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2022年8月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第5回議事録
日時
令和4年8月26日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、菊地 俊暁専門委員、山野 嘉久専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
議題
○ ジスバルカプセルに係る分析枠組みについて
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、次の品目に入らせていただきます。次はジスバルカプセルに係る分析枠組みについて御議論いただきたいと思います。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ジスバルカプセルに関わる分析枠組み(案)についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いいたします。
2ページを御覧ください。こちらが今日説明する内容でございます。
疾患概要、品目概要、主な臨床試験成績概要と、公的分析班と合意した分析の枠組みでございます。
4ページ目をお開きください。最初に、遅発性ジスキネジアの疾患の概要を御説明いたします。疾患の概要といたしましては、ジスバルの効能・効果でございます遅発性ジスキネジアの病態について御説明いたします。
遅発性ジスキネジアは、神経遮断薬(ドパミン受容体拮抗作用を有する薬剤等)の長期投与によって発生し、口腔顔面領域、四肢及び体幹における不随意運動を特徴とする神経障害でございます。
一般的な初発症状は軽度の不随意運動で、多くの患者様で身体障害の重症度が進行し、中等度や高度の患者では、発語障害、関節の炎症、歩行障害や転倒などの原因となり、身体に多大な危害を及ぼすおそれもございます。また、嚥下障害や呼吸困難を引き起こし、死亡に至らしめるおそれもある疾患となっております。
遅発性ジスキネジアは、重篤な転帰に至る疾患である一方、患者さんが遅発性ジスキネジアの存在に無頓着であったり、その存在に気づいていない場合も多いことが知られております。また、遅発性ジスキネジアの症状の評価にはAIMSが使われております。部位別の異常不随意運動の重症度を、無しの0から高度の4、この5段階で、各7か所で、最大28点で評価いたしております。
次に、品目概要に移らせていただきます。6ページ目をお開きください。ジスバルカプセルの概要について御説明いたします。
本剤は、2022年5月18日の中医協におきまして市場規模予測販売金額62億円、補正加算5%を認めていただきまして、費用対効果評価該当の「H2」にて収載が了承された新医薬品でございます。本邦初の遅発性ジスキネジアに対する治療薬で、原因薬剤の中止や減量によるジスキネジア症状の改善が困難である患者様が投与の対象となっております。
効能・効果は、遅発性ジスキネジアでございます。
用法・用量は、通常、成人にはバルベナジンとして1日1回40mgを経口投与いたします。なお、症状により適宜増減するが、1日1回80mgを超えないこととするとなってございます。
用法及び用量に関する注意といたしましては、忍容性が確認され、効果不十分な場合にのみ、増量を検討すること。また、本剤の投与量は必要最小限となるよう慎重に調節することが記載されております。
また、重要な基本的注意といたしまして「遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬の長期使用に関連して発現するとされているため、原因薬剤の減量又は中止を検討すること。ただし、原因薬剤を減量又は中止した場合に、精神症状の増悪や再発に繋がるおそれがあるため、慎重に判断すること」と記載されております。
続きまして、7ページ、本剤の使用に関する注意事項について御紹介いたします。
本剤の処方に当たりましては注意すべき内容として、投与対象となる患者さん、用法及び用量並びに医薬品リスク管理計画(RMP)における安全性検討事項について適正使用ガイドを用いて医療従事者の皆様方に周知徹底を行い、適正使用の推進を実施していく薬剤として我々は捉えております。
まず、投与対象となる患者さんについてです。本剤の投与対象となる患者さんは、不随意運動を呈する患者さんの中で、運動障害の原因となるほかの要因との鑑別診断が行われ、遅発性ジスキネジアと診断された患者さんとなります。また、遅発性ジスキネジアと診断された患者さんのうち「抗精神病薬等の原因薬剤の減量や中止が出来ないか慎重に検討した結果、減量又は中止が難しい患者さん」あるいは「減量や中止を行っても遅発性ジスキネジアが改善しない患者さん」が本剤の投与対象となっております。
