2025年8月19日 第201回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和7年8月19日(火) 14:00~16:00

場所

AP新橋 Dルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス 4階)

出席者

公益代表委員
安藤委員、川田委員、神吉委員、黒田委員、首藤委員、原委員、水島委員、山川委員
労働者代表委員
亀田委員、櫻田委員、椎木委員、冨髙委員、春川委員代理、藤川委員、古川委員、松田委員
使用者代表委員
鬼村委員、佐久間委員、佐藤委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員、松永委員
事務局
岸本労働基準局長、尾田審議官(労働条件政策、働き方改革担当)、松下総務課長、川口労働条件政策課長、西海監督課長、田邉労働条件確保改善対策室長、中島労働条件政策課長補佐、来嶋企画調整専門官、下田労働条件企画専門官

議題

(1)「社会保険労務士法の一部を改正する法律(令和7年法律第77号)」の成立等について(報告事項)
(2)労働基準関係法制について

○山川分科会長 それでは、時間になりましたので、ただいまから第201回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日の分科会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方の開催とさせていただいております。
 本日の委員の御出欠ですが、労働者代表の水野和人委員が御欠席と伺っておりますけれども、代理として情報産業労働組合連合会書記長の春川徹様に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 また、議事に入ります前に、事務局に異動がございましたので、紹介をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 総務課長の松下でございます。
 監督課長の西海でございます。
 労働条件政策課長の川口でございます。
 労働条件確保改善対策室長の田邉でございます。
 事務局からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 カメラ撮りがございましたら、ここまでとさせていただきます。
 では、本日の議題に入ります。
 まず、議題(1)は「『社会保険労務士法の一部を改正する法律(令和7年法律第77号)』の成立等について(報告事項)」ということでございます。
 では、事務局から資料№1と資料№2について説明をお願いいたします。
○監督課長 監督課長でございます。では、2点、報告事項について御説明させていただきます。
 まず、資料№1についてでございます。先の通常国会におきまして、議員立法によりまして、社会保険労務士法の一部を改正する法律が成立しております。その概要について御説明させていただきます。
 この法律の概要につきまして、大きく4点ございます。
 まず1点目が、第1のところでございますけれども、第1条に社会保険労務士法の目的規定を定めておりました。この規定につきまして、資料記載のとおり、社会保険労務士の使命に関する規定を新たに設けるという改正を行っているのが1点目でございます。
 そして、2点目でございます。社会保険労務士の業務に関する規定でございますけれども、労働や社会保険に関する相談や指導を行うということが社会保険労務士の業務として規定されておりますところ、その業務について、法令や労働協約、就業規則及び労働契約の遵守の状況を監査することについても、この業務に含まれるということを明記するという改正でございます。
 そして、3点目でございます。社会保険労務士は、裁判所におきまして補佐人として弁護士と共に出頭し陳述することができるとされております。この弁護士の地位につきまして「訴訟代理人」を「代理人」に改めるという改正を行っております。これによりまして、訴訟の場面だけではなく、労働審判や民事調停の場面でも社会保険労務士が出頭し陳述することができるということを明記したものでございます。
 そして、4点目でございます。名称の使用制限に関する規定でございまして、社会保険労務士でない者は社会保険労務士、またはこれに類似する名称を用いてはならないという規定が置かれておりました。この例示の中に「社労士」が含まれるということを明記するという改正でございます。
 以上、4点についてがこの法律改正の概要でございます。
 続きまして、資料2について御説明させていただければと思います。「労働基準法等に基づく届出等に係る電子申請の状況について」の御報告でございます。
 1ページ目の左側を御覧いただければと思います。政府全体といたしまして、様々な手続のオンラインの利用率を向上させていこうということで取り組んでおりまして、労働基準法に関します届出につきましては、年間10万件以上の手続を対象として取組を進めております。
 具体的には、この左側の「背景」のところの2ポツ目にございます、時間外労働・休日労働に関する協定届、いわゆる36協定の届出、それから、就業規則届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届。これら3つの届出について、電子申請利用率の向上を図っております。
 4つ目のポツにございますとおり、現在、令和8年度までにこの電子申請利用率を50%まで引き上げていくことを目標として取り組んでいるところでございます。
 右側が、電子申請利用率向上に向けて、システムの利便性を向上させていくという取組を行っておりまして、その御紹介でございます。
 1つ目のポツが令和6年度、既に行った取組でございますけれども、労働条件ポータルサイトにつきまして改修を行っております。届出の内容が各事業場で異なる場合であっても本社で一括して届出ができるように改修を行っております。また、本社一括届出の事業場一覧ファイルの添付誤りですとか管轄の労働基準監督署の入力誤りといったものを防止するような機能を実装しております。
 そして、2ポツ目が令和7年度、今年度の取組でございますけれども、新たに建設、自動車運転者及び医師に関する時間外労働・休日労働に関する協定届につきましても、このポータルサイトの対象手続として加えていく改修を行うといったことを予定してございます。
 2ページ目を御覧ください。こちらがこれまでの電子申請利用率の推移でございまして、左下のグラフを御覧いただきますと、赤い折れ線グラフが3つの手続の合計の電子申請利用率を示してございます。令和6年が38.1%ということで、令和5年から見ますと6.7%上がっております。
 ほかに、3つの手続につきましても数値をお示ししておりますけれども、ばらつきはあるものの、いずれの手続も年を経るごとに利用率が上がってきているということでございます。
 引き続き、先ほど申し上げたような利便性の向上を図りながら、電子申請利用率の向上を図ってまいりたいと考えております。
 資料1と資料2の御説明につきましては以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見等があればお願いいたします。
 オンライン参加の皆様におかれましては、御発言の希望がありましたらチャット機能でお知らせいただければと思います。
 御質問、御意見等はございますでしょうか。
 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。電子申請についてコメントいたします。
 資料2の2ページ、過去5年の電子申請利用率の推移を見ますと、就業規則(変更)届の52.0%を筆頭に、電子申請利用率は飛躍的に上昇しています。数%にとどまっていた2020年に比べると隔世の感があり、この間の厚生労働省の御尽力に感謝申し上げます。令和6年度のシステム改修で届出の内容が各事業場で異なる場合でも本社一括届出を可能にしていただいたことも利用企業の拡大につながったと理解しています。
 その上で、電子申請のその先の話をさせていただきたいと思います。使用者が行政機関に対して電子的に届け出た情報をAIなども用いながら分析・活用すれば、政策の企画立案や、指導監督の効率化・高度化に資すると考えています。例えば、36協定の締結当事者が過半数代表者である場合に、どのような選出方法が用いられているかを把握して公表することや、特別条項により延長できる時間外労働・休日労働の時間数と、限度時間を超えて労働させる場合の手続を比較することで、過半数労働組合によるチェック機能が働くほど延長可能な時間数が短いといった傾向の有無を確認できるのではないかと思います。
 また、AIを用いれば、法令に準拠していない内容の就業規則を瞬時にチェックすることも可能ですので、そうした様々な活用方法が考えられるのではないかと思います。将来的に行政手続の電子申請率が一層高まれば、現在、厚生労働省が一部の事業場を対象に労働時間制度等統計調査をされていますが、全数調査に近い形で制度導入率の実態を把握することも可能になるのではないかと思います。
 このように、デジタル技術とデータを活用した行政のDXを目指す上で、電子申請の普及促進は非常に重要です。厚生労働省におかれましては、業種や規模別の電子申請率を把握した上で、ターゲットを絞った周知・広報や、電子申請の利用に際しての課題の抽出と対策、とりわけ、きめ細かい企業支援などを通じて、一層の電子申請率の向上に取り組んでいただきますよう、お願い申し上げます。
 私からは以上です。
○山川分科会長 御意見のほか、御提案も含めまして、ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、椎木委員、お願いします。
○椎木委員 椎木でございます。御指名ありがとうございます。今、鈴木委員から御発言いただきました電子申請の関係について発言したいと思います。
 まずもって、労基法等に関する届出についての電子化の動き自体は、労働側としても理解をするところでございます。ただ、その届出をする前提となる事業場ごとでの丁寧な労使協議、あるいは過半数労働組合等との適正な手続が必要なことは、電子化されたとしても変わりないと思います。この部分について、電子化によって、そうした協議等がしっかりなされなくなるようになるのでは本末転倒であると考えております。電子化を進めると同時に、しっかりと適正な手続を取られているかどうか、日常的な指導監督の中でしっかり確認等をしていただきたいと思います。
 さらに、事業場ごとに異なる内容でも本社で一括して可能になったという点について、それによる影響等々はやはり生じると思います。この点についても、しっかり影響などについて把握いただき、この分科会で御報告も頂きたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 御意見ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 ありがとうございます。社労士法について2点ほど御意見申し上げたいなと思います。
