第27回 特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会

日時

令和7年9月18日(木)18:00~20:00

場所

AP赤坂グリーンクロス 4階 ROOM B
東京都港区赤坂2-4-6 赤坂グリーンクロス

議事

○加藤医療安全推進・医務指導室長 定刻になりましたので、ただいまから第27回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、また、遅い時間にも関わらず、本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 私は事務局の医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長の加藤でございます。7月の人事異動により松本の後任として参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日、オブザーバーとして、前回に引き続き文部科学省医学教育課から御参加いただく予定でございますが、少し遅れての御参加と伺っております。
 また、吉村構成員からも遅れての御参加との御連絡をいただいております。
 初めに、これまで本検討会の構成員をお務めいただきました日本看護協会の吉川構成員から橋本構成員へ交代がございましたので、この場でお知らせをいたします。
 続きまして、お手元の資料の確認をいたします。議事次第、座席表のほか、本検討会の開催要項、そして、資料1、資料2の2つの資料がございます。過不足等がございましたら事務局までお知らせください。なお、会場の出席者におかれましては資料を紙媒体でお配りしております。
 なお、本日は現地及びオンラインによる同時開催となっております。御発言がある場合には、ZOOMの挙手機能やコメント機能を用いて意思表示をお願いいたします。その後、座長の指名に基づいて御発言をお願いいたします。また、御発言の際には記録のため、最初に御自身のお名前を仰っていただきますようお願いいたします。現地参加の方におかれましては、事務局で挙手を確認の上、座長に口頭、またはチャットでお伝えいたします。その後、座長から御指名いただきます。
 冒頭のカメラ撮りにつきましては、これまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○加藤医療安全推進・医務指導室長 それでは、以降の進行は座長にお願いをしたいと思います。
○松田座長 松田でございます。
 それでは、早速議題1「特定機能病院のあり方に関するとりまとめについて」に入りたいと思います。前回の議論におきまして、これまでの検討会の議論を踏まえて特定機能病院のあり方に関するとりまとめ(案)において論点を整理し、方向性についておおむね了承いただき、座長に一任の上、事務局とともにとりまとめの最終版を作成し、本検討会にお諮りすることとされたところであります。
 本日は、特定機能病院の在り方に関するとりまとめの「(案)」の取れたものをお示しした上で、基礎的基準及び発展的基準の考え方について議論したいと考えております。
 まず、資料1「特定機能病院のあり方に関するとりまとめ」及び資料2「基礎的基準及び発展的基準の考え方(案)」について事務局から説明お願いします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
 お手元に資料を2つ御用意してございます。特定機能病院のあり方に関するとりまとめの文書は、前回6月25日の検討会で案としてお示しをしたものから、「(案)」を削除した最終版です。前回の御議論を踏まえて特段の文章の変更は行っておりませんので説明を割愛いたします。本日は資料2を中心に御説明させていただければと思っております。
 資料2の「基礎的基準及び発展的基準の考え方(案)」は、おまとめいただきました特定機能病院の在り方に関するとりまとめの文書を踏まえまして、今後の具体的な制度の見直しに向けた内容をお示ししております。この考え方の案に基づいて御議論いただき、この案に御了承いただきましたら、具体的な制度の改正に向けて、明日開催される医療部会で、構成員の皆様方から御意見を頂戴したいと思っております。
 それでは、資料2を御説明申し上げます。
 2ページ目、とりまとめを踏まえて幾つか基本的な考え方を整理しております。内容としては、まず、特定機能病院は大学病院本院を基本とするといった方向性が示されています。それを踏まえて、新たな特定機能病院の承認に当たり、大学病院本院の機能を踏まえた基礎的基準を新たに設定し、その基礎的基準を満たしていただく必要があるということになるかと思います。
 続きまして、2つ目がナショナルセンターに関する位置づけです。ナショナルセンターに関しては、新たに設けられる基礎的基準を満たすことを想定しております。地域医療への医師の人的な協力といった基準が直接的には満たされないことが想定される中、その使命や、具体的な取組、また、それを踏まえて全国からの医師に対して高度な教育を施している性質や取組を踏まえて、その基礎的基準の一部を一定程度代替することが示されています。
 3つ目のポイントは、大学病院本院及びナショナルセンター以外の特定機能病院は、これまで特定機能病院としてその名称を使用してきた実績がございますので、あくまでも旧基準によるものとして引き続き特定機能病院として取り扱いたいと考えております。
 最後の部分ですが、そのような大学病院本院に属するもの、ナショナルセンターに属するもの、旧基準によるもの、その区分に応じて各病院をお示しすることをこちらに記載しております。
 続きまして3ページ目、先ほどのとおり、承認要件に関しては基礎的基準という形で整理させていただくことを考えております。基礎的基準は特定機能病院の制度の枠組み前の在り方に関するものですので、原則として速やかに適用することを考えておりますが、一部、準備期間が必要なものにつきましては一定の経過措置を置き、各大学病院本院の取組状況などを確認しながら順次適用していくものかと考えております。
 発展的基準ですが、こちらはさらなる取組を行っている医療機関をどのように評価するのかといった視点のものであったかと思います。とりまとめにはいろいろな内容がございましたが、各基準に係るデータが現状では不十分であると認識しており、まずは実績報告などでデータを収集した上で、改めて検討を行う。今後、もう少し長いスパンで具体的な考え方を示していきたいと考えております。
 以上をまとめたものが4ページ目です。まず、今回の制度改正で具体的に目指す姿としては、真ん中の基礎的基準導入後の部分です。青い縦の実線で引いているものが基礎的基準で、この基礎的基準の青い線をもって旧基準による特定機能病院と新たな基礎的基準を満たす特定機能病院に大きく分かれることを想定しております。
 新たな基礎的基準を満たす特定機能病院の中でも、大学病院本院とナショナルセンターに関して青い破線でお示ししておりますが、一部、地域医療への人的協力に関して、大学病院本院と同程度の機能がナショナルセンターに備わっているわけではないことを踏まえて、一定程度の線を引かせていただいているものです。名称は、仮称ですが特定機能病院A、特定機能病院Bといったものを想定しております。
 まず、今回の制度改正で真ん中の基礎的基準の導入を目指しますが、最終的には発展的基準を導入することにより、同じ特定機能病院A、大学病院本院の中でもより多くの取組を実施していただいている場合に評価ができる、濃淡がつけられるような仕組みを今後考えていきたいと思っております。
 5ページ目からが基礎的基準の具体的な内容です。
 5ページ目は概要です。
 この基礎的基準の6ページ目から後ろのスライドは、原則として変更がある部分に限り御説明をしております。変更がないものに関して、例えば紹介率・逆紹介率や、第三者機関の認証に関して全く記載がございませんが、なくなったのではなく、従前のものは従前のとおりとしたうえで、こちらでは変更があった部分を中心に御説明をしております。
