2025年8月6日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第60回) 議事録

日時

令和7年8月6日(水)13:00~14:30

場所

経済産業省別館104各省庁共用会議室(1階)

出席者

三宅主査、荒谷構成員、梅崎構成員、小野構成員、加藤構成員、久米構成員、酒井構成員、土井構成員、西岡構成員、安井構成員
 
 

議事

議事内容
○事務局
 定刻になりましたので、ただいまから「第60回独立行政法人評価に関する有識者会議労働WG」を開催いたします。事務局の政策立案・評価担当参事官室の兼坂です。本日はよろしくお願いします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっています。
 本日のWGの出席状況について御報告します。主査をしていただきます三宅先生、荒谷先生、梅崎先生、加藤先生、久米先生、酒井先生、西岡先生、安井先生が会場での御参加となります。土井先生と小野先生はオンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、本会議の資料について説明いたします。資料は、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の先生方には事前にお送りしている会議資料を御準備ください。本会議の資料は、資料1及び資料2、そして、参考資料が1から6となっています。資料の不足などがございましたらお申し付けください。
 それでは、三宅先生、議事の進行をお願いいたします。
 
○三宅主査
 本ワーキングの主査を務めさせていただいております三宅です。よろしくお願いいたします。今回は、「労働者健康安全機構」につきまして、「令和6年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっています。法人から、各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いたしますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。なお、本会議はおおむね1時間半を予定しておりますので、円滑な議事の進行にも御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 早速、議事に入りたいと思います。まず、「労働者健康安全機構」の「令和6年度業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。初めに、法人から簡潔に御説明いただきまして、御説明が終わった後に質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、御説明をよろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構総務部長
 労働者健康安全機構総務部長の小林と申します。よろしくお願い申し上げます。それでは、資料2-1、令和6事業年度業務実績説明資料というのがございますけれども、こちらに従って令和6事業年度の実績について御説明したいと思います。
 資料のスライド右下にページがございますけれども、2ページ目を御覧いただければと思います。評価項目につきましては全部で13項目ございますけれども、今回は赤字で記載している重要度「高」の項目と、A評価以上の項目に絞って説明させていただきたいと思います。
 1-1 労災病院事業ですが、4ページを御覧ください。指標の達成状況につきましては、紹介率・逆紹介率、救急搬送応需率、患者満足度につきまして目標を達成しております。また、治験症例数につきましては新規医薬品の承認品目数が減って、製造販売後市販後調査自体が減少したため目標達成には至っていないものの、国立病院機構主催の初級者臨床研究コーディネーター養成研修に職員を参加させ、治験の実施体制を強化したこと、また、労災病院治験ネットワーク推進事務局が、情報収集や労災病院治験ネットワーク参加病院等のPRに努めたことにより、前年度から889件増という結果になっています。
 下段になりますが、要因分析について御覧いただければと思います。達成度が120%以上となりました逆紹介率につきましては、症状が比較的安定した患者を紹介元の開業医等に積極的に逆紹介したことにより、目標値を大幅に上回っています。
 5ページで、評定の根拠になります。定性的指標である第三者評価の認定につきましては、令和6年度に病院機能評価の更新時期を迎えた全ての病院につきまして更新を完了しています。
 続けて、困難度「高」に係る3つの設定根拠に対する取組状況になりますが、1つ目の勤労者医療の中核的な拠点としての先進的な取組につきましては、労災病院における研究・開発により得られた知見について、日本職業・災害医学会学術大会での発表の場等を活用し広く普及を図っています。また、医療ソーシャルワーカー(MSW)等が、患者や家族が抱える経済的又は社会的問題の解決に向けた調整・援助等のほか、退院援助、社会復帰支援を行うことにより、患者の社会復帰の促進に努めています。2つ目の大規模労働災害や新興感染症等への対応につきましては、近隣の医療機関等と協同し、合同訓練等を実施したほか、各都道府県と労災病院との間で締結した医療措置協定に基づき、感染症発生・まん延時に備えた医療提供体制を整備しています。3つ目の効率的な病院運営につきましては、地域の医療需要、近隣病院の診療機能等を把握した上で最適な病床機能区分となるよう図っています。
 6ページを御覧ください。左側のグラフは紹介率・逆紹介率の推移、救急搬送患者数の推移を示していますが、御覧いただくと分かるとおり近年は堅調に推移しているところです。また、右側の指標で医療情報のICT化の推進につきましては、全病院において電子処方箋導入を完了するなど全国平均を上回る成果を出しています。
 以上、中期計画における所期の目標を達成していることや、困難度「高」であることを踏まえまして、この項目につきまして自己評価Aとさせていただいています。
 次に、1-2 治療就労両立支援事業です。8ページを御覧ください。指標の達成状況につきましては、3つの指標全てにおいて目標を達成している状況です。
 次は評定の根拠ですが、定性的指標である両立支援コーディネーター基礎研修及び事例検討会におけるメンタルヘルス不調に係る内容の拡充については、両立支援コーディネーター基礎研修にメンタルヘルスに関する講義を追加するなど、両立支援コーディネーターの更なる実践能力の向上を図っています。
 次に、困難度「高」に係る2つの設定根拠に対する取組状況のうち、中小企業での両立支援の困難性、企業と医療従事者との情報共有不足等の困難度が高い課題の対応については、全国の産業保健総合支援センターにおいて、中小企業を含む事業主を対象とした啓発セミナーの開催や個別訪問支援の実施などにより、治療と仕事の両立に向けた取組を社会全体に広げています。また、両立支援コーディネーターの積極的養成については、オンライン形式の基礎研修により医療機関のほか、企業にも多くのコーディネーターを輩出しているところです。
 9ページを御覧ください。上段にございますとおり、本部、治療就労両立支援センター、労災病院や全国の産業保健総合支援センターが協同し、主治医、企業、産業医及び患者に寄り添う両立支援コーディネーターのトライアングル型のサポート体制構築の推進を図り、質の高い両立支援を普及させているところです。
 下の図になりますが、当機構を主軸とした関係性を表しています。本部においては両立支援コーディネーターの育成を行うとともに、労災病院、治療就労両立支援センターで集積された事例の分析等を行っています。労災病院がない地域においても、全国の産業保健総合支援センターが医療機関に両立支援相談窓口を設置しています。
 10ページを御覧ください。支援事例の収集及び分析については、診療報酬対象疾病にとらわれることなく、全ての疾病を対象として職場復帰支援や両立支援を行い、事例収集を実施したところです。
 下段になりますが、治療と仕事の両立支援を推進するための企業に対する支援として、産業保健総合支援センターにおいて啓発セミナー、個別訪問支援、個別調整支援を実施しています。また、全国406か所の医療機関に両立支援出張相談窓口を設置しています。
 11ページを御覧ください。両立支援コーディネーター基礎研修については、社会的ニーズが高まっているメンタルヘルスに関する講義を追加しています。また、一方通行の受動的な研修とならないように、確認テストの実施や「アンサーパッド」による個人演習の実施など、研修の質向上にも努めているところです。
 中段にありますとおり、令和6年度講習修了者数については5,555人で、これまでの累計は2万8,660人となっています。円グラフでお示ししているとおり、講習修了者の勤務先については医療機関、企業、行政機関など幅広く、また、勤務先所在地についても全国にわたっているところです。
 下段になりますが、全国の産業保健総合支援センターが講習修了者を対象とした事例検討会を65回開催し、アンケートでも高い評価を頂いています。また、両立支援コーディネーターの情報共有・交流を図るための交流会についても39回開催しているところです。
