2025年7月30日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第40回) 議事録
日時
令和7年7月30日(水)10:30~12:00
場所
中央労働委員会 労働委員会会館 講堂
出席者
石井主査、岩崎構成員、江原構成員、大村構成員、川原構成員、河村構成員、小林構成員、下山構成員、鈴木構成員、渡邊構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
定刻前ですが、皆様もうお集まりになりましたので、ただいまから「第40回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室の兼坂です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、本当にどうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。本WGの出席状況について御報告させていただきます。主査である石井先生、岩崎先生、江原先生、大村先生、川原先生、河村先生、下山先生、鈴木先生が会場での御参加になります。小林先生と渡邊先生がオンラインでの御参加になります。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本会議の資料について説明させていただきます。お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。オンライン参加の先生方におきましては、お手元に事前にお送りしております会議資料を御準備いただきたいと思います。本会議の資料は、資料1及び資料2、参考資料1から6となっております。資料の不足などがありましたらお申し付け願います。
それでは、石井先生、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○石井主査
皆さん、おはようございます。主査の石井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回は「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」につきまして、「令和6年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うことになっております。法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明いたしますので、評価の内容を中心に、皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。本会議はおおむね1時間半を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力くださいますよう、よろしくお願いいたします。
早速、議事に入りたいと思います。まず、「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」の「令和6年度業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。初めに法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから質問・応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
○のぞみの園総務部長
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。早速ですが、資料の説明をさせていただきます。資料2-1、令和6年度業務実績評価説明資料を御説明させていただきます。まず、1ページを御覧ください。こちらは事業体系の図になっております。国立のぞみの園は重度の知的障害者の自立のための支援、その調査と研究、支援者の養成や研修など、総合的に行う国立の支援施設です。中期目標、中期計画について、またその評価指標につきましても、これらの事業体系に沿って取組を実施しております。
評価指標につきましては中段からの記載になります。まず、1-1、自立支援のための取組みです。こちらは施設運営そのものになりますが、入所利用者の地域移行、高齢の施設入所利用者支援、著しい行動障害を有する方等への支援などを内容としております。1-2、調査・研究、こちらはのぞみの園のフィールドを活かした調査・研究や、その成果の発信といった目標となっております。1-3は障害者支援業務に従事する職員の養成・研修。1-4は全国の自治体や知的障害者関係施設などの求めに応じて行う援助・助言といった内容です。1-5はその他の業務として、診療所の運営、障害児の通所支援などを行っております。下段になりますが、業務の効率化又は財務内容の改善といった視点などから項目も立てております。
2ページを御覧ください。令和7年4月1日現在の施設入所利用者とサービスの概況です。まず左上から御覧ください。入所利用者の平均年齢は62.5歳、有期限の方を除きますと71.1歳となっております。平均入所期間は35.2年、平均障害支援区分は5.9です。中段を御覧ください。年齢については、60歳代以上の方が約7割を占めております。また、その下の入所期間につきましても、30年以上の方が約7割を占めている状況です。
3ページを御覧ください。評価項目No.1-1自立支援のための取組みです。こちらについては自己評価をCとさせていただいております。中期目標の内容です。①地域移行・高齢者支援、②有期限入所支援の内容は記載のとおりですが、地域移行や著しい行動障害を有する者などの有期限入所の受入れなどとなっております。これらの目標については、重要度、難易度ともに「高」と設定されております。
4ページを御覧ください。上から、指標の達成状況の一覧です。表の構成です。左から目標、指標、続いて令和5年度、令和6年度の実績値と目標に対する達成度を記載しております。指標に対する達成度は、著しい行動障害を有する者等への支援、著しい行動障害を有する者等の地域移行、医療的ケアが必要になった者への支援がそれぞれ100%を下回っております。
下段を御覧ください。達成度が80%未満である目標の要因分析を記載しております。まず上から、著しい行動障害を有する者等の受入人数についてです。目標25人以上に対して、令和6年度は10人の受入実績であり、目標を下回りました。これは③「外部要因」によるものと考えております。具体的には、能登半島地震により被災した10人を、厚生労働省の依頼に基づき令和6年3月に一度に受入れをしましたことにより、通常の受入れと地域移行のローテーションが崩れたことが要因となっております。
この地域移行のローテーションを詳しく申し上げますと、のぞみの園における著しい行動障害を有する者等の受入れの事業については、受入れするスペースや体制に限りがありますので、利用者が地域移行で退所された後に新たな利用者を受け入れるというローテーションにより実施しております。能登半島地震により被災された方々については、現在も地元の施設の再建見通しが立たず、退所の調整ができていないことにより、新たな入所者の受入れが困難な状況となっております。
続きまして、その下の、医療的ケアが必要になった者の受入人数についてです。目標4人以上に対して、実績は1人でした。これは、③「外部要因」によるものと考えております。その理由と取組状況についてですが、本事業は事業開始2年目でして、令和6年度は広報活動に努めたこともあり、7人の方から利用の相談がありました。このうち4人から申込みがありましたが、その後、受入れに向けて訪問面接や会議を開催して調整を行いましたが、この4人のうち2人については、待機中に本人の状態の変化や家族の事情により受入れに至りませんでした。また、残りの2人のうち1人については、令和7年2月の申込みであったため、次年度の令和7年度の受入れとなり、結果として令和6年度は1人の受入れとなりました。なお、本事業は令和5年度からの新しい取組で、令和6年度は初の受入れにつなげることができた実績から、目標の変更を行わないとしております。
5ページを御覧ください。評定の根拠ということで3点挙げさせていただいております。まず上から、高齢の施設入所利用者に対する支援についてです。地域移行推進のため本人などへの働きかけを行う一方で、高齢化等により最期を入所施設で迎えざるを得ない状況が進んでおります。このため、住み慣れた場所等で最期を迎えられるように、また知的障害者のターミナルケアモデルとして全国発信を行うことを目的として取り組みました。対象利用者の状態が日々変わっていく中で、意思決定支援を進めるため、ヒアリングシートの見直しやACP、いわゆる人生会議や医師・弁護士も加わるACP委員会の開催のほか、ターミナルケアに関する研修を実施しました。施設入所者のターミナルケアの実践例を令和5年度の1件から令和6年度に6件と大幅に増やし、対象利用者に痛みの軽減のための緩和ケアと、亡くなった後に行うエンゼルケアを実施しました。さらに、ターミナルケアに関わる職員に、利用者が亡くなったことによる喪失体験による悲しみなどに寄り添い立ち直りを支援できるようにメンタルヘルス対策の仕組みを構築し、思い出語り(デスカンファレンス)を公認心理師同席のもと各寮やグループホームで実施しました。並行して、職員のメンタルヘルスに関するアンケートを実施し、結果をターミナルケアの実践時におけるグリーフケアに活かしました。
