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第2回 審査支払システム共同開発推進会議 議事録
日時
令和7年9月12日(金) 11:00~12:00
場所
厚生労働省保険局
出席者
- 構成員
- 厚生労働省 江浪審議官
- 厚生労働省 佐藤保険課長(代理出席:市川総括調整官)
- 厚生労働省 唐木国保課長
- デジタル庁 三浦統括官
- デジタル庁 上田参事官
- 社会保険診療報酬支払基金 神田理事長
- 国民健康保険中央会 原理事長
議題
1.審査支払システムの共同開発の基本方針(案)について
2.その他
2.その他
議事
- (議事録)
○唐木課長
それでは定刻となりましたので、第2回審査支払システム共同開発推進会議を開会いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本日司会進行を務めます厚生労働省保険局国民健康保険課長の唐木でございます。よろしくお願いいたします。
まず本日、ご出席の皆様をご紹介しますが、私から役職、お名前の紹介とさせていただきます。厚生労働省大臣官房審議官(医療介護連携・データヘルス改革担当)の江浪、総括調整官の市川、デジタル庁三浦統括官、社会保険診療報酬支払基金の神田理事長、国民健康保険中央会の原理事長にご参加いただいております。
それでは開会にあたりまして、江浪からご挨拶申し上げます。
○江浪審議官
大臣官房審議官の江浪でございます。審査支払システムの共同開発の基本方針につきまして、これまで両機関とともに検討を重ねてまいりました。今般、一定の方向性を見いだすことができたものと考えております。
今般、基本方針では、審査支払システムのうち、当面はレセプト電算処理共通機能を共同開発・共同利用することとし、将来的に共同開発・共同利用の範囲を拡大していくことを目的とし、今般の開発ではシステムのモダン化を実施するというのが基本方針の骨子ということでございまして、厚生労働省としては、この内容をもって本日合意したいというふうに考えております。
共同開発の目的は、令和3年3月に取りまとめられた審査支払機能の在り方に関する検討会報告書におきまして、システムの運用コストの削減と審査結果の不合理な差異の解消の二つとされております。将来的なコスト負担軽減の観点からも、医療保険制度を取り巻く環境の変化や最新の技術動向なども踏まえてしっかりと対応していきたいと考えております。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○唐木課長
時間も限られていますので、早速ではありますが、議事に入りたいと思います。まず、私から基本方針案について読み上げさせていただきます。
令和7年X月X日は本日の日付を入れる予定です。厚生労働省、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会。審査支払システムの共同開発の基本方針。
1.システム共同開発の基本方針。審査支払機能の在り方に関する検討会報告書(2021年3月29日)等を踏まえ、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)並びに国民健康保険中央会(以下「国保中央会」という。)及び都道府県国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)(以下総称して「両機関」という。)は、保険料を通じた国民負担の軽減の観点から、審査支払システムの運用費用のコスト削減を図りつつ、両機関の審査支払業務が整合的かつ効率的に機能するために、両機関の審査支払システムのうち、審査領域においては、両機関が協力して共通のクラウドサービスを設計・活用し、当面は「レセプト電算処理システムの共同開発部分」(以下「レセプト電算処理共通機能」という。)から、共同開発・共同利用を開始する。レセプト電算処理共通機能は、両機関が連携して要件定義・設計を行う。その際、両機関がレセプト電算処理共通機能を共同利用できるよう、モジュール化し、疎結合な状態とする。両機関は、将来的に、支払基金の「AIを活用したレセプト振分」に加えて更にAIを活用した機能(以下これらを併せて「AI活用機能」という。)を含め、レセプト電算処理共通機能以外の機能を共同開発・共同利用することを目指し、今般の開発においては、下記2の方針に従い、システムのモダン化を実施する。
2.システムモダン化の方針。両機関は、以下の方針に従い、システムのモダン化を実施する。クラウドのマネージドサービスを利用したモダン化。レセプトデータを保持するデータベースを、現行のRDBから、KVSを主体にした構成に変更。画面システムを、現行のクライアント・サーバー方式から、フロントエンド・バックエンドを分離したWebシステム方式に変更。