 以上、中期計画における所期の目標を達成していること、それから、困難度「高」であることを踏まえ、この項目についても自己評価Aとしています。
 次に、1-4 労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等です。14ページを御覧ください。まず、指標の達成状況についてですが、4つの指標全てについて目標を達成していて、政策への貢献(期待)度、労働安全衛生関係法令等の制定、改正等への貢献件数、安全衛生技術講演会の有意義度については、120%以上の達成度となっています。
 中段の要因分析ですが、政策への貢献(期待)度、労働安全衛生関係法令等の制定、改正等への貢献件数については、厚生労働省と政策上の課題と研究内容のすり合わせを行ったことにより、高い成果が得られたものと考えています。また、安全衛生技術講演会の有意義度については、参加者の利便性を考慮してオンライン開催としたことが、高い成果につながったものと考えています。
 下段ですが、評定の根拠については、困難度「高」の設定根拠である労働安全衛生上の課題に対応した研究の実施に関して、厚生労働省等と協議して研究を実施したことにより、労働安全衛生行政の推進及び労働災害の減少施策に貢献したものと考えています。
 15ページに、研究の一例をお示ししています。プロジェクト研究、協働研究、行政要請研究とありますが、それぞれ期待された成果を出すことができたと考えています。右側に行政要請研究の例として掲載した研究においては、遠隔操作などICT技術を活用した車両系荷役運搬機械を使用する場合に必要な教育カリキュラム等について、検討を行っています。現在、厚生労働省に研究の中間報告をしていて、今後、関係法令の改正への貢献が見込まれるものと考えています。
 下段になりますが、第14次労働災害防止計画において、特に重要とされている転倒や腰痛などの行動災害を防止するための研究についても推進しています。安衛研において令和5年度に検討会を設立し、令和6年度は関係する研究者や関係団体等のリストの取りまとめや、各研究者が行っている研究活動を共有する機会を設けています。
 以上、中期計画における所期の目標を上回る成果が得られていることを踏まえ、本項目につきましてもA評価としています。
 次に、1-5 労働災害調査事業です。16ページを御覧ください。上段の指標の達成状況ですが、依頼元の評価については達成度が145.0%で、目標を大幅に上回る成果が得られているところです。中段の要因分析については、厚生労働省からの依頼に対して迅速かつ適切に原因調査を行い、速やかに結果を報告できていることで高い成果が得られたものと考えています。下段の評定の根拠ですが、災害調査結果等の研究への活用・反映に関しては、災害情報のデータベース化を進め、再発防止対策の提言等に活用しているところです。
 17ページの左側に、災害調査の流れをお示ししています。調査結果は同種災害の再発防止等のために活用・公開されていますが、右側上段では、災害調査報告書が労働基準監督署主催の講習会において活用された事例等、厚生労働省のパンフレットで実際に活用された事例を紹介しているところです。右側の下段ですが、安衛研のホームページで災害調査実績を公開した事例を掲載しています。
 以上、中期計画における所期の目標を上回る成果が得られていることを踏まえ、本項目についてもA評価としています。
 次に、1-7 産業保健活動総合支援事業です。21ページを御覧ください。上段の指標の達成状況については、6つの指標全てにおいてそれぞれ目標を達成しているところです。下段の要因分析を御覧ください。達成度が132.8%となったメンタルヘルス対策の推進に係る個別訪問支援件数については、産保センターや地産保の紹介動画の配信や全国紙への広告掲載などにより、産保センターの認知度向上に努めたほか、外部要因となりますが、労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施を義務化する改正労働安全衛生法等が成立し、この報道等を目にした事業場からの利用申込みが影響したことなども要因として考えられます。
 22ページを御覧ください。評定の根拠について、困難度「高」の根拠である医師会等関係機関との連携強化・医療ソーシャルワーカー(MSW)等、両立支援関係者間の連携強化に向けた取組については、Web会議システムを積極的に活用した専門的研修、相談対応の実施により、利用者のニーズを踏まえた産業保健サービスを提供できたと考えています。なお、本事業の実施に当たりましては、地域の医師会等関係機関から必要な協力を得られるよう連携強化に努めているところです。また、治療と仕事の両立支援については、社会における取組への理解が不十分であることに加え、医療機関の主治医、医療ソーシャルワーカー(MSW)、産業保健スタッフ、人事労務担当者及び労働者本人等多くの関係者間の連携が必要なことから、それら多職種の両立支援コーディネーター基礎研修修了者がグループワーク等を行う事例検討会や交流会を多数開催しているところです。
 23ページを御覧ください。左側の上から3つ目のメンタルヘルス対策に係る個別訪問支援の実施については、心の健康づくり計画の策定、ストレスチェック制度の導入等の事業場におけるメンタルヘルス対策を支援するため、メンタルヘルス対策に係る個別訪問支援を実施しています。右下のニーズが高い「メンタルヘルス対策」、「化学物質の自律的管理」への対応については、事業場からの希望に応じて、管理監督者・若年労働者向けメンタルヘルス研修を実施しています。また、化学物質の自律的管理については、近年の制度改正に対応するための研修・相談対応を実施しているところです。
 以上、中期計画における所期の目標を達成していることや、困難度「高」であることを踏まえ、この項目につきましても自己評価Aとしています。
 次に、1-8 未払賃金立替払事業です。24ページを御覧ください。下段の指標の達成状況ですが、請求書の受付日から支払日までの期間(20日以内)に関しては目標を達成しています。
 25ページを御覧ください。評定の根拠ですが、迅速かつ適切な立替払の実施について、審査手続をより迅速化するために、弁護士向け研修会等を開催するとともに、裁判所・関係機関向けに立替払制度の概要等をまとめたリーフレットを配布することで、制度の周知等を図っているところです。
 2つ目の立替払件数の増加に対する取組ですが、本事業は中期目標において困難度「高」とはしていませんが、令和6年度において評価時点における本事業が困難度「高」と認められる状況にあったと考えています。この点について26ページの資料に基づき御説明します。
 右上のグラフを御覧ください。令和3年度以降、倒産件数が増加していて令和6年度に1万件を超えています。そのような中、支払件数も令和3年度以降は増加を続けていて、令和6年度は10年ぶりに3万件を超えているところです。本事業は、労働者とその家族の生活の安定を図るためのセーフティネットとして、迅速な支払いが求められるものになります。そのことを踏まえ、大型請求事案について破産管財人との事前調整を積極的に行ったこと、また、他課の人員を本来業務に影響が出ないように考慮しつつ、審査業務補助に充てる等処理体制を強化したことにより、左上のグラフにお示ししたとおり、「請求書の受付日から支払日までの期間」について目標を達成するだけでなく、前年よりも支払日数を短縮する成果を上げているところです。令和6年度の処理件数増加の程度は10年ぶりのもので、中期目標の策定時点では想定していなかった規模になります。通常の取組では目標の達成が困難な状況であったことから、評価時点において所期の目標を達成する困難度は高いものであったと考えています。
 以上、中期計画における所期の目標を達成していることや、困難度「高」であることを踏まえまして、この項目についても自己評価Aとしています。
 最後になりますが、1-9 納骨堂の運営事業です。27ページを御覧ください。中段の指標の達成状況については、来堂者、遺族等の満足度が目標を上回る達成度で123.3%という成果を得ています。下段の要因分析ですが、日々の来堂者に対する取組として、高尾みころも霊堂の施設運営に係る検討会を4回開催し、接遇、環境整備等の改善に努めたこと、また、産業殉職者合祀慰霊式の遺族等参列者に対する取組として、歩行困難者用駐車場を特設する等参列者に配慮した慰霊式を実施したことなどにより、高い評価が得られたものと考えています。
 28ページを御覧ください。評定の根拠ですが、産業殉職者合祀慰霊式等に係る取組について29ページで御説明しています。29ページの左側中段、1の慰霊環境の改善に向けた取組については、慰霊式遺族及び日々の参拝者からのアンケート結果を踏まえ、高尾駅から霊堂までバスによる送迎の実施、敷地内の坂道でのゴルフカートの運行など、満足度を高める取組を継続的に実施しているところです。中段右側、2のIT技術の活用についてですが、360度動画を作成したことにより、参拝者の視点で納骨堂の訪問と参拝を疑似体験できるようにしたところです。また、360度動画については当機構の公式YouTubeチャンネル等でも公開しているところです。
 以上、中期計画における所期の目標を上回る成果が得られていることを踏まえ、この項目についても自己評価Aとしています。
 令和6事業年度業務実績の評価に係る説明は、以上になります。
 