 改めまして6ページ目から御説明できればと思います。基本診療科の幅広い設置という項目につきまして、専門医基本領域に関する診療科を全てカバーすることがとりまとめのコンセプトであったかと思います。そのような観点で5つの診療科を具体的に付け加えております。とりまとめになかった診療科として形成外科とリハビリテーションがありますが、こちらも専門医の基本領域には含まれておりますので、それも含めて形成外科、病理診断科、臨床検査科、リハビリテーション科、総合的な診療を担う診療科の設置を新しい基準ではお示ししております。
 なお、診療科設置の状況に関しては、現状、病理診断、臨床検査などを含めて具体的な診療科名称がない場合も多々あるかと存じますので、そのようなものも踏まえて、担っている部門が存在していることで差し支えないことにしております。特定機能病院Bにつきましては、その性質を鑑みて数を変更してございます。
 続きまして、専門医の配置です。現行、医師の配置基準は患者の数に応じて決定しており、そのうちの半数以上が専門医の医師でなければならないという基準がございます。その半数の専門医に何が含まれるのかをお示ししており、含まれる専門医の中に新しく診療科として加わる部分に関しても算入対象とすることを予定しております。これはあくまでも現行の基準と並びをそろえたもので、何か新しいハードルが課せられたものではございません。
 7ページ目が教育です。いわゆるStudent Doctorの育成に関しては臨床実習生の受け入れなどを付け加えております。また、専攻医については用語の整理で、基準としては何か大きく変わるものではございません。
 その次、幅広い基本診療科の専門研修プログラムの基幹施設です。こちらも専門医基本領域の全ての専門研修プログラムの基幹施設が想定されていたかと思いますので、5つの診療科及びその領域の専門研修プログラムの基幹施設ということが要件になろうかと思います。
 他方で、現在の実情を見ますと、全ての専門研修プログラムの基幹施設になっていない大学も一定程度あると承知しております。今後、この基準については各施設の指定状況や、それぞれの地域においてどのような体制が取られているのかといった実情を踏まえて、適用方針を別途検討していければと思っております。
 7ページ目の一番下にございます地域の医療機関への学習機会の提供は、現在でも感染対策、医療安全などをはじめ、地域で取組を行っていただいているものと承知しており、そのようなものを基本に様々な取組を進めていただければありがたく存じます。
 続きまして8ページ目、看護師・薬剤師の実習受け入れについてです。
 看護師につきましては、まず、看護師等学校養成所の教育課程における臨地実習の受け入れ、もう一つが、看護師の特定行為研修の指定研修機関であることを要件としたいと思っています。一部、大学の中でも指定研修機関でないところがあると承知しておりますので、1年間程度の経過措置期間を設けて御準備いただきたいと考えております。
 薬剤師に関しましては、薬学生の実習受け入れの体制の整備を要件として考えております。具体的には認定実務実習指導薬剤師の配置になろうかと思います。もう1点が新人薬剤師、新しく免許を取得して大学病院などで働き始める薬剤師を対象とした研修の提供体制で、こちらは日本病院薬剤師会や厚生労働科学研究などで研修プログラムの指針などもお示ししておりますので、そのようなものを参考にしていただきつつ、各病院でプログラムをつくり、研修を提供いただきたいと考えております。これも1年間程度の経過措置を考えております。
 9ページ目、研究の部分です。最初の査読付き英語論文は、基準自体は現行のままとさせていただきたいと思っております。とりまとめの中でCase ReportとLetterの割引など、また、上限の設定など、幾つか御提案を頂戴しており、こちらは発展的基準のほうで検討していければと思っております。一番下の研究支援組織の設置は、いわゆるAROの設置を想定しております。
 続きまして10ページ目、こちらが地域医療への人的協力(医師)で、これまでいわゆる医師派遣として御紹介していた内容です。基準といたしましては、雇用形態によらず大学病院本院と派遣先の連携調整により、半年以上継続して派遣された医師の常勤換算医師数で、非常勤の方も常勤換算をして計上していただくことを想定しております。
 幾つかの注意事項がございまして、大学病院本院の分院やサテライト診療所につきましては、原則として派遣先とみなさないこととしたいと思いますが、これらが医師少数区域等に所在する場合につきましては、この算入が可能であることをお示ししております。
 2つ目でございますが、派遣医師が派遣元の在籍期間3年以上の医師であること。
 3つ目としては、病院長の派遣ではないこと。
 もう少し細かい内容といたしまして、派遣者がさらに派遣された場合は、最初の派遣のみ算入するなど、11ページ目に幾つか補足がございます。
 この基準につきましては、具体的なデータが現状手元にございませんので、まずは大学病院の本院が認識している派遣実績を早急に収集したいと考えております。その上で、実際に行われている派遣実績を基本として基準を設定したいと思っております。
 他方で、令和9年度をめどに、実績確認の仕組みを導入できればと思っております。そのような形で確認できた人数を御報告いただき、新たな基準を検討していければと思っております。
 地域医療の人的協力に関して様々な御意見を頂戴したと承知しておりますが、そのような細かい補正などは発展的基準で考えていければと思っております。
 11ページ目、先ほど申し上げた幾つか補足が書いてある部分です。最後の④地域医療構想、医師確保計画との整合性です。これは何か高いハードルを設定するというよりは、あくまでも定性的な概念をお示ししているものですが、括弧の中に含まれているような様々な機能をはじめとして、いろいろな都道府県との連携を進めていただきたいと考えてございます。
 12ページ目、先ほど申し上げました将来的に行っていきたい実績確認のイメージです。地域医療への人的協力という部分に関して、いろいろな考え方があろうかと思います。まず、事務局として重要だと考えている部分につきましては、一つ目として、大学病院本院とその派遣先である医療機関と一定の連携調整を行っていること、もう一つは、そこで働いている医師御本人がそのような連携調整の上で、そこで勤務していることを認識している、この2点が重要ではないかと考えております。
 つきましては、派遣の実績など、大学病院本院側で医師の名簿を作成し、どの医師がどこで働いているなどを把握していただくことや、派遣先の病院でも医師がどこの大学との関係性の下で働いていただいているのかといった名簿を作成いただくことや、それぞれの大学病院と派遣先と協力しながら御本人の認識も確認できるようなことを現場の負担等を踏まえながら検討していきたいと思っております。
 13~14ページ目にかけては医療安全に関するもので、基本的には院内の体制整備や、一部人的要件などの追加です。体制整備ですので、院内での調整期間、また、適切な人材の確保等に関して1年程度の経過措置を設けたいと考えておりますが、前々回に御議論いただいた内容を記載しているものですので、詳細の説明は割愛したいと思います。
 説明は以上になります。
○松田座長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、構成員から御意見・御質問等はございますでしょうか。
 相良先生、お願いいたします。
