2024年6月19日 薬事審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録

日時

令和6年6月19日(木)18:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(14名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理 

他、参考人1名出席
 

欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  城克文(医薬局長)
  •  吉田易範(大臣官房審議官)
  •  高江慎一(医療機器審査管理課長)
  •  野村由美子(医薬安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会」を開催いたします。医療機器審査管理課長の高江でございます。委員の皆様方におかれましては、本日も御多用の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本会議はWeb会議を併用して開催させていただきます。
 最初に事務局に異動がございましたので、御報告でございます。厚労省医療機器審査管理課長として、4月1日付けで、私、高江慎一が、また、再生医療等製品審査管理室長として、冨田耕太郎が就任しております。よろしくお願いいたします。
 現時点で再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち、14名の委員の方々に御出席いただいておりますので、薬事審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。また10名のうち、7名の委員におかれましては、Webシステムを用いての御参加となっております。
 次に、本日の審議に参考人として御出席いただいている先生を、御紹介させていただきます。議題1につきまして、東京労災病院病院長、森田明夫先生にWebで御出席いただいています。森田先生、よろしくお願いいたします。
○森田参考人 よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 それでは、議事に先立ちまして、所属委員の薬事審議会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。委員の皆様方におかれましては、開催の都度、署名を御提出いただいておりまして、誠に御負担をお掛けして恐縮でございますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。会場の皆様のお手元には資料が格納されるタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Web会議で参加される委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等に支障がない限り、カメラオンでお願いいたします。
 資料4、競合品目・競合企業リスト等一覧をお開きください。本日の審議事項に関する競合企業として、委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしたところ、議決に参加できない委員は、議題2において小牧委員が該当しております。その際、御退席いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。本日、現地の会場にお越しの委員の先生方におかれましては、Web会議の音声もございますので、恐縮ではございますが、発言の折にはマイクをオンにして、お話いただければと思います。
 それでは以降の進行について、合田部会長、よろしくお願い申し上げます。
○合田部会長 それでは、ただいまの事務局の説明について、御意見等ございますか。よろしいですか。先ほど高江さん、10名中確か7名と言われたのですが、14名中7名なので、今日の後半のほうが。
○医療機器審査管理課長 そうです。14名中7名です。
○合田部会長 そうですね。つまらないことですけれども。では、よろしければこれより議題に入ります。本日は議題1、議題2が審議事項、議題3が報告事項となっております。最初に議題1、再生医療等製品「アクーゴ脳内移植用注」の製造販売承認の可否、条件及び期限の要否並びに再審査期間の指定の要否についてに入ります。本議題について参考人として、森田明夫先生に御出席いただいております。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。まず、左肩に当日配布資料と書かれている資料を御用意ください。今回御審議いただくアクーゴ脳内移植用注については、3月の本部会により一度御審議いただいて、その際には事務局から、「これまでの経緯」と「今後の方向性」について御説明させていただきました。その際に御了承いただきました「今後の方向性」に基づきまして、今般、サンバイオ社から追加のデータ等が提出されましたので、改めて本部会で御審議いただきたいと考えております。
 当日配布資料の2ページの前半部分を御覧ください。これまでの経緯については、3月部会からのおさらいで恐縮でございますけれども、先の部会において、本品の今後の方向性について御審議いただき、了承を頂きました。
 一つ目は品質に関する論点について、現時点で得られたデータでは、治験製品と本品との同等性/同質性を確認することは困難であり、サンバイオ社から評価に必要なデータ等が提出され、機構において治験製品と本品との同等性/同質性に関する追加の評価がなされた結論を踏まえて、本品の承認の可否等を判断するとしています。
 二つ目につきましては、臨床に関する論点ということで、治験製品と本品との同等性/同質性が確認された場合という前提ではあるものの、一定の有効性は期待でき、ベネフィットを踏まえると安全性は許容可能であり、また、本品の有効性及び安全性に関する情報は、現在では限定的ではあるものの、本品を臨床現場に提供する意義はあるものと、機構において評価がなされていること。これら2点を踏まえまして、当日配布資料の後半部分、本部会で御審議いただきたいところです。
 今般、サンバイオ社から評価に必要なデータ等が提出されたことを受けまして、機構において治験製品と本品の同等性/同質性に関する追加の評価がなされたこと。この結果については、この後、機構から御説明を頂く予定でおります。それを踏まえ、改めて本品の製造販売承認の可否等について、御審議いただきたいと考えております。以上、本品に関するこれまでの経緯と、それを受けた本部会で御審議いただきたいことについて御説明させていただきました。
 続けて、これより本品の審査内容について御説明させていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 議題1の「アクーゴ脳内移植用注」の審査の結果について、御報告させていただきます。お手元の資料番号1、再生医療等製品「アクーゴ脳内移植用注」の製造販売承認の可否、条件及び期限付きの要否並びに再審査期間の指定の要否についてのファイルをお開きください。こちらは以下、審査報告書とさせていただきます。
 まず、審査報告書の8/1659ページを御覧ください。こちらの上から2行目以降に記載した「1.1申請品目の概要」を御覧ください。本品の御説明ですけれども、本品は健康成人から採取した骨髄液由来の間葉系幹細胞(MSC)に、ヒトNotch-1細胞内ドメイン遺伝子を導入した、ヒト(同種)由来の脳内移植用細胞懸濁液(SB623)を主の構成体として、また、細胞懸濁液の調製に用いる専用調製液及び専用投与機器セットを副構成体とする、コンビネーションの製品です。薬理作用として、本品から分泌されるサイトカインによる内因性神経幹細胞の増殖・分化、血管新生、免疫調節の促進等を介した神経細胞の修復作用が期待されています。こちら、報告書のほうには、一過性という言葉で書かせていただいているのですけれど、ここについては、前回、小野寺委員から御指摘いただいた部分でございますので、後ほどまた御説明させていただきます。
 細胞移植の手技について、定位脳手術により、頭蓋骨に穴を1か所開け、専用投与機器セットを用いて、当該1か所の穴から三つの移植経路を設定して、3回針を挿入し、細胞液を脳の損傷部位周辺に移植するものになります。
 対象疾患につきましては、慢性期の外傷性脳損傷になります。審査報告書の中では、外傷性脳損傷を「TBI」と略して記載しております。この外傷性脳損傷は、交通事故等による頭部への物理的衝撃が原因となって生じるもので、運動機能障害や認知障害を引き起こすものです。根本的な治療法はなく、後遺症に対してリハビリテーションが行われていますが、受傷後6か月を目安に運動機能障害の度合いは安定し、受傷後12か月以上経過すると、それ以上の改善は認められないことが報告されております。
 本品については、外傷性脳損傷後の運動機能障害の改善を効能、効果又は性能として承認申請が行われました。なお、本品は再生医療等製品に係る先駆け審査指定制度の対象品目、また、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。現時点において本品は、いずれの国及び地域においても、承認はされておりません。
 本品の専門協議に御参加いただいた委員の紹介をさせていただきます。2/1659ページを御覧ください。こちらに専門委員のリストがございます。こちらの5名の先生に御協力、御参加いただきました。
 現時点における審査の概要について、最初に、本品目の最大の課題である品質に関する内容を説明させていただいて、その後に臨床試験成績に関する内容を御説明させていただきます。品質に関する課題につきましては、市販製法品と治験製品との品質の同等性/同質性評価についてです。まず、経緯について御説明させていただいた後に、今年3月の部会以降に提出された追加の品質特性データを中心に、品質に関する審査内容を説明させていただきます。
