第2回 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会

日時

令和7年8月8日(金)10:30~12:30

場所

AP赤坂グリーンクロス 4階 ROOM A
東京都港区赤坂2-4-6赤坂グリーンクロス 4F

議事

○門野室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第2回「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。
 オンラインで御参加いただいております構成員の皆様に御注意いただきたい点につきまして御連絡申し上げます。
 御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、御発言の際には、挙手機能やコメント等を用いて意思表示いただくようお願いいたします。座長の指名に基づき御発言をお願いいたします。
 御発言の際には、記録のため最初にお名前をお願いいたします。
 それでは、まず、事務局に異動がございましたので、お知らせいたします。
 医療安全推進・医務指導室長、加藤拓馬でございます。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 加藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○門野室長補佐 それでは、続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 事前に、議事次第、座席表のほか、資料1から7をお配りしております。
 不足等がございましたら事務局までお知らせください。
 本日は岡構成員、木下正一郎構成員より御欠席と御連絡をいただいております。
 本日はオブザーバーとして、日本医療安全調査機構の宮田哲郎常務理事、日本医療機能評価機構の上田茂専務理事、文部科学省高等教育局医学教育課の松本企画官、そして参考人として、日本医療安全調査機構の木村壯介常務理事に御出席いただいております。
 会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○門野室長補佐 それでは、以降の進行は山本座長にお願いいたします。
○山本座長 皆さん、おはようございます。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 前回は、医療安全の問題一般に広い観点から御議論をいただいたところでありますけれども、本日の議題は、医療事故調査制度を中心として、関係団体の方々、また、有識者の方々のヒアリングということになります。
 それでは、まず、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
 それでは、資料1を御覧いただければと思います。「医療事故調査制度の概要、及びこれまでの取り組みについて」という資料でございます。
 おめくりいただきまして、2ページ目でございますが、まずは、第1回の検討会の振り返りと、本日の議題を御説明しております。
 第1回では、2人の参考人にヒアリングを実施いたしまして、主に医療機関内部における事例報告・学習のための仕組みについて御発表いただきました。こういった6点の内容などのお話があったかと思います。
 本日の第2回では、外部の第三者への報告を行う事例報告・学習のための仕組みでありまして、全ての医療機関において、医療事故調査・支援センターへの報告が義務化されている医療事故調査制度を主な議題としたいと思います。
 3ページ目のほうにございますのが、医療安全施策の全体像で、本日のテーマは、この左下、②と書いてある部分の「2.医療事故調査制度」という部分でございます。
 4枚目のほうが「医療事故調査制度の施行に至る経緯」でございまして、平成27年10月に、本医療事故調査制度が施行されまして、本年で間もなく10年に至るところでございます。
 5ページ目のほうが「医療事故調査制度の目的及び制度の対象となる『医療事故』の定義」でございまして、本制度は、医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を行うこと、原因分析及び再発防止を図り、これにより医療の安全と医療の質の向上を図ることを目的としております。
 そして、この制度の対象となる医療事故の定義は、病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって、当該医療機関の管理者がその死亡または死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものとなっております。
 下にマトリックスがございますが、この左上の部分になるところでございます。
 続きまして、6枚目が「医療事故調査制度の流れ」でございます。
 こちらに書いてございますとおり、まず、医療機関が死亡事例の発生を確認した後、医療事故の判断をし、遺族への説明、センターへの報告、医療事故調査を開始し、遺族への結果説明、センターへの結果報告を行うといったものが、基本的な流れになっております。
 それに併せて、医療事故調査・支援センターがセンター調査を必要に応じて行い、医療機関及び遺族への結果報告、そして、⑩が院内調査の結果報告を受け付けて、収集した情報の整理及び分析を行い、最終的な再発の防止に関する普及啓発等を行うといったものが全体の流れになります。
 7枚目以降は、この制度の流れに出てくる関係機関などを御紹介しております。
 医療事故調査・支援センターは、医療法によりまして、医療事故調査の報告により収集した情報の整理及び分析ですとか、医療機関の管理者または遺族から調査の依頼があった場合に調査を行うとともに、その結果を医療機関の管理者及び遺族へ報告すること、また、医療事故の再発防止に関する普及啓発、その他の業務などを行うこととされております。
 8枚目のほうにございますのが、センターのほうで、これまでに発出してきた提言でございます。
 9枚目は、また、提言とは別に、より簡易な警鐘レポートというものを作成しております。
 10ページ目にございますのが、医療事故調査等支援団体の紹介でございます。
 この医療事故調査等支援団体は、医療法に規定されておりまして、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体として、医療機関が院内事故調査を行うに当たり、専門家の派遣など、必要な支援を行う団体でございます。
 下の緑のところに書いてございますような団体が現在指定されております。
 続きまして、11枚目が「支援団体等連絡協議会」でございまして、こちらは、医療法施行規則に定められておりまして、支援を行うに当たり、必要な対策を推進するため、共同で協議会を組織することができるとなっております。
 支援団体連絡協議会は、中央組織として全国に1か所、地方組織として各都道府県の区域を基本として1か所の設置が望ましいとしております。
 最後に、12枚目、本日の議論の進め方でございます。
 この医療事故調査制度は、大変多くの関係者の皆様の御協力を経て、現在、この制度の枠組みができたものと承知しております。
 本日は、この制度をよりスムーズに運用していくために、どういったことが重要であるかということを中心に御議論いただきたいと思っております。
 それに先立ちまして、ヒアリングを実施させていただきます。合計6人の方に御発表をいただくこととしておりまして、まずは、厚生労働科学研究の結果について、2つの研究班より御報告をいただきたいと思っております。
 その後、医療事故制度に関する、これまでの取組や課題などにつきまして、以下の団体の代表者に御発表をいただくことを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○山本座長 ありがとうございました。
 お時間も限られておりますので、今の御報告についての質疑応答は、後ほどまとめてディスカッションの際に、お時間を取らせていただきますので、このまま引き続きまして、今、お話にありました研究班からの報告のほうに移らせていただきたいと思います。
 本日は、2つの研究班、それぞれ代表して、日本医療安全調査機構の木村先生、日本医師会の藤原構成員より、研究結果についての御発表をいただきます。
 それでは、まず、木村先生から資料2につきまして、御説明をよろしくお願いいたします。
○木村常務理事 医療機関内の医療事故の機能的な報告体制の構築のための研究ということで、研究代表者を務めました日本医療安全調査機構の木村壯介と申します。本研究に関する御報告をさせていただきます。
 次をお願いします。
 本研究は、令和4年から5年の2年間に実施されました。本研究では、医療機関内の死亡の発生から医療事故報告までの初期対応における体制に焦点を当てて、医療機関内の体制に注目した実態調査を行った後、抽出された課題から機能的な医療事故報告体制の確立に必要な要素を検討いたしまして、医療事故報告体制に関する手引や、医療事故発生時の初期対応トレーニングの動画を作成することを目的に行いました。
 研究班には、研究分担者に法律家の秋元先生、医療の専門家として後先生、南須原先生、宮田先生が参加したほか、研究協力者として、各団体から御推薦いただいた方、患者、市民の立場の方、様々な規模の医療機関で働く医療安全管理者の方々に御参画いただきました。
 次をお願いします。
 次に、医療事故の報告体制のアンケート調査の概要です。調査は全国の病院及び診療所のうち、計9,297施設を対象に実施いたしました。
 アンケート調査では、医療事故報告の経験、医療管理部門の設置、医療安全管理体制、それから、医療事故を疑う事案の把握に当たる院内体制、医療事故調査制度に関わる研修の受講経験、医療事故の報告の過程で困ったことといった内容を主に質問いたしました。
 調査期間は約1か月で、最終的に2,235施設から回答をいただきました。
 次をお願いします。
 まず、医療事故の報告経験についてですが、回答医療機関のうち約2割の医療機関に事故報告経験がありました。
 次のスライドをお願いします。
 このスライドは、回答した医療機関の種別と医療事故報告経験の有無を表にしたものです。
 アンケートに御回答いただいた医療機関のうち、20床から199床以下の病院は1,088、200床以上の病院は558ありました。
 これは、全国の200床以下の病院の6分の1、それから200床以上の病院の約4分の1の病院に回答いただいたことに相当します。
 また、精神科単科病院及び結核専門病院は233、診療所は324の施設から回答を得ました。
 次をお願いします。
 次に、回答をいただいた医療機関の医療安全管理部門の設置の有無、医療事故報告経験を比較したグラフです。
 医療安全管理部門の設置がある施設の事故報告経験は、設置がない施設の約3倍ございました。
 次をお願いします。
 このスライドからは、医療事故を疑う事案の把握に当たる院内体制に関するアンケート結果になります。
 院内で死亡した全ての事例について、医療事故調査制度の対象となる事例かどうかのスクリーニングを行っているかどうかについて調査したところ、スクリーニングをしている、あるいは一部を除いてしていると回答された施設は約6割ありました。
 次のスライドをお願いします。
 また、院内で死亡した全ての事例について、医療事故調査制度の対象となる事例のスクリーニングの有無別の医療事故報告経験を調べたところ、スクリーニングを実施している施設の事故報告経験は、実施していない施設の約3倍ありました。
 次をお願いします。
 次に、医療事故が疑われる事例が発生した場合、院内の医療安全担当者に相談・報告する仕組みの有無について質問したところ、全体の8割以上が、医療事故調査制度の対象が疑われる事例が発生した場合に、医療安全担当者に相談・報告する仕組みを有していました。
 次をお願いします。
 医療事故が疑われる事例が発生した場合に、院内の医療安全担当者に相談報告する仕組みの有無別の医療事故報告経験を調べたところ、担当者に相談報告する仕組みがある医療機関の事故報告経験は、仕組みがない施設の約2倍ありました。
 次をお願いします。
 そして、医療事故か否かの判断の際、支援団体や支援センターなど、院外の機関に相談した経験について質問したところ、相談した経験があると回答された施設は全体の約2割という結果でした。
 次をお願いします。
 医療事故の判断について、支援団体や支援センターなど、院外の機関に相談した際に、相談先からの助言が医療機関での医療事故の判断を行うときに役に立ったかどうかと質問したところ、相談先からの助言が役に立ったと回答した医療機関は9割以上を占めていました。
 次をお願いいたします。
