令和7年度 第2回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和7年7月16日(月)13:00~15:40

場所

AP虎ノ門 Aルーム

議事内容

午後1時01分 開会

○堀部化学物質評価室長 それでは、定刻となりましたので、令和7年度第2回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
先生方におかれましては、本日は、大変お忙しい中、また、お足元の悪い中、御参集いただきまして大変ありがとうございます。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、化学物質対策課化学物質評価室長の堀部でございます。7月1日付で藤田前室長の後任として参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
本日でございますけれども、濃度基準値の検討及びリスクアセスメント対象物の変更等について検討いただくこととしております。そのため、開催要綱別紙の構成員名簿の全ての先生方に御参集をお願いしております。
現在の出席者でございますけれども、16名でございまして、西村構成員、平林構成員がオンライン参加、また、武林構成員におかれましてもオンライン参加の予定でございますが、今、連絡を取っているところでございます。
引き続き、タブレットのほうの構成員名簿を御覧ください。前回は御欠席でございましたが、今年度から建設労務安全研究会理事、鹿島建設株式会社環境安全部長の加藤昌二様にも新たに構成員として就任いただいております。加藤先生、一言御挨拶をお願いいたします。
○加藤構成員 鹿島建設の本社の環境安全部長の加藤です。不慣れなところがありますけれども、いろいろ勉強しながらやらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○堀部化学物質評価室長 加藤先生、どうもありがとうございます。
本年度はこのメンバーで御検討いただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
また、事務局でございますけれども、7月の人事異動におきまして構成に変更がございましたので、御挨拶をさせていただければと思います。
化学物質対策課長の中野でございます。
○中野化学物質対策課長 化学物質対策課長に8日付で着任いたしました中野でございます。委員の皆様には大変お世話になっておるところでございますが、本日の濃度基準値の検討におきましても、これは化学物質による健康障害の防止のための根幹となる重要な要素でございます。先生方の御専門の見地から、しっかりと今日は御議論をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○堀部化学物質評価室長 続いて、化学物質対策課化学物質評価室長補佐として参りました植松でございます。
○植松化学物質評価室長補佐 御紹介いただきました植松と申します。私自身は化学物質対策課化学物質評価室には4年前にも在籍しておりまして、この検討会も大分懐かしい感じがいたしますが、非常に意義深い会議だと心得ておりますところ、どうぞよろしくお願いいたします。
○堀部化学物質評価室長 改めまして、堀部でございます。私は藤田前室長と同様農水省からの出向者でございます。化学物質に関しましては、もう10年ぐらい前になってしまうのですけれども、内閣府の食品安全委員会事務局のほうで残留農薬の評価の担当をしておった経験がございますが、労働衛生とは考え方が違ってくる部分があります。現在、勉強中でございますので、どうぞ御指導よろしくお願いいたします。
また、安全衛生部長も異動になっておりますが、本日は所用により欠席をさせていただいております。次回以降、改めて御挨拶させていただければと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
続きまして、会議の留意事項について御説明をいたします。
本日は会場とオンラインの併用で開催させていただいておりますので、会場参加の皆様におかれましては、御発言の際には必ずマイクを御使用いただきますようお願いいたします。
オンライン参加の先生方におかれましては、周囲の音を拾ってしまう可能性がございますので、御発言される場合を除きまして、マイクをミュートに設定していただきますよう、何とぞよろしくお願いいたします。また、オンラインの先生方の御発言の際には、あらかじめチャットで御発言があるということをお知らせいただくか、あるいは、お名前を名のっていただきまして、座長の御指名があってから御発言いただきますよう、こちらも御協力をよろしくお願いいたします。
なお、議事録を作成いたしまして、後日公表させていただきます。どうぞ御承知おきくださいませ。
本日の会議でございますが、公開としております。一般傍聴の皆様につきましては、ウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。先生、よろしくお願いします。
○城内座長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。今日は今年度の第2回ですけども、いよいよまた詳細の検討が始まります。委員の皆様におかれましては非常に御苦労をおかけすることになりますが、今年度もまたよろしくお願い申し上げます。
では、まず、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○堀部化学物質評価室長 本日の資料でございますが、会場の皆様にはお手元のタブレットのほうに格納させていただきました。
資料でございますが、議事次第と配付資料一覧のほか、資料1-1、資料1-2、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6、資料7まで、参考資料としましては、参考1から参考5までを御用意しております。先生方、縦スクロールをしていただきますと資料を御確認いただけますし、その他、格納しておるものに関しましては全てタブレットのほうに入っていると思いますけれども、御確認いただけますでしょうか。何か不具合等がございましたら、途中でも結構でございますので、事務局までお知らせくださいませ。
オンラインで参加いただいている先生方には資料については事前にメールにてお送りしておりますが、何かございましたら、途中でも結構でございます。事務局までお知らせいただければと思います。
また、本日の資料につきましては厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の皆様におかれましてはそちらを御覧いただければと思います。
資料の確認は以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。

(1)濃度基準値の検討について

○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。
議事1「濃度基準値の検討について」です。本日は20物質について検討する予定としています。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 議事1「濃度基準値の検討について」は、化学物質対策課の小永光より説明させていただきます。
まず、資料1-1と資料1-2について御説明させていただきます。
濃度基準値の検討の資料につきましての説明の後、構成員の先生方から事前にいただいた御質問、御意見などもいただいておりますので、事務局のほうから御説明したいと思います。また、その御質問、御意見を踏まえていただいた上で、個別物質ごとに御議論をいただければというふうに考えています。
なお、御検討に必要な一次文献につきましては、タブレットの一番上のフォルダの「文献一式」というところに格納されておりますので、必要に応じて御確認いただければと思います。
それでは、まず、資料1-1につきまして御説明します。
資料1-1を開いていただきますと、こちらは濃度基準値設定対象物質検討状況リストの令和6年度以前のものとなっております。令和6年度までに積み残しになっている物質の一覧になっておりまして、本日は、このリストのうち、濃度基準値のところに「承認」というものと丸だけがついているものがありますけれども、丸がついている3物質について御検討いただくこととしております。
また、資料1-2ですが、こちらは令和7年度の濃度基準値設定対象物質検討状況リストでございまして、本日は、こちらの濃度基準値のところに丸がついている17物質について御検討いただくことになっております。
これら20物質の個別の検討内容につきましては資料2のほうに記載をしておりますので、資料2のほうで御説明させていただければと思います。
それでは、1物質目から御説明させていただきたいと思います。まず、物質名として、1,1,2,2-テトラブロモエタンでございます。
こちらの物質は、八時間濃度基準値として0.1ppmを提案させていただきます。
こちらは詳細調査となっておりまして、1,1,2,2-テトラブロモエタンにつきましては、根拠論文は記載の5文献となっておりまして、提案の理由としてはコメント欄の記載のとおり、まとめとして、動物実験での結果から、体重増加抑制及び肝障害、肺障害を臨界影響としたNOAELを1ppmと判断し、不確実係数等を考慮した0.1ppmを八時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、ベータ-ピネンでございます。
こちらの物質も詳細調査となっておりまして、八時間濃度基準値としては、こちらは「設定できない」を提案いたします。
設定の理由としましては、こちらの提案の理由のところを見ていただければと思いますけれども、ベータ-ピネンを含む混合物(テレビン油類)に係る有害性情報はヒト及び動物試験で見られるものの、当該物質単独の有害性情報は文献調査等で認められなかったことから、八時間濃度基準値の設定に資する情報が不十分と判断し、「設定できない」と判断するとしております。
続きまして、6ページ目のメトリプジンでございます。
メトリプジンにつきましては初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として1mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の4文献となっておりまして、提案の理由としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、動物試験の結果から、肝細胞肥大を臨界影響としたNOAELを30ppmと判断し、不確実係数等を考慮した1mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、p-ニトロ安息香酸でございます。
p-ニトロ安息香酸につきましては初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として1mg/m3を提案いたします。
設定の根拠としましては、論文、こちらの4文献となっておりまして、理由としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、動物実験の結果から、嗅上皮の壊死を臨界影響としたNOAELを20mg/m3と判断し、不確実係数等を考慮した1mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、安息香酸でございます。
安息香酸につきましても初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値として0.3mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の3文献となっておりまして、設定の根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、動物実験の結果から、肺における間質性変化の発生率の増加を臨界影響としたLOAELを25mg/m3と判断し、不確実係数等を考慮した0.3mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとしております。