 審査報告書9/1659ページを御覧ください。承認申請前の経緯ですけれども、こちらの9ページの2行目以降を御覧ください。本品は先駆け審査指定制度の対象品目であり、承認申請に先立ち実施された先駆け総合評価相談において、最終製品への異物混入が確認されたことから、異物管理戦略の構築をまとめておりました。
 承認申請後に実施した、製法変更を伴う異物管理戦略の構築により、異物混入リスクの一定の低減化は達成されましたが、収量の顕著な減少が連続して発生いたしました。承認申請前と同等の収量を得ることを目標としてプロセス評価を行った結果、承認申請後○回目の製造において、承認申請前と同等の収量が得られました。本プロセスの評価で確立した市販において予定している製造方法を、以後、市販製法とさせていただきます。
 この市販製法品1ロットの工程内管理試験項目、規格試験項目、特性解析試験項目等の品質特性について、3月部会において御審議いただいたとおり、治験製品との同等性評価は情報が限られていることから、治験製品と本品との同等性/同質性に関する追加の評価結果が必要と評価されていました。
 3月部会以降に、申請者から追加の品質特性データが提出されました。こちらについては64/1659ページを御覧ください。「1.1主構成体(SB623)の製造方法について」です。追加データは、市販製法品1ロットの○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、○○○○○○○及び○○○○○○○○です。治験製品の成績の範囲から、著しく異なる傾向は認められませんでした。
 審査報告書の67/1659ページを御覧ください。機構といたしましては、市販製法品の1ロットの品質特性につきましては、治験製品の品質特性の範囲から著しく異なる傾向は認められず、一定の評価はできるものの、3月部会以降に得られた情報は、なお限られており、治験製品と市販製法品との同等性/同質性について、現時点で確認できていないと判断いたしております。
 しかしながら、後に御説明する臨床試験成績から、本品目の一定の有効性は期待でき、認められたベネフィットを踏まえると、安全性は許容可能と考えることから、次の二つを承認条件として付した上で、承認することが適切と考えます。
 一つ目が市販製法品の追加の製造により、本品の品質に関する情報を速やかに収集し、治験製品と本品との同等性/同質性を評価する必要があること。  
二つ目が当該同等性/同質性評価結果に基づく必要な承認事項の一部変更承認申請を行うとともに、当該申請が承認されるまでの間、本品の出荷は行わないこと。こちらを承認条件として付した上で、承認することは適切と考えております。
 なお、申請者の計画する同等性/同質性評価の項目なのですけれども、審査報告書67/1659ページの表2に記載してある項目が予定されておりまして、機構としては、この項目での評価というところについては受入可能と考えております。
 続きまして、3月の部会で小野寺委員より御質問いただいた本品の製造工程におけるプラスミドベクターによる遺伝子導入が一過性のものか、ゲノムに組み込まれたものかについて、御説明させていただきます。今、スライドでも、事務局のほうからプロジェクターで映していただいていますので、そちらも併せて御覧いただければと思います。遺伝子導入したNotch-1の細胞内ドメイン(NICD)の遺伝子のmRNA及びタンパク質の発現が評価されております。プロジェクターで示しております図2から遺伝子導入後、継代培養を繰り返すことで、このNICDのmRNAの発現量が減少することは確認できておりまして、その横の右手の図3から最終製品では、このNotch-1細胞内ドメインのタンパク質の発現は認められていないことから、最終製品のゲノムに、Notch-1細胞内ドメインの遺伝子が組み込まれていることを示すデータは得られていません。
 しかしながら、実際に組込みを評価した結果は提示されておらず、プラスミドベクター由来のDNAがゲノムに組み込まれているかどうかは現時点で判断できないと考えております。したがって委員の御指摘のとおり、今後幾つかのロットについて、ゲノムへの組込みを評価するように、申請者に指示をしたいと思っています。
 また、承認申請書及び審査報告書の「ヒトNotch-1細胞内ドメイン遺伝子を一過性に導入した」の記載の中に、「一過性に」という言葉があるのですけれども、この「一過性に」については、現時点で明らかではないことから、削除いたします。以上が品質に関する御説明です。
 続きまして、臨床試験の成績に関して御説明させていただきます。臨床評価においては、治験製品と市販製法品の間で品質の同等性/同質性を有しているとの前提で、検討を行わせていただきました。まず、有効性について御説明いたします。審査報告書の30/1659ページを御覧ください。評価資料として提出された臨床試験は一つのみで、国際共同第II相試験として実施されたTBI-01試験です。外傷性脳損傷に起因する慢性期運動機能障害を有する患者を対象に、本品の有効性及び安全性を検討することを目的とした偽手術対照無作為化二重盲検比較試験が実施されました。
 有効性の主要評価項目は、上肢及び下肢の運動機能を評価するために、一般的に使用されているFMMSスコアとされ、本品移植後又は偽手術実施後、24週目におけるFMMSスコアのベースラインからの変化量の結果につきましては、審査報告書33/1659ページの表22に示しております。変化量の推移については、同じ所の図2のとおりでした。
 主たる比較は、各用量群を併合したSB623群と偽手術群の比較とされまして、主要評価項目について、偽手術群と比較してSB623群で統計的に有意に高い値であったことなどを踏まえ、機構は本品の運動麻痺改善に関する一定の有効性は期待できると判断いたしました。
 ただし、本試験は外傷性脳損傷対象の唯一の臨床試験であり、現時点で得られている本品の有効性に関する情報は、極めて限られていることから、製造販売後も引き続き本品の有効性について、24週以降の成績も含めて評価する必要があると判断いたしました。
 製造販売後の評価計画としては、審査報告書57/1659ページを御覧ください。こちらの表39に記載している前向きの対象群を設定し、比較検討を行う製造販売後臨床試験、及び同じページの表40に記載している本品を使用した全ての患者を対象とした使用成績調査が計画されております。
 続きまして、臨床試験の安全性について、御説明させていただきます。こちらはTBI-01試験におけるSB623群の有害事象について、偽手術群と比較して問題となる事象は認められていないことから、現時点で本品の安全性は許容可能であると判断いたしました。ただし、本品は定位脳手術により、脳への局所投与を行う製品でありまして、頭蓋内出血等の手技に伴う合併症を含め、本品の臨床試験で認められた事象については、十分な注意が必要であることから、外傷性脳損傷の治療及び定位脳手術に十分な経験及び知識を有する医師が、本品に関する十分な知識を有した上で、術後合併症等に対して十分な設備及び体制の整った施設で使用することが重要であると判断いたしました。
 以上より、現時点の情報などを踏まえ、本品が承認される場合には、通常の承認ではなく、改めて本品の有効性及び安全性の評価を適切に行うことを条件に、期限を付した上での承認が適当と判断いたしました。
 機構が判断した効能・効果等については、審査報告書の63/1659ページを御覧ください。こちらに記載した効能、効果又は性能、並びに用法及び用量又は使用方法で、同ページの承認条件を付すことが適切と考えております。品質のところで御説明させていただいた条件については、1番の所で書かせていただいているものになります。
 なお、本品は同種由来細胞を原料として用いる再生医療等製品であることから、指定再生医療等製品に指定することは適切と考えております。また、承認の期限につきましては、有効性評価に実施可能な期間を考慮し、7年が適当と考えております。機構からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。続いて、資料の最適使用推進ガイドライン(案)について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明させていただきます。追加資料の最適使用推進ガイドライン(案)について御確認いただければと思います。こちらのガイドラインについては、本品を使用する上で適切な患者さんに使うために、また適切な施設において使用されるために作成しているものです。ガイドライン(案)の3ページの黒枠の少し上になるのですが、各学会の先生方の御協力の下、作成を行っているものです。本部会の委員からも御意見、御指摘がありましたら、それも含めて御検討させていただきたく、案をお示しする次第です。
 ガイドライン全体の構成から御説明させていただきます。順番は前後してしまいますが、2ページの目次を御覧ください。まず、3ページの「1.はじめに」の項目で、このガイドラインの位置付けや内容について紹介しています。その後、本品の基本的な特徴、臨床成績、施設基準、投与対象となる患者、投与に際して留意すべき事項をそれぞれ定めています。
 具体的な要件について、かい摘んで御説明いたします。資料の8ページを御覧ください。「4.施設について」です。本品は、先ほど御説明がありましたが、定位脳手術により局所投与を行う製品であるため、TBIの治療及び定位脳手術に十分な知識と経験を有する医師が、術後合併症等に対応できる十分な設備・体制の整った施設で使用する必要があることから、それぞれの基準を策定することを考えています。
 9ページです。「5.投与対象となる患者」についてです。まず、「有効性に関する事項」として、本品に期待される有効性を、「安全性に関する事項」として、本品が禁忌となる患者さんについて記載しています。更に次ページの「患者選択について」において、具体的に本品の適応対象となる患者について記載しています。最後に、その下の「6.投与に際して留意すべき事項」を御覧ください。こちらでは、添付文書等の製造販売業者からの情報を十分に理解してから本品を使用すること、患者に同意を得てから使用すること、本品使用時に生じ得る主な有害事象に対するリスクマネジメントについて記載しています。簡単ではありますが、事務局からの説明は以上です。
