第38回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会 議事録

日時

令和7年7月24日(木)13:00~15:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(オンライン併用)

出席者

委員

議題

開会
2議事
   (1)部会長の選出及び部会長代理の指名
 (2)国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和6年度業務実績評価について
 (3)その他

閉会

配布資料

国立研究開発法人国立循環病研究センター
  ・資料1-1 令和6年度 業務実績評価書(案)
  ・資料1-2 令和6年度 業務実績概要説明資料
  ・資料1-3 令和6年度 財務諸表等
  ・資料1-4 令和6年度 監査報告書

参考資料
  ・参考資料1 高度専門医療研究評価部会委員名簿
  ・参考資料2 厚生労働省国立研究開発法人等審議会令

第38回 厚生労働省国立研究開発法人等審議会高度専門医療研究評価部会

○高屋企画調整官 定刻となりましたので、ただいまより、第38回「国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会」を開催いたします。
 委員の皆様には、大変お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 部会長選出までの間、議事進行役を務めさせていただきます大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室の高屋と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は、神崎委員、庄子委員、中野委員、前村委員、松前委員がオンラインでの御参加となっております。また、松前委員におかれては、13時半から14時半の間、一時離席される予定との御連絡をいただいております。
 まずは、国立研究開発法人等審議会運営規程に基づく御報告です。運営規程第5条に基づき、本日、意見聴取を行う国立研究開発法人の事務及び事業について、利害関係を有する者は、当該法人に係る評価について議決権を有しないものとされています。法人との利害関係については、あらかじめ委員の皆様から御申告をいただいておりますが、事務局におきまして確認いたしましたが、本日の意見聴取において該当する委員はいらっしゃらなかったということで、御報告をさせていただきます。
 また、これにより、出席委員に関しましては、部会所属委員の過半数を超えておりますので、会議が成立することを御報告いたします。
 なお、前回まで本部会の委員を務めていただいた花井委員、深見委員、藤川委員が御退任されたことの御報告と併せまして、新しく本部会の委員に御就任いただいた方を御紹介いたします。田極春美委員、成川衛委員、松前江里子委員でございます。
 順番に一言御挨拶いただけますと幸いです。まずは、田極委員よりよろしくお願いいたします。
○田極委員 田極です。今回、初めて、この委員会の委員を務めさせていただきますが、長らく国立病院機構の評価委員をやっておりました。国民目線、患者目線から、しっかりと意見を述べさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 それでは、成川委員、お願いいたします。
○成川委員 成川と申します。北里大学薬学部の教員をしております。よろしくお願いいたします。
 私は、専門は新薬の研究・開発、中でも臨床試験とか、その評価とか、その辺りを主に研究しております。このたびは委員として参加させていただくこと、大変光栄に存じております。どうぞよろしくお願いします。
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 最後に、松前委員、お願いいたします。
○松前委員 松前と申します。今回から参加させていただくことになりました。
 専門は会計でございますので、財務に関することを中心に、何か発展的な意見が述べられるといいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 続きまして、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 7月8日付で大臣官房厚生科学課に異動してまいりました厚生科学課長の荒木です。
○荒木課長 厚生科学課長を拝命した荒木と申します。
 事務局として関わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 続きまして、本部会の開催に当たり、大臣官房危機管理・医務技術総括審議官の佐々木より、開会の御挨拶をさせていただければと思います。
○佐々木危機管理・医務技術総括審議官 危機管理・医務技術総括審議官の佐々木でございます。
 先生方委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お時間をいただきまして、心からお礼申し上げます。
 本部会で御議論いただきます国立高度専門医療研究センター、いわゆるナショナルセンターにつきましては、第3期の中長期目標の達成に向け、それぞれの法人、センターが、その使命である研究・開発や医療の提供、さらには人材育成等に尽力しているところでございます。そうした中で、それぞれの法人の取組をさらによいものにするために、委員の先生方皆様方からのそれぞれの御専門の立場から、まずは令和6年度の業務実績に関して御議論いただき、目標達成に向けた課題等につきまして、御意見や御助言を、本年度以降のさらなる発展に向けていただけますと幸いでございます。
 本日ですけれども、国立循環器病研究センターにおける業務実績評価について御議論いただきますようお願い申し上げます。今後、本部会では、このほかの4つ、今年からはNCGM、国立国際医療センターがJIHSに改組いたしましたので、計5センターになりますけれども、それぞれの年度実績につきましても、8月5日と7日の2回に分けて御議論いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
 簡単ではございますが、以上で御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○高屋企画調整官 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議の進め方について御説明いたします。本日は、オンラインを併用したハイブリッド方式での開催となります。会場に御出席の委員におかれましては、御発言の際は挙手をしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いします。オンラインで出席の委員におかれましては、Zoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、部会長による指名を受けた後に御発言をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 なお、御発言の際には、冒頭にお名前を述べていただき、資料を用いて御説明される際には、資料番号と該当ページを明言いただきますようお願いいたします。
 続きまして、本日の議事を御説明いたします。本日は、まず部会長の選出及び部会長代理の指名を行った後、国立循環器病研究センターに関する令和6年度業務実績評価に係る意見聴取を行います。評価に係る意見聴取の流れにつきましては、評価項目ごとに法人から説明を行った後、委員の皆様から御意見、御質問いただきたいと存じます。説明と質疑応答の時間は、事前に時間設定をしており、終了1分前と終了時に事務局がベルを鳴らしますので、目安としていただきますようお願いいたします。
 それでは、本日の会議資料の確認をさせていただきます。本日の主な会議資料は、議事次第、資料1-1から1-4、参考資料1と2になります。法人からは、主に資料1-2の概要資料を用いて説明を行いますので、オンラインで御参加いただいている委員の皆様におかれては、事前に紙媒体でお送りしています議事次第、資料1-2、資料1-4の御活用をお願いします。その他の資料につきましては、事前にお知らせしましたURLより閲覧していただくようお願いいたします。会場の皆様につきましては、お手元にあるタブレットに本日の資料一式を格納しておりますので、そちらを御覧ください。資料の不備や閲覧方法等について御不明な点がございましたら、チャット機能等で事務局までお申しつけください。
 事務局からの説明は以上でございますが、ここまでで何か御質問等ございますでしょうか。
 御質問がないものとして進めさせていただきます。
 それでは、議事に入ります。初めに、本部会の部会長の選出及び部会長代理の指名を行います。部会長の選出については、参考資料2、厚生労働省国立研究開発法人等審議会令の2ページを御覧ください。第5条第3項において、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙すると規定されております。選挙の方法につきましては、委員の互選という形になっておりますので、皆様にお諮りしたいと思います。委員の皆様より、部会長の推薦をお願いいたします。
 中野委員がお手を挙げていただきました。中野委員、よろしくお願いいたします。
○中野委員 中野でございます。
 これまでの御経験を踏まえまして、本審議会の会長である土岐委員を、引き続き本部会の部会長に御推薦申し上げたいと思います。
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 ただいま中野委員から土岐委員を御推薦いただきましたが、ほかの委員の皆様、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○高屋企画調整官 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、土岐委員に本部会の部会長をお願いしたいと思います。
 それでは、以降の進行につきましては、土岐部会長にお願いいたします。土岐部会長、それではよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ただいま御推薦いただきました大阪大学の土岐と申します。私は、消化器外科医で、ふだんはがんの手術を行っております。
 この国立研究開発法人等高度専門医療研究評価部会の部会長ということで、誠に僣越ながら、身の引き締まる思いでございます。国民、患者さん、医療関係者、大変期待の大きい国立研究開発法人でございますので、しっかり評価のほうを行わせていただきたいと思っております。評価につきましては、委員の皆様の活発な御意見をお受けしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、初めに、部会長代理に関しまして、参考資料2の厚生労働省国立研究開発法人等審議会令第5条第5項に、部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理すると定められております。部会長代理は、私といたしましては、中野委員にお願いしたいと考えております。部会長としましては、部会長代理は、部会長の指名によるところであるため、御了解のほど、よろしくお願いいたします。
