2024年7月29日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第39回) 議事録
日時
令和7年7月29日(火)13:00~14:30
場所
中央労働委員会 労働委員会会館 講堂(7階)
出席者
石井主査、岩崎構成員、江原構成員、大村構成員、川原構成員、河村構成員、小林構成員、鈴木構成員、渡邊構成員
議事
- 議事内容
- ○事務局
それでは定刻になりましたので、ただいまから「第39回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催します。事務局の政策立案・評価担当参事官室の兼坂です。どうぞよろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただき、また、オンラインでお集まりいただき、どうもありがとうございます。今回の会議は、対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド形式となっております。
この度、構成員の先生の皆様の改選がございましたので、新たに選任された構成員の先生を御紹介させていただきます。岩崎先生です。
○岩崎構成員
よろしくお願いいたします。
○事務局
江原先生です。
○江原構成員
江原です。よろしくお願いいたします。
○事務局
大村先生です。
○大村構成員
大村です。よろしくお願いします。
○事務局
川原先生です。
○川原構成員
川原です。よろしくお願いいたします。
○事務局
小林先生です。
○小林構成員
小林です。よろしくお願いします。
○事務局
本日は御欠席ですが、下山先生も新たに構成員となっていただきました。また、事務局でも7月に人事異動があり、諏訪参事官が新たに着任しましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室参事官
参事官の諏訪でございます。
○事務局
本日のワーキンググループの出席状況について御報告いたします。石井主査、岩崎先生、江原先生、大村先生、川原先生、小林先生が会場に御出席いただいております。河村先生、鈴木先生、渡邊先生がオンラインでの御参加となっております。
続きまして、本日の資料について説明させていただきます。本日の資料は、御参加の先生の皆様は、タブレットに収納されておりますので、そちらを御覧ください。オンラインで御参加の皆様は、事前にお送りさせていただいているお手元の会議資料を御準備ください。本日の資料は、資料1及び資料2、参考資料が1から6となっております。もし資料の不足などございましたら、おっしゃっていただけると有り難いです。
ここで、報道関係の方に御案内です。本日の会議の撮影に関しましては、頭撮り可とさせていただいているところですが、撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、石井主査、進行をよろしくお願いいたします。
○石井主査
石井でございます。よろしくお願いいたします。司会進行をさせていただきます。
○河村構成員
少し大きめな声でお話しいただけると有り難いです、マイクを近づけて。すみません。
○石井主査
それでは、今回の福祉医療機構につきまして、令和6年度業務実績評価に係る検討を行うこととなっております。法人から各評価項目における評定の根拠について重点的に説明をしますので、評価の内容を中心に皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。本日の会議は、おおむね1時間半を予定しておりますので、円滑な議事運営に御協力くださいますようよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入りたいと思います。ではまず、福祉医療機構の令和6年度業務実績評価について御議論いただきたいと存じます。はじめに法人から簡潔に御説明いただき、説明が終わってから、質疑応答という流れで進めてまいりたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
○福祉医療機構企画管理部長
福祉医療機構の一之瀬と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。私からは資料2-1の令和6年度の業務実績と、その自己評価について御説明をさせていただきたいと思います。説明に当たっては、資料の右下に振っているページ番号にて御案内いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では、1ページをお願いいたします。独立行政法人の位置付けと福祉医療機構の事業概要です。上段の体系図のとおり、関連する社会保障や医療法などの各法律の目的に即して、国や地方公共団体により地域共生社会や、地域医療構想などの各種政策プランが策定される中、独立行政法人は国の行政活動の実施機関として位置付けられております。それを踏まえて、下段の事業体系図のとおり、私ども福祉医療機構においては、福祉医療貸付や退職手当共済をはじめとする全11事業を一体的に実施することにより、主務官庁である厚生労働省並びにこども家庭庁の政策実現に向けて取り組んでおります。これらの活動のアウトカムは、独法通則法に定められている独立行政法人の使命である、国民生活の安定と社会経済の健全な発展への貢献という形で表されることとなっています。なお、現在は第5期中期目標期間に入り、令和6年度はその2年目の業務実績となります。
2ページをお願いいたします。令和6年度業務実績の自己評価です。資料のとおり1-1の福祉医療貸付事業、1-2の福祉医療経営指導事業、1-6のWAM NET事業の3事業をA評価とさせていただいております。そのほかの事業についてはB評価とさせていただいております。A評価とした事業は、昨年度と変更ありません。
それでは、個別の業務実績並びに評定の根拠について、事業ごとの説明資料により御説明いたします。3ページをお願いいたします。まず福祉医療貸付事業です。本事業は政策融資の役割を踏まえ、民間の福祉医療施設の整備に必要な資金を長期・固定・低利で融資しております。政策優先度に即して、介護サービス基盤整備や待機児童の解消、耐震化整備などへの融資に加え、感染症対策を伴う施設整備の対応や災害復旧資金の融資など、様々なニーズに応じる融資メニューを提供し、地域における福祉医療施設の基盤整備を支援しております。
4ページをお願いいたします。福祉医療貸付事業に関わる中期目標の内容です。当事業は、定量目標が4つ設定されております。1つ目が福祉医療関係団体との意見交換会の実施です。2つ目が民間金融機関との意見交換会の実施です。3つ目が福祉医療事業者の施設経営に係るアドバイスの実施です。4つ目が債権の悪化未然防止のためのフォローアップ調査の実施です。以上4点です。それぞれの達成状況については、中段の赤囲みの中に記載のとおり、全ての目標項目において120%を超えて達成できました。一番下に要因分析があります。目標の達成度が120%を超えたものについて、その要因を記載することとなっており、4項目全てが法人の努力した結果と判断し、その理由をそれぞれ記載しているところです。
5ページをお願いいたします。こちらは評定の根拠です。1段目は、効果的かつ効率的な政策融資の実施です。右側の理由欄の1つ目、政策優先度に即した政策融資の実施については、国及び地方公共団体の福祉医療政策と連携し、医療・介護の総合的な確保を推進する整備や、新子育て安心プランをはじめとする各種プランに基づく施設整備など、政策優先度に即した効果的かつ効率的な政策融資を実施しております。