○合田部会長 それでは、続いて参考人の森田先生より追加の御説明はありますか。
○森田参考人 聞こえますでしょうか。
○合田部会長 聞こえます。
○森田参考人 本年3月の委員会で報告書もまとめさせてもらったのですが、私はこの治療薬を使う医師ではありません。脳外科医として意見・コメントさせていただきます。まず、疫学的なことを説明しますが、TBI(traumatic brain injury)ですが、WHOの調査では10万人対150から300人ぐらい発生すると言われています。日本でいえば総人口1億人として、年間15万から30万人発症します。その中で重症で後遺症を残す者というのは、大体1割とされていますので、年間1.5万人から3万人ぐらいが発生するだろうと言われています。
 日本では現在神経外傷学会で重症頭部外傷に対するデータベースが1998年からできています。限られた施設でやっていますけれども、それの調査では、最初は若年者と高齢者が多かったのですが、最近は特に85歳以上の高齢者のtraumatic brain injuryが多いという状況です。死亡率は1998年から下がっていて、元は50%を超えていたのですが、今は50%を割るという中で、この20年間ぐらいの経過で約5%減っている状況だということを御理解ください。その1~2万人のtraumatic brain injuryは、先ほどもいろいろ説明がありましたが、高次脳機能障害とか、上下肢の麻痺とか、脳神経麻痺とかを来すわけで、後遺症としてはかなり重症となります。リハビリで治る部分はありますが、回復は半年ぐらいまでがピークで、それ以降はプラトーになってしまい、それ以上は治らないで症状が固定してしまうことが多くなります。
 この薬剤については、今回のTBI-01試験にて外傷1年後からの無作為ランダム化試験で、検証しています。計画では市販後の臨床試験は外傷後半年後からする計画ですが、半年後以降はリハビリによる改善効果は少ないのでどちらの検証計画も妥当性はあると思います。重症頭部外傷後半年、1年後はリハビリ等による機能回復が乏しくなり、これに有効な薬剤がないというのが現状です。ですので、何かしらの症状改善をきたすような薬があればいいということで、今回提案されているような薬が開発されたわけです。この薬剤と同様な間葉系幹細胞を応用した薬剤は、日本では比較的多く許可されているのですが、traumatic brain injuryを対象とする薬剤は今回が初めてです。SB623間葉系幹細胞は、先ほど説明があったようにNotch-1のタンパクをコードするような遺伝子を導入した上での健康成人からの培養細胞ということになります。
 動物実験では、神経幹細胞を増やすとか、その他の前駆細胞の増殖分化とか、細胞外マトリックスの産生とか、神経細胞の成熟、axonとか樹状突起、dendriteの分岐促進とか血管新生の促進というのが証明されているのですが、人間ではこのような現象の証明がはっきりとはしていないという段階です。これは日本で進められている幹細胞治療のほとんどが同じような状況で、作用機序に関しては、大体は抗炎症による症状の改善や、サイトカインによる刺激が作用しているだろうと言われている段階です。
 そういった細胞治療を今回許認可の対象としているとご理解いただければと思います。専門家の意見としては、こういった薬剤が本当に有用性があるのであれば、患者さんにとってはとても福音になると思います。ただし、先ほど機構からも説明があったように、かなり慎重な何段階も経た販売後の臨床試験を実施すべきですし、ロットも通常は製品と試験に用いた薬剤の同等性を3ロットで調べるのが常とされるというところで、1ロットしか調べていないというのも問題で、企業側が1ロットしかしないということになっているらしいので、その辺も慎重に考える必要があると思います。それも考慮した上で、市販は認めたとしても、3ロットやった上で本臨床に進んでもらうほうがいいのかなと思います。以上です。
○合田部会長 森田先生、ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問等はございますか。Webの先生方もよろしいですか。小野寺先生、お願いいたします。
○小野寺委員 同等性/同質性に関しては、前回も質問させて頂きましたが、今回の説明を受けてもやはり製品のMode of actionがはっきりしていないと思いました。つまり、製品のCQAがサイトカインなのかどうかも分からない状態で特性解析を実施しても、最終的に何をもって同等か同質か分からないのではないかと思いました。その意味で、本来であれば、本製品を用いて非臨床試験か臨床試験を実施し、そこでの有効性、POCを取るべきだと思います。しかし、これらが難しいとなると、先ほど御説明があったように、やはり確実に製造できる、つまり、安全性に関しては今回の臨床データから特に問題ないとのことですから、今後は製販後の治療において確実にPOCを取る必要があると思います。そのためにも最低でも3ロットをしっかりと製造し、今、提示された特性解析で結構ですから十分に解析して、確実に再現できているというデータをもって、患者さんに投与するのが望ましいと考えます。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。機構、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。そこの部分は我々も重々理解しております。今後、追加の製造で得られたデータに基づいてきちんと評価をして、評価結果については改めて部会のほうで報告等をさせていただければと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 佐藤陽治先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 国衛研の佐藤でございます。小野寺委員のコメントと似ているのですが、例えば、8ページに○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○神経細胞の修復作用と挙げられているにもかかわらず、67ページの評価の計画においては、そのほかの評価項目というマル4(白丸の中央に数字の4)で、○○○○だけしか測っていない形になっていると。これは、何か合理的な理由があればしようがないかなとも思うのですが、8ページに可能性として○○の作用機序が挙げられているのだったら、最低でもその○○ぐらいは何とか頑張って検討していただきたいなと思います。もちろん、例えば○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○をやってしまうと大量の細胞が必要で、それをやってしまうと臨床用の細胞がなくなってしまうからなど、いろいろな事情があるかもしれないので、その辺は申請者の方と相談して、どこまでできるかということを御検討いただきたいと思います。以上です。
○合田部会長 機構、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。正にその点については、我々としても問題意識としては持っております。そこの部分は今後も引き続き検討は必要と考えております。審査報告書の63ページで記載させていただいた承認条件の四つ目にも書かせていただいたとおり、作用機序については引き続き情報収集は必要というところで、この部分については本品の作用機序を反映する生物学的特性に関する情報を収集して、品質管理戦略の改良等の必要な措置を講ずることというところで、きちんと評価いただく形で申請者等にも指示をしていきたいと思います。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。作用機序と品質管理は、非常に重要な関連がありますから、そこは是非よろしくお願いいたします。井上先生、どうぞ。
○井上委員 国立衛研の井上です。審査報告書の65ページに治験製品と市販製品の同等性/同質性を主張するデータのひとつとして、10程度のサイトカイン等の分子の○○○○○○○○○○○が示されています。これらのサイトカインのうち、本製品の有効性と関連するものがどれで、どのように関連すると考察されているのかについて、教えて下さい。治験製品と市販製品を比較した場合に「著しく異ならない」と結論されていますが、本当に著しく異ならないのか、特に有効性に関連する分子の発現変化の違いを丁寧に見る必要があると思います。このグラフの縦軸は対数になっていますので、小さく見える差も実際には大きいですので、注意が必要です。
 
○医薬品医療機器総合機構 こちらの10個の因子に関しては、左から四つまでが本品の活性に関連する遺伝子として挙げられているものです。中には○○○○とか、○○○○○○○○○○○○○○○の遺伝子もありますが、○○○○も含めて、この四つが力価に関連する可能性があるということです。今、御説明させていただいたように、本品の作用機序に関しては明確にはなっていないのですが、その中でも候補として考えられるものは、この四つが挙げられております。
○井上委員 ありがとうございます。そうしますと有効性に関連するとされる分子の中に、○○○○○○○○○○○○○○○○○○が治験製品で大きくばらついていたり、市販製品で○○○○が再現されていないものが含まれるということになります。事実確認をしているだけなのですが、現状では再現されているとは言い難い生物学的指標もあるということになると思います。
○医薬品医療機器総合機構 今、得られているのが1ロットしかありませんので、解釈がかなり難しいところではあるのですが、大きく発現が異なっているという判断は、今のところはしていない状況です。
