2025年7月31日 独立行政法人評価に関する有識者会議 国立病院WG(第13回) 議事録
日時
令和7年7月31日(木) 15:00~16:30
場所
中央労働委員会 労働委員会会館講堂
出席者
土岐主査、荒牧構成員、川原構成員、河村構成員、根岸構成員、本田構成員、三角構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
定刻になりましたので、ただいまから「第13回独立行政法人評価に関する有識者会議国立病院WG」を開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室の兼坂と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。委員の先生の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。今回の会議は対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリット形式となっております。
本日のワーキンググループの開催に先立ち、この度、委員の先生の改選がございましたので、新たに専任された先生方を御紹介させていただきます。川原先生です。今回はオンラインの御参加となりますが、荒牧先生です。今回は御欠席となっておりますが、田熊先生です。また、事務局でも人事異動があり、参事官が代わりました。
○政策立案・評価担当参事官室参事官
事務局を担当しています参事官の諏訪と申します。よろしくお願いいたします。
○事務局
本日のワーキンググループの出席状況について御報告いたします。主査をしていただきます土岐先生、川原先生、根岸先生、本田先生、三角先生が会場での御参加です。河村先生、荒牧先生がオンラインでの御参加となります。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本会議の資料について説明させていただきます。本会議の資料に関しましては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。河村先生、荒牧先生には事前に資料をお送りしておりますので、御準備いただけると有り難いです。本会議の資料は、資料1及び資料2、そして参考資料が1~6となります。資料の不足などがございましたらお申し付け願います。ここで、報道関係の方もいらっしゃっていますが、本会議の撮影に関しましては頭取り可とさせていただいているところですが、撮影はここまでとさせていただきます。それでは土岐先生、議事の進行をお願いいたします。
○土岐主査
早速ですが、ただいまより国立病院機構につきまして、令和6年度業務実績評価に関わる意見聴取を行います。法人のほうから、各評価項目における評定の根拠につきまして、重点的に説明をお願いいたします。そして評価の内容を中心に、皆様から御意見、御質問を頂戴したいと思っております。会議はおおむね1時間半を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
それでは早速、議事に入りたいと思います。まず、国立病院機構の令和6年度業務実績評価について、議論を始めたいと思います。初めに、法人から簡潔に御説明を頂き、説明が終わってから、質疑応答という流れで進めたいと思います。それでは、法人から説明をよろしくお願いいたします。
○国立病院機構企画部長
企画部長の田中と申します。資料2-1に基づいて御説明いたします。右下のページ数、1ページに当機構の概要を載せてございます。おめくりいただきまして、2ページに令和6年度の業務実績をまとめております。令和6年度も当機構の3本柱であります診療事業、臨床研究事業、教育研修事業に加えまして、業務運営の効率化等に取り組んでまいりました。各評価項目については後ほど御説明いたしますが、それぞれの自己評価を踏まえ、総合評価はAとしてございます。それでは次のページ以降、評価項目ごとに実績のポイントを御説明いたします。
○国立病院機構医療部長
医療部長の福田でございます。よろしくお願い申し上げます。3ページ目を御覧ください。まず、診療事業につきまして、医療の提供、地域医療への貢献、それから国の医療政策への貢献、3つの評価項目がございます。まず、医療の提供についてです。重要度「高」、自己評価をBとしております。おめくりいただき、根拠について4ページ目を御覧ください。指標の達成状況ですが、おおむね100%を達成しておりますが、1つだけ達成できていない状況でございます。これは、クリティカルパスの実施割合が達成度100%に到達できなかったところです。これにつきまして、令和6年度の実績より、集計対象について、クリティカルパスを途中で離脱した方、中断した場合の方は実施患者数に含めないとしたところが、達成できなかったところの要因として一番大きいものと分析してございます。
5ページ目以降、少し個別の項目について御説明させていただきます。まず、左側の患者経験価値・満足度調査です。NHOにおいては、患者の目線に立ち、全体のサービスの向上を図ることを目的にこの調査を実施しております。本調査につきましても他の設置主体と比較できるような調査というような形で我々は企画しておりまして、日本医療機能評価機構の平均値を上回るような結果となっております。また、結果につきましてもPDCAサイクルを回せるように、各病院で取り組んでおりますし、そうしたことができるよう、ガイドブックというもので取組事例などを共有してございます。
右ページを御覧ください。虐待防止対策について少し御説明させていただきます。NHOは長年にわたり重心、筋ジス、そうしたセーフティネットの医療を提供してきてまいりました。そのような中、令和5年12月には障害福祉サービス利用者に対する虐待事案が発生いたしまして、これについて虐待認定がなされました。こうした事案につきまして、病院において令和6年10月には、設置した第三者委員会から再発防止策の提言がなされました。これは個別の病院に対しての提言ではございますけれども、我々NHO組織全体での問題として大変重く受け止めております。事案発生後、速やかに再発防止に係る取組を進めております。また、組織全体で取組を推進するために、本部に虐待防止プロジェクトチームを設置いたしまして、職員の意識改革、内部通報体制・システムの実効性確保、「外部の目」の導入、こうした3つの視点から虐待防止及び発生時の取組に係る基本的な考え方を整理いたしまして、また、これに関してはNHO内・外の施設における具体的な取組を収集し、各病院に伝達いたしました。右ページの下段を御覧いただければと思います。フォロー体制の中では、病院がどのような取組を実施しているか、後ほど申し上げます。病院間の相互チェックなどの内部監査、そうしたものを含めてフォローアップしていきたいと考えてございます。
6ページ目をご覧ください。病院間医療安全相互チェックは、医療の安全対策の標準化・質の向上を目的として、病院間でのチェックをするという取組を行っております。虐待防止事案を踏まえ、特にセーフティネット系の病院においての相互チェックに関しましては、虐待防止対策のチェック項目というものを追加いたしました。続きまして、右側です。質の高い医療の提供、クリティカルパスの活用推進について、これは指標となっていたところですけれども、先ほど申しましたとおり、クリティカルパスを中断した方については計上しないこととしたことが大きな要因として、100%を切るという結果になっております。
続きまして、7ページ目をご覧ください。チーム医療の推進に係る取組です。左側には診療看護師(JNP)の活動、それから特定行為研修の修了者の活動。右側は、業務拡大に係る行為に必要な知識及び技能を習得した診療放射線技師及び臨床検査技師の配置です。いずれも複数の医療従事者がそれぞれの専門性を前提に目的と情報を共有しながら、また、連携を図りながら患者の状況に的確に対応した医療を提供するための取組というものをNHO全体として取り組んでございます。
8ページ目、地域医療への貢献です。重要度「高」、困難度「高」、自己評価としてはAとさせていただきました。9ページに移りまして、根拠となる指標の達成状況です。こちらもおおむね100%を達成しておりますが、1つだけ、訪問看護の延べ利用者数は100%を割るという結果になっております。主たる原因としましては、一部の病院において、その病院に設置していた訪問看護ステーションを民間に委譲したことによるところが、影響としては大きかったという形で分析しております。
