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第385回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録
日時
2025年(令和7年)8月20日(水) 16時00分~18時00分
場所
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)
職業安定局第1会議室(12階)
出席者
- 公益代表委員
-
- 小野 晶子
- 中窪 裕也(部会長)
- 坂爪 洋美
- 労働者代表委員
-
- 木村 拓志
- 永井 幸子
- 田久 悟
- 冨髙 裕子
- 使用者代表委員
-
- 佐久間 一浩
- 田尻 久美子
- 平田 充
- 村田 泰崇
議題
- (1)労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について(公開)
- (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
- (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)
議事
- 議事内容
- ○中窪部会長 それでは時間になりましたので、ただいまから「第385回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、公益委員の原委員が所用により御欠席です。また、小野委員、坂爪委員、永井委員、田久委員、田尻委員、村田委員がオンラインでの参加となっております。それから、使用者代表の佐久間委員は、所用により、遅れて参加されるとのことです。
本日は、議題(1)「労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について」の報告があります。その後、許可の諮問に係る審査を行います。このうち、許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合」に該当するため、非公開となっております。
それでは、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
まず、議題(1)「労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知について」を事務局から御説明をお願いします。
○鈴木(威)需給調整事業課長補佐 事務局です。よろしくお願いいたします。
それでは、資料1「労働者派遣法第30条の4第1項第2号イ定める同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額に係る通知について」の御説明をさせていただきます。資料1の2ページを御覧ください。派遣労働者の同一労働同一賃金の施行に当たりましては、待遇決定方式の1つである労使協定方式に係る一般労働者の平均的な賃金水準について、毎年、本部会に概況を御報告させていただいた上で、職業安定局長名で通達を発出しています。御覧いただいている資料につきましては、令和8年度に適用する一般賃金水準のうち「一般基本給・賞与等」について、職業安定業務統計を活用した一般賃金水準と賃金構造基本統計調査を活用した一般賃金水準の職業計・産業計の賃金額のほか、令和7年度との比較で一般賃金水準が上がる職種・下がる職種の数などの記載をさせていただいたものです。
まず、職業安定業務統計を活用した一般賃金水準ですが、職業計で1,289円となり、令和7年度の職業計との比較で41円、率にして3.3%の上昇となります。また、令和7年度との比較で、一般賃金水準が上がる職種の数は全554職種中525職種、下がる職種の数は13職種、同額の職種は16職種となります。
次に、賃金構造基本統計調査を活用した一般賃金水準ですが、産業計で1,442円となり、令和7年度の産業計との比較で122円、率にして9.2%の上昇となります。また、令和7年度との比較で、一般賃金水準が上がる職種の数は全144職種中117職種、下がる職種の数は7職種、同額の職種は20職種となります。
これらの状況を踏まえつつ、昨年度と同様、令和8年度適用の局長通達の本文においても、「令和8年度の一般賃金水準が産業計・職業計で上昇し、また、上昇する職種の数も増加することとなったが、協定対象派遣労働者の待遇改善を進める観点から、改訂後の一般賃金水準を遵守した上で、昨今の経済・物価動向及び賃金動向を勘案して賃金を決定することについて労使で十分に協議することが考えられること。」を記載することとしています。
続いて、資料1の3ページを御覧ください。こちらは、一般賃金水準の算出に用いている各指数などを一覧形式でお示ししています。
「1.賞与指数」につきましては、職業安定業務統計の求人賃金には賞与が含まれていないため、賃金構造基本統計調査における「勤続0年」の「特別給与」の額を基に、職業安定業務統計による職種別基準値に反映する指数を算出しています。この指数は、令和8年度においては、令和7年度からの変動はなく、指数値で0.02となります。
「2.能力・経験調整指数」につきましては、能力及び経験による賃金の伸びの代理指標として設定をしているものですが、賃金構造基本統計調査の特別集計により算出をした、勤続年数別産業計の所定内給与に賞与を加味した額により算出した指数となります。令和8年度の指数は表に記載をさせていただいているとおりです。なお、括弧内は令和7年度の値となります。
