒になって考えるというのも一つかなというふうにも思ったりします。ありがとうございます。
 では、日本脳卒中学会の藤本参考人、お願いいたします。

○藤本参考人 藤本でございます。
 多くの先生方が貴重な御意見をいただきましたので、私も目新しいことはあまりないのですけれども、先ほどから出ていますように、やはり活動を充実させるための予算というものがすごく大事だなというもの。
 もう一つは、2年目から県の事業になっていますので、活動報告というものは都道府県にとどまってしまって、国にあまり行っていないのではないかなと思うのですよ。そうなると、こういった何か集まりとかがあれば、そういったところで好事例とかを見ることができるのですけれども、そうなると、せっかく47都道府県に設置されたのに、ほかの県がどういうふうにやっているのかなとか、どういう工夫をしているのかなとか、どういうことに困っているのかなとか、そういったことがなかなか十分に見ることができないので、この総合支援センターの活動報告というものを、ある程度、やはり何か公的にちゃんとお互いが公表し合って、それを閲覧できて、刺激し合えるような体制というものが、今後、均てん化を図る上では大事なのではないかなと思っています。
 以上です。

○宮本委員長 ありがとうございました。それこそが黄色の欄で示されている、各都道府県の取組を評価・分析するような何らかの仕掛けが必要だろうということなのだと思います。また、この辺りはがん・疾病対策課のほうでもいろいろ考えていただきたいというふうに考えております。
 ほかの委員の先生方からいかがでしょう。御意見の追加とかはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 話し足りない、もう一言、この場で言っておきたいというものがあったら、ぜひお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
 今日は活発な御議論をいただいたと思います。ありがとうございました。今回の委員会でいただいた御意見を踏まえて、厚生労働省で整備指針の作成を進めていっていただけると思います。第15回循環器病対策推進協議会においても、本委員会での議論を御報告させていただきます。
 よろしいでしょうか。ほかに御意見の追加はないでしょうか。
 それでは、本日予定しておりました議事はこれで全て終了いたしました。委員の皆様におかれましては、今日は本当に熱心に御議論いただきましてありがとうございました。
 事務局にお返ししたいと思います。

○水島主査 宮本委員長、委員の皆様、ありがとうございました。
 以上で、本日の第7回「循環器病総合支援委員会」を終了いたします。委員の皆様、長時間にわたり、誠にありがとうございました。