第3回福祉人材確保専門委員会 議事録(2025年8月29日)

日時

令和7年8月29日(金)10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール14G(14階) 
(東京都千代田区内幸町1ー3-1 幸ビルディング 14階)

出席者

委員(五十音順)
松原 由美(委員長)
石踊 紳一郎(委員)
及川 ゆりこ(委員)
小笠原 靖治(委員)
川井 太加子(委員)
佐保 昌一(委員)
鈴木 俊文(委員)
髙橋 秀親 (委員)
中村 和彦(委員)
西島 善久(委員)
堀田 聰子(委員)
山田 雅人(委員)
山本 一太 (委員)
(代理:高橋淳参考人)

議題

(1)介護人材確保に関するヒアリング
(2)その他

議事

○岡本福祉人材確保対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第3回「社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会」を開催いたします。 
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。 
 本日は対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての実施とさせていただきます。 
 まずは、事務局より、新たに就任された委員の御紹介をさせていただきます。 
 7月15日付で西島善久委員の後任として、山下康委員に新たに当部会委員に御就任をいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 
 次に、前回の専門委員会以降、事務局にも人事異動がございましたので、紹介いたします。 
 社会・援護局長の鹿沼でございます。なお、本日は欠席でございます。 
 総務課長の池上でございます。 
 福祉基盤課福祉人材確保対策室長の芦田でございます。 
 続きまして、事務局より、本会議の取扱いについて御説明いたします。 
 本会議の議事については公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関のみとさせていただき、その他の傍聴希望者向けにYouTubeでライブ配信をしております。なお、開催案内でも御案内のとおり、本会議では、これ以後の録音、録画を禁止させていただいておりますので、傍聴されている方は御留意ください。 
 会場の報道関係者の皆様におかれましても、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。 
(カメラ撮り終了) 
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 最初に、本日の委員の皆様の出欠状況についてお伝えいたします。 
 本日は、髙橋委員がオンラインでの御出席となります。 
 なお、中村委員におかれましては、10時30分頃からの御出席の予定となっております。 
 堀田委員におかれましては、11時40分頃に御退席される予定となっておりますので、あらかじめお知らせいたします。 
 また、山本委員の代理といたしまして、群馬県健康福祉部福祉局長の高橋淳参考人にオンラインで御参加いただいております。高橋参考人の御出席につきまして、委員会の御承認をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。 
(首肯する委員あり) 
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 ありがとうございます。では、御異議なきものとさせていただきます。 
 加えて、本日の議事のうち「(1)介護人材確保に関するヒアリング」に関連して、3名の参考人の皆様にも御出席いただいておりますので、御紹介をさせていただきます。 
 介護人材政策研究会、天野尊明様でございます。 
 全国介護事業者連盟、斉藤正行様でございます。 
 民間介護事業推進委員会、座小田孝安様でございます。 
 なお、座小田参考人におかれましては、オンラインでの御出席となります。どうぞよろしくお願いいたします。 
 本日は御出席の委員の方が3分1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。 
 事務局からの出席者につきましては、配付させていただいている座席表をもちまして紹介に代えさせていただきます。 
 続きまして、お手元の資料と会議の運営方法の確認をさせていただきます。 
 資料の読み上げは割愛させていただきますが、本日の資料は資料1から7、参考資料1から5を配付させていただいております。 
 会場にお越しの皆様におかれましては、机上に用意してございます。もし欠落等ございましたら、お知らせいただければと存じます。 
 オンラインにて出席の皆様におかれては、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございますので、資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードしていただくなどの御対応をお願いいたします。 
 次に、発言方法等について、オンラインで御参加の皆様には、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきます。御発言をされる際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックいただきまして、委員長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言ください。 
 御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を下ろす」をクリックいただき、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。 
 それでは、これからの議事進行につきましては、松原委員長にお願いしたいと存じます。 
 委員長、お願いいたします。 
○松原委員長 ありがとうございます。 
 それでは、早速議事に入らせていただきます。 
 「(1)介護人材確保に関するヒアリング」について、事務局より資料の説明をお願いいたします。 
○芦田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。 
 資料1「関係者ヒアリングについて」を簡単に御説明いたします。 
 表紙をおめくりください。前回に続いて2回目のヒアリングということで、本日は記載のとおり参考人、委員合わせて6名の方からのヒアリングをお願いいたします。12分程度で各発表者から御説明をいただきまして、その後、一括して質疑応答という形にさせていただければと思います。 
 ヒアリングの項目は、前回同様、第1回でお示しした論点を中心にということで、その次のページに記載をしております。 
 なお、持ち時間の終了1分前及び12分を経過したタイミングで事務局から鐘を鳴らしますので、御承知おきいただけますと幸いです。 
 それでは、よろしくお願いいたします。 
○松原委員長 それでは、これより本日御出席いただいております委員、参考人の皆様から、それぞれの取組の御説明やその取組を通じて感じていらっしゃる課題等について御発表いただきたいと思います。 
 では、まず天野参考人からお願いいたします。 
○天野参考人 ありがとうございます。座ったまま失礼をいたします。介護人材政策研究会の天野と申します。 
 本日の貴重な機会をいただきましたことに、感謝申し上げます。 
 お時間の限りもございますので、早速ですが、御説明に入らせていただきます。 
 私どもからは、お手元に「介護人材の確保に向けた本会の問題意識と提案について」として資料を提出させていただいております。順は不同でございますけれども、当委員会の議題を踏まえましてお話をさせていただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 
 飛ばしまして、3ページでございます。本会の基本的な考え方といたしまして、介護人材の確保に向けては、全産業平均と介護従事者の給与格差を是正すること、それからそのよすがとなる経営基盤強化に資する財源を措置すること、この2つが何よりも重要であるということについて、最初に申し上げさせていただきたいと思います。その上で、以降によりまして、御検討いただくことが必要と考えられる事項につきまして御提案を申し上げる次第でございます。 
 4ページからが、本会としての問題意識と御提案でございます。 
 5ページ、外国人介護人材についてでございます。 
 網かけになっているところが問題意識、その下の箇条書きがそれに対する御提案という整理になってございまして、以降のページでも同様でございます。 
 外国人介護人材については、介護事業における人材戦略の上で大きなテーマになってございますけれども、関連する情報の共有、ノウハウの調達、入国後の定着促進、それからコミュニティー形成などが個々の事業者の自発性に委ねられているといった状況でありまして、環境に格差が生じやすい状況にあるものと感じてございます。また、送り出し国へ受入れの規模感であるとか、こちら側の環境などを示すこと、また来日する人材本人のキャリアを評価する仕組みを講じることについても、今後の受入れの拡大と充実に向けて重要であろうという問題意識でございます。 
 これらを踏まえまして(1)でございます。例えば、静岡県では、社会福祉協議会において「国際介護人材サポートセンター」、これを設置しておられまして、外国人介護人材の受入れ準備や定着に関する支援、他事業者との連携支援等を行っておられるところでありますけれども、ぜひこうした取組について全国展開に向けて推奨していただきたいということとともに、それらを通じた様々な機会、これらの関わりについて、今は各事業者が余力の範囲で行っている状況でございまして、そういった現状をならしていく、このために必要な費用の助成などについて御検討いただくことが重要ではないかと考えるところでございます。 
 そのほか(2)では、人材確保に係る競争力の面から、一定規模での受入れを県ごとに調整していくことであるとか、(3)の来日される外国人介護人材の方々が、それまで自国で形成したキャリアを生かせるような資格の相互認証、こういったものについても併せて御検討いただく必要があるのではないかと考えます。 
 続いて、6ページ、離職防止についてでございます。政府の省力化投資プランにおきまして、2040年までに全ての介護事業者の離職率を全産業平均以下にするというKPIが示されてございます。 
 それに備えた取組を進めていくべきという問題意識の下で、下の(1)でございます。現状においても令和5年度の調査で介護職員の離職率は13.1%、産業計の15.4%よりも2.3%低くなってございまして、直近の介護労働実態調査ではもっと低い数字になってございます。つまりは、事業所ごとにばらつきがあるということであろうと思われまして、特に離職率が高い傾向にある小規模な事業所を中心に、産業計よりも高い離職率を示した事業所に対する支援措置、これを集中して講じていくべきではないかと考えるところでございます。例えば、離職防止の取組に係る費用の一部を助成するなどの動機づけであるとか、あるいは関連機関に相談窓口を設けるなど、そういった取組のさらなる強化を図るべきではないかという御提案でございます。 
 続いて、7ページ、いわゆる介護福祉士の養成施設についての件でございます。大きな問題となっておりますとおり、養成施設の定員割れは深刻でございまして、全国では廃休校が相次いでいると。当方の関係する養成施設も休校、再開のめどが立たないといったお話をたくさん伺っているところでございます。その中で、昨年の養成施設入学者の実に半数程度が外国人留学生であるといった実態があることは、御承知のとおりでございます。これは日本人のみならず外国籍の学生にとっても養成施設が地域の介護・福祉教育における重要な基盤、そうなっていることの証左とも言える中で、話題になっております国家試験義務づけの経過措置や養成施設の在り方、またそれに付随する修学資金貸付等の課題について、次の8ページに記載をさせていただいてございます。 
