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第196回社会保障審議会医療保険部会 議事録
日時
令和7年8月28日(木)10:00~11:39
場所
日比谷国際ビル コンファレンススクエア8階
議題
1.診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)
2.マイナ保険証の利用促進等について
3.電子処方箋・電子カルテの目標設定等について(報告事項)
議事
- 議事内容
- ○姫野課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第196回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
まず、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事の異動がございましたので、私より御紹介申し上げます。
まず、保険局長の間でございます。
○間局長 間でございます。
委員の先生方の御指導をいただきながら、より持続可能で納得感のある制度になるように努力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○姫野課長 大臣官房審議官の矢田貝でございます。
○矢田貝審議官 よろしくお願いします。矢田貝です。
○姫野課長 同じく大臣官房審議官の江浪でございます。
○江浪審議官 江浪です。よろしくお願いします。
○姫野課長 総務課医療保険制度改革戦略官の荻原でございます。
○荻原戦略官 荻原でございます。よろしくお願いいたします。
○姫野課長 総務課医療保険制度改革推進官の須賀でございます。
○須賀推進官 須賀です。よろしくお願いします。
○姫野課長 高齢者医療課長の日野でございます。
○日野課長 よろしくお願いいたします。
○姫野課長 医療介護連携政策課保険データ企画室長の井上でございます。
○井上室長 よろしくお願いします。
○姫野課長 医療課保険医療企画調査室長の吉田でございます。
失礼しました。遅参でございました。
調査課長の江郷でございます。
○江郷課長 江郷でございます。よろしくお願いいたします。
○姫野課長 そのほか、本日欠席でございますけれども、大臣官房審議官として巽、医療課医療技術評価推進室長として梅木、調査課数理企画官として宮﨑が着任してございます。これからどうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、内堀委員、河野委員、島委員、中村委員より御欠席の御連絡をいただいております。
本日の会議は、傍聴希望者向けにユーチューブにおいてライブ配信を行っております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。カメラの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○姫野課長 それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに出席なさる方についてお諮り申し上げます。
内堀委員の代理といたしまして、佐藤みゆき参考人。この方の出席につき、御承認を賜れればと思いますが、いかがでございましょう。
(異議なしの意思表示あり)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。本日は、「診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)」、それから「マイナ保険証の利用促進等について」、それから3番目といたしまして「電子処方箋・電子カルテの目標設定等について」、こちらは報告事項でございます。以上の3つを議題といたします。
では、まず「診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)」を議題といたします。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。よろしくお願いいたします。
資料1「診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)」の1ページをお開きください。基本方針の議論のスケジュールのイメージを示させていただいております。右側は令和6年度の改定のときの議論の実績であります。医療保険部会は8月24日にキックオフしておりまして、医療部会は8月25日から、各部会それぞれ5回議論をしていただきまして、12月11日に基本方針を発表しております。
今回のイメージでありますけれども、本日8月28日、医療保険部会で前回改定の振り返りでキックオフ、その後、医療部会は9月の上旬を予定しております。前回改定の振り返りを行った後、2回目としましては具体的方向性の①、3回目で②、4回目あたりに骨子案、最後の5回目に基本方針案という流れを考えております。スケジュールは6年度改定とほぼ同じでありますが、2回目の具体的方向性の①を9月下旬から10月上旬、具体的方向性の②を10月下旬、骨子案を11月下旬、基本方針案を12月上旬に御議論いただきまして、12月上旬には基本方針を定めたいと考えております。
2ページでございます。これは既存の資料でございますが、令和6年度の診療報酬改定の基本方針の概要です。基本方針は「基本認識」というものと、似た言葉でありますけれども「基本的視点」、また、その下に「具体的方向性」といった構成になっております。6年度の基本方針は4つの「基本認識」がありました。1つ目は物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応、2つ目の「基本認識」として全世代型社会保障、サービスの連携強化、感染症対策、3つ目としまして医療DXやイノベーション、4つ目として制度の安定性、経済財政との調和となっておりました。
下段でありますけれども、「基本的視点」というものも4つあります。(1)としまして人材確保・働き方改革、これが重点課題とされました。(2)としまして地域系包括ケアシステムの深化、医療DX、(3)安心・安全で質の高い医療、(4)効率化・適正化を通じた安定性・持続可能性の向上。それぞれの「基本的視点」の下に「具体的方向性」というものを記載しておりました。
めくっていただきまして3ページでございます。今回新たに作らせていただいた資料です。前回の議論におきましても基本方針の内容が実際の診療報酬改定にどのように反映されたのかを整理する必要があるという御指摘をいただいておりました。今般、整理させていただいております。
(1)が「基本的視点」に書いてあるものでありますが、人材確保・働き方改革などの推進【重点課題】、左側に「具体的方向性」を記載しています。例えば人材確保や賃上げに向けた取組が1項目にありますが、右側を見ていただきますと改定でどのようなことをしたのか、例えばベースアップ評価料の新設などを記載しております。3つ目を見ていただきますと、ICTの利活用の推進、右側を見ていただきますとICTの活用による看護業務の負担軽減の項目の見直し、このような対応関係となっております。
(2)地域包括ケアシステムの深化・医療DXでありますけれども、「具体的方向性」のところを見ていただきますと、1つ目に医療DXの推進と書かれておりまして、右側の改定項目の例を見ていただきますと、医療DX推進体制整備加算の新設、このように対応させていただいております。
(3)でありますが、安心・安全で質の高い医療の推進、その中の一項目では食材費、光熱費などをはじめとする物価高騰を踏まえた対応で、右側、入院時の食費基準額の引上げなど。また、下から4つ目、口腔疾患の重症化予防などの「具体的方向性」におきましては、右側、う蝕の重症化予防の推進を図っております。下から2番目でありますが、薬局の経営状況を踏まえた役割の評価を推進、右側には薬局の地域支援体制加算のかかりつけ薬剤師に関する要件の強化などとございます。
最後のページですが、(4)医療保険制度の安定性・持続可能性の向上にもバイオ後続品の使用促進などの「具体的方向性」をお示しいただきまして、項目改定の例のほうにもバイオ後続品の使用促進に関する評価の見直し。下から2番目でありますが、医薬品の適正使用の推進、右側を見ていただきますとポリファーマシー対策をさらに推進する観点からの要件の見直し、このような改定をしております。
残りは参考資料になりますので、説明を省略させていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお知らせください。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを押してお知らせいただければ幸いです。
では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
まず、この資料1の3ページ以降に、今、御説明がありましたとおり、前回の改定の基本方針、そして実際に診療報酬改定で行われた対応をこのように整理していただいたという点は、次回改定の基本方針を検討するに当たりまして非常に分かりやすい資料を作成いただいたということで、大変参考になると思います。ありがとうございます。
そして、この資料1の1ページに基本方針の議論のスケジュールをお示しいただいているわけでございますが、既に様々なメディア等で報じられてございますとおり、現在、医療機関の経営状況というものは大変厳しい状況になっております。年々悪化をたどっているということでございます。東京商工リサーチや帝国データバンクという調査におきましても、上半期における医療機関の倒産件数が過去最多というデータも出てございますことから、地域の医療提供体制が大変厳しい危機的な状況になりつつある、もうなっているということが見てとれるかなと思います。