また、用法・用量についてですが、前項でも御紹介のとおり、用法及び用量と用法及び用量に関連する注意についての御説明となっており、医薬品リスク管理計画における安全性検討事項には、重要な特定されたリスクとして、傾眠、鎮静、重篤な過敏症、錐体外路障害となっております。また、重要な潜在的リスクといたしましては、鬱病及び自殺、QT間隔延長、高プロラクチン血症による有害事象、錯乱、悪性症候群、嚥下障害となっております。
続きまして、主な臨床試験の成績につきまして御紹介します。9ページ目を御覧ください。こちらは国内で実施しました臨床試験、国内第Ⅱ相/第Ⅲ相についての御紹介でございます。
遅発性ジスキネジアを有する統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、または抑鬱障害の患者さんを対象とした検証的試験を行い、トータル256名の被験者が本試験に組み入れられております。最長4週間の前観察期間の後、治験薬が割りつけられまして、6週間の二重盲検期ではプラセボ群とバルベナジン40mg群及び80mg群に1対1対1で割りつけられております。続く42週間の継続投与期では、二重盲検期でプラセボに割りつけられた被験者はバルベナジン40mg群または80mg群に1対1で割りつけられる試験デザインとなっております。
本試験の主要評価項目は、本剤投与6週後の、先ほど申し上げましたAIMS合計スコアの変化量で、AIMSは患者さんの撮影動画を専門医の先生が中央で評価しております。
10ページで、こちらは二重盲検期6週間の試験結果をお示ししたものでございます。
主要評価項目である中央評価、AIMS合計スコアのベースラインからの変化量を示しております。AIMSの得点は減少することが改善を示しております。このデータではバルベナジンの40mg群が真ん中の緑、80mg群が赤で示されておりますが、40mg、80mgの両群ともプラセボと比較いたしまして投与2週後から6週後まで統計学的に有意な改善が認められております。
11ページで、こちらは同じく臨床試験の成績で、継続投与期42週間を含めた試験結果でございます。
バルベナジン投与後約1年間、48週間のAIMSスコアのベースラインからの変化量を示してございます。AIMS合計スコアは、48週間の継続投与期においてもスコアの低下、すなわち改善効果が持続しております。48週後までの治療効果は、投与終了4週後には減弱し、AIMSスコアは投与前のベースラインと同程度になっている結果でございます。
12ページ、こちらは臨床試験で発生した副作用でございます。
上の表がプラセボ対照二重盲検期、下の表が長期投与期間の結果で、傾眠関連とパーキンソニズム関連の有害事象の発現割合は、プラセボ対照二重盲検期間でバルベナジン投与群でプラセボ群と比較して高く、また、40mg群と比較して80mg群で高い結果でございました。これらの結果に基づき、傾眠、鎮静及び錐体外路障害を本剤の投与で発現するおそれがある副作用として添付文書には記載してございます。
13ページで、ジスバルの臨床的な位置づけについて御紹介申し上げます。
遅発性ジスキネジアは、誤嚥や窒息などの致死的な結果につながるリスクを持つ疾患で、本邦におきましてはこれまで遅発性ジスキネジアを効能・効果とする薬剤は、保険償還されるものはございませんでした。今回、臨床試験によりバルベナジンの遅発性ジスキネジアに対する有効性・忍容性が確認され、バルベナジンは患者背景や精神疾患特性にかかわらず一貫した有効性を示してございます。
遅発性ジスキネジアの治療について、ジスキネジアの重篤副作用疾患別対応マニュアルにおきましても、原因薬剤の中止・減量、ほかの薬剤への変更が挙げられておりますが、原因薬剤の中止や減量によりジスキネジア及び精神症状が悪化する可能性があることなど、また、ほかの薬剤への変更により別の副作用が発現する可能性があることに注意が必要とされておりまして、遅発性ジスキネジアに対する適切な治療として確立していないと考えられております。
海外では、バルベナジンを含むVMAT2阻害剤が遅発性ジスキネジア治療薬として推奨されておりまして、バルベナジンは、このような状況から、遅発性ジスキネジア治療の第一選択肢になる薬剤ではないかと考えております。
最後でございますが、公的分析班と合意した分析枠組みについて御紹介いたします。15ページを御覧ください。こちらのスライドは、第1回分析前協議と第2回分析前協議でC2H、公的分析班と合意いたしました分析枠組みについての御説明のスライドになります。