 続きまして、早速、議事のほうに移りたいと思います。本日の議事の1番は「国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和6年度の業務実績評価」でございます。それでは、審議を始めたいと思いますが、まずは、法人の理事長から御挨拶をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター大津理事長 理事長の大津でございます。本日は、当センターの業績評価の機会を設けていただき、厚く御礼申し上げます。
 国循は、循環器病疾患の究明と制圧に挑むナショナルセンターとして、世界トップレベルの医療の提供、研究・開発の情報発信が責務と考えております。そのため、令和4年2月に将来戦略を策定して以降、全職員と力を合わせて、一歩一歩着実に実行しております。
 研究・開発については、難病である肺高血圧症の病態を解明するなど、世界に誇る成果を複数上げております。オープンイノベーションについては、2年前から始めた試みである共同研究部を新たに2部門設立し、ベンチャー2社を認定しました。また、胎児不整脈診断支援システムを開発し、第7回日本オープンイノベーション大賞、厚生労働大臣賞を受賞いたしました。
 医療の提供については、断らない医療を実践し、救急応需率95%と、過去最高になりました。
 また、今年度の実績になりますが、安全に先天性心疾患患者の手術を行うために開発した、画像情報から作成する3D心臓モデルが本年6月に保険収載されました。
 経営面では、35億円の減価償却、年24億円の長期借入金の本格的返済の開始、物価高騰の影響もあり、経営環境がさらに厳しさを増しましたが、令和4年9月から開始した経営改革プランを継続し、全職員に対してベースアップを5年ぶりに行いながら、令和4年度には11.8億円あった医業収支差の赤字が1億円にまで減少しました。引き続き黒字化を目指し、経営改善に取り組んでまいります。
 詳細につきましては、これから各担当が御説明いたします。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 それでは、審議のほうに入りたいと思います。まずは、研究・開発の成果の最大化に関する事項の評価項目、1-1及び1-2に関わる業務実績について議論したいと思います。初めに法人から御説明いただき、その後に質疑応答するという流れで進めていきたいと思います。ただ、今回、医療研究連携推進本部(JH)につきましては、事務局からあらかじめ補足がございます。お願いします。
○高屋企画調整官 土岐部会長、ありがとうございます。事務局です。
 令和2年度に立ち上げられた医療研究連携推進本部、通称JHにつきましては、各NCの共通の実績となっており、資料の内容や説明も統一的なものとなっております。このため、本年度は、各NCを代表して、8月7日木曜日に実施します国立がん研究センターの審議の中でまとめて行います。そのため、本日及び8月5日に審議を予定している各法人の研究・開発の成果の最大化に関する事項の評価につきましては、8月7日のJHに関する審議を踏まえて評価いただけますようお願い申し上げます。
 事務局からは以上です。
○土岐部会長 ということで、本日はJHに関する審議は行わないということでございます。
 それでは、話が戻りまして、1-1、1-2につきまして、まずは法人より御説明をよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 それでは、評価項目1-1 担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進に関しまして、研究所長 塩島から説明させていただきます。
 資料1-2の3ページをお願いいたします。中長期目標は、革新的な医療機器あるいは医薬品の開発、また難治性循環器疾患、循環器難病の病態解明あるいは治療法開発を行うこと、様々な多施設共同研究の実施、さらには、住民コホート、疾患コホートを用いた予防医療の観点からの研究を行うことなどを中長期目標として挙げております。
 難易度・重要度に関しては、右上にございますように、高とさせていただきました。難易度については、植込み型人工心臓を含めた先進的な医療機器の開発を目指す、また、循環器難病の病態解明を行うという観点から、重要度に関しては、高齢化社会における脳血管疾患を含めた循環器疾患の予防治療の重要性に鑑みて高というふうにしております。
 3ページ目、下のほうが、指標の達成状況でございます。自己評価に関しては3ページ目の左上にございます、自己評価をSとさせていただきました。
 その根拠に関しては、4ページ目、真ん中以降に評定の根拠というところがございますけれども、この後、また少し御説明いたしますが、治療抵抗性の肺高血圧症の病態の解明、また、突然死を来す不整脈疾患のブルガダ症候群のゲノムワイド・アソシエーション・スタディーを行うことができた、さらに、認知症あるいはフレイルの早期診断を可能にするような様々な手法を開発したことなど、先ほど申し上げました指標の達成状況と併せて、評価はSとさせていただきました。
 資料5ページ以降から、昨年度の主な研究成果6点について説明させていただきます。
 資料5ページ、左側、マル1ですけれども、難病の肺高血圧症は、そこの絵にありますように、肺動脈の壁が狭くなって心臓から肺に血液を十分送り出せない病気です。患者さんは息切れが酷いということですけれども、肺高血圧症に関しては、IL-6のような炎症性サイトカイン関与が考えられておりましたが、これまではIL-6が血管平滑筋に作用して内腔が厚くなるのではないかと考えられておりました。しかしながら、今回、様々な新しい手法を用いて解析した結果、血管平滑筋細胞ではなくて、CD4陽性ヘルパーT細胞がIL-6のターゲットであるということが分かりました。
 肺高血圧症に関しては、これまで血管拡張薬が使われていたわけですけれども、IL-6の阻害をすることによって、これまでの治療と相乗効果もあることが分かりました。本研究成果は、「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」という雑誌に昨年4月に掲載されております。
 それから、5ページ、右側ですけれども、これは先ほど申し上げました不整脈を起こすようなブルガダ症候群という疾患に関するゲノムワイド・アソシエーション・スタディーの報告です。ブルガダ症候群は、主に若年男性に突然死がおこる病気です。これまでは、1つの遺伝子異常で起こるという単一遺伝子疾患的な側面が注目されていたわけですけれども、今回行ったゲノムワイド・アソシエーション・スタディーによって、複数の遺伝子が関与する多遺伝子疾患という側面があること、さらに実際にどのような遺伝子がリスクになるのかということも明らかになりました。これが分かると、患者さんの突然死の個別化予防医療が可能になって、新しい予防法、さらには治療法の開発につながる成果であるというふうに考えています。この研究は、昨年5月に「European Heart Journal」に掲載されております。
 6ページ目に行きます。左側、マル3冠血管の形成を制御する心筋領域ということですけれども、これは発生学の仕事で、発生過程で心房と心室の間に房室管という場所があります。これまでは房室管の心筋細胞ということで一括りにされてきたのですけれども、細かく遺伝子発現パターンを解析すると、大きく3つに分けられることが分かってきました。さらに、その中の一つ、β-Cat ONと書いてありますけれども、Wntのシグナルが入っているような心筋細胞が、冠動脈(心臓の筋肉に血液を送る血管)の形成に関与していることが明らかになったということでございます。
 図の右下のほうに写真がございますけれども、緑の部分が冠動脈です。先ほど申し上げた房室管の中のある特定の領域の心筋細胞に細胞死を誘導すると、冠動脈の形成が起こらなくなるということが分かりました。この知見は、特に再生医療を行うに当たって心筋再生をするのですけれども、筋肉だけつくっても仕方がなくて、そこに血液を送る血管を一緒に再生しなければいけない。そのときに血管をつくる因子がどのようなものか、あるいはその機能がどうなっているのかということの一端が明らかにされたと考えます。この仕事は、今年の1月、「Developmental Cell」に掲載されています。
 それから、6ページ、右側マル4ですけれども、これは認知機能障害あるいはフレイルのスクリーニングAIを開発したというものです。
 真ん中辺りに人がしゃべっている絵がありますけれども、1分間ぐらい、スマートフォンに向かってしゃべってもらうと、AIがそれを解析して早期の軽度認知障害のリスクがどの程度あるのかということを判定するモデルを開発したということでございます。
 また、下のほうの絵は、各家庭の電気メーターのところにモニターをつけて、リアルタイムで電気消費量が分かる。そうすると、そのパターンから、どのような電気機器をどれぐらいの時間使っているのかということが明らかになります。どういう電気器具をどれぐらいの時間使っているかということを解析することによって、認知機能障害が予測できる、あるいはフレイルが予測できるということで、ここに書いてありますけれども、音声で判定する方法は、最近「Lancet Regional Health」に掲載されています。
 最後、7ページですけれども、左側マル5は、テネクテプラーゼに関する臨床研究の内容です。現在、脳梗塞急性期の血栓溶解は、主に日本ではアルテプラーゼというお薬を使うのですけれども、ヨーロッパなどでは新薬のテネクテプラーゼというものが承認されて使われております。日本でもこれを使いたいということで、特定臨床研究として現在無作為試験を行って、220例程度が登録されています。この解析を行って、未承認薬検討会議に申請済みですので、この結果をもって承認されるように働きかけたいと考えております。
 それから、7ページ目、右側マル6ですけれども、CADASILという遺伝性脳小血管病がございます。これはNOTCH3の遺伝子変異によって起こる、主に脳梗塞あるいは脳出血を起こす遺伝性の疾患です。脳梗塞の場合は、先ほど申し上げたように血栓溶解するわけですけれども、CADASILの場合は脳出血も発症しやすいということで、血栓溶解療法が本当に臨床的に有用なのかに関しては、これまで明らかではございませんでした。そこで、CADASILの研究データを利用して、症例数は12例と少ないのですけれども、血栓溶解を行った症例を抽出した結果、その転帰が非常に良好であることが明らかになったということでございます。これまでCADASILに関して血栓溶解がいいのかということは分かっていなかったわけですけれども、今回の結果によって明らかになりましたという内容です。本研究は、昨年10月に「Stroke」という雑誌に掲載されております。
 私からの御報告は以上でございます。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長 続きまして、評価項目1-2 実用化を目指した研究・開発の推進及び基盤整備について、オープンイノベーションセンター長の宮本から御説明させていただきます。
 15ページを御覧ください。中長期目標は、オープンイノベーションセンターの機能を活用し、企業等との連携を密にして、最先端医療・医療技術の開発で世界をリードすること。創薬オミックス解析センターの機能整備、循環器疾患情報の収集、知的財産の活用により研究・開発を推進し、研究成果を社会貢献すること。住民参加型の実証実験に取り組み、循環器疾患の予防につなげるための取組を進めること。臨床研究及び治験を進めることとしております。
