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2025年9月1日 第9回危機対応医薬品等に関する小委員会 議事録
健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室
日時
令和7年9月1日(月)14:00~16:00
場所
Web開催
事務局:厚生労働省共用第9会議室
事務局:厚生労働省共用第9会議室
議題
危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討
議事
○小谷室長 皆様、お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。
定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会感染症部会第9回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
ウェブ会議についてです。本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、委員長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承いただきたいと思います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
通信の確認も含めて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順で失礼いたします。岩本愛吉委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
大曲貴夫委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○小谷室長 加藤康幸委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 齋藤智也委員。
○齋藤委員長 齋藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷室長 鹿野真弓委員。
○鹿野委員 鹿野です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷室長 中野貴司委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○小谷室長 長谷川秀樹委員。
○長谷川委員 長谷川です。よろしくお願いします。
○小谷室長 早川佳代子委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 福島若葉委員。
○福島委員 福島です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 濵口道成委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○小谷室長 宮川政昭委員。
○宮川委員 宮川です。よろしくお願いします。
○小谷室長 横野恵委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 四柳宏委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 宮川政昭委員につきましては、所用により当事務局からの現地参加とさせていただきます。
本日は、委員13名のうち全員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
また、本日は、参考人として三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺正樹先生にもお越しいただいております。
○田辺参考人 三重大学の田辺です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
今回、公務の都合で木庭は会議を中座させていただく可能性がございますので、御了承ください。
また、四柳委員より、15時30分以降途中退席される旨、御連絡をいただいております。
カメラ撮りがある場合はこちらまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御了承ください。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1となります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
早速、議事に入りたいと思います。
まず、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 それでは、資料1につきまして事務局より御説明させていただきます。
資料1「危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討」になります。
1ページ目を御覧ください。
こちらは第7回、第8回MCMに関する小委員会の意見の論点を取りまとめたものとなっております。非常にショートなスケジュールの中で皆様方には御議論いただき、誠にありがとうございます。可能な限り事務局のほうで意見の取りまとめをさせていただいたところであり、前回第8回で御意見をいただいたものについて青字で記載させていただいておりますので、御確認ください。
続いて2ページ目、こちらは第7回、第8回を踏まえて議論を再度確認させていただきたいと思っております。資料2ページ目は第7回MCM小委員会で提出させていただいているものになりますが、MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方として、まず一つとして公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理を行い、2つ目として戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を検討し、その上で総合評価を行った後、研究開発の優先度及び確保に関する検討を進めていくということに関して皆様方から御意見をいただいたところでございます。
3ページ目を御覧ください。
こちらに関する検討の総合評価としては、先ほど御説明したとおり、公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理、戦略的指標から見たMCMの利用可能性の確保の必要性、総合評価という形になっております。
それぞれの詳細な部分については割愛させていただきますが、今まで議論させていただいていたところだと認識しております。
4ページ目を御覧ください。
その中でも公衆衛生的指標の分析についてといったところです。こちらは前回のMCM小委の中で議論いただいた気候変動による蓋然性という点がございましたので、こちらを3発生頻度・可能性/蓋然性のところの指標の中に追加することとさせていただいております。
その上で5ページ目、こちらは前回第8回のMCM小委の中でも議論になりましたが、MCMの研究開発の案として3つありますが、まず診断技術に関して、診断技術は感染症対策の初動において最も早期に整備・開発されるべき基盤技術であり、迅速かつ的確な感染症対策の実現には不可欠であるという論点から基本的な考え方を提示させていただいております。
診断技術については、以下の3項目を優先的に考えながら研究開発を支援していくのであると。飛沫感染などのヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有する、または早期の診断によって適切な治療やワクチン等による感染予防策・感染拡大防止策を実現するべき重点感染症であって、簡便・迅速に診断できるものなどの3項目を提示し、第8回MCM小委にて皆様方からおおむね了解をいただいたものと認識しております。
続きまして6ページ目、こちらは治療薬・ワクチンに関してでございます。国内において研究開発のパイプラインが進んでいる重点感染症に対しては、重点的・戦略的な支援を行うことにより、研究開発の成功率の向上を図って実用化につなげる。それによって、国内における平時からの段階的な研究開発体制の底上げに加え、感染症危機時に対する総合的な対応力の強化を図っていくという観点でございました。
こちらについても、基本的な考え方としまして1点追加させていただいているのは、第8回の御意見として、即応可能な研究開発体制の整備を進めるという点を追加した上で、以下の3項目について主な要件として優先的な研究開発支援の対象と考えております。3つの項目としては、国内に臨床試験段階に進められる程度のパイプラインが存在している。新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティ/作用機序等である。国内/国際共同治験等が実施可能である。この項目について検討させていただいております。
こういった議論を踏まえまして、研究開発の基本的な考え方に基づく優先度をフローチャート図の形で前回まで提出させていただいておりますが、これが7ページ目になります。
こちら以降、今回の第9回のMCM小委の中での主な検討事項だと認識しております。
8ページ目を御覧ください。
前回までの議論を踏まえ、国内における重点的かつ戦略的な支援を実施するに当たり、過去の委員会での議論を踏まえて、研究開発の実現可能性に関して、総合評価の実施に当たって、公衆衛生的指標と戦略的指標の1既存のMCMの有無等をMCMの利用可能性確保の必要性とし、戦略的支援の2研究開発戦略の一部(国内パイプラインの有無等)を研究開発の実現可能性として評価することとしてはどうかというのを事務局として提示させていただきます。
つまり、総合評価の評価方法としましては、公衆衛生的指標及び戦略的指標の一部をMCMの利用可能性の確保の必要性とし、以下の形で総合点を算出しながら評価しております。
一方で、研究開発の実現可能性という観点に関しては2点ございます。一点は診断技術に関してでございますけれども、感染症に対する診断技術というものは基本的にPCR検査(核酸検出検査)にて対応可能であることや、簡易診断法等は技術転用等が可能であり、以下の要件を踏まえ、ワクチン・治療薬とは整理を別にさせていただいております。一方で、治療薬・ワクチンについては、国内パイプラインの有無・国内臨床試験・国際共同治験等を踏まえて評価する形としております。
これらのMCMの利用可能性確保の必要性と研究開発の実現可能性を用いた総合評価を実施し、それぞれについて高、中、低の評価を行ったと事務局から提示させていただきたいと思っております。
9ページ目以降はそれぞれについての総合評価になります。Group A、Group Bが9ページ目、Group Bが10ページ目、11ページ目がGroup Cになります。12ページ目がGroup Dのそれぞれの感染症における総合評価を提示させていただいたものになっております。
これらをさらに診断技術、治療薬・ワクチンという形で分けたものが13、14、15ページ目になっております。その中で青い列がMCM利用可能性の必要性、緑の列が研究開発の実現性、それを踏まえた総合評価として研究開発の優先度の中で高、中、低を診断技術、治療薬、ワクチンでそれぞれ提示させていただいたものを本日議論の場に提示させていただきたいと思っております。
16ページ目は今後の大きな視点になりますが、MCM研究開発環境等の整備・検討(案)という形でこちらも提示させていただきます。MCM利用可能性を高めるためには、平時から迅速に研究開発・確保ができる体制を整備するとともに、感染症危機発生時にMCMエコシステムの一貫した取組・支援を行うための事前準備が必要であるという観点を改めて提示させていただいております。
研究開発の方向性を決め、基礎研究、応用研究を実施し、その中から開発研究、その後の承認申請を行い、上市を行っていく。それぞれに応じてプッシュ型の支援、プル型の支援、どういった研究開発の支援の例があるのかということもこちらで提示させていただいております。
17ページ目ですが、MCMのプッシュ型・プル型研究開発支援の検討についてというところにつきましては、今後、我々としましてプッシュ型支援の研究開発支援として、AMEDを通じた研究開発支援、MCM開発支援事業、データ等提供支援としてiCROWN事業等を実施しながら、一方で、プル型インセンティブについてはAMRに対する抗菌薬確保支援事業を実施しているところでございます。
平時においては患者の発生の予測ができず、需要の見込みが極めて困難であるMCMに対して、企業等がMCM開発に取り込める環境を整えることが感染症危機への備えとして極めて重要であるということを第8回MCM小委においてもいただいておりますので、そういったところについてどういったことができるのかということについては引き続き検討する必要があるということを一旦このMCM小委の場でも俎上という形で御説明させていただきたいと思っております。
長くなりましたが、資料1「MCMの利用可能性確保に関する検討」について御説明させていただきました。御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございました。