○三宅主査
 御説明どうもありがとうございました。それでは、令和6年度の実績評価について、構成員の皆様から御意見、御質問、御議論をよろしくお願いいたします。オンラインで御参加の構成員の方も、適宜、御発言いただければと思います。どこからでも結構です。安井構成員、お願いします。
 
○安井構成員
 日本総研の安井です。御説明いただきましてありがとうございます。本当に多岐にわたる重要な事業をされていて、非常に貢献されているのではないかと感じているところです。
 質問は大きく2点ありますが、1点ずつ区切ってお伺いいたします。4ページの指標の上から4つ目に、患者満足度(労災病院平均)とあります。こちらの患者満足度について、対象はどういった方なのか。入院された方なのか、それともただ外来で来た方なのか。そして、回答方法はどうなっているのか、紙のアンケートなのか、無記名なのか。それから、そのアンケートに対する辞退率はどういったものなのか。さらには、労災病院平均とあるのですが、これはそれぞれの労災病院の対象となる患者で平均を出して、それで労災病院で更にまた単純平均を出したのか、どのように計算されているのかを教えていただけませんでしょうか。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 御質問ありがとうございます。主に労災病院事業を担当しております遠藤と申します。私から回答いたします。患者満足度に関する御質問です。まず対象患者ですが、これは労災病院に入院している入院患者さんと、外来患者さんそれぞれに調査を行っております。それから、回答の方法については、従来は対面式で行っていたのですが、令和6年度から回答箱ということで箱を設置し、そちらで回答を頂くような形に変えております。それから平均値については。
 
○安井構成員
 ごめんなさい、辞退率についてです。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 辞退率については。
 
○安井構成員
 辞退率というとあれなのですが、いらっしゃった方で何割ぐらいの人が回答、すみません、回答率ですね。回収率と言ったほうがいいのか。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 回収率は、ちょっと今は手元にないものですから、後でまた回答させていただきます。あとは平均値については、各病院ごとに満足度を出しております。すみません、全体の平均値については、単純平均なのか、あるいは全体の回答に占める満足度の数なのかというのは、また後ほど確認させていただきます。
 
○安井構成員
 分かりました。ありがとうございます。お伺いした趣旨は、まず1つは回答方法については、やはり対面だと自分がお世話になっている人に対して何か正直に申告することはできないと思いますので、その辺りは回答箱というか、自分に正直に回答できる方法に変わってきたのは、とてもよいことかと思いました。それから回収率は、やはり回答するのに手間が掛かる中で、それがすごくお世話になったからと回答する人だけに偏ると、真の満足度は分からないので、その辺りは回収率をきちんと的確に把握するというか、できるだけ全員に回答していただけるようにしたほうがいいのではないかと思ったところです。
 それから、病院ごとの平均とお伺いしたのは、病院ごとで患者の満足度をきちんと出していらっしゃるのであれば、病院ごとに比較できますので。そうすると、満足度の高い所と低い所で何が違ったのかということで、いい事例があったら横展開ができますので、そういったものをただ単に目標を達成しているかどうかだけではなくて、せっかく取っている指標をうまく活用されたほうがいいのではないかと思ったところです。これが1点目でした。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 ありがとうございます。
 