 指標の達成状況ですが、15ページから16ページに記載しておりますように、9項目ございますが、そのうち6項目が100%を超えております。臨床研究実施件数をはじめ、3項目で120%を超える率を達成することができました。
 臨床研究実施件数の増加は、研究支援体制の充実、研究推進のためのセミナー・シンポジウムの開催など、センター全体として取り組んだ結果であると考えております。
 ファーストインヒューマン試験実施件数はゼロとなっておりますけれども、これは医療機器治験及び当センター主幹の医師主導治験で行われることが多いです。昨年度は、そのような研究が継続中のものが多く、開始時期に当たるものがありませんでしたので、今回はゼロとなりました。
 17ページを御覧ください。自己評価をSといたしましたが、その評定の根拠は、研究成果の実用化を目指した研究の実施、企業との連携及びベンチャーによる研究成果の社会実装の推進、そして学会等と協力した全国の循環器疾患・治療の登録研究の推進になります。これらについて御説明させていただきます。
 18ページを御覧ください。評定根拠の研究成果の実用化を目指した研究についてでございますけれども、左に示しますように、優れた医療機器の創出に係る産業拠点強化事業が1つ。そして、産学官共同型の研究事業である革新的医療技術研究開発推進事業 AIMGAINに2つの事業が採択されました。さらに、次世代ヘルステック・スタートアップ育成支援事業も1事業が採択されました。
 スライド、右を御覧ください。国循が令和5年から第I相臨床試験を医師主導治験として実施いたしました急性心筋梗塞後の心不全発症予防を目的とした迷走神経刺激システムの第II相臨床試験を目的とした事業が、AMEDの医工連携イノベーション推進事業として採択されました。これは日本で生まれた医療技術であり、新しい医療機器の市場を形成する可能性を持っているものと考えております。
 19ページを御覧ください。ここでは、評定根拠の企業との連携及びベンチャーによる研究成果の社会実装について御説明いたします。
 企業との共同研究を戦略的に進めるために、当センターでは共同研究部の設置を進めております。令和6年度は、認知症先制医療開発部、CADASIL創薬研究部の2つの共同研究部を設置いたしました。これで、以前に設置されました明治安田生命との心血管療養QOL推進研究部、米国のNTT Reserchとのバイオデジタルツイン研究部と併せて、共同研究部は4つとなります。
 認知症先制医療開発部は、東和薬品株式会社との共同研究部で、これまで行っておりましたタキシフォリンによる認知症予防研究を進めることを目的としております。
 CADASIL創薬研究部は、株式会社ファーマフーズとの共同研究部ですが、先ほど説明がありました遺伝性脳小血管病であるCADASILの治療薬の開発を行う、世界で初めての研究となります。
 右に示しますのは、カナデビア、旧日立造船との共同研究の成果であります。超音波による胎児の心臓の動きをAIで解析し、胎児不整脈の診断を支援するシステムを開発いたしました。これは国立循環器病研究センターで開催いたしました大阪商工会議所次世代医療システム産業化フォーラムでのマッチングから始まったものです。これまで記録することができなかった胎児の心電図を記録することができる画期的な技術であり、第7回内閣府オープンイノベーション大賞厚生労働大臣賞を受賞いたしました。
 20ページを御覧ください。
 ベンチャーによる研究成果の社会実装について御説明いたします。令和6年度は2つのベンチャーを国循発ベンチャーとして認定しました。令和6年度末時点で4社、現在さらに1社加えて5社となっております。
 GastroMedicaは、嚥下障害を有する方に向けた食品の開発を主目的に起業された会社です。そして、生活習慣病及び脳卒中の予防を目的としたサプリメントの開発も行っております。
 株式会社Cubecは、心不全の診療連携を最適化するAIを開発しております。医療の質を向上させ、日本の医療の均てん化を行うことを目的としております。
 スライド右を御覧ください。ここからは、学会と協力した全国の循環器疾患治療の共同研究についてお話しいたします。
 日本脳卒中データバンクは1999年に設立され、インターネットを通じて患者個票を収集してまいりました。2015年に島根大学から国立循環器病研究センターに運営が移行され、そのシステムに改良を加えてまいりました。これまで27万件を超える臨床情報が蓄積されております。令和6年度は、脳梗塞の病型ごとの、そして出血性脳卒中患者のBMIと予後に関する研究や、心房細動関連脳梗塞患者の2000年から2020年までの診療の推移と、その量の変化などについて報告しております。
 21ページを御覧ください。
 スライド左側は、当センターが日本不整脈心電学会と行っている経皮的アブレーションの全国登録研究であります。これは世界最大規模のもので、我が国ではカテーテルアブレーションが年間10万件以上行われておりますけれども、これらの症例を全て登録することを目指して行われております。令和6年度は、施設ごとの医療の質を評価し、その施設にフィードバックするという事業を開始いたしました。
 左下に示しますのは、日本循環器学会と行っている全国の循環器病院を対象とした診療実態調査で行いました、世界最大規模の劇症型心筋炎の登録研究です。医療機関からDPC情報と症例ごとの調査を加えることで、これまで困難であった希少疾患の全国の網羅的な調査を行うことを可能にいたしました。
 スライド右を御覧ください。かるしお事業についてお示ししております。循環器病で最も重要である減塩につきまして、かるしお事業は国循の病院食を起点として、おいしい減塩食を目的として進められております。令和6年度は、第4回かるしおサミットを開催し、かるしお認定食品の企業、流通企業、そして一般の方を加えて、かるしおの取組についての情報交換を行いました。
 また、循環器病啓発イベントとして、かるしおキャラバンを、国循を含めまして全国5か所で開催いたしまして合計1100名を超える一般の方の聴講参加がありました。そのほか、減塩普及や、自治体主催の啓発事業講座への参画、そしてメディア露出の強化などに取り組みました。かるしおの認定企業は50社、商品は130点に上っております。
 22ページを御覧ください。最後に、地域での取組について御紹介いたします。
 吹田市で提供されております母子手帳アプリ「すいろぐ」というものがございますが、これに国循で作成いたしました生活習慣チェックシートを提供いたしました。また、小学校の食育で使用可能な教材、食育プログラムを吹田市と国循で共同開発いたしまして、吹田市内の小学校において実証実験を行いました。児童への啓発、保護者への働きかけに高い効果があることを確認することができました。今後、これを全国的に展開したいと考えております。
 また、住民向けの情報発信や住民の声を、健康・医療の開発と連携させる健都ヘルスサポーター制度の登録というものがございますが、この登録者が令和6年度、2400人を超えました。そして、一般社団法人健都共創推進機構が、現在行われております万博の先行イベントであります健都万博というものを開催いたしました。
 以上、私からの説明となります。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいま御説明がありました1-1、1-2に関しまして、委員の先生から質疑をお受けしたいと思います。御質問のある委員の方は挙手をよろしくお願いいたします。
 前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大学の前村でございます。重要な研究が順調に進んでいるのをお伺いできたと思います。
 2つ質問させてください。
 評価項目1-1、5ページのマル2、ブルガダ症候群で10月から遺伝的リスクスコアが出せるというお話ですけれども、我々、臨床をやっていてブルガダの患者がいた場合に、植込み型のICD、除細動器を入れるかどうかというのは非常に迷うところで、リスクの層別化をして、高リスクの場合は入れて、低リスクの場合、入れない。ただ、入れなかった人で突然死が起こるということがあって、もっと精密にリスクの層別化ができればいいというのを日頃考えておるところでありますけれども、この遺伝的リスクスコアを組み入れることによって、どれぐらいのリスクの層別化がさらに精緻になるかというのは何か検証されているのでしょうかというのがまず1つ目です。
 もう一つは、1-2のほうで先進医療の実施件数が、令和4年、5年、6年とゼロになっているのですけれども、目標数を今年度から2件に増やすことになっていますけれども、先進医療、なかなか難しいと思うのですけれども、今後、先進医療になりそうなシーズというのは潜在的にあるのでしょうか。
 以上2つお願いします。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 1に関してお答えしますけれども、現時点では幾つかのリスク遺伝子が分かったところまでで、これをどれぐらい組み合わせて層別化するかというのは、これからやらなければいけないところだと思います。現実的には、失神を起こした人の場合は除細動器を入れざるを得ないと思いますし、この人は入れなくて大丈夫と言えるところまで進むかどうかというのは、なかなか難しいような気がしています。
 私からは以上でございます。
○前村委員 そのような応用ができれば非常に役立つと思いますので、よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター山本臨床研究推進センター長 山本、理事でございまして、臨床研究推進センター長をしております。私のほうから2つ目の質問に対してお答えさせていただきます。
 先進医療につきましては、先生も御指摘のように、治験にするほうが未承認・適応外薬・医療機器につきましては承認の近道でございますので、我々としては、どちらかというと医師主導治験のほうを優先して実施するという考えではございますが、先ほどお示ししたようなテネクテプラーゼの例のような、医師主導治験ではやりにくいものについて、先進医療で実施するという整理を院内で考えながらやっておるところでございます。現在、先進医療のシーズになりそうなものというのは、複数件、相談は受けておりますので、今後実施できるものというふうに考えております。
 以上でございます。
○前村委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 それでは、神崎委員、どうぞ。
○神崎委員 杏林大学高齢医学の神崎と申します。老年医学や高齢者医療を専門としております。
 その立場からの質問になるのですけれども、お示しいただいた成果は国循らしいというふうに受け取りました。1つだけ、6ページの認知症障害スクリーニングAI開発のところなのですけれども、認知機能障害とか、先ほどフレイルのお話もあったのですけれども、まさに老年医学の世界ですけれども、ある意味、国循がこれをやるのだというところがちょっと不思議な感じがしたものですから、あえて循環器と結びつけなくてもいいのですけれども、どうしてこれが国循にとって大事なのかという、視点とか観点のところをお伺いできるといいかと思いましたので、そういう質問です。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 ありがとうございます。