○合田部会長 佐藤陽治先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 この点は、○○○○しか測っていないところが盲点で、恐らくどれぐらいの本当のタンパク質として分泌されているかというところから、差の解釈を変えていかなければいけないと思います。例えば、骨髄由来のMSCだと、通常、VEGFタンパク質はかなり出ています。ただし、ほかのサイトカインや増殖因子が、果たしてどれぐらい絶対量として出ているのかというのが分からないものが結構あります。なので、もし生理的な濃度では分泌されていないようなものであれば、非常に大きな差があっても、もともとベースラインが低いので、余りそこで心配する必要はないかもしれません。なので、タンパク質としてどれぐらい分泌されるかといったところも踏まえて差の解釈をしていかないと、杞憂でいろいろと時間とお金を掛けてしまうことがあり得るので、注意が要ると思います。
○合田部会長 佐藤先生、ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 正に御指摘いただいた観点は、重要かと思っております。その中で申し上げますと、○○○○に関しては、分泌されるサイトカインの中でも、生理活性が確認される程度の分泌が、本品でも認められておりますので、より詳しく確認する意味で、2番目の所に設定させていただいています。残りの○○○○に関しても、本品の特性を評価する上では一定の意味はあるかと思っております。
○合田部会長 ありがとうございました。ほかに御意見等はありますか。井上先生、どうぞ。
○井上委員 参考資料の2枚目にあるデータについて、確認させて下さい。図1について、文章での記載では「遺伝子導入後2継代目の細胞において1ゲノム当たり○○コピーまで減少」と書いてあるのですが、実際のデータを見ますと○コピーに近い値に見えます。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。大変失礼いたしました。図1のグラフに関しては、申請者からの回答で頂いているグラフと機構のほうで差し替えております。差し替えた理由としては、今回P0Cで発現を見ているのがこのグラフでしたので、このグラフに差し替えているのですが、申請者から説明を受けていたものに関しては、確かにもう少しP4の所まで行くと減っているという結果も得られている状況です。説明しているグラフと示しているグラフが違うというところで誤解を生じさせてしまいました。失礼いたしました。
○佐藤(陽)委員 聞き逃したかもしれません。そうすると、要するにゲノムコピー数が高いのが維持されているというデータということでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 いいえ、こちらの図でもベクターコピー数については継時的に減少していっているということで示させていただいております。
○佐藤(陽)委員 減少はしていっていますが、データを取った時点ではまだ維持はされているということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。少なくとも検出されているという成績も得られている状況かと。
○佐藤(陽)委員 もう一つ、私の読み込みが足りないかもしれないのですが、実際に打つのは、培養7日目でしたっけ。
○医薬品医療機器総合機構 実際に打つのは○○です。○○○した後のものです。
○佐藤(陽)委員 そうか、○○○した後に打って、脳内にどれぐらい、要するに、ここでNotch遺伝子のコピーが残っている時間の長さと、実際にin vivoで投与したときのコピー数の関係はどのように考えられるでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 生体内の分布を評価したものでは、投与後1か月程度で消失することが確認されております。継代数と比較するのは難しいのですが、そういったデータが得られております。
○佐藤(陽)委員 消失は何で確認されているのでしたっけ。何を指標に。
○医薬品医療機器総合機構 体内動態に関しては、ヒトのAlu-PCRとか、ヒトの核の抗体の陽性細胞とかを確認しております。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ということは、導入したものは見ていないということですね。分かりました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等はございますか。Webの先生方、よろしいですか。ちょっと私が今、佐藤先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 評価項目の話なのですが、まだ○○○○にこだわっているのですけれども、この実験条件は、恐らく○○○○○○の中で取っていると思うのです。実際の患部に投与したときというのは、恐らくMSCは○○○○○に置かれると思います。○○○○というのは、○○○○○○○○○○○○○ということはよく知られている遺伝子で、○○○○○○○でのデータで、そこまで解釈できるかどうかといったところも考察が必要だと思います。要するに、「○○○○○○で同等だったからといって、果たして○○○○○で同等かどうか分からないではないか」という意見に対して、「いや、同等なのです」ということを、何を根拠に言えるのかというところも結構ポイントかと思います。
 例えば、○○○○○○○○○○○○○○と、○○○○○○○○○○○には相関があるなどの知見があればこのデザインでいいのかもしれません。そうではない場合には、何か追加的な試験が要るかもしれないと思います。
○合田部会長 何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 この点は引き続き検討させていただきます。
○森田参考人 森田ですが、いいですか。
○合田部会長 森田先生、どうぞ。
○森田参考人 今の質問に関してですが、この薬剤は一応、正常脳に打つことになっているのです。患部に打つのではなくて、周辺の正常脳に打つということを決まりとしてやっているプロトコルだと思います。ですので、○○に関しては○○○○と考えていいのではないかと思います。
○佐藤(陽)委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 森田先生、ありがとうございました。それでは、ちょっとここでWebの先生方に行きたいと思うのですが、荒戸先生、よろしいですか。荒戸先生、手が挙がっていますが。
○荒戸委員 聞こえておりますでしょうか。
○合田部会長 聞こえています。
○荒戸委員 今までの先生方の御質問と少しかぶるのですけれども、まず、今回追加した結果の中で、○○○○○○○○○○○○○は、治験製品3ロットのデータが出ているのですが、○○○○○○○や○○○○○○は、2ロットしかないのですけれども、もう1ロット分のデータはなかったのでしょうか。また、申請製法はロット数が多いのですけれども、申請製法で今回追加した検討はされていないようなのですが、そうしたデータはないのでしょうか。これが1点目です。
○合田部会長 では、一旦切って、ここで機構から回答をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の○○○○○○○○○○○○○○○は3ロットの治験製品の結果があるけれども、残りの○○○○○○○と○○○○○○○○については、2ロットしかないという点なのですが、治験製品の残りの1ロットは現在評価中でして、次の同等性評価の際に提出いただける予定です。
○合田部会長 ありがとうございます。荒戸先生、続けてお願いいたします。
○荒戸委員 先ほどの御回答は分かりました。2点目が、製造販売後に実施する同等性/同質性評価項目として、今回追加した○○○○○○○○○○○○○や○○○○○○○、○○○○○○等に関しては判定基準が示されていないのですが、それはどのように決めていくつもりなのか。私自身は正直に言って、少なくとも3ロットのデータが出てから承認すべきと思っていますが、現段階で承認されたときに、PACMPの考え方で実際に販売されてしまったりしないのか確認したいと思います。
○合田部会長 機構、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 そのほかの評価項目として今回追加されている評価項目に関してなのですが、3ロット同士の結果を比較して同等性の評価をするという計画になっております。同等性評価結果に関しては、次の一変申請の中で確認して、その中で問題ないと判断された後に出荷される予定になっております。
○荒戸委員 事実関係については理解いたしました。あと、品質以外の質問をさせていただいてもいいでしょうか。
○合田部会長 お願いいたします。
○荒戸委員 今回の臨床試験なのですが、本効能に関しては1試験だけなのですけれども、違う効能の試験を2試験やっています。これの有効性はどうであったのか、参考までに教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 有効性に関してなのですが、参考資料の海外試験の第IIb相試験、これが脳梗塞を対象とした試験です。こちらは偽手術群との対照比較試験なのですが、有効性主要評価項目が検証できなかったという結果になっており、現在、脳梗塞を対象とした開発についてはストップしているところです。
○合田部会長 荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 ありがとうございます。事実関係は理解いたしました。私からは以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。続いて、永井先生、お願いいたします。
○永井(洋)部会長代理 品質に関していろいろと御意見が出ていますので、私からは臨床側からのコメントをさせていただきます。まず、このTBIというのは御承知のとおり、非常にヘテロジーニアスな病態であり、かつ、治験で使った試験物との同等性が確保されていない現状があります。