 次に、医療機関の管理者及び医療安全担当者の医療事故調査制度に関する研修受講経験について質問したところ、管理者の受講経験があると回答した施設は39.2%、医療安全担当者の受講経験があると回答した施設は55.2%でした。
 次をお願いします。
 また、医療機関の管理者の医療事故調査制度に関する研修の受講経験の有無別で調べたところ、管理者の受講経験がある施設のほうが、事故経験がない施設より事故報告経験が多くあるということが分かりました。
 次をお願いします。
 あわせて、医療安全担当者の医療事故調査制度に関する研修の受講経験の有無で調べたところ、医療安全担当者の受講経験がある施設の事故報告経験は、受講経験がない施設の約2倍ありました。
 次をお願いします。
 最後に医療機関が医療事故調査・支援センターに、医療事故の発生報告をするまでの過程で困ったことについて、医療事故報告経験のある医療機関に聞いたところ、情報収集と整理、当事者へのヒアリング、遺族説明、事故判断に関する会議の調整等の回答が多くありました。
 次のスライドをお願いします。
 アンケートのまとめですけれども、医療安全管理部門がある、院内の全死亡事例のスクリーニングを実施している、医療事故が疑われる事例が発生した場合に、医療安全担当者に相談報告する仕組みがある、管理者及び医療安全担当者が医療事故調査制度に関する研修の受講経験がある、こういった場合に、医療事故報告経験があると回答した施設の割合が高くなっていました。
 また、医療事故調査・支援センターへの医療事故の発生報告までの過程で困っていることとして、情報収集と整理、当事者へのヒアリング、遺族への説明、事故の判断に関する会議の調整等が挙げられました。
 これらの内容を後述する医療機関内の医療事故の機能的な報告体制の構築のための手引、あるいは医療事故発生時の初期対応トレーニング動画の作成時に盛り込みました。
 次をお願いします。
 本研究では、研究成果物の1つとして、医療機関内の医療事故の機能的な報告体制のための手引を作成しました。手引の右側に小さな字ですけれども、医療事故が疑われる死亡事例発生時の初期対応における関係者の役割、医療事故が疑われる死亡事例に対応できる院内体制の確保などを記載しております。
 次をお願いします。
 本研究班では、医療事故発生時の初期対応トレーニング動画も作成いたしました。
 具体的にはアンケートで、医療機関が実際の対応で困るという意見が多かった。死亡または死産直後の遺族への説明、事故判断に関する院内検討会、事故判断後の遺族への説明の3つの場面を扱いました。
 これらの動画や、先ほど御紹介しました手引はホームページで公開されているため、御覧ください。
 これ以降のスライドは参考資料となります。
 以上、本研究班の報告となります。御清聴ありがとうございました。
○山本座長 木村先生、ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、藤原構成員から資料3につきまして御説明をいただきたいと思います。
 藤原構成員、よろしくお願いいたします。
○藤原構成員 それでは、私のほうから説明させていただきます。
 スライドを共有していただいていいですか。
 では、私から厚生労働科学特別研究事業で行われた研究について、簡単に御説明をいたします。
 次のスライドをお願いします。
 これが、研究の概要です。「医療事故調査制度における医療事故調査等支援団体による支援の機能的運用および質向上に向けた研究」というタイトルで、日本医師会の細川常任理事が研究代表者となって実施したものですが、私も昨年から研究分担者として関わり、本日、この会に同席されている日本医療法人協会の菅間先生、全国医学部長病院長会議の木下先生にも協力をお願いしております。
 医療事故調査制度において、医療事故調査を支援する支援団体等の取組が、1つは、医療機関が事例ごとに適当な支援を受けられる体制になっているか、そして、もう1つが、提供されている支援の質が確保されているか、この2つについて現状を把握し、今後の支援の提供体制の一層の充実と、質の向上を図ることによって、医療事故の原因分析と再発防止による医療安全の向上という制度本来の目的につながることを目指しています。
 次のスライドをお願いします。
 今年の2月から3月にかけて、全国の支援団体と各都道府県で支援団体間の連絡調整役を担う、支援団体等連絡協議会、実際には都道府県医師会が事務局を担っておりますが、ここにウェブでアンケート調査を行い、回答をいただいた団体の中から、8団体にはウェブでヒアリングも実施しています。
 次のスライドをお願いします。
 これが回答者の基本情報です。支援団体については、この制度の発足時に厚生労働省が取りまとめたリストを基に、880団体にメールで調査を依頼し、そのうち346団体、約4割に相当しますが、回答を得ており、その内訳は円グラフのとおりです。
 支援団体等連絡協議会、いわゆる地方協議会は、47の都道府県医師会から回答を得ています。
 次のスライドをお願いします。
 支援団体による支援の現状、特にリソースについては、結論から先に申し上げますと、いずれの支援団体も限られた人員で医療機関を支援していること、その中で、実績が乏しい支援団体がある一方で、多くの支援を提供している団体があることが分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 制度の開始時から現在まで他院を支援したことがある支援団体は、346団体のうち146団体、これは4割強に相当します。
 次のスライドをお願いします。
 2021年から23年の3年間に限ると、1,076件の支援が行われていて、内訳はこのとおり、職能団体としては医師会等、それから病院団体としては、全日本病院協会や日本医療法人協会等が多くの支援を担っていることが分かり、中には、この期間に30件を超える支援を行った団体も複数ありました。
 次のスライドをお願いします。
 支援団体が実際どのような支援を提供しているかを複数回答で尋ねたところ、調査委員会への外部専門家としての参画が最も多く、そのほか、調査全般の支援や、医療事故判断の助言などがありました。
 次のスライドをお願いします。
 それを踏まえて支援する人の人数を確認しましたところ、医療事故の判断も、それから調査全般の支援も、1人から2人、ごく少数の担当者が担っていることが分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 さらに、その上で、支援を提供する際の課題について、これも複数回答で尋ねましたところ、支援できる人材が限られているので、特定の人に負担が偏るというのが最も多く、次いで、他の医療機関の支援に労力が割かれるため、担当者の本来の業務に支障が出るというのが続き、担当できる人材の不足を課題と感じていることが分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 ここからは、支援団体の情報が医療機関にどのように提供されているかを調べた結果を見ていきますが、結論として、医療機関が支援団体に支援を依頼するルートは複数あること。そして、地方協議会が、地域の支援団体の窓口として一定の役割を担ってはいるが、まだ実績が乏しいなどの事情から、組織的な対応が確立していないところがあることも分かりました。
 そして、地方協議会による支援団体の情報の把握には、ばらつきがあること、これらが分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 医療事故が発生した医療機関からの支援の依頼方法について、左側は支援団体からの回答ですが、地方協議会を通して依頼されるものが3割程度、右側は、地方協議会からの回答ですが、地方協議会を通して依頼されるものが6割程度で、残りは地方協議会を通さず、直接支援団体に支援を依頼するなど、他のルートを通したものであることが分かります。
 次のスライドをお願いします。
 地方協議会が支援団体の情報を網羅的に管理しているかを尋ねましたところ、7割の協議会で管理していることが分かりましたが、その半数で、その情報が定期的に更新されていないということも分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 さらに、前の設問で管理していると答えた32の地方協議会に、支援団体が提供する支援の内容を把握しているかを尋ねたところ、そのおよそ8割の協議会が一部または全ての支援団体についての情報を把握していると答えています。
 次のスライドをお願いします。
 ここで医療機関への支援団体の紹介という観点でヒアリングを行いました。ある協議会の取組を御紹介しますが、この地方協議会では、2021年から2023年までの3年間で52件の支援を行い、そのほとんどは外部委員の派遣に関するものだったとのことです。
 また、域内の大学病院を含む、支援団体の網羅的なリストを保有しており、それを毎年更新しているとのことで、そのリストに沿って順番に支援団体に派遣を依頼するという仕組みを確立させることで、安定的に業務を行っているということでした。
 次のスライドをお願いします。
 次に、支援団体が提供する支援の質がどのように確保されているかについてですが、結論として、支援の質の確保に積極的に取り組んでいる支援団体がある中で、その内容にはばらつきがあること。
 同様に、地方協議会においても、支援の質の確保につながる一定の活動はしているが、その内容にはばらつきがあることが分かりました。
 次のスライドをお願いします。
 具体的な取組として、支援団体では、判断の助言などの支援を行う担当者が、研修を受講している、指針等の資料に基づいて助言している、合議による助言などのほかに、件数は少ないものの、支援後のフォローアップを行っている団体もありました。
 次のスライドをお願いします。
 地方協議会では、協議会と研修会の開催について尋ねていますが、2023年、これは、まだ、恐らくコロナ禍の影響が強くあったと考えられますけれども、その中でも複数回の協議会、研修会を開催していた地方協議会もありました。
 次のスライドをお願いします。
 これは、支援の質の確保という観点でヒアリングをしたある地方協議会の取組ですが、医師会内に、地域の主要な病院の管理者や医療安全の担当医師が参画する支援委員会を設置し、この委員会が、医療機関の院内調査委員会に外部委員として加わり、調査報告書の作成に関与しています。
 また、報告書案については、支援委員会で意見交換をし、内容を検討しています。
 また、院内調査委員会の委員長向けに、協議会独自のマニュアルを作成するなどの取組をしているということでした。
 次のスライドをお願いします。
 以上の結果を踏まえて今後の課題ですが、支援を安定して提供するために、支援する人材の確保が課題であること。
 そして、地方協議会が支援団体の情報を更新しつつ把握し、医療機関に情報提供・紹介する体制の構築が重要であること。
 現状で支援団体が行っている多様な取組を、支援団体間で共有し、各団体の自律的な活動の活性化につなげることも重要であること。
 そのためには、中央協議会による支援団体相互の意見交換と情報共有が必要と考えました。
 また、この10年間で、支援団体の中で、人の異動などで支援できる環境に変化が生じている可能性もあり、支援団体について、改めて確認することも必要ではないかと考えました。
 次のページ、最後のスライドです。少し長くなりましたが、最後にまとめです。
 私事というか、私は地元の秋田で、まだ、若輩者ですけれども、28のときに父が亡くなりましたので、その後を継いで、この後、御説明される菅間先生のところよりも、はるかに小さいベッド140の小さな病院を30年ほど経営してきました。
 その間に、多いときには50人ほどの入院患者も一人で受け持って、たくさんの患者さんを看取ってきました。
 秋田は超高齢県で、私のところは、ほかに病院がありませんので、病院の機能分化も難しくて、専門は循環器内科なのですけれども、内科系は何でも診てきたと、その拙い臨床経験を踏まえた私見がそこに書いてあります。
 診療は、患者と患者家族、それと医療者の間の信頼関係に基づいて行われるものであり、医療安全はその礎と考えます。
 医療事故から学び、そこから得られた知見を医療界全体の宝として、以後の医療安全の取組に生かすことが、医療の安全性を一層高め、ひいては医療への信頼を高めることにつながると考えています。
 また、この仕組みと、この仕組みが立ち上がったときの経緯を、去年、私は日本医師会の医療安全の担当になったのですけれども、そのときに改めて詳細に知ったときに、医療側と患者側がいろいろな思いがある中で、その目的として再発防止という、この点で合意し、なおかつその本質、本人が自覚し、本人が考えなければ再発防止にならない、そのことを知った上で成立した、とても大事な仕組みだと思いました。