その他のコメントでございますけれども、こちらも併せて御確認いただければと思いますが、2段落目のところに、動物の経口投与試験の知見もあるが、その最小毒性量は吸入ばく露に比して高濃度であることから、濃度基準値の導出に際しては吸入による呼吸器影響を標的としたと記載させていただいております。また、この物質につきましては、25℃の飽和蒸気圧における濃度換算値5.0mg/m3と濃度基準値0.3mg/m3の比が16となっておりまして、粒子としてのばく露も想定されることから、粒子と蒸気の両方を捕集できる捕集方法が必要であると記載させていただいております。
続きまして、p-tert-ブチル安息香酸でございます。
こちらは初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として0.01ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の5文献となっておりまして、設定の根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、動物実験の結果から、覚醒状態の低下を臨界影響としたNOAELを1.5mg/m3と判断し、不確実係数等を考慮した0.01ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
こちらの物質も、その他のコメントのところに記載をさせていただいておりますけれども、25℃の飽和蒸気圧における飽和蒸気圧濃度と濃度基準値の比が61であることから、粒子としてのばく露も想定されるということで、粒子と蒸気の両方を捕集できる捕集方法が必要であると記載しております。
続きまして、メルカプト酢酸でございます。
こちらは初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として4mg/m3を提案いたします。
根拠論文はこちらの記載の2文献となっておりまして、提案の根拠としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、動物試験の知見の結果から、肝障害、腎障害、血液学的変化等を臨界影響としたNOAELを20mg/kg bw/dayと判断しまして、不確実係数等を考慮した4mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとなっております。
その他のコメントですけれども、こちらの2段落目に、ヒトにおいてアレルギー性接触皮膚炎を引き起こし、消費者においてもまれに認められる一方で、美容師など職業上ばく露を受ける者においても、チオグリコール酸グリセリルによるアレルギー性接触皮膚炎が広く発現したという報告が複数あることから、皮膚への接触防止対策にも留意が必要であると記載しております。
続きまして、ヨードホルムでございます。
ヨードホルムは初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として0.08mg/m3、ヨウ素としてを提案いたします。
根拠論文は記載の3文献となっておりまして、こちらの設定の根拠としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、まとめとして、日本人の海藻消費量を基にした平均摂取量1.2mg/日と、妊婦と授乳婦の耐容上限量2mg/日とのマージンは0.8mg/日であることから、0.08mg/m3、こちらはヨウ素としてですが、ヨードホルムの八時間濃度基準値として提案するとしております。
その他のコメントを御確認いただければと思いますけれども、こちらの2段落目のところで、ヨードホルムの長期影響情報は、文献、こちらの上のコメントのところにも記載がありますが、不十分であるのですけれども、代謝後の細胞内外にヨウ素イオン、またはタンパク結合ヨウ素として検出されることから、ヨードホルムの影響はヨウ素の影響と同等とみなして濃度基準値を提案したとしております。また、今回の文献は、すみません。これは4)ではなくて、3)の誤りでございますけれども、文献3)「日本人の食事摂取基準」において、妊娠中のヨウ素過剰への感受性が高い可能性や、母乳中のヨウ素濃度を高くしないという観点で、授乳婦のヨウ素過剰摂取への注意喚起が前版の2020年版よりも強調されたというような解釈から、ヨウ素については妊婦・授乳婦の耐容上限量と日本人の平均摂取量とのマージンを基に八時間濃度基準値を導出することが適切であるというふうに判断したと記載をしております。
続きまして、ターシャリ-ブチルアミンでございます。
こちらは初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として3ppmを提案いたします。
根拠論文は記載のこちらの1文献となっておりまして、提案の根拠としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、動物試験の結果から、ラットにおける体重増加抑制、骨髄過形成、上気道の炎症性変化を臨界影響としたNOAELを500mg/m3と判断し、不確実係数等を考慮した3ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
その他のコメントも併せて御確認いただければと思います。
続きまして、イソブチルアミンでございます。
イソブチルアミンにつきましては、こちらも初期調査のみになっておりまして、八時間濃度基準値として2ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の1文献となっておりまして、導出の根拠につきましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、呼吸上皮における扁平上皮化生及び炎症細胞の浸潤を臨界影響としましたLOELを17ppmと判断し、不確実係数等を考慮した2ppmを八時間濃度基準値として提案しています。
その他のコメントも御確認いただければと思いますけれども、こちらの導出に当たっては、イソブチルアミンの固有の試験情報は認められませんでした。ただ、イソブチルアミンのRD50値90ml/m3とn-ブチルアミンのRD50値84ml/m3は同程度であり、また、DFGにおいてはn-ブチルアミン、イソブチルアミン、セカンダリ-ブチルアミンにまとめてMAK値を設定しているということから、局所効果の類似性を仮定して、イソブチルアミンの濃度基準値については、n-ブチルアミンの濃度基準値であるとか、文献を適用して設定をしているというふうに記載をさせていただいております。
続きまして、セカンダリ-ブチルアミンでございます。
セカンダリ-ブチルアミンも初期調査のみで、八時間濃度基準値としては2ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の1文献でございまして、導出の根拠はコメントのとおりで、同様でございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、呼吸上皮における扁平上皮化生及び炎症細胞の浸潤を臨界影響としたLOELを17ppmと判断し、不確実係数等を考慮した2ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
こちらの物質も、その他のコメントに記載のとおりですけれども、セカンダリ-ブチルアミンの試験情報は得られませんでした。DFGでは、先ほど申しましたとおり、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、セカンダリ-ブチルアミンにまとめてMAK値を設定していることから、局所効果の類似性を仮定して、セカンダリ-ブチルアミンの濃度基準値についてはn-ブチルアミンの濃度基準値を適用するということで記載をさせていただいております。
続きまして、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(別名:HCFC-142b)でございます。
こちらは初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値として1,000ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の2文献となっておりまして、導出の根拠としてはコメントの記載のとおりでございますけれども、まとめとして、ヒトにおけるデータは示されていないものの、動物実験では高濃度ばく露においても有意な毒性は観察されず、1,000ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
また、その他のコメントのところでございますけれども、HCFC-142bにつきましては、モントリオール議定書附属書Cグループ1に分類されるHCFCの一種でございまして、日本ではオゾン層保護法に基づき、生産・消費の削減対象でございます。また、この物質につきましては、毒性学的な影響に係る知見は、先ほど申しましたとおり、得られていませんけれども、濃度基準値が設定されたほかのフロン化合物との整合性を踏まえて、濃度基準値として1,000ppmを提案するとしております。
続きまして、クロロペンタフルオロエタン(CFC-115)でございます。
こちらも初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値は1,000ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の2文献となっておりまして、導出の根拠としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、まとめとして、ヒトにおけるデータは示されていないものの、動物実験では高濃度ばく露においても有意な毒性は観察されず、1,000ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
こちらも、その他のコメントを見ていただければと思いますけれども、先ほどと同様、この物質はモントリオール議定書附属書Aグループ1に定められた特定フロンの1つでありまして、その生産であるとか、消費が原則として禁止されているというふうにされております。また、CFC-115につきましても、毒性学的な影響に係る知見は得られておりませんけれども、濃度基準値が設定されたほかのフロン化合物との整合性を踏まえて、濃度基準値として1,000ppmを提案するとしております。
続きまして、物質名、1,2,3-トリクロロベンゼンでございます。
こちらは初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値として0.5ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の5文献となっておりまして、導出の根拠としましてはコメントの記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、ラットの腎臓、肝臓への影響を臨界影響としたNOAELを6.7mg/kg bw/dayと判断し、不確実係数等を考慮しまして、0.5ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
本物質ですけれども、その他のコメントの2ポツ目を見ていただければと思いますが、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼンの各異性体につきましては同じように代謝されまして、肝臓の第1相酵素が最も強く誘導される1,2,4-トリクロロベンゼンについて信頼性の高い試験情報等があることから、今回の濃度基準値の設定に当たっては1,2,4-トリクロロベンゼンの知見を用いて濃度基準値の導出を行ったと記載をしております。
続いて、1,3,5-トリクロロベンゼンでございます。
こちらも初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値は0.5ppmを提案いたします。
根拠論文は記載の5文献となっておりまして、根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、こちらも先ほどの物質と同様なんですが、動物試験の結果から、ラットの腎臓、肝臓への影響を臨界影響としたNOAELを6.7mg/kg bw/dayと判断し、不確実係数等を考慮した0.5ppmを八時間濃度基準値として提案するとしております。