中段です。著しい行動障害を有する者等の受入れについてです。令和6年度は、目標25人に対して10人の受入れにとどまりました。これは令和5年度に能登半島地震により被災した10人を一度に受け入れたことにより、通常の受入れと地域移行のローテーションが崩れたことにより、有期限入所までには至りませんでしたが、入所前のアセスメントとして4人を短期入所で受け入れました。また、退所者は、障害特性から受入れに難色を示す事業所が多い中、関係機関と密に連携し、受入先を確保しました。
3番目、その下です。医療的ケアが必要になった者の受入れについてです。医療的ケアが必要になった者について、障害の程度によらず地域で日常生活又は社会生活を営むことができるよう支援することは、困難度の高い重要な取組と考えております。令和6年度は7人からの相談があり、うち4人から申込みがあり、受入れに向けて調整を行ってまいりました。申込みのあった4人のうち2人は本人の状態の変化や家族の事情により受入れに至らず、また1人については令和7年2月の申込みであったため令和7年度からの受入れとなり、結果として令和6年度は1人の受入れとなりました。また、令和6年度は、群馬県知的障害者福祉協会保健福祉部会、高崎市相談支援事業所連携会議、群馬県内の障害者支援施設や医療機関等を訪問して医療的ケアの受入れについての説明をするなど、広報活動を積極的に行いました。併せて、のぞみの園のホームページに医療的ケアの取組について掲載するとともに、厚生労働省障害保健福祉関係主管課長会議で情報提供を行いました。
これらのことを踏まえて、重要度・困難度の高い取組を実施するとともに、効果的な情報発信に努めたことから、これらを加味して自己評価をCとしております。
14ページを御覧ください。続いて、評価項目No.1-2調査・研究についてです。こちらは、自己評価はAとさせていただいております。また、重要度は「高」と設定されております。中期目標の内容は記載のとおりですが、外部研究者と協働した研究の割合や、研究成果の発信などとなっております。その下の下段を御覧ください。指標の達成状況です。達成度は全て100%以上となっております。
15ページを御覧ください。達成度が120%以上となった目標の要因についての分析です。全ての項目において②「法人の努力結果」によるものと考えております。まず、一番上の、民間の研究助成等への応募数です。目標1件以上に対して実績3件、達成度300%です。こちらについては、調査・研究の実施体制の充実を図るため、民間助成研究に関する情報収集を積極的に行い、当法人の研究テーマに適合すると思われる複数の研究に応募しました。
具体的には、高齢期の発達障害支援と弄便行動に関する研究は「公益財団法人明治安田こころの健康財団」、また、知的・発達障害者の健康の維持、増進に関わる研究は「公益財団法人ヤマト福祉財団」に応募しました。なお、達成度300%という結果は、民間の助成研究等の情報を積極的に情報収集した成果であり、目標である1件を上回るものですが、民間助成研究の公募のテーマが、毎年度、当法人のフィールドに適したものが設定されるとは限らないため、目標の変更は行いません。
中段です。次に、各種学会等への成果の発表回数です。目標42回以上に対して実績66回、達成度157%です。実績66回の内訳は、学会発表10回、国立機関や障害福祉関係団体等研修会での講義・講演46回、学会誌及び関係団体機関誌等における掲載を10回となっております。こちらについては、ホームページやSNSを通じた研究成果の発信や様々な研究・セミナー等を実施している成果であり、目標である42回を上回るものですが、依頼のある講義・講演等のテーマが、毎年度、当法人のフィールドに適したものが設定されるとは限らないため、目標の変更は行いません。
その下です。調査・研究成果等の被活用状況の把握数です。目標4回以上に対して実績12回、達成度300%です。これは、のぞみの園が発信した調査・研究成果等の被活用状況の把握を毎月1回、計12回実施したものです。この12回については、研究者等の関心を踏まえた新年度の研究テーマの設定を行うための判断材料を得ることや、調査・研究成果のダウンロード数が急激に増加した要因を分析するために、四半期に1回に加え、把握の機会を8回追加したことによるものです。なお、研究テーマの設定については、「ホームページや研修等でのアンケート等」を通じて行うことが定着してきたことや、ダウンロード数の増加については、国が推奨するリポジトリの構築を行い、令和5年度から実際の運用を開始した結果であることなどが把握できたため、今後は頻繁な把握の必要性は低く、被活用状況の把握回数についての目標変更は行いません。
16ページを御覧ください。要因分析の続きです。調査・研究成果の被ダウンロード数です。目標5,300件以上に対して実績64,274件、達成度は1,213%です。これは、先ほど少し触れましたが、今期の中期計画目標設定後に、論文を検索しやすくするキーワードの付与など、国が推奨するリポジトリの構築・運用を行ったことが要因と考えております。目標値の5,300件を大幅に上回っております。このため、次期中期目標においては、指標における目標値又は指標自体の見直しを検討いたします。
次に、ホームページのアクセス件数です。目標31,000件以上に対して実績52,203件、達成度168%です。こちらは強度行動障害の「中核的人材養成研修」の資料を掲載したことや、国際的な調査研究の取組を新たに掲載したことにより目標値の31,000件を大きく上回ったものと考えております。
続いて、19ページを御覧ください。評価項目No.1-3養成・研修です。こちらは、自己評価はAとさせていただいております。中期目標の内容は、研修会・セミナーの開催や、参加者の満足度、実務研修生等の受入れとなっております。指標に対する達成度は、いずれも100%以上となっております。達成度が120%以上となった目標として、実務研修生等の受入れがありますので、要因の分析をしております。
一番下を御覧ください。これは、目標150人以上に対して実績220人、達成度147%となっており、これは②「法人の努力結果」によるものと考えております。こちらについては、従来から行っております「行動障害の状態にある人の支援者養成研修会」などの指導者研修に加え、厚生労働省の検討会報告書を受けて、新しく中核的人材養成研修を開始したことなどを受け、行動障害者支援に関する全国の支援現場からの関心が高まっていることが要因と分析しております。
20ページを御覧ください。評定の根拠についてです。行動障害者支援に関する実務研修については、個々の利用者支援の実践研修を通して、知識や技術を実践に活かす経験を得る機会を提供しているため、研修者の知識や技術レベルに合わせた利用者とのマッチングや、利用者一人一人の状態像の説明などにかかる業務の困難さや労力は多大となっております。そのような状況の中、目標を大きく上回る実務研修生等の受入れを行った点は高く評価できるものと考えております。
続いて、22ページを御覧ください。評価項目No.1-4援助・助言です。こちらについては、自己評価はAとさせていただいております。中期目標の内容は、援助・助言の回数、講師派遣の件数となっております。また、重要度は「高」と設定されております。指標に対する達成度は、いずれも100%以上となっております。
23ページを御覧ください。達成度が120%以上となりました講師派遣の件数に関する要因分析です。講師派遣の件数は目標140件以上に対して実績179件、達成度120%となっており、これは②「法人の努力結果」によるものと考えております。講師派遣の依頼内容については、行動障害等を有する者の支援に関することや高齢の知的障害者支援に関することが多く、派遣要請が年々増加してきている中、各障害者支援施設等の要請に応じた専門性を持つ職員を毎日の利用者への支援体制との調整を図りながら派遣しているところです。また、強度行動障害支援への関心が高まり、教育分野から事例検討会等の依頼も増えてきております。なお、感染症の流行等により、派遣依頼の数に変更が生じることも予想されるため、目標の変更は行いません。
25ページを御覧ください。評価項目No.1-5その他の業務です。こちらについては、自己評価はBとさせていただいております。中期目標の内容は記載のとおりです。指標に対する達成度ですが、達成度120%以上は1つ目の地域の知的障害者等への健康診断受診者数となっており、達成度80%を下回っている項目はありません。
26ページを御覧ください。達成度120%以上となりました目標についての要因分析です。地域の知的障害者等に対する支援ということで、健康診断の受診人数です。目標150人以上に対して実績236人、達成度157%となっており、②「法人の努力結果」によるものと考えております。こちらは、市内の日中系サービス事業所及び共同生活援助事業所へのリーフレット送付や、法人のホームページに掲載をしたこと、また、群馬県知的障害者福祉協会が主催する会議の場での説明など、各種の広報活動を行ったことにより、新規事業所や個人からの申込みにつながったものと考えております。なお、毎年の申込状況が未確定のため、目標の変更は行いません。