 今回の改正法につきまして、社労士の業務の明確化を図るというものだと思っておりますけれども、やはりいまだに社労士による正常な労使関係を損なうような行為というものは存在しているということを考えますと、労働者保護の視点で2つほど懸念があると思っております。まず1点目でございますけれども、労務監査に関する業務の明記について、社労士試験には労働組合法などの科目がないため、労務監査を実施し得る知識について、本当に社労士が十分に有しているのかというところに若干疑義があると思っております。一部の社労士の問題行動が、「労務監査」として正当化されるおそれがあるのではないかという点をまず懸念しているということです。
 2つ目なのですけれども、社労士が労働審判手続において補佐人として出廷できる旨も明確になるということだと思います。社労士による団体交渉への不当介入というものが生じているような現状があることを考えますと、労働審判の場でもそうした介入によって実務が混乱するのではないかということも懸念しているところでございます。こういった懸念をぜひ厚労省及び業界団体のほうで真摯に受け止めていただきまして、その解消に向けて、各種規制の整備や、自主規制機能の強化を確実に進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 あと、もう一点でございますけれども、今回の改正法ですが、議員立法として提出されて成立しておりますけれども、労働者や集団的労使関係への影響を与えるような内容が含まれているということを考えると、本来であれば、国会に上程される前に、この労働政策審議会の議を得るべきではないかと考えていることは申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 御意見ありがとうございます。
 それでは、鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。ただいま冨高委員から改正社労士法について御発言がございましたので、一言コメントを差し上げたいと思います。
 中小・中堅企業を中心に、就業規則の作成のサポートや、昨今、毎年のように法令改正が行われる中で、法令に合致した対応を自社で取れているかどうかのチェックも含めて、社会保険労務士に業務を委託するニーズは高いと思います。
 先ほど、冨高委員から正常な労使関係を損なうのではないか、それから、団交への不当介入が生じるのではないかといった懸念があるというような御指摘がございました。私も何分、実態をよく承知しておりませんが、どういった実態があるのかによっても対応の必要性の有無や方法は変わってくると思います。
 厚生労働省にお尋ねしたいと思いますが、社会保険労務士の問題行動や団体交渉への不当介入に関して、どのような実態を把握されているのでしょうか。お願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 御質問ですので、事務局からいかがでしょうか。
○監督課長 社会保険労務士の様々な問題行動というものについての実態ということでございますけれども、例えば不適切な対応を行っているという場合の対応といたしまして、まず、社会保険労務士会におきまして、各都道府県の社会保険労務士会で苦情処理の相談窓口を設置されておりまして、そこで不適切な行為が行われたという苦情を受け付けた場合には、当事者から事実関係の聞き取りや必要な指導等を行っていると承知しております。
 また、かつても不適切な情報発信を行っている事例というものもございましたけれども、こういった事案に対しましては、全国社会保険労務士連合会におきまして、ウェブサイト上での不適切な情報発信のパトロールシステムを運用しておりまして、そういった発信に対する改善指導を行うということですとか、また、倫理研修の実施といったことも行われているということでございます。
 厚生労働省といたしましても、これらの対応が適切に行われるように指導等を行うとともに、社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行に該当し得るような場合には調査を行いまして、事実関係を確認し、仮に懲戒事由に該当する場合には懲戒処分を行うということをいたしておりまして、そういったことを通じまして、社会保険労務士制度の適正な運用を図ってまいりたいと考えております。
○山川分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。
 不当労働行為との関係で、労働委員会において事案等を通じて実態等を把握されていればお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○監督課長 一部の事案につきましては、そういった労働委員会にかかって審議が行われている事案もあるということは承知いたしております。
○山川分科会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 御回答ありがとうございます。
 団体交渉への介入については、社会保険労務士が団体交渉において代理人となることは従来から禁止されています。今回の改正によっても、その点は変わらないと理解しております。法制度の誤解を防ぎ、適切な運用がなされるよう、代理行為と補佐行為の違いや、非弁行為の範囲などについて、社会保険労務士は当然ですが、経営者や労働組合、労働者を含めた関係者に引き続き周知・広報することが大切だと思います。
 万が一、団体交渉の場面で代理行為が疑われるのであれば、監督課長からの御回答にもありましたように、社労士会への苦情の申出や厚生労働省への情報提供を通じて迅速な是正や、懲戒処分を含む適切な対応につながることを期待しているところです。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等ございますでしょうか。
 川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。届出等に係る電子申請について、基本的に意見となるかと思いますが、2点述べたいと思います。
 1点目は、既に他の委員から御発言があった点と重複するところですが、大事なところだと思うので改めて述べます。届出は、その前提となる労使協定の締結とか、あるいは過半数組合、過半数代表者からの意見聴取という、実質に関わる部分とは区別された手続に関する問題であり、この届出のところが変わったからといって、労使協定の締結とか意見聴取において求められる内容は変わらないのだということは徹底する必要があります。手続きの問題である届出について、電子申請利用率の向上を図ること自体はどんどん進めていくべきだと思っていますが、その際にこの点は留意すべきものです。
 一方で、これも他の委員からの御発言もありましたが、電子申請が進むということを前提とした労働行政とか、とりわけ監督行政を進めることについては、今後、特に重要なことだと思いましたので、改めて意見として述べさせていただきたいと思います。先ほど出てきたような、電子データという形で届出情報を活用するというほかに、電子申請としてなされたものについて、現場で労働基準監督官の方が事業場に出向いて監督を行うという場面も引き続きあると思いますので、そのような場面で電子的に届け出られたデータがうまく活用されるような、情報連携するような仕組みなども課題になるかと思っております。以上が1点目です。
 2点目は、資料2の2ページで挙げられた利用率の推移についてです。一貫して上がっているということですが、私が見たところだと、就業規則の変更届の率とそれ以外の2つの労使協定の率が結構大きな開きがあるような印象を持っております。この点は、一つは原因として考えられることを検討する必要があるかと思います。例えば同じ資料の1ページの右上のところで、届出内容が事業場ごとに異なる場合でも一括申請ができるようになったというような話がありましたが、就業規則と労使協定を比べると、労使協定のほうが事業場ごとに内容が違うものである可能性が高いなど、何か原因があるものがあるか。その点はもしかすると、この令和6年度の制度変更で、今後、状況が変わっていくかもしれないということもあると思います。
 気にしているのは、届出の対象は圧倒的に多くが労使協定であり、しかも、今、よく使われているということで、36協定と1年単位の変形制が挙がっていますが、これらは制度上、有効期間を定めることが求められていて、定期的に協定をし直すことが求められているものであり、今後、電子化を進めていくとすると、そういう有効期間の定めのないようなものも含めて、幅広く電子的な届出の推進を図っていくということが必要になっていくと思います。そのときに、例えば就業規則と労使協定を比べて、労使協定のほうが電子申請しにくいような事情というものがもし何かあるとしたら、そこを見いだして対処するというようなことも重要になってくるかと思いましたので、意見として述べさせていただきました。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 御意見等ありがとうございました。
 ただいまの議題は報告事項でございますけれども、委員の皆様から頂いた御意見等を受け止めつつ、電子申請利用率向上に向けては、引き続き、厚生労働省におかれまして取組を進めていただくようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 では、続きまして、次の2番目の議題に移りたいと思います。「労働基準関係法制について」ということでございます。
 この議題につきましては、資料として資料№3「労働時間法制の具体的課題について④」と、資料№4「各側委員からの主な意見の整理(案)」という2つを準備いただいております。
 では、事務局から、まず、資料№3のほうにつきまして説明をお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。資料№3の御説明をさせていただきます。
 資料№3については、表紙のところに(その他の論点)とございますけれども、今回は、事務局宛てに御要望いただいた資料も含めまして、これまで御議論いただいていなかった論点についてお示ししたものでございます。また、資料の順番でございますけれども、労働基準関係法制研究会で扱った事項を先にしてございます。
 それでは、1枚目をおめくりいただければと思います。「『均衡割増賃金率』の試算について」でございます。