2つ目です。災害対応と今後の災害への備えです。令和6年1月に発生した能登半島地震により被災された福祉医療関係施設に対し、33件、42億円の災害復旧融資を実施したところです。また、災害への備えとして病院の耐震化整備事業を13件、376億円実施しております。
3つ目が、物価高騰の影響を受けた施設等に対する支援です。令和6年12月から運転資金の優遇融資をしており、緊急時の資金需要に的確に対応したところです。なお、当該メニューは令和7年4月より、条件を拡充して実施しております。
続いて2段目、民間金融機関等に対する情報提供に係る取組です。民間金融機関による福祉医療施設の金融支援が円滑に行われるよう、勉強会の開催や機構が保有するデータの提供を行っております。また、福祉医療関係団体との意見交換会においては、近年の社会情勢や経営環境を踏まえた融資制度への意見や要望を聴取し、融資メニューの見直しや創設につなげております。さらに地方公共団体の施設整備担当部署に対しては、足元の施設経営の動向や当機構の審査のポイントなどの情報提供を行い、行政サイドからの福祉医療施設への支援体制づくりを後押ししております。このように福祉医療を取り巻く周辺の関係機関全体での支援体制を構築するために、当機構ではそれぞれの連携強化に努めております。
続いて3段目、適切な期中管理の実施です。こちらはコロナの影響を受けた既往貸付先への対応として、個々の経営状況を勘案し、返済猶予期間の延長に対応することと併せ、条件緩和等の返済相談の早期化に取り組んでおります。また、リスク管理債権化の未然防止として、事業報告書や決算報告書による全ての貸付先のモニタリングに加え、リスク特性を踏まえたフォローアップ管理を徹底し、信用リスクの悪化を最小限に抑えるよう努めております。リスク管理債権化のおそれが高い先へのフォローアップ調査の拡大を行うなど、効率的なフォローアップも実施しております。
最後に、債権管理体制の強化・見直しです。サービサーへの業務委託の本格実施を開始したほか、アウトソーシングの活用や各種電子申請の導入により、債権管理体制の強化・見直しを図ったところです。これらのことから定量指標の達成に加え、コロナ融資後を見据えた対応など、質的な充実に取り組んだことも併せて、令和6年度における福祉医療貸付事業の自己評定はA評価とさせていただいております。
1ページ飛んで、7ページをお願いいたします。こちらはコロナの影響後の人材不足・物価上昇により、厳しさを増す福祉医療事業者の状況です。こちらの資料は昨年の有識者会議において、コロナ融資の状況等を報告するよう御指示がありましたので、添付した資料です。
左側の真ん中辺りの図1を御覧いただきたいと思います。令和2年2月から令和5年9月まで、福祉医療事業者に対する資金繰り支援としてコロナ融資を実施しておりますけれども、その融資先の中で返済が難しくなってきている先が増加しており、リスク管理債権比率が全体的に上昇傾向にあります。機構と同様にコロナ関連融資を実施した政策金融機関である日本公庫のリスク管理債権比率は、現状において機構より高い水準にありますけれども、公庫においてはほぼ全ての案件の元金償還が始まっている状況にあるのに対して、当機構においては、おおむね30%程度しか元金償還が始まっていないことから、将来的にリスク管理債権は更に増加する可能性があります。
一番下の左の図2では、コロナ前後の機構における貸出先数の変化を示したものです。コロナ後の令和7年3月には新規貸出先が大幅に増加し、特に営利法人、医療法人、個人の顧客件数の増加が顕著になっております。
それに伴い右隣の図3では、営利法人、医療法人、個人のコロナ資金について、リスク管理債権数が大幅に増加している状況にあります。
右側の上段の図5のオレンジ色の線の営利法人を見ていただきますと、こちらのリスク管理債権比率が特に顕著に変動しており、おおむね3%ずつ上昇していることが見て取れる状況となっております。
その左斜め下の図6は、コロナ資金のリスク管理債権比率がどのような事業カテゴリで多く発生しているかを示しております。福祉系の在宅事業において、軒並み高い水準を示しているという状況です。高齢系の在宅事業においては主に老人デイサービスや訪問介護、障害系在宅事業では主に就労継続支援、児童系の在宅事業では主に放課後等デイサービスといったカテゴリで、破産や条件緩和等が多数発生しているという状況です。
その隣の図7は、事業カテゴリと開設主体をマトリックスにしたものです。病院や診療所等を含めて、全体的に経営が悪化している傾向にあります。その中でも特に財務基盤が弱い新興の株式会社の経営する福祉系の在宅事業など、当機構の平時の融資とは異なる層において、リスク管理債権が高まっていることが確認できます。
8ページをお願いいたします。こちらが、融資実行後における信用リスク抑制の対応や経営悪化先への対応です。資料の左半分がリスク管理債権化の未然防止等の取組、右半分が経営悪化した先への対応を記載しております。まず、左側の未然防止等の取組です。コロナ融資で増加した貸付先数に対し、事業報告書等の提出依頼や、提出された事業報告書等の内容の入力をアウトソーシングし、得られた財務データを用いて、全件にイエローランクを付与しております。
中段のモニタリング・フォローアップ態勢ではそのイエローランクをベースに、大口先、高リスク先、コロナ資金残高の多い先、その他の4つに分類して、無担保貸付が多くてイエローランクが悪い先など、リスクの高い先を中心に、より細かい内容のヒアリングを実地調査や電話等により実施の上、必要に応じて問題点等に対するアドバイスを実施しております。また、中段辺りの令和6年度における主な取組ですが、元金の大量償還が始まる令和7年度以降の貸付先に対して、元金償還開始6か月前に案内文書を送付し、条件緩和等の御相談や引落とし口座の変更手続等について、早めに手続を取っていただくような態勢を取っております。それ以外にも内部管理用のため、コロナ資金の「見える化ツール」を作成したことで、簡易に現況把握ができるようになり、より情報の共有化、管理の効率化が図られております。
今度は右側のほうをご覧いただきますと、こちらが経営が悪化した先への対応です。機構職員とサービサーで対応する態勢を構築しており、機構職員は主に行政等の調整が必要な場合や、地域の福祉医療基盤への影響度が大きい案件などを担当しております。サービサーには主に通所系案件など、定型的な対応が可能な案件を担当してもらうこととしております。ただ、案件によっては必ずしもこれに当てはまらないようなケースもあることから、柔軟に対応しているところです。
また、サービサーに対しては福祉医療基盤の維持存続を念頭に、機構の十分な管理の下に対応させております。定期報告・打合せを月1回実施し、案件の処理状況や方針等を指示しているほか、サービサーの質問等にも随時対応しており、機構の指揮命令を明確にして対応しております。一番下のサービサーへの委託件数ですが、令和6年度においては645件で、サービサーへの委託可能最大数は年1,728件に対し、委託余力は62.7%で、まだ十分な余力がある状況であることから、今後のリスク管理債権の増加にも十分対応が可能な状況となっております。以上が福祉医療貸付事業です。
9ページをお願いいたします。ここからは福祉医療経営指導事業です。概念図のとおり、本事業はリサーチ、セミナー、コンサルティングの3つの業務を用い、全国の福祉医療施設の経営の安定化・効率化を支援しております。具体的には貸付先から毎年御提出いただく事業報告書に基づき、施設の経営状況を分析の上、その分析結果をリサーチレポートやセミナーという形で、全国の福祉医療施設の経営者に向けて情報発信をしております。さらに、個々の経営課題等に対して個別のコンサルティングプログラムにより、施設経営の安定化を支援しております。