27ページを御覧ください。評価項目No.2-1業務運営の効率化に関する事項です。こちらについては、自己評価はBとさせていただいております。中期目標の内容は記載のとおりです。下段に指標の達成状況を記載しております。上3つの項目の目標については、第5期の最終年度となる令和9年度までの目標となっておりますが、参考として括弧書きで実績を記載しております。下の3つの項目の目標については、指標に対する達成度は全て100%以上となっております。達成度が120%以上のものはありませんので、要因分析は記載しておりません。
29ページを御覧ください。評価項目No.3-1財務内容の改善に関する事項です。こちらについては、自己評価はBとさせていただいております。中期目標は総事業費に占める自己収入率55%以上となっておりますが、実績59%、達成度107%で目標を達成しております。
31ページを御覧ください。評価項目No.4-1その他業務運営に関する重要事項です。こちらについては、自己評価はBとさせていただいております。中期目標の内容は、内部統制強化のための各種委員会の開催、情報セキュリティ対策の強化、第三者評価関連となっております。指標の達成状況については、次のページにわたって記載しておりますが、全て達成度は100%以上です。120%を超えるものは、虐待防止対策委員会の開催、感染症対策委員会の開催、情報セキュリティ職員研修会の開催の3項目となっております。
32ページを御覧ください。中段に要因分析をしております。達成度が120%となった目標の要因分析です。全ての項目において、②「法人の努力結果」と③「外部要因」によるものと考えております。まず、虐待防止対策委員会の開催についてです。目標12回以上の開催に対して、実績は20回開催しております。これは、利用者支援に当たる現場での身体拘束等の状況報告、不適切な支援への対応の在り方などについて意見交換を行い、利用者の人権に配慮した支援の在り方等について現場での取組につなげました。
次に、感染症対策委員会の開催についてです。目標2回以上の開催に対して、実績4回開催となっております。こちらは、利用者及び役職員の感染症の予防、感染症に罹患する恐れが生じた場合の対策等を協議・決定する委員会です。令和6年度は法人内における感染防止対策の情報共有に努め、コロナが5類に移行した後の対応については、基本的な感染対策を維持しながら、地域の感染状況に応じた対策を講じてまいりました。なお、この委員会の開催は毎年度における必要性に左右されることから、目標の変更は行いません。
次に、情報セキュリティ職員研修会の開催についてです。目標1回以上の開催に対して、実績は3回開催しております。こちらは、情報セキュリティの脅威や情報漏洩の最新の事例について丁寧な研修を行った結果となっております。なお、研修会の開催は毎年度における必要性に左右されることから、目標の変更は行いません。
最後に、33ページを御覧ください。こちらは、各評価項目の自己評価について一覧にまとめたものです。令和6年度業務実績評価に関する説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○石井主査
御説明ありがとうございました。それでは、令和6年度の実績評価について御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。オンラインで御参加の方も、適宜御発言ください。挙手をお願いいたします。河村先生、お願いいたします。
○河村構成員
御説明くださって、ありがとうございました。この中期目標期間の目標設定のときからお話を伺っていましたが、大変厳しいというか、こんなに高い目標で、のぞみの園さんも、もともと大変なお仕事をやっていらっしゃるのに大丈夫なのかと思っていました。それにもかかわらず、高い成果を上げられていらっしゃるということを、御説明を伺っていて、つくづく感じました。その目標設定に対することだけではなく、能登半島地震の影響などで新たな追加的な仕事が本省の依頼であったりということにもきちんと対応してくださっていて、大変高く評価できるのではないかと思います。
事前レクのときに少しビデオなども見せていただいて、ありがとうございました。ああいうところから分かるものは限られると思うのですが、本当でしたらきちんと見学に伺わなければいけないと思いつつ、あのように見せていただいて御苦労が良く分かるところがあります。
私からは、全体の評定について、幾つか評定の箇所について意見があります。全体としては、のぞみの園さんは今回に限らず、いつも割と控え目に付けられますよね。ですから、もう少し高い評価を付けてもいいのではないかという意見がありますので、言わせていただきたいと思います。まず、評価項目の一番最初の所、1-1の所ですが、自己評価はCとされているのです。確かに、4ページの指標が7つ設定されていて、そのうち6つ付いていて、その中で少し低いものが2つあると。要因については、先ほど御説明くださいました。特に、著しい行動障害を有する者等の受入人数の所が低くなってしまった原因が、ここはやはり能登半島地震のときの被災者の方の受入れを厚労省からの要請があって受け入れしてくださっているというべきで、地域移行のローテーションがあってこそ地域移行の通常の受入れができているということは、今御説明を伺って本当によく理解できました。ですから、この能登半島地震要因がなければ、恐らくもっと高い数字が達成されていたのだろうということは容易に想像ができます。では、この指標の達成を優先して、能登半島地震の被災者の方々の受入れを断ればよかったのかというと、そんなことは決してないと思います。ですので、個人的な意見ですが、今回についてはここの指標については、扱いについて考えてもいいのではないかと思います。
もう1つの医療的ケアが必要になった者への支援も少し低いのですが、ここについてはいろいろと状況等を御説明くださって、新しい取組で大変なところ、取組自体は前向きに続いているということがよく分かりました。決して、何か問題がということではないと思います。ここは、この25%をそのまま換算するとしても、やはりこの中期目標管理法人の評価については、今回も参考資料2を事務局からお示しくださっておりますが、国全体としての独立行政法人中期目標管理法人についての評価についての考え方があり、それに乗って粛々とやるのが我々の務めだと思います。ここで項目別の評価が80にいかないと、Dになってしまうのです。Dになるけれども、困難度が「高」というものが付いているから、Cに上げられたというような御判断を、のぞみの園さんとしてはなさったのではないかと拝察申し上げました。個人的な意見ですが、今回のこの項目に関しては、著しい行動障害を有する者等への支援については、やはりこの能登半島地震の特別な事情があったことは重々理解できると思います。ですから、ここの部分は今回については評価から除外して考えることがあってもいいのではないかと、1つの考え方ですが、思います。
こうやって複数の指標があったときに、どうやって重み付けをやって判断するということは、一切国の方針としては決まっているわけではありませんが、仮にこの指標を除いてほかの指標で単純に平均を取るとしても、やはり80%を超えてくると思いますので、この項目についてはそのままの評価はC評定だけれども、困難度「高」が付いていますので、1つ上げてB評定でもいいのではないかというのが私の意見です。
もう1つは、評価項目1-2調査・研究についてです。ここについても、前年度に増して大変高い業績を達成されていることがよく分かりました。法人としては、現場の業務などもたくさん抱えていらっしゃる中で、いろいろな御尽力をされたからこそ、これだけの高い達成度につながっているのではないかと思います。これだけの数字が出ている所を拝見しますと、先ほどの参考資料2にある項目別評定の考え方からすると、120%以上の定量的評価でAだけれども、それに質的に顕著な成果が付けばSということになっています。私は今年度については、質的な顕著な成果がある、法人としての御努力、御尽力があるということで、S評定を御検討いただいてもいいのではないかと思います。大臣評価がどうなるかは分かりませんが、もしかしたらそのままAとなるかもしれませんが、その場合でも極めてSに近いAなのではないかと思います。以上です。
○石井主査
法人から何か回答はありますか。むしろ法人というよりは、今後トータルでどのようにまとめていくかということになると思いますので、今の御意見は厚生労働省では受け止めてくださっているということでよろしいですか。何かコメントを頂ければと思いますが。
○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
厚生労働省です。先ほど御意見を頂きました。法人からも説明があったとおり、今回C評価ということについては、独立行政法人の評価に関する指針に基づいて付けたものになります。法人からも説明があったように外部要因による影響が非常に高いということで、特に著しい行動障害を有する者の受入れについては、その外部要因がかなりの要因になっているところです。また、能登半島地震による受入れは、これは厚生労働省から依頼をして、しっかり受け入れていただいたという事実もあります。ですので、今回のこの会議の先生方の御意見を踏まえ、外部要因なども考慮して、最終的に評価を決定したいと考えております。
