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2022年8月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第5回議事録
日時
令和4年8月26日13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、戸田 達史専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
議題
○ ウィフガート点滴静注の分析枠組みについて
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、前回、先生方に御議論いただきましたウィフガート点滴静注について、その分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論をいただきたいと思います。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方、準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みに対する企業からの不服意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いします。それでは、説明させていただきます。
お手元に資料があるかと思うのですけれども、まず、今、2ページ目ですが、前回御提示いただいた専門組織前の分析案、比較対照技術をプレドニゾロン・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とすることは適切ではなく、前回提示した企業案、IVIg・血漿交換、エクリズマブを比較対照技術とすべきであることを再主張させていただきたいと思います。
不服意見を出すことにした背景・経緯は2つありまして、1つ目は選定したアルジェニクス案を裏づける新たな情報として企業調査結果とPivotal試験情報があること、もう一つはアルジェニクス案の説明が十分に伝わっていなかったためと思われますが、公的分析の提案及び7月22日の専門組織の根拠が妥当性に欠けることです。
新たに企業案の適切性を裏づける企業調査の結果及びPivotal試験の情報を準備いたしましたので、まず、こちらから説明させていただきたいと思います。3ページ目に行きます。
ウィフガートは5月9日に発売が開始されましたが、その発売後から7月下旬にかけてウィフガートを処方した医師に対して行った企業調査の結果を示しております。これはウィフガートの前治療がどのような使用だったか。すなわち、どのような治療からウィフガートへ置き換わったかを示しております。
最も多いのは、この円グラフで示しておりますが、IVIg、免疫グロブリン療法。次いで、PLEX、血漿交換。その次に、エクリズマブ。こういった順でございました。そして、この3つの治療の合計は87%になります。つまり、ウィフガート投与開始患者の約90%がIVIgや血漿交換、ソリリスから置き換わっていることを示しております。
比較対照技術の専門組織案は、ステロイド少量・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼセラーズ阻害薬とされましたが、これらの経口薬からウィフガートへの置き換わりは、赤いところで示しました、実際には全体の2%であり、ウィフガートはIVIgなどより早い段階で使用すると考えられると記載されました専門組織での意見は実情を反映しておりません。本データが示すように、企業案がより比較対照技術に適切であることが言えます。
次の4ページへ行ってください。
先ほど申し上げたとおり、専門組織からの御提案は、実際の臨床の場では貴重な集団である2%でありました。作用機序から考えても、プレドニゾロンや免疫抑制剤はアセチルコリン受容体に対する自己抗体の産生や運動終板の膜破壊などの炎症を抑制し、免疫全体を抑える治療です。一方、ウィフガートは血漿中の病原性IgG自己抗体を減らすことなので、それと同じ作用機序の血漿交換とかIVIgが比較対照技術にならないのは不自然と考えます。
したがいまして、ここの表にありますとおり、企業案を感度分析ではなく、基本分析にし、専門組織案を基本分析ではなく感度分析にすることを提案させていただきます。
次の5ページへ行ってください。
また、専門組織では「企業の治験データと、企業説明による臨床実態での使用方法が乖離」との指摘がありましたが、Pivotal試験では、ウィフガート投与開始時点の1か月前までにIVIg治療がある患者さんが、この黄色でハイライトしておりますが、一番右側の段を見ていただきたいのですけれども、26.4%で、血漿交換治療歴がある患者さんが40.3%含まれており、先ほどお示しした企業調査と同様に、これらの治療がウィフガート投与前に実施されております。
これらのことから、先ほどお示しした企業調査と同様の結果になっており、治験データと実臨床での使用は乖離しないと言えます。
7ページをお願いします。これまでのまとめです。
本日お示しした新たな情報は、①で、実臨床では、約90%の症例がIVIgや血漿交換からウィフガートへ移行している。②で、Pivotal試験でも同様に多くがIVIgや血漿交換の後にウィフガートを使用している。この2点で、これは、ウィフガートは1次治療ではなく、3次治療以降から置き換わることを裏づけています。
したがって、比較対照技術はステロイド・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などの1次治療ではなく、IVIg・血漿交換・ソリリスが適切であると考えます。
次の8ページへ行ってください。次に、アルジェニクス案を十分に伝えられなかったため、公的分析の提案及び7月22日の専門組織の根拠が妥当性に欠ける点についてです。
専門組織の決定事項における「比較対照技術を選定した理由」では1次~2次治療を想定としておりますが、重症筋無力症の御専門の先生であり、ガイドライン編集の副委員長である○○先生は、ウィフガートは4次治療と同じ位置づけと説明されております。
また、比較対照技術を選定した理由において、エフガルチギモドアルファは上記の比較対照技術へ上乗せ、あるいは免疫グロブリン療法、IVIgや血漿交換の代替として用いられることが想定されると記載されていますが、これまで説明してきたように、ウィフガートは3次治療以降の代替として用いられることが想定されており、実際に本日の3ページ目の資料で提示した情報がこのことを裏づけております。
また、ウィフガートの添付文書では、ウィフガートの使用は「ステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る」と記載があります。すなわち、1次治療が奏効しない場合に使用することが想定されているIVIg・血漿交換・ソリリスの代替療法になるわけで、比較対照技術が1次治療であるはずがありません。
10ページ目を御覧ください。
さらに、専門組織での御意見として、作用機序や副作用が異なることからウィフガートはソリリスと横並びで使われるものではないとの御指摘がありました。もし作用機序の類似性を根拠に考察を行うのであれば、専門組織が決定した比較対照技術のプレドニゾロンや免疫抑制剤などの経口薬は、アセチルコリン受容体に対する自己抗体の産生や運動終板の膜破壊などの炎症を抑制し、炎症全体を抑える治療であることから、ウィフガートとは作用機序も異なります。
また、血漿中のIgGを低下させて病原性の自己抗体の働きを弱めるウィフガートの作用機序はIVIgや血漿交換も同様であり、最も適した比較対照技術と言えます。
11ページ目を御覧ください。
ここでは参考までに各治療技術の作用機序と副作用をまとめましたので、御参照ください。
12ページ目を御覧ください。
比較対照技術はプレドニゾロン・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の経口剤であるべきで、企業案は感度分析を行うべきという専門組織案は、実臨床、治療ガイドライン、添付文書の視点からは適切ではないと考えます。実際の治療を考えると、企業案のほうがベース分析にして、専門組織案を感度分析にすべきと考えます。
最後、13ページ目を御覧ください。企業案の分析枠組みを再度記載しました。
企業案の比較対照技術は2種類、この「比較対照技術」にオレンジで書かれた①は上記の分析対象集団のA)に対する比較対照技術で、オレンジの部分で書かれた②のIVIgあるいはPLEX、血漿交換の年4回以上の反復。こちらは上記の分析対象集団であるB)とC)に対する比較対照技術になります。