10ページをお願いいたします。こちらが中期目標の内容です。当事業は3つの定量目標が設定されています。1つ目がセミナー内容の充実ということで、そのテーマ数。2つ目が調査・分析結果がマスコミで引用された回数です。3つ目が個別経営診断実施件数です。その達成状況については、中段の赤囲みの中になります。
1つ目のセミナー内容の充実については、令和6年度の報酬改定や病院の働き方改革など、時宜を得たテーマの設定を行った結果、実績は12テーマで、達成度は120%となっております。2つ目の経営分析結果がマスコミで引用された回数については、報酬のトリプル改定や人材確保に関するアンケートなどのほか、特別養護老人ホームでの人材確保・人材定着がうまくいっている経営が良好な先を取り上げるなど、有意義なリサーチレポートを公表した結果、実績で154回、達成度は131%となっております。3つ目の個別経営診断実施件数については、実績が401件で、達成度は117%となっております。3項目の目標のうち、個別経営診断実施件数は120%に届いておりませんが、目標全体の平均では120%を超える達成度を挙げることができました。1つ目と2つ目の定量目標の120%達成の要因分析としては、法人として努力をした結果と考えているところです。
11ページをお願いいたします。評定の根拠です。まず1段目、セミナーの情報提供等の充実に係る取組です。令和6年度は報酬のトリプル改定、病院の働き方改革、介護施設の建築に係るポイントなど時宜を得たテーマ設定により、オンラインを中心にセミナーを開催した結果、ログイン受講者が1万7,022件、利用者アンケートでも96%を超える満足度を得るなど、非常に高い評価を頂いております。
2段目が、独自の取組による施設の経営支援に係る取組です。リサーチレポートや外部研修会への講師派遣など、多様な方法により機構独自のノウハウや知見を提供することにより、福祉医療施設の経営を支援するとともに、近年の社会情勢を踏まえ、物価高騰などの影響を調査・分析した上で、リサーチレポートで公表するなど、多様な方法で積極的な情報発信に努めております。さらに社会福祉法人のガバナンスや財政規律の強化に向けた行政の役割が大きくなっていることから、地方公共団体の社会福祉法人の監査担当者を対象としたセミナーを6自治体で開催しており、439人の方に受講いただきました。受講者アンケートにおいても94%を超える満足度を頂くなど、非常に高い評価を頂いております。
3段目が、国や地方公共団体等の業務受託を通じた支援に係る取組です。令和6年度には前年度からの継続分を含めて業務を受託しており、これまでの業務で得たデータやノウハウを活用し、報告・提案を行っているところです。
これらにより、定量指標の達成に加えて、福祉医療施設の経営支援に資するよう、関係する機関・団体へのノウハウ等の提供を行ったほか、行政担当者向けセミナーを実施するなど、質的な充実にも取り組んでいることから、自己評定は昨年度に引き続きA評価とさせていただいております。以上が福祉医療経営指導事業です。
少し飛んで19ページをお願いいたします。こちらは福祉保健医療情報サービス事業(WAM NET事業)です。本事業では福祉・保健・医療に関する制度や施策等を、一元的かつ正確に情報提供する総合情報サイトを運営しております。国が進めているデジタルガバメント計画を踏まえ、情報セキュリティ対策をしっかりと講じた基盤により事業を行っております。ページの右側の事業の特徴の2番を御覧いただきますと、近年、独立行政法人としての信用力を生かし、社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムをはじめとする、国の施策に基づく公表制度に係る4つのシステムを、WAM NETの基盤上で管理・運営しております。さらにこれらに加えて、厚生労働省医政局からの要請を受け、医療法人経営情報データベースシステムの開発も行っており、令和6年度から運用を開始しております。
20ページをお願いいたします。こちらがWAM NET事業の中期目標の内容です。当事業も定量目標が3つ設定されております。1つ目が提供情報の整備充実及び機能の見直し、2つ目が、WAM NETのヒット件数、3つ目が「子育て・介護と仕事の両立支援情報ポータル」の利用者満足度の向上です。各指標の達成状況ですが、中段の赤囲みの中にあるように、1つ目の提供情報の整備充実及び機能の見直しについては、実績で9件、達成度は112%となっております。2つ目のWAM NETのヒット件数ですが、提供情報の質及び利便性の向上に継続的に取り組んだことに加え、国の施策に基づく情報公表システムを安定的に運用していることなどから、年度目標値を大きく上回る約3億5,225万件のヒットと達成度は167%となり、情報を必要とされる多くの方々に御利用いただいています。3つ目の「子育て・介護と仕事の両立支援情報ポータル」の利用者満足度については、実績が88%で、達成度は110%となっております。ちなみに、こちらの利用者満足度はアンケート調査において満足、やや満足、やや不満、不満の4段階のうち、上位2つを選択された方の合計を満足度としております。
3項目のうち、1つ目のコンテンツの整備充実・機能の見直しと、3つ目のコンテンツの利用者満足度の2項目については、120%に届いておりませんが、目標全体の平均では120%を超える達成度を挙げることができました。
21ページをお願いいたします。こちらが評定の根拠です。1つ目の提供情報の質と利便性の向上については、政策動向や利用者の要望等を踏まえて、令和6年度報酬改定や、治療と仕事の両立支援など、4つのコンテンツを新設したほか、利用者の利便性の向上を図るために、利用者目線での既存コンテンツの機能改善を5つ行っております。その結果、利用された方からのアンケート調査では94%を超える満足度を頂くなど、非常に高い評価を頂いております。
2つ目、国の施策に基づく情報システムの運用及び管理については、財務諸表等電子開示システム等の4つのシステムの運用改善や利用促進などに努めたほか、医療法人経営情報データベースシステムについては、令和6年度から稼働を開始するとともに、医療法人から都道府県に届出のあった事業報告書や経営情報等について、財務状況等に係る分析を行うためのデータ化を実施したほか、情報登録機能や電子媒体のアップロード機能を開発しております。国のシステムについて安定的かつ適切な運用管理を行い、全ての利用者が信頼性の高い正確な情報を、安心して一元的に入手できる環境を整えております。
これらのことから、定量指標の達成に加えて質的な充実にも取り組んだことにより、WAM NET事業についても前年度に引き続き、自己評定をA評価とさせていただいております。
22ページをお願いいたします。WAM NETの参考資料です。左側が提供情報の質の向上と利用者利便性の向上への取組で、提供情報の整備充実・機能の見直しを行ったという内容です。新設・拡充したコンテンツのうち、主なものを図で2件示しております。
まず上段が、社会福祉法人の現況報告書等の集約結果です。各都道府県別に属性別の経営指標を新たに経年で掲載できるようにいたしました。下段は、福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチです。こちらは関係省庁の審議会等の中から利用者に関心の高そうなものをピックアップし、審議内容の要約をまとめて公表するなど、利用者にとって利便性の高いコンテンツとなっております。こういった取組がWAM NETのヒット件数増に寄与しているものと考えております。