 循環器という割と狭いところで言うと少し外れてしまうかもしれないのですけれども、高齢化社会、循環器も含めていろいろな課題を解決するということで、メインストリームじゃないかもしれないけれども、こういう研究があっても悪くないのではないかなというふうに思っています。
○神崎委員 別に私、批判しているつもりではない。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長 宮本のほうから少し追加させていただきますと、心血管障害による心不全のように、脳におきましても血管性の認知症というものがあるということが知られておりまして、うちの研究センターでは、従来からそのような研究を進めております。その延長にあります認知症全体を研究するということで、こういったことも取り組んでいるということではないかというふうに思っております。
○神崎委員 私からのコメントなのですけれども、認知症は今、半分ぐらいが割と循環器というか、生活習慣病がリスクになるなんていう話もありますし、それから高齢者の心不全はフレイルになることは必至ですので、そういう観点から、こういう研究も大事なのではないかなというところが私が興味を持った点です。別に批判ではありません。ぜひ進めていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐部会長 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野でございます。数々のすばらしい御研究の成果を御報告いただきまして、ありがとうございました。
 肺高血圧症について質問させてください。私、専門が小児科と感染症なので、的外れな質問になっているかもしれませんが、お教えいただきたいことは、治療抵抗性の肺高血圧症で、その病態にIL-6が関与しているということでございました。まず1点目、お教えいただきたいことは、治療抵抗性の例でIL-6の関与が大きいのか、治療抵抗性ではない、それほど重症ではない肺高血圧もあると思うのですけれども、IL-6というのは全般に共通した病態で、量的な問題なのかというのが1点目と。
 もう一点は、これを治療に応用いただける可能性ということで、治療に応用いただければ本当にすばらしいことだと思うのですけれども、IL-6が上昇する病態というのは結構あるような気がするのですけれども、こちらでは既存薬とIL-6阻害薬の組合せということで御説明いただきましたけれども、難治性の治療抵抗性の肺高血圧症ということで、何か具体的にどういう方向で治療を開発されようと。今、お話いただける範囲で結構ですので、御教示いただけるとありがたいです。
 以上です。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 難治性という表現はなかなか微妙なところがありますけれども、今回の研究は、どちらかというと重症肺高血圧症の動物モデルを用いたということでありますので、その観点から重症あるいは難治性のという表現をしていると思います。もちろん確たる証拠があるわけではないので分かりませんけれども、必ずしも重症だけ炎症性サイトカインが関与しているというわけではないのだろうなというふうに思っていますので、そういう意味では、今回は難治性あるいは重症という言い方になっていますけれども、軽症に関しても関与している可能性はあります。ただ、データがないというか、根拠はあまりないというところかと思います。
 それから、治療に関してですけれども、いわゆる重症でない肺高血圧症の基本は血管拡張だろうと思っています。それでどうしてもうまくいかない場合に関しては、例えばIL-6抗体を使うとか、そういう形の治療を追加するというのが、現時点でイメージしているところでございます。
 以上でございます。
○中野委員 どうもありがとうございます。理解できました。
○土岐部会長 部会長の土岐でございますけれども、私のほうからよろしいでしょうか。
 評価項目1-2の臨床研究・治験の実施件数なのですけれども、こちらについて、新規と継続を一緒にカウントしておられるのです。それを例えば目標3600を年間600とすると、継続課題が結構重複して毎年カウントされる形になってくると思います。もちろん、それでもいいのですけれども、新規課題の件数が大事じゃないかなと思っておりまして、臨床研究中核病院なんかでも新規が何件という形になっていますので、これはもし可能であれば新規と継続と、もしくは別に評価するとか、そういうふうに御検討していただけたほうがよいのではないかと感じました。
 それともう一点ですけれども、先ほどのテネクテプラーゼのことなのですけれども、こちらは非常に期待の大きい薬剤ということは、書きぶりからもよく分かるのですけれども、この枠組みが、先ほど山本先生が先進医療でやるというふうにおっしゃったかと思ったのですけれども、先進医療の実施件数のほうにはカウントしていないのですけれども、こちらは創薬に向けて、本当に先進医療の後、さらに企業治験をするのか。承認を働きかけるということになっていますけれども、どういう創薬を考えておられるのか教えていただけますでしょうか。
 以上2点でございます。
○国立循環器病研究センター山本臨床研究推進センター長 臨床研究推進センター長の山本のほうからお答えさせていただきます。
 まず、実施件数を新規、それから継続、両方合わせて報告していますことにつきましては、そういう指標にしているから、こういう形で出しているというのが御回答になるのですけれども、もちろん新規と継続、分けてお出しすることもできますので、後ほど事務局とも相談いたしまして、必要でありましたら新規件数を分けて御提出するということにさせていただきたいと思います。ちなみに、治験のほうは、新規件数も15件から25件程度のものが毎年来ておりまして、こういう循環器病領域の単科の病院としては、かなり多い件数ではないかと思っております。
 次の、テネクテプラーゼの承認に向けた経路でどういうふうに考えているかというところでございますが、テネクテプラーゼにつきましては、脳卒中学会にもプロジェクトチームが立ち上がっておりまして、そちらで各国内外の企業等との協議等も進めた上で、こちらの先進医療にしておるのですけれども、国際的に販売ライセンスが少し複雑化しておりまして、国内で販売するというライセンスホルダーが国内にないという問題がございまして、治験をやっても、それを申請してくれる企業が存在しないという状況がございましたので、厚労省等とも相談した上で、先進医療で実施・開始したという経緯がございます。
 現在もライセンスホルダーが国内にございませんので、その状況でも医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議には提出可能でございますので、その状況で脳卒中学会から現在申請しておりまして、今後は厚労省にその辺りの調整をお願いすることになるのではないか。それは検討会議でこちらがニーズが高いというふうに御承認いただいた暁には、国内の企業のどなたがライセンスを取得して承認申請して販売するかというところまでの道筋を、厚労省にも入っていただいて調整するということになるのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。大変期待の大きい薬ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○成川委員 ありがとうございます。北里大学の成川と申します。御説明ありがとうございました。
 最初の医療推進に大きく貢献する研究成果ということで、6件御報告いただきまして、いずれもすばらしい成果だと思っております。掲載雑誌も一部拝見させていただきました。こういう成果をコンスタントに出していっていただけるというのは、本当に皆様の御努力の成果だと思っております。
 僕、初めてなものですから、一般的な質問として、ここに大きく貢献する研究成果として取り上げる研究成果の基準といいますか、考え方といいますか、それは何かセンターのほうでは持っていらっしゃるのでしょうか。あと、タイミングですね。論文が出たときの年度の成果みたいなことでカウントしているのか、その辺り一般的な手順というか、教えていただけるとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 ありがとうございます。
 年度によって成果が多かったり少なかったり、いろいろあるので、きちんとした基準が必ずしも決められているわけではないと思うのですけれども。あと、論文掲載に関しては、確かに論文掲載の年度が該当年度にあるものとないものが混ざっています。御指摘のとおりだと思います。そんなにきちんとした、こういう基準でやっていますというのは必ずしもないように思います。論文発表に関しては、今年度のものも入っているということでございます。
○成川委員 実態が分かりました。ありがとうございました。
○国立循環器病研究センター宮本オープンイノベーションセンター長 宮本のほうから補足させていただきますが、おっしゃるように、研究自体は年度をまたいで行われているものもございます。ほとんどそういうものだろうと思いますけれども、ここで紹介させていただいておりますのは、その年度に公表されたものということに限らせていただいております。ですから、現在、既に公表されているものでも、今回のこれには入っておらず、来年度に回すものもございます。
○成川委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 どうぞ。
○根岸委員 根岸です。よろしくお願いいたします。御説明ありがとうございました。令和6年度も大変高度かつ専門的な研究を積極的にされているということが大変よく分かりました。お疲れさまです。
 質問があります。1-1についてですが、まず、7ページのマル6、CADASILについてなのですけれども、国循さんが希少難病の方たちに対して果たす役割というのは大変大きいと思うのですけれども、この患者さんのどのくらいの数を診療されているのか、それを1つ教えていただきたいと思います。CADASILについてですね。
 それから、5ページのブルガダ症候群の御発表があったかと思いますけれども、この中で多遺伝子疾患としての特徴を兼ね備えていたということを解明された。これも大変すばらしい結果だと思っておりますけれども、この遺伝子の検査をするというときに、その対象となる条件というのがあれば、どういった条件が整えば、その遺伝子の検査ができるのか、それを教えてください。
 それともう一点になりますけれども、ページ数で言うならば3ページになるかと思いますけれども、令和5年度の評価Aということで、その前もAが続いてきているのですけれども、今回は自己評価をSにされております。今、1つずつの説明を聞きまして、確かにすごくいい成果が出ているのだなというふうに理解しておりますけれども、AからSにするという中で、特に令和6年度においては、この部分に物すごく成果が認められたというような部分があれば、ぜひ教えてください。よろしくお願いします。
○国立循環器病研究センター塩島研究所長 まず、ブルガダの遺伝子検査に関してですけれども、遺伝子検査は遺伝性の疾患に関して行われるわけですけれども、基本的には保険適用になっているもの、なっていないもの、いろいろあります。保険適用になっているものはそれでやっていただければいいと思います。特に、今回示したような、変異があるから必ず病気とは言えないものということだと思いますので、それに関して、どこまで遺伝子検査をやるのかというのは、多分まだきちんと決まった基準というものはないだろうと思います。ですから、単一遺伝子疾患に関しては、保険適用になったものも含めて遺伝子検査のプラットフォームというものがある程度できてきていると思いますけれども、こういう多因子疾患に関しては、まだそこまでは行っていないのではないかなと思います。