○相良構成員 相良です。まず、一つお伺いしたいのは文言のことなのですけれども、3ページのところです。基礎的基準については原則として速やかに適用することと書いてあって、後ろのほうの一定の経過措置を置きつつ、各大学病院本院の取組状況を確認しながら適用していくというところですけれども、場合によって大学病院本院は入らないかもしれないのですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 一部の基準につきましては、具体的な準備が今後必要になるものがあると承知しております。その適用状況につきましては個々の状況を踏まえながら、もちろんがんばっていただける部分につきましてはがんばっていただきつつ、やむを得ない事情がある場合には、また別途、その対応を検討して適切な方向を考えていく形になろうかと思います。
○相良構成員 基本的には大学病院本院を特定機能病院という形で位置づけると思うのですけれども、ただ、地域によってかなりそこを満たさない大学病院はあると思います。そこは地域のいわゆる最後の砦という形で動いていると思いますけれども、その中でもなかなか人数が足りない診療科等々がありますので、そういう面ではここの基礎的基準を満たさないケースも出てくるので、ある程度一定の期間の措置を設けながら、そこのところは入れ込んでいくという認識でよろしいですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 現時点でどういった大学がどういった事情で基礎的基準が満たせなくなるのかが必ずしも想定できるものではないので、この段階で全ての大学病院が必ず入っていくと申し上げられる状況ではないと思いますが、コンセプトとしては、大学病院の本院は特定機能病院の中核であることがこの検討会で御議論いただいたものですので、そのような考えにのっとって個別の事情を勘案しながらできる限り対応を考えていくということかと思っています。
○相良構成員 そうすると、全部が入らないかもしれない。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 現時点で大学病院の本院が特定機能病院に突然該当しなくなることは想定しておりません。
○相良構成員 ありがとうございました。その確認です。
 あと一つ、専門医の配置というところで、一つは考え方ですけれども、6ページの専門医配置というところですが、例えば医師の配置基準数の半数以上ということで書いてありますので、ここの各診療科の中の数のいわゆる50%が専門医を持っているという認識でよろしいですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 個々の診療科ではなく、全体の合計の合算数ですので、個別の診療科の中の専門医の割合は特に基準としては入っておりません。
○相良構成員 そこはすごく重要かなと思いました。例えば診療科の中で専門医の数が非常に少ないところがあると思いますので、そうすると、例えばほかの診療科の専門医の数で50%を超えていればいいという認識でよろしいですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御認識のとおりで、合計で超えていればよいということです。
○相良構成員 ありがとうございました。
 そうすると、その右側の形成外科、病理診断科、臨床検査科、リハビリテーション科、総合診療の専門医を参入対象とする、ここは恐らくかなり少ないと思うのですけれども、そこのところをひっくるめた中で50%超えていればいいですということですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 そのとおりです。
○相良構成員 ありがとうございました。
 それと、10ページの地域に一定の人的協力を行っていることというところですけれども、一つは、雇用形態によらず大学病院本院と派遣先の連携調整により、半年以上継続して派遣された医師の常勤換算数を評価するとなっています。先ほどの説明で非常勤医も一応常勤として換算するという話だったと思うのです。例えば大学病院にいて、それから、週に半日なり1日なりは地域の医療に貢献していると思いますけれども、それは常勤医としてカウントしていいということですか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 そちらは常勤医師の換算、端的に申し上げますと32時間で割り算をして常勤医師数としてカウントしていただくことになります。
○相良構成員 32時間で換算する。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 それぞれの病院の規定や、32という数字などを活用しながら換算していただくことになりますので、半日だけとか、1日だけとか、そういったものであっても換算いただけます。
○相良構成員 分かりました。ありがとうございました。
○松本企画官 文科省の企画官の松本ですけれども、補足的なことを申し上げます。大学病院の方から医師を派遣しているところを評価いただくということを非常に感謝しております。今の室長の御説明は、要は1日だけだったら5分の1、0.2に換算しますというようなざっくりした意味だと思います。大学の先生方、週に1回とか地域に出ている方がたくさんいらっしゃいますので、それを週換算で割って、しっかりと定量的に評価をいただくというのは、文科省としても非常にありがたいことだと思っております。
 相良先生が先ほど御質問されていた経過措置のところです。文科省のほうも各大学が基準を満たせるようにいろいろサポートしていきたいと考えているのですけれども、特定機能病院の制度上、我々の理解としましては、経過措置とともに、基準が満たせなくなった場合も改善計画を出して、その間努力をするという仕組みがあると認識しています。いずれにしましても各大学が努力をするというのが一義的だと思いますけれども、文科省としてもできることをサポートしていきたいと考えております。
 以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
 今のお答えでよろしいでしょうか。
○相良構成員 ありがとうございました。
○松田座長 ほかに御質問等はございますでしょうか。
 門脇構成員、お願いいたします。
○門脇構成員 門脇です。全体の大枠は異論ありません。私からは2点御質問したいです。
 1つ目が7ページ、既に念頭に置いて話されたことでありますが、基本診療科として、形成外科、病理診断科、臨床検査科、リハビリテーション科、総合診療科、この5つが加わっております。これは大学によっては、特に規模の小さい大学では部門としては存在していても専門研修プログラムまで整えてなくて、例えば臨床検査科とか、リハビリテーションはどこかの診療科が兼任でやっているところがあると思います。それと、それぞれの領域の必要専門医数とか、それぞれの都道府県でほかにどういうところが専門研修プログラムを持っているかとか、そういうことを勘案していただいて柔軟に対応していただくのだと思いますけれども、恐らくそういうことを既に考えておるのではないかと思いますというのが一つです。
 もう一つが10ページ、いわゆる医師派遣のところですけれども、そこで2か所、※で派遣医師は派遣元の在籍期間が3年以上の医師であることという、この3年以上のという背景を私は十分理解できていないのです。例えばそういう縛りがあると、派遣もいろいろなパターンがあると思うのですが、いわゆる市中病院で誰かが急に健康上の理由で辞めるとか、家庭の理由で異動しないといけないということが急に起こったりすると、誰を送るかというのでなかなか人がいなくて、まだ1~2年しか派遣元に在籍しない人に行ってくれと頼まざるを得ないようなケースもあると思います。この3年という縛りがあると、そういうときにいろいろ困るのではないかと思いました。私は3年という数字の意味が分からないので、その点がどうかと思いました。
 もう一つが、次の※の病院の管理者、病院長としての派遣ではないことというのも、病院長の派遣というのも地域医療を支える一つの重要な手段で、病院長だから対象外にするという意味も十分理解できていないのですが、例えば大学から講師レベルの人を小規模のあまり人が行きたがらない病院の病院長に頼むから行ってくれというようなときに、診療科のほうも人が少ない中で身を切って行ってもらうようなケースも十分評価の対象になり得ると思います。そういう様々なパターンを考えると、病院長だけ例外にするのもどうかと思いました。