まずは分析対象集団についてでございます。我々は企業提案といたしまして、まず、効能・効果と同じ遅発性ジスキネジアを対象集団として提案させていただきました。その後、C2H、公的分析班側からのディスカッションの結果、関連ガイドラインの調査、または臨床専門家への御意見の聴取を踏まえ、遅発性ジスキネジアへの対処は、まず、原因薬剤の減量や中止が可能な場合には減量や中止を行うと考えられることを踏まえ、本剤の分析対象集団を提案いたしました。
○事務局
事務局でございます。
時間となりましたので、説明を終了してください。
○意見陳述者
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
委員及び企業の方から御質問、御意見はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
では、私から、少し専門外なのですけれども、今回、先ほどの試験の結果を見ますと、投与終了後の効果が減衰しているということなのですが、薬剤との関係もあろうかと思いますけれども、このお薬はずっと飲み続けるお薬になるのでしょうか。いわゆる分析は一生涯みたいな分析を想定されていらっしゃいますでしょうか。
○意見陳述者
服用をどのぐらい継続するかというのは忍容性と有効性のバランスになるかとは思いますが、この有効性の結果から言うと、投薬を中止すると効果がなくなるということですので、忍容性のない、問題のない患者様は長期的に服用することになると考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ジスバルカプセルに係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
よろしくお願いいたします。
私からは、本研究のこの分析の枠組みに関しては特に問題はないと考えております。実際、これは対象となる方が通常の臨床の中でも対象となる方だと判断しておりますし、実際、これは対象がほぼ、これ以外の薬剤で改善することはまずあり得ませんので、妥当な判断ではないかと考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
私も現在のこの枠組みで問題ないと考えております。これまでのデータでそこをどのように示すのか、非常にQOLに関してどこまで示せるのかが困難なところはあるかなと思うのですけれども、この枠組みに関しては妥当な設定だと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員、いかがでしょうか、コメントはございますでしょうか。
○○○委員
すみません。せっかくなので、先ほど委員長もお聞きになられていたと思うのですけれども、このお薬を中止できるタイミングはどのぐらいの期間を考えるべきなのか。本当に一生涯に原因疾患の症状を呈しているのであればずっと飲み続けなければいけないお薬なのかという、そのあたりについて先生方はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。
これは、期間としては年単位であることは間違いないと思います。少なくとも統合失調症などであったとする場合に対象は、統合失調症の場合には抗精神病薬をやめてしまうと多くの方が再発する。そうすると、抗精神病薬そのものは継続しなければいけない。そうなってくると、それに伴う副作用として遅発性ジスキネジアはやはりその対象の方にとっては必発になってしまうので、その原因となっているような抗精神病薬そのものを減らせないとまず難しい。
そうすると、抗精神病薬を減らせるのはどの段階かというと、統合失調症がかなり安定した時期となります。そうすると、我々も臨床の中では、5年間安定したときには少し減量を考慮するですとか、そういった、これはガイドラインには明確なものはないのですけれども、通常、臨床の中では患者様と相談しながらやっていく部分はあります。ただ、現実的には一生飲み続ける方が圧倒的に多いのが現実です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。もしよろしければ。
○○○委員
私も同意見です。今回のこの解析の対象になるような方はまさしくそういう方になるのではないかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○委員、よろしいですか。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、委員の方々、御意見はいかがでしょうか。
どうぞ。
○○○委員