 それから、自己評価に関しては、昨年もSで自己評価を出しておりますので、私たちとしてはそういう自己評価であるということなのですけれども、それでよろしいでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本臨床研究推進センター長 CADASILにつきましては、臨床研究推進センター長の山本のほうから補足させていただきます。私、脳内科の医師でもございますので、詳しい正確な数字は持ち合わせていないのですけれども、見ていただいて分かるように、日本・台湾・韓国の4病院で609名のCADASIL患者が解析対象となっております。当センターでは、100人程度のCADASIL患者さんの診療を続けておりますとともに、CADASILの治療の開発という共同研究部を立ち上げておりますが、そのようにCADASIL患者さんが国内では数少なく集中している病院でございまして、それから患者さんの患者会との交流も始めておりますので、希少疾病ではありますけれども、比較的若い年代から脳卒中を起こす、非常に難病でございますので、その患者さん方の治療、それから患者会・家族の支援につきましても総合的に対応しているところでございます。
 以上でございます。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、研究・開発の成果の最大化に関する事項につきましては、以上とさせていただきます。
 続きまして、医療の提供とその他の業務の質の向上に関する事項の1-3から1-5について議論したいと思います。先ほどと同様の流れで、まずは法人のほうから御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。それでは、御説明、よろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長を務めております山本一博と申します。よろしくお願いいたします。
 資料の23ページからになりますが、まず1-3 医療の提供に関する事項につきましては、中長期目標といたしまして、医療政策の一環として、センターで実施すべき高度かつ専門的な医療、標準化に資する医療の提供ということと、患者の視点に立った良質かつ安心な医療の提供を目標に掲げて、幾つか具体的な内容をその中で盛り込んで、現在実施しているところであります。
 指標の達成状況でありますけれども、先進医療を含む高度かつ専門的な医療の提供を推進することにつきましては、心房細動の根治治療の件数、補助人工心臓装着患者の外来管理患者数、超急性期の脳梗塞への再灌流療法、いずれも目標値を大きく上回る患者さんの治療を担当しております。
 また、「研究・開発成果の最大化」と「適正、効果的かつ効率的な業務運営」との両立を実現するということにつきましては、手術件数、平均在院日数、入院実患者数につきましては、目標を大きく上回っておりますが、病床利用率につきましては、目標を少し下回るところになっております。
 そして、今回、この自己評価に関しましては、Sという評価をさせていただきました。これにつきましては、これからの説明の中で一つ一つ具体的に挙げながら、先生方に御評価いただければと思います。
 資料の26ページから具体的な内容に入らせていただきたいと思います。
 まず、ロボット支援下の低侵襲の心臓手術というのは、できる施設がある程度限られておりまして、当施設は全国では2位の件数、西日本では第1位の件数をこなしております。この中で最も症例数の多い僧帽弁の治療につきましては117件実施しておりますし、また、ピュアな弁膜症患者さんだけではなく、例えば閉塞性肥大型心筋症などの場合には、弁の形成術と突出して非常に分厚くなった一部の心筋を切除するということも併せてロボットでやるなどを行っております。
 また、右側の脳動静脈奇形に対する診療実績ですが、これは手術、そして血管内治療、ガンマナイフという、幾つかの治療方針を組み合わせて行う。これが全てできているのは日本でも当施設だけで、4年連続で治療の総数は1位という形になっております。
 また、脳動静脈奇形の患者さんの病態の把握という意味では、PETを用いた方法というのが行われているのですが、この解析方法を国循の研究所のほうで開発されたDBFM法という、従来のDARG法とは異なる方法を使うことによって、脳動静脈奇形の周囲の脳血流代謝の評価がうまくいくということも報告しております。
 続きまして、27ページでありますけれども、心臓の移植につきましては、23年に引き続き多くの症例をこなし、24年度は東京大学に次いで全国で2位という症例数を実施しておりまして、また、下の累積生存率というグラフを見ていただきますと分かりますように、海外のデータに比べまして、非常に優れた移植後の生存率を維持しております。
 また、移植手術というのは週末に行われることが多いのですけれども、その際も全て対応して行っております。
 4番目の脳梗塞患者さんの「隠れた心房細動」を見つける国際共同のレジストリですが、これは国際的にやられている研究でありますが、国内からの登録症例数は当センターが第1位の登録をすることができておりまして、これは当院の中でのいわゆるブレインハートチーム、心臓の専門家と脳卒中の専門家の連携の賜物であるというふうに考えております。
 続きまして、28ページですが、脳卒中の後遺症の研究成果につきましては、脳卒中のいろいろな後遺症の予後への影響について、幾つかの研究成果を出し、特に韓国との共同研究で失語ということが予後のリスクになるということを発表いたしまして、失語患者さんのためのコミュニケーションボードを作成しました。
 また、脳卒中の後、急性期はできるだけ御自分の消化管を使った栄養摂取というのが好ましいということで、早期の栄養管理のプロトコルを作成して、これを他の施設にも導入していただいておりますと同時に、先ほど1-2で少し話がありましたベンチャー、GastroMedicaという会社を立ち上げて、嚥下の機能を障害された患者さんの、自己の消化管を使った栄養の摂取ということの補助に努めております。
 また、アメリカのMGHと一緒に研究して、脳卒中後のてんかんリスクスコアを作成して、これも現在、論文を投稿しているところであります。
 また、6番目ですが、急性期の脳梗塞の患者さんを対象として、アドレノメデュリンという薬。これは以前、当センターの研究所の所長をしておられた寒川先生らが発見されたペプチドでありますけれども、これを用いた治療の成果を発表しました。また、その中で、投与法につきましても、一定の間隔で投与しない時間を設けることが重要であるというような点につきましても発表いたしました。
 次の29ページのほうに移りたいと思います。
 7番です。慢性の血栓塞栓性の肺高血圧症という病態があるのですけれども、細い血管があちこち血栓で詰まってしまって肺高血圧症になるという病気で、CTEPHと略します。このような患者さんに対して、カテーテルを使ってバルーンで詰まったところを広げるという治療、これは日本発の治療でありますけれども、これを行った患者さんの追跡結果を見ましたところ、その治療の後の再発というのは、あまり重症化するものではなく、お亡くなりになった患者さんも、ほとんどこの治療の後の再発ではないということを明らかにいたしました。
 8番目ですけれども、右側は冠動脈疾患、心臓の筋肉を養う冠動脈という血管の狭窄のある患者さんの重症度を評価するということについての研究であります。これは従来から行われているFFRとかiFRというものに加えまして、このPd/Paというのは、狭窄部の遠位部と近位部の圧力の比なのですけれども、これが血管を開くお薬を投与する前後でどう変化したかということを見ると、より患者さんの重症度が分かるという結果であります。重症度が高いと判断されれば、その狭くなった血管を広げる治療の適応になりますし、重症度が低ければ、あえてリスクのある血管を広げる治療をしなくてもいいということになりますので、そういう患者さんの治療方針を決める大事な指標の一つとなるというデータであります。
 続きまして、9番目、肺高血圧症の早期発見・早期治療につながる研究成果ということで、これはもやもや病などのリスクとして知られています遺伝子のバリアントと肺高血圧症との関係を明らかにした研究で、このバリアントを持っている方が肺高血圧症を発症する前の段階で心エコーを取ると、最終的には肺動脈の圧が上がるのですが、逆に、一時的に肺動脈の圧が下がった状態が観察されることが分かりまして、恐らくこのような病態では、一時的に側副血行路が発達して、それで圧が一旦下がって、その後、また肺の血管の圧が逆に上がってしまうというような状態ではないかということを示唆する結果です。
 また、10番目、頻脈性の不整脈の胎児の治療ということで、これに対して、薬物の治療が有効であるということを循環器病研究センターや成育医療研究センターなどの研究で明らかにして、これは昨年度、世界で初めて保険で国内で行えるというところまでこぎ着けることができました。
 続きまして、31ページになりますけれども、頸動脈狭窄や閉塞症における脳循環代謝の状態を示すバイオマーカーにつきましては、脳循環の代謝等は画像診断ということがメインになるのですが、その画像診断というものは簡単に行うことができませんので、血液検査で分かれば、これは逆に専門施設でなくても患者さんを発見していただくことができるということで研究しておりまして、ここで書いておりますmid-regional pro-adrenomedullinというのは、先ほど脳梗塞の患者さんの治療でadrenomedullinというペプチドが有効かどうかを見る研究をしているというふうに申し上げましたけれども、そのadrenomedullinの前駆体が切れていってadrenomedullinができてくる過程で切り出されてきます。
 adrenomedullinは半減期が短いのですが、mid-regional pro-adrenomedullinは半減期が長いので、これを血液検査で見て、このような疑いのある患者さんをピックアップしていくことができるのではないかという研究成果であります。
 続きまして、12番の糖尿病治療薬のグリベンクラミドを重症脳梗塞の患者さん治療へという国際臨床試験につきましては、当院の副院長の豊田がアドバイザリーボードを務めて行っております。グリベンクラミドというのは糖尿病でオイグルコンという、昔から使われている薬剤なのですけれども、これを使うことで脳浮腫が抑えられるのではないかという仮説を立てて研究が行われて、梗塞125mL以下であれば治療効果が期待できるのではないかという結果が出ております。
 続きまして、13番ですけれども、生体弁置換術後の早期の塞栓症イベント抑制に対するDOACの有効性。このDOACというのは、心臓の中で血液が固まりにくくなる抗凝固薬で、従来はワルファリンという薬剤しかなかったのですが、今はこのDOACというものが出血という副作用が少ないので、心房細動の患者さんの脳卒中の予後では第1選択で使われているものでありますが、生体弁置換術後も、実は早期の抗凝固療法が必要ではないかということで、ワルファリンが保険適用としては使われているのですが、今、申し上げた心房細動では広く使われているDOACという薬剤が、生体弁の置換術後の塞栓症のイベントを抑える上でも有効ではないかという結果が出ております。