 (1)でございます。経過措置についてでありますが、介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格である介護福祉士の価値、これを毀損することがあってはならない、これは絶対の事実でございます。しかしながら、介護人材の不足状況並びに地域福祉の教育基盤を維持していくことの重要性、及び養成施設の厳しい運営状況等を考慮すれば、養成施設への一定の配慮が引き続き必要であることもまた事実であろうと考えます。そのことから、この経過措置については、さらなる延長も含めた検討が必要であろうと考えるところでございます。 
 一方で、仮に再延長がかなったとしても、養成施設の在り方としてはあくまで応急処置にすぎないというところでございまして、持続可能性は乏しいのだろうと考えるところでございます。地域における養成施設の役割の再整理、これは絶対に必要でありまして、令和6年度の老健事業でも既に取組を始めておられると思いますが、そういったものをさらに検証していただいて、国として方向性を示すことが求められるものと考えられます。 
 次に(2)でございます。介護福祉士の修学資金等貸付事業についてでありますけれども、現状では合格後の継続的就労による返済免除条件、これが付されているというところでございます。このことについて、不合格であった場合の返済は大変高額、2年間で168万円ということになりまして、特に前項の経過措置が終了した場合には、外国籍の学生にとって大きな負担になることが懸念されます。当該貸付事業の目的、そして足元の厳しい介護人材不足の状況を踏まえれば、介護福祉士資格を取得した学生のみならず、養成施設において一定のカリキュラムを修了、これは一定の知識等を習得したということになると思いますが、そういった方々が介護の仕事を志向する、そういった人材の育成・確保・定着を支援することも重要ではないかと考えるところでございます。そのため、今般、介護福祉士国家試験にパート合格が導入されたことを踏まえまして、当該貸付事業における返済免除条件、これを見直して、例えばいずれかのパートにおいて合格をして、その後、一定期間、福祉・介護の仕事に継続して従事しつつ、残りのパートにおいても合格を目指すこと、これを条件に、修学資金の一部または全部の返済を免除することとしてはどうか、御検討を賜りたく御提案させていただきます。 
 次の9ページは、(3)養成施設では外国人介護人材の日常生活サポート、これを任意で行っている現状がありますけれども、このことをきちんと仕組みにしていくことは重要と考えるところ、養成施設などが自治体やその他関係機関と連携をして、それぞれの有する専門性やノウハウをもって、留学生はもとより地域・圏域内の外国人介護人材等への日常生活に係るサポート体制を構築することについて支援をしてはどうかということでございます。 
 あわせて、(4)養成施設において多言語環境への配慮が求められていることや、ICT、AIの活用によって教育内容の理解度を深化させること、また教職員等の負担軽減や生産性の向上なども視野に、養成施設におけるデジタル化の推進についてはぜひお取組をいただければと願うところでございます。 
 次の10ページの事業者連携推進につきましては、ありがたいことに2040検討会で御説明をさせていただいたものになりまして、基本的には割愛をさせていただきますが、特に人口減少地域における事業者連携の推進のために、自治体等と事業者間の官民協議を推進することであるとか、その中核となる事業者を支援すること、複数年継続した支援の在り方を講ずること、これらについて御検討いただきたい旨を記載してございます。 
 最後の11ページは、公的職業紹介機関の機能強化についてでございまして、(1)でございますけれども、何よりも人員体制の拡充とシステムの抜本的な改修が必要だろうということは思いますけれども、予算上かなり難しい面があるということでございまして、いかに公的職業紹介機関を経由することのメリットを示せるか、そういった部分で底上げを図る以外にないのだろうと感じてございます。その点、例えばハローワーク等で本来有しているキャリア形成支援等の独自の優位性、これを前面に押し出して介護分野への求職者に対するコンサルティングまたはアドバイザリー機能を拡充をして、窓口機能にとどまらない新しいやり方を模索していただければと願うところでございます。 
 12ページ以降の団体概要は割愛をいたします。 
 本会からの御説明は以上でございます。貴重なお時間をありがとうございました。 
○松原委員長 まさに、ほかにはない介護人材課題にフォーカスした業界団体ならではの現場に密着した多方面からの御提案をありがとうございました。 
 次に、斉藤参考人、お願いいたします。 
○斉藤参考人 全国介護事業者連盟の理事長を務めております斉藤正行と申します。 
 本日は貴重な機会を賜りまして、感謝を申し上げたいと思います。 
 早速ではありますが、私からもプレゼンをさせていただきたいと思います。 
 まず、資料2ページには当団体の概要を示させていただいております。こちらは御確認をいただければと思います。 
 3ページになりますけれども、今回のテーマであります介護人材の総合的な確保についてということで、2040年に向けた検討会のとりまとめを踏まえた4つの論点に基づいた意見提言をさせていただきたいと思っております。 
 ただ、その大前提として、この介護人材の確保については処遇改善ということが最優先、一丁目一番地の施策であるということは、改めて申し上げておきたいと思います。この委員会におけるカテゴリー、論点とは少し異なることは承知しておりますが、特に昨今、この最低賃金、10月からさらに過去最大で上昇していくという方針が示されている中で、この原資をどのように確保していくかは、今、介護・福祉の現場にとっては非常に深刻な事態にもなっております。この処遇改善に向けた事業者への支援を含めた対応策が何よりも最優先なのだということは、冒頭に申し上げさせていただきたいと思います。 
 その上で、論点4つについてそれぞれ意見を申し上げたいと思います。 
 まず、論点1について、5ページのところに3つ意見提言をまとめさせていただいております。 
 6ページから、具体的に記載をさせていただいております。1つ目、この中山間・人口減少地域の実情を踏まえた対応、2040年に向けて地域ごとの制度改革が必要だということでは、人材確保についても全国一律的な対応策ではなかなか人材の確保に至らないということでは、とりわけ中山間や人口減少地域でどのように対応していくかということで、私自身も全国をつぶさに直近でも回っておりまして、中山間や離島の事業者からも厳しい窮状をお聞きしております。 
 お話を聞くと、全ての世代の人が減っていっているわけですけれども、特に若い世代は少ない上に、学校を卒業したらすぐ都心部に移動してしまう状況下の中で、どうやって若者世代を確保していくのかが非常に深刻で、地方ほど介護人材の高齢化が進んでいるという状況下にあります。一方で、ここに少し書いておりますとおり、大都市圏と比べるとではありますけれども、この処遇の問題は、他産業との所得差が比較的地域のほうが低いというような、そういった意味では地方ならではの介護の魅力やメリットがあるのではないかということで、今、政府で推進をしている介護の魅力発信についても、全国一律的な対応をしていくのではなくて、都心の魅力、地方の魅力、こういったことをしっかりと示していく必要性があるのではないかと感じております。 
 また、地方ほど高齢化が進んでいるということでありますが、これは言い方を換えると、経験豊富な人材が地方にはたくさんいるとも捉えることができると思いますので、この潜在介護福祉士等の掘り起こしを含めて、地方ならではのやり方でここをうまくどう活用していくかを考えていく必要があるのであろうと思います。 
 また、後段でも述べさせていただきたいと思いますが、この人口減少地域では複合的なサービスや多機能な人材が求められていくことになるのですが、この複合型サービスで働く人材の確保こそ介護現場では非常に難しい側面があります。これは経験豊富な人材ほどこういった人材をうまく生かしていくことができるということでもありますので、こういった多機能な人材をどのように育成していくかという視点が必要になってくるのではないかと思います。 
 続いて、7ページ、2つ目の提言ですが、今、申し上げた検討会でも示されている大都市圏や中山間・人口減少地域では、複合型サービス、多機能が必要だという考え方の中で、多機能人材ということについてどう確保していくのか。在宅の事業者で小規模多機能や看多機などの事業者と意見交換をしていると、訪問と通所と泊まり、全てを複合的にサポートできる人材は、デイサービスや訪問介護の人材プラスアルファのスキルが求められていく。こういった人材をどう育成していくかということについては、現状、事業者任せ、現場任せの状況下にもありますので、政府としてこの多機能人材の育成を1つの大きな課題として政策を考えていく必要があるのではないかと思います。 
 3点目、ハローワークについては、先ほど天野さんからもお話があったとおりですけれども、とにかくここは抜本的な対応が必要で、有料職業紹介事業者の手数料負担、本当に大きな課題となっております。ハローワークの改革については、また様々な視点が必要だと思いますが、私からは1点だけ、とにかく今、介護人材の多くはネットやSNS等で求人を確認している人間が大半であります。求人をすると、とにかくハローワークではなくてネットの人材会社の情報が先に出てきてしまう、ここを改善しない限り、なかなかハローワークの活用には至らないのではないかと思っております。限られた予算の中で、私はとにかくネット対策やSNSで上位表示をされるということを、何よりも最優先の施策と考えていただきたいと思います。 
 8ページからは論点の2についてということで、9ページに2つ意見提言をまとめております。 
 10ページ、具体的な記載をさせていただいております。論点2の業務の切り出しについてということですが、特にマル1のところは私は大変重要だと感じているのですが、生産性の向上や多様な人材の確保に向けて、業務の分解・切り出し、これにしっかりと取り組んでいかないといけないのですが、現状、大手の会社を中心とした一部でしっかりと取り組めておりますが、大半の中小・零細の事業者ではなかなかこの業務の整理や切り出しができない状況下にあります。 
 これはノウハウの問題もあるのですけれども、私は現場でいろいろな方とお話をしていると、ちょっと誤解が生じているのではないかと感じるのは、この業務の切り出しをして、単純業務を明確化して、これを介護補助のような考え方ですとか、スポットワークのような人材などをうまく活用していくのだという話になるわけなのですけれども、現場の人たちからすると、そこまでして人を採っていかないといけないのかとか、どんどん中身が劣化していくのではないかということを私は何度か言われることがあります。これは、本来の趣旨はそこにないということをしっかりと伝えていく必要があるのではないかと。 
 この業務の切り出し・生産性の向上は、人が足りないからやる、もちろんそういう側面もありますけれども、本質的には業務の切り出しを行うことによって、専門性のある仕事は何なのかということ、単純業務は何なのか、この単純業務のところだけにフォーカスしがちなのですけれども、専門性の高い介護の仕事とはここなのだということをしっかりと明確化していくことによって、介護従事者の地位の向上、我々はプロの仕事をしているのだということ、そのために業務の切り出しも行っていくのだということを、こういう本来の目的の部分をしっかりと政府の政策の中で伝えていくことが必要なのではないかと。現状、介護現場で少し間違った捉え方をしている人が多いのではないかと私は危惧をしているところでございます。 
 また、この切り出しを通じたスポットワークや単発人材、短時間労働者の活用についても、今のお話の延長線上にもなりますが、若干ネガティブに捉えている方も多い状況下にあります。いかに有効に使えるかということについて、何らかの対応策が必要ではないかと感じております。 
 続いて、11ページから論点の3につきまして、この中核人材について山脈型のキャリアパスについて、12ページから具体的なところで2つ示しております。 