続きまして、10ページ目を御覧ください。地域医療への貢献、医療計画等で求められる機能の発揮として、5疾病6事業の取組というところで、ここに書いておりますような実績となっております。左側中段の地域医療構想調整会議等、こうした地域の医療の在り方を検討する場におきましても、NHO病院は多く参加しておりまして、127病院が参加する形でございます。また、右側の地域医療連携推進法人への参画につきましても、令和6年度においては東近江総合医療センター、静岡医療センターが参画しております。下段、認知症疾患医療センターとしましても、16病院が指定されている状況です。
11ページ、左側の上段、新興感染症対策の対応です。特にコロナのような新興感染症の対応につきまして、この度、改正感染症法の関係で都道府県、それから医療機関において医療措置協定を締結する形になっております。NHOでは、全140病院が対応を完了しており、それぞれの医療支援、あるいは自院の医療機能に応じて何かしらの協定を締結している状況です。2番目以降におきましても、医療的ケア児の支援、親の対応、在宅療養支援の取組を進めてございます。
続きまして、12ページ目をご覧ください。国の医療政策への貢献です。こちらは重要度「高」、困難度「高」、自己評価としてはAとさせていただいております。根拠につきまして、13ページ目をご覧ください。達成状況です。こちらもおおむね100%を達成しているものが多いですけれども、2点、100%に満たないものがあります。1点目が、訪問看護の延べ利用者数です。これは先ほど申し上げたとおりです。また、外来におけるマイナ保険証によるオンライン資格確認等の利用率については36.6%という形になっております。こちらにつきまして、先駆的に取り組んでいる病院の好事例を横展開するなど、法人を挙げて取り組んでまいりました。結果的には全国の病院全体の実績自体は4.8%上回るような利用率になっておりますが、国民全体の利用率向上が課題とされる中で、政府からも非常に高い目標設定を頂いたことがありまして、達成状況としては36.6%というところです。他方で、そのほかの指標につきましては目標を十分上回るところであることや、難易度が「高」であることを踏まえ、自己評価についてはAとしております。
14ページ目をご覧ください。左側で、国の危機管理に際して求められる医療の提供、DMATについて中心に書かせていただいております。特に昨年度は能登の豪雨災害の対応について個別に書いております。右側は、セーフティネット分野の医療の確実な提供です。NHOでは重症心身障害、神経・筋疾患、筋ジストロフィー、結核、医療観察法に基づく精神科医療など他の設置主体では人材を含む体制の確保が難しいというものについても主体的に積極的に取り組んでおります。それぞれの医療において、NHOの占める割合が非常に高いところですけれども、これについても着実な提供を行っております。
15ページ目、依存症対策とか、そうしたものについても対応しております。また、エイズへの取組、これはブロック拠点病院に幾つか指定されていまして、そうしたところの中で診療のみならず、臨床研究、あるいは人材育成、そうしたものの取組等を行ってございます。右側の重点課題に対するモデル事業の実施ということで、後発医薬品の利用促進については、NHOでは従来80%を超える水準を維持しておりまして、令和6年度においても、使用割合は90%を超える水準を維持しております。
○国立病院機構情報システム統括部長
16ページです。ITの部分につきましては、情報システム統括部から御説明をさせていただきます。政府の進めるDXの対応ですけれども、マイナ保険証の利用率につきましては、先ほど説明したとおりです。法人を挙げて努力を続けてまいりましたが、目標には達しなかったということです。また、政府の進める医療DXについては、マイナ保険証だけではなく電子処方箋、診療報酬DXなど、これらはいずれも厚生労働省あるいは支払基金が進めているDXの部分ですが、これらについても病院の立場で協力を行っているというところです。また、法人独自の取組といたしまして、医療DXの基盤となるようなプラットフォーム、全国をつないでいくようなプラットフォームであったり、スマートフォン等の導入についても検討を行い、一部導入を始めているところです。
○国立病院機構総合研究センター長
17ページを御覧ください。臨床研究事業につきましては、総合研究センター長より説明をさせていただきます。重要度「高」、困難度「高」、自己評価はAとさせていただいております。
18ページを御覧ください。指標の達成状況です。新規採択臨床研究課題数、英文原著論文掲載数ということで、どちらも達成度100%を超えた状況です。具体的には、19ページ以降で説明をさせていただきます。
19ページの左側①を御覧ください。診療情報の収集・分析と情報発信機能の強化ということで、外部データベースとの連携、これは国の医療情報政策に基づいて、令和元年度からPMDAのMID-NETにNCDAの医療情報データを提供しているということを挙げさせていただいております。また、下段のほう、次世代医療基盤法に基づく認定業者である日本医師会医療情報管理機構にもNCDAの医療情報データを提供させていただいておりまして、また新たにMIAにレセプト情報も提供開始をさせていただいております。一番下段に書いてありますとおり、NHOの55病院、これは全153機関のうち36%を占めるという状況です。
右の②を御覧ください。先ほど御説明しましたように、英文原著論文掲載数は117.4%の達成状況で、2,411本が論文として発表されております。下段にあります臨床研究の体制ですけれども、NHOは各研究分野18分野のネットワークを形成しているということが非常に特徴として、質の高い臨床研究を実施することの基盤になっております。一番下に書いてありますとおり、17課題ということで104.9%の達成状況です。
20ページを御覧ください。左側の上、治験に関しましては、真ん中ほどに書いてありますICF共通テンプレートの活用を進めて、事務手続の負担軽減、治験期間の短縮可能な体制を整えておりますし、また、国の新型インフルエンザ対策における国家備蓄プレパンデミックワクチンの医師主導治験では、NHO以外の病院も含めた審査を実施して、その治験に貢献しております。
④です。先進医療技術の臨床導入につきましては、国の事業であります高度医療実践拠点病院の選定の作業を進め、選定は令和7年度になっておりますが、脊髄損傷分野では村山医療センター、アレルギー疾患では相模原病院が選定されたという状況です。また、⑤の若手研究者の育成についても、引き続き実施を継続しているという状況です。
○国立病院機構医療部長
続きまして、教育研修事業についてです。21ページを御覧ください。自己評価としてはAです。下段を御覧いただきまして、関連とする指標の達成状況につきましては、いずれも100%を超えております。
個別の項目については、23ページ以降で御説明させていただきます。左側の1番ですが、地域医療に貢献する研修事業の実施です。特に強度行動障害や医療観察法など、NHOが中心的に担っている医療についても研修を実施しています。右に移りまして、質の高い医療従事者の育成・確保です。医師に関しましては、臨床研修、それから専門研修を実施する体制の確保はもちろんですが、NHOのネットワークを活用した各領域の専門性に秀でた指導者が講師となるような研修、良質な医師を育てる研修等について実施しています。
24ページです。看護師のキャリアパスに関する制度につきましても充実を図っています。例えば看護実習の受入れの際、より質の高い教育実習、教育や指導が行えるような実習指導者講習会を実施しています。この講習会の開催に当たりましては、カリキュラム等の追加やeラーニングの活用で、より多くの看護師が受講できるような環境の整備をしておりまして、実際に受講者数の増に貢献しています。また、右側を御覧ください。質の高い医療やタスク・シフトに資する特定行為が実施できる看護師を養成するための機関、これは特定行為研修指定研修機関ですけれども、この拡充を令和6年度につきましても進めています。令和6年度は4病院増えて42病院でした。これは全国の指定医療機関数の9.1%に当たる数です。また、受講に関して、研修中の人的補填をするということで、病院が職員を受講させやすいような環境整備を、質の高い看護を提供するための人材育成支援モデル事業として実施していまして、受講環境の整備等を進めています。
○国立病院機構企画部長