以上、企業案の再検討をよろしくお願い申し上げます。
なお、本日の説明資料にはありませんが、企業案に基づく分析可能な臨床試験、文献について提示するという内容の照会をいただいておりましたので、それについて少し申し上げます。回答は昨日提出させていただいております。
ただ、ガイドラインに従えば、分析の中でシステマチックレビューを行って比較可能性を検討することになっております。一方で、今回の照会は分析前の段階で比較可能性を検討する内容と理解しております。すなわち、比較対照技術を検討・決定するには。
○事務局
事務局でございます。
時間ですので、説明を終了してください。
○意見陳述者
分かりました。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
比較対照試験、データがあるかどうかは結構重要な話なので、もしよろしかったら企業さん、先ほど途中で説明をやめられましたものについて、少し簡単に御説明いただいてもよろしいでしょうか。特に免疫グロブリン療法とか血漿交換との分析可能性などについてのデータソースがあるかどうかというあたりについてですけれども、いかがでしょうか。
○意見陳述者
では、こちらのところは、○○さん、お願いできますでしょうか。
○意見陳述者
○○と申します。私から御説明させていただきます。
月曜日に御照会いただきまして、調べさせていただきました。まだ簡単に検索をし始めたところでは非常に多くの文献がございましたので、システマチックレビューを行うには至っておりませんので、Targeted literature reviewを行わせていただきました。
そこで3件、3件といいますのは、ウィフガートのPivotal試験とソリリスのPivotal試験、それから、IVIg・PLEXを比較する試験を見つけまして、そちらの患者さんの重症度をQMGスコアという疾患特異的な重症度スコアの分布と、それから、組入れ前のIVIg・PLEXを使用されていた患者さんの割合として比較してみました。
お手元にその照会の御回答結果をお持ちなのかどうか、私、把握していないのですけれども、もしお持ちでしたら御覧になっていただけましたら比較可能であることは見ていただけるかなと思います。
ただ、もちろん、まだ正式なネットワークメタアナリシスを行っておりませんので、どの程度、不確実性があるかですとか一貫性がどの程度かはこれから分析を行った上で見ていくことになると思いますけれども、今、そちらの数字を見た上では比較可能性は十分期待できるレベルにあると思います。
それで、今、TLRを行った時点で3件の文献ですけれども、そういう結果が認められておりますので、今の段階で比較可能性はないと判断するのは非常に短絡的な結論になってしまうかなと思いますので、こちらとしては比較可能性は十分あると判断しまして、そのように御回答させていただきました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の点も含めて、先生方、いかがでしょうか。御質問はございませんでしょうか。
○○○委員
今回、比較対照技術を何に設定するかという点に関して、治験で実施されたプラセボ対照比較試験における対象集団と、企業側が提案している治療体系での投与対象集団が異なることに懸念がありますが、比較可能性が担保できるようなエビデンスがある程度には存在していることは確認させていただけたと思っています。ただし、やはり提案されている治療ラインにおける投与対象に対してのエビデンスが十分かどうかについては今後の分析の中でも検討していく必要はあるのだろうと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○○○委員
すみません。○○からよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
すみません。企業の説明は一定合理的だと思うのですけれども、PMDAの審査報告書でウィフガートは免疫グロブリン及び血液浄化療法よりも前に用いられる薬剤という記述があるのは事実なわけですね。それが間もなく実臨床ではどんどん置き換わってしまっているというお考えでよろしいでしょうか。
○意見陳述者
まず、1つ目なのですけれども、添付文書の記載の方法は、IVIgや血漿交換の前に使いなさいとは書いておりません。あくまでも免疫抑制剤やステロイドに不応な患者さんに使ってくださいということなので、一般的に血漿交換や免疫抑制剤との経口薬に対して効果が弱い方が血漿交換やIVIgやソリリスという方向に行きます。
ウィフガートがIVIgや血漿交換の前に使うことは一言も書いていないことだけ先にとどめさせてください。
それで、置き換わっていくところですけれども、確かに今のところ、やはり先生方はウィフガートの安全性等がまだデータが少ないので、使い慣れているIVIgや血漿交換を実施した後に、それでも効果がない方にウィフガートを投与されている事実があるかと思います。
○○先生、この点に関して補足いただけないでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
○○ですけれども、御質問ありがとうございます。
臨床の立場から言うと、このステロイドとか免疫抑制剤を、ウィフガートを使うことによって全く使用しなくなる、置き換わることはないのではないかと思います。やはりステロイドとか免疫抑制剤を使って、免疫全体、抗体産生を抑制したりとか、あと、膜破壊、炎症を抑えたりとか、そういうことが大事ですので、あくまでもウィフガートは血液中の自己IgGを低下させるだけの治療なので、そこは置き換わってしまうことはないと思います。
ですので、作用機序からも、先ほど述べたように、ウィフガートは本当に特殊な、人工的に作った免疫グロブリンのまだFc部分をIVIgしているような、静注しているようなものなので、ほとんど機序的にはIVIgと同じ機序で胎児性Fc受容体のリサイクリングを効率よく抑制してIgGを低下させる機序なので、やはり私もどんなに考えても技術対象はIVIgとか血漿交換になるのではないかと思います。
以上です。
○意見陳述者
すみません。補足させていただいてもよろしいでしょうか。
○○先生が御指摘された審査報告書ではもっと前の段階での使用が実際に記載されてしまっているということなのですけれども、こちらは前回の専門組織でも簡単に御回答させていただいたとおり、当時がそういうふうに使われたらいいなという企業側の期待もあったことはお伝えしたことがあったかと思います。
ただ、実際、その後にガイドラインが発表されまして、その中で分子標的薬の位置づけが、その前ですか。ウィフガートは明記されていなかったのですけれども、ただ、ウィフガートが分子標的薬であることははっきりしていますし、分子標的薬の使われ方がガイドラインの中ではっきりしましたので、先ほど○○先生がおっしゃったように、ウィフガートの使われ方はこれからより実臨床に浸透していくのかなと思います。
その中で、より早い使われ方が当初、企業が期待していたような考え方は実臨床で実態としては上書きされていって、3次治療、4次治療で使われていくことになるのかなと思っております。実際、それが数字で表れたのが先ほど企業の新しい数字として、実臨床の実態としてどう使われているかという数字に表れているということなのかなと理解しております。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいですか。
○○○委員
はい。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○委員、どうぞ。
○○○委員
今の点なのですけれども、PMDAの審査報告書の中で、企業側の主張として早期の段階から使われる薬剤であると議論されており、さらに審査報告書の本剤の使用や位置付けについてPMDAは、現状、IVIgや血液浄化療法には長年の使用経験があり、その有効性・安全性も確立している治療なので、この医薬品が承認された後もまずはIVIgや血液浄化療法が使われる可能性が高いと考察されています。一方で、本剤薬もある程度の使用経験が蓄積されるとIVIg等よりも先に使用される可能性もあることまで議論されています。
医療現場の中でこの医薬品の位置づけに関しては、今後、ガイドライン等々で整備されていくものだと理解することはできます。ただし、1点だけ気になるのが、4次治療のソリリスと同じ扱いになるという点に関しては、今回の分析において少し懸念があります。というのは、ソリリスの効能・効果と本剤の効能・効果は全然違う点です。この違いがあるにも関わらず、今後、ガイドラインで整理できるのか、この違いがあることに対して企業として何かすべき点とか、何かお考えはあるのでしょうか。