○石井主査
それでは、オンラインでつないでいらっしゃる渡邊構成員から手が挙がっております。どうぞ、御発言ください。
○渡邊構成員
渡邊です。御説明ありがとうございました。重度知的障害者の支援という困難だけれども、大変重要な仕事をしっかりしていただいていると思います。ありがとうございました。
私も、先ほどの先生の御意見と同じなのですが、今回自立支援のための取組はC評価ということで、もちろん指標に基づいて付けられているのだとは思うのですが、今回は達成度が低くなっております。著しい行動障害を有する者等への支援、その先また医療的ケアが必要になった際の支援については、御説明いただいたとおり外部要因、又はそれぞれのケースの個別の要因などが大きいところであり、法人はしっかり力を入れてやっていただいているかと思いますので、私もC評価ではなく、例えばもう一段階上げた評価でもいいのかと感じております。御検討いただけますと、幸いです。
もう1つは意見にはなるのですが、自立支援のための取組の中で地域移行が目標の1つになっております。もちろん、障害を持つ方が地域で過ごすということは、とても大事なことで中期以降重要な取組だとは思うのです。ただ、のぞみの園様については御説明もありましたように、入居者は大体高齢の方が多くなっております。御説明いただいたとおりではあるのですが、障害のある方が地域で過ごせるようにということが大事である一方、やはり高齢者の方の過ごし方については、地域包括ケアなどでも住み慣れた地域で最後までということで、できるだけ住み慣れた場所で過ごしたほうがその方にとって良いのではというときもあるかとは思います。ですので、特に高齢の方の地域移行に関しては、個別のケースをそれぞれ検討していただいて、それぞれの障害者の方や家族の方の御意見も踏まえた上で、最適な方法を探っていただけたらとは思います。必ずしも地域移行がよいということだけではなく、やはり住み慣れたのぞみの園でずっと過ごすことを望まれる方もおられるかとは思いますので、その辺りはケース・バイ・ケースで慎重に進めていっていただけたらと思っております。私からは以上です。ありがとうございました。
○石井主査
ありがとうございました。1点目は、河村先生と同じように評価の所ですね。イレギュラーなことが起きた場合にどうするかという大きな課題でもありますので、そちらについては本日終わったら、厚労省からの依頼ということですので、整理して結果を出していただければと思います。2点目の高齢者の移行について、のぞみの園から何か御意見はありますか。
○のぞみの園理事(古川)
理事の古川です。確かにうちの利用者に関しては、先ほど説明したように平均年齢が70歳を超えております。施設での暮らしも、もう50年を超えた人たちが8割以上おります。今、先生から御指摘いただいたように、一人一人状態が変わっていきますし、一人一人の意見、意思も変わっていきますので、そこを人生会議等で丁寧に御本人の意見、意思を汲み取りながら、どこで暮らすのが本人にとって本当に良いのかということを真摯に今後も考えながら、御本人に無理なく丁寧に進めていきたいと考えております。
○石井主査
ありがとうございます。ほかの方の御意見がありましたら、お願いいたします。岩崎先生、お願いいたします。
○岩崎構成員
岩崎です。御説明ありがとうございました。これまでお話された先生方の御意見と関連するというか、同じような意見ですので、手を挙げさせていただきました。私も、特に著しい強度行動障害を有する者の受入れに関しては、受入人数が外部環境等の影響で評価が低くなっていると拝見しましたが、個別支援の質の高さは御説明の際に映像も拝見させていただき、本当によく理解することができました。私は精神科病院にも長く勤務していた経験を持つ者なのですが、ビデオで拝見したような形で拘束が長期化し、褥瘡もひどい状態で来られた方が自分をとり戻していかれるというような様子が、短い映像の中でしたが十分に理解することができたように思います。
強度行動障害のある方は、やはり他害行為や自傷行為のある方が多くて、関わる職員もまた被害者になってしまわれるという点で、受入れに難色を示される施設も多いことは想像できるところではあります。また、それが施設職員の確保が難しい、離職があるという現状の中で、そういった利用者がいらっしゃることによって、現場が回らなくなってしまうとか、様々な要因があって、施設の方も単純な理由だけではない部分で受け入れ難く感じられていると思っています。
職員間のハラスメントだけではなく、利用者からのハラスメントも話題になっているところにもって、この強度行動障害の人たちに対する対処が分からない病院、あるいは施設でその方が加害者だと受け止める方もいらっしゃるかもしれませんが、しかし御本人こそが実は被害者だというような理解もあるわけで、このような実践が今後も広く普及してほしいと思っています。研修の受講の方がかなり多くいらっしゃるということで、普及に関して大いに期待をしているところです。
もう1つは、看取りについてです。今は具体的な指標には入っていないのだと思いますが、先ほど丁寧に御説明もいただきましたし、のぞみの園さんに限らず、グループホームや障害者支援施設の中での高齢化は、全国的にも課題としてよく取り上げられているところかと思います。ただ、これも高齢者施設において、障害があることを理由として受入れが余りスムーズに進んでいかないというようなことは従前からあります。しかし、のぞみの園さんが書かれていらっしゃる内容は、そうした消去法的な、ほかに行き場がないからということではなく、住み慣れた場所での看取りを、あくまでも御本人の意思決定によって実施していくのだというポジティブな考えでやられている点は、高く評価すべきなのではないかと思います。地域移行も引き続き頑張っていただきたいとは思いますが、看取りに関して是非モデルを提示していただいて、ニーズのある方に対して全国の施設でも看取りができるような形が整っていくようなことになればと思っています。しかし、その裏付けとして、やはり報酬も考えていかなければいけないのではないかとも思いました。以上です。
○石井主査
大変たくさんの励ましの御意見を頂いたように思いますが、ハラスメントへの研修や看取りの研修などは、横に伝播していくということでよろしいのでしょうか。ありがとうございます。鈴木構成員、御意見をお願いいたします。
○鈴木構成員
こんにちは、鈴木です。よろしくお願いいたします。何点か御質問、御意見を申し上げます。まず質問ですが、5ページの評定の根拠の一番上の所、先ほどもお話の中で出てまいりました高齢の利用者の方に対しての支援ですが、ターミナルケアについては喫緊の課題だと思っております。そこでお伺いしたいのですが、のぞみの園で暮らしていらっしゃる利用者の方は、先ほどもお話があったとおり極めて最重度、6区分の5.9ということで、ほぼ最重度の方だと思いますが、その方々に対する意思決定支援、あるいはヒアリングシート、それからACPの辺りは、恐らく全国の知的障害入所施設が困っているというか、どのように重度の方に向き合うかということであると思っています。そういったところで手法等を工夫したことがあればお教えいただきたいですし、それを是非発信していただきたいというのが1点目です。
2点目は、同じページの一番下に参考指標ということで、地域移行のフォローアップとありますが、これも大変大事だと思っております。地域生活移行をされた方が、その後どのような暮らしをしたのか。これは、恐らく丁寧な意思決定支援の後に地域生活移行をされたと思っておりますが、その後のフォローアップについて6ページの左下にも具体的なことが書かれておりますが、この結果どのような状況かということも少しお教えいただければと思っております。また、これについても全国に発信していただきたいと思っております。
最後に意見ですが、大変細かいことに聞こえるかもしれませんが、言葉の部分で個人的に少し引っ掛かる所がありました。4ページの目標や指標の中に書かれている言葉なので致し方ないのかと思うのですが、3番目にあります「各寮における保護者への説明会の実施」という保護者という言葉ですが、のぞみの園に入所されている方々は全て成人ですので、余り保護者という言葉は、既に一般的ではなくなってきておりますし、これは指標上そうなのだということで実際はそうではないのかもしれませんが、そのようなことが気になったということです。
全般的に関しては、先ほど1-1の自立支援の所はCだというのは、これは河村先生、渡邊先生、岩崎先生がおっしゃったように、私もこれはCではちょっと低過ぎるのではないかという意見を持っております。特段の事情がある場合には配慮していただきたいと思っております。いろいろ質問も申し上げて意見も申し上げましたが、全般的にはのぞみの園が期待されている重度の知的障害の方の自立のための先導的、かつ総合的な支援の提供、あるいは調査・研究は十分に果たされているだろうと評価したいと思っております。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。それでは、最初の2つの御質問について、コメントをお願いいたします。
○のぞみの園生活支援部長