 私からは以上です。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 7ページ目の幅広い診療科の専門研修プログラム、基幹施設の項目につきましては、まさに御指摘をいただきましたとおり、実際の指定状況や、その地域内でどういった指定機関があるかをもう少し詳細に見た上で、改めて検討をしていければと思っております。
 後者の10ページ目の地域医療の人的協力に関する御指摘をいただいた点ですが、1つ目の派遣元の在籍期間3年以上の医師であること、また、2つ目の病院長としての派遣ではないことにつきましては、実際にそういった派遣の人的協力が行われるケースがあるということや、個々の事情によりそういった貢献が行われるということもあることは重々承知しております。
 他方で、3年未満の医師の場合、まだ研修的な要素が強い部分もあるかと思いますし、管理者に関してもあくまでも管理ということであって、必ずしも地域医療そのものを担っていただいていない場合もあると思います。様々な考え方がある中での一つのルールとしてお示ししたものですが、これはいろいろな考え方がある中で、現在行われている調査の定義なども参考にしながら作成したものでございます。
 こちらの基礎的基準につきましては、あくまでも大学病院本院と大学病院本以外の医療機関とが機能的に異なることをどう考えるのかといった観点での基準でございますので、既存の調査なども考えながら可能な範囲でシンプルな、そういったものとの整合性を踏まえた算定方式が望ましいかと思って御提案させていただいた次第です。
○松田座長 門脇構成員、いかがでしょうか。
○門脇構成員 承知しました。基礎的基準ですので、ここであまりはっきり文言として決まってしまうと、それに縛られると、後で非常に不自由なことになることを恐れていますので、また御検討をよろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございます。
 私も御指摘いただいて引っかかったのですけれども、例えば北海道などですと医師が2人しかいなくて、そのうちの1人が病院長であると、2人で臨床をやっているような小規模な病院があるのも事実でございます。そういうところは常勤医として働いてございます。だから、これは原則としてという言葉をつけていただいて議論できればいいのではないかと思った次第です。
 では、山崎構成員、お願いします。
○山崎構成員 神奈川県の山崎です。よろしくお願いいたします。
 私のコメントとしては11~12ページ辺りになると思います。
 11ページの④の地域医療構想や医師確保計画の整合性というところを盛り込んでいただいたことは非常にありがたいと思っております。都道府県としてもこことの整合性、都道府県の中で特定機能病院がどのような役割を担うのかというところとの整合性が取れるところは非常に大きな期待をしているところです。
 そういった中で、12ページの右の図を見ますと、大学病院本院と都道府県との間で情報交換がされるような図が示されていると思います。この中で、実際には恐らく医師名簿を作成して派遣先と大学病院本院がやり取りをするという図になっております。一部、もしかすると、どの医者が何人ぐらい派遣をされているのかというところの情報交換なりが都道府県ともあるのかなと思っているところですけれども、先ほども少しお話があったとおり、例えば大学病院が何人の医師を地域に派遣しているのかというものに関しては、文科省の調査であったり、今であればDPCの係数になっておりますので、そういったところでの評価もあります。
 そうすると、実はこれを単独でやってしまうと、3つ目の評価法みたいなものになってしまいますので、大学さんとしてもそれぞれの名簿で人数カウント、同じような作業を3回やるようなことになりかねないのかなと思っているところです。
 あと、これが例えば名簿管理という形であると、個人情報といっていいのでしょうか、名簿の目的外使用ができませんみたいな設定になってしまうと、都道府県としては、特定機能病院の機能を評価するためだけに名簿は使えるけれども、例えば地域医療構想や医師確保計画といったものには活用することができませんというような名簿の扱いにされてしまうと、せっかくの趣旨が達成されないようなことになってしまわないのかなということもあります。都道府県としても何大学のどの診療科の医師がどこへ何人派遣されているのかということ、そういった情報は医療計画等をつくっていくときにも非常に参考になると思いますので、そういった活用ができるような形になっていただけたらと思います。
 もう1点は、できれば地元の都道府県と大学だけではなくて、例えば神奈川県であれば東京の大学さんが神奈川県の病院に派遣をしているようなケースは当然ありますので、そういう意味では、東京の大学さんが神奈川県と名簿の情報共有とか、そういった地元以外の病院との連携といったところも視野に入れていただけたらと思います。
 以上2点になります。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 まず、御指摘いただきました1つ目として、確保計画との関係で、そのような情報について都道府県との連携を深めていただくことは、我々としても念頭に置きたいと思っておりますし、実績確認の時の名簿の取扱いについても御指摘いただいたような点も念頭に置きながら、具体的な制度設計を考えていきたいと思っております。
○山崎構成員 地元ではない別の都道府県は。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 今回の基礎的基準に関しては先ほど申し上げたとおり、できるだけシンプルな算出方式と考えておりますが、とりまとめの中でも派遣元と派遣先との関係性を場所という概念も入れて考えていくべきといった御指摘もございましたのは承知しておりますので、そのような点を発展的基準において考えていきたいと思っております。
○松田座長 今のお答えでよろしいでしょうか。
○山崎構成員 大丈夫です。ありがとうございます。
○松田座長 岡構成員、お願いいたします。
○岡構成員 日本病院会の岡でございます。今回のとりまとめ案につきまして非常に分かりやすくまとめていただきましたし、特に特定機能病院は3つのカテゴリーに分けて分かりやすくなりました。あと、発展的基準も早急につくるよりはデータを蓄積してから具体的に進めていくという方向性には賛同したいと思います。その中で、私から2点意見を述べさせていただきたいです。
 一つは、医療提供における基礎的基準の中で、基本診療科の幅広い設置及び専門研修プログラムの基幹施設として総合診療を入れていただいたことは非常に意義が大きいと思います。医師偏在対策でも総合診療の役割は重要になってきていますが、なかなか人員が確保できない現状がありますので、総合診療医の育成において特定機能病院、特に大学病院本院の果たす役割、あるいは期待は非常に大きいので、今後、こちらについては重点項目として検討していただければと思います。
 ただ、今までもお話があったようになかなか人材がいなくて、特に地方においては、これが1つの大学で完結するのは難しい場合もあると思いますので、そのような場合は近隣の複数の大学で連携して行うことで評価できる体制が考えられるのであれば、ぜひ検討していただきたいと思います。
 もう1点、13~14ページの医療安全についての基礎的基準の新しい基準は、この内容は前回も非常に議論がありまして、医療の安全の質向上に貢献するということで非常に評価できるのですが、基礎的基準の新しい基準ということになりますと、いわゆる特定機能病院Aの大病院本院と、いわゆる特定機能病院Bのナショナルセンターには適用されますが、旧基準の特定機能病院についてはこれが入らないような印象があるのです。ただ、旧基準の特定機能病院の行う新基準の安全の基準は恐らく満たすことは可能だと思いますので、医療安全についての新基準は旧基準の特定機能病院にも満たせるような形で書き込んでいただければいいかと思いますので、そこは要望でございます。