その他のコメントにも2ポツ目に先ほどと同様の記載をさせていただいておりまして、1,2,4-トリクロロベンゼンの知見を用いて濃度基準値の導出を行ったと記載をしております。
続きまして、クロロ酢酸ナトリウムでございます。
クロロ酢酸ナトリウムにつきましては初期調査となっておりまして、八時間濃度基準値は2mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の4文献となっておりまして、導出の根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物実験の結果から、体重増加抑制を臨界影響としたNOAELを3.5mg/kg bw/dayと判断し、不確実係数等を考慮した2mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとしております。
また、こちらの物質につきましては、その他のコメントも見ていただければと思いますけども、クロロ酢酸ナトリウム、本物質は水溶性でございまして、その全身毒性はモノクロロ酢酸イオンに起因すると考えられることから、今回はモノクロロ酢酸の知見を含めて検討しておりますという内容を記載しております。
続きまして、トリナトリウム=2,2',2''-ニトリロトリアセタート(ニトリロ三酢酸三ナトリウム)でございます。
こちらの物質も初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値として4mg/m3を提案いたします。
根拠論文は記載の2文献となっておりまして、導出の根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、まとめとして、動物試験の結果から、膀胱移行上皮の過形性を臨界影響としたLOELを200ppmと判断し、不確実係数等を考慮した4mg/m3を八時間濃度基準値として提案するとしております。
その他のコメントも御確認いただければと思いますけれども、今回のニトリロ三酢酸三ナトリウムにつきましては、一水和物の試験情報が認められたため、これらの情報から本物質の濃度基準値の設定を行ったと記載をしております。
続きまして、ホウ酸でございます。
こちらの物質も初期調査のみとなっておりまして、濃度基準値としては、八時間濃度基準値はホウ素として0.1mg/m3を提案いたします。また、短時間濃度基準値はホウ素として0.75mg/m3を提案いたします。
根拠論文としましては記載の2文献となっておりまして、導出の根拠としましてはコメント欄の記載のとおりでございますけれども、ヒトの疫学研究から、眼及び呼吸器の刺激症状を臨界影響としたNOAELを0.12mg ホウ素/m3と判断しまして、八時間濃度基準値として0.1mg/m3、これはホウ素としてですが、また、短時間につきましても、刺激症状の研究結果から、こちらは文献1)のところですが、短時間濃度基準値として0.75mg/m3を、これもホウ素としてですけれども、提案すると記載をしております。
続いて、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)でございます。
こちらも初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値は、先ほどと同様ですけれども、ホウ素として0.1mg/m3、短時間濃度基準値はホウ素として0.75mg/m3を提案いたします。
根拠論文、コメントは先ほどの記載とほぼ同様ですけれども、2文献ございまして、導出の根拠も、まとめとして、ヒトの疫学研究から、眼及び呼吸器の刺激症状を臨界影響としたNOAELをホウ素として0.12mg/m3と判断して、八時間濃度基準値としてホウ素として0.1mg/m3を提案しますと。また、短時間での刺激症状の研究結果から、短時間濃度基準値としてホウ素として0.75mg/m3を提案するとしております。
続きまして、最後の物質でございますけれども、七酸化二ナトリウム四ホウ素五水和物でございます。
こちらも、先ほどの物質と同様ですけれども、初期調査のみとなっておりまして、八時間濃度基準値につきましてはホウ素として0.1mg/m3、短時間濃度基準値につきましてはホウ素として0.75mg/m3を提案いたします。
根拠論文も同様ですけれども、2文献となっていまして、コメント欄は、まとめとして、ヒトの疫学研究から、眼及び呼吸器の刺激症状を臨界影響としたNOAELをホウ素として0.12mg/m3と判断しまして、八時間濃度基準値としてはホウ素として0.1mg/m3、短時間での刺激症状の研究結果から、短時間濃度基準値としてはホウ素として0.75mg/m3を提案するとしております。
資料2の説明は以上になります。
また、資料3のほうに今御説明させていただいた一覧を御準備しておりますので、物質ごとの検討の際に御活用いただければと思います。
○堀部化学物質評価室長 続きまして、あらかじめ先生方から御意見、御質問をいただいておりますので、事務局のほうから御意見に対する回答をさせていただければと思います。本来であれば机上のほうに御準備させていただくところでございますが、事務局の不手際により、本日、お手元にお届けできておりません。申し訳ございませんが、口頭での御報告とさせていただきます。
○小永光有害性調査機関査察官 いただいている御意見について御説明させていただきます。
まず、御意見の1件目としましては、2つ目の物質のベータ-ピネンについてでございます。
ベータ-ピネンにつきまして、御意見としましては、皮膚感作性が区分1のため、暫定管理目標値では0.5~5ppmになってしまいます。ACGIHの20ppmがあるから、実際には暫定値より前にACGIHの値で、実害はないであろうが、このように、検討済みであるのに設定できないというのは、強力に自己規制をするということが多い発がん性物質が主であり、誤解を招くかもしれませんと。情報が少ないということは理解しますが、ACGIHの設定根拠が何かが分からない状況ですので、発がん性物質のように、確率的影響だから閾値を設定できないというものと、本件が情報が少なくて設定できないというものを見分けられるようにしてほしいというものでございました。
こちらのいただいた御意見に対する回答ですが、本物質につきましては、個別論文の調査を行いましたが、文献等において固有の有害性情報がなかったことから、現時点では濃度基準値を設定できないと提案をさせていただいている物質でございます。また、本物質のように、十分な文献がないため設定できないとされた物質は濃度基準値の対象外とになっております。
なお、ACGIHは、こちらの単体ではなく、テルペンとして設定根拠としているため、根拠にはならず、今回は設定できないと判断したところでございます。
また、御指摘いただいている、発がん性が明確であるため濃度基準値を設定できないと判断された物質との違いですけれども、こちらについては、本件のような十分な知見がなく設定できないという物質と区別するために、技術上の指針の一覧にこちらを明記することによって、検討結果において、発がん性が明確である安全閾値が設定できない物質であることを明示しているところでございます。
続きまして、安息香酸について御意見をいただいております。
安息香酸のコメントのところに「肺における間質性変化」という記載がございます。安息香酸が水に難溶性であることを考慮すると、有機物ではありますが、じん肺の可能性はないのでしょうか。じん肺像とは全く異なるであるとか、じん肺を引き起こす粉じん量が微量で間質性変化が発生しているという理解でよろしいでしょうかという御質問でございました。
こちらの回答としましては、安息香酸を調べたところ、20℃での溶解度が2.931mg/L、そのときのpHは2.8で酸性でありまして、こちらの結果からじん肺にはならないというふうに判断をして、この論文を採用しているというところでございます。
続きまして、トリナトリウム=2,2',2''-ニトリロトリアセタート(ニトリロ三酢酸三ナトリウム)というものでございます。ページの数で言うと、37ページを御確認いただければと思います。
こちらは記載として、コメントの途中までppmで記載がされているので、最後の4mg/m3の算出の際の変換係数の記載などが可能であれば、資料を一般の方、担当者の方が読んで分かりやすいと思いますというような御質問でございました。
今回、文献等を確認したところ、本物質につきましては、文献に摂餌量、mg/kg bw/dayというような記載がなく、餌中濃度としてppmでしかございませんで、こういった記載になっております。なので、LOELを餌の中の濃度として200ppmというふうに記載をしております。ただ、こちらの換算に当たっては、摂餌量についてはコメントの下のほうに記載をさせていただいているのですけれども、GHS政府分類ガイダンスの中に記載の動物試験データの変換係数表を用いて投与量を換算して、そのppmから、9.4mg/kg bw/dayと変換をしているところでございます。
なお、本物質については上皮によるばく露は想定されないというところで、コメント中へのppmの併記もしていないと判断させていただいております。
続きまして、最後です。七酸化二ナトリウム四ホウ素五水和物でございます。
こちらの物質について御意見をいただいているのですけれども、恐らく、その前とその前の前のホウ酸、ホウ砂も当てはまる御意見として受けとらせていただいております。意見としましては、根拠論文も濃度基準値もホウ酸と全く同じであり、わざわざ分けなくても、ホウ砂を含んだ総粉じん、あるいは、ホウ素としてのmg/m3を一括してしまってもよいように思います。そうできない理由があったのかもしれませんけれども、教えてくださいということでございました。
こちらは、御指摘を踏まえまして、1度事前に先生方にお送りをさせていただいたものからコメントの記載を修正させていただいておりまして、回答としましては、令和4年度に、四ホウ酸ナトリウム十水和物(ホウ砂)について検討いただいているのですけれども、その検討過程において、ホウ素としての濃度基準値を設定することが適当とされて、今回提案させていただいているような、ホウ素として0.1mg/m3とか、ホウ素として0.75mg/m3を提案させていただいております。今回の文献につきましてもホウ素として提案をさせていただいておりますので、御指摘いただいたとおり、コメント欄の記載につきましては、もともと総粉じんの記載もしていたのですけれども、まとめのところに記載をしていたのですが、ホウ素としての記載のみにさせていただいて、記載を統一させていただきました。この記載は、七酸化二ナトリウム四ホウ酸五水和物、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウムも同様に修正をさせていただいております。
以上になります。
○城内座長 御説明ありがとうございました。
それでは、事前にいただいた御質問、御意見や、それに対する事務局回答を踏まえて、1つずつ議論をしていきたいと思います。
では、個別物質ごとですけれども、まず、最初の物質、1,1,2,2-テトラブロモエタンにつきまして、八時間濃度基準値は0.1ppmとの事務局提案がありました。これについて御意見等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。御意見等はございませんでしょうか。
それでは、1,1,2,2-テトラブロモエタンにつきましては、八時間濃度基準値は0.1ppmといたします。
続きまして、ベータ-ピネンにつきましては、八時間濃度基準値は「設定できない」ということですが、これでよろしいでしょうか。
宮本委員、お願いいたします。
○宮本構成員 宮本です。すみません、ちょっと教えてください。濃度基準値が、検討の結果、「設定できない」のは、先ほどお話しいただいたように、発がん性物質などはあえて設定しないということはあると思うんですけど、このように、情報が少なくて「設定できない」ということは今までにありましたか。
○小永光有害性調査機関査察官 はい。情報がないものはこれまでも数物質ございまして、それも一応、検討会の報告書の中では、情報がないから「設定できない」という物質の一覧というか、記載はさせていただいております。また、この記載については、今後の濃度基準値の検討をどう進めていくかという検討の中で、活用させていただければと思います。