生活支援部の堀越です。よろしくお願いいたします。ターミナルケア、看取り、意思決定支援についてですが、のぞみの園のターミナルケアは自己決定の尊重に基づいて行っております。そのほかに、厚労省からの意思決定支援ガイドライン、御本人の自己決定や意思確認がどうしても困難な場合は、御本人をよく知る関係者が集まって様々な情報を把握し、根拠を明確にしながら意思を推定すると、これに沿って行っております。具体的には、利用者や保護者のほかに寮の職員、又はサービス管理責任者、相談支援専門員、医療従事者、看護師も交えての会議を行っております。また、その会議なのですが、これはヒアリングシートを活用したものとなっております。ACPのヒアリングなので、少し細かいところではあるのですが、ヒアリングをするに当たってヒアリングにおける注意事項も用意しており、各職員にヒアリングシートではどのようなことを聞くのか、それから職員に対する留意事項、支援員の資質、支援員の価値判断を先行させてはいけないというようなことをきちんと行ってから、ヒアリングシートの聞き取りを行っております。
その後、それで終わりではなく、このACP会議をしたことについて、ACP委員会がもう1回手続をしっかり行っているかどうかを判断することになっております。それで、いよいよ看取りということになりましたら、今度は看取りの委員会が開かれます。そこでは、ドクターや弁護士も入っての看取りのケアプランが本当に実行できるかどうかを諮り、利用者に対する最後の支援ということできちんと行えるかどうか、いろいろな方が関わりながら行っています。これがベストとは限らないのですが、今のところ、のぞみの園のベストとして行っているところです。今後、ICFの保護を取り入れ、社会全般が網羅できているかどうかという辺りを取り入れていく予定になっております。
○石井主査
どうぞ。
○のぞみの園研究・人材養成部長
研究・人材養成部長の日詰です。鈴木構成員から御指摘いただいた発信の部分の辺りについて説明いたします。たしかに最重度の方は意思確認がとても難しいので、関係者が集まり、ICFという、その人の全体像をつかむシートを使って、昔関わっていた人、御家族などから聞き取ったり引き継いだ情報をうまく整理をしてみたり、昔から関わってきた方と一緒に過ごした写真などを集めて、本人の表情を見てみたり・・・といったいろいろな形で、我々も工夫して取り組んでいます。そのことについて関心を持って問い合わせてくる全国の施設もたくさんありましたので、厚生労働省の研究班で過去2年間、全国から20人ぐらいの施設関係者にご協力いただき、障害者支援施設、共同生活援助等での看取り導入マニュアルを作る研究班をやらせていただきました。これは、成果物として公表しており、昨年度の研修の中でも、先ほどのポンチ絵の21ページの13番になりますが、このマニュアルの紹介についてWeb研修で発信をさせていただいております。また今年から、このマニュアルを各地で使っていただくための実装に向けての研究も厚労省から頂いておりますので、全国のいろいろな現場に取り入れ時の工夫やサポートなども我々のほうでやっていきたいと思っています。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。次に鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員
鈴木です。質問申し上げた所の2つ目の地域移行のフォローアップのことについて、もう少し伺えればと思いました。
○のぞみの園理事(古川)
地域移行の方のフォローアップについては、地域移行を始めた20数年前に第1号の地域移行者から、絶えずフォローアップは今も行っています。原則的には、移行した1年目と5年目に、御本人に直接会いに伺って、御本人の生活ぶりを確認させていただくということが1つルールとしてあります。それ以外には、安定して過ごされている方については年に1度、移行された年には大体3か月おきぐらいに連絡を入れさせていただいて、御本人の暮らしぶり、定着状況を確認させていただいています。
移ってからかなり時間がたっている方もいらっしゃいますので、実際には移った後に更に高齢者施設に移る、あとは入院してしまってお願いした事業所から出ざるを得なくなったという状況の方もおり、その場合にも必ず職員を派遣してこちらにいたときの状況をお伝えしたり、こちらが持っている情報をお伝えしながら、次のサービスにつなぐところもやらせていただきます。最近は、地域というか故郷に戻られる方がかなり少なくなってしまっていますので、一義的にはうちの法人のグループホームに移っていただいています。その方々に対しても、今お伝えしたような形で、御家族に御了解いただきながら、特に御家族との連絡をきちんと密に取るようにして、フォローアップをさせていただいております。
基本的には、移ったときにどうしても暮らせなくなったら帰ってくることも含めて検討させてくださいというような約束で移っていただいていますので、絶えずその状況を把握していないと帰ってきていただくという選択肢もなかなか選べないような状況になりますので、そういったことを基本に置いてフォローアップを常に行わせていただいています。以上です。
○鈴木構成員
ありがとうございます。
○石井主査
ありがとうございます。それでは大村構成員、お願いいたします。
○大村構成員
大村です。よろしくお願いいたします。私からは4点発言をしたいと思います。まず1点目です。これまで河村構成員、鈴木構成員、渡邊構成員、岩崎構成員がお話されたとおり、評価についてお話できればと思っております。かなり丁寧な支援をしてくださっております。これは先駆的と言うよりも、知的障害のある方の生活の質に必要な優れた着眼点を持って、根拠に基づく着実で丁寧な支援をしていらっしゃる、しかも省察を繰り返し、ケアを振り返るということを丁寧にされていると思っております。この文化を築いていらっしゃることが、私としては大きく評価できるというように考えております。
定量的な評価では、確かに数の部分では十分に受入れができなかった部分もあるかもしれないのですけれども、かなり困難なケア、特に地域移行、高齢者のケア、行動障害のある方のケアですね。その意味でもほかの事業所や施設から見ても、かなり模範的な部分が多いと思います。困難度もかなり高いと思いますので、C評価の部分については、いささか謙虚すぎる評価なのかと、個人的には捉えております。御検討いただければと思っております。
2点目と3点目と4点目は高い評価で、着実な支援をされていることへの私の考えの裏返しでもあります。だからこそ求めるものが私としても高くなってしまうので、そういう発言になることを、どうぞお許しください。2点目は、地域移行に関わることです。全国的に最近、地域移行のスピードが非常に落ちてきているというのが、国の資料などでも分かっているところです。その中でも地域移行をされる方を定期的に毎年出されていることについては、高く評価したいと考えております。
一方、地域移行に関わる最近の国の動向としては、地域生活支援拠点の取組を使って、地域移行を進めていくという方針が出されております。拠点と事業者としての登録、拠点の緊急のショートの取組、地域移行に関わって意向を確認する担当者を置くなど、拠点に関わる様々な取組が次々に出されている状況になっています。そして全国の障害者支援施設や入所施設では、そういう取組はどうやって活用したらいいのか、かなり迷ったり悩んだりしている状況かと思っております。そこで国立のぞみの園が、その模範となる可能性が大いに考えられるかと思っております。拠点との関連でどのような取組をされているのかをお尋ねできればというのが2点目です。
3点目です。これも2点目と関連しますけれども、医療的ケアに関わってです。医療的ケアの必要な方を受け入れるというチャレンジは、私はナイスチャレンジだと考えております。その中でお一人受け入れることができたというのは、非常に大きな成果だったかと思っております。
ところで、この医療的ケアですけれども、今、世の中的には医療的ケアと言うと、医療的ケア児の支援法があるので、その地域での支援も、大体が医療的ケアの必要なお子さんを中心にサポートの体制が組み込まれているのです。医ケアと言うと皆さん、大体子供のことを想像されると思うのです。なので国立のぞみの園から発信されるときに、成人で、なおかつ高齢の方で医療的ケアが必要になったというその前提条件が、もしかすると伝わりづらい部分があるのかなとも感じておりました。そういう方々に向けた有期限のプログラムであるというところが、もう少し分かりやすくなるといいなというのが、私の期待です。
例えば通常の知的障害の方で、20歳、30歳になった後、在宅の普通の生活介護の事業所を使って家から通っていたけれども、その方が途中で医療的ケアが必要になって、生活介護の事業所に通えなくなるパターンというのは、実は結構見たり聞いたりするのです。なので入所に限らず、知的障害のある方には非常にユニバーサルな問題だなというように、私は考えておりますので、是非、お取組をお願いできればと思っております。2003年にのぞみの園が地域移行に取り組み始めたときも、確か初年度は地域移行が0人だったというように記憶しております。そのことを考えても1人あったというのは、すごく大きなチャレンジでしたし、今後大きく期待できるかと思って発言いたしました。