 以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
 事務局、何かコメント等はありますか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 いただいた御意見を踏まえて検討していきたいと思います。
○松田座長 村松構成員、お願いいたします。
○村松構成員 村松です。まず、事務局のとりまとめ案には賛成の立場から意見をします。大学病院本院をほかの医療機関と切り分けて、教育を含めた基礎的な基準を明確化したという点で、基礎的項目はこちらでよいのではないかと思います。特に本院を地域の拠点として位置づけて、地域への人的協力の実施ですとか、地域医療構想との整合まで報告を求めるという設計は適切だと考えます。
 その上で、先ほど岡構成員もおっしゃいましたが、総合診療に関して1件意見をします。特に総合診療に関しては、地方ですとか都市部の地域差はあっても必要性が普遍と考えますので、総合的な診療を担う科の必置ですとか、総合診療の専門研修プログラムを条件としたことはとても重要なことだったと思っています。
 私からは以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
 総合診療に関して私も1つ質問があります。ある大学は大学病院の中には診療科として総合診療科ではなくて、医学部のほうに医学教育教室として総合診療があって、そこに総合医の研修医さんたちが集まって、地域の病院と一緒になって総合医の教育をやっているのですけれども、こういう場合はどのように考えたらよろしいでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 総合的な診療を担う診療科につきまして、現時点でいわゆる総合的な診療を直接標榜可能な診療科があるわけではないので、特定の診療科名を想定しておりません。したがいまして、当該医療機関において実質的に総合的な診療を担っている診療科を設置していただいておりましたら、それで差し支えないということになります。
○松田座長 今みたいな場合ですと、医学部のほうにだけ教室があるわけですけれども、大学病院のほうに診療科をつくっていただくということになるわけですね。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 大学病院のほうでもそういった総合的な診療を行っていただいていればよいかと思います。
○松田座長 分かりました。
 今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 日本医師会の今村です。私からは総合診療の部分の確認とお願いになります。
 岡構成員や村松構成員も御指摘されたように、この総合的な診療を担う診療科が6ページの基本診療科の幅広い設置、それと、7ページの幅広い基本診療科の専門研修プログラムを基幹施設として担うという中に入って、これからの医療の中で非常に大事な部分だと思います。
 一方で、7ページの専門研修プログラムについては、総合診療専門医の育成だと思いますが、現実には、まだ1,000名未満しか総合診療専門医はおりませんので、今後、総合診療担う医師がしっかりと育っていくような形で大学病院本院も考えていただければと思います。
 また、大学病院によっても本院が位置する地域の特性で、恐らく必要となる総合診療の能力も異なってくるのかなと、いわゆる病院に勤務している場合、それから、在宅医療で活躍する場合、在宅医療などではむしろ老年医学に強い総合的な診療能力というようなことになるのかなと、また、離島・僻地等で求められるのはプライマリーケア的な家庭医としての役割、そういう意味では、総合的な診療を担う診療科というのが今からいろいろな形で発展するのかなと思いますし、また、そのような形に各大学病院本院で発展し、また、実際の診療も行っていただけるような形にしていただければと思います。
 最後のお願いは、6ページの基本診療科の幅広い設置での「総合的な診療」については、標榜可能な診療科ではないことの確認についてです。この総合的な診療を担う診療科については、いろいろな意味で誤解、また、標榜科として総合診療科と言えるのではないかみたいな形になると、せっかくのここの部分がゆがんでしまうことも懸念されています。そういった懸念がないように、この特定機能病院の在り方でも進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○松田座長 ありがとうございます。
 御意見・御要望ということでよろしかったでしょうか。
○今村構成員 お願いの部分は要望ということでのお願いです。
○松田座長 今の点につきまして、ぜひ文科省のほうも、各大学への指導等をしっかりとやっていただけたらと思います。
○松本企画官 文科省でございます。まだ概算要求の段階でございますけれども、令和8年度の予算要求のほうで、総合診療の能力を持った医師の育成に係る予算事業なども予算要求をしているところでございます。それは限られた大学ということにどうしてもなってしまいますけれども、幅広く総合診療能力を育成していくことの重要性について、これまでもポストコロナ事業などで取り組んできておりますが、しっかり取り組んでいきたいと考えております。ありがとうございます。
○松田座長 今村構成員の御指摘にあったような形で、ぐちゃぐちゃにならないように、ちゃんとした総合診療を担う科が各大学できるように御指導いただけたらと思います。
 松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 事務局から示された内容につきまして異論はございませんけれども、今後審議されます新たな地域医療構想の取組等も控えておりますので、全体としてスピード感を持った対応をする必要があると考えております。
 まず、新しい基礎的基準を満たせない大学病院本院につきましては、一定の経過措置を置くことは理解しておりますが、今回の見直しは特定機能病院としての役割を強化することが目的の一つだと思いますので、長期にわたりまして新基準を満たさない大学病院本院が残ることがないように努力をしていただきたいと思います。特に医療安全につきましては準備に一定の時間がかかることは理解をしておりますが、医療安全は患者の命に関わる重大なことですので、可能な限り早急に対応していただきたいと思います。
 また、医師派遣につきましては、都道府県との連携を条件にすることで、地域のニーズに合った医師派遣が行われることを期待しております。まずは実績報告で実態を把握した上で発展的な基準を含め、将来的には地域医療への貢献度を定量的に評価することも考えられるのではないかと思います。
 最後になりますが、岡先生からもありましたけれども、大学病院本院やナショナルセンター以外の特定機能病院については、現行の基準ではみなし承認という整理になっておりますが、改善計画を提出するなど、それに基づく対応を求めることで、少なくとも現状より高い機能が発揮されることが望ましいと考えております。
 私からは以上でございます。
○松田座長 ありがとうございました。
 御意見・御要望ということでよろしいでしょうか。
○松本構成員 結構でございます。
○松田座長 続きまして、尾形構成員、お願いいたします。
○尾形構成員 尾形です。基礎的基準及び発展的基準の基本的な考え方については格別異論ありません。ただ、1点だけコメント、ないしは要望を申し上げたいと思います。