○安井構成員
 2点目が、今回は御説明はなかったかと思うのですが、3ページの4、医療情報のICT化の推進です。労災病院は今回見てみると、経常利益がマイナス、赤字になって、かなり苦しいのだということが私も危惧しているところです。もちろん、効率化も重要なのでしょうが、その効率化のためにやはりこういうICTを、DXを進めていくことが重要なので、具体的に前年度にはこのICT化で何を進めたのかを教えていただけると助かります。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 ICT化については、これは私どもだけではありませんが、当然ながらマイナ保険証の推進、それと電子処方箋の導入です。これについては、各医療機関に対する、当然、診療報酬にも反映されますので、こちらについては労災病院グループ全体として進めております。また、それ以外に電子カルテについて、これは各病院ごとに更新時期を迎えている病院については更新をしたりという形で、ICT化を逐一進めている状況です。
 
○安井構成員
 よく分かりました。遅延が少ない映像の放送システムのようなものが最近出てきているような話も聞いたりするので、何かうまく良いものをきちんと選んで活用して、遠隔地の人でも都市部にいる労災病院の専門家に話を聞けるような仕組みを結構積極的にやっていかないとますます厳しくなってくるのかと思っていますので、是非そこもよろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 ありがとうございます。先生御指摘のとおり、今は画像についても地域で共有するようなシステムもかなり進んでおりますので、それについては労災病院ごとにいろいろ取組を進めている状況です。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。
 
○三宅主査
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。小野先生、お願いします。
 
○小野構成員
 小野です。よろしくお願いします。3点お聞きしたいのですが、5ページの効率的な病院運営の中で、病床機能区分の見直し等に書かれているのですが、今はやはりどこの病院も労災病院に限らず全国的に、病床の空床が目立って病床削減を行わざるを得ない状況になっていると思うのです。この労災病院では、病床の削減などはどのような状況になっているかをお聞きしたいと思います。
 もう一点は、3ページに地域医療への貢献ということで、地域医療の連携を推進とあります。この中で、労災病院で地域医療連携推進法人に取り組んでいらっしゃる病院は何箇所ぐらいあるのかをお聞きしたいと思います。3点目は、6ページの救急搬送患者の推移ということで、かなり多くの患者さんを受け入れられており、大変すばらしいことだと思います。救急搬送患者数が増えているのは、恐らく高齢化が進んで、高齢者救急で高齢者の患者さんの数が増えているのだと思うのです。この中で、高齢者の方の救急搬送が増えているのかどうか、その辺りについてのお話を頂ければと思います。この3点について、よろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 御質問ありがとうございます。今、3点ほど御質問がありましたので、1点目から回答いたします。まずは、病床削減に関する御質問です。令和6年度の実績としては、あくまでこれは稼働病床の削減ということになりますが、計7つの病院で病床を減らしている状況です。トータルでいきますと、全体で大体200床程度削減をしている状況です。
 続いて2点目の御質問ですが、地域医療連携推進法人についてです。こちらについては、私ども労災病院グループでは今のところ1つの病院のみ連携推進法人に参加しております。具体的には、山口労災病院が地域医療連携推進法人に参画している状況です。
 最後に3点目の御質問です。救急医療に占める高齢者の状況ですが、これは先生も御指摘のとおり、救急搬送件数、依頼自体が増えている状況で、高齢者についても確実に増えている状況かとは思いますが、高齢者がどのぐらいの割合を占めるかについては今は手元にデータがありませんので、数字についてはお答え致しかねます。回答については以上です。
 
○小野構成員
 どうもありがとうございました。最初の2つについては、やはり労災病院だけではなく、全国的にどこの病院も病床を削減せざるを得ない状況になっていますし、その辺りをうまくやりくりしながら、200床ということで私が思ったよりは若干少なかったかと思っているのですが、今後更に削減せざるを得ない病院も出てくるかと思いますが、その辺りも適宜対応しながら取り組んでいただければと思います。地域においては、やはり連携推進法人というのも1つの戦略ということもありますので、是非、地域のほかの病院と連携をとりながら、役割分担も含めて取り組んでいく方向も考えていかないといけない時代になってくるかと思って、質問させていただきました。
 