 そうした中で製販後の臨床試験計画を拝見しますと、試験物が全く同一という前提で例数設計がされています。また、この治験で麻痺に効果があったからという理由だと思うのですが、ファンクショナル(機能的)な評価項目が全部落ちて、評価項目が麻痺に集中しているのです。だとすると、製販後は非盲検で、当然雑音も入ってくるので、かなりリスキーだと思います。治験と全く同一条件なら、治験と同じ結果を再現できるかもしれませんが、いろいろな不確定要素がある段階なので、もともとの治験でそうだったように、できれば評価項目を麻痺に限定せずに、ファンクショナルなものを含めたほうがいいと思います。
○合田部会長 非常に貴重な意見をどうもありがとうございます。機構からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。やはり市販後に実施するとなると、治験と全く同じ条件でというところは、なかなか難しい部分が出てくるのですけれども、そこの客観性を高める方策については、可能な限り引き続き申請者と協議をして、できる限りの工夫ができるように対応したいと思います。
 また、評価項目についても、麻痺に関してはFMMSスコアで取っているのです。それ以外の項目は、治験等も取られた項目と同じような部分は設定しておりますが、改めて見直して、必要に応じてきちんと必要な情報が取れるように対応していきたいと思います。
○永井(洋)部会長代理 もう少し具体的に申し上げると、治験のときには上肢障害について、ARAT、10m歩行、ニューロQOL等を評価していますが、これらはファンクショナルなものであって、麻痺ではないのです。いろいろな不確定要素がある中、本質的には麻痺より機能のほうが大事だと思うのです。その辺を少し議論していただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。そこの部分はまた検討させていただきます。この製販後の臨床試験の一義的なメインの目的は、今回、仮に承認いただくとなった場合に、麻痺が効能、効果に付くというところで、まず主要評価項目としては、麻痺の評価が設定されておりますが、今回頂いた御指摘も踏まえ、引き続き検討を進めさせていただければと思います。
○永井(洋)部会長代理 もう1点、製販後調査のほうです。がんのように死んだとか生きているというふうに単純ではないため、製販後調査を単にやるだけでは、本当に効いているかどうか分からないと思うのです。先ほど森田先生からコメントがあったように、重症TBIのデータベースがあるということなので、それと比べられる形で何とかデザインできると非常に有益かと思いました。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 貴重な御意見をありがとうございました。頂いた御指摘を踏まえ、引き続き製販後の評価方法を検討させていただきたいと思います。
○再生医療製品審査部長 今の永井先生の御指摘について確認です。今、御指摘いただいたのは、使用成績調査の話をされていますか。
○永井(洋)部会長代理 後半は。
○再生医療製品審査部長 使用成績調査を設けた背景としては、やはりリハビリなどもやりますので、製造販売後臨床試験という形でデザインするのが基本と考えているのです。ただ一定数、製造販売後臨床試験に乗りたくないと。オープンで、一応ランダムに割付けはするのです。そうすると対照群に当たってしまう方もいらっしゃいます。そういった方は承認されていますので、投与を受ける権利がありますという話になると投与せざるを得ない。投与した患者はデータを取るということで、そのための使用成績調査を設けていますが、そこでの有効性の評価というところまでは、しっかりと構築していない調査という位置付けになっております。
○永井(洋)部会長代理 そこは承知しているのですが、森田先生もおっしゃったように、今後10年とか20年という話になるので、何段階かで慎重に評価していかないといけないと思います。そのときに単なる調査では、なかなか検討しにくいので、もし可能であれば重症TBIのデータベースとの比較も検討したらいいのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。市販後の臨床試験のほうは観察期間を決めていて、その後に使用成績調査に移ります。そういった意味では長期の部分に関して、データベースと比較して何か有効性の評価ができないかというところを、申請者のほうに確認するということで進めたいと思います。御意見、ありがとうございました。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。患者の困窮する状況などを考えると、ある程度いろいろな配慮をしなければいけないかなとは思うわけですけれども、やはり市販後製品の安定性というか、収量も含めた確実性が、しっかりと担保されるかどうかということは非常に重要なことで、それにばらつきがあってはならないわけです。そういうことを考えると、かなり危ういところが見えてくるわけです。
 市販後製品のところで、ばらつきをどうやってきちんと見極めていくのか、それが市販後の臨床試験の中でどのように取り扱われるのか、そしてその後の調査もどう取り扱っていくのか。急ぐ理由がどこにあるかということが、今までの議論の中で全ての委員が疑問を持っているのだろうと考えます。急ぐ理由が何なのかが明確になれば、急ぐ理由があるのだなということで進められるわけです。前提として、困窮する状態があるということは私も申し上げましたが、そこのところのしっかりとした理由付けが、なかなか見えてこない。
 その中で、治験製品と市販後製品との間でいろいろな比較を含めて、こうやって検討しているわけですけれども、それも本当に対比できるようなデータの出し方をしているのかどうか、非常に危ういところがあるのです。これは非常に難しい判断になるかもしれません。確かに先ほど、これはなかなか認められないという御意見もあったと思うのですけれども、しっかりとした判断を委員の方々が示さないと、ズルズルこれをやって、機構のほうも「承りました」とか、「貴重な御意見をありがとうございました」ということでは、それをどうやって解決するのかが全然見えていないので、その辺のところは部会長も含めて、おまとめいただければと思うのです。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長です。宮川先生、ありがとうございます。また、その他の先生方からも非常にいろいろな御意見を頂き、まだ宿題としていろいろあるというところを、改めて認識しております。本件については3月の部会で諮問の形ではなく、データについていろいろ御審議を頂きました。そのときに冒頭、事務局からも御説明させていただく形になったところで、今回はまだ1ロットしかないという状況で、新たにデータが出てきて、そこで全てが解決するわけではありませんが、ある程度一定の蓋然性が高まったということも踏まえて、今回、承認の可否について諮問をして、御審議いただいているという状況にあると理解しております。
 この外傷性の脳損傷というのは、森田先生からもありましたように、今唯一の治療法はリハビリです。長期間たつとリハビリも当然頭打ちになってしまい、機能回復を目指す有効な治療法が実際になく、患者からも様々な御要望を頂いている分野です。そういった中で、本件は少しでも早く患者に届けるために、こちらのほうでもいろいろな措置を検討させていただきましたが、実際にデータが不足しているのは事実です。その中で今後、データの収集をサンバイオが行うに当たって承認ができていない。今回も承認できないで継続審議とするのと、冒頭に機構からも御紹介申し上げた、四つの非常に厳しい承認条件を付けた形で承認するということを考えた場合、承認を与えた後にサンバイオがきちんと様々な対応策を講じて、残りの2ロット分について製造と試験を実施できる実現可能性が高いという判断をしているところです。かなり行政的な判断を含めて今回、部会のほうに承認の可否についてお諮りしております。委員の先生方からは通常のデータがないのに、なぜ承認をするのだという御意見を頂きましたが、そういった事情も含めて行政的判断で、こちらのほうで承認することをお認めいただけないかというのが、厚生労働省としての判断です。
○合田部会長 ありがとうございます。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 その理由はよく分かります。そういう意味で承認を与えたということは、一応使用することを一旦は認めているということです。ただ、その後にそのデータが出てきたときに、いつ、どのように誰が判断するのかをしっかりと、厚生労働省も含めて明確にしていくことが非常に重要です。困窮した状況であるということはみんなが認めている。しかしながら、これからも同じような状況のものが出てくるはずなので、それが本当だったのかそうでなかったのかという、その後の立て付けを明確にしないと、こういうものは公的に、今日出席された先生方が、それを一旦承認してしまったという事実は残るはずなので、その後はそれをどのように扱って、誰がしっかりと立て付けを作るのかということは、やはり厚生労働省も含めてしっかりと立て付けを作っていただきたいと思っています。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。今の御指摘を踏まえて、当然機構も企業任せではなく、厚生労働省としてもきちんと物事が完遂できるかどうか見ていきたいと思っております。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はありますか。小野寺先生。
○小野寺委員 品質に関しては、今の議論で私は納得いたしました。ありがとうございます。次に、私が質問したいのは遺伝子導入に関してです。私は長い間、遺伝子治療をやっていますので、この件は非常に気になって質問しました。今回、参考資料1を見ていただくと分かるのですが、2枚目が私への答えです。
 これは細胞を継代していくと導入されたプラスミドの数が徐々に低下していくことを示しています。つまり、最初は非常に多いコピー数からネオマイシン選択を行うことで、最終的には○コピー程度に落ち着いていくのだと思います。ですから継代が3から4ぐらいになると1細胞数あたり○コピーのプラスミドが挿入されていると考えられます。よって、これは完全にゲノムにプラスミドが挿入された安定な細胞株であり、トランジェントな細胞ではないということを、まずは強調したいと思います。