つまり、ソリリスと同じとしても、ソリリスはIVIg、血液浄化療法でも効果が不十分な場合に使える薬剤ですが、本剤にはそこまでの縛りはないので、そこの効能・効果の違いに関してどうお考えなのかをお聞きしたいのです。
○意見陳述者(専門家)
私のほうからいいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○先生からお願いします。
○意見陳述者(専門家)
ソリリスは、今、おっしゃられたとおりに、何をやっても効かない、血漿交換とかIVIgをしてもなかなか日常生活が送れないような超重症例に関して膜破壊を抑え込んで治療する治療法ですので、今のウィフガートとは全然、作用機序が違います。
ですので、今後恐らくウィフガートの使い方はどういうふうに、今、臨床の現場では暗中模索されているのだと思うのですけれども、先生がおっしゃられたように、まずは今まで使ってきたIVIgとか血漿交換を使ってみて、年に1~2回使って収まるのだったらそれでいいのかなという感じで、それを3回、4回もするとなかなか仕事もできない状況に陥るような人で、外来でできるウィフガートが十分活用されていくのではないかという印象です。
もちろん、作用機序が違うので、やはり軽症でもソリリスを使えばそれなりの外来でできる、入院しなくても血漿交換ではなくてもできる利点はあると思いますので、いかんせん、ただ、いまだ高額な薬ですので、やはりその辺は慎重に、安全性もまだ世界中でも何百例ぐらいの症例しかないと思いますので、その辺を確認しながら使って広がっていくのではないかと推測しております。
○意見陳述者
すみません。企業側から、今の○○先生の質問に対して、企業としてなのですけれども、多くの専門の先生がIVIgや血漿交換に行く患者さんにはウィフガート投与の対象になるねということをよくおっしゃいます。○○先生がおっしゃったように、やはり作用機序が似ておりますので、そういった点から専門の先生はそうやっておっしゃってくださっていると思います。
なので、企業としては、まだやはり本当に数百例しか使われていないので、その安全性情報をしっかりと集めて、IVIgや血漿交換に比べてどれだけ安全性が担保できるか。そういったところを企業としてはしっかりと先生方に提示していく。それによってまた使われる順番が変わってくるかどうかはまだ分からないのですけれども、企業としてやるべきところはそういった努力かと思っています。
○○○委員
この医薬品の実臨床での使用状況によって、今後変わってくるでしょうし、市販後にどういうエビデンスが構築されていくかによってもまた変わってくるところは理解はしています。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○○委員
先生、よろしいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
今回、不服意見の大きな根拠となっている専門家への調査ですけれども、定量的なものとして非常に少ないという、初めから使うのは、早く使うのは少ないと言われるのですが、要は調査した時点で既に血漿交換やIVIgをしたことがあることが反映されているのではないでしょうか。
何を申し上げているかというと、今、2つのことを一緒に混ぜておっしゃっていて、臨床の先生に聞くとそんなに早く使う薬ではないと言われるということを今、強調されたのですけれども、あれはそれではなくて、実際にあの時点で既に血漿交換やそういうことをしている人がこれぐらいということではないのでしょうか。違いますでしょうか。
○意見陳述者
実際にはかなり病態が進んでおり、経口剤ではコントロールできなくて、血漿交換やIVIgを繰り返していた患者さん。そういった患者さんからウィフガートに切り替わったところでございます。そういったところなので、やはりかなりレイトステージで現状、ウィフガートが使われているところを反映していると思います。
○○先生のおっしゃった質問に対する答えになっていますでしょうか。
○○○委員
はい。おっしゃるとおりで、ですから、強調される標準的な使い方として、そんなに早期には使わないことの根拠にはあまりならないのではないのかなと思うので、今、伺ったのが大体そのような感じかなと思いました。
ありがとうございました。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了させていただきます。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
意見としては、先ほど出ましたけれども、企業の調査結果。これは企業の資料の3ページですね。これなのですが、ウィフガートは最近使えるようになったばかりなので、現状ではウィフガートが出てくる前に、多くの患者さんは当然、免疫グロブリンや血漿交換をやっているので、このデータがそういうふうになるのは当然なのだと思っていて、これを示してもあまり根拠にならないと思います。
ですから、今後、免疫グロブリンや血漿交換の前にどう使われていくのかというのは未知のところがあるのでまだ分からないのですが、もし自分が主治医だったら、やはり現時点ではまずは免疫グロブリンとかをやってみて、様子を見て、その後に使うだろうとか。しかし実際のところ、添付文書やPMDAの報告書には前にも使えるように書いてあるわけでして、それで適用を取っているわけですね。それなのに、費用対効果の検討だけ、このときだけ後に使えというのを主張するのはやはり矛盾するのではないか。それなら適用が変更されるべきではないかと思っています。
だから、基本的には公的分析を採用すべきですが、専門委員の○○先生のところでIVIgとか血液浄化療法も基本分析に加える案も出されていますけれども、それもありかなとも多少は考えます。
私の意見は以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の御意見を踏まえながら、その他の先生方、コメントはございますでしょうか。
臨床の御専門の先生方の御意見と、あと、他の先生方の御意見を伺っている範囲では、いずれにせよ、薬事承認を前提とした議論をしているわけなので、その枠組みでまずは1回議論すべきということで、科学院さんの公的分析の御提案どおりでいいのではないか。
ただ一方で、臨床実態の動向も踏まえつつ、そこは多少、不確実性が高い。まだまだ今後、流動的な話があるということですけれども、それも見るべきという御意見。これは臨床の先生方のご意見にもあったかと思いますが、それを今回は感度分析で取り扱うという整理になっていたかと思いますけれども、この枠組み全体についていかがでしょうか。
○○○委員
すみません。ちょっとよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
どうぞ。お願いします。
○○○委員
基本分析が2個ということは、普通はないと思いますがいかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、先に、そこの立てつけのところで、事務局さん、科学院から基本分析のテーマ設定についてコメントがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
費用対効果評価において、基本的に比較対照技術は1つに定めるというふうにガイドライン上は定められておりまして、2つ以上用いられた例は今までないということになります。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○○○委員
はい。よく理解しました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それを踏まえて議論させていただくと、多少、消去法的にはなりますけれども、基本分析として、科学院さん、公的分析の御提案の方法が、データの存在も含めて、現実性があるのではないかというふうに理解をしていました。先ほど免疫グロブリン療法と血漿交換の試験についても3点ほどあるというお話を伺っておりましたが、このあたりについては多分、御専門の先生方がお詳しいと思うのですけれども、まだまだ不確実性と言ったら変ですが、かなり扱いに苦慮するデータではないかと私も拝見していたところですけれども、ここについて、科学院さんから見て、コメントとかがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
Pivotal試験についてですけれども、PMDAがIVIg及び血漿交換よりも前に用いられる薬剤であると記述しているように、基本的にはPivotal試験は1次療法の患者を対象にしているものだというふうに我々は認識しています。
