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2022年8月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第5回議事録
日時
令和4年8月26日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、船崎 俊一専門委員、樅山 幸彦専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
議題
○ オンデキサ静注用200mgに係る分析枠組みについて
議事
オンデキサ静注用200mg
○費用対効果評価専門組織委員長
では、続きまして、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて御議論いただきます。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方の準備が整いましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、オンデキサ静注用に係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
本日は意見陳述のお時間をいただきありがとうございます。では早速、説明に入ります。
スライドの3ページを御覧ください。
高齢化により増加している心房細動ですが、その約70%に第Xa因子阻害剤を含むDOACが処方されています。これらDOACではまれに頭蓋内や消化管などにおいて致死的となる大出血が発現することがありますが、オンデキサ発売までは第Xa因子阻害剤の中和剤はなく、確立した治療法は存在しませんでした。
4ページを御覧ください。
このように、確立した治療法が存在しない中で、不整脈薬物治療ガイドラインでは、DOAC投与中の中等度から重度の出血時には、保険適用薬と同様に、プロトロンビン複合体や第Ⅶ因子製剤などの保険適用外の薬剤を考慮することが明記されており、実際にそれらを含む標準的対症療法が施されていました。
5ページを御覧ください。こちらにはオンデキサの薬価算定の概要をお示ししています。
第Xa因子阻害剤に対する初めての中和剤であり、類似薬が存在しないため、原価計算方式で算定されました。
6ページを御覧ください。
オンデキサの効能・効果は、第Xa因子阻害剤投与中の患者における、生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和となります。また、用法・用量ですが、第Xa因子阻害剤の種類、投与量、投与からの経過時間に応じて、A法、B法のいずれかの用法・用量で静脈内投与することとなっています。
7ページを御覧ください。オンデキサの日本人を含む国際共同臨床試験の概要です。
こちらは単群試験となっており、比較対照薬はありません。主要評価項目の結果ですが、抗FXa活性はオンデキサのボーラス投与後に速やかに低下し、点滴静注の間、そのレベルは維持されました。また、投与終了12時間後の止血効果においても、全体で79.6%、日本人で85.7%の有効な止血効果が得られました。
8ページを御覧ください。こちらが、弊社が提案する分析枠組みになります。
分析対象集団は、第Xa因子阻害剤投与中に生命を脅かす出血または止血困難な出血が認められた患者で、用法・用量をA法とB法に、出血部位を頭蓋内と消化管で分けて分析を行うことでC2Hと合意しております。また、比較対照技術については、本日の論点となりますので、次のスライドで詳しく説明いたします。
9ページを御覧ください。こちらにC2H案と弊社案を並べています。
オンデキサは、FXa阻害剤による致死性の大出血発現時の抗凝固作用の中和を適応症とする唯一の薬剤であり、また、添付文書においても、医学的に適切と判断される標準的対症療法と併用されることが前提とされていることから、比較対照技術を標準的対症療法とすることについてはC2Hとも合意しました。ただ、標準的対症療法の定義について意見の相違があり、今回の論点とさせていただいています。
まず、治療実態に関しまして、先ほどもお話ししたとおり、不整脈薬物治療ガイドラインにおいて、DOAC投与中の中等度から重度の出血時には、保険適用薬・処置と同様に、プロトロンビン複合体製剤や第Ⅶ因子製剤などの保険適用外の薬剤の使用を考慮することとなっています。このような臨床の実態を鑑みると、C2H案では適切な分析実施という点で懸念が出てきます。比較対照技術から保険適用外を除いた場合、オンデキサは保険適用の有無によらず止血効果が期待できるあらゆる治療が実施される重篤な患者が対象となる一方で、比較対照技術は保険適用外薬などの使用を必要としない、あまり重篤ではない患者さんに対象が一部偏る上、治療実態ともかけ離れた集団で評価することになると考えます。また、現在弊社が把握している限りにおいて、オンデキサ及び比較対照技術の有効性・安全性を評価したデータには、いずれもプロトロンビン複合体製剤等が含まれており、これらを除外すると、分析に足るデータが存在せず、適切な評価が困難になることが想定されます。
したがいまして、治療実態に沿った臨床的妥当性の高い分析・評価を行うためには、比較対照技術は、ガイドラインに記載のある薬剤を含む標準的対症療法とすることが妥当と考えます。
10ページを御覧ください。こちらは分析ガイドラインの解釈についての見解になります。