 次に、Notchの発現が徐々に低下していった理由です。通常、ネオマイシン選択を行うと、その発現に問題がなければNotchは継続して発現し続けるはずです。しかし、継代とともにその発現がmRNAで低下し、同時にタンパクでも低下しています。このことから考えますと、多分、Notchの発現は、間葉系幹細胞の生存にとって極めて不利な状況だと思えます。そして、この状況に至る理由は複数あり、1.Notch遺伝子が完全になくなった、2.Notch遺伝子に何らかの変異が入った、3.プロモータ等がメチル化した可能性があります。ですから、この原因に関してしっかりとしたゲノム解析を行う必要があります。
 一方、これら細胞はクローニングしていないため非常に不均一な細胞集団です。しかし、まずは全体コピー数とその状態、また、できれば挿入部位を確認して欲しいと思います。もちろん、次世代シーケンサー等の使用はバリデーションの問題があり、その信頼性は完全に保証できませんが、参考資料として極めて重要なデータだと思います。せめて今後の製造するロットに関して、1ロットでもゲノムでのプラスミドの状態を調べていただきたいと思います。それが1点目です。
 2点目は、発現を確認しているのはNotch遺伝子のみで、ネオマイシン耐性遺伝子に関してはその発現を確認していません。もしかしたらネオマイシン耐性遺伝子が発現している可能性はあります。そうなると、発現するのはバクテリア由来のタンパクであり、それを発現する間葉系幹細胞が生体内に入って来た時、ネオマイシン耐性遺伝子タンパク質に対する抗体が作られる可能性があります。これは以前、ADA欠損症に対してレトロウイルスベクターのLASNを用いてT細胞にADA遺伝子を発現させたとき、同時にネオマイシン耐性遺伝子も発現してしていたことと同様です。つまり、この間葉系幹細胞はネオマイシン耐性遺伝子を発現している可能性があり、そのタンパクの発現とそれに対する抗体をしっかり評価するべきだと思います。
 3番目として、投与した細胞の生体内分布はヒトAlu配列で調べたと思います。本来、この間質系間細胞にプラスミドが残存していれば、そのプラスミドの配列で生体内分布を調べるべきだと個人的には思っています。今後、非臨床試験を行わないのであれば、せめて残った検体でプラスミドの配列をqPCR等で調べて頂きたいと思います。その際、ネオマイシン耐性遺伝子でも構わないし、プラスミドのどこか確実に伸びそうな所にプライマーを設計し、本当に脳内投与によって投与細胞が全身に移動がないことを、是非、確認していただきたいと思います。これら3点は製品の品質に関する問題だと思いますので、患者に投与する前に調べておいたほうが安全だと思います。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。機構何かありますか。
○再生医療製品等審査部長 先生、ありがとうございます。1点目のこの解釈ですが、○○○○○○○を存在下で培養している時点がP0だけなのですね。その後抜いてしまっていて、それで減衰してくるので、実は組み込まれていない細胞がまだいて、それが増えていないとちょっと割合が減ってくるというところが、要は細胞当たりのコピー数が減ってきているというデータになるので、もしかしたら入っていない細胞も一定数いるのかなと。
○小野寺委員 資料において、プラスミドを導入していない細胞は死滅すると書かれています。ですから間違いなくネオマイシン選択することで遺伝子が導入された細胞だけが選択されると思います。
 次にコピー数が○コピーなのは、多分、これがちょうどいいコピー数なのだと思います。ただ、これはネオマイシン耐性遺伝子でのPCRの値ではないのでネオマイシン耐性遺伝子自体のコピー数は不明です。しかし、基本的にネオマイシン選択では○コピーや○コピーも必要なく○コピーで十分かと思います。なお、トランスフェクションすると断片を含めて極めて様々なプラスミドが挿入されますが、基本的に機能するネオマイシン耐性遺伝子は○コピーで良いと思います。ですから、4世代まで継代して、これでプラスミドがゲノムに入っていないということはないと思います。
 一方、プラスミドがゲノムに挿入されているのに、なぜNotch遺伝子が発現しなくなったか、そちらの方が問題なのです、是非、そこを調べて欲しいと思っています。
○再生医療製品等審査部長 ありがとうございます。確認をしたい点は、先生の御指摘を踏まえて、申請者のほうにこういうことをという話なのですけれども、そこのイメージを自分も理解したい点があって、ちょっと確認させていただきたいのです。
 まずネオマイシンの耐性遺伝子なのですけれども、これは○○○○○○○を入れてセレクションをするというときに、○○○○○○○の毒性を酵素で分解して、効かなくするという仕掛けだと思うので、細胞内で酵素を発現させているというところなのですけれども、そういった状況で、先ほどおっしゃっていたバクテリア由来のタンパクが生体内に入ってくるがというところに関して、イメージが湧かなかったのです。
 多分それが何か悪さをするということは、その細胞の中ではその酵素が発現しているので、○○○○○○○が効かなくなるというのは分かるのですけれども。
○小野寺委員 まずは○○○○○○○○○○○、これは○μgで通常より少ない量だと思います。ただ、これは培養する細胞がprimaryの間質系幹細胞だからだと思います。通常、線維芽細胞株であればその濃度は400μg~1mgで使用しますが、この○○間の選択培地で細胞はかなり選別されたと思います。
 なお、先ほどの申請資料を見る限り、この濃度はプラスミドをトランスフェクションしていない細胞は死滅し、トランスフェクションした細胞のみが生存する条件で決定されたと思います。これは、あまり濃度を強くすると遺伝子導入された細胞でも死滅するからで、多分、ちょうど○μg/mlが至適濃度と彼らは決めたと思います。
 通常、○○間程度のネオマイシン選択を行うと、ゲノムにプラスミドが挿入された細胞しか残りません。つまり、細胞がクローン化されたわけです。この時、一面に播いた細胞から遺伝子が導入された細胞のみが島状に増え、そこを取り上げることでシングルセルクローニングを行うのですが、今回はそれを行っていません。しかし、○○間のネオマイシン選択を行っていますので、基本的にはプラスミドはゲノムに入っていると思います。当然、エピゾームに存在する可能でもありますが、トランスフェクションはあくまでもプラスミドDNAですので、一時的に発現するかもしれませんが、数日でその発現は無くなると思います。
 正確には覚えていないのですが、たしかネオマイシン遺伝子の上流にNotch-1遺伝子があると思うので、Notch-1も同一のプロモーターで発現すると思います。ですから、通常、この間葉系幹細胞、ネオマイシン選択をしている○○間程度はNotch-1とネオマイシン耐性遺伝子の両方とも発現していると思います。
 しかし、徐々にNotch-1遺伝子の発現がなくなるということは、例えば、腫瘍関連遺伝子をトランスフェクションすると細胞によってはその発現が生存にとって負と働き、その遺伝子を発現しないように遺伝子を修飾することがあります。その方法としてプロモータ等がメチル化したり、遺伝子に変異を入れたりして、その遺伝子の発現を抑制することが知られています。したがって、トランスフェクション後、Notch-1とネオマイシンが発現し、多分Notch-1の発現が生存にとって負に働くため細胞はNotch-1遺伝子に変異か欠損を導入してNotch-1の発現のみを抑制したと思います。ただし、この場合、ネオマイシンの発現は通常は維持されます。また、一概に言えませんが、細胞を長期に培養するとネオマイシン耐性遺伝子の発現も無くなることもありますから、再選択して導入細胞をクローン化する方法もあります。しかし、この程度の期間であれば、多分、ネオマイシン耐性遺伝子は発現していると思います。
 ですからmRNAとかタンパク解析でNotch-1遺伝子が発現していないという理由は、多分、何らかの変異とか欠損がNotch-1遺伝子に挿入されているためと思います。
 特に、使用したPCRプライマーがちょうどその変異に当たっているとそのプライマーではPCRが掛からず、バンドが増幅しないため、結果、Notch-1遺伝子が存在していないように見えます。そのため、PCRで調べるとなると、例えばネオマイシン耐性遺伝子とかプラスミドの増幅可能なところにプライマーを設計してPCRを行い、実際にプラスミドが細胞ゲノム内に存在するかを調べることになります。
○再生医療製品等審査部長 もともとのプラスミドベクターに入っているネオ遺伝子と、Notchの遺伝子、どちらもどれぐらい組み込まれていて、経時的にどう減衰しているのか、していないのかという所を調べるというところでいいですか。
○小野寺委員 すいません、確認ですが、遺伝子発現は別個のプラスミドで行っていますか、あるいは同一ベクターで二つの遺伝子を発現させていますか。
○再生医療製品等審査部長 同一ベクターです。
○小野寺委員 同一ベクターですね。つまり、同一ベクターなので、二つの遺伝子を有するプラスミドがゲノムに挿入されていると思います。ただし、今回はトランスフェクションですから、ゲノム挿入の際にプラスミドが断片化されて挿入されることが多いです。一概には言えませんけど、もし完全長でプラスミドが挿入されればその中にNotch-1とネオマイシン耐性遺伝子があり、ネオマイシン耐性遺伝子に変異が入るとネオマイシン培養では生存できないため、多分、Notch-1遺伝子だけに変異が入っていると思います。
○再生医療製品等審査部長 Notch-1の減少している理由というところがありましたので、それは減衰していくときに遺伝子の発現が減っているのかとか、いろいろなmutationとかという話があったと思いますので、経時的にどうなっているのかというのを、遺伝子レベルでも見て、この減っている理由を申請者に聞く。