それから、このPivotal試験において、除外基準として6か月以内のソリリスの使用は除外基準として患者さんが除外されていますので、その点、4次療法で用いるのはなかなか難しいのではないかと感じています。
IVIg・血漿交換については、単回投与なのか、繰り返し投与なのかが不明であり、少なくとも後者の患者さんについては、Pivotal試験には除外基準等から判断すると、含まれていないものと推測されるところです。
また、背景の重症度等が類似しているという指摘もありましたが、御説明申し上げたように、治療歴等が大きく異なることから、必ずしも比較するのは難しいのではないかと認識しておりまして、以上から、科学院としては、このIVIgあるいは血漿交換等と比較するのはなかなか難しいのではないかと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の御意見を踏まえて、皆様方、先生方から何かコメントはございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
1点だけ確認させていただきたいのですけれども、基本的には今、おっしゃられた方向で全然構わないと思っているのですが、企業側も説明していたと思いますが、今回のPivotal試験が1か月以内にIVIgを使っていないような対象など、前治療に関する明確な基準はあまり設けられておらず、標準療法にこの薬あるいはプラセボを上乗せする試験になっています。
そうすれば、多分早い段階からこのお薬を使えるという主張も可能なのだと思うのですけれども、効能・効果はステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限るという括弧書きがついています。そこを本当に1次治療でこの薬が使えるというふうに考えることができるのかどうなのかの整理だけ納得したいのですが、どう考えればいいのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
このあたりについては、もし御意見があればいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○○○委員
まだ分からないですけれども、個人的な感覚というか、先にIVIgをやって、大量のIVIgが残っている後にウィフガートを使っても余分なものが邪魔する感じがあって、ある意味、ひょっとしたらウィフガートを先に使って、それから後でIVIgをやってもということは理論的にはありかなと思っていて、そういう意味では今後、今まではIVIgしかなかったような場合も、こっちが使えるのだったらこっちをやってみようかという人はいるかもしれないという、しかも一応、添付文書にはそうやって書いてあるわけですね。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがでしょうか。
○○○委員
今後の臨床実態は、使用経験を積んでいくことで、臨床的な位置づけも明らかになっていくものだと思いますが、承認直後の段階で費用対効果評価をしていかなければいけないため、実態の治験と実臨床での使用実態が乖離するときには、今後どう考えていけばいいのかという点については、整理が必要なのではと思います。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
すみません。科学院です。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、どうぞ。
○国立保健医療科学院
1点、先ほど私の説明で少し誤解を招く表現を使ってしまったのですけれども、1次療法だという言い方をしたのですが、今回の分析枠組みについてはステロイド等に上乗せをする形でウィフガートを使用する想定をしていますので、いわゆる2次治療に相当するものでして、先ほどの私の発言は失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
枠組みは委員長が言われたとおりでいいと思うのですけれども、シナリオ分析というか、感度分析に関係することで専門の先生にお伺いしたいのですが、さっき企業も血漿交換とIVIgがどっちでもいいみたいに言っていたのですけれども、私の感覚ですると、かなり血漿交換は大がかりなので、簡単に言えば、神経内科の病棟でできるのですか。血液浄化室みたいなところに移動しないとできないような気もするのです。
○○○委員
一応、神経内科の病棟、またはどこかへ行っていますけれども、感覚としてはIVIgがやはり先なのです。その後、血漿交換をやる感じで、実際には病棟に入院してくる患者もまずはIVIgをやって、いまいちだったとかという場合に血漿交換にというふうに、そうめったにないのです。
○○○委員
ですから、IVIgをやって、次、この薬にやるとかということで、どうですか。血漿交換をやって、効かないからここになるのはあまりないような気がするのです。
○○○委員
それはないと思います。むしろ、IVIgをやって、ウィフガートをやってみるという、それはあるかもしれませんというか、ありうるシナリオと思います。
○○○委員
何を細々言っているかというと、恐らくそのときの費用計算で相当違うのではないか、凍結血漿も高いでしょうし、それを比較対照にすることになると、IVIgと血漿交換どっちでもいいみたいなモデルになると何かおかしいかなと思って伺いました。
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
大体、意見は出尽くしたのかなと思います。
先生方の御意見、私なりの解釈ですと、やはり基本分析としては薬事承認の部分を保守的にでも前提として分析を始めるということで、あとは感度分析で今、論点として上がってきていて、なおかつまだまだ不確実性が高く、将来、どうなるか分からない臨床実態についてチェックするというお話なのかなと思っております。
そこにデータがあるかどうかという話についてはまた今後の議論になろうかと思いますけれども、この感度分析を実施するに当たって特段留意すべき点がもしあれば先生方からコメントいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
科学院さんの今のお考えとか、もしくは事務局さんで追加のコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
科学院です。
特にIVIg等との比較については非常にエビデンスの乏しい、エビデンスというのはRCTの乏しい世界ですので、少し慎重にシステマチックレビュー等をやりながら進めさせていただければと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
事務局さんはいかがでしょうか。ありますか。
○事務局
事務局でございます。
企業分析が行われ、その後、公的分析の検証結果もそろえて議論され、その際にこのIVIgの位置づけ等も検証されながら議論されることになるかと存じます。その際、必要に応じて追加分析等ということもあり得ると考えられますが、引き続き御議論をいただければと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
これから具体的に分析していただいた結果を踏まえて、さらにまた論点とか議論が出てきたものに対しては追加分析の可能性もあるというお話であったかと思います。不確実性が高い状況ですので、一旦試行した結果を見て、また、この組織で議論し、必要なものをまた追加される可能性もあるという整理で、科学院さんも含めて公的分析のほうも議論を進めておいていただければと考えておりますが、そういう形でよろしいでしょうか。
科学院さんは宜しいですね。
○国立保健医療科学院
はい。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、御意見はいかがでしょうか。全体を通して、この品目についてございますでしょうか。
よろしいですね。
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、ウィフガート点滴静注に関する費用対効果評価については、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みについて、専門組織で決定された分析枠組みのとおりとするということであります。