事務局からの説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見を伺っていこうかと思いますけれども、今回、MCMの利用可能性確保に関する検討というのを進めていく中で、これまでまず総合評価というのをつくってきた。それには公衆衛生的指標と戦略的指標というのから見て総合評価をつくってきて、そこから今、研究開発の優先度というところをどのように決めていくかという議論をしているところかと思います。
前回までに診断技術とか治療薬、ワクチンそれぞれについて基本的な考え方というのを御議論いただいて、これから研究開発の優先度というのを具体的に議論するところにあるわけですが、その際の評価軸をMCMの利用可能性確保の必要性と研究開発の実現可能性というので考えてはどうかというような形で進んでいるところです。
さらに、総合評価のところには、総合評価の具体の高、中、低といった分類であったり、それに基づく総合評価であったり、それに基づく研究開発の優先度というところの案を記載していただいております。
いろいろ、確認すべきことであるとか御指摘いただくべきところがあるのではないかと思いますけれども、皆様、いかがでしょうか。
それでは、濵口委員からお願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
「MCMの研究開発の基本的な考え方」に異論はございません。
ただ、今回の評価結果において、開発優先度が高いとはされなかった感染症も、場合によっては流行状況等に応じて幅広く対応できる柔軟な運用をお願いしたいなと思っております。予測を超えるようなことが起こり得ることも視野に入れてリスク管理をしていきたいというのがSCARDA側の考えですので、どうぞ御理解いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。今後の流行状況に向けて、新興感染症、再興感染症は当然ございますので、その部分を取り込めるようにということで御指摘をいただきました。
そのほかの先生方、いかがでしょうか。
鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
16ページの図なのですけれども、この後またお話があるかもしれませんが、承認申請で薬事規制の合理化・審査の迅速化ということが挙げられていて、そうすると、通常の医薬品の承認申請のデータが全部出そろわないうちに市場に供給されるということになる場合があると理解しています。その場合、市販後の安全性情報の取りまとめとフィードバックが非常に重要になります。実際にワクチンの副反応などについても誤った情報を含めていろいろな情報が流れて、混乱を招く可能性もありますので、市販後の安全性情報あるいは効果、有効性の情報を含めて、できれば厚労省側で一括管理をして情報発信をしていくような体制があるといいのかなと思いました。
今の図だと上市後は流通・調達・備蓄というところしか書いていないのですが、もしかするとこの委員会のスコープ外の話になるのかもしれませんけれども、あと、市販をする企業にとっても製販後の情報収集と対応は物すごく負荷がかかるので、そこも下のプル型インセンティブの中に含まれるような形ですね。金銭的報酬とかがあるので、そこにもしかすると費用も含まれるかもしれないのですけれども、そういうことが分かるように書いていただくといいのかなと思いました。もしこの委員会のスコープ外ということであればすみません。
以上です。
○齋藤委員長 重要な御指摘をありがとうございました。承認申請を迅速化・効率化するところにセットで市販後の仕組みについての検討というところで御指摘をいただきました。
この点、事務局から何かございますか。
○小谷室長 重要な御指摘をありがとうございます。事務局でございます。
市販後の安全性評価とか、もしくは効果の評価について迅速にということだと思いますので、若干医薬に関わる部分になっておりますので、この場でお答えすることは難しいのですが、重要な御指摘という形で事務局で受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○齋藤委員長 そのほかいかがでしょうか。
早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
14ページのところです。私がよくスコアリングを分かっていないところもあるのですけれども、例えばBのカテゴリーにあるSFTSはMCM確保の必要性が中、研究開発の実現性が低、優先度が低になっているのですけれども、これは例えばMERSよりも低い優先度になっています。実際に本邦で見る可能性等も鑑みると、臨床サイドからだとずれてしまう印象です。中以上になるのかなと思っていたのですけれども、スコアリングでそれぞれ点数を出していって、こういうカテゴリーに落ちるというのはある程度自動的に決まっていくものだったでしょうか。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
この点、細かい指標を記載した部分が9、10ページにバックグラウンドデータとしてあるかと思いますので、こちらはどうでしょう。事務局から説明されますか。それとも田辺先生から説明されますか。
○田辺参考人 田辺ですけれども、多分8ページの下のお話かなと思います。そこの対戦表で、行が中で列のほうが低になっているということなので、このお話が機械的にはまったのかなという気がするので、ここの議論はこれでいいのかという話なのかなと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
こちらで今主に御指摘いただいたのがBの治療薬の件でよろしかったですかね。
○早川委員 今回はSFTSを例に挙げたのですけれども、SFTSは低いのだというところで少し驚いたところもあるのですが、これは一度このように決めて設定していくということで、総合評価に関してはあまりナラティブな要素は入れずに評価するという理解でよろしいかったでしょうか。実現性のところが結構効いてしまうのかなという印象ではあります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
事務局、こちらの点はいかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
今回、我々としては研究開発の実現可能性に少し重きを置きつつ、やはり我々として確保できるものに重点を置いていくものだと思っております。いずれにせよ、こちらについてはこれが決まったからもうやりませんということではなくて、あくまで優先度という概念で考えていくものだと思っております。
○早川委員 分かりました。ありがとうございます。
○齋藤委員長 確認なのですけれども、この総合評価、Group BのテーブルでSFTSの治療薬の研究開発の優先度は高になっているようなのですが、ここの研究開発の優先度は14ページのものと同じでしょうか。
○木庭感染症対策課長 事務局です。
申し訳ございません。誤りがございまして、今の座長の御指摘のとおりでして、SFTSの治療薬の部分、先ほど御指摘いただいた14ページのSFTSのところ、中、低、低とあるのですけれども、その前の10ページの一番上のところで、治療薬のほうは、それぞれ公衆衛生的指標、戦略的指標の一部を掛け合わせた評価が研究開発の優先度として評価高となっておりまして、14ページのほうが誤りでございました。大変申し訳ございません。SFTSの14ページのところ、正しくはそれぞれ左から中、中、高となります。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
この点、皆様、指標の修正をお願いいたします。
それでは、福島委員、お願いいたします。
○福島委員 御説明ありがとうございました。
私、前回は欠席してしまったので、内容をフォローできていなかったらと思って少し発言を躊躇していたのですけれども、今、早川委員が御指摘されましたことについて、改めて8ページの右下のヒートマップといいますか、総合評価の高、中、低を見ますと、先ほど早川委員もおっしゃられましたけれども、研究開発の実現可能性が中以上というところに重きを置かれているなというのが見てとれるかと思います。大体ヒートマップは中心から同心円状に色が濃いところから薄いところへと広がっていくのですけれども、MCMの利用可能性確保の必要性が低くても、研究開発の実現可能性が一定程度あると総合評価としての優先度は中になってしまうということなのです。
この左の図を見ますと、MCMの利用可能性確保の必要性というのがかなり幅広い項目をカバーしているにもかかわらず、研究開発の実現可能性というところの点数のウエイトが高くなってしまうというのは、そういう点数づけで評価されることとなったと思うのですけれども、これに関してはよろしいのでしょうか。前回までの議論をひっくり返すようであれば大変申し訳ないなと思ったのですけれども、一般の方が見られたときに、そもそもの必要性は低いけれども、研究開発の実現可能性が一定程度あるという理由で総合評価を上げてもいいのかという感想が寄せられるのではないかということなのですけれども、いかがでしょうか。
○齋藤委員長 御指摘どうもありがとうございます。
この点、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 福島委員、ありがとうございます。
今回、前回の議論の中で1つありました即応可能な研究開発体制の整備をまずは進めていくという点に少し重点を置かせていただいております。そちらについては、資料上6ページ目にも赤文字で明記させていただいている部分ではございます。
御指摘のとおり、当然のことながらほかの要素もちゃんと見ながらやるべきではないか、平均的にやるべきではないかというところもございますが、我々としましては、重点的に戦略的に後期研究開発みたいな要素を重要視しながら進めていって、確保できるものからまず確保していく。その重要性もその中で評価していくというプロセスが重要ではないかという御指摘、御意見も踏まえながらこういった指標にさせていただいたところでございますので、確かにこうやって見ると研究開発の実現可能性にかなり重きを置いているなといったところは委員のおっしゃるとおりですので、こういったものも示していけたらなと思っております。
○福島委員 御説明ありがとうございました。
当初、この小委員会で、一般の方から見ても分かりやすいようにというような要望が私を含めてあったと記憶しておりますので、そのような説明が自明でなされるような資料であればよいかと思います。ありがとうございました。
○齋藤委員長 この点は説明をよろしくお願いいたします。
ほかにこの点あるいはそのほかの点について御意見等はいかがでしょうか。
横野委員、お願いいたします。
○横野委員 この会議での手続といいますか、決定の対象に関して確認なのですけれども、今回に関しては、今映っている8枚目の資料の右下にある枠組みで評価をするという評価の枠組みのところについてこの委員会で認めるかどうかということと、この枠組みをそれぞれの疾患に対して当てはめた場合にどういう評価になるかという個々の部分についても今回の判断の対象ということになるのでしょうか。
あともう一つは、先ほど早川先生のほうから関連する御質問があったかと思いますけれども、8ページ目の表に従って当てはめた結果というのが自動的に評価に反映されるのか、一旦これを当てはめた後で、その上で何らかのさらに総合的な判断というもので変更する余地があるものかどうかというところに関して確認をさせていただければと思います。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
では、事務局から御回答いただけますでしょうか。
○小谷室長 事務局でございます。
基本的に本日こういった場で御議論いただきたいと思っておりますが、こういった形で進めるということ、特に8ページ目のこの考え方を軸に進めていくことについて、皆様方からの評価を受けながら、いただけるのであれば了承をいただきつつと考えております。
以降のページについては、基本的には機械的に当てはめている要素も多々ございますので、そこについては個々の議論、この疾患はこうではないかというところに関して、例えば公衆衛生学的な観点からではこうではないかとかという要素も多少出るかもしれませんが、基本的にはこの大枠の考え方については、今日の場で主な論点という形で皆様の御意見をいただきたいなと思っているところでございます。よろしいでしょうか。
○横野委員 ありがとうございます。
そうすると、基本的な枠組みがこの表の考え方で、必ずしもこれが機械的に当てはめられて直ちに最終的な各疾患についての評価になるわけではないと。そこまでを含んだ枠組みということで考えてよいのでしょうか。
○齋藤委員長 事務局からお願いいたします。
○木庭感染症対策課長 事務局でございます。
田辺先生の研究班のほうで、それぞれMCMの利用可能性確保の必要性、研究開発の実現可能性の評価について、前回までで大方御了承いただいたものと認識しております。
今回は、それぞれ研究開発の実現可能性、また、MCMの利用可能性確保の必要性をどのように組み合わせて総合評価とするか、が検討対象ですので、基本的には8ページの下の表の考え方について御意見をいただく趣旨です。もちろん御意見はいただきたいと思うのですけれども、この表が御了承いただけるということであれば、その後の部分については機械的に決まっていくものとなります。