また、右側のコンテンツの利用者満足度の向上に向けた取組ですが、病気治療のために仕事の継続が妨げられないよう、事業者の取組をまとめた「治療と仕事の両立支援情報」、従業員と事業者とそれぞれに、不妊治療の内容や職場での配慮のポイントなどを掲載した「不妊治療と仕事の両立支援情報」のコンテンツを新設しております。以上がWAM NET事業です。自己評定をA評価としたものは以上です。
その他の事業と共通事項については、中期目標に定められた目標を着実に実施しておりますので、前年度と同様、B評価といたしました。今回、個別の説明は省略させていただきますが、共通事項のうち経費の削減についてだけ、定量指標が設定されておりますので、その実績について御説明させていただきます。少し飛んで26ページをお願いいたします。
業務運営の効率化に関する事項のうち、3つ目の経費の節減については、運営費交付金を充当する業務の一般管理費を令和4年度比で15%程度、業務経費を5%程度削減する目標が設定されております。各年度において、年度換算では一般管理費が3%、業務経費が1%ずつ削減する計画となっております。その達成状況については中段に記載のとおり、一般管理費は年度目標6,200万円のところ、同額で達成度は100%、業務経費についても年度目標は2億6,400万円のところ、こちらも同額で達成度は100%です。いずれもギリギリではありますけれども、年度目標を達成したのでB評価としております。以上が福祉医療機構の令和6年度業務実績と自己評価です。よろしくお願いいたします。
○石井主査
御説明ありがとうございました。それでは、令和6年度実績評価について御意見、御質問がございましたらお願いいたします。オンラインで御参加の構成員も適宜、御発言いただくようお願いいたします。河村先生、お願いいたします。
○河村構成員
河村です。御説明くださりありがとうございました。本当に多岐にわたるお仕事を担っていらして、国の側からの信頼も大変厚くてらっしゃると思います。全体として、本当に高いレベルでやってくださっているという感じで拝見しておりました。評点の付け方も全体として特に異存はございません。ただ、もう少し突っ込んで御説明をお伺いできたらという所、それから少し御意見を言わせていただければという所がありますもので、順番に1つずつお尋ねさせていただきます。
まず、最初の福祉医療貸付事業は、先ほど御説明がありましたが、コロナ融資の返済がWAMさんでもこれから本格的に始まってくるということで、7、8ページで大変詳しく御説明くださりありがとうございました。万全に準備を整えていらっしゃるということは分かりました。でも、これからいろいろな事態が本格的に見えてくるのではないのかと思いましたので是非、このような分析も続けていただき、来年度もいろいろな状況をお教えいただきたいと思います。
先に、これは意見ですが、8ページでサービサーさん、まだ余力もありますし、十分対応できるのではないかということでしたが、基本的な方針は貸付先の事業継続ということになっており、まあ、そういうことになろうかと思うのですが、これはケースバイケースで、長く引っ張れば引っ張るほどいいということでもないような先もあるのではないかなと思いますので、決して追い貸しのような形になってしまわないように、判断すべきところは判断するということでお願いできればと思います。これは意見です。
これと関係して、少し戻りまして4、5ページで、指標の達成状況、それから民間金融機関との関係を御説明いただき、前向きにお進めくださっているとは思います。今日の御説明には出ていませんが、私は金融の世界の人間でもありますのでいろいろ報道が出ているのを目にしておりますが、この分野はWAMさんだけ、政府系金融機関だけではなく、やはり民間にもできるだけ入っていただいて、国全体としての融資できる資金の総量を確保していくということが、このセクターの健全な発展のために重要だということだと思います。
それで、民間金融機関さんとの連携強化ということでいろいろ目標も立てられ、意見聴取などもやってくださっており、それはとてもいいと思います。ただ、報道を見ていますと、これから万が一のときのことに備えなければいけない局面にも入ってきていると思うのですが、民間金融機関の側から担保権の設定の順位の問題について、いろいろ意見が出ているという報道が出ております。この分野の貸付の場合、WAMさんが第一順位の担保順位をお取りになってしまうことになると、全部そういう対応になってしまうと、非常に民間として手を出しにくくなる面もあるのではないかということで、改善を求めるようなことをされていると思うのですが、その辺りをどういうふうに御対応されているのか、特に民間金融機関の側からは、今日も7ページで比較対象に出ていました日本政策金融公庫の担保権の設定との比較での要望も出ていたと思います。日本政策金融公庫さんでは、中小企業向けの政府系金融機関だと思いますが、必ずしも全部を政府系金融機関側が第一順位の担保権ということではやっていないようなのです。ですから、そういったところも含めてどうお考えになっているか御説明いただければ有り難いです。
○石井主査
御質問ありがとうございました。それでは、WAMさんから御回答お願いいたします。
○福祉医療機構企画管理部長
河村先生、ありがとうございます。担保権の関係ですが、当機構では、福祉医療事業者の融資において利用者保護の視点から、施設経営の継続を最優先に位置付けた運用に努めております。また、貸付原資については財政融資資金を活用しておりますので、この制度の安定的な運用を図るためには、貸し倒れ等による追加的な財政負担が生じることがないよう、融資対象物件の抵当権第一順位の原則は、償還の確実性を図るために引き続き必要であると我々のほうでは考えております。一方で、この担保物件に係る対応としましては、令和元年度における規制改革への対応としまして、民間金融機関の先順位債権、これは普通抵当に限りますが、そういう案件については事業者の意向を踏まえた上で、担保順位の入替えを行わないような取扱いに改める対応も行っております。今後も協調融資の際や意見交換会などを通じて知見やノウハウ等を民間金融機関にも提供していくことは、民業補完の徹底というところではとても重要なことだと認識しておりますので、民間金融機関とコミュニケーションを図りながら、協調して地域の福祉医療事業者を支えてまいりたいと考えております。以上です。
○石井主査
河村先生、よろしいですか。
○河村構成員
ありがとうございます。お話は理解できるのです。国の側でそんな簡単に損を被るわけにはいかないということで、それは分かるのですが、そこは程度の問題、バランスの問題もあって、そこを追求しすぎてしまうとなかなか民間に入ってきてもらえなくなってしまうところがあります。今、御説明があったように、いろいろ民間とも意見交換をしながら進めていらっしゃるようですので、是非少し柔軟に御対応いただけるような感じでお願いできればと思います。
もう1か所、御説明をお願いしたい所があります。今日は御説明を省かれたと思うのですが、17ページ、心身障害者扶養保険事業ということで、これも国から委ねられてWAMさんでやってくださっている事業だと思うのですが。この運用で、令和6年度は市場環境の影響だと思いますが、マイナスが付いている所もあったりしますので、その辺りをどういうふうなお考えで運用なさっているかというところを御説明いただけないでしょうか。