 真ん中の<定義>のところを御覧いただければと思いますけれども、均衡割増賃金率とは、Aのところ、新たな労働者を雇用した場合の1時間当たりの労働費用と、Bのところ、既存従業員に時間外労働をさせた場合の1時間当たりの労働費用という、この2つを比較しまして、Aの新たな労働者を雇用した場合の1時間当たりの労働費用と均衡する割増賃金率を求めるものということでございます。
 その上で、資料の一番上の冒頭のところでございますけれども、令和3年の均衡割増賃金率は約44.3%だったということでございます。
 なお、資料の欄外にはデータの制約の話も記載しておりますが、この値は、新規労働者の労働の価値と、既に雇用している労働者の労働の価値とを同等に見ているなどといった、かなり強い前提を置いた上での試算でございまして、幅を持って解釈されるべき数字だと考えているところでございます。
 続きまして、2ページ目を御覧いただければと思います。「年次有給休暇の国際比較について」でございます。こちらのほうでございますけれども、年次有給休暇の取得要件、具体的には8割の出勤率の要件などについて、諸外国との比較を行ったものでございます。
 その上で、資料の赤く囲んだところを御覧いただければと思いますけれども、出勤率8割のような要件は、お示ししている米英独仏などといった国においては設けられていないということでございます。
 続きまして、3ページ目から5ページ目までを御覧いただければと思います。内容としましては一斉休憩についてでございます。この資料の背景としましては、一斉休憩の義務を課していることの効果を示すデータをお求めいただいたということでございます。
 こちらについては、民間調査を含めまして、事務局で探しましたが、御質問のようなデータは確認できなかったということで、ここでは、現行の規定やその解釈などについてお示ししてございます。
 続きまして、6ページ目から7ページ目までを御覧いただければと思います。この資料の背景としましては、労働時間の把握義務の履行状況が分かるようなデータなどをお求めいただいたというものでございまして、具体的には7ページ目のほうでこれに近い数字をお示ししているというものでございます。
 まず、6ページ目でございますけれども、御案内のとおり、平成29年1月に策定しました「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の概要をお示ししたものでございます。
 次に、7ページ目を御覧いただければと思います。こちらは「労働者の種別に応じた健康・福祉確保措置等」ということでございます。
 表が2つございますけれども、上の表の一番下の行を御覧いただければと思います。「労働時間の状況の把握」という箇所がございます。御案内のとおり、安衛法第66条の8の3では、長時間労働者に対する医師による面接指導の履行確保を図るため、事業者は労働時間の状況を把握しなければならないとされているところでございます。
 その上で、この安衛法第66条8の3の違反の状況を示している表が下の表ということでございます。その上で、直近の令和5年のところは7,559件ということになってございますが、この年の違反事業場数が全体で96,831件となってございますので、この年の法違反の見られた事業場の約8%でこの条項の違反が見られたということになろうかと思っております。つまり、法違反の中では決して珍しい法違反ではないと理解してございます。
 また、この下の表の見方ですけれども、一見、年によって数字が変動しているようにも見えるわけでございますが、留意点は2つあると思っておりまして、一つは、この安衛法第66条の8の3の規定の施行が平成31年4月という、年の途中で施行されたものだということが表の一番左のところの留意点になります。
 また、令和2年、令和3年は、御承知のとおり、コロナの影響も考えられる年だということでございます。そのような観点で、各年の定期監督などを実施した事業場に対するこの条項の違反の割合というものも見てみますと、例えば、令和5年であれば、139,215件に対して7,559件、つまり、約5.4%ということになりまして、この割合は、お示ししている期間中、同程度の水準で推移している。つまり、監督を行う中でも一定の割合で法違反としての是正勧告を行っているということを御説明させていただければと思います。
 続きまして、8ページ目を御覧いただければと思います。こちらは「農業・漁業に係る労働時間等の規制の適用除外」について、現行の法令や解釈についてお示ししたものでございます。
 9ページ目を御覧いただければと思います。このページから最終ページまでが裁量労働制についてとなります。
 その上で、9ページ目でございますけれども、御案内のとおり、裁量労働制には専門型、それから、企画型の2つがあるということで、その概要をお示ししてございます。
 続きまして、10ページ目を御覧いただければと思います。こちらは令和6年4月1日施行の裁量労働制に関する直近の見直しの概要でございます。
 11ページ目を御覧いただければと思います。このページからは、裁量労働制実態調査、令和3年6月に公表したものでございますけれども、これを出典とするデータのスライドが続くということでございます。
 なお、このページ以降、適用労働者と非適用労働者を比較するというような表が幾つか出てきますが、読み方としましては、同じような者同士を比較するという観点から、裁量労働制の適用労働者の回答結果と、裁量労働制は適用されていないが、裁量労働制の対象となっている業務に従事している労働者の回答結果を比較しているという趣旨でございます。
 その上で、11ページ目の表でございますけれども「労働者の現在の働き方に対する認識」ということでございます。
 上の表は、専門型について。紺色の適用労働者につきましては、左から2番目の「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」と回答された方が最も多かったということでございます。一方、薄い緑色の非適用労働者については、一番左の「効率的に働くことで、労働時間を減らすことができる」と回答された方が一番多かったという結果となってございます。
 また、下の表の企画型については、適用労働者についても、非適用労働者についても、ともに一番左の「効率的に働くことで、労働時間を減らすことができる」と回答された方が最も多かったという結果となってございます。
 続きまして、12ページ目を御覧ください。こちらは「裁量労働制の適用に対する満足度」ということで、下に凡例を示しておりますけれども「満足している」から「不明」というところまで満足度別に聞いたものでございます。
 結果でございますけれども、上の専門型も、下の企画型も、ともに一番濃い緑色「満足している」と答えられた方の割合が最も多かったという結果となってございます。
 続きまして、13ページ目を御覧いただければと思います。こちらは1週間の労働時間の分布についてということでございます。
 赤で記載しているところを御覧いただければと思いますけれども、労働時間が40時間以上と回答された方の割合、それから、点線で囲んでいる部分、1週間の実労働時間数が60時間以上と答えられている方の割合、ともに上の適用労働者のほうが下の非適用労働者よりも割合が多いというような結果となってございます。
 続きまして、14ページ目をお開きいただければと思います。こちらは「深夜労働・休日労働の状況」ということで、表が左右に2つ分かれてございます。ともに、下に凡例を示しておりますけれども「よくある」という回答から「不明」といった回答まで、頻度別に聞いたものでございます。
 その上で、左の表でございます。上2つの表を御覧いただければと思いますけれども、まず、深夜の時間帯に仕事をすることに対する回答としてしましては、上2つの専門型については、「よくある」または「ときどきある」と答えられた方の合計の割合は、適用労働者のほうが非適用労働者よりも多かったという結果となっております。また、下2つの表でございますけれども、企画型においても、「よくある」または「ときどきある」と答えられた方の割合は、適用労働者のほうが非適用労働者よりも多かったということでございます。
 続きまして、右側の「週休日や祝日などに仕事をすること」といった表でございます。こちらも、上2つ、下2つの表で御覧いただければと思いますけれども、上2つの専門型については、「よくある」または「ときどきある」と答えられた方の合計は、適用労働者のほうが非適用労働者よりも多かったという結果となってございます。一方、下2つの表でございますが、企画型については、非適用労働者のほうが適用労働者よりも「よくある」または「ときどきある」と答えられた方の割合が多いという結果となってございます。
 最後に、15ページ目を御覧いただければと思います。こちらは健康状態についてのデータでございます。
 2つ表がございまして、上の表については「健康状態の認識」ということで、下に凡例を示しておりますけれども「よい」というものから「不明」といったものまで、認識の度合い別に聞いたものでございます。結果としましては、適用労働者の60.5%が「よい」または「まあよい」と答えております。また同様に、適用労働者の10%が「あまりよくない」または「よくない」と答えられているという結果となってございます。
 次に、下の表でございますけれども、こちらは、「裁量労働制が健康状態に与える影響」について回帰分析をしたものでございます。表の一番右のほうの「あまりよくない」、「よくない」といった列を御覧いただければと思いますけれども、裁量労働制の適用によって健康状態が悪化するといったような影響は見られないという結果となってございます。
 御説明は以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、労働時間法制の具体的課題といたしまして、今、説明を頂きました資料№3に基づいて、その他の論点ということで御議論いただければと思います。
 資料№3で掲げられていたもの以外の論点につきましては、後ほどの資料№4の議論の際に追加という形で御議論いただければと思います。
 では、資料№3につきまして、御質問、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、藤川委員、お願いいたします。
○藤川委員 御指名ありがとうございます。
 私のほうから2点意見をさせていただきたいと思います。
 まず、労働時間の把握義務につきまして、2019年4月から客観的な記録による労働時間の把握が法的義務となりましたが、先ほど御説明いただきました資料3の7ページにあるとおり、違反件数に占める割合では同程度で推移しているといった御説明でしたが、違反件数は減っていないということだと思います。