さらに、この数年、最低賃金は4~6%前後の伸びを示しているものの、医療というものは御案内のとおり公定価格で運営されておりますし、診療報酬改定も2年に1回でございます。その本体改定もここ直近で言いますと令和4年でプラス0.43%、令和6年度改定でもプラス0.88%と、最低賃金、また、人事院勧告の高い伸び率や骨太の方針2025の注釈等にも示されております今年の春季の労使交渉の平均賃上げ率の5.26%等に対応できるような状況では全くないということでございます。
本日が令和8年度改定議論のキックオフという形になるわけでございますが、まずはこうした状況についてここにいらっしゃる皆様方に共通認識を持っていただければと思いますし、その上で今後の議論を進めていただければなと思っております。
また、医療機関の全ての職種の賃上げに対応できるように、前回、新たにできましたベースアップ評価料は専ら事務作業等の事務員には対応しておりませんし、その他にも一部の関連職種に対応できておりません。ですので、この要件の見直し、または基本診療料においてしっかりとした引上げができるような対応をすることが重要であろうと思います。
さらに、病院・診療所ともに大変厳しい経営状況ということを鑑みれば、次回改定においては大幅な適正化、また、大幅な見直しを行うということではなくて、前回改定の不合理を見直すという形の医療機関に過度な負担がかからないような改定の考え方、方針というものが必要であろうと考えてございます。よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ありがとうございます。
私はまだこの委員会は新しいので、前回の改定はよく分からないのですが、非常に気になるのは、先頃の参議院選で消費税減税や社会保険料を引き下げるということを公約に掲げた政党は、特に若い世代での支持が増えているのですね。そういうことを考えると、診療報酬を上げるということも喫緊の課題かもしれませんけれども、国民の側としてこれ以上負担は増やしてほしくないという気持ちがあると思います。
負担と給付の関係を考えると、給付を削減するというのはある程度致し方がないのではないか、その辺をどう考えるかということですけれども、例えばOTC類似薬の普及やセルフケアなど国民自身が自分の健康に自分で気をつけるという方向で考えていかないといけないと思います。
もう一つ気になるのは、最近、私は大学の学生と社会保障制度について話し合うという機会があったのですが、彼らがほとんどシステムを分かっていないということです。どうせ私たちが歳を取ったときには年金はもらえないでしょう、だから働いて貯金をするとか、そんなことを言っているのです。制度の安定的維持ということが4本柱の一つに挙がっておりましたけれども、この制度自体の仕組みを特に若い世代に分かってもらえないと、これから保険料を払ってもらうということがかなり難しくなるのではないかと。
大分前ですが、私は高校の家庭科の教科書の中で高齢化問題や社会保障がどのぐらい取り上げられているかを調べたことがあるのですが、ほとんど取り上げられていないのですね。もちろん家庭科というのはごった煮で、何でもかんでも入っている。消費者問題から環境問題、人権問題、ジェンダー平等、何でも入っているというところに割り込むのは大変難しいのですが、どの教科で扱うかは別にしても、社会保障制度そのもの、医療だけに限らず年金や介護、子育てというものが全世代型の助け合いのシステムであるということを若い世代に周知していかないと、このシステム自体を維持することが難しくなると思います。
もちろん医療関係者、あるいは介護関係者の経営が非常に苦しいということは分かりますけれども、保険料を払っていただく国民の合意が得られないと、これからかなり厳しいことになるかと思いますので、その辺の問題をぜひ今後の改定で考慮に入れていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今のお二方の意見とも少しダブってくるのですが、一つは今年のこれまでの間に春から夏にかけて報道等に出ていましたけれど、かなりの公立病院でも赤字になるのではないかという速報的ニュースがあり、大変気にしています。現場の関係者の方々は、恐らく診療報酬に関しての評価が必ずしも十分ではないのではないかという危惧もお持ちだと思います。多くの公立病院まで赤字になっていくと、一般の国民の方々も病院は赤字でいいのかという議論などに転じていったりしますので、要注意だなと思っています。
一つには、診療報酬改定に関しては、診療報酬評価の仕方について、これまでと違う視点なども入れながらやっていかないといけないのではないかなという感覚を持っています。
もう一点は、袖井委員もおっしゃったのですが、先の参議院選挙では「負担はとにかくなくします」「ゼロにします」「軽くします」ということをかなり強調して訴えた新興勢力を中心としたところにかなりの票が動いて国会の構成にも影響を与えているわけです。
おそらく与党側でも今、いろいろな協議が行われていて、代表をどうするかという議論とか、また、それらの国会の議論を受けながら、財務省を中心に財源の在り方をどうするのか、あるいは財政の支出・歳出の行き先をどのように考えていくのかなど、根本的な議論も含めてなされると思います。また一方では、遠くない近未来に、年末が来ますので、それまでにいろいろなものを整えないと次年度予算も組めなくなると思うのです。そういった意味では、この審議会での会議はもちろんですが、国会でこの辺りの議論がどうなるかというのが財政的にも大きなポイントになると思っています。
そのことを踏まえながらではありますけれど、診療報酬改定をしてこの先2年間、あるいは場合によっては影響が長期に及ぶことがありますので、財政は大丈夫かという見通しの議論がどこかでなされ、整えていく形になると思うのです。余力がない財政状況、新たな支出にすぐ間に合わせる財源がないような厳しい財政状況がありますので、ここをどう打開していくかというのは単純に医療保険部会でできることではありませんし、多くの報道関係の方も強い関心をお持ちだと思います。我々関係者もやはり凝視していかなくてはいけないことだなと思います。そういったことが大きなフレームワークで感じるところです。
あと、現場の方で見ていきますと、やはり医師確保というのが全国的な課題であります。医師を確保しないことには立派な建物を造っても病院にはなりませんので、ドクターの育成並びに医師がバランスよく全国にケアできるシステムで赴任していただくといいのですが、必ずしもそうもなっていないところもあると聞きます。ですから、そこをどのように改善できるのかというのは国家的・社会的大きな命題の一つだと思うところです。
また、さらにミクロ的に見ていくと、医師の現場においてかなり働き方改革が入ってきています。そのため、苦労が多いところや負担感の多いところはどうしても避けられやすくなったりしがちだという意見も聞いたりします。そうなると、例えば外科医や救急医療などの厳しい現場への志願者が減っていきます。すると、どうしてもそこは弱い分野になっていきます。社会的にそのことを対応しなくてはいけないニーズは、高齢化・長寿化と共に増えていくでしょう。あるいは新たな病気の発見には、どう対応するのか、しかも急を要するときに、人材を確保するシステムをちゃんとサポートする、そして医療のドクター職のみならずナース職、そして関係職員さんも含めたケアもちゃんとできてスタッフがいないと、医療の提供は確たるものとできません。
こういったことも一方では考えながら、今御説明いただきましたように、様々な項目、包括ケアのことや働き方などいろいろありますので、もう1~2回この議論があるかと思います。そういったところをしっかりと分析し、現実を踏まえながらあるべき姿を考えていくのがこの医療保険部会の大きな命題かなと受け止めております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
令和8年度の診療報酬改定に向けては、前回改定の際の基本的視点が引き続き重要であると認識しております。令和6年度診療報酬改定では、経営状況等の影響を踏まえて引上げが行われましたが、医療機関における運営コストはこれを上回っており、その結果、危機的な経営状況に置かれていることから、社会経済情勢をしっかりと反映した診療報酬となるよう検討をお願いいたします。
なお、この点につきましては、今般の骨太の方針2025でも医療機関の経営の安定化や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につなげるため、経済・物価動向等を踏まえた増加分を加算すると明記されておりますことから、確実な実現をお願いいたします。
また、物価や賃金の上昇に応じて適時適切に診療報酬をスライドさせる仕組みの導入についてもお願いいたします。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本日は令和8年度診療報酬改定に向けたキックオフということでございますので、今後の議論の進め方について、また、健保組合、健保連としての基本認識についてコメントさせていただきます。
先ほど城守委員、また、直近のマスコミ報道においても、医療界の皆さんが大変、物価高騰や賃上げ動向について懸念を持っておられるということはもちろん理解をしておりますけれども、やはり議論の進め方については前回改定の検証を含めて現状の課題を整理して、補助金や税制で対応すべきものと診療報酬で対応すべきものをしっかり切り分けて議論する必要があると考えております。
そういう面で、現在、政府においても医師偏在対策や賃上げ税制の活用等々と診療報酬の役割分担といった対応も行われておりますので、その辺りも含めてしっかり議論をいただければと思っています。