 13ページのところに、まず1点目、この中核人材に対してということでは、この中核人材の確保の最優先は、とにかく離職率の低減策をきちんと取っていかないと、職員が辞めていったら中核人材に育たないということになるわけですので、この離職防止の考え方は大変重要なのだと思っております。その離職防止においても様々な政策が必要でありますが、私は現場でマネジメントをしていた経験上、中核人材や上長のマネジメント力やコミュニケーション力によって離職率は現場では大きく異なっていくことになりますので、まさに中核的な介護人材にこそ、マネジメントスキルやリーダーシップやコミュニケーション力、またデジタルリテラシーといった、これまで専門性を高めていくことも中核人材には大変重要でありましたけれども、それ以外のスキルが非常に重要なのだという視点が若干欠けているのではないかと思っております。 
 一方で、山脈型はそういったスキルも含めてしっかりと育成していこうというキャリアパスにもつながっていくわけでありますので、この山脈型の山脈をもう少し視点を広げていくことも重要なのではないかということでの提言をさせていただくとともに、この山脈型のキャリアパスをどう構築していくのかが、なかなか事業者の中でイメージがついていない状況にもありますので、この具体的なロールモデルの提示が必要なのではないかと感じております。 
 そして、この中核人材をしっかりと評価していく仕組み、これは処遇改善ともつながっていくのですけれども、介護現場の所得の最大の課題は、処遇改善を含めて新卒や未経験者は処遇改善加算を活用するとそれなりの給料になるのですけれども、そこから給料がなかなか上がらないことが最大の課題であり、経験の乏しい人と専門性の高い人材の給料差がないということこそ、最大の課題だろうと思っております。この差をどうしっかりと評価できるかという在り方を、処遇改善加算の在り方もそうですけれども、その他全般、しっかり考えていく必要性があると思っております。 
 最後、論点の4つめ、14ページから15ページ、3つ提言をまとめさせていただいております。 
 16ページのところから具体的な記述になりますけれども、1つ目に、まずは外国人介護人材のあり方検討会についての早期の再開をぜひとも行っていただきたいと思います。昨年に中間とりまとめが行われまして、今年度から訪問介護へのルールの見直しなどが実施をされているところでありますが、引き続き地方においては特に転籍、特定技能についての課題ですとか、新たに服薬管理についての取扱いですとか、訪問介護が解禁されたわけですけれども、サ高住や集合住宅の自費の部分の取扱いなど、まだまだ議論しなければいけない点が多数だと思います。早期にこの検討会の再開を求めたいと思います。 
 そして、このマル2番、訪問介護についてこの4月からスタートしたわけでありますが、多機能系の訪問の取扱いが、まだルールが明確になっていないというところですとか、さらには実務経験1年ということの要件が課されたわけですが、このことによって訪問サービスしか提供しない事業者ではなかなか活用ができない状況下にありますので、この現状の把握とともに、実態に即したさらなる制度改革をぜひお願いをしたいと思います。 
 最後、マル3番、17ページになりますけれども、小規模な事業者の外国人活用をどうやっていくか、最大の課題は費用の問題、日本人を採用するよりも今はかかってしまう。また、ノウハウの点につきまして、大規模な事業者を中心に外国人活用が進んでいる状況下にあります。例えば費用的な補助もなかなか予算の限りもあろうかと思います。小規模な法人に限定した形での対応策などを検討いただければということと同時に、ノウハウについての整備も含めて検討をお願いをしたいと思います。 
 私からの御説明は以上とさせていただきます。 
○松原委員長 斉藤参考人には、2040年の検討会でもハローワークのネット、SNSの問題など常に実践的な御提案をいただいておりまして、今回もキャリアを積んだ専門性をどう評価するかなど、多面的に総合的な確保方策について御提案をありがとうございました。 
 次に、座小田参考人、お願いいたします。 
○座小田参考人 民間介護事業推進委員会から来ております座小田と申します。よろしくお願いいたします。 
 本日は「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を踏まえた4つの論点に沿って意見を、今し方の斉藤さんと同じような形ですけれども、それに沿った形で意見を申し上げたいと思います。 
 次のページをお願いいたします。2ページ、各論点に対する民間介護事業推進委員会としての意見でございます。 
 初めに、介護保険が2000年に始まりましたけれども、介護職員の数はその当時の55万人から215万人へと著しく増加しております。これも民間介護事業者が参入して主要な担い手として成長してきたことの証左であると思っております。 
 一方で、労働人口が減少傾向にありまして、他産業との間でも人材確保が熾烈を極めていく中で、介護事業者は介護職員の確保・育成・定着、離職防止に関する経費が急速に増大しておりまして、経営を圧迫しております。これに対して、現物給付を原則とした介護報酬体系の下では、介護職員が配置されていることが前提とされておりまして、確保できないとニーズがあってもサービス提供できないということが実情でございます。 
 今般、最低賃金がかなり引き上げられるということでございますけれども、さらなる外部業界への介護人材の流出が懸念されることから、最低賃金の上昇や物価上昇に対応できる報酬アップの検討も必要ではないかと思っております。 
 そういった中で、論点1からでございます。意見の国の支援についてでございますが、民間介護事業者といたしましては、引き続き介護職員の人材確保・育成等に関し努力を続けていきます。個々の事業者だけでは対応し切れない、下に東京と愛知の件を書かせていただいていますけれども、側面的支援策を講じていただきたいと思っております。しかしながら、自治体の財政状況等によって、事業の有無、実施していても内容や規模に大きな差が生じていることから、介護保険制度の下で地域差の是正を図るべく国としての支援策を講じていただきたいと思っております。 
 続きまして、次のページの意見2でございますけれども、ハローワーク、福祉人材センターなどの公的機関の役割についてでございます。先ほど斉藤さんのほうでお話がありましたけれども、「福祉人材センター」とネットで引くと、紹介会社がトップに来るのですね。そういった現状もございます。労働政策につきましては、本来国の責務とされておりますので、介護人材の確保につきましても、処遇改善や多様な人材の確保・育成、離職防止と定着促進、介護職員の魅力向上や外国人材の受入れの環境整備等の多方面にわたって、ハローワーク、福祉人材センターなどの公的機関の役割に期待したいところではございます。 
 しかしながら、従来の雇用政策は失業対策が主であったことから、失業に起因しない雇用確保となる介護現場では、ハローワーク等からの採用は低調であり、介護人材の確保に当たっては、民間の有料職業紹介サービスを活用して、その高額な手数料が大体年収の20%から30%と負担をしているところでございます。以前より就職祝い金を目的としたケースに対していろいろな禁止がなされて、本年4月からの求人サイトなどでも禁止となるなど一定の規制は入ってきましたけれども、だからといって高額な手数料が安くなったということは感じておりません。さらに、就職後の一定期間内に退職した場合の返戻金制度についても取組がなされておりますが、そもそもの手数料が高額となっていることから、大きな負担となっております。ハローワーク等の公共サービスとしては、失業を原因としない就職・転職希望者からもっと利用・活用されるような創意工夫、事業者にとっても使い勝手のいいシステム、求人の仕組みや条件などの利便性を高めていただきたいと思っております。 
 意見の3つ目ですけれども、介護福祉士養成施設の役割についてですけれども、介護福祉士養成施設については定員充足率が5割程度、生徒の多く、約49%は外国人が占めているのが現状でございます。養成施設からの要望により事業者が奨学金を出しているところもございます。養成施設には、外国人の介護福祉士国家試験の合格率を高める対策を講じるとともに、地方公共団体と連携し学生確保の対策についても講じていただきたいと思います。 
 続きまして、論点2でございますけれども、多様な人材、業務の整理・切り出し等についてでございます。これについては、先ほど斉藤さんも提言されておりましたが、介護業務に従事する者として制度的に位置づけられている資格、研修については、介護福祉士、実務者研修、初任者研修、生活援助従事者研修、入門的研修、その他に外国人材、それから老健施設等における介護助手等がございます。このうち、訪問系サービスの訪問介護員としては、生活援助従事者研修は「生活援助中心型訪問」のみで、入門的研修や無資格者は従事できないこととされております。 
 これだけ裾野が広がった介護職種でありますけれども、介護サービス・施設の人員基準上認められている人員についても保有資格、受講研修等によって介護報酬上の差は設けられておらず、スキルの差に関係なく同じ介護報酬となっているのが実情であります。スキル向上に向けたインセンティブが働きにくくなっている、こうした状況があるのではないかと思っております。 
 その上で、直接業務以外のその他の業務を明確にして、どのような人材に、どのような処遇とするのか検討すべきではないかと思いますし、多様な人材の確保と併せて、介護サービスの質の確保・向上が重要であります。職場におけるOJTの標準化に向けた取組を強化する必要があるのではないかと。 
 また、若年層への取組として、大学生や高校生などのインターンシップ受入れに関する財政的支援や広報支援などの人材確保に向けた総合的な支援策を検討すべきではないかと思います。 
 論点3でございますが、中核的介護人材についてでございます。介護現場における中核的介護人材とは、具体的にどの職種で、どのような業務を担うことを想定しているのかということでございます。例えば、既に訪問介護サービスでは配置が求められている管理者やサービス提供責任者などのように、サービスごとに一定の役割を求められる人員配置基準がございますが、これらのものは中核的介護人材と位置づけられているのか、またこうした配置基準について介護報酬上の評価は考えられているのかという点でございます。 
 介護福祉士養成施設における教育の在り方、介護福祉士の資格取得の在り方等まで言及されておりますが、前述のように介護現場における介護従事者の裾野が大きく広げられている今、まずは国家資格者である介護福祉士に具体的にどういう役割や資質が求められるのか明確化すべきではないかと思います。 
 潜在介護福祉士の活用については、当然に進めるべきことであろうと思います。 
 最後に、論点4番目の外国人材についてでございますが、特定技能や技能実習制度における日本語要件の運用に当たっては、これを適切に評価すべきであると思います。現場では介護技術を教える以前に日本語の理解度が低いことが問題という声が大きくなってきており、日本語教育にかける時間や労働力も負担となっております。 
 地方公共団体には、外国人材の生活支援に関わる費用面や受入れに関わる行政手続等の代行等への支援をお願いしたいと思っております。 
 最後になりますが、民間介護事業推進委員会の概要でございます。御確認をお願いいたします。 
 以上でございます。 
○松原委員長 シルバーサービス振興会内にある会議として、まさに多面的に介護人材確保に関しまして、それを非常に的確に分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございました。 
 次に、石踊委員、お願いいたします。 
○石踊委員 全国老人福祉施設協議会の石踊でございます。 
 私からは高齢者福祉施設における人材確保の現状について、その後、4つの論点について意見を申し上げたいと思います。 
 1ページ、高齢者福祉施設の現状でございますが、周知のとおり、高齢者福祉施設は、慢性的な人手不足、若手人材の採用が難しい、そして職員の高齢化が進行しているということであります。離島や中山間地域では、小規模法人が多く、新人職員や管理職の育成も厳しい状況でございます。 
