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第4回セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会 議事録
日時
令和7年7月25日(金) 18:00~20:00
場所
AP虎ノ門 会議室A 11階 東京都港区西新橋1-6-15日本酒造虎ノ門ビル(NS虎ノ門ビル11階)
議題
1)セルフメディケーション税制について
2)その他
2)その他
議事
○井上室長補佐 それでは、定刻を少し過ぎてしまいましたが、ただいまから第4回「セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。
最初に、構成員の先生方の御出欠につきまして報告させていただきます。
本日8名の構成員が会場での参加、伊藤構成員、井上構成員、川又構成員、寺島構成員、武藤構成員の5名はオンラインでの参加となっております。
また、池田構成員は、今回、所用により御欠席のため、代理として国保中央会審議役の井原辰雄様にオンラインにて御参加いただいております。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただき誠にありがとうございます。
また、本日の会議には参考人として、東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学特任准教授の五十嵐中先生にも御参加いただいております。
事務局側に7月に人事異動がございました。医政局医薬産業振興・医療情報企画課長兼セルフケア・セルフメディケーション推進室長として安中が、セルフケア・セルフメディケーション推進専門官として松下が着任しております。
以降の議事進行につきましては、座長にお願いいたします。
それでは、井深座長、よろしくお願いいたします。
○井深座長 井深でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から、資料の確認と議事進行における留意点について御説明をお願いいたします。
○井上室長補佐 事務局でございます。
初めに本日の会議資料を確認させていただきます。構成員の皆様には、事前に議事次第、座席表のほか、資料1から資料3、参考資料1から参考資料4をお送りしております。会議はペーパーレスで実施いたしますので、会場参加の構成員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。タブレットの不調、資料の不足等がございましたら、お知らせいただければと存じます。
次に、御発言時の留意点をお知らせいたします。
オンラインで参加の構成員におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。ミュートになっていない場合は、事務局側でミュートにさせていただく場合もありますので御了承ください。御発言がある場合には、挙手機能でお知らせいただく、またはチャット機能で発言を求める旨、お知らせ願います。
会場参加の構成員におれかましても、御発言時は手を挙げるなどしてお知らせください。御発言の際はお手元のマイクを御利用いただき、最初にお名前を名乗っていただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
会議中、マイクの不調やシステムの動作不良などがございましたら、事務局までお知らせください。
事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡差し上げる場合がありますので、御理解・御協力のほどよろしくお願いいたします。
なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係者におかれましては、御退室のほどお願いいたします。
以上でございます。
○井深座長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
議題1「セルフメディケーション税制について」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 改めまして、本年7月から医薬産業振興・医療情報企画課長兼セルフケア・セルフメディケーション推進室長になりました安中でございます。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
着座にて説明をさせていただきたいと思います。
それでは資料1から順次御説明させていただきますので、資料1をお開きください。
「セルフメディケーション税制の在り方について」ということで、これまでの検討会での議論の整理として資料1を御用意させていただきました。
2ページでございます。これまでの検討会での議論の概要といたしまして、下の箱に書いてありますとおり、3回にわたりまして議論を重ねていただきました。それらの主な意見、そして、その主な意見を踏まえた議論の整理を次のページ以降でテーマごとに整理させていただいております。
まず3ページでございますが、税制対象医薬品の範囲についての御議論でございます。これまでの主な御意見としましては、そこに2点まとめております。セルフメディケーション税制の対象医薬品を、現行から全てのOTC医薬品・OTC検査薬に拡大することという御要望を日本一般用医薬品連合会からいただいております。
また、一般消費者にとって分かりやすい形を目指す観点から、対象医薬品を全てのOTC医薬品・OTC検査薬に拡大すべきという御意見もいただきました。
これらを踏まえまして、議論の整理といたしまして下にまとめてございます。これまでのセルフメディケーション税制では、もともと医療費適正化効果が高いものに重点が置かれておりまして、その結果、現在のスイッチOTC医薬品、また、4薬効に対応する非スイッチOTC医薬品が対象となってございます。
前回令和3年度の税制改正におきましては、安全性の観点から慎重に取り扱うべきもの、あるいは医療費適正化効果が低いと考えられるものに該当するものについて、スイッチOTC医薬品であっても税制の対象から除外されたという経緯でございます。
それを踏まえた上で、検討会での先ほど御紹介した御意見を踏まえて、全てのOTC医薬品・OTC検査薬を対象にすることが、利用者にとって分かりやすいのではないかという御議論がございました。
中でも特に重要と考えられるものとして、➀OTC検査薬、②胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、③生薬のみから成る鎮咳去痰薬を追加することについて御議論いただいたところでございます。
また一方で、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品については、除外することについても御議論いただいたところでございます。
次に4ページでございますが、今申し上げた➀から③についてもう少し詳しくまとめてございます。
まず、OTC検査薬でございます。これにつきましては、検討会での主な御意見として、新型コロナ、インフルエンザといった検査薬については、現在既に税制対象となっています風邪薬、解熱鎮痛薬などとの親和性が高く、実際に発熱した場合に検査薬を使用して受診すべきか、OTC薬で自宅療養するかの判断材料となるということで、有効性が認められるので税制の対象とすべきという御意見がございました。
また一方で、コロナにしろ、インフルエンザにしろ、何か分からないまま医薬品を提供すること自体は避けなければならないので、治療薬とセットで考えるべきということ。一方、新型コロナ検査キットについては、コロナ禍の逼迫する医療状況下で普及されたわけですけれども、精度管理上の問題があったという指摘がございました。
議論の整理といたしましては下の箱にありますように、検討会では全てのOTC検査薬についても税制対象とすべきという議論がございました。特に、新型コロナ検査薬あるいはコロナ・インフルの検査薬につきましては、検査後に税制対象医薬品を購入し自宅療養につながるという意味で、セルフメディケーションによる適正化効果が期待できるものと考えられるというまとめとしてございます。
続きまして、5ページでございます。胃腸薬等についてでございます。
これまでの主な御意見としましては、胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、鎮咳去痰薬につきまして、特に胃腸症状は国民の関心も高い症状であるので、対象として追加するべきであるという御意見がございました。
また、生薬のみから成る鎮咳去痰薬のように制度上対象から漏れてしまうものが出てくるということで、基本は薬効群で考え方を整理していくと分かりやすいのではないかという御指摘もございました。
なお、ナンテンジツを含む鎮咳去痰薬につきまして、現在税制対象となっておりますけれども、一方で、キキョウ、キョウニン、セネガ、カンゾウ等を含む鎮咳去痰薬につきましては税制対象になっていないということで、患者にとって分かりやすさの観点から見直したほうがよいのではないかという御意見をいただいております。
これを踏まえた議論の整理が下段でございます。
胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、生薬のみから成る鎮咳去痰薬については、税制の対象とすべきとの御議論がございました。
胃腸症状は薬局でよく聞かれる症状として風邪等に次いで多いことから、特に胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬については、医療費適正化効果が期待できるものと考えられるということでございます。
鎮咳去痰薬につきましては、含有する生薬によって対象となるものとならないものがあることから、利用者にとって分かりやすい税制としていくということで、全ての鎮咳去痰薬を税制の対象とすることが考えられるとまとめさせていただきました。
続きまして6ページでございます。実質的に痩身・美容目的で使用されている医薬品についてでございます。
主な御意見としましては、痩身・美容目的を明確にうたっているものについては除外の議論が当然あると思われるけれども、薬効群のうち副次的に痩身・美容につながるものという考え方では、実質的に使用される医薬品と見なされないのではないかという御意見がございました。薬理作用で直接的に痩身・美容につながるものに該当するものがあれば、それを対象とすることでよいのではないかという御意見でございます。
また、既に税制対象とされている医薬品を積極的に除外することは想定しないけれども、痩身や美容といったそもそも保険給付の対象にならないものについては、医療費適正化に直接つながるものではないことから除外が考えられるのではないか。
また、こうした医薬品について、パッケージ等で痩身等の目的をにじませる表現が一部製品にございますので、まずは企業がそのような広告を直ちにやめていくことが必要であるという御指摘もいただいております。
これらを踏まえて議論の整理としまして、この検討会では、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品については、薬理作用で直接的に痩身・美容につながるものとすることでよいのではないかという御提案や、医療費適正化に直接つながるものではないとの御指摘がございました。
前回の税制改正におきましては、医療費適正化効果が低いと考えられるものに該当する医薬品については対象から除外されたということで、痩身・美容目的で実質的に使用される医薬品については、こちらも医療費適正化効果が期待できないものと考えられるとまとめてございます。
また、「実質的に使用」をどう判断するのかという問題につきましては、例えばということで、ある漢方製剤について現時点におけるパッケージの表現・広告などから総合的に勘案する必要があるということでまとめをさせていただいております。
次に7ページでございますが、こちらは金額あるいは期限、申告手続等に関する御意見をまとめてございます。
検討会での主な御意見としまして、購入費から差し引く金額あるいは所得控除の上限につきましては、税制利用は1万2000円以上を条件として現行の1万2000円から0円に引き下げ、所得控除の上限額を現行の8万8000円から20万円に引き上げるという御要望をいただいたところでございます。
また、年限につきましては、医療費控除と同様に恒久化していくことについての御要望もいただきました。
また、レシートを集めないといけないという点について、電子版のお薬手帳などに結びつけていきたいと考えているけれども、そうしたシステム投資をするためにも、この税制が恒久化されることが必要ではないかという御指摘もございました。
また、申告手続につきましては、紙のレシートの保存という状況を早く改善すべきだという御意見もいただいております。
ここでの議論とまとめといたしましては下段にございますように、購入費から差し引く金額の引き下げ、あるいは所得控除の上限額の引き上げ、税制の年限の恒久化、申告手続の見直しについて御提案をいただいたところでございますが、これらの見直しの検討に当たっては、セルフメディケーション税制そのものが税制の特別措置ということで、いわば期間を限定して例外的に措置されているものという位置づけになっております。こうしたことから、その他の医療費控除やあるいは税制全体のバランスを考慮する必要があるため、これ以上の突っ込んだ検討は行っていないということで、それをまとめにさせていただいてございます。
続きまして8ページ、この税制の周知についてでございます。
検討会での主な御意見としましては、まず、税制の周知啓発をしっかりと行うべきであるということで、国民のヘルスリテラシーを高めていくべき。
あるいは、この税制については、対象薬品の範囲拡大と周知啓発が重要であり、並行して薬剤師が責任を持って服薬支援をできるようにしていくべきであるという御意見をいただいております。
また、ドラッグストアにおいて税制の広報がなされておらず、必要な患者への受診勧奨ができていない状況であるということで、入り口としての機能が果たされていないのではないかという御指摘がございました。
周知広報に当たっては費用対効果も考えていくべきであると。
また、保険者の取組として、レセプトデータを基に花粉症や皮膚疾患の通院歴のある方を抽出し、処方された医療用医薬品と同一の有効成分のスイッチOTCが存在する情報をダイレクトメールにて通知した結果、17%に受診回数の減少を確認できたといった取組について御報告がなされたところでございます。
また、ダイレクトメールだけでは購入を検討しなかった層を対象に、サンプルとしての市販薬を送付したところ、今後は市販薬を購入しようと考えているという方が40%になった、こうした取組についても御報告があったところでございます。
これらを踏まえまして議論の整理としましては下段のとおり、まず、周知啓発をしっかり行うべきとの指摘があった。
そして、令和6年度における税制の利用者は、全体として増加傾向であるものの5万3000人程度にとどまっておりまして、医療費控除の利用者が800万人程度と比較すると低い数字にとどまっていると言えるということでございます。
そして現在、行政・関係団体からも周知啓発を進めているところ、更なる利用者の増加を促すためには保険薬局、ドラッグストア、保険者からも直接的に周知啓発することが有用と考えられる。今後、関係者の協力を得ながら効果的な周知について検討していく必要があるとまとめさせていただきました。
最後9ページでございます。この税制の効果検証につきまして、この検討会での主な御意見でございます。
医療費適正化効果については、令和6年度の厚生労働科学研究において、税制利用者と非利用者をマッチングしてレセプト情報から医療費の経年変化を比較いただきました。その結果、税制利用者で医療費が低い結果が得られたことを五十嵐先生から御報告いただいたところでございます。
この報告内容を踏まえた今後に向けた課題として、以下の3点の御意見をいただいております。
このセルフメディケーション税制、本来の目的は行動変容を促すことにあるということで、行動変容についても検証すべきである。
また、今回の研究成果については、総医療費のみでのマッチングとなっておりまして、疾患の種類等でのマッチングができていないという御指摘。
また、税制を利用するつもりでOTCを購入したけれども、結果として確定申告しなかったケースもあるということで、本人の自己申告に基づく利用者・非利用者の比較では不十分ではないかといった御指摘をいただいております。
この検討会での議論の整理としては下段のとおりでございまして、令和6年度の厚生労働科学研究においては、税制利用者と非利用者の医療費の経年変化を比較したところ、税制利用者のほうが年間医療費が低いという結果が得られたということで、一定の効果が示唆されたものと考えられるとまとめております。
この検証方法につきましては幾つか課題も御指摘いただきましたので、レセプト情報と税制申告者とのひもづけができない中で、例えば、アンケートにより税制利用者を抽出するなど、現時点で取得可能なデータにより得られた結果と評価ができるとしてございます。
税制非利用者における行動変容の捕捉、税制による行動変容を加味した医療費適正化効果の検証には限界がございますけれども、指摘された課題を踏まえて今後、新たな調査手法を検討していく必要があるとまとめさせていただいたところでございます。
この研究成果につきましては、中段※で書いておりますように、税制調査会におけるEBPMの専門家会合においても報告をさせていただいております。その際には、先行する研究についての検討も必要ではないかといった御指摘をいただいておりまして、それに関連するものとしまして、資料2を御用意させていただいております。関連いたしますので、続けて説明させていただければと思います。
資料2の2ページをおめくりいただきたいと思います。
