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第8回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録
人材開発統括官付訓練企画室
日時
令和7年5月 28日(水) 10:00~11:00
場所
厚生労働省 共用第6会議室(3階)
議題
- (1)開催要綱の改正について
(2)非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練について(3)その他
議事
○今野座長 それでは時間になりましたので、ただいまから「第8回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。まず、事務局から事務連絡をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 皆様、おはようございます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御集まりいただき誠にありがとうございます。私は、4月から訓練企画室長として着任しました鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは事務局より、新たに御参加いただく構成員について御紹介させていただきます。人事異動の関係で、これまで構成員を務めてくださった中原様に代わりまして、新たに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 求職者支援訓練部次長の吉岡様に構成員を務めていただきます。
本日は大嶋構成員、黒澤構成員がオンラインでの御参加、また、山田構成員も他の用務終了後、オンラインにて本研究会に参加される予定となっております。また、その他の構成員の皆様には会場にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、オンラインで御参加の構成員におかれましては、御発言を希望する際には、その旨御発言いただきまして、座長から指名された後に内容についてお話いただきますようお願いいたします。また、音声の乱れや接続に問題等が生じましたら、事務局宛てにチャット、メール又は電話にて御連絡いただくようお願いいたします。
なお、堀井人材開発統括官は、公務により途中から出席の予定です。事務局のメンバーですが、途中用務により退席させていただくことがあるかと存じます。あらかじめ御承知いただきますよう、よろしくお願いいたします。
報道関係者の方々の撮影はここまでになりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
○今野座長 それでは、議事に入ります。最初は、「開催要綱の改正について」です。事務局から説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 議題1です。資料におきましては、資料1、通し番号でいうと2ページを御参照ください。変更点はここに赤字で記載のとおりでして、宮地構成員の職位の変更、また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部次長の人事異動の反映でございます。以上です。
○今野座長 よろしいですね。それでは次の議題に入ります。次は「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練について」の議論を行います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。前回の研究会におきましては、主に、この訓練実施修了後の調査結果の報告を行いましたが、訓練修了2か月後の状況を、把握しましたので、その状況について御報告いたしますとともに、前回御質問いただきました項目につきまして、お答えできなかったものについて更に資料を出しております。それでは、資料2-1から御説明いたします。
資料2-1、通し番号4ページです。まず、訓練の全体の修了率につきましては、こちら前回の研究会でも御報告していますが、62.1%ということで、訓練分野や実施方法の違いによる大きな差はみられませんでした。
一方、成果指標でもある就職率・正規雇用労働者への転換割合・賃金水準の向上割合については、このページ右側の表になりますが、訓練修了2か月後のアンケート調査の結果によりますと、そのいずれかに該当すると回答した者の割合は15%という状況でした。
なお、これら非正規雇用労働者は現在働いている方を対象としておりますので、例えば正規雇用労働者に転換する場合に、社内の正社員ポストの空きがあるかどうかや、また受講生本人の就職活動のタイミング等もありますので、この数字には留意が必要かと思っておりますが、結果としてはこのような数字となっています。
続きまして5ページです。ここからは受講生の評価となります。「訓練内容は目指す職務に関連していた」、又は「能力は上がった」と回答した方は約8割、「仕事に活用できそう」と回答した方が約7割いらっしゃいました。
一方で、「そうでない」と回答された方々も2割程度いますので、全体としては評価が高い状況ではありますが、一定数、その訓練の内容のミスマッチが見られまして、前回の御議論がありましたとおり、事前の情報提供やキャリアコンサルティング等の必要性もあると感じています。
なお、資料にはありませんが、これは訓練全体でみておりますが、例えば「能力は上がった」については、eラーニングが76%、スクーリングが9割と高い状況であります。「仕事に活用できそう」というのは、eラーニングが75%と高くて、これが一番高いという状況にあり、おおむね全体的に高いという状況ですので、それぞれの違いは余りなかったと感じています。
続いて6ページです。成果指標、訓練の効果ですが、「キャリアが明確になった」と回答した方、また、「仕事の幅が広がった」と回答した方の割合が6割強という状況で、一定評価を頂いていると思っています。
一方で「キャリアが明確にならなかった」と回答した者も一定数いるということで、ここもミスマッチというところが1つの課題と感じています。こちらの訓練の効果についても、訓練コース別に言いますと、どのコースが低いといった大きな変化はありませんでした。
続いて7ページです。成果指標の現在の仕事に対する意欲です。「現在の仕事に対する意欲」があると回答した方が7割、また、「新しい仕事にチャレンジする意欲」や「新たなスキル習得への意欲」があると回答した方、また「自身の成長への期待」があると回答した方は100%近い数字です。ただ、これの対象者が修了者を対象としたアンケート調査ですので、当然意欲が高いということはある程度想定されるところではありますが、同様のアンケートを訓練開始時にも取っており、入校時の全体のアンケートと比べても、いずれの指標も1%強から5%近く高いという状況となっています。
成果指標の最後、訓練内容です。こちらは訓練期間後の評価になるかと思いますが、「最新の情報を学べた」と回答した方が約9割、また「確認テストが実践的だった」と回答された方も8割弱ということで、こちらも高い評価等を頂いています。こちらも全体的に訓練コースによる違いは特にありませんでした。
続いて、資料2-2を御説明いたします。前回、御質問いただいてお答えできなかった部分ですが、3点あります。1点目は前回、未修了者の欄に2割以下というのがありましたが、その中には1回も受講せずに辞めた方もいるのではないかという御指摘も頂きましたので、データを改めて洗い直しまして、1回も受講されてない方の割合を出しています。数字で分かりづらい表になっていますが、eラーニングでは29人、オンライン・スクーリングでは24人となっています。これはeラーニングの方が多いように見えますが、eラーニングの開始者数は350名強おりますので、0%の方はそのうち、特にeラーニングだけは一番上の17名という形になりますので、5%弱です。これに対してオンライン・スクーリングは、1度も受講せず辞めた方は12.1%という形で、相対的には高い状況となっています。0%の状況はこのような形ですが、2割以下、20%未満で初期に、いずれの訓練も2割の方が離脱しているという状況でして、これは冒頭のミスマッチもありますが、そのような点が課題と感じています。
続いて、伴走支援につきまして、何割まで到達したのかということと、何回支援を行ったのかというマトリックスがあればよいのではないかということで、マトリックスで整理をいたしました。こちらも、ある意味そうかなというデータではあるのですが、修了者につきましては、比較的熱意も高いということもあり、伴走支援の回数については全体的に低い数字になっており、どちらかというと途中で離脱、早期に離脱しそうな方々に対して積極的に声掛けや支援を行っているということで回数が増えているという状況がみられるかと思います。
そして最後に、「実施機関や仲間とコミュニケーションが取りやすかったか」の結果と、修了率やアウトカム指標、ここで言えば正規雇用労働者として就職・正規雇用労働者への転換・賃金水準の向上をアウトカム指標とした場合に、分けて分析するとよいのではないかという御指摘でしたが、1点目のコミュニケーションの取りやすさと修了率との間には明確な相関関係はみられませんでした。一方、コミュニケーションとアウトカム指標との関係は、数が少ないので統計的な分析は行っておりませんが、アウトカム指標に該当する者、コミュニケーションが取りやすかったと回答される方の関係でいくと、全体の8割、一方で、アウトカム指標に該当しなかった方は約6割という状況でして、正社員で就職された方等の方々のほうが取りやすかったというところの割合が高いという状況です。資料2-1、2-2は以上です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ありがとうございました。職業訓練の仕組みそのものをどうするかということについては、この後、議論したいと思いますので、取りあえず、今、説明された成果の調査結果についての御議論をしていただきたいと思います。何か御質問、御意見はございますか。特にないですか。ちょっと1つだけいいですか、私のほうから。9ページなのですが、伴走支援の回数がありますね、例えば、修了した人は修了までの全体の中での回数ですよね、20%以下の回数は20%以下の範囲での回数ですよね。