 さらに、成果誘導型の加算制度は、管理栄養士や看護師など専門職の確保ができない施設は算定ができません。仮に加算を取得するために専門職を確保できたとしても、人件費の上昇につながり、経営的に加算取得のメリットを見いだしにくい状況でもございます。 
 また、職員不足により稼働率を上げることが難しく、仮に稼働率を上げようとすると、職員の疲弊や離職に結びつき、稼働率を上げられない状況もございます。 
 介護ロボット、見守りセンサーなどを導入することで職員の身体的・精神的負担の軽減につながる反面、導入に際してのイニシャルコストや職員が使いこなせるかなどの運用面での課題もございます。 
 さて、4つの論点につきまして、3ページでございますが、まず論点1、各地域における人材確保の取組の推進について、5点申し上げたいと思います。 
 1つ目、地域においては、各市町村が地域の現状・課題を分析・整理すること、実態に即した現状を共有し、地域で人材を育成することが重要であると考えます。さらに、事業者との連携に基づき人材確保・育成する場、いわゆるプラットフォームを設け、形式的ではなく実効性の高い施策を推進することが必要と考えます。 
 次に、ハローワークに関しましては「人材確保対策コーナー」の設置・拡充、あるいは事業者への助言指導、面接会などが計画をされているところでありますが、4ページの資料のとおり、民間職業紹介所と同等のより細やかで迅速な対応が望まれているところでございます。 
 次に、民間職業紹介所を利用する際には、5ページ、6ページの調査資料のとおり、紹介料が非常に高額で、満足度もそう高くはない状況でございます。また、在職期間別の紹介手数料返金率も違いがあり、経営を圧迫しております。公的な規制の強化も必要であると考えます。 
 7ページ、論点1の4番目でございますが、経営規模の小さい施設・法人におきましては、法人単独では福祉人材を確保・育成するために専任の担当者を配置することが難しく、研修体制の構築も厳しい状況であります。法人間連携あるいは社会福祉連携推進法人などを積極的に進めることも必要かと考えております。 
 法人連携の下、リクルーターの養成あるいはキャリアアップ研修、外国人材受入れ支援、奨学金制度の構築、人材交流の推進などが期待されます。法人連携が容易にできるような環境を整えることも必要ではないかと考えております。 
 5番目でございますが、施設では、介護職員、看護職員または介護支援専門員が配置基準に満たない場合、基本報酬の3割の減算が適用されます。管理栄養士が確保できず栄養管理の基準を満たさない場合、同じく14単位の減算が適用されることとなっております。これは施設経営にとって非常に厳しい措置でございます。特に離島・中山間地域など、専門職の確保が難しい地域におきましては、看護職員、介護支援専門員、管理栄養士などの配置につきまして、一定の条件の下でオンラインやオンコール関与を認めるなど、自法人やあるいは他法人との連携で人材のシェアによる対応を検討していただきたいと思っております。 
 次に、論点2、8ページでございますが、若者、高齢者、未経験者などの多様な人材の確保について、3点ございます。 
 1点目、令和6年度介護報酬改定におきまして、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置が義務づけられました。報酬上も職員間の適切な役割分担の取組が評価されることとなりました。多様な人材、多様な働き方に対応できるよう、業務の整理につきましては、施設の実情に応じた創意工夫だけではなく、生産性向上推進体制加算(I)を取得した施設を分析するなど、制度的な議論を深めることも必要と考えます。 
 9ページ、論点2の2でございますが、若者、高齢者、未経験者の確保に関しましては、ICT機器や介護ロボット導入で本当に進化している介護現場を実際に見学、体験してもらう、介護業務や実際の介護環境に触れてもらうなど、事業者が直接的なアプローチを行い、入職の動機づくりに取り組むことも重要であると考えます。施設では、ICT機器や介護ロボット導入の効果につきましては十分認識しております。さらなる助成金拡充と機種選定に対して専門的な識見を有する人材の育成支援をお願いしたいと考えております。 
 3つ目、若者を含め多様な人材を確保するためには、何といっても他産業との賃金格差の縮小が重要でございます。ぜひとも早急な処遇改善をお願いしたいと思います。 
 11ページ、論点3でございますが、介護現場において中核的な役割を担う中核的な人材について、3点ございます。 
 1点目、中核的介護人材につきましては、介護福祉士をはじめとする専門性や現場経験のある者が担うべきであると考えます。そのためには、事業所で育て働き続けてもらうための取組が重要であるとも考えております。多くの施設では、キャリアパス構築に向けて研修体制を管理者・リーダー層向け、また専門分野別、階層別などに分けて実施し、施設によっては経営戦略室などを設け、法人の管理者養成を行っている事例もございます。 
 続きまして、2でございますが、介護福祉士養成校につきまして、先ほどからも出ておりますが、学生数の減少に伴い募集停止、閉校する学校も増えている状況でございます。我が国の介護人材育成に果たす役割はますます重要になってきております。例えば、施設に勤務している介護福祉士などのスキルアップあるいは潜在介護福祉士の復帰に向けての学び直しなどリカレント教育の場、また実習生への介護福祉士受験対策講座などの活用も考えられるのではないかと思います。 
 3つ目、介護福祉士国家試験の経過措置、いわゆる資格取得方法の一元化につきましては、留学生が養成校の入学者の約半数を占める状況を鑑みますと、留学生の合格率の向上、それと今般導入されますパート合格の仕組みの効果検証をするまでの間、延長することも妥当ではないかと考えております。 
 論点4、12ページでございますが、外国人介護人材の確保・定着に向けた対策について、3点ございます。13ページから18ページは、関連の調査資料でございますから、併せて御覧いただければと思います。 
 1つ目、外国人介護人材の確保・定着を促進するために、施設・事業所では、生活相談あるいは住宅補助、インターネット環境の整備など、いろいろな支援を行っているところでございます。 
 2つ目、受入れに際して、紹介料、渡航費、住居などの費用負担、日本語研修や介護福祉士資格取得のための研修や受験対策など、特に小規模な法人には負担が非常に大きいわけでございます。国や自治体からの支援をお願いしたいと思います。 
 3つ目でございますが、外国人介護人材受入れに際しましては、介護保険施設等に限定をされておりますが、福祉施設全般に拡大していただきたいと思っているところでございます。施設にとっては、介護人材が不足することへの不安感は非常に強く、外国人材をいかに確保し育成していくのか、住宅の確保、宗教や習慣の違い、外国人受入れの地域の理解など、解決すべき課題は少なくありません。 
 19ページでございますが、これは全国老施協が令和4年度、5年度に行いました小規模特養の経営状況や過疎地における事業継続モデルの調査研究でございます。この中で地域の介護と福祉の継続に向けた課題の共有や目標設定のプロセスについて、地域のステークホルダーが集まり運営推進会議を開催し、状況によって自治体を巻き込んで実現していくことを提案しております。これは離島や過疎地における小規模特養の事業モデルでございますけれども、近い将来、過疎地以外あるいは広域型特養での普遍的な課題であるとも認識をしているところでございます。 
 21ページでございますが、介護職員の不足が施設・事業所に及ぼす影響につきまして、介護労働安定センターの調査によりますと、介護職員の不足によって各職員の時間当たりの業務負担の重さ・余裕がないが「当てはまる」「やや当てはまる」を合わせると8割以上でございます。そして、経営に影響を与える利用者の受入れの制限は「当てはまる」「やや当てはまる」を合わせると6割に達しております。業務の負担感が増え、余裕がなくなることで、職員が疲弊し、離職へとつながり、利用者の受入れを抑制・制限することになり、結果として収益が悪化した事業所・施設がダウンサイジングやあるいは閉鎖をせざるを得ないことが予想をされます。 
 現実に、鹿児島県南大隅町佐多地区の特養が、高齢化と労働人口の減少で2024年4月に閉園をいたしました。この地区では高齢化が本当に進み、人材の確保が難しく、施設職員も高齢となり、事業を継続することが難しく、ダウンサイジング、閉鎖をする事業所が出てきております。地域では人材確保が喫緊の課題でございます。 
 最後に、福祉施設の事業継続に最も大切で重要なことは、人材確保・育成でございます。目の前の職員を大切にして、働きやすい職場をつくり、介護の社会的評価を高めることが私たちの役割でもあると思います。 
 私からは以上でございます。 
○松原委員長 鹿児島県の高齢化率52%超えのところで特養が閉鎖という重要な事例も含めて、大変貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。 
 次に、佐保委員、お願いいたします。 
○佐保委員 連合の佐保でございます。 
 連合は、介護現場で働く労働者も組合員として入っておりますし、その他にもいろいろな分野で仕事をされている方で家族の介護に直面をされている方も組合員の中にはいらっしゃいます。もっと言えば、介護保険の持続可能性といったところも含めて、保険者である地方自治体にも組合員がいるということで、幅広くいろいろなところに組合員がいます。そのため、今回お持ちした資料6は、社会保障に関して幾つかの政策を策定しておりまして、その中から選んで持ち込んできたものであります。今回の関係者ヒアリングの論点にぴったり当てはまっているかどうかといえば、そうではないものもあるかと思いますが、御容赦いただければと思っております。 
 今、画面に出ております1ページ目でございますが、社会保障に関する連合の考え方ということで、2年間の運動方針においては、誰もが安心して暮らせるようということで、介護など社会保障の充実、社会保障サービスを担う人材確保に向けた賃金・労働条件の改善に資する施策の促進に取り組むとしております。また、将来世代への負担のつけ回しに歯止めをかけること、持続可能で包摂的な社会保障制度などの構築に必要な安定財源の確保、所得再分配機能の強化を行うとしております。 
 下の矢印では、連合「社会保障構想」というものを策定しておりまして、これは今年5月に今まで2019年につくりました第3次の「社会保障構想」を改訂しまして、第3次改訂版として新たにお示しをしておりますが、人口減少・超少子高齢化が進む中においても、全国で安心して介護や子育てができるためのサービスの担い手の確保、そのためには費用を賄う財源の確保とその負担の分かち合いが不可欠だと考えております。「参加型社会保障」の推進を通じて税・社会保険料負担についての透明性と納得性を高めることが重要です。そのためには、急速に人口減少・超少子高齢化が進行する期間に限って構成比率を見直して、社会保障のベーシックサービスとされる医療や介護などには、全ての人にサービスを提供するための公費投入を増やすことなどの財源確保策についても検討の余地があるとしております。 
 3ページを御覧ください。具体的に、介護人材の確保・定着に向けてでございます。 
 連合の考え方1ということで、訪問介護の実施状況など介護報酬改定による影響の実態調査を丁寧に行い、質の高い在宅ケアの拡充に資する対策を講じるとともに、現場を担う全ての介護人材の確保に向けてさらなる処遇改善策を実行する。また、人員配置を緩和することなく、業務負担軽減の観点から、ICT、AIなど新技術の活用促進を支援するとしております。 
 2024年の介護報酬改定では、訪問介護につきましては、基本報酬が下がったということで、倒産が増えている要因ではないかということもいろいろな報道等で出ております。そういったことを含めてしっかり次期の介護報酬改定にお取組をしていただきたい、こちらも取り組んでまいりたいと考えております。 
 右下のグラフは、介護労働安定センターの労働条件・仕事の負担に係る悩み、不安、不満等についてということで、複数回答上位5位を御紹介させていただいております。 