続きまして、25ページです。評価項目2-1、業務運営等の効率化について御説明いたします。困難度は「高」、自己評価はBとしています。具体的な実績の御説明は次の26ページですが、指標の達成状況につきましては、経常収支が前年度以上の項目は達成度50.7%、病床利用率の改善は達成度177.8%となっています。前者の経常収支の指標につきましては、その下の要因分析に記載していますが、外部要因といたしまして、医療の提供による収益は増加したものの、物価高騰に伴う材料費、委託費、また、基本給の引上げによる給与費の増加影響がありました。また、病院団体の調査結果を見ましても、全国的に赤字病院の割合が増加している状況にあります。本項目は困難度「高」と分類されており、また、もう1つの指標である病床利用率につきましても目標値を上回っているところで、こうした状況を総合勘案いたしまして、自己評価はBとしています。
具体的な内容につきまして簡潔に御説明いたします。27ページを御覧ください。左側の2つ目の丸ですが、新たに経営改善推進委員会を設置いたしまして、メンバーには経営状況の良好な病院の院長や外部有識者にも御参画いただいて、各病院のKPIの達成状況を踏まえた個別の助言等を実施しています。
28ページです。経常収支につきましては、救急車の受入数・手術件数、病床利用率等が増加いたしまして、医業収益は前年度より246億円増加いたしましたが、コロナ補助金の廃止の影響、また、物価高騰の影響等により、費用の増加が収益の増加を上回り、経常収支は375億円、医業収支は408億円の赤字と厳しい結果となりました。
続いて、このページの右下の丸ですが、近年の医療を取り巻く環境変化を受けまして、2040年に向けた法人全体の運営指針として、昨年12月にNHOビジョンを策定いたしました。次のページにポイントをまとめています。①質の高い医療、臨床研究の推進、②働きやすく働きがいのある職場づくり、③健全な経営に向けた改革等を記載しています。また、その下に記載しておりますとおり、ビジョンに基づく経営改善総合プランは本年2月にまとめていまして、右側にありますけれども、病院種別ごとのKPIや経営改善手法リストなどに基づいた個々の病院の経営改善に取り組むこととしています。
1ページ飛ばしまして、31ページを御覧ください。評価項目3-1、予算、収支計画及び資金計画につきましては、自己評価Bとしています。具体的には32ページですが、長期債務については約定どおり償還いたしまして、年度末の長期債務残高は4,305億円となっています。また、その下、第4期の中期目標期間の積立金の国庫納付につきましても、昨年度、206億円を納付いたしております。次の33ページには前年度と比較する形で、令和6年度の経常収支の状況をグラフでお示ししています。
34ページです。評価項目4-1、その他の事項につきましては、自己評価Bとしています。具体的な実績の説明は35ページですけれども、医師の確保につきましては、新たにクロスアポイントメント制度を開始しているほか、看護師の確保対策は左下にありますけれども、指定校からの推薦採用枠による採用制度の創設等を行ったところです。また、右側、看護師の離職防止策等についても定着促進に引き続き取り組み、令和6年度の離職率につきましては、全国の病院や看護実態調査と比較しまして、NHOのほうが低いという結果となっています。
続きまして、36ページです。左側の3つ目のポツですけれども、今後の建物・医療機器・ITへの投資方針を本年2月に策定するとともに、要綱を改正いたしました。単純更新等につきましては事務の効率化、迅速化を行ったほか、大型医療機器への投資につきましては、経営状況に応じたインセンティブを付与する変更を行っています。このページの右下の情報セキュリティ対策の強化につきましては、令和6年度に総合情報ネットワークシステムの大規模更改を実施しています。駆け足になりましたけれども、令和6年度の業務実績の説明は以上です。
○土岐主査
ありがとうございました。それでは、令和6年度の実績評価について、委員の先生方から御意見、御質問を頂戴したいと思います。Webの方は、Webのシステムで挙手していただいて、現地の方は手を挙げていただければと思います。よろしいですか。河村先生どうぞ、よろしくお願いいたします。ちょっと音が聞こえていないです。
○河村構成員
声は聞こえますか。
○土岐主査
ちょっとまだ音が小さいのですが、もう少し大きく。
○河村構成員
これで聞こえますか。
○土岐主査
聞こえます。
○河村構成員
大丈夫ですか。すみません。御説明くださって、ありがとうございました。例年のことではありますが、外部の環境が厳しい中で重責を果たして、全国各地のNHOの病院で果たしてくださっていることが大変よく分かりました。幾つかコメントと、財務の所は幾つか御質問をしながら意見を言わせていただければと思います。
まず、コメントなのですが、昨年の評価の席でも縷々申し上げましたが、5ページ、6ページの辺りで御説明くださいました虐待防止の辺りはいろいろ御対応くださっているようで、報道等でも出ておりますし、一定の評価はできるのではないかと思っております。相互チェックということで、同じようなセーフティネット医療をやっていらっしゃる病院同士で相互チェックなどをやっていただく、そういうのがきっと実効性も上がるのではないかという気もいたしますし、是非、前向きにお取り組みをお願いしたいと思います。
ただ気になるのは、大牟田病院さん、今年4月などにまた不祥事案というか、不祥事がありましたね。報道もされておりますね。やはり、そういう事案がなくならないことを大変残念に思います。これだけ大きな、世間で騒がれた事件がありながら、虐待とまた全然別の事案だと思いますが、個々の職員の問題というように片付けていいことなのかどうかと思っており、その辺を是非、もっと徹底をお願いしたいと思います。これはコメントです。
次のコメントは評価についてです。21ページの教育研修事業も引き続き熱心に、前向きにお取り組みくださっているのではないかとは思うのですけれども、指標がすごく高いものと120%を切っているものもあったりしますので、A評価でいいのかなという気もいたしますが、ここはやや微妙かな、Bかなという感じがしなくもない気がいたします。これもコメントです。
次からは、25、26ページの業務運営等の効率化で、幾つかお尋ねさせていただきながら意見を言わせていただきたいのですが、まず、26ページの指標が2つあると思うのですけれども、上に書いてある経常収支の指標です。目標値は、コロナ関連の補助金を除いた経常収支を前年度以上ということは、前年度がマイナス190億円だったから、それよりも少しでも改善する目標というように、金額ベースでの目標を立てていらっしゃると理解いたします。実績は残念ながらマイナス375億円だったと。それに対して、なぜここで達成度というパーセントの数字が出てくるのかなと。この50.7%の意味がよく分かりませんので、御説明いただけないでしょうか。
○土岐主査
いかがでしょうか。
○国立病院機構企画部長
お答えいたします。こちらの数字については、例年どおりの計算ですが、実績値と目標値の差を取って率を出したものでお出ししております。それにどういう意味があるのだということについては、先生にコメントを頂きましたが、基本的に例年どおりに数字としてはお示ししているということです。
○河村構成員
どういうことですか。マイナス375ということは、赤字幅が悪化してしまったわけですよね。
○国立病院機構企画部長
御指摘のとおりです。
○河村構成員
要するに、マイナス190億を少しでも良くしようと。例えばマイナス180とか、マイナス100などにできればもっといい、いや、本当は最終的には経常収支ベースでの収支均衡が目標のはずですよね、最終的な目標は。そうならないで、改善するどころか悪化してしまったわけですよね。しかも、絶対値の幅で見ると、ほとんどダブルスコアに近い感じで悪化してしまったわけですよね。なぜ達成度が50.7という数字が出てくるのですか。全く理解できません。NHOさんの場合は、経常収支率が目標ではないですよね。ここにお書きになられているとおり、金額が目標ですよね。
○国立病院機構企画部長
そうですね。
○河村構成員
経常収支の金額ですよね。だから、去年が補助金を除いてマイナス190億だったのだから、それよりも少しでも改善できるように、毎年度少しずつでも改善できるようにという目標が立てられているということですよね。なぜこんな達成度なんて、何をどう計算したのですか。意味があるのですか。全く改善せず悪化、しかも、非常に甚だしい悪化なのではないですか。絶対値ベースで。
○国立病院機構企画部長
お答え申し上げます。先ほど先生からダブルスコアとおっしゃっていただきましたが、正に目標値190億円に対して実績が△の375ですので、そのダブルスコアというのが達成度の50.7%に計算上表れているということです。赤字額が非常に大きくなっていることについては、非常に深刻に受け止めており、経営改善に努めてまいりたいと考えております。