○宮本構成員 承知しました。だんだんこういう情報が少ないものが増えてくるだろうと想像はするのですけれども、大本の濃度基準値設定のときに、縦ピラミッドから横にしたときに、情報の多寡であって、有害性の大小ではないぞということで、情報を自分たちも調べてくださいというふうな形の中で、割と情報が多いものは濃度基準値設定の俎上にのるという理解で、大本の設定がそうだったと思いましたので、これを俎上にのせてしまっていいのかどうかということがちょっと疑問でもあったということがありましたので、ちょっと教えてもらったというところです。
○小永光有害性調査機関査察官 基本的には、海外でOELが設定されている等の情報がある物質を検討対象にしておりますが、この物質は海外では混合物の評価から設定されており、単体ではそういう情報がなかったということで、今回は見送らせていただいたということになります。このような物質もありますので、別途管理して、今後検討していきたいと思います。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ベータ-ピネンにつきましては、八時間濃度基準値は「設定できない」といたします。
続きまして、メトリブジンにつきまして、御意見等がございましたらお願いいたします。八時間濃度基準値は1mg/m3となっております。いかがでしょうか。
それでは、メトリブジンにつきましては、八時間濃度基準値は1mg/m3といたします。
続きまして、p-ニトロ安息香酸、八時間濃度基準値は1mg/m3と提案されています。これについてコメント等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
コメント等がなければ、では、p-ニトロ安息香酸につきましては、八時間濃度基準値は1mg/m3といたします。
続きまして、安息香酸、八時間濃度基準値は0.3mg/m3と提案されています。これにつきましてコメント等がございましたらお願いいたします。
宮内委員、お願いいたします。
○宮内構成員 安息香酸は多分白色の結晶で、固体だと思うんですよね。それで、皮膚吸収性有害物質ということで名前が挙がっていると思います。その他のコメントのところにもそれは明記してあります。コメントのところですが、例えば、「常温・常圧であれば固体で、皮膚吸収性がある」というような書き方をすると、保護具を選択するときにもう少し役立つのではないかなと思うんですけども。常温・常圧であれば液体のものではないということが分かるようにすると、例えば手袋の選択をするときに分かりやすいと思いました。これは個人的な意見です。以上です。
○城内座長 事務局からは何かありますか。よろしいですか。
○小永光有害性調査機関査察官 有用な情報ではあると思いますが、実際は固体で、常温で取り扱うことが多いのでしょうか。そうであれば、固体で取り扱うことが多いということも踏まえて、常温で固体でありというようなことをつけさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○宮内構成員 分かりやすく書くということが多分一番誤解がなく、重要かなと思います。
以上です。
○城内座長 そのほか、コメント等はございますでしょうか。
それでは、安息香酸、八時間濃度基準値は0.3mg/m3といたします。
続きまして、p-tert-ブチル安息香酸、八時間濃度基準値は0.01ppmと提案されていますが、コメント等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
保利委員、お願いいたします。
○保利構成員 これは八時間濃度基準値が0.01ppmとなっていますけれども、p-ニトロ安息香酸とか安息香酸に比べると若干揮発性が高いかもしれませんが、いずれにしても揮発性が低い物質ですよね。上の2つがmg/m3で、これがppmになっているというのは、濃度基準値と飽和蒸気圧の比で、どこかで割り切っているのですかね。
○小永光有害性調査機関査察官 少々お待ちください。
ppmで表示するか、mg/m3で表示するか、どちらの単位で記載するかというところにつきましては、IFVの場合、0.1から10の間に入っている場合につきましては、常温の状態で判断するということで、昨年度の検討会で整理させていただいているところですが、実際、今回の物質はIFVにも入っておりませんので、ppm又はmg/m3のどちらの単位にするかについては、実は明確に決まっておりません。使用の用途等からここは記載をしているところです。この物質は常温では固体になるのですけども、蒸気圧の関係も含めてppmとなっております。
○保利構成員 この濃度であったらガスでばく露されるほうが多いという判断ですかね。
○小永光有害性調査機関査察官 この濃度ではそのように考えています。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野構成員 大前先生、よろしいですか。
○大前構成員 そちらからどうぞ。
○小野構成員 今御説明のあったとおりで、恐らく、基本的にはその物質が固体かガスかで決まると思うのですが、IFVを導入というか、米国、ドイツ、どちらもなんですが、それを導入するときに、まず基準として、アメリカが用いているばく露限界値と、そのときの飽和蒸気圧を比べて、飽和蒸気圧のほうがばく露限界値よりも、10を超えて高かったらガスという扱いで、0.1より下だったら固体という、判断になっています。それで、その間のものを定義としてはIFVというふうにしているのですけれども、私もそのときに、濃度基準値の値をどちらの単位で示すべきなのかということを明確にどこかに書いたという記憶はないような気もします。
あともう1つは、国内ではppmとmg/m3を、混乱を招くので併記しないということは決めていたと思います。ですから、濃度基準値が低ければガスになる可能性が高くなるので、ppm表記ということになるのですけれども、安息香酸で、今、その数値は、IFVで値を計算して16ですから、そこでガスかどうかというふうに考えるのでしたら、安息香酸もppm表記にすべきかと思います。
あと、p-tert-ブチル安息香酸のほうは60ということで、こちらはガスで間違いない。間違いないというか、0.1~10からかなり外れていますので、ガスという判断で、ppmにしているような気はします。ただ、問題は、IFVを計算するときの飽和蒸気圧の情報というものは古いデータから始まって、今、計算上求めている値まで、数種類出てきてしまって、そうすると、IFVの値もぶれが生じています。今は基本的には、古いデータしかないときには計算値を使って、IFVかどうかという判断を、測定法のワーキンググループのほうでその計算を一まとめにしてやっております。ですから、測定法との関連もあって、ppmか、重量濃度表記かということが決まっていますので、数字だけで決まればここで決められるのですけれども、実際には、蒸気になったものが粒子状物質にくっついて、その場合にも測るということになったりしますので、蒸気になっているから粒子にくっつくので、そういうふうに考えれば、ガスとしてppm表記にしておく。ただ、判断するときは、物質の重さというか、mol数で決まってきますので、その辺はどうしましょうか。数字で決まるときは、ppmかmg/m3にしていいと思います。実際に、そうではなくて、使うときにスプレーにしたりする。農薬なんかですけれども、そういったようなときにはmg/m3表記のほうが実際的ではないかということで、若干曖昧さを含んだ状態で、今、記載されていると思っています。最初のときに物質の使用方法は考えないという話もあったのですけれども、ただ、それだとやっぱりサンプリングもできにくくなってしまうので、ミストがあるかどうかということは防護に関しても重要なポイントになりますので、今の時点でそれを整理してしまうか、もう少し、データを基に、濃度基準値のほうと測定のほうとでちゃんと調整をしておく。それで決めるか。今までどおり、そういう状態になった場合にはどちらかにしますという形で、両方があるような。数字だけで決まらないということで御理解いただくほうがいいのかと思いますけれども。
すみません。長くなりました。
○小永光有害性調査機関査察官 すみません。事務局からも補足をします。
小野先生が今おっしゃったとおり、報告書のほうでは、特にIFV以外の場合については単位の決まりはなく、また、ppmとmg/m3の両方を書かないと記載されています。また、どちらかの単位で記載した上で、換算ができるようにするために、換算をするための式を技術上の指針で示しているところでございます。この物質の使い方であるとか、濃度によって、主に想定されるほうで基本的に記載しているところです。
○保利構成員 分かりました。
そうすると、今後、実際、現場でばく露のデータが出てきた場合に、この表記が変わるということはあり得るということでよろしいですか。
○小永光有害性調査機関査察官 単位も含め告示で示しますので、基本的には換算式を使っていただいて測定していただくということになろうかと思っています。
○保利構成員 分かりました。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。御意見はよろしいでしょうか。
事務局から御説明がありましたけど、数値としては0.01ppmとして決めておくということでよろしいかどうかということになると思いますが、いかがでしょうか。
○保利構成員 そうすると、安息香酸はmg/m3でいいということですね。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内構成員 私の記憶で、前の議論の中で、物性が近い異性体が3つぐらいあったときにも統一しなかったという記憶があります。多分、それも慣例的なものも含めてなのかなと理解していました。だから、統一するということの必要性がなければ、別に統一しなくていいと私は思っていたのですけど。
以上です。
○城内座長 今までも何度かあったように思うんですけど、毎回何となく終わっているような気もしますが、どこかで統一的な見解というものを示さないと、また今後も出てくるかなと思いますが、どうしましょうか。
○小永光有害性調査機関査察官 では、先ほど小野先生のご意見も踏まえ、何か原則の決まりが作成できるか検討させていただくということでよろしいでしょうか。
○城内座長 それは、今後、ほかでも検討をしなければいけないことが出てくるかもしれないし、過去も含めて、どちらで示すかは検討することにして、この場では、今検討しています安息香酸、それから、p-tert-ブチル安息香酸についての提案された八時間濃度基準値はこれでいいかどうか、そこも含めてペンディングにしたいとか、御意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。
濃度基準値は濃度基準値として提案されたものを認めてもいいかなという気がしますが、御意見はいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野構成員 測定する側からすると、mg/m3と書いてあったら、ろ紙を持ってきて、ガスのことは考えないでサンプリングをしてしまう可能性はあると思います。それの逆はもちろん起こって、ppmだとろ紙のことは考えないということになるので、どっちの数字になっていても、サンプリングのときに間違いが生じるということはありますので、測定法のほうにIFVというものが書いてあれば、単位がどちらであっても、サンプリングをするときとか、実際のばく露は両方考えればいいのだなというふうにすぐ思いが至ります。濃度基準値のほうにはその記載は明確にはなくて、測定法のところで両方が取れるサンプリング法を採用することというふうに書いてありますので、測定法まで見ないと判断ができないという図式になっています。ただ、逆に言えば、今の図式であれば、単位が何であっても問題ない。サンプリングをする人はそのときに考える。ただ、マスクを選ぶときにどうするかという問題はありますけれども、測定と基準値の考え方だけでいけば、今の形で、単位がppmであろうが、重量濃度であろうが、問題ないような気もします。すみません。実用的なところで落としどころを探しているということもあるのですけれども、今の形でも多分大丈夫だと思います。