 4ページを御覧ください。連合の考え方2ということで、人材確保に必要な賃金をはじめとする処遇改善というところでございます。 
 専門性を持つ介護労働者を安定的に確保するためには、各年度の予算措置だけではなく継続的な財源確保を行って、人材確保のための施策を引き続き講じるとしております。それから、加算をめぐる事務作業が煩雑というところで、なかなか加算を取ろうとしないといった事業所もあると聞いております。事務作業簡素化と事業所に対する加算取得支援を行うこと、それから介護職員等処遇改善加算の対象となるサービスと労働者を拡大し、介護職以外も含めた事業所全体の処遇改善を図るとしております。例えばケアマネジメントの事業所は処遇改善の加算の対象となっていない状況です。そのため、加算対象事業所、加算の対象になる従事者の範囲を拡大すべきと考えております。 
 左下は、平均改定額、賃金改定と改定率ということで、全産業と比べても医療・福祉分野は低い状況となっております。このままいきますと、ほかの産業に人材が流出してしまうといったこともあろうかと思いますので、しっかり賃金を上げていく、そのための処遇改善を増やしていくことが必要であると考えております。 
 5ページを御覧ください。考え方3ということで、処遇改善と働きがいにつなげるキャリアアップの推進についてです。 
 処遇改善加算を現場の継続的な処遇改善とキャリアアップにつながる賃金制度の構築に結びつける、それからモチベーションを高めるキャリアアップの仕組み、働きがいのある職場づくりを推進し、介護職のイメージ向上につなげていく、それから介護福祉士の配置を介護保険サービスの指定要件、介護報酬の算定要件に位置づけ、専門職としての地位の向上、確立を図るということで、吹き出しで書いておりますが、准介護福祉士は廃止すべきと考えております。これは5年前にも私は言ったのですけれども、介護福祉士の知見を持った人が何で准介護福祉士なのかということを申し上げておりますので、これはきちんと廃止すべきと考えております。それから、実践的なキャリアアップを推進する仕組みを報酬上評価する、潜在介護福祉士などの復職支援を行う。そのため、離職した介護福祉士の資格等取得者の届出制度の周知徹底、研修制度の整備、また労働条件の改善を図るとしております。 
 左下の部分は、介護従事者処遇状況等調査結果の概要をおつけしております。 
 右は、キャリアアップの図ということで書かせていただいておりまして、ケアマネジャーを地域における介護サービスの推進体制の中核的人材と位置づけ、キャリアを向上させるとしております。 
 6ページ目を御覧ください。考え方4ということで、業務負担の軽減や労働環境の改善というところでございます。 
 サービス提供を担う介護労働者の腰痛防止対策、これは介護労働者は腰痛が多いと統計的に出ておりますので、腰痛防止対策を講じるなど労働条件を改善して、安心して働ける職場環境づくりを進めるとともに、介護現場の生産性向上を図るとしております。それから、利用者やその家族からのハラスメント対策等を含めた心身の健康管理を事業規模によらず義務づけるということ。ロボット、センサーをはじめとした新技術、AI、ICTの活用促進により、介護サービスの質の向上や介護現場における業務負担の軽減などにつなげるため、ニーズに即した研究開発の強化、設備投資にかかる費用の助成制度の拡充などを行うとしております。 
 左下につきましては、連合の構成組織でありますUAゼンセンとヘルスケア労協が現場の調査をしておりまして、患者・利用者・家族からのカスタマーハラスメントに関するアンケートということで、カスハラを受けた比率がグラフとして載っておりますが、ちゃんとマニュアルをつくっているところと、マニュアルがないもしくはマニュアルの見直しをしていない、古いといったところと比較すると、きちんとマニュアルをつくっているところのほうがカスハラを受けた比率が低いといった状況になっております。 
 その右側でございますが、労働法規の遵守徹底、これはもちろんのことでございますが、雇用管理に関する情報の公表義務化、事業者の雇用管理の改善を促す仕組みを導入するということ、それから専門資格を有する人材がその役割を十分に果たすため、要支援1の人などに対する軽度な支援につきましては、資格の有無にかかわらずサービスの担い手を広く確保するとしております。もちろん介護人材の確保は喫緊の課題であり、重要な課題でありますが、その一方で、医療も人手不足、保育も人手不足、障害福祉も人手不足、それだけではなく社会保障サービス以外の全産業的に人手不足になっているという状況では、この介護の専門人材の方をどこに配置するのか。場合によっては重点的に配置をしていって、例えば要支援1の方の生活支援については、まだ地方においては介護サービス事業所が担っていたりとかということもございますので、これもはっきり少し整理をして、違う事業所、地域支援事業を含めて地域で担っていただくといったことも必要かと考えております。 
 次のページを御覧ください。7ページ目でございます。外国人介護人材の確保・定着に向けた対策でございますが、介護は利用者の身体・命に関わる対人サービスであり、十分な意思疎通や正確な業務引継ぎ、緊急時の対応を確実に行える必要があることから、日本語能力の把握を厳格に行う。それから、日本人との同等処遇をきちんと担保することが必要であるということで、事業所の指導・監査の徹底、外国人労働者の人権擁護と継続的な就労の保障の観点から、事業所内外の相談窓口の拡充、各事業所における雇用管理の徹底が必要です。 
 矢印の下の部分につきましては、指導や改善命令に従わない場合の対応について、それから監督体制の強化などについて記載をしているものでございます。 
 8ページを御覧ください。最後でございます。地域の状況を踏まえた課題の発見・分析・共有ということでございますが、医療・介護・生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアを全国的に推進をすること、地域包括支援センターに対する十分な財政支援、人材確保の強化、業務の効率化を進めること、それから地域ケア会議の普及・啓発の推進について記載をしております。 
 以上、雑駁ではございますが、説明を終了したいと思います。ありがとうございます。 
○松原委員長 マニュアルの有無によるカスハラを受けた比率など非常に重要なデータとともに、多面的な御提言を分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。 
 次に、山田委員、お願いいたします。 
○山田委員 全国社会福祉法人経営者協議会の山田です。よろしくお願いします。 
 僅か12分の持ち時間ということで、用意した資料につきまして一つ一つ説明する余裕はありません。また、ヒアリング、私が最後になりますので、今までたくさんの参考人また委員の方々からの具体的な様々な意見を出されているところでありますので、私からは大事なポイントを中心にベース的な話を改めてさせていただきたいと思っております。 
 今年度、この福祉人材専門委員会が7年ぶりに設置されたわけでありまして、私自身改めてこの福祉人材確保の目的や人材確保にとって大事なことは一体何なのだろうかということをずっと考えてきました。何のための人材確保なのか。そうすると、福祉の原点ですとか、福祉・介護の本質などと切り離して考えることができません。よりよい福祉支援を進めていくためということであり、また地域共生社会の推進のためなのだというところですね。 
 そうした場合、福祉人材の確保というのは、その量の確保と同時に質の確保を図っていかなければ、私たち福祉関係者の使命は果たせないということになるのではないかと思っております。その当たり前のことを、おこがましいことを言いますけれども、私たち福祉関係者だけではなくて政府も、それこそ財務省も経産省なども含めて共通認識を徹底していかないと、せっかくのここでの議論は意味をなさなくなるのではないのかということを危惧していることを先にお話しさせていただきたいと思います。 
 その人材の質と量の確保のためには、1回目の会議から発言させていただいておりますけれども、処遇改善は大前提です。私たちは職場環境の改善や福祉・介護の仕事の魅力発信などについても努力をしてきていますし、当然各法人や事業所において処遇改善にも努めてきているところであります。しかし、我々に支払われる対価は公定価格によって定められているため、現在の物価高騰や他産業との賃金格差に対応するには限界があります。職員もみんな生活者です。今の全産業平均の賃金との格差はひど過ぎるのではないかと考えています。大きな処遇改善がなされない限り、人材確保は様々な方策を講じたとしても好転していかないのではないかと考えているところであります。 
 今年の6月に閣議決定されました骨太方針では、物価上昇を上回る賃上げ、また福祉・介護の人材確保について処遇改善を進めるとされました。ただ、現実的にそれがどの程度なのか不安の残るところでありまして、本当に他の職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減としてもらわなければ、新たな採用どころか離職防止にも影響が増していくのではないかと思います。本委員会では処遇改善については議論しないということでスタートしてきてはおりますけれども、この処遇改善は必須要件であり、大前提であります。適正な処遇は人材確保のベースとなるもので、切り離しての議論は現実的ではなく、問題の解決とならないことを再度発言をさせていただきたいと思います。今回のこの委員会の設置要綱の検討項目にも「総合的な確保方策」とあるわけですから、ぜひ担当部局との兼ね合いや事情もあるかとは思いますけれども、切り離すものではないと考えているところであります。介護人材、福祉人材をチープレーバー、低賃金労働者にしないでいただきたいと考えているところであります。 
 今の事柄が、資料の1枚目から3枚目、また5枚目などに少し書かれているところであります。 
 次の4枚目のところに少し書いておりますが、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の議論を踏まえての人材確保の検討がこの委員会の目的の1つとなっていますけれども、その「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会では連携・協働、そして大規模化といったことが言われておりまして、また「分野を超えた連携を図る」とか、「地域包括ケアシステムを深化させていく」ということが強調されているところであります。とするならば、介護人材に限っての議論設定には無理があるのではないかと思います。 
 また、福祉・介護の現場は多様な専門職の働きで成り立っておりまして、人材不足は介護職だけではなく、ケアマネもPTも看護師も管理栄養士なども同様です。今回の論点に挙げられております多様な人材の確保については、若者、高齢者、未経験者、そして外国人などとしておりますけれども、そのような人材の確保の視点だけではなくて、多様な専門職を必要とする福祉・介護の現場といった視点での多様な人材の確保の議論も含めなければ現場の実務は成り立たないということを認識していく必要があるのではないのかと感じているところであります。現在、ニーズが多様化、複雑化、複層化しておりますので、ケアワークだけではなくてソーシャルワークの機能の必要性も高まっているというところであります。 
 もう一つ、ついでに細かいことでありますけれども、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会を踏まえて、各都道府県単位でのプラットフォームをつくっての地域ごとの連携・協働の取組の推進が課題として取り上げられております。そして事務局の中核として福祉人材センターが想定されているところでありますけれども、そうすると、各県の担当者となる人の力量や本気度も含めてになりますが、それが問われることになるのではないかと思います。そうなると、プラットフォームという形をつくるだけではなくて、それが機能して人材確保を進めていくために、人とお金のバックアップ、サポートなども考えていく必要が現実的にはあるのではないのかと思います。 