3.AI活用の方針。国保中央会及び国保連合会では、AIを活用したレセプト振分について、早期に、検証を行う。併せてAIの技術革新等も踏まえ、審査業務へのさらなるAIの活用の検討について、厚生労働省の支援の下、両機関で調査・研究を進める。上記の検証及び調査・研究の結果を踏まえ、厚生労働省、支払基金、国保中央会及び国保連合会は、両機関の新システムの稼働のタイミングで、最適なAI活用機能の導入に向けた取り組みを進める。
4.今後の調整。支払基金に設置されている審査支払システム共同開発準備室は廃止し、厚生労働省が必要な調整を行う。具体的には、厚生労働省、デジタル庁、支払基金及び国保中央会の四者で構成される調整会議を開催し、定期的に開発状況を確認する。その他、両機関において協議を要する事項が生じた場合は、調整会議において協議するものとし、調整会議の議長は厚生労働省が務める。また、最新の技術動向等を踏まえるため、両機関はデジタル分野における専門技術者等とも連携し開発を進める。
以上でございますが、内容についてはよろしいでしょうか。(異議なし)
それでは両理事長から一言ずつご発言いただけると助かります。はじめに神田理事長からよろしくお願いいたします。
○神田理事長
今回の基本方針の取りまとめに当たりましては、厚生労働省、またデジタル庁に調整の労をとっていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
支払基金は現在使っている審査支払システムは、令和3年9月にリリースしましたけれども、令和11年12月にサポート期限が切れますので、システム更改を行って新しいシステムに移行していく必要があります。今回整理されましたモダン化の方針に沿って、技術専門家の提言を受けつつ、開発に要する期間を考慮しながら、令和12年1月の移行に向けまして、システム更改に向けた準備を進めていきたいと考えております。また、両機関が協力して共通のクラウドサービスを設計・活用することや調整会議のもとで、定期的に開発状況を確認することとしておりますので、先行する支払基金では共同利用に対応できるよう、システムのモジュール化への対応ですとか、共同利用するプログラムや設計書等のドキュメントを中央会に有償で提供していくこととしたいと考えています。
今回の基本方針の中で、AIの活用についても触れていただいておりますので、これについての支払基金としての考え方を申し上げたいと思います。支払基金は現在使っている令和3年9月にリリースした審査支払システムにおいて、AIを使ったレセプトの振り分け機能を実装して査定可能性の高いレセプトを職員・審査委員が目視をするというシステムを導入しております。この間、目視割合を令和5年10月から10%に絞り込むことによって、査定可能性の高いレセプトを職員が確実に審査事務を行い、疑義付箋を付すこと等によって効果を上げております。具体的には、令和4年度には、医科の原審査の電子レセプトの査定額は約250億円でしたけれども、令和6年度までの2年度の間に、約400億円に査定額を増加させております。2年間で、150億円の査定額の増加、2割の職員を削減しながら、6割の査定額の増加を実現するという格段の審査実績の向上を実現しております。実はレセプトの振り分けに当たりましては、コンピューターチェックがついているものは目視対象レセプトとして振り分けられますので、コンピューターチェックの機能と一体で機能するものとなっています。AIを導入するかどうかによって、コンピューターチェックをどうするのかという考え方に大きな違いが生ずると考えています。今、申し上げたようにコンピューターチェックがつくと目視に回ることになりますので、支払基金では、必要以上にたくさん目視に回らないように、査定に結びつく可能性の低いコンピューターチェックは、むしろ外して、計画的に削減して、コンピューターチェックの精度の向上を図るということをしております。従前の重点審査ですと、限られた医療機関について、たくさんコンピューターチェックをつけた方がいいという発想になります。この点、AIを導入するかどうかによって、コンピューターチェックに対する考え方が異なってきます。今回のレセプト電算処理共通機能の次には、コンピューターチェックですとか、審査画面といった次の機能の共同開発・共同利用に向けて取り組んでいくということになると思いますので、コンピューターチェック機能を共同開発・共同利用していくためには、AIを導入するかどうかというのは、大きな分岐になると考えています。したがって、支払基金としては、AIを導入することによって、職員の2割削減を実現しており、この時計の針を戻すのは難しいと考えていますので、今回、AI機能の導入に向けた取り組みを進めると書いていただいていますので、ぜひその方向でご検討をいただきたいと思います。