○三宅主査
 どうもありがとうございました。久米先生、お願いします。
 
○久米構成員
 久米です。質問させていただきます。非常に重要な様々な取組をされていることがよく分かりました。最近でも、転落事故のニュースなどがあったりして心を痛めることがあるのですが、皆さんの取組がすごく関連しているのがよく分かりました。
 3点ほど質問させていただきます。1つ目は、先ほどの地域医療との連携にも関連するのですが、紹介率と逆紹介率があります。改めて、その定義ですね。分子、分母が何になっているのかということであったり、あるいはどういうバランスで紹介率、逆紹介率を考えればいいかという基本的な考え方を、改めて教えていただきたいと思っております。
 2つ目は、両立支援のコーディネーターをすごく育成されていて、それが医療ソーシャルワーカーや企業人事の方、主治医との関わりを広げているということで、現場ですごく有効に機能しているということがよく分かりました。一方、労災病院というと、労災に関連する患者を受け入れていることが多いとは思うのですが、例えばがんのような病気であったり、あるいは生活習慣病などの治療と仕事の両立が、多くの人にとっては課題であったりします。そういった意味では、労災病院での症例の蓄積と一般的な両立でも、また違ったところがあるのかと思いました。そういった意味で、労災にかかわらず広い意味での疾病との両立支援について、どのように知見を蓄えておられるかが2点目の質問になります。
 3点目は、災害情報のデータベース化がすごく進んでいることは、すばらしいと思っております。それを、どのように活用していけるか、どういった人たちにどのように活用してもらいたいと思っているか、もらえるかという見込み、あるいは取組を含めて、データベースの活用について教えてください。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 それでは、まず1点目の御質問について回答いたします。紹介率と逆紹介率の算定の仕方ですが、紹介率、逆紹介率とも分母については初診を算定した患者さんになります。分子についてですが、紹介率については文書により紹介をされた患者さんの数と、救急搬送の患者さんの数を足したものになります。一方、逆紹介率については、分子は診療報酬の診療情報提供料という項目があるのですが、それを算定した患者さんの数になります。
 紹介率と逆紹介率の割合については、これは私どもの機構の考え方としては、近年それぞれの地域にある地域医療支援病院という、地域医療の中核的な役割を担う病院ということで、今はそういった活動に主に取り組んでおりますが、その地域医療支援病院の指定の要件として、紹介率、逆紹介率の要件がいろいろあります。具体的には、紹介率が80%超え、あるいは紹介率が60%超え、逆紹介率が30%超え、若しくは紹介率40%超え、逆紹介率60%超えといったような、幾つかのパターンがあります。そういった数値を満たすということで、一応それを目安にしております。1点目については以上です。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 2点目の両立支援について説明いたします。労災病院という名前なのですが、もともとは炭坑や港湾の労災に対応するために、そういった場所に建てられたのですが、現在は総合病院と考えていただいたほうがいいと思います。単に労災だけではなく、生活習慣病などの一般の診療もやっていますし、がんの診療もやっています。
 実際に労災病院は全国に32あるのですが、ない都道府県もありますので、そういう所では病院に産業保健センターからアプローチをして、両立支援の窓口を設置させていただき、実際に今は全国で406の医療機関にその窓口を設置し、対応しております。実際の相談対応件数が8,000件強ぐらいです。そのほかに、全国の各都道府県の産業保健センターでも両立支援の相談を受けていますので、労災病院がない所や窓口がない所は、そういった産業保健センターで受けている形になります。
 3点目の災害のデータベースに関しては、「職場のあんぜんサイト」というものを令和5年度に厚労省から引き継ぎ、当機構が担当するような形になっています。実際には、年間10万件程度をデータベース化しています。それに関しては、基本的には誰でも制限なくアクセスできるようになっており、それで活用していただける形になっております。以上です。
 
○久米構成員
 全御回答をありがとうございました。それぞれについて、よく分かりました。紹介率に関しては、ある目安を置きながら地域全体として最適なバランスを図るような形でやられていると。そういう意味では、何パーセントというよりは、それを通して、そういう数値を置いて、患者さんを融通することで、地域の最適な配分を達成しようとしているのかと。そういった意味では、質的にマッチングをすることで改善するということが、なかなか数値で見えにくいところがあるということがよく分かりました。ほかの2つの質問についても、非常によく分かりました。ありがとうございました。
 
○三宅主査
 どうもありがとうございました。ほかにはいかがですか。西岡先生、お願いします。
 
○西岡構成員
 西岡です。御説明ありがとうございました。私からは2点質問があります。1つ目は、先ほど安井構成員からも少し話がありましたスライドの6ページ、労災病院事業の数値の所です。労災病院は、所在地などの状況によって、それぞれの病院でかなり現状が違うのかと思うのですが、ここでは平均という形でしか数値が出されていません。そのため、それぞれの病院ごとでかなりばらつきがあって、結果、平均するとここに出ている数値になっているのか。それとも、大体どこの病院も同じような数値が出ているのかを、分散があるのかないのかを少し補足で教えていただければというのが1点目です。
 2点目は、両立支援コーディネーターに関する所になります。スライドの11ページ辺りになるのですが、両立支援コーディネーターを現状積極的に養成されていて、実際に活動もされているということがよく分かりました。今後、ますます両立支援のコーディネーターの需要は高まってくるかと思うのですが、この両立支援のコーディネーターの役割をそもそも必要な方がどれぐらいきちんと認知できているのか。先ほど窓口を設置されているという話でしたが、その役割について認知を向上させていく、例えば、両立支援コーディネーターの存在であるとか、こういう場合には相談に行けばいいのだということが分かるように、積極的に周知していく必要があるかと思います。その点に関して何かお考えがあれば教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 御質問ありがとうございます。まず1点目の御質問ですが、平均値というのは具体的には、例えば紹介率や逆紹介率のところになりますか。確かに先生が御指摘のとおり、例えば紹介率や逆紹介率を見ても、当然所在する場所もいろいろあります。その結果、病院ごとにかなりばら付きはあります。特に、秋田県にあります秋田労災病院や愛媛労災病院は、地域の中でも医療機関の数が少ないといった地域的な特殊性もあり、この2病院については紹介率、逆紹介率とも10%台、20%台と、かなり少ない数になっておりますが、この2病院以外については、おおむね70%以上をクリアしている状況です。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 両立支援について回答いたします。御指摘のとおり、両立支援の認知度などがまだ十分ではないということは、確かだと思います。実際、令和5年度の労働安全衛生調査を厚労省でやっており、1,000人以上の大きな会社ですと75%ぐらい両立支援の取組をやっているのに対して、10~29人の事業場ではそれが23%と低調となっているというデータがあります。実際に大きな会社ですと、働いている人に対するケアも行き届いている所が多いと思うのですが、やはり中小の事業場に対するケアは大事だと思います。そういう意味で、現状ではなかなか十分でないので、協会けんぽという中小企業のネットワークがありますので、つい最近なのですが、協会けんぽと書面を交わし、この普及に関して一緒に連携していきましょうということで、実際に中小の事業場に対する普及については今後もやっていかなければいけないと認識しております。
 
○西岡構成員
 ありがとうございました。まず、労災病院に関する数値に関してですが、後半の部分の3-1の所の財務内容の改善等の所でも、今後病院ごとに丁寧にモニタリングをしていくという文言も書かれております。それぞれの病院で事情がかなり違うかと思いますので、こういった数値をきちんと活用していただいて、うまく現状に合った形でモニタリングをしていっていただきたいと考えております。
 それから、両立支援のコーディネーターのことに関しては、やはり企業規模が小さいと、周知がそこまで行き渡っていないということですが、その点の取組も進めていただいているようですので安心しました。すごく重要なことだと思いますし、コーディネーターがいる、いないということで、患者さんからしてみるとかなり状況が変わってくるかと思いますので、その辺りは引き続き積極的に進めていっていただければと思います。
 