○鈴木訓練企画室長 そうです。
○今野座長 そうすると、その人がもし最後までいるとしたら、0から20%の中央値は10%だから、単純に10倍の回数になるかもしれない。ということは、ここの回数は見かけ以上に差が大きいと思うのですが、どうですか。
○鈴木訓練企画室長 おっしゃるとおりかと思います。20%未満の早期で離脱された方につきましては、かなり初期段階で多く介入があったという感じです。
○今野座長 それも20%で辞めているのに、その間にこれですよね。これはもしかしたら、そういうふうに作り直すと、もっと差が大きくなっていく感じですよね。
○鈴木訓練企画室長 はい。
○今野座長 どうですか。よろしいですか。それでは、次は職業訓練そのものをどうしようかという議論に入りたいと思います。資料3ですか、説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 資料3です。前回の結果と今回の結果を踏まえて、本研究会で御議論を頂きたい主な事項について御説明を書いております。まず〔訓練の内容等〕についてです。訓練時間については、標準時間を設けつつも柔軟に設定するようにすべきではないか。また、訓練期間についても、柔軟に設定するようにできたらいいのではないかということです。また、訓練コース、受講日程の設定等については、訓練は試行実施で一定、eラーニングでも修了率は高いという状況でしたので、そういった設定コースで、訓練コース、受講日程を設定できるようにすることについてどう考えるかということです。
訓練実施に当たっては、今回、JEEDが委託訓練という形でやっておりますが、都道府県による委託訓練を基本とすることが考えられますが、地域ニーズを踏まえた分野の訓練、例えば、地域では求人開拓やスクーリング等を組み合わせて行う場合もあるでしょうし、就職者を行う場合もありますので、都道府県の判断により、訓練分野やコースを設定できるようにすることについてどう考えるかということです。
3点目、受講費用についてです。今回、受講料について5,000円を徴収しておりますが、非正規雇用労働者ですので、過度な負担にならない範囲で一定の受益者負担を求めることについてどう考えるか。
4点目の広報は、今回、インターネット経由で広報を積極的に実施しておりますが、更なる効果的な手法があるかどうかということです。2つ目の○、先ほどのデータでもありますが、一定数、ミスマッチであろうという方々が見受けられますので、訓練機関による説明会や選考時の面談、また、訓練開始前のキャリアコンサルティング等の積極的な情報提供を行うことについてどう考えるかとなっております。
続いて11ページです。受講継続支援については、前回の御議論でも、いわゆる伴走支援のやり方とその質について、それぞればらつきがあるのではないかというお話がありましたので、そういったところについては、好事例も収集しながら継続的な見直しを図っていくということについてどう考えるかです。
1つ飛びます。〔訓練ニーズ等の収集・把握〕ということで、いずれの訓練、新しく試行実施としておりますが、今後、実施するに当たっても、受講生のニーズについてはアンケート等によって収集・把握することで、しっかりとPDCAを回していく。また、〔訓練内容〕以外で、受講生のどういったニーズを把握するかについてどう考えるかです。
続いて、〔訓練の受講機会の確保〕です。今回、この訓練の受講機会については、やはり非正規雇用労働者等が住んでいる地域によって訓練機会が得られないということがないようにする必要があると考えております。このため、全国的なニーズが高い分野については、オンラインを活用して、どこにいても訓練機会を提供できるようにすることについてどう考えるか。その際、eラーニングを活用した委託訓練(離職者訓練)を提供していない都道府県で、主に子育て女性や介護でなかなか学校に通えない方に対してeラーニング等の訓練を実施しておりますが、令和6年で約20都道府県でのみ実施しておりますので、まだ実施していない県も27あるという状況です。また、そもそも地元にオンラインに対応した訓練機関が乏しい地域もあるという地域偏在についてどう考えるかです。
最後、〔成果指標〕です。成果指標については、現状、修了率のほか、就職率、正規雇用労働者への転換割合、賃金水準の向上割合を、訓練終了時点、訓練終了後の一定期間経過時点でアンケートにより把握、評価していることについてどのように考えるかということです。1つ飛びますが、今回、訓練終了2か月後にアンケートを取っておりますが、非正規雇用労働者の特性を考えると、2か月後では少し短いかなという感じもしますので、例えば、訓練終了6か月後においても、可能な限りアンケートにより把握することについてどう考えるか。更に言えば、こういったアウトカム指標については外的要因も大きいので、訓練内容の活用割合や訓練修了者がどういった点を評価しているかについて、成果指標として評価することについて、どう考えるかという論点を挙げております。是非、構成員の皆様の活発な御意見をよろしくお願いいたします。
○今野座長 ありがとうございました。それでは御自由に、いかがでしょうか。武石構成員、どうぞ。
○武石構成員 いろいろなところまで、おおむねどう考えるかというので、そのとおりやっていただきたいという方向性が出ていると思います。3点、申し上げたいと思います。
1つは、4番の広報の所です。今回、インターネット経由で受講を開始した人が8割ぐらいで多かったと思います。やはり、これを受講したことによって仕事に前向きになったり、スキルアップに前向きになったりという一定の効果が見られるので、こういったことを職場の事業主に訴求をして、職場経由で、働いている非正規の人たちに受講勧奨を進めていくといった方法も効果的なのではないかと思います。ネットというのは非常に簡便なのですが、職場を巻き込んだ広報というのが考えられるのではないかというのが、広報に関して1点です。
2つ目が受講機会の確保の、最初の○の2つ目の段落です。先ほどeラーニングでもスクーリングでもいろいろな指標に余り違いはないという紹介がありました。ということで、働いている人にとって、eラーニングというのは受講しやすいし、その効果も一定あるということであれば、これをきちんと位置付けてよいのではないかと思います。そうなったときに、ここにもあるように、今、それを提供していない都道府県、その必要性を感じていない地域があると、そこに住んでいる人たちは、そのeラーニングの受講機会がなくなるということになります。eラーニングというのは、もともと広域で訓練機会を提供できる非常に有効な方法だということを考えると、現状では、都道府県が訓練の主体となって委託先をお願いしていくというような建付けになっているのですが、広域でこういったものをコーディネートしていくような、例えばJEEDのような所が関与していってもいいのではないかなと思います。JEEDと都道府県との役割分担はきちんと考えなくてはいけない問題ではありますが、広域で効果的なeラーニングを提供するといったことに関して、全国的な組織というのがかんでいってもいいのではないかなというのが2点目です。
それから、成果指標なのですが、主観的な成果指標として、私は評価してもいいのではないかと思っています。すぐに正社員になれる、賃金が上がるということが、短期的にその効果が出ているかどうかは非常に難しいので、今回、アンケートで示していただいたような主観的な成果指標というのは有効なのではないかと考えます。以上です。
○今野座長 今、3点ほどありましたが、事務局から何かありますか。
○鈴木訓練企画室長 1点目の広報ですが、正に、職場経由でというのは、1つ、アイディアかなと思っております。また、eラーニングについては、今回、1つの、もちろん離職者訓練と比べてはちょっと低いかもしれませんが、修了率自体は想定よりも高いかなと感じて、一定の有効性はあるかなと思っておりますし、そもそも非正規雇用労働者はなかなか自己啓発の機会が乏しいということを考えますと、eラーニングも有効な機会でありますし、さらに、それが全国津々浦々で受けられるというのが1つの特性と考えると、そういった全国的な団体が広域的に行うというのも1つのアイディアかなと考えております。
3点目、成果指標については、どういった主観指標があるかなというところは、また、いろいろとアイディアを頂けると有り難いなと思っておりますが、そういったことも御意見、ありがとうございます。以上です。
○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。大嶋構成員。
○大嶋構成員 事務局で書いていただいた内容については、これまでの議論なども踏まえ納得がいくものかなというように思っております。4の広報の所で、インターネットでの広報を充実する点については効果も得られたということで賛成なのですが、一方で、より広く情報が届くこと、それから、実践の機会が得にくい労働者が対象であるということを踏まえると、やはりミスマッチや脱落のリスクも生じやすいプログラムなのかなというようには結果等を見て感じています。
一方で、最近、人手不足の中で非正規社員の女性にもっと活躍してほしいと思っている企業のお声も聞いたりしますので、先ほど、武石先生がおっしゃった、企業を通じた紹介は非常に重要ではないかと思いました。また、脱落を防ぐために、事前の説明会などを丁寧に行うことや、スキルを装着した後の出口が見やすくするための支援も重要なのではないかと思います。