 以前も労働側から申し上げましたけれども、真に労働者の長時間・過重労働を是正するためには、使用者に対して持ち帰り残業などを含めた実態としての労働時間の適正把握を徹底させることが不可欠であり、その実効性を高めるためには罰則化を含めた規制強化を行うべきであると考えております。また、その意味で言えば、労働時間の適正把握ガイドラインの内容につきましても法令に格上げするなどといったことも検討するべきではないかと考えております。
 2つ目は割増賃金でございます。前回の分科会で労働側よりお願いした資料を御提示いただきましたけれども、2021年の均衡割増賃金率は44.3%とのことで、これは現在の割増率を上回っており、今でも新規に雇用者を増やすよりも既存の労働者の時間外労働で対応したほうが労働費用が低いという状況が続いております。長時間労働の是正を着実に進めていくためには、割増賃金率を引き上げていく方向で検討するべきではないかと考えております。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、オンライン御参加の田中委員、お願いいたします。
○田中委員 御指名ありがとうございます。田中です。私からは裁量労働制について発言いたします。
 裁量労働制は、働き手のエンゲージメントを高めるとともに、労働生産性の向上に資するという制度です。しかし、厚生労働省の調査によると、企画型、専門型を合わせた適用労働者の割合は1.6%にとどまっています。この背景には、対象業務が限られ、手続が煩雑であるといった制度上の問題が大きいと考えています。
 制度に対する懸念として、適用労働者の労働時間が長い、あるいは深夜・休日労働が多いという指摘もあろうかと思いますが、裁量労働制適用労働者は、特別な健康確保措置などを前提に、働く時間や量を労働者自身が決められる制度です。したがいまして、労働者本人の判断で多少、労働時間が増減したり、働く時間帯が変動したりするということは裁量労働制の制度趣旨から当然に想定されるということです。資料にありました13ページであったり14ページのデータだけをもって、裁量労働制の運用実態に問題があるとは一概に言えないのではないかと考えます。むしろ、15ページにありました、適用労働者と非適用労働者で健康状態の認識に違いがほとんどないという点に注目すべきと考えています。
 経団連が昨年12月に公表した「FUTURE DESIGN 2040」によると、日本のホワイトカラーに占める労働時間規制の例外措置対象者の割合は20.9%にとどまっています。一方で、先端産業を牽引するアメリカでは54.7%に上ります。アメリカと日本で労働市場や法制度が異なるので、単純な比較はできませんが、高付加価値の創出が大きな課題になっている我が国にとって示唆に富むと考えております。日本でも労働者が裁量を持ってより柔軟に働ける環境を整備しないと国際競争力が低下することを危惧しますので、裁量労働制の拡充に向け議論を行うべきと考えております。
 最後に、私どもは、労使対等性が相当程度保たれる過半数労働組合があるところに限り、十分な協議、十分な健康確保措置などを条件に、労使合意に基づいて対象業務を決められるということを提案しております。この後は資料4の説明がおありだと思いますが、使用者側の意見として、その点を明記いただくことをお願いいたします。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、やはりオンライン参加の佐藤委員からお願いいたします。
○佐藤委員 御指名ありがとうございます。佐藤でございます。私からは、資料3の2ページ目、年次有給休暇の国際比較の表に関連して発言したいと思います。
 先ほど御説明の中でもありましたけれども、こちらの表に記載、赤枠のところですか。年休の取得要件について、日本だけですか。全労働日の8割以上、出勤しているというものがあるという御説明でございました。諸外国と比較した場合の話でありますけれども、諸外国での規制をそのまま日本に適用すべきではなく、年休の付与に当たって、出勤要件を設けていないといったような企業の割合とか実態などについて、しっかり調査・分析した上で検討すべきと考えます。
 年次有給休暇は、言うまでもなく、実際に労働義務を果たしている労働者の方が心身の疲労を回復するために取得する制度でございますので、出勤の実態が乏しい場合にまで一律に付与することを法令で決めるということは制度本来の趣旨から外れるおそれがありますし、労働者間の不公平感などが生じないかであったりとか、あるいは職場における勤勉性の意識とか風土といったことに影響しないかなど、そういったことも含めた社会的なコンセンサスについてもしっかり得ることが必要と考えております。
 また、後ほど資料4のところでも発言を申し上げますけれども、以前とは違いまして、フレックスタイム制であったり、あるいは時差出勤なども広がっているほか、様々、世の中の働き方が制度を含めて変わっているほか、勤続6か月以降には、半日年休であったりとか時間単位の年休なども含めて、様々な制度であったり、欠勤にならないような運用というところも選択肢が増えているところでございます。そのため、そもそもの出勤率要件の見直しに関しては、単に諸外国との比較だけではなくて、その制度の趣旨であったり、実務的な運用、公平性の観点を踏まえながら、かつ十分な調査・議論を踏まえた上で慎重な検討が必要と考えます。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 あと、オンラインからお三方、お手が挙がっております。
 それでは、松永委員、お願いします。
○松永委員 ありがとうございます。松永のほうから、先ほど田中委員からも言及がありました裁量労働制について少しコメントさせていただきたいと思っています。
 裁量労働制ですけれども、皆さんも御案内のとおり、働き手の裁量を認めて主体的創造性を発揮して、生産性とエンゲージメント向上に期待ができる。まさに当社もそうですけれども、ジョブ型人材マネジメントについても親和性の高い制度だと認識しています。
 一方で、働き方改革は様々な取組がこれまでも実行されてきたわけですけれども、過重労働の防止ですとか労働時間の長さというものが、これまで、焦点が当たることが多かったと思っています。一方で、社会ですとかお客様の課題を解決しながら社会貢献していくということのためには、多様な人材がその価値観に応じて生き生きと働いて成果を上げていくということも働き方改革の一つの主眼かなと考えています。
 現行の労働基準法が前提としている労働時間をベースとした処遇ということなのですけれども、これはこれであるのだろうなと思うのですが、一方で、労働時間を必ずしも全てベースとするということではない処遇というものの組合せも必要ではないかと思っています。したがいまして、実現に向けて、第一歩としては、やはり裁量労働制の拡充ということを検討すべきではないかと思っています。
 先ほど御説明いただきました資料3の12ページ、満足度の調査ということで言いますと、裁量労働の適用労働者の約8割が満足しているというような結果もありますし、あと、これも田中委員のほうから言及がありましたけれども、健康状態についても、おおよそ、同じぐらいの程度で健康状態がよい。適用、非適用の方、それぞれ、そんなに大きく変わりがないことも分かっているということでございます。
 現行を見ますと、やはり裁量労働制の対象業務というものが限定的で、企業の現場では裁量労働制の適用可否の判断が非常に難しくなっていると感じていますので、この課題を解消するために、過半数労働組合との十分な協議や十分な健康確保措置などを条件にして、労使合意に基づいて対象業務を決められるといった仕組みも整えていくべきではないかと考えています。
 私のほうからは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 では、続きまして、鳥澤委員、どうぞ。
○鳥澤委員 鳥澤です。資料の取りまとめ及び御説明ありがとうございます。私からは2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目として、割増賃金率についてでございますが、今回示された均衡割増賃金率については、代替となる人員が容易に確保できるという前提に基づいた試算であり、深刻な人手不足に苦しむ地方の中小企業の実態とは乖離がございます。割増賃金率の引上げは企業活動への影響が極めて大きいため、今後検討が行われる際には、相対的に余力に乏しい中小企業の実態を考慮し、極めて慎重な対応が求められていると考えております。
 次に2点目ですが、裁量労働制について、中小企業の視点から意見を申し上げます。現在の裁量労働制は、手続等が煩雑であることに加え、対象業務が厳格に規定されていることが企業側の利用を難しくしていると考えます。特に中小企業においては、1人の労働者が複数の業務を遂行することが多く、主たる業務として企画・専門型裁量労働制が認められる業務を遂行していたとしても、非対象業務との兼務によって適用ができないというケースが出ております。労働時間のほとんどが裁量労働制の業務、専門型、企画型であったとしても、例えば月末期の忙しいときに一部事務を手伝うなど、そういったことであっても、今のルールにおいては裁量労働制の適用がされないという実態がございます。
 裁量労働制の対象労働者には特別な健康確保措置が設けられていること、また、裁量労働制は本人の同意なしに適用できず、同意撤回についての規定も設けられたこと、調査において利用者の満足度が高いことなどの現状を鑑みますと、対象業務を主たる業務として担当し、自身の裁量が認められる労働者については、適用が可能となるような見直しを検討していただきたいと思います。手続の簡素化を含め、必要な議論をすべきと考えてございます。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、オンライン御参加で御発言希望の鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。私のほうからは、資料3に関連して、大きく2点申し上げたいと思います。
 まず1点目が、労働時間の把握の義務化の件でございます。資料の6ページ目辺りからだったと思います。労働時間の適正把握そのものの重要性については全く否定するものではないですが、ただ、そもそも、こうした労働時間の適正把握自体は、割増賃金の支払いであるとか、あるいは時間外労働の上限規制といった労基法上の各種義務を履行するための手段という位置づけであろうと思いますので、これらの規制に実質的には包含されていると考えるのが妥当ではないかと思います。
 さらに、既に安衛法において、労働者を対象に、健康確保のための時間把握の義務が定められておると思います。また、その把握方法も、適正把握のガイドラインと同様に、客観的な記録を原則とするという形式になっておるかと思います。先ほど、今このスライドでも出ておりますとおり、安衛法上の義務履行に向けた行政指導もなされているということでございますので、このように目的が違うとはいえ、この把握の義務を二重に課すことは、過剰な、過度な規制となり得る場合もあるかと思いますので、ここには慎重な検討が必要であろうと思います。