○石井主査
よろしくお願いいたします。
○福祉医療機構企画管理部長
先生、ありがとうございます。この心身障害者扶養保険事業の資産運用については、厚生労働省の主催している「心身障害者扶養保険事業に関する検討会」で将来予測等に基づく報告内容を踏まえ、中期目標・中期計画の策定時に、厚生労働大臣から運用利回りについて、現在であれば1.5%を目標とするように指示されておりまして、これに事務コスト分の0.1%分を上乗せした1.6%を目標運用利回りとすることとされております。資産運用の基本方針等については、資産運用に精通した外部専門家により構成されている「心身障害者扶養保険資産運用委員会」が当機構にありまして、こちらのほうで最も小さいリスクで目標運用利回りを達成するよう検証を行っております。
御意見を頂きましたように、日銀の利上げなどの積極的な姿勢から国内金利が上昇傾向で推移していること、日米の政治情勢の不透明感、アメリカの関税政策等、そういった経済の悪影響の懸念もあるので、足元の運用環境は非常に不安定なものと認識しております。先生からの御意見も踏まえまして、機構の内部の委員会の検討内容も踏まえ、厚生労働省とも連携しながら今後の運用資産についても検討してまいりたいと考えております。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。
○河村構成員
ありがとうございました。お話は分かるのですが、年ごとに振れが出て、プラスの年、マイナスの年が出るのはしょうがないかなというところもありますが、令和6年度が△2.42ですよね。この数字からも想像ができますが、債券中心でやってらっしゃるのかなという感じがするのです。株と資産と黄金比がいくらということもありますが、どうやって分散しながらやっていくのかということで、債券がよくて株が駄目ということは、そんなことは決してないですし、これは大事な国民の資産の運用ということで任されていらっしゃると思いますので、その辺は是非、資産配分とかもお考えいただいて、安定的な利回りが、1.6%ということで決して高すぎることもないし必要な目標だと思いますが、確実に達成できるように御検討いただければと思います。私からはコメントは以上です。説明ありがとうございました。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。
○石井主査
ありがとうございました。そのほかの委員の方、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。それでは、小林構成員、お願いいたします。
○小林構成員
ありがとうございます。これは事前説明のときにも少し伺ったのかもしれませんが、私、お金のところは余り深く分からないので教えていただきたいと思います。福祉医療貸付事業のコロナのときのリスク管理債権の回収に向けて、サービサーに委託をして、大口の分については機構のほうで、中小の小口についてはサービサーのほうに回収や対応を委託しているというのがあったかと。
○福祉医療機構企画管理部長
どちらかというと、小口のものをサービサーのほうに委託するということです。
○小林構成員
それがありまして、これに大体、年間5億~7億ぐらい委託費が掛かって。
○福祉医療機構企画管理部長
はい。昨年度自体は、まだそれほど本格実施しておりませんでしたので、1億4,000万円だったのですが、今年度は6億円程度が掛かる予定です。
○小林構成員
これがどのぐらいの予定で、5億~7億の規模でサービサーに委託されていく予定があるのか、このリスク管理債権は回収できたほうがもちろんいいのですけれども、この5億~7億を毎年掛けていくのか、今、これが2社で最大で1,728件対応可ということなのですが、これ以上に増える可能性があって、更に委託費が膨らむ可能性があるのか、将来的にどのくらいで収束していくのか、その見通しがあれば教えてください。
○福祉医療機構企画管理部長
今の1,728件については1年間の最大数でして、こちらのサービサーとは4.5年の契約をしておりますので、4.5倍のキャパシティがあるとお考えください。リスク管理債権の見通しをこちらのほうである程度推測をしまして、それに耐えうるサービサーの数や、機構の職員の中で対応する分と合わせてて、この内容であれば今後発生するリスク管理債権にも対応していけると踏んでおります。
○小林構成員
分かりました。そうすると、4.5年。
○福祉医療機構企画管理部長
4.5年です。
○小林構成員
そうすると、5億~7億が4.5年ぐらいは掛かっていくということですね。
○福祉医療機構企画管理部長
はい。
○小林構成員
分かりました。もし、ほかの先生方から御意見があったらお聞きしたいのですが。
○石井主査
ほかの先生方、どうぞお願いします。
○川原構成員
質問ではなく意見でもよろしいでしょうか。御説明ありがとうございました。コンサルティングを実際にやっている側からしますと、非常にWAMさんの融資で助かっている病院、医療機関とか福祉施設が多いのは間違いないところだと思います。先般の病院団体の調査によりますと、医業利益で69%は赤字とありますし、WAMさんのデータでも、2023年度は経常赤字が、一般病院で51%が赤字というデータも出ていて、かなりこの経営状況は厳しいといった状況、特に病院が非常に厳しいといったところで、是非、時期を逸することのないような融資を行っていただきたいと思います。5ページでも新たにいろいろと融資を行っていますというお話がありましたが、そういったところで、やはり今、非常に生き残りのために大変な時期だと思いますので、是非お願いしたいと思うところです。
あと、民間金融機関も昔と比べると医療に対する理解度が高まってきたというところで、民間金融機関も医療や福祉のほうに入ってきているところだと思います。民間金融機関の話を聞いていても、やはり協調融資というで、WAMさんに期待している部分も非常にあると感じています。是非、今後も医療界や福祉界が持続可能になるためのバックボーンとしての融資制度だと思いますので、そういうところで御活躍いただければと思います。現状を受けての意見を申し上げさせていただきました。以上です。
○石井主査
川原構成員、ありがとうございました。ほか、ございませんでしょうか。大村構成員、お願いいたします。
○大村構成員
大村です。よろしくお願いします。私からは意見がほとんどかと思います。意見を述べさせていただければと思います。まず1点目です。福祉医療貸付に関わってですが、長期的な展望で社会福祉や医療の基盤を形成するという意味で、非常に重要な役割を果たしてくださっていると感じております。手堅い経営主体の事業所が、特にしっかりと事業ができるように是非応援していただければと思っております。必ずしも民間で、なおかつ株式会社も含めてだと思いますが、小規模の所で経営基盤が余り大きくなく、苦しんでいる所もおありかと思うのですが、一方で、地域の基盤を形成するというところですと、なかなか勇気が出ない法人でも実は手堅いという所もおありになるのかなとも思いますので、そういう法人が貸付を受けて、更に基盤を強化できたり、新しいサービスを提供できたりできるように応援していただけるとうれしく思っております。これが1点目です。
それから、2点目です。こちらも同じく貸付なのですが、日本全国に施設・事業所・医療法人等がおありになる中で、機構さんが、これだけ迅速かつ的確に経営指導を含めてしてくださっているのには、何かノウハウや秘けつなどがおありになるのかなと思うので、どのような工夫をされていらっしゃるのか、もし可能であれば教えていただければというのが2つ目です。