先ほども説明しましたが、オンデキサは標準的対症療法に上乗せして使用されるので、今回の分析はオンデキサプラス標準的対症療法と標準的対症療法を比較することになります。これは両群に標準的対症療法を含むことから、オンデキサを投与するかどうかの比較であって、実質的な比較対照技術は「無治療」となります。したがって、本ガイドラインの4.1.1に該当すると考えます。よって、4.1.2には該当しませんので、ここで保険適用の扱いに触れる必要性はないと考えます。
なお、補足となりますが、弊社の提案は、臨床実態に即した分析枠組みに沿って臨床的妥当性の高いデータに基づいた分析を実施し、オンデキサの有用性を適切に評価していただくことを意図しています。ただし、費用の観点から「公的医療の立場」での分析に保険適用外の薬剤費を含めることがどうしても問題となるようであれば、弊社にとっては不利な分析にはなりますけれども、臨床データとしては保険適用外の薬剤が使用されている症例を包含しつつ、当該保険適用外の薬剤に係る費用は除外してICERを算出することも可能と考えます。
繰り返しになりますが、弊社としましては、オンデキサの有用性を適切に御評価いただくために、臨床実態に即した比較対照技術の定義を提案させていただいております。
以上で弊社からの意見陳述を終了したいと思います。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
委員の方及び企業の方から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
適応外使用をどのように扱うかということになってくる部分かと思いますので、できれば公的な分析を原則としながら、かつそれ以外のものをどう考慮できるかどうかに論点を絞るというふうにしていくのがいいのではないかと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
当院でこういったもの、薬に限らず、保険適用外のものはかなり厳しく、使用しないのです。やはり公的分析では保険適用外のものは除くのが原則ではないかとは思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、御意見はいかがでしょうか。
○○○委員
枠組み設定はさっき論点整理してくださいましたけれども、保険適用外の薬は全部除くというのはすっきりしていいとは思うのですが、一番懸念するのは適応外使用のもの、薬剤が入っているものを全部除くと、先ほど○○先生もおっしゃいましたけれども、捉える対象集団が大きくずれてくるのではないかという論点です。
一方、企業は少し言っていましたが、ICERの計算のときには適用外の薬剤の薬価は、不利になるけれども、除くとはっきり言っていたので、そこで少し工夫して、要は適応外使用を全部省いて対象集団がずれるようなことは本質から外れてくると思うので、対象集団を外さないような形で何かうまい方法がないかを検討していただけたらと思うのです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。その他の先生方、コメントはいかがでしょうか。
今までは、費用計算も含めて、分析ガイドライン上、保険適用について整理をしており、制度を前提として組み込まれていると理解しています。一方で、今、○○委員からもあったとおり、日本の代表性のあるというか、対象集団がずれない分析をしないと意味がないのではないかという御意見もあり、その辺は企業さんのコメントにも含まれていたのかなと思っています。
科学院さん、ガイドラインの解釈について、4.1.1の辺りですけれども、改めて何かコメントはございますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど御指摘がありましたけれども、分析ガイドラインにあります比較対照技術、原則として公的医療保険で使用が認められているという言い方になっています。
この使用が認められているという解釈なのですが、これまでの事例の中でも適用外でというものを対象にしたこともあるのですけれども、これはやはり一般的に、この保険で使えるというふうに認識されていると我々は理解しておりまして、例えば支払基金等から審査情報提供という形で各都道府県、審査を通じてこれは認めましょうというものが出されているようなものを想定していますので、過去にそれらについて対象としたことはございますが、今回のものについてはそのような話ではなく、医療機関あるいは都道府県側と判断が違うレベルのものと考えておりますので、一般的に医療保険で認められているというふうには解釈をしなかったということでございます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、どうぞ。
○○○委員
コメントにも書かせていただいたのですが、治療という考え方、例えば輸血をする、輸液をするのは治療という積極的な立場ではなくて、時間稼ぎといいますか、本来、例えばこの薬剤の前に出ていたトロンビン拮抗薬、プリズバインドと言われている薬がありますが、我々が医療で使う、積極的な治療目的、がんの治療薬を使うとか、脳梗塞の治療をするとか、心筋梗塞の治療のための薬というと、対象となる病気を改善する、本体部分を治すなり、そこに関わる薬という意味だと思うのです。
ただ、今回対象となっているのは輸血であったり輸液で、これは病気そのものを治すよりも、病態を悪化させないようにぎりぎりのところで維持するための時間稼ぎであるという立場で考えると補完的治療になりますので、そういう意味で治療薬とバックアップのための処置を同じだというふうに考えることは少し臨床的には違和感があるところだと思います。
したがって、そういう立場で考えると、やはり企業が最後に補足的におっしゃっていたような内容の部分が現実的には必要になってくるのではないかと考えています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○○委員