○横野委員 承知いたしました。その部分について認識の相違があるような感じもいたしますので、その点、少し御留意いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
まず、8ページの大枠の決め方は御留意いただいた上で、ただ、総合評価のほうにある、その後に続く細かい評価にある公衆衛生的指標の高、中、低であるとかという部分は、そこはそこでまた御意見をいただければ、修正した指標の評価に従って今お示しいただいている総合評価の点数は機械的に決まるということになります。なので、この最終評価を変えるには、そのもとの評価のところをきっちりと議論する必要があるかと思います。
それでは、早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
確認になるのですけれども、公衆衛生的指標の分析について、いただいた表は基本的に国内の発生頻度、国内での感染伝播性と考えてよろしかったと思います。そうすると、いただいているものの中で、例えばマラリアなど日本での発生頻度がかなり低いものは、その辺りを加味して公衆衛生的指標の判断に至っているのか。また、戦略的指標に関して、海外での開発動向、国内での開発動向の違いまで加味して、本邦における研究開発のプライオリティーを決めるといった認識でよかったかという点について、お話があったところかと思うのですけれども、再度御教示いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
事務局から御回答いただこうと思いますが、まず1つ目の発生頻度・可能性/蓋然性といったところは前の4ページの表を御覧いただく必要があるかなと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
基本的には国内の大流行の事例がありというところについては公衆衛生学的に高いもの、中として過去に国外の大流行事例があり、国内であっても散発的であるもののような形で評価させていただいているものと認識しております。
田辺先生、こちらについてもし補足等があれば、後ほどでも結構ですのでいただけますと幸います。
一方で、研究開発、パイプラインの有無の部分については、国内でパイプラインがあるものは「○」、国内でパイプラインのないものは「-」という形で評価しておりますので、国内におけるパイプラインの有無という点について評価させていただいているものになります。
田辺先生、もし公衆衛生学的使用の点で何か追加事項等がありましたら、コメントをいただけますと幸いです。
○田辺参考人 4ページ、今出していただいているものなのですけれども、例えば健康への影響というのは高、中、低、致命率で主に上の指標、主指標のところで見ることになるので、これに対しては、要は微生物学的な特徴なので、あまり国内外というのはないのかなと思います。
感染性・伝播性も基本的にはウイルス学とか細菌学の特徴がベースではあるのですけれども、(参考)というところに特定の地域での流行だとか国内環境下での広がりというのがありますので、そういったところは少し国内での要素があると高めに配点があるのかなと思います。
次のベクターの辺りも一緒で、例えばベクターが国内にあるかないかというところがあるのですけれども、そこでもう少し変わってくる。
3のところは明らかに国内流行の蓋然性ということなので、過去に国内で大流行があれば高をつけていますし、中は例えば海外で大流行があったとして、それが気候変動とかで日本に来る可能性もあるということだと少し予見性も含めて、海外でしかないけれどもある程度スコアリングされているものもあるということなので、全てが日本だけではなくて海外のものも含めた指標である中に、国内であれば若干ポイントが高くなるようなつくりになっているというところになります。
以上です。
○早川委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
そうすると、今の点で10ページですかね。Group Bの評価でいくと、ここで幾つか蚊媒介性のものが3の発生頻度・可能性/蓋然性が中になっているところ、デングとかジカとか、これは国内では散発的といいますか、持ち込みがほとんどなわけですけれども、これを注としているのは国外で大流行している事例が。
○田辺参考人 これは前回の御指摘で気候変動でちょっと未来予測というところで、蚊媒介性のも1ランク上げて、もともと低であったものもあったのですけれども、一律で蚊のものは中にした。そういった指標を見ながら、主観ができるだけ入らないように、一旦指標を決めたらできるだけその指標で切るような形にさせていただきました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 ありがとうございます。
今の議論とも重なるのですけれども、9ページ以降、9、10でしょうか。これには(案)というのがついていなくて、決定事項のような気がしてどうなのかなと思って伺っていたのですけれども、今回は総合的な評価の方針を決めて、個々の疾患についてはまた改めて確認する作業があるということでよろしいのでしょうか。
公衆衛生の指標で私から見て少し私の感じと違うなというところは、例えば天然痘の蓋然性のところが中になっているかと思います。公衆衛生の指標です。根絶した病気がまた現れるということを中とする根拠が何なのか、インパクトが大きいテロで発生する可能性が高い疾患とは理解しますが、蓋然性としては低いにしておくべきなのかなというのが一点です。
ただ、前回議論した社会経済活動への影響の内容には当てはまりませんけれども、生物兵器として使われるとなると、これは社会的な影響というのは甚大なものと予測されますので、ここは高くするような判断もあり得るのかなと思います。
あと、細かいところですが、ウイルス性出血熱で、ラッサ熱はエボラなどに比べると圧倒的に輸入例というのが先進国では多くて、日本でも40年ほど前に東京で患者の発生があります。エボラよりは日本国内で発生するリスクが高いと思うので、個別の疾患について改めてまた時間を設けて議論したほうがいいのかなというのが私からの意見です。
以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、まず田辺先生からコメントをいただけますでしょうか。
○田辺参考人 4ページを見ていただきまして、まず1つ目のテロのお話で、先生がおっしゃられたとおり、テロのものは蓋然性は普通に考えて低いというわけなのですけれども、そうなると全然MCM開発につながらないというところになるのですが、真ん中の3の列としては過去のテロの事例の有無という項目が考慮すべき事項として入っていて、これを主指標に置くわけにはいかないので、恐らく先ほどあったような天然痘とかは国内流行の蓋然性からいくと低でスタートするのですけれども、青いところで書いてある過去のテロ事例とかCDC等のテロ警戒リストというのをチェックしていて、それがあったので1ランク上げているというところになるので、テロは例えばここには入れずに、先生がおっしゃられたように5のところ、多分5でもテロのものは若干挙げていたような気がするので、二重カウントのようなところにはなっているかと思うのですけれども、そこはそういったところなのかなと思います。
先ほどのラッサとエボラのところにつきましては、3の蓋然性のところで海外の大流行というところでエボラはPHEIC宣言されているとか、そういったところでランクが上がっていて、ここは国内ではカウントされていないというところかなと思います。
ですので、またいろいろ御意見をいただければ、このスコアリングの考え方も少し直して、基本的に機械的にやりたいなというところもありますが、個々に微修正も必要であればさせていただきたいなと思っていますし、もう一つは、個々の点数もそうなのですけれども、さっきの点数を最後に引き算しているところもありますので、8ページか。我々はスコアリングをさせていただいておりますので、スコアリングについてまた御意見をいただければ、対応可能なものは対応させていただきたいと思いますが、その辺り、それをまた掛け算しているとかもありますので、こういった要素も最終的な判定のところで大きいので、1から3のほうは少し配点が高くなっていたり、承認薬のところもここで結構点数が動くので、それがさらに混じった形でのMCMの利用可能性確保の必要性という2つの公衆衛生指標と戦略的指標もさらに混じっているというところもブルーのところにあるかなと思いますので、その辺も含めて御意見をいただければありがたいなと思います。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
細かい評価のそれぞれの項目についての御意見は引き続きお伺いしたいと思います。
それでは、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 インフルエンザですけれども、季節性インフルエンザと動物由来インフルエンザが分けてあって、特に今気になるのは、アメリカで乳牛がH5N1に感染しているという話はかなり深刻だと思うのですけれども、全くここに書かれていない気がして、その辺りについて伺いたいです。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございます。
この点も含めて、動物由来インフルエンザというカテゴリーに入っているのではないかと思いますが、事務局、この点はいかがでしょうか。
○小谷室長 御指摘ありがとうございます。
動物由来インフルエンザのページは9ページにございます。この中で健康への影響が高という形で、先ほど田辺先生からも御指摘がありましたとおり、致命率等の点が言えるのかなと思っております。その中でもH5N1については重症度が高くという観点でございますので、MCMの利用可能性の確保が高いという評価の中で、確保が必要であろうという観点に基づいて評価させていただいていると認識しております。ですので、そこのリスクについては十分認識した上での評価をさせていただいているものと考えておりますということをまず御報告させていただきたいと思います。
加えて、先ほど加藤委員からもいただいたところで、大変申し訳ございません。ここは私たちの落丁になるのですけれども、13ページ以降のものについてはいずれもその前の12ページまでのものを抽出してきたものになっており、実は13ページからのものには(案)とつけているのですけれども、その前のものがついていなかったというところですので、こちらも併せてトータルで案であるということで、落丁で失礼いたしましたということをまず御報告させていただきます。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
続いて大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
また流れを変えてしまうかもしれませんが、1点申し上げておきたかったので申し上げたいのが、スライドの8ページ目の今日の議論の軸になるところの話なのですけれども、これ自体は賛成なのです。一番最後のポツのところに、要は利用可能性の確保の必要性と研究開発の実現可能性を用いて総合評価をすると書いてあります。そうすると、研究開発のリソースは限られていますから、それを重点的にやることによって、可能な限り確率を高めてMCMを確保していくということが目的なのだと思うのです。そのための評価がこれなのだと思うのですけれども、先ほど福島先生もおっしゃっていましたけれども、そういう目的であるということを明確に書いていただいたほうがいいのではないかなと思いました。コミュニケーションもしやすくなると私も思います。
一方で、一研究者として見ると気になったのは、例えば今回の評価では利用可能性の確保の必要性がそれほど高くないと。あとは、研究開発の段階にもよりますけれども、実現性が低いというものは当然低いから、今回の政策におけるMCMの確保の優先順位は低めになりますけれども、それは国全体の研究開発の点から考えれば、こぼれ落ちた病気でもちゃんと研究対象にはなるのだと。そこに対してはほかの省、例えば文科省とかで対応がされるのかもしれませんけれどもでも、それらに関してもちゃんと研究開発は進んでいくのだというメッセージも要るのだろうと思いました。ここだけ見ていると思われると、あまり生産的でない変な議論も始まってしまうのかなと思いましたので、明確にコミュニケーションすることは私も重要だと思いましたので、申し上げました。
以上でございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
今の点、事務局からコメント等はございますでしょうか。
○小谷室長 事務局でございます。
大曲委員、ありがとうございます。御指摘いただいておりますとおり、分かりやすくというところ、資料を御覧なられた方がそういうことなのだなということがしっかりと分かるようなメッセージをちゃんと伝えていくことの重要性を御指摘いただいたと思っておりますので、我々としても次回のときにしっかりと反映するような形にさせていただきたいと思います。どう書くかまでは決めておりませんが、今後しっかり検討させていただきたいと思いますので、ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