それから3点目です。こちらは感想ですが、WAM NET事業に関わる情報公表システムについては、特に私は障害福祉の関連なので、よく活用させていただいているところです。今後も引き続きこういった情報の公表や活用しやすい方策を検討いただけるとうれしく思っております。
最後、4点目です。今回の報告にはなかったのですが、重要度も低い項目になっているかと思うのですが、扶養共済に関わってです。障害のある方の数自体が、実はこの間の統計ではかなり増えています。多分300万人ぐらい増えているのだと思います。それだけ障害という属性を持ってらっしゃる方、これは発達障害も含めての障害のある方だと思うのですが、早期発見、早期診断が進んでいって、その後の療育にもつながる、そういう時代に入ってきています。必ずしも親御さんが連帯しなくてもサービスにつなぐことができるようないい時代になっているとも言えるかなと思っています。旧来型の団体へのアピール等だと、なかなか情報が届きづらいなと私のほうでは感じているところです。インクルージョンが進んだことを私たちは評価したい反面、そのことでこういう共済の事業があるということ自体を御存じなかったりとか、分かりづらかったり、知らないという親御さんも相当増えてきているなという印象を持っています。こちらについて、何か工夫であったり、今後考えられることなどがあればお聞かせいただければと思います。以上です。
○石井主査
よろしくお願いいたします。
○福祉医療機構企画管理部長
心身障害者扶養保険事業のほうから御回答させていただきます。この事業は、もともと都道府県が行っている扶養共済制度の再保険事業を行っている関係で、この事業単独ではなかなか当機構としてPRがしづらいというところもあるのですが、今ですと、雑誌に投稿したり、特別支援学校や手をつなぐ育成会等の関係団体にパンフレットやチラシを配布したりするなどして、PRに更に努めています。そのほか、WAM NETメールマガジンで多くの方に知ってもらおうということで、メールを送らせていただいています。これ以外にも、特に加入員数が少しずつしか伸びてないので、もう少し上向くように対応をしていければと思っております。
2つ目の経営指導の関係です。昨今、やはり経営悪化とか物価高騰でかなり悪くなっているところもかなり出てきているということもあり、こういう障害などの所の経営状況なども内部では分析をした上で、リサーチレポートを作成して分析結果を皆さんに周知をするために、プレリリースをしていますので、全国の皆様がご覧いただけるようにしております。それ以外にも、当機構のセミナーでは障害福祉セミナーなども配信しておりまして、今置かれている現状なども、この中でご覧いただけるようにしています。今年も障害福祉の関係では、報酬改定など昨今あった内容も含めて配信しておりますので、そこら辺は影響なども踏まえてアドバイス的なことをその中でやっていければと思っております。以上です。
○石井主査
よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにありませんか。それでは、江原構成員、お願いいたします。
○江原構成員
江原です。私も評定については、特段異議はございません。指標について2点ほど質問があります。資料10ページの評価項目1-2の福祉医療経営指導事業、こちらの指標の達成状況のイです。福祉・医療の施設の経営状況に関する調査・分析結果を公表し、マスコミ等によるその引用回数を実績とされていますが、質問の1点目は、この経営状況に関する調査・分析結果というのは、具体的にはWAM NETに掲載されています医療法人や社会福祉法人の経営状況についてのレポートなど、誰でもアクセスすることができる情報を指すのか、あるいはセミナーなどで限定的に公開された、アクセスが制限されている情報に関するものなのかについて、教えていただきたいと思います。
質問の2点目は、マスコミ等による引用回数となっておりますが、この「マスコミ等」というのは、例えば、大手のテレビ局や新聞社、あるいは雑誌の出版社など、そういった特定のもののみをマスコミ等としているのか、あるいは、例えばコンサルタントや医療従事者などの専門家が、個人としてX(旧:Twitter)などのSNSなどで、公表されている記事を引用した場合も、こちらの指標にカウントされるのかどうかについて、お聞かせいただけますでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。まず、ここで調査・分析結果が何かというところですが、これは先ほど話が出ておりましたリサーチレポートというものがありまして、機構の中でそれぞれの分析した結果のリサーチレポートをプレスリリースにより公表しております。ですので、1点目はリサーチレポートの内容となります。
2点目は、そのリサーチレポートで公表された内容が、ここで挙げておりますのは、基本的に新聞や雑誌といったものを中心にカウントしておりまして、個人のSNSなどに取り上げられた回数はカウントしておりません。以上です。
○江原構成員
どうもありがとうございます。
○石井主査
それでは、岩崎構成員、お願いいたします。
○岩崎構成員
御説明、どうもありがとうございました。今回、初めて関わらせていただいて、福祉医療機構さんが本当に様々な事業をやっていらっしゃるということを、改めて驚きを持って知った次第です。
他の委員の先生と重なりますけれども、小規模な、特に通所を中心とするような事業体の貸付に関して、昨今の社会的な情勢が重なって、非常に苦しい状況、回収もかなり困難を極めそうな予測はあるわけですが、小さいけれどもその地域でいろいろな役割を果たしている事業体が、本当に必要性があるというようなことで踏みとどまろうとしているのであれば、是非お手を貸していただきたいなと思っています。これは本当にお願いでございます。
質問としては、福祉保健医療情報サービス事業なのですが、これは大村先生もおっしゃっていましたが、私も調査するときに以前から活用させていただいておりましたが、以前は自治体によって非常に情報のばらつきがあって、せっかく調査票を送っても残念なことになる場合もあったのです。今回、きちんと登録をしないということが減算になるということが加わって、今後、非常に精度が上がってくるのではないかと、大いに期待をしております。それと関連するのか分かりませんが、評価項目1-6のイの項目で、提供情報の質及び利用者の利便性の向上に努めて、昨年度よりも更に今年度はヒット件数が増えて、3億5,000万件を超えているとありますが、このような結果になった背景をもう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。こちらのヒット件数ですが、今回ヒット件数の増加の要因になったものは、障害の公表システムが一番多く閲覧されておりまして、全体の増加分のうち3,000万件ぐらいとなっています。これは見える化の対応と言いますか、その中で増えているというというところもあります。あと、福祉サービス評価情報という機構独自で作っているコンテンツなのですが、こちらが約500万件ぐらいアクセスが増えておりまして、これも見える化の一部というところでもあるのですが、評価の内容が見えるようになっております。それぞれの施設の公的な評価情報が載っておりまして、それを閲覧しながら実際に保育園などを選んでいただくときに利用していただくようなコンテンツを当機構独自で作っておりまして、そういうところも一応伸びている要因になっております。以上です。
○岩崎構成員