これに関連して、受講継続支援の所に関しても、このプログラムが非常に重要になってくると考えています。その意味で、これまでの研究会で、より良い方向を横展開していくことが重要だということが指摘されていましたが、これについては是非やっていただきたいかなと思っています。
一方、事務局の資料では「伴走支援、コンサルティングなどの受講継続支援について好事例を収集、展開」と書いているのですが、こういう学びが本人の能力開発やそれを通じた処遇の改善、より良い就業機会につながるためには、実践の機会やその他の出口との接続も非常に重要だと思いますので、就業継続支援だけでなく、実践の機会や出口との接続に関わる好ましい手法についても横展開していくことが非常に重要ではないかと考えます。以上です。
○今野座長 黒澤構成員、意見はありますか。
○黒澤構成員 お二人の御意見に全く賛成で、繰り返しになってしまうのですが、まずは、とにかく修了率など非常に分かりやすいアウトカム指標で見る限りにおいては、eラーニングのみでも全く低いということは認められないということですね。むしろeラーニングの方が受講しやすく、修了もしやすいというようなことなので、その辺りはもう少し強調されてもいいのかなという気がしました。
あと3点ほど。受講前のコンサルや情報提供というのは大変大事だと思います。それとともに、先ほどもありましたけれども、伴走支援について今回の資料でお示しいただいたものは、辞めそうな人へのアプローチが中心ですが、ネガティブを抑えるのではなくて、既に熱心に取り組んでいる方々への学びをサポートするという形での伴走支援の在り方も大変重要で、その辺りについての好事例などを、是非もう少し深く分析して御提供いただきたいと思いました。
もう一点は、訓練受講機会の確保の箇所で、オンライン訓練だったらどこにいても受講可能なはずで、それがオンライン学習の最大のメリットのはずですが、都道府県が担い手であることによって地域偏在が生じているのであれば、やはり都道府県の枠を超えて全国的に展開するべきではないでしょうか。もちろん訓練の内容は地域の事情によって調整するとしても、やはり展開する主な担い手というのは、武石先生がおっしゃったようにJEEDのような組織に担っていただくのがよいのではないかと私も思います。
最後に、成果指標についてですが、もちろん修了率や就職率などは取る必要がありますが、やはり日本の組織の在り方を考えると2か月、半年後に引き延ばしたとしても、なかなか効果というのは表れにくいので、今もやっていらっしゃる働くことへの意欲だけでなく、更に学ぶことへの意欲や意識変容、自己啓発を始めた、転職活動を始めたなどの行動変容についても把握すべきだと思います。ただし、こういった主観的な指標の場合、そもそもの個人差が大変大きいので、既に7ページのスライドでも御報告いただきましたが、訓練前後の変化というものを必ず把握することが大変大事だと思います。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。お聞きしておけばいいですか。何かありますか、どうぞ。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。伴走型支援について、好事例の収集において御要望と御意見を頂きましたが、そこはしっかり収集していきたいなと思っております。また、コンサルティングなり、事前の情報提供、説明会等ももちろん大事だと思っているのですが、例えば、これは当室ではないのですが、人材開発統括官のほうでキャリア形成・リスキリング推進事業という形で、リスキリングセンターという所で、いわゆるキャリコンを在職者に対してする事業がありますので、そういった事業等も連携等をしながら、この訓練がどう役に立つかというのを、訓練機関ではない外部の機関も含めて、そういった機会も活用できればいいかなと感じております。以上です。
○今野座長 何か、どうぞ。
○菅沼構成員 都道府県の立場から、発言させてください。先行して東京都では都の予算ですでに非正規雇用労働者の取組を実施しています。今回、国の委託訓練の枠組みで進めていただけるというお話ですが、先行して行っている都の事業は、民間の職業紹介権を持つ、企業を入札等で選定をして実施しています。民間企業の力を使ってPRをしてもらって受講者を集めてもらい、選定して訓練を実施しており、最後は出口として就業に結び付けるという非正規雇用対策を実施しているのですが、そうした枠組みが委託訓練によって大きく変わってしまうと非常にやりづらいところが出てきたり、委託訓練という形になってしまうと、職業訓練校が窓口にならなければならないなどといった制約があったり、あるいは受講の申込みをするのにハローワークの受講指示がないと受けられない形になってしまうことが考えられます。私たちも結構な規模感で予算を立てて多くの方を支援してきたという実績もありますので、ある程度、その辺の裁量は自由が利くような形で枠組みが進むといいなと考えておりますが、いかがでしょうか。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。まず、順番は前後しますが、今回、試行事業で非正規雇用労働者の募集については、先ほどの御意見で、企業から直接周知したほうがいいのではないかという話がありましたが、ハローワークのあっせんという形ではなくて、直接応募するという形でやっておりましたので、各機関、もちろん連携はするとしても、あっせんという形ではなくて、こういった直接応募するという形になるのかなと感じたのが1点。
もう一点は、やり方が変わるのかというところの影響ですが、これは当然、先行実施されている委託訓練はどういった内容かをよくお聞きしながら、そこはうまく、分担なのか、連携なのか、合流なのか、いろいろな議論はありますが、そこはしっかり御相談しながら進めさせていただければと思います。以上です。
○菅沼構成員 ありがとうございます。是非、柔軟な運営に御協力いただけると非常に有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ほかに、どうぞ。
○宮地構成員 先ほど、主観的成果指標の導入について、どんなものが考えられるかといったお話がありましたが、私は、特に仕事や能力開発への意欲や、自己効力感といった項目が有効ではないかと考えております。能開法も第11次の計画も、労働者の主体的かつ継続的な能力開発の重要性を打ち出していますが、主体的で継続的な能力開発を担保するのが意欲や自己効力感です。そこで、黒澤先生もおっしゃられたように変化に着目し、訓練を経た意欲や自己効力感の変化を取っていくことは、訓練のその場限りの効果ではなく、訓練が継続的な能力開発の起爆剤になったかどうかを見極める重要な指標になるのではないかと考えております。以上です。
○今野座長 お聞きしておけばいいですか。ほかに、いかがでしょうか。これは、うまくいくには脱落者を減らすとか、最後まで訓練を受ける人を増やすといったことが議論になりましたが、大体、その前にどうやって訓練に乗ってもらうかというのが重要ですよね。先ほど、意見では事業主を通したらどうだというアイディアがありましたが、何かほかにあったらお聞きしておいたほうがいいかなと思ったのですが。何かありますか、こうやれば集まるなどという。経験からすると東京都はどうですか。
○菅沼構成員 先ほど申し上げたお話になりますが、東京しごと財団で行っている成長産業向けの分野に進む非正規労働者を支援する枠組みが、今回御紹介した事業の起点になると思うのですが、そこも民間の事業者を使っています。ほかにも、女性向けのITエンジニアになるような高度な訓練を提供する事業もしており、それは都の単独事業で行っているのですが、いずれも民間も事業者を使っています。やはり、非常にPRが上手で、トレインチャンネルを利用したり、SNSを使った広報などをうまく利用したりして、非常に集客がある状況なのですが、個々人の申込み、労働者の判断で、会社に了解を得ずに受けるという自由度が、申込みの多さにつながっているかなというところもあると思います。会社の目が入ると、会社の管轄下に置かれてしまうので、自分の意思で受けづらいところもありますし、会社にどういう目で見られてしまうのだろうというところが、多分労働者の心理としてあるのではないかなと思います。ですので、うまく民間の力を使ってPRをして、きちんと集客を確保する。我々も脱落者、離脱者が結構多かったりするところは、ある意味、伴走型でカバーすることは実施しているのですが、そういう形で伴走しながらも、申込みをされていた方の、選定をきちんとして、それなりに将来に向けたキャリアアップを私はしていくという意思が固い方を優先して選んでいく形にしていくしかないと思って東京都としてはしているところです。
○今野座長 ちなみに、民間事業者を使うと、集めることについては効果的だというお話なのですが、では、民間事業者は何をしているのかを聞きたいのです。全部出せないとしたら、例えば、こんなことがありますということがあると、役に立つかも、ほかの人に。
○菅沼構成員 そうですね。委員長がおっしゃっているノウハウというのは、まず集めることと訓練を効果的に実施するノウハウがあって、メニューを集めたりとか、そういうことですか。
○今野座長 特に集めるところ。
○菅沼構成員 人を集めることですか。
○今野座長 はい。そこで人がこないと始まらないじゃないですか。
○菅沼構成員 そうですね。そういった意味でいうと、やはり先ほど私が申し上げたPRをして、刺さる広告を打って事業に誘引する力は、やはり民間事業者の力を使うと非常に有効かなと思います。
○今野座長 私が気にしているのは、東京は規模が大きいから民間事業者を使いやすいのですが、県によっては規模が小さいので、そんなに刺さる広告を、言い方が難しいですね。民間事業者に頼めばうまくいくかということでもないのかもしれない状況が起こるかもしれないなと思ったものですから。