○河村構成員
それに対して、こちらから意見を申し上げますが、赤字幅がほとんど倍近い形で拡大したと。目標の達成に向かっていないですよね。逆行していますよね。それも、甚だしく。金額ベースで目標値を設定されている以上は、今おっしゃったような意味で、ここに達成度でパーセントを書く意味はないのではないですか。ほかの数値の定量指標に比べれば、50.7%というのは目標の半分は達成できたのかというように見えますよね。ほかの定量指標だったら、何とかで100人達成するというときに、50人しか達成できなかったら達成度50%となるわけです。でも、ここは全然意味が違いますよね。ですから、正直申し上げて、ここにこういう達成度の数字をお載せになることは、おかしいのではないかと思います。
もう1つの定量指標があって、病床利用率が改善した病院数が目標値の54病院以上、96病院で多かったからということなのですが、これも結局NHOさんの機構全体としての財務状況、コロナ危機が過ぎ去った後でどうなっていくのかを考えたときに、改善させることが大目的で出された指標でしょうから、最終的に出てくる経常収支がこんなに悪化しているのに、54病院が96病院だからといって、そこを大きくプラスでカウントするのも正直、どうなのかという気もいたします。
その上で、もう1つ御質問させていただきます。NHOさんは病院数も多くて、いろいろな所を抱えていらっしゃると思うのですが、昨年度と今年度、令和5年度と今回の評価対象、6年度を比べたときに、黒字の病院数と赤字の病院数がそれぞれどう変わったのかをお教えいただけませんか。昨年度黒字だった病院数が幾つあって、それが今年度もみんな黒字を維持できたのかどうか。それから、昨年度赤字だった病院数が今年度も赤字なのか、それとも黒字に改善したのかというところを数字としてお話いただきたいというのが1つです。
もう1つは、大牟田のようなセーフティネット系の病院が幾つかおありになりますよね。ほかの病院に比べても経営面でいろいろ大変でいらっしゃるのは重々理解できるのですが、一般病床が中心でいらっしゃる病院と、セーフティ系の病院とで、今度は金額ベースでお答えいただきたいのですが、一般病床中心の黒字の病院が稼ぎ出していた黒字額、今度は金額のほうでおっしゃってください。経常収支だけで結構ですので、金額が令和5年度から6年度にどう変わったか、赤字が令和5年度から6年度でどう変わったか。そして、セーフティ系中心の病院についても、黒字の金額が昨年度から今年度はどう変わったか、赤字の金額が昨年度から今年度にかけてどう変わったか、まず数字をお答えいただきたいと思います。
○国立病院機構企画部長
お答え申し上げます。まず、黒字の病院数です。経常収支については、令和5年度は52病院が黒字でしたが、令和6年度は22病院の黒字に減少しております。医業収支については、令和5年度は19病院が黒字でしたが、令和6年度は18病院に減少しております。続いて、一般病院とセーフティ病院に分けて、今度は金額の黒字額、赤字額ですが、一般系の病院については、経常収支の令和5年度の黒字病院の黒字額が120億円であったところが、47億円に減少しております。赤字病院の赤字額ですが、令和5年度が約149億円であったものが、令和6年度には約280億円に赤字が増加している状況です。
セーフティ系の病院について申し上げますと、黒字病院の令和5年度の黒字額が19億円弱でしたが、8.7億円ほどに減少しております。セーフティ系の赤字病院の赤字額ですが、令和5年度の赤字額が103億円弱でしたけれども、令和6年度には172億円に赤字幅が拡大しており、こうした数字をトータルした結果、先ほど申し上げた経常収支、また医業収支の赤字の数字になるということです。
○河村構成員
ありがとうございました。お尋ねした中で、ちょっと抜けていたかなというのは、全体のベースでの赤字の病院数が昨年度から今年度にかけてどうなったか、もう一度数字をおっしゃっていただけますか。
○国立病院機構企画部長
失礼いたしました。申し訳ございません。全体の赤字病院の数ですが、令和5年度は経常収支で87病院でしたけれども、令和6年度は117病院に増加しております。医業収支ベースで見ますと、赤字病院は令和5年度が120病院であったものが、令和6年度は121病院に増加したということです。
○河村構成員
ありがとうございます。今、伺った数字を拝見すると、これだけたくさん抱えていらして、病院によってもともと黒字の所と赤字の所があるのは、ある程度仕方がないとは思うのです。でも、1年間の変化をいろいろ見ると、やはり黒字の所がだんだん稼げなくなってきていると。黒字だったのに、そのまま黒字を維持できている病院が減ってきてしまっていることが分かると思います。それから、一般病床中心の所とセーフティ病床中心の所で黒字幅、赤字幅の数字を御説明いただきましたが、セーフティ系はもちろん前々から大変でいらっしゃるけれども、どうもセーフティ系だけが足を引っ張っているということではないようですよね。先ほどおっしゃっていただいた数字のとおりだと思いますので、一般病床中心の所でも赤字幅が大きく拡大してしまっているということは、全体としてこれからどのようにやっていくのかを、もっとしっかりお考えいただかないといけないのではないかと思います。
先ほども申し上げましたが、病床利用率の改善病院数が54の目標のところ96に改善したからといっても、最終的な経常収支の結果がこれだけ悪くなってしまっているということは、相当深刻に受け止めなくてはいけない事態だと思います。外部環境、物価高はどこの病院でも大変でいらっしゃると思います。ただ、全国的な状況などにお書きになっていますが、同じ厚生労働省所管の独立行政法人としてやっていらっしゃる病院の中で、同じ厳しい環境の中で財務を改善方向に向かわせていらっしゃる所だってあるのです。そうすると、NHOさんだけは例外でということには決してならないと思います。
まず1つ意見として申し上げます。ここの評定なのですが、困難度「高」が付いている項目ではありますが、自己評価Bとされていますけれども、経常収支の目標マイナス190億円よりも改善というところがマイナス375億円になってしまっていることを鑑みると、参考資料2に独立行政法人の評価の基準がありますよね、C評価を付けるのだったら、やはり全体の8割ぐらいは目標を達成できていなければいけないということなのですが、正直申し上げて、そこにはとても相当するとは思えないと思います。ですから、そのまま実際の裸の状態で評価すれば、これはD評価相当なのではないかと。それで、困難度「高」が付いているから、だったらC評価に上げることはできると思いますが、評価としては、私の意見としてはC評価が妥当ではないかと思います。
最後に、これに関連してもう1つお尋ねしたいのですが、これだけ赤字になってどうなさるおつもりなのですかというか、繰越欠損を抱えていて、国立病院機構さんの今後の経営に、結局、自力で返してくださいねと国のほうから言われると思うのです。一体これからどうなさるおつもりなのか、特別会計に戻るおつもりですか。コロナ危機のときに、あれだけの赤字になったのは仕方がないから、国から給付金を出してもというのは国民の総意だったと思いますが、そうではないときまで、お金が足りなければ幾らでもNHOにお金を出しますよという考え方は、国民全体としては思っていないと思います。そういう中で、これだけの赤字幅を一体これからどのようにやっていらっしゃるおつもりなのか、そこを最後にお尋ねしたいと思います。
○国立病院機構企画部長
お答え申し上げます。経営状況は非常に厳しい状況です。そうした中で、昨年度は経営改善総合プラン、先ほど御報告いたしましたが、策定して、各病院ごとに一つ一つの病院の状況を分析して、本部からしっかり支援をして、収益の向上、また費用の抑制に努めていくことを丁寧にやっていくしかないということがあります。全体の資金の状況については、昨年度は赤字幅が拡大したところではありますが、法人の資金としては、立ち所に負債の返済が困難になるという状況にはありませんので、早急に経営の改善を進める形で、安定的な運営をできるように努力してまいりたいと考えております。
○河村構成員
分かりました。たくさん病院を抱えていらっしゃると思うのですが、全体として、どれだけ経営改善をしなければいけないかという認識の共有がどこまでできているのかという感じがいたします。こういう財務の数字は、ある意味、経営状態全部が最終的に出てくるものなのではないですか。私は厚労省の委員会だけではなくて、総務省の政独委にもいましたし、他府省も含めて独立行政法人の経営をずっと見てきていますが、組織全体として目標を皆が共有して、風通しのいい中で、不祥事などが出ない中で運営できている所は、自ずと結果として財務も少しずつ改善していくと思うのです。そのように思います。ですから、是非そういうところにもっと御尽力いただけないかと。これまで本当に大変な中でやってくださっているとは思うのですが、こういう厳しい結果が出ている以上、御尽力いただけないかと思います。長くなってすみません。以上です。