ありがとうございます。私たち事業者として関わっている点でいうと、減算というような大きなインパクトをもって、WAMさんはこれまでももちろん知名度は高かったのですが、いろいろな方に知られるようになったのかなと一方で思っていたりしています。また、個人的には、障害福祉サービスの人材確保に関する調査の結果などは、いつも拝見させていただいておりまして、やってくださるリサーチの結果は、本当に参考にさせていただいております。特段評価の結果については異論はございません。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。Webで御参加の鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員
御説明、いろいろありがとうございます。1点だけお伺いさせていただきたく存じます。評価項目1-6、資料21ページですが、先ほど大村先生がおっしゃったように、私もこのWAM NETを活用させていただいて、非常に役立っていると思っております。その中で、評価の根拠の2番ですが、例えば障害福祉サービス等情報公表システムでは、事業所の92.6%の利用ということで、これもかなり高い参画を得ていると思うのですが、こういったところを100%により近づけていくために、今後どのような方策を採っていけばいいのか、あるいは考えていらっしゃるのかということを、もしお考えがあればお教えいただければと思います。以上です。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。ここの利用率の向上については、行政と連携を取りながら進めていくということが、一番の最短の内容となっておりますが、ここの事業所については、既に廃止になっている所も、場合によっては一部含まれている可能性がありまして、必ずしも全てが100%まで行くのかどうかというと、その辺りは何とも言い切れないところです。ただ、なるべく上昇するように、ここは行政と連携を取りながら、必要な方策を講じていきたいと思っております。以上です。
○鈴木構成員
ありがとうございます。
○石井主査
それでは、渡邊構成員、お願いいたします。
○渡邊構成員
渡邊です。御説明ありがとうございました。基本的には、評価などに関しては御説明いただいた内容で異存はございません。民間では、なかなか担いづらいところ、難しいような事業について着実に事業を進めておられると思います。ありがとうございます。
意見としましては、私は介護や障害に関して研究しているということもあって、WAM NETさんをしばしば見させていただいていて、とてもお世話になっております。とてもすばらしい情報がたくさん載っていて有り難いなという半面、直感的にどこに何の情報が載っているのか、やや分かりづらいことがあるなと思うときがあります。国からいろいろな情報を載せてくださいと言われたものをたくさん載せていただいて、分野も福祉・保健・医療の総合情報サイトというところで致し方ないところはあるかと思いますが、介護、医療、障害、子供と多岐にわたり、それぞれに関して結構いろいろな情報が載っているので、それぞれすばらしい情報が載っているのですが、自分に役立つ情報がどこに載っているのかが、少し直感的に分かりづらいことがあるなと思っております。その辺り、もう少しユーザーにとって探しやすいような見え方だったりというところを工夫していただけると、内容は本当にすばらしいだけに、もっと良いサイトになるのではないかと日々思っております。すみません、よろしければ御検討いただけますと幸いです。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。このWAM NETコンテンツについては、見えづらいといった御意見はよく頂きます。その都度、いろいろと内容のリニューアルをして分かりやすく公開するようにはしておりますが、どうしてもまだ一部分かりにくい所などは、御意見を頂いた所を踏まえて、しっかりと改善していきたいと考えております。以上です。
○渡邊構成員
ありがとうございます。
○石井主査
そのほか、ありませんでしょうか。最後に私から1つ。これだけいろいろな事業をやっていただきましてありがとうございます。しかし、26ページを見ますと、経費節減の一般管理費として6,200万円とあり、そういった説明もしっかりとされています。この辺りは大丈夫なのですか。どのような工夫をされて節減をされているのかといった御説明を頂ければと思います。
○福祉医療機構企画管理部長
ありがとうございます。経費の削減については、基本的には国のほうから、必ずこれは設けてくださいということで設定されておりますので、それに基づいて、この達成目標というものは設定されております。例えば本当に細かいところですが、名刺の発注について、外注で出していたものを複合機で印刷する方法へ見直したり、あとは旅費や交通費の振込なども、今までは複数で振り込んでいたものを一括して振り込むようにして手数料を少し削減したりするなど、本当に細かいところから必死にやって何とか達成しているというような状況になっております。以上でございます。
○石井主査
これだけの事業をやっていただいて、そのような努力もされていて、本当に申し訳ない気がいたしました。
○福祉医療機構理事長
すみません、理事長の松縄です。経費節減目標については、約20年前にWAMが設立されたのですが、その年以降、ずっと中期目標期間5年間で大体15%ぐらい削減と言われてきて、昨今の物価高騰などの状況の中で、いろいろな努力はしてきましたが、そろそろ限界に近いかなと。今回の中期目標期間がスタートする際にも、かなり知恵を絞って、あれやったらどうか、これやったらどうかなど、派遣社員を減らして他の職員と併任にするなど、そのようなことまでやって、ぎりぎりのところかなと思っておりますので、正直、次の中期目標期間は、このままの状態でできるかというのは、やや不安に思っております。以上です。
○石井主査
ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はよろしいでしょうか。
○福祉医療機構企画管理部長
申し訳ございません、1点だけ補足させてください。先ほど、江原先生に御指摘いただいた質問の中で、リサーチレポートを公表するといったお話をさせていただいたのですが、もう1つ、経営動向調査と経営指標の公表というものをやっております。機構のほうで、公表した指標やモニターに参加していただいている病院と社会福祉法人に回答いただいた経営動向調査についても、その内容を公表していて、それも新聞や雑誌などに取り上げていただいていますということを、1つ付け加えさせていただきます。
○石井主査
ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
続いて、法人の監事及び理事長から、年度・中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いします。それでは、法人監事様からお願いします。
○福祉医療機構監事
福祉医療機構監事の砂田でございます。恐れ入りますが、資料を横にスライドいただくか、左上のボッチを押していただきまして、2-4の所を押してください。私は監事で、純然たる民間から転籍で赴任しております。もう1人は非常勤で、監事の片桐が公認会計士として、監事2人体制で監査をやっております。私から、令和6年度の監事監査結果などの当機構の業務運営の状況等について御説明申し上げます。