○城内座長 実は、2年前から小野委員には同じことを何度も言ってもらっています。つまり、定型的に決められるものではなくて、分析する人がそこで判断しなければいけない問題ですよねということは何度も何度も御指摘いただいているのですが、やっぱり、数値のほうだけから考えると、いろいろな疑問も出てくるのだと思うんですね。今、マスクの問題も指摘されましたけど、やっぱり、基準値を決めたときにどう守るかということは現場にかなり関わってくることだと思うので、逆に言うと、ここで一律には決められない問題なんだろうなという気もちょっとするのですが、そういう意味で、濃度基準値を決めるという場であれば、この数値でいいかどうかということを今御判断いただければいいかなと思うんですが、いかがでしょうか。
御意見はないでしょうか。保利委員、よろしいでしょうか。
○保利構成員 換算できるので、それは、どちらでもかまわないですけど、整合性が取れるかどうかというところだけがちょっと気になっていたので、数値としては特に問題ないと思います。
○城内座長 ありがとうございます。
では、事務局からも先ほどお話がありましたけど、今後はまた少し考えていただいてということで、この場では、p-tert-ブチル安息香酸については、事務局案どおり、八時間濃度基準値は0.01ppmとしたいと思います。よろしいでしょうか。──ありがとうございます。
では、次に参ります。メルカプト酢酸、八時間濃度基準値は4mg/m3、これについてコメント等がございましたらお願いします。よろしいでしょうか。
それでは、メルカプト酢酸、八時間濃度基準値は4mg/m3といたします。
続きまして、ヨードホルム、八時間濃度基準値は0.08mg/m3、ヨウ素としてと提案されていますが、これについてコメント等がございましたらお願いいたします。
それでは、ヨードホルムにつきましては、八時間濃度基準値は0.08mg/m3、ヨウ素としてといたします。
続きまして、ターシャリ-ブチルアミン、八時間濃度基準値は3ppmと提案されていますが、これについてコメント等がございましたらお願いいたします。コメント等はございませんでしょうか。
それでは、ターシャリ-ブチルアミン、八時間濃度基準値は3ppmといたします。
続きまして、イソブチルアミン、八時間濃度基準値は2ppmと提案されています。これにつきましてコメント等がございましたらお願いいたします。
では、イソブチルアミン、八時間濃度基準値は2ppmといたします。
続きまして、セカンダリ-ブチルアミン、八時間濃度基準値は2ppmと提案されています。これについてはいかがでしょうか。コメント等はございませんか。
では、セカンダリ-ブチルアミン、八時間濃度基準値は2ppmといたします。
続きまして、HCFC-142b、八時間濃度基準値は1,000ppm。これについて御意見等はございませんでしょうか。
保利委員、お願いいたします。
○保利構成員 これは1,000ppmということで上げられていますけれども、健康影響がそのエンドポイントではないということですよね。いわゆる環境問題のほうがむしろ大きいところなんですけど、次のCFC-115そうなんですが、今まで、幾つかこういう物質はありましたでしょうか。
○小永光有害性調査機関査察官 事務局のほうから御説明させていただきます、令和5年とか令和6年にもこういうフロン系のものというのはございまして、例えば、令和5年のクロロジフルオロメタンですと、こちらのほうも同じ1,000ppmとさせていただいております。このフロンにつきましては、そのときは動物実験から、結構すごく高いところなんですけども、有害性はあるということで、値としては1,000ppmということで設定させていただいています。その経緯もありまして、同じフロンという観点で、今回、1,000ppmを提案させていただいているというところでございます。
また、この物質については、GHS分類のほうを見ますと、区分3が麻酔作用とかについていますけれども、GHS分類のほうを見ると、そちらの根拠データのほうを見ると、やっぱり動物実験で、すごく高いところでは中枢神経系への作用が見られるということもありまして、高いところでは有害性はあるということが分かっているということで、1,000ppmで設定させていただいているということになります。
○保利構成員 1,000ppmが適当かどうかということは何とも言えないと思いますけど。
○小永光有害性調査機関査察官 DFGとか、次の物質もACGIHで1,000ppmとか、DFGだと1,000ppmがマックスというふうに聞いていますので、そういうところも踏まえて提案させていただいております。
○保利構成員 次のものにちょっと関連するのですけど、次のクロロペンタフルオロエタンです。これは基本的には禁止物質ですよね。だから使われることはないと思うんですけど、基本的には使われない物質だと思いますが、こういう物質で、しかも、この濃度で特に影響がないということであれば、濃度基準値を決める必要があるのでしょうかね。
○小永光有害性調査機関査察官 確かに、禁止されている物質について、今後ばく露は想定されないのではないかというところは、これまでも議論があったところではあるのですけれども、今回、濃度基準値を検討いただく物質を選定する際に、まず、海外でOELである約1,000物質をまず優先的に検討しましょうということで、この物質が挙がってきております。今は製造とか、消費というのはないですが、解体とかでばく露が全く想定されないということではありませんので、検討を行っているところでございます。
○保利構成員 禁止物質であっても、有害性があるのであれば、挙がってきたものについては検討してもいいと思うんですけども、禁止物質で、しかも有害性がまずほとんどないというものなので、それでも必要かなという気はしましたが。
○小永光有害性調査機関査察官 有害性が全く、濃度基準値としてはないですが、高いところでは恐らくあるだろうということが前提にあると考えております。
○保利構成員 1,000ppm付近ではないですよね。
○小永光有害性調査機関査察官 1,000ppmであれば十分検証障害の防止ができるという値として出させていただいています。
○保利構成員 分かりました。
○城内座長 今の点について、ほかの委員の皆さんの御意見はいかがでしょうか。
○保利構成員 逆に、1,000ppmと設定した場合、この付近に何か問題がありそうだというふうに誤解される可能性もないかなと思いますね。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 1,000ppmをマックスにするということを何となく決めてあったような記憶があるのですけれども、それを公表していたかどうかということが、ちょっと記憶がはっきりしないですね。1,000ppmまで大丈夫であったら1,000ppmにしてという決め方をしていますよということをはっきりさせれば、全然毒性はないのだ、どんなに高くても大丈夫だというような誤解は防ぐことができるような気がいたします。
以上でございます。
○保利構成員 そうですね。それをちゃんと示してもらっていればいいかなと思います。
○城内座長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
今のままで通り過ぎることは、やっぱり少し私も何か引っかかるところがありますので、今、宮川委員の意見もありましたけど、何か注意喚起というか、基本的にはこういうことで決めていますというようなことは必要かなと思いますが、いかがでしょうか。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 去年だったか、六フッ化硫黄のときに同じような議論がありまして、あのとき、六フッ化硫黄で、数十%でも有害性はないということで、たしか当初の提案は1,000ppmだったと思うんですけども、結局あれは提案しないということになったのではないかと思うんですよね。労働環境に0.1%の非定常の物質があるということ自体がおかしいというふうに僕は思うので、そのとき私から主張したと思うんですけども、やっぱり1,000ppmぐらいがマックスかなというふうに思うんですよね。そういう上限というんですかね。1,000ppmと決めてもいいと思うんですね。今おっしゃったように、それが数字としてマックスだけども、それでオーケー、あるいは、それ以上は有害性がないということではないよという注意書きですかね。それをつけてやるということは僕は合っていると思います。DFGでも1,000ppmがマックスですし、それから、ACGIHでも数字を見ても1,000ppmがマックスですし、日本画像医学会でも1,000ppmがマックスなんですよね。1,000ppmというのはそんなに異常な数字ではない、特殊な数字ではないので、濃度基準値もそういうようなことでいいのかなと思います。
○城内座長 ありがとうございます。
今のような方向で事務局のほうで濃度基準値のところにまとめていただければ、この先もいくかなと思いますが、いかがでしょうか。
西村委員、お願いいたします。
○西村構成員 ありがとうございます。
やはり、非常に有害性が低くて、濃度基準値を設定しようとすると高過ぎてというような理由で、逆に設定しないということにしてしまいますと、先ほどのベータ-ピネンでしたか。テレビン油類のところであったような議論で、設定しないことは非常に有害性が高い、あるいは閾値がないみたいなものと、情報が少ないというものと、今回あるような有害性が逆に低いといったものの区別がつかないということもありますので、そういったことを踏まえますと、濃度基準値は上限値で定めていって、そこで管理をすべしとしていただくほうが、多分現場の管理としてはやりやすくなる。あるいは、意味が伝わりやすいという点からも、よいのではないかなというふうに考えます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございます。
事務局からはよろしいですか。
○小永光有害性調査機関査察官 それでは、御意見を踏まえまして、上限について報告書のほうに記載をするという方針で、記載ぶりはまた相談させていただきます。
○城内座長 皆様、貴重な御意見をありがとうございました。また一歩進めるかなと思います。
それでは、HCFC-142bにつきましては、八時間濃度基準値は1,000ppmといたします。
続きまして、CFC-115についてですが、これは先ほどからも議論されていますが、八時間濃度基準値は1,000ppmでいかがでしょうか。
それでは、CFC-115も八時間濃度基準値は1,000ppmにいたします。
続きまして、1,2,3-トリクロロベンゼン、八時間濃度基準値は0.5ppm、これについて御意見等がございましたらお願いいたします。
宮内委員、お願いします。
○宮内構成員 値そのものではないのですけども、その他のコメントについてなんですが、経皮吸収があることから、経皮ばく露防止対策に留意する必要があるということがコメントとして明確に書かれておりますけど、これもさっきと同じような形で、常温では固体ですが、たしか昇華性があるんですよね。だから、そこのコメントも、例えばですけど、常温、常圧では固体だが、昇華性があるので、経皮吸収があることから注意が要るというような文章を記載するのはいかがでしょうか。結局、ガス化するということの情報があると、しっかりと吸収があることを防ごうという情報になると思うんですよね。固体であって、なおかつこの場合は単位がppmということなので、そういう情報を、せっかくだったら、コメントに書かれたらどうかと思います。この後の1,3,5-トリクロロベンゼンも同じことになると思うんですけど、これは意見です。
以上です。
○城内座長 ありがとうございます。
それについてはよろしいですか。
大前委員、お願いします。
○大前構成員 大前です。
今の皮膚吸収性の問題で、固体の皮膚吸収の問題ですけども、固体として使う場合と、溶かして使う場合と、両方あると思うので、必ずしも固体だからオーケーということではなくて、使い方によっては、液体の状態で使われれば経皮吸収があるということもありますので、なかなかそこら辺は難しいです。
それから、もう1つは、時々言われるのは、固体でも、汗をかくと、そこに溶け込むというようなこともあるので、必ずしも固体だからということだけでくくらないほうがいいのではないかというふうに思います。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内構成員 了解しました。常温、常圧ということを入れた上でというふうに思ったのですけど、逆に、あまり決めつけることもよくないということで、了解いたしました。