 それを踏まえて、医療事故調査制度は、医療事故の原因分析を通した再発防止を目的としていることから、当該医療機関において自律的な取組として行われる院内調査が基本となり、それを支える支援団体の活動を含めて、医療界を挙げてこの取組を支援、充実させていくことが求められていると考えています。
 以上です。
○山本座長 藤原構成員、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、ヒアリングのほうに移らせていただければと思います。
 本日のヒアリングでは、医療事故調査・支援センターとして指定されている日本医療安全調査機構より宮田先生、医療過誤原告の会より宮脇構成員、全日本病院協会より今村構成員、日本医療法人協会より菅間構成員から、それぞれ御意見を伺いたいと思います。
 それでは、まず、宮田先生から資料4につきまして御説明をよろしくお願いいたします。
○宮田常任理事 では、スライドよろしくお願いいたします。
 私のほうからは「日本医療事故調査・支援センターの業務とその現状」という内容でお話をさせていただきたいと思います。
 スライドをお願いします。
 医療事故調査・支援センターの業務は、医療法で規定されているのですけれども、その概要としては、相談対応、センター調査、再発防止の普及啓発、研修という4つにまとめることができます。以下、その業務を解説したいと思います。
 次をお願いします。
 センターへの相談件数の推移です。2024年の相談件数は2,043件でした。
 次をお願いします。
 近年は、遺族からの相談が多くなっています。2024年は遺族1,069件、医療機関879件でした。
 次をお願いいたします。
 遺族からの相談内容の77%が医療事故報告対象の判断に関してでした。
 次をお願いいたします。
 遺族からの相談があった場合、センターは、厚生労働省の通知に基づいて、遺族からの求めに応じて相談内容などを病院などの管理者に伝達しています。
 これまでに医療機関へ伝達した件数は204件で、このうち、事故報告がなされたのは23件、11%でした。
 次をお願いいたします。
 医療機関の事故報告判断における支援状況です。2018年以降事故報告された事例の27%が事故報告の判断における支援を受けていました。支援依頼先としては、6割が支援団体、3割がセンターでした。
 次をお願いいたします。
 センターでは、医療機関から医療事故かどうかの判断の相談があると、センター合議を実施します。合議の参加者は、医師、薬剤師、看護師です。匿名化した事例情報を参加者に提供し、事前意見提出を求めます。質問にも対応し、回答は事前に参加者で共有します。その後、ウェブ会議で検討するという流れです。
 合議支援員は常任が4名で、さらに専門性に対応できるように、専門家が9名登録されています。合議は約10名程度で開催しております。また、年1回、合議関係者会議を開催し、振り返りを行っています。
 次をお願いします。
 過去9年間に実施したセンター合議が578件でした。事故の対象として報告を推奨したのが6割、複数の考え方があるとしたのが2割、対象とは考えにくいとしたのが2割でした。
 合議に際して、医療機関から御提供いただく情報は限定的な内容であることから、合議の結果は、あくまで判断の助言であって、改めて院内で御検討いただく必要があることをお伝えしております。
 その結果、報告を推奨した事例のうちで報告があったのは68%でした。
 また、複数の考え方があるとした事例のうちで報告されたのは34%でした。
 センター合議の実績からは、管理者が医療事故の判断に迷う事例が一定数あることが示唆されました。
 また、センター合議においても、複数の考え方があるという事例が一定数あることも明らかになりました。
 次をお願いいたします。
 次に、センター調査について解説いたします。
 医療法では、医療事故としてセンターに報告された事案については、医療事故が発生した医療機関の管理者または遺族は、センターに対して調査の依頼ができ、センターは依頼があったときは必要な調査を行うことができるとされています。これがセンター調査です。
 次をお願いいたします。
 過去9年間の事故発生報告は3,258件です。このうちセンター調査の依頼があったのは273件、8%でした。
 センター調査の依頼者は82%が御遺族で、その依頼理由の多くが院内調査結果に納得できないということでした。
 センター調査結果は、当該医療機関と遺族に報告されます。
 次をお願いします。
 専門学会より推薦された医療の専門家で構成された個別調査部会を中心に、センター調査が実施されます。
 これまでにセンター調査に協力した学会は69学会で、延べ1,982名の専門家が参加しました。我が国の医療界を挙げて調査に協力していただいています。
 次をお願いいたします。
 次に、再発防止の普及啓発に関して説明いたします。
 次をお願いいたします。
 調査結果の集積とともに、これまで20件の再発防止に向けた提言を公表してまいりました。
 次をお願いいたします。
 また、少数例であっても迅速に注意喚起が必要であるテーマなどについては、2024年から医療事故の再発防止に向けた『警鐘レポート』を作成し、注意喚起を行っています。
 これまでの提言作成に約2年を要していたのに対し『警鐘レポート』は、半年程度の作成期間を目指しています。
 次をお願いいたします。
 センターの再発防止委員会では、集積された院内事故調査報告書から、再発防止に向けた提言のテーマを決定します。
 専門学会より推薦された医療の専門家で構成された専門分析部会で、テーマごとに再発防止の提言やレポートを作成します。
 専門分析部会は、これまでに67学会から212名の委員が参加しており、センター調査と同様に、我が国の医療界を挙げて再発防止策の策定に協力いただいているところになります。
 次をお願いいたします。
 提言11号以降では、提言の取組状況について調査しており、医療機関宛てに行った提言15号のアンケートを例示いたします。
 提言を新たに取り入れて医療安全の改善につなげている施設が、1割ではありましたけれども1割あったことは、提言の有用性があったと考えることができます。
 一方、提言の実現に至っていない施設も4分の1弱認めましたので、今後、周知の強化や現場での活用しやすい提言の作成に努めていきたいと考えているところであります。
 次をお願いいたします。
 再発防止の提言は、各学会でも積極的に取り入れられており、医療界の協力のもとに普及啓発を行っています。
 次をお願いいたします。
 再発防止の提言を企業が製品開発に取り入れた例もあります。提言1号で検討した中心静脈挿入の安全な穿刺手技のために、穿刺の深さを限定できる穿刺針とダイレーターの開発が行われました。
 また、提言6号で検討した胃管誤挿入防止のために、先端が光るガイドワイヤーの製品開発も行われました。
 今後、医療機関、医療従事者への提言などの周知、学会・企業との連携をさらに推進して、効果検証を含めて、提言などのさらなる質向上に取り組んでいきたいと考えているところであります。
 次をお願いいたします。
 現在、センターが実施している研修の一覧です。この中で、医療機関に対して行っている研修に関して解説します。
 次をお願いいたします。
 医療機関に対して実施している研修は、日本医師会に委託している管理者・実務者セミナー、日本歯科医師会に委託している医療事故調査制度研修会に加え、センターが実施する主催研修があります。また、再発防止の提言20号では、提言の説明会を実施いたしました。
 次をお願いいたします。
 管理者・実務者セミナーでは、制度運営の主軸を担う管理者と実務者を対象に、医療事故調査制度の概要、医療事故の判断から報告書の作成まで、計5時間の講義を実施しています。
 次をお願いいたします。
 管理者・実務者セミナーは、過去10年間で延べ8,556名が受講し、そのうち管理者は1,428名、16.7%でした。
 次をお願いいたします。
 センター主催研修は、これまで5回実施しましたが、第5回及び今年予定している第6回では、自施設の院内調査で立案された再発防止策に組織的に取り組んでいる医療機関や、センターの再発防止の提言をうまく取り入れて、医療安全の向上を図っている医療機関といった成功事例、好事例を紹介し、制度を通じて再発防止を図ることの意義を共有したいと思っているところです。
 次をお願いいたします。
 センター主催研修には、5年間で延べ7,582名の医療者が受講し、副院長を含む管理者は1,331名、17.6%でした。
 また、参加者の所属する施設の3分の2は、300床以下の中小規模病院であり、中小医療機関における実際の取組を紹介するなど、様々な特性の医療機関にとって有用な情報提供ができるように研修内容を工夫しています。
 次をお願いいたします。
 その他、国民や医療者への制度周知活動として、ポスターやリーフレットの作成、ホームページの更新、新聞広告の掲載に加え、来年は市民公開講座を開催予定でおります。
 次をお願いいたします。
 ということで、以上、センター業務の概要を解説させていただきました。これがまとめになります。
 どうも御清聴ありがとうございました。
○山本座長 宮田先生、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、宮脇構成員から資料5につきまして御説明をお願いいたします。
○宮脇構成員 では、スライドをお願いします。
 次をお願いします。
 まず、私ども医療過誤原告の会について紹介させていただきたいと思います。
 名前から連想すると、医療事故被害者に裁判を積極的に勧めている団体と思われるかもしれませんが、実は医療事故に遭った際に、病院とうまくコミュニケーションが取れないで苦しんでいる方々を、サポートする活動を行っています。公的には被害者を支援する仕組みがないので、私たちは、被害を受けたと思われる本人や遺族の思いを傾聴することで、その方々の状況を少しでも理解し支えること、もう一つ、公的な医療事故調査制度、再発防止の制度を何とか確立して、医療事故の貴重な経験が再発防止に何とかつながるようにと、2つの柱で活動をしています。
 今年で34年となります。被害者で校正され、役員は全国で23名、全員ボランティアで活動しています。
 次のスライドをお願いします。
 医療事故調制度は10年前に発足しました。私たちが日常的に全国の被害者から相談を受けて感じることは、医療事故に遭うリスクというのは、人を選ばず、いろいろな方々が深刻な医療事故に遭遇しています。医療者も被害者になります。大学病院の副看護部長とか、医師も被害者・遺族として当会の会員に何人も在籍しています。司法関係者であっても遺族となって苦しんでいます。
 もう一方で、非常に厳しい労働条件の中で頑張っている医療者が、いつ、誰が事故を起こす当事者になってもおかしくない状況にさらされているというのもよく分かります。
 医療事故は、被害者と医療者の双方に非常に大きな傷を残している現状であり、公的にサポートしていく仕組みが必要だと感じているところです。
 次をお願いします。
 2015年に、念願の医療事故調査制度が発足しましたが、私たちが期待していたような事故の届出がなかなかなされていません。
 9年間経過し、2015年10月以降に医療事故で死亡したと思われる方の家族から当会への相談が273件ありましたが、医療機関からセンターへ届け出ているのは22件だけ、多くの方々が涙ながらに泣き寝入りしているというのが実態だと思います。
 次をお願いします。
 具体的な例として、強引に手術に誘導されて亡くなったり、術中死したりとか、当然届け出るべきな事例でも、病院管理者の判断は死亡のリスクがあったとか、合併症だということで、遺族への説明も打ち切られ、本当にこれでいいのかと憤りを何度も感じています。
 次をお願いします。
 医療過誤原告の会では、7年間経過したところで、医療過誤原告の会に相談があった遺族の方々にアンケート調査を行いました。
 次をお願いします。
 全体で194家族です。アンケートに対応するだけでも、とてもしんどかったろうなと思います。医療機関というか、医療そのものに対する不信感や、かなりの方々が絶望感で過ごしていて、家族がばらばらになっている方もありましたが、そのうち59家族が回答してくれました。
 次をお願いします。
 そもそもこの制度を知らなかったというのが、いちばん多くて、制度自体が、国民にほとんど周知されていないという感じでした。
 次をお願いします。
 それから、医療事故に遭って、最初に相談したところはどこかというと、やはり該当の医療機関が34%でした。これまで一緒に病気に向き合ってきた病院の方々に、引き続き支えてもらいたい思いがあるが、一旦医療事故が疑われると、病院職員との信頼関係が分断されていってしまう。そうすると遺族は救いを求めてさまざま模索し、一部の方が私たちのところに相談となっています。