 14番目ですけれども、肥大型心筋症の患者さんのレジストリで、突然死予測モデル構築を行っております。肥大型心筋症というのは、多くは遺伝性の疾患でありまして、海外の患者さんを基につくられた突然死のリスクスコアが、必ずしも日本人にうまく当てはまらないということで、今回、日本人のデータを基に、日本の患者さんで使えるリスクスコアを組み立てて、これを論文発表して、現在はホームページから活用していただけるようにしております。
 1-3につきましての説明は以上とさせていただきます。
 続きまして、1-4の人材育成に関する事項ですけれども、これは中長期目標といたしましては、リーダーとして活躍できる人材の育成、そしてモデル的研修や講習の実施ということを目標としております。
 そして、目標達成の指標としましては、医療従事者の研修受入人数ということで、過去に比べ昨年度は最も多い人数を受け入れておりまして、目標を大きく上回っております。そして、自己評価としてはAという評価にさせていただきました。その根拠といたしましては、これから御説明させていただきます。
 資料の35ページを御覧ください。まず、人材育成につきまして取り組んでいることですが、特定行為研修を修了した看護師の育成体制の整備であります。これは2024年からメンタリングの制度を開始いたしまして、これによって特定行為を行う件数が大きく伸びているというのが下の2つのグラフのデータであります。このような形で、特定行為の研修を修了した方が身につけたことを現場でより活用していただけるようになってきたという形で成果が上がっております。
 また、診療看護師、ナースプラクティショナーの導入と活動につきましては、最初は、幾つかのユニット系等を回っていただいて、それから自分が最も働きたいという希望のあるところで働いていただいて、その持てる力を伸ばしていただくように、現在努めているところであります。
 続きまして、36ページは院内での講習等でありますけれども、まず1つは、人材育成といたしまして、当院は連携大学院を幾つかの大学と結んでおり、昨年度は日本医科大学と連携大学院の締結に向けた準備を進めております。
 また、職員に対しましては、BLSとか医療安全等、幾つも講習を行って、彼らの知識とかスキルの維持向上に努めております。
 また、院内の職員だけではなく、院外の方々に対しても、いろいろ実習を当院で行っていただけるように受入れを行っているということで、先ほどその実数が非常に多いということを申し上げた次第であります。
 めくっていただきまして、続いて、1-5 医療政策の推進等に関する事項ということについて説明させていただきます。
 中長期目標というのは、まず、国への政策提言を行っていきたいということと、医療の均てん化、情報の収集・発信に関する事項、そして、公衆衛生上の重大な危害への対応ということを挙げております。
 指標ですけれども、これはホームページのアクセス件数ということを挙げておりまして、残念ながら1400万件のアクセスを目標にしておりますが、今のところ、その4分の3ぐらいのアクセスにとどまっているというところであります。
○土岐部会長 山本先生、時間が押しておりますので、すみませんが早めにお願いします。
○国立循環器病研究センター山本病院長 申し訳ありません。では、具体的な内容についてお話しさせていただきますと、39ページ、循環器病対策基本法への貢献ということにつきましては、今、医療DXを進めていく上で、退院時サマリを使った登録項目の収集ということで、HL7 FHIRへのマッピングを行っておりますが、過程で幾つかの問題点も分かってまいりましたので、現在検討を進めております。
 また、右側ですけれども、循環器病対策の各都道府県の進捗状況の評価法に使う指標を見つけるための研究を、当院が中心になって行っているところであり、今年度最初に最終的な答申をしております。
 また、3番目、高齢化に伴って急増している急性心不全の患者さんの全国調査の実態を、DPCのデータから明らかにしています。
 4番目は、心筋症の患者さんで、左心室の中にできる血栓のリスクが、拡張型心筋症の患者さんでは高いという実態を明らかにして報告しております。
 続いて41ページですけれども、心房細動患者さんの脳梗塞発症時に再灌流療法を実施する際において抗凝固療薬の影響を見たところ、CHA2DS2-VAScという血栓ができやすいかどうかを見るスコアが高い患者さんがワルファリンを飲んでいる場合、治療後の出血リスクが高いということ、そして、先ほど少しお話ししたDOACという薬を飲んでいると再開通率が高いというような結果を発表しております。
 以上です。すみません、少し延びました。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明がありました医療の提供等、その他の業務の質の向上に関する事項につきまして、委員の先生から御質問があれば、よろしくお願いしたいと思います。
 前村委員、どうぞ。
○前村委員 長崎大の前村です。詳しい御説明ありがとうございました。
 調査項目1-3、32ページの生体弁置換術後のDOACの使用について質問させてください。手術後にワルファリンを使うと、安定するまでなかなか時間がかかって苦労するので、DOACが使えるようになると非常にやりやすくなるかなと思うのですけれども、このデータを基に適応拡大という方向性は今、動いているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本臨床研究推進センター長 臨床研究推進センター長の山本のほうから回答させていただきます。
 こちらにつきましては、エドキサバンの製造販売企業さんと現在、承認申請の方法について協議中でございまして、PMDAとの事前面談等を実施した上で、できれば承認申請していただくという方向になっております。
 以上でございます。
○前村委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員 川崎医科大学の中野です。
 評価項目1-3、資料で申し上げれば30ページについてお尋ねさせてください。マル10の頻脈性不整脈の胎児治療が保険診療で実施可能になったということで、非常にありがたいことだと感謝いたしております。この基の研究というのが、適応外使用も含めて、多施設研究を基にということだと思うのですが、恐らく研究計画の出ることとか、その実施の方法とか、あるいはそんなにn数が多い患者さんでもないので、どのようにそのような患者さんを集めるかということも関係すると思うのですが、どういった工夫が一番早期に研究成果を世に出して保険診療につながったとお考えでしょうか。今後のことを教えてください。
○国立循環器病研究センター山本臨床研究推進センター長 こちらにつきましても臨床研究推進センター長の山本から回答させていただきます。
 御指摘のように、この研究は先進医療Bで実施いたしまして、たしか国内10施設、成育医療センター、国循、それ以外に各地の基幹病院のこども病院さんが参加いたしまして行った研究です。研究結果自体は、JACCに2019年に論文発表しております。
 ただ、その後、御指摘のように、この3つの薬剤全てが、正直あまり薬価も高くない古い薬剤でございまして、当初、この研究につきましては、比較試験はなかなか難しいということで、私自身もこの研究支援に関わりましたけれども、ワンアームスタディーでデザインいたしまして、それで生物統計家にも入っていただきまして実施いたしました。先進医療Bでもお認めいただいたという経緯でございます。50症例を登録いたしまして、それで結果を出しましたが、承認申請をしていただく企業を見つけることがなかなかできず、保険診療に使うまでにはかなり紆余曲折がございました。
 それにつきましては、成育医療の先生方、国循の関係の先生方、他院の先生方が何度も厚労省等々と協議を繰り返し、最終的には、この55年通知という、承認がなくて、再審査が終わった、ある程度評価の安定した薬剤について、適応外使用でも保険適用を認めるという通知がございましたので、この通知を利用するというところまでたどり着きまして、無事、保険適用が認められたという経緯でございました。
 以上でございます。
○中野委員 ありがとうございます。以前からある薬剤で非常にすばらしい薬剤でも、新薬でないとなかなか承認適応が取れなくてそのままという薬剤も多いので、いい成果を上げていただいたと思います。ありがとうございました。
○土岐部会長 続きまして、神崎委員、どうぞ。
○神崎委員 杏林大学の神崎と申します。
 27ページの脳梗塞患者の「隠れた心房細動」を見つけるについての質問をさせてください。このデバイス、植込み型ループレコーダー、実際のものを私はあまり知らないのですけれども、最近はやりのアップルウオッチみたいなものでは心房細動までは検出できないから、そういうものじゃなくて、あくまでこのILRでないと意味がないとまで言っていいのかどうか分からないですけれども、このデバイスを使うことに意味があるということなのでしょうか。ちょっとその辺りのことを教えていただけるとありがたいです。
○国立循環器病研究センター山本病院長 ありがとうございます。
 アップルウオッチは、今、心房細動を検出する上では、かなり有用なツールになっております。ただ、この研究が始まった頃は、恐らくアップルウオッチはそこまでの位置づけではなかったと思います。このILRというループレコーダーは、大変小さいもので、ちょっと針を刺すような形で皮下に入れて、取り出すこともできますので、そういう意味では、この植込み自身は非常に侵襲性が低いものであります。
 ただ、これからはアップルウオッチ等の信頼性がかなり上がってきておりますので、こういうような研究をするときの心房細動検出のツールとして、そちらのほうを活用することも多くなるのではないかと思っております。
○神崎委員 理解できました。ありがとうございました。
○土岐部会長 どうぞ、根岸委員。
○根岸委員 よろしくお願いします。根岸です。
 1-3から1点と1-4から1点、質問させてください。
 まず、1-3、28ページですけれども、アドレノメデュリンについて教えてください。先ほどの説明の中で、投与の仕方が連続投与よりも一定の間隔を空けたほうが効果があったという御説明があったと思いますけれども、そこのところ、もう少し説明していただきたいのが1つと。
 あと、この投与をするというのは、他の疾患への応用の可能性というのはありそうでしょうか。もしお考えがあれば教えてください。
 それから、もう一点、人材育成のところですけれども、35ページにナースプラクティショナーの御説明があったかと思います。現在、2名の方がお仕事をしていらっしゃるという御報告でしたけれども、その2名の方たち、本人たちが希望するところでというふうなことでしたけれども、実際に働いている部署が分かれば教えてほしいのと。
 あと、NPについては、大変高度な知識とスキルが求められて、日本の場合には修士課程2年間の学習が必要ということになっておりますけれども、そのNPを増やしていくということの一つの目的として、医師のタスクシフトということがあろうかと思うのですけれども、それについては、実際にその効果がどうなのか、どんなふうに評価していらっしゃるか教えてください。
○国立循環器病研究センター山本病院長 ありがとうございます。
 まず、アドレノメデュリンの間欠投与という点につきましては、その機序は推察するしかないのですが、こういう血管を開く薬剤というのは、持続投与していくと、だんだんその効果ということが少し薄れていったりするということが、ほかの薬剤でも見受けられますので、もしかしたら、ある程度血中濃度の波をつけるということで、逆に長期的な効果が得られるということを示唆しているのかなというふうに思います。