○城内座長 そのほか、御意見はいかがでしょうか。
それでは、1,2,3-トリクロロベンゼン、八時間濃度基準値は0.5ppmといたします。
続きまして、1,3,5-トリクロロベンゼン、八時間濃度基準値は同様に0.5ppm。これについてコメント等がございましたらお願いいたします。
では、1,3,5-トリクロロベンゼンの八時間濃度基準値は0.5ppmといたします。
続きまして、クロロ酢酸ナトリウム、八時間濃度基準値は2mg/m3と提案されていますが、これについて御意見等がございましたらお願いいたします。
宮内委員、お願いします。
○宮内構成員 クロロ酢酸ナトリウムですよね。これは結構皮膚への刺激性が強いと思います。ただ、SDS的には皮膚腐食性・刺激性は区分外になっているんですね。モデルラベルのほうでは、皮膚に接触すると有害性のおそれ、眼の刺激ということは文書化されて出ています。物性を見ても、やはり皮膚に対する刺激性があって、例えば、付着した場合にはすぐに水で洗ってください、特に蒸気と触れると非常に危ないですよというようなことが、市販されているような物質のSDSにも書いてあるんですね。結局、GHSには区分外ということなので、これで正しいと思うんですけども、そういう場合に、過剰になるかもしれませんが、ラベルのほうに書いてあるような、皮膚に接触すると有害性のおそれは特に書かなくていいですかね、ここの中には。
○城内座長 今の御指摘は八時間濃度基準値の関係ではないですよね。
○宮内構成員 関係ではないです。
例えば、ラベルに書いてあるようなそういった情報についても少しコメントのほうに書く必要があるのか、それとも、クリアカットに一切そういうことは書かないというのか、ちょっとそこが分からなかったので聞いた次第です。たしか、SDSの刺激性のところに関してはここの中のコメントに入れないというような記憶があります。皮膚吸収性のことに関してはSDSに書いていないので、書きましょうというルールだったかなと思います。
○小野構成員 すみません。ちょっと教えていただきたいのですが、今、宮内先生がおっしゃっているのは、SDSに書かれていない、GHS分類がその区分になっていないけれども、ラベルには書かれているという、そのラベルというのは。モデルラベルとSDSにそんなに齟齬があるという場合はあるのでしょうか。
○小永光有害性調査機関査察官 確認したところ、モデルラベルには、危険有害性情報のところの一番上に注意喚起として、皮膚に接触すると有害のおそれという記載があります。また、モデルSDSにも危険有害性情報のところに皮膚接触のおそれがあるということが記載されています。
○宮内構成員 今、この場で決める内容でもないなと思うので、すみません。今後、こういうときにどうしたらいいかなということが分からなかったので、また追って教えていただければ十分だと思います。値に関することではありませんので、大丈夫です。
○小永光有害性調査機関査察官 これまでの整理では、皮膚吸収性有害物質は、GHS分類を見ても判断ため、その他のコメントに皮膚吸収性有害物質である旨の記載させていただいた経緯がございます。刺激性のほうは、GHS区分から分かるからということで、ここには記載をしていないという整理でございます。「職場のあんぜんサイト」の注意喚起情報の記載については、また別途調べさせていただきます。
○宮内構成員 了解いたしました。ありがとうございます。
○城内座長 そのほか、御意見等はございますでしょうか。
山室委員、お願いいたします。
○山室構成員 今のところなのですが、「職場のあんぜんサイト」を見ますと、急性毒性(経皮)が区分5になっていますので、そこからラベル要素の「皮膚に接触すると有害のおそれ」という文言が出てきているのではないかと思います。
○小永光有害性調査機関査察官 ありがとうございます。おっしゃるとおりです。急性毒性(経皮)がついているということで、区分5がついているということです。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
それでは、クロロ酢酸ナトリウムの八時間濃度基準値については2mg/m3といたします。
続きまして、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、八時間濃度基準値は4mg/m3についてはいかがでしょうか。
それでは、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、八時間濃度基準値は4mg/m3といたします。
続きまして、ホウ酸、八時間濃度基準値は0.1mg ホウ素/m3と提案されていますが、これについてはいかがでしょうか。
川本委員、お願いします。
○川本構成員 先ほどの公開質問とちょっと重なるかもしれませんけれども、現在、濃度基準値は、「ほう酸及びそのナトリウム塩(四ほう酸ナトリウム十水和物(別名ホウ砂)に限る)」として設定されています。本日、ホウ酸の濃度基準値が改めて提案されています。2つ目の「ホウ酸」の提案ということで、濃度基準値自体は同じ値ですけれども、少し整理をされたらどうかという提案です。
それと、もう1つ。さらに、次のほうにもありますけれども、「四ほう酸ナトリウム(十水和物)に限ると」いうことで、現時点では濃度基準値が設定されていますが、今回は十水和物ではない「四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)」が審議対象の物質です。ですので、濃度基準値の対象物質名について、少し整理をされたらどうかという意見です。
以上です。
○城内座長 整理をするということは、具体的にはどういうことに。
○川本構成員 ホウ酸は既に濃度基準値が設定されていますが、今回再びホウ酸の濃度基準値が提案されています。どちらか1本にしていただくほうがいいということです。
○城内座長 これは事務局、いかがでしょうか。
○小永光有害性調査機関査察官 御指摘としましては、ホウ酸であるとか、ホウ酸ナトリウム塩というところでまとめて濃度基準値を設定できるものはしたほうがいいのではないかという御指摘かと思いましたけれども、先ほどもちょっと御説明させていただきましたが、これまでの経緯として、現在検討いただいている物質は、GHS分類ベースで、海外のOELがついている物質を順次検討いただいているところです。いただいた御意見については、今後、例えば法令名称ベースでまとめて設定できるのかどうか、できるものはしたほうがいいのではないかという観点も含めて検討させていただきたいと思います。
○川本構成員 ありがとうございます。
○城内座長 今のお話は、従来の特別規則等との関わりも含めてという意味でよろしいですね。そうではなくてですか。つまり、従来あるものと、今まで分類してきたものというのは必ずしも整合性が取れていないというか。それとは全く別の話ですか。
○小永光有害性調査機関査察官 特別規則の見直しも確かにちょっと関連するかもしれないですけれども、今、ほう酸であれば、リスクアセスメント対象物の法令名称上はほう酸及びそのナトリウム塩となっていたかと思います。法令名称は、物質によっては広いくくりで名称が設定されていることがございまして、濃度基準値については、法令名称のうち、一部の物質だけが濃度基準値が設定されることがこれまでもたくさんありました。ほう酸やほう酸ナトリウム塩では、様々な物質で同じ値が提案されていますので、法令名称の範囲でまとめて設定できるというものも今後はあるのではないかというような御指摘だったと思いますので、そういったものについては、そういった設定もできるのかどうかというところが、また次の課題としてあるのかなというところで認識したところでございます。
○城内座長 そうですね。
川本委員からの御意見も含めましてですけど、今議論しているホウ酸の八時間濃度基準値は、これはこのままで議論してよろしいですか。
○小永光有害性調査機関査察官 はい。
○城内座長 ありがとうございます。
それでは、ホウ酸につきましては、八時間濃度基準値は0.1mg ホウ素/m3といたします。
続きまして、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)につきましては、八時間濃度基準値は0.1mg ホウ素/m3、上記と同様ですけども、これについてコメント等がございましたらお願いいたします。
鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 すみません。引き続き名前の話で恐縮なんですが、多分産業的に、普通、ホウ砂というと十水和物で、だけど、この次の五水和物も、ホウ砂(五水和物)とか、ホウ砂(無水)とか、そういったような製品もあるので、逆に言うと、法令名称で整理するというお話は分かったのですが、化学物質の括弧書きとか別名とかが、今、こういう例だからちょっとお話ししていますけど、結構正しく伝わらない可能性がある。つまり、法令名称とは別に、産業で普通、例えば製品でどういうふうにして使われているのかとか、そういったことに関して、例えば、今、四ホウ酸ナトリウムの無水に(ホウ砂)と書いてあったので、違和感を持って今、気づいたのですけど、多分そういった事例はこのもの以外でも結構あるので、結局、自分たちが扱っているものがそもそも、常にCASナンバーまでたどるとか、法令名称を調べて、本来はもしかしたら、事業者としてはそれが義務なのかもしれないですが、やっぱり正しく伝わらないということがあるかと思います。例えば名前は、特に、よくあるほかの者でも、括弧書きをして名前がある場合と、この次のものはそうですけど、括弧をして「別名」と書いてある。この書き方は、多分第一義的には法令名称との整合性を図るということでこの表はできているのだと思うんですけど、一方で、実際に使っている人たちに対して、これは規制がかかっているものですよ、そうではないですよ、あるいは、危険性があるものですよ、ないですよというときに、やっぱり名前は大切なので、少し整理が必要なのではないかなという感触を今、持ちました。
○城内座長 事務局、お願いします。
○小永光有害性調査機関査察官 事務局から御説明させていただきます。
今列挙させていただいている物質名のところは、基本的には括弧の前のところがGHS分類名称になっておりまして、おっしゃったとおり、GHS分類名称が正しく一意に特定できないということがあることは承知しております。実際に告示で物質名を規定する場合は、この物質が特定できるような法令名称をつけさせていただきます。
○城内座長 そのほか、御意見等はございませんでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野構成員 ここで言うのは場違いかもしれませんが、本当に表記だけの問題です。単位の書きぶりのところに、0.1で、(単位:mg ホウ素/m3)という書き方になっていて、意味は分かるのですけれども、もっと前にヨードホルムがあって、そのときは「ヨウ素として」ということを最後に書いているのですが、どちらかの形に、つまり「ヨウ素として」と最後についているほうがみんなは分かりやすいのかなと思ったりするのですが、その辺をまとめておいていただきたいということだけです。可能でしたらお願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 承知しました。確かに、これまでも「~として」が昨年度も多かったかと思いますので、そこは整理させていただきます。
○城内座長 重要な御指摘をありがとうございます。私も読みながら変だなと思っていました。
そのほか、御意見はございませんでしょうか。
それでは、四ホウ酸ナトリウムの八時間濃度基準値は0.1mg/m3、ホウ素としてとしたいと思います。
最後の物質です。四ホウ酸ナトリウム五水和物、八時間濃度基準値は0.1mg/m3、ホウ素としてについて、コメント等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
では、四ホウ酸ナトリウム五水和物につきましては、八時間濃度基準値は0.1mg/m3、ホウ素としてといたします。
これで本日予定の物質の濃度基準値の審議は終わりましたが、最終的な結果を事務局としてまとめていただけますか。
○小永光有害性調査機関査察官 それでは、資料3の一覧に基づいて審議結果を確認させていただきます。