一方で、我々保険者としてはやはり今後の医療保険制度の持続可能性に対する大変強い懸念を持っております。必要な医療の質を維持しながらこれまで以上に効率化・適正化を進める視点は不可欠でございますし、当然ながら医療DXも活用しながら人口構造、また、医療ニーズの変化に合わせた医療提供体制を再構築すること、また、薬剤給付の最適化について議論するということも大変重要であると思っています。新たな地域医療構想やかかりつけ医の機能報告制度、また、長期収載品の選定療養の強化やOTC類似薬の給付の見直し等々を含めて幅広い視点で議論をお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 ありがとうございます。今日はキックオフということですので、総論的な点を2点申し上げたいと思います。
まず一つは、今回、どういうメッセージを打ち出すかというところが非常に重要だと思っております。世の中にこれで訴えかけていくということからしますと、私としては一つは、先ほど間局長も言及されていましたけれども、持続可能性という点から言いますと、診療報酬改定自体は原則2年に1回ということかもしれませんけれども、こういう診療報酬ももう少し中長期的な視点を持つ、具体的に言うと2040年あたりを射程に置くといったこと、そして、それぞれの個人に即して言いますと、人生100年時代といった視点というのが重要ではないかと思っています。要すれば、短期、中長期といったものをこの中には織り込めればいいかなと思うわけであります。
2点目は、この診療報酬の射程範囲という点であります。診療報酬というのは非常に有用な政策誘導の手段ではありますけれども、これ一つで全てができるというわけではないわけであります。得意とする部分と不得意とする部分がある。特に評価をするということは被保険者、患者さんの自己負担にもつながるわけでありますので、その辺りでどのように納得感がある評価ができるかという点が重要だろうと思います。
そういう点から言いますと、やはりサービスの対価であると考えたときに、今後の課題である例えば医療資源の地域偏在であるとか、あるいは人材確保、あるいは医療提供体制、DXといったものの中で診療報酬とそれ以外の政策手段とのデマケーションというものを考えていかなければいけないのかなと考えております。
現時点では以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 それでは、令和8年度診療報酬改定の基本方針の議論の初回ということで、改定に当たっての基本的な認識について意見を申し上げたいと思います。
今後の報酬改定を検討する上で、少子高齢化が一層進行する中で医療需要の変化、生産年齢人口の減少に伴う担い手不足などの変化を見据えながら、提供体制自体もその変化に適応する方向に舵を切ることが避けられないと思っております。地域のニーズにも応えながら限りある資源・財源を活用していくためには、医療機能の分化、連携や集約をこれまで以上に進めることや、医療DXを一層活用し、効率的な医療提供体制の構築を後押しするような報酬改定とするべきと考えております。こうした方向性となるよう、メリハリを効かせた改定としていくべきと考えます。
なお、改めて申し上げるまでもなく、社会保障制度の財源には労使が負担する保険料も含まれます。現役世代の保険料負担の抑制、国民負担の軽減という視点も重要です。診療報酬だけでの課題ではないですけれども、給付と負担の見直しも併せて行うことが不可欠であろうということは強調しておきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 田辺部会長、ありがとうございます。私からは物価高騰に関連して発言をさせていただきます。
2年弱前に物価高騰に関しては食材料費や光熱費をはじめとするということで主にまだ食材料費や光熱費の話だったのだなと思い起こしながら、月日のたつのは早いもので、今の状況を見ると人件費、それから様々な物価の高騰ということで病院の経営、医療現場における様々な困難が生じているという認識でございます。
したがいまして、医療保険部会としても、これは医療部会や中医協さんはもとよりだと思いますが、当部会としても現実の医療の現場のコスト面での実態としてどういうことが起こっているのかという一定程度の説明を受けた上でエビデンスに基づいて判断をしていく、客観的な判断をしていくということが必要なのではないか。その上で基本方針に反映させていくということが必要なのではないかと考えております。
私自身は全国市長会から出ている委員として、当然公立病院を経営する自治体が多くございますので経営側の立場も、それから国保の保険者の立場も、両方の立場を併せ持つ委員として今後、しっかりと考えてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございますか。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
基本方針の議論のスケジュールや項目別の整理をお示しいただきましてありがとうございます。今回は振り返りということですので、薬局の現状にも触れさせていただきたいと思います。前回改定においては物価高や賃上げに対する対応が重要なテーマとして取り上げられたわけですけれども、物価高の影響に加えて毎年の薬価の引下げもあり、それに伴い医薬品、医療材料の納入価格が償還価格を上回る逆ざやのものが増えていっているというのが現状です。薬局経営においても大変厳しい状況にあります。その中で、薬局においても賃上げという部分に対応していっているわけですけれども、他産業並みの賃上げには全然追いついていないというのが現状になります。
先ほど城守委員からもあったのですけれども、骨太の方針2025の記載の中でも300人未満の組合で平均値上げが4.7%と書かれていましたが、日本薬剤師会の調べでは1.5%しか賃上げができていないというのが現状になります。さらに、およそ半数の薬局においては賃上げ自体ができていないという状況です。
この骨太の方針では力強い賃上げとして物価高を上回る賃金上昇の実現に向けた公的価格の引上げということが記載されておりますけれども、次回改定においては薬局・医療機関が無理なく力強い賃上げが実施できるような内容の改定をお願いしておきたいと思います。
また、あわせて、この8月、本会から僻地の視察に行ったのですけれども、私的な時間も仕事の時間の区別もなくべったりと地域に貢献されているという現状がありました。ただ、限られた住民であったり医療資源の中でされているので、実質の報酬算定上の実績要件等を満たすことはできない状態であったり、加算の対象にもならないという状況の中でそのような業務に当たられているという現状がありました。ぜひ地域医療を支えている中小の薬局が突然なくなるということのないように、もちろんこれは後継ぎ問題など、いろいろありましたけれども、継がれる方々もなく突然なくなりそうな状況という部分も地域にはありますので、その辺りの情勢も見据えた改定になるようにお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
今年度の骨太の方針にも記載されておりますとおり、今回の改定では昨今の賃上げや物価の上昇を踏まえた対応が求められると認識をしております。同時に、同方針では保険料負担の抑制努力を継続するとの言及もされており、この両立が極めて重要になると考えております。
我が国の医療保険制度は保険料と公費で約9割を賄う極めて公共性の高い制度であります。したがって、改定に当たっては必要となるデータを漏れなく収集・分析し、客観的なエビデンスに基づく見直しを行うことが不可欠でございます。見える化なくして効果的な対応をすることは困難です。その上で、てこ入れが必要な部分には重点的に配分するなど、めり張りの効いた改定としていただきたいと思います。
また、これまでも申し上げてきましたが、給付と負担を際限なく増やしていくことはできません。国民一人一人が自助に取り組むことで共助・公助の負担を軽減していくといった視点が重要であります。ヘルスリテラシーの向上、健康増進や職域での健康経営の推進、セルフメディケーションの普及を図るということも重要でございます。
また、先ほど袖井委員から、OTC類似薬に関するご発言がございました。昨今、OTC類似薬は重要な役割を担っております。ジェネリックを今と同じ価格で作ることは相当困難であるため、OTCを活用するということは避けられないと思いますが、OTC類似薬イコールスイッチOTCという考えは非常に危険です。薬歴も管理できないまま、昨日まで医師が処方していたものを自分の判断で勝手に使うとすると、重複投与、あるいは相互作用というものが発生し、健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、OTC類似薬の活用にあたっては安全性を重視し、OTC医薬品を含め、現場の薬剤師がマイナ保険証で薬歴を管理し、医師も薬歴を分かるようにしていただいてから、導入しても遅くはないと思います。
一方、それほど相互作用が多くないと思われるOTC医薬品については、ジェネリックと同じように、OTC可というスイッチボックスをつけておくことによって、現場の裁量で患者がOTCを買っても構わないという仕組みにすれば、活用が非常に進むのではないかと考えます。
さらに、議題2と3にも関連いたしますが、医療DXによる効率化も喫緊の課題でございます。諸外国と比較しても我が国のDX化は相当遅れている。インセンティブだけではなく規制的な措置も含め、強力に推進していくべきだと考えます。一歩踏み込んだ対応により、より実効性のある取組を進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