○土岐主査
ありがとうございました。法人のほうもよろしくお願いいたします。そのほかの委員の先生方から御質問はございませんか。では私から、最初に、病床を大分減らしたということで、今回831床、2%ほど減らしたということなのですが、一般病床の中でも普通の急性期やセーフティネットの病床なのか、都市部なのか地域なのか、国も減らしていくようにという方針だと伺っておりますけれども、その辺りの状況は分かりますか。急な話で申し訳ございません。
○国立病院機構医療部長
精緻な内訳については、後ほど確認させていただいた上で、改めて御回答申し上げたいと思います。例えば、病床利用率が十分ではない中で、適切な病院運営をある程度地域のニーズに応えながらという点で申し上げれば、一般病床もあるかと思いますし、精神病床など、そういったところもあります。地域か都市部かの偏在ですが、先ほど申し上げたように、必ずしも所在によらないところはありますが、そうした病床利用率に応じて地域の病院で判断しているところです。内容については、この場で手元にデータがありませんので、確認させていただきます。申し訳ございません。
○土岐主査
結構です。今後もどんどん病床は減らしていくという方針でよろしいのでしょうか。確かに病床を減らしたり、病院の統合を進めていくなど、そういう集約化がある程度必要かと思いますが。
○国立病院機構理事長
病床の規模、病院の機能については、これから正に地域医療構想を踏まえて、全体に考えていかなければならない問題だと考えておりますが、一般的には恐らく病床が減る方向で考えざるを得ないだろうと思っております。というのは、先ほど来お話がありますように、病院によって病床利用率等も変わってきておりますし、何と言っても、地域によっては患者さんが、人口が減っている地域もありますので、そういう所を中心に減らしていくことが、ひいては地域医療構想の実現、また地域の住民に対する適切な医療の提供ということで、妥当なのではないかと思っております。結果的にはいろいろな構想を受けて、内部的にも検討してまいりますが、減らす方向となろうかと思っております。まだ何床減らすかなど、具体的なところまでは各病院ごとの検討が必要で、そこまでは至っておりませんが、そういう方向で考えていかざるを得ない状況、考えるべき状況と思っております。
○土岐主査
ありがとうございます。オンラインのほうで荒牧先生、どうぞ。御質問、よろしくお願いします。
○荒牧構成員
荒牧です。御説明ありがとうございました。私のほうから1点、確認というか質問と、1点、コメントを申し上げます。まず、13ページの災害時における事業継続計画ですが、要因分析を拝見しますと、NHOの防災業務計画で訓練の実施について規定したとか、そういった説明が書いてあります。それによって目標値28病院のところ100病院以上が対応したので、達成度が378%と異常値と言っていいくらいの高い割合になっている。ここの解釈ですけれども、外部要因となっていますが、外部要因というのは私個人の解釈ですと、例えばマイナ保険証がうまくいかなかったとか、外部的なもので自分たちのコントロール不能な部分に起因するものであると思います。このBCPはNHO御自身の規定の変更というか取決めであって、決して何か外部の要因によってこうした変動が生じたとは、ちょっと読み込めなかったのです。
逆に言うと、1つ確認したいのが、自分たちのルールとしてBCPの訓練の実施を規定したのであれば、これは義務が生じるのかどうかというところです。今、28が100何病院に増えたということですが、もしこれが規定に基づく義務であるとすると、管轄している全ての病院が対象になるのではないか。その場合は、今回の106病院の実施自体も100%ではない状況なのかどうかを、まず確認したいと思っています。つまり、これによって完全な義務として規定されたことを遵守するという意味合いで、この指標が位置付けられるとすると、これまでのように任意で28病院がやっていたのが増えたから達成したという問題ではなく、その位置付けそのものが変わってくるので、そもそもこの目標値をどのように設定するのか。そもそも全社が必ず義務としてやらなければならないのであれば、指標としてここに置くこと自体も必要なのかどうか。要は実態に合わせて来年度以降の目標設定を、より適正なものに変えていく必要があるのではないかというのが質問と確認事項です。
もう1点は、細かい点ですが、22ページで地域住民を対象とした研修会をやっています。これは他の法人でも申し上げたのですが、法人の努力として開催件数を増やすこと自体は、もちろんこれはこれですばらしい成果だと思いますけれども、目標として地元住民のいろいろな知識の啓蒙活動とか、そういった目的を確認する成果ですね、アウトカムとしての確認をするのであれば、こちらの一方的な実施件数という定量的な目標以外にも、恐らくアンケートといったものも取られていると思います。そういった反応で、今後のより良い研修会の内容、質的な改善といったものに向けたフィードバックなど、そういった双方向での質的な評価も今後、加味していただけると、件数だけではない、より実のある評価につながっていくのではないか。これはコメントです。以上です。
○土岐主査
いかがでしょうか。
○国立病院機構医療部長
1点目のお尋ねについて御回答申し上げたいと思います。まず、法人の努力の結果と外部要因でBCPに関する所ですが、我々の防災業務計画の中でBCPに基づく訓練を実施することを規定してございます。当然、病院に関してはこれにしっかり取り組んでいただくことが前提になりますので、ペナルティが直ちにあるものではありませんけれども、義務的なものでございます。
ここに外部要因という形で書きましたのは、NHOの病院は病院ですけれども、一部は障害福祉サービスの事業所になっています。そういった所では、令和6年度の報酬改定でこれを行うことが運営基準に求められたこともあり、合せ技という形で②と③を書かせていただきました。当然、これが義務的なものであれば目標値がこれで適切なのかというのは御指摘のとおりかと思いますので、これは確認したいと思います。我々はこの実施状況を確認いたしまして、4病院についてはこれが十分できていなかった所がございましたので、それが把握でき次第、直ちにやるように、病院については日時を含めて確認をして早急に行うように指示したところです。ですので、次年度以降どうするかというのはそもそも評価をどうするかというところに、少し目標の設定の仕方として関わるところかと思いますので、検討させていただきたいと思います。以上です。
○荒牧構成員
ありがとうございます。今の点の御説明で状況を理解しました。その場合、③の外部要因より、むしろ①の制度の変更に近いのではないかという気がしたのですが、ここは外部要因のままですか。
○国立病院機構医療部長
これも外部、確かに①のほうが適切かもしれません。
○荒牧構成員
どちらかというと。
○国立病院機構医療部長
外部ではありますけれども、そもそも障害報酬制度という制度改定によるものと考えれば、①のほうが適切かもしれないと考えています。
○荒牧構成員
そうですね。本当の外部環境というのは、アンコントローラブルなものかなと思っています。自ら設定した制度に基づく病院数の増加ですので、むしろ①のほうが適切かなと思います。
○土岐主査
ほかに。三角委員からどうぞ。
○三角構成員
三角でございます。前期から申し上げているのですが、私、済生会ですけれども、ちょうど済生会の規模はNHOが倍ぐらいなので、済生会のデータと比較しながらいつも考えさせていただく機会を頂いていると思っています。その意味でお話をしますけれども、先ほど河村委員が収支に関して非常に厳しいコメントをされていたので、ほかの団体はどうなのかというのがあります。もちろん良い団体もあるのですが、実は済生会も昨年度1年間の経常収支に当たるもので言うと、済生会は83病院なので規模として約半分なわけですが、270億円の赤字でした。公表されているデータなのでお話してもいいと思いますが、同じような公的医療機関の日赤はどうだったのか。我々はいつも日赤を標準に考えて比較していますけれども、日赤が確か450億円ぐらいの赤字であったと記憶しています。