 資料2の4ページに示されているイメージ図を見ますと、先ほど御説明があったように発展的基準の導入後、仮称ですが特定機能病院Aについては発展的基準による評価ということで濃淡が施された姿が示されています。これは発展的基準を用いた評価によって特定機能病院間にある程度差がつくことを認めていこうということだと思われますが、そうした方向については基本的に賛成です。一律のいわば護送船団方式から脱皮すべきであると考えます。
 その一方で、大学病院本院は経営的には非常に厳しい状況にあるということが本検討会においても示されてきました。例えば国立大学附属病院は法人化後、増収増益路線によって一定の成果を上げてきましたけれども、近年それが限界に来ている。あるいは一方で、若手の研究者の研究時間が十分取れないといった本末転倒の事態に陥っているというような報告もありました。
 今回の見直しがそうした事態を改善し、従来のような増収増益に走らなくても経営が成り立ち、研究者が研究時間を十分取れるような方向をぜひ目指していただきたい。そのためには、この発展的基準の適切な運用とともに、補助金や診療報酬による対応もぜひ併せて考えていただきたいと思います。これは医政局の所掌を超える話ではありますけれども、この際、そうした要望を述べておきたいと思います。
 以上です。
○松田座長 ありがとうございます。
 非常に適切な御意見だと思います。私も昨年度まで大学病院にいまして厳しい状況であることは本当に実感しております。
 これにつきまして、文科省、あるいは事務局のほうから何かコメント等はございますでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。いただいた御指摘を踏まえて厚生労働省内の連携もしっかりと深めていきたいと思います。また、文科省ともしっかりと連携していきたいと思います。
○松田座長 よろしいでしょうか。
 では、吉村構成員、お願いいたします。
○吉村構成員 吉村健佑です。まず、基礎的基準の考え方の全体像については特に異論なく、これまでの議論を過不足なく盛り込んだ案と考えます。
 基礎的基準について1点のみ、確認があります。11ページに「32時間未満の場合は非常勤医師」という表記があります。都道府県の地域枠制度の運用に携わっていますが、1日の勤務時間が7時間45分という病院が多々あります。仮にこれを「31時間未満」とすると現場運用として少し円滑化しますがいかがでしょうか。
 発展的基準について、4点確認・コメントします。1点目は「時間外勤務」「土日の勤務」によって地域の二次救急などを支えている医師たちもいます。また、働き方改革の中で「宿日直許可」という形で管理当直をしながら地域を守っている医師をどう評価するか。
 2点目はまた、他の大学病院本院に対して派遣をしている大学病院本院があります。例えば本学の診療科の中には、他の大学からの医師配置をいただくことで支えられている状況です。そういったものはどう考えるかです。
 3点目は「派遣元の在院期間が3年以上の医師である」とあり、つまり例えば専攻医を派遣することは基礎的基準では評価しないと理解しました。これは発展的基準の中で評価する方向で検討いただきたい。実際に専攻医により支えられる診療機能は多々あり、目配せいただけるとありがたいと思います。
 4点目は発展的基準の導入時期については、例えば意欲を示して取り組んでいる大学から手挙げ方式で評価をしていくことはいかがでしょうか。例えば大学側の管理コスト、事務負担がかかります。多数の医師たちの勤務先を詳細に把握し、リスト化、加点をしていく必要があり、時間もかかります。いち早く意欲的に取り組んだ病院から、評価を受けるというのも一案かと考えました。
○松田座長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 地域医療の人的協力に関しての御意見をいただきありがとうございます。
 現状の基準は先ほど申し上げましたとおり、あくまでも現在行われている各種の調査を踏まえながら、大学病院とそれ以外をどうやって分けるのかという観点で、なるべく大きな変更がなくシンプルにというコンセプトで行ってきております。32時間の部分につきましても現在行われている調査をベースにやっております。
 先ほど門脇構成員や座長からも御指摘いただいた病院長の部分など、基礎的基準につきましては、できれば既存の調査等々の並びをある程度取った上で実施するほうが現場の混乱が少ないと思っているところでございます。基礎的基準が全てではなく、発展的基準でより幅広く実態をしっかりと把握しながら、また、ここは発展的基準の中で考えていきたいと思っていますので、その辺をできれば御理解いただけるとありがたく存じます。
○松田座長 ありがとうございました。
 吉村構成員、これでよろしいでしょうか。
○吉村構成員 事務局の回答で納得しました。
○松田座長 猪口構成員、お願いいたします。
○猪口構成員 猪口です。10ページは、この基準についてはいろいろと調査した上でというお話はされていますが、全国にはいろいろな状況で派遣が行われていると思います。半年以下の派遣というのも、3か月後とか、人がいないということになってくるのです。様々な状況で支えられている地域医療があるので、ここはあまり今からこんなに細かく固めないで、いろいろなパターンがあり得るとしておかないと、これが基準で動かしなさいと言われると、多分困ってしまうところが出てくるのではないでしょうか。これらの部分をどのようにするかということを少し考えていただいたほうが、特に医師の少ない地域ではいろいろなパターンで動かしている可能性がありますので、よくお考えいただきたい、これはお願いです。
 それから、もう一つ教えていただきたいのは医療安全のことですが、特定機能病院にこういう形で医療安全のレベルを上げていく、もしくはA類型とかB類型という考え方が入ってきて、これは特定機能病院に定着させた上で、その後は一般の他の病院にもこの考え方を踏襲して広げていくという考え方なのか、それを教えていただけたらと思います。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 事務局から回答させていただきたいと思います。
 1点目の派遣の実情に関しましては御指摘のとおり、多々あることは十分理解しております。また、半年以上にならない場合も、11ページ目に書いておりますが、半年未満であっても実態として継続的に別の方が行くなどとして、半年以上派遣いただいている場合に関しては算入可能といった、これも別の調査で同じルールがございますが、それを入れているところです。
 いずれにいたしましても、この基準をもって大学病院の今の在り方を変えていただくということを意図しているものではなく、あくまでも現時点で置かれている地域医療への協力状況を踏まえて、大学病院本院というものをそのほかの病院と切り分けようということがこのコンセプトですので、あくまでもこの基準はそういう観点だけで考えていければと思っております。どういう地域医療の貢献があるべき姿なのかというところは、また詳細な情報をしっかりと集めながら深く議論を進めていければと思っております。
 もう1点御質問をいただきました医療安全の動向でございます。当室は医療安全も所管しており、別途、医療事故調査及び医療安全に関する検討会も開催をしております。その中では、このA類型、B類型に関する議論なども行われておりますが、特定機能病院で行われていることをそのまま一般病院に持ち込むのは病院としての性質が異なるということから難しいという議論になっております。具体例で申し上げますと、A項目に関しては一般の病院の中でも報告体制を整備するという方向で議論をいただいた一方で、B類型につきましては個々の状況を考えて、あくまでも推奨をするといった形での議論が行われているところでございまして、そこはそれぞれの実情に応じて議論をしていければと思っております。
○松田座長 ありがとうございました。
 猪口構成員、よろしいでしょうか。
○猪口構成員 ありがとうございます。
○松田座長 橋本構成員、お願いいたします。
○橋本構成員 日本看護協会の橋本でございます。今回お示しいただきました基礎的基準・発展的基準の考えに特に異論はございませんが、1点だけ、基礎的基準についてお伺いします。