 次をお願いします。
 アンケート回答者59名のうち、センターへ報告したのが8件だけということで、やはり多くの方々が、事故ではない、合併症だ、リスクがあった等々の説明だけで、あとはフォローが全くされていません。
 次をお願いします。
 仕方なく裁判に追いやられていくという状況です。
 しかし、私たちの医療事故被害者の相談では、そう簡単に裁判に行けないのです。家族の合意が出来ない、協力医の確保が困難、理解のある弁護士探しが難しい、裁判費用負担などの壁があり、本当に深刻な医療事故であっても、裁判まで到達できるというのは、わずか4、5%ぐらいの印象で、ほとんど泣き寝入りせざるを得ないという状況です。このままでは医療への不信感が広がり信頼にはなかなかつながっていかないと思います。
 次をお願いします。
 センター調査については、非常に高い評価でした。申請した全員がよかったと、ほぼ納得できた回答です。
 次をお願いします。
 医療機関に望むことは、遺族が医療事故と疑って、当該医療機関に申し出た場合は、ぜひ調査支援センターに報告してほしい、家族の死を無駄にしないでほしいと、遺族の気持ちを尊重してほしいと、全く当たり前のことなのですけれども、それから再発防止策を示してほしいと、ここのところをしっかりと医療機関が受け止められるよう何とかできないかなと願っています。
 次をお願いします。
 また、日本は、今、医療事故調査制度で、年間360人程度の予期しない死亡の報告件数ですが、本当にそれでいいのか、もう少し考える必要があると思います。
 次をお願いします。
 そもそも日本人の毎年の死亡数の統計は150万人以上。そのうち8割の約120万人が病院で亡くなっていると推定されます。毎日3,300人の方が病院で亡くなられているのですね。その中でたった1人しかセンターへ届出がされていない。これで本当に日本の医療機関が国民から信頼されるのでしょうか。もっともっとこの制度を活用するすべを、医療機関の責任者の方々に知恵を出し合っていただきたい。それで日本の医療が国民に信頼される道につながるのではないかと思っています。
 次をお願いします。
 現行では、多くの病院の管理者が、届出しにくい理由があると思います。そこを分かっているのは、それぞれの病院団体の方々だと思いますので、センターに報告しにくい要因がどこにあるのか、そこを解明しながら、この制度を活かしていくことを、この検討会で議論できればと思います。
 それから、この医療事故調査制度は、再発防止のための制度なのですけれども、その宝ともいうべきセンター調査報告書が全国の医療機関に公表されていないというのは、もう何とももったいない限りで、遺族の立場から言うと、自分の大事な家族の事故の教訓を、再発防止に生かしてほしいと強く願っています。ぜひセンター調査報告書の公表についても、ここで議論いただきたいと思います。
 駆け足ですみません、次を。
 多くの国民の方々に、医療事故問題について、もっともっと関心を持っていただきたい。関心の高まりが医療事故調査制度を動かしていく大きい力になると思いまして、私たち医療事故被害者団体が共同で、毎月、駅頭で宣伝を行い、今年、17年目に突入しています。
 次をお願いします。
 こういう形でやっています。
 次をお願いします。
 さらに、WHOが2019年に9月17日を世界患者安全の日に制定し、患者安全に関わる全てのステークホルダーが必要な行動を起こすよう呼びかけています。私たちも医療機関に要望するだけでなくて、自分たちで何ができるか話し合いながら、9月17日にシンボルカラーのオレンジ色のライトアップ実施を、いろいろな機関に要請を行っています。応えてくれています。
 東京都は2022年から、庁舎をライトアップし、昨年から隅田川の10か所の橋梁もやっていただいています。
 今年も全国の都道府県に要請し、少しづつライトアップが広がっています。
 次をお願いします。
 これは、厚労省のホームページですけれども、厚労省も、こういう全国各地の取組を照会しています。ぜひ全国の医療機関で、こういうライトアップの取組に参加し、医療安全の取組が必要なのだ、大事なのだということを、少しでも国民の多くの方々に理解してもらうように、取り組んでいただければと思います。
 次をお願いします。
 医療事故制度の社会的役割の重大さというのを、私たちは多くの被害を受けた方々のお話を聞いてつくづく思います。そして、病気で苦しんでいる家族が一番に信頼したい人たちは、これまで病気に一緒に向き合ってきた医療者の方々なのだということは、とても分かるし、そこの関係を医療事故を理由に遮断しないでいただきたい。
 次が最後になります。
 医療事故で犠牲になった人たちの命の尊厳の回復は、再発防止にによって活かされると思いますし、それから、今、全国のいくつかの病院で医療者による内部告発が起こって大きな話題になっています。現場で働いている医療者も納得できない管理が行われていることについては、みんなが苦しんでいるのだなと思います。医療者とともに、私たち被害者遺族も一緒に、この制度の改善に取り組んでいきたいと思っているところです。
 以上です。
○山本座長 宮脇構成員、ありがとうございました。
 それでは、続きまして、今村構成員から資料6につきまして御説明をよろしくお願いいたします。
○今村構成員 お願いいたします。
 それでは、事務局、すみません、資料共有をお願いできますでしょうか。
 ありがとうございます。全日本病院協会の常任理事の今村と申します。医療安全事故調査等支援担当委員会の委員長を、現在、務めさせていただいております。
 今回、私どもから医療事故調査制度と医療安全に対する当協会の取組と展望ということで、少しお時間を頂戴したいと思います。
 それでは、次をお願いいたします。
 本日、こんなことを申し上げたいと思っております。
 まず、当協会の本制度に対する取組全般、それから、現在の研修の実際を申し上げたいと思います。
 そして、今後の展望としまして、支援団体として、そして、病院団体として、今後、当協会がなすべきことというものを考えております。
 では、次をお願いいたします。
 まず、医療安全と医療事故調査制度に対する当協会のこれまでの取組をまとめております。
 当協会では「病院あり方報告書」というのがございまして、これを、かつてから大体2年から3年ごと、時々5年ごとになることもありましたが、医療、病院のあるべき姿というのを内外に発信してまいりました。
 特に医療の質、安全に関しましては、2002年から、既にこのような内容で言及しております。
 この報告書は、まず、全日病の会長が全て統括をしておりまして、様々な質向上ですとか、いろいろな病院に絡んだ医療のレベルの向上に対する委員会がございますが、それぞれの各委員会の委員長が中心となってまとめております。
 そして、当協会の根幹をなす考え方と活動方針をまとめて、定期的に公表しているというものでございます。
 ここで、医療の質と安全についての内容ですが、主に、医療の質と安全の確保は必須であると。そして、中立な第三者機関に事故報告を集積することが重要であると、このときから既に申し上げております。
 専門家というのは、第三者機関における医療の専門家ですが、これによります、調査の分析と現場への事故防止策の還元が必要である。
 そして、これは、様々な問題点の1つですが、守秘及び免責の担保をうたっております。
 そして、被害者の救済と紛争解決への取組としまして、相談窓口としての第三者機関の設立が必須であると。これは、被害者の救済と医療機関の負担の軽減と両方につながると提言をしております。
 次をお願いいたします。
 これを踏まえまして、当時、全日病の会長の西澤先生なのですけれども、厚労科研の事業といたしまして、医療事故調査制度の運用に関する諸問題を検討いたしました。
 平成26年のところですけれども、医療の質と安全の向上に主眼を置いた実務的な方法というのを検討して提案申し上げております。
 大きく分けて3つほどございまして、まず、院内調査、それから、センター業務について、そして、最後に参考資料として、実際の事例につきまして、当時の考え方として例示をさせていただいております。
 院内調査の中では、医療事故調査制度、遺族への説明、センター報告、支援団体の支援ですとか、センター業務のほうでは、院内調査結果の収集、整理等につきまして書いております。
 そして、センターが行うべき、普及啓発は、こんな感じで言ったほうがいいのではないかと、そんなことも書いております。
 ここから次の5ページ目です。
 この後、平成27年8月に、当協会としまして、医療事故調査制度に関わる病院としての対応の指針というものを策定いたしまして、これは、現在まで、当協会のホームページ等でも一般に広く知らしめをするということをしております。
 5ページ目、次の6ページ目、7ページ目と続きまして、8ページ目に行きますと、業務フロー図のような形で、実際にこんな形で事故調査をやっていきますということを説明しております。御参考にいただければと思います。
 続いて、次のページをお願いいたします。9ページ目でございます。
 これまで当協会が行ってまいりました、医療事故調査制度に関する取組でございます。2015年以降、2024年まで、左のところに研修実績、そして、右のところに支援団体としての支援を、ここに書いております。
 基本的には、専門家の派遣というのが多いのですが、時々医療事故の判断に関する相談というのも頂戴しております。
 次のページをお願いいたします。
 ここからは参考ですけれども、こんな感じの研修の実績があるということでございます。
 11ページ目、これは外部団体等への委員の派遣実績でございます。
 12ページ目も、これまで当協会で、この黎明期から委員会の委員長であった飯田修平先生という先生がおられまして、様々な専門家の御協力をいただきまして、こういった刊行物をつくりまして、研修資料等にも生かして、広く世に広めることをしております。
 基本的に、医療の質の向上の上に医療安全の文化が成り立って、的確な医療がなされるというコンセプトで全て貫いてまいりました。
 次に、13ページ目をお願いいたします。
 こういった研修事業は、我々も勉強することが非常に多くございました。研修を通じて医療事故調査の課題というものも見えてまいりました。やはり、何といいましても医療に起因する予期せぬ事例というのが、判断というのが、やはりそれ自体が非常に難しい場合があると。
 まず、合併症との判断の困難さということで、この辺りも研修会の内容に反映しまして、様々な事例を基に検討を受講生と一緒になってやっております。
 あと、課題としますと、やはり個人の刑事責任に関する訴追のリスクというのは、やはり我々は感じざるを得ません。
 そして、医療安全管理者のスキルについても、大きな課題がございます。医療事故調査委員会の運営、それから報告書作成等のマネジメントもそうなのですが、RCA等、ぜひ必要な分析の手法ですが、この辺りは実際にどうするのかということが、なかなかうまくいかない場合が多いということで、これは非常にこの研修会の内容に反映して、濃厚にやらせていただいております。
 そして、患者さんへの対応の重要性につきまして、改めて認識するものでございます。
 これは、この後申し上げます、注意喚起文のところに反映させていただきたいと思います。
 次の14ページ、これが医療安全管理者養成研修ですが、医療法人協会様と全日病の合同開催でございます。
 第1クール、第2クールは、それぞれ座学でございまして、次の15ページ目が第3クールでございますが、ここが、全て集合形式のグループワーク、初日がRCA、これは根本原因分析と申しまして、起きてしまった事故に対して、なぜ起きたかという原因、そして、対策立案をするというものであります。
 実際に、我々講師が当事者に扮しましてヒアリングをする時間もございます。それで、受講生に質問してもらう。質問の仕方から、どのように流れ図をつくっていくかとか、そんなことをやっております。
 2日目は、FMEAと申しまして、これは、あらかじめ未然に、どういった業務が事故につながりやすいかということを重要性に応じて、それを抽出していくというものでありまして、これは、工業会では普通にされていることではありますが、医療に適用してやっている研修というのは、ほかになかなかないということで、これに我々はこだわってやっているところでございます。
 こういった分析をし、十分に理解して使いこなさないと、再発防止にはつながらないと思っております。
 16ページ目をお願いいたします。
 これは、少し問題提起をしたいところでございますが、我々は修了証と認定証と2つ準備しております。つまり、一度研修を受けますと、修了したということで、医療安全の対策の加算も取れますし、そのまま行ってしまいます。