先ほどデータの中でも出てきましたが、日本病院会を中心とした4病協が収支の状況を分析して、これが多分、一番新しくて正しいデータかなと思いますけれども、69.9%の病院が赤字であったという話です。そのサブ解析の細かい所を見ていると、病院の機能として高度であったり、そういった医療を行っている所ほど、100床当たりの赤字という意味で言っても赤字が大きい。だから療養や回復よりも一般床、より高度なことをやっている所が赤字幅は大きい。それから、規模が大きい病院ほど、実は100床当たりに換算しても実際に赤字幅は大きい。もしかしたら地域によっても、その辺は違いが明らかにあるだろうと思います。その辺りを考えると、例えば日赤と済生会の違いは、日赤は91病院ですけれども、その違いは何かと言うと、そういった病院のディストリビューションというか、どういった規模や機能の病院がどこにあるか、その辺の違いなのかなと思います。
そうやって考えると、NHO全体のこの数字というのは、もちろん個々の努力をもっとすべきであるという御意見は本当にもっともだと思いますが、この外部環境の中ではある程度、これは努力しなくていいと意味で言っているわけでは決してないですけれども、仕方のない部分が非常に大きいのではないかと考えます。もちろん、今年度は来年度に向けてそれを少しでも減らしていく努力はすべきだと思いますが、基本的にはなかなか簡単にいくことではないと思います。それが1つです。
どうですかね。何をするというのは先ほどからお答えの中でもあったかと思うので、個々の分析をして改善できるところは改善する。例えば稼働率の悪い所で単価の低い所はベッド数を削減していくとか、個々の努力というのも、それぞれの病院に対してNHO全体として指導していくというのは非常に大切かなと思うので、今後もしっかりやっていただきたいと思います。
自己評価がCとかDであるべきだと、ちょっと厳しい意見が河村委員から出ましたけれども、その辺はどこが正しいのか。ある程度は今回の数字、先ほどのパーセンテージで表すというのは確かにすごくおかしいなと自分も思いますが、この絶対値がそれだけ厳しい評価を本当にすべきかどうかは、自分としては厳しすぎるかなと思います。以上です。
○土岐主査
どうぞ。
○川原構成員
川原です。御説明ありがとうございました。今、三角構成員から病院の経営状況についてお話していただいたことは、私も全くそのとおりだと思っています。令和6年度の診療報酬改定において、物価高騰は付いていないとか、人件費の部分もベースアップ評価料と紐付けというところだったり、また次の令和8年度の改定でどうなるかは、非常に大きなポイントではないかと思います。ただ、とはいえ、細かいところも含めてきちんと取っていくというのは、非常に大事なのではないかと思っています。
まず1点目ですが、13ページでマイナ保険証の利用率が18.3%ptというお話がありました。これはマイナ保険証の機械を全ての病院で置いているかどうかという辺りを教えていただければというのが、1点目です。
2点目ですが、27ページで、ベースアップが定期昇給を除いて2.9%アップしましたというお話がありました。これに関連して、診療報酬の中でベースアップ評価料を取っている病院が、140病院中何病院ぐらいあるのか教えていただければと思います。
3点目ですが、36ページに関わるのですけれども、今、建て替えというのが病院にとって非常に大きな課題と思っています。建築コストの高騰といったところで建て替えができないといった病院の話を民間でもよく耳にしています。そこで、国立病院機構の中で老朽化している病院の割合を教えてください。やはり国立病院は地域の中で一番中心にある病院だと思いますし、そこが建て替えできずに医療提供の継続は困難だといった辺りは一番避けなければならない部分だと思いますので、老朽化している病院の割合と、それに対して今後、方針みたいなものがありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○国立病院機構情報システム統括部長
マイナ保険証の関連ですけれども、既に一昨年中に140病院全て機器の導入を行っており、利用したいという患者については、利用できる状況を確保しております。その上での追加の努力ということです。
○国立病院機構支援部長
支援部長です。2点、お答えをさせていただきます。ベースアップ評価料については140病院全てで取っています。あと、建物の老朽化につきましては築40年を超える病院が外来棟で74病院、全体の53%になります。病棟のほうですが、33病院、全体の24%が築40年を超える数字になっていますけれども、参考までに申し上げますと、病棟のほうで病床数で言うと10%程度となりますので、例えば病院の中で何棟か建物がございまして、1棟だけ建て替わっていない場合についても1病院とカウントしています。なので、全体としては先ほど申し上げた数字になっています。以上です。
○川原構成員
ありがとうございます。今後の方針で何か。
○国立病院機構支援部長
建物整備ですが、病院の建物は一応、65年は躯体が持つように設計の段階でしています。ただ、中の配管等も含めて定期的に手を入れていきませんと長く持ちませんので、そういう所の費用はかかっていくことになろうかと思います。今、機構全体の財政状況も厳しいので、まずは経営の良い所で老朽化している、若しくは建て替えが必要だといった所を中心に進めているところです。
○川原構成員
ありがとうございます。
○土岐主査
ありがとうございました。お願いします。
○根岸構成員
根岸です。よろしくお願いいたします。医療を取り巻く環境が大変厳しい中で令和6年度も様々な事業展開をしていただきまして、本当にお疲れさまでございます。私のほうから幾つか質問させていただきたいのですが、まず、4ページのクリティカルパスの御報告があったかと思います。途中で中断したケースを除いた結果、100%を下回ったということですけれども、その中断というのはどういう理由なのかを、まずお聞きしたいと思います。
続いて5ページです。患者の目線に立った医療の提供ということで、患者経験価値・満足度調査、これは例年実施していただいていると思います。結果としては高水準であったという御報告ですけれども、それを基に昨年、ガイドブックを作成して事例を掲載しているということですが、一患者としてどんな事例が取り上げられているのか。簡単で結構ですから、結局、そういった患者さんの目線に立つということはとても重要なことだと思いますので、発表していただきたいというのが2つ目です。
もう1点、7ページになりますが、特定行為研修修了者の御報告があったかと思います。数的には随分順調に増加していて、それなりの活躍をしていらっしゃるのだろうなと思っていますけれども、もう1つ、その上にJNP、ナース・プラクティショナーのことが書かれています。このNPの方たちもタスク・シフト/シェアを進める上で役割が大変大きいと私は思っていますが、ただ、養成するのにはそれなりの期間がかかりますし、大学院を修了しなければということも背景にあるだろうと思っています。このNPに対する期待というのはどんなふうに考えていらっしゃるのか。それから、もう修了者が配置されているとすると、どういった分野での配置になって何名ぐらいの方が今、活躍しているのかを教えてください。それが質問です。
それと、これは私の感想になりますけれども、大変厳しい経常収支という御報告がありました。もちろん、赤字の施設をそのままというのは大変問題があると思いますけれども、その一方で、今日の御報告を伺っていて本当にNHOの役割、例えばセーフティネット分野の医療であるとか、あるいは地域医療の中での医療的ケア児の支援、これは現場で大変に苦労されている大勢のお母さんたちを私も存じ上げています。そんな中でNHOの果たす役割というところで、もちろん赤字を放置してということではないですが、ただ、NHOが果たしている機能、役割といったところには本当に期待をし続けたいと思いますので、そこのバランスと言いますか、今後も是非、改善しながら継続して頑張っていただきたいと思います。以上です。
○土岐主査
よろしいでしょうか。
○国立病院機構医療部長
今、3点、御質問を頂きました。まず、クリティカルパスを離脱した中断の理由ですが、これは個別に病院の集計をしているわけではありませんけれども、病院から話を聞く限りでは、高齢化が進んで複数疾患が重なっている方が多いために、どうしても入院中に予期しなかった、あるいは標準的には起こらないはずの何かが起こるリスクのある方が多くなっていて、その結果としてパスから離脱する方がいると聞いています。これは恐らくこれからも出てくる課題だとと思っています。