また、感度分析の取扱いについては、感度分析の結果を踏まえつつ、先ほども少しコメントがございましたけれども、総合的評価案を検討する際に、改めて追加分析の必要性も含めて検討する形にさせていただきたいと思います。
そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
続きまして、前回、先生方に御議論いただきましたウィフガート点滴静注について、その分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論をいただきたいと思います。
まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方、準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みに対する企業からの不服意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いします。それでは、説明させていただきます。
お手元に資料があるかと思うのですけれども、まず、今、2ページ目ですが、前回御提示いただいた専門組織前の分析案、比較対照技術をプレドニゾロン・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とすることは適切ではなく、前回提示した企業案、IVIg・血漿交換、エクリズマブを比較対照技術とすべきであることを再主張させていただきたいと思います。
不服意見を出すことにした背景・経緯は2つありまして、1つ目は選定したアルジェニクス案を裏づける新たな情報として企業調査結果とPivotal試験情報があること、もう一つはアルジェニクス案の説明が十分に伝わっていなかったためと思われますが、公的分析の提案及び7月22日の専門組織の根拠が妥当性に欠けることです。
新たに企業案の適切性を裏づける企業調査の結果及びPivotal試験の情報を準備いたしましたので、まず、こちらから説明させていただきたいと思います。3ページ目に行きます。
ウィフガートは5月9日に発売が開始されましたが、その発売後から7月下旬にかけてウィフガートを処方した医師に対して行った企業調査の結果を示しております。これはウィフガートの前治療がどのような使用だったか。すなわち、どのような治療からウィフガートへ置き換わったかを示しております。
最も多いのは、この円グラフで示しておりますが、IVIg、免疫グロブリン療法。次いで、PLEX、血漿交換。その次に、エクリズマブ。こういった順でございました。そして、この3つの治療の合計は87%になります。つまり、ウィフガート投与開始患者の約90%がIVIgや血漿交換、ソリリスから置き換わっていることを示しております。
比較対照技術の専門組織案は、ステロイド少量・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼセラーズ阻害薬とされましたが、これらの経口薬からウィフガートへの置き換わりは、赤いところで示しました、実際には全体の2%であり、ウィフガートはIVIgなどより早い段階で使用すると考えられると記載されました専門組織での意見は実情を反映しておりません。本データが示すように、企業案がより比較対照技術に適切であることが言えます。
次の4ページへ行ってください。
先ほど申し上げたとおり、専門組織からの御提案は、実際の臨床の場では貴重な集団である2%でありました。作用機序から考えても、プレドニゾロンや免疫抑制剤はアセチルコリン受容体に対する自己抗体の産生や運動終板の膜破壊などの炎症を抑制し、免疫全体を抑える治療です。一方、ウィフガートは血漿中の病原性IgG自己抗体を減らすことなので、それと同じ作用機序の血漿交換とかIVIgが比較対照技術にならないのは不自然と考えます。
したがいまして、ここの表にありますとおり、企業案を感度分析ではなく、基本分析にし、専門組織案を基本分析ではなく感度分析にすることを提案させていただきます。
次の5ページへ行ってください。
また、専門組織では「企業の治験データと、企業説明による臨床実態での使用方法が乖離」との指摘がありましたが、Pivotal試験では、ウィフガート投与開始時点の1か月前までにIVIg治療がある患者さんが、この黄色でハイライトしておりますが、一番右側の段を見ていただきたいのですけれども、26.4%で、血漿交換治療歴がある患者さんが40.3%含まれており、先ほどお示しした企業調査と同様に、これらの治療がウィフガート投与前に実施されております。
これらのことから、先ほどお示しした企業調査と同様の結果になっており、治験データと実臨床での使用は乖離しないと言えます。
7ページをお願いします。これまでのまとめです。
本日お示しした新たな情報は、①で、実臨床では、約90%の症例がIVIgや血漿交換からウィフガートへ移行している。②で、Pivotal試験でも同様に多くがIVIgや血漿交換の後にウィフガートを使用している。この2点で、これは、ウィフガートは1次治療ではなく、3次治療以降から置き換わることを裏づけています。
したがって、比較対照技術はステロイド・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などの1次治療ではなく、IVIg・血漿交換・ソリリスが適切であると考えます。
次の8ページへ行ってください。次に、アルジェニクス案を十分に伝えられなかったため、公的分析の提案及び7月22日の専門組織の根拠が妥当性に欠ける点についてです。
専門組織の決定事項における「比較対照技術を選定した理由」では1次~2次治療を想定としておりますが、重症筋無力症の御専門の先生であり、ガイドライン編集の副委員長である○○先生は、ウィフガートは4次治療と同じ位置づけと説明されております。
また、比較対照技術を選定した理由において、エフガルチギモドアルファは上記の比較対照技術へ上乗せ、あるいは免疫グロブリン療法、IVIgや血漿交換の代替として用いられることが想定されると記載されていますが、これまで説明してきたように、ウィフガートは3次治療以降の代替として用いられることが想定されており、実際に本日の3ページ目の資料で提示した情報がこのことを裏づけております。
また、ウィフガートの添付文書では、ウィフガートの使用は「ステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る」と記載があります。すなわち、1次治療が奏効しない場合に使用することが想定されているIVIg・血漿交換・ソリリスの代替療法になるわけで、比較対照技術が1次治療であるはずがありません。
10ページ目を御覧ください。
さらに、専門組織での御意見として、作用機序や副作用が異なることからウィフガートはソリリスと横並びで使われるものではないとの御指摘がありました。もし作用機序の類似性を根拠に考察を行うのであれば、専門組織が決定した比較対照技術のプレドニゾロンや免疫抑制剤などの経口薬は、アセチルコリン受容体に対する自己抗体の産生や運動終板の膜破壊などの炎症を抑制し、炎症全体を抑える治療であることから、ウィフガートとは作用機序も異なります。
また、血漿中のIgGを低下させて病原性の自己抗体の働きを弱めるウィフガートの作用機序はIVIgや血漿交換も同様であり、最も適した比較対照技術と言えます。
11ページ目を御覧ください。
ここでは参考までに各治療技術の作用機序と副作用をまとめましたので、御参照ください。
12ページ目を御覧ください。
比較対照技術はプレドニゾロン・免疫抑制剤・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の経口剤であるべきで、企業案は感度分析を行うべきという専門組織案は、実臨床、治療ガイドライン、添付文書の視点からは適切ではないと考えます。実際の治療を考えると、企業案のほうがベース分析にして、専門組織案を感度分析にすべきと考えます。
最後、13ページ目を御覧ください。企業案の分析枠組みを再度記載しました。
企業案の比較対照技術は2種類、この「比較対照技術」にオレンジで書かれた①は上記の分析対象集団のA)に対する比較対照技術で、オレンジの部分で書かれた②のIVIgあるいはPLEX、血漿交換の年4回以上の反復。こちらは上記の分析対象集団であるB)とC)に対する比較対照技術になります。
以上、企業案の再検討をよろしくお願い申し上げます。
なお、本日の説明資料にはありませんが、企業案に基づく分析可能な臨床試験、文献について提示するという内容の照会をいただいておりましたので、それについて少し申し上げます。回答は昨日提出させていただいております。