 ほかの疾患ですが、実はこれは心不全という病気にも一応考えられていたのですけれども、今のところ実用化には至っていません。
 もう一つ御質問がありましたNPさんの件ですけれども、1人は既にICUで働いておりまして、もう一人は、たしかまだ幾つかの科を回っている途中ではなかったかというふうに思いますので、これからどこで働くかということを決められると思います。今、既にICUで働いている方は、おられることで、ユニットの中でかなり看護師さんは助かっています。助かっているということは、ドクターを一々呼ばなくも、NPさんにかなり対応していただけるということで、ドクターのほうが呼ばれる回数が少なくなるということに役立っておりますので、タスクシフトという点で非常に役立っているというふうに思っています。
○根岸委員 ありがとうございました。
○土岐部会長 どうぞ。
○田極委員 田極です。御説明ありがとうございました。
 私から質問させていただきたいのは、資料の24ページ、25ページで、項目としましては1-3 医療の提供に関する事項ですが、こちら、自己評価Sとなっているところなので、ちょっと確認させていただければと思います。
 まず、指標の達成状況については、心房細動の根治治療件数など、非常に高い達成度を達成されていまして、非常に評価できる内容だなと拝見したところなのですが、1点、病床利用率だけが達成できなかったというところなのですが、実際、病床利用率については、ほかの病院も含めて非常に苦労されていて、高い利用率を達成するのはなかなか難しいところだと承知しております。この関係も含めて、ちょっと確認させていただきたいのが、恐らく患者さんについては、いろいろな広い地域から入っているのだろうなというところは想像がつくところなのですが、例えば大阪府以外のところからどのぐらい来ていて、ほかの医療機関からの紹介患者がどのぐらいなのかといった基礎的なところについて教えていただければと思います。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 それにつきましては、企画経営部の北波のほうからお答えさせていただきます。2023年の数字という形になりますが、全体で患者数9200人のうち、8200人が大阪と兵庫となっておりますから、循環器疾患ということで、救急・緊急の患者さんが多い。また、近くで発症して、すぐにかかるという特性があると思います。ただ、少数で、2桁台でございますけれども、近畿圏外からも万遍なく患者さんが来ていただいているというふうな状況になっているところでございます。
○田極委員 すみません、紹介率は何%ぐらいというのは手元にございますか。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 調べまして、後ほど答えさせていただきます。
○田極委員 それは後ほど教えていただくとして、病床利用率については非常に厳しいと思いますので、今後、どういうふうにお考えになっているのかという点について教えていただければと思います。
○国立循環器病研究センター大津理事長 理事長の大津でございます。
 病床利用率、下がっております。これは経営改革の下でKPIを変えております。それまでは1日の平均入院者数、つまり病床利用率をやっていたのですけれども、KPIを月新入院患者数に変えました。そうすることによって、月新入院患者が1000名から1200名になり、平均在院日数が10近くに減りました。ということで、結果として病床利用率が下がったというところになります。新入院患者数をとにかく増やすようにという指令といいますか、指示を私あるいは病院長からしていますので、結果として下がってしまった。
 しかしながら、先ほど挨拶でも少し述べさせていただきましたけれども、2年前に11.8億円あった赤字が今年は1億円まで下がっておりますので、経営ということでは、確かにKPIの変更が効果があったというふうに考えております。ただし、先生がおっしゃるように、今、100床ぐらいが空床ですので、それをどういう具合に利用していくかということを考える時期であると思っております。
○国立循環器病センター北波企画経営部長 お答えします。2024年で紹介率が80.6%、逆紹介率は103.1%です。
○田極委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。続きまして、「業務の効率化」、「財務内容の改善」及び「その他の業務運営に関する事項」ということで、2-1から4-1につきまして御説明のほう、よろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 評価項目につきまして、企画経営部長の北波のほうから御説明させていただきます。
 評価項目2-1、42ページでございますが、自己評価につきましてはAという形で出させていただいております。
 中長期目標の内容につきましては、効率的な業務運営体制、また効率化による収支改善ということでございます。私たちNCVCの目標といたしましては、残念ながらまだ黒字という形にはなっておりませんが、この指標の達成状況を見ていただきまして、経常収支率につきましては、令和3年97.7%から、令和6年につきましては98.4%という形で、昨年、令和5年度の実態よりもまだ改善しているというところを見ていただけるかと思います。また、後発医薬品の使用率につきましても、目標を上回る数値を出させていただいております。一般管理費につきましては、削減の努力をしているというところです。
 43ページを御覧いただければと思います。A評価という形で出させていただきました。その理由でございますが、様々な効率化についての説明をさせていただいているところを理由として書かせていただいております。後ほどの資料にもございますように、1つが最初にあります、令和6年10月に大阪圏域の高度急性期病院3病院で共同・連携による診療材料の調達について締結しております。それによって、今年度でございますが、費用削減効果が得られているところでございます。また、検体検査業務につきましても、FMS方式という業務委託に完全に切り換えるということで、収支改善効果を昨年度、8300万円を達成しているところでございます。
 1ページ飛びまして、45ページを御覧いただければと思います。医療機関、全国的に非常に経営が厳しくなっている中で、私たちのNCVC病院につきましても例外ではございません。しかしながら、それぞれ意思疎通を密にして打ち手を迅速に行うということで、これを乗り切ろうとしております。その結果、今年度におきましても医業収益はプラス。また、先ほど理事長から申し上げました新入院患者数をKPIの目標にしておりますが、これについても増加しているということが見てとれるかと思います。当然、急性期病院に課されました迅速な治療と平均在院日数についても短縮しています。
 45ページの右側でございますが、医療費用の縮減。
 繰り返しになりますが、1つが一番上の○でございます診療材料につきまして3病院連携で共同調達することで、ベンチマークだけではなくて、現実に価格を引き下げることを確実にする取組をこれから進めていくということでございます。
  また、3番目の○でございますけれども、医用材料委員会で新規材料申請はスクラップ・アンド・ビルドというものを徹底していくということで、費用が膨張することがないような取組をしております。
 また、メーカー・卸へ直接交渉して行っておりますので、それによって5400万円の削減という実を上げているところでございます。
 46ページを御覧いただきます。こちらのほうは財務内容の改善に関する事項でございます。基本的に中長期目標の自己収入の増加、そして資産及び負債の管理に関する事項ということで、黒字化を目標にしておりますが、なかなかそこまでは至っていないということでございます。令和6年度の繰越欠損金につきましては、6億2500万円増という形になっております。
 1枚めくっていただきまして、47ページ、御覧いただければと思います。下が繰越欠損額。解消計画を立てて進めているところでございます。昨年も評価いただいたところですが、令和4年につきましては実績がマイナス15.9億という形になっているところが、令和5年度につきましては7億という形で、大幅な改善でございます。思い起こしていただければ、これは全国的にコロナで令和4年から令和5年に激減している中でも、私たちにつきましては、経営改善の努力があった。収益も上げたということで、赤字額が縮んでいます。それが継続できるかどうかというのが私たちの関心でございましたが、令和6年につきましては、6億に赤字が減ったということでございます。
 上の外部資金の獲得状況も御覧いただければと思います。AMED関係の大型の研究が終了したこともあって、額が若干減っているところでございますが、その下にあります医師主導治験、研究者主導治験の合計額につきましては、約2億円の増加になっておりますし、共同研究につきましても、令和3年に比較しても6000万円増加。寄附金につきましても増加という形になっています。
 48ページでございます。財務内容の改善に関する事項のところで、指標を見ていただければと思います。令和3年、4年、5年、6年と比べていただきますと、財政状況につきましては、年々安定化の方向に向かっているというふうに考えていただければと思います。その取組をこれからも絶やさないというふうに考えております。
 また、長期借入金につきましても、返済を本格化したのが昨年からでございますが、令和6年につきましては、しっかり返す部分を、24億円返済させていただいております。これにつきましても継続的に返済を進めまして、借金解消に努めているところでございます。
 評価項目4につきまして、その他業務運営に関する事項でございます。法令遵守、人事の最適化、その他の事項について取組を書かせていただいております。
 50ページで御覧いただけますように、令和4年、理事長の大津が示しました大津ビジョンに従いまして、それぞれの項目について、各部署、目標を明確に立てて進めているところでございます。
 経営上のところで少し見ていただきますと、左下でございますが、競争的資金、研究資金の獲得について、法人を挙げて取組を行っております。科研費等につきまして採択率は40%超ということで、全国平均を大きく上回る結果でございます。
 また、全国からの優秀な人材も集まっております。右上でございますが、優秀な医師・レジデントの確保につきましても、昨年度はレジデント44名、専門修練医38名の採用という形になっております。
 (6)が断らない救急対応ということで、令和6年度受入件数が4537件、応需率95%という形になっておりますので、地域の救急医療にも大きく貢献しているところでございます。
 最後、51ページでございますが、一方、大きな組織でございますので、期限逸脱の薬を使ったり、いわゆる医療の事故が起こっています。こういうものにつきましても速やかに公表し、対応策を取るという形で対応しておりますし、最後ですが、人事交流につきましても、自治体、研究機関との連携に努めているところでございます。
 駆け足でございますが、2、3、4につきましては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御発表につきまして、御質問等ございましたら、委員の先生方からよろしくお願いしたいと思います。