4点目は、調査・研究に関わってです。先ほど鈴木構成員の質問にもお答えがあったとおり、着実に調査・研究を実施し、なおかつ現場で実装できるようなパンフレットなど、そういった形で活用できるようなものを発信くださっているのは、非常に有用ですし、有り難いことだと思っております。私ものぞみの園での研究成果など、よく紹介させていただいているところです。特に東アジア・ASEAN経済研究センターと御一緒にされている取組というのが非常に新しく、なおかつ重要な取組であると感じております。日本では障害福祉の取組を国際的に発信するとか、その取組をしっかり研究で示していくというのが、なかなか弱い分野でもありますので、国立の施設に求めたい機能の1つでもあるかと考えております。国際的な示唆から日本の取組を見て、客観的な示唆で評価をすることにもつながるかと思っております。現在でも学会誌への掲載など、様々な発信をされているかと思います。アジアを含む国際雑誌等への掲載なども含めて是非、御検討いただければと思っておりますが、この点についてもお伺いできればと思います。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。最初は評価のことなので、皆さんと御意見が同じかと思います。次に2番目、のぞみの園と各地域の拠点との関係ということで、コメントを頂ければと思います。
○のぞみの園理事長
理事長の田中です。地域移行の際に地域生活支援拠点事業を活用するというのは、非常に重要な視点だと思います。有期限の場合、受入れと送出しということで関わります。高齢の場合は出身地を1つの基準にして、送り出しはそこでの関わり、特に御家族との関係を頼りにしていくということで進めてきました。ですから、こちらがアウトリーチして地域を耕すということは、高齢においてはなかなか難しいと考えています。
加えて有期限の行動障害の方の対応に関しては、令和6年度の報酬改定によって、対応する仕組みが整いました。広域的支援人材が対応していくということに関して、のぞみの園でネットワークを作って、関わりを深めていくように考えています。広域的支援人材が関わる集中的支援が地域生活支援拠点事業に当たるのか、若しくは地域生活支援拠点が受入先になるのかは、地域移行される方の所在地の課題になっていますので、その関係に委ねていくことになると思います。相談支援員の方たちをもっと活用して、有期限利用者の地域移行の情報共有をしていければと考えています。
医療的ケアに関しては御指摘いただいたような形で、成人で高齢の方のアナウンスというように打ち出してはいるのですけれども、やはり短期で有期限で利用するというよりは、ずっと暮らしていきたいという方が多いのです。その辺の塩梅がなかなか利用に結び付いていかないのかなと思っていますが、引き続き努力してまいりたいと思います。
調査・研究に関しては、日詰部長のほうからお願いします。
○のぞみの園研究・人材養成部長
研究・人材養成部長の日詰です。4点目のASEANの研究についてです。このERIAプロジェクトで行った研究については、2023年の日本ASEAN友好協力50周年首脳会議の成果文書に反映していただいています。また、のぞみの園の様々な実践について中国と日本の研究者による中日教育学会の発行しているアジア教育文化ジャーナルにも寄稿させていただいています。インドネシア国立大学とも協力をしているので、我々だけではなくて、これから調査に協力していただいたアジアのいろいろな国の方と協力して、いろいろな学会誌に発信してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○石井主査
大村構成員、よろしいでしょうか。次は川原構成員からの御質問です。
○川原構成員
川原です。御説明、ありがとうございました。私どももコンサルティングや会計などという形で、障害者施設には数多く関わらせていただいており、その中でのぞみの園は、最後の砦のような形で頑張っていらっしゃることに対し、まず心より敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
皆様からお話のあった4ページの評定にも関わるのですけれども、先ほど能登半島地震という外部要因でというお話がありました。それは現在、ある程度は解消されているのかどうかという点をお聞きしたいと思います。
あと、医療的ケアの部分も25%という達成率で、先ほど大村構成員のほうから、成人向けというところでのアドバイスがありました。こちらについても今後、どのように100%達成するために考えられているのかという点をお聞きしたいと思います。
最後に、27ページに常勤職員の削減という目標があります。今は福祉も介護も離職率が非常に大きな問題になってきています。この離職率が令和6年は何パーセントだったのか、差し支えのない範囲でお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○石井主査
よろしくお願いいたします。
○のぞみの園生活支援部長
能登の関係ですけれども、現地の施設もまだ復旧しておりません。ですから、いつ能登に帰れるかというのは全く分かってないのが現状です。そのためにのぞみの園での引受けが、今後も続いていくという状況になっております。また、石川県ですね。能登のほうから状況の連絡がありましたら、それについて対応させていただくという形になっております。現在、令和6年度と7年度で特に大きな変化はなく続いているような現状です。
○石井主査
ありがとうございます。
○のぞみの園理事(古川)
医療的ケアのほうは、先ほど大村構成員からもお話があったように、我々のコマーシャルというか、努力が足りないのかなというところはあります。国立が医療的ケアの利用者の受入れをやっていますということが、全国を回っていろいろな所でお話させていただいても、なかなか響いていない状況なのです。職員が今、あちらこちらに講師で呼ばれているということもありますので、そういったところで必ず、こういった事業をやっていますという紹介をさせていただくことを、今徹底してきています。特に東京と北関東辺りを重点的に、もうちょっとコマーシャルをきちんとやる。特に東京や神奈川辺りだと、医療的な関係もかなりニーズがあるのと、距離的な問題も比較的近いのです。医療的なケアが必要になった方がかなり長距離を移動するというのは、御本人の負担もありますので、なるべく地域的に御本人に負担のない所で、もう一度きちんと掘り起こしを進めて、何とか可能性を見いだしていきたいと考えています。
○のぞみの園理事(川島)
最後に常勤職員の削減について、理事の川島からお答えさせていただきます。目標では、常勤職員数の削減を求められているところです。規模全体、入所の利用者が縮小していますので、目標の達成については、定年で退職される方の後に補充をしないといったところで達成できるのではないかと考えております。
あと、離職率の関係ですが、令和6年度の期首で160名常勤職員がいましたが、年度途中又は年度末で、自己都合により退職された方が5名いました。率に直すと3%ぐらいになるかと思いますが、そのぐらいの離職率となっています。適宜、必要に応じて職員採用の募集をしたり、非常勤の職員の募集をしたりといった形で対応しているところです。
○石井主査
よろしいでしょうか。
○川原構成員
ありがとうございました。最初の能登の部分がまだ解消できてないということからすると、また評定の話になると思うのです。そこら辺はやはりきちんと考える必要があるのではないかと思いました。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。それではほかの構成員、江原構成員、お願いいたします。
○江原構成員
江原です。ありがとうございます。私からは資料の27ページについて質問が2点あります。まず、業務運営の効率化に関する事項です。こちらの指標の上から1つ目と2つ目で、一般管理費の経費の節減と事業費の経費の節減の2点があります。最近は毎年毎年何かしら値上がりしていると言っても過言ではないぐらい、いろいろなものが値上がりしています。私も仕事上、介護施設や支援施設あるいは病院などにお伺いすることがあるのですが、多くの施設において、電気代が上がったとか、医薬品が高いとか、優秀な人材を確保するためには人件費を下げるわけにはいかない、むしろ物価が上がっていることを考えると上げないといけない、また、どのような業界においても状況は似ているかと思うので、何かしら外部に委託をするにしても、今までどおりの値段で引き受けてもらうことはできない、委託費も上がっているといったお話を耳にします。そういった状況の中で令和9年度までに、令和4年度に比べて一般管理費の経費を15%以上、事業費の経費を5%以上削減するというのは、決して簡単な目標ではないと私は思っております。
のぞみの園においても現場の方々と管理者の方々、皆様それぞれ大変努力や御苦労をされているのではないかと推察いたします。それらを踏まえて質問します。事業費の経費ですね。令和6年度の段階的な括弧書きの実績値が0.4%、達成度が8%と小さくなってしまっている理由です。今回の会議資料の2-3として公表されている、令和6年度財務諸表の3ページの損益計算書を拝見しますと、業務経費の多くの科目が前年度の損益計算書の科目よりも、削減しているにもかかわらず、合計額としては大きくなってしまっているのは、恐らく退職給付費用が9,900万円と、前年度の6,900万円から3,000万円ほど増加してしまっているのが大きな理由ではないかと推察しております。一方で一般管理費の退職給付費用は、令和6年度が959万円と、前年度の2,280万円から結構下がっております。この理由について退職者が出たとか、施設の中で部署異動があったとか、何かしら理由があればお聞かせいただきたいというのが質問の1点目です。