 7ページの基礎的基準の教育についてですが、一番下の枠の地域の医療機関への学習機会の提供等というところで、例として疾病の診断や治療、管理等、感染対策、医療安全、災害対応等と記載されております。こちらの学習機会の提供には医師に限らず、看護職をはじめとした医療従事者も広く対象に含まれているということでよろしいでしょうか。
 特定機能病院では既に、例えば地域全体の医療の質向上に向けた取組として、専門性の高い看護師が地域の医療機関等に所属する看護職や医療関係職種に対して急変時の対応などの、様々な多くの研修機会を提供しており、院内の職員も含めて参加し、地域連携も含めて相互に学ぶよい機会となっています。そういったことが基礎的基準に含まれているのであれば、例示の中に含めていただけますと、明確に伝わるのではないかと思います。ガイドラインを出されていく際には、記載の工夫などもお願いできればと思っております。
 以上でございます。
○松田座長 御要望ということですが、事務局のほうから回答はございますか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御指摘いただいた看護師等を含めた幅広い医療職種への教育研修も、もちろん7ページ目の地域の医療機関への学習機会の提供等に含まれるものと理解しております。いただきました御要望につきましては、今後、制度施行に向けた際に検討していければと思っております。
○橋本構成員 ありがとうございました。
○松田座長 相良構成員、お願いいたします。
○相良構成員 確認だけさせていただきたいのですけれども、4ページのところです。先ほども少し話が出ていましたけれども、特定機能病院Aのところでグラデーションがついているところです。発展的基準等々でグラデーションをつけていくのは別に問題ないと思うのですけれども、先ほど診療報酬等々が出てきて、それがここに入ってくるとどうなのかなと思いました。
 例えばこの発展的基準のところで言うと、ペーパーの数ですとか、例えば人がいればいるだけそこは増えてくると思いますので、そうすると、そこだけ診療報酬が高くなってしまうことになりますから、それはどうなのかなと思います。ですから、そこのところをどういう形で捉えるかということを踏まえて考えていただければよろしいかなと思います。そこを含めてどういう形でこのグラデーションを生かしていくかと考えていらっしゃるかというのをお聞かせいただきたいです。
○松田座長 データがないところでなかなか難しいとは思うのですが、事務局、今の時点で何か御回答はありますか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 3ページ目に書いておりますが、データがないということと重み付けについてさらに検討というところは、今まさに御指摘いただいたとおりで、そこについて簡単に決められるものではないだろうという観点で、もう少しお時間を頂戴したいという趣旨でございます。
 他方で、診療報酬は中医協でおいて議論されるものであるということも改めて付け加えさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上です。
○松田座長 本田構成員、お願いいたします。
○本田構成員 本田です。私も意見なのですけれども、基本的に全体的なことに異論は全くありません。
 その上で、11ページの地域医療への人的協力のところです。そもそものとりまとめの資料1のところでは、医師派遣という基準としてなっていますけれども、これだけを読むと派遣している数が評価されるみたいな感じに読めなくもないので、もちろん派遣している数、連携している数というのは重要な部分もあると思いますけれども、そういうところだけではなくて、どのように都道府県と連携して、地域医療に責任を持って地域の住民を支えているかというところを重く評価しているというような表現ぶりにしていただければありがたいと思います。
 もう一つ、13ページの医療安全のところです。先ほども御意見があったかと思いますけれども、この基準に関しては本当に大事なことで、特定機能病院なら新型だけではなくてこれまでの旧基準の病院であっても旧基準を認めている限りは、ここの部分はちゃんと満たしていただくというような、できるだけそのような方向で御検討いただければと思います。
 意見として以上です。
○松田座長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。
 川上構成員、お願いいたします。
○川上構成員 日本薬剤師会の川上です。コメントとして薬剤師に関連することを申し上げます。資料2の8ページ、教育における薬剤師の育成についてです。
 1つ目が、卒前の薬学生に対する実習の受け入れ、さらには2つ目として、新人薬剤師の研修体制を求めていただくことにはすごく意味があると思います。中には2つ目はハードルが高いのではないかと思われる方がおられるかもしれませんけれども、昨年の3月、御説明の際にもありましたが、厚生労働省より薬剤師の臨床研修のガイドラインが示されていて、さらに先立つ1月には日本病院薬剤師会から医療機関における新人薬剤師の研修プログラムの基本的な考え方が示されています。
 また、実態としては2年前、11月の中医協の働き方改革、その2の資料の中で、調査対象の約3割の病院が新人研修、また、500床以上に限ってみれば7割以上の病院が何らかのそういった研修を提供できているということなので、決して高すぎる要件ではないかなとは思います。
 ただ、これまでそういった薬剤師の臨床研修については、個々の病院とか、個々の薬剤師の努力によってこれまで実施されてきた背景があるかと思います。今回、こうした形で医療法に基づいて、法に基づく制度として大学病院本院に対して要件として求めることはすごく意味があると思います。ぜひこれが単純に責任者、委員会の設置やプログラムの作成に終わるのではなく、実質的に薬剤師に関しての卒後の臨床研修が制度としてより確かなものになるように、文部科学省、また、厚生労働省から御支援とか御指導いただけると意味があるものになるかなと考える次第です。コメントです。ありがとうございます。
○松田座長 ありがとうございました。
 どこの大学病院も薬剤師不足に悩んでいるところもありますので、そういう流れの中で、大学に勤務していただける薬剤師が増えると私もいいなと思いますので、ぜひ御検討よろしくお願いいたします。
 長尾構成員、お願いします。
○長尾構成員 長尾です。先ほど来のお話を伺っていて、派遣されている医師が、派遣を要望している病院のリクエストにちゃんと沿った活動をしているかどうかということが重要になるのかなと、それは技術であるかもしれないし、あるいは安全のガバナンスであったり、あるいは教育活動であったり、いずれにしても実際にその地域の住民にとって本当の意味で貢献できる医師である必要があると思います。
 仮に齟齬が生じたのであれば、派遣元の責任できちんと交代をするとか、いや、それは派遣にはカウントしないというようなことが担保される必要があります。現状でもそうなのですけれども、そちらから望まれて、ここに来てやっているのだというような態度がにじみ出るような医師もいなくはなく、そのことが地域の病院、特に他職種を非常に疲弊させたり、モチベーションを挫いたりということを目の当たりにしておりますので、せっかくならこの制度設計の中で、その辺りを上手に担保できるといいのではないかと思いました。
 それから、もう一つですが、例えば総合診療の医師というのは、地域で診療すること自体が自分の研究活動や診療そのものに非常に大きな意味を持つことから、地域で診療することとやりがいとが、かなりシンクロしてくるのだろうと思います。ですので、総合診療医師のように、地域で診療することが自分たちのキャリア形成に沿っている医師を養成して、その人たちが派遣という形で地域偏在を解消することが理想的ではあるのですけれども、その養成には相当時間がかかると思います。