5月の税制のEBPMに関する専門家会合でいただいた御指摘としまして、セルフメディケーション税制の検証について御議論いただいたところですが、上段の2つ目、五十嵐先生の研究成果を御報告申し上げたところ、委員からは既存のエビデンスのピアレビューを行い、全体的な制度デザインの検討をされてはいかがかという御提案があり、具体的に経済産業研究所におけるセルフメディケーション税制による薬剤費抑制効果の検証を御指摘いただいたところです。
この先行研究として例示をいただいたものにつきまして、その概要でございますが下段のとおり、健康保険組合加入者を対象に収集した2015年1月から2019年9月のレセプトを用いまして、アレルギー性鼻炎薬の市場を対象に、患者の受診行動あるいは医師の処方行動がセルメ税制導入前後でどれだけ変化があったかを性別、年齢あるいは税制の有無、花粉の飛散量やタイムトレンド、これらを変数として構造推定モデルを用いて分析したということでございます。延べ人数につきましては括弧の中に記載のとおりでございます。
こうして需要推定が得られたということで、これを基に仮にセルメ税制が導入されなかった場合の金額を推計し、実際の観測された医療費と比較するという研究を行っておられます。
その結果が3ページでございます。セルメ税制の導入による全体の財政効果、医療費適正化効果につきましては481.3万円であったとされております。ここには患者の受診行動の変化、医師の処方行動に変化によってそれぞれ増減がありますが、それらをトータルしますと481万円の減少だったとなってございます。
これにセルメ税制の利用による1人当たりの減税額を仮に3,333円と置いた場合に、アレルギー性鼻炎薬市場に限ってのセルメ税制の導入による効果としましては、政府の税収としては75万円の減少になるということで、先ほどの481万円と合わせますと実質的な財政効果と言えるものは406万円である、このような結論が導かれております。
ただ、この論文にも一定の限界があると思ってございます。下の※に記載しておりますとおり、これはレセプト情報のみを用いての解析となっておりまして、実際に当該患者さんがセルメ税制の対象となる医薬品を購入しているかどうかまでは把握できていないということで、アレルギー性鼻炎に関する患者さんであって、セルメ税制の導入前と導入後のそれぞれの時期において、医療費がどのように変化したかを見ての解析となっておりますので、実際に税制対象の医薬品の購入の影響には必ずしも直接結びついていないものと言えるかと思います。
このような税制に関する先行研究もあるということをこの場で御紹介申し上げまして、皆様方からの御意見をいただきたいと思っております。
説明は以上となります。
○井深座長 続けて資料3につきまして、五十嵐参考人から御説明をお願いいたします。
○五十嵐参考人 五十嵐でございます。資料3について説明をさせていただきます。
こちらは、最初の議論の整理でもコロナに関する検査薬の話題がありましたけれども、そちらについて幾つかレセプトのデータを使いまして、実際それをOTC化したときのあくまでポテンシャルとしての医療費削減効果を算出しております。
こちらの医療費削減ポテンシャルですけれども、2回目の検討会の際にいろいろOTC化のときの効果を推計しておりました。その中の基本の路線としては、例えば、コロナであればコロナが全て置き換わるみたいな話ではなくて、ある程度症状を絞ってみたり、患者さんを絞ってみたり、基本的には症状の軽い人をどうひねり出すかという形でいろいろ評価をしていたと考えております。今回のコロナに関しましても、例えば、コロナの人全員が当然OTCに置き換えられるということではなくて、あくまで例えば、重症化リスクが少ない人、もしくは実際にゾコーバやラゲブリオのようなもの、いわゆるコロナ治療薬を処方されていない人という形での評価を行っております。
次に分析対象患者のカスケードですけれども、こちらは前回の税制推計でも利用しましたDeSCヘルスケアのデータベースを使っております。基本的にはコロナに罹患したという記録があって、なおかつ期間が2023年から2024年5月、これは現在得られている最新のデータで、なおかつオミクロン以降ということで2023年1月からの評価をしております。ただし、後ほどお話を追加いたしますが、特に医療費推計に関しては、コロナに関して時期によっていろいろな特例があって、かなり診療報酬が変わってきていますので、1人当たり推計については後ほどお話ししますけれども、さらに狭い範囲での計算を行っています。いずれにしましても、原則としては右下の44万2000人分のレセプトで解析を行っております。
次のスライドをお願いします。「COVID-19の分析」とありますが、基本スタンスとしては年齢別、01が0歳から11歳、09が75歳以上という形で示しております。ただ、44万2000人の中の割合というのは、あくまでデータベースの中での存在割合ですので、DNAのデータは比較的後期高齢者のデータを多く含んでおりますので、これ自体が日本のコロナ罹患者をそのまま反映しているわけではないということは注意していただきたいと思います。
こちらで縦の列を見ていただきますと、入院、重症化、CCI、コロナリスク25因子、コロナ治療薬処方という5つのカラムがございます。こちらは基本的には、例えば、入院や重症化であれば入院や重症化がない人、次のCCIは併存疾患指数と申しまして、ある程度予後に影響し得るような疾患をスコア化したものになります。それが1以上何か持っている人と全くない人ゼロ。このCCIに関しては7ページを御覧いただきますと、どういう疾患が対象になるかが右に出ているかと思います。これらの疾患に該当すると、左に示したようなスコアがプラスされる。こちらが0点全くない人とある人となります。
ついでに、こちらで右を御覧いただきますと、以前のコロナ診療ガイドラインで重症化のリスクが高い人たちの要件が25個定義されています。こちらの25疾患について3枚目に戻っていただきまして、25疾患どれかを持っている人と持っていない人に分類したのが4番目です。
そして、コロナ治療薬処方に関しては、ゾコーバやラゲブリオというような、いわゆるコロナの治療薬を処方されたか否かというのがなし・ありになっています。
今回こちらで低リスクとして提起したのは隣の列のどれか1要因というところで、全てなしの人、つまり先ほどの入院、重症化、CCI、コロナリスク25因子、治療薬処方の5因子いずれかでも「あり」であった人と、全てが「なし」と判断された人で区分しています。
黄色くしておりますけれども、全て「なし」だった人の割合は全体では26%なのですが、次のページにいっていただきますとブロック図にしておりますが、赤いところが全てリスクなしとレセプト上評価された人です。御覧のとおり非常に年齢に強く依存しておりまして、50歳以下ですと半分から75%程度が要因なしに分類される。一方で、高齢者になってきますと、併存疾患を持っている人やゾコーバを処方されている人が増えていきますので、そちらがかなり増えていくことになります。
次をお願いします。リスク要因がない、すなわち全部「なし」だった患者さんの1人当たり医療費ですけれども、こちらは先ほど申し上げたとおり、年次によってかなり同じコロナの受診者でも臨時加算などの影響がありますので、実は2023年の平均値と2024年の平均値ですと、おおよそ3,000円程度違いがあります。ここでは低めの推計をするために2024年以降、そしてCOVID-19の初診のレセプトに限定して推計を行いました。そうしますと、右から2番目の列、平均値で見ますと1万7000円から1万9000円。御覧とおり例えば、02の12歳から08の65歳から74歳まで、低リスク者に関してはそれほど大きな医療費の差はありません。そういう意味では、低リスクである患者の割合は年齢によって大きく変化しますけれども、該当したよという患者の医療費は年齢の影響は小さいということになります。
こちらから今度は患者数を掛け合わせて医療費を推計したのが6枚目になります。こちらの「FY2024患者数(万人)」というのは、先ほど申し上げたとおり、レセプトデータベースの患者数の割合をそのまま用いますと、データベースが持っている保険者の中の年齢構造というのが非常に強く影響してしまいますので、こちらは別にJAMDASデータを使って全体のコロナ患者数推計の数値を使っています。こちらは電子カルテのデータベースからリアルタイムでコロナの患者数の推計を行っているサイトで、私自身も少し協力しておりますが、そういうサイトのデータを使っております。5類移行以降、定点観測のデータしかなくなってしまったので、代用としてJAMDASのデータを使っています。これが2024年の年齢別の患者数70.5万人から75歳で144万人、合計で1,250万人。そして、低リスク者の割合は先ほどのレセプトデータを使っておりまして、これを掛け算すると低リスクの患者数の推計が576万人、そして、年齢別の1人当たり医療費を掛け算して900億円という数字を出しております。
例えば、低リスクであるかどうかを発症したときに完全に判断できるかというと、それはもちろん100%ではありませんので、こういう人を本当に初めから全てディテクトできるかというところは、このスタイルの限界ではあります。しかし、実態として2024年のレセプトを見たときのポテンシャルとして、言ってみれば入り口から出口まで含めてOTCで対応可能な人たちが、この数字になると推計しております。
私からは以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
これまでの説明を踏まえて、構成員の皆様から御質問・御意見をいただければと思いますので、お願いします。
まず、議論に入る前に、資料2について五十嵐参考人からコメントがございましたら、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
資料2についてですけれども、私もいろいろな推計をやっておりましたが、その際にもというか自分の推計でも限界として提示したのは、もともとセルフメディケーション税制を使った人を捕捉すること、さらに、その人の医療費を長期的に推計する、あるいはセルフメディケーション絡みの疾患に絞る、いずれにしても相当な限界があるし、もともと人数としてもかなり限られているというのは前回御紹介したところです。
こちらの大橋先生、西川先生のものは、レセプトのみという大きな限界はあるのですけれども、その中で時系列としてどう変化したのかというところで推計をやったものと理解しております。一番大きな限界は、状況設定としてセルフメディケーション税制の導入の前後での比較。導入前と導入後で何か行動が変わったら、それはセルフメディケーション税制の導入によるものであるというところが、もちろん一番大きな限界にはなるかと思います。以前のアンケートでも示しましたように、そもそも税制そのものを知らない人などもおりますので、この変化が税制導入によるものか否かを調べるのが非常に困難であるというのが、この研究自体の限界としてあるかなと思います。
ただ、私自身先ほど申し上げましたし、EBPMの検討会でもありましたように、もともとこの利用率の極めて限られているものに関して、その影響を見るというのは、どういう推計をやっても限界は必ずついて回ります。そういう意味では、限界を完全に除くことはできない。私の推計は、例えば、サンプルサイズなどに大きな限界がある。一方で、西川先生たちは、もちろんレセプトデータなどで潤沢な年数は確保できているけれども、そもそもこの変化は税制によるものなのかというのはやはり傷になる。ただ、どの研究もどうしても非常に小さい事象を相手にしている以上必ず限界はありますので、複数の観点からの研究が出てくることは私は非常に意義があることだと。すなわち、いろいろな限界点はあるけれども、こちらに限界がある推計と別のところに限界がある推計と、どちらも少なくとも同じ結果が出ているよということは一考の余地がある、あるいは一考に値すると考えております。
○井深座長 ありがとうございました。
それでは、本議題につきまして、構成員の皆様からの御質問・御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 宮川でございます。
事務局にお尋ねしたいのですけれども、この検討会の始まるきっかけというのは、税制のEBPMに関する専門家会合の中で指摘されて、税制をどのように拡大していくのか、どのように利用しやすくしていくのかということと聞いております。ですから、参考資料2の中で、セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会で議論していただきたい事項ということで、1つ目で税制が書いてあると私は理解しているのですが、これはいつごろまでに結論を出すということで考えればいいのでしょうか。最初の緒がはっきり分からないといけないかなと思ってお尋ねします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 御質問ありがとうございます。
今まさに宮川先生から御指摘いただきましたように、参考資料1と2を本日も御用意しておりますけれども、参考資料1の開催趣旨にありますとおり、令和2年の税制改正大綱においてセルフメディケーション税制の見直しについて議論された中で、それを受けて今後のセルフメディケーション税制の対象医薬品の範囲や、あるいは削減効果の検証方法について皆様方の御意見をお伺いすべく、この検討会が開催されてきたという経緯であると承知しております。したがいまして、セルフメディケーション税制の在り方を検討していくことが、まずもっての課題だと考えております。これにつきましては、政府の概算要求、予算の要求あるいは税制改正要望を8月末に出すことが通例となっておりますので、まずそれに向けて対象医薬品の範囲や効果の検証について、専門家の皆様方からの御意見をいただき、一定のまとめをしたいと考えております。それを受けて、私どもはしっかりと協議してまいりたいと思っております。
○宮川構成員 では、この検討会の目標というのは8月末と考えてよろしいですか。税制改正大綱に向けた作業をしなければならないという形でよろしいのでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まず、税制については御指摘のとおりだと理解しております。その上で、それに関連する事項ということにもなりますけれども、参考資料1の開催要綱にもございますし、参考資料2にもありますが、それらに関連する施策についても、この有識者検討会で御議論いただきたいと考えております。最終的には工程表のような形でまとめることができればと考えているところでございます。
○宮川構成員 分かりました。
そうすると、開催要綱「1.開催趣旨」の8行目から、「セルフメディケーション税制のあり方を検討するとともに、セルフメディケーションの前提となるセルフケアの推進についても議論を進め」と書いてあります。前回、磯部構成員からも9行目も非常に重要で、セルフケアの推進はどうあるべきかということで、それがなければ利用者がどのようにこれを利用するかまで広めなければいけないというお話もありましたが、先ほど読み上げた議論の前提のところは、利用者がセルフメディケーション税制をうまく利用できるようにするためにどのような政策をとらなければいけないかも関連して、議論を深めなければいけないということだと理解してよろしいのでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まさにこの税制が知られていないということは一つの課題ですし、これまでの議論の中でも御指摘いただいた部分ですので、これらについてもこの場で御議論を深めていただければと考えております。
○宮川構成員 ありがとうございます。
○井深座長 ほかにいかがでしょうか。
武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 ちょっと素朴な質問ですけれども、この税制のEBPMに関する専門家会合の中で、なんでアレルギー性鼻炎市場を対象にしたのでしょうか。ほかにも対象疾患はたくさんあると思うのですけれども、これをあえて選んだのは何か意味があるのですか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 事務局でございます。
参考資料4としまして、論文の全体をつけさせていただいておりますけれども、2ページの下の段落になりますが「本稿の分析対象はアレルギー性鼻炎薬市場とする」と書いております。これにつきましては、そもそも対象としたレセプトデータが健保組合のデータを使っているということで、下から3行目にありますように「有訴者において高齢者の占める割合が低いことが望ましい」そういう疾患が望ましいのだということと、「多くの国民が使用する機会があり、高齢者の占める割合が低いアレルギー性鼻炎薬市場は、本稿の分析に適した薬品領域の1つと考えられる」、このようにここでは記載されているところでございます。
○武藤構成員 了解です。もっとインパクトの大きな疾患があるのではないかと思った次第です。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 ありがとうございます。磯部でございます。
先ほどの宮川先生から御指摘をいただいたセルフケアについては、私も全く同感でございまして、まさしく今回のセルフメディケーション税制もそうですし、適切なセルフメディケーションというものは、利用者の方々、生活者の方々が自分の体のことをよく理解して的確な判断を進める、そのための必要な情報をきちんととって的確な判断をすることが前提にあるわけでございまして、ややもするといろいろな情報に振り回されてしまうということがございます。まさしくそういうことはヘルスリテラシーの向上ということでもあるわけでございますが、そういったことはまさしくセルフメディケーションの基盤となり得ることでございますので、こういったことについてもきちんと議論を進めて、日本の生活者の皆様のヘルスリテラシー、的確なセルフケアをどうやっていくのかについて底上げをするようなことについては、きちんと考えていくべきだと私も思ってございます。