「3.学歴計初任給との調整」につきましては、賃金構造基本統計調査の構造上、「勤続0年」の数値に転職等による中途採用者が含まれることを踏まえ、同調査の学歴計の初任給額との差を控除するために算出をした数値となります。令和8年度においては、算定の結果、令和7年度から0.1%低下し、12.5%を控除することとなります。
「4.一般通勤手当」については、通勤手当として一定額を支払う場合に、就労時間当たりの単価を示しているものですが、一般労働者の平均的な賃金額に対する通勤手当額の割合を踏まえて算出した数値となります。令和8年度においては、算定の結果、令和7年度から6円の増加となる79円となります。
「5.退職手当に関する調査」、「6.退職金割合」の退職金関係ですが、派遣労働者の退職金制度につきましては、①同種の業務に従事する一般労働者に適用される退職金制度との比較によることとする、②同種の業務に従事する一般労働者の退職金に相当する額と同等程度を確保することとする、③中小企業退職金共済制度等に加入することとする、のいずれかを選択することを求めていて、労使の協議に資するよう、比較対象とすべき各種統計調査の結果や、満たすべき賃金・退職金割合を算出した水準をお示ししているものです。令和8年度においては、例年、局長通達でお示しをしている5つの調査結果のうち、東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」は更新をされましたので、その内容を反映したものを局長通達に掲載をいたします。また、退職金割合につきましては、就労条件総合調査を踏まえ算出をした結果、昨年度と同様の数値である5%となります。資料1の御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○中窪部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。Zoomで御参加の方は、Zoom内の「手を挙げる」機能を使って挙手をお願いします。では、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。今回示された一般賃金水準ですが、同一労働同一賃金部会で定められた現在の算定方法にのっとり算出されたものと理解しております。一方で、この間も本部会や同一労働同一賃金部会で、一般賃金の水準の算定方法に関して、2年前のデータを活用しているため現状の水準と乖離があることや、ハローワークの求人票記載の募集賃金の下限を利用しているため、最低賃金額に近い水準となることなどの意見がありました。こうした制度的な課題については、同一労働同一賃金部会において議論するものだと考えております。また、資料2ページの下部に、労使協議に関して前回同様に通達に記載をすると書いていただいておりますが、やはり現在の状況を見てみると、最低賃金額の改定の目安がかなり引き上げられていることや、賃上げ率がかなり高いこともあるため、こういった状況を踏まえて、派遣労働者の処遇改善という法の趣旨に沿った労使による協議が行われるよう、是非、周知、指導を頂きたいと考えています。
また、毎回申し上げておりますが、前年度に定めた賃金より低い額で労使協定を締結することは、労働条件の不利益変更に当たる場合があることについても併せて周知をお願いしたいと思います。今回の春季生活闘争でも、フルタイムやパート・有期の労働者、共に5%を上回る賃上げを実現しておりますので、我々労働組合としてもしっかり取り組んでまいりますが、厚生労働省としても周知や積極的な御対応を是非お願いしたいと思います。以上です。
○中嶋需給調整事業課長 御指摘、大変ありがとうございます。正に御指摘いただいたように、私ども、この一般賃金水準によるフロアの機能を果たしながら、更にこの処遇が向上していく具体の方策について、当部会におけるかねてからの問題意識を踏まえながら、今御指摘を頂いた点を考えながら、同一労働同一賃金部会のほうで議論を頂いています。また、御指摘にあったとおり、先月のこちらの部会でも報告しましたが、一般賃金の計算方法とか、あるいは、制定時の議論の整理についても宿題として頂いています。当部会との連携を意識しながら議論を深めていただいて、当部会にもまたレポートバックをしたいと存じます。
それからもう一点御指摘いただきましたが、昨今の情勢、それから、不利益変更の関係です。これは事務局のほうでも、今、御指摘いただいたような現下の状況を踏まえて、これまでと同様の記載をさせていただくことを考えたものです。この通達の中には、この記載のほかに、御指摘のあった不利益変更に当たるようなケースについて、労働契約法の規定を踏まえて対処する必要があることは、これまでも入念的に書いてきましたので、今回もそのことを同様に記載したいと思います。また、御指摘のあった周知のほうもしっかりと行っていきたいと考えています。
○中窪部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。前回の部会でも申し上げたと思いますが、派遣労働者の待遇改善は着実に進んでいると理解しております。現行のルールにのっとって着実な対応を進めて、不合理な待遇格差を解消していくことが極めて重要だと思いますので、経団連としても引き続き周知等を進めていきたいと考えております。以上です。
○中窪部会長 ありがとうございます。そのほかに御質問、御意見等ありませんか。オンラインでの参加の皆様、大丈夫でしょうか。それでは、他にないようですので、公開の議題としてはここまでとさせていただきます。冒頭申し上げましたとおり、傍聴の方々についてはここで御退席いただくよう、お願いいたします。