あと、この件で追加でなのですが、今ここで言っている研究開発の優先というのか、研究開発というのがどのフェーズのことを言っているのか、基礎研究の段階から研究開発でここで優先度を上げるという話をしているのか、それとももう少しステージが進んだ段階について優先すべきものということを言っているのか、この点は事務局としてどのようにお考えでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
今回はそこまで明記させていただいておりませんでしたが、今回の御指摘の中で、我々としてはやはり重点的及び戦略的に前臨床以降の部分を支援していくみたいな形の書きぶりを次回等の場では御説明できるような形にしていきたいなと思っておりますので、そちらのほうも、引き続きになりますが、分かりやすいメッセージ、検討が行われていることを提示できるような資料にしていきたいと思っております。
○齋藤委員長 ありがとうございます。前臨床以降を支援するという考え方に立てば、こういう形でプライオリティーをつけていくというのだとかなり納得がいく表現になるのかなと思いました。
そのほかいかがでしょうか。
私のほうから細かい点で、12ページのGroup Dのところでお伺いしたいのですが、炭疽の治療薬が△になっているのですが、抗菌薬という点では国内にありとしてもよいのかと思うのですが、こちらを△にされた理由はありますでしょうか。これは田辺先生にお伺いしたほうがよいでしょうか。
○田辺参考人 先生がおっしゃられるとおり、抗菌薬だと○なのですよね。この辺りはまた厚生労働省とも確認させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 あと、次のボツリヌスなのですが、これは○なのですが、血清型を全部カバーするものという観点でいうと△になるのかなと思うのですが、この点はいかがでしょうか。ここは細かい話になりますが、多分平時の国内で発生するものについてはカバーできているが、まれなもの等はカバーしていない。
○田辺参考人 これも厚労省で回答していただいたほうがいいとは思うのですけれども、厚労省の事業で抗毒素は承認薬として含めている。ボツリヌスですよね。
厚労省、何か補足いただければ。
○小谷室長 改めて確認させていただき、必要に応じて資料を修正させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 全体として見た場合、これは基本的には平時の感染症をベースにしたものだと思うのですが、COVID-19にしても全く想定していなかったものが入ってきたときにどうするか。いわゆるDisease Xという概念をどうするかというのが実は大きな課題として残っているように思うのです。Disease Xが来たら対応しようがないではないかという思いを持ってしまうと思考停止してしまうと思うのですけれども、例えば、わけの分からない感染力の強いものが入ってきたときに診断技術の開発、クラシフィケーションをスピーディーにやって、何かという絞り込みをやっていくとか、例えば、遺伝子のシークエンスだけで治療薬なりワクチンなりへつながる方法論を開発できないのかとか、それから、100日ミッションは今の状況では絶対に無理なのですけれども、完璧なものは期待しなくとも、効果のあるものをスピーディーに開発するような体制は、全く設計が変わってくると思いますので、それも別途議論したほうがいいように思うのです。この枠で考えていくと、とてもではないけれども考えようがない分野になってきますので、それをどうしたらいいのかなとさっきからずっと悩んでいたところです。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
恐らく現在の議論はまずGroup A、B、C、Dなど既存の具体的なターゲットを決めて研究開発をしていく部分でどこを優先していくかという話なので、Disease Xに対応した加速化とか100Days Missionにどう対応するかという部分の議論はないかと思うのですけれども、重点感染症全体としてまさにDisease Xに対処できるように様々なパーツ、様々な推進施策をつくりながら、全体として開発を加速化できるメカニズムをしっかりつくっていこうという考えだと私は認識しております。
この点、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、私たちも基本的にはGroup Xの蓋然性、もしくはDisease Xと表現されるかもしれませんが、パンデミックのパターンであればパンデミックに対してどう対処していくのかという行動計画その他もろもろを含めて対処していくものでありますので、MCMの今回の議論の中では、まずはこのGroup A~Dの蓋然性の中でしっかりと枠組みをつくって、体制もつくって、その中で必要な対象にも可能な限り対応できるようにしていこうというプロセスが重要なのではないかと考えておりますので、貴重な御意見、御指摘ありがとうございました。
○濵口委員 Disease Xに対する戦略を議論するような機会はいずれあると考えてよろしいですか。
○齋藤委員長 事務局、いかがでしょうか。こちらの16ページ等にもまさに書かれておると思うのですが、将来的にこれだけまだまだアジェンダがあるわけで、全体のプロセスを加速化していく必要がございますので、今後こういった形で議論を進めていくものと認識しておりますが、事務局、いかがですか。この16ページに沿って、この小委員会でも今後議論が展開されていくという理解でよろしいですか。
○木庭感染症対策課長 ありがとうございます。事務局でございます。
おっしゃるとおりでございまして、今ここでいただいているような御議論を踏まえながら、研究開発能力を高めることで、結果的にはDisease Xが発生したときにも迅速に対応できるような基礎体力をつけていくということも広い視点で見れば視野に入ってくるということかと理解しております。
DiseaseXについては、別の議論になるかと思いますけれども、内閣府健康・医療戦略推進事務局など、様々な関係省庁がございますので、一緒に検討してまいりたいと思っております。
御意見ありがとうございます。
○齋藤委員長 この点は思いは一緒だと思っております。
それでは、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
本日決定するというか議論をするという8ページ目の右下の四角の部分なのですけれども、ここの総合評価で得られた評価がその次の開発の優先度というところに影響を与えるという理解でまずよろしいでしょうか。
○小谷室長 その認識で我々はおります。
○長谷川委員 その場合、必要性が非常に高いのだけれども、研究開発が困難を伴うものというのは優先度は下げられてしまう結果になると思うのですが、困難でも何とかして開発しようというのは諦めて、実現性に近いものを優先していこうという方針にこのままいくとなると思うのですが、それはそれでよろしいのですか。
○齋藤委員長 事務局、お願いします。
○小谷室長 御意見ありがとうございます。
大変恐縮な言い方ですが、諦めてというものではなく、あくまで優先度の評価だと認識しております。ですので、おっしゃるとおり、MCM利用可能性確保の必要性が高いものであったとしても、もともと研究のシーズが全くないだとかパイプラインがない状況のものというのは、その状況下においては、やはり優先度という意味でいうと、この表でいうと中程度になると思いますので、そこはやらないとかそういうものではないというものではなく、我々としてはやはり研究開発の実現可能性に比較的重点を置きながら、しっかりとした取組を進めていく優先度をつけていくものだと考えております。
○長谷川委員 その際の時間軸ですけれども、実現可能性というのは何年ぐらいを対象として考えていらっしゃいますでしょうか。
○齋藤委員長 事務局、お願いします。
○木庭感染症対策課長 時間という点もありますけれども、先ほどおまとめといいますか、大曲先生などからも御意見をいただきましたように、基本的には今般の研究開発の支援の重点対象は前臨床以降で、限られたリソースを一番効果的に、必要なところに向けられるような配分の在り方について御議論を賜れればと思っているところでございます。もちろん必要な研究を全てできればそれにこしたことはないのですけれども、限られたリソースの中で、制約がある中で、研究開発の優先度について考え方の整理をしていかなければならないということで御意見を賜りたいという趣旨でございます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 よろしいでしょうか。
そのほか、御意見はいかがでしょうか。
では、ここで議題1を終わりにいたしまして、本日報告いただいた方向でまた御意見を取りながら進めていただければと思います。
続いて、資料2につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 続きまして、資料2「重点感染症に係るドラッグ・ロスに関する検討について」というものについて御説明させていただきます。
お手元の資料2を御覧ください。
ドラッグ・ロス解消に向けた取組として、厚生労働科学研究「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」において、欧米では承認されているものの国内では承認されていない医薬品のうち、国内開発未着手の医薬品の情報の整理結果が報告されております。
開発の必要性が特に高い医薬品(グループAの品目)について、令和7年5月9日第63回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高い力と評価された品目については国内企業への開発要請等が行われたところです。
開発の必要性が高い医薬品(グループBの品目)については、未承認薬等迅速解消促進調査事業において、調査に必要な情報の整理を行い、準備ができたものから順次同会議で医療上の必要性を評価することとしてございます。
それを受けまして、対応方針(案)として、ドラッグ・ロスの品目のうち、重点感染症に特異的に作用する医薬品については、薬事承認に向けた検討に当たって、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請の適用等を考慮することとしてはどうか。2つ目として、MCMの利用可能性確保のため、MCMの確保の基本的な考え方に基づき、未承認薬のアクセスの改善・備蓄を検討してはどうかということを挙げさせていただいております。
なお、ドラッグ・ロス品目のうち、重点感染症に係る医薬品は以下のとおりとなっております。詳細な販売名等については割愛させていただきますが、グループA「開発の必要性が特に高い医薬品」からは3品目、グループB「開発の必要性が高い医薬品」としては2品目が挙げられているところでございます。
以上、資料の御説明でありました。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございます。
それでは、今の説明を踏まえて、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。ドラッグ・ロスに関する検討ということで、対応方針(案)というものを示していただいております。この方向性について御意見等をいただければと思います。いかがでしょうか。
では、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
ここに書いてあること自体は特段異論等はなくて、ただ、1点思ったのは、先ほど議題の1で大分議論してみた中でこの2番目を見ると、研究開発の話に見えるのですけれども、これをよく見ていくと、結局、既に海外では承認されているようなお薬のアクセスをどう確保するのかという話なので、そういうことが伝わるようなコミュニケーションというかタイトルが要るのかなと素朴に思いました。
例えばグループAも国内で確保するために、用語の細かいところは申し上げません。要は海外で承認されているので、あとは日本国内でアクセスを確保するために、現実には治験が必要だったりということがあるのだと思うのですけれども、そういうことを行っていく薬剤ということでこれは示されているのだと思うので、アクセスというものの意味合いが伝わるといいかなと思った次第でございます。
以上です。
○齋藤委員長 御意見どうもありがとうございます。
事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
御指摘のとおりだと思いますので、私の説明ももう少し膨らませて御説明すればよかったかなと思うレベルのものでございますので、繰り返しになりますが、この資料を拝見された方が分かりやすいような資料の表記であるとか見せ方などについては事務局のほうでしっかりと検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
特にこのように海外で承認というステージまで進んでいるもの、実際にあるものについては、研究開発の優先性とかは、先ほどの議論というよりは、その後の実際に入手して使用までに至るためのメカニズム、アクセスというものですね。そちらをいかに確保するかという問題になってくるものかと思います。そのためにアクセス改善・備蓄を検討してはどうかということで記載いただいているかと思いますが、その他、これらの対象あるいはこの対応方針について御意見、御質問、コメント等はございますでしょうか。
特に御異論がないようであれば、この御報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題は以上となります。