○三宅主査
 どうもありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。梅崎先生、お願いいたします。
 
○梅崎構成員
 説明ありがとうございました。私からは、意見というか、どの分野に当たるかが分からないところがあるのですが、例えば1-4で労働者の健康・安全に係る基礎・応用研究及び臨床研究の推進等の所です。機構が、言ってみれば歴史的にどういう対象者の方を対象に診療したり、臨床したりしていたかということは分かるのですが、昨今いろいろホワイトカラーを中心に働き方の多様化が出てきていると思うのです。フルタイムなのかどうか、在宅もありなのか、若しくは労働時間だけでガッチリ管理されているわけではなく、歩合というか成果成果で測っていくというような、いろいろな多様な働き方が出てくるときに、これまでの単純に時間だけきちんと管理して、若しくはルールを守らせていれば負担は大丈夫だという世界から、時間だけの問題ではないやり方で管理などルールを作っていかないと、主にメンタル不調などを起こしやすいという事例が、第一次産業からホワイトカラーの人で結構増えてくると思うのです。
 このような対象者に対して、従来とは違った取組が必要になってくると思うのですが、先進的にどのような取組をされたり、検討をされており、若しくは今後どうしようとされているのかを伺わせていただければと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 すみません、頂いた御質問に対して十分な回答になるか分からないのですが、働き方の多様化に伴って、今後いろいろな対応の実態の把握は必要だということは、確かにそのとおりだと思います。現在、そういうことを主な眼目において、研究は実際やっていないのですが、今後そういったことも考えていかなければいけないと思います。
 実際、労働安全衛生法の改正で、職場のメンタルヘルスの対策は2番目に挙げられており、今後はメンタルヘルスというのはすごく大事で、その原因を含めて把握していかなければいけないと思いますので、それについては研究所とも相談して考えていきたいと思います。
 
○梅崎構成員
 ありがとうございました。今後のことではあると思うのですが、恐らく不調になることの原因が、従来対象としていた定常的なルーティーンワークをベースにした肉体労働の方と、かなり違った要因によって不調が発生しやすいということがあり、別のモデルが出来上がってくると思います。原因を別のことに特定しないと解決しないというようなことが少しずつ増えてくるのかと思ったので、意見させていただきました。
 
○三宅主査
 ありがとうございます。そのほかに御意見、御質問等はありませんか。では、お願いいたします。荒谷構成員です。
 
○荒谷構成員
 荒谷です。丁寧に御説明いただき、ありがとうございました。私からは1-8の未払賃金立替払事業について、少し教えていただきたいと思います。こちらは倒産件数が過去に想定していないほど高くなったので、困難度がAになったという御説明がありました。これはセーフティネットとして非常に重要な役割を果たされていると考えますので、こちらの評価が高いということについては私も同意しています。こちらで幾つか行われている業務については、労基署と連携しながらやるという形だと思うのですけれども、こちらでの対応について、地域による差のようなものはあるのでしょうか。例えば、同じように物価が上がるとか景気が悪いといっても、東京圏と全国では状況が大きく違うということがあると思うのです。そういったところは担当しておられる審査業務や支払いの業務に、何か影響があるのかというのが1つです。
 もう1つは今、システムの改修を図られているということで記載されているかと思います。これをすることによって、審査立替業務というものが今後、どのように効率化等が進められるのかについて、教えていただければと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 お答えさせていただきます。御質問というか、御意見をありがとうございます。令和6年度の困難度を「高」とさせていただき、御評価いただきましてありがとうございます。最初に地域差という話がありました。監督署は全国、北海道から沖縄までありますが、私がやっていて地域差というのは、それほどないのではないかという気がします。ただ、年によって大型案件があるかないかにより、かなり処理の時間に影響が出てきます。最近で言えば美容関係の大型倒産も言われておりますので、ああいった形で大型のものがドカッと来ると、処理する人間は一定の人間しかおりませんので、処理日数にかなり影響が出てしまうのではないかと思っております。ただ、限られた人員の中でも誠心誠意、処理をして、ここに掲げられている目標を達成するよう、日々努力してまいりたいと思っております。
 もう1つはシステム化ですね。今年度中に作り上げて来年度からと考えております。結局、これは利用者の手続の効率化を図るためのもので、どれだけ使っていただけるかは周知によるのかもしれないのですが、システム化した際には周知を図って、手続の効率化を図っていければと。受け付けた後の処理としては、基本的に一緒になりますので、遅滞なく処理をしていければと思っております。以上でよろしいでしょうか。
 
○荒谷構成員
 システムのほうは書類ではなくて、電子で申請できるようになっていくというのが、大きな変更ですかね。
 
○労働者健康安全機構理事(丹羽)
 そういうことです。
 
○荒谷構成員
 分かりました。ありがとうございます。今後も最低賃金が上がるといった経済環境の変化がありますけれども、それで全ての企業がうまく経営できていくかというのは、また別問題かと思いますので、こういった事業は非常に価値が高いのではないかと思いました。引き続き貢献していただければと思います。
 
○三宅主査
 そのほかにいかがですか。どうぞ。
 
○労働者健康安全機構理事(遠藤)
 すみません。先ほど安井先生からの患者満足度に関する御質問のうち、お答えできなかった部分の確認が今取れましたので、改めてお答えさせていただきます。まず、回答率については外来が71.1%で、入院が82.8%です。また、労災病院全体の平均については、入院と外来のそれぞれ総回答から算出しているので、単純平均ではないということです。
 
○安井構成員
 どうもありがとうございます。お伺いして、回収率が結構高いのだなということで、とても安心いたしました。平均のやり方は、全ての回答の単純平均だと思うのですけれども、先ほど西岡構成員がおっしゃっていたように、この数値目標があるからただ計算するというだけではなく、せっかくなのでこれを生かして分布などを見ながら、病院ごとで見てみたりとか、それぞれの病院で工夫しているところは違うと思いますから、それを生かされるといいと思いました。
 
○労働者健康安全機構理事(髙野)
 今の点について補足させていただきます。医療企画担当の髙野と申します。患者満足度調査は病院ごとにも集計しており、おっしゃるように病院間で比較もしております。特に目立って満足度が低い病院の項目については、病院に問い合わせて、どのように取り組むかを聞いています。良い取組をしたことについては各病院に、このようなことでこの病院は去年より上がったということを紹介させていただいています。
 あと、この調査は業者にも頼んでいるところです。その業者が担当しているほかの病院群のデータをベンチマーク的に付けてくれていますので、そういうものと比較などもしており、なるべく生かせるようにと思ってやっているところです。以上です。
 