この2-4は、6月に内閣総理大臣と厚生労働大臣に出した監査結果の報告書です。内容については記載のとおりです。こちらは主務省令で定められた記載事項に準拠して、総務省発出の記載例等を参考に記載しております。私ども監事、特に私は常勤ですので、役員会や経営企画会議、ガバナンス委員会等のほか、融資を決定の際の金額の大きな基準に該当するものとか、そうした貸付審査会などの主要な会議や委員会などに出席しまして、監事として、やはり述べるべきことは述べて、あとは、理事長が決裁した文書全ての内容を確認したり、当機構の意思決定の過程や多岐にわたる業務遂行を常に確認しております。
特に、当機構の業務が法令等に従い適正に実施されているか、中期目標の達成のために効果的かつ効率的に実施されているか。先ほども経費の話がありましたが、さらに、業務の適正を確保するための内部統制システムが機能しているかなどに着目しまして、会計監査人、監査法人、あるいは内部監査部門と協力しながら、毎年度、重層的な監査を実施しております。先ほど申し上げました、経営企画会議及びガバナンス委員会を軸とした適切なガバナンス体制の下に業務運営がなされており、目標に対する業務の進捗状況や実績管理を理事長のリーダーシップ、経営陣のマネジメントの下、各部門それぞれが求められる役割を適切に果たして、しっかり成果に結び付けていると、監事監査等を通じて評価しております。
なお、先ほどもちょっとお話がありました、当機構のお客様である社会福祉法人や医療法人等は近年、人材確保や建築費をはじめとする諸物価の高騰など、総じて厳しい経営環境にあります。当機構においては、地域の福祉医療基盤の維持存続を最優先のミッションとしつつ、併せて本日の資料の中にもありました、アフターコロナにおける適切な管理をはじめ、様々な信用リスク管理にも注力しております。今年4月から、先ほどありました物価高騰による影響に対する融資の取扱いも始めておりますが、当機構内の各部門が連携・協力して今後、福祉医療機構を取り巻く環境の更なる変化をいち早く捉えまして、それらの情報発信などにより、福祉医療事業者を総合的に支援する体制を一層強化していくことが引き続き課題と考えております。以上、簡単ではございますが、監事の意見とさせていただきます。
○石井主査
ありがとうございました。それでは、法人理事長よりお願いします。
○福祉医療機構理事長
福祉医療理事長の松縄でございます。本日は令和6年度の業務実績に関しまして、構成員の皆様方から大変貴重な御意見、御助言を賜りまして誠にありがとうございました。頂いた御意見、御助言につきましては、当機構の今後の運営にいかしていきたいと考えております。本日初めての方もいらっしゃいますが、私は昨年度、この会議の席上で、令和6年度は令和7年度に向けた準備の年であると申し上げました。そして、今年度は準備してきたことの本番の年ということとなります。これまで準備を進めてきた最も大きなイベントは、コロナ融資の大量償還に向けた対応です。本日の説明にもありましたが、コロナ融資は猶予期間5年の契約が多く、今年度から本格的な償還開始を迎えます。そのため現在、条件変更などの相談を多数受け付けていますが、6か月前から支払案内を送付していることや、サービサーへの外部委託を活用していることなどから、ここ数年、準備を進めてきた成果も現れまして、大きな混乱なくお客様対応ができております。また、返済に当たっては、お客様それぞれの資金繰りや収支見通しなどを踏まえて、現在は厳しくても長期的に御返済ができるよう、一件ずつ丁寧に対応しております。
続いて、準備を進めてきた2番目は、医療福祉分野の見える化対応です。医療法人経営情報データベースシステムにつきましては、令和5年度決算データを収集して分析を行っています。詳細な経営情報については、本格的な集計・分析は初めてということもありまして、いまだ公表に至っておりませんが、現在、委託元である厚生労働省医政局に、公表方法について関係者への調整を頂くなど鋭意準備中ですので、近々公表が可能になるかと思います。加えて、令和6年度実績につきましては、昨年度の診療報酬改定の影響を反映するため、来年度の診療報酬改定にとって非常に重要な参考データとなりますので、できる限り早期の集計・分析を行う予定です。また、子どもの見える化対応については今年の4月から、障害分野の見える化は来月からデータ集計を開始します。これらのデータは、国の政策の効果測定や今後の展開のため非常に重要な役割を果たすものです。しっかりとその役割を果たすべく収集し公表していきたいと思います。
準備をした3番目は、退職手当共済システムのリニューアルです。予定どおり、今年1月にカットオーバーいたしました。一から構築したシステムということもありまして、スタート当初はバグが発生して多少混乱もしましたが、現在ではほぼ順調に運用されています。このシステムを導入したことにより、退職者への退職手当金支払が着実に早まりましたし、社会福祉法人の業務負荷軽減にも役立ったと思います。引き続き、顧客利便性の向上に向けて取組を進めていきたいと考えています。
以上、昨年度に準備を進めてきたことは着実に今年度実現しています。また、今年度はこれらに加え、先ほど監事の挨拶にもありましたように、物価高騰の影響を受けた施設等に対する経営資金又は長期運転資金の融資を行っています。この融資は、昨年12月にスタートしましたが、4月からは更に条件を拡充しました。その結果、当初想定していた以上の申込みを受けており、現在、全力を挙げて審査や契約手続を行っているところです。
本日の報告にもありましたように、機構では年々業務が拡大しており、それを提供する責任も重くなっていますが、逆に言えば、それだけ地域における福祉医療基盤のサポートに貢献できているとも言えます。今年度も依然として物価高騰や人材確保難など、福祉医療事業者をめぐる経営環境は厳しい状況が続いています。我々福祉医療機構としては、単に融資だけにとどまらず、的確な現状分析や有益な情報提供など、福祉医療の現場を総合的に支援する活動を継続していきます。引き続き、有識者会議の構成員の皆様方の御指導を賜り、国や福祉医療に関わる事業者、利用者の力になれるよう業務に励んでまいります。本日はありがとうございました。私からは以上です。
○石井主査
ありがとうございました。ただいまの御発言内容につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いします。Webの構成員もよろしいでしょうか。ありがとうございます。以上で本ワーキングの議事を終了いたします。
最後に、事務局からお願いがございます。事務局、お願いします。
○事務局
今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました福祉医療機構の令和6年度業務実績評価につきましては、今後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメントなどを踏まえまして、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表させていただきたいと思います。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様方にも御報告いたしました上、公表させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○石井主査
それでは、本ワーキングはこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり熱心な議論を頂き、また、円滑な議事運営に御協力いただき、ありがとうございました。