それでは、いいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お願いします。
○○○委員
枠組みは公的分析班の案でいいとは思うのですけれども、対象とすればそういう適応外薬を考慮して、それの代わり、費用計算から除くというものも一部入れて、実態に近いような判断ができるものをこの組織に出していただけたらいいかなと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
私も比較的その考え方に近いので、ぜひそういう方向で議論していただければと思っておりますが、テクニカルには何か両群、保険適用外の症例が同じぐらいの割合、いわゆる結果に対するインパクトが、イコールコンディションになるように何か工夫して分析ができないのかなと思ったりもしていたのですけれども、御専門の立場で、例えば○○委員とか、何かアイデアがあればいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
保険適用外の患者さんの割合等がデータとしてあれば、その辺は調整可能だとは思います。実際にデータが取れるかどうかだとは思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
そういうところですね。
○○委員とかはいかがですか。そのあたり、何か工夫があれば。
○○○委員
今回の臨床試験の中ででも、市販後のデータでもやはり保険適用範囲内の薬剤を使っている集団がどれぐらいいるのか、そうではない人たちがどれぐらいいるかを検討することは重要と思います。ただし、部分集団解析的な取扱いになるため、その点には注意が必要だと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、この件に関していかがでしょうか。
方向性として皆様方のお話をまとめると、基本的には今回は費用対効果のガイドラインに沿ってやるべしということでした。ただ、保険適用外、そういった集団も含めた分析を工夫していただきたいということで、今、幾つかヒントが出てきたということでありますので、これらを含めて、今後、分析を検討していただくことになるのかなと思って理解しておりましたが、その他、全体を通してコメントはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、まとめさせていただきます。議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、オンデキサ静注用に関する費用対効果評価については、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて、公的分析の提案が妥当と考え、公的分析の分析枠組み(案)を了承する。
ただ、いわゆる保険適用外の使用実績・実態を踏まえて、臨床実態に即した分析をするように工夫していただくというものを付け加えさせていただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、続きまして、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて御議論いただきます。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方の準備が整いましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、オンデキサ静注用に係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
本日は意見陳述のお時間をいただきありがとうございます。では早速、説明に入ります。
スライドの3ページを御覧ください。
高齢化により増加している心房細動ですが、その約70%に第Xa因子阻害剤を含むDOACが処方されています。これらDOACではまれに頭蓋内や消化管などにおいて致死的となる大出血が発現することがありますが、オンデキサ発売までは第Xa因子阻害剤の中和剤はなく、確立した治療法は存在しませんでした。
4ページを御覧ください。
このように、確立した治療法が存在しない中で、不整脈薬物治療ガイドラインでは、DOAC投与中の中等度から重度の出血時には、保険適用薬と同様に、プロトロンビン複合体や第Ⅶ因子製剤などの保険適用外の薬剤を考慮することが明記されており、実際にそれらを含む標準的対症療法が施されていました。
5ページを御覧ください。こちらにはオンデキサの薬価算定の概要をお示ししています。
第Xa因子阻害剤に対する初めての中和剤であり、類似薬が存在しないため、原価計算方式で算定されました。
6ページを御覧ください。
オンデキサの効能・効果は、第Xa因子阻害剤投与中の患者における、生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和となります。また、用法・用量ですが、第Xa因子阻害剤の種類、投与量、投与からの経過時間に応じて、A法、B法のいずれかの用法・用量で静脈内投与することとなっています。
7ページを御覧ください。オンデキサの日本人を含む国際共同臨床試験の概要です。
こちらは単群試験となっており、比較対照薬はありません。主要評価項目の結果ですが、抗FXa活性はオンデキサのボーラス投与後に速やかに低下し、点滴静注の間、そのレベルは維持されました。また、投与終了12時間後の止血効果においても、全体で79.6%、日本人で85.7%の有効な止血効果が得られました。