 最後に、7ページ以降になりますけれども、中核的介護人材のことになります。多様な人材、多様な専門職、またそれぞれの人材の経験や能力の違いがある中で、さらに福祉・介護のニーズが多様化、複雑化、複層化している中で、現場にて中核的な役割を担う中核的介護人材の確保は極めて重要な課題の1つであります。介護福祉士という国家資格を取得しているからその役割が担えるといった単純なことではありませんけれども、大切な必要要件、必要条件になるのではないかと思います。つまり、質の確保ということになります。国家資格としての信頼性や社会的な評価を高めて福祉・介護支援の質の向上を図っていくためにも、この国家試験を必須要件とすることは重要なことだと考えております。 
 しかし、一方において、量的な確保というのは現場のサービスの支援の質にも直結いたします。ですから、繰り返しお話ししてきておりますけれども、人材の質と量の確保が重要であって、国家試験の義務化の経過措置の継続につきましては、単純に二者択一の判断に論点を矮小化するべきではない、慎重に検討すべきだろうと思います。次回よりパート合格も導入される予定ですけれども、そのほかにも語学力に不安のある外国人への日本語支援や在留期間等々の見直しなどの工夫を講じることも必要であって、その上で経過措置の延長の議論をすべきではないかと考えております。修学資金の返済の課題にも関係してくるのではないかと思います。 
 いずれにしても、このことは資格取得を目指す方々の進路の決定ですとか、養成校の学生募集にも現実的に影響を及ぼすことになりますので、早期の結論を出す必要があるのではないかと思います。度重なる経過措置の延期は、国家資格制度への信頼を揺るがすだけでなく、資格取得を目指す方々の意欲をそぐことにもなりかねませんので、繰り返しますが、慎重に検討をしていただきたいと思います。 
 ついでに言いますと、国家資格に見合うだけの賃金になっていないことも、この国家試験の義務化の課題に関係するのではないかと思っているところであります。今回の論点には入っていませんが、重要な課題として、生産性の向上についても広い意味での人材確保の一環となりますので、これも詰めていかなければならないのではないのかと思っているところです。 
 基本的な視点から意見を述べさせていただきましたけれども、よい人材の確保、これが私たち社会福祉法人の経営上の最大の課題だと考えているところです。 
 以上です。 
○松原委員長 山田委員、福祉の原点に遡って貴重な御提言や議論の在り方についてまとめていただきまして、ありがとうございました。 
 それでは、質疑応答の時間を取らせていただきます。 
 せっかくの機会ですので、まずは御発表のあった委員、参考人の皆様への質問をしていただいて、最後に事務局に御質問があれば回答をお願いするという順番にしたいと思います。 
 それでは、御発表のあった委員、参考人の皆様への質問等ございましたら、お願いいたします。 
 堀田委員、お願いします。 
○堀田委員 ありがとうございます。 
 論点1について山田委員に1つ、論点3について石踊委員と斉藤参考人にお聞きしたいと思います。 
 山田委員の資料の6ページで、論点1の中のプラットフォーム機能の充実に関連して触れていただきました。この中で基盤整備が重要、先ほどのお話ですと人とお金ということでしたけれども、ここに書いてくださっている多様な主体がそれぞれ主体的にいろいろな役割をきちんと果たしていく、そのことを下支えし得る連携・協働の肝となることはどういうことかについてお答えいただけるとうれしいです。 
 論点3のほうは、中核的な役割を担う中核的介護人材について、とりわけその養成に関するところなのですが、石踊委員の資料の11ページですけれども、1つ目に中核的介護人材についてということで、2つ目は介護福祉士養成校についてということで整理くださっているのですが、この中核的介護人材の教育に関連しても介護福祉士養成校にも役割を何らか期待されているのかということについてお答えいただきたいと思います。 
 斉藤参考人の資料13ページにも、マル1番のほうですけれども、中核的介護人材の教育についての問題意識を提起くださっています。具体的に従来とは異なる視点での教育体制の構築というのはどのようなものをお考えかをお答えいただければうれしいです。 
 以上です。 
○松原委員長 それでは、順番にお願いできればと思います。 
 まず、山田委員、お願いいたします。 
○山田委員 プラットフォームづくりの肝になることということで、先ほども少し言いましたけれども、予定の中では人材センターが事務局また中核的な機能を担うことになっておりますけれども、どこが中核的機能を担うにしても、そこの担当者の力量がかなり問われるだろうと。なぜかというと、人それぞれの個人的な能力の問題もあるかもしれませんが、人材センターは各県、今はとても忙しいはずです。限られた人材の中で、有料職業紹介と比較されることも多いのですけれども、単純に登録してある職場を紹介するという機能ではなくて、人材センターの場合は職業相談的な相談機能で時間を取られることがとても多いと聞いております。ですから、人材センターの現実、現状を調査した上で、そこで人を少しサポートしていかないと、形だけではやり切れないだろうと。そういう意味合いで、そこの核となる人たちの十分な手当てを経済的な部分も含めてしていかないと機能しないかと思います。現実的に何をどうしたらいいのか分からないという人材確保の課題がありますので、みんなが集まったはいいけれども、具体的な方策を試してみるというところのコーディネートが難しいのではないかと思います。必要なことだとは思うのですけれどもね。 
 以上です。 
○松原委員長 続きまして、石踊委員、お願いいたします。 
○石踊委員 養成校に期待するということなのですけれども、各種団体やいろいろなところで単発的な研修は行っているところですけれども、継続的な研修というか、学び直し的な研修をこういう養成校にしていただければ、現場職員としてはありがたいと思いますし、介護支援専門員(のような)更新研修ではありませんけれども、ある程度の基礎的というか、こういう研修を実際に割り振ってそれをしていただくということをしていければ、私は介護職にとっては非常に学び直しという点からはいいのではないかと思っているところであります。 
 以上です。 
○松原委員長 続きまして、斉藤委員、お願いいたします。 
○斉藤参考人 中核的人材の育成に向けた新たな視点ということについてですけれども、参考資料2の26ページのところから山脈型のキャリアモデルについてということを示されているかと思いますけれども、ここでも少し従来とは異なった介護福祉士の専門性の向上ということのみならず、マネジメントや育成指導ということを含めた幅広いキャリアモデルについてということが示されているかと思いますが、ここのさらなる深掘りが必要だということをお伝えをさせていただいているところでありまして、私の資料の13ページにもその一部視点を書かせていただいているかと思いますが、コミュニケーションスキルとか、コーチングスキルであるとか、ITリテラシーですとか、デジタルへの対応といった山脈型の中の山脈の幅をさらに広げていく部分について、いろいろと議論いただいた中で1つこの図としてまとめていただいているのだと思いますが、この機会にこの図の山脈のところについて、もう1段、2段、山を増やしていくことを含めて検討いただければという視点でお伝えをさせていただきました。 
 私からは以上です。 
○松原委員長 堀田委員、いかがでしょうか。さらにありますか。 
○堀田委員 さらにそれぞれ尽きなくなるので、これでやめておきます。ありがとうございます。 
○松原委員長 では、またもし時間があったらお願いします。 
 ほかにいかがでしょうか。 
 山下委員、お願いいたします。 
○山下委員 日本社会福祉士会の山下です。 
 日本社会福祉士会としては、前回の委員会の中でパート合格についての話をさせていただき、様子を見ていくというようなことを見解として申し上げさせていただきました。今日は、山田委員と天野参考人に質問をさせていただきたいのですけれども、各高齢施設の現場にはソーシャルワーカーがいて、様々なコーディネートを行っています。そういう中で、専門職である社会福祉士ですけれども、各高齢施設の中で様々な職種がそろって、そういう人材確保の体制をつくって推進していくという山田委員の考え方が先ほどございましたけれども、介護人材の不足は大前提の中で、専門職も含めたいろいろな職種の取組というところで、もう少し構想をお話しいただくとうれしいと思うのが1点目です。 
 それから、天野参考人から出された外国人介護人材のところですけれども、静岡の例が具体的に出されております。こういう国際介護人材サポートセンターのようなものを全国展開というお話がされておりますけれども、こういう構想についてもう少しお話を伺いたいと思いました。 
 それから、私は神奈川県で仕事をしておりますけれども、今、外国人の方が日本人の介護職よりも数が多い高齢者施設の現場の役員をやっております。そういう中で、本当に外国人の方同士が情報共有をしていきながら自国から仲間を呼ぶということであるとか、結婚をして家庭を持つということであるとか、出入りはいろいろありますけれども、非常にいい雰囲気の職場になっているところもございますので、1点、それは紹介であります。 
 山田委員と天野参考人から少しお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 
○松原委員長 では、まず山田委員よりお願いいたします。 
○山田委員 具体的にもうちょっと話をしますと、福祉の現場というのは、様々なニーズに立ち向かっているところです。乱暴な言い方かもしれませんが、分かりやすく説明すると、現場では利用者の方々に単に「飲ませ・食わせ・着させ」、そして入浴や排泄の支援、たまにレクリエーションを行うだけでは、それは福祉・介護とはいえません。そのようなケアワークになってしまってはいけない。 
 ですから、今日、私が冒頭でお話ししましたように、私たちの福祉・介護の本質は一体何なのだろうかというところからいろいろ考えたときに、福祉・介護人材に求められている役割は何なのだろうかと。当然、今言ったようなADLの充実を図っていくことは重要な働きの一部ではあるけれども、よく言われるADLと、もう一つ、QOLという言い方がされますけれども、そこに立ち向かったときに、介護人材だけではなくてケアマネさんも必要だし、看護師さんや管理栄養士さんや、そういった人たちのチームワークによって成り立っている。また、ソーシャルワーク機能が必要になってきているというのは、福祉ニーズが多様化、また複層化しているということです。本人だけではなくて家族の課題だとか、問題だとか、住まいの問題だとか、いろいろあるわけですね。そうすると、多角的な視点、視野を持って取り組んでいかないと、一人一人の生きるということを支援しているのが私たちの仕事ですから、生きるということ、みんなの幸せを守っていく、大切にしていくことを考えたときに、多様な専門職、多様な視点で取り組んでいく必要があるのではないかと。 
 これも抽象的ですけれども、そういう意味で、また職員自身にもそのような目線を持ってアプローチしていくことが重要なのではないか、意識を高めていくことが必要なのではないのかと思っております。 
 以上です。 
○松原委員長 続きまして、天野委員、お願いいたします。 
○天野参考人 山下委員、ありがとうございます。 
 御質問いただきました静岡県の国際介護人材サポートセンターについては、実施主体が社協さんですので、山田委員がおられる前で僕がそれそのものについてどうだということはさすがに差し控えたいと思うのですが、ここで我々ユーザーの側としてそういったサポートセンターを使わせていただく立場の事業者の関係として、この問題意識を持ちました。 
 というのは、静岡県においては国際介護人材サポートセンターを社協が中心になって県内の事業者にいろいろな連携をやろうと呼びかけて進めているということがあるだけでありまして、隣の県が静岡県はいいなと思ってそれで終わりかというと、それで終わらせてはいけないのだと思うのです。関わっている我々ユーザーとしても、たまたまうちに関わっている介護事業者が財源的にまだ余裕があったので、そういった研修に出るとか、交通費を使って参加するとか、そういったことができると。ただ、斉藤参考人もおっしゃっておられましたけれども、小さいところがそういったことをできる余力がいっぱいあるかというと、そうでもないというところで、その両面でたまたま静岡の社協が頑張っていたことを、そこだけで終わらせてはいけない、たまたま余力がある方が頑張っていることを、それぞれ頑張れということで済ませてはいけないと。 