私は高齢者ですので、高齢社会が進む中で医療の在り方がどうなっているのか、高齢者は大変大きな関心を持っております。その中で今日の議論ですけれども、安定した財源ということが非常に大きな課題になろうかと思いますけれども、この部会の課題ではありませんが一つ指摘しておきたいのは税の在り方ということで、消費税が入ることによって税負担が非常に逆進的な方向に動いてきたわけです。消費税は所得の多い・少ないにかかわらず必要な支出に対して基本的には10%、例外はありますけれども、こういう形で所得の少ない人たちに重くのしかかっているような制度なわけです。その一方で少しずつ所得税の累進税率が引き下げられる、あるいは法人税の軽減など、そんな形で国の財政の中でどう医療を支えていくのかということでは少し逆方向に行っているのではないかと、私はそういう感じで思っております。
また、私どもの医療保険、あるいは年金等、社会的な保険ですけれども、これについてもこれまで指摘されていますように、むしろこれも逆進的な形になっているわけです。高額の所得、あるいは高額の財産等を持っておられる方の負担は極めて低く、所得の低い方たちの負担はかなり高い比率になっております。
こういった点を大きく改めていくことによって、財源の問題についてもう少し分析し、方向性を見いだしていく必要があるのではないかと思います。例えば医療保険の場合も高額所得者のところについては、税とは違いますけれども、緩やかな累進的な負担をしていただく、それから、所得の低いところについては税における非課税というものがあるわけですので、公的な社会保険についてはそういった保険料の負担の免除・低減といったことも保険料の負担の在り方によって方向が見えてくるように思います。
先ほど、さきの参議院選挙のことでお話がありましたけれども、やはり消費税等に対する不満の問題等が出ておりました。それから社会的な保険の負担の問題、これは全体的に負担が大きいというよりは、今申し上げた所得の低い層に重くのしかかっている。この辺のところからの不満が選挙結果に現れたのではないかと思いますので、今申し上げた今後の財政の問題、あるいは今の制度の持続性の問題ということで、ぜひこの点も視野に入れた議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、村上委員、よろしくお願いします。
○村上委員 ありがとうございます。
診療報酬改定の基本方針の議論に当たりまして総論的な考え方を申し上げたいと思います。
まず、少子高齢化は進んでおり、医療保険財源には限りがありますので、医療保険制度の持続可能性、国民負担の状況、賃金の動向なども総合的に考慮した改定率とすべきと考えております。その上で、充実すべき項目と適正化すべき項目とめり張りある改定とすることが必要だと考えております。
充実すべき項目としては、今後も賃金・物価の上昇が見込まれておりますので、人材確保に向けて医療現場で働く人たちの処遇改善を継続的に行うことが重要と考えておりまして、そうしたところについて充実をしていただきたいと考えております。
一方、適正化のほうですけれども、医療費の伸びの抑制に向けましては、昨年の新たな地域医療構想等に関する検討会の取りまとめにおきまして、「高齢者救急、在宅医療の需要等が増加する中、地域の実情に応じて治す医療を担う医療機関と治し支える医療を担う医療機関の役割分担を明確化し、医療機関の連携・再編・集約化を推進する」ことが示されております。これを踏まえまして、医療機関の機能分化を強力に進めていただき、患者の状態像に応じて効率的に医療を提供できるようにしていただくことが必要と考えております。こうした点でのめり張りについて、ぜひお考えいただければと思っております。
また、診療報酬改定の話とは別ですが、先ほども袖井委員からもございました、給付と負担の関係についてです。私どもは消費税というのは社会保障を支えていく重要な財源だと考えております。そのことはこの間ずっと申し上げてきましたが、国民全体にどのようにして理解してもらうのかということについてはやはり改めて考えていく必要があるのではないかと考えております。学校現場の教育ということもありましたが、それだけではなくて、今働いている世代の皆さん方にも今はどうなっているのかということも理解していただくということが必要で、理解し納得していただくためにはやはり対話が重要だと考えております。こういった給付と負担の在り方に関する議論の中にも、若い世代がどのように参加していくのかといった仕掛けもぜひ政府の合意形成の中で検討いただければと考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、任委員、よろしくお願いします。
○任委員 ありがとうございます。令和8年度の次期診療報酬改定に向けて意見を申し上げます。
前回改定では、先ほど説明がございましたが、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組が重点課題の一つとされ、ベースアップ評価料の新設、入院基本料、初・再診料などの引上げがなされたところでございます。しかしながら、医療機関等の経営状況が依然として非常に厳しいことは、先日の中医協総会でもデータで示されたところであり、ベースアップ評価料などを活用してもなお十分な賃上げが実現できない状況になっております。この2年間でさらに物価も高騰していることから、このままではコスト増に追いつかず、医療提供体制の維持が危機的状況に陥ることが懸念されます。
本会の調査によりますと、2024年度の看護師基本給の前年度比賃金増率は僅か1.1%にとどまり、他産業並みの賃上げには遠く及ばない状況です。また、ベースアップ評価料により月額給与が上がっても賞与が減ったと回答した看護師は約3割に上っております。実効的な処遇改善を実現できない、大変厳しい経営状況がここから示唆されると考えます。
次期改定に向けては、前回改定の効果を検証しつつ、さらなる対応が必要なことについて具体的方向性を議論していくこととなりますが、ベースアップ評価料の拡充に加えて、医療機関の経営状況を大幅に改善させるための措置を講じるなど、様々な課題がある中においても、必要とされる医療・看護がしっかりと届けられるようにすること、それが何よりも重要な視点と考えております。安心して質の高い医療・看護を受けられる社会を守ることを最優先に検討していくことが強く求められると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
基本方針についてのキックオフということで、歯科の立場で総論的に発言させていただきます。個人立の診療所の多い歯科診療所の経営状況も、昨今の物価高騰等に伴い、先ほど城守委員からの御発言にもありましたけれども、厳しくなっていることなど、危機感を持っています。また、歯科医師も高齢化し、地域によっては事業継承もあまりうまくいっていない歯科診療所もあり、在宅歯科医療を含め地域の歯科医療提供体制の確保が厳しい状況であります。
こうしたことから、物価高騰、賃金上昇及び人材確保については前回と同様、喫緊の課題と考えており、引き続き基本方針に位置づけていただく方向で御検討をよろしくお願いいたします。
また、かかりつけ歯科医を中心とした口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応に加え、これまでどおり生活の質に配慮した歯科医療の推進についても併せてよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
次期診療報酬改定の基本方針に向けましては、人口構造が大きく変化する一方、現役世代の社会保険料負担が限界を迎えている中で、国民皆保険制度の持続可能性を確保していくためには地域医療構想の実現や医療DXの推進などの効率化・適正化の取組を着実に推進していくことが必要だと考えております。
また、昨今、物価や賃金についても状況が大きく変化しているところでありますので、前回の改定の検証を行うとともに、病院をはじめ医療の現場の状況について詳細な実態を把握した上で、今後、きめ細やかな議論を行っていただくようお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございますしょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。本日の意見も踏まえつつ、さらなる議論を深めてまいりたいと思っております。
次に、「マイナ保険証の利用促進等について」を議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○山田課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料2をお願いいたします。「マイナ保険証の利用促進等について」の1ページ、オンライン資格確認の利用状況でございます。真ん中の赤い折れ線グラフでありますが、7月の利用率は31.43%でございました。マイナ保険証の利用件数はこの1か月で7810万件と今までの中で一番多い数値となっております。
次のページは目次です。本日、3点御報告、御議論いただきたいと思っております。1点目は、市町村国保がマイナ保険証を基本とする仕組みへ移行しましたので、その御報告でございます。2点目がスマートフォンのマイナ保険証利用に関しますこと、3点目がいわゆる黒丸文字の解消に向けた対応でございます。
1点目「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行(市町村国保)」でありますが、4ページをお願いいたします。8月に約1,400の市町村国保で約1700万人の保険証の有効期限を迎えました。一日に500万件のマイナ保険証が利用される日もございました。その中で医療機関向けのコールセンターへの問合せ件数というものを分析してみました。左側の表でありますけれども、7月の一日当たりの平均入電件数が約1,300で、8月の第1週も1,300ということで、件数自体に大きな変化はございませんでした。