その上で、薬効群に関しましては今回、胃腸薬の関係いろいろ出て、私どもの要望も取り上げていただいて大変感謝しております。今後もこれについては、いろいろな見方・考え方があろうかと思いますので、8月の税制改正要望、またそれ以後の財務省との調整もございますが、引き続きどういう形がいいのかは、これに限らず議論を深めていければいいのではないかと思ってございますので、また今後も引き続き御議論をいただければ幸いだと思ってございます。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
ほかにはいかがでしょうか。富永構成員、お願いします。
○富永構成員 薬剤師会の富永です。
資料1等によく我々の意見をまとめていただいて本当にありがたいと思っているところです。実際今、宮川先生がおっしゃったように、税制をどうやって拡大していくのか、利用していくのかということが大切です。資料1の5ページを見てみますと私が言ったことが少し書いてあって、マオウ、ナンテンジツのところがあります。質問したのをよく覚えていて、何故同じ漢方薬の咳止めが税制対象になっていないのかとお聞きしましたが、成分がエフェドリン等が入っているのを基準に選んでいるんですよということで納得は致しました。3つ目の最後の方には「患者にとってわかりにくい税制は良くないと思う」と述べるとともに、患者に寄り添った税制にしてほしいということを申しました。持ち帰っていろいろ考えて1つ御紹介したいのは、薬局製剤のことで厚労省の方はよく分かると思うのですけれども、セルフケア・セルフメディケーションの推進に向けては、地域の皆さんに今まで薬局で製剤した、つまり薬局薬剤師が直接提供する薬局製造販売医薬品を薬局製剤と言っているわけですけれども、それを日本薬剤師会としては期待していて力を入れていくことで、セルフケア・セルフメディケーションが進むのではないだろうかと思っているところです。この薬局製剤は医薬品の成分や製造方法、これは厚生労働省がちゃんと決めていて県知事が許可をして、その通りつくっていくというルールの下にありますけれども、患者さんの身近にそういうお薬があって、それを提供することが、まさにセルフメディケーションにつながるのではないかと考えているところです。
ただ、現実としては、薬局製剤に取り組む薬局が年々少なくなってきているという調査結果があります。今で言うと2024年度では、5%の薬局でのみ対応していると聞いております。このセルメ税制の対象となるOTC医薬品の成分を使って薬局で製造提供しているものについても、セルメ税制の対象として検討していただきたいと思うところです。今薬局製剤の見直しが行われており、薬局製剤自体をもう少し範囲を広げて9月から検討会が始まると聞いております。薬局製剤指針の検討会です。当会でもその指針の見直しに合わせて、薬局製剤の普及にも力を入れたいというときに、片手落ちではいけないので、今OTC医薬品の成分でセルメ税制の対象となっているものを含むような薬局製剤も認めていただいたほうが、最初に言いました患者さんに寄り添った税制であるのではないかと思っているところです。利用しやすいというのが一つの目的でしたけれども、それでお願いしたいと思っているところです。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、オンラインで伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。健保連の伊藤でございます。
今回、議論の整理ということで事務局からお示しいただきましたけれども、この内容については特に異論はございません。特に既にセルフメディケーション税制の対象となってございます風邪の症状の薬と親和性の高い新型コロナあるいはインフルエンザの検査といったもの、あるいは前回から持ち越しとなってございます胃腸症状の薬を追加することにつきましては、以前も申し上げましたとおり、セルフメディケーションの推進に寄与するものと考えてございますので、期待しておるものでございます。
セルフメディケーション税制の利用者でございますけれども、前回の資料で年々利用者数も伸びているということもお示しいただいてございますが、医療費控除の利用者数と比べてまだまだ少ない状況になっているということでもございます。既に他の構成員の方からもお話が出てございますけれども、こういった状況を踏まえますと、国を初め関係する機関がこの税制だけではなくてセルフケアも含めて、引き続き国民に対してしっかり周知していく必要があると考えてございます。
今後、財政当局との調整に入られることになろうかと思いますが、多くの国民がしっかり活用できる仕組みとなるように対象品目の拡大など、様々な調整をお願いしてまいりたいと思ってございます。よろしくお願いいたします。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、ほかの構成員の方いかがでしょう。磯部構成員、お願いします。
○磯部構成員 先ほどの富永先生の御意見に関しまして、私はぜひそれも考えていただきたいと思います。なぜかといいますと、これはほかのところでもいろいろ議論がありますが、薬局の薬剤師の先生方がどうしても保険調剤が主になりまして、薬局という役割は保険調剤のみならずOTCや地域住民の健康保持・増進ということが重要になってまいりまして、薬局製剤に関しましては、ある意味薬局の歴史と同じくらいずっとありまして、まさしく地域住民のたくさんのファンがいると言ったらあれですが、この薬局の薬局製剤が私には非常に合うんだということで、やっておられるところでは患者さんたちに非常に好まれている、非常に重要視されているものだと思います。今は非常に手間がかかるので厳しいという状況もありますので、日本薬剤師会の先生方が薬局薬剤師同士で盛り上げてセルフケア・セルフメディケーションを進めることが、現場の薬局薬剤師の先生方を応援することにつながるのであれば、私はそういうことも非常に重要な視点ではないかと思いますので、ぜひ御検討いただければ幸いでございます。
○井深座長 ありがとうございました。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 先ほどの薬剤師会の富永構成員、それから、今、磯部構成員からありましたけれども、薬局製剤というのは非常に昔から歴史がある。それがなぜ支持されたのかというと、利用者としっかりとしたコミュニケーション、会話があったということです。ただ、薬を販売すればいいということではない。薬剤師法の第1条には薬剤の任務として、「医薬品の供給」と書いてあるのです、「販売」ではないのですね。薬剤師の先生たちは今までしっかりとそれに向き合って、患者さん・利用者の困っていること、訴えていることをしっかりとした会話の中で聞き取り、薬局製剤の供給をずっとされてきたという歴史はしっかりと継承して、重きを置いて考えるべきだと私も思っております。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 宗林です。今日はちょっと遅れまして申し訳ございません。
私はこの税制制度に関しては、消費者に知名度を上げる、寄り添うということがまず第一だと思っています。薬剤の関係で見ると、処方箋薬がスイッチ化をある程度推進する方向で今動いているわけで、スイッチ化されたらば薬局で薬剤師さんの御説明とともに買えるようになるわけです。考えてみると、OTCで薬局にあるものを自分で買うものについては、ある意味OTCは全部セルフメディケーションの道具ではないかということも思うわけです。ですから、1つは今ここの原案にも出ていますように、医療費の控除とOTC、セルフメディケーション税制の間をなくして、そこはスムーズにいくようにするという案で私は賛成です。それは両方を兼ねてできないということが前提となっていますけれども、その中では、ある程度の金額までであればOTCでいろいろなケアをされている方はこの税制、医療費のほうで20万円以上の医療費がかかっている方はこちらの控除を受けるという形でのスムーズな移行ということで消費者に知らせていただくのがいいと思います。
では、何を対象にするかということですけれども、先ほど富永構成員からエフェドリンが入っているから云々かんぬんという分かれがあったんだよという話がありましたけれども、そんなことで分けていくということではなくて、もう少し誰でも分かるように、薬局で買ったものはみんなOTCで、相談には乗ってもらうけれどもセルフケアのものなので、これはセルフメディケーション税制ということで、最終的には全てのものをこちらの中で税制が効くような形を目指すような会議で、今年は今、胃腸薬が出ていますけれども、これをもっと増加するような形でやっていくことが、消費者に対して認知度を上げていくことかなと思います。
ですから、方向性としては拡大して、いずれは全てのもの。そして、医療費控除とセルフメディケーション税制の向上というのは、境がなく金額で切り替わる。用途として分かりやすいじゃないですか、OTCを買ったらこっちと。それぐらいの感じじゃないと、このもの自体の利用が進みにくいのではないかと思っています。いずれは、そういう形がいいかなと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
ほかにはいかがでしょうか。別所構成員、お願いします。
○別所構成員 別所です。
五十嵐先生と事務局に質問があります。資料2の西川先生と大橋先生の論文についてですが、効果を定量的にはかっている論文です。この論文では、この効果をもってセルメ税制を増やす・減らすということは直接言っていなかったと思うのですが、この効果の大きさについてどのように評価されていますか。先ほどの五十嵐先生のコメントでは、様々な研究が出てよかったという話で終わったかと思うのですが、ということは、何らかの正しい効果の大きさがあるときに、この論文というのはその効果をより過大に評価しているのか、過小に評価しているのかについて、見通しというか推論というか何かあればよろしいのかなと思うからです。
私個人の感想としては、今までセルフメディケーション税制というのは知名度がないという話をずっとしていて、周知せねばならんという話をずっとしてきたわけですが、にもかかわらず、この論文では税収減の効果があり、医療費適正化効果があるということになっていて、それはこれまでの我々の認識と整合的でないと思います。となると、この効果は恐らく過大推計されているのではないかというのが私の感想です。なのですが、そこは一連の実証を実際に行ってこられた五十嵐先生の御意見をぜひ伺いたい。
事務局に伺いたいのは、セルメ税制を入れることで税収がこれぐらい下がりました、医療費がこれぐらい下がりましたという効果が一応出ているわけですが、これをもってこの税制の効果は十分であると判断する、この結果が正しいとしたときに十分であると見なしているのかどうか。見なしていないとすれば、どれくらいの効果があればセルメ税制というのは効果があったと見なしてさらに拡大する、あるいは効果がないと見なして縮小すると考えておられるのかという点について、もちろん事務局としては、ここは構成員の皆さんの御議論次第ですと答えたいところでしょうが、そこについて何らかのお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○井深座長 それでは、最初の質問に五十嵐参考人、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
まず、私はこの論文の著者ではないので、あくまでコメントというか考え方として申し上げますけれども、別所先生が御指摘いただいたような過大推計部分は必ず存在すると思います。私のコメントでも触れましたように、この論文の最大のウイークポイントは2017年のセルフメディケーション税制の拡大があった前と後というのを変数として入れているので、要は、ある意味でその時点前後で生じた変化というのは全てセルフメディケーション税制の導入によるものであるというところに帰着してしまっているということです。やはり知られていない、周知がなされていないあるいは利用実態もないという状況下で、その効果を全てセルフメディケーション税制によるものとしていいのかに関しては、非常に大きなリミテーションであると考えています。
ただし、先ほど武藤先生が途中で御指摘いただいたような、そもそもどうしてアレルギー性鼻炎に絞っているか。先ほど事務局からも、ある意味で健保のレセプトしかない状態での推計が可能な領域、それから例えば、以前私が議論していたような潜在的に減らせるか増やせるかというところはレセプトの過去データしか使えませんから、そもそもそのときに大きく変わったものでないと入れられないという、もともとの領域自体の狭さはむしろ過少推計要因になってくるかと思います。
もう一つ私自身が考えなければいけないなと思っているのは、最初の宮川先生のお話やあるいは磯部先生のお話、それから、この会自体に通奏低音のようにあるところだと思いますけれども、結局のところこの検討会あるいはこの施策というのは、単なるセルフメディケーション税制に収まっているのか、もしくはセルフケア・セルフメディケーション自体の利用促進も含んでいるのかというところもあるかと思います。ある意味でこちらの西川先生、大橋先生の推計というのは、例えば、税制の利用はともかくとして時代の流れとして「ある程度セルフメディケーションに移行した」のようなトレンドがあれば、それも効果として入れ込んでいるわけですよね。ただ、実際にはそれは純粋な意味での別所先生のような観点からの税収効果には出てこないかもしれないと。ただし、世の中としてセルフメディケーションの入り用が広まったとしたならば、税制は利用していないのだけれども、利用は増えたよということもあって、それは私自身としてはむしろプラスのことだと捉えています。ですから、学術的な意味での本当に税制利用者の効果だけに限定するのか、あるいはいろいろなアナウンスをしていくことで、税制はよく分からないのだけれども、セルフメディケーション自体の利用を広めていこうという副次的に生ずる効果を入れるか入れないかというのは、一つ考え方としてはあるかなと思います。
正直申し上げて、多分これは別所先生とも同意見かと思うのですけれども、400万円という値が大きいか小さいかという意味では、私はこれが大きいというのはちょっとおかしいと思いますので、ある程度限界はある。ただ、なんでそれが小さいかというのは、やはり利用が進んでいないことですかと、むしろこれしか利用が進んでいない環境下で、例えば何百億円の削減がありますよみたいなデータがあったら、かえってそれは眉唾物になると思っています。
ですから、別所先生のおっしゃるような、本当にセルフメディケーション税制自体の効果として見たという意味では、過大推計にもちろんなっている部分はあると。ただし、適用されている領域や使っているデータソース、あるいは世の中として税制だけなのか、セルフケア・セルフメディケーション全体をプロモートしていくのかという意味では、波及効果的な部分に関しては、むしろ考える余地があるのではないかと思います。
ちょっと長くて恐縮ですけれども、では、一体何千万円以上・以下であったら継続し得るのかというベンチマークを設けるべきだという意見も多分あると思うのですけれども、先ほど来申し上げておりますように、そもそも税制なのか利用全体なのかという観点も私はあると思っていますので、あまり一概に何千万円以上だったら継続、何千万円以下だったら中止みたいな話を設定すべきところではむしろないのではないかという、これは単純に私の意見ですので、実際ほかの構成員の先生方の意見も拝聴したいなというところではございます。
○井深座長 それでは、事務局から質問の御回答をお願いします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 今、五十嵐先生からも御指摘がありましたが、西川先生、大橋先生の論文については一定の限界はあるのだろうと思っております。内容については今、五十嵐先生が御指摘されましたので重複は避けたいと思いますけれども、したがいまして、ここに挙げられている数字の一つ一つが実際こうであったかどうか、税制の効果として全てカウントしていいのかどうか、あるいはこれに限るものかどうかについては、なかなか判断が難しい部分があると思っていまして、この数字の大きさをもってセルフメディケーション税制を拡充すべき、あるいは縮小すべきということはなかなか申し上げにくいのだろうなと思っております。
ただ、これもいろいろな限界がある中での先行研究の一つということですし、また、第2回にも五十嵐先生の今行っていただいている研究の成果もお示しいただきました。それらを見ますと、いずれも一定の効果があるということでございますので、これについては私どもとしては延長していくべきだろうと考えているところです。
その際、分かりにくいという御指摘はたくさんいただきましたし、また、それをよく周知していく必要があるということも御指摘いただいておりますので、そのような分かりやすく利用しやすい税制を目指していく、その結果、セルフメディケーションあるいはセルフケアといったものが広まっていくことを目指していきたいと考えておりますので、一概に金額をもって幾らならどうということはなかなか申し上げられないのかなと思っております。
以上です。
○井深座長 それでは、宗林構成員、お願いいたします。
○宗林構成員 どっちが先なのかなという思いがあるんですね。例えば、セルフメディケーションをどんどん推進することを第一目標とすれば、逆に税制によるものではなくても国の医療費の負担は減りますよね。そういう形でのセルフメディケーションを拡大していくことが総合的にリテラシーを上げたり、OTC化の推進だったり、いろいろな薬をいろいろな形で供給することも含めまして、いろいろな面の効果が出てくると思うんです。
今の事務局のおっしゃり方だと、セルフメディケーション税制を推進するための一部セルフケア・セルフメディケーションの周知であると。その中の一部として、だけど切り出したいのはセルフメディケーション税制の周知だったり、利用者の拡大だったりというようにも聞こえるのですけれども、どちらを先にやったほうが効果的かなと私などは思うのですが、いかがでしょうか。