 ところが、やはり厚労省の指針にも書いておりますとおり、これは、しっかりと定期的に知識をブラッシュアップしていかないといけないということでございます。
 これは、我々としましては、継続認定ということで、5年間の認定期間というのを設けまして、その間に必要な研修を新しく受けた方は、追加認定をするということをやっておりますが、この辺り、質の継続的な担保というところに関しましては、今後また検討が必要かなと思っております。
 そして、次の17ページ目です。
 医療事故調査制度は、適切に運用されるのであれば、医療の信頼性に寄与するということが、私ども改めて思いを強くしております。
 今回、我々は医療事故調査制度の研修の敷居を下げるように、これまでは、延べ3日間だったコースを1日のコースに凝縮させまして、受講生を募集したところ、定員いっぱいまで応募がありました。
 もう一つ、法にのっとった適切な制度運用の重要性というものを、病院の団体として強く認識をしておりまして、2024年9月に注意喚起という形で、全日病は全会員に周知をしております。これを申し上げたいと思います。
 18ページ目をお願いします。
 まず、これが当協会でやっております研修でございます。一日に凝縮するのですが、左の部分が事前の動画で、事前に勉強しておいていただく内容で、かなりこれが重いのですが、これを基にして、当日、午前中に事故が起きたときに、まず、どんな対応をするかということを具体的に検討していただくと。
 そして、午後には約20例の事例を想定しまして、これを報告すべきかどうか、医療事故に該当するかどうかということを、受講生全員と講師全員で徹底的に検討するという機会を設けております。
 そして、次の19ページ目でございますが、これが注意喚起文でございます。
 当協会では、昨年9月13日の日付ですけれども、医療事故調査制度への病院としての対応に関する注意喚起ということで、全会員に向けて、こういったことを理事会で承認の上で出させていただきました。
 内容としましては、ここに書いておりますとおりですが、ごく当たり前のことを言っているにすぎないと思っておりますが、まず、全ての死亡事例について、病院として検討する体制を構築しましょう。
 次いで、医療に起因する予期せぬ死亡というのを、やはり法律の範囲内でしっかり広く解釈をしまして、事故と判断された場合には、医療事故調査・支援センターに届出を行って事故調査を実施しましょう。
 そして、御遺族からの申出に対応できる体制をしっかりと構築しましょう。申出があった場合は、事故調査に該当するかどうかをしっかりと検討しましょう。
 そして、最後に、説明は分かりやすくと、報告書の作成も説明も分かりやすくしましょうという、ごく当たり前のことを書いたつもりでございます。
 医療の質と安全の向上には、こういったことが必須であると強く思っております。
 これは、最後でございます。20ページ目です。
 当協会が今後なすべきことと要望でございますが、まず、我々は、この制度の設立の過程から積極的に関わらせていただきまして、会員への周知ですとか、研修とかをしてまいりました。
 今後もこういったことを積極的に取り組んでいきまして、制度の一層の周知と、それから、安全管理者の研修を、さらに充実させていきたいと思っておりますし、支援団体としての活動も、今後さらに頑張っていきたいと思っております。
 ただ、様々な負担がございます。現場に大きな精神的、経済的負担がございますので、それに見合った評価、それから、刑事免責の件です。やはり、この辺りが、今後改善の検討をしていかなければならないことかなと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○山本座長 今村構成員、ありがとうございました。
 それでは、ヒアリングの最後になりますけれども、菅間構成員から資料7につきまして御説明をお願いいたします。
○菅間構成員 それでは、日本医療法人協会の副会長を務めております、菅間と申します。今、今村先生からの全日病の支援団体としての取組は、医療法人協会の取組とかなりかぶるところがございます。私の病院は関東の一番北の端にある中規模の病院ですが、その医療安全の実情も含めてお話します。前回は、大学病院、大病院中心の医療安全の考え方だったと思います。改めて、今回は事故調査制度が中心ということですけれども、当然、医療安全の中での医療事故調査制度です。その点も含めて理解いただけるよう、実例として、私の病院の実際をお示し、事故調査制度への医療法人協会の取組について触れる形で話を進めたいと思います。
 資料を1枚めくっていただきます。医療事故調査制度が定められた、平成26年の前年に四病協と日本病院協議会の合意として、医療安全を考える際の基本的な考え方が確認されました。これが一番スタートだったと思いますけれども、基本的には医療安全を考える際に、医療の内と医療の外をきちんと切り分けながら、検討していくことが重要で、これが一番のベースだったと思います。
 今回の議論の中で、特に病院の内を中心とした医療安全、さらに医療関係者も含めたところまでが医療の内で、法廷はその外になります。紛争を前提とする裁判等は、医療法で定められているところの医療安全の体制の外という認識でいます。
 私どもの病院は地方にあります。前回少し触れましたけれども、地域によって医療の提供体制は、かなり差がございます。医療機関が過剰な都心部にある大病院の体制を地方に押しつけますと、医療紛争の原因となって、いろいろな意味での医療の萎縮、場合によっては病院の消失というところにつながって、その地域での医療の崩壊につながることもあります。10年前の医療安全体制で確認されたことと、私は考えています。
 その考え方のベースは、WHOのドラフト、ガイドラインです。全日病のほうから話がありましたけれども、基本的には、学習を目的とした報告システムで、非懲罰性とか、秘匿性とか独立性が担保されないと、医療安全の議論ができないということがベースと思っております。
 次をよろしくお願いします。
 これは、厚労省から今回も毎回提示さる医療法ないし医療施行規則に定められている医療安全施策の全体像です。今の基本的な考え方に従って、基本的に病院の内、さらには医療業界の内でよく検討することがベースと思います。医療機関の外に報告する制度として、本日の医療事故調査制度、その前庭に、繰り返しますけれども、医療事故情報収集等事業、医療機能評価機構が中心となって行われている制度がベースにあることを理解することが重要と考えております。
 それでは、私どもの病院の実例をお示ししたいと思います。
 私どもの病院は、関東の一番外れの栃木県の北部にあります。この栃木県北の医療圏は、東京都の面積以上の面積を持っていて、人口の密度は東京の50分の1ぐらいです。私どもの病院は、338床のケアミックスの二次救急指定医療機関であります。救急対応の急性期一般病床だけでなく、療養、さらには在宅医療等も担っている病院でございます。
 病院機能評価を4回にわたって、これまで受審しています。そのための費用としては大体、任意ですけれども年間300万ぐらいはお支払いしています。自ら体制整備のために、機能評価を受けているという状況でございます。
 次のページをお願いいたします。
 私ども病院の医療安全体制です。最終的には理事長、院長への報告体制です。医療安全管理部門を設定しておりますけれども、その中に通常の医療安全のほかに、経営的な観点も含めた医療機器の管理、や感染も含めて医療安全部門を設定しています。医療事故に関しては、規定に従って医療事故調査委員会の中心は、院長の下に副院長がいる形で設定されてございます。
 さらに、医療安全委員としては、専従の医療安全管理者、これは看護師でございます。大事なことは、もろもろ医療安全に関わる事象が起こった場合に、職員全体で、情報を共有していくことが重要かと思っております。医療安全管理委員会は、様々な診療部門を代表する組織としています。その中には介護部門も含め、病院全体で情報を共有しながら進めております。
 次のページですけれども、医療安全の一番根本は、インシデント・アクシデントを院内で情報を共有するシステムであろうと思います。そのために、前回お話がありましたけれども、インシデント・アクシデントの定義を明確にして、それぞれ院長、副院長に報告する体制をしっかり作ることです。特にレベル2B以上に関しては、全例必ず報告することを義務づけていますし、さらには、レベル3以上の事象に関しては、即刻なるべく連絡する体制を取っております。あわせて、予期せぬ死亡、予期せぬ医療関連の死亡が起こった場合には、医療事故調査制度、委員会を設置しながら対応しています。
 次のページをよろしくお願いします。
 これは、具体的な本院でのインシデント・アクシデントのレベル別の年次推移でございます。この10年間、レベル1、レベル2の報告が順番に上がってきていることは、きちんとインシデント・アクシデントの報告体制が機能しているという証拠であろうと思っています。
 次をよろしくお願いします。
 これは、インシデント・アクシデントの、それぞれの種類別の頻度を示しています。一番多いのが、薬剤等の取り違えですけれども、これに関しては、3年前ほどから電子カルテと連動する形のバーコードによる3点認証を導入し、その解消に努めております。
 それから、高齢化するにしたがって、どうしても転倒とか転落という事故は、年とともにふえています。その防止のために、いろいろやっているのですけれども、なかなか高齢者には必ずと言っていいぐらい起こる、家にいても起こり得るわけです。病院に入院していても起こるアクシデントになります。それに関しては、カメラつきの離床センサーを導入したりしていますけれども、コストとの関係を含めて、難渋しながら対応を検討してございます。
 次をよろしくお願いします。
 死亡に至った症例に関しては、毎月30例前後ですけれども、全例院内でデスカンファレンスの形で会議を行っております。これは、一昨年と去年の死亡例の月々の推移です。それぞれ病棟ごとに検討しております。次のページをお願いします。
 前月の全死亡例を、2、3分ずつになりますけれども、担当医師が、死亡の経緯、その他を説明します。医師全員の出席並びにコメディカルも自由参加の形で、毎月1回行っています。死亡に至った全例を検討していますが、本院は救急医療機関ですので、外来にDOA、亡くなった形で来られる患者さんも含まれます。そういった患者さんに関しては、積極的にAi、場合によっては、剖検もしながら対応しています。
 次をよろしくお願いします。
 この10年間で、実際、医療事故調査制度に報告した症例が1例だけでした。その症例は、50代女性の冠動脈疾患の患者さんで、造影剤のCT検査を行ったときに、アナフィラキシーショックを起こした症例でした。これは、予期しなかったかどうか、管理者によっていろいろ判断が異なると思いますけれども、院長の判断でセンターに報告しています。
 それ以外のADR、あるいは産科の無過失補償制度を使ったり、裁判になった事象は、10年間はございませんでした。
 随分前になりますけれども、25年ぐらい前に、くも膜下出血の症例が裁判になりました。8ミリほどの切迫破裂でしたけれども、訴えられて裁判に負けたことが、私が記憶している裁判事例でございます。
 続いて、医療法人協会の医療安全に関わる取組についてご説明します。先ほどの全日病の取組とかなりダブるわけですけれども、医療事故調査支援団体として、医療安全研修を、これまで23回ほど実施しています。中央での実施と同時に、支部での開催もしています。支部での開催の方が、医療事故があった場合に、より相談を受けやすくなり、支援依頼につながりやすいのではないかという印象をもってございます。
 次のページをお願いします。
 全日病と同じように、医療安全部会を設置して、医療安全部会の先生方が、医療安全に関する多数の本を、この10年間に発刊していまして、医療事故調査制度の周知に努めてまいっております。
 次ですが、実際に医療事故調査支援に関わった症例が、大体年間5件程度ございます。主には医療法人協会の会員の医療機関から直接中央に来る形で支援を行ってございます。
 そのほか、医療事故調査支援団体連絡協議会に関しては、コロナの前までは、センター中心に、年に2、3回あり、呼ばれて参加していましたけれども、このコロナの期間あるいはコロナ後は、回数が減ったように記憶しております。地方の医療事故調査支援団体協議会に関しては、各県の会員の先生方にお聞きすると、地域差がかなり大きく、先ほど研究班の説明がございましたけれど、必ずしも地域によっては機能していないと思っております。
 次をよろしくお願いします。