今、出ている議論なのですけれども、一応、市場規模等々、今の条件で定められていると思うのですが、事実上、なかなか減薬することは難しい症例がほとんどになって、結局、遅発性ジスキネジアが発症した以降、慎重に減薬を検討した上でという条件になっていますけれども、事実上、このお薬を長期間乗せていく感じになる理解でよいのかという話と、それから、そもそも、どのくらいの率でこれは発症するのですか。統合失調症の患者さんで抗精神病薬を使っている患者さんのうち、どのくらいの方がこうなっていくのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生と○○先生、よろしかったらお願いします。
○○○委員
おっしゃるとおり、これはかなりの割合で減量が難しい方になろうかと思います。やはり統合失調症の方で、症状が出ているときには中止はまずほとんど難しいのですけれども、減薬あるいは変薬、ドパミン受容体に対する親和性の低いものに置き換えることで多少、改善するケースがあるので、そういった形で置き換えることはありますが、現実的にはなかなか難しいと考えられます。
遅発性ジスキネジアの発生率に関してなのですけれども、今、私の手元にないのですが、少なくとも、例えば数十%という割合ではないのですが、長期に服用している方の、すみません。今、データがないのであれですけれども、恐らく1%前後という形ではないかと思いますが、今、データがないので、申し訳ありません。
○○先生、もし御存じだったらと思いますが、少なくとも私が臨床で見ている中でもそれほど著しく全ての方に出るわけではないということになります。
○○○委員
ありがとうございます。
○○○委員
すみません。私も今、手元にないので、大体、感触としては同じような印象を持っております。
ただ一旦、かなり頑固で、薬を減量しても続くような方はなかなか難しい状況になると思いますので、そういう方はこのようなお薬でないと難しいのかなと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
○○○委員
補足ですみません。
今、一応、手元のものでは3%が平均的な割合だという、ただ、方法によっても多少違いますので、でも、数%と御理解いただければいいかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いできますでしょうか。
(○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の退席が確認できましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員を除く先生方の御意見をまとめますと、ジスバルカプセルに係る費用対効果評価に係る分析枠組み(案)を了承するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
続きまして、次の品目に入らせていただきます。次はジスバルカプセルに係る分析枠組みについて御議論いただきたいと思います。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ジスバルカプセルに関わる分析枠組み(案)についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いいたします。
2ページを御覧ください。こちらが今日説明する内容でございます。
疾患概要、品目概要、主な臨床試験成績概要と、公的分析班と合意した分析の枠組みでございます。
4ページ目をお開きください。最初に、遅発性ジスキネジアの疾患の概要を御説明いたします。疾患の概要といたしましては、ジスバルの効能・効果でございます遅発性ジスキネジアの病態について御説明いたします。
遅発性ジスキネジアは、神経遮断薬(ドパミン受容体拮抗作用を有する薬剤等)の長期投与によって発生し、口腔顔面領域、四肢及び体幹における不随意運動を特徴とする神経障害でございます。
一般的な初発症状は軽度の不随意運動で、多くの患者様で身体障害の重症度が進行し、中等度や高度の患者では、発語障害、関節の炎症、歩行障害や転倒などの原因となり、身体に多大な危害を及ぼすおそれもございます。また、嚥下障害や呼吸困難を引き起こし、死亡に至らしめるおそれもある疾患となっております。
遅発性ジスキネジアは、重篤な転帰に至る疾患である一方、患者さんが遅発性ジスキネジアの存在に無頓着であったり、その存在に気づいていない場合も多いことが知られております。また、遅発性ジスキネジアの症状の評価にはAIMSが使われております。部位別の異常不随意運動の重症度を、無しの0から高度の4、この5段階で、各7か所で、最大28点で評価いたしております。
次に、品目概要に移らせていただきます。6ページ目をお開きください。ジスバルカプセルの概要について御説明いたします。