 福祉の部分でいうと、共創の時代、共に創る時代だと思っていて、そういったところは社協や事業者がやっていることを、どんどんいいことはまねて広げてということができればいいと思っていることを、ぜひ国において好事例というと月並みですけれども、広げていただきたいと、そのような趣旨で申し上げさせていただきました。ありがとうございます。 
○松原委員長 山下委員、いかがでしょうか。よろしいですか。 
 ほかに御質問があればお願いいたします。 
 及川委員、お願いいたします。 
○及川委員 日本介護福祉士会の及川でございます。 
 本日、ヒアリングで皆様のお話を聞いていて、法人事業所の経営など、深く人材の確保・定着、それから育成について関係していることがよく分かりました。ありがとうございました。 
 そして、質問に入る前に、私どもがずっとお話をさせていただいています介護福祉士の資格取得の一元化のことについてでございますが、これまで一元化を目指しながら足元の人手不足等を勘案し先送りされていたこの問題でございますが、この間に人手不足が解消されたわけではございません。もちろんインフラとして養成施設の必要性というものが極めて重要であるとは考えています。ただ、留学生の新卒者の学校ごとの合格率を見ると、極めて高い水準の学校もあれば、一方で、合格率が低い水準の学校も少なからず存在しているのも事実でございます。そしてまた、受験をしない学生さんもいるということは、この参考資料の中にもお示しされておりました。この状況の中で養成課程修了をもって自動的に付与する仕組みとすることは、国民の立場から信頼が得られるものではないと考えています。 
 資格取得一元化のことにつきましては、複数のメディアでも取り上げられており、国民の皆様から経過措置の在り方に関して懸念や御指摘が多く寄せられていることも承知しております。様々な考え方があろうかと思いますが、介護サービスを利用する皆様が安心して介護サービスを利用できる環境とすることが重要であり、介護分野の国家資格である介護福祉士の仕組みを真に信頼いただける仕組みとすることこそが、とにかく優先されるべき課題だと考えます。 
 質問でございます。佐保委員の資料の3ページに、いろいろな人材を含めてこの介護業界の中で課題を改善しなければいけないということで検討がいろいろされている中ですが、業務負担軽減の観点からICTやAIなど新技術の活用促進を支援するとあります。もちろん施設サービスにおいては、このICT、AIなどはすごく入ってきておりますし、その使い方も少しずつ定着してきているかという意見を持っているものでございますが、これを在宅の中でどのように使われているのかというところは、いま一つ見えてこない。ただ、事業所側で記録システムであるとか、そういうことについてはすごく使われていることは承知しているのですが、施設の中で介護の職員たちの負担を軽減するための介護ロボット等については、在宅ではなかなか入ることができないのではないか。在宅に訪問したヘルパーは在宅の環境の中で支援をすることになっておりますので、そこに介護ロボットはあまり存在しません。 
 そういうことについて、今の状況を知りたいというところがあるので、誠に申し訳ないのですけれども、今日ヒアリングをしていただきました斉藤委員、座小田委員、それから佐保委員ですね。在宅のことを少し御存じだと思いますので、もし情報があったらお聞かせいただきたいと思います。 
 以上でございます。 
○松原委員長 では、斉藤委員からよろしいですか。 
○斉藤参考人 すみません。もう一度ポイントだけ確認させていただいてよろしいですか。 
○及川委員 在宅の訪問介護が中心なのですけれども、在宅の支援の中で在宅の介護負担を軽減するための介護ロボットなどが普及しているのかどうか、何か情報があったらお聞きしたいと思います。 
○斉藤参考人 在宅サービスにおいても、いわゆる施設系のデイサービスですとか、ショートステイなどでは、ICTの活用やロボットの活用はかなり浸透しているのではないかとは感じております。ただ、一方で、訪問系のサービスということについては、短時間かつある程度限定されたサービスであり、1対1のサービスを前提としている中で、施設や通所系などのサービスと比べると、なかなかテクノロジーの活用が十分に進んでいないのかとは感じています。 
 ただ、一方で、記録の部分であるとか、テクノロジーイコールロボットという発想に限定せずに、逆に訪問系のサービスは全てのサービスと比べても短時間であるからこそ、記録の枚数が最も多いようなサービス分類ということでもありますので、こういった書類の簡素化の部分については何よりも課題が大きいサービスであり、その部分についてICTやテクノロジーの活用が、これはAIなどの考え方も含めて訪問系のサービスなどでもかなり積極的に活用されている事業所はたくさん事例があるかと思いますので、それぞれのサービスに応じたDXやテクノロジーの活用は間違いなく全国各地に施行事例があると感じておりますので、そういったところをしっかり捉えていくことが重要ではないかと思います。 
○松原委員長 続きまして、佐保委員、いかがでしょう。 
○佐保委員 御質問いただきまして、ありがとうございます。 
 訪問介護で介護ロボットを使っているかどうかというのは、なかなか介護ロボットまで行っていないところが多いのではないかという感じは持っています。施設でお使いになっているのは私たちも見に行ったりしているのですけれども、なかなか訪問介護に1人で行って、そのときに介護ロボットや何か装着して、それで身体介護を行えるかどうかというのは、装着するのにもう一人スタッフが必要だったりすることもあるかと思っています。 
 どちらかというと介護ロボットというよりは、記録も含めてICTなどが使えないかというところがあって、これまで連合はITやICTの活用をやっていたのですけれども、最近AIがどんどん活用促進になってきていますので、例えば生成AIも含めてそういったものも活用できるのではないか、それに対して、当然それにはコストがかかりますので、そのコストを支援していただく、そういったことを含めて少しでも負担軽減になればと考えております。 
 以上です。 
○松原委員長 もう一人、座小田委員、お願いいたします。 
○座小田参考人 御質問をどうもありがとうございます。 
 私の所属しているのが民介協という団体で、老人保健事業で4年ぐらい前にホームヘルパーのICT導入の調査をしたことがあるのですけれども、導入を非常に積極的にやられているところと、物は買ったけれども全然使っていないところがございました。実は伴走的支援というのは、事業所と一緒に考えていくということが足りなくて使っていないのかといった事例がございました。 
 それから、介護ロボットですけれども、実はそのときの委員になっていただいた事業所さんは、熊本の事業所さんですけれども、人を抱えたりするときも、そういった力を腰や足に与えるパワーユニットの介護ロボットを使って支援をやっていると。そういったところは例としてはございまして、ただ、全国的にはそんなに在宅では使われていないのではないかと思っております。 
 以上でございます。 
○松原委員長 ありがとうございました。 
○及川委員 ありがとうございます。 
 施設やデイサービスのようなサービスの中では意外と進んでいるのですが、もちろん訪問介護の中でも情報を集めたりとか、いろいろな整理をするもののICTなども促進されているのでいいのですけれども、介護に行ったヘルパー自身の負担がなかなか軽減されていないと考えられるのではないかと今のお話を聞いていてもそう思いますので、調査が必要ではないかと考えます。 
 以上です。 
○松原委員長 ありがとうございました。 
 では、他に。 
 ありがとうございます。小笠原委員、お願いします。 
○小笠原委員 日本介護福祉士養成施設協会の小笠原でございます。 
 2点ございます。1点は、石踊委員への質問です。資料の17ページに国や都道府県に求める支援ということが、これはアンケート調査の結果ということで記載されています。その中で、自由筆記欄に、介護福祉士試験を各自の母国語で受けられるようにするという意見が出ています。調べると、看護師においては平成23年に看護師国家試験における母国語・英語での試験とコミュニケーション能力試験の併用の適否に関する検討会というものがなされておりまして、結果としては導入されなかったということがございますが、看護との大きな違いは、多様な背景を持つ方々が受験をしているということで、例えば技能実習生や育成就労であったり、特定技能1号、EPA、様々な方々が働きながら受験をするという非常に厳しい環境にあります。また、実務経験が3年必要になりますので、入国のタイミングによっては2回ないし1回しか国家試験のチャンスがないという方々もいらっしゃると思います。その点について、母国語での受験等について協議会内で検討や意見交換があれば教えていただきたいと思っております。 
 2点目は、天野参考人への質問でございます。資料に奨学金、介護福祉士修学資金貸付の件についての要件緩和というところで御意見をいただいているところです。出口について、養成校というところでいうと出口が卒業、入り口が入学ということになりますが、出口については非常にいろいろ配慮いただいておりまして、パート受験であったり、国家試験対策のツールを日本介護福祉士会さんで準備いただいたり、特定技能1号に不合格の場合はスライドできるということを検討いただいていますが、そういう手段を講じても入り口の受験者が減少するというところが、どれぐらい効果があるのかというところでいえば、1つは国家試験の合格率を上げる。これは私たち、先ほどから御指摘いただいているように、現在、新卒者でいえば47.9%という非常にふがいない数字でございますし、既卒者については11.8%ということで、働きながら国家試験に合格するという厳しさも数字として表れているところでございます。 
 また、これに対してもう一点は、修学支援というところです。私も日本語学校を幾つか回っていく中で、修学支援はどうなるのかということの御意見を非常に多くいただいております。つまり、不合格になり在留資格「介護」を取れなければ、つまり介護福祉士にならなければ返済義務が生じるということでございます。そこが随分緩和されるだけでも受験の心的負担も減りますし、また奨学金を出す事業者は事前マッチングということで入学前にマッチングをして入学をするという意味では、恐らく入学時点でその子が合格するかどうか分からないというところでいうと、奨学金の保証人になることを非常にちゅうちょする事例があるのではないかと思いますが、その点、事業者の視点としてもう少し詳しく御意見をいただきたいと思います。 
 以上でございます。 
○松原委員長 まず、石踊委員からお願いいたします。 
○石踊委員 留学生について、外国人に関しまして母国語で試験を受けるということなのですけれども、こういうこともいろいろな議論があると思うのですが、合格率は上がると思うのですね。ただ、介護というのは技術的なものだけではなくて、コミュニケーション力も非常に必要なわけでありまして、そのコミュニケーションをどの程度求めるかというのは議論があるところなのですが、語学力がどれぐらい必要かというのはなかなか難しい判断なわけですね。ただ、現場に行きまして、学生さんもそうでしょうけれども、実際に実習に来られる大学の生徒もそうなのですが、なかなかコミュニケーションが取りにくいということが悩みなわけでして、コミュニケーションが取れないと、いいケアにはならないと私は思いますし、そこで生活をしている人たちに対してどのような言葉がけをし、どのような支援をしていくのかは非常に大事なので、母国語での試験よりも日本語の試験のほうが、より語学に対する勉強はしていくのではないかと思います。 
 どちらがいいのかというのは、個人的な意見は言えませんが、コミュニケーション力を高めることは非常に必要なことではないかと思いますので、日本語の試験が必要ではないかと思います。 
 以上です。 
○松原委員長 ありがとうございます。 
 続きまして、天野参考人、お願いいたします。 