こちらの資料3のほうの20物質について御審議いただきましたけれども、単位であるとか、上限の1,000ppmの記載であるとか、今後検討いただく内容はございますが、物質の濃度としては、20物質について全て御了解いただけたというふうに認識しております。ありがとうございました。
○堀部化学物質評価室長 ありがとうございます。
それでは、議事2「リスクアセスメント対象物の変更等について」に入ります前に、一旦、10分間休憩をさせていただければと思います。この会場の時計で、ちょうど3時から再開させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。──ごめんなさい。お願いします。
○宮川構成員 よろしいですか。すみません。ちょっと質問というか、確認なのですけれども、審議は終わっていますので、濃度には影響はないのですが、ベータ-ピネンに関連して2点確認です。
1点は、先ほどちょっと出ましたが、皮膚吸収性有害物質の可能性がある場合にはその他等でもって書くけれども、皮膚等障害化学物質については書かないということになっているというお話があったと思うんですが、そこの確認で、既に皮膚等障害化学物質としてリストに載っているものについては、これまでそれに載っているということは書いてきたような気がするのですけれども、その辺りはどういう扱いになっているかをちょっと確認して、これからも統一していただきたいということが1点です。
それから、ベータ-ピネンについては、そういう注意が一切、何といいますか、すごく短くて、毒性がないように読めてしまう可能性があって、ちょっと気になっているのは、アルファ-ピネンとベータ-ピネンの混合物はターペンタインとかテレビン油として、労基則第35条で皮膚障害が載っている物質なので、そういう物質について、これを含んだテレビン油についてはこういう毒性がありますよという皮膚障害のことがあったほうがいいのかなという気がちょっとしましたので、そのときにそれをわざわざ書くかどうか。あるいは、それが皮膚等障害化学物質に既に指定されているかどうかということが気になった次第です。
以上でございます。
○小永光有害性調査機関査察官 少々お待ちいただければと思います。
これまでその他のコメントに記載をしていますのは、皮膚等障害化学物質のうち、皮膚吸収性有害物質のほうだけでございまして、皮膚刺激性有害物質のほうは、記載していなかったと思います。
○宮川構成員 ベータ-ピネンは、単独だと情報がないことは確かなんですけれども、アルファ-ピネンとベータ-ピネンが合わさって、テレビン油として、労基則第35条の別表1-2に載っている皮膚障害として載っている物質なので、これだけを見て毒性がないのかなと思われると困るかなと。手袋をしなければと思っていただいたほうがいいような気がしたのです。少なくとも、これが含まれているテレビン油についての規制や対応が必要だということが重要かということのコメントでございます。
○小永光有害性調査機関査察官 テレビン油とか、あと、アルファ-ピネンもベータ-ピネンも皮膚刺激性有害物質になっておりますが、吸収性有害物質ではないため、今までの整理からすると、その他のコメントへの記載は要らないと整理できると思いますが、いかがでしょうか。
○宮川構成員 わざわざ書いてほしいと言うこともちょっと申し訳ない気もするのですけれども、情報なしで、毒性なしかと思われるのもちょっと心配かなということで、濃度基準値の提案の理由のところで、今の状況のところで「テレビン油類」という言葉が出てきますよね。だから、混合物についてはこういう毒性情報はあったけれども、その成分であるこれについて単独ではなかったのでということがあると、なるほど、それを含んでいるテレビン油は皮膚に対して作用があるのかなと。刺激性という言葉ですけれども、GHS分類から見ると、もしかしたら、感作性の結果として皮膚に症状が出る。労規則第35条の別表のほうは、感作性で出るのか、刺激症状で出るのかはちょっと分からないところがありますので、そこもちょっと気になった次第です。
○小永光有害性調査機関査察官 テレビン油が皮膚感作性かどうかをちょっと確認します。
○宮川構成員 すみません。ベータ-ピネンだけでも、皮膚感作性は区分1がついていると思うんですよね。
○小永光有害性調査機関査察官 テレビン油の皮膚感作性は区分1ですね。
○宮川構成員 テレビン油もついていると思います。
○小永光有害性調査機関査察官 はい、テレビン油はついています。
○宮川構成員 なので、一番簡単な方法としては、今ある文章で、(テレビン油類)に係る有害性情報は云々とありますけれども、そこでもって、ヒト及び動物試験で見られるもののというところの「見られる」というところに括弧をして、例えば労規則第35条にこう書いてあるとか、皮膚感作性とかいうことをちょっとだけ付け加えていただければ、少し注意喚起になるような気がいたしました。
○小永光有害性調査機関査察官 分かりました。
この有害性のところに、労基則第35条又はGH等を追記したいと思います。
○宮川構成員 一番重要なのは、私が使う人間であったら、労規則35条のほうが非常に気になりますね。労規則第35条を毒性情報として扱うということは、この検討会でもあったと思いますので、情報として。
○小永光有害性調査機関査察官 労基則第35条の対象物質である、そういう有害性情報があることからということをここで括弧で入れるということでよろしいでしょうか。
○宮川構成員 はい。
○小永光有害性調査機関査察官 分かりました。では、追加をさせていただきたいと思います。
○城内座長 休憩を延ばしましょうね。
○堀部化学物質評価室長 はい。この時計で、では、3時05分まででいかがでございますか。
○城内座長 お願いいたします。
○堀部化学物質評価室長 よろしくお願いいたします。

午後2時55分 休憩
午後3時05分 再開

○城内座長 それでは、議事を再開いたします。

(2)リスクアセスメント対象物の変更等について

○城内座長 議事2「リスクアセスメント対象物の変更等について」、事務局から資料4から資料7の説明をお願いいたします。
○小永光有害性調査機関査察官 それでは、議事2「リスクアセスメント対象物の変更等について」、御説明させていただきたいと思います。
資料の前に情報提供になりますけれども、まず、参考資料5を見ていただければと思います。
令和6年度政府GHS分類結果が7月14日に公表されたところでございます。こちらに記載のとおり、180強の物質の分類が公表されたところでございます。
こちらの公表を踏まえて、もう1つ参考資料を見ていただければと思います。参考資料4を開いていただければと思います。
こちらは前回の検討会でも御説明させていただきましたけれども、令和6年度のGHS分類の結果に基づきまして、御承知のとおり、リスクアセスメント対象物であるとか、その他告示物質につきましても、今後改正を予定しておりますので、今回御報告させていただくものです。
こちらの法令改正のスケジュールを参考資料4のほうに示させていただいておりますけれども、令和6年度政府GHS分類結果に基づきまして、御承知のとおり、リスクアセスメント対象物は、原則としてGHS分類の結果、危険性、または有害性が1つでもあるという物質を省令で指定しているところです。また、有害性の区分から裾切値も決まっております。
また、②のところで、がん原性物質でございます。こちらも、告示において、発がん性の区分が1になっているものをがん原性物質としておりますので、こちらも同様に変更になるということでございます。
また、3つ目の皮膚等障害化学物質につきましては、こちらは、皮膚腐食性であるとか、感作性、また、眼の刺激性等、そちらのところのGHS分類が区分1になっているものが皮膚等障害化学物質の刺激性物質になるというふうになっておりますので、こちらのほうも同様に変更になりますので、今回お示しをさせていただくということでございます。
具体的には、まず、資料4を見ていただければと思います。
ちょっと細かくて恐縮ですけれども、今回のGHS分類の結果、新たに危険性または有害性がありとされた物質、備考の欄に「新規追加」と記載されている物質ですが、新たにリスクアセスメント対象物に指定する予定の物質になっております。28以降の物質は、備考のところに「区分変更」と書いてありますけど、こちらは、再分類されたことに伴って有害性が変更されたことに伴い、ラベルであるとか、SDSの裾切値が変更になるというところを示しています。
また、次に、資料5は皮膚等障害化学物質一覧になっております。
皮膚等障害化学物質につきましては、通達等において、こちらは、先ほど申しましたとおり、GHS分類で皮膚等の区分が1になっているものが、右側の列の右から2番目のところ、皮膚刺激性有害物質になるというふうにされておりますので、今回新たに、皮膚とか眼、あと、皮膚感作性等の区分が1になったものについて新規追加として記載をさせていただき、1物質目から28物質目までが追加になるというところでございます。また、29物質目と30物質目につきましては、備考欄に記載がありますけれども、区分が「該当しない」となったり、区分が2に下がったという物質でございまして、こちらは政府GHS分類に基づく皮膚刺激性有害物質からは削除になるというような形になります。
もう1つ、次の資料6を見ていただければと思います。
がん原性告示物質一覧でございます。こちらは、先ほど申しましたとおり、告示において発がん性が区分1になっているものががん原性物質とされており、今回、備考の欄に「新規追加」と記載の物質が、新たに発がん性が区分1になった物質です。1物質目から38物質目が、今後、告示改正でがん原性物質に追加になることが予定されている物質になります。
また、39物質目、こちらは、もともと発がん性区分が1Bとなっていたものが区分2に落ちるということになっておりましたので、こちらの物質についてはがん原性物質からは削除されるという予定となっています。
以上、令和6年度政府GHS分類結果に基づくリスクアセスメント対象物等の追加予定について説明させていただきました。
次に、資料7を御覧いただければと思います。
過年度分類物質のリスクアセスメント対象物への追加でございます。現在、リスクアセスメント対象物は、令和2年度のGHS分類の結果に基づいて、原則として危険又は有害性がありとされている物質について、全てリスクアセスメント対象物に指定をしております。今般、令和2年度までのGHS分類において危険・有害性がついている物質とリスクアセスメント対象物について、ひもづけをし直したところ、危険有害性がついているものの、リスクアセスメント対象物に指定されていない物質がございましたので、リスクアセスメント対象物への追加について、検討いただくものです。記載の6物質をリスクアセスメント対象物に追加したほうがよいかどうかについて御審議いただければと思います。
具体的には、6物質を挙げておりますが、1つずつ説明させていただきますと、まず、1つ目の物質は、2-tert-ブチルシクロヘキシル=アセタートでございます。こちらは、有害性の分類に記載をしておりますけれども、引火性液体の区分4だけがついているという物質でございます。引火性液体の区分がついておりますので、リスクアセスメント対象物にするべきかどうかというところで御確認いただきたいと思います。
引火性液体、区分4についてですが、机上配付という形で、「政府向けGHS分類ガイダンス」の抜粋を置かせていただきましたのでご覧ください。1ページ目の引火性液体の分類基準をちょっと見ていただくと、引火性液体の区分4は、引火点が60℃以上で、及び93℃以下のものというところの基準がありまして、それに該当する物質ということになっております。まず、この物質は、この区分だけがついている物質ということになります。
続きまして、資料7の2ページを見ていただきますと、クロロギ酸イソプロピルでございます。こちらは引火性液体もついていますけれども、それ以外の有害性もついている物質ということになります。
また、次の3番目の物質につきましては、ジメチルスルファモイルクロライドでございますけれども、こちらは経口毒性に区分4がついてございます。経口毒性については御承知のとおり、GHS分類の区分5は日本では採用しておりませんけれども、区分4は採用しておりますということになっています。
次の5-クロロ-2-ニトロアニリンにつきましては、こちらを見ていただくと、自己反応性化学品にタイプGというものだけがついているという物質になっております。