最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○小谷室長 皆様方、本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。御意見を踏まえて進めさせていただきたいと思います。
また、次回日程及び詳しい内容につきましては、改めて事務局よりお知らせいたします。
本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。
定刻となりましたので、ただいまから厚生科学審議会感染症部会第9回危機対応医薬品等に関する小委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日、議事進行を務めさせていただきます健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願いいたします。
傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
ウェブ会議についてです。本日はウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、委員長の指名の後に御発言ください。
なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じるかと存じますが、御了承いただきたいと思います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の紹介をさせていただきます。
通信の確認も含めて、お名前を申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順で失礼いたします。岩本愛吉委員。
○岩本委員 岩本です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
大曲貴夫委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いします。
○小谷室長 加藤康幸委員。
○加藤委員 加藤です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 齋藤智也委員。
○齋藤委員長 齋藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷室長 鹿野真弓委員。
○鹿野委員 鹿野です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷室長 中野貴司委員。
○中野委員 中野です。よろしくお願いします。
○小谷室長 長谷川秀樹委員。
○長谷川委員 長谷川です。よろしくお願いします。
○小谷室長 早川佳代子委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 福島若葉委員。
○福島委員 福島です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 濵口道成委員。
○濵口委員 濵口です。よろしくお願いします。
○小谷室長 宮川政昭委員。
○宮川委員 宮川です。よろしくお願いします。
○小谷室長 横野恵委員。
○横野委員 横野です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 四柳宏委員。
○四柳委員 四柳です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 宮川政昭委員につきましては、所用により当事務局からの現地参加とさせていただきます。
本日は、委員13名のうち全員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
また、本日は、参考人として三重大学大学院医学系研究科感染制御・感染症危機管理学教授、田辺正樹先生にもお越しいただいております。
○田辺参考人 三重大学の田辺です。よろしくお願いいたします。
○小谷室長 よろしくお願いいたします。
今回、公務の都合で木庭は会議を中座させていただく可能性がございますので、御了承ください。
また、四柳委員より、15時30分以降途中退席される旨、御連絡をいただいております。
カメラ撮りがある場合はこちらまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御了承ください。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
資料は、議事次第、委員名簿、資料1、資料2、参考資料1となります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は齋藤委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 本日もどうぞよろしくお願いいたします。
早速、議事に入りたいと思います。
まず、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 それでは、資料1につきまして事務局より御説明させていただきます。
資料1「危機対応医薬品等(MCM)の利用可能性確保に関する検討」になります。
1ページ目を御覧ください。
こちらは第7回、第8回MCMに関する小委員会の意見の論点を取りまとめたものとなっております。非常にショートなスケジュールの中で皆様方には御議論いただき、誠にありがとうございます。可能な限り事務局のほうで意見の取りまとめをさせていただいたところであり、前回第8回で御意見をいただいたものについて青字で記載させていただいておりますので、御確認ください。
続いて2ページ目、こちらは第7回、第8回を踏まえて議論を再度確認させていただきたいと思っております。資料2ページ目は第7回MCM小委員会で提出させていただいているものになりますが、MCMの利用可能性確保に関する検討の進め方として、まず一つとして公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理を行い、2つ目として戦略的指標から見たMCMの利用可能性確保の必要性を検討し、その上で総合評価を行った後、研究開発の優先度及び確保に関する検討を進めていくということに関して皆様方から御意見をいただいたところでございます。
3ページ目を御覧ください。
こちらに関する検討の総合評価としては、先ほど御説明したとおり、公衆衛生的指標から見たMCMの要件整理、戦略的指標から見たMCMの利用可能性の確保の必要性、総合評価という形になっております。
それぞれの詳細な部分については割愛させていただきますが、今まで議論させていただいていたところだと認識しております。
4ページ目を御覧ください。
その中でも公衆衛生的指標の分析についてといったところです。こちらは前回のMCM小委の中で議論いただいた気候変動による蓋然性という点がございましたので、こちらを3発生頻度・可能性/蓋然性のところの指標の中に追加することとさせていただいております。
その上で5ページ目、こちらは前回第8回のMCM小委の中でも議論になりましたが、MCMの研究開発の案として3つありますが、まず診断技術に関して、診断技術は感染症対策の初動において最も早期に整備・開発されるべき基盤技術であり、迅速かつ的確な感染症対策の実現には不可欠であるという論点から基本的な考え方を提示させていただいております。
診断技術については、以下の3項目を優先的に考えながら研究開発を支援していくのであると。飛沫感染などのヒト-ヒト感染が容易に起こり得る感染経路を有する、または早期の診断によって適切な治療やワクチン等による感染予防策・感染拡大防止策を実現するべき重点感染症であって、簡便・迅速に診断できるものなどの3項目を提示し、第8回MCM小委にて皆様方からおおむね了解をいただいたものと認識しております。
続きまして6ページ目、こちらは治療薬・ワクチンに関してでございます。国内において研究開発のパイプラインが進んでいる重点感染症に対しては、重点的・戦略的な支援を行うことにより、研究開発の成功率の向上を図って実用化につなげる。それによって、国内における平時からの段階的な研究開発体制の底上げに加え、感染症危機時に対する総合的な対応力の強化を図っていくという観点でございました。
こちらについても、基本的な考え方としまして1点追加させていただいているのは、第8回の御意見として、即応可能な研究開発体制の整備を進めるという点を追加した上で、以下の3項目について主な要件として優先的な研究開発支援の対象と考えております。3つの項目としては、国内に臨床試験段階に進められる程度のパイプラインが存在している。新規の医薬品または既存薬と異なるモダリティ/作用機序等である。国内/国際共同治験等が実施可能である。この項目について検討させていただいております。
こういった議論を踏まえまして、研究開発の基本的な考え方に基づく優先度をフローチャート図の形で前回まで提出させていただいておりますが、これが7ページ目になります。
こちら以降、今回の第9回のMCM小委の中での主な検討事項だと認識しております。
8ページ目を御覧ください。
前回までの議論を踏まえ、国内における重点的かつ戦略的な支援を実施するに当たり、過去の委員会での議論を踏まえて、研究開発の実現可能性に関して、総合評価の実施に当たって、公衆衛生的指標と戦略的指標の1既存のMCMの有無等をMCMの利用可能性確保の必要性とし、戦略的支援の2研究開発戦略の一部(国内パイプラインの有無等)を研究開発の実現可能性として評価することとしてはどうかというのを事務局として提示させていただきます。
つまり、総合評価の評価方法としましては、公衆衛生的指標及び戦略的指標の一部をMCMの利用可能性の確保の必要性とし、以下の形で総合点を算出しながら評価しております。
一方で、研究開発の実現可能性という観点に関しては2点ございます。一点は診断技術に関してでございますけれども、感染症に対する診断技術というものは基本的にPCR検査(核酸検出検査)にて対応可能であることや、簡易診断法等は技術転用等が可能であり、以下の要件を踏まえ、ワクチン・治療薬とは整理を別にさせていただいております。一方で、治療薬・ワクチンについては、国内パイプラインの有無・国内臨床試験・国際共同治験等を踏まえて評価する形としております。
これらのMCMの利用可能性確保の必要性と研究開発の実現可能性を用いた総合評価を実施し、それぞれについて高、中、低の評価を行ったと事務局から提示させていただきたいと思っております。
9ページ目以降はそれぞれについての総合評価になります。Group A、Group Bが9ページ目、Group Bが10ページ目、11ページ目がGroup Cになります。12ページ目がGroup Dのそれぞれの感染症における総合評価を提示させていただいたものになっております。
これらをさらに診断技術、治療薬・ワクチンという形で分けたものが13、14、15ページ目になっております。その中で青い列がMCM利用可能性の必要性、緑の列が研究開発の実現性、それを踏まえた総合評価として研究開発の優先度の中で高、中、低を診断技術、治療薬、ワクチンでそれぞれ提示させていただいたものを本日議論の場に提示させていただきたいと思っております。
16ページ目は今後の大きな視点になりますが、MCM研究開発環境等の整備・検討(案)という形でこちらも提示させていただきます。MCM利用可能性を高めるためには、平時から迅速に研究開発・確保ができる体制を整備するとともに、感染症危機発生時にMCMエコシステムの一貫した取組・支援を行うための事前準備が必要であるという観点を改めて提示させていただいております。
研究開発の方向性を決め、基礎研究、応用研究を実施し、その中から開発研究、その後の承認申請を行い、上市を行っていく。それぞれに応じてプッシュ型の支援、プル型の支援、どういった研究開発の支援の例があるのかということもこちらで提示させていただいております。
17ページ目ですが、MCMのプッシュ型・プル型研究開発支援の検討についてというところにつきましては、今後、我々としましてプッシュ型支援の研究開発支援として、AMEDを通じた研究開発支援、MCM開発支援事業、データ等提供支援としてiCROWN事業等を実施しながら、一方で、プル型インセンティブについてはAMRに対する抗菌薬確保支援事業を実施しているところでございます。
平時においては患者の発生の予測ができず、需要の見込みが極めて困難であるMCMに対して、企業等がMCM開発に取り込める環境を整えることが感染症危機への備えとして極めて重要であるということを第8回MCM小委においてもいただいておりますので、そういったところについてどういったことができるのかということについては引き続き検討する必要があるということを一旦このMCM小委の場でも俎上という形で御説明させていただきたいと思っております。
長くなりましたが、資料1「MCMの利用可能性確保に関する検討」について御説明させていただきました。御議論のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございました。