 また、安衛法の義務は、管理監督者、それから、裁量労働制の適用者にも及びますけれども、これらの制度というものは、そもそも、勤務時間に関する裁量性が制度を適用する要件となっているかと思いますので、例えば1分単位のような、厳密な把握を義務づけることは制度趣旨を損なうという懸念もあるのではないかと思います。特に裁量労働制においては、労働時間ではなく、業務の成果によって処遇をしていこうという目的で運用されている企業も多いと思いますが、細かな時間把握を課していくと結局、労働者に対して必要以上に時間管理というものを意識させてしまって、制度の実効性そのものを損なう、そんな懸念もあるのではないかなと思います。以上が1点目でございます。
 それから、2点目が裁量労働制についてです。9ページ以降の部分だったと思います。日本の競争力についてですが、世界のGDPに占める日本のシェアは、1995年以降、低下傾向にあると思いますし、同時に、我々製造業の従業者数も大きく減少してきております。こうした中で国際競争力を維持・向上していく、また加えて、国内の雇用を確保していくためには、いかに高い付加価値を創出していくか、いかにイノベーションを引き起こすか、あるいはそれを促進するような働き方、後押しするような環境整備というものが非常に重要であろうと思っております。そうした中で、自立的に労働者の方が働ける環境をつくっていくということは我々企業において、今、喫緊の課題となっているかと思います。
 これまでの分科会でも、未来志向で労働者の方の働きがいや働く意義を深めていく視点からの議論をすべきではないかと申し上げてまいりましたが、裁量労働制の拡充もその観点から非常に重要な論点になると思っております。当社でも裁量労働制を適用しておりますが、裁量労働制を適用することで、仕事の与え方など、上司からの動機づけもやはり変わっていきますので、その結果、今までよりも会社の方針とか組織の方針というものを意識して、自分で前向きに仕事するようになったとか、社員の責任感や当事者意識が非常に高まって、業務の質も引き上がっていくのではないか、このような期待も感じているところでございます。
 裁量労働制に対する労働者からの肯定的な意見は、この後の11ページのデータでもあったかと思いますけれども、裁量労働制そのものはやはり労働者の働きやすさや働きがいを高める制度になっているということは間違いないのかなと思います。もちろん、制度が適正に運用されているかは常々検証していくことが大変重要であろうと思いますけれども、15ページだったと思いますが、今、この断面においては裁量労働制が適用されている労働者のほうが健康状態がよいと答える確率が高いと結論づけております。もとより私どもから申し上げているのは、過半数労働組合との合意の下で、対象業務を決められるようにすることが非常に重要ではないかというものでございます。労使の対等性が十分確保されている中では、先ほど田中委員からもございましたけれども、裁量労働制の対象業務の範囲であるとか、適切な健康・福祉確保措置であるとか、こうしたことをしっかり決めることができるのではないかと考えますので、ぜひ、この適用労働者からの声というものにも注目して議論を進めていただくのが非常に良いのではないかなと思います。
 長々とすみません。以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、まず、佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 1点質問をさせていただきたいのですが、8ページに「農業・漁業に係る労働時間等の規制の適用除外」が掲示されております。農業者、そして、水産加工、漁業者が適用除外になるのですけれども、実際に日本人で労働している方は、これは適用除外なので、労働時間をつけないということでなっているのかどうか。
 あとは、技能実習法の関係でも、この場合、技能実習生を労働者とみなしていますので、労働時間に応じて時間外労働の手当をつけていると思うのですけれども、その辺の確認をさせていただきたいと思います。適用除外となっているので、つけなくても良いという指導はしていないと考えますが、その辺は実態はどうなっているのでしょうか。教えていただければと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 御質問ですので、事務局からいかがでしょうか。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。農業分野についての御質問でございます。
 まず、日本人、それから、技能実習生についての御質問でございましたけれども、法律上は、農業分野の技能実習生、それから、日本人もですけれども、ともに労働基準法の労働時間の規制、具体的には、労働時間、休憩、休日といったものについては適用除外という扱いになってございます。その理由としましては、8ページ目の下のところに記載してございますけれども、事業の性質上、天候等の自然条件に左右されるためといったことで適用除外ということになってございます。
 その上で、具体的には、時間外の手当についての御質問でございましたけれども、運用上は、農業の特性も踏まえつつも、可能な限り、労働基準法の規定を踏まえた運用が確保されるよう、ということで、技能実習生については、農林水産省の通知などによって、雇用者などに対する指導が行われているものと承知してございます。
 お答えできていないところもあると思いますけれども、法律上、それから、運用上について御説明させていただきました。
 以上でございます。
○山川分科会長 佐久間委員、何かございますでしょうか。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 おおむね、御説明でよろしいと思いますけれども、その辺の指導がちゃんと行き違いのないようになっているかどうかだけ確認したかったものですので、ありがとうございました。
○山川分科会長 それでは、まず、亀田委員、お願いします。
○亀田委員 ありがとうございます。まず、休憩の一斉付与について意見を述べさせていただきます。
 以前の分科会において、使用者側から一斉休憩の「原則と例外」の違いによって休憩義務の履行状況の検証を求める意見がありましたが、事務局の回答としては、現状では把握できなかったとの説明だったと受け止めております。これについては、連合の加盟組合からも、一斉休憩の原則がそれぞれの職場や現場で課題になっているとの声は上がってきていない状況でございます。また、労基研報告における休憩の実効性の確保の論点も踏まえると、労働基準法第34条第2項の原則を直ちに見直すべきの結論には至らなかったとされておりますし、有識者からも積極的な見直しを求める意見は出されておりません。
 ほかにも論点が多くある中で、このように具体的な課題が明らかになっていないテーマについて検討する必要があるのかというのは非常に疑問を感じるところでございます。仮に一斉付与の原則を緩和した場合、むしろ、労働者が周囲に気兼ねして休憩を取りにくくなるなどの弊害が生じて、休憩ルールの実効性の低下を招く懸念が大きくあるため、一斉休憩付与の原則の見直しは行うべきではないと考えております。
 もう一点、先ほど佐久間委員からも御質問ございました農業・畜産業・水産業におきまして、労基法の一部が適用除外になっている点についてでございます。農業などでは季節的条件が記載されておりますけれども、天候によって左右されやすいことを理由に、原則として労働時間の上限規制や、休憩・休日に関する規制、18歳未満の年少者への時間外・休⽇労働・深夜労働など、農業適用除外6項目が存在しておりますが、近年の農業などの実態、労働実態に関しましては、高度化、通年化など、大きく変化しておりますことを踏まえますと、労基法の一部適用除外となっている業務について、法の趣旨が本当に当てはまっているのかどうかというものは、いま一度、勤務実態も含めた上で、見直す必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 今、農業についての関連した御意見ということでもありましたが、鈴木委員からの御発言希望がその前にありましたので、まず、鈴木委員からお願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。私からは2点、発言をお許しいただければと思います。
 1点目は、鳥澤委員から言及もございました均衡割増賃金率についてです。先ほど事務局からもかなり強い前提を置いたもので、幅を持って見るべき数字だという御説明がありましたが、私はこの推計はかなり大きな問題があると考えています。
 まず、この推計は、会社が求める人材をすぐに雇用できるという前提を置いており、現下の深刻な人手不足の実態を踏まえていないと感じております。また、会社が残業を命じれば労働者は必ずこれに応ずるということも前提としているように見えますが、例えばパートタイム労働者の方ですとか、仕事と育児、介護を両立される方がいらっしゃることについて配慮がされておりません。つまり、実際の働き手あるいは働き方の多様化を考慮していない、相当、大胆な仮定を置いた推計だということは強調したいと思っております。そのため、この試算の根拠に割増賃金率を見直すことについては慎重に考えるべきです。
 先般、地域別最低賃金改定の目安が示されて、過去最大の引上げとなりました。最低賃金・割増賃金は御案内のとおり、労働者を雇用する全ての企業に適用されて、違反すれば罰則が科せられることもございます。その急激な引上げというものは事業の運営にとって影響が極めて大きく、経営体力が強くない企業を中心に経営を圧迫するものだと思っておりますので、割増賃金率の引上げは反対であるということを申し上げます。
 この数年間は、労使の真摯な話合いを通じまして、かなり大幅な賃金引上げが実現してまいりました。今後は、この賃金引上げのモメンタムを定着させないといけないと私どもは強く思っています。そうした中で、今、必要なことは生産性の向上、あるいは価格転嫁の一層の推進をはじめ、賃金引上げ原資を安定的に確保できる環境整備を行うことだと思っています。割増賃金率が引き上げられれば固定費の圧縮に動かざるを得ないと考える経営者が増えて、結果として基本給の引上げを控える動きになりかねないことを憂慮するところでございます。
 もう一点は、先ほど亀田委員から御指摘がありました一斉休憩の付与についてです。以前、私からお願いしたデータは見当たらなかったということで理解いたしました。しかし、テレワークが普及する中で、時間と場所にとらわれない働き方が広がっております。従来の一斉付与義務、一律に課するということが現状に合わなくなっていると私自身は強く思っておりますので、検討を行う必要があると考えます。