ただ、ガイドラインに従えば、分析の中でシステマチックレビューを行って比較可能性を検討することになっております。一方で、今回の照会は分析前の段階で比較可能性を検討する内容と理解しております。すなわち、比較対照技術を検討・決定するには。
○事務局
事務局でございます。
時間ですので、説明を終了してください。
○意見陳述者
分かりました。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
比較対照試験、データがあるかどうかは結構重要な話なので、もしよろしかったら企業さん、先ほど途中で説明をやめられましたものについて、少し簡単に御説明いただいてもよろしいでしょうか。特に免疫グロブリン療法とか血漿交換との分析可能性などについてのデータソースがあるかどうかというあたりについてですけれども、いかがでしょうか。
○意見陳述者
では、こちらのところは、○○さん、お願いできますでしょうか。
○意見陳述者
○○と申します。私から御説明させていただきます。
月曜日に御照会いただきまして、調べさせていただきました。まだ簡単に検索をし始めたところでは非常に多くの文献がございましたので、システマチックレビューを行うには至っておりませんので、Targeted literature reviewを行わせていただきました。
そこで3件、3件といいますのは、ウィフガートのPivotal試験とソリリスのPivotal試験、それから、IVIg・PLEXを比較する試験を見つけまして、そちらの患者さんの重症度をQMGスコアという疾患特異的な重症度スコアの分布と、それから、組入れ前のIVIg・PLEXを使用されていた患者さんの割合として比較してみました。
お手元にその照会の御回答結果をお持ちなのかどうか、私、把握していないのですけれども、もしお持ちでしたら御覧になっていただけましたら比較可能であることは見ていただけるかなと思います。
ただ、もちろん、まだ正式なネットワークメタアナリシスを行っておりませんので、どの程度、不確実性があるかですとか一貫性がどの程度かはこれから分析を行った上で見ていくことになると思いますけれども、今、そちらの数字を見た上では比較可能性は十分期待できるレベルにあると思います。
それで、今、TLRを行った時点で3件の文献ですけれども、そういう結果が認められておりますので、今の段階で比較可能性はないと判断するのは非常に短絡的な結論になってしまうかなと思いますので、こちらとしては比較可能性は十分あると判断しまして、そのように御回答させていただきました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の点も含めて、先生方、いかがでしょうか。御質問はございませんでしょうか。
○○○委員
今回、比較対照技術を何に設定するかという点に関して、治験で実施されたプラセボ対照比較試験における対象集団と、企業側が提案している治療体系での投与対象集団が異なることに懸念がありますが、比較可能性が担保できるようなエビデンスがある程度には存在していることは確認させていただけたと思っています。ただし、やはり提案されている治療ラインにおける投与対象に対してのエビデンスが十分かどうかについては今後の分析の中でも検討していく必要はあるのだろうと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○○○委員
すみません。○○からよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
すみません。企業の説明は一定合理的だと思うのですけれども、PMDAの審査報告書でウィフガートは免疫グロブリン及び血液浄化療法よりも前に用いられる薬剤という記述があるのは事実なわけですね。それが間もなく実臨床ではどんどん置き換わってしまっているというお考えでよろしいでしょうか。
○意見陳述者
まず、1つ目なのですけれども、添付文書の記載の方法は、IVIgや血漿交換の前に使いなさいとは書いておりません。あくまでも免疫抑制剤やステロイドに不応な患者さんに使ってくださいということなので、一般的に血漿交換や免疫抑制剤との経口薬に対して効果が弱い方が血漿交換やIVIgやソリリスという方向に行きます。
ウィフガートがIVIgや血漿交換の前に使うことは一言も書いていないことだけ先にとどめさせてください。
それで、置き換わっていくところですけれども、確かに今のところ、やはり先生方はウィフガートの安全性等がまだデータが少ないので、使い慣れているIVIgや血漿交換を実施した後に、それでも効果がない方にウィフガートを投与されている事実があるかと思います。
○○先生、この点に関して補足いただけないでしょうか。
○意見陳述者(専門家)
○○ですけれども、御質問ありがとうございます。
臨床の立場から言うと、このステロイドとか免疫抑制剤を、ウィフガートを使うことによって全く使用しなくなる、置き換わることはないのではないかと思います。やはりステロイドとか免疫抑制剤を使って、免疫全体、抗体産生を抑制したりとか、あと、膜破壊、炎症を抑えたりとか、そういうことが大事ですので、あくまでもウィフガートは血液中の自己IgGを低下させるだけの治療なので、そこは置き換わってしまうことはないと思います。
ですので、作用機序からも、先ほど述べたように、ウィフガートは本当に特殊な、人工的に作った免疫グロブリンのまだFc部分をIVIgしているような、静注しているようなものなので、ほとんど機序的にはIVIgと同じ機序で胎児性Fc受容体のリサイクリングを効率よく抑制してIgGを低下させる機序なので、やはり私もどんなに考えても技術対象はIVIgとか血漿交換になるのではないかと思います。
以上です。
○意見陳述者
すみません。補足させていただいてもよろしいでしょうか。
○○先生が御指摘された審査報告書ではもっと前の段階での使用が実際に記載されてしまっているということなのですけれども、こちらは前回の専門組織でも簡単に御回答させていただいたとおり、当時がそういうふうに使われたらいいなという企業側の期待もあったことはお伝えしたことがあったかと思います。
ただ、実際、その後にガイドラインが発表されまして、その中で分子標的薬の位置づけが、その前ですか。ウィフガートは明記されていなかったのですけれども、ただ、ウィフガートが分子標的薬であることははっきりしていますし、分子標的薬の使われ方がガイドラインの中ではっきりしましたので、先ほど○○先生がおっしゃったように、ウィフガートの使われ方はこれからより実臨床に浸透していくのかなと思います。
その中で、より早い使われ方が当初、企業が期待していたような考え方は実臨床で実態としては上書きされていって、3次治療、4次治療で使われていくことになるのかなと思っております。実際、それが数字で表れたのが先ほど企業の新しい数字として、実臨床の実態としてどう使われているかという数字に表れているということなのかなと理解しております。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいですか。
○○○委員
はい。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○委員、どうぞ。
○○○委員
今の点なのですけれども、PMDAの審査報告書の中で、企業側の主張として早期の段階から使われる薬剤であると議論されており、さらに審査報告書の本剤の使用や位置付けについてPMDAは、現状、IVIgや血液浄化療法には長年の使用経験があり、その有効性・安全性も確立している治療なので、この医薬品が承認された後もまずはIVIgや血液浄化療法が使われる可能性が高いと考察されています。一方で、本剤薬もある程度の使用経験が蓄積されるとIVIg等よりも先に使用される可能性もあることまで議論されています。
医療現場の中でこの医薬品の位置づけに関しては、今後、ガイドライン等々で整備されていくものだと理解することはできます。ただし、1点だけ気になるのが、4次治療のソリリスと同じ扱いになるという点に関しては、今回の分析において少し懸念があります。というのは、ソリリスの効能・効果と本剤の効能・効果は全然違う点です。この違いがあるにも関わらず、今後、ガイドラインで整理できるのか、この違いがあることに対して企業として何かすべき点とか、何かお考えはあるのでしょうか。
つまり、ソリリスと同じとしても、ソリリスはIVIg、血液浄化療法でも効果が不十分な場合に使える薬剤ですが、本剤にはそこまでの縛りはないので、そこの効能・効果の違いに関してどうお考えなのかをお聞きしたいのです。
○意見陳述者(専門家)
私のほうからいいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○先生からお願いします。
○意見陳述者(専門家)