○小野寺委員 いや、これはヘテロの集団なので基本的にそこまでやるのは難しいと思います。
○再生医療製品等審査部長 そうしますと。
○小野寺委員 なぜ、後半のP3、P4でNotchが発現していないかを調べるのであれば、Notch遺伝子の両端側からプライマーを設計し、Notch遺伝子全体を増幅して、配列全てを解読するのが良いと思います。その結果、Notch遺伝子の様々なところに変異が入っているかを確認します。それを示せば、なぜNotch-1のmRNAとかタンパクが発現していないのかが分かると思います。
○再生医療製品等審査部長 それはいいです。
○小野寺委員 もう一つが、ネオマイシン耐性遺伝子が発現しているかどうかです。そこはmRNAか、できればタンパク質で確認して欲しいと思っています。ネオマイシン入り培地での機能アッセイでも結構です。
○再生医療製品等審査部長 ネオマイシンというか、ネオマイシンの耐性は遺伝子がコードする酵素ですよね。
○小野寺委員 そうです。ネオマイシン耐性遺伝子がどうなっているか見てほしいです。
○再生医療製品等審査部長 ネオマイシン耐性遺伝子の存在というか、mutationも含めてPCRで読んでもらう。
○小野寺委員 もちろんゲノムPCRで結構です。
○再生医療製品等審査部長 その二つということですね。
○小野寺委員 そうです。そしてネオマイシン耐性遺伝子のメッセージが検出されたら、それは、細胞がNotchは発現していないけれどもネオマイシン耐性遺伝子は発現しているわけで、患者体内に投与した際、その細胞はネオマイシン耐性遺伝子を発現しており、ネオマイシン耐性遺伝子が細菌由来なので、抗原性に関して留意するべきかと思います。
○再生医療製品等審査部長 ありがとうございます、クリアになりました。あともう一つ、体内動態の話で、今ベクターを直接読んだほうがいいというような御指摘だったと思います。Alu-PCRとかではなくてというところですけれども。
○小野寺委員 感度の問題だと思います。通常、生体内分布の場合、レンチウイルスでもAAVでも基本的にはベクターに対するプライマーで検出すると思います。
 ですから、CAR-T療法の場合でも基本的には使用したCAR遺伝子に対しPCRを掛けると思います。もちろん、マウスやサルにはヒト細胞は存在しないため、ヒト細胞を検出するAlu配列を使用しても良いとは思いますが、今回の場合、完全にプラスミドによりマーキングされた細胞なので、そちらにプライマーを設計した方が確実に投与細胞の存在を確認できると思います。
○再生医療製品等審査部長 その細胞、SB623自体のAlu-PCRのところの量と、このベクターの量というのはどちらのほうが、先ほどおっしゃったような感度がいいかというところで。
○小野寺委員 コピー数の問題はあると思います。確かに、今回の細胞のコピー数は○コピーであることから、2コピーのAlu配列の方が感度は良いかもしれません。まあ、そこはプライマーの設計の仕方かと思います。Alu配列で完全にPCRが動き、それをもって生体内分布試験の精度が確実であると言うのであればそれはそれで結構です。私は別にAlu配列検出法を否定しているのではなくて、どちらを選択するかと言えば、多分、私は投与細胞を確実に検出するプラスミドへのプライマーを用いたPCRを選択します。しかし、Alu配列でダメかと言われたら、それはヒト細胞を検出する系ですから、精度管理の上で問題なければそれで大丈夫だと判断します。
○再生医療製品等審査部長 テクニカルにはできると思うのですけれども、ストックしている臓器、もしくは臓器からメッセンジャーを抽出している状態のものが残っていれば、そこからPCRを掛けてもらうということかと思うのですけれども、ちょっとそこの状況が分かりませんので、実際そういったリクエスト。
○小野寺委員 mRNAではなくて、ゲノムDNAで結構です。
○再生医療製品等審査部長 ストックがあるかどうかと、ない場合は組織片として残っているかどうかというところの確認がまず必要になってくる。
○小野寺委員 Alu配列での解析がなされているので、再検する必要があるかと言われたら結構、悩みます。そこで、もし検体が残っておりPCRが可能であれば実施で良いと思います。逆に、そのPCRで検出できなければ、確実に局所でのプラスミドの残存が無いことを証明できますので、実施した方が良いと思います。
○再生医療製品等審査部長 分かりました、ありがとうございます。クリアになりました。そうしますと、最初のほうのNotchとかの挿入解析ですけれども、これは同等性評価追加2ロット、計3ロットでの同等性評価の時点で、挿入部位の解析結果が何かその後の判断に影響するかどうか、確認したい。
○小野寺委員 申請者は規格としてコピー数を○○○と決めています。それは規格として良いと思っています。
 では、なぜ、挿入部位を含む特性解析等を実施するかというと、これはあくまで参考データの意味合いです。つまり、もし、何か発生した際、細胞の特性評価としてこれらデータが重要になるからです。なお、挿入部位解析は、細胞がヘテロの集団であるため、挿入部位パターンも複雑になり、それを規格に入れることは無理かと思います。
 ですから、コピー数に関しては規格とし、こういう間葉系幹細胞の場合、どの部位に挿入しやすいかを確認する意味で参考データとしての解析かと考えます。あえて、挿入部位解析を承認要件として入れなくても結構です。
○再生医療製品等審査部長 ありがとうございます。クリアになりました。まずは同等性評価結果というところが、出荷に関してキーポイントであって、先ほどあったMode of actionの解明も含めて、新しく作用機序に係るデータを取っていただきたいというのが、承認条件4番になりますけれども、それと同じような形で、早めにゲノムの挿入部位の解析結果というのを取得しておくようにというところですか。
○小野寺委員 そうだと思います。なぜ、このようなことを言っているかというと、これから再生医療等製品は、多分、こういう遺伝子を入れた細胞が多く出現してくるからです。具体的にはCAR-Tのような細胞製品です。ただ、CAR-Tの場合は血液細胞ですから良いのですが、今後、遺伝子が導入された間葉系幹細胞とかiPSが製品化され、その生体内分布や安全性を評価する際、どのような特性解析が必要であり、また、そのデータをどのように解釈をしていくかという、非常に先駆的な課題になっていると思うからです。
 今回、提出されるデータは安全性と生体内分布及び免疫学的な特性解析において、遺伝子が入った細胞と遺伝子が入っていない細胞、つまり、ペアレントの細胞と遺伝子が導入された細胞の品質の違いをしっかり評価できるものであることを望みます。そして、遺伝子が導入されたことで細胞の特性が変化した場合、しっかりとした特性解析にて同等性・同質性においても評価可能であることを示す上で今回の議題は非常に重要なことだと考えています。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかにWebの先生方を含めまして、御意見等ありますか。よろしいですか。それでは時間がかなり来ていますので、御意見がないようでしたら、議決を行いたいと思います。
 基本的にこの製品は、最終的に治療法がない患者さんに対して、一つ治療法を提供する製品ということで、患者さんのことを考えてどうするかということが、多分一番重要な判断基準ではないかと思います。
 その意味で、本製品につきまして承認を与えてよろしいでしょうか。条件は先ほど機構から示された条件のとおりですが、この点について御異論のある方はいらっしゃいますか。
 よろしいですか。御異論ないようですので、再生医療等製品アクーゴ脳内移植用注については、本部会として承認の期限を。荒戸先生お願いします。
○荒戸委員 すみません、私はまだ結局データが出てから承認する場合と、まず承認をして一変をする場合との時間的な違いというか、時間的に早く患者さんに届けられるという違いが、よく見えていないので、このまま承認していいのかどうかは、迷っています。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。これは具体的に、このままこの製品が。
○医療機器審査管理課長 荒戸先生、そこの御意見ですけれども、患者さんに届く期間だけではなく、本当に患者さんに届けられる2ロットの試験を完遂して、それができるかの実施可能性が、承認を与えた後にやらせたほうがいいのではないかという行政的判断で、お願いをしているということです。患者さんのところに実際届く時期だけではなく、そこに行きつくまでの試験を、彼らがきちんと本当にできるのかというところも含めての判断だというところを、御理解いただければと思います。更に言いますと、試験をできなかったら患者さんには届きませんので。
○荒戸委員 お返事ありがとうございます。そうすると、先に承認されようが、後で承認されようが、きちんとデータが出されなければ、いずれのルートを取っても同じということになるように思うのですが。
○合田部会長 試験の実施の可能性も含めてというのを、今、審査管理課長が言われましたけれども、要するにそこが一番ここで我々が考えなければいけないところです。承認という言葉がいるかどうか、そういうことだと思います。井上先生、何かありますか。
○井上委員 今回この製品を承認した場合、開発企業が今後提出するデータを再度評価する場が設定されるという理解でしょうか。
○医療機器審査管理課長 それは当然この部会に、もう一回お諮りすることになります。有効期間が1ロットしかないので、設定できないという状況になっていますので、市販前に必ず何らかのアクションを図る必要があって、その旨を承認条件に入れる形で出していますので、必ずこの部会は通ります。
○井上委員 分かりました。