 いわゆるホワイトカラー労働者の方については労務管理の個別化が進んでおり、自律的に働くことを希望する方も多くなっていると思っております。特にフレックスタイム制適用労働者、裁量労働制適用労働者のように、自ら始業・終業時刻を決定できる制度の適用労働者に対しては、休憩をいつ取るかということについても労働者の裁量に委ねていると思っております。こうした制度が適用される労働者に対してまで、使用者に休憩の一斉付与を罰則つきで義務づける現行法制というものは制度趣旨に合わないのではないかと考えます。
 これは私が調べた限りということですので、正しいかどうか、確認を頂きたいのですが、海外では休憩の付与義務は当然ありますけれども、必ずしも一斉に付与するということまで法律に定めている国ばかりではないと承知しております。事務局には、海外の法制についての資料と、それから、日本において、なぜ一斉付与義務が定められたか、そのような背景事情が分かる資料を出していただくことをお願いしたいと思います。
 私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 今の点、事務局で御検討いただけますでしょうか。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。
 どこまでできるかということはあるかもしれませんが、検討したいと思います。
○山川分科会長 お願いいたします。
 では、春川代理、お願いいたします。
○春川代理 ありがとうございます。私からは年次有給休暇のところで2点意見を申し上げます。
 先ほども別の委員の方からも国際比較のところでお話がありましたが、日本の取得要件として8割以上の出勤ということについては諸外国では設けられていないということが示されていますが、これまでの労働基準関係法制研究会の議論の中でも、これは日本に特異な制度であって、勤続年数が10年から20年あるにもかかわらず、例えば休職期間が長くなったというようなことで年休がゼロになるということそのものが不合理といったような意見もあったところも承知しています。
 年休は、いわゆる精勤手当のように、出勤を奨励する目的とした制度ではなく、労働者の心身の疲労回復を図り、ゆとりある生活に資するとの趣旨から規定されているルールであるということを踏まえれば、出勤率の要件というものは改めて不要ではないかということを意見として申し上げます。
 そして、2点目ですけれども、年休の取得時の不利益の取扱いの禁止についてです。厚労省の委託調査の中においては、年休の取得のためらいの理由として、周囲に迷惑がかかるというものがトップでありますが、上司がよい顔をしないから、あるいは昇格や査定に悪い影響があるからといった不利益を恐れて取得をためらうケースというものも少なくない状況となっています。
 今でも労基法の附則第136条では不利益の取扱いは禁止されておりますけれども、「しないようにしなければならない」といった曖昧な訓示規定にとどまっており、実効性に疑問があるため、年休取得を理由とする不利益取扱いの禁止規定を本則で明確に示す必要があるのではないかと考えています。さらなる取得促進に向けては、今、申し上げたような見直しを含めて、取得しやすい環境整備を行っていくべきではないかということを申し述べます。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。私からは裁量労働について1点意見を申し上げたいと思います。
 先ほどから使用者側より裁量労働制の拡充や緩和等に関する多くの意見が出ております。労基研報告であったり、今回の議論では最初の論点にも入っていない内容であって、これだけ資料をつけて議論する必要があるのかという気持ちはあるのですけれども、そもそも、2022年に裁量労働につきましては相当程度、実態調査を実施し、ヒアリング等も行った上で、当時の分科会において9回にわたって公労使で真摯に議論して報告を取りまとめたという記憶がございます。その結果を踏まえて、昨年4月から改正省令等が施行されたばかりです。現状、労使は制度の適正運用を本格化させ始めたところではないかと思っておりまして、そうした中で、使用者側から、労使合意があれば対象業務を拡大できるようにすべきではないかとか、様々、緩和に向けた意見が多く出されることに非常に強く違和感を感じているところでございます。
 そもそも、実態調査等も行い、前回の審議会の前に検討会も行われていたと思いますけれども、その中でも、やはり適正な運用が必ずしもなされていないのではないかといった意見が多く出されておりました。例えば業務の遂行手段であったり、それから、時間配分等についての裁量が本当に労働者に委ねられていないのではないか。そういうことが疑われる結果もあったということも踏まえて、しっかり運用することが必要だということで、そういった議論の末に適正化に向けて、労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量をきちんと担保するということ、それから、労働者の健康と処遇をしっかりと確保するのだ。これの実現のために見直しが行われたと思っておりますので、まずはしっかりとそれを徹底するべきである。まず、運用を徹底することが先決であって、見直しを考えるというのは時期尚早過ぎると思っていますし、我々としては議論する必要は全くないと考えているところでございます。
 それから、先ほど田中委員などから、手続が煩雑というお話もございましたけれども、これは当たり前だと我々は思っております。やはり労働側としては、通常の労働時間規制の適用からの逸脱をするものについては、当然のことながら、厳格化するというのは当たり前でございまして、手続であったり、様々な規制というものは厳格化するべきだと考えているところでございます。
 それから、15ページでしたか。健康状態がよいというようなところのお話もございましたけれども、やはり長時間労働の影響というものは、知らず知らずのうちに疲労が蓄積することで労働者の健康をむしばむということも考えられることを踏まえると、この資料1枚をもって問題ないと考えるのは違うのではないか、むしろ問題があるのではないかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 御指名ありがとうございます。割増賃金のところでも発言を改めてさせていただきたいと思います。
 実態として、中小企業におかれましては非常に厳しい環境下で賃上げ余力に乏しいといった御意見もあったかと思いますけれども、これは何度も申し上げますけれども、既存の労働者が働き過ぎで心身の不調を来してしまっては結果として事業の健全な成長にもつながらないと思っております。さらには人手不足の状況であるからこそ、一人一人の労働者の健康とワーク・ライフ・バランスを確保し、安心して働き続けることのできる環境整備を進めていくことが必要と考えております。
 先ほど鈴木委員から、最賃も引き上がった中で、割増賃金を引き上げることが賃上げの妨げになる、所定内賃金の妨げになるといった話もありましたけれども、これは個別労使の団体交渉での話であって、それを1つに結びつけるのは少し飛躍し過ぎではないかと思います。割増賃金率を引き上げていくということも長時間労働を是正する施策として考えていくべきだと私どもは考えているところでございます。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 松田委員、お願いします。
○松田委員 私からも裁量労働制の点につきまして発言させていただきたいと思ってございます。
 金融保険業におきましても一部において裁量労働制が活用されておりますが、実際、現場からも通常の労働時間制度の下で働く同僚などとほとんど変わらない働き方をしているにもかかわらずこの裁量労働制が適用されていることに疑問を持っているケースがみられます。また、特に若年層、勤続年数が短い層から、業務量や労働時間の配分などで全く裁量がないといった声もあります。特にそういった方々から裁量労働制にふさわしい処遇になっていないのではないかといった声が寄せられているというところです。
 ほかの産業も含めまして、施行された昨年4月から短期間でこうした課題が解消されたとはとても思えないと考えておりますし、まずもって裁量労働制の本来の趣旨に沿った運用がしっかりと徹底されて、また、労働者にとっても認知されることが必要なのではないかなと考えてございます。先ほどからも使側から主張されているような要件の緩和は行うべきではないのではないと考えてございますので、よろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 では、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 労働側委員から様々、裁量労働制についてのコメント・御意見を頂きました。
 まず、冨高委員から、この裁量労働制の問題について議題に上げること自体についてご意見があったと思います。この点につきましては、議論をはじめた当初、私どもは裁量労働制も含め労基研報告で示された内容以外の論点も当審議会で議論させていただきたいということを申しあげ、これは了承されたものと記憶しております。今さら、裁量労働制をテーマに上げてほしくないとおっしゃられるのは遺憾に思います。
 それから、複数の委員から、遂行手段ですとか、時間配分について裁量がないというケースがあるというご指摘がありました。実際に裁量労働制を入れている事業所全てについて調査した裁量労働制実態調査において、業務の遂行方法と時間配分の裁量の有無についての調査結果が示されており、約8割は労働者が決めているという調査結果になっていたと思います。もちろん、一部に業務の遂行方法と時間配分の裁量が十分でない働き方はあるかもしれませんけれども、総じて実態調査としてはそういう結果になっていますので、次回、厚生労働省事務局には関連するデータを資料として出していただきたいと思っております。
 また、労働者側委員から、裁量労働制の見直しについて議論するのは時期尚早過ぎるというご指摘もありました。しかし、国際競争力の低下ということが年々厳しさを増していますので、付加価値をどう高めていくかは喫緊の課題だと思っております。私どもは、以前の見直しの議論にあたっては、正直、反省もするところがございます。それは十分な法定上の代替調整の要件を考え、委員の懸念を払しょくできなかったという反省でございます。そのため、私どもは今回、繰り返しとなりますけれども、労使対等性が十分確保されている労働組合、とりわけ過半数労働組合がある企業であれば、適切な健康確保措置や、適切な処遇などを話し合い交渉し、しっかりと決め切れると考え、裁量労働制の見直しの御提案をさせていただいております。その点はぜひ御理解を頂きたいと思っています。
 以上です。
○山川分科会長 では、冨高委員、お願いします。