8月第1週のコールセンターへの問合せの内容を分類して上位10個を記載しております。555件と一番多かったのはカードリーダーの操作方法、目視確認モードについてというものが多く、2点目は個別事象について。今般の切替えに関するものは9番目でして、国保の保険証の有効期限切れに伴う暫定的な対応というのが100件程度、一週間で問合せがございました。そのほかの切替えに関する問合せ状況を右側に記載しております。国保の有効期限切れに伴う暫定的な対応100件、オンライン資格確認を行うことができない場合にどのように対応したらいいのかというお問合せが80件、資格確認方法について30件、このようになっております。総じて大きな混乱なく8月を迎えることができたと思っております。医療機関、薬局、また、保険者の方々をはじめ、関係する皆様に御協力、御尽力いただいたおかげで、8月を無事に迎えられたことに感謝申し上げます。
5ページでございますが、この切替えの時期におきまして我々が少し力を入れていた周知内容を紹介します。高齢者、障害者などの要配慮者は、必要な場合には資格確認書の申請を行っていただければ資格確認書も交付されるのだということを自治体、福祉関係団体に通知させていただくとともに、約30の福祉関係団体に対しまして対面・オンラインで直接説明をして周知を図ってまいりました。繰り返しになりますが、高齢者、障害者などの要配慮の方々はマイナ保険証を持っていても申請をいただければ資格確認書も保有可能であります。
また、右側の上でありますけれども、施設団体の方々にもお時間をいただきまして説明をさせていただいておりました。施設側でマイナンバーカードを預かることにハードルがあるというお話がありましたので、預かる際には暗証番号までを管理することは求められていませんよという話もさせていただきました。
6ページ以降、切替えに当たってのリーフレットであります。7年7月31日以降順次満了となります、マイナ保険証か資格確認書で受付をしてくださいというリーフレットが6ページ、7ページと続きます。
1点目の御報告は以上でございます。
2点目、スマートフォンのマイナ保険証利用への対応でございます。9ページをお開きください。マイナンバーカードとスマートフォンを比較しておりますが、上段がマイナンバーカードです。ほぼ全ての医療機関・薬局でマイナ保険証として利用可能でありますが、マイナンバーカードを日常的に持ち歩く習慣がない方も一定数存在いたします。引き続き実物のマイナンバーカードによるマイナ保険証の利用経験が増えるよう取り組んでまいります。
一方、下段がスマートフォンであります。マイナポータルへのログインが簡便になりまして、自身の医療情報の把握・管理を容易にすることができるようになります。また、何といってもスマートフォンは日常的に広く利用されています。カードに加えてスマートフォンでも利用できる医療機関・薬局の環境整備を支援していきたいと思っております。
10ページ、スマートフォンのマイナ保険証利用への対応の実証事業を行いました。iPhoneでのマイナンバーカード機能の利用が6月24日より開始いたしまして、7月、8月と2回に分けて実証事業を実施しております。
11ページが、その実証事業の結果でございます。15の医療機関などで実証事業を行いました。iPhoneで252名、Androidで69名、合計300名少しの方が実証事業に参加していただきました。件数で言いますと、15医療機関でのマイナ保険証の利用率が約50%の中で1%にも満たない件数ですけれども、必要な実証はできたと思っております。
右側に患者、また、医療機関などの職員からの主な意見を記載しております。患者からの意見としましては、カードを出す手間がなくなり受付がスムーズになった、カードの持ち歩きによる紛失の心配がなくなったという前向きな意見がある一方、スマホの最初の設定が難しかったという意見が多くありました。当初、スマホの設定をした後にどうカードリーダーにのっけるのが難しいのかなみたいなことを想定していたのですけれども、その手前のスマホの最初の設定が難しかったという声が多く聞かれました。また、職員からも同様でございまして、来院前にマイナンバーカードのスマートフォンへの追加を終えてから受付してほしいといった声が大きかったです。スマホ利用に当たっての必要な事前準備や留意点について周知を図っていきたいと思っております。
12ページはスマートフォンでのマイナ保険証利用に向けて医療機関・薬局側で対応いただきたいこと、13ページは患者に対応いただきたいことを記載しております。12ページです。本年9月19日から準備の整った医療機関・薬局から順次スマートフォンでのマイナ保険証利用を開始いたします。
医療機関・薬局側の対応でお願いしたいことは3点でございます。
1点目は、汎用カードリーダーの購入であります。8月29日よりAmazonビジネスの専用ページが開設されます。申請手続なく2分の1補助で割引後の価格で購入が可能となっております。
2点目は、資格確認端末との接続をしていただきたいということ。
また、3点目はステッカーであります。スマホ対応していただく場合に患者が確認できるステッカーを受付のところに掲示していただきたいということであります。この3点をお願いしたいと思っております。
一方、13ページは患者側での対応であります。そもそも自分のスマートフォンが対応しているかどうかというのもありますが、大きく2点、赤字で書かせていただいております。
1点目は、来院前にスマートフォンへマイナンバーカードを追加していただきたいということ。
2点目は、医療機関・薬局の受付にあるステッカーを事前に確認した上でスマホを持参していただきたいということであります。9月19日から始まりますが、利用できる医療機関・薬局は順次拡大してまいります。ステッカーを確認する前にスマホだけで来院しないよう周知していきたいと思っております。
14ページは、現時点のマイナンバーカードで受診した場合に何らかの事情でオンライン資格確認が行えなかった場合の取扱いを記載しております。マイナンバーカードを持ってきていただいても何らかの事情でオンライン資格確認を行えなかった場合、例えばマイナポータルの画面、資格情報のお知らせ、または過去の情報、申立書といったことで、何らか事情があっても、マイナ保険証を持ってきていただければ、3割等での保険診療が受けられるという取扱いをさせていただいているところであります。
15ページでありますが、同様に、マイナ保険証として利用可能なスマートフォンをお持ちになってその対応をしている医療機関に行った場合、仮に何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合でも、保険診療が受けられるようにしたいと考えております。何らかの事情でスマートフォンの読み取りに失敗した場合でも、その場でマイナポータルにログインし、表示された資格情報の画面を提示いただければ、3割等の支払いで済むという取扱いを昨日、中医協に諮問させていただきました。資格の確認方法に関することですので中医協に諮問をし、答申をいただいたところでございます。
3点目「黒丸文字の解消に向けた対応」でございます。17ページを御覧ください。令和3年に地方公共団体情報システムの標準化法というものが施行されておりまして、自治体のほうでも原則令和8年4月より自治体システムで使用する文字が標準化されていくことになります。これによりまして、自治体の業務、戸籍、住基、地方税、国保、後期、生保といったものにおいて使用される文字につきましても、自治体ごとに順次行政事務標準文字といったものに置き換えられていきます。また、外部システムと情報を連携する際は、医療保険者向け中間サーバーを含む個々の外部システムの要件に応じた文字セットで連携されるようになります。
17ページの右側でありますけれども、イメージでありますが、今、戸籍情報システムが管理する文字というのが163万件あります。これを行政事務標準文字7万件ぐらいに標準化していくという流れでございます。
18ページ医療保険者向け中間サーバーに登録されている1.2億件、これは人口でありますけれども、加入者情報のうち、現時点で約550万件、4%ちょっとの加入者の氏名で黒丸になる文字が含まれております。黒丸のままでも振り仮名はありますし、そのままでレセプト請求をすることは可能であります。このことは改めて周知をしてまいりますが、やはりこの自治体システムの標準化の取組の中でも文字の標準化が進むことと併せまして中間サーバーで扱える文字を広げつつ、保険者で登録している外字を標準文字に置き換えて黒丸で表示される文字を縮小させていきたいと思っております。
今後の対応方針は2つ。1点目は、保険者で使用している拡張文字への対応でございます。中間サーバー側で表示可能な文字種別を追加し、保険者から登録があった際に黒丸にならないようにしたいと思っております。2点目は、保険者で独自に使用しているユーザー外字への対応であります。簡易な標準文字か共通の文字コードで対応できる文字への置き換えを行った上で、本人にはマイナポータルで標準文字に変換した旨を御案内していきたい。これによりまして、令和8年度中をめどに大多数の文字の黒丸表示の解消を目指していきたいと思っております。大多数というのは、少なくとも7割ぐらいは黒丸をなくしたいと思っております。
以上、私からの説明でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等がございましたら、挙手にてお願い申し上げます。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。テーマ3点について、おのおのコメントしたいと思います。