○菅沼構成員 そうですね。絶対的な人口の割合でみると、やはり全国で10%以上の人口が集まっている東京のほうが有利ではありますが、各地域で展開するにしてもどうやるかということかと思います。そこはいろいろな展開の仕方、それぞれ地域に合ったやり方、PRの仕方を民間の事業者は考えるのではないかと思います。逆に、今地域で展開している、今回試行で行った事業などは、どうやったらうまくいったのかの先例があれば、それを先行事例として使いながら、優良事例があれば、そういう広告の仕方をしていくのかなと思います。
○今野座長 ということは、東京都は優良事例があるということですね、事業者についてですよ。
○菅沼構成員 そうですね。事業者について広告をうまく利用し、SNSを使って、あとトレインチャンネルを使うことで、昨年度も相当な数を集めた、申込みを受けた事業もあって、おおむね申込みはそれなりにありますね。
あとは受講生を選定をして、実際に訓練を受けていただくのですが、どうしても離脱者が出てきます。東京都の場合は、就職に結び付けていくというところまで目的を持ってやっています。非正規雇用の方がなるべく正規雇用になったり、レベルアップしたりする中で、訓練を成果として、そういうものが出てくるといいかなということで支援はしていますが、なかなか、就職まで全部の事業がうまく結び付けられるかというと、そういうこともなく、離脱をする方と、離脱をせずに残った方の就職をどうやって後押しするかというところがポイントになってくると思っています。
○今野座長 もう1つだけ。先ほどおっしゃられたことを踏まえると、今日は、事業主を通してお客さんを集めるという方法もあるのではないかという御提案がありましたが、今の話を聞いていると、それは余り良い方法ではないとお考えだと聞こえたんですが、それでいいですか。
○菅沼構成員 そうですね、やり方がいろいろありますので、今の私の発言に語弊があったら恐縮です。多くの労働者を対象にした支援については、もしかしたら会社を通さないやり方のほうが良いかもしれません。逆に、東京都のeラーニングの訓練の事業の一つで、会社を通じて従業員を3人リスキリングをするのに、後押しするので推薦をしてくれという事業もあるのですが、それもかなり人気ではありますので、事業のやり方だけかなと思っています。
今回の我々が御案内しているeラーニングの訓練については、やはり多くの方を募集して、御自身が自らの意思で申込みをしていただくというスタイルのほうが、我々が支援をしてきた実績を踏まえると馴染むのではないかと思っています。ただ、ほかの事業でも企業単位で申込みをしてもらう事業もありますので、それはそれで実績としては、まずまず好調にあがっている事業もあります。
○今野座長 事業主を通してお客さんを集める方法は、例えば、お宅の会社で非正規の人を少し長期的に、よりレベルの高い人材に育てて、将来、正社員で頑張っていただきたいと思っている会社は手を挙げてください、という言い方だったらいいということですね。
○菅沼構成員 そうですね。会社として抱えている経営課題とか事業戦略とか経営戦略があり、そこから見たときに、会社として事業目的を達成するのに、こういう人材育成をする必要があるということを認識している経営者は結構多いわけです。そういう経営戦略などに沿った知識を得てもらうためのトレーニングを実施しており、そういった事業は企業単位で申込みをしてもらっているのですが、それはやり方として有効であると思うところで、その中で、非正規の方がいて、非正規の労働者をスキルアップさせることを会社として必要であると思っているのでしたら、その方を推薦するでしょうし、そこは企業の判断だと思います。
○今野座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○武石構成員 私は職場経由での広報があるのではないかと申し上げたのですが、事業主が人を送り出すというよりは、こういう講習があるよというのを、良いから受けてみたらみたいなことを非正規の人たちに教えてあげると、その中から自分でやりたいという人が出てくるのではないかなという趣旨です。事業主が指名して行けというようなことではなく、お金も基本的には本人が払うので、こういうのがあるよというのを事業主の方から情報提供していただく。職場で有効なものだなと思ってくれれば、それを社員の方に広報してくれるというやり方だと、従業員も目にする機会も多いでしょうし、安心して受けられるのかなというイメージでした。
○菅沼構成員 分かりました。私のお伝えの仕方に語弊があったら恐縮です。誤解を生じたら恐縮なのですが、結局、私たちは申込みをされる形でしか分からないので、その過程の中で、もしかしたら会社の方が、受けたらどうかと勧めているかもしれないですし、そこの詳細は分からないので、もしかしたらアプローチの仕方として、会社の経営者などに、こういう訓練が始まったから是非受けてみたらというのを勧めてもらう意味でも、会社単位で案内をして、それで、それぞれの従業員に勧めてもらうというのは、あるのかもしれません。そこは、全く否定をする話ではないと思います。
○今野座長 私もその点、ちょっと気になっていたことがあり、このコースは、正社員として他社に転職するのに有利ですと言って、事業主にお願いしますというわけにはいかないと思ったのです。ですから、事業主を通すときには、お願いの仕方は工夫しなければいけないと私も感じていました。
武石構成員がお考えになっているのは、言ってみれば自己啓発の1つのパッケージとして紹介してもらったらどうだという感じのイメージですよね。ほかに、いかがですか。どうぞ。
○吉岡構成員 JEEDのほうの訓練として、離職者訓練になるのですが、やはりミスマッチの解消として訓練前の説明会というのは非常に重点を置いているところがあります。やはり、その中で最近、割と説明会の中で取り入れてきているところで言うと、利用者の方のインタビューを取り入れながら、受講内容について受けたい方にお知らせをするというやり方などを取り入れている施設もありますので、そういった手段というのは、仕組みとしては有効なのかなと。要は、ミスマッチでいうと、実際受けた方がどう感じるかというところを含めて、説明会などで入れているところがあります。
○今野座長 ありがとうございます。何かありますか。お聞きしたということでいいですか。ほかにいかがですか。
○坂爪構成員 ありがとうございます。成果指標について発言いたします。成果指標というと、基本的にはプラスの効果に着目することになるかと思います。先ほど先生方がお話されたように意欲だけでなく行動レベルで成果測定することがまず大事だと考えます。また、基本的にこのようなプログラムに参加される方は非常に意欲が高い方だと思います。その方たちがプログラム受講後に行動した結果、次にどういう課題が出たかというところも、成果指標に含められるといいのではないかと考えております。
そこで出てきた課題を、先ほどありました伴走支援として提供されるコンサルティングやメンターの活動の中に組み込んでいく可能性も視野にいれて、プログラム受講後に起こりうる課題、その課題の受講機関での事前解決という視点の獲得を目指して、プラスでない部分も取っておくといいのではないかと考えました。以上です。
○今野座長 何かありますか。
○鈴木訓練企画室長 すみません。次にどういった課題があるかは重要で、例えば、もう少し具体的に教えていただけると有り難いです。
○坂爪構成員 例えば、新しい就職先を考えた、もしくは正社員として応募したときに、探したものの自分に合う求人が見つからなかった、応募したものの面接の中でうまく答えられなかったといった課題が生じてくると考えられます。伴走機関では個別で支援ができるわけですから、そういったことへの事前に対応もできるのではないかということです。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございました。伴走支援の在り方は、先ほども、例えば訓練の実施方法もeラーニングのみの場合もあれば、オンライン、同時双方向でスクーリングとか様々な手法がある中で、どういうやり方があるかということかと思いますので、そこを引き続き検討したいと思います。
○今野座長 ほかに、いかがですか。失礼しました。
○吉川構成員 私も、同じ成果指標の所に1点加えていただければいいかなと思っているのが、非常にうまくいった方々というものに対して、どううまくいったのかというところの評価を入れてほしいなと思っています。
できるかどうかは検討していただきたいのですが、例えば、就職できた先の人が、やはりなぜこの人がよかったのか。主観評価になると思うのですが、受け入れた先が、この訓練を受けたからよかったというような。うまくいった人たちが、目標観として、それを後で受講する人に見せられる形で、うまくいった人たちを見せることを含めた指標を受入先から求めると。幾つか考えられる方法を御検討いただければいいかと思っております。ありがとうございます。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。どういった手法、やり方が、受入先に対してどういった指標があるかを、頂いた御意見を検討したいと思います。
○今野座長 指標を考えるというのもありますが、好事例として記録して横展開をすることはできるかなと思います。
○鈴木訓練企画室長 そうですね。どちらかというと、多分うまくいった方というところが、それが声となり、そうすると、それが次の訓練の募集のときに、こういうメリットがあるというところの好事例としての展開は有り得るかなと思っております。
○今野座長 ほかに、いかがですか。よろしいですか。では、今日はいろいろ貴重な御意見を頂いたので、事務局として、それを踏まえて再度整理するということですね。よろしいですか。では、整理したものを、もう一度、次回皆さんで議論していただくという段取りですね。
○鈴木訓練企画室長 そうですね。議論していただき、報告書自体は昨年まとめさせていただいておりますので、頂いた御意見を踏まえ、本格実施に当たって、どういった方向にいくかについて御議論でき、まとめさせていただければと思っております。
○今野座長 それでは、今日用意されている議題はここまでですよね。