事務局からの説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見を伺っていこうかと思いますけれども、今回、MCMの利用可能性確保に関する検討というのを進めていく中で、これまでまず総合評価というのをつくってきた。それには公衆衛生的指標と戦略的指標というのから見て総合評価をつくってきて、そこから今、研究開発の優先度というところをどのように決めていくかという議論をしているところかと思います。
前回までに診断技術とか治療薬、ワクチンそれぞれについて基本的な考え方というのを御議論いただいて、これから研究開発の優先度というのを具体的に議論するところにあるわけですが、その際の評価軸をMCMの利用可能性確保の必要性と研究開発の実現可能性というので考えてはどうかというような形で進んでいるところです。
さらに、総合評価のところには、総合評価の具体の高、中、低といった分類であったり、それに基づく総合評価であったり、それに基づく研究開発の優先度というところの案を記載していただいております。
いろいろ、確認すべきことであるとか御指摘いただくべきところがあるのではないかと思いますけれども、皆様、いかがでしょうか。
それでは、濵口委員からお願いいたします。
○濵口委員 ありがとうございます。
「MCMの研究開発の基本的な考え方」に異論はございません。
ただ、今回の評価結果において、開発優先度が高いとはされなかった感染症も、場合によっては流行状況等に応じて幅広く対応できる柔軟な運用をお願いしたいなと思っております。予測を超えるようなことが起こり得ることも視野に入れてリスク管理をしていきたいというのがSCARDA側の考えですので、どうぞ御理解いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。今後の流行状況に向けて、新興感染症、再興感染症は当然ございますので、その部分を取り込めるようにということで御指摘をいただきました。
そのほかの先生方、いかがでしょうか。
鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 ありがとうございます。
16ページの図なのですけれども、この後またお話があるかもしれませんが、承認申請で薬事規制の合理化・審査の迅速化ということが挙げられていて、そうすると、通常の医薬品の承認申請のデータが全部出そろわないうちに市場に供給されるということになる場合があると理解しています。その場合、市販後の安全性情報の取りまとめとフィードバックが非常に重要になります。実際にワクチンの副反応などについても誤った情報を含めていろいろな情報が流れて、混乱を招く可能性もありますので、市販後の安全性情報あるいは効果、有効性の情報を含めて、できれば厚労省側で一括管理をして情報発信をしていくような体制があるといいのかなと思いました。
今の図だと上市後は流通・調達・備蓄というところしか書いていないのですが、もしかするとこの委員会のスコープ外の話になるのかもしれませんけれども、あと、市販をする企業にとっても製販後の情報収集と対応は物すごく負荷がかかるので、そこも下のプル型インセンティブの中に含まれるような形ですね。金銭的報酬とかがあるので、そこにもしかすると費用も含まれるかもしれないのですけれども、そういうことが分かるように書いていただくといいのかなと思いました。もしこの委員会のスコープ外ということであればすみません。
以上です。
○齋藤委員長 重要な御指摘をありがとうございました。承認申請を迅速化・効率化するところにセットで市販後の仕組みについての検討というところで御指摘をいただきました。
この点、事務局から何かございますか。
○小谷室長 重要な御指摘をありがとうございます。事務局でございます。
市販後の安全性評価とか、もしくは効果の評価について迅速にということだと思いますので、若干医薬に関わる部分になっておりますので、この場でお答えすることは難しいのですが、重要な御指摘という形で事務局で受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○齋藤委員長 そのほかいかがでしょうか。
早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
14ページのところです。私がよくスコアリングを分かっていないところもあるのですけれども、例えばBのカテゴリーにあるSFTSはMCM確保の必要性が中、研究開発の実現性が低、優先度が低になっているのですけれども、これは例えばMERSよりも低い優先度になっています。実際に本邦で見る可能性等も鑑みると、臨床サイドからだとずれてしまう印象です。中以上になるのかなと思っていたのですけれども、スコアリングでそれぞれ点数を出していって、こういうカテゴリーに落ちるというのはある程度自動的に決まっていくものだったでしょうか。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
この点、細かい指標を記載した部分が9、10ページにバックグラウンドデータとしてあるかと思いますので、こちらはどうでしょう。事務局から説明されますか。それとも田辺先生から説明されますか。
○田辺参考人 田辺ですけれども、多分8ページの下のお話かなと思います。そこの対戦表で、行が中で列のほうが低になっているということなので、このお話が機械的にはまったのかなという気がするので、ここの議論はこれでいいのかという話なのかなと思いました。
以上です。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
こちらで今主に御指摘いただいたのがBの治療薬の件でよろしかったですかね。
○早川委員 今回はSFTSを例に挙げたのですけれども、SFTSは低いのだというところで少し驚いたところもあるのですが、これは一度このように決めて設定していくということで、総合評価に関してはあまりナラティブな要素は入れずに評価するという理解でよろしいかったでしょうか。実現性のところが結構効いてしまうのかなという印象ではあります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
事務局、こちらの点はいかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
今回、我々としては研究開発の実現可能性に少し重きを置きつつ、やはり我々として確保できるものに重点を置いていくものだと思っております。いずれにせよ、こちらについてはこれが決まったからもうやりませんということではなくて、あくまで優先度という概念で考えていくものだと思っております。
○早川委員 分かりました。ありがとうございます。
○齋藤委員長 確認なのですけれども、この総合評価、Group BのテーブルでSFTSの治療薬の研究開発の優先度は高になっているようなのですが、ここの研究開発の優先度は14ページのものと同じでしょうか。
○木庭感染症対策課長 事務局です。
申し訳ございません。誤りがございまして、今の座長の御指摘のとおりでして、SFTSの治療薬の部分、先ほど御指摘いただいた14ページのSFTSのところ、中、低、低とあるのですけれども、その前の10ページの一番上のところで、治療薬のほうは、それぞれ公衆衛生的指標、戦略的指標の一部を掛け合わせた評価が研究開発の優先度として評価高となっておりまして、14ページのほうが誤りでございました。大変申し訳ございません。SFTSの14ページのところ、正しくはそれぞれ左から中、中、高となります。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
この点、皆様、指標の修正をお願いいたします。
それでは、福島委員、お願いいたします。
○福島委員 御説明ありがとうございました。
私、前回は欠席してしまったので、内容をフォローできていなかったらと思って少し発言を躊躇していたのですけれども、今、早川委員が御指摘されましたことについて、改めて8ページの右下のヒートマップといいますか、総合評価の高、中、低を見ますと、先ほど早川委員もおっしゃられましたけれども、研究開発の実現可能性が中以上というところに重きを置かれているなというのが見てとれるかと思います。大体ヒートマップは中心から同心円状に色が濃いところから薄いところへと広がっていくのですけれども、MCMの利用可能性確保の必要性が低くても、研究開発の実現可能性が一定程度あると総合評価としての優先度は中になってしまうということなのです。
この左の図を見ますと、MCMの利用可能性確保の必要性というのがかなり幅広い項目をカバーしているにもかかわらず、研究開発の実現可能性というところの点数のウエイトが高くなってしまうというのは、そういう点数づけで評価されることとなったと思うのですけれども、これに関してはよろしいのでしょうか。前回までの議論をひっくり返すようであれば大変申し訳ないなと思ったのですけれども、一般の方が見られたときに、そもそもの必要性は低いけれども、研究開発の実現可能性が一定程度あるという理由で総合評価を上げてもいいのかという感想が寄せられるのではないかということなのですけれども、いかがでしょうか。
○齋藤委員長 御指摘どうもありがとうございます。
この点、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 福島委員、ありがとうございます。
今回、前回の議論の中で1つありました即応可能な研究開発体制の整備をまずは進めていくという点に少し重点を置かせていただいております。そちらについては、資料上6ページ目にも赤文字で明記させていただいている部分ではございます。
御指摘のとおり、当然のことながらほかの要素もちゃんと見ながらやるべきではないか、平均的にやるべきではないかというところもございますが、我々としましては、重点的に戦略的に後期研究開発みたいな要素を重要視しながら進めていって、確保できるものからまず確保していく。その重要性もその中で評価していくというプロセスが重要ではないかという御指摘、御意見も踏まえながらこういった指標にさせていただいたところでございますので、確かにこうやって見ると研究開発の実現可能性にかなり重きを置いているなといったところは委員のおっしゃるとおりですので、こういったものも示していけたらなと思っております。
○福島委員 御説明ありがとうございました。
当初、この小委員会で、一般の方から見ても分かりやすいようにというような要望が私を含めてあったと記憶しておりますので、そのような説明が自明でなされるような資料であればよいかと思います。ありがとうございました。
○齋藤委員長 この点は説明をよろしくお願いいたします。
ほかにこの点あるいはそのほかの点について御意見等はいかがでしょうか。
横野委員、お願いいたします。
○横野委員 この会議での手続といいますか、決定の対象に関して確認なのですけれども、今回に関しては、今映っている8枚目の資料の右下にある枠組みで評価をするという評価の枠組みのところについてこの委員会で認めるかどうかということと、この枠組みをそれぞれの疾患に対して当てはめた場合にどういう評価になるかという個々の部分についても今回の判断の対象ということになるのでしょうか。
あともう一つは、先ほど早川先生のほうから関連する御質問があったかと思いますけれども、8ページ目の表に従って当てはめた結果というのが自動的に評価に反映されるのか、一旦これを当てはめた後で、その上で何らかのさらに総合的な判断というもので変更する余地があるものかどうかというところに関して確認をさせていただければと思います。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
では、事務局から御回答いただけますでしょうか。
○小谷室長 事務局でございます。
基本的に本日こういった場で御議論いただきたいと思っておりますが、こういった形で進めるということ、特に8ページ目のこの考え方を軸に進めていくことについて、皆様方からの評価を受けながら、いただけるのであれば了承をいただきつつと考えております。
以降のページについては、基本的には機械的に当てはめている要素も多々ございますので、そこについては個々の議論、この疾患はこうではないかというところに関して、例えば公衆衛生学的な観点からではこうではないかとかという要素も多少出るかもしれませんが、基本的にはこの大枠の考え方については、今日の場で主な論点という形で皆様の御意見をいただきたいなと思っているところでございます。よろしいでしょうか。
○横野委員 ありがとうございます。
そうすると、基本的な枠組みがこの表の考え方で、必ずしもこれが機械的に当てはめられて直ちに最終的な各疾患についての評価になるわけではないと。そこまでを含んだ枠組みということで考えてよいのでしょうか。
○齋藤委員長 事務局からお願いいたします。
○木庭感染症対策課長 事務局でございます。
田辺先生の研究班のほうで、それぞれMCMの利用可能性確保の必要性、研究開発の実現可能性の評価について、前回までで大方御了承いただいたものと認識しております。
今回は、それぞれ研究開発の実現可能性、また、MCMの利用可能性確保の必要性をどのように組み合わせて総合評価とするか、が検討対象ですので、基本的には8ページの下の表の考え方について御意見をいただく趣旨です。もちろん御意見はいただきたいと思うのですけれども、この表が御了承いただけるということであれば、その後の部分については機械的に決まっていくものとなります。
○横野委員 承知いたしました。その部分について認識の相違があるような感じもいたしますので、その点、少し御留意いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