ソリリスは、今、おっしゃられたとおりに、何をやっても効かない、血漿交換とかIVIgをしてもなかなか日常生活が送れないような超重症例に関して膜破壊を抑え込んで治療する治療法ですので、今のウィフガートとは全然、作用機序が違います。
ですので、今後恐らくウィフガートの使い方はどういうふうに、今、臨床の現場では暗中模索されているのだと思うのですけれども、先生がおっしゃられたように、まずは今まで使ってきたIVIgとか血漿交換を使ってみて、年に1~2回使って収まるのだったらそれでいいのかなという感じで、それを3回、4回もするとなかなか仕事もできない状況に陥るような人で、外来でできるウィフガートが十分活用されていくのではないかという印象です。
もちろん、作用機序が違うので、やはり軽症でもソリリスを使えばそれなりの外来でできる、入院しなくても血漿交換ではなくてもできる利点はあると思いますので、いかんせん、ただ、いまだ高額な薬ですので、やはりその辺は慎重に、安全性もまだ世界中でも何百例ぐらいの症例しかないと思いますので、その辺を確認しながら使って広がっていくのではないかと推測しております。
○意見陳述者
すみません。企業側から、今の○○先生の質問に対して、企業としてなのですけれども、多くの専門の先生がIVIgや血漿交換に行く患者さんにはウィフガート投与の対象になるねということをよくおっしゃいます。○○先生がおっしゃったように、やはり作用機序が似ておりますので、そういった点から専門の先生はそうやっておっしゃってくださっていると思います。
なので、企業としては、まだやはり本当に数百例しか使われていないので、その安全性情報をしっかりと集めて、IVIgや血漿交換に比べてどれだけ安全性が担保できるか。そういったところを企業としてはしっかりと先生方に提示していく。それによってまた使われる順番が変わってくるかどうかはまだ分からないのですけれども、企業としてやるべきところはそういった努力かと思っています。
○○○委員
この医薬品の実臨床での使用状況によって、今後変わってくるでしょうし、市販後にどういうエビデンスが構築されていくかによってもまた変わってくるところは理解はしています。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
○○○委員
先生、よろしいですか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
今回、不服意見の大きな根拠となっている専門家への調査ですけれども、定量的なものとして非常に少ないという、初めから使うのは、早く使うのは少ないと言われるのですが、要は調査した時点で既に血漿交換やIVIgをしたことがあることが反映されているのではないでしょうか。
何を申し上げているかというと、今、2つのことを一緒に混ぜておっしゃっていて、臨床の先生に聞くとそんなに早く使う薬ではないと言われるということを今、強調されたのですけれども、あれはそれではなくて、実際にあの時点で既に血漿交換やそういうことをしている人がこれぐらいということではないのでしょうか。違いますでしょうか。
○意見陳述者
実際にはかなり病態が進んでおり、経口剤ではコントロールできなくて、血漿交換やIVIgを繰り返していた患者さん。そういった患者さんからウィフガートに切り替わったところでございます。そういったところなので、やはりかなりレイトステージで現状、ウィフガートが使われているところを反映していると思います。
○○先生のおっしゃった質問に対する答えになっていますでしょうか。
○○○委員
はい。おっしゃるとおりで、ですから、強調される標準的な使い方として、そんなに早期には使わないことの根拠にはあまりならないのではないのかなと思うので、今、伺ったのが大体そのような感じかなと思いました。
ありがとうございました。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了させていただきます。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
(意見陳述者退室)
○事務局
事務局でございます。
企業の方が退室されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
○○○委員
意見としては、先ほど出ましたけれども、企業の調査結果。これは企業の資料の3ページですね。これなのですが、ウィフガートは最近使えるようになったばかりなので、現状ではウィフガートが出てくる前に、多くの患者さんは当然、免疫グロブリンや血漿交換をやっているので、このデータがそういうふうになるのは当然なのだと思っていて、これを示してもあまり根拠にならないと思います。
ですから、今後、免疫グロブリンや血漿交換の前にどう使われていくのかというのは未知のところがあるのでまだ分からないのですが、もし自分が主治医だったら、やはり現時点ではまずは免疫グロブリンとかをやってみて、様子を見て、その後に使うだろうとか。しかし実際のところ、添付文書やPMDAの報告書には前にも使えるように書いてあるわけでして、それで適用を取っているわけですね。それなのに、費用対効果の検討だけ、このときだけ後に使えというのを主張するのはやはり矛盾するのではないか。それなら適用が変更されるべきではないかと思っています。
だから、基本的には公的分析を採用すべきですが、専門委員の○○先生のところでIVIgとか血液浄化療法も基本分析に加える案も出されていますけれども、それもありかなとも多少は考えます。
私の意見は以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の御意見を踏まえながら、その他の先生方、コメントはございますでしょうか。
臨床の御専門の先生方の御意見と、あと、他の先生方の御意見を伺っている範囲では、いずれにせよ、薬事承認を前提とした議論をしているわけなので、その枠組みでまずは1回議論すべきということで、科学院さんの公的分析の御提案どおりでいいのではないか。
ただ一方で、臨床実態の動向も踏まえつつ、そこは多少、不確実性が高い。まだまだ今後、流動的な話があるということですけれども、それも見るべきという御意見。これは臨床の先生方のご意見にもあったかと思いますが、それを今回は感度分析で取り扱うという整理になっていたかと思いますけれども、この枠組み全体についていかがでしょうか。
○○○委員
すみません。ちょっとよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
どうぞ。お願いします。
○○○委員
基本分析が2個ということは、普通はないと思いますがいかがでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、先に、そこの立てつけのところで、事務局さん、科学院から基本分析のテーマ設定についてコメントがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
費用対効果評価において、基本的に比較対照技術は1つに定めるというふうにガイドライン上は定められておりまして、2つ以上用いられた例は今までないということになります。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○○○委員
はい。よく理解しました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それを踏まえて議論させていただくと、多少、消去法的にはなりますけれども、基本分析として、科学院さん、公的分析の御提案の方法が、データの存在も含めて、現実性があるのではないかというふうに理解をしていました。先ほど免疫グロブリン療法と血漿交換の試験についても3点ほどあるというお話を伺っておりましたが、このあたりについては多分、御専門の先生方がお詳しいと思うのですけれども、まだまだ不確実性と言ったら変ですが、かなり扱いに苦慮するデータではないかと私も拝見していたところですけれども、ここについて、科学院さんから見て、コメントとかがあればいただけますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
Pivotal試験についてですけれども、PMDAがIVIg及び血漿交換よりも前に用いられる薬剤であると記述しているように、基本的にはPivotal試験は1次療法の患者を対象にしているものだというふうに我々は認識しています。
それから、このPivotal試験において、除外基準として6か月以内のソリリスの使用は除外基準として患者さんが除外されていますので、その点、4次療法で用いるのはなかなか難しいのではないかと感じています。