○井深座長 事務局、御回答お願いします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 御指摘ありがとうございます。
すみません、私の言い方が不十分だったと思うのですけれども、あくまで税制というのは目的があって、それを推進するために行っているものでございますので、あくまでそれはセルフケア・セルフメディケーションを進めていく上での一つの後押しをするためのツールとしての税制だと考えております。したがいまして、減税額が幾らだからいいとか悪いという話ではないと理解しております。
○井深座長 それでは、宮川構成員、お願いいたします。
○宮川構成員 今お話があったように、資料2にある税制のEBPMに関する専門家会合で指摘されたことがこの検討会の緒なのですね。2ページの1つ目にあるセルフメディケーション税制の検証について議論が行われたところで、その後に書いてありますけれども、実際にはこれに対してどのように扱っていくのか、既存のエビデンスのピアレビューを行って、全体的な制度のデザインを検討されてはいかがかと3つ目に書いてあるわけです。つまり、税制のつくり方、どのようにしたら利用者によく使われるのかをここで検討しなさいと言っている。そのデッドラインがいつですかと聞いたところ、8月の末だとおっしゃっているので、そうであればらそこをきちんとやらないと、この検討会の意味が全くない。だから、どっちが先であるかと宗林構成員がおっしゃったけれども、税制をどのようにするかを検討してはいかがかと言われているので、そのデッドラインが8月の末だというのだったら、そこまでにしっかりと結論を出さないといけないのではないですかということで、私が冒頭にお話をしたところを御理解いただければと思います。
○井深座長 では、事務局お願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 宮川構成員のまさにおっしゃるとおりでありまして、税制について議論をまず8月までにここでまとめていただきまして、それをもって私どもはしっかりと税制当局と協議していきたいと考えております。そういう意味で、本日も税制の議論についての整理ということで御議論いただいているところです。そして、その税制というのは、いろいろな御指摘をいただきましたけれども、対象品目や年限といったところについて、これまで議論いただいたものをまとめていきたいというものでございます。
○井深座長 それでは、オンラインで川又構成員、お願いいたします。
○川又構成員 ありがとうございます。協会けんぽの川又でございます。
今回の議論の整理ということについては、これまでの御意見を整理していただいていると思いますので、いろいろな整理は整理として早く次のステップに進んでいっていただければと思います。併せて、いろいろな研究などの成果、なかなか研究も難しいという面もあるということでございますけれども、引き続きエビデンスの集積みたいなものは御努力をいただきたいと思いますけれども、次のステップに進んでいただければと思います。保険者としても医療費の適正化に資するということであれば、それを使っていただくように広報や啓発をしていきたいと思いますが、その前提としては以前も申し上げましたけれども、使い勝手がいいものだということ。それから、できれば効果もあるのだということをしっかり加入者にお示しできることが理想的だと思いますので、そのあたりを引き続きお願いしたいと思います。
また、次の改正があるとすれば、その次の改正でより使い勝手がよくなって利用者が広がってくれば、効果を可視化することもやりやすくなるという好循環ができるのではないかと思いますので、使い勝手をよく制度を改善し、利用者が増え、効果が目に見えるようになる、そうした好循環が出てくることを期待したいと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 今、川又構成員がおっしゃったことは非常に正しいことなのですね。つまり、財務当局が何をしたいのかと言ったら、セルフメディケーション税制というのは期限がある。恒久化するような、もっと長く使いやすくできるのかどうかを決めてくださいと、そうでないと税制改正大綱で打ち切りになってしまいますよということです。打ち切りにならないようにするためにはどうすればいいのですか、皆さんきちんと考えてください。その制度の在り方、デザインを考えてくれなければ、セルフメディケーション税制というのは今までもあったけれども、使いにくいものだったら意味がないのではないですか、というのが財務省の考え方なので、そこをきちんと私たちはくんで考えていかなければいけない。どっちが先か後かではなくて税制の在り方、セルフメディケーション税制をより使いやすくするのかしないのか、本当にやめるのか。やめないのであれば、どのようにデザインを考えたらいいのかということが本当の眼目じゃないですか。それが最初にあった話なのですよ。事務局がもう少し検討会のデザインを考えていかないと、税制改正大綱に乗らなくなってしまう、議論の対象にならなくなってしまうよというところなので、そこの検討をぜひお願いしたいと思います。
○井深座長 では、事務局お願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まさに、そのためにこれまで議論いただいてきたのだと私も理解しております。これまでいただいたものをまとめた整理が資料1でございまして、まさにここに書いてあるように対象品目を広げるとか、あるいは年限、金額の上限額についても様々御提案をいただいたものをまとめさせていただいていますので、私どもとしては、もしこの場でこれが了解されるようでありましたら、これを元にしっかり説明していきたいと思いますし、その中には今話題になっています効果検証の話も入っていますし、税制の周知も入れてありますので、これらを元に前回改正でいただいた税当局から出ている宿題に対してもしっかりと応えていくことで考えております。
○井深座長 宮川構成員、よろしいでしょうか。
○宮川構成員 先ほど別所構成員からお話があって、五十嵐参考人がお答えになったところですが、効果の大きさは別ですけれども、わずかでも効果があるのだということになれば、結局は資料1の9ページにあるセルフメディケーション税制の効果検証については、一定程度効果があったのかどうか、少なからず効果があったのかどうかという検討をすることができて、それに対してはセルフメディケーション税制の周知をしなければいけない。その周知の仕方が今まで希薄であったので、どのようにすれば周知ができるのかを関係者がしっかりと考えて打ち出さなければいけない。その中で、税制の見直しとして金額の引き下げや控除額の上限額の引き上げというテクニカルなものがついてくるのだということも整理していかなければいけない。だから、順番とそれをしっかりと事務局が定めないと、さっきから何度も言いますように、8月末までに結論を出さなければ決まってしまうのですから、税制の存続が図られるのか図れないのかという形になるわけです。きちんとしたものを出さなければ財務省から指摘されるわけですから、そのところをしっかりと皆さんで検討しなければいけないのかなと思っています。
○井深座長 御意見承りました。
五十嵐参考人、お願いいたします。
○五十嵐参考人 今の宮川先生の意見に私も非常に同調というのは僣越ですけれども、さっきの別所先生の御質問にもありましたとおり、質的には効果がある、だけれども量的には非常に小さいというのが現状であることは間違いないと思います。少なくともこの検討会の中で、質的には一応推進はしていこうという形でのコンセンサスが得られるならば、量的になぜ小さいかという原因はある程度はっきりしていたわけです。周知が足らない、あるいはハードルが1万2000円と非常に高い。もしくは品目が限定される、あるいは品目が分からない、それは第2回でも御紹介させていただいたところなので、基本コンセプトとして質的にはいいのだけれども、量的にあまりに小さい。では、その量をどう増やしていくかに関して、こういう観点とこういう観点とこういう観点で提言したいみたいな話でもしコンセンサスが得られるのであれば、ある意味でEBPM委員会あるいは税制改正大綱に対するサジェスチョンを筋の通った形で出せるのではないか。すなわち散発的にいろいろなことを主張しているわけではなくて、全ては質的には何とか満たされているのだけれども、あまりに量が小さいのを多次元から見ていくのですという話にすれば、まとめられるかなと考えましたが、いかがでしょうか。
○井深座長 ありがとうございました。
磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 五十嵐先生に頭が下がります。OTC薬品協会の磯部でございます。
全くそのとおりでございます。私どもが言ってきたつもりでございますが、宮川先生と五十嵐先生にうまくまとめていただいて、ぜひ、そういう形でみんなで盛り上げて、今のような点の改善を図っていけるような形で今回の検討会はまとまっていければありがたいなと思いました。
以上でございます。
○井深座長 それでは、宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 先ほどの発言は、この席で何をするのかという議論がちょっとぐるぐるしていたので申し訳なかったのですが、先へ進めましょう。税制が今までの続きをこの会議は進める会議だということ、予算の仕組みも分かっているので、それを前に進めるべく具体的な話を前にまずは進めましょう。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 この検討会で行うべきことということで、1つはOTC検査薬など適用を増やしていくということなのでしょうけれども、今日、五十嵐先生が出されたコロナに関して言うと、将来的には疾患としてのコロナも対象として考えられるという意味合いですか。
○井深座長 五十嵐参考人への御質問ということでよろしいですか。
○武藤構成員 はい。
○井深座長 それでは、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
こちらは、コロナ自体の疾患をどう対象にするかに関しては特にまだ踏み込んではおりませんが、結果としてコロナを診断されて判定されて、かつ治療を受けた。要は、インフルエンザとコロナで大きく違うのは、インフルエンザの場合は例えばゾフルーザを処方される、タミフルを処方されるみたいな方向にいきますと、そこはやはり医療用医薬品の領域になります、イナビルであれ、何であれ。ただ、コロナの場合は私自身も何度か罹患いたしましたけれども、後ろのフローまで考えたとしても実はOTCで完結してしまう、つまり、医療機関に行ったけれどもカロナールとデキストロメトルファンあたりだけを処方されたというケースもあれば、例えば、実際には特に5類移行後ですと、自分で検査をして陽性だったけれども特に医療機関には行かずに、ありもののカロナールを使って自宅療養したみたいなケースも多分あると思います。そうしたフローとして全て今のOTCだけで解決できる部分がどのくらいあるかの推計であって、そこをどう解釈するかというのは今後の議論かなと思います。例えば、OTCの適用にコロナをつけるのか否かみたいな話、あるいはコロナのときの治療を全てOTC化するというところまでは踏み込んではいないものと理解しています。もちろん、今後の議論としてそういうやり方が出てくるということはあり得ることだと思いますが。
○武藤構成員 ありがとうございます。
もう一点、OTCに置き換え得る医療費の推計のところで902億円ですか、この内訳で一番多いのは、やはり外来の診療料でしょうか。
○五十嵐参考人 先ほど申し上げたように、例えば2023年と2024年でもいろいろ診療報酬の特別加算みたいなものがあって変わってきています。ただ、当然ながら低リスクの人でゾコーバやその他諸々は処方されていない方ですので、薬剤費としてはある意味でかなり安価な、当然処方薬オンリーになっていますので、いわゆる初診料・再診料部分、ただし、コロナの場合は院内トリアージや様々な加算がついていて、もちろん抗原検査をやってその判断料が入っているみたいな部分がかなり多くを占めていることになります。ですから、広い意味での診察料部分がかなり大きいということにはなります。
○武藤構成員 そうですね。ありがとうございました。
○井深座長 それでは、角谷構成員、お願いいたします。
○角谷構成員 チェーンドラッグストア協会の角谷です。
私も、これまでの会合を踏まえた本日の皆様の御意見をお聞きしていまして、若干会議がぐるぐる回ったかなという感じは受けておりましたので、むしろ収束といいますか、皆様の御意見が同じ方向に向いていることが確認できつつあるのが非常にいいかなと考えております。
当初から問題視されていたのが、1つは周知の問題があったと思います。たまたま私どもドラッグストアの周知が弱いのではないかという指摘もありましたので、我々実は確定申告時期に合わせて早速、周知を強めたりもしたのですけれども、恐らくここで議論されるべきはそういった私どもだけの小さな話ではなくて、関係する皆様、もしくは行政としてどう取り組むかも含めて、もう少し大きな枠組みでの周知を本来議論されるべきだろうなという気はしております。
あと、分かりやすさという観点で言うと、これは私、先日も申し上げたのですが、OTC協会の磯部先生から御提案いただいたような内容には、我々チェーンドラッグストア協会としては、具体的な内容に対して完全に賛同しております。ですので、その内容でそのままこの検討会の提案として出すのか出さないのか辺りも、できればはっきり方向性をつけていただけるとありがたいかなという気はしております。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
別所構成員、お願いいたします。
○別所構成員 税制の見直しについてですが、五十嵐先生がまとめていただいたように、効果はあるのだろうけれども小さそうかなというところで、それをもって税制自体は存続したほうがいいという方向で同意はしますが、OTC薬全体を対象にするという大幅な拡大、所得控除の上限を20万円に引き上げる点については、私は賛成しません。効果がちゃんと検証されていないからというのが理由です。
それから、資料1の7ページにある主な意見に、申告手続について「紙のレシートを保存するという状況を早く改善すべき」とありますが、私はこれについては反対します。そのすぐ上にある電子版お薬手帳などに結びつけていきたいという点には強く同意するのですが、それがない状況で紙のレシートを保存する義務を外すと、証拠がないのに税を払わなくていいということになるので、積極的に脱税の余地をつくることになるので、全く望ましくないと思います。もちろん執行上どうかという問題は残るのですけれども、少なくとも政府の側からこういう脱税の余地をつくるような改善をするべきではないと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、関構成員、お願いいたします。
○関構成員 ありがとうございます。OTC医薬品卸協議会の関と申します。
議論が今進んでいると思うのですけれども、ちょっと質問ですが、具体的な税制案とかこれが決定した際、具体案が決まる8月ということでしたけれども、もう一度この会は開催される予定なのでしょうか。その辺の計画的なところがよく分からないので、教えていただければと思います。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 今、次回に向けて皆様方の日程もお伺いしながらとは思っておりますけれども、冒頭、宮川先生からも御指摘ありましたように、8月末の税制改正要望に間に合わせていくことを考えますと、これまでの審議のペースを元に考えると事実上ここでおまとめいただいたほうがいいのだろうと思っておりますので、そのような形で今日、資料1を提示させていただいております。
それ以降何を議論するのかについて、もちろん税制の政府内での協議は進んでいきますので、それについて御報告する機会もあろうかと思いますし、参考資料2に書いてありますような、そのほかにも様々御議論いただきたい事項を書かせていただいておりますので、それらについても今後議論を進めていただこうと思っております。
○井深座長 よろしいでしょうか。
それでは、ほかの構成員の方で御意見等ございますでしょうか。磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 先ほど別所先生から御意見をいただいた点で、いろいろな税の専門家の先生からお話もあるかと思います。資料1の7ページになろうかと思いますが、税制の在り方ということで、我々は上限額の引き上げをお願いしておりますが、恒久化、申告手続については、どちらかというと税務当局とどういう全体のバランスを考えながらやっていくかということで書いてございますので、こういう問題として検討会で掘り下げて議論するかどうかもあったと思いますので、このような整理で今後、厚生労働省と財務省との議論の中で、どうバランスをとってやっていくかで理解していますし、そういうことで進めていただければなと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日構成員の皆様からは様々な御意見を頂戴したところでございます。本日皆様方にいただきました御意見を踏まえまして、第5回以降の検討会の進め方について、事務局には調整をお願いしたいと思います。
本日の議事は以上になりますが、事務局から何かございますか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 構成員の皆様方におかれましては、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。今、座長におまとめいただいたとおり、資料1でこれまでの議論ということで整理させていただきましたので、これを元に我々は税制改正要望、この税制の継続に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。