8ページを御覧ください。こちらが、弊社が提案する分析枠組みになります。
分析対象集団は、第Xa因子阻害剤投与中に生命を脅かす出血または止血困難な出血が認められた患者で、用法・用量をA法とB法に、出血部位を頭蓋内と消化管で分けて分析を行うことでC2Hと合意しております。また、比較対照技術については、本日の論点となりますので、次のスライドで詳しく説明いたします。
9ページを御覧ください。こちらにC2H案と弊社案を並べています。
オンデキサは、FXa阻害剤による致死性の大出血発現時の抗凝固作用の中和を適応症とする唯一の薬剤であり、また、添付文書においても、医学的に適切と判断される標準的対症療法と併用されることが前提とされていることから、比較対照技術を標準的対症療法とすることについてはC2Hとも合意しました。ただ、標準的対症療法の定義について意見の相違があり、今回の論点とさせていただいています。
まず、治療実態に関しまして、先ほどもお話ししたとおり、不整脈薬物治療ガイドラインにおいて、DOAC投与中の中等度から重度の出血時には、保険適用薬・処置と同様に、プロトロンビン複合体製剤や第Ⅶ因子製剤などの保険適用外の薬剤の使用を考慮することとなっています。このような臨床の実態を鑑みると、C2H案では適切な分析実施という点で懸念が出てきます。比較対照技術から保険適用外を除いた場合、オンデキサは保険適用の有無によらず止血効果が期待できるあらゆる治療が実施される重篤な患者が対象となる一方で、比較対照技術は保険適用外薬などの使用を必要としない、あまり重篤ではない患者さんに対象が一部偏る上、治療実態ともかけ離れた集団で評価することになると考えます。また、現在弊社が把握している限りにおいて、オンデキサ及び比較対照技術の有効性・安全性を評価したデータには、いずれもプロトロンビン複合体製剤等が含まれており、これらを除外すると、分析に足るデータが存在せず、適切な評価が困難になることが想定されます。
したがいまして、治療実態に沿った臨床的妥当性の高い分析・評価を行うためには、比較対照技術は、ガイドラインに記載のある薬剤を含む標準的対症療法とすることが妥当と考えます。
10ページを御覧ください。こちらは分析ガイドラインの解釈についての見解になります。
先ほども説明しましたが、オンデキサは標準的対症療法に上乗せして使用されるので、今回の分析はオンデキサプラス標準的対症療法と標準的対症療法を比較することになります。これは両群に標準的対症療法を含むことから、オンデキサを投与するかどうかの比較であって、実質的な比較対照技術は「無治療」となります。したがって、本ガイドラインの4.1.1に該当すると考えます。よって、4.1.2には該当しませんので、ここで保険適用の扱いに触れる必要性はないと考えます。
なお、補足となりますが、弊社の提案は、臨床実態に即した分析枠組みに沿って臨床的妥当性の高いデータに基づいた分析を実施し、オンデキサの有用性を適切に評価していただくことを意図しています。ただし、費用の観点から「公的医療の立場」での分析に保険適用外の薬剤費を含めることがどうしても問題となるようであれば、弊社にとっては不利な分析にはなりますけれども、臨床データとしては保険適用外の薬剤が使用されている症例を包含しつつ、当該保険適用外の薬剤に係る費用は除外してICERを算出することも可能と考えます。
繰り返しになりますが、弊社としましては、オンデキサの有用性を適切に御評価いただくために、臨床実態に即した比較対照技術の定義を提案させていただいております。
以上で弊社からの意見陳述を終了したいと思います。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
委員の方及び企業の方から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
適応外使用をどのように扱うかということになってくる部分かと思いますので、できれば公的な分析を原則としながら、かつそれ以外のものをどう考慮できるかどうかに論点を絞るというふうにしていくのがいいのではないかと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
当院でこういったもの、薬に限らず、保険適用外のものはかなり厳しく、使用しないのです。やはり公的分析では保険適用外のものは除くのが原則ではないかとは思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、御意見はいかがでしょうか。
○○○委員
枠組み設定はさっき論点整理してくださいましたけれども、保険適用外の薬は全部除くというのはすっきりしていいとは思うのですが、一番懸念するのは適応外使用のもの、薬剤が入っているものを全部除くと、先ほど○○先生もおっしゃいましたけれども、捉える対象集団が大きくずれてくるのではないかという論点です。
一方、企業は少し言っていましたが、ICERの計算のときには適用外の薬剤の薬価は、不利になるけれども、除くとはっきり言っていたので、そこで少し工夫して、要は適応外使用を全部省いて対象集団がずれるようなことは本質から外れてくると思うので、対象集団を外さないような形で何かうまい方法がないかを検討していただけたらと思うのです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。その他の先生方、コメントはいかがでしょうか。
今までは、費用計算も含めて、分析ガイドライン上、保険適用について整理をしており、制度を前提として組み込まれていると理解しています。一方で、今、○○委員からもあったとおり、日本の代表性のあるというか、対象集団がずれない分析をしないと意味がないのではないかという御意見もあり、その辺は企業さんのコメントにも含まれていたのかなと思っています。