まず、8ページの大枠の決め方は御留意いただいた上で、ただ、総合評価のほうにある、その後に続く細かい評価にある公衆衛生的指標の高、中、低であるとかという部分は、そこはそこでまた御意見をいただければ、修正した指標の評価に従って今お示しいただいている総合評価の点数は機械的に決まるということになります。なので、この最終評価を変えるには、そのもとの評価のところをきっちりと議論する必要があるかと思います。
それでは、早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。
確認になるのですけれども、公衆衛生的指標の分析について、いただいた表は基本的に国内の発生頻度、国内での感染伝播性と考えてよろしかったと思います。そうすると、いただいているものの中で、例えばマラリアなど日本での発生頻度がかなり低いものは、その辺りを加味して公衆衛生的指標の判断に至っているのか。また、戦略的指標に関して、海外での開発動向、国内での開発動向の違いまで加味して、本邦における研究開発のプライオリティーを決めるといった認識でよかったかという点について、お話があったところかと思うのですけれども、再度御教示いただければと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
事務局から御回答いただこうと思いますが、まず1つ目の発生頻度・可能性/蓋然性といったところは前の4ページの表を御覧いただく必要があるかなと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
基本的には国内の大流行の事例がありというところについては公衆衛生学的に高いもの、中として過去に国外の大流行事例があり、国内であっても散発的であるもののような形で評価させていただいているものと認識しております。
田辺先生、こちらについてもし補足等があれば、後ほどでも結構ですのでいただけますと幸います。
一方で、研究開発、パイプラインの有無の部分については、国内でパイプラインがあるものは「○」、国内でパイプラインのないものは「-」という形で評価しておりますので、国内におけるパイプラインの有無という点について評価させていただいているものになります。
田辺先生、もし公衆衛生学的使用の点で何か追加事項等がありましたら、コメントをいただけますと幸いです。
○田辺参考人 4ページ、今出していただいているものなのですけれども、例えば健康への影響というのは高、中、低、致命率で主に上の指標、主指標のところで見ることになるので、これに対しては、要は微生物学的な特徴なので、あまり国内外というのはないのかなと思います。
感染性・伝播性も基本的にはウイルス学とか細菌学の特徴がベースではあるのですけれども、(参考)というところに特定の地域での流行だとか国内環境下での広がりというのがありますので、そういったところは少し国内での要素があると高めに配点があるのかなと思います。
次のベクターの辺りも一緒で、例えばベクターが国内にあるかないかというところがあるのですけれども、そこでもう少し変わってくる。
3のところは明らかに国内流行の蓋然性ということなので、過去に国内で大流行があれば高をつけていますし、中は例えば海外で大流行があったとして、それが気候変動とかで日本に来る可能性もあるということだと少し予見性も含めて、海外でしかないけれどもある程度スコアリングされているものもあるということなので、全てが日本だけではなくて海外のものも含めた指標である中に、国内であれば若干ポイントが高くなるようなつくりになっているというところになります。
以上です。
○早川委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
そうすると、今の点で10ページですかね。Group Bの評価でいくと、ここで幾つか蚊媒介性のものが3の発生頻度・可能性/蓋然性が中になっているところ、デングとかジカとか、これは国内では散発的といいますか、持ち込みがほとんどなわけですけれども、これを注としているのは国外で大流行している事例が。
○田辺参考人 これは前回の御指摘で気候変動でちょっと未来予測というところで、蚊媒介性のも1ランク上げて、もともと低であったものもあったのですけれども、一律で蚊のものは中にした。そういった指標を見ながら、主観ができるだけ入らないように、一旦指標を決めたらできるだけその指標で切るような形にさせていただきました。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 ありがとうございます。
今の議論とも重なるのですけれども、9ページ以降、9、10でしょうか。これには(案)というのがついていなくて、決定事項のような気がしてどうなのかなと思って伺っていたのですけれども、今回は総合的な評価の方針を決めて、個々の疾患についてはまた改めて確認する作業があるということでよろしいのでしょうか。
公衆衛生の指標で私から見て少し私の感じと違うなというところは、例えば天然痘の蓋然性のところが中になっているかと思います。公衆衛生の指標です。根絶した病気がまた現れるということを中とする根拠が何なのか、インパクトが大きいテロで発生する可能性が高い疾患とは理解しますが、蓋然性としては低いにしておくべきなのかなというのが一点です。
ただ、前回議論した社会経済活動への影響の内容には当てはまりませんけれども、生物兵器として使われるとなると、これは社会的な影響というのは甚大なものと予測されますので、ここは高くするような判断もあり得るのかなと思います。
あと、細かいところですが、ウイルス性出血熱で、ラッサ熱はエボラなどに比べると圧倒的に輸入例というのが先進国では多くて、日本でも40年ほど前に東京で患者の発生があります。エボラよりは日本国内で発生するリスクが高いと思うので、個別の疾患について改めてまた時間を設けて議論したほうがいいのかなというのが私からの意見です。
以上になります。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
では、まず田辺先生からコメントをいただけますでしょうか。
○田辺参考人 4ページを見ていただきまして、まず1つ目のテロのお話で、先生がおっしゃられたとおり、テロのものは蓋然性は普通に考えて低いというわけなのですけれども、そうなると全然MCM開発につながらないというところになるのですが、真ん中の3の列としては過去のテロの事例の有無という項目が考慮すべき事項として入っていて、これを主指標に置くわけにはいかないので、恐らく先ほどあったような天然痘とかは国内流行の蓋然性からいくと低でスタートするのですけれども、青いところで書いてある過去のテロ事例とかCDC等のテロ警戒リストというのをチェックしていて、それがあったので1ランク上げているというところになるので、テロは例えばここには入れずに、先生がおっしゃられたように5のところ、多分5でもテロのものは若干挙げていたような気がするので、二重カウントのようなところにはなっているかと思うのですけれども、そこはそういったところなのかなと思います。
先ほどのラッサとエボラのところにつきましては、3の蓋然性のところで海外の大流行というところでエボラはPHEIC宣言されているとか、そういったところでランクが上がっていて、ここは国内ではカウントされていないというところかなと思います。
ですので、またいろいろ御意見をいただければ、このスコアリングの考え方も少し直して、基本的に機械的にやりたいなというところもありますが、個々に微修正も必要であればさせていただきたいなと思っていますし、もう一つは、個々の点数もそうなのですけれども、さっきの点数を最後に引き算しているところもありますので、8ページか。我々はスコアリングをさせていただいておりますので、スコアリングについてまた御意見をいただければ、対応可能なものは対応させていただきたいと思いますが、その辺り、それをまた掛け算しているとかもありますので、こういった要素も最終的な判定のところで大きいので、1から3のほうは少し配点が高くなっていたり、承認薬のところもここで結構点数が動くので、それがさらに混じった形でのMCMの利用可能性確保の必要性という2つの公衆衛生指標と戦略的指標もさらに混じっているというところもブルーのところにあるかなと思いますので、その辺も含めて御意見をいただければありがたいなと思います。
以上です。
○齋藤委員長 どうもありがとうございます。
細かい評価のそれぞれの項目についての御意見は引き続きお伺いしたいと思います。
それでは、岩本委員、お願いいたします。
○岩本委員 インフルエンザですけれども、季節性インフルエンザと動物由来インフルエンザが分けてあって、特に今気になるのは、アメリカで乳牛がH5N1に感染しているという話はかなり深刻だと思うのですけれども、全くここに書かれていない気がして、その辺りについて伺いたいです。
○齋藤委員長 御指摘ありがとうございます。
この点も含めて、動物由来インフルエンザというカテゴリーに入っているのではないかと思いますが、事務局、この点はいかがでしょうか。
○小谷室長 御指摘ありがとうございます。
動物由来インフルエンザのページは9ページにございます。この中で健康への影響が高という形で、先ほど田辺先生からも御指摘がありましたとおり、致命率等の点が言えるのかなと思っております。その中でもH5N1については重症度が高くという観点でございますので、MCMの利用可能性の確保が高いという評価の中で、確保が必要であろうという観点に基づいて評価させていただいていると認識しております。ですので、そこのリスクについては十分認識した上での評価をさせていただいているものと考えておりますということをまず御報告させていただきたいと思います。
加えて、先ほど加藤委員からもいただいたところで、大変申し訳ございません。ここは私たちの落丁になるのですけれども、13ページ以降のものについてはいずれもその前の12ページまでのものを抽出してきたものになっており、実は13ページからのものには(案)とつけているのですけれども、その前のものがついていなかったというところですので、こちらも併せてトータルで案であるということで、落丁で失礼いたしましたということをまず御報告させていただきます。
○齋藤委員長 ありがとうございました。
続いて大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
また流れを変えてしまうかもしれませんが、1点申し上げておきたかったので申し上げたいのが、スライドの8ページ目の今日の議論の軸になるところの話なのですけれども、これ自体は賛成なのです。一番最後のポツのところに、要は利用可能性の確保の必要性と研究開発の実現可能性を用いて総合評価をすると書いてあります。そうすると、研究開発のリソースは限られていますから、それを重点的にやることによって、可能な限り確率を高めてMCMを確保していくということが目的なのだと思うのです。そのための評価がこれなのだと思うのですけれども、先ほど福島先生もおっしゃっていましたけれども、そういう目的であるということを明確に書いていただいたほうがいいのではないかなと思いました。コミュニケーションもしやすくなると私も思います。
一方で、一研究者として見ると気になったのは、例えば今回の評価では利用可能性の確保の必要性がそれほど高くないと。あとは、研究開発の段階にもよりますけれども、実現性が低いというものは当然低いから、今回の政策におけるMCMの確保の優先順位は低めになりますけれども、それは国全体の研究開発の点から考えれば、こぼれ落ちた病気でもちゃんと研究対象にはなるのだと。そこに対してはほかの省、例えば文科省とかで対応がされるのかもしれませんけれどもでも、それらに関してもちゃんと研究開発は進んでいくのだというメッセージも要るのだろうと思いました。ここだけ見ていると思われると、あまり生産的でない変な議論も始まってしまうのかなと思いましたので、明確にコミュニケーションすることは私も重要だと思いましたので、申し上げました。
以上でございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
今の点、事務局からコメント等はございますでしょうか。
○小谷室長 事務局でございます。
大曲委員、ありがとうございます。御指摘いただいておりますとおり、分かりやすくというところ、資料を御覧なられた方がそういうことなのだなということがしっかりと分かるようなメッセージをちゃんと伝えていくことの重要性を御指摘いただいたと思っておりますので、我々としても次回のときにしっかりと反映するような形にさせていただきたいと思います。どう書くかまでは決めておりませんが、今後しっかり検討させていただきたいと思いますので、ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
あと、この件で追加でなのですが、今ここで言っている研究開発の優先というのか、研究開発というのがどのフェーズのことを言っているのか、基礎研究の段階から研究開発でここで優先度を上げるという話をしているのか、それとももう少しステージが進んだ段階について優先すべきものということを言っているのか、この点は事務局としてどのようにお考えでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
