第9回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和7年6月 20日(金) 15:30~
 

場所

 厚生労働省共用第8会議室(19階)

議題

  1. (1)非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練について
  2. (2)その他

議事

○今野座長 時間になりましたので、ただいまから「第9回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。議事に入る前に出席状況等について、事務局から説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 訓練企画室長の鈴木です。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は全構成員に会場にお越しいただいております。なお、事務局のメンバーが途中、用務により退席させていただくことがあるかと存じます。あらかじめ御承知いただきますようお願いいたします。報道関係の方々の撮影はここまでとなりますので、御協力のほど、よろしくお願いします。出席状況等は以上です。
○今野座長 それでは議事に入りたいと思います。前回に続き、「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練について」の議論を行います。本日はこれまでの議論を踏まえて、今後の本格実施に向けたとりまとめを行いたいと思っていますので、よろしくお願いします。まずは、事務局から資料の説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 それでは、資料1の内容を御説明させていただきます。タイトルは、「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練事業の本格実施に向けて(案)」としております。先ほど座長からも御説明があったとおり、本格実施に向けての留意点や方向性等について御議論を頂ければと思います。
 それでは、通し番号の3ページです。まず、概要と評価、その後に全体の方向性、さらに、各論ということで、各委員の皆様からいただいた御意見等を踏まえて作成しております。まず「試行事業の結果の概要と評価」です。事業概要はこれまでどおりですので割愛させていただきます。結果の概要もこれまで御説明したとおりですが、右側の全体の評価を御参照ください。オンラインでの訓練又はデジタル分野での応募率は高く、多くの受講生にとって働きながら学びやすい内容であったことから、本事業は目的に沿ったものになっていたのではないかと。
 左側を見ますと、受講生の8割以上が「期待した内容であった」、また「修了率」も全体で6割を超えていたという状況でした。右側の全体評価は、非正規雇用労働者等にとって、eラーニングや同時双方向通信などのオンラインによる訓練の有用性が確認されたのではないかと考えております。
 3点目です。左側にあるとおり、訓練内容等の活用割合や新しい仕事にチャレンジする意欲、新たなスキル習得への意欲等に関して、受講生の評価は高かったということです。その一方で、訓練修了2か月後の正規雇用への就職、正規雇用への転換、賃金水準の向上の割合は、全体でも15%であったという状況です。
 それを踏まえて、右側の評価です。訓練内容等の活用割合、新しい仕事にチャレンジする意欲や新たなスキル習得への意欲等について、受講生の多くがポジティブに評価していたのではないかと。正規雇用への就職等の指標の評価については、非正規雇用労働者等が置かれている状況は、既に在職者として働かれている方ですし、勤め先の正規社員での枠等もありますので、そういった様々であることから留意が必要ではないかということです。
 そのような評価を踏まえて、4ページを御参照ください。まず「全体評価を踏まえた今後の方向性」です。非正規雇用労働者全体の自己啓発に対する実施割合が低調である中で、本事業は、非正規雇用労働者等にとってニーズが高く、キャリアアップに資すると評価できるものです。そのため、職業訓練等の機会が少ない非正規雇用労働者等が、離職することなく働きながら学ぶことで、より待遇の高い仕事に挑戦できるよう、令和8年度に向けて本事業を全国展開することを検討することが適当ではないかと。全国展開に当たっては、まさにオンラインを活用した手法によって、非正規雇用労働者等が住んでいる地域に関係なく、自らの希望に応じた柔軟な日時や実施方法で訓練を受講できるように進めていくことが効果的ではないかということです。オンラインで実施するメリットを書かせていただいております。
 3点目です。訓練の実施に当たっては、能開法第15条の7第3項に基づく委託訓練として、都道府県での実施を基本としつつ、都道府県においては、地域ニーズを踏まえた訓練分野やコースを柔軟に設定できるようにするとともに、eラーニングを活用した訓練の地域偏在を踏まえて、オンラインで対応できる訓練コースについては、国及び地方の適切な役割分担に留意しつつ、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構を通じた広域展開を行うことを検討することが適当ではないかということです。
 最後の○です。本格実施に当たっても、訓練内容や訓練ニーズ等については、その後も受講生のニーズをアンケート等により収集・把握するとともに、受講勧奨、受講継続支援、広報については、しっかり好事例を収集、展開するなどによって、継続的な見直しを図っていくことで、PDCAをしっかり回していくことが適当ではないかということです。全体としては以上です。
 次に各論です。資料の5ページを御参照ください。まず「訓練水準等」については、右側にあるとおり、非正規雇用労働者等が置かれている状況を踏まえると、訓練コースにより柔軟に設定できるようにすることが適当であると。「受講費用」については、試行訓練では受講料を一定額徴収しておりましたが、引き続き受講生の確保や過度な経済的負担をかけないことに留意しつつ、一定の受益者負担を求めることが適当ではないかと。
 「受講勧奨」については、受講割合が20%未満の初期段階で脱落した方が約2割いらっしゃいますので、そういったミスマッチを解消するという観点から、訓練機関による説明会や選考時の面談に加え、「キャリア形成・リスキリング推進事業」において、訓練開始前にキャリコンを受けることができるという情報提供を積極的に行って、しっかりとミスマッチを解消していく必要があることが適当ではないかと。2点目が、受講生の成功事例です。例えば、訓練成果がその後の仕事や就職で役立っている等々を収集し、募集時の説明に活用することが適当ではないかと。3点目ですが、受講機会の確保のため、訓練開始の初期に退校した者がいた場合、可能な範囲で再募集等を行うことが適当ということです。