2点目、患者経験価値・満足度調査の結果の共有事例ですが、これは渋川医療センターの取組を共有しています。看護師の質が好ましくないという声があったものを、調査の結果を活用しながら問題点を改善したというところがございます。具体的には、調査結果を基にナースコールラウンドを行ったり、啓発ポスターを掲示したり、病院としてナースコールの応答時間を自ら調査したりといったことを渋川医療センターで行い、それを取組事例として各病院に周知したものです。
最後、JNPについてです。養成人数、配置数は確認させていただきますけれども、これは先生がおっしゃったとおり、大学院を修了して全ての行為が実施できる方ですので、正にこれから医師の働き方改革とか、あるいはタスク・シフト/シェアなど専門性を発揮しながら医療の量あるいは質を落とさないという点では、非常に重要なものと考えています。実際に各病院ではJNP、特定行為研修修了者が場合によっては共存する形になっていますけれども、基本的にJNPは診療部に所属していて、NPは看護部に所属しながらやる形になります。
働く場面ですが、これも病院の特性、あるいはどういった方がどれだけいるかによるのですが、例えば特定行為研修修了者であれば病棟、外来、手術室などに配置される例が多いわけです。一方で、JNPに関しては特に病棟で病棟の患者管理を行っている形と聞いています。冒頭に申し上げた人数で申し上げますと、今、診療看護師については131人養成されていまして、一番多く配置されている診療科は救急科、次が総合診療科という内訳になっている状況です。以上です。
○根岸構成員
ありがとうございました。
○土岐主査
本田委員、どうぞ。
○本田構成員
本田です。私も2、3、意見を申し上げたいと思います。まず、この厳しい環境の中で地域医療を担ってくださっていることに関し、国立病院のネットワークが、災害とか感染症が今後もあると思われる中で貢献してもらえると期待していることは、まず申し上げたいと思います。
その上で、もう既に各構成員の先生方が様々な質疑をされた中で、伺いたかったこともほとんど伺えているのですが、意見として申し上げたいと思ったのは、1つは、河村構成員がおっしゃっていた26ページの赤字の経常収支の達成度というのは、計算の仕方がよく分からないなと私も思っていたら、河村構成員が明確におっしゃっていて、確かに一般的に見ると半分達成したと見えるので、これは出し方を変えていただいたほうがいいのかなと思います。単に赤字額をちゃんと出すということ。あとは、既にやり取りの中で回答いただいていますけれども、赤字もばらつきがすごくあると思いますので、どれぐらいの所がどういうふうにばらついていて、先ほどもおっしゃったように、病院会などの調査では高度医療の所、大規模の医療を担っている所ほど今は赤字が厳しい。インフレや人件費などいろいろあると思いますが、そういう要因の分析も、もう少し我々に分かるような感じで出していただけたらよかったと思いました。
ただ、この赤字幅をどう理解したらいいのかという部分について、地域医療を担っていってもらうために病院がちゃんと存続できるかどうかは地域住民、国民にとって重要なことだと思っていますが、今の赤字の額がどうこうというのは私などには判断しづらいところです。ただ、これは日本全体の構造問題ではないかと考えていて、もちろん、努力をしないでいいというわけでは全くないのですが、この構造問題をどうしていくかという中で、今後、地域医療構造で各地域で本気で考えていかなければいけないと思っています。そういう中で、NHOの各病院が地域の中でどういうふうに役割を果たしていくのか。その中でちゃんと議論に参加し、地域医療をどうするかという視点で考えたときに病床規模を削減するのか、統廃合も必要なのか、若しくは頑張らなければいけないのか。その辺りを一つ一つ、本部もきっちり明確にサポートしながら考えていく体制を是非、作っていただきたいと思っています。
1つだけ、目先のことで気になっていたのは、最近、病院が赤字の中で、大学病院などでも医療機器が更新できない。そういう現状になっている中で、むやみに医療機器をどんどん更新するのは今後、病院の再編、統合という中で、それをちゃんとやってくださいと言うわけでは全然ないのですが、その辺りの判断というのは今どういうふうにされているのか伺えればと思いました。
○国立病院機構支援部長
支援部長です。医療機器の更新につきましての御質問かと思いますが、基本的にベースとなりますのは、各病院において計画的な投資を行っていくために、機能維持や経営状況を反映した病院ごとの投資枠を本部のほうから示しています。その上で、CTなどの大型医療機器については投資についても影響が大きいので、それについては1台ごとに本部の委員会で承認を取る形で進めています。
○本田構成員
ありがとうございます。今後、本当に大きく構造を見直していかなければいけない中、それとあまり相反しないような形で、でも日々の診療が担えるようにというのはなかなか難しいと思いますが、努力を期待しています。ありがとうございます。
○土岐主査
私から今日、経営の話が多かったのでちょっとコメントさせていただきます。やはり収支もあるのですが、一番大事なのは診療規模がきちんと確保できているか、大きくなっているか。具体的に言えば、やはり救急件数、手術件数、新入院患者数、こういったものがきちんと増えていれば、その病院の先は明るいと思いますが、そういったものが余り増えていないと先は厳しいかなという気がしています。それで2%病床が減ったから、病床当たりにすれば多少増えていますが、やはり救急件数もほぼ横ばいですし、手術も1%ぐらいしか増えていませんので、是非、そういったKPIを設定していただいて、経常的にちょっとずつ増えていく、そういう目標を設定していただければよいと感じました。これはコメントです。ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、続きまして法人の監事及び理事長から年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等について、コメントを頂戴したいと思います。最初に法人の監事から、続きまして法人の理事長よりお願いしたいと思います。
○国立病院機構監事(戸田)
監事の戸田です。もう1名、藤川監事がいますが、今日、後列で御出席を頂いています。よろしくお願いいたします。
まず、令和6年度の監査結果について、御報告をさせていただきます。資料はタブレットで言いますと、資料2-4です。この3ページ目の監査報告の所で、令和6年度の監査をしました結果を取りまとめたものをお付けしています。時間の関係で本日は詳細は読み上げませんが、記載のとおりで、特に重大な問題はありません。
次に、法人の業務運営の状況について、幾つかコメントをさせていただければと思います。令和6年度においては、国から負託を受けました公的な医療機関として、後ほどコメントいただきます理事長のリーダーシップの下、自らの病院機能を維持するかたわらで、前中期目標期間から、引き続き地域医療の担い手として、様々な課題に取り組んでいます。また、法人全体の進むべき方向性をNHOビジョンとして示しまして、更には具体的な経営改善策を盛り込んだ経営改善総合プランというものを策定しています。今年はその正に実行が問われることとなるかと認識をしています。
収支については、費用の増加が大きく、経常収支は前年度を大きく下回っています。そのような医療を取り巻く厳しい環境の中ではありますが、指標の分析に基づく取組や個々の病院に対する指導、それから共同入札による経費削減等々、経営改善策を実施していました。これらは先ほど申し上げました経営改善総合プランの実行と併せまして、経営改善のために今年度も継続して取り組んでいく必要があると認識しています。
また、当機構が今後も役割をしっかりと果たせるように、各種制度の見直しなどに対しても各方面の理解を得るべく努めていく必要があると思っています。
コンプライアンスの徹底についても触れておきたいと思います。令和5年12月に発覚しました入院患者への虐待事案、こちらについては第三者委員会の調査結果を踏まえまして、当該病院における再発防止策を策定するということだけではなく、機構本部から全ての病院に対して基本的な考え方というものを示したところです。監事としても策定した再発防止策の徹底状況等を注意深くフォローすることとしていますので、特に当該病院における取組状況については、病院を訪問しまして、実地で検証してくる予定としています。