○冨高委員 誤解があると申し訳ないので、今の鈴木委員の発言についてですが、私どもとして議論することに反対しているとは言っておりません。1年半前に施行された省令等のルールを、まだその運用も徹底されていない中で、企業や労働者のニーズを理由に裁量労働制の拡大を求めること自体に対して強い違和感を覚えているということを申し上げているということでございますので、その点は申し上げておきたいと思います。
 それから、国際競争力の向上は日本全体で考えていかなければいけない課題であると思いますけれども、それを労働法制の緩和で達成していくのかと言えば、私はそうではないと思っておりますし、産業政策をはじめ様々な側面でしっかりと施策を講じていくことが必要です。5年前の働き方改革は日本固有の過労死をなくしていかなければいけないという中で法改正がなされて取り組みが進められてきたものです。裁量労働制も2022年に本分科会で議論を積み重ねて報告をとりまとめ、この内容でしっかり取り組むことを確認したものです。そういった観点で前向きな議論をするべきだということで意見を申し上げてきたところでございます。
 以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、櫻田委員、どうぞ。
○櫻田委員 ありがとうございます。
 裁量労働制について、それぞれ、労側からも使側からも様々な御意見が出ているところであります。労働時間にもたくさん言及されておりますけれども、以前の分科会におきましても使側委員から、一定の職種等によっては役割やその成果を基軸とする処遇を一段進められるような見直しが重要であって、そのためにも裁量労働制の見直しが必要という発言があったと承知しております。
 ただ、労働時間法制の意義としましては、長時間・過重労働による健康被害をなくして、労働者の健康確保を図るだけではなくて、それぞれのワーク・ライフ・バランスを実現することにあると思っています。心身の健康を保つためにも、働く人は誰もが十分な睡眠をはじめとする健康のための休息時間であったり、自分のため、あるいは家族等と過ごす生活時間を確保されるということが不可欠であると思いますし、一定の職種や働き方、高い処遇といったことを理由に労働時間規制を緩和するべきではないと考えております。
 その上で、前回の裁量労働制の見直しの中でもありましたが、実態調査の結果を見ても、割増賃金規制の潜脱が疑われるような極めて低い処遇となっていたり、また労使委員会が実効的に機能していない、あるいは実質的には労働者に裁量が確保できているか、疑義が残るといった様々な課題が明らかになったことが事実だと思っております。
 こうした課題を踏まえて、全体として規制を強化する方向で省令等の改正が行われたということが1年半前だと思っておりますので、先ほど冨高委員からも発言がありましたとおり、まずは制度の適正運用ということを徹底すべきではないかと思うところでありますし、裁量労働制の適用範囲の拡大や要件緩和は行うべきではないということを改めて申し上げたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日、時間の都合もありまして、この資料№3に関する御議論は一応、これまでとさせていただければと思います。
 先ほど実態調査についての御言及が双方からありましたので、今回の議論の資料の追加という位置づけで、裁量制に関する実態等について、これは双方からお話があったところですので、それは追加資料としてお出しいただけるでしょうか。
○労働条件確保改善対策室長 はい。
○山川分科会長 では、資料№4の説明を、恐縮ですが、事務局のほうで手短にお願いいたします。
○労働条件確保改善対策室長 事務局でございます。資料№4の御説明でございます。
 まず、この資料の背景でございますけれども、労働条件分科会の進め方につきましては、今夏を目途に意見を中間的に整理するということとなってございました。この関係で、今般、資料№4として、例えば、1ページ目であれば、<労働基準法における「労働者」>、それから<家事使用人>といったような論点ごとに、表の左側では「制度の現状等」と記載しつつ、表の右側では「各側委員からの主な意見」として、前回の分科会までに公労使それぞれの委員の先生方からいただいた御意見につきまして整理した資料ということでお示ししているというものでございます。
 その上で、論点によっては、御意見が近しいものもあれば、対立的なものもあろうかと思いますけれども、この資料№4は、論点ごとに、各側委員の御意見がどのような形で近しかったり、あるいは対立しているのかという点について、事務局にてできるだけ簡潔に分かりやすくなるよう整理したものでございます。また、こうした点が各回の議事録や資料№5との違いとなっているという理解でございます。
 御説明は以上でございます。
○山川分科会長 簡潔にしていただきましてありがとうございました。
 それでは、この資料№4、内容としてはかなり大部のものではございますけれども、趣旨を補足したい、修正したい、あるいは追加したいということがございましたら御意見をお願いいたします。
 オンライン御参加の方につきましては、先ほどと同様の形で、チャット機能を御利用いただければと思います。
 何かございますでしょうか。
 冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 <労使コミュニケーションの在り方>のところで、資料5のほうには記載いただいているのですけれども、労基法は、労使が合意したとしても引下げが緩和できない、最低基準を定めた強行法規であって、その根幹を揺るがすようなデロゲーションの拡大等は行うべきではないということを、この間、発言してまいりましたので、こちらの資料にも記載していただきたいと考えてございます。
 また、使側のほうから、過半数労働組合がない企業における労使コミュニケーションの選択肢についても労働組合以外を含めて議論すべきという意見がございますけれども、議論の整理にも記載いただいたとおり、労働組合がない職場において、まず、過半数代表者の適正運用を徹底的に進めるということが重要だと考えております。既存制度の適正運用がなされていないにもかかわらず労働組合以外の労使コミュニケーションの機能強化というものは行うべきではないと考えているところでございます。
 それから、過半数代表者の適切な選出については、協定内容の事前開示とか、立候補者への所信表明機会の提供、直接無記名投票の実施などの民主的な方法を規定することが重要であることはこれまでも申し上げてきておりまして、併せて不適切な方法もしっかりと明確にしていく必要があると考えておりますので、その点についても記載していただきたいと思います。また、過半数代表者自身のエンパワーメントのほかに、実質的な協議に向けた環境整備を進めるという観点で、労基法そのものではないかもしれないのですけれども、過半数代表者に対する教育・研修の充実や、社会全体に対するワークルール教育のさらなる推進が重要であるということは明記していただきたいと思いますので、その点も意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 それでは、亀田委員、お願いいたします。
○亀田委員 ありがとうございます。私からは就業規則の意見聴取について発言させていただきます。
 使用者側の意見では、就業規則等は企業全体で統一的に設定・変更することが多いとして、複数事業場分を一括して行うこともできる選択肢を明確化すべき旨の記載がございます。確かに現行法におきましても複数事業場での手続に関しては許容されておりますが、就業規則も労基法第90条第1項に明記されているとおり、当該事業場の過半数労働組合または過半数代表者に対する意見聴取が義務づけられておりますので、事業場単位が原則でございます。
 また、この意見聴取につきましては、設定変更される就業規則が実際に適用される労働者からの意見を聴取することを保障する趣旨でございますので、たとえ統一的な内容であったとしましても、事業場ごとの実情が異なる場合も多いことを踏まえますと、就業規則についても事業場単位の原則を徹底すべきであると考えております。
 したがいまして、行政としましては、原則であります事業場単位による丁寧かつ実効性のある労使協議や手続をより一層推進すべきであると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 それでは、古川委員、お願いします。
○古川委員 ありがとうございます。私からは時間外労働・休日労働の上限規制のところで御意見を申し上げたいと思います。
 上限規制に関しましては、使用者側の意見の中で、「現行の働き方改革が、より働きたい、より稼ぎたい、より成長したいという労働者のニーズを抑制しているのではないか」「シンプルで分かりやすく柔軟な労働時間法制を検討することが必要」という御意見がございます。また、直近の参議院議員選挙におきましても、「働きたい改革の推進」ですとか、「もう少し働きたい社会へ」といったような規制緩和の方向での政党の公約も見られているところかと思います。
 この間、労働側から意見を申し上げてきておりますけれども、現在の上限時間は過労死ラインの水準でありまして、それを緩和していくようなことは断じて行うべきではないと思いますし、社会全体で進めてきました働き方改革を逆流させることにもなりかねません。そうした長時間労働を進めていくような見直しは不要であるということは改めて申し上げておきたいと思います。
 その上で、労働時間法制の原初的な使命は労働者の命と健康を守ることであり、加えて、劣悪な労働条件による労働力のダンピングを防止し、公正競争を確保するためのルールでもあります。そうした趣旨を没却させかねないような柔軟化や見直しは全く必要ないことを主な意見の整理にぜひ加えていただきたいということを申し上げたいと思います。
 以上であります。
○山川分科会長 ありがとうございます。意見の追加・修正等について御意見を頂いております。
 では、オンラインでご参加の佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。私からは2点意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目は、趣旨の追記をお願いしたい点ということで、資料の9ページから10ページに<テレワーク等の柔軟な働き方>ということでまとめてあるのですけれども、私が申し上げておきたいのは、この中に書いてありますフレックスタイム制の見直しについてということです。