質問の2点目です。一般管理費の経費に比べて事業費の経費を削減するのが難しい理由について、御教示いただけないでしょうか。これは目標値が、一般管理費が15%以上なのに対して、事業費経費の削減が5%以上となっていること、また、実際に令和5年度と令和6年度の実績値や達成度が、一般管理費に比べて事業費が難しいというのを表していることに基づく質問です。発生額が令和6年度で申し上げると、一般管理費の合計額が2億1,400万円に対して、業務経費のほうは26億円と10倍ぐらいの差があるので、同じ100万円を削減するにしても、削減率に与える影響が全く違うというのは存じているのですが、一方で、これはあくまでも一般論ですが、金額が大きいもののほうが、むしろ削減の余地があるという場合もあります。もし、一般管理費に比べて業務経費のほうが削減が難しい理由があれば、お聞かせ願えますか。以上です。
○石井主査
それでは、回答をお願いいたします。
○のぞみの園総務部会計課長補佐
会計課課長補佐をしている川田と申します。P/L、いわゆる損益計算書の退職給付費用の関係ですが、これはいわゆる一般管理費のほうの退職給付費用がそれほど下がっていないというか、少なくなっているというお話だったと思うのです。これは一般管理費に占める人件費の部分、職員の年齢構成に影響している部分があると思うのです。いわゆる55歳以上になると、昇給停止になってしまいます。そうなってくると退職給付費用の変動が、それほど変わらなくなってしまう、それほど増えなくなってしまうところがあり、そこが影響しているかなというところですね。事務職のほうが年齢構成が高めになっています。それに対して業務経費の退職給付費用のほうは、いわゆる支援員のほうが年齢が比較的低い方が多いのです。今、人事院勧告の部分で言うと、若手に対してかなり手厚くベースアップ率をひきつけている部分がありますので、そこのベア率の違いが大きく出ているのかなというところです。
もう1つの削減目標の関係は、業務経費より高い率で一般管理費の削減率15%を求められているところです。しかし、もうかなり限定されているというか、削減するものとして既定の経費の部分が、かなり固定されてしまっているので、非常に厳しい中でやっているのです。いわゆる消耗品は長く使ったり、備品関係は入札等々での差額による利益によって削減したりというのが現状です。業務経費については、利用者支援に直接影響するというところが、やはりその金額の部分では大きく関わってきているのかなというところです。以上です。
○江原構成員
ありがとうございます。もともと無駄というものがほとんど発生していないであろう中で、更に削減するということで、非常に大変な目標だとは思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
○石井主査
ありがとうございます。それでは下山構成員、お願いいたします。
○下山構成員
下山です。よろしくお願いします。まずは重度知的障害にある人が、このように平均寿命が延びて健康的な暮らしができていることについて、のぞみの園の法人の皆様方の努力に、敬意をお伝えしたいと思っています。これものぞみの園が重度知的障害のある人の健康、暮らし、共生の観点から、この事業をお進めいただいていた結果ではないかと考えております。私からは意見を2つと、質問を1つさせていただければと思っております。
1点目は、先ほども河村先生を初め、様々な先生方から御指摘を頂いたように、自立支援の自己評価に関して、Cをもっと上げてもいいのではないかと考えております。これまでの議論の中でも、知的障害のある高齢の方々の移行が非常に難しい点も多い中、包括的・体系的な支援をされていて、高く評価したいと考えております。強度行動障害の方の受入れという点では、弊害の要因が明確でありますので、移行に関してより良い事業をされているので、評価を上げていただければと思っているのが1点です。
もう1点も河村先生から御指摘いただいたように、調査・研究の評価に関しても上げていいのではないかと思っております。のぞみの園の非常に大事な点は、研究と実践が相互に作用して、国における様々な重度知的障害のある人の暮らしや生活や共生に関する結果を出してきているところにあるかと思います。ですので、この調査・研究というのが、実際に国の様々な施設の自立支援に、影響を与えているのではないかと判断しているところです。
最後に質問です。1-5のその他の業務ですが、地域に住まう知的障害のある人への健康診断についてお尋ねしたいと思っております。私は、重度知的障害のある人の健康診断というのは、非常に重要な取組だと考えています。なぜなら、国際的にも国内的にも、重度知的障害のある人の医療アクセスの格差は課題ではないかと考えているのです。内部疾患にしろメンタルヘルスの不調にしろ、一般の人たちに比べて非常にリスクが高い。しかしながら医療につながっていないという現状がある中で、健康診断を地域の医療機関にも国内全て広げていくために、のぞみの園で取り組んでいることや取り組めることがあれば教えていただけないでしょうか。以上です。
○石井主査
それでは回答をお願いいたします。
○のぞみの園理事(古川)
ありがとうございます。健診については今、御指摘があったように、重度の方が地域で健診を受けられないという事情で、年々うちで受けていただく方が増えてきているというのが実際のところだろうと思います。うちの法人の中だと、診療所は刺激が少ないという環境が1つあります。あとはドクター、看護師、その他メディカルも障害者に慣れていますので、そういう意味では御本人たちが多少パニックを起こしても、対応できるところがうちの強みなのだろうと考えています。
それを地域にということに関して言いますと、まず知的障害の方たちの特性の理解を、もうちょっと医療関係者のほうに進めていかなければいけないというのが、1つあろうかと思います。あと、見通しを持って診察を受けるということが結構大切なことなので、一度では難しいところがあるのです。ですから何度かおいでいただきながら、徐々に徐々に診察につなげていくという試みが、かなり必要ではないかと思います。ですので、御本人の特性を理解した上で、そういったトレーニングのようなことができる医療機関が増えていけば、地域で重度の方たちがかなり健診を受けられるようになるのではないかと思っています。何か事あるごとに、そういったお話もさせていただくのですが、医療機関との関わりが薄いものですから、そこら辺を今後もなるべく発信していければと考えています。以上です。
○石井主査
よろしいでしょうか。どうぞお願いいたします。
○のぞみの園研究・人材養成部長
すみません。研究・人材養成部でもやっているのです。1つは、うちのほうで刊行物を作っています。すこやか健康シリーズという中に、健診の話や食と口腔衛生のこと、生活習慣病予防のこと、こういうのを使って、今のような講演をしています。あと、特に強度行動障害の方についても、健康面がすごく心配なところがあるので、同じ国立機関である国立精神・神経医療研究センターが今行っている、全国の地域の内科医、小児科医向けの研修に我々も一緒に参画して、テキストを作っているところです。今は医師向けと看護師向けの研修コースができてきたので、今後はほかの医療関係職種に広げていけるように、我々もほかの国立機関と協力して発信していきたいと思っています。
○下山構成員
医療へのアクセスは、重度知的障害のある御家族の方々も本当に胸を痛めているところで、このように進めてくださるとお聞きできて、とても良かったです。ありがとうございます。
○石井主査
それでは、よろしいでしょうか。皆さん、非常にたくさんの御意見を頂きましてありがとうございます。特に評価については、恐らく構成員皆さんの御意見ですので、厚生労働省のほうで御対応をよろしくお願いいたします。
続いて法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等について、コメントを頂ければと存じます。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
○のぞみの園監事(五十嵐)
監事の五十嵐と申します。隣におりますのが、同じく監事の渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、監査結果の概要につきまして御報告をさせていただきます。法人の業務におきましては、適正に実施され、また、第5期中期目標の着実な達成に向け、効率的、かつ、効果的に実施されておりました。法人の内部搭載システムの整備とその運用状況、法人役員の職務の遂行に関する違法、不当な行為は認められませんでした。財務諸表におきましては監査法人の監査の結果は相当であると認めます。事業報告書は法令に従い、法人の状況を正しく示しているものと認めます。過去の閣議決定において定められた監査事項については給与水準、随意契約の適正化、理事長の報酬水準、補充資産の見直しに指摘すべき重大な事項は認められませんでした。