本剤は、2022年5月18日の中医協におきまして市場規模予測販売金額62億円、補正加算5%を認めていただきまして、費用対効果評価該当の「H2」にて収載が了承された新医薬品でございます。本邦初の遅発性ジスキネジアに対する治療薬で、原因薬剤の中止や減量によるジスキネジア症状の改善が困難である患者様が投与の対象となっております。
効能・効果は、遅発性ジスキネジアでございます。
用法・用量は、通常、成人にはバルベナジンとして1日1回40mgを経口投与いたします。なお、症状により適宜増減するが、1日1回80mgを超えないこととするとなってございます。
用法及び用量に関する注意といたしましては、忍容性が確認され、効果不十分な場合にのみ、増量を検討すること。また、本剤の投与量は必要最小限となるよう慎重に調節することが記載されております。
また、重要な基本的注意といたしまして「遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬の長期使用に関連して発現するとされているため、原因薬剤の減量又は中止を検討すること。ただし、原因薬剤を減量又は中止した場合に、精神症状の増悪や再発に繋がるおそれがあるため、慎重に判断すること」と記載されております。
続きまして、7ページ、本剤の使用に関する注意事項について御紹介いたします。
本剤の処方に当たりましては注意すべき内容として、投与対象となる患者さん、用法及び用量並びに医薬品リスク管理計画(RMP)における安全性検討事項について適正使用ガイドを用いて医療従事者の皆様方に周知徹底を行い、適正使用の推進を実施していく薬剤として我々は捉えております。
まず、投与対象となる患者さんについてです。本剤の投与対象となる患者さんは、不随意運動を呈する患者さんの中で、運動障害の原因となるほかの要因との鑑別診断が行われ、遅発性ジスキネジアと診断された患者さんとなります。また、遅発性ジスキネジアと診断された患者さんのうち「抗精神病薬等の原因薬剤の減量や中止が出来ないか慎重に検討した結果、減量又は中止が難しい患者さん」あるいは「減量や中止を行っても遅発性ジスキネジアが改善しない患者さん」が本剤の投与対象となっております。
また、用法・用量についてですが、前項でも御紹介のとおり、用法及び用量と用法及び用量に関連する注意についての御説明となっており、医薬品リスク管理計画における安全性検討事項には、重要な特定されたリスクとして、傾眠、鎮静、重篤な過敏症、錐体外路障害となっております。また、重要な潜在的リスクといたしましては、鬱病及び自殺、QT間隔延長、高プロラクチン血症による有害事象、錯乱、悪性症候群、嚥下障害となっております。
続きまして、主な臨床試験の成績につきまして御紹介します。9ページ目を御覧ください。こちらは国内で実施しました臨床試験、国内第Ⅱ相/第Ⅲ相についての御紹介でございます。
遅発性ジスキネジアを有する統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、または抑鬱障害の患者さんを対象とした検証的試験を行い、トータル256名の被験者が本試験に組み入れられております。最長4週間の前観察期間の後、治験薬が割りつけられまして、6週間の二重盲検期ではプラセボ群とバルベナジン40mg群及び80mg群に1対1対1で割りつけられております。続く42週間の継続投与期では、二重盲検期でプラセボに割りつけられた被験者はバルベナジン40mg群または80mg群に1対1で割りつけられる試験デザインとなっております。
本試験の主要評価項目は、本剤投与6週後の、先ほど申し上げましたAIMS合計スコアの変化量で、AIMSは患者さんの撮影動画を専門医の先生が中央で評価しております。
10ページで、こちらは二重盲検期6週間の試験結果をお示ししたものでございます。
主要評価項目である中央評価、AIMS合計スコアのベースラインからの変化量を示しております。AIMSの得点は減少することが改善を示しております。このデータではバルベナジンの40mg群が真ん中の緑、80mg群が赤で示されておりますが、40mg、80mgの両群ともプラセボと比較いたしまして投与2週後から6週後まで統計学的に有意な改善が認められております。
11ページで、こちらは同じく臨床試験の成績で、継続投与期42週間を含めた試験結果でございます。
バルベナジン投与後約1年間、48週間のAIMSスコアのベースラインからの変化量を示してございます。AIMS合計スコアは、48週間の継続投与期においてもスコアの低下、すなわち改善効果が持続しております。48週後までの治療効果は、投与終了4週後には減弱し、AIMSスコアは投与前のベースラインと同程度になっている結果でございます。
12ページ、こちらは臨床試験で発生した副作用でございます。