まず、1点目のマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について、今般出ました健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いは健保組合は直接の対象にはなっていないものの、健保組合からも相当懸念の声が出ておりました。そういった中で、先ほども御説明があったように今のところ大きな混乱が見られない状況だということは理解をいたしました。いずれしてもこのマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行については国としてもしっかりフォローをいただきたいと思います。
また、一部の自治体においては、マイナ保険証を使用できる方にまで資格確認書を交付しているという事例があると聞いております。これはかえってマイナ保険証のメリットを享受する機会を阻害することになると思いますので、大変危惧をしております。ぜひとも有効期限切れの暫定対応にしても、また、資格確認書の職権交付にしても、あくまでもマイナ保険証移行に向けての暫定的な措置だと理解しておりますので、この適正な運用については国からも引き続き指導をお願いしたいと思っております。
それから、2点目の外来診療等におけるスマホ搭載対応でございますけれども、マイナンバーカードを持ち歩くことについて抵抗感がある一方で、交通系ICカードやクレジットカード機能等々のスマホ搭載が進んでいるという状況を考えますと、スマホ保険証の普及はマイナ保険証のメリットを国民・患者が受けるための大変重要な取組であるということで、健保組合もそうですし、期待感は大変高いものがございます。
そういった中で、スマホに搭載されたマイナ保険証の対応に向けて、当然、医療機関・患者の双方でも環境整備の推進支援は必要でございますけれども、特に医療機関側での環境整備は最重要だと思いますので、これについても国のほうでのフォローアップをぜひお願いしたいと思います。
また、実証事業の結果について、先ほど御説明もございましたけれども、やはり健保組合の役職員からもスマホの最初の設定が大変難しかった、分かりづらかったという声を聞いております。患者側の環境整備としてマイナポータルアプリへの追加方法や署名用電子証明書のパスワードが分からない場合の対応等々について分かりやすく周知をお願いしたいと思います。
また、これも先ほど資料にございましたが、何らかの事情でスマホでのオンライン資格確認ができなかった場合についても、マイナポータルの資格情報を提示すればいいということもございますので、スマホ搭載してもマイナンバーカードを必ず携行しなくてはいけないという誤解が生じないような周知もお願いしたいと思います。
それから、黒丸文字の解消に向けた対応について、もちろんこれは国としてもこれまで対応を進めていただいておりますが、やはりまだ相当数の黒丸表示が残っているのが実情だと思います。令和8年度中を目途に大多数の文字の黒丸表示の解消を目指すということでございますけれども、ここについては少しでも減らすように御努力をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私からは市町村国保のマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について発言をいたします。8月に多くの市町村国保で保険証有効期限を迎えました。先ほどの事務局の発言の中で8月は大きな混乱なくというお話があったのですが、市町村窓口の実態としては多くのお問合せをいただいたところでございます。医療機関向けのコールセンターのお話がありましたけれども、実際のところ、例えば津市におきましての窓口の状況を少し御報告いたしますが、国保に関するお問合せの3割程度は資格確認書等に関するものとなっておりまして、この原因をちょっと分析しますと、例えば同じ世帯であっても資格確認書と資格情報のお知らせが混在しておるということでお問合せがあったり、あるいは後期高齢者の暫定措置で資格確認書が職権交付されていることもありまして、市町村の窓口に非常に多くの説明が求められている状況でございます。
したがいまして、制度について国民的な理解が皆さんに得られるよう、国におかれましては、ここで一息つくということではなくて、引き続き正確な情報を分かりやすく周知をお願いできればと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
今、市町村国保からお話もございましたが、全般的には国民健康保険証の有効期限が切れるという前後において、現場で大変大きな混乱が生じるということはなかったということは、関係各位の方々にしっかりとした対応をしていただいたのであろうと思います。
ただし、この暫定的な措置というのは来年3月31日までということになっていますので、それまでの間に、今もお話がございましたが、例えば資格確認書と資格情報のお知らせの違いとか、さらにはマイナ保険証への切替えの促進ということを住民・国民の方にさらにしっかりと周知をしていただきたいと思います。
2点目のスマホ対応の件でございますが、外来診療等においての医療機関でのスマホ対応というのは基本的には任意ということであろうと思いますし、また、現在使用している顔認証付カードリーダーのみでは対応できないということで、今、説明がありました、汎用のカードリーダーというものを別途用意するということになります。そして、それでシステム上利用が可能になったとしても実際に医療機関ですぐに対応できるというところはごく一部であろうと思います。
ですので、9月19日より全国のあらゆる医療機関で、薬局もそうなのですが、スマホによるいわゆる保険資格確認ができるというわけではないということと、そして、スマホの読み込みが失敗した場合にスムーズに医療を受けることができるように、特に初めて受診する医療機関を訪れる場合には、マイナ保険証または資格情報のお知らせも併せて携帯していただくといったことについても皆様にしっかりとした周知をお願いしたいと思います。
さらに、マイナ保険証をスマホに搭載する手順につきましても事務局から御説明がございましたが、医療機関の窓口でこれをやってくれということは実質上なかなか困難なことになりますので、これも住民の方に来院をする前にスマホに搭載をするということをしっかりと周知していただきたいと思います。
あと、資料2の15ページに、何らかの事情でスマホの読み取りに失敗した場合の対応方法を示していただいているわけでありますが、既に行われておりますマイナ保険証でオンライン資格確認ができなかった際の対応だけでもなかなか大変複雑ですので、これに関しても医療機関に正しく対応をすることが求められるということにもなりますので、その辺りに関しても医療機関に対して、分かりやすい資料による周知をお願いしたいと思います。
最後に、3点目の黒丸文字に関しては、今、説明がございましたとおり、黒丸が表示されることで、医療機関等においてはシステムに何か問題が生じたのではないかとか、これでレセの請求ができないのではないかという誤解が生じることが予想されますので、この黒丸文字の解消に向けての取組をしていただくということは当然ですが、要するに黒丸文字が画面上に出てきてもこれは特に問題はないのだということの周知も併せて医療機関にお願いしたいと思います。
そして、これは今回のテーマと関係ないのですけれども、本日の資料にもございませんが、オンライン資格確認に必要な顔認証付カードリーダー、そして資格確認の専用端末につきましては、早期に導入した医療機関、または薬局では保守期限というものが残り1年程度となってきておりまして、そのベンダーのほうから保守ということに関して更新をする場合には診療所でも50万~100万円相当の費用が必要という話も伝わってきております。ですので、政府に対しては機器の更新費用等に対してもしっかりと全面的な財政支援をお願いしたいと思います。かなりメーカーによってプライスが違うということも聞いておりますが、いずれにしてもかなりの値段を言ってきておられるようですので、その辺りもよく調査をしながら確認をしてください。お願いします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
おのおのの対応についての御報告をいただきましてありがとうございます。市町村国保の有効期限を迎えた時期にあって大きなトラブルはなかったということなので、対応に関しては安心しているところなのですけれども、先ほど前葉委員からも少しありましたように、実は現場ではいろいろと懸念事項が生じているのが現状になります。少しその辺りの現状について懸念部分を紹介させていただければと思うのですけれども、先ほど来、佐野委員からもあった資格確認書なのですけれども、これは手に取られた方々は分かると思うのですけれども、ほとんど健康保険証と見分けがつかないほど酷似したものになっています。現在、その見分けのつかないような仕様が、一時的な過渡期を埋める部分ではなくて恒久的にそれに換わるような感覚を持たれている方がおられるという現状にあります。
さらに、マイナンバーカードの電子証明書の期限を迎えている方も多くなってきているのですけれども、これを更新するためにはもう一度役所に足を運ばなければならないという状況の中で、今言った保険証と酷似した資格確認書が送られてくるという状況になっています。これは今までマイナンバーカードを使われていた方も資格確認書を持ってこられる状況になるので、これは今後、推進施策の中では何らか発行形態を考えるか、何かを考えないと保険証に戻るような感覚を持たれている感じがあるのではないかなという懸念があります。