○井上室長補佐 引き続き事務局でございます。
皆様、御議論いただきましてありがとうございました。次回以降の検討会の進め方等につきましては、今、課長からお話もありましたけれども、事務局で調整の上改めて御連絡させていただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○井深座長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
どうもありがとうございました。
最初に、構成員の先生方の御出欠につきまして報告させていただきます。
本日8名の構成員が会場での参加、伊藤構成員、井上構成員、川又構成員、寺島構成員、武藤構成員の5名はオンラインでの参加となっております。
また、池田構成員は、今回、所用により御欠席のため、代理として国保中央会審議役の井原辰雄様にオンラインにて御参加いただいております。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただき誠にありがとうございます。
また、本日の会議には参考人として、東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学特任准教授の五十嵐中先生にも御参加いただいております。
事務局側に7月に人事異動がございました。医政局医薬産業振興・医療情報企画課長兼セルフケア・セルフメディケーション推進室長として安中が、セルフケア・セルフメディケーション推進専門官として松下が着任しております。
以降の議事進行につきましては、座長にお願いいたします。
それでは、井深座長、よろしくお願いいたします。
○井深座長 井深でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、事務局から、資料の確認と議事進行における留意点について御説明をお願いいたします。
○井上室長補佐 事務局でございます。
初めに本日の会議資料を確認させていただきます。構成員の皆様には、事前に議事次第、座席表のほか、資料1から資料3、参考資料1から参考資料4をお送りしております。会議はペーパーレスで実施いたしますので、会場参加の構成員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただくようお願いいたします。タブレットの不調、資料の不足等がございましたら、お知らせいただければと存じます。
次に、御発言時の留意点をお知らせいたします。
オンラインで参加の構成員におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。ミュートになっていない場合は、事務局側でミュートにさせていただく場合もありますので御了承ください。御発言がある場合には、挙手機能でお知らせいただく、またはチャット機能で発言を求める旨、お知らせ願います。
会場参加の構成員におれかましても、御発言時は手を挙げるなどしてお知らせください。御発言の際はお手元のマイクを御利用いただき、最初にお名前を名乗っていただいた上で御発言ください。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
会議中、マイクの不調やシステムの動作不良などがございましたら、事務局までお知らせください。
事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡差し上げる場合がありますので、御理解・御協力のほどよろしくお願いいたします。
なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。報道関係者におかれましては、御退室のほどお願いいたします。
以上でございます。
○井深座長 それでは、早速、議事に入らせていただきます。
議題1「セルフメディケーション税制について」です。事務局より御説明をお願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 改めまして、本年7月から医薬産業振興・医療情報企画課長兼セルフケア・セルフメディケーション推進室長になりました安中でございます。皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
着座にて説明をさせていただきたいと思います。
それでは資料1から順次御説明させていただきますので、資料1をお開きください。
「セルフメディケーション税制の在り方について」ということで、これまでの検討会での議論の整理として資料1を御用意させていただきました。
2ページでございます。これまでの検討会での議論の概要といたしまして、下の箱に書いてありますとおり、3回にわたりまして議論を重ねていただきました。それらの主な意見、そして、その主な意見を踏まえた議論の整理を次のページ以降でテーマごとに整理させていただいております。
まず3ページでございますが、税制対象医薬品の範囲についての御議論でございます。これまでの主な御意見としましては、そこに2点まとめております。セルフメディケーション税制の対象医薬品を、現行から全てのOTC医薬品・OTC検査薬に拡大することという御要望を日本一般用医薬品連合会からいただいております。
また、一般消費者にとって分かりやすい形を目指す観点から、対象医薬品を全てのOTC医薬品・OTC検査薬に拡大すべきという御意見もいただきました。
これらを踏まえまして、議論の整理といたしまして下にまとめてございます。これまでのセルフメディケーション税制では、もともと医療費適正化効果が高いものに重点が置かれておりまして、その結果、現在のスイッチOTC医薬品、また、4薬効に対応する非スイッチOTC医薬品が対象となってございます。
前回令和3年度の税制改正におきましては、安全性の観点から慎重に取り扱うべきもの、あるいは医療費適正化効果が低いと考えられるものに該当するものについて、スイッチOTC医薬品であっても税制の対象から除外されたという経緯でございます。
それを踏まえた上で、検討会での先ほど御紹介した御意見を踏まえて、全てのOTC医薬品・OTC検査薬を対象にすることが、利用者にとって分かりやすいのではないかという御議論がございました。
中でも特に重要と考えられるものとして、➀OTC検査薬、②胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、③生薬のみから成る鎮咳去痰薬を追加することについて御議論いただいたところでございます。
また一方で、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品については、除外することについても御議論いただいたところでございます。
次に4ページでございますが、今申し上げた➀から③についてもう少し詳しくまとめてございます。
まず、OTC検査薬でございます。これにつきましては、検討会での主な御意見として、新型コロナ、インフルエンザといった検査薬については、現在既に税制対象となっています風邪薬、解熱鎮痛薬などとの親和性が高く、実際に発熱した場合に検査薬を使用して受診すべきか、OTC薬で自宅療養するかの判断材料となるということで、有効性が認められるので税制の対象とすべきという御意見がございました。
また一方で、コロナにしろ、インフルエンザにしろ、何か分からないまま医薬品を提供すること自体は避けなければならないので、治療薬とセットで考えるべきということ。一方、新型コロナ検査キットについては、コロナ禍の逼迫する医療状況下で普及されたわけですけれども、精度管理上の問題があったという指摘がございました。
議論の整理といたしましては下の箱にありますように、検討会では全てのOTC検査薬についても税制対象とすべきという議論がございました。特に、新型コロナ検査薬あるいはコロナ・インフルの検査薬につきましては、検査後に税制対象医薬品を購入し自宅療養につながるという意味で、セルフメディケーションによる適正化効果が期待できるものと考えられるというまとめとしてございます。
続きまして、5ページでございます。胃腸薬等についてでございます。
これまでの主な御意見としましては、胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、鎮咳去痰薬につきまして、特に胃腸症状は国民の関心も高い症状であるので、対象として追加するべきであるという御意見がございました。
また、生薬のみから成る鎮咳去痰薬のように制度上対象から漏れてしまうものが出てくるということで、基本は薬効群で考え方を整理していくと分かりやすいのではないかという御指摘もございました。
なお、ナンテンジツを含む鎮咳去痰薬につきまして、現在税制対象となっておりますけれども、一方で、キキョウ、キョウニン、セネガ、カンゾウ等を含む鎮咳去痰薬につきましては税制対象になっていないということで、患者にとって分かりやすさの観点から見直したほうがよいのではないかという御意見をいただいております。
これを踏まえた議論の整理が下段でございます。
胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬、生薬のみから成る鎮咳去痰薬については、税制の対象とすべきとの御議論がございました。
胃腸症状は薬局でよく聞かれる症状として風邪等に次いで多いことから、特に胃腸薬、止瀉薬、瀉下薬については、医療費適正化効果が期待できるものと考えられるということでございます。
鎮咳去痰薬につきましては、含有する生薬によって対象となるものとならないものがあることから、利用者にとって分かりやすい税制としていくということで、全ての鎮咳去痰薬を税制の対象とすることが考えられるとまとめさせていただきました。
続きまして6ページでございます。実質的に痩身・美容目的で使用されている医薬品についてでございます。
主な御意見としましては、痩身・美容目的を明確にうたっているものについては除外の議論が当然あると思われるけれども、薬効群のうち副次的に痩身・美容につながるものという考え方では、実質的に使用される医薬品と見なされないのではないかという御意見がございました。薬理作用で直接的に痩身・美容につながるものに該当するものがあれば、それを対象とすることでよいのではないかという御意見でございます。
また、既に税制対象とされている医薬品を積極的に除外することは想定しないけれども、痩身や美容といったそもそも保険給付の対象にならないものについては、医療費適正化に直接つながるものではないことから除外が考えられるのではないか。
また、こうした医薬品について、パッケージ等で痩身等の目的をにじませる表現が一部製品にございますので、まずは企業がそのような広告を直ちにやめていくことが必要であるという御指摘もいただいております。
これらを踏まえて議論の整理としまして、この検討会では、痩身・美容目的で実質的に使用されている医薬品については、薬理作用で直接的に痩身・美容につながるものとすることでよいのではないかという御提案や、医療費適正化に直接つながるものではないとの御指摘がございました。
前回の税制改正におきましては、医療費適正化効果が低いと考えられるものに該当する医薬品については対象から除外されたということで、痩身・美容目的で実質的に使用される医薬品については、こちらも医療費適正化効果が期待できないものと考えられるとまとめてございます。
また、「実質的に使用」をどう判断するのかという問題につきましては、例えばということで、ある漢方製剤について現時点におけるパッケージの表現・広告などから総合的に勘案する必要があるということでまとめをさせていただいております。
次に7ページでございますが、こちらは金額あるいは期限、申告手続等に関する御意見をまとめてございます。
検討会での主な御意見としまして、購入費から差し引く金額あるいは所得控除の上限につきましては、税制利用は1万2000円以上を条件として現行の1万2000円から0円に引き下げ、所得控除の上限額を現行の8万8000円から20万円に引き上げるという御要望をいただいたところでございます。
また、年限につきましては、医療費控除と同様に恒久化していくことについての御要望もいただきました。
また、レシートを集めないといけないという点について、電子版のお薬手帳などに結びつけていきたいと考えているけれども、そうしたシステム投資をするためにも、この税制が恒久化されることが必要ではないかという御指摘もございました。
また、申告手続につきましては、紙のレシートの保存という状況を早く改善すべきだという御意見もいただいております。
ここでの議論とまとめといたしましては下段にございますように、購入費から差し引く金額の引き下げ、あるいは所得控除の上限額の引き上げ、税制の年限の恒久化、申告手続の見直しについて御提案をいただいたところでございますが、これらの見直しの検討に当たっては、セルフメディケーション税制そのものが税制の特別措置ということで、いわば期間を限定して例外的に措置されているものという位置づけになっております。こうしたことから、その他の医療費控除やあるいは税制全体のバランスを考慮する必要があるため、これ以上の突っ込んだ検討は行っていないということで、それをまとめにさせていただいてございます。
続きまして8ページ、この税制の周知についてでございます。
検討会での主な御意見としましては、まず、税制の周知啓発をしっかりと行うべきであるということで、国民のヘルスリテラシーを高めていくべき。
あるいは、この税制については、対象薬品の範囲拡大と周知啓発が重要であり、並行して薬剤師が責任を持って服薬支援をできるようにしていくべきであるという御意見をいただいております。
また、ドラッグストアにおいて税制の広報がなされておらず、必要な患者への受診勧奨ができていない状況であるということで、入り口としての機能が果たされていないのではないかという御指摘がございました。
周知広報に当たっては費用対効果も考えていくべきであると。
また、保険者の取組として、レセプトデータを基に花粉症や皮膚疾患の通院歴のある方を抽出し、処方された医療用医薬品と同一の有効成分のスイッチOTCが存在する情報をダイレクトメールにて通知した結果、17%に受診回数の減少を確認できたといった取組について御報告がなされたところでございます。
また、ダイレクトメールだけでは購入を検討しなかった層を対象に、サンプルとしての市販薬を送付したところ、今後は市販薬を購入しようと考えているという方が40%になった、こうした取組についても御報告があったところでございます。
これらを踏まえまして議論の整理としましては下段のとおり、まず、周知啓発をしっかり行うべきとの指摘があった。
そして、令和6年度における税制の利用者は、全体として増加傾向であるものの5万3000人程度にとどまっておりまして、医療費控除の利用者が800万人程度と比較すると低い数字にとどまっていると言えるということでございます。
そして現在、行政・関係団体からも周知啓発を進めているところ、更なる利用者の増加を促すためには保険薬局、ドラッグストア、保険者からも直接的に周知啓発することが有用と考えられる。今後、関係者の協力を得ながら効果的な周知について検討していく必要があるとまとめさせていただきました。
最後9ページでございます。この税制の効果検証につきまして、この検討会での主な御意見でございます。
医療費適正化効果については、令和6年度の厚生労働科学研究において、税制利用者と非利用者をマッチングしてレセプト情報から医療費の経年変化を比較いただきました。その結果、税制利用者で医療費が低い結果が得られたことを五十嵐先生から御報告いただいたところでございます。
この報告内容を踏まえた今後に向けた課題として、以下の3点の御意見をいただいております。
このセルフメディケーション税制、本来の目的は行動変容を促すことにあるということで、行動変容についても検証すべきである。
また、今回の研究成果については、総医療費のみでのマッチングとなっておりまして、疾患の種類等でのマッチングができていないという御指摘。
また、税制を利用するつもりでOTCを購入したけれども、結果として確定申告しなかったケースもあるということで、本人の自己申告に基づく利用者・非利用者の比較では不十分ではないかといった御指摘をいただいております。
この検討会での議論の整理としては下段のとおりでございまして、令和6年度の厚生労働科学研究においては、税制利用者と非利用者の医療費の経年変化を比較したところ、税制利用者のほうが年間医療費が低いという結果が得られたということで、一定の効果が示唆されたものと考えられるとまとめております。
この検証方法につきましては幾つか課題も御指摘いただきましたので、レセプト情報と税制申告者とのひもづけができない中で、例えば、アンケートにより税制利用者を抽出するなど、現時点で取得可能なデータにより得られた結果と評価ができるとしてございます。
税制非利用者における行動変容の捕捉、税制による行動変容を加味した医療費適正化効果の検証には限界がございますけれども、指摘された課題を踏まえて今後、新たな調査手法を検討していく必要があるとまとめさせていただいたところでございます。
この研究成果につきましては、中段※で書いておりますように、税制調査会におけるEBPMの専門家会合においても報告をさせていただいております。その際には、先行する研究についての検討も必要ではないかといった御指摘をいただいておりまして、それに関連するものとしまして、資料2を御用意させていただいております。関連いたしますので、続けて説明させていただければと思います。
資料2の2ページをおめくりいただきたいと思います。
5月の税制のEBPMに関する専門家会合でいただいた御指摘としまして、セルフメディケーション税制の検証について御議論いただいたところですが、上段の2つ目、五十嵐先生の研究成果を御報告申し上げたところ、委員からは既存のエビデンスのピアレビューを行い、全体的な制度デザインの検討をされてはいかがかという御提案があり、具体的に経済産業研究所におけるセルフメディケーション税制による薬剤費抑制効果の検証を御指摘いただいたところです。