 ですので、先ほどの地域医療構想とも重なるところだと思うのですが、派遣されている医師が、どういう役割で自分は派遣をされているのかということを明確にすることが重要で、きちんとしたラベリングをしておく必要があるのではないか。例えば老年内科やその他の診療科であっても、総合診療的な役割を期待されているのか、先進的な医療の展開を求められているのか、など、幾つかの型を決めておくことが知恵としてあるのではないか。
 自分はどのタイプ、複数でもいいわけですけれども、どれを担うことを期待されて医師としてこの病院にいるのだという、双方の認識を明確にできるような仕組みがないと、なかなか実のある実務になりません。結局、ただ数合わせ、先ほど本田構成員がおっしゃったような、数だけ送っていればいいのだろうとか、あるいはいろいろな医局から様々な事情で地域の病院に行っている人たちをかき集めて、これだけの人を派遣しているというように見えるようにして特定機能病院足り得る、というようなことは好ましくないのではないかと思いました。特に患者の安全上、その辺が懸念されると思いましたので、再度お伝えしておきたいと思いました。
○松田座長 ありがとうございました。
 フランスみたいにできるか分からないのですけれども、フランスはいわゆる医療計画という中で、例えば病院と診療所が契約を結んで何をやるのかということを明確にした上で協力関係をつくるということやっているのです。今回、大学と都道府県が話し合って、恐らくその中で医療計画との整合性とかいう話になってくると思いますので、今、長尾構成員から御指摘のあったようなことが明示的に書かれてくると、その部分が解消できるのかなと思います。
 あと、私が答えることではないのですけれども、今回、派遣して引き受けていただくということが大学病院の評価につながりますので、そういう意味ではそういう意識を持っていただくことも重要なポイントだろうと思いました。非常に重要な御指摘だと思います。
 これにつきまして、事務局のほうで追加のコメントはございますでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 どこまでミクロ的な観点での評価が検討できるのかというのは、私も今すぐお答えできる状況ではないのですが、特定機能病院制度の中で何ができるのかというところも含めて、もう少し長いスパンで考えさせていただけるとありがたいと思っております。
○松田座長 ありがとうございました。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 村松です。総合診療について追加で発言させていただきます。
 先ほど今村構成員が総合診療は育てていく科だという御指摘いただきましたが、全くもって同感です。新たな地域医療構想との整合性を考えるなら、2040年とその先に視座を置く必要があると思います。15年後以降になりますが、その頃の医療の最前線を働き盛りの世代として担うのは今の医学部生です。したがって、総合診療を志す学生が在籍大学の違いで学ぶ機会に差があってはならないと思います。学習機会の均てん化を速やかに進めるべきと考えています。
 併せまして、総合診療医にならなくても、総合診療マインドのようなものは医師に不可欠だと思いますので、そうした教育を学部の時代から受けられることは重要だと思います。こういった学生の観点からも教育を基礎的基準に組み込んだ今回の事務局案の趣旨を踏まえて、岡構成員のお言葉どおり総合診療を重点的に扱って、診療科の必置ですとか、総合診療専門研修プログラムの期間運用ということを、2040年以降の医療を担う世代に間に合う設計として確実に前に進めるべきだと考えます。
 以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
 コメントということでよろしいでしょうか。
 吉村構成員、お願いします。
○吉村構成員 端的に2点コメントいたします。
 1点目は村松構成員の意見とも重なりますが、総合診療医の養成及び地域の配置に対しては、発展的基準の中で具体的に評価していくよう、ぜひ検討いただきたいです。
 2点目は、地域枠制度利用者が大学医局に所属している割合が高いというデータも出ており、基礎的基準を実装すると、実質的に担うのは医学部地域枠制度利用者たちが大きな部分を占めると思います。その場合、大学病院の評価との重なる部分も見てゆく、つまり地域枠制度と基礎的基準は排他的な関係ではなく、整合を持って評価してほしいと考えます。現場に対してはこのようなメッセージも併せて出していくと、各都道府県も安心すると考えます。以上です。
○松田座長 ありがとうございました。
 今のコメントにつきましても事務局のほうで御検討いただけたらと思います。
 上田構成員、お願いいたします。
○上田構成員 上田です。今日のテーマとなっています基礎的基準につきましては、先ほど室長から変更があった項目のみということでお話がございまして、私もこの点については理解しておりますが、1点確認で質問させていただきました。
 今日、議論があります基礎的基準については、資料1の特定機能病院のあり方に関するとりまとめの3ページの②の記載のとおり、現在の承認要件を全ての大学病院本院が満たすべき基礎的基準として整理するということが記載されておりますので、この点は私も理解します。
 そして、次の○で、また、各基準の具体的な内容については以下の考えの下、見直しを行うべきということで、本日議論になっています変更された基準について議論がされているということでよろしいかという確認でございます。と申しますのは、医療安全においては第三者評価、つまり、大学内でのいろいろな医療安全の取組は非常に重要ですが、さらに外部からの評価という観点から取り組むことも重要ですので、そういう意味で、第三者評価についての記載が気になっております。ただ、ここはあくまでも先ほどお話がございましたように、今回の変更点での整理であって、今後基礎的基準、すなわち現在の承認要件がそのように継続するという理解でよろしいかという質問でございます。
○松田座長 事務局、お願いいたします。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 御認識のとおりで、17ページ目、説明しなかった参考資料になりますが、特定機能病院の医療安全について今回の改正も含めた全体像をお示ししております。右下のほうに第三者評価の受審等というもので残っておりまして、ここに関しては引き続き重要なものと考えております。
○松田座長 ありがとうございました。
 上田構成員、これでよろしいでしょうか。
○上田構成員 ありがとうございました。
○松田座長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインのほうも特に御意見がないようでございますが、本当にありがとうございました。
 本日、いろいろ御意見をいただきましたけれども、基本的に特定機能病院の承認基準における基礎的基準及び発展的基準の考え方につきましては御了承いただけたのかなと思います。ただ、細かな運用のところでいろいろと詰めなくてはいけないところがあると思いますけれども、それにつきましては今後、厚労省におきまして必要な手続を進めていただくようにお願いしたいと思います。その際、いろいろとヒアリング等もしていただくことになるのかもしれませんが、よろしくお願いいたします。本日、御議論いただいた点も踏まえて論点を整理しまして、引き続き事務局において整理をしていただけたらと思います。
 予定された議題は以上ですが、事務局から何か事務連絡等はございますでしょうか。
○加藤医療安全推進・医務指導室長 特にございません。
○松田座長 それでは、これで終了したいと思います。本日は遅い時間にもかかわらず、本当にありがとうございました。これで終わりたいと思います。

照会先

医政局 地域医療計画課

代表:03-5253-1111(内線2764・4091)