上の表がプラセボ対照二重盲検期、下の表が長期投与期間の結果で、傾眠関連とパーキンソニズム関連の有害事象の発現割合は、プラセボ対照二重盲検期間でバルベナジン投与群でプラセボ群と比較して高く、また、40mg群と比較して80mg群で高い結果でございました。これらの結果に基づき、傾眠、鎮静及び錐体外路障害を本剤の投与で発現するおそれがある副作用として添付文書には記載してございます。
13ページで、ジスバルの臨床的な位置づけについて御紹介申し上げます。
遅発性ジスキネジアは、誤嚥や窒息などの致死的な結果につながるリスクを持つ疾患で、本邦におきましてはこれまで遅発性ジスキネジアを効能・効果とする薬剤は、保険償還されるものはございませんでした。今回、臨床試験によりバルベナジンの遅発性ジスキネジアに対する有効性・忍容性が確認され、バルベナジンは患者背景や精神疾患特性にかかわらず一貫した有効性を示してございます。
遅発性ジスキネジアの治療について、ジスキネジアの重篤副作用疾患別対応マニュアルにおきましても、原因薬剤の中止・減量、ほかの薬剤への変更が挙げられておりますが、原因薬剤の中止や減量によりジスキネジア及び精神症状が悪化する可能性があることなど、また、ほかの薬剤への変更により別の副作用が発現する可能性があることに注意が必要とされておりまして、遅発性ジスキネジアに対する適切な治療として確立していないと考えられております。
海外では、バルベナジンを含むVMAT2阻害剤が遅発性ジスキネジア治療薬として推奨されておりまして、バルベナジンは、このような状況から、遅発性ジスキネジア治療の第一選択肢になる薬剤ではないかと考えております。
最後でございますが、公的分析班と合意した分析枠組みについて御紹介いたします。15ページを御覧ください。こちらのスライドは、第1回分析前協議と第2回分析前協議でC2H、公的分析班と合意いたしました分析枠組みについての御説明のスライドになります。
まずは分析対象集団についてでございます。我々は企業提案といたしまして、まず、効能・効果と同じ遅発性ジスキネジアを対象集団として提案させていただきました。その後、C2H、公的分析班側からのディスカッションの結果、関連ガイドラインの調査、または臨床専門家への御意見の聴取を踏まえ、遅発性ジスキネジアへの対処は、まず、原因薬剤の減量や中止が可能な場合には減量や中止を行うと考えられることを踏まえ、本剤の分析対象集団を提案いたしました。
○事務局
事務局でございます。
時間となりましたので、説明を終了してください。
○意見陳述者
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
委員及び企業の方から御質問、御意見はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
では、私から、少し専門外なのですけれども、今回、先ほどの試験の結果を見ますと、投与終了後の効果が減衰しているということなのですが、薬剤との関係もあろうかと思いますけれども、このお薬はずっと飲み続けるお薬になるのでしょうか。いわゆる分析は一生涯みたいな分析を想定されていらっしゃいますでしょうか。
○意見陳述者
服用をどのぐらい継続するかというのは忍容性と有効性のバランスになるかとは思いますが、この有効性の結果から言うと、投薬を中止すると効果がなくなるということですので、忍容性のない、問題のない患者様は長期的に服用することになると考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ジスバルカプセルに係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
よろしくお願いいたします。
私からは、本研究のこの分析の枠組みに関しては特に問題はないと考えております。実際、これは対象となる方が通常の臨床の中でも対象となる方だと判断しておりますし、実際、これは対象がほぼ、これ以外の薬剤で改善することはまずあり得ませんので、妥当な判断ではないかと考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
私も現在のこの枠組みで問題ないと考えております。これまでのデータでそこをどのように示すのか、非常にQOLに関してどこまで示せるのかが困難なところはあるかなと思うのですけれども、この枠組みに関しては妥当な設定だと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員、いかがでしょうか、コメントはございますでしょうか。
○○○委員