この先行研究として例示をいただいたものにつきまして、その概要でございますが下段のとおり、健康保険組合加入者を対象に収集した2015年1月から2019年9月のレセプトを用いまして、アレルギー性鼻炎薬の市場を対象に、患者の受診行動あるいは医師の処方行動がセルメ税制導入前後でどれだけ変化があったかを性別、年齢あるいは税制の有無、花粉の飛散量やタイムトレンド、これらを変数として構造推定モデルを用いて分析したということでございます。延べ人数につきましては括弧の中に記載のとおりでございます。
こうして需要推定が得られたということで、これを基に仮にセルメ税制が導入されなかった場合の金額を推計し、実際の観測された医療費と比較するという研究を行っておられます。
その結果が3ページでございます。セルメ税制の導入による全体の財政効果、医療費適正化効果につきましては481.3万円であったとされております。ここには患者の受診行動の変化、医師の処方行動に変化によってそれぞれ増減がありますが、それらをトータルしますと481万円の減少だったとなってございます。
これにセルメ税制の利用による1人当たりの減税額を仮に3,333円と置いた場合に、アレルギー性鼻炎薬市場に限ってのセルメ税制の導入による効果としましては、政府の税収としては75万円の減少になるということで、先ほどの481万円と合わせますと実質的な財政効果と言えるものは406万円である、このような結論が導かれております。
ただ、この論文にも一定の限界があると思ってございます。下の※に記載しておりますとおり、これはレセプト情報のみを用いての解析となっておりまして、実際に当該患者さんがセルメ税制の対象となる医薬品を購入しているかどうかまでは把握できていないということで、アレルギー性鼻炎に関する患者さんであって、セルメ税制の導入前と導入後のそれぞれの時期において、医療費がどのように変化したかを見ての解析となっておりますので、実際に税制対象の医薬品の購入の影響には必ずしも直接結びついていないものと言えるかと思います。
このような税制に関する先行研究もあるということをこの場で御紹介申し上げまして、皆様方からの御意見をいただきたいと思っております。
説明は以上となります。
○井深座長 続けて資料3につきまして、五十嵐参考人から御説明をお願いいたします。
○五十嵐参考人 五十嵐でございます。資料3について説明をさせていただきます。
こちらは、最初の議論の整理でもコロナに関する検査薬の話題がありましたけれども、そちらについて幾つかレセプトのデータを使いまして、実際それをOTC化したときのあくまでポテンシャルとしての医療費削減効果を算出しております。
こちらの医療費削減ポテンシャルですけれども、2回目の検討会の際にいろいろOTC化のときの効果を推計しておりました。その中の基本の路線としては、例えば、コロナであればコロナが全て置き換わるみたいな話ではなくて、ある程度症状を絞ってみたり、患者さんを絞ってみたり、基本的には症状の軽い人をどうひねり出すかという形でいろいろ評価をしていたと考えております。今回のコロナに関しましても、例えば、コロナの人全員が当然OTCに置き換えられるということではなくて、あくまで例えば、重症化リスクが少ない人、もしくは実際にゾコーバやラゲブリオのようなもの、いわゆるコロナ治療薬を処方されていない人という形での評価を行っております。
次に分析対象患者のカスケードですけれども、こちらは前回の税制推計でも利用しましたDeSCヘルスケアのデータベースを使っております。基本的にはコロナに罹患したという記録があって、なおかつ期間が2023年から2024年5月、これは現在得られている最新のデータで、なおかつオミクロン以降ということで2023年1月からの評価をしております。ただし、後ほどお話を追加いたしますが、特に医療費推計に関しては、コロナに関して時期によっていろいろな特例があって、かなり診療報酬が変わってきていますので、1人当たり推計については後ほどお話ししますけれども、さらに狭い範囲での計算を行っています。いずれにしましても、原則としては右下の44万2000人分のレセプトで解析を行っております。
次のスライドをお願いします。「COVID-19の分析」とありますが、基本スタンスとしては年齢別、01が0歳から11歳、09が75歳以上という形で示しております。ただ、44万2000人の中の割合というのは、あくまでデータベースの中での存在割合ですので、DNAのデータは比較的後期高齢者のデータを多く含んでおりますので、これ自体が日本のコロナ罹患者をそのまま反映しているわけではないということは注意していただきたいと思います。
こちらで縦の列を見ていただきますと、入院、重症化、CCI、コロナリスク25因子、コロナ治療薬処方という5つのカラムがございます。こちらは基本的には、例えば、入院や重症化であれば入院や重症化がない人、次のCCIは併存疾患指数と申しまして、ある程度予後に影響し得るような疾患をスコア化したものになります。それが1以上何か持っている人と全くない人ゼロ。このCCIに関しては7ページを御覧いただきますと、どういう疾患が対象になるかが右に出ているかと思います。これらの疾患に該当すると、左に示したようなスコアがプラスされる。こちらが0点全くない人とある人となります。
ついでに、こちらで右を御覧いただきますと、以前のコロナ診療ガイドラインで重症化のリスクが高い人たちの要件が25個定義されています。こちらの25疾患について3枚目に戻っていただきまして、25疾患どれかを持っている人と持っていない人に分類したのが4番目です。
そして、コロナ治療薬処方に関しては、ゾコーバやラゲブリオというような、いわゆるコロナの治療薬を処方されたか否かというのがなし・ありになっています。
今回こちらで低リスクとして提起したのは隣の列のどれか1要因というところで、全てなしの人、つまり先ほどの入院、重症化、CCI、コロナリスク25因子、治療薬処方の5因子いずれかでも「あり」であった人と、全てが「なし」と判断された人で区分しています。
黄色くしておりますけれども、全て「なし」だった人の割合は全体では26%なのですが、次のページにいっていただきますとブロック図にしておりますが、赤いところが全てリスクなしとレセプト上評価された人です。御覧のとおり非常に年齢に強く依存しておりまして、50歳以下ですと半分から75%程度が要因なしに分類される。一方で、高齢者になってきますと、併存疾患を持っている人やゾコーバを処方されている人が増えていきますので、そちらがかなり増えていくことになります。
次をお願いします。リスク要因がない、すなわち全部「なし」だった患者さんの1人当たり医療費ですけれども、こちらは先ほど申し上げたとおり、年次によってかなり同じコロナの受診者でも臨時加算などの影響がありますので、実は2023年の平均値と2024年の平均値ですと、おおよそ3,000円程度違いがあります。ここでは低めの推計をするために2024年以降、そしてCOVID-19の初診のレセプトに限定して推計を行いました。そうしますと、右から2番目の列、平均値で見ますと1万7000円から1万9000円。御覧とおり例えば、02の12歳から08の65歳から74歳まで、低リスク者に関してはそれほど大きな医療費の差はありません。そういう意味では、低リスクである患者の割合は年齢によって大きく変化しますけれども、該当したよという患者の医療費は年齢の影響は小さいということになります。
こちらから今度は患者数を掛け合わせて医療費を推計したのが6枚目になります。こちらの「FY2024患者数(万人)」というのは、先ほど申し上げたとおり、レセプトデータベースの患者数の割合をそのまま用いますと、データベースが持っている保険者の中の年齢構造というのが非常に強く影響してしまいますので、こちらは別にJAMDASデータを使って全体のコロナ患者数推計の数値を使っています。こちらは電子カルテのデータベースからリアルタイムでコロナの患者数の推計を行っているサイトで、私自身も少し協力しておりますが、そういうサイトのデータを使っております。5類移行以降、定点観測のデータしかなくなってしまったので、代用としてJAMDASのデータを使っています。これが2024年の年齢別の患者数70.5万人から75歳で144万人、合計で1,250万人。そして、低リスク者の割合は先ほどのレセプトデータを使っておりまして、これを掛け算すると低リスクの患者数の推計が576万人、そして、年齢別の1人当たり医療費を掛け算して900億円という数字を出しております。
例えば、低リスクであるかどうかを発症したときに完全に判断できるかというと、それはもちろん100%ではありませんので、こういう人を本当に初めから全てディテクトできるかというところは、このスタイルの限界ではあります。しかし、実態として2024年のレセプトを見たときのポテンシャルとして、言ってみれば入り口から出口まで含めてOTCで対応可能な人たちが、この数字になると推計しております。
私からは以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
これまでの説明を踏まえて、構成員の皆様から御質問・御意見をいただければと思いますので、お願いします。
まず、議論に入る前に、資料2について五十嵐参考人からコメントがございましたら、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
資料2についてですけれども、私もいろいろな推計をやっておりましたが、その際にもというか自分の推計でも限界として提示したのは、もともとセルフメディケーション税制を使った人を捕捉すること、さらに、その人の医療費を長期的に推計する、あるいはセルフメディケーション絡みの疾患に絞る、いずれにしても相当な限界があるし、もともと人数としてもかなり限られているというのは前回御紹介したところです。
こちらの大橋先生、西川先生のものは、レセプトのみという大きな限界はあるのですけれども、その中で時系列としてどう変化したのかというところで推計をやったものと理解しております。一番大きな限界は、状況設定としてセルフメディケーション税制の導入の前後での比較。導入前と導入後で何か行動が変わったら、それはセルフメディケーション税制の導入によるものであるというところが、もちろん一番大きな限界にはなるかと思います。以前のアンケートでも示しましたように、そもそも税制そのものを知らない人などもおりますので、この変化が税制導入によるものか否かを調べるのが非常に困難であるというのが、この研究自体の限界としてあるかなと思います。
ただ、私自身先ほど申し上げましたし、EBPMの検討会でもありましたように、もともとこの利用率の極めて限られているものに関して、その影響を見るというのは、どういう推計をやっても限界は必ずついて回ります。そういう意味では、限界を完全に除くことはできない。私の推計は、例えば、サンプルサイズなどに大きな限界がある。一方で、西川先生たちは、もちろんレセプトデータなどで潤沢な年数は確保できているけれども、そもそもこの変化は税制によるものなのかというのはやはり傷になる。ただ、どの研究もどうしても非常に小さい事象を相手にしている以上必ず限界はありますので、複数の観点からの研究が出てくることは私は非常に意義があることだと。すなわち、いろいろな限界点はあるけれども、こちらに限界がある推計と別のところに限界がある推計と、どちらも少なくとも同じ結果が出ているよということは一考の余地がある、あるいは一考に値すると考えております。
○井深座長 ありがとうございました。
それでは、本議題につきまして、構成員の皆様からの御質問・御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 宮川でございます。
事務局にお尋ねしたいのですけれども、この検討会の始まるきっかけというのは、税制のEBPMに関する専門家会合の中で指摘されて、税制をどのように拡大していくのか、どのように利用しやすくしていくのかということと聞いております。ですから、参考資料2の中で、セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会で議論していただきたい事項ということで、1つ目で税制が書いてあると私は理解しているのですが、これはいつごろまでに結論を出すということで考えればいいのでしょうか。最初の緒がはっきり分からないといけないかなと思ってお尋ねします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 御質問ありがとうございます。
今まさに宮川先生から御指摘いただきましたように、参考資料1と2を本日も御用意しておりますけれども、参考資料1の開催趣旨にありますとおり、令和2年の税制改正大綱においてセルフメディケーション税制の見直しについて議論された中で、それを受けて今後のセルフメディケーション税制の対象医薬品の範囲や、あるいは削減効果の検証方法について皆様方の御意見をお伺いすべく、この検討会が開催されてきたという経緯であると承知しております。したがいまして、セルフメディケーション税制の在り方を検討していくことが、まずもっての課題だと考えております。これにつきましては、政府の概算要求、予算の要求あるいは税制改正要望を8月末に出すことが通例となっておりますので、まずそれに向けて対象医薬品の範囲や効果の検証について、専門家の皆様方からの御意見をいただき、一定のまとめをしたいと考えております。それを受けて、私どもはしっかりと協議してまいりたいと思っております。
○宮川構成員 では、この検討会の目標というのは8月末と考えてよろしいですか。税制改正大綱に向けた作業をしなければならないという形でよろしいのでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まず、税制については御指摘のとおりだと理解しております。その上で、それに関連する事項ということにもなりますけれども、参考資料1の開催要綱にもございますし、参考資料2にもありますが、それらに関連する施策についても、この有識者検討会で御議論いただきたいと考えております。最終的には工程表のような形でまとめることができればと考えているところでございます。
○宮川構成員 分かりました。
そうすると、開催要綱「1.開催趣旨」の8行目から、「セルフメディケーション税制のあり方を検討するとともに、セルフメディケーションの前提となるセルフケアの推進についても議論を進め」と書いてあります。前回、磯部構成員からも9行目も非常に重要で、セルフケアの推進はどうあるべきかということで、それがなければ利用者がどのようにこれを利用するかまで広めなければいけないというお話もありましたが、先ほど読み上げた議論の前提のところは、利用者がセルフメディケーション税制をうまく利用できるようにするためにどのような政策をとらなければいけないかも関連して、議論を深めなければいけないということだと理解してよろしいのでしょうか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まさにこの税制が知られていないということは一つの課題ですし、これまでの議論の中でも御指摘いただいた部分ですので、これらについてもこの場で御議論を深めていただければと考えております。
○宮川構成員 ありがとうございます。
○井深座長 ほかにいかがでしょうか。
武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 ちょっと素朴な質問ですけれども、この税制のEBPMに関する専門家会合の中で、なんでアレルギー性鼻炎市場を対象にしたのでしょうか。ほかにも対象疾患はたくさんあると思うのですけれども、これをあえて選んだのは何か意味があるのですか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 事務局でございます。
参考資料4としまして、論文の全体をつけさせていただいておりますけれども、2ページの下の段落になりますが「本稿の分析対象はアレルギー性鼻炎薬市場とする」と書いております。これにつきましては、そもそも対象としたレセプトデータが健保組合のデータを使っているということで、下から3行目にありますように「有訴者において高齢者の占める割合が低いことが望ましい」そういう疾患が望ましいのだということと、「多くの国民が使用する機会があり、高齢者の占める割合が低いアレルギー性鼻炎薬市場は、本稿の分析に適した薬品領域の1つと考えられる」、このようにここでは記載されているところでございます。
○武藤構成員 了解です。もっとインパクトの大きな疾患があるのではないかと思った次第です。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 ありがとうございます。磯部でございます。
先ほどの宮川先生から御指摘をいただいたセルフケアについては、私も全く同感でございまして、まさしく今回のセルフメディケーション税制もそうですし、適切なセルフメディケーションというものは、利用者の方々、生活者の方々が自分の体のことをよく理解して的確な判断を進める、そのための必要な情報をきちんととって的確な判断をすることが前提にあるわけでございまして、ややもするといろいろな情報に振り回されてしまうということがございます。まさしくそういうことはヘルスリテラシーの向上ということでもあるわけでございますが、そういったことはまさしくセルフメディケーションの基盤となり得ることでございますので、こういったことについてもきちんと議論を進めて、日本の生活者の皆様のヘルスリテラシー、的確なセルフケアをどうやっていくのかについて底上げをするようなことについては、きちんと考えていくべきだと私も思ってございます。
その上で、薬効群に関しましては今回、胃腸薬の関係いろいろ出て、私どもの要望も取り上げていただいて大変感謝しております。今後もこれについては、いろいろな見方・考え方があろうかと思いますので、8月の税制改正要望、またそれ以後の財務省との調整もございますが、引き続きどういう形がいいのかは、これに限らず議論を深めていければいいのではないかと思ってございますので、また今後も引き続き御議論をいただければ幸いだと思ってございます。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