 医療事故調査制度と絡んで病院として重要なことは、医療事故の確実な報告のために、院長が死亡事例を把握することが極めて重要と考えています。そのために、先ほどのデスカンファレンスと同じように、院長が病院内で死亡事例を把握する仕組みが重要です。病院の規模が大きくなって、診療の専門分化が進み、院長の権限が専門診療領域を超えて及びづらくなると、報告が上がってこないことがあり得るのではないかと考えております。
 院長が、ある意味で権限をもって医療安全に関するガバナンスをきちんと利かせる仕組みが重要と常々考えています。日本医療法人協会としては、その前に、院長が全死亡例をきちんとチェック、把握する仕組みとして、全死亡例のチェックシートの作成を提案してございます。
 以上で、私の発表は終わりです。まとめますと、次のスライドをお願いします。
 医療法に定められた医療安全の基本は、医療のうち、すなわち病院のうちで有害事例を自律的に報告し、組織内で情報を共有し、再発防止に役立てる学習の仕組みと解釈されます。
 地方の民間中小病院の医療安全の体制整備の実例と、医療法人協会の取組について御紹介いたしました。そのうち2点、医療機能評価機構の任意の有償審査を定期的に受審しているわけですが、この点が極めて重要と思っています。
 重要なインシデント・アクシデントをきちんと定義して、院内での報告、学習体制を整備すること。その際、専従の看護師さんだけでなしに、あらゆる職種全体に安全担当者をきちんと配置して、医療安全の意識向上に努めることが、中小病院にあっても重要かなと思っております。
 それから、医療事故調査制度に関しては、全死亡例をきちんと把握することが、ベースとして重要と考えておりまして、デスカンファレンスは行かなくても、全死亡例のチェックシート等を活用して確実に把握してはと医療法人協会としては考えております。
 あわせて、医療安全、医療事故制度を医療現場に周知することは極めて重要と考えております。特に医療事故調査制度と関連した予期せぬ医療関連死に関しては、卒後の研修と同時に、は卒前の医学教育の中にきちんと入れていくことが重要と思っています。
 私は、病理医で、一昨年までは、割りばし事件があった都内の私立大学の教授を兼ねていました。そこで考えることは、卒前の病理学の教育で、医療の中の死因の究明の学問である病理学教育の中に、医療安全の考え方、医療事故調査制度についても学ぶ機会が入れたら、今後この制度が、この国にきちんと根づいていくのではないかと考えております。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 それでは、残り30分あまりということになりますけれども、ここまでいただいた御報告あるいはヒアリングでのお話しいただいたことを踏まえまして、御質問あるいは御意見でも結構ですので、構成員の皆様から御自由に御発言をいただければと思います。
 髙宮構成員、どうぞ。
○髙宮構成員 日本精神科病院協会の髙宮と申します。
 今日は盛りだくさんの内容で、大分頭の中の整理が行き届かないのですが、まず、木村先生に質問があるのですけれども、17ページのまとめで、非常にきれいなまとめが出たように見えるのですね。医療安全管理部門がある、デスカンファレンスを実施している、相談・報告する仕組みがある、管理者が研修の受講経験があるほうが、医療事故報告経験が多いと。
 ただ、21ページの参考の棒グラフで、今の4つの項目を全て満たしているような200床以上の病院と、なかなか4つの項目を満たすのが難しい、診療所、精神科結核専門病院、一般病院の報告経験の割合にかなり差があるのですね。こういった病床規模の差によって、全体のまとめが、いろいろ色づけされてくるのではないかなと思いますので、ここの規模、種類別のデータも出していただけないかと考えております。
 続けてよろしいでしょうか。
○山本座長 どうぞ。
○髙宮構成員 それから、次の宮田先生への質問ですが、センター報告書というのは、たしか病院と御遺族に、同時に渡しているものですね。日本精神科病院協会でも、センター報告書をいただいた病院からの相談を受けたことがあるのですが、なかなか医療的な判断において、我々の院内事故調査報告書とセンター報告書で、少し齟齬が生じている、考え方が違う場合に、質問をしてお互いのすり合わせをするのですが、その時点のすり合わせで、その前の段階で御遺族のほうに渡っているので、なかなかそこの判断が難しいので、できれば、医療機関とのそういったやり取りをして、ある程度まとまった段階で、御遺族にも提出していただけないかと考えております。
 続いて、同じ宮田先生の9ページに、センターに届出相談のあったもののうち、対象として報告を推奨したものの68%が、実際に報告されていたという結果が出ておりまして、実は、私どもの日本精神科病院協会でも、この10年間で届出相談が168件ありました。
 そのうち4割ほどのものに対しては、報告することが望ましいと回答しているのですが、その回答をした4割の病院で5割しかセンターに報告されていないと、すなわち5割がスルーされてしまったと。そこのところが多少問題かなと思うのですけれども、一方で、私は宮崎県で仕事をしておりまして、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、宮崎県というのは、この10年間、人口100万あたりの報告件数が常にトップを走っている県でございます。
 私も宮崎県の医師会の協議会に参加させていただいておりまして、感心するのは、宮崎県で届出相談をした事例で、これは対象だから報告したほうがいいよと医師会が回答した100%が届出をされていて、すぐに院内事故調査委員会に、協議会から3名、4名の外部委員が派遣されて、速やかに調査が施行されていると。
 これは、やはり病院と支援団体の心理的な距離なのかなと、宮崎の医師会長いわく、いや、それは信頼されているだけだよという発言があるのですけれども、そのように宮崎みたいなところでもできているわけですから、ぜひ宮崎以外のところの地域の協議会でも、こういった取組を参考にすることで、もう少し47都道府県の報告件数が増えていくのではないか。
 宮崎が1とした場合に、たしか47都道府県で少ないところは、0.4とか0.5という数字が出ておりますので、そういった中央協議会、最近開かれていないようですが、そういった中央協議会で、その地域協議会の事例の検討というものをお願いしたい。
 たしか、5、6年前に医療安全室のほうが、宮崎県の担当の副会長のところにヒアリングに行っていると思いますので、そのデータもあると思いますので、そういったことも参考にしていただけないかと思っております。
 続けていきたいのですが、宮脇構成員に伺いますが、センター報告書の公表が望ましいと。最近、事故報告書の公表をするようなことが、2例ぐらい続いておりまして、愛知県の問題ですけれども、あの事故報告書が公表されたことによって、責任追及の流れができていたという話がございます。
 今どき、どこかの政党の代表ではございませんが、いろいろな個人情報をネットでさらして、それで攻撃するという風潮も出ておりますので、このセンター報告書、事故報告書もそうですけれども、公表のメリットは何かということを教えていただければと思っています。私はデメリットのほうが大きいのではないかなと、そういった公表による責任追及が進むと、やはり報告自体が減ってくるのではないかという心配がありますので、そこのところも、また、教えていただければと思います。
 以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 幾つか御質問をいただいたかと思いますが、まず、木村先生からお願いできますか。
○木村常任理事 御質問の内容は、17ページにいろいろな各制度というか、スクリーニング機能があるかどうか、医療安全担当に報告が行っているか、管理者が受講をしているかどうかによって、報告の件数、報告経験の件数が違うと、これは規模によってどう違うのかという御質問だったと思います。
 御指摘のとおり、規模が大きいところでは、これらの機能が比例して整ってきていることは確かだと思います。では、規模の小さいところではどうしたらいいのかということですけれども、医療安全担当者がいない、小さな医療機関、診療所等はそうだと思いますが、そういうところを今後どうするかというのは、1つの問題ではあると思いますけれども、そういうシステムがあるかどうかということもですけれども、内容的にそれらのことがちゃんと行き渡るように、そして、小さな医療機関でも、その辺が分かりやすい機能として、どう対応したらいいかというのは、もう少し細かく、今後も検討していきたいと思っております。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 それでは、宮田先生、お願いできますか。
○宮田常任理事 私のほうには2つ御質問がございまして、まず、センター報告書と院内調査報告書の違い、そのために、報告書をお渡しする前に医療機関と打ち合わせるという制度をつくったほうがいいのではないかということでございます。
 まず、1点といたしましては、センター調査を行うときに院内調査の報告書、これは、かなり重視しております。それを見て、センター調査をまとめるときに、その院内調査報告書と違いが出るのは、やはり一定の頻度で起きますので、なぜ違うのかというところを丁寧に説明して、それをセンター調査に書き込むという努力をしております。
 ただ、報告の前に、特に医療機関とだけ打ち合わせるということになってきますと、御遺族から見ると、一方的な偏りがあるような印象を持ちますので、そういうことではなくて、とにかく院内調査報告書と対比しながらセンター調査を行っているということを御理解いただければと思います。
 もう一点、報告が望ましいと、合議で行った中で、我々のところでは約7割しか報告されていなかった、7割しかという言い方でございますけれども、これは、1つは限られた情報であるために、実際院内で検討すると、また、別の問題が起きてきた可能性、別の観点から決断がされたということもあるかもしれません。
 ただ、やはり、これはセンターの課題として考えておりまして、合議で報告を推奨した事例で、報告された事例、報告されなかった事例、それを改めて分析することで、今後少し、その方向性というもの、何が原因かということを検証していきたいと、現在、思っているところでございます。
 以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 それでは、宮脇構成員、お答えいただければと。
○宮脇構成員 どんな事故もそうなのですが、被害者・遺族は、同じような事故を二度と起こさないでほしいと、そのためには原因調査をしっかりやって、関係する方々が結果を共有して、再発防止に活かしていただきたいと願っています。それで、医療事故調査制度の院内調査は病院によってもかなりばらつきがあり、2ページぐらいから40ページぐらいまで本当に様々で、まだ発展途上だと思います。一方、センター調査報告書は、医療安全に役立つためという法律の趣旨に基づいて匿名化され、様々な専門家の方々のチェックを経た上で作成されています。医療過誤原告の会の会員でセンター調査報告書を受け取った被害者は7名いるのですけれども、みなさん、だいたい納得され、励まされている印象です。
 また、裁判を起こそうかと思っていた人たちが、事故原因が分かったので、これで受け入れるという方々が何人も出ています。それは、センター調査報告書が、再発防止を願う被害者、遺族の思いにかなり応えられているからだと思います。
 こんなすばらしいセンター調査報告書だと、我々は思うのですけれども、残念ながらセンターは公表できていませんので、遺族の要望に沿って私たちは医療過誤原告の会のホームページで、5名の方のセンター調査報告書を公表しています。
 公表後に紛争化したりとか、新たに裁判を起こしたとか、そういうことは全くなく、むしろ遺族にとっての大きな励ましになっています。
 それから、センター調査報告書を依頼した方々でも、既に裁判をやっている方もいますが、センター調査報告書が出る以前に信頼関係が壊れていて、裁判はどんどん進んでいるので、センター調査報告書が後から出たからといって、何か裁判に大きな影響を与えたとか、そういうことは全然ないので、むしろ、この法律の趣旨どおりにしっかりと運営されていると思います。
 さらに、センター調査報告書を多くの医療機関の方々が知ることによって、院内調査報告書の質がぐんと上がっていくのではないかと期待します。センター調査報告書ほど厳密にやられなくても、基本的な調査のやり方とか、遺族のヒアリングとか、参考になっていくし、日本の医療の質のアップに役立つにもかかわらず、まだ公表されないということは、遺族の立場からすると、じくじたる思いです。たくさんの先生方が協力して出来上がったセンター調査報告書を、再発防止のために全国的に活かしてほしいです。