支払基金としても、ここでレセプト振分の検証をするとなっておりますので、最大限協力させていただきたいと思います。懸念点としては、AIによる振り分けを入れると従前の重点審査のレセプトが十分見られないのではないかというご懸念があるかと思いますけれども、私どもの方で導入する際にも、審査委員から同様の懸念が示されておりましたので、具体的にそういう重点審査の対象となっている医療機関のレセプトがどれだけ目視に回るのかという検証をしましたけれども、重点審査で査定されたレセプトは90%以上がきちっと目視に回るということは検証できていますので、一定程度、重点審査とAIによる振り分けは両立可能であると私どもとしては考えております。
新しいシステムの実装に向けては、さらなるAIによるレセプト振分機能の精度の向上も課題であると考えております。具体的には、なぜそのレセプトが目視に振り分けられたのかその理由がわかるとか、査定理由の候補を提示するとか、そういう次のステップに向けて、厚生労働省、国保中央会と一緒に調査研究を進めていきたいと考えております。厚生労働省のご支援をいただきながら、国保中央会と連携して新しいシステムの開発に取り組んでいきたいと考えております。
○唐木課長
ありがとうございました。続きまして、原理事長よろしくお願いいたします。
○原理事長
まずもって、今回こういう形で基本方針を取りまとめていただいた厚生労働省、また、デジタル庁のご尽力に対して感謝を申し上げたいと思います。特に共同作業班の班長である唐木国保課長には、最終盤で汗をかいていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
この基本方針にありますように、効率的で整合的な審査支払業務のためのシステムというものを構築するということは、大事なことですので、この基本方針というものを、土台にして、さらなる共同開発・共同利用に向けて、これから努力していくことが必要だと考えております。
私どもとして、特に今回よかったと思ったのは、システムをモダン化して、それによって保守運用費用を下げていくということが大事なことだと思っておりますので、そういう意味で、両機関が協力して共通のクラウドサービスを設計・活用して、システムのモダン化をしていくこと、レセ電の共同利用も含まれますけれども、これが合意できたことは大変大きなことではないかと思います。確かに、このシステムの基盤のところ全体を共同開発・共同利用できればよかったんですけども、両機関の事情もあり、ここまでは合意ができなかったわけですが、基本方針にある、両機関が協力して共通のクラウドサービスを設計・活用するということについては、IaCという、システム構成やネットワークについてコードや設定ファイルで管理運用する手法ということですけれども、この情報を支払基金さんの方から提供していただくことで、ほぼ同じようなものが構築できる、今後非常に効率的な開発ができていくということで、私自身は共同開発に近い形ができたのではないかと思っています。そういう意味でも、ぜひ支払基金さんにはご協力をお願いしたいと考えているところで、実際そのお約束もいただいているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、AIの活用についても積極的に取り組んでいきたいと思っています。
課題としては、国保総合システムは審査支払システムではありますけれども、それに続く保険者サービス系のいろいろな業務を行うためのシステムが接続されていますし、さらにその先にはKDBだとか、介護保険のシステムだとか、いろいろなものにつながっていて、そういう意味では非常に大きなシステムでございまして、今回の開発がいろんなシステムに影響を及ぼすという、残念ながら、そういう関係にあるものですから、どうしても開発規模が大きくなり、それだけ開発費用もかかってしまうということがあります。
国保総合システムのうち審査領域についても、47連合会でそれぞれ運用が違うので、どうしても全体のシステム規模が大きくなっている。このため、我々としては今回の基本方針の合意を踏まえて、一層、47連合会の審査支払業務の標準化というものを進めて、システム規模というものをスリム化していくことによって、開発費用や運用費用というものの縮減を図っていく、開発費等を削減していく、これは絶対やらなければならないと思っています。連合会の業務の標準化は国保中央会だけでは十分にできないところもあるので、ぜひ保険局国民健康保険課にはその支援や指導といった協力をお願いしたいと思います。