○鈴木訓練企画室長 はい。
○今野座長 それでは、全体を通して何かございますか。よろしいですか。それでは、少し早いですが終わります。
○鈴木訓練企画室長 座長、ありがとうございました。また本日、御参加の皆様におかれましては、御議論いただきありがとうございました。
本日の議事録につきましては、構成員の皆様に御確認いただいた後、資料とともにホームページで公開することとしております。次回の開催につきましては、別途、事務局から御連絡いたします。本日はありがとうございました。
○鈴木訓練企画室長 皆様、おはようございます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御集まりいただき誠にありがとうございます。私は、4月から訓練企画室長として着任しました鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは事務局より、新たに御参加いただく構成員について御紹介させていただきます。人事異動の関係で、これまで構成員を務めてくださった中原様に代わりまして、新たに独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 求職者支援訓練部次長の吉岡様に構成員を務めていただきます。
本日は大嶋構成員、黒澤構成員がオンラインでの御参加、また、山田構成員も他の用務終了後、オンラインにて本研究会に参加される予定となっております。また、その他の構成員の皆様には会場にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、オンラインで御参加の構成員におかれましては、御発言を希望する際には、その旨御発言いただきまして、座長から指名された後に内容についてお話いただきますようお願いいたします。また、音声の乱れや接続に問題等が生じましたら、事務局宛てにチャット、メール又は電話にて御連絡いただくようお願いいたします。
なお、堀井人材開発統括官は、公務により途中から出席の予定です。事務局のメンバーですが、途中用務により退席させていただくことがあるかと存じます。あらかじめ御承知いただきますよう、よろしくお願いいたします。
報道関係者の方々の撮影はここまでになりますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
○今野座長 それでは、議事に入ります。最初は、「開催要綱の改正について」です。事務局から説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 議題1です。資料におきましては、資料1、通し番号でいうと2ページを御参照ください。変更点はここに赤字で記載のとおりでして、宮地構成員の職位の変更、また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構求職者支援訓練部次長の人事異動の反映でございます。以上です。
○今野座長 よろしいですね。それでは次の議題に入ります。次は「非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練について」の議論を行います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。前回の研究会におきましては、主に、この訓練実施修了後の調査結果の報告を行いましたが、訓練修了2か月後の状況を、把握しましたので、その状況について御報告いたしますとともに、前回御質問いただきました項目につきまして、お答えできなかったものについて更に資料を出しております。それでは、資料2-1から御説明いたします。
資料2-1、通し番号4ページです。まず、訓練の全体の修了率につきましては、こちら前回の研究会でも御報告していますが、62.1%ということで、訓練分野や実施方法の違いによる大きな差はみられませんでした。
一方、成果指標でもある就職率・正規雇用労働者への転換割合・賃金水準の向上割合については、このページ右側の表になりますが、訓練修了2か月後のアンケート調査の結果によりますと、そのいずれかに該当すると回答した者の割合は15%という状況でした。
なお、これら非正規雇用労働者は現在働いている方を対象としておりますので、例えば正規雇用労働者に転換する場合に、社内の正社員ポストの空きがあるかどうかや、また受講生本人の就職活動のタイミング等もありますので、この数字には留意が必要かと思っておりますが、結果としてはこのような数字となっています。
続きまして5ページです。ここからは受講生の評価となります。「訓練内容は目指す職務に関連していた」、又は「能力は上がった」と回答した方は約8割、「仕事に活用できそう」と回答した方が約7割いらっしゃいました。
一方で、「そうでない」と回答された方々も2割程度いますので、全体としては評価が高い状況ではありますが、一定数、その訓練の内容のミスマッチが見られまして、前回の御議論がありましたとおり、事前の情報提供やキャリアコンサルティング等の必要性もあると感じています。
なお、資料にはありませんが、これは訓練全体でみておりますが、例えば「能力は上がった」については、eラーニングが76%、スクーリングが9割と高い状況であります。「仕事に活用できそう」というのは、eラーニングが75%と高くて、これが一番高いという状況にあり、おおむね全体的に高いという状況ですので、それぞれの違いは余りなかったと感じています。
続いて6ページです。成果指標、訓練の効果ですが、「キャリアが明確になった」と回答した方、また、「仕事の幅が広がった」と回答した方の割合が6割強という状況で、一定評価を頂いていると思っています。
一方で「キャリアが明確にならなかった」と回答した者も一定数いるということで、ここもミスマッチというところが1つの課題と感じています。こちらの訓練の効果についても、訓練コース別に言いますと、どのコースが低いといった大きな変化はありませんでした。
続いて7ページです。成果指標の現在の仕事に対する意欲です。「現在の仕事に対する意欲」があると回答した方が7割、また、「新しい仕事にチャレンジする意欲」や「新たなスキル習得への意欲」があると回答した方、また「自身の成長への期待」があると回答した方は100%近い数字です。ただ、これの対象者が修了者を対象としたアンケート調査ですので、当然意欲が高いということはある程度想定されるところではありますが、同様のアンケートを訓練開始時にも取っており、入校時の全体のアンケートと比べても、いずれの指標も1%強から5%近く高いという状況となっています。
成果指標の最後、訓練内容です。こちらは訓練期間後の評価になるかと思いますが、「最新の情報を学べた」と回答した方が約9割、また「確認テストが実践的だった」と回答された方も8割弱ということで、こちらも高い評価等を頂いています。こちらも全体的に訓練コースによる違いは特にありませんでした。
続いて、資料2-2を御説明いたします。前回、御質問いただいてお答えできなかった部分ですが、3点あります。1点目は前回、未修了者の欄に2割以下というのがありましたが、その中には1回も受講せずに辞めた方もいるのではないかという御指摘も頂きましたので、データを改めて洗い直しまして、1回も受講されてない方の割合を出しています。数字で分かりづらい表になっていますが、eラーニングでは29人、オンライン・スクーリングでは24人となっています。これはeラーニングの方が多いように見えますが、eラーニングの開始者数は350名強おりますので、0%の方はそのうち、特にeラーニングだけは一番上の17名という形になりますので、5%弱です。これに対してオンライン・スクーリングは、1度も受講せず辞めた方は12.1%という形で、相対的には高い状況となっています。0%の状況はこのような形ですが、2割以下、20%未満で初期に、いずれの訓練も2割の方が離脱しているという状況でして、これは冒頭のミスマッチもありますが、そのような点が課題と感じています。
続いて、伴走支援につきまして、何割まで到達したのかということと、何回支援を行ったのかというマトリックスがあればよいのではないかということで、マトリックスで整理をいたしました。こちらも、ある意味そうかなというデータではあるのですが、修了者につきましては、比較的熱意も高いということもあり、伴走支援の回数については全体的に低い数字になっており、どちらかというと途中で離脱、早期に離脱しそうな方々に対して積極的に声掛けや支援を行っているということで回数が増えているという状況がみられるかと思います。
そして最後に、「実施機関や仲間とコミュニケーションが取りやすかったか」の結果と、修了率やアウトカム指標、ここで言えば正規雇用労働者として就職・正規雇用労働者への転換・賃金水準の向上をアウトカム指標とした場合に、分けて分析するとよいのではないかという御指摘でしたが、1点目のコミュニケーションの取りやすさと修了率との間には明確な相関関係はみられませんでした。一方、コミュニケーションとアウトカム指標との関係は、数が少ないので統計的な分析は行っておりませんが、アウトカム指標に該当する者、コミュニケーションが取りやすかったと回答される方の関係でいくと、全体の8割、一方で、アウトカム指標に該当しなかった方は約6割という状況でして、正社員で就職された方等の方々のほうが取りやすかったというところの割合が高いという状況です。資料2-1、2-2は以上です。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ありがとうございました。職業訓練の仕組みそのものをどうするかということについては、この後、議論したいと思いますので、取りあえず、今、説明された成果の調査結果についての御議論をしていただきたいと思います。何か御質問、御意見はございますか。特にないですか。ちょっと1つだけいいですか、私のほうから。9ページなのですが、伴走支援の回数がありますね、例えば、修了した人は修了までの全体の中での回数ですよね、20%以下の回数は20%以下の範囲での回数ですよね。