 むしろ、逆にお伺いしたいのですけれども、センター調査報告書を公表したりすることで、何か紛争が激化したり、大きな問題が起こったということはあるのでしょうか。様々な報道とか、いろいろな情報がネット等で飛び交っていますけれども、厳密に調べたら、センター調査報告書公表のリスクについての危惧は、そうとは言えないのではないかと、私は理解しています。
○山本座長 ありがとうございました。
 なお、御意見があろうかと思いますが、ほかの構成員からも御発言があろうかと思いますので、長谷川構成員、お願いいたします。
○長谷川構成員 私からは1つ、こういったことも御議論していただいてはという御提案と、1つ少し情報提供をお願いしたいということで、発言させていただきたいと思います。東邦大学の長谷川と申します。医療機能評価機構で審査担当の執行理事もやっております。
 菅間構成員の御発表の中で病院機能評価をぜひ受けるべきだということで、お勧めいただいて非常にうれしく聞かせていただきました。
 1つ情報提供なのですけれども、現在、病院機能評価でも安全というのは非常に大きな柱と位置づけておりまして、その中で、例えば、全死亡事例の把握、病院の院長先生による把握ということで、どんなことを確認させていただいているかといいますと、死亡事例をどこが、まず、最初に掌握して取りまとめをするのかと。それで、院長なら院長への報告の仕組み、その安全の担当者が最初にチェックを入れるのか、あるいは後から疑問を生じた場合に、また回ってきて検討するのかとか、こういった経路、プロセスをまず確認させていただくと。
 さらに、現場が最初に死亡診断書等を当然作成しますので、そのときに事故調への届出の判断等も一時的な判断と、ここで申し上げますが、そうした場合には、当然、現場の方がまず判断しないといけないと。当然研修とか、制度の研修もしないといけないし、そのときに少し迷ったときに、病院として支援する仕組みというのも、当然、重要になってくるかと思います。こういった整備の問題、なおかつ、ある期間たって集積された場合に、本当にその判断が適切だったのかどうかというのを事後に検証して、場合によってはフィードバックですか、これは少し不適切な感じがするので、今後気をつけましょうみたいなフィードバックをすると、こういった仕組みが確立しているかどうかということを、病院機能評価では見させていただくというのが通常です。
 私が強調したいのは、やはりプロセスですね、仕組みの確立というのがすごく重要で、その都度やはり文書という形で記録を残すことが重要だと思います。そうしないと、判断の一貫性を担保できませんし、検証が可能でもないと。あるいは、実際、仕組みを動かすと、だんだん進化すると。
 先ほど、死亡全例チェックシートということで御紹介いただいたのですけれども、非常に優れた制度だと思いますし、私ども機能評価等で経験するのは、こういった判断の役に立つような、例えば患者さんへの説明文書、いわゆるインフォームド・コンセントの文章なども、だんだん進化していくという事例を経験しております。
 したがって、こういった仕組というのは非常に重要なのですね。ただ、法令とか通知を見ますと、特定機能病院では、かなり書いてあるのですよ。それ以外の病院では、院長先生は把握しなさいというだけであって、どうやってというのがなかなかないのですね。この辺り、もう少し制度的に仕組みを提示するとか、あるいは何かで奨励するという形で御検討いただけるとよろしいかなと思います。これが1点目です。
 2点目では、いわゆる支援団体の役割ということで、私もいろいろな形で、支援団体でお手伝いすることがあります。
 ただ、支援団体は、医師会の先生方はすごく御苦労されて、取りまとめが都道府県単位なのです。ざっとリストを拝見しますと、学術団体というのが非常にたくさん占めているわけですが、学術団体は、大体全国組織なのです。本部が東京にありまして、都道府県と東京の本部とのやり取りというのが、なかなか難しいのではないかと思います。例えば、事例によって振り分けをすると、この団体がよろしかろうといっても、データベースはそもそもありませんし、また、学術団体も、そういったことをちゃんと組織として受けられるような仕組みが、なかなかないようなところもあるかと推察いたします。
 その辺りどうなっているかということを、都道府県サイドももちろん大事なのですが、学術団体のほうから、どんな取組があるか、好事例を含めて、どなたかに情報提供をいただけるとありがたいと考えております。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 今の長谷川さんの点は、どなたか。
○南須原構成員 北大の南須原ですけれども。
○山本座長 お願いいたします。
○南須原構成員 学術団体ということで、私、医療の質・安全学会というところに所属してまして、診療の学術団体ではないのですけれども、安全一般の学術団体ということで、この制度のためだけではないのですけれども、そういう医療事故調査の外部委員を推薦する委員会があります。これを学会として持っていまして、私もその委員なのですけれども、学会の中で、代議員を中心にいろいろな専門家がいますので、その方たちを依頼されたら、それは院内調査であれ、センター調査であれ、学会のほうで推薦するという仕組みがしっかりあります。
 ただ、私自身は日本呼吸器学会の会員なのですけれども、いわゆる学術団体にどこまでそのような仕組みあるかというのも、私も理解していないのですね。
 ですので、一度その調査をしたほうがよろしいのではないでしょうか。というのは、医療の質・安全学会に、心臓血管外科専門の外部委員を紹介してほしいとの依頼がありますが、少しそれは困るのですね、我々の学会というのは、調査をリードするとか、インフォームド・コンセントとか、そういうものに関しては専門ですけれども、それぞれの疾患とか、診療科の専門ではないので、恐らく学会のほうで、そういうのが、いまいち協力できないような学会が幾つかあるということを聞いていますので、そこは一度調査したほうがいいのではないかなと思います。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 藤原構成員、お願いします。
○藤原構成員 ありがとうございます。
 先ほども少しお話ししましたけれども、確かに都道府県単位で見たときには、都道府県医師会が窓口になって、地方の協議会というのを組織しています。そこを先ほど、若干温度差があるというか、違いがあるということを御指摘いただきまして、それは、そのとおりなのですけれども、それ以外にも、いわゆる病院団体で、全国を活動地域とする支援団体の中には、都道府県にいらっしゃる会員の先生方から直接、中央の本部で受け付けて支援するような取組もありますので、必ずしも都道府県医師会だけが窓口になっているということではないという現状があります。都道府県医師会の違いというのも、都道府県医師会は47ありますけれども、日本医師会としては、その中の今の取組の仕方とかを共有する必要もあるだろうと思いますし、あと、しばらく開催していない中央協議会についても、今回アンケートの結果が出ましたので、それを踏まえて検討する機会と、情報共有する機会を持ちたいと思っているところです。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
○宮田常任理事 よろしいでしょうか、今のに追加で一言だけ。
○山本座長 どうぞ。
○宮田常任理事 実は、このセンターのほうでも、センター調査を行う、それから、再発防止策をつくるときに、それぞれの学術団体に協力依頼をしております。先ほど言いましたように、センター調査は69学会が参加していただいております。
 ですから、各学会には医療安全に関する、そういう推薦のことをやっていただく部署が必ずできておりますので、その部署をうまく利用していただければと感じているところでございます。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 では、米村構成員から、まず、お願いします。
○米村構成員 すみません、もう時間があまりありませんので、手短に発言させていただきます。
 私、やはり医療安全に関する事故調査制度の一番大きな問題は、医療事故に該当するかどうかという判断が、医療機関によって大きく違いがあって、報告件数にも違いがあるというところではないかと思います。
 そういう観点から、本日、冒頭いただいた研究班の3つの御報告が大変参考になりましたし、重要な基礎的データを御提供いただいたものと思いました。
 ただ、若干、お願いといいますか、コメントをさせていただきたいのは、木村先生に御報告いただいた研究班のデータは大変有用なデータだと思うのですが、基本的に報告を1件でもしたかどうかということだけで区別がされておりまして、報告した医療機関が何件報告をしたのかということも、恐らく違いがあるのではないかということを思っております。
 もちろん医療機関によって環境は様々ですので、医療事故が疑われるような死亡事例がどれだけ出てくるのかというのは、頻度は違いがあるのだろうと思いますけれども、しかし、そうは言っても、かなり大きな規模の医療機関で、今までの運用の中で、たった1件しか報告がないということが仮にあったとすると、やはりそれは本当だろうかということを思うところもあるわけでして、その辺りのデータも、もしお持ちであれば、御教示いただきたいというのが1点。もし、お持ちでなければ、今後御調査いただきたいというのが1点でございます。
 すみません、ちょっと続けさせていただきます。
 木村先生の報告を受けて、そのことをそのような目で見て、支援団体に関する藤原構成員の御報告を拝見しますと、9ページのグラフを見ますと、一番多い支援団体の支援内容ということについては、外部専門家の派遣ということになるかということで御言及いただいたところでもあったかと思いますが、他方で、医療事故判断の助言というのも一定数あるということになります。
 これは、どの辺りの支援団体が、このような医療事故判断の助言をされたのかということと、それに対しての医療機関側の反応はどうだったのかというのは御存じであれば、ぜひ教えていただきたいというところでございます。
 さらに、もう一点、その次です。宮田先生から御報告いただいたセンター合議の助言内容、これは先ほども言及のあったところですが、これも9ページにグラフがございます。
 こちらは、先ほど宮田先生からも7割しか実際の報告がないとおっしゃったと思いますけれども、その辺り、そもそも報告されないと、センターが推奨すると言っているにもかかわらず、報告されないということの背景が何なのかというのは、ぜひ現状が御存じでなければ、お調べいただきたいと思っております。
 その辺りがしっかり各医療機関の中で、どのような背景で実際に報告がなされないのかということを調べるところから、この問題は対応するというところが可能になっていくのではないかという気がいたしまして、今、申し上げたコメントの背景は、そのようなことでございます。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 それでは、まず、木村先生から。
○木村常任理事 報告件数があり、なしだけでは十分ではないのではないかという御質問、ありがとうございます。
 確かに報告件数が1回でもあれば、もうそれでいいのかというわけではありませんし、規模の大きな病院では、恐らくもっとあるだろうということで、これは、大規模医療機関、それから規模に比例しているぐらい出ているのかということは、蓄積されています。特定機能病院でも、まだ出していないところがあるとか、そういうのは、年報等で出していますので、宮田先生のほうから、また、制度についての報告というところで、あるいは私どもの年報の中でも、その辺りは報告させていただいています。
 一度報告をすると、また報告する傾向が強いということもだんだん分かってきております。ですから、この表の中で申し上げると、例えば、医療安全の加算が取れていないような小さな医療機関、そうすると、先ほどのスクリーニングとか医療安全担当の有無、いないとか、そういう規模の小さいところでは、どうしてもかなりそういうところに無理が、大変だと思いますので、そういうところに困っていらっしゃるというのがよく分かったのが、この調査をした結果だろうと思います。
 そういうことに努力をされている、あるいは研修等に出ていることが、次の報告、それから、この制度を動かすことに、かなりプラスに働いていることが分かったと、大きく言うと、そういう結果が出たというところです。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 藤原構成員、ありますか。
○藤原構成員 ありがとうございます。
 9ページのところの医療事故の判断の助言をしている54団体のキャラクターが何かという御質問かと思います。今、手元に資料がなくて大変申し訳ありません。後ほど確認して、御返事できればと思います。