○安井構成員
 なるほど、よく分かりました。とても有効に活用されていると思って安心いたしました。ありがとうございます。
 
○加藤構成員
 本日は御説明いただきまして、誠にありがとうございました。加藤と申します。よろしくお願いいたします。1点だけほとんど感想みたいなもので、先ほど久米先生が御質問されたところに付随してという形ですけれども、災害状況などのデータベースが10万件ほどあり、そのほかにも事例の集積などがたくさんあるということを伺いました。それについては一般の人が、どのような状況で見られるのかが分からなかったのです。生成AIで調べるほどの形には、まだなってないのかと思うのですが、将来的にはこのサイトに行ってちょっと質問すれば、そのデータベースがすぐに見られるようになっていくと、これまでの蓄積がすごく皆さんに生かされるのかなという形で聞いておりました。今後ともよろしくお願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 「先ほど「職場のあんぜんサイト」というのを御紹介させていただきました。ネットで「職場のあんぜんサイト」に行っていただければ、そこに飛んですごく細かいリストが出てきます。そこで見ていただければ、実際に見られるような形にはなっています。
 
○三宅主査
 そのほかに何か追加で御質問などはありませんか。どうぞお願いいたします。安井構成員です。
 
○安井構成員
 今「職場のあんぜんサイト」を教えていただいたので見てみたら、マンホール内で硫化水素中毒というのが出てきて、こういうようにちゃんとリサーチされているというのがよく分かりました。ということは、今回の行田での事故というのは、せっかく調べたものが十分に周知されてなかったということもあるかもしれませんので、リサーチするだけではなく、それをどう周知していくかということにも、是非、力を入れていただけると有り難いと思いました。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 御指摘の点はもっともだと思いますので、その周知についても今後、検討していきます。
 
○三宅主査
 非常に大事な点だと思いますので、よろしくお願いします。ほかによろしいでしょうか。それでは私から1つ。今日は余り触れられなかった、研究に関するところを伺いたいと思います。研究関係に関して1つは、研究課題の設定の仕方ですね。どういう形でプロジェクト研究や協働研究、何々研究の課題の設定をしているかという決定の仕方です。
 もう1つは、3つ目の研究機関での行政要請研究ですね。いろいろあると思うのですけれども、やはり研究機関であれば研究者の資質を向上させるような取組も、非常に重要だと思います。いい研究成果を出してそれを反映し、それが貢献につながっていく、いろいろな施策に貢献していくということだと思うのです。その辺りの研究者個人個人の資質を向上させるための取組が、何かあれば教えていただければと思います。
 
○労働者健康安全機構理事(中岡)
 研究所でやっている研究には、大まかに、まず行政要請研究というのがあります。これは行政のほうから要請された研究です。今お話に出たプロジェクト研究については、中期目標、中期計画に9つの視点というのが示されています。それで研究内容まで指定されるわけではないのですが、その視点に基づいて、研究者のほうで研究テーマを設定してやっています。実際には吊り上げ用具の寿命の予測や、大型建設機械の安定設置に必要な研究など、実地に即したテーマをそれぞれの研究者が設定してやるという形になっています。
 そのほかに、研究費の額は少し下がるのですけれども、基盤研究というのをやっています。これに関しては、研究者自身が研究のテーマを設定してやっています。行政の要請に対して応えられるような形で研究をやるのが基本ですが、それ以外にも研究者の自由なというか、各自の発想に基づいた形でも、一応研究がやれるようにしているところです。また、協働研究というのがあります。うちの機構には病院と研究所がありますので、その両方が協力して、1つのテーマをやっていけるような形のものです。1つは、じん肺やアスベストの研究を病院と研究所で一緒にやっていますし、脊椎の患者の予防や治療も、病院と研究所で協力してやっています。
 
○三宅主査
 ということは、研究者が与えられた課題をこなすということではなくて、研究者自身が自ら独自性を発揮し、研究テーマの設定をして、それを遂行していくという取組がきちんとなされているということですね。それによって研究者自身の資質の向上も図られているという理解でよろしいですか。ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。ありがとうございました。質疑については、以上で一区切りとさせていただきます。ここからは法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてのコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
○労働者健康安全機構監事(有田)
 常勤監事の有田と申します。よろしくお願いいたします。初めに、令和6事業年度に係る監査について御説明いたします。資料2-4についてです。この監査報告は、6月30日付けで理事長宛てに提出したものです。内容について、ざっと御説明申し上げます。
 Ⅰでは、監査の具体的な方法と内容について記載しております。例年どおり各地の労災病院等の施設に対して、施設往査を行い、昨年度は25施設に対して実施いたしました。往査は実地監査が基本となっておりますが、産業保健総合支援センターの対象8施設のうち、5施設についてはリモートで実施しております。
 Ⅱでは、監査の結果について記載しております。法人の業務執行の適合性、有効性、効率性について、1から5まで個別に意見を述べております。いずれについても監査報告において指摘すべき事項は見受けられなかったという結論です。
 監査報告としては以上ですが、今後の業務運営等について、口頭で何点かコメントをさせていただきます。初めに、令和6事業年度の業務実績についてです。本日も様々な御指摘や御論議を頂きましたが、監事としては重点化対象項目はもちろんのこと、その他の項目や課題についても当機構は真摯に取り組んでおり、おおむね期待に応える成果を上げているものと受け止めております。
 次に、労災病院の経営改善に向けた取組についてです。当会議においても毎回、言及されているものと承知しております。当機構における喫緊かつ最重要な課題であるとの認識であり、この場においてもコメントをさせていただきます。改めて申し上げるまでもなく、社会全体の高齢化や地域における人口動態の変化が急速に進展している中、病院経営を取り巻く環境は厳しさを増しており、スピード感を持った的確な対応を実行することが必須・不可欠であるとの認識です。各労災病院においては、地域の医療ニーズを踏まえた病床削減、病床機能の見直し、効率的な病床運用など、経営改善に懸命に取り組んでいますが、残念ながら収支のマイナスから脱却できない病院が、少なからず存在しているのが現状です。
 そうした状況に諸物価の高騰などが相まって、労災病院に限らず、病院経営は一層厳しい状況にあるという危機感を強く持っております。今後とも当機構が、勤労者医療と地域医療を持続的に支えていくためにも、労災病院の経営改善が不可欠であり、業務効率の向上などへの取組はもとより、地域の医療ニーズを踏まえた再編や病棟・病床の削減、病床機能の見直しなどの戦略的な対応を、一段と加速させていく必要があるとの認識です。当機構は勤労者医療の充実、産業保健の強化、勤労者の安全向上という理念の下、我々の社会において、大変大きな役割を担っておりますが、その領域は一層深化し、拡大していくものとの認識にあります。その役割を持続可能な形で十分に発揮し続けるためにも、労災病院全体の健全化を早急に実現するとともに、多様な働き手一人一人が働き続けたいと思える組織づくりに向けて、引き続き尽力されることを期待しています。以上です。
 