○天野参考人 小笠原委員、ありがとうございます。 
 修学資金の要件緩和のところなのですけれども、最初の問題意識が、今の経過措置がもしなくなった場合ということになりますけれども、特定技能での就労をイメージしてこれを書いてございます。そのときに、168万円を2年間で返さないといけないということになったときに、これは介護職員の年収でいうと半分近いものですね。これは実際に頑張って返しなさいのレベルは超えているものだと。もちろん貸したものは返さないといけないというのは社会の常識ですけれども、ただ、金額的に余力として考えたときに現実的かどうかということが最初の入り口です。これまで、もちろん小笠原委員におっしゃっていただいたような合格率を上げていくとか、日本語の試験の対応とか、いろいろな努力を国でも関係者の皆さんにもしていただいて、まずハードルや拒否感みたいなものを取っ払って一人でも多くの方にこの国に来ていただいて、介護で働いていただこうという取組をしていただいたところに、いきなりそびえ立つハードルがまた出てくることにはなるのだろうと思いますので、そこが入り口でした。 
 事業者が保証人になることもちゅうちょが出てくるのではないかということ、おっしゃるとおりでありまして、今でさえ最低賃金は上がっていますし、報酬も下がっていますし、体力がないということもあります。これで僕が一番懸念するところは、この修学資金がこれから主になってくるとしたときに、極端に言えば介護福祉士を持っていない外国人の方でも特定機能はどんどん取れてしまうわけなので、この外国人材の方々に介護福祉士という道を選んでほしいという可能性がすごく狭まるのではないかという問題意識がありました。ですから、そこのところの事業者の方への負担、本人の方々への負担ということを少しでも軽くしていくためには、まずはこの修学資金というところでハードルをしっかり下げていくことも並行して行うべきではないかということを申し上げたかったところでございます。 
 以上です。 
○小笠原委員 ありがとうございました。 
○松原委員長 ありがとうございました。 
 それでは、事務局への質問も含めて御質問のある方、当然委員、参考人に対してもあればお願いいたします。 
 鈴木委員、お願いします。 
○鈴木委員 ありがとうございました。大変委員の皆様、参考人の皆様からの報告で本日の議論の角度がよく分かりました。 
 私からは、中核的介護人材について、本日のヒアリングの内容を踏まえて重要だと感じたところを意見として1点、それから御質問として斉藤参考人に2つの御質問をさせていただきたいと思います。 
 1つは、中核的介護人材について、本日のヒアリング報告の中では、その定義の多様性があることが特徴だと思います。特にこの中核的な役割を地域包括ケアシステムと広げて考えた場合においては、これは山田委員のお話にもありましたように、例えば社会福祉、ソーシャルワークとの関係ですとか、介護福祉士に限定しない役割の広さを併せて中核的と押さえていく必要性もある議論ではないかと感じました。一方で、山脈型ということを介護福祉士の1つのキャリアモデルや人材構造のモデルとして検討を進めている中で、中核的な役割を介護福祉士という立場から考えていくことも非常に重要であると考えています。 
 そこで、斉藤参考人に御質問をさせていただきたいことは、冒頭、堀田委員からの御質問に対して山を増やすというところの御意見をいただきましたので、この山を増やすというところの1つの今の多様性として、どのようなことをイメージや展望的にも期待的にも実態的なことも含めて考えておられるかということを、ぜひ御意見がありましたらお聞きしたいということが1点です。 
 関連しまして、ヒアリング報告の中では多機能人材という言葉を使っての御報告もいただきました。この多機能というものも新たなキャリアモデルを検討していく上で重要な観点とするならば、そこに複数資格という考え方や議論も重要であるかというところにつきまして、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 
○松原委員長 斉藤参考人、お願いします。 
○斉藤参考人 ありがとうございます。 
 1つ目の山脈型の山を増やす上での考え方ということについてですけれども、重複するような話になって恐縮なのですが、まずとにかく大前提、この山脈型の意図自体もしっかりと現場に落としていくことが何よりも大切ではないかと。ここは必ずしも介護福祉士ということだけに限定をせずに、事業者や事業所の中でこの山脈型のような考え方でのキャリアパスをしっかりつくっていくという視点が必要なのだということが、まず何よりも重要だと思います。ここがまだまだなかなか介護の現場にしっかりと浸透していなくて、多くの介護現場ではこのキャリアをつくるイコール専門性を高めるということ、もしくはいわゆるマネジメント層に上がっていくという、この2パターンしかないという捉え方をしているケースが非常に多いのではないかと。 
 その中で、繰り返しになりますが、先ほど来申し上げたとおり、人手不足の解決に向けてとにかく中核的な人材を育成していくためには、人が辞めない現場づくりをやっていかないといけない。その職員が辞めないようにしていくためには、上長や先輩職員がどうしっかりとサポートしていくかが非常に重要になっていくのではないかということで、ここにも書かせていただいているようなコミュニケーションスキルやコーチングスキルといった部分を非常に重要視していく必要性があるのではないかと思っています。 
 加えて、この新しい時代に向けたデジタルやITリテラシーということについて、これをどういった形でしっかりと教育していくかを考えていかないといけない。場合によっては、介護福祉士人材にもこれをしっかりと落とし込んでいくことが、これからの時代には非常に重要になってくるのではないかと。 
 そういった視点での新たな山脈のつくり方が必要だということと、そもそもこの山脈モデルが現場になかなかまだまだ浸透していない状況下にあるので、ここをしっかりと伝えていくことが重要ではないかということでお伝えをさせていただきました。 
 そして、連動する意味で御質問いただいた多機能という部分についてですけれども、これはかなり幅広い議論が必要になってくるのではないかと思います。私から申し上げたかったことは、これからの2040年に向けた時代の中で、もうとにかく人口減少社会に突入していくわけですので、介護の人手不足を解決していくためには1つの事業所で複合的な機能を持っていかないといけない、同時に1人の介護職員が多機能な対応ができるようなスキルを身につけていかないといけないという、ここが何よりも重要であるわけですけれども、1人の職員が多機能なスキルを身につけていくという視点が、どうやって育成していくのかということが、これはまだ本当に近年新たに必要性が論じられているようなお話でもありますので、なかなか確立をされていないのではないかと。 
 ただ、この多機能ということでいうと、介護福祉士の本質をしっかりと学んでいけば、当然訪問でも通所でも泊まりでもこれは全てに応用を利かせることは本来はできるということだと思いますけれども、でも、現場の実態としては、訪問介護で働いていた訪問での経験しかない職員がデイサービスですぐ即戦力になるかというと、なかなかそうはならないという実態があるわけでして、この辺りについて、いかにこういう複合的なサービスに対応できるような人材を育成していくかということが、1つこれからの教育育成の観点の中に必要なのではないかということで問題提起をさせていただいたところであります。 
 以上になります。 
○鈴木委員 どうもありがとうございました。 
 中核的介護人材については、福祉基盤課等を中心に調査研究事業等でも山脈型の議論は続いていくと思います。その際には、ぜひ本日の議論にもありますように、単に役割の多様性を見せるのではなく、中核的な人材がどれに該当するのかといったある意味での定義づけがしっかりできることが社会に広く普及・推進していく面でも重要だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。ありがとうございました。 
○松原委員長 ありがとうございました。 
 オンラインからいかがでしょうか。オンラインから御質問はございませんか。 
 ほかによろしいですか。 
 時間も限られてきましたので、川井委員、手短でお願いいたします。 
○川井委員 皆さんの御意見を聞いていまして、今後の教育を行っていく上で非常に参考になりました。どうもありがとうございました。 
 その上で、実は一元化を進められてきている中で延長が繰り返されてきたことが、結果的に大学や短大、専門学校もそうだと思いますが、体系的に学ぶ学生数を減らして、養成課程そのものを縮小や廃止に追いやる要因になっているのではないかと考えております。実際、現在では日本人学生の減少を背景に、外国人留学生が養成校の運営に不可欠な存在だということももちろん理解しております。外国人頼みでしか成り立たない養成という姿が、社会的に日本人にとって魅力ある進路ではないという印象を与えてしまっているのではないかと思っております。 
 大学や短大の養成で、単なる資格取得にとどまらず福祉政策や地域連携、AIやICTの活用など幅広い学びを通じて将来現場をリードする人材を育てるのだということで、平成29年のカリキュラム改正によりこうした内容を取り入れた教育をしてきました。したがって、国家試験制度の運用をどう考えるかは、単に門戸を広げる議論だけでなく、大学、短大、そして専門学校の養成課程の魅力と社会的評価を高め、日本人学生が進学を志せる環境をどう整えるかということと一体で議論すべきであると思います。 
 日本人と外国人が共に学び合う教育基盤を支えることこそが、将来の介護の質を守ることにつながると考えています。よろしくお願いします。 
○松原委員長 ありがとうございました。 
 では、時間も差し迫ってきましたので、次に進んでよろしいですか。事務局への質問を含めてどうしてもというものがあれば、よろしいですか。 
 では、最後に議事の「(2)その他」ですが、事務局から報告事項があると伺っておりますので、お願いいたします。 
○芦田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長でございます。 
 参考資料3を御覧ください。「「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会とりまとめについて」ということで御報告いたします。 
 こちらの検討会につきましては、第1回のこの専門委員会でも中間とりまとめの状況について御報告しております。その後、この検討会におきましては、福祉サービスの共通課題について引き続き議論が行われまして、7月25日に最終的なとりまとめが公表されております。とりまとめの内容といたしましては、中間とりまとめをベースに、障害福祉、こども分野の内容も含めて、福祉サービスの共通課題に係る対応の方向性を追記したものとなっております。 
 この概要の資料でいいますと、冒頭の四角囲みの部分にとりまとめ全体の共通の考え方が付け加えられ、そして一番下の四角囲みの部分に、「福祉サービス共通課題への対応」ということで幾つかの項目が挙げられています。この中で、人材確保等に係るプラットフォーム機能の充実、こちらは介護分野以外も含めてということで、共通課題のところに整理をされたところでございます。 
 第1回から各委員の皆様からは様々な御発言をいただいておりますし、前回、今回とヒアリングも行わせていただきました。そういった様々な御指摘、御意見や、こういった検討会のとりまとめなども踏まえまして、今後皆様方に御議論を行っていただきたいと考えております。 
 以上でございます。 
○松原委員長 それでは、時間となりましたので、ここで本日の審議を終了いたします。 
 次回の開催について、事務局より御説明をお願いいたします。 
○岡本福祉人材確保対策室長補佐 次回の開催については、事務局にて改めて開催日程を調整させていただきまして、追って皆様方に御連絡させていただきます。 
○松原委員長 それでは、本日の審議をこれで終了いたします。 
 皆様には、大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。また、貴重な御意見をありがとうございました。