すみません。せっかくなので、先ほど委員長もお聞きになられていたと思うのですけれども、このお薬を中止できるタイミングはどのぐらいの期間を考えるべきなのか。本当に一生涯に原因疾患の症状を呈しているのであればずっと飲み続けなければいけないお薬なのかという、そのあたりについて先生方はどのようにお考えになっているか、お聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。
これは、期間としては年単位であることは間違いないと思います。少なくとも統合失調症などであったとする場合に対象は、統合失調症の場合には抗精神病薬をやめてしまうと多くの方が再発する。そうすると、抗精神病薬そのものは継続しなければいけない。そうなってくると、それに伴う副作用として遅発性ジスキネジアはやはりその対象の方にとっては必発になってしまうので、その原因となっているような抗精神病薬そのものを減らせないとまず難しい。
そうすると、抗精神病薬を減らせるのはどの段階かというと、統合失調症がかなり安定した時期となります。そうすると、我々も臨床の中では、5年間安定したときには少し減量を考慮するですとか、そういった、これはガイドラインには明確なものはないのですけれども、通常、臨床の中では患者様と相談しながらやっていく部分はあります。ただ、現実的には一生飲み続ける方が圧倒的に多いのが現実です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。もしよろしければ。
○○○委員
私も同意見です。今回のこの解析の対象になるような方はまさしくそういう方になるのではないかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○委員、よろしいですか。
○○○委員
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、委員の方々、御意見はいかがでしょうか。
どうぞ。
○○○委員
今、出ている議論なのですけれども、一応、市場規模等々、今の条件で定められていると思うのですが、事実上、なかなか減薬することは難しい症例がほとんどになって、結局、遅発性ジスキネジアが発症した以降、慎重に減薬を検討した上でという条件になっていますけれども、事実上、このお薬を長期間乗せていく感じになる理解でよいのかという話と、それから、そもそも、どのくらいの率でこれは発症するのですか。統合失調症の患者さんで抗精神病薬を使っている患者さんのうち、どのくらいの方がこうなっていくのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生と○○先生、よろしかったらお願いします。
○○○委員
おっしゃるとおり、これはかなりの割合で減量が難しい方になろうかと思います。やはり統合失調症の方で、症状が出ているときには中止はまずほとんど難しいのですけれども、減薬あるいは変薬、ドパミン受容体に対する親和性の低いものに置き換えることで多少、改善するケースがあるので、そういった形で置き換えることはありますが、現実的にはなかなか難しいと考えられます。
遅発性ジスキネジアの発生率に関してなのですけれども、今、私の手元にないのですが、少なくとも、例えば数十%という割合ではないのですが、長期に服用している方の、すみません。今、データがないのであれですけれども、恐らく1%前後という形ではないかと思いますが、今、データがないので、申し訳ありません。
○○先生、もし御存じだったらと思いますが、少なくとも私が臨床で見ている中でもそれほど著しく全ての方に出るわけではないということになります。
○○○委員
ありがとうございます。
○○○委員
すみません。私も今、手元にないので、大体、感触としては同じような印象を持っております。
ただ一旦、かなり頑固で、薬を減量しても続くような方はなかなか難しい状況になると思いますので、そういう方はこのようなお薬でないと難しいのかなと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
○○○委員
補足ですみません。
今、一応、手元のものでは3%が平均的な割合だという、ただ、方法によっても多少違いますので、でも、数%と御理解いただければいいかと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いできますでしょうか。
(○○委員退室)
○事務局
事務局でございます。
○○委員の退席が確認できましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員を除く先生方の御意見をまとめますと、ジスバルカプセルに係る費用対効果評価に係る分析枠組み(案)を了承するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