最後に今後の課題について、申し上げたいと思います。こちらは第5期中期目標期間の初年度でした昨年度と同様ですが、公的な医療機関として地域から求められる医療の提供をしっかりと継続していくこと、災害や新興感染症への備えに主導的に取り組んでいくこと、職員が安全・安心かつ意欲を持って働くことのできる環境を実現すること、医療DXへの取組を着実に進めることなど、様々な課題に取り組んでいかなければならないものと認識しています。これらの課題に対応しつつ、本日いろいろと御意見を頂きましたが、業務運営に係る改善の取組、こちらをしっかりと継続し、安定的な法人運営を行っていくということが一番重要であると考えています。監事からは以上です。
○国立病院機構理事長
理事長の新木です。本日は、土岐主査をはじめ、WG構成員の皆様方におかれましては、当機構の業務実績について御質問、御意見を賜り、心から感謝申し上げます。令和6年度も当機構は重症心身障害、神経筋疾患、筋ジストロフィー、結核、心神喪失者等医療観察法に基づく精神科医療など、セーフティネット分野の医療を着実に提供するとともに、都道府県が策定する医療計画を踏まえ、5疾病6事業、災害や新興感染症などの国の危機管理に際して求められる医療及び在宅療養支援など、地域医療の向上に積極的に取り組んできました。こうした中、令和5年度中に発生しました当機構職員による入院中の障害者への虐待事案等については、機構全体として重く受け止め、1番目に人権意識、教育研修の充実など「職員の意識改革」、2番目には「内部通報体制・システムの実効性の確保」、そして3番目として「外部の目の導入」、この3つの視点から法人一体となって虐待防止に取り組んできています。
経営面について申し上げますと、令和6年度の経営状況は救急車の受入数や手術件数、病床利用率などが昨年度より増加しており、医業収益については増加しましたが、物価高騰等の影響もあり、費用の増が非常に大きく増収減益となり、経常収支は独立行政法人以降、最悪の375億円の赤字となりました。こうした中、当機構が求められている医療を安定的かつ継続的に提供できるよう、経営改善に向けた取組も進めており、令和6年度には経営改善推進委員会を新たに設置し、各病院の経営状況やその改善の方向性を議論・検討するなど、様々な取組を行っています。
また、近年、医療を取り巻く環境が大きく変化し、安定した病院経営が難しさを増している中で、高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、法人全体としてどのような方向で病院を運営していくかを示すための指針として、当機構の院長や、また、外部の先生方にも議論に参画していただきながら検討を行いまして、令和6年12月にNHOビジョンを策定しました。その上で、令和7年2月、NHOビジョンに基づいた具体的な経営改善策を経営改善総合プランとして取りまとめました。経営改善策の実施や病院への個別支援をより効率的に行えるよう、本部組織も改編し体制を整備しました。今年度は、これを実際に実施していく大変重要な年になると考えています。
最後になりますが、当機構は将来を見据え、地域の医療需要の変化の自主的な適応や拡大する介護・福祉ニーズに対応するための在宅医療との連携等を更に進め、地域包括ケアシステム及び地域医療構想の更なる推進、人材の確保や育成、働き方改革、医療DXの推進などの実現に向けて、職員一同努力を重ね、厚生労働大臣から示されました中期目標を達成できるよう取り組んでいきます。そして、今後とも当機構の使命である医療の提供、臨床研究、教育研修を継続的に的確に果たし、我が国の医療の向上に貢献していく所存です。本日、WG構成員の皆様から賜りました貴重な御意見については、今後の当機構の運営にいかしていきたいと思いますので、引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
○土岐主査
ありがとうございました。ただいまの監事、そして理事長の御発言内容について、御質問等はありませんか。よろしいでしょうか。河村先生、どうぞ。
○河村構成員
すみません、理事長に御質問させていただきたいと思います。先ほどの質疑応答の際にもお尋ねさせていただいたのですが、やはりこの財務の問題、評価をどうするかという次元ではなくて、これだけの繰越欠損がずるずるとこれから本当に機構自身にのし掛かっていくことになってしまうと思うのです。それで、今後どのようにされていくお考えなのか、その辺りをお尋ねしたいと思います。特別会計時代、毎年2,000億ぐらい赤字を出していたと聞いています。それが矢崎初代理事長の下で収支均衡に持っていかれて、ずっとコロナが来るまで大変な御尽力でその状態を続けていらしたが、今、こういう状態です。本当に昨年に比べてこれだけ悪化してしまって、このままずるずる外部環境が厳しいからということでは、機構が本当にやっていけなくなるのではないかということを、本当に私は心配します。国の財政も本当に厳しくて、もう危なくなってきています。国債入札もショートしそうで危ないです。そういう中でどうやっていこうとお考えなのか、是非、その辺りをもう少しお考えをお伺いしたいと思います。
○国立病院機構理事長
貴重な御指摘ありがとうございます。正に機構が抱える最大の課題を御指摘いただいたものと考えています。当機構は、国民の方からの負託に応えるために、今後とも継続して医療を提供していく必要があると思っています。そのためには、財務体質の改善というのは必須、喫緊の課題だと考えています。河村構成員御指摘のように、このままずるずるといくということでは、当機構が存続し得ないという状況になりますし、また、それを外部から、国を含めた外部からの支援で解決できるだろうという期待の下で、このままずるずるとした経営を続けることは、あってはならないなというふうに考えています。そのために、当機構の収支、財務を改善するための方策として、経営改善総合プランやNHOビジョンを策定したところで、これを本当に実施していくということが、大切な今年の課題だと思っています。そのためには、構成員の先生方からも御指摘いただきましたが、この我々の改善目標が本当に現場に一人一人の職員にまで行き渡っているのかどうか、みんなが、7万人を超える職員全員が同じ方向に向かって努力する、そういう意識が醸成されているのかどうか、これがまず一番大切なところだと思いまして、一人一人に行き渡るように、現在、本部、グループ、そして病院の幹部を含めて活動をしているところです。
その上で、具体的な手法として、どんなことをやっていくのかというのが、今回の経営改善総合プランにまとめたところですし、また、それが地域の実情、地域のニーズに合っているのかどうか、これは今後、地域医療構想会議等を通じて我々自身の考え方も伝える必要があると思います。また、行政の考え方、地域医療計画がどういう方向に行くのか、これを我々の一つ一つの病院の現場にフィードバックしていく。これが重要だというふうに考えています。このような地域の関係者、自治体を含めた関係者との協働、また、我々自身の様々な収入増やコストを低減するための方策、更には病院の在り方の見直し、こういうものを合わせて今後、経営改善を進めていきたいというふうに思っていまして、このままずるずると赤字を出し続けるということは、決してあってはならないというふうに考えています。そのような方向で法人を運営していきたいというふうに考えていますので、また、先生方からの御指導、御鞭撻を賜れれば有り難いというふうに期待しています。よろしくお願い申し上げます。
○河村構成員
ありがとうございました。全国各地で本当に国民がNHOさんの病院を頼りにしています。きちんと医療が続けられるように、どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐主査
ほかにはよろしいでしょうか。それでは、以上で本WGの議事を終了したいと思います。最後に事務局からお願いいたします。
○事務局
本日は、どうもありがとうございました。今後の流れについて御連絡差し上げます。今回、御議論いただきました国立病院機構の令和6年度業務実績評価については、本日のWGにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメントなどを踏まえた上、厚生労働大臣による評価を決定します。法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表させていただきます。決定したそれぞれの内容については、また後日、構成員の先生方にもお送り差し上げますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○土岐主査
それでは、本WGはこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、御熱心な議論を頂きましてありがとうございました。また、円滑な議事運営に御協力いただきまして、ありがとうございました。以上で終了とさせていただきます。