○山本座長 ありがとうございました。
 宮田先生。
○宮田常任理事 先ほど言いましたように、やはり、非常に重要なポイントだと思いますので、合議で報告したほうが、報告を推奨するといった事例、なぜ報告されなかったのか、どういう事例が報告されているのか、それを我々の課題として、今後、検討していく予定でございます。
○山本座長 ありがとうございます。
 それでは、豊田構成員、お願いします。
○豊田構成員 豊田です。
 多分、今日、ご質問したい方は、まだたくさんいらっしゃると思うので、ここで時間的にこの議論を切って、1か月後に質問をするのは話がつながるか難しいかもしれないのですが、続編をお願いしたいと思います。
 1つ、産科医療補償制度が無過失補償の仕組みも関わっているので、全て参考になると言ったら違うところはあるかと思いますが、例えば、要約版の公表などで、メリットの部分もよく心得ておられると思いますので、ぜひ次回以降に、オブザーバーの上田理事などから、そういった点も聞いていただけたらと思います。
 それから、また、これも今日ご回答が難しかったら、また、後ほど教えていただきたいのですけれども、やはり、この仕組みを進めていくには、管理者の理解や、そこで働く医師の理解が重要だと思いますので、管理者や医師に対する研修というものを強化していかないと、なかなか理解が得られないと思いますのと、木村先生の研究班のアンケートの結果を見ても、決して研修の受講率が髙いとは言えないと思いますので、そういったことに対して、今日ご発表いただいた病院団体の先生方が、今後、それをどのように強化していこうと思われているのか、どのように大事に思われているのかということも教えていただけたらと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
 今の御質問にお答えいただけることはございますか。
 では、菅間構成員、どうぞ。
○菅間構成員 今の質問に関連して、いろいろな観点があると思います。やはり基本は、それぞれの医療機関の中で、医療安全あるいは再発防止に役立てる仕組みを作ることが重要です。そのとき、それぞれの病院の院長、管理者の責任が重いわけです。管理者の先生自身の、ある意味で裁量を含む責任であることを、頭に入れておく必要があるのではないでしょうか。
 医療事故調査センターでは、学会の先生方が、日本の医療の最高レベルでどうあるべきかという基準で調査されると、中小あるいは地方の病院では、多分、ついていけないと思います。病院のリソースが全然違うわけですから、看護師さんの数も違いますし、ドクターの数も違います。それぞれの医療機関の中で、どのように、それぞれの管理者の先生が考えていくかという点がベースであることをある程度踏まえる必要があります。ただし、何もしなくてもいいというわけではなくて、私どもの医療法人協会は、会員病院にアナウンスをしながら、医療安全の研修を可能な限り行っています。病院のリソースの違いがあり、経済的なインセンティブが大病院には働いているけれども、中小病院には、実際、管理加算を取ることが、人的な制限から難しく、大変なことも御理解いただきたい。大病院と同様に、中小病院にも経済的なサポートを考えていただければありがたいと思います。
 答えになっていないかもしれませんけれども、いずれにしても、全くやっていないわけではなく、可能な限りそれぞれの医療機関の管理者の先生が頑張っておられることをご理解頂きたいと思います。よろしくお願いします。
 
○山本座長 ありがとうございました。
 既に時間が来ているのですが、今日の段階で、ぜひ御発言いただきたい方は。
○今村構成員 先生、いいでしょうか。
○山本座長 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 すみません、私も菅間先生の医療法人協会と合同開催をしています医療安全管理者養成研修ということなのですが、そこで、グループワークで病院の管理者たる院長先生とか、あと、現場の医療安全管理者とか、そういった方々がごちゃ混ぜになって同じグループをつくって、グループワークをしてもらっています。
 そこで安全管理者がどのように考えているかということは、院長先生方にも理解していただいて、その活動に理解いただくような内容で研修をしております。
 また、例えば、病院の事例に持ってきます対象の病院のパターンも、あまり大きな病院ではなくて、200床程度の病院の規模で、どこまでできるかということを念頭に置いた検証をしているとか、少しでも現場感に即した研修をするように心がけておりまして、大事なのは、そういったものを毎年受講生の反応を見ながら、どのように次の年をやっていくかということを、我々も研修内容に反映していきますし、やはり受講生の方々も先ほど申しましたように、研修の継続事項ということを、やはり今後、ぜひ前向きに考えていただくことによって、先ほど御質問にあったようなことが、管理者も医療安全管理者のほうも、両方と手を携えて前進していけると私は思っております。
 以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 そのほか、本日の段階で、宮脇構成員、どうぞ。
○宮脇構成員 今村先生の報告のところで、19ページに、遺族からの申出に対応できる体制を構築することと、注意喚起の声明のところで書かれていますが、そのことについて、具体的に病院では、どういう対応をされているのかということが分かれば、教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○今村構成員 ありがとうございます。
 これは、本当に様々な病院によってパターンがございまして、専門の窓口を設けてしっかりやっているところもあれば、担当者を決めているということで、対応しているところもございます。
 やはり窓口をしっかりとつくるというのが、理想ではございますが、先ほど菅間先生もおっしゃいましたように、病院の規模によっては、なかなか窓口として専属の人を置くことが難しい場合もございます。
 ただし、やはり先ほど宮脇さんがおっしゃったように、まずは病院に疑義があったら聞かれるのは当然だと思います。そうしたときに、患者さんが病院に聞いたときに、まず、この人に聞きましょうという担当者を決めるですとか、そういったしっかりとした対応をして、分かりやすく、まず、誰に相談するのかという体制をつくりましょうと、この文章にも書いておりまして、実際に右側の周知文の細かいところを見ていただきますと、つまり、3番目のところですね、遺族からの申出に対応する窓口あるいは担当者を設置する等、全ての体制を構築して、申出があった場合には、医療に起因する予期せぬ死亡に該当するかどうかということを院内で検討して、御遺族に説明するという、このプロセスもしっかりと記録して、それをしっかりと説明することによって、御遺族の納得感が高まるのではないかと思っております。
 やはり、宮脇様のおっしゃったコミュニケーションというのが非常に大事でございまして、特にこの辺りは、注意喚起でも重視をしたところでございます。
 お答えになっていますでしょうか、すみません。
○宮脇構成員 ありがとうございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 ほかに、宮田先生。
○宮田常任理事 よろしいでしょうか。
 最後になりますけれども、今回のテーマは医療事故調査制度ということでございますので、それを担当しておりますセンターの立場から、2点意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、1点目は、今、ずっと議論になっておりました研修に関してでございます。医療機関に対する医療事故を再発防止に生かすためには、医療事故の分析手法、これが非常に重要になってきます。そして、そういったことは、研修でそれをしっかりと学ぶことが大事であるということは、本日も皆さん、御発表中で言及されておりました。
 センターといたしましても、医療機関向けの研修というのは非常に重要なものであると位置づけておりまして、今後も研修の質向上ということに取り組むとともに、研修医療機関の皆様にも、非常に参加しやすいものにしていきたいと考えておりますので、ぜひ今後も多くの方々に参加いただきたいと思っているところでございます。
 もう一点に関しましては、当センターが作成しておりますセンター調査報告書の公表に関してでございます。これも本日の議論で話題になりました。
 センター調査報告書ということの公表に関しては、再発防止ということと、医療事故の報告をするといった観点から、公表を求める声が非常に多いということは承知しているところでございます。
 一方、センター報告書の作成に当たりましては、医療機関、御遺族から様々な多くのデータをいただいて、それを作成しているわけでございます。
 そのために、個人が特定できる情報がかなりたくさん含まれております。
匿名化したとしても周辺情報から、個人の特定につながる可能性も否定できないということがありまして、関係者保護という観点からしますと、その公表に当たっては、極めて慎重に考える必要があると考えているところでございます。
 そういった点も含めて、センターとしては、センター調査報告書を一律に公表するということに関しては、まだまだ今後検討する課題が多いと感じているところでございます。
 もちろん、こういったものを再発防止に生かすということでは、先ほど発表いたしましたように、様々な取組を今後も続けていきたいと思っておりますので、そういったことを今後とも引き続きセンターとして、この制度を推進していきたいと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 髙宮構成員、簡潔にお願いします。
○髙宮構成員 それでは、センター報告書は公表できないと理解してよろしいですね。
○宮田常任理事 非常に検討課題であると感じるところでございます。
 ただ、先ほど話がございましたように、センター報告書というのは、かなり細かく有用な再発防止策が提言されております。
 実は昨年センターで、それがどのように利用できるかということを、作業部会をつくって検討したいきさつがございます。
 その結果としては、厚生労働省のほうからの意見として、再発防止のための任意の情報収集であるということを明示した上で、管理者、院長の同意があれば、そのセンター調査で集めた情報というのは、再発防止に利用できるという見解が示されております。
 ですから、そうすると、それは個別の報告ではなくて、あるいは、当然ながら集積して、一般化した形として、それを再発防止に利用するわけですけれども、そういう形でセンター調査報告書というのは利用できるのではないかと考えておりますが、これは、やはり今後の検討課題ではあると考えています。
 以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 上田オブザーバー。
○上田専務理事 すみません、失礼します。
 先ほど豊田さんから、産科医療補償制度の原因分析報告書の要約版の公表についてお話がございましたが、産科医療補償制度では、原因分析報告書のマスキング版と要約版を公表しております。
 それから、再発防止委員会において個々の事例情報をを集めて、マスとして分析して、再発防止策などを提言した再発防止報告書を年に1回定期的に公表しております。
 御参考までに申し上げました。
○山本座長 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間があれですので、本日は、この程度とさせていただければと思います。もちろん、この議論は、引き続き、次回以降も続けるということで、大変盛りだくさんではありましたけれども、建設的な観点から、かなりかみ合った御議論をしていただけたのではないかと、私としては思っているところでありますので、次回以降、引き続き、議論を続けていきたいと思います。
 最後に、事務局のほうから何かございましたらお願いいたします。
○門野室長補佐 次回以降の日程につきましては、決定次第、追って御連絡させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 以上です。
○山本座長 では、本日いただいた御議論を基に、事務局のほうで、今後の論点整理をお願いするということになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、私の不手際で、かなり時間を超過してしまいましたが、これで閉会とさせていただきます。
 本日は、熱心な御議論、誠にありがとうございました。

照会先

医政局 地域医療計画課

代表:03-5253-1111(内線4105・4038)