ほかにはいかがでしょうか。富永構成員、お願いします。
○富永構成員 薬剤師会の富永です。
資料1等によく我々の意見をまとめていただいて本当にありがたいと思っているところです。実際今、宮川先生がおっしゃったように、税制をどうやって拡大していくのか、利用していくのかということが大切です。資料1の5ページを見てみますと私が言ったことが少し書いてあって、マオウ、ナンテンジツのところがあります。質問したのをよく覚えていて、何故同じ漢方薬の咳止めが税制対象になっていないのかとお聞きしましたが、成分がエフェドリン等が入っているのを基準に選んでいるんですよということで納得は致しました。3つ目の最後の方には「患者にとってわかりにくい税制は良くないと思う」と述べるとともに、患者に寄り添った税制にしてほしいということを申しました。持ち帰っていろいろ考えて1つ御紹介したいのは、薬局製剤のことで厚労省の方はよく分かると思うのですけれども、セルフケア・セルフメディケーションの推進に向けては、地域の皆さんに今まで薬局で製剤した、つまり薬局薬剤師が直接提供する薬局製造販売医薬品を薬局製剤と言っているわけですけれども、それを日本薬剤師会としては期待していて力を入れていくことで、セルフケア・セルフメディケーションが進むのではないだろうかと思っているところです。この薬局製剤は医薬品の成分や製造方法、これは厚生労働省がちゃんと決めていて県知事が許可をして、その通りつくっていくというルールの下にありますけれども、患者さんの身近にそういうお薬があって、それを提供することが、まさにセルフメディケーションにつながるのではないかと考えているところです。
ただ、現実としては、薬局製剤に取り組む薬局が年々少なくなってきているという調査結果があります。今で言うと2024年度では、5%の薬局でのみ対応していると聞いております。このセルメ税制の対象となるOTC医薬品の成分を使って薬局で製造提供しているものについても、セルメ税制の対象として検討していただきたいと思うところです。今薬局製剤の見直しが行われており、薬局製剤自体をもう少し範囲を広げて9月から検討会が始まると聞いております。薬局製剤指針の検討会です。当会でもその指針の見直しに合わせて、薬局製剤の普及にも力を入れたいというときに、片手落ちではいけないので、今OTC医薬品の成分でセルメ税制の対象となっているものを含むような薬局製剤も認めていただいたほうが、最初に言いました患者さんに寄り添った税制であるのではないかと思っているところです。利用しやすいというのが一つの目的でしたけれども、それでお願いしたいと思っているところです。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、オンラインで伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。健保連の伊藤でございます。
今回、議論の整理ということで事務局からお示しいただきましたけれども、この内容については特に異論はございません。特に既にセルフメディケーション税制の対象となってございます風邪の症状の薬と親和性の高い新型コロナあるいはインフルエンザの検査といったもの、あるいは前回から持ち越しとなってございます胃腸症状の薬を追加することにつきましては、以前も申し上げましたとおり、セルフメディケーションの推進に寄与するものと考えてございますので、期待しておるものでございます。
セルフメディケーション税制の利用者でございますけれども、前回の資料で年々利用者数も伸びているということもお示しいただいてございますが、医療費控除の利用者数と比べてまだまだ少ない状況になっているということでもございます。既に他の構成員の方からもお話が出てございますけれども、こういった状況を踏まえますと、国を初め関係する機関がこの税制だけではなくてセルフケアも含めて、引き続き国民に対してしっかり周知していく必要があると考えてございます。
今後、財政当局との調整に入られることになろうかと思いますが、多くの国民がしっかり活用できる仕組みとなるように対象品目の拡大など、様々な調整をお願いしてまいりたいと思ってございます。よろしくお願いいたします。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、ほかの構成員の方いかがでしょう。磯部構成員、お願いします。
○磯部構成員 先ほどの富永先生の御意見に関しまして、私はぜひそれも考えていただきたいと思います。なぜかといいますと、これはほかのところでもいろいろ議論がありますが、薬局の薬剤師の先生方がどうしても保険調剤が主になりまして、薬局という役割は保険調剤のみならずOTCや地域住民の健康保持・増進ということが重要になってまいりまして、薬局製剤に関しましては、ある意味薬局の歴史と同じくらいずっとありまして、まさしく地域住民のたくさんのファンがいると言ったらあれですが、この薬局の薬局製剤が私には非常に合うんだということで、やっておられるところでは患者さんたちに非常に好まれている、非常に重要視されているものだと思います。今は非常に手間がかかるので厳しいという状況もありますので、日本薬剤師会の先生方が薬局薬剤師同士で盛り上げてセルフケア・セルフメディケーションを進めることが、現場の薬局薬剤師の先生方を応援することにつながるのであれば、私はそういうことも非常に重要な視点ではないかと思いますので、ぜひ御検討いただければ幸いでございます。
○井深座長 ありがとうございました。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 先ほどの薬剤師会の富永構成員、それから、今、磯部構成員からありましたけれども、薬局製剤というのは非常に昔から歴史がある。それがなぜ支持されたのかというと、利用者としっかりとしたコミュニケーション、会話があったということです。ただ、薬を販売すればいいということではない。薬剤師法の第1条には薬剤の任務として、「医薬品の供給」と書いてあるのです、「販売」ではないのですね。薬剤師の先生たちは今までしっかりとそれに向き合って、患者さん・利用者の困っていること、訴えていることをしっかりとした会話の中で聞き取り、薬局製剤の供給をずっとされてきたという歴史はしっかりと継承して、重きを置いて考えるべきだと私も思っております。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 宗林です。今日はちょっと遅れまして申し訳ございません。
私はこの税制制度に関しては、消費者に知名度を上げる、寄り添うということがまず第一だと思っています。薬剤の関係で見ると、処方箋薬がスイッチ化をある程度推進する方向で今動いているわけで、スイッチ化されたらば薬局で薬剤師さんの御説明とともに買えるようになるわけです。考えてみると、OTCで薬局にあるものを自分で買うものについては、ある意味OTCは全部セルフメディケーションの道具ではないかということも思うわけです。ですから、1つは今ここの原案にも出ていますように、医療費の控除とOTC、セルフメディケーション税制の間をなくして、そこはスムーズにいくようにするという案で私は賛成です。それは両方を兼ねてできないということが前提となっていますけれども、その中では、ある程度の金額までであればOTCでいろいろなケアをされている方はこの税制、医療費のほうで20万円以上の医療費がかかっている方はこちらの控除を受けるという形でのスムーズな移行ということで消費者に知らせていただくのがいいと思います。
では、何を対象にするかということですけれども、先ほど富永構成員からエフェドリンが入っているから云々かんぬんという分かれがあったんだよという話がありましたけれども、そんなことで分けていくということではなくて、もう少し誰でも分かるように、薬局で買ったものはみんなOTCで、相談には乗ってもらうけれどもセルフケアのものなので、これはセルフメディケーション税制ということで、最終的には全てのものをこちらの中で税制が効くような形を目指すような会議で、今年は今、胃腸薬が出ていますけれども、これをもっと増加するような形でやっていくことが、消費者に対して認知度を上げていくことかなと思います。
ですから、方向性としては拡大して、いずれは全てのもの。そして、医療費控除とセルフメディケーション税制の向上というのは、境がなく金額で切り替わる。用途として分かりやすいじゃないですか、OTCを買ったらこっちと。それぐらいの感じじゃないと、このもの自体の利用が進みにくいのではないかと思っています。いずれは、そういう形がいいかなと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
ほかにはいかがでしょうか。別所構成員、お願いします。
○別所構成員 別所です。
五十嵐先生と事務局に質問があります。資料2の西川先生と大橋先生の論文についてですが、効果を定量的にはかっている論文です。この論文では、この効果をもってセルメ税制を増やす・減らすということは直接言っていなかったと思うのですが、この効果の大きさについてどのように評価されていますか。先ほどの五十嵐先生のコメントでは、様々な研究が出てよかったという話で終わったかと思うのですが、ということは、何らかの正しい効果の大きさがあるときに、この論文というのはその効果をより過大に評価しているのか、過小に評価しているのかについて、見通しというか推論というか何かあればよろしいのかなと思うからです。
私個人の感想としては、今までセルフメディケーション税制というのは知名度がないという話をずっとしていて、周知せねばならんという話をずっとしてきたわけですが、にもかかわらず、この論文では税収減の効果があり、医療費適正化効果があるということになっていて、それはこれまでの我々の認識と整合的でないと思います。となると、この効果は恐らく過大推計されているのではないかというのが私の感想です。なのですが、そこは一連の実証を実際に行ってこられた五十嵐先生の御意見をぜひ伺いたい。
事務局に伺いたいのは、セルメ税制を入れることで税収がこれぐらい下がりました、医療費がこれぐらい下がりましたという効果が一応出ているわけですが、これをもってこの税制の効果は十分であると判断する、この結果が正しいとしたときに十分であると見なしているのかどうか。見なしていないとすれば、どれくらいの効果があればセルメ税制というのは効果があったと見なしてさらに拡大する、あるいは効果がないと見なして縮小すると考えておられるのかという点について、もちろん事務局としては、ここは構成員の皆さんの御議論次第ですと答えたいところでしょうが、そこについて何らかのお考えがあれば、ぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○井深座長 それでは、最初の質問に五十嵐参考人、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
まず、私はこの論文の著者ではないので、あくまでコメントというか考え方として申し上げますけれども、別所先生が御指摘いただいたような過大推計部分は必ず存在すると思います。私のコメントでも触れましたように、この論文の最大のウイークポイントは2017年のセルフメディケーション税制の拡大があった前と後というのを変数として入れているので、要は、ある意味でその時点前後で生じた変化というのは全てセルフメディケーション税制の導入によるものであるというところに帰着してしまっているということです。やはり知られていない、周知がなされていないあるいは利用実態もないという状況下で、その効果を全てセルフメディケーション税制によるものとしていいのかに関しては、非常に大きなリミテーションであると考えています。
ただし、先ほど武藤先生が途中で御指摘いただいたような、そもそもどうしてアレルギー性鼻炎に絞っているか。先ほど事務局からも、ある意味で健保のレセプトしかない状態での推計が可能な領域、それから例えば、以前私が議論していたような潜在的に減らせるか増やせるかというところはレセプトの過去データしか使えませんから、そもそもそのときに大きく変わったものでないと入れられないという、もともとの領域自体の狭さはむしろ過少推計要因になってくるかと思います。
もう一つ私自身が考えなければいけないなと思っているのは、最初の宮川先生のお話やあるいは磯部先生のお話、それから、この会自体に通奏低音のようにあるところだと思いますけれども、結局のところこの検討会あるいはこの施策というのは、単なるセルフメディケーション税制に収まっているのか、もしくはセルフケア・セルフメディケーション自体の利用促進も含んでいるのかというところもあるかと思います。ある意味でこちらの西川先生、大橋先生の推計というのは、例えば、税制の利用はともかくとして時代の流れとして「ある程度セルフメディケーションに移行した」のようなトレンドがあれば、それも効果として入れ込んでいるわけですよね。ただ、実際にはそれは純粋な意味での別所先生のような観点からの税収効果には出てこないかもしれないと。ただし、世の中としてセルフメディケーションの入り用が広まったとしたならば、税制は利用していないのだけれども、利用は増えたよということもあって、それは私自身としてはむしろプラスのことだと捉えています。ですから、学術的な意味での本当に税制利用者の効果だけに限定するのか、あるいはいろいろなアナウンスをしていくことで、税制はよく分からないのだけれども、セルフメディケーション自体の利用を広めていこうという副次的に生ずる効果を入れるか入れないかというのは、一つ考え方としてはあるかなと思います。
正直申し上げて、多分これは別所先生とも同意見かと思うのですけれども、400万円という値が大きいか小さいかという意味では、私はこれが大きいというのはちょっとおかしいと思いますので、ある程度限界はある。ただ、なんでそれが小さいかというのは、やはり利用が進んでいないことですかと、むしろこれしか利用が進んでいない環境下で、例えば何百億円の削減がありますよみたいなデータがあったら、かえってそれは眉唾物になると思っています。
ですから、別所先生のおっしゃるような、本当にセルフメディケーション税制自体の効果として見たという意味では、過大推計にもちろんなっている部分はあると。ただし、適用されている領域や使っているデータソース、あるいは世の中として税制だけなのか、セルフケア・セルフメディケーション全体をプロモートしていくのかという意味では、波及効果的な部分に関しては、むしろ考える余地があるのではないかと思います。
ちょっと長くて恐縮ですけれども、では、一体何千万円以上・以下であったら継続し得るのかというベンチマークを設けるべきだという意見も多分あると思うのですけれども、先ほど来申し上げておりますように、そもそも税制なのか利用全体なのかという観点も私はあると思っていますので、あまり一概に何千万円以上だったら継続、何千万円以下だったら中止みたいな話を設定すべきところではむしろないのではないかという、これは単純に私の意見ですので、実際ほかの構成員の先生方の意見も拝聴したいなというところではございます。
○井深座長 それでは、事務局から質問の御回答をお願いします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 今、五十嵐先生からも御指摘がありましたが、西川先生、大橋先生の論文については一定の限界はあるのだろうと思っております。内容については今、五十嵐先生が御指摘されましたので重複は避けたいと思いますけれども、したがいまして、ここに挙げられている数字の一つ一つが実際こうであったかどうか、税制の効果として全てカウントしていいのかどうか、あるいはこれに限るものかどうかについては、なかなか判断が難しい部分があると思っていまして、この数字の大きさをもってセルフメディケーション税制を拡充すべき、あるいは縮小すべきということはなかなか申し上げにくいのだろうなと思っております。
ただ、これもいろいろな限界がある中での先行研究の一つということですし、また、第2回にも五十嵐先生の今行っていただいている研究の成果もお示しいただきました。それらを見ますと、いずれも一定の効果があるということでございますので、これについては私どもとしては延長していくべきだろうと考えているところです。
その際、分かりにくいという御指摘はたくさんいただきましたし、また、それをよく周知していく必要があるということも御指摘いただいておりますので、そのような分かりやすく利用しやすい税制を目指していく、その結果、セルフメディケーションあるいはセルフケアといったものが広まっていくことを目指していきたいと考えておりますので、一概に金額をもって幾らならどうということはなかなか申し上げられないのかなと思っております。
以上です。
○井深座長 それでは、宗林構成員、お願いいたします。
○宗林構成員 どっちが先なのかなという思いがあるんですね。例えば、セルフメディケーションをどんどん推進することを第一目標とすれば、逆に税制によるものではなくても国の医療費の負担は減りますよね。そういう形でのセルフメディケーションを拡大していくことが総合的にリテラシーを上げたり、OTC化の推進だったり、いろいろな薬をいろいろな形で供給することも含めまして、いろいろな面の効果が出てくると思うんです。
今の事務局のおっしゃり方だと、セルフメディケーション税制を推進するための一部セルフケア・セルフメディケーションの周知であると。その中の一部として、だけど切り出したいのはセルフメディケーション税制の周知だったり、利用者の拡大だったりというようにも聞こえるのですけれども、どちらを先にやったほうが効果的かなと私などは思うのですが、いかがでしょうか。
○井深座長 事務局、御回答お願いします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 御指摘ありがとうございます。