また、ご案内のように国保は非常に財政基盤が脆弱で、特に最近被保険者数が減ってきているので、こういったシステム開発の財源となる審査支払手数料の減少ということも、一部の連合会では出てきているということもあり、そういう意味では財源確保に非常に苦労しているところがございます。したがって、開発費等の削減には一生懸命努力をしていきますが、引き続き国による財政支援の方もぜひお願いをしたいと思います。
いずれにしても、この基本方針を踏まえて、しっかりと取り組んでいきたいと思いますので、関係者の皆様にはよろしくお願いいたします。
○唐木課長
ありがとうございます。それでは、デジタル庁三浦統括官からもコメントありましたらお願いいたします。
○三浦統括官
取りまとめに当たりましては、皆様お疲れさまでした。ここに至るまではいろいろあったんだと思うんですけど、2021年の報告書にあるような大きな流れについて、我々としても意識せざるを得ず、それをちゃぶ台返しすることは難しいと思っています。そういう意味では、共同利用・共同開発に向けて、今後進めていけるということについて、感謝申し上げますし、その取り組みに対してはお疲れさまでしたと申し上げたいと思います。
冒頭で神田理事長からAIの話がありましたけど、デジタル庁としてもAIは流れとしては不可避と思います。共同開発・共同利用に当たっては、両機関の出自、成り立ちや性格の違いがありその中で合理的な審査のあり方やフィロソフィーのようなものがあって、今の形になっていることを踏まえる必要があると考えます。審査として出てくる結果が全然違うというのは許されないと思いますが、処理する手続きについてはそれぞれのやり方に一定程度合理性があるのだろうと推測しています。原理事長から保険者機能との連結の話もありましたし、そういったそれぞれの個性に応じた特徴というのは、システムにも反映せざるを得ないので、それについては当局も少し汗をかいていただいて、それが合理的な差なのか、あるいは集約した方がいいのかというような議論を行っていただくことにより、共同開発・共同利用が効率的なものになっていくのではないかと思います。デジタル庁としても、そのあたりは参画できるところはしっかり参画していきたいと思います。審査に対しては貢献するのは難しいですが、システムという観点では貢献できると考えていますので、何かありましたら申しつけていただければと思います。
○唐木課長
ありがとうございます。他に何かございますでしょうか。
○上田参事官
審査のあり方については私が申し上げる立場ではないと思うんですけれども、まず取りまとめありがとうございます。基本的に共同開発・共同利用というのは、今、大きなシステムの流れというのは、SaaS化という形で、ある程度作って、普通は二つだけではなくて、百とかになるわけですが、それぞれの機関が作るというよりは、みんなで一つのシステムを共通で使えるものはみんな使おうというのが、一つの流れだと思います。そういった中で、恐らくクラウド化とか、モジュール化とか、AIとかっていうのがやっていく話かなと思っています。
現実のシステムを開発するベンダさんも含めて、リソースを考えると、結構このプロジェクトも難易度は高いと思っていますが、できる人がそんなに潤沢にあるわけではないという現実もあると思いますので、なるべく戦力を集中してやっていくっていうのは、一つの方向性かなと思います。今後も多分調整会議を通じて、より共同開発・共同利用の範囲を広げていくという、これはいろいろな形の広げ方があると思うのですが、そちらのほうで貢献させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
○唐木課長
それでは最後に、江浪審議官からお願いいたします。
○江浪審議官
本日はお集まりいただきましてありがとうございました。また、非常に貴重なご意見をお伝えいただきまして、ありがとうございます。本日提示いたしました基本方針案をもちまして、厚生労働省、社会保険診療報酬支払基金、国保中央会の三者で合意したものとさせていただきます。
今後は、基本方針にありますとおり、厚生労働省、デジタル庁、支払基金及び国保中央会の四者で構成される調整会議におきまして、相互に必要な情報を共有しながらシステムを開発していくこととしておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
○唐木課長
それでは本日の議事は以上となります。最後になりますけれども、本会議の資料及び議事録につきましては、後日ホームページに公開いたします。よろしくお願いします。
それでは第2回審査支払システム共同開発推進会議を閉会いたします。ありがとうございました。