IVIg・血漿交換については、単回投与なのか、繰り返し投与なのかが不明であり、少なくとも後者の患者さんについては、Pivotal試験には除外基準等から判断すると、含まれていないものと推測されるところです。
また、背景の重症度等が類似しているという指摘もありましたが、御説明申し上げたように、治療歴等が大きく異なることから、必ずしも比較するのは難しいのではないかと認識しておりまして、以上から、科学院としては、このIVIgあるいは血漿交換等と比較するのはなかなか難しいのではないかと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の御意見を踏まえて、皆様方、先生方から何かコメントはございますでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
1点だけ確認させていただきたいのですけれども、基本的には今、おっしゃられた方向で全然構わないと思っているのですが、企業側も説明していたと思いますが、今回のPivotal試験が1か月以内にIVIgを使っていないような対象など、前治療に関する明確な基準はあまり設けられておらず、標準療法にこの薬あるいはプラセボを上乗せする試験になっています。
そうすれば、多分早い段階からこのお薬を使えるという主張も可能なのだと思うのですけれども、効能・効果はステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限るという括弧書きがついています。そこを本当に1次治療でこの薬が使えるというふうに考えることができるのかどうなのかの整理だけ納得したいのですが、どう考えればいいのでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
このあたりについては、もし御意見があればいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○○○委員
まだ分からないですけれども、個人的な感覚というか、先にIVIgをやって、大量のIVIgが残っている後にウィフガートを使っても余分なものが邪魔する感じがあって、ある意味、ひょっとしたらウィフガートを先に使って、それから後でIVIgをやってもということは理論的にはありかなと思っていて、そういう意味では今後、今まではIVIgしかなかったような場合も、こっちが使えるのだったらこっちをやってみようかという人はいるかもしれないという、しかも一応、添付文書にはそうやって書いてあるわけですね。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがでしょうか。
○○○委員
今後の臨床実態は、使用経験を積んでいくことで、臨床的な位置づけも明らかになっていくものだと思いますが、承認直後の段階で費用対効果評価をしていかなければいけないため、実態の治験と実臨床での使用実態が乖離するときには、今後どう考えていけばいいのかという点については、整理が必要なのではと思います。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
すみません。科学院です。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、どうぞ。
○国立保健医療科学院
1点、先ほど私の説明で少し誤解を招く表現を使ってしまったのですけれども、1次療法だという言い方をしたのですが、今回の分析枠組みについてはステロイド等に上乗せをする形でウィフガートを使用する想定をしていますので、いわゆる2次治療に相当するものでして、先ほどの私の発言は失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、お願いします。
○○○委員
枠組みは委員長が言われたとおりでいいと思うのですけれども、シナリオ分析というか、感度分析に関係することで専門の先生にお伺いしたいのですが、さっき企業も血漿交換とIVIgがどっちでもいいみたいに言っていたのですけれども、私の感覚ですると、かなり血漿交換は大がかりなので、簡単に言えば、神経内科の病棟でできるのですか。血液浄化室みたいなところに移動しないとできないような気もするのです。
○○○委員
一応、神経内科の病棟、またはどこかへ行っていますけれども、感覚としてはIVIgがやはり先なのです。その後、血漿交換をやる感じで、実際には病棟に入院してくる患者もまずはIVIgをやって、いまいちだったとかという場合に血漿交換にというふうに、そうめったにないのです。
○○○委員
ですから、IVIgをやって、次、この薬にやるとかということで、どうですか。血漿交換をやって、効かないからここになるのはあまりないような気がするのです。
○○○委員
それはないと思います。むしろ、IVIgをやって、ウィフガートをやってみるという、それはあるかもしれませんというか、ありうるシナリオと思います。
○○○委員
何を細々言っているかというと、恐らくそのときの費用計算で相当違うのではないか、凍結血漿も高いでしょうし、それを比較対照にすることになると、IVIgと血漿交換どっちでもいいみたいなモデルになると何かおかしいかなと思って伺いました。
ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員、いかがでしょうか。
大体、意見は出尽くしたのかなと思います。
先生方の御意見、私なりの解釈ですと、やはり基本分析としては薬事承認の部分を保守的にでも前提として分析を始めるということで、あとは感度分析で今、論点として上がってきていて、なおかつまだまだ不確実性が高く、将来、どうなるか分からない臨床実態についてチェックするというお話なのかなと思っております。
そこにデータがあるかどうかという話についてはまた今後の議論になろうかと思いますけれども、この感度分析を実施するに当たって特段留意すべき点がもしあれば先生方からコメントいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
科学院さんの今のお考えとか、もしくは事務局さんで追加のコメントがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
科学院です。
特にIVIg等との比較については非常にエビデンスの乏しい、エビデンスというのはRCTの乏しい世界ですので、少し慎重にシステマチックレビュー等をやりながら進めさせていただければと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
事務局さんはいかがでしょうか。ありますか。
○事務局
事務局でございます。
企業分析が行われ、その後、公的分析の検証結果もそろえて議論され、その際にこのIVIgの位置づけ等も検証されながら議論されることになるかと存じます。その際、必要に応じて追加分析等ということもあり得ると考えられますが、引き続き御議論をいただければと考えております。
以上でございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
これから具体的に分析していただいた結果を踏まえて、さらにまた論点とか議論が出てきたものに対しては追加分析の可能性もあるというお話であったかと思います。不確実性が高い状況ですので、一旦試行した結果を見て、また、この組織で議論し、必要なものをまた追加される可能性もあるという整理で、科学院さんも含めて公的分析のほうも議論を進めておいていただければと考えておりますが、そういう形でよろしいでしょうか。
科学院さんは宜しいですね。
○国立保健医療科学院
はい。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、御意見はいかがでしょうか。全体を通して、この品目についてございますでしょうか。
よろしいですね。
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、ウィフガート点滴静注に関する費用対効果評価については、ウィフガート点滴静注に係る分析枠組みについて、専門組織で決定された分析枠組みのとおりとするということであります。
また、感度分析の取扱いについては、感度分析の結果を踏まえつつ、先ほども少しコメントがございましたけれども、総合的評価案を検討する際に、改めて追加分析の必要性も含めて検討する形にさせていただきたいと思います。
そういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。