 経営のところで、なかなか難しいところではございますが、それでは、私、部会長のほうから、非常に分かりやすくまとめていただきました47ページの一番下のところですけれども、素人的に見て、返済計画のほうが来年度から黒字に変わるということですけれども、今年が6億の赤字で、7億、6億と多少減っているのですけれども、なかなか黒字まではハードルが高いような気がするのですけれども、この辺り、率直なところ、どういう印象を持っておられるのでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 企画経営部長から、まずお答えさせていただきたいと思います。
 率直なところ、部会長の認識のとおりだと思います。赤字というものがすぐに解消するわけではない。そういう中で、今回、きちんと要因を分析する必要があろうかと思います。特に、令和3年から令和4年にわたりますマイナス15億円の赤字、赤字が増えたわけですけれども、これは外的要因も大きくあったと思います。当然ながら、コロナの関係の空床補償というものがたしか7億円入っていると思うのですけれども、それ以上に患者さんが減るとか、全国的な影響というものがあったところでございます。それにもかかわらず、その後回復しているというところです。
 また、予定どおり、なかなか進まないのかなという印象は率直に持っておりますけれども、1つはPL上も欠損をどうしていくかという問題とともに、財投で借り入れている借入金をしっかり返済して、そして増やさないような対応というのが肝要かなということでございます。計画自体については、今後とも厚労省とも相談しながら進めていきたいと考えております。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 48ページの返済のほうが、今年は23.8億ということだったのですけれども、次年度からは最終的にどのぐらいでプラトーに達する形になっていくのでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波経営企画部長 返済額は、建物分の返済と機器分の返済、合わせて23.8億円という形で続けております。これが令和10年度まで続きます。そこで一旦、機器についての借入れについては返済が終わりまして、その後は21億円ずつ令和24年まで返すような形で、最終的な返済終了は令和25年ということでございます。
○土岐部会長 了解しました。次年度からさらに増えるということではなくて、現状のままというふうに理解させていただきました。ありがとうございます。
 ほか、御質問ございますでしょうか。
 前村委員、どうぞ。
○前村委員 前村です。
 評価項目4-1、50ページについてお伺いしたいと思います。専門医機構の新しい専門医制度になって、循環器の臓器別の専門分野というのは、なかなか1階建て部分の内科専門医研修が難しい面もあると聞いているのですが、多くの若い人が集まっているのでよかったなと思うのですが、これは専門医プログラム、ほかの病院と連携して行うことで成り立っているのか、あるいは内科専門医を取った医師が中心となって国循のほうに来ているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本病院長 病院長の山本のほうからお答えさせていただきます。
 専門医のほうについては、一部は内科専門医プログラムの中で来られています。ですから、循環器の専門医等を取る前の方が来られておりまして、これは当院も基幹となっている枠はあるのですけれども、これは少なくて、他の病院の基幹の方が、その中のプログラムの一環として来られているのと、両方があります。
○前村委員 その場合に、うちも連携していたりするのですが、大阪がシーリングがかかっているので、自由に連携できないというネックがあったのですが、その辺は大丈夫なのでしょうか。
○国立循環器病研究センター山本病院長 ありがとうございます。
 当院が基幹になったのは、実は専門医制度がスタートしたときではなくて、ちょっと遅れてからなので、今、先生が御指摘のシーリングの関係があって、当院は他県、静岡とか岩手とか、そちらのほうの病院とプログラムを組んで専門医の教育をしているところであります。
○前村委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 ありがとうございます。
 松前委員、どうぞ。
○松前委員 松前でございます。ありがとうございます。
 47ページの自己収入の増加に関する事項のところで、1つ教えていただきたいと思います。寄附金のところでクラウドファンディングというのを昨年から始められているということでございますが、これは昨年も今年も同じ内容でのクラウドファンディングであるのかということと、あと、目標値というのは幾らぐらいに設定されているのでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 御質問ありがとうございます。企画経営部長から答えさせていただきます。
 私たちの法人は、クラウドファンディング、それぞれのテーマに応じて行ってございます。それぞれ、こういう医用材料が欲しいとか、これが足りないから、それのためにとか、それから普及啓発のための費用とか、それぞれのテーマが異なっております。それぞれ1回限りになっておりますので、今年のクラウドファンディング計画と昨年は違う形になってございます。
 それから、目標値につきましては、外注会社にクラウドファンディングをさせていただいていますので、テーマごとに目標値を定めて、どこまで集めるかどうかということですので、そのプロジェクトごとに違うということでございます。
○松前委員 そうしますと、2件ともというか、昨年も今年も目標値というのは達成されているということでよろしいでしょうか。
○国立循環器病研究センター北波企画経営部長 今までのところ、達成されて、それで使わせていただいているところです。
○松前委員 ありがとうございます。
○土岐部会長 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通じて御質問をお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、最後に、法人理事長と監事からのヒアリングを行います。まずは、法人監事より、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いしたいと思います。
○国立循環器病研究センター小川監事 監事の小川でございます。よろしくお願いいたします。
 私ども監事監査の結果でございますが、資料1-4に添付されている監査報告書に記載のとおり、適正・適当なものであるという意見を表明させていただいております。
 センターの運営は適切であり、特段の指摘事項はございません。
 令和6年度についてコメントさせていただきます。
 当年度のセンターの業績については、先ほどからの御説明にあったとおり、研究・開発、医療等における実績は確実に成果を上げていると判断しております。一方、財務面に関しましては、前年と比べて改善はしているものの、残念ながら赤字決算に終わり、繰越欠損金解消等の業績目標は、本年度も未達に終わりました。
 センターにおいては、令和元年の移転後、業績改善の様々な取組と新たな数値目標を共有しての業務改善に取り組まれているところです。本年においても様々な施策により新入院患者数の増加等による収益の増加や、その他におきましても様々な施策によりコスト削減努力はされているところですけれども、まだまだ厳しいところであり、業績改善の成果がまだ不十分なところもあるかなと思っております。厳しい状況にあることについては、決算の状況に関連して、執行役員会あるいは理事会において詳細に報告されるとともに、病院運営会議や研究所会議等で各職員に伝達・周知されており、改善のための取組がなされていると理解しています。
 センター移転時に借り入れた多額の財政投融資資金の返済や、今後、更新を図るIT投資等、今後も多額の資金需要があり、取り組まなければいけない課題は非常に多いと思いますが、センター一丸となって対処できるように、監事としても積極的に関与していきたいと考えております。
 以上です。
○土岐部会長 続きまして、法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等につきましてコメントをよろしくお願いいたします。
○国立循環器病研究センター大津理事長 ありがとうございます。今日はいろいろ御審議いただきまして、ありがとうございました。
 いろいろお示ししましたように、研究・開発の面では順調に行っております。御指摘のように、経営に関してはなかなか厳しく、経常収支が6億円の赤字ですけれども、そのうち1億円が医業収支、5億円が医業外の赤字でございます。
 医業に関して1億円は、今の取組がなされますと、来年は黒字化になるのではないかと希望しておるところでございます。医業外については、外部資金の獲得をさらに進め、そして私が就任後取り組んできた、いわゆる知的財産のマネタイズというのが、やっとお金を生むところまで来ましたので、その両者で医療外の収支を改善していきたいと思っています。
 研究に関しては、循環器病の研究というのは日本の世界的地位が下がっております。国循の研究レベルを上げるとともに、日本全国の大学の支援となるように、我々のバイオバンクあるいはメディカルゲノムセンターを通して、大学の先生方がより研究できるように支援させていただくということも考えたいと思っています。
 医療に関しては、これから超高齢化が進みますので、我々、急性期だけしていても、特に心臓の場合、家に帰る状態にすることができません。その我々の急性期と自宅というのをどうやって結んでいくか、それをこれから取り組んで、家に帰るときは歩いて帰れる循環器医療というものをこれから目指して開発していきたいと思っているところでございます。
○土岐部会長 ありがとうございました。
 ただいまの監事、法人理事長の御発言内容につきまして、御意見、御質問等がございましたらお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、意見ございませんようですので、以上で国立研究開発法人国立循環器病研究センターの令和6年度の業務実績評価についての審議を終了したいと思います。
 最後に、事務局から今後の流れにつきまして説明をよろしくお願いいたします。
○高屋企画調整官 事務局です。今後の流れについて御連絡いたします。
 本日御議論いただきました国立循環器病研究センターの令和6年度業務実績評価につきましては、本部会における御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、後日、厚生労働大臣による評価を行い、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。
 委員の皆様におかれましては、事前に電子媒体でお配りしている評定記入用紙に必要事項を御記入いただき、8月14日木曜日までに事務局宛て、メールにより御提出いただきますようお願いいたします。
 なお、評価結果につきましては、後日、委員の皆様にもお送りいたします。
 次回ですが、8月5日火曜日10時より、新橋にあります航空会館B101号室にて、国立長寿医療研究センター及び国立精神・神経医療研究センターの評価に関する審議を予定しております。
 事務局からは以上です。
○土岐部会長 それでは、本日は以上とさせていただきます。時間を超過いたしまして、委員の先生には大変御迷惑をおかけました。長時間に