○宮川委員 宮川です。先ほど私が申し上げたのは、そういう立て付けがしっかりできて、この部会でもう一回しっかりとした判断がまたできるという余地をしっかり残していただければ、その中で再度議論ができるということなのです。まず、ものが出てこなければいけないので、1ロットしかないというのは、そういう意味では製品が出てくるという余地を残さないと、検討ができないと御理解していいのですよね。厚生労働省にお伺いします。私たちが判断できるためのしっかりとしたものを、作ってくれる。そこでしっかりとまた判断できるという形で審議が進んだと理解してよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 はい、医療機器審査管理課長です。今、宮川先生がおっしゃったとおりの環境を作るためにも、まずは承認を頂いて、企業側がそれに応えるためのデータができる環境を作ることが重要だと考えています。
 きちんとデータが出てきたら、またここの場でその内容について御議論いただければと思っています。
○宮川委員 宮川です、ありがとうございました。
○合田部会長 荒戸先生、よろしいですか。
○荒戸委員 正直、自分はちょっとロジックとして理解できてはいません。
○合田部会長 基本的に次のこの部会には必ず出てくるのですね。出てこなければ別です。
○医療機器審査管理課長 時期は大分後になると思います。
○合田部会長 大分後になるかもしれません。実際に出てきたときに、またデータを見て、我々がこれの一変は認めませんということも当然できるわけですね、この話は。だから一変を認めないということは、もうそこの前の前提は崩れますという話になります。
 では、荒戸先生は御異論があるということだと思いますけれども、最終的に今回出席者は10人です。
○事務局 申し訳ございません。入っていないかもしれません。
○合田部会長 どこから入っていなかったですか。
○事務局 荒戸先生のところからです。
○合田部会長 荒戸先生。
○事務局 ロジックが理解できませんとおっしゃったところまでは。
○合田部会長 基本的に今回の出席者は14人で、荒戸先生は御異論があるということですが、人数的には13人で、18人に対する多数はここで確保されています。そういう意味で、先ほど私が申し上げましたように、承認を与えてよいかどうかについては、よいという結論になったとさせていただきます。その結果として、再生医療等製品アクーゴ脳内移植用注については、本部会として承認の期限を7年として、製造販売承認を与えて差し支えないものとしてよい、という結論になります。
 さらに、これは指定再生医療等製品として指定するということでよいかということを、皆様方に質問いたします。荒戸先生は反対ということですけれども、ほかの先生方の多数の賛成により、これも承認するということになります。
 そのような結果になりましたので、本件は審議会について報告を行うことになっています。それでは、これで議題1を終了します。
 
―― 森田委員退室 ――
 続いて議題2、再生医療等製品「valoctocogene roxaparvovec(INN)」を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否についての審議に入ります。それでは、事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題2につきまして事務局より御説明をいたします。タブレットを御覧の方は資料2の2ページを御覧ください。紙資料を御覧の方は事前評価報告書の1ページを御覧いただければと思います。
 本品の名称はvaloctocogene roxaparvovec。予定される効能・効果又は性能は、先天性血友病Aです。申請者はBioMarin Pharmaceutical Japan株式会社です。
 はじめに、本品の適用となる血友病A及び本品につきましての概要を御説明いたします。血友病Aは、血液凝固第VIII因子の欠乏又は活性の低下を来すX連鎖劣性出血性疾患です。血友病A患者におきましては健康成人と比較して、第VIII因子の活性が低いため出血傾向は高く、外傷による出血や皮下・関節内における自然出血のリスクが高まります。出血部位では神経障害、組織壊死、筋萎縮などが起こる場合がございまして、関節内の出血が繰り返されると、血友病性関節症を生じることもあります。
 本品は先天性血友病Aに対する新規の治療法として開発されております、血液凝固第VIII因子を発現する遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスベクターであり、本品による遺伝子治療は、この血液凝固第VIII因子を発現する遺伝子を患者の体内に導入することにより、1回の投与で必要な第VIII因子活性を長期に維持することが期待されます。
 それでは、希少疾病用再生医療等製品の指定要件への該当性につきまして順に御説明いたします。まず1項、対象患者について御説明いたします。こちらは令和4年度血液凝固異常症全国調査によりますと、国内の血友病Aの患者数は5776例と報告されております。このことから、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満の条件を満たしているものと考えております。
 続きまして、2項、医療上の必要性について御説明をいたします。資料の次のページを御覧ください。現在の先天性血友病Aに対する標準治療は第VIII因子製剤又はエミシズマブの投与による定期補充療法が行われておりますが、こちらは根本的な治療ではございません。これらの治療法は週に数回あるいは数週間ごとの投与を続ける必要があるため、長期にわたって、出血傾向を抑制できるような新たな治療法の開発が望まれております。本品は単回静脈内投与で、第VIII因子を持続的に発現させ、長期にわたって出血傾向を抑制することが期待されます。そのため、患者さんの日常生活の負荷を軽減することが期待され、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について御説明いたします。本品は米国や欧州において、抗AAV5抗体が検出されない重症先天性血友病Aを効能・効果として既に承認されております。本邦では現在、日本人患者を対象とした第III相臨床試験が実施されており、日本人における○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○でございます。このことから、本品の開発の可能性はあるものと考えております。したがいまして、希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると、事務局としては判断しております。本日は、こちらの製品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。Webの先生方もよろしいですか。御異議がないようです。御意見ないようですので、議決を行いたいと思います。valoctocogene roxaparvovecについては本部会として、希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は審議会にて報告を行うこととします。
 続きまして、議題3、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目についてです。事務局より説明お願いします。
○事務局 議題3、資料番号3について事務局から御報告いたします。カルタヘナ法ではウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として特段の拡散防止措置を執らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を執った閉鎖系で使用する必要があります。前回の部会での御報告以降で、令和6年3月から令和6年4月までに第一種使用規程の承認を行った品目はございませんので、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和6年3月から令和6年4月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目はこちらの3品目となります。これらにつきまして、機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても執られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。
 引き続き、農林水産省からの報告をいたします。
○農林水産省 農林水産省でございます。引き続き、資料3を御覧ください。動物用医薬品の分野では、本部会の傘下にございます動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会で御審議いただいた上で、農林水産大臣が第一種使用規程の承認若しくは第二種使用等の拡散防止措置の確認を行っております。資料3の2ページを御覧ください。昨年度、第二種使用等をする間に執る拡散防止措置の確認を行った品目を示しております。本品目について調査会で御審議いただきまして、大臣確認を行いました。本品目は動物用医薬品の有効成分製造用の微生物として使用されるものであり、使用区分がGILSPです。また、昨年度に、第一種使用規程の承認を行った品目はありませんでした。報告は以上でございます。
○合田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。Webの先生方もよろしいですか。よろしければ、これで議題3を終了させていただきます。本日の議題は以上です。事務局から連絡事項等ありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 本日も活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。次回の部会ですが、ちょうど1か月後、7月19日(金)18時から予定させていただいておりますが、詳細につきましては、また後日、メールで御連絡をさせていただければと思います。連絡事項は以上でございます。
○合田部会長 それでは、これをもちまして本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課  課長補佐 飯野 彬(内線2787)