それと、2点目の部分なのですけれども、先ほど城守委員からもあったように、実は来年、最初に導入されたところに関しては顔認証付きカードリーダーの保守期限を迎えるという状況にありますので、その状況下で新たに汎用カードリーダーを買って取りつけるのかという部分を問われると、なかなか現場で導入を進めるのが言いにくい部分があるという現状にあります。スマホに入ったものを読み取れなかった場合や、いきなりスマホだけ持ってこられた場合に関しては、先ほどあったような画面表示の中で確認することはできるのですけれども、保健医療情報にアクセスする同意は取れない状況にあるかと思いますので、せっかくマイナンバーカードという基盤の中で生かせるメリットですので、それをマイナポータルに入れることで、それが使えないことで、その情報にもアクセスできないというデメリットになってしまうのは避けるべきだと思いますので、マイナンバーカードの普及とともにマイナポータルが同じように普及していることでは決してないので、マイナポータルの普及の部分に関しては少し力を入れて取り組まれたほうがいいのではないかなと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 マイナ保険証のスマホ搭載の取扱いについては昨日、中医協でも了承されましたけれども、便利な方策が増えるのは利用者にとって良いことであろうと思います。環境が整った医療機関から徐々に運用を開始することや、開始日が9月19日であることなどの国民への周知、また、周知の時間が短いと逆に混乱を招くことがあります。日本歯科医師会でも窓口にて混乱が生じないようポスターを作成し、周知に努めますけれども、一般的にはスマホを機種変更されることもあると思いますので、その場合のセキュリティーに関する内容も含め、安心して利用してもらえるよう、できるだけ分かりやすく使い方を周知していただきたいと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードもスマホ保険証も含めまして活用していくことというのはやはり医療DXの根幹になると思っております。様々な利便性向上のための施策が先ほども説明されておりましたけれども、各委員からの御指摘もございましたとおりでよりきめ細かく推進をしていただければと思っております。
一言申し上げたいのは、これからいよいよ経過措置期間の終了が迫っております。協会におきましても保険証の期限を12月としておりますので、その切替えに向けて、私どもとしても12月に向けて改めて集中的な広報を実施する予定でおります。ぜひ国、医療機関、保険者とも一丸となってマイナ保険証利用の促進に向けて、この12月の一つのタイミングを活用していきたいと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと存じます。
次に、「電子処方箋・電子カルテの目標設定等について」、こちらは報告事項でございますけれども、これを議題といたします。事務局から資料の説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いします。
○田中推進官 事務局でございます。医政局医療情報化推進官の田中でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、「電子処方箋・電子カルテの目標設定等について」ということで御説明させていただきます。
資料3をお開きいただけますでしょうか。こちらは電子処方箋・電子カルテの導入目標、それから今後の取組方針について、7月1日に行われました厚生労働省医療DX推進チームでお示しした資料を御説明させていただくものでございます。
まず、1ページ目でございます。「1.電子処方箋の新目標」のところについて、1つ目の丸の部分でございます。電子処方箋につきましては、医療DXの政府の工程表におきましておおむね全国の医療機関・薬局に対して2025年3月までに普及させるという目標を掲げていたところでございます。同年の6月時点で運用開始済みの薬局は8割を超えており、足元の政府のダッシュボードを見ても7月後半の時点で約84%の導入状況ということでございます。今後、おおむね全ての薬局での導入が見込まれているという状況でございますが、一方で、医療機関の導入状況に関しましては約1割にとどまっているという状況でございます。
こうした状況を踏まえて、2つ目の丸のところでございます。医療機関において電子処方箋の導入を進めるためには電子カルテの導入が非常に重要になってまいります。このため、電子処方箋の新たな目標の中では電子カルテ、そして電子カルテ情報共有サービスの一体的な導入を進めることとしております。この結果、患者の医療情報を共有するための電子カルテを整備する全ての医療機関への導入を目指すという目標で進めていきたいというところでございます。
続きまして、2ポツの電子カルテ、それから電子カルテ情報共有サービスの普及策について御説明をさせていただきたいと考えております。電子カルテにつきましては、同じく政府の医療DXの工程表におきまして遅くとも2030年には全ての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとしております。この目標達成に向けまして、今後の方針というところでございますが、現状のオンプレ型でかつカスタマイズが多く行われている電子カルテから、いわゆるクラウドネイティブを基本とする廉価なものへの移行を進めていきたいということでございます。
このため、①、②とお示しをしておりますけれども、まず①の部分でございます。電子カルテ導入済みの医療機関につきましては、次回のシステムの更新時におきまして電子カルテ情報共有サービス、それから電子処方箋管理サービスに対応するシステム改修を実施していく。
②の部分でございます。電子カルテ未導入の医療機関につきましては、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋管理サービスに対応できる標準化された電子カルテの導入を進めていきたいと考えております。
そういった方針を見据えて、具体的な今後の対応ということでございます。下の緑の枠の部分でございます。1つ目のポツのところにございます、現在デジタル庁で開発しております標準型電子カルテにつきましては、本格運用の具体的な内容を今年度中にお示しした上で、必要な支援策も具体的に検討いたしまして、2026年度中を目途に完成を目指すという目標を掲げさせていただいております。
その下の部分でございます。あわせて、この標準型電子カルテの要件を参考といたしまして、医科診療所向けの電子カルテの標準仕様(基本要件)を今年度中に策定したいと考えております。この基本要件につきましては、詳細は※3の部分に記載させていただいております。詳細な説明は割愛させていただきますけれども、例えば一つのシステムを複数の医療機関で共同利用することで廉価なサービス提供が可能になるようなマルチテナント方式、いわゆるSaaS型のサービスを基本とするといったことを記載させていただいております。こうした方針を前提といたしまして、2026年の夏までに電子カルテ、それから電子カルテ情報共有サービスの具体的な普及策をお示ししていきたいと考えております。
1ページお進みいただきまして2ページでございます。最後になりますけれども、医薬品、それから臨床検査コードの整備についてでございます。医薬品コードにつきましては、現在、様々な場面で様々なコードが活用されております。しかし、各コードの関係性が整理されておらず、トラブルの発生、それから現場負担につながっているという御指摘もございます。そこで、電子処方箋トラブルの再発リスクの低減、それから医薬品のトレーサビリティーの強化といったことを目的といたしまして、令和8年度から各医薬品コードの関係性を国が明らかにするなどの対応を行ってまいりたいと考えております。
また、臨床検査コードにつきましても、厚生労働省の標準規格の使用を推奨しているということでございますけれども、実際にはコードが統一されていないためにシステム間の連携が難しくなっているという状況で、そういったことが現場のコスト増大の一因になっているという御指摘もいただいております。そこで、現状のJLAC10を改善いたしまして、JLAC11を標準規格として電子カルテなどの標準仕様で統一的な検査コードとして位置づけるといった方針をお示しさせていただいております。
簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
本件は報告事項ということでございますけれども、御意見等がございましたら、挙手にてお願いしたいと思います。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本件についてはこれまでも繰り返し申し上げていることになりますけれども、コメントさせていただきます。電子処方箋、また、電子カルテの情報共有というのは、言うまでもなく、より安全で効率的な医療、また、患者の利便性といった観点で国民・患者にもメリットがありますので、保険者としても大変期待をしている部分でございます。
この点、電子処方箋については薬局への導入がほぼ完了するということでございますけれども、やはり重複投薬の防止等の安全確保を徹底するためには、薬局においても薬剤情報を100%登録してあること、また、医療機関においては院内処方のチェックをできるようにしていただくことが大変重要であると思っております。特に医療機関において電子処方箋と電子カルテの導入を一体的に推進することが効果的であるということはもちろん理解をいたしますが、少なくとも公的な医療機関においては先行して電子処方箋を普及させるといったことも検討いただきたいと思います。