科学院さん、ガイドラインの解釈について、4.1.1の辺りですけれども、改めて何かコメントはございますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど御指摘がありましたけれども、分析ガイドラインにあります比較対照技術、原則として公的医療保険で使用が認められているという言い方になっています。
この使用が認められているという解釈なのですが、これまでの事例の中でも適用外でというものを対象にしたこともあるのですけれども、これはやはり一般的に、この保険で使えるというふうに認識されていると我々は理解しておりまして、例えば支払基金等から審査情報提供という形で各都道府県、審査を通じてこれは認めましょうというものが出されているようなものを想定していますので、過去にそれらについて対象としたことはございますが、今回のものについてはそのような話ではなく、医療機関あるいは都道府県側と判断が違うレベルのものと考えておりますので、一般的に医療保険で認められているというふうには解釈をしなかったということでございます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、どうぞ。
○○○委員
コメントにも書かせていただいたのですが、治療という考え方、例えば輸血をする、輸液をするのは治療という積極的な立場ではなくて、時間稼ぎといいますか、本来、例えばこの薬剤の前に出ていたトロンビン拮抗薬、プリズバインドと言われている薬がありますが、我々が医療で使う、積極的な治療目的、がんの治療薬を使うとか、脳梗塞の治療をするとか、心筋梗塞の治療のための薬というと、対象となる病気を改善する、本体部分を治すなり、そこに関わる薬という意味だと思うのです。
ただ、今回対象となっているのは輸血であったり輸液で、これは病気そのものを治すよりも、病態を悪化させないようにぎりぎりのところで維持するための時間稼ぎであるという立場で考えると補完的治療になりますので、そういう意味で治療薬とバックアップのための処置を同じだというふうに考えることは少し臨床的には違和感があるところだと思います。
したがって、そういう立場で考えると、やはり企業が最後に補足的におっしゃっていたような内容の部分が現実的には必要になってくるのではないかと考えています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○○委員
それでは、いいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、お願いします。
○○○委員
枠組みは公的分析班の案でいいとは思うのですけれども、対象とすればそういう適応外薬を考慮して、それの代わり、費用計算から除くというものも一部入れて、実態に近いような判断ができるものをこの組織に出していただけたらいいかなと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
私も比較的その考え方に近いので、ぜひそういう方向で議論していただければと思っておりますが、テクニカルには何か両群、保険適用外の症例が同じぐらいの割合、いわゆる結果に対するインパクトが、イコールコンディションになるように何か工夫して分析ができないのかなと思ったりもしていたのですけれども、御専門の立場で、例えば○○委員とか、何かアイデアがあればいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
保険適用外の患者さんの割合等がデータとしてあれば、その辺は調整可能だとは思います。実際にデータが取れるかどうかだとは思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
そういうところですね。
○○委員とかはいかがですか。そのあたり、何か工夫があれば。
○○○委員
今回の臨床試験の中ででも、市販後のデータでもやはり保険適用範囲内の薬剤を使っている集団がどれぐらいいるのか、そうではない人たちがどれぐらいいるかを検討することは重要と思います。ただし、部分集団解析的な取扱いになるため、その点には注意が必要だと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、この件に関していかがでしょうか。
方向性として皆様方のお話をまとめると、基本的には今回は費用対効果のガイドラインに沿ってやるべしということでした。ただ、保険適用外、そういった集団も含めた分析を工夫していただきたいということで、今、幾つかヒントが出てきたということでありますので、これらを含めて、今後、分析を検討していただくことになるのかなと思って理解しておりましたが、その他、全体を通してコメントはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、まとめさせていただきます。議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、オンデキサ静注用に関する費用対効果評価については、オンデキサ静注用に係る分析枠組みについて、公的分析の提案が妥当と考え、公的分析の分析枠組み(案)を了承する。
ただ、いわゆる保険適用外の使用実績・実態を踏まえて、臨床実態に即した分析をするように工夫していただくというものを付け加えさせていただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。