○三宅主査
 それでは理事長、お願いいたします。
 
○労働者健康安全機構理事長
 理事長の大西です。本日は労働WGにおいて、多々御議論いただきまして、厚く御礼申し上げます。当機構は、ただいま有田監事からも御紹介がありましたように、勤労者医療の充実、勤労者の安全向上、産業保健の強化の三本の柱を理念とし、我が国の産業や経済の礎を維持・発展させるとともに、勤労者一人一人の人生を支える大きな役割を担っております。当機構の推し進める勤労者医療の柱である治療就労両立支援事業については、第8次医療計画の定量指標として、両立支援コーディネーターの基礎研修の受講者数が掲げられており、今後ますます両立支援コーディネーターの需要が増していくものと考えております。第5期中期目標期間においても、両立支援コーディネーターの養成はもとより、その質の向上などについても、これまで以上に取り組んでいく所存です。
 また、産業保健活動総合支援事業においても、引き続き中小企業における産業保健活動の支援を積極的に行うとともに、新たな課題となっている事業場におけるメンタルヘルス対策や、女性労働者の増加への対応などにも取り組んでまいります。研究分野においては、第14次労働災害防止計画を踏まえ、労働安全衛生施策に貢献する研究のほか、多くの施設を運営する当機構の特色を生かした協働研究を行うとともに、国からの個別要請に基づく調査研究についても、迅速かつ着実に取り組んでまいります。このように当機構は、国の根幹を支える働く方々の健康と安全の確保に寄与しており、その重要性は今後もますます増大していくものと考えております。
 一方で、先ほどからも御議論や御意見もありましたように、我が国の病院経営を取り巻く環境は、かつてない厳しいものとなっております。手厚い看護を必要とすることが多い高齢患者さんの割合の増加が加速する中での医療人材の不足と偏在、物価高騰、医師働き方改革への対応なども必要な中で、我々は病院運営において収入単価というものを自らでは設定できません。本来、企業運営というのは、売るものの原価が上がれば売値を上げる、又はサービス提供の人件費が上がれば提供費を上げることができて、健全な企業運営ができるのです。
 しかし病院において、その単価は診療報酬というもので、今は完全にキャップされております。一方で、現状、約3%の物価上昇が3年間続いており、約1.03×3乗で、物価がこの3年で9%以上上がっているのです。ところが御存じのように、診療報酬はほとんど上がっておりません。上がっているのは僅かながら、人件費のために充足してくださいという0.何パーセント程度なので、我々が幾ら支出を削ろうとも、収入不足は補えません。キャップされた単価、つまり収入面においては大きな課題があるというのは労災病院だけでなく、日本の病院運営、医療運営全体における大きな課題です。とは言いつつも、労災病院は苦しい中でも生き残っていかなければなりません。我々はできることは全てして、労災病院の生き残りを図っていきたいと思っているところです。
 また、勤労者医療の中核的な役割を担うという点においても、労災病院の安定的な運営は、当機構にとっての最重要課題です。今日も御紹介したように、毎月、各病院の運営状況をモニタリングなどをして、取組を徹底して経営改善に努め、機構に課せられたミッションをしっかりと果たしてまいりたいと思っております。本日は労災病院、治療就労両立支援センター、産業保健総合支援センター、労働安全衛生総合研究所など、当機構が総力を挙げて取り組む各事業について、皆様から貴重な御意見を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。皆様から賜りました御意見を今後、私たちの事業運営にしっかりと反映させ、厚生労働省と一体となり、働く人々の健康と安全を守り続けてまいります。本日は誠にありがとうございました。
 
○三宅主査
 ただいま監事と理事長の御発言がありましたけれども、これに対して何か御意見、御質問があればお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。よろしいですか。分かりました。本当にどうもありがとうございました。そろそろ時間ということもあるので、最後に少しまとめの話になります。
 社会情勢の変動や、それに伴う労働環境のいろいろな変動があり、限られたリソースの中で最大限皆さんが頑張っているというのは、非常によく理解しているところです。特に労働という話になりますと、大企業においてはある程度自前でできることがあると思うのですけれども、いわゆるセーフティネットとして国が、あるいは公的な機関がより目配りをしなければいけないのは、中小企業であったり個人事業主、あるいはフリーランスの方です。働き方自体がどんどん多様化しているので、その辺りも今後の非常に大きな課題になるというように理解しています。
 そういう中で限られたリソースを有効に活用するためには、皆さんおっしゃっているように、いろいろな他の機関との連携とか、どこをどう削れるのか、あるいはなかなかプラスを増やしていくというか、収入を増やしていくのが難しいという状況だと思うのですが、いろいろな取組をみんなで考えて、本来の趣旨、機構の設立の理念に基づいて事業を展開していただけるというのは、大きく期待しているところなので、我々としては評価と言いながら、皆さんを応援しているつもりでおります。是非、これからも頑張ってやっていっていただきたいと思います。いろいろな点については当然、本省のほうと連絡をしたり、意見交換をしたりする場があると思います。その点でも率直な意見交換ができるように、そのための基礎資料を整えておくことが必須かと思いました。
 まとめにもなってないのですけれども、以上が私のほうからでした。今日はいろいろと御説明いただきまして、どうもありがとうございました。WGの議事は終了いたしますので、事務局のほうから最後にお願いいたします。
 
○事務局
 本日はどうもありがとうございました。今後の流れについて御連絡いたします。今回、御議論いただいた労働者健康安全機構の「令和6年度業務実績評価」については、この後、今日のWGにおける御意見や法人の監事、理事長のコメントなどを踏まえた上で、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び総務省の独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、委員の先生の皆様にもお送りしますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。どうもありがとうございました。
 
○三宅主査
 本日は長時間にわたり、熱心な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。また、円滑な議事の運営に関しても御協力を頂きまして、ありがとうございました。これをもちまして本日のWGを終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。