○鈴木訓練企画室長 そうです。
○今野座長 そうすると、その人がもし最後までいるとしたら、0から20%の中央値は10%だから、単純に10倍の回数になるかもしれない。ということは、ここの回数は見かけ以上に差が大きいと思うのですが、どうですか。
○鈴木訓練企画室長 おっしゃるとおりかと思います。20%未満の早期で離脱された方につきましては、かなり初期段階で多く介入があったという感じです。
○今野座長 それも20%で辞めているのに、その間にこれですよね。これはもしかしたら、そういうふうに作り直すと、もっと差が大きくなっていく感じですよね。
○鈴木訓練企画室長 はい。
○今野座長 どうですか。よろしいですか。それでは、次は職業訓練そのものをどうしようかという議論に入りたいと思います。資料3ですか、説明をお願いします。
○鈴木訓練企画室長 資料3です。前回の結果と今回の結果を踏まえて、本研究会で御議論を頂きたい主な事項について御説明を書いております。まず〔訓練の内容等〕についてです。訓練時間については、標準時間を設けつつも柔軟に設定するようにすべきではないか。また、訓練期間についても、柔軟に設定するようにできたらいいのではないかということです。また、訓練コース、受講日程の設定等については、訓練は試行実施で一定、eラーニングでも修了率は高いという状況でしたので、そういった設定コースで、訓練コース、受講日程を設定できるようにすることについてどう考えるかということです。
訓練実施に当たっては、今回、JEEDが委託訓練という形でやっておりますが、都道府県による委託訓練を基本とすることが考えられますが、地域ニーズを踏まえた分野の訓練、例えば、地域では求人開拓やスクーリング等を組み合わせて行う場合もあるでしょうし、就職者を行う場合もありますので、都道府県の判断により、訓練分野やコースを設定できるようにすることについてどう考えるかということです。
3点目、受講費用についてです。今回、受講料について5,000円を徴収しておりますが、非正規雇用労働者ですので、過度な負担にならない範囲で一定の受益者負担を求めることについてどう考えるか。
4点目の広報は、今回、インターネット経由で広報を積極的に実施しておりますが、更なる効果的な手法があるかどうかということです。2つ目の○、先ほどのデータでもありますが、一定数、ミスマッチであろうという方々が見受けられますので、訓練機関による説明会や選考時の面談、また、訓練開始前のキャリアコンサルティング等の積極的な情報提供を行うことについてどう考えるかとなっております。
続いて11ページです。受講継続支援については、前回の御議論でも、いわゆる伴走支援のやり方とその質について、それぞればらつきがあるのではないかというお話がありましたので、そういったところについては、好事例も収集しながら継続的な見直しを図っていくということについてどう考えるかです。
1つ飛びます。〔訓練ニーズ等の収集・把握〕ということで、いずれの訓練、新しく試行実施としておりますが、今後、実施するに当たっても、受講生のニーズについてはアンケート等によって収集・把握することで、しっかりとPDCAを回していく。また、〔訓練内容〕以外で、受講生のどういったニーズを把握するかについてどう考えるかです。
続いて、〔訓練の受講機会の確保〕です。今回、この訓練の受講機会については、やはり非正規雇用労働者等が住んでいる地域によって訓練機会が得られないということがないようにする必要があると考えております。このため、全国的なニーズが高い分野については、オンラインを活用して、どこにいても訓練機会を提供できるようにすることについてどう考えるか。その際、eラーニングを活用した委託訓練(離職者訓練)を提供していない都道府県で、主に子育て女性や介護でなかなか学校に通えない方に対してeラーニング等の訓練を実施しておりますが、令和6年で約20都道府県でのみ実施しておりますので、まだ実施していない県も27あるという状況です。また、そもそも地元にオンラインに対応した訓練機関が乏しい地域もあるという地域偏在についてどう考えるかです。
最後、〔成果指標〕です。成果指標については、現状、修了率のほか、就職率、正規雇用労働者への転換割合、賃金水準の向上割合を、訓練終了時点、訓練終了後の一定期間経過時点でアンケートにより把握、評価していることについてどのように考えるかということです。1つ飛びますが、今回、訓練終了2か月後にアンケートを取っておりますが、非正規雇用労働者の特性を考えると、2か月後では少し短いかなという感じもしますので、例えば、訓練終了6か月後においても、可能な限りアンケートにより把握することについてどう考えるか。更に言えば、こういったアウトカム指標については外的要因も大きいので、訓練内容の活用割合や訓練修了者がどういった点を評価しているかについて、成果指標として評価することについて、どう考えるかという論点を挙げております。是非、構成員の皆様の活発な御意見をよろしくお願いいたします。
○今野座長 ありがとうございました。それでは御自由に、いかがでしょうか。武石構成員、どうぞ。
○武石構成員 いろいろなところまで、おおむねどう考えるかというので、そのとおりやっていただきたいという方向性が出ていると思います。3点、申し上げたいと思います。
1つは、4番の広報の所です。今回、インターネット経由で受講を開始した人が8割ぐらいで多かったと思います。やはり、これを受講したことによって仕事に前向きになったり、スキルアップに前向きになったりという一定の効果が見られるので、こういったことを職場の事業主に訴求をして、職場経由で、働いている非正規の人たちに受講勧奨を進めていくといった方法も効果的なのではないかと思います。ネットというのは非常に簡便なのですが、職場を巻き込んだ広報というのが考えられるのではないかというのが、広報に関して1点です。
2つ目が受講機会の確保の、最初の○の2つ目の段落です。先ほどeラーニングでもスクーリングでもいろいろな指標に余り違いはないという紹介がありました。ということで、働いている人にとって、eラーニングというのは受講しやすいし、その効果も一定あるということであれば、これをきちんと位置付けてよいのではないかと思います。そうなったときに、ここにもあるように、今、それを提供していない都道府県、その必要性を感じていない地域があると、そこに住んでいる人たちは、そのeラーニングの受講機会がなくなるということになります。eラーニングというのは、もともと広域で訓練機会を提供できる非常に有効な方法だということを考えると、現状では、都道府県が訓練の主体となって委託先をお願いしていくというような建付けになっているのですが、広域でこういったものをコーディネートしていくような、例えばJEEDのような所が関与していってもいいのではないかなと思います。JEEDと都道府県との役割分担はきちんと考えなくてはいけない問題ではありますが、広域で効果的なeラーニングを提供するといったことに関して、全国的な組織というのがかんでいってもいいのではないかなというのが2点目です。
それから、成果指標なのですが、主観的な成果指標として、私は評価してもいいのではないかと思っています。すぐに正社員になれる、賃金が上がるということが、短期的にその効果が出ているかどうかは非常に難しいので、今回、アンケートで示していただいたような主観的な成果指標というのは有効なのではないかと考えます。以上です。
○今野座長 今、3点ほどありましたが、事務局から何かありますか。
○鈴木訓練企画室長 1点目の広報ですが、正に、職場経由でというのは、1つ、アイディアかなと思っております。また、eラーニングについては、今回、1つの、もちろん離職者訓練と比べてはちょっと低いかもしれませんが、修了率自体は想定よりも高いかなと感じて、一定の有効性はあるかなと思っておりますし、そもそも非正規雇用労働者はなかなか自己啓発の機会が乏しいということを考えますと、eラーニングも有効な機会でありますし、さらに、それが全国津々浦々で受けられるというのが1つの特性と考えると、そういった全国的な団体が広域的に行うというのも1つのアイディアかなと考えております。
3点目、成果指標については、どういった主観指標があるかなというところは、また、いろいろとアイディアを頂けると有り難いなと思っておりますが、そういったことも御意見、ありがとうございます。以上です。
○今野座長 ほかに、いかがでしょうか。大嶋構成員。
○大嶋構成員 事務局で書いていただいた内容については、これまでの議論なども踏まえ納得がいくものかなというように思っております。4の広報の所で、インターネットでの広報を充実する点については効果も得られたということで賛成なのですが、一方で、より広く情報が届くこと、それから、実践の機会が得にくい労働者が対象であるということを踏まえると、やはりミスマッチや脱落のリスクも生じやすいプログラムなのかなというようには結果等を見て感じています。
一方で、最近、人手不足の中で非正規社員の女性にもっと活躍してほしいと思っている企業のお声も聞いたりしますので、先ほど、武石先生がおっしゃった、企業を通じた紹介は非常に重要ではないかと思いました。また、脱落を防ぐために、事前の説明会などを丁寧に行うことや、スキルを装着した後の出口が見やすくするための支援も重要なのではないかと思います。
これに関連して、受講継続支援の所に関しても、このプログラムが非常に重要になってくると考えています。その意味で、これまでの研究会で、より良い方向を横展開していくことが重要だということが指摘されていましたが、これについては是非やっていただきたいかなと思っています。
一方、事務局の資料では「伴走支援、コンサルティングなどの受講継続支援について好事例を収集、展開」と書いているのですが、こういう学びが本人の能力開発やそれを通じた処遇の改善、より良い就業機会につながるためには、実践の機会やその他の出口との接続も非常に重要だと思いますので、就業継続支援だけでなく、実践の機会や出口との接続に関わる好ましい手法についても横展開していくことが非常に重要ではないかと考えます。以上です。