それから、監査報告に伴う監事からの意見としましては、法人の業務におきましては令和6年度の達成に向け、重要度の高い調査研究、援助助言に特段の成果を挙げることができ、加えて、強度行動障害、中核的人材養成への研修を通してリーダーシップを発揮できたことは評価できるものと思料いたします。また、特に地域において受入困難な強度行動障害者を受け入れ、アセスメントを慎重に実施し、受入困難な特性を緩和させ、相応の意向も実現できたこと、調査研究においても、研究成果を広く周知することができ、また、関係機関への援助助言に積極的に取り組んだことは評価できるものと思料いたします。また、今後の課題といたしましては、旧コロニー利用者の減少に伴って有期限利用者の増加に備えた支援者を含めた受入体制の構築と考えております。
内部統制に関しましては各委員会を活用して問題なく機能しており、理事者が指導的観点より関与し、統制が図られています。法人の長としてのガバナンスにつきましては私ども監事が日頃、幹部会会議等重要会議に参加させていただいておりますけれども、理事長のこれまでの知識、経験に裏づけされた的確な指導によるガバナンスが発揮されているものと思料いたします。また、改革にも着手して、一定の成果を挙げているものと考えます。以上となりますけれども、引き続き独立行政法人としての役割意識を高めた業務運営を期待しております。以上でございます。
○石井主査
ありがとうございます。それでは、理事長お願いいたします。
○のぞみの園理事長
本日、構成員の皆様には大変貴重な御意見、御指導、また、更には励ましも頂きまして、ありがとうございます。まもなく、第5期5年間の折り返しの時期を迎えます。第6期はいよいよ旧法人時代からの利用者数と有期限入所利用者数の逆転が予測されます。その転換をうまく乗り切るために、この4月には研究と人材養成を一体化し、研究・人材養成部としました。また、事業企画部は総務企画局から施設事業局へ移し、事業調整部として利用者との関わりがより深まるようにしました。
自立支援のための取組ですが、独立行政法人化以前から入所されている利用者については、旧コロニー利用者という表現になる方たちですが、高齢化により、更に密度の濃い支援が求められるようになりました。入所者の平均年齢は71歳を超え、在籍者数も113人にまで減少しています。旧コロニー利用者数の減少による事業規模の縮小を見据えながら、収支均衡並びに効率的な人員配置を図り、法人全体を維持することについて、より具体的な方策を検討し、実行していく必要に迫られています。
令和6年度は経営の効率を図りながら、支援の質を高めることを念頭に、診療所改革を具体化しました。加齢により、手厚い支援と、身近な場面で医療を必要とする利用者が増加しており、利用者主体で、より適切な医療提供体制が求められています。改革は利用者の日常生活の中で医療の持つ専門性が継続的に発揮されることが狙いです。今後、旧コロニー利用者の支援については、より適切な支援方法の模索の充実を図りながら、他施設への参考となる研究項目を具体化し、充実させます。高齢化に伴う機能低下状態であっても生き甲斐が持てる日中活動の工夫をするとともに、認知症などの利用者に対しては医療との連携を強化します。高齢であっても、よりよい暮らしの追求を大切にし、地域移行はその先に実現するよう継続して取り組みます。
まず、大切なのは本人の意思の尊重です。一人一人の意思を汲み取っていくことを常に意識しながら、ICFを有効に活用して意思決定支援を継続的に進めることでACP人生会議につなげ、ターミナルケアでより適切な看取り支援の提供を、医療と福祉の連携の意識を高めながら、実践に資するように取り組んでいきます。モデル化する取組も大切にしますが、長年住み慣れたのぞみの園で最期を迎える意義も支援する職員とは共有していきます。
行動障害の状態にある人の支援は第5期中期目標に示された新たな目標、著しい行動障害については既存の指導者養成研修のほかに収穫的な支援者の養成研修、指導的な人材の養成研修等を行い、より専門性の高い人材の養成に取り組むことに令和6年度より取り組んでいます。国による研修として標準的な支援をプログラムに取り入れた中核的人材養成研修を47都道府県に対して実施しました。令和7年度は都道府県に加えて、20の政令指定都市を加え展開します。
令和6年の報酬改定では、事業所からの申出があれば、広域的支援人材が、行動障害の状態にある人の事業所に対して適切な支援の在り方を助言する集中的支援が加算対象となりました。これは地域生活を前提にした、期間限定の施設入所支援での対応も対象となりました。のぞみの園の有期限対応もその対象となります。そのため、4月から、有期限入所対応の受入方法を見直しました。現在、30人近くの待機者がいる有期限入所対応の受入れについて、これまでは書類申請後に届け出順で調整してきました。今後は集中的支援を活用して、有期限入所受入れまで状況の把握に努めます。これにより、本人状況の困難さや、家族事情の切迫感が十分に把握できていない現状の改善を図り、支援の空白、放置された状態が生まれないようにします。有期限対応希望者の在住都道府県とも調整を図り、集中的支援の活用によるアセスメントなどの判断材料が得られるように働き掛ければ、いずれは困難差に応じたトリアージができることを目指します。この関わりにより、都道府県ごとに、広域的支援人材が集中的支援を展開するようにバックアップしていく役割の重要な手がかりを得ていきたいと思います。
第5期中期目標では、行動障害支援者が集える全国的ネットワーク構築に向けた必要な取組を行うことも示されました。これについては、行動障害の状態にある人の支援者全国ネットワークを立ち上げます。令和7年度は厚生労働科学研究、強度行動障害者支援のための広域的支援人材のネットワーク構築と、広域的人材を活用した地域支援体制整備推進のための研究を活用して、広域的支援人材、中核的人材をはじめとする支援者間のネットワークを構築し、情報の共有や、人材の派遣などを調整するとともに、地域支援体制の好事例に基づいた体制整備の促進を都道府県、政令指定都市を中心に各地で進めていきます。
国の施策である、行動障害の状態に置かれている人たちを支援する人材育成や、地域の体制整備が、地域でどこにもつながれず、本人と家族が孤立している状況に支援が届くよう、このつながりを活用して国立機関として都道府県、政令指定都市をバックアップし、暮らしの身近な所に適切な支援が整うことを目指していきます。更には、潜在化している利用ニーズに支援の手が届くように、都道府県、政令指定都市との協力体制の在り方に引き続き工夫してまいります。
令和6年度には能登半島の地震による、被災者の受入れに尽力しました。結果として独立行政法人の評価基準には被災者の受入れがありませんので、申請としてはD評価から困難さを加味し、自己評価Cと判断しました。法人の長としては行動障害により、近隣の施設では受入れが難しい行動障害の方たちを一度に10人を受け止め、更に追加の1人を加えて暮らしをつないだ法人職員の尽力には心より感謝しております。また、本日、構成員の皆様からも高い評価を頂き、感謝申し上げます。
防災に関しては災害対策基本法の一部を改正する法律が令和7年6月4日に改正され、令和6年能登半島地震の教訓等を踏まえ、国による支援体制の強化を図り、身近な危険、危機とされている南海トラフや東京直下地震に備えることが求められています。令和6年度より、研究部には減災復興政策、福祉防災で博士号を得た方を客員研究員として迎え、まずは、法人内の防災体制の見直しをしています。大きな災害があれば、知的、発達に障害があり、行動障害の状態に置かれる人たちは必ず孤立します。家族ともども孤立します。やがてくるかもしれない災害時に国立機関として、当法人の力が役に立つことがあれば、役職員の力を結集していきます。
最後になりますが、今後も支援の向上につながる調査・研究を事業の軸にして、支援の質の向上や、地域での実践及び情報発信と援助助言並びに業務運営の効率化による収支改善に注力し、我が国の知的発達障害分野の国立機関として障害福祉行政に資する事業の推進に貢献してまいりたいと思います。引き続き委員の皆様には御指導、御鞭撻くださいますよう、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○石井主査
ありがとうございました。ただいまの御発言の内容について御意見、御質問がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
以上で、本WGの議事を終了いたします。最後に、事務局からお願いいたします。
○事務局
事務局から今後の流れについて御連絡いたします。今回、皆様に御議論いただきました「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」の「令和6年度業務実績評価」につきましては今後、本WGにおける御意見や法人の監事、理事長のコメントなどを踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知いたします。とともに、公表もさせていただきます。
決定したそれぞれの内容につきましては後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○石井主査
それでは、本WGはこれにて終了とさせていただきます。長時間にわたり、熱心な御議論いただき、ありがとうございました。また、司会の不手際にて10分ほど超過したことをお詫びいたします。以上でございます。