 続いて6ページ、「受講継続支援」については、キャリコン又はメンター制度について、高い割合で「役に立った」という評価があった一方で、コミュニケーション機会の確保については、「なかなか十分生かされなかった」という御意見もありました。これはもう前提ですが、受講中のキャリアコンサルティング等については、引き続き訓練機関において実施することが適当ということです。「訓練期間」となっていますが、「訓練機関」の間違いです。2点目です。コミュニケーション手法やキャリアコンサルティングの好事例を収集し、より効果的な支援となるよう継続的な見直しを図っていくことが適当である。また、伴走支援については、例えば訓練途中で受講生にネガティブな心理状況や課題が生じたときに、どういった支援が行われたかというベストプラクティスを収集し、共有することが適当ではないかということです。
 続いて、「成果指標」です。先ほど全体評価でも申し上げたとおり、訓練修了2か月後のいわゆる正規雇用への就職等々の割合は15%ということで必ずしも高くありませんでした。その一方で、活用割合、新しい仕事にチャレンジする意欲等々の受講生のポジティブな評価の割合が高かったことを踏まえて、非正規雇用労働者等が置かれている状況は様々であることから、正規雇用への就職等の指標の評価については留意が必要ではないかと。
 また、受講生の修了率等に加え、訓練前後でどのような行動・意識の変容があったか、訓練で学んだ結果が仕事で役立っているか等の受講生の評価を成果指標にすることが適当ではないかと。さらに、2か月後だけではなく、訓練修了後一定期間経過時点での受講生の状況についても、アンケートにより把握することが適当ということです。
 続いて、「広報」です。1点目は、委託先の民間企業の創意工夫を活かしつつ、インターネットを積極的に活用した広報が有効ということです。また、受講生は40代が約4割ですし、8割以上が女性ということを踏まえ、試行事業での受講生の傾向を考慮した的確なターゲティングによる広報が有効ではないかということです。また、訓練情報にアクセスする際に、なかなかその情報にたどり着かないということがないように、対象者が様々なルートから訓練情報にアクセスすることを考えておりますので、そういったときにしっかりアクセスできるように、簡単にアクセスできるように、情報発信に当たっては工夫が必要であるということです。そして、スキルアップへの意欲につながったなど、訓練効果も交えて訴求しつつ、職場を通じた周知広報を行うことも有効ではないかということでまとめております。事務局からは以上です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 それでは、皆さんから御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。黒澤さん、どうぞ。
○黒澤構成員 今までいろいろ議論をしてきた内容が脳裏にサーッと浮かんできて、本当にうまく中に入れていただいたという印象があります。どうもありがとうございます。
○今野座長 ほかにいかがでしょうか。
○鈴木訓練企画室長 失礼します。1点訂正です。先ほど「訓練期間」について誤字だと申し上げたのですけれども、誤字ではなかったので訂正だけ、すみません。6ページの「受講継続支援」の右側の「引き続き訓練期間において」というのは、訓練中にという意味なので漢字はあっています。失礼しました。
○今野座長 どうぞ。
○大嶋構成員 私も黒澤先生と同じで、これまで自分が申し上げたことや、ほかの先生方がおっしゃったことを振り返りながら資料を拝見してきました。本当に丁寧に拾っていただいて感謝したいと思っています。ここから何か変えてほしいということでは全くないのですけれども、少しだけ気になる点を、2点だけ付け加えさせていただきたいと思います。
 ハローワークを通じて、いろいろな情報を発信していかない形の職業訓練があって、インターネットを使ったり、SNSを通じたときにアルゴリズムの関係で、どうしてもよく見ている属性の人にターゲティングして情報が行くという仕組みになっているので、逆に、女性とか、40代以外の属性の人に行きにくくなるという効果もあると思うのです。なので、ターゲティングはしっかりしていくけれども、ちゃんとそれ以外の対象者にも情報が行きわたるよう担保していくこともまた、インターネットを使うからこその留意点としてあるのではないかというのが、大事なことかと思いました。
 あと、世の中のいろいろな訓練機会を見たときに、安価なコースはたくさんあると思うのです。では、この訓練の価値はどういうところかというと、やはり都道府県が必要な訓練をしっかり見極めてくれるとか、伴走支援がしっかりしていて、出口も見ながら、好事例も見ながら学べるところに、すごく大きな価値があるのかと考えたときに、そこは広告などに強調されてもいいのではないかと非常に思いました。さらに非正規雇用の方というのは会社からのキャリアの支援の機会が少ないことを考えると、訓練が終わったら伴走が全くなくなってしまう状態に戻るのではなく、例えば訓練期間を通じてコミュニティの形成とか、切磋琢磨などの要素に留意していくことで、訓練が終わって公式な伴走支援は終了しても、心理的にでも、自分の中でサポートしあえる仲間ができているということがあると、更に効果も高まるのではないかと思いながら資料を拝見しておりました。以上です。
○今野座長 これから実施に移るわけですけれども、そのときに今おっしゃったことに注意してほしいということで、よろしいですね。それでは、これで報告書は上がりということにさせていただければと思います。特に修正しろという御意見もなかったので、このままで行こうと思います。これをもちまして、本日の研究会を終了とさせていただきます。長い間、ありがとうございました。では、事務局に返します。どうぞ。
○鈴木訓練企画室長 今野座長、ありがとうございました。また、本日御参加の皆様におかれましても、御議論いただきありがとうございました。今回取りまとめられた内容、また先ほど、大嶋構成員からいただいた御意見等も参考にさせていただき、来年度以降の本格実施に向けて、引き続き検討してまいりたいと思っております。
 最後に事務的なことですが、本日の議事録については、構成員の皆様に御確認いただいた後、資料とともにホームページで公開することとしております。このテーマはこれで終わりですけれども、次回の開催については、別途、追って事務局から御連絡をさせていただきます。本日はありがとうございました。