○今野座長 黒澤構成員、意見はありますか。
○黒澤構成員 お二人の御意見に全く賛成で、繰り返しになってしまうのですが、まずは、とにかく修了率など非常に分かりやすいアウトカム指標で見る限りにおいては、eラーニングのみでも全く低いということは認められないということですね。むしろeラーニングの方が受講しやすく、修了もしやすいというようなことなので、その辺りはもう少し強調されてもいいのかなという気がしました。
あと3点ほど。受講前のコンサルや情報提供というのは大変大事だと思います。それとともに、先ほどもありましたけれども、伴走支援について今回の資料でお示しいただいたものは、辞めそうな人へのアプローチが中心ですが、ネガティブを抑えるのではなくて、既に熱心に取り組んでいる方々への学びをサポートするという形での伴走支援の在り方も大変重要で、その辺りについての好事例などを、是非もう少し深く分析して御提供いただきたいと思いました。
もう一点は、訓練受講機会の確保の箇所で、オンライン訓練だったらどこにいても受講可能なはずで、それがオンライン学習の最大のメリットのはずですが、都道府県が担い手であることによって地域偏在が生じているのであれば、やはり都道府県の枠を超えて全国的に展開するべきではないでしょうか。もちろん訓練の内容は地域の事情によって調整するとしても、やはり展開する主な担い手というのは、武石先生がおっしゃったようにJEEDのような組織に担っていただくのがよいのではないかと私も思います。
最後に、成果指標についてですが、もちろん修了率や就職率などは取る必要がありますが、やはり日本の組織の在り方を考えると2か月、半年後に引き延ばしたとしても、なかなか効果というのは表れにくいので、今もやっていらっしゃる働くことへの意欲だけでなく、更に学ぶことへの意欲や意識変容、自己啓発を始めた、転職活動を始めたなどの行動変容についても把握すべきだと思います。ただし、こういった主観的な指標の場合、そもそもの個人差が大変大きいので、既に7ページのスライドでも御報告いただきましたが、訓練前後の変化というものを必ず把握することが大変大事だと思います。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。お聞きしておけばいいですか。何かありますか、どうぞ。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。伴走型支援について、好事例の収集において御要望と御意見を頂きましたが、そこはしっかり収集していきたいなと思っております。また、コンサルティングなり、事前の情報提供、説明会等ももちろん大事だと思っているのですが、例えば、これは当室ではないのですが、人材開発統括官のほうでキャリア形成・リスキリング推進事業という形で、リスキリングセンターという所で、いわゆるキャリコンを在職者に対してする事業がありますので、そういった事業等も連携等をしながら、この訓練がどう役に立つかというのを、訓練機関ではない外部の機関も含めて、そういった機会も活用できればいいかなと感じております。以上です。
○今野座長 何か、どうぞ。
○菅沼構成員 都道府県の立場から、発言させてください。先行して東京都では都の予算ですでに非正規雇用労働者の取組を実施しています。今回、国の委託訓練の枠組みで進めていただけるというお話ですが、先行して行っている都の事業は、民間の職業紹介権を持つ、企業を入札等で選定をして実施しています。民間企業の力を使ってPRをしてもらって受講者を集めてもらい、選定して訓練を実施しており、最後は出口として就業に結び付けるという非正規雇用対策を実施しているのですが、そうした枠組みが委託訓練によって大きく変わってしまうと非常にやりづらいところが出てきたり、委託訓練という形になってしまうと、職業訓練校が窓口にならなければならないなどといった制約があったり、あるいは受講の申込みをするのにハローワークの受講指示がないと受けられない形になってしまうことが考えられます。私たちも結構な規模感で予算を立てて多くの方を支援してきたという実績もありますので、ある程度、その辺の裁量は自由が利くような形で枠組みが進むといいなと考えておりますが、いかがでしょうか。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。まず、順番は前後しますが、今回、試行事業で非正規雇用労働者の募集については、先ほどの御意見で、企業から直接周知したほうがいいのではないかという話がありましたが、ハローワークのあっせんという形ではなくて、直接応募するという形でやっておりましたので、各機関、もちろん連携はするとしても、あっせんという形ではなくて、こういった直接応募するという形になるのかなと感じたのが1点。
もう一点は、やり方が変わるのかというところの影響ですが、これは当然、先行実施されている委託訓練はどういった内容かをよくお聞きしながら、そこはうまく、分担なのか、連携なのか、合流なのか、いろいろな議論はありますが、そこはしっかり御相談しながら進めさせていただければと思います。以上です。
○菅沼構成員 ありがとうございます。是非、柔軟な運営に御協力いただけると非常に有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。
○今野座長 ほかに、どうぞ。
○宮地構成員 先ほど、主観的成果指標の導入について、どんなものが考えられるかといったお話がありましたが、私は、特に仕事や能力開発への意欲や、自己効力感といった項目が有効ではないかと考えております。能開法も第11次の計画も、労働者の主体的かつ継続的な能力開発の重要性を打ち出していますが、主体的で継続的な能力開発を担保するのが意欲や自己効力感です。そこで、黒澤先生もおっしゃられたように変化に着目し、訓練を経た意欲や自己効力感の変化を取っていくことは、訓練のその場限りの効果ではなく、訓練が継続的な能力開発の起爆剤になったかどうかを見極める重要な指標になるのではないかと考えております。以上です。
○今野座長 お聞きしておけばいいですか。ほかに、いかがでしょうか。これは、うまくいくには脱落者を減らすとか、最後まで訓練を受ける人を増やすといったことが議論になりましたが、大体、その前にどうやって訓練に乗ってもらうかというのが重要ですよね。先ほど、意見では事業主を通したらどうだというアイディアがありましたが、何かほかにあったらお聞きしておいたほうがいいかなと思ったのですが。何かありますか、こうやれば集まるなどという。経験からすると東京都はどうですか。
○菅沼構成員 先ほど申し上げたお話になりますが、東京しごと財団で行っている成長産業向けの分野に進む非正規労働者を支援する枠組みが、今回御紹介した事業の起点になると思うのですが、そこも民間の事業者を使っています。ほかにも、女性向けのITエンジニアになるような高度な訓練を提供する事業もしており、それは都の単独事業で行っているのですが、いずれも民間も事業者を使っています。やはり、非常にPRが上手で、トレインチャンネルを利用したり、SNSを使った広報などをうまく利用したりして、非常に集客がある状況なのですが、個々人の申込み、労働者の判断で、会社に了解を得ずに受けるという自由度が、申込みの多さにつながっているかなというところもあると思います。会社の目が入ると、会社の管轄下に置かれてしまうので、自分の意思で受けづらいところもありますし、会社にどういう目で見られてしまうのだろうというところが、多分労働者の心理としてあるのではないかなと思います。ですので、うまく民間の力を使ってPRをして、きちんと集客を確保する。我々も脱落者、離脱者が結構多かったりするところは、ある意味、伴走型でカバーすることは実施しているのですが、そういう形で伴走しながらも、申込みをされていた方の、選定をきちんとして、それなりに将来に向けたキャリアアップを私はしていくという意思が固い方を優先して選んでいく形にしていくしかないと思って東京都としてはしているところです。
○今野座長 ちなみに、民間事業者を使うと、集めることについては効果的だというお話なのですが、では、民間事業者は何をしているのかを聞きたいのです。全部出せないとしたら、例えば、こんなことがありますということがあると、役に立つかも、ほかの人に。
○菅沼構成員 そうですね。委員長がおっしゃっているノウハウというのは、まず集めることと訓練を効果的に実施するノウハウがあって、メニューを集めたりとか、そういうことですか。
○今野座長 特に集めるところ。
○菅沼構成員 人を集めることですか。
○今野座長 はい。そこで人がこないと始まらないじゃないですか。
○菅沼構成員 そうですね。そういった意味でいうと、やはり先ほど私が申し上げたPRをして、刺さる広告を打って事業に誘引する力は、やはり民間事業者の力を使うと非常に有効かなと思います。
○今野座長 私が気にしているのは、東京は規模が大きいから民間事業者を使いやすいのですが、県によっては規模が小さいので、そんなに刺さる広告を、言い方が難しいですね。民間事業者に頼めばうまくいくかということでもないのかもしれない状況が起こるかもしれないなと思ったものですから。
○菅沼構成員 そうですね。絶対的な人口の割合でみると、やはり全国で10%以上の人口が集まっている東京のほうが有利ではありますが、各地域で展開するにしてもどうやるかということかと思います。そこはいろいろな展開の仕方、それぞれ地域に合ったやり方、PRの仕方を民間の事業者は考えるのではないかと思います。逆に、今地域で展開している、今回試行で行った事業などは、どうやったらうまくいったのかの先例があれば、それを先行事例として使いながら、優良事例があれば、そういう広告の仕方をしていくのかなと思います。
○今野座長 ということは、東京都は優良事例があるということですね、事業者についてですよ。