すみません、私の言い方が不十分だったと思うのですけれども、あくまで税制というのは目的があって、それを推進するために行っているものでございますので、あくまでそれはセルフケア・セルフメディケーションを進めていく上での一つの後押しをするためのツールとしての税制だと考えております。したがいまして、減税額が幾らだからいいとか悪いという話ではないと理解しております。
○井深座長 それでは、宮川構成員、お願いいたします。
○宮川構成員 今お話があったように、資料2にある税制のEBPMに関する専門家会合で指摘されたことがこの検討会の緒なのですね。2ページの1つ目にあるセルフメディケーション税制の検証について議論が行われたところで、その後に書いてありますけれども、実際にはこれに対してどのように扱っていくのか、既存のエビデンスのピアレビューを行って、全体的な制度のデザインを検討されてはいかがかと3つ目に書いてあるわけです。つまり、税制のつくり方、どのようにしたら利用者によく使われるのかをここで検討しなさいと言っている。そのデッドラインがいつですかと聞いたところ、8月の末だとおっしゃっているので、そうであればらそこをきちんとやらないと、この検討会の意味が全くない。だから、どっちが先であるかと宗林構成員がおっしゃったけれども、税制をどのようにするかを検討してはいかがかと言われているので、そのデッドラインが8月の末だというのだったら、そこまでにしっかりと結論を出さないといけないのではないですかということで、私が冒頭にお話をしたところを御理解いただければと思います。
○井深座長 では、事務局お願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 宮川構成員のまさにおっしゃるとおりでありまして、税制について議論をまず8月までにここでまとめていただきまして、それをもって私どもはしっかりと税制当局と協議していきたいと考えております。そういう意味で、本日も税制の議論についての整理ということで御議論いただいているところです。そして、その税制というのは、いろいろな御指摘をいただきましたけれども、対象品目や年限といったところについて、これまで議論いただいたものをまとめていきたいというものでございます。
○井深座長 それでは、オンラインで川又構成員、お願いいたします。
○川又構成員 ありがとうございます。協会けんぽの川又でございます。
今回の議論の整理ということについては、これまでの御意見を整理していただいていると思いますので、いろいろな整理は整理として早く次のステップに進んでいっていただければと思います。併せて、いろいろな研究などの成果、なかなか研究も難しいという面もあるということでございますけれども、引き続きエビデンスの集積みたいなものは御努力をいただきたいと思いますけれども、次のステップに進んでいただければと思います。保険者としても医療費の適正化に資するということであれば、それを使っていただくように広報や啓発をしていきたいと思いますが、その前提としては以前も申し上げましたけれども、使い勝手がいいものだということ。それから、できれば効果もあるのだということをしっかり加入者にお示しできることが理想的だと思いますので、そのあたりを引き続きお願いしたいと思います。
また、次の改正があるとすれば、その次の改正でより使い勝手がよくなって利用者が広がってくれば、効果を可視化することもやりやすくなるという好循環ができるのではないかと思いますので、使い勝手をよく制度を改善し、利用者が増え、効果が目に見えるようになる、そうした好循環が出てくることを期待したいと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 今、川又構成員がおっしゃったことは非常に正しいことなのですね。つまり、財務当局が何をしたいのかと言ったら、セルフメディケーション税制というのは期限がある。恒久化するような、もっと長く使いやすくできるのかどうかを決めてくださいと、そうでないと税制改正大綱で打ち切りになってしまいますよということです。打ち切りにならないようにするためにはどうすればいいのですか、皆さんきちんと考えてください。その制度の在り方、デザインを考えてくれなければ、セルフメディケーション税制というのは今までもあったけれども、使いにくいものだったら意味がないのではないですか、というのが財務省の考え方なので、そこをきちんと私たちはくんで考えていかなければいけない。どっちが先か後かではなくて税制の在り方、セルフメディケーション税制をより使いやすくするのかしないのか、本当にやめるのか。やめないのであれば、どのようにデザインを考えたらいいのかということが本当の眼目じゃないですか。それが最初にあった話なのですよ。事務局がもう少し検討会のデザインを考えていかないと、税制改正大綱に乗らなくなってしまう、議論の対象にならなくなってしまうよというところなので、そこの検討をぜひお願いしたいと思います。
○井深座長 では、事務局お願いいたします。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 まさに、そのためにこれまで議論いただいてきたのだと私も理解しております。これまでいただいたものをまとめた整理が資料1でございまして、まさにここに書いてあるように対象品目を広げるとか、あるいは年限、金額の上限額についても様々御提案をいただいたものをまとめさせていただいていますので、私どもとしては、もしこの場でこれが了解されるようでありましたら、これを元にしっかり説明していきたいと思いますし、その中には今話題になっています効果検証の話も入っていますし、税制の周知も入れてありますので、これらを元に前回改正でいただいた税当局から出ている宿題に対してもしっかりと応えていくことで考えております。
○井深座長 宮川構成員、よろしいでしょうか。
○宮川構成員 先ほど別所構成員からお話があって、五十嵐参考人がお答えになったところですが、効果の大きさは別ですけれども、わずかでも効果があるのだということになれば、結局は資料1の9ページにあるセルフメディケーション税制の効果検証については、一定程度効果があったのかどうか、少なからず効果があったのかどうかという検討をすることができて、それに対してはセルフメディケーション税制の周知をしなければいけない。その周知の仕方が今まで希薄であったので、どのようにすれば周知ができるのかを関係者がしっかりと考えて打ち出さなければいけない。その中で、税制の見直しとして金額の引き下げや控除額の上限額の引き上げというテクニカルなものがついてくるのだということも整理していかなければいけない。だから、順番とそれをしっかりと事務局が定めないと、さっきから何度も言いますように、8月末までに結論を出さなければ決まってしまうのですから、税制の存続が図られるのか図れないのかという形になるわけです。きちんとしたものを出さなければ財務省から指摘されるわけですから、そのところをしっかりと皆さんで検討しなければいけないのかなと思っています。
○井深座長 御意見承りました。
五十嵐参考人、お願いいたします。
○五十嵐参考人 今の宮川先生の意見に私も非常に同調というのは僣越ですけれども、さっきの別所先生の御質問にもありましたとおり、質的には効果がある、だけれども量的には非常に小さいというのが現状であることは間違いないと思います。少なくともこの検討会の中で、質的には一応推進はしていこうという形でのコンセンサスが得られるならば、量的になぜ小さいかという原因はある程度はっきりしていたわけです。周知が足らない、あるいはハードルが1万2000円と非常に高い。もしくは品目が限定される、あるいは品目が分からない、それは第2回でも御紹介させていただいたところなので、基本コンセプトとして質的にはいいのだけれども、量的にあまりに小さい。では、その量をどう増やしていくかに関して、こういう観点とこういう観点とこういう観点で提言したいみたいな話でもしコンセンサスが得られるのであれば、ある意味でEBPM委員会あるいは税制改正大綱に対するサジェスチョンを筋の通った形で出せるのではないか。すなわち散発的にいろいろなことを主張しているわけではなくて、全ては質的には何とか満たされているのだけれども、あまりに量が小さいのを多次元から見ていくのですという話にすれば、まとめられるかなと考えましたが、いかがでしょうか。
○井深座長 ありがとうございました。
磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 五十嵐先生に頭が下がります。OTC薬品協会の磯部でございます。
全くそのとおりでございます。私どもが言ってきたつもりでございますが、宮川先生と五十嵐先生にうまくまとめていただいて、ぜひ、そういう形でみんなで盛り上げて、今のような点の改善を図っていけるような形で今回の検討会はまとまっていければありがたいなと思いました。
以上でございます。
○井深座長 それでは、宗林構成員、お願いします。
○宗林構成員 先ほどの発言は、この席で何をするのかという議論がちょっとぐるぐるしていたので申し訳なかったのですが、先へ進めましょう。税制が今までの続きをこの会議は進める会議だということ、予算の仕組みも分かっているので、それを前に進めるべく具体的な話を前にまずは進めましょう。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 この検討会で行うべきことということで、1つはOTC検査薬など適用を増やしていくということなのでしょうけれども、今日、五十嵐先生が出されたコロナに関して言うと、将来的には疾患としてのコロナも対象として考えられるという意味合いですか。
○井深座長 五十嵐参考人への御質問ということでよろしいですか。
○武藤構成員 はい。
○井深座長 それでは、お願いいたします。
○五十嵐参考人 ありがとうございます。
こちらは、コロナ自体の疾患をどう対象にするかに関しては特にまだ踏み込んではおりませんが、結果としてコロナを診断されて判定されて、かつ治療を受けた。要は、インフルエンザとコロナで大きく違うのは、インフルエンザの場合は例えばゾフルーザを処方される、タミフルを処方されるみたいな方向にいきますと、そこはやはり医療用医薬品の領域になります、イナビルであれ、何であれ。ただ、コロナの場合は私自身も何度か罹患いたしましたけれども、後ろのフローまで考えたとしても実はOTCで完結してしまう、つまり、医療機関に行ったけれどもカロナールとデキストロメトルファンあたりだけを処方されたというケースもあれば、例えば、実際には特に5類移行後ですと、自分で検査をして陽性だったけれども特に医療機関には行かずに、ありもののカロナールを使って自宅療養したみたいなケースも多分あると思います。そうしたフローとして全て今のOTCだけで解決できる部分がどのくらいあるかの推計であって、そこをどう解釈するかというのは今後の議論かなと思います。例えば、OTCの適用にコロナをつけるのか否かみたいな話、あるいはコロナのときの治療を全てOTC化するというところまでは踏み込んではいないものと理解しています。もちろん、今後の議論としてそういうやり方が出てくるということはあり得ることだと思いますが。
○武藤構成員 ありがとうございます。
もう一点、OTCに置き換え得る医療費の推計のところで902億円ですか、この内訳で一番多いのは、やはり外来の診療料でしょうか。
○五十嵐参考人 先ほど申し上げたように、例えば2023年と2024年でもいろいろ診療報酬の特別加算みたいなものがあって変わってきています。ただ、当然ながら低リスクの人でゾコーバやその他諸々は処方されていない方ですので、薬剤費としてはある意味でかなり安価な、当然処方薬オンリーになっていますので、いわゆる初診料・再診料部分、ただし、コロナの場合は院内トリアージや様々な加算がついていて、もちろん抗原検査をやってその判断料が入っているみたいな部分がかなり多くを占めていることになります。ですから、広い意味での診察料部分がかなり大きいということにはなります。
○武藤構成員 そうですね。ありがとうございました。
○井深座長 それでは、角谷構成員、お願いいたします。
○角谷構成員 チェーンドラッグストア協会の角谷です。
私も、これまでの会合を踏まえた本日の皆様の御意見をお聞きしていまして、若干会議がぐるぐる回ったかなという感じは受けておりましたので、むしろ収束といいますか、皆様の御意見が同じ方向に向いていることが確認できつつあるのが非常にいいかなと考えております。
当初から問題視されていたのが、1つは周知の問題があったと思います。たまたま私どもドラッグストアの周知が弱いのではないかという指摘もありましたので、我々実は確定申告時期に合わせて早速、周知を強めたりもしたのですけれども、恐らくここで議論されるべきはそういった私どもだけの小さな話ではなくて、関係する皆様、もしくは行政としてどう取り組むかも含めて、もう少し大きな枠組みでの周知を本来議論されるべきだろうなという気はしております。
あと、分かりやすさという観点で言うと、これは私、先日も申し上げたのですが、OTC協会の磯部先生から御提案いただいたような内容には、我々チェーンドラッグストア協会としては、具体的な内容に対して完全に賛同しております。ですので、その内容でそのままこの検討会の提案として出すのか出さないのか辺りも、できればはっきり方向性をつけていただけるとありがたいかなという気はしております。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
別所構成員、お願いいたします。
○別所構成員 税制の見直しについてですが、五十嵐先生がまとめていただいたように、効果はあるのだろうけれども小さそうかなというところで、それをもって税制自体は存続したほうがいいという方向で同意はしますが、OTC薬全体を対象にするという大幅な拡大、所得控除の上限を20万円に引き上げる点については、私は賛成しません。効果がちゃんと検証されていないからというのが理由です。
それから、資料1の7ページにある主な意見に、申告手続について「紙のレシートを保存するという状況を早く改善すべき」とありますが、私はこれについては反対します。そのすぐ上にある電子版お薬手帳などに結びつけていきたいという点には強く同意するのですが、それがない状況で紙のレシートを保存する義務を外すと、証拠がないのに税を払わなくていいということになるので、積極的に脱税の余地をつくることになるので、全く望ましくないと思います。もちろん執行上どうかという問題は残るのですけれども、少なくとも政府の側からこういう脱税の余地をつくるような改善をするべきではないと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。御意見承りました。
それでは、関構成員、お願いいたします。
○関構成員 ありがとうございます。OTC医薬品卸協議会の関と申します。
議論が今進んでいると思うのですけれども、ちょっと質問ですが、具体的な税制案とかこれが決定した際、具体案が決まる8月ということでしたけれども、もう一度この会は開催される予定なのでしょうか。その辺の計画的なところがよく分からないので、教えていただければと思います。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 今、次回に向けて皆様方の日程もお伺いしながらとは思っておりますけれども、冒頭、宮川先生からも御指摘ありましたように、8月末の税制改正要望に間に合わせていくことを考えますと、これまでの審議のペースを元に考えると事実上ここでおまとめいただいたほうがいいのだろうと思っておりますので、そのような形で今日、資料1を提示させていただいております。
それ以降何を議論するのかについて、もちろん税制の政府内での協議は進んでいきますので、それについて御報告する機会もあろうかと思いますし、参考資料2に書いてありますような、そのほかにも様々御議論いただきたい事項を書かせていただいておりますので、それらについても今後議論を進めていただこうと思っております。
○井深座長 よろしいでしょうか。
それでは、ほかの構成員の方で御意見等ございますでしょうか。磯部構成員、お願いいたします。
○磯部構成員 先ほど別所先生から御意見をいただいた点で、いろいろな税の専門家の先生からお話もあるかと思います。資料1の7ページになろうかと思いますが、税制の在り方ということで、我々は上限額の引き上げをお願いしておりますが、恒久化、申告手続については、どちらかというと税務当局とどういう全体のバランスを考えながらやっていくかということで書いてございますので、こういう問題として検討会で掘り下げて議論するかどうかもあったと思いますので、このような整理で今後、厚生労働省と財務省との議論の中で、どうバランスをとってやっていくかで理解していますし、そういうことで進めていただければなと思います。
以上です。
○井深座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日構成員の皆様からは様々な御意見を頂戴したところでございます。本日皆様方にいただきました御意見を踏まえまして、第5回以降の検討会の進め方について、事務局には調整をお願いしたいと思います。
本日の議事は以上になりますが、事務局から何かございますか。
○安中医薬産業振興・医療情報企画課長 構成員の皆様方におかれましては、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。今、座長におまとめいただいたとおり、資料1でこれまでの議論ということで整理させていただきましたので、これを元に我々は税制改正要望、この税制の継続に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございました。
○井上室長補佐 引き続き事務局でございます。
皆様、御議論いただきましてありがとうございました。次回以降の検討会の進め方等につきましては、今、課長からお話もありましたけれども、事務局で調整の上改めて御連絡させていただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○井深座長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
どうもありがとうございました。