また、電子カルテ共有サービスについては以前から具体的な工程表のようなものを提示するように求めてまいりましたけれども、今般、普及計画を策定するということが明確に示されたことについては評価をしたいと思います。無論、法案審議等々いろいろな関係があると思いますが、来年の夏を待たずに可能な限り前倒しで計画を策定いただいて、できるだけ早いタイミングで関係者間での普及に向けた認識を共有できるようにしていただければと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横本委員、よろしくお願いいたします。
○横本委員 医療保険制度におきまして効果的・効率的な運営を行う上で、医療DXの有効活用は重要な鍵だと考えております。「医療DXの推進に関する工程表」や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」で、「遅くとも2030年にはおおむね全ての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」とされている点につきまして、遅れることなく確実に実現されるよう政府には取り組んでいただきたいと考えております。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、城守委員、よろしくお願いします。
○城守委員 ありがとうございます。
まず、電子処方箋についてでございますが、これに関しましては当会ではこれまでも様々な場面で普及の目標について、現状を踏まえた上で柔軟性をもって再設定をするようにという発言を続けてきたということでございます。現状では電子処方箋を単独で普及するということはなかなか難しい状況でございますので、現在、開発が進められております標準型の電子カルテと一体的に普及推進されるという方針には賛成をいたします。また、電子カルテ情報共有サービスにおいても本件と同様に一体的に考えていくべきであろうと考えます。
次に、標準型の電子カルテについてでございますけれども、この標準型の電カルの全国的な普及につきましては、政府にはしっかりと対応していただきたいですが、決して工程表のスケジュールに縛られ過ぎることがないように、開発状況やベンダーの対応などの状況もしっかりと注視をしていただきながら検討を行っていただきたいと思います。また、新規導入する医療機関だけではなくて、現在電カルを利用している医療機関の移行などについても併せてしっかりとした対応の検討をお願いいたします。
また、日本医師会では、本年の4月から6月にかけて、現在紙カルテを利用している診療所に対しまして電子化対応可能性に関する調査というものを行ってございますが、結果として紙カルテを利用する診療所の54%が電子化への対応ができないという回答になってございます。その中にはITに不慣れであって対応ができないとか、高齢という解決困難な理由もございますので、地域医療を崩壊させないためにも特に一方的に電子処方箋・電子カルテを義務化するということがないように、改めて十分な配慮をお願いしたいと思います。
一方、さきの調査で30%強の診療所は標準型電子カルテに期待するという意見も見られますので、医療DX推進のために電子化を希望する医療機関にはできるだけ導入と維持がしやすい環境整備が必要であろうと考えております。
最後になりますが、医薬品臨床検査コードの整備につきましてですが、各種コード、また、マスターについては標準化の観点からも厚労省に責任を持って整備をしていただいて、医療現場に混乱が起きないように導入を進めていただければと思います。
私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐藤参考人、よろしくお願いいたします。
○佐藤参考人 ありがとうございます。
医療DXの推進に当たっては、医療サービスの効率化、質の向上を図るために、医療機関・薬局双方で電子処方箋の普及を図ることが重要であると認識しております。また、医療機関側において電子処方箋の導入を進めるに際しましては電子カルテが導入されていることが重要でありますことから、今般の新たな目標設定によって一体的な導入を進めるとされたことは非常に効果的であると考えます。
一方、サービス導入の阻害要因の一つとして導入費用、運用にかかる負担が挙げられますことから、電子カルテの導入・更新に係る診療報酬も含めた財政支援とともに、医療機関等におけるデジタルリテラシーの向上のため、丁寧な周知・広報をお願いいたします。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。
電子処方箋につきましては、応需体制の整備という部分の中でほとんどの薬局で導入が進んでいます。また、先ほど佐野委員からありました調剤情報の登録につきましても、当該施設が応需しているほぼ8割の患者さんに対しての調剤情報の登録されていっているという状況になっています。
その中で1点だけ確認というかお願いの部分なのですけれども、後段の電子カルテの部分について、これは薬局においては電子レセコンであり電子薬歴なのですけれども、この工程表等の中には標準型電子カルテという表記で書かれているのですけれども、一方で保険局では共通算定モジュールの話が長い工程表の中で進んでいることかと思います。これは我々現場は1つですので、同じシステムとしてのビジョンでぜひ提示いただかないと、片方で裏でつながる共通算定モジュールの話があり、他方で標準型カルテの話があるという形で話が進むと、現場では受け入れられないことになってしまいますので、この辺りは医政局で進められる内容と保険局での共通算定モジュール、また、その先の診療報酬改定DXの中にも標準型の電子カルテが書かれていると思いますけれども、その辺のビジョンがしっかり合うように御提示願うようにお願いしておきたいと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、藤井委員、よろしくお願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。
医薬品コードについてですが、OTC医薬品もデータベースセンターで運用をしておりますので、ぜひ早くにリンクできるよう、配慮をお願いしたいと思っております。先ほども申し上げたとおり、重複投与、あるいは相互作用の回避という観点からも非常に重要ではないかと思っております。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、前葉委員、よろしくお願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私からは電子処方箋管理サービスの運用費用について問題提起だけさせていただきたいと思います。被保険者における利便性の向上、あるいは重複投薬の抑止など、当然のことながら被保険者全体が利益を受けるという理由で医療保険者等が負担をするということでございますが、現在、1割程度ということでまだまだ被保険者が享受できている利益というのは十分ではないと思われます。そして今般、新目標は電子カルテと一体的に導入をしようということで2030年に普及目標が先送りされました。ということは、被保険者が十分な利益を受けられるまでにはさらに時間を要するということが想定されることとなりました。
したがいまして、被保険者が十分にメリットを享受できるまでの間について、電子カルテ情報共有システムの運営費用と同様の負担方法とするなど、電子処方箋管理サービスの費用負担の在り方についてもぜひ御検討願えればと思います。これは問題提起としてさせていただきます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。
本日資料の1ページ目の電子処方箋の新目標及び2の電子カルテ共有サービスの普及策に記載があり、小さい文字で歯科医療機関についてはと幾つか記載されていますが、現状で検討が始まったばかりという状況であります。なるべく早めに方向性について適宜情報を流していただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。
では、北川委員、よろしくお願いします。
○北川委員 ありがとうございます。
医療DXに関しましては、全面的に推進をお願いしたい。その中でマイナ保険証はある意味プラットフォームとしての役割がある中で、電子カルテ・電子処方箋は非常に大きなコアコンテンツで、これが実現すると医療の質的な変化や利便性といったところに非常に大きな役割を発揮してもらえるものだと期待しております。
協会けんぽとしても、本件の電子カルテ・電子処方箋関連、また、もう一つ大きな医療費適正化の観点では地域フォーミュラリとバイオシミラーといったことについて、全支部に向けて可能な限りそれぞれの立場で推進に協力する活動をするようにということを今年の大きな目標として掲げている次第でございます。こういう施策が出て大変心強く思いますが、ぜひこれが着実に2030年には完成形になるように期待したいし、また、我々としても御支援申し上げたいと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見等がなければ、本日はこれまでとしたいと存じます。
あと一点だけ、事務局よりアナウンスがあるということでございますので、よろしくお願いいたします。
○姫野課長 事務局から1点おわびでございます。本日の会議につきましては、ユーチューブでライブ配信をするということで申し上げてございましたが、冒頭30分ほどリンクが誤っておりまして、視聴できない時間が発生してしまいました。その後、正しいリンクをアナウンスしまして視聴可能になってございますが、一部御不便をおかけしましたことについておわび申し上げたいと思います。失礼いたしました。
○田辺部会長 ということだそうです。
次回の開催日については追って事務局より御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参加いただき、また、活発な御議論を賜りましてありがとうございました。
それでは、散会いたします。