○菅沼構成員 そうですね。事業者について広告をうまく利用し、SNSを使って、あとトレインチャンネルを使うことで、昨年度も相当な数を集めた、申込みを受けた事業もあって、おおむね申込みはそれなりにありますね。
あとは受講生を選定をして、実際に訓練を受けていただくのですが、どうしても離脱者が出てきます。東京都の場合は、就職に結び付けていくというところまで目的を持ってやっています。非正規雇用の方がなるべく正規雇用になったり、レベルアップしたりする中で、訓練を成果として、そういうものが出てくるといいかなということで支援はしていますが、なかなか、就職まで全部の事業がうまく結び付けられるかというと、そういうこともなく、離脱をする方と、離脱をせずに残った方の就職をどうやって後押しするかというところがポイントになってくると思っています。
○今野座長 もう1つだけ。先ほどおっしゃられたことを踏まえると、今日は、事業主を通してお客さんを集めるという方法もあるのではないかという御提案がありましたが、今の話を聞いていると、それは余り良い方法ではないとお考えだと聞こえたんですが、それでいいですか。
○菅沼構成員 そうですね、やり方がいろいろありますので、今の私の発言に語弊があったら恐縮です。多くの労働者を対象にした支援については、もしかしたら会社を通さないやり方のほうが良いかもしれません。逆に、東京都のeラーニングの訓練の事業の一つで、会社を通じて従業員を3人リスキリングをするのに、後押しするので推薦をしてくれという事業もあるのですが、それもかなり人気ではありますので、事業のやり方だけかなと思っています。
今回の我々が御案内しているeラーニングの訓練については、やはり多くの方を募集して、御自身が自らの意思で申込みをしていただくというスタイルのほうが、我々が支援をしてきた実績を踏まえると馴染むのではないかと思っています。ただ、ほかの事業でも企業単位で申込みをしてもらう事業もありますので、それはそれで実績としては、まずまず好調にあがっている事業もあります。
○今野座長 事業主を通してお客さんを集める方法は、例えば、お宅の会社で非正規の人を少し長期的に、よりレベルの高い人材に育てて、将来、正社員で頑張っていただきたいと思っている会社は手を挙げてください、という言い方だったらいいということですね。
○菅沼構成員 そうですね。会社として抱えている経営課題とか事業戦略とか経営戦略があり、そこから見たときに、会社として事業目的を達成するのに、こういう人材育成をする必要があるということを認識している経営者は結構多いわけです。そういう経営戦略などに沿った知識を得てもらうためのトレーニングを実施しており、そういった事業は企業単位で申込みをしてもらっているのですが、それはやり方として有効であると思うところで、その中で、非正規の方がいて、非正規の労働者をスキルアップさせることを会社として必要であると思っているのでしたら、その方を推薦するでしょうし、そこは企業の判断だと思います。
○今野座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○武石構成員 私は職場経由での広報があるのではないかと申し上げたのですが、事業主が人を送り出すというよりは、こういう講習があるよというのを、良いから受けてみたらみたいなことを非正規の人たちに教えてあげると、その中から自分でやりたいという人が出てくるのではないかなという趣旨です。事業主が指名して行けというようなことではなく、お金も基本的には本人が払うので、こういうのがあるよというのを事業主の方から情報提供していただく。職場で有効なものだなと思ってくれれば、それを社員の方に広報してくれるというやり方だと、従業員も目にする機会も多いでしょうし、安心して受けられるのかなというイメージでした。
○菅沼構成員 分かりました。私のお伝えの仕方に語弊があったら恐縮です。誤解を生じたら恐縮なのですが、結局、私たちは申込みをされる形でしか分からないので、その過程の中で、もしかしたら会社の方が、受けたらどうかと勧めているかもしれないですし、そこの詳細は分からないので、もしかしたらアプローチの仕方として、会社の経営者などに、こういう訓練が始まったから是非受けてみたらというのを勧めてもらう意味でも、会社単位で案内をして、それで、それぞれの従業員に勧めてもらうというのは、あるのかもしれません。そこは、全く否定をする話ではないと思います。
○今野座長 私もその点、ちょっと気になっていたことがあり、このコースは、正社員として他社に転職するのに有利ですと言って、事業主にお願いしますというわけにはいかないと思ったのです。ですから、事業主を通すときには、お願いの仕方は工夫しなければいけないと私も感じていました。
武石構成員がお考えになっているのは、言ってみれば自己啓発の1つのパッケージとして紹介してもらったらどうだという感じのイメージですよね。ほかに、いかがですか。どうぞ。
○吉岡構成員 JEEDのほうの訓練として、離職者訓練になるのですが、やはりミスマッチの解消として訓練前の説明会というのは非常に重点を置いているところがあります。やはり、その中で最近、割と説明会の中で取り入れてきているところで言うと、利用者の方のインタビューを取り入れながら、受講内容について受けたい方にお知らせをするというやり方などを取り入れている施設もありますので、そういった手段というのは、仕組みとしては有効なのかなと。要は、ミスマッチでいうと、実際受けた方がどう感じるかというところを含めて、説明会などで入れているところがあります。
○今野座長 ありがとうございます。何かありますか。お聞きしたということでいいですか。ほかにいかがですか。
○坂爪構成員 ありがとうございます。成果指標について発言いたします。成果指標というと、基本的にはプラスの効果に着目することになるかと思います。先ほど先生方がお話されたように意欲だけでなく行動レベルで成果測定することがまず大事だと考えます。また、基本的にこのようなプログラムに参加される方は非常に意欲が高い方だと思います。その方たちがプログラム受講後に行動した結果、次にどういう課題が出たかというところも、成果指標に含められるといいのではないかと考えております。
そこで出てきた課題を、先ほどありました伴走支援として提供されるコンサルティングやメンターの活動の中に組み込んでいく可能性も視野にいれて、プログラム受講後に起こりうる課題、その課題の受講機関での事前解決という視点の獲得を目指して、プラスでない部分も取っておくといいのではないかと考えました。以上です。
○今野座長 何かありますか。
○鈴木訓練企画室長 すみません。次にどういった課題があるかは重要で、例えば、もう少し具体的に教えていただけると有り難いです。
○坂爪構成員 例えば、新しい就職先を考えた、もしくは正社員として応募したときに、探したものの自分に合う求人が見つからなかった、応募したものの面接の中でうまく答えられなかったといった課題が生じてくると考えられます。伴走機関では個別で支援ができるわけですから、そういったことへの事前に対応もできるのではないかということです。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございました。伴走支援の在り方は、先ほども、例えば訓練の実施方法もeラーニングのみの場合もあれば、オンライン、同時双方向でスクーリングとか様々な手法がある中で、どういうやり方があるかということかと思いますので、そこを引き続き検討したいと思います。
○今野座長 ほかに、いかがですか。失礼しました。
○吉川構成員 私も、同じ成果指標の所に1点加えていただければいいかなと思っているのが、非常にうまくいった方々というものに対して、どううまくいったのかというところの評価を入れてほしいなと思っています。
できるかどうかは検討していただきたいのですが、例えば、就職できた先の人が、やはりなぜこの人がよかったのか。主観評価になると思うのですが、受け入れた先が、この訓練を受けたからよかったというような。うまくいった人たちが、目標観として、それを後で受講する人に見せられる形で、うまくいった人たちを見せることを含めた指標を受入先から求めると。幾つか考えられる方法を御検討いただければいいかと思っております。ありがとうございます。
○鈴木訓練企画室長 ありがとうございます。どういった手法、やり方が、受入先に対してどういった指標があるかを、頂いた御意見を検討したいと思います。
○今野座長 指標を考えるというのもありますが、好事例として記録して横展開をすることはできるかなと思います。
○鈴木訓練企画室長 そうですね。どちらかというと、多分うまくいった方というところが、それが声となり、そうすると、それが次の訓練の募集のときに、こういうメリットがあるというところの好事例としての展開は有り得るかなと思っております。
○今野座長 ほかに、いかがですか。よろしいですか。では、今日はいろいろ貴重な御意見を頂いたので、事務局として、それを踏まえて再度整理するということですね。よろしいですか。では、整理したものを、もう一度、次回皆さんで議論していただくという段取りですね。
○鈴木訓練企画室長 そうですね。議論していただき、報告書自体は昨年まとめさせていただいておりますので、頂いた御意見を踏まえ、本格実施に当たって、どういった方向にいくかについて御議論でき、まとめさせていただければと思っております。
○今野座長 それでは、今日用意されている議題はここまでですよね。
○鈴木訓練企画室長 はい。
○今野座長 それでは、全体を通して何かございますか。よろしいですか。それでは、少し早いですが終わります。
○鈴木訓練企画室長 座長、ありがとうございました。また本日、御参加の皆様におかれましては、御議論いただきありがとうございました。
本日の議事録につきましては、構成員の皆様に御確認いただいた後、資料とともにホームページで公開することとしております。次回の開催につきましては、別途、事務局から御連絡いたします。本日はありがとうございました。