こちらの自己反応性化学品、タイプGについては、先ほどの机上配付資料の次のページを見ていただければと思いますけれども、タイプGのところの判定基準を読み上げますと、実験室の試験で、空気泡の存在下で全く爆ごうせず、全く爆燃することなく、密閉下の加熱でも、爆発力の試験でも、反応を起こさない自己反応性化学品です。ただし、熱的に安定である、また、液体混合物の場合には沸点が150℃以上の希釈剤で鈍性化されていることを前提とする。と記載されています。
また、その枠の下の部分です。タイプGには危険有害性情報の伝達要素は指定されていないが、他の危険性クラスに該当する特性があるかどうかを検討する必要があると記載がございます。
また、次のページを見ていただきますと、③のところです。分類のための追加情報という記載がございます。次のいずれかの場合は、化学品について、このクラスでの分類を行う必要はない上限が記載されています。まず、a)として、爆発物である場合。b)として、酸化性液体、または酸化性固体の場合。c)として、有機過酸化物である場合。また、d)として、分解熱が300J/gより低い場合、e)として、50kgの輸送物のSADTが75℃を超えるもの、また、f)として、その分子内に爆発性とか自己反応性の原子団がないもの。こういったものはそもそもこのクラスでの分類はされないとされています。
こういった前提で、リスクアセスメント対象物への追加について、御意見等がございましたらいただければと思っております。
説明としては以上になります。
○城内座長 ありがとうございました。
具体的には、資料7のところについてですか。
○小永光有害性調査機関査察官 全般的に御質問等があれば、よろしくお願いいたします。
○城内座長 資料4から資料7について、御意見等がございましたらお願いいたします。
西村委員、お願いいたします。
○西村構成員 資料6の「令和6年度政府GHS分類結果に基づくがん原性告示物質一覧(案)」の33番の物質、アクリル酸重合物のナトリウム塩です。この物質なんですけど、令和6年度政府GHS分類で、これまで発がん性区分が2だったところ、今回、区分1Bに変更されているということのようですが、政府分類のウェブサイトで根拠を確認しますと、根拠データとして示されているものが、今回の区分1のものと、従来の区分2のものの記載内容が非常によく似ておりまして、DFG、MAKの記載されているラットの吸入ばく露の発がん性試験なんです。ほとんど同じ記載に見える一方、年次が、区分2の分類、従来のものは2012年のDFGを用いたことになっておりまして、今回の区分1の分類は2001年のDFGを用いているという記述になっています。
2つ分からない点があるのですけど、今回、DFGの年次としては2012年のもののところ、今回は2001年にして、わざわざ古いDFGを利用している点と、区分を変更した理由が分類根拠に特に記載されていないようですが、分かるようでしたら御教示いただければという質問がございます。
あと、今回のリスクアセスメント対象物等ですけれども、政府によるGHS分類結果を用いるということになりますし、一方で、政府GHS分類結果ですが、注意事項として書かれているのは、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しているものであって、同じ内容を国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はないというような記載があるわけですけれども、実際にはこうして法規制に直接利用されるということから、厳し過ぎる分類とか、あるいは逆に、甘過ぎる分類、どちらになっても好ましくないと考えられますため、GHS分類案の段階で意見を募集する等の手順があってもよいのではないかというふうに考えておりますということで、こちらのほうはコメントでございます。
以上でございます。
○城内座長 事務局、いかがでしょうか。
○小永光有害性調査機関査察官 まず、最初の個別物質のGHS分類結果につきましては、すみませんが、政府分類として公表しているものでございますので、ここですぐに発言することはちょっと難しいのですけれども、内容等を確認させていただきまして、共有できるところは共有したいというふうに考えています。
また、GHS分類の案の段階での意見募集というところにつきましては、こちらは、化学物質制度が導入された際の検討、リスクアセスメント対象物にGHS分類を採用するという制度になったときの検討過程におきまして、GHS分類を採用するに当たっては民間からの情報提供制度を創設すべきという意見も出されておりまして、GHS分類に対しての疑義照会であるとか、情報を受け付けるという制度が令和4年度から運用されておりますので、そういった制度で情報提供が可能になっていると考えているところでございます。
また、当然、発がん性告示の物質であれば、告示をする際にはパブリックコメント等もすることとしておりますので、そういうところでも意見としては承れると考えております。
以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
西村委員、よろしいでしょうか。
○西村構成員 ありがとうございます。御確認、御検討のほどどうぞよろしくお願いいたします。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。資料4のリスクアセスメント対象物の裾切値一覧、資料5の皮膚等障害化学物質一覧、資料6のがん原性告示物質一覧、あと、資料7の過去分類物質のリスクアセスメント対象物への追加ですけども。
宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 専門ではないところでの質問といいますか、一部意見ですけれども、タイプGにつきまして、これは、タイプGに指定されている物質だということになったときには、実際にそのリスクを評価するときに、あるいはリスクを管理するときに、どの程度どういう注意が必要だというようなことは、これはある程度専門の人にお聞きすればはっきりして、タイプGの場合はこういうところに注意が必要ですよということが分かるようなものなのか、それとも、タイプGの記載を見ると、専門外のものについては、これが危ないものかどうかということがなかなか分かりにくい表現だと思うのですが、その辺りは、やはりこれは、専門家の方の御意見を踏まえて最終的に判断するのが本来かなという気がしています。このことに限らず、一般的に、GHS分類からこちらの法規制に移すときには、そういうチェックなり何なりがあったほうがいいということを私は思っている次第ですけれども、タイプGについては専門外でよく分からないので、もし分かる先生がいれば教えていただきたいという気がいたします。いかがでしょうか。
○城内座長 いかがでしょうか。
今の宮川委員の追加になると思いますけど、もともと危険性については、GHSは、国連危険物輸送勧告のほうからの、試験方法もそうですが、分類結果をそのままもらっていたという事情があって、ただ、最近は、GPSの中で裸で使うものについての分類は、荷姿で危険性を調べて分類することとは違うのだから、GHS独自の分類をしましょうという傾向はあるのですが、今、宮川委員からもお話があったように、非常に分かりにくい。特に、生で扱ったときにどのくらい危険なのかということは分かりにくい部分がありますので、自己反応性化学品、特にこういうものについては、衛生というよりは、危険物取扱いの専門家の意見を聞いたほうがいいかなと私も思います。引火性液体、区分2と、自己反応性化学品、タイプGですね。ここではちょっと決めかねるかなという気がいたします。
そのほか、コメント等はございますでしょうか。
お願いいたします。
○宮本構成員 宮本です。教えてください。
資料5になるのですけども、8番目の四酸化三コバルトは右側のほうのポツがどちらにもついていないという状態で、参考資料5を見ますと、17番目のところの非常に小さいところなんですが、ずっと見ていくと、「区分に該当しない」と皮膚腐食性/刺激性のところには出ていて、皮膚感作性のところに区分1Aがあるのですけど、これがここに載ったのはなぜなのでしょうか。教えてください。
○小永光有害性調査機関査察官 確認します。
すみません。こちらは資料5のほうが誤記と思っており、参考資料5を見ていただくと、四酸化三コバルトについては皮膚感作性が区分1Aとなっておりますので、ここは、本来は刺激性のところに丸がつくべきところが抜けてしまったものと思っておりますので、丸になります。
○宮本構成員 では、皮膚感作性でも丸なんですか。皮膚腐食性/刺激性のところは「区分に該当しない」となっているけど。
○小永光有害性調査機関査察官 そうです。皮膚刺激性有害物質につきましては、皮膚感作性と皮膚腐食性/刺激性と眼のいずれかが区分1である物質でございますので、単純にこちらの資料5が誤りということになります。
○宮本構成員 どうもありがとうございます。承知しました。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
資料7について、先ほど危険性についてのところのコメントをいただきましたけど、有害性について区分があるものについては採用してもいいということでよろしいでしょうか。
御意見はございませんでしょうか。
先ほどいただいた意見は、タイプGがあるものだけについては危険性の専門家の御意見をいただいたほうがいいのではないかということでしたが、そのほかについては追加してもよろしいということでいいでしょうか。事務局、それでよろしいですか。
○小永光有害性調査機関査察官 はい、承知しました。タイプGについて、専門家の意見を聞いて、また次回、御相談したいと思います。
引火性のほうも確認が必要でしょうか。
○城内座長 引火性は区分2ぐらいでやってきているのではないかと思いますが。
○小永光有害性調査機関査察官 明確に範囲は決まっておりますから、よろしいですか。
○城内座長 はい。
○小永光有害性調査機関査察官 分かりました。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 1点だけ追加でお願いします。今の結論で賛成いたしますので、結構ですけれども、どうせであれば、区分がついたというところがオレンジ色で書いてあって、区分4とかが見えるだけですが、そこに記載されたモデル分類に、こういう根拠で区分4にしましたよとか、区分2にしましたよとか、そこを資料として次回から出していただいて、ここに専門の先生がいらっしゃいますので、分かりましたと言っていただいたほうがより安全に判断できると思いますので、御検討いただければと思います。
以上です。
○小永光有害性調査機関査察官 承知しました。
○城内座長 そのほか、資料4から資料7について御意見等はありませんでしょうか。
では、御質問等はないということで、閉めたいと思います。

(3)その他

○城内座長 最後に、議事3「その他」ということですけども、事務局から何かありますでしょうか。
○堀部化学物質評価室長 本日御用意しました議題は以上でございます。事務局から特にございません。
この後は連絡事項に入らせていただきます。
本日の議事録でございますが、後ほど構成員の皆様に御確認いただき、公開させていただければと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
次回の日程について御案内を差し上げます。次回でございますが、8月20日(水曜日)の午後、本日は1時でございましたが、次回は2時からということで予定をしております。終了は5時の予定でございます。場所はこちら、AP虎ノ門、同じ建物です。会議室の場所についてはまた改めて御案内を差し上げます。
議題でございますが、次回の議題は、1つは濃度基準値の検討、もう1つは濃度基準設定対象物質ごとの測定方法についてということで、2種類の検討をお願いしたいと思っております。したがいまして、構成員名簿のうち、全ての先生方に御参集をお願いできればと思っています。正式な御案内につきましては後日またお送りをさせていただきますので、御確認いただければと思います。
○城内座長 以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。熱心な御議論をありがとうございました。本日はお疲れさまでした。

午後3時39分 閉会