今回はそこまで明記させていただいておりませんでしたが、今回の御指摘の中で、我々としてはやはり重点的及び戦略的に前臨床以降の部分を支援していくみたいな形の書きぶりを次回等の場では御説明できるような形にしていきたいなと思っておりますので、そちらのほうも、引き続きになりますが、分かりやすいメッセージ、検討が行われていることを提示できるような資料にしていきたいと思っております。
○齋藤委員長 ありがとうございます。前臨床以降を支援するという考え方に立てば、こういう形でプライオリティーをつけていくというのだとかなり納得がいく表現になるのかなと思いました。
そのほかいかがでしょうか。
私のほうから細かい点で、12ページのGroup Dのところでお伺いしたいのですが、炭疽の治療薬が△になっているのですが、抗菌薬という点では国内にありとしてもよいのかと思うのですが、こちらを△にされた理由はありますでしょうか。これは田辺先生にお伺いしたほうがよいでしょうか。
○田辺参考人 先生がおっしゃられるとおり、抗菌薬だと○なのですよね。この辺りはまた厚生労働省とも確認させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 あと、次のボツリヌスなのですが、これは○なのですが、血清型を全部カバーするものという観点でいうと△になるのかなと思うのですが、この点はいかがでしょうか。ここは細かい話になりますが、多分平時の国内で発生するものについてはカバーできているが、まれなもの等はカバーしていない。
○田辺参考人 これも厚労省で回答していただいたほうがいいとは思うのですけれども、厚労省の事業で抗毒素は承認薬として含めている。ボツリヌスですよね。
厚労省、何か補足いただければ。
○小谷室長 改めて確認させていただき、必要に応じて資料を修正させていただきたいと思います。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
濵口委員、お願いいたします。
○濵口委員 全体として見た場合、これは基本的には平時の感染症をベースにしたものだと思うのですが、COVID-19にしても全く想定していなかったものが入ってきたときにどうするか。いわゆるDisease Xという概念をどうするかというのが実は大きな課題として残っているように思うのです。Disease Xが来たら対応しようがないではないかという思いを持ってしまうと思考停止してしまうと思うのですけれども、例えば、わけの分からない感染力の強いものが入ってきたときに診断技術の開発、クラシフィケーションをスピーディーにやって、何かという絞り込みをやっていくとか、例えば、遺伝子のシークエンスだけで治療薬なりワクチンなりへつながる方法論を開発できないのかとか、それから、100日ミッションは今の状況では絶対に無理なのですけれども、完璧なものは期待しなくとも、効果のあるものをスピーディーに開発するような体制は、全く設計が変わってくると思いますので、それも別途議論したほうがいいように思うのです。この枠で考えていくと、とてもではないけれども考えようがない分野になってきますので、それをどうしたらいいのかなとさっきからずっと悩んでいたところです。
○齋藤委員長 御質問ありがとうございます。
恐らく現在の議論はまずGroup A、B、C、Dなど既存の具体的なターゲットを決めて研究開発をしていく部分でどこを優先していくかという話なので、Disease Xに対応した加速化とか100Days Missionにどう対応するかという部分の議論はないかと思うのですけれども、重点感染症全体としてまさにDisease Xに対処できるように様々なパーツ、様々な推進施策をつくりながら、全体として開発を加速化できるメカニズムをしっかりつくっていこうという考えだと私は認識しております。
この点、事務局、いかがでしょうか。
○小谷室長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、私たちも基本的にはGroup Xの蓋然性、もしくはDisease Xと表現されるかもしれませんが、パンデミックのパターンであればパンデミックに対してどう対処していくのかという行動計画その他もろもろを含めて対処していくものでありますので、MCMの今回の議論の中では、まずはこのGroup A~Dの蓋然性の中でしっかりと枠組みをつくって、体制もつくって、その中で必要な対象にも可能な限り対応できるようにしていこうというプロセスが重要なのではないかと考えておりますので、貴重な御意見、御指摘ありがとうございました。
○濵口委員 Disease Xに対する戦略を議論するような機会はいずれあると考えてよろしいですか。
○齋藤委員長 事務局、いかがでしょうか。こちらの16ページ等にもまさに書かれておると思うのですが、将来的にこれだけまだまだアジェンダがあるわけで、全体のプロセスを加速化していく必要がございますので、今後こういった形で議論を進めていくものと認識しておりますが、事務局、いかがですか。この16ページに沿って、この小委員会でも今後議論が展開されていくという理解でよろしいですか。
○木庭感染症対策課長 ありがとうございます。事務局でございます。
おっしゃるとおりでございまして、今ここでいただいているような御議論を踏まえながら、研究開発能力を高めることで、結果的にはDisease Xが発生したときにも迅速に対応できるような基礎体力をつけていくということも広い視点で見れば視野に入ってくるということかと理解しております。
DiseaseXについては、別の議論になるかと思いますけれども、内閣府健康・医療戦略推進事務局など、様々な関係省庁がございますので、一緒に検討してまいりたいと思っております。
御意見ありがとうございます。
○齋藤委員長 この点は思いは一緒だと思っております。
それでは、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
本日決定するというか議論をするという8ページ目の右下の四角の部分なのですけれども、ここの総合評価で得られた評価がその次の開発の優先度というところに影響を与えるという理解でまずよろしいでしょうか。
○小谷室長 その認識で我々はおります。
○長谷川委員 その場合、必要性が非常に高いのだけれども、研究開発が困難を伴うものというのは優先度は下げられてしまう結果になると思うのですが、困難でも何とかして開発しようというのは諦めて、実現性に近いものを優先していこうという方針にこのままいくとなると思うのですが、それはそれでよろしいのですか。
○齋藤委員長 事務局、お願いします。
○小谷室長 御意見ありがとうございます。
大変恐縮な言い方ですが、諦めてというものではなく、あくまで優先度の評価だと認識しております。ですので、おっしゃるとおり、MCM利用可能性確保の必要性が高いものであったとしても、もともと研究のシーズが全くないだとかパイプラインがない状況のものというのは、その状況下においては、やはり優先度という意味でいうと、この表でいうと中程度になると思いますので、そこはやらないとかそういうものではないというものではなく、我々としてはやはり研究開発の実現可能性に比較的重点を置きながら、しっかりとした取組を進めていく優先度をつけていくものだと考えております。
○長谷川委員 その際の時間軸ですけれども、実現可能性というのは何年ぐらいを対象として考えていらっしゃいますでしょうか。
○齋藤委員長 事務局、お願いします。
○木庭感染症対策課長 時間という点もありますけれども、先ほどおまとめといいますか、大曲先生などからも御意見をいただきましたように、基本的には今般の研究開発の支援の重点対象は前臨床以降で、限られたリソースを一番効果的に、必要なところに向けられるような配分の在り方について御議論を賜れればと思っているところでございます。もちろん必要な研究を全てできればそれにこしたことはないのですけれども、限られたリソースの中で、制約がある中で、研究開発の優先度について考え方の整理をしていかなければならないということで御意見を賜りたいという趣旨でございます。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○齋藤委員長 よろしいでしょうか。
そのほか、御意見はいかがでしょうか。
では、ここで議題1を終わりにいたしまして、本日報告いただいた方向でまた御意見を取りながら進めていただければと思います。
続いて、資料2につきまして事務局から説明をお願いいたします。
○小谷室長 続きまして、資料2「重点感染症に係るドラッグ・ロスに関する検討について」というものについて御説明させていただきます。
お手元の資料2を御覧ください。
ドラッグ・ロス解消に向けた取組として、厚生労働科学研究「ドラッグ・ロスの実態調査と解決手段の構築」において、欧米では承認されているものの国内では承認されていない医薬品のうち、国内開発未着手の医薬品の情報の整理結果が報告されております。
開発の必要性が特に高い医薬品(グループAの品目)について、令和7年5月9日第63回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性が高い力と評価された品目については国内企業への開発要請等が行われたところです。
開発の必要性が高い医薬品(グループBの品目)については、未承認薬等迅速解消促進調査事業において、調査に必要な情報の整理を行い、準備ができたものから順次同会議で医療上の必要性を評価することとしてございます。
それを受けまして、対応方針(案)として、ドラッグ・ロスの品目のうち、重点感染症に特異的に作用する医薬品については、薬事承認に向けた検討に当たって、感染症対策上の必要性の高い医薬品の承認申請の適用等を考慮することとしてはどうか。2つ目として、MCMの利用可能性確保のため、MCMの確保の基本的な考え方に基づき、未承認薬のアクセスの改善・備蓄を検討してはどうかということを挙げさせていただいております。
なお、ドラッグ・ロス品目のうち、重点感染症に係る医薬品は以下のとおりとなっております。詳細な販売名等については割愛させていただきますが、グループA「開発の必要性が特に高い医薬品」からは3品目、グループB「開発の必要性が高い医薬品」としては2品目が挙げられているところでございます。
以上、資料の御説明でありました。
○齋藤委員長 御説明どうもありがとうございます。
それでは、今の説明を踏まえて、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。ドラッグ・ロスに関する検討ということで、対応方針(案)というものを示していただいております。この方向性について御意見等をいただければと思います。いかがでしょうか。
では、大曲委員、お願いいたします。
○大曲委員 ありがとうございます。
ここに書いてあること自体は特段異論等はなくて、ただ、1点思ったのは、先ほど議題の1で大分議論してみた中でこの2番目を見ると、研究開発の話に見えるのですけれども、これをよく見ていくと、結局、既に海外では承認されているようなお薬のアクセスをどう確保するのかという話なので、そういうことが伝わるようなコミュニケーションというかタイトルが要るのかなと素朴に思いました。
例えばグループAも国内で確保するために、用語の細かいところは申し上げません。要は海外で承認されているので、あとは日本国内でアクセスを確保するために、現実には治験が必要だったりということがあるのだと思うのですけれども、そういうことを行っていく薬剤ということでこれは示されているのだと思うので、アクセスというものの意味合いが伝わるといいかなと思った次第でございます。
以上です。
○齋藤委員長 御意見どうもありがとうございます。
事務局から何かコメントはございますか。
○小谷室長 ありがとうございます。
御指摘のとおりだと思いますので、私の説明ももう少し膨らませて御説明すればよかったかなと思うレベルのものでございますので、繰り返しになりますが、この資料を拝見された方が分かりやすいような資料の表記であるとか見せ方などについては事務局のほうでしっかりと検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○齋藤委員長 ありがとうございます。
特にこのように海外で承認というステージまで進んでいるもの、実際にあるものについては、研究開発の優先性とかは、先ほどの議論というよりは、その後の実際に入手して使用までに至るためのメカニズム、アクセスというものですね。そちらをいかに確保するかという問題になってくるものかと思います。そのためにアクセス改善・備蓄を検討してはどうかということで記載いただいているかと思いますが、その他、これらの対象あるいはこの対応方針について御意見、御質問、コメント等はございますでしょうか。
特に御異論がないようであれば、この御報告いただいた方向で対応を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題は以上となります。
最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○小谷室長 皆様方、本日は活発な御議論をいただき、大変ありがとうございました。御意見を踏まえて進めさせていただきたいと思います。
また、次回日程及び詳しい内容につきましては、改めて事務局よりお知らせいたします。
本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。