 「制度の現状等」に書いてありますとおり、現行制度においてはフレックスタイム制を部分的に適用することができない。これを見直して、フレックスタイム制の部分的な適用、つまり、フレックスタイム制の中で、特定の日については、あらかじめ定められた始終業時刻どおりに出退勤することを可能とするといった制度に見直すということについてであります。言うまでもなく、フレックスタイム制は労働者の自律的な働き方を促して、働きやすさ、働きがいを高める有効な制度です。しかし、現行制度では、申し上げましたとおり、全ての日について、労働者が始終業時刻を選択するということになっておりますので、特定の日について、あらかじめ定められた始終業時刻どおりに出退勤することはできないということです。
 そうしますと、以前の分科会で鬼村委員から、製造ラインで働く労働者に一部、部分的に労働者にフレックスタイム制が利用できるようになれば、高齢者であったりとか育児中の労働者がより働きやすくなって、深刻な人手不足の解消にもつながっていくという意見も挙げられましたけれども、ほかにも百貨店業界の企業の御担当者からも、ふだんは店舗で働く労働者、弊社は鉄道事業者ですけれども、ふだんは駅で働く労働者、あるいは乗務、列車の運行に関わる労働者がおりますが、こういった労働者も、分かりやすく申し上げると、オフィス等で就労する日も月の中にはあります。そういった日にはフレックスタイムで勤務するということが物理的には可能なわけですけれども、今の制度上はできない。そうすると、会社の中でいろいろ柔軟な働きが広がってきている中で、オフィスで働く労働者と、店舗、あるいは弊社のような駅の現場、乗務の現場で働く労働者との間の働き方の柔軟化における対応の違いということから、やはり店舗であったり、駅であったり、乗務の業務といったところで働く労働者からの、実際、不満の声といいますか、自分たちの働き方の柔軟さを高めていくということに対する制約があるということに対する不安というものも高まっており、育児とか介護とかと両立することができずに、やむを得ず離職するようなケースもあります。労働者の働きがい、働きやすさを高めていく。こういった観点からの制約が大きな課題になっているというのが実態としてございます。
 したがいまして、審議会の中でフレックスタイム制の見直しが検討されているということですけれども、ぜひとも実現してほしいと強く様々な業界からも言われておりますし、弊社としてもぜひお願いしたいということでございます。
 それから、もう一つが論点の追加ということでお願いしたいところを発言させていただきます。内容としては、暦日休日規制の見直しということでございます。
 休日は暦日での付与が原則とされていまして、24時間以上の連続休息による休日付与は自動車運転業と旅館業に限られているということでございます。しかしながら、弊社の事業の中で鉄道のメンテナンス工事。これは列車が運行しない深夜、夜間時間帯に実施されるということが主でありまして、その当該工事に従事する労働者というものは日をまたぐ、例えば22時から朝の6時といったような時間に勤務しています。したがいまして、一日の暦日休日を付与するとなりますと、0時から6時までの朝と、その日の22時からの開始という、2回分の夜間作業ができないということになりますので、計画的な保守日程の遂行というところが現実的に著しく制限されています。
 また、申し上げた鉄道メンテナンス事業に従事する労働者というものは、やはり十分な運転保安の知識や理解のほか、列車運行の安全性を確保しながら作業を遂行するという高い専門性が求められまして、また、作業を行うために様々な資格取得の必要もあるというところから、資格取得に当たっては、知識とか理解だけではなくて、従事経験というものも求められますので、一般的な工事の場合よりも人材確保というものがより困難というような事情もあります。そういった中では暦日単位で休日調整が困難というようなこともございます。
 こういったことから、長くなりましたけれども、新たな論点としまして、鉄道のメンテナンス事業に従事する労働者の休日に関しては、暦日ではなく、自動車運転業の暦日による休日確保が困難な勤務形態に対応するための代替措置として設定されているのと同等に、継続した33時間以上の休息を付与すること、確保することをお認めいただきたいということがあります。それによりまして、自動車運転業であったり、こういったところと同様の健康配慮はなされることになりますし、当該業務自体は拘束時間が長いわけではありませんので、鉄道メンテナンス事業において、今、申し上げたような継続した33時間以上の休息をもって休日とお認めいただくということで4週8休というものが実現しやすくなるということとともに、鉄道の安全・安定輸送にも資するということが期待されます。ぜひこういった論点についても御検討をお願いしたいということで、新たな論点として発言させていただきます。
 私からは以上2点でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。
 論点の追記に当たっては要約した形になることがあろうかと思いますが、事務局のほうで検討していただけますか。
○労働条件確保改善対策室長 はい。
○山川分科会長 それでは、あと、オンラインで、松永委員からお手が挙がっております。松永委員、いかがでしょうか。
○松永委員 ありがとうございます。私のほうから<賃金請求権等の消滅時効>について、少しコメントさせていただきたいと思っています。
 資料№4に記載があるとおり、キーワードとしては労働債権というものを短期で権利義務関係を確定させる必要が高いということはそのとおりだと思っていて、補足的に申し上げますと、例えば個別の紛争があったときに、未払い賃金の例を挙げますと、賃金台帳に記録のある賃金を払っていっても、その台帳に記録のない部分で当事者の証言ですとか補助的な資料で明示的な、もしくは黙示的な指揮命令・業務命令があったかどうかということが争点になるケースがあると思うのですけれども、そういうことを立証していくということが、期間が長くなればなるほど、非常に厳しいのかなと考えていますので、早期に権利義務関係を確定させるという観点でも、この消滅時効の期間というものは慎重に議論すべきかと思っています。
 2点目ですけれども、これは先ほどのお話と関連するのですけれども、以前の分科会で示された労働時間等に関する実態調査の中で、企業がどういう資料を、どれぐらいの期間、保存しているかということで言うと、労働者名簿とか賃金台帳というものが5年を超えて保管しているという事業場が7割ぐらいあったというようなことだったと思うのですけれども、先ほど申し上げたとおり、実際に立証しようとすると、賃金台帳ですとか労働者名簿だけでは多分足りなくて、それ以外の部分でどういう状態であったのか。勤務実態といいますか、残業指示ですとか、そういう実態がどうだったのかというものを証明するのが非常に難しいということでございますので、この負担というものもあるのかなと考えています。
 最後3つ目は、諸外国の例というものは検討に当たっては見ていく必要があるのかなと思っています。全ての国で統一は当然されていませんけれども、一般の債権よりも賃金債権というものが、時効期間が長いのか短いのかというものも、グローバルな観点でその動向を踏まえて検討していくということも必要なのではないかと考えています。
 私のほうからは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。追加記載の関係で、労働条件の明示方法についてお願いしたいと思います。
 労働条件の明示方法は書面の交付を原則とし、ファクシミリや、電子メール、あるいはSNS等の方法が認められております。ただし、書面交付以外の方法で明示するためには労働者の希望が前提になるため、使用者は労働者の希望を個別に確認する必要が生じるほか、事後の紛争防止の観点から、確認した記録を保存する実態があると承知しております。事業場における電子化、ペーパーレス化、DX化に加え、労働者の利便性向上の観点から、見直しの検討をお願いしたいと思います。
 具体的には、使用者が労働者に対して電子メール等の送信の方法による労働条件の明示を行った上で、使用者による定める期間までに労働者が申し出た場合に限り書面交付に対応するという方法、それから、労使協定の締結を条件に、事業場の全部または一部の労働者に対して電子メール等の送信の方法による労働条件の明示を可能にするという方法を認めていただきたいと思いますので、追加記載をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、櫻田委員、お願いします。
○櫻田委員 ありがとうございます。私から副業・兼業について申し上げておきたいと思っております。
 資料№4のほうにもおまとめいただいているところでありますが、使用者側の委員からは労働時間管理部分のみの通算を行って、長時間労働を抑制するための割増賃金に関する労働時間の通算は不要という御意見が出ているというところです。しかし、労働側としましては、そうした対応については、社会全体で推進しています働き方改革や過労死等ゼロの取組に逆行するものであるという旨も申し上げているところであります。
 健康確保さえできればいいということではないと思っておりまして、副業・兼業を含めた働き方にかかわらず誰もが豊かな生活を送ることができる環境整備を進めることが重要であると考えています。この観点は、議論の整理においても明記いただければと思っているところであります。
 繰り返しにはなりますけれども、副業・兼業時の割増賃金の支払いに係る労働時間通算というものについては廃止すべきではないを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 先ほど、佐藤委員から休日の暦日付与に関して、夜勤明けの翌日の課題について言及があったと思いますけれども、業界ごとの課題があるとしても、例外を安易に拡大することについては慎重に考えるべきだと考えておりますので、その点は意見として申し上げておきたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。そのほか、ございますか。
 資料№3、それから、資料№4を通じて、大変貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、資料№4につきましては、適宜、先ほど申しましたけれども、整理・要約をしつつ、加除・修正を頂いて、次回の分科会で改めて資料として提出をお願いいたします。
 本日予定されておりました議事は以上ですが、何か特段ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事はここまでとさせていただきたいと思います。
 次回の日程等について事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 次回の日程等につきましては、追って調整の上、お知らせさせていただきます。
○山川分科会長 それでは、これをもちまして、第201回「労働条件分科会」を終了いたします。本日は皆